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特開2024-99550フィルタ媒体、フィルタ媒体要素及びフィルタ要素
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099550
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】フィルタ媒体、フィルタ媒体要素及びフィルタ要素
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/00 20220101AFI20240718BHJP
【FI】
B01D46/00 302
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024060929
(22)【出願日】2024-04-04
(62)【分割の表示】P 2020564354の分割
【原出願日】2019-06-11
(31)【優先権主張番号】62/683,542
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591163214
【氏名又は名称】ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アダメク, ダニエル イー.
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, スコット エム.
(72)【発明者】
【氏名】サラ, マーク エー.
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA34
4D058JA38
4D058JA39
(57)【要約】      (修正有)
【課題】要素にわたる圧力降下が低減され、且つ/又は微粒子負荷能力が改善された、気流から微粒子を除去するための空気濾過要素を提供する。
【解決手段】空気濾過要素は、a)第1の複数の縦溝と、b)第1の複数の縦溝に対して平行流構成で配置された第2の複数の縦溝とを含み、第1及び第2の複数の縦溝は、共通の上流面と共通の下流面とを有し、且つ略一定の速度で空気濾過要素に粉塵負荷がかかったときに、第1及び第2の複数の縦溝は、次のように機能する、すなわち、a)第1及び第2の複数の縦溝は、上流面から下流面への初期圧力降下が略等しく、b)第1の複数の縦溝の初期速度は第2の複数の縦溝の初期速度よりも大きく、c)粉塵負荷時に、i)第1及び第2の複数の縦溝にわたる圧力降下は、第1及び第2の複数の縦溝の速度が互いに変化している間に互いに略等しいままである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流から微粒子を除去するための空気濾過要素であって、
a)第1の複数の縦溝と、
b)前記第1の複数の縦溝に対して平行流構成で配置された第2の複数の縦溝であって、前記第1の複数の縦溝と比較して縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝長さ、縦溝断面積又はフィルタ媒体における相違を呈する前記第2の複数の縦溝と
を含み、
前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝は、共通の上流面と共通の下流面とを有し、且つ
略一定の速度で前記フィルタ要素に粉塵負荷がかかったときに、前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝は、次のように機能する、すなわち、
a)前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝は、前記上流面から前記下流面への初期圧力降下が略等しく、
b)前記第1の複数の縦溝の初期速度は前記第2の複数の縦溝の前記初期速度よりも大きく、
c)粉塵負荷時に、
i)前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝にわたる前記圧力降下は、前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝の前記速度が互いに変化している間に互いに略等しいままであり、並びに
ii)前記第1の複数の縦溝を通る前記速度は低下し、且つ前記第2の複数の縦溝を通る前記速度は、少なくとも前記第2の複数の縦溝を通る前記速度が前記第1の複数の縦溝を通る前記速度よりも大きくなるまで増加する、
空気濾過要素。
【請求項2】
前記第2の複数の縦溝の前記速度よりも大きな前記第1の複数の縦溝の前記速度から前記第1の複数の縦溝の前記速度よりも大きな前記第2の複数の縦溝の前記速度への移行は、前記媒体要素が粉塵負荷能力の10パーセントまで負荷を受ける前に生じる、請求項1又は3~18のいずれか一項に記載の気流から微粒子を除去するための空気濾過媒体要素。
【請求項3】
前記第2の複数の縦溝の前記速度よりも大きな前記第1の複数の縦溝の前記速度から前記第1の複数の縦溝の前記速度よりも大きな前記第2の複数の縦溝の前記速度への移行は、前記媒体要素が粉塵負荷能力の15パーセントまで負荷を受ける前に生じる、請求項1若しくは2又は4~18のいずれか一項に記載の気流から微粒子を除去するための空気濾過媒体要素。
【請求項4】
前記第2の複数の縦溝の前記速度よりも大きな前記第1の複数の縦溝の前記速度から前記第1の複数の縦溝の前記速度よりも大きな前記第2の複数の縦溝の前記速度への移行は、前記媒体要素が粉塵負荷能力の20パーセントまで負荷を受ける前に生じる、請求項1~3又は5~18のいずれか一項に記載の気流から微粒子を除去するための空気濾過媒体要素。
【請求項5】
前記第1の複数の縦溝は、前記縦溝付き媒体の第1の複数の層内に配置され、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記縦溝付き媒体の第2の複数の層内に配置される、請求項1~4又は6~18のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項6】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の体積の10~90パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の90~10パーセントを占める、請求項1~5又は7~18のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項7】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の20~40パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の60~80パーセントを占める、請求項1~6又は8~18のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項8】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の40~60パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の60~40パーセントを占める、請求項1~7又は9~18のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項9】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の媒体表面積の10~90パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の90~10パーセントを占める、請求項1~8又は10~18のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項10】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の20~40パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の60~80パーセントを占める、請求項1~9又は11~18のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項11】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の媒体表面積の40~60パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の60~40パーセントを占める、請求項1~10又は12~18のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項12】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の入口面の10~90パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の90~10パーセントを占める、請求項1~11又は13~18のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項13】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の20~40パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の60~80パーセントを占める、請求項1~12又は14~18のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項14】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の40~60パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の60~40パーセントを占める、請求項1~13又は15~18のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項15】
前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝に対して平行流で配置された第3の複数の縦溝を更に含み、
前記第1の複数の縦溝、前記第2の複数の縦溝及び前記第3の複数の縦溝は、縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝長さ、縦溝断面積又はフィルタ媒体における相違を呈する、請求項1~14又は16~18のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項16】
前記第1の複数の縦溝、前記第2の複数の縦溝及び前記第3の複数の縦溝の各々は、別個の複数の層内に配置される、請求項1~15又は17~18のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項17】
前記媒体の複数の層は、巻回構成又は積層構成で配置される、請求項1~16又は18のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項18】
縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝長さ、縦溝断面積又はフィルタ媒体における前記相違は、規則的であり且つ繰り返しのものである、請求項1~17のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項19】
気流から微粒子を除去するための空気濾過媒体要素であって、
a)第1の複数の縦溝と、
b)前記第1の複数の縦溝に対して平行流構成で配置された第2の複数の縦溝であって、前記第1の複数の縦溝と比較して縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝断面積、縦溝長さ又はフィルタ媒体における相違を呈する前記第2の複数の縦溝と
を含み、
前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝は、共通の上流面と共通の下流面とを有し、
前記フィルタ要素に粉塵負荷がかかったときに、前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝は、次のように機能する、すなわち、
a)前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝が同じ媒体要素速度で別々に試験されたときに、前記第1の複数の縦溝の初期圧力降下ΔP1,iは、前記第2の複数の縦溝にわたる初期圧力降下ΔP2,iよりも小さく、且つ前記第1の複数の縦溝の前記圧力降下/負荷曲線の時間aでの初期勾配Δ(ΔP1,i/L1,iは、前記第2の複数の縦溝の前記圧力降下/負荷曲線の初期勾配Δ(ΔP2,i/L2,iよりも大きく、
Δ(ΔP1,i/L1,i>Δ(ΔP2,i/L2,i
b)前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝が組み合わされて平行流で同時に試験された場合に、時間aでの前記第1の複数の縦溝の初期速度V1,aは、時間aでの前記第2の複数の縦溝の初期速度V2,aよりも大きく、
1,a>V2,a
c)前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝が組み合わされて平行流で同時に試験された場合に、次の時間bでの前記第1の複数の縦溝の第2の中間速度V1,bは、前記第2の複数の縦溝の中間速度V2,bに等しく、
1,b=V2,b
d)前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝が組み合わされて平行流で同時に試験された場合に、次の時間cでの前記第1の複数の縦溝の第3の速度V1,cは、前記第2の複数の縦溝の第3の速度V2,cよりも小さい、
1,c<V2,c 空気濾過媒体要素。
【請求項20】
