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特開2024-99551アミノジアリールエーテル及びアミノジアリールエーテル塩酸塩の製造方法
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  • 特開-アミノジアリールエーテル及びアミノジアリールエーテル塩酸塩の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099551
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】アミノジアリールエーテル及びアミノジアリールエーテル塩酸塩の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/73 20060101AFI20240718BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240718BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20240718BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
C07D213/73 CSP
A61P35/00
A61P35/02
A61K31/44
C07B61/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024060993
(22)【出願日】2024-04-04
(62)【分割の表示】P 2020571676の分割
【原出願日】2019-06-20
(31)【優先権主張番号】18179034.6
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520498240
【氏名又は名称】セレスティア バイオテック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バウアー, ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ハーン, ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】バパート, エルハルト
【テーマコード(参考)】
4C086
4H039
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC17
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4H039CA71
4H039CB40
(57)【要約】      (修正有)
【課題】特定のアミン塩酸塩の調製方法を提供する。
【解決手段】式(IIa)の化合物を、Pd触媒と特定の溶媒の存在下で水素還元して式(Ia)の化合物を形成し、さらに約1.5モル当量未満の塩酸と反応させる、方法。


【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
(上式中、XはO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYは、それぞれ、N及びCHから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、ハロゲン及びC1-C10アルキルから独立して選択される)の化合物を製造するための方法であって、
式(II)
(上式中、XはO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYは、それぞれ、N及びCHから独立して選択され;かつ
11及びR22は、それぞれ、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから独立して選択され;かつ
33及びR44は、それぞれ、H、ハロゲン及びC1-C10アルキルから独立して選択される)
の化合物を、パラジウム触媒と、溶媒であって、極性の非プロトン性溶媒又はC3-C10アルコールである溶媒の存在下で、水素で還元して、前記式(I)の化合物を形成することを含む、方法。
【請求項2】
前記パラジウム触媒が活性炭担持パラジウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パラジウム触媒が7モル%未満の量で存在する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
溶媒が、2-プロパノール、アセトン、2-ブタノン、3-メチル-2-ブタノン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、塩化エチレン、ベンズアルデヒド、スルホラン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン及びそれらの混合物から選択される、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記溶媒が酢酸エチルである、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
式(I)の化合物を活性炭と接触させることを更に含む、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記式(I)の化合物を結晶化させることを更に含む、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記式(I)の化合物が、6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))
であり;かつ前記式(II)の化合物が、2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa))
である、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
式(I)又は(Ia)の化合物を塩酸と反応させて、前記式(I)又は(Ia)の化合物の塩酸塩を形成することを更に含む、請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
式(I)又は(Ia)の化合物を約1.5モル当量未満の塩酸と反応させて、前記式(I)又は(Ia)の化合物の一塩酸塩を形成することを更に含む、請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記一塩酸塩を結晶化させることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項12】
前記式(II)の化合物が、式(III)
(上式中、XはOH及びNHから選択され;かつ
11及びR22は、それぞれ、H、C1-C10アルキル、及びC3-C12シクロアルキルから独立して選択される)
の化合物を、式(IV)
(上式中、LGは脱離基であり、かつ
、Y及びYは、それぞれ、N及びCHから独立して選択され;かつ
33及びR44は、それぞれ、H、ハロゲン及びC1-C10アルキルから独立して選択される)
の化合物と塩基の存在下で反応させて、式(II)
(式中、XはO又はNHであり;かつ
11及びR22は、式(III)の化合物について定義された通りであり;かつ
33、R44、Y、Y及びYは、式(IV)の化合物について定義された通りである)
の化合物を形成することを含み;かつ
場合によっては前記式(II)の出発物質を結晶化させることを更に含む、方法によって得られる、請求項1から11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
式(I)
(上式中、XはO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYは、それぞれ、N及びCHから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、ハロゲン及びC1-C10アルキルから独立して選択される)の化合物の塩酸塩を製造するための方法であって、前記式(I)の化合物を塩酸と反応させて、前記式(I)の化合物の塩酸塩を形成することを含む方法。
【請求項14】
式(I)
(上式中、XはO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYは、それぞれ、N及びCHから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、ハロゲン及びC1-C10アルキルから独立して選択される)の化合物の一塩酸塩を製造するための方法であって、前記式(I)の化合物を1.5モル当量未満の塩酸と反応させて、前記式(I)の化合物の一塩酸塩を形成することを含む方法。
【請求項15】
式(I)
(上式中、XはO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYは、それぞれ、N及びCHから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、ハロゲン及びC1-C10アルキルから独立して選択される)の化合物の塩酸塩。
【請求項16】
式(I)
(上式中、XはO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYは、それぞれ、N及びCHから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、ハロゲン及びC1-C10アルキルから独立して選択される)の化合物の一塩酸塩。
【請求項17】
前記塩酸塩が、6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン塩酸塩である、請求項13に記載の方法又は請求項15に記載の塩酸塩。
【請求項18】
前記一塩酸塩が、6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩である、請求項14に記載の方法又は請求項16に記載の一塩酸塩。
【請求項19】
医薬として使用するための請求項15又は17に記載の塩酸塩。
【請求項20】
医薬として使用するための請求項16又は18に記載の一塩酸塩。
【請求項21】
がんの治療及び/又は予防の方法において使用するための請求項15又は17に記載の塩酸塩。
【請求項22】
がんの治療及び/又は予防の方法において使用するための請求項16又は18に記載の一塩酸塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)のアミノジアリールエーテル、特に6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))の調製に有用な方法に関する。
【0002】
本発明は更に、式(I)の化合物の塩酸塩、特に式(I)の化合物の一塩酸塩と、式(I)の化合物、特に6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))の前記一塩酸塩の調製に有用な方法に関する。
【背景技術】
【0003】
式(I)の化合物は、がんの治療及び/又は予防に有用で、特にノッチ依存性がんの治療及び/又は予防に有用であるノッチシグナル伝達経路のモジュレーターであり、国際公開第2013/093885号に開示された方法を使用して調製することができる。国際公開第2013/093885号に開示された方法には、とりわけ(i)前記方法によって得られた式(I)の化合物は使用された触媒で汚染され、(ii)副反応が起こり、式(I)の化合物が副生成物で更に汚染されるという不利な点がある。これらの不利な点は、例えば式(I)の化合物の物理的外観及び溶解性、並びに粉砕のようなその後の製造工程に影響を与える。結論として、国際公開第2013/093885号に記載された方法は、式(I)の医薬品等級の化合物の大規模製造には適していない。従って、これらの不利な点の幾つか又は全てに悩まされることのない式(I)の化合物の代替又は改善された製造方法を開発することは有益であろう。
【発明の概要】
【0004】
驚くべきことに、式(I)の化合物の汚染は、溶媒が極性の非プロトン性溶媒又はC3-C10アルコールである溶媒中でパラジウム触媒を使用する接触水素化を含む方法を介してそれらを作製することによって排除できることが今見出された。本発明の方法は、信頼性があり、工業的規模で適用可能であることが見出されており、本発明の方法によって達成される式(I)の化合物は、一貫して前例のない高レベルの純度(HPLCによって決定されて、99.9%純度、元素分析によって決定されてPd含有量<1ppm)を有する。
【0005】
本発明者は、驚くべきことに、式(I)の化合物をそれらの塩酸塩に転換すると、安定な塩が得られたが、他の酸性付加塩を形成する全ての試みは失敗することを見出した。本発明者は更に驚くべきことに、式(I)の化合物がそれらの一塩酸塩に転換されると、分析純度レベルに関係なく、前記一塩酸塩が典型的には無色の結晶性固体として得られるのに対し、それぞれの遊離塩基の色はバッチごとに異なる(無色から赤みがかった範囲)という点で純度レベルが更に増加することを見出した。
【0006】
6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))のような国際公開第2013/093885号に開示されている化合物は、例えば92.0℃(図2)の非常に低い融点を有し、これが、製造、粉砕、保管、及び薬学的製剤への加工中の化合物の物理的安定性に関して一定のリスクとなる。しかしながら、驚くべきことに、式(I)の化合物の一塩酸塩、例えば6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩(式(Ia))は、遊離塩基よりも著しく高い融点を有している(例えば、173℃、図1)。従って、式(I)の化合物の一塩酸塩は、驚くべきことに、遊離塩基形態の式(I)の化合物に対して、より高い融点、水性媒体への改善された溶解度及びXRPDによる分離した多形などの改善された特性を有する。
【0007】
これらの驚くべき知見、すなわち、本発明の方法によって達成される式(I)の化合物の高レベルの純度、及び式(I)の化合物の塩酸塩、特に式(I)の化合物の一塩酸塩の好ましい性質に鑑みて、本発明者は、本発明をその次の態様で提供する。
【0008】
第一の態様では、本発明は、
式(I)
(上式中、XはO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYは、それぞれ、N及びCHから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、ハロゲン及びC1-C10アルキルから独立して選択される)の化合物を製造するための方法であって、
式(II)
(上式中、XはO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYは、それぞれ、N及びCHから独立して選択され;かつ
11及びR22は、それぞれ、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから独立して選択され;かつ
33及びR44は、それぞれ、H、ハロゲン及びC1-C10アルキルから独立して選択される)
の化合物を、パラジウム触媒と、溶媒であって、極性の非プロトン性溶媒又はC3-C10アルコールである溶媒の存在下で、水素で還元して、前記式(I)の化合物を形成することを含む、方法を提供する。
【0009】
第二の態様では、本発明は、式(I)
(上式中、XはO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYは、それぞれ、N及びCHから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、ハロゲン及びC1-C10アルキルから独立して選択される)の化合物の塩酸塩を製造するための方法であって、前記式(I)の化合物を塩酸と反応させることを含む方法を提供する。
【0010】
第三の態様では、本発明は、式(I)
(上式中、XはO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYは、それぞれ、N及びCHから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、ハロゲン及びC1-C10アルキルから独立して選択される)の化合物の一塩酸塩を製造するための方法であって、前記式(I)の化合物を1.5モル当量未満の塩酸と反応させることを含む方法を提供する。
