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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099645
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】ポリペプチド変種およびそれらの用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240718BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240718BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P35/00 ZNA
A61K39/395 T
A61P43/00 121
C07K16/46
C12N5/10
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024067232
(22)【出願日】2024-04-18
(62)【分割の表示】P 2020560585の分割
【原出願日】2019-01-24
(31)【優先権主張番号】PA201800041
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】518192172
【氏名又は名称】ジェンマブ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】オオスティンディ シモーネ
(72)【発明者】
【氏名】ホレンシュタイン アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ブルスケンス フランク
(72)【発明者】
【氏名】ストゥルマン クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】シュールマン ジャニン
(72)【発明者】
【氏名】デ ヨング ロブ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA01
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB36
4C085BB42
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改良された抗体処置、特に改良された選択性を持つ処置を提供する。
【解決手段】2種以上のFc領域含有抗原結合ポリペプチド、例えば抗体を含む併用治療を提供する。該ポリペプチドは、それぞれの対応する標的抗原に結合したときに、ポリペプチド間のヘテロオリゴマー化がホモオリゴマー化よりも著しく有利になるようにポリペプチドが改変されている。本発明の併用治療における使用に適したポリペプチド、組成物、キット、およびデバイスも提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その必要がある対象に、ヒトIgGの第1Fc領域と第1抗原に結合することができる第1抗原結合領域とを含む第1ポリペプチドを、ヒトIgGの第2Fc領域と第2抗原に結合することができる第2抗原結合領域とを含む第2ポリペプチドと組み合わせて投与する工程を含む、疾患または障害を処置する方法であって、
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NもしくはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KもしくはY436R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、もしくはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NもしくはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
ここでアミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応する、方法。
【請求項2】
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NもしくはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KもしくはY436R変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、もしくはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NもしくはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆である、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
請求項1記載の方法。
【請求項5】
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NもしくはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KもしくはY436R変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、もしくはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NもしくはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NもしくはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KもしくはY436R変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、もしくはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NもしくはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドは、選択肢(c)において指定される変異を含まず、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異をさらに含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異をさらに含むか、またはその逆である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
(i)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(ii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(iii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(iv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(v)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(vi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(vii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
(viii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(ix)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(x)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xiii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xiv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xvi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xvii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xviii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xix)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xx)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xxi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xxii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
第1ポリペプチドがヒトIgG1中のE430、E345、S440、T437、もしくはK248に対応するアミノ酸位置の変異をさらに含み、かつ/または第2ポリペプチドがヒトIgG1中のE430、E345、S440、T437、もしくはK248に対応するアミノ酸位置の変異をさらに含むか、またはその逆であり、
ただし、第1ポリペプチドまたは第2ポリペプチドがK439またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む場合、該ポリペプチド中の該さらなる変異はS440に対応するアミノ酸位置にはないものとする、
前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
第1ポリペプチドは、E430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440W、およびS440Yからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含み、かつ/または第2ポリペプチドは、E430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440W、およびS440Yからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含み、
かつ/または
第1ポリペプチドはT437R変異およびK248E変異を含み、かつ/または第2ポリペプチドはT437R変異およびK248E変異を含む、
請求項9記載の方法。
【請求項11】
第1ポリペプチドはE430GおよびE345Kからなる群より選択される一方または両方の変異を含み、かつ/または第2ポリペプチドはE430GおよびE345Kからなる群より選択される一方または両方の変異を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
第1ポリペプチドはE430Gを含み、かつ第2ポリペプチドはE430Gを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較してFc媒介性エフェクター機能などのエフェクター機能を誘導する能力が変化するように、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドがさらに改変されている、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
前記さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較して抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を誘導する能力が変化するように、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドがさらに改変されている、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
前記改変以外は同一であるポリペプチドと比較して補体依存性細胞傷害を誘導する能力が変化するように、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドがさらに改変されている、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
第1ポリペプチドは完全長抗体などの抗体であり、かつ/または第2ポリペプチドは完全長抗体などの抗体である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
第1ポリペプチドはIgG1抗体であり、かつ/または第2ポリペプチドはIgG1抗体である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
第1抗体は、ヒト、ヒト化、またはキメラであり、かつ/または第2抗体は、ヒト、ヒト化、またはキメラである、請求項16または請求項17記載の方法。
【請求項19】
第1抗体は二重特異性であり、かつ/または第2ポリペプチドは二重特異性である、請求項16~18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
第1抗原および第2抗原はどちらも細胞表面に露出している分子である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
第1抗原および第2抗原は、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織である細胞または組織において共在する、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
(a)第1抗原および第2抗原は、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織ではない細胞または組織において共在しないか、または
(b)第1抗原および第2抗原は、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織ではない細胞または組織では、共在する程度が、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織である細胞または組織よりも低い、
請求項21記載の方法。
【請求項23】
第1抗原および第2抗原は同一ではなく、どちらも細胞内デスドメインを含むデス受容体ではない、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
第1抗原と第2抗原がどちらもデス受容体ではない、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
第1ポリペプチドと第2ポリペプチドは、1:50~50:1のモル比、例えば1:1のモル比、1:2のモル比、1:3のモル比、1:4のモル比、1:5のモル比、1:6のモル比、1:7のモル比、1:8のモル比、1:9のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:10のモル比、1:15のモル比、1:20のモル比、1:25のモル比、1:30のモル比、1:35のモル比、1:40のモル比、1:45のモル比、1:50のモル比、50:1のモル比、45:1のモル比、40:1のモル比、35:1のモル比、30:1のモル比、25:1のモル比、20:1のモル比、15:1のモル比、10:1のモル比、9:1のモル比、8:1のモル比、7:1のモル比、6:1のモル比、5:1のモル比、4:1のモル比、3:1のモル比、2:1のモル比で投与される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
第1ポリペプチドと第2ポリペプチドが同時に投与される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
がんを処置するための、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
ヒトIgGの第2Fc領域と第2抗原に結合することができる第2抗原結合領域とを含む第2ポリペプチドと組み合わせて医薬として使用するための、ヒトIgGの第1Fc領域と第1抗原に結合することができる第1抗原結合領域とを含む第1ポリペプチドであって、
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NもしくはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KもしくはY436R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、もしくはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NもしくはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
ここでアミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応する、第1ポリペプチド。
【請求項29】
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
請求項28記載の第1ポリペプチド。
【請求項30】
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NもしくはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KもしくはY436R変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、もしくはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NもしくはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆である、
請求項28記載の第1ポリペプチド。
【請求項31】
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
請求項28記載の第1ポリペプチド。
【請求項32】
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NもしくはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KもしくはY436R変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、もしくはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NもしくはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
請求項28記載の第1ポリペプチド。
【請求項33】
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NもしくはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KもしくはY436R変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、もしくはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NもしくはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
請求項28記載の第1ポリペプチド。
【請求項34】
第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドは、選択肢(c)において指定される変異を含まず、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異をさらに含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異をさらに含むか、またはその逆である、請求項28~33のいずれか一項記載の第1ポリペプチド。
【請求項35】
(i)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(ii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(iii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(iv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(v)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(vi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(vii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
(viii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(ix)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(x)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xiii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xiv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xvi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xvii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xviii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xix)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xx)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xxi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xxii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
請求項28~34のいずれか一項記載の第1ポリペプチド。
【請求項36】
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のE430、E345、S440、T437、もしくはK248に対応するアミノ酸位置の変異をさらに含み、かつ/または第2ポリペプチドはヒトIgG1中のE430、E345、S440、T437、もしくはK248に対応するアミノ酸位置の変異をさらに含むか、またはその逆であり、
ただし、第1ポリペプチドまたは第2ポリペプチドがK439E、K439D、S440K、S440R、またはS440H変異を含む場合、該ポリペプチド中の該さらなる変異は、位置S440にはないものとする、
請求項28~35のいずれか一項記載の第1ポリペプチド。
【請求項37】
第1ポリペプチドは、E430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440W、およびS440Yからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含み、かつ/または第2ポリペプチドは、E430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440W、およびS440Yからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含み、
かつ/または
第1ポリペプチドはT437R変異およびK248E変異を含み、かつ/または第2ポリペプチドはT437R変異およびK248E変異を含む、
請求項36記載の第1ポリペプチド。
【請求項38】
第1ポリペプチドはE430GおよびE345Kからなる群より選択される一方または両方の変異を含み、かつ/または該ポリペプチドはE430GおよびE345Kからなる群より選択される一方または両方の変異を含む、請求項37記載の第1ポリペプチド。
【請求項39】
第1ポリペプチドはE430Gを含み、かつ第2ポリペプチドはE430Gを含む、請求項38記載の第1ポリペプチド。
【請求項40】
前記さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較してFc媒介性エフェクター機能などのエフェクター機能を誘導する能力が変化するように、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドがさらに改変されている、請求項28~39のいずれか一項記載の第1ポリペプチド。
【請求項41】
前記さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較して抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を誘導する能力が変化するように、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドがさらに改変されている、請求項28~40のいずれか一項記載の第1ポリペプチド。
【請求項42】
前記改変以外は同一であるポリペプチドと比較して補体依存性細胞傷害を誘導する能力が変化するように、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドがさらに改変されている、請求項28~41のいずれか一項記載の第1ポリペプチド。
【請求項43】
第1ポリペプチドは完全長抗体などの抗体であり、かつ/または第2ポリペプチドは完全長抗体などの抗体である、請求項28~42のいずれか一項記載の第1ポリペプチド。
【請求項44】
第1ポリペプチドはIgG1抗体であり、かつ/または第2ポリペプチドはIgG1抗体である、請求項28~43のいずれか一項記載の第1ポリペプチド。
【請求項45】
第1抗体は、ヒト、ヒト化、またはキメラであり、かつ/または第2抗体は、ヒト、ヒト化、またはキメラである、請求項43または請求項44記載の第1ポリペプチド。
【請求項46】
第1抗体は二重特異性であり、かつ/または第2ポリペプチドは二重特異性である、請求項43~45のいずれか一項記載の第1ポリペプチド。
【請求項47】
第1抗原および第2抗原がどちらも細胞表面に露出している分子である、請求項28~46のいずれか一項記載の第1ポリペプチド。
【請求項48】
第1抗原および第2抗原は、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織である細胞または組織において共在する、請求項28~47のいずれか一項記載の第1ポリペプチド。
【請求項49】
(a)第1抗原および第2抗原は、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織ではない細胞または組織において共在しないか、または
(b)第1抗原および第2抗原は、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織ではない細胞または組織では、共在する程度が、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織である細胞または組織よりも低い、
請求項48記載の第1ポリペプチド。
【請求項50】
第1抗原および第2抗原は同一ではなく、どちらも細胞内デスドメインを含むデス受容体ではない、請求項28~49のいずれか一項記載の第1ポリペプチド。
【請求項51】
第1抗原と第2抗原がどちらもデス受容体ではない、請求項28~50のいずれか一項記載の第1ポリペプチド。
【請求項52】
第1ポリペプチドと第2ポリペプチドは、1:50~50:1のモル比、例えば1:1のモル比、1:2のモル比、1:3のモル比、1:4のモル比、1:5のモル比、1:6のモル比、1:7のモル比、1:8のモル比、1:9のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:10のモル比、1:15のモル比、1:20のモル比、1:25のモル比、1:30のモル比、1:35のモル比、1:40のモル比、1:45のモル比、1:50のモル比、50:1のモル比、45:1のモル比、40:1のモル比、35:1のモル比、30:1のモル比、25:1のモル比、20:1のモル比、15:1のモル比、10:1のモル比、9:1のモル比、8:1のモル比、7:1のモル比、6:1のモル比、5:1のモル比、4:1のモル比、3:1のモル比、2:1のモル比で投与される、請求項28~51のいずれか一項記載の第1ポリペプチド。
【請求項53】
第1ポリペプチドと第2ポリペプチドが同時に投与される、請求項28~52のいずれか一項記載の第1ポリペプチド。
【請求項54】
使用ががんを処置するためである、請求項28~53のいずれか一項記載の第1ポリペプチド。
【請求項55】
請求項1~24のいずれか一項記載の第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドを含む、組成物。
【請求項56】
請求項1~24のいずれか一項記載の第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物であって、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとが、好ましくは、請求項25において指定されるモル比で存在する、薬学的組成物。
【請求項57】
請求項1~24のいずれか一項記載の第1ポリペプチドを含む第1容器と、請求項1~24のいずれか一項記載の第2ポリペプチドを含む第2容器とを備えた、キット。
【請求項58】
請求項1~24のいずれか一項記載の第1ポリペプチドを含む第1コンパートメントと、請求項1~24のいずれか一項記載の第2ポリペプチドを含む第2コンパートメントとを備えた、デュアルチャンバーシリンジなどのデバイス。
【請求項59】
ヒトIgGのFc領域と抗原に結合することができる抗原結合領域とを含むポリペプチドであって、
(a)ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G、I253K、もしくはI253R変異、または
ヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310RもしくはH310D変異
および/または
(b)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異、または
ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異
および/または
(c)ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異、または
ヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含み、
ここで、アミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応し、
ただし、ポリペプチドがS440K変異を含む場合は、選択肢(a)および(b)において指定される他の変異も少なくとも1つは存在するものとする、
ポリペプチド。
【請求項60】
(a)ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G、I253K、もしくはI253R変異、または
ヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310RもしくはH310D変異、および
(b)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異、または
ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異
を含む、請求項59記載のポリペプチド。
【請求項61】
(a)ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G、I253K、もしくはI253R変異、または
ヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310RもしくはH310D変異、および
(c)ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異、または
ヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含む、請求項59記載のポリペプチド。
【請求項62】
(b)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異、または
ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異、および
(c)ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異、または
ヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含む、請求項59記載のポリペプチド。
【請求項63】
(a)ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G、I253K、もしくはI253R変異、または
ヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310RもしくはH310D変異、および
(b)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異、または
ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異、および
(c)ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異、または
ヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含む、請求項59記載のポリペプチド。
【請求項64】
選択肢(c)において指定される変異を含まず、ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異またはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異をさらに含む、請求項59~63のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項65】
(i)ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異、および
ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含むか、または
(ii)ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異、および
ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含むか、または
(iii)ヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異、および
ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含むか、または
(iv)ヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異、および
ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含むか、または
(v)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異、および
ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含むか、または
(vi)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異、および
ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含むか、または
(vii)ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異、および
ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含むか、または
(viii)ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異、および
ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含むか、または
(ix)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異、および
ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異
を含むか、または
(x)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異、および
ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異
を含むか、または
(xi)ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異、および
ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異
を含むか、または
(xii)ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異、および
ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異
を含むか、または
(xiii)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異、および
ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異
を含むか、または
(xiv)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異、および
ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異
を含むか、または
(xv)ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異、および
ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異
を含むか、または
(xvi)ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異、および
ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異
を含む、
請求項59~64のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項66】
前記ポリペプチドが、ヒトIgG1中のE430、E345、S440、T437、またはK248に対応するアミノ酸位置の変異をさらに含み、
ただし、該ポリペプチドが、K439E、K439D、S440K、S440R、またはS440H変異を含む場合、該ポリペプチド中の該さらなる変異は位置S440にはないものとする、
請求項59~65のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項67】
E430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440W、およびS440Yからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含み、かつ/または
T437R変異およびK248E変異を含む、
請求項66記載のポリペプチド。
【請求項68】
E430GおよびE345Kからなる群より選択される一方または両方の変異を含む、請求項67記載のポリペプチド。
【請求項69】
E430G変異を含む、請求項68記載のポリペプチド。
【請求項70】
前記さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較してFc媒介性エフェクター機能などのエフェクター機能を誘導する能力が変化するようにさらに改変されている、請求項59~69のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項71】
前記さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較して抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を誘導する能力が変化するようにさらに改変されている、請求項59~70のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項72】
前記さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較して補体依存性細胞傷害を誘導する能力が変化するようにさらに改変されている、請求項59~71のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項73】
完全長抗体などの抗体である、請求項59~72のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項74】
IgG1抗体である、請求項59~73のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項75】
前記抗体が、ヒト、ヒト化、またはキメラである、請求項73または請求項74記載のポリペプチド。
【請求項76】
前記抗体が二重特異性である、請求項73~75のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項77】
前記抗原が細胞表面に露出している分子である、請求項59~76のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項78】
前記抗原はデス受容体ではない、請求項59~77のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項79】
請求項59~78のいずれか一項記載のポリペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、2種以上のFc領域含有抗原結合ポリペプチド、例えば抗体を含む併用治療に関し、該ポリペプチドは、それぞれの対応する標的抗原に結合したときに、ポリペプチド間のヘテロオリゴマー化がホモオリゴマー化よりも著しく有利になるようにポリペプチドが改変されている。本発明は、本発明の併用治療における使用に適したポリペプチド、そのようなポリペプチドの使用、組成物、キット、およびデバイスにも関係する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