前記第1の複数の縦溝は、前記縦溝付き媒体の第1の複数の層内に配置され、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記縦溝付き媒体の第2の複数の層内に配置される、請求項19又は21~33のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項21】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の10~90パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の90~10パーセントを占める、請求項19若しくは20又は22~33のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項22】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の20~40パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の60~80パーセントを占める、請求項19~21又は23~33のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項23】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の40~60パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の60~40パーセントを占める、請求項19~22又は24~33のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項24】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の10~90パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の90~10パーセントを占める、請求項19~23又は25~33のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項25】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の20~40パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の60~80パーセントを占める、請求項19~24又は26~33のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項26】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の40~60パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の60~40パーセントを占める、請求項19~25又は27~33のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項27】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の10~90パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の90~10パーセントを占める、請求項19~26又は28~33のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項28】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の20~40パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の60~80パーセントを占める、請求項19~27又は29~33のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項29】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の40~60パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の60~40パーセントを占める、請求項19~28又は30~33のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項30】
前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝に対して平行流で配置された第3の複数の縦溝を更に含み、
前記第1の複数の縦溝、前記第2の複数の縦溝及び前記第3の複数の縦溝は、縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝長さ、縦溝断面積又はフィルタ媒体における相違を呈する、請求項19~29又は31~33のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項31】
前記第1の複数の縦溝、前記第2の複数の縦溝及び前記第3の複数の縦溝の各々は、別個の複数の層内に配置される、請求項19~30又は32若しくは33のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項32】
前記媒体の複数の層は、巻回構成又は積層構成で配置される、請求項19~31又は33のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項33】
縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝断面積又はフィルタ媒体における前記相違は、規則的であり且つ繰り返しのものである、請求項19~32のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項34】
気流から微粒子を除去するための空気濾過要素であって、
a)第1の複数の縦溝と、
b)前記第1の複数の縦溝に対して平行流構成で配置された第2の複数の縦溝であって、前記第1の複数の縦溝と比較して縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝断面積、縦溝長さ又はフィルタ媒体における相違を呈する前記第2の複数の縦溝と
を含み、
前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝は、共通の上流面と共通の下流面とを有し、
平行流条件下で同時に粉塵負荷がかかったときに、且つ前記媒体要素の圧力降下が少なくとも10水柱インチである箇所に負荷がかかったときに、前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝は、次のように機能する、すなわち、
a)前記第1の複数の縦溝の時間平均速度
【数1】
は、前記濾過要素全体の時間平均速度
【数2】
よりも小さく、且つ前記第2の複数の縦溝の時間平均速度
【数3】
は、前記濾過要素の前記時間平均速度
【数4】
よりも大きく、
【数5】
b)前記第1の複数の縦溝の負荷の変化ΔLは、前記第1の複数の縦溝の前記時間平均速度で試験されたときの前記第1の複数の縦溝の負荷
【数6】
から前記要素の前記時間平均速度で試験されたときの前記第1の複数の縦溝の負荷
【数7】
を差し引いたものに等しく、
【数8】
c)前記第2の複数の縦溝の負荷の変化ΔLは、前記第2の複数の縦溝の前記時間平均速度で試験されたときの前記第2の複数の縦溝の負荷
【数9】
から前記要素の前記時間平均速度で試験されたときの前記第2の複数の縦溝の負荷
【数10】
を差し引いたものに等しく、
【数11】
d)ΔLとΔLの合計は0よりも大きい、
ΔL+ΔL>0
空気濾過要素。
【請求項35】
前記第1の複数の縦溝は、前記縦溝付き媒体の第1の複数の層内に配置され、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記縦溝付き媒体の第2の複数の層内に配置される、請求項34又は36~48のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項36】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の10~90パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の90~10パーセントを占める、請求項34若しくは35又は37~48のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項37】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の20~40パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の60~80パーセントを占める、請求項34~36又は38~48のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項38】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の40~60パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の60~40パーセントを占める、請求項34~37又は39~48のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項39】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の10~90パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の90~10パーセントを占める、請求項34~38又は40~48のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項40】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の20~40パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の60~80パーセントを占める、請求項34~39又は41~48のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項41】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の40~60パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の60~40パーセントを占める、請求項34~40又は42~48のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項42】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の10~90パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の90~10パーセントを占める、請求項34~41又は43~48のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項43】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の20~40パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の60~80パーセントを占める、請求項34~42又は44~48のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項44】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の40~60パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の60~40パーセントを占める、請求項34~43又は45~48のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項45】
前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝に対して平行流で配置された第3の複数の縦溝を更に含み、
前記第1の複数の縦溝、前記第2の複数の縦溝及び前記第3の複数の縦溝は、縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝長さ、縦溝断面積又はフィルタ媒体における相違を呈する、請求項34~44又は46~48のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項46】
前記第1の複数の縦溝、前記第2の複数の縦溝及び前記第3の複数の縦溝の各々は、別個の複数の層内に配置される、請求項34~45又は47若しくは48のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項47】
前記媒体の複数の層は、巻回構成又は積層構成で配置される、請求項34~46又は48のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項48】
縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝断面積又はフィルタ媒体における前記相違は、規則的であり且つ繰り返しのものである、請求項34~47のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項49】
気流から微粒子を除去するための空気濾過媒体要素であって、
a)第1の複数の縦溝と、
b)前記第1の複数の縦溝に対して平行流構成で配置された第2の複数の縦溝であって、前記第1の複数の縦溝と比較して縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝長さ、縦溝断面積又はフィルタ媒体における相違を呈する前記第2の複数の縦溝と
を含み、
前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝は、共通の上流面と共通の下流面とを有し、且つ
第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、次のように機能する、すなわち、
i)圧力降下ΔPは、流量Qが増加するにつれて増大し、
ii)負荷前に、前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝は別々に且つ同じ速度で試験されたときに、前記第1の複数の縦溝の初期圧力降下ΔP1,0は、前記第2の複数の縦溝にわたる前記初期圧力降下ΔP2,0よりも小さく、
ΔP1,0<ΔP2,0
iii)平行にして試験されたときに、負荷前の前記第1の複数の縦溝の速度は、負荷前の前記空気濾過要素の平均速度よりも大きく、且つ負荷前の前記第2の複数の縦溝の速度は、負荷前の前記空気濾過媒体要素の平均速度よりも小さく、
1,0>V(要素 平均,0
2,0<V(要素 平均,0
iv)平行にして試験されたときに、圧力降下における相違Δ(ΔP)は、前記第1の複数の縦溝の前記速度で試験された前記第1の複数の縦溝の負荷前の圧力降下ΔP1,0,(V1,0)から前記濾過要素の前記平均速度で試験されたときの第1の複数の縦溝の負荷前の圧力降下ΔP1,0,(V要素 平均,0)を差し引いたものに等しく、
