(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099554
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】敗血症および敗血症性ショックの治療
(51)【国際特許分類】
A61K 9/127 20060101AFI20240718BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240718BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20240718BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
A61K9/127
A61P31/04
A61K47/28
A61K47/24
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024061086
(22)【出願日】2024-04-04
(62)【分割の表示】P 2020558001の分割
【原出願日】2019-04-18
(31)【優先権主張番号】18168436.6
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519312670
【氏名又は名称】コンビオシン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アゼレード ダ シルヴェイラ ラジョニアス, サマレ
(72)【発明者】
【氏名】ラジョニアス, フレデリク
【テーマコード(参考)】
4C076
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076BB01
4C076BB13
4C076CC32
4C076DD63
4C076DD70
(57)【要約】 (修正有)
【課題】動物、好ましくはヒトの、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくは長期および重症低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための、敗血症性ショック、敗血症、重症敗血症、急性呼吸窮迫症候群もしくは急性肺損傷における低血圧、好ましくは該持続性低血圧の治療に使用するための、または毒素性ショック症候群の治療に使用するための組成物を提供する。
【解決手段】空のリポソームの混合物を含む組成物であって、該空のリポソームの混合物は、(a)コレステロールを含む第1の空のリポソームであって、コレステロールの量が少なくとも30%(重量あたりの重量)である、第1の空のリポソームと、(b)スフィンゴミエリンを含む第2の空のリポソームと、を含む、組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物、好ましくはヒトの敗血症の治療に使用するための、空のリポソームの混合物を含む、好ましくはそれからなる組成物であって、前記空のリポソームの混合物は、
(a)コレステロールを含む第1の空のリポソームであって、コレステロールの量が少なくとも30%(重量あたりの重量)である、第1の空のリポソームと、
(b)スフィンゴミエリンを含む第2の空のリポソームであって、好ましくは脂質成分として前記スフィンゴミエリンのみを含む、第2の空のリポソームと、を含む、好ましくはそれらからなる、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、前記動物、好ましくは前記ヒトの敗血症性ショックの治療に使用するためのものである、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
前記組成物が、敗血症を有する前記動物、好ましくは前記ヒトの低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するためのものである、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項4】
前記組成物が、敗血症性ショックを有する前記動物、好ましくは前記ヒトの低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するためのものである、請求項2に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
前記空のリポソーム(a)のコレステロールの量が、45%~55%(重量あたりの重量)であり、前記第2の空のリポソーム(b)が、スフィンゴミエリンからなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
前記第1の空のリポソーム(a)が、コレステロールおよびスフィンゴミエリンからなり、前記空のリポソーム(a)のコレステロールの量が、約50%(重量あたりの重量)であり、前記空のリポソームの混合物が、少なくとも40%、好ましくは少なくとも45%(重量あたりの重量)の、前記第1の(a)および前記第2の(b)の空のリポソームを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
前記第1の空のリポソーム(a)が、前記第1の空のリポソームと前記第2のリポソームとの1:1(重量あたりの重量-w/w)の混合物からなり、前記第1の空のリポソームが、1:1の重量比(1:1 w/w、35:65のモル比)のコレステロールとスフィンゴミエリンで構成され、前記第2の空のリポソームが、スフィンゴミエリンだけで構成され、前記第1の空のリポソーム(a)が、脂質成分として前記コレステロールおよび前記スフィンゴミエリンのみを含み、前記第2の空のリポソーム(b)は、脂質成分として前記スフィンゴミエリンのみを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項8】
前記低血圧、好ましくは前記持続性低血圧が、平均動脈圧<70mmHgに関連している、請求項3~7のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
前記低血圧、好ましくは前記持続性低血圧が、昇圧剤で少なくとも2時間前処理される、請求項8に記載の使用のための組成物。
【請求項10】
前記治療が、抗生物質療法に対して補助的である、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項11】
前記抗生物質療法が、静脈内(IV)または経口抗生物質療法である、請求項10に記載の使用のための組成物。
【請求項12】
前記動物が、ヒト患者であり、前記ヒト患者が肺炎を有し、好ましくは前記肺炎が、市中感染性肺炎(CAP)、入院感染性肺炎(Hospitalization Acquired Pneumonia)(HAP)および人工呼吸器関連肺炎(VAP)から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項13】
前記肺炎が、重症肺炎、好ましくは重症市中感染性肺炎(sCAP)または重症市中感染性肺炎球菌肺炎(sCAPP)である、請求項12に記載の使用のための組成物。
【請求項14】
前記肺炎または前記重症肺炎が、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、レジュネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophilia)、ヘモフィルス・インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumanii)、ボルデテラ・パータシス(Bordetella pertussis)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、またはマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)によって引き起こされ、好ましくは前記肺炎または前記重症肺炎が、ストレプトコッカス・ニューモニエによって引き起こされる、請求項12または13に記載の使用のための組成物。
【請求項15】
前記組成物が、静脈内投与用の溶液の形態である、請求項1~14のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項16】
前記組成物が、第1の用量および第2の用量の、少なくとも2回の用量で前記動物、好ましくは前記ヒトに投与され、前記第1の用量と前記第2の用量との間隔が6~96時間、好ましくは12~72時間、さらに好ましくは24~48時間、よりさらに好ましくは24時間または48時間である、請求項1~15のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項17】
前記敗血症、敗血症性ショック、または前記低血圧、好ましくは持続性低血圧が、入院、好ましくは病院の集中治療室(ICU)での入院を必要とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項18】
前記治療が、そのような治療が行われない場合の入院と比較して、前記入院の期間を短縮する、請求項17に記載の使用のための組成物。
【請求項19】
前記治療による前記入院期間の前記短縮が、少なくとも1日、好ましくは2日、さらに好ましくは3日、よりさらに好ましくは4日、よりさらに好ましくは5日、よりさらに好ましくは6日、よりさらに好ましくは7日、よりさらに好ましくは8日、よりさらに好ましくは9日である、請求項17または18に記載の使用のための組成物。
【請求項20】
前記敗血症、敗血症性ショック、または前記低血圧、好ましくは持続性低血圧が、そのような治療が行われない場合と比較して、より短時間で治癒する、請求項1~19のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項21】
前記より短時間での治癒が、少なくとも1日短時間、好ましくは2日短時間、またはさらに好ましくは少なくとも3日短時間、よりさらに好ましくは少なくとも4日、よりさらに好ましくは少なくとも5日、よりさらに好ましくは少なくとも6日、よりさらに好ましくは少なくとも7日短時間である、請求項20に記載の使用のための組成物。
