(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009963
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】クローン病及び潰瘍性大腸炎を処置する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4985 20060101AFI20240116BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240116BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240116BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240116BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240116BHJP
C07D 487/14 20060101ALN20240116BHJP
【FI】
A61K31/4985
A61P1/04
A61P43/00 111
A61K9/20
A61K9/48
C07D487/14
【審査請求】有
【請求項の数】103
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023177288
(22)【出願日】2023-10-13
(62)【分割の表示】P 2019548450の分割
【原出願日】2018-03-09
(31)【優先権主張番号】62/469,337
(32)【優先日】2017-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/470,565
(32)【優先日】2017-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/483,289
(32)【優先日】2017-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/593,629
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルーパール・ビー・タッカー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ジュンガーワース
(72)【発明者】
【氏名】アナ・ポーラ・マチャド・デ・ラセルダ
(72)【発明者】
【氏名】アン・エム・ロビンソン
(72)【発明者】
【氏名】ホセ・ジェフリー・ブイ・エネホサ
(72)【発明者】
【氏名】アイリーン・エル・パンガン
(72)【発明者】
【氏名】モハメッド-エスラーム・モハメッド
(72)【発明者】
【氏名】アハメド・オスマン
(72)【発明者】
【氏名】ベン・クリュンダー
(72)【発明者】
【氏名】アイマン・ディー・アライアン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ビー・ボーチャート
(72)【発明者】
【氏名】フレドリック・ラース・ノルドストローム
(72)【発明者】
【氏名】アフマド・ワイ・シャイフ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・エム・マルハーン
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤンシー・ジャヤンス
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ジェイ・マローム
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ティー・メイヤー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】JAK1阻害剤を使用してクローン病を処置するための方法、特に、クローン病の臨床的寛解及び/又は内視鏡的改善を誘導するための方法を提供する。
【解決手段】患者のクローン病の臨床的寛解を誘導する方法であって、a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、b.患者が、第1の導入用量の投与後12週以内に臨床的寛解を達成する、方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のクローン病の臨床的寛解を誘導する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の導入用量の投与後12週以内に臨床的寛解を達成する、方法。
【請求項2】
クローン病の臨床的寛解が、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後4週以内に誘導される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
患者のクローン病の臨床的応答を誘導する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも2週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が臨床的応答を達成する、方法。
【請求項4】
クローン病の臨床的応答が、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後4週以内に誘導される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
クローン病の臨床的応答が、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後12週以内に誘導される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
患者のクローン病の内視鏡的寛解を誘導する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも12週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の導入用量の投与後12週以内に内視鏡的寛解を達成する、方法。
【請求項7】
患者のクローン病の内視鏡的応答を誘導する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含む、
方法。
【請求項8】
クローン病の内視鏡的応答が、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後12週以内に誘導される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
患者のクローン病のコルチコステロイドを用いない寛解を誘導する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも12週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の導入用量の投与後12週以内に、ステロイドを用いない寛解を達成する、方法。
【請求項10】
患者が、中程度から重症の活動性クローン病を有する成人である、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
患者が、第1の導入用量の投与後12週以内に150超のCDAIの減少を経験する、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
患者が、コルチコステロイド、免疫抑制剤又は生物学的薬剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、又は不耐性を経験した、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
患者が、抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、又は不耐性を経験した、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
抗TNF剤が、インフリキシマブ、アダリムマブ又はセルトリズマブペゴルである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
患者が、10年を超えて、クローン病の診断を有していたことがあり、1つ以上の前処置に対して不十分な応答を有していたことがある、又は不耐性を経験したことがある、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前処置が、コルチコステロイド、免疫抑制剤、抗生物質及び生物学的治療からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
患者のクローン病の臨床的寛解を誘導及び維持する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の導入用量の投与後4週以内に臨床的寛解を達成し、
c.最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
d.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
e.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法。
【請求項18】
患者のクローン病の臨床的応答を誘導及び維持する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも2週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の導入用量の投与後2週以内に臨床的応答を達成し、
c.最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
d.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
e.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的応答を維持する、方法。
【請求項19】
クローン病の臨床的応答が、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後4週以内に誘導される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
クローン病の臨床的応答が、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後12週以内に誘導される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
患者のクローン病の内視鏡的寛解を誘導及び維持する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、
b.最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
c.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
d.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、内視鏡的寛解を維持する、方法。
【請求項22】
クローン病の内視鏡的寛解が、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後12週以内に誘導される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
患者のクローン病の内視鏡的応答を誘導及び維持する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の導入用量の投与後4週以内に内視鏡的応答を達成し、
c.最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
d.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
e.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、内視鏡的応答を維持する、方法。
【請求項24】
クローン病の内視鏡的応答が、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後12週以内に誘導される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
患者のクローン病のコルチコステロイドを用いない寛解を誘導及び維持する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも12週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の導入用量の投与後12週以内に、ステロイドを用いない寛解を達成し、
c.最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
d.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
e.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、コルチコステロイドを用いない寛解を維持する、方法。
【請求項26】
患者が、中程度から重症の活動性クローン病を有する成人である、請求項17~25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
患者が、第1の導入用量の投与後12週以内に150超のCDAIの減少を経験する、請求項17~25のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
患者が、コルチコステロイド、免疫抑制剤又は生物学的薬剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、又は不耐性を経験した、請求項17~25のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
患者が、抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、又は不耐性を経験した、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
抗TNF剤が、インフリキシマブ、アダリムマブ又はセルトリズマブペゴルである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
患者が、10年を超えて、クローン病の診断を有していたことがあり、1つ以上の前処置に対して不十分な応答を有していたことがある、又は不耐性を経験したことがある、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前処置が、コルチコステロイド、免疫抑制剤(immunosupressant)、抗生物質及び生物学的治療から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
患者のクローン病の臨床的寛解を誘導及び維持する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の導入用量の投与後4週以内に臨床的寛解を達成し、
c.最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
d.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
e.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法。
【請求項34】
患者のクローン病の臨床的応答を誘導及び維持する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも2週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の導入用量の投与後2週以内に臨床的応答を達成し、
c.最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
d.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
e.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的応答を維持する、方法。
【請求項35】
クローン病の臨床的応答が、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後4週以内に誘導される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
クローン病の臨床的応答が、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後12週以内に誘導される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
患者のクローン病の内視鏡的寛解を誘導及び維持する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の導入用量の投与後12週以内に内視鏡的寛解を達成し、
c.最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
d.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
e.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、内視鏡的寛解を維持する、方法。
【請求項38】
患者のクローン病の内視鏡的応答を誘導及び維持する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の導入用量の投与後12週以内に内視鏡的応答を達成し、
c.最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
d.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
e.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、内視鏡的応答を維持する、方法。
【請求項39】
患者のクローン病のコルチコステロイドを用いない寛解を誘導及び維持する方法であって、
a.、45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも12週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の導入用量の投与後4週以内に、ステロイドを用いない寛解を達成し、
c.最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
d.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
e.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、コルチコステロイドを用いない寛解を維持する、方法。
【請求項40】
患者が、中程度から重症の活動性クローン病を有する成人である、請求項33~39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
患者が、第1の導入用量の投与後12週以内に150超のCDAIの減少を経験する、請求項33~39のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
患者が、コルチコステロイド、免疫抑制剤又は生物学的薬剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、又は不耐性を経験した、請求項33~39のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
患者が、抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、又は不耐性を経験した、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
抗TNF剤が、インフリキシマブ、アダリムマブ又はセルトリズマブペゴルである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
患者が、10年を超えて、クローン病の診断を有していたことがあり、1つ以上の前処置に対して不十分な応答を有していたことがある、又は不耐性を経験したことがある、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前処置が、コルチコステロイド、免疫抑制剤、抗生物質及び生物学的治療から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
患者の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の導入用量の投与後4週以内に臨床的寛解を達成する、方法。
【請求項48】
患者の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも6週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の45mgの導入用量の投与後6週以内に臨床的寛解を達成する、方法。
【請求項49】
患者の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも8週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の45mgの導入用量の投与後8週以内に臨床的寛解を達成する、方法。
【請求項50】
患者の潰瘍性大腸炎の内視鏡的改善を誘導する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも8週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の導入用量の投与後8週以内に内視鏡的改善を達成する、方法。
【請求項51】
患者の潰瘍性大腸炎の内視鏡的寛解を誘導する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも8週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の45mgの導入用量の投与後8週以内に内視鏡的寛解を達成する、方法。
【請求項52】
患者が、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する、請求項47~51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
患者が、第1の導入用量の時点でコルチコステロイドを摂取している、請求項47~51のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
臨床的寛解、内視鏡的改善又は内視鏡的寛解においてコルチコステロイドが用いられない、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
患者が、1種以上のコルチコステロイド、免疫抑制剤又は生物学的治療に対して不十分な応答、応答の喪失又は不耐性を示した、請求項47~54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
免疫抑制剤が、経口アザチオプリン、6-メルカプトプリン、注射可能なメトトレキセート及びタクロリムスから選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
生物学的治療が、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ及びベドリズマブから選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
コルチコステロイドを摂取している患者における不十分な応答が、経口で3~4週間又は静脈内で1週間、プレドニゾン≧40mg/日当量を含む少なくとも1つの誘導レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候を経験している患者と定義される、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
患者が、活動性疾患の再発なしに、経口で1日にプレドニゾン10mg当量未満にコルチコステロイドを漸減することができない、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
コルチコステロイドに対する患者の不耐性によって、クッシング症候群、骨減少症、骨粗鬆症、高血糖症、不眠症又は感染が生じる、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
免疫抑制剤に対して不十分な応答を経験している患者が、経口アザチオプリン、6-メルカプトプリン、注射可能なメトトレキセート又はタクロリムスの少なくとも1つの90日間レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候を経験した、請求項55に記載の方法。
【請求項62】
免疫抑制剤に対して不十分な応答を経験している患者が、悪心、嘔吐、腹痛、膵炎、肝酵素異常、リンパ球減少症又は感染を経験した、請求項55に記載の方法。
【請求項63】
生物学的治療に対して不十分な応答を経験している患者が、
a.0、2及び6週目に5mg/kg以上の静脈内用量を含むインフリキシマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン、
b.少なくとも2週間隔てて、160mgの皮下用量1回の後に80mgの皮下用量1回、又は80mgの皮下用量1回の後に40mgの皮下用量1回を含む、アダリムマブの少なくとも1つの4週間誘導レジメン、
c.少なくとも2週間隔てて、200mgの皮下用量1回の後に100mgの皮下用量1回を含む、ゴリムマブの少なくとも1つの2週間誘導レジメン、
d.0、2及び6週目に300mgの静脈内用量を含む、ベドリズマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン
の履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候を経験した、請求項55に記載の方法。
【請求項64】
生物学的治療に対して不十分な応答を経験している患者が、以前の臨床的利益に従って計画された維持投与中に、症候の再発を経験した、請求項55に記載の方法。
【請求項65】
生物学的治療に対して不耐性を経験している患者が、輸注反応、脱髄、感染によるうっ血性心不全を経験した、請求項55に記載の方法。
【請求項66】
患者の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導及び維持する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の導入用量の投与後4週以内に臨床的寛解を達成し、
c.最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
d.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
e.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法。
【請求項67】
患者の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導及び維持する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも6週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の45mgの導入用量の投与後6週以内に臨床的寛解を達成し、
c.最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
d.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
e.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法。
【請求項68】
患者の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導及び維持する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも8週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の45mgの導入用量の投与後8週以内に臨床的寛解を達成し、
c.最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
d.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
e.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法。
【請求項69】
患者の潰瘍性大腸炎の内視鏡的改善を誘導及び維持する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも8週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の導入用量の投与後8週以内に内視鏡的改善を達成し、
c.最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
d.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
e.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法。
【請求項70】
患者の潰瘍性大腸炎の内視鏡的寛解を誘導及び維持する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも8週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の45mgの導入用量の投与後8週以内に内視鏡的寛解を達成し、
c.最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
d.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
e.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法。
【請求項71】
患者が、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する、請求項66~70のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
患者が、第1の導入用量の時点でコルチコステロイドを摂取している、請求項66~70のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
臨床的寛解、内視鏡的改善又は内視鏡的寛解においてコルチコステロイドが用いられない、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
患者が、1種以上のコルチコステロイド、免疫抑制剤又は生物学的治療に対して不十分な応答、応答の喪失又は不耐性を示した、請求項66~70のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
免疫抑制剤が、経口アザチオプリン、6-メルカプトプリン、注射可能なメトトレキセート及びタクロリムスから選択される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
生物学的治療が、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ及びベドリズマブから選択される、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
コルチコステロイドを摂取している患者における不十分な応答が、経口で3~4週間又は静脈内で1週間、プレドニゾン≧40mg/日当量を含む少なくとも1つの誘導レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候を経験している患者と定義される、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
患者が、活動性疾患の再発なしに、経口で1日にプレドニゾン10mg当量未満にコルチコステロイドを漸減することができない、請求項74に記載の方法。
【請求項79】
コルチコステロイドに対する患者の不耐性によって、クッシング症候群、骨減少症、骨粗鬆症、高血糖症、不眠症又は感染が生じる、請求項74に記載の方法。
【請求項80】
免疫抑制剤に対して不十分な応答を経験している患者が、経口アザチオプリン、6-メルカプトプリン、注射可能なメトトレキセート又はタクロリムスの少なくとも1つの90日間レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候を経験した、請求項74に記載の方法。
【請求項81】
免疫抑制剤に対して不耐性を経験している患者が、悪心、嘔吐、腹痛、膵炎、肝酵素異常、リンパ球減少症又は感染を経験した、請求項74に記載の方法。
【請求項82】
生物学的治療に対して不十分な応答を経験している患者が、
a.0、2及び6週目に5mg/kg以上の静脈内用量を含むインフリキシマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン、
b.少なくとも2週間隔てて、160mgの皮下用量1回の後に80mgの皮下用量1回、又は80mgの皮下用量1回の後に40mgの皮下用量1回を含む、アダリムマブの少なくとも1つの4週間誘導レジメン、
c.少なくとも2週間隔てて、200mgの皮下用量1回の後に100mgの皮下用量1回を含む、ゴリムマブの少なくとも1つの2週間誘導レジメン、又は
d.0、2及び6週目に300mgの静脈内用量を含む、ベドリズマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン
の履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候を経験した、請求項74に記載の方法。
【請求項83】
生物学的治療に対して不十分な応答を経験している患者が、以前の臨床的利益に従って計画された維持投与中に、症候の再発を経験した、請求項74に記載の方法。
【請求項84】
生物学的治療に対して不耐性を経験している患者が、輸注反応、脱髄、感染によるうっ血性心不全を経験した、請求項74に記載の方法。
【請求項85】
患者の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導及び維持する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の導入用量の投与後4週以内に臨床的寛解を達成し、
c.最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
d.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
e.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法。
【請求項86】
患者の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導及び維持する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも6週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の45mgの導入用量の投与後6週以内に臨床的寛解を達成し、
c.最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
d.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
e.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法。
【請求項87】
患者の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導及び維持する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも8週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の45mgの導入用量の投与後8週以内に臨床的寛解を達成し、
c.最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
d.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
e.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法。
【請求項88】
患者の潰瘍性大腸炎の内視鏡的改善を誘導及び維持する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも12週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の導入用量の投与後12週以内に内視鏡的改善を達成し、
c.最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
d.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
e.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法。
【請求項89】
患者の潰瘍性大腸炎の内視鏡的寛解を誘導及び維持する方法であって、
a.45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも12週間、1日1回経口投与することを含み、
b.患者が、第1の45mgの導入用量の投与後12週以内に内視鏡的寛解を達成し、
c.最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、
d.少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、
e.患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法。
【請求項90】
患者が、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する、請求項85~89のいずれかに記載の方法。
【請求項91】
患者が、第1の導入用量の時点でコルチコステロイドを摂取している、請求項85~89のいずれかに記載の方法。
【請求項92】
臨床的寛解、内視鏡的改善又は内視鏡的寛解においてコルチコステロイドが用いられない、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
患者が、1種以上のコルチコステロイド、免疫抑制剤又は生物学的治療に対して不十分な応答、応答の喪失又は不耐性を示した、請求項85~89のいずれかに記載の方法。
【請求項94】
免疫抑制剤が、経口アザチオプリン、6-メルカプトプリン、注射可能なメトトレキセート及びタクロリムスから選択される、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
生物学的治療が、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ及びベドリズマブから選択される、請求項93に記載の方法。
【請求項96】
コルチコステロイドを摂取している患者における不十分な応答が、経口で3~4週間又は静脈内で1週間、プレドニゾン≧40mg/日当量を含む少なくとも1つの誘導レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候を経験している患者と定義される、請求項93に記載の方法。
【請求項97】
患者が、活動性疾患の再発なしに、経口で1日にプレドニゾン10mg当量未満にコルチコステロイドを漸減することができない、請求項93に記載の方法。
【請求項98】
コルチコステロイドに対する患者の不耐性によって、クッシング症候群、骨減少症、骨粗鬆症、高血糖症、不眠症又は感染が生じる、請求項93に記載の方法。
【請求項99】
免疫抑制剤に対して不十分な応答を経験している患者が、経口アザチオプリン、6-メルカプトプリン、注射可能なメトトレキセート又はタクロリムスの少なくとも1つの90日間レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候を経験した、請求項93に記載の方法。
【請求項100】
免疫抑制剤に対して不耐性を経験している患者が、悪心、嘔吐、腹痛、膵炎、肝酵素異常、リンパ球減少症又は感染を経験した、請求項93に記載の方法。
【請求項101】
生物学的治療に対して不十分な応答を経験している患者が、
a.0、2及び6週目に5mg/kg以上の静脈内用量を含むインフリキシマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン、
b.少なくとも2週間隔てて、160mgの皮下用量1回の後に80mgの皮下用量1回、又は80mgの皮下用量1回の後に40mgの皮下用量1回を含む、アダリムマブの少なくとも1つの4週間誘導レジメン、
c.少なくとも2週間隔てて、200mgの皮下用量1回の後に100mgの皮下用量1回を含む、ゴリムマブの少なくとも1つの2週間誘導レジメン、
d.0、2及び6週目に300mgの静脈内用量を含む、ベドリズマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン
の履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候を経験した、請求項93に記載の方法。
【請求項102】
生物学的治療に対して不十分な応答を経験している患者が、以前の臨床的利益に従って計画された維持投与中に、症候の再発を経験した、請求項93に記載の方法。
【請求項103】
生物学的治療に対して不耐性を経験している患者が、輸注反応、脱髄、感染によるうっ血性心不全を経験した、請求項93に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年3月9日に出願した米国仮出願第62/469,337号、2017年3月13日に出願した米国仮出願第62/470,565号、2017年4月7日に出願した米国仮出願第62/483,289号、及び2017年12月1日に出願した米国仮出願第62/593,629号の優先権を主張し、それぞれの全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、JAK1阻害剤を使用してクローン病及び潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患を処置するための方法、特にクローン病の臨床的寛解及び内視鏡的改善、又は潰瘍性大腸炎の臨床的寛解及び内視鏡的改善を誘導するための方法を対象とする。ある特定の実施形態では、患者は、クローン病の臨床的寛解及び/若しくは内視鏡的改善、又は潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導するための導入用量のJAK1阻害剤を投与された後、少なくとも1つの維持用量のJAK1阻害剤を投与される。
【背景技術】
【0003】
炎症性腸疾患(IBD)は、患者の消化管の慢性炎症を伴う。IBDには、クローン病及び潰瘍性大腸炎の両方が含まれる。IBDの正確な原因は知られていない。IBDは、特発性IBDであり得る。
【0004】
クローン病(CD)は、胃腸管のいかなる区域にも影響を及ぼすおそれがある、限局性の非対称性の、貫壁性の、場合により肉芽腫性の炎症によって顕在化した、様々な臨床的及び病理学的プロセスを包含する(Lichtenstein GR、Hanauer SB、Sandborn WJ;Practice Parameters Committee of American College of Gastroenterology、Management of Crohn’s disease in adults、Am J Gastroenterol.2009;104(2):465~83頁)。この疾患は、いかなる年齢の人にも影響を及ぼすおそれがあり、その発症は、20代及び30代において最も一般的である。女性の方が男性よりもわずかに影響を受けやすく、疾患になるリスクは、一部の民族においてより高い(Loftus EV Jr.、「Clinical epidemiology of inflammatory bowel disease:incidence,prevalence,and environmental influences」、Gastroenterology、2004;126(6):1504~17頁;Probert CS、Jayanthi V、Rampton DSら、「Epidemiology of inflammatory bowel disease in different ethnic and religious groups:limitations and aetiological clues」、Int.J Colorectal Dis.、1996;11(1):25~28頁)。北米では、CDの発生率は、100,000人当たり3.1~14.6件と推定される。有病率は、100,000人当たり症例数26~99件の範囲である。欧州では、CDは、100,000人当たり症例数0.7~9.8件の発生率、及び100,000人当たり症例数8.3~214件の有病率を有する(Loftus EV Jr.Clinical epidemiology of inflammatory bowel disease:incidence,prevalence,and environmental influences.Gastroenterology.2004;126(6):1504~17頁)。
【0005】
CDは、腹痛、下痢、体重減少/栄養障害、倦怠感、並びに瘻、狭窄及び膿瘍のような合併症をもたらす進行性の性質を含む著しい罹患率によって特徴付けられている。南東ノルウェーからの集団ベースの研究では、実質的な数の患者が、診断後10年目に狭窄性又は浸透性表現型を示した(Solberg IC、Vatn MH、Hoie Oら;IBSEN Study Group.Clinical course in Crohn’s disease:results of a Norwegian population-based ten-year follow-up study.Clin Gastroenterol Heptaol.2007;5(12):1430~8頁)。さらに、CDと診断された患者のおよそ80%は、ある時点でこの疾患に関する少なくとも1つの手術が必要になる(Munkholm P、Langholz E、Davidsen Mら Intestinal cancer risk and mortality in patients with Crohn’s disease.Gastroenterology.1993:105(6):1716~23頁)。
【0006】
潰瘍性大腸炎(UC)は、特発性炎症性腸疾患(IBD)の2つの主要形態のうちの1つである。UCは、遺伝的に感受性の高い個体において環境要因に対する局所的免疫応答が制御されず、過剰になることによって引き起こされると想定されている(Hanauer SB.Update on the etiology、pathogenesis and diagnosis of ulcerative colitis.Nat Clin Pract Gastroenterol Hepatol.2004;1(1):26~31頁)。UCは、主に粘膜、場合により粘膜下腸管層の炎症及び潰瘍形成によって特徴付けられる、大腸の慢性の再発性炎症性疾患である。UCの年間最高発生率は、欧州で1年につき100,000人当たり24.3、アジア及び中東で1年につき100,000人当たり6.3、並びに北米で1年につき100,000人当たり19.2であり、有病率は、欧州で100,000人当たり505件、及び北米でヒト100,000当たり249件である。(Molodecky NA、Soon IS、Rabi DMら、Increasing incidence and prevalence of the inflammatory bowel diseases with time、based on systematic review.Gastroenterology.2012:142(1):46~54頁)。系統的再評価に基づくと、炎症性腸疾患の発生率及び有病率は、経時的に増大する。(Gastroenterology.2012;142(1):46~54頁.e42;quiz e30)。医療制度にかかるUCの負担は深刻であり、米国(US)だけで医師の診察を受けた患者は、年間ほぼ500,000人に上り、入院患者は46,000人を超える。(Sandler RS、Everhart JE、Donowitz Mら、Gastroenterology、2002;122(5):1500~11頁)。
【0007】
UCの特徴である臨床症候には、便意逼迫及びしぶり腹を伴う血性下痢が含まれる。その臨床経過は、増悪及び寛解を特徴とする。UCの診断は、臨床的根拠から疑われ、診断試験及び感染原因の排除によって裏付けられる。(Dignass A、Eliakim R、Magro Fら、Second European evidence-based consensus on the diagnosis and management of ulcerative colitis part 1:definitions and diagnosis.J Crohn’s Colitis.2012;6(10):965~90頁)。
【0008】
UCの最も重症の腸管症状は、中毒性巨大結腸及び穿孔である。腸管外合併症には、関節炎(末梢又は体軸関与)、皮膚科学的状態(結節性紅斑、アフタ性口内炎及び壊疽性膿皮症)、目の炎症(ぶどう膜炎)及び肝機能不全(原発性硬化性胆管炎)が含まれる。UCを有する患者は、結腸がんになるリスクが上昇しており、そのリスクは、罹患期間、並びにこの疾患による影響を受けている結腸の範囲と共に上昇する。(Rutter M、Saunders B、Wilkinson Kら、Severity of inflammation is a risk factor for colorectal neoplasia in ulcerative colitis.Gastroenterology、2004;126(2):451~9頁)。
【0009】
UCの医学的処置の目的は、炎症を制御し、症候を低減することである。利用可能な薬学的治療は限られており、炎症プロセスを完全には減弱することができず、著しい有害作用を有する場合がある。軽度から中程度の活動性UCの治療には、5-アミノサリチル酸誘導体及び免疫抑制剤が含まれる。
【0010】
コルチコステロイドは、より重症のUC症候を有する患者に使用されるが、より長期的な治療には有用ではない。(Truelove SC、Witts LJ.Cortisone and corticotrophin in ulcerative colitis.Br Med J.1959;1(5119):387~94頁)。コルチコステロイド毒性の頻度及び重症度は、感染、情動的及び精神的な障害、皮膚傷害、並びに代謝的骨疾患を含めて著しい。コルチコステロイドは、寛解の維持に有効ではなく、米国消化器病学会によるUC診療ガイドラインは、長期ステロイド処置を推奨しなかった。(Kornbluth A、Sachar DB;Practice Parameters Committee of the American College of Gastroenterology.Ulcerative colitis practice guidelines in adults:American College of Gastroenterology、Practice Parameters Committee.Am J Gastroenterol.2010;105(3):501~23頁;quiz 524)。中程度から重症の症候を有する患者は、免疫抑制剤(アザチオプリン[AZA]、6-メルカプトプリン[6-MP]又はメトトレキセート[MTX])からいくらかの利益を得ることができるが、これらの薬剤の使用は、作用の発症が緩慢であることに起因して(3~6カ月)、誘導処置としては制限されており、骨髄抑制、感染、肝毒性、膵炎、及び悪性腫瘍を含む有害事象(AE)に起因して、維持治療としては制限されている。(Kornbluth A、Sachar DB;Practice Parameters Committee of the American College of Gastroenterology.Ulcerative colitis practice guidelines in adults:American College of Gastroenterology、Practice Parameters Committee.Am J Gastroenterol.、2010;105(3):501~23頁;quiz 524;Beaugerie L、Brousse N、Bouvier AMら、Lymphoproliferative disorders in patients receiving thiopurines for inflammatory bowel disease:a prospective observational cohort study.Lancet.2009;374(9701):1617~25頁)。これらの治療があるにもかかわらず、潰瘍性大腸炎患者のおよそ15%は、重症の臨床経過を経験し、これらの患者の30%は、炎症プロセスの源を排除するために結腸/直腸の除去が必要になるが、著しい罹患率を伴う(Aratari A、Papi C、Clemente Vら、Colectomy rate in acute severe ulcerative colitis in the infliximab era.Dig Liver Dis.2008;40(10):821~6頁;Turner D、Walsh CM、Steinhart AHら、Response to corticosteroids in severe ulcerative colitis:a systematic review of the literature and a meta-regression.Clin Gastroenterol Hepatol.2007;5(1):103~10頁)。
【0011】
特異的な免疫学的経路を標的とする生物学的薬剤は、UCを有する患者の処置における治療効果について評価されている。抗腫瘍壊死因子(TNF)薬剤は、IBDのために使用された第1の生物製剤であった。インフリキシマブ、アダリムマブ及びゴリムマブは、UCの処置のための使用に成功している。近年、抗接着治療剤であるベドリズマブは、米国食品医薬局(FDA)及び欧州医薬品庁(EMA)によってUCの処置のために承認され、日本では臨床開発が進行中である。
【0012】
抗TNF治療は、ステロイド抵抗性若しくはステロイド依存性である患者、チオプリンに対して不十分な応答を有していた患者、又はこれらの医薬品に対して不耐性である患者にとって有効な処置である。抗TNF治療を用いる潜在的なリスクには、輸注又は注射部位反応、重篤な感染、リンパ腫、心不全、狼瘡様症候群、及び脱髄状態が含まれる(Sandborn WJ.State-of-the-art:immunosuppression and biologic therapy.Dig Dis.2010;28(3):536~42頁)。利用可能な生物学的薬剤を用いて有益な結果が達成されたとはいえ、それらを摂取した患者のうち17%~45%しか、臨床的寛解を達成することができていない。(Rutgeerts P、Sandborn W、Feagan Bら、Infliximab for induction and maintenance therapy for ulcerative colitis.N Engl J Med.2005、353(23):2462~76頁;Sandborn WJ、van Assche G、Reinisch Wら、Adalimumab induces and maintains clinical remission in patients with moderate-to-severe ulcerative colitis.Gastroenterology、2012、142(2):257~65頁;Feagan B、Greenberg G、Wild Gら、Treatment of ulcerative colitis with a humanized antibody to the alpha4beta7 integrin、N.Engl.J.Med.2005、352(24):2499~507頁;Sandborn W、Feagan B、Marano Cら、Subcutaneous golimumab induces clinical response and remission in patients with moderate-to-severe ulcerative colitis、Gastroenterology、2014、146(1):85~95頁;quiz e14~5)。したがって、従来の治療及び生物学的治療に対して不十分な応答又は不耐性を有する患者のためのUCの追加の治療選択肢が、依然として医学的に明らかに必要である。
【0013】
現在、CDのための公知の内科的又は外科的治癒が存在していないとすると、治療戦略は、症候を低減し、クオリティオブライフを改善し、炎症の内視鏡的証拠を低減し、短期及び長期の毒性及び合併症を最小限に抑えることである(Lichtenstein GR、Hanauer SB、Sandborn WJ;Practice Parameters Committee of American College of Gastroenterology、Management of Crohn’s disease in adults、Am J Gastroenterol.、2009、104(2):465~83頁)。現在、中程度から重症の疾患を有する患者は、通常、アザチオプリン、6-メルカプトプリン又はメトトレキセート(MTX)のようなコルチコステロイド及び免疫抑制剤を含む、従来の薬理学的介入を用いて処置される(Lichtenstein GR、Hanauer SB、Sandborn WJ、Practice Parameters Committee of American College of Gastroenterology、Management of Crohn’s disease in adults、Am J Gastroenterol、2009、104(2):465~83頁;Dignass A、Van Assche G、Lindsay JOら、European Crohn’s and Colitis Oganisation(ECCO)、The second European evidence-based Consensus on the diagnosis and management of Crohn’s disease:current management、J Crohn’s Colitis、2010、4(1):28~62頁、Erratum in:J Crohn’s Colitis、2010、4(3):353頁)。
【0014】
コルチコステロイドの長期使用による潜在的なリスクは、周知である。コルチコステロイドの短期間使用に伴う有害事象(AE)には、ざ瘡、満月様顔貌、浮腫、皮膚線条、耐糖能障害、及び睡眠/気分障害が含まれるが、より長期的な使用(通常、12週間以上であるが、時としてそれよりも短期間)により観察された潜在的なAEには、後のう下白内障、骨粗鬆症、大腿骨頭壊死症、ミオパチー及び感染への感受性が含まれる(Irving PM、Gearry RB、Sparrow MPら、Review article:appropriate use of corticosteroids in Crohn’s disease、Aliment Pharmacol Ther.、2007、26(3):313~29頁;Rutgeerts PJ、Review article:the limitations of corticosteroid therapy in Crohn’s disease、Aliment Pharmacol Ther.、2001、15(10):1515~25頁)。アザチオプリン及び6-メルカプトプリンに関する安全性リスクには、膵炎、骨髄抑制、感染性合併症及び悪性新生物が含まれる(Sandborn,WJ、State-of-the-art:immunosuppression and biologic therapy、Dig Dis.、2010、28(3):536~42頁)。MTXは、悪心、骨髄抑制、並びに肝臓及び肺毒性を伴う場合がある(Siegelら、Review article:Practical Management of Inflammatory Bowel Disease Patients Taking Immunosuppressants、Aliment Pharmacol Ther.、2005、22:1~16頁)。従来の治療に応答しない患者は、抗TNF-α治療(すなわち、生物製剤)で処置される(Lichtenstein GR、Hanauer SB、Sandborn WJ、Practice Parameters Committee of American College of Gastroenterology、Management of Crohn’s disease in adults、Am J Gastroenterol.、2009、104(2):465~83頁;Dignass A、Van Assche G、Lindsay JOら、European Crohn’s and Colitis Oganisation(ECCO)、The second European evidence-based Consensus on the diagnosis and management of Crohn’s disease:current management、J Crohn’s Colitis、2010、4(1):28~62頁、Erratum in:J.Crohn’s Colitis、2010、4(3):353頁)。生物製剤を用いる潜在的リスクには、輸注又は注射部位反応、重篤な感染、リンパ腫及び他の悪性腫瘍、心不全、血球減少症、狼瘡様症候群、並びに脱髄状態が含まれる(Sandborn WJ、State-of-the-art:immunosuppression and biologic therapy、Dig.Dis.、2010、28(3):536~42頁)。
【0015】