Δ(ΔP)=ΔP1,0,(V1,0)-ΔP1,0,(V要素 平均,0)
v)平行にして試験されたときに、前記第2の複数の縦溝の圧力降下における相違Δ(ΔP)は、前記第2の複数の縦溝の前記速度で試験された前記第2の複数の縦溝の負荷前の前記圧力降下ΔP2,0,(V2,0)から前記濾過要素の前記平均速度で試験されたときの前記第2の複数の縦溝の負荷前の前記圧力降下ΔP2,0,(V要素 平均,0)を差し引いたものに等しく、
Δ(ΔP)=ΔP2,0,(V2,0)-ΔP2,0,(V要素 平均,0)
vi)(ΔP)とΔ(ΔP)の合計は0よりも小さい、
Δ(ΔP)+Δ(ΔP)<0
空気濾過媒体要素。
【請求項50】
前記第1の複数の縦溝は、前記縦溝付き媒体の第1の複数の層内に配置され、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記縦溝付き媒体の第2の複数の層内に配置される、請求項49又は51~63のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項51】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の10~90パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の90~10パーセントを占める、請求項49若しくは50又は52~63のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項52】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の20~40パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の60~80パーセントを占める、請求項49~51又は53~63のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項53】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の40~60パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記体積の60~40パーセントを占める、請求項49~52又は54~63のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項54】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の10~90パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の90~10パーセントを占める、請求項49~53又は55~63のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項55】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の20~40パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の60~80パーセントを占める、請求項49~54又は56~63のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項56】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の40~60パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記媒体表面積の60~40パーセントを占める、請求項49~55又は57~63のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項57】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の10~90パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の90~10パーセントを占める、請求項49~56又は58~63のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項58】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の20~40パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の60~80パーセントを占める、請求項49~57又は59~63のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項59】
前記第1の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の40~60パーセントを占め、且つ前記第2の複数の縦溝は、前記媒体要素の前記入口面の60~40パーセントを占める、請求項49~58又は60~63のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項60】
前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝に対して平行流で配置された第3の複数の縦溝を更に含み、
前記第1の複数の縦溝、前記第2の複数の縦溝及び前記第3の複数の縦溝は、縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝長さ、縦溝断面積又はフィルタ媒体における相違を呈する、請求項49~59又は61~63のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項61】
前記第1の複数の縦溝、前記第2の複数の縦溝及び前記第3の複数の縦溝の各々は、別個の複数の層内に配置される、請求項49~60又は62若しくは63のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項62】
前記媒体の複数の層は、巻回構成又は積層構成で配置される、請求項49~61又は63のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【請求項63】
縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝断面積又はフィルタ媒体における前記相違は、規則的であり且つ繰り返しのものである、請求項49~62のいずれか一項に記載の空気濾過媒体要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全ての指定国に対する出願人である米国国内企業Donaldson Company,Inc.並びに全ての指定国に対する発明者である米国国民Daniel E.Adamek、米国国民Scott M.Brown及び米国国民Mark A.Salaの名義で2019年6月11日にPCT国際特許出願として出願されており、且つ2018年6月11日に出願された米国仮特許出願第62/683,542号明細書の優先権を主張するものであり、この内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書における実施形態は、フィルタ媒体、フィルタ媒体要素、フィルタ要素、空気清浄機、並びにフィルタ媒体、媒体要素、要素及び空気清浄機を作製及び使用する方法に関する。より具体的には、本明細書における実施形態は、z流フィルタ媒体、媒体要素及びフィルタ要素に関する。
【背景技術】
【0003】
発明者であるRocklitzの米国特許第7,959,702号明細書で説明されているものなどのZ流フィルタ媒体は、媒体の複数の層を有する。各層は、縦溝付きシートと、対面シートと、濾過媒体要素の第1の面から第2の面に延びる複数の縦溝とを有する。複数の縦溝の第1の部分は、複数の縦溝の第1の部分に流入する未濾過空気に対して閉鎖され、且つ複数の縦溝の第2の部分は、複数の縦溝の第2の部分から流出する未濾過空気に対して閉鎖される。媒体要素の一方の面における縦溝内に入った空気は、媒体要素の他方の面における縦溝から流出する前にフィルタ媒体を通過する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
z流媒体は、多くの利益を有するが、要素にわたる圧力降下が低減され且つ/又は微粒子負荷能力が改善されたフィルタ媒体、媒体要素及び要素を含め、フィルタ性能の改善の必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、フィルタ媒体、フィルタ媒体要素、フィルタ要素及び2つ以上の異なる媒体構成を備えた空気清浄機に関し、加えて、媒体、媒体要素、フィルタ要素及び空気清浄機を作製及び使用する方法に関する。異なる媒体構成は、例えば、z流フィルタ媒体における異なる縦溝形状であり得る。2つ以上の異なる媒体構成の使用は、単一の媒体構成の使用に比べて圧力降下の低減及び/又は負荷能力の増加などの性能の改善を可能にする。
【0006】
例示的な実装形態において、2つの異なる媒体部は、単一のフィルタ要素に組み込まれ、2つの媒体部は、異なる圧力降下及び負荷特性を有する。圧力降下及び負荷特性における媒体部間の差異は、概して、製造上のばらつきによるフィルタ要素内で観察される通常のばらつきよりも小さく、したがって、概して、その差は、特定の測定及び変動パラメータについて少なくとも5パーセントであり、より典型的には特定の測定及び変動パラメータについて少なくとも10パーセントである。
【0007】
例示的な構成において、第1の媒体部は、第2の媒体部よりも初期圧力降下が低い一方、第2の媒体部は、第1の媒体部よりも粉塵保持能力が高い。特定の構造では、これらの2つの媒体部の組み合わせにより、これらの媒体の1つのみで作製された媒体要素により達成される性能よりも優れた性能であって、各媒体部の性能を単に平均化するのみで達成される性能よりも優れた性能を有する要素が得られる。したがって、ハイブリッドフィルタ要素は、単に一方の媒体又は他方の媒体のみを用いて作製された媒体要素に比べて(例えば)初期圧力降下の低減を示すが、負荷の増加も示す可能性がある。
【0008】
例示的な実施形態は、気流から微粒子を除去するための空気濾過要素であって、
a)第1の複数の縦溝と、
b)第1の複数の縦溝に対して平行流構成で配置された第2の複数の縦溝であって、第1の複数の縦溝と比較して縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝長さ、縦溝断面積又はフィルタ媒体における相違を呈する第2の複数の縦溝と
を含み、
第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、共通の上流面と共通の下流面とを有し、且つ
略一定の速度でフィルタ要素に粉塵負荷がかかったときに、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、次のように機能する、すなわち、
a)第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、上流面から下流面への初期圧力降下が略等しく、
b)第1の複数の縦溝の初期速度は第2の複数の縦溝の初期速度よりも大きく、
c)粉塵負荷時に、
i)第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝にわたる圧力降下は、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝の速度が互いに変化している間に互いに略等しいままであり、並びに
ii)第1の複数の縦溝を通る速度は低下し、且つ第2の複数の縦溝を通る速度は、少なくとも第2の複数の縦溝を通る速度が第1の複数の縦溝を通る速度よりも大きくなるまで増加する、
空気濾過要素である。
【0009】
実施形態において、第2の複数の縦溝の速度よりも大きな第1の複数の縦溝の速度から第1の複数の縦溝の速度よりも大きな第2の複数の縦溝の速度への移行は、媒体要素が粉塵負荷能力の10パーセントまで負荷を受ける前に生じる。
【0010】
実施形態において、第2の複数の縦溝の速度よりも大きな第1の複数の縦溝の速度から第1の複数の縦溝の速度よりも大きな第2の複数の縦溝の速度への移行は、媒体要素が粉塵負荷能力の15パーセントまで負荷を受ける前に生じる。
【0011】
実施形態において、第2の複数の縦溝の速度よりも大きな第1の複数の縦溝の速度から第1の複数の縦溝の速度よりも大きな第2の複数の縦溝の速度への移行は、媒体要素が粉塵負荷能力の20パーセントまで負荷を受ける前に生じる。
【0012】
初期圧力降下は、1水柱インチ未満、2水柱インチ未満、又は3、4若しくは5水柱インチ未満などの、第1の部分の媒体負荷を測定するように意図されている。初期圧力降下はまた、要素が(例えば)最大圧力降下の1パーセント、最大圧力降下の2パーセント、最大圧力降下の5パーセント、又は圧力降下の10パーセントに達する点として測定することができる。
【0013】
縦溝高さは、例えば、媒体の個々の層が様々な高さを有するように、媒体の複数の層が異なる高さを有するように、又は媒体のより大きい部分が異なる高さを有するように変化させることができる。
【0014】
媒体のこれらの種々の層及び部分を通る流れは、典型的には平行流である。本明細書で使用される場合、「平行」という用語は、濾過される流体流が第1の複数の縦溝と第2の複数の縦溝とに分岐し、次いで典型的には後に再び合流する構造を指す。そのようなものとして、「平行」は、縦溝自体が幾何学的に平行な構成で配置されることを必要とするのではなく(そのような構成で配置されることが多いが)、むしろ複数の縦溝が互いに対して平行流を呈することを必要とする。したがって、「平行」流は、(流れがある複数の縦溝から次に第2の複数の縦溝内に直列流で入る)「直列」流とは対照的に使用される。
【0015】
本明細書の開示に従って作製された構造は、例えば、単一の媒体型で作製されるフィルタ媒体要素及び要素に比べて圧力降下及び粉塵負荷の両方の改善を可能にすることができる。加えて、いくつかの実装形態では、初期圧力降下を著しく増加させずに、より多くの媒体を規定の体積に追加することができる。そのようなものとして、粉塵負荷能力が依然として比較的高いままで初期圧力降下が比較的低い媒体構造を作り出すことができる。この改善は、初期圧力降下が低い(但し、粉塵負荷能力が低い)第1の媒体と、初期圧力降下がより高い(及び粉塵負荷能力がより高い)第2の媒体とを組み合わせることにより得ることができる。結果として得られる複合媒体は、いくつかの実施形態では、第1の媒体と同様の初期圧力降下を示すが、第2の媒体の粉塵負荷を有する。