抗体は、さまざまな機序によって標的細胞に影響を及ぼすことができる極めて有効な分子である。ある場合には、細胞表面の標的抗原に抗体が結合するだけでも、標的抗原に対して、したがって標的細胞に対して、アンタゴニスト効果またはアゴニスト効果が生じうる。上記に代えて、または上記に加えて、標的細胞に対する抗体の効果は、エフェクター機能、典型的にはFc媒介エフェクター機能、例えば補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)および抗体依存性細胞媒介性食作用(antibody-dependent cell-mediated phagocytosis)(ADCP)を誘導する抗体の能力によって達成される。
【0003】
ADCCおよびADCPはIgG Fc領域がエフェクター細胞上のFcγ受容体に結合することによって開始される。WO2012/130831(特許文献1)は、ポリペプチドのFc領域における1つまたは複数のアミノ酸置換の結果として変化したADCC機能を有する、Fc領域含有ポリペプチドを開示している。
【0004】
CDCは抗体のFc領域へのC1qの結合によって開始される。C1qは軸部(stalk)に取り付けられた6つの球状結合頭部(globular binding head)からなる多量体タンパク質である。個々の球状結合頭部はIgGに対して低いアフィニティーを有し、古典的補体経路をトリガーするには、C1qが、細胞表面上の複数のIgG1分子に結合することによってアビディティーを獲得しなければならない。細胞表面での標的結合時のIgG六量体化が、強い(avid)C1q結合をサポートすることが示されている。この六量体化は分子間での非共有結合的なFc-Fc相互作用によって媒介される。Fc-Fc相互作用は、E345RおよびE430Gを含むCH3ドメイン中の点変異によって強化することができる(例えばWO2013/004842およびWO2014/108198(特許文献2および3)参照)。WO2017/093447(特許文献4)は細胞内デスドメインを含むデス受容体に結合する抗体に向けられている。この出願は、抗体のFc領域中のK439E変異がFc-Fc斥力をもたらし、したがって該変異を有する2つの抗体分子間の弱いFc-Fc相互作用をもたらすことを開示している。この効果は、他方の抗体分子にS440K変異を導入することによって中和することができ、それはFc-Fc相互作用の復活につながる。Diebolder et al.(2014)Science 343:126(非特許文献1)も参照されたい。
【0005】
抗体治療が非常に有効であることは多いものの、抗体標的抗原は、多くの場合、疾患細胞または疾患組織だけに発現しているわけではなく、他の健常な細胞または組織にも見出される。したがって、抗体治療が標的組織に対する選択性を欠き、非患部組織が抗体処置による影響を受けて毒性が生じる場合もある。
【0006】
したがって、改良された抗体処置、特に改良された選択性を持つ処置が必要とされている。
【0007】
したがって、ポリペプチドまたは抗体の選択性を増加させることによって疾患を処置する方法を提供することが、本発明の目的である。単剤活性は有しないが、同じ標的細胞上または同じ標的組織上で一つに結びついた場合にのみ活性を示す第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとを提供することによって疾患を処置する方法を提供することが、本発明のさらに別の目的である。したがって、第1抗原に結合することができる第1ポリペプチドと第2抗原に結合することができる第2ポリペプチドとを投与することによって疾患を処置する方法を提供することが、本発明の目的であり、第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドは、第1抗原または第2抗原のどちらか一方を発現する組織または標的器官には効果を有しないか、またはごくわずかな効果しか有しないが、第1抗原と第2抗原をどちらも発現する組織または標的器官には有効な処置を与える。ヘテロオリゴマー化には有利に働きつつホモオリゴマー化(自己オリゴマー化)を防ぐように改変された第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドを対象に投与することによって疾患を処置する方法を提供することが、本発明のさらなる目的である。そのような処置の方法において使用されうるポリペプチド、すなわち少なくとも1つの自己オリゴマー化阻害性変異を有するポリペプチドを提供することが、本発明の別の目的である。自己オリゴマー化阻害性変異を有する第1ポリペプチドおよび自己オリゴマー化阻害性変異を有する第2ポリペプチドを提供することが、本発明のさらに別の目的であり、第1ポリペプチド中の自己オリゴマー化阻害性変異と第2ポリペプチド中の自己オリゴマー化阻害性変異とが相補的であることにより、標的細胞に結合したときに第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとのヘテロオリゴマー化が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2012/130831
【特許文献2】WO2013/004842
【特許文献3】WO2014/108198
【特許文献4】WO2017/093447
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Diebolder et al.(2014)Science 343:126
【発明の概要】
【0010】
本発明は、所望の標的細胞集団に対する抗体処置の選択性を改良するために使用することができる方法、ポリペプチド、および組成物を提供する。
【0011】
本発明の方法および使用は、2種の抗体(または抗体様ポリペプチド)による処置に関し、前記2種の抗体は2つの異なる標的抗原に結合し、抗体のFc領域は、前記2種の抗体のヘテロオリゴマー化がホモオリゴマー化よりも著しく有利になるように改変されている。これらの改変の結果として、両方の抗原標的を発現する(2種の抗体の効率のよい(ヘテロ)オリゴマー化を可能にする)細胞では、標的のうちの一方しか発現しない(非効率的な(ホモ)オリゴマー化をもたらす、または(ホモ)オリゴマー化をもたらさない)細胞よりも、多くの抗体オリゴマー化が起こるだろう。オリゴマー化は一般に抗体の効力を強化するので、抗体併用処置は、標的のうちの一方しか発現しない細胞に対する効力よりも、標的を共発現する細胞に対する効力の方が強くなるだろう。このように、本抗体併用処置は、両方の標的抗原を発現する細胞または組織に対して、改良された選択性を有する。したがって、所望の標的細胞集団では共発現するが標的にすべきでない細胞集団では共発現しないか共発現量が少ない2種の抗原を選択することにより、所望の標的細胞集団に対して選択的効果を有するであろう複合的抗体処置(combined antibody treatment)を設計することができる。
【0012】
増加した効力は、2種の標的抗原が同じ細胞上に共発現する場合に得られるだけでなく、標的細胞が近接している他の状況でも得られるだろうと考えられる。さらにまた、古典的抗体の他に、抗体様ポリペプチドも、それらがFc領域と抗原結合領域とを含む限り、使用することができる。
【0013】
したがって、第1局面において本発明は、その必要がある対象に、ヒトIgGの第1Fc領域と第1抗原に結合することができる第1抗原結合領域とを含む第1ポリペプチドを、ヒトIgGの第2Fc領域と第2抗原に結合することができる第2抗原結合領域とを含む第2ポリペプチドと組み合わせて投与する工程を含む、疾患または障害を処置する方法に関し、
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KまたはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436QまたはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438GまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KまたはY436R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438KまたはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
ここでアミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応する。
【0014】
本発明の方法の一態様において、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436K変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438R変異を含むか、またはその逆である。
【0015】
本発明の一局面において、第1ポリペプチドはヒトIgG3中のF436に対応するアミノ酸位置のF436N、F436K、F436QまたはF436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438GまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG3中のF436に対応するアミノ酸位置のF436NまたはF436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG3中のF436に対応するアミノ酸位置のF436KまたはF436R変異を含むか、またはその逆である。
【0016】
さらなる局面において本発明は、ヒトIgGの第2Fc領域と第2抗原に結合することができる第2抗原結合領域とを含む第2ポリペプチドと組み合わせて医薬として使用するための、ヒトIgGの第1Fc領域と第1抗原に結合することができる第1抗原結合領域とを含む第1ポリペプチドに関し、
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KまたはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436QまたはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438GまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KまたはY436R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438KまたはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
ここでアミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応する。
【0017】
さらなる一局面において本発明は、ヒトIgGのFc領域と抗原に結合することができる抗原結合領域とを含むポリペプチドに関し、該ポリペプチドは、
(a)ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G、I253K、もしくはI253R変異、または
ヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310RもしくはH310D変異
および/または
(b)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異、または
ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異
および/または
(c)ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異、または
ヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含み、
ここで、アミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応し、
ポリペプチドがS440K変異を含む場合は、選択肢(a)および(b)において指定される他の変異も少なくとも1つは存在するものとする。
【0018】
別の一局面において、本発明は、本明細書記載の1種または複数種の本発明のポリペプチドを含む組成物に関する。
【0019】
さらなる局面において、本発明は、本明細書記載の1種または複数種の本発明のポリペプチドを含む薬学的組成物に関する。
【0020】
さらなる一局面において本発明は、本明細書記載の発明における使用に適した第1ポリペプチドを含む第1容器と本明細書記載の発明における使用に適した第2ポリペプチドを含む第2容器とを含むキットに関する。
【0021】
さらに別の局面において、本発明は、本明細書記載の発明における使用に適した第1ポリペプチドを含む第1コンパートメントと本明細書記載の発明における使用に適した第2ポリペプチドを含む第2コンパートメントとを備えたデバイス、例えばデュアルチャンバーシリンジに関する。
【0022】
[本発明1001]
その必要がある対象に、ヒトIgGの第1Fc領域と第1抗原に結合することができる第1抗原結合領域とを含む第1ポリペプチドを、ヒトIgGの第2Fc領域と第2抗原に結合することができる第2抗原結合領域とを含む第2ポリペプチドと組み合わせて投与する工程を含む、疾患または障害を処置する方法であって、
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NもしくはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KもしくはY436R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、もしくはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NもしくはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
ここでアミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応する、方法。
[本発明1002]
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
本発明1001の方法。
[本発明1003]
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NもしくはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KもしくはY436R変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、もしくはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NもしくはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆である、
本発明1001の方法。
[本発明1004]
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
本発明1001の方法。
[本発明1005]
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NもしくはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KもしくはY436R変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、もしくはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NもしくはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
本発明1001の方法。
[本発明1006]
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NもしくはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KもしくはY436R変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、もしくはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NもしくはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
本発明1001の方法。
[本発明1007]
第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドは、選択肢(c)において指定される変異を含まず、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異をさらに含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異をさらに含むか、またはその逆である、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1008]
(i)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(ii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(iii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(iv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(v)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(vi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(vii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
(viii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(ix)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(x)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xiii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xiv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xvi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xvii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xviii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xix)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xx)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xxi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xxii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1009]
第1ポリペプチドがヒトIgG1中のE430、E345、S440、T437、もしくはK248に対応するアミノ酸位置の変異をさらに含み、かつ/または第2ポリペプチドがヒトIgG1中のE430、E345、S440、T437、もしくはK248に対応するアミノ酸位置の変異をさらに含むか、またはその逆であり、
ただし、第1ポリペプチドまたは第2ポリペプチドがK439またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む場合、該ポリペプチド中の該さらなる変異はS440に対応するアミノ酸位置にはないものとする、
前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1010]
第1ポリペプチドは、E430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440W、およびS440Yからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含み、かつ/または第2ポリペプチドは、E430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440W、およびS440Yからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含み、
かつ/または
第1ポリペプチドはT437R変異およびK248E変異を含み、かつ/または第2ポリペプチドはT437R変異およびK248E変異を含む、
本発明1009の方法。
[本発明1011]
第1ポリペプチドはE430GおよびE345Kからなる群より選択される一方または両方の変異を含み、かつ/または第2ポリペプチドはE430GおよびE345Kからなる群より選択される一方または両方の変異を含む、本発明1010の方法。
[本発明1012]
第1ポリペプチドはE430Gを含み、かつ第2ポリペプチドはE430Gを含む、本発明1011の方法。
[本発明1013]
前記さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較してFc媒介性エフェクター機能などのエフェクター機能を誘導する能力が変化するように、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドがさらに改変されている、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1014]
前記さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較して抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を誘導する能力が変化するように、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドがさらに改変されている、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1015]
前記改変以外は同一であるポリペプチドと比較して補体依存性細胞傷害を誘導する能力が変化するように、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドがさらに改変されている、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1016]
第1ポリペプチドは完全長抗体などの抗体であり、かつ/または第2ポリペプチドは完全長抗体などの抗体である、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1017]
第1ポリペプチドはIgG1抗体であり、かつ/または第2ポリペプチドはIgG1抗体である、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1018]
第1抗体は、ヒト、ヒト化、またはキメラであり、かつ/または第2抗体は、ヒト、ヒト化、またはキメラである、本発明1016または本発明1017の方法。
[本発明1019]
第1抗体は二重特異性であり、かつ/または第2ポリペプチドは二重特異性である、本発明1016~1018のいずれかの方法。
[本発明1020]
第1抗原および第2抗原はどちらも細胞表面に露出している分子である、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1021]
第1抗原および第2抗原は、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織である細胞または組織において共在する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1022]
(a)第1抗原および第2抗原は、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織ではない細胞または組織において共在しないか、または
(b)第1抗原および第2抗原は、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織ではない細胞または組織では、共在する程度が、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織である細胞または組織よりも低い、
本発明1021の方法。
[本発明1023]
第1抗原および第2抗原は同一ではなく、どちらも細胞内デスドメインを含むデス受容体ではない、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1024]
第1抗原と第2抗原がどちらもデス受容体ではない、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1025]
第1ポリペプチドと第2ポリペプチドは、1:50~50:1のモル比、例えば1:1のモル比、1:2のモル比、1:3のモル比、1:4のモル比、1:5のモル比、1:6のモル比、1:7のモル比、1:8のモル比、1:9のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:10のモル比、1:15のモル比、1:20のモル比、1:25のモル比、1:30のモル比、1:35のモル比、1:40のモル比、1:45のモル比、1:50のモル比、50:1のモル比、45:1のモル比、40:1のモル比、35:1のモル比、30:1のモル比、25:1のモル比、20:1のモル比、15:1のモル比、10:1のモル比、9:1のモル比、8:1のモル比、7:1のモル比、6:1のモル比、5:1のモル比、4:1のモル比、3:1のモル比、2:1のモル比で投与される、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1026]
第1ポリペプチドと第2ポリペプチドが同時に投与される、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1027]
がんを処置するための、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1028]
ヒトIgGの第2Fc領域と第2抗原に結合することができる第2抗原結合領域とを含む第2ポリペプチドと組み合わせて医薬として使用するための、ヒトIgGの第1Fc領域と第1抗原に結合することができる第1抗原結合領域とを含む第1ポリペプチドであって、
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NもしくはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KもしくはY436R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、もしくはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NもしくはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
ここでアミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応する、第1ポリペプチド。
[本発明1029]
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
本発明1028の第1ポリペプチド。
[本発明1030]
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NもしくはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KもしくはY436R変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、もしくはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NもしくはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆である、
本発明1028の第1ポリペプチド。
[本発明1031]
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
本発明1028の第1ポリペプチド。
[本発明1032]
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NもしくはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KもしくはY436R変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、もしくはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NもしくはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
本発明1028の第1ポリペプチド。
[本発明1033]
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KもしくはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NもしくはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KもしくはY436R変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、もしくはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NもしくはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
本発明1028の第1ポリペプチド。
[本発明1034]
第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドは、選択肢(c)において指定される変異を含まず、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異をさらに含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異をさらに含むか、またはその逆である、本発明1028~1033のいずれかの第1ポリペプチド。
[本発明1035]
(i)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(ii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(iii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(iv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(v)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(vi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(vii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
(viii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(ix)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(x)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xiii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xiv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xvi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xvii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xviii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xix)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xx)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xxi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xxii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ならびに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である、
本発明1028~1034のいずれかの第1ポリペプチド。
[本発明1036]
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のE430、E345、S440、T437、もしくはK248に対応するアミノ酸位置の変異をさらに含み、かつ/または第2ポリペプチドはヒトIgG1中のE430、E345、S440、T437、もしくはK248に対応するアミノ酸位置の変異をさらに含むか、またはその逆であり、
ただし、第1ポリペプチドまたは第2ポリペプチドがK439E、K439D、S440K、S440R、またはS440H変異を含む場合、該ポリペプチド中の該さらなる変異は、位置S440にはないものとする、
本発明1028~1035のいずれかの第1ポリペプチド。
[本発明1037]
第1ポリペプチドは、E430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440W、およびS440Yからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含み、かつ/または第2ポリペプチドは、E430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440W、およびS440Yからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含み、
かつ/または
第1ポリペプチドはT437R変異およびK248E変異を含み、かつ/または第2ポリペプチドはT437R変異およびK248E変異を含む、
本発明1036の第1ポリペプチド。
[本発明1038]
第1ポリペプチドはE430GおよびE345Kからなる群より選択される一方または両方の変異を含み、かつ/または該ポリペプチドはE430GおよびE345Kからなる群より選択される一方または両方の変異を含む、本発明1037の第1ポリペプチド。
[本発明1039]
第1ポリペプチドはE430Gを含み、かつ第2ポリペプチドはE430Gを含む、本発明1038の第1ポリペプチド。
[本発明1040]
前記さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較してFc媒介性エフェクター機能などのエフェクター機能を誘導する能力が変化するように、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドがさらに改変されている、本発明1028~1039のいずれかの第1ポリペプチド。
[本発明1041]
前記さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較して抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を誘導する能力が変化するように、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドがさらに改変されている、本発明1028~1040のいずれかの第1ポリペプチド。
[本発明1042]
前記改変以外は同一であるポリペプチドと比較して補体依存性細胞傷害を誘導する能力が変化するように、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドがさらに改変されている、本発明1028~1041のいずれかの第1ポリペプチド。
[本発明1043]
第1ポリペプチドは完全長抗体などの抗体であり、かつ/または第2ポリペプチドは完全長抗体などの抗体である、本発明1028~1042のいずれかの第1ポリペプチド。
[本発明1044]
第1ポリペプチドはIgG1抗体であり、かつ/または第2ポリペプチドはIgG1抗体である、本発明1028~1043のいずれかの第1ポリペプチド。
[本発明1045]
第1抗体は、ヒト、ヒト化、またはキメラであり、かつ/または第2抗体は、ヒト、ヒト化、またはキメラである、本発明1043または本発明1044の第1ポリペプチド。
[本発明1046]
第1抗体は二重特異性であり、かつ/または第2ポリペプチドは二重特異性である、本発明1043~1045のいずれかの第1ポリペプチド。
[本発明1047]
第1抗原および第2抗原がどちらも細胞表面に露出している分子である、本発明1028~1046のいずれかの第1ポリペプチド。
[本発明1048]
第1抗原および第2抗原は、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織である細胞または組織において共在する、本発明1028~1047のいずれかの第1ポリペプチド。
[本発明1049]
(a)第1抗原および第2抗原は、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織ではない細胞または組織において共在しないか、または
(b)第1抗原および第2抗原は、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織ではない細胞または組織では、共在する程度が、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織である細胞または組織よりも低い、
本発明1048の第1ポリペプチド。
[本発明1050]
第1抗原および第2抗原は同一ではなく、どちらも細胞内デスドメインを含むデス受容体ではない、本発明1028~1049のいずれかの第1ポリペプチド。
[本発明1051]
第1抗原と第2抗原がどちらもデス受容体ではない、本発明1028~1050のいずれかの第1ポリペプチド。
[本発明1052]
第1ポリペプチドと第2ポリペプチドは、1:50~50:1のモル比、例えば1:1のモル比、1:2のモル比、1:3のモル比、1:4のモル比、1:5のモル比、1:6のモル比、1:7のモル比、1:8のモル比、1:9のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:10のモル比、1:15のモル比、1:20のモル比、1:25のモル比、1:30のモル比、1:35のモル比、1:40のモル比、1:45のモル比、1:50のモル比、50:1のモル比、45:1のモル比、40:1のモル比、35:1のモル比、30:1のモル比、25:1のモル比、20:1のモル比、15:1のモル比、10:1のモル比、9:1のモル比、8:1のモル比、7:1のモル比、6:1のモル比、5:1のモル比、4:1のモル比、3:1のモル比、2:1のモル比で投与される、本発明1028~1051のいずれかの第1ポリペプチド。
[本発明1053]
第1ポリペプチドと第2ポリペプチドが同時に投与される、本発明1028~1052のいずれかの第1ポリペプチド。
[本発明1054]
使用ががんを処置するためである、本発明1028~1053のいずれかの第1ポリペプチド。
[本発明1055]
本発明1001~1024のいずれかの第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドを含む、組成物。
[本発明1056]
本発明1001~1024のいずれかの第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物であって、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとが、好ましくは、本発明1025において指定されるモル比で存在する、薬学的組成物。
[本発明1057]
本発明1001~1024のいずれかの第1ポリペプチドを含む第1容器と、本発明1001~1024のいずれかの第2ポリペプチドを含む第2容器とを備えた、キット。
[本発明1058]
本発明1001~1024のいずれかの第1ポリペプチドを含む第1コンパートメントと、本発明1001~1024のいずれかの第2ポリペプチドを含む第2コンパートメントとを備えた、デュアルチャンバーシリンジなどのデバイス。
[本発明1059]
ヒトIgGのFc領域と抗原に結合することができる抗原結合領域とを含むポリペプチドであって、
(a)ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G、I253K、もしくはI253R変異、または
ヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310RもしくはH310D変異
および/または
(b)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異、または
ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異
および/または
(c)ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異、または
ヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含み、
ここで、アミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応し、
ただし、ポリペプチドがS440K変異を含む場合は、選択肢(a)および(b)において指定される他の変異も少なくとも1つは存在するものとする、
ポリペプチド。
[本発明1060]
(a)ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G、I253K、もしくはI253R変異、または
ヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310RもしくはH310D変異、および
(b)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異、または
ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異
を含む、本発明1059のポリペプチド。
[本発明1061]
(a)ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G、I253K、もしくはI253R変異、または
ヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310RもしくはH310D変異、および
(c)ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異、または
ヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含む、本発明1059のポリペプチド。
[本発明1062]
(b)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異、または
ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異、および
(c)ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異、または
ヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含む、本発明1059のポリペプチド。
[本発明1063]
(a)ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G、I253K、もしくはI253R変異、または
ヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310RもしくはH310D変異、および
(b)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異、または
ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異、および
(c)ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異、または
ヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含む、本発明1059のポリペプチド。
[本発明1064]
選択肢(c)において指定される変異を含まず、ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異またはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異をさらに含む、本発明1059~1063のいずれかのポリペプチド。
[本発明1065]
(i)ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異、および
ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含むか、または
(ii)ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異、および
ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含むか、または
(iii)ヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異、および
ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含むか、または
(iv)ヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異、および
ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含むか、または
(v)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異、および
ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含むか、または
(vi)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異、および
ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含むか、または
(vii)ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異、および
ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含むか、または
(viii)ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異、および
ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含むか、または
(ix)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異、および
ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異
を含むか、または
(x)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異、および
ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異
を含むか、または
(xi)ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異、および
ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異
を含むか、または
(xii)ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異、および
ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異
を含むか、または
(xiii)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異、および
ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異
を含むか、または
(xiv)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異、および
ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異
を含むか、または
(xv)ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異、および
ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異
を含むか、または
(xvi)ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異、および
ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異
を含む、
本発明1059~1064のいずれかのポリペプチド。
[本発明1066]
前記ポリペプチドが、ヒトIgG1中のE430、E345、S440、T437、またはK248に対応するアミノ酸位置の変異をさらに含み、
ただし、該ポリペプチドが、K439E、K439D、S440K、S440R、またはS440H変異を含む場合、該ポリペプチド中の該さらなる変異は位置S440にはないものとする、
本発明1059~1065のいずれかのポリペプチド。
[本発明1067]
E430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440W、およびS440Yからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含み、かつ/または
T437R変異およびK248E変異を含む、
本発明1066のポリペプチド。
[本発明1068]
E430GおよびE345Kからなる群より選択される一方または両方の変異を含む、本発明1067のポリペプチド。
[本発明1069]
E430G変異を含む、本発明1068のポリペプチド。
[本発明1070]
前記さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較してFc媒介性エフェクター機能などのエフェクター機能を誘導する能力が変化するようにさらに改変されている、本発明1059~1069のいずれかのポリペプチド。
[本発明1071]
前記さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較して抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を誘導する能力が変化するようにさらに改変されている、本発明1059~1070のいずれかのポリペプチド。
[本発明1072]
前記さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較して補体依存性細胞傷害を誘導する能力が変化するようにさらに改変されている、本発明1059~1071のいずれかのポリペプチド。
[本発明1073]
完全長抗体などの抗体である、本発明1059~1072のいずれかのポリペプチド。
[本発明1074]
IgG1抗体である、本発明1059~1073のいずれかのポリペプチド。
[本発明1075]
前記抗体が、ヒト、ヒト化、またはキメラである、本発明1073または本発明1074のポリペプチド。
[本発明1076]
前記抗体が二重特異性である、本発明1073~1075のいずれかのポリペプチド。
[本発明1077]
前記抗原が細胞表面に露出している分子である、本発明1059~1076のいずれかのポリペプチド。
[本発明1078]
前記抗原はデス受容体ではない、本発明1059~1077のいずれかのポリペプチド。
[本発明1079]
本発明1059~1078のいずれかのポリペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
本発明のこれらの局面および他の局面、特に本ポリペプチドまたは抗体のさまざまな用途および治療的応用について、以下にさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、ヒトIgG1m(a)、IgG1m(f)、IgG2、IgG3およびIgG4 Fcバックボーンのアミノ酸配列アラインメントを、EUベースの(IgG1特異的)ナンバリングスキームで表している(Edelman et al.1969 Proc Natl Acad Sci USA 63,78-85)。
図2図2は、表示のI253変異またはH310変異を持つIgG1-Campath-E430G抗体変種を、Fc-Fc相互作用を操作することの効果およびWien 133細胞に対するCDC効力について試験するCDCアッセイの結果を表している。Wien 133細胞を、単独の抗体変種およびI253+H310変異体ペアの考えうるすべての抗体組合せの濃度系列と共に、5%プール正常ヒト血清(NHS)の存在下でインキュベートした。CDC効力を、TO-PRO-3ヨウ化物陽性細胞のパーセンテージによって決定される50%有効抗体濃度(half maximal effective antibody concentration)(EC50)としてng/mLの単位で表す。限定できない低いEC50値による最大細胞溶解は<15ng/mLとして示す。
図3図3は、表示のY436変異またはQ438変異を持つIgG1-Campath-E430G抗体変種を、Fc-Fc相互作用を操作することの効果およびWien 133細胞に対するCDC効力について試験するCDCアッセイの結果を表している。Wien 133細胞を、単独の抗体変種およびY436+Q438変異体ペアの考えうるすべての抗体組合せの濃度系列と共に、5%プールNHSの存在下でインキュベートした。CDC効力を、TO-PRO-3ヨウ化物陽性細胞のパーセンテージによって決定される50%有効抗体濃度(EC50)としてng/mLの単位で表す。限定できない低いEC50値による最大細胞溶解は<15ng/mLとして示す。
図4図4は、表示のK439変異またはS440変異を持つIgG1-Campath-E430G抗体変種を、Fc-Fc相互作用を操作することの効果およびWien 133細胞に対するCDC効力について試験するCDCアッセイの結果を表している。Wien 133細胞を、単独の抗体変種およびK439+S440変異体ペアの考えうるすべての抗体組合せの濃度系列と共に、5%プールNHSの存在下でインキュベートした。CDC効力を、TO-PRO-3ヨウ化物陽性細胞のパーセンテージによって決定される50%有効抗体濃度(EC50)としてng/mLの単位で表す。限定できない低いEC50値による最大細胞溶解は<15ng/mLとして示す。
図5A図5は、Fc-Fc阻害性変異I253GおよびH310R(A)、I253KおよびH310D(B)、ならびにI253RおよびH310D(C)がIgG1-Campath-E430GのCDC効力に及ぼす効果を表している。Wien 133細胞を、単独のFc-Fc阻害性変異を含有する表示のIgG1-Campath-E430G抗体変種(単独mAb)およびそれらの組合せ(mAb混合物)の濃度系列と共に、20%プールNHSの存在下でインキュベートした。CDC効力をPI陽性細胞百分率によって決定された溶解百分率として表す。HIV gp120に対するIgG-b12抗体を非結合性対照抗体として使用した。
図5B図5Aの説明を参照のこと。
図5C図5Aの説明を参照のこと。
図6A図6は、Fc-Fc阻害性変異の組合せがIgG1-Campath-E430GのCDC効力に及ぼす効果を表している。Wien 133細胞を、単独の抗体中に1つまたは2つのFc-Fc阻害変異を含有する表示のIgG1-Campath-E430G抗体変種(単独mAb)およびそれらの組合せ(mAb混合物)の濃度系列と共に、20%プールNHSの存在下でインキュベートした。CDC効力をPI陽性細胞百分率によって決定された溶解百分率として表す。HIV gp120に対するIgG-b12抗体を非結合性対照抗体として使用した。
図6B図6Aの説明を参照のこと。
図6C図6Aの説明を参照のこと。
図6D図6Aの説明を参照のこと。
図6E図6Aの説明を参照のこと。
図6F図6Aの説明を参照のこと。
図6G図6Aの説明を参照のこと。
図7図7は自己オリゴマー化阻害性置換を持つ抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H抗体のFcRn結合を表す。(A)pH7.4および(B)pH6.0において40μg/mlの抗体濃度を使った、自己オリゴマー化阻害性置換I253G、I253K、I253R、H310D、H310R、Y436N、Y436K、Q438Nおよび/またはQ438Rを持つ抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439Eおよび抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440Kの抗体変種のヒトFcRnへの結合が示されている。FcRn ELISAは、5μg/mLでコーティングされたヒトFcRnの組換え細胞外ドメイン(FcRnECDHis-B2M-BIO)および抗体希釈系列で行った。結合した抗体の量は、HRPコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG1抗体および化学発光基質ABTSで決定した。吸光度は405nmで測定した。
図8A図8は、Fc-Fc強化変異E430Gおよび自己オリゴマー化阻害性置換を持つIgG1-CAMPATH-1H変種のFcγR結合を表している。ELISAアッセイにおいて試験された、自己オリゴマー化阻害性置換K439E、S440K、Y436K、Y436N、Q438NおよびQ438Rを持つ固定化IgG1-CAMPATH-1H-E430G変種の、(A)FcγRIIAアロタイプ131H、(B)FcγRIIAアロタイプ131R、(C)FcγRIIB、(D)FcγRIIIAアロタイプ158Vおよび(E)FcγRIIIAアロタイプ158Fの二量体型Hisタグ付きビオチン化ECDへの結合。抗体なしの対照(バックグラウンド)およびIgG1-CAMPATH-1H-E430Gへの結合(100%)と比較した20μg/mLの抗体試料についての結合を提示する。検出はストレプトアビジン-ポリHRPおよびABTSを使って行った。
図8B図8Aの説明を参照のこと。
図8C図8Aの説明を参照のこと。
図8D図8Aの説明を参照のこと。
図8E図8Aの説明を参照のこと。
図9A図9は、自己オリゴマー化阻害性変異を保持する抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E抗体および抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440K抗体の、単剤および併用での、CDC効力を表している。Wien 133細胞を20%NHSの存在下で抗体濃度系列と共にインキュベートした。CDC効力を、(A)非結合性対照抗体IgG1-b12(0%)およびIgG1-CAMPATH-1H-E430G(100%)に正規化したAUC、および(B)40μg/mlの抗体濃度でPI陽性細胞百分率によって決定された溶解百分率として表す。
図9B図9Aの説明を参照のこと。
図10図10は、追加の自己オリゴマー化阻害性変異を保持する抗CD20-IgG1-11B8-E430G-K439E抗体および抗CD20 IgG1-11B8-E430G-S440K抗体の、単剤および併用での、CDC効力を表している。Wien 133細胞を20%NHSの存在下で抗体濃度系列と共にインキュベートした。CDC効力を、非結合性対照抗体IgG1-b12(0%)およびIgG1-CAMPATH-1H-E430G(CAMP-E430G)+IgG1-11B8-E430Gの混合物(100%)に正規化したAUCとして表す。
図11図11は、自己オリゴマー化阻害性変異を保持する抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E抗体および抗CD20 IgG1-11B8-E430G-S440K抗体の、単剤および併用での、CDC効力を表している。Wien 133細胞を20%NHSの存在下で抗体濃度系列と共にインキュベートした。CDC効力を、非結合性対照抗体IgG1-b12(0%)およびIgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-11B8-E430Gの混合物(100%)に正規化したAUCとして表す。
図12A図12は、異なるFc-Fc相互作用強化変異を保持する抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H抗体および抗CD20 IgG1-11B8抗体の変種の、単剤および併用での、CDC効力を表している。(A、B)Wien 133細胞を20%NHSの存在下で抗体濃度系列と共にインキュベートした。CDC効力を、非結合性対照抗体IgG1-b12(0%)およびIgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-11B8-E430Gの混合物(100%)に正規化したAUCとして表す。
図12B図12Aの説明を参照のこと。
図13図13は、追加の自己オリゴマー化阻害性変異を持つ抗CD52 CAMPATH-1H-E430G-K439E+追加の自己オリゴマー化阻害性変異を持つ抗CD20 11B8-E430G-S440Kの混合された抗体サブクラス変種(IgG1、IgG2およびヒンジ安定化IgG4)によるCDC活性の選択性を表している。Wien 133細胞を抗体濃度系列と共に20%NHSの存在下でインキュベートした。CDC効力をPI陽性細胞百分率の正規化されたAUCとして表す。正規化は非結合性対照抗体IgG1-b12(0%)およびIgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-11B8-E430Gの混合物(100%)に対して行った。
図14A図14は、Fc-Fc相互作用強化変異および自己オリゴマー化阻害性変異を持つIgG1-CAMPATH-1HおよびIgG1-11B8変種にFcγR結合阻害性変異G237Aを導入することが、FcγR結合およびCDC活性に及ぼす効果を表している。ELISAアッセイで試験された、自己オリゴマー化阻害性変異K439EまたはS440Kを持つ固定化IgG1-CAMPATH-1HおよびIgG1-11B8変種の、(A)FcγRIIAアロタイプ131H、(B)FcγRIIAアロタイプ131R、(C)FcγRIIB、(D)FcγRIIIAアロタイプ158Fおよび(E)FcγRIIIAアロタイプ158Vの二量体化Hisタグ付きビオチン化ECDへの結合。結合を20μg/mLの抗体試料について波長405nmにおける吸光度として表す。検出はストレプトアビジン-ポリHRPおよびABTSを使って行った。(F、G)Wien 133細胞を抗体濃度系列と共に20%NHSの存在下でインキュベートした。CDC効力をPI陽性細胞百分率の正規化されたAUCとして表す。正規化は非結合性対照抗体IgG1-b12(0%)およびIgG1-CAMPATH-1H-E430G(100%;F)または非結合性対照抗体IgG1-b12(0%)およびIgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-11B8-E430Gの混合物(100%;G)に対して行った。
図14B図14Aの説明を参照のこと。
図14C図14Aの説明を参照のこと。
図14D図14Aの説明を参照のこと。
図14E図14Aの説明を参照のこと。
図14F図14Aの説明を参照のこと。
図14G図14Aの説明を参照のこと。
図15図15は、自己オリゴマー化阻害性変異、FcγR結合阻害性変異G237A、および/またはC1q結合強化変異E333SまたはK326W-E333Sありまたはなしの、抗CD52 CAMPATH-1H-E430G-K439Eおよび抗CD20 11B8-E430G-S440Kの混合された抗体変種によるCDC活性の選択性を表している。Wien 133細胞を抗体濃度系列と共に20%NHSの存在下でインキュベートした。CDC効力をPI陽性細胞百分率の正規化されたAUCとして表す。正規化は非結合性対照抗体IgG1-b12(0%)およびIgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-11B8-E430Gの混合物(100%)に対して行った。
図16図16は、自己オリゴマー化阻害性変異を保持する抗CD37 IgG1-CD37-37-3-E430G抗体変種の、単剤および併用での、CDC効力を表している。Raji細胞を抗体濃度系列と共に20%NHSの存在下でインキュベートした。CDC効力を、非結合性対照抗体IgG1-b12(0%)およびIgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-CD37-37-3-E430G(100%)に正規化したAUCとして表す。
図17図17は、自己オリゴマー化阻害性変異を保持する抗CD37 IgG1-CD37-37-3-E430GおよびIgG1-11B8-E430G抗体変種の、単剤および併用でのCDC効力を表している。Raji細胞を抗体濃度系列と共に20%NHSの存在下でインキュベートした。CDC効力を、非結合性対照抗体IgG1-b12(0%)およびIgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-CD37-37-3-E430G(100%)に正規化したAUCとして表す。
図18図18は、自己オリゴマー化阻害性変異を保持する抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H-E430Gおよび抗CD37 IgG1-CD37-37-3-E430G抗体変種の、単剤および併用での、CDC効力を表している。Raji細胞を抗体濃度系列と共に20%NHSの存在下でインキュベートした。CDC効力を、非結合性対照抗体IgG1-b12(0%)およびIgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-CD37-37-3-E430G(100%)に正規化したAUCとして表す。
図19図19は、自己オリゴマー化阻害性変異を保持するIgG1-DR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-DR5-05-E430Gの抗DR5抗体変種の細胞傷害性を表している。精製ヒトC1q(最終濃度2.9μg/mL)の存在下でBxPC-3細胞を抗体濃度系列と共にインキュベートした。細胞傷害性を抗体濃度20μg/mlにおける細胞生存率として表す。生細胞百分率は、次式を使って算出した:%生細胞=[(抗体試料のルミネセンス-スタウロスポリン試料のルミネセンス)/(抗体なし試料のルミネセンス-スタウロスポリン試料のルミネセンス)]×100%。
図20図20は、自己オリゴマー化阻害性変異を保持する抗CD37 IgG1-7D8-E430G抗体変種の、単剤および併用での、CDC効力を表している。Raji細胞を抗体濃度系列と共に20%NHSの存在下でインキュベートした。CDC効力を、非結合性対照抗体IgG1-b12(0%)およびIgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-7D8-E430G(100%)に正規化したAUCとして表す。
図21A図21は、単剤としての、またはさまざまな比で混合された、自己オリゴマー化阻害性変異を保持する抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H-E430Gおよび抗CD20 IgG1-11B8-E430G抗体変種によるCDC効力を表す。Wien 133細胞を抗体濃度系列と共に20%NHSの存在下でインキュベートした。CDC効力を、PI陽性細胞の数から計算された細胞溶解の百分率として表す。(A)単剤IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438NおよびIgG1-11B8-E430G-S440K-Y436Kならびにそれらの混合物のCDC効力。(B)単剤IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438NおよびIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438Rならびにそれらの混合物のCDC効力。
図21B図21Aの説明を参照のこと。
図22A図22は、自己オリゴマー化阻害性変異を保持する抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H-E430Gおよび非抗原結合性IgG1-b12-E430G抗体変種の、単剤および併用での、CDC効力を表している。Wien 133細胞を抗体濃度系列と共に20%NHSの存在下でインキュベートした。CDC効力を、非結合性対照抗体IgG1-b12(0%)およびIgG1-CAMPATH-1H-E430G(100%)に正規化したAUCとして表す。変異E430Gを変異K439EまたはS440Kのどちらか一方と組み合わせて保持する単剤抗体変種およびそれらの混合物によって誘導される(A)CDCおよび(B)最大細胞溶解。それぞれの単剤対照反応と比較した、相補的変異を保持するIgG1-CAMPATH-1HまたはIgG1-b12抗体変種と混合された、E430G、K439EおよびY436N変異を保持する抗体変種によって誘導される、(C)CDCおよび(D)最大細胞溶解。それぞれの単剤対照反応と比較した、相補的変異を保持するIgG1-CAMPATH-1HまたはIgG1-b12抗体変種と混合された、E430G、K439EおよびQ438N変異を保持する抗体変種によって誘導される、(E)CDCおよび(F)最大細胞溶解。
図22B図22Aの説明を参照のこと。
図22C図22Aの説明を参照のこと。
図22D図22Aの説明を参照のこと。
図22E図22Aの説明を参照のこと。
図22F図22Aの説明を参照のこと。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の詳細な説明
定義
「IgGのFc領域と抗原結合領域とを含むポリペプチド」という用語は、本発明との関連においては、IgGアイソタイプの免疫グロブリンのFc領域と、例えば細胞、細菌またはビリオンなどの上に存在するポリペプチドなどの任意のタイプの分子であることができる抗原に結合することができる結合領域とを含むポリペプチドを指す。免疫グロブリンのFc領域は、典型的には(当業者には公知の)パパインで抗体を消化した後に生じるであろう抗体のフラグメントと定義され、これは免疫グロブリンの2つのCH2-CH3領域と連結領域(connecting region)、例えばヒンジ領域とを含む。したがって「IgGのFc領域」という用語は、本発明との関連においては、免疫グロブリンの連結領域、例えばヒンジ領域、ならびにCH2領域およびCH3領域が存在することを意味する。抗体重鎖の定常ドメインは抗体アイソタイプを規定し、抗体アイソタイプは例えばIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4などであることができる。Fc領域は、Fc受容体と呼ばれる細胞表面受容体および補体系のタンパク質と共に、抗体のエフェクター機能を媒介する。IgGのFcドメインと抗原結合領域とを含むポリペプチドは、キメラ抗体、ヒト化抗体もしくはヒト抗体、または重鎖のみの抗体のような抗体、またはScFv-Fc融合物もしくはFc融合タンパク質でありうる。ポリペプチドはヒト起源に限定されず、例えばマウス、ラット、ウサギまたはカニクイザル起源など、任意の起源を持つことができる。
【0025】
「免疫グロブリン」または「Ig」という用語は、2対のポリペプチド鎖、すなわち1対の軽い(L)低分子量鎖および1対の重い(H)高分子量鎖からなる、構造的に関連する一群の糖タンパク質を指し、それら4つはすべて潜在的にジスルフィド結合によって相互に連結される。「IgG」とは免疫グロブリンGを指す。免疫グロブリンの構造は詳しく特徴づけられている。例えばFundamental Immunology Ch.7(Paul, W., ed., 2nd ed. Raven Press, N.Y.(1989))を参照されたい。簡単に述べると、各重鎖は、典型的には、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略記する)と重鎖定常領域とで構成される。重鎖定常領域は、典型的には、3つのドメインCH1、CH2、およびCH3で構成される。重鎖は、いわゆる「ヒンジ領域」において、ジスルフィド結合によって相互に連結される。各軽鎖は、典型的には、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略記する)と軽鎖定常領域とで構成される。軽鎖定常領域は、典型的には、1つのドメインCLで構成される。VH領域およびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる保存度の高い領域が散在している、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる超可変性領域(すなわち配列が超可変でありうる、かつ/または構造上明確なループを形成しうる、超可変領域)へとさらに細分しうる。各VHおよびVLは、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序で配置された3つのCDRと4つのFRとで構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4(Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196,901 917(1987)も参照されたい)。別段の言明があるか、文脈上矛盾する場合を除き、本明細書におけるCDR配列は、DomainGapAlignを使ってIMGTの規則に従って同定される(Lefranc MP., Nucleic Acids Research 1999;27:209-212およびEhrenmann F., Kaas Q. and Lefranc M.-P. Nucleic Acids Res., 38,D301-307(2010);インターネットhttpアドレスwww.imgt.org/も参照されたい)。別段の言明があるか、文脈上矛盾する場合を除き、本発明におけるアミノ酸位置への言及は、EUナンバリングに従う(Edelman et al., Proc Natl Acad Sci U S A.1969 May;63(1):78-85、Kabat et al., Sequences of Proteins of immunological interest.5th Edition-1991 NIH Publication No.91-3242)。
【0026】
本明細書において使用される「位置...に対応するアミノ酸」という用語は、ヒトIgG1重鎖におけるアミノ酸位置番号を指す。他の免疫グロブリンにおける対応するアミノ酸位置は、ヒトIgG1とのアラインメントによって見出しうる。図1にIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4配列のアラインメントを示すが、これは、IgG2、IgG3およびIgG4中のどの位置がIgG1中のどの位置に対応するかを示している。したがって、ある配列中のアミノ酸またはセグメントであって、別の配列中のアミノ酸またはセグメント「に対応する」アミノ酸またはセグメントとは、例えばALIGN、ClustalWなどの標準的配列アラインメントプログラムを使ったときに典型的にはデフォルト設定で前記他方のアミノ酸またはセグメントと整列し、ヒトIgG1重鎖に対して少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%の同一性を有するものである。ある配列または配列中のセグメントをアラインメントし、それにより、本発明に従ってあるアミノ酸位置に対してある配列中の対応する位置を決定する方法は、当技術分野において周知であると考えられる。
【0027】
本明細書において使用される「ヒンジ領域」という用語は、免疫グロブリン重鎖のヒンジ領域を指すものとする。したがって、例えばヒトIgG1抗体のヒンジ領域は、EUナンバリングではアミノ酸216~230に対応する。
【0028】
本明細書において使用される「CH2領域」または「CH2ドメイン」という用語は、免疫グロブリン重鎖のCH2領域を指すものとする。したがって、例えばヒトIgG1抗体のCH2領域は、EUナンバリングではアミノ酸231~340に対応する。ただしCH2領域は本明細書に記載する他のアイソタイプのいずれであってもよい。
【0029】
本明細書において使用される「CH3領域」または「CH3ドメイン」という用語は、免疫グロブリン重鎖のCH3領域を指すものとする。したがって、例えばヒトIgG1抗体のCH3領域は、EUナンバリングではアミノ酸341~447に対応する。ただしCH3領域は本明細書に記載する他のアイソタイプのいずれであってもよい。
【0030】
「Fc領域」または「Fcドメイン」という用語は、本明細書では相互可換的に使用することができ、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって並べた場合に、少なくともヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含む抗体領域を指す。IgG1抗体のFc領域は、例えばパパインによるIgG1抗体の消化によって生成させることができる。
【0031】
「抗体」(Ab)という用語は、本発明との関連においては、抗原に特異的に結合することができる、免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子のフラグメント、またはそれらのうちのいずれかの誘導体を指す。本発明において使用される抗体は、免疫グロブリンのFcドメインと抗原結合領域とを含む。抗体は一般にCH2-CH3領域とヒンジ領域などの連結領域、例えば少なくともFcドメインを含有する。免疫グロブリン分子の重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体は、単一特異性または多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体または類似の分子であってもよい。「二重特異性抗体」という用語は、少なくとも2つの異なる、典型的にはオーバーラップしていない、エピトープに対する特異性を有する抗体を指す。そのようなエピトープは同じ標的上または異なる標的上に存在しうる。エピトープが異なる標的上に存在する場合、そのような標的は同じ細胞上または異なる細胞もしくは細胞タイプ上に存在しうる。上に示したように、別段の言明があるか、文脈上明らかに矛盾する場合を除き、本明細書における抗体という用語は、Fc領域の少なくとも一部分を含み、抗原に特異的に結合する能力を保っている抗体のフラグメントを包含する。そのようなフラグメントは、酵素的切断、ペプチド合成および組換え発現技法など、任意の公知技法によって提供されうる。抗体の抗原結合機能が完全長抗体のフラグメントによって履行されうることは示されている。「Ab」または「抗体」という用語内に包含される結合性フラグメントの例としては、次に挙げるものがあるが、それらに限定されるわけではない:一価抗体(GenmabによるWO2007059782に記載されている);重鎖抗体、これは2つの重鎖だけからなり、例えばラクダ科動物などでは天然に存在する(例えばHamers-Casterman(1993)Nature 363:446);ThioMab(Roche、WO2011069104);非対称二重特異性抗体様分子である鎖交換エンジニアードドメイン(strand-exchange engineered domain)(SEEDまたはSeed-body)(Merck、WO2007110205);Triomab(Pharma/Fresenius Biotech、Lindhofer et al.1995 J Immunol 155:219、WO2002020039);FcΔAdp(Regeneron、WO2010151792)、Azymetric Scaffold(Zymeworks/Merck、WO2012/058768);mAb-Fv(Xencor、WO2011/028952)、Xmab(Xencor);二重可変ドメイン免疫グロブリン(Dual variable domain immunoglobulin)(Abbott、DVD-Ig、米国特許第7,612,181号);二重ドメイン二重ヘッド抗体(Dual domain double head antibody)(Unilever、Sanofi Aventis、WO20100226923);ジ-ダイアボディ(Di-diabody)(ImClone/Eli Lilly);ノブズ・イントゥ・ホールス(Knobs-into-holes)抗体フォーマット(Genentech、WO9850431);DuoBody(Genmab、WO 2011/131746);二重特異性IgG1およびIgG2(Pfizer/Rinat、WO11143545);DuetMab(MedImmune、US2014/0348839);静電ステアリング(Electrostatic steering)抗体フォーマット(Amgen、EP1870459およびWO 2009089004、Chugai,US201000155133、Oncomed、WO2010129304A2);CrossMAb(Roche、WO2011117329);LUZ-Y(Genentech)、Biclonic(Merus、WO2013157953);二重ターゲティングドメイン(Dual Targeting domain)抗体(GSK/Domantis);ツー・イン・ワン(Two-in-one)抗体または2つの標的を認識する二重作用性Fab(Dual action Fab)(Genentech、NovImmune、Adimab);架橋Mab(Cross-linked Mab)(Karmanos Cancer Center);共有結合で融合されたmAb(covalently fused mAb)(AIMM)、CovX-body(CovX/Pfizer);FynomAb(Covagen/Janssen cilag);DutaMab(Dutalys/Roche);iMab(MedImmune);IgG様二重特異性(IgG-like Bispecific)(ImClone/Eli Lilly、Shen,J.,et al.J Immunol Methods,2007.318(1-2):p.65-74);TIG-body、DIG-bodyおよびPIG-body(Pharmabcine);二重アフィニティーリターゲティング分子(Dual-affinity retargeting molecule)(Fc-DARTまたはIg-DART、Macrogenicsによる、WO/2008/157379、WO/2010/080538);BEAT(Glenmark);Zybodies(Zyngenia);共通軽鎖によるアプローチ(Crucell/Merus、US7262028)または共通重鎖によるアプローチ(NovImmuneによるκλBody、WO2012023053)、ならびにFcドメインを含有する抗体フラグメントに融合されたポリペプチド配列を含む融合タンパク質、例えばscFv融合物、例えばZymoGenetics/BMSによるBsAb、Biogen IdecによるHERCULES(US007951918)、Emergent BioSolutions/TrubionおよびZymoGenetics/BMSによるSCORPIONS、Ts2Ab(MedImmune/AZ(Dimasi, N., et al.J Mol Biol, 2009. 393(3):p.672-92)、Genentech/RocheによるscFv融合物、NovartisによるscFv融合物、ImmunomedicsによるscFv融合物、Changzhou Adam Biotech IncによるscFv融合物(CN 102250246)、RocheによるTvAb(WO 2012025525、WO 2012025530)、f-StarによるmAb2(WO2008/003116)、および二重scFv融合物。また、抗体という用語が、別段の明記がある場合を除き、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(ヒトモノクローナル抗体など)、抗体混合物(組換えポリクローナル)、例えばSymphogenおよびMerusによって開発された技術(Oligoclonics)によって生成するもの、WO2015/158867に記載の多量体型Fcタンパク質、WO2014/031646に記載の融合タンパク質、ならびにキメラ抗体およびヒト化抗体などの抗体様ポリペプチドも包含することも理解すべきである。生成される抗体は潜在的に任意のアイソタイプであることができる。
【0032】
本明細書において使用される「抗原結合領域」、「抗原結合部位」または「抗原結合ドメイン」という用語は、抗体などのポリペプチドのうち、抗原に結合することができる領域を指す。この結合領域は典型的には抗体のVHドメインとVLドメインによって画定され、それらはさらに、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる保存度の高い領域が散在している、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる超可変性領域(すなわち配列が超可変でありうる、かつ/または構造上明確なループを形成しうる、超可変領域)へと細分されうる。抗原は、例えば細胞、細菌またはビリオン上に存在する、ポリペプチドなどの任意の分子であることができる。
