(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009955
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】1杯分の冷凍菓子を提供するためのシステム
(51)【国際特許分類】
A23G 9/28 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
A23G9/28
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023177143
(22)【出願日】2023-10-13
(62)【分割の表示】P 2020538828の分割
【原出願日】2019-01-11
(31)【優先権主張番号】62/616,742
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/104,758
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518445388
【氏名又は名称】コールドスナップ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】フォンテ,マシュー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】短時間で1杯分の冷凍菓子を提供するシステムであって、冷凍菓子を食べる容器に直接分注されるシステムを提供する。
【解決手段】システムは、1杯分の冷凍菓子を提供するための少なくとも1つの原材料を含むポッドを備え、該システムは、ポッドを冷却し、水をポッドへ導入し、同時に、ポッドの少なくとも1つの壁における冷凍菓子の蓄積を防止するためにポッドの少なくとも1つの壁を擦りながらポッドの内容物を攪拌し、そしてポッドから冷凍菓子を排出する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書および/または図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
係属中の先行特許出願の参照
本願は、
(1)「SYSTEM FOR PROVIDING A SINGLE SERVING OF A FROZEN CONFECTION」としてSigma Phase,Corp.およびMattew Fonteによって2017年6月16日に出願された係属中の先行米国特許出願第15/625,690号(代理人整理番号47354-0003001)の一部継続出願であり、該米国特許出願は、
(a)「SINGLE SERVE ICE CREAM MACHINE:COMPRESSOR,VORTEX TUBE,SPRAY NOZZLE,SINGLE POD OF DRY ICE CREAM MIX」としてXciting Innovations,LLCによって2016年6月16日に出願された先の米国仮出願特許第62/351,001号(代理人整理番号47354-0003P01)の利益を主張するものであり、さらに本願は、
(2)「SYSTEM FOR PROVIDING A SINGLE SERVING OF A FROZEN CONFECTION」としてSigma Phase,Corp.およびMattew Fonteによって2018年1月12日に出願された係属中の先行米国仮出願特許第62/616,742号(代理人整理番号47354-0004P01)の利益を主張するものである。
【0002】
上記で指定したこれら3つの特許の内容を参照によって本願明細書に引用したものとする。
【0003】
本発明は、概して、冷凍菓子(例えば、「ソフトクリーム」または標準的な「堅い」アイスクリーム、フローズンヨーグルト、フローズン・プロテイン・シェイク、スムージーなど)を提供するためのシステムに関し、特に、1杯分の冷凍菓子を提供するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
現在の家庭用アイスクリームメーカーは、概して、典型的には、約20~60分で、1.0リットル~2.0リットルまたはそれ以上の比較的量の多いアイスクリームを製造するように設計されている。さらに、ほとんどの現在の家庭用アイスクリームメーカーは、アイスクリームを作る前に容器(この中でアイスクリームが製造される)を「凍結させる」必要がある、すなわち、使用する前に約4~8時間、容器を冷凍庫の中に入れておかなければならない。したがって、アイスクリームを作り始める時間とアイスクリームが出来上がる時間との間にかなりの遅延がある。さらに、アイスクリームが出来上がった後も、さらに手でアイスクリームメーカーからアイスクリームを除去する必要があり、その後、食べるために1杯分のアイスクリームを別の容器(例えば、ボウル、コーンなど)の中へ掬い取る必要もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、短時間で1杯分の冷凍菓子を提供する新たなシステムであって、冷凍菓子を食べる容器(例えば、ボウル、コーンなど)に冷凍菓子が直接分注されるというシステムが必要である。
【0006】
さらに、該システムが1杯分の冷飲料、および/または1杯分の温飲料を提供することが可能であることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、短時間で1杯分の冷凍菓子を提供するための新規なシステムであって、冷凍菓子を食べる容器(例えば、ボウル、コーンなど)に冷凍菓子が直接分注されるシステムの提供および使用を含む。新規なシステムは、キッチンのカウンターの上に設置でき、キッチンのキャビネット(典型的には、高さが18インチ(約0.46m)以下)の下に収まるくらい小型であり、120ボルトのキッチンの壁コンセントから最大1800ワットの電力が供給され、重量が50ポンド(約22.68kg)である。新規なシステムは、約5分以下で少なくとも5液量オンス(約147.85ミリリットル)の冷凍菓子を作ることができ、各製造回の間の遅延時間なしに少なくとも4回分の冷凍菓子を製造することができる。
【0008】
さらに、該システムは、1杯分の冷飲料、および/または1杯分の温飲料を提供することも可能である。
【0009】
本発明の好適な一形態では、1杯分の摂取可能な物質を提供するための装置であり、
1杯分の摂取可能な物質を作るための少なくとも1つの原材料を含むポッドを受容するためのネストであって、環状構造を有するポッドを受容するための環状凹部を備えるネストと、
ポッドを冷却するための冷却ユニットと、
ポッドへ水を導入するための給水器と
を備える装置が提供される。
【0010】
本発明の別の好適な形態では、1杯分の摂取可能な物質を提供するための装置であり、
1杯分の摂取可能な物質を作るための少なくとも1つの原材料を含むポッドであって、少なくとも1つの内部パドルを備えるポッドを受容するためのネストと、
ポッドを冷却するための冷却ユニットと、
ポッドへ水を導入するための給水器と、
ポッドの少なくとも1つの内部パドルを回転させるための回転ユニットと
を備える装置が提供される。
【0011】
本発明の別の好適な形態では、1杯分の摂取可能な物質を提供するための装置であり、
1杯分の摂取可能な物質を作るための少なくとも1つの原材料を含むポッドを受容するためのネストと、
ポッドとネストとの間で熱を伝達する熱伝達ユニットであって、(i)ポッドから熱を奪うことができ、(ii)ポッドへ熱を供給することができる熱伝達ユニットと、
ポッドへ水を導入するための給水器と
を備える装置が提供される。
【0012】
本発明の別の好適な形態では、1杯分の冷凍菓子を提供するための方法であって、
1杯分の冷凍菓子を提供するための少なくとも1つの原材料を含むポッドを提供するステップと、
ポッドを冷却するステップと、
ポッドへ水を導入するステップと、
ポッドの少なくとも1つの壁における冷凍菓子の蓄積を防止するためにポッドの少なくとも1つの壁を擦りながら、ポッドの内容物を同時に撹拌するステップと、
冷凍菓子をポッドから排出するステップと
を含む方法が提供される。
【0013】
本発明の別の好適な形態では、1杯分の摂取可能な物質を提供するためのポッドであって、
1杯分の摂取可能な物質を作るために密閉容器内に配置された少なくとも1つの原材料と、
少なくとも1つの原材料を攪拌するために密閉容器内に配置された少なくとも1つのパドルと
を備える密閉容器
を備えるポッドが提供される。
【0014】
本発明のさらに他の形態では、1杯分の冷凍菓子を提供するための新規なシステムが開示される。
【0015】
また、本発明のさらに他の形態では、1杯分の冷凍菓子を提供するための新規なポッドが開示される。
【0016】
本発明の別の形態では、1杯分のアイスクリームを提供するための方法であり、
小さい第1の端部と、大きい第2の端部と、それらの間に延在する側壁とを有するテーパー状本体であって、内部を画定するテーパー状本体、
前記テーパー状本体の前記大きい第2の端部に取り外し不能に取り付けられたキャップ、
前記テーパー状本体の前記内部の中に移動可能に配置されたスクレーパ混合パドルであって、ブレードを備えるスクレーパ混合パドル、
前記テーパー状本体の前記第1の端部に形成され、前記テーパー状本体の前記内部と連通する出口ポート、および
冷却されたときに1杯分の冷凍菓子を提供するための原材料
を備えるポッドと、
小さい第1の端部と、大きい第2の端部と、それらの間に延在する側壁とを有するテーパー状キャビティを備えるネストと
を提供するステップと、
前記ポッドを前記ネストの前記テーパー状キャビティの前記第2の端部に挿入して、前記ポッドの前記テーパー状本体の前記側壁を前記ネストの前記テーパー状キャビティの前記側壁に対して実質的に面一に据え付けるステップと、
前記ネストを冷却し、前記スクレーパ混合パドルの前記ブレードが前記ポッドの前記側壁に接触し、前記側壁に乗って、前記側壁を擦ることによって、前記原材料がアイスクリームになるように前記原材料を掻き混ぜるために前記スクレーパ混合パドルを回転させるステップと、
前記出口ポートを開放するステップと、
前記出口ポートを通して前記ポッドから前記アイスクリームを分注するステップと
を含む方法が提供される。
【0017】
本発明のこれらおよび他の目的および特徴は、以下の本発明の好適な実施形態の詳細な説明によって、より完全に開示されるか、または明らかになるであろう。本発明の好適な実施形態の以下の詳細な説明は、添付図面と併せて考察されるべきであり、添付図面では、同様の数字は同様の部品を示している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】1杯分の冷凍菓子を提供するための新規なシステムを示す概略図であり、
図1~
図3には、システムの構成要素の全てが不透明な構成要素として示されており、
図4~
図6では、システムの構成要素のいくつかが透明な構成要素として示されている。
【
図2】1杯分の冷凍菓子を提供するための新規なシステムを示す概略図であり、
図1~
図3には、システムの構成要素の全てが不透明な構成要素として示されており、
図4~
図6では、システムの構成要素のいくつかが透明な構成要素として示されている。
【
図3】1杯分の冷凍菓子を提供するための新規なシステムを示す概略図であり、
図1~
図3には、システムの構成要素の全てが不透明な構成要素として示されており、
図4~
図6では、システムの構成要素のいくつかが透明な構成要素として示されている。
【
図4】1杯分の冷凍菓子を提供するための新規なシステムを示す概略図であり、
図1~
図3には、システムの構成要素の全てが不透明な構成要素として示されており、
図4~
図6では、システムの構成要素のいくつかが透明な構成要素として示されている。
【
図5】1杯分の冷凍菓子を提供するための新規なシステムを示す概略図であり、
図1~
図3には、システムの構成要素の全てが不透明な構成要素として示されており、
図4~
図6では、システムの構成要素のいくつかが透明な構成要素として示されている。