【請求項22】
前記治療が、そのような治療が行われない場合の心血管SOFAスコアと比較して前記心血管SOFAスコアを低下させる、請求項1~21のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項23】
前記低下が、前記治療の開始の7日後、好ましくは前記治療の開始の6日後、さらに好ましくは5日後、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%、よりさらに好ましくは少なくとも80%である、請求項22に記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくは長期および重症低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための、敗血症性ショック、敗血症、重症敗血症、急性呼吸窮迫症候群もしくは急性肺損傷における低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための、または動物、好ましくはヒトの毒素性ショック症候群の治療に使用するための、空のリポソームの混合物を含む組成物に関し、該空のリポソームの混合物は、(a)コレステロールを含む第1の空のリポソームであって、コレステロールの量が少なくとも30%(重量あたりの重量)である、第1の空のリポソームと、(b)スフィンゴミエリンを含む第2の空のリポソームと、を含む。特に、本発明は、動物、好ましくはヒトの敗血症または敗血症性ショックの治療に使用するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
敗血症は、感染に対する調節不全の宿主応答によって引き起こされる潜在的に生命を脅かす臓器機能不全である。それは、臓器機能不全を引き起こす生理学的、病理学的、生化学的異常を特徴とする(Levy M et al.Intensive Care Med 2003;29:530-38、Singer M et al.JAMA.2016; 315(8):801-810)。敗血症は組織の損傷、多臓器障害、およびその後の死をもたらす可能性がある(Cohen,2002,Nature 420,885-891)。敗血症患者の約30~50%は、最大限のケアにもかかわらず、依然として死亡している。この全身性の調節不全の炎症反応の根底にあるメカニズムは複雑であり、複数の経路が関与している可能性がある。したがって、敗血症は抗菌剤だけでは効果的に治療できない。実際、抗生物質が利用可能であるにもかかわらず、敗血症を治療するための現在の治療法は効果がないことが判明している。特定の炎症性サイトカインの中和も失敗し、新しい治療の必要性が強調されている(Wenzel and Edmond,2012,N Engl J Med 366,2122-2124)。
【0003】
敗血症性ショックは敗血症を患っている患者のサブセットで発生し、死亡率の増加と関連している。敗血症性ショックの病態生理は正確には理解されていず、それは根底にある循環系を含み、細胞/代謝異常は死亡率を実質的に増加させるのに十分なほど深刻である。敗血症性ショックの患者は、適切な緊急輸液療法(volume resuscitation)にもかかわらず、平均動脈圧が65mmHg以上に維持するために昇圧剤を必要とする持続的な低血圧、不十分な臓器灌流、および2mmol/L(18mg/dL)を超える血清乳酸レベルを有する敗血症の臨床的構成により識別できる(Singer M et al.JAMA 2016;315(8):801-10)。
【0004】
敗血症および敗血症性ショックは患者に永続的な影響を及ぼす。例えば、組織の低灌流が長引くと、長期にわたる神経学的および認知後遺症を引き起こす可能性がある。
【0005】
細菌感染症に加えて、ウイルス感染症は、細菌の同時感染に対する感受性を高めることにより、患者を敗血症または敗血症性ショックを引き起し得る感染にかかりやすくする。たとえば、インフルエンザ患者はストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)の同時感染に対する感受性の増加を頻繁に示し、敗血症はインフルエンザのパンデミック中の死亡率の主な原因として報告されている。ウイルス感染が患者を細菌感染とその後の敗血症にかかりやすくする詳細なメカニズムは完全には理解されておらず、ウイルス感染を患っている患者の敗血症および敗血症性ショックを治療および予防するための治療も必要とされている。
【0006】
コレステロールおよび/またはスフィンゴミエリンで構成される空のリポソームなどのテーラード空のリポソーム、ならびに細菌感染症の治療のためのそれらの使用は、細菌毒素、酵素および毒性付属物(appendage)などの病原性因子のトラップとして機能することが最近記載されている(WO2013/186286、Henry BD et al.,Nat Biotechnol 2015;33(1):81-88、Azeredo da Silveira,S and Perez,A,Expert Rev.Anti Infect.Ther.2015;13(5):531-533)、Azeredo da Silveira,S.and Perez,A.Expert Rev Anti Infect Ther 2017;15:973-975)。これらのテーラード空のリポソームはまた、抗ウイルス活性を示し、したがって、ウイルス感染症に対する治療として、特にインフルエンザウイルスなどのエンベロープウイルスを中和する治療としても記載されている(WO2017/216282)。
【発明の概要】
【0007】
本発明の好ましい組成物は、重症肺炎に罹患している患者でのヒト初回投与試験において臨床的徴候および症状を改善する驚くべき肯定的な結果を示した。さらに、重要なことに、本発明の該好ましい組成物は、血行動態パラメーターの改善、血行動態の悪化の防止、および敗血症性ショックのより迅速な解消をもたらすことが驚くべきことに見出された。結果として、本発明の組成物は、患者の治癒および集中治療室(ICU)からのより速い退院につながる血行動態不安定のより速い正常化によって明らかにされるように、敗血症および敗血症性ショックの治療に有効であった。この有望な有効性データとその考えられる作用機序に基づいて、病原体に関係なく感染が疑われるまたは確認された、合併症または重症化の発症の兆候を示している、特に市中感染性肺炎、院内感染性肺炎(hospital-acquired pneumonia)、人工呼吸器関連肺炎、腹腔内感染症、皮膚および軟組織感染症、尿路感染症、または菌血症に罹患している患者との想定されるさらなる試験の有効性は妥当であると考えられる。さらに、この有望な有効性データおよびその考えられる作用機序に基づいて、本発明の組成物は、特定の脂質マイクロドメインを使用して宿主、したがって動物、好ましくはヒト患者を攻撃する細菌性またはウイルス性病原体によって引き起こされるまたはそれに関連している敗血症または敗血症性ショックの治療および予防に非常に有益であると特に信じられている。
【0008】
したがって、第1の態様では、本発明は、動物、好ましくはヒトの、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくは長期および重症低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための、敗血症性ショック、敗血症、重症敗血症、急性呼吸窮迫症候群もしくは急性肺損傷における低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための、または毒素性ショック症候群の治療に使用するための、空のリポソームの混合物を含む、好ましくはそれからなる組成物であって、該空のリポソームの混合物は、(a)コレステロールを含む第1の空のリポソームであって、コレステロールの量が少なくとも30%(重量あたりの重量)である、第1の空のリポソームと、(b)スフィンゴミエリンを含む第2の空のリポソームと、を含む、好ましくはそれらからなる、組成物を提供する。
【0009】
別の態様では、本発明は、動物、好ましくはヒトの、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくは長期および重症低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための、空のリポソームの混合物を含む、好ましくはそれからなる組成物であって、該空のリポソームの混合物は、(a)コレステロールを含む第1の空のリポソームであって、コレステロールの量が少なくとも30%(重量あたりの重量)である、第1の空のリポソームと、(b)スフィンゴミエリンを含む第2の空のリポソームと、を含む、好ましくはそれらからなる、組成物を提供する。
【0010】
さらなる態様では、本発明は、動物、好ましくはヒトの敗血症性ショックの治療に使用するための、空のリポソームの混合物を含む、好ましくはそれからなる組成物であって、該空のリポソームの混合物は、(a)コレステロールを含む第1の空のリポソームであって、コレステロールの量が少なくとも30%(重量あたりの重量)である第1の空のリポソームと、(b)スフィンゴミエリンを含む第2の空のリポソームと、を含む、好ましくはそれらからなる、組成物を提供する。
【0011】
この説明を続けると、本発明のさらなる態様および実施形態が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】プラセボ(菱形)、CAL02低用量(三角形)、およびCAL02高用量(四角形)グループにおける、ベースライン(投与前)から8日目までの、絶対値で表示した、研究集団全体(
図1A)と、ベースラインからのスコアの差として表示した低血圧事象のない患者(CAL02高用量群の3人の患者)を除いた研究集団全体(
図1B)とにおける心血管SOFAスコアの進展。* p<0.05
【
図1B】プラセボ(菱形)、CAL02低用量(三角形)、およびCAL02高用量(四角形)グループにおける、ベースライン(投与前)から8日目までの、絶対値で表示した、研究集団全体(
図1A)と、ベースラインからのスコアの差として表示した低血圧事象のない患者(CAL02高用量群の3人の患者)を除いた研究集団全体(
