(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099541
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】皮膚充填剤としての架橋HA-コラーゲンヒドロゲル
(51)【国際特許分類】
A61L 27/24 20060101AFI20240718BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240718BHJP
A61K 8/04 20060101ALI20240718BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240718BHJP
A61K 8/65 20060101ALI20240718BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240718BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240718BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20240718BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240718BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240718BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240718BHJP
A61L 27/20 20060101ALI20240718BHJP
A61L 27/44 20060101ALI20240718BHJP
A61L 27/52 20060101ALI20240718BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240718BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240718BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240718BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
A61L27/24
A61K8/02
A61K8/04
A61K8/44
A61K8/65
A61K8/73
A61K9/06
A61K31/167
A61K47/18
A61K47/36
A61K47/42
A61L27/20
A61L27/44
A61L27/52
A61P17/00
A61P43/00
A61Q19/00
A61Q19/08
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024060349
(22)【出願日】2024-04-03
(62)【分割の表示】P 2022539263の分割
【原出願日】2020-12-28
(31)【優先権主張番号】62/953,910
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591018268
【氏名又は名称】アラーガン、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トレイナ、クリストファー エイ.
(72)【発明者】
【氏名】クティコフ、アルテム ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ユー、シャオジェ
(72)【発明者】
【氏名】ヒー、クリストファー ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】メッシーナ、ダリン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】モレル、ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】ドゥリュー、フローラン
(72)【発明者】
【氏名】ゲッタ、オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ロカ、マルチネス、ジャン - グザヴィエ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C083
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076BB31
4C076CC21
4C076DD51
4C076EE37A
4C076EE43A
4C076EE45A
4C081AB19
4C081AB37
4C081CD08
4C081CD12
4C081CE11
4C081DA12
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC641
4C083AD331
4C083AD332
4C083AD431
4C083AD432
4C083CC02
4C083DD41
4C083EE12
4C083FF01
4C206AA01
4C206AA02
4C206GA19
4C206GA31
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA83
4C206NA14
4C206ZA89
(57)【要約】 (修正有)
【課題】改善された皮膚充填剤を提供する。
【解決手段】皮膚充填剤をヒトの顔の解剖学的特徴に注入することにより解剖学的特徴の審美性を改善するための皮膚充填剤であって、前記皮膚充填剤が、リジンと、ヒアルロン酸と、コラーゲンとを含む架橋高分子マトリックスを含み、前記ヒアルロン酸が、前記コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び前記リジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によって前記コラーゲンに架橋されている、皮膚充填剤である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リジンと、
ヒアルロン酸と、
コラーゲンと
を含む架橋高分子マトリックスであって、
前記ヒアルロン酸が、前記コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び/又は前記リジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によって前記コラーゲンに架橋されている、架橋高分子マトリックス。
【請求項2】
リドカインをさらに含む、請求項1に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項3】
前記リドカインが、前記マトリックス中、約0.15%(w/w)から約0.45%(w/w)の範囲の濃度である、請求項1又は2に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項4】
前記リドカインが、前記マトリックスの約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)、若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度である、請求項1~3のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項5】
前記リドカインが、前記マトリックス中、約0.27%(w/w)から約0.33%(w/w)の範囲の濃度である、請求項1~4のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項6】
前記マトリックスが、非架橋HAをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項7】
前記非架橋HAが、前記マトリックス中、最大約5%(w/w)の濃度を有する、請求項6に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項8】
前記非架橋HAが、前記マトリックス中、約0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%(w/w)若しくは約5%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度を有する、請求項6又は7に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項9】
前記非架橋HAが、前記マトリックス中、約1%(w/w)の濃度を有する、請求項6~8のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項10】
前記非架橋HAが、前記マトリックス中、約2%(w/w)の濃度を有する、請求項6~8のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項11】
前記非架橋HAが、前記マトリックス中、約5%(w/w)の濃度を有する、請求項6~8のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項12】
前記非架橋HAが、前記高分子マトリックスの押出性を改善する、請求項6~11のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項13】
約6ヶ月間、約12ヶ月間、約18ヶ月間、約24ヶ月間、約30ヶ月間若しくは約36ヶ月間、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の時間にわたって安定である、請求項1~12のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項14】
約4℃~約25℃の温度で安定である、請求項1~13のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項15】
約4℃の温度で安定である、請求項1~14のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項16】
約25℃の温度で安定である、請求項1~15のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項17】
約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約19ヶ月、約20ヶ月、約21ヶ月、約22ヶ月、約23ヶ月、約24ヶ月、約25ヶ月、約26ヶ月、約27ヶ月、約28ヶ月、約29ヶ月、約30ヶ月、約31ヶ月、約32ヶ月、約33ヶ月、約34ヶ月、約35ヶ月、約36ヶ月、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の時点で安定である、請求項1~16のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項18】
約6ヶ月間、約12ヶ月間、約18ヶ月間、約24ヶ月間、約30ヶ月間若しくは約36ヶ月間、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の時間で分解がごくわずかである、請求項1~17のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項19】
前記マトリックスが、約30Paから約10,000Paの弾性率(G’)、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の弾性率を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項20】
前記マトリックスが、約30Pa、約40Pa、約50Pa、約60Pa、約70Pa、約80Pa、約90Pa、約100Pa、約200Pa、約300Pa、約400Pa、約500Pa、約600Pa、約700Pa、約800Pa、約900Pa、約1000Pa、約1100Pa、約1200Pa、約1300Pa、約1400Pa、約1500Pa、約1600Pa、約1700Pa、約1800Pa、約1900Pa、約2000Pa、約2100Pa、約2200Pa、約2300Pa、約2400Pa、約2500Pa、約2600Pa、約2700Pa、約2800Pa、約2900Pa、約3000Pa、約3100Pa、約3200Pa、約3300Pa、約3400Pa、約3500Pa、約3600Pa、約3700Pa、約3800Pa、約3900Pa、約4000Pa、約4100Pa、約4200Pa、約4300Pa、約4400Pa、約4500Pa、約4600Pa、約4700Pa、約4800Pa、約4900Pa、約5000Pa、約5100Pa、約5200Pa、約5300Pa、約5400Pa、約5500Pa、約5600Pa、約5700Pa、約5800Pa、約5900Pa、約6000Pa、約6100Pa、約6200Pa、約6300Pa、約6400Pa、約6500Pa、約6600Pa、約6700Pa、約6800Pa、約6900Pa、約7000Pa、約7100Pa、約7200Pa、約7300Pa、約7400Pa、約7500Pa、約7600Pa、約7700Pa、約7800Pa、約7900Pa、約8000Pa、約8100Pa、約8200Pa、約8300Pa、約8400Pa、約8500Pa、約8600Pa、約8700Pa、約8800Pa、約8900Pa、約9000Pa、約9100Pa、約9200Pa、約9300Pa、約9400Pa、約9500Pa、約9600Pa、約9700Pa、約9800Pa、約9900Pa若しくは約10000Paの弾性率(G’)、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の弾性率を有する、請求項1~19のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項21】
前記マトリックスが、約10gmf、約20gmf、約30gmf、約40gmf、約50gmf、約60gmf、約70gmf、約80gmf、約90gmf、約100gmf、約110gmf、約120gmf、約130gmf、約140gmf、約150gmf、約160gmf、約170gmf、約180gmf、約190gmf、約200gmf、約210gmf、約220gmf、約230gmf、約240gmf、約250gmf、約260gmf、約270gmf、約280gmf、約290gmf、約300gmf、約310gmf、約320gmf、約330gmf、約340gmf、約350gmf、約360gmf、約370gmf、約380gmf、約390gmf、約400gmf、約410gmf、約420gmf、約430gmf、約440gmf、約450gmf、約460gmf、約470gmf、約480gmf、約490gmf、約500gmf、約510gmf、約520gmf、約530gmf、約540gmf、約550gmf、約560gmf、約570gmf、約580gmf、約590gmf若しくは約600gmfの圧縮力値、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の圧縮力値を有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項22】
前記マトリックスが、約100gmf、約200gmf、約300gmf、約400gmf、約500gmf若しくは約600gmfの圧縮力値、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の圧縮力値を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項23】
前記ヒアルロン酸が、約5mg/ml、約6mg/ml、約8mg/ml、約10mg/ml、約12mg/ml、約14mg/ml、約16mg/ml、約18mg/ml、約20mg/ml、約22mg/ml、約24mg/ml、約26mg/ml、約28mg/ml、約30mg/ml、約32mg/ml、約34mg/ml若しくは約36mg/mlの濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度である、請求項1~22のいずれか一項に記載の架橋高分子混合物。
【請求項24】
前記コラーゲンが、I型コラーゲンを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項25】
前記コラーゲンが、II型コラーゲンを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項26】
前記コラーゲンが、III型コラーゲンを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項27】
前記コラーゲンが、0%から3%のII型コラーゲンを含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項28】
前記コラーゲンが、1%~3%のI型コラーゲンを含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項29】
前記マトリックスが、約0%から約3%のIII型コラーゲンを含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項30】
前記コラーゲンが、約97%から約99%のI型コラーゲンを含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項31】
前記コラーゲンが、I型コラーゲンとIII型コラーゲンの両方の混合物を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項32】
前記コラーゲンが、約1mg/ml、約2mg/ml、約4mg/ml、約6mg/ml、約8mg/ml、約10mg/ml、約12mg/ml、約14mg/mlの濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度を有する、請求項1~31のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項33】
塩をさらに含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項34】
約50mMから約400mMの範囲のNaClを含む、請求項33に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項35】
NaClを含み、前記NaClが約50mM、約75mM、約100mM、約125mM、約150mM、約175mM、約200mM、約225mM、約250mM、約275mM、約300mM、約325mM、約350mM、約375mM若しくは約400mMの濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度を有する、請求項1~34のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項36】
NaClを含み、前記NaClが約150mMの濃度を有する、請求項1~35のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項37】
約0.01Mのリン酸緩衝液、約137mMのNaCl、及び約2.7mMの濃度のKClを含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項38】
針及び/又はカニューレを用いた注入又は用途のために製剤化される、請求項1~37のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項39】
前記ヒアルロン酸成分が、約20,000ダルトンから約10,000,000ダルトンの平均分子量を有する、請求項1~38のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項40】
前記ヒアルロン酸成分が、約20,000ダルトン、約40,000ダルトン、約60,000ダルトン、約80,000ダルトン、約100,000ダルトン、約200,000ダルトン、約300,000ダルトン、約400,000ダルトン、約500,000ダルトン、約600,000ダルトン、約700,000ダルトン、約800,000ダルトン、約900,000ダルトン、約1,000,000ダルトン、約1,100,000ダルトン、約1,200,000ダルトン、約1,300,000ダルトン、約1,400,000ダルトン、約1,500,000ダルトン、約1,600,000ダルトン、約1,700,000ダルトン、約1,800,000ダルトン、約1,900,000ダルトン、約2,000,000ダルトン、約2,100,000ダルトン、約2,200,000ダルトン、約2,300,000ダルトン、約2,400,000ダルトン、約2,500,000ダルトン、約2,600,000ダルトン、約2,700,000ダルトン、約2,800,000ダルトン、約2,900,000ダルトン、約3,000,000ダルトン、約3,100,000ダルトン、約3,200,000ダルトン、約3,300,000ダルトン、約3,400,000ダルトン、約3,500,000ダルトン、約3,600,000ダルトン、約3,700,000ダルトン、約3,800,000ダルトン、約3,900,000ダルトン、約4,000,000ダルトン、約4,100,000ダルトン、約4,200,000ダルトン、約4,300,000ダルトン、約4,400,000ダルトン、約4,500,000ダルトン、約4,600,000ダルトン、約4,700,000ダルトン、約4,800,000ダルトン、約4,900,000ダルトン、約5,000,000ダルトン、約5,100,000ダルトン、約5,200,000ダルトン、約5,300,000ダルトン、約5,400,000ダルトン、約5,500,000ダルトン、約5,600,000ダルトン、約5,700,000ダルトン、約5,800,000ダルトン、約5,900,000ダルトン、約6,000,000ダルトン、約6,100,000ダルトン、約6,200,000ダルトン、約6,300,000ダルトン、約6,400,000ダルトン、約6,500,000ダルトン、約6,600,000ダルトン、約6,700,000ダルトン、約6,800,000ダルトン、約6,900,000ダルトン、約7,000,000ダルトン、約7,100,000ダルトン、約7,200,000ダルトン、約7,300,000ダルトン、約7,400,000ダルトン、約7,500,000ダルトン、約7,600,000ダルトン、約7,700,000ダルトン、約7,800,000ダルトン、約7,900,000ダルトン、約8,000,000ダルトン、約8,100,000ダルトン、約8,200,000ダルトン、約8,300,000ダルトン、約8,400,000ダルトン、約8,500,000ダルトン、約8,600,000ダルトン、約8,700,000ダルトン、約8,800,000ダルトン、約8,900,000ダルトン、約9,000,000ダルトン、約9,100,000ダルトン、約9,200,000ダルトン、約9,300,000ダルトン、約9,400,000ダルトン、約9,500,000ダルトン、約9,600,000ダルトン、約9,700,000ダルトン、約9,800,000ダルトン、約9,900,000ダルトン若しくは約10,000,000ダルトンの平均分子量、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の分子量を有する、請求項39に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項41】
前記ヒアルロン酸が、異なる分子量を有するヒアルロン酸成分の混合物を含み、前記混合物が、約20,000ダルトン、約40,000ダルトン、約60,000ダルトン、約80,000ダルトン、約100,000ダルトン、約200,000ダルトン、約300,000ダルトン、約400,000ダルトン、約500,000ダルトン、約600,000ダルトン、約700,000ダルトン、約800,000ダルトン、約900,000ダルトン、約1,000,000ダルトン、約1,500,000ダルトン、約2,000,000ダルトン、約2,500,000ダルトン、約3,000,000ダルトン、約3,500,000ダルトン、約4,000,000ダルトン、約4,500,000ダルトン、約5,000,000ダルトン、約5,500,000ダルトン、約6,000,000ダルトン、約6,500,000ダルトン、約7,500,000ダルトン、約8,000,000ダルトン、約8,500,000ダルトン、約9,000,000ダルトン、約9,500,000ダルトン、and/or約10,000,000ダルトンの平均分子量を有するヒアルロン酸、及び/又は前述の任意の2つの値の間の範囲内の分子量を有する任意のヒアルロン酸を含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【請求項42】
ヒアルロン酸と、
コラーゲンと、
リジンと、
緩衝液と
を含み、水性ヒドロゲルである、
組成物。
【請求項43】
前記ヒアルロン酸が、前記コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び/又は前記リジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によって前記コラーゲンに架橋されている、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
リドカインをさらに含む、請求項42又は43に記載の組成物。
【請求項45】
前記リドカインが、前記マトリックス中、約0.15%(w/w)から約0.45%(w/w)の範囲の濃度である、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
前記リドカインが、前記組成物の約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度である、請求項44又は45に記載の組成物。
【請求項47】
非架橋HAをさらに含む、請求項42~46のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
前記非架橋架橋HAが、前記組成物中、最大約5%(w/w)の濃度を有する、請求項47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
前記非架橋HAが、前記組成物中、約0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%(w/w)、約5%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度を有する、請求項47又は48のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
前記非架橋HAが、前記組成物中、約1%(w/w)の濃度を有する、請求項47~49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
前記非架橋HAが、前記組成物中、約2%(w/w)の濃度を有する、請求項47~49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
前記非架橋HAが、前記組成物中、約5%(w/w)の濃度を有する、請求項47~49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
前記非架橋HAが、前記組成物の押出性を改善する、請求項47~52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項54】
前記緩衝液が、リン酸緩衝生理食塩水である、請求項42~53のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項55】
前記ヒアルロン酸が、約20,000ダルトンから約10,000,000ダルトンの平均分子量を有する、請求項42~54のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項56】
前記ヒアルロン酸が、異なる分子量を有するヒアルロン酸成分の混合物を含み、前記混合物が、約20,000ダルトン、約40,000ダルトン、約60,000ダルトン、約80,000ダルトン、約100,000ダルトン、約200,000ダルトン、約300,000ダルトン、約400,000ダルトン、約500,000ダルトン、約600,000ダルトン、約700,000ダルトン、約800,000ダルトン、約900,000ダルトン、約1,000,000ダルトン、約1,500,000ダルトン、約2,000,000ダルトン、約2,500,000ダルトン、約3,000,000ダルトン、約3,500,000ダルトン、約4,000,000ダルトン、約4,500,000ダルトン、約5,000,000ダルトン、約5,500,000ダルトン、約6,000,000ダルトン、約6,500,000ダルトン、約7,500,000ダルトン、約8,000,000ダルトン、約8,500,000ダルトン、約9,000,000ダルトン、約9,500,000ダルトン及び/又は約10,000,000ダルトンの分子量を有するヒアルロン酸、及び/又は前述の任意の2つの値の間の範囲内の分子量を有する任意のヒアルロン酸を含む、請求項42~55のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項57】
前記コラーゲンが、I型コラーゲンを含む、請求項42~56のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項58】
前記コラーゲンが、II型コラーゲンを含む、請求項42~57のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項59】
前記コラーゲンが、III型コラーゲンを含む、請求項42~58のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項60】
約4,000Pa S、約4100Pa S、約4200Pa S、約4300Pa S、約4400Pa S、約4500Pa S、約4600Pa S、約4700Pa S、約4800Pa S、約4900Pa S、約5000Pa S、約5100Pa S、約5200Pa S、約5300Pa S、約5400Pa S、約5500Pa S、約5600Pa S、約5700Pa S、約5800Pa S、約5900Pa S、約6000Pa S、約6100Pa S、約6200Pa S、約6300Pa S、約6400Pa S、約6500Pa S、約6600Pa S、約6700Pa S、約6800Pa S、約6900Pa S、約7000Pa S、約7100Pa S、約7200Pa S、約7300Pa S、約7400Pa S、約7500Pa S、約7600Pa S、約7700Pa S、約7800Pa S、約7900Pa S、約8000Pa S、約8100Pa S、約8200Pa S、約8300Pa S、約8400Pa S、約8500Pa S、約8600Pa S、約8700Pa S、約8800Pa S、約8900Pa S、約9000Pa S、約9100Pa S、約9200Pa S、約9300Pa S、約9400Pa S、約9500Pa S、約9600Pa S、約9700Pa S、約9800Pa S、約9900Pa S若しくは約10,000Pa Sの粘度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の粘度を有する、請求項42~59のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項61】