利用可能な抗TNF-α薬剤を用いて有益な結果が達成されたにもかかわらず、それらを最初に摂取する患者のうちおよそ40%は、臨床的に有意義な応答を有していない(一次非応答者)(Targan SR、Hanauer SB、van Deventer SJら、A short-term study of chimeric monoclonal antibody cA2 to tumor necrosis factor alpha for Crohn’s disease、N.Engl.J.Med.、1997、337(15):1029~35頁;Hanauer SB、Feagan BG、Lichtenstein GRら、ACCENT I Study Group、Maintenance infliximab for Crohn’s disease:the ACCENT I randomized trial、Lancet、2002、359(9317):1541~9頁;Hanauer SB、Sandborn WJ、Rutgeerts Pら、Human anti-tumor necrosis factor monoclonal antibody(adalimumab)in Crohn’s disease:the CLASSIC-I trial、Gastroenterology、2007、132(1):52~65頁;Colombel JF、Sandborn WJ、Rutgeerts Pら、Adalimumab for maintenance of clinical response and remission in patients with Crohn’s disease:the CHARM trial、Gastroenterology、2007、132(1):52~65頁;Sandborn WJ、Feagan BG、Stoinov Sら、PRECISE I Study Investigators、Certolizumab pegol for the treatment of Crohn’s disease、N.Engl.J.Med.、2007、357(3):228~38頁)。最初に応答し、長期間の維持処置を受け続ける患者のうち、およそ38%は、6カ月後に非応答者になり(Schribeinger S、Khaliq-Kareemi M、Lawrance ICら、PRECISE 2 Study Investigators、Maintenance therapy with certolizumab pegol for Crohn’s disease、N.Engl.J.Med.、2007、357(3):239~50頁、Erratum in:N.Engl.J.Med.、2007、357(13):1357頁)、およそ50%は、1年目に応答喪失し、非応答者になる(二次非応答者)(Hanauer SB、Feagan BG、Lichtenstein GRら、ACCENT I Study Gorup、Maintenance infliximab for Crohn’s disease:the ACCENT I randomized trial、Lancet、2002、359(9317):1541~9頁;Colombel JF、Sandborn WJ、Rutgeerts Pら、Adalimumab for maintenance of clinical response and remission in patients with Crohn’s disease:the CHARM trial、Gastroenterology、2007、132(1):52~65頁)。最初は第1の抗TNF剤に応答するが、後に応答を喪失する患者は、第2の抗TNF剤に対する応答及び寛解率が低下する傾向がある(Colombel JF、Sandborn WJ、Rutgeerts Pら、Adalimumab for maintenance of clinical response and remission in patients with Crohn’s disease:the CHARM trial、Gastroenterology、2007、132(1):52~65頁;Sandbornら、「Natalizumab induction and maintenance therapy for Crohn’s disease」、N.Engl.J.Med.、2005、353(18):1912~25頁)。
【0016】
新しいクラスの生物製剤が、以前に抗TNFを使用していた患者において研究されている。α4β1及びα4β7インテグリンに対するヒト化モノクローナル抗体であるナタリズマブは、以前に抗TNF-α治療に曝露された患者への治療に期待できることが示され、患者の半数以上が誘導レジメンに応答した(Sandbornら、「Natalizumab induction and maintenance therapy for Crohn’s disease」、N.Engl.J.Med.、2005、353(18):1912~25頁)。しかし、ナタリズマブの使用は、2008年に承認された後、潜在JCウイルスの活性化に起因する進行性多巣性白質脳症(PML)の深刻なリスクに起因して、厳しく制限されている(Van Assche G、Van Ranst M、Sciot Rら、「Progressive multifocal leukoencephalopathy after natalizumab therapy for Crohn’s disease」、N.Engl.J.Med.、2005、353(4):362~8頁)。ベドリズマブは、脳へのリンパ球輸送には影響を及ぼさない、α4β7インテグリンに対して特異的である。したがって、ナタリズマブに伴うPMLリスクはないと推定される。しかし、抗TNFを用いる処置に失敗した患者には、腸管外症状の改善のような、未充足の必要性の多くが満たされていない(Rubinら、Inflammatory Bowel Diseases、2016、22 Suppl.1:S42~S43頁)。ベドリズマブを用いる誘導研究において、抗TNFを用いる処置に既に失敗したことがある患者における臨床的寛解の一次エンドポイントは、プラセボと3%の差異しかなかったので、統計的にも有意でなく、臨床的にも有意義ではなかった(Sandsら、「Effects of Vedolizumab Induction Therapy for Patients With Crohn’s Disease in Whom Tumor Necrosis Factor Antagonist Treatment Failed」、Gastroenterology、2014、147:618~627頁)。IL-12及びIL-23を選択的に標的とするヒトモノクローナル抗体であるウステキヌマブは、以前に抗TNFα治療に応答した患者及び応答しなかった患者の両方において有効性がある。しかし、ウステキヌマブの有効性は、抗TNF剤の有効性とほぼ同じであり、したがって欠点も類似している(Ther.Adv.Gastroenterology、2016、第9(1)巻、26~36頁)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Lichtenstein GR、Hanauer SB、Sandborn WJ;Practice Parameters Committee of American College of Gastroenterology、Management of Crohn’s disease in adults、Am J Gastroenterol.2009;104(2):465~83頁
【非特許文献2】Loftus EV Jr.、「Clinical epidemiology of inflammatory bowel disease:incidence,prevalence,and environmental influences」、Gastroenterology、2004;126(6):1504~17頁
【非特許文献3】Probert CS、Jayanthi V、Rampton DSら、「Epidemiology of inflammatory bowel disease in different ethnic and religious groups:limitations and aetiological clues」、Int.J Colorectal Dis.、1996;11(1):25~28頁
【非特許文献4】Solberg IC、Vatn MH、Hoie Oら;IBSEN Study Group.Clinical course in Crohn’s disease:results of a Norwegian population-based ten-year follow-up study.Clin Gastroenterol Heptaol.2007;5(12):1430~8頁
【非特許文献5】Munkholm P、Langholz E、Davidsen Mら、Intestinal cancer risk and mortality in patients with Crohn’s disease.Gastroenterology.1993:105(6):1716~23頁
【非特許文献6】Hanauer SB.Update on the etiology、pathogenesis and diagnosis of ulcerative colitis.Nat Clin Pract Gastroenterol Hepatol.2004;1(1):26~31頁
【非特許文献7】Molodecky NA、Soon IS、Rabi DMら、Increasing incidence and prevalence of the inflammatory bowel diseases with time、based on systematic review.Gastroenterology.2012:142(1):46~54頁
【非特許文献8】Gastroenterology.2012;142(1):46~54頁.e42;quiz e30
【非特許文献9】Sandler RS、Everhart JE、Donowitz Mら、Gastroenterology、2002;122(5):1500~11頁
【非特許文献10】Dignass A、Eliakim R、Magro Fら、Second European evidence-based consensus on the diagnosis and management of ulcerative colitis part 1:definitions and diagnosis.J Crohn’s Colitis.2012;6(10):965~90頁
【非特許文献11】Rutter M、Saunders B、Wilkinson Kら、Severity of inflammation is a risk factor for colorectal neoplasia in ulcerative colitis.Gastroenterology、2004;126(2):451~9頁
【非特許文献12】Truelove SC、Witts LJ.Cortisone and corticotrophin in ulcerative colitis.Br Med J.1959;1(5119):387~94頁
【非特許文献13】Kornbluth A、Sachar DB;Practice Parameters Committee of the American College of Gastroenterology.Ulcerative colitis practice guidelines in adults:American College of Gastroenterology、Practice Parameters Committee.Am J Gastroenterol.2010;105(3):501~23頁;quiz 524
【非特許文献14】Beaugerie L、Brousse N、Bouvier AMら、Lymphoproliferative disorders in patients receiving thiopurines for inflammatory bowel disease:a prospective observational cohort study.Lancet.2009;374(9701):1617~25頁
【非特許文献15】Aratari A、Papi C、Clemente Vら、Colectomy rate in acute severe ulcerative colitis in the infliximab era.Dig Liver Dis.2008;40(10):821~6頁
【非特許文献16】Turner D、Walsh CM、Steinhart AHら、Response to corticosteroids in severe ulcerative colitis:a systematic review of the literature and a meta-regression.Clin Gastroenterol Hepatol.2007;5(1):103~10頁
【非特許文献17】Sandborn WJ.State-of-the-art:immunosuppression and biologic therapy.Dig Dis.2010;28(3):536~42頁
【非特許文献18】Rutgeerts P、Sandborn W、Feagan Bら、Infliximab for induction and maintenance therapy for ulcerative colitis.N Engl J Med.2005、353(23):2462~76頁
【非特許文献19】Sandborn WJ、van Assche G、Reinisch Wら、Adalimumab induces and maintains clinical remission in patients with moderate-to-severe ulcerative colitis.Gastroenterology、2012、142(2):257~65頁
【非特許文献20】Feagan B、Greenberg G、Wild Gら、Treatment of ulcerative colitis with a humanized antibody to the alpha4beta7 integrin、N.Engl.J.Med.2005、352(24):2499~507頁
【非特許文献21】Sandborn W、Feagan B、Marano Cら、Subcutaneous golimumab induces clinical response and remission in patients with moderate-to-severe ulcerative colitis、Gastroenterology、2014、146(1):85~95頁;quiz e14~5
【非特許文献22】Dignass A、Van Assche G、Lindsay JOら、European Crohn’s and Colitis Oganisation(ECCO)、The second European evidence-based Consensus on the diagnosis and management of Crohn’s disease:current management、J Crohn’s Colitis、2010、4(1):28~62頁
【非特許文献23】Erratum in:J Crohn’s Colitis、2010、4(3):353頁
【非特許文献24】Irving PM、Gearry RB、Sparrow MPら、Review article:appropriate use of corticosteroids in Crohn’s disease、Aliment Pharmacol Ther.、2007、26(3):313~29頁
【非特許文献25】Rutgeerts PJ、Review article:the limitations of corticosteroid therapy in Crohn’s disease、Aliment Pharmacol Ther.、2001、15(10):1515~25頁
【非特許文献26】Siegelら、Review article:Practical Management of Inflammatory Bowel Disease Patients Taking Immunosuppressants、Aliment Pharmacol Ther.、2005、22:1~16頁
【非特許文献27】Targan SR、Hanauer SB、van Deventer SJら、A short-term study of chimeric monoclonal antibody cA2 to tumor necrosis factor alpha for Crohn’s disease、N.Engl.J.Med.、1997、337(15):1029~35頁
【非特許文献28】Hanauer SB、Feagan BG、Lichtenstein GRら、ACCENT I Study Group、Maintenance infliximab for Crohn’s disease:the ACCENT I randomized trial、Lancet、2002、359(9317):1541~9頁
【非特許文献29】Hanauer SB、Sandborn WJ、Rutgeerts Pら、Human anti-tumor necrosis factor monoclonal antibody(adalimumab)in Crohn’s disease:the CLASSIC-I trial、Gastroenterology、2007、132(1):52~65頁
【非特許文献30】Colombel JF、Sandborn WJ、Rutgeerts Pら、Adalimumab for maintenance of clinical response and remission in patients with Crohn’s disease:the CHARM trial、Gastroenterology、2007、132(1):52~65頁
【非特許文献31】Sandborn WJ、Feagan BG、Stoinov Sら、PRECISE I Study Investigators、Certolizumab pegol for the treatment of Crohn’s disease、N.Engl.J.Med.、2007、357(3):228~38頁
【非特許文献32】Schribeinger S、Khaliq-Kareemi M、Lawrance ICら、PRECISE 2 Study Investigators、Maintenance therapy with certolizumab pegol for Crohn’s disease、N.Engl.J.Med.、2007、357(3):239~50頁
【非特許文献33】Erratum in:N.Engl.J.Med.、2007、357(13):1357
【非特許文献34】Sandbornら、「Natalizumab induction and maintenance therapy for Crohn’s disease」、N.Engl.J.Med.、2005、353(18):1912~25頁
【非特許文献35】Van Assche G、Van Ranst M、Sciot Rら、「Progressive multifocal leukoencephalopathy after natalizumab therapy for Crohn’s disease」、N.Engl.J.Med.、2005、353(4):362~8頁
【非特許文献36】Rubinら、Inflammatory Bowel Diseases、2016、22 Suppl.1:S42~S43
【非特許文献37】Sandsら、「Effects of Vedolizumab Induction Therapy for Patients With Crohn’s Disease in Whom Tumor Necrosis Factor Antagonist Treatment Failed」、Gastroenterology、2014、147:618~627頁
【非特許文献38】Ther.Adv.Gastroenterology、2016、第9(1)巻、26~36頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従来の治療、及び抗TNF-α薬剤又は他の生物学的治療に失敗した又は不耐性である患者にとって、CDの追加の治療選択肢は、依然として明らかに必要である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(発明の要旨)
本開示は、上述の必要性に対処し、クローン病及び潰瘍性大腸炎を処置するための方法を提供する。一部の態様では、本開示は、中程度から重症の活動性クローン病を有する患者のクローン病を処置するための方法を提供する。一部の態様では、本開示は、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する患者の潰瘍性大腸炎を処置するための方法を提供する。患者は、アミノサリチレート、コルチコステロイド若しくは免疫抑制剤のような従来の処置、又は抗TNF治療若しくは別の生物学的薬剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していたことがある者、又は不耐性を経験したことがある者であり得る。一実施形態では、患者は、中程度から重症の活動性クローン病を有し、コルチコステロイド、免疫調節剤、又は生物学的治療に対して不十分な応答を有していたことがあるか、又は不耐性であった、成人である。
【0020】
一実施形態では、本開示は、患者のクローン病の臨床的寛解を誘導する方法であって、a)30~45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む少なくとも1つの導入用量の(3S,4R)-3-エチル-4-(3H-イミダゾ[1,2-a]ピロロ[2,3-e]ピラジン-8-イル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド(ウパダシチニブ)、又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与することを含む、方法に関する。一実施形態では、該方法は、さらに、クローン病の臨床的寛解を維持することを含み、該方法は、さらに、b)最終導入用量が投与された後、第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与すること、及びc)その後、少なくとも1つの追加の維持用量を1日1回投与することを含む。
【0021】
別の実施形態では、本開示は、患者のクローン病の内視鏡的改善を誘導する方法であって、a)30~45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む少なくとも1つの導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与することを含む、方法に関する。一実施形態では、該方法は、さらに、クローン病の内視鏡的改善を維持することを含み、該方法は、さらに、b)最終導入用量が投与された後、第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与すること、及びc)その後、少なくとも1つの追加の維持用量を1日1回投与することを含む。
【0022】
別の実施形態では、本開示は、患者のクローン病の臨床的寛解を誘導する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む少なくとも1つの導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与することを含む、方法に関する。一実施形態では、該方法は、さらに、クローン病の臨床的寛解を維持することを含み、該方法は、さらに、b)最終導入用量が投与された後、第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与すること、及びc)その後、少なくとも1つの追加の維持用量を1日1回投与することを含む。
【0023】
別の実施形態では、本開示は、患者のクローン病の内視鏡的寛解を誘導する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む少なくとも1つの導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与することを含む、方法に関する。一実施形態では、該方法は、さらに、クローン病の内視鏡的寛解を維持することを含み、該方法は、さらに、b)最終導入用量が投与された後、第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与すること、及びc)その後、少なくとも1つの追加の維持用量を1日1回投与することを含む。
【0024】
一実施形態では、導入用量は、45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む。
【0025】
一実施形態では、患者は、コルチコステロイド、免疫抑制剤又は生物学的薬剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、又は不耐性を経験した。一実施形態では、患者は、抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、又は不耐性を経験した。一実施形態では、患者は、導入用量の投与前に、中程度から重症の活動性クローン病を有していた。
【0026】
一実施形態では、導入用量は、患者に経口投与される。一実施形態では、導入用量は、患者に1日1回投与される。
【0027】
一実施形態では、臨床的寛解は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内に達成される。一実施形態では、臨床的寛解は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に達成される。
【0028】
一実施形態では、内視鏡的改善は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内に達成される。一実施形態では、内視鏡的改善は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に達成される。
【0029】
一実施形態では、臨床的寛解は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内に達成される。一実施形態では、臨床的寛解は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に達成される。
【0030】
一実施形態では、内視鏡的寛解は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内に達成される。一実施形態では、内視鏡的寛解は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に達成される。
【0031】
一実施形態では、少なくとも1つの導入用量の投与後、患者のクローン病のための簡略化された内視鏡スコア(SES-CD)は、患者のベースラインSES-CDに対して50%を超える減少又は内視鏡的寛解である。一実施形態では、少なくとも1つの導入用量の投与後、患者のクローン病のための簡略化された内視鏡スコア(SES-CD)は、患者のベースラインSES-CDに対して少なくとも2ポイントの減少である。一実施形態では、少なくとも1つの導入用量の投与後、患者は、内視鏡的寛解を達成する。一実施形態では、少なくとも1つの導入用量の投与後、患者は、臨床的応答を達成する。一実施形態では、患者は、第1の導入用量からわずか2週間で臨床的応答を達成する。一実施形態では、少なくとも1つの導入用量の投与後、患者は、150未満のCDAIスコアを達成する。
【0032】
一実施形態では、第1の維持用量は、15mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む。一実施形態では、第1の維持用量は、30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む。
【0033】
一実施形態では、少なくとも1つの追加の維持用量は、15mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む。一実施形態では、少なくとも1つの追加の維持用量は、30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む。
【0034】
一実施形態では、第1の維持用量及び前記少なくとも1つの追加の維持用量は、経口投与される。一実施形態では、第1の維持用量及び前記少なくとも1つの追加の維持用量は、1日1回投与される。
【0035】
一実施形態では、患者は、臨床的寛解を維持する。一実施形態では、患者は、内視鏡的改善を維持する。一実施形態では、患者は、内視鏡的寛解を維持する。
【0036】
一実施形態では、患者は、患者のベースラインSES-CDに対して50%を超える減少又は内視鏡的寛解となる、クローン病のための簡略化された内視鏡スコア(SES-CD)を維持する。一実施形態では、前記患者は、患者のベースラインSES-CDに対して少なくとも2ポイントの減少となる、クローン病のための簡略化された内視鏡スコア(SES-CD)を維持する。一実施形態では、患者は、内視鏡的寛解を維持する。一実施形態では、患者は、150未満のCDAIスコアを維持する。一実施形態では、患者は、臨床的応答を維持する。
【0037】
一実施形態では、患者は、第1の維持用量の投与前に、150未満のCDAIスコアを達成する。一実施形態では、患者は、第1の維持用量の投与前に、臨床的応答を達成する。
【0038】
一実施形態では、導入用量は、45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含み、1日1回経口投与され、第1の維持用量は、30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含み、1日1回経口投与され、少なくとも1つの追加の維持用量は、30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含み、1日1回経口投与される。
【0039】
一実施形態では、導入用量は、45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含み、1日1回経口投与され、第1の維持用量は、15mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含み、1日1回経口投与され、少なくとも1つの追加の維持用量は、15mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含み、1日1回経口投与される。
【0040】
一実施形態では、導入用量は、1日1回の調節放出製剤における用量である。一実施形態では、第1の維持用量及び少なくとも1つの追加の維持用量は、それぞれ、1日1回の調節放出製剤における用量である。
【0041】
一実施形態では、本開示は、クローン病を処置するための方法であって、15mg~45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与することを含む、方法に関する。一実施形態では、該方法は、15mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を投与することを含む。一実施形態では、該方法は、30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を投与することを含む。一実施形態では、該方法は、45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を投与することを含む。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態は、患者に経口投与される。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態は、患者に1日1回投与される。
【0042】
一実施形態では、本開示は、クローン病を処置するための方法であって、a)45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む少なくとも1つの導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与することを含む、方法に関する。一実施形態では、該方法は、さらに、b)最終導入用量が投与された後、第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与すること、及びc)その後、少なくとも1つの追加の維持用量を1日1回投与することを含む。
【0043】
このような一実施形態では、第1の維持用量は、15mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む。一実施形態では、第1の維持用量は、30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む。一実施形態では、第1の維持用量は、経口投与される。
【0044】
一実施形態では、少なくとも1つの追加の維持用量は、15mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む。一実施形態では、少なくとも1つの追加の維持用量は、30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む。一実施形態では、少なくとも1つの追加の維持用量は、経口投与される。
【0045】
一実施形態では、患者は、150未満のCDAIスコアを維持する。
【0046】
一実施形態では、患者は、コルチコステロイド、免疫抑制剤又は生物学的薬剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、又は不耐性を経験した。一実施形態では、患者は、抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、又は不耐性を経験した。
【0047】
一実施形態では、患者は、少なくとも1つの導入用量の投与後、臨床的寛解を達成する。一実施形態では、患者は、少なくとも1つの導入用量の投与後、内視鏡的改善を達成する。一実施形態では、患者は、少なくとも1つの導入用量の投与後、内視鏡的寛解を達成する。一実施形態では、患者は、少なくとも1つの導入用量の投与後、臨床的応答を達成する。
【0048】
一実施形態では、導入用量は、45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含み、1日1回経口投与され、前記第1の維持用量は、30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含み、1日1回経口投与され、前記少なくとも1つの追加の維持用量は、30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含み、1日1回経口投与される。
【0049】
一実施形態では、導入用量は、45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含み、1日1回経口投与され、前記第1の維持用量は、15mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含み、1日1回経口投与され、前記少なくとも1つの追加の維持用量は、15mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含み、1日1回経口投与される。
【0050】
一実施形態では、導入用量は、1日1回の調節放出製剤における用量である。一実施形態では、第1の維持用量及び少なくとも1つの追加の維持用量は、それぞれ、1日1回の調節放出製剤における用量である。一実施形態では、患者は、導入用量の投与前に、中程度から重症の活動性クローン病を有していた。
【0051】
一実施形態では、本開示は、中程度から重症の活動性クローン病を有する患者における寛解を誘導する方法であって、45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与することを含む、方法に関する。このような一実施形態では、患者は、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的薬剤、抗TNF剤又はそれらの組合せに対して不十分な応答を有していた、又は不耐性であった。
【0052】
一実施形態では、本開示は、中程度から重症の活動性クローン病を有する患者における臨床的寛解を誘導する方法であって、45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与することを含む、方法に関する。このような一実施形態では、患者は、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的薬剤、抗TNF剤又はそれらの組合せに対して不十分な応答を有していた、又は不耐性であった。
【0053】
一実施形態では、本開示は、中程度から重症の活動性クローン病を有する患者における内視鏡的改善を誘導する方法であって、45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与することを含む、方法に関する。このような一実施形態では、患者は、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的薬剤、抗TNF剤又はそれらの組合せに対して不十分な応答を有していた、又は不耐性であった。
【0054】
一実施形態では、本開示は、中程度から重症の活動性クローン病を有する抵抗性患者を処置する方法であって、45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与することを含む、方法に関する。このような一実施形態では、臨床的寛解は、初期用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与後16週以内に誘導される。このような一実施形態では、内視鏡的改善は、初期用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与後12週以内又は16週以内に誘導される。
【0055】
一実施形態では、導入用量は、45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む。別の実施形態では、第1の維持用量及び/又は少なくとも1つの追加の維持用量は、15mg~30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む。
【0056】
一実施形態では、本開示は、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する患者における臨床的応答を誘導する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む少なくとも1つの導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与することを含む、方法に関する。このような一実施形態では、臨床的応答は、患者が、1以上の直腸出血サブスコアの減少、又は0若しくは1の絶対的直腸出血サブスコアを伴う、適合メイヨースコアのベースラインから2ポイント以上及び30%以上の減少を有する臨床的応答である。このような別の実施形態では、臨床的応答は、患者が、直腸出血サブスコアのベースラインから1以上の減少、又は0若しくは1の絶対的直腸出血サブスコアを伴う、完全(full)メイヨースコアのベースラインから3ポイント以上及び30%以上の減少を有する臨床的応答である。
【0057】
さらに別の実施形態では、該方法は、さらに、臨床的応答を維持することを含み、前記方法は、さらに、b)最終導入用量が投与された後、第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与すること、及びc)その後、少なくとも1つの追加の維持用量を1日1回投与することを含む。
【0058】
別の実施形態では、導入用量は、45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む。別の実施形態では、第1の維持用量及び/又は少なくとも1つの追加の維持用量は、15mg~30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む。
【0059】
一実施形態では、本開示の方法は、患者のクローン病の臨床的寛解を誘導する方法であって、a)少なくとも4週間、1日1回経口投与され、45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後12週以内に臨床的寛解を達成する、方法である。
【0060】
一実施形態では、クローン病の臨床的寛解は、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後4週以内に誘導される。
【0061】
一実施形態では、該方法は、患者のクローン病の臨床的応答を誘導する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも2週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が臨床的応答を達成する、方法である。
【0062】
一実施形態では、クローン病の臨床的応答は、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後4週以内に誘導される。一実施形態では、クローン病の臨床的応答は、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後12週以内に誘導される。
【0063】
一実施形態では、該方法は、患者のクローン病の内視鏡的寛解を誘導する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも12週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後12週以内に内視鏡的寛解を達成する、方法である。
【0064】
一実施形態では、クローン病の内視鏡的寛解は、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後4週以内に誘導される。
【0065】
一実施形態では、クローン病の内視鏡的寛解は、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後12週以内に誘導される。
【0066】
一実施形態では、該方法は、患者のクローン病の内視鏡的応答を誘導する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも12週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後12週以内に内視鏡的応答を達成する、方法である。
【0067】
一実施形態では、クローン病の内視鏡的応答は、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後12週以内に誘導される。
【0068】
一実施形態では、該方法は、患者のクローン病のコルチコステロイドを用いない寛解を誘導する方法であって、a)少なくとも12週間、1日1回経口投与され、45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後4週以内に、ステロイドを用いない寛解を達成する、方法である。
【0069】
一実施形態では、患者は、中程度から重症の活動性クローン病を有する成人である。
【0070】
一実施形態では、患者は、第1の導入用量の投与後12週以内に150超のCDAIの減少を経験する。
【0071】
一実施形態では、患者は、コルチコステロイド、免疫抑制剤又は生物学的薬剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、又は不耐性を経験した。
【0072】
一実施形態では、患者は、抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、又は不耐性を経験した。
【0073】
一実施形態では、患者は、インフリキシマブ、アダリムマブ又はセルトリズマブペゴルに対して不十分な応答を有していた、又は不耐性を経験した。
【0074】
一実施形態では、患者は、10年を超えて、クローン病の診断を有していたことがあり、1つ以上の前処置に対して不十分な応答を有していたことがある、又は不耐性を経験したことがある。一実施形態では、前処置は、コルチコステロイド、免疫抑制剤、抗生物質及び生物学的治療からなる群から選択される。
【0075】
一実施形態では、該方法は、患者のクローン病の臨床的寛解を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後12週以内に臨床的寛解を達成し、c)最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法を含む。
【0076】
一実施形態では、該方法は、患者のクローン病の臨床的応答を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも2週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後2週以内に臨床的応答を達成し、c)最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的応答を維持する、方法を含む。
【0077】
一実施形態では、クローン病の臨床的応答は、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後4週以内に誘導される。
【0078】
一実施形態では、クローン病の臨床的応答は、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後12週以内に誘導される。
【0079】
一実施形態では、該方法は、患者のクローン病の内視鏡的寛解を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後12週以内に内視鏡的寛解を達成し、c)最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、内視鏡的寛解を維持する、方法を含む。
【0080】
一実施形態では、クローン病の内視鏡的寛解は、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後12週以内に誘導される。
【0081】
一実施形態では、該方法は、患者のクローン病の内視鏡的応答を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後4週以内に内視鏡的応答を達成し、c)最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、内視鏡的応答を維持する、方法である。
【0082】
一実施形態では、クローン病の内視鏡的応答は、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後12週以内に誘導される。
【0083】
一実施形態では、該方法は、患者のクローン病のコルチコステロイドを用いない寛解を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも12週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後4週以内に、ステロイドを用いない寛解を達成し、c)最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、コルチコステロイドを用いない寛解を維持する、方法である。
【0084】
一実施形態では、患者は、中程度から重症の活動性クローン病を有する成人である。
【0085】
一実施形態では、患者は、第1の導入用量後1週間で排便回数の改善を経験する。一実施形態では、患者は、第1の導入用量後8週目に腹痛の改善を経験する。
【0086】
一実施形態では、患者は、第1の導入用量の投与後12週以内に150超のCDAIの減少を経験する。
【0087】
一実施形態では、患者は、コルチコステロイド、免疫抑制剤又は生物学的薬剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、又は不耐性を経験した。
【0088】
一実施形態では、患者は、抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、又は不耐性を経験した。
【0089】
一実施形態では、抗TNF剤は、インフリキシマブ、アダリムマブ又はセルトリズマブペゴルである。
【0090】
一実施形態では、患者が、10年を超えて、クローン病の診断を有していたことがあり、前処置に対して不十分な応答を有していたことがあり、又は不耐性を経験したことがある。
【0091】
一実施形態では、前処置は、コルチコステロイド、免疫抑制剤、抗生物質及び生物学的治療から選択される。
【0092】
一実施形態では、該方法は、患者のクローン病の臨床的寛解を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後4週以内に臨床的寛解を達成し、c)最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法である。
【0093】
一実施形態では、該方法は、患者のクローン病の臨床的応答を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも2週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後2週以内に臨床的応答を達成し、c)最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的応答を維持する、方法である。
【0094】
一実施形態では、クローン病の臨床的応答は、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後4週以内に誘導される。
【0095】
一実施形態では、クローン病の臨床的応答は、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後12週以内に誘導される。
【0096】
一実施形態では、該方法は、患者のクローン病の内視鏡的寛解を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後4週以内に内視鏡的寛解を達成し、c)最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、内視鏡的寛解を維持する、方法である。
【0097】
一実施形態では、該方法は、患者のクローン病の内視鏡的寛解を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも12週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後4週以内に内視鏡的寛解を達成し、c)最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、内視鏡的寛解を維持する、方法である。
【0098】
一実施形態では、クローン病の内視鏡的寛解は、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後12週以内に誘導される。
【0099】
一実施形態では、該方法は、患者のクローン病の内視鏡的応答を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後4週以内に内視鏡的応答を達成し、c)最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、内視鏡的応答を維持する、方法である。
【0100】
一実施形態では、クローン病の内視鏡的応答は、第1の導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩の投与後12週以内に誘導される。
【0101】
一実施形態では、該方法は、患者のクローン病のコルチコステロイドを用いない寛解を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも12週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後12週以内に、ステロイドを用いない寛解を達成し、c)最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、コルチコステロイドを用いない寛解を維持する、方法である。
【0102】
一実施形態では、患者は、中程度から重症の活動性クローン病を有する成人である。
【0103】
一実施形態では、患者は、第1の導入用量の投与後12週以内に、>150のCDAIの減少を経験する。
【0104】
一実施形態では、患者は、コルチコステロイド、免疫抑制剤又は生物学的薬剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、又は不耐性を経験した。
【0105】
一実施形態では、患者は、抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、又は不耐性を経験した。
【0106】
一実施形態では、患者は、インフリキシマブ、アダリムマブ又はセルトリズマブペゴルである抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、又は不耐性を経験した。
【0107】
一実施形態では、患者は、10年を超えて、クローン病の診断を有していたことがあり、1つ以上の前処置に対して不十分な応答を有していたことがある、又は不耐性を経験したことがある。
【0108】
一実施形態では、該方法は、前処置が、コルチコステロイド、免疫調節剤(immunodulator)、抗生物質及び生物学的治療から選択される、方法を含む。
【0109】
一実施形態では、該方法は、患者の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後4週以内に臨床的寛解を達成する、方法を含む。
【0110】
一実施形態では、該方法は、患者の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも6週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の45mgの導入用量の投与後6週以内に臨床的寛解を達成する、方法を含む。
【0111】
一実施形態では、該方法は、患者の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも8週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の45mgの導入用量の投与後8週以内に臨床的寛解を達成する、方法を含む。
【0112】
一実施形態では、該方法は、患者の潰瘍性大腸炎の内視鏡的改善を誘導する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも8週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後8週以内に内視鏡的改善を達成する、方法を含む。
【0113】
一実施形態では、該方法は、患者の潰瘍性大腸炎の内視鏡的寛解を誘導する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも8週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の45mgの導入用量の投与後8週以内に内視鏡的寛解を達成する、方法を含む。
【0114】
一実施形態では、患者は、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有している。
【0115】
一実施形態では、患者は、第1の導入用量の時点でコルチコステロイドを摂取している。
【0116】
一実施形態では、臨床的寛解、内視鏡的改善又は内視鏡的寛解においてコルチコステロイドが用いられない。
【0117】
一実施形態では、患者は、1種以上のコルチコステロイド、免疫抑制剤又は生物学的治療に対して不十分な応答、応答の喪失又は不耐性を示した。
【0118】
一実施形態では、免疫抑制剤は、経口アザチオプリン、6-メルカプトプリン、注射可能なメトトレキセート及びタクロリムスから選択される。
【0119】
一実施形態では、生物学的治療は、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ及びベドリズマブから選択される。
【0120】
一実施形態では、コルチコステロイドを摂取している前記患者における不十分な応答は、経口で3~4週間又は静脈内で1週間、プレドニゾン≧40mg/日当量を含む少なくとも1つの誘導レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候を経験している前記患者と定義される。
【0121】
一実施形態では、患者は、活動性疾患の再発なしに、経口で1日にプレドニゾン10mg当量未満にコルチコステロイドを漸減することができない。
【0122】
一実施形態では、コルチコステロイド(corticocosteroid)に対する前記患者の不耐性によって、クッシング症候群、骨減少症、骨粗鬆症、高血糖症、不眠又は感染が生じる。
【0123】
一実施形態では、免疫抑制剤に対して不十分な応答を経験している患者は、経口アザチオプリン、6-メルカプトプリン、注射可能なメトトレキセート又はタクロリムスの少なくとも1つの90日間レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候を経験した。
【0124】
一実施形態では、免疫抑制剤に対して不十分な応答を経験している患者は、悪心、嘔吐、腹痛、膵炎、肝酵素異常、リンパ球減少症又は感染を経験した。
【0125】
一実施形態では、生物学的治療に対して不十分な応答を経験している患者は、a)0、2及び6週目に≧5mg/kgの静脈内用量を含むインフリキシマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン、b)少なくとも2週間隔てて、160mgの皮下用量1回の後に80mgの皮下用量1回、又は80mgの皮下用量1回の後に40mgの皮下用量1回を含む、アダリムマブの少なくとも1つの4週間誘導レジメン、c)少なくとも2週間隔てて、200mgの皮下用量1回の後に100mgの皮下用量1回を含む、ゴリムマブの少なくとも1つの2週間誘導レジメン、d)0、2及び6週目に300mgの静脈内用量を含む、ベドリズマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候を経験した。
【0126】
一実施形態では、生物学的治療に対して不十分な応答を経験している患者は、以前の臨床的利益に従って計画された維持投与中に、症候の再発を経験した。
【0127】
一実施形態では、生物学的治療への不耐性を経験している患者は、輸注反応、脱髄、うっ血性心不全又は感染を経験した。
【0128】
一実施形態では、該方法は、患者の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後4週以内に臨床的寛解を達成し、)最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法である。
【0129】
一実施形態では、該方法は、患者の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも6週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の45mgの導入用量の投与後6週以内に臨床的寛解を達成し、c)最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法である。
【0130】
一実施形態では、該方法は、患者の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも8週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の45mgの導入用量の投与後8週以内に臨床的寛解を達成し、c)最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法である。
【0131】
一実施形態では、該方法は、患者の潰瘍性大腸炎の内視鏡的改善を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも8週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後8週以内に内視鏡的改善を達成し、c)最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法である。
【0132】
一実施形態では、該方法は、患者の潰瘍性大腸炎の内視鏡的寛解を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも8週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の45mgの導入用量の投与後8週以内に内視鏡的寛解を達成し、c)最終導入用量が投与された後、30mgのウパダシチニブ、又は30mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法を含む。
【0133】
一実施形態では、該方法は、患者の潰瘍性大腸炎の内視鏡的寛解を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも8週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の45mgの導入用量の投与後8週以内に内視鏡的寛解を達成し、c)最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法を含む。
【0134】
一実施形態では、患者は、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有している。一実施形態では、患者は、成人である。一実施形態では、患者は、コルチコステロイド、免疫調節剤又は生物学的治療に対して不十分な応答を有していたことがある。一実施形態では、患者は、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫調節剤又は生物学的治療に対して応答を喪失したことがある。一実施形態では、患者は、コルチコステロイド、免疫調節剤又は生物学的治療に対して不耐性であった。一実施形態では、患者は、成人であり、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有しており、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫調節剤(IMM)又は生物学的治療に対して不十分な応答を有していたことがあり、応答を喪失したことがあり、又は不耐性であった。
【0135】
一実施形態では、患者は、第1の導入用量の時点でコルチコステロイドを摂取している。
【0136】
一実施形態では、臨床的寛解、内視鏡的改善又は内視鏡的寛解においてコルチコステロイドが用いられない。
【0137】
一実施形態では、患者は、1種以上のコルチコステロイド、免疫抑制剤又は生物学的治療に対して不十分な応答、応答の喪失又は不耐性を示した。
【0138】
一実施形態では、免疫抑制剤は、経口アザチオプリン、6-メルカプトプリン、注射可能なメトトレキセート及びタクロリムスから選択される。
【0139】
一実施形態では、生物学的治療は、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ及びベドリズマブから選択される。
【0140】
一実施形態では、コルチコステロイドを摂取している前記患者における不十分な応答は、経口で3~4週間又は静脈内で1週間、プレドニゾン≧40mg/日当量を含む少なくとも1つの誘導レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候を経験している前記患者と定義される。
【0141】
一実施形態では、患者は、活動性疾患の再発なしに、経口で1日にプレドニゾン10mg当量未満にコルチコステロイドを漸減することができない。
【0142】
一実施形態では、コルチコステロイドに対する前記患者の不耐性によって、クッシング症候群、骨減少症、骨粗鬆症、高血糖症、不眠又は感染が生じる。
【0143】
一実施形態では、免疫抑制剤に対して不十分な応答を経験している患者は、経口アザチオプリン、6-メルカプトプリン、注射可能なメトトレキセート又はタクロリムスの少なくとも1つの90日間レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候を経験した。
【0144】
一実施形態では、免疫抑制剤に対して不十分な応答を経験している患者は、悪心、嘔吐、腹痛、膵炎、肝酵素異常、リンパ球減少症又は感染を経験した。
【0145】
一実施形態では、生物学的治療に対して不十分な応答を経験している潰瘍性大腸炎又はクローン病の患者は、a)0、2及び6週目に≧5mg/kgの静脈内用量を含むインフリキシマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン、b)少なくとも2週間隔てて、160mgの皮下用量1回の後に80mgの皮下用量1回、又は80mgの皮下用量1回の後に40mgの皮下用量1回を含む、アダリムマブの少なくとも1つの4週間誘導レジメン、c)少なくとも2週間隔てて、200mgの皮下用量1回の後に100mgの皮下用量1回を含む、ゴリムマブの少なくとも1つの2週間誘導レジメン、d)0、2及び6週目に300mgの静脈内用量を含む、ベドリズマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候を経験した。
【0146】
一実施形態では、生物学的治療に対して不十分な応答を経験している患者は、以前の臨床的利益に従って計画された維持投与中に、症候の再発を経験した。
【0147】
一実施形態では、生物学的治療への不耐性を経験している患者は、輸注反応、脱髄、うっ血性心不全又は感染を経験した。
【0148】
