(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099616
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】ゲノム再編成検出のための配列決定方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6844 20180101AFI20240718BHJP
C12Q 1/6855 20180101ALI20240718BHJP
C12Q 1/6806 20180101ALI20240718BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20240718BHJP
【FI】
C12Q1/6844 Z
C12Q1/6855 Z
C12Q1/6806 Z
C12Q1/6869 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024065674
(22)【出願日】2024-04-15
(62)【分割の表示】P 2019572106の分割
【原出願日】2018-07-10
(31)【優先権主張番号】15/648,240
(32)【優先日】2017-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】399117121
【氏名又は名称】アジレント・テクノロジーズ・インク
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(72)【発明者】
【氏名】コリオーニ,マルゲリータ
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,ダグラス・エヌ
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA17
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR62
4B063QS24
4B063QX02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シングルエンドシーケンシングを使用したゲノム再編成の改善された検出方法を提供する。
【解決手段】標的特異的バーコードを結合することによる、配列決定のためのポリヌクレオチドを調製する方法であって、第1の増幅プライマーおよび第2の増幅プライマーでポリヌクレオチドを増幅するステップであって、第1の増幅プライマーはポリヌクレオチドの第1のプライミング部位にハイブリダイズし、および第1の増幅プライマーは標的特異的バーコードを含み、増幅はポリヌクレオチドアンプリコンを生成し、ポリヌクレオチドアンプリコンは、目的のポリヌクレオチドおよび標的特異的バーコードと同一または相補的な配列を含む、ステップを含む方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的特異的バーコードを結合することによる、配列決定のためのポリヌクレオチドを調
製する方法であって、
第1の増幅プライマーおよび第2の増幅プライマーでポリヌクレオチドを増幅するステ
ップであって、前記第1の増幅プライマーは前記ポリヌクレオチドの第1のプライミング
部位にハイブリダイズし、および前記第1の増幅プライマーは標的特異的バーコードを含
み、前記増幅はポリヌクレオチドアンプリコンを生成し、前記ポリヌクレオチドアンプリ
コンは、目的の前記ポリヌクレオチドおよび前記標的特異的バーコードと同一または相補
的な配列を含む、ステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記第2の増幅プライマーは、(1)前記第1のプライミング部位から距離を置いて、
前記ポリヌクレオチドに結合したアダプターの一部に、または(2)前記ポリヌクレオチ
ドの第2のプライミング部位にハイブリダイズし、前記第2のプライミング部位は前記第
1のプライミング部位から距離を置いている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のプライミング部位から距離を置いて、前記ポリヌクレオチドにアダプターを
結合させるステップをさらに含み、前記アダプターは第2のプライミング部位を含む、請
求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のプライミング部位は融合遺伝子の一部であり、前記標的特異的バーコードは
前記融合遺伝子の一部に特異的である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記融合遺伝子の一部は、前記融合遺伝子の接合部である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記目的のポリヌクレオチドは、複数の目的のポリヌクレオチドを含み、前記方法は、
複数のアダプターを前記複数のポリヌクレオチドに結合させるステップ、それによって複
数のアダプター付加ポリヌクレオチドのそれぞれが異なる分子バーコードを含む複数のア
ダプター付加ポリヌクレオチドを形成するステップを含む、請求項1から5のいずれか1
項に記載の方法。
【請求項7】
前記目的のポリヌクレオチドは、複数の目的のポリヌクレオチドを含み、前記第1の増
幅プライマーは、異なる標的特異的プライマーおよび異なる標的特異的バーコードを有す
る複数の第1の増幅プライマーを含み、それによって複数のアダプター付加ポリヌクレオ
チドアンプリコンのそれぞれが異なる標的特異的バーコードを含む複数のアダプター付加
ポリヌクレオチドアンプリコンを形成する、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法
。
【請求項8】
前記ポリヌクレオチドアンプリコンまたはアダプター付加ポリヌクレオチドはビオチン
部分のような結合パートナーを含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
第1のプライマー伸長および第2のプライマー伸長を行うステップにより、第1および
第2の位置で前記ポリヌクレオチドアンプリコンを配列決定するステップをさらに含み、
前記第1のプライマー伸長および前記第2のプライマー伸長は同一方向に実行される、請
求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のプライマー伸長および前記第2のプライマー伸長は、別々の配列決定実行中
に前記ポリヌクレオチド上で同一方向に実行される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第1の結合部位を有するポリヌクレオチドにおけるゲノム再編成を検出する組成物また
はキットであって、
標的特異的プライマーおよび標的特異的バーコードを含む第1の増幅プライマー、および
第2の増幅プライマー
を含む組成物またはキット。
【請求項12】
アダプターは第2のプライミング部位およびアダプターバーコードをさらに含み、
前記第2の増幅プライマーは、前記アダプター内の配列に相補的または同一のプライミン
グ配列を含む、請求項11に記載の組成物またはキット。
【請求項13】
ポリヌクレオチドにおけるゲノム再編成を検出する方法であって、
第1の増幅プライマーおよび第2の増幅プライマーでポリヌクレオチドを増幅するステッ
プであって、前記第1の増幅プライマーは前記ポリヌクレオチドの第1のプライミング部
位にハイブリダイズし、および前記第1の増幅プライマーは標的特異的バーコードを含み
、前記増幅は、目的の前記ポリヌクレオチドおよび前記標的特異的バーコードと同一また
は相補的な配列を含むポリヌクレオチドアンプリコンを生成する、ステップと、
第1のプライマー伸長および第2のプライマー伸長を行うステップにより、第1および第
2の位置で前記ポリヌクレオチドアンプリコンを配列決定するステップであって、前記第
1のプライマー伸長および前記第2のプライマー伸長は同一方向に実行される、ステップ
と
を含む方法。
【請求項14】
前記第1の位置での前記配列決定は、前記目的のポリヌクレオチドの少なくとも一部の
配列を提供し、前記第2の位置での前記配列決定は、前記標的特異的バーコードの配列を
提供する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のプライマー伸長および前記第2のプライマー伸長は、別々の配列決定実行中
に前記ポリヌクレオチド上で同一方向に実行される、請求項13または請求項14に記載
の方法。
【請求項16】
前記配列決定は次世代シーケンシング(NGS)または超並列シーケンシングである、
請求項13から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
例えば前記第1のプライマー伸長および前記第2のプライマー伸長の前記配列決定から
生成されたデータに基づいてゲノム再編成を同定するステップによって、前記ポリヌクレ
オチドアンプリコンのうちの少なくとも1つのシングルエンドシーケンシングを使用して
そのゲノム再編成を検出するステップをさらに含む、請求項13から16のいずれか1項
に記載の方法。
【請求項18】
前記ゲノム再編成の頻度は約10%またはそれより低い、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ゲノム再編成は転座である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のプライマー伸長の前記配列決定から生成された前記データは、ゲノム再編成
を決定するために既知のgDNA配列のような既知の核酸配列と比較される、請求項13
から19のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年7月12日に出願された米国非仮特許出願第15/648,24
0号の利益を主張し、その内容は、その内容全体が、引用することにより本明細書の一部
をなすものとする。
【0002】
本開示は、融合遺伝子のようなゲノム再編成の検出を改善するための配列決定方法、組
成物およびキットに関する。本開示はまた、ゲノム再編成を含む標的ポリヌクレオチドの
ライブラリー調製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
核酸配列決定方法を使用してゲノム再編成を同定する能力は、ヒトの遺伝的障害および
疾患の検出に非常に有益であることが証明されている。ゲノム再編成は、一般に、1つま
たは複数のヌクレオチドの欠失、挿入、逆位、または転座を含む核酸鎖のヌクレオチドの
任意の再編成を表し、目的の核酸を配列決定し、配列データを既知の核酸配列のような標
準と比較することによって検出できる。次世代シーケンシング(NGS)を使用して、ポ
リヌクレオチドを迅速に分析し、ポリヌクレオチド内のゲノム再編成を検出できる。NG
Sでは、多数の配列を同時に並列分析できる。いくつかのフォーマットでは、DNAのよ
うなポリヌクレオチドが1つまたは複数のアダプターを介して固体表面に固定され、シグ
ナル強度を高めるために増幅される。一般的に、試料のポリヌクレオチド断片への断片化
、1つまたは複数のアダプターによる断片のタグ付け、およびポリヌクレオチド断片の増
幅による配列決定のためのライブラリーが調製される。断片は、1つまたは複数の増幅プ
ライマーで増幅され得る。合成フォーマットによる配列決定では、断片は配列決定プライ
マーとハイブリダイズし、標識ジデオキシヌクレオチドが酵素的に付加される。標識ジデ
オキシヌクレオチドからのシグナルが検出され、配列を決定するために分析される。
【0004】
シングルエンドまたはペアエンドシーケンシング法を使用して、目的のポリヌクレオチ
ドを分析してもよい。シングルエンドシーケンシング法は、断片の一方の末端から反対の
末端に向かうゲノム断片の配列決定を含む。シングルエンドシーケンシングのリードは、
断片の2つの末端のいずれかのn塩基対に対応する断片あたり1回のリードを提供し、こ
こでnはシーケンシングサイクル数である。一般的に、シングルエンドシーケンシングは
、大規模なゲノム再編成および反復配列エレメントの検出にはあまり適していない。融合
接合部にまたがるシングルエンドのリードは、融合事象の塩基対の証拠を提供する。しか
し融合事象を同定するのに十分な数の塩基対までシングルエンドのリードを確実に進める
ことは困難である可能性がある。
【0005】
ペアエンド法は、特定のリード長までの核酸断片の一方の末端から他方の末端までの読
み取りと、次いで断片の反対側からの別のラウンドの読み取りを含む。ペアエンド法の場
合、フォワード配列リードとリバース配列リードが実行され、データが近接配列としてペ
アリングされる。配列は、バリアントを同定するために標準試料と照合される。ペアエン