【0011】
第四の態様では、本発明は、ここで定義される式(I)の化合物の塩酸塩を提供する。
【0012】
第五の態様では、本発明は、ここで定義される式(I)の化合物の一塩酸塩を提供する。
【0013】
第六の態様では、本発明は、医薬として使用するための、ここで定義される式(I)の化合物の塩酸塩を提供する。
【0014】
第七の態様では、本発明は、医薬として使用するための、ここで定義される式(I)の化合物の一塩酸塩を提供する。
【0015】
第八の態様では、本発明は、がんの治療及び/又は予防の方法において使用するための、ここで定義される式(I)の化合物の塩酸塩を提供する。
【0016】
第九の態様では、本発明は、がんの治療及び/又は予防の方法において使用するための、ここで定義される式(I)の化合物の一塩酸塩を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
次に、本発明を添付の図を参照して詳細に説明する:
図1】式(Ia)の化合物の一塩酸塩、すなわち6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩の示差走査熱量測定サーモグラム(DSC)を示している。DSCサーモグラムは、6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩が170.9℃で始まり、173.4℃でピークに達する融点を有することを示している。
図2】式(Ia)の化合物、すなわち、6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミンのDSCサーモグラムを示している。DSCサーモグラムは、90.8℃で始まり、92.0℃でピークに達する式(Ia)の化合物の融点を示している。
図3】式(Ia)の化合物の一塩酸塩、すなわち、6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩のX線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムを示している。
図4】本発明の方法によって得られた、式(Ia)の化合物、すなわち、6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(純度:99.9%)のHPLCクロマトグラムを示している(実施例3Aを参照)。
図5】国際公開第2013/093885号に記載の方法によって得られた、式(Ia)の化合物、すなわち、6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミンの参照HPLCクロマトグラムを示している(実施例2)。
図6】6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))を1.5モル当量を超える塩酸と反応させたときに得られた物質のDSCサーモグラムを示している(実施例5)。DSCサーモグラムは、物質にシャープな融点がないことを示しており、少なくとも2つの種が存在することを示唆している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明を更に詳細に説明し、例示する。
[定義]
「約」という用語は、与えられた測定値の±10%を意味する。
【0019】
「極性の非プロトン性溶媒」という用語は、酸性水素を含まず(Morrison及びBoyd, Organic Chemistry 3版, 31 (1974))、約36kcal/モルと約49kcal/モルの間のE(30)スケールに準拠した極性を有する溶媒を意味する(C. Reichardt, Chem. Rev. 1994, 94, 2319 - 2358;C. Reichardt, G. Schafer, Liebigs Ann. 1995, 1579-1582;R. Eberhardt, S. Lobbecke, B. Neidhart, C. Reichardt, Liebigs Ann. /Recueil 1997, 1195-1199;C. Reichardt, Green Chem. 2005, 7, 339-351;V. G. Machado, R. I. Stock, C. Reichardt, Chem. Rev. 2014, 114, 10429-10475)。プロトン供与又はプロトン受容相互作用は、通常、プロトンに結合している原子が窒素又は酸素である場合に最大になる。この性質は、水素結合に起因している。一般に、水素結合強度は、プロトン供与基の酸性度の増加、及びプロトン受容基の塩基度の増加と共に増加する。この発明での使用に適した極性の非プロトン性溶媒は、酸性又は塩基性官能基を含まず、酸又は塩基に分解しない溶媒であり、限定されないが、ケトン、ニトリル、置換芳香族、例えばハロゲン化芳香族、アミド、スルホキシド、炭酸アルキル、塩素化脂肪族、芳香族アルデヒド、スルホン、エステル等々、又はそれらの混合物を含む。この発明で使用される好ましい極性の非プロトン性溶媒には、限定されないが、アセトン、2-ブタノン、3-メチル-2-ブタノン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、塩化エチレン、ベンズアルデヒド、スルホラン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、及びそれらの混合物が含まれる。上記の極性及び非プロトン性の特徴を有する様々な他の溶媒が当業者に知られている。
【0020】
「C3-C10アルコール」という用語は、3-10個の炭素原子を含む非置換の直鎖又は分岐アルカノール基、好ましくは3-5個の炭素原子を含む非置換の直鎖又は分岐アルカノール基、例えば、1-プロパノール、2-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、又は2-メチルプロパン-2-オール、より好ましくは2-ブタノール又は2-プロパノール、最も好ましくは2-プロパノールを指す。
【0021】
「非極性溶媒」という用語は、約35kcal/モル未満のE(30)スケールによる極性を有する溶媒を指す。この発明で使用される好ましい非極性溶媒には、限定されないが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン及びトルエン、特にヘプタンが含まれる。非極性溶媒が例えばC5-C8-アルカン、例えばペンタン、ヘキサン又はヘプタンである場合、前記C5-C8-アルカンは、異性体的に純粋(例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン又はn-ヘプタン)又は構造異性体のランダム混合物でありうる。
【0022】
「プロトン性溶媒」という用語は、プロトン供与基を含む溶媒を指す。プロトン性溶媒の非限定的な例は、例えば水である。
【0023】
「Tout」という表現は、反応器の外側で測定された外部温度を指し、「Ti」という表現は、反応器の内側で測定された内部温度を指す。「Tout」又は「Ti」を特定しないで反応温度が示されている場合は、温度は反応器の外側で測定されているものと理解される。
【0024】
「アルキル」という用語は、非置換の直鎖又は分岐アルキル基、好ましくは1-10個の炭素原子を含む非置換の直鎖又は分岐アルキル基(「C1-C10アルキル」)、より好ましくは3-8個の炭素原子を含む非置換の直鎖又は分岐アルキル基(「C3-C8アルキル」)を指す。アルキル基の非限定的な例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル及び1,1-ジメチルブチルである。特に好ましいアルキル基は、tert-ブチルである。
【0025】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0026】
「シクロアルキル」という用語は、3から12個の炭素原子(「C3-C12シクロアルキル」)、好ましくは5から10個の炭素原子(「C5-C10シクロアルキル」)の非置換の単環式、二環式、三環式又は四環式炭化水素基を指す。シクロアルキル基の非限定的な例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びアダマンチルである。特に好ましいシクロアルキル基は、シクロヘキシル及びアダマンチルである。
【0027】
「活性炭」という用語は、吸着又は化学反応に利用できる表面積を増加させる小さな、低容積の細孔を有するように加工された炭素の形態を指す。活性炭は500m/gを超える表面積を有する。典型的には、活性炭の表面積は約1000m/gであるが、最大3000m/gになる場合がある。活性炭の非限定的な例は、>70mL/gのヨウ素吸収(0.05モルI/I)及び/又は>12mL/0.1gのメチレンブルー吸収(0.15%溶液)を有するかあるいは1200mg/gのヨウ素吸収及び/又は255mg/gのメチレンブルー吸収を有する活性炭である。
【0028】
「塩基」という用語は、それと反応したときに別の化合物を脱プロトン化する化合物を指す。この開示に従って使用するのに適した塩基には、限定されないが、例えば、第三級アミン、有機リチウム化合物、及び塩基性アルカリ金属塩及び水素化物が含まれる。第三級アミンの例には、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン及びジイソプロピルエチルアミンが含まれる。有機リチウム化合物の例には、メチルリチウム(CHLi、MeLi)、n-ブチルリチウム(n-BuLi)、sec-ブチルリチウム(sec-BuLi)及びtert-ブチルリチウム(tert-BuLi)が含まれる。塩基性アルカリ金属水素化物及び塩の例には、例えば、水素化ナトリウム(NaH)、水素化カリウム(KH)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、重炭酸ナトリウム(NaHCO)、限定されないが、ナトリウム及びカリウムのt-ブトキシド、プロポキシド、i-プロポキシド、エトキシド、メトキシドなどを含むナトリウム及びカリウムアルコキシド、ナトリウムアミド(NaNH)、カリウムアミド(KNH)等々が含まれる。好ましい塩基はMeLi、KCO及びNaCOである。
【0029】
「塩酸塩」という用語は、それぞれ、式(I)又は(Ia)の化合物を指し、式(I)又は(Ia)の前記化合物はプロトン化され、対イオンは塩化物(Cl)であり、一及び/又は二塩化物塩、特に一塩化物塩と二塩化物塩の混合物を含む。
【0030】
「一塩酸塩」という用語は、それぞれ、式(I)又は(Ia)の化合物を指し、式(I)又は(Ia)の前記化合物は1回プロトン化され、対イオンは塩化物(Cl)である。よって、式(I)又は(Ia)のモノプロトン化化合物の塩化物に対する化学量論は1:1である。
【0031】
「純度」という用語は、パーセント(%)で表され、次の式に従って220nmで記録されたHPLCクロマトグラムから計算される:
式(I)の化合物の純度=(A/A)×100、
ここで、Aは式(I)の化合物、例えば式(Ia)の化合物に対応するピークの面積であり、Aは、HPLCクロマトグラムにおいて観察された全ての他のピークの面積の合計である。
【0032】
[式(I)の化合物を製造するための方法]
第一の態様では、本発明は、式(I)
(上式中、XはO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYは、それぞれ、N及びCHから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、ハロゲン及びC1-C10アルキルから独立して選択される)の化合物を製造するための方法であって、
式(II)
(上式中、XはO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYは、それぞれ、N及びCHから独立して選択され;かつ
11及びR22は、それぞれ、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから独立して選択され;かつ
33及びR44は、それぞれ、H、ハロゲン及びC1-C10アルキルから独立して選択される)
の化合物を、パラジウム触媒と、溶媒であって、極性の非プロトン性溶媒又はC3-C10アルコールである溶媒の存在下で、水素で還元して、前記式(I)の化合物を形成することを含む、方法を提供する。
【0033】
一実施態様では、パラジウム触媒が活性炭担持パラジウムである、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0034】
好ましい実施態様では、前記パラジウム触媒が、約10%重量/重量のパラジウムを含む活性炭担持パラジウム及び約5%重量/重量のパラジウムを含む活性炭担持パラジウムから選択される活性炭担持パラジウム、特に約5%重量/重量のパラジウムを含む活性炭担持パラジウムである、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0035】
一実施態様では、式(I)の化合物を提供する式(II)の化合物の前記還元が、
(a)溶媒が極性の非プロトン性溶媒又はC3-C10アルコールである溶媒中の式(II)の化合物の溶液を提供する工程;続いて
(b)工程(a)の溶液にパラジウム触媒を加える工程;及び
(c)工程(b)で得られた混合物を水素と接触させる工程
を含み、工程(b)で加えられる前記パラジウム触媒が、乾燥粉末として、又は工程(a)で使用される溶媒中の懸濁液として、好ましくは工程(a)で使用される溶媒中の懸濁液として、添加される、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0036】
更なる実施態様では、式(II)の化合物に対するパラジウムの量が、7モル%未満、好ましくは約6モル%未満、より好ましくは約5モル%未満、より好ましくは約4モル%未満、より好ましくは約3モル%未満、より好ましくは約2モル%未満、特に約1.25モル%である、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0037】
更なる実施態様では、式(II)の化合物に対するパラジウムの量が、7モル%未満で1モル%以上、好ましくは約6モル%未満で1モル%以上、より好ましくは約5モル%未満で1モル%以上、より好ましくは約4モル%未満で1モル%以上、より好ましくは約3モル%未満で1モル%以上、より好ましくは約2モル%未満で1モル%以上、特に約1.25モル%である、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0038】
好ましい実施態様では、溶媒が、2-プロパノール、アセトン、2-ブタノン、3-メチル-2-ブタノン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、塩化エチレン、ベンズアルデヒド、スルホラン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン及びそれらの混合物から選択される、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0039】
更に好ましい実施態様では、溶媒が、2-プロパノール、アセトン、2-ブタノン、3-メチル-2-ブタノン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、塩化エチレン、ベンズアルデヒド、スルホラン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン及びそれらの混合物から選択される、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0040】
より好ましい実施態様では、溶媒が極性の非プロトン性溶媒である、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0041】