約0.01から約0.5のtanデルタパラメータ(G’’/G’)を有する、請求項42~60のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項62】
約0.01、約0.05、約0.10、約0.15、約0.20、約0.25、約0.30、約0.35、約0.40、約0.45若しくは約0.50のtanデルタパラメータ(G’’/G’)、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意のtanデルタパラメータを有する、請求項42~61のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項63】
約6ヶ月間、約12ヶ月間、約18ヶ月間、約24ヶ月間、約30ヶ月間若しくは約36ヶ月間、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の時間にわたって安定である、請求項42~62のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項64】
約4℃で安定である、請求項42~63のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項65】
約25℃で安定である、請求項42~64のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項66】
約6ヶ月間、約12ヶ月間、約18ヶ月間、約24ヶ月間、約30ヶ月間若しくは約36ヶ月間、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の時間で分解がごくわずかである、請求項42~65のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項67】
ヒアルロン酸とコラーゲンとを架橋する方法であって、
コラーゲンと、ヒアルロン酸と、リジンとを水溶液に溶解して反応前水溶液を形成すること、ここで、前記反応前水溶液が約4~約6のpHを有する、及び、
水溶性カルボジイミドと、
N-ヒドロキシスクシンイミド又はN-ヒドロキシスルホスクシンイミドと
を含む第2の溶液を調製すること、及び、
前記第2の溶液を前記反応前水溶液に加えて架橋反応混合物を形成すること、及び、
前記ヒアルロン酸と前記コラーゲンとをリジンで架橋することにより前記架橋反応混合物を反応させること、
を含み、
前記ヒアルロン酸が前記コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び/又は前記リジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によって前記コラーゲンに架橋され、
前記HA及び前記コラーゲンがごくわずかに分解し、前記HA及び前記コラーゲンの構造が無傷のままであり、それによって架橋高分子マトリックスを形成する、方法。
【請求項68】
前記反応前水溶液が、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5若しくは約6.0のpH、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意のpHを有する、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
リドカインを前記架橋高分子マトリックスに加えることをさらに含む、請求項67又は68に記載の方法。
【請求項70】
前記リドカインが、前記架橋高分子マトリックス中、約0.15%(w/w)から約0.45%(w/w)の範囲の濃度に至るまで加えられる、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記リドカインが、前記マトリックスの約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度である、請求項69又は70に記載の方法。
【請求項72】
トリアゾール、フッ素化フェノール、スクシンイミド、又はスルホスクシンイミドを含む活性化剤を付与することをさらに含む、請求項67~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
約2℃、約4℃、約6℃、約8℃、約10℃、約12℃、約14℃、約16℃、約18℃、約20℃、約22℃、約24℃、約26℃、約28℃、約30℃、約32℃、約34℃若しくは約36℃の温度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の温度で行う、請求項67~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記反応工程を、約4~約35℃で行う、請求項67~73のいずれか一項請求項に記載の方法。
【請求項75】
前記反応工程を、約4℃又は約22℃で行う、請求項67~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記架橋高分子マトリックスを精製することをさらに含み、前記精製工程を透析を用いて行う、請求項67~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記精製工程を、2℃~30℃で行う、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記透析を、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の温度で行う、請求項76又は77に記載の方法。
【請求項79】
前記精製工程を、約2℃又は約8℃で行う、請求項76~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記架橋反応を、約2℃から約35℃で行う、請求項67~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記架橋反応を、約2℃から約8℃で行う、請求項67~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
室温未満で行われる、請求項67~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記架橋反応混合物のpHが、約4.0から約6.0である、請求項67~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記反応前溶液が塩を含み、前記塩が、前記架橋反応混合物中、約50mM、約75mM、約100mM、約125mM、約150mM、約175mM、約200mM、約225mM、約250mM、約275mM、約300mM、325mM、約350mM、約375mM若しくは約400mMの濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度で塩化ナトリウムを含む、請求項67~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記水溶性カルボジイミドが、前記架橋反応混合物中、約20mMから約200mMの濃度の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである、請求項67~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記水溶性カルボジイミドが、約20mM、約40mM、約60mM、約80mM、約100mM、約120mM、約140mM、約160mM、約180mM若しくは約200mMの濃度、又は前述の任意の値によって定義される範囲の間の任意の濃度の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記水溶性カルボジイミド及び前記ヒアルロン酸の、水溶性カルボジイミドの繰り返し単位:ヒアルロン酸の繰り返し単位のモル対モル比が約0.5から約2.0である、請求項67~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記水溶性カルボジイミド及び前記ヒアルロン酸の、水溶性カルボジイミドの繰り返し単位:ヒアルロン酸の繰り返し単位のモル対モル比が、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9又は約2.0である、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記リジン及び前記ヒアルロン酸のモル:モル(リジンの繰り返し単位:HAの繰り返し単位)比が、約0.01から約0.6である、請求項67~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記リジン及び前記ヒアルロン酸のモル:モル(リジンの繰り返し単位:HAの繰り返し単位)比が、約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.10、約0.11、約0.12、約0.13、約0.14、約0.15、約0.16、約0.17、約0.18、約0.19、約0.2、約0.21、約0.22、約0.23、約0.24、約0.25、約0.26、約0.27、約0.28、約0.29、約0.3、約0.31、約0.32、約0.33、約0.34、約0.35、約0.36、約0.37、約0.38、約0.39、約0.4、約0.41、約0.42、約0.43、約0.44、約0.45、約0.46、約0.47、約0.48、約0.49、約0.5、約0.51、約0.52、約0.53、約0.54、約0.55、約0.56、約0.57、約0.58、約0.59又は約0.6である、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
非架橋HAを前記架橋高分子マトリックスに加えることをさらに含む、請求項67~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記非架橋HAを、前記架橋高分子マトリックス中、最大5%w/wの濃度に至るまで加える、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記非架橋HAを、前記マトリックス中、約0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%(w/w)若しくは約5%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度に至るまで加える、請求項91又は92に記載の方法。
【請求項94】
前記非架橋HAを、前記マトリックス中、約1%(w/w)の濃度に至るまで加える、請求項91~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記非架橋HAを、前記マトリックス中、約3%(w/w)の濃度に至るまで加える、請求項91~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記非架橋HAを、前記マトリックス中、約5%(w/w)の濃度に至るまで加える、請求項91~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記架橋高分子マトリックスを滅菌することをさらに含み、
蒸気滅菌のために前記架橋高分子マトリックスを容器に移すこと、及び
前記ヒドロゲルを蒸気滅菌によって滅菌すること、
を含む、請求項67~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記容器がシリンジである、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記架橋高分子マトリックスを透析することをさらに含み、前記透析を約1000ダルトンから約100,000ダルトンの分子量カットオフを有する膜を介して行い、前記透析を滅菌前に行う、請求項67~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記透析をリン酸緩衝生理食塩水で行う、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記反応前溶液中の前記ヒアルロン酸を、前記第2の溶液を加える前に少なくとも約60分間水和する、請求項67~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記架橋反応混合物を約16時間から約24時間行う、請求項67~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
請求項67~102のいずれか一項に記載のプロセスによって調製された架橋高分子マトリックス。
【請求項104】
人間の解剖学的特徴の審美性を改善する方法であって、
人間の組織に組成物を注入し、それによって前記解剖学的特徴の前記審美性を改善すること
を含み、
前記組成物が、
ヒアルロン酸と、
リジンと、
コラーゲンと
を含む架橋高分子マトリックスを含み、
前記ヒアルロン酸が、前記コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び/又は前記リジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によって前記コラーゲンに架橋されている、方法。
【請求項105】
前記架橋高分子マトリックスが、リドカインをさらに含む、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記架橋高分子マトリックスが、非架橋HAをさらに含む、請求項104又は105に記載の方法。
【請求項107】
前記ヒアルロン酸成分が、約20,000ダルトン、約40,000ダルトン、約60,000ダルトン、約80,000ダルトン、約100,000ダルトン、約200,000ダルトン、約300,000ダルトン、約400,000ダルトン、約500,000ダルトン、約600,000ダルトン、約700,000ダルトン、約800,000ダルトン、約900,000ダルトン、約1,000,000ダルトン、約1,100,000ダルトン、約1,200,000ダルトン、約1,300,000ダルトン、約1,400,000ダルトン、約1,500,000ダルトン、約1,600,000ダルトン、約1,700,000ダルトン、約1,800,000ダルトン、約1,900,000ダルトン、約2,000,000ダルトン、約2,100,000ダルトン、約2,200,000ダルトン、約2,300,000ダルトン、約2,400,000ダルトン、約2,500,000ダルトン、約2,600,000ダルトン、約2,700,000ダルトン、約2,800,000ダルトン、約2,900,000ダルトン、約3,000,000ダルトン、約3,100,000ダルトン、約3,200,000ダルトン、約3,300,000ダルトン、約3,400,000ダルトン、約3,500,000ダルトン、約3,600,000ダルトン、約3,700,000ダルトン、約3,800,000ダルトン、約3,900,000ダルトン、約4,000,000ダルトン、約4,100,000ダルトン、約4,200,000ダルトン、約4,300,000ダルトン、約4,400,000ダルトン、約4,500,000ダルトン、約4,600,000ダルトン、約4,700,000ダルトン、約4,800,000ダルトン、約4,900,000ダルトン、約5,000,000ダルトン、約5,100,000ダルトン、約5,200,000ダルトン、約5,300,000ダルトン、約5,400,000ダルトン、約5,500,000ダルトン、約5,600,000ダルトン、約5,700,000ダルトン、約5,800,000ダルトン、約5,900,000ダルトン、約6,000,000ダルトン、約6,100,000ダルトン、約6,200,000ダルトン、約6,300,000ダルトン、約6,400,000ダルトン、約6,500,000ダルトン、約6,600,000ダルトン、約6,700,000ダルトン、約6,800,000ダルトン、約6,900,000ダルトン、約7,000,000ダルトン、約7,100,000ダルトン、約7,200,000ダルトン、約7,300,000ダルトン、約7,400,000ダルトン、約7,500,000ダルトン、約7,600,000ダルトン、約7,700,000ダルトン、約7,800,000ダルトン、約7,900,000ダルトン、約8,000,000ダルトン、約8,100,000ダルトン、約8,200,000ダルトン、約8,300,000ダルトン、約8,400,000ダルトン、約8,500,000ダルトン、約8,600,000ダルトン、約8,700,000ダルトン、約8,800,000ダルトン、約8,900,000ダルトン、約9,000,000ダルトン、約9,100,000ダルトン、約9,200,000ダルトン、約9,300,000ダルトン、約9,400,000ダルトン、約9,500,000ダルトン、約9,600,000ダルトン、約9,700,000ダルトン、約9,800,000ダルトン、約9,900,000ダルトン若しくは約10,000,000ダルトンの平均分子量、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の分子量を有する、請求項104~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記ヒアルロン酸が、異なる分子量を有するヒアルロン酸成分の混合物を含み、前記混合物が、約20,000ダルトン、約40,000ダルトン、約60,000ダルトン、約80,000ダルトン、約100,000ダルトン、約200,000ダルトン、約300,000ダルトン、約400,000ダルトン、約500,000ダルトン、約600,000ダルトン、約700,000ダルトン、約800,000ダルトン、約900,000ダルトン、約1,000,000ダルトン、約1,500,000ダルトン、約2,000,000ダルトン、約2,500,000ダルトン、約3,000,000ダルトン、約3,500,000ダルトン、約4,000,000ダルトン、約4,500,000ダルトン、約5,000,000ダルトン、約5,500,000ダルトン、約6,000,000ダルトン、約6,500,000ダルトン、約7,500,000ダルトン、約8,000,000ダルトン、約8,500,000ダルトン、約9,000,000ダルトン、約9,500,000ダルトン及び/又は約1,000,000ダルトンの平均分子量を有するヒアルロン酸、及び/又は前述の任意の2つの値の間の範囲内の分子量を有する任意のヒアルロン酸を含む、請求項104~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記コラーゲンが、I型コラーゲン及び/又はIII型コラーゲンを含む、請求項104~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
個体の外観を改善する方法であって、
注入部位で前記個体の組織に組成物を注入し、それによって解剖学的特徴の審美性を改善すること、ここで、前記組織からの浸潤細胞が前記注入部位内の前記組成物に一体化されるものである、前記組成物内に新しいコラーゲンを堆積させることを含み、ここで、前記組成物が、
ヒアルロン酸と、
リジンと、
コラーゲンと
を含む架橋高分子マトリックスを含み、
前記ヒアルロン酸が、前記コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び/又は前記リジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によって前記コラーゲンに架橋されており、前記組成物が注入された前記組織が、組織の一体化及びコラーゲンの堆積並びに血管形成を有することが示される、方法。
【請求項111】
前記組成物が、リドカインをさらに含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記組成物が、非架橋HAをさらに含む、請求項110又は111に記載の方法。
【請求項113】
前記組成物を、顎先、顎ライン、唇、又はホウレイ線に注入する、請求項110~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
顔の特徴間の対称性を改善する、請求項110~113に記載の方法。
【請求項115】
顔の特徴に対してボリュームを増大及び復元する、請求項110~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
顎先、顎ライン、又はホウレイ線のボリュームを増大させ、補正し、復元し、又は与える、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記組成物を、前記個体の涙液トラフに注入する、請求項110~112、114又は115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記組成物を、皮膚の萎縮及び/又は脂肪体の萎縮を含む領域に注入する、請求項110~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記注入を受ける前記組織に自然な見た目、感触、及び動きを与え、前記組成物が、前記注入部位の周囲の組織からのコラーゲンの浸潤の増加をもたらす、請求項110~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記注入部位への組織の一体化の結果として前記組成物の持続時間が延長される、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記注入部位の周囲の皮膚の水和及び弾性を改善する、請求項104~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
組織へのコラーゲンの浸潤を増加させる方法であって、
個体の前記組織に組成物を注入し、それによって前記組成物を含む皮膚充填剤のデポーを作り出すことを含み、ここで、前記組成物が、
ヒアルロン酸と、リジンと、コラーゲンと
を含む架橋高分子マトリックスを含み、前記ヒアルロン酸が、前記コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び/又は前記リジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によって前記コラーゲンに架橋されており、前記皮膚充填剤のデポーの周囲の前記組織からの細胞が前記組成物を含む前記皮膚充填剤のデポーに浸潤し、前記細胞が前記組成物に一体化して新しいコラーゲンを前記組成物に堆積させ、それによって前記組成物内に浸潤組織を作り出し、血管が前記組成物内の前記浸潤組織を前記個体の身体の血液供給源に接続する、方法。
【請求項123】
前記マトリックスが、リドカインをさらに含む、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
前記組成物が、非架橋HAをさらに含む、請求項122又は123に記載の方法。
【請求項125】
前記ヒアルロン酸が、約20,000ダルトン、約40,000ダルトン、約60,000ダルトン、約80,000ダルトン、約100,000ダルトン、約200,000ダルトン、約300,000ダルトン、約400,000ダルトン、約500,000ダルトン、約600,000ダルトン、約700,000ダルトン、約800,000ダルトン、約900,000ダルトン、約1,000,000ダルトン、約1,100,000ダルトン、約1,200,000ダルトン、約1,300,000ダルトン、約1,400,000ダルトン、約1,500,000ダルトン、約1,600,000ダルトン、約1,700,000ダルトン、約1,800,000ダルトン、約1,900,000ダルトン、約2,000,000ダルトン、約2,100,000ダルトン、約2,200,000ダルトン、約2,300,000ダルトン、約2,400,000ダルトン、約2,500,000ダルトン、約2,600,000ダルトン、約2,700,000ダルトン、約2,800,000ダルトン、約2,900,000ダルトン、約3,000,000ダルトン、約3,100,000ダルトン、約3,200,000ダルトン、約3,300,000ダルトン、約3,400,000ダルトン、約3,500,000ダルトン、約3,600,000ダルトン、約3,700,000ダルトン、約3,800,000ダルトン、約3,900,000ダルトン、約4,000,000ダルトン、約4,100,000ダルトン、約4,200,000ダルトン、約4,300,000ダルトン、約4,400,000ダルトン、約4,500,000ダルトン、約4,600,000ダルトン、約4,700,000ダルトン、約4,800,000ダルトン、約4,900,000ダルトン、約5,000,000ダルトン、約5,100,000ダルトン、約5,200,000ダルトン、約5,300,000ダルトン、約5,400,000ダルトン、約5,500,000ダルトン、約5,600,000ダルトン、約5,700,000ダルトン、約5,800,000ダルトン、約5,900,000ダルトン、約6,000,000ダルトン、約6,100,000ダルトン、約6,200,000ダルトン、約6,300,000ダルトン、約6,400,000ダルトン、約6,500,000ダルトン、約6,600,000ダルトン、約6,700,000ダルトン、約6,800,000ダルトン、約6,900,000ダルトン、約7,000,000ダルトン、約7,100,000ダルトン、約7,200,000ダルトン、約7,300,000ダルトン、約7,400,000ダルトン、約7,500,000ダルトン、約7,600,000ダルトン、約7,700,000ダルトン、約7,800,000ダルトン、約7,900,000ダルトン、約8,000,000ダルトン、約8,100,000ダルトン、約8,200,000ダルトン、約8,300,000ダルトン、約8,400,000ダルトン、約8,500,000ダルトン、約8,600,000ダルトン、約8,700,000ダルトン、約8,800,000ダルトン、約8,900,000ダルトン、約9,000,000ダルトン、約9,100,000ダルトン、約9,200,000ダルトン、約9,300,000ダルトン、約9,400,000ダルトン、約9,500,000ダルトン、約9,600,000ダルトン、約9,700,000ダルトン、約9,800,000ダルトン、約9,900,000ダルトン若しくは約10,000,000ダルトンの平均分子量、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の他の分子量を有する、請求項122~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
前記ヒアルロン酸が、異なる分子量を有するヒアルロン酸成分の混合物を含み、前記混合物が、約20,000ダルトン、約40,000ダルトン、約60,000ダルトン、約80,000ダルトン、約100,000ダルトン、約200,000ダルトン、約300,000ダルトン、約400,000ダルトン、約500,000ダルトン、約600,000ダルトン、約700,000ダルトン、約800,000ダルトン、約900,000ダルトン、約1,000,000ダルトン、約1,500,000ダルトン、約2,000,000ダルトン、約2,500,000ダルトン、約3,000,000ダルトン、約3,500,000ダルトン、約4,000,000ダルトン、約4,500,000ダルトン、約5,000,000ダルトン、約5,500,000ダルトン、約6,000,000ダルトン、約6,500,000ダルトン、約7,500,000ダルトン、約8,000,000ダルトン、約8,500,000ダルトン、約9,000,000ダルトン、約9,500,000ダルトン及び/又は約10,000,000ダルトンの平均分子量を有するヒアルロン酸、及び/又は前述の任意の2つの値の間の範囲内の分子量を有する任意のヒアルロン酸を含む、請求項122~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記コラーゲンが、I型コラーゲン、II型コラーゲン及び/又はIII型コラーゲンを含む、請求項122~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記組成物が、約13mg/mlのヒアルロン酸を含む、請求項122~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記組成物が、約20mg/mlのヒアルロン酸、約22mg/mlのヒアルロン酸、約24mg/ml、約26mg/mlのヒアルロン酸、約28mg/mlのヒアルロン酸又は約30mg/mlのヒアルロン酸を含む、請求項122~127のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月26日に出願された米国特許出願第62/953,910号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、ヒアルロン酸、コラーゲン及びリジンを含む架橋高分子マトリックスに関する。かかる組成物は、組織の一体化が強化された組織充填剤として使用され得る。
【背景技術】
【0003】
老化は、遺伝学的特徴及び生活様式の要因(レクリエーショナルドラッグ、アルコールの乱用、タバコ、UVA/UVB暴露、食事)の影響を受け得る、経時的に起こる自然なプロセスである。顔の皮膚老化の特徴としては、例えば、筋肉及び脂肪の萎縮、皮膚の弛緩、シミ、たるみ、及び太りが挙げられる。皮下組織の弛みは、過剰な皮膚及び下垂をもたらし、垂れ下がった頬及び眼瞼の外観をもたらし得る。太りは、顔及び首の下部の膨張による過剰な体重の増加を指す。これらの変化は、乾燥、弾性の喪失、及び粗い質感に関連し得る。
【0004】
皮膚充填剤は、老化した皮膚の外観を改善するために使用されてきた。様々な種類の皮膚充填剤が開発され、身体上の不完全性、例えば、加齢の影響による皺及びボリューム損失の治療又は改善/矯正に使用されてきた。最初に、ウシコラーゲンを含む皮膚充填剤組成物が1970年に市場に参入した。ヒト由来コラーゲンは2003年にFDAによって承認されたが、これは患者におけるアレルギー反応の可能性を有するウシ由来コラーゲンよりも有利であった。しかしながら、ヒト由来コラーゲン組成物は、皮膚組織内の酵素のために3から6ヶ月以内に急速に分解した。その結果、これらの初期の組成物を使用する患者は、所望の矯正審美的外観を維持するために頻繁な手順を必要とした。