ドシーケンシング法は、一般にゲノムの再編成を検出するために使用され、これは、この
ような方法が一般に良好な位置決め情報を提供し、ゲノムに存在する構造再編成の解明を
容易にするためである。しかし、多くのシーケンシング機器は、ペアエンドシーケンシン
グを実行するように構成されておらず、シングルエンドシーケンシングのみが可能になっ
ている。
【0006】
WO2007133831A2は、標的ポリヌクレオチドに散在するアダプターを使用
して標的配列のヌクレオチド配列情報を取得するための方法および組成物について論じて
いる。方法は、標的ポリヌクレオチドまたは断片内の間隔を空けた位置に複数のアダプタ
ーを挿入するために使用できる。アダプターは、プライマー伸長、プローブライゲーショ
ンなどによってヌクレオチドを同定するもののような、さまざまな配列決定化学を使用し
て隣接配列を調べるためのプラットフォームとして機能する場合がある。本開示は、既知
のアダプター配列を標的配列に挿入するための方法および組成物を含み、これにより、ア
ダプターによる、連続した標的配列の中断がある。本開示は、アダプターの「上流」およ
び「下流」の両方を配列決定することにより、標的配列全体の同定が達成される場合があ
ると述べている。
【0007】
WO2015112974A1は、核酸の調製および分析方法に関する態様を論じてい
る。一部の実施形態では、配列分析(例えば、次世代シーケンシングを使用)のための、
核酸の調製方法が提供される。
【0008】
WO2015148219A1は、標的核酸断片を分析する方法であって、5’から3
’へのオーバーハングアダプター領域、プライマーID領域、配列決定プライマー結合部
位、および標的断片の一方の末端に相補的な標的特異的配列領域を含む第1のオリゴヌク
レオチドプライマーを使用して、プライマー伸長により、標的の1つの鎖をテンプレート
として使用した第1の鎖を生成すること、任意選択で組み込まれていないプライマーを除
去すること、生成された第1の鎖から標的を増幅して増幅産物を産生すること、および増
幅産物を検出することを含む方法を論じている。本開示また、固有のプライマーがそのよ
うな標的分析方法に有用な理由を論じている。
【0009】
シングルエンドシーケンシングを使用したゲノム再編成の検出方法の改善は、特にこの
方法がハイスループットシーケンシング分析と組み合わせて実用性を有する場合、この分
野への有用な貢献となる。
【発明の概要】
【0010】
ポリヌクレオチドのゲノム再編成を検出するための方法、組成物、およびキットが提供
される。本方法、組成物およびキットを使用して、目的の核酸のシングルエンドシーケン
シングを使って、ゲノム再編成をより容易にかつ確実に検出することができる。
【0011】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲と併せて、以下の
詳細な説明から明らかになるであろう。
【0012】
本教示は、添付の図面と共に読まれる場合、以下の詳細な記載から最もよく理解される
。特徴は必ずしも縮尺どおりに描かれているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】配列決定のためのポリヌクレオチドを調製する方法の実施形態を示す図である。
【
図2】配列決定のためのポリヌクレオチドを調製する方法の他の実施形態を示す図である。
【0014】
定義された専門用語
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としてお
り、限定することを意図していないことを理解されたい。定義された用語は、本教示の技
術分野で一般的に理解され受け入れられている定義された用語の技術的および科学的意味
に追加されている。
【0015】
明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、およびそれらの通常の意味に加
えて、「実質的」または「実質的に」という用語は、当業者の許容範囲内または程度を意
味する。例えば、「実質的に解除される」とは、解除が許容可能であると当業者が考えて
いることを意味する。
【0016】
明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、およびそれらの通常の意味に加
えて、「およそ」および「約」という用語は、当業者の許容範囲内または程度を意味する
。「約」という用語は、一般に、示された数のプラスまたはマイナス15%を表す。例え
ば、「約10」は8.7から1.15の範囲を示す。例えば、「ほぼ同一」とは、比較さ
れる項目が同一であると当業者が考えることを意味する。
【0017】
「ポリヌクレオチド」および「核酸」という用語は、本明細書で同じ意味で使用され、
ヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、または2
つの天然に存在する核酸に類似した配列特異的方法で天然に存在する核酸とハイブリダイ
ズすることができる、例えばWatson-Crick塩基対相互作用に関与することが
できる合成により産生された化合物(例えば、米国特許第5,948,902号およびそ
こに引用された参考文献に記載のPNA)、で構成される任意の長さ、例えば約10塩基
を超える、約100塩基を超える、約500塩基を超える、1000塩基を超える、最大
約10,000またはそれ以上の塩基のポリマーを表す。天然に存在するヌクレオチドは
、グアニン、シトシン、アデニン、およびチミン(それぞれG、C、A、およびT)を含
む。明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、ポリヌクレオチドは、特に明
記しない限り、アダプター付加ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドアンプリコン、また
はアダプター付加ポリヌクレオチドアンプリコンであり得る。アダプター付加ポリヌクレ
オチドは、目的のポリヌクレオチドにアダプターが追加されているという点で、目的のポ
リヌクレオチドとは異なる。
【0018】
本明細書で使用される場合、「標的核酸」または「標的」という用語は、標的核酸配列
を含有する核酸を表す。標的核酸は、一本鎖または二本鎖であってもよく、多くの場合二
本鎖DNAである。「標的核酸配列」、「標的配列」または「標的領域」は、本明細書で
使用される場合、特異的な配列またはその相補体を意味する。標的配列は、インビトロの
核酸内またはインビボの細胞のゲノム内にあってもよく、それは一本鎖または二本鎖核酸
の任意の形態であってもよい。
【0019】
「ハイブリダイゼーション」または「ハイブリダイズする」とは、完全にまたは部分的
に相補的な核酸鎖が特定のハイブリダイゼーション条件下で一緒になって、2本の構成鎖
が水素結合により連結された二本鎖構造または領域を形成する工程を表す。しかし、一般
的に、アデニンとチミンもしくはウラシル(AとTもしくはU)またはシトシンとグアニ
ン(CとG)の間に水素結合が形成され、他の塩基対が形成される場合がある(例えば、
Adams et al., “The Biochemistry of the N
ucleic Acids,” 11th ed., 1992)。
【0020】
「プライマー」という用語は、酵素的に作製されたまたは合成のオリゴヌクレオチドを
意味し、ポリヌクレオチドテンプレートと二重鎖を形成すると、核酸合成の開始点として
作用し、テンプレートに沿ってその3’末端から伸長し、伸長した二重鎖を形成すること
ができる。伸長過程で追加されたヌクレオチドの配列は、テンプレートポリヌクレオチド
の配列によって決定される。プライマーは、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、
または逆転写酵素のいずれかによって触媒されるヌクレオチド重合の開始点として働く。
プライマーは、4~1000塩基またはそれ以上の長さ、例えば、10~500塩基であ
ってもよい。
【0021】
本明細書で使用される場合、「プライマー伸長」という用語は、ポリメラーゼを使用し
て特異的なオリゴヌクレオチドをプライマーにアニーリングすることによるプライマーの
伸長を表す。「アダプター」という用語は、目的のポリヌクレオチドに結合して合成ポリ
ヌクレオチドを形成する核酸分子を表す。アダプターは一本鎖または二本鎖であり得、D
NA、RNA、および/または人工ヌクレオチドを含むことができる。アダプターは、目
的のポリヌクレオチドの末端に位置するか、または中央もしくは内部に配置することがで
きる。アダプターは、増幅もしくは配列決定のためのプライミング部位の提供、またはバ
ーコードの追加など、1つまたは複数の機能または特性を目的のポリヌクレオチドに追加
できる。例えば、アダプターには、ユニバーサルプライマーおよび/または配列決定のた
めのプライミング部位を含むユニバーサルプライミング部位を含めることができる。さら
なる例として、アダプターには、分子バーコード、試料バーコード、および/または標的
特異的バーコードのような、さまざまなタイプのまたはさまざまな目的の1つまたは複数
のバーコードを含めることができる。さまざまなアダプターが当分野で知られており、本
方法、組成物およびキットで使用するために使用または変更することができる。例えば、
アダプターは、ポリヌクレオチドに結合してさまざまな5’末端を持つライブラリーを作
成できるYアダプターを含む。アダプターは、また、Aアダプターをポリヌクレオチドの
一方の末端に結合させ、Bアダプターをポリヌクレオチドの反対の末端に結合させる別々
の配列(例えばA/Bアダプター)を含む場合がある。アダプターは、また、ヘアピンル
ープがポリヌクレオチドの末端に結合しているステムループアダプターを含み、一部(一
般的にステム)は、増幅または配列決定の前に切断され得る。ライゲーション、トランス
ポザーゼの使用、ハイブリダイゼーション、および/またはプライマー伸長を含むがこれ
らに限定されない任意の適した技術によって、アダプターを目的のポリヌクレオチドに結
合させることができる。例えば、アダプターを目的のポリヌクレオチドの末端に連結して
もよい。他の例として、トランスポザーゼを使用してアダプターを含むトランスポゾンを
挿入することにより、アダプターを目的のポリヌクレオチドに結合することができ、それ
によって、目的のポリヌクレオチドの断片の末端にアダプターが提供される。一部の実施
形態では、アダプターは、標的特異的プライマーおよび標的特異的バーコードを含み、標
的特異的プライマーのプライマー伸長により、目的のポリヌクレオチド(より詳細には、
相補的ポリヌクレオチド)へのアダプターの結合を可能にする。
【0022】
「配列決定」という用語は、1つまたは複数のヌクレオチドの同一性、すなわち、ヌク
レオチドがG、A、T、またはCであるかどうかを決定することを表す。
【0023】
「シングルエンドシーケンシング」という用語は、ポリヌクレオチドの一方の末端から
のリード(「シングルエンドリード」)を使用してポリヌクレオチドの配列を決定するこ
とを意味する。シングルエンドリードは、次世代シーケンシングおよび他の超並列シーケ
ンシング技術を含む、任意の配列決定工程で実行できる。シングルエンドシーケンシング
を実行するように構成された機器は、多数の企業から市販されている。例えば、Illu
minaのHiseq2500にはシングルエンド50bpおよびシングルエンド100
bpのリード長がある。一部の実施形態では、シングルエンドリードの公称長、平均(a
verage, mean)長または絶対長は、少なくとも20個の連続したヌクレオチ
ド、あるいは少なくとも30個の連続したヌクレオチド、あるいは少なくとも40個の連
続したヌクレオチド、あるいは少なくとも50個の連続したヌクレオチドである。一部の
実施形態では、シングルエンドリードの公称長、平均(average, mean)長
または絶対長は、最大300個の連続したヌクレオチド、最大200個の連続したヌクレ
オチド、あるいは最大150個の連続したヌクレオチド、あるいは最大120個の連続し
たヌクレオチド、あるいは最大100個の連続したヌクレオチドである。前述の最小値と
最大値を組み合わせて範囲を形成できる。
【0024】
本明細書で使用される場合、配列の「部分」または「断片」という用語は、完全な配列
よりも小さい配列の任意の部分(例えば、ヌクレオチド部分配列またはアミノ酸部分配列
)を表す。ポリヌクレオチドの部分は、任意の長さ、例えば、少なくとも5、10、15
、20、25、30、40、50、75、100、150、200、300もしくは50
0またはそれ以上のヌクレオチド長であり得る。ガイド配列の一部は、ガイド配列の約5
0%、40%、30%、20%、10%、例えばガイド配列の3分の1またはそれ以下、
例えば7、6、5、4、3または2個のヌクレオチド長であり得る。
【0025】
「融合遺伝子」という用語は、以前は別々であった2つの遺伝子から形成されたポリヌ