更により好ましい実施態様では、溶媒が、アセトン、2-ブタノン、3-メチル-2-ブタノン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、塩化エチレン、ベンズアルデヒド、スルホラン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン及びそれらの混合物から選択される、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0042】
更に一層より好ましい実施態様では、溶媒が、アセトン、2-ブタノン、3-メチル-2-ブタノン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、塩化エチレン、ベンズアルデヒド、スルホラン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン及びそれらの混合物から選択される、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0043】
特に好ましい実施態様では、溶媒が、酢酸エチル又は2-プロパノールである、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0044】
より特に好ましい実施態様では、溶媒が酢酸エチルである、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0045】
本発明者は、驚くべきことに、本発明に係る方法が、国際公開第2013/093885号に記載されている従来技術の方法よりも短い反応時間を可能にすることを見出した。
従って、一実施態様では、前記式(II)の化合物の前記式(I)の化合物への還元が1-3時間後、好ましくは1.5-3時間後、より好ましくは2-3時間後、例えば2.5時間後、好ましくは1.2kgの式(II)の化合物を使用して実施された場合に、完了する、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
更なる実施態様では、前記式(II)の化合物の前記式(I)の化合物への還元が、0.5-1.5時間後、好ましくは40分後、好ましくは300gの式(II)の化合物を使用して実施された場合に、完了する、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0046】
更なる実施態様では、式(I)の化合物を活性炭と接触させることを更に含む、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0047】
更なる実施態様では、式(I)の化合物を結晶化させることを更に含む、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0048】
好ましい実施態様では、式(I)の化合物を活性炭と接触させ;かつ式(I)の化合物を結晶化させることを更に含む、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0049】
更なる実施態様では、式(I)の化合物を結晶化させることを更に含み、前記結晶化が、ここに記載の溶媒、好ましくは式(II)の化合物の還元に使用される極性の非プロトン性溶媒、及び非極性溶媒を含む溶媒混合物から結晶形態で式(I)の化合物を沈殿させることを含む、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0050】
好ましい実施態様では、式(I)の化合物を結晶化させることを更に含み、前記結晶化が、酢酸エチルとへプタンを含む溶媒混合物から結晶形態で式(I)の化合物を沈殿させることを含む、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0051】
更なる実施態様では、式(II)の出発物質が、式(III)
(上式中、XはOH及びNHから選択され;かつ
11及びR22は、それぞれ、H、C1-C10アルキル、及びC3-C12シクロアルキルから独立して選択される)
の化合物を、式(IV)
(上式中、LGは脱離基であり、かつ
、Y及びYは、それぞれ、N及びCHから独立して選択され;かつ
33及びR44は、それぞれ、H、ハロゲン及びC1-C10アルキルから独立して選択される)
の化合物と塩基の存在下で反応させて、式(II)(式中、XはO又はNHであり;かつR11及びR22は、式(III)の化合物について定義された通りであり;かつR33、R44、Y、Y及びYは、式(IV)の化合物について定義された通りである)の前記出発物質を形成することを含み;かつ場合によっては前記式(II)の出発物質を結晶化させることを更に含む、方法によって得られる、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0052】
一実施態様では、脱離基LGは、F、Cl、Br、メシレート、トシレート及びトリフレートからなる群から選択される。好ましくは、脱離基LGは、F、Cl、及びBrからなる群から選択される。
【0053】
好ましい実施態様では、式(II)の出発物質が、上で定義された式(III)の化合物を、極性の非プロトン性溶媒中、好ましくはジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)又はそれらの混合物から選択される極性の非プロトン性溶媒、最も好ましくはDMSO中の塩基の存在下で上で定義された式(IV)の化合物と反応させて前記式(II)の出発物質を形成することを含む方法によって得られる、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0054】
好ましい実施態様では、式(II)の出発物質が、上で定義された式(III)の化合物を、塩基の存在下で上で定義された式(IV)の化合物と反応させて前記式(II)の出発物質を形成することを含み、かつ場合によっては前記式(II)の出発物質を結晶化させることを更に含む方法によって得られ、前記塩基が、炭酸カリウム(KCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸セシウム(CsCO)NEt、Hunigs塩基、及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)からなる群から選択され、好ましくは炭酸カリウム(KCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)及び炭酸セシウム(CsCO)からなる群から選択される、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。より好ましくは、前記塩基は炭酸カリウム(KCO)である。
【0055】
更に好ましい実施態様では、式(II)の出発物質が、上で定義された式(III)の化合物を、極性の非プロトン性溶媒中、好ましくはジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)又はそれらの混合物から選択される極性の非プロトン性溶媒中、最も好ましくはDMSO中の塩基の存在下で上で定義された式(IV)の化合物と反応させて前記式(II)の出発物質を形成することを含み、かつ場合によっては前記式(II)の出発物質を結晶化させることを更に含む方法によって得られ、前記結晶化が、極性の非プロトン性溶媒と非極性溶媒を含む溶媒混合物から、好ましくは、酢酸エチルとヘプタンを含む溶媒混合物から、結晶形態で式(II)の出発物質を沈殿させることを含む、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0056】
特に好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物が、6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))であり、
かつ前記式(II)の化合物が、2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa))であり、
かつ場合によっては、式(IIa)の出発物質が、4-(tert-ブチル)-フェノール(式(IIIa))を
2-クロロ-5-ニトロ-ピリジン(式(IVa))と、
塩基の存在下で反応させて2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa))を形成することを含み、場合によっては前記2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa))を結晶化させることを更に含む方法によって得られる、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
よって、本発明は、式(Ia)
の化合物を製造するための方法であって、パラジウム触媒と、極性の非プロトン性溶媒又はC3-C10アルコールである溶媒の存在下で、式(IIa)の化合物を水素で還元して
前記式(Ia)の化合物を形成することを含む、方法を提供する。
【0057】
更に特に好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物が6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))であり;かつ
式(II)の出発物質が2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa))であり;かつ
式(IIa)の出発物質が、4-(tert-ブチル)-フェノール(式(IIIa))を2-クロロ-5-ニトロ-ピリジン(式(IVa))と塩基の存在下で反応させて2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa))を形成することを含み;かつ
前記2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa))を結晶化させることを含み、2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa))が酢酸エチルとへプタンを含む溶媒混合物から結晶形態で沈殿させられる、方法によって得られる、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0058】
本発明の第一の態様の更に特に好ましい実施態様では、本発明は、2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa))を活性炭担持パラジウムと酢酸エチルの存在下で水素で還元して6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))を形成することを含む、6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))を製造するための方法を提供する。
【0059】
本発明の第一の態様の更に特に好ましい実施態様では、本発明は、2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa))を活性炭担持パラジウムと酢酸エチルの存在下で水素で還元して6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))を形成することを含み;式(IIa)の化合物に対するパラジウムの量が、7モル%未満、好ましくは約6モル%未満、より好ましくは約5モル%未満、より好ましくは約4モル%未満、より好ましくは約3モル%未満、より好ましくは約2モル%未満、特に約1.25モル%である、6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))を製造するための方法を提供する。
【0060】
本発明の第一の態様の更に特に好ましい実施態様では、本発明は、2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa))を活性炭担持パラジウムと酢酸エチルの存在下で水素で還元して6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))を形成することを含み;式(IIa)の化合物に対するパラジウムの量が、7モル%未満で1モル%以上、好ましくは約6モル%未満で1モル%以上、より好ましくは約5モル%未満で1モル%以上、より好ましくは約4モル%未満で1モル%以上、より好ましくは約3モル%未満で1モル%以上、より好ましくは約2モル%未満で1モル%以上、特に約1.25モル%である、6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))を製造するための方法を提供する。
【0061】
本発明の第一の態様の更に特に好ましい実施態様では、本発明は、2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa))を活性炭担持パラジウムと酢酸エチルの存在下で水素で還元して6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))を形成することを含み、水素での前記2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa))の還元が、
(a)酢酸エチル中の2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa))の溶液を提供する工程と;続いて
(b)工程(a)の溶液に炭担持パラジウムを添加する工程と;
(c)工程(b)で得られた懸濁液を水素と接触させる工程
を含み、工程(b)において添加される活性炭担持パラジウムが、乾燥粉末又は酢酸エチル中の懸濁液として、好ましくは酢酸エチル中の懸濁液として添加される、6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))を製造するための方法を提供する。
【0062】
[式(I)の化合物]
好ましくは、基NHは、基Y、Y及びYを有する環の基Xに関して4位(パラ)にある。好ましくは、基R又はRは、基Y、Y及びYのない環の基Xに関して3位(メタ)又は4位(パラ)にあり、より好ましくは、Rは、基Y、Y及びYのない環の基Xに対して4位(パラ)にあり、一方、RはHであり、更により好ましくはRはHであり、一方、Rは、基Y、Y及びYのない環の基Xに関して4位(パラ)にある。好ましくは、基R又はRは、基Y、Y及びYを有する環の基Xに関して2位(オルト)にある(但しY及び/又はYがCである)。より好ましくは、Rは、基Y、Y及びYを有する環の基Xに関して2位(オルト)にあり(但しY及び/又はYがCである)、一方、RはHであり、更により好ましくはRはHであり、一方、Rは、基Y、Y及びYを有する環の基Xに関して2位(オルト)にある(但しY及び/又はYがCである)。好ましくは、基R11又はR22は、基Y、Y及びYのない環の基Xに関して3位(メタ)又は4位(パラ)にあり、一方、R22はHであり、更により好ましくはR11はHであり、一方、R22は、基Y、Y及びYのない環の基Xに関して4位(パラ)にある。好ましくは、基R33又はR43は、基Y、Y及びYを有する環の基Xに対して2位(オルト)にあり(但しY及び/又はYがCである)、より好ましくはR33は、基Y、Y及びYを有する環の基Xに対して2位(オルト)にあり、一方、R44はHであり、更により好ましくはR33はHであり、一方、R43は、基Y、Y及びYを有する環の基Xに対して2位(オルト)にある(但しY及び/又はYがCである)。
【0063】
好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、XはOであり;前記式(II)の化合物について、XはOである、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0064】
更なる実施態様では、前記式(I)の化合物について、
、Y、YがそれぞれN及びCHから選択され、Y、Y及びYの少なくとも一つがCHであり;かつ
前記式(II)の化合物について、Y、Y及びYがそれぞれN及びCHから選択され、Y、Y及びYの少なくとも一つがCHである、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
更なる実施態様では、前記式(I)の化合物について、
、Y、YがそれぞれN及びCHから選択され、Y及びYの少なくとも一つがCHであり;かつ
前記式(II)の化合物について、Y、Y及びYがそれぞれN及びCHから選択され、Y及びYの少なくとも一つがCHである、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