【0005】
ヒアルロナン又はヒアルロン酸(HA)系充填剤は、コラーゲン系皮膚充填剤の代替物として1990年に導入された。HAは、天然に存在する水溶性多糖、具体的にはグリコサミノグリカンであり、細胞外マトリックスの主要成分であって、動物組織に広く分布している。HAは優れた生体適合性を有し、患者に移植された場合にアレルギー反応を引き起こさない。さらに、HAは大量の水に結合する能力を有し、軟組織の優れたボリューム形成剤となる。HAは、皮膚内の内因性酵素によっても分解され得ることから、コラーゲンに類似している。例えば、非架橋HAは、皺充填剤として作用するのに十分な期間又は物理的特性を有さず、それゆえ、架橋HAが皮膚組織におけるそれらの寿命を最大化するために使用されてきた。したがって、改善された皮膚充填剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本明細書の実施形態は、ヒアルロン酸、コラーゲン及びリジンを含む架橋高分子マトリックスを含む方法及び組成物(例えば、ヒドロゲル又は皮膚充填剤)を包含し、ここで、ヒアルロン酸は、コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び/又はリジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によってコラーゲンに架橋されている。
【0007】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋高分子マトリックスは、リドカインをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、リドカインは、マトリックス中、約0.15%(w/w)から約0.45%(w/w)の範囲の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、リドカインは、マトリックス中で約0.27%(w/w)から約0.33%(w/w)の範囲の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、リドカインは、マトリックスの約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、リドカインは、マトリックス中、約0.3%(w/w)の濃度である。
【0008】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋高分子マトリックスは、非架橋HAをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、マトリックス中、最大約5%(w/w)の濃度を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、マトリックス中、0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%(w/w)若しくは約5%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、マトリックス中、約1%(w/w)の濃度を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、マトリックス中、約2%(w/w)の濃度を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、マトリックス中、約5%(w/w)の濃度を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、高分子マトリックスの押出性を改善する。
【0009】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋高分子マトリックスは、少なくとも約6ヶ月間、約12ヶ月間、約18ヶ月間、約24ヶ月間、約30ヶ月間若しくは約36ヶ月間、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の時間にわたって安定である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋高分子マトリックスは、約4℃~約25℃の温度で安定である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋高分子マトリックスは、約4℃で安定である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋高分子マトリックスは、約25℃で安定である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋高分子マトリックスは、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約12ヶ月間、約13ヶ月間、約14ヶ月間、約15ヶ月間、約16ヶ月間、約17ヶ月間、約18ヶ月間、約19ヶ月間、約20ヶ月間、約21ヶ月間、約22、約23ヶ月間、約24ヶ月間、約25ヶ月間、約26ヶ月間、約27ヶ月間、約28ヶ月間、約29ヶ月間、約30ヶ月間、約31ヶ月間、約32ヶ月間、約33ヶ月間、約34ヶ月間、約35ヶ月間、約36ヶ月間、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の時点で安定である。
【0010】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋高分子マトリックスは、約6ヶ月、約12ヶ月、約18ヶ月、約24ヶ月、約30ヶ月若しくは約36ヶ月、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の時間で分解がごくわずかである。
【0011】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋高分子マトリックスは、約30Paから約10,000Paの弾性率(G’)を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、マトリックスは、約30Pa、約40Pa、約50Pa、約60Pa、約70Pa、約80Pa、約90Pa、約100Pa、約200Pa、約300Pa、約400Pa、約500Pa、約600Pa、約700Pa、約800Pa、約900Pa、約1000Pa、約1100Pa、約1200Pa、約1300Pa、約1400Pa、約1500Pa、約1600Pa、約1700Pa、約1800Pa、約1900Pa、約2000Pa、約2100Pa、約2200Pa、約2300Pa、約2400Pa、約2500Pa、約2600Pa、約2700Pa、約2800Pa、約2900Pa、約3000Pa、約3100Pa、約3200Pa、約3300Pa、約3400Pa、約3500Pa、約3600Pa、約3700Pa、約3800Pa、約3900Pa、約4000Pa、約4100Pa、約4200Pa、約4300Pa、約4400Pa、約4500Pa、約4600Pa、約4700Pa、約4800Pa、約4900Pa、約5000Pa、約5100Pa、約5200Pa、約5300Pa、約5400Pa、約5500Pa、約5600Pa、約5700Pa、約5800Pa、約5900Pa、約6000Pa、約6100Pa、約6200Pa、約6300Pa、約6400Pa、約6500Pa、約6600Pa、約6700Pa、約6800Pa、約6900Pa、約7000Pa、約7100Pa、約7200Pa、約7300Pa、約7400Pa、約7500Pa、約7600Pa、約7700Pa、約7800Pa、約7900Pa、約8000Pa、約8100Pa、約8200Pa、約8300Pa、約8400Pa、約8500Pa、約8600Pa、約8700Pa、約8800Pa、約8900Pa、約9000Pa、約9100Pa、約9200Pa、約9300Pa、約9400Pa、約9500Pa、約9600Pa、約9700Pa、約9800Pa、約9900Pa若しくは約10000Paの弾性率(G’)、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の弾性率を有する。
【0012】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋高分子マトリックスは、約10gmf、約20gmf、約30gmf、約40gmf、約50gmf、約60gmf、約70gmf、約80gmf、約90gmf、約100gmf、約110gmf、約120gmf、約130gmf、約140gmf、約150gmf、約160gmf、約170gmf、約180gmf、約190gmf、約200gmf、約210gmf、約220gmf、約230gmf、約240gmf、約250gmf、約260gmf、約270gmf、約280gmf、約290gmf、約300gmf、約310gmf、約320gmf、約330gmf、約340gmf、約350gmf、約360gmf、約370gmf、約380gmf、約390gmf、約400gmf、約410gmf、約420gmf、約430gmf、約440gmf、約450gmf、約460gmf、約470gmf、約480gmf、約490gmf、約500gmf、約510gmf、約520gmf、約530gmf、約540gmf、約550gmf、約560gmf、約570gmf、約580gmf、約590gmf若しくは約600gmfの圧縮力値、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の圧縮力値を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋高分子マトリックスは、約100gmf、約200gmf、約300gmf、約400gmf、約500gmf若しくは約600gmfの圧縮力値、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の圧縮力値を有する。
【0013】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、ヒアルロン酸は、約5mg/ml、約6mg/ml、約8mg/ml、約10mg/ml、約12mg/ml、約14mg/ml、約16mg/ml、約18mg/ml、約20mg/ml、約22mg/ml、約24mg/ml、約26mg/ml、約28mg/ml、約30mg/ml、約32mg/ml、約34mg/ml若しくは約36mg/mlの濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度である。
【0014】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、コラーゲンは、I型コラーゲンを含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、コラーゲンは、II型コラーゲンを含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、コラーゲンは、III型コラーゲンを含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、コラーゲンは、約1~3%のI型又はIII型コラーゲンを含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、コラーゲンは、約0%から約3%のII型コラーゲンを含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、コラーゲンは、約97%から約99%のI型コラーゲンを含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、コラーゲンは、I型コラーゲンとIII型コラーゲンの両方の混合物を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、マトリックスは、約0%から約3%のIII型コラーゲンを含む。
【0015】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋高分子マトリックスは、針及び/又はカニューレを用いた注入又は用途のために製剤化される。
【0016】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、コラーゲンは、約1mg/ml、約2mg/ml、約4mg/ml、約6mg/ml、約8mg/ml、約10mg/ml、約12mg/ml、約14mg/mlの濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、コラーゲンは、約3mg/mlの濃度を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、コラーゲンは、約6mg/mlの濃度を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、コラーゲンは、約10mg/mlの濃度を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、コラーゲンは、約12mg/mlの濃度を有する。
【0017】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋高分子マトリックスは、塩をさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋高分子マトリックスは、約50mM~約400mMの範囲のNaClを含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋高分子マトリックスは、NaClを含み、NaClは、約50mM、約75mM、約100mM、約125mM、約150mM、約175mM、約200mM、約225mM、約250mM、約275mM、約300mM、約325mM、約350mM、約375mM若しくは約400mMの濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋高分子マトリックスは、約150mMのNaClを含む。特定の実施形態では、架橋高分子マトリックスは塩を含まない。
【0018】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋高分子マトリックスは、約0.01Mのリン酸緩衝液、約137mMのNaCl及び約2.7mMの濃度のKClを含む。
【0019】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、ヒアルロン酸は、約20,000ダルトンから約10,000,000ダルトンの平均分子量を有する。上記又は下記の態様のそれぞれ又はいずれかのいくつかの態様において、ヒアルロン酸は、約20,000ダルトン、約40,000ダルトン、約60,000ダルトン、約80,000ダルトン、約100,000ダルトン、約200,000ダルトン、約300,000ダルトン、約400,000ダルトン、約500,000ダルトン、約600,000ダルトン、約700,000ダルトン、約800,000ダルトン、約900,000ダルトン、約1,000,000ダルトン、約1,500,000ダルトン、約2,000,000ダルトン、約2,500,000ダルトン、約3,000,000ダルトン、約3,500,000ダルトン、約4,000,000ダルトン、約4,500,000ダルトン、約5,000,000ダルトン、約5,500,000ダルトン、約6,000,000ダルトン、約6,500,000ダルトン、約7,500,000ダルトン、約8,000,000ダルトン、約8,500,000ダルトン、約9,000,000ダルトン、約9,500,000ダルトン及び/又は約1,000,000ダルトンの平均分子量、又は任意の前述の2つの値によって定義される範囲の間の平均分子量を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかの組成物のいくつかの実施形態では、ヒアルロン酸は、約20,000ダルトンから約10,000,000ダルトンの平均分子量を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、ヒアルロン酸は、異なる分子量を有するヒアルロン酸成分の混合物を含み、その混合物は、約20,000ダルトン、約40,000ダルトン、約60,000ダルトン、約80,000ダルトン、約100,000ダルトン、約200,000ダルトン、約300,000ダルトン、約400,000ダルトン、約500,000ダルトン、約600,000ダルトン、約700,000ダルトン、約800,000ダルトン、約900,000ダルトン、約1,000,000ダルトン、約1,500,000ダルトン、約2,000,000ダルトン、約2,500,000ダルトン、約3,000,000ダルトン、約3,500,000ダルトン、約4,000,000ダルトン、約4,500,000ダルトン、約5,000,000ダルトン、約5,500,000ダルトン、約6,000,000ダルトン、約6,500,000ダルトン、約7,500,000ダルトン、約8,000,000ダルトン、約8,500,000ダルトン、約9,000,000ダルトン、約9,500,000ダルトン及び/又は約10,000,000ダルトンの分子量を有するヒアルロン酸、及び/又は前述の任意の2つの値の間の範囲内の分子量を有する任意のヒアルロン酸を含む。
【0020】
本開示はまた、ヒアルロン酸、コラーゲン、リジン、及び緩衝液を含む組成物を提供し、この組成物は水性ヒドロゲルである。
【0021】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、ヒアルロン酸は、コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び/又はリジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によってコラーゲンに架橋される。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は、リドカインをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、リドカインは、マトリックス中、約0.15%(w/w)から約0.45%(w/w)の範囲の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、リドカインは、本組成物中、約0.27%(w/w)から約0.33%(w/w)の範囲の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、リドカインは、本組成物の約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度である。
【0022】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は、非架橋HAをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、本組成物中、最大約5%(w/w)の濃度を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、本組成物中、約0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%(w/w)若しくは約5%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、本組成物の約1%(w/w)の濃度を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、本組成物の約2%(w/w)の濃度を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、本組成物の約5%(w/w)の濃度を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、本組成物の押出性を改善する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水である。
【0023】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物のヒアルロン酸は、約20,000ダルトン~約10,000,000ダルトンの平均分子量を有する。
【0024】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、ヒアルロン酸は、異なる分子量を有するヒアルロン酸成分の混合物を含み、その混合物は、約20,000ダルトン、約40,000ダルトン、約60,000ダルトン、約80,000ダルトン、約100,000ダルトン、約200,000ダルトン、約300,000ダルトン、約400,000ダルトン、約500,000ダルトン、約600,000ダルトン、約700,000ダルトン、約800,000ダルトン、約900,000ダルトン、約1,000,000ダルトン、約1,500,000ダルトン、約2,000,000ダルトン、約2,500,000ダルトン、約3,000,000ダルトン、約3,500,000ダルトン、約4,000,000ダルトン、約4,500,000ダルトン、約5,000,000ダルトン、約5,500,000ダルトン、約6,000,000ダルトン、約6,500,000ダルトン、約7,500,000ダルトン、約8,000,000ダルトン、約8,500,000ダルトン、約9,000,000ダルトン、約9,500,000ダルトン及び/又は約10,000,000ダルトンの分子量を有するヒアルロン酸、及び/又は前述の任意の2つの値の間の範囲内の分子量を有する任意のヒアルロン酸を含む。
【0025】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物のコラーゲンは、I型コラーゲンを含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、コラーゲンは、II型コラーゲンを含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、コラーゲンは、III型コラーゲンを含む。
【0026】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は、約6ヶ月間、約12ヶ月間、約18ヶ月間、約24ヶ月間、約30ヶ月間若しくは約36ヶ月間、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の時間にわたって安定である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は、約4℃で安定である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は、約25℃で安定である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は、約6ヶ月、約12ヶ月、約18ヶ月、約24ヶ月、約30ヶ月若しくは約36ヶ月、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の時間で分解がごくわずかである。
【0027】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は、非架橋HAをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、本組成物中、最大約5%(w/w)の濃度を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、本組成物の押出性を改善する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は、約6ヶ月間、約12ヶ月間、約18ヶ月間、約24ヶ月間、約30ヶ月間若しくは約36ヶ月間、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の時間にわたって安定である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は4℃で安定である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は25℃で安定である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、30ヶ月若しくは36ヶ月、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の時間で分解がごくわずかである。
【0028】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は、約4,000Pa S、約4100Pa S、約4200Pa S、約4300Pa S、約4400Pa S、約4500Pa S、約4600Pa S、約4700Pa S、約4800Pa S、約4900Pa S、約5000Pa S、約5100Pa S、約5200Pa S、約5300Pa S、約5400Pa S、約5500Pa S、約5600Pa S、約5700Pa S、約5800Pa S、約5900Pa S、約6000Pa S、約6100Pa S、約6200Pa S、約6300Pa S、約6400Pa S、約6500Pa S、約6600Pa S、約6700Pa S、約6800Pa S、約6900Pa S、約7000Pa S、約7100Pa S、約7200Pa S、約7300Pa S、約7400Pa S、約7500Pa S、約7600Pa S、約7700Pa S、約7800Pa S、約7900Pa S、約8000Pa S、約8100Pa S、約8200Pa S、約8300Pa S、約8400Pa S、約8500Pa S、約8600Pa S、約8700Pa S、約8800Pa S、約8900Pa S、約9000Pa S、約9100Pa,約9200Pa S、約9300Pa S、約9400Pa S、約9500Pa S、約9600Pa S、約9700Pa S、約9800Pa S、約9900Pa S若しくは約10,000Pa Sの粘度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の粘度を有する。
【0029】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は、約0.01から約0.5のtanデルタパラメータ(G’’/G’)を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は、約0.01、約0.05、約0.10、約0.15、約0.20、約0.25、約0.30、約0.35、約0.40、約0.45若しくは約0.50のtanデルタパラメータ(G’’/G’)、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意のtanデルタパラメータを有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかの組成物のいくつかの実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水を含む。
【0030】
本開示はまた、ヒアルロン酸とコラーゲンとを架橋する方法を提供する。この方法は、コラーゲン、ヒアルロン酸及びリジンを水溶液に溶解して反応前水溶液を形成することであって、反応前水溶液が4~6のpHを有する、反応前水溶液を形成すること、及び、水溶性カルボジイミドと、N-ヒドロキシスクシンイミド又はN-ヒドロキシスルホスクシンイミドとを含む第2の溶液を調製すること、及び、第2の溶液を反応前水溶液に加えて架橋反応混合物を形成すること、及び、ヒアルロン酸とコラーゲンとをリジンで架橋することにより架橋反応混合物を反応させること、を含み、ヒアルロン酸がコラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び/又はリジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によってコラーゲンに架橋され、HA及びコラーゲンがごくわずかに分解され、HA及びコラーゲンの構造が無傷のままであり、それによって架橋高分子マトリックスを形成する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、反応前水溶液は、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5若しくは約6のpH、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意のpHを含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、トリアゾール、フッ素化フェノール、スクシンイミド又はスルホスクシンイミドを含む活性化剤を付与することをさらに含む。
【0031】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、架橋高分子マトリックスにリドカインを加えることをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、リドカインは、マトリックス中、約0.15%(w/w)から約0.45%(w/w)の範囲の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、リドカインは、マトリックス中で約0.27%(w/w)から約0.33%(w/w)の範囲の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、リドカインは、マトリックスの約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、リドカインは、マトリックス中、約0.3%(w/w)の濃度である。
【0032】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、非架橋HAを架橋高分子マトリックスに加えることをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、架橋高分子マトリックス中、最大約5%w/wの濃度を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAを、マトリックス中、約0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%(w/w)若しくは約5%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度に至るまで加える。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAを、マトリックス中、約1%(w/w)の濃度に至るまで加える。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAを、マトリックス中、約3%(w/w)の濃度に至るまで加える。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAを、マトリックス中、約5%(w/w)の濃度に至るまで加える。