クレオチドを表す。融合遺伝子は、転座、中間部欠損、または染色体逆位の結果として生
じる可能性があり、ヒトがん細胞で高頻度に見られる。融合遺伝子は、細胞の正常な調節
経路を改変し、および/またはがん細胞の増殖を促進する融合タンパク質に翻訳される融
合転写物の発現をもたらす場合がある。遺伝子バリアントはまた、正常な調節経路に影響
を及ぼす異常なタンパク質をもたらす場合がある。多くの融合遺伝子ポリヌクレオチドが
知られており、さらに多くが発見されている。例えば、US20100279890、U
S20140120540、US20140272956、およびUS20140315
199は、がんおよび他の疾患に関連する多くの融合遺伝子、ならびにそのような融合遺
伝子を検出する方法を開示する。本方法、組成物およびキットは、既知の遺伝子融合を検
出するために使用できるが、以前は不明であった遺伝子融合を発見するために使用しても
よい。
【0026】
本明細書で使用される場合、「プライミング部位」という用語は、プライマーにハイブ
リダイズするように構成されたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド内の部位を表
し、その結果、隣接配列、またはシングルエンドシーケンシングに十分近接した配列を、
プライマー伸長などによって増幅または配列決定できる。プライミング部位は、目的のポ
リヌクレオチドに生じる配列、またはプライミング部位を含むアダプターを追加すること
によってポリヌクレオチドに追加される配列であり得る。プライミング部位を含むアダプ
ターは、ライゲーション、トランスポザーゼの使用、プライマー伸長、または他の技術に
よって追加できる。
【0027】
本開示では、数値範囲は範囲を定める数字を含める。本開示では、「含む」という語句
が見つかれば、その代わりに「から本質的になっている」または「からなっている」とい
う語句を使用してもよいと企図される。例示のために、化学構造および化学式を引き延ば
すまたは拡大してもよいことを認識すべきである。
【0028】
明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、状況が明らかに別の方法で指示
しなければ、「a」、「an」および「the」という用語は単数形態および複数形態の
両方を含む。したがって、例えば、「プライマー(a primer)」は、1つのプラ
イマーおよび複数のプライマーを含む。本開示では、第1、第2、第3などの用語のよう
な序数は、第1の事象が第2の事象の前に生じることを意味せず(文脈が違った意味を明
確に示唆しない限り)、代わりに、異なる事象を互いに区別するために使用される。
【0029】
特に示さない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示
に関する分野で働く人々によって一般に理解されるのと同一の意味を持つ。
【0030】
本明細書で開示されたように、多数の値の範囲が提供される。下限の単位10分の1ま
での各介在値(intervening value)は、状況が明らかに別の方法で指
示しなければ、その範囲の上限と下限の間でまた具体的に開示されていることが理解され
る。表示された範囲における任意の表示値または介在値と、その表示された範囲における
任意の他の表示値または介在値との間の各々より狭い範囲は、本発明内に包含される。こ
れらの狭い範囲の上限および下限は独立してこの範囲に含まれても、排除されてもよく、
狭い範囲において一方の限界を含む、または両方の限界を含む、またはいずれの限界も含
まないそれぞれの範囲も、表示範囲においてはっきり限定して排除される任意の限界に応
じて本発明に包含される。表示範囲が一つまたは両方の限界を含む場合、これらの含まれ
た限界のいずれかまたは両方を排除する範囲も、本発明に含まれる。
【0031】
特に示さない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示
が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同一の意味を持つ。本明細書に記載
のものと類似または同等の任意の方法および材料を本教示の実施または試験に用いること
ができるが、いくつかの例となる方法および材料が記載される。
【0032】
本明細書に引用する特許および刊行物はすべて、明確に引用することにより本明細書の
一部をなすものとする。任意の刊行物の引用は提出日以前の開示のためであり、本特許請
求の範囲はこのような刊行物に先行する資格がないことを認めると解釈されるべきではな
い。さらに、提供された刊行物の日付は、実際の出版の日付とは異なり得、これは個別に
確認することができる。
【0033】
当業者が本開示を読むと明らかになるように、本明細書で記載および図示されている個
々の実施形態の各々は、個別の構成要素および特徴を有し、これらは、本教示の範囲およ
び精神を逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離す
るか、または特徴に組み合わせることができる。任意の列挙された方法は、事象が列挙さ
れた順序または論理的に可能な任意の他の順序で実行することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
一部の実施形態では、本開示は、標的特異的バーコードを結合することにより配列決定
のためのポリヌクレオチドを調製する方法を提供する。方法は、第1の増幅プライマーお
よび第2の増幅プライマーでポリヌクレオチドを増幅することを含み、第1の増幅プライ
マーは第1のプライミング配列および標的特異的バーコードを含み、第1のプライミング
配列はポリヌクレオチドの第1のプライミング部位にハイブリダイズする。本増幅はポリ
ヌクレオチドアンプリコンを生成し、ポリヌクレオチドアンプリコンは、目的のポリヌク
レオチドおよび標的特異的バーコードと同一または相補的な配列を含む。
【0035】
第1の増幅プライマーは、標的特異的(すなわち、アダプター付加ポリヌクレオチド内
の標的配列に相補的および/またはハイブリダイズする)である、第1の増幅プライマー
を含む。第1の増幅プライマーは、標的配列に特異的なバーコード、例えば、融合遺伝子
の一部のような遺伝子の一部に特異的なバーコードである標的特異的バーコードをさらに
含む。増幅はポリヌクレオチドアンプリコンを生成し、ポリヌクレオチドアンプリコンは
、目的のポリヌクレオチドおよび標的特異的バーコードと同一または相補的な配列を含む
。第2の増幅プライマーは、(1)第1のプライミング部位から距離を置いて、ポリヌク
レオチドに結合したアダプターの一部に、または(2)ポリヌクレオチドの第2のプライ
ミング部位にハイブリダイズし、第2のプライミング部位は第1のプライミング部位から
距離を置いている。一部の実施形態では、方法は、アダプターをポリヌクレオチドに結合
させてアダプター付加ポリヌクレオチドを形成することをさらに含むことができ、アダプ
ターは第2のプライミング部位および任意選択でアダプターバーコードを含む。一部の実
施形態では、第2のプライミング部位はアダプター上にあり、ユニバーサルプライミング
部位および/または配列決定プライマーの部位であり、および/または第2のプライマー
結合部位はアダプター付加ポリヌクレオチドの5’末端のユニバーサルプライミング部位
である。一部の実施形態では、アダプターおよび/または第2のプライミング部位は、ポ
リヌクレオチド鎖の5’末端にあり、第1のプライミング部位は、鎖の3’末端にある。
一部の実施形態では、アダプターバーコードは試料バーコードまたは分子バーコードであ
る。分子バーコードは、目的のポリヌクレオチドのプールに結合したアダプターのセット
内で固有のものであるという意味で固有の配列である可能性がある。
【0036】
一部の実施形態では、本開示は、標的特異的バーコードを結合することにより配列決定
のためのポリヌクレオチドライブラリーを調製する方法、組成物およびキットを提供する
。ポリヌクレオチドのプールは、第1のセットの増幅プライマーおよび第2のセットの増
幅プライマーを使用して増幅され、第1のセットの増幅プライマーはポリヌクレオチドプ
ール内の複数の異なる配列にハイブリダイズし、第1のセットの増幅プライマーのそれぞ
れは異なる標的特異的バーコードを含む。一部の実施形態では、アダプターバーコードを
含むアダプターは、ポリヌクレオチドアンプリコンに結合する。第2のセットの増幅プラ
イマーは、(1)第1のプライミング部位から距離を置いて、ポリヌクレオチドに結合し
たアダプターの一部に、または(2)ポリヌクレオチドの第2のプライミング部位にハイ
ブリダイズし、第2のプライミング部位は第1のプライミング部位から距離を置いている
。第1および第2のセットのプライマーによる増幅は、ポリヌクレオチドアンプリコンの
ライブラリーを生成する。アダプターをポリヌクレオチドアンプリコンに追加することが
できる。一部の実施形態では、アダプターは増幅の前に追加され、アダプターは第2のセ
ットの増幅プライマーにハイブリダイズする第2のプライミング部位を含む。一部の実施
形態では、アダプターは、例えば、ポリヌクレオチドアンプリコン上の配列決定プライミ
ング部位を提供するために、増幅後に追加される。
【0037】
複数のポリヌクレオチドアンプリコンのそれぞれは、第1のプライマー伸長および第2
のプライマー伸長を行うことにより、2つの位置で配列決定することができ、第1のプラ
イマー伸長および第2のプライマー伸長の配列決定は、アダプター付加ポリヌクレオチド
アンプリコンのそれぞれについて同一方向に実行される。ゲノム再編成は、第1のプライ
マー伸長および第2のプライマー伸長の配列決定から生成されたデータに基づいて同定す
ることができる。
【0038】
他の実施形態では、本開示は、第1の結合部位を有するポリヌクレオチドにおけるゲノ
ム再編成を検出する組成物またはキットを提供する。組成物およびキットは、第1および
第2の増幅プライマーを含む。第1の増幅プライマーは、標的特異的プライマーおよび標
的特異的バーコードを含む。組成物およびキットは、アダプターをさらに含むことができ
る。アダプターは、第2のプライミング部位およびアダプターバーコードを含む。一部の
実施形態では、第2の増幅プライマーは、アダプター内の配列に相補的または同一のプラ
イミング配列、例えば第2のプライミング部位を含む。組成物およびキットの一部の実施
形態では、第2の増幅プライマーは、(1)第1のプライミング部位から距離を置いて、
ポリヌクレオチドに結合したアダプターの一部に、または(2)ポリヌクレオチドの第2
のプライミング部位にハイブリダイズし、第2のプライミング部位は第1のプライミング
部位から距離を置いている。一部の実施形態では、アダプターおよび/または第2のプラ
イミング部位は、ポリヌクレオチド鎖の5’末端にあり、第1のプライミング部位は、鎖
の3’末端にある。
【0039】
他の実施形態では、本開示はポリヌクレオチドにおけるゲノム再編成を検出する方法、
組成物、およびキットを提供する。方法、組成物、およびキットは、第1の増幅プライマ
ーおよび第2の増幅プライマーでポリヌクレオチドを増幅することを含む。第1の増幅プ
ライマーはポリヌクレオチドの第1のプライミング部位にハイブリダイズし、および第1
の増幅プライマーは標的特異的バーコードをさらに含む。増幅は、目的のポリヌクレオチ
ドおよび標的特異的バーコードと同一または相補的な配列を含むポリヌクレオチドアンプ
リコンを生成する。第1のプライマー伸長および第2のプライマー伸長を行うことにより
、第1および第2の位置でポリヌクレオチドアンプリコンを配列決定する。第1のプライ
マー伸長および第2のプライマー伸長は同一方向に実行され得る。
【0040】
上述の方法では、組成物およびキット、標的特異的バーコードは、遺伝子、遺伝子の一
部、融合遺伝子、融合遺伝子の一部、または目的の他のポリヌクレオチドのような標的に
特異的である。融合遺伝子は、既知の融合遺伝子の接合部を含む既知の融合遺伝子であり
得、および/または融合遺伝子は、疑わしいまたは仮定された融合遺伝子、またはそのよ
うな融合遺伝子の接合部であり得る。標的は、目的のポリヌクレオチドにおける欠失、挿
入、逆位、および転座のようなゲノム再編成であり得る。一部の実施形態では、標的はc
DNA接合部またはエクソン接合部である。
【0041】
一部の実施形態では、第2の増幅プライマーは、アダプターの配列決定プライミング部
位であり得る第2のプライミング部位のようなアダプターの一部にハイブリダイズする。
一部の実施形態では、アダプター付加ポリヌクレオチドは、5’末端にアダプターおよび
/または3’末端に標的特異的バーコードを含む。
【0042】
一部の実施形態では、目的のポリヌクレオチドは、複数の目的のポリヌクレオチドを含
み、方法は複数のアダプターを複数のポリヌクレオチドに結合させ、それによってそれぞ