前記式(II)の化合物について、
がN及びCHから選択され;かつY及びYがそれぞれCHである、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
より好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、
がNであり;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
前記式(II)の化合物について、
がNであり;かつY及びYがそれぞれCHである、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0065】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、R及びRが、H及びC1-C10アルキルからそれぞれ独立して選択され;かつ前記式(II)の化合物について、R11及びR22が、H及びC1-C10アルキルからそれぞれ独立して選択される、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
更なる実施態様では、前記式(I)の化合物について、R及びRがH及びC3-C12シクロアルキルからそれぞれ独立して選択され;かつ前記式(II)の化合物について、R11及びR22がH及びC3-C12シクロアルキルからそれぞれ独立して選択される、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、RがHであり、かつRがH、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから選択され;かつ前記式(II)の化合物について、R11がHであり、かつR22がH、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから選択される、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
更に好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、RがHであり、かつRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルから選択され;かつ前記式(II)の化合物について、R11がHであり、かつR22が、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルから選択される、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
特に好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、RがHであり、かつRがtert-ブチルであり;かつ前記式(II)の化合物について、R11がHであり、かつR22がtert-ブチルである、本発明の第一の態様に係る方法が提供される
【0066】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、R及びRが、H、及びハロゲンからそれぞれ独立して選択され;かつ前記式(II)の化合物について、R33及びR44が、H、及びハロゲンからそれぞれ独立して選択される、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、R及びRが双方ともハロゲン、好ましくはフッ素であり;かつ前記式(II)の化合物について、R33及びR44が双方ともハロゲン、好ましくはフッ素である、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、RがHであり、かつRがH及びハロゲンから、好ましくはH及びフッ素から選択され;かつ前記式(II)の化合物について、R33がHであり、かつR44がH及びハロゲンから、好ましくはH及びフッ素から選択される、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
特に好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物R及びRが双方ともHであり;かつ前記式(II)の化合物について、R33及びR44が双方ともHである、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0067】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYがそれぞれN及びCHから選択され、ここで、Y、Y及びYの少なくとも一つがCHであり;かつ
及びRが、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルからそれぞれ独立して選択され;かつ
及びRが、H及びハロゲンからそれぞれ独立して選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0068】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYがそれぞれN及びCHから選択され、ここで、Y及びYの少なくとも一つがCHであり;かつ
及びRが、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルからそれぞれ独立して選択され;かつ
及びRが、H及びハロゲンからそれぞれ独立して選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0069】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
及びRが、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルからそれぞれ独立して選択され;かつ
及びRが、H及びハロゲンからそれぞれ独立して選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0070】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから選択され;かつ
及びRが、H及びハロゲンからそれぞれ独立して選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0071】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから選択され;かつ
がHであり、かつRが、H及びハロゲンから選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0072】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、C3-C8アルキル及びC5-C10シクロアルキルから選択され;かつ
がHであり、かつRが、H及びハロゲンから選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0073】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H及びC3-C8アルキルから選択され;かつ
がHであり、かつRが、H及びハロゲンから選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0074】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H及びC5-C10シクロアルキルから選択され;かつ
がHであり、かつRが、H及びハロゲンから選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0075】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがOであり;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H及びC3-C8アルキルから選択され;かつ
がHであり、かつRが、H及びハロゲンから選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0076】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがOであり;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H及びC5-C10シクロアルキルから選択され;かつ
がHであり、かつRが、H及びハロゲンから選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0077】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがNHであり;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H及びC3-C8アルキルから選択され;かつ
がHであり、かつRが、H及びハロゲンから選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0078】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがNHであり;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H及びC5-C10シクロアルキルから選択され;かつ
がHであり、かつRが、H及びハロゲンから選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0079】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
及びRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルからそれぞれ独立して選択され;かつ
及びRが、H及びFからそれぞれ独立して選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0080】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルから選択され;かつ
及びRが、H及びFからそれぞれ独立して選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0081】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルから選択され;かつ
がHであり、かつRがH及びFから選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0082】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがOであり;かつ
がNであり;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
及びRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルからそれぞれ独立して選択され;かつ
がHであり、かつRがH及びFから選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0083】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがOであり;かつ
、Y及びYがそれぞれCHであり;かつ
及びRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルからそれぞれ独立して選択され;かつ
がHであり、かつRがH及びFから選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0084】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがNHであり;かつ
がNであり;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
及びRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルからそれぞれ独立して選択され;かつ
がHであり、かつRがH及びFから選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0085】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがNHであり;かつ
、Y及びYがそれぞれCHであり;かつ
及びRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルからそれぞれ独立して選択され;かつ
がHであり、かつRがH及びFから選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0086】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがOであり;かつ
がNであり;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルから選択され;かつ
がHであり、かつRがH及びFから選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0087】
好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがOであり;かつ
がNであり;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルから選択され;かつ
がHであり、かつRがHであり;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0088】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがOであり;かつ
、Y及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルから選択され;かつ
がHであり、かつRがH及びFから選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0089】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがNHであり;かつ
がNであり;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルから選択され;かつ
がHであり、かつRがH及びFから選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0090】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがNHであり;かつ
、Y及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルから選択され;かつ
がHであり、かつRがH及びFから選択され;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0091】
好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYがそれぞれN及びCHから選択され;かつ
がHであり、かつRがtert-ブチルであり;かつ
及びRが双方ともHであり;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0092】
好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRがtert-ブチルであり;かつ
及びRが双方ともHであり;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0093】
更に好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がNであり;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRがtert-ブチルであり;かつ