【
図6】1杯分の冷凍菓子を提供するための新規なシステムを示す概略図であり、
図1~
図3には、システムの構成要素の全てが不透明な構成要素として示されており、
図4~
図6では、システムの構成要素のいくつかが透明な構成要素として示されている。
【
図7】
図1~
図6に示されているシステムのネストアセンブリの更なる詳細を示す概略図である。
【
図8】
図1~
図6に示されているシステムのネストアセンブリの更なる詳細を示す概略図である。
【
図9】
図1~
図6に示されているシステムのネストアセンブリの更なる詳細を示す概略図である。
【
図10】
図1~
図6に示されているシステムのネストアセンブリの更なる詳細を示す概略図である。
【
図11】
図1~
図6に示されているシステムのネストアセンブリの更なる詳細を示す概略図である。
【
図12】
図1~
図6に示されているシステムのネストアセンブリの更なる詳細を示す概略図である。
【
図13】(i)
図1~
図6に示されているシステムの蓋アセンブリ、(ii)
図1~
図6に示されているシステムの冷水・空気送出アセンブリの一部、および(iii)
図1~
図6に示されているシステムの制御電子機器の更なる詳細を示す概略図である。
【
図14】(i)
図1~
図6に示されているシステムの蓋アセンブリ、(ii)
図1~
図6に示されているシステムの冷水・空気送出アセンブリの一部、および(iii)
図1~
図6に示されているシステムの制御電子機器の更なる詳細を示す概略図である。
【
図15】特に、
図1~
図6に示されているシステムの放熱アセンブリの更なる詳細を示す概略図である。
【
図16】特に、
図1~
図6に示されているシステムの放熱アセンブリの更なる詳細を示す概略図である。
【
図17】
図1~
図6に示されているシステムの制御電子機器の更なる詳細を示す概略図である。
【
図18】
図1~
図6に示されているシステムのポッドの更なる詳細を示す概略図である。
【
図19】
図1~
図6に示されているシステムのポッドの更なる詳細を示す概略図である。
【
図20】
図1~
図6に示されているシステムのポッドの更なる詳細を示す概略図である。
【
図21】
図1~
図6に示されているシステムの例示的な動作を示す概略図である。
【
図22】
図1~
図6に示されているシステムのネストアセンブリの内側部分を冷却するための代替的手法を示す概略図である。
【
図23】
図1~
図6に示されているシステムのネストアセンブリの内側部分を冷却するための代替的手法を示す概略図である。
【
図24】
図1~
図6に示されているシステムと共に使用され得る別のポッドを示す概略図である。
【
図25】
図1~
図6に示されているシステムと共に使用され得る別のポッドを示す概略図である。
【
図26】
図1~
図6に示されているシステムと共に使用され得る別のポッドを示す概略図である。
【
図27】
図1~
図6に示されているシステムと共に使用され得る別のポッドを示す概略図である。
【
図28】1杯分の冷凍菓子を提供するための別の新規なシステムを示す概略図である。
【
図29】1杯分の冷凍菓子を提供するための別の新規なシステムを示す概略図である。
【
図30】1杯分の冷凍菓子を提供するための別の新規なシステムを示す概略図である。
【
図31】1杯分の冷凍菓子を提供するための別の新規なシステムを示す概略図である。
【
図32】本発明に従って形成された別の新規なシステムであって、固定キャップポッドを有するコンプレッサ冷却機を備える新規なシステムを示す概略図である。
【
図33】本発明に従って形成された別の新規なシステムであって、固定キャップポッドを有するコンプレッサ冷却機を備える新規なシステムを示す概略図である。
【
図34】本発明に従って形成された別の新規なシステムであって、固定キャップポッドを有するコンプレッサ冷却機を備える新規なシステムを示す概略図である。
【
図35】本発明に従って形成された別の新規なシステムであって、固定キャップポッドを有するコンプレッサ冷却機を備える新規なシステムを示す概略図である。
【
図35A】本発明に従って形成された別の新規なシステムであって、所望の冷たい菓子または所望の温飲料もしくは冷飲料を提供するための一組のネストを備える新規なシステムを示す概略図である。
【
図35B】本発明に従って形成された追加のネスト構成およびポッド構成を示す概略図である。
【
図35C】本発明に従って形成された追加のネスト構成およびポッド構成を示す概略図である。
【
図37】圧縮機によって送られた冷媒を高効率で送出するための同軸管を示す概略図である。
【
図37A】ネスト内に配置されたポッドを冷却するための1つの好適な構成を示す概略図である。
【
図38】ネストアセンブリを冷却するために使用され得る直接膨張システムを示す概略図である。
【
図38A】ネスト内に配置されたポッドを冷却するための別の好適な構成を示す概略図である。
【
図39】本発明と共に使用され得るポッドの別の形態を示す概略図である。
【
図40】本発明と共に使用され得るポッドの別の形態を示す概略図である。
【
図41】本発明と共に使用され得るポッドの別の形態を示す概略図である。
【
図42】本発明と共に使用され得るポッドの別の形態を示す概略図である。
【
図42A】本発明と共に使用され得るポッドの別の形態を示す概略図である。
【
図42B】混合中のポッドの内容物の移動を示す概略図である。
【
図43】ポッドを受容するための可撓性ブラダがネストアセンブリ内に配置されたポッドと密着嵌合するように、ネットアセンブリが可撓性ブラダをどのようにして備えることができるかを示す概略図である。
【
図44】ポッド内に配置された原材料に含まれる「バブルビーズ」を示す概略図であり、封入剤は、ポッドの内部に水が添加されると、封止剤が溶解し、CO
2またはN
2を放出し、冷凍菓子中に「発泡性」を生成するように選択される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、短時間で1杯分の冷凍菓子を提供するための新規なシステムであって、冷凍菓子を食べる容器(例えば、ボウル、コーンなど)に冷凍菓子が直接分注されるシステムの提供および使用を含む。
【0020】
さらに、該システムは、1杯分の冷飲料、および/または1杯分の温飲料を提供することも可能である。
一般的なシステム
【0021】
本発明の好適な一形態では、最初に
図1~
図6を参照すると、1杯分の冷凍菓子(例えば、アイスクリーム、フローズンヨーグルト、スムージーなど)を提供するための新規なシステム10が提供される。さらに、該システム10は、1杯分の冷飲料、および/または1杯分の温飲料を提供することも可能である。
【0022】
説明を明確にするために、最初に、1杯分の冷凍菓子を提供するという観点からシステム10について説明し、次に、1杯分の冷飲料を提供するという観点からシステム10について説明し、それから、1杯分の温飲料を提供するという観点からシステム10について説明する。
【0023】
システム10は、概して、機械20およびポッド30を備え、機械20は、特に、一杯分の冷凍菓子を作るための原材料の供給物を含むポッド30を受容し、ポッド30(およびその内容物)を冷却し、冷水および空気をポッド30へと導入し、冷凍菓子を作るためにポッド30の内容物を攪拌し、その後、ポッド30から冷凍菓子を食べる容器(例えば、ボウル、コーンなど)へ直接冷凍菓子を排出するように構成される。
機械
【0024】
機械20は、特に、一杯分の冷凍菓子を作るための原材料の供給物を含むポッド30を受容し、ポッド30(およびその内容物)を冷却し、冷水および空気をポッド30へと導入し、冷凍菓子を作るためにポッド30の内容物を攪拌し、その後、ポッド30から冷凍菓子を食べる容器(例えば、ボウル、コーンなど)へ直接冷凍菓子を排出するように構成される。
【0025】
この目的を達成するために、機械20は、概して、ハウジング40と、ネストアセンブリ50と、蓋アセンブリ60と、給水器70と、冷水・空気送出アセンブリ80と、放熱アセンブリ90と、制御電子機器100とを備える再利用可能な装置である。
【0026】
図1~
図6には、ハウジング40が示されている。ハウジング40は、概して、基部110と、基部110に取り付けられたカバー120と、基部110に取り付けられたトレイ130とを備える。カバー120は、機械20の内部構成要素を取り囲み、機械20の他の構成要素を支持する機能を果たす。トレイ130は、冷凍菓子がその中に排出され、そこから冷凍菓子を食べる容器(例えば、ボウル)を受容する機能を果たす(あるいは、冷凍菓子をコーンで食べる場合には、コーンがトレイ130の上で保持される)。必要に応じて、トレイ130が冷凍菓子を入れる容器(例えば、ボウル)を「予備冷却」することができるように、冷却素子(例えば、熱電冷却器(TEC)素子を備える熱電(TEC)アセンブリ)がトレイ130の基部に配置され得る。
【0027】
図7~
図12には、ネストアセンブリ50がさらに詳細に示されている。ネストアセンブリ50は、一杯分の冷凍菓子を作るための原材料の供給物を含むポッド30を受容し、特に、短時間で1杯分の冷凍菓子を提供するためにポッド30(およびその内容物)を急速に冷却する機能を果たす。そのためには、後述するように、ネストアセンブリ50およびポッド30はそれぞれ、ポッド30の冷却を速めるために独自の構成および独自の構造を備えている。
【0028】
より具体的には、ネストアセンブリ50は、概して、上面150と、底面160と、複数の外面170とを有するネスト140を備える。本発明の好適な一形態では、ネスト140は、8つの外面170を有し、その結果、ネスト140は略八角形の形状を有する。あるいは、ネスト140は、異なる数の外面170を有し得る。ネスト140は、好ましくは、アルミニウムのような高熱伝達材料から形成される。
【0029】
ネスト140はさらに、穴180および座ぐり部190を備える。中空円筒200は、穴180内に配置され、座ぐり部190の中へ上向きに延在する。この構造により、環状凹部210(すなわち、トロイダル状凹部210)がネスト140の上面150に形成される。環状凹部210は、概して、(上述の座ぐり部190によって画定された)外壁220と、(上述の中空円筒200によって画定された)内壁230とによって特徴付けられる。環状凹部210は、後述するように、ポッド30をその中に受容するように寸法決めされる。
【0030】
ネスト140はさらに、ネスト140の底面160上で開口し、環状凹部210の内部と連通する穴232を備える。出口ノズル233は、出口ノズル233の出口ポート234が環状凹部210の内部と連通するように、穴232においてネスト140の底面160に取り付けられる。ポッド30がネスト140の環状凹部210内に配置された時点を検出するために、ポッドセンサ235がネスト140内に設けられる。
【0031】
ネストアセンブリ50はさらに、複数の熱電(TEC)アセンブリ240を備える。TECアセンブリ240はそれぞれ、熱電冷却器(TEC)素子250、ヒートシンク260、およびTEC素子250からヒートシンク260へ熱を伝達するためにTEC素子250とヒートシンク260との間に延在する複数のヒートパイプ270を備える。必要に応じて、単段のTEC素子250で有し得る温度差よりも高い温度差を実現することができるように、複数のTEC素子250が各々のヒートシンク260上に積み重ねられ得る。
図7、
図8、および
図11に示されているように、TECアセンブリ240は、TEC素子250に供給される電流の流れ方向に応じて、TEC素子250がネスト140の外面170に冷熱または温熱を送り、そのことにより、ネスト140の環状凹部210の外壁220に冷熱または温熱を送る(ひいては、ネスト140の環状凹部210に配置されたポッド30に冷熱または温熱を送る)ことができるように、ネスト140の外面170に対して位置決めされる。冷凍菓子を提供するために機械20を使用する場合、TEC素子250に供給される電流の流れ方向によりネスト140の外面170に冷熱が当てられることが理解されるであろう。