一実施形態では、該方法は、患者の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも4週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後4週以内に臨床的寛解を達成し、c)最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法である。
【0149】
一実施形態では、該方法は、患者の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも6週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の45mgの導入用量の投与後6週以内に臨床的寛解を達成し、c)最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法である。
【0150】
一実施形態では、該方法は、患者の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも8週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の45mgの導入用量の投与後8週以内に臨床的寛解を達成し、c)最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法である。
【0151】
一実施形態では、該方法は、患者の潰瘍性大腸炎の内視鏡的改善を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも8週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の導入用量の投与後8週以内に内視鏡的改善を達成し、c)最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法である。
【0152】
一実施形態では、該方法は、患者の潰瘍性大腸炎の内視鏡的寛解を誘導及び維持する方法であって、a)45mgのウパダシチニブ、又は45mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む導入用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、少なくとも8週間、1日1回経口投与することを含み、b)前記患者が、第1の45mgの導入用量の投与後8週以内に内視鏡的寛解を達成し、c)最終導入用量が投与された後、15mgのウパダシチニブ、又は15mgの遊離塩基当量の薬学的に許容されるその塩を含む第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に、1日1回経口投与することを含み、d)少なくとも1つの追加の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩を、患者に投与することを含み、e)前記患者が、第1の導入用量の投与後52週間、臨床的寛解を維持する、方法である。
【0153】
一実施形態では、患者は、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有している。
【0154】
一実施形態では、患者は、第1の導入用量の時点でコルチコステロイドを摂取している。
【0155】
一実施形態では、臨床的寛解、内視鏡的改善又は内視鏡的寛解においてコルチコステロイドが用いられない。
【0156】
一実施形態では、患者は、1種以上のコルチコステロイド、免疫抑制剤又は生物学的治療に対して不十分な応答、応答の喪失又は不耐性を示した。
【0157】
一実施形態では、免疫抑制剤は、経口アザチオプリン、6-メルカプトプリン、注射可能なメトトレキセート及びタクロリムスから選択される。
【0158】
一実施形態では、生物学的治療は、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ及びベドリズマブから選択される。
【0159】
一実施形態では、コルチコステロイドを摂取している前記患者における不十分な応答は、経口で3~4週間又は静脈内で1週間、プレドニゾン≧40mg/日当量を含む少なくとも1つの誘導レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候を経験している前記患者と定義される。
【0160】
一実施形態では、患者は、活動性疾患の再発なしに、経口で1日にプレドニゾン10mg当量未満にコルチコステロイドを漸減することができない。
【0161】
一実施形態では、コルチコステロイドに対する前記患者の不耐性によって、クッシング症候群、骨減少症、骨粗鬆症、高血糖症、不眠又は感染が生じる。
【0162】
一実施形態では、免疫抑制剤に対して不十分な応答を経験している患者は、経口アザチオプリン、6-メルカプトプリン、注射可能なメトトレキセート又はタクロリムスの少なくとも1つの90日間レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候を経験した。
【0163】
一実施形態では、免疫抑制剤に対する不耐性を経験している患者は、悪心、嘔吐、腹痛、膵炎、肝酵素異常、リンパ球減少症又は感染を経験した。
【0164】
一実施形態では、生物学的治療に対して不十分な応答を経験している患者は、a)0、2及び6週目に≧5mg/kgの静脈内用量を含むインフリキシマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン、b)少なくとも2週間隔てて、160mgの皮下用量1回の後に80mgの皮下用量1回、又は80mgの皮下用量1回の後に40mgの皮下用量1回を含む、アダリムマブの少なくとも1つの4週間誘導レジメン、c)少なくとも2週間隔てて、200mgの皮下用量1回の後に100mgの皮下用量1回を含む、ゴリムマブの少なくとも1つの2週間誘導レジメン、d)0、2及び6週目に300mgの静脈内用量を含む、ベドリズマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候を経験した。
【0165】
一実施形態では、生物学的治療に対して不十分な応答を経験している患者は、以前の臨床的利益に従って計画された維持投与中に、症候の再発を経験した。
【0166】
一実施形態では、生物学的治療への不耐性を経験している患者は、輸注反応、脱髄、うっ血性心不全又は感染を経験した。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【
図1】実施例8に記載されている臨床研究のための研究設計の概略図である。
【
図2】実施例8に記載されている臨床研究のための36週の延長相の概略図である。延長相の二重盲検部分中に適切に応答しなかった患者は、非盲検治療を受けるのに適格とされた。
【
図3A】実施例8の臨床研究において決定される通り、ウパダシチニブ血漿濃度と臨床的応答(16週目)の関係を示すグラフである。矢印は、即時放出用量ごとの曝露中央値(mg)を示す。曝露瓶ごとの最大及び最小血漿濃度は、括弧内に示される。
【
図3B】実施例8の臨床研究において決定される通り、ウパダシチニブ血漿濃度と(NRI)臨床的寛解(16週目)の関係を示すグラフである。矢印は、即時放出用量ごとの曝露中央値(mg)を示す。曝露瓶ごとの最大及び最小血漿濃度は、括弧内に示される。
【
図3C】実施例8の臨床研究において決定される通り、ウパダシチニブ血漿濃度と調節された臨床的寛解(16週目)の関係を示すグラフである。矢印は、即時放出用量ごとの曝露中央値(mg)を示す。曝露瓶ごとの最大及び最小血漿濃度は、括弧内に示される。
【
図3D】実施例8の臨床研究において決定される通り、ウパダシチニブ血漿濃度とCDAIの減少≧70(16週目)の関係を示すグラフである。矢印は、即時放出用量ごとの曝露中央値(mg)を示す。曝露瓶ごとの最大及び最小血漿濃度は、括弧内に示される。
【
図3E】実施例8の臨床研究において決定される通り、ウパダシチニブ血漿濃度とCDAIの減少≧100(16週目)の関係を示すグラフである。矢印は、即時放出用量ごとの曝露中央値(mg)を示す。曝露瓶ごとの最大及び最小血漿濃度は、括弧内に示される。
【
図3F】実施例8の臨床研究において決定される通り、ウパダシチニブ血漿濃度とCDAI<150(16週目)の関係を示すグラフである。矢印は、即時放出用量ごとの曝露中央値(mg)を示す。曝露瓶ごとの最大及び最小血漿濃度は、括弧内に示される。
【
図3G】実施例8の臨床研究において決定される通り、ウパダシチニブ血漿濃度と内視鏡的応答(12週目又は16週目)の関係を示すグラフである。矢印は、即時放出用量ごとの曝露中央値(mg)を示す。曝露瓶ごとの最大及び最小血漿濃度は、括弧内に示される。
【
図3H】実施例8の臨床研究において決定される通り、ウパダシチニブ血漿濃度と内視鏡的改善(16週目)の関係を示すグラフである。矢印は、即時放出用量ごとの曝露中央値(mg)を示す。曝露瓶ごとの最大及び最小血漿濃度は、括弧内に示される。
【
図3I】実施例8の臨床研究において決定される通り、ウパダシチニブ血漿濃度と内視鏡的寛解(12週目又は16週目)の関係を示すグラフである。矢印は、即時放出用量ごとの曝露中央値(mg)を示す。曝露瓶ごとの最大及び最小血漿濃度は、括弧内に示される。
【
図4AB】12週目又は16週目における、即時放出(IR)BID製剤又は調節放出(MR)QD製剤(患者200人/群についてシミュレートする)についての異なるウパダシチニブ用量のモデルで予測された有効性(NRI)を示すグラフである。予測された結果は、実施例8の研究において決定される通り、曝露と応答の関係に基づくものである。
【
図4CD】12週目又は16週目における、即時放出(IR)BID製剤又は調節放出(MR)QD製剤(患者200人/群についてシミュレートする)についての異なるウパダシチニブ用量のモデルで予測された有効性(NRI)を示すグラフである。予測された結果は、実施例8の研究において決定される通り、曝露と応答の関係に基づくものである
【
図4E】12週目又は16週目における、即時放出(IR)BID製剤又は調節放出(MR)QD製剤(患者200人/群についてシミュレートする)についての異なるウパダシチニブ用量のモデルで予測された有効性(NRI)を示すグラフである。予測された結果は、実施例8の研究において決定される通り、曝露と応答の関係に基づくものである
【
図4F】12週目又は16週目における、即時放出(IR)BID製剤又は調節放出(MR)QD製剤(患者200人/群についてシミュレートする)についての異なるウパダシチニブ用量のモデルで予測された有効性(NRI)を示すグラフである。予測された結果は、実施例8の研究において決定される通り、曝露と応答の関係に基づくものである
【
図5A】実施例8の臨床研究の16週目における(LOCF)、選択された測定検査パラメーターに関するウパダシチニブ血漿濃度とベースラインからの変化の関係を示すグラフである。データ点ごとの最大及び最小血漿濃度は、括弧内に示される。
【
図5B】実施例8の臨床研究の16週目における(LOCF)、選択された測定検査パラメーターに関するウパダシチニブ血漿濃度とベースラインからの変化の関係を示すグラフである。データ点ごとの最大及び最小血漿濃度は、括弧内に示される。
【
図5C】実施例8の臨床研究の16週目における(LOCF)、選択された測定検査パラメーターに関するウパダシチニブ血漿濃度とベースラインからの変化の関係を示すグラフである。データ点ごとの最大及び最小血漿濃度は、括弧内に示される。
【
図5D】実施例8の臨床研究の16週目における(LOCF)、選択された測定検査パラメーターに関するウパダシチニブ血漿濃度とベースラインからの変化の関係を示すグラフである。データ点ごとの最大及び最小血漿濃度は、括弧内に示される。
【
図5E】実施例8の臨床研究の16週目における(LOCF)、選択された測定検査パラメーターに関するウパダシチニブ血漿濃度とベースラインからの変化の関係を示すグラフである。データ点ごとの最大及び最小血漿濃度は、括弧内に示される。
【
図5F】実施例8の臨床研究の16週目における(LOCF)、選択された測定検査パラメーターに関するウパダシチニブ血漿濃度とベースラインからの変化の関係を示すグラフである。データ点ごとの最大及び最小血漿濃度は、括弧内に示される。
【
図5G】実施例8の臨床研究の16週目における(LOCF)、選択された測定検査パラメーターに関するウパダシチニブ血漿濃度とベースラインからの変化の関係を示すグラフである。データ点ごとの最大及び最小血漿濃度は、括弧内に示される。
【
図5H】実施例8の臨床研究の16週目における(LOCF)、選択された測定検査パラメーターに関するウパダシチニブ血漿濃度とベースラインからの変化の関係を示すグラフである。データ点ごとの最大及び最小血漿濃度は、括弧内に示される。
【
図6】実施例8の研究の12週目に、臨床的応答又は臨床的寛解を達成した対象のパーセントを示すグラフである。ベースラインにおいてステロイドを用いていなかった対象についての結果を示す。
【
図7】6mgの1日2回の即時放出カプセル剤(レジメンK)又は15mgの1日1回の調節放出錠剤(レジメンL)を絶食条件下で7日間投与した後の、時間に対するウパダシチニブ平均血漿濃度を示す。
【
図8】12mgの1日2回の即時放出カプセル剤(レジメンM)又は30mgの1日1回の調節放出錠剤(レジメンN)を絶食条件下で7日間投与した後の、時間に対するウパダシチニブ平均血漿濃度を示す。
【
図9】実施例8のクローン病臨床研究においてウパダシチニブ又はプラセボを投与した抵抗性患者集団における臨床的寛解及び内視鏡的応答を示す。
【
図10A】実施例8の研究の2週目において調節された臨床的寛解を達成した対象のパーセンテージを示すグラフである。
【
図10B】実施例8の研究の4週目において調節された臨床的寛解を達成した対象のパーセンテージを示すグラフである。
【
図10C】実施例8の研究の8週目において調節された臨床的寛解を達成した対象のパーセンテージを示すグラフである。
【
図10D】実施例8の研究の12週目において調節された臨床的寛解を達成した対象のパーセンテージを示すグラフである。
【
図10E】実施例8の研究の16週目において調節された臨床的寛解を達成した対象のパーセンテージを示すグラフである。
【
図11A】実施例8の研究の2週目において強化された臨床的応答を達成した対象のパーセンテージを示すグラフである。
【
図11B】実施例8の研究の4週目において強化された臨床的応答を達成した対象のパーセンテージを示すグラフである。
【
図11C】実施例8の研究の8週目において強化された臨床的応答を達成した対象のパーセンテージを示すグラフである。
【
図11D】実施例8の研究の12週目において強化された臨床的応答を達成した対象のパーセンテージを示すグラフである。
【
図11E】実施例8の研究の16週目(
図11E)において強化された臨床的応答を達成した対象のパーセンテージを示すグラフである。
【
図12】16週間のプラセボ(PBO)、3、6、12、24mgの1日2回(BID)及び24mgの1日1回(QD)のウパダシチニブの投与後の、時間(週)に対するhs-CRPの平均変化(ベースラインを上回るパーセンテージ)を示すグラフである。調節された臨床的寛解を、ベースラインにおいてSF≧4、AP≧2.0を有する患者で分析した。
【
図13】実施例12に記載されている潰瘍性大腸炎の臨床研究のための研究設計の概略図である。
【
図14】非晶質遊離塩基を調製する一方法を模式的に示す図である。
【
図15】遊離塩基水和物形態Cを調製する一方法を模式的に示す図である。
【
図16】酒石酸塩水和物を調製する一方法を模式的に示す図である。
【
図17A】非晶質遊離塩基(沈殿を介する)に対応する粉末X線回折パターンである。
【
図17B】非晶質遊離塩基(脱水を介する)に対応する粉末X線回折パターンである。
【
図18】遊離塩基溶媒和物形態A(酢酸イソプロピル/水の溶媒和物)に対応する粉末X線回折パターンである。
【
図19】遊離塩基水和物形態Bに対応する粉末X線回折パターンである。
【
図20】遊離塩基水和物形態Cに対応する粉末X線回折パターンである。
【
図21】酒石酸塩水和物に対応する粉末X線回折パターンである。実験PXRDパターンは下に示され、算出されたPXRDパターンは、上に示される。
【
図22】遊離塩基無水物形態Dに対応する粉末X線回折パターンである。
【
図23】延長放出製剤のQDレジメンのための臨床的及び内視鏡的エンドポイントについての曝露-応答モデルで予測された有効性を示すグラフである。
図23Aは、12週目に臨床的応答を達成すると予測された対象のパーセンテージであり、
図23Bは、12週目に調節された臨床的寛解を達成すると予測された対象のパーセンテージであり、
図23Cは、12週目にCDAI寛解を達成すると予測された対象のパーセンテージであり、
図23Dは、12/16週目に内視鏡的応答を達成すると予測された対象のパーセンテージであり、
図23Eは、12/16週目に内視鏡的改善を達成すると予測された対象のパーセンテージであり、
図23Fは、12/16週目に内視鏡的寛解を達成すると予測された対象のパーセンテージである。
【発明を実施するための形態】
【0168】
記載されているこの説明は、本開示を開示し、また、開示される組成物のいずれかを作成すること及び使用すること、並びに開示される方法又はプロセスのいずれかを実施することを含み、当業者が本発明を実施できるようにするための例を使用する。特許を受けることができる本発明の範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思い付く他の例を含むことができる。このような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言語と変わらない要素を有する場合、又は等価な要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが企図される。
【0169】
I.定義
この節及び本開示全体で使用されている節の見出しは、限定的であることを企図されない。
【0170】
数値範囲が引用されている場合、その範囲内に介在するそれぞれの数は、同じ精度を伴うことが明確に意図されている。例えば、6~9の範囲では、6及び9に加えて、7及び8という数も意図され、6.0~7.0の範囲では、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9及び7.0という数が、明確に意図されている。同様に、引用されているすべての比は、より広範な比に含まれるあらゆる部分比も含む。
【0171】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、状況によって別段明示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0172】
「約」という用語は、一般に、当業者が、引用されている値と等価である(すなわち、同じ機能又は結果を有する)とみなすことができる範囲の数を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入される数を含み得る。
【0173】
「適合メイヨー」又は「適合メイヨースコア」という用語は、潰瘍性大腸炎と関連して使用される場合、医師による世界的アセスメントサブスコアを除く、潰瘍性大腸炎の活動性のアセスメントのためのメイヨースコアシステムを指す。
【0174】
「成人」という用語は、16歳以上の人を指す。
【0175】
「AE」という略語は、有害事象を指す。
【0176】
「アルキル」という用語は、完全に飽和している直鎖又は分岐炭化水素を指す。本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない例を示す目的で、アルキルの例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、及びそれらの異性体が挙げられる。
【0177】
「アルケニル」という用語は、1つ以上の二重結合を含有する直鎖又は分岐炭化水素を含む、2~8個の炭素を含有する炭化水素部分を指す。アルケニルの非限定的な例は、エテニル、プロペニル及びブテニルである。
【0178】
「非晶質」という用語は、化合物に適用される場合、その材料が、分子レベルで長距離秩序を有しておらず、温度に応じて固体又は液体の物理的特性を示し得る状態を指す。典型的に、このような材料は、特有のX線回折パターンを生じず、固体の特性を示すが、より正式には液体として説明される。加熱されると、固体から液体の特性への変化が生じ、その変化は、典型的に二次的な状態の変化(「ガラス転移」)によって特徴付けられる。
【0179】
「無水物」という用語は、化合物に適用される場合、その化合物が、結晶格子内に構造的な水を含有していない固体形態を指す。
【0180】
「AP」という略語は、腹痛スコアを指す。別段指定されない限り、本明細書で論じられるAP測定は、1日のAPスコアの7日間の重み付けされていない平均である。AP測定は、重み付け係数を適用せずに、CDAIの算出(以下で論じられる)において使用された1日のAPスコアを平均することによって算出される。
【0181】
「アリール」という用語は、単環式、二環式又は三環式の芳香族炭化水素ラジカルを指す。例として、フェニル、ナフチル、ビフェニル及び1,2,3,4-テトラヒドロナフチルが挙げられる。
【0182】
本明細書で使用される場合、「AUC24」という用語は、単回用量に従って参照薬物を投与した後、時間0~24時間の血漿濃度時間曲線下面積を指す。
【0183】
「ベースライン」という用語は、JAK1阻害剤の最初の投与日を指し、本明細書では「1日目」又は「0週目」とも呼ばれる。
【0184】
「BID」という略語は、1日2回を意味する。
【0185】
「BL」という略語は、ベースラインを意味する。
【0186】
本明細書で使用される場合、「C12」という用語は、単回用量又は指示回数用量の参照薬物の投与12時間後に観察された、参照薬物の血漿濃度である。
【0187】
本明細書で使用される場合、「C24」という用語は、単回用量又は指示回数用量の参照薬物の投与24時間後に観察された、参照薬物の血漿濃度である。
【0188】
「Cave」という用語は、投与間隔中の定常状態における薬物の平均血漿濃度を指す(複数回投与)。
【0189】
「Cbz」という略語は、カルボキシベンジルを指す。
【0190】
「CDI」という略語は、カルボニルジイミダゾールを指す。
【0191】
「CI」という略語は、信頼区間を意味する。
【0192】
「CDAI」という略語は、クローン病活動指標を意味する。
【0193】
「臨床的寛解」という用語は、クローン病と関連して使用される場合、液状便/非常に軟らかい便の1日の平均排便回数≦2.8かつベースラインを超えないこと、並びに1日の平均腹痛回数≦1.0かつベースラインを超えないことを意味する。クローン病の臨床的寛解と関連して使用される場合、「ベースラインを超えない」という句は、1日の平均SF又は1日の平均APスコアが、それぞれ、ベースライン(すなわち、処置前)の1日の平均SFスコア又は1日の平均APスコアよりも高くないことを意味する。
【0194】
「臨床的寛解」という用語は、潰瘍性大腸炎と関連して使用される場合、排便回数(SF)サブスコア≦1、直腸出血サブスコア(RBS)0、及び内視鏡的サブスコア≦0を意味する。SFサブスコア、直腸出血サブスコア、及び内視鏡的サブスコアは、潰瘍性大腸炎の活動のアセスメントのためのメイヨースコアシステムに使用されているサブスコアを指す。この用語は、「適合メイヨースコアに関する臨床的寛解」とも呼ばれる。
【0195】
「臨床的応答」という用語は、クローン病と関連して使用される場合、液状便/非常に軟らかい便の1日の平均SFスコアのBLから少なくとも30%の減少(すなわち、BLからの減少≧30%)と定義され、BLを超えない1日の平均AP及び/又は「臨床的応答」は、1日の平均APスコアのBLから少なくとも30%の減少(すなわち、BLからの減少≧30%)及びBL(すなわち、処置前)を超えない液状便/非常に軟らかい便の1日の平均SFスコアと定義される。
【0196】
「臨床的応答」という用語は、潰瘍性大腸炎と関連して使用される場合、RBS≧1の減少又は絶対的RBS≦1を伴う、ベースラインから適合メイヨースコア≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%と定義される。
【0197】
「強化された臨床的応答」という用語は、クローン病と関連して使用される場合、1日の平均SFの減少≧60%及び/若しくは1日の平均APの減少≧35%、並びに両方がベースラインを超えないこと、並びに/又は臨床的寛解と定義される。
【0198】
別段文脈によって必要とされない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」という用語は、これらの用語が排他的ではなく包括的であると解釈されるべきであり、出願人が、これらの用語のそれぞれを、以下の特許請求の範囲を含む本出願の解釈においてそのように解釈されるように企図するという明確な理解に基づいて使用される。
【0199】
「Cmax」という用語は、単回用量又は指示回数用量の、本開示の剤形及び組成物のような剤形又は医薬組成物の経口摂取によってもたらされた、本明細書でng/mLと表されるTmaxにおける参照薬物の血漿濃度を指す。具体的に示されない限り、Cmaxは、観察された全最大濃度を指す。
【0200】
「Cmin」という用語は、薬物の最小血漿濃度を指す。
【0201】
「コルチコステロイドを用いない」という用語は、第1の導入用量のウパダシチニブ時にコルチコステロイドを摂取していたが、コルチコステロイドの使用を完全に中断している患者を意味する。
【0202】
「Cp」という用語は、任意の時間tにおける薬物の血漿濃度を指す。
【0203】
「結晶性」という用語は、化合物に適用される場合、その材料が、分子レベルで規則的な秩序内部構造を有しており、定義付けられたピークを有する特有のX線回折パターンを生じる固相を指す。このような材料も、十分に加熱されると液体の特性を示すが、固体から液体への変化は、典型的に一次的な相変化(「融点」)によって特徴付けられる。
【0204】
「結晶化」という用語は、本出願を通して使用される場合、化合物の調製に関して適用できる環境に応じて、結晶化及び/又は再結晶化することを指すことができる。
【0205】
「CV%」という略語は、パーセントとして表される変動係数を指す。CV%は、以下の等式:CV%=(SD/x)×100(式中、xは、平均値であり、SDは、標準偏差である)に従って算出される。
【0206】
「障害」は、本明細書で使用される場合、本明細書に記載されているJAK1阻害剤を用いる処置から利益を得ることができる任意の状態である。これには、当該の障害に哺乳動物を罹患しやすくするような病理的状態を含む、慢性及び急性の障害又は疾患が含まれる。
【0207】
「内視鏡的治癒」という用語は、ベースラインでSES-CD潰瘍化表面サブスコア≧1を有していた患者における、SES-CD潰瘍化表面サブスコア0を意味する。
【0208】
「内視鏡的改善」(「50%内視鏡的応答」としても公知)という用語は、クローン病と関連して使用される場合、SES-CDのベースラインからの減少>50%(又は誘導研究のベースラインで4のSES-CDを有していた患者については、ベースラインから少なくとも2ポイントの減少)を意味する。
【0209】
「内視鏡的改善」という用語は、潰瘍性大腸炎と関連して使用される場合、誘導相中8週目に内視鏡的サブスコア≦1であり、維持相中8週目に内視鏡的サブスコア0であることを意味する。内視鏡的サブスコアは、潰瘍性大腸炎の活動のアセスメントのためのメイヨースコアシステムに使用されているサブスコアを指す。
【0210】
「内視鏡的寛解」という用語は、クローン病と関連して使用される場合、別段指定されない限り、SES-CD≦4(単独回腸CDの患者については≦2)及びBLに対してSES-CDの少なくとも2ポイントの減少及びSES-CDを算出するために使用された任意の個々の変数において>1のサブスコアがないことを意味する。
【0211】
「内視鏡的寛解(IOIBD(国際炎症性腸疾患研究会議)の定義による)という用語は、クローン病と関連して使用される場合、SDS≦2を意味する。
【0212】
「内視鏡的寛解」という用語は、潰瘍性大腸炎と関連して使用される場合、内視鏡的サブスコア0を意味する。内視鏡的サブスコアは、潰瘍性大腸炎の活動のアセスメントのためのメイヨースコアシステムに使用されている内視鏡的サブスコアを指す。
【0213】
「内視鏡的応答」という用語は、クローン病と関連して使用される場合、SES-CDスコアのBLから少なくとも50%の減少を意味する。
【0214】
「EtOAc」という略語は、酢酸エチルを指す。
【0215】
「EtOH」という略語は、エタノールを指す。
【0216】
「Geboesスコア」という用語は、便中カルプロテクチン(calprotein)及び高感度C反応性タンパク質の測定に基づく組織学的スコアを意味する。
【0217】
「組織学的改善」という用語は、潰瘍性大腸炎と関連して使用される場合、Geboesスコアのベースラインからの減少を意味する。
【0218】
「HDL」という略語は、高密度リポタンパク質を指す。
【0219】
「Hgb」という略語は、ヘモグロビンを指す。
【0220】
「HOAc」という略語は、酢酸を指す。
【0221】
「HPMC」という略語は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを指す。
【0222】
本明細書で使用される場合、「誘導」又は「誘導された」という用語は、特定の治療効果と関連して使用される場合、治療効果が達成されていることを意味する。典型的に、治療効果は、中程度から重症の活動性クローン病又は中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する患者におけるような、疾患状態に既に罹患している患者において誘導される。例えば一実施形態では、特定の治療効果の誘導は、クローン病と関連して使用される場合、患者が、1)液状便/非常に軟らかい便の1日の平均排便回数スコア≧2.5若しくは1日の平均腹痛回数スコア≧2、2)CDAI≧220及び≦450、又は3)クローン病のための簡略化された内視鏡スコア(SES-CD)≧6(又は回腸に限定された疾患を有する対象については≧4)を有する状態から、特定の治療効果についてのパラメーター(例えば、内視鏡的寛解、臨床的寛解、内視鏡的応答、臨床的応答)を達成する状態に、患者が移行することを意味する。
【0223】
「IPAc」という略語は、酢酸イソプロピルを指す。
【0224】
「IR」という略語は、別段指定されない限り、即時放出を意味する。
【0225】
本明細書で使用される場合、「JAK1阻害剤」又は「ウパダシチニブ」という用語は、化合物(3S,4R)-3-エチル-4-(3H-イミダゾ[1,2-a]ピロロ[2,3-e]ピラジン-8-イル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドを指す。
【0226】
「LDL」という略語は、低密度リポタンパク質を指す。
【0227】
「LOCF」という略語は、最後に観察された値で補完する方法(last observation carried forward method)を意味する。
【0228】
「メイヨー(Mayo)」という略語は、潰瘍性大腸炎の活動のアセスメントのためのメイヨースコアシステムを意味する。
【0229】
「中程度から重症の活動性クローン病」という用語は、別段指定されない限り、非常に軟らかい便若しくは液状/軟便の1日の平均排便回数≧4、及び/又は1日の平均腹痛回数スコア≧2.0、及び粘膜炎症の証拠であり、CDのための簡略化された内視鏡スコア(SES-CD)≧6(単独回腸疾患を有する患者については≧4)と定義される(絞り込み要素の存在を除く)。
【0230】
「中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎」という用語は、別段指定されない限り、内視鏡検査サブスコア2又は3と共に適合メイヨースコア5~9を有すると定義される。
【0231】
「調節された臨床的寛解」という用語は、クローン病と関連して使用される場合、液状便/非常に軟らかい便の1日の平均SFスコア≦2.8及びBLを超えないこと、並びに1日の平均APスコア≦1.0及びBLを超えないことと定義される。臨床的寛解と関連して使用される場合、「ベースラインを超えない」という句は、液状便/非常に軟らかい便の1日の平均SFスコア又は1日の平均APスコアが、それぞれ、ベースライン(すなわち、処置前)の液状便/非常に軟らかい便の1日の平均SFスコア又は1日の平均APスコアよりも高くないことを意味する。
【0232】
「MR」という略語は、調節放出を意味する。
【0233】
「MTX」という略語は、メトトレキセートを指す。
【0234】
本明細書において交換可能に使用される「患者」又は「対象」という用語は、ヒト患者又は対象を指す。
【0235】
「NK細胞」という用語は、ナチュラルキラー細胞を指す。
【0236】
「NRI」という略語は、非応答者のインピュテーション方法を意味する。
【0237】
「PBO」という略語は、プラセボを意味する。
【0238】
「Pd/C」という略語は、炭素担持パラジウムを指す。
【0239】
「Pd(OH2)/C」という略語は、炭素担持水酸化パラジウムを指す。
【0240】
「薬学的に許容される」という用語(「薬学的に許容される塩」又は「薬学的に許容される希釈剤」への言及におけるような)は、ヒト対象への投与と適合性がある材料を指し、例えばその材料は、望ましくない生物学的作用を引き起こさない。薬学的に許容される塩の例は、「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use」、Stahl及びWermuthによる(Wiley-VCH、Weinheim、ドイツ、2002)に記載されている。薬学的に許容される賦形剤の例は、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」、Roweら編(Pharmaceutical Press、第7版、2012)に記載されている。
【0241】
「pTsOH」という略語は、p-トルエンスルホン酸を指す。
【0242】
「PVA」という略語は、ポリビニルアセテートを指す。
【0243】
「PXRD」という略語は、粉末X線回折を意味する。
【0244】
「QD」という略語は、1日1回を意味する。
【0245】
「RBC」という略語は、赤血球を意味する。
【0246】
「RBS」という略語は、直腸出血サブスコアを意味する。直腸出血サブスコアは、潰瘍性大腸炎の活動のアセスメントのためのメイヨースコアシステムに使用されているサブスコアを指す。
【0247】
「抵抗性患者」という用語は、10年を超えてクローン病を有していたことがあり、生物学的処置を含むいくつかの処置に失敗したことがある、中程度から重症の活動性クローン病を有する患者を意味する。
【0248】
「寛解」という用語は、クローン病と関連して使用される場合、内視鏡的寛解及び臨床的寛解の両方と定義される。
【0249】
「応答」という用語は、クローン病と関連して使用される場合、内視鏡的応答及び臨床的応答の両方と定義される。
【0250】
「SC」という略語は、皮下を意味する。
【0251】
「(S)-Segphos Ru(OAc)2」という略語は、ジアセタト[(S)-(-)5,5’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-4,4’-ビ-1,3-ベンゾジオキソール]ルテニウム(II)を指す。
【0252】
「SES-CD」という用語は、以下の表2に列挙されているパラメーターを使用して算出される、クローン病のための簡略化された内視鏡スコアを指す。
【0253】
「SF」という略語は、排便回数を指す。別段指定されない限り、本明細書で論じられるSF測定は、クローン病と関連して使用される場合、1日の液状便/非常に軟らかい便のSFスコアの7日間の重み付けされていない平均である。SF測定は、重み付け係数を適用せずに、CDAIの算出(以下で論じられる)において使用された1日の液状便/非常に軟らかい便のSFスコアを平均することによって算出される。別段指定されない限り、本明細書で論じられるSF測定は、潰瘍性大腸炎と関連して使用される場合、潰瘍性大腸炎の活動のアセスメントのためのメイヨースコアシステムに使用されている排便回数サブスコアを指す。
【0254】
「治療有効量」という用語は、処置を受ける障害の症候の1つ以上を軽減又は回復させる活性剤の量を指すために使用される。別の態様では、治療有効量は、例えば、疾患の進行の緩徐に有効となることが示される標的血清濃度を指す。有効性は、処置される状態に応じて従来のやり方で測定され得る。
【0255】
「6-TGN」という略語は、6-チオグアニン(チオグアニン)ヌクレオチドを指す。
【0256】
「THF」という略語は、テトラヒドロフランを指す。
【0257】
本明細書で使用される場合、「Tmax」という用語は、単回用量又は指示回数用量の参照薬物の経口摂取後の、参照薬物のピーク血漿濃度までの時間を指す。
【0258】
「処置すること」、「処置」、及び「治療」等という用語は、本明細書で使用される場合、それに限定されるものではないが、疾患又は障害の1つ以上の症候の軽減若しくは緩和、退行、緩徐、又は進行の休止を含む任意の臨床的に望ましい又は有益な効果をもたらす、疾患又は障害のための治療的、並びに予防的、又は抑制的対策を含むことを意味する。したがって、例えば処置という用語は、疾患又は障害の症候の発症前又は後に薬剤を投与し、それによって疾患又は障害の1つ以上の徴候を防止又は除去することを含む。別の例として、この用語は、疾患の症候に対抗するために、疾患の臨床症状後に薬剤を投与することを含む。さらに、投与が組織傷害度、又は転移の量若しくは程度のような疾患又は障害の臨床的パラメーターに影響を及ぼす、発症後及び臨床症候後の薬剤の投与が開発されており、本明細書で使用される場合、処置によって疾患が緩和されるかどうかに関係なく、「処置」又は「治療」を含む。さらに、本開示の組成物が、単独で又は別の治療剤と組み合わさって、JAK1阻害剤組成物を使用しない状態の症候と比較して、処置を受ける障害の少なくとも1つの症候を軽減又は回復させる限り、その結果は、障害の症候のすべてが軽減されるかどうかに関係なく、根本的な障害の有効な処置とみなされるべきである。
【0259】
「TNF」という略語は、腫瘍壊死因子を意味する。
【0260】
本明細書で使用される場合、「t1/2」という用語は、単回用量又は指示回数用量の参照薬物の経口摂取後の、参照薬物の終末相半減期を指す。
【0261】
「UC」という略語は、潰瘍性大腸炎を指す。
【0262】
「w/w」という略語は、重量/重量を指す。
【0263】
II.JAK1関連障害及びJAK1阻害剤
一態様では、本開示は、クローン病の臨床的寛解、内視鏡的改善、及び/又は内視鏡的寛解を処置及び/又は誘導するための方法を提供する。別の態様では、本開示は、潰瘍性大腸炎を処置するため及び/又は潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導するための方法を提供する。一態様では、該方法は、JAK1阻害剤を患者に投与することを含む。
【0264】
関節リウマチ(RA)及びCDのような自己免疫疾患のためのJAK(ヤヌス活性化キナーゼ)シグナル伝達経路を標的とすることは、これらの免疫に関する障害の病変形成における、JAK経路を介してシグナル伝達する様々な炎症促進性サイトカインの関与によって、十分に支持されている。JAKシグナル伝達の活性化は、生存因子、サイトカイン、ケモカイン、並びに炎症性障害及び自己免疫障害に寄与する白血球細胞の輸送及び細胞増殖を容易にする他の分子の発現を惹起する。
【0265】
CDの病変形成は、完全には理解されてはいないが、粘膜免疫系における抗炎症性サイトカインと炎症促進性サイトカインの不均衡は、CDにおいて重要な役割を果たしていると考えられる。先天性粘膜免疫系由来の細胞、すなわちTH1又はTH17は、過剰活性化され、インターフェロン(INF)-g、TNFα、インターロイキンIL-6、IL1b、IL-12、IL23のような様々な炎症促進性サイトカインを分泌する。これらのサイトカインは、JAK経路を介してシグナル伝達する。
【0266】
JAKは、JAK1、2、3、及びチロシンキナーゼ2(Tyk2)の4種のファミリーメンバーを含む。これらの細胞質チロシンキナーゼは、サイトカイン媒介性シグナルを伝達し、共通ガンマ鎖(CGC)受容体及び糖タンパク質130(gp130)膜貫通タンパク質のような膜サイトカイン受容体と会合する。
【0267】
JAK3及びJAK1は、CGCサイトカイン受容体複合体の構成成分であり、それらのいずれかの遮断は、炎症性サイトカインIL-2、-4、-7、-9、-15及び-21によるシグナル伝達を阻害する。IL-6のようなサイトカインは、gp130に結合し、主にJAK1を介してそのシグナルを伝達する。IL-6受容体及び可溶性IL-6受容体の発現が、活動性CDを有する患者において上昇することを考慮すると、IL-6受容体(IL-6R)を標的化することは、有望な手法である。さらに、活動性CDを有する患者における、IL-6Rに対するヒト化モノクローナル抗体であるトシリズマブを用いる概念研究の証拠は、有望な臨床的応答を示した。したがって、JAK1の阻害は、CDの発症に関与するIL-6及び他の炎症促進性サイトカイン(すなわちIFN-g)のシグナル伝達を減弱すると予測される。
【0268】
したがって、一態様では、本開示は、クローン病及び潰瘍性大腸炎の処置において有用な化合物を提供する。一態様では、本開示の方法において使用されるJAK1阻害剤は、化合物(3S,4R)-3-エチル-4-(3H-イミダゾ[1,2-a]ピロロ[2,3-e]ピラジン-8-イル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド(C17H19F3N6O)、又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。また、化合物(3S,4R)-3-エチル-4-(3H-イミダゾ[1,2-a]ピロロ[2,3-e]ピラジン-8-イル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミドは、本明細書で「ウパダシチニブ」と呼ばれ、以下に示される構造を有する。
【0269】
【0270】
「薬学的に許容される塩」は、生物学的効果及び遊離塩基の特性を保持し、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸及びリン酸、又はスルホン酸、カルボン酸、有機リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸、乳酸、モノリンゴ酸、モノシュウ酸、モノ酒石酸のような酒石酸(例えば、(+)若しくは(-)-酒石酸、又はそれらの混合物)、アミノ酸(例えば、(+)若しくは(-)-アミノ酸、又はそれらの混合物)等のような有機酸との反応によって得られるような塩を指す。これらの塩は、当業者に公知の方法によって調製することができる。
【0271】
III.クローン病の処置方法
一態様では、本開示は、クローン病の処置のための方法を対象とする。一態様では、本開示は、クローン病を処置するための方法、特にJAK1阻害剤を、ある特定の量及び/又はある特定の間隔で患者に投与することを含む、方法を提供する。一態様では、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。
【0272】
一態様では、本開示は、本明細書に記載されている通り、ある特定の量及び/又はある特定の間隔で投与することによってクローン病の処置において使用するためのJAK1阻害剤を提供する。一態様では、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。
【0273】
一態様では、本開示は、本明細書に記載されている通り、ある特定の量及び/又はある特定の間隔で投与することによってクローン病の処置のための医薬品を調製するためのJAK1阻害剤の使用を提供する。一態様では、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。
【0274】
一態様では、本開示は、クローン病の臨床的寛解及び/又は内視鏡的寛解を誘導するための方法を対象とする。一態様では、本開示は、クローン病の臨床的寛解及び/又は内視鏡的寛解を誘導するための方法、特にJAK1阻害剤を、ある特定の量及び/又はある特定の間隔で患者に投与することを含む、方法を提供する。一態様では、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。
【0275】
一態様では、本開示は、本明細書に記載されている通り、ある特定の量及び/又はある特定の間隔で投与することによってクローン病の臨床的寛解及び/又は内視鏡的寛解の誘導において使用するためのJAK1阻害剤を提供する。一態様では、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。
【0276】
一態様では、本開示は、本明細書に記載されている通り、ある特定の量及び/又はある特定の間隔で投与することによってクローン病の臨床的寛解及び/又は内視鏡的寛解を誘導するための医薬品を調製するためのJAK1阻害剤の使用を提供する。一態様では、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。
【0277】
一態様では、本開示は、クローン病の臨床的寛解及び/又は内視鏡的改善を誘導するための方法、特にJAK1阻害剤を、ある特定の量及び/又はある特定の間隔で患者に投与することを含む方法を対象とする。一態様では、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。
【0278】
一態様では、本開示は、本明細書に記載されている通り、ある特定の量及び/又はある特定の間隔で投与することによってクローン病の臨床的寛解及び/又は内視鏡的改善の誘導において使用するためのJAK1阻害剤を提供する。一態様では、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。
【0279】
一態様では、本開示は、本明細書に記載されている通り、ある特定の量及び/又はある特定の間隔で投与することによってクローン病の臨床的寛解及び/又は内視鏡的改善を誘導するための医薬品を調製するためのJAK1阻害剤の使用を提供する。一態様では、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。
【0280】
特定の一態様では、疾患は、中程度から重症の活動性クローン病である。一態様では、本開示の文脈において、患者は、免疫抑制剤(例えば、メトトレキセート)、アミノサリチレート、コルチコステロイド及び/又は生物学的薬剤(例えば、ベドリズマブ、ウステキヌマブ、ナタリズマブ等)を受けていないか、又はそれらを用いて既に処置されている。一態様では、患者は、抗TNF治療(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、ゴリムマブ等)を受けていないか、又はそれらを用いて既に処置されている。一態様では、本開示の方法の文脈において、患者は、1種、2種、3種以上のTNFアンタゴニスト(本明細書において抗TNF剤とも呼ばれる)を用いて既に処置されている。一実施形態では、患者は、TNFアンタゴニストに対して不十分な応答を有していたか、応答を喪失したか、又は不耐性であった患者である。一態様では、本開示の方法の文脈において、患者は、1種、2種、3種以上の生物学的薬剤を用いて既に処置されている。一実施形態では、患者は、生物学的薬剤に対して不十分な応答を有していたか、応答を喪失したか、又は不耐性であった患者である。一実施形態では、患者は、TNFアンタゴニスト、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤及び/又は生物学的薬剤に対して不十分な応答を有していたか、応答を喪失したか、又は不耐性であった患者である。一実施形態では、患者は、中程度から重症の活動性クローン病を有している抵抗性患者である。一実施形態では、患者は、JAK1阻害剤を用いる処置の前に、コルチコステロイドの使用を受けていないか、又は使用を停止されているかのいずれかである。
【0281】
クローン病のための生物学的薬剤
1)以下に定義されている通り、任意の生物学的治療に対する不十分な応答、応答の喪失、徴候及び症候の再発、若しくは不耐性を実証した。
a.インフリキシマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン(0、2及び6週目に≧5mg/kgの静脈内[IV])、
b.アダリムマブの少なくとも1つの4週間誘導レジメン(0週目において160mgの皮下(SC)用量1回の後に2週目においてSCで80mg用量1回[又は0週目においてSCで80mg用量1回の後に2週目においてSCで40mg用量1回(この投与レジメンが承認されている国において)])、
c.セルトリズマブペゴルの少なくとも1つの4週間誘導レジメン(0、2及び4週目にSCで400mg)、
d.ベドリズマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン(0、2及び6週目にIVで300mg)、
e.ナタリズマブの少なくとも1つの12週間誘導レジメン(4週ごとにIVで300mg)、
f.ウステキヌマブの少なくとも1つの8週間誘導レジメン[SCで260mg(<55kg)又は390mg(56~85kg)又は520mg(>86kg)の後に8週目において90mg]、又は
2)以前の臨床的利益に従って計画された維持投与中の症候の再発(臨床的利益があるにもかかわらず中断することは認められない)、又は
3)少なくとも1種の生物学的薬剤への不耐性の履歴(それに限定されるものではないが、輸注反応、脱髄、うっ血性心不全(CHF)、感染を含む)。
【0282】
クローン病についての疾患重症度は、クローン病活動指標(CDAI)、CDのための簡略化された内視鏡スコア(SES-CD)、液状便/非常に軟らかい便の1日の平均排便回数(SF)(患者が記録した)及び/又は1日の平均腹痛回数(AP)スコア(患者が記録した)を含む様々な指標を使用して測定することができる。別段指定されない限り、本明細書に論じられるSF及びAPスコアは、CDAIの算出(以下で論じられる)において使用されている1日スコアの、それらのそれぞれの重み付けされていない平均を指す。健康に関するクオリティオブライフをアセスメントするための尺度には、炎症性腸疾患質問票(IBDQ)が含まれる。IBDQは、患者の炎症性腸疾患症候、一般的な健康状態、及び気分をアセスメントする、妥当性を検証された周知の32項目の質問票であり、患者のクオリティオブライフを評価するためのツールとして使用することができる(Guyattら、Gastroenterology、1989、96:804~810)。IBDQ質問票は、以下にさらに詳説される。
【0283】
CDAIは、クローン病を有する患者の症候を定量化するために使用されている複合スコアである。一態様では、指標は、予め定義された重み付け係数(以下の表1を参照されたい)のための調整後に合計された8つの因子からなる。CDAIスコアは、0~600の範囲である。150以下の指標値は、無活動疾患を伴い、150を超える値は、活動性疾患を伴い、450を超える値は、極めて重症の疾患に見られる。一態様では、本開示による方法によって処置される患者は、処置前に、中程度から重症の活動性CDを示し得る220~450のCDAIスコアを有している。
【0284】
【0285】
SES-CDは、表2に列挙されている以下のパラメーターを使用して算出される。
【0286】
【0287】
一態様では、処置を受ける患者は、中程度から重症の活動性クローン病を有している。中程度から重症の活動性クローン病は、6以上のSES-CD(又は回腸に限定された疾患を有する患者については、4以上のSES-CD)によって特徴付けられる。
【0288】
一実施形態では、患者は、従来の治療(例えば、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤)、又は生物学的薬剤に対して不十分な応答を有していた、応答を喪失した、又は不耐性であった患者である。一実施形態では、患者は、TNFアンタゴニストに対して不十分な応答を有していたか、応答を喪失したか、又は不耐性であった患者である。このような抗TNF剤の例として、インフリキシマブ、アダリムマブ及びセルトリズマブペゴルが挙げられる。患者が、抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していたことがある、又は不耐性を経験したことがあるかどうかを決定するための基準は、以下の通り定義される。
【0289】
1)以下の薬剤の1つの少なくとも1つの4週間誘導レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候
・インフリキシマブ:IVで5mg/kg、少なくとも2週間隔てて2回の用量、
・アダリムマブ:少なくとも2週間隔てて、160mgの皮下用量1回の後に80mgの皮下用量1回(又は80mgの皮下用量1回の後に40mg用量1回)、
・セルトリズマブペゴル:少なくとも2回の用量を隔てて、400mgの皮下用量2回;又は
2)以前の臨床的利益に従って計画された維持投与中の症候の再発(臨床的利益があるにもかかわらず中断することは認められない)、又は
2)以前の臨床的利益に従って計画された維持投与中の症候の再発(臨床的利益があるにもかかわらず中断することは認められない)、又は
3)少なくとも1つのTNFアンタゴニストへの不耐性の履歴(それに限定されるものではないが、輸注反応、脱髄、うっ血性心不全及び感染を含む)。
【0290】
一態様では、患者は、アミノサリチレート、免疫抑制剤、コルチコステロイド及び/又は生物学的薬剤を用いて既に処置されているか、又は現在処置を受けている患者である。
【0291】
一態様では、CDAI又は本明細書の以下の実施例に記載されている評価のいずれかを使用して、クローン病、例えば中程度から重症の活動性クローン病の処置におけるウパダシチニブの有効性をアセスメントする。
【0292】
本開示の文脈の一実施形態では、患者の処置、又は患者における臨床的寛解及び/若しくは内視鏡的寛解の誘導、又は患者における臨床的寛解及び/若しくは内視鏡的改善の誘導は、誘導相及び維持相を含む。誘導相では、例えば、本明細書において導入用量と呼ばれる1つ以上の用量のJAK1阻害剤は、患者に、例えば経口投与される。維持相では、例えば、本明細書において維持用量と呼ばれる第1の用量のJAK1阻害剤が患者に投与された後、例えば本明細書において維持用量とも呼ばれる少なくとも1つの追加の用量のJAK1阻害剤が投与される。維持用量は、例えば経口投与される。JAK1阻害剤は、例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態であり得る。誘導相及び維持相の例は、本明細書に記載されている。
【0293】
一態様では、ある特定の治療結果、例えば、臨床的寛解、内視鏡的寛解、又は臨床的寛解及び内視鏡的寛解の両方(本明細書において「寛解」と呼ばれる)は、誘導相中又は誘導相の終了時に患者によって達成される。一態様では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了までに臨床的寛解を達成する。一態様では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了までに内視鏡的寛解を達成する。
【0294】
別の態様では、ある特定の治療結果、例えば、臨床的寛解、内視鏡的改善、又は臨床的寛解及び内視鏡的改善の両方は、誘導相中又は誘導相の終了時に患者によって達成される。一態様では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了までに臨床的寛解を達成する。一態様では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了までに内視鏡的改善を達成する。
【0295】
一実施形態では、誘導相は、16週間まで(例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週間まで)継続する。したがって一実施形態では、誘導相は、16週である。別の実施形態では、誘導相は、任意選択的に、16週間未満、例えば、2週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間又は15週間継続する。一態様では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内又は16週以内に内視鏡的寛解を達成する。一態様では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内に臨床的寛解を達成する。一態様では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内又は16週以内に内視鏡的改善を達成する。一態様では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内又は16週以内に臨床的寛解を達成する。
【0296】
一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後2週以内に臨床的寛解を達成する。一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に臨床的寛解を達成する。
【0297】
一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後2週以内に、1)液状便/非常に軟らかい便の1日の平均SFスコア≦1.5及びBLよりも悪くないこと、並びに2)1日の平均APスコア≦1.0及びベースラインよりも悪くないことの両方を達成する。臨床的寛解と関連して使用される場合、「ベースラインよりも悪くない」という句は、液状便/非常に軟らかい便の1日の平均SFスコア又は1日の平均APスコアが、それぞれ、ベースライン(すなわち、処置前)の液状便/非常に軟らかい便の1日の平均SFスコア又は1日の平均APスコアよりも高くないことを意味する。
【0298】
一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に、1)液状便/非常に軟らかい便の1日の平均SFスコア≦1.5及びBLよりも悪くないこと、並びに2)1日の平均APスコア≦1.0及びベースラインよりも悪くないことの両方を達成する。臨床的寛解と関連して使用される場合、「ベースラインよりも悪くない」という句は、液状便/非常に軟らかい便の1日の平均SFスコア又は1日の平均APスコアが、それぞれ、ベースライン(すなわち、処置前)の液状便/非常に軟らかい便の1日の平均SFスコア又は1日の平均APスコアよりも高くないことを意味する。
【0299】
一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後2週以内に、内視鏡的寛解及び/又は内視鏡的改善を達成する。一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に、内視鏡的寛解及び/又は内視鏡的改善を達成する。
【0300】
一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に、コルチコステロイドを用いない寛解を達成する。
【0301】
一部の実施形態では、誘導相中又は誘導相の終了までに(例えば、2週間、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間又は16週間を含み、16週間まで継続する)、患者は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの治療結果を達成する。
1)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、150未満のCDAI、
2)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、150未満のCDAI、
3)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の、150未満のCDAI、
4)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、CDAIのベースラインから70ポイント以上の減少、
5)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、CDAIのベースラインから70ポイント以上の減少、
6)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の、CDAIのベースラインから70ポイント以上の減少、
7)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、臨床的寛解、
8)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の、臨床的寛解、
9)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、寛解(すなわち、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内又は16週以内の内視鏡的寛解及び16週以内の臨床的寛解の両方)、
10)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、寛解(すなわち、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の内視鏡的寛解及び12週以内の臨床的寛解の両方)、
11)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の、寛解(すなわち、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の内視鏡的寛解及び4週以内の臨床的寛解の両方)、
12)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、応答(すなわち、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内又は16週以内の内視鏡的応答及び16週以内の臨床的応答の両方)、
13)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、応答(すなわち、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の内視鏡的応答及び12週以内の臨床的応答の両方)、
14)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の、応答(すなわち、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の内視鏡的応答及び4週以内の臨床的応答の両方)、
15)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内又は16週以内の、内視鏡的応答、
16)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の、内視鏡的応答、
17)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、臨床的応答、
18)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、臨床的応答、
19)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の、臨床的応答、
20)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後2週以内の、臨床的応答、
21)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、便中カルプロテクチンレベルのベースラインからの変化、
22)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、便中カルプロテクチンレベルのベースラインからの変化、
23)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の、便中カルプロテクチンレベルのベースラインからの変化、
24)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、hs-CRP(高感受性C反応性タンパク質)のベースラインからの変化、
25)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、hs-CRP(高感受性C反応性タンパク質)のベースラインからの変化、
26)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、hs-CRP(高感受性C反応性タンパク質)のベースラインからの変化、
27)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の、hs-CRP(高感受性C反応性タンパク質)のベースラインからの変化、
28)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後2週以内の、hs-CRP(高感受性C反応性タンパク質)のベースラインからの変化、