【0033】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、反応工程は、約4℃~約35℃で行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、反応工程は、約4℃、約5℃、約7℃、約9℃、約11℃、約13℃、約15℃、約17℃、約19℃、約21℃、約23℃、約25℃、約27℃、約29℃、約31℃、約33℃、約35℃、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の温度で行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、反応工程は、約4℃又は約22℃で行われる。
【0034】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、架橋高分子マトリックスを精製することをさらに含み、精製工程は、透析精製を用いて行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、透析は、約2℃~約30℃で行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、透析は、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、若しくは約30℃、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の温度で行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、精製工程は、約2℃~約8℃で行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、精製工程は、約2℃、約4℃、約6℃、約8℃、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の温度で行われる。
【0035】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、室温未満で行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、約2℃、約4℃、約6℃、約8℃、約10℃、約12℃、約14℃、約16℃、約18℃、約20℃、約22℃、約24℃、約26℃、約28℃、約30℃、約32℃、約34℃若しくは約36℃の温度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の温度で行われる。
【0036】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋反応混合物のpHは、約4~約6.0である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋反応混合物のpHは、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5若しくは約6.0、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意のpHである。
【0037】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、反応前溶液は、約50mM、約75mM、約100mM、約125mM、約150mM、約175mM、約200mM、約225mM、約250mM、約275mM、約300mM、325mM、約350mM、約375mM若しくは約400mMの濃度、又は架橋反応混合物中の前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度の塩化ナトリウムを含む塩を含む。
【0038】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、水溶性カルボジイミドは、架橋反応混合物中、約20mMから約200mMの濃度の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、水溶性カルボジイミドは、約20mM、約40mM、約60mM、約80mM、約100mM、約120mM、約140mM、約160mM、約180mM若しくは約200mMの濃度、又は任意の前述の値によって定義される範囲の間の任意の濃度の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである。
【0039】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかの方法のいくつかの実施形態では、水溶性カルボジイミド及びヒアルロン酸の、水溶性カルボジイミドの繰り返し単位:ヒアルロン酸の繰り返し単位のモル対モル比が約0.5から約2.0である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、水溶性カルボジイミド及びヒアルロン酸の、水溶性カルボジイミドの繰り返し単位:ヒアルロン酸の繰り返し単位のモル対モル比が、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9又は約2.0である。
【0040】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、リジン及びヒアルロン酸のモル:モル(リジンの繰り返し単位:HAの繰り返し単位)比が、約0.01~約0.6である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、リジン及びヒアルロン酸のモル:モル(リジンの繰り返し単位:HAの繰り返し単位)比が、約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.10、約0.11、約0.12、約0.13、約0.14、約0.15、約0.16、約0.17、約0.18、約0.19、約0.2、約0.21、約0.22、約0.23、約0.24、約0.25、約0.26、約0.27、約0.28、約0.29、約0.3、約0.31、約0.32、約0.33、約0.34、約0.35、約0.36、約0.37、約0.38、約0.39、約0.4、約0.41、約0.42、約0.43、約0.44、約0.45、約0.46、約0.47、約0.48、約0.49、約0.5、約0.51、約0.52、約0.53、約0.54、約0.55、約0.56、約0.57、約0.58、約0.59又は約0.6である。
【0041】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、架橋高分子マトリックスを滅菌することをさらに含み、本方法は、蒸気滅菌のために架橋高分子マトリックスを容器に移すこと、及びヒドロゲルを蒸気滅菌によって滅菌すること、を含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、容器はシリンジである。
【0042】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、架橋高分子マトリックスを透析することをさらに含み、透析が約1000ダルトンから約100,000ダルトンの分子量カットオフを有する膜を介して行われ、透析が滅菌前に行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、透析は、リン酸緩衝生理食塩水で行われる。
【0043】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、反応前溶液中のヒアルロン酸は、第2の溶液を加える前に少なくとも60分間水和する。
【0044】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋反応混合物は、約16時間から約24時間にわたって行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋反応混合物は、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間若しくは約24時間、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の時間にわたって行われる。
【0045】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋反応は、約2℃から約35℃で行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋反応は、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約7℃、約9℃、約11℃、約13℃、約15℃、約17℃、約19℃、約21℃、約23℃、約25℃、約27℃、約29℃、約31℃、約33℃、約35℃、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲内の任意の温度で行われる。
【0046】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋反応は、約2℃から約8℃で行われる。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、架橋反応は、約2℃、約4℃、約6℃又は約8℃、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲内の任意の温度で行われる。
【0047】
本開示はまた、上記又は下記の実施形態のいずれか1つの方法によって調製された架橋高分子マトリックスを提供する。
【0048】
さらに、本開示は、人間の解剖学的特徴の審美性を改善する方法を提供する。本方法は、人間の組織に組成物を注入し、それによって解剖学的特徴の審美性を改善することを含み、本組成物は、ヒアルロン酸と、リジンと、コラーゲンとを含む架橋高分子マトリックスを含み、ヒアルロン酸が、コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び/又はリジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によってコラーゲンに架橋されている。
【0049】
本開示はまた、個体の外観を改善する方法を提供する。本方法は、注入部位で個体の組織に組成物を注入し、それによって解剖学的特徴の審美性を改善することであって、組織からの浸潤細胞が注入部位内の組成物に一体化される、組成物を注入すること、この組成物内に新しいコラーゲンを堆積させることであって、組成物が、ヒアルロン酸と、リジンと、コラーゲンとを含む架橋高分子マトリックスを含み、ヒアルロン酸が、コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び/又はリジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によってコラーゲンに架橋されている、新しいコラーゲンを堆積させること、を含み、本組成物が注入された組織は、組織の一体化及びコラーゲンの堆積並びに血管形成を有することが示される。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は、ホウレイ線に注入される。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、顔の特徴間の対称性を改善する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、顔の特徴に対してボリュームを増大及び復元する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、頬/又はこめかみにボリュームを復元する。いくつかの実施形態では、本方法は、顎先、顎ライン、又はホウレイ線のボリュームを増大させ、補正し、復元し、又は与える。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は、個体の涙液トラフに注入される。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は、皮膚の萎縮及び/又は脂肪体の萎縮を含む領域に注入される。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、注入を受ける組織に自然な見た目、感触、及び動きを与え、本組成物は、注入部位の周囲の組織からのコラーゲンの浸潤の増加をもたらす。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、注入部位への組織の一体化の結果として、本組成物の持続時間が延長される。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本方法は、注入部位の周囲の皮膚の水和及び弾性を改善する。
【0050】
本開示はまた、コラーゲンの堆積による皮膚充填剤の移植片における組織浸潤を増加させる方法を提供する。この方法は、個体の組織に組成物を注入し、それによってその組成物を含む皮膚充填剤のデポーを作り出すことであって、組成物が、ヒアルロン酸と、リジンと、コラーゲンとを含む架橋高分子マトリックスを含み、ヒアルロン酸が、コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び/又はリジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によってコラーゲンに架橋されている、個体の組織に組成物を注入することを含み、皮膚充填剤のデポーの周囲の組織からの細胞が組成物を含む皮膚充填剤のデポーに浸潤し、細胞が組成物に一体化して新しいコラーゲンを組成物に堆積させ、それによって組成物内に浸潤組織を作り出し、血管が組成物内の浸潤組織を個体の身体の血液供給源に接続する。
【0051】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、コラーゲンは、I型コラーゲン及び/又はIII型コラーゲンを含む。
【0052】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は、約18mg/mlのヒアルロン酸、約20mg/mLのヒアルロン酸、約22mg/mlのヒアルロン酸、約24mg/mlのヒアルロン酸、約26mg/mlのヒアルロン酸、約28mg/mlのヒアルロン酸又は約30mg/mlのヒアルロン酸を含み、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度を有する。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物は、約13mg/mlのヒアルロン酸を含む。
【0053】
上記又は下記の方法の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物又は高分子マトリックスは、リドカインをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、リドカインは、マトリックス中、0.15%(w/w)~0.45%(w/w)の範囲の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、リドカインは、マトリックス中、0.27%(w/w)~0.33%(w/w)の範囲の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、リドカインは、マトリックスの約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度である。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、リドカインは、マトリックス中、約0.3%(w/w)の濃度である。
【0054】
本方法の上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本組成物又は高分子マトリックスは、非架橋HAをさらに含む。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、本組成物又はマトリックス中、最大約5%(w/w)の濃度を有する。本方法の上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、本組成物又はマトリックス中、約0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%(w/w)若しくは約5%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度を有する。本方法の上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、本組成物又はマトリックス中、約1%(w/w)の濃度を有する。本方法の上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、本組成物又はマトリックス中、約2%(w/w)の濃度を有する。本方法の上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、非架橋HAは、本組成物又はマトリックス中、約5%(w/w)の濃度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】
図1は、HA/コラーゲン架橋ヒドロゲル製剤と密接に接触したインビトロ細胞活性細胞を示す。
【0056】
【
図2A-2D】
図2は、HAのみのヒドロゲル又はHA/コラーゲン架橋ヒドロゲル上で培養した線維芽細胞のアクチンフィラメントアライメント指数(2A)、細胞長対幅比(2B)及び凸包対細胞面積比(2C)を示す。5℃の水和温度で製剤化されたHA-コラーゲンヒドロゲル(24:6 HA:コラーゲン)(製剤X)は、22℃の水和温度で製剤化された同様のヒドロゲル(製剤VI)よりも有意に高いアクチンフィラメントアライメント指数、細胞長対幅比、及び凸包対細胞面積比を示す。テューキー事後分析を用いたANOVAにより*p<0.05。5℃の水和温度で製剤化された20:6 HA:コラーゲンを有するHA-コラーゲンヒドロゲルは、HAのみのゲル(製剤XIX)と比較した場合、特に高いアクチンフィラメントアライメント指数、細胞長対幅比、及び凸包対細胞面積比を示す。テューキー事後分析を用いたANOVAにより*p<0.05。
図2Dは、HAのみのヒドロゲルから得られたユークリッド距離(アクチンフィラメントアライメント指数、細胞長対幅比、及び凸包対細胞面積比を含む3次元空間)の関数としてのHA-コラーゲンヒドロゲルのランキングを示す。ユークリッド距離の増加は、低付着性HAのみのゲルと比較して、細胞の拡延性及び付着性の改善を示す。全体として、5℃の水和温度で製剤化されたヒドロゲルは、HAのみのゲルより大きなユークリッド距離を示す。
【0057】
【
図3】
図3は、製剤I対製剤II対製剤III(平均+/-SEM)のリフトプロファイルを示す。
【0058】
【
図4】
図4は、製剤XV対製剤III(平均+/-SEM)のリフトプロファイルを示す。
【0059】
【
図5】
図5は、製剤II対製剤XV対製剤XVI(平均+/-SEM)のリフトプロファイルを示す。
【0060】
【
図6】
図6は、4mg/mLのコラーゲンで、HA濃度を増加させた場合のヒドロゲルの組織の一体化を示す。(6A)H&E、(6B)コラーゲン1a、(6C)ビメンチン、(6D)プロコラーゲン1、(6E)CD31。H&E染色によって、HA濃度の増加に伴う組織内増殖の減少を実証する。示されるように、13mg/mLのHA製剤(製剤I)では濃いコラーゲン1aの染色が観察される。20mg/mLのHA製剤はコラーゲン1aの充填物の減少を示し、25mg/mLのHA製剤はコラーゲン1aの堆積のない広い領域を示す。ビメンチン陽性線維芽細胞/線維細胞浸潤がすべての製剤で観察され、浸潤の程度はHA濃度の増加と共に減少した。プロコラーゲンIの染色は、低HA製剤(製剤I)では、20mg/mL及び25mg/mLのHA製剤と比較して減少したように見えた。20mg/mL及び25mg/mLのHA製剤においてプロコラーゲンIの染色があることは、時間の経過と共にコラーゲンの堆積が継続していることを示している可能性がある。ヒドロゲルボーラス内の血管増生は、陽性CD31の染色によって示されるように、20mg/mL及び25mg/mLのHA製剤で観察された。CD31の染色は、13mg/mLのHA製剤では行わなかった。
【0061】
【
図7】
図7は、高分子量HAよりも高い割合の低分子量HAを用いて調製されたヒドロゲルの組織の一体化を示す。(A)コロイド鉄、(B)コラーゲン1a、(C)ビメンチン、(D)プロコラーゲン1、(E)CD31。コロイド鉄染色は、製剤XVヒドロゲルの周縁部での組織の一体化及び製剤XVIゲルボーラス全体にわたる堅牢な組織の一体化を実証する。製剤XVボーラスの背面に高密度なコラーゲン1aの堆積が観察されたが、この堆積によってゲルは完全に充填されなかった。製剤XVIヒドロゲル全体を通して、コラーゲン1a陽性組織の微細鎖が観察される。ビメンチン陽性線維芽細胞/線維細胞浸潤がすべての製剤において観察された。製剤XVIボーラスの大部分にビメンチン陽性細胞を浸潤させた。製剤XV及び製剤XVIゲルの両方において、プロコラーゲンIの染色があった。プロコラーゲンIの染色があることは、時間の経過と共にコラーゲンの堆積が継続していることを示している可能性がある。ヒドロゲルボーラス内の血管増生は、両方の製剤(矢じり)で観察された。製剤XVI製剤は、ボーラス全体にわたって最も堅牢な血管新生を示した。
【0062】
【
図8】
図8は、室温(製剤VI)及び5℃(製剤X)の水和温度で調製した、24mg/mLのHA及び6mg/mLのコラーゲンを含有するヒドロゲルの組織の一体化を示す。コラーゲン1aの染色は、製剤VIヒドロゲルの周囲に微細なコラーゲンが分布していることを示し、ヒドロゲルの粒子の周囲の堆積は限られている。製剤Xゲルのコラーゲン1aの染色は、ヒドロゲルの周囲に強固なコラーゲンが堆積していることを示し、ヒドロゲルの粒子の周囲に高密度のコラーゲンが堆積していることを示す。
【0063】
【
図9】
図9は、ラットへの皮下注入12週間後のヒドロゲル外植片のヘマトキシリン及びエオシン(H&E)並びに免疫組織化学(IHC)染色を示す。H&E染色が、製剤XIX中のヒドロゲル粒子と密接に関連した組織の堆積を示す一方で、HAのみのヒドロゲル中の大きなヒドロゲルの堆積物の周囲にはまばらな組織の堆積が観察される。ビメンチン染色は、HAのみのゲルよりも製剤XIXヒドロゲルボーラスへのより広範な線維細胞/線維芽細胞浸潤を示す。製剤XIXボーラスはまた、広範なCD31陽性標識によって示されるように、HAのみのボーラスよりも高度に血管新生されている。製剤XIXボーラスの細胞浸潤及び血管新生の増強により、コラーゲンIの標識によって示されるように、ボーラス内の組織のより高密度で均一な堆積が可能になる。
【0064】
【
図10】
図10は、陽性染色領域の免疫組織化学的(IHC)定量化によって、HAのみのヒドロゲルと比較して、ラットへの12週間の皮下移植後の製剤XIXヒドロゲルのボーラス中のビメンチン(線維芽細胞)、コラーゲンI及びCD31(血管)のレベルの増加が示されていることを示す。
【0065】
【
図11】
図11は、ラットの皮下注入モデルにおけるリフト能力を示す。製剤XIXは、24mg/mLのHMW HAのみのゲルと同様のリフト能力を4週間から12週間示す。示されるように、この製剤は、HAのみのゲルと同様のリフト能力を保持しながら、組織の一体化の向上を示す。
【0066】
【
図12】
図12は、架橋HA-コラーゲンゲルの28週のリフト能力データを示す。HAのみのゲルのリフト能力は、経時的に着実に減少している。HA-コラーゲンゲルのリフト能力は12から28週間安定したままであった。本開示を限定するものではないが、これは、HA-コラーゲンゲルがHAのみのゲルよりも治療効果の持続時間が長いことを示している可能性がある。持続時間の延長は、より良好な一体化及び組織内殖の結果であり得る。示されるように、製剤XIXは、特に、HAのみのゲルよりも有意に良好な組織内殖を有する。
【0067】
【
図13】
図13は、24:6のHA対コラーゲンゲルでオートクレーブ処理前後に観察された差を示す。24:6のHA対コラーゲンゲル(試料1及び試料2として重複して実行)は、全体的に細胞生存率が低かった。しかしながら、オートクレーブ製剤及び非オートクレーブ製剤はすべて、HAのみのゲルよりも高い細胞生存率を示している。示されるように、オートクレーブ処理の前(B)及び後(BA)に、24:6のHA対コラーゲンを含有するゲルの複製(試料1及び試料2)で行われた実験である。試料1では細胞生存率にわずかだが有意な差が観察されたが、オートクレーブ処理後の試料2では有意な差は観察されなかった。
【0068】
【
図14】
図14は、ラットモデルにおける4週間の皮下移植後のゲル充填剤ボーラスのH&E染色を示す。製剤XXII(A;20mgのHA:4mgのコラーゲン、5℃で水和)は、製剤XIX(B;20mgのHA:6mgのコラーゲン、5℃で水和)と同様又はより良好な組織の一体化を示す。病理学者による盲検スコアリングは、製剤XIXのスコアが1.83であるのに対して、スコアが2.33である製剤XXIIの一体化が向上していることをさらに実証している。より高いスコアは、より良好な組織の一体化を示す。対照的に、製剤XX(C;20mgのHA:10mgのコラーゲン、25℃で合成)は、製剤XXII及び製剤XIXよりも劣った組織の一体化を示している。製剤XXの組織の一体化のスコアは1.13である。この結果は、組織の一体化がコラーゲン濃度の線形トレンドに従わないことをさらに実証している。代わりに、組織応答の増強を達成する最適な合成条件及びコラーゲン濃度が存在する。
【0069】
【
図15】
図15は、HAのみのコラーゲン及びHA-コラーゲン(製剤XXII及び製剤XXIII)のゲルと共に培養したヒト皮膚線維芽細胞のインビトロ細胞生存率を示す。
【0070】
【
図16】
図16は、HAのみのコラーゲン又はHA-コラーゲンゲル(製剤XXII及び製剤XXIII)と共に培養したヒト皮膚線維芽細胞の長さ対幅の比の画像分析を示す。
【0071】
【
図17】
図17は、ラットにおける製剤XXII及び製剤XXIII又はHAのみの対照の4週間の皮下移植後のゲルボーラスの組織の一体化のスコアリングを示す図である。
【0072】
【
図18】
図18は、HAのみのゲルと比較した、製剤XXII及び製剤XXIIIの組織の一体化のコラーゲン1aの染色を示す。
【0073】
【
図19】
図19は、製剤XXIIのラットへの4週間の皮下移植後のヒドロゲルボーラス内のコラーゲン1aの染色の陽性面積パーセントの定量化を示す。
【0074】
【
図20】
図20は、HAのみ、製剤XXII又は製剤XXIIIのゲル上で48時間培養したヒト皮膚線維芽細胞の共焦点顕微鏡写真を示す。試料を、HA結合タンパク質、Hoechst及び小麦胚芽凝集素(細胞膜)について染色した。
【0075】
【
図21】
図21は、ラットへの4週間の皮下移植後のHAのみ及びHA-コラーゲンヒドロゲル(製剤XXII及び製剤XXIII)に対する組織応答の免疫組織化学分析を示す。
【0076】
【
図22】
図22は、HAのみのゲルと比較した製剤XXIIの52週のリフト能力データを示す。
【0077】
【
図23】
図23は、HAのみのゲルと比較した製剤XXIIIの26週のリフト能力データを示す。
【0078】
【
図24】
図24は、HAのみ、製剤XXVI又は製剤XXVのゲル上で48時間培養したヒト皮膚線維芽細胞の共焦点顕微鏡写真を示す。試料を、HA結合タンパク質、Hoechst及び小麦胚芽凝集素(細胞膜)について染色した。
【0079】
【
図25】
図25は、12週間後にHAのみ、製剤XXV又は製剤XXIIIの皮下ボーラス注入で処置したラットにおける第二高調波発生シグナル(白色)及び組織自己蛍光(緑色)の二光子イメージングを示す。
【0080】
【
図26】
図26は、ラットにおける4週間の皮下移植後の製剤XXVに対する組織応答の免疫組織化学分析を示す。
【0081】
【
図27】
図27は、ラットにおける4週間の皮下移植後の製剤XXVIに対する組織応答の免疫組織化学分析を示す。
【0082】
【
図28】
図28は、HAのみのゲルと比較した製剤XXV及び製剤XXVIの30週のリフト能力データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成上の目的のためのものに過ぎず、記載された主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0084】
本明細書で使用される用語の定義が、その用語の一般的に使用される意味から逸脱する場合、出願人は、具体的に示されない限り、本明細書で提示される定義を利用することを意図している。
【0085】
架橋高分子マトリックス、架橋高分子マトリックスを含む組成物、架橋高分子マトリックスを作製する方法及び個体の外観を改善する方法が本明細書に開示される。本実施形態に記載の架橋高分子マトリックスを含む充填剤は、注入後の即時の充填性及びリフティング性を有し、これに注入部位への組織の一体化が続き得、このことが長期的かつ自然な効果をもたらし得る。
【0086】
有利には、架橋方法は、様々な充填特性及びリフティング特性を生じる調整可能な物理的特性を有するHA/コラーゲン材料を提供し、その結果、そのような材料を、組織の様々な深さに、顔面の様々な領域に、そして様々な目的(ボリューム形成、重度の皺、小皺など)のために、注入することを可能にする。さらに、この合成方法は、架橋ヒドロゲルへのコラーゲンの共有結合性の取り込みを通して、周囲組織から注入されたボーラスへの細胞浸潤の制御を可能にする。さらに、この架橋はまた、コラーゲンを変性から保護することができる。リフティング特性と組織の一体化の特性との組み合わせは、自然な感触、外観、及び動きによって優れた顔の審美的向上をもたらすことが期待される。本明細書に記載されるように、以前のコラーゲン充填剤及び現在のHA充填剤を凌駕し得る優れたハイブリッド材料をもたらす充填剤の品質を改善する方法である。
【0087】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0088】
本発明を説明する文脈で(特に以下の特許請求の範囲の文脈で)使用される用語「a」、「an」、「the」及び同様の指示対象は、本明細書で特に指示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。測定可能な値に言及するときに本明細書で使用される「約」は、指定された値から+20%又は+10%、より好ましくは+5%、さらにより好ましくは+1%、さらにより好ましくは+0.1%の変動を包含することを意味する。
【0089】