【0032】
ヒートパイプ270は、好ましくは、
図12に示されている種類のものであり、すなわち、ヒートパイプは、TEC素子250からヒートシンク260へ熱を伝達するための高い熱伝達能力を提供する。ヒートパイプ270はさらに、好ましくは、ヒートパイプ270によって集められた熱を環境へのさらなる放散のために放熱アセンブリ90へ送るために、放熱アセンブリ90に接続される。
【0033】
ネストアセンブリ50はさらに、環状凹部210の内壁230に冷熱を送るための円筒状TEC280と、環状凹部210の内壁230に熱を供給するための円筒状TEC290とを備える。
【0034】
蓋アセンブリ60は、
図13および
図14にさらに詳細に示されている。蓋アセンブリ60は、概して、ハンドル300を備え、ハンドル300は、蓋310がハンドル300と共に移動するように蓋310に取り付けられる。ハンドル300は、ピボットピン320を介してハウジング40のカバー120に枢動可能に取り付けられる。この構成により、蓋アセンブリ60は、ネストアセンブリ50(
図1を参照)に向かって、またはネストアセンブリ50から離れるように枢動することができる。蓋310がその閉鎖位置にある時点を検出するために、蓋センサ325(
図1および
図2)が設けられる。
【0035】
蓋アセンブリ60は、移動可能に蓋310に取り付けられたプランジャ330を備える。より具体的には、プランジャ330は、周方向ギア340および長手方向ギア350を備え、蓋アセンブリ60は、回転ギア370を駆動するための回転モータ360および垂直ギア390を駆動するための垂直モータ380を備え、回転モータ360の回転ギア370は、プランジャ330の周方向ギア340に係合し、垂直モータ380の垂直ギア390は、プランジャ330の長手方向ギア350に係合する。この構成により、回転モータ360は、プランジャ330を蓋310内で回転させることができ、垂直モータ380は、プランジャ330を蓋310内で垂直方向に移動させることができる。
【0036】
プランジャ330は、ポッド30上の対応するフィンガ(以下参照)に係合するための複数のフィンガ400(以下参照)と、ポッド30の上部を貫通し、追加の原材料をポッド30に送るための一対の中空ファング410、420(以下参照)とをさらに備える。
【0037】
次に
図1~
図6を参照すると、給水器70は、概して、常温水タンク430と冷水タンク440とを備える。本発明の好適な一形態では、常温水タンク430は、約2.0リットルの水を保持し、冷水タンク440は、約0.5リットルの水を保持し得る。常温水タンク430は、常温水タンク430を水で満たすことができるように取り外し可能なカバー445を備える。常温水タンク430から冷水タンク440へと水を移動させるためのライン(図示せず)が設けられる。常温水タンク430内の水の存在を監視するために水センサ450(
図4)が設けられ、冷水タンク440内の水の温度を監視するために水温センサ460(
図6)が設けられる。冷水タンク440内の水を冷やすために、複数のTECアセンブリ470(各々は上述のTECアセンブリ240と同様であるのが好ましい)が設けられ、すなわち、TECアセンブリ470は、TEC素子473、ヒートシンク475、およびヒートパイプ477を備える。TECアセンブリ470のヒートパイプ477は、好ましくは、TECアセンブリ470によって生成された熱を放熱アセンブリ90へ送るために、放熱アセンブリ90に接続される。
【0038】
次に、
図6および
図14を参照すると、冷水・空気送出アセンブリ80は、概して、冷水タンク440からの冷水をプランジャ330の中空ファング410に送り込む水ポンプ480と、空気をプランジャ330の中空ファング420に送り込む空気ポンプ490とを備える。本発明の好適な一形態において、中空ファング410は、霧状化水の液滴をポッド30(以下参照)に注入するための噴霧ノズルを備え、このことにより、冷凍菓子を作ることが容易になる(以下参照)。このような噴霧ノズルは、液分散の技術分野で周知である。冷水・空気送出アセンブリ80はさらに、冷水タンク440からの水をプランジャ330の中空ファング410に移送し、プランジャ330の中空ファング420へ空気を導入するための様々な流体ライン(図示せず)を備える。
【0039】
放熱アセンブリ90は、
図15および
図16にさらに詳細に示されている。放熱アセンブリ90は、ネスト140のTECアセンブリ240のヒートパイプ270から受け取った熱を放散し、冷水タンク440のTECアセンブリ470のヒートパイプ477から受け取った熱を放散する。放熱アセンブリ90は、概して、(ネスト140のTECアセンブリ240のヒートパイプ270および冷水タンク440のTECアセンブリ470のヒートパイプ477に接続された)ヒートパイプ510から熱を奪う複数のヒートシンク500と、ヒートシンク500から熱を受け取るための複数の凝縮器520と、凝縮器520を冷却するための複数のファン530とを備える。
【0040】
制御電子機器100は、概して、電源540(
図14)と、中央処理ユニット(CPU)550と、ユーザインターフェース570(
図2)(例えば、表示画面、操作ボタンなど)とを備える。
図17に示されているように、電源540およびCPU550は、上述の水センサ450、水温センサ460、TECアセンブリ470、円筒状TEC280、円筒状TEC290、蓋センサ325、ポッドセンサ235、TECアセンブリ240、水ポンプ480、空気ポンプ490、回転モータ360、垂直モータ380、凝縮器520、ファン530、およびユーザインターフェース570に接続される。CPU550は、以下で説明するように、ユーザインターフェース570から受信した命令に応答して、機械20を動作させるように適切にプログラムされる。
【0041】
機械20は、好ましくは、1800ワットの最大負荷(一般に、キッチンの標準コンセントが対応することができる最大負荷である)で動作するように構成されることが理解されるであろう。
ポッド
【0042】
ポッド30は、1杯分の冷凍菓子(例えば、アイスクリーム、フローズンヨーグルト、スムージーなど)を提供するための原材料の供給物を含む。本発明の好適な形態では、ポッド30は、1回限りの使用の使い捨てポッドとして提供される。すなわち、冷凍菓子1杯ごとに新しいポッド30が使用される。
【0043】
上述したように、また以下で説明するように、ポッド30は、ポッド30の冷却を速めるための独自の構成および独自の構造を備えており、そのことにより、冷凍菓子の製造のプロセスを速めることができる。
【0044】
より具体的には、
図18~
図20を参照すると、ポッド30は、概して、開口部590が形成された基部580を備える。外側中空管600は、基部580の外周から上方へ立ち上がり、内側中空管610は、基部580の開口部590内に配置され、基部580の内周から上方に立ち上がる。この構成により、環状凹部620(すなわち、トロイダル状凹部620)は、基部580と外側中空管600と内側中空管610との間に形成され、環状凹部620は、概して、床部630(基部580によって画定される)、外壁640(外側中空管600によって画定される)、および内壁650(内側中空管610によって画定される)によって特徴付けられる。ポッド30の外側中空管600の直径は、ネスト140の座ぐり部190の直径よりわずかに小さく、ポッド30の内側中空管610の直径は、ネストアセンブリ50の中空円筒200の直径よりもわずかに大きく、その結果、ポッド30の外側中空管600がネスト140の外壁220と密着滑合し、ポッド30の内側中空管610がネストネストアセンブリ50の内壁230と密着滑合することによって、ポッド30がネスト140の環状凹部210内に据え付けられ得ることに留意されたい。
【0045】
好ましくは、ポッド30の基部580は、高熱伝達材料(例えば、アルミニウム、成形ポリマーなど)を含み、ポッド30の外側中空管600は、高熱伝達材料(例えば、アルミニウム、成形ポリマーなど)を含み、ポッド30の内側中空管610は、高熱伝達材料(例えば、アルミニウム、成形ポリマーなど)を含む。本発明の好適な一形態では、基部580、外側中空管600、および内側中空管610は、プラスチック/薄い金属フィルムの複合材料(すなわち、薄い金属フィルムの外側被覆を有するプラスチックの本体)を含む。プラスチック/薄い金属フィルムの複合材料は、熱伝達を向上させることができ、ポッド30の内容物を保存するのを助け、それと同時にポッド30に独自の包装外観を提供することを理解されたい。好ましくは、基部580、外側中空管600、および内側中空管610は、実質的に剛性である。
【0046】
したがって、ネストアセンブリ50およびポッド30の独自の構成および独自の構造により、ポッド30がネスト140の環状凹部210内に配置されたときに、ネスト140の外壁220によってポッド30の外壁640に冷熱が効率的に当てられ、ネストアセンブリ50の内壁230によってポッド30の内壁650に冷熱が効率的に当てられ、ネスト140の環状凹部210の床部によってポッド30の基部580に冷熱が効率的に当てられ得ることがわかるであろう。その結果、機械20は、短時間で1杯分の冷凍菓子を提供するためにポッド30(およびその内容物)を急速に冷却することができる。
【0047】
ポッド30はさらに、キャップ660、外側螺旋状スクレーパパドル670、内側螺旋状スクレーパパドル680、および底部スクレーパパドル690を備える。
【0048】
キャップ660は、ポッド30の外壁640の直径よりわずかに小さい大きさの外縁部700を有し、キャップ660は、ポッド30の内側中空管610よりもわずかに大きい直径を有する内孔710を有し、その結果、キャップ660は、ポッド30の環状凹部620内へ、かつ環状凹部620に沿って長手方向に移動することができる(以下参照)。キャップ660は、好ましくは、実質的に剛性である。
【0049】
キャップ660はさらに、プランジャ330の対応するフィンガ400に係合するためのフィンガ720を備え、このことにより、後述するように、プランジャ330によってポッド30のキャップ660に対して回転運動および長手方向運動が付与され得る。キャップ660はさらに、以下でさらに詳細に説明するように、プランジャ330の中空ファング410、420それぞれによって貫通させるための2つの脆弱部分730、740を備える。
【0050】
外側螺旋状スクレーパパドル670は、キャップ660と底部スクレーパパドル690との間に延在し、環状凹部620の外壁640と密着滑合する外縁部750を備える。内側螺旋状スクレーパパドル680は、キャップ660と底部スクレーパパドル690との間に延在し、ポッド30の内側中空管610と密着滑合する内縁部760を備える。底部スクレーパパドル690は、基部580と接触し、環状凹部620の外壁640と密着滑合する外側リング770と、基部580と接触し、ポッド30の内側中空管610と密着滑合する内側リング780と、基部580と接触し、外側リング770と内側リング780との間に延在する一対のストラット790とを備える。この構成により、フィンガ720は、外側螺旋状スクレーパパドル670が回転してポッド30の外壁640の内表面を擦り、内側螺旋状スクレーパパドル680が回転して内側中空管610の外表面を擦り、ストラット770が回転して基部580の床部630を擦るように、キャップ660を回転自在に回転させるために使用される。外側螺旋状スクレーパパドル670、内側螺旋状スクレーパパドル680、および底部スクレーパパドル690を備えることは、外側螺旋状スクレーパパドル670、内側螺旋状スクレーパパドル680、および底部スクレーパパドル690が同時に(i)確実に冷凍菓子を均一かつ迅速に作ることができるようにポッド30の内容物を撹拌し、(ii)ポッド30の内容物の冷却を妨げる可能性がある基部580、外側中空管600、および内側中空管610における冷凍菓子の蓄積を防止することができるので、非常に有利であることが理解されるであろう。
【0051】
