(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099548
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】抗ウイルス薬耐性ウイルスを検出するための方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/70 20060101AFI20240718BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20240718BHJP
A61K 31/045 20060101ALI20240718BHJP
A61K 31/662 20060101ALI20240718BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20240718BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20240718BHJP
G01N 33/569 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
C12Q1/70
C12Q1/6869 Z ZNA
A61K31/045
A61K31/662
A61K31/675
A61P31/22
G01N33/569 Z
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024060804
(22)【出願日】2024-04-04
(62)【分割の表示】P 2020563927の分割
【原出願日】2019-06-04
(31)【優先権主張番号】1809135.5
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】519258068
【氏名又は名称】セクレタリー オブ ステート フォー ヘルス アンド ソーシャル ケア
【氏名又は名称原語表記】SECRETARY OF STATE FOR HEALTH AND SOCIAL CARE
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】エムビサ,ジャン ルタミョ
【テーマコード(参考)】
4B063
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA17
4B063QQ10
4B063QQ42
4B063QQ52
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4B063QX01
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4C086AA02
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4C206MA01
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZB33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】抗ウイルス薬耐性単純ヘルペスウイルス(HSV)を検出するための方法、及び抗ウイルス薬耐性HSVの感染症を治療する方法において使用する抗ウイルス薬を提供する。
【解決手段】(a)1つ以上のHSV変異であって、(i)チミジンキナーゼ(TK)変異;及び(ii)DNAポリメラーゼ(DNA pol)変異から選択される1つ以上のHSV変異を特定することを含み、前記1つ以上のHSV変異の存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの存在を確認し、前記1つ以上のHSV変異の非存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの非存在を示唆する、方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗ウイルス薬耐性HSVの存在又は非存在を検出するための方法であって、
a.1つ以上のHSV変異であって、
i.250G>A(HSV-2)、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択されるチミジンキナーゼ(TK)変異;及び
ii.1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)、2515A>G(HSV-1)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び2895_2896insT(HSV-1)から選択されるDNAポリメラーゼ(DNA pol)変異
から選択される1つ以上のHSV変異を特定すること
を含み、前記1つ以上のHSV変異の存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの存在を確認し、前記1つ以上のHSV変異の非存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの非存在を示唆する、方法。
【請求項2】
抗ウイルス薬耐性HSVの存在又は非存在を検出するための方法であって、
a.1つ以上のHSV多型であって、
i.E84K(HSV-2)、Q34*(HSV-1)、Q90*(HSV-2)、Q125*(HSV-1)、L49R(HSV-1)、M121I(HSV-1)、I166N(HSV-1)、Q186H(HSV-2)、H214R(HSV-2)、E146fs(HSV-1)、D228*(HSV-1)、Y239H(HSV-1)、L313S(HSV-2)、T183*(HSV-1)、H58fs(HSV-1)、M85*(HSV-1)、P154fs(HSV-2)、M183*(HSV-2)、A294fs(HSV-1)、P295fs(HSV-1)及びE296fs(HSV-1)から選択されるTK多型;及び
ii.R628G(HSV-2)、L802R(HSV-1)、A834S(HSV-1)、T839A(HSV-1)、F965_l966insF(HSV-1)及びI966*(HSV-1)から選択されるDNA pol多型
から選択される1つ以上のHSV多型を特定すること
を含み、前記1つ以上のHSV多型の存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの存在を確認し、及び前記1つ以上のHSV多型の非存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの非存在を示唆する、方法。
【請求項3】
a.110C>T、205C>A、1072A>C、1072A>T、574G>A及び766C>Tから選択される1つ以上のHSV-1 TK変異を特定すること;
b.373G>A、639A>C又は639A>T及び1094T>Cから選択される1つ以上のHSV-2 TK変異を特定すること;
c.64G>A、160A>G、248A>C、361G>A、415G>A又は415G>C、716C>T、1255C>A、2039A>C、2042G>A、2249A>C、2548G>C、2732G>A、2741C>T、2915C>T、2954G>A、2974G>A、2977C>T、3137A>C、3343G>A、3359A>C、3505G>A及び3595C>Aから選択される1つ以上のHSV-1 DNA Pol変異を特定すること;及び/又は
d.520G>T、1339A>C又は1339A>T、1481T>C、2141A>G、2281G>A、2323C>T、2325C>G及び2326G>Cから選択される1つ以上のHSV-2 DNA Pol変異を特定すること
をさらに含み、前記1つ以上のHSV変異の存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの非存在を示唆する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
a.A37V、L69M、I358L、A192T及びR256Wから選択される1つ以上のHSV-1 TK多型を特定すること;
b.A125T、E213D及びL365Pから選択される1つ以上のHSV-2 TK多型を特定すること;
c.G22R、T54A、D83A、G121S、G139R、S239L、L419I、E680A、R681Q、K750T、E850Q、S911N、S914L、A972V、G985E、E992K、R993C、N1046T、A1115T、E1120A、A1169T及びP1199Tから選択される1つ以上のHSV-1 DNA Pol多型を特定すること;及び/又は
d.D174Y、M447L、M494T、H714R、E761K、R775C、R775W及びE776Qから選択される1つ以上のHSV-2 DNA Pol多型を特定すること
をさらに含み、前記1つ以上のHSV多型の存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの非存在を示唆する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
対象における抗ウイルス薬耐性HSVの感染症を治療するための方法であって、
a.抗ウイルス薬耐性HSVが、250G>A(HSV-2)、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択されるTK変異を含むことを確認することと;
b.ホスカルネット薬物、シドフォビル薬物及びドコサノール薬物から選択される薬物;又は他の非ペンシクロビル及び/又は非アシクロビル薬物を前記対象に投与することと
を含む方法。
【請求項6】
対象における抗ウイルス薬耐性HSVの感染症を治療するための方法であって、
a.抗ウイルス薬耐性HSVが、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)、2515A>G(HSV-1)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び2895_2896insT(HSV-1)から選択されるDNA Pol変異を含むことを確認することと;
b.ドコサノール薬物、BAY 54-6322、ASP2151及びBAY 57-1293から選択される薬物;又は他の非ホスカルネット薬物、非シドフォビル薬物、非ペンシクロビル及び/又は非アシクロビル薬物を前記対象に投与することと
を含む方法。
【請求項7】
対象における抗ウイルス薬耐性HSVの感染症を治療するための方法であって、
a.抗ウイルス薬耐性HSVが、E84K(HSV-2)、Q34*(HSV-1)、Q90*(HSV-2)、Q125*(HSV-1)、L49R(HSV-1)、M121I(HSV-1)、I166N(HSV-1)、Q186H(HSV-2)、H214R(HSV-2)、E146fs(HSV-1)、D228*(HSV-1)、Y239H(HSV-1)、L313S(HSV-2)、T183*(HSV-1)、H58fs(HSV-1)、M85*(HSV-1)、P154fs(HSV-2)、M183*(HSV-2)、A294fs(HSV-1)、P295fs(HSV-1)及びE296fs(HSV-1)から選択されるTK多型を含むことを確認することと;
b.ホスカルネット薬物、シドフォビル薬物及びドコサノール薬物から選択される薬物;又は他の非ペンシクロビル及び/又は非アシクロビル薬物を前記対象に投与することと
を含む方法。
【請求項8】
対象における抗ウイルス薬耐性HSVの感染症を治療するための方法であって、
a.抗ウイルス薬耐性HSVが、R628G(HSV-2)、L802R(HSV-1)、A834S(HSV-1)、T839A(HSV-1)、F965_l966insF(HSV-1)及びI966*(HSV-1)から選択されるDNA Pol多型を含むことを確認することと;
b.ドコサノール薬物、BAY 54-6322、ASP2151及びBAY 57-1293から選択される薬物;又は他の非ホスカルネット薬物、非シドフォビル薬物、非ペンシクロビル及び/又は非アシクロビル薬物を前記対象に投与することと
を含む方法。
【請求項9】
抗ウイルス薬耐性HSV(例えば、HSV-1及び/又はHSV-2)の感染症を治療するための方法であって、
a.抗ウイルス薬耐性HSVが、250G>A(HSV-2)、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択されるTK変異を含むことを確認することと;
b.ホスカルネット、シドフォビル薬物及びドコサノールから選択される薬物;又は他の非ペンシクロビル及び/又は非アシクロビル薬物を前記対象に投与することと
を含む方法において使用するための抗ウイルス薬。
【請求項10】
抗ウイルス薬耐性HSV(例えば、HSV-1及び/又はHSV-2)の感染症を治療するための方法であって、
a.抗ウイルス薬耐性HSVが、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)、2515A>G(HSV-1)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び2895_2896insT(HSV-1)から選択されるDNA Pol変異を含むことを確認することと;
b.ドコサノール薬物、BAY 54-6322、ASP2151及びBAY 57-1293から選択される薬物;又は他の非ホスカルネット薬物、非シドフォビル薬物、非ペンシクロビル及び/又は非アシクロビル薬物を前記対象に投与することと
を含む方法において使用するための抗ウイルス薬。
【請求項11】
抗ウイルス薬耐性HSV(例えば、HSV-1及び/又はHSV-2)の感染症を治療するための方法であって、
a.抗ウイルス薬耐性HSVが、Q34*(HSV-1)、Q90*(HSV-2)、Q125*(HSV-1)、L49R(HSV-1)、M121I(HSV-1)、I166N(HSV-1)、Q186H(HSV-2)、H214R(HSV-2)、E146fs(HSV-1)、D228*(HSV-1)、Y239H(HSV-1)、L313S(HSV-2)、T183*(HSV-1)、H58fs(HSV-1)、M85*(HSV-1)、P154fs(HSV-2)、M183*(HSV-2)、A294fs(HSV-1)、P295fs(HSV-1)及びE296fs(HSV-1)から選択されるTK多型を含むことを確認することと;
b.ホスカルネット、シドフォビル薬物及びドコサノールから選択される薬物;又は他の非ペンシクロビル及び/又は非アシクロビル薬物を前記対象に投与することと
を含む方法において使用するための抗ウイルス薬。
【請求項12】
抗ウイルス薬耐性HSV(例えば、HSV-1及び/又はHSV-2)の感染症を治療するための方法であって、
a.抗ウイルス薬耐性HSVが、R628G(HSV-2)、L802R(HSV-1)、A834S(HSV-1)、T839A(HSV-1)、F965_l966insF(HSV-1)及びI966*(HSV-1)から選択されるDNA Pol多型を含むことを確認することと;
b.ドコサノール薬物、BAY 54-6322、ASP2151及びBAY 57-1293から選択される薬物;又は他の非ホスカルネット薬物、非シドフォビル薬物、非ペンシクロビル及び/又は非アシクロビル薬物を前記対象に投与することと
を含む方法において使用するための抗ウイルス薬。
【請求項13】
前記TK及び/又はDNA pol変異、及び/又はTK及び/又はDNA pol多型は、HSVウイルス内に含まれる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項14】
前記HSVは、HSV-1である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項15】
前記HSVは、HSV-2である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項16】
前記TK及び/又はDNA pol変異は、参照(例えば、野生型)TK及び/又はDNA pol配列を欠いているか;又は前記TK及び/又はDNA pol多型は、参照(例えば、野生型)TK及び/又はDNA pol配列を欠いており;
好ましくは、前記参照配列を含むTK及び/又はDNA polは、1つ以上の抗ウイルス薬によって阻害される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項17】
前記TK変異及び/又はTK多型は、参照(野生型)HSV TK配列に関連しており、前記参照HSV-1 TK配列は、
a.配列番号1の核酸配列又はそれと少なくとも90%の相同性を有する配列;及び/又は
b.配列番号2のポリペプチド配列又はそれと少なくとも90%の相同性を有する配列
を含む、請求項1~14又は16のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項18】
前記DNA Pol変異及び/又はDNA Pol多型は、参照(野生型)HSV DNA Pol配列に関連しており、前記参照HSV-1 DNA Pol配列は、
a.配列番号3の核酸配列又はそれと少なくとも90%の相同性を有する配列;及び/又は
b.配列番号4のポリペプチド配列又はそれと少なくとも90%の相同性を有する配列
を含む、請求項1~14又は16のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項19】
前記TK変異及び/又はTK多型は、参照(野生型)HSV TK配列に関連しており、前記参照HSV-2 TK配列は、
a.配列番号5の核酸配列又はそれと少なくとも90%の相同性を有する配列;及び/又は
b.配列番号6のポリペプチド配列又はそれと少なくとも90%の相同性を有する配列
を含む、請求項1~13、15又は16のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項20】
前記DNA Pol変異及び/又はDNA Pol多型は、参照(野生型)HSV DNA Pol配列に関連しており、前記参照HSV-2 DNA Pol配列は、
a.配列番号7の核酸配列又はそれと少なくとも90%の相同性を有する配列;及び/又は
b.配列番号8のポリペプチド配列又はそれと少なくとも90%の相同性を有する配列
を含む、請求項1~13、15又は16のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項21】
前記抗ウイルス薬耐性HSVは、アシクロビル、ペンシクロビル、ホスカルネット又はシドフォビルから選択される1つ以上の抗ウイルス薬に対して耐性であるか;又は
前記抗ウイルス薬耐性HSVは、アシクロビル及びペンシクロビルに対して耐性である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項22】
前記変異の1つ以上を、前記変異と関連する対応する耐性表現型と相関させて、前記変異を含む前記抗ウイルス薬耐性HSVの抗ウイルス薬耐性のレベルを決定することであって、抗ウイルス薬耐性のレベルは、弱い(例えば、中程度の)耐性及び強い耐性から選択される、決定することをさらに含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項23】
前記相関させるステップは、アルゴリズムと共に/それを使用して実施され、好ましくは、前記アルゴリズムは、前記変異の1つ以上についての前記対応する耐性表現型に対して訓練される、請求項22に記載の方法又は使用。
【請求項24】
前記対応する耐性表現型は、プラーク減少アッセイを介して決定される耐性表現型である、請求項22又は23に記載の方法又は使用。
【請求項25】
試料中の抗ウイルス薬耐性HSVの存在又は非存在を検出することを含み、好ましくは、前記1つ以上のHSV変異及び/又はHSV多型は、対象から得られた単離された試料において特定される、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項26】
前記試料は、病変部若しくはその部分、ウイルス懸濁液、脳脊髄液、皮膚、粘膜、血液、血清、痰、尿及び/又は滑液の1つ以上から選択される、請求項25に記載の方法又は使用。
【請求項27】
前記試料は、免疫不全の対象から得られる、請求項25又は26に記載の方法又は使用。
【請求項28】
前記1つ以上のHSV変異及び/又はHSV多型は、DNA配列決定、シーケンスキャプチャ、質量分析、ウエスタンブロット、酵素活性アッセイ及び/又は酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって特定される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項29】
前記1つ以上のHSV変異は、DNA配列決定によって特定される、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項30】
前記1つ以上のHSV変異及び/又はHSV多型は、質量分析によって特定される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項31】
1つ以上のHSV変異及び/又はHSV多型を特定する前記ステップで得られたデータを好適なデータ担体上に記録するステップをさらに含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項32】
請求項1~31のいずれか一項に記載の1つ以上のHSV変異及び/又はHSV多型を特定するステップで得られたデータを含むデータ担体。
【請求項33】
抗ウイルス薬耐性HSVの感染症を診断するための方法において使用するための、請求項32に記載のデータ担体。
【請求項34】
(i)100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、146T>G(HSV-1)、250G>A(HSV-2)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択されるTK変異;及び(ii)1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)、2515A>G(HSV-1)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び2895_2896insT(HSV-1)から選択されるDNA pol変異から選択される変異を含む組換えHSV又はその断片。
【請求項35】
(i)100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、146T>G(HSV-1)、250G>A(HSV-2)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択されるTK変異;及び(ii)1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)、2515A>G(HSV-1)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び2895_2896insT(HSV-1)から選択されるDNA pol変異から選択される1つ以上のHSV変異の存在又は非存在を検出するための試薬と;その使用のための説明書とを含むキット。
【請求項36】
前記試薬は、DNA配列決定、シーケンスキャプチャ、質量分析、ウエスタンブロット、酵素活性アッセイ及び/又は酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)により、1つ以上のHSV変異の存在又は非存在を検出するためのものである、請求項35に記載のキット。
【請求項37】
前記試薬は、DNA配列決定により、1つ以上のHSV変異の存在又は非存在を検出するためのものである、請求項35又は36に記載のキット。
【請求項38】
前記試薬は、質量分析により、1つ以上のHSV変異の存在又は非存在を検出するためのものである、請求項35~37のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HSV変異/多型の使用を含む、抗ウイルス薬耐性単純ヘルペスウイルス(HSV)を検出するための、且つ抗ウイルス薬耐性HSVの感染症を診断するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
単純ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによって引き起こされるウイルス性疾患であり、感染した体の部分に基づいて分類される。口腔ヘルペスは、顔又は口を侵す。口腔ヘルペスは、単純疱疹又は熱性疱疹と多くの場合に呼ばれる小さい疱疹の集合体をもたらし得るか、又は咽喉痛を引き起こすのみであり得る。性器ヘルペスは、破裂して小さい潰瘍をもたらす疱疹を形成し得る。HSVを伴う感染症は、重大な不快をもたらし、また発熱、筋痛、リンパ節腫脹及び頭痛をもたらし得る。
【0003】
HSVは、1型(HSV-1)及び2型(HSV-2)を含む。HSV-1は、より一般的には、口の周囲の感染を引き起こすが、HSV-2は、より一般的には、性器感染を引き起こす。これらは、感染した個人の体液又は病変部との直接的接触によって伝染し得る、伝染は、症状が存在しない場合にも起こり得る。性器ヘルペスは、性行為感染症として分類される。性器ヘルペスは、出産時に乳児に伝染し得る。感染後、ウイルスは、感覚神経に沿って神経細胞体に運ばれ、その場所に生涯存在する。ウイルス感染症の再発は、免疫抑制中、例えば骨髄若しくは臓器移植、抗癌療法を受けている患者又は高リスク群の個人、例えば妊婦、新生児及び高齢者において起こり得る。