本明細書で使用される場合、文脈がそうでないことを要求する場合を除いて、「含む(comprise)」という用語、並びに「含んでいる(comprising)」、「含む(comprises)」及び「含まれる(comprised)」などの用語の変形は、さらなる添加物、構成要素、整数又は工程を排除することを意図しない。
【0090】
「架橋高分子マトリックス」は、HAとコラーゲンとを架橋することによって形成されたマトリックスを指す。HAとコラーゲンとは、HA及びコラーゲンの天然カルボン酸部分を、かかる部分がコラーゲン上に存在する内因性アミン基と反応することができるように活性化することによって架橋され得る。さらに、HAとコラーゲンとの架橋をさらに促進するために、リジンをカルボン酸/ジアミン架橋剤として加えてもよい。このようにリジンを加えることによって、得られるヒドロゲルの物理的特性を調整することが可能になる。架橋高分子マトリックスは、医療審美性のための組成物又は製剤に(例えば、審美的充填剤又は皮膚充填剤として)使用することができる。
【0091】
本明細書に記載の「ヒアルロン酸」又は「ヒアルロナン」は、結合組織、上皮組織及び神経組織において人体全体に広く分布する非硫酸化グリコサミノグリカンを指す。ヒアルロナンは、皮膚の様々な層に豊富に存在し、例えば、良好な水和を確実にする、細胞外マトリックスの組織化を補助する、充填剤材料として作用するなどの複数の機能を有し、組織の修復機構に関与している。
【0092】
本明細書に記載の「コラーゲン」は、体内の様々な結合組織における細胞外空間の主要な構造タンパク質である。コラーゲンは、引張荷重を支える原線維及びシートを形成する。コラーゲンはまた、細胞付着性のための特異的なインテグリン結合部位を有し、細胞の付着、遊走及び増殖を促進することが知られている。コラーゲンは、アルギニン、リジン、ヒドロキシリジンなどの塩基性アミノ酸残基の含有量が高いため、正に帯電している場合がある。人体のコラーゲンの90%以上がI型コラーゲンである。III型コラーゲンは、網状線維の主成分であり、一般にI型コラーゲンと一緒に見出され得る。当業者は、コラーゲンが商業的供給源から提供され得ることを理解するであろう。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、提供されるコラーゲン材料は、約97%から約99%のI型コラーゲンと、約1%から3%のIII型コラーゲンである残りのコラーゲンとの混合物を有し得る。
【0093】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、コラーゲンは、架橋コラーゲンである。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、コラーゲンは、非架橋コラーゲンである。
【0094】
上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、HAはアミンに架橋され、コラーゲン又はHAのいずれかの上のリジンを介して、又は別のアミン基によって2つ以上の架橋を有し得る。
【0095】
「弾性率」は、弾性係数としても知られており、応力が加えられたときに弾性的(すなわち、非恒久的に)に変形する物体又は物質の抵抗を測定する量を指す。
【0096】
本明細書に記載の「圧縮力」は、物体を圧迫、圧潰、又は圧縮させる、物体に対する力、圧力、又は労作の印加を指す。
【0097】
本明細書に記載の「滅菌」は、材料中の微生物の死をもたらし得る滅菌プロセスへの材料の提出を指す。消毒及び滅菌のための方法は、物理的、化学的及び物理化学的手段によるものであり得る。
【0098】
ヒドロゲルなどの材料の場合、滅菌は、あまり激しくない条件、例えば、滅菌のためのより短い時間、より低い温度及びより低い用量曝露で達成され得る。
【0099】
限定するものではないが、滅菌は、蒸気熱、乾熱、及び/又は電離放射線を含み得る。
【0100】
滅菌プロセスに供された結果、ヒドロゲルなどの滅菌製品が形成され得る。そのような滅菌プロセスは、Chitreら(米国特許出願公開第2014/0011980号)、Chitreら(米国特許出願公開第2018/0147307号)及びChitreら(米国特許出願公開第2016/0101200号)に見出すことができる。
【0101】
一実施形態では、本組成物又はマトリックスは麻酔薬を含む。限定するものではないが、麻酔薬としては、ベンゾカイン、クロロプロカイン、プロカイン、プロパラカイン、テトラカイン、アミロカイン、オキシブプロカイン、アルチカイン、ブピバカイン、ジブカイン、エチドカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ロピバカイン、サメリジン、トニカイン、シンコカインが挙げられる。
【0102】
方法
ヒアルロン酸及びコラーゲンは、1-エチル-3-(N,N’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて共架橋されて、HA及びコラーゲン上に存在する天然のカルボン酸部分を、コラーゲン上に存在する内因性アミン基との反応に向けて活性化し得る。一実施形態では、HA及びコラーゲンの化学修飾をさらに強化し、得られるヒドロゲルの物理的特性を調整するために、リジンが追加のジアミン架橋剤として加えられる。
【0103】
リジンを加えることによって、架橋の独立した調整を可能にし得、HA:コラーゲンの組成又は活性化試薬の量を変化させることなくヒドロゲルの物理的特性を調節し得る。一実施形態では、架橋反応は、HA皮膚充填剤において標準であるBDDE架橋に必要なより高いpH及び温度ではなく、穏やかなpH及び温度条件下(pH5.5及び4~25℃)で行われる。この方法を使用すると、驚くべきことに、HA及び傷つきやすいコラーゲンタンパク質成分は、例に示されるように、架橋中にごくわずかに分解されることが示され、それらの構造はほとんど無傷の状態に維持される。
【0104】
一実施形態では、ヒアルロン酸を、コラーゲンとの架橋工程の前に少なくとも60分間水和する。さらなる実施形態では、ヒアルロン酸を、室温より低い温度で水和する。なおさらなる実施形態では、ヒアルロン酸を、約2℃、約4℃、約6℃、約8℃、約10℃、約12℃、約14℃、約16℃、約20℃、約22℃、約24℃の温度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の温度で水和する。一実施形態では、ヒアルロン酸を、室温より高い温度で水和する。したがって、ヒドロゲルを作製する方法は、例えば、tan del(タンデル)パラメータ(G’’/G’)などのヒドロゲル特性を調整するために調整することができる。
【0105】
一実施形態では、コラーゲンは溶液の形で提供されてもよく、この溶液は酸性pHを有し、コラーゲンは可溶性である。
【0106】
一実施形態では、コラーゲンは、線維化前コラーゲンとして提供され、コラーゲンは架橋前に処理される。一実施形態では、線維化前コラーゲンは塩基性溶液内に存在する。一実施形態では、コラーゲンは可溶性コラーゲンとして提供され、コラーゲンは酸性溶液内に存在する。一実施形態では、線維化前コラーゲンは溶液内にあり、この溶液は中性pHを有する。
【0107】
一実施形態では、架橋反応は、4.0、5.0、5.5、6.0、6.5若しくは7.0のpH、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意のpHで行われる。
【0108】
ヒドロゲルの物理的特性は、HA及びコラーゲンの濃度、HAの分子量、EDCの濃度、EDC/NHS比、温度、pH、塩/緩衝液濃度、及びリジンの濃度に依存し得る。一実施形態では、30Paからほぼ10,000Paの範囲の弾性率(G’)値が得られる。一実施形態では、弾性率は製剤化及び合成のパラメータに依存する。製剤化及び合成のパラメータは、調整することができる。一実施形態では、圧縮力値は20gmfから500gmf超の範囲であり、ヒドロゲルの膨潤は元のゲル体積の1.5倍から5倍の範囲であり得る。得られた物理的特性の広いスペクトルに基づいて、様々なHA/コラーゲンの構成は、様々なフェイシャルアプリケーション用の皮膚充填剤としての用途を見出すことができる。
【0109】
架橋反応の一実施形態では、本方法は、架橋工程を停止することを含む。
【0110】
本明細書の実施形態に記載されているように、G’及び圧縮力値が低く、膨潤が最小である製剤は、ごく表面にできた小皺の充填剤又は注入可能な皮膚の質向上剤に適用することができる一方で、G’及び圧縮力が高く、膨潤が大きいより堅牢な構成は、中程度から重度の皺の矯正及び顔のボリューム形成/輪郭形成に使用することができる。
【0111】
一実施形態では、小皺を充填する方法は、低いG’及び圧縮力値を有する組成物を必要とする患者に供給する工程を含む。一実施形態では、中程度から重度の皺の矯正及び顔のボリューム形成/輪郭形成の処置を行う方法が提供され、必要とする患者に組成物を提供することを含むこの方法は、より高いG’及び圧縮力を有する。
【0112】
架橋高分子マトリックスのHA濃度を増加させることが企図される。HA濃度を増加させると、例えば、より高いG’、より高い圧縮力値及びより高い不透明度を有するヒドロゲルを得ることができる。不透明度の増加はまた、チンダル効果による注入部位の青色変色の可能性を減少させることができる。強い架橋高分子マトリックスは、組織を持ち上げし、その後の変形に抵抗するために必要な力をもたらすことができ、これは所望の矯正及び外観をもたらすことができる。このように、高いリフティング能力は、マトリックスの高い強度を必要とし得る。弾性率(G’)は、マトリックスの剛性及びマトリックスの押出の容易さを表すことができる。
【0113】
弾性率は、ヒアルロン酸の濃度の関数であり得る。一実施形態では、HA濃度は13mg/ml~28mg/mlの範囲の間である。一実施形態では、本組成物は、約30Pa、約40Pa、約50Pa、約60Pa、約70Pa、約80Pa、約90Pa、約100Pa、約200Pa、約300Pa、約400Pa、約500Pa、約600Pa、約700Pa、約800Pa、約900Pa、約1000Pa、約1100Pa、約1200Pa、約1300Pa、約1400Pa、約1500Pa、約1600Pa、約1700Pa、約1800Pa、約1900Pa、約2000Pa、約2100Pa、約2200Pa、約2300Pa、約2400Pa、約2500Pa、約2600Pa、約2700Pa、約2800Pa、約2900Pa、約3000Pa、約3100Pa、約3200Pa、約3300Pa、約3400Pa、約3500Pa、約3600Pa、約3700Pa、約3800Pa、約3900Pa、約4000Pa、約4100Pa、約4200Pa、約4300Pa、約4400Pa、約4500Pa、約4600Pa、約4700Pa、約4800Pa、約4900Pa、約5000Pa、約5100Pa、約5200Pa、約5300Pa、約5400Pa、約5500Pa、約5600Pa、約5700Pa、約5800Pa、約5900Pa、約6000Pa、約6100Pa、約6200Pa、約6300Pa、約6400Pa、約6500Pa、約6600Pa、約6700Pa、約6800Pa、約6900Pa、約7000Pa、約7100Pa、約7200Pa、約7300Pa、約7400Pa、約7500Pa、約7600Pa、約7700Pa、約7800Pa、約7900Pa、約8000Pa、約8100Pa、約8200Pa、約8300Pa、約8400Pa、約8500Pa、約8600Pa、約8700Pa、約8800Pa、約8900Pa、約9000Pa、約9100Pa、約9200Pa、約9300Pa、約9400Pa、約9500Pa、約9600Pa、約9700Pa、約9800Pa、約9900Pa若しくは約10000PaのG’、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の弾性率を有する。
【0114】
一実施形態では、より高いG’値が望ましい。より高いG’値はまた、EDC:HAの比又はEDC:NHSの比を増加させることによっても得ることができる。異なる分子量を有するヒアルロン酸成分の混合物が企図され、これは、G’及び圧縮力値に影響を及ぼし得る。例えば、HA:コラーゲンの製剤化において、水和温度の低下は、より高いG’値、より低い膨潤、及び不透明度の低下(透光性の増加)をもたらし得る。これらの合成パラメータ及び結果を使用して、所望の物理的特性を有するHA-コラーゲンの製剤を目指して、合成することができる。
【0115】
コラーゲン濃度もまた物理的特性に影響を及ぼし得る。所与の水和温度では、コラーゲン濃度の増加は、不透明度の増加、G’の上昇、及び膨潤の減少をもたらし得る。不透明度の増加は、充填剤のチンダル効果の減少をもたらし得る。HA-コラーゲンヒドロゲルの物理的及び光学的特性は、合成工程においてコラーゲンが可溶性である程度に依存する。温度、pH及び塩濃度などの合成パラメータは、コラーゲンの溶解度に影響を及ぼす。コラーゲンの溶解度は、温度、pH及び塩濃度の上昇によって低下し得、合成中のコラーゲンの溶解度の低下は、G’がより低く、膨潤がより高く、押出力が増加したゲルをもたらす。HAはまた、田口及び共同研究者が記載するように、コラーゲンと相互作用してコラーゲンの溶解度を低下させ得る(Taguchi et al.Journal of Biomedical Materials Research,2002,61(2)、330-336、参照により本明細書に組み込まれる)。塩濃度を調節することによって、HAとコラーゲンとの間の相互作用を変化させ、それによりコラーゲン溶解度を調整し、物理的特性を変化させることができる。一実施形態では、本組成物は、50mM~400mMの濃度を有する塩を含む。一実施形態では、組成物は、約150mMのNaCl濃度を有する。したがって、水和温度を低下させ、塩/緩衝液濃度を最適化することによって、合成中の所与のHA濃度に対する最大のコラーゲン溶解度と共に、最大G’及び最小膨潤値を得ることができる。
【0116】
一実施形態では、本組成物は透明である。一実施形態では、本組成物は半透明である。一実施形態では、HA濃度、水和温度、塩濃度及び/又はコラーゲンの濃度は、本組成物の不透明度に影響を及ぼす。不透明度の増加は、チンダル効果である、注入部位で見られ得る青色の変色を減少させ得る。当業者であれば、本組成物の不透明度を測定する方法を理解するであろう。
【0117】
一実施形態では、これらの材料及び組成物に対する生物学的特性及び組織応答がキャラクタライズされている。一実施形態では、この製剤は、HAのみの材料と比較して増強された細胞活性を示す。活性レベルは、コラーゲン濃度に依存するが、HA濃度及び合成手順にも依存する。一実施形態では、より低いHA濃度(13mg/mL)を有する製剤は、所与のコラーゲン濃度に対してより高いHA濃度(20~28mg/mL)を有する製剤よりも増強されたインビトロ応答を与えることが見出された。一実施形態では、より高いコラーゲン濃度を有するヒドロゲルなど、同様のHA濃度を有する組成物は、より大きなインビトロ応答を示した。さらに、一実施形態では、室温未満の温度で水和した製剤は、室温で水和した類似の製剤よりも高い細胞活性を刺激した。特定の充填剤を適応するために、特定の細胞活性レベルが求められる場合があり、製剤化及び合成のパラメータを選択することによって、好ましい活性レベルを達成することができた。
【0118】
一実施形態では、HA/コラーゲンの製剤を組織の一体化モデルにおける組織応答についても評価した。HA-コラーゲン材料の移植片から得られた組織切片は、周囲組織からの細胞浸潤、並びに、注入された充填剤ボーラス内の新しいコラーゲンの堆積及び血管形成を示した。浸潤及び組織の一体化の程度は、異なる製剤間で異なっていた。本明細書中に記載される製剤のいくつかの実施形態では、コラーゲン構造及び架橋は、驚くべきことに、浸潤及び組織の一体化の程度において重要である。一実施形態では、コラーゲン構造及び架橋は、組織の一体化及び浸潤において重要であり得る(例えば、
図14を参照されたい)。本明細書に記載される製剤のいくつかの実施形態では、組織の一体化は、HA濃度の増加と共に減少する。本明細書に記載される製剤である、組織に注入された低HA濃度(13mg/ml)を有する製剤のいくつかの実施形態では、周囲組織が4週間までにゲルボーラスに浸潤することが分かった。これらの実施形態では、細胞核及び新たに堆積したコラーゲンがゲルの間に散在していることが分かった。このことは、製剤Iを使用した例7(
図6B及び
図6C)において見ることができる。このように、これらの製剤は、ゲルボーラスへの組織浸潤について驚くべき結果をもたらした。
【0119】
いくつかの実施形態では、より高いHA濃度(20~25mg/mL)を有する製剤もまた強い組織の一体化を示したが、組織は、より低いHA濃度を有する製剤のようにボーラス全体に浸潤しなかった。
【0120】
いくつかの実施形態では、HAの分子量及び/又はゲル粒子の特性もまた周囲の組織の一体化に影響を及ぼす。
【0121】
しかしながら、別の驚くべき結果は、構造/架橋が組成物中のコラーゲン濃度よりも重要であり得ることを示した。この驚くべき発見の一例は、5℃で水和したHAを有する20:6のHA:コラーゲンを有するゲルが、室温で水和した20:10のHA:コラーゲンを有するゲル(スコア=0.5)よりも良好な組織の一体化のスコア(スコア=2.0)を示したことである。組織の一体化のスコアリングは、盲検の組織病理医によって実施され、試験内部対照(HAのみのゲル)に対して正規化された。より高いスコアは、より良好な組織の一体化を示す。
【0122】
驚くべきことに、混合ゲルの構造が異なる組成物において、結果の違いが見られた。コラーゲンが混合された組成物は、ゲルが5℃でHAに架橋されたコラーゲンを有する組成物とは異なる応答を有した。
【0123】
5℃で水和したHAを用いて合成された製剤XIXは、インビトロ及びインビボ性能の改善、並びに、本明細書の実施形態に示される最良の組織の一体化を実証した。
【0124】
コラーゲン濃度を除いて、組成物のレベル又は架橋及び構造は、等しい重要性を示した。例えば、低温で生成されたゲル製剤などの組成物は、改善されたインビトロ及びインビボ性能、例えば改善された組織の一体化をもたらした。これは、20:6のHA:コラーゲン比及び約5℃の水和温度を有する製剤XIXについて見ることができる。製剤の調製はまた、インビトロ及びインビボ性能の改善などの驚くべき結果をもたらした。いくつかの実施形態では、水和のための低温での、例えば5℃でのゲル製剤の調製は、改善されたインビトロ及びインビボ性能を有するゲル製剤をもたらした。いくつかの実施形態では、ゲル製剤は、注入した製剤の部位への組織の一体化を実証した。
【0125】
20:6及び20:4のHA:コラーゲン比及び約5℃の水和温度を有する製剤はまた、インビトロ及びインビボ性能の改善などの驚くべき結果をもたらした。
【0126】
いくつかの実施形態では、組織へのコラーゲンの浸潤を増加させる製剤が提供される。製剤は、13mg/mlのヒアルロン酸を含む。いくつかの実施形態では、製剤を組織に注入し、その結果、製剤を含むデポーを作り出し、デポーの周囲の組織からの細胞がデポーに堆積する。一実施形態では、製剤によって注入された組織は、組織の一体化及びコラーゲンの堆積並びに血管形成を有することが示される。一実施形態では、製剤は、20:6のHA:コラーゲン比及び約5℃の水和温度を有する。一実施形態では、製剤は、20:4のHA:コラーゲン比及び約5℃の水和温度を有する。
【0127】
皮膚充填剤の主な機能は、皺を充填し、その下に注入された皮膚充填剤を覆う組織を支持することである。必要なリフト量は、具体的な顔の適応症に依存する。適応症のボリューム形成をすることを目的として、皮膚の下のより深いところに入れられる製品は、より多くの構造及びより大きな持ち上げ力を示す必要がある。表面的な留置を伴う小皺用の製剤は、それほど大きな持ち上げ力を示す必要はないが、より滑らかであって、既存の組織に一体化する必要がある。したがって、動物のリフト能力モデルでHA/コラーゲン製剤を評価してリフト能力を決定した。同様の方法で架橋された製剤の場合、リフト能力はHA濃度に依存し、より高いHA濃度ではリフトが増加した。
【0128】
いくつかの実施形態では、リジンを加えた架橋HA:コラーゲン製剤は、HA濃度が13mg/mLから、20mg/mL、25mg/mLと増加するにつれて持ち上げ力の増加を示した。いくつかの実施形態では、HAの分子量は持ち上げ力にも影響する。いくつかの実施形態では、25mg/mLの高分子量HAを含有する製剤は、25mg/mLの低分子量HAと高分子量HAの混合物で構成される製剤よりも大きな持ち上げ力を示した。このように、最適な合成パラメータ、HA濃度、及びHAの分子量比を選択することによって、所望の持ち上げ力を達成することができる。上記又は下記の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、本製剤は、異なる分子量を有するヒアルロン酸成分の混合物を含み、その混合物は、約20,000ダルトン、約40,000ダルトン、約60,000ダルトン、約80,000ダルトン、約100,000ダルトン、約200,000ダルトン、約300,000ダルトン、約400,000ダルトン、約500,000ダルトン、約600,000ダルトン、約700,000ダルトン、約800,000ダルトン、約900,000ダルトン、約1,000,000ダルトン、約1,500,000ダルトン、約2,000,000ダルトン、約2,500,000ダルトン、約3,000,000ダルトン、約3,500,000ダルトン、約4,000,000ダルトン、約4,500,000ダルトン、約5,000,000ダルトン、約5,500,000ダルトン、約6,000,000ダルトン、約6,500,000ダルトン、約7,500,000ダルトン、約8,000,000ダルトン、約8,500,000ダルトン、約9,000,000ダルトン、約9,500,000ダルトン及び/又は約10,000,000ダルトンの平均分子量を有するヒアルロン酸、及び/又は前述の任意の2つの値の間の範囲内の分子量を有する任意のヒアルロン酸を含む。
【0129】
リジン架橋HA-コラーゲンヒドロゲルの合成方法
本開示は、コラーゲン溶液を提供すること、及び、コラーゲン溶液を、リジン・HCl、高分子量HA、MES緩衝液、NaCl及びNaOHを含む第2の溶液に加えること、を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約24:12、約28:2、約20:4、約25:4、約22:6、約22:4、約24:6、約20:6、又は約13:4のヒアルロン酸とコラーゲンの重量比を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約6mg/mlのコラーゲン濃度を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、均質化のために撹拌される。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、室温未満で水和する。一実施形態では、HAは、2℃~35℃の温度で水和する。一実施形態では、HAは、2℃、3℃、5℃、7℃、9℃、11℃、13℃、15℃、17℃、19℃、21℃、23℃、25℃、27℃、29℃、31℃、33℃、35℃で、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の温度で水和する。一実施形態では、HAは、2℃~19℃の温度で水和する。一実施形態では、HAは、2℃、3℃、5℃、7℃、9℃、11℃、13℃、15℃、17℃若しくは19℃の温度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の温度で水和する。一実施形態では、HAは、室温で少なくとも60分間水和する。一実施形態では、HAは、室温より高い温度で水和する。一実施形態では、HAは、少なくとも35℃の温度で水和する。いくつかの実施形態では、別の水和工程を少なくとも60分間行う。いくつかの実施形態では、水和は、約pH5.5のMES緩衝液中で行われる。混合物は、1つのシリンジに入れてもよく、2つのシリンジ間でシリンジ間で少なくとも50回通してもよい。EDC/NHSの溶液を混合物に加えてもよい。混合は、溶液を2つのシリンジ間で渡すことによって行うことができる。EDC/NHS溶液を加えた後、混合物を2~8℃の温度で少なくとも16時間反応させる。いくつかの実施形態では、溶液のpHは、NaOHを使用して7.4に調整され、透析を用いて精製される。形成されたヒドロゲルの特性は、レオメーターを使用して得ることができる。当業者は、例えば、圧縮力、膨潤特性、及び押出力などのいくつかのパラメータについて組成物を測定することができる。
【0130】
一実施形態では、高分子マトリックスは、注入を容易にし、押出力を減少させるために使用され得る非架橋HAをさらに含む。
【0131】
一実施形態では、リジン:HAの比は、架橋効率を最大化するように最適化される。一実施形態では、リジン:HAの比は約0.0~0.5であり、より効率的な架橋を可能にし得る。リジンを用いない架橋は、架橋のためのアミンを供給するためにコラーゲンに依存し得、HA鎖間のエステル架橋をより水に不安にし得る。高いリジン:HAの比での架橋は、HA鎖上の活性化されたカルボン酸を飽和させることができ、鎖間を架橋するのではなくHA鎖の片側のみに結合したペンダントリジン分子をもたらし得る。所与の適応症に対して最適なリジン:HAの比を選択することによって、得られるヒドロゲルの物理的特性を調整することができ、所望の特性を達成することができる。いくつかの実施形態では、最適なリジン:HAの比は組成依存性であり得る。
【0132】
組成物の滅菌
開発された生体材料は、ヒト患者への注入又は移植による組成物の投与前に、滅菌、又は病原体、細菌の微生物などの望ましくない生物学的材料の破壊を必要とする場合がある。これらの組成物は、本明細書に記載の実施形態を含み、例えば、架橋高分子マトリックスなどの材料を含む。これらの材料中のタンパク質、多糖類及び炭水化物は、オートクレーブなどの従来の加熱滅菌手順にさらされた場合、又はガンマ線などの電離放射線にさらされた場合に、分子破壊を受けやすい可能性がある。従来、これらのエネルギーに敏感な生体材料の多くは、本組成物から微生物を物理的に除去することを目的した精密濾過プロセスによってバルクで滅菌される。次いで、濾過された組成物は、医師による使用のためにシリンジ及び/又はバイアルにパッケージ化しなければならない。
【0133】
一実施形態では、架橋高分子マトリックスは無菌である。一実施形態では、架橋高分子マトリックスを作製する方法は、架橋高分子マトリックスを滅菌する工程をさらに含む。
【0134】
一実施形態では、本方法は、本組成物又は架橋高分子マトリックスを、病原体、微生物及び他の微生物を不活性化するのに有効な線量の広帯域スペクトル放射線に曝す工程をさらに含む。
【0135】
一実施形態では、本方法は、組成物又は架橋高分子マトリックスを、広帯域スペクトル放射を含むパルス放射線(本明細書において以下、パルス光という場合がある)に曝す工程をさらに含む。広帯域スペクトル放射線は、約100nmから約1100nm波長の帯域範囲を有し得る。広帯域スペクトル放射線は、紫外範囲、可視光範囲、及び赤外範囲の波長を含む。いくつかの実施形態では、約54%のUV波長、26%の可視波長及び約20%の赤外波長の波長分布を有する。この形態の放射線は、キセノンランプによって供給することができる。
【0136】
一実施形態では、パルス光は、本組成物全体にわたって、本組成物の著しい劣化を引き起こすことなく、また本組成物のレオロジーの著しい変化を引き起こすことなく、本組成物中の微生物及び微生物を不活性化する。
【0137】
一実施形態では、パルス光は、254nmのUVフルエンスによって定義される、約100mJ/sqcm~約2000mJ/sqcmのエネルギーを有する。一実施形態では、パルス光は、254nmのUVフルエンスによって定義される、約300mJ/sqcm~約1800mJ/sqcmのエネルギーを有する。
【0138】
一実施形態では、パルス光は、254nmのUVフルエンスによって定義される、約700mJ/sqcm~約800mJ/sqcmのエネルギーを有する。一実施形態では、パルス光は、254nmのUVフルエンスによって定義される、約1400mJ/sqcm~約1600mJ/sqcmのエネルギーを有する。
【0139】
一実施形態では、パルス光は、約1パルス/秒~約10パルス/秒、例えば、約3パルス/秒のパルス周波数を有する。
【0140】
一実施形態では、本組成物は、240秒以下の期間にわたってパルス光に曝される。一実施形態では、本組成物は、120秒以下の期間にわたってパルス光に曝される。一実施形態では、本組成物は、40秒以下の期間にわたってパルス光に曝される。一実施形態では、本組成物は、30秒以下の期間にわたってパルス光に曝される。一実施形態では、本組成物は、20秒以下の期間にわたってパルス光に曝される。一実施形態では、本組成物は、10秒間にわたってパルス光に曝される。
【0141】
一実施形態では、本組成物は、5秒間にわたってパルス光に曝される。一実施形態では、本組成物は、1秒以下の期間にわたってパルス光に曝される。
【0142】
一実施形態では、パルス光は、本組成物の温度を90℃より高くすることなく本組成物を滅菌するのに有効である。一実施形態では、パルス光は、本組成物の温度を20℃より高くすることなく本組成物を滅菌するのに有効である。一実施形態では、その線量は、本組成物の温度を15℃より高く、例えば10℃より高く、例えば5℃より高くすることなく本組成物を滅菌するのに有効である。
【0143】
一実施形態では、パルス光は、約10%未満、又は約8%未満、又は約5%未満のレオロジー損失(G’/G’’)で本組成物を滅菌するのに有効である。
【0144】
一実施形態では、パルス光は、著しい劣化を引き起こすことなく、例えば、本組成物のレオロジー特性に著しい変化を引き起こすことなく、本組成物を滅菌する、すなわち、本組成物中の病原体、微生物及び他の微生物を不活性化するのに有効である。
【0145】
一実施形態では、放射線の有効滅菌線量は、ヒドロゲルのレオロジーを保持する。一実施形態では、本方法は、約10%未満、又は約8%未満、又は約5%未満のレオロジー損失(G’/G’’)でヒドロゲルを滅菌するのに有効である。
【0146】
例
実施された実験及び達成された結果を含む以下の例は、例示のみを目的として提供されており、本開示を限定するものと解釈されるべきではない。
【0147】
例1-リジン架橋HA-コラーゲンヒドロゲルの合成