外側螺旋状スクレーパパドル670および内側螺旋状スクレーパパドル680は、キャップ660に対して長手方向の力を加えることによって長手方向に圧縮され、そのことにより、キャップ660をポッド30の環状凹部620の中へ、かつ環状凹部620に沿って移動させて、キャップ660を実質的に基部580と係合させるように構成され、組み立てられる(以下参照)。本発明の好適な一形態では、外側螺旋状スクレーパパドル670および内側螺旋状スクレーパパドル680は、ばね鋼で作られ、長手方向の力がキャップ660を基部580に押し込んだときに(または、より正確に言えば、扁平になった外側螺旋状スクレーパパドル670および扁平になった内側螺旋状スクレーパパドル680がキャップと基部580との間に配置されて、キャップ660を基部580から僅かに離すことになるので、実質的に基部580に押し込んだときに)、外側螺旋状スクレーパパドル670および内側螺旋状スクレーパパドル680は実質的に扁平な構成に圧縮される。底部スクレーパパドル690も、ばね鋼から形成され得る。本発明の別の好適な形態では、外側螺旋状スクレーパパドル670および/または内側螺旋状スクレーパパドル680(および/または底部スクレーパパドル690)は、プラスチックで作られ得る。必要に応じて、外側螺旋状スクレーパパドル670および/または内側螺旋状スクレーパパドル680(および/または底部スクレーパパドル690)は、形状記憶材料(ニチノール)を含み得る。
【0052】
穴800は、基部580を貫通し、環状凹部620の内部と連通する。脆弱部分810は、通常、穴800を塞ぐが、材料(例えば、冷凍菓子)を通過させるために適切な力が加えられたときに破裂し得る。出口ノズル820は、脆弱部分810が破裂したときに出口ノズル820の出口ポート830が環状凹部620の内部と連通するように、穴800に隣接する基部580に取り付けられる。
【0053】
ポッド30は、概して、2:1より大きい(好ましくは、約8:1)表面積対容積比を有する。ポッド30の表面積を増加させると、ポッド30(およびその内容物)から熱をより迅速に奪うことができるので、ポッド30内の冷凍菓子を作る速度が速まることが理解されるであろう。また、トロイダル状構造を有する(すなわち、内部および外部の両方のアクセス面を有する)ポッド30を形成することは、表面積を増加させ、ポッド30の外表面およびポッド30の内表面の両方に同時に冷熱が当てられ得るので、ポッド30およびその内容物をより迅速に冷却することができることは理解されるであろう。
【0054】
限定的ではないが、例として、本発明の好適な一形態では、ポッド30は、2.25インチ(約5.72cm)の外径および3.75インチ(9.53cm)の高さを有し(すなわち、外側中空管600は、2.25インチ(約約5.72cm)の外径および3.75インチ(9.53cm)の高さを有し)、その結果、26.49平方インチ(約170.90cm2)の表面積および14.90立方インチ(約244.18cm3)の容積が得られ、ポッド30は、1.4インチ(約3.56cm)の内径および3.75インチ(約9.53cm)の高さを有し(すなわち、内側中空管610は、1.4インチ(約3.56cm)の内径および3.75インチ(約9.53cm)の高さを有し)、その結果、16.49立方インチ(約106.39cm2)の表面積および5.77立方インチ(約94.56cm3)の容積が得られ、その結果、42.98平方インチ(約277.3cm2)のポッド全表面積(すなわち、26.49平方インチ(約170.90cm2)+16.49立方インチ(約106.39cm2)=42.98平方インチ(約277.3cm2)および9.13立方インチ(約149.62cm3)のポッド全容積(すなわち、14.90立方インチ(約244.18cm3)-5.77立方インチ(約94.56cm3)=9.13立方インチ(約149.62cm3))、および8.47:1の表面積対容積比が得られる。
【0055】
ポッド30は、1杯分の冷凍菓子(例えば、アイスクリーム、フローズンヨーグルト、スムージーなど)を作るための原材料の新鮮な供給物を含む。より具体的には、ポッド30は、例えば、砂糖および粉末結晶(好ましくは、その多くは、50μm未満の大きさである)を含む冷凍菓子ミックス(ドライまた液体)を含み得、好ましくは、少なくとも0.1容積%の安定剤を含む。ドライ冷凍菓子ミックスは、好ましくは、少なくとも50%は50μm以下の大きさを有する構成成分(例えば、砂糖および粉末結晶)を有する。
【0056】
ポッド30で1杯のアイスクリームを製造する場合、本発明の好適な形態において、ポッド30は、約4~6オンス(約118.28ミリリットル~約177.42ミリリットル)の原材料を保持し得、原材料は、約8%の脂肪(例えば、クリーム、バター、無水乳脂肪、植物性脂肪など)、約1%の無脂乳固形分(MSNF)(例えば、脱脂粉乳(SMP)、全脂粉乳(WMP)、エバミルク、練乳など)、約13%の蔗糖、約0.5%の乳化剤、および約0.5%の安定剤を含み得る。
【0057】
限定的ではないが、さらなる例として、ポッド30が1.25オンス(約36.96ミリリットル)のドライ・ヨーグルト・ミックスを含む場合、機械20の稼働後、5オンス(約147.85ミリリットル)のフローズンヨーグルトがポッド30内に作られることになる。
システムの使用
【0058】
次に
図21を参照すると、機械20は、常温水タンク430に水を導入し、機械20をオンにすることで、使用できる状態になる。水センサ450は、常温水タンク430内に水があることを確認する。次いで、機械20は、常温水タンク430からの水を冷水タンク440へ送り込み、TECアセンブリ470を使用して冷水タンク440内の水を冷やす。水温センサ460は、冷水タンク440内の水の温度を監視する。好ましくは、冷水タンク440内の水は、約1~3℃に冷却される。次に、機械20は、この待機状態で放置され、1杯分の冷凍菓子(例えば、アイスクリーム、フローズンヨーグルト、スムージーなど)が調製されるまで、必要に応じて冷水タンク440内の水を再冷却する。
【0059】
1杯分の冷凍菓子を調製する場合、機械20の蓋アセンブリ60が開放され、未使用のポッド30がネスト140の環状凹部210内に位置決めされる。これは、ポッド30の出口ノズル820がネスト140の出口ノズル233内に据え付けられるように行われる。次いで、蓋アセンブリ60は、プランジャ330のフィンガ400がポッド30のフィンガ720に係合し、プランジャ330の中空ファング410、420がポッド30の2つの脆弱部分730、740を貫通するように、閉鎖される。さらに、容器(すなわち、冷凍菓子を食べる容器)は、容器がネストアセンブリ50の出口ノズル233の下方の中央に配置された状態で、機械20のトレイ130上に配置される(あるいは、コーンで冷凍菓子が食べられる場合は、コーンはトレイ130の上方で保持される)。
【0060】
ポッドセンサ235がネスト140の環状凹部210内のポッド30の存在を感知すると、機械20は、TECアセンブリ240および円筒状TEC280を介してネストアセンブリ50を冷却し、ひいては、ネスト140の環状凹部210内に位置するポッド30(およびその内容物)を冷却する。TECアセンブリ240は、環状凹部210の外壁220を冷却するためにネスト140の外面170を冷却し、そのことによりポッド30の中空の外側管600を冷却し、円筒状TEC280は、環状凹部210の内壁230を冷却するために中空円筒200を冷却し、そのことによりポッド30の中空内管610を冷却することに留意されたい。そのトロイダル形状によって得られたポッド30の高い表面積対容積比は、ポッド30(およびその内容物)のより速い冷却を可能にすることに留意されたい。限定的ではなく例として、ポッド30の内容物は、2分以内にアイスクリームを作るために、約-30℃の温度まで冷却され得る(ポッド30の内容物は、-18℃の温度でアイスクリームに変わり、それより低い温度がアイスクリームをより速く製造することになる)。また、TECアセンブリ240および円筒状TEC280を介してポッド30から除去された熱は、環境への放散のために放熱アセンブリ90に伝達されることに留意されたい。
【0061】
ポッド30が適切に冷却されると、水ポンプ480は、冷水タンク440からの適切な量の冷水(例えば、少なくとも1.25オンス(約36.96ミリリットル)の冷水)をプランジャ330の中空ファング410へと送り込み、その後、キャップ660の脆弱部分730に通して、冷水がポッド30の内部に噴霧され、ポッド30の内容物と混合されるようにする。本発明の好適な形態では、2℃の4オンス(約118.28ミリリットル)の水がポッド30内へ噴霧される。同時に、回転モータ360は、プランジャ330を回転させ、そのことより、ポッド30のキャップ660を回転させ、その結果、外側螺旋状スクレーパパドル670、内側螺旋状スクレーパパドル680、および底部スクレーパパドル690がポッド30の環状620内で回転する。
【0062】
キャップ660、外側螺旋状スクレーパパドル670、内側螺旋状スクレーパパドル680、および底部スクレーパパドル690のみが回転し、ポッド30の出口ノズル820がネストアセンブリ50の出口ノズル233に配置されるので、ポッド30の残りの部分は静止状態のまま維持されることに留意されたい。
【0063】
この回転動作は、確実にポッド30の内容物を均一かつ迅速に混合するために、ポッド30の内容物を撹拌する。スクレーパパドルの回転速度は、冷凍菓子の粘度に応じて、約5~約400RPMに変化し得る。本発明の好適な一形態では、ポッド30内の冷凍菓子の粘度の変化に応じてスクレーパパドルの回転速度を調整する(例えば、スクレーパパドルの回転速度は冷凍菓子の粘度の増加に伴って遅くなる)トルクセンサが設けられる。さらに、この回転動作は、ポッド30の壁における冷凍菓子の蓄積(ポッド30の内容物の冷却を妨げ得る)を防止するために、外側螺旋状スクレーパパドル670、内側螺旋状スクレーパパドル680、および底部スクレーパパドル690に連続的にポッド30の壁を擦らせる。空気ポンプ490は、空気をプランジャ330の中空ファング420へと送り込み、その後、キャップ660の脆弱部分740に通して、空気がポッド30の内部に流入し、ポッド30の内容物と混合されるようにする。好ましくは、十分な空気がポッド30内に送り込まれて、ポッド30内に約30%~50%のオーバーラン(すなわち、気泡)を生成し、そのことにより、アイスクリームに所望の「嵩高性」を付与する。このようになると、外側螺旋状スクレーパパドル670、内側螺旋状スクレーパパドル680および底部スクレーパパドル690は、確実にポッド30の内容物を均一かつ迅速に混合するために、またポッド30の壁を連続的に擦るために、ポッド30の内容物を撹拌し続け、その結果、ポッド30の壁における冷凍菓子の蓄積(ポッド30の内容物の冷却を妨げ得る)を防止する。
【0064】
「なめらかな」冷凍菓子を作るためには、冷凍菓子内に形成された氷晶の大部分を約50μm未満にする必要がある。氷晶の多くが50μmより大きい場合、または非常に大きい氷晶(すなわち、100μmを超える)が存在する場合、冷凍菓子は「粗く」なる。システム10は、氷晶の大部分を約50μmより小さくすることによって、「まろやかな」冷凍菓子を製造するように設計される。
【0065】
より具体的には、適切な分散(数、サイズおよび形状)を有する氷晶を開発するために、冷凍プロセス、すなわち、「核形成速度」対「結晶成長速度」を制御する必要がある。システム10は、ポッド30の環状凹部620の内表面および外表面を同時に擦ることによってこの制御を行う。さらに、多数の小さな氷晶を生成するためには、ポッド30内の冷凍条件は、核形成を促進し、氷晶の成長を最小限に抑えるという条件でなければならない。氷核形成の促進には、急速な核形成を促進するために、非常に低い温度(例えば、理想的には、-30℃)が必要である。システム10は、ポッド30の内容物を非常に急速に(例えば、2分以内で)冷凍し、そのことにより、氷晶が「熟成」(すなわち、成長)する時間があるのを防止する。さらに、氷核が形成されると、氷晶をできる限り小さく保つために、氷核の成長を最小限に抑える条件が必要である。出来る限り最小の氷晶を得るためには、氷晶の「熟成」(すなわち、成長)を最小限に抑えるために、滞留時間を出来る限り最短にすることが必要である。システム10は、複数の内部スクレーパパドルを使用してポッドの壁から氷晶を除去することによってこれを実現し、このことは、氷晶を小さく(例えば、50μm未満で)維持する高スループット率を生成するのに役立つ。