【0004】
英国における成人集団の70%超は、HSVに感染している。この感染症は、免疫不全の個人、特に骨髄移植(BMT)を受けている個人において臨床的に重要であり、また抗ウイルス薬、例えばアシクロビル(ACV)及びペンシクロビル(PCV)(第一選択薬)並びにホスカルネット及びシドフォビル(第二選択薬)で治療される。しかし、HSV(例えば、HSV-1及びHSV-2)は、これらの薬物の1つ以上に対する耐性を生じ得、またこれらの治療に対する耐性が増加しているという証拠が存在する。
【0005】
ACV及びPCVは、鎖終結剤として作用し、またウイルスDNAポリメラーゼを阻害することによってウイルス複製を阻止する、グアニン類似体である。どちらの薬物も、活性となるために三リン酸化される必要があり、HSVチミジンキナーゼ(TK)によって第1のリン酸化ステップが実施される。薬物に対する耐性は、通常、TK遺伝子(UL23)の、時折ウイルスDNAポリメラーゼ遺伝子(UL30)の変異(例えば、非同義変異)の発生を介して生じる。耐性変異は変動し、置換、欠失及び挿入からなる。後の2つの型の変異は、ホモポリマー領域(通常、C又はGの連続)において多くの場合に起こり、未成熟終止コドンを多くの場合にもたらす。置換は、対応するアミノ酸配列置換多型を多くの場合にもたらす。抗ウイルス薬ホスカルネット(FOS)及びシドフォビル(CDV)は、ウイルスTKによる活性化を必要としない(第二選択療法として多くの場合に使用される)ウイルスDNAポリメラーゼ阻害剤である。したがって、これらの2種の薬物に対する耐性は、通常、ウイルスDNAポリメラーゼの変異の出現を介して生じ、ACV及びPCVに対する交差耐性をもたらし得る。
【0006】
現在、配列分析(例えば、変異/多型を検出すること)に基づく薬物耐性HSVについての信頼できる検査は、存在しない。抗ウイルス薬耐性HSV感染症の診断は、ウイルスの表現型を評価することに基づく分析に依存している。ゴールドスタンダードの分析は、プラーク減少アッセイを使用する、表現型による薬物感受性試験を伴う。これは、ウイルス(例えば、損なわれていない完全なウイルス)の単離を必要とし、これは、困難且つ時間がかかる。したがって、この分析は、数週という長い所要時間がかかる。しかし、これは、十分に標準化されている。それにもかかわらず、必要とされる費用及び専門技術に起因して、これは、通常、基準研究所によって実施されるに過ぎない。
【0007】
遺伝子型による方法による、いずれかの変異/多型の耐性を引き起こす潜在的効果の解釈は、複雑である。置換変異/多型は、耐性を引き起こす変異/多型(例えば、置換)の数を大きく上回る、薬物耐性をもたらさない、HSVにおける「天然の」変異/多型の数として解釈することが特に難しく、その結果、TK又はDNA pol単独の配列に基づいて耐性を決定することは、非常に難しい。したがって、いずれか1つの変異(例えば、置換)が耐性を引き起こすであろうことは、それほど期待されない。この問題は、分かっている及び表現型的に特徴付けられる薬物耐性関連の変異/多型の公開データベースが存在しないという事実により深刻化している。いくつかの耐性関連の変異が以前に報告されているが、これらの変異は、標準化された分析を介して解釈/検証されなかったため、これらの変異と関連する耐性は、直接的に比較可能でない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上に言及した問題の少なくとも1つを解決する。
【0009】
一態様では、(例えば、対象における)抗ウイルス薬耐性HSVを検出するための方法であって、
a.1つ以上のHSV変異であって、
i.100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、376C>T(HSV-2)、146T>G(HSV-1)、250G>A(HSV-2)、253A>C(HSV-1)、256A>C(HSV-2)、363G>A(HSV-1)、366G>A(HSV-2)、497T>A(HSV-1)、500T>A(HSV-2)、558G>T(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、718T>C(HSV-2)、935T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、276delG(HSV-2)、278delG(HSV-2)、279delG(HSV-2)、280delG(HSV-2)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択されるチミジンキナーゼ(TK)変異;及び
ii.1879C>G(HSV-1)、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2420T>G(HSV-2)、2500G>T(HSV-1)、2515G>T(HSV-2)、2515A>G(HSV-1)、2530A>G(HSV-2)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)、2895_2896insT(HSV-1)、2907_2908insT(HSV-2)、2908_2909T(HSV-2)、2909_2910T(HSV-2)及び2910_2911T(HSV-2)から選択されるDNAポリメラーゼ(DNA pol)変異
から選択される1つ以上のHSV変異を特定すること
を含み、前記1つ以上のHSV変異の存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの存在を確認し、及び前記1つ以上のHSV変異の非存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの非存在を示唆する、方法が提供される。
【0010】
「前記1つ以上のHSV変異の非存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの非存在を示唆する」ことに関連して使用される用語「示唆する」は、HSVが、前記変異を含むHSVと比較した場合、抗ウイルス薬耐性HSVである可能性が低いことがあり得ることを意味する。当業者は、抗ウイルス薬耐性が(それにもかかわらず)代替変異によって与えられ得ることを理解するであろう。
【0011】
その後にカッコ内の「HSV-1」が続く変異は、HSV-1ウイルスにおいて特定することができる。その後にカッコ内の「HSV-2」が続く変異は、HSV-2ウイルスにおいて特定することができる。
【0012】
驚くべきことに、これらの変異は、抗ウイルス薬耐性HSVを検出するための堅固なマーカーとしての有用性がある。さらに、所与の変異又は変異プロフィールに起因する表現型を解釈するためのアルゴリズムと共に、こうした変異の包括的データベース(関連するHSV表現型が含まれる)が提供される。
【0013】
初めて、本発明者らは、標準化された分析を用いて、抗ウイルス薬耐性HSVを含む多数の臨床分離株の遺伝子型を特定し、抗ウイルス薬耐性HSVの検出の使用及び抗ウイルス薬耐性HSVの感染症の診断に特に適している変異の広範なリストを作成した。有利には、これらの変異(及び以前に特定された変異)は、それぞれゴールドスタンダードのプラーク減少アッセイによって検証されており、その結果、得られた表現型は、直接的に比較可能である。同じ分析を使用して、抗ウイルス薬耐性(例えば、天然の)変異/多型と関連しない多数の変異の表現型も検証した。
【0014】
好ましい実施形態では、前記チミジンキナーゼ(TK)変異は、250G>A(HSV-2)、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択される。好ましい実施形態では、前記DNAポリメラーゼ(DNA pol)変異は、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)、2515A>G(HSV-1)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び2895_2896insT(HSV-1)から選択される。
【0015】
好ましい実施形態では、前記TK多型は、E84K(HSV-2)、Q34*(HSV-1)、Q90*(HSV-2)、Q125*(HSV-1)、L49R(HSV-1)、M121I(HSV-1)、I166N(HSV-1)、Q186H(HSV-2)、H214R(HSV-2)、E146fs(HSV-1)、D228*(HSV-1)、Y239H(HSV-1)、L313S(HSV-2)、T183*(HSV-1)、H58fs(HSV-1)、M85*(HSV-1)、P154fs(HSV-2)、M183*(HSV-2)、A294fs(HSV-1)、P295fs(HSV-1)及びE296fs(HSV-1)から選択される。好ましい実施形態では、R628G(HSV-2)、L802R(HSV-1)、A834S(HSV-1)、T839A(HSV-1)、F965_l966insF(HSV-1)及び1966*(HSV-1)である。
【0016】
一実施形態では、変異は、ピリジンからピリジンへの置換である。一実施形態では、変異は、ピリミジンからピリミジンへの置換である。
【0017】
本明細書で使用される変異/多型の命名法は、例えば、参照によって本明細書に組み込まれるJ. T. den Dunnen, S. E. Antonarakis: Hum Genet 109 (1): 121-124 (2001)に記載されている。変異は、ゲノムDNA、cDNA又はRNAにおいて検出され得る。任意選択的に、それぞれDNA、cDNA又はRNAにおける変異の識別を表すために、変異の記載の前に、g.、c.及びrから選択される記号が付くこともある。例えば、ゲノムDNAにおける変異748G>Cは、g.748G>Cと称することができる。
【0018】
この方法は、HSV配列内に含まれる(例えば、TK及び/又はDNA pol配列内に含まれる)配列(例えば、核酸配列)に対して実施することができる。前記配列は、本発明の方法を実施する前又は本発明の方法を実施するのと同時に決定する(例えば、得る)ことができる。一実施形態では、この方法は、配列、好ましくはTK及び/又はDNA pol配列中における前記1つ以上のHSV変異の存在又は非存在を特定することを含む。一実施形態では、前記1つ以上のHSV変異の存在又は非存在は、HSV変異のデータベース中で検出され、ここで、前記データベースは、前記1つ以上のHSV変異を含む。
【0019】
本発明の方法は、コンピュータで、例えばHSV配列を参照HSV(例えば、野生型HSV)の配列と整列させることによって実施することができる。代わりに、配列を前記HSV変異の1つ以上の存在について調べる(例えば、解析する)ことができる。
【0020】
さらなる態様では、本発明は、対象における抗ウイルス薬耐性HSVの感染症を治療するための方法であって、
a.抗ウイルス薬耐性HSVが、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、376C>T(HSV-2)、146T>G(HSV-1)、250G>A(HSV-2)、253A>C(HSV-1)、256A>C(HSV-2)、363G>A(HSV-1)、366G>A(HSV-2)、497T>A(HSV-1)、500T>A(HSV-2)、558G>T(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、718T>C(HSV-2)、935T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、276delG(HSV-2)、278delG(HSV-2)、279delG(HSV-2)、280delG(HSV-2)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択されるTK変異を含むことを確認することと;
b.ホスカルネット、シドフォビル薬物及びドコサノールから選択される薬物を前記対象に投与することと
を含む方法を提供する。
【0021】
好ましい実施形態では、前記チミジンキナーゼ(TK)変異は、250G>A(HSV-2)、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択される。
【0022】
適切には、ステップa.は、前記抗ウイルス薬耐性HSVが、抗ウイルス薬に対する耐性と関連するDNA Pol変異を含まないことを確認することをさらに含むことができる。一実施形態では、ステップa.は、前記抗ウイルス薬耐性HSVが、1879C>G(HSV-1)、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2420T>G(HSV-2)、2500G>T(HSV-1)、2515G>T(HSV-2)、2515A>G(HSV-1)、2530A>G(HSV-2)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)、2895_2896insT(HSV-1)、2907_2908insT(HSV-2)、2908_2909insT(HSV-2)、2909_2910insT(HSV-2)及び2910_2911insT(HSV-2)(好ましくは1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)、2515A>G(HSV-1)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び/又は2895_2896insT(HSV-1))から選択されるDNA Pol変異を含まないことを確認することをさらに含む。
【0023】
一実施形態では、ステップb.は、非アシクロビル及び/又は非ペンシクロビル薬物を対象に投与することを含む。一実施形態では、ステップb.は、ホスカルネット、シドフォビル薬物、ドコサノール薬物、BAY 54-6322、ASP2151及びBAY 57-1293から選択される薬物を前記対象に投与することを含む。
【0024】
別の態様では、対象における抗ウイルス薬耐性HSVの感染症を治療するための方法であって、
a.抗ウイルス薬耐性HSVが、1879C>G(HSV-1)、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2420T>G(HSV-2)、2500G>T(HSV-1)、2515G>T(HSV-2)、2515A>G(HSV-1)、2530A>G(HSV-2)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)、2895_2896insT(HSV-1)、2907_2908insT(HSV-2)、2908_2909insT(HSV-2)、2909_2910insT(HSV-2)及び2910_2911insT(HSV-2)から選択されるDNA Pol変異を含むことを確認することと;
b.ドコサノール薬物、BAY 54-6322、ASP2151及びBAY 57-1293から選択される薬物を前記対象に投与することと
を含む方法が提供される。
【0025】
好ましい実施形態では、前記DNA ポリメラーゼ(DNA pol)変異は、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)、2515A>G(HSV-1)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び2895_2896insT(HSV-1)から選択される。
【0026】
適切には、ステップa.は、前記抗ウイルス薬耐性HSVが、抗ウイルス薬に対する耐性と関連するTK変異を含まないことを確認することをさらに含むことができる。一実施形態では、ステップa.は、前記抗ウイルス薬耐性HSVが、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、376C>T(HSV-2)、146T>G(HSV-1)、250G>A(HSV-2)、253A>C(HSV-1)、256A>C(HSV-2)、363G>A(HSV-1)、366G>A(HSV-2)、497T>A(HSV-1)、500T>A(HSV-2)、558G>T(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、718T>C(HSV-2)、935T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、276delG(HSV-2)、278delG(HSV-2)、279delG(HSV-2)、280delG(HSV-2)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)(好ましくは250G>A(HSV-2)、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び/又は885delC(HSV-1))から選択されるTK変異を含まないことを確認することをさらに含む。
【0027】
一実施形態では、上のステップb.は、非アシクロビル薬物、非ペンシクロビル薬物、非ホスカルネット薬物及び/又は非シドフォビル薬物を対象に投与することを含む。
【0028】
本発明の方法は、HSV感染症のためのすべての公知の治療を包含することが意図される。
【0029】
一実施形態では、この方法は、抗ウイルス薬耐性HSVが、2405T>G(HSV-1)、2420T>G(HSV-2)、2500G>T(HSV-1)及び2515G>T(HSV-2)(好ましくは2405T>G(HSV-1)及び/又は2500G>T(HSV-1)から選択されるDNA Pol変異を含むことを確認することと;シドフォビル薬物を前記対象に投与することとを含む。
【0030】
一実施形態では、この方法は、抗ウイルス薬耐性HSVが、2515A>G(HSV-1)及び2530A>G(HSV-2)(好ましくは2515A>G(HSV-1))から選択されるDNA Pol変異を含むことを確認することと;ホスカルネット及び/又はシドフォビル薬物を前記対象に投与することとを含む。
【0031】
一実施形態では、この方法は、抗ウイルス薬耐性HSVが、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)、2895_2896insT(HSV-1)、2907_2908insT(HSV-2)、2908_2909insT(HSV-2)、2909_2910insT(HSV-2)及び2910_2911insT(HSV-2)から(好ましくは2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)、2895_2896insT(HSV-1)から)選択されるDNA Pol変異を含むことを確認することと;アシクロビル薬物、ペンシクロビル薬物及び/又はホスカルネット薬物を前記対象に投与することとを含む。
【0032】
一実施形態では、この方法は、抗ウイルス薬耐性HSVが、1879C>G(HSV-1)及び1882C>G(HSV-2)(好ましくは1882C>G(HSV-2))から選択されるDNA Pol変異を含むことを確認することと;シドフォビル薬物を前記対象に投与することとを含む。
【0033】
一実施形態では、この方法は、抗ウイルス薬耐性HSVが、本明細書に記載した通りのTK及び/又はDNA pol変異(例えば、抗ウイルス薬に対する耐性と関連するTK及び/又はDNA pol変異)を含むことを確認することと;ドコサノール薬物、BAY 54-6322、ASP2151及びBAY 57-1293から選択される薬物を対象に投与することとを含む。
【0034】
本明細書に記載した通りの1つ以上のHSV変異の非存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの非存在を示唆する。本明細書に記載した1つ以上のHSV変異の非存在が特定される場合、様々なさらなる耐性関連の変異が存在し、その結果、抗ウイルス薬耐性HSVの存在の可能性がある。したがって、前記HSV変異の1つ以上の非存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの非存在の指標である。
【0035】
一実施形態では、本発明の方法は、1つ以上のさらなるHSV TK及び/又はHSV変異を特定すること(又はこれらの変異の存在を確認すること)を含む。
【0036】
一実施形態では、本発明の方法は、11_12insC、12_13insC、13_14insC、14_15insC、15_16insC、122G>A、151C>T、158A>G、157T>G、157T>C、159T>A、163G>A、166G>T、177G>C、170C>A、172C>A、173A>G、175G>C、175G>T、186A>C、187A>G、188C>T、194C>A、199C>T、221C>G、222C>A、238T>A、247G>T、252C>T、250C>T、184delA、185delA、186delA、187delA、180delG、181delG、182delG、183delG、259T>C、262T>C、265C>T、283G>A、307A>C、310C>T、312A>T、310C>T、314A>C、181_182insG、182_183insG、183_184insG、184_185insG、185_186insG、186_187insG、272_273insG、273_274insG、274_275insG、275_276insG、276_277insG、277_278insG、278_279insG、346G>A、277delG、362T>G、369C>A、369C>G、375G>C、382A>C、386G>A、391C>T、427A>G、485A>C、484G>C、484G>A、488G>A、500G>T、502G>A、509T>C、515A>G、518C>T、518C>G、520G>C、524C>T、527G>A、526C>T、526C>T、528A>G、533T>G、542G>A、455delC、456delC、457delC、458delC、460delC、461delC、462delC、463delC、464delC、430delG、431delG、432delG、433delG、434delG、435delG、436delG、429_430insGG、430_431insGG、431_432insGG、432_433insGG、433_434insGG、434_435insGG、435_436insGG、436_437insGG、437_438insGG、438_439insGG、553C>A、554A>G、559G>A、566C>T、582_584del、598G>T、599G>A、598G>T、599G>C、601A>C、611T>G、616G>A、619G>C、622C>T、623T>A、646C>T、647G>A、646C>T、647G>C、658C>T、659G>A、664C>T、665G>A、666delC、667delC、668delC、669delC、679C>T、363_364insT、429_430insG、430_431insG、431_432insG、432_433insG、433_434insG、434_435insG、435_436insG、436_437insG、437_438insG、459_460insC、460_461insC、461_462insC、462_463insC、463_464insC、464_465insC、465_466insC、547_548insC、548_549insC、549_550insC、551_552insC、552_553insC、553_554insC、650_651insT、716A>C、245C>T、733A>C、746T>C、748C>T、766C>T、769G>A、782A>G、782A>T、781_793del、548delC、549delC、550delC、551delC、552delC、553delC、841C>T、853delG、854delC、855delC、856delC、860C>T、862T>A、872T>G、878delG、879delG、880delG、890T>C、896del、897delG、898delC、899delG、900delG、895_896insGCC、896_897insGCC、697_698insC、698_699insC、699_700insC、700_701insC、832_833insC、833_834insC、834_835insC、835_836insC、836_837insC、837_838insC、838_839insC、900_901insA、901_902insA、902_903insA、903_904insA、903_904insA、904_905insA、905_906insA、906_907insA、919delG、944T>C、965T>A、996delG、1007G>A、1024C>T、1025A>G、1060A>C、1061delC、1062delC、1063delC、1064delC、1065delC、1065delA、1039G>A、1117delG、1118delG、1119delG、1120delG、1121delG、363_1128+201del、665insC、666insC、667insC、668insC、669insC、918_919insG、928_929insT、1060_1061insC、1061_1062insC、1062_1063insC、1063_1064insC、1064_1065insC及び1065_1066insCから選択される1つ以上のさらなるHSV-1 TK変異を特定することを含む。