れが異なるアダプターバーコードを含む複数のアダプター付加ポリヌクレオチドを形成す
ることを含む。あるいはまたはさらに、目的のポリヌクレオチドは、複数の目的のポリヌ
クレオチドを含み、ならびに第1の増幅プライマーは、異なる標的特異的プライマーおよ
び異なる標的特異的バーコードを有する複数の第1の増幅プライマーを含み、それによっ
てそれぞれが異なる標的特異的バーコードを含む複数のアダプター付加ポリヌクレオチド
アンプリコンを形成する。
【0043】
一部の実施形態では、アダプター付加ポリヌクレオチドアンプリコンは、第1のプライ
マー伸長および第2のプライマー伸長を行うことにより、第1および第2の位置で配列決
定され、第1のプライマー伸長および第2のプライマー伸長は同一方向に実行される。一
部の実施形態では、第1のプライマー伸長は、第2のプライミング部位のようなアダプタ
ーの一部と相補的または同一の第1の配列決定プライマーで実行される。一部の実施形態
では、第2のプライマー伸長は、標的特異的バーコードに隣接する部分、または標的特異
的バーコードのシングルエンドシーケンシングに十分な近接部分のような第1の増幅プラ
イマーの一部と相補的または同一の第2の配列決定プライマーで実行される。
【0044】
プライマー伸長による配列決定は、プライマーをポリヌクレオチドアンプリコンにハイ
ブリダイズすること、1つまたは複数の標識ヌクレオチドの添加によってプライマーを伸
長し、それによって組み込まれた標識ヌクレオチドを産生すること、および組み込まれた
標識ヌクレオチドを検出することによって実行される。配列決定プライマーは、アダプタ
ー上の配列と相補的または同一であり得る。一部の実施形態では、第1のプライマー伸長
および第2のプライマー伸長は、別々の配列決定実行中にポリヌクレオチド上で同一方向
に実行される。一部の実施形態では、配列決定は次世代シーケンシング(NGS)または
超並列シーケンシングである。第1のプライマー伸長および/または第2のプライマー伸
長の配列決定から生成されたデータは、既知のgDNA配列のような既知の核酸配列と比
較することができる。
【0045】
本方法、組成物、およびキットは、ゲノムDNA(gDNA)、RNAテンプレート(
例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)またはマイクロRNA(マイクロRNA))
由来の相補的DNA(cDNA)、ミトコンドリアDNA(mtDNA)、mRNAのよ
うなRNA、マイクロRNA、および他のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの配
列決定に有用である。ポリヌクレオチドは、微生物、ウイルス、菌類、植物、または哺乳
動物のような任意の起源であり得る。
【0046】
一部の実施形態では、本方法、組成物、およびキットは、目的のポリヌクレオチドにお
けるゲノム再編成の存在、位置、または非存在を検出するために使用される。ゲノムの再
編成は、欠失、重複、挿入、逆位、または転座などであってもよく、ならびに方法、組成
物、およびキットを使用して、特定のゲノム配列または遺伝子が目的のポリヌクレオチド
で欠失、重複、挿入、逆位、または転座したかどうかを検出できる。一部の実施形態では
、本方法、組成物、およびキットを使用してゲノム欠失を検出する。一部の実施形態では
、本方法、組成物、およびキットを使用してゲノム重複を検出する。一部の実施形態では
、本方法、組成物、およびキットを使用してゲノム挿入を検出する。一部の実施形態では
、本方法、組成物、およびキットを使用してゲノム逆位を検出する。一部の実施形態では
、本方法、組成物、およびキットを使用してゲノム転座を検出する。一部の実施形態では
、本方法、組成物、およびキットを使用してgDNAまたはRNA由来のcDNAのよう
なポリヌクレオチドにおけるゲノム再編成を検出する。一部の実施形態では、ゲノム再編
成の頻度は約100%またはそれより低く、あるいは約50%またはそれより低く、ある
いは約10%またはそれより低く、あるいは約5%またはそれより低く、あるいは約1%
またはそれより低い。一部の実施形態では、本方法は、第1のプライマー伸長および第2
のプライマー伸長の配列決定から生成されたデータに基づいてゲノム再編成を同定するこ
とによって、ポリヌクレオチドアンプリコンのシングルエンドシーケンシングを使用して
そのゲノム再編成を検出することをさらに含む。一部の実施形態では、ゲノム再編成は転
座である。
【0047】
ポリヌクレオチドのゲノム再編成を検出するために使用できる配列決定方法が提供され
る。本方法は、目的の核酸のシングルエンドシーケンシングを利用して、より容易かつ確
実にゲノム再編成を検出するために使用できる。本方法は、目的のポリヌクレオチドにお
ける欠失、挿入、逆位、および転座の検出のための次世代シーケンシング(NGS)工程
で使用することができる。本方法は、ポリヌクレオチド再編成検出の精度を高めるために
、同一方向に第1および第2のプライマー伸長を配列決定することを含む。第1および第
2のプライマー伸長からの組み合わせた配列データは、ポリヌクレオチドのゲノム再編成
のリードアラインメントおよび同定を容易にする。同一方向に生成されたリードの組合せ
により、ポリヌクレオチド内の核酸の相対位置をより正確に同定できる。本方法は、ゲノ
ム内のヌクレオチドの相対位置を同定するシングルエンドシーケンシング工程の能力を改
善し、標準的なシングルエンドシーケンシング法と比較して、構造的再編成のより効果的
な解明をもたらす。
【0048】
本方法は、次世代シーケンシング(NGS)工程のようなハイスループットシーケンス
法において使用されてもよい。一部の実施形態では、ハイスループットシーケンス法は、
ライブラリー調製、固定化、および配列決定の3つのステップを含む。ポリヌクレオチド
は一般にランダム断片化を受け、およびアダプターは、断片の一方または両方の末端に連
結される。アダプターは、線形アダプター、環状アダプター、またはバブルアダプターで
あってもよい。配列決定ライブラリー断片は、固体支持体上に固定化され、ポリヌクレオ
チド配列を調べるために並行配列決定反応が実行される。ハイスループットシーケンス法
は、元のポリヌクレオチドのコピーを提供するために、エマルジョンPCR、ブリッジP
CR、またはローリングサークル増幅を用いる場合がある。
【0049】
ポリメラーゼはPCR中にエラーを起こす傾向があり(ヌクレオチドの誤取り込みが最
も多い)、これらのエラーが初期のサイクルで発生した場合、配列決定データの分析でバ
リアントとして現れる。分子バーコードを使用して、PCRエラーを目的のポリヌクレオ
チドの実際のバリアントと区別することができる。分子バーコードのコンセプトは、増幅
されるプール内の各ポリヌクレオチドが固有の分子バーコードに結合されることである。
異なる分子バーコードを持つ配列リードは、元が異なるDNA分子を表し、一方、同一バ
ーコードを持つリードは、元が同一の分子からのPCR複製の結果である。縮重塩基領域
(DBR)と呼ばれる分子バーコードは、米国特許第8,481,292号(Popul
ation Genetics Technologies Ltd.)に開示される。
DBRは、試料中に存在する分子に結合するランダム配列タグである。DBRおよび他の
分子バーコードにより、試料調製中のPCRエラーを、元のポリヌクレオチドに存在する
突然変異や他のバリアントと区別することができる。
【0050】
ポリヌクレオチドへのアダプターの結合
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドにアダプターが結合してアダプター付加ポリヌ
クレオチドを形成する。アダプターを、増幅の前または後にポリヌクレオチドに結合させ
ることができ、ならびに一部の実施形態では、ポリヌクレオチドはポリヌクレオチドアン
プリコンであり、およびアダプター付加ポリヌクレオチドはアダプター付加ポリヌクレオ
チドアンプリコンである。ライゲーション、トランスポザーゼの使用、ハイブリダイゼー
ション、および/またはプライマー伸長のような任意の適した技術によってアダプターを
結合させることができる。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、一方または両方の
末端でアダプターに連結される。ライゲーション反応では、共有結合または連結は、2つ
以上のポリヌクレオチド(目的の核酸など)またはオリゴヌクレオチド(アダプターなど
)の末端間で形成される。結合または連結の性質は多様であってもよく、ライゲーション
は酵素的または化学的に実行されてもよい。通常、ライゲーションは酵素的に行われ、あ
るポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの末端ヌクレオチドの5’炭素と他のポリ
ヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの3’炭素との間にホスホジエステル結合を形成
する。一部の実施形態では、アダプターはYアダプターであり、さまざまな5’末端を持
ち、Illumina MiniSeq、NextSeq、およびHiSeq3000/
4000シーケンシング機器での使用に適したP5およびP7プライミング部位を持つラ
イブラリーを生成できる。
【0051】
一部の実施形態では、A/Bアダプターを目的のポリヌクレオチドに結合させ、Aアダ
プターをポリヌクレオチドの一方の末端に結合させ、Bアダプターをポリヌクレオチドの
反対の末端に結合させる。一部の実施形態では、ランダムライゲーション、またはトラン
スポザーゼの使用、またはプライマー伸長による増幅によってアダプターを結合させる。
AアダプターおよびBアダプターの個々の特性により、シーケンシング手法に含まれる各
ポリヌクレオチドには、AおよびBアダプターの両方が含まれることになることが企図さ
れる(すなわち、A/Bアダプターの組合せとして表される、アダプターのタイプの1つ
を5’末端に結合し、他のタイプのアダプターをシーケンシングを受ける各ポリヌクレオ
チドの3’末端に結合する)。ライゲーションステップのランダムな特質によって、A/
AおよびB/Bアダプター付加ポリヌクレオチドも産生され、その後の処理ステップを実
施して、A/Bアダプターの組合せを有する分子のみがシーケンシング手法のために選択
および/または含まれることを保証することができる。アダプターの部分を対象にするプ
ライマーを使用してアダプター付加ポリヌクレオチドを増幅し、標的特異的バーコードを
結合するための本明細書に記載の増幅の前または後に、目的のポリヌクレオチドの量を増
加させることができる。一部の実施形態では、超並列シーケンシングのための完全にシー
ケンス可能な(sequencable)ライブラリーを作成するために、アダプターは
、ある方法で十分な数のポリヌクレオチドに結合されている。
【0052】
一部の実施形態では、アダプターはアダプターバーコードを含む。アダプターバーコー
ドは、ポリヌクレオチドの供給源または特質の識別子のような、任意の所望の目的に役立
つ。バーコードは一般に、ポリヌクレオチドの同定、グループ化、または処理に使用され
る配列情報を表す。個々のリード、リードのグループ、プローブに関連するリードのサブ
セット、エクソンに関連するリードのサブセット、試料もしくは任意の他のグループに関
連するリードのサブセット、またはその任意の組合せを同定するために、バーコードを含
めることができる。例えば、配列は、バーコード情報を参照することによって、試料、エ
クソン、プローブセット、またはそれらの組合せによって選別できる(例えば、コンピュ
ータプロセッサを使用して)。バーコード情報を使用してコンティグを組み立てることが
できる。コンピュータプロセッサは、バーコードを同定し、バーコードをまとめて読み取
ることでリードを組み立てることができる。
【0053】
ポリヌクレオチドを任意の適した機構によって入手してもよい。目的のポリヌクレオチ
ドは、ゲノムデオキシリボ核酸(gDNA)、cDNA、mRNA、ミトコンドリアDN
A、または他のタイプであってもよい。ポリヌクレオチドは、哺乳動物、ウイルス、菌類
、もしくは細菌、またはその混合であってもよい。一部の実施形態では、ゲノムDNAの
ようなポリヌクレオチド鎖は、アダプターをポリヌクレオチドに結合する前に、任意の適
した技術を使用して断片化される。当技術分野で既知のように、ポリヌクレオチド鎖は、
物理的断片化、酵素的断片化、または化学的せん断断片化を使用して断片化されてもよい
。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、超音波処理、音響せん断、または流体力学
的せん断のような物理的な断片化方法を使用して断片化される。一部の実施形態では、ポ
リヌクレオチドは、制限酵素を使用して断片化される。一部の実施形態では、ポリヌクレ