及びRが双方ともHであり;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0094】
更に好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRがtert-ブチルであり;かつ
及びRが双方ともHであり;かつ
前記式(II)の化合物について、
X、Y、Y及びYが式(I)の化合物について定義された通りであり;かつ
11が、式(I)の化合物のRに等しく、R22がRに等しく、R33がRに等しく、かつR44がRに等しい、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0095】
特に好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物が、
から選択され、かつ前記式(II)の化合物が上に示された式(V)-(XX)の化合物のニトロアリール類似体から選択される、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0096】
更に特に好ましい実施態様では、
前記式(I)の化合物が6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))であり;かつ
前記式(II)の化合物が2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa))である、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0097】
[式(I)の化合物の塩酸塩及び一塩酸塩]
本発明者は、驚くべきことに、式(I)の化合物がそれらの塩酸塩に転換されると、安定な塩が得られることを見出したが、他の酸性付加塩を形成する全ての試みは失敗した。本発明者は更に驚くべきことに、式(I)の化合物がそれらの一塩酸塩に転換されると、該一塩酸塩は典型的には無色の結晶性固体として得られる(例えば、実施例4を参照)点で純度レベルが更に増加する一方、それぞれの遊離塩基の色は、一貫して再現性が高い(HPLCで決定して純度99.9%、元素分析によって決定してPd含有量<1ppm)純度分析レベルとは無関係に、バッチごとに異なる(無色から赤みがかった範囲)ことを見出した。製薬業界に医薬品有効成分(API)を提供する場合、その色、外観、純度、溶解度及び製造の再現性を含む、APIの一貫した特性が最も重要である。従って、式(I)の化合物の高純度、無色及び結晶性の一塩酸塩は、APIとして特に有用であり、繰り返される複数kgの大規模製造において非常に一貫性があることが見出された。
更に驚くべきことに、他の酸付加塩又はそれぞれの二塩酸塩を形成する試みは失敗した(実施例5を参照)。例えば、1.5モル当量を超える塩酸を使用して式(I)の化合物の塩酸塩を形成した場合、融点が不鮮明な一塩化物塩と二塩化物塩の混合物が得られた(実施例5及び図6を参照)。
【0098】
従って、一実施態様では、式(I)又は(Ia)の化合物を、塩酸、通常は約1.5モル当量以上の塩酸、好ましくは約1.5モル当量以上及び約5モル当量未満の塩酸、より好ましくは約2モル当量以上及び約3モル当量未満の塩酸、更により好ましくは約2.5モル当量の塩酸と、反応させて、前記式(I)又は(Ia)の化合物の塩酸塩を形成することを更に含む、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
従って、一実施態様では、式(I)又は(Ia)の化合物を、約1.5モル当量未満の塩酸、通常は約1.5未満で約1モル当量以上の塩酸、好ましくは約1.4モル当量、より好ましくは約1.3モル当量、更により好ましくは約1.2モル当量、なおより好ましくは約1.1モル当量、最も好ましくは約1モル当量、例えば、約1.01モル当量の塩酸と反応させて、前記式(I)又は(Ia)の化合物の一塩酸塩を形成することを更に含む、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0099】
好ましい実施態様では、式(I)又は(Ia)の化合物を、約1.5モル当量未満の塩酸、通常は約1.5未満で約1モル当量以上の塩酸、好ましくは約1.4モル当量、より好ましくは約1.3モル当量、更により好ましくは約1.2モル当量、なおより好ましくは約1.1モル当量、最も好ましくは約1モル当量、例えば、約1.01モル当量の塩酸と反応させて、前記式(I)又は(Ia)の化合物の一塩酸塩を形成することを更に含み、塩酸との式(I)又は(Ia)の化合物の前記反応がプロトン性溶媒、好ましくは2-プロパノール中で実施される、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0100】
一実施態様では、式(I)又は(Ia)の化合物を、約1.5モル当量未満の塩酸、通常は約1.5未満で約1モル当量以上の塩酸、好ましくは約1.4モル当量、より好ましくは約1.3モル当量、更により好ましくは約1.2モル当量、なおより好ましくは約1.1モル当量、最も好ましくは約1モル当量、例えば、約1.01モル当量の塩酸と反応させて、前記式(I)又は(Ia)の化合物の一塩酸塩を形成することを更に含み、続いて前記一塩酸塩を結晶化させる、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
一実施態様では、式(I)又は(Ia)の化合物を、約1.5モル当量未満の塩酸、通常は約1.5未満で約1モル当量以上の塩酸、好ましくは約1.4モル当量、より好ましくは約1.3モル当量、更により好ましくは約1.2モル当量、なおより好ましくは約1.1モル当量、最も好ましくは約1モル当量、例えば、約1.01モル当量の塩酸と反応させて、前記式(I)又は(Ia)の化合物の一塩酸塩を形成することを更に含み、続いて前記一塩酸塩を結晶化させ、ここで前記結晶化が、プロトン性溶媒と非極性溶媒を含む溶媒混合物、最も好ましくは2-プロパノールとへプタンを含む溶媒混合物から結晶形態で前記一塩酸塩を沈殿させることを含む、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0101】
一実施態様では、式(I)又は(Ia)の化合物を結晶化させ、かつ式(I)又は(Ia)の化合物を、約1.5モル当量未満の塩酸、通常は約1.5未満で約1モル当量以上の塩酸、好ましくは約1.4モル当量、より好ましくは約1.3モル当量、更により好ましくは約1.2モル当量、なおより好ましくは約1.1モル当量、最も好ましくは約1モル当量、例えば、約1.01モル当量の塩酸と反応させて、前記式(I)又は(Ia)の化合物の一塩酸塩を形成することを更に含む、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0102】
一実施態様では、式(I)又は(Ia)の化合物を活性炭と接触させ;式(I)又は(Ia)の化合物を結晶化させ;かつ式(I)又は(Ia)の化合物を、約1.5モル当量未満の塩酸、通常は約1.5未満で約1モル当量以上の塩酸、好ましくは約1.4モル当量、より好ましくは約1.3モル当量、更により好ましくは約1.2モル当量、なおより好ましくは約1.1モル当量、最も好ましくは約1モル当量、例えば、約1.01モル当量の塩酸と反応させて、前記式(I)又は(Ia)の化合物の一塩酸塩を形成することを更に含む、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0103】
一実施態様では、式(I)又は(Ia)の化合物を活性炭と接触させ;式(I)又は(Ia)の化合物を結晶化させ;かつ式(I)又は(Ia)の化合物を、約1.5モル当量未満の塩酸、通常は約1.5未満で約1モル当量以上の塩酸、好ましくは約1.4モル当量、より好ましくは約1.3モル当量、更により好ましくは約1.2モル当量、なおより好ましくは約1.1モル当量、最も好ましくは約1モル当量、例えば、約1.01モル当量の塩酸と反応させて、前記式(I)又は(Ia)の化合物の一塩酸塩を形成することを更に含み、ここで前記結晶化が、プロトン性溶媒と非極性溶媒を含む溶媒混合物、最も好ましくは2-プロパノールとへプタンを含む溶媒混合物から結晶形態で前記式(I)又は(Ia)の一塩酸塩を沈殿させることを含む、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0104】
一実施態様では、式(I)又は(Ia)の化合物を結晶化させ、かつ式(I)又は(Ia)の化合物を、約1.5モル当量未満の塩酸、通常は約1.5未満で約1モル当量以上の塩酸、好ましくは約1.4モル当量、より好ましくは約1.3モル当量、更により好ましくは約1.2モル当量、なおより好ましくは約1.1モル当量、最も好ましくは約1モル当量、例えば、約1.01モル当量の塩酸と反応させて、前記式(I)又は(Ia)の化合物の一塩酸塩を形成することを更に含み、続いて前記一塩酸塩を結晶化させる、本発明の第一の態様に係る方法が提供される。
【0105】
第二の態様では、本発明は、式(I)
(上式中、XはO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYは、それぞれ、N及びCHから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、ハロゲン及びC1-C10アルキルから独立して選択される)の化合物の塩酸塩を製造するための方法であって、式(I)の化合物を塩酸、通常は約1.5モル当量以上の塩酸、好ましくは約1.5モル当量以上で約5モル当量未満の塩酸、より好ましくは約2モル当量以上で約3モル当量未満の塩酸、更により好ましくは約2.5モル当量の塩酸と、反応させて、前記式(I)の化合物の塩酸塩を形成することを含む方法を提供する。
【0106】
第三の態様では、本発明は、式(I)
(上式中、XはO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYは、それぞれ、N及びCHから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、ハロゲン及びC1-C10アルキルから独立して選択される)の化合物の一塩酸塩を製造するための方法であって、前記式(I)の化合物を、約1.5モル当量未満の塩酸、通常は約1.5未満で約1モル当量以上の塩酸、好ましくは約1.4モル当量、より好ましくは約1.3モル当量、更により好ましくは約1.2モル当量、なおより好ましくは約1.1モル当量、最も好ましくは約1モル当量、例えば、約1.01モル当量の塩酸と反応させて、前記式(I)の化合物の一塩酸塩を形成することを含む方法を提供する。
【0107】
一実施態様では、前記式(I)の化合物の一塩酸塩を結晶化させることを更に含む、本発明の第三の態様に係る方法が提供される。
【0108】
好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物の一塩酸塩を結晶化させることを更に含み、前記結晶化が、プロトン性溶媒と非極性溶媒を含む溶媒混合物、最も好ましくは2-プロパノールとへプタンを含む溶媒混合物から結晶形態で前記一塩酸塩を沈殿させることを含む、本発明の第三の態様に係る方法が提供される。
【0109】
一実施態様では、式(I)の化合物が、それを塩酸と反応させる前に結晶化される、本発明の第三の態様に係る方法が提供される。
一実施態様では、式(I)の化合物が、それを塩酸と反応させる前に活性炭と接触させられる、本発明の第三の態様に係る方法が提供される。
【0110】
一実施態様では、式(I)の化合物が、それを塩酸と反応させる前に、活性炭と接触させられ、プロトン性溶媒と非極性溶媒を含む溶媒混合物、最も好ましくは2-プロパノールとへプタンを含む溶媒混合物から結晶形態でそれを沈殿させることによって結晶化される、本発明の第三の態様に係る方法が提供される。
【0111】
一実施態様では、前記式(VI)の化合物の一塩酸塩を結晶化させることを更に含み;式(I)の化合物が、それを塩酸と反応させる前に結晶化される、本発明の第三の態様に係る方法が提供される。
【0112】
一実施態様では、前記式(I)の化合物の一塩酸塩を結晶化させることを更に含み;式(I)の化合物が、それを塩酸と反応させる前に活性炭上の炭素と接触させられる、本発明の第三の態様に係る方法が提供される。
【0113】
好ましい実施態様では、塩酸との式(I)の化合物の前記反応が、プロトン性溶媒、好ましくは2-プロパノール中で実施される、本発明の第三の態様に係る方法が提供される。
【0114】
更に驚くべきことに、式(I)の化合物の一塩酸塩は、その遊離塩基形態の式(I)の化合物と比較して、より高い融点及び水性媒体への改善された溶解度などの改善された性質を有することが見出された。例えば、6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩は173℃の融点(DSCで測定;図1を参照)を有しており、式(Ia)のそれぞれの遊離塩基はほんの92℃(DSCで測定;図2を参照)の融点を有している。驚くべきことに、他の酸付加塩を形成する全ての試みは失敗した(実施例5)。加えて、式(Ia)の化合物のそれぞれの二塩酸塩を形成する試みは、驚くべきことに、2つの融点(図6)を有する物質(実施例5)の形成をもたらし、少なくとも2つの種が存在していたことを示唆している。
【0115】
第四の態様では、本発明は、式(I)
(上式中、XはO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYは、それぞれ、N及びCHから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、ハロゲン及びC1-C10アルキルから独立して選択される)の化合物の塩酸塩を提供する。
【0116】
第五の態様では、本発明は、式(I)
(上式中、XはO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYは、それぞれ、N及びCHから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから独立して選択され;かつ
及びRは、それぞれ、H、ハロゲン及びC1-C10アルキルから独立して選択される)の化合物の一塩酸塩を提供する。
【0117】
好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、XがO及びNHから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
特に好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、XがOである、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0118】
更なる実施態様では、前記式(I)の化合物について、Y、Y及びYがそれぞれN及びCHから選択され、ここで、Y、Y及びYの少なくとも一つがCHである、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
更なる実施態様では、前記式(I)の化合物について、Y、Y及びYがそれぞれN及びCHから選択され、ここで、Y及びYの少なくとも一つがCHである、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、YがN及びCHから選択され;かつY及びYがそれぞれCHである、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、YがNであり;かつY及びYがそれぞれCHである、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
更に好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、Y、Y及びYのそれぞれがCHである、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、Y及びYが双方ともCHであり;かつYがNである、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、Y及びYが双方ともNであり;かつYがCHである、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0119】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、R及びRが、H及びC1-C10アルキルからそれぞれ独立して選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