【0033】
「細胞付随抗原(cell-associated antigen)」という用語は、本明細書において使用される場合、循環に可溶ではなく、細胞に付随している抗原を指す。一態様において、細胞付随抗原は細胞表面に位置する抗原、例えば細胞表面上に露出している抗原である。別の一態様において、細胞付随抗原は内在性膜タンパク質である。
【0034】
「完全長抗体」という用語は、本明細書において使用される場合、該アイソタイプの野生型抗体に通常見出されるものに対応する重鎖および軽鎖の定常ドメインと可変ドメインとをすべて含有する抗体を指す。
【0035】
本明細書において使用される「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域と定常領域とを有する抗体を包含するものとする。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(例えばインビトロでのランダム変異導入もしくは部位特異的変異導入によって導入されるか、インビボでの体細胞変異によって導入される、変異、挿入または欠失)を含みうる。ただし、本明細書において使用される「ヒト抗体」という用語は、マウスなど別の哺乳動物種の生殖細胞系に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植されている抗体を包含しないものとする。
【0036】
本明細書において使用される「キメラ抗体」という用語は、両鎖タイプが抗体工学の結果としてキメラである抗体を指す。キメラ鎖は、ヒト起源の定常領域に連結された外来可変ドメイン(非ヒト種に起源を持つか、合成物であるか、ヒトを含む任意の種から工学的に作出されたもの)を含有する鎖である。キメラ鎖の可変ドメインは、全体として分析した場合にヒトよりも非ヒト種に近いV領域アミノ酸配列を有する。
【0037】
本明細書において使用される「ヒト化抗体」という用語は、両鎖タイプが抗体工学の結果としてヒト化されている抗体を指す。ヒト化鎖は、典型的には、可変ドメインの相補性決定領域(CDR)は外来(ヒト以外の一種に起源を持つか、合成物であるもの)であるが、その鎖の残りの部分はヒト起源を持つ鎖である。ヒト化の評価は結果として生じたアミノ酸配列に基づき、方法そのものに基づくものではないので、移植以外のプロトコールを使用することも可能である。ヒト化鎖の可変ドメインは、全体として分析した場合に他の種よりもヒトに近いV領域アミノ酸配列を有する。
【0038】
本明細書において使用される「モノクローナル抗体」、「モノクローナルAb」、「モノクローナル抗体組成物」、「mAb」などの用語は、単一分子組成のAb分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、ある特定エピトープに対して単一の結合特異性およびアフィニティーを呈する。したがって「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域と定常領域とを有する、単一の結合特異性を呈するAbを指す。ヒトmAbは、ヒト重鎖トランスジーンレパトアおよび軽鎖トランスジーンレパトアを含むゲノムを有するトランスジェニックマウスなどのトランスジェニック非ヒト動物またはトランスクロモソーマル非ヒト動物から得られるB細胞であって、機能的ヒト抗体を生産するように再配列され、不死化細胞に融合されたB細胞を含む、ハイブリドーマによって生成されうる。
【0039】
本明細書において使用される「アイソタイプ」という用語は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる免疫グロブリンクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA1、IgGA2、IgE、もしくはIgM、またはそれらの任意のアロタイプ、例えばIgG1m(za)およびIgG1m(f))を指す。さらに、各重鎖アイソタイプは、カッパ(κ)軽鎖またはラムダ(λ)軽鎖のどちらか一方と組み合わせることができる。
【0040】
本明細書において使用される「混合アイソタイプ(mixed isotype)」という用語は、あるアイソタイプの構造的特徴を別のアイソタイプからの類似する領域と組み合わせることでハイブリッドアイソタイプを生成させることによって生成した免疫グロブリンのFc領域を指す。混合アイソタイプは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA1、IgGA2、IgE、またはIgMから選択される2つ以上のアイソタイプで構成された配列を有するFc領域を含みうる。これにより、例えばIgG1/IgG3、IgG1/IgG4、IgG2/IgG3またはIgG2/IgG4などの組合せが生じる。
【0041】
本明細書において使用される「抗原」、「標的抗原」または「抗原標的」という用語は、ポリペプチドの抗原結合領域が結合するタンパク質などの分子を指す。抗原分子は1つまたは複数のエピトープを含有することができる。
【0042】
「エピトープ」という用語は、抗体可変ドメインへの特異的結合能を有するタンパク質決定基を意味する。エピトープは通常、アミノ酸、糖側鎖またはそれらの組合せなどといった分子の表面配置からなり、通常は特異的三次元構造特徴および特異的電荷特徴を有する。コンフォメーショナルエピトープと非コンフォメーショナルエピトープは、変性溶媒の存在下では前者への結合が失われるのに対して、後者への結合は失われない点で識別される。エピトープは、結合に直接関与するアミノ酸残基(エピトープの免疫優性構成要素ともいう)と、結合に直接的には関与しない他のアミノ酸残基とを含みうる。
【0043】
本明細書において使用される「アフィニティー」という用語は、ある分子、例えば抗体の、別の分子、例えば標的または抗原への、単一部位での結合の強さ、例えば抗原に対する抗体の個々の抗原結合部位の一価結合の強さである。
【0044】
本明細書において使用される「アビディティー」という用語は、2つの構造間の、例えば同時に相互作用する抗体の複数の抗原結合部位と標的との間の、または例えば抗体とC1qの間の、複数の結合部位の複合的強さを指す。2つ以上の結合相互作用が存在する場合、それら2つの構造は、すべての結合部位が解離した場合にのみ解離することになるので、解離速度は個々の結合部位に関する速度より遅くなり、それにより、個々の結合部位の結合の強度(アフィニティー)と比較して、より強い有効総結合強度(アビディティー)を与える。
【0045】
本発明における「変種」または「ポリペプチド変種」または「抗体変種」とは、参照抗体と比べて1つまたは複数の変異を含むポリペプチド分子または抗体分子である。例示的な参照抗体フォーマットとしては、野生型抗体、例えば野生型IgG1抗体、完全長抗体またはFc含有抗体フラグメント、二重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体またはそれらの任意の組合せが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。例示的な変異として、親アミノ酸配列におけるアミノ酸の欠失、挿入およびアミノ酸の置換が挙げられる。アミノ酸置換では、ネイティブアミノ酸を別の天然アミノ酸または非天然アミノ酸誘導体と交換しうる。アミノ酸置換は保存的または非保存的でありうる。本発明において、保存的置換とは、以下の3つの表のうちの1つまたは複数に表されるアミノ酸クラス内での置換によって定義されうる。
【0046】
保存的置換のためのアミノ酸残基クラス
代替的な保存的アミノ酸置換クラス
アミノ酸残基の代替的な物理的および機能的分類
【0047】
本発明との関連においては、変種中の置換は次のように表示される:
元のアミノ酸-位置-置換アミノ酸。
アミノ酸残基を示すために、コードXaaおよびXを含む3文字コードまたは1文字コードが使用される。したがって「I253G」または「Ile253Gly」という表記は、その変種が、参照抗体における位置253のアミノ酸に対応する変種アミノ酸位置に、グリシンによるイソロイシンの置換を含むことを意味する。
位置そのものが抗体中に存在せず、変種がアミノ酸の挿入を含む場合は、例えば
位置-挿入されたアミノ酸という表記、例えば「253G」が使用される。
【0048】
そのような表記は、一連の相同ポリペプチドまたは相同抗体の改変との関連において、特に適切である。
【0049】
同様に置換アミノ酸残基の実体が重要でない場合は、次のとおりとする:
元のアミノ酸-位置、すなわち「I253」。
【0050】
元のアミノ酸および/または置換アミノ酸が、すべてのアミノ酸ではないが、2つ以上のアミノ酸を含みうる改変、例えば位置253におけるグリシン、リジンまたはアルギニンによるイソロイシンの置換の場合、「Ile253Gly,Lys,Arg」または「I253G,K,R」または「I253G/K/R」または「I253→G,KまたはR」が、本発明との関連においては、相互可換的に使用されうる。
【0051】
さらにまた、「置換」という用語は、他の19種の天然アミノ酸のいずれか1つへの置換、または非天然アミノ酸など、他のアミノ酸への置換を包含する。例えば、位置345におけるアミノ酸Eの置換には、以下の置換のそれぞれが含まれる:345A、345C、345D、345G、345H、345F、345I、345K、345L、345M、345N、345P、345Q、345R、345S、345T、345V、345W、および345Y。これは、345Xという指定と等価であり、ここでXは任意のアミノ酸を表す。これらの置換は、E345A、E345Cなど、またはE345A,Cなど、またはE345A/C/などと表すこともできる。本明細書において言及するどの位置での類例にも同じことがいえ、ここにはそのような置換のいずれか一つが具体的に包含される。
【0052】
本明細書において使用する場合、選択肢または態様の間の「および/または」という用語は、考えうるすべての代替および組合せにわたるものとする。例えば「Aおよび/またはBおよび/またはC」は、以下の態様のすべてにわたるものとする:
-A
-B
-C
-AおよびB
-AおよびC
-BおよびC
-AおよびBおよびC。
【0053】
本明細書において使用される「エフェクター細胞」という用語は、免疫応答の認識相および活性化相ではなく、免疫応答のエフェクター相に関与する免疫細胞を指す。例示的な免疫細胞としては、骨髄系起源またはリンパ系起源の細胞、例えばリンパ球(B細胞および細胞溶解性T細胞(CTL)を含むT細胞など)、キラー細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、単球、好酸球、多形核細胞、例えば好中球、顆粒球、肥満細胞、および好塩基球が挙げられる。一部のエフェクター細胞はFc受容体(FcR)または補体受容体を発現し、特異的免疫機能を実行する。いくつかの態様において、例えばナチュラルキラー細胞などのエフェクター細胞は、ADCCを誘導することができる。例えばFcRを発現する単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞およびクッパー細胞は、標的細胞の特異的な殺滅(killing)、および免疫系の他の構成要素への抗原の提示、または抗原を提示する細胞への結合に関与する。いくつかの態様において、ADCCは、標的細胞での活性化C3フラグメントの沈着をもたらす抗体駆動の古典的補体活性化によってさらに強化されうる。C3切断産物は、骨髄性細胞上に発現するCR3などの補体受容体(CR)に対するリガンドである。エフェクター細胞上のCRによる補体フラグメントの認識は、強化されたFc受容体媒介性ADCCを促進しうる。いくつかの態様では、抗体駆動の古典的補体活性化により、標的細胞上にC3フラグメントが生じる。これらのC3切断産物は補体依存性細胞性細胞傷害(complement-dependent cellular cytotoxicity)(CDCC)を直接促進しうる。いくつかの態様において、エフェクター細胞は標的抗原、標的粒子または標的細胞を貪食しうる。エフェクター細胞における特定FcRまたは補体受容体の発現は、サイトカインなどの体液性因子によって調節されうる。例えばFcγRIの発現は、インターフェロンγ(IFNγ)および/またはG-CSFによってアップレギュレートされることが見出されている。この強化された発現は、標的に対するFcγRI担持細胞の細胞傷害活性を増加させる。エフェクター細胞は標的抗原を貪食するか、標的細胞を貪食もしくは溶解することができる。いくつかの態様では、抗体駆動の古典的補体活性化により、標的細胞上にC3フラグメントが生じる。これらのC3切断産物は、エフェクター細胞による直接的食作用を促進するか、抗体媒介性食作用を強化することによって間接的に促進しうる。
【0054】
本明細書において使用する「Fc媒介性エフェクター機能」という用語は、ポリペプチドまたは抗体が細胞膜上でその標的、例えば抗原に結合した結果である機能を指すものとし、ここでFcエフェクター機能はポリペプチドまたは抗体のFc領域に起因する。Fcエフェクター機能の例としては、(i)C1q結合、(ii)補体活性化、(iii)補体依存性細胞傷害(CDC)、(iv)抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、(v)Fcガンマ受容体結合、(vi)抗体依存性細胞食作用(ADCP)、(vii)補体依存性細胞性細胞傷害(CDCC)、(viii)補体増強細胞傷害(complement-enhanced cytotoxicity)、(ix)抗体によって媒介される補体オプソニン化抗体の補体受容体への結合、(x)オプソニン化、および(xi)(i)~(x)のいずれかの組合せが挙げられる。
【0055】
本明細書において使用される「ベクター」という用語は、ベクター中にライゲートされた核酸セグメントの転写を誘導することができる核酸分子を指す。ベクターの一タイプは「プラスミド」であり、これは環状二本鎖DNAループの形態にある。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、ここでは核酸セグメントをウイルスゲノム中にライゲートすることができる。
【0056】
「宿主細胞」という用語は、トランスフェクションなどによって発現ベクターが導入された細胞を指す。このような用語は、その特定対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫も指すものであると、理解すべきである。宿主細胞としては、例えばCHO細胞、HEK-293細胞、PER.C6、NS0細胞、およびリンパ球系細胞、ならびに大腸菌などの原核細胞、ならびに植物細胞および真菌などの他の真核宿主が挙げられる。
【0057】
本明細書において使用される「オリゴマー」という用語は、少なくとも原理上は無制限な数の単量体からなるポリマーとは異なり、2つ以上ではあるが限られた数の単量体単位(例えば抗体)からなる分子を指す。例示的なオリゴマーは二量体、三量体、四量体、五量体および六量体である。オリゴマー中の単量体単位の数を指定するにはギリシャ語の接頭辞が使用されることが多く、例えばテトラマー(四量体)は4つの単離で構成され、ヘキサマー(六量体)は6つの単位で構成される。
【0058】
本明細書において使用される「オリゴマー化」という用語は、単量体を限定された重合度に変換するプロセスを指すものとする。ここで、本発明の標的結合領域を含む抗体は、例えば細胞表面などでの標的結合後に、Fc領域の非共有結合的会合によって六量体などのオリゴマーを形成できることが観察される。本願に関して、「自己オリゴマー化」(self-oligomerization)、「オートオリゴマー化」(auto-oligomerization)または「ホモオリゴマー化」という用語は、相互可換的に使用することができ、翻訳後改変は考慮に入れずに同一であるタンパク質配列を有する抗体分子間のオリゴマー化のプロセスを指すものとする。本明細書において使用される「ヘテロオリゴマー化」という用語は、翻訳後改変は考慮に入れずに異なるタンパク質配列を有する抗体分子間のオリゴマー化のプロセスを指すものとする。ヘテロオリゴマー化に参加する異なる抗体は、例えば異なる標的タンパク質、異なる標的糖タンパク質、異なる標的グリカン、または異なる標的糖脂質などといった、異なる抗原に結合しうる。
【0059】
「自己オリゴマー化阻害性置換」という用語は、免疫グロブリンのFc領域と抗原結合領域とを含むポリペプチド中の置換であって、翻訳後改変は考慮に入れずに同一であるタンパク質配列を有する抗体分子間のオリゴマー化のプロセスを阻害する置換を指すものとする。自己オリゴマー化の阻害は、実施例5および実施例9に記載の方法に従って測定した場合に、抗体のCDC活性のEC50の増加または最大CDC溶解活性の低減として例証することができる。
【0060】
本明細書において使用される「クラスター化」という用語は、非共有結合相互作用による抗体、ポリペプチド、抗原または他のタンパク質のオリゴマー化を指すものとする。
【0061】
本明細書において使用される「共依存性」という用語は、自己オリゴマー化阻害性置換を持つ2つ以上の異なるポリペプチドの同じ細胞上の標的への同時結合に依存する機能的効果を指すものとする。本発明との関連において、CDC活性などの機能的効果は、第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドの同時結合に依存しうる。すなわちその効果は共依存性であるといわれる。したがって、自己オリゴマー化阻害性置換を有する第1ポリペプチドのCDC活性などのエフェクター機能は、自己オリゴマー化阻害性置換を有する第2ポリペプチドの結合に依存し、ここで、該自己オリゴマー化置換が相補的であるならば共依存性エフェクター機能が存在する。
【0062】
本明細書において使用する場合、2つの抗原に関連して、「共在する(co-located)」またはその文法上の変形は、一つには、2つの抗原が同じ細胞上に同時発現される状況を指すものとそる。抗原は細胞上で既に互いに隣接しているか、または本発明の結合ポリペプチド、例えば抗体のオリゴマー化によって寄せ集められる。さらにまた、「共在する」は、2つの抗原が異なる細胞上に発現しているが、そのような細胞が互いに近接して位置している状況も指すものとする。
【0063】
本明細書において使用される「補体活性化」という用語は、古典的補体経路の活性化を指し、これは、C1と呼ばれる大きな高分子複合体が表面上の抗体-抗原複合体に結合することによって開始される。C1は、6つのヘテロ三量体サブユニットで構成される認識タンパク質C1qと、セリンプロテアーゼのヘテロ四量体C1r2C1s2とからなる複合体である。C1は、C4のC4aおよびC4bへの切断およびC2のC2aおよびC2bへの切断で始まる一連の切断反応を伴う古典的補体カスケードの初期イベントにおける最初のタンパク質複合体である。C4bは沈着してC2aと一緒に、C3コンバターゼと呼ばれる酵素的に活性なコンバターゼを形成し、それが補体成分C3をC3bおよびC3aに切断して、それがC5コンバターゼを形成する。このC5コンバターゼはC5をC5aとC5bに開裂させる。最後の構成要素は膜上に沈着し、次にそれが、終末補体成分C5b、C6、C7、C8およびC9が膜侵襲複合体(MAC)に集合する補体活性化の最後のイベントをトリガーする。この補体カスケードは小孔の生成をもたらし、それによって、補体依存性細胞傷害(CDC)としても公知の細胞溶解が起こる。補体活性化は、C1q効力(C1q efficacy)またはCDCカイネティクス(CDC kinetics)CDCアッセイ(WO2013/004842、WO2014/108198に記載)を使用するか、またはBeurskens et al April 1,2012 vol.188 no.7 3532-3541に記載のC3bおよびC4bの細胞沈着の方法によって評価することができる。
【0064】
本明細書において使用される「補体依存性細胞傷害」(「CDC」)という用語は、抗体が細胞またはビリオン上のその標的に結合したときに、MACアセンブリによって作り出される膜中の小孔の結果として起こる細胞またはビリオンの溶解につながる、抗体媒介性補体活性化のプロセスを指すものとする。CDCは、正常ヒト血清を補体源として、実施例2、3、4、5および6に記載するように抗体濃度系列と共に、またはC1q濃度系列において使用する、CDCアッセイなどのインビトロアッセイによって評価することができる。
【0065】
本明細書において使用される「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」(「ADCC」)という用語は、抗体で被覆された標的細胞または標的ビリオンの、結合した抗体のFc領域を認識するFc受容体を発現する細胞による殺滅の機序を指すものとする。ADCCは、クロム放出ADCCアッセイまたは発光ADCCレポーターバイオアッセイなどのインビトロ法を使って決定することができる。
【0066】
本明細書において使用される「抗体-薬物コンジュゲート」という用語は、少なくとも1タイプの悪性細胞に対する特異性と、薬物と、薬物を例えば抗体にカップリングするリンカーとを有する抗体またはFc含有ポリペプチドを指す。リンカーは悪性細胞の存在下で切断可能または切断不能であり、抗体-薬物コンジュゲートは悪性細胞を殺す。
【0067】
本明細書において使用される「抗体-薬物コンジュゲート取込み」という用語は、抗体-薬物コンジュゲートが細胞上の標的に結合した後、細胞膜による取込み/巻込み(engulfment)が起こり、それによって細胞中に引き込まれるプロセスを指す。抗体-薬物コンジュゲート取込みは、WO 2011/157741に記載の「インビトロ殺滅アッセイにおける抗TF ADCによる抗体媒介性内部移行および細胞殺滅」のように評価しうる。
【0068】
本明細書において使用される「デス受容体」という用語は、DR1、DR2(FASとしても公知である)、DR3、DR4、DR5、DR6、EDARおよびNGFRを含む、細胞内デスドメインを含む腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFR-SF)のメンバーを指す。ヒトにおいて、DR1タンパク質はアミノ酸配列UniprotKB/Swissprot P19438をコードする核酸配列によってコードされ、DR2タンパク質はアミノ酸配列UniprotKB/Swissprot P25445をコードする核酸配列によってコードされ、DR3タンパク質はアミノ酸配列UniprotKB/Swissprot Q93038をコードする核酸配列によってコードされ、DR4タンパク質はアミノ酸配列UniprotKB/Swissprot 000220をコードする核酸配列によってコードされ、DR5タンパク質はアミノ酸配列UniprotKB/Swissprot 014763をコードする核酸配列によってコードされ、DR6タンパク質はアミノ酸配列UniprotKB/Swissprot 075509をコードする核酸配列によってコードされ、EDARタンパク質はアミノ酸配列UniprotKB/Swissprot Q9UNE0をコードする核酸配列によってコードされ、NGFRタンパク質はアミノ酸配列UniprotKB/Swissprot P08138をコードする核酸配列によってコードされる。デスドメイン(DD)は、デスドメインスーパーファミリーに属する周知のタンパク質相互作用モジュールである(Park Apoptosis.2011 Mar;16(3):209-20)。
【0069】
本発明のさらなる局面および態様
上で説明したように、本発明は、ヘテロオリゴマー化がホモオリゴマー化よりも有利になるようにそれぞれのFc領域が改変されている2種の変種Fc領域含有ポリペプチド、第1変種ポリペプチドと第2変種ポリペプチド、典型的には変種抗体が関わる併用処置に向けられる。すなわち、第1変種分子と第2変種分子との間のオリゴマー化は、第1変種分子と第1変種分子との間でのオリゴマー化または第2変種分子と第2変種分子との間でのオリゴマー化よりも有利になる。これは、本明細書にさらに詳述するように、ヒトIgG1のFc領域中の253、310、436、438、439および/または440に対応する位置の改変を導入することによって達成することができる。
【0070】
したがって本発明は、その必要がある対象に、ヒトIgGの第1Fc領域と第1抗原に結合することができる第1抗原結合領域とを含む第1ポリペプチドを、ヒトIgGの第2Fc領域と第2抗原に結合することができる第2抗原結合領域とを含む第2ポリペプチドと組み合わせて投与する工程を含む、疾患または障害を処置する方法に関し、
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KまたはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436QまたはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438GまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KまたはY436R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438KまたはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
ここでアミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応する。
【0071】
本発明の一局面において、第1ポリペプチドはヒトIgG3中のF436に対応するアミノ酸位置のF436N、F436K、F436QまたはF436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438GまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG3中のF436に対応するアミノ酸位置のF436NまたはF436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG3中のF436に対応するアミノ酸位置のF436KまたはF436R変異を含むか、またはその逆である。
【0072】
EUナンバリングで位置436におけるアミノ酸は、IgG1とIgG3との間で保存されていない。したがって、IgG1中のアミノ酸位置436はチロシン(Y)であり、一方、IgG3中のアミノ酸位置436はフェニルアラニン(F)である。
【0073】
本発明の方法の一態様において、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436QまたはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438GまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KまたはY436R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438KまたはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、
ここでアミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応する。
【0074】
本発明の方法の一態様において、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436QまたはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438GまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここでアミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応する。
【0075】
本発明の方法の一態様において、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436K変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438RまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここでアミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応する。
【0076】
上で説明したように、Fc領域はヒトIgG1のものであることができるが、異なるヒトIgG、例えばIgG2、IgG3またはIgG4のものであることもできる。図1に、ヒトIgG2、IgG3およびIgG4中のどの位置がIgG1中のどの位置に対応するかを示す。
【0077】
本発明において使用されるポリペプチドのFc領域は、抗体のそれのように、2つの重鎖で構成される。Fc領域中の一定の変異が指定された場合に、該変異はFc領域の両方の鎖に存在すると理解されるべきである。
【0078】
本発明の方法の一態様において、
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KまたはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である。
【0079】
本発明の方法の一態様において、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436K変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438R変異を含むか、またはその逆である。
【0080】
本発明の方法の一態様において、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438R変異を含むか、またはその逆である。
【0081】
本発明の方法の一態様において、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆である。
【0082】
本発明の方法の一態様において、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ436に対応するアミノ酸位置のQ436K変異を含むか、またはその逆である。
【0083】
本発明の方法の一態様において、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438R変異を含むか、またはその逆である。
【0084】
本発明の方法の一態様において、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆である。
【0085】
本発明の方法の一態様において、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆である。
【0086】
本発明の方法の一態様において、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のY438N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆である。
【0087】
本発明の方法の別の一態様において、
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KまたはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436QまたはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438GまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KまたはY436R変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438KまたはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆である。
【0088】
本発明の方法の別の一態様において、
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KまたはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である。
【0089】
本発明の方法の別の一態様において、
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436QまたはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438GまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KまたはY436R変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438KまたはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である。
【0090】
本発明の方法の別の一態様において、
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KまたはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436QまたはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438GまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KまたはY436R変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438KまたはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である。
【0091】
本発明の方法のさらなる一態様において、第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドは選択肢(c)において指定される変異を含まないが、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異をさらに含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異をさらに含むか、またはその逆である。
【0092】
本発明の方法の別の一態様において、
(i)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(ii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(iii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(iv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(v)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(vi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(vii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
(viii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(ix)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(x)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xiii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xiv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xvi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xvii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xviii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xix)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xx)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xxi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xxii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である。
【0093】
本発明の方法の好ましい態様において、
(i)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(ii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
(iii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(iv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(v)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
(vi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(vii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である。
【0094】
本発明の方法の一態様において、
(i)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436K変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438R変異を含むか、またはその逆であり、かつ
(ii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である。
【0095】
本発明の方法の一態様において、
(i)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、かつ
(ii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である。
【0096】
本発明の方法の一態様において、
(i)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のY438N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、かつ
(ii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である。
【0097】
以下の表は、特異的変異を持つ第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとの組合せを記載した本発明の方法の態様の非限定的一覧である。したがって例えば下記表の態様1は、ヒトIgG1中のそれぞれI253およびK439に対応する位置にI253G変異およびK439E変異を含む第1ポリペプチドと、ヒトIgG1中のそれぞれH310およびS440に対応する位置にH310R変異およびS440K変異を含む第2ポリペプチドとの組合せである。本明細書に記載するとおり、態様1~288のすべての第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドは、任意で、オリゴマー化強化変異、例えばE430Gなどといった、さらなる変異を含むことができる。
【0098】
任意のさらなる改変
いくつかの態様では、本発明において使用される一方または両方のポリペプチドが、六量体化などのオリゴマー化を強化するさらなる変異を含む。そのような変異は例えばWO2013/004842およびWO2014/108198に記載されている。そのようなさらなる変異を含めることにより、ヘテロ六量体などのヘテロオリゴマーを形成する第1ポリペプチドと第2ポリペプチドの傾向が、より一層強化されるだろう。ポリペプチド間のFc-Fc相互作用を強化し、それによってオリゴマー形成を強化するアミノ酸変異の例は、E430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440W、S440Y、T437RおよびK248Eである。したがってそのような変異は六量体形成などのオリゴマー形成を促進または強化し、それらをFc-Fc相互作用強化変異、六量体化強化変異または自己オリゴマー化強化変異と記載することもできる。
【0099】
したがっていくつかの態様において、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のE430、E345、S440、T437またはK248に対応するアミノ酸位置の変異をさらに含み、かつ/または第2ポリペプチドはヒトIgG1中のE430、E345、S440、T437またはK248に対応するアミノ酸位置の変異をさらに含むか、またはその逆である。ただし、第1ポリペプチドまたは第2ポリペプチドがK439E、K439D、S440K、S440RまたはS440H変異を含む場合、該ポリペプチド中の該さらなる変異は、位置S440にはないものとする。
【0100】
これらの対応の一部において、第1ポリペプチド中の該さらなる変異は、E430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440WおよびS440Yからなる群より選択される。
【0101】
これらの対応の一部において、第2ポリペプチド中の該さらなる変異は、E430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440WおよびS440Yからなる群より選択される。
【0102】
これらの対応の一部において、第1ポリペプチド中の該さらなる変異はE430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440WおよびS440Yからなる群より選択され、かつ第2ポリペプチド中の該さらなる変異はE430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440WおよびS440Yからなる群より選択され、
かつ/または
第1ポリペプチドはT437R変異およびK248E変異を含み、かつ/または第2ポリペプチドはT437R変異およびK248E変異を含む。
【0103】
いくつかの態様において、第1ポリペプチド中の該さらなる変異はE430G、E345KおよびE345Rからなる群より選択され、かつ第2ポリペプチド中の該さらなる変異はE430G、E345KおよびE345Kからなる群より選択される。さらなる変異は、第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドのための群から独立して選択されうる。
【0104】
いくつかの態様において、第1ポリペプチド中の該さらなる変異はE430GおよびE345Kからなる群より選択され、かつ第2ポリペプチド中の該さらなる変異はE430GおよびE345Kからなる群より選択される。好ましい一態様において、第1ポリペプチド中の該さらなる変異はE430Gであり、第2ポリペプチド中の該さらなる変異はE430Gである。一態様において、第1ポリペプチド中の該さらなる変異はE345Kであり、第2ポリペプチド中の該さらなる変異はE345Kである。一態様において、第1ポリペプチド中の該さらなる変異はE345Rであり、第2ポリペプチド中の該さらなる変異はE345Rである。