図1B)とにおける心血管SOFAスコアの進展。* p<0.05
【
図2】プラセボ(菱形)、CAL02低用量(三角形)およびCAL02高用量(四角)グループにおけるベースライン(投与前)から8日目までの、絶対値で表示した、ベースラインで既に敗血症性ショックを起こした患者の心血管SOFAスコアの進展。
【発明を実施するための形態】
【0013】
別段、定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0014】
本明細書で使用される「約」という用語は、±5%の意味を有するものとする。例えば、約50%は47.5%~52.5%を意味する。好ましくは、本明細書で使用される「約」という用語は、±3%の意味を有するものとする。例えば、約50%は48.5%~51.5%を意味する。
【0015】
「a」または「an」という用語が本明細書で使用される場合、他に示されない限り、それらは「少なくとも1つ」を意味する。特に、本発明による空のリポソームおよび空のリポソームの混合物を説明するための、単一の空のリポソーム、該第1の空のリポソームおよび該第2の空のリポソームに関連している用語「a」または「an」の使用は、典型的かつ好ましくは、複数の単一の空のリポソーム、ならびに複数の該第1の空のリポソームおよび複数の該第2の空のリポソームを含む複数の空のリポソームの混合物を指す。
【0016】
本明細書に開示される値のすべての範囲は、範囲を定義する値を含む、該範囲内に含まれるすべての値を指すべきである。明確にするために、たとえば、12~13の値は、12または13の値、または12~13の範囲にあるすべての値を指すべきである。
【0017】
本明細書で使用される「空のリポソーム」という用語は、20nm~10μm、好ましくは20~500nmの平均直径、さらに好ましくは20nm~400nm、よりさらに好ましくは、40nm~400nmまたは20nm~200nmの平均直径を有し、ならびに1つ以上のリン脂質二重層からなり、ならびに典型的かつ好ましくは単層ベシクルおよび多層ベシクル、より好ましくは小さい単層ベシクル(SUV)である、リポソーム、好ましくは人工リポソームを指す。好ましい実施形態では、本明細書で使用される「空のリポソーム」という用語は、典型的かつ好ましくは、薬物を組み込んでいないリポソームを指し、典型的かつ好ましくは、薬学的薬物を組み込んでいないリポソームを指す。本明細書で使用され、本発明の空のリポソームに言及する場合、「組み込まれる/組み込む」とは、典型的かつ好ましくは、リポソームの空洞内、リポソームの潜在的な二重層内、またはリポソームの膜層の一部としてカプセル化される/カプセル化することを意味する。別の好ましい実施形態では、本明細書で使用される「空のリポソーム」という用語は、典型的かつ好ましくは、本発明によるスフィンゴミエリンおよびコレステロールからなる、またはスフィンゴミエリンからなり、かつ水溶性無機化合物および/または水溶性有機分子のみをさらに含むリポソームを指し、典型的かつ好ましくは該水溶性無機化合物および/または水溶性有機分子は該本発明の空のリポソームの合成に由来し、および典型的かつ好ましくは該水溶性無機化合物は好ましくはNaCl、KCl、MgCl2から選択される無機塩であり、および、該水溶性有機分子は緩衝剤であり、好ましくは、該水溶性有機分子は、グルコースおよびHEPESから選択される。典型的かつ好ましくは、該水溶性無機化合物および/または水溶性有機分子は、本発明の空のリポソームの製造中のそれらの存在により、本発明では本発明の空のリポソームに組み込まれる。別の好ましい実施形態では、本明細書で使用される「空のリポソーム」という用語は、典型的かつ好ましくは、本発明によるスフィンゴミエリンおよびコレステロールからなる、またはスフィンゴミエリンからなり、該空のリポソームが抗酸化剤を含まないリポソームを指す。さらに好ましい実施形態では、本明細書で使用される「空のリポソーム」という用語は、典型的かつ好ましくは、本発明によるスフィンゴミエリンおよびコレステロールからなる、またはスフィンゴミエリンからなり、かつ水溶性無機化合物および/または水溶性有機分子のみをさらに含むリポソームを指し、典型的かつ好ましくは該水溶性無機化合物および/または水溶性有機分子が該本発明の空のリポソームの合成に由来し、および典型的かつ好ましくは該水溶性無機化合物が好ましくはNaCl、KCl、MgCl2から選択される無機塩であり、および該水溶性有機分子は緩衝剤であり、好ましくは、該水溶性有機分子は、グルコースおよびHEPESから選択され、本発明によるスフィンゴミエリンおよびコレステロールからなるか、またはスフィンゴミエリンからなる該空のリポソームは、抗酸化剤を含まない。
【0018】
敗血症または敗血症性ショック:敗血症は感染原因を有し、全身性炎症反応症候群(SIRS)の病理を示す疾患であり、それは、感染に対する調節不全の宿主応答によって引き起こされる生命にかかわる臓器機能不全として定義される(Levy M et al.Intensive Care Med 2003;29:530-38;Singer M et al.JAMA.2016;315(8):801-810)。発見された初期症状には、悪寒、発汗、発熱、血圧低下などが含まれる。全身で様々な炎症性メディエーターや血液凝固因子が増加すると、微小循環障害が発生し、これは病態の悪化につながり、敗血症性ショックには、臓器灌流異常、制御不能な低血圧、および死に至る可能性のある多臓器不全が含まれる。敗血症の臨床構成は、適切な緊急輸液療法にもかかわらず、MAPを≧65mmHgで維持するために昇圧剤を必要とする低血圧が持続しおよび血清乳酸レベル>2mmol/L(18mg/dL)を有する。したがって、本明細書で使用する「敗血症」という用語は、Singer M et al.JAMA.2016;315(8):801-810(Recommendations;Box3)で定義および推奨されている、感染に対する調節不全の宿主応答によって引き起こされる生命にかかわる臓器機能不全を指すべきである。臓器機能不全は、感染の結果として生じる総SOFA(連続的[敗血症関連]臓器不全評価(Sequential[Sepsis-related]Organ Failure Assessment))スコア≧2ポイントの急激な変化として特定できる。ベースラインSOFAスコアは、既存の臓器機能不全があることが知られていない患者ではゼロであると想定できる。SOFAスコア≧2は、感染が疑われる一般的な病院集団における約10%の全体的な死亡リスクを反映している。中程度の機能不全を示す患者でさえ、さらに悪化する可能性があり、この状態の深刻さと、まだ開始されていない場合は迅速かつ適切な介入の必要性を強調する。ICUに長期滞在するか、病院で死亡する可能性が高い感染が疑われる患者は、クイックSOFA(qSOFA)と呼ばれる新しいベッドサイト臨床スコアを構成する、以下の臨床基準のうち少なくとも2つがある場合、敗血症の典型的な転帰が不良である可能性が高いとすぐに識別できる:呼吸数22/分以上、意識障害、すなわち精神状態の変化、または100mmHg以下の収縮期血圧。本明細書で使用され、Singer M et al.JAMA.2016;315(8):801-810(Recommendations;Box3)で定義および推奨されている「敗血症性ショック」という用語は、敗血症のサブセットであり、その根底にある循環および細胞/代謝の異常は、死亡率を大幅に増加させるのに十分なほど深刻なため、敗血症性ショックは、敗血症のみの場合よりも死亡リスクが高い。敗血症性ショックの患者は、適切な緊急輸液療法にもかかわらず(かつこのため、血液量減少症がない場合)、平均動脈圧MAPを≧65mmHgで維持するために昇圧剤を必要とする低血圧が持続しおよび血清乳酸レベル>2mmol/L(18mg/dL)を有する敗血症の臨床構成で特定できる。これらの基準では、病院の死亡率は40%を超えている。
【0019】
動物:本明細書で使用する「動物」という用語は、生きている多細胞脊椎生物、例えば、哺乳動物および鳥を含むカテゴリーを指す。哺乳動物という用語は、ヒトおよび非ヒト哺乳動物の両方を含む。同様に、「対象」という用語は、ヒトおよび獣医学的対象の両方を含む。
【0020】
本明細書で使用される「治療する」、「治療」または「療法」という用語は、所望の生理学的効果を得る手段を指す。敗血症または敗血症性ショックなどの疾患または病的状態の徴候または症状を改善すること、例えば敗血症性ショックを伴う対象の発熱の低下または血圧の安定化など、またはそれら限定されないが、悪寒、発汗もしくは臓器機能の増加などの症状を改善することを含む、疾患または状態および/または疾患または状態に起因する症状を部分的または完全に治癒することに関して、効果は治療的であり得る。本明細書でその最も広い意味で使用される「治療する」という用語は、疾患の「予防」を含み、これを指すべきである。疾患の「予防する」または「予防」とは、敗血症または敗血症性ショックなどの疾患または状態を阻止すること、すなわち、例えば細菌感染症または細菌感染のリスクがある人などにおける、敗血症または敗血症性ショックなどの疾患の部分的または完全な発症を抑止すること、を指す。したがって、本明細書でその好ましい意味で使用される「治療する」という用語は、その定義のため、および本発明の好ましい態様および実施形態を特徴付けるために、疾患の「予防」を除外し、指すべきではない。次に、敗血症または敗血症性ショックのリスクがある動物、好ましくはヒトにおいて、特に敗血症または敗血症性ショックを予防する本発明の他の実施形態および態様では、次に、本発明の使用のための組成物および方法を利用して、敗血症または敗血症性ショックの発生を遅延または予防する。したがって、方法は、典型的かつ好ましくは感染によって引き起こされる敗血症または敗血症性ショックのリスクがあるヒト患者を選択すること、および本明細書に開示される組成物の1つ以上をヒト患者に投与することを含む。ヒト患者は、例えば、挿管された、すなわち侵襲的な機械式人工呼吸下にある、またはストレプトコッカス・ニューモニエまたはスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)などの特定の細菌に曝された誰かであり得る。
【0021】