オチドは、DNase Iまたはトランスポザーゼのような酵素を使用して断片化される
。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、金属カチオンの存在下での加熱消化(he
at digestion)のような化学的せん断方法を使用して断片化される。一部の
実施形態では、ポリヌクレオチドは、無作為に断片化される。一部の実施形態では、ポリ
ヌクレオチドは、亜硫酸水素ナトリウムまたは他の化学的修飾因子で処理することができ
る。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド断片を使用してシーケンシングライブラリー
に追加する。
【0054】
ポリヌクレオチド断片は、任意の適した塩基長であってもよい。一部の実施形態では、
ポリヌクレオチド断片は、約30~約2,000の塩基長を有する。一部の実施形態では
、ポリヌクレオチド断片は、約30~約800の塩基長を有する。一部の実施形態では、
ポリヌクレオチド断片は、約30~約500の塩基長を有する。一部の実施形態では、ポ
リヌクレオチド断片は、約100~約800の塩基長を有する。一部の実施形態では、ポ
リヌクレオチド断片は、約200~約600の塩基長を有する。
【0055】
断片化後、1つまたは複数のアダプターがポリヌクレオチド断片に結合していてもよい
。一部の実施形態では、アダプターは、線形アダプター、環状アダプター、またはバブル
アダプターである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド少なくとも1つの環状アダプ
ターに連結される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド断片を環状アダプターと接触
させて、環状ポリヌクレオチド分子を生成する。一部の実施形態では、増幅過程で、環状
ポリヌクレオチド分子のみが増幅される。これらの実施形態のいずれにおいても、アダプ
ターはアダプターバーコードを含むことができる。
【0056】
標的ポリヌクレオチドの増幅
本方法は、ポリヌクレオチドがアダプターに結合する前および/または後にポリヌクレ
オチドを増幅することを含む。一部の実施形態では、アダプターは、ポリヌクレオチドの
目的の配列の5’末端に位置し、アダプターは目的の配列の増幅のためのプライミング部
位を提供する。アダプター付加ポリヌクレオチドは、第1の増幅プライマーおよび第2の
増幅プライマーを使用して増幅される。第1の増幅プライマーは、ポリヌクレオチド内の
標的配列に対して配列特異性を有し、標的配列(目的のポリヌクレオチド)の一部にハイ
ブリダイズすることができる。第2の増幅プライマーは、アダプターのプライミング部位
または目的のポリヌクレオチドの標的特異的プライミング部位にハイブリダイズすること
ができる。増幅ステップの間、第1の増幅プライマーは標的配列にハイブリダイズし、第
2のプライマーはアダプター上の配列プライミング部位にハイブリダイズする。一部の実
施形態では、第1の増幅プライマーは、アダプター付加ポリヌクレオチドの5’末端でハ
イブリダイズする。本方法のプライマーは、ポリヌクレオチドの標的配列との適切なハイ
ブリダイゼーションを提供するために十分に大きくなければならない。
【0057】
増幅のために、目的のポリヌクレオチドは、標的特異的バーコードを含む第1の増幅プ
ライマーとハイブリダイズする。第1の増幅プライマーは、ポリヌクレオチドの少なくと
も一部と相補的である。第1の増幅プライマーは、ポリヌクレオチドの第1のプライミン
グ部位にハイブリダイズする。ポリヌクレオチドは、3’末端に標的配列を含み、任意選
択でその後にアダプターが続く。標的配列がアダプター付加ポリヌクレオチドに存在する
場合、第1の増幅プライマーはアダプター付加ポリヌクレオチドにハイブリダイズし、そ
れによって標的配列の選択的増幅および検出が可能になる。第1の増幅プライマーは、目
的のポリヌクレオチドにおける欠失、挿入、逆位、または転座のようなゲノム再編成に相
補的であり得、および/またはハイブリダイズすることができる。一部の実施形態では、
第1の増幅プライマーは、cDNA接合部またはエクソン接合部に相補的であり、および
/またはハイブリダイズする。一部の実施形態では、第1の増幅プライマーは、既知の融
合遺伝子の接合部を含む既知の融合遺伝子、および/または疑わしいもしくは仮定された
融合遺伝子、または疑わしいもしくは仮定された融合遺伝子の接合部のような融合遺伝子
に相補的であり、および/またはハイブリダイズする。
【0058】
第2の増幅プライマーは、第1のプライミング部位から距離を置いて、ポリヌクレオチ
ドまたはアダプターにハイブリダイズする。一部の実施形態では、第2の増幅プライマー
は、第1のプライミング部位から距離を置いて、ポリヌクレオチドに結合したアダプター
の一部にハイブリダイズする。一部の実施形態では、第2の増幅プライマーは、ポリヌク
レオチドの第2のプライミング部位にハイブリダイズし、第2のプライミング部位は第1
のプライミング部位から距離を置いている。
【0059】
目的のポリヌクレオチドは、任意の適した方法を使用して増幅してもよい。一部の実施
形態では、ポリヌクレオチドは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して増幅される
。一般的に、PCRは、ポリヌクレオチド鎖の変性(例えば、DNA融解)、変性ポリヌ
クレオチド鎖へのプライマーのアニーリング、および相補的ポリヌクレオチドを合成する
ためのポリメラーゼによるプライマーの伸長を含む。工程は、一般に、DNAポリメラー
ゼ、フォワードおよびリバースプライマー、デオキシヌクレオシド三リン酸、二価カチオ
ン、ならびに緩衝液を必要とする。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、直線的増
幅によって増幅される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、エマルジョンPCR
、ブリッジPCR、またはローリングサークル増幅を使用して増幅される。増幅されたポ
リヌクレオチドを、適したシーケンス法を使用して塩基対の順序を決定するために分析し
てもよい。
【0060】
一部の実施形態では、1つまたは複数のプライマーまたはポリヌクレオチドは、固体支
持体上に固定化される。増幅プライマーおよび/またはポリヌクレオチドの固定化は、ポ
リヌクレオチドの洗浄を促進して、望ましくない種(例えば、デオキシヌクレオチド)を
除去することができる。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、固体支持体に結合す
る1つまたは複数のアダプターを含み、ポリヌクレオチドを支持体上に固定化する。一部
の実施形態では、ポリヌクレオチドは、フローセルまたはガラススライドの表面に固定化
される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、マイクロタイターウェルまたは磁気
ビーズ上に固定化される。一部の実施形態では、固体支持体は、官能基または部分に結合
したポリマーでコーティングされていてもよい。一部の実施形態では、固体支持体は、ア
ミノ、ヒドロキシル、もしくはカルボキシル基のような官能基、またはアダプターの結合
のためのアビジンもしくはストレプトアビジンのような他の部分を担持してもよい。
【0061】
ポリヌクレオチドアンプリコンは、アダプター付加ポリヌクレオチドアンプリコンであ
り得る。一部の実施形態では、アダプター付加ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド
アンプリコンは、ビオチン部分のような結合パートナーを含む。ポリヌクレオチドに、結
合パートナーを含むアダプターを結合させることができ、またはポリヌクレオチドを、結
合パートナーを含む1つまたは複数のプライマーを使用して増幅することができる。一部
の実施形態では、本方法は、ビオチン化プライマー伸長産物のような相互結合パートナー
と固体支持アビジンまたはストレプトアビジンとの複合体を形成することを含む。方法は
、また、相互結合パートナーに結合することにより、結合パートナーを含むアダプター付
加ポリヌクレオチドを含む試料を濃縮することを含むことができる。タンパク質アビジン
およびストレプトアビジンは、ビオチンおよび特定のビオチンアナログと非常に強力な複
合体を形成する。一般的に、ビオチンがそのカルボキシル側鎖を介して第2の分子に結合
している場合、結果として生じるコンジュゲートは、アビジンまたはストレプトアビジン
によってさらに強力に結合されている。このようなコンジュゲートが調製されると第2の
分子は「ビオチン化」されると言われる。一般的に、本方法は、ビオチン化核酸のアビジ
ンまたはストレプトアビジンへの複合体形成、その後の複合体の検出、分析、および/ま
たは使用を含む。一部の実施形態では、ビオチン化ポリヌクレオチドは、ストレプトアビ
ジンでコーティングされたフローセルまたはストレプトアビジンでコーティングされた金
属ビーズに固定化されている。本方法、組成物およびキットの一部の実施形態では、標的
特異的プライマー(例えば、第1の増幅プライマー)は、ビオチン部分のような結合パー
トナーに結合して、ストレプトアビジンまたはアビジンのような相互結合パートナーに結
合することにより、選択または精製を可能にすることができる。有用な結合パートナーは
、ビオチン:アビジン、ビオチン:ストレプトアビジン、抗体:抗原、および相補的核酸
を含む。一部の実施形態では、標的特異的プライマーは、選択的に増幅されたプールの捕
捉を可能にするビオチンのような結合パートナーを含んでもよい。
【0062】
次世代シーケンシングのためのポリヌクレオチドの調製は、多くの場合、次世代シーケ
ンシングの前に標的濃縮を使用し、1つまたは複数の標的濃縮プロトコールを本方法に含
めることができる。1つまたは複数の所望の標的ポリヌクレオチドを濃縮することにより
、少ない労力と費用で、および/または高いカバレッジ深度で配列決定をより焦点を合わ
せることができる。次世代シーケンシングのための現在の濃縮プロトコールの例には、A
gilentのSureSelect Hybrid CaptureおよびIllum
inaのTruSeq Captureのようなハイブリダイゼーションベースの捕捉プ
ロトコールが含まれる。他の例には、AgilentのHaloPlex、Thermo
FisherのAmpliSeq、IlluminaのTruSeq Amplicon
、およびRaindanceのエマルジョン/デジタルPCRのようなPCRベースのプ
ロトコールが含まれる。
【0063】
一部の実施形態では、両末端にユニバーサルアダプターを有するポリヌクレオチドのラ
イブラリーは、PCRのような方法を使用して増幅される。カスタムアダプターを含む標
的特異的プライマーを反応に追加して、標的配列を増幅することができる。そのような実
施形態では、断片の2つのプール、(a)両末端にユニバーサルアダプターを持つ断片の
プール、および(b)一方の末端または両末端に配列特異的アダプターを使用した選択的
増幅によって生成された断片のプール、が生成される。断片の混合プールは、必要に応じ
て標的濃縮を行うことができる。
【0064】
本方法、組成物およびキットの一部の実施形態では、増幅のために複数の標的特異的プ
ライマーが用いられる、または提供される。増幅は、シングルプレックスまたはマルチプ
レックスであり得る。マルチプレックスPCRは、1回のPCR実験で複数の核酸標的を
増幅する分子生物学的技術である。標的配列のマルチプレックス増幅のためのキットは、
Multiplicom NVより入手可能である。
【0065】
本方法、組成物およびキットの一部の実施形態では、ポリヌクレオチドアンプリコンは
、転位因子(TE)プロトコールで使用される。トランスポザーゼを使用してアダプター
を含むトランスポゾンを挿入することにより、アダプターをアンプリコンに結合すること
ができ、それによって、アンプリコンの断片の末端にアダプターが提供される。一部の実
施形態では、ポリヌクレオチドは同時に断片化され、バーコード化されてもよい。例えば
、トランスポザーゼ(例えば、NEXTERA)を使用してポリヌクレオチドを断片化し
、ポリヌクレオチドにバーコードを追加してもよい。
【0066】
融合遺伝子
標的特異的プライマーは、任意の既知のまたは疑わしい融合遺伝子の一部と相補的また
は同一であり得る。例えば、標的特異的プライマーは、US20100279890、U
S20140120540、US20140272956、またはUS20140315
199に開示された融合遺伝子のいずれかと相補的または同一であり得る。さらなる例と
して、標的特異的プライマーは、以下の融合遺伝子:BCR-ABL、EML4-ALK