【0066】
ポッド30内の冷凍菓子が機械20のトレイ130上に配置された容器(すなわち、冷凍菓子を食べる容器)に、またはトレイ130の上方に保持されたコーンに分注される準備ができると、垂直モータ380は、プランジャ330を垂直方向に移動させて、プランジャ330にポッド30のキャップ660をポッド30の基部580に向かって下方に押し下げ、外側螺旋状スクレーパパドル670および内側螺旋状スクレーパパドル680がキャップ660の前進に伴って長手方向に圧縮される。この動作は、環状凹部620の容積を減少させる。垂直モータ380は、ポッド30内の冷凍菓子の力がポッド30の脆弱部分810を破裂させ、冷凍菓子がポッド30の出口ポート830から押し出されるまで、プランジャ330を垂直方向に移動させ続けて環状凹部620の容積を減少させ、そうして、冷凍菓子がネスト140の出口ポート234を通過して、トレイ130上に置かれた容器(すなわち、冷凍菓子を食べる容器)またはトレイ130の上方で保持されているコーン内へと入る。この動作は、キャップ660が基部580に押し付けられて、冷凍菓子の全てをポッド30から、アイスクリームを食べる容器内へ効果的に排出するまで継続される。
【0067】
その後、使用済みポッド30は、機械20から取り外され得、別の1杯分の冷凍菓子を調製する場合、使用済みポッド30は、未使用のポッド30と交換されて、前述のプロセスが繰り返され得る。
ネストアセンブリの内側部分を冷却するための代替的手法
【0068】
必要に応じて、
図22を参照すると、円筒状TEC280は螺旋コイル840によって置き換えられ得、螺旋コイル840は、それ自体がTEC素子850によって冷却される。
【0069】
あるいは、必要に応じて、
図23を参照すると、TECアセンブリ240は、ネスト140の中空円筒200(およびネスト140の底面)を冷却することができるように、ネスト140の底面160に取り付けられ得る。
システムを使用した冷飲料の提供
【0070】
システム10はさらに、1杯分の冷飲料を提供するために使用され得る。限定的ではないが、例として、ポッド30は、冷たい紅茶(「アイスティー」と呼ばれる場合もある)、冷たいコーヒー(「アイスコーヒー」と呼ばれる場合もある)、冷たいソーダ、冷たいビールなどを作るための原材料の供給物を含み得る。このような場合、ポッド30は、ドライまたは液体アイスティーミックス、ドライまたは液体アイスコーヒーミックス、ドライまたは液体ソーダミックス、またはドライまたは液体ビールミックスなどを含み得る。
【0071】
1杯分の冷飲料を提供するためにシステム10を使用する場合、冷飲料を作るために使用される原材料の供給物を含むポッド30がネストアセンブリ50の中に挿入される。その後、ネストアセンブリ50は、ポッド30を冷却するために使用され、冷水が冷水タンク440からポッド30内に送り込まれ、そこで、ポッド30内に含まれている原材料と合わされて、外側螺旋状スクレーパパドル670、内側螺旋状スクレーパパドル680、および底部スクレーパパドル690によって混合される。混合が終了すると、垂直モータ380が作動されて、冷飲料が待機容器内へ排出される。
【0072】
冷飲料を製造する場合、空気がポッド30内へ送り込まれる場合もあれば、そうでない場合もある(例えば、冷たい紅茶または冷たいコーヒーが製造されているときには空気はポッド30内へ送り込まれないが、冷たいソーダまたは冷たいビールが製造されているときは空気がポッド30内へ送り込まれる場合がある)ことが理解されるであろう。
【0073】
さらに、冷飲料を製造する場合、外側螺旋状スクレーパパドル670、内側螺旋状スクレーパパドル680、および底部スクレーパパドル690は、必要に応じてポッド30から省略され得ることも理解されるであろう。
システムを使用した温飲料の提供
【0074】
システム10はさらに、1杯分の温飲料を提供するために使用され得る。限定的ではないが、例として、ポッド30は、温飲料、例えば、ホットチョコレート、ホットコーヒーなどを作るための原材料の供給物を含み得る。このような場合、ポッド30は、湯と混合されたときに所望の飲料となる原材料で作られたドライミックス、例えば、ホットチョコレート粉末、インスタントコーヒーミックスなどを含み得る。
【0075】
1杯分の温飲料を提供するためにシステム10を使用する場合、温飲料を作るために使用される原材料の供給物を含むポッド30がネストアセンブリ50の中に挿入される。その後、ネストアセンブリ50は、ポッド30を加熱するために使用され、常温水が常温水タンク430からポッド30内に送り込まれ、そこで、ポッド30内に含まれている原材料と合わされて、外側螺旋状スクレーパパドル670、内側螺旋状スクレーパパドル680、および底部スクレーパパドル690によって混合される。TECアセンブリ240は、TEC素子250に供給される電流の流れ方向を単に反転させることによって、ネスト140の外表面に熱を供給するために使用され得、円筒状TEC290は、ネスト140の内側カラムに熱を供給して、そのことによりポッド30の内容物を加熱するために使用され得ることに留意されたい。さらに、必要に応じて、常温水タンク430内の常温水は、例えば、常温水タンク430とプランジャ330の中空ファング410との間のラインに位置決めされた抵抗ヒータを介して、ポッド30への注入前に加熱され得る。温飲料を製造する場合、空気は、一般に、ポッド30内へ送り込まれないことが理解されるであろう。
【0076】
多くの場合、例えば、コーヒーまたは紅茶の場合のように、粒状原材料の供給物に水を通すことによって、温飲料を「抽出する」ことが望ましい場合がある。そのためには、
図24~
図27を参照すると、ポッド30は、抽出するための粒状原材料(例えば、挽かれたコーヒー豆、茶葉など)の供給物含むフィルタ860が設けられ得る。本発明の好適な一形態では、
図24~
図27に示されているように、フィルタ860はキャップ660に隣接して配置され、例えば、フィルタ860はキャップ660に固定され、外側螺旋状スクレーパパドル670、内側螺旋状スクレーパパドル680、および底部スクレーパパドル690はポッド30から省略される。さらに、プランジャ330がキャップ660を基部580に向けて圧潰したときに、フィルタ860は、好ましくは、さらに圧潰し、その結果、フィルタ860内に含まれている粒状原材料を圧縮して、例えば、いわゆる「フレンチプレス」コーヒーメーカーのような方法で、フィルタ860から流体を押し出すことができることに留意されたい。フィルタ860は、フィルタ860の粒状内容物がポッド30から排出されないように、圧潰中にその構造的完全性を維持するように構成されることも理解されたい。
キャビネット構成
【0077】
ここで、
図28を参照すると、必要に応じて、機械20は、キャビネット870に取り付けられ得、キャビネット870は脚部880上に載置される。この構成では、キャビネット870は、放熱アセンブリ90から熱を除去するための追加の冷却装置(例えば、追加のヒートパイプ、凝縮器、およびファン、または従来の冷凍ユニットなど)を含み得る。キャビネット870はさらに、未使用のポッド30および/または冷凍菓子を入れるための容器(例えば、ボウルおよびコーン)、冷飲料を入れるための容器(例えば、カップ)および温飲料を入れるための容器(例えば、カップ)を収容するように構成され得る。
冷凍コイルによるポッドの冷却
【0078】
本発明の別の形態では、
図29~
図31を参照すると、ネストアセンブリ50は、外壁220Aおよび内壁230Aによって特徴付けられるトーラスの形態のネスト140Aを備える代替のネストアセンブリ50Aによって置き換えられてもよく、トーラスは、高熱伝達材料(例えば、アルミニウム)から形成され、さらに、TECアセンブリ240は、放熱アセンブリ90Aに接続される冷凍コイル240Aによって置き換えられ、放熱アセンブリ90Aは、冷凍コイル240Aを駆動するための圧縮機を備える。
【0079】
この構成により、ネストアセンブリ50A(ひいてはネストアセンブリ50A内に配置されたポッド30)は、従来の冷凍システムを介して冷却され得ることが理解されるであろう。この構成は、TEC素子250の熱的性能を超える-40℃までポッド30を急速に冷却することができるので、有利であり得る。
ネストおよびポッドの代替的構造
【0080】
上述の開示では、ネストアセンブリ50およびネストアセンブリ50Aは、内部冷却素子(例えば、TEC280を含む中空円筒200)ならびに外部冷却素子(例えば、TECアセンブリ240)を備え、ポッド30は、ネストアセンブリ50、50Aの内部冷却素子を受容するための内側開口部(すなわち、内側中空管610のルーメン)を備える。しかしながら、必要に応じて、内部冷却素子は、ネストアセンブリ50、50Aから省略されてもよく、その場合、ポッド30の内側開口部も省略されてもよい。
固定キャップポッドを有する圧縮機冷却機械
【0081】
次に、
図32~
図35、
図35A、
図35B、および
図35Cを参照すると、1杯分の冷凍菓子、例えば、アイスクリーム(ソフトクリームまたは堅いアイスクリーム)、フローズンヨーグルト、フローズン・プロテイン・シェイク、スムージーなどを提供するための別の新規なシステム900が示されている。本発明の目的のために、1杯分の冷凍菓子は、約2液量オンス~約8液量オンス(約59.14ミリリットル~約236.56ミリリットル)であると考えられ得る。
【0082】
さらに、システム900は、1杯分の冷飲料、および/または1杯分の温飲料を提供することも可能である。
【0083】
システム900は、2つのネスト915を備え得、この場合、一方のネスト915は、5~8オンス(約147.85ミリリットル~約236.56ミリリットル)の冷凍菓子ポッドを受容し、それより小さいサイズであり得る他方の隣接ネスト915は、コーヒーポッド(例えば、Kカップポッド)または冷飲料ポッド(例えば、アイスティーポッド)を受容するように構成される。本発明のこの形態では、所望の冷たい菓子または所望の温飲料もしくは冷飲料を作るために、水(湯または冷水)が適切なネスト915へ案内される。例えば、所望の冷たい菓子または所望の温飲料もしくは冷飲料を製造するための2つのネスト915を示す
図35Aを参照されたい(システム900の構成は、単一のネストが設けられるか、または2つのネストが設けられるかに応じてわずかに異なり得ることに留意されたい)。好ましくは、どのネストがどのタイプのポッド(例えば、冷凍菓子、ホットコーヒー、アイスティーなど)を受容したかを識別するために、ポッド検出器(図示せず)が各々のネスト915内に設けられるので、機械は適切なネストに適切な冷水または湯を送る。
【0084】
本発明の好適な形態では、システム900は、概して、機械905およびポッド910を備え、機械905は、特に、一杯分の冷凍菓子を作るための原材料の供給物を含むポッド910を受容し、ポッド910(およびその内容物)を冷却し、冷水および空気をポッド910へと導入し(必要に応じて、以下参照)、冷凍菓子を作るためにポッド910の内容物を攪拌し、その後、ポッド910から冷凍菓子を食べる容器(例えば、予め冷やしておいたボウル、室温のボウル、コーンなど)へ3~8オンス(約88.71~約236.56ミリリットル)の冷凍菓子を直接排出するように構成される。
【0085】
本発明の一形態では、システム900は、ポッド910に水および/または空気を導入せずに、冷凍菓子を作ることができる(下記参照)。
機械905
【0086】