29)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコアのベースラインからの変化、
30)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコアのベースラインからの変化、
31)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、炎症性腸疾患質問票(IBDQ)スコアのベースラインからの変化、
32)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の、調節された臨床的寛解、
33)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、強化された臨床的応答、
並びにそれらの組合せ、
34)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与後4週以内の、ステロイドを用いない内視鏡的改善、
35)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与後8週以内の、ステロイドを用いない内視鏡的改善、
36)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与後16週以内の、ステロイドを用いない内視鏡的改善、
37)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与後4週以内の、ステロイドを用いない内視鏡的応答、
38)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与後8週以内の、ステロイドを用いない内視鏡的応答、
39)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与後16週以内の、ステロイドを用いない内視鏡的応答、
40)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与後4週以内の、ステロイドを用いない内視鏡的寛解、
41)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与後8週以内の、ステロイドを用いない内視鏡的寛解、
42)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与後16週以内の、ステロイドを用いない内視鏡的寛解。
【0302】
一部の実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の臨床的寛解、又はウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内又は16週以内の内視鏡的寛解のいずれかを達成し、さらに、治療結果1)、2)、3)、4)、5)、6)、7)、8)、9)、10)、11)、12)、13)、14)、15)、16)、17)、18)、19)、20)、21)、22)、23)、24)、25)、26)、27)、28)、29)及びそれらの組合せからなる群から選択される追加の治療結果の任意の組合せを達成する。このような一実施形態では、誘導相は、16週である。
【0303】
一実施形態では、誘導相は、12週であり、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の臨床的寛解、又はウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の内視鏡的寛解のいずれかを達成し、さらに、治療結果2)、3)、5)、6)、7)、8)、10)、11)、13)、14)、15)、16)、18)、19)、20)、22)、23)、25)、26)、28)、29)及びそれらの組合せからなる群から選択される追加の治療結果の任意の組合せを達成し、ここで治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に達成される。
【0304】
一実施形態では、誘導相は、4週であり、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の臨床的寛解、又はウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の内視鏡的寛解のいずれかを達成し、さらに、治療結果3)、6)、8)、11)、14)、16)、19)、20)、23)、26)、29)及びそれらの組合せからなる群から選択される追加の治療結果の任意の組合せを達成し、ここで治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に達成される。
【0305】
一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内又は16週以内に臨床的寛解を達成し、かつ/又はウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内又は16週以内に内視鏡的改善を達成し、さらに、治療結果1)、2)、3)、4)、5)、6)、7)、8)、9)、10)、11)、12)、13)、14)、15)、16)、17)、18)、19)、20)、21)、22)、23)、24)、25)、26)、27)、28)、29)及びそれらの組合せからなる群から選択される追加の治療結果の任意の組合せを達成する。このような一実施形態では、誘導相は、16週である。
【0306】
一実施形態では、誘導相は、12週であり、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に臨床的寛解を達成し、かつ/又はウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に内視鏡的改善を達成し、さらに、治療結果2)、3)、5)、6)、7)、8)、10)、11)、13)、14)、15)、16)、18)、19)、20)、22)、23)、25)、26)、28)、29)及びそれらの組合せからなる群から選択される追加の治療結果の任意の組合せを達成し、ここで治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に達成される。
【0307】
一実施形態では、誘導相は、16週であり、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内に臨床的寛解を達成し、かつ/又はウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内に内視鏡的改善を達成し、さらに、治療結果1)、2)、3)、4)、5)、6)、7)、8)、9)、10)、11)、12)、13)、14)、15)、16)、17)、18)、19)、20)、21)、22)、23)、24)、25)、26)、27)、28)、29)及びそれらの組合せからなる群から選択される追加の治療結果の任意の組合せを達成し、ここで治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内に達成される。
【0308】
一実施形態では、誘導相は、4週であり、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に臨床的寛解を達成し、かつ/又はウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に内視鏡的改善を達成し、さらに、治療結果3)、6)、8)、11)、14)、16)、19)、20)、23)、26)、29)及びそれらの組合せからなる群から選択される追加の治療結果の任意の組合せを達成し、ここで治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に達成される。
【0309】
一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内、12週又は16週以内に臨床的寛解を達成し、かつ/又はウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内、12週以内又は16週以内に内視鏡的改善を達成し、さらに、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、150未満のCDAI;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、150未満のCDAI;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の、150未満のCDAI;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、内視鏡的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、内視鏡的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の、内視鏡的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、臨床的応答;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、臨床的応答;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の、臨床的応答;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後2週以内の、臨床的応答;及びそれらの組合せからなる群から選択される追加の治療結果を達成する。このような一実施形態では、誘導相は、16週であり、追加の治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内又は12週以内又は4週以内又は2週以内の、150未満のCDAI;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内又は12週以内又は4週以内の内視鏡的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内又は12週以内又は4週以内又は2週以内の、臨床的応答;及びそれらの組合せからなる群から選択される。このような一実施形態では、誘導相は、12週であり、追加の治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、150未満のCDAI;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、内視鏡的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、臨床的応答;及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0310】
一実施形態では、追加の治療結果は、さらに、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の臨床的寛解であり得、ここで、患者は、ベースラインにおいて2.5以上の液状便/非常に軟らかい便の1日の平均SFスコア及び2.0以上の1日の平均APスコアを有している。一実施形態では、患者が、ベースラインにおいてコルチコステロイドを摂取していたが、JAK1阻害剤を用いる処置中にコルチコステロイドの使用を中断した患者である場合、追加の治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、150未満のCDAIスコア;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内又は16週以内の、内視鏡的寛解、及びウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、臨床的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、臨床的寛解;及びウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内又は16週以内の、内視鏡的寛解;並びにそれらの組合せからなる群から選択され得る。一実施形態では、患者が単独回腸クローン病を有する場合、追加の治療結果は、さらに、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の寛解であり得る。一態様では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了までに、150未満のCDAIスコアを達成する。
【0311】
一態様では、患者は、パダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、臨床的寛解(すなわち、1日の平均SFスコア≦2.8及びベースラインを超えないこと、並びに1日の平均APスコア≦1.0及びベースラインを超えないこと)、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内、6週以内、12週以内又は16週以内の、内視鏡的改善(すなわち、ベースラインから50%を超える減少となるSES-CDスコア、又はSES-CDスコアのベースラインから少なくとも2ポイントの減少、又は内視鏡的寛解)、及びそれらの組合せからなる群から選択される追加の治療結果を達成し得る。
【0312】
一態様では、患者は、CDAIスコアのベースラインから70以上の減少、及びCDAIスコアのベースラインから100以上の減少からなる群から選択される追加の治療結果を達成し得る。一実施形態では、誘導相は、16週であり、CDAIの減少は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内又は12週以内に生じる。一実施形態では、誘導相は、12週であり、CDAIの減少は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に生じる。
【0313】
特定の一実施形態では、誘導相は、16週であり、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、臨床的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内、6週以内、12週以内又は16週以内の、内視鏡的改善(すなわち、ベースラインから50%を超える減少となるSES-CDスコア、又はSES-CDスコアのベースラインから少なくとも2ポイントの減少、又は内視鏡的寛解)、及びそれらの組合せを達成する。別の実施形態では、誘導相は、12週であり、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、臨床的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、内視鏡的改善;又はそれらの組合せを達成する。
【0314】
一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を、少なくとも52週間投与される。ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与は、誘導相(例えば、16週までの誘導相)及び追加の週(例えば、36週以上)の維持相(以下で論じられる)を含み得る。他の実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与は、より短い誘導相(例えば、2週まで、4週、6週、8週、10週、12週まで等)及びより長い維持相(例えば、12週の誘導相及び40週以上の維持相)を含み得る。このような一部の実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、内視鏡的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、臨床的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、内視鏡的改善;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、応答;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、内視鏡的応答;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、臨床的応答;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、150未満のCDAI;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、CDAIのベースラインから70ポイント以上の減少;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、便中カルプロテクチンレベルのベースラインからの変化;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、hs-CRPのベースラインからの変化;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、IBDQスコアのベースラインからの変化;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、腸管外症状(EIMS)のベースラインからの変化;及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの治療結果を達成し得る。
【0315】
一部の実施形態では、患者が、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を少なくとも52週間投与される場合、患者が、ベースラインにおいてコルチコステロイドを摂取していたが、JAK1阻害剤を用いる処置中にコルチコステロイドの使用を中断した患者である場合、追加の治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、150未満のCDAI;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、臨床的寛解;及びウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、内視鏡的寛解;並びにそれらの組合せからなる群から選択され得る。一実施形態では、患者が単独回腸クローン病を有する場合、追加の治療結果は、さらに、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の寛解であり得る。
【0316】
本開示の方法における一実施形態では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了時に、臨床的寛解、内視鏡的改善、内視鏡的寛解、内視鏡的応答、臨床的応答、CDAI、液状便/非常に軟らかい便の1日の平均SFスコア、1日の平均APスコア、便中カルプロテクチンレベル、hs-CRP、IBDQスコア及びそれらの組合せからなる群から選択される治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了時に、臨床的寛解について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了時に、内視鏡的改善について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了時に、内視鏡的寛解について評価される。
【0317】
一実施形態では、患者は、誘導相中に、少なくとも14の用量、少なくとも28の用量、少なくとも42の用量、少なくとも70の用量、又は少なくとも84の用量、又は少なくとも112の用量、又は少なくとも140の用量、又は少なくとも168の用量、又は少なくとも224の用量、又は70の用量、又は84の用量、又は112の用量、又は140の用量、又は168の用量、又は224の用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を投与される。
【0318】
一態様では、ある特定の治療結果は、維持相中に患者によって維持される。維持相は、無期限に継続され得る。一実施形態では、維持相は、少なくとも37週、少なくとも38週、少なくとも39週、少なくとも40週、少なくとも41週、少なくとも42週、少なくとも43週、少なくとも44週、少なくとも45週、少なくとも46週、少なくとも47週、又は少なくとも48週を含み、少なくとも36週である。一実施形態では、維持相は、追加の少なくとも40週である。一実施形態では、維持相中に患者によって維持される治療結果は、臨床的寛解、内視鏡的寛解及びそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、維持相中に患者によって維持される治療結果は、臨床的応答、内視鏡的改善及びそれらの組合せからなる群から選択される。一態様では、患者は、維持相中に150未満のCDAIスコアを維持する。一態様では、患者は、患者のベースラインSES-CDに対して50%を超える減少となるSES-CDを維持する。一実施形態では、患者は、患者のベースラインSES-CDに対して少なくとも2ポイントの減少となるSES-CDを維持する。一実施形態では、維持相中に患者によって維持される治療結果は、臨床的応答である。一実施形態では、維持相中に患者によって維持される治療結果は、内視鏡的寛解である。
【0319】
本開示の方法における一実施形態では、患者は、維持相中に臨床的寛解について評価される。一実施形態では、患者は、維持相中に内視鏡的改善について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、維持相中に内視鏡的寛解について評価される。
【0320】
一実施形態では、本開示は、炎症性疾患を処置するための、一態様ではクローン病を処置するための方法であって、(a)ある用量のJAK1阻害剤(例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態)を、患者に0週目及びその後1日1回(QD)、16週間投与することを含み、該用量がQDで45mgである、方法を提供する。一実施形態では、該方法は、さらに、(b)追加の用量を、患者に1日1回投与し、その後、追加の少なくとも36週間投与することを含み、該用量は、QDで15mg又は30mgである。一実施形態では、用量は、経口投与される。
【0321】
一実施形態では、12週目(すなわち、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週目)に、患者は、臨床的寛解(液状便/非常に軟らかい便の1日の平均SFスコア≦2.8及びベースラインよりも悪くないこと、並びに1日の平均APスコア≦1.0及びベースラインよりも悪くないこと)及び/又は内視鏡的寛解(SES-CD≦4(又は単独回腸CDを有する患者についてはSES-CD≦2)及びBLに対してSES-CDの少なくとも2ポイントの減少及びSES-CDを算出するために使用された任意の個々の変数においてサブスコア>1なし)について評価される。一実施形態では、16週目(すなわち、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週目)に、患者は、臨床的寛解、及び/又は内視鏡的寛解について評価される。
【0322】
一実施形態では、4週目(すなわち、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週目)に、患者は、臨床的寛解(液状便/非常に軟らかい便の1日の平均SFスコア≦2.8及びベースラインよりも悪くないこと、並びに1日の平均APスコア≦1.0及びベースラインよりも悪くないこと)及び/又は内視鏡的寛解(SES-CD≦4(又は単独回腸CDを有する患者についてはSES-CD≦2)及びBLに対してSES-CDの少なくとも2ポイントの減少及びSES-CDを算出するために使用された任意の個々の変数においてサブスコア>1なし)について評価される。
【0323】
一実施形態では、16週目(すなわち、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週目)に、患者は、例えば、臨床的寛解(液状便/非常に軟らかい便の1日の平均SFスコア≦2.8及びベースラインよりも悪くないこと、並びに1日の平均APスコア≦1.0及びベースラインよりも悪くないこと)及び内視鏡的寛解(SES-CD≦4(又は単独回腸CDを有する患者についてはSES-CD≦2)及びBLに対してSES-CDの少なくとも2ポイントの減少及びSES-CDを算出するために使用された任意の個々の変数においてサブスコア>1なし)に達するものと定義されている寛解について評価される。
【0324】
一実施形態では、12週目(すなわち、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週目)に、患者は、臨床的寛解及び/又は内視鏡的改善について評価される。一実施形態では、16週目(すなわち、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週目)に、患者は、臨床的寛解及び/又は内視鏡的改善について評価される。
【0325】
一実施形態では、4週目(すなわち、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週目)に、患者は、臨床的寛解及び/又は内視鏡的改善について評価される。一実施形態では、2週目(すなわち、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後2週目)に、患者は、臨床的寛解及び/又は内視鏡的改善について評価される。
【0326】
一実施形態では、本開示は、クローン病を処置するための方法であって、(a)ある用量のJAK1阻害剤(例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態)を、0週目及びその後1日1回、患者に経口経路を介して投与すること含み、JAK1阻害剤の該用量が、QDで15mg、30mg若しくは45mg、又はその任意の組合せを含む、方法を提供する。
【0327】
一実施形態では、本開示は、クローン病を処置するための方法であって、15mg~45mgのJAK1阻害剤を患者に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、本開示は、クローン病を処置するための方法であって、QDで15mgのJAK1阻害剤を患者に経口投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、本開示は、クローン病を処置するための方法であって、QDで30mgのJAK1阻害剤を患者に経口投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、本開示は、クローン病を処置するための方法であって、QDで45mgのJAK1阻害剤を患者に経口投与することを含む、方法を提供する。このような任意の実施形態では、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態であり得る。このような任意の実施形態では、JAK1阻害剤は、1日1回の調節放出製剤における阻害剤であり得る。このような任意の実施形態では、患者は、処置前に、中程度から重症の活動性クローン病を有している場合がある。
【0328】
一実施形態では、本開示によるJAK1阻害剤の投与は、本明細書の以下の実施例又は
図1にさらに記載されている。
【0329】
一実施形態では、本開示は、クローン病を処置するための方法であって、a)少なくとも1つの導入用量のJAK1阻害剤(例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態)を、患者に投与することを含み、前記導入用量が、45mgのJAK1阻害剤を含む、方法を提供する。一態様では、導入用量は、経口投与される。一態様では、導入用量は、QD投与される。一態様では、導入用量は、12週間投与される。一態様では、導入用量は、16週間投与される。一実施形態では、導入用量は、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間又は15週間を含み、16週間まで投与される。
【0330】
一実施形態では、導入用量は、QD投与される45mgのJAK1阻害剤を含む。
【0331】
一実施形態では、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。
【0332】
一実施形態では、導入用量は、1日1回の調節放出製剤における用量である。
【0333】
一実施形態では、該方法は、さらに、b)最終導入用量が投与された後、第1の維持用量のJAK1阻害剤(例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態)を患者に投与し、c)その後、少なくとも1つの追加の維持用量を、患者に1日1回投与することを含む。
【0334】
一実施形態では、第1の維持用量は、15mg~30mgのJAK1阻害剤を含む。一態様では、第1の維持用量は、15mg又は30mgのJAK1阻害剤を含む。一態様では、第1の維持用量は、導入用量よりも少ない。一態様では、第1の維持用量は、QD投与される。一態様では、第1の維持用量は、15mgである。一態様では、第1の維持用量は、30mgである。一態様では、第1の維持用量は、経口投与される。一態様では、第1の維持用量は、1日1回の調節放出製剤における用量である。
【0335】
一態様では、少なくとも1つの追加の維持用量は、15mg~30mgのJAK1阻害剤を含む。一態様では、少なくとも1つの追加の維持用量は、15mg又は30mgを含む。一態様では、少なくとも1つの追加の維持用量は、経口投与される。一態様では、少なくとも1つの追加の維持用量は、QD投与される。一実施形態では、少なくとも1つの追加の維持用量は、QD投与される15mgのJAK1阻害剤を含む。一実施形態では、少なくとも1つの追加の維持用量は、QD投与される30mgのJAK1阻害剤を含む。一態様では、少なくとも1つの追加の維持用量は、1日1回の調節放出製剤における用量である。
【0336】
上述の実施形態のいずれかでは、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態であり得る。
【0337】
上述の実施形態のいずれかの一態様では、患者は、150未満のCDAIスコアを維持する。
【0338】
上述の実施形態のいずれかの一態様では、患者は、従来の処置(例えば、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤)、又は生物学的薬剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していたか、又は不耐性を経験した患者である。上述の実施形態のいずれかの一態様では、患者は、抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していたか、又は不耐性を経験した患者である。上述の実施形態のいずれかの一態様では、患者は、抵抗性患者である。
【0339】
上述の実施形態のいずれかの一態様では、患者は、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的薬剤又は抗TNF剤を用いる前処置を受けていない患者である。
【0340】
上述の実施形態のいずれかの一態様では、患者は、処置又は導入用量の投与の前に、中程度から重症の活動性クローン病を有していた患者である。
【0341】
一実施形態では、本開示は、さらに、患者のクローン病の臨床的寛解を誘導するための方法であって、a)前述されている又は本明細書に記載されている通り、少なくとも1つの導入用量のJAK1阻害剤(例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態)を患者に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、導入用量は、45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む。一実施形態では、導入用量は、0週目及びその後1日1回(QD)、16週間まで(例えば、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間又は16週間)投与され、該用量は、QDで45mgである。一実施形態では、該方法は、さらに、クローン病の臨床的寛解を維持することを含み、前記方法は、さらに、b)最終導入用量が投与された後、第1の維持用量の前記JAK1阻害剤を患者に投与し、c)前述されている又は本明細書に記載されている通り、少なくとも1つの追加の維持用量を患者に投与することをさらに含む。一実施形態では、少なくとも1つの追加の維持用量は、1日1回投与される。一実施形態では、追加の維持用量は、少なくとも37週間、少なくとも38週間、少なくとも39週間、少なくとも40週間、少なくとも41週間、少なくとも42週間、少なくとも43週間、少なくとも44週間、少なくとも45週間、少なくとも46週間、少なくとも47週間又は少なくとも48週間を含み、追加の少なくとも36週間、1日1回投与される。一実施形態では、追加の維持用量は、追加の少なくとも40週間、1日1回投与される。一実施形態では、維持用量は、QDで15mg又は30mgである。一実施形態では、誘導用量及び維持用量は、経口投与される。一実施形態では、患者は、第1の導入用量の投与前に、220~450のCDAIスコアを有している。一実施形態では、患者は、第1の導入用量の投与前に、中程度から重症の活動性クローン病を有している。一実施形態では、患者は、従来の処置(例えば、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤)、又は生物学的薬剤及び/若しくは抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していたことがあるか、又は不耐性を経験したことがある。一実施形態では、患者は、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的薬剤及び/又は抗TNF剤を用いる前処置を受けていない。一実施形態では、臨床的寛解は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内に達成される。一実施形態では、臨床的寛解は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に達成される。一実施形態では、臨床的寛解は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に達成される。一実施形態では、患者は、第1の維持用量の投与前に、150未満のCDAIスコアを達成する。一実施形態では、誘導用量及び維持用量は、1日1回の調節放出製剤における用量である。
【0342】
一実施形態では、本開示は、クローン病の内視鏡的寛解を誘導するための方法であって、(a)少なくとも1つの導入用量のJAK1阻害剤(例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態)を、患者に投与することを含み、該導入用量が、45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む、方法を提供する。一実施形態では、導入用量は、0週目及びその後1日1回(QD)、16週間まで(例えば、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間又は16週間)投与され、該用量は、QDで45mgである。一実施形態では、該方法は、さらに、クローン病の内視鏡的寛解を維持することを含み、前記方法は、さらに、(b)最終導入用量が投与された後、第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与し、(c)その後、少なくとも1つの追加の維持用量を1日1回投与することを含む。一実施形態では、追加の維持用量は、少なくとも37週間、少なくとも38週間、少なくとも39週間、少なくとも40週間、少なくとも41週間、少なくとも42週間、少なくとも43週間、少なくとも44週間、少なくとも45週間、少なくとも46週間、少なくとも47週間又は少なくとも48週間を含み、追加の少なくとも36週間、1日1回投与される。一実施形態では、追加の維持用量は、追加の少なくとも40週間、1日1回投与される。一実施形態では、維持用量は、QDで15mg又は30mgである。一実施形態では、誘導用量及び維持用量は、経口投与される。一実施形態では、患者は、第1の導入用量の投与前に、220~450のCDAIスコアを有している。一実施形態では、患者は、第1の導入用量の投与前に、中程度から重症の活動性クローン病を有している。一実施形態では、患者は、従来の処置(例えば、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤)、又は生物学的及び/若しくは抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していたことがあるか、又は不耐性を経験したことがある。一実施形態では、患者は、コルチコステロイド、免疫抑制剤、抗TNF剤及び/又は生物学的薬剤を用いる前処置を受けていない。一実施形態では、内視鏡的寛解は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内又は16週以内に達成される。一実施形態では、内視鏡的寛解は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に達成される。一実施形態では、患者は、第1の維持用量の投与前に、150未満のCDAIスコアを達成する。一実施形態では、誘導用量及び維持用量は、1日1回の調節放出製剤における用量である。
【0343】
一実施形態では、本開示は、さらに、患者のクローン病の内視鏡的改善を誘導するための方法であって、a)前述されている又は本明細書に記載されている通り、少なくとも1つの導入用量のJAK1阻害剤(例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態)を患者に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、導入用量は、45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む。一実施形態では、導入用量は、0週目及びその後1日1回(QD)、16週間まで(例えば、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、又は16週間)投与され、該用量は、QDで45mgである。一実施形態では、該方法は、さらに、クローン病の内視鏡的改善を維持することを含み、前記方法は、さらに、b)最終導入用量が投与された後、第1の維持用量の前記JAK1阻害剤を患者に投与し、c)前述されている又は本明細書に記載されている通り、少なくとも1つの追加の維持用量を患者に投与することを含む。一実施形態では、少なくとも1つの追加の維持用量は、1日1回投与される。一実施形態では、追加の維持用量は、少なくとも37週間、少なくとも38週間、少なくとも39週間、少なくとも40週間、少なくとも41週間、少なくとも42週間、少なくとも43週間、少なくとも44週間、少なくとも45週間、少なくとも46週間、少なくとも47週間、又は少なくとも48週間を含み、追加の少なくとも36週間、1日1回投与される。一実施形態では、追加の維持用量は、追加の少なくとも40週間、1日1回投与される。一実施形態では、維持用量は、QDで15mg又は30mgである。一実施形態では、誘導用量及び維持用量は、経口投与される。一実施形態では、患者は、第1の導入用量の投与前に、220~450のCDAIスコアを有している。一実施形態では、患者は、第1の導入用量の投与前に、中程度から重症の活動性クローン病を有している。一実施形態では、患者は、従来の処置(例えば、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤)、又は生物学的薬剤及び/若しくは抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していたことがあるか、又は不耐性を経験したことがある。一実施形態では、患者は、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的薬剤及び/又は抗TNF剤を用いる前処置を受けていない。一実施形態では、内視鏡的改善は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内に達成される。一実施形態では、内視鏡的改善は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に達成される。一実施形態では、内視鏡的改善は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に達成される。一実施形態では、患者は、第1の維持用量の投与前に、150未満のCDAIスコアを達成する。一実施形態では、誘導用量及び維持用量は、1日1回の調節放出製剤における用量である。
【0344】
一実施形態では、本開示は、さらに、患者のクローン病の臨床的寛解を維持する方法であって、15mg又は30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩形態を患者に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩形態は、少なくとも37週間、少なくとも38週間、少なくとも39週間、少なくとも40週間、少なくとも41週間、少なくとも42週間、少なくとも43週間、少なくとも44週間、少なくとも45週間、少なくとも46週間、少なくとも47週間、又は少なくとも48週間を含み、少なくとも36週間、1日1回投与される。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩形態は、経口投与される。一実施形態では、患者は、従来の処置(例えば、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤)、又は生物学的薬剤及び/若しくは抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していたことがある、又は不耐性を経験したことがある。一実施形態では、患者は、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的薬剤及び/又は抗TNF剤を用いる前処置を受けていない。一実施形態では、患者は、抵抗性患者である。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩形態は、1日1回の調節放出製剤である。
【0345】
一実施形態では、本開示は、さらに、患者のクローン病の内視鏡的改善を維持する方法であって、15mg又は30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩形態を患者に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩形態は、少なくとも37週間、少なくとも38週間、少なくとも39週間、少なくとも40週間、少なくとも41週間、少なくとも42週間、少なくとも43週間、少なくとも44週間、少なくとも45週間、少なくとも46週間、少なくとも47週間、又は少なくとも48週間を含み、少なくとも36週間、1日1回投与される。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩形態は、経口投与される。一実施形態では、患者は、従来の処置(例えば、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤)、又は生物学的薬剤及び/若しくは抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していたことがある、又は不耐性を経験したことがある。一実施形態では、患者は、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的薬剤及び/又は抗TNF剤を用いる前処置を受けていない。一実施形態では、患者は、抵抗性患者である。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩形態は、1日1回の調節放出製剤である。
【0346】
一実施形態では、本開示は、さらに、患者のクローン病の内視鏡的寛解を維持する方法であって、15mg又は30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩形態を患者に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩形態は、少なくとも37週間、少なくとも38週間、少なくとも39週間、少なくとも40週間、少なくとも41週間、少なくとも42週間、少なくとも43週間、少なくとも44週間、少なくとも45週間、少なくとも46週間、少なくとも47週間、又は少なくとも48週間を含み、少なくとも36週間、1日1回投与される。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩形態は、経口投与される。一実施形態では、患者は、従来の処置(例えば、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤)、又は生物学的薬剤及び/若しくは抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していたことがある、又は不耐性を経験したことがある。一実施形態では、患者は、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的薬剤及び/又は抗TNF剤を用いる前処置を受けていない。一実施形態では、患者は、抵抗性患者である。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩形態は、1日1回の調節放出製剤である。
【0347】
一実施形態では、本開示は、さらに、患者のクローン病の寛解を維持する方法であって、15mg又は30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩形態を患者に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩形態は、少なくとも37週間、少なくとも38週間、少なくとも39週間、少なくとも40週間、少なくとも41週間、少なくとも42週間、少なくとも43週間、少なくとも44週間、少なくとも45週間、少なくとも46週間、少なくとも47週間、又は少なくとも48週間を含み、少なくとも36週間、1日1回投与される。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩形態は、経口投与される。一実施形態では、患者は、従来の処置(例えば、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤)、又は生物学的薬剤及び/若しくは抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していたことがあるか、又は不耐性を経験したことがある。一実施形態では、患者は、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的薬剤及び/又は抗TNF剤を用いる前処置を受けていない。一実施形態では、患者は、抵抗性患者である。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩形態は、1日1回の調節放出製剤における塩形態である。
【0348】
一態様では、本明細書に開示される方法のための導入用量は、表3に記載されている投与レジメンで、12週間投与される。一態様では、導入用量は、表3に記載されている投与レジメンで、16週間投与される。一態様では、維持用量は、表3に記載されている投与レジメンで、36週間以上投与される。一態様では、本明細書に開示される方法のための導入用量は、表3に記載されている投与レジメンで、16週間投与され、維持用量は、36週間投与される。
【0349】
【0350】
一態様では、本明細書に開示される方法のための導入用量は、表4に記載されている投与レジメンで、2週間投与される。一態様では、本明細書に開示される方法のための導入用量は、表4に記載されている投与レジメンで、4週間投与される。一態様では、本明細書に開示される方法のための導入用量は、表4に記載されている投与レジメンで、12週間投与される。一態様では、導入用量は、表4に記載されている投与レジメンで、16週間投与される。一態様では、維持用量は、表4に記載されている投与レジメンで、36週間以上投与される。一態様では、本明細書に開示される方法のための導入用量は、表4に記載されている投与レジメンで、2週間投与され、維持用量は、36週間又は40週間投与される。一態様では、本明細書に開示される方法のための導入用量は、表4に記載されている投与レジメンで、4週間投与され、維持用量は、36週間又は40週間投与される。一態様では、本明細書に開示される方法のための導入用量は、表4に記載されている投与レジメンで、12週間投与され、維持用量は、36週間又は40週間投与される。一態様では、本明細書に開示される方法のための導入用量は、表4に記載されている投与レジメンで、16週間投与され、維持用量は、36週間又は40週間投与される。
【0351】
【0352】
特定の一実施形態では、導入用量は、QD投与される45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態であり、維持用量、及びその後投与される任意の追加の維持用量は、QD投与される30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。別の実施形態では、導入用量は、QD投与される45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態であり、維持用量、及びその後投与される任意の追加の維持用量は、QD投与される15mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。一実施形態では、維持用量及び導入用量は、1日1回の調節放出製剤における用量である。
【0353】
IV.潰瘍性大腸炎の処置方法
一態様では、本開示は、潰瘍性大腸炎の処置のための方法を対象とする。一態様では、本開示は、潰瘍性大腸炎を処置するための方法、特に、JAK1阻害剤をある特定の量及び/又はある特定の間隔で患者に投与することを含む、方法を提供する。一態様では、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。
【0354】
一態様では、本開示は、本明細書に記載されている通り、ある特定の量及び/又はある特定の間隔で投与することによって潰瘍性大腸炎の処置において使用するためのJAK1阻害剤を提供する。一態様では、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。
【0355】
一態様では、本開示は、本明細書に記載されている通り、ある特定の量及び/又はある特定の間隔で投与することによって潰瘍性大腸炎の処置のための医薬品を調製するためのJAK1阻害剤の使用を提供する。一態様では、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。
【0356】
一態様では、本開示は、潰瘍性大腸炎の臨床的寛解及び/又は内視鏡的寛解を誘導するための方法を対象とする。一態様では、本開示は、潰瘍性大腸炎の臨床的寛解及び/又は内視鏡的寛解を誘導するための方法、特に、本明細書に記載されている通り、JAK1阻害剤をある特定の量及び/又はある特定の間隔で患者に投与することを含む、方法を提供する。一態様では、本開示は、さらに、臨床的寛解を誘導するための方法であって、患者が、JAK1阻害剤の投与後48週目に、SFスコア≦1、0のRBS、及び内視鏡検査スコア≦1を有する、方法を対象とする。一態様では、患者は、JAK1阻害剤の投与後8週目に、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2に加えて、150mg/kg未満の便中カルプロテクチンに従って、臨床的寛解を達成する。一態様では、患者は、JAK1阻害剤の投与後8週目に、IBDQのベースラインからの上昇≧16を有する。一態様では、患者は、JAK1阻害剤の投与後8週目に、RBS≧1又は絶対的RBS≦1を有する。一態様では、患者は、JAK1阻害剤の投与後8週目に、SFサブスコア≦1を有する。一態様では、患者は、8週目に0のRBSを達成する。一態様では、患者は、JAK1阻害剤の投与後8週目に、150mg/kg未満の便中カルプロテクチンを達成する。一態様では、患者は、JAK1阻害剤の投与後8週目に、組織学的改善を達成する。一態様では、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。
【0357】
一態様では、本開示は、本明細書に記載されている通り、ある特定の量及び/又はある特定の間隔で投与することによって潰瘍性大腸炎の臨床的寛解の誘導において使用するためのJAK1阻害剤を提供する。一態様では、本開示は、本明細書に記載されている通り、ある特定の量及び/又はある特定の間隔で投与することによって潰瘍性大腸炎の臨床的寛解及び/又は臨床的応答及び/又は内視鏡的改善及び/又は内視鏡的寛解の誘導において使用するためのJAK1阻害剤を提供する。一態様では、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。
【0358】
一態様では、本開示は、本明細書に記載されている通り、ある特定の量及び/又はある特定の間隔で投与することによって潰瘍性大腸炎の臨床的寛解を誘導するための医薬品を調製するためのJAK1阻害剤の使用を提供する。一態様では、本開示は、本明細書に記載されている通り、ある特定の量及び/又はある特定の間隔で投与することによって潰瘍性大腸炎の臨床的寛解及び/又は臨床的応答及び/又は内視鏡的改善及び/又は内視鏡的寛解を誘導するための医薬品を調製するためのJAK1阻害剤の使用を提供する。一態様では、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。
【0359】
特定の一態様では、疾患は、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎である。一態様では、本開示の文脈において、患者は、免疫抑制剤(例えば、メトトレキセート)、アミノサリチレート、コルチコステロイド及び/又は生物学的薬剤(例えば、ベドリズマブ、ウステキヌマブ、ナタリズマブ等)を受けておらず、又はそれらを用いて既に処置された。一態様では、患者は、抗TNF治療(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、ゴリムマブ等)を受けておらず、又はそれらを用いて既に処置された。本発明の方法の文脈の一態様では、患者は、1種、2種、3種以上のTNFアンタゴニスト(本明細書において抗TNF剤とも呼ばれる)を用いて既に処置された。一実施形態では、患者は、TNFアンタゴニストに対して不十分な応答を有していたか、応答を喪失したか、又は不耐性であった患者である。本発明の方法の文脈の一態様では、患者は、1種、2種、3種以上の生物学的薬剤を用いて既に処置された。一実施形態では、患者は、生物学的薬剤に対して不十分な応答を有していた、応答を喪失した、又は不耐性であった患者である。一実施形態では、患者は、TNFアンタゴニスト、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤及び/又は生物学的薬剤に対して不十分な応答を有していたか、応答を喪失したか、又は不耐性であった患者である。一実施形態では、患者は、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する抵抗性患者である。一実施形態では、患者は、JAK1阻害剤を用いる処置の前に、コルチコステロイドの使用を受けておらず、又は使用を停止されているかのいずれかである。
【0360】
潰瘍性大腸炎の疾患重症度は、潰瘍性大腸炎の活動のアセスメントのためのメイヨースコアシステム(「完全メイヨー」)、適合メイヨースコア(完全メイヨーの排便回数サブスコア、直腸出血サブスコア及び内視鏡検査サブスコアからなる)、潰瘍性大腸炎の重症度の内視鏡的指標(UCEIS)スコアシステム、炎症性腸疾患質問票(IBDQ)、潰瘍性大腸炎の労働生産性及び活動障害質問票(バージョン2.0)(WPAI:UC)、欧州クオリティオブライフ5項目5レベル(European Quality of Life 5 Dimensions 5 Levels)(EQ-5D-5L)、簡易形態36項目(Short Form 36 Item)(SF-36)健康調査(バージョン2)、慢性疾病治療倦怠感の機能的アセスメント(FACIT-F)、潰瘍性大腸炎の症候質問票(UC-SQ)、並びに患者による全般的な変化の印象(Patient Global Impression of Change)(PGIC)を含む様々な指標を使用して測定され得る。
【0361】
以下に示される潰瘍性大腸炎の活動のアセスメントのためのメイヨースコアシステムは、以下のサブスコア:排便回数サブスコア、直腸出血サブスコア(RBS)、内視鏡検査サブスコア、及び医師の全般的アセスメントサブスコアの複合である。
【0362】
【0363】
IBDQは、患者の炎症性腸疾患症候、一般福祉、及び気分をアセスメントする、妥当性を検証された周知の32項目の質問票であり、患者のクオリティオブライフを評価するためのツールとして使用され得る(Guyattら、Gastroenterology、1989、96:804~810頁)。IBDQ質問及び答えの選択肢は、以下の表6に記載されている。
【0364】
【0365】
潰瘍性大腸炎(WPAI:UC)及びクローン病(WPAI:CD)の労働生産性及び活動障害質問票は、労働生産性の喪失及び1日の活動の障害に対するその状態の影響をアセスメントする。WPAI:UCは、状態に関する問題に起因して、過去7日間の労働を欠勤した時間として測定された長期欠勤(労働時間の欠損)の4つの領域を包含する6項目を有する。スコアは、WPAI:UC又はWPAI:CDスコア化アルゴリズム;労働時の生産性に対するその状態の影響(すなわち、労働量若しくは労働の種類の減少、又は正常時ほど集中できないこと)として測定された疾病就業(労働時の障害/勤務中の有効性の低下)に従って、実際に労働した時間に合わせて調整される障害パーセンテージとして表される。応答は、0~10のリッカート尺度(ここで、0=労働に対するUC又はCDの作用はなく、10=労働時のUC又はCDの重症の影響)、状態に起因して失われた時間、すなわち長期欠勤及び障害を伴って労働した時間、すなわち労働した時間数及び疾病就業の積の合計として測定された生産性喪失(全体的労働障害)、並びに疾病就業と同じやり方で記録され、スコア化された活動障害(すなわち、家事、掃除、買物、旅行、研究のような、賃金労働以外の活動)で記録される。数値が高いほど、障害が大きく、生産性が低いことを示す。WPAI:UC/WPAI:CD質問及び答えの選択肢は、表7に記載されている。
【0366】
【0367】
欧州クオリティオブライフ5項目5水準(EQ-5D-5L)は、健康に関するクオリティオブライフを説明し評価するための、標準化された非疾患特異的な手段である。EQ-5D-5Lは、移動の程度、身の回りの管理、普段の活動、痛み/不快感、及び不安/ふさぎ込みの5項目からなる。各項目は、問題はない、少し問題がある、中程度の問題がある、かなり問題がある、又は活動ができないの5つのレベルを有する。これは、視覚評価法(VAS:Visual Analogue Scale)も含有している。対象は、項目ごとに現在の機能又は経験レベルを説明するレベルを示すよう求められる。健康状態の尺度として、記述プロファイルが提供され、それを使用して、健康状態の単一指標値(ここで、完全な健康は1に等しく、死亡は0に等しい)を作製することができる。VASは、0~100の健康状態のスコアを有する20cmの縦線に沿って、対象の健康についての自身のアセスメントを記録する。EQ-5D-5L質問及び答えの選択肢は、表8に記載されている。
【0368】
【0369】
SF-36質問票は、36項目を含む自己管理多領域尺度である。身体機能(PF)、日常役割機能(身体)(RP)、体の痛み(BP)、全体的健康感(GH)、活力(VT)、社会生活機能(SF)、日常役割機能(情動)(RE)及び心の健康(MH)の8つの下位尺度により、様々な機能を包含する。スコア付けによって、身体構成成分スコア、精神構成成分概要スコア、及び下位尺度スコアを得る。スコアが高いほど、良好なアウトカムを表す。SF-36によって測定された概念は、いかなる年齢、疾患、又は処置群にも特異的でなく、様々な疾患の相対的負担及び様々な処置の利益を比較することができる。SF-36質問及び答えの選択肢は、以下の表9に示される。
【0370】
【0371】
慢性疾病治療の機能的アセスメント(FACIT)系は、がん及び他の慢性疾病の管理を標的としたクオリティオブライフ(QOL)質問票の収集である。FACIT倦怠感(FACIT-F)質問票は、貧血に伴う倦怠感をアセスメントするために開発された。この質問票は、倦怠感に関する13の質問からなる。FACIT倦怠感質問票の13項目への応答は、それぞれ、4ポイントのリッカート尺度で測定される。答えに対する応答は、以下の通りである。(i)まったくだるくない:0ポイント、(ii)わずかにだるい:1ポイント、(iii)少しだるい:2ポイント、(iv)かなりだるい:3ポイント、及び(v)非常にだるい:4ポイント。したがって、合計スコアは、0~52になる。高いスコアは、倦怠感が少ないことを表す。FACIT-F質問及び答えの選択肢は、以下の表10に示される。
【0372】
【0373】
潰瘍性大腸炎症候質問票(UC-SQ)は、リッカート型17項目から構成されたUCに特異的な手段である。UC-SQは、患者の睡眠への影響と共に、頻繁な便通、腹部不快感、悪心、食欲喪失、痛み、及び貧血のようなUCに関する胃腸管及び非胃腸管症候をアセスメントするために開発された。各質問は、過去1週間(すなわち、7日間)の間に患者がどのように感じたかに基づいて、(i)まったくない:0ポイント、(ii)わずかにある:1ポイント、(iii)少しある:2ポイント、(iv)かなりある:3ポイント、及び(v)非常にある:4ポイントのようなリッカート型選択肢を使用して答えることができる。全スコアの範囲は、0~68で変わり得、スコアが低いほど改善されていることを示す。UC-SQ質問及び答えの選択肢は、以下の表11に示される。
【0374】
【0375】
患者による全般的な変化の印象(PGIC)は、潰瘍性大腸炎による全体的な症候の変化をアセスメントする、自己管理手段である。PGICは1項目であり、それにより、患者は、処置開始以来の全体的な改善を評定するように求められる。患者は、「潰瘍性大腸炎による全体的な症候の変化を、処置を開始する前と比較してどのように評定しますか」という質問を求められ、自身の変化について、「非常に改善された」、「かなり改善された」、「最小限に改善された」、「変化なし」、「最小限に悪化した」、「かなり悪化した」及び「非常に悪化した」と評定する。
【0376】
一態様では、処置を受ける患者は、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有している。中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎は、5~9ポイントの適合メイヨースコア及び2~3の内視鏡検査サブスコアによって特徴付けられる。
【0377】
一実施形態では、患者は、従来の治療(例えば、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤)、又は生物学的薬剤に対して不十分な応答を有していたか、応答を喪失したか、又は不耐性であった患者である。一実施形態では、患者は、生物学的治療に対して不十分な応答を有していたか、応答を喪失したか、又は不耐性であった患者である。このような生物学的治療の例として、インフリキシマブ、アダリムマブ、ベドリズマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ及びセルトリズマブペゴルが挙げられる。患者が、コルチコステロイド、免疫抑制剤及び/又は生物学的治療を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、応答を喪失した、又は不耐性を経験したことがあるかどうかを決定するための基準は、以下に定義されている。
【0378】
コルチコステロイド
1)経口で3~4週間若しくは静脈内で1週間、プレドニゾン≧40mg/日当量を含む少なくとも1つの誘導レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候、又は