敗血症になりそうな患者はSinger et al.JAMA 2016でよく説明されており:3つの臨床的変数のうち2つ-グラスゴーコーマスケールスコアが13以下、収縮期血圧が100mmHg以下、呼吸数が22/分以上-ICU外の完全なSOFAスコアと同様の予測有効性を提供する。このモデルでは、意識障害のより単純な評価(グラスゴーコーマスケールスコア<15)を含む複数の感度分析と、米国外および非米国のデータセット内の病院外、救急科、病室の設定で堅牢であることが判明した。ICU内で感染が疑われる患者の場合、SOFAスコアはこのモデルよりも優れた予測妥当性を持ち、介入(例えば、昇圧剤、鎮静剤、機械式人工呼吸)の変更効果を反映している可能性がある。
【0022】
「治療有効量」は、治療されている対象において所望の効果を達成するための組成物の量である。例えば、これは、動物、好ましくはヒト患者、例えば肺炎患者のおよび/またはストレプトコッカス・ニューモニエに感染したものの、敗血症性ショックを抑制し、発熱を軽減し、または多臓器不全を予防するのに必要な量であり得る。動物、好ましくはヒトの患者に投与する場合、有効な標的組織濃度を達成する投与量が一般に使用される。
【0023】
本明細書で使用される「治療用量」は、治療効果を有することが当業者に知られている用量を指す。
【0024】
本明細書で使用される「肺炎」という用語は、「市中感染性肺炎」(CAP)、「院内感染性肺炎」(HAP)または「人工呼吸器関連肺炎」(VAP)を包含するべきである。
【0025】
「市中感染性肺炎」または「CAP」という用語は当業者に知られており、例えばthe IDSA/ATS Guidelines for CAP in Adults(CID 2007:44(Suppl 2)S27)を参照されたい。特に、この用語は病院の外で獲得された肺炎を指する。
【0026】
「院内感染性肺炎(HAP)」という用語は、入院後少なくとも48~72時間に発症する、別の病気もしくは処置のための入院中または入院後に獲得された肺炎を指す。
【0027】
本明細書で定義されるように、「人工呼吸器関連肺炎(VAP)」は、機械式人工呼吸の48時間以上後に発症し、微生物による下部気道および肺実質への侵入を特徴とする肺炎である。VAPは深刻な病状の可能性がある。
【0028】
肺炎は、CAPに対するストレプトコッカス・ニューモニエ、ヘモフィルス・インフルエンザエ、レジュネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophilia)、スタフィロコッカス・アウレウスおよびシュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)のような細菌、シュードモナス・エルギノーサおよびセラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)のようなグラム陰性細菌、ならびにHAPに対するスタフィロコッカス・アウレウス、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、アシネトバクター(Acinetobacter)種、およびヘモフィルス・インフルエンザエを含む広範囲の微生物による感染によって引き起こされる(Cilloniz et al.,Thorax.2011 Apr;66(4):340-6およびJones RN.Clin Infect Dis 2010 Aug;51(Suppl1):S81-7を参照されたい)。
【0029】
「重症性市中感染性肺炎」または「sCAP」という用語は、当業者に知られている。特に、「重症性市中感染性肺炎」または「sCAP」という用語は、集中治療を必要とする重症性市中感染性肺炎のサブグループを指す。米国感染症協会(IDSA)および米国胸部学会(ATS)は、sCAPの定義を含むCAPの管理に関するガイドラインを発行している(Mandell et al.,2007,Infectious Diseases Society of America/American Thoracic Society Consensus Guidelines on the Management of Community-Acquired Pneumonia in Adults,Clin.Inf.Dis.2007:44:S27-72(Suppl 2),Table 4を参照されたい)。IDSA/ATSガイドラインによれば、sCAPは集中治療を必要とするCAPとして定義されている。CAP患者が2つの主要な(major)基準の1つまたは両方を示している場合、または実施例1に記載され、本研究で影響を受ける、リストにある3つの小さい(minor)基準が存在する場合は、集中治療室への入院が推奨される。
【0030】
本明細書で使用する場合、「疾患の治療に使用するための組成物」で使用する「使用するため」という用語は、対応する治療方法および対応する疾患の治療用医薬品の製造のための製剤の使用も開示するものとする。
【0031】
一態様では、本発明は、動物、好ましくはヒトの敗血症性ショックの治療に使用するための、空のリポソームの混合物を含む、好ましくはそれからなる組成物であって、該空のリポソームの混合物は、(a)コレステロールを含む第1の空のリポソームであって、コレステロールの量が少なくとも30%(重量あたりの重量)である第1の空のリポソームと、(b)スフィンゴミエリンを含む第2の空のリポソームと、を含む、好ましくはそれらからなる、組成物を提供する。
【0032】
別の態様では、本発明は、動物、好ましくはヒトの低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための、空のリポソームの混合物を含む、好ましくはそれからなる組成物であって、該空のリポソームの混合物は、(a)コレステロールを含む第1の空のリポソームであって、コレステロールの量が少なくとも30%(重量あたりの重量)である第1の空のリポソームと、(b)スフィンゴミエリンを含む第2の空のリポソームと、を含み、好ましくはそれらからなり、該低血圧、好ましくは該持続性低血圧は敗血症性ショックに関連している、組成物を提供する。
【0033】
さらなる態様では、本発明は、動物、好ましくはヒトの、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくは長期および重症低血圧症、好ましくは持続性低血圧症の治療に使用するための、敗血症性ショック、敗血症、重症敗血症、急性呼吸窮迫症候群もしくは急性肺損傷における低血圧症、好ましくは持続性低血圧症の治療に使用するための、または毒素性ショック症候群の治療に使用するための、空のリポソームの混合物を含む、好ましくはそれからなる組成物であって、該空のリポソームの混合物は、(a)コレステロールを含む第1の空のリポソームであって、コレステロールの量が少なくとも30%(重量あたりの重量)である、第1の空のリポソームと、(b)スフィンゴミエリンを含む第2の空のリポソームと、を含む、好ましくはそれらからなる、組成物を提供する。
【0034】
別の態様では、本発明は、動物、好ましくはヒトの、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくは長期および重症低血圧症、好ましくは持続性低血圧症の治療に使用するための、空のリポソームの混合物を含む、好ましくはそれからなる組成物であって、該空のリポソームの混合物は、(a)コレステロールを含む第1の空のリポソームであって、コレステロールの量が少なくとも30%(重量あたりの重量)である、第1の空のリポソームと、(b)スフィンゴミエリンを含む第2の空のリポソームと、を含む、好ましくはそれらからなる、組成物を提供する。
【0035】
さらなる態様では、本発明は、動物、好ましくはヒトの敗血症または重症敗血症性の治療に使用するための、空のリポソームの混合物を含む、好ましくはそれからなる組成物であって、該空のリポソームの混合物は、(a)コレステロールを含む第1の空のリポソームであって、コレステロールの量が少なくとも30%(重量あたりの重量)である第1の空のリポソームと、(b)スフィンゴミエリンを含む第2の空のリポソームと、を含む、好ましくはそれらからなる、組成物を提供する。
【0036】
さらなる態様では、本発明は、動物、好ましくはヒトの敗血症性ショックの治療に使用するための、空のリポソームの混合物を含む、好ましくはそれからなる組成物であって、該空のリポソームの混合物は、(a)コレステロールを含む第1の空のリポソームであって、コレステロールの量が少なくとも30%(重量あたりの重量)である第1の空のリポソームと、(b)スフィンゴミエリンを含む第2の空のリポソームと、を含む、好ましくはそれらからなる、組成物を提供する。
【0037】
さらなる態様では、本発明は、動物、好ましくはヒトの長期および重症低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための、空のリポソームの混合物を含む、好ましくはそれからなる組成物であって、該空のリポソームの混合物は、(a)コレステロールを含む第1の空のリポソームであって、コレステロールの量が少なくとも30%(重量あたりの重量)である、第1の空のリポソームと、(b)スフィンゴミエリンを含む第2の空のリポソームと、を含む、好ましくはそれらからなる、組成物を提供する。
【0038】
さらなる態様では、本発明は、動物、好ましくはヒトの敗血症性ショック、敗血症、重症敗血症、急性呼吸窮迫症候群または急性肺損傷における低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための、空のリポソームの混合物を含む、好ましくはそれからなる組成物であって、該空のリポソームの混合物は、(a)コレステロールを含む第1の空のリポソームであって、コレステロールの量が少なくとも30%(重量あたりの重量)である第1の空のリポソームと、(b)スフィンゴミエリンを含む第2の空のリポソームと、を含む、好ましくはそれらからなる、組成物を提供する。
【0039】
さらなる態様では、本発明は、動物、好ましくはヒトの敗血症性ショックにおける持続性低血圧の治療に使用するための、空のリポソームの混合物を含む、好ましくはそれからなる組成物であって、該空のリポソームの混合物は、(a)コレステロールを含む第1の空のリポソームであって、コレステロールの量が少なくとも30%(重量あたりの重量)である第1の空のリポソームと、(b)スフィンゴミエリンを含む第2の空のリポソームと、を含む、好ましくはそれらからなる、組成物を提供する。