、TEL-AML1、AML1-ETO、およびTMPRSS2-ERGのいずれかと相
補的または同一であり得る。あるいは、標的特異的プライマーは、新たに発見された融合
遺伝子、またはそのような融合遺伝子の接合部と相補的または同一であり得る。あるいは
、標的特異的プライマーは、疑わしいもしくは仮定された融合遺伝子、またはそのような
融合遺伝子の接合部と相補的または同一であり得る。
【0067】
一部の実施形態では、本方法、組成物およびキットは、異なる融合遺伝子のための複数
の標的特異的プライマーを含む。例えば、複数の標的特異的プライマーは、BCR-AB
L接合部のための第1の標的特異的プライマー、およびEML4-ALKのための第2の
標的特異的プライマーを含むことができる。一部の実施形態では、本方法、組成物および
キットは、単一の融合遺伝子の複数の接合部を含む、単一の融合遺伝子の複数の標的特異
的プライマーを含む。例えば、複数の標的特異的プライマーは、第1のEML4-ALK
接合部のための第1の標的特異的プライマー、および第2のEML4-ALK接合部のた
めの第2の標的特異的プライマーを含むことができる。本方法、組成物およびキットは、
第3の標的特異的プライマー、第4の標的特異的プライマー、第5の標的特異的プライマ
ー、第20の標的特異的プライマーまで、またはさらに多くの標的特異的プライマーを含
むことができる。
【0068】
標的配列の配列決定
増幅後、アダプター付加ポリヌクレオチドアンプリコンを配列決定され得る。例えば、
配列決定は、増幅中に生成されたアダプター付加ポリヌクレオチドアンプリコンの第1の
プライマー伸長および第2のプライマー伸長によって実行されてもよい。一部の実施形態
では、第1および第2のプライマー伸長は、個々のアンプリコンまたは同一のアンプリコ
ンのセットで同一方向に実行される。第1のプライマー伸長は、第1のプライマー(およ
び他のプライマー)からの伸長の結果として組み込まれた塩基を検出することにより配列
決定を判定し、ポリヌクレオチドの標的配列、特にアダプターの5’に位置するものの少
なくとも一部の決定を可能にする。アダプター付加ポリヌクレオチドは、P5またはP7
一次部位のような配列決定プライミング部位を含むことができる。一部の実施形態では、
第1のプライマー伸長を使用してアダプターバーコードの配列を検出することもできる。
第2のプライマー伸長は、第2のプライマーからの伸長の結果として組み込まれた塩基を
検出することにより配列決定を判定し、標的特異的バーコードの検出を可能にする。標的
特異的バーコードの配列決定を使用して、目的のポリヌクレオチド内の標的特異的バーコ
ードに特異的な遺伝子または他のポリヌクレオチドの存在および/または位置を実証する
。
【0069】
一部の実施形態では、配列決定は、可逆的ダイターミネーターを用いたシーケンシング
-バイ-シンセシス(sequencing-by synthesis)を使用した超
並列シーケンシングによって実行される。一部の実施形態では、配列決定は、シーケンシ
ング-バイ-ライゲーション(sequencing-by-ligation)を使用
した超並列シーケンシングによって実行される。一部の実施形態では、配列決定は、単一
分子シーケンシングによって実行される。一部の実施形態では、配列決定は、パイロシー
ケンシングを使用して実行される。
【0070】
ポリヌクレオチドは、任意の適した反応方法を使用して配列決定されてもよい。一部の
実施形態では、単一のヌクレオチド(すなわち、G、A、T、またはCに対応するヌクレ
オチド)を使用して単一の反応サイクルを行ってもよく、この方法はヌクレオチドが組み
込まれているかどうかを検出することを含む。ヌクレオチドが組み込まれている場合、次
いでヌクレオチドの同一性が判明する。そのような実施形態では、この方法は、4つすべ
てのヌクレオチド(すなわち、G、A、T、およびCに対応するヌクレオチド)を連続し
て循環させることを含む場合があり、ヌクレオチドの1つを組み込む必要がある。そのよ
うな実施形態では、ヌクレオチドの付加は、ピロリン酸塩放出、プロトン放出または蛍光
、例えば既知の方法を検出することにより検出される場合がある。例えば、一部の実施形
態では、チェーンターミネーターヌクレオチドは、末端リン酸標識蛍光ヌクレオチド(す
なわち、末端リン酸に結合したフルオロフォアを有するヌクレオチド)であってもよく、
同定ステップは、蛍光を読み取ることを含む。他の実施形態では、チェーンターミネータ
ーヌクレオチドは、末端リン酸にクエンチャーを含む蛍光ヌクレオチドであってもよい。
そのような実施形態では、ヌクレオチドの取り込みにより、ヌクレオチドからクエンチャ
ーが除去され、それによって蛍光標識を検出できるようになる。他の実施形態では、末端
リン酸標識チェーンターミネーターヌクレオチドは、質量タグ、電荷標識(charge
label)、電荷遮断標識(charge blockade label)、化学
発光標識、酸化還元標識、または他の検出可能な標識で末端リン酸が標識されていてもよ
い。
【0071】
一部の実施形態では、それぞれ異なるフルオロフォアで標識された4つのヌクレオチド
(すなわち、G、A、TおよびCに対応するヌクレオチド)すべてを使用して、単一の反
応サイクルを行ってもよい。そのような実施形態では、配列決定ステップは、G、A、T
、およびCに対応する4つのチェーンターミネーターを、増幅されたポリヌクレオチドに
加えることを含んでもよく、4つのチェーンターミネーターは異なるフルオロフォアを含
む。そのような実施形態では、同定ステップは、4つのチェーンターミネーターのどれが
プライマーの末端に付加されているかを同定することを含んでもよい。
【0072】
配列決定ステップは、シングルエンドシーケンシングを使用して実行できる。すなわち
、第1のプライマー伸長配列と第2のプライマー伸長配列とが同一方向に読み取られる。
一部の実施形態では、シングルエンド対応のゲノムアナライザーを使用して、ポリヌクレ
オチドを配列決定する。一部の実施形態では、方法は、配列決定反応(すなわち、塩基取
り込み)をリアルタイムで連続的にモニタリングすることを含む。これは、鎖伸長反応混
合物に「検出酵素」を含めることにより、鎖伸長および検出、またはシグナル生成反応を
同時に実行することで簡単に達成される場合がある。一部の実施形態では、鎖伸長反応は
最初に第1の反応ステップとして別々に実行され、その後にプライマー伸長産物が検出さ
れる別々の「検出」反応が続く。
【0073】
配列決定データの分析
ゲノム再編成は、第1のプライマー伸長および第2のプライマー伸長の配列決定から生
成されたデータに基づいて同定されてもよい。本方法は、第1のプライマー伸長および第
2のプライマー伸長の配列決定から生成されたデータに基づいてポリヌクレオチドのゲノ
ム再編成を同定することを含む。第1のプライマー伸長からの配列決定データは、標的配
列の塩基対の配列を提供する。アダプターはポリヌクレオチド試料の標的配列と特異的に
ハイブリダイズするように設計されているため、第2のプライマー伸長からの配列決定デ
ータは、アダプターの塩基対の配列を提供し、これは標的配列の存在を示すまたは実証す
るために使用できる。2つのプライマー伸長によって提供される組み合わせたデータは、
ポリヌクレオチドの任意のゲノム再編成を決定するための位置情報を提供する。
【0074】
第1および第2のプライマー伸長から生成されたデータは、標準試料と比較される。標
準試料と、第1および第2のプライマー伸長から生成されたデータとの違いは、研究中の
試料にゲノム再編成が存在する可能性があることを示す。標準試料の配列、ならびに標準
試料に対する第1のプライマー伸長および第2のプライマー伸長から生成された配列を使
用して、任意のゲノム再編成のタイプと位置を同定することができる。
【0075】
本方法、組成物およびキットを使用して、一般的な欠失症候群に関連するものを含む任
意の目的の配列を検出することができる。
【0076】
[実施例1]
図1は、アダプターおよびバーコードをポリヌクレオチドに結合させることにより配列
決定のためのポリヌクレオチドを調製する方法、ならびに本技術により生成されるアダプ
ター付加ポリヌクレオチドおよびアダプター付加ポリヌクレオチドアンプリコンを示す。
アダプター付加ポリヌクレオチドは、本発明の実施形態にしたがって、選択的遺伝子増幅
を使用して融合事象を検出するために使用され得る。
図1では、アダプター付加ポリヌク
レオチド102は、目的の核酸、この場合、融合遺伝子の接合部を含む。アダプター付加
ポリヌクレオチド102は、第1の遺伝子104および第2の遺伝子106を含む。アダ
プター付加ポリヌクレオチド102は、それぞれの末端にアダプター108、アダプター
110も含む。アダプターを、ライゲーションのような任意の適した手法で結合すること
ができる。アダプターのうちの少なくとも1つは、分子バーコードまたは試料バーコード
であり得る、アダプターバーコード112を含む。
【0077】
時間Aで、標的特異的増幅のためにアダプター付加ポリヌクレオチドを調製する。アダ
プター付加ポリヌクレオチドを変性させて一本鎖ポリヌクレオチドを提供するか、または
増幅のために二本鎖ポリヌクレオチドを提供することができる。一部の実施形態では、ア
ダプター付加ポリヌクレオチドは非特異的な方法で増幅される(例えば、アダプター付加
ポリヌクレオチドのライブラリーのメンバーに結合したアダプター上のプライミング部位
に相補的なプライマーでアダプター付加ポリヌクレオチドを増幅することにより)。一部
の実施形態では、アダプター付加ポリヌクレオチドは、一般にアダプター付加ポリヌクレ
オチドの増幅の前に、上記のように濃縮される。
【0078】
アダプター付加ポリヌクレオチドは、標的特異的プライマー116を含む第1の増幅プ
ライマー114との接触のために調製される。標的特異的プライマー116は、アダプタ
ー付加ポリヌクレオチドに存在することが知られているまたは疑われる配列、例えば、第
2の遺伝子106内の配列に相補的である。第1の増幅プライマー114は、分析される
試料または目的のポリヌクレオチドに存在することが知られているまたは疑われる遺伝子
または他の標的の一部に特異的な、標的特異的バーコード118も含む。これに関連して
、遺伝子特異的とは、遺伝子に相補的であることを意味するのではなく、バーコードが遺
伝子に特異的に関連付けられていることを意味し、そのため、遺伝子特異的バーコードの
配列を検出すると、関連配列が存在することが確実に示される。
【0079】
時間Bで、アダプター付加ポリヌクレオチドは、アダプター付加ポリヌクレオチドアン
プリコンのライブラリーを生成するために、第1の増幅プライマー114および第2の増
幅プライマー120の存在下で増幅される。アダプター付加ポリヌクレオチドアンプリコ
ンは、目的の核酸、アダプターまたはその相補体、および遺伝子特異的なバーコードまた
はその相補体を含む。説明を簡単にするために、
図1は、第1の増幅プライマー114お
よび第2の増幅プライマー120の1つのセットを示すが、増幅反応は、さまざまな配列
に対して多数の標的特異的プライマーを使用することができ、多数の目的の核酸のアンプ
リコンを生成できる。一部の実施形態では、アダプター付加ポリヌクレオチドは、タグが
ビオチンまたは他の結合パートナーを含む場合のような、ポリヌクレオチドのプールから
濃縮される。
【0080】
一部の実施形態では(濃縮に加えてまたは濃縮の代わりであってもよい)、ポリヌクレ
オチド(アダプター付加ポリヌクレオチドを含む)は、外部もしくは内部のプライマーま
たはネステッドプライマーで増幅できる。そのような実施形態では、外部プライマー、ま
たは増幅の初期のラウンドで使用されたプライマーは、標的特異的バーコードを含む必要
のない標的特異的プライマーである。内部プライマーまたは後続の増幅ラウンドのプライ
マーも標的特異的プライマーであり、標的特異的バーコードを含む。一般的に、ネステッ
ドPCRとは、初期のラウンドで使用されたプライマーに、少なくとも1塩基対分は内部
で結合する1つまたは複数の新しいプライマーを使用した、1回または複数の後続ラウン
ドのPCR増幅を表す。ネステッドPCRは、後続の反応で、正確な内部配列を持つ前の
増幅産物のみを増幅することにより、望ましくない増幅標的の数を減らす。ネステッドP
CRは、一般的に、以前の外部プライマー結合部位の完全に内側にプライマーを設計する
必要がある。
【0081】
アダプター付加ポリヌクレオチドアンプリコンは、次いで配列決定され得る。一部の実
施形態では、アダプター108の第1のプライミング部位124に相補的な第1の配列決
定プライマー122を使用して、少なくとも第1の遺伝子104の配列決定のための第1
のプライマー伸長を実行する。標識ヌクレオチドが配列決定反応でプライマーに加えられ
、アダプター付加ポリヌクレオチドアンプリコンに相補的な第1の伸長配列126が生成
され、アダプター付加ポリヌクレオチドに関する配列情報が提供される。第1のプライマ