機械905は、機械905が圧縮機を使用してポッド910を冷却し、状況によっては給水器70が省略され得ることを除いて、上述の機械20と概ね同様である(以下参照)。より具体的には、機械905は、ポッド910を受容するためのネスト915と、ネスト915を冷却するための冷却液ユニット920と、冷却液ユニット920を冷却するための冷凍ユニット925とを備える。機械905は、50ポンド(22.68kg)未満の重量を有し、5分以内に約1クォート(0.946リットル)以下の量の1杯分の冷凍菓子または温飲料もしくは冷飲料を製造し、分注するように構成される。冷凍菓子は、1杯当たり10~60%のオーバーラン(すなわち、空気含有量)を有するであろう。オーバーランの量は、ポッド910内で作られる特定の製品に応じて変化することを理解されたい。
【0087】
より具体的には、ネスト915は、対応するテーパー状(好ましくは円錐台状)ポッド910を受容するためのテーパー状(好ましくは、円錐台状)凹部935を画定する本体930と、ネスト915の凹部935を冷却するための内部チャンバ940とを備える。ネスト915はさらに、内部チャンバ940へと通じる入口945と、内部チャンバ940から通じる出口950とを備える。
【0088】
本発明の一形態では、ネスト915のテーパー状凹部935は、小さい第1の端部951と、大きい第2の端部952と、小さい第1の端部951と大きい第2の端部952との間に延在するテーパー状側壁953とを備える。本発明の好適な一形態では、テーパー状凹部935は、円錐台状である。本発明の一形態では、凹部935のテーパー状側壁953は、約5度以上のテーパー勾配を有する。本発明の一形態では、小さい第1の端部951は閉鎖され得る。本発明の別の形態では、小さい第1の端部951は部分的に開放され得る。本発明の別の形態では、小さい第1の端部951は完全に開放され得る。例えば、ネスト915の追加の構成を示し(さらにポッド910の追加の構成を示した)
図35Bおよび
図35Cを参照されたい。
【0089】
ネスト915の小さい第1の端部951が部分的に開放されているか、または完全に開放されているかのいずれかである場合、ネスト915内にポッド910をよりぴったり嵌合させることが可能であり得ることを理解されたい。より具体的には、ネスト915の底部が部分的にまたは完全に開放された状態で、ポッド910は、「底から抜ける」ことなくネスト915に嵌合し、したがって、ネストの壁とポッドの壁とがよりぴったり嵌合され、その結果、ポッドをさらに効率的に冷却することができる。
【0090】
冷却液ユニット920は、冷却液の供給物を入れるためのリザーバ955と、循環モータ960と、リザーバ955を循環モータ960に接続するライン965と、循環モータ960をネスト915の入口945に接続するライン970と、ネスト915の出口950をリザーバ955に接続するライン975とを備える。この構成により、リザーバ955内に含まれている冷却液は、ネスト915の凹部935内に受容されたポッド910を冷却するために、ネスト915の内部チャンバ940中に循環され得る。
【0091】
冷凍ユニット925は、圧縮機980と、凝縮器985と、凝縮器の下流側に配置された膨張弁(図示せず)と、冷却液ユニット920のリザーバ955に配置された蒸発器(図示されていないが、冷却液タンク内の浸漬コイルであり得る)とを備える冷凍サイクルを備え、そのことにより、圧縮機980は、冷凍サイクルに冷媒を通過させて、冷却液ユニット920のリザーバ955内に配置されている冷却液を冷却することができる。
【0092】
この構成により、冷却液ユニット920を冷却するために冷凍ユニット925が使用され得、ネスト915内に配置されたポッド910を冷却するために冷却液ユニット920が使用され得る。冷却液ユニット920用の適切な冷却液を選択し、適切なサイズのリザーバ955を設けることによって、十分な「冷熱」を冷却液ユニット920内に蓄積することができ、その結果、複数回分の冷凍菓子を実質的に遅延時間なく連続して製造することができることに留意されたい。
共晶溶液
【0093】
本発明の好適な一形態では、共晶溶液を保持する少なくとも1つの容器がネスト915のポッド座部に隣接して配置される。この共晶溶液は、ネストにおいて「冷熱」を貯蔵するために使用される。より具体的には、共晶溶液を凝固点まで冷却するために冷却液ユニット920が使用され、その後、共晶溶液がポッド910からの熱を吸収し、そのことにより、冷凍菓子を製造する。
【0094】
より具体的には、システム900がアイドル状態である間に(すなわち、冷凍菓子を製造する前に)、冷凍ユニット925の圧縮機980がオンにされる。圧縮機980は、冷却液ユニット920のリザーバ955内の冷却液を冷却するために、冷凍サイクル中に冷媒(例えば、R134A、R-407C、R-404A、R-410Aなどと呼ばれるフレオン(Freon)、(ノルフルラン)Norflurane)を循環させ、その後、リザーバ955内の冷却液が、ネスト915内の少なくとも1つの容器内に含まれている共晶溶液を0℃~-114℃に冷却する。ネスト915を取り囲む共晶溶液が0℃~-114℃に冷却されると、システム900は、冷凍ユニット925の圧縮機980を自動的にオフにする。実際に、冷却液ユニット920内の既に冷却されている冷却液および/またはネスト内の少なくとも1つの容器内の共晶溶液を使用してネスト915内のポッド910を冷却するので、システム900が冷凍菓子を作っている間は冷凍ユニット925の圧縮機980は運転される必要がないことに留意されたい。当然のことながら、冷凍ユニット925の圧縮機980は、必要に応じて、システム900が冷凍菓子を作っている間に運転される場合がある。
【0095】
冷却された共晶溶液はゆっくりと温まるので、ポッド910から熱を除去することによって共晶溶液から失われた冷熱は熱交換によって元に戻されることが理解されるであろう。このことにより、複数のポッドの冷凍菓子を素早く続けて作る間、ネスト915の温度を-40℃~0℃で維持することができる。共晶溶液が温まるにつれて、冷却液ユニット920の循環モータ960は、冷却液をネストに送り続けて、共晶溶液容器の冷却負荷を維持するのを助ける。さらに、冷凍ユニット925の圧縮機980は、自動的にオンに戻り、冷媒を冷却液ユニット920(共晶溶液を再冷却している)に送り込む。
【0096】
ポッドの冷却の間および/または機械905の使用の間に、霜がネスト915の内側に蓄積することがある。ネスト915の表面に熱を当てることにより、ネスト915の表面の霜を除去する。この瞬間的な熱は、温風、誘導コイル熱、抵抗熱などの形態であり得る。
【0097】
共晶溶液は相変化材料を含むことを理解されたい。この点に関して、相変化材料(PCM)は、加温および冷却のプロセス中に熱エネルギーを貯蔵および放出する組成物であることも理解されたい。相変化材料は、典型的には、冷却時に大量のエネルギーを(潜熱の形で)放出するが、加温時に周囲の環境から等しい量のエネルギーを吸収する。このようにして、相変化材料は、熱エネルギーの貯蔵を可能にする、すなわち、温熱または冷熱がある期間貯蔵され、後の時点で使用される。
【0098】
単純、安価かつ効果的な相変化材料は、水/氷であることを理解されたい。残念ながら、水/氷は、0℃(+32
。F)の凝固点を有し、そのため、大多数のエネルギー貯蔵用途から水/氷が排除される。しかしながら、水/氷と類似しているが、極低温範囲から数百℃の温度で冷たくなり、温かくなるような多くの代替の相変化材料が確認され、開発されてきた。塩が水に添加されると、塩は水の凝固点を低下させる。より多い量の塩を添加すると、一般的に、凝固点温度がさらに低下するが、これらの溶液はきれいに正確な温度で凍結せず、スラッシュを形成しやすい。しかしながら、特定の濃度の特定の塩が水に添加される場合、結果として生じる溶液は、一定の温度できれいに凍結して、溶融し、そのときに大量のエネルギーを放出し、貯蔵する。この温度は、共晶点と呼ばれ、組成物は共晶溶液と呼ばれる。これは、
図36の簡略グラフで表されている。
図36のグラフの曲線は、凝固曲線を示している。曲線の左から見て、組成物は100%の水であり、凝固点は0℃(+32
。F)である。塩が添加されるにつれて、塩/水混合物の凝固点が低下する。グラフのこのセクションで凍結が生じると、溶液から純水のみが凍結し、塩は溶液中に残る。より多い量の塩が添加された場合、凝固点は、曲線上の最も低い凝固点で共晶点に達するまでさらに低下する。いくつかのPCMは、ゲルである。PCMは、室温でろう状粘度を有する高分子質量炭化水素である、ポリアクリル酸ナトリウム、塩水和物、またはパラフィンから作られ得る。パラフィンは、直鎖炭化水素および植物性PCMで構成される。以下は、0℃~-114℃の範囲の相変化を有する零度以下の共晶PCM溶液のリストである。
【表1】
【表2】
圧縮機980
【0099】
必要に応じて、従来の往復動圧縮機(例えば、Tecumseh社製TC1413U-DS7C圧縮機)が、冷凍ユニット925の圧縮機980に使用され得る。あるいは、回転圧縮機(例えば、Aspen Systems社、Samsung社およびRigid社製の回転圧縮機)が、冷凍ユニット925の圧縮機980に使用され得る。あるいは、-40℃~10℃の範囲の蒸発温度を有する、Danfoss社製の直流圧縮機R290、12~24Vが使用され得る。
冷凍サイクル用配管
【0100】
上述したように、冷凍ユニット925は、凝縮器985、凝縮器の下流側に位置する膨張弁(図示せず)、および冷却液ユニット920のリザーバ955に位置する蒸発器(図示せず)の中に圧縮機980からの冷媒を循環させる。本発明の一形態では、従来の冷凍配管は、冷凍ユニット925の様々な構成要素間で冷媒を移送するために使用される。本発明の別の形態では、
図37を参照すると、冷凍ユニット925の様々な構成要素間で冷媒を移送し、そのことにより冷凍効率を高めるために、同軸の冷凍管が使用され得る。
ネスト内に配置されたポッドを冷却するための1つの好適な構成
【0101】
ネスト915の1つまたは複数の容器に含まれる共晶溶液を使用してネスト915が冷却される、本発明の好適な一形態では、冷却液ユニット920および共晶溶液容器(単数または複数)の両方は、システム900の効率を高めるために「冷熱」を貯蔵することができる。より具体的には、圧縮機980は、リザーバ955内の冷却液を冷却するために冷却液ユニット920のリザーバ955に冷媒を通過させ、そのことによりリザーバ955内で「冷熱」を貯蔵する。リザーバ955内の冷却液は、その後、共晶溶液を冷却するために冷却剤ユニット920の循環モータ960によってネスト915内の共晶溶液容器(単数または複数)に送られ、そのことによりネスト内に更なる「冷熱」を貯蔵する。
図37Aを参照されたい。このようにして、冷凍ユニット925が複数回分の冷凍菓子を冷却するのを待たなくても、複数のポッドの冷却を可能にするためにシステム内に貯蔵されている十分な「冷熱」が存在するので、複数回分の冷凍菓子が連続して作られ得る。さらに、圧縮機980は、複数回分の冷凍菓子を作るために、常に運転している必要がない。
ネスト915の直接膨張冷凍
【0102】
本発明の好適な形態では、冷凍ユニット925は、冷却液ユニット920のリザーバ955内の冷却液を冷却するために使用され、冷却液ユニット920は、ネスト915(またはネスト915の1つまたは複数の容器に含まれている共晶溶液)を冷却し、そのことにより、ネスト915内に配置されたポッド910を冷却するために使用される。しかしながら、必要に応じて、ネスト915を冷却するために直接膨張システムが使用され得る。直接膨張システムは、二次冷却液ループ(すなわち、冷却液ユニット920の冷却液ループ)の使用を排除し、冷凍ユニット925の冷媒を使用して、冷却板を介してネスト915を直接冷却する。冷却板は、周囲より十分低い温度で動作する非常に高い熱流束を生成するようにカスタマイズされ得る。直接膨張システムの冷却板において、冷凍ユニット925からの冷媒は等温相変化を受け、冷却板全体で厳格な温度制御を行う。