【0040】
さらなる態様では、本発明は、動物、好ましくはヒトの敗血症性ショックにおける低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための、空のリポソームの混合物を含む、好ましくはそれからなる組成物であって、該空のリポソームの混合物は、(a)コレステロールを含む第1の空のリポソームであって、コレステロールの量が少なくとも30%(重量あたりの重量)である第1の空のリポソームと、(b)スフィンゴミエリンを含む第2の空のリポソームと、を含む、好ましくはそれらからなる、組成物を提供する。
【0041】
さらなる態様では、本発明は、ヒトの敗血症性ショックにおける持続性低血圧の治療に使用するための、空のリポソームの混合物を含む、好ましくはそれからなる組成物であって、該空のリポソームの混合物は、(a)コレステロールを含む第1の空のリポソームであって、コレステロールの量が少なくとも30%(重量あたりの重量)である第1の空のリポソームと、(b)スフィンゴミエリンを含む第2の空のリポソームと、を含む、好ましくはそれらからなる、組成物を提供する。
【0042】
さらなる態様では、本発明は、動物、好ましくはヒトの敗血症または重症敗血症性における低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための、空のリポソームの混合物を含む、好ましくはそれからなる組成物であって、該空のリポソームの混合物は、(a)コレステロールを含む第1の空のリポソームであって、コレステロールの量が少なくとも30%(重量あたりの重量)である第1の空のリポソームと、(b)スフィンゴミエリンを含む第2の空のリポソームと、を含む、好ましくはそれらからなる、組成物を提供する。
【0043】
さらなる態様において、本発明は、動物、好ましくはヒトの毒素性ショック症候群の治療に使用するための、空のリポソームの混合物を含む、好ましくはそれからなる組成物であって、該空のリポソームの混合物は、(a)コレステロールを含む第1の空のリポソームであって、コレステロールの量が少なくとも30%(重量あたりの重量)である第1の空のリポソームと、(b)スフィンゴミエリンを含む第2の空のリポソームと、を含む、好ましくはそれらからなる、組成物を提供する。
【0044】
さらなる態様および非常に好ましい実施形態では、本発明は、敗血症を有する該動物、好ましくは該ヒトの低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための該本発明の組成物を提供する。さらなる態様および非常に好ましい実施形態では、本発明は、敗血症を有する該ヒトの低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための該本発明の組成物を提供する。さらなる態様および非常に好ましい実施形態では、本発明は、敗血症を有する該ヒトの持続性低血圧の治療に使用するための該本発明の組成物を提供する。
【0045】
さらなる態様および非常に好ましい実施形態では、本発明は、敗血症性ショックを有する該動物、好ましくは該ヒトの低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための該発明の組成物を提供する。さらなる態様および非常に好ましい実施形態では、本発明は、敗血症性ショックを有する該ヒトの低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための該発明の組成物を提供する。さらなる態様および非常に好ましい実施形態では、本発明は、敗血症性ショックを有する該ヒトの持続性低血圧の治療に使用するための該発明の組成物を提供する。
【0046】
別の態様では、本発明は、治療を必要とする動物、好ましくはヒトの敗血症または敗血症性ショック、好ましくは敗血症性ショックを治療する方法であって、この方法は添付の請求項に定義される組成物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。好ましくは、該ヒト患者は肺炎球菌肺炎であるか、または肺炎球菌肺炎に起因する該敗血症または敗血症性ショック、好ましくは敗血症性ショックを有する。
【0047】
本明細書に開示されるすべての態様および実施形態について、治療的有効量の本発明の組成物が、典型的かつ好ましくは、開示される治療に使用される。
【0048】
さらに、本明細書に開示されるすべての実施形態および好ましい実施形態は、本発明のありとあらゆる態様に対する実施形態および好ましい実施形態として理解されるべきである。
【0049】
初回試験では、重症市中感染性肺炎球菌肺炎のために集中治療室(ICU)に入院した成人患者において、本発明の好ましい組成物と標準的な抗生物質療法をプラセボと標準的な抗生物質療法と比較した。本発明の好ましい組成物の2つの異なる用量、すなわち、低用量(4mg/kg-低用量)と高用量(16mg/kg-高用量)を比較した。結果は、本発明の好ましい組成物(CAL02と名付けられた)と抗生物質治療との相乗効果を示した。
【0050】
結果として、本発明の好ましい組成物は、ひいては、重症感染症に関連している広範囲の細菌から放出される毒素を、ヒト患者の抗生物質治療と相乗的に捕捉および中和する。好ましい本発明の組成物は、標的病原体の耐性プロファイルに関係なく作用し、耐性の出現を誘発しない。
【0051】
好ましい実施形態では、該第2の空のリポソーム(b)は、脂質成分として該スフィンゴミエリンのみを含む。好ましい実施形態では、該第2の空のリポソーム(b)は、スフィンゴミエリンからなる。
【0052】
好ましい実施形態では、該第1の空のリポソーム(a)のコレステロールの量は、30%~70%(重量あたりの重量)であり、好ましくは、該第1の空のリポソーム(a)のコレステロールの量は、35%~60%(重量あたりの重量)である。
【0053】
好ましい実施形態では、該空のリポソーム(a)のコレステロールの量は、45%~55%(重量あたりの重量)であり、好ましくは、該空のリポソーム(a)のコレステロールの量は、約50%(重量あたりの重量)である。
【0054】
好ましい実施形態では、該第1の空のリポソーム(a)は、コレステロールおよびスフィンゴミエリンからなり、好ましくは該空のリポソーム(a)のコレステロールの量は、45%~55%(重量あたりの重量)であり、さらに好ましくは該空のリポソーム(a)のコレステロールの量は、約50%(重量あたりの重量)である。
【0055】
好ましい実施形態では、該第1の空のリポソーム(a)は、脂質成分として該コレステロールおよび該スフィンゴミエリンのみを含む。
【0056】
好ましい実施形態では、該空のリポソーム(a)のコレステロールの量は、45%~55%(重量あたりの重量)であり、好ましくは、該空のリポソーム(a)のコレステロールの量は、約50%(重量あたりの重量)であり、および該第2の空のリポソーム(b)は、スフィンゴミエリンからなる。
【0057】
好ましい実施形態では、該第1の空のリポソーム(a)は、コレステロールおよびスフィンゴミエリンからなり、該空のリポソーム(a)のコレステロールの量は、45%~55%(重量あたりの重量)であり、好ましくは該空のリポソーム(a)のコレステロールの量は、約50%(重量/重量)であり、該第2の空のリポソーム(b)は、スフィンゴミエリンからなる。
【0058】
好ましい実施形態では、該第1の空のリポソーム(a)は、コレステロールおよびスフィンゴミエリンからなり、該空のリポソーム(a)のコレステロールの量は、45%~55%(重量あたりの重量)であり、好ましくは空のリポソーム(a)のコレステロールの量は、約50%(重量あたりの重量)であり、第1の空のリポソーム(a)は、脂質成分としてコレステロールおよびスフィンゴミエリンのみを含み、第2の空のリポソーム(b)は、スフィンゴミエリンからなる。
【0059】
好ましい実施形態では、空のリポソームの該混合物は、少なくとも20%(重量あたりの重量)の、該第1(a)および該第2(b)の空のリポソームを含み、好ましくは、空のリポソームの該混合物は、少なくとも30%(重量あたりの重量)の、該第1(a)および該第2(b)の空のリポソームを含む。
【0060】
好ましい実施形態では、空のリポソームの該混合物は、少なくとも40%(重量あたりの重量)の、該第1(a)および該第2(b)の空リポソームを含む。
【0061】
好ましい実施形態では、該第1の空のリポソーム(a)は、コレステロールおよびスフィンゴミエリンからなり、さらに好ましくは、該空のリポソーム(a)のコレステロールの量は、約50%(重量あたりの重量)であり、該空のリポソームの混合物は、少なくとも40%の、好ましくは少なくとも45%(重量あたりの重量)の、該第1(a)および該第2の(b)空のリポソームを含む。
【0062】
好ましい実施形態では、該第1の空のリポソーム(a)は、該第1の空のリポソームと該第2のリポソームの1:1(重量あたりの重量-w/w)の混合物からなり、該第1の空のリポソームは、1:1の重量比(1:1w/w、35:65のモル比)のコレステロールとスフィンゴミエリンから構成され、および第2の空のリポソームはスフィンゴミエリンだけで構成されている。
【0063】
好ましい実施形態では、該第1の空のリポソーム(a)は、該第1の空のリポソームと該第2のリポソームの1:1(重量あたりの重量-w/w)の混合物からなり、該第1の空のリポソームは、1:1の重量比(1:1w/w、35:65のモル比)のコレステロールとスフィンゴミエリンから構成され、および該第2の空のリポソームは、スフィンゴミエリンだけで構成され、該第1の空のリポソーム(a)は脂質成分として該コレステロールと該スフィンゴミエリンのみを含み、および該第2の空のリポソーム(b)は、脂質成分として該スフィンゴミエリンのみを含む。
【0064】
好ましい実施形態では、該第1の空のリポソームの平均直径は約130nmであり、該第2の空のリポソームの平均直径は約90nmである。
【0065】
好ましい実施形態では、該組成物は、敗血症性ショック、敗血症、重症敗血症、急性呼吸窮迫症候群または急性肺損傷における低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための、好ましくは敗血症性ショックにおける低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するためのものであり、該低血圧、好ましくは該持続性低血圧は、収縮期血圧<90mmHgまたは平均動脈圧<70mmHgに関連している。