【0037】
一実施形態では、本発明の方法は、1_742del、8_9insT、100C>T、153T>C、157T>A、25delC、43delC、175G>C、176G>C、181G>T、186A>C、196T>C、180delG、181delG、182delG、183delG、214G>A、215C>G、219delG、220delG、221delG、222delG、281C>T、280delG、302T>G、314A>C、363_1128+204del、391A>C、398A>T、409G>T、411C>A、411C>G、472T>C、529C>T、544A>G、545G>A、545G>C、549G>A、549G>C、549G>U、450delC、451delC、452delC、463delC、464delC、465delC、466delC、467delC、470delC、471delC、472delC、519delC、520delC、521delC、433delG、434delG、435delG、436delG、437delG、438delG、439delG、416delT、417delT、418delT、419delT、482delT、483delT、484delT、485delT、432_433insGG、433_434insGG、434_435insGG、435_436insGG、436_437insGG、437_438insGG、438_439insGG、439_440insGG、602G>A、649G>A、658A>T、658A>C、664C>T、669G>A、111_127del、365_366insT、551delC、552delC、553delC、554delC、555delC、556delC、550_551insC、551_552insC、552_553insC、553_554insC、554_555insC、555_556insC、556_557insC、585_586insC、586_587insC、587_588insC、588_589insC、586_587insC、587_588insC、588_589insC、589_590insC、590_591insC、433delG、434delG、435delG、436delG、437delG、438delG、439delG432_433insG、433_434insG、434_435insG、435_436insG、436_437insG、437_438insG、438_439insG、439_440insG、439_440insG、440_441insG、441_442insG、442_443insG、625_626insT、626_627insT、627_628insT、720T>G、720T>A、773_774insG、773_774insG、774_775insG、775_776insG、551_556del、551delC、552delC、553delC、554delC、555delC、586delC、587delC、588delC、589delC、590delC、651_654del、779delG、780delG、781delG、782delG、814C>G、815G>T、814C>T、820G>A、820G>C、821C>G、863C>T、862_863del、921_922insA、999_1000insC、1000_1001insC、1001_1002insC、1002_1003insC、1007G>A、821_833del、809delC、810delC、811delC、812delC、816delC、817delC、818delC、819delC、814_826del、856delG、923delT、924delT、925delT、926delT及び927delTから選択される1つ以上のさらなるHSV-2 TK変異を特定することを含む。
【0038】
一実施形態では、本発明の方法は、1_742del、8_9insT、100C>T、153T>C、157T>A、25delC、43delC、175G>C、176G>C、181G>T、186A>C、196T>C、180delG、181delG、182delG、183delG、214G>A、215C>G、219delG、220delG、221delG、222delG、281C>T、280delG、302T>G、314A>C、363_1128+204del、391A>C、398A>T、409G>T、411C>A、411C>G、472T>C、529C>T、544A>G、545G>A、545G>C、549G>A、549G>C、549G>U、450delC、451delC、452delC、463delC、464delC、465delC、466delC、467delC、470delC、471delC、472delC、519delC、520delC、521delC、433delG、434delG、435delG、436delG、437delG、438delG、439delG、416delT、417delT、418delT、419delT、482delT、483delT、484delT、485delT、432_433insGG、433_434insGG、434_435insGG、435_436insGG、436_437insGG、437_438insGG、438_439insGG、439_440insGG、602G>A、649G>A、658A>T、658A>C、664C>T、669G>A、111_127del、365_366insT、551delC、552delC、553delC、554delC、555delC、556delC、550_551insC、551_552insC、552_553insC、553_554insC、554_555insC、555_556insC、556_557insC、585_586insC、586_587insC、587_588insC、588_589insC、586_587insC、587_588insC、588_589insC、589_590insC、590_591insC、433delG、434delG、435delG、436delG、437delG、438delG、439delG432_433insG、433_434insG、434_435insG、435_436insG、436_437insG、437_438insG、438_439insG、439_440insG、439_440insG、440_441insG、441_442insG、442_443insG、625_626insT、626_627insT、627_628insT、720T>G、720T>A、773_774insG、773_774insG、774_775insG、775_776insG、551_556del、551delC、552delC、553delC、554delC、555delC、586delC、587delC、588delC、589delC、590delC、651_654del、779delG、780delG、781delG、782delG、814C>G、815G>T、814C>T、820G>A、820G>C、821C>G、863C>T、862_863del、921_922insA、999_1000insC、1000_1001insC、1001_1002insC、1002_1003insC、1007G>A、821_833del、809delC、810delC、811delC、812delC、816delC、817delC、818delC、819delC、814_826del、856delG、923delT、924delT、925delT、926delT及び927delTから選択される1つ以上のさらなるHSV-1 DNA pol変異を特定することを含む。
【0039】
一実施形態では、本発明の方法は、748G>C、919G>A、1882C>T、2033A>G、2049_2056insGAAGAC、2170G>A、2171C>T、2173A>G、2186G>A、2194C>A、2347C>A、2353G>A、2485C>A、2548C>A、2729T>C、2734G>A、2735A>T及び2744C>Tから選択される1つ以上のさらなるHSV-2 DNA pol変異を特定することを含む。
【0040】
好ましい実施形態では、前記1つ以上のさらなるHSV変異(例えば、さらなるHSV-1 TK変異、さらなるHSV-2 TK変異、さらなるHSV-1 DNA pol変異及び/又はさらなるHSV-2 DNA pol変異)の存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの存在を示唆する。一実施形態では、前記1つ以上のHSV変異の存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの存在を確認する。
【0041】
好ましい実施形態では、前記1つ以上のさらなるHSV変異(例えば、さらなるHSV-1 TK変異、さらなるHSV-2 TK変異、さらなるHSV-1 DNA pol変異及び/又はさらなるHSV-2 DNA pol変異)の非存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの非存在を示唆する。一実施形態では、前記1つ以上のHSV変異の非存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの非存在を確認する。
【0042】
前記1つ以上のさらなるHSV変異の存在又は非存在は、本発明の(すなわち本発明のステップを構成する)方法内において又は本発明の方法とは無関係の方法で特定することができる。一実施形態では、本発明の方法は、前記1つ以上のさらなるHSV変異の存在又は非存在を特定するステップを含む。前記1つ以上のさらなるHSV変異の存在又は非存在は、以前に特定されていることができる。一実施形態では、前記1つ以上のさらなるHSV変異の存在又は非存在は、本発明の方法とは無関係の方法で特定される。
【0043】
当業者は、本明細書に記載される、変異(例えば、ヌクレオチド変異)及び多型(例えば、ポリペプチド多型)を記載するために使用される命名法を理解する。TK及びDNA pol遺伝子のヌクレオチド位置は、それぞれの遺伝子のコード配列の最初のヌクレオチドに対して番号付けされ、ここで、コード配列の最初のヌクレオチド(例えば、ATG開始コドンの「アデニン」、すなわちA)は、第1位に相当する。好ましくは、HSV-1 TKのヌクレオチド位置は、配列番号1(例えば、参照配列)の最初のヌクレオチドに対して番号付けされ;HSV-1 DNA polのヌクレオチド位置は、配列番号3(例えば、参照配列)の最初のヌクレオチドに対して番号付けされ;HSV-2 TKのヌクレオチド位置は、配列番号5(例えば、参照配列)の最初のヌクレオチドに対して番号付けされ;及び/又はHSV-2 DNA polのヌクレオチド位置は、配列番号7(例えば、参照配列)の最初のヌクレオチドに対して番号付けされる。
【0044】
有利には、感染症及び薬物耐性の深刻性の診断は、TK又はDNA pol配列中の変異の特定によって(例えば、DNA配列決定又はポリペプチド配列の配列決定を介して)行うことができる。本発明の診断の方法は、客観的であり、且つ高度に正確である。これは、分子技術における短期間の通例の訓練を受けた非熟練者によって実施することができる。本発明の方法は、抗ウイルス薬耐性HSVを有する対象の感染症を診断するために使用することができる。好ましい実施形態では、前記HSV変異の1つ以上の存在又は非存在は、対象から得られた単離された試料において特定される。
【0045】
したがって、一態様では、対象における抗ウイルス薬耐性単純ヘルペスウイルス(例えば、HSV-1及び/又はHSV-2)の感染症を診断するための方法であって、
a.前記対象から、単離された試料を得ることと;
b.前記試料中の1つ以上のHSVの存在又は非存在を検出することであって、前記1つ以上のHSV変異は、
i.100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、376C>T(HSV-2)、146T>G(HSV-1)、250G>A(HSV-2)、253A>C(HSV-1)、256A>C(HSV-2)、363G>A(HSV-1)、366G>A(HSV-2)、497T>A(HSV-1)、500T>A(HSV-2)、558G>T(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、718T>C(HSV-2)、935T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、276delG(HSV-2)、278delG(HSV-2)、279delG(HSV-2)、280delG(HSV-2)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択されるチミジンキナーゼ(TK)変異;及び
ii.1879C>G(HSV-1)、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2420T>G(HSV-2)、2500G>T(HSV-1)、2515G>T(HSV-2)、2515A>G(HSV-1)、2530A>G(HSV-2)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)、2895_2896insT(HSV-1)、2907_2908insT(HSV-2)、2908_2909T(HSV-2)、2909_2910T(HSV-2)及び2910_2911T(HSV-2)から選択されるDNAポリメラーゼ(DNA pol)変異
から選択される、検出することと
を含み、前記1つ以上のHSV変異の存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの感染症の存在を確認し、及び前記1つ以上のHSV変異の非存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの感染症の非存在を示唆する、方法が提供される。
【0046】
好ましい実施形態では、前記チミジンキナーゼ(TK)変異は、250G>A(HSV-2)、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択される。好ましい実施形態では、前記DNAポリメラーゼ(DNA pol)変異は、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)、2515A>G(HSV-1)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び2895_2896insT(HSV-1)から選択される。
【0047】
本明細書で使用される用語「診断」は、抗ウイルス薬耐性HSV感染症の特定、確認及び/又は特徴付けを包含する。本発明による診断の方法は、感染症の存在を確認するのに有用である。診断の方法は、臨床スクリーニング、予後の評価、治療法の選択、治療的利益の評価のための、すなわち薬物スクリーニング及び薬物開発のための方法においても有用である。効率的な診断は、最も適切な治療の迅速な特定(したがって有害な薬物への不必要な曝露の副作用を減らすこと)及び再発率を低下させることを可能にする。
【0048】
本明細書に記載したTK及び/又はDNA pol変異は、例えば、医療機器、手術装置又は環境試料から得られるものなどの非患者試料における抗ウイルス薬耐性HSVの検出でも有用性がある。
【0049】
一実施形態では、この方法は、HSV変異(例えば、TK及び/又はDNA pol変異)のデータベースにおいて、抗ウイルス薬耐性と関連する前記HSV変異の1つ以上の存在又は非存在を検出することを含む。適切には、前記データベースは、本明細書に記載した変異を含む。
【0050】
好ましい実施形態では、前記データベースは、HSV変異と関連する表現型データを含み、好ましくは、前記データは、本明細書に記載した変異を含むHSVの、抗ウイルス薬に対する感受性及び/又は耐性に関するデータである。
【0051】
別の態様では、対象における抗ウイルス薬耐性HSVの感染症の予後を決定するための方法であって、対象から得られた試料において、本明細書に記載した1つ以上のHSV変異の存在又は非存在を検出することを含む方法が提供される。こうした態様では、前記1つ以上のHSV変異の存在は、予後不良と相関し、前記1つ以上のHSV変異の非存在は、予後良好と相関する。
【0052】
本明細書で使用される用語「単純ヘルペスウイルス」(HSV)は、適切には、HSV-1とHSV-2との両方を包含する。TK及びDNA pol遺伝子は、HSV-1及びHSV-2を通して高度に保存され、その結果、あるウイルスにおける耐性関連の変異は、該当する位置(例えば、ポリペプチド及び/又は核酸配列の該当する位置)に存在する場合、他のウイルスにおける耐性も引き起こす可能性がある。したがって、一実施形態では、HSVは、HSV-1である。別の実施形態では、HSVは、HSV-2である。
【0053】
用語「抗ウイルス薬耐性」は、HSVが、HSV感染症を治療するために典型的に使用される抗ウイルス薬に対する耐性を示すことを意味する。用語「耐性」は、1つ以上の抗ウイルス薬に対する弱い(例えば、中程度の)耐性と強い耐性との両方を包含する。弱い(中程度の)及び/又は強い耐性の存在は、以下に記載する通りのプラーク減少アッセイを使用して決定することができる。(例えば、「抗ウイルス薬感受性のHSV」に関連して用語「感受性の」は、HSVが、HSV感染症を治療するために典型的に使用される1つ以上の抗ウイルス薬に対して耐性でないことを意味する。
【0054】
好ましい実施形態では、抗ウイルス薬は、ホスカルネット、シドフォビル、ペンシクロビル及びアシクロビル又はその組み合わせから選択される1つ以上のものである。
【0055】
一実施形態では、抗ウイルス薬は、ホスカルネット、シドフォビル又はその組み合わせから選択される1つ以上のものである。
【0056】
一実施形態では、抗ウイルス薬は、ペンシクロビル及びアシクロビル又はその組み合わせから選択される1つ以上のものである。
【0057】
一実施形態では、抗ウイルス薬耐性HSVは、抗ウイルス薬に対する弱い/中程度の耐性を有する。一実施形態では、抗ウイルス薬耐性HSVは、抗ウイルス薬に対する強い耐性を有する。
【0058】
前記「抗ウイルス薬耐性」の評価は、付随する実施例を参照することによって実証され、実施例(例えば、実施例2)に記載されている方法論を使用して評価することができる。例えば、実施例3は、HSVに対する薬物の「IC50」を測定するプラーク減少アッセイを説明している。
【0059】
「抗ウイルス薬耐性」の評価は、当業者によって理解される通り、「プラーク減少アッセイ」を使用して行うことができる。プラーク減少アッセイは、例えば、参照によって本明細書に組み込まれるMbisa, Jean Lutamyo (September 2013), Antiviral Resistance Testing. In: elS. John Wiley&Sons, Ltd: Chichesterに記載されている通りに実施することができる。
【0060】
例として、「プラーク減少アッセイ」は、
a.被験試料及び対照試料を規定濃度のHSVと接触させることであって、被験試料及び対照試料は、非HSV感染細胞のコンフルエントな単層(例えば、HSV感染症が存在しない細胞のコンフルエントな単層)を含む、接触させることと;
b.ステップa.に加えて又はステップa.に続いて、被験試料を規定濃度の抗ウイルス薬と接触させ、被験試料を抗ウイルス薬の存在下でインキュベートし、対照試料を抗ウイルス薬の非存在下でインキュベートすることと;
c.被験試料中及び対照試料中のHSVに感染した細胞の数を検出することと;
d.対照試料中のHSVに感染した細胞の数に対する、被験試料中のHSVに感染した細胞の割合を算出することと;
e.ステップ(a)~(d)を、より低い規定濃度の抗ウイルス薬を用いて、少なくとも1回(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9又は10回)、同時に又は別々に繰り返すことと;
f.抗ウイルス薬のIC50(又はIC20、IC40、IC60、IC80若しくはIC90)を算出することと
を含み得る。
【0061】
「IC50」値は、被験試料中のHSVに感染した細胞の割合を、対照試料中のHSVに感染した細胞の数に対して50%低下させるのに十分な抗ウイルス薬の濃度である。同様に、「IC20」、「IC40」、「IC60」、「IC80」及び「IC90」値は、被験試料中のHSVに感染した細胞の割合を、対照試料中のHSVに感染した細胞の数に対してそれぞれ20%、40%、60%、80%又は90%低下させるのに十分な抗ウイルス薬の濃度を意味する。
【0062】
被験試料及び対照試料は、典型的には、ステップb.で少なくとも1時間(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15時間)インキュベートされる。
【0063】
ステップe.の「より低い規定濃度」は、典型的には、少なくとも2倍(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15倍)低い。したがって、適切には、ステップa.~d.が繰り返されるたびに(すなわちステップe.において)、薬物の規定濃度は、低下される。
【0064】
抗ウイルス薬の特定のIC50値は、以下に概説する通り、耐性の特定のレベルと相関する。
【0065】
したがって、一実施形態では、本発明の方法は、検出された抗ウイルス薬耐性HSVの、抗ウイルス薬に対する耐性のレベル(例えば、強い耐性、弱い/中程度の耐性又は耐性/感受性なし)を決定することを含む。これは、薬物治療の適切な選択及び/又は治療に必要とされる薬物の投薬量についての情報を与えることができる。例えば、弱い耐性と相関する変異が検出される場合、より高い用量及び/又はより長いクールの治療を選択することができる。
【0066】
用語「耐性表現型」は、本明細書に記載した変異を含むHSVの、抗ウイルス薬に対する耐性のレベルを意味する。適切には、耐性表現型は、弱い(例えば、中程度の)及び強い耐性から選択される。好ましくは、前記耐性表現型は、プラーク減少アッセイを介して決定される。
【0067】
HSV感染細胞では、ヌクレオシド類似体薬物(例えば、アシクロビル及びペンシクロビル)は、ウイルスのチミジンキナーゼによってリン酸化され、続いて細胞のキナーゼによって活性な代謝産物(例えば、アシクロビル三リン酸及びペンシクロビル三リン酸)に転換され、これは、天然のヌクレオシド(例えば、デオキシグアノシン三リン酸)基質結合と競合することにより、ウイルスのHSVポリメラーゼを競合的に阻害する。結果として、ヘルペスウイルスDNA合成及び複製は、選択的に阻害される。理論に拘泥されることを望まないが、本明細書に記載した通りの変異/多型を含むTK酵素は、低下したキナーゼ活性を有し、その結果、ヌクレオシド類似体薬物(例えば、アシクロビル及びペンシクロビル)は、有効にリン酸化されず(又は少しもリン酸化されず)、活性な薬物を生じると考えられている。したがって、一実施形態では、本明細書に記載した通りのTK変異/多型を含むTKは、低下したキナーゼ(例えば、リン酸化)活性を有する。適切には、本明細書に記載した通りのTK変異/多型を含むTKは、ヌクレオシド類似体薬物(例えば、アシクロビル及びペンシクロビル)をリン酸化しない。TKによるリン酸化を必要としない抗ウイルス薬(例えば、シドフォビル及びホスカルネット)は、ウイルスDNAのポリメラーゼ活性を直接的に阻害すると考えられる。適切には、本明細書に記載した通りのDNA pol変異/多型を含むDNA polは、抗ウイルス薬(例えば、シドフォビル及びホスカルネット)によって阻害されない。ドコサノール(PubChem CID:12620)は、HSVを治療するために使用されるさらなる抗ウイルス薬である。ヘリカーゼ-プライマーゼ阻害剤(例えば、HSV-1の阻害剤)BAY 54-6322(化学式:C20H21N3O3S2;IUPAC名:N-メチル-N-[4-メチル-5-(メチルスルファモイル)-1,3-チアゾール-2-イル]-2-(4-フェニルフェニル)アセトアミド)は、HSVを治療するために使用されるさらなる抗ウイルス薬である。アメナメビル(PubChem CID:11397521;分子式:C24H26N4O5S)としても公知であるヘリカーゼ-プライマーゼ阻害剤(例えば、HSV-1の阻害剤)ASP2151は、HSVを治療するために使用されるさらなる抗ウイルス薬である。プリテリビル(PubChem CID:491941;分子式:C18H18N4O3S2)としても公知であるヘリカーゼ-プライマーゼ阻害剤(例えば、HSV-1の阻害剤)BAY 57-1293は、HSVを治療するために使用されるさらなる抗ウイルス薬である。
【0068】