【0105】
一態様において、第1ポリペプチドはT437R変異およびK248E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはT437R変異およびK248E変異を含む。
【0106】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドはE430G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはE430G変異を含む。
【0107】
本発明の別の一態様において、
(i)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(ii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
(iii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(iv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(v)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
(vi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(vii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(viii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK430またはE345に対応するアミノ酸位置のE430G、E345KまたはE345R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のK430またはE345に対応するアミノ酸位置のE430G、E345KまたはE345R変異を含むか、またはその逆である。
【0108】
E430G、E345KまたはE345R変異は、第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドについて、独立して選択されうる。したがって第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドは、E430G、E345KまたはE345Rからなる群より選択される同じ変異または異なる変異を有する。
【0109】
本発明の別の一態様において、
(i)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436K変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438R変異を含むか、またはその逆であり、かつ
(ii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、かつ
(iii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK430またはE345に対応するアミノ酸位置のE430GまたはE345K変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のK430またはE345に対応するアミノ酸位置のE430GまたはE345R変異を含むか、またはその逆である。
【0110】
本発明の別の一態様において、
(i)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436K変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438R変異を含むか、またはその逆であり、かつ
(ii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、かつ
(iii)第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドはヒトIgG1中のK430に対応するアミノ酸位置のE430G変異を含む。
【0111】
本発明の別の一態様において、第1ポリペプチドはY436N、K439EおよびE430G変異を含み、アミノ酸位置はヒトIgG1中のそれぞれY436、K439およびE430に対応し、かつ第2ポリペプチドはQ438R、S440KおよびE430G変異を含み、アミノ酸位置はヒトIgG1中のQ438、S440およびE430に対応するか、またはその逆である。
【0112】
本発明の別の一態様において、第1ポリペプチドはY436K、K439EおよびE430G変異を含み、アミノ酸位置はヒトIgG1中のそれぞれY436、K439およびE430に対応し、かつ第2ポリペプチドはQ438N、S440KおよびE430G変異を含み、アミノ酸位置はヒトIgG1中のQ438、S440およびE430に対応するか、またはその逆である。
【0113】
本発明の別の一態様において、第1ポリペプチドはY436K、K439EおよびE430G変異を含み、アミノ酸位置はヒトIgG1中のそれぞれY436、K439およびE430に対応し、かつ第2ポリペプチドはQ438R、S440KおよびE430G変異を含み、アミノ酸位置はヒトIgG1中のQ438、S440およびE430に対応するか、またはその逆である。
【0114】
いくつかの態様では、本発明において使用される一方または両方のポリペプチドが、エフェクター機能、例えばCDCまたはADCCなどのFc媒介性エフェクター機能を誘導または媒介するポリペプチドの能力を変化させるさらなる変異を含む。そのような能力の変化は、エフェクター機能を誘導する能力の増加、またはエフェクター機能を誘導する能力の減少であることができる。いくつかの態様において、本発明で使用される一方または両方のポリペプチドは、Fcガンマ受容体に結合するポリペプチドの能力を変化させるさらなる変異を含む。エフェクター機能を誘導する抗体の能力および/またはFcガンマ受容体に結合する抗体の能力を変化させる変異は当技術分野において記載されている。そのようなさらなる変異を含めることにより、エフェクター機能を誘導する第1変種ポリペプチドおよび第2変種ポリペプチドの傾向が増加または減少し、よって所与の状況において望まれるものに応じて調整されうる。例えばヘテロオリゴマーの効力をより一層増進するために、CDCを誘導するポリペプチドの能力を増加させる変異を導入することが望ましい場合がある。他のいくつかの状況では、例えば、CDCを誘導する能力を低減する変異を導入することによって、ホモオリゴマーの毒性をさらに低減することが優先事項になりうる。
【0115】
したがって本発明のいくつかの態様では、該さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較してFc媒介性エフェクター機能などのエフェクター機能を誘導する能力が変化するように、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドがさらに改変されている。
【0116】
いくつかの態様では、該さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較して抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を誘導する能力が変化するように、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドがさらに改変されている。
【0117】
別の態様では、該改変以外は同一であるポリペプチドと比較して補体依存性細胞傷害を誘導する能力が変化するように、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドがさらに改変されている。
【0118】
ポリペプチドのフォーマット
上述のように、本発明の方法の好ましい一態様において、第1ポリペプチドは抗体である。本発明の別の好ましい一態様において、第2ポリペプチドは抗体である。より好ましい一態様において、第1ポリペプチドは抗体であり、かつ第2ポリペプチドは抗体である。
【0119】
さらなる一態様において、第1ポリペプチドは完全長抗体であり、かつ/または第2ポリペプチドは完全長抗体である。
【0120】
Fc領域または抗体は、任意のIgGアイソタイプ、例えばIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4のものであってよい。本発明の一態様において、ポリペプチドまたは抗体は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4アイソタイプであるFc領域を有する。本発明の一態様において、Fc領域は混合アイソタイプ、例えばIgG1/IgG2、IgG1/IgG3、IgG1/IgG4、IgG2/IgG3、IgG2/IgG4およびIgG3/IgG4からなる群より選択される混合アイソタイプである。混合アイソタイプでは、Fc領域が2つ以上のアイソタイプからのアミノ酸配列で構成される。
【0121】
好ましい態様において、第1ポリペプチドはIgG1抗体であり、かつ/または第2ポリペプチドはIgG1抗体である。
【0122】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドは、SEQ ID NO:22、23、24、25、31、32および33に記載の配列を含む第1Fc領域および/または第2Fc領域を含み、該配列には少なくとも1つの本発明の変異が導入されている。第1Fc領域および第2Fc領域は、SEQ ID NO:22、23、24、25、31、32および33に記載の配列から独立して選択されうる。したがって第1Fc領域および第2Fc領域は同じ親配列のものまたは異なる親配列のものでありうる。
【0123】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドは、SEQ ID NO:22、23、24および25に記載の配列を含む第1Fc領域および/または第2Fc領域を含み、該配列には少なくとも1つの本発明の変異が導入されている。
【0124】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドは、SEQ ID NO:22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32および33からなる群より選択される配列を含む第1Fc領域を含み、該配列には少なくとも1つの本発明の変異が導入されている。本発明の一態様において、第2ポリペプチドは、SEQ ID NO:22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32および33からなる群より選択される配列を含む第2Fc領域を含み、該配列には少なくとも1つの本発明の変異が導入されている。
【0125】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドは、SEQ ID NO:22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32および33からなる群より選択される配列を含む第1Fc領域を含み、少なくとも2つの本発明の変異または少なくとも3つの本発明の変異が導入されている。本発明の一態様において、第2ポリペプチドは、SEQ ID NO:22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32および33からなる群より選択される配列を含む第2Fc領域を含み、少なくとも2つの本発明の変異または少なくとも3つの本発明の変異が導入されている。
【0126】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドは、SEQ ID NO:63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、74、75、76、77、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110からなる群より選択される配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドは、SEQ ID NO:63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、74、75、76、77、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110からなる群より選択される配列を含む第2Fc領域を含む。
【0127】
本発明の一態様において、
(i)第1ポリペプチドは、74、76、79および81からなる群より選択される配列を含む第1Fc領域を含み、かつ
(ii)第2ポリペプチドは、75、77、80および82からなる群より選択される配列を含む第2Fc領域を含むか、またはその逆であり、
第1Fc領域および第2Fc領域は、多くて5個、例えば多くて4個、例えば多くて3個、例えば多くて2個、例えば多くて1個のさらなる変異を有する。
【0128】
本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:63に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:64に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:65に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:66に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:67に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:68に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:69に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:70に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:71に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:72に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:74に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:75に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:76に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:77に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:79に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:80に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:81に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:82に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:83に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:84に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:85に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:86に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:87に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:88に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:89に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:90に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:91に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:92に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:93に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:94に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:95に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:96に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:97に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:98に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:99に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:100に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:101に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:102に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:103に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:104に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:105に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:106に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:107に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:108に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:109に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:110に記載の配列を含む第1Fc領域を含む。
【0129】
本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:63に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:64に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:65に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:66に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:67に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:68に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:69に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:70に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:71に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:72に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:74に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:75に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:76に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:77に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:79に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:80に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:81に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:82に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:83に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:84に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:85に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:86に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:87に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:88に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:89に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:90に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:91に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:92に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:93に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:94に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:95に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:96に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:97に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:98に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:99に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:100に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:101に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:102に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:103に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:104に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:105に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:106に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:107に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:108に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:109に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:110に記載の配列を含む第2Fc領域を含む。
【0130】
上述のように、本発明のいくつかの態様では、ポリペプチドまたは抗体のエフェクター機能または他の特性を誘導/媒介するポリペプチドまたは抗体の能力を変化させるさらなる変異を、Fc領域に導入しうる。そのような他の特性は血漿クリアランスであってもよく、そのような改変に関連する変異は当業者には周知である。
【0131】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:22、23、24、25、31、32および33からなる群より選択される配列を含む第1Fc領域を含み、多くて10個の変異が導入されている。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:22、23、24、25、31、32および33からなる群より選択される配列を含む第2Fc領域を含み、多くて10個の変異が導入されている。該配列に導入される前記多くて10個の変異は本発明に従って導入されるアミノ酸変異を含みうる。
【0132】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:22に記載の配列を含む第1Fc領域を含み、多くて10個の変異が導入されている。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:23に記載の配列を含む第1Fc領域を含み、多くて10個の変異が導入されている。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:24に記載の配列を含む第1Fc領域を含み、多くて10個の変異が導入されている。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:25に記載の配列を含む第1Fc領域を含み、多くて10個の変異が導入されている。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:31に記載の配列を含む第1Fc領域を含み、多くて10個の変異が導入されている。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:32に記載の配列を含む第1Fc領域を含み、多くて10個の変異が導入されている。本発明の一態様において、第1ポリペプチドはSEQ ID NO:32に記載の配列を含む第1Fc領域を含み、多くて10個の変異が導入されている。
【0133】
本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:22に記載の配列を含む第2Fc領域を含み、多くて10個の変異が導入されている。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:23に記載の配列を含む第2Fc領域を含み、多くて10個の変異が導入されている。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:24に記載の配列を含む第2Fc領域を含み、多くて10個の変異が導入されている。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:25に記載の配列を含む第2Fc領域を含み、多くて10個の変異が導入されている。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:31に記載の配列を含む第2Fc領域を含み、多くて10個の変異が導入されている。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:32に記載の配列を含む第2Fc領域を含み、多くて10個の変異が導入されている。本発明の一態様において、第2ポリペプチドはSEQ ID NO:32に記載の配列を含む第2Fc領域を含み、多くて10個の変異が導入されている。
【0134】
本発明の一態様では、多くて10個の変異、例えば多くて9個の変異、例えば多くて8個の変異、例えば多くて7個の変異、例えば多くて6個の変異、例えば多くて5個の変異、例えば多くて4個の変異、または例えば多くて3個の変異が導入されている。
【0135】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドはSEQ ID NO:22、23、24、25、31、32および33からなる群より選択される配列を含む第1Fc領域および第2Fc領域を含み、多くて10個の変異、例えば多くて9個の変異、例えば多くて8個の変異、例えば多くて7個の変異、例えば多くて6個の変異、例えば多くて5個の変異、例えば多くて4個の変異、または例えば多くて3個の変異が導入されている。
【0136】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドはSEQ ID NO:22に記載の配列を含む第1Fc領域および第2Fc領域を含み、多くて10個の変異、例えば多くて9個の変異、例えば多くて8個の変異、例えば多くて7個の変異、例えば多くて6個の変異、例えば多くて5個の変異、例えば多くて4個の変異、または例えば多くて3個の変異が導入されている。
【0137】
さらなる態様において、第1抗体はヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体であり、かつ/または第2抗体はヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体である。
【0138】
本発明のポリペプチドは、天然の、例えばヒトFcドメインを有する抗体などのポリペプチドに限定されず、本発明の変異以外の変異、例えばグリコシル化に影響を及ぼす変異、または抗体が二重特異性抗体であることを可能にする変異などを有するポリペプチドであってもよい。「天然の抗体」という用語は、天然には存在しない遺伝的に導入された変異を一切含まない任意の抗体を意味する。したがって、天然に存在する改変を含む抗体、例えば異なるアロタイプは、本発明の意味では「天然の抗体」であると理解され、それゆえに親抗体であると理解することができる。そのような抗体は、本発明による1つまたは複数の変異のためのテンプレートとして役立ち、それにより、本発明の変種抗体を提供しうる。
【0139】
本発明において使用されるポリペプチドまたは抗体は指定された変異を有するが、ポリペプチドまたは抗体に追加の機能を導入するための追加の変異も有しうる。一態様において、Fc領域は、多くて10個の変異、例えば9個の変異、例えば8個の変異、例えば7個の変異、例えば6個の変異、例えば5個の変異、例えば4個の変異、例えば3個の変異、または例えば2個の変異を含む。追加の変異は、Fc-Fc相互作用に関与しない位置およびFcエフェクター機能に関与しない位置におけるFc領域のバリエーションも可能にする。さらに、前述のように、追加の変異は対立遺伝子のバリエーションによるものであってもよい。
【0140】
したがって本発明の一態様において、ポリペプチドまたは抗体は、IgG1m(f)、IgG1m(a)、IgG1m(z)、IgG1m(x)アロタイプまたは混合アロタイプであるFc領域を有する。
【0141】
本発明において使用されるポリペプチドまたは抗体は、単一特異性または多重特異性、例えば二重特異性であってよい。したがって一態様において、第1抗体は二重特異性であり、かつ/または第2ポリペプチドは二重特異性である。
【0142】
標的抗原、標的細胞および処置される疾患
上で説明したように、本発明は、所望の標的細胞集団に対する抗体処置の選択性を改良するために使用することができる方法を提供する。
【0143】
本発明の方法は、第1抗原結合ポリペプチドおよび第2抗原結合ポリペプチドによる処置に関し、前記2種の抗体は2つの異なる標的抗原(第1抗原および第2抗原)に結合し、抗体のFc領域は、前記2種の抗体のヘテロオリゴマー化がホモオリゴマー化よりも著しく有利になるように改変されている。これらの改変の結果として、両方の抗原標的を発現する(2種の抗体の効率のよい(ヘテロ)オリゴマー化を可能にする)細胞では、標的のうちの一方しか発現しない(非効率的な(ホモ)オリゴマー化をもたらす、または(ホモ)オリゴマー化をもたらさない)細胞よりも、多くの抗体オリゴマー化が起こるだろう。オリゴマー化は一般に抗体の効力を強化するので、抗体併用処置は、標的のうちの一方しか発現しない細胞に対する効力よりも、標的を共発現する細胞に対する効力の方が強くなるだろう。このように、本抗体併用処置は、両方の標的抗原を発現する細胞または組織に対して、改良された選択性を有する。したがって、所望の標的細胞集団では共発現するが標的にすべきでない細胞集団では共発現しないか共発現量が少ない2種の抗原を選択することにより、所望の標的細胞集団に対して選択的効果を有するであろう複合的抗体処置を設計することができる。
【0144】
したがって、本発明の方法の好ましい一態様において、第1抗原および第2抗原は、どちらも細胞表面に露出している分子およびリガンドである。シグナル伝達経路を活性化、阻害、調整および/または調節する標的抗原は本発明の標的として特に適しうる。
【0145】
以下のタンパク質クラスも、本発明の第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドにとっての抗原-結合標的として特に適しうる:腫瘍壊死受容体(tumor necrosis receptor)スーパーファミリー、GPIアンカータンパク質、造血因子受容体ファミリー、サイトカイン受容体ファミリー、セリン/スレオニンキナーゼ受容体ファミリー、ヒドロラーゼおよびレギュレーター(Hydrolases and regulator)スーパーファミリー、ホルモン受容体ファミリー、B7ファミリー関連タンパク質、免疫グロブリンスーパーファミリー、インターロイキン受容体ファミリー、インテグリン、Ig様細胞接着分子ファミリー、受容体型タンパク質チロシンホスファターゼ、C型レクチン、テトラスパニン、膜貫通4ドメイン(Membrane spanning 4-domains)、インターロイキン受容体、活性化白血球免疫グロブリン様受容体(Activating leukocyte immunoglobulin like receptor)、C-Cモチーフケモカイン受容体、Gタンパク質共役受容体、Toll様受容体、受容体チロシンキナーゼ。本発明の一態様において、第1抗原結合領域および第2抗原結合領域は、同じタンパク質クラスからの標的抗原に結合することができる。本発明の一態様において、第1抗原結合領域および第2抗原結合領域は、異なるタンパク質クラスからの標的抗原に結合することができる。
【0146】
本発明の一態様において、第1抗原結合領域はGPIアンカータンパク質のタンパク質クラスからの標的抗原に結合することができ、第2抗原結合領域はテトラスパニンのタンパク質クラスからの標的抗原に結合することができる。本発明の一態様において、第1抗原結合領域はテトラスパニンのタンパク質クラスからの標的抗原に結合することができ、第2抗原結合領域はGPIアンカータンパク質のタンパク質クラスからの標的抗原に結合することができる。
【0147】
本発明の一態様において、第1抗原結合領域はGPIアンカータンパク質のタンパク質クラスからの標的抗原に結合することができ、第2抗原結合領域は膜貫通4ドメインのタンパク質クラスからの標的抗原に結合することができる。本発明の一態様において、第1抗原結合領域は膜貫通4ドメインのタンパク質クラスからの標的抗原に結合することができ、第2抗原結合領域はGPIアンカータンパク質のタンパク質クラスからの標的抗原に結合することができる。
【0148】
本発明の一態様において、第1抗原結合領域は膜貫通4ドメインのタンパク質クラスからの標的抗原に結合することができ、第2抗原結合領域はテトラスパニンのタンパク質クラスからの標的抗原に結合することができる。
【0149】
CD20は膜貫通4ドメインのタンパク質クラスの一例である。実施例に膜貫通4ドメインのタンパク質クラスに関する本発明の使用を例示する。
【0150】
CD37はテトラスパニンのタンパク質クラスの一例である。実施例にテトラスパニンのタンパク質クラスに関する本発明の使用を例示する。
【0151】
本発明の一態様において、第1抗原結合領域は腫瘍壊死受容体スーパーファミリーのタンパク質クラスからの標的抗原に結合することができ、第2抗原結合領域は腫瘍壊死受容体スーパーファミリーのタンパク質クラスからの標的抗原に結合することができる。
【0152】
本発明の一態様において、第1抗原結合領域は腫瘍壊死受容体スーパーファミリーのタンパク質クラスからの標的抗原に結合することができ、第2抗原結合領域は免疫グロブリンスーパーファミリーのタンパク質クラスからの標的抗原に結合することができる。
【0153】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドは第1抗原結合領域および/または第2抗原結合領域を含み、抗原結合領域は腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFR-SF)、Gタンパク質共役受容体(GPCR)スーパーファミリー、膜貫通4ドメインまたは膜テトラスパニンのメンバーに結合する。
【0154】
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRなど、いくつかのTNFRSFはアポトーシスに関与し、細胞内デスドメインを含有する。DcR1、DcR2、DcR3、OPG、TROY、XEDAR、LTbR、HVEM、TWEAKR、CD120b、OX40、CD40、CD27、CD30、4-1BB、RANK、TACI、BLySR、BCMA、GITR、RELTなど、他のTNFRSFは、増殖、生存および分化などといった他のシグナル伝達経路に関与する。TNF受容体は哺乳動物では多種多様な組織において、とりわけ白血球において発現する。
【0155】
DR5はTNFRSF受容体クラスの一例である。実施例19にTNFRSF受容体クラスに関する本発明の使用を例示する。
【0156】
本発明の一態様において、第1抗原結合領域および/または第2抗原結合領域は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDAR、NGFR、OX40、CD40、CD30、CD27、4-1BB、RANK、TACI、BLySR、BCMA、RELTおよびGITRからなる群より選択されるTNFR-SFのメンバーに結合する。
【0157】
本発明の一態様において、第1抗原結合領域はDR5に結合する。本発明の一態様において、第2抗原結合領域はDR5に結合する。
【0158】
本発明の一態様において、第1抗原結合領域および/または第2抗原結合領域は、細胞内デスドメインを含まないTNFR-SFのメンバーに結合する。本発明の一態様において、TNFR-SFはOX40、CD40、CD30、CD27、4-1BB、RANK、TACI、BLySR、BCMA、RELTおよびGITRの群から選択される。本発明の一態様において、TNFR-SFは、FAS、DR4、DR4、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRの群から選択される。
【0159】
本発明のポリペプチドは任意の標的に結合しうる。対象となりうるそのような本発明の標的または抗原の例は、TNFR1、FAS、DR3、DR4、DR5、DR6、NGFR、EDAR、DcR1、DcR2、DcR3、OPG、TROY、XEDAR、LTbR、HVEM、TWEAKR、CD120b、OX40、CD40、CD27、CD30、4-1BB、RANK、TACI、BLySR、BCMA、GITR、RELTである。
【0160】
本発明の一態様において、第1抗原結合領域はCAMPATH-1に結合する。本発明の一態様において、第2抗原結合領域はCAMPATH-1に結合する。
【0161】
本発明の一態様において、第1抗原結合領域はCD20に結合する。本発明の一態様において、第2抗原結合領域はCD20に結合する。
【0162】
本発明の一態様において、第1抗原結合領域はCD37に結合する。本発明の一態様において、第2抗原結合領域はCD37に結合する。
【0163】
本発明の一態様において、第1抗原結合領域はCAMPATH-1に結合し、かつ第2抗原結合領域はCD20に結合するか、またはその逆である。
【0164】
本発明の一態様において、第1抗原結合領域はCD37に結合し、かつ第2抗原結合領域はCD20に結合するか、またはその逆である。
【0165】
本発明の方法の好ましい一態様において、第1抗原および第2抗原は、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織である細胞または組織において共在する。好ましい処置されるべき疾患はがんである。
【0166】
さらに好ましい一態様において、
(a)第1抗原および第2抗原は、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織ではない細胞または組織において共在しないか、または
(b)第1抗原および第2抗原は、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織ではない細胞または組織では、共在する程度が、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織である細胞または組織よりも低い。
【0167】
本発明の方法の一態様において、第1抗原および第2抗原は同一ではなく、どちらもが細胞内デスドメインを含むデス受容体であることはない。別の一態様において、第1抗原と第2抗原はどちらもデス受容体ではない。
【0168】
増加した効力は、2種の標的抗原が同じ細胞上に共発現する場合に得られるだけでなく、標的細胞が近接している他の状況でも得られるだろうと考えられる。
【0169】
投薬量、投与様式および併用療法
本発明は、疾患または障害を処置する方法を提供し、本方法は、その必要がある対象に本明細書記載のポリペプチドを投与する工程を含む。一態様において、対象はヒトである。本発明の方法では有効量のポリペプチドが投与される。
【0170】
「処置」または「処置する」とは、症状または疾患状態を軽減し、改善し、停止しまたは根絶する(治癒させる)目的で、有効量の、本発明の治療的に活性なポリペプチドを投与することを指す。
【0171】
「有効量」または「治療有効量」とは、所望の治療結果を達成するのに、必要な投薬量および期間で、有効な量を指す。抗体などのポリペプチドの治療有効量は、個体の病期、年齢、性別および体重、ならびに個体において所望の応答を引き出す抗体の能力などといった因子に応じて変動しうる。また、治療有効量とは、抗体または抗体部分の治療上有益な効果が抗体または抗体部分のいかなる毒性効果または有害効果をも凌ぐ量である。