0.01MのHClに4.96mg/mLのコラーゲンを溶解した溶液を、リジン・HCl、HMW HA、MES緩衝液/NaCl固体及び1MのNaOHと共に30mLのHSW Norm-Jectシリンジに加えた。それに応じて濃度を調整して、例えば、HA:コラーゲンの比が、13:4 mg/ml(製剤I)、20:4 mg/ml(製剤II)及び25:4(製剤III)のヒドロゲルを作製した。この混合物を撹拌して溶液を均質化し、HAを室温で約60分間水和させた。約60分から約90分後、この混合物をシリンジ間で通して、再び約30分から約60分間にわたって水和させた。2回目の水和後、この混合物をシリンジ間で数回通した。水、NHS及びEDCを加えることによって、EDC/NHS溶液を第3の30mLシリンジで調製し、振盪して混合した。EDC/NHS溶液をHA/コラーゲン混合物に加え、2つのシリンジ間で通した後、ガラスバイアルに移し、これを2~8℃で反応させた。いくつかの実施形態では、反応時間は、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間、約24時間、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の時間である。この後、ゲルをシリンジに移し、再び2つのシリンジの間で通した。2MのNaOHを使用してゲルのpHを約7.40に調整し、PBSを使用して最終体積を調整した。ゲル製剤をPBSに対して2~8℃で約70時間透析し、その間に数回緩衝液を交換してEDC/NHSを除去した。次いで、ゲルを透析膜からシリンジに移し、ステンレス鋼メッシュ(60μmの細孔-104μmの細孔)に通し、2つのシリンジ間で通した。このゲルを1mLシリンジに移し、シリンジを蒸気滅菌した。得られた滅菌ヒドロゲルを、レオロジー、圧縮力測定値、押出力測定値、及び膨潤を用いてキャラクタライズした。
【0148】
製剤XXVIについては、架橋中にNaClを省略した。
【0149】
製剤XXV及び製剤XXVIの場合、非架橋HMW HA(全組成物に対して2%(w/w))及びリドカインHCl(全組成物に対して0.3%(w/w))をシリンジ充填及び滅菌の前に加える。
【0150】
例2-6mg/mLの最終コラーゲン濃度を有するリジン架橋HA-コラーゲンヒドロゲルの合成
0.01MのHClに7.16mg/mLのコラーゲンを溶解した溶液を、リジン・HCl、HMW及び/又はLMW HA及びMES緩衝液/NaCl固体と共に30mLのHSW Norm-Jectシリンジに加えた。pHを1MのNaOHで調整した。この混合物を撹拌して均質化し、HAを指定温度で約60分間水和させた。約60~90分後、この混合物を2つのシリンジ間で数回通して、再び少なくとも30分間水和させた。2回目の水和工程の後、この混合物を再び2つのシリンジ間で数回通した。水、NHS及びEDCを加えることによって、EDC/NHS溶液を第3の30mLシリンジで調製し、振盪して混合した。水和は、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃の温度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の温度で行うことができる。EDC/NHS溶液をHA/コラーゲン混合物に加え、2つのシリンジ間で数回通した後、Thinky Mixer反応容器に移し、これを2~8℃で少なくとも16時間反応させた。この後、ゲルを、Thinky Mixerを使用して均質化した。2MのNaOHを使用してゲルのpHを約7.40に調整し、PBSを使用して最終体積を調整した。ゲル製剤をPBSに対して2~8℃で約70時間透析し、その間に数回緩衝液を交換した。次いで、ゲルを透析膜からシリンジに移し、ステンレス鋼メッシュ(104μmの細孔)に通し、Thinky Mixerを使用して均質化した。このゲルを1mLシリンジに移し、シリンジを蒸気滅菌した。得られた滅菌ヒドロゲルを、上記の例に記載したようにキャラクタライズした。
【0151】
いくつかの実施形態では、ゲルは20mg/mlのヒアルロン酸を含む。いくつかの実施形態では、ゲルは6mg/mlのコラーゲンを含む。ゲルを作製する方法のいくつかの実施形態では、ヒアルロン酸は、5℃の温度で水和する。
【0152】
例3-28:2 mg/mLのHA:コラーゲンの濃度を有するリジン架橋HA-コラーゲンヒドロゲルの合成(製剤XVI)。
0.01MのHClに3.20mg/mLのコラーゲンを溶解した溶液を、0.01MのHCl、リジン・HCl、HMW HA、LMW HA及びMES緩衝液/NaCl固体と共に30mL HSW Norm-Jectシリンジに加えた。NaOHを用いてpHを調整した。この混合物を撹拌して均質化し、HAを室温で約90分間水和させた。90分後、この混合物をシリンジ間で数回通して、再び約30分間水和させた。2回目の水和工程の後、この混合物をシリンジ間で数回通した。水、NHS及びEDCを加えることによって、EDC/NHS溶液を第3の30mLシリンジで調製し、振盪して混合した。EDC/NHS溶液をHA/コラーゲン混合物に加え、シリンジ間を数回通した後、ガラスバイアルに移し、これを2~8℃で少なくとも16時間反応させた。この後、ゲルをシリンジに移し、シリンジ間で通した。2MのNaOHを使用してゲルのpHを約7.40に調整し、PBSを使用して最終体積を調整した。ゲル製剤をPBSに対して2~8℃で約70時間透析し、その間に数回緩衝液を交換した。次いで、ゲルを透析膜からシリンジに移し、ステンレス鋼メッシュ(104μmの孔)に通し、シリンジ間で通して均質化した。このゲルを1mLシリンジに移し、シリンジを蒸気滅菌した。得られた滅菌ヒドロゲルを、上記の例に記載したようにキャラクタライズした。
【0153】
例4-最終濃度の1.25倍で調製した、25:4mg/mLのHA:コラーゲンの濃度を有するリジン架橋HA-コラーゲンヒドロゲルの合成(-製剤XV)
0.01MのHClに5.67mg/mLのコラーゲンを溶解した溶液を、リジン・HCl、HMW HA、LMW HA及びMES緩衝液/NaCl固体と共に30mL HSW Norm-Jectシリンジに加えた。pHを1MのNaOHで調整した。この混合物を撹拌して均質化し、HAを室温で約90分間水和させた。次いで、この混合物をシリンジ間で数回通して、再び30分間水和させた。2回目の水和工程の後、この混合物を再びシリンジ間で通した。水、NHS及びEDCを加えることによって、EDC/NHS溶液を第3の30mLシリンジで調製し、振盪して混合した。EDC/NHS溶液をHA/コラーゲン混合物に加え、シリンジ間で数回通した後、ガラスバイアルに移し、これを2~8℃で少なくとも16時間反応させた。この後、ゲルをシリンジに移し、シリンジ間で通した。2MのNaOHを使用してゲルのpHを約7.40に調整し、PBSを使用して最終体積を調整した。ゲル製剤をPBSに対して2~8℃で約70時間透析し、その間に数回緩衝液を交換した。次いで、ゲルを透析膜からシリンジに移し、ステンレス鋼メッシュ(104μmの孔)に通し、シリンジ間で通して均質化した。このゲルを1mLシリンジに移し、シリンジを蒸気滅菌した。得られた滅菌ヒドロゲルを、上記の例に記載したようにキャラクタライズした。
【0154】
例5-ヒドロゲルの物理的特性
25mmの平行平板形状測定ツールを備えたAnton-Paar MCR301/302レオメーターを使用してレオロジー特性を得た。周波数掃引(10Hz~0.1Hz、歪み1%)及び振幅掃引(0.3%~300%歪み、5Hz周波数)の測定値を両方用いて、1mmのギャップ高さで試料を分析した。圧縮力は、ギャップ高さ2.5mm及び垂直圧縮の同じ機器を使用して測定した。ギャップ高さは2.5mmに確立され、5分間そこに留まり、次いで13.33μm/sの速度で2.5mmから0.89mmに圧縮された。ヒドロゲル膨潤は、ゲル試料を過剰のリン酸緩衝液と混合し、平衡後のゲルの体積を求めることによって測定した。膨潤ゲルの体積を、緩衝液を加える前に加えた元のゲルの体積と比較した。膨潤は、追加の流体の取り込みとして、元のゲル体積のパーセンテージの形で表される。ゲルの押出力は、50mm/分の速度に設定したテクスチャーアナライザーを使用して、1/2インチの27G TSK針(特に明記しない限り)を取り付けた1mLのCOCシリンジ中のゲル製剤について測定した。
【表1】
【0155】
表1:ヒドロゲル製剤の合成パラメータ及び物理的特性1当量は、0.9%のNaClを含む0.1MのMES緩衝液濃度に相当する。
【0156】
表1に示すように、一定のコラーゲン濃度でHA濃度が13mg/mLから、20mg/mL、25mg/mLと増加するにつれて(製剤I対製剤II対製剤III)、圧縮力(47gmf→180gmf→310gmf)及び押出力(13.8N(30G)→28.0N→51.7N)と共に、G’値が増加する(380Pa→645Pa→1370Pa)一方で、G’’/G’比はHA濃度の増加と共に減少する(0.123→0.103→0.056)。
【0157】
同じHA及びコラーゲンの濃度(製剤VI対製剤VII対製剤VIII)でHMW/LMW HA比が100/0から、65/35、35/65と減少するにつれて、圧縮力(292→226→163gmf)及び押出力(63.6→29.2→20.0N)と共に、G’値が減少する(1360Pa→1180Pa→932Pa)一方で、HMW/LMW比が減少するにつれて、G’’/G’比は増加する(0.055→0.068→0.085)。
【0158】
一定のHA及びコラーゲン濃度(製剤XI対製剤VI対製剤IX対製剤X)で合成水和温度を35から22から15から5℃に低下させると、G’値は増加する(876→1360→3145→4750Pa)が、ヒドロゲル膨潤は押出力(56.1~63.6→33.8→20.1N)と共に減少する(257%→238%→159%→127%)。圧縮力は、より高い水和温度(35℃対その他)を除いて、水和温度の変化の影響を受けない。合成中の水和温度を調節すると、コラーゲンの溶解度が変化し、その結果、得られるヒドロゲルの物理的特性が変化する。
【0159】
塩/緩衝液濃度を2/3に低下させることにより、低い塩/緩衝液濃度で22℃で水和した製剤と、元の塩/緩衝液濃度で5℃で水和した製剤(製剤XIII対製剤X)とについて、同様のG’値(5470Pa対4750Pa)、膨潤(108%対127%)、及び押出力(20.5N対20.1N)が、得られる。さらに、低い塩/緩衝液濃度を使用する合成は、元の塩/緩衝液濃度を使用する合成ほど22℃対5℃の水和温度に敏感ではない。水和温度が22℃及び5℃の低い塩/緩衝液濃度を使用して合成された製剤(製剤XIII対製剤XII)では、G’、膨潤力及び押出力の値は大きく異ならない一方で、元の塩/緩衝液濃度を使用して合成された同様の製剤では、これらの物理的特性は大きく異なる(製剤VI対製剤X)。
【0160】
28:2mg/mLのHA:コラーゲン濃度で合成した類似の製剤を比較することによって、加えられたリジンの効果が見て取れる(製剤XVIII対製剤XVI対製剤XVII)。最適なリジン:HAの比は、架橋効率を最大化するのに役立ち、その正確な比は、HAの分子量、活性化試薬の濃度、及び合成条件に依存する。例えば、リジン:HAの比は、28:2 mg/mLのHA:コラーゲン濃度で合成した一連の製剤(製剤XVIII対製剤XVI対製剤XVII)について増加した(0→0.333→0.5)。G’及び圧縮力などの物理的特性は、0.333のリジン:HAの比で調製された製剤で最大化されたが、その同じ製剤で膨潤及びG’’/G’値は最小化された。より高いG’及びより低い膨潤は、一般に、より高度に架橋されたヒドロゲルに関連している。0~0.5のリジン:HAの比は、より効率的な架橋を可能にする。リジンを用いない架橋は、架橋のためのアミンを供給するためにコラーゲンに依存し得、HA鎖間のエステル架橋をより水に不安にし得る。高いリジン:HAの比での架橋は、HA鎖上の活性化されたカルボン酸を飽和させることができ、鎖間を架橋するのではなくHA鎖の片側のみに結合したペンダントリジン分子をもたらし得る。非常に低い又は高いリジン:HAの比を有するこれらのシナリオは、非効率的な架橋及び最適以下のゲル特性をもたらし得る。所与の適応症に対して最適なリジン:HAの比を選択することによって、得られるヒドロゲルの物理的特性を調整され、所望の特性を達成することができる。
【0161】
例6-ヒドロゲルのインビトロ試験
インビトロでの細胞増殖及び生存率
HA-コラーゲンヒドロゲルと密接に接触している線維芽細胞の生存率及び増殖を、XTTアッセイを使用して定量化した。100μLのヒドロゲル(n=3)を、低付着性表面コーティングを有する24ウェル細胞培養プレートの底部に積層し、37℃の加湿インキュベータ内に30分間置いた。500μLの細胞培養培地中の50,000個の成体ヒト皮膚線維芽細胞をヒドロゲル床の上に加え、37℃でインキュベートした。48時間インキュベートした後、各ウェルにXTT試薬250μLを加え、37℃で4時間インキュベートした。次いで、プレートを300xgで5分間回転させ、各ウェルから得られた200μLの上清を20μmメッシュの96ウェルフィルタープレートのウェルに移した。XTTの上清を含むフィルタープレートを300xgで5分間回転させた。各ウェルから得られた100μLの濾過上清を清浄な96ウェルプレート(黒壁、透明底)に移し、上清の吸光度をマイクロプレートリーダーで読み取った(630nmバックグラウンド補正で450nm)。陽性対照の組織培養ポリスチレン(TCPS)上で培養した線維芽細胞のXTT細胞生存率に対してデータを正規化した。
【0162】
細胞生存率及び増殖は、同じコラーゲン濃度及びより高いHA濃度を有する同様に架橋された製剤よりも、より低いHA濃度を有する製剤の方が高いことが見出された。例えば、HMW HA及び4mg/mLのコラーゲンを用い、ただし、HA濃度を、13mg/mL(製剤I)、20mg/mL(製剤II)、及び25mg/mL(製剤III)と増加させて合成したヒドロゲルは、TCPS陽性対照と比較して53%、30%、及び20%の増殖値を示した。(
図1)HAのみの陰性対照ゲルは、TCPS対照と比較して12%の増殖値を示した。
【0163】
さらに、同じHA濃度及びコラーゲン濃度を有する同様に架橋された製剤の細胞生存率及び増殖に対して、合成手順中の水和温度の影響が認められる。24:6 mg/mLのHA:コラーゲンの濃度を有するヒドロゲルの場合、5℃で水和したそれらの製剤(製剤X)は、22℃(製剤VI)又は35℃(製剤XI)で水和したそれらの製剤よりも高い細胞増殖を示し、それぞれ39%、27%、及び19%の値であった。(
図1)
【0164】
細胞の生存率及び増殖はまた、ヒドロゲル合成中の塩及び緩衝液の濃度によっても影響を受ける。5℃で行われた合成では、塩/緩衝液濃度を低下させた場合に、細胞応答の変化は明らかではなかった(製剤X(1当量)対製剤XII(0.33当量))。しかし、22℃又は35℃で水和した製剤では、塩/緩衝液の濃度を低下させて調製した製剤(製剤XIII、22℃、及び製剤XIV、35℃)では、1当量の塩/緩衝液で調製した製剤(製剤VI、22℃、及び製剤XI、35℃)よりも細胞生存率及び増殖の有意な増加が観察された。(
図1)
【0165】
製剤XIXを、5℃で20mg/mLのHA及び6mg/mLのコラーゲンを用いて調製する。この製剤は、20mg/mL以上のHA濃度を有する他のゲルと比較して、より高い細胞生存率及び増殖を示した。(
図1)
【0166】
20:4のHA:コラーゲン比を有する製剤はまた、インビトロでの細胞応答を増強することが示された(
図15、製剤XXII)。
【0167】
さらに、製剤XIXは、オートクレーブ処理後に一貫した安定性及び性能を有することが示された。
【0168】
インビトロ細胞の形態
細胞の形態を分析して、細胞サイズ、形状及び細胞骨格組織化に対するヒドロゲル製剤の効果を評価した。HAのみ又はHA/コラーゲン架橋ヒドロゲル上で培養した線維芽細胞のアクチンフィラメントアライメント指数及び形態を画像化し、定量化した。アクチンフィラメントアライメントの増加は、細胞の基質への付着性の増加と相関し得る。長さ対幅の比の増加は、基質上の細胞の拡延性の増加と相関する。凸包と細胞面積の比は、細胞の形状の測定値であり、1.0は均一な形状の細胞を示し、1を超える値はより不規則な形状の細胞を示す。マトリックスと複数回接触し、伸長/移動している細胞は、より不規則な細胞形状及びより高い凸包対細胞面積比の値を示す。アクチンフィラメントアライメント指数、長さ対幅比、及び凸包対細胞面積比は、3次元ユークリッド空間で一緒に分析することができる。陰性対照から得られたヒドロゲル(この場合は非付着性HAのみのゲル)のユークリッド距離は、充填剤に対する細胞応答全体のランク付けを可能にする。HAのみの対照から得られたより大きなユークリッド距離は、ヒドロゲル上での細胞の付着性及び拡延性の増強を示す。より大きな細胞の付着性及び拡延性を支援するヒドロゲルは、より多くのゲルへの細胞浸潤を誘導すると予想され、それらの細胞はゲルマトリックス内にECMを堆積させる。細胞浸潤及びECM堆積の増加は、ヒドロゲルデポーへのインビボ組織の一体化において有益であり得る。逆に、より低い細胞の付着性及び拡延性の値をもたらす製剤は、より不活性に挙動し、組織浸潤及び一体化がより少なくなる。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルを作製する方法は、オートクレーブ処理工程をさらに含み、このオートクレーブはヒドロゲルの特性を変化させない。(
図13を参照のこと)。
【0169】
典型的な手順では、細胞培養培地中のヒドロゲル(n=3)及びヒト皮膚線維芽細胞を、低付着性の表面コーティングを有する96ウェル細胞培養プレートに加えた。48時間のインキュベーション後、細胞をホルマリンで固定し、Hoechst、WGA-488及びAlexa Fluor-Phalloidinで染色した。ウェルを共焦点顕微鏡で画像化し、アクチンフィラメントアラインメント(ファロイジン)及び細胞形態(WGA-488)を画像解析ソフトウェアを用いて解析した。
【0170】
同じHA濃度及びコラーゲン濃度を有する同様に架橋された製剤の細胞の付着性及び拡延性に対して、合成手順中の水和温度の影響が認められる。24:6のHA:コラーゲン濃度を有するヒドロゲルの場合、5℃で水和した製剤(製剤X)は、22℃で水和した製剤(製剤VI)よりも高い細胞付着性(アクチンフィラメントアライメント指数)を示し、それぞれ0.054及び0.015の値であった(
図2)。5℃で水和した製剤(製剤X)は、22℃で水和した製剤(製剤VI)よりも細胞の拡延性(細胞長対幅比)の増加を示し、それぞれ2.52及び1.40の値であった。5℃で水和した製剤(325_B)はまた、22℃で水和した製剤(製剤VI)よりも高い凸包対細胞面積比を示し、それぞれ1.34及び1.07の値であった。22℃で水和した製剤(製剤VI)のアクチンフィラメントアライメント指数、細胞長対幅比、及び凸包対細胞面積比は、HAのみの対照と同様であった。最適化された製剤(20:6 HA:コラーゲン、5℃水和、製剤XIX)は、HAのみのゲルよりも有意に高いアクチンフィラメントアライメント指数、長さ対幅比及び凸包対細胞面積比を示す。HAのみのゲルから得られたユークリッド距離を使用してヒドロゲルをランク付けすると、最適化された製剤が他のHA-コラーゲンヒドロゲルよりも高い性能を示すことが明らかになる。
【0171】
活性アッセイにおいて製剤VIよりも高い活性を示した製剤Xが、形態アッセイにおいても細胞の付着性及び拡延性を増大させる証拠を示したという点で、細胞形態分析はXTT細胞活性アッセイとよく相関する。製剤XIXはまた、他のHA-コラーゲン製剤及びHAのみのゲルよりも高い活性を示す。細胞の拡延性及び付着性はより高い細胞活性に関連しており、それゆえに、各アッセイの結果は互いに良好に一致している(
図2A~
図2D)。
【0172】
製剤XXII及び製剤XXIIIを用いて培養した線維芽細胞は、HAのみのゲルを用いて培養した線維芽細胞よりも有意に大きい細胞の長さ対幅の比を示す。(
図16)
【0173】
例7-ヒドロゲルのインビボ試験
リフト能力
組織の隆起を支持するヒドロゲルの能力(持ち上げ力)を、ラットの皮下移植モデルを用いてインビボで評価した。125μLのヒドロゲル(n=10)を頭蓋骨の上に皮下ボーラスとして注入した。臨床3Dイメージングシステム(Canfield Vectra)を使用して、12週間にわたってボーラスの3D再構成を生成した。ボーラスの平均高さは、医療撮像ソフトウェア(Canfield Mirror)を使用して分析した。
【0174】
4週間~12週間の間に測定された、同じコラーゲン濃度(4mg/mL)及びHMW/LMW HA比(100/0)を有する一連のHA-コラーゲン製剤のインビボでのリフト能力は、HA濃度と正の相関を示す。25mg/mLのHAを含む製剤(製剤III)は、20mg/mL(製剤II)又は13mg/mL(製剤I)の製剤よりも多くの隆起を示した(
図3)。圧縮力はこれらの製剤のHA濃度と共に増加するので、4~12週間のインビボでの隆起は圧縮力と正の相関を示す。インビボでの持ち上げ力はまた、ゲルの合成条件に依存する。2つの製剤(製剤III対製剤XV)は、25:4 mg/mLの同じHA:コラーゲン濃度を含有するが、異なるHMW/LMW HA比及び異なる架橋条件下で合成され、4~12週間で異なるリフトプロファイルを生じた。1倍の合成濃度で高MW HAを用いて合成した製剤は、1.25倍の合成濃度で10/90のHMW/LMW HAを用いて調製した製剤よりも優れた持ち上げ力を示した(
図4)。さらに、異なるHA/コラーゲン濃度及び合成条件を有するが、同様の圧縮力値(166~180)を有するヒドロゲル製剤(製剤II、製剤XV、製剤XVI)は、4週間~12週間の間に同様のインビボでのリフトプロファイルを示した(
図5)。このように、最適な組成及び合成条件を選択することによって、所与の用途のための所望のリフトプロファイルを得ることができる。
【0175】
また、製剤XIX及びHAのみの製剤を用いてリフト能力を試験した(
図11及び
図12)。示されるように、製剤XIXは、24mg/mlのHMW HAのみのゲルと同様のリフト能力を4週間~28週間示した。
【0176】
製剤XXIIの長期(52週間)のリフト能力データを試験した。HAのみの対照のリフト能力は経時的に着実に減少した。対照的に、HA-コラーゲンゲル(製剤XXII)のリフト能力は、30から52週間安定したままである。(
図22)この驚くべき結果は、これらのHA-コラーゲンゲル製剤がHAのみのゲルよりも長いリフト持続時間が可能であることを示している。このことは、HAのみのゲルよりも良好な組織内殖と相関する(下記を参照のこと)。
【0177】
製剤XXIIの長期(26週間)のリフト能力データを試験した。製剤XXIII及びHAのみの比較物は、26週間にわたって同様のリフト能力を示す(
図23)。製剤XXIIIの組織の一体化の増強は、驚くべきことに、リフト能力の持続時間の延長及び全体的な効果に対する他の利点をもたらす。例えば、新しく生じた組織は、皮膚の質、リフト能力、及び皺矯正を維持する。
【0178】
製剤XXVの長期(30週間)のリフト能力データを試験した。HAのみのゲルのリフト能力は、経時的に着実に減少している。(
図28)対照的に、HA-コラーゲンゲル(製剤XXV及びXXVI)のリフト能力は、18から30週間安定したままであった。(
図28)この驚くべき結果は、これらのHA-コラーゲンゲル製剤がHAのみのゲルよりも長いリフト持続時間が可能であることを示している。このことは、HAのみのゲルよりも良好な組織内殖と相関する(下記を参照のこと)。
【0179】
インビボでの組織の一体化
ラットの皮下移植モデルを使用して、一連の製剤のインビボでの組織の一体化を評価した。典型的な手順では、125μLのヒドロゲルをラットの背側面に皮下ボーラスとして送達した。4週間後、ボーラスを外植し、ホルマリンで固定し、組織学のためにパラフィンに包埋した。組織切片をヘマトキシリン&エオシン(H&E)及びコロイド鉄について染色した。併せて、I型コラーゲン、ビメンチン、CD31及びI型プロコラーゲンの免疫組織化学染色を行った。
【0180】
組織の一体化は、HMW HA及び4mg/mLのコラーゲンを用いて同様に調製した製剤に関して、HA濃度と負の相関を示す。周囲組織付近に堆積したコラーゲンの密度は、13mg/mLのHAを含む製剤(製剤I)の方が、20mg/mLのHAで調製したもの(製剤II)又は25mg/mLで調製したもの(製剤III)よりも高く、HA濃度に依存している(
図6A~
図6E)。さらに、13mg/mLのHA製剤では、20mg/mL又は25mg/mLのHAを含む材料よりも組織を欠く注入ボーラスの領域が少ない。HA濃度に加えて、一体化は主にコラーゲン濃度に依存すると予想される。しかしながら、他の要因がボーラスへの組織浸潤に強く影響している可能性があると思われる。例えば、高HA濃度(28mg/mL)及び低コラーゲン濃度(2mg/mL)を有する製剤(製剤XVI)は、コラーゲンの堆積がボーラス全体にわたり、組織を欠く領域がほとんどないこと実証する。
【0181】
製剤XVIは、HMW HAを用いて調製された前述の製剤とは異なり、主にLMW HAを用いて調製した。しかしながら、25:4 mg/mLのHA:コラーゲン濃度を有する第2の製剤(製剤XV)を主にLMW HAを用いて調製したが、ボーラス全体を通して同じ強い一体化を示さないことからして(
図7)、HAの分子量もまた唯一の寄与因子ではない。合成中の水和温度は、インビトロでの細胞応答に影響を及ぼすことが先に示されており、その後の研究を通して、インビボでの細胞浸潤及び組織の一体化に影響を及ぼすことも示されている。24:6 mg/mLのHA:コラーゲン濃度で調製し、ただし、5℃(製剤X)及び22℃(製剤VI)の異なる水和温度で調製した2つの同様の製剤は、ボーラスの周囲のコラーゲンの堆積の密度が異なり、5℃で調製された製剤から得られた応答がより高いことを示す(
図8)。1つのパラメータではなく、HA濃度、HA分子量比、コラーゲン濃度、及び合成条件を含む因子の組み合わせが組織の一体化の程度に影響を及ぼす。これらの材料では様々な組織応答が達成されており、したがって、この組織の一体化及び浸潤は、前述の合成パラメータを最適化することによって特定の充填剤の用途に合わせて調整することができる。
【0182】
製剤XXII及び製剤XXIIIは、HAのみのゲルと比較して、組織の一体化が増強されたことを示す。(
図17)コラーゲン1aの染色は、HA-コラーゲン製剤中のゲル粒子の周りに微細なコラーゲンが分布していること、及びHAのみのゲル中のコラーゲン1aの堆積が限定的であることを示している(
図18)。ラットにおける4週間の皮下移植後のヒドロゲルボーラス内のコラーゲン1aの染色の陽性面積パーセントの定量化は、製剤XXIIが、HAのみのヒドロゲルよりも多くのコラーゲン1aの陽性組織を生成することを実証している(
図19)。
【0183】
図20は、HAのみ、製剤XXII又は製剤XXIIIのゲル上で48時間培養したヒト皮膚線維芽細胞の共焦点顕微鏡写真を示す。試料をHA結合タンパク質、Hoechst及び細胞膜について染色した。作製されたゲルは、HAのみの架橋生成物と比較した場合に、細胞の付着性の顕著な改善を示し、ひいては、ゲルが組織の一体化及びコラーゲンの堆積のための足場として機能する可能性を示す。
【0184】
製剤XIXもまた、ビメンチン(線維芽細胞)、コラーゲンI及びCD31のレベルを増加させるその能力について試験した。
図9及び
図10に示すように、製剤XIXは、HAのみのヒドロゲルと比較して、ラットに12週間皮下移植した後、製剤XIXヒドロゲルのボーラス中のビメンチン(線維芽細胞)、コラーゲンI及びCD31(血管)のレベルを増加させることができた。このことは、製剤XIXの細胞の拡延性及び付着性が改善されていることによって裏付けられている。同様に、製剤XXII及び製剤XXIIIは、HAのみの対照と比較して、線維芽細胞のより大きな浸潤(ビメンチン染色)及び血管新生(CD31染色、矢印)を促進している(
図21)。これは、ヒドロゲルボーラスにおいて内因性組織と一致する形態を有する組織が再生していることを示している。
【0185】
図24は、HAのみ、製剤XXVI又は製剤XXVのゲル上で48時間培養したヒト皮膚線維芽細胞の共焦点顕微鏡写真を示す。試料をHA結合タンパク質、Hoechst及び細胞膜について染色した。製剤XXVI及び製剤XXVゲルは、HAのみの架橋生成物と比較した場合に、細胞の付着性の驚くべき改善を示し、ひいては、ゲルが組織の一体化及びコラーゲンの堆積のための足場として機能する可能性を実証する。
【0186】
図25は、12週間後にHAのみ、製剤XXV又は製剤XXIIIの皮下ボーラス注入で処置したラットにおける第二高調波発生シグナル(白色)及び組織自己蛍光(緑色)の二光子イメージングを示す。第二高調波発生(白色)の存在は、HA-コラーゲンで処置した移植片における完全に集合した原線維コラーゲンの形成を示している。HAのみのゲルでは、第二高調波発生が限定的であることが見て取れる。
【0187】
図26は、ラットにおける4週間の皮下移植後の製剤XXVに対する組織応答の免疫組織化学分析を示す。製剤XXVは、組織の一体化(H&E染色)、線維芽細胞の浸潤(ビメンチン)、限定されたマクロファージ応答(CD68)、コラーゲンIの堆積、限定されたコラーゲンIII、及び血管新生(CD31)を促進する。これは、ヒドロゲルボーラスにおいて自然に組織が再生していることを示している可能性がある。さらに、製剤XXVは、HAのみの対照(0.67)と比較して、より高い組織の一体化の病理スコア(4.67)をもたらした。
【0188】
図27は、ラットにおける4週間の皮下移植後の製剤XXVIに対する組織応答の免疫組織化学分析を示す。製剤XXVIは、組織の一体化(H&E染色)、線維芽細胞の浸潤(ビメンチン)、限定されたマクロファージ応答(CD68)、コラーゲンIの堆積、限定されたコラーゲンIII、及び血管新生(CD31)を促進する。これは、ヒドロゲルボーラスにおいて自然に組織が再生していることを示している可能性がある。さらに、製剤XXVIは、HAのみの対照(0.67)と比較して、より高い組織の一体化の病理スコア(4.17)をもたらした。
【0189】
条項の形での主題技術の説明
本開示の態様の様々な例を、便宜上、番号付きの条項(1、2、3など)の形で記載する。これらは例として提示するものであり、主題技術を限定するものではない。図面及び参照番号の特定は、単に例として、また例示を目的として以下に提示されており、条項はそれらの特定によって限定されない。
【0190】
第1項.リジン、ヒアルロン酸及びコラーゲンを含む架橋高分子マトリックスであって、ヒアルロン酸が、コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び/又はリジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によってコラーゲンに架橋されている、架橋高分子マトリックス。
【0191】
第2項.リドカインをさらに含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0192】
第3項.リドカインが、マトリックス中、約0.15%(w/w)から約0.45%(w/w)の範囲の濃度である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0193】
第4項.リドカインが、マトリックスの約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)、若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0194】
第5項.リドカインが、マトリックス中、約0.27%(w/w)から約0.33%(w/w)の範囲の濃度である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0195】
第6項.マトリックスが、非架橋HAをさらに含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0196】
第7項.非架橋HAが、マトリックス中、最大約5%(w/w)の濃度を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0197】