更なる実施態様では、前記式(I)の化合物について、R及びRが、H及びC3-C12シクロアルキルからそれぞれ独立して選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、RがHであり、かつRが、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
更に好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、RがHであり、かつRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0120】
特に好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、RがHであり、かつRがtert-ブチルである、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0121】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、R及びRがH及びハロゲンからそれぞれ独立して選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0122】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、R及びRが双方ともハロゲン、好ましくはフッ素である、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、RがHであり、かつRがH、及びハロゲン、好ましくはH及びフッ素から選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
特に好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、R及びRが双方ともHである、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0123】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYがそれぞれN及びCHから選択され、ここで、Y、Y及びYの少なくとも一つがCHであり;かつ
及びRが、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルからそれぞれ独立して選択され;かつ
及びRが、H及びハロゲンからそれぞれ独立して選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0124】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYがそれぞれN及びCHから選択され、ここで、Y及びYの少なくとも一つがCHであり;かつ
及びRが、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルからそれぞれ独立して選択され;かつ
及びRが、H及びハロゲンからそれぞれ独立して選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0125】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
及びRが、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルからそれぞれ独立して選択され;かつ
及びRが、H及びハロゲンからそれぞれ独立して選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0126】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから選択され;かつ
及びRが、H及びハロゲンからそれぞれ独立して選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0127】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、C1-C10アルキル及びC3-C12シクロアルキルから選択され;かつ
がHであり、かつRが、H及びハロゲンから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0128】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、C3-C8アルキル及びC5-C10シクロアルキルから選択され;かつ
がHであり、かつRが、H及びハロゲンから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0129】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H及びC3-C8アルキルから選択され;かつ
がHであり、かつRが、H及びハロゲンから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0130】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H及びC5-C10シクロアルキルから選択され;かつ
がHであり、かつRが、H及びハロゲンから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0131】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがOであり;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H及びC3-C8アルキルから選択され;かつ
がHであり、かつRが、H及びハロゲンから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0132】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがOであり;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H及びC5-C10シクロアルキルから選択され;かつ
がHであり、かつRが、H及びハロゲンから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0133】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがNHであり;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H及びC3-C8アルキルから選択され;かつ
がHであり、かつRが、H及びハロゲンから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0134】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがNHであり;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H及びC5-C10シクロアルキルから選択され;かつ
がHであり、かつRが、H及びハロゲンから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0135】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
及びRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルからそれぞれ独立して選択され;かつ
及びRが、H及びFからそれぞれ独立して選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0136】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルから選択され;かつ
及びRが、H及びFからそれぞれ独立して選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0137】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルから選択され;かつ
がHであり、かつRがH及びFから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0138】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがOであり;かつ
がNであり;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
及びRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルからそれぞれ独立して選択され;かつ
がHであり、かつRがH及びFから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0139】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがOであり;かつ
、Y及びYがそれぞれCHであり;かつ
及びRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルからそれぞれ独立して選択され;かつ
がHであり、かつRがH及びFから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0140】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがNHであり;かつ
がNであり;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
及びRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルからそれぞれ独立して選択され;かつ
がHであり、かつRがH及びFから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0141】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがNHであり;かつ
、Y及びYがそれぞれCHであり;かつ
及びRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルからそれぞれ独立して選択され;かつ
がHであり、かつRがH及びFから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0142】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがOであり;かつ
がNであり;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルから選択され;かつ
がHであり、かつRがH及びFから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0143】
好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがOであり;かつ
がNであり;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルから選択され;かつ
がHであり、かつRがHである、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0144】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがOであり;かつ
、Y及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルから選択され;かつ
がHであり、かつRがH及びFから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0145】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがNHであり;かつ
がNであり;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルから選択され;かつ
がHであり、かつRがH及びFから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0146】
一実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがNHであり;かつ
、Y及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRが、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチル-3,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、シクロヘキシル及びアダマンチルから選択され;かつ
がHであり、かつRがH及びFから選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0147】
好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYがそれぞれN及びCHから選択され;かつ
がHであり、かつRがtert-ブチルであり;かつ
及びRが双方ともHである、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0148】
更に好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がN及びCHから選択され;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRがtert-ブチルであり;かつ
及びRが双方ともHである、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0149】
更に好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
がNであり;かつ
及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRがtert-ブチルであり;かつ
及びRが双方ともHである、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0150】
更に好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物について、
XがO及びNHから選択され;かつ
、Y及びYがそれぞれCHであり;かつ
がHであり、かつRがtert-ブチルであり;かつ
及びRが双方ともHである、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0151】
特に好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物が、
から選択される、本発明の第二及び第三の態様に係る方法又は本発明の第四及び第五の態様に係る塩酸塩及び一塩酸塩が提供される。
【0152】
特に好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物が6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン、すなわち、本発明の第二の態様に係る方法によって得られる塩酸塩であり、又は本発明の第四の態様に係る塩酸塩が6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン塩酸塩である、本発明の第二の態様に係る方法又は本発明の第四の態様に係る塩酸塩が提供される。
【0153】