【0016】
所与の媒体表面積により多くの粉塵負荷がかかるのみならず、特定の体積内により多くの媒体を得るために、ハイブリッド媒体構造の利益を利用することも可能である。したがって、より少ない媒体を有する一方で媒体性能の改善を実現することが可能である。
【0017】
例示的な実施形態において、気流から微粒子を除去するための空気濾過要素は、a)第1の複数の縦溝と、b)第1の複数の縦溝に対して平行流構成で配置された第2の複数の縦溝であって、第1の複数の縦溝と比較して縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝長さ、縦溝断面積又はフィルタ媒体における相違を呈する第2の複数の縦溝とを含み、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、共通の上流面と共通の下流面とを有し、且つ略一定の速度でフィルタ要素に粉塵負荷がかかったときに、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、次のように機能する、すなわち、
a)第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、上流面から下流面への初期圧力降下が略等しく、
b)第1の複数の縦溝の初期速度は第2の複数の縦溝の初期速度よりも大きく、
c)図3Aに示すような、粉塵負荷時に、
i)第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝にわたる圧力降下は、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝の速度が互いに変化している間に互いに略等しいままであり、並びに
ii)第1の複数の縦溝を通る速度は低下し、且つ第2の複数の縦溝を通る速度は、少なくとも第2の複数の縦溝を通る速度が第1の複数の縦溝を通る速度よりも大きくなるまで増加する。
【0018】
例示的な実装形態において、気流から微粒子を除去するための空気濾過媒体要素は、a)第1の複数の縦溝と、b)第1の複数の縦溝に対して平行流構成で配置された第2の複数の縦溝であって、第1の複数の縦溝と比較して縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝断面積、縦溝長さ又はフィルタ媒体における相違を呈する第2の複数の縦溝とを含み、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、共通の上流面と共通の下流面とを有する。フィルタ要素に粉塵負荷がかかったときに、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、次のように機能する、すなわち、
a)第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝が同じ媒体要素速度で別々に試験されたときに、第1の複数の縦溝の初期圧力降下ΔP1,iは、第2の複数の縦溝にわたる初期圧力降下ΔP2,iよりも小さく、且つ第1の複数の縦溝の圧力降下/負荷曲線の時間aでの初期勾配Δ(ΔP1,i/L1,iは、第2の複数の縦溝の圧力降下/負荷曲線の初期勾配Δ(ΔP2,i/L2,iよりも大きく、
Δ(ΔP1,i/L1,i>Δ(ΔP2,i/L2,i
b)第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝が組み合わされて平行流で同時に試験されたときに、時間aでの第1の複数の縦溝の初期速度V1,aは、時間aでの第2の複数の縦溝の初期速度V2,aよりも大きく、
1,a>V2,a
c)第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝が組み合わされて平行流で同時に試験されたときに、次の時間bでの第1の複数の縦溝の第2の中間速度V1,bは、第2の複数の縦溝の中間速度V2,bに等しく、
1,b=V2,b
d)第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝が組み合わされて平行流で同時に試験されたときに、次の時間cでの第1の複数の縦溝の第3の速度V1,cは、第2の複数の縦溝の第3の速度V2,cよりも小さい。
1,c<V2,c
【0019】
例示的な実装形態において、気流から微粒子を除去するための空気濾過要素は、a)第1の複数の縦溝と、b)第1の複数の縦溝に対して平行流構成で配置された第2の複数の縦溝であって、第1の複数の縦溝と比較して縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝断面積、縦溝長さ又はフィルタ媒体における相違を呈する第2の複数の縦溝とを含み、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、共通の上流面と共通の下流面とを有する。平行流条件下で同時に粉塵負荷がかかったときに、且つ媒体要素の圧力降下が少なくとも10水柱インチである箇所に負荷がかかったときに、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、次のように機能する、すなわち、
a)第1の複数の縦溝の時間平均速度
【数1】
は、濾過要素全体の時間平均速度
【数2】
よりも小さく、且つ第2の複数の縦溝の時間平均速度
【数3】
は、濾過要素の時間平均速度
【数4】
よりも大きく、
【数5】
b)第1の複数の縦溝の負荷の変化ΔLは、第1の複数の縦溝の時間平均速度で試験されたときの第1の複数の縦溝の負荷
【数6】
から要素の時間平均速度で試験されたときの第1の複数の縦溝の負荷
【数7】
を差し引いたものに等しく、
【数8】
c)第2の複数の縦溝の負荷の変化ΔLは、第2の複数の縦溝の時間平均速度で試験されたときの第2の複数の縦溝の負荷
【数9】
から要素の時間平均速度で試験されたときの第2の複数の縦溝の負荷
【数10】
を差し引いたものに等しく、
【数11】
d)ΔLとΔLの合計は0よりも大きい。
ΔL+ΔL>0
【0020】
例示的な実装形態において、気流から微粒子を除去するための濾過媒体要素は、a)第1の複数の縦溝と、b)第1の複数の縦溝に対して平行流構成で配置された第2の複数の縦溝であって、第1の複数の縦溝と比較して縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝長さ、縦溝断面積又はフィルタ媒体における相違を呈する第2の複数の縦溝とを含み、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、共通の上流面と共通の下流面とを有し、且つ第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、次のように機能する、すなわち、
i)圧力降下ΔPは、流量Qが増加するにつれて増大し、
ii)負荷前に、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は別々に且つ同じ速度で試験されたときに、第1の複数の縦溝の初期圧力降下ΔP1,0は、第2の複数の縦溝にわたる初期圧力降下ΔP2,0よりも小さく、
ΔP1,0<ΔP2,0
iii)平行にして試験されたときに、負荷前の第1の複数の縦溝の速度は、負荷前の空気濾過要素の平均速度よりも大きく、且つ負荷前の第2の複数の縦溝の速度は、負荷前の空気濾過媒体要素の平均速度よりも小さく、
1,0>V(要素 平均,0
2,0<V(要素 平均,0
v)平行にして試験されたときに、圧力降下における相違Δ(ΔP)は、第1の複数の縦溝の速度で試験された第1の複数の縦溝の負荷前の圧力降下ΔP1,0,(V1,0)から濾過要素の平均速度で試験されたときの第1の複数の縦溝の負荷前の圧力降下ΔP1,0,(V要素 平均,0)を差し引いたものに等しく、
Δ(ΔP)=ΔP1,0,(V1,0)-ΔP1,0,(V要素 平均,0)
v)平行にして試験されたときに、第2の複数の縦溝の圧力降下における相違Δ(ΔP)は、第2の複数の縦溝の速度で試験された第2の複数の縦溝の負荷前の圧力降下ΔP2,0,(V2,0)から濾過要素の平均速度で試験されたときの第2の複数の縦溝の負荷前の圧力降下ΔP2,0,(V要素 平均,0)を差し引いたものに等しく、
Δ(ΔP)=ΔP2,0,(V2,0)-ΔP2,0,(V要素 平均,0)
d)Δ(ΔP)とΔ(ΔP)の合計は0よりも小さい。
Δ(ΔP)+Δ(ΔP)<0
【0021】
例示的な構造において、第1の媒体要素は、例えば、(パック体積により測定された)媒体要素の約10、20、30、40、50、60、70、80又は90パーセントを占めることができ、且つ第2の媒体要素は、例えば、(パック体積により測定された)媒体要素の約10、20、30、40、50、60、70、80又は90パーセントを占めることができる。本明細書で使用される場合、パック体積とは、パックの境界内に含まれる領域を測定したときに媒体要素が占める総体積を意味する。したがって、パック体積は、粉塵が入り込むことができる上流側開放体積及び濾過された空気が通って媒体要素の外に進む下流側体積のみならず、媒体自体も含むことができる。代替的に、第1の複数の縦溝は、パック体積の20~40パーセントを占め、且つ第2の複数の縦溝は、パック体積の60~80パーセントを占める。他の実装形態において、第1の複数の縦溝は、パック体積の40~60パーセントを占め、且つ第2の複数の縦溝は、パック体積の60~40パーセントを占める。更に別の実装形態において、第1の複数の縦溝は、媒体要素の入口面の60~90パーセントを占め、且つ第2の複数の縦溝は、パック体積の40~10パーセントを占める。
【0022】
そのような例示的な構造において、第1の媒体要素は、例えば、(媒体表面積により測定された)媒体要素の約10、20、30、40、50、60、70、80又は90パーセントであり得、且つ第2の媒体は、例えば、(媒体表面積により測定された)媒体要素の約10、20、30、40、50、60、70、80又は90パーセントであり得る。本明細書で使用される場合、パック表面積は、媒体要素が分解されて媒体が引き伸ばされた場合の各媒体要素における媒体の総表面積を意味する。代替的に、第1の複数の縦溝は、媒体表面積の20~40パーセントを占め、且つ第2の複数の縦溝は、媒体表面積の60~80パーセントを占める。他の実装形態において、第1の複数の縦溝は、媒体表面積の入口面の40~60パーセントを占め、且つ第2の複数の縦溝は、媒体表面積パックの60~40パーセントを占める。更に別の実装形態において、第1の複数の縦溝は、媒体表面積の60~90パーセントを占め、且つ第2の複数の縦溝は、媒体表面積の40~10パーセントを占める。特定の媒体型が占める入口面の部分により媒体要素を特徴付けることも可能である。いくつかの実装形態において、(第1の複数の縦溝を含む)第1の媒体要素は、媒体要素の入口面の10~90パーセント、例えば媒体要素の入口面の10、20、30、40、50、60、70、80又は90パーセントを占め、且つ(第2の複数の縦溝を含む)第2の媒体要素は、媒体要素の入口面の90~10パーセント、例えば媒体要素の入口面の90、80、70、60、50、40、30、20又は10パーセントを占める。代替的に、第1の複数の縦溝は、媒体要素の入口面の20~40パーセントを占め、且つ第2の複数の縦溝は、媒体要素の入口面の60~80パーセントを占める。他の実装形態において、第1の複数の縦溝は、媒体要素の入口面の40~60パーセントを占め、且つ第2の複数の縦溝は、媒体要素の入口面の60~40パーセントを占める。更に別の実装形態において、第1の複数の縦溝は、媒体要素の入口面の60~90パーセントを占め、且つ第2の複数の縦溝は、媒体要素の入口面の40~10パーセントを占める。
【0023】
濾過媒体要素の別の実施形態は、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝に対して平行流で配置された第3の複数の縦溝を含み、第1の複数の縦溝、第2の複数の縦溝及び第3の複数の縦溝は、縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝断面積、テーパ又はフィルタ媒体における規則的であり且つ繰り返しの相違を呈する。任意選択的に、第1の複数の縦溝、第2の複数の縦溝及び第3の複数の縦溝の各々は、別個の複数の層内に配置される。いくつかの実装形態では、4つ以上の複数の縦溝が平行流で配置され、複数の縦溝の各々は、縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝断面積又はフィルタ媒体における相違を呈することが理解されるであろう。多くの場合、縦溝特性におけるこれらの相違は、繰り返しの相違であり、多くの場合に規則的な繰り返しの相違である。
【0024】
3種類の縦溝を有する例示的な構造において、第1の縦溝、第2の縦溝及び第3の縦溝は、第1の複数の縦溝が媒体要素の体積の20~50パーセント、例えば媒体要素の体積の20、30、40又は50パーセントを占め、第2の複数の縦溝がパックの体積の20~50パーセント、例えば媒体要素の体積の20、30、40又は50パーセントを占め、且つ第3の複数の縦溝が媒体要素の体積の20~50パーセント、例えば媒体要素の体積の20、30、40又は50パーセントを占めるように選択することができる。
【0025】
3種類の縦溝を有する例示的な構造において、第1の縦溝、第2の縦溝及び第3の縦溝は、第1の複数の縦溝が媒体要素の媒体表面積の20~50パーセント、例えばフィルタ媒体要素の媒体表面積の20、30、40又は50パーセントを占め、第2の複数の縦溝が媒体要素の媒体表面積の20~50パーセント、例えば媒体要素の媒体表面積の20、30、40又は50パーセントを占め、且つ第3の複数の縦溝が媒体要素の媒体表面積の20~50パーセント、例えば媒体要素の表面積の20、30、40又は50パーセントを占めるように選択することができる。
【0026】
3種類の縦溝を有する例示的な構造において、第1の縦溝、第2の縦溝及び第3の縦溝は、第1の複数の縦溝が媒体要素の入口面の20~50パーセント、例えばフィルタ媒体要素の入口面の20、30、40又は50パーセントを占め、第2の複数の縦溝が媒体要素の入口面の20~50パーセント、例えばフィルタ媒体要素の入口面の20、30、40又は50パーセントを占め、且つ第3の複数の縦溝が媒体要素の入口面の20~50パーセント、例えば媒体要素の入口面の20、30、40又は50パーセントを占めるように選択することができる。
【0027】