2)活動性疾患の再発なしに、経口で1日にプレドニゾン10mg当量未満にコルチコステロイドを漸減することができない、又は
3)コルチコステロイドへの不耐性の履歴(それに限定されるものではないが、クッシング症候群、骨減少症/骨粗鬆症、高血糖症、不眠症、感染を含む)。
【0379】
免疫抑制剤
1)経口アザチオプリン(≧1.5mg/kg/日;日本及び中国の対象だけについては、≧1.0mg/kg/日)、6-メルカプトプリン(≧1mg/kg/日[日本及び中国の対象だけについては、≧0.6mg/kg/日、半錠製剤の利用可能な錠剤に四捨五入される]又は現在の投与レジメンで実証された6-TGNレベル230~450pmol/8×108RBC以上)、注射可能なメトトレキセート(MTX≧15mg/週の皮下[SC]又は筋肉内)又はタクロリムス(日本の対象だけについては、実証されたトラフレベル5~10ng/mL)の少なくとも1つの90日レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候、又は
2)少なくとも1種の免疫抑制剤への不耐性の履歴(それに限定されるものではないが、悪心/嘔吐、腹痛、膵炎、肝酵素異常、リンパ球減少症、感染を含む)。
【0380】
UCのための生物学的薬剤
1)以下のいずれかの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候:
a.インフリキシマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン(0、2及び6週目に≧5mg/kgの静脈内[IV])、
b.アダリムマブの少なくとも1つの4週間誘導レジメン(少なくとも2週間隔てて、SCで160mg用量1回の後にSCで80mg用量1回[又はSCで80mg用量1回の後にSCで40mg用量1回(この投与レジメンが承認されている国において)])、
c.ゴリムマブの少なくとも1つの2週間誘導レジメン(少なくとも2週間隔てて、SCで200mg用量1回の後にSCで100mg用量1回)、
d.ベドリズマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン(0、2及び6週目にIVで300mg)、又は
2)以前の臨床的利益に従って計画された維持投与中の症候の再発(臨床的利益があるにもかかわらず中断することは認められない)、又は
3)少なくとも1種の生物学的薬剤への不耐性の履歴(それに限定されるものではないが、輸注反応、脱髄、うっ血性心不全(CHF)、感染を含む)。
【0381】
一態様では、患者は、アミノサリチレート、免疫抑制剤、コルチコステロイド及び/又は生物学的薬剤を用いて既に処置されている、又は現在処置を受けている患者である。
【0382】
一態様では、潰瘍性大腸炎の活動のアセスメントのためのメイヨースコアシステム、又は本明細書において先に若しくは本明細書における以下の実施例において記載されている評価のいずれかを使用して、潰瘍性大腸炎、例えば、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎の処置におけるウパダシチニブの有効性をアセスメントする。一実施形態では、潰瘍性大腸炎の処置におけるウパダシチニブの有効性をアセスメントするために使用される評価は、完全メイヨースコア、部分メイヨースコア、適合メイヨースコア、IBDQ、WPAI:UC、EQ-5D-5L、SF-36、FACIT-F、UC-SQ、PGIC及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0383】
本開示の文脈の一実施形態では、潰瘍性大腸炎を有する患者の処置、並びに/又は患者における潰瘍性大腸炎の臨床的寛解の誘導、並びに/又は臨床的応答及び/又は内視鏡的改善及び/又は内視鏡的寛解の誘導は、誘導相及び維持相を含む。誘導相では、例えば本明細書において導入用量と呼ばれる1つ以上の用量のJAK1阻害剤は、患者に、例えば経口投与される。維持相では、例えば、本明細書において維持用量と呼ばれる第1の用量のJAK1阻害剤が患者に投与された後、例えば本明細書において維持用量とも呼ばれる少なくとも1つの追加の用量のJAK1阻害剤が投与される。維持用量は、例えば経口投与される。JAK1阻害剤は、例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態であり得る。誘導相及び維持相の例は、本明細書に記載されている。
【0384】
一態様では、ある特定の治療結果、例えば臨床的寛解は、誘導相中又は誘導相の終了時に、患者によって達成される。他の実施形態では、誘導相中又は誘導相の終了時に患者によって達成される治療結果は、8週目の0又は1の内視鏡的サブスコア、8週目の0の内視鏡的サブスコア、8週目の150mg/kg未満の便中カルプロテクチン、8週目のIBDQ応答(IBDQのベースラインからの上昇≧16)、8週目のRBS≧1若しくは絶対RBS≦1、又は8週目の0のRBSからなる群から選択される。一態様では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了までに臨床的寛解を達成する。一態様では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了までに内視鏡的寛解を達成する。
【0385】
一態様では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了までに、潰瘍性大腸炎の内視鏡的改善を達成する。一態様では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了時に、潰瘍性大腸炎の臨床的寛解及び内視鏡的改善を達成する。
【0386】
一実施形態では、誘導相は、16週間まで(例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週間まで)継続する。したがって一実施形態では、誘導相は、16週である。別の実施形態では、誘導相は、任意選択的に、16週間未満、例えば、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間又は15週間、継続する。一態様では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内又は12週以内又は16週以内に内視鏡的寛解を達成する。一態様では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内又は12週以内又は16週以内に臨床的寛解を達成する。一態様では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内又は12週以内又は16週以内に内視鏡的改善を達成する。一態様では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内又は12週以内又は16週以内に臨床的応答を達成する。一態様では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内又は12週以内又は16週以内に臨床的寛解を達成する。
【0387】
一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後2週以内に臨床的寛解を達成する。一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に臨床的寛解を達成する。
【0388】
一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後2週以内に臨床的応答を達成する。一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に臨床的応答を達成する。
【0389】
一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後2週以内に、内視鏡的改善又は内視鏡的寛解を達成する。一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に、内視鏡的改善又は内視鏡的寛解を達成する。一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に、内視鏡的改善又は内視鏡的寛解を達成する。一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内に、内視鏡的改善又は内視鏡的寛解を達成する。
【0390】
一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に、コルチコステロイドを用いない寛解を達成する。一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内に、コルチコステロイドを用いない寛解を達成する。一実施形態では、コルチコステロイドを用いない寛解は、臨床的寛解である。一実施形態では、コルチコステロイドを用いない寛解は、内視鏡的寛解である。
【0391】
一部の実施形態では、誘導相中又は誘導相の終了までに(例えば、2週間、4週間、6週間、8週間、10週間、12週間又は16週間を含み、16週間まで継続する)、患者は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの治療結果を達成する。
1)内視鏡的改善(ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の内視鏡的サブスコア≦1と定義されている)、
2)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2、
3)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、臨床的応答(適合メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、直腸出血サブスコア(RBS)の減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSと定義されている)、
4)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後2週以内の、臨床的応答、
5)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週目までの、完全メイヨースコアのベースラインからの変化、
6)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、内視鏡的寛解(0の内視鏡的サブスコアと定義されている)、
7)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、組織学的改善(Geboesスコアのベースラインからの減少と定義されている)、
8)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1、
9)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、0のRBS、
10)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、内視鏡的改善(0又は1の内視鏡的サブスコア)、
11)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、排便回数サブスコア≦1、
12)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内に臨床的寛解を達成した患者における、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週目の、臨床的寛解の維持、
13)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、内視鏡的改善、
14)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2、
15)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与の開始前にコルチコステロイドの使用を中断した患者における、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、臨床的寛解、
16)ベースラインにおいてコルチコステロイドを摂取しており、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内はステロイドを用いていない対象、
17)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内に臨床的寛解を達成した患者における、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週目の、内視鏡的改善、
18)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後44週以内の、臨床的応答、
19)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、内視鏡的寛解、
20)ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、組織学的改善、
21)適合メイヨースコアに従う臨床的寛解(SFS≦1、0のRBS、及び内視鏡検査サブスコア≦1と定義されている)、
及びそれらの組合せ。
【0392】
一部の実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内又は12週以内に臨床的寛解を達成し、さらに、治療結果1)、2)、3)、4)、5)、6)、7)、8)、9)、10)、11)、12)、13)、14)、15)、16)、17)、18)、19)、20)、21)及びそれらの組合せからなる群から選択される追加の治療結果の任意の組合せを達成する。このような一実施形態では、誘導相は、16週である。一実施形態では、追加の治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内に達成され、治療結果1)、2)、3)、4)、5)、6)、7)、8)、9)、10)、11)及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0393】
一実施形態では、誘導相は、8週であり、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内に臨床的寛解を達成し、さらに、治療結果1)、2)、3)、4)、5)、6)、7)、8)、9)、10)、11)、12)、13)、14)、15)、16)、17)、18)、19)、20)、21)及びそれらの組合せからなる群から選択される追加の治療結果の任意の組合せを達成する。一実施形態では、追加の治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内に達成される。一実施形態では、追加の治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内に達成され、治療結果1)、2)、3)、4)、5)、6)、7)、8)、9)、10)、11)及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0394】
一実施形態では、誘導相は、4週であり、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に臨床的寛解を達成し、さらに、治療結果1)、2)、3)、4)、5)、6)、7)、8)、9)、10)、11)、12)、13)、14)、15)、16)、17)、18)、19)、20)、21)及びそれらの組合せからなる群から選択される追加の治療結果の任意の組合せを達成する。一実施形態では、追加の治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に達成される。一実施形態では、追加の治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に達成され、内視鏡的改善、臨床的寛解、臨床的応答、内視鏡的寛解、組織学的改善及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0395】
一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内、8週以内、12週以内又は16週以内に臨床的寛解を達成し、かつ/又はウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内、8週以内、12週以内又は16週以内に内視鏡的改善を達成し、さらに、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、経時的な部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、部分メイヨースコアに従う臨床的応答;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、経時的な部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の、経時的な部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後2週以内の、経時的な部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、内視鏡的寛解;ウパダシチニブ、又は許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、内視鏡的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、内視鏡的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の、内視鏡的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、臨床的応答;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、臨床的応答;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、臨床的応答;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の、臨床的応答;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、内視鏡的改善;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、内視鏡的改善;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、内視鏡的改善;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の、内視鏡的改善;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内の、RBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、RBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、RBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内の、RBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%;並びにそれらの組合せからなる群から選択される追加の治療結果を達成する。一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内又は16週以内に臨床的寛解を達成し、かつ/又はウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に、適合メイヨースコアに従う臨床的寛解(SFS≦1、0のRBS、及び内視鏡検査サブスコア≦1と定義されている)を達成する。一実施形態では、患者は、適合メイヨースコアに従う臨床的応答(12週目又は16週目の、適合メイヨースコアのBLからの減少≧2ポイント及びBLからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1と定義されている)を達成する。このような一実施形態では、誘導相は、16週であり、追加の治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内、12週以内、8週以内、4週以内又は2週以内の、経時的な部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内、12週以内、8週以内又は4週以内の、内視鏡的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内、12週以内、8週以内又は4週以内の、臨床的応答;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内、12週以内、8週以内又は4週以内の、内視鏡的改善;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内、12週以内、8週以内又は4週以内の、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内、12週以内、8週以内又は4週以内の、RBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%;並びにそれらの組合せからなる群から選択される。このような一実施形態では、誘導相は、12週であり、追加の治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内、8週以内、4週以内又は2週以内の、経時的な部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内、8週以内又は4週以内の、内視鏡的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内、8週以内又は4週以内の、臨床的応答;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内、8週以内又は4週以内の、内視鏡的改善;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内、8週以内又は4週以内の、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内、8週以内又は4週以内の、RBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%;並びにそれらの組合せからなる群から選択される。このような一実施形態では、誘導相は、8週であり、追加の治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後48週以内、8週以内、4週以内又は2週以内の、経時的な部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内又は4週以内の、内視鏡的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内又は4週以内の、臨床的応答;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内又は4週以内の、内視鏡的改善;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内又は4週以内の、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内又は4週以内の、RBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%;並びにそれらの組合せからなる群から選択される。
【0396】
一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内又は12週以内又は8週以内又は4週以内の、臨床的寛解を達成する。このような一実施形態では、患者は、ベースラインにおいてコルチコステロイドを摂取していたが、JAK1阻害剤を用いる処置中にコルチコステロイドを中断した患者である。
【0397】
一実施形態では、追加の治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内又は12週以内又は8週以内又は4週以内の、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2であり得る。このような一実施形態では、患者は、ベースラインにおいてコルチコステロイドを摂取していたが、JAK1阻害剤を用いる処置中にコルチコステロイドを中断した患者である。別の実施形態では、追加の治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内、12週以内、8週以内又は4週以内の、内視鏡的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内又は12週以内又は8週以内又は4週以内の、臨床的応答;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内又は12週以内又は8週以内又は4週以内の、経時的な部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内又は12週以内又は8週以内又は4週以内の、RBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%;並びにウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内又は12週以内又は8週以内又は4週以内の、内視鏡的改善;並びにそれらの組合せからなる群から選択され得る。このような一実施形態では、患者は、ベースラインにおいてコルチコステロイドを摂取していたが、JAK1阻害剤を用いる処置中にコルチコステロイドを中断した患者である。
【0398】
一実施形態では、追加の治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週目又は12週以内又は8週以内の、適合メイヨースコア(SFS≦1、0のRBS、及び内視鏡検査サブスコア≦1と定義されている)であり得る。このような一実施形態では、患者は、ベースラインにおいてコルチコステロイドを摂取していたが、JAK1阻害剤を用いる処置中にコルチコステロイドを中断した患者である。別の実施形態では、追加の治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内、12週以内又は8週以内の、内視鏡的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内又は12週以内又は8週以内の、臨床的応答;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内又は12週以内又は8週以内の、経時的な部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内又は12週以内又は8週以内又は4週以内の、RBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%;並びにウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後16週以内又は12週以内又は8週以内又は4週以内の、内視鏡的改善;並びにそれらの組合せからなる群から選択され得る。このような一実施形態では、患者は、ベースラインにおいてコルチコステロイドを摂取していたが、JAK1阻害剤を用いる処置中にコルチコステロイドを中断した患者である。
【0399】
特定の一実施形態では、誘導相は、8週であり、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内に臨床的寛解(SFサブスコア≦1、0のRBS、及び内視鏡的サブスコア≦1)を達成し、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後6週以内又は8週以内に内視鏡的改善(すなわち、内視鏡的サブスコア≦1)を達成する。別の実施形態では、誘導相は、4週であり、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に臨床的寛解を達成し、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に内視鏡的改善を達成する。
【0400】
特定の一実施形態では、誘導相は、8週であり、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内に臨床的寛解を達成し、さらに、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内に、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後6週以内又は8週以内に、内視鏡的改善(すなわち、内視鏡的サブスコア≦1)、又はそれらの組合せを達成する。別の実施形態では、誘導相は、4週であり、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に臨床的寛解を達成し、さらに、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に、内視鏡的改善;又はそれらの組合せを達成する。
【0401】
一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を、少なくとも52週間投与される。ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与は、誘導相(例えば、16週までの誘導相)及び追加の週(例えば、36週以上)の維持相(以下で論じられる)を含み得る。他の実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与は、より短い誘導相(例えば、4週、6週、8週、10週、12週等まで)及びより長い維持相(例えば、12週の誘導相及び40週以上の維持相)を含み得る。
【0402】
一実施形態では、誘導相は、8週であり、維持相は、44週である。このような一部の実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、臨床的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、内視鏡的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、臨床的応答;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、内視鏡的改善;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、経時的な部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、RBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、組織学的改善;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、排便回数サブスコア≦1;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、0のRBS;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、内視鏡的サブスコア≦1;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、IBDQスコアのベースラインからの変化;及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの治療結果を達成し得る。
【0403】
一部の実施形態では、患者が、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を少なくとも52週間投与される場合、患者は、ベースラインにおいてコルチコステロイドを摂取していたが、JAK1阻害剤を用いる処置中にコルチコステロイドの使用を中断した患者であり、治療結果は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、臨床的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、内視鏡的寛解;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、臨床的応答;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、経時的な部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、RBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%;ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内の、内視鏡的改善;並びにそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0404】
本開示の方法における一実施形態では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了時に、臨床的寛解、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2、内視鏡的改善、内視鏡的寛解、臨床的応答、RBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%、経時的な部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1、SFサブスコア、直腸出血サブスコア、内視鏡的サブスコア、組織学的改善、便中カルプロテクチンレベル、hs-CRP、IBDQスコア及びそれらの組合せからなる群から選択される治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了時に、臨床的寛解について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了時に、内視鏡的改善について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了時に、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2の達成について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了時に、内視鏡的寛解について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了時に、臨床的応答について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了時に、経時的な部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了時に、完全メイヨースコアのベースラインからの変化について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、誘導相中又は誘導相の終了時に、組織学的改善について評価される。一実施形態では、誘導相は、2週である。一実施形態では、誘導相は、8週である。一実施形態では、誘導相は、12週である。
【0405】
本開示の方法における一実施形態では、患者は、維持相中又は維持相の終了時に、内視鏡的改善、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2の達成、コルチコステロイドの使用の中断及び適合メイヨースコアに従う臨床的寛解、誘導相中に臨床的寛解を達成した対象中の臨床的寛解の維持、誘導相中に臨床的寛解を達成した対象中の内視鏡的改善、臨床的応答、内視鏡的寛解、組織学的改善及びそれらの組合せからなる群から選択される治療結果について評価される。
【0406】
本開示の方法における一実施形態では、患者は、コルチコステロイドの中断後44週間、コルチコステロイドを用いなかったことによる治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の初期投与後4週間、臨床的寛解を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の初期投与後8週間、臨床的寛解を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の初期投与後12週間、臨床的寛解を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内に、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後52週以内に、排便回数サブスコア≦1、0の直腸出血サブスコア、及び脆弱性が存在しない内視鏡的サブスコア≦1と定義されている臨床的寛解を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、0のSFサブスコア、0のRBS、及び0の内視鏡的サブスコアを達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後2週以内に、経時的な部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に、経時的な部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に、経時的な部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、臨床的応答、又はRBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後2週以内に、経時的な部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、臨床的応答、又はRBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に、経時的な部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、臨床的応答、又はRBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に、経時的な部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後2週以内に、排便回数サブスコア≦1を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に、排便回数サブスコア≦1を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に、排便回数サブスコア≦1を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、経時的に0の直腸出血サブスコアを達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に、内視鏡的サブスコア≦1を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に内視鏡的改善を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内に150mg/kg未満の便中カルプロテクチンを達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内に150mg/kg未満の便中カルプロテクチンを達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に150mg/kg未満の便中カルプロテクチンを達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後2週以内に、IBDQ応答(ベースラインからのIBDQの上昇≧16)を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内に、IBDQ応答(ベースラインからのIBDQの上昇≧16)を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に、IBDQ応答(ベースラインからのIBDQの上昇≧16)を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後2週以内に、hs-CRPのベースラインからの変化を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内に、hs-CRPのベースラインからの変化を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に、hs-CRPのベースラインからの変化を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内に、便中カルプロテクチンのベースラインからの変化を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に、便中カルプロテクチンのベースラインからの変化を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に、コルチコステロイド用量の変化を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、適合メイヨースコア、完全メイヨースコア、部分メイヨースコア及び/又はメイヨーサブスコアのベースラインからの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、UCEISスコアのベースラインからの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内に、組織学的寛解(Geboesスコア<2と定義されている)を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に、組織学的寛解(Geboesスコア<2と定義されている)を達成することによって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、組織学的スコアのベースラインからの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、組織学的スコアのベースラインからの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、検査及び栄養パラメーター(例えば、ヘモグロビン、ヘマトクリット、アルブミン、総タンパク質濃度、及び体重)のベースラインからの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、検査及び栄養パラメーター(例えば、ヘモグロビン、ヘマトクリット、アルブミン、総タンパク質濃度、及び体重)のベースラインからの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、対象が記録した排便回数(絶対値)のベースラインからの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、対象が記録した排便回数(絶対値)のベースラインからの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩
若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、IBDQスコアのベースラインからの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、IBDQスコアのベースラインからの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、EQ-5D-5Lスコアのベースラインからの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、EQ-5D-5Lスコアのベースラインからの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、WPAI:UCスコアのベースラインからの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、WPAI:UCスコアのベースラインからの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、SF-36、PCT、MCS構成成分及び領域スコアの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、SF-36、PCT、MCS構成成分及び領域スコアの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、PGICスコアの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、PGICスコアの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の初期投与後8週以内の、FACIT-Fスコアのベースラインからの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内の、FACIT-Fスコアのベースラインからの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、UC-SQスコアのベースラインからの変化によって、治療結果について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内の、UC-SQスコアのベースラインからの変化によって、治療結果について評価される。一実施形態では、患者は、誘導相中に、少なくとも14の用量、28の用量、又は少なくとも42の用量、又は少なくとも56の用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を投与される。
【0407】
一態様では、ある特定の治療結果は、維持相中に患者によって維持される。維持相は、無期限に継続され得る。一実施形態では、維持相は、患者が臨床的寛解又は臨床的応答を達成した後、少なくとも37週、少なくとも38週、少なくとも39週、少なくとも40週、少なくとも41週、少なくとも42週、少なくとも43週、少なくとも44週、少なくとも45週、少なくとも46週、少なくとも47週、又は少なくとも48週を含み、少なくとも36週である。一実施形態では、維持相は、追加の少なくとも40週間である。一実施形態では、維持相は、患者が臨床的寛解又は臨床的応答を達成した後、追加の少なくとも44週である。一実施形態では、維持相中に患者によって維持される治療結果は、臨床的寛解、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2、内視鏡的寛解、臨床的応答、部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1若しくは絶対的RBS≦1、RBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%、内視鏡的改善及びそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、維持相中に患者によって維持される治療結果は、内視鏡的寛解である。一実施形態では、維持相中に患者によって維持される治療結果は、内視鏡的応答である。一実施形態では、維持相中に患者によって維持される治療結果は、臨床的寛解である。一実施形態では、維持相中に患者によって維持される治療結果は、コルチコステロイドを用いない寛解である。
【0408】
本開示の方法における一実施形態では、患者は、維持相中に臨床的寛解について評価される。一実施形態では、患者は、維持相中に内視鏡的改善について評価される。一実施形態では、患者は、維持相中に、臨床的寛解、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、維持相中に内視鏡的寛解について評価される。本開示の方法における一実施形態では、患者は、維持相中に、臨床的応答、又は部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1若しくは絶対的RBS≦1、又はRBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%について評価される。
【0409】
一実施形態では、本開示は、炎症性疾患を処置するための、一態様では潰瘍性大腸炎を処置するための方法であって、(a)ある用量のJAK1阻害剤(例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態)を、0週目及びその後1日1回(QD)、患者に8週間投与することを含み、該用量が、QDで45mgである、方法を提供する。一実施形態では、該方法は、さらに、(b)追加の用量を、患者に1日1回投与し、その後、追加の少なくとも44週間投与することを含み、該用量は、QDで15mg又は30mgである。一実施形態では、用量は、経口投与される。
【0410】
一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週間、患者は、臨床的寛解、及び/又はサブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2について評価される。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週間、患者は、臨床的応答、並びに/又は部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1若しくは絶対的RBS≦1、並びに/又はRBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%、並びに/又は内視鏡的改善、並びに/又は内視鏡的寛解について評価される。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後6週間、患者は、臨床的寛解、及び/又はサブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2、及び/又は内視鏡的寛解について評価される。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後6週間、患者は、RBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%、並びに/又は臨床的応答、並びに/又は部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1若しくは絶対的RBS≦1、並びに/又は内視鏡的改善について評価される。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週間、患者は、臨床的寛解、及び/又はサブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2、及び/又は内視鏡的寛解について評価される。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週間、患者は、RBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%、並びに/又は臨床的応答、並びに/又は部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1若しくは絶対的RBS≦1、並びに/又は内視鏡的改善について評価される。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後2週間、患者は、臨床的寛解、及び/又はサブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2、及び/又は内視鏡的寛解について評価される。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後2週間、患者は、RBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%、並びに/又は臨床的応答、並びに/又は部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1若しくは絶対的RBS≦1、並びに/又は内視鏡的改善について評価される。
【0411】
一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後48週間、患者は、経時的な適合メイヨースコアに従う臨床的寛解(SFS≦1、0のRBS、及び内視鏡検査サブスコア≦1と定義されている)、完全メイヨースコアに従う臨床的寛解(サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2)、部分メイヨースコアに従う臨床的寛解(サブスコア>1を伴わない部分メイヨースコア≦2と定義されている)、排便回数サブスコア≦1、0のRBS、及び脆弱性が存在しない内視鏡的サブスコア≦1、並びに適合メイヨースコアに従う臨床的応答(適合メイヨースコアのBLからの減少≧2ポイント及びBLからの減少≧30%に加えて、RBSの減少≧1と定義されている)と定義されている臨床的寛解について評価される。
【0412】
一実施形態では、本開示は、潰瘍性大腸炎を処置するための方法であって、(a)ある用量のJAK1阻害剤(例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態)を、0週目及びその後1日1回、患者に経口経路を介して投与することを含み、JAK1阻害剤の該用量が、QDで15mg、30mg若しくは45mg、又はその任意の組合せを含む、方法を提供する。
【0413】
一実施形態では、本開示は、潰瘍性大腸炎を処置するための方法であって、15mg~45mgのJAK1阻害剤を患者に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、本開示は、潰瘍性大腸炎を処置するための方法であって、QDで15mgのJAK1阻害剤を患者に経口投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、本開示は、潰瘍性大腸炎を処置するための方法であって、QDで30mgのJAK1阻害剤を患者に経口投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、本開示は、潰瘍性大腸炎を処置するための方法であって、QDで45mgのJAK1阻害剤を患者に経口投与することを含む、方法を提供する。このような任意の実施形態では、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態であり得る。このような任意の実施形態では、JAK1阻害剤は、1日1回の調節放出製剤における阻害剤であり得る。このような任意の実施形態では、患者は、処置前に中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有している場合がある。
【0414】
一実施形態では、本開示によるJAK1阻害剤の投与は、本明細書における以下の実施例又は
図13にさらに記載されている。
【0415】
一実施形態では、本開示は、潰瘍性大腸炎を処置するための方法であって、a)少なくとも1つの導入用量のJAK1阻害剤(例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態)を、患者に投与することを含み、前記導入用量が、15mg~45mgのJAK1阻害剤を含む、方法を提供する。一態様では、導入用量は、15mg又は30mg又は45mgを含む。一態様では、導入用量は、45mgを含む。一態様では、導入用量は、経口投与される。一態様では、導入用量は、QD投与される。一態様では、導入用量は、8週間投与される。一態様では、導入用量は、6週間投与される。一態様では、導入用量は、4週間投与される。一実施形態では、導入用量は、2週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、又は12週間を含み、12週間まで投与される。
【0416】
一実施形態では、導入用量は、QD投与される45mgのJAK1阻害剤を含む。
【0417】
一実施形態では、導入用量は、QD投与される30mgのJAK1阻害剤を含む。
【0418】
一実施形態では、導入用量は、QD投与される15mgのJAK1阻害剤を含む。
【0419】
一実施形態では、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。
【0420】
一実施形態では、導入用量は、1日1回の調節放出製剤における用量である。
【0421】
一実施形態では、該方法は、さらに、b)最終導入用量が投与された後、第1の維持用量のJAK1阻害剤(例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態)を患者に投与し、c)その後、少なくとも1つの追加の維持用量を、患者に1日1回投与することを含む。
【0422】
一実施形態では、第1の維持用量は、15mg~30mgのJAK1阻害剤を含む。一態様では、第1の維持用量は、15mg又は30mgのJAK1阻害剤を含む。一態様では、第1の維持用量は、導入用量よりも少ない。一態様では、第1の維持用量は、QD投与される。一態様では、第1の維持用量は、15mgである。一態様では、第1の維持用量は、30mgである。一態様では、第1の維持用量は、経口投与される。一態様では、第1の維持用量は、1日1回の調節放出製剤における用量である。
【0423】
一態様では、少なくとも1つの追加の維持用量は、15mg~30mgのJAK1阻害剤を含む。一態様では、少なくとも1つの追加の維持用量は、15mg又は30mgを含む。一態様では、少なくとも1つの追加の維持用量は、経口投与される。一態様では、少なくとも1つの追加の維持用量は、QD投与される。一実施形態では、少なくとも1つの追加の維持用量は、QD投与される15mgのJAK1阻害剤を含む。一実施形態では、少なくとも1つの追加の維持用量は、QD投与される30mgのJAK1阻害剤を含む。一態様では、少なくとも1つの追加の維持用量は、1日1回の調節放出製剤における用量である。
【0424】
上述の実施形態のいずれかでは、JAK1阻害剤は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態であり得る。
【0425】
上述の実施形態のいずれかの一態様では、患者は、従来の処置(例えば、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤)、又は生物学的薬剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、又は応答の喪失若しくは不耐性を経験した患者である。上述の実施形態のいずれかの一態様では、患者は、抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた、応答を喪失した、又は不耐性を経験した患者である。
【0426】
上述の実施形態のいずれかの一態様では、患者は、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的薬剤又は抗TNF剤を用いる前処置を受けていない患者である。
【0427】
上述の実施形態のいずれかの一態様では、患者は、処置又は導入用量の投与前に、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有していた患者である。
【0428】
一実施形態では、本開示は、さらに、患者の潰瘍性大腸炎の臨床的寛解、又はサブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2を誘導するための方法であって、a)前述されている又は本明細書に記載されている通り、少なくとも1つの導入用量のJAK1阻害剤(例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態)を患者に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、導入用量は、30mg~45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む。一実施形態では、導入用量は、0週目及びその後1日1回(QD)、12週間まで(例えば、4週間、5週間、6週間、7週間、又は8週間、又は9週間、又は10週間、又は11週間、又は12週間)投与され、該用量は、QDで30mg又はQDで45mgである。一実施形態では、該方法は、さらに、潰瘍性大腸炎の臨床的寛解、又はサブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2を維持することを含み、前記方法は、さらに、b)最終導入用量が投与された後、第1の維持用量の前記JAK1阻害剤を患者に投与し、c)その後、前述されている又は本明細書に記載されている通り、少なくとも1つの追加の維持用量を患者に投与することをさらに含む。一実施形態では、少なくとも1つの追加の維持用量は、1日1回投与される。一実施形態では、追加の維持用量は、少なくとも36週間、少なくとも37週間、少なくとも38週間、少なくとも39週間、少なくとも40週間、少なくとも41週間、少なくとも42週間、少なくとも43週間、少なくとも44週間、少なくとも56週間、少なくとも112週間、少なくとも308週間、又は少なくとも420週間を含み、追加の少なくとも36週間、1日1回投与される。一実施形態では、追加の維持用量は、追加の少なくとも44週間、1日1回投与される。一実施形態では、維持用量は、QDで15mg又は30mgである。一実施形態では、誘導用量及び維持用量は、経口投与される。一実施形態では、患者は、第1の導入用量の投与前に、5~9ポイントの適合メイヨースコア及び2又は3の内視鏡検査サブスコアを伴う活動性潰瘍性大腸炎を有している。一実施形態では、患者は、第1の導入用量の投与前に、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有している。一実施形態では、患者は、従来の処置(例えば、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤)、又は生物学的薬剤及び/若しくは抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していたことがあるか、又は不耐性を経験したことがある。一実施形態では、患者は、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的薬剤及び/又は抗TNF剤を用いる前処置を受けていない。一実施形態では、臨床的寛解、又はサブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内又は8週以内に達成される。一実施形態では、臨床的寛解、又はサブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に達成される。一実施形態では、臨床的寛解、又はサブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後10週以内に達成される。一実施形態では、臨床的寛解、又はサブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内に達成される。一実施形態では、患者は、第1の維持用量の投与前に、排便回数サブスコア≦1、0のRBS、及び内視鏡的サブスコア≦1を達成する。一実施形態では、患者は、第1の維持用量の投与前に、サブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2を達成する。一実施形態では、誘導用量及び維持用量は、1日1回の調節放出製剤における用量である。
【0429】