【0172】
好ましくは、第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドは、一定の時間間隔内で、例えば5日以内、2日以内、1日以内、12時間以内、6時間以内、2時間以内、1時間以内に逐次的に投与されるか、または同時に投与される。一方のポリペプチドを他方のポリペプチドよりも頻繁に投与してもよい。
【0173】
投与は任意の適切な経路で実行してよいが、典型的には非経口投与、例えば静脈内、筋肉内または皮下投与であるだろう。
【0174】
抗体などのポリペプチドに関する有効投薬量および投薬レジメンは処置されるべき疾患または状態に依存し、当業者によって決定されうる。本発明の抗体の治療有効量の例示的な非限定的範囲は、約0.1~100mg/kg、例えば約0.1~50mg/kg、例えば約0.1~20mg/kg、例えば約0.1~10mg/kg、例えば約0.5、約0.3、約1、約3、約5または約8mg/kgである。
【0175】
本発明において投与されるときの第1ポリペプチドと第2ポリペプチドのモル比は、それらが結合する標的抗原と、標的細胞集団に対するそれらの選択性の程度に応じて変動しうる。本発明の方法の一態様において、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドは、1:50~50:1のモル比、例えば1:1のモル比、1:2のモル比、1:3のモル比、1:4のモル比、1:5のモル比、1:6のモル比、1:7のモル比、1:8のモル比、1:9のモル比、1:10のモル比、1:15のモル比、1:20のモル比、1:25のモル比、1:30のモル比、1:35のモル比、1:40のモル比、1:45のモル比、1:50のモル比、50:1のモル比、45:1のモル比、40:1のモル比、35:1のモル比、30:1のモル比、25:1のモル比、20:1のモル比、15:1のモル比、10:1のモル比、9:1のモル比、8:1のモル比、7:1のモル比、6:1のモル比、5:1のモル比、4:1のモル比、3:1のモル比、2:1のモル比、または等モル比で投与される。
【0176】
好ましい一態様において、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドは、1:50~50:1のモル比、例えば1:1のモル比、1:2のモル比、1:3のモル比、1:4のモル比、1:5のモル比、1:6のモル比、1:7のモル比、1:8のモル比、1:9のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:10のモル比、1:15のモル比、1:20のモル比、1:25のモル比、1:30のモル比、1:35のモル比、1:40のモル比、1:45のモル比、1:50のモル比、50:1のモル比、45:1のモル比、40:1のモル比、35:1のモル比、30:1のモル比、25:1のモル比、20:1のモル比、15:1のモル比、10:1のモル比、9:1のモル比、8:1のモル比、7:1のモル比、6:1のモル比、5:1のモル比、4:1のモル比、3:1のモル比、2:1のモル比で投与される。
【0177】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドは、約1:50~50:1のモル比、例えば約1:40~40:1のモル比、例えば約1:30~30:1のモル比、例えば約1:20~20:1のモル比、例えば約1:10~10:1のモル比、例えば約1:9~9:1のモル比、例えば約1:5~5:1のモル比で投与される。
【0178】
本発明のポリペプチドまたは抗体は、併用治療として、すなわち処置される疾患または状態に関連する他の治療剤と組み合わせて、投与してもよい。したがって一態様において、抗体含有医薬は、1種または複数種のさらなる治療剤、例えば細胞毒性剤、化学療法剤または抗血管新生剤と併用するための医薬である。そのような併用投与は同時、個別または逐次的であることができる。
【0179】
さらなる一態様において、本発明は、がんなどの疾患を処置または防止するための方法を提供し、本方法は、、その必要がある対象に、治療有効量の本発明の変種または薬学的組成物を放射線治療および/または外科手術と組み合わせて投与する工程を含む。
【0180】
本発明の一態様において、本明細書に開示する任意の局面または態様による方法は、追加の治療作用物質をさらに投与する工程に関する。本発明の一態様において、追加の治療作用物質は、化学療法剤(パクリタキセル、テモゾロミド、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、イリノテカン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル、ペメトレキセドを含むが、それらに限定されるわけではない)、キナーゼ阻害剤(ソラフェニブ、スニチニブまたはエベロリムスを含むが、それらに限定されるわけではない)、アポトーシス調整剤(組換えヒトTRAILまたはビリナパントを含むが、それらに限定されるわけではない)、RAS阻害剤、プロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブを含むが、それに限定されるわけではない)、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(ボリノスタットを含むが、それに限定されるわけではない)、機能性食品、サイトカイン(IFN-γを含むが、それに限定されるわけではない)、抗体または抗体ミメティック(抗EGFR、抗IGF-1R、抗VEGF、抗CD20、抗CD38、抗HER2、抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA4、抗CD40、抗CD137、抗GITR抗体および抗体ミメティックを含むが、それらに限定されるわけではない)、抗体-薬物コンジュゲートからなる群より選択される1つまたは複数の抗がん作用物質である。
【0181】
ポリペプチド
上で説明したように、さらなる一局面において本発明は、組み合わせることでホモオリゴマー化よりヘテロオリゴマー化が有利になるように、適切な「カウンターパート(counterpart)」ポリペプチドと組み合わせて、本発明の方法において使用することができるポリペプチドに関する。
【0182】
したがって、本発明は、ヒトIgGのFc領域と抗原に結合することができる抗原結合領域とを含むポリペプチドに関し、
(a)ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G、I253K、もしくはI253R変異、または
ヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310RもしくはH310D変異
および/または
(b)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異、または
ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異
および/または
(c)ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異、または
ヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含み、ここでアミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応し、ポリペプチドがS440K変異を含む場合は、選択肢(a)および(b)において指定される他の変異も少なくとも1つは存在するものとする。
【0183】
一態様において、ポリペプチドは、
(a)ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G、I253K、もしくはI253R変異、または
ヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310RもしくはH310D変異、および
(b)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異、または
ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異
を含む。
【0184】
別の一態様において、ポリペプチドは、
(a)ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G、I253K、もしくはI253R変異、または
ヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310RもしくはH310D変異、
および
(c)ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異、または
ヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含む。
【0185】
別の一態様において、ポリペプチドは、
(b)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異、または
ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異、
および
(c)ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異、または
ヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含む。
【0186】
別の一態様において、ポリペプチドは、
(a)ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G、I253K、もしくはI253R変異、または
ヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310RもしくはH310D変異、
および
(b)ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436Q、もしくはY436R変異、または
ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438G、もしくはQ438N変異、
および
(c)ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異、または
ヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異
を含む。
【0187】
別の一態様において、ポリペプチドは、選択肢(c)において指定される変異を含まず、ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異またはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異をさらに含む。
【0188】
別の態様において、
(i)ポリペプチドは、ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異と、ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異とを含むか、または
(ii)ポリペプチドは、ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異と、ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異とを含むか、または
(iii)ポリペプチドは、ヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異と、ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異とを含むか、または
(iv)ポリペプチドは、ヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異と、ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異とを含むか、または
(v)ポリペプチドは、ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異と、ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異とを含むか、または
(vi)ポリペプチドは、ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異と、ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異とを含むか、または
(vii)ポリペプチドは、ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異と、ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異とを含むか、または
(viii)ポリペプチドは、ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異と、ヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異もしくはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異とを含むか、または
(ix)ポリペプチドは、ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異と、ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異とを含むか、または
(x)ポリペプチドは、ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異と、ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異とを含むか、または
(xi)ポリペプチドは、ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異と、ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異とを含むか、または
(xii)ポリペプチドは、ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異と、ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異とを含むか、または
(xiii)ポリペプチドは、ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異と、ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異とを含むか、または
(xiv)ポリペプチドは、ヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異と、ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異とを含むか、または
(xv)ポリペプチドは、ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異と、ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異とを含むか、または
(xvi)ポリペプチドは、ヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異と、ヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異もしくはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異とを含む。
【0189】
さらなる一態様において、ポリペプチドは、ヒトIgG1中のE430、E345、S440、T437またはK248に対応するアミノ酸位置の変異をさらに含む。ただし、ポリペプチドがK439E、K439D、S440K、S440RまたはS440H変異を含む場合、ポリペプチド中の該さらなる変異は位置S440にはないものとする。
【0190】
別の一態様において、ポリペプチドは、E430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440WおよびS440Yからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含み、かつ/またはポリペプチドはT437R変異およびK248E変異を含む。
【0191】
別の一態様において、ポリペプチドは、E430GおよびE345Kからなる群より選択される一方または両方の変異を含む。
【0192】
別の一態様において、ポリペプチドはE430G変異を含む。
【0193】
別の一態様では、該さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較してFc媒介性エフェクター機能などのエフェクター機能を誘導する能力が変化するように、ポリペプチドがさらに改変されている。
【0194】
そのような一態様では、該さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較して抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を誘導する能力が変化するように、ポリペプチドがさらに改変されている。ADCCを誘導するポリペプチドまたは抗体の能力を変化させるアミノ酸変異の一例はG237Aである。G237A変異は、Fcガンマ受容体に結合するポリペプチドの能力を減少させ、それによってADCCを誘導するポリペプチドの能力を減少させるだろう。ADCCを誘導する能力が減少しているポリペプチドは、ポリペプチドによって誘導されるエフェクター機能の制御を強化することが関心事である場合、例えば抗体が結合する標的が遍在的に発現する場合には、特に興味深いだろう。したがって本発明の一態様では、さらなるG237A変異を導入することによってポリペプチドを改変した。
【0195】
一態様において、ポリペプチドはG237A変異を含む。
【0196】
別のそのような一態様では、該さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較して補体依存性細胞傷害(CDC)を誘導する能力が変化するように、ポリペプチドがさらに改変されている。
【0197】
CDCを誘導するポリペプチドまたは抗体の能力を変化させるアミノ酸変異の例はE430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440W、S440Y T437R、K248E、E333SおよびK326Wである。特異的細胞タイプまたは特異的組織の根絶または枯渇が関心事である場合には、CDCを誘導する能力が増加しているポリペプチドは、特に興味深いだろう。したがって本発明の一態様では、E430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440W、S440Y T437R、K248E、E333SおよびK326Wからなる群からの1つまたは複数のアミノ酸変異を導入することによって、ポリペプチドを改変した。
【0198】
一態様において、ポリペプチドはE333S変異および/またはK326W変異を含む。
【0199】
一態様において、ポリペプチドはE333Sを含む。
【0200】
一態様において、ポリペプチドはE333S変異およびK326W変異を含む。
【0201】
一態様において、ポリペプチドは完全長抗体などの抗体である。一態様において、ポリペプチドはIgG1抗体である。一態様において、抗体はヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体である。一態様において、抗体は二重特異性である。
【0202】
本発明のポリペプチドの一態様において、抗原は細胞表面に露出している分子である。一態様において、抗原はデス受容体ではない。
【0203】
本発明はさらに、本明細書に記載する発明のポリペプチドと薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物に関係する。
【0204】
本発明のさらなる局面および態様
上述のように、さらなる局面において本発明は、ヒトIgGの第2Fc領域と第2抗原に結合することができる第2抗原結合領域とを含む第2ポリペプチドと組み合わせて医薬として使用するための、ヒトIgGの第1Fc領域と第1抗原に結合することができる第1抗原結合領域とを含む第1ポリペプチドに関し、
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KまたはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436QまたはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438GまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KまたはY436R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438KまたはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
ここでアミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応する。
【0205】
一態様において、
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KまたはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である。
【0206】
別の態様において、
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KまたはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436QまたはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438GまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KまたはY436R変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438KまたはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆である。
【0207】
別の態様において、
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KまたはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である。
【0208】
別の態様において、
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436QまたはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438GまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KまたはY436R変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438KまたはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である。
【0209】
別の態様において、
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KまたはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436QまたはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438GまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KまたはY436R変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438KまたはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、ここで好ましくは、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
かつ
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である。
【0210】
さらなる一態様において、第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドは選択肢(c)において指定される変異を含まず、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異をさらに含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異をさらに含むか、またはその逆である。
【0211】
さらなる一態様において、
(i)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(ii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(iii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(iv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(v)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(vi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(vii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
(viii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(ix)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(x)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xiii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xiv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xv)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xvi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xvii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xviii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xix)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xx)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xxi)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436K変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
または
(xxii)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、さらに第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆である。
【0212】
さらなる一態様において、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のE430、E345、S440、T437またはK248に対応するアミノ酸位置の変異をさらに含み、かつ/または第2ポリペプチドはヒトIgG1中のE430、E345、S440、T437またはK248に対応するアミノ酸位置の変異をさらに含むか、またはその逆である。
ただし、第1ポリペプチドまたは第2ポリペプチドがK439E、K439D、S440K、S440RまたはS440H変異を含む場合、該ポリペプチド中の該さらなる変異は、位置S440にはないものとする。
【0213】
これのさらなる一態様において、第1ポリペプチドは、E430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440WおよびS440Yからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含み、かつ/または第2ポリペプチドは、E430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440WおよびS440Yからなる群より選択される1つまたは複数の変異を含み、
かつ/または
第1ポリペプチドはT437R変異およびK248E変異を含み、かつ/または第2ポリペプチドはT437R変異およびK248E変異を含む。
【0214】
これのさらなる一態様において、第1ポリペプチドはE430GおよびE345Kからなる群より選択される一方または両方の変異を含み、かつ/または該ポリペプチドはE430GおよびE345Kからなる群より選択される一方または両方の変異を含む。
【0215】
これのさらに別の態様において、第1ポリペプチドはE430Gを含み、かつ第2ポリペプチドはE430Gを含む。
【0216】
別の一態様では、該さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較してFc媒介性エフェクター機能などのエフェクター機能を誘導する能力が変化するように、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドがさらに改変されている。
【0217】
一態様では、該さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較して抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を誘導する能力が変化するように、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドがさらに改変されている。
【0218】
別の一態様では、該改変以外は同一であるポリペプチドと比較して補体依存性細胞傷害を誘導する能力が変化するように、第1ポリペプチドおよび/または第2ポリペプチドがさらに改変されている。
【0219】
一態様において、第1ポリペプチドは完全長抗体などの抗体であり、かつ/または第2ポリペプチドは完全長抗体などの抗体である。
【0220】
一態様において、第1ポリペプチドはIgG1抗体であり、かつ/または第2ポリペプチドはIgG1抗体である。
【0221】
一態様において、第1抗体はヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体であり、かつ/または第2抗体はヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体である。
【0222】
一態様において、第1抗体は二重特異性であり、かつ/または第2ポリペプチドは二重特異性である。
【0223】
一態様において、第1抗原および第2抗原はどちらも細胞表面に露出している分子である。
【0224】
一態様において、第1抗原および第2抗原は、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織である細胞または組織において共在する。
【0225】
さらなる一態様において、
(a)第1抗原および第2抗原は、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織ではない細胞または組織において共在しないか、または
(b)第1抗原および第2抗原は、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織ではない細胞または組織では、共在する程度が、処置されるべき疾患または障害にとっての標的細胞または標的組織である細胞または組織よりも低い。
【0226】
一態様において、第1抗原および第2抗原は同一ではなく、どちらもが細胞内デスドメインを含むデス受容体であることはない。さらなる一態様において、第1抗原と第2抗原はどちらもデス受容体ではない。
【0227】
一態様において、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドは、1:50~50:1のモル比、例えば1:1のモル比、1:2のモル比、1:3のモル比、1:4のモル比、1:5のモル比、1:6のモル比、1:7のモル比、1:8のモル比、1:9のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:10のモル比、1:15のモル比、1:20のモル比、1:25のモル比、1:30のモル比、1:35のモル比、1:40のモル比、1:45のモル比、1:50のモル比、50:1のモル比、45:1のモル比、40:1のモル比、35:1のモル比、30:1のモル比、25:1のモル比、20:1のモル比、15:1のモル比、10:1のモル比、9:1のモル比、8:1のモル比、7:1のモル比、6:1のモル比、5:1のモル比、4:1のモル比、3:1のモル比、2:1のモル比で投与される。
【0228】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドは、約1:50~50:1のモル比、例えば約1:40~40:1のモル比、例えば約1:30~30:1のモル比、例えば約1:20~20:1のモル比、例えば約1:10~10:1のモル比、例えば約1:9~9:1のモル比、例えば約1:5~5:1のモル比で投与される。
【0229】
一態様において、第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドは同時に投与される。
【0230】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドは同時に投与される。
【0231】
一態様において、使用は、がんを処置するための使用である。
【0232】
さらに別の局面において本発明は、がん処置用の医薬を製造するための、ヒトIgGの第2Fc領域と第2抗原に結合することができる第2抗原結合領域とを含む第2ポリペプチドと組み合わされた、ヒトIgGの第1Fc領域と第1抗原に結合することができる第1抗原結合領域とを含む第1ポリペプチドの使用に関し、
(a)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KまたはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(b)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436QまたはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438GまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KまたはY436R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438KまたはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(c)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
ここでアミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応する。
【0233】
組成物
上述のように、本発明の方法のいくつかの態様において、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドは個別に投与される。しかし別の態様では、それらのポリペプチドを一つの薬学的組成物に製剤化してもよい。
【0234】
主要な一局面において、本発明は、本明細書記載の第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとを含む組成物に関する。
【0235】
したがって、本発明は、ヒトIgGの第2Fc領域と第2抗原に結合することができる第2抗原結合領域とを含む第2ポリペプチドと組み合わされた、ヒトIgGの第1Fc領域と第1抗原に結合することができる第1抗原結合領域とを含む第1ポリペプチドを含む組成物に関し、
(d)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のI253に対応するアミノ酸位置のI253KまたはI253R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のH310に対応するアミノ酸位置のH310D変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(e)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436QまたはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438GまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KまたはY436R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438KまたはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、
かつ/または
(f)第1ポリペプチドはヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置のK439F、K439I、K439Y、K439T、K439V、K439W変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置のS440K変異を含むか、またはその逆であり、
ここでアミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応する。
【0236】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436QまたはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438GまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436Q変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436KまたはY436R変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438KまたはQ438H変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438G変異を含むか、またはその逆であり、
ここでアミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応する。
【0237】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436N、Y436K、Y436QまたはY436R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R、Q438K、Q438H、Q438GまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、ここでアミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応する。
【0238】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のY436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436K変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438RまたはQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
または
第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438N変異を含むか、またはその逆であり、
ここでアミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応する。
【0239】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ436に対応するアミノ酸位置のY436NまたはY436K変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438NまたはQ438R変異を含むか、またはその逆である。
【0240】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドはヒトIgG1中のQ436に対応するアミノ酸位置のY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドはヒトIgG1中のQ438に対応するアミノ酸位置のQ438R変異を含むか、またはその逆である。
【0241】
したがって、さらなる主要局面において、本発明は、本明細書記載の第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドと薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物に関する。
【0242】
一態様において、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドは、1:50~50:1のモル比、例えば1:1のモル比、1:2のモル比、1:3のモル比、1:4のモル比、1:5のモル比、1:6のモル比、1:7のモル比、1:8のモル比、1:9のモル比、1:10のモル比、1:15のモル比、1:20のモル比、1:25のモル比、1:30のモル比、1:35のモル比、1:40のモル比、1:45のモル比、1:50のモル比、50:1のモル比、45:1のモル比、40:1のモル比、35:1のモル比、30:1のモル比、25:1のモル比、20:1のモル比、15:1のモル比、10:1のモル比、9:1のモル比、8:1のモル比、7:1のモル比、6:1のモル比、5:1のモル比、4:1のモル比、3:1のモル比、2:1のモル比、または等モル比で、組成物中に存在する。