一実施形態では、抗ウイルス薬は、アシクロビル(PubChem CID:2022;CAS登録番号:59277-89-3)である。一実施形態では、抗ウイルス薬耐性HSV(例えば、HSV-1又はHSV-2)は、薬物のIC50が40μMを超える(例えば、50μM、65μM、80μM、95μM、110μM、125μM又は140μMを超える)場合、アシクロビルに対する強い耐性を有する。一実施形態では、抗ウイルス薬耐性HSV-1は、薬物のIC50が約3~40μM(例えば、約6.5~40μM、5~35μM、10~30μM又は15~25μM)である場合、アシクロビルに対する弱い(中程度の)耐性を有する。一実施形態では、抗ウイルス薬耐性HSV-2は、薬物のIC50が約6.5~40μM(例えば、約10~30μM又は15~25μM)である場合、アシクロビルに対する弱い(中程度の)耐性を有する。一実施形態では、HSV-1は、IC50が3μM未満(例えば、2.5μM、2μM、1.5μM、1μM又は0.5μM)である場合、アシクロビルに対して感受性(例えば、非耐性)である。一実施形態では、HSV-2は、IC50が6.5μM未満(例えば、5μM、4μM、3μM、2μM又は1μM未満)である場合、アシクロビルに対して感受性(例えば、非耐性)である。好ましい実施形態では、IC50は、プラーク減少アッセイにおいて(例えば、プラーク減少アッセイを介して)決定される。
【0069】
一実施形態では、抗ウイルス薬は、ペンシクロビル(PubChem CID:4725;CAS登録番号:39809-25-1)である。一実施形態では、抗ウイルス薬耐性HSV(例えば、HSV-1又はHSV-2)は、薬物のIC50が40μMを超える(例えば、50μM、65μM、80μM、95μM、110μM、125μM又は140μMを超える)場合、ペンシクロビルに対する強い耐性を有する。一実施形態では、抗ウイルス薬耐性HSV-1は、薬物のIC50(例えば、プラーク減少アッセイにおいて決定される場合)が約10~40μM(例えば、約15~35μM又は20~30μM)である場合、ペンシクロビルに対する弱い(例えば、中程度の)耐性を有する。一実施形態では、抗ウイルス薬耐性HSV-2は、薬物のIC50が約38~40mM(例えば、約39mM)である場合、ペンシクロビルに対する弱い(例えば、中程度の)耐性を有する。一実施形態では、HSV-1は、IC50が10μM未満(例えば、8μM、6μM、4μM、2μM又は0.5μM未満)である場合、ペンシクロビルに対して感受性(例えば、非耐性)である。一実施形態では、HSV-2は、IC50が38μM未満(例えば、30μM、25μM、20μM、15μM又は10μM未満)である場合、ペンシクロビルに対して感受性(例えば、非耐性)である。好ましい実施形態では、IC50は、プラーク減少アッセイにおいて(例えば、プラーク減少アッセイを介して)決定される。
【0070】
一実施形態では、抗ウイルス薬は、ホスカルネット(PubChem CID:3415)である。一実施形態では、抗ウイルス薬耐性HSV(例えば、HSV-1又はHSV-2)は、薬物のIC50が400μMを超える(例えば、450μM、500μM、550μM、600μM、650μM、700μM又は750μMを超える)場合、ホスカルネットに対する強い耐性を有する。一実施形態では、抗ウイルス薬耐性HSV(例えば、HSV-1又はHSV-2)は、薬物のIC50が約250~400μM(例えば、約275~385μM、300~360μM又は325~335μM)である場合、ホスカルネットに対する弱い耐性を有する。一実施形態では、HSVは、IC50が250μM未満(例えば、200μM、150μM、100μM、50μM又は10μM未満)である場合、ホスカルネットに対して感受性(例えば、非耐性)である。好ましい実施形態では、IC50は、プラーク減少アッセイにおいて(例えば、プラーク減少アッセイを介して)決定される。
【0071】
一実施形態では、抗ウイルス薬は、シドフォビル(PubChem CID:60613;CAS登録番号:113852-37-2)である。一実施形態では、抗ウイルス薬耐性HSV(例えば、HSV-1又はHSV-2)は、薬物のIC50が30μMを超える(例えば、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM又は100μMを超える)場合、シドフォビルに対する強い耐性を有する。一実施形態では、抗ウイルス薬耐性HSV(例えば、HSV-1又はHSV-2)は、薬物のIC50が約24~30μM(例えば、約25~29μM又は26~28μM)である場合、シドフォビルに対する弱い耐性を有する。一実施形態では、HSVは、IC50が24μM未満(例えば、20μM、15μM、10μM、5μM又は1μM未満)である場合、シドフォビルに対して感受性(例えば、非耐性)である。好ましい実施形態では、IC50は、プラーク減少アッセイにおいて(例えば、プラーク減少アッセイを介して)決定される。
【0072】
好ましい実施形態では、本明細書に記載したTK変異の存在を特定することは、アシクロビル及び/又はペンシクロビル薬物耐性HSVの存在を確認する。適切には、本明細書に記載したTK変異の非存在を特定することは、アシクロビル及び/又はペンシクロビル薬物耐性HSVの非存在を示唆する。別の好ましい実施形態では、本明細書に記載したDNA pol変異の存在を特定することは、アシクロビル、ペンシクロビル、ホスカルネット及び/又はシドフォビル耐性HSVの存在を確認する。適切には、本明細書に記載したDNA pol変異の非存在を特定することは、アシクロビル、ペンシクロビル、ホスカルネット及び/又はシドフォビル耐性HSVの非存在を示唆する。
【0073】
用語「対象」、「個人」及び「患者」は、哺乳類対象を指すために本明細書で互換的に使用される。一実施形態では、「対象」は、ヒト、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコ及びウサギなどのペット)、家畜(例えば、ブタ、ヒツジ、ウシ及びヤギ)及びウマである。好ましい実施形態では、対象は、ヒトである。適切には、対象(例えば、ヒト)は、免疫不全である。免疫不全の対象は、妊娠中の対象、他の感染症を含む対象(例えば、HIV又は髄膜炎菌感染症)又は血液-腫瘍患者(例えば、骨髄移植療法を受けている)であり得る。適切には、対象は、骨髄移植療法を受けているヒトである。本発明の方法では、対象は、HSV感染症を有すると以前に診断されていない可能性がある。代わりに、対象は、HSV感染症を有すると以前に診断されている可能性がある。対象は、疾患の危険因子を呈する対象又はHSV感染症について無症状である対象でもあり得る。対象は、HSV感染症を患っている対象又はHSV感染症を発症するリスクがある対象でもあり得る。したがって、一実施形態では、本発明の方法は、対象におけるHSV感染症(例えば、抗ウイルス薬耐性HSVの感染症)の存在を確認するために使用することができる。例えば、対象は、対象が呈する症状の分析を通してASDと以前に診断されている可能性がある。一実施形態では、対象は、抗ウイルス薬を以前に投与されている。
【0074】
(例えば、1つ以上のHSV変異の)「特定する」ステップは、手作業で、例えば核酸及び/又はポリペプチド配列を解析することによって実施することができる。特定するステップは、当技術分野で公知の任意の好適な方法を使用して実施することもできる。変異は、核酸配列又はポリペプチド配列内で特定することができる。一実施形態では、(例えば、PCR断片/アンプリコンの)DNA配列決定を使用することができる。一実施形態では、TK配列又はその断片は、増幅される。一実施形態では、DNA pol配列又はその断片は、増幅される。前記断片は、あらゆる長さのものであり得、適切には、前記変異の1つ以上が存在する(且つ任意選択的に3’及び/又は5’非翻訳領域を含む)遺伝子の領域を包含する。したがって、一実施形態では、TK断片(例えば、アンプリコン)は、少なくとも約0.1キロベース(kb)、0.2kb、0.3kb、0.4kb、0.5kb、0.6kb、0.7kb、0.8kb、0.9kb、1kb、1.1kb又は1.2kbを含む。一実施形態では、DNA pol断片(例えば、アンプリコン)は、少なくとも約0.1キロベース(kb)、0.2kb、0.3kb、0.4kb、0.5kb、0.6kb、0.7kb、0.8kb、0.9kb、1kb、1.1kb、1.2kb又は1.3kbを含む。
【0075】
別の実施形態では、特定するステップは、(例えば、PCR検出に使用するための)1つ以上のTK及び/又はDNA pol変異に特異的な核酸プローブを利用する。一実施形態では、特定するステップは、(例えば、本明細書に記載した変異に起因するポリペプチド配列における多型を検出するための)質量分析によって実施される。別の実施形態では、特定するステップは、イムノアッセイを介して実施される。前記イムノアッセイは、本明細書に記載した多型を含む1つ以上の変異タンパク質に結合する1つ以上の抗体の使用を用いることができる。したがって、一態様では、本明細書に記載した1つ以上のHSV変異/多型を検出するのに使用するための抗体組成物が提供される。別の態様では、対象における抗ウイルス薬耐性HSVの感染症の診断に使用するための抗体組成物が提供され、ここで、前記抗体組成物は、本明細書に記載した多型を含む1つ以上の変異タンパク質と結合する。別の実施形態では、検出するステップは、ウエスタンブロット又は酵素活性アッセイによって実施される。本発明の方法は、本発明又はその一部のキットの使用を含むことができる。例えば、この方法は、本明細書に記載した試薬(好ましくは核酸PCRプライマー)の使用を含むことができる。
【0076】
本発明の方法又は使用は、本明細書に記載した変異を含むHSVの検出を包含することができる。本発明の方法又は使用は、本明細書に記載した通りの変異を含むHSVがないことを検出することも包含し得る。
【0077】
本発明の方法は、好ましくは、アルゴリズム又は他のデータに基づく組み合わせ手法の使用を含む。一実施形態では、特定された変異(例えば、TK及び/又はDNA pol変異)が(例えば、本発明の一態様において提供することができるコンピュータソフトウェアプログラムの一部としての)アルゴリズムに入力され、前記アルゴリズムは、好ましくは、その変異が抗ウイルス薬耐性に関連するかどうかを示すことにより、抗ウイルス薬耐性HSVが存在するかどうかを示す。好ましい実施形態では、前記アルゴリズムは、前記変異が抗ウイルス薬に対する弱い/中程度の又は強い耐性を与えるかどうかをさらに示す。
【0078】
一実施形態では、アルゴリズムは、1つ以上のHSV変異を含むデータベースと連係する。好ましい実施形態では、前記データベースは、1つ以上のHSV変異と関連付けられた表現型データをさらに含み、好ましくは、前記データは、抗ウイルス薬感受性/耐性に関するデータである。一実施形態では、アルゴリズムは、出力として、1つ以上のHSV変異と関連する耐性のレベル(例えば、大きさ)を提供し、ここで、前記耐性のレベルは、弱い/中程度の耐性、強い耐性及び感受性(例えば、1つ以上の抗ウイルス薬に対して耐性でない)の1つ以上から選択される。
【0079】
一態様では、本発明のアルゴリズム又は診断方法を提供するように適合されたソフトウェアが提供される。本発明は、前記ソフトウェア、アルゴリズム及び/又は診断方法を提供するように適合されたプロセッサにも及ぶ。
【0080】
当業者は、(本明細書に記載したアルゴリズムのいずれか1つを含めて)あらゆる好適なアルゴリズムを使用できることを理解するであろう。一実施形態では、アルゴリズムは、解釈アルゴリズムである。一実施形態では、アルゴリズムは、機械学習アルゴリズムである。一実施形態では、アルゴリズムは、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰、集合分類、サポートベクターマシン(SVM)、一般線形モデル(GLM)及びGLMNETから選択される1つ以上のものである。
【0081】
一実施形態では、本発明の方法の「特定する」(例えば、特定)ステップは、抗ウイルス薬耐性HSVの感染症の存在又は非存在を診断するために(又は抗ウイルス薬耐性HSVの存在又は非存在を検出するために)構成された診断アルゴリズムを使用することを含み、任意選択的に、診断アルゴリズムは、抗ウイルス薬耐性HSVに存在する変異に対して訓練される。いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、変異と関連する耐性のレベル(例えば、抗ウイルス薬に対する弱い又は強い耐性)を予測/提供する。好ましくは、アルゴリズムは、前記変異の1つ以上についての対応する耐性表現型に対して訓練される。前記実施形態は、予後を決定するための方法などの他の方法に適用され得る。
【0082】
抗ウイルス薬耐性HSVを治療するのに適した治療法を特定し、且つ抗ウイルス薬耐性HSV感染症の治療法の有効性をモニタリングするための同様の方法も提供される。
【0083】
抗ウイルス薬耐性HSVのための治療法を特定するための方法に関連する実施形態では、候補となる治療薬は、被験試料における前記1つ以上の変異を含む前記HSVのウイルス量が、対照試料(ここで、対照は、抗ウイルス薬の非存在下でインキュベートされる)における前記1つ以上の変異を含むHSVのウイルス量よりも低い場合、抗ウイルス薬耐性HSV感染症を治療するのに適していると特定され;及び/又は前記候補となる治療法は、被験試料における前記1つ以上の変異を含む前記HSVのウイルス量が、対照試料(ここで、対照は、抗ウイルス薬の非存在下でインキュベートされる)における前記1つ以上の変異を含むHSVのウイルス量と同じである(又はより大きい)場合、抗ウイルス薬耐性HSV感染症を治療するのに適していないと特定される。
【0084】
本発明で使用するための「試料」は、HSV(例えば、抗ウイルス薬耐性HSV)又はその断片を含む可能性があるあらゆる試料である。適切には、前記試料は、抗ウイルス薬耐性HSVの感染症を有することが疑われる対象から単離することができる。いくつかの実施形態では、試料は、HSV感染症を有すると診断された対象から単離される。適切には、試料は、病変部、病変部から単離された体液、血液、尿、眼液、リンパ液、唾液、滑液、精液、脳脊髄液、皮脂腺分泌物及び/又は痰の1つ以上から選択され得る。一実施形態では、試料は、好適なウイルス輸送用培地(例えば、CopanからのUniversal Transport Medium)中に任意選択的に懸濁させたウイルス懸濁液である。一実施形態では、試料は、手術又は他の医療機器から得られる。一実施形態では、試料は、環境試料(例えば、水、土壌及び/又は堆積物)である。
【0085】
好ましくは、試料は、病変部(例えば、疱疹性の病変部)又はその断片である。用語「病変部」は、HSV感染症を有するか又は有することが疑われる対象に存在する組織及び/又は器官のあらゆる異常を包含する。適切には、試料は、病変部から単離される体液である。
【0086】
本発明の方法において病変部又はその断片を使用することの重要な利点は、これらの試料が、抗ウイルス薬耐性HSVの感染症を有することが疑われる対象から容易に得ることができ、また最小限に侵襲的な技術を使用して(例えば、病変部をスワブ又は他の収集装置で触れることによって)得られることである。
【0087】
一実施形態では、試料は、本明細書に記載した通りの変異を含むHSVの存在又は非存在を検出する前に、試料からHSVを単離するために処理することができる。好ましい実施形態では、HSVは、本発明の方法の検出ステップ前に試料から培養される。別の実施形態では、ウイルスゲノム又はその断片が最初に増幅され、続いて(例えば、制限酵素を介して又は相同組換えによって)好適なベクターに挿入(例えば、連結)される。この組換えベクターを遺伝子導入によって細胞に導入して、組換えHSVを産生することができる。
【0088】
一実施形態では、試料は、組換え(例えば、インビトロ組換え)HSVを含む。適切には、組換えHSVは、本明細書に記載した1つ以上の変異/多型(例えば、TK及び/又はDNA pol変異/多型)を含む。
【0089】
一態様では、(i)100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、376C>T(HSV-2)、146T>G(HSV-1)、250G>A(HSV-2)、253A>C(HSV-1)、256A>C(HSV-2)、363G>A(HSV-1)、366G>A(HSV-2)、497T>A(HSV-1)、500T>A(HSV-2)、558G>T(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、718T>C(HSV-2)、935T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、276delG(HSV-2)、278delG(HSV-2)、279delG(HSV-2)、280delG(HSV-2)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択されるTK変異;及び(ii)1879C>G(HSV-1)、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2420T>G(HSV-2)、2500G>T(HSV-1)、2515G>T(HSV-2)、2515A>G(HSV-1)、2530A>G(HSV-2)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)、2895_2896insT、2907_2908insT(HSV-2)、2908_2909insT(HSV-2)、2909_2910insT(HSV-2)及び2910_2911insT(HSV-2)から選択されるDNA pol変異から選択される変異を含む組換え(例えば、インビトロ組換え)HSV(例えば、HSV-1及び/又はHSV-2)又はその断片が提供される。
【0090】
好ましい実施形態では、前記チミジンキナーゼ(TK)変異は、250G>A(HSV-2)、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択される。好ましい実施形態では、前記DNAポリメラーゼ(DNA pol)変異は、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)、2515A>G(HSV-1)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び2895_2896insT(HSV-1)から選択される。
【0091】
本明細書で使用する場合、用語「変異」は、好ましくは、参照配列に対する核酸のあらゆる変化を指す。適切には、変異は、それによってコードされるTK及び/又はDNA polポリペプチドと抗ウイルス薬との相互作用を低下させる(例えば、防止する)。用語「多型」は、好ましくは、参照配列に対するポリペプチド配列のあらゆる変化を指す。適切には、多型は、TK及び/又はDNA polと抗ウイルス薬との相互作用を低下させる(例えば、防止する)。
【0092】
一実施形態では、変異は、一塩基多型(SNP)である。
【0093】
一実施形態では、TK SNPは、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、376C>T(HSV-2)、146T>G(HSV-1)、250G>A(HSV-2)、253A>C(HSV-1)、256A>C(HSV-2)、363G>A(HSV-1)、366G>A(HSV-2)、497T>A(HSV-1)、500T>A(HSV-2)、558G>T(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、718T>C(HSV-2)、935T>C(HSV-1)及び938T>C(HSV-2)から選択される。一実施形態では、DNA pol SNPは、1879C>G(HSV-1)、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2420T>G(HSV-2)、2500G>T(HSV-1)、2515G>T(HSV-2)、2515A>G(HSV-1)及び2530A>G(HSV-2)から選択される。一実施形態では、TK SNPは、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、376C>T(HSV-2)、146T>G(HSV-1)、250G>A(HSV-2)、253A>C(HSV-1)、256A>C(HSV-2)、363G>A(HSV-1)、366G>A(HSV-2)、497T>A(HSV-1)、500T>A(HSV-2)、558G>T(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、718T>C(HSV-2)、935T>C(HSV-1)及び938T>C(HSV-2)から選択され;及びDNA pol SNPは、1879C>G(HSV-1)、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2420T>G(HSV-2)、2500G>T(HSV-1)、2515G>T(HSV-2)、2515A>G(HSV-1)及び2530A>G(HSV-2)から選択される。好ましい実施形態では、TK SNPは、250G>A(HSV-2)、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)及び938T>C(HSV-2)から選択される。当業者は、記号「>」が、言及された第1のヌクレオチドが、言及された第2のヌクレオチドと/で、言及された位置で置換されることを意味することを理解する。例えば、置換変異が100C>T(HSV-1)である場合、これは、TK核酸配列の第100位(ヌクレオチド番号100)のシトシン(「C」)がチミン(「T」)で置換されることを意味する。
【0094】
一実施形態では、変異は、(例えば、1つ以上のヌクレオチドの)挿入である。
【0095】
一実施形態では、TK挿入は、437_438insA(HSV-1)である。一実施形態では、DNA pol挿入は、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)、2895_2896insT(HSV-1)、2907_2908insT(HSV-2)、2908_2909insT(HSV-2)、2909_2910T(HSV-2)及び2910_2911T(HSV-2)(好ましくは2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び/又は2895_2896insT(HSV-1))から選択される1つ以上のものである。一実施形態では、TK挿入は、437_438insA(HSV-1)であり;及びDNA pol挿入は、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)、28952895insT(HSV-1)、2907_2908insT(HSV-2)、2908_2909insT(HSV-2)、2909_2910insT(HSV-2)及び2910_2911insT(HSV-2)(好ましくは2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び/又は2895_2896insT(HSV-1))から選択される1つ以上のものである。当業者は、挿入変異に関連して本明細書で使用される記号「ins」が、ヌクレオチドが、言及された位置間のTK/DNA pol核酸配列内に挿入されることを意味することを理解する。例えば、TK挿入変異が437_438insAである場合、これは、ヌクレオチドアデニン(「A」)がTK核酸配列の第437位の後に挿入されている(前記「A」は、次に、変異した核酸配列の第438位を占める)ことを意味する。
【0096】
一実施形態では、変異は、(例えば、1つ以上のヌクレオチドの)欠失である。
【0097】
一実施形態では、TK欠失は、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、276delG(HSV-2)、278delG(HSV-2)、279delG(HSV-2)、290delG(HSV-2)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)(好ましくは169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び/又は885delC(HSV-1))から選択される。当業者は、欠失多型に関連して本明細書で使用される記号「del」が、ヌクレオチドが、言及された位置でTK/DNA pol核酸配列から欠失されることを意味することを理解する。例えば、欠失変異が169delCである場合、これは、シトシン(「C」)塩基がTK核酸配列の第169位から欠失されていることを意味する。
【0098】
一実施形態では、変異は、終止コドン(例えば、早期終止コドン)をもたらす。
【0099】