更に特に好ましい実施態様では、前記式(I)の化合物が6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン、すなわち、本発明の第三の態様に係る方法によって得られる一塩酸塩であり、又は本発明の第五の態様に係る塩酸塩が6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩である、本発明の第三の態様に係る方法又は本発明の第五の態様に係る一塩酸塩が提供される。
【0154】
特に好ましい実施態様では、前記一塩酸塩が6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩であり、約168℃から約178℃、好ましくは約171℃から約175℃、最も好ましくは約173℃の融点を有する(示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定)、本発明の第五の態様に係る一塩酸塩が提供される。
【0155】
更に特に好ましい実施態様では、前記一塩酸塩が6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩であり、CuKα放射線を使用して測定されて図3に示される2θ値を含むX線粉末回折パターンを有する、本発明の第五の態様に係る一塩酸塩が提供される。
【0156】
好ましい実施態様では、前記一塩酸塩が6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩であり、25℃、60%rhでの24ケ月の保管後に100%の純度(HPLC-UVによって測定して>=95%の面積)を有する、本発明の第五の態様に係る一塩酸塩が提供される。
【0157】
更に好ましい実施態様では、前記一塩酸塩が6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩であり、40℃、75%rhでの6ケ月の保管後に98.9%の純度(HPLC-UVによって測定して>=95%の面積)を有する、本発明の第五の態様に係る一塩酸塩が提供される。
【0158】
[本発明の塩酸塩及び一塩酸塩の使用]
第六の態様では、本発明は、医薬として使用するための、本発明の第四の態様に係る式(I)の化合物の塩酸塩と上に記載されたその実施態様、好ましくは6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン塩酸塩を提供する。
第七の態様では、本発明は、医薬として使用するための、本発明の第五の態様に係る式(I)の化合物の一塩酸塩と上に記載されたその実施態様、好ましくは6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩を提供する。
【0159】
第八の態様では、本発明は、がんの治療及び/又は予防の方法において使用するための、本発明の第四の態様に係る式(I)の化合物の塩酸塩と上に記載されたその実施態様、好ましくは6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン塩酸塩を提供する。
また提供されるのは、がんの治療及び/又は予防のための医薬の製造のための、本発明の第四の態様に係る式(I)の化合物の塩酸塩と上に記載されたその実施態様、好ましくは6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン塩酸塩の使用である。
また提供されるのは、がんの治療及び/又は予防のための、本発明の第四の態様に係る式(I)の化合物の塩酸塩と上に記載されたその実施態様、好ましくは6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン塩酸塩の使用である。
【0160】
第九の態様では、本発明は、がんの治療及び/又は予防の方法において使用するための、本発明の第五の態様に係る式(I)の化合物の一塩酸塩と上に記載されたその実施態様、好ましくは6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩を提供する。
また提供されるのは、がんの治療及び/又は予防のための医薬の製造のための、本発明の第五の態様に係る式(I)の化合物の一塩酸塩と上に記載されたその実施態様、好ましくは6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩の使用である。
また提供されるのは、がんの治療及び/又は予防のための、本発明の第五の態様に係る式(I)の化合物の一塩酸塩と上に記載されたその実施態様、好ましくは6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩の使用である。
【0161】
本発明の第四及び第五の態様の一実施態様では、前記がんは、ノッチ依存性がんであり、好ましくは、T細胞-急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、乳がん、膵臓がん、前立腺がん、メラノーマ、脳腫瘍、腫瘍血管新生、及び結腸直腸がんからなる群から選択されるノッチ依存性がんである。
【実施例0162】
以下、本発明をより詳細に、具体的には実施例を参照して説明するが、これは本発明を限定するものではない。
【0163】
材料:
この発明の例示的実施態様に使用される4-(tert-ブチル)-フェノール(式(IIIa))と2-クロロ-5-ニトロ-ピリジン(式(IVa))は、様々な供給源から市販されており、例えばSigma-Aldrichから購入できる。一般に、式(III)及び(IV)のビルディングブロックは既知であり、市販されている。
式(II)の化合物は一般手順Aに従って得ることができる。
式(I)の化合物は一般手順Bに従って得ることができる。
ここに記載の式(I)の化合物の一塩酸塩は一般手順Cに従って得ることができる。
【0164】
機器類:
HPLC:
装置: DADを備えたAgilent1100シリーズ
ソフトウェア: CDS Chromeleon6.8
カラム: Advanced Materials Technology Halo C18,2.7μm,100mm×4.6mm
カラム温度: 20℃
移動相A: 水
移動相B: アセトニトリル
グラジエント: 時間[分] %A %B
0 50 50
5 0 100
5 50 50
7.5 50 50 (平衡)
流量: 1.2ml/分
注入量: 2.0μL
サンプル溶媒: 式(Ia)の化合物に対してアセトニトリル
式(Ia)の化合物の一塩酸塩に対してアセトニトリル/水3:1v/v
サンプル濃度: 0.8mg/mL
オートサンプラー温度: 20℃
検出: 220nmのUV
【0165】
XPRD:
X線粉末回折研究は、40kV、40mAでCuアノードを使用するBruker D8 Advanceを使用して実施した。データ収集のために使用したソフトウェアはDDiffrac.plus Part11(バージョン3)であった。パターンにバックグラウンド補正又はスムージングは適用しなかった。
【0166】
一般手順A:カップリング
式(III)の化合物(1当量)と式(IV)の化合物(1当量)をDMF又はDMSO(5容量)に室温(rt)において溶解させた後、KCO(約1.5当量)を加える。混合物を、式(III)及び(IV)の化合物の一方又は好ましくは両方が完全に転換されるまで室温において撹拌し、その後、酢酸(8容量)と水(10容量)を加える。層を分離させ、有機層を水性NaHCO(4容量)及びブライン(4容量)で洗浄し、無水NaSO(0.5-1%重量/重量)で乾燥させる。懸濁液を濾過し、濾過ケーキ(Na2SO4)を酢酸エチル(3容量)で洗浄する。
【0167】
任意選択的な結晶化:
合わせた濾液をそれらの容量の約半分まで濃縮する(すなわち、約6容量の酢酸エチルを蒸留除去する)。続いて、ヘプタン(10容量)をTout=50℃で加え、溶媒の一部(約10容量)を蒸留除去する。得られた濃縮溶液をTout=-20℃に冷却して懸濁液を得る。懸濁液を濾過し、濾過ケーキを冷ヘプタン(4容量)で洗浄し、ロータリーエバポレーターで乾燥させて、式(II)のそれぞれのニトロ-ジアリール化合物を得る。
【0168】
一般手順B:水素化
オートクレーブにおいて、一般手順Aに従って得られる式(II)の化合物を酢酸エチル(5容量)に溶解させる。次に、酢酸エチル(1容量)中の活性炭担持パラジウム(好ましくは5%重量/重量のPd含有量;好ましくは約1.25モル%のPdを有する)の懸濁液を、漏斗を介して室温において溶液に加え、漏斗を、酢酸エチル(3容量)ですすぐ。オートクレーブを水素でパージし、次に懸濁液を室温において0.5バールの水素圧下で室温で完全に転換するまで撹拌する。その後、懸濁液を濾過し、濾過ケーキを酢酸エチル(3容量)ですすぐ。
【0169】
任意選択的な結晶化を含むワークアップ:
濾液を減圧下でその容量の約半分まで濃縮する。次に、活性炭を室温において加え、得られた懸濁液を室温において撹拌する。続いて、懸濁液を濾過し、濾過ケーキを酢酸エチル(2×2容量)で洗浄する。合わせた濾液を減圧下で初期容量の約1/3まで濃縮し、ヘプタン(7容量)をTout=40℃において加えた後、溶媒の約半分を蒸留除去する。濃縮溶液をTout=-20℃に冷却して懸濁液を得、これを更にTout=-24℃に冷却する。その後、懸濁液を濾過し、濾過ケーキを冷ヘプタン(3容量)で洗浄し、フィルター上で一晩乾燥させて、式(I)のそれぞれのアミノ-ジアリール化合物を得る。
【0170】
一般手順C:塩の形成
式(I)の化合物を2-プロパノール(4容量)に溶解させる。溶液をTout=40℃に加熱し、2-プロパノール中の5-6NのHCl(約1.0当量)をTout=40℃(Timax=44.9℃)で滴下して加える。次に、場合によっては、式(I)の化合物の一塩酸塩(0.1%重量/重量)のシードを加える。(シード添加)混合物をTi=40℃で約0.5時間撹拌して、懸濁液を得る。ヘプタン(4容量)をTi=40℃において加え、懸濁液を更にTi=45℃に温める。ヘプタンの2回目の部分(8容量)を加える。次に、混合物をTout=55℃に温め、この温度において約1時間撹拌を続ける。
【0171】
ワークアップ:
懸濁液を約16時間かけてTi=13℃に冷却し、続いて約30分間かけて更にTi=0℃に冷却し、Ti=0℃で1時間撹拌する。続いて、懸濁液を濾過し、濾過ケーキをヘプタンと2-プロパノールの10:1混合物(3容量)で洗浄する。濾過ケーキをロータリーエバポレーター(Tout=50℃、<10mbar)で3日間乾燥させて、典型的には無色の結晶性固体として、式(I)の化合物の一塩酸塩を得る。
【0172】
実施例1A:2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa))
一般手順Aに従って、4-(tert-ブチル)-フェノール(式(IIIa)、3.98kg)及び2-クロロ-5-ニトロ-ピリジン(式(IVa)、4.13kg)を室温(rt)においてDMSO(21L)に溶解させ、続いて室温において17分間にわたってKCO(5.41kg)を加えた。混合物を室温において17.25時間撹拌し、その後酢酸エチル(33L)と水(20L)を加えた。得られた二相混合物を35分間撹拌し、更に35分間放置してから、層を分離した。有機層を水性NaHCO(8%重量/重量、16.5L)及びブライン(16.5L)で洗浄し、無水NaSO(2.5kg)で乾燥させた。懸濁液を濾過し、濾過ケーキ(NaSO)を酢酸エチル(13L)で洗浄した。次に、合わせた濾液を減圧下で濃縮した(25Lの酢酸エチルを蒸留除去した)。続いて、ヘプタン(異性体混合物、41L)をTout=50℃において7分間かけて加え、42Lの溶媒を減圧下で蒸留除去した。得られた黄色の溶液を20時間かけてTout=-20℃に冷却し、その温度で65分間撹拌して懸濁液を得た。懸濁液を濾過し、濾過ケーキを冷ヘプタン(異性体混合物、16.5L)で洗浄し、ロータリーエバポレーターで一晩乾燥させて、2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa)、6.2kg、87%)を白色固体として得た。
【0173】
実施例1B:2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa))
一般手順Aに従って、4-(tert-ブチル)-フェノール(式(IIIa)、7.94kg)と2-クロロ-5-ニトロ-ピリジン(式(Va)、8.36kg)を室温(rt)においてDMSO(42L)に溶解させ、続いて室温において12分間にわたってKCO(10.96kg)を加えた。混合物を室温において21.5時間撹拌し、その後酢酸エチル(66L)と水(42L)を加えた。得られた二相混合物を68分間撹拌し、更に2時間放置してから層を分離した。有機層を水性NaHCO(8%重量/重量、33L)とブライン(33L)で洗浄し、無水NaSO(5kg)で乾燥させた。懸濁液を濾過し、濾過ケーキ(NaSO)を酢酸エチル(25L)で洗浄した。次に、合わせた濾液を減圧下で濃縮した(48Lの酢酸エチルを蒸留除去した)。続いて、ヘプタン(異性体混合物、84L)をTout=50℃において67分間かけて加え、79Lの溶媒を減圧下で蒸留除去した。得られた黄色溶液を20時間かけてTout=-20℃に冷却し、その温度で61分間撹拌して懸濁液を得た。懸濁液を濾過し、濾過ケーキを冷ヘプタン(異性体混合物、33L)で洗浄し、ロータリーエバポレーターで一晩乾燥させて、2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa)、4.96及び5.06kgの2つの部分で、70%)を白色固体として得た。しかし、容器にコーティングされ、母液と組み合わされた20Lの酢酸エチルで溶解された材料は、一般的プロセスに従って酢酸エチルからヘプタンへの溶媒スイッチに再移送され、3.59kg(23%)の第三の部分が白色固体として得られた。全体収率はステージ1で93%に増加した。
【0174】
実施例2(比較例):国際公開第2013/093885号に記載の方法によって得られた6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))
MeOH(86mL)中の2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa)、8.6g)及び活性炭担持パラジウム(2.35g、10%重量/重量のパラジウム)を室温においてH雰囲気(0.5バール)下で2時間撹拌して、6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))を得た。しかし、N-メチル化副生成物がHPLCによって観察され、6.9ppmのPd含有量が元素分析によって検出された。
【0175】
実施例3A:6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))
一般手順Bに従って、オートクレーブにおいて、2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa)、1.2kg)を酢酸エチル(6L)に溶解させた。次に、酢酸エチル(1.2L)中の活性炭担持パラジウム(119g、5%重量/重量パラジウム)の懸濁液を、漏斗を介して室温において溶液に加え、漏斗を酢酸エチル(3.6L)ですすいだ。オートクレーブを水素(5バール)でパージし、次に懸濁液を完全に転換するまで(2時間20分)、室温において0.5バールの水素圧下で撹拌した(832rpm)。その後、懸濁液を濾過し、濾過ケーキを酢酸エチル(3.6L)ですすいだ。
ワークアップ:この操作では、5回の水素化実験を組み合わせ、一般的プロセスに従って処理した。
濾液(5回の実験から)を合わせて減圧下で濃縮した(74Lの酢酸エチルを蒸留除去した)。次に、活性炭(605g)をTout=25℃において加え、得られた懸濁液をTout=25℃において1時間10分間撹拌した。続いて、懸濁液を濾過し、濾過ケーキを酢酸エチル(2×12L)で洗浄した。合わせた濾液を減圧下で濃縮し(42Lの酢酸エチルを蒸留除去)、ヘプタン(異性体混合物、42L)をTout=40℃において12分間かけて加えた後、36Lの溶媒を減圧下で蒸留除去した。濃縮溶液を6時間かけてTout=-20℃に冷却して懸濁液を得、これをTout=-24℃において更に1時間撹拌した。その後、懸濁液を濾過し、濾過ケーキを冷ヘプタン(異性体混合物、19L)で洗浄し、フィルター上で一晩乾燥させて、6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia)、4.95kg、91%)を赤みがかった固体として得た。