例示的な空気濾過媒体要素は、縦溝付きz流媒体の複数の層を有する。いくつかの構造において、媒体の各層は、対面シートと縦溝付きシートとを有する。各縦溝付きシートは、縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝断面積又はフィルタ媒体における規則的であり且つ繰り返しの相違を呈する複数の縦溝を含む。これらの複数の縦溝は、平行流パターンで配置される。対面シートは、例えば、縦溝付きシートを形成する同じ材料で構築することができ、又は異なる材料で構築することができる。対面シートは、典型的には縦溝付きではないが、いくつかの構造では縦溝付きであり得る。対面シートは、濾過特性を有するか又は濾過特性を示さない非濾過材料(スペーサ材料など)であり得る。また、対面シートは、各縦溝付きシートの全部又は一部分のみを覆うことができる。対面シートは、連続したものであるか、又は別個の対面シートセグメントが各対面シートに対して位置決めされるようにセグメント化されたものであり得る。
【0028】
複数の縦溝における異なる媒体型は、互いに平行流で位置する。上述のように、本明細書で使用される場合、「平行」という用語は、濾過される流体流が第1の複数の縦溝と第2の複数の縦溝とに分岐し、次いで典型的には後に再び合流する構造を指す。そのようなものとして、「平行」は、縦溝自体が幾何学的に平行な構成で配置されることを必要とするのではなく(そのような構成で配置されることが多いが)、むしろ複数の縦溝が互いに対して略平行流を有することを必要とする。したがって、「平行」流は、流れがある複数の縦溝から次に第2の複数の縦溝内に入る「直列」流とは対照的に使用される。巻き付け構造などのいくつかの構造では、流体流れがフィルタ媒体の隣り合う部分間に存在し得ることが理解されるであろう。
【0029】
また、平行流は、平行流が存在する限り、複数の縦溝及び第2の複数の縦溝が同じ縦溝長さ又は異なる縦溝長さを有する媒体要素を含むことができることが理解されるであろう。同様に、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、単一の前面及び単一の後面を有することができ、互いに面一である前面及び後面を有することができ、又は互いにずらされる前面及び後面を有することができる。いくつかの構成において、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、互いに区分されるが、それにしても平行流で区分されるので、単一の要素としての機能を果たす。
【0030】
媒体は、交互に位置する片面層を含む様々な構造(例えば、A、B及びCの各々が異なる縦溝型を指し且つ「/」が別個の層を表す、構造A/B/C/A/B/C...)で媒体要素内に配置することができる。したがって、A/B/C/A/B/C....は、構成Aを有する縦溝の第1の層と、続いて構成Bを有する縦溝の第2の層と、構成Cを有する縦溝の第3の層とを備えた縦溝付き媒体を指す。この順序は、A/B/C/A/B/C配置では層について4回、5回及び6回繰り返される。このA/B/C配置は、完全な媒体要素を作り出すために何度も繰り返すことができる。
【0031】
「A」、「B」及び「C」縦溝という用語の使用は、異なる特性を備えた媒体を表すように意図されている。例えば、種類Aの縦溝は、種類B若しくは種類Cの縦溝よりも高さが大きいことができ、又は種類Bの縦溝は、種類A若しくは種類Cの縦溝よりも幅が大きいか若しくは小さいことができ、又は種類Aの縦溝は、種類B若しくはCの縦溝よりも効率及び/若しくは透過性が高い媒体で形成することができる。
【0032】
構造A/A/A/A/B/B/B/C/C/Cを備えた媒体要素など、同様の縦溝の層がグループ化される構造内に媒体を配置できることも理解されるであろう。この構造には、A縦溝を備えた4つの層と、B縦溝を備えた3つの層と、C縦溝を備えた3つの層とが存在する。縦溝の種類A、B及びCを備えた層の各々がグループ化される。異なる種類の縦溝を含む異なる媒体領域は、積層構成又は巻き付け構成で配置されることなどにより、互いに直接接触することができる。媒体領域は、異なる媒体領域が仕切り又は他の構成要素により区分されるようにも配置される。
【0033】
縦溝大きさ、媒体要素大きさなどに応じてグループ化された3つの層又は4つの層よりも多くの同様の縦溝が存在し得ることも理解されるであろう。媒体要素は、(例えば)A縦溝の10個、20個、30個若しくは40個のグループ化された層又はB縦溝の10個、20個、30個若しくは40個のグループ化された層などの各媒体の多くの層で構築され得る。
【0034】
いくつかの構造において、縦溝は、層間のみならず、層内においても繰り返し変化させることができる。例えば、構造ABC.../DEF.../ABC.../DEF.../ABC.../DEF...を有する媒体要素では、縦溝Aと、縦溝Bと、縦溝Cとを有する層は、縦溝Dと、縦溝Eと、縦溝Fとを有する層と交互に位置する。他の例は、非限定的に、AB..../CDEF.../AB.../CDEFを備えた媒体要素及びA.../BCD.../A.../BCD...を備えた媒体要素を含む。
【0035】
所与のフィルタ媒体要素又は空気清浄機内の2つ以上の縦溝構成の使用により、ある縦溝構成のより低い初期制限と第2の縦溝構成の粉塵保持能力とを有することを含む種々の利益をもたらすことができる。したがって、複合媒体で形成された要素は、1つの縦溝構成のみで形成された要素よりも優れた性能を有することができる。このように、異なる種類及び様式の縦溝形状を組み合わせることにより、コスト、初期圧力降下、負荷能力又はフィルタ性能の他の態様の1つ又は複数の改善が可能となる。
【0036】
いくつかの構造において、媒体の相対位置は、所望の要素特性により決定される。例えば、初期制限を低減するように媒体が内部に取り付けられる空気清浄機の構成のために、面風速の最も高いフィルタ要素の領域に透過性のより高い媒体を配置することができる。他の実施形態では、フィルタ要素の初期効率を改善するために、より高効率の媒体は、面風速の最も高い領域に配置される。
【0037】
本概要は、本出願の教示の一部の概説であり、本主題を排他的又は網羅的に取り扱うことを意図するものではない。更なる詳細は、詳細な説明及び添付の特許請求の範囲に見出される。他の態様は、以下の詳細な説明を読んで理解し、その一部を成す図面を見ることで当業者に明らかになり、詳細な説明及び図面の各々は、限定的な意味で解釈されるべきではない。本明細書の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその法的均等物により定義される。
【0038】
態様は、以下の図との関連でより詳細に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】例示的な実施形態に従って作製された例示的なフィルタ要素の斜視図である。
図2A】フィルタ媒体の一部の拡大概略断面図である。
図2B】上側対面シート及び下側対面シートに沿った縦溝付き媒体のシートの部分拡大断面図である。
図3A図3Aは、要素の性能の概略図である(この図は、代表的なものであり、実測試験データに基づいていない)。
図3B図3Bは、要素の性能の概略図である(この図は、代表的なものであり、実測試験データに基づいていない)。
図3C図3Cは、要素の性能の概略図である(この図は、代表的なものであり、実測試験データに基づいていない)。
図3D図3Dは、要素の性能の概略図である(この図は、代表的なものであり、実測試験データに基づいていない)。
図3E図3Eは、要素の性能の概略図である(この図は、代表的なものであり、実測試験データに基づいていない)。
図3F図3Fは、要素の性能の概略図である(この図は、代表的なものであり、実測試験データに基づいていない)。
図4A図4Aは、2種類のフィルタ媒体を備えた巻回構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図4B図4Bは、3種類のフィルタ媒体を備えた巻回構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図5】フィルタ媒体の積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図6】フィルタ媒体の積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図7】フィルタ媒体の積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図8】3種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図9図9は、2種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図10図10は、2種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図11図11は、2種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図12】2種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図13】2種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図14】3種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図15】2種類のフィルタ媒体を備えた巻回構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図16】3種類のフィルタ媒体を備えた巻回構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図17】3種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図18】2種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図19】2種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図20】2種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図21】2種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図22】2種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図23】3種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図24A】2種類のフィルタ媒体を備えた巻回構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図24B】2種類のフィルタ媒体を備えた巻回構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図25A】3種類のフィルタ媒体を備えた巻回構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図25B】3種類のフィルタ媒体を備えた巻回構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図26A】2種類のフィルタ媒体を備えた巻回構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図26B】2種類のフィルタ媒体を備えた巻回構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。
図27】異なる媒体型を備えたフィルタ要素の比較試験からの性能結果を示す。
図28A】種々の媒体構造についての粉塵負荷及び圧力降下を含む性能結果を示す。
図28B】種々の媒体構造についての粉塵負荷及び圧力降下を含む性能結果を示す。
図29A】種々の媒体構造についての粉塵負荷及び圧力降下を含む性能結果を示す。
図29B】種々の媒体構造についての粉塵負荷及び圧力降下を含む性能結果を示す。
図30A】種々の媒体構造についての粉塵負荷及び圧力降下を含む性能結果を示す。
図30B】種々の媒体構造についての粉塵負荷及び圧力降下を含む性能結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
実施形態は、種々の修正形態及び代替形態を受け入れる余地があるが、実施形態の詳細は、例及び図面によって示され、詳細に説明される。しかしながら、本明細書の範囲は、説明する実施形態に限定されるものではないことを理解すべきである。逆に、本発明は、本明細書の趣旨及び範囲内に含まれる修正形態、均等物並びに代替形態を網羅するものである。
【0041】
本出願は、例示的な実施形態において、縦溝付き媒体の複数の層を含む空気濾過媒体要素であって、各層が第1の複数の縦溝と第2の複数の縦溝とを含み、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、平行流構成で配置され、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝長さ、縦溝断面積又はフィルタ媒体における相違を呈する、空気濾過媒体要素を対象とする。例示的な実施形態において、それらの相違は、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝のテーパ形状における相違である。
【0042】
これらの複数の縦溝は、平行流で配置される。上述のように、これに関連して使用される場合、「平行」という用語は、濾過される流体流が第1の複数の縦溝と第2の複数の縦溝とに分岐し、次いで典型的には後に再び合流する構造を指す。そのようなものとして、「平行」は、縦溝自体が幾何学的に平行な構成で配置されることを必要とするのではなく(そのような構成で配置されることが多いが)、むしろ複数の縦溝が互いに対して平行流を呈することを必要とする。したがって、「平行」流は、(流れがある複数の縦溝から次に第2の複数の縦溝内に直列流で入る)「直列」流とは対照的に使用される。
【0043】
いくつかの実装形態において、濾過媒体要素は、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝が縦溝付き媒体の少なくとも1つの層内にまとめて配置されるように構築することができる。他の実装形態において、第1の複数の縦溝は、第1の複数の層内に配置され、且つ第2の複数の縦溝は、縦溝付き媒体の第2の複数の層内に配置される。これらの2つの構造は、個々の層が縦溝間の繰り返しの相違を有するように、且つ異なる層が組み合わされるようにも組み合わされ得る。
【0044】
例示的な実施形態は、気流から微粒子を除去するための空気濾過要素であって、
a)第1の複数の縦溝と、
b)第1の複数の縦溝に対して平行流構成で配置された第2の複数の縦溝であって、第1の複数の縦溝と比較して縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝長さ、縦溝断面積又はフィルタ媒体における相違を呈する第2の複数の縦溝と