一実施形態では、終止コドンをもたらすTK変異は、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、376C>T(HSV-2)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、437_438insA(HSV-1)、276delG(HSV-2)、278delG(HSV-2)、279delG(HSV-2)、280delG(HSV-2)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)及び461delC(HSV-2)(好ましくは100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、437_438insA(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)及び/又は461delC(HSV-2))から選択される。一実施形態では、終止コドン(例えば、早期終止コドン)をもたらすDNA pol変異は、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び2895_2896insTから選択される。一実施形態では、終止コドンをもたらすTK変異は、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、376C>T(HSV-2)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、437_438insA、276delG(HSV-2)、278delG(HSV-2)、279delG(HSV-2)、280delG(HSV-2)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)及び461delC(HSV-2)(好ましくは100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、437_438insA(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)及び/又は461delC(HSV-2))から選択され;及び終止コドンをもたらすDNA pol変異は、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び2895_2896insT(HSV-1)から選択される。
【0100】
一実施形態では、変異は、TK又はDNA polポリペプチド配列における置換多型(例えば、アミノ酸置換)をもたらす。
【0101】
一実施形態では、置換多型をもたらすTK変異は、146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、366G>A(HSV-2)、497T>A(HSV-1)、500T>A(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、718T>C(HSV-2)、250G>A(HSV-2)、253A>C(HSV-1)、256A>C(HSV-2)、558G>T(HSV-2)、935T>C(HSV-1)及び938T>C(HSV-2)(好ましくは146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、715T>C(HSV-1)、250G>A(HSV-2)、558G>T(HSV-2)及び/又は938T>C(HSV-2)から選択される。一実施形態では、置換多型をもたらすDNA pol変異は、1879C>G(HSV-1)、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2420T>G(HSV-2)、2500G>T(HSV-1)、2515G>T(HSV-2)、2515A>G(HSV-1)及び2530A>G(HSV-2)(好ましくは1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)及び/又は2515A>G(HSV-1))から選択される。一実施形態では、置換多型をもたらすTK変異は、146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、366G>A(HSV-2)、497T>A(HSV-1)、500T>A(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、718T>C(HSV-2)、250G>A(HSV-2)、253A>C(HSV-1)、256A>C(HSV-2)、558G>T(HSV-2)、935T>C(HSV-1)及び938T>C(HSV-2)(好ましくは146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、715T>C(HSV-1)、250G>A(HSV-2)、558G>T(HSV-2)及び/又は938T>C(HSV-2)から選択され;及び置換多型をもたらすDNA pol変異は、1879C>G(HSV-1)、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2420T>G(HSV-2)、2500G>T(HSV-1)、2515G>T(HSV-2)、2515A>G(HSV-1)及び2530A>G(HSV-2)(好ましくは1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)及び/又は2515A>G(HSV-1))から選択される。
【0102】
一実施形態では、変異は、(例えば、コード配列の残部における)フレームシフトをもたらす。一実施形態では、フレームシフトをもたらすTK変異は、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1))から選択される。一実施形態では、フレームシフトをもたらすTK変異は、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択される。
【0103】
一実施形態では、HSV-1 TK変異は、100C>T、373C>T、146T>G、253A>C、363G>A、497T>A、715T>C、935T>C、437_438insA、169delC、170delC、171delC、172delC、881delC、882delC、883delC、884delC及び885delC(好ましくは100C>T、373C>T、146T>G、363G>A、497T>A、715T>C、437_438insA、169delC、170delC、171delC、172delC、881delC、882delC、883delC、884delC及び/又は885delC)から選択される1つ以上のものである。一実施形態では、HSV-1 TK変異は、100C>T、146T>G、363G>A、373C>T、497T>A、715T>C、169delC、170delC、171delC、172delC、437_438insA、881delC、882delC、883delC、884delC及び885delCから選択される1つ以上のものである。一実施形態では、HSV-1 TK変異は、146T>G、497T>A、169delC、170delC、171delC、172delC、437_438insA、881delC、882delC、883delC、884delC及び885delCから選択される1つ以上のものである。
【0104】
一実施形態では、HSV-2 TK変異は、268C>T、376C>T、250G>A、256A>C、366G>A、500T>A、558G>T、718T>C、938T>C、276delG、278delG、279delG、280delG、458delC、459delC、460delC及び461delC(好ましくは268C>T、250G>A、558G>T、938T>C、458delC、459delC、460delC及び/又は461delC)から選択される1つ以上のものである。一実施形態では、HSV-2 TK変異は、250G>A、256A>C、268C>T、558G>T、938T>C、1094C>T、276delG、278delG、279delG、280delG、458delC、459delC、460delC及び461delC(好ましくは250G>A、268C>T、558G>T、938T>C、458delC、459delC、460delC及び/又は461delC)から選択される1つ以上のものである。一実施形態では、HSV-2 TK変異は、256A>C、558G>T、938T>C、1094C>T、276delG、278delG及び279delG(好ましくは558G>T及び/又は938T>C)から選択される1つ以上のものである。
【0105】
一実施形態では、TK変異は、100C>T、373C>T、146T>G、253A>C、363G>A、497T>A、715T>C、935T>C、437_438insA、169delC、170delC、171delC、172delC、881delC、882delC、883delC、884delC及び885delC(好ましくは100C>T、373C>T、146T>G、363G>A、497T>A、715T>C、437_438insA、169delC、170delC、171delC、172delC、881delC、882delC、883delC、884delC及び/又は885delC)から選択される1つ以上のものであり(ここで、HSVは、HSV-1である)、TK変異は、268C>T、376C>T、250G>A、256A>C、366G>A、500T>A、558G>T、718T>C、938T>C、276delG、278delG、279delG、280delG、458delC、459delC、460delC及び461delC(好ましくは268C>T、250G>A、558G>T、938T>C、458delC、459delC、460delC及び/又は461delC)から選択される1つ以上のものである(ここで、HSVは、HSV-2である)。
【0106】
一実施形態では、HSV-1 DNA pol変異は、1879C>G、2405T>G、2500G>T、2515A>G、2892_2893insT、2893_2894insT、2894_2895insT及び2895_2896insT(好ましくは2405T>G、2500G>T、2515A>G、2892_2893insT、2893_2894insT、2894_2895insT及び/又は2895_2896insT)から選択される1つ以上のものである。一実施形態では、HSV-1 DNA pol変異は、2405T>G、2500G>T、2515A>G、2892_2893insT、2893_2894insT、2894_2895insT及び2895_2896insTから選択される1つ以上のものである。一実施形態では、HSV-1 DNA pol変異は、2500G>T、2515A>G、2892_2893insT、2893_2894insT、2894_2895insT及び2895_2896insTから選択される1つ以上のものである。
【0107】
一実施形態では、HSV-2 DNA pol変異は、1882C>G、2420T>G、2515G>T、2530A>G、2907_2908insT、2908_2909insT、2909_2910insT及び2910_2911insT(好ましくは1882C>G)から選択される1つ以上のものである。一実施形態では、HSV-2 DNA pol変異は、2420T>G、2515G>T、2530A>G、2907_2908insT、2908_2909insT、2909_2910insT、2910_2911insTから選択される1つ以上のものである。一実施形態では、HSV-2 DNA pol変異は、1882C>Gである。
【0108】
一実施形態では、DNA pol変異は、1879C>G、2405T>G、2500G>T、2515A>G、2892_2893insT、2893_2894insT、2894_2895insT及び2895_2896insT、好ましくは、2405T>G、2500G>T、2515A>G、2892_2893insT、2893_2894insT、2894_2895insT及び/又は2895_2896insT)から選択される1つ以上のものであり(ここで、HSVは、HSV-1である)、DNA pol変異は、1882C>G、2420T>G、2515G>T、2530A>G、2907_2908insT、2908_2909insT、2909_2910insT及び2910_2911insT(好ましくは1882C>G)から選択される1つ以上のものである(ここで、HSVは、HSV-2である)。
【0109】
前記1つ以上の変異を含むHSVは、改変されたHSVと称することができ、参照(野生型)HSV配列に対して改変された核酸及び/又はアミノ酸配列を有する。
【0110】
好ましい実施形態では、本明細書に記載した変異の1つ以上(好ましくはすべて)は、参照(例えば、野生型)HSV配列中に存在しない。好ましくは、参照配列を含むHSV(例えば、HSV-1又はHSV-2)は、本明細書に記載した通りの抗ウイルス薬に対して耐性でない。好ましい参照HSV配列の核酸及びポリペプチド配列は、公的に利用可能である。一実施形態では、参照HSV-1配列(例えば、公的に利用可能な配列)は、GenBank上において受入番号JN555585.1でアクセスできる。このHSV-1配列のTK核酸配列、TKポリペプチド配列、DNA pol核酸配列及びDNA polポリペプチド配列は、それぞれ配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4に対応する。一実施形態では、参照HSV-2配列(例えば、公的に利用可能な配列)は、GenBank上において受入番号JN561323.2でアクセスできる。このHSV-2配列のTK核酸配列、TKポリペプチド配列、DNA pol核酸配列及びDNA polポリペプチド配列は、それぞれ配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8に対応する。
【0111】
一実施形態では、参照HSV-1 TK核酸は、配列番号1の配列又はそれと少なくとも90%の配列同一性、適切にはそれと少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する配列を含む(又はこれらの配列からなる)。一実施形態では、参照HSV-1 TKポリペプチドは、配列番号2の配列又はそれと少なくとも90%の配列同一性、適切にはそれと少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する配列を含む(又はこれらの配列からなる)。一実施形態では、参照HSV-1 DNA pol核酸は、配列番号3の配列又はそれと少なくとも90%の配列同一性、適切にはそれと少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する配列を含む(又はこれらの配列からなる)。一実施形態では、参照HSV-1 DNA polポリペプチドは、配列番号4の配列又はそれと少なくとも90%の配列同一性、適切にはそれと少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する配列を含む(又はこれらの配列からなる)。一実施形態では、参照HSV-2 TK核酸は、配列番号5の配列又はそれと少なくとも90%の配列同一性、適切にはそれと少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する配列を含む(又はこれらの配列からなる)。一実施形態では、参照HSV-2 TKポリペプチドは、配列番号6の配列又はそれと少なくとも90%の配列同一性、適切にはそれと少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する配列を含む(又はこれらの配列からなる)。一実施形態では、参照HSV-2 DNA pol核酸は、配列番号7の配列又はそれと少なくとも90%の配列同一性、適切にはそれと少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する配列を含む(又はこれらの配列からなる)。一実施形態では、参照HSV-2 DNA polポリペプチドは、配列番号8の配列又はそれと少なくとも90%の配列同一性、適切にはそれと少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する配列を含む(又はこれらの配列からなる)。
【0112】
参照HSV-1 TKポリペプチドは、G8HBD6、C0L307、C0L309、A0A0U2UZK2、I2FEY2、C0L308、K4JR12及びC0L314から選択される、UniProt受入番号で得ることができる配列を含むことができる。参照HSV-1 DNA polポリペプチドは、G8HBE4、E1B1U3、P04293、I1YAD1、I1YAC1、I1YA98、A0A1C3K996及びE1B1Y8から選択される、UniProt受入番号で得ることができる配列を含むことができる。参照HSV-2 TKポリペプチドは、P89446、Q6L709、E1B1R4、E1B1Y2、A0A0B4WW69、A0A0K0KND3、E1B1Y1及びA0A0B4WUV0から選択される、UniProt受入番号で得ることができる配列を含むことができる。参照HSV-2 DNA polポリペプチドは、P89453、E1B1W8、E1B202、E1B1X6、E1B212、A0A1U9ZMP4、A0A1U9ZLW2、I1YAG2及びA0A0K0KNB4から選択される、UniProt受入番号で得ることができる配列を含むことができる。
【0113】
参照HSV配列は、本発明の(すなわち本発明のステップを構成する)方法内において又は本発明の方法とは無関係の方法で得ることができる。一実施形態では、本発明の方法は、参照HSV配列を得るステップを含み、好ましくは、参照HSV配列は、本明細書に記載した抗ウイルス薬に対して耐性でないHSVの配列である。一実施形態では、参照HSV配列は、本発明の方法とは無関係の方法で得られ、本発明の検出及び/又は特定ステップ中に利用される。
【0114】
一実施形態では、本明細書に記載したTK変異に関連して使用される場合の用語「少なくとも1つの」は、TK多型の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22個又はすべてを意味する。一実施形態では、本明細書に記載したDNA pol変異に関連して使用される場合の用語「少なくとも1つの」は、DNA pol変異の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、10個又はすべてを意味する。
【0115】
本明細書に記載した通りの抗ウイルス薬耐性をもたらす変異は、抗ウイルス薬耐性をもたらさない「抗ウイルス薬耐性とは関連しない変異」(例えば、「非抗ウイルス薬耐性関連の変異」又は「非抗ウイルス薬耐性関連の多型」)と異なる。HSVは、多数の「抗ウイルス薬耐性とは関連しない変異」を含むことができ、その多くは、自然に発生し、HSVポリペプチドの構造及び/又は機能を変えない。本発明者らは、いくつかの「天然の」変異、すなわち非抗ウイルス薬耐性関連の変異を特定した。さらに、本発明者らは、前記「抗ウイルス薬耐性とは関連しない変異」の1つ以上を含むHSVの表現型、すなわち抗ウイルス薬に対する感受性を解明した。本明細書に記載した通りの「抗ウイルス薬耐性とは関連しない変異」は、抗ウイルス薬に対する耐性をもたらさないものである。有利には、こうした「天然の」多型の検出により、耐性関連の変異の解釈(例えば、耐性関連の変異のデータベースの解釈及びその検出のためのアルゴリズム)の頑健性が増大する。有利には、こうした「天然の」多型を提供することにより、本発明は、抗ウイルス薬耐性の偽陽性検出の問題を回避する。
【0116】
HSV-1のTK配列中の、抗ウイルス薬耐性とは関連しない変異(対応する/得られるアミノ酸置換がカッコ内に示される)は、110C>T(A37V)、205C>A(L69M)、1072A>C又は1072A>T(I358L)、574G>A(A192T)、766C>T(R256W)から選択される1つ以上のものであり得る。
【0117】
HSV-2のTK配列中の、抗ウイルス薬耐性とは関連しない変異(対応する/得られるアミノ酸置換がカッコ内に示される)は、100C>T(R34C)、373G>A(A125T)、639A>C若しくは639A>T(E213D)又は1094T>C(L365P)(好ましくは373G>A、639A>C若しくは639A>T又は1094T>C)から選択される1つ以上のものであり得る。
【0118】
HSV-1のDNA pol配列中の、抗ウイルス薬耐性とは関連しない変異(対応する/得られるアミノ酸置換がカッコ内に示される)は、64G>A(G22R)、160A>G(T54A)、248A>C(D83A)、361G>A(G121S)、415G>A又は415G>C(G139R)、716C>T(S239L)、1255C>A(L419I)、2039A>C(E680A)、2042G>A(R681Q)、2249A>C(K750T)、2548G>C(E850Q)、2732G>A(S911N)、2741C>T(S914L)、2915C>T(A972V)、2954G>A(G985E)、2974G>A(E992K)、2977C>T(R993C)、3137A>C(N1046T)、3343G>A(A1115T)、3359A>C(E1120A)、3505G>A(A1169T)及び3595C>A(P1199T)から選択される1つ以上のものであり得る。
【0119】
HSV-2のDNA pol配列中の、抗ウイルス薬耐性とは関連しない変異(対応する/得られるアミノ酸置換がカッコ内に示される)は、520G>T(D174Y)、1339A>C又は1339A>T(M447L)、1481T>C(M494T)、2141A>G(H714R)、2281G>A(E761K)、2323C>T(R775C)、2325C>G(R775W)及び2326G>C(E776Q)から選択される1つ以上のものであり得る。
【0120】
代わりに又はさらに(好ましくはさらに)、本発明の方法は、
a.110C>T、205C>A、1072A>C、1072A>T、574G>A及び766C>Tから選択される1つ以上のHSV-1 TK変異(例えば、天然の変異)を特定すること;
b.100C>T、373G>A、639A>C又は639A>T及び1094T>C(好ましくは373G>A、639A>C若しくは639A>T又は1094T>C)から選択される1つ以上のHSV-2 TK変異(例えば、天然の変異)を特定すること;
c.64G>A、160A>G、248A>C、361G>A、415G>A又は415G>C、7160T、1255C>A、2039A>C、2042G>A、2249A>C、2548G>C、2732G>A、2741C>T、2915C>T、2954G>A、2974G>A、2977C>T、3137A>C、3343G>A、3359A>C、3505G>A及び3595C>Aから選択される1つ以上のHSV-1 DNA Pol変異(例えば、天然の変異)を特定すること;及び/又は
d.520G>T、1339A>C又は1339A>T、1481T>C、2141A>G、2281G>A、2323C>T、2325C>G及び2326G>Cから選択される1つ以上のHSV-2 DNA Pol変異(例えば、天然の変異)を特定すること
を含み、ここで、前記1つ以上のHSV変異の存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの非存在を示唆する。
【0121】
代わりに又はさらに(好ましくはさらに)、本発明の方法は、
a.A37V、L69M、I358L、A192T及びR256Wから選択される1つ以上のHSV-1 TK多型(例えば、天然の多型)を特定すること;
b.R34C、A125T、E213D及びL365P(好ましくはA125T、E213D又はL365P)から選択される1つ以上のHSV-2 TK多型(例えば、天然の多型)を特定すること;
c.G22R、T54A、D83A、G121S、G139R、S239L、L419I、E680A、R681Q、K750T、E850Q、S911N、S914L、A972V、G985E、E992K、R993C、N1046T、A1115T、E1120A、A1169T及びP1199Tから選択される1つ以上のHSV-1 DNA Pol多型(例えば、天然の多型)を特定すること;及び/又は
d.D174Y、M447L、M494T、H714R、E761K、R775C、R775W及びE776Qから選択される1つ以上のHSV-2 DNA Pol多型(例えば、天然の多型)を特定すること
を含み、ここで、前記1つ以上のHSV多型の存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの非存在を示唆する。
【0122】
一態様では、本発明は、抗ウイルス薬耐性HSV(例えば、HSV-1及び/又はHSV-2)感染症を治療するのに適した治療薬を特定するための方法であって、
a.候補となる治療薬の存在下で被験試料をインキュベートすることであって、前記被験試料は、(i)100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、376C>T(HSV-2)、146T>G(HSV-1)、250G>A(HSV-2)、253A>C(HSV-1)、256A>C(HSV-2)、363G>A(HSV-1)、366G>A(HSV-2)、497T>A(HSV-1)、500T>A(HSV-2)、558G>T(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、718T>C(HSV-2)、935T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、276delG(HSV-2)、278delG(HSV-2)、279delG(HSV-2)、280delG(HSV-2)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択されるTK変異;及び(ii)1879C>G(HSV-1)、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2420T>G(HSV-2)、2500G>T(HSV-1)、2515G>T(HSV-2)、2515A>G(HSV-1)、2530A>G(HSV-2)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)、2895_2896insT(HSV-1)、2907_2908insT(HSV-2)、2908_2909insT(HSV-2)、2909_2910insT(HSV-2)及び2910_2911insT(HSV-2)から選択されるDNA pol変異から選択される1つ以上の変異を含むHSVを含む、インキュベートすること;