【0243】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドは、約1:50~50:1のモル比、例えば約1:40~40:1のモル比、例えば約1:30~30:1のモル比、例えば約1:20~20:1のモル比、例えば約1:10~10:1のモル比、例えば約1:9~9:1のモル比、例えば約1:5~5:1のモル比で、組成物中に存在する。
【0244】
本発明の一態様において、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドは約1:1のモル比で組成物中に存在する。
【0245】
本発明に従って使用するためのポリペプチドは、薬学的に許容される担体または希釈剤ならびに他の任意の公知の佐剤および賦形剤を使用し、従来の技術、例えば(Rowe et al., Handbook of Pharmaceutical Excipients, 2012 June, ISBN 9780857110275)に開示されているものなどに従って、製剤化されうる。薬学的に許容される担体または希釈剤ならびに他の任意の公知の佐剤および賦形剤は、ポリペプチドまたは抗体および選ばれた投与様式に適しているべきである。担体および薬学的組成物の他の構成要素の適性は、選ばれた本発明の化合物または薬学的組成物の所望の生物学的特性に対して有意な負の影響がないこと(例えば抗原結合に対する影響が実質的でないこと(10%以下の相対的阻害、5%以下の相対的阻害など))に基づいて決定される。
【0246】
薬学的組成物は、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、洗浄剤(例えばTween-20またはTween-80などのノニオン洗浄剤)、安定剤(例えば糖類またはタンパク質非含有アミノ酸(protein-free amino acid))、保存剤、組織固定剤、可溶化剤、および/または薬学的組成物に含めるのに適した他の材料も含みうる。
【0247】
本発明の一態様において、薬学的組成物はポリペプチドを薬学的担体と一緒に含む。薬学的に許容される担体には、本発明の化合物と生理学的に適合する、ありとあらゆる適切な溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張化剤、酸化防止剤および吸収遅延剤などが含まれる。
【0248】
本発明の薬学的組成物に使用されうる適切な水性および非水性担体の例として、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、エタノール、デキストロース、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物、植物油、例えばオリーブ油、トウモロコシ油、ラッカセイ油、綿実油、およびゴマ油、カルボキシメチルセルロースコロイド溶液、トラガントゴムおよび注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチル、および/または種々の緩衝液が挙げられる。他の担体は薬学分野では周知である。
【0249】
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される酸化防止剤、例えば(1)水溶性酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど、(2)油溶性酸化防止剤、例えばアスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロールなど、および(3)金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸なども含みうる。
【0250】
本発明の薬学的組成物は、糖類、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、グリセロール、または塩化ナトリウムなどの等張化剤も、組成物中に含みうる。
【0251】
本発明の薬学的組成物は、薬学的組成物の貯蔵寿命または有効性を強化しうる、選ばれた投与経路にとって適当な1種または複数種の佐剤、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、保存剤、緩衝剤も含有しうる。本発明の化合物は、例えばインプラント、経皮パッチ、マイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤など、化合物を急速な放出から保護する担体を使って調製されうる。そのような担体は、ゼラチン、モノステアリン酸グリセリン、グリセリルジステアレート、生分解性生体適合性ポリマー、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸を、単独で、またはワックスと共に含むか、または当技術分野において周知の他の材料を含みうる。そのような製剤の調製方法は当業者には一般に公知である。
【0252】
本発明の薬学的組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、患者にとっての毒性を伴わずに、特定の患者、組成物および投与様式に関して所望の治療的応答を達成するのに有効な活性成分の量が得られるように、変動させうる。選択される投薬量レベルは、使用される本発明の特定組成物の活性、投与経路、投与時間、使用される特定化合物の排泄率、処置の継続時間、使用される特定化合物と併用される他の薬物、化合物および/または材料、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康状態および既往歴など、医学分野において周知の因子を含む、さまざまな薬物動態因子に依存するだろう。
【0253】
パーツキット
本発明は、本明細書記載のポリペプチドまたは抗体を含む、治療において同時に、個別にまたは逐次的に使用するためのパーツキットにも関係する。
【0254】
したがって、さらなる一局面において本発明は、本明細書記載の本発明の第1ポリペプチドを含む第1容器と、本明細書記載の本発明の第2ポリペプチドを含む第2容器とを含むキット、すなわちパーツキットに関する。
【0255】
さらなる一局面において本発明は、本明細書記載の本発明の第1ポリペプチドを含む第1コンパートメントと、本明細書記載の本発明の第2ポリペプチドを含む第2コンパートメントとを備えたデバイス、例えばデュアルチャンバーシリンジに関する。一態様において、デバイスは投与デバイス、例えばデュアルチャンバーシリンジ、すなわち2つのコンパートメントを含み、一方のコンパートメントは第1ポリペプチドを含み、第2コンパートメントは第2ポリペプチドを含むシリンジである。
【0256】
コンジュゲート
一態様において、本発明で使用される第1および/または第2のポリペプチドまたは抗体は、任意でリンカーを介して、1つまたは複数の治療部分、例えば細胞毒、化学療法薬、サイトカイン、免疫抑制薬および/または放射性同位体にコンジュゲートされる。そのようなコンジュゲートを本明細書では「イムノコンジュゲート」または「薬物コンジュゲート」という。1つまたは複数の細胞毒を含むイムノコンジュゲートを「イムノトキシン」という。
【0257】
細胞毒または細胞毒性剤には、細胞にとって有害である(例えば細胞を殺す)任意の作用物質が含まれる。本発明のイムノコンジュゲートを形成させるための適切な治療剤としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン(dihydroxy anthracin dione)、メイタンシンまたはその類似体もしくは誘導体、エンジイン(enediyene)抗腫瘍性抗生物質、例えばネオカルチノスタチン、カリチアマイシン(calicheamycins)、エスペラミシン、ダイネミシン、リダマイシン(lidamycin)、ケダルシジンまたはそれらの類似体もしくは誘導体、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、代謝拮抗物質(例えばメトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、フルダラビン(fludarabin)、5-フルオロウラシル、デカルバジン(decarbazine)、ヒドロキシウレア、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン、クラドリビン)、アルキル化剤(例えばメクロレタミン、チオエパ(thioepa)、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、ロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、ダカルバジン(DTIC)、プロカルバジン、マイトマイシンC、シスプラチンおよび他の白金誘導体、例えばカルボプラチン;ならびにデュオカルマイシンA、デュオカルマイシンSA、CC-1065(別名:ラシェルマイシン)またはCC-1065の類似体もしくは誘導体)、ドラスタチン、ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン(PDB)またはその類似体、抗生物質(例えばダクチノマイシン(旧名アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ダウノルビシン(旧名ダウノマイシン)、ドキソルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシン、アントラマイシン(AMC))、有糸分裂阻害剤(例えばチューブリン阻害剤)、例えばモノメチルアウリスタチンE、モノメチルアウリスタチンF、またはドラスタチン10の他の類似体もしくは誘導体;ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、例えばヒドロキサム酸類であるトリコスタチンA、ボリノスタット(SAHA)、ベリノスタット、LAQ824、およびパノビノスタット、ならびにベンズアミド、エンチノスタット、CI994、モセチノスタットおよび脂肪族酸化合物、例えばフェニルブチレートおよびバルプロ酸、プロテアソーム阻害剤、例えばダノプレビル、ボルテゾミブ、アマトキシン、例えばアルファ-アマンチン、ジフテリア毒素および関連分子(例えばジフテリアA鎖およびその活性フラグメントならびにハイブリッド分子);リシン毒素(例えばリシンAまたは脱グリコシル化リシンA鎖毒素)、コレラ毒素、志賀様毒素(SLT-I、SLT-II、SLT-IIV)、LT毒素、C3毒素、Shiga毒素、百日咳毒素、破傷風毒素、大豆ボーマン・バークプロテアーゼインヒビター、シュードモナス外毒素、アロリン(alorin)、サポリン、モデシン、ゲラニン(gelanin)、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)タンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP-S)、ツルレイシ(momordica charantia)インヒビター、クルシン、クロチン、サボンソウ(sapaonaria officinalis)インヒビター、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン、およびエノマイシン毒素が挙げられる。コンジュゲートされる他の適切な分子としては、抗微生物/溶解ペプチド、例えばCLIP、マガイニン2、メリチン、セクロピン、およびP18;リボヌクレアーゼ(RNase)、DNase I、ブドウ球菌エンテロトキシン-A、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ジフテリン毒素、およびシュードモナスエンドトキシンが挙げられる。例えばPastan et al., Cell 47,641(1986)およびGoldenberg, Calif. A Cancer Journal for Clinicians 44, 43(1994)参照。本明細書において項を改めて記載する本発明の抗体と組み合わせて投与しうる治療剤、例えば抗がん性サイトカインまたはケモカインなども、本発明の抗体へのコンジュゲーションに有用な治療部分の候補である。
【0258】
一態様において、本発明で使用されるポリペプチドは、コンジュゲートされた核酸または核酸関連分子を含む。そのような一態様において、コンジュゲートされる核酸は細胞毒性リボヌクレアーゼ、アンチセンス核酸、阻害性RNA分子(例えばsiRNA分子)または免疫賦活性核酸(例えば免疫賦活性CpGモチーフ含有DNA分子)である。別の一態様において、本発明で使用されるポリペプチドはアプタマーまたはリボザイムにコンジュゲートされる。
【0259】
一態様では、1つまたは複数の放射標識アミノ酸を含むポリペプチドが提供される。ポリペプチド用ラベルの非限定的な例として、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、125I、131I、および186Reが挙げられる。放射標識アミノ酸および関連ペプチド誘導体を調製するための方法は当技術分野において公知である(例えばJunghans et al., in Cancer Chemotherapy and Biotherapy 655-686(2nd Ed., Chafner and Longo, eds., Lippincott Raven(1996))およびU.S.4,681,581、U.S.4,735,210、U.S.5,101,827、U.S.5,102,990(US RE35,500)、U.S.5,648,471およびU.S.5,697,902参照)。例えば放射性同位体はクロラミン-T法によってコンジュゲートしうる。
【0260】
一態様において、本発明で使用されるポリペプチドまたは抗体は、放射性同位体または放射性同位体含有キレートにコンジュゲートされる。例えばポリペプチドは、ポリペプチドが放射性同位体との複合体を形成することを可能にするキレーターリンカー(chelator linker)、例えばDOTA、DTPAまたはチウキセタンにコンジュゲートすることができる。放射性同位体の非限定的な例として、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、125I、111In、131I、186Re、213Bs、225Acおよび227Thが挙げられる。
【0261】
一態様において、本明細書で使用されるポリペプチドまたは抗体は、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IL-18、IL-23、IL-24、IL-27、IL-28a、IL-28b、IL-29、KGF、IFNα、IFNβ、IFNγ、GM-CSF、CD40L、Flt3リガンド、幹細胞因子、アンセスチム、およびTNFαからなる群より選択されるサイトカインにコンジュゲートすることができる。
【0262】
本発明において使用されるポリペプチドまたは抗体は、例えばそれらの循環半減期を増加させるなどの目的で、ポリマーへの共有結合によるコンジュゲーションによって、化学修飾してもよい。例示的なポリマーと、それらをペプチドに取り付けるための方法は、例えばUS 4,766,106、US 4,179,337、US 4,495,285およびUS 4,609,546に例示されている。さらなるポリマーとしては、ポリオキシエチル化ポリオールおよびポリエチレングリコール(PEG)(例えば約1,000~約40,000、例えば約2,000~約20,000の分子量を持つPEG)が挙げられる。
【0263】
治療部分へのコンジュゲーションは、ポリペプチドのC末端で行うか、別の部位で、典型的にはオリゴマー形成を妨害しない部位で、行いうる。
【0264】
本明細書において使用されるポリペプチドまたは抗体を、コンジュゲートされる分子、例えば上述したものにコンジュゲートするには、Hunter et al., Nature 144,945(1962)、David et al., Biochemistry 13,1014(1974)、Pain et al.,J.Immunol.Meth.40,219(1981)およびNygren, J. Histochem. and Cytochem.30,407(1982)に記載の方法など、当技術分野において公知の任意の方法を使用しうる。そのような変種は、変種またはそのフラグメント(例えば抗体のH鎖またはL鎖)のN末端側またはC末端側に他の部分を化学的にコンジュゲートすることによって生産することができる(例えば金光修(Osamu Kanemitsu)著「抗体工学入門」(Antibody Engineering Handbook)地人書館(Chijin Shokan)刊(1994)参照)。コンジュゲートされたそのような変種誘導体は、適宜、内部残基または糖でのコンジュゲーションによって生成させてもよい。
【0265】
作用物質は、本明細書において使用されるポリペプチドまたは抗体に、直接的または間接的にカップリングしうる。第2作用物質の間接的カップリングの一例は、抗体中のシステイン残基またはリジン残基へのスペーサー部分またはリンカー部分を介したカップリングである。一態様において、ポリペプチドまたは抗体は、インビボで治療薬へと活性化されうるプロドラッグ分子にコンジュゲートすることができる。いくつかの態様において、細胞内環境においてリンカーの切断が抗体から薬物ユニットを放出することになるように、リンカーは細胞内条件下で切断可能である。いくつかの態様において、リンカーは細胞内環境(例えばリソソームまたはエンドソームまたはカベオラ内)に存在する切断可能作用物質によって切断可能である。例えばスペーサーまたはリンカーは、腫瘍細胞関連酵素または他の腫瘍特異的条件によって切断可能であり、それによって活性な薬物が形成される。そのようなプロドラッグ技術およびリンカーの例は、Syntarga BVらによるWO02083180、WO2004043493、WO2007018431、WO2007089149、WO2009017394およびWO201062171に記載されている。適切な抗体-プロドラッグ技術およびデュオカルマイシン類似体は米国特許第6,989,452号(Medarex)にも見出すことができる。リンカーは、同時に、または代替的に、例えば細胞内のペプチダーゼ酵素またはプロテアーゼ酵素、限定するわけではないがリソソームプロテアーゼまたはエンドソームプロテアーゼなどによって切断される、ペプチジルリンカーであることもできる。いくつかの態様において、ペプチジルリンカーは少なくとも2アミノ酸長または少なくとも3アミノ酸長である。切断作用物質としては、カテプシンBおよびカテプシンDならびにプラスミンを挙げることができ、これらはすべてジペプチド薬物誘導体を加水分解して、標的細胞内で活性薬物の放出をもたらすことが公知である(例えばDubowchik and Walker,1999,Pharm.Therapeutics 83:67-123参照)。具体的一態様において、細胞内プロテアーゼによって切断可能なペプチジルリンカーは、Val-Cit(バリン-シトルリン)リンカーまたはPhe-Lys(フェニルアラニン-リジン)リンカーである(例えばドキソルビシンの合成がVal-CitリンカーおよびPhe-Lysリンカーのさまざまな例と共に記載されているUS6214345を参照されたい)。Val-CitリンカーおよびPhe-Lysリンカーの構造の例としては、後述のMC-vc-PAB、MC-vc-GABA、MC-Phe-Lys-PABまたはMC-Phe-Lys-GABAが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。ここで、MCはマレイミドカプロイルの略号であり、vcはVal-Citの略号であり、PABはp-アミノベンジルカルバメートの略号であり、GABAはγ-アミノ酪酸の略号である。
【0266】
抗体などの本発明のポリペプチドを調製する方法
抗体などの本発明のポリペプチドは、典型的には、組換え的に、すなわちポリペプチドをコードする核酸コンストラクトの適切な宿主細胞における発現によって生産された後、生産された組換えポリペプチドが細胞培養から精製される。核酸コンストラクトは当技術分野において周知の標準的分子生物学的技法によって生産することができる。コンストラクトは典型的にはベクターを使って宿主細胞に導入される。
【0267】
適切な核酸コンストラクト、ベクターは、当技術分野において公知であり、実施例に記載する。ほとんどの態様において、ポリペプチドは重鎖(またはそのFc含有フラグメント)だけではなく、軽鎖も含む。そのような態様において重鎖部分および軽鎖部分をコードするヌクレオチド配列は、典型的には、同じ細胞中で発現され、同じまたは異なる核酸またはベクター上に存在しうる。
【0268】
抗体の組換え発現に適した宿主細胞は当技術分野において周知であり、CHO、HEK-293、Expi293F、PER-C6、NS/0およびSp2/0細胞などがある。
【0269】
一態様において、宿主細胞は、タンパク質のAsn結合型グリコシル化能を有する細胞、例えば哺乳動物細胞などの真核細胞、例えばヒト細胞である。さらなる一態様において、宿主細胞は、ヒト様グリコシル化またはヒトグリコシル化を有する糖タンパク質を生産するように遺伝子操作された非ヒト細胞である。そのような細胞の例は、遺伝子改変されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)(Hamilton et al., Science 301(2003)1244-1246、Potgieter et al., J. Biotechnology 139(2009)318-325)および遺伝子改変されたコウキクサ(Lemna minor)(Cox et al., Nature Biotechnology 12(2006)1591-1597)である。
【0270】
一態様において、宿主細胞は、均一なグリコフォームを生産する哺乳類細胞または非哺乳類細胞である。さらなる一態様において、宿主細胞は、例えばコアフコースを持たない抗体など、糖鎖が操作された抗体を生産するように遺伝子操作される。脱フコシル化抗体を生産するCHO細胞の例として、Lec13細胞および遺伝子改変CHO細胞、例えばGDP-マンノース-4,6-デヒドラターゼ(GMD)ノックアウト細胞;GDP-フコース輸送体ノックアウト細胞;FUT8ノックアウト細胞;FUT8および/またはGMDのRNAi;またはGlcNAcトランスフェラーゼIIIもしくはRMD(GDP-6-デオキシ-d-リキソ-4-ヘキスロースレダクターゼ)を過剰発現する細胞(Li et al. 2017 Front Immunol 13;8:1554に総説がある)が挙げられる。
【0271】
一態様において、宿主細胞は、抗体重鎖からC末端リジンK447残基を効率よく除去する能力を有しない宿主細胞である。例えば、Liu et al. (2008) J Pharm Sci 97:2426(参照により本明細書に組み入れられる)の表2には、例えばSp2/0、NS/0またはトランスジェニック乳腺(ヤギ)など、C末端リジンの除去が部分的にしか達成されない、そのような抗体生産系が、いくつか列挙されている。
【0272】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに例示するが、これらの実施例をさらなる限定と解釈してはならない。
【0273】
(表1)配列表
【0274】
(表2)自己オリゴマー化阻害性置換*
表2*各列は自己オリゴマー化阻害性置換を示し、各行は相補的な自己オリゴマー化阻害を示す。
【0275】
(表3)実施例5~23において試験した置換
【実施例0276】
実施例1:抗体の作製、生産、および精製
抗体用の発現コンストラクト
本明細書において使用されるヒト抗体およびヒト化抗体を発現させるために、可変重(VH)鎖および可変軽(VL)鎖配列を遺伝子合成によって調製し(GeneArt Gene Synthesis;ThermoFisher Scientific、ドイツ)、ヒトIgG重鎖の定常領域(HC)(定常領域ヒトIgG1m(f)HC:SEQ ID NO:22;定常領域ヒトIgG2 HC:SEQ ID NO:31;定常領域ヒトIgG3 HC:SEQ ID NO:32;または定常領域ヒトIgG4 HC:SEQ ID NO:33)および/またはヒトカッパ軽鎖の定常領域(LC):SEQ ID NO:34を含有するpcDNA3.3発現ベクター(ThermoFisher Scientific、米国)にクローニングした。所望の変異は遺伝子合成によって導入された。本願におけるCD20抗体変種は以前に記載されたCD20抗体(WO2004/035607)IgG1-CD20-7D8(VH:SEQ ID NO:35;VL:SEQ ID NO:39)およびIgG1-CD20-11B8(VH:SEQ ID NO:8;VL:SEQ ID NO:12)に由来するVH配列およびVL配列を有する。本願におけるCD52抗体変種は以前に記載されたCD52抗体CAMPATH-1H(アレムツズマブ;Crowe et al., 1992 Clin Exp Immunol. 87(1):105-110;VH:SEQ ID NO:1;VL:SEQ ID NO:5)に由来するVH配列およびVL配列を有する。本願におけるCD37抗体変種は以前に記載されたCD37抗体IgG1-CD37-37.3(WO2011/112978;VH:SEQ ID NO:42;VL:SEQ ID NO:46)に由来するVH配列およびVL配列を有する。本願におけるDR5抗体変種は以前に記載されたDR5抗体DR5-01-G56T(WO 2017/093447;VH:SEQ ID NO:49;VL:SEQ ID NO:53)およびDR5-05(WO2014/009358;VH:SEQ ID NO:56;VL:SEQ ID NO:60)に由来するVH配列およびVL配列を有する。いくつかの実験ではHIV gp120特異的抗体であるヒトIgG1抗体b12を陰性対照として使用した(Barbas et al., J Mol Biol. 1993 Apr 5;230(3):812-23;VH:SEQ ID NO:15;VL:SEQ ID NO:19)。
【0277】
一過性発現
抗体をIgG1κとして発現させた。抗体の重鎖と軽鎖の両方をコードするプラスミドDNA混合物を、本質的にVinkら(Vink et al., Methods, 65(1), 5-10 2014)が記載しているように、293fectin(Life Technologies)を使って、Expi293F細胞(Gibco、カタログ番号A14635)に一過性にトランスフェクトした。上清中の抗体濃度を280nmにおける吸光度によって測定した。抗体はインビトロアッセイにそのまま使用するか、または後述のように精製した。
【0278】
タンパク質の精製および分析
抗体をプロテインAアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。培養上清を0.20μMデッドエンドフィルタで濾過し、5mL MabSelect SuReカラム(GE Healthcare)にローディングし、0.02Mクエン酸ナトリウム-NaOH、pH3で洗浄、溶出した。精製後直ちに溶出液をHiPrep脱塩カラム(GE Healthcare)にローディングし、抗体を12.6mM NaH2PO4、140mM NaCl、pH7.4緩衝液(B.BraunまたはThermo Fisher)に緩衝液交換した。緩衝液交換後に、0.2μmデッドエンドフィルタで試料を滅菌濾過した。精製タンパク質を、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲルでのキャピラリー電気泳動(CE-SDS)および高速サイズ排除クロマトグラフィー(HP-SEC)を含むいくつかの生物分析アッセイで分析した。濃度は280nmにおける吸光度によって測定した。精製抗体は2~8℃で保存した。
【0279】
実施例2:位置I253またはH310に変異を持つIgG1-Campath-E430G変種のCDC活性
本発明者らは、IgG1抗体b12(Protein Data Bank 1HZH;Ollman Sapphire et al, Science 2001, 293(5532):1155-1159)の結晶構造におけるFc-Fc界面を、Fc-Fc界面の両側で立体的近接性と側鎖配向を示す分子間アミノ酸ペアについて探索した。変異ペアを、同じ変異を有する抗体間のFc-Fc相互作用を妨害し、それぞれが一方の変異および他方の変異を保持する2種の抗体の混合物によってFc-Fc相互作用を復旧することによる細胞表面標的結合抗体間での分子間Fc-Fc相互作用の制御における相補性について、試験した。詳細な変異導入および機能的特性解析のためにアミノ酸ペアI253+H310を選択した。位置253のイソロイシンおよび位置310のヒスチジンをシステインまたはプロリンを除く他の任意のアミノ酸で置換して、IgG1-Campath-E430G(すなわち、位置430にFc-Fc相互作用を強化するGlu→Gly変異を含む、重鎖定常ドメインSEQ ID:26を含有する抗体Campath-1H(WO2013004842))に変異を導入することにより、位置I253およびH310に基づいて、抗体変異体ライブラリーを作製した。次に、位置253および310での個々の変異の効果ならびに考えうるすべてのI253およびH310変異ペアが、それぞれのIgG1-Campath-E430G変種ならびにそれらの混合物のCDC効力に及ぼす効果を、Wien 133細胞(英国オックスフォードのBioAnaLab Limited、Geoff Hale博士のご厚意により提供されたもの)を用いるインビトロCDCアッセイで試験した。細胞を収集し、培地[0.2%ウシ血清アルブミン(BSA;Roche、カタログ番号10735086001)を含むRPMI(Lonza、カタログ番号BE12-115F)]に再懸濁した。1ウェルあたり5,000個の細胞を、ヒト補体源としての5%正常ヒト血清(NHS;Sanquin、参照番号M0008)の存在下で、単独の抗体および抗体の組合せの濃度系列(2倍希釈で15.6~2000ng/mLの最終抗体濃度;実施例1で述べた一過性トランスフェクションの上清の希釈液)と共にインキュベートした。同時に、TO-PRO-3ヨウ化物(ThermoFischer Scientific、カタログ番号T3605、最終濃度1μM)を細胞生存マーカーとして加え、細胞の存在を検出するためにSYBR Green I(ThermoFischer Scientific、カタログ番号S7563;元の保存用濃縮物から12,500倍希釈したもの)を加えた。アッセイプレートを室温で1時間インキュベートし、Celigo Imaging Cytometer(Brooks Life Science Systems)を使ったフローサイトメトリーで決定されるTO-PRO-3ヨウ化物陽性細胞の分率(%)として殺滅を算出した。
【0280】
試験したいくつかのI253およびH310アミノ酸置換の導入は、EC50値の増加によって表されるとおり、IgG1-Campath-E430GのCDC効力の阻害をもたらした(図2に要約する;IgG1-Campath-E430GのEC50値は<15ng/μLであった)。それぞれが位置253または310のどちらかに変異を含有するIgG1-Campath-E430G変種の混合物はそのほとんどが、単独の抗体によって媒介されるCDC効力の阻害を克服することはなかった。しかし変異ペアI253G(Ile253→Gly)+H310R(His310→Arg)は例外で、これはそれぞれ、単独のIgG1-Campath-E430G変種(I253G変異またはH310R変異を含有するもの)として導入され試験された場合には、それぞれCDC阻害を示したが、I253GまたはH310Rのどちらかをそれぞれが含有する2種のIgG1-Campath-E430G変種の混合物として試験した場合には、CDC効力の完全な復旧を示した。さらにまた、変異ペアI253K(Ile253→Lys)+H310D(His310→Asp)およびI253R(Ile253→Arg)+H310Dについては、単独のIgG1-Campath-E430G変種(I253K変異、I253R変異またはH310D変異を含有するもの)ではCDC阻害が観察され、一方がI253K変異またはI253R変異を含有し、他方がH310Dを含有する2種のIgG1-Campath-E430G変種の混合物では、CDC効力の部分的復旧が観察された(図2)。
【0281】
これらの結果から、E430G Fc-Fc強化変異を持つヒトIgG1抗体中の位置I253およびH310におけるどのFc変異が、I253変異またはH310変異のどちらか一方を含有する単独の変種によるFc-Fc相互作用の阻害およびCDC効力の阻害を示し、かつそれぞれが2種の相補的なI253変異およびH310変異の一方を含有する2種の変種を混合することによってその復旧を示す相補的変異ペアを作り出すかは、予測不可能であると結論することができる。Wien 133細胞での、位置I253およびH310のIgG1-Campath-E430G抗体変種によるCDCアッセイを使って、I253G+H310R、I253K+H310DおよびI253R+H310Dが、E430G Fc-Fc強化変異を持つ抗体のCDC活性の制御、すなわち単独の変種(I253G、I253K、H310DまたはH310R)によるCDC効力の阻害と、それらの相補的混合物(I253G+H310R、I253K+H310DまたはI253R+H310D)による復旧とを示す相補的変異ペアであると同定された。
【0282】
実施例3:位置Y436またはQ438に変異を持つIgG1-Campath-E430G変種のCDC活性
実施例2に記載のアミノ酸ペアI253+H310と同様に、詳細な変異導入および機能的特性解析のために、アミノ酸ペアY436+Q438も選択した。IgG1-Campath-E430Gにおいて位置436のチロシンおよび位置438のグルタミンをシステインまたはプロリンを除く他の任意のアミノ酸で置換することにより、位置Y436およびQ438に基づいて、抗体変異体ライブラリーを作製した。次に、位置436および438での個々の変異の効果ならびに考えうるすべてのY436およびQ438変異ペアが、それぞれのIgG1-Campath-E430G変種ならびにそれらの混合物のCDC効力に及ぼす効果を、実施例2で述べたように、Wien 133細胞を用いるインビトロCDCアッセイで試験した。
【0283】
試験したいくつかのY436およびQ438アミノ酸置換の導入は、EC50値の増加によって表されるとおり、IgG1-Campath-E430GのCDC効力の阻害をもたらした(図3に要約する;IgG1-Campath-E430GのEC50値は<15ng/mLであった)。それぞれが位置436または438のどちらかに変異を含有するIgG1-Campath-E430G変種の混合物はその多くが、単独の抗体によって媒介されるCDC効力の阻害を克服することはなかった。しかし、変異ペアY436K+Q438G、Y436K+Q438H、Y436K+Q438K、Y436K+Q438N、Y436K+Q438R、Y436N+Q438G、Y436N+Q438H、Y436N+Q438K、Y436N+Q438N、Y436N+Q438R、Y436Q+Q438G、Y436Q+Q438H、Y436Q+Q438K、Y436Q+Q438N、Y436Q+Q438R、Y436R+Q438G、Y436R+Q438H、Y436R+Q438K、Y436R+Q438N、またはY436R+Q438Rを引き合わせるIgG1-Campath-E430G変種の混合物については、CDC効力の部分的復旧が観察された(図3)。
【0284】
これらの結果から、E430G Fc-Fc強化変異を持つヒトIgG1抗体中の位置Y436およびQ438におけるどのFc変異が単独の変異体によるFc-Fc相互作用の阻害を示すか、そして具体的な2種の変種の混合物がそれを復旧させうるかどうかは、予測不可能であると結論することができる。Wien 133細胞での、位置Y436およびQ438のIgG1-Campath-E430G抗体変種によるCDCアッセイを使って、E430G Fc-Fc強化変異を持つ抗体のFc-Fc相互作用およびCDC活性を阻害することができるY436K、Y436N、Y436Q、Y436R、Q438G、Q438H、Q438K、Q438NおよびQ438R変異が同定され、位置436におけるこれらの変異の1つと、位置438におけるこれらの変異の1つとの混合物はいずれも、単独変異体のFc-Fc相互作用およびCDC効力の阻害を復旧することができる相補的なY436;Q438変異ペアであると同定された。
【0285】
実施例4:位置K439またはS440に変異を持つIgG1-Campath-E430G変種のCDC活性
アミノ酸ペアI253+H310(実施例2に記載)およびY436+Q438(実施例3に記載)と同様に、詳細な変異導入および機能的特性解析のために、アミノ酸ペアK439+S440も選択した。IgG1-Campath-E430Gにおいて位置439のリジンおよび位置440のセリンをシステインまたはプロリンを除く他の任意のアミノ酸で置換することにより、位置K439およびS440に基づいて、抗体変異体ライブラリーを作製した。次に、位置439および440での個々の変異の効果ならびに考えうるすべてのK439およびS440変異ペアが、それぞれのIgG1-Campath-E430G変種ならびにそれらの混合物のCDC効力に及ぼす効果を、実施例2で述べたように、Wien 133細胞を用いるインビトロCDCアッセイで試験した。
【0286】
試験したいくつかのK439およびS440アミノ酸置換の導入は、EC50値の増加によって表されるとおり、IgG1-Campath-E430GのCDC効力の阻害をもたらした(図4に要約する;IgG1-Campath-E430GのEC50値は<15ng/mLであった)。それぞれが位置439または440のどちらかに変異を含有するIgG1-Campath-E430G変種の混合物はその多くが、単独の抗体によって媒介されるCDC効力の阻害を克服することはなかった。S440KをK439E、K439F K439I、K439Y、K439T、K439VまたはK439Wと組み合わせる変異ペアの場合に限り、単独のIgG1-Campath-E430G変種として導入して試験した場合にはCDC阻害が観察され、それぞれがS440K変異またはこれらのK439変異のうちの1つのどちらかを含有する2種のIgG1-Campath-E430G変種の混合物として試験した場合にはCDC効力の復旧が観察された(図4)。
【0287】
これらの結果から、E430G Fc-Fc強化変異を持つヒトIgG1抗体中の位置K439およびS440におけるどのFc変異が、K439変異またはS440変異の一方または他方を含有する単独の変種によるFc-Fc相互作用の阻害およびCDC効力の阻害を示し、かつそれぞれが2種の相補的なK439変異およびS440変異の一方を含有する2種の混合物によるその復旧を示す相補的変異ペアを作り出すかは、予測不可能であると結論することができる。Wien 133細胞での、位置K439およびS440のIgG1-Campath-E430G抗体変種によるCDCアッセイを使って、K439E+S440K、K439F+S440K、K439I+S440K、K439Y+S440K、K439T+S440K、K439V+S440KおよびK439W+S440Kが、E430G Fc-Fc強化変異を持つ抗体のCDC活性の制御、すなわち単独の変種によるCDC効力の阻害と、それらの相補的混合物による復旧とを示す相補的変異ペアであると同定された。
【0288】
実施例5:ヒトIgG1-E430G抗体の位置I253およびH310における相補的変異ペアの検証
実施例2で述べたCDCアッセイにおいて同定された相補的I253+H310変異ペアによるFc-Fc相互作用およびCDC効力の制御を、インビトロCDCアッセイにおいて、精製抗体のさらなる濃度滴定系列で検証した。ポリスチレン丸底96ウェルプレート(Greiner bio-one、カタログ番号650101)において、培養培地(0.2%BSAを含むRPMI)80μL中で、0.1×106個のWien 133細胞を、IgG1-Campath-E430G変種の精製試料の濃度系列(3倍希釈ステップで最終濃度範囲0.03~10.0μg/mL)と共に、振とう機上、室温で15分間、プレインキュベートした。次に、20μLのNHSを補体源として加え(最終NHS濃度20%)、37℃で45分間インキュベートした。プレートを氷にのせることによって反応を停止してから、遠心分離によって細胞をペレット化し、上清を30μLの1.67μg/mLヨウ化プロピジウム溶液(PI;Sigma Aldrich、オランダ・ズウェイナールデ)で置き換えた。CDC効力は、Intellicyt iQue(商標)スクリーナー(Westburg)を用いるフローサイトメトリーで測定されるPI陽性細胞百分率によって決定した。データは、GraphPad PRISM 7.02(GraphPad Software、米国カリフォルニア州サンディエゴ)で、対数変換濃度を使った非線形用量応答フィットのベストフィット値を使って分析した。溶解百分率は(PI陽性細胞の数/総細胞数)×100%として算出した。
【0289】
I253GまたはH310Rの導入は、I253G変異またはH310R変異のどちらか一方を含有する単独のIgG1-Campath-E430G抗体変種についてはCDC阻害をもたらし、それらの混合物ではCDC効力の完全な復旧をもたらした(図5A)。
【0290】
I253K、I253RまたはH310Dの導入は、I253K、I253RまたはH310D変異のいずれか一つを含有する単独のIgG1-Campath-E430G抗体変種についてはCDC阻害をもたらし、変異ペアI253K+H310D(図5B)またはI253R+H310D(図5C)を引き合わせる2種の抗体変種の混合物によるCDC効力の部分的復旧をもたらした。
【0291】
総合すると、これらの結果から、実施例2において同定された相補的変異ペアI253G+H310R、I253K+H310D、またはI253R+H310Dの導入は、E430GなどのFc-Fc強化バックグラウンド変異を持つ2種のヒトIgG1抗体の混合物におけるFc-Fc相互作用およびCDC効力を制御するために使用できることが確認された。
【0292】
実施例1:ヒトIgG1における相補的Fc-Fc阻害性変異ペアの組合せ
混合された抗体ペアの高い力価は保ったまま単独抗体剤のCDC活性をさらに抑制することを目指して、実施例2および実施例3で述べたCDCアッセイにおいてCDC効力の効率のよい阻害をもたらしたFc変異の一部を、IgG1-Campath-E430Gにおいて、自己オリゴマー化阻害性変異K439EまたはS440K(実施例4;WO2013004842)と組み合わせた。これらの変異の組合せの効果を、実施例5で述べたようにWien 133細胞を用いるインビトロCDCアッセイで試験した。相補的変異ペアI253G+H310R、I253K+H310D、I253R+H310D(実施例2において同定されたもの)、Y436N+Q438R、およびQ438N+Y436K(実施例3において同定されたもの)を、K439EおよびS440Kとペアワイズに組み合わせることで、Fc-Fc自己オリゴマー化阻害二重変異体ペアI253G/K439E+H310R/S440K、H310D/K439E+I253K/S440K、H310D/K439E+I253R/S440K、Y436N/K439E+Q438R/S440K、およびQ438N/K439E+Y436K/S440Kを得た。さらにまた、K439E+S440KとさまざまなY436変異またはQ438変異(実施例3で同定されたもの)との以下の組合せも、IgG1-Campath-E430G中で試験した:Y436N/K439E(SEQ ID NO:81を含有する)+Y436K/S440K(SEQ ID NO:80を含有する)およびQ438N/K439E(SEQ ID NO:74を含有する)+Q438R/S440K(SEQ ID NO:77を含有する)。
【0293】