を含み、
第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、共通の上流面と共通の下流面とを有し、且つ
略一定の速度でフィルタ要素に粉塵負荷がかかったときに、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、次のように機能する、すなわち、
a)第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、上流面から下流面への初期圧力降下が略等しく、
b)第1の複数の縦溝の初期速度は第2の複数の縦溝の初期速度よりも大きく、
c)粉塵負荷時に、
i)第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝にわたる圧力降下は、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝の速度が互いに変化している間に互いに略等しいままであり、並びに
ii)第1の複数の縦溝を通る速度は低下し、且つ第2の複数の縦溝を通る速度は、少なくとも第2の複数の縦溝を通る速度が第1の複数の縦溝を通る速度よりも大きくなるまで増加する、
空気濾過要素である。
【0045】
実施形態において、第2の複数の縦溝の速度よりも大きな第1の複数の縦溝の速度から第1の複数の縦溝の速度よりも大きな第2の複数の縦溝の速度への移行は、媒体要素が粉塵負荷能力の10パーセントまで負荷を受ける前に生じる。
【0046】
実施形態において、第2の複数の縦溝の速度よりも大きな第1の複数の縦溝の速度から第1の複数の縦溝の速度よりも大きな第2の複数の縦溝の速度への移行は、媒体要素が粉塵負荷能力の15パーセントまで負荷を受ける前に生じる。
【0047】
実施形態において、第2の複数の縦溝の速度よりも大きな第1の複数の縦溝の速度から第1の複数の縦溝の速度よりも大きな第2の複数の縦溝の速度への移行は、媒体要素が粉塵負荷能力の20パーセントまで負荷を受ける前に生じる。
【0048】
例示的な実装形態において、2つの異なる媒体要素は、単一のフィルタ要素に組み合わされ、2つの媒体要素は、異なる圧力降下及び負荷特性を有する。一例において、第1の媒体要素は、第2の媒体要素よりも初期圧力降下が低い一方、第2の媒体要素は、第1の媒体要素よりも粉塵保持能力が高い。特定の構造では、これらの2つの媒体の組み合わせにより、いずれかの媒体単独で達成される性能よりも優れた性能であって、各媒体要素の性能を単に平均化するのみで達成される性能よりも優れた性能を有する要素が得られる。したがって、ハイブリッドフィルタ要素は、(例えば)初期圧力流の低減を示すが、負荷の増加も示し得る。
【0049】
例示的な実装形態において、気流から微粒子を除去するための空気濾過媒体要素は、第1の複数の縦溝と、第1の複数の縦溝に対して平行流構成で配置された第2の複数の縦溝であって、第1の複数の縦溝と比較して縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝長さ、縦溝断面積又はフィルタ媒体における相違を呈する第2の複数の縦溝とを含む。第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、共通の上流面と共通の下流面とを有し、且つ略一定の速度で粉塵負荷がかかったときに、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、次のように機能する、すなわち、a)第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、上流面から下流面への初期圧力降下が略等しく、b)第1の複数の縦溝の初期速度は第2の複数の縦溝の初期速度よりも大きく、c)粉塵負荷時に、i)第1の複数の縦溝を通る速度は低下し、且つ第2の複数の縦溝を通る速度は、少なくとも第2の複数の縦溝を通る速度が第1の複数の縦溝を通る速度よりも大きくなるまで増加し、並びにii)第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝にわたる圧力降下は、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝の速度が互いに変化している間に互いに略等しいままである。
【0050】
速度は、体積流量/要素体積である。速度範囲の例は、例えば、300~3000cfm/立方フィートである。いくつかの実装形態において、速度は、500~2000cfm/立方フィートの範囲である。特定の実施形態において、速度は、300cfm/立方フィートよりも大きい、500cfm/立方フィートよりも大きい、1000cfm/立方フィートよりも大きい、又は2000cfm/立方フィートよりも大きい。特定の実施形態において、速度は、3000cfm/立方フィート未満、2000cfm/立方フィート未満、1000cfm/立方フィート未満、又は500cfm/立方フィート未満である。
【0051】
要素を通る流量は、例えば、200~3000立方フィート毎分(cfm)とすることができる。いくつかの実装形態において、流量は、200cfmよりも大きい、500cfmよりも大きい、1000cfmよりも大きい、1500cfmよりも大きい、2000cfmよりも大きい、又は2500cfmよりも大きい。いくつかの実装形態において、流量は、3000cfm未満、2500cfm未満、2000cfm未満、1500cfm未満、1000cfm未満、又は500cfm未満である。
【0052】
要素の終端部での制限は、例えば、10~40水柱インチであり得る。いくつかの実装形態において、終端部での制限は、10水柱インチよりも大きい、15水柱インチよりも大きい、20水柱インチよりも大きい、25水柱インチよりも大きい、30水柱インチよりも大きい、又は35水柱インチよりも大きい。いくつかの実装形態において、終端部での制限は、40水柱インチ未満、35水柱インチ未満、30水柱インチ未満、25水柱インチ未満、20水柱インチ未満、又は15水柱インチ未満である。
【0053】
終端部への上昇の制限は、例えば、5~35水柱インチであり得る。いくつかの実装形態において、終端部への上昇の制限は、5水柱インチよりも大きく、10水柱インチよりも大きく、15水柱インチよりも大きく、20水柱インチよりも大きく、25水柱インチよりも大きく、30水柱インチよりも大きく、又は35水柱インチよりも大きくてもよい。いくつかの実装形態において、終端部への上昇の制限は、40水柱インチ未満、35水柱インチ未満、30水柱インチ未満、25水柱インチ未満、20水柱インチ未満、又は15水柱インチ未満である。
【0054】
例示的な構造において、第1の媒体要素は、例えば、(パック体積により測定された)媒体要素の約20、30、40又は50パーセントであり得、且つ第2の媒体要素は、例えば、(パック体積により測定された)媒体要素の約20、30、40又は50パーセントであり得る。本明細書で使用される場合、パック体積とは、パックの境界内に含まれる領域を測定したときの媒体要素が占める総体積を意味する。したがって、パック体積は、粉塵が入り込むことができる開放体積だけでなく、媒体自体も含むことができる。
【0055】
このような例示的な構造において、第1の媒体要素は、例えば、(媒体表面積により測定された)媒体要素の約20、30、40又は50パーセントであり得、且つ第2の媒体要素は、例えば、(媒体表面積により測定された)媒体要素の約20、30、40又は50パーセントであり得る。本明細書で使用される場合、パック表面積とは、媒体要素が分解されて媒体が引き伸ばされた場合の各媒体要素における媒体の総表面積を意味する。
【0056】
いくつかの実装形態において、第1の複数の縦溝は、媒体要素の入口面の10~90パーセントを占め、且つ第2の複数の縦溝は、媒体要素の入口面の90~10パーセントを占める。代替的に、第1の複数の縦溝は、媒体要素の入口面の20~40パーセントを占め、且つ第2の複数の縦溝は、媒体要素の入口面の60~80パーセントを占める。他の実装形態において、第1の複数の縦溝は、媒体要素の入口面の40~60パーセントを占め、且つ第2の複数の縦溝は、媒体要素の入口面の60~40パーセントを占める。更に別の実装形態において、第1の複数の縦溝は、媒体要素の入口面の60~90パーセントを占め、且つ第2の複数の縦溝は、媒体要素の入口面の40~10パーセントを占める。
【0057】
濾過媒体要素の別の実施形態は、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝に対して平行流で配置された第3の複数の縦溝を含み、第1の複数の縦溝、第2の複数の縦溝及び第3の複数の縦溝は、縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝断面積又はフィルタ媒体における規則的であり且つ繰り返しの相違を呈する。任意選択的に、第1の複数の縦溝、第2の複数の縦溝及び第3の複数の縦溝の各々は、別個の複数の層内に配置される。いくつかの実装形態では、4つ以上の複数の縦溝が平行流で配置され、複数の縦溝の各々は、縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝断面積又はフィルタ媒体における規則的であり且つ繰り返しの相違を呈することが理解されるであろう。
【0058】
3種類の縦溝を有する例示的な構造において、第1の縦溝、第2の縦溝及び第3の縦溝は、第1の複数の縦溝が媒体要素の入口面の30~50パーセントを占め、第2の複数の縦溝が媒体要素の入口面の20~40パーセントを占め、且つ第3の複数の縦溝が媒体要素の入口面の20~40パーセントを占めるように選択することができる。
【0059】
3種類の縦溝を有する別の例示的な構造において、第1の縦溝、第2の縦溝及び第3の縦溝は、第1の複数の縦溝が媒体要素の入口面の50~70パーセントを占め、第2の複数の縦溝が媒体要素の入口面の10~30パーセントを占め、且つ第3の複数の縦溝が媒体要素の入口面の10~30パーセントを占めるように選択することができる。
【0060】
いくつかの実装形態では、片側フェーサ媒体の複数の層が巻回構成で配置される一方、他の実装形態では、フェーサ媒体が積層構成で配置される。
【0061】
いくつかの構成において、片側フェーサ媒体の第1の複数の層及び第2の複数の層は、第1の複数の片側フェーサ媒体のもう1つの層が第2の複数の片側フェーサの1つ又は複数の層と交互に位置する混在構成で配置される。少なくとも3種類の片側フェーサ媒体を用いた例示的な実装形態において、片側フェーサ媒体の第1の複数の層及び第2の複数の層は、第1の複数の片側フェーサ媒体のもう1つの層が第2の複数の片側フェーサ媒体の1つ又は複数の層及び第3の複数の片側フェーサ媒体の1つ又は複数の層と交互に位置する混在構成で配置される。また、3種類の媒体が使用される場合、片側フェーサ媒体の第1の複数の層、第2の複数の層及び第3の複数の層は、第1の複数の片側フェーサ媒体のもう1つの層が第2の複数の片側フェーサ媒体の1つ又は複数の層及び第3の複数の片側フェーサ媒体の1つ又は複数の層と交互に位置する混在構成で配置することができる。いくつかの実装形態において、4種類以上のフィルタ媒体が使用され、これらの異なる種類の媒体は、混在方式又は異なる種類の媒体が媒体の種類間での混在なしに一緒に集められる凝集方式の方式のいずれかで組み込むことができる。代替的に、媒体は、ある媒体の5つの層と異なる媒体の3つの層とを有することなどにより、より小さいグループにまとめられ、次いで混在させることができる。
【0062】
ここで、図面を参照すると、フィルタ媒体、媒体要素及び要素の更なる態様が特定される。
【0063】
まず、図1に関して、例示的なフィルタ要素10の斜視図が示されている。例示的なフィルタ要素10は、入口12と、要素10の入口12とは反対側にある出口14と、要素10内の巻回されたz流媒体20とを含む。シール30が入口12を取り囲んだ状態で示されており、且つ支持フレーム40が描かれている。濾過要素は、図1に示す流れとは逆の流れを有し得るため、入口12と出口14とが逆にされることも認識されるであろう。
【0064】
図2Aは、本明細書で説明するフィルタ媒体要素及びフィルタ要素に使用するのに好適な片側フェーサフィルタ媒体200の一部の拡大概略断面図である。片側フェーサ媒体200は、上側フェーサシート220及び下側フェーサシート230と共に縦溝付きシート210を含む。縦溝付きシート210は、複数の縦溝250を含む。内燃機関のための空気などの濾過される流体流は、流路260に沿って縦溝250内に入り、次いでフィルタ媒体を通過するまで縦溝に沿って進み、流体流路270に沿って異なる縦溝から外に出る。縦溝付き媒体要素を通るこの流体流れは、例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれるRocklitzの米国特許第7,99,702号明細書で説明されている。
【0065】
図2Bは、本発明の実施形態に従って構築及び配置された縦溝付きシート280と、上側フェーサシート282と、フェーサ媒体284とが例示的な縦溝寸法で示されている縦溝付き媒体のシートの拡大正面図である。縦溝付きシート280は、縦溝281を含む。縦溝281は、描かれている実施形態では、第1の1つの頂点から隣接する頂点まで測定された幅Aを有する。例示的な実施形態において、幅Aは、0.75~0.125インチ、任意選択的に0.5~0.25インチ、任意選択的に0.45~0.3インチである。縦溝281は、隣接する同じ大きさの頂点から測定された高さBも有する。縦溝281は、縦溝長さに直交する方向に測定された、縦溝付きシート281と対面シート282との間の領域を有する。その領域は、縦溝の高さ、幅又は形状が縦溝の長さに沿って変化する場合(縦溝がテーパ状である場合など)、縦溝の長さに沿って変化し得る。
【0066】
例示的な実施形態において、気流から微粒子を除去するための空気濾過要素は、a)第1の複数の縦溝と、b)第1の複数の縦溝に対して平行流構成で配置された第2の複数の縦溝であって、第1の複数の縦溝と比較して縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝長さ、縦溝断面積又はフィルタ媒体における相違を呈する第2の複数の縦溝とを含み、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、共通の上流面と共通の下流面とを有し、且つ略一定の速度でフィルタ要素に粉塵負荷がかかったときに、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、次のように機能する、すなわち、
a)第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、上流面から下流面への初期圧力降下が略等しく、