一実施形態では、本開示は、潰瘍性大腸炎の内視鏡的寛解を誘導するための方法であって、(a)少なくとも1つの導入用量のJAK1阻害剤(例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態)を、患者に投与することを含み、該導入用量が、30~45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む、方法を提供する。一実施形態では、導入用量は、0週目及びその後1日1回(QD)、12週間まで(例えば、4週間、5週間、6週間、7週間、又は8週間、又は9週間、又は10週間、又は11週間、又は12週間)投与され、該用量は、QDで30mg又はQDで45mgである。一実施形態では、該方法は、さらに、潰瘍性大腸炎の内視鏡的寛解を維持することを含み、前記方法は、さらに、(b)最終導入用量が投与された後、第1の維持用量のウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与し、(c)その後、前述されている又は本明細書に記載されている通り、少なくとも1つの追加の維持用量を投与することを含む。一実施形態では、少なくとも1つの追加の維持用量は、1日1回投与される。一実施形態では、追加の維持用量は、少なくとも36週間、少なくとも37週間、少なくとも38週間、少なくとも39週間、少なくとも40週間、少なくとも41週間、少なくとも42週間、少なくとも43週間、少なくとも44週間、少なくとも56週間、少なくとも112週間、少なくとも308週間、又は少なくとも420週間を含み、追加の少なくとも36週間、1日1回投与される。一実施形態では、追加の維持用量は、追加の少なくとも44週間、1日1回投与される。一実施形態では、維持用量は、QDで15mg又は30mgである。一実施形態では、誘導用量及び維持用量は、経口投与される。一実施形態では、患者は、第1の導入用量の投与前に、5~9ポイントの適合メイヨースコア及び2又は3の内視鏡検査サブスコアを伴う活動性潰瘍性大腸炎を有している。一実施形態では、患者は、第1の導入用量の投与前に、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有している。一実施形態では、患者は、従来の処置(例えば、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤)、又は生物学的及び/若しくは抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していたことがあるか、又は不耐性を経験したことがある。一実施形態では、患者は、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤、抗TNF剤及び/又は生物学的薬剤を用いる前処置を受けていない。一実施形態では、内視鏡的寛解は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内又は8週以内に達成される。一実施形態では、内視鏡的寛解は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に達成される。一実施形態では、内視鏡的寛解は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後10週以内に達成される。一実施形態では、内視鏡的寛解は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内に達成される。一実施形態では、患者は、第1の維持用量の投与前に、0の内視鏡的サブスコアを達成する。一実施形態では、誘導用量及び維持用量は、1日1回の調節放出製剤における用量である。
【0430】
一実施形態では、本開示は、さらに、患者の潰瘍性大腸炎の臨床的応答を誘導し、又はRBSの減少≧1又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%を誘導し、又はRBSの減少≧1又は絶対的直腸出血サブスコア≦1を伴う部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及び≧30%を誘導するための方法であって、a)前述されている又は本明細書に記載されている通り、少なくとも1つの導入用量のJAK1阻害剤(例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態)を患者に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、導入用量は、30mg~45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む。一実施形態では、導入用量は、0週目及びその後1日1回(QD)、8週間まで(例えば、4週間、5週間、6週間、7週間、又は8週間)投与され、該用量は、QDで30mg又はQDで45mgである。一実施形態では、該方法は、さらに、潰瘍性大腸炎の臨床的応答を維持すること、又はRBSの減少≧1又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%を維持すること、又はRBSの減少≧1又は絶対的直腸出血サブスコア≦1を伴う部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及び≧30%を維持することを含み、前記方法は、さらに、b)最終導入用量が投与された後、第1の維持用量の前記JAK1阻害剤を患者に投与し、c)その後、前述されている又は本明細書に記載されている通り、少なくとも1つの追加の維持用量を患者に投与することをさらに含む。一実施形態では、少なくとも1つの追加の維持用量は、1日1回投与される。一実施形態では、追加の維持用量は、少なくとも36週間、少なくとも37週間、少なくとも38週間、少なくとも39週間、少なくとも40週間、少なくとも41週間、少なくとも42週間、少なくとも43週間、少なくとも44週間、少なくとも56週間、少なくとも112週間、少なくとも308週間、又は少なくとも420週間を含み、追加の少なくとも36週間、1日1回投与される。一実施形態では、追加の維持用量は、追加の少なくとも44週間、1日1回投与される。一実施形態では、維持用量は、QDで15mg又は30mgである。一実施形態では、誘導用量及び維持用量は、経口投与される。一実施形態では、患者は、第1の導入用量の投与前に、5~9ポイントの適合メイヨースコア及び2又は3の内視鏡検査サブスコアを伴う活動性潰瘍性大腸炎を有している。一実施形態では、患者は、第1の導入用量の投与前に、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有している。一実施形態では、患者は、従来の処置(例えば、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤)、又は生物学的薬剤及び/若しくは抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していたことがあるか、又は不耐性を経験したことがある。一実施形態では、患者は、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的薬剤及び/又は抗TNF剤を用いる前処置を受けていない。一実施形態では、臨床的応答、又はRBSの減少≧1又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%、又はRBSの減少≧1又は絶対的直腸出血サブスコア≦1を伴う部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及び≧30%は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後4週以内又は8週以内に達成される。一実施形態では、臨床的応答、又はRBSの減少≧1又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に達成される。一実施形態では、臨床的応答、又はRBSの減少≧1又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%、又はRBSの減少≧1又は絶対的直腸出血サブスコア≦1を伴う部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及び≧30%は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後10週以内に達成される。一実施形態では、臨床的応答、又はRBSの減少≧1又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%、又はRBSの減少≧1又は絶対的直腸出血サブスコア≦1を伴う部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及び≧30%は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内に達成される。一実施形態では、患者は、第1の維持用量の投与前に、RBSの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的直腸出血サブスコアを伴う、適合メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及び≧30%を達成する。一実施形態では、患者は、第1の維持用量の投与前に、RBSの減少≧1又は絶対的直腸出血サブスコア≦1を伴う部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及び≧30%を達成する。一実施形態では、患者は、第1の維持用量の投与前に、RBSのベースラインからの減少≧1、又は0若しくは1の絶対的直腸出血サブスコアを伴う、完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%を達成する。一実施形態では、誘導用量及び維持用量は、1日1回の調節放出製剤における用量である。
【0431】
一実施形態では、本開示は、さらに、患者の潰瘍性大腸炎の内視鏡的改善を誘導するための方法であって、a)前述されている又は本明細書に記載されている通り、少なくとも1つの導入用量のJAK1阻害剤(例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態)を患者に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、導入用量は、30~45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む。一実施形態では、導入用量は、0週目及びその後1日1回(QD)、12週間まで(例えば、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間又は12週間)投与され、該用量は、QDで30mg又はQDで45mgである。一実施形態では、該方法は、さらに、潰瘍性大腸炎の内視鏡的改善を維持することを含み、前記方法は、さらに、b)最終導入用量が投与された後、第1の維持用量の前記JAK1阻害剤を患者に投与し、c)その後、前述されている又は本明細書に記載されている通り、少なくとも1つの追加の維持用量を患者に投与することをさらに含む。一実施形態では、少なくとも1つの追加の維持用量は、1日1回投与される。一実施形態では、追加の維持用量は、少なくとも36週間、少なくとも37週間、少なくとも38週間、少なくとも39週間、少なくとも40週間、少なくとも41週間、少なくとも42週間、少なくとも43週間、少なくとも44週間、少なくとも56週間、少なくとも112週間、少なくとも308週間、又は少なくとも420週間を含み、追加の少なくとも36週間、1日1回投与される。一実施形態では、追加の維持用量は、追加の少なくとも44週間、1日1回投与される。一実施形態では、維持用量は、QDで15mg又は30mgである。一実施形態では、誘導用量及び維持用量は、経口投与される。一実施形態では、患者は、第1の導入用量の投与前に、5~9ポイントの適合メイヨースコア及び2又は3の内視鏡検査サブスコアを伴う活動性潰瘍性大腸炎を有している。一実施形態では、患者は、第1の導入用量の投与前に、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有している。一実施形態では、患者は、従来の処置(例えば、アミノサリチレート、コルチコステロイド及び免疫抑制剤)、又は生物学的薬剤及び/若しくは抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していたことがあるか、又は不耐性を経験したことがある。一実施形態では、患者は、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的薬剤及び/又は抗TNF剤を用いる前処置を受けていない。一実施形態では、内視鏡的改善は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内又は16週以内に達成される。一実施形態では、内視鏡的改善は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後12週以内に達成される。一実施形態では、内視鏡的改善は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後10週以内に達成される。一実施形態では、内視鏡的改善は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態の投与開始後8週以内に達成される。一実施形態では、患者は、第1の維持用量の投与前に、内視鏡的サブスコア≦1を達成する。一実施形態では、誘導用量及び維持用量は、1日1回の調節放出製剤における用量である。
【0432】
一実施形態では、本開示は、さらに、臨床的寛解を維持する方法、又は患者の潰瘍性大腸炎のサブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2を維持する方法であって、15mg又は30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態は、少なくとも37週間、少なくとも38週間、少なくとも39週間、少なくとも40週間、少なくとも41週間、少なくとも42週間、少なくとも43週間、又は少なくとも44週間を含み、少なくとも36週間、1日1回投与される。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態は、経口投与される。一実施形態では、患者は、従来の処置(例えば、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤)、又は生物学的薬剤及び/若しくは抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していたことがある、又は不耐性を経験したことがある。一実施形態では、患者は、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的薬剤及び/又は抗TNF剤を用いる前処置を受けていない。一実施形態では、患者は、抵抗性患者である。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態は、1日1回の調節放出製剤における用量である。
【0433】
一実施形態では、本開示は、さらに、患者の臨床的応答を維持する方法、又はRBSの減少≧1又は0若しくは1の絶対的RBSを伴う完全メイヨースコアのベースラインからの減少≧3ポイント及び≧30%を維持する方法、又はRBSの減少≧1又は絶対的直腸出血サブスコア≦1を伴う部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及び≧30%を維持する方法であって、15mg又は30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態は、少なくとも37週間、少なくとも38週間、少なくとも39週間、少なくとも40週間、少なくとも41週間、少なくとも42週間、少なくとも43週間、少なくとも44週間、少なくとも45週間、少なくとも46週間、少なくとも47週間、又は少なくとも48週間を含み、少なくとも36週間、1日1回投与される。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態は、経口投与される。一実施形態では、患者は、従来の処置(例えば、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤)、又は生物学的薬剤及び/若しくは抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していたことがある、又は不耐性を経験したことがある。一実施形態では、患者は、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的薬剤及び/又は抗TNF剤を用いる前処置を受けていない。一実施形態では、患者は、抵抗性患者である。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態は、1日1回の調節放出製剤における用量である。
【0434】
一実施形態では、本開示は、さらに、患者の潰瘍性大腸炎の内視鏡的改善又は内視鏡的寛解を維持する方法であって、15mg又は30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を患者に投与することを含む、方法を提供する。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態は、少なくとも37週間、少なくとも38週間、少なくとも39週間、少なくとも40週間、少なくとも41週間、少なくとも42週間、少なくとも43週間、少なくとも44週間、少なくとも45週間、少なくとも46週間、少なくとも47週間、又は少なくとも48週間を含み、少なくとも36週間、1日1回投与される。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態は、経口投与される。一実施形態では、患者は、従来の処置(例えば、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤)、又は生物学的薬剤及び/若しくは抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していたことがあるか、又は不耐性を経験したことがある。一実施形態では、患者は、アミノサリチレート、コルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的薬剤及び/又は抗TNF剤を用いる前処置を受けていない。一実施形態では、患者は、抵抗性患者である。一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態は、1日1回の調節放出製剤における用量である。
【0435】
一態様では、本明細書に開示される方法のための導入用量は、表12に記載されている投与レジメンで、8週間投与される。一態様では、導入用量は、表12に記載されている投与レジメンで、8週間投与される。一態様では、維持用量は、表12に記載されている投与レジメンで、44週間以上投与される。一態様では、本明細書に開示される方法のための導入用量は、表12に記載されている投与レジメンで、8週間投与され、維持用量は、44週間投与される。
【0436】
【0437】
特定の一実施形態では、導入用量は、QD投与される45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態であり、維持用量、及びその後投与される任意の追加の維持用量は、QD投与される30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。別の実施形態では、導入用量は、QD投与される45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態であり、維持用量、及びその後投与される任意の追加の維持用量は、QD投与される15mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。一実施形態では、導入用量は、QD投与される30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態であり、維持用量、及びその後投与される任意の追加の維持用量は、QD投与される30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。一実施形態では、導入用量は、QD投与される30mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態であり、維持用量、及びその後投与される任意の追加の維持用量は、QD投与される15mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。一実施形態では、導入用量は、QD投与される30mg又は45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態であり、維持用量、及びその後投与される任意の追加の維持用量は、QD投与される15mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。一実施形態では、導入用量は、QD投与される30mg又は45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態であり、維持用量、及びその後投与される任意の追加の維持用量は、QD投与される7.5mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。
【0438】
V.ウパダシチニブの調製
(3S,4R)-3-エチル-4-(3H-イミダゾ[1,2-a]ピロロ[2,3-e]ピラジン-8-イル)-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピロリジン-1-カルボキサミド(ウパダシチニブ)及び薬学的に許容されるその塩を含む本開示の化合物の合成は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,426,411号で提供されている。一実施形態では、ウパダシチニブ及び薬学的に許容されるその塩は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/295,561号に記載された方法に従って合成することができる。例えば、ウパダシチニブは、スキームI~IIIaに示されるような合成変換を使用して合成することができる。出発材料は、商業的に利用可能であり、米国特許出願第15/295,561号に記載されている手順によって、文献の手順によって、又は有機化学野の当業者に周知のはずである手順によって、調製することができる(例えば、Larock,R.C.「Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations、第2版」、1999、Wiley-VCH又はGreene,T.W. and Wuts、P.G.M.「Protective Groups in Organic Synthesis、第3版」、1999、Wiley-Interscienceを参照されたい)。
【0439】
ウパダシチニブを調製するためのプロセスは、スキームIに示される。保護された(3R,4S)-4-エチルピロリジン-3-カルボン酸(I)又は薬学的に許容されるその塩を、トリメチルスルホキソニウムクロリドと反応させることにより、硫黄イリド(II)が得られる。硫黄イリド(II)を、LiX及びスルホン酸と接触させることにより、対応するハロメチルケトン(III)が得られる。塩基の存在下で(III)を(IV)と反応させることにより、(V)が得られる。ペルフルオロ酸無水物及び有機塩基の存在化で(V)を環化させることにより、(VI)が生成される。保護基を除去し、脱保護化合物を酸と接触させることにより、(VII)の薬学的に許容される塩が得られる。(VII)の薬学的に許容される塩を、2,2,2-トリフルオロエチルアミンと反応させることにより、ウパダシチニブが生成される。
【0440】
【化2】
式中、
PGは、保護基であり、
Xは、Br又はClであり、
R
1は、アルキル、アリール及び-OR
2からなる群から選択され、
R
2は、アルキルであり、
Tsは、トシルである。
【0441】
保護基は、当技術分野で公知の任意の適切な保護基であり得る。一部の実施形態では、保護基は、カルボキシベンジル、p-メトキシベンジルカルボニル、ベンジル、p-メトキシベンジル及び3,4-ジメトキシベンジル(dimethoxyenzyl)からなる群から選択される。別の実施形態では、保護基は、カルボキシベンジルである。
【0442】
別の実施形態では、R1は、-OR2であり、R2は、メチル又はエチルである。このような実施形態では、式(IV)の化合物は、式(IVa)の化合物である。
【0443】
【0444】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、ステップ(a)の反応に使用される。一実施形態では、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、ナフタレンエタンアミン塩(Ia)及びジシクロヘキシルアミン塩(Ib)からなる群から選択される。
【0445】
【化4】
式中、Cbzは、カルボキシベンジルである。
【0446】
一実施形態では、化合物(VII)の薬学的に許容される塩は、(VIIa)、(VIIb)及び(VIIc)からなる群から選択される。
【0447】
【0448】
ウパダシチニブを調製するための別のプロセスは、スキームIaに示される。カルボニルジイミダゾール及び強塩基の存在下で、(3R,4S)-1-((ベンジルオキシ)カルボニル)-4-エチルピロリジン-3-カルボキシレートジシクロヘキシルアミン塩(Ib)を、トリメチルスルホキソニウムクロリドと反応させることにより、硫黄イリド(IIa)が得られる。硫黄イリド(IIa)を、臭化リチウム及びスルホン酸と接触させることにより、対応するブロモメチルケトン(IIIa)が得られる。リチウムtert-ブトキシドの存在下で、(IIIa)を、アルキル5-トシル-5H-ピロロ[2,3-b]ピラジン-2-イルカルバメート(IVa)と反応させることにより、(Va)が得られる。ペルフルオロ酸無水物及び有機塩基の存在下で(Va)を環化させることにより、(VIa)が得られる。カルボキシベンジル保護基を除去し、脱保護した化合物を塩酸と接触させることにより、薬学的に許容される塩(VIIa)が得られる。薬学的に許容される塩(VIIa)を、2,2,2-トリフルオロエチルアミと反応させることにより、ウパダシチニブが生成される。
【0449】
【化6】
式中、
Cbzは、カルボキシベンジルであり、
Tsは、トシルであり、
R
2は、メチル又はエチルである。
【0450】
スキームI及びIaのステップ(a)の反応は、一般に、カルボニルジイミダゾール(CDI)のようなカップリング剤及び強塩基の存在下で成し遂げられる。強塩基は、例えば、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド又はそれらの組合せであり得る。ステップ(a)の反応は、それに限定されるものではないが、テトラヒドロフラン、水及びメチルtert-ブチルエーテルを含む任意の適切な溶媒中で実施され得る。一実施形態では、反応は、カルボニルジイミダゾール及びカリウムtert-ブトキシドの存在下で実施される。
【0451】
より具体的には、ある特定の実施形態では、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物の溶媒中溶液を、溶媒中CDIのスラリーにゆっくり(例えば、30分かけて)添加し、得られる混合物を、室温で30分間~12時間撹拌し、典型的に約1時間撹拌する。得られた溶液を、内部温度を-1℃未満に維持しながら、トリメチルスルホキソニウムクロリド、強塩基及び溶媒の懸濁液にゆっくり(例えば、15分かけて)添加する。別の実施形態では、ステップ(b)の前に反応をクエンチし、得られる式(II)又は(IIa)の化合物を単離する。
【0452】
一部の実施形態では、ステップ(a)の反応は、さらに、アミンを抽出するために、(Ia)又は(Ib)を、トリメチルスルホキソニウムクロリドと反応させる前に酸と接触させて、式(I)の化合物を得ることを含むことができる。適切な酸には、リン酸、塩酸(HCl)、酢酸(HOAc)、クエン酸等のような任意の無機酸又は有機酸が含まれる。その後、式(I)の化合物を、適切な溶媒に溶かし、本明細書に記載されている通り、トリメチルスルホキソニウムクロリドと反応させることができる。一実施形態では、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩を、ステップ(a)で使用し、薬学的に許容される塩は、(Ia)又は(Ib)である。
【0453】
スキームI及びIaのステップ(b)では、式(II)又は(IIa)の化合物を、LiX及びスルホン酸と接触させて、それぞれ式(III)又は(IIIa)の化合物を形成する。一実施形態では、スルホン酸は、メタンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸からなる群から選択される。一実施形態では、スルホン酸は、p-トルエンスルホン酸である。LiXは、臭化リチウム及び塩化リチウムから選択され得る。一実施形態では、LiXは、臭化リチウムである。一実施形態では、反応は、臭化リチウム及びp-トルエンスルホン(toluensulfonic)酸中で実施される。ステップ(b)の反応を、それに限定されるものではないが、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ヘプタン、エタノール、水及びそれらの混合物を含む任意の適切な溶媒中で実施され得る。
【0454】
より具体的には、ある特定の実施形態では、スルホン酸を、式(II)又は(IIa)の化合物及びLiXの溶媒中溶液に添加する。得られる混合物を、約35℃~約65℃に加温し、一晩撹拌する。一実施形態では、混合物を、約40℃に加温し、一晩撹拌する。混合物を室温に冷却し、洗浄する。式(III)又は(IIIa)の化合物は単離することができ、又は任意選択的に、精製なしに次のステップで使用することができる。
【0455】
スキームI及びIaのステップ(c)では、式(III)又は(IIIa)の化合物は、式(IV)又は(IVa)の化合物(本明細書に記載されている通り調製した)と反応させられる。ステップ(c)の反応は、リチウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド又はそれらの組合せのような塩基の存在下で実施される。一実施形態では、塩基は、リチウムtert-ブトキシドである。ステップ(c)の反応は、それに限定されるものではないが、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、酢酸エチル、ヘプタン及びそれらの組合せを含む任意の適切な溶媒中で実施され得る。
【0456】
より具体的には、ある特定の実施形態では、塩基を、溶媒中、冷却した式(III)又は(IIIa)の化合物の懸濁液に添加する。得られた溶液を、約30分間~約12時間又は約30分間撹拌し、約-20℃~約0℃又は約-10℃に冷却する。一実施形態では、溶液を、約30分間撹拌し、約-20℃~約0℃に冷却する。式(IV)又は(IVa)の化合物の溶媒中溶液を、ゆっくり(例えば、30分かけて)添加し、得られる混合物を、約-20℃~約0℃又は約-10℃の温度で、約30分間~約6時間又は約30分間撹拌する。一実施形態では、式(IV)又は(IVa)の化合物の溶媒中溶液を添加した後、得られる混合物を、約-10℃の温度で約30分間撹拌する。一実施形態では、ステップ(d)の前に反応をクエンチし、一部の実施形態では、得られた生成物(V)又は(Va)を単離する。
【0457】
スキームI及びIaのステップ(d)では、式(V)又は(Va)の化合物を、ペルフルオロ酸無水物及び有機塩基と接触させて、それぞれ式(VI)又は(VIa)の化合物を形成する。適切な有機塩基の非限定的な例として、ピリジン、トリエチルアミン及びそれらの組合せが挙げられる。適切なペルフルオロ酸無水物の例として、トリフルオロ酢酸無水物、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、ヘプタフルオロ酪酸無水物及びそれらの組合せが挙げられる。ある特定の実施形態では、有機塩基は、ピリジンであり、ペルフルオロ酸無水物は、トリフルオロ酢酸無水物である。他の実施形態では、有機塩基は、トリエチルアミンであり、ペルフルオロ酸無水物は、ペンタフルオロプロピオン酸無水物である。ステップ(d)で使用するのに適した溶媒には、それに限定されるものではないが、アセトニトリル、トルエン及びそれらの組合せが含まれる。
【0458】
より具体的には、ある特定の実施形態では、有機塩基及びペルフルオロ酸無水物を、式(V)又は(Va)の化合物の溶媒中溶液に入れる。得られる混合物を、約55℃~約75℃又は約55℃に加温し、約4時間~約18時間又は約6時間撹拌する。一実施形態では、ペルフルオロ酸無水物及び式(V)又は(Va)の化合物の混合物を、約55℃に加温し、約4時間~約18時間撹拌する。一実施形態では、混合物を、約6時間撹拌する。反応が完了したら、一部の実施形態では、反応混合物を冷却し、濃縮した後、水酸化物溶液と接触させて、過剰の試薬をクエンチし、トシル保護基を除去することができる。適切な水酸化物溶液には、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液、水酸化カリウム(KOH)溶液等が含まれる。得られる混合物は、約55℃を含み、室温~約85℃で、約30分間~約8時間撹拌され得る。一実施形態では、混合物は、約1時間撹拌される。完了したら、溶媒は、任意選択的に除去され、ステップ(e)の前にメタノール、エタノール、イソプロパノール又は他の適切な溶媒に変更され得る。
【0459】
スキームI及びIaのステップ(e)では、式(VI)又は(VIa)の化合物は脱保護され、(VIIa)、(VIIb)、又は(VIIc)のような化合物(VII)の薬学的に許容される塩が形成される。式(VI)又は(VIa)の化合物上の保護基は、当技術分野で公知の任意の適切な手段を使用して除去することができる。一実施形態では、脱保護は、水素圧下で、式(VI)又は(VIa)の化合物を炭素担持パラジウム(例えば、Pd/C又はPd(OH2)/C)と接触させることによって行われる。他の実施形態では、脱保護は、式(VI)又は(VIa)の化合物を酸と接触させることによって行われる。適切な酸の非限定的な例として、塩酸(HCl)、臭化水素酸(HBr)、酢酸中臭化水素酸(例えば、HBr/HOAc)等が挙げられる。他の実施形態では、脱保護は、式(VI)又は(VIa)の化合物を、例えば約50℃を含む室温~約85℃の温度で加熱することによって行われる。脱保護したら、式(VII)の化合物を適切な酸(例えば、塩酸又はp-トルエンスルホン酸)と接触させて、薬学的に許容される塩を形成する。
【0460】
ステップ(e)は、それに限定されるものではないが、エタノール、酢酸イソプロピル、酢酸エチル及びそれらの組合せを含む任意の適切な溶媒中で行うことができる。
【0461】
より具体的には、一部の実施形態では、溶媒中、炭素担持パラジウム及び式(VI)又は(VIa)の化合物を、約1psig~約100psigの水素圧下で混合する。別の実施形態では、水素圧は、約20psigである。混合物を、約50℃を含む約20℃~約85℃で、約16時間を含む約2時間~約24時間かき混ぜる。一実施形態では、混合物を、約20℃~約80℃で約16時間かき混ぜる。一実施形態では、混合物を、約50℃で約16時間かき混ぜる。反応が完了したら、反応混合物を冷却し、濾過し、その後、適切な酸を添加する。得られた塩を、任意選択的に、ステップ(f)の前に単離する。
【0462】
ステップ(f)では、ステップ(e)において生成された塩を、2,2,2-トリフルオロエチルアミンと反応させて、ウパダシチニブを生成する。ステップ(f)の反応は、カルボニルジイミダゾール(CDI)のようなカップリング剤、並びに任意選択的に、リン酸二カリウム、水酸化カリウム及びそれらの組合せのような緩衝液の存在下で実施される。一実施形態では、ステップ(f)の反応は、CDI、リン酸二カリウム、及び水酸化カリウムの存在下で実施される。ステップ(f)の反応は、それに限定されるものではないが、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ヘプタン、エタノール、水及びそれらの組合せを含む任意の適切な溶媒中で実施され得る。
【0463】
より具体的には、ある特定の実施形態では、2,2,2-トリフルオロエチルアミンを、30℃未満の内部温度を維持しながら、溶媒中CDIのスラリーにゆっくり(例えば、20分かけて)添加する。得られた溶液を、約10分間~約12時間撹拌し、一実施形態では、約1時間撹拌して、イミダゾリド溶液を形成する。緩衝液及び溶媒におけるステップ(e)からの薬学的に許容される塩の二相性混合物のpHを、塩基を添加することによって約7~約11に調整し、一実施形態では、約9に調整する。イミダゾリド溶液を添加し、得られる混合物を、塩基を少しずつ添加することによって約9pHを維持しながら、約25℃で約30分間~約18時間混合する。一実施形態では、イミダゾリド溶液の添加後に形成された混合物を、塩基を少しずつ添加することによって約9pHを維持しながら、約25℃で約1時間混合する。一実施形態では、完了したら、反応をクエンチし、得られた生成物を単離する。
【0464】
ウパダシチニブを調製するための代替プロセスは、スキームIIに示される。保護された(3R,4S)-4-エチルピロリジン-3-カルボン酸(I)又は薬学的に許容されるその塩をトリメチルスルホキソニウムクロリドと反応させることにより、硫黄イリド(II)が得られる。硫黄イリド(II)をLiX及びスルホン酸と接触させることにより、対応するハロメチルケトン(III)が得られる。塩基の存在下で(III)を(IV)と反応させることにより、(V)が得られる。ペルフルオロ酸無水物及び有機塩基の存在下で(V)を環化させることにより、(VI)が生成される。保護基を除去し、脱保護した化合物(VII)を塩酸と接触させることにより(示さず)、薬学的に許容される塩(VIIb)が得られる。薬学的に許容される塩(VIIb)を、遊離塩基(VII)に変換し、それを2,2,2-トリフルオロエチルアミンと反応させて、ウパダシチニブを生成する。ウパダシチニブを、L-酒石酸と接触させて、対応する酒石酸塩を形成し、その後、ウパダシチニブ遊離塩基を形成する。
【0465】
【化7】
式中、PG、Ts、X、及びR1は、先に定義されている通りである。
【0466】
保護基は、当技術分野で公知の任意の適切な保護基であり得る。一部の実施形態では、保護基は、カルボキシベンジル、p-メトキシベンジルカルボニル、ベンジル、p-メトキシベンジル及び3,4-ジメトキシベンジルからなる群から選択される。一実施形態では、保護基は、カルボキシベンジルである。
【0467】
一実施形態では、R1は、-OR2であり、R2は、エチル又はメチルである。
【0468】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩を、ステップ(a)の反応で使用する。一実施形態では、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、ナフタレンエタンアミン塩(Ia)及びジシクロヘキシルアミン塩(Ib)からなる群から選択される。
【0469】
スキームIIのステップ(a)~(e)を、スキームIについて先に記載されている通り実施し、式(VI)化合物の化合物を脱保護した後、脱保護した化合物(VII)を、塩酸と接触させて、薬学的に許容される塩(VIIb)を形成する。
【0470】
スキームIIのステップ(f)において、塩(VIIb)を、塩基と接触させて、対応する遊離塩基(VII)を形成する。適切な塩基には、それに限定されるものではないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等及びそれらの組合せのような水酸化物が含まれる。一実施形態では、塩基は、水酸化ナトリウムである。ステップ(f)の反応は、それに限定されるものではないが、水単独、又は水とTHF、2-メチルテトラヒドロフラン、エタノール、メタノール等の組合せを含む、任意の適切な水を含有する溶媒中で実施され得る。
【0471】
ステップ(g)において、化合物(VII)を、2,2,2-トリフルオロエチルアミンと反応させて、ウパダシチニブを生成する。ステップ(g)の反応は、CDIのようなカップリング剤の存在下で実施される。スキームIIにおけるステップ(g)は、スキームIのステップ(f)について先に記載されているものと類似の試薬を使用し、類似の条件下で実施される。
【0472】
スキームIIのステップ(h)において、ウパダシチニブを、L-酒石酸と接触させて、対応する酒石酸塩を形成する(ステップ(h))。酒石酸塩の形成は、有利なことに、遊離塩基の単離前に不純物を除去する助けになる。その後、酒石酸塩を、遊離塩基形態に転換し戻して(ステップ(i))、ウパダシチニブを生成する。特に、ステップ(i)において、酒石酸塩を、無機塩基のような塩基と接触させて、対応する遊離塩基を生成することができる。適切な塩基には、それに限定されるものではないが、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化カリウム等又はそれらの組合せが含まれる。一実施形態では、酒石酸塩を、重炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムと接触させて、対応する遊離塩基を生成する。
【0473】
ステップ(h)における使用に適した多溶媒には、それに限定されるものではないが、酢酸イソプロピル、メチルtert-ブチルエーテル、水、イソプロピルアルコール及びそれらの組合せが含まれる。ステップ(i)における使用に適した溶媒には、それに限定されるものではないが、酢酸エチル、エタノール、水及びそれらの組合せが含まれる。
【0474】
一部の実施形態では、スキームIIのステップ(d)、(e)、(g)及び(h)の生成物は、その後のステップの前に単離されない。
【0475】
ウパダシチニブを調製するための代替プロセスは、スキームIIIに示される。化合物(XIa)を水素化して、(I)を生成する。保護された(3R,4S)-4-エチルピロリジン-3-カルボン酸(I)をトリメチルスルホキソニウムクロリドと反応させることにより、硫黄イリド(II)が得られる。硫黄イリド(II)を、HBr又はHClの無水供給源と接触させることにより、対応するハロメチルケトン(III)が得られる。塩基の存在下で(III)を(IV)と反応させることにより、(V)が得られる。ペルフルオロ酸無水物及び有機塩基の存在下で(V)を環化させることにより、(VI)が生成される。保護基を除去し、脱保護した化合物を酸と接触させることにより、(VII)の薬学的に許容される塩が得られる。(VII)の薬学的に許容される塩を2,2,2-トリフルオロエチルアミンと反応させることにより、ウパダシチニブが生成される。
【0476】
【化8】
式中、
PGは、保護基であり、Xは、Br又はClであり、
R
1は、アルキル、アリール及び-OR
2からなる群から選択され、
R
2は、アルキルであり、Tsは、トシルである。
【0477】
保護基は、当技術分野で公知の任意の適切な保護基であり得る。一部の実施形態では、保護基は、カルボキシベンジル、p-メトキシベンジルカルボニル、ベンジル、p-メトキシベンジル及び3,4-ジメトキシベンジルからなる群から選択される。別の実施形態では、保護基は、カルボキシベンジルである。
【0478】
別の実施形態では、R1は、-OR2であり、R2は、メチル又はエチルである。このような実施形態では、式(IV)の化合物は、式(IVa)の化合物である。
【0479】
【化9】
式中、R
2は、メチル又はエチルである。驚くべきことに、R
2がエチル又はメチルである場合、式(V)の化合物及びその後の下流化合物は、結晶固体として単離することができ、それによって、これらの中間体の精製の助けになることが発見された。それとは対照的に、R
2がt-ブチルである化合物を使用する、既に公知のプロセスでは、非晶質固体として単離される式(V)の化合物が形成される。
【0480】
ウパダシチニブを調製するための別のプロセスは、スキームIIIaに示される。1-((ベンジルオキシ)カルボニル)-4-エチル-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-カルボン酸(XI)を水素化して、(XII)を生成する。(3R,4S)-1-((ベンジルオキシ)カルボニル)-4-エチルピロリジン-3-カルボン酸塩(XII)をトリメチルスルホキソニウムクロリドと反応させることにより、硫黄イリド(IIa)が得られる。硫黄イリド(IIa)を、HBrの無水供給源と接触させることにより、対応するブロモメチルケトン(IIIa)が得られる。リチウムtert-ブトキシドの存在下で、(IIIa)をアルキル5-トシル-5H-ピロロ[2,3-b]ピラジン-2-イルカルバメート(IVa)と反応させることにより、(Va)が得られる。ペルフルオロ酸無水物及び有機塩基の存在下で(Va)を環化させることにより、(VIa)が生成される。カルボキシベンジル保護基を除去し、脱保護した化合物を塩酸と接触させることにより、薬学的に許容される塩(VIIa)が得られる。薬学的に許容される塩(VIIa)を2,2,2-トリフルオロエチルアミンと反応させることにより、ウパダシチニブが生成される。
【0481】
【化10】
式中、
Cbzは、カルボキシベンジルであり、Tsは、トシルであり、R
2は、メチル又はエチルである。
【0482】
スキームIII及びIIIaのステップ(a)において、(XIa)又は(XI)(スキームVに記載されている通り調製することができる)は、それぞれ(I)又は(XII)に変換される。特に、ステップ(a)において、化合物(XI)又は(XIa)は、ルテニウム触媒のような触媒と接触させることができる。キラルホスフィンを含む任意の触媒が使用され得る。適切な触媒の特定の一例は、ジアセタト[(S)-(-)5,5’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-4,4’-ビ-1,3-ベンゾジオキソール]ルテニウム(II)(すなわち、(S)-Segphos Ru(OAc)2)である。ステップ(a)において使用するのに適した溶媒には、それに限定されるものではないが、メタノール、トリエチルアミン及びそれらの組合せが含まれる。
【0483】
特に、ある特定の実施形態では、(XI)又は(XIa)及び触媒の溶媒中溶液を、約30℃~約100℃で約1時間~約18時間水素化する。一実施形態では、(XI)又は(XIa)及び触媒の溶媒中溶液を、約580psiで水素化する。一実施形態では、(XI)又は(XIa)及び触媒の溶媒中溶液を、約200psiゲージ(psig)で水素化する。一実施形態では、(XI)又は(XIa)及び触媒の溶媒中溶液を、約80℃で約1時間~約8時間又は約2時間若しくは約4時間水素化する。完了したら、反応混合物を室温に冷却し、濾過し、濃縮する。
【0484】
スキームIII及びIIIaのステップ(b)における反応は、一般にカルボニルジイミダゾール(CDI)のようなカップリング剤及び強塩基の存在下で成し遂げられる。強塩基は、例えば、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド又はそれらの組合せであり得る。ステップ(b)の反応は、それに限定されるものではないが、テトラヒドロフラン、水及びメチルtert-ブチルエーテルを含む任意の適切な溶媒中で実施され得る。一実施形態では、反応は、カルボニルジイミダゾール及びカリウムtert-ブトキシドの存在下で実施される。
【0485】
より具体的には、ある特定の実施形態では、トリメチルスルホキソニウムクロリド、強塩基及び溶媒の懸濁液を、約30分間~約8時間又は約1時間加熱し(例えば、約35℃~約65℃まで又は約45℃まで)、その後、冷却する。一実施形態では、懸濁液を、約-1℃以下又は約-5℃以下までの温度に冷却する。一部の実施形態では、ステップ(a)からの濃縮溶液を、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)で希釈し、この溶液に、CDIをゆっくり(例えば、30分~1時間かけて又は30分かけて)添加する。得られる混合物を、室温で30分間~12時間、典型的に約1時間撹拌する。得られた溶液を、内部温度を-1℃未満の内部温度を維持しながら、トリメチルスルホキソニウムクロリド、強塩基及び溶媒の懸濁液にゆっくり(例えば、15分~1時間かけて又は1時間かけて)添加する。いくつかの実施形態では、反応物は、約-1℃未満の温度又は約-5℃で、約30分間~約8時間又は約1時間、撹拌され得る。別の実施形態では、ステップ(c)の前に反応をクエンチし、得られる式(II)又は(IIa)の化合物を単離する。
【0486】
スキームIII及びIIIaのステップ(a)及び(b)では、有利なことに、ナフタレンエタンアミン塩(Ia)若しくはジシクロヘキシルアミン塩(Ib)の形成及び単離なしに、又は(I)若しくは(XI)の単離なしに、保護された(3R,4S)-4-エチルピロリジン-3-カルボン酸を調製することができる。
【0487】
スキームIII及びIIIaのステップ(c)において、式(II)又は(IIa)の化合物を、HBr又はHClの無水供給源と接触させて、それぞれ式(III)又は(IIIa)の化合物を形成する。特に、HBr又はHClの無水供給源は、0.2%以下の水(体積による)又は約0.15%以下の水(体積による)を含む。ステップ(c)の反応は、テトラヒドロフランを含む任意の適切な溶媒中で実施され得る。
【0488】
より具体的には、ある特定の実施形態では、(II)又は(IIa)を、適切な溶媒中、HBr又はHClと合わせる。一実施形態では、溶媒は、テトラヒドロフラン及び酢酸である。一実施形態では、溶媒は、0.2%以下の水(体積による)を含む。一実施形態では、(II)又は(IIa)を、溶媒(例えば、THF)及びHBrのHOAc中溶液と合わせる。得られる混合物を、約35℃~約65℃又は約40℃に加温し、かき混ぜる。一実施形態では、混合物を、約4~約12時間又は約5時間かき混ぜる。一実施形態では、混合物を、約40℃に加温し、約5時間かき混ぜる(例えば、撹拌する)。一実施形態では、混合物を、室温に冷却し(例えば、約20℃)、蒸留し、その後、洗浄する。特定の一実施形態では、生成物(化合物(III)又は(IIIa))を濃縮乾固し、溶媒(例えば、N,N-ジメチルアセトアミド)に再懸濁して、ステップ(d)で使用するための(III)又は(IIIa)の溶液を形成する。
【0489】
ステップ(c)では、有利なことに、スキームI又はIaよりも高純度で、ハロメチルケトン(III)又は(IIIa)が生成される。
【0490】
スキームIII及びIIIaのステップ(d)において、式(III)又は(IIIa)の化合物は、式(IV)又は(IVa)の化合物(本明細書に記載されている通り調製した)と反応させられる。ステップ(d)の反応は、リチウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド又はそれらの組合せのような塩基の存在下で実施される。一実施形態では、塩基は、リチウムtert-ブトキシドである。ステップ(d)の反応は、それに限定されるものではないが、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、酢酸エチル、ヘプタン及びそれらの組合せを含む任意の適切な溶媒中で実施され得る。
【0491】
より具体的には、ある特定の実施形態では、塩基を、溶媒中、式(IV)又は(IVa)の化合物の冷却懸濁液に、ゆっくり(例えば、約30分かけて)添加する。一実施形態では、式(IV)又は(IVa)の化合物の懸濁液を、約0℃に冷却する。得られた溶液を、約30分間~約12時間又は約30分撹拌し、約-20℃~約0℃又は約-10℃に冷却する。一実施形態では、溶液を、約30分間撹拌し、約-20℃~約0℃又は約-10℃に冷却する。次に、ステップ(c)で調製されたハロメチルケトン溶液を、ゆっくり(例えば、約1時間かけて)添加し、得られる混合物を、約-20℃~約0℃又は約-10℃の温度で、約30分間~約6時間又は約30分間かき混ぜる(例えば、撹拌する)。一実施形態では、ステップ(c)の溶液を添加した後、得られる混合物を、約-10℃の温度で約30分間撹拌する。一実施形態では、ステップ(e)の前に反応をクエンチし、一部の実施形態では、得られた生成物(V)又は(Va)を単離する。
【0492】
スキームIII及びIIIaのステップ(e)~(g)は、それぞれスキームIのステップ(d)~(f)について先に記載されている通り実施され得る。
【0493】
VI.固体形態
本開示はまた、クローン病及び潰瘍性大腸炎の処置におけるウパダシチニブの固体形態の使用に関する。固体形態には、ウパダシチニブの非晶質遊離塩基形態、遊離塩基溶媒和物形態A、遊離塩基水和物形態B、遊離塩基水和物形態C、酒石酸塩水和物及び遊離塩基無水物形態Dが含まれる。ウパダシチニブのこれら及び他の固体形態は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/295,561号に記載されている。以下の節では、特定された固体形態及びそれらの固体形態の選択された特性についても論じる。
【0494】
A.非晶質遊離塩基
一実施形態では、固体形態は、非晶質ウパダシチニブ(「非晶質遊離塩基」)である。一態様では、非晶質遊離塩基は、約13重量%未満の水を含む。別の態様では、非晶質遊離塩基は、約12重量%未満の水を含む。別の態様では、非晶質遊離塩基は、約10重量%未満の水を含む。別の態様では、非晶質遊離塩基は、約9重量%未満の水を含む。別の態様では、非晶質遊離塩基は、約8重量%未満の水を含む。別の態様では、非晶質遊離塩基は、約7重量%未満の水を含む。別の態様では、非晶質遊離塩基は、約6重量%未満の水を含む。別の態様では、非晶質遊離塩基は、約5重量%未満の水を含む。別の態様では、非晶質遊離塩基は、約4重量%未満の水を含む。別の態様では、非晶質遊離塩基は、約3重量%未満の水を含む。別の態様では、非晶質遊離塩基は、約2重量%未満の水を含む。別の態様では、非晶質遊離塩基は、約1重量%未満の水を含む。別の態様では、非晶質遊離塩基は、約119℃におけるガラス転移開始温度を有する。別の態様では、非晶質遊離塩基は、約122℃におけるガラス転移温度中間点を有する。別の態様では、非晶質遊離塩基は、約119℃におけるガラス転移開始温度及び約122℃におけるガラス転移温度中間点を有する。
【0495】
非晶質遊離塩基は、一般に、化合物の対応する結晶形に対して、より高い溶解度及びより高いバイオアベイラビリティを有する。非晶質遊離塩基はまた、許容される化学的安定性を有する。さらに、非晶質遊離塩基は、光及び過酸化物に対して許容される安定性を示す。しかし、非晶質遊離塩基は吸湿性であり、25℃/90%相対湿度で12重量%もの水を含む場合がある。非晶質遊離塩基の保存、分注及び処理中の、効力及び含水量を適切に制御するには、潜在的に環境制御が必要である。
【0496】
非晶質遊離塩基は、例えば、逆溶媒結晶化を使用して遊離塩基溶媒和物形態A又は遊離塩基水和物形態B(以下に記載されている)を調製し、その後、脱水又は脱溶媒和して非晶質遊離塩基を得ることにより調製することができる。この結晶化/脱水/脱溶媒和方法によって、噴霧乾燥のような労働集約的で高価な技術を必要とせずに、非晶質遊離塩基の大規模製造が可能になる。また、非晶質遊離塩基のバルク特性(すなわち、粒径、流動特性等)の適切な制御を提供する。非晶質遊離塩基が、遊離塩基溶媒和物形態Aの脱溶媒和又は遊離塩基水和物形態Bの脱水によって調製される場合、非晶質遊離塩基は、一般に、遊離塩基溶媒和物形態A又は遊離塩基水和物形態Bの形成を保持する(すなわち、遊離塩基水和物形態Bの脱水によって調製された場合には六方晶面を有する刃状(blade)、又は遊離塩基溶媒和物形態Aから脱溶媒和された場合には不規則)。
【0497】
遊離塩基溶媒和物形態A又は遊離塩基水和物形態Bの大規模製造中の結晶化に必要な処理体積は、一般に、従来の処理体積以内であるが、不純物排除は、潜在的に、所望の排除量よりも少ない場合がある。遊離塩基水和物形態B/遊離塩基溶媒和物形態Aから非晶質遊離塩基への乾燥及び脱水/脱溶媒和は、一般に、標準装置を用いて従来の条件下で行うことができ、単離された非晶質遊離塩基は、典型的に、非晶質状態に有害な影響を及ぼさずにコ-ミル(co-mill)で製粉され得る。
【0498】
B.結晶性遊離塩基溶媒和物及び水和物
別の実施形態では、固体形態は、ウパダシチニブの結晶性遊離塩基である。一態様では、結晶性遊離塩基は、溶媒和物である。別の態様では、結晶性遊離塩基は、酢酸イソプロピル/水の溶媒和物(「遊離塩基溶媒和物形態A」)である。別の態様では、結晶性遊離塩基は、水和物(「遊離塩基水和物形態B」)である。遊離塩基溶媒和物形態A及び遊離塩基水和物形態Bは、本出願の実施例においてさらに説明されている。
【0499】
一実施形態では、結晶性遊離塩基溶媒和物又は水和物は、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、3.1±0.2、9.3±0.2及び12.0±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0500】
一実施形態では、結晶性遊離塩基溶媒和物又は水和物は、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、3.1±0.2、9.3±0.2及び12.0±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、さらに、13.7±0.2、20.8±0.2及び25.0±0.2度2シータの1つ以上におけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0501】
一実施形態では、結晶性遊離塩基溶媒和物又は水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、3.1±0.2、9.3±0.2、12.0±0.2及び20.8±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0502】
一実施形態では、結晶性遊離塩基溶媒和物又は水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、3.1±0.2、9.3±0.2、12.0±0.2及び25.0±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0503】
一実施形態では、結晶性遊離塩基溶媒和物又は水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、3.1±0.2、9.3±0.2、12.0±0.2、20.8±0.2及び25.0±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0504】
一実施形態では、結晶性遊離塩基溶媒和物又は水和物は、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、3.1±0.2、9.3±0.2、12.0±0.2、13.7±0.2、20.8±0.2及び25.0±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0505】
一実施形態では、結晶性遊離塩基溶媒和物又は水和物は、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、15.1±0.2及び21.7±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0506】
一実施形態では、結晶性遊離塩基溶媒和物又は水和物は、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、3.9±0.2、6.8±0.2及び14.1±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0507】
一実施形態では、結晶性遊離塩基溶媒和物又は水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、15.1±0.2及び21.7±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがなく、3.9±0.2、6.8±0.2及び14.1±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0508】
一実施形態では、結晶性遊離塩基溶媒和物又は水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、3.1±0.2、9.3±0.2及び12.0±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、15.1±0.2及び21.7±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0509】
一実施形態では、結晶性遊離塩基溶媒和物又は水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、3.1±0.2、9.3±0.2及び12.0±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、3.9±0.2、6.8±0.2及び14.1±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0510】
一実施形態では、結晶性遊離塩基溶媒和物又は水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、3.1±0.2、9.3±0.2及び12.0±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、15.1±0.2及び21.7±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがなく、3.9±0.2、6.8±0.2及び14.1±0.2度2シータ1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0511】
一実施形態では、結晶性遊離塩基溶媒和物又は水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、3.1±0.2、9.3±0.2及び12.0±0.2、13.7±0.2、20.8±0.2及び25.0±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、15.1±0.2及び21.7±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0512】
一実施形態では、結晶性遊離塩基溶媒和物又は水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、3.1±0.2、9.3±0.2及び12.0±0.2、13.7±0.2、20.8±0.2及び25.0±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、3.9±0.2、6.8±0.2及び14.1±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0513】
一実施形態では、結晶性遊離塩基溶媒和物又は水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、3.1±0.2、9.3±0.2及び12.0±0.2、13.7±0.2、20.8±0.2及び25.0±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、15.1±0.2及び21.7±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがなく、3.9±0.2、6.8±0.2及び14.1±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0514】
一実施形態では、結晶性遊離塩基溶媒和物又は水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、実質的に表14-Aに列挙されている位置±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0515】
一実施形態では、結晶性遊離塩基溶媒和物又は水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、実質的に表14-Bに列挙されている位置±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0516】
一実施形態では、結晶性遊離塩基溶媒和物又は水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、実質的に少なくとも10.0%の相対的強度を有する表16-Bに列挙されている位置±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0517】
上述の実施形態のそれぞれのさらなる態様では、著しいピーク値は、±0.2度2シータではなく±0.1度2シータの変動を有する。上述の実施形態のそれぞれのまたさらなる態様では、著しいピーク値は、±0.2度2シータではなく±0.05度2シータの変動を有する。
【0518】
一実施形態では、結晶性遊離塩基は、
図19に実質的に示されるX線粉末回折パターンを有する。
【0519】