第8項.非架橋HAが、マトリックス中、約0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%(w/w)若しくは約5%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0198】
第9項.非架橋HAが、マトリックス中、約1%(w/w)の濃度を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0199】
第10項.非架橋HAが、マトリックス中、約2%(w/w)の濃度を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0200】
第11項.非架橋HAが、マトリックス中、約5%(w/w)の濃度を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0201】
第12項.非架橋HAが、高分子マトリックスの押出性を改善する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0202】
第13項.約6ヶ月間、約12ヶ月間、約18ヶ月間、約24ヶ月間、約30ヶ月間若しくは約36ヶ月間、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の時間にわたって安定である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0203】
第14項.約4℃~約25℃の温度で安定である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0204】
第15項.約4℃で安定である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0205】
第16項.約25℃で安定である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0206】
第17項.約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約19ヶ月、約20ヶ月、約21ヶ月、約22ヶ月、約23ヶ月、約24ヶ月、約25ヶ月、約26ヶ月、約27ヶ月、約28ヶ月、約29ヶ月、約30ヶ月、約31ヶ月、約32ヶ月、約33ヶ月、約34ヶ月、約35ヶ月、約36ヶ月、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の時点で安定である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0207】
第18項.約6ヶ月、約12ヶ月、約18ヶ月、約24ヶ月、約30ヶ月若しくは約36ヶ月、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の時間で分解がごくわずかである、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0208】
第19項.マトリックスが、約30Paから約10,000Paの弾性率(G’)、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の弾性率を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0209】
第20項.マトリックスが、約30Pa、約40Pa、約50Pa、約60Pa、約70Pa、約80Pa、約90Pa、約100Pa、約200Pa、約300Pa、約400Pa、約500Pa、約600Pa、約700Pa、約800Pa、約900Pa、約1000Pa、約1100Pa、約1200Pa、約1300Pa、約1400Pa、約1500Pa、約1600Pa、約1700Pa、約1800Pa、約1900Pa、約2000Pa、約2100Pa、約2200Pa、約2300Pa、約2400Pa、約2500Pa、約2600Pa、約2700Pa、約2800Pa、約2900Pa、約3000Pa、約3100Pa、約3200Pa、約3300Pa、約3400Pa、約3500Pa、約3600Pa、約3700Pa、約3800Pa、約3900Pa、約4000Pa、約4100Pa、約4200Pa、約4300Pa、約4400Pa、約4500Pa、約4600Pa、約4700Pa、約4800Pa、約4900Pa、約5000Pa、約5100Pa、約5200Pa、約5300Pa、約5400Pa、約5500Pa、約5600Pa、約5700Pa、約5800Pa、約5900Pa、約6000Pa、約6100Pa、約6200Pa、約6300Pa、約6400Pa、約6500Pa、約6600Pa、約6700Pa、約6800Pa、約6900Pa、約7000Pa、約7100Pa、約7200Pa、約7300Pa、約7400Pa、約7500Pa、約7600Pa、約7700Pa、約7800Pa、約7900Pa、約8000Pa、約8100Pa、約8200Pa、約8300Pa、約8400Pa、約8500Pa、約8600Pa、約8700Pa、約8800Pa、約8900Pa、約9000Pa、約9100Pa、約9200Pa、約9300Pa、約9400Pa、約9500Pa、約9600Pa、約9700Pa、約9800Pa、約9900Pa若しくは約10000Paの弾性率(G’)、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の弾性率を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0210】
第21項.マトリックスが、約10gmf、約20gmf、約30gmf、約40gmf、約50gmf、約60gmf、約70gmf、約80gmf、約90gmf、約100gmf、約110gmf、約120gmf、約130gmf、約140gmf、約150gmf、約160gmf、約170gmf、約180gmf、約190gmf、約200gmf、約210gmf、約220gmf、約230gmf、約240gmf、約250gmf、約260gmf、約270gmf、約280gmf、約290gmf、約300gmf、約310gmf、約320gmf、約330gmf、約340gmf、約350gmf、約360gmf、約370gmf、約380gmf、約390gmf、約400gmf、約410gmf、約420gmf、約430gmf、約440gmf、約450gmf、約460gmf、約470gmf、約480gmf、約490gmf、約500gmf、約510gmf、約520gmf、約530gmf、約540gmf、約550gmf、約560gmf、約570gmf、約580gmf、約590gmf若しくは約600gmfの圧縮力値、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の圧縮力値を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0211】
第22項.マトリックスが、約100gmf、約200gmf、約300gmf、約400gmf、約500gmf若しくは約600gmfの圧縮力値、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の圧縮力値を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0212】
第23項.ヒアルロン酸が、約5mg/ml、約6mg/ml、約8mg/ml、約10mg/ml、約12mg/ml、約14mg/ml、約16mg/ml、約18mg/ml、約20mg/ml、約22mg/ml、約24mg/ml、約26mg/ml、約28mg/ml、約30mg/ml、約32mg/ml、約34mg/ml若しくは約36mg/mlの濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0213】
第24項.コラーゲンが、I型コラーゲンを含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0214】
第25項.コラーゲンが、II型コラーゲンを含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0215】
第26項.コラーゲンが、III型コラーゲンを含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0216】
第27項.コラーゲンが、0%から3%のII型コラーゲンを含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0217】
第28項.コラーゲンが、1%~3%のI型コラーゲンを含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0218】
第29項.マトリックスが、約0%から約3%のIII型コラーゲンを含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0219】
第30項.コラーゲンが、約97%から約99%のI型コラーゲンを含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0220】
第31項.コラーゲンが、I型コラーゲンとIII型コラーゲンの両方の混合物を含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0221】
第32項.コラーゲンが、約1mg/ml、約2mg/ml、約4mg/ml、約6mg/ml、約8mg/ml、約10mg/ml、約12mg/ml、約14mg/mlの濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0222】
第33項.塩をさらに含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0223】
第34項.約50mMから約400mMの範囲のNaClを含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0224】
第35項.NaClを含み、NaClが約50mM、約75mM、約100mM、約125mM、約150mM、約175mM、約200mM、約225mM、約250mM、約275mM、約300mM、約325mM、約350mM、約375mM若しくは約400mMの濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0225】
第36項.NaClを含み、NaClが約150mMの濃度を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0226】
第37項.約0.01Mのリン酸緩衝液、約137mMのNaCl、及び約2.7mMの濃度のKClを含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0227】
第38項.針及び/又はカニューレを用いた注入又は用途のために製剤化される、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0228】
第39項.ヒアルロン酸成分が、約20,000ダルトンから約10,000,000ダルトンの平均分子量を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0229】
第40項.ヒアルロン酸成分が、約20,000ダルトン、約40,000ダルトン、約60,000ダルトン、約80,000ダルトン、約100,000ダルトン、約200,000ダルトン、約300,000ダルトン、約400,000ダルトン、約500,000ダルトン、約600,000ダルトン、約700,000ダルトン、約800,000ダルトン、約900,000ダルトン、約1,000,000ダルトン、約1,100,000ダルトン、約1,200,000ダルトン、約1,300,000ダルトン、約1,400,000ダルトン、約1,500,000ダルトン、約1,600,000ダルトン、約1,700,000ダルトン、約1,800,000ダルトン、約1,900,000ダルトン、約2,000,000ダルトン、約2,100,000ダルトン、約2,200,000ダルトン、約2,300,000ダルトン、約2,400,000ダルトン、約2,500,000ダルトン、約2,600,000ダルトン、約2,700,000ダルトン、約2,800,000ダルトン、約2,900,000ダルトン、約3,000,000ダルトン、約3,100,000ダルトン、約3,200,000ダルトン、約3,300,000ダルトン、約3,400,000ダルトン、約3,500,000ダルトン、約3,600,000ダルトン、約3,700,000ダルトン、約3,800,000ダルトン、約3,900,000ダルトン、約4,000,000ダルトン、約4,100,000ダルトン、約4,200,000ダルトン、約4,300,000ダルトン、約4,400,000ダルトン、約4,500,000ダルトン、約4,600,000ダルトン、約4,700,000ダルトン、約4,800,000ダルトン、約4,900,000ダルトン、約5,000,000ダルトン、約5,100,000ダルトン、約5,200,000ダルトン、約5,300,000ダルトン、約5,400,000ダルトン、約5,500,000ダルトン、約5,600,000ダルトン、約5,700,000ダルトン、約5,800,000ダルトン、約5,900,000ダルトン、約6,000,000ダルトン、約6,100,000ダルトン、約6,200,000ダルトン、約6,300,000ダルトン、約6,400,000ダルトン、約6,500,000ダルトン、約6,600,000ダルトン、約6,700,000ダルトン、約6,800,000ダルトン、約6,900,000ダルトン、約7,000,000ダルトン、約7,100,000ダルトン、約7,200,000ダルトン、約7,300,000ダルトン、約7,400,000ダルトン、約7,500,000ダルトン、約7,600,000ダルトン、約7,700,000ダルトン、約7,800,000ダルトン、約7,900,000ダルトン、約8,000,000ダルトン、約8,100,000ダルトン、約8,200,000ダルトン、約8,300,000ダルトン、約8,400,000ダルトン、約8,500,000ダルトン、約8,600,000ダルトン、約8,700,000ダルトン、約8,800,000ダルトン、約8,900,000ダルトン、約9,000,000ダルトン、約9,100,000ダルトン、約9,200,000ダルトン、約9,300,000ダルトン、約9,400,000ダルトン、約9,500,000ダルトン、約9,600,000ダルトン、約9,700,000ダルトン、約9,800,000ダルトン、約9,900,000ダルトン若しくは約10,000,000ダルトンの平均分子量、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の分子量を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0230】
第41項.ヒアルロン酸が、異なる分子量を有するヒアルロン酸成分の混合物を含み、混合物が、約20,000ダルトン、約40,000ダルトン、約60,000ダルトン、約80,000ダルトン、約100,000ダルトン、約200,000ダルトン、約300,000ダルトン、約400,000ダルトン、約500,000ダルトン、約600,000ダルトン、約700,000ダルトン、約800,000ダルトン、約900,000ダルトン、約1,000,000ダルトン、約1,500,000ダルトン、約2,000,000ダルトン、約2,500,000ダルトン、約3,000,000ダルトン、約3,500,000ダルトン、約4,000,000ダルトン、約4,500,000ダルトン、約5,000,000ダルトン、約5,500,000ダルトン、約6,000,000ダルトン、約6,500,000ダルトン、約7,500,000ダルトン、約8,000,000ダルトン、約8,500,000ダルトン、約9,000,000ダルトン、約9,500,000ダルトン、and/or約10,000,000ダルトンの平均分子量を有するヒアルロン酸、及び/又は前述の任意の2つの値の間の範囲内の分子量を有する任意のヒアルロン酸を含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の架橋高分子マトリックス。
【0231】
第42項.ヒアルロン酸と、コラーゲンと、リジンと、緩衝液とを含み、水性ヒドロゲルである、組成物。
【0232】
第43項.ヒアルロン酸が、コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び/又はリジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によってコラーゲンに架橋されている、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0233】
第44項.リドカインをさらに含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0234】
第45項.リドカインが、マトリックス中、約0.15%(w/w)から約0.45%(w/w)の範囲の濃度である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0235】
第46項.リドカインが、組成物の約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0236】
第47項.非架橋HAをさらに含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0237】
第48項.非架橋架橋HAが、組成物中、最大約5%(w/w)の濃度を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0238】
第49項.非架橋HAが、組成物中、約0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%(w/w)、約5%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0239】
第50項.非架橋HAが、組成物中、約1%(w/w)の濃度を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0240】
第51項.非架橋HAが、組成物中、約2%(w/w)の濃度を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0241】
第52項.非架橋HAが、組成物中、約5%(w/w)の濃度を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0242】
第53項.非架橋HAが、組成物の押出性を改善する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0243】
第54項.緩衝液が、リン酸緩衝生理食塩水である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0244】
第55項.ヒアルロン酸が、約20,000ダルトンから約10,000,000ダルトンの平均分子量を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0245】
第56項.ヒアルロン酸が、異なる分子量を有するヒアルロン酸成分の混合物を含み、その混合物が、約20,000ダルトン、約40,000ダルトン、約60,000ダルトン、約80,000ダルトン、約100,000ダルトン、約200,000ダルトン、約300,000ダルトン、約400,000ダルトン、約500,000ダルトン、約600,000ダルトン、約700,000ダルトン、約800,000ダルトン、約900,000ダルトン、約1,000,000ダルトン、約1,500,000ダルトン、約2,000,000ダルトン、約2,500,000ダルトン、約3,000,000ダルトン、約3,500,000ダルトン、約4,000,000ダルトン、約4,500,000ダルトン、約5,000,000ダルトン、約5,500,000ダルトン、約6,000,000ダルトン、約6,500,000ダルトン、約7,500,000ダルトン、約8,000,000ダルトン、約8,500,000ダルトン、約9,000,000ダルトン、約9,500,000ダルトン及び/又は約10,000,000ダルトンの分子量を有するヒアルロン酸、及び/又は前述の任意の2つの値の間の範囲内の分子量を有する任意のヒアルロン酸を含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0246】
第57項.コラーゲンが、I型コラーゲンを含む、上記又は下記第項のいずれか一項に記載の組成物。
【0247】
第58項.コラーゲンが、II型コラーゲンを含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0248】
第59項.コラーゲンが、III型コラーゲンを含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0249】
第60項.約4,000Pa S、約4100Pa S、約4200Pa S、約4300Pa S、約4400Pa S、約4500Pa S、約4600Pa S、約4700Pa S、約4800Pa S、約4900Pa S、約5000Pa S、約5100Pa S、約5200Pa S、約5300Pa S、約5400Pa S、約5500Pa S、約5600Pa S、約5700Pa S、約5800Pa S、約5900Pa S、約6000Pa S、約6100Pa S、約6200Pa S、約6300Pa S、約6400Pa S、約6500Pa S、約6600Pa S、約6700Pa S、約6800Pa S、約6900Pa S、約7000Pa S、約7100Pa S、約7200Pa S、約7300Pa S、約7400Pa S、約7500Pa S、約7600Pa S、約7700Pa S、約7800Pa S、約7900Pa S、約8000Pa S、約8100Pa S、約8200Pa S、約8300Pa S、約8400Pa S、約8500Pa S、約8600Pa S、約8700Pa S、約8800Pa S、約8900Pa S、約9000Pa S、約9100Pa,約9200Pa S、約9300Pa S、約9400Pa S、約9500Pa S、約9600Pa S、約9700Pa S、約9800Pa S、約9900Pa S若しくは約10,000Pa Sの粘度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の粘度を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0250】
第61項.約0.01から約0.5のtanデルタパラメータ(G’’/G’)を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0251】
第62項.約0.01、約0.05、約0.10、約0.15、約0.20、約0.25、約0.30、約0.35、約0.40、約0.45若しくは約0.50のtanデルタパラメータ(G’’/G’)、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意のtanデルタパラメータを有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0252】
第63項.約6ヶ月間、約12ヶ月間、約18ヶ月間、約24ヶ月間、約30ヶ月間若しくは約36ヶ月間、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の時間にわたって安定である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0253】
第64項.約4℃で安定である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0254】
第65項.約25℃で安定である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0255】
第66項.約6ヶ月、約12ヶ月、約18ヶ月、約24ヶ月、約30ヶ月若しくは約36ヶ月、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の時間で分解がごくわずかである、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の組成物。
【0256】
第67項.ヒアルロン酸とコラーゲンとを架橋する方法であって、コラーゲン、ヒアルロン酸及びリジンを水溶液に溶解して反応前水溶液を形成することであって、反応前水溶液が約4~約6のpHを有する、反応前水溶液を形成すること、及び、水溶性カルボジイミドと、N-ヒドロキシスクシンイミド又はN-ヒドロキシスルホスクシンイミドとを含む第2の溶液を調製すること、及び、第2の溶液を反応前水溶液に加えて架橋反応混合物を形成すること、及び、ヒアルロン酸とコラーゲンとをリジンで架橋することにより架橋反応混合物を反応させること、を含み、ヒアルロン酸がコラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び/又はリジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によってコラーゲンに架橋され、HA及びコラーゲンがごくわずかに分解し、HA及びコラーゲンの構造が無傷のままであり、それによって架橋高分子マトリックスを形成する、方法。
【0257】
第68項.反応前水溶液が、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5若しくは約6.0のpH、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意のpHを有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0258】
第69項.リドカインを架橋高分子マトリックスに加えることをさらに含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0259】
第70項.リドカインが、架橋高分子マトリックス中、約0.15%(w/w)から約0.45%(w/w)の範囲の濃度に至るまで加えられる、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0260】
第71項.リドカインが、マトリックスの約0.15%(w/w)、約0.17%(w/w)、約0.19%(w/w)、約0.21%(w/w)、約0.23%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.27%(w/w)、約0.29%(w/w)、約0.31%(w/w)、約0.33%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.37%(w/w)、約0.39%(w/w)、約0.41%(w/w)、約0.43%(w/w)若しくは約0.45%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0261】
第72項.トリアゾール、フッ素化フェノール、スクシンイミド、又はスルホスクシンイミドを含む活性化剤を付与することをさらに含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0262】
第73項.約2℃、約4℃、約6℃、約8℃、約10℃、約12℃、約14℃、約16℃、約18℃、約20℃、約22℃、約24℃、約26℃、約28℃、約30℃、約32℃、約34℃若しくは約36℃の温度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の温度で行う、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0263】
第74項.反応工程を、約4~約35℃で行う、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0264】
第75項.反応工程を、約4℃又は約22℃で行う、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0265】
第76項.架橋高分子マトリックスを精製することをさらに含み、精製工程を透析を用いて行う、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0266】
第77項.精製工程を2℃~30℃で行う、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0267】
第78項.透析を、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の温度で行う、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0268】
第79項.精製工程を約2℃から約8℃で行う、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0269】
第80項.架橋反応を約2℃から約35℃で行う、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0270】
第81項.架橋反応を約2℃から約8℃で行う、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0271】
第82項.室温未満で行う、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0272】
第83項.架橋反応混合物のpHが約4.0から約6.0である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0273】
第84項.反応前溶液が塩を含み、塩が、架橋反応混合物中、約50mM、約75mM、約100mM、約125mM、約150mM、約175mM、約200mM、約225mM、約250mM、約275mM、約300mM、325mM、約350mM、約375mM若しくは約400mMの濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度で塩化ナトリウムを含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0274】
第85項.水溶性カルボジイミドが、架橋反応混合物中、約20mMから約200mMの濃度の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0275】
第86項.水溶性カルボジイミドが、約20mM、約40mM、約60mM、約80mM、約100mM、約120mM、約140mM、約160mM、約180mM若しくは約200mMの濃度、又は前述の任意の値によって定義される範囲の間の任意の濃度の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0276】