b)第1の複数の縦溝の初期速度は第2の複数の縦溝の初期速度よりも大きく、
c)図3Aに示すような、粉塵負荷時に、
i)第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝にわたる圧力降下は、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝の速度が互いに変化している間に互いに略等しいままであり、並びに
ii)第1の複数の縦溝を通る速度は低下し、且つ第2の複数の縦溝を通る速度は、少なくとも第2の複数の縦溝を通る速度が第1の複数の縦溝を通る速度よりも大きくなるまで増加する。
これらの特性は、例えば、要素の流量の変化の概略図である図3A(この図は、代表的なものであり、実測試験データに基づいていない)に示されている。
【0067】
例示的な実装形態において、気流から微粒子を除去するための空気濾過媒体要素は、a)第1の複数の縦溝と、b)第1の複数の縦溝に対して平行流構成で配置された第2の複数の縦溝であって、第1の複数の縦溝と比較して縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝断面積、縦溝長さ又はフィルタ媒体における相違を呈する第2の複数の縦溝とを含み、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、共通の上流面と共通の下流面とを有する。フィルタ要素に粉塵負荷がかかったときに、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、次のように機能する、すなわち、
a)第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝が同じ媒体要素速度で別々に試験されたときに、第1の複数の縦溝の初期圧力降下ΔP1,iは、第2の複数の縦溝にわたる初期圧力降下ΔP2,iよりも小さく、且つ第1の複数の縦溝の圧力降下/負荷曲線の時間aでの初期勾配Δ(ΔP1,i/L1,iは、第2の複数の縦溝の圧力降下/負荷曲線の初期勾配Δ(ΔP2,i/L2,iよりも大きく、
Δ(ΔP1,i/L1,i>Δ(ΔP2,i/L2,i
b)第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝が組み合わされて平行流で同時に試験されたときに、時間aでの第1の複数の縦溝の初期速度V1,aは、時間aでの第2の複数の縦溝の初期速度V2,aよりも大きく、
1,a>V2,a
c)第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝が組み合わされて平行流で同時に試験されたときに、次の時間bでの第1の複数の縦溝の第2の中間速度V1,bは、第2の複数の縦溝の中間速度V2,bに等しく、
1,b=V2,b
d)第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝が組み合わされて平行流で同時に試験されたときに、次の時間cでの第1の複数の縦溝の第3の速度V1,cは、第2の複数の縦溝の第3の速度V2,cよりも小さい。
1,c<V2,c これらの特性は、例えば、要素の性能の概略図である図3B及び図3C(これらの図は、代表的なものであり、実測試験データに基づいていない)に示されている。
【0068】
例示的な実装形態において、気流から微粒子を除去するための空気濾過要素は、a)第1の複数の縦溝と、b)第1の複数の縦溝に対して平行流構成で配置された第2の複数の縦溝であって、第1の複数の縦溝と比較して縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝断面積、縦溝長さ又はフィルタ媒体における相違を呈する第2の複数の縦溝とを含み、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、共通の上流面と共通の下流面とを有する。平行流条件下で同時に粉塵負荷がかかったときに、且つ媒体要素の圧力降下が少なくとも10水柱インチである箇所に負荷がかかったときに、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、次のように機能する、すなわち、
a)第1の複数の縦溝の時間平均速度
【数12】
は、濾過要素全体の時間平均速度
【数13】
よりも小さく、且つ第2の複数の縦溝の時間平均速度
【数14】
は、濾過要素の時間平均速度
【数15】
よりも大きく、
【数16】
b)第1の複数の縦溝の負荷の変化ΔLは、第1の複数の縦溝の時間平均速度で試験されたときの第1の複数の縦溝の負荷
【数17】
から要素の時間平均速度で試験されたときの第1の複数の縦溝の負荷
【数18】
を差し引いたものに等しく、
【数19】
c)第2の複数の縦溝の負荷の変化ΔLは、第2の複数の縦溝の時間平均速度で試験されたときの第2の複数の縦溝の負荷
【数20】
から要素の時間平均速度で試験されたときの第2の複数の縦溝の負荷
【数21】
を差し引いたものに等しく、
【数22】
d)ΔLとΔLの合計は0よりも大きい。
ΔL+ΔL>0
これらの特性は、例えば、要素の性能の概略図である図3D及び図3E(これらの図は、代表的なものであり、実測試験データに基づいていない)に示されている。
【0069】
例示的な実装形態において、気流から微粒子を除去するための濾過媒体要素は、a)第1の複数の縦溝と、b)第1の複数の縦溝に対して平行流構成で配置された第2の複数の縦溝であって、第1の複数の縦溝と比較して縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝長さ、縦溝断面積又はフィルタ媒体における相違を呈する第2の複数の縦溝とを含み、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、共通の上流面と共通の下流面とを有し、且つ第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は、次のように機能する、すなわち、
i)圧力降下ΔPは、流量Qが増加するにつれて増大し、
ii)負荷前に、第1の複数の縦溝及び第2の複数の縦溝は別々に且つ同じ速度で試験されたときに、第1の複数の縦溝の初期圧力降下ΔP1,0は、第2の複数の縦溝にわたる初期圧力降下ΔP2,0よりも小さく、
ΔP1,0<ΔP2,0
iii)平行にして試験されたときに、負荷前の第1の複数の縦溝の速度は、負荷前の空気濾過要素の平均速度よりも大きく、且つ負荷前の第2の複数の縦溝の速度は、負荷前の空気濾過媒体要素の平均速度よりも小さく、
1,0>V(要素 平均,0
2,0<V(要素 平均,0
v)平行にして試験されたときに、圧力降下における相違Δ(ΔP)は、第1の複数の縦溝の速度で試験された第1の複数の縦溝の負荷前の圧力降下ΔP1,0,(V1,0)から濾過要素の平均速度で試験されたときの第1の複数の縦溝の負荷前の圧力降下ΔP1,0,(V要素 平均,0)を差し引いたものに等しく、
Δ(ΔP)=ΔP1,0,(V1,0)-ΔP1,0,(V要素 平均,0)
v)平行にして試験されたときに、第2の複数の縦溝の圧力降下における相違Δ(ΔP)は、第2の複数の縦溝の速度で試験された第2の複数の縦溝の負荷前の圧力降下ΔP2,0,(V2,0)から濾過要素の平均速度で試験されたときの第2の複数の縦溝の負荷前の圧力降下ΔP2,0,(V要素 平均,0)を差し引いたものに等しく、
Δ(ΔP)=ΔP2,0,(V2,0)-ΔP2,0,(V要素 平均,0
d)Δ(ΔP)とΔ(ΔP)の合計は0よりも小さい。
Δ(ΔP)+Δ(ΔP)<0
これらの特性は、例えば、性能の概略図である図3Fに示されている(この図は、代表的なものであり、実測試験データに基づいていない)に示されている。
【0070】
図4Aは、フィルタ要素に使用する例示的なフィルタ媒体要素300の上面概略図である。フィルタ媒体要素300は、2種類のフィルタ媒体、すなわち第1の媒体310と第2の媒体320とを有する。媒体は、2種類のフィルタ媒体が混在して重なり合った巻回構成で示されている。媒体310及び320は、媒体の実際の縦溝を示さない概略形態で示されている。フィルタ媒体要素300は、典型的には、異なる種類の媒体を中心軸線の周りに同時に巻回することにより形成することができる。この例示的な実施形態において、媒体310対320の表面積の比は、約1:1である。
【0071】
図4Bは、3種類のフィルタ媒体を備えた巻回構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素400の上面概略図である。フィルタ媒体要素400は、3種類のフィルタ媒体、すなわち第1の媒体410と、第2の媒体420と、第3の媒体430とを有する。媒体は、3種類のフィルタ媒体が混在して重なり合った巻回構成で示されている。媒体410、420及び430は、媒体の実際の縦溝を示さない概略形態で示されている。フィルタ媒体要素430は、典型的には、3つの異なる種類の媒体を中心軸線の周りに同時に巻回することにより形成することができる。この例示的な実施形態において、フィルタ媒体410対420対430の表面積の比は、約1:1:1である。
【0072】
図5は、2種類の縦溝を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素500の上面概略図である。フィルタ媒体要素500は、2種類の縦溝、すなわち第1の縦溝510と第2の縦溝520とを有する。
【0073】
図6は、異なる種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素600の上面概略図である。フィルタ媒体要素600は、3種類の縦溝、すなわち第1の縦溝610と、第2の縦溝620と、第3の縦溝630とを有する。
【0074】
図7は、異なる種類の縦溝を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素700の上面概略図である。フィルタ媒体要素710は、2種類の縦溝、すなわち第1の縦溝710と第2の縦溝720とを有する。図8は、3種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素800の上面概略図である。3種類のフィルタ媒体は、第1の媒体810と、第2の媒体820と、第3の媒体830とである。媒体は、3種類のフィルタ媒体が混在するのではなく媒体の種類毎に分けられた積層構成で示されている。この例示的な実施形態において、フィルタ媒体810対820対830の比は、パック入口面積に基づいて約4:3:3である。図9は、2種類のフィルタ媒体、すなわち第1の媒体910と第2の媒体920とを備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素900の上面概略図である。媒体は、2種類のフィルタ媒体が混在するのではなく別個である積層構成で示されている。この例示的な実施形態において、フィルタ媒体910対920の比は、パック入口総面積に基づいて約1:1である。図10は、2種類のフィルタ媒体、すなわち第1の媒体1010と第2の媒体1020とを備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素1000の上面概略図である。媒体は、積層構成で示されている。この例示的な実施形態において、フィルタ媒体1010対1020の比は、パック入口総面積に基づいて約9:1である。
【0075】
図11は、2種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。フィルタ媒体要素1100は、2種類のフィルタ媒体、すなわち第1の媒体1110と第2の媒体1120とを有する。媒体1110及び1120は、フィルタ媒体1110の5つの層が媒体1120の2つの層と交互に位置するように積層される。図12は、2種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素の上面概略図である。フィルタ媒体要素1200は、2種類のフィルタ媒体、すなわち第1の媒体1210と第2の媒体1220とを有する。媒体は、積層構成で示されている。媒体1210及び1220は、フィルタ媒体1210の2つの層が媒体1220の1つの層と交互に位置するように積層される。図13は、2種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素1300の上面概略図である。フィルタ媒体要素1300は、2種類のフィルタ媒体、すなわち第1の媒体1310と第2の媒体1320とを有する。媒体1310及び1320は、フィルタ媒体1310の1つの層が媒体1320の1つの層と交互に位置するように積層される。図14は、例示的なフィルタ媒体要素1400の上面概略図である。フィルタ媒体要素1400は、3種類のフィルタ媒体、すなわち第1の媒体1410と、第2の媒体1420と、第3の媒体1430とを有する。媒体層1410、1420及び1430は、交互積層体として配置される。図15は、2種類のフィルタ媒体1510及び1520を備えた巻回構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素1500の上面概略図である。媒体は、第1の媒体1510が内側に位置し、且つ第2の媒体1520が外側に位置するように巻回され、第1の媒体1510と第2の媒体1520とが互いに接合される。
【0076】
図16は、3種類のフィルタ媒体1610、1620及び1630を備えた巻回構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素1600の上面概略図である。媒体は、第1の媒体1610が内側に位置し、第2の媒体1620が中間に位置し、且つ第3の媒体1630が外側に位置するように巻回される。第1の媒体1610と第2の媒体1620とは、第2の媒体1620と第3の媒体1630とのように互いに接合される。
【0077】
図17は、3種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素1700の部分上面概略図である。3種類のフィルタ媒体は、第1の媒体1710と、第2の媒体1720と、第3の媒体1730とである。媒体は、3種類のフィルタ媒体が混在するのではなく媒体の種類毎に分けられた積層構成で示されている。この例示的な実施形態において、フィルタ媒体1710対1720対1730の比は、パック入口総面積に基づいて約4:3:3である。
【0078】
図18は、2種類のフィルタ媒体、すなわち第1の媒体1810と第2の媒体1820とを備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素1800の上面概略図である。媒体は、2種類のフィルタ媒体が分けられた積層構成で示されている。この例示的な実施形態において、フィルタ媒体1810対1820の比は、パック入口総面積に基づいて約1:1である。