b.被験試料における前記1つ以上の変異を含む前記HSVのウイルス量が、対照試料(ここで、対照試料は、抗ウイルス薬の非存在下でインキュベートされる)における前記1つ以上の変異を含むHSVのウイルス量よりも低い場合、前記候補となる治療薬を、抗ウイルス薬耐性HSV感染症を治療するのに適していると特定すること;又は
c.被験試料における前記1つ以上の変異を含む前記HSVのウイルス量が、対照試料(ここで、対照試料は、抗ウイルス薬の非存在下でインキュベートされる)における前記1つ以上の変異を含むHSVのウイルス量と同じである(又はより大きい)場合、前記候補となる治療薬を、抗ウイルス薬耐性HSV感染症を治療するのに適していないと特定する
ことを含む方法を提供する。
【0123】
好ましい実施形態では、前記チミジンキナーゼ(TK)変異は、250G>A(HSV-2)、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択される。好ましい実施形態では、前記DNAポリメラーゼ(DNA pol)変異は、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)、2515A>G(HSV-1)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び2895_2896insT(HSV-1)から選択される。
【0124】
当業者は、本発明の方法が2つの試料間の(例えば、「被験試料」と「対照試料」との間の)比較ステップを含む場合、その条件(例えば、その方法中の分析条件)が一定に保たれるべきであることを理解する。例えば、HSVのウイルス量(例えば、開始ウイルス量)は、被験試料と対照試料において同じであるべきであり、培養条件なども同じであるべきである。
【0125】
対照試料中の前記1つ以上の変異を含むHSVのウイルス量は、本発明の(すなわち本発明のステップを構成する)方法内において又は本発明の方法とは無関係の方法で決定することができる。一実施形態では、本発明の方法は、抗ウイルス薬の非存在下で対照試料をインキュベートするステップを含む。一実施形態では、対照試料における前記1つ以上の変異を含むHSVの濃度は、本発明の方法とは無関係の方法で得られ、本発明の比較ステップ中に利用される。
【0126】
別の態様は、抗ウイルス薬耐性HSV(例えば、HSV-1及び/又はHSV-2)に感染した対象におけるHSV治療法の有効性をモニタリングするための方法であって、
a.前記治療法を施された患者からの単離された試料を提供すること;
b.(i)100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、376C>T(HSV-2)、146T>G(HSV-1)、250G>A(HSV-2)、253A>C(HSV-1)、256A>C(HSV-2)、363G>A(HSV-1)、366G>A(HSV-2)、497T>A(HSV-1)、500T>A(HSV-2)、558G>T(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、718T>C(HSV-2)、935T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、276delG(HSV-2)、278delG(HSV-2)、279delG(HSV-2)、280delG(HSV-2)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択されるTK変異;及び(ii)1879C>G(HSV-1)、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2420T>G(HSV-2)、2500G>T(HSV-1)、2515G>T(HSV-2)、2515A>G(HSV-1)、2530A>G(HSV-2)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)、2895_2896insT(HSV-1)、2907_2908insT(HSV-2)、2908_2909insT(HSV-2)、2909_2910insT(HSV-2)及び2910_2911insT(HSV-2)から選択されるDNA pol変異から選択される前記1つ以上の変異を含むHSVの濃度を検出すること;
c.ステップ(b)において検出された前記1つ以上の変異を含むHSVのウイルス量を、より早い時点で対象から得られた単離された試料における前記1つ以上の変異を含むHSVのウイルス量と比較することにより、前記1つ以上の変異を含む前記HSVのウイルス量の相対的変化を決定し;且つウイルス量が低下した場合に有効性の存在を確認し;且つウイルス量が増大した(又は変化しなかった)場合に有効性の非存在を確認すること
を含む方法を提供する。
【0127】
好ましい実施形態では、前記チミジンキナーゼ(TK)変異は、250G>A(HSV-2)、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択される。好ましい実施形態では、前記DNAポリメラーゼ(DNA pol)変異は、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)、2515A>G(HSV-1)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び2895_2896insT(HSV-1)から選択される。
【0128】
用語「より早い時点」は、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも4週、少なくとも8週、少なくとも12週、少なくとも16週、少なくとも20週、少なくとも30週、少なくとも40週、少なくとも52週、少なくとも2年、少なくとも3年又は少なくとも4年前の時点を指すことができる。
【0129】
一態様では、抗ウイルス薬耐性HSV(例えば、HSV-1及び/又はHSV-2)の感染症を治療するための方法であって、
a.抗ウイルス薬耐性HSVが、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、376C>T(HSV-2)、146T>G(HSV-1)、250G>A(HSV-2)、253A>C(HSV-1)、256A>C(HSV-2)、363G>A(HSV-1)、366G>A(HSV-2)、497T>A(HSV-1)、500T>A(HSV-2)、558G>T(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、718T>C(HSV-2)、935T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、276delG(HSV-2)、278delG(HSV-2)、279delG(HSV-2)、280delG(HSV-2)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択されるTK変異を含むことを確認することと;
b.ホスカルネット、シドフォビル薬物及びドコサノールから選択される薬物を前記対象に投与することと
を含む方法において使用するための抗ウイルス薬が提供される。
【0130】
好ましい実施形態では、前記チミジンキナーゼ(TK)変異は、250G>A(HSV-2)、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択される。
【0131】
適切には、抗ウイルス薬は、ホスカルネット、シドフォビル薬物、ドコサノール、BAY 54-6322、ASP2151及びBAY 57-1293から選択される。
【0132】
一態様では、抗ウイルス薬耐性HSV(例えば、HSV-1及び/又はHSV-2)の感染症を治療するための方法であって、
a.抗ウイルス薬耐性HSVが、1879C>G(HSV-1)、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2420T>G(HSV-2)、2500G>T(HSV-1)、2515G>T(HSV-2)、2515A>G(HSV-1)、2530A>G(HSV-2)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)、2895_2896insT(HSV-1)、2907_2908insT(HSV-2)、2908_2909insT(HSV-2)、2909_2910insT(HSV-2)及び2910_2911insT(HSV-2)から選択されるDNA Pol変異を含むことを確認することと;
b.ドコサノール薬物、BAY 54-6322、ASP2151及びBAY 57-1293から選択される薬物を前記対象に投与することと
を含む方法において使用するための抗ウイルス薬が提供される。
【0133】
好ましい実施形態では、前記DNAポリメラーゼ(DNA pol)変異は、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)、2515A>G(HSV-1)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び2895_2896insT(HSV-1)から選択される。
【0134】
一態様では、
a.試料中の抗ウイルス薬耐性HSVの存在又は非存在を検出すること;
b.抗ウイルス薬耐性HSVの感染症を診断すること;
c.抗ウイルス薬耐性HSVの感染症の予後を決定すること;
d.抗ウイルス薬耐性HSVを治療するのに適した治療法を特定すること;又は
e.HSV治療法の有効性をモニタリングすること
のための、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、376C>T(HSV-2)、146T>G(HSV-1)、250G>A(HSV-2)、253A>C(HSV-1)、256A>C(HSV-2)、363G>A(HSV-1)、366G>A(HSV-2)、497T>A(HSV-1)、500T>A(HSV-2)、558G>T(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、718T>C(HSV-2)、935T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、276delG(HSV-2)、278delG(HSV-2)、279delG(HSV-2)、280delG(HSV-2)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択されるTK変異又はその組み合わせの使用が提供される。
【0135】
好ましい実施形態では、前記チミジンキナーゼ(TK)変異は、250G>A(HSV-2)、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択される。
【0136】
別の態様では、
a.試料中の抗ウイルス薬耐性HSVの存在又は非存在を検出すること;
b.抗ウイルス薬耐性HSVの感染症を診断すること;
c.抗ウイルス薬耐性HSVの感染症の予後を決定すること;
d.抗ウイルス薬耐性HSVを治療するのに適した治療法を特定すること;又は
e.HSV治療法の有効性をモニタリングすること
のための、1879C>G(HSV-1)、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2420T>G(HSV-2)、2500G>T(HSV-1)、2515G>T(HSV-2)、2515A>G(HSV-1)、2530A>G(HSV-2)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)、2895_2896insT(HSV-1)、2907_2908insT(HSV-2)、2908_2909insT(HSV-2)、2909_2910insT(HSV-2)及び2910_2911insT(HSV-2)から選択されるDNA pol変異又はその組み合わせの使用が提供される。
【0137】
好ましい実施形態では、前記DNAポリメラーゼ(DNA pol)変異は、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)、2515A>G(HSV-1)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び2895_2896insT(HSV-1)から選択される。
【0138】
一態様では、
a.試料中の抗ウイルス薬耐性HSVの存在又は非存在を検出すること;
b.抗ウイルス薬耐性HSVの感染症を診断すること;
c.抗ウイルス薬耐性HSVの感染症の予後を決定すること;
d.抗ウイルス薬耐性HSVを治療するのに適した治療法を特定すること;又は
e.HSV治療法の有効性をモニタリングすること
のための、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、376C>T(HSV-2)、146T>G(HSV-1)、250G>A(HSV-2)、253A>C(HSV-1)、256A>C(HSV-2)、363G>A(HSV-1)、366G>A(HSV-2)、497T>A(HSV-1)、500T>A(HSV-2)、558G>T(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、718T>C(HSV-2)、935T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、276delG(HSV-2)、278delG(HSV-2)、279delG(HSV-2)、280delG(HSV-2)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)由来のTK多型変異;及び1879C>G(HSV-1)、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2420T>G(HSV-2)、2500G>T(HSV-1)、2515G>T(HSV-2)、2515A>G(HSV-1)、2530A>G(HSV-2)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)、2895_2896insT(HSV-1)、2907_2908insT(HSV-2)、2908_2909insT(HSV-2)、2909_2910insT(HSV-2)及び2910_2911insT(HSV-2)から選択されるDNA pol変異から選択されるHSV変異又はその組み合わせの使用が提供される。
【0139】
好ましい実施形態では、前記チミジンキナーゼ(TK)変異は、250G>A(HSV-2)、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択される。好ましい実施形態では、前記DNAポリメラーゼ(DNA pol)変異は、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)、2515A>G(HSV-1)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び2895_2896insT(HSV-1)から選択される。
【0140】
一実施形態では、本発明の方法又は使用は、前記1つ以上のHSV変異の存在又は非存在を検出するステップで得られたデータを好適なデータ担体上に記録するステップを含む。
【0141】
一態様では、本発明の方法に従って1つ以上のHSV変異を特定するステップで得られたデータを含むデータ担体が提供される。別の態様では、抗ウイルス薬耐性HSVの感染症を診断するための方法において使用するための、本発明の方法に従って前記1つ以上のHSV変異の存在又は非存在を検出するステップで得られたデータを含むデータ担体が提供される。
【0142】
別の態様では、(i)100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、376C>T(HSV-2)、146T>G(HSV-1)、250G>A(HSV-2)、253A>C(HSV-1)、256A>C(HSV-2)、363G>A(HSV-1)、366G>A(HSV-2)、497T>A(HSV-1)、500T>A(HSV-2)、558G>T(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、718T>C(HSV-2)、935T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、276delG(HSV-2)、278delG(HSV-2)、279delG(HSV-2)、280delG(HSV-2)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)から選択されるTK変異;及び(ii)1879C>G(HSV-1)、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2420T>G(HSV-2)、2500G>T(HSV-1)、2515G>T(HSV-2)、2515A>G(HSV-1)、2530A>G(HSV-2)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)、2895_2896insT(HSV-1)、2907_2908insT(HSV-2)、2908_2909insT(HSV-2)、2909_2910insT(HSV-2)及び2910_2911insT(HSV-2)から選択されるDNA pol変異から選択される1つ以上のHSV変異の存在又は非存在を検出する(例えば、特定する)ための試薬と;試薬の使用のための説明書とを含むキットが提供される。
【0143】
好ましい実施形態では、前記チミジンキナーゼ(TK)変異は、250G>A(HSV-2)、100C>T(HSV-1)、268C>T(HSV-2)、373C>T(HSV-1)、146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、938T>C(HSV-2)、437_438insA(HSV-1)、169delC(HSV-1)、170delC(HSV-1)、171delC(HSV-1)、172delC(HSV-1)、458delC(HSV-2)、459delC(HSV-2)、460delC(HSV-2)、461delC(HSV-2)、881delC(HSV-1)、882delC(HSV-1)、883delC(HSV-1)、884delC(HSV-1)及び885delC(HSV-1)から選択される。好ましい実施形態では、前記DNAポリメラーゼ(DNA pol)変異は、1882C>G(HSV-2)、2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)、2515A>G(HSV-1)、2892_2893insT(HSV-1)、2893_2894insT(HSV-1)、2894_2895insT(HSV-1)及び2895_2896insT(HSV-1)から選択される。
【0144】
一実施形態では、前記キットの試薬は、DNA配列決定、シーケンスキャプチャ、質量分析、ウエスタンブロット、酵素活性アッセイ及び/又は酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)(例えば、好ましくはDNA配列決定)(例えば、好ましくは質量分析)により、1つ以上のHSV変異の存在又は非存在を検出するためのものである。
【0145】
ポリペプチド多型
本発明者らは、本明細書に記載した変異によってもたらされるポリペプチド多型も特定した。
【0146】
変異(例えば、核酸配列変異)に関連するすべての態様、実施形態及び定義は、対応する態様/実施形態にも適用可能であり、ここで、「変異」は、対応する「多型」(例えば、ポリペプチド多型)によって単純に置き換えられる。好ましい変異の対応する多型を表1~3に示す。
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
1882C>GのHSV-2 DNA pol変異は、R628G多型をもたらす。適切には、前記変異/多型を含むHSV-2は、アシクロビルに対する弱い/中程度の耐性を有する。
【0151】
一態様では、(例えば、対象における)抗ウイルス薬耐性HSVの存在又は非存在を検出するための方法であって、
a.1つ以上のHSV多型であって、
i.Q34*(HSV-1)、Q90*(HSV-2)、Q125*(HSV-1)、Q126*(HSV-2)、L49R(HSV-1)、E84K(HSV-2)、M85L(HSV-1)、M86L(HSV-2)、M121I(HSV-1)、M122I(HSV-2)、I166N(HSV-1)、I167N(HSV-2)、Q186H(HSV-2)、Y239H(HSV-1)、Y240H(HSV-2)、L312S(HSV-1)、L313S(HSV-2)、T183*(HSV-1)、M85*(HSV-1)、L98*(HSV-2)、M183*(HSV-2)、A294fs(HSV-1)、P295fs(HSV-1)、E296fs(HSV-1)から選択されるチミジンキナーゼ(TK)多型;及び
ii.R627G(HSV-1)、R628G(HSV-2)、L802R(HSV-1)、L807R(HSV-2)、A834S(HSV-1)、A839S(HSV-2)、T839A(HSV-1)、T844A(HSV-2)、I966*(HSV-1)及び1971*(HSV-2)から選択されるDNAポリメラーゼ(DNA pol)多型
から選択される1つ以上のHSV多型を特定することを含み、前記1つ以上のHSV多型の存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの存在を確認し、及び前記1つ以上のHSV多型の非存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの非存在を示唆する、方法が提供される。
【0152】
任意選択的に、ポリペプチドにおける多型の識別を表すために、多型の記載の前に記号p.が付くこともある。例えば、多型L49Rは、p.L49Rと称することができる。
【0153】
一態様では、対象における抗ウイルス薬耐性HSVの感染症を治療するための方法であって、
a.抗ウイルス薬耐性HSVが、Q34*(HSV-1)、Q90*(HSV-2)、Q125*(HSV-1)、Q126*(HSV-2)、L49R(HSV-1)、E84K(HSV-2)、M85L(HSV-1)、M86L(HSV-2)、M121I(HSV-1)、M122I(HSV-2)、I166N(HSV-1)、I167N(HSV-2)、Q186H(HSV-2)、Y239H(HSV-1)、Y240H(HSV-2)、L312S(HSV-1)、L313S(HSV-2)、T183*(HSV-1)、M85*(HSV-1)、L98*(HSV-2)、M183*(HSV-2)、A294fs(HSV-1)、P295fs(HSV-1)、E296fs(HSV-1)から選択されるTK多型を含むことを確認することと;
b.ホスカルネット、シドフォビル薬物及びドコサノールから選択される薬物を前記対象に投与することと
を含む方法が提供される。
【0154】
一実施形態では、ステップb.は、ホスカルネット薬物、シドフォビル薬物、ドコサノール薬物、BAY 54-6322、ASP2151及びBAY 57-1293から選択される薬物を前記対象に投与することを含む。
【0155】
一態様では、対象における抗ウイルス薬耐性HSVの感染症を治療するための方法であって、
a.抗ウイルス薬耐性HSVが、R627G(HSV-1)、R628G(HSV-2)、L802R(HSV-1)、L807R(HSV-2)、A834S(HSV-1)、A839S(HSV-2)、T839A(HSV-1)、T844A(HSV-2)、I966*(HSV-1)及び1971*(HSV-2)から選択されるDNA Pol多型を含むことを確認することと;
b.ドコサノール薬物、BAY 54-6322、ASP2151及びBAY 57-1293から選択される薬物を前記対象に投与することと
を含む方法が提供される。
【0156】
一態様では、抗ウイルス薬耐性HSV(例えば、HSV-1及び/又はHSV-2)の感染症を治療するための方法であって、
a.抗ウイルス薬耐性HSVが、Q34*(HSV-1)、Q90*(HSV-2)、Q125*(HSV-1)、Q126*(HSV-2)、L49R(HSV-1)、E84K(HSV-2)、M85L(HSV-1)、M86L(HSV-2)、M121I(HSV-1)、M122I(HSV-2)、I166N(HSV-1)、I167N(HSV-2)、Q186H(HSV-2)、Y239H(HSV-1)、Y240H(HSV-2)、L312S(HSV-1)、L313S(HSV-2)、T183*(HSV-1)、M85*(HSV-1)、L98*(HSV-2)、M183*(HSV-2)、A294fs(HSV-1)、P295fs(HSV-1)、E296fs(HSV-1)から選択されるTK多型を含むことを確認することと;