図38に示されているように、直接膨張システムは、蒸気圧縮冷凍システムの基本的な4つの構成要素、すなわち、圧縮機、凝縮器、膨張弁、および蒸発器からなる。直接膨張システムにおいて、蒸発器は、ネスト915から直接熱を吸収する。二次冷却液ループが必要とされない(すなわち、冷却液ユニット920が排除される)ので、直接膨張システムにおいて必要なのは、最小限の部品のみである。冷熱を循環させるためにファンは必要でなく、また冷却液を循環させるためにポンプは必要でなく、このことは、システムの構造を簡略化し、システムの効率を向上させることができる。
ネスト内に配置されたポッドを冷却するための別の好適な構成
【0103】
本発明の好適な別の形態では、共晶溶液を保持する少なくとも1つの容器がネスト915のポッド座部に隣接して配置される。冷凍ユニット925は、共晶溶液を凝固点まで直接冷却するために使用される。本発明のこの形態では、冷却液ユニット920は排除される。圧縮機980は、ネスト915のポッド座部に隣接した容器(単数または複数)内の共晶溶液を冷却し、そのことによりネスト内の「冷熱」を貯蔵するために、冷媒をネスト915に直接通過させる。
図38Aを参照されたい。このようにして、冷凍ユニット925が複数回分の冷凍菓子を冷却するのを待たなくても、複数のポッドの冷却を可能にするためにネスト内に貯蔵されている十分な「冷熱」が存在するので、複数回分の冷凍菓子が連続して作られ得る。さらに、圧縮機980は、複数回分の冷凍菓子を作るために、常に運転している必要がない。
ポッド910
【0104】
ポッド910は、ポッド910が取り外し不能に定位置に固定されたキャップを有し、密閉して塞がれていることを除いて、上述のポッド30と概ね同様である。本発明の好適な形態では、ポッド910は、1回限りの使用の使い捨てポッドとして提供される、すなわち、冷凍菓子(または温飲料もしくは冷飲料)1杯ごとに新しいポッドが使用される。しかしながら、必要に応じて、ポッド910は、複数回使用の再利用可能なポッドとして提供されてもよく、すなわち、ポッドは、追加分の冷凍菓子(または温飲料もしくは冷飲料)を提供するために、(新鮮な原材料を充填した後に)再利用され得ることを理解されたい。ポッド910が再利用可能である場合、ポッドのキャップは、ポッドの残りの部分から選択的に取り外し可能である。
【0105】
ポッド910には、プラスチック製の内部スクレーパパドルが設けられており、これは、内部スクレーパパドルの方向を反転させることによってポッドの底部から冷凍菓子を排出するように構成される。内部スクレーパパドルは、射出成形または3D印刷によって作製され得る。
【0106】
【0107】
キャニスタ990は、テーパー状(好ましくは円錐台状)であり、床部1005と、そこから直立した側壁1010とを備える。本発明の一形態では、テーパー状キャニスタ990は、小さい床部1005と、大きいキャップ1000と、小さい床部1005と大きいキャップ1000との間に延在するテーパー状側壁1010とを備える。本発明の好適な一形態では、テーパー状キャニスタ990は、円錐台状である。キャニスタ990のテーパー勾配はネスト915のテーパー勾配に一致し、その結果、ポッド910はネスト915内で密着嵌合し、そのことにより、ポッドとネストとの間の優れた熱伝達を容易にすることに留意されたい。
【0108】
本発明の別の形態では、テーパー状側壁1010は、約5度以上のテーパー勾配を有する。
【0109】
キャニスタ990は、その基部に開口部1015を有する。開口部1015に隣接して、ノズル1020が形成される。スライディングゲート1025は、後述するように、開口部1015を選択的に開閉する。停止部1030は、スライディングゲート1025の移動を制限するために、床部1005上に形成される。
【0110】
本発明の一形態では、テーパー状側壁1010は、その長さに沿って均一な厚さを有する。
【0111】
本発明の別の形態では、テーパー状側壁1010は、その長さに沿って変化する厚さを有する。より具体的には、テーパー状側壁1010は、小さい床部1005に隣接するほど薄く、大きいキャップ1000に隣接するほど厚くすることができ、その結果、ポッドの原材料は、大きいキャップ1000に隣接する場合より、小さい床部1005に隣接する場合の方がより急速に凍結することになる。
【0112】
キャニスタ990にテーパー状側壁1010を設けることは、ポッド910とネスト915との間(すなわち、ポッド910のテーパー状側壁1010とネスト915のテーパー状側壁953との間)を十分に表面接触させるために重要であることを理解されたい。ポッド910とネスト915との間を密着嵌合させることは、ポッド910の内容物を効率的に凍結させるために、ネスト915からポッド910への適切な熱伝達にとって重要である。また、キャニスタ990にテーパー状側壁1010を設けることは、ポッドの内容物がポッド910のキャニスタ990の開口1015に向かって移動するように、ポッドの内容物を収束させることを理解されたい。具体的には、ポッド910が冷凍菓子を作るために使用される場合、テーパー状側壁1010は、冷凍菓子が開口部1015および出口ノズル1020に向かって凍結するので、冷凍菓子を収束させる。
【0113】
キャニスタ990は、好ましくは、高い熱伝達能力を有する材料、例えば、薄い金属、薄いプラスチックなどから形成された薄い側壁を備える。キャニスタ990は、ネスト915とポッド910との間の高い熱伝達率を提供するために、好ましくは、50~500ミクロンの厚さである。キャニスタ990はさらに、好ましくは、キャニスタ990がネスト915に対してある程度膨張する能力を有するように若干変形可能であり、そのことにより、ポッドとネストの間の高い熱伝達が保証される。
【0114】
内部スクレーパパドルアセンブリ995は、略螺旋構造を有する複数のスクレーパブレード1035を備える。本発明の一形態では、スクレーパブレード1035は、ポッド910の内壁によりぴったり適合してポッド910の内壁を擦るために、ブレードの端部にゴムスキージを有し得る。好ましくは、開口部1040は、スクレーパブレード1035に形成される。内部スクレーパブレードアセンブリ995はさらに、10~400RPMの速度で回転し得る、上向きに突出するステム1045を備える。
【0115】
キャップ1000は、キャニスタ990に固定されている(すなわち、取り外し不能に取り付けられる)。キャップ1000は、流体(例えば、液体または空気)をキャニスタ990の内部に入れるための開口部1050と、上方に突出したステム1045がキャニスタ990の内部から突出するのを可能にするための開口部1055とを備える。
【0116】
キャップ1000および床部1005は、断熱材料で作製され得る、または断熱材料、例えば、エアロゲルで被覆され得る。
【0117】
使用前には、床部1005の開口部1015およびキャップ1000の開口部1050は、破裂可能な膜で閉鎖されている.
【0118】
上述の構成により、上向きに突出するステム1045が第1の(反時計回りの)方向に回転されると、スライディングゲート1025は、その閉鎖構成へと付勢され、ポッド910の内容物は、キャップ1000に向かって押し上げられる。上向きに突出するステム1045が反対の(時計回りの)方向に回転され、10~400RPMの範囲の速度で回転されると、スライディングゲート1025は、その開放構成へと付勢され、ポッド910の内容物は、キャニスタ990の床部1005に対して下方に押し下げられ、その際、床部1005の開口部1015を覆う破裂可能な膜が破れ、ポッド910の内容物が開口部1015を通って、ひいてはノズル1020を通って排出される。
【0119】
本発明の別の形態では、ノズル1020、スライディングゲート1025、および停止部1030は省略されてよく、開口部1015は、取り外し可能なシール1060(
図42A)で閉鎖されてよい。本発明のこの形態では、内部スクレーパパドルアセンブリ995が一方向に回転されると、ポッドの内容物は攪拌内容物が床部1005に当たるまで(複数のスクレーパブレード1035を介して)押し下げられ、その後、複数のスクレーパブレード1035の開口部1040がポッドの内容物を上昇しやすくすることで、内容物がポッドの内部で上方に移動する(
図42B参照)。また、ポッドの内容物は、混合中、半径方向外向きの方向に追いやられ、このことがネスト915のテーパー状側壁953に半径方向外向きの力を加えるのを助け、このことがポッド910のテーパー状側壁1010をネスト915のテーパー状側壁953に対して固定するのを助け、ポッドとネストとの間の熱伝達を向上させることに留意されたい。ポッドの内容物を放出するときには、取り外し可能なシール1060が除去され、ポッドの内容物が開口部1015を通って排出される。本発明のこの形態では、冷凍菓子をポッドから排出する際に、回転スクレーパブレード1035の向きを逆にする必要がないことに留意されたい。
【0120】
本発明の好適な一形態では、ポッド910は、異なる内容物を収容する複数の区画または領域を含み得る、すなわち、1つの領域内に粉末アイスクリーム、および第2の領域内にクリームもしくはミルクまたは水を収容し得る。機械905の蓋が閉鎖されると、領域間の分離膜が穿孔され、または破裂して、様々な内容物を混合することができる。
ポッド910とネスト915との密着嵌合
【0121】
実際に、ポッド910とネスト915とを密着嵌合させることは、ポッド910とネスト915との間の急速な熱伝達を容易にし、その結果、1杯分の冷凍菓子のより迅速な製造を可能にすることが分かっている。このような密着嵌合は、様々な方法で行われ得る。
【0122】
限定的ではないが、例として、ポッド910は、キャニスタ990の外表面上にねじ山(図示せず)を含み得、ネスト915は、ネスト915の凹部935の表面上に対応するねじ山(図示せず)を含み得、その結果、ポッド910は、ネスト915と密着してねじ込まれ得る。
【0123】
限定的ではないが、さらなる例として、ポッド910の円錐台状キャニスタ990は、勾配を有し得、ネスト915の円錐台状凹部935は、対応する勾配を有し得、その結果、機械905の蓋アセンブリが閉鎖されると、ポッド910は、ネスト915と密着嵌合するように下方に下げられる。
【0124】
限定的ではないが、さらに別の例として、ポッド910は、ポッド910の上端に力が加えられたときに、ポッド910が自身をネスト915の凹部935にさらに近接させるために、わずかに膨張するように構成され得る。
【0125】
または、ポッド910のキャニスタ990の側壁を膨張させてネスト915の凹部935にさらに近接させるために、加圧流体(例えば、空気、CO2、または窒素)がポッド910の内部に注入され得る。
【0126】
限定的ではないが、さらなる例として、ネスト915の凹部935は、ポッド910のキャニスタ990を受容するための可撓性ブラダ1065(
図43)を備え得、その結果、可撓性ブラダがネスト915内に配置されたポッド910と密着嵌合する。
【0127】
限定的ではないが、さらなる例として、ネスト915の凹部935は、ネスト915内に配置されたポッド910と密着嵌合するためにポッド910がネスト915に磁気的に引き込まれるように、ポッド910の鉄合金(すなわち、鋼)製キャニスタ990を受容するための磁性材料を備え得る。
ポッド910の内容物
【0128】
ポッド910の内容物は、上述したポッド30の内容物と同じであり得る。
【0129】
また、必要に応じて、ポッド910は、従来のヨーグルト製品(例えば、ゲル状のヨーグルト)を封入することができるので、新規なシステム900は、その後、容器(例えば、ボウル、コーンなど)に分注するためのフローズンヨーグルトを作ることができることも理解されたい。
【0130】
さらに、必要に応じて、ポッド910は、冷却され、撹拌されたときに、所望の凍結菓子を作るための液体原材料を含み得る。本発明のこの形態では、所望の冷凍菓子を作るために、任意のさらなる原材料をポッドに送り込む必要がない場合がある。
【0131】
上述の内容に加えて、必要に応じて、
図44を参照すると、「バブルビーズ」(例えば、CO