遊離塩基溶媒和物形態A及び遊離塩基水和物形態Bは、物理的に安定ではない。これらは先に論じた通り、乾燥時に非晶質遊離塩基に脱溶媒和(又は脱水)され、非晶質遊離塩基に変換される。遊離塩基溶媒和物形態A及び遊離塩基水和物形態Bは、一般に、医薬剤形における活性成分として使用するために薬学的に許容される物理的安定性を示さないが、非晶質遊離塩基のような他の固体形態の調製において有用な中間体である。
【0520】
C.結晶性遊離塩基水和物形態C(半水和物)
別の実施形態では、固体形態は、結晶性水和物であり、結晶性水和物は、半水和物である。別の実施形態では、固体形態は、遊離塩基水和物形態Cに対応する粉末X線回折パターンを有するウパダシチニブの結晶性半水和物である。遊離塩基水和物形態Cは、本出願の実施例にさらに記載されている。
【0521】
一実施形態では、遊離塩基水和物形態Cは、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、13.4±0.2、15.1±0.2及び21.7±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0522】
一実施形態では、遊離塩基水和物形態Cは、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、13.4±0.2、15.1±0.2及び21.7±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、さらに、7.7±0.2、7.9±0.2、9.6±0.2、10.3±0.2、13.9±0.2、15.5±0.2、15.9±0.2、17.0±0.2、17.2±0.2、17.8±0.2、18.1±0.2、18.3±0.2、19.3±0.2、19.7±0.2、20.5±0.2、20.9±0.2、21.9±0.2、22.2±0.2、23.5±0.2、24.4±0.2、24.9±0.2、28.2±0.2及び29.5±0.2度2シータの1つ以上におけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0523】
一実施形態では、遊離塩基水和物形態Cは、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、13.4±0.2、15.1±0.2、15.5±0.2及び21.7±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0524】
一実施形態では、遊離塩基水和物形態Cは、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、13.4±0.2、15.1±0.2、17.0±0.2及び21.7±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0525】
一実施形態では、遊離塩基水和物形態Cは、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、13.4±0.2、15.1±0.2、20.9±0.2及び21.7±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0526】
一実施形態では、遊離塩基水和物形態Cは、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、13.4±0.2、15.1±0.2、15.5±0.2、17.0±0.2、20.9±0.2及び21.7±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0527】
一実施形態では、遊離塩基水和物形態Cは、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、15.5±0.2、13.4±0.2、15.1±0.2、19.3±0.2、20.5±0.2及び21.7±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0528】
一実施形態では、遊離塩基水和物形態Cは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、3.1±0.2、9.3±0.2及び12.0±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0529】
一実施形態では、遊離塩基水和物形態Cは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、3.9±0.2、6.8±0.2及び14.1±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0530】
一実施形態では、遊離塩基水和物形態Cは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、3.1±0.2、9.3±0.2及び12.0±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがなく、3.9±0.2、6.8±0.2及び14.1±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0531】
一実施形態では、遊離塩基水和物形態Cは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、13.4±0.2、15.1±0.2及び21.7±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、3.1±0.2、9.3±0.2及び12.0±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0532】
一実施形態では、遊離塩基水和物形態Cは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、13.4±0.2、15.1±0.2及び21.7±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、3.9±0.2、6.8±0.2及び14.1±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0533】
一実施形態では、遊離塩基水和物形態Cは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、13.4±0.2、15.1±0.2及び21.7±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、3.1±0.2、9.3±0.2及び12.0±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがなく、3.9±0.2、6.8±0.2及び14.1±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0534】
一実施形態では、遊離塩基水和物形態Cは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、15.5±0.2、13.4±0.2、15.1±0.2、19.3±0.2、20.5±0.2及び21.7±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、3.1±0.2、9.3±0.2及び12.0±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0535】
一実施形態では、遊離塩基水和物形態Cは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、15.5±0.2、13.4±0.2、15.1±0.2、19.3±0.2、20.5±0.2及び21.7±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、3.9±0.2、6.8±0.2及び14.1±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0536】
一実施形態では、遊離塩基水和物形態Cは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、15.5±0.2、13.4±0.2、15.1±0.2、19.3±0.2、20.5±0.2及び21.7±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、3.1±0.2、9.3±0.2及び12.0±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがなく、3.9±0.2、6.8±0.2及び14.1±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0537】
一実施形態では、遊離塩基水和物形態Cは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、実質的に表14-Cに列挙されている位置±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0538】
一実施形態では、遊離塩基水和物形態Cは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、実質的に少なくとも10.0%の相対的強度を有する表16-Cに列挙されている位置±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0539】
上述の実施形態のそれぞれのさらなる態様では、著しいピーク値は、±0.2度2シータではなく±0.1度2シータの変動を有する。上述の実施形態のそれぞれのまたさらなる態様では、著しいピーク値は、±0.2度2シータではなく±0.05度2シータの変動を有する。
【0540】
一実施形態では、遊離塩基水和物形態Cは、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、
図20に実質的に示されるX線粉末回折パターンを有する。
【0541】
遊離塩基水和物形態Cは、一般に、良好な化学的安定性、物理的安定性及び固体特性(低吸湿性を含む)を示す。遊離塩基水和物形態Cの大規模製造は、スケーリングが最小限に抑えられること、収量が良好であること、不純物を良好に排除できること、濾過が速やかであること、従来の乾燥を用いること、及び製粉の問題が最小限に抑えられること(単離した材料を高エネルギーピンミルに付した後も)により、比較的簡単である。さらに、結晶化プロセスの適切な制御によって、様々な粒径が達成され得る。
【0542】
D.結晶性遊離塩基無水物形態D
別の実施形態では、固体形態は、遊離塩基無水物形態Dに対応する粉末X線回折パターンを有する、ウパダシチニブの結晶性無水物遊離塩基である。遊離塩基無水物形態Dは、本出願の実施例にさらに記載されている。
【0543】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、8.0±0.2、9.7±0.2、14.2±0.2、14.5±0.2及び20.3±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0544】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、8.0±0.2、9.7±0.2、14.2±0.2、14.5±0.2及び20.3±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、さらに、4.0±0.2、18.4±0.2、19.0±0.2、23.0±0.2及び24.7±0.2度2シータの1つ以上におけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0545】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、4.0 ±0.2、8.0±0.2、9.7±0.2、14.2±0.2、14.5±0.2及び20.3±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0546】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、8.0±0.2、9.7±0.2、14.2±0.2、14.5±0.2、18.4±0.2及び20.3±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0547】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、8.0±0.2、9.7±0.2、14.2±0.2、14.5±0.2、19.0±0.2及び20.3±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0548】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、4.0±0.2、8.0±0.2、9.7±0.2、14.2±0.2、14.5±0.2、19.0±0.2及び20.3±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0549】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、8.0±0.2、9.7±0.2、14.2±0.2、14.5±0.2、20.3±0.2及び23.0±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0550】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、8.0±0.2、9.7±0.2、14.2±0.2、14.5±0.2、20.3±0.2及び24.7±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0551】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、4.0±0.2、14.5±0.2及び19.0±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0552】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、4.0±0.2、14.5±0.2及び19.0±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、さらに、8.0±0.2、9.7±0.2、14.2±0.2、18.4±0.2、20.3±0.2、23.0±0.2及び24.7±0.2度2シータの1つ以上におけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0553】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、3.1±0.2、9.3±0.2及び20.8±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0554】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、6.8±0.2、15.7±0.2及び21.9±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0555】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、13.4±0.2、15.5±0.2及び21.7±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0556】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、13.4±0.2、15.5±0.2及び21.7±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがなく、6.8±0.2、15.7±0.2及び21.9±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがなく、3.1±0.2、9.3±0.2及び20.8±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0557】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、8.0±0.2、9.7±0.2、14.2±0.2、14.5±0.2及び20.3±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、3.1±0.2、9.3±0.2及び20.8±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0558】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、8.0±0.2、9.7±0.2、14.2±0.2、14.5±0.2及び20.3±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、6.8±0.2、15.7±0.2及び21.9±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0559】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、8.0±0.2、9.7±0.2、14.2±0.2、14.5±0.2及び20.3±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、13.4±0.2、15.5±0.2及び21.7±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0560】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、8.0±0.2、9.7±0.2、14.2±0.2、14.5±0.2及び20.3±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、3.1±0.2、9.3±0.2及び20.8±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがなく、6.8±0.2、15.7±0.2及び21.9±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがなく、13.4±0.2、15.5±0.2及び21.7±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0561】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、4.0±0.2、8.0±0.2、9.7±0.2、14.2±0.2、14.5±0.2、19.0±0.2及び20.3±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、3.1±0.2、9.3±0.2及び20.8±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0562】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、4.0±0.2、8.0±0.2、9.7±0.2、14.2±0.2、14.5±0.2、19.0±0.2及び20.3±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、6.8±0.2、15.7±0.2及び21.9±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0563】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、4.0±0.2、8.0±0.2、9.7±0.2、14.2±0.2、14.5±0.2、19.0±0.2及び20.3±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、13.4±0.2、15.5±0.2及び21.7±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0564】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、4.0±0.2、8.0±0.2、9.7±0.2、14.2±0.2、14.5±0.2、19.0±0.2及び20.3±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、3.1±0.2、9.3±0.2及び20.8±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがなく、6.8±0.2、15.7±0.2及び21.9±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがなく、13.4±0.2、15.5±0.2及び21.7±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0565】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、実質的に表14-Eに列挙されている位置±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0566】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、実質的に少なくとも10.0%の相対的強度を有する表14-Eに列挙されている位置±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0567】
上述の実施形態のそれぞれのさらなる態様では、著しいピーク値は、±0.2度2シータではなく±0.1度2シータの変動を有する。上述の実施形態のそれぞれのまたさらなる態様では、著しいピーク値は、±0.2度2シータではなく±0.05度2シータの変動を有する。
【0568】
一実施形態では、遊離塩基無水物形態Dは、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、
図22に実質的に示されるX線粉末回折パターンを有する。
【0569】
遊離塩基無水物形態Dは、可逆的に吸湿性であり(90%RH、25℃で1.8%までの水)、下流処理のための保存中に使用された典型的な環境条件で(例えば、2.4%RH超、23℃で)、遊離塩基水和物形態Cに対して順安定である。結晶化溶媒の含水量が少ない場合(例えば、23℃で、2.4%の水活性に対応する0.15%未満)だけ、遊離塩基無水物形態Dを製造することができ、高含水量の溶液中で遊離塩基水和物形態Cに変換されるので、遊離塩基無水物形態Dの製造には、水の厳重な制御が必要である。遊離塩基無水物形態Dは、ゆっくり結晶化し、より高い収量で製造するのは困難である。
【0570】
E.結晶性酒石酸塩
別の実施形態では、固体形態は、ウパダシチニブの酒石酸塩である。一態様では、酒石酸塩は、非晶質である。別の態様では、酒石酸塩は、結晶性である。別の態様では、結晶性酒石酸塩は、溶媒和物である。別の態様では、結晶性酒石酸塩は、水和物である。別の態様では、酒石酸塩は、結晶性L-酒石酸塩である。別の態様では、結晶性L-酒石酸塩は、水和物である。別の態様では、結晶性酒石酸塩は、四水和物(「酒石酸塩水和物」)である。酒石酸塩水和物(四水和物)は、本出願の実施例にさらに記載されている。
【0571】
一実施形態では、酒石酸塩水和物は、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、3.9±0.2、6.8±0.2及び14.1±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0572】
一実施形態では、酒石酸塩水和物は、単色Kα1放射線を用いて約25℃で測定した場合、3.9±0.2、6.8±0.2、14.1±0.2、15.7±0.2、21.9±0.2及び25.9±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられるX線粉末回折パターンを有する。
【0573】
一実施形態では、酒石酸塩水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、13.4±0.2及び15.1±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0574】
一実施形態では、酒石酸塩水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、3.1±0.2、9.3±0.2及び12.0±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0575】
一実施形態では、酒石酸塩水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、13.4±0.2及び15.1±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがなく、3.1±0.2及び9.3±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0576】
一実施形態では、酒石酸塩水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、3.9±0.2、6.8±0.2及び14.1±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、13.4±0.2及び15.1±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0577】
一実施形態では、酒石酸塩水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、3.9±0.2、6.8±0.2及び14.1±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、3.1±0.2、9.3±0.2及び12.0±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0578】
一実施形態では、酒石酸塩水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、3.9±0.2、6.8±0.2及び14.1±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、13.4±0.2及び15.1±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがなく、3.1±0.2、9.3±0.2及び12.0±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0579】
一実施形態では、酒石酸塩水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、3.9±0.2、6.8±0.2、14.1±0.2、15.7±0.2、21.9±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、13.4±0.2及び15.1±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0580】
一実施形態では、酒石酸塩水和物は、3.9±0.2、6.8±0.2、14.1±0.2、15.7±0.2、21.9±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、3.1±0.2、9.3±0.2及び12.0±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0581】
一実施形態では、酒石酸塩水和物は、3.9±0.2、6.8±0.2、14.1±0.2、15.7±0.2、21.9±0.2度2シータにおけるピークによって特徴付けられ、13.4±0.2及び15.1±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがなく、3.1±0.2、9.3±0.2及び12.0±0.2度2シータの1つ以上において著しいピークがないX線粉末回折パターンを有する。
【0582】
上述の実施形態のそれぞれのさらなる態様では、著しいピーク値は、±0.2度2シータではなく±0.1度2シータの変動を有する。上述の実施形態のそれぞれのまたさらなる態様では、著しいピーク値は、±0.2度2シータではなく±0.05度2シータの変動を有する。
【0583】
一実施形態では、酒石酸塩水和物は、単色Kα1放射線を用いて25℃で測定した場合、
図21に実質的に示されるX線粉末回折パターンを有する。
【0584】
酒石酸塩水和物は、許容される化学的安定性を有し、光及び過酸化物に対して許容される安定性を示す。酒石酸塩水和物は、良好な溶解度(BCSクラスI)を有し、吸湿性ではない。しかし、酒石酸塩水和物は、潜在的に、加熱される場合、又は圧縮される場合若しくはせん断下では、10%未満の相対湿度の非晶質酒石酸塩に変換される。
【0585】
酒石酸塩水和物は、例えば逆溶媒結晶化を使用して製造され得る。酒石酸塩水和物の大規模製造中の不純物排除は、一般に良好であるが、スケーリングが非常に望ましい場合があり、特別な逆溶媒の添加制御及び処理体積の制限が、潜在的に必要とされ得る。さらに、湿潤ケーキの固化及び単離した材料における硬質塊の形成を最小限に抑えるために、濾過、洗浄、乾燥ステップの適切な制御が必要とされ得る。例えば、単離した材料における硬質塊の形成を最小限に抑えるために、乾燥中に相対湿度(例えば、10%超及び100%未満の相対湿度)、温度(例えば、約10℃における結晶化が、十分に作用する)、及び混合率の制御が必要とされ得る。乾燥条件の不十分な制御によって、潜在的に、その後の処理中に破砕することが困難となり得る、より硬質な固化材料が生成される。前述の通り、せん断及び圧縮は、潜在的に、非晶質酒石酸塩への変換を引き起こす。せん断ベースのミル(例えば、コ-ミル)により、結晶化度が喪失する場合があるので、乾燥させた材料は、典型的に、機械的インパクトミル(例えば、フィッツミル及びピンミル)を用いて製粉される。さらに結晶化度の喪失は、潜在的に、製剤化中の圧力又は圧縮力(打錠に必要とされ得るような)から生じる場合がある。
【0586】
F.結晶純度
先に論じられた固体形態のさらなる実施形態では、固体形態は、薬学的に許容される結晶純度(又は非晶質遊離塩基の場合、薬学的に許容される非晶質純度)を有する。例えば、一態様では、ウパダシチニブは、少なくとも約75重量%の所望の固体形態を含む。別の態様では、少なくとも80重量%は、所望の固体形態である。別の態様では、少なくとも85重量%は、所望の固体形態である。別の態様では、少なくとも90重量%は、所望の固体形態である。別の態様では、少なくとも95重量%は、所望の固体形態である。別の態様では、少なくとも96重量%は、所望の固体形態である。別の態様では、少なくとも97重量%は、所望の固体形態である。別の態様では、少なくとも98重量%は、所望の固体形態である。別の態様では、少なくとも99重量%は、所望の固体形態である。別の態様では、ウパダシチニブは、実質的に結晶的に純粋な(又は非晶質遊離塩基の場合、非晶質的に純粋な)固体形態として存在する。好ましい態様では、固体形態は、非晶質遊離塩基である。別の態様では、固体形態は、遊離塩基無水物形態Dである。より好ましい態様では、固体形態は、遊離塩基水和物形態Bである。特に好ましい態様では、固体形態は、遊離塩基水和物形態Cである。好ましい態様では、固体形態は、酒石酸塩水和物である。
【0587】
VII.固体の調製
本開示はまた、ウパダシチニブの固体形態を調製するための方法に関する。一態様では、調製された固体形態は、非晶質遊離塩基である。別の態様では、調製された固体形態は、遊離塩基水和物形態Bである。別の態様では、調製された固体形態は、遊離塩基水和物形態Cである。別の態様では、調製された固体形態は、酒石酸塩水和物である。別の態様では、調製された固体形態は、遊離塩基無水物形態Dである。
【0588】
A.非晶質遊離塩基の調製
本開示は、非晶質遊離塩基を調製するための方法に関する。一実施形態では、該方法は、遊離塩基水和物形態Bを脱水して、非晶質遊離塩基を提供することを含む。別の実施形態では、該方法は、遊離塩基溶媒和物形態Aを脱溶媒和して、非晶質遊離塩基を提供することを含む。脱水/脱溶媒和のために、様々なプロセス条件を用いることができる。脱水は、例えば、周囲条件下又は真空オーブン中で実施することができる。
図14は、遊離塩基水和物形態Bの脱水によって非晶質遊離塩基を調製する一方法を模式的に示す。
【0589】
別の実施形態では、該方法は、ウパダシチニブを溶媒又は溶媒混合物に溶解させ、溶媒又は溶媒混合物のpHを、約8を超えるpHに調整して、非晶質遊離塩基の沈殿を開始させることを含む。一態様では、溶媒又は溶媒混合物は、水を含む。別の態様では、pHは、約9を超えるpHに調整される。別の態様では、pHは、約10を超えるpHに調整される。別の態様では、pHは、約11を超えるpHに調整される。別の態様では、pHは、少なくとも約9のpHに調整される。
【0590】
さらに他の実施形態では、該方法は、衝突噴流、噴霧乾燥及び熱溶融押出法からなる群から選択される方法を使用して、非晶質遊離塩基を調製することを含む。
【0591】
B.結晶性遊離塩基溶媒和物形態A及び結晶性遊離塩基水和物形態Bの調製
本開示は、さらに、遊離塩基溶媒和物形態A及び遊離塩基水和物形態Bを調製するための方法に関する。一実施形態では、該方法は、ウパダシチニブを、逆溶媒を含む溶媒又は溶媒混合物に溶解させ、溶媒又は溶媒混合物を、約15℃未満の温度で、遊離塩基溶媒和物形態A又は遊離塩基水和物形態Bの結晶化を開始させるのに十分な時間、維持することを含む。逆溶媒は、例えば、水を含むことができる。溶媒又は溶媒混合物は、メタノール、エタノール、n-ブチルアミン、アセトン、アセトニトリル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルtert-ブチルエーテル及び酢酸イソプロピルからなる群から選択される溶媒のような極性溶媒を含むことができる。遊離塩基溶媒和物形態A及び遊離塩基水和物形態Bは、類似のPXRDパターンを示し、したがって同型構造である。該方法は、一般に、周囲温度以下、例えば、約10℃未満、約5℃未満又は約0℃未満で実施される。ある特定の態様では、該プロセスは、さらに、溶媒又は溶媒混合物に、遊離塩基溶媒和物形態A又は遊離塩基水和物形態Bの結晶を播種することを含む。
【0592】
C.結晶性遊離塩基水和物形態Cの調製
本開示は、さらに、遊離塩基水和物形態Cを調製するための方法に関する。一実施形態では、該方法は、ウパダシチニブを溶媒又は溶媒混合物に溶解させ、結晶化を開始させて、遊離塩基水和物形態Cを提供することを含む。溶媒又は溶媒混合物は、一般に、ウパダシチニブを溶媒又は溶媒混合物に溶解させる前に溶媒若しくは溶媒混合物中に存在していてよく、又は溶解させた後に溶媒若しくは溶媒混合物に添加することができる、逆溶媒(水のような)を含む。溶媒又は溶媒混合物は、例えば、1種以上の極性溶媒(エタノール及び酢酸エチルからなる群から選択される極性溶媒のような)、1種以上の非極性溶媒(ヘキサン及びヘプタンからなる群から選択される非極性溶媒のような)、又は少なくとも1種の極性溶媒及び少なくとも1種の非極性溶媒を含むことができる。一態様では、溶媒又は溶媒混合物は、酢酸エチル、ヘプタン及び水を含む三元溶媒混合物である。該方法は、一般に、約30℃未満、約20℃未満又は約10℃未満の温度で実施される。ある特定の態様では、結晶化開始ステップは、溶媒又は溶媒混合物を混合して、結晶化を開始させるのに十分にかき混ぜることを含む。ある特定の態様では、結晶化開始ステップは、溶媒又は溶媒混合物に、遊離塩基水和物形態Cの結晶を播種することを含む。ある特定の態様では、結晶化開始ステップは、溶媒又は溶媒混合物を混合すること、及び溶媒又は溶媒混合物に、遊離塩基水和物形態Cの結晶を播種することの両方を含む。
【0593】
一実施形態では、ウパダシチニブは、まず、本明細書に記載されている方法のいずれかに従って調製され、ウパダシチニブを含む反応混合物は濾過され、得られた溶液は、溶媒又は溶媒混合物に懸濁される。溶媒又は溶媒混合物は、例えば、1種以上の極性溶媒(エタノール及び酢酸エチルからなる群から選択される極性溶媒のような)、1種以上の非極性溶媒(ヘキサン及びヘプタンからなる群から選択される非極性溶媒のような)、又は少なくとも1種の極性溶媒及び少なくとも1種の非極性溶媒を含むことができる。特定の一実施形態では、溶媒は、酢酸エチル、又は酢酸エチル及び水の混合物である。ある特定の態様では、結晶化開始ステップは、溶媒又は溶媒混合物に、遊離塩基水和物形態Cの結晶を播種することを含む。特定の一態様では、結晶化は、ウェットミル内で行われる。
【0594】
図15は、遊離塩基水和物形態Cを調製する一方法を模式的に示す。
【0595】
D.結晶性遊離塩基無水物形態Dの調製
本開示は、さらに、遊離塩基無水物形態Dを調製するための方法に関する。一実施形態では、該方法は、ウパダシチニブを溶媒又は溶媒混合物に溶解させ、結晶化を開始させて、遊離塩基水和物形態Dを提供することを含む。溶媒又は溶媒混合物は、水を含まないか、又は水をほぼ含まない。いくつかの実施形態では、溶媒又は溶媒混合物は、23℃で約0.15wt%未満又は約0.10wt%未満又は約0.05wt%未満又は約0wt%の含水量を有する。一実施形態では、溶媒又は溶媒混合物は、約2.4%以下又は約2.2%以下又は約2.0%以下又は約1.5%以下の水活性を有する。溶媒又は溶媒混合物は、例えば、酢酸エチル(EtOAc)、ヘプタン及びそれらの組合せを含むことができる。一実施形態では、溶媒系は、酢酸エチル中ヘプタンの混合物を含む。一部の実施形態では、溶媒系は、酢酸エチル中約10wt%又は約20wt%又は約30wt%又は約40wt%のヘプタンを含む。該方法は、一般に、少なくとも約7℃、少なくとも約23℃、少なくとも約25℃以下又は少なくとも約30℃の温度で実施される。一実施形態では、該方法は、約23℃で実施される。ある特定の態様では、結晶化開始ステップは、溶媒又は溶媒混合物を混合して、結晶化を開始させるのに十分にかき混ぜることを含む。ある特定の態様では、結晶化開始ステップは、溶媒又は溶媒混合物に、遊離塩基水和物形態Dの結晶を播種することを含む。ある特定の態様では、結晶化開始ステップは、溶媒又は溶媒混合物を混合すること、及び溶媒又は溶媒混合物に、遊離塩基水和物形態Dの結晶を播種することの両方を含む。
【0596】
E.結晶性酒石酸塩水和物の調製
本開示は、さらに、酒石酸塩水和物を調製するための方法に関する。一実施形態では、該方法は、ウパダシチニブ及びL-酒石酸を溶媒又は溶媒混合物に溶解させて、結晶化溶液を形成し、結晶化溶液から酒石酸塩水和物を結晶化させることを含む。溶媒又は溶媒混合物は、例えば水及び/又は例えば1種以上の極性溶媒(酢酸イソプロピルのような)を含むことができる。溶媒又は溶媒混合物はまた、逆溶媒(酢酸イソプロピルのような)を含むことができる。ある特定の態様では、該プロセスは、さらに、溶媒又は溶媒混合物に、酒石酸塩水和物の結晶を播種することを含む。
【0597】
結晶化は、一般に、約40℃未満の温度で実施される。逆溶媒が使用される場合、添加速度が速いと、典型的に非晶質酒石酸塩が沈殿し、添加速度が遅いと、得られるスラリーが増粘するので、逆溶媒には中程度の添加速度が用いられる。溶媒の捕捉、固体の特性(例えば、硬質な塊状固体)及び取扱い、並びに装置への損傷を含む、濾過ケーキの固化に伴う潜在的な問題を回避するには、濾過、洗浄及び乾燥の適切な制御が必要とされ得る。乾燥させた酒石酸塩水和物材料の特性に応じて、製粉には、せん断ベースのミル(コ-ミルのような)ではなく、機械的衝撃型のミルが必要となり得る。
【0598】
図16は、酒石酸塩水和物を調製する一方法を模式的に示す。
【0599】
VIII.医薬組成物及び投与経路
本開示の1つ以上の化合物は、それ自体で又は医薬組成物でヒト患者に投与することができ、医薬組成物の場合、化合物は、本明細書に記載されている通り、疾患又は状態を処置又は回復させるための用量で、生物学的に適切な担体又は賦形剤と混合される。これらの化合物の混合物は、単一混合物として、又は適切な製剤化医薬組成物で、患者に投与することもできる。
【0600】
本開示の医薬組成物は、それ自体公知の方式で、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作成、研和、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥プロセスを用いることによって製造することができる。
【0601】
したがって、本開示に従って使用するための医薬組成物は、従来の方式で、活性な化合物を、薬学的に使用され得る調製物に処理するのを容易にする賦形剤及び助剤を含む1種以上の生理的に許容される担体を使用して製剤化することができる。適切な製剤は、選択された投与経路に依存して決まる。
【0602】
一実施形態では、投与単位組成物に含有されている活性成分は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態である。一実施形態では、本開示の組成物に含まれるために提供される活性成分(例えば、ウパダシチニブ)の標的量又は標識量は、ウパダシチニブ遊離塩基の量を指す。例えば、ウパダシチニブは、非晶質遊離塩基、結晶性溶媒和物及び水和物(例えば、遊離塩基溶媒和物形態A、遊離塩基水和物形態B)、結晶性半水和物(例えば、遊離塩基水和物形態C)、結晶性無水物(例えば、遊離塩基無水物形態D)、並びに結晶性酒石酸塩(例えば、酒石酸塩水和物)を含むいくつかの固体形態で調製され得る。これらの固体形態の調製は、本明細書に記載されており、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/295,561号にも記載されている。投与単位組成物が、例えば、ウパダシチニブの溶媒和物、水和物、半水和物又は酒石酸塩を含むいくつかの実施形態では、投与単位組成物中に存在するウパダシチニブの溶媒和物、水和物、半水和物又は酒石酸塩の量は、ウパダシチニブ(活性成分)の標的量よりもわずかに多くてよく、好ましくは、標的量のウパダシチニブ遊離塩基当量を患者に送達するのに十分な量で、投与単位組成物中に存在すると理解されたい。例えば、投与単位組成物中のウパダシチニブ(活性成分)の標的量が、15mgである場合、例えば、ウパダシチニブの水和物を含む投与単位組成物は、15mgのウパダシチニブ遊離塩基当量を送達するのに十分な量の水和物を含むことができる。
【0603】
一実施形態では、医薬組成物は、錠剤剤形である。一態様では、錠剤は、薬学的に許容されるポリマーでコーティングされている。一実施形態では、医薬組成物は、カプセル剤剤形である。
【0604】
一実施形態では、錠剤は、延長放出錠剤剤形(本明細書では、調節放出又は徐放製剤とも呼ばれる)のような制御放出製剤である。このような製剤は、活性成分のほとんど又はすべてを短時間(例えば、典型的に約60分以内)に放出する即時放出固体剤形と比較して、長時間にわたって活性成分を徐放する。一態様では、錠剤は、活性成分(例えば、ウパダシチニブ)、並びに放出制御ポリマー、充填剤、流動促進剤、滑沢剤(例えば、顆粒の圧縮において使用するための)、pH調節剤、界面活性剤及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を含む。一態様では、錠剤は、活性成分、放出制御ポリマー、充填剤、流動促進剤及び滑沢剤を含む。一態様では、錠剤は、活性成分、放出制御ポリマー、充填剤、流動促進剤、滑沢剤及びpH調節剤を含む。
【0605】
ある特定の実施形態では、放出制御ポリマーは、親水性ポリマーである。適切な放出制御ポリマーの例として、それに限定されるものではないが、1000~150,000mPA-sの粘度を有するセルロース誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、ヒプロメロース2208、又はE、F、及びKシリーズを含む制御放出グレードのヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリアルケニルポリエーテルで架橋されたアクリル酸のコポリマー(例えば、Carbopol(登録商標)ポリマー)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチレンオキシドの非イオン性ホモポリマー(例えば、Polyox(商標))、多糖類の水溶性天然ガム(例えば、キサンタンガム、アルギン酸塩、ローカストビーンガム等)、架橋デンプン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル及びポリビニルピロリドンの混合物、並びにそれらの組合せが挙げられる。一実施形態では、放出制御ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアルケニルポリエーテルで架橋されたアクリル酸のコポリマー(例えば、Carbopol(登録商標)ポリマー)及びそれらの組合せからなる群から選択される。適切な充填剤(「増量剤」)の例として、それに限定されるものではないが、微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標)PH101;Avicel(登録商標)PH102)、マンニトール(例えば、Pearlitol(登録商標)100SD又はPearlitol(登録商標)200SD)、ラクトース、スクロース、ソルビトール等が挙げられる。一実施形態では、充填剤は、微結晶性セルロース、マンニトール及びそれらの組合せからなる群から選択される。適切な流動促進剤の例として、それに限定されるものではないが、二酸化ケイ素(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、タルク及びそれらの組合せが挙げられる。一実施形態では、流動促進剤は、コロイド二酸化ケイ素である。適切な滑沢剤の例として、それに限定されるものではないが、ポリエチレングリコール(例えば、1000~6000の分子量を有する)、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク等が挙げられる。一実施形態では、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。適切なpH調節剤の例として、それに限定されるものではないが、酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸のような有機酸;クエン酸ナトリウム;炭酸又は炭酸水素マグネシウム又はカルシウム;及びそれらの組合せが挙げられる。一実施形態では、pH調節剤は、酒石酸である。適切な界面活性剤の例として、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0606】
一実施形態では、医薬組成物は、約10w/w%~約35w/w%のpH調節剤、特に酒石酸、フマル酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸又はそれらの組合せを含む。他の実施形態では、製剤は、約20w/w%~約35w/w%若しくは約20w/w%~約30w/w%若しくは約20w/w%~約25w/w%、又は約10w/w%、約15w/w%、約20w/w%、約25w/w%若しくは約30w/w%のpH調節剤を含む。一実施形態では、pH調節剤は、酒石酸である。持続的ピーク血漿濃度は、理論的に、徐放マトリックス系を用いることによって達成され得る。しかし、このような系は、HPMCのような親水性ポリマーから作成される場合、pH依存性可溶性薬物を、pHに独立して薬物放出することはめったになく、普通は、実質的に不溶性の薬物を除いてゼロ次放出を得ることができない。酒石酸、フマル酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸又はそれらの組合せのようなpH調節剤が、親水性徐放マトリックス系において使用される場合、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態は、環境のpHに関係なく定常速度で放出されることが発見されている。親水性ポリマーマトリックス系を含有する錠剤が浸食されると、ウパダシチニブがHPMCと反応し、錠剤からウパダシチニブをゆっくり放出する、より厚いゲル層を作製することが発見されている。得られるゲル層は、ウパダシチニブが溶解するのに適した環境を提供する。
【0607】
したがって一実施形態では、本開示の医薬組成物は、活性成分(ウパダシチニブ)のpHに依存しない放出を示す。有利には、組成物にpH調節剤として酒石酸のような有機酸を含むことにより、放出プロファイルが改善され、pHとは独立に活性成分が放出されることが発見されている。いかなる理論にも拘泥するものではないが、pH調節剤及び親水性ポリマーにより、活性成分が溶解し、次に放出される微小環境が作製されると考えられる。微小環境からの放出は、pHとは関係なく、およそ同じ速度で生じる。このことは、胃腸管のpHが、胃(例えば、pH約1.5~3)から、十二指腸(例えば、pH約4~5)、小腸のより下部(例えば、pH約6.5~7.5)まで著しく異なり得るので、特に有利である。
【0608】
したがって一実施形態では、医薬組成物は、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態、親水性ポリマー、及びpH調節剤を含む調節放出製剤であり、親水性ポリマーは、水と接触させられると、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を溶解させるのに適した環境を提供するゲル層を形成する。一部の実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を溶解させるのに適した環境は、37℃で約3.8以下のpHを有する。このような一部の実施形態では、環境は、約1.5~約3.7又は約2.0~約3.7又は約2.5~約3.6又は約3.0~約3.6又は約3.0~約3.5のpHを有する。
【0609】
このような一実施形態では、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を溶解させるのに適した環境は、前述の通りであり、調節放出製剤は、約10w/w%~約35w/w%のpH調節剤、特に酒石酸、フマル酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸又はそれらの組合せを含む。他の実施形態では、製剤は、約20w/w%~約35w/w%若しくは約20w/w%~約30w/w%若しくは約20w/w%~約25w/w%、又は約10w/w%、約15w/w%、約20w/w%、約25w/w%若しくは約30w/w%のpH調節剤を含む。これらの実施形態のいずれかでは、pH調節剤は、酒石酸、フマル酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。このような一実施形態では、pH調節剤は、酒石酸、フマル酸、クエン酸、コハク酸及びそれらの組合せからなる群から選択される。このような一実施形態では、pH調節剤は、酒石酸及びフマル酸からなる群から選択される。一実施形態では、pH調節剤は、酒石酸である。一実施形態では、pH調節剤は、フマル酸又はクエン酸である。本明細書に記載されている酒石酸の重量%は、コーティングされていない組成物(コーティングされていない錠剤)の重量による。上述の実施形態のいずれかでは、親水性ポリマーは、1000~150,000mPA-sの粘度を有するセルロース誘導体であり得る。一実施形態では、親水性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びそれらの混合物又は組合せからなる群から選択される。一実施形態では、親水性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。一実施形態では、親水性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのグレードE、F又はKである。一実施形態では、親水性ポリマーは、ヒプロメロース2208である。
【0610】
一実施形態では、錠剤は、圧縮及び/又は製粉された錠剤である。例えば、一部の実施形態では、錠剤は、組成物構成成分(例えば、活性成分及び少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む)をブレンドすることによって形成される。次に、組成物は、直接的に圧縮されてよく、又は組成物構成成分の1つ以上が、圧縮前に造粒されてよい。一実施形態では、製粉は、任意の適切なサイズのふるいを嵌めたミル(例えば、約600~約1400μm又は約610μm又は約1397μmのサイズのふるいを嵌めたミル)を使用して実施される。圧縮は、2つの移動する穿孔器の間の鋼ダイのような打錠機で行うことができる。
【0611】
他の実施形態では、圧縮及び/又は製粉された錠剤は、湿式造粒プロセスを使用して製剤化される。湿式造粒の使用は、錠剤を製剤化するのに湿式造粒なしに圧縮が使用される(例えば、直接圧縮)場合に生じ得る固着を低減及び/又は排除する一助になる。一実施形態では、湿式造粒プロセスは、以下のステップを含むことができる。(a)活性成分(例えば、ウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態、又はウパダシチニブの固体形態)及び1つの追加の組成物構成成分の少なくとも一部を合わせて、乾燥造粒混合物を形成するステップ、(b)乾燥造粒混合物を造粒用の流体と接触させて、湿潤造粒混合物を形成するステップ、(c)湿潤造粒混合物を乾燥させて、造粒された材料を形成するステップ、(d)造粒された材料を製粉して、製粉された造粒材料を形成するステップ、(e)製粉された造粒材料を、残りの組成物構成成分と合わせるステップ、並びに(f)組成物を固体投与単位(例えば、錠剤)に圧縮するステップ。
【0612】
このプロセスのステップ(a)では、活性成分を、例えば、放出制御ポリマー(例えば、HPMC)の一部、充填剤(例えば、Avicel(登録商標)PH101のような微結晶性セルロース)の一部、又は放出制御ポリマーの一部及び充填剤の一部の両方と合わせて、乾燥造粒混合物を形成することができる。放出制御ポリマーの任意の適切な部分を、ステップ(a)において使用することができる。一実施形態では、組成物中約5~10wt%又は約6~8wt%の総量の放出制御ポリマーが、ステップ(a)において使用される。
【0613】
ある特定の実施形態では、ステップ(b)において使用される造粒用の流体は、水、適切な溶媒(例えば、エタノール、イソプロパノール等)又はそれらの組合せを含むことができる。一実施形態では、造粒用の流体は、水を含む。一実施形態では、活性成分を、充填剤の一部と合わせることができ、一方で放出制御ポリマー(例えば、HPMC)の一部を、水のような液体に溶解させて、造粒用の流体を形成する。一実施形態では、造粒用の流体は、乾燥造粒混合物上に噴霧される。
【0614】
乾燥させた造粒材料は、例えば、任意の適切なサイズのふるいを嵌めたコ-ミルを使用して製粉することができる。一実施形態では、ふるいサイズは、約600~約900ミクロン又は約610~約813ミクロンである。一実施形態では、造粒された材料は、610μmのふるいを嵌めたコ-ミルを使用して製粉される。一実施形態では、造粒された材料は、813μmのふるいを嵌めたコ-ミルを使用して製粉される。
【0615】
ステップ(e)において、製粉された造粒材料は、任意の残りの充填剤(例えば、Avicel(登録商標)PH102のような微結晶性セルロース)、任意の残りの放出制御ポリマー、流動促進剤、滑沢剤、pH調節剤、界面活性剤等のような任意の残りの組成物構成成分と合わされる。一実施形態では、造粒された材料に含まれる充填剤及び/又は放出制御ポリマーは、ステップ(e)で添加された充填剤及び/又は放出制御ポリマーと同一であってよく又は異なっていてよい。例えば、一実施形態では、造粒された材料に含まれる充填剤(例えば、Avicel(登録商標)PH101)は、ステップ(e)で添加された充填剤(例えば、Avicel(登録商標)PH102)よりも小さい粒径分布を有することができる。
【0616】
一実施形態では、組成物は、ふるいにかけることができ、ふるいにかけられた組成物は、例えば、ステップ(e)の後及び組成物を圧縮する(ステップ(f))前にブレンドされる。一実施形態では、製剤は、任意の滑沢剤の添加の前にふるいにかけられる。一実施形態では、pH調節剤(例えば、酒石酸)は、任意選択的に、造粒された材料と合わされる前に製粉される。
【0617】
一部の実施形態では、錠剤は、さらに、フィルムコートを含む。錠剤上のフィルムコートは、さらに、錠剤が嚥下されやすいようにすることができる。フィルムコートはまた、味を改善することができ、滑らかな外観を提供する。ある特定の実施形態では、フィルムコートは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びアクリレート又はメタクリレートコポリマーのようなポリマーフィルム形成材料を含む。フィルム形成ポリマーに加えて、フィルムコートはさらに、可塑剤、例えばポリエチレングリコール、界面活性剤、例えばポリソルベート、及び任意選択的に、顔料、例えば二酸化チタン又は酸化鉄を含むことができる。フィルムコーティングはまた、粘着防止としてタルクを含むことができる。一実施形態では、フィルムコートは、本開示の医薬組成物の5重量%未満を占める。
【0618】
別の実施形態では、医薬組成物は、カプセル剤剤形である。
【0619】
疾患の防止又は処置のためのJAK1阻害剤の適切な投与量は、先に定義される通り処置される疾患のタイプ、疾患の重症度及び過程、JAK1阻害剤が防止目的又は治療目的のいずれで投与されるか、過去の治療、患者の臨床履歴及び抗体への応答、並びに担当医の裁量のような様々な因子に応じて決まる。JAK1阻害剤は、一度に又は一連の処置にわたって、患者に適切に投与される。
【0620】
JAK1阻害剤は、適切な医療行為と一致するやり方で製剤化され、用量を決定され、投与される。この文脈において考慮される因子には、処置を受ける特定の障害、処置を受ける特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、投与スケジュール、及び担当医に公知の他の因子が含まれる。JAK1阻害剤の「治療有効量」は、このような考察によって決まる。
【0621】
本開示において使用するのに適した医薬組成物には、活性成分が、その所期の目的を達成するための有効量で含有されている組成物が含まれる。より具体的には、治療有効量は、処置を受ける患者の既存の症候の発症を防止する又は軽減するのに有効な量を意味する。有効量の決定は、当業者の能力の範囲内である。特定の一実施形態では、組成物は、7.5mg、15mg、30mg又は45mgのウパダシチニブ又は薬学的に許容されるその塩若しくは固体形態を含む1日1回の調節放出製剤である。
【実施例0622】
IX.実施例
[実施例1] 非晶質遊離塩基の調製
A.方法A:水からの沈殿
ウパダシチニブ(およそ300g)を、水(10L)に溶解させ、50%水酸化ナトリウム(160g)を、2時間にわたって滴下添加して、pHを12超に調整した。すぐに固体が形成された。固体を濾過し、一定分量500mLの水で2回洗浄し、次に真空オーブン中で乾燥させた。固体を、短時間にわたって周囲温度で平衡化した後、特徴付けた。ウパダシチニブの非晶質遊離塩基への変換を、PXRD分析によって確認した。
【0623】
B.方法B:遊離塩基水和物形態Bの脱水
ウパダシチニブの遊離塩基水和物形態B形態の試料(以下の実施例2、方法Cに記載されている通り、周囲温度以下でエタノール/水から結晶化させた)を、40℃の真空オーブン中に一晩置いた。真空オーブンから取り出した固体を、短時間にわたって23℃で平衡化した後、特徴付けた。ウパダシチニブの非晶質遊離塩基への変換を、PXRD分析によって確認した。
【0624】
[実施例2] 遊離塩基溶媒和物形態A及び遊離塩基水和物形態Bの調製
A.方法A:遊離塩基溶媒和物形態A(酢酸イソプロピル/水の溶媒和物)
ウパダシチニブの非晶質遊離塩基の試料(25mg)を、バイアルに添加した後、酢酸イソプロピル(125μL)及び水(10μL)を添加した。すべての固体が周囲温度で溶解した。溶液を、-16℃の冷凍庫に4日間入れた。液(liquor)をデカントし、結晶化固体を単離した。単離された結晶を、まだ湿潤状態でPXRDによって分析した。ウパダシチニブの遊離塩基溶媒和物形態A(酢酸イソプロピル/水の溶媒和物)への変換を、PXRD分析によって確認した。
【0625】
B.方法B:メタノール/水からの遊離塩基水和物形態B
ウパダシチニブの非晶質遊離塩基の試料(164mg)及びMeOH(621mg)を、バイアルに添加した。固体が溶解するまで、構成成分を周囲温度で混合した。水(およそ680μL)をバイアルに添加し、バイアルを、およそ-3℃の氷/塩化ナトリウム浴に入れた。遊離塩基水和物形態Bを含む結晶種をバイアルに添加し、バイアルを-16℃の冷凍庫に入れた。試料を、結晶化懸濁液から引き出し、固体を、すぐにPXRD及びTGA-MSで分析した。ウパダシチニブの遊離塩基水和物形態Bへの変換を、PXRD及びTGA-MS分析によって確認した。
【0626】
C.方法C:エタノール/水からの遊離塩基水和物形態B
ウパダシチニブの非晶質遊離塩基の試料(4.2g)を、ジャケット付き反応器に入れたEtOH(15.3g)に溶解させた。水(23.3g)を、反応器にゆっくり添加した。反応器の溶液を、およそ2℃に冷却した。遊離塩基水和物形態Bを含む種の溶液のごく一部を、反応器に入れた。懸濁液を、およそ2℃で3時間混合し、懸濁液をおよそ2℃の温度に維持しながら、水(36g)を、数時間にわたって少量の一定分量で反応器に入れた。結晶化懸濁液を、およそ2℃で混合し、固体を、濾過を介して単離した。ウパダシチニブの遊離塩基水和物形態Bへの変換を、PXRD分析によって確認した。
【0627】
遊離塩基溶媒和物形態A及び遊離塩基水和物形態Bは、溶液から容易には結晶化しない。一般に、遊離塩基溶媒和物形態A及び遊離塩基水和物形態Bが溶液から結晶化するには、周囲温度以下及び十分な水活性が必要である。
【0628】
結晶性遊離塩基水和物及び溶媒和物は、一次核形成によって(播種なしに)又は播種によって、いくつかの溶媒系から単離されている。酢酸イソプロピル/水からの結晶化(方法Aで前述されている通り)に加えて、結晶性遊離塩基水和物又は溶媒和物はまた、一次核形成によって(播種なしに)、例えば、n-ブチルアミン/水及びエタノール/水溶媒系から単離されている。メタノール/水(方法Bで前述されている通り)及びエタノール/水(方法Cで前述されている通り)からの結晶化に加えて、結晶性遊離塩基水和物又は溶媒和物はまた、播種によって、例えばアセトン/水、アセトニトリル/水、ギ酸エチル/水、酢酸メチル/水、酢酸エチル/水、メチルエチルケトン/水、メチルイソブチルケトン/水、メチルイソブチルケトン/メチルtert-ブチルエーテル/水、及び酢酸イソプロピル/メチルtert-ブチルエーテル/水溶媒系から単離されている。先の方法Aで調製された遊離塩基溶媒和物形態A(酢酸イソプロピル/水の溶媒和物)、先の方法B及びCで調製された遊離塩基水和物形態B、並びに調製されているこれらの他の結晶性遊離塩基溶媒和物又は水和物は、同型構造であり、類似のPXRDパターンを示す。特に、これらの結晶性遊離塩基溶媒和物及び水和物は、以下に記載される遊離塩基水和物形態C(半水和物)とは区別することができ、異なるPXRDパターンを示す。
【0629】
調製された遊離塩基溶媒和物形態A及び遊離塩基水和物形態Bは、単離後、周囲条件で安定ではなく、非晶質遊離塩基に容易に脱水された。
【0630】
[実施例3] 遊離塩基水和物形態Cの調製
A.方法A:エタノール/水からの遊離塩基水和物形態C
ウパダシチニブの非晶質遊離塩基の試料(2g)を、撹拌棒を備えた500mLのビーカーに移した。EtOH(50g)をビーカーに添加し、すべての固体が溶解するまで撹拌した。溶液を、分散デバイスを備えた250mLのジャケット付きフラスコに移した。溶液を6℃に冷却した。水(150g)を溶液に添加し、溶液を、分散デバイスを使用して、2時間にわたって高せん断に晒した。固体の形成が観察された後、追加量の水(50g)を、得られた懸濁液に添加した。懸濁液を、周囲温度で一晩保持した。固体を単離し、翌日調べた。ウパダシチニブ遊離塩基水和物形態Cへの変換を、PXRD分析によって確認した。
【0631】
B.方法B:酢酸エチル/ヘプタン/水からの遊離塩基水和物形態C
ウパダシチニブ11.1gについてアッセイする粗製反応混合物を、EtOAc(70g)中2%水に溶かし、それに遊離塩基水和物形態C(100mg)を播種した。懸濁液を一晩撹拌し、ヘプタン(70g)を添加した。固体を濾過によって収集し、水、飽和EtOAc/ヘプタン(1/1、100mL)で洗浄し、50℃において真空下で乾燥させた。ウパダシチニブ遊離塩基水和物形態Cへの変換を、PXRD分析によって確認した。
【0632】