ー伸長は、アダプター付加ポリヌクレオチドアンプリコンの第1の位置で起こる。第1の
プライミング部位124は、アダプターバーコードを第1の遺伝子104と共にまたは別
々に配列決定することを望むかどうかに応じて、アダプターバーコードに対して一般に5
’または3’であり得る。第2の配列決定プライマー128を使用して、少なくとも遺伝
子特異的バーコード118の配列決定のための第2のプライマー伸長を実行する。第2の
配列決定プライマー128は、遺伝子特異的バーコード118の3’および標的特異的配
列116の5’である第1の増幅プライマー114の部分130に相補的である。標識ヌ
クレオチドが配列決定反応でプライマーに加えられ、遺伝子特異的バーコードに相補的な
第2の伸長配列132が生成され、遺伝子特異的バーコードに関する配列情報が提供され
る。上記のように、第1および第2の序数は、第2のプライマーの前に第1のプライマー
が使用されることを意味せず、代わりに、異なるプライマーを互いに区別するために使用
される。
【0082】
時間Cで、配列決定反応からのデータは、処理され、解釈される。一部の実施形態では
、第1の伸長配列126は第1の遺伝子の配列であると決定され、第2の伸長配列132
は第2の遺伝子に関連する遺伝子特異的バーコードの配列であると決定される。これらの
決定に基づいて、データは目的の核酸の中で融合遺伝子の存在を示すものとして解釈され
る。融合遺伝子は、第1の遺伝子および第2の遺伝子の部分を含み、その存在は、第2の
遺伝子106自体を直接配列決定しなくても決定される。
【0083】
[実施例2]
図2は、予めアダプターの結合を行うか否かにかかわらず、標的特異的プライマーでポ
リヌクレオチドを増幅できることを示す。ポリヌクレオチドは、アダプターをポリヌクレ
オチドに結合させ、続いて標的特異的(
図2の左側のワークフロー)、または本技術によ
って生成されたアダプター付加ポリヌクレオチドおよびアダプター付加ポリヌクレオチド
アンプリコンによって、配列決定のために調製され得る。アダプター付加ポリヌクレオチ
ドは、本発明の実施形態にしたがって、選択的遺伝子増幅を使用してゲノム再編成または
他の融合事象を検出するために使用され得る。
図2では、ポリヌクレオチド202は、目
的の核酸、この場合、融合遺伝子の接合部を含む。ポリヌクレオチド102は、第1の遺
伝子204および第2の遺伝子206を含む。
【0084】
時間Aで、標的特異的増幅のためにポリヌクレオチドを調製する。増幅のためには、ポ
リヌクレオチドを変性させて一本鎖ポリヌクレオチドを提供するか、または二本鎖ポリヌ
クレオチドを提供することができる。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは非特異的
な方法で増幅される(例えば、アダプター付加ポリヌクレオチドのライブラリーのメンバ
ーに結合したアダプター上のプライミング部位に相補的なプライマーでポリヌクレオチド
を増幅することにより)。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、一般にポリヌクレ
オチドの増幅の前に、上記のように濃縮される。
【0085】
ポリヌクレオチドは、標的特異的プライマー216を含む第1の増幅プライマー214
との接触のために調製される。標的特異的プライマー216は、ポリヌクレオチドに存在
することが知られているまたは疑われる配列、例えば、遺伝子206内の配列に相補的で
ある。第1の増幅プライマー214は、分析される試料または目的のポリヌクレオチドに
存在することが知られているまたは疑われる遺伝子の一部に特異的な、遺伝子特異的バー
コード218も含む。ポリヌクレオチドは、また、標的特異的プライマー217を含む第
2の増幅プライマー215との接触のために調製される。標的特異的プライマー217は
、ポリヌクレオチドに存在することが知られているまたは疑われる配列、例えば、遺伝子
204内の配列に相補的である。第2の増幅プライマー215は、また、標的特異的バー
コード、試料バーコード、分子バーコード、もしくは他のバーコード、またはバーコード
の組合せのようなバーコード219を含む。第1および第2の増幅プライマーの一方また
は両方はアダプターを含む場合がある。
【0086】
時間Bで、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドアンプリコンのライブラリーを生成
するために、第1の増幅プライマー214および第2の増幅プライマー215の存在下で
増幅される。ポリヌクレオチドアンプリコンは、目的の核酸、および標的特異的バーコー
ドまたはその相補体を含む。ポリヌクレオチドアンプリコンは、目的の核酸、アダプター
またはその相補体、および標的特異的バーコードまたはその相補体を含むアダプター付加
ポリヌクレオチドアンプリコンであり得る。説明を簡単にするために、
図2は、第1の増
幅プライマー214および第2の増幅プライマー215の1つのセットを示すが、増幅反
応は、さまざまな配列に対して多数の標的特異的プライマーを使用することができ、多数
の目的の核酸のアンプリコンを生成できる。
【0087】
次いで、ポリヌクレオチドアンプリコンを配列決定するか、濃縮、さらなる増幅、およ
び/またはアダプターの結合のような追加の処理ステップを行うことができる。例えば、
アダプターをアンプリコンの各末端に結合してアダプター付加ポリヌクレオチドアンプリ
コンが配列決定プライミング部位を有するように、および/または固体支持体に結合させ
得るようにすることができる。時間Cでは、ポリヌクレオチドアンプリコンは、固体支持
体に結合したプライマーにハイブリダイズし、プライマーは、支持体に結合したポリヌク
レオチドアンプリコンの相補体を提供するように伸長されている。アダプター208の第
1のプライミング部位224に相補的な第1の配列決定プライマー222を使用して、少
なくとも第1の遺伝子204の配列決定のための第1のプライマー伸長を実行する。標識
ヌクレオチドが配列決定反応でプライマーに加えられ、アダプター付加ポリヌクレオチド
アンプリコンに相補的な第1の伸長配列226が生成され、アダプター付加ポリヌクレオ
チドに関する配列情報が提供される。第1のプライマー伸長は、アダプター付加ポリヌク
レオチドアンプリコンの第1の位置で起こる。第1のプライミング部位224は、アダプ
ターバーコードを第1の遺伝子204と共にまたは別々に配列決定することを望むかどう
かに応じて、アダプターバーコードに対して一般に5’または3’であり得る。第2の配
列決定プライマー228を使用して、少なくとも遺伝子特異的バーコード218の配列決
定のための第2のプライマー伸長を実行する。第2の配列決定プライマー228は、遺伝
子特異的バーコード218の3’および標的特異的配列216の5’である第1の増幅プ
ライマー214の部分230に相補的である。標識ヌクレオチドが配列決定反応でプライ
マーに加えられ、遺伝子特異的バーコードに相補的な第2の伸長配列232が生成され、
遺伝子特異的バーコードに関する配列情報が提供される。上記のように、第1および第2
の序数は、第2のプライマーの前に第1のプライマーが使用されることを意味せず、代わ
りに、異なるプライマーを互いに区別するために使用される。
【0088】
時間Cで、配列決定反応からのデータは、処理され、解釈される。一部の実施形態では
、第1の伸長配列226は第1の遺伝子の配列であると決定され、第2の伸長配列232
は第2の遺伝子に関連する遺伝子特異的バーコードの配列であると決定される。これらの
決定に基づいて、データは目的の核酸の中で融合遺伝子の存在を示すものとして解釈され
る。融合遺伝子は、第1の遺伝子および第2の遺伝子の部分を含み、その存在は、第2の
遺伝子206自体を直接配列決定しなくても決定される。
【0089】
例となる実施形態
実施形態1。標的特異的バーコードを結合することにより配列決定のためのポリヌクレ
オチドを調製する方法であって、第1の増幅プライマーおよび第2の増幅プライマーでポ
リヌクレオチドを増幅することであって、第1の増幅プライマーはポリヌクレオチドの第
1のプライミング部位にハイブリダイズし、および第1の増幅プライマーは標的特異的バ
ーコードを含み、増幅はポリヌクレオチドアンプリコンを生成し、ポリヌクレオチドアン
プリコンは、目的のポリヌクレオチドおよび標的特異的バーコードと同一または相補的な
配列を含む、ことを含む方法。
【0090】
実施形態2。第2の増幅プライマーは、(1)第1のプライミング部位から距離を置い
て、ポリヌクレオチドに結合したアダプターの一部に、または(2)ポリヌクレオチドの
第2のプライミング部位にハイブリダイズし、第2のプライミング部位は第1のプライミ
ング部位から距離を置いている、実施形態1に記載の方法。
【0091】
実施形態3。第1のプライミング部位から距離を置いて、ポリヌクレオチドにアダプタ
ーを結合させることをさらに含み、アダプターは第2のプライミング部位を含む、実施形
態1に記載の方法。
【0092】
実施形態4。アダプターはさらにアダプターバーコードを含み、アダプターバーコード
は試料バーコードまたは分子バーコードである、実施形態3に記載の方法。
【0093】
実施形態5。第1のプライミング部位は融合遺伝子の一部であり、標的特異的バーコー
ドは融合遺伝子の一部に特異的である、実施形態1から4のいずれか1項に記載の方法。
【0094】
実施形態6。融合遺伝子の一部は、融合遺伝子の接合部である、実施形態5に記載の方
法。
【0095】
実施形態7。ポリヌクレオチドは、RNAテンプレートに由来するゲノム(gDNA)
または相補的DNA(cDNA)である、実施形態1から6のいずれか1項に記載の方法
。
【0096】
実施形態8。目的のポリヌクレオチドは、複数の目的のポリヌクレオチドを含み、方法
は、複数のアダプターを複数のポリヌクレオチドに結合させること、それによって複数の
アダプター付加ポリヌクレオチドのそれぞれが異なる分子バーコードを含む複数のアダプ
ター付加ポリヌクレオチドを形成することを含む、実施形態1から7のいずれか1項に記
載の方法。
【0097】
実施形態9。目的のポリヌクレオチドは、複数の目的のポリヌクレオチドを含み、第1
の増幅プライマーは、異なる標的特異的プライマーおよび異なる標的特異的バーコードを
有する複数の第1の増幅プライマーを含み、それによって複数のアダプター付加ポリヌク
レオチドアンプリコンのそれぞれが異なる標的特異的バーコードを含む複数のアダプター
付加ポリヌクレオチドアンプリコンを形成する、実施形態1から8のいずれか1項に記載
の方法。
【0098】
実施形態10。ポリヌクレオチドアンプリコンまたはアダプター付加ポリヌクレオチド
はビオチン部分のような結合パートナーを含む、実施形態1から9のいずれか1項に記載
の方法。
【0099】
実施形態11。第1のプライマー伸長および第2のプライマー伸長を行うことにより、
第1および第2の位置でポリヌクレオチドアンプリコンを配列決定することをさらに含み
、第1のプライマー伸長および第2のプライマー伸長は同一方向に実行される、実施形態
1から10のいずれか1項に記載の方法。第1の位置での配列決定は、目的のポリヌクレ
オチドの少なくとも一部の配列を提供することができ、第2の位置での配列決定は、標的
特異的バーコードの配列を提供することができる。
【0100】
実施形態12。第1のプライマー伸長および第2のプライマー伸長は、別々の配列決定
実行中にポリヌクレオチド上で同一方向に実行される、実施形態11に記載の方法。
【0101】
実施形態13。配列決定は次世代シーケンシング(NGS)または超並列シーケンシン
グである、実施形態11に記載の方法。
【0102】
実施形態14。例えば第1のプライマー伸長および第2のプライマー伸長の配列決定か
ら生成されたデータに基づいてゲノム再編成を同定することによって、ポリヌクレオチド
アンプリコンのうちの少なくとも1つのシングルエンドシーケンシングを使用してそのゲ
ノム再編成を検出することをさらに含む、実施形態1から13のいずれか1項に記載の方
法。
【0103】
実施形態15。ゲノム再編成の頻度は約10%またはそれより低い、あるいは5%また
はそれより低い、実施形態14に記載の方法。
【0104】
実施形態16。ゲノム再編成は転座である、実施形態14に記載の方法。
【0105】
実施形態17。第1のプライマー伸長の配列決定から生成されたデータは、ゲノム再編
成を決定するために既知のgDNA配列のような既知の核酸配列と比較される、実施形態
14に記載の方法。
【0106】
実施形態18。標的特異的バーコードを結合することにより配列決定のためのポリヌク
レオチドライブラリーを調製する方法であって、第1のセットの増幅プライマーおよび第
2のセットの増幅プライマーを使用してポリヌクレオチドプールを増幅することを含み、
第1のセットの増幅プライマーはポリヌクレオチドプール内の複数の異なる配列にハイブ