2またはN
2を取り囲む封入剤)がポッド910内に入れられた原材料に含まれ得る。この封入剤は、水がポッド910の内部に添加されると、封入剤が溶解し、CO
2またはN
2を放出し、冷凍菓子中に「発泡性」を生成するように選択される。
【0132】
ポッド910は、フローズン・プロテイン・シェイクを作るのに必要な内容物、例えば、乳清タンパク質粉末、カゼインタンパク質粉末、エンドウタンパク質粉末、大豆タンパク質粉末などを、本質的には、水と混合され、冷却されたときに、フローズン・プロテイン・シェイクを作る任意の粉末を含み得ることも予想される。
【0133】
フローズン・プロテイン・シェイクを製造する、本発明の好適な一形態では、ポッド910の内容物は、以下のものであり得る。
3~10%の乳脂肪(例えば、クリーム、可塑性クリーム、バター)、無水乳脂肪/バターオイル、乳成分を含まない油脂(例えば、パーム油、パーム核油、ココナッツ油、および他の安全で適切な植物油)、
9~15%の無脂乳固形分(MSNF)、例えば、濃縮乳(練乳/エバミルク)、加糖練乳、粉乳、または全スイートクリームバターミルク、濃縮もしくは乾燥された乳清、濃縮もしくは乾燥された乳タンパク質濃縮物、乳清タンパク質濃縮物もしくは分離物、加水分乳タンパク質もしくは調製乳タンパク質、カゼインナトリウム、
4~14%の砂糖およびコーンシロップ甘味料材料、最大0.5%の安定剤もしくは増粘剤、例えば、カルボキシメチル・セルロース・ナトリウム(セルロースガム)、グアーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、キサンタン、カラギーナン、変性デンプン、微結晶性セルロース(セルロースゲル)、ゼラチン、硫酸カルシウム、モノステアリン酸プロピレングリコール、または他のモノエステルなど、
最大0.5%の乳化剤、例えば、モノグリセリドおよびジグリセリド、蒸留モノグリセリド(飽和または不飽和)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(60)またはモノオレート(80)など、および
乳清、カゼイン、エンドウ豆、大豆および/または前記タンパク質の組み合わせの形態の5~60gのタンパク質。
【0134】
3~8オンス(約88.71~約236.56ミリリットル)のフローズン・プロテイン・シェイク中に、理想的には、10gよりも多い量のタンパク質、200カロリー未満のカロリーが存在することになる。
【0135】
ポッド原材料のさらなる例は、以下のソフトクリーム粉末、粉末ヨーグルト、粉末シェイクミックス、液体スラッシュミックス、粉末コーヒーベースミックス、粉末スムージーミックス、粉末または液体の低甘味中性ベースを含み得、プレミアム中性ベース材料は、以下に列挙されている。
【表3】
ソフトクリーム混合の構造
【0136】
本発明の別の形態では、1杯分のソフトクリームを作る場合、給水器70は、冷却器(図示せず)に置き換えられ得る。冷却器は、約1.0リットル~約3.0リットルの液体ソフトクリームミックスを保持する容器(例えば、プラスチックボトルまたはプラスチック袋)を受容し得る。本発明のこの形態では、ポッド910は、液体ソフトクリームミックスを受け取って、冷却している間に1杯分のソフトクリームミックスを撹拌することによって、1杯分のソフトクリームを作るのに使用される。
【0137】
液体ソフトクリームミックスをポッド910に注入することによって、冷凍菓子(すなわち、ソフトクリーム)を作るために、続いて流体(すなわち、空気または液体)をポッドに注入する必要がないことを理解されたい。ポッド910が適切に冷却されたときに、内部パドルアセンブリ995の回転がポッド910内で1杯分のソフトクリームを作る。
【0138】
さらに、本発明のこの形態では、新規なシステム900を使用して次の1杯分のソフトクリームが調製される前に、残っている液体ソフトクリームミックスを流すために、容器(例えば、プラスチックボトルまたはプラスチック袋)をポッドに接続する管に約0.5オンス~約1.0オンス(約14.79ミリリットル~約29.57ミリリットル)の水を送り込むことができる、別個の貯水タンク(図示せず)が設けられ得る。
好適な実施形態の変更形態
【0139】
本発明の性質を説明するために本明細書に記載され、図示されている詳細、材料、ステップおよび部品の構成における多くの追加の変更は、本発明の原理および範囲から逸脱せずに、当業者によってなされ得ることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1杯分の冷凍菓子を提供するための方法であって、前記冷凍菓子内の氷晶の平均直径は2分以内に50μmよりも小さいかまたは等しく、前記方法は、
前記1杯分の冷凍菓子を提供するための機械の凹部内に、端壁および側壁を有するポッドを挿入することであって、前記ポッドは、前記冷凍菓子の1つ以上の原材料および螺旋状混合パドルを包含することと、
前記ポッドの側壁を前記凹部の側壁に接触させることと、
前記機械のモータを前記螺旋状混合パドルに接続することと、
前記1つ以上の原材料から前記冷凍菓子を形成するべく、前記凹部を冷却しつつ、ある回転速度で前記螺旋状混合パドルを前記ポッドの内側で回転させることであって、前記ある回転速度で前記螺旋状混合パドルを回転させることは、前記ポッドの側壁から前記氷晶を除去すること、および、前記冷凍菓子を冷凍しつつ、前記螺旋状混合パドルの回転速度を初期の混合速度からより高い混合速度に調整することを備えることと、
前記ポッドの端壁内の開口部を通して前記冷凍菓子を分注するべく、前記螺旋状混合パドルを前記ポッドの内側で動かすことと、
を備える、方法。
【請求項2】
前記より高い混合速度は400RPMである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記冷凍菓子の変化する粘度に応じて前記螺旋状混合パドルの回転速度を調整することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記冷凍菓子の変化する粘度に応じて前記螺旋状混合パドルの回転速度を調整することは、前記冷凍菓子の増加する粘度に応じて前記螺旋状混合パドルの回転速度を遅らせることを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ポッドの側壁から前記氷晶を除去することは、前記螺旋状混合パドルで前記ポッドの側壁から前記氷晶を削り取ることを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記削り取ることは連続的に行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
冷却された食物または飲物を提供するための方法であって、前記方法は、
前記冷却された食物または飲物を提供するための機械の凹部内に、端壁および側壁を有するポッドを挿入することであって、前記ポッドは、前記冷却された食物または飲物の1つ以上の原材料および螺旋状混合パドルを包含し、前記機械は、前記食物または飲物を冷却するための冷媒を備えることと、
前記ポッドの側壁を前記凹部の側壁に接触させることと、
前記機械の蓋から前記ポッドまで延在するシャフトによって、前記機械のモータを前記螺旋状混合パドルに接続することと、
前記螺旋状混合パドルのブレード内に画定された開口部を通して前記ポッドの内容物の流れを押しやることによって、前記ポッドの壁から前記冷却された食物または飲物を削り取って前記冷却された食物または飲物を混合するべく、ある回転速度で前記螺旋状混合パドルを前記ポッドの内側で回転させ、前記冷却された食物または飲物を冷凍しつつ、前記螺旋状混合パドルの回転速度を初期の混合速度からより高い混合速度に調整することと、
前記ポッドの床部内に画定された開口部のシールを開放することと、
前記ポッドの端壁内の開口部を通して前記ポッドの内容物を押しやるべく、ある分注方向に前記螺旋状混合パドルを前記ポッドの内側で回転させることと、
を備える、方法。
【請求項8】
前記より高い混合速度は400RPMである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記冷却された食物または飲物の粘度に基づいて前記螺旋状混合パドルの回転速度を調整することをさらに備える、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記冷却された食物または飲物の増加する粘度に応じて前記螺旋状混合パドルの回転速度を遅らせることをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ポッドの壁から前記冷却された食物または飲物を削り取るべく、前記螺旋状混合パドルを前記ポッドの内側で回転させることは、連続的に行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
2分以内に冷却された食物または飲物および加熱された食物または飲物を提供するための方法であって、前記方法は、
前記冷却された食物または飲物を提供するための機械の第1の凹部内に、端壁および側壁を有する第1のポッドを挿入することであって、前記第1のポッドは、前記冷却された食物または飲物の1つ以上の原材料および螺旋状混合パドルを包含し、前記機械は、前記食物または飲物を冷却するための冷媒を備えることと、
前記加熱された食物または飲物を提供するための機械の第2の凹部内に第2のポッドを挿入することであって、前記第2の凹部は前記第1の凹部に隣接し、前記第2のポッドは、前記加熱された食物または飲物の1つ以上の原材料を包含することと、
前記第1のポッドの側壁を前記第1の凹部の側壁に接触させることと、
シャフトによって前記機械のモータを前記螺旋状混合パドルに接続することと、
前記第1のポッドの壁から前記冷却された食物または飲物を削り取るべく、ある回転速度である混合方向に前記螺旋状混合パドルを前記第1のポッドの内側で回転させ、前記冷却された食物または飲物を冷却しつつ、前記螺旋状混合パドルの回転速度を初期の混合速度からより高い混合速度に調整することと、
前記第1のポッドの床部内に画定された開口部のシールを開放することと、
前記第1のポッドの端壁内の開口部を通して前記第1のポッドの内容物を押しやるべく、ある分注方向に前記螺旋状混合パドルを前記第1のポッドの内側で回転させることと、
を備える、方法。
【請求項13】
前記より高い混合速度は400RPMである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記冷却された食物または飲物の変化する粘度に応じて前記螺旋状混合パドルの回転速度を調整することをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記冷却された食物または飲物の変化する粘度に応じて前記螺旋状混合パドルの回転速度を調整することは、前記冷却された食物または飲物の増加する粘度に応じて前記螺旋状混合パドルの回転速度を遅らせることを備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のポッドの壁から前記冷却された食物または飲物を削り取るべく、前記ある混合方向に前記螺旋状混合パドルを前記第1のポッドの内側で回転させることは、連続的に行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記螺旋状混合パドルの回転速度を前記初期の混合速度から前記より高い混合速度に調整することは、前記螺旋状混合パドルの回転速度を5RPMから400RPMに変化させることを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のポッド内で前記加熱された食物または飲物の1つ以上の原材料を加熱することをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記第2のポッドから前記加熱された食物または飲物を分注することをさらに備える、請求項18に記載の方法。