【0066】
好ましい実施形態では、該組成物は、敗血症性ショック、敗血症、重症敗血症、急性呼吸窮迫症候群または急性肺損傷における低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための、好ましくは敗血症性ショックにおける低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するためのものであり、該低血圧、好ましくは該持続性低血圧は、収縮期血圧<90mmHgに関連している。
【0067】
好ましい実施形態では、該組成物は、敗血症性ショック、敗血症、重症敗血症、急性呼吸窮迫症候群または急性肺損傷における低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための、好ましくは敗血症性ショックにおける低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するためのものであり、該低血圧、好ましくは持続性低血圧は、平均動脈圧<70mmHgに関連している。
【0068】
好ましい実施形態では、該組成物は、敗血症性ショック、敗血症、重症敗血症、急性呼吸窮迫症候群または急性肺損傷における低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための、好ましくは敗血症性ショックにおける低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するためのものであり、該低血圧、好ましくは持続性低血圧は、収縮期血圧<90mmHgまたは平均動脈圧<70mmHgに関連しており、該低血圧、好ましくは持続性低血圧は、昇圧剤で少なくとも2時間前処置される。
【0069】
好ましい実施形態では、該組成物は、敗血症性ショック、敗血症、重症敗血症、急性呼吸窮迫症候群または急性肺損傷における低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための、好ましくは敗血症性ショックにおける低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するためのものであり、該低血圧、好ましくは該持続性低血圧は、収縮期血圧<90mmHgまたは平均動脈圧<70mmHgに関連しており、該低血圧、好ましくは持続性低血圧は、輸液蘇生後昇圧剤で少なくとも2時間前処置される。
【0070】
好ましい実施形態では、該組成物は、敗血症性ショック、敗血症、重症敗血症、急性呼吸窮迫症候群または急性肺損傷における低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための、好ましくは敗血症性ショックにおける低血圧、好ましくは該持続性低血圧の治療に使用するためのものであり、該低血圧、好ましくは該持続性低血圧は、収縮期血圧<90mmHgまたは平均動脈圧<70mmHgに関連しており、該低血圧、好ましくは持続性低血圧は、治療用量での少なくとも1種類の、好ましくは1種類の昇圧剤で少なくとも2時間前処置される。
【0071】
好ましい実施形態では、該組成物は、敗血症性ショック、敗血症、重症敗血症、急性呼吸窮迫症候群または急性肺損傷における低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための、好ましくは敗血症性ショックにおける低血圧、好ましくは該持続性低血圧の治療に使用するためのものであり、該低血圧、好ましくは該持続性低血圧は、収縮期血圧<90mmHgまたは平均動脈圧<70mmHgに関連しており、該低血圧、好ましくは該持続性低血圧は、治療用量での少なくとも1種類の、好ましくは1種類の昇圧剤で少なくとも2時間前処置され、該昇圧剤は、ドーパミン、エピネフリン、ノルエピネフリン、フェニレフリンまたはバソプレッシンから選択される。
【0072】
好ましい実施形態では、該組成物は、敗血症性ショック、敗血症、重症敗血症、急性呼吸窮迫症候群または急性肺損傷における低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するための、好ましくは敗血症性ショックにおける低血圧、好ましくは該持続性低血圧の治療に使用するためのものであり、該低血圧、好ましくは該持続性低血圧は、収縮期血圧<90mmHgまたは平均動脈圧<70mmHgに関連しており、該低血圧、好ましくは該持続性低血圧は、治療用量での少なくとも1種類の、好ましくは1種類の昇圧剤で少なくとも2時間前処置され、該昇圧剤の該治療用量は、ドーパミンの>5mg/kg/分または該昇圧剤のこれに対応する用量または、好ましくはエピネフリン、ノルエピネフリン、フェニレフリンもしくはバソプレッシンのこれに対応する用量である。
【0073】
好ましい実施形態では、該組成物は、敗血症性ショックの治療および予防に使用するためのものである。好ましい実施形態では、該組成物は、低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するためのものである。好ましい実施形態では、該低血圧、好ましくは持続性低血圧は、敗血症性ショックに関連している。好ましい実施形態では、該組成物は、持続性低血圧の治療に使用するためのものである。好ましい実施形態では、該持続性低血圧は敗血症性ショックに関連している。
【0074】
好ましい実施形態では、該低血圧、好ましくは持続性低血圧は、収縮期血圧<90mmHg(または平均動脈圧<70mmHg)に関連している。好ましい実施形態では、適切な輸液蘇生後少なくとも2時間の治療用量(すなわち、ドーパミン>5mg/kg/分またはエピネフリン、ノルエピネフリン、フェニレフリンもしくはバソプレッシンの任意の用量)での治療にもかかわらず、該低血圧、好ましくは該持続性低血圧が、収縮期血圧<90mmHg(または平均動脈圧<70mmHg)に関連している。
【0075】
好ましい実施形態では、該治療は、抗生物質療法、好ましくは標準的な抗生物質療法に対して補助的である。好ましい実施形態では、該抗生物質療法、好ましくは該標準抗生物質療法の該抗生物質は、セフトリアキソン、スピラマイシン、アモキシシリン、アモキシシリン/クラブラン酸合剤、ゲンタマイシン、ピペラシリン/タゾバクタム合剤、セフロキシム、ペニシリン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ドキシサイクリン、セフォタキシム、アンピシリン、エルタペネム、セフェピム、イミペネム、メロペネム、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、バンコマイシン、リネゾリド、モキシフロキサシンおよびゲミフロキサシンから選択され、好ましくは該抗生物質療法の該抗生物質、好ましくは該標準抗生物質療法の抗生物質は、セフトリアキソン、スピラマイシン、アモキシシリン、ゲンタマイシン、レボフロキサシン、ピペラシリン/タゾバクタム合剤、アモキシシリン/クラブラン酸合剤、セフロキシム、およびペニシリンから選択される。好ましい実施形態では、該抗生物質療法、好ましくは標準抗生物質療法は、静脈内(IV)または経口抗生物質療法、好ましくは標準抗生物質療法である。
【0076】
好ましい実施形態では、該ヒト患者は肺炎を有し、好ましくは、該肺炎は、市中感染性肺炎(CAP)、入院感染性肺炎(Hospitalization Acquired Pneumonia)(HAP)および人工呼吸器関連肺炎(VAP)から選択される。好ましい実施形態では、該ヒト患者は肺炎を有し、該肺炎は、市中感染性肺炎(CAP)である。好ましい実施形態では、該ヒト患者は肺炎を有し、該肺炎は入院感染性肺炎(HAP)である。好ましい実施形態では、該ヒト患者は肺炎を有し、該肺炎は人工呼吸器関連肺炎(VAP)である。好ましい実施形態では、該ヒト患者は肺炎を有し、該肺炎は重症肺炎、好ましくは重症市中感染性肺炎(sCAP)または重症市中感染性肺炎球菌肺炎(sCAPP)である。好ましい実施形態では、該ヒト患者は肺炎を有し、該肺炎は、市中感染性肺炎CAP)または市中感染性肺炎球菌肺炎(CAPP)である。
【0077】
好ましい実施形態では、該ヒト患者は肺炎を有し、該肺炎は、ストレプトコッカス・ニューモニエ、スタフィロコッカス・アウレウス、シュードモナス・エルギノーサ、エンテロコッカス・フェシウム、レジュネラ・ニューモフィラ、ヘモフィルス・インフルエンザエ、クレブシエラ・ニューモニエ、エシェリキア・コリ、アシネトバクター・バウマンニ、ボルデテラ・パータシス、セラチア・マルセセンス、ステノトロフォモナス・マルトフィリア、モラクセラ・カタラーリス、またはマイコバクテリウム・ツベルクローシスによって引き起こされる。好ましい実施形態では、該ヒト患者は肺炎を有し、該肺炎は、ストレプトコッカス・ニューモニエ、スタフィロコッカス・アウレウス、シュードモナス・エルギノーサ、エンテロコッカス・フェシウム、レジュネラ・ニューモフィラ、ヘモフィルス・インフルエンザエ、クレブシエラ・ニューモニエ、エシェリキア・コリ、アシネトバクター・バウマンニ、ボルデテラ・パータシス、セラチア・マルセセンス、ステノトロフォモナス・マルトフィリア、モラクセラ・カタラーリス、またはマイコバクテリウム・ツベルクローシスによって引き起こされる重症肺炎であり、および好ましくは、該肺炎、好ましくは該重症肺炎は、ストレプトコッカス・ニューモニエ、スタフィロコッカス・アウレウス、シュードモナス・エルギノーサ、エンテロコッカス・フェシウム、ヘモフィルス・インフルエンザエ、クレブシエラ・ニューモニエ、エシェリキア・コリ、アシネトバクター・バウマンニ、ボルデテラ・パータシス、モラクセラ・カタラーリス、またはマイコバクテリウム・ツベルクローシスによって引き起こされ、およびさらに好ましくは、該肺炎、好ましくは該重症肺炎は、ストレプトコッカス・ニューモニエ、スタフィロコッカス・アウレウス、クレブシエラ・ニューモニエまたはシュードモナス・エルギノーサによって引き起こされ、およびよりさらに好ましくは、該肺炎、好ましくは該重症肺炎は、ストレプトコッカス・ニューモニエによって引き起こされる。
【0078】