【0079】
図19は、2種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素1900の上面概略図である。フィルタ媒体要素1900は、2種類のフィルタ媒体、すなわち第1の媒体1910と第2の媒体1920とを有する。媒体は、積層構成で示されている。この例示的な実施形態において、フィルタ媒体1910対1920の比は、パック入口総面積に基づいて約9:1である。
【0080】
図20は、2種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素2000の上面概略図である。フィルタ媒体要素2000は、2種類のフィルタ媒体、すなわち第1の媒体2010と第2の媒体2020とを有する。媒体要素2000では、フィルタ媒体2010の6つの層が媒体2020の2つの層と交互に位置する。
【0081】
図21は、2種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素2100の上面概略図である。フィルタ媒体要素2100は、2種類のフィルタ媒体、すなわち第1の媒体2110と第2の媒体2120とを有する。媒体要素2100では、フィルタ媒体2110の2つの層が媒体2120の1つの層と交互に位置する。
【0082】
図22は、2種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素2200の部分上面概略図である。2種類のフィルタ媒体は、第1の媒体2210と第2の媒体2220とである。媒体は、2種類のフィルタ媒体が混在した積層構成で示されている。
【0083】
図23は、3種類のフィルタ媒体を備えた積層構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素2300の部分上面概略図である。3種類のフィルタ媒体は、第1の媒体2310と、第2の媒体2320と、第3の媒体2330とである。媒体は、3種類のフィルタ媒体が混在した積層構成で示されている。
【0084】
図24Aは、2種類のフィルタ媒体、すなわち第1の媒体2410と第2の媒体2420とを備えた巻回構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素2400の上面概略図である。媒体は、まずフィルタ媒体2420が載置され、次にフィルタ媒体2420が載置されることにより2種類の媒体が互いに異なる巻回構成で示されている。この例示的な実施形態において、パック入口面積2420対2410の比は、約2:1である。この構造は、例えば、一定期間にわたって第1の片面媒体型を巻き付け、そのウェブを切断し、第2の片面媒体型を第1の片面媒体型の端部領域に接合し、巻き付け工程を継続し、所望の数の片面媒体型に対して繰り返すことにより作り出すことができる。代替的に、各片面媒体型の巻回は、別個に行うことができ、2次工程としてそれらの部分を接合して封止することができる。
【0085】
図24Bは、フィルタ媒体を形成する2種類の縦溝を備えた巻回構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素2450の上面概略図である。フィルタ媒体要素2540は、2種類の縦溝、すなわち第1の媒体2460と第2の媒体2470とを有する。媒体は、2種類の縦溝が互いに区分された巻回構成で示されている。この例示的な実施形態において、パック入口面積2470対2460の比は、約2:1である。
【0086】
図25Aは、3種類のフィルタ媒体、すなわち第1の媒体2510と、第2の媒体2520と、第3の媒体2530とを備えた巻回構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素2500の上面概略図である。媒体は、まずフィルタ媒体2520が載置され、且つ第2の媒体2520が媒体2510の上に載置され、且つ第3の媒体2530が媒体2520の上に載置されることにより媒体が互いに区分された巻回構成で示されている。この例示的な実施形態において、パック入口面積2510対2520対2530の比は、約4:3:3である。
【0087】
図25Bは、3種類のフィルタ媒体を備えた巻回構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素2550の上面概略図である。フィルタ媒体要素2550は、第1の媒体2560と、第2の媒体2570と、第3の媒体2580とを有する。媒体は、3種類の媒体が互いに区分された巻回構成で示されている。この例示的な実施形態において、パック入口面積2560対2570対2580の比は、約4:3:3である。
【0088】
図26Aは、2種類のフィルタ媒体を備えた巻回構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素2600の上面概略図である。フィルタ媒体要素2600は、2種類のフィルタ媒体、すなわち第1の媒体2610と第2の媒体2620とを有する。媒体は、まずフィルタ媒体2620が載置され、且つフィルタ媒体2620が媒体2610の上に載置されることにより2種類の媒体が別個である巻回構成で示されている。この例示的な実施形態において、パック入口面積2610対2620の比は、約1:1である。
【0089】
図26Bは、2種類のフィルタ媒体を備えた巻回構成を示す、例示的なフィルタ媒体要素2650の上面概略図である。フィルタ媒体要素は、2種類のフィルタ媒体、すなわち第1の媒体2660と第2の媒体2670とを有する。媒体は、2種類の媒体が互いに区分された巻回構成で示されている。この例示的な実施形態において、パック入口面積2660対2670の比は、約1:1である。
【0090】
態様は、要素Aと、要素Bと、要素Cとが互いに比較された以下の例を参照してよりよく理解され得る。要素Aは、約10.7ミリメートルの幅と、3.2ミリメートルの高さと、テーパ状断面領域とを有する縦溝を備えた媒体Aで全体的に構成された。要素Bは、約8.0ミリメートルの幅と、約2.7ミリメートルの高さと、テーパ状領域とを有する縦溝を備えた媒体Bで全体的に構成された。1平方センチメートル当たりの縦溝密度は、要素Aについて約2.8であり、且つ要素Bについて4.4であった。要素Cは、ハイブリッド媒体を形成するように50体積パーセントの媒体Aと50体積パーセントの媒体Bとで構成された。図27は、媒体Aと、媒体Bと、ハイブリッド媒体とを使用して作製されたフィルタ要素の負荷曲線を示す。負荷曲線は、粉塵のグラム数がゼロから最大500グラム未満まで増加するときのフィルタ要素の圧力降下を示す。図27に示すように、媒体Aは、約3.2水柱インチであるより高い初期圧力降下を有していた一方、媒体B及びハイブリッド媒体は、極めて類似した制限レベル(約2.5水柱インチ)で開始した。粉塵の負荷が開始すると、要素全体にわたる圧力降下が増加するが、媒体A及びハイブリッド媒体は、媒体Bに比べて圧力降下がゆっくりと増加し、媒体A及び媒体Bの圧力降下は、粉塵が約125グラムになったときに交差する(すなわち同じになる)。したがって、ハイブリッド媒体は、粉塵の負荷が開始したばかりの媒体Bを緊密に追跡し、次いで粉塵負荷がより高レベルに増加したときに媒体Aを緊密に追跡した。換言すれば、ハイブリッド媒体は、媒体Bと同様の初期圧力降下を有していたが、媒体Aと同様の負荷を有していた。
【0091】
改善したフィルタ性能を更に試験するために、流出制限値だけでなく圧力降下も測定するように構成された、5~9立方メートル毎分の空気流量を有する2ダクトシステムを用いて試験台が設置された。フィルタ媒体の組み合わせを使用して形成された媒体要素の相対的性能が種々のフィルタ要素設計を構築することにより調査された。z流媒体が積層構成で配置された要素が形成された。要素は、それぞれ150×150ミリメートルの入口面と、150×150ミリメートルの出口面とを有し、深さが150ミリメートルであった。フィルタ要素は、2種類の媒体、すなわち媒体Aと媒体Bとで作製される。媒体A及び媒体Bは、発明者であるScott M.Brownに与えられ、Donaldson Company,Inc.に譲渡された「Filtration Media Pack,Filter Elements,and Air Filtration Media」という名称の米国特許第9,623,362号明細書で示されているものと一致する媒体縦溝構造を有していた。媒体A及び媒体Bは、両方とも主にセルロース媒体である。媒体Aは、約0.092インチの縦溝高さと、約0.314インチの縦溝幅と、約150ミリメートルの縦溝長さ(縦溝プラグを含む)とを有する。媒体Bは、約0.140インチの縦溝高さと、約0.430インチの縦溝幅と、約150ミリメートルの縦溝長さ(縦溝プラグを含む)とを有する。第1の種類の「セグメント化された」媒体要素は、互いに隣り合って平行流で位置する媒体A及び媒体Bの組み立てられた媒体要素であった。第2の種類の「層状」媒体要素は、交互に位置する媒体A及び媒体Bのシートを含んでいた。
【0092】
図28A図30Bは、種々の媒体構造についての粉塵負荷及び圧力降下を含む性能結果を示す。図28A図29A及び図30Aは、(媒体Aがグループ化され、且つ媒体Bの全てがグループ化された)セグメント化構成についての結果を示し、且つ図28B図29B及び図30Bは、(媒体A及び媒体層の少なくともいくつかが混在した)層状構成についての結果を示す。したがって、媒体構造は、媒体A、媒体B又は種々の体積パーセントの媒体A及び媒体Bかのいずれかを含む。0%と表されている各グラフの左端における媒体は、媒体Aを有さないため、完全に媒体Bである。100%と表されている右端における媒体は、媒体Aのみを有するため、媒体Bを有さない。Y軸線は、グラムで測定されたISO微粉塵負荷と、水柱インチで測定された圧力降下との両方を含む。
【0093】
図28A及び図28Bは、5.83立方メートル毎分の体積流量での種々の媒体構造についての粉塵負荷及び圧力降下を含む性能結果を示す。最良の性能、具体的には最高の粉塵負荷がハイブリッド媒体を用いて達成されたことが図28A及び図28Bから観察されるであろう。すなわち、媒体Aと媒体Bとの両方を含むハイブリッド媒体要素は、媒体A又は媒体B単独と比較して高い粉塵負荷能力を有していた。
【0094】
図29A及び図29Bは、7.37立方メートル毎分の体積流量での種々の媒体構造についての粉塵負荷及び圧力降下を含む性能結果を示す。この場合にも、図29A及び図29Bと同様に、最良の性能は、媒体Aと媒体Bとの両方のハイブリッド媒体でのものであった。
【0095】
図30A及び図30Bは、8.78立方メートルの体積流量での種々の媒体構造についての粉塵負荷及び圧力降下を含む性能結果を示す。最良の性能、具体的には最高の粉塵負荷がハイブリッド媒体を用いて再び達成されたことが図30A及び図30Bから観察されるであろう。
【0096】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈上別段の明確な指示のない限り、複数の指示対象を含むことに留意すべきである。したがって、例えば、「化合物」を含有する組成物への言及は、2つ以上の化合物の混合物を含む。また、「又は」という用語は、文脈上別段の明確な指示のない限り、「及び/又は」を含む意味で一般に用いられることにも留意すべきである。
【0097】
また、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「構成される」という語句は、特定の作業を実行するか又は特定の構成を採用するように構築又は構成されるシステム、機器又は他の構造を説明することにも留意すべきである。「構成される」という語句は、配置及び構成される、構築及び配置される、構築される、製造及び配置されるなどの他の同様の語句と交換可能に使用することができる。
【0098】
態様について種々の具体的且つ好ましい実施形態及び技術を参照して説明してきた。しかしながら、本明細書の趣旨及び範囲内から逸脱することなく、多くの変形形態及び修正形態がなされ得ることを理解すべきである。
【0099】
本明細書で説明する実施形態は、網羅的であること又は以下の詳細な説明に開示される厳密な形態に本発明を限定することを意図するものではない。むしろ、実施形態は、当業者が原理及び実践を評価し理解できるように選択され説明されている。
【0100】
本明細書で述べる全ての刊行物及び特許は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に開示する刊行物及び特許は、それらの開示のためにのみ提供される。本明細書の内容は、本明細書に引用される刊行物及び/又は特許を含む刊行物及び/又は特許に先行する権利を本発明者らが有さないことを認めるものと解釈されるべきではない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24A
図24B
図25A
図25B
図26A
図26B
図27
図28A
図28B
図29A
図29B
図30A
図30B
【手続補正書】
【提出日】2024-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流から微粒子を除去するための空気濾過要素であって、
a)第1の複数の縦溝と、
b)前記第1の複数の縦溝に対して平行流構成で配置された第2の複数の縦溝であって、前記第1の複数の縦溝と比較して縦溝形状、縦溝大きさ、縦溝高さ、縦溝幅、縦溝長さ、縦溝断面積又はフィルタ媒体における相違を呈する前記第2の複数の縦溝と
を含み、
前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝は、共通の上流面と共通の下流面とを有し、且つ
略一定の速度で前記フィルタ要素に粉塵負荷がかかったときに、前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝は、次のように機能する、すなわち、
a)前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝は、前記上流面から前記下流面への初期圧力降下が略等しく、
b)前記第1の複数の縦溝の初期速度は前記第2の複数の縦溝の前記初期速度よりも大きく、
c)粉塵負荷時に、
i)前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝にわたる前記圧力降下は、前記第1の複数の縦溝及び前記第2の複数の縦溝の前記速度が互いに変化している間に互いに略等しいままであり、並びに
ii)前記第1の複数の縦溝を通る前記速度は低下し、且つ前記第2の複数の縦溝を通る前記速度は、少なくとも前記第2の複数の縦溝を通る前記速度が前記第1の複数の縦溝を通る前記速度よりも大きくなるまで増加する、
空気濾過要素。
【外国語明細書】