b.ホスカルネット、シドフォビル薬物及びドコサノールから選択される薬物を前記対象に投与することと
を含む方法において使用するための抗ウイルス薬が提供される。
【0157】
一実施形態では、ステップb.は、ホスカルネット薬物、シドフォビル薬物、ドコサノール薬物、BAY 54-6322、ASP2151及びBAY 57-1293から選択される薬物を前記対象に投与することを含む。
【0158】
一態様では、抗ウイルス薬耐性HSV(例えば、HSV-1及び/又はHSV-2)の感染症を治療するための方法であって、
a.前記抗ウイルス薬耐性HSVが、R627G(HSV-1)、R628G(HSV-2)、L802R(HSV-1)、L807R(HSV-2)、A834S(HSV-1)、A839S(HSV-2)、T839A(HSV-1)、T844A(HSV-2)、I966*(HSV-1)及び1971*(HSV-2)から選択されるDNA Pol多型を含むことを確認することと;
b.ドコサノール薬物、BAY 54-6322、ASP2151及びBAY 57-1293から選択される薬物を前記対象に投与することと
を含む方法において使用するための抗ウイルス薬が提供される。
【0159】
別の態様では、(i)Q34*(HSV-1)、Q90*(HSV-2)、Q125*(HSV-1)、Q126*(HSV-2)、L49R(HSV-1)、E84K(HSV-2)、M85L(HSV-1)、M86L(HSV-2)、M121I(HSV-1)、M122I(HSV-2)、I166N(HSV-1)、I167N(HSV-2)、Q186H(HSV-2)、Y239H(HSV-1)、Y240H(HSV-2)、L312S(HSV-1)、L313S(HSV-2)、T183*(HSV-1)、M85*(HSV-1)、L98*(HSV-2)、M183*(HSV-2)、A294fs(HSV-1)、P295fs(HSV-1)、E296fs(HSV-1)から選択されるTK多型;及び(ii)R627G(HSV-1)、R628G(HSV-2)、L802R(HSV-1)、L807R(HSV-2)、A834S(HSV-1)、A839S(HSV-2)、T839A(HSV-1)、T844A(HSV-2)、I966*(HSV-1)及び1971*(HSV-2)から選択されるDNAポリメラーゼ(DNA pol)多型から選択される1つ以上のHSV変異の存在又は非存在を検出するための試薬と;試薬の使用のための説明書とを含むキットが提供される。
【0160】
好ましい実施形態では、前記TK多型は、E84K(HSV-2)、Q34*(HSV-1)、Q90*(HSV-2)、Q125*(HSV-1)、L49R(HSV-1)、M121I(HSV-1)、I166N(HSV-1)、Q186H(HSV-2)、H214R(HSV-2)、E146fs(HSV-1)、D228*(HSV-1)、Y239H(HSV-1)、L313S(HSV-2)、T183*(HSV-1)、H58fs(HSV-1)、M85*(HSV-1)、P154fs(HSV-2)、M183*(HSV-2)、A294fs(HSV-1)、P295fs(HSV-1)及びE296fs(HSV-1)から選択される。好ましい実施形態では、R628G(HSV-2)、L802R(HSV-1)、A834S(HSV-1)、T839A(HSV-1)、F965_l966insF(HSV-1)及び1966*(HSV-1)である。
【0161】
本発明の方法は、HSVの核酸における変異及び/又はHSVのポリペプチド配列における多型を特定することを包含する。したがって、変異又は多型は、核酸変異又は得られるアミノ酸多型によって記載することができる。例えば、HSV-1 TKの核酸配列における「611T>G」一塩基多型は、前記HSV-1 TKのポリペプチド配列におけるアミノ酸多型(例えば、置換)「V204G」をもたらす。したがって、一実施形態では、核酸変異が特定される。別の実施形態では、ポリペプチド多型が特定される。
【0162】
本明細書に記載した変異から得られるポリペプチド多型について以下に概説する。したがって、変異は、ヌクレオチド配列内で直接的に又はポリペプチド配列内で(例えば、得られたポリペプチド多型の存在又は非存在を検出することによって変異の存在又は非存在を推測することにより)検出することができる。本明細書での「1つ以上のHSV変異を特定すること」に対するすべての言及は、「1つ以上のHSV多型を特定すること」で置換することができる。
【0163】
一実施形態では、TK及び/又はDNA Pol多型は、終止コドン(例えば、早期終止コドン)である。
【0164】
一実施形態では、HSV-1 TK終止コドン(例えば、早期終止コドン)ポリペプチド多型は、Q34*(又はQ34X)、Q125*(又はQ125X)、M85*(又はM85X)及びT183*(又はT183X)から選択される。一実施形態では、HSV-2 TK終止コドン(例えば、早期終止コドン)ポリペプチド多型は、Q126*(又はQ126X)、Q90*(又はQ90X)及びL98*(又はL98X)(好ましくはQ126*)から選択される。
【0165】
一実施形態では、HSV-1 DNA pol終止コドン(例えば、早期終止コドン)ポリペプチド多型は、I966*(又はG966X)である。
【0166】
一実施形態では、HSV-1 TK終止コドン(例えば、早期終止コドン)ポリペプチド多型は、Q34*(又はQ34X)、Q125*(又はQ125X)、M85*(又はM85X)及びT183*(又はT183X)から選択され;HSV-2 TK終止コドン(例えば、早期終止コドン)ポリペプチド多型は、Q126*(又はQ126X)、Q90*(又はQ90X)及びL98*(又はL98X)から選択され;HSV-1 DNA pol終止コドン(例えば、早期終止コドン)ポリペプチド多型は、I966*(又はI966X)である。
【0167】
当業者は、アスタリスク記号「*」(又は代替の命名法では「X」記号)が、言及されたアミノ酸が、それをコードするコドンが終止コドン(例えば、TAA、TAG又はTGA)と置換されることから表されないことを示すことを理解する。例えば、終止コドン多型がQ34*(又はQ34X)である場合、これは、TKポリペプチド配列の第34位のグルタミン(「Q」)が翻訳されないこと及びポリペプチドの翻訳がアミノ酸33の後で止まることを意味する。したがって、TKポリペプチドは、切り詰められる。
【0168】
一実施形態では、TK及び/又はDNA Pol多型は、(アミノ酸)置換である。
【0169】
一実施形態では、HSV-1 TK置換多型は、L49R、M85L、M121I、I166N、Y239H及びL312S(好ましくはL49R、M121I、I166N及び/又はY239H)から選択される。一実施形態では、HSV-2 TK置換多型は、E84K、M86L、M122I、I167N、Q186H、Y240H及びL313S(好ましくはE84K、Q186H及び/又はL313S)から選択される。
【0170】
一実施形態では、HSV-1 DNA pol置換多型は、R627G、L802R、A834S及びT839A(好ましくはL802R、A834S及び/又はT839A)から選択される。一実施形態では、HSV-2 DNA pol置換多型は、R628G、L807R、A839S及びT844A(好ましくはR628G)から選択される。
【0171】
一実施形態では、HSV-1 TK置換多型は、L49R、M85L、M121I、1166N、Y239H及びL312S(好ましくはL49R、M121I、I166N及び/又はY239H)から選択され;HSV-2 TK置換多型は、E84K、M86L、M122I、I167N、Q186H、Y240H及びL313S、好ましくはE84K、Q186H及び/又はL313S)から選択され;HSV-1 DNA pol置換多型は、R627G、L802R、A834S及びT839A(好ましくはL802R、A834S及び/又はT839A)から選択され;HSV-2 DNA pol置換多型は、R628G、L807R、A839S及びT844A(好ましくはR628G)から選択される。
【0172】
当業者は、置換多型に関連して本明細書で使用される命名法を理解する。例えば、置換多型がL49Rである場合、これは、TKポリペプチド配列の第49位のリジン(「L」)アミノ酸がアルギニン(「R」)で置換されることを意味する。
【0173】
一実施形態では、TK及び/又はDNA Pol多型は、フレームシフトである。
【0174】
一実施形態では、HSV-1 TKフレームシフト多型は、E146FS、H58fs及びE296fsから選択される。一実施形態では、HSV-1 TKフレームシフト多型は、A294fs、P295fs及びE296fsから選択される。
【0175】
記号「fs」は、言及されたアミノ酸から始まる(例えば、ポリペプチド配列の残部全体にわたる)フレームシフトを表す。
【0176】
好ましい実施形態では、本明細書に記載した多型の1つ以上(好ましくはすべて)が参照(例えば、野生型)HSV配列中に存在しない。
【0177】
アミノ酸
本発明に関連するアミノ酸について以下に概要を示す。前記アミノ酸についての1文字略号をカッコ内に示す。
塩基性:アルギニン(R)、リジン(K)、ヒスチジン(H)
酸性:グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)
極性:グルタミン(Q)、アスパラギン(B)
疎水性:ロイシン(L)、イソロイシン(I)、バリン(V)
芳香族:フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)
低分子:グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、メチオニン(M)
【0178】
本発明のポリペプチド中のアミノ酸は、部位特異的変異誘発又はアラニンスキャニング変異誘発など、当技術分野で公知の手順に従って特定することができる(Cunningham and Wells, Science 244: 1081-5, 1989)。推定上の接触部位アミノ酸の変異と併せて、核磁気共鳴、結晶学、電子回折又は光親和性標識などの技術によって決定される構造の物理分析により、生物学的相互作用の部位も決定することができる。例えば、de Vos et al., Science 255: 306-12, 1992;Smith et al., J. Mol. Biol. 224: 899-904, 1992;Wlodaver et al., FEBS Lett. 309: 59-64, 1992を参照されたい。
【0179】
Reidhaar-Olson and Sauer (Science 241: 53-7, 1988)又はBowie and Sauer (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 2152-6, 1989)によって開示されているものなど、変異誘発及びスクリーニングの公知の方法を使用して、複数のアミノ酸置換を行い、試験することができる。簡単に言うと、これらの著者は、ポリペプチド中の2つ以上の位置を同時にランダム化し、機能性のポリペプチドについて選択し、次いで変異誘発されたポリペプチドを配列決定して、各位置での許容可能な置換の範囲を決定するための方法を開示している。使用することができる他の方法には、ファージディスプレイ(例えば、Lowman et al., Biochem. 30: 10832-7, 1991;Ladner et al.の米国特許第5,223,409号;Huseの国際公開第92/06204号)及び領域特異的変異誘発(Derbyshire et al., Gene 46: 145, 1986;Ner et al., DNA 7: 127, 1988)が含まれる。
【0180】
配列同一性
本明細書に記載したいずれかの参照配列は、天然の配列変動に起因して、実質的に相同である(例えば、高い配列同一性を有する)としても、他のあらゆる参照(例えば、野生型)配列と異なる可能性がある。当業者は、こうした配列中で相同の/類似の核酸/ポリペプチド位置を特定するために適切な配列アラインメントを用いる方法も理解する。
【0181】
同一性(%)を決定するために、限定はされないが、グローバル方法、ローカル方法及びハイブリッド方法、例えばセグメントアプローチ方法などを含む様々な配列アラインメント方法のいずれかを使用することができる。同一性(%)を決定するためのプロトコルは、当業者の範囲内の通例の手順である。グローバル方法は、分子の先頭から末端までの配列を整列させ、個々の残基対のスコアを合計することにより、またギャップペナルティを課すことにより、最高のアラインメントを決定する。非制限的な方法としては、例えば、CLUSTAL W(例えば、Julie D. Thompson et al., CLUSTAL W: Improving the Sensitivity of Progressive Multiple Sequence Alignment Through Sequence Weighting, Position-Specific Gap Penalties and Weight Matrix Choice, 22 (22) Nucleic Acids Research 4673-4680 (1994)を参照されたい);及び反復改善法(例えば、Osamu Gotoh, Significant Improvement in Accuracy of Multiple Protein. Sequence Alignments by Iterative Refinement as Assessed by Reference to Structural Alignments, 264 (4) J .Mol. Biol. 823-838 (1996)を参照されたい)が含まれる。ローカル方法は、入力配列のすべてが共有する1つ以上の保存モチーフを特定することによって配列を整列させる。制限的な方法としては、例えば、Match-box(例えば、Eric Depiereux and Ernest Feytmans, Match-Box: A Fundamentally New Algorithm for the Simultaneous Alignment of Several Protein Sequences, 8 (5) CABIOS 501-509 (1992)を参照されたい);ギブズサンプリング(例えば、C. E. Lawrence et al., Detecting Subtle Sequence Signals: A Gibbs Sampling Strategy for Multiple Alignment, 262 (5131) Science 208-214(1993)を参照されたい);Align-M(例えば、Ivo Van Walle et al., Align-M -A New Algorithm for Multiple Alignment of Highly Divergent Sequences, 20 (9) Bioinformatics: 1428-1435 (2004)を参照されたい)が含まれる。
【0182】
したがって、配列同一性(%)は、従来の方法によって決定される。例えば、Altschul et al., Bull. Math. Bio. 48: 603-16, 1986及びHenikoff and Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915-19, 1992を参照されたい。簡単に言うと、10のギャップ開始ペナルティ、1のギャップ伸長ペナルティ及び下に示す通りのHenikoff and Henikoff(同上)の「blosum 62」スコア行列を使用するアラインメントスコアが最適化されるように、2つのアミノ酸配列を整列させる(アミノ酸は、標準の1文字略号によって示される)。
【0183】
配列同一性を決定するためのアラインメントスコア
【化1】
【0184】
次いで、同一性(%)を、
【数1】
として算出する。
【0185】
実質的に相同のポリペプチドは、1つ以上のアミノ酸置換、欠失又は付加を有するとして特徴付けられる。これらの変化は、保存的なアミノ酸置換(以下を参照されたい)及びポリペプチドの折り畳み又は活性に大きく影響を与えない他の置換;典型的には1~約30アミノ酸の小さい欠失;及びアミノ末端メチオニン残基などの小さいアミノ若しくはカルボキシル末端伸長、約20~25残基までの小さいリンカーペプチド又はアフィニティタグである、小さいものであることが好ましい。
【0186】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び科学用語は、本開示が属する技術分野の技術者によって共通に理解されるのと同じ意味を有する。Singleton, et al., DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY, 20 ED., John Wiley and Sons, New York (1994)及びHale&Marham, THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY, Harper Perennial, NY (1991)は、本開示で使用される用語の多くの一般的辞典を当業者に提供する。
【0187】
本開示は、本明細書に開示した例示的な方法及び材料によって限定されず、本明細書に記載したものと類似の又は均等なあらゆる方法及び材料を本開示の実施形態の実施又は試験において使用することができる。数値範囲には、範囲を定義する数字が含まれる。別に示されない限り、あらゆる核酸配列は、それぞれ5’から3’方向に左から右に記述され;アミノ酸配列は、アミノからカルボキシ方向に左から右に記述される。
【0188】
本明細書で提供される表題は、本開示の種々の態様又は実施形態の限定ではない。
【0189】
アミノ酸は、本明細書では、アミノ酸の名称、3文字略語又は1文字略語を使用して称される。用語「タンパク質」には、本明細書で使用する場合、タンパク質、ポリペプチド及びペプチドが含まれる。本明細書で使用する場合、用語「アミノ酸配列」は、用語「ポリペプチド」及び/又は用語「タンパク質」と同義である。ある種の場合、用語「アミノ酸配列」は、用語「ペプチド」と同義である。ある種の場合、用語「アミノ酸配列」は、用語「酵素」と同義である。用語「タンパク質」及び「ポリペプチド」は、本明細書では互換的に使用される。本開示及び特許請求の範囲では、アミノ酸についての従来の1文字略号及び3文字略号を使用することができる。アミノ酸残基についての3文字略号は、IUPACIUB共同生化学命名委員会(JCBN)に準拠して定義される。あるポリペプチドが、遺伝暗号の縮重に起因して、2つ以上のヌクレオチド配列によってコードされる可能性があることも理解されるであろう。
【0190】
本明細書全体を通して、用語の他の定義も出現する可能性がある。例示的な実施形態をより詳細に記載する前に、本開示は、記載した特定の実施形態に限定されず、したがって変更され得ることを理解するべきである。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されることとなるため、本明細書で使用される用語法は、単に特定の実施形態を説明する目的のものに過ぎず、限定の意図がないことも理解するべきである。
【0191】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の、文脈によってそうでないと明確に指示されない限り下限の単位の10分の1までの間にあるそれぞれの値も具体的に開示されることが理解されるであろう。規定された範囲内の任意の規定された値又は中間値と、その規定された範囲内の任意の他の規定された又は間にある値との間のより小さいそれぞれの範囲は、本開示に包含される。これらのより小さい範囲の上限と下限とは、独立に、範囲内に含めることも除外することもでき、制限の一方がより小さい範囲に含まれるか、若しくはいずれの制限も含まれないか、又は両方とも含まれる場合、それぞれの範囲は、本開示内に包含され、規定された範囲内のいかなる具体的に除外される制限も受ける。規定された範囲が制限の一方又は両方を含む場合、これらの含まれる制限の一方又は両方を除く範囲も本開示に含まれる。
【0192】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」には、文脈によってそうでないと明確に指示されない限り、複数の指示物が含まれることに留意しなければならない。したがって、例えば、「変異」に対する言及には、複数のこうした多型が含まれ、「その変異」に対する言及には、1つ以上の多型に対する言及及び当業者に公知のその均等物及びその他が含まれる。
【0193】
本明細書に取り上げた刊行物は、専ら本出願の出願日より前のその開示のために提供される。本明細書のいずれの内容も、こうした刊行物が本明細書に添付の特許請求の範囲に対する従来の技術を構成するという了解と解釈されるべきではない。
【0194】
図面の簡単な説明
ここで、本発明の実施形態を以下の図及び実施例に関して例示目的でのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【
図1A】抗ウイルス薬耐性と関連するTK及びDNA pol変異/多型を示す概略図を示す。下線が引かれた書体=本発明の耐性関連の変異/本発明者らによって最初に検出された天然の多型。*=終止コドン;i=挿入;d=欠失。HSV-1 TK 耐性関連の変異。
【
図1B】抗ウイルス薬耐性と関連するTK及びDNA pol変異/多型を示す概略図を示す。下線が引かれた書体=本発明の耐性関連の変異/本発明者らによって最初に検出された天然の多型。*=終止コドン;i=挿入;d=欠失。HSV-1 TK 天然の多型。
【
図1C】抗ウイルス薬耐性と関連するTK及びDNA pol変異/多型を示す概略図を示す。下線が引かれた書体=本発明の耐性関連の変異/本発明者らによって最初に検出された天然の多型。*=終止コドン;i=挿入;d=欠失。HSV-2 TK 耐性関連の変異。
【
図1D】抗ウイルス薬耐性と関連するTK及びDNA pol変異/多型を示す概略図を示す。下線が引かれた書体=本発明の耐性関連の変異/本発明者らによって最初に検出された天然の多型。*=終止コドン;i=挿入;d=欠失。HSV-2 TK多型。
【
図1E】抗ウイルス薬耐性と関連するTK及びDNA pol変異/多型を示す概略図を示す。下線が引かれた書体=本発明の耐性関連の変異/本発明者らによって最初に検出された天然の多型。*=終止コドン;i=挿入;d=欠失。HSV-1/HSV-2 DNA pol 耐性関連の変異。
【
図1F】抗ウイルス薬耐性と関連するTK及びDNA pol変異/多型を示す概略図を示す。下線が引かれた書体=本発明の耐性関連の変異/本発明者らによって最初に検出された天然の多型。*=終止コドン;i=挿入;d=欠失。HSV-1//HSV-2 DNA pol多型。
【発明を実施するための形態】
【0196】
実施例
材料及び方法
対象
耐性について検査及び検証される試料は、アイルランド、ロンドン、イングランドのミッドランド、北部、南部及び東部、スコットランド並びにウェールズから入手した。したがって、提供される結果は、幅広い地理的領域にわたって存在するHSV系統を代表するものである。試料は、HSVに感染し、且つ1つ以上の抗ウイルス薬(例えば、アシクロビル、ペンシクロビル、ホスカルネット、シドフォビル)での治療に応答(例えば、十分に応答)しなかった患者から単離した。
【0197】
試料調製
ウイルスは、典型的には、患者の病変部から採取した臨床スワブから単離した。ウイルスは、患者試料から直接的に培養するか、又はウイルス又はその関連セグメントを増幅させ、(例えば、特有の制限部位を使用して又は相同組換えによって)組換えベクターにクローニングした。次いで、組換えベクターを典型的には遺伝子導入によって細胞に導入して、組換え型及び/又はシュードタイプウイルスを産生する。
【0198】
単離されたウイルスを、典型的には例えばアフリカミドリザル腎臓細胞(ベロ細胞)の単層を使用して力価測定する。
【0199】
試料は、例えば、あらゆる患者特定可能情報の除去及び非特異的プロジェクト番号の割り当てによって匿名化した。
【0200】
変異の検出
変異は、典型的にはDNA配列決定によって検出した。
【0201】
配列決定のためのウイルスDNAを調製するために、コンフルエントな単層の細胞(例えば、ベロ細胞)を、5PFU/細胞で、細胞変性効果が明らかになるまで24から48時間感染させた。ウイルス上清を凍結融解によって回収し、0.45μMフィルターを通過させた。4mlのウイルス上清を20U/ml DNase(Promega)と共に37℃で3時間インキュベートし、その後、1.5ml 20%スクロースクッションに添加し、100,000gで1時間、遠心分離した。ウイルスペレットを、DNaseキレーターを含有するTEに再懸濁し、製造者の説明書に従って、Pure-Link Viral RNA/DNA Mini Kit(Invitrogen)で抽出した。代わりに、ウイルスDNAを、QIAamp DNA mini kit(Qiagen)又はPure-Link RNA/DNA mini kit(Invitrogen)を使用して、臨床試料から直接的に抽出した。
【0202】