好ましい実施形態では、該組成物は、静脈内投与、好ましくは静脈内注入用の溶液の形態であり、溶液1リットルあたり10~40グラムの該空のリポソームの混合物、好ましくは溶液1リットルあたり10~20グラムの該空のリポソームの混合物を含む。
【0079】
好ましい実施形態では、該静脈内投与の注入時間は最大3時間であり、好ましくは、該静脈内投与の注入時間は10分~2時間である。
【0080】
好ましい実施形態では、該組成物は、少なくとも2回の用量で投与される。好ましい実施形態では、該組成物は、第1の用量および第2の用量の、少なくとも2回の用量で投与され、該第1の用量と該第2の用量との間隔は、6~96時間、好ましくは12~72時間、さらに好ましくは24~48時間、よりさらに好ましくは24時間または48時間である。
【0081】
好ましい実施形態では、該組成物は、2~4回の用量で、好ましくは2回の用量で12~72時間にわたって、さらに好ましくは2回の用量で24~48時間にわたって、好ましくは24または48時間の間隔で投与される。
【0082】
好ましい実施形態では、該組成物は、第1の用量および第2の用量の少なくとも2回の用量で該ヒト患者に投与され、該第1用量と該第2用量との間隔は、20~28時間、好ましくは24時間である。
【0083】
好ましい実施形態では、該組成物は、第1の用量および第2の用量の、少なくとも2回の用量で該ヒト患者に投与され、該第1の用量の該投与と該第2の用量の該投与間に20~28時間、好ましくは24時間の間隔がある。
【0084】
好ましい実施形態では、該用量のそれぞれは、1mg/kg~64mg/kg、好ましくは2mg/kg~32mg/kg、さらに好ましくは3~25mg/kg、よりさらに好ましくは4mg/kg~16mg/mgである。
【0085】
好ましい実施形態では、該用量のそれぞれは、2mg/kg~8mg/kg、好ましくは2mg/kg~6mg/kg、さらに好ましくは3~5mg/kg、よりさらに好ましくは4mg/kgである。
【0086】
好ましい実施形態では、該用量のそれぞれは、10mg/kg~22/kg、好ましくは12mg/kg~20/kg、さらに好ましくは14mg/kg~18/kg、よりさらに好ましくは16mg/kgである。
【0087】
好ましい実施形態では、該組成物は、静脈内投与用の溶液の形態で投与される。
【0088】
好ましい実施形態では、該組成物は、好ましくは第1の用量および第2の用量の、少なくとも2回の用量で該ヒト患者に投与され、該第1の用量の該投与と該第2の用量の該投与間に20~48時間、好ましくは24時間の間隔があり、および該組成物は、静脈内投与用の溶液の形態である。
【0089】
好ましい実施形態では、該組成物は、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくは長期および重症低血圧好ましくは持続性低血圧の治療に使用するためのものであり、好ましくは該組成物は、動物、好ましくはヒトの敗血症性ショックの治療に使用するためのものであり、該敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくは長期および重症低血圧好ましくは持続性低血圧、好ましくは敗血症性ショックは入院を必要とする。
【0090】
好ましい実施形態では、該組成物は、動物、好ましくはヒトの敗血症、敗血症性ショック、または低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するためのものである。
【0091】
好ましい実施形態では、該組成物は、ヒトの敗血症、敗血症性ショック、または低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するためのものである。非常に好ましい実施形態では、該組成物は、ヒトの敗血症の治療に使用するためのものである。非常に好ましい実施形態では、該組成物は、ヒトの敗血症性ショックの治療に使用するためのものである。非常に好ましい実施形態では、該組成物は、ヒトの低血圧、好ましくは持続性低血圧の治療に使用するためのものである。好ましい実施形態では、該敗血症、敗血症性ショック、または該低血圧、好ましくは持続性低血圧は、該ヒトの入院、好ましくは病院の集中治療室(ICU)での入院を必要とする。
【0092】
好ましい実施形態では、該組成物は、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくは長期および重症低血圧好ましくは持続性低血圧の治療に使用するためのものであり、好ましくは該組成物は、動物、好ましくはヒトの敗血症性ショックの治療に使用するためのものであり、該敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくは長期および重症低血圧好ましくは持続性低血圧、好ましくは敗血症性ショックは、集中治療室(ICU)での入院、好ましくは病院の集中治療室(ICU)での入院を必要とする。
【0093】
好ましい実施形態では、該組成物は、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくは長期および重症低血圧好ましくは持続性低血圧の治療に使用するためのものであり、好ましくは該組成物は、動物、好ましくはヒトの敗血症性ショックの治療に使用するためのものであり、該敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくは長期および重症低血圧好ましくは持続性低血圧、好ましくは敗血症性ショックは入院を必要とし、該治療が、そのような治療が行われない場合の入院と比較して、該入院の期間を短縮する。
【0094】
好ましい実施形態では、該治療による入院期間の短縮は、少なくとも1日、好ましくは2日、さらに好ましくは3日、よりさらに好ましくは4日、よりさらに好ましくは5日、よりさらに好ましくは6日、よりさらに好ましくは7日、よりさらに好ましくは8日、よりさらに好ましくは9日である。好ましい実施形態では、入院期間は最大で18日である。
【0095】
好ましい実施形態では、該組成物は、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくは長期および重症低血圧好ましくは持続性低血圧の治療に使用するためのものであり、好ましくは該組成物は、動物、好ましくはヒトの敗血症性ショックの治療に使用するためのものであり、該敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくは長期および重症低血圧好ましくは持続性低血圧、好ましくは敗血症性ショックは、集中治療室(ICU)での、好ましくは病院の集中治療室(ICU)での入院を必要とし、該治療が、そのような治療が行われない場合の集中治療室(ICU)での入院と比較して、集中治療室(ICU)での入院期間を短縮する。
【0096】
好ましい実施形態では、集中治療室(ICU)での入院期間の短縮は、少なくとも1日、好ましくは2日、さらに好ましくは3日、よりさらに好ましくは4日、よりさらに好ましくは5日、よりさらに好ましくは6日、よりさらに好ましくは7日である。好ましい実施形態では、集中治療室(ICU)での入院期間は最大で18日である。
【0097】
好ましい実施形態では、該組成物は、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくは長期および重症低血圧好ましくは持続性低血圧の治療に使用するためのものであり、好ましくは該組成物は、動物、好ましくはヒトの敗血症性ショックの治療に使用するためのものであり、該敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくは長期および重症低血圧好ましくは持続性低血圧、好ましくは敗血症性ショックは、そのような治療が行われない場合と比較して、より短時間で治癒する。
【0098】
好ましい実施形態では、該より短時間での治癒が、少なくとも1日短時間、好ましくは2日短時間、またはさらに好ましくは少なくとも3日短時間、よりさらに好ましくは少なくとも4日、よりさらに好ましくは少なくとも5日、よりさらに好ましくは少なくとも6日、よりさらに好ましくは少なくとも7日短時間である。
【0099】
好ましい実施形態では、該組成物は、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくは長期および重症低血圧好ましくは持続性低血圧の治療に使用するためのものであり、好ましくは該組成物は、動物、好ましくはヒトの敗血症性ショックの治療に使用するためのものであり、該治療は、そのような治療が行われない場合の心臓血管SOFAと比較して該心臓血管SOFAスコアを低下させる。
【0100】
好ましい実施形態では、該組成物は、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、もしくは長期および重症低血圧好ましくは持続性低血圧の治療に使用するためのものであり、好ましくは該組成物は、動物、好ましくはヒトの敗血症性ショックの治療に使用するためのものであり、該治療は、そのような治療が行われない場合の心臓血管SOFAと比較して該心臓血管SOFAスコアを低下させ、該低下が、該治療の開始の7日後、該治療の開始の6日後、さらに好ましくは5日後、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%、よりさらに好ましくは少なくとも80%である。
【実施例0101】
リポソーム:
卵黄からのスフィンゴミエリン(CAS No.85187-10-6)は、Sigma(S0756)、Avanti Polar Lipids(860061)またはLipoid GmbHから購入した。羊毛グリースからのコレステロール(CAS No.57-88-5)は、Sigma(C-8667)、Avanti Polar Lipids(70000)、またはDishman Netherlands BVから購入した。本発明によれば、空のリポソームの本発明の混合物に含まれるかまたはそれらからなるスフィンゴミエリンおよびコレステロールは、上記の天然源から、あるいは化学合成によって得ることができる。
【0102】
リポソームの準備:
単層スフィンゴミエリン:コレステロール(35:65モル比)およびスフィンゴミエリンのみ(100%)のリポソームを、超音波処理または顕微溶液化(例えば、高圧均質化または水和、押出、およびダイアフィルトレーションプロセスプロトコルに従う、を使用して調製した。
【0103】
超音波処理:
脂質を1mg/mlの濃度でクロロホルムに個別に溶解し、-20℃で保存した。リポソームの調製のために、個々の脂質のクロロホルム溶液を必要に応じた割合で混合して、50~500μlの最終的な溶液をルーチン的に生成した。クロロホルムを60℃で20~50分間完全に蒸発させた。2.5mMのCaCl2を含む、50μlまたは100μlのタイロード緩衝液(140mMのNaCl、5mMのKCl、1mMのMgCl2、10mMのグルコース、10mMのHEPES、pH=7.4)を乾燥させた脂質膜を含有するチューブに添加し、そして激しくボルテックスした。脂質懸濁液をエッペンドルフサーモミキサー内で45℃で20~30分間激しく振とうしながらインキュベートした。リポソームを製造するために、最終的な脂質懸濁液を、Bandelin Sonopulsソニケーターで70%の出力で、6°Cで3x5秒超音波処理した。リポソーム調製物は、実験に使用する前に、6℃で少なくとも1時間放置した。
【0104】
水和、押出、およびダイアフィルトレーションプロセスプロトコル:
別の方法では、各リポソーム製剤はエタノール水和および押出法により作製された。脂質をエタノールとt-ブタノールに個別に溶解し、高温(約55°C)で混合した。次に、脂質溶液をPBS緩衝液(塩化ナトリウム、リン酸一ナトリウム、二水和物およびリン酸二ナトリウム、二水和物、混合中に注射用水に溶解し、必要に応じて、塩酸(HCl)または水酸化ナトリウム(NaOH)のいずれかでpH7.0~7.4に調整し、0.2μmのフィルターでろ過した)に添加し、高温(約65°C)で約30分間混合する。次いで、動的光散乱によって測定される所望の粒子サイズが達成されるまで、その後のプロセス流体を高圧および高温(約65°C)で一連のポリカーボネートトラックエッチドメンブレンを通して繰り返し押し出した(押出機の例:LIPEX(登録商標)押出機)。続いて、その後のプロセス流体を、分子量100,000のカットオフ中空ファイバーカートリッジを使用して約2倍に濃縮し、次いでPBSバッファー溶液の約10容量の交換に対してダイアフィルトレーションして、エタノールとt-ブタノールを除去した。ダイアフィルトレーションの最後に、プロセス流体を約30%濃縮して、その後に希釈して目標脂質濃度にした。希釈前に、滅菌ろ過中にフィルターを詰まらせる可能性のあるいずれかの大きなリポソームを除去するために、プロセス流体を0.2μm滅菌グレードのフィルターでろ過した。次に、PBS緩衝液を使用して、プロセス流体を40mg/mLの総脂質という目標に希釈した。最終的な製剤を、直列に2つの0.2μm滅菌グレードフィルターを通して無菌的にろ過し、ガラス管バイアルに無菌的に充填した。
【0105】
リポソーム中の個々の脂質の濃度は、常に重量あたりの重量比として与えられる。スフィンゴミエリンとコレステロールを含有するリポソームでは、1:1(重量あたりの重量)比は50%(重量あたりの重量)または35:65モル比に対応する。仕様を表1に示す。
【0106】
CURB-65スコア:
CURB基準とも呼ばれる、CURB-65は市中感染性肺炎の死亡率を予測するために検証されている当業者によく知られた臨床予測ルールである(Lim WS,et al.(2003)Thorax 58(5):377-82)。CURB-65は、肺炎の重症度の評価のために英国胸部疾患学会によって推奨されている(British Thoracic Society Standards of Care Committee (2001).“BTS Guidelines for the Management of Community Acquired Pneumonia in Adults”.Thorax.56.Suppl 4:IV1-64)。
【0107】
スコアは、測定された各リスクファクターの頭字語である。各リスクファクターのスコアは1で、最大スコアは5である。
-初発の混乱(AMTSが8以下として定義)
-7mmol/l(19mg/dL)を超える血中尿素窒素
-毎分30回以上の呼吸数
-90mmHg未満の収縮期血圧または拡張期血圧60mmHg以下
-65歳以上。
【0108】
APACHE II:
APACHE IIは、急性生理学および慢性健康評価(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation)の頭字語であり、表2(Knaus WA et al.APACHE II:a severity of disease classification system.Crit Care Med.1985 Oct;13(10):818-29)に従って計算される:
【0109】
APACHE IIスコアは、得られた総スコアに基づいて、患者または患者群の死亡率の概算を提供することを目的としている。スコアの死亡率の解釈を表3に示す。
【0110】
SOFA:
SOFAスコアは連続的臓器不全評価(Sequential Organ Failure Assessment)の頭字語であり、表4に従って計算される(S.Vosylius,J.Sipylaite and J.Ivaskevicius,Croat Med J,45 (2004),715-20)。
【0111】
心血管低血圧:
心血管低血圧は敗血症性ショックの主な特徴である。低心拍出量または低い全身性血管抵抗が原因である可能性がある。その重症度は、表5に示すように、平均動脈圧または昇圧剤を投与する必要性によって定義される心血管SOFA(Sequential Organ Failure Assessment)スコアを使用して評価できる(S.Vosylius,J.Sipylaite and J.Ivaskevicius,Croat Med J,45(2004),715-20)。
【0112】
実施例1
重度に感染した患者の敗血症および敗血症性ショックの治療
その後報告された研究では、ストレプトコッカス・ニューモニエによる重症市中感染性肺炎(CAP)のために集中治療室(ICU)に入院した患者に、標準的な抗生物質療法に加えて補助的治療として、CAL02と名付けられた本発明の空のリポソームの非常に好ましい混合物を静脈内投与(IV)する。該非常に好ましい本発明の空のリポソームの混合物(CAL02)は、該第1の空のリポソームと該第2のリポソームの1:1(重量あたりの重量-w/w)の混合物からなり、該第1の空のリポソームは、1:1の重量比(1:1 w/w、35:65のモル比)のスフィンゴミエリンとコレステロールから構成され、第2の空のリポソームはスフィンゴミエリンだけで構成されている。
【0113】
標準治療の抗生物質療法(Mandell et al,CID 2007:44(Suppl 2),S27-S72)に加えて、各患者はCAL02またはプラセボ(生理的0.9%NaCl溶液)の2回の注入を受けた(これらの投与間隔は24時間または48時間間隔で)。最初の投与は、重症度の診断の直後に行われた。重症度の診断は、以下の重症度基準の少なくとも1つに:
i.侵襲的な機械式人工呼吸サポート
ii.適切な輸液蘇生後、収縮期血圧>90mmHg(または平均動脈圧>70mmHg)を維持または維持しようするため少なくとも2時間、治療用量(すなわち、ドーパミン>5mg/kg/分またはエピネフリン、ノルエピネフリン、フェニレフリンまたはバソプレッシンの任意の用量)で昇圧剤による治療
または、次の小さい重症度基準のうち少なくとも3つに基づいていた:
i.呼吸数≧30呼吸/分
ii.PaO2/FiO2比≦250mmHg
iii.多葉性浸潤
iv.混乱/見当識障害(鎮静剤または他の新しい向精神薬の使用前に文書化する必要がある)
v.尿素>7mM(>40mg/dL)
vi.白血球減少症(白血球数<4’000細胞/mm3)
vii.血小板減少症(血小板数<100’000細胞/mm3)
viii.低体温症(深部温度<36°C)
ix.収縮期血圧<90mmHgまたは平均動脈圧<70mmHgで、少なくとも2時間にわたり≧40mL/kgの輸液蘇生を受けた
【0114】
CAL02の2つの用量レベル(4mg/kg(低用量)および16mg/kg(高用量))が試験された。5人の患者がプラセボ群、11人がCAL02高用量群、3人がCAL02低用量群に無作為に割り付けられた。
治療時、患者の56%は既に敗血症性ショックにあった:プラセボ群の2人の患者、CAL02高用量群の5人、およびCAL02低用量群の3人の患者すべて。
【0115】
【0116】
研究集団全体を考慮した場合とベースラインで敗血症性ショックを示す患者のみを評価した場合の両方で、プラセボ群と比較してCAL02群で心血管SOFAスコアのより速い低下が観察された:SOFAスコアの100%低下はCAL02群ではすでに6日間で達成されたが、プラセボ群の低下は同じ時点で40%に達しなかった(
図1および2)。
【0117】
敗血症性ショックを示す患者の中で、プラセボグループの患者なし(0/2、0%)と比較して、CAL02高用量群の全患者(5/5、100%)およびCAL02低用量群の患者の66%(2/3)は、治療後8日目に低血圧と敗血症性ショックを完全に解消した。
【0118】
ベースラインで敗血症性ショックではなかったプラセボ群の3人の患者のうち、1人はベースラインで血圧低下であり、4日目に敗血症性ショックを発症し、2人はベースラインでは低血圧でなかったが、最初の8日以内に低血圧を発症した。対照的に、CAL02群では、3人の患者はベースラインで低血圧ではなく、低血圧を発症せず、他のすべての患者は6日目までに解消まで改善した。これは、CAL02が低血圧および血行力学的不安定性を予防し、敗血症性ショックの発生から保護したことを示唆している。
【0119】
敗血症性ショックの解消には、平均ICU滞在の大幅な短縮が伴い、プラセボ群の患者の32日間から、それぞれCAL02高用量群およびCAL02低用量群の患者で5.4日および15日に短縮した。さらに、プラセボ群(50%)と比較して、CAL02群では死亡率が低かった(CAL02高用量群およびCAL02低用量群でそれぞれ20%および33%の死亡率)(表7)。
【表7】
【0120】
CAL02治療の影響はまたバイタルサイン(心拍数、収縮期および拡張期血圧、深部体温を含む)および乳酸レベルについても評価された。