リダイズし、第1のセットの増幅プライマーのそれぞれは異なる標的特異的バーコードを
含む、方法。
【0107】
実施形態19。アダプター付加ポリヌクレオチドのライブラリーを生成することをさら
に含み、アダプター付加ポリヌクレオチドのそれぞれは、ポリヌクレオチドに結合したア
ダプターを含み、アダプターは第2のプライミング部位およびアダプターバーコードを含
む、実施形態18に記載の方法。
【0108】
実施形態20。増幅プライマーの第2のセットは、アダプター上の第2のプライミング
部位にハイブリダイズし、それによってアダプター付加ポリヌクレオチドアンプリコンを
生成する、実施形態19に記載の方法。
【0109】
実施形態21。第1のプライマー伸長および第2のプライマー伸長を行うことにより、
2つの位置で複数のアダプター付加ポリヌクレオチドアンプリコンのそれぞれを配列決定
することをさらに含み、第1のプライマー伸長および第2のプライマー伸長の配列決定は
、ポリヌクレオチドアンプリコンのそれぞれについて同一方向に実行される、実施形態1
8に記載の方法。
【0110】
実施形態22。第1のプライマー伸長および第2のプライマー伸長の配列決定から生成
されたデータに基づいてゲノム再編成を同定することをさらに含む、実施形態21に記載
の方法。
【0111】
実施形態23。第1の結合部位を有するポリヌクレオチドにおけるゲノム再編成を検出
する組成物またはキットであって、標的特異的プライマーおよび標的特異的バーコードを
含む第1の増幅プライマー、および第2の増幅プライマーを含む組成物またはキット。
【0112】
実施形態24。アダプターは第2のプライミング部位およびアダプターバーコードをさ
らに含み、第2の増幅プライマーは、アダプター内の配列に相補的または同一のプライミ
ング配列を含む、実施形態23に記載の組成物またはキット。
【0113】
実施形態25。第2の増幅プライマーは、(1)第1のプライミング部位から距離を置
いて、ポリヌクレオチドに結合したアダプターの一部に、または(2)ポリヌクレオチド
の第2のプライミング部位にハイブリダイズし、第2のプライミング部位は第1のプライ
ミング部位から距離を置いている、実施形態23に記載の組成物またはキット。
【0114】
実施形態26。アダプターおよび/また第2のプライミング部位は、ポリヌクレオチド
鎖の5’末端にあり、第1のプライミング部位は、鎖の3’末端にある、実施形態24に
記載の組成物またはキット。
【0115】
実施形態27。ポリヌクレオチドにおけるゲノム再編成を検出する方法であって、第1
の増幅プライマーおよび第2の増幅プライマーでポリヌクレオチドを増幅することであっ
て、第1の増幅プライマーはポリヌクレオチドの第1のプライミング部位にハイブリダイ
ズし、第1の増幅プライマーは標的特異的バーコードをさらに含み、増幅は、目的のポリ
ヌクレオチドおよび標的特異的バーコードと同一または相補的な配列を含むポリヌクレオ
チドアンプリコンを生成する、ことと、第1のプライマー伸長および第2のプライマー伸
長を行うことにより、第1および第2の位置でポリヌクレオチドアンプリコンを配列決定
することであって、第1のプライマー伸長および第2のプライマー伸長は同一方向に実行
される、こととを含む方法。
【0116】
実施形態28。第1の位置での配列決定は、目的のポリヌクレオチドの少なくとも一部
の配列を提供し、第2の位置での配列決定は、標的特異的バーコードの配列を提供する、
実施形態27に記載の方法。
【0117】
実施形態29。第1のプライマー伸長および第2のプライマー伸長は、別々の配列決定
実行中にポリヌクレオチド上で同一方向に実行される、実施形態27または28に記載の
方法。
【0118】
実施形態30。配列決定は次世代シーケンシング(NGS)または超並列シーケンシン
グである、実施形態27から39のいずれか1項に記載の方法。
【0119】
実施形態31。例えば第1のプライマー伸長および第2のプライマー伸長の配列決定か
ら生成されたデータに基づいてゲノム再編成を同定することによって、ポリヌクレオチド
アンプリコンのうちの少なくとも1つのシングルエンドシーケンシングを使用してそのゲ
ノム再編成を検出することをさらに含む、実施形態27から30のいずれか1項に記載の
方法。
【0120】
実施形態32。ゲノム再編成の頻度は約10%またはそれより低い、実施形態31に記
載の方法。
【0121】
実施形態33。ゲノム再編成は転座である、実施形態31または32に記載の方法。
【0122】
実施形態34。第1のプライマー伸長の配列決定から生成されたデータは、ゲノム再編
成を決定するために既知のgDNA配列のような既知の核酸配列と比較される、実施形態
27から33のいずれか1項に記載の方法。
【0123】
本開示に照らして、本教示に沿って方法を実施できることに留意されたい。さらに、さ
まざまな構成要素、材料、構造およびパラメータは単なる説明および例として含まれ、限
定を意味するものではない。本開示に照らして、本教示は、添付された特許請求の範囲内
で、他の用途で実施することができ、これらの用途を実施するための構成要素、材料、構
造、および設備を決定することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的特異的バーコードを結合することによる、配列決定のためのポリヌクレオチドを調製する方法であって、
第1の増幅プライマーおよび第2の増幅プライマーでポリヌクレオチドを増幅するステップであって、前記第1の増幅プライマーは前記ポリヌクレオチドの第1のプライミング部位にハイブリダイズし、および前記第1の増幅プライマーは標的特異的バーコードを含み、前記増幅はポリヌクレオチドアンプリコンを生成し、前記ポリヌクレオチドアンプリコンは、目的の前記ポリヌクレオチドおよび前記標的特異的バーコードと同一または相補的な配列を含む、ステップ
を含む方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0123
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0123】
本開示に照らして、本教示に沿って方法を実施できることに留意されたい。さらに、さまざまな構成要素、材料、構造およびパラメータは単なる説明および例として含まれ、限定を意味するものではない。本開示に照らして、本教示は、添付された特許請求の範囲内で、他の用途で実施することができ、これらの用途を実施するための構成要素、材料、構造、および設備を決定することができる。
出願時の特許請求の範囲は以下の通り。
[請求項1]
標的特異的バーコードを結合することによる、配列決定のためのポリヌクレオチドを調製する方法であって、
第1の増幅プライマーおよび第2の増幅プライマーでポリヌクレオチドを増幅するステップであって、前記第1の増幅プライマーは前記ポリヌクレオチドの第1のプライミング部位にハイブリダイズし、および前記第1の増幅プライマーは標的特異的バーコードを含み、前記増幅はポリヌクレオチドアンプリコンを生成し、前記ポリヌクレオチドアンプリコンは、目的の前記ポリヌクレオチドおよび前記標的特異的バーコードと同一または相補的な配列を含む、ステップ
を含む方法。
[請求項2]
前記第2の増幅プライマーは、(1)前記第1のプライミング部位から距離を置いて、前記ポリヌクレオチドに結合したアダプターの一部に、または(2)前記ポリヌクレオチドの第2のプライミング部位にハイブリダイズし、前記第2のプライミング部位は前記第1のプライミング部位から距離を置いている、請求項1に記載の方法。
[請求項3]
前記第1のプライミング部位から距離を置いて、前記ポリヌクレオチドにアダプターを結合させるステップをさらに含み、前記アダプターは第2のプライミング部位を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
[請求項4]
前記第1のプライミング部位は融合遺伝子の一部であり、前記標的特異的バーコードは前記融合遺伝子の一部に特異的である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
[請求項5]
前記融合遺伝子の一部は、前記融合遺伝子の接合部である、請求項4に記載の方法。
[請求項6]
前記目的のポリヌクレオチドは、複数の目的のポリヌクレオチドを含み、前記方法は、複数のアダプターを前記複数のポリヌクレオチドに結合させるステップ、それによって複数のアダプター付加ポリヌクレオチドのそれぞれが異なる分子バーコードを含む複数のアダプター付加ポリヌクレオチドを形成するステップを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
[請求項7]
前記目的のポリヌクレオチドは、複数の目的のポリヌクレオチドを含み、前記第1の増幅プライマーは、異なる標的特異的プライマーおよび異なる標的特異的バーコードを有する複数の第1の増幅プライマーを含み、それによって複数のアダプター付加ポリヌクレオチドアンプリコンのそれぞれが異なる標的特異的バーコードを含む複数のアダプター付加ポリヌクレオチドアンプリコンを形成する、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
[請求項8]
前記ポリヌクレオチドアンプリコンまたはアダプター付加ポリヌクレオチドはビオチン部分のような結合パートナーを含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
[請求項9]
第1のプライマー伸長および第2のプライマー伸長を行うステップにより、第1および第2の位置で前記ポリヌクレオチドアンプリコンを配列決定するステップをさらに含み、前記第1のプライマー伸長および前記第2のプライマー伸長は同一方向に実行される、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
[請求項10]
前記第1のプライマー伸長および前記第2のプライマー伸長は、別々の配列決定実行中に前記ポリヌクレオチド上で同一方向に実行される、請求項9に記載の方法。
[請求項11]
第1の結合部位を有するポリヌクレオチドにおけるゲノム再編成を検出する組成物またはキットであって、
標的特異的プライマーおよび標的特異的バーコードを含む第1の増幅プライマー、および
第2の増幅プライマー
を含む組成物またはキット。
[請求項12]
アダプターは第2のプライミング部位およびアダプターバーコードをさらに含み、
前記第2の増幅プライマーは、前記アダプター内の配列に相補的または同一のプライミング配列を含む、請求項11に記載の組成物またはキット。
[請求項13]
ポリヌクレオチドにおけるゲノム再編成を検出する方法であって、
第1の増幅プライマーおよび第2の増幅プライマーでポリヌクレオチドを増幅するステップであって、前記第1の増幅プライマーは前記ポリヌクレオチドの第1のプライミング部位にハイブリダイズし、および前記第1の増幅プライマーは標的特異的バーコードを含み、前記増幅は、目的の前記ポリヌクレオチドおよび前記標的特異的バーコードと同一または相補的な配列を含むポリヌクレオチドアンプリコンを生成する、ステップと、
第1のプライマー伸長および第2のプライマー伸長を行うステップにより、第1および第2の位置で前記ポリヌクレオチドアンプリコンを配列決定するステップであって、前記第1のプライマー伸長および前記第2のプライマー伸長は同一方向に実行される、ステップと
を含む方法。
[請求項14]
前記第1の位置での前記配列決定は、前記目的のポリヌクレオチドの少なくとも一部の配列を提供し、前記第2の位置での前記配列決定は、前記標的特異的バーコードの配列を提供する、請求項13に記載の方法。
[請求項15]
前記第1のプライマー伸長および前記第2のプライマー伸長は、別々の配列決定実行中に前記ポリヌクレオチド上で同一方向に実行される、請求項13または請求項14に記載の方法。
[請求項16]
前記配列決定は次世代シーケンシング(NGS)または超並列シーケンシングである、請求項13から15のいずれか1項に記載の方法。
[請求項17]
例えば前記第1のプライマー伸長および前記第2のプライマー伸長の前記配列決定から生成されたデータに基づいてゲノム再編成を同定するステップによって、前記ポリヌクレオチドアンプリコンのうちの少なくとも1つのシングルエンドシーケンシングを使用してそのゲノム再編成を検出するステップをさらに含む、請求項13から16のいずれか1項に記載の方法。
[請求項18]
前記ゲノム再編成の頻度は約10%またはそれより低い、請求項17に記載の方法。
[請求項19]
前記ゲノム再編成は転座である、請求項17に記載の方法。
[請求項20]
前記第1のプライマー伸長の前記配列決定から生成された前記データは、ゲノム再編成を決定するために既知のgDNA配列のような既知の核酸配列と比較される、請求項13から19のいずれか1項に記載の方法。
【外国語明細書】