第87項.水溶性カルボジイミド及びヒアルロン酸の、水溶性カルボジイミドの繰り返し単位:ヒアルロン酸の繰り返し単位のモル対モル比が約0.5から約2.0である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0277】
第88項.水溶性カルボジイミド及びヒアルロン酸の、水溶性カルボジイミドの繰り返し単位:ヒアルロン酸の繰り返し単位のモル対モル比が、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9又は約2.0である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0278】
第89項.リジン及びヒアルロン酸のモル:モル(リジンの繰り返し単位:HAの繰り返し単位)比が、約0.01から約0.6である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0279】
第90項.リジン及びヒアルロン酸のモル:モル(リジンの繰り返し単位:HAの繰り返し単位)比が、約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.10、約0.11、約0.12、約0.13、約0.14、約0.15、約0.16、約0.17、約0.18、約0.19、約0.2、約0.21、約0.22、約0.23、約0.24、約0.25、約0.26、約0.27、約0.28、約0.29、約0.3、約0.31、約0.32、約0.33、約0.34、約0.35、約0.36、約0.37、約0.38、約0.39、約0.4、約0.41、約0.42、約0.43、約0.44、約0.45、約0.46、約0.47、約0.48、約0.49、約0.5、約0.51、約0.52、約0.53、約0.54、約0.55、約0.56、約0.57、約0.58、約0.59又は約0.6である、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0280】
第91項.非架橋HAを架橋高分子マトリックスに加えることをさらに含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0281】
第92項.非架橋HAを、架橋高分子マトリックス中、最大5%w/wの濃度に至るまで加える、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0282】
第93項.非架橋HAを、マトリックス中、約0%(w/w)、約1%(w/w)、約2%(w/w)、約3%(w/w)、約4%(w/w)若しくは約5%(w/w)の濃度、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の濃度に至るまで加える、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0283】
第94項.非架橋HAを、マトリックス中、約1%(w/w)の濃度に至るまで加える、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0284】
第95項.非架橋HAを、マトリックス中、約3%(w/w)の濃度に至るまで加える、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0285】
第96項.非架橋HAを、マトリックス中、約5%(w/w)の濃度に至るまで加える、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0286】
第97項.架橋高分子マトリックスを滅菌することをさらに含み、蒸気滅菌のために架橋高分子マトリックスを容器に移すこと、及びヒドロゲルを蒸気滅菌によって滅菌すること、を含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0287】
第98項.容器がシリンジである、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0288】
第99項.架橋高分子マトリックスを透析することをさらに含み、透析を約1000ダルトンから約100,000ダルトンの分子量カットオフを有する膜を介して行い、透析を滅菌前に行う、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0289】
第100項.透析をリン酸緩衝生理食塩水で行う、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0290】
第101項.反応前溶液中のヒアルロン酸を、第2の溶液を加える前に少なくとも約60分間水和する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0291】
第102項.架橋反応混合物を約16時間から約24時間行う、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0292】
第103項.上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法のプロセスによって調製された架橋高分子マトリックス。
【0293】
第104項.人間の解剖学的特徴の審美性を改善する方法であって、人間の組織に組成物を注入し、それによって解剖学的特徴の審美性を改善することを含み、組成物が、ヒアルロン酸と、リジンと、コラーゲンとを含む架橋高分子マトリックスを含み、ヒアルロン酸が、コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び/又はリジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によってコラーゲンに架橋されている、方法。
【0294】
第105項.架橋高分子マトリックスが、リドカインをさらに含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0295】
第106項.架橋高分子マトリックスが、非架橋HAをさらに含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0296】
第107項.ヒアルロン酸成分が、約20,000ダルトン、約40,000ダルトン、約60,000ダルトン、約80,000ダルトン、約100,000ダルトン、約200,000ダルトン、約300,000ダルトン、約400,000ダルトン、約500,000ダルトン、約600,000ダルトン、約700,000ダルトン、約800,000ダルトン、約900,000ダルトン、約1,000,000ダルトン、約1,100,000ダルトン、約1,200,000ダルトン、約1,300,000ダルトン、約1,400,000ダルトン、約1,500,000ダルトン、約1,600,000ダルトン、約1,700,000ダルトン、約1,800,000ダルトン、約1,900,000ダルトン、約2,000,000ダルトン、約2,100,000ダルトン、約2,200,000ダルトン、約2,300,000ダルトン、約2,400,000ダルトン、約2,500,000ダルトン、約2,600,000ダルトン、約2,700,000ダルトン、約2,800,000ダルトン、約2,900,000ダルトン、約3,000,000ダルトン、約3,100,000ダルトン、約3,200,000ダルトン、約3,300,000ダルトン、約3,400,000ダルトン、約3,500,000ダルトン、約3,600,000ダルトン、約3,700,000ダルトン、約3,800,000ダルトン、約3,900,000ダルトン、約4,000,000ダルトン、約4,100,000ダルトン、約4,200,000ダルトン、約4,300,000ダルトン、約4,400,000ダルトン、約4,500,000ダルトン、約4,600,000ダルトン、約4,700,000ダルトン、約4,800,000ダルトン、約4,900,000ダルトン、約5,000,000ダルトン、約5,100,000ダルトン、約5,200,000ダルトン、約5,300,000ダルトン、約5,400,000ダルトン、約5,500,000ダルトン、約5,600,000ダルトン、約5,700,000ダルトン、約5,800,000ダルトン、約5,900,000ダルトン、約6,000,000ダルトン、約6,100,000ダルトン、約6,200,000ダルトン、約6,300,000ダルトン、約6,400,000ダルトン、約6,500,000ダルトン、約6,600,000ダルトン、約6,700,000ダルトン、約6,800,000ダルトン、約6,900,000ダルトン、約7,000,000ダルトン、約7,100,000ダルトン、約7,200,000ダルトン、約7,300,000ダルトン、約7,400,000ダルトン、約7,500,000ダルトン、約7,600,000ダルトン、約7,700,000ダルトン、約7,800,000ダルトン、約7,900,000ダルトン、約8,000,000ダルトン、約8,100,000ダルトン、約8,200,000ダルトン、約8,300,000ダルトン、約8,400,000ダルトン、約8,500,000ダルトン、約8,600,000ダルトン、約8,700,000ダルトン、約8,800,000ダルトン、約8,900,000ダルトン、約9,000,000ダルトン、約9,100,000ダルトン、約9,200,000ダルトン、約9,300,000ダルトン、約9,400,000ダルトン、約9,500,000ダルトン、約9,600,000ダルトン、約9,700,000ダルトン、約9,800,000ダルトン、約9,900,000ダルトン若しくは約10,000,000ダルトンの平均分子量、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の分子量を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0297】
第108項.ヒアルロン酸が、異なる分子量を有するヒアルロン酸成分の混合物を含み、混合物が、約20,000ダルトン、約40,000ダルトン、約60,000ダルトン、約80,000ダルトン、約100,000ダルトン、約200,000ダルトン、約300,000ダルトン、約400,000ダルトン、約500,000ダルトン、約600,000ダルトン、約700,000ダルトン、約800,000ダルトン、約900,000ダルトン、約1,000,000ダルトン、約1,500,000ダルトン、約2,000,000ダルトン、約2,500,000ダルトン、約3,000,000ダルトン、約3,500,000ダルトン、約4,000,000ダルトン、約4,500,000ダルトン、約5,000,000ダルトン、約5,500,000ダルトン、約6,000,000ダルトン、約6,500,000ダルトン、約7,500,000ダルトン、約8,000,000ダルトン、約8,500,000ダルトン、約9,000,000ダルトン、約9,500,000ダルトン及び/又は約1,000,000ダルトンの平均分子量を有するヒアルロン酸、及び/又は前述の任意の2つの値の間の範囲内の分子量を有する任意のヒアルロン酸を含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0298】
第109項.コラーゲンが、I型コラーゲン及び/又はIII型コラーゲンを含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0299】
第110項.個体の外観を改善する方法であって、注入部位で個体の組織に組成物を注入し、それによって解剖学的特徴の審美性を改善することであって、組織からの浸潤細胞が注入部位内の組成物に一体化される、組成物を注入すること、組成物内に新しいコラーゲンを堆積させることであって、組成物が、ヒアルロン酸と、リジンと、コラーゲンとを含む架橋高分子マトリックスを含み、ヒアルロン酸が、コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び/又はリジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によってコラーゲンに架橋されている、新しいコラーゲンを堆積させること、を含み、組成物が注入された組織が、組織の一体化及びコラーゲンの堆積並びに血管形成を有することが示される、方法。
【0300】
第111項.組成物がリドカインをさらに含む、上記又は下記第項のいずれか一項記載の方法。
【0301】
第112項.組成物が非架橋HAをさらに含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0302】
第113項.組成物を、顎先、顎ライン、唇、又はホウレイ線に注入する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0303】
第114項.顔の特徴間の対称性を改善する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0304】
第115項.顔の特徴に対してボリュームを増大及び復元する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0305】
第116項.顎先、唇、顎ライン、又はホウレイ線のボリュームを増大させ、補正し、復元し、又は与える、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0306】
第117項.組成物を、個体の涙液トラフに注入する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0307】
第118項.組成物を、皮膚の萎縮及び/又は脂肪体の萎縮を含む領域に注入する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0308】
第119項.注入を受ける組織に自然な見た目、感触、及び動きを与え、組成物が、注入部位の周囲の組織からのコラーゲンの浸潤の増加をもたらす、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0309】
第120項.注入部位への組織の一体化の結果として組成物の持続時間が延長される、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0310】
第121項.注入部位の周囲の皮膚の水和及び弾性を改善する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0311】
第122項.組織へのコラーゲンの浸潤を増加させる方法であって、個体の組織に組成物を注入し、それによって組成物を含む皮膚充填剤のデポーを作り出すことであって、組成物が、ヒアルロン酸と、リジンと、コラーゲンとを含む架橋高分子マトリックスを含み、ヒアルロン酸が、コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び/又はリジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によってコラーゲンに架橋されている、個体の組織に組成物を注入することを含み、皮膚充填剤のデポーの周囲の組織からの細胞が組成物を含む皮膚充填剤のデポーに浸潤し、細胞が組成物に一体化して新しいコラーゲンを組成物に堆積させ、それによって組成物内に浸潤組織を作り出し、血管が組成物内の浸潤組織を個体の身体の血液供給源に接続する、方法。
【0312】
第123項.マトリックスがリドカインをさらに含む、上記又は下記の項のいずれか一項記載の方法。
【0313】
第124項.組成物が非架橋HAをさらに含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0314】
第125項.ヒアルロン酸が、約20,000ダルトン、約40,000ダルトン、約60,000ダルトン、約80,000ダルトン、約100,000ダルトン、約200,000ダルトン、約300,000ダルトン、約400,000ダルトン、約500,000ダルトン、約600,000ダルトン、約700,000ダルトン、約800,000ダルトン、約900,000ダルトン、約1,000,000ダルトン、約1,100,000ダルトン、約1,200,000ダルトン、約1,300,000ダルトン、約1,400,000ダルトン、約1,500,000ダルトン、約1,600,000ダルトン、約1,700,000ダルトン、約1,800,000ダルトン、約1,900,000ダルトン、約2,000,000ダルトン、約2,100,000ダルトン、約2,200,000ダルトン、約2,300,000ダルトン、約2,400,000ダルトン、約2,500,000ダルトン、約2,600,000ダルトン、約2,700,000ダルトン、約2,800,000ダルトン、約2,900,000ダルトン、約3,000,000ダルトン、約3,100,000ダルトン、約3,200,000ダルトン、約3,300,000ダルトン、約3,400,000ダルトン、約3,500,000ダルトン、約3,600,000ダルトン、約3,700,000ダルトン、約3,800,000ダルトン、約3,900,000ダルトン、約4,000,000ダルトン、約4,100,000ダルトン、約4,200,000ダルトン、約4,300,000ダルトン、約4,400,000ダルトン、約4,500,000ダルトン、約4,600,000ダルトン、約4,700,000ダルトン、約4,800,000ダルトン、約4,900,000ダルトン、約5,000,000ダルトン、約5,100,000ダルトン、約5,200,000ダルトン、約5,300,000ダルトン、約5,400,000ダルトン、約5,500,000ダルトン、約5,600,000ダルトン、約5,700,000ダルトン、約5,800,000ダルトン、約5,900,000ダルトン、約6,000,000ダルトン、約6,100,000ダルトン、約6,200,000ダルトン、約6,300,000ダルトン、約6,400,000ダルトン、約6,500,000ダルトン、約6,600,000ダルトン、約6,700,000ダルトン、約6,800,000ダルトン、約6,900,000ダルトン、約7,000,000ダルトン、約7,100,000ダルトン、約7,200,000ダルトン、約7,300,000ダルトン、約7,400,000ダルトン、約7,500,000ダルトン、約7,600,000ダルトン、約7,700,000ダルトン、約7,800,000ダルトン、約7,900,000ダルトン、約8,000,000ダルトン、約8,100,000ダルトン、約8,200,000ダルトン、約8,300,000ダルトン、約8,400,000ダルトン、約8,500,000ダルトン、約8,600,000ダルトン、約8,700,000ダルトン、約8,800,000ダルトン、約8,900,000ダルトン、約9,000,000ダルトン、約9,100,000ダルトン、約9,200,000ダルトン、約9,300,000ダルトン、約9,400,000ダルトン、約9,500,000ダルトン、約9,600,000ダルトン、約9,700,000ダルトン、約9,800,000ダルトン、約9,900,000ダルトン若しくは約10,000,000ダルトンの平均分子量、又は前述の任意の2つの値によって定義される範囲の間の任意の他の分子量を有する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0315】
第126項.ヒアルロン酸が、異なる分子量を有するヒアルロン酸成分の混合物を含み、混合物が、約20,000ダルトン、約40,000ダルトン、約60,000ダルトン、約80,000ダルトン、約100,000ダルトン、約200,000ダルトン、約300,000ダルトン、約400,000ダルトン、約500,000ダルトン、約600,000ダルトン、約700,000ダルトン、約800,000ダルトン、約900,000ダルトン、約1,000,000ダルトン、約1,500,000ダルトン、約2,000,000ダルトン、約2,500,000ダルトン、約3,000,000ダルトン、約3,500,000ダルトン、約4,000,000ダルトン、約4,500,000ダルトン、約5,000,000ダルトン、約5,500,000ダルトン、約6,000,000ダルトン、約6,500,000ダルトン、約7,500,000ダルトン、約8,000,000ダルトン、約8,500,000ダルトン、約9,000,000ダルトン、約9,500,000ダルトン及び/又は約10,000,000ダルトンの平均分子量を有するヒアルロン酸、及び/又は前述の任意の2つの値の間の範囲内の分子量を有する任意のヒアルロン酸を含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0316】
第127項.コラーゲンが、I型コラーゲン、II型コラーゲン及び/又はIII型コラーゲンを含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0317】
第128項.組成物が約13mg/mlのヒアルロン酸を含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0318】
第129項.組成物が、約20mg/mlのヒアルロン酸、約22mg/mlのヒアルロン酸、約24mg/ml、約26mg/mlのヒアルロン酸、約28mg/mlのヒアルロン酸又は約30mg/mlのヒアルロン酸を含む、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0319】
第130項.皮膚の質、小皺、又は粗さを改善するために、製品を真皮表層に注入する、上記又は下記の項のいずれか一項に記載の方法。
【0320】
いくつかの実施形態では、本明細書の条項のいずれかは、独立項のいずれか1つ又は従属項のいずれか1つに依存し得る。一態様では、条項(例えば、従属項又は独立項)のいずれかは、任意の他の1つ以上の条項(例えば、従属項又は独立項)と組み合わせることができる。一態様では、請求項は、節、文、句又は段落に記載された単語(例えば、工程、動作、手段又は構成要素)の一部又は全部を含み得る。一態様では、請求項は、1つ以上の節、文、句又は段落に記載された単語の一部又は全部を含み得る。一態様では、各節、文、句又は段落の単語の一部が削除され得る。一態様では、追加の単語又は要素が、節、文、句又は段落に追加され得る。一態様では、主題技術は、本明細書に記載された構成要素、要素、機能又は動作のいくつかを利用することなく実装され得る。一態様では、主題技術は、追加の構成要素、要素、機能又は動作を利用して実装され得る。
【0321】
本発明を説明する文脈で(特に以下の特許請求の範囲の文脈で)使用される用語「a」、「an」、「the」及び同様の指示対象は、本明細書で特に指示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、単に、その範囲内に入る各別個の値を個別に参照する簡略方法として役立つことを意図している。本明細書に別段の指示がない限り、各個々の値は、本明細書に個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をよりよく明らかにすることを意図しており、特許請求される本発明の範囲を限定するものではない。本明細書におけるいかなる言語も、本発明の実施に不可欠な特許請求されていない要素を示すと解釈されるべきではない。
【0322】
本明細書に開示される発明の代替的な要素又は実施形態のグループ化は、限定として解釈されるべきではない。各グループのメンバーは、個々に、又はグループの他のメンバー若しくは本明細書に見られる他の要素と任意に組み合わせて、参照され、特許請求され得る。グループの1つ以上のメンバーは、便宜上及び/又は特許性の理由から、グループに含まれ得るか、又はグループから削除され得ることが予想される。そのような包含又は削除が生じる場合、本明細書は、改変されたグループを含み、したがって添付の特許請求の範囲で使用されるすべてのマーカッシュ群の記載を満たすと見なされる。
【0323】
本発明者らに知られている本発明を実施するための最良の形態を含む、本発明の特定の実施形態を本明細書に記載する。当然ながら、前述の説明を読めば、これらの記載された実施形態の変形形態が当業者には明らかになるであろう。本発明者は、当業者がそのような変形を適切に使用することを期待しており、本発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載されている以外の方法で実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用法によって許容される形で、添付の特許請求の範囲に記載された主題のすべての改変及び均等物を含む。さらに、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、そのすべての可能な変形における上述の要素の任意の組み合わせが本発明に包含される。
【0324】
本明細書に開示される特定の実施形態は、言語からなること、又は本質的に言語からなることを生かす特許請求の範囲においてさらに限定され得る。特許請求の範囲で使用される場合、出願時又は補正によって追加されたかどうかにかかわらず、「からなる」という移行用語は、特許請求の範囲で指定されていない要素、工程、又は成分を除外する。「から本質的になる(consisting essentially of)」という移行用語は、請求項の範囲を特定の材料又は工程と、基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないものとに限定する。そのように特許請求される本発明の実施形態は、本明細書において、本質的に又は明示的に記載され、可能になる。
【0325】
さらに、本明細書全体を通して、特許及び印刷された刊行物が多数参照されている。上記で引用された参考文献及び印刷された刊行物のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に個々に組み込まれる。
【0326】
最後に、本明細書に開示される発明の実施形態は、本発明の原理の例示であることを理解されたい。採用し得る他の改変は、本発明の範囲内にある。したがって、限定ではなく例として、本明細書の教示に従って本発明の代替構成を利用することができる。したがって、本発明は、詳細に図示及び説明されたものに限定されない。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚充填剤をヒトの顔の解剖学的特徴に注入することにより前記解剖学的特徴の審美性を改善するための皮膚充填剤であって、前記皮膚充填剤が、リジンと、ヒアルロン酸と、コラーゲンとを含む架橋高分子マトリックスを含み、前記ヒアルロン酸が、前記コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び前記リジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によって前記コラーゲンに架橋されている、上記皮膚充填剤。
【請求項2】
前記解剖学的特徴の審美性を改善することが、前記解剖学的特徴にボリュームを増大及び復元することである、請求項1に記載の皮膚充填剤。
【請求項3】
前記解剖学的特徴が顎先、顎ライン、唇、又はホウレイ線である、請求項1又は2に記載の皮膚充填剤。
【請求項4】
前記解剖学的特徴の審美性を改善することが、顎先、唇、顎ライン、又はホウレイ線にボリュームを増大させ、補正し、復元し、又は与えることである、請求項1に記載の皮膚充填剤。
【請求項5】
ヒトの顔の皮膚に皮膚充填剤を注入することにより前記皮膚の水和及び弾性を改善するための皮膚充填剤であって、前記皮膚充填剤が、リジンと、ヒアルロン酸と、コラーゲンとを含む架橋高分子マトリックスを含み、前記ヒアルロン酸が、前記コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び前記リジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によって前記コラーゲンに架橋されている、上記皮膚充填剤。
【請求項6】
組織へのコラーゲンの浸潤を増加させるための皮膚充填剤であって、前記皮膚充填剤が、リジンと、ヒアルロン酸と、コラーゲンとを含む架橋高分子マトリックスを含み、前記ヒアルロン酸が、前記コラーゲン上の少なくとも1つの内因性アミン基及び前記リジン上に存在する少なくとも1つのアミン基によって前記コラーゲンに架橋されている、上記皮膚充填剤。
【請求項7】
前記皮膚充填剤が、涙液トラフ、皮膚萎縮の領域、脂肪体萎縮の領域、又はそれらの2つ以上の組合せに注入される、請求項1~6のいずれか一項に記載の皮膚充填剤。
【請求項8】
前記ヒアルロン酸が5mg/ml~36mg/mlの濃度である、請求項1~7のいずれか一項に記載の皮膚充填剤。
【請求項9】
前記ヒアルロン酸が16mg/ml~22mg/mlの濃度である、請求項8に記載の皮膚充填剤。
【請求項10】
前記コラーゲンが、I型コラーゲン、II型コラーゲン及びIII型コラーゲンのうちの1つ以上を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の皮膚充填剤。
【請求項11】
前記コラーゲンが、97%から99%のI型コラーゲンを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の皮膚充填剤。
【請求項12】
前記コラーゲンが、1mg/mlから14mg/mlの濃度である、請求項1~11のいずれか一項に記載の皮膚充填剤。
【請求項13】
前記コラーゲンが、2mg/mlから6mg/mlの濃度である、請求項12に記載の皮膚充填剤。
【請求項14】
前記リジン及びヒアルロン酸が0.01から0.6のモル:モル比である、請求項1~13のいずれか一項に記載の皮膚充填剤。
【請求項15】
前記架橋高分子マトリックスがリドカインをさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の皮膚充填剤。
【請求項16】
前記架橋高分子マトリックスが非架橋ヒアルロン酸をさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の皮膚充填剤。
【請求項17】
前記非架橋ヒアルロン酸が、前記マトリックス中、5%(w/w)までの濃度である、請求項16に記載の皮膚充填剤。
【請求項18】
前記架橋高分子マトリックスが、30Pa~10000Paの弾性率(G’)を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の皮膚充填剤。
【請求項19】
前記架橋高分子マトリックスが、100gmf~600gmfの圧縮力値を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の皮膚充填剤。
【請求項20】
前記架橋高分子マトリックスが、0.01から0.5のtanデルタパラメータ(G’’/G’)を有する、請求項1~19のいずれか一項に記載の皮膚充填剤。
【外国語明細書】