遊離塩基溶媒和物形態A及び遊離塩基水和物形態Bで観察された通り、遊離塩基水和物形態Cも、溶液から容易には結晶化しない。
【0633】
[実施例4] 酒石酸塩水和物の調製
ウパダシチニブ酒石酸塩四水和物(「酒石酸塩水和物」)の調製のための3つの方法を、以下に記載する。方法Aは、酒石酸塩四水和物を調製するために使用した初期手順を記載している。方法Bは、より大きい規模で酒石酸塩四水和物を調製するために使用した、調節された手順を記載している。方法Cは、酒石酸塩四水和物を調製するために使用した、さらに調節された手順を記載している。方法Bの手順に対して、方法Cの調節された手順は、製造可能性及び下流処理に潜在的に影響を及ぼすおそれがある潜在的問題である、濾過ケーキの固化をさらに低減する。
【0634】
A.方法A
ウパダシチニブの非晶質遊離塩基の試料(28.2mg)を、琥珀色バイアルに移した。水(200μL)及びL-酒石酸(34.5mg(およそ3当量))をバイアルに添加した。すべての固体が溶解するまで、懸濁液を周囲条件下でボルテックスした。バイアル中の溶液を、0℃で磁気により撹拌した。翌日、固体を溶液から単離し、周囲温度で短時間にわたって静置した後、特徴付けた。ウパダシチニブ酒石酸塩水和物(四水和物)への変換を、PXRD分析によって確認した。
【0635】
B.方法B
ウパダシチニブ(4.6g)を、ジャケット付き反応器に添加した後、イソプロパノール(6.5mL)及びIPAc(7.8mL)を添加した。固体が溶解するまで、スラリーを周囲条件で混合した。別個のバイアル中、L-酒石酸(1.96g)を、脱イオン水(3.92mL)に溶解させた。L-酒石酸溶液を反応器に添加した後、酒石酸塩四水和物の種結晶(28mg)を添加した。懸濁液を、周囲条件下で30分間混合した。IPAc(71mL)を、少量の一定分量で2時間にわたって添加した。結晶化懸濁液を5℃に冷却し、5℃で一晩平衡化した。懸濁液をフィルタ上に放出し、濾過ケーキを水飽和IPAc20mLですすいだ。濾過した固体を、2日間風乾した。ウパダシチニブ酒石酸塩水和物(四水和物)への変換を、PXRD分析によって確認した。
【0636】
C.方法C
結晶化:ウパダシチニブ(104g)を、イソプロパノール(222.7g)及びIPAc(375.8g)と一緒にフラスコに添加した。固体が溶解するまで、構成成分を周囲条件下で混合した。別個のフラスコ中、L-酒石酸(61.6g)を水(98.3g)に溶解させた。次に、2つのフラスコの内容物を、ジャケット付き反応器に添加した。酒石酸塩四水和物の種結晶(1.55g)を、反応器の溶液に添加した。得られた懸濁液を、周囲条件下で一晩混合した。IPAc(2542g)を、8時間にわたって反応器の懸濁液に入れた。
【0637】
濾過、洗浄及び乾燥:酒石酸塩の結晶化懸濁液のおよそ半分を、ジャケット付きのかき混ぜ装置付き濾過乾燥機に入れた。懸濁液を、濾過乾燥機内でおよそ11℃に冷却した。湿潤ケーキが得られるまで、陽圧を使用して懸濁液を濾過した。水飽和IPAc(438g)を濾過乾燥機に入れ、懸濁液を、およそ11℃で一晩混合した。湿潤ケーキが得られるまで、陽圧を使用して懸濁液を濾過した。水飽和MTBE(110g)を濾過乾燥機に入れた。10分後、湿潤ケーキが得られるまで、陽圧を用いて懸濁液を濾過した。水飽和MTBE(261g)を濾過乾燥機に入れ、懸濁液を、およそ11℃で3.5時間混合した。湿潤ケーキが得られるまで、陽圧を使用してかき混ぜながら懸濁液を濾過した。湿潤ケーキを、加湿窒素及び陽圧下で2日間、およそ11℃の温度で常にかき混ぜながら乾燥させた。ウパダシチニブ酒石酸塩水和物(四水和物)への変換を、PXRD分析によって確認した。
【0638】
[実施例5] 遊離塩基無水物形態Dの調製
ウパダシチニブの非晶質遊離塩基の試料を、水を含まないEtOAcに濃度19.6%(w/w)で溶解させた。およそ1mLを構成する一定分量を、磁気撹拌機を備えた4mLのバイアルに移した。バイアルをパラフィルムで封止し、磁気撹拌プレート上で400rpmにおいて、ほぼ8週間にわたって約23℃で混合した。得られたスラリーを濾過し、短時間にわたって周囲条件に静置した後、特徴付けた。遊離塩基無水物形態Dへの変換を、PXRD分析によって確認した。
【0639】
[実施例6] 顕微鏡/結晶形態
ウパダシチニブの固体形態を、顕微鏡によって評価した。試料を、顕微鏡による視覚的検査によって、偏光顕微鏡(モデルEclipse E-600 POL、Nikon Corp.、Garden City、NY)を使用して調べた。カラービデオカメラを使用して、デジタル画像を記録した(モデルDXC 390、Fryer Co.、Inc.、Huntley、IL)。画像を、MetaMorph画像化系(バージョン4.6R8、Universal Imaging Corporation、Downingtown、PA)を使用して取り込んだ。試料の結晶形態に関する観察を、以下の表13に記録する。当業者は、用いられる特別な結晶化条件に応じて、結晶の形状及びサイズの変動が観察され得ることを認識されよう。表13に記録されている溶媒和状態及びPXRDプロファイルは、図及びその後の本出願の実施例に提示される情報に対応している。
【0640】
【0641】
[実施例7] PXRD分析
表13に列挙されているウパダシチニブの固体形態を、X線粉末回折(「PXRD」)によって分析した。PXRDデータは、湾曲型位置感応型検出器及び平衡光線光を備えたG3000回折計(Inel Corp.、Artenay、フランス)を用いて収集した。回折計は、銅陽極管(1.5kW高精度焦点)により40kV及び30mAで操作した。入射光線であるゲルマニウムのモノクロメータによって、単色Kα1放射線λ=1.540562Å)を提供した。回折計は、減弱直接光線を一度間隔で使用して較正した。較正は、ケイ素粉末の線位置参照標準(NIST640c)を使用してチェックした。試料を、アルミニウム試料ホルダー上に試料粉末を薄層に広げ、ガラス顕微鏡スライドを用いて穏やかに水平にすることによって調製した。機器を、Symphonixソフトウェア(Inel Corp.、Artenay、フランス)を使用してコンピューター制御し、データを、Jadeソフトウェア(バージョン6.5、Materials Data,Inc.、Livermore、CA)を使用して分析した。アルミニウム試料ホルダーを、G3000回折計の回転試料ホルダーに搭載し、回折データを周囲条件で収集した。
【0642】
表14-A~14-Eは、分析した結晶形の2θ値及び強度に関して主なピークの著しいパラメーターを記載している。当技術分野では、測定条件(使用される装置、試料調製又は機械のような)に応じて、1つ以上の測定誤差を有するX線粉末回折パターンが得られる場合があることが知られている。特に、X線粉末回折パターンの強度は、測定条件及び試料調製に応じて変動し得ることが一般に知られている。例えば、X線粉末回折の技術者は、ピークの相対的強度が、試験を受ける試料の向きに従って、使用される機器のタイプ及び設定に応じて変わり得ることを理解されよう。当業者はまた、反射位置が、試料を回折計に置く正確な高さ及び回折計のゼロ較正によって影響を受け得ることを理解されよう。試料の表面の平面性も、結果に作用を及ぼし得る。当業者は、以下に提示される回折パターンデータが絶対的なものとして解釈されるべきではなく、以下に開示されるものと実質的に同じ粉末回折パターンをもたらすいかなる結晶形も、本開示の範囲内に含まれることを理解されよう(さらなる情報については、Jenkins,R&Snyder,R.L.「Introduction to X-Ray Powder Diffractometry」、John Wiley&Sons、1996を参照されたい)。
【0643】
非晶質遊離塩基(沈殿を介する)及び非晶質遊離塩基(脱水を介する)に対応するPXRDパターンは、それぞれ
図17A及び17Bに示される。
【0644】
遊離塩基溶媒和物形態Aに対応するPXRDパターンは、
図18に示される。実験PXRDパターンのピーク一覧と相対的強度は、以下の表14-Aに示される。
【0645】
【0646】
遊離塩基水和物形態Bに対応するPXRDパターンは、
図19に示される。実験PXRDパターンのピーク一覧と相対的強度は、以下の表14-Bに示される。
【0647】
【0648】
遊離塩基水和物形態Cに対応するPXRDパターンは、
図20に示される。実験PXRDパターンのピーク一覧と相対的強度は、以下の表14-Cに示される。
【0649】
【0650】
酒石酸塩水和物に対応するPXRDパターンは、
図21に示される。実験PXRDパターンのピーク一覧と相対的強度は、以下の表14-Dに示される。実験PXRDパターンは、
図21の下に示され、算出されたPXRDパターンは、
図21の上に示される。
【0651】
【0652】
遊離塩基無水物形態Dに対応するPXRDパターンは、
図22に示される。実験PXRDパターンのピーク一覧と相対的強度は、以下の表14-Eに示される。
【0653】
【0654】
[実施例8] クローン病の臨床研究
この治験は、免疫抑制剤又は抗TNF治療に対して不十分な応答を有していたか又は不耐性である、中程度から重症の活動性クローン病を有する患者における症候的及び内視鏡的寛解の誘導についての、ウパダシチニブの多施設による無作為化二重盲検プラセボ対照研究であった。
【0655】
この治験は、30日までのスクリーニング期間、16週の二重盲検の誘導期間、16週目の再無作為化、36週の二重盲検の非盲検相及び30日の追跡調査期間からなっていた。
【0656】
この研究の目的のために、1)CDのための簡略化された内視鏡スコア(SES-CD)≧6(又は回腸に限定された疾患を有する患者については、SES-CD≧4)、2)CDAI≧220及び≦450、並びに3)1日の平均液状便/軟便回数(SF)≧2.5又は1日の平均腹痛回数(AP)スコア≧2.0)を有すると定義された、中程度から重症の活動性クローン病を有するおよそ220人の患者を、
図1に示される全体的な研究設計の模式の1つに1:1:1:1:1:1の比で無作為化した。
1.群1:ウパダシチニブ3mgのBIDカプセル剤(IR)
2.群2:ウパダシチニブ6mgのBIDカプセル剤(IR)
3.群3:ウパダシチニブ12mgのBIDカプセル剤(IR)
4.群4:ウパダシチニブ24mgのBIDカプセル剤(IR)
5.群5:ウパダシチニブ24mgのQD用量(IR)(同時に投与された12mgのカプセル剤2つ)
6.群6:プラセボ
【0657】
16週の誘導期間は、BLの訪問時(0週目)に始まり、16週目の訪問時に終了した。BLにおける無作為化は、内視鏡的な疾患重症度(SES-CD<15及び≧15)によって層別化した。安全性及び有効性の評価を、研究の終了まで実施した。研究の終了は、患者が最終追跡調査訪問を完了した日と定義した。
【0658】
16週目に、誘導期間を完了した患者を、ウパダシチニブ:BIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg又はQDで24mg(患者は、12mgのカプセル剤2つを同時に投与された)の4つの二重盲検用量の1つに再無作為化した。再無作為化は、最初の16週中に受けた用量及び16週目の全体的応答(応答者対非応答者)によって層別化した。
【0659】
各処置群は、対応する用量のウパダシチニブ又はプラセボを、経口で1日2回受けた。24mgのQD用量を受ける患者は、12mgのカプセル剤2つを、1日1回で同時に経口投与された。12週目及び16週目に、患者を、臨床的寛解(1日の平均SF≦1.5及びベースラインよりも悪くないこと、並びに1日の平均AP≦1.0及びベースラインよりも悪くないこと)について評価した。患者を、12週目又は16週目のいずれかに、内視鏡検査を受けるように無作為に割り当て(1:1)、12週目又は16週目において内視鏡的寛解(SES-CD≦4及びBLに対してSES-CDの少なくとも2ポイントの減少及びSES-CDを算出するために使用された任意の個々の変数においてサブスコア>1)について評価した。
【0660】
有効性エンドポイントの評価のための内視鏡的応答を算出するために、中央の読取り担当者による内視鏡スコアを使用した。しかし、再無作為化時の層別化では、応答状態を決定するために、中央の読取り担当者によるBLにおける内視鏡スコア及び地方の読取り担当者による12週目又は16週目における内視鏡スコアを使用した。
【0661】
有効性についての共通一次エンドポイントは、
・12週目又は16週目における内視鏡的寛解
・16週目における臨床的寛解
であった。
【0662】
有効性を測定するための二次エンドポイントには、以下が含まれていた。
・16週目におけるCDAI<150
・16週目におけるCDAIのBLからの減少≧70ポイント
・12週目における臨床的寛解
・16週目における寛解(12週目又は16週目における内視鏡的寛解及び16週目における臨床的寛解)
・16週目における応答(12週目又は16週目における内視鏡的応答及び16週目における臨床的応答)
・12週目又は16週目における内視鏡的応答
・16週目における臨床的応答
・BLにおいて1日の平均SF≧2.5及び1日の平均APスコア≧2.0を有していた患者が、16週目に臨床的寛解を達成するかどうか
・BLにおいてコルチコステロイドを摂取していたがコルチコステロイドの使用を中断している対象が、16週目にCDAI<150を達成するかどうか
・BLにおいてコルチコステロイドを摂取していたがコルチコステロイドの使用を中断している対象が、12週目又は16週目における内視鏡的寛解及び16週目における臨床的寛解を達成するかどうか
・BLにおいてコルチコステロイドを摂取していたがコルチコステロイドの使用を中断している対象が、16週目に臨床的寛解を達成するかどうか
・BLにおいてコルチコステロイドを摂取していたがコルチコステロイドの使用を中断している対象が、12週目又は16週目に内視鏡的寛解を達成するかどうか
・16週目における便中カルプロテクチンレベルのBLからの変化
・16週目におけるhs-CRP(高感受性C反応性タンパク質)のBLからの変化
・16週目における炎症性腸疾患質問票(IBDQ)のBLからの変化
・単独回腸クローン病を有していた対象が、16週目に寛解を達成するかどうか
・対象が、52週目に寛解を達成するかどうか
・対象が、52週目に内視鏡的寛解を達成するかどうか
・対象が、52週目に臨床的寛解を達成するかどうか
・対象が、52週目に応答を達成するかどうか
・52週目における内視鏡的応答
・52週目における臨床的応答
・BLにおいてコルチコステロイドを摂取していたがコルチコステロイドの使用を中断した対象が、52週目にCDAI<150を達成するかどうか
・BLにおいてコルチコステロイドを摂取していたがコルチコステロイドの使用を中断した対象が、52週目に寛解を達成するかどうか
・BLにおいてコルチコステロイドを摂取していたがコルチコステロイドの使用を中断した対象が、52週目に臨床的寛解を達成するかどうか
・BLにおいてコルチコステロイドを摂取していたがコルチコステロイドの使用を中断した対象が、52週目に内視鏡的寛解を達成するかどうか
・52週目におけるCDAI<150
・52週目におけるCDAIのBLからの減少≧70ポイント
・52週目における便中カルプロテクチンレベルのBLからの変化
・52週目におけるhs-CRPのBLからの変化
・52週目におけるIBDQのBLからの変化
・単独回腸クローン病を有していた対象が、52週目に寛解を達成するかどうか
・52週目における腸管外症状(EIMS)のBLからの変化
【0663】
方法
この研究は、16週の二重盲検の誘導期間及び36週の二重盲検の延長相の2つの処置期間から構成された。誘導期間において、BLの前≧3カ月間に回腸、結腸又は回腸結腸のクローン病の診断を有しており、スクリーニング期間中に内視鏡検査によって確認された患者、CDAI≧220及び≦450を有する患者、並びに抗TNF剤(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ又はセルトリズマブペゴル)を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた又は不耐性を経験した患者を、BIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg若しくはQDで24mgの用量のウパダシチニブ、又はプラセボの1つを受けるように割り当てた。共通一次エンドポイントは、12週目又は16週目における内視鏡的寛解及び16週目における臨床的寛解であった。二次エンドポイントには、16週目におけるCDAI<150及び12週目又は16週目における内視鏡的応答が含まれていた。
【0664】
適格な患者は、18~75歳であった。患者は、少なくとも3カ月、CDの診断を受けており、スクリーニング時に、1)SES-CD≧6(又は回腸に限定された疾患を有する患者については≧4)、2)220~450のCDAI、並びに3)1日の平均液状便/軟らかいSFスコア≧2.5又は1日の平均APスコア≧2.0と定義される、中程度から重症のCDを有していた。患者は、抗TNF剤を用いる前処置に対して不十分な応答を有していたことがある、又は不耐性を経験したことがある。現在、潰瘍性大腸炎、コラーゲン性大腸炎又は不確定大腸炎の診断を有している患者、並びに既にJAK阻害剤に曝露されたことがある患者は、除外した。主要な人口統計及びBLにおける特徴については、以下の表15を参照されたい。
【0665】
【0666】
【0667】
【0668】
【0669】
結果
ベースライン人口統計及び疾患の特徴は、研究群間で類似していた。合計で男性95人及び女性125人であり、平均年齢42.5歳及び平均CDAI302.83であり、96.0%パーセントの患者は、≧1のTNFアンタゴニストに既に曝露されたことがあった。12週目/16週目に、内視鏡的寛解は、プラセボで処置された患者の0%と比較して、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の10.3%、8.1%、8.3%、22.2%及び14.3%によって達成された(それぞれp=0.056、p=0.108、p=0.099、p=0.004、p=0.025、表16を参照されたい)。16週目に、臨床的寛解は、プラセボで処置された患者の10.8%と比較して、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の12.8%、27.0%、11.1%、22.2%及び14.3%によって達成された(それぞれp=0.740、p=0.082、p=0.952、p=0.205、p=0.607、表16を参照されたい)。一部の患者では、早くも12週目に臨床的寛解が観察された。12週目に臨床的寛解を達成する患者のパーセンテージは、
図6A(ベースラインでステロイドを用いていなかった患者)及び
図6B(ベースラインにおいてステロイドを用いており、2週目に開始されるステロイド用量の必須の漸減を受けた患者)に示される。ステロイドの漸減は、用量>10/mg/日のプレドニゾン(又は当量)について、10mg/日(又は当量)用量に達するまで5mg/日のプレドニゾン(又は当量)だけ週1回減少し、次に、中断するまで2.5mg/日(又は当量)だけ週1回減少することからなっていた。ウパダシチニブは、早くも12週目に臨床的寛解を誘導することが示される。
【0670】
臨床的応答は、16週目に、プラセボで処置された患者の32.4%と比較して、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の43.6%、56.8%、47.2%、61.1%及び48.6%によって達成された。内視鏡的応答は、12週目又は16週目に、プラセボで処置された患者の13.5%と比較して、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の23.1%、43.2%、38.9%、50.0%及び48.6%によって達成された。
【0671】
臨床的寛解及び内視鏡的寛解は、16週目に、プラセボで処置された患者の0%と比較して、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の2.6%、5.4%、2.8%、8.3%及び5.7%によって達成された。臨床的応答及び内視鏡的応答は、16週目に、プラセボで処置された患者の2.7%と比較して、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の15.4%、32.4%、27.8%、38.9%及び34.3%によって達成された。結果は、表17に示される。
【0672】
臨床的寛解は、12週目に、プラセボで処置された患者の10.8%と比較して、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の10.3%、29.7%、13.9%、25.0%及び8.6%によって達成された。臨床的応答は、12週目に、プラセボで処置された患者の35.1%と比較して、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の53.8%、64.9%、52.8%、55.6%及び51.4%によって達成された。結果は、表17に示される。12週目に臨床的応答を達成する患者のパーセンテージは、
図6A(ベースラインでステロイドを用いていなかった患者)及び
図6B(ベースラインにおいてステロイドを用いており、2週目に開始されるステロイド用量の必須の漸減を受けた患者)に示される。
【0673】
調節された臨床的寛解は、16週目に、プラセボで処置された患者の12.1%と比較して、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の15.8%、30.3%、26.5%、36.7%及び18.8%によって達成された。結果は、表18に示される。
【0674】
内視鏡的改善は、12週目又は16週目に、プラセボで処置された患者の3.0%と比較して、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の12.8%、18.9%、27.8%、36.1%及び25.7%によって達成された。結果は、表18に示される。12週目に内視鏡的改善について評価された患者の中で、プラセボで処置された患者の0%と比較して、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の10.5%、13.3%、25%、33.3%及び12.5%が、12週目までに内視鏡的改善を達成した。16週目に内視鏡的改善について評価された患者の中で、プラセボで処置された患者の6.7%と比較して、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の15.8%、27.8%、27.3%、25%及び31.3%が、16週目までに内視鏡的改善を達成した。これらの結果は、表19に示される。これらの結果は、内視鏡的改善が、早くも12週目までに観察されたことを示している。
【0675】
誘導期間の4週目までに、コルチコステロイドを漸減するクローン病患者の中で、それぞれ13.3%、9.5%、11.1%、11.8%、6.7%及び10%が、それぞれプラセボ、BIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びBIDで24mgにより、ステロイドを中断することができた。誘導期間の8週目までに、コルチコステロイドを漸減するクローン病患者の中で、それぞれ26.7%、23.8%、44.4%、64.7%、53.3%及び40%が、それぞれプラセボ、BIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びBIDで24mgにより、ステロイドを中断することができた。誘導期間の12週目までに、ステロイドを中断することができたクローン病患者の中で、それぞれ33.3%、28.6%、55.6%、76.5%、60%及び40%が、それぞれプラセボ、BIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びBIDで24mgにより、ステロイド用量を≧50%減少させることができた。誘導期間の16週目までに、コルチコステロイドを漸減するクローン病患者の中で、それぞれ20%、38.1%、55.6%、64.7%、74.3%及び40%が、それぞれプラセボ、BIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びBIDで24mgにより、ステロイド用量を≧50%減少させることができた。
【0676】
誘導期間の4週目までに、コルチコステロイドを漸減するクローン病患者の中で、それぞれ20%、42.9%、50%、82.4%、46.7%及び40%が、それぞれプラセボ、BIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びBIDで24mgにより、ステロイド用量を≧50%減少させることができた。誘導期間の8週目までに、コルチコステロイドを漸減するクローン病患者の中で、それぞれ55.3%、42.9%、66.7%、88.2%、66.7%及び60%が、それぞれプラセボ、BIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びBIDで24mgにより、ステロイド用量を≧50%減少させることができた。誘導期間の12週目までに、コルチコステロイドを漸減するクローン病患者の中で、それぞれ46.7%、38.1%、61.1%、88.2%、60%及び40%が、それぞれプラセボ、BIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びBIDで24mgにより、ステロイド用量を≧50%減少させることができた。誘導期間の16週目までに、コルチコステロイドを漸減するクローン病患者の中で、それぞれ33.3%、38.1%、66.7%、88.4%、77.3%及び40%が、それぞれプラセボ、BIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びBIDで24mgにより、ステロイド用量を≧50%減少させることができた。
【0677】
16週の誘導期間の終了時に、コルチコステロイドを中断したクローン病患者の中で、11.1%、5.9%、20%及び10%が、それぞれBIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びBIDで24mgにより、内視鏡的寛解を達成した。16週の誘導期間の終了時に、コルチコステロイドを中断した患者の中で、6.7%、4.8%、16.7%、17.6%、20%及び20%が、それぞれプラセボ、BIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びBIDで24MGにより、内視鏡的応答を達成した。16週の誘導期間の終了時に、コルチコステロイドを中断した患者の中で、14.3%、22.2%、11.8%、33.3%及び10%が、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びBIDで24MGにより、臨床的寛解を達成した。16週の誘導期間の終了時に、コルチコステロイドを中断した患者の中で、14.3%、26.7%、25.0%、36.4%及び10%が、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びBIDで24mgにより、調節された臨床的寛解を達成した。16週の誘導期間の終了時に、コルチコステロイドを中断した患者の中で、19.0%、22.2%、41.2%、33.3%及び10%が、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びBIDで24MGにより、CDAI<150を達成した。漸減は、用量>10/mg/日のプレドニゾン(又は当量)について、10mg/日(又は当量)用量に達するまで5mg/日のプレドニゾン(又は当量)だけ週1回減少し、次に、中断するまで2.5mg/日(又は当量)だけ週1回減少することからなっていた。
【0678】
【0679】
この研究は、クローン病を10年を超えて有していたことがあり、生物学的処置を含むいくつかの処置が失敗したことがある、中程度から重症の活動性クローン病を有する抵抗性患者を含んでいた。先の表15は、過去の抗TNF処置、過去の非抗TNF生物製剤を用いる処置、ベドリズマブを用いる処置を受け、ベースラインにおいてステロイドを用いる処置を受けていた、研究における患者の数、並びにベースラインにおけるクローン病の平均期間を示している。典型的に、抵抗性患者は、様々な治療を用いて処置されるので、各処置の有効性は、次第に低下する。しかし驚くべきことに、現在の研究は、抵抗性患者がウパダシチニブを用いて処置されると、前例のない有効性を示したことを実証した。この研究における抵抗性患者についての結果は、
図9に示される。
【0680】
図9に示される通り、ウパダシチニブを用いて処置された抵抗性患者は、前例のない割合で臨床的寛解及び内視鏡的応答を達成した。BIDで3mgのウパダシチニブを用いて処置された抵抗性患者の15.8%は、16週目に臨床的寛解を達成した。BIDで6mgのウパダシチニブを用いて処置された抵抗性患者の30.3%は、16週目に臨床的寛解を達成した。BIDで12mgのウパダシチニブを用いて処置された抵抗性患者の26.5%は、16週目に臨床的寛解を達成した。QDで24mgを用いて処置された(2つの12mgのBID用量を同時に与えられた)抵抗性患者の36.7%は、16週目に臨床的寛解を達成した。
【0681】
またさらに、
図9に示される通り、ウパダシチニブを用いて処置された抵抗性患者の驚くべき割合が、12週目又は16週目に内視鏡的寛解を達成した。BIDで3mgのウパダシチニブを用いて処置された13.2%の抵抗性患者は、12週目又は16週目に内視鏡的寛解を達成した。BIDで6mgのウパダシチニブを用いて処置された21.2%の抵抗性患者は、12週目又は16週目に内視鏡的寛解を達成した。BIDで2mgのウパダシチニブを用いて処置された29.4%の抵抗性患者は、12週目又は16週目に内視鏡的寛解を達成した。QDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された(2つの12mgのBID用量を同時に与えられた)抵抗性患者の33.3%は、12週目又は16週目に内視鏡的寛解を達成した。
【0682】
ウパダシチニブ血漿濃度と、一次エンドポイントと、ある特定の二次及び追加のエンドポイントの間の関係は、
図3A~3Iに記載されている。曝露と応答の関係を、臨床的応答、臨床的寛解、CDAI寛解(CDAI<150)、内視鏡的応答、内視鏡的改善及び内視鏡的寛解について観察した。
【0683】
安全性
有害事象のインシデントは、プラセボと比較してウパダシチニブ投与群において数値的に高かったが(約3~13%)、用量関係は明らかにならなかった。重症の有害事象及び有害事象に起因する処置の中断は、プラセボと比較して、BIDで12mgの投与群を除くすべてのウパダシチニブ投与群間でより少ない/同等であった。この研究において、処置による急死はなかった。全体的に、特に興味深い有害事象の発生率は低く(感染を除く)、すべての処置群の間で類似していた。感染は、プラセボと比較して、すべてのウパダシチニブBID投与群で増大した。判定された2つの主な心臓有害事象(MACE)が、BIDで12mgの投与群において観察された(2人が急性心筋梗塞を有していた)。
【0684】
ウパダシチニブ血漿濃度と、ヘモグロビンレベル、貧血、LDL及びHDLコレステロール、好中球減少症、リンパ球減少症、並びに天然キラー(NK)細胞レベルのベースラインからの変化の間の関係が決定され、それらの結果は、
図5A~5Hに示される。クローン病患者におけるNK細胞、好中球、LDL及びHDLコレステロールに対するウパダシチニブの効果についての曝露と応答の関係は、一般に、RA患者において既に観察されているものと一致した。RA患者(データ示さず)と比較して、クローン病を有する対象は、ヘモグロビンが減少した(
図5A)。
【0685】
[実施例9] 1日1回用量についてモデルで予測された有効性
ウパダシチニブBIDの即時放出(IR)製剤の投与のための実施例8で得られたデータに基づいて、15mg、30mg及び45mgの調節放出によるQD用量のウパダシチニブについて、プラセボについて、6mg、12mg、18mg及び24mgのIRによるBID用量のウパダシチニブについて、並びに24mgのIRによるQD用量のウパダシチニブについて、曝露と応答の関係(患者200人/アームについてシミュレーションした)を予測した。様々な臨床的エンドポイントについての全日過程を、マルコフ分析を使用して分析した。マルコフ(Marko)モデルによって、応答、応答なし、及びドロップアウトの間の移行が可能になった。このモデルにより、薬物有効性についての予測因子として、C
p、C
ave、C
min及びC
maxを評価した。12週目/16週目における様々な内視鏡的エンドポイントを、ロジスティックス回帰分析を使用して分析した。次に、このモデルを使用して、即時放出及び調節放出製剤の両方に関する様々な用量レジメンについて、曝露を用量に変換し戻すことによって、12週目及び16週目(適用できる場合)における臨床的応答、臨床的寛解、CDAI<150、内視鏡的応答、内視鏡的改善及び内視鏡的寛解をシミュレーションした。結果は、
図4A~4Fに示される。
【0686】
このモデル化は、MR製剤を用いる用量間の臨床的パラメーターが1~3%改善されたことを示唆している。
【0687】
[実施例10] クローン病のための臨床研究:中程度から重症のクローン病におけるウパダシチニブの長期間の有効性及び安全性
実施例10では、実施例8の臨床研究の延長相を研究し、論じた。この治験は、免疫抑制剤又は抗TNF治療に対して不十分な応答を有していた又は不耐性である、中程度から重症の活動性クローン病を有する患者における症候的及び内視鏡的寛解の誘導についての、ウパダシチニブの多施設による無作為化二重盲検プラセボ対照研究であった。
【0688】
この治験は、30日までのスクリーニング期間、16週の二重盲検の誘導期間、16週目の再無作為化、36週の二重盲検の非盲検相及び30日の追跡調査期間からなっていた。
【0689】
この研究の目的のために、1)CDのための簡略化された内視鏡スコア(SES-CD)≧6(又は回腸に限定された疾患を有する患者については、SES-CD≧4)、2)CDAI≧220及び≦450、並びに3)1日の平均液状便/軟便回数(SF)≧2.5又は1日の平均腹痛回数(AP)スコア≧2.0)を有すると定義された、中程度から重症の活動性クローン病を有するおよそ220人の患者を、
図1に示される全体的な研究設計の模式の1つに1:1:1:1:1:1の比で無作為化した。
1.1群:ウパダシチニブ3mgのBIDカプセル剤(IR)
2.2群:ウパダシチニブ6mgのBIDカプセル剤(IR)
3.3群:ウパダシチニブ12mgのBIDカプセル剤(IR)
4.4群:ウパダシチニブ24mgのBIDカプセル剤(IR)
5.5群:ウパダシチニブ24mgのQD用量(IR)(12mgのカプセル剤2つを同時に投与した)
6.6群:プラセボ。
【0690】
16週の誘導期間は、BLの訪問時(0週目)に始まり、16週目の訪問時に終了した。BLにおける無作為化は、内視鏡的な疾患重症度(SES-CD<15及び≧15)によって層別化した。安全性及び有効性の評価を、研究の終了まで実施した。研究の終了は、患者が最終追跡調査訪問を完了した日と定義した。
【0691】
16週目に、16週の誘導相を完了した患者を、1日2回(BID)でウパダシチニブ3mg、BIDで12mg又は1日1回(QD)で24mgによる36週間の二重盲検に、1:1:1で再無作為化した。プロトコールの修正により、QDで24mgのアームへの登録を停止させ、BIDで6mgのアームを開始した。合計180人の患者を、以下のウパダシチニブの4つの二重盲検用量の1つに再無作為化した。
1.1群:ウパダシチニブ3mgのBIDカプセル剤(IR)
2.2群:ウパダシチニブ6mgのBIDカプセル剤(IR)
3.3群:ウパダシチニブ12mgのBIDカプセル剤(IR)
4.4群:ウパダシチニブ24mgのQD用量(IR)(12mgのカプセル剤2つを同時に投与した)。
【0692】
再無作為化は、最初の16週中に受けた用量及び16週目の全体的応答(応答者対非応答者)によって層別化した。
【0693】
各処置群は、対応する用量のウパダシチニブを、経口で1日1回又は1日2回受けた。24mgのQD用量を受ける患者は、12mgのカプセル剤2つを、1日1回で同時に経口投与された。52週目に、患者を、臨床的寛解(1日の平均SF≦1.5及びベースラインよりも悪くないこと、並びに1日の平均AP≦1.0及びベースラインよりも悪くないこと)、CDAI<150、調節された臨床的寛解(SF≦2.8及びAP≦1.0、BLにおいてSF≧4、AP≧2.0を有する患者において共にBLよりも悪くないこと)、臨床的応答(SF又はAPの減少≧30%、共にBLよりも悪くないこと)、内視鏡的寛解(SES-CD≦4及び≧2ポイントのBLからの減少、並びにサブスコア>1なし)、内視鏡的応答(SES-CDのBLからの減少>50%又は内視鏡的寛解)、並びにC反応性タンパク質(CRP)及び便中カルプロテクチン(FC)のBLからの変化について評価した。
【0694】
有効性についての共通一次エンドポイントは、実施例8の研究におけるエンドポイントと同じであった。
【0695】
方法
研究は、16週の二重盲検の誘導期間及び36週の二重盲検の延長相の2つの処置期間から構成された。誘導期間において、BLの前≧3カ月間に回腸、結腸又は回腸結腸のクローン病の診断を有しており、スクリーニング期間中に内視鏡検査によって確認された患者、CDAI≧220及び≦450を有する患者、並びに抗TNF剤(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ又はセルトリズマブペゴル)を用いる前処置に対して不十分な応答を有していた又は不耐性を経験した患者を、BIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg若しくはQDで24mgの用量のウパダシチニブ、又はプラセボの1つを受けるように割り当てた。共通一次エンドポイントは、12週目又は16週目における内視鏡的寛解及び16週目における臨床的寛解であった。二次エンドポイントには、16週目におけるCDAI<150及び12週目又は16週目における内視鏡的応答が含まれていた。延長相では、16週の誘導相を完了した患者を、1日2回(BID)でウパダシチニブ3mg、BIDで12mg又は1日1回(QD)で24mgによる36週間の二重盲検に、1:1:1で再無作為化した。プロトコールの修正により、QDで24mgのアームへの登録を停止させ、BIDで6mgのアームを開始した。臨床的寛解(1日の平均排便回数[SF]≦1.5及び腹痛スコア[AP]≦1.0、共にベースライン[BL]よりも悪くないこと)、CDAI<150、調節された臨床的寛解(SF≦2.8及びAP≦1.0、BLにおいてSF≧4、AP≧2.0を有する患者において共にBLよりも悪くないこと)、臨床的応答(SF又はAPの減少≧30%、共にBLよりも悪くないこと)、内視鏡的寛解(SES-CD≦4及び≧2ポイントのBLからの減少、並びにサブスコア>1なし)、内視鏡的応答(SES-CDのBLからの減少>50%又は内視鏡的寛解)、並びにC反応性タンパク質(CRP)及び便中カルプロテクチン(FC)のBLからの変化を、16週目に臨床的及び内視鏡的応答の両方、又は臨床的応答のいずれかを有していた患者において、52週目に分析した。内視鏡検査は、BL、12/16週及び52週において中央の読取り担当者によって評価された。非盲検でウパダシチニブを受けた(エスケープ)又は52週目の前に早計に中断した患者は、非応答者(非応答者のインピュテーション)とみなした。有害事象を、最終ウパダシチニブ投与後30日まで、研究を通して収集した。
【0696】
患者の適格性、主要な人口統計及びBLの特徴は、実施例8の研究のものと本質的に同じであった。
【0697】
【0698】
結果
ベースライン人口統計及び疾患の特徴は、研究アーム間で類似していた。52週目に、内視鏡的寛解は、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の16%、21%、24%及び26%によって達成された。52週目に、臨床的寛解は、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の25%、29%、41%及び32%によって達成された。結果は、表20に示される。
【0699】
臨床的応答は、52週目に、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の50%、71%、62%及び42%によって達成された。強化された臨床的応答は、52週目に、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の47%、71%、62%及び42%によって達成された。結果は、表20に示される。
【0700】
16週目に臨床的応答及び内視鏡的応答を達成した対象の中で、内視鏡的応答は、52週目に、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の50.0%、50.0%、68.8%及び30.0%によって達成された。16週目に臨床的応答を達成した対象の中で、内視鏡的応答は、52週目に、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の34.4%、35.7%、44.8%及び36.8%によって達成された。結果は、表20に示される。16週目に臨床的応答及び内視鏡的応答を達成した対象の中で、内視鏡的応答は、52週目に、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の34.4、35.7、44.8及び36.8%によって達成された。
【0701】
16週目に臨床的応答及び内視鏡的応答を達成した対象の中で、調節された臨床的寛解は、52週目に、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の41.2%、62.5%、73.3%及び40.0%によって達成された。16週目に臨床的応答を達成した対象の中で、調節された臨床的寛解は、52週目に、それぞれBIDで3mg、BIDで6mg、BIDで12mg、BIDで24mg及びQDで24mgのウパダシチニブを用いて処置された患者の28.6%、42.9%、51.9%及び38.9%によって達成された。結果は、表20に示される。
【0702】
安全性
有害事象(AE)のインシデントは、それぞれBIDで6mg及びQDで24mg(14[60.9%]及び23[63.9%])を用いた場合よりも、BIDで3mg及び12mgのウパダシチニブを用いた方が数値的に高かった(45[75.0%]及び43[72.9%])。重篤なAEは、その他のアームと比較して、BIDで3mgを用いた方が数値的に高く、感染は、BIDで3mg及び12mgを用いた方が数値的に高かった。BIDで12mgを用いた場合には2つの悪性腫瘍が生じた。
【0703】
結論
16週間誘導レジメンに応答した患者における36週のウパダシチニブ処置により、臨床的及び内視鏡的アウトカム、並びに炎症マーカーの用量依存性の改善が観察された。ウパダシチニブの全体的な安全性プロファイルは、関節リウマチの他の研究と一致している。
【0704】
[実施例11] クローン病の臨床研究:ウパダシチニブ誘導処置後の臨床及び検査値改善の迅速性
この分析では、実施例8に論じられる臨床研究の誘導相中の、臨床的寛解、臨床的応答及び炎症マーカーの変化の迅速性を評価する。
【0705】
方法
成人患者のクローン病活動指標(CDAI)220~450、液状便/非常に軟らかい便の1日の平均排便回数(SF)≧2.5又は1日の腹痛スコア(AP)≧2.0、及びCDのための簡略化された内視鏡スコア(SES-CD)≧6[又は単独回腸疾患の患者については≧4]を、16週間のプラセボ(PBO)、又は1日2回(BID)で3、6、12、24mg若しくは1日1回(QD)で24mgのウパダシチニブ即時放出製剤を用いる二重盲検治療に無作為化した。患者を、12週目又は16週目のいずれかの追跡調査による回腸鏡検査(ileocolonoscopy)のために、ベースラインで無作為化した。共に図においてC反応性タンパク質(CRP)及び便中カルプロテクチン(FC)のベースラインからの平均変化と定義されている、調節された臨床的寛解及び強化された臨床的応答を有する患者の割合を、別段言及されない限り、すべての患者において経時的にアセスメントした。各ウパダシチニブ用量間とPBOの比較を、BLにおけるSES-CDによって層別化したコクラン-マンテル-ヘンツェル検定によって試験した。非応答者のインピュテーションを、非盲検でウパダシチニブを受けた又は16週目の前に早計に中断した又はコルチコステロイドを開始した又はベースラインよりも用量を増大した患者に適用した。
【0706】
結果
ベースライン人口統計及び疾患の特徴は、研究アーム間で類似していた。合計220人の患者が登録された(平均年齢40.7±12.9歳、CDAI302.7±63.4、疾患期間13.2±10.0年)。全体的に、ウパダシチニブを受けている患者は、わずか4週目に調節された臨床的寛解を達成し、8週目に強化された臨床的応答を達成した。経時的に、16週間まで、いくつかのウパダシチニブ投与群において持続的な臨床的改善があった(
図10A~10E及び
図11A~11E)。平均C反応性タンパク質(CRP)レベルは、4週目にすべてのウパダシチニブ用量において著しく減少し、BIDで12及び24mg、並びにQDで24mgのアームにおいて、16週間まで持続した(
図12)。平均便中カルプロテクチン(FC)のベースラインからの統計的に有意な減少が、BIDで12及び24mgのウパダシチニブで4週目に、並びにBIDで24mgのウパダシチニブで16週目に観察された。
【0707】
結論
活動性クローン病を有する抵抗性患者集団において、炎症マーカーであるhsCRP及び便中カルプロテクチンの急速で持続可能な減少と同時に、臨床的パラメーターにおけるウパダシチニブの急速な著しい効果が実証された。
【0708】
[実施例12] 潰瘍性大腸炎の臨床研究
この治験は、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する患者における、臨床的寛解の誘導及び維持についてのウパダシチニブの多施設による無作為化二重盲検プラセボ対照研究である(医師の全般的アセスメント[すなわち、適合メイヨースコア]を除いて、潰瘍性大腸炎の活動のアセスメントのためのメイヨースコアシステムを使用する)。
【0709】
この治験は、35日までのスクリーニング期間、8週の二重盲検の誘導期間(下位研究1)、第2の8週の二重盲検及び非盲検誘導期間(下位研究2)、8週目の再無作為化、44週の二重盲検の非盲検維持相(下位研究3)、並びに30日の追跡調査期間からなる。
【0710】
中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する患者およそ250人を、下位研究1のために、
図13に示される全体的な研究設計の処置アームの1つに1:1:1:1:1の比で無作為化する。
1.1群:ウパダシチニブ7.5mgのQDのMRカプセル剤
2.2群:ウパダシチニブ15mgのQDのMRカプセル剤
3.3群:ウパダシチニブ30mgのQDのMRカプセル剤
4.4群:ウパダシチニブ45mgのQDのMRカプセル剤
5.5群:プラセボQD用量。
【0711】
最初の8週の誘導期間は、BLの訪問時(0週目)に始まり、8週目の訪問時に終了する。無作為化された患者250人が8週の誘導を完了したら、プラセボに対するウパダシチニブの有効性及び安全性の分析を実施する。この分析に基づいて、ウパダシチニブの1つの導入用量(用量A)を、下位研究2においてさらに評価するために特定する。分析期間中、追加の対象およそ100を、QDで30mg又はQDで45mgのいずれかの処置を受けるように、引き続き下位研究1の3群及び4群に無作為化する(投与群1つ当たり患者50人)。
【0712】
下位研究2は、2つのパートからなる。パート1では、中程度から重症の活動性潰瘍性大腸炎を有する患者およそ375人を、
図13に示される通り、QDでAmgの用量のウパダシチニブ又はQDでプラセボを用いる二重盲検による誘導処置アームの1つに、2:1の比で無作為化する。用量Aは、さらなる評価のために、下位研究1において決定した用量である。下位研究2のパート2は、非盲検である。およそ330人の対象が、非盲検によりQDで用量Aのウパダシチニブを受けるために、下位研究2のパート2に登録される。この第2の8週の誘導期間は、BLの訪問(0週目)に始まり、8週目の訪問時に終了する。
【0713】
下位研究1においてQDで15、30又は45mgのウパダシチニブを受けた患者、及び下位研究2において選択された導入用量を受けた患者、及び臨床的応答(すなわち、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1を伴う、適合メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%)を達成した患者およそ450人が、研究(下位研究3)の維持部分に再無作為化される。この期間は、ベースラインの訪問時(下位研究1又は下位研究2の8週目)に始まり、44週目の訪問時に終了する。下位研究3における処置の割当ては、以下の通り、下位研究1及び2で受けた処置に応じて決まる。
【0714】
プラセボ:プラセボを継続
QDで7.5mgのウパダシチニブ:QDで7.5mgのウパダシチニブを継続
QDで15mgのウパダシチニブ:QDで15mgのウパダシチニブ又はマッチングプラセボのいずれかを受けるように1:1に無作為化
QDで30mg又はQDで45mgのウパダシチニブ:QDで15mgのウパダシチニブ、QDで30mgのウパダシチニブ又はマッチングプラセボのいずれかを受けるように1:1:1に無作為化
下位研究3中、少なくとも4週の追跡調査の後、応答の喪失について基準を満たす対象は、非盲検でウパダシチニブを受ける選択肢を有する。応答の喪失は、以下の通り定義される。少なくとも14日隔てた2回の連続訪問時に、誘導の最終値(下位研究1又は2の8週目)を少なくとも1ポイント上回る排便回数サブスコア及びRBSスコアを呈する対象。全体的な研究設計の模式は、
図13に示される。
【0715】
下位研究1及び下位研究2の有効性についての一次エンドポイントは、8週目に適合メイヨースコアに従う臨床的寛解(排便回数サブスコア≦1、0の直腸出血サブスコア、及び内視鏡的サブスコア≦1と定義される)を達成する患者の割合である。下位研究3の一次有効性エンドポイントは、44週目に適合メイヨースコアに従う臨床的寛解を達成する患者の割合である。下位研究1及び下位研究2の両方の二次有効性エンドポイントは、以下の通りである。
・内視鏡的改善(内視鏡的サブスコア≦1と定義される)
・8週目にサブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2を達成すること
・8週目における臨床的応答(すなわち、適合メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、直腸出血サブスコア(RBS)の減少≧1又は絶対的RBS≦1)
・2週目における部分メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%に加えて、直腸出血サブスコアの減少(RBS)≧1又は絶対的RBS≦1
・8週目までの完全メイヨースコアのベースラインからの変化
・8週目における内視鏡的寛解(0の内視鏡的サブスコアと定義されている)
・8週目における組織学的改善(Geboesスコアのベースラインからの減少と定義される)
【0716】
下位研究3の維持についての二次有効性エンドポイントは、以下の通りである。
・44週目における内視鏡的改善
・44週目におけるサブスコア>1を伴わない完全メイヨースコア≦2
・コルチコステロイドの使用を中断し、44週目に適合メイヨースコアに従う臨床的寛解を達成した対象
・下位研究1又は2において適合メイヨースコアに従う臨床的寛解を達成した対象の中で、44週目に臨床的寛解を維持している対象
・ベースラインにおいてコルチコステロイドを摂取しており、44週目にコルチコステロイドを用いていない対象
・下位研究1又は2において臨床的寛解を達成した対象の中で、44週目に内視鏡的改善を有している患者
・44週目に臨床的応答(すなわち、RBSの減少≧1又は絶対的RBS≦1を伴う、適合メイヨースコアのベースラインからの減少≧2ポイント及びベースラインからの減少≧30%)を達成する対象
・44週目に内視鏡的寛解を有している患者
・44週目に組織学的改善を達成した対象
【0717】
方法
この研究は3つの処置期間から構成され、そのうちの下位研究1は、8週の二重盲検誘導期間を含み、下位研究2は、2つのパートを含み(パート1は、8週の二重盲検による誘導期間であり、パート2は、下位研究の8週の非盲検による選択肢である)、下位研究3は、臨床的応答を達成した下位研究1及び下位研究2からの患者を評価する。
【0718】
適格な患者は、18~75歳である。患者は、ベースラインの前に、現在の感染、結腸異形成及び/又は悪性腫瘍を除いて、スクリーニング期間中に大腸内視鏡検査によって確認された90日間以上の潰瘍性大腸炎の診断を有している。患者は、ベースラインにおいて5~9ポイントの適合メイヨースコア及び2~3の内視鏡的サブスコアを伴う活動性潰瘍性大腸炎を有している。適格な患者は、以下に定義される通り、コルチコステロイド、免疫抑制剤及び/又は生物学的治療に対して不十分な応答を示している、又は不耐性を経験している患者である。
・コルチコステロイド
・経口で3~4週間若しくは静脈内で1週間、プレドニゾン≧40mg/日当量を含む少なくとも1つの誘導レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候、又は
・活動性疾患の再発なしに、経口で1日にプレドニゾン10mg当量未満にコルチコステロイドを漸減することができない、又は
・コルチコステロイドへの不耐性の履歴(それに限定されるものではないが、クッシング症候群、骨減少症/骨粗鬆症、高血糖症、不眠症、感染を含む)
・免疫抑制剤
・経口アザチオプリン(≧1.5mg/kg/日;日本及び中国の対象だけについては、≧1.0mg/kg/日)、6-メルカプトプリン(≧1mg/kg/日;日本及び中国の対象だけについては、≧0.6mg/kg/日)又は現在の投与レジメンで実証された6-TGNレベル230~450pmol/8×108RBC以上、注射可能なメトトレキセート(MTX≧15mg/週の皮下又は筋肉内)又はタクロリムスの少なくとも1つの90日レジメンの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候、又は
・少なくとも1種の免疫抑制剤への不耐性の履歴(それに限定されるものではないが、悪心/嘔吐、腹痛、膵炎、肝酵素異常、リンパ球減少症、感染を含む)
・UCのための生物学的薬剤
・以下のいずれかの履歴があるにもかかわらず、持続的に活動性の疾患の徴候及び症候。
・インフリキシマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン(0、2及び6週目に≧5mg/kgの静脈内)、
・アダリムマブの少なくとも1つの4週間誘導レジメン(少なくとも2週間隔てて、160mgの皮下用量1回後に80mg皮下用量[又は80mgの皮下用量1回の後に40mgの皮下用量1回])、
・ゴリムマブの少なくとも1つの2週間誘導レジメン(少なくとも2週間隔てて、200mgの皮下用量1回の後に100mgの皮下用量1回)、
・ベドリズマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン(0、2及び6週目に静脈内で300mg)、又は
・以前の臨床的利益に従って計画された維持投与中の症候の再発(臨床的利益があるにもかかわらず中断することは認められない)、又は
・少なくとも1種の生物学的薬剤への不耐性の履歴(それに限定されるものではないが、輸注反応、脱髄、うっ血性心不全(CHF)、感染を含む)
【0719】
研究中、経口MTXの使用は許容されるが、これらの対象が、既にコルチコステロイド又は免疫抑制剤(アザチオプリン又は6-MP)を用いて処置されており、研究者の判断で、それらの処置に応答しなかった又は耐えることができなかった場合を除き、経口MTXの過去又は現在の使用は、研究への組入れに十分ではない。
【0720】
[実施例13~16] 調節放出錠剤
7.5mg(実施例13)、15mg(実施例14)、30mg(実施例15)又は45mg(実施例16)のいずれかのウパダシチニブを含有する調節放出錠剤を、湿式造粒プロセスを使用して調製した。
【0721】
ウパダシチニブ(半水和物)、微結晶性セルロース(MCC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を、造粒機に添加し、混合した。水を噴霧して、造粒した。次に、造粒した材料を乾燥させ、610ミクロンのふるいを嵌めたコ-ミルを使用して製粉して、25%薬物負荷を含有する顆粒組成物を形成した。顆粒組成物を、表21にまとめる。
【0722】
【0723】
顆粒組成物を、ステアリン酸マグネシウム以外の残りの製剤構成成分と合わせ、1397ミクロンのふるいを嵌めたコ-ミルを使用してふるいにかけた後、ブレンドした。次に、ステアリン酸マグネシウムを瓶に添加し、ブレンドした。潤滑させた顆粒を、回転錠剤圧縮機を使用して錠剤に圧縮した。錠剤を、フィルムコーターを使用してコーティングし、このフィルムコーターにより、所望の量のコーティングが錠剤に塗布されるまで、Opadry(登録商標)II黄色フィルムコート及び精製水を含有する溶液を噴霧した。
【0724】
錠剤の製剤は、表22に記載されている。
【0725】
【0726】
[実施例17] 15mg調節放出錠剤及び6mg即時放出カプセル剤について絶食条件下で観察された定常状態の曝露
15mgの1日1回の調節放出(MR)錠剤(ウパダシチニブ半水和物を含む)の定常状態における薬物動態プロファイルを絶食条件下で評価し、活性剤としてウパダシチニブ(酒石酸塩四水和物)を含む6mgの即時放出(IR)の1日2回(BID)のカプセル剤のものと比較した。15mgのMR錠剤は、表23に記載されている以下の配合を有していた。
【0727】
【0728】
錠剤を、最初に、1512-0027のふるいを嵌めたFitzミルモデルM5Aに酒石酸を通して製粉することによって調製した。ウパダシチニブ半水和物、微結晶性セルロース、マンニトール(存在する場合)、製粉された酒石酸、放出制御ポリマー及びコロイド状二酸化ケイ素(存在する場合)を合わせ、ブレンドした。ブレンドを、610又は1397ミクロンのふるいを嵌めたMobilミルを使用して製粉した。ステアリン酸マグネシウムを、メッシュ#30を通してふるいにかけ、次に瓶に添加し、ブレンドした。潤滑させた顆粒を、回転錠剤圧縮機を使用して重量約480mgの錠剤に圧縮した。錠剤を、フィルムコーターを使用してコーティングし、このフィルムコーターにより、14.40mgのコーティングが錠剤に塗布されるまで、Opadry(登録商標)II黄色フィルムコート及び精製水を含有する溶液を噴霧した。
【0729】
健康なヒト対象を、2つの期間による無作為化クロスオーバー研究設計において、絶食条件下での2つのレジメンの1つに割り当てた。レジメンKの対象(開始時n=12;7日目n=11)に、絶食条件下で7日間、6mgのIRカプセル剤を1日2回投与した。レジメンLの対象(n=12)に、絶食条件下で7日間、15mgのMR錠剤を1日1回投与した。1日目及び7日目に、1日の投与の前及び投与後24時間までに、各対象から血液試料を連続収集した。血液試料は、初期投与後48、72、96及び120時間目にも収集した。収集時、試料を氷浴に迅速に入れ、試料収集後2時間以内に、約4℃で遠心分離機にかけた。得られた血漿試料を、清浄なポリプロピレン管に入れ、分析まで冷蔵庫で保存した。血漿試料を、適切な液体クロマトグラフィーによる質量分析手順を使用してウパダシチニブについてアッセイした。薬物動態パラメーターを、ノンコンパートメント法を使用して推定し、要約統計量を、レジメンによってパラメーターごとに計算した。
【0730】
結果を表24にまとめる。2つのレジメンのそれぞれについて測定した、各時点のウパダシチニブの平均血漿濃度は、
図7に示される。
【0731】
【0732】
また、1日2回(IR)のカプセル剤製剤(レジメンK)に対する1日1回(MR)の錠剤製剤(レジメンL)についての定常状態の相対的バイオアベイラビリティを、Cmax、AUC24、Cmin及びC24の自然対数の分析に基づいて決定した。結果を以下の表25にまとめる。
【0733】
【0734】
6mgのBIDのカプセル剤に対する15mgのQDの錠剤についての定常状態のAUC比は、およそ1であり、90%信頼区間は等しい境界内にあった。6mgのBIDのカプセル剤に対する15mgのQDの錠剤についての定常状態のCmin比は、およそ1であった。
【0735】
このデータからわかる通り、絶食条件下で定常状態において、15mgのQDの錠剤は、6mgのBIDのカプセル剤に対して等しいAUC24、並びに同等のCmax及びCminをもたらした。定常状態のCmaxは、6mgのBIDのカプセル剤と比較して15mgのQDの錠剤の方が10%低かった。
【0736】
[実施例18 ]30mgの調節放出錠剤及び12mgの即時放出カプセル剤について絶食条件下で観察された定常状態の曝露
30mgの1日1回の調節放出(MR)錠剤(ウパダシチニブ半水和物を含む)の定常状態における薬物動態プロファイルを、絶食条件下で評価し、活性剤としてウパダシチニブ(酒石酸塩四水和物)を含む、1日2回(BID)で12mgの即時放出(IR)カプセル剤のものと比較した。30mgのMR錠剤は、表26に記載されている以下の配合を有していた。
【0737】
【0738】
錠剤を、最初に、1512-0027のふるいを嵌めたFitzミルモデルM5Aに酒石酸を通して製粉することによって調製した。ウパダシチニブ半水和物、微結晶性セルロース、マンニトール(存在する場合)、製粉された酒石酸、放出制御ポリマー及びコロイド状二酸化ケイ素(存在する場合)を合わせ、ブレンドした。ブレンドを、610又は1397ミクロンのふるいを嵌めたMobilミルを使用して製粉した。ステアリン酸マグネシウムを、メッシュ#30を通してふるいにかけ、次に瓶に添加し、ブレンドした。潤滑させた顆粒を、回転錠剤圧縮機を使用して重量約480mgの錠剤に圧縮した。錠剤を、フィルムコーターを使用してコーティングし、このフィルムコーターにより、14.40mgのコーティングが錠剤に塗布されるまで、Opadry(登録商標)II黄色フィルムコート及び精製水を含有する溶液を噴霧した。
【0739】
健康なヒト対象を、2つの期間による無作為化クロスオーバー研究設計において、絶食条件下での2つのレジメンの1つに割り当てた。レジメンMの対象(n=11)に、絶食条件下で7日間、12mgのIRカプセル剤を1日2回投与した。レジメンNの対象(開始時n=12;7日目n=11)に、絶食条件下で7日間、30mgのMR錠剤を1日1回投与した。1日目及び7日目に、1日の投与の前及び投与後24時間までに、各対象から血液試料を連続収集した。血液試料は、初期投与後48、72、96及び120時間目にも収集した。収集時、試料を氷浴に迅速に入れ、試料収集後2時間以内に、約4℃で遠心分離機にかけた。得られた血漿試料を、清浄なポリプロピレン管に入れ、分析まで冷蔵庫で保存した。血漿試料を、適切な液体クロマトグラフィーによる質量分析手順を使用してウパダシチニブについてアッセイした。薬物動態パラメーターを、ノンコンパートメント法を使用して推定し、要約統計量を、レジメンによってパラメーターごとに計算した。
【0740】
結果を表27にまとめる。2つのレジメンのそれぞれについて測定した、各時点のウパダシチニブの平均血漿濃度は、
図8に示される。
【0741】
【0742】
また、1日2回(IR)のカプセル剤製剤(レジメンM)に対する1日1回(MR)の錠剤製剤(レジメンN)についての相対的バイオアベイラビリティを、Cmax、AUC24、Cmin及びC24の自然対数の分析に基づいて決定した。結果を以下の表28にまとめる。
【0743】
【0744】
12mgのBIDのカプセル剤に対する30mgのQDの錠剤についての定常状態のAUC比は、およそ1であり、90%信頼区間は等しい境界内にあった。30mgのQDの錠剤についての定常状態のCmin比は、12mgのBIDのカプセル剤よりもおよそ13%低かった。BIDで12mgの用量において高Cminを有する外れ値は、この差異に寄与し得る。
【0745】
このデータからわかる通り、絶食条件下で定常状態において、30mgのQDの錠剤は、12mgのBIDのカプセル剤に対して等しいAUC24、並びに同等のCmax及びCminをもたらした。定常状態のCmaxは、12mgのBIDのカプセル剤と比較して30mgのQDの錠剤の方が10%低かった。
【0746】
記載されているこの説明は、最良の態様を含む本発明を開示し、また、任意のデバイス又は系を作成すること及び使用すること、並びに組み込まれた任意の方法を実施することを含み、当業者が本発明を実施できるようにするための例を使用する。特許を受けることができる本発明の範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思い付く他の例を含むことができる。このような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言語と変わらない構造的要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文字通りの言語とごくわずかに異なっているが等価な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが企図される。