次いで、対象の領域(例えば、UL23及び/又はUL30遺伝子)をPCRによって増幅した。典型的には、UL23及び/又はUL30遺伝子に隣接するプライマーを使用したが、多型が生じることが期待され得る前記遺伝子の断片のみを増幅するように設計されたプライマーも好適であり得る。次いで、得られたアンプリコンを、当業者に利用可能な典型的なDNA配列決定技術を使用して配列決定した。次いで、このDNA配列を使用して、対応するポリペプチド配列を決定する。
【0203】
増幅された配列中のヌクレオチド及び/又はアミノ酸変化を野生型の参照系統(又は処理前配列)との比較によって検出する。好適な野生型の参照系統には、HSV-1についての参照としてのGenBank受入番号JN555585.1及びJQ673480.1;並びにHSV-2についての参照としてのZ86099.2及びJN561323.2が含まれる。
【0204】
プラーク減少アッセイ
ウイルス試料は、典型的には、プラーク減少アッセイを使用して表現型的に特徴付けた。
【0205】
ウイルス単離体を使用して、HSV-1及びHSV-2に対して、それぞれ1ウェルあたり75又は50プラーク形成単位(PFU)の濃度でサブコンフルエントの単層のベロ細胞を感染させた。37℃での1時間のインキュベーション後、細胞の表面を、段階希釈の抗ウイルス薬アシクロビル(ACV)、ペンシクロビル(PCV)、シドフォビル(CDV)及びホスカルネット(FOS)を含有するCMC培地(4%カルボキシメチルセルロース(PBS中))又は薬物なしの対照としてのCMC単独で覆い、プラークが明らかになるまでさらに72時間インキュベートした。典型的には、CMC培地を使用して、半固体界面を作り、無差別なウイルスの広がりを防止した。この界面を作るために、他の材料(例えば、寒天)も使用することができる。
【0206】
細胞を10%ホルマリンで固定し、クリスタルバイオレットで染色し、その後、プラークを数え上げた(顕微鏡観察又は検出のための蛍光抗体の使用も適している)。次いで、これらの実験から得られたデータを薬物なしの対照に対するウイルス感染力の阻害(%)として表した。次いで、このデータを使用して、4つすべての薬物についてのIC50値を、線形回帰を使用して決定した - すなわち用量反応曲線を作成し、そこから、ウイルス複製を50%阻害するために必要とされる薬物濃度(IC50)を決定した。
【0207】
感受性又は耐性としての表現型による薬物感受性分類の定義は、次の通りであった:HSV-1及びHSV-2についてそれぞれACV、<3μM又は>40μM;PCV、<10μM又は>40μM;CDV、<24μM又は>30μM;FOS、<250μM又は>400μM;及びACV、<6.5μM又は>40μM;PCV、<38μM又は>40μM;FOS、<250μM又は>400μM。これらの感受性と耐性カットオフとの間に入るあらゆるIC50値は、中程度の耐性と報告された。
【0208】
患者由来のウイルスのIC50の割合も、変化の倍数を提供して患者由来のウイルスの感受性を決定するために、野生型の参照ウイルス(例えば、研究中の薬物に対して感受性であることが分かっているウイルス)のもので割ることができる。1を超える変化の倍数は、患者由来のウイルスが、野生型ウイルスと比較して、その特定の薬物に対して感受性が低いことを意味し、逆も同様である。
【0209】
1を超える変化の倍数は、患者が治療に応答しなくなることを必ずしも意味するとは限らない。したがって、患者由来のウイルスが感受性又は耐性であるとみなされる、IC50又は変化の倍数のカットオフ値が各薬物について決定される必要がある。異なる種類のカットオフ値を使用することができるが、最も適しているのは、IC50又は変化の倍数値とウイルス学的反応又は臨床転帰との間の関係を考慮に入れる「臨床的カットオフ」である。
【0210】
実施例1
変異の検出
ウイルス試料を、抗ウイルス薬耐性HSVに感染していることが疑われる患者から単離した。上に記載した通りのDNA配列決定により、耐性をもたらす変異(該当する場合)を検出した。抗ウイルス耐性ウイルスのTK及び/又はDNA pol配列を野生型参照配列のものと整列させることにより、該当する変異が示された。
【0211】
実施例2
検出されたTK及びDNA pol変異/多型の表現型
ウイルスの表現型(すなわち薬物に対する反応性)を、上に記載した通りのプラーク減少アッセイによって特徴付けた。本発明者らは、多数のTK及びDNA pol変異の、耐性を引き起こす表現型を特徴付けている。多数の天然の多型(これらは、薬物耐性を引き起こさない)も検出及び特徴付けられている。変異、多型及び関連する表現型を表4~7に示す。
【0212】
表現型による薬物感受性分類の定義:それぞれ感受性、中程度及び耐性の試料について、HSV-1についてアシクロビル(ACV):<3uM、3~40uM、>40uM;ペンシクロビル(PCV):<10uM、10~40uM、>40uM;ホスカルネット(FOS):<250uM、250~400uM、>400uM;シドフォビル(CDV):<24uM、24~30uM、>30uM及びHSV-2についてACV:<6.5μM、6.5~40μM、>40μM;PCV:<38μM、38~40μM、>40μM;FOS:<250μM、250~400μM、>400μM。
【0213】
表4は、HSV-1 TK遺伝子における「天然の」多型及び耐性関連の置換及び挿入欠失並びに抗ウイルス感受性に対するその効果を示す。R=耐性(ACV及びPCV IC50>40μM;FOS IC50>400μM;CDV IC50>30μM);IR=中程度の耐性(ACV IC50>3μM<40μM;PCV IC50>10μM<40μM;FOS IC50>250<400μM; CDV IC50>24μM<30μM);S=感受性(ACV IC50<3μM;PCV IC50<10μM;FOS IC50<250μM;CDV IC50<24μM);ND=行われず;a耐性と関連する位置でのTK遺伝子中のY239Hも含有する、試料における非保存領域中の変異;b試料は、DNA pol遺伝子の非保存領域中のS914L及びA1169AT変異も含有する;c試料は、DNA pol遺伝子の非保存領域中のA1169AT変異も含有する;d試料は、TK遺伝子中の公知の耐性関連の変異T287Mも含有する。
【0214】
【0215】
【0216】
表5は、HSV-2 TK遺伝子における「天然の」多型及び耐性関連の置換及び挿入欠失並びに抗ウイルス感受性に対するその効果を示す。R=耐性(ACV及びPCV IC50>40μM;FOS IC50>400μM);IR=中程度の耐性(ACV IC50>6.5μM<40μM;PCV IC50>38μM<40μM;FOS IC50>250<400μM);S=感受性(ACV IC50<6.5μM;PCV IC50<38μM;FOS IC50<250μM);ND=行われず;bウイルス以外のTK遺伝子の非保存領域における変異は、単離されず、したがって表現型による薬物感受性試験は、実施できなかった。
【0217】
【0218】
表6は、HSV-1 pol遺伝子における「天然の」耐性関連の置換及び挿入欠失並びに抗ウイルス感受性に対するその効果を示す。R=耐性(ACV及びPCV IC50>40μM;FOS IC50>400μM;CDV IC50>30μM);IR=中程度の耐性(ACV IC50>3μM<40μM;PCV IC50>10μM<40μM;FOS IC50>250<400μM);CDV IC50>24μM<30μM);S=感受性(ACV IC50<3μM;PCV IC50<10μM;FOS IC50<250μM;CDV IC50<24μM)。‡非保存領域中にA1169T変異も含有する;a耐性と関連するTK遺伝子中の欠失(C)(nt881~885)も含有する、試料における非保存領域中の変異;bTK遺伝子中の変異M 121Iも含有する、試料における非保存領域中の変異;c耐性と関連するTK遺伝子中の変異R176stopも含有する、試料における非保存領域中の変異;d耐性と関連するTK遺伝子中の変異Q261stopも含有する、試料における非保存領域中の変異;e耐性と関連するTK遺伝子中の欠失(G)(nt430~436)も含有する、試料における非保存領域中の変異;f耐性と関連するDNA pol遺伝子中の変異S724Nも含有する、試料における非保存領域中の変異;gTK遺伝子中の変異L49Rも含有する、試料における非保存領域中の変異;i耐性と関連するTK遺伝子中の欠失(C)(nt548~553)も含有する、試料における非保存領域中の変異;j耐性と関連するTK遺伝子中の欠失(G)(nt430~436)も含有する、試料における非保存領域中の変異;k耐性と関連するTK遺伝子中の欠失(G)(nt430~436)も含有する、試料における非保存領域中の変異;l耐性と関連するTK遺伝子中の変異R176Wも含有する、試料における保存領域中の(及び耐性と関連する部位でのL802Rに対する)変異;m耐性と関連するTK遺伝子中の欠失(G)(nt430~436)も含有する、試料における保存領域中の変異;n耐性と関連するTK遺伝子中の変異R216Cも含有する、試料における非保存領域中の変異;o耐性と関連するTK遺伝子中の変異欠失(C)(nt896~900)も含有する、試料における非保存領域中の変異;p耐性と関連するTK遺伝子中の変異V204Gも含有する、試料における非保存領域中の変異;q耐性と関連するTK遺伝子中の変異A93Vも含有する、試料における非保存領域中の変異;r耐性と関連するTK遺伝子中の変異挿入(G)(nt430~436)も含有する、試料における非保存領域中の変異;s耐性と関連するTK遺伝子中の変異T287Mも含有する、試料における非保存領域中の変異;tTK遺伝子中の変異欠失(C)(nt881~885)も含有する、試料における非保存領域中の変異(また、この部位でのQ置換は、公知の多型である)。
【0219】
【0220】
【0221】
表7は、HSV-2 pol遺伝子における耐性関連の置換及び抗ウイルス感受性に対するその効果を示す。R=耐性(ACV及びPCV IC50>40μM;FOS IC50>400μM);IR=中程度の耐性(ACV IC50>6.5μM<40μM;PCV IC50>38μM<40μM;FOS IC50>250<400μM);S=感受性(ACV IC50<6.5μM;PCV IC50<38μM;FOS IC50<250μM);a耐性と関連するDNA pol中の変異S729Nも含有する、試料における非保存領域中の変異;bTK遺伝子中の変異Q90stopも含有する、試料における非保存領域中の変異;cTK遺伝子中の変異欠失(G)(nt276~280)も含有する、試料における非保存領域中の変異。
【0222】
【0223】
上の明細書で言及したすべての刊行物を参照によって本明細書に組み込む。本発明の記載した方法及び系の種々の改変形態及び変形形態は、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、当業者に明らかであろう。本発明を特定の好ましい実施形態に関して説明してきたが、特許請求される本発明は、こうした具体的実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解するべきである。実際、生化学及びバイオテクノロジー又は関連分野の技術者に明らかである、本発明を実施するための説明した方式の種々の改変形態は、以下の特許請求の範囲内であることが意図される。
【0224】
配列
配列番号1(HSV-1 TK核酸配列)
【化2】
配列番号2(HSV-1 TKポリペプチド配列)
【化3】
配列番号3(HSV-1 DNA pol核酸配列)
【化4】
【化5】
配列番号4(HSV-1 DNA polポリペプチド配列)
【化6】
配列番号5(HSV-2 TK核酸配列)
【化7】
配列番号6(HSV-2 TKポリペプチド配列)
【化8】
配列番号7(HSV-2 DNA pol核酸配列)
【化9】
【化10】
配列番号8(HSV-2 DNA polポリペプチド配列)
【化11】
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-04-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗ウイルス薬耐性HSVの存在又は非存在を検出するための方法であって、
a.1つ以上のHSV変異であって、
i.146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、及び938T>C(HSV-2)から選択されるチミジンキナーゼ(TK)変異;及び
ii.2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)、及び2515A>G(HSV-1)から選択されるDNAポリメラーゼ(DNA pol)変異
から選択される1つ以上のHSV変異を特定すること、あるいは
b.1つ以上のHSV多型であって、
i.L49R(HSV-1)、M121I(HSV-1)、I166N(HSV-1)、Q186H(HSV-2)、H214R(HSV-2)、Y239H(HSV-1)、及びL313S(HSV-2)から選択されるTK多型;及び
ii.L802R(HSV-1)、A834S(HSV-1)、及びT839A(HSV-1)から選択されるDNA pol多型
から選択される1つ以上のHSV多型を特定すること
を含み、前記1つ以上のHSV変異又は前記1つ以上のHSV多型の存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの存在を確認し、前記1つ以上のHSV変異又は前記1つ以上のHSV多型の非存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの非存在を示唆する、方法。
【請求項2】
a.110C>T、205C>A、1072A>C、1072A>T、574G>A及び766C>Tから選択される1つ以上のHSV-1 TK変異を特定すること;
b.373G>A、639A>C又は639A>T及び1094T>Cから選択される1つ以上のHSV-2 TK変異を特定すること;
c.64G>A、160A>G、248A>C、361G>A、415G>A又は415G>C、716C>T、1255C>A、2039A>C、2042G>A、2249A>C、2548G>C、2732G>A、2741C>T、2915C>T、2954G>A、2974G>A、2977C>T、3137A>C、3343G>A、3359A>C、3505G>A及び3595C>Aから選択される1つ以上のHSV-1 DNA Pol変異を特定すること;及び/又は
d.520G>T、1339A>C又は1339A>T、1481T>C、2141A>G、2281G>A、2323C>T、2325C>G及び2326G>Cから選択される1つ以上のHSV-2 DNA Pol変異を特定することをさらに含み、前記1つ以上のHSV変異の存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの非存在を示唆し、あるいは
i.A37V、L69M、I358L、A192T及びR256Wから選択される1つ以上のHSV-1 TK多型を特定すること;
ii.A125T、E213D及びL365Pから選択される1つ以上のHSV-2 TK多型を特定すること;
iii.G22R、T54A、D83A、G121S、G139R、S239L、L419I、E680A、R681Q、K750T、E850Q、S911N、S914L、A972V、G985E、E992K、R993C、N1046T、A1115T、E1120A、A1169T及びP1199Tから選択される1つ以上のHSV-1 DNA Pol多型を特定すること;及び/又は
iv.D174Y、M447L、M494T、H714R、E761K、R775C、R775W及びE776Qから選択される1つ以上のHSV-2 DNA Pol多型を特定すること
をさらに含み、前記1つ以上のHSV多型の存在は、抗ウイルス薬耐性HSVの非存在を示唆する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
抗ウイルス薬耐性HSVの感染症を治療するための方法において使用するための抗ウイルス薬であって、前記方法が、
a.抗ウイルス薬耐性HSVが、146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、及び938T>C(HSV-2)から選択されるTK変異を含むことを確認することと;あるいは
b.抗ウイルス薬耐性HSVが、L49R(HSV-1)、M121I(HSV-1)、I166N(HSV-1)、Q186H(HSV-2)、H214R(HSV-2)、Y239H(HSV-1)、及びL313S(HSV-2)から選択されるTK多型を含むことを確認することと;
c.非ペンシクロビル抗ウイルス薬及び/又は非アシクロビル抗ウイルス薬を前記対象に投与することと
を含む、抗ウイルス薬。
【請求項4】
ステップcが、ホスカルネット、シドフォビル薬物及びドコサノールから選択される抗ウイルス薬を前記対象に投与することを含む、請求項3に記載の抗ウイルス薬。
【請求項5】
抗ウイルス薬耐性HSVの感染症を治療するための方法において使用するための抗ウイルス薬であって、前記方法が、
a.抗ウイルス薬耐性HSVが、2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)、及び2515A>G(HSV-1から選択されるDNA Pol変異を含むことを確認することと;あるいは
b.抗ウイルス薬耐性HSVが、L802R(HSV-1)、A834S(HSV-1)、T839A(HSV-1)、F965_I966insF(HSV-1)及びI966*(HSV-1)から選択されるDNA Pol多型を含むことを確認することと;
c.非ホスカルネット抗ウイルス薬、非シドフォビル抗ウイルス薬、非ペンシクロビル抗ウイルス薬及び/又は非アシクロビル抗ウイルス薬を前記対象に投与することと
を含む、抗ウイルス薬。
【請求項6】
ステップcが、ドコサノール薬物、BAY 54-6322、ASP2151及びBAY 57-1293から選択される抗ウイルス薬を前記対象に投与することを含む、請求項5に記載の抗ウイルス薬。
【請求項7】
前記TK及び/又はDNA pol変異は、参照野生型TK及び/又はDNA pol配列を欠いているか;又は前記TK及び/又はDNA pol多型は、参照野生型TK及び/又はDNA pol配列を欠いており;
好ましくは、前記参照野生型配列を含むTK及び/又はDNA polは、1つ以上の抗ウイルス薬によって阻害される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記TK変異及び/又はTK多型は、参照野生型HSV-1 TK配列に関連しており、前記参照野生型HSV-1 TK配列は、
a.配列番号1の核酸配列;及び/又は
b.配列番号2のポリペプチド配列
を含み、あるいは
前記DNA Pol変異及び/又はDNA Pol多型は、参照野生型HSV DNA Pol配列に関連しており、前記参照野生型HSV-1 DNA Pol配列は、
a.配列番号3の核酸配列;及び/又は
b.配列番号4のポリペプチド配列
を含む、請求項1、2又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記TK変異及び/又はTK多型は、参照野生型HSV-2 TK配列に関連しており、前記参照野生型HSV-2 TK配列は、
a.配列番号5の核酸配列;及び/又は
b.配列番号6のポリペプチド配列
を含み、あるいは
前記DNA Pol変異及び/又はDNA Pol多型は、参照野生型HSV-2 DNA Pol配列に関連しており、前記参照野生型HSV-2 DNA Pol配列は、
a.配列番号7の核酸配列又はそれと少なくとも90%の相同性を有し、且つDNAのポリメラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする配列;及び/又は
b.配列番号8のポリペプチド配列又はそれと少なくとも90%の相同性を有し、且つDNAのポリメラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする配列
を含む、請求項1、2、7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記抗ウイルス薬耐性HSVは、アシクロビル、ペンシクロビル、ホスカルネット又はシドフォビルから選択される1つ以上の抗ウイルス薬に対して耐性であるか;又は
前記抗ウイルス薬耐性HSVは、アシクロビル及びペンシクロビルに対して耐性である、請求項1、2、7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記変異の1つ以上を、前記変異と関連する対応する耐性表現型と相関させて、前記変異を含む前記抗ウイルス薬耐性HSVの抗ウイルス薬耐性のレベルを決定することであって、抗ウイルス薬耐性のレベルは、弱い耐性及び強い耐性から選択される、決定することをさらに含み、任意選択的に、前記相関させるステップは、アルゴリズムと共に/それを使用して実施され、好ましくは、前記アルゴリズムは、前記変異の1つ以上についての前記対応する耐性表現型に対して訓練され、より好ましくは、前記対応する耐性表現型は、プラーク減少アッセイを介して決定される耐性表現型である、請求項1、2、7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
試料中の抗ウイルス薬耐性HSVの存在又は非存在を検出することを含み、好ましくは、以下の項目a及びbから成る群から選択される1又は複数に該当する、請求項1、2、7~11のいずれか一項に記載の方法:
a.前記1つ以上のHSV変異及び/又はHSV多型は、対象から得られた単離された試料、任意選択的に、病変部若しくはその部分、ウイルス懸濁液、脳脊髄液、皮膚、粘膜、血液、血清、痰、尿及び/又は滑液の1つ以上から選択される試料において特定され、
b.前記1つ以上のHSV変異及び/又はHSV多型は、DNA配列決定、シーケンスキャプチャ、質量分析、ウエスタンブロット、酵素活性アッセイ及び/又は酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって特定される。
【請求項13】
前記1つ以上のHSV変異は、DNA配列決定によって特定され、あるいは、前記1つ以上のHSV変異及び/又はHSV多型は、質量分析によって特定される、請求項1、2、7~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
1つ以上のHSV変異及び/又はHSV多型を特定する前記ステップで得られたデータを好適なデータ担体上に記録するステップをさらに含む、請求項1、2、7~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
(i)146T>G(HSV-1)、363G>A(HSV-1)、497T>A(HSV-1)、558G>T(HSV-2)、641A>G(HSV-2)、715T>C(HSV-1)、及び938T>C(HSV-2)から選択されるTK変異;及び(ii)2405T>G(HSV-1)、2500G>T(HSV-1)、及び2515A>G(HSV-1)から選択されるDNA pol変異から選択される変異を含む組換えHSV。
【請求項16】
以下の項目a乃至iから成る群から選択される1又は複数に該当する、請求項3~6のいずれか一項に記載の抗ウイルス薬:
a.前記TK及び/又はDNA pol変異は、参照野生型TK及び/又はDNA pol配列を欠いているか;又は前記TK及び/又はDNA pol多型は、参照野生型TK及び/又はDNA pol配列を欠いており;
b.前記TK変異及び/又はTK多型は、参照野生型HSV TK配列に関連しており、前記参照野生型HSV-1 TK配列は、配列番号1の核酸配列;及び/又は配列番号2のポリペプチド配列を含み;
c.前記DNA Pol変異及び/又はDNA Pol多型は、参照野生型HSV DNA Pol配列に関連しており、前記参照野生型HSV-1 DNA Pol配列は、配列番号3の核酸配列;及び/又は配列番号4のポリペプチド配列を含み;
d.前記TK変異及び/又はTK多型は、参照野生型HSV TK配列に関連しており、前記参照野生型HSV-2 TK配列は、配列番号5の核酸配列;及び/又は配列番号6のポリペプチド配列を含み;
e.前記DNA Pol変異及び/又はDNA Pol多型は、参照野生型HSV DNA Pol配列に関連しており、前記参照野生型HSV-2 DNA Pol配列は、配列番号7の核酸配列;及び/又は配列番号8のポリペプチド配列を含み;
f.前記抗ウイルス薬耐性HSVは、アシクロビル、ペンシクロビル、ホスカルネット又はシドフォビルから選択される1つ以上の抗ウイルス薬に対して耐性であるか;又は前記抗ウイルス薬耐性HSVは、アシクロビル及びペンシクロビルに対して耐性であり;
g.前記方法が、前記変異の1つ以上を、前記変異と関連する対応する耐性表現型と相関させて、前記変異を含む前記抗ウイルス薬耐性HSVの抗ウイルス薬耐性のレベルを決定することであって、抗ウイルス薬耐性のレベルは、弱い耐性及び強い耐性から選択される、決定することをさらに含み;
h.前記1つ以上のHSV変異及び/又はHSV多型は、対象から得られた単離された試料において特定され、任意に、前記試料は、病変部若しくはその部分、ウイルス懸濁液、脳脊髄液、皮膚、粘膜、血液、血清、痰、尿及び/又は滑液の1つ以上から選択され、
i.前記1つ以上のHSV変異及び/又はHSV多型は、DNA配列決定、シーケンスキャプチャ、質量分析、ウエスタンブロット、酵素活性アッセイ及び/又は酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって特定される。
【外国語明細書】