【0176】
実施例3B:6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))
一般手順Bに従って、オートクレーブにおいて、2-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)-5-ニトロピリジン(式(IIa)、50g)を2-プロパノール(0.4L)に溶解させた。次に、2-プロパノール(25mL)中の活性炭担持パラジウム(5g、5%重量/重量パラジウム)の懸濁液を室温において漏斗を介して溶液に加え、漏斗を2-プロパノール(25mL)ですすいだ。オートクレーブを水素(5バール)でパージし、ついで懸濁液を、完全に転換するまで(7時間30分)室温において0.1バールの水素圧下で撹拌した(832rpm)。その後、懸濁液を濾過し、濾過ケーキを2-プロパノール(0.2L)ですすいだ。
ワークアップ:濾液を減圧下で濃縮し(0.65Lの2-プロパノールを蒸留除去)、6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミンを固体として単離した。
【0177】
実施例4:6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩
一般手順Cに従って、6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia)、4.95kg)を2-プロパノール(20L)に溶解させた。溶液をTout=40℃に加熱し、2-プロパノール中の5-6NのHCl(3.7L、1.01当量)をTout=40℃(Timax=44.9℃)において20分かけて滴下して加えた。6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩のシード(5g)を加え、シード添加混合物をTi=40℃において0.5時間撹拌して懸濁液を得た。ヘプタン(異性体混合物、20 L)をTi=40℃において33分間かけて加え、懸濁液を更にTi=45℃に温めた。ヘプタンの第二の部分(異性体混合物、40L)を54分かけて滴下して加えた。ついで、混合物をTout=55℃に温め、この温度で1時間撹拌を続けた。
ワークアップ:
懸濁液を16時間かけてTi=13℃に冷却した後、更に30分間かけてTi=0℃に冷却し、Ti=0℃において1時間撹拌した。続いて、懸濁液を濾過し、濾過ケーキをヘプタン(異性体混合物)と2-プロパノール(2×16.5L)の10:1混合物で洗浄した。濾過ケーキをロータリーエバポレーター(Tout=50℃、<10mbar)で3日間乾燥させて、表題化合物を無色の結晶性固体(5.02kg、88%)として得た。
【0178】
実施例5:6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミンでの塩形成
異なった塩の形成を、以下の表1に示される手順に従って、試験した。
【0179】
実施例6:6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩の強制分解
機器類:
光安定チャンバー: Solarbox 1500e
オーブン: Salvis真空乾燥オーブンVC-20
加熱ユニット: lKA ETS SDとステンレス鋼加熱ブロックを備えたlkamag RET-GS
バイアル: Supelco V-バイアルとPTFEセプタム付きスクリューキャップ
気密バイアル: Agilent 10mL HS-GC透明ガラスバイアルと不適合性PTFEセプタム付き圧着キャップ
石英ガラスキュベット:Hellma精密キュベットSuprasil、タイプ117.100-QS、パス長10mm、シリコンセプタムでキャップされたスクリュー
HPLC: 上記の通り
【0180】
分析方法:
上記のHPLC試験法を使用して、強制分解実験前の6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩の化学分析値と純度、及び分解実験から得られた6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩サンプル中の個々の不純物と分解生成物の面積%量を決定した。
6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩の同一性は、保持時間を参照と比較することによって決定した。
6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩の化学分析値と純度は、純度決定には面積正規化法を、化学分析値決定には外部標準キャリブレーションを利用して、220nmでのUV検出を備えたHPLCを使用して決定した。全ての実験中に、200nmから950nmまでのUVスペクトルを記録し、6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩のピーク純度もまた評価した。
各試験条件に対して、単一の決定のみを実施した。
以下に記載の各試験条件について、一つのサンプルを調製し、HPLC法に従って分析した。
【0181】
1.熱ストレスのある固体状態
約20.4mgと50.1mgの6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩をSupelco V-バイアルに秤量して入れた。バイアルをスクリューキャップで閉じ、それぞれ20時間(20mgのサンプル)及び68時間(50mgのサンプル)100℃±5℃で操作される加熱ユニットの加熱ブロックに保管した。
100℃において意図した時間、保存した後、各サンプルを室温まで冷却し、バイアルの内容物を約4mLのサンプル溶媒(アセトニトリル/水3:1v/v)に溶解させた。得られた溶液を、それぞれ25mLの容量フラスコ(20mgのサンプル)又は50mLの容量フラスコ(50mgサンプル)に定量的に移した。次に、バイアルを約4mLのサンプル溶媒で3回すすぎ、そのたびにバイアルの内容物をまた25mLの容量フラスコに移した。フラスコをサンプル溶媒でいっぱいに満たし、よく振とうした後、この溶液のアリコートを分析のためにHPLCバイアルに移した。
結果:6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩は100℃において固体状態で安定である。100℃において68時間保管した後、純度と純度プロファイルに有意な変化は観察されなかった。化学分析値において観察された減少は、該方法の許容される変動範囲内であった(±2%)。
【0182】
2.UV/VIS放射線によってストレスを受けた固体状態
20.23mgと20.17mgの6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩の2つのサンプルをそれぞれ石英ガラスキュベットに秤量して入れた。両方のキュベットをスクリューキャップで閉じた。キュベットの一つは、アルミホイルで包むことによって保護した。このサンプルは暗所対照として機能した。両方のキュベットを光安定チャンバー内に互いに並べて配置し、ガイドライン[4]に従って、合計1200kLux・hの照明に達するまで500W/mのエネルギーを加えるUV/VIS放射線に曝露した。1200kLux・hの照明でUV/VIS放射線に曝露した後、サンプルを室温まで戻し、キュベットの内容物を約2mLのサンプル溶媒(アセトニトリル/水3:1v/v)に溶解させた。得られた溶液を25mLの容量フラスコに定量的に移した。次に、キュベットを約2mLのサンプル溶媒で5回リンスし、そのたびにキュベットの内容物をまた25mLの容量フラスコに移した。フラスコをサンプル溶媒でいっぱいに満たしてよく振とうした後、この溶液のアリコートを分析のためにHPLCバイアルに移した。
結果:固体状態において6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩はUV/VIS放射線に対して安定している。1200kLux・hの照射後、500W/mのエネルギーを加えると、純度は0.6面積%減少したが、これは、主に2種の未知の不純物の発生に関連していた。2.1%w/wの化学分析値において観察された減少は、暗所対照の化学分析値が同様の値(2.4%w/wの減少)を持っていたため、UV/VIS放射線と関係していなかった。
【0183】
3.水溶液中のアルカリ及び熱ストレス
約20mg(4×)の6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩を10mLのGC-HSバイアルに秤量して入れ、2.0mLの0.1Mの水性NaOHを加えた。4つのバイアルを圧着して振とうした。2つのバイアルは60℃±5℃で操作されるオーブンに保管され、2つは90℃±5℃で操作されるオーブンに保管した。加えて、2.0mLの0.1Mの水性NaOHを10mLのGC-HSバイアルに移してブランクサンプルを調製した。圧着後、ブランクを含んでいるバイアルを90℃±5℃で操作されるオーブンに保管した。試験条件を表2にまとめる。
定められた条件で意図された時間保管した後、各サンプルを室温まで冷却した。次に、2.0mLの0.1MのHCl水溶液を添加してサンプルを中和した。各サンプルについて、バイアルの内容物を25mLの容量フラスコに定量的に移した。次に、バイアルを約5mLのサンプル溶媒(アセトニトリル/水3:1v/v)で3回リンスし、そのたびにバイアルの内容物をまた25mLの容量フラスコに移した。フラスコをサンプル溶媒でいっぱいに満たしてよく振とうした後、この溶液のアリコートを分析のためにHPLCバイアルに移した。
記録された全てのクロマトグラムを、分析法[1]に従って、同一性、化学分析値、及び純度について評価した。加えて、安定性サンプルのクロマトグラムにおいてピーク純度を評価した。各分析シーケンスについて、分析法[1]で特定されているようにSSTを実施した。分析シーケンスの各々について、全てのSST基準が満たされた。
【0184】
実施例7:6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩対6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミンの溶解度
6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))及びその一塩酸塩、すなわち6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩の水への溶解度を、表3及び4に従って、様々なpH値において評価した。表3に従う6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-式(式(Ia))の水への溶解度は、次のように分析した:遊離塩基500mgを、pH=2、4、中性pH=7及び塩基性pH=10において14mLの酸性媒体に入れて、約35mg/mLの計算された濃度内の懸濁液を得た。表4による6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩の水への溶解度は、次のように分析した:各100mgのHCl塩をpH=2及び4の酸性媒体及びpH=7の中性媒体に入れ、溶液とした。最も重要な観察は、pH=7の中性溶液で、HCl塩100mgを入れることによってpH=1に低下することであった。
【0185】
6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン(式(Ia))は、pHに関係なく水に非常に溶けにくいことが分かった。式(Ia)の化合物の0.01%のHClへの溶解限度は、190mL中100mg(0.53mg/mL)であると決定された。対照的に、式(Ia)の化合物の一塩酸塩は水によく溶けることが分かった。
【0186】
実施例8:6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩の安定性研究:
6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩について、25℃(RH、60%)、-5℃及び-20℃で36か月間での短期及び長期の安定性試験と40℃(RH、75%)で6か月間の加速研究を含む、2種の異なるタイプの安定性試験をそれぞれ実施した。これらの研究の結果を、以下の表7-14に示す。分析的決定に関しては、外観、遊離塩基化学分析値平均及び純度平均、水、IR及びXRPDを含む6種の試験を含めた。外観は目視検査により決定した。生成物は白色又はオフホワイトの粉末でなければならない。水分含有量は、USP<921>電量分析法に従って決定した。6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩のIR分光法による同定は、得られたスペクトルを参照標準のスペクトルと比較する、USP<197>に従って行った。X線粉末回折(XRPD)は、参照XRPDスペクトルに対してUSP<941>に従って実施した。遊離塩基の純度と化学分析は、HPLC-UVによって行なった。2つの方法を使用した。第一の方法の移動相は水とアセトニトリルであった。第二の方法の移動相は、水(0.5mLのトリフルオロ酢酸を1000mLの水に加えた)とアセトニトリル(0.4mLのトリフルオロ酢酸を1000mLのアセトニトリルに加えた)であった。第一の方法と第二の方法にそれぞれ従うHPLC-UVによる6-(4-(tert-ブチル)フェノキシ)ピリジン-3-アミン一塩酸塩の同定及び純度と化学分析値の決定のための装置とクロマトグラフィー条件を、表5及び6に示す。
【0187】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia)
化合物の一塩酸塩を製造するための方法であって、
式(IIa)
化合物を、パラジウム触媒と、溶媒であって、極性の非プロトン性溶媒又はC3-C10アルコールである溶媒の存在下で、水素で還元して、前記式(I)の化合物を形成することを含式(Ia)の化合物を約1.5モル当量未満の塩酸と反応させて、前記式(Ia)の化合物の一塩酸塩を形成することを更に含む、方法。
【請求項2】
前記パラジウム触媒が活性炭担持パラジウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パラジウム触媒が7モル%未満の量で存在する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
溶媒が、2-プロパノール、アセトン、2-ブタノン、3-メチル-2-ブタノン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、塩化エチレン、ベンズアルデヒド、スルホラン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン及びそれらの混合物から選択される、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記溶媒が酢酸エチルである、請求項1からの何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
式(I)の化合物を活性炭と接触させることを更に含む、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記一塩酸塩を結晶化させることを更に含む、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記式(II)の化合物が、
式(IIIa)
化合物を、式(IVa)
(上式中、Clは脱離基である
の化合物と反応させることを含み;かつ
場合によっては前記式(II)の出発物質を結晶化させることを更に含む、方法によって得られる、請求項1からの何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
式(Ia)
化合物の一塩酸塩。
【請求項10】
173℃の融点を有することを特徴とする、請求項9に記載の一塩酸塩。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の一塩酸塩を含む医薬製剤。
【請求項12】
医薬として使用するための請求項9若しくは10に記載の一塩酸塩、又は請求項11に記載の医薬製剤
【請求項13】
がんの治療及び/又は予防の方法において使用するための請求項9若しくは10に記載の一塩酸塩、又は請求項11に記載の医薬製剤
【外国語明細書】