試験した自己オリゴマー化阻害性二重変異の導入はすべて、自己オリゴマー化阻害性変異K439EまたはS440Kを1つしか持たないIgG1-Campath-E430G抗体変種よりも強いCDCの阻害をもたらした(図6)。試験した変異ペアの組合せでは、I253G/K439E+H310R/S440K(図6A)、H310D/K439E+I253K/S440K(図6B)、H310D/K439E+I253R/S440K(図6C)およびY436N/K439E+Q438R/S440K変異ペア(図6D)で、CDC効力の完全な復旧が観察された。したがってこれらは、CDC効力を制御するための大きなウインドウ(単独抗体の阻害されたCDC効力と、それらの組合せの復旧したCDC効力との間の差)を示す相補的変異ペアである。
【0294】
IgG1-Campath-E430G抗体変種の混合物について、Q438N/K439EおよびY436K/S440Kの混合物で(図6E)、そして先の実施例では同定されていなかったため予想外であったが、混合物Q438N/K439E+Q438R/S440Kでも(図6F)、CDC活性の部分的回復が観察された。これらの混合物は、個々の抗体よりも高いCDC効力を示したが、自己オリゴマー化阻害性変異を持たない親抗体IgG1-Campath-E430Gまたは1つの自己オリゴマー化阻害性変異ペアK439E+S440Kだけを持つ2種のIgG1-Campath-E430G変種の抗体組合せよりは低いCDC効力を示した(図6E/F)。
【0295】
Fc-Fc阻害性二重変異ペアY436N/K439E+Y436K/S440Kを持つIgG1-Campath-E430G抗体変種の組合せでは、CDC効力の復旧は観察されなかった(図6G)。
【0296】
総合すると、E430GなどのFc-Fc相互作用強化変異を持つ抗体について、自己オリゴマー化阻害性変異ペアによる阻害されたCDC効力と復旧したCDC効力との間の「ウインドウ」は、各抗体において2つ以上の自己オリゴマー化阻害性変異を組み合わせることによって調整できることが示された。ただし、IgG1-Campath-E430G変種の異なる組合せによって達成されるウインドウの幅は予測不可能であった。
【0297】
実施例7:抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H抗体変種のFcRn結合
新生児型Fc受容体(FcRn)は、IgGを分解から保護することによって、IgGの長い血漿中半減期の原因となる。抗体の内部移行後に、FcRnはエンドソーム内で抗体Fc領域に結合するが、その相互作用は温和な酸性環境(pH6.0)内で安定である。中性(pH7.4)環境である形質膜にリサイクルされると、相互作用は失われ、抗体は再び循環へと放出される。これがIgGの血漿中半減期に影響を及ぼす。
【0298】
六量体化強化変異E430Gと、自己オリゴマー化阻害性変異K439EまたはS440Kのうちの1つと、実施例2において同定された自己オリゴマー化阻害性変異I253G、I253K、I253R、H310DもしくはH310Rまたは実施例3において同定されたY436K、Y436N、Q438NもしくはQ438Rのうちの1つとを含有する抗CD52 IgG1-CAMPATH-1HへのヒトFcRnの結合を評価するために、FcRn結合酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を行った。Streptawell 96ウェルプレート(Roche、カタログ番号1734776001)を、0.05%Tween 20を補足したPBS(PBST)+0.2%BSAに希釈した5μg/mL(100μL/ウェル)のヒトFcRnの組換え生産ビオチン化細胞外ドメイン[FcRnECDHis-B2M-BIO、すなわちベータ2ミクログロブリン(B2M;SEQ ID NO:112)との二量体としてのC末端Hisタグを持つヒトFcRnの細胞外ドメイン(FcRnECDHis;SEQ ID NO:111)]で、室温(RT)において振とうしながら2時間、コーティングした。プレートをPBSTで3回洗浄した。段階希釈した抗体試料(PBST/0.2%BSA、pH6.0またはpH7.4での5倍希釈で最終濃度範囲0.003~40μg/mL)を加え、振とうしながらRTで1時間インキュベートした。プレートをPBST/0.2%BSA、pH6.0またはpH7.4で洗浄した。PBST/0.2%BSA、pH6.0またはpH7.4で希釈したセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートポリクローナルヤギ抗ヒトカッパ軽鎖(1:5,000;Sigma、カタログ番号A-7164)を加え、プレートを振とうしながらRTで1時間インキュベートした。PBST/0.2%BSA、pH6.0またはpH7.4で洗浄した後、100μLの2,2'-アジノ-ビス(3-エチルベンズチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS;1mg/mL;Roche、カタログ番号11112422001および11112597001)を基質として加え、プレートを遮光下に室温で10分間インキュベートした。100μLの2%シュウ酸(Riedel de Haen、カタログ番号33506)を使って反応を停止し、RTにおいて10分間インキュベートし、ELISAリーダーを使って405nmにおける吸光度を測定した。GraphPad Prismソフトウェアを使って、可変勾配のシグモイド用量応答曲線をフィッティングすることにより、対数変換データを分析した。
【0299】
試験したIgG1-CAMPATH-1H抗体変種はいずれも、pH7.4では、ヒトFcRnへの結合を示さなかった。pH6.0では、抗体IgG1-b12、野生型抗CD52 IgG1-CAMPATH-1Hおよび抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H変種E430G、K439E、ならびにアミノ酸位置Y436およびQ438に変異を持つ抗CD52 IgG1-CAMPATH-1Hの抗体変種が結合を示した(図7)。加えて、S440K変異はFcRn結合を阻害しなかった。対照的に、アミノ酸位置I253およびH310に変異を持つ抗CD52 IgG1-CAMPATH-1Hの抗体変種では、pH6.0においてFcRnへの結合は観察されなかった。総合すると、これらの結果は、六量体化強化変異E430Gおよび自己オリゴマー化阻害性変異K439E、S440K、Y436K、Y436N、Q438Nおよび/またはQ438Rを持つ抗CD52 IgG1-CAMPATH-1HがヒトFcRnへの正常な結合を示し、FcRnへの結合能は、自己オリゴマー化阻害性変異H310D、H310R、I253G、I253KまたはI253Rの導入によって失われたことを示している。
【0300】
実施例8:Y436K、Y436N、Q438NおよびQ438R変異が、六量体化強化変異およびK439EまたはS440Kを持つ抗CD52抗体のインビトロFcγR結合に及ぼす効果
精製抗体を使って、FcγRIIAアロタイプ131H(SEQ ID NO:113)、FcγRIIAアロタイプ131R(SEQ ID NO:114)、FcγRIIB(SEQ ID NO:115)、FcγRIIIAアロタイプ158F(SEQ ID NO:116)およびFcγRIIIAアロタイプ158V(SEQ ID NO:117)の二量体型ECDへのIgG1-CAMPATH-1Hの結合を、ELISAアッセイで試験した。二量体型FcγR変種への結合を検出するために、96ウェルMicrolon ELISAプレート(Greiner、ドイツ)をPBS中のヤギF(ab')2-抗ヒト-IgG-F(ab')2(Jackson Laboratory、109-006-097、1μg/mL)で4℃において一晩コーティングし、洗浄し、200μL/ウェルのPBS/0.2%BSAで室温(RT)において1時間ブロッキングした。インキュベーションの間に洗浄を挟みながら、プレートを、PBST/0.2%BSA中のIgG1-CAMPATH-1H抗体変種の希釈系列(5倍ステップで0.0013~20μg/mL)100μL/ウェルと共に振とうしながらRTで1時間、PBST/0.2%BSA中の二量体型Hisタグ付きC末端ビオチン化FcγR ECD変種(1μg/mL)100μL/ウェルと共に振とうしながらRTで1時間、そして検出抗体としてのPBST/0.2%BSA中のストレプトアビジン-ポリHRP(CLB、M2032、1:10.000)100μL/ウェルと共に振とうしながらRTで30分間、逐次インキュベートした。発色は1mg/mL ABTS(Roche、ドイツ・マンハイム)を使って約24分(IIB)または30分(IIA-131H、IIA-131R、IIIA-158V、IIIA-158F)にわたって行った。反応を停止させるために100μL/ウェルの2%シュウ酸を加えた。マイクロプレートリーダー(BioTek、バーモント州ウィヌースキ)で405nmにおける吸光度を測定した。20μg/mLの抗体濃度でのFcγR結合をプロットした。データは3つの独立したレプリケートに基づき、ELISAにおけるバックグラウンドシグナル(抗体なしの対照、0%)および100%に設定した内部標準IgG1-CAMPATH-1H-E430Gに対して実験ごとに正規化する。
【0301】
Fc-Fc相互作用特性が調節された共依存性抗体混合物の一定の応用には、無傷のFcγR媒介性エフェクター機能の存在が必要になりうる。Fc-Fc相互作用強化変異E430Gおよび自己オリゴマー化阻害性変異K439E、S440K、Y436K、Y436N、Q438NおよびQ438Rを持つIgG1-CAMPATH-1H変種のFcγRIIa、FcγRIIbおよびFcγRIIIaへの結合をELISAによって評価したところ、試験したすべての抗体が20μg/mlの抗体濃度においてFcγR結合を保っていることが明らかになった(図8A~E)。変種IgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440K-Y436KおよびIgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440K-Q438Rについては比較的低いFcγR結合が観察された。
【0302】
結論として、Fc-Fc相互作用強化変異E430Gならびに自己オリゴマー化阻害性変異K439E、S440K、Y436K、Y436N、Q438NおよびQ438Rを持つIgG1-CAMPATH-1H抗体変種はFcγR結合を保っていた。
【0303】
実施例9:E430G Fc-Fc相互作用強化変異を持つ抗CD52 IgG1-CAMPATH-1HへのFc-Fc自己オリゴマー化阻害性変異の導入による混合された抗体変種によるCDC活性の選択性
E430G Fc-Fc相互作用強化変異を持つ抗CD52抗体IgG1-CAMPATH-1Hの変種の混合物を使って、自己オリゴマー化阻害性変異Y436K、Y436N、Q438N、Q438R、K439EおよびS440KがインビトロCDC効力に及ぼす効果を試験した。さまざまな濃度の精製抗体(最終濃度範囲0.01~40.0μg/mL)を、20%NHSを用いるWien 133細胞でのインビトロCDCアッセイで試験した。抗体IgG1-CAMPATH-1Hに、次に挙げるさまざまな変異を導入した:強化されたFc-Fc相互作用を誘導するE430G、および自己オリゴマー化阻害性変異Y436K、Y436N、Q438N、Q438R、K439E、もしくはS440Kのうちの1つまたは複数。個々の構成要素およびそれらから構成される混合物の濃度の直接比較が可能になるように、対照として、単独の抗体を非結合性アイソタイプ対照抗体IgG1-b12とも1:1で混合し、以下、これらの条件を単剤活性という。CDCアッセイのために、0.2%ウシ血清アルブミン(BSA;Roche、カタログ番号10735086001)を含むRPMI(Sigma、カタログ番号R5886-500mL)中のWien 133細胞(英国オックスフォード、BioAnaLab LimitedのGeoff Hale博士のご厚意により提供されたもの)0.1×106個を、ポリスチレン丸底96ウェルプレート(Greiner bio-one、カタログ番号650180)中、80μLの総体積で、精製抗体の濃度系列と共に、振とう機上、RTで15分間、プレインキュベートした。次に、20μLの正常ヒト血清(NHS;Sanquin)を補体源として加え、その混合物を37℃のインキュベーターで45分間インキュベートした(最終NHS濃度20%;最終IgG濃度は3.3倍希釈で40~0.01μg/mL)。プレートを氷にのせることによって反応を停止してから、遠心分離によって細胞をペレット化し、上清を30μLの2μg/mLヨウ化プロピジウム溶液(PI;Sigma Aldrich、カタログ番号1002570846)で置き換えた。PI陽性細胞の数をIntellicyt iQueスクリーナー(Westburg)でのフローサイトメトリーによって決定し、溶解百分率を(PI陽性細胞の数/細胞の総数)×100%として算出した。GraphPad Prism 7を使って、2つの実験レプリケートの対数変換濃度による用量応答曲線下面積を算出し、平均した。相対的曲線下面積(AUC)値は、非結合性対照IgG1-b12によって誘導される溶解(0%)および抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H-E430Gによる最大溶解(100%)に対して正規化された値を表す。
【0304】
抗CD52抗体IgG1-CAMPATH-1H-E430Gは、非結合性対照IgG-b12(0%に設定)と比較して、効率のよいWien 133細胞の溶解(曲線下面積(AUC)として表される;図9A;100%に設定)を誘導した。他の抗体試料はすべて、これらの対照反応と等価な総IgG濃度を含有したが、1:1の比で混合された2つの異なる抗体で構成された。IgG1-CAMPATH-1H-E430GにK439E変異またはS440K変異を導入して変種E430G-K439EおよびE430G-S440Kを作出したところ、単剤としてIgG1-b12と組み合わせて試験した場合にはCDC効力は減少したが(図9A)、どちらの変種も実質的な単剤活性を、特に40μg/mLのIgG濃度では、保っていた(図9B)。IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439EおよびIgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440Kを混合すると、CDC効力は回復した。単剤としてIgG1-b12と組み合わせて試験した場合のIgG1-Campath-1H-E430G-S440Kの残存CDC効力は、変異Y436K、Y436N、Q438NまたはQ438Rのいずれかを導入することによって、40μg/mLのIgG濃度での効力を含めて、著しく減少した(図9B)。変異Y436K、Y436NまたはQ438NのいずれかをIgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439Eに導入した場合にも、単剤としてIgG1-b12と共に試験すると、CDC効力の著しい減少が観察された。これとは全く対照的に、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439Eへの変異Q438Rの導入は、IgG1-b12と組み合わせた単剤としてのCDC効力を増加させた(図9A図9B)。
【0305】
自己オリゴマー化阻害性変異Y436K、Y436N、Q438NまたはQ438Rを持つIgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439EおよびIgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440Kの変種を組み合わせると、CDC効力(AUCとして表される、図9A)および最大細胞溶解百分率(図9B)の実質的な回復が、Y436K変異を保持する1つの抗体とY436N変異を保持する1つの抗体を組み合わせた場合を例外として、すべての組合せで観察された。前記の例外は、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436NをIgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440K-Y436Kと組み合わせた場合にも、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436KをIgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440K-Y436Nと組み合わせた場合にも起こった。総合すると、これらのデータは、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440Kへの自己オリゴマー化阻害性変異Y436K、Y436N、Q438NまたはQ438Rの導入およびIgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439Eへの自己オリゴマー化阻害性変異Y436K、Y436NおよびQ438N変異の導入が、単剤のCDC効力のさらなる低減をもたらすことを実証している。CDC効力は、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436NとIgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440K-Y436Kとの組合せおよびIgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436KとIgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440K-Y436Nとの組合せを除いて、自己オリゴマー化阻害性変異を保持する相補的なIgG1-CAMPATH-1H-E430G-K493E変種とIgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440K変種を混合することによって回復した。
【0306】
実施例10:E430G Fc-Fc相互作用強化変異を持つ抗CD20 IgG1-11B8へのFc-Fc自己オリゴマー化阻害性変異の導入による混合された抗体変種によるCDC活性の選択性
本質的に実施例9で述べたように、E430G Fc-Fc相互作用強化変異を持つ抗CD20抗体IgG1-11B8の変種の混合物を使って、自己オリゴマー化阻害性変異Y436K、Y436N、Q438N、Q438R、K439EまたはS440KがインビトロCDC効力に及ぼす効果を試験した。ここでは、次に挙げるさまざまな変異を、CD20に対する抗体IgG1-11B8に導入した:Fc-Fc相互作用を誘導するE430G、および自己オリゴマー化阻害性変異Y436K、Y436N、Q438N、Q438R、K439EもしくはS440Kのうちの1つまたは複数。GraphPad Prism 7を使って、2つの実験レプリケートの対数変換濃度による用量応答曲線下面積(AUC)を算出した。AUCは、プレートごとに、非結合性対照IgG1-b12によって誘導される溶解(0%)および抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H-E430G+抗CD20 IgG1-11B8-E430Gの混合物による最大溶解(100%)に対して正規化した後、複数の実験を平均した。
【0307】
抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H-E430Gと抗CD20 IgG1-11B8-E430Gの混合物は、非結合性対照IgG-b12(0%に設定)と比較して、効率のよいWien 133細胞の溶解(曲線下面積(AUC)として表される;図10;100%に設定)を誘導した。同様にIgG1-11B8-E430GはWien 133細胞の溶解を誘導した。自己オリゴマー化阻害性変異Y436KまたはQ438Rを持つIgG1-11B8-E430G-S440K変種でも、自己オリゴマー化阻害性変異Y436NまたはQ438Nを持つIgG1-11B8-E430G-K439E変種でも、単剤活性は観察されなかった。IgG1-11B8-E430G-K439E-Y436NとIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438Rとを混合することにより、CDC効力を、IgG1-11B8-E430Gによって誘導されるCDC効力と類似するレベルまで回復させることができた。しかし、IgG1-11B8-E430G-K439E-Y436N+IgG1-11B8-E430G-S440K-Y436KまたはIgG1-11B8-E430G-K439E-Q438N+IgG1-11B8-E430G-S440K-Y436Kの混合物では回復は観察されず、一方、IgG1-11B8-E430G-K439E-Q438N+IgG1-11B8-E430G-S440K-Q438Rの混合後は低いCDC効力が回復した(図10)。
【0308】
総合すると、これらの結果は、自己オリゴマー化阻害性変異K439EまたはS440Kのうちのどちらかを含有するIgG1-11B8-E430Gへの自己オリゴマー化阻害性変異Y436K、Y436N、Q438NまたはQ438Rの導入が、Wien 133細胞インビトロCDCモデルにおいて、単剤CDC効力の喪失をもたらすことを実証している。抗体媒介性CD20ターゲティングのこのモデルでは、IgG1-11B8-E430G-K439E-Y436NとIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438Rを混合することによってのみ、CDC効力を回復させることができた。
【0309】
実施例11:E430G Fc-Fc相互作用強化変異を持つ抗CD52 IgG1-CAMPATH-1Hおよび抗CD20 IgG1-11B8への自己オリゴマー化阻害性変異の導入による混合された抗体変種によるCDC活性の選択性
実施例9および実施例10では、Fc-Fc相互作用強化変異E430Gと自己オリゴマー化阻害性変異K439EまたはS440Kのどちらか一方とを持つIgG1-CAMPATH-1H(実施例9)またはIgG1-11B8(実施例10)への自己オリゴマー化阻害性変異の導入が、インビトロCDCモデルにおいて低減した単剤活性をもたらし、一方、同じ抗原を標的とする該変異を持つ相補的抗体変種を混合すると、CDC効力の回復が観察されることを述べた。ここでは、異なる抗原を標的とする2種の抗体、すなわち抗CD20 IgG1-11B8および抗CD52 IgG1-CAMPATH-1Hに自己オリゴマー化阻害性変異を導入することの効果を試験した。CDC活性は本質的に実施例9に記載したように試験した。抗体IgG1-11B8およびIgG1-CAMPATH-1Hに、次に挙げるさまざまな変異を導入した:強化されたFc-Fc相互作用を誘導するE430G;およびホモ六量体型抗体複合体の形成を阻害し、ヘテロ六量体型抗体複合体の形成を促進する自己オリゴマー化阻害性変異Y436K、Y436N、Q438N、Q438R、K439EもしくはS440Kのうちの1つまたは複数。GraphPad Prism 7を使って、2つの実験レプリケートの対数変換濃度による用量応答曲線下面積(AUC)を算出した。AUCは、プレートごとに、非結合性対照IgG1-b12によって誘導される溶解(0%)および抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H-E430G+抗CD20 IgG1-11B8-E430Gの混合物による最大溶解(100%)に対して正規化した後、複数の実験を平均した。
【0310】
抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H-E430Gと抗CD20 IgG1-11B8-E430Gの混合物は、非結合性対照IgG-b12(0%に設定)と比較して、効率のよいWien 133細胞の溶解(曲線下面積(AUC)として表される;図11;100%に設定)を誘導した。IgG1-11B8-E430Gへの変異S440Kの導入によってCDC効力は完全に消失し、IgG1-CAMPATH-1H-E430Gへの変異K439Eの導入は単剤活性を低減しただけだった。CDC効力は、抗体IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439EとIgG1-11B8-E430G-S440Kの混合によって回復した。以下、これを先行技術混合物という。
【0311】
IgG1-11B8-E430G-S440Kへの自己オリゴマー化阻害性変異Y436K、Y436N、Q438NまたはQ438Rの導入は単剤CDC活性の完全な喪失をもたらした。実施例9で提示したデータと同様に、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439Eへの変異Y436K、Y436NまたはQ436Nの導入は、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439Eと比較して低い単剤活性をもたらしたが、変異Q438Rの導入ではそうならなかった。
【0312】
IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436KとIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438NまたはIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438Rとの混合物により、先行技術混合物によって誘導されるCDC効力の約80~90%を復活させることができた(しかしIgG1-11B8-E430G-S440K-Y438Nではそうならなかった)。IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436NとIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438NまたはIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438Rとの混合物により、先行技術混合物によって誘導されるCDC効力の約80~90%が復活した(しかしIgG1-11B8-E430G-S440K-Y436Kではそうならなかった)。IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438NとIgG1-11B8-E430G-S440K-Y436K、IgG1-11B8-E430G-S440K-Y436NまたはIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438Rとの混合物は、先行技術混合物の効力の84%まで回復した。IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438Rの単剤活性は比較的高いものの、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438RをIgG1-11B8-E430G-S440K-Y436KまたはIgG1-11B8-E430G-S440K-Y436Nと混合することにより、CDC効力はさらにわずかに増加した。
【0313】
総合すると、これらのデータは、IgG1-11B8-E430G-S440Kへの自己オリゴマー化阻害性変異Y436K、Y436N、Q438NまたはQ438Rの導入およびIgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439Eへの自己オリゴマー化阻害性変異Y436K、Y436NおよびQ438N変異の導入が、単剤のCDC効力のさらなる低減をもたらすことを実証しており、実施例9および実施例10で述べた結果が確認された。異なる抗原を標的とする相補的抗体の混合後にCDC効力が復活することは、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436NとIgG1-11B8-E430G-S440K-Y436Kの組合せおよびIgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436KとIgG1-11B8-E430G-S440K-Y436Nの組合せを例外として、該自己オリゴマー化阻害性変異を保持するIgG1-CAMPATH-1H-E430G-K493EとIgG1-11B8-E430G-S440K変種の混合物によってCDC効力が復活したという観察結果によって実証された。
【0314】
実施例12:さまざまなFc-Fc相互作用強化変異を持つ抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H+抗CD20 IgG1-11B8の混合された抗体変種によるCDC活性の選択性
実施例11では、自己オリゴマー化阻害性変異の導入によって異なる抗原を標的とする2種の抗体のCDC選択性を強化できることが示された。ここでは、本発明者らは、異なるFc-Fc相互作用強化変異E430G、E345K、E345RおよびK248E/T437Rを持つ抗体変種のCDC活性の選択性を試験する。
【0315】
Wien 133細胞を用いるインビトロCDCアッセイを、本質的に実施例9で述べたように、20%NHSおよび抗体濃度系列(3.3倍希釈で最終濃度範囲0.01~40.0μg/mL)で行った。細胞溶解および相対的AUC値を、2つの実験レプリケートにより、実施例9で述べたようにPI陽性細胞の数から算出した。AUCは、陰性対照抗体IgG1-b12に関する値(0%)および陽性対照IgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-11B8-E430Gに関する値(100%)に対して正規化した。
【0316】
IgG1-b12では細胞溶解は観察されず(図12A、B;0%に設定)、一方、抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H-E430G+抗CD20 IgG1-11B8-E430Gの1:1混合物はWien 133細胞の効率のよい細胞溶解を誘導した(図12A、B;100%に設定)。後者の活性は血清の非存在下では観察されなかったことから、細胞溶解はC1q依存的であることが示された。
【0317】
IgG1-CAMPATH-1H-E430Gの単剤活性はIgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-11B8-E430Gの混合物の活性に近かった(図12A)。IgG1-CAMPATH-1H-E430Gへの自己オリゴマー化阻害性変異K439Eの導入は細胞溶解の強い低減をもたらした。IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439Eへの変異Y436NまたはQ438Nの導入により、単剤活性のさらなる低減が達成された。IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436NまたはIgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438NにおいてFc-Fc相互作用強化変異E430GをE345KまたはE345Rで置換したところ、単剤活性は、同様に抑制された。要約すると、Fc-Fc相互作用強化変異E430G、E345KまたはE345Rのいずれかを持つIgG1-CAMPATH-1Hの単剤活性は、自己オリゴマー化阻害性変異K439EをY436NまたはQ438Nのどちらか一方と組み合わせて導入することによって消失させることができる。
【0318】
抗体抗CD20 IgG1-11B8-E430Gは中間的な単剤活性を示す(図12A)。自己オリゴマー化阻害性変異S440Kの導入はIgG1-11B8-E430Gの単剤活性を消失させた。IgG1-11B8-E430G-S440Kへの自己オリゴマー化阻害性変異Y436KまたはQ438Rの導入後にも、単剤活性の完全な消失が観察された。IgG1-CAMPATH-1Hについて記載した結果と同様に、E430Gの代わりにFc-Fc相互作用強化変異E345KまたはE345Rのどちらか一方を持つ抗体変種は、E430G変異を含有する抗体変種で観察されたものと同様の細胞溶解の消失をもたらした。要約すると、Fc-Fc相互作用強化変異E430G、E345KまたはE345Rのいずれかを持つIgG1-11B8の単剤活性は、自己オリゴマー化阻害性変異S440KをY436KまたはQ438Rのどちらか一方と組み合わせて導入することによって消失させることができる。
【0319】
IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436Nではわずかな単剤活性しか観察されず、IgG1-11B8-E430G-S440K-Q438Rでは単剤活性は観察されなかったが、これらの抗体の混合物は、IgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-11B8-E430Gの混合物のレベルまで、CDC効力を回復した(図12A)。細胞溶解の同様の復活は、E430G変異がE345K変異またはE345R変異で置き換えられた抗体変種でも達成された。上記実施例11で述べたように、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436NをIgG1-11B8-E430G-S440K-Y436Kと混合することでは、CDC効力の部分的回復しか得られなかった(図12A)。これらの抗体におけるE430G変異をE345K変異で置き換えても同様の結果が得られた。E345K変異を保持する変種と比較してより強いCDC効力の回復は、E430G変異がE345Rで置き換えられている同じ抗体変種を混合することによって達成された。このことは、最大力価が望まれる場合には、興味深いことでありうる。IgG1-CAMPATH-1H-E345K-K439E-Q438NおよびIgG1-11B8-E345K-S440K-Y436Kではそれぞれ限定的単剤活性が観察されたのに対し、これらの抗体の混合物は、IgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-11B8-E430Gの陽性対照混合物のCDC効力の約65%を回復した(図12A)。この混合物中の両抗体変種におけるE345KをE345Rで置換すると、約80%のCDC力価が回復した。IgG1-CAMPATH-1H-E345R-K439E-Q438NとIgG1-11B8-E345R-S440K-Q438Rの混合物では、類似する効力が観察された。
【0320】
上述のように、IgG1-CAMPATH-1H-E430Gへの変異K439Eの導入によって単剤活性を低減することができ、一方、IgG1-11B8への変異S440Kの導入によって単剤活性は完全に消失した(図12A、B)。Fc-Fc相互作用強化変異K248EおよびT437RをE430Gの代わりにIgG1-CAMPATH-1Hに導入したところ、Y436NまたはQ438Nと組み合わされた自己オリゴマー化阻害性変異K439Eと組み合わせても、実質的な単剤活性が観察された(図12B)。K248E変異およびT437R変異がS440KおよびY436KまたはQ438Rのどちらか一方と一緒に導入されたIgG1-11B8変種では、単剤活性は観察されなかった。K248E変異およびT437R変異を含有する抗体を混合することによってCDC効力を強化することはできたが、この強化は、Fc-Fc相互作用強化変異E430G、E345KまたはE345Rのいずれかを含有する抗体の混合物ほど効率のよいCDC効力はもたらさなかった。
【0321】
総合すると、これらの結果は、相補的自己オリゴマー化阻害性変異K439E、S440K、Y436K、Y436N、Q438Nおよび/またはQ438Rを保持する抗体変種を混合することにより、ほとんど機能的に等価なFc-Fc相互作用強化変異E430G、E345KまたはE345Rのうちのどれが含まれていたとしても、CDC効力の回復を達成できることを示している。Y436K変異およびY436N変異を含有する2種の抗体の混合物は、CDC効力を部分的にしか復活させなかった。しかし、E345R変異を含有するそのような変種を混合すると、E345K変異またはE430G変異のどちらか一方を含有する抗体変種よりも強いCDC効力の回復が誘導された。さらにまた、K248EおよびT437R Fc-Fc相互作用強化変異を含有する抗体変種を混合することにより、CDC効力の部分的回復を達成することができ、その効率は、E430G、E345KまたはE345R変異のいずれか一つを含有する抗体の混合物よりは低かった。
【0322】
実施例13:異なるヒトIgGサブクラスバックボーンの抗CD52抗体変種および抗CD20抗体変種の混合物についての選択的CDC活性の分析
先の実施例では、抗CD20 IgG1抗体および抗CD52 IgG1抗体への自己オリゴマー化阻害性変異の導入が標的細胞溶解の選択的共依存性誘導をもたらすことを述べた。ここでは、本発明者らは、これらの原理が他のIgGサブクラスおよび異なるIgGサブクラスの組合せにも当てはまるかどうかを試験した。
【0323】
E430G-K439E変異を含有するヒトIgG1、IgG2およびヒンジ安定化IgG4(S228P)Fcバックボーンに抗CD52 CAMPATH-1HのVH配列をクローニングし、E430G-S440K変異を含有するヒトIgG1、IgG2およびヒンジ安定化IgG4(S228P)Fcバックボーンに抗CD20 11B8のVH配列をクローニングした。追加の自己オリゴマー化阻害性変異Y436N、Y436K、Q438NまたはQ438Rを持つこれらの抗CD52サブクラス変種および抗CD20サブクラス変種のさまざまな組合せを、選択的CDC活性について試験した。Wien 133細胞を用いるインビトロCDCアッセイを、本質的に実施例9で述べたように、20%NHSおよび抗体濃度系列(3.3倍希釈で最終総IgG濃度範囲0.01~40.0μg/mL)で行った。細胞溶解および相対的AUC値を、2つの実験レプリケートにより、実施例9で述べたようにPI陽性細胞の数から算出した。AUCは、陰性対照抗体IgG1-b12に関する値(0%)および陽性対照IgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-11B8-E430Gに関する値(100%)に対して正規化した。
【0324】
実施例9、10および11で述べたように、抗CD20 IgG1-11B8-E430Gの単剤活性は、自己オリゴマー化阻害性変異S440KをY436K変異またはQ438R変異のどちらか一方と組み合わせて導入することによって消失させることができた。IgG2サブクラスバックボーンまたはIgG4サブクラスバックボーンへのS440K、Y436KおよびQ438R変異の導入は、同様にCDC効力の消失をもたらした。CD52を標的とする抗体変種IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436Nは、IgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-11B8-E430Gの混合物よりははるかに低かったものの、残存単剤活性を示した。この抗体のIgG2サブクラスバックボーン変種またはIgG4サブクラスバックボーン変種では、単剤として使用した場合に、CDC効力は観察されなかった(図13)。このことは、両方の構成要素によって結合された細胞に対する最大限の選択性が望まれる場合には、極めて興味深い。IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438Nについても同様の観察がなされ、IgG1サブクラス変種では低い単剤活性が観察されたが(図11、実施例11)、IgG2サブクラス変種またはIgG4サブクラス変種では単剤活性は検出できなかった(図13)。理論によって制限されることはないが、これは、IgG2サブクラスおよびIgG4サブクラスのC1q結合アフィニティーがIgG1と比較して低減していることによって説明されうる。
【0325】
CDC効力の回復は、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436NをIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438R、IgG2-11B8-E430G-S440K-Q438RまたはIgG4-11B8-S228P-E430G-S440K-Q438Rと混合することによって達成できた。IgG2およびIgG4の組合せのCDC力価は、対応するIgG1抗体変種の混合物と比べて低かった(図13)。CDC効力は、IgG2-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436NをIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438R、IgG2-11B8-E430G-S440K-Q438RまたはIgG4-11B8-S228P-E430G-S440K-Q438Rと混合することによっても回復させることができたが、対応するIgG1抗体変種の混合物と比べると、CDC力価は低減した。CDC効力の部分的回復は、IgG2-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438NをIgG2-11B8-E430G-S440K-Y436KまたはIgG2-11B8-E430G-S440K-Q438Rと混合することによって達成することができ、後者の組合せは前者の組合せよりも高い活性を示した。CDC効力の部分的回復は、IgG4-CAMPATH-1H-S228P-E430G-K439E-Y436NをIgG4-11B8-S228P-E430G-S440K-Q438RまたはIgG1-11B8-S440K-Q438Rと混合することによって達成することができた(図13)。IgG4-CAMPATH-1H-S228P-E430G-K439E-Q438NとIgG4-11B8-S228P-E430G-S440K-Q438Rの混合物によるCDC効力の実質的な回復は観察されなかった。
【0326】
実施例9での観察結果と合致して、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436NをIgG1-11B8-E430G-S440K-Y436Kと混合してもCDC効力の回復は起こらなかった。同様に、IgG2サブクラス変種IgG2-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436N+IgG2-11B8-E430G-S440K-Y436KおよびIgG4サブクラス変種IgG4-CAMPATH-1H-S228P-E430G-K439E-Y436N+IgG4-11B8-S228P-E430G-S440K-Y436Kは、実質的なCDC活性を回復させることができなかった。
【0327】
個々のサブクラスクラスごとにIgGサブクラスの組合せを比較すると、IgG1抗体の組合せは、IgG2抗体の組合せよりも強い共依存性CDC効力を誘導し、IgG2抗体の組合せはIgG4抗体の組合せよりも強く働いた。加えて、異なるIgGサブクラスの組合せは、IgG1抗体とIgG2抗体との組合せがIgG1抗体とIgG4抗体との組合せよりも強い共依存性CDC効力を誘導し、IgG1抗体とIgG4抗体との組合せはIgG2抗体とIgG4抗体との組合せより強く働いたことを示した。結論として、共依存性CDC活性は、同じIgGサブクラスに由来する2種の抗体の組合せを使用した場合にも、2種の異なるIgGサブクラスに由来する場合にも、試験したすべてのIgGサブクラスに由来する抗体によって誘導することができた。
【0328】
実施例14:FcγR結合阻害性変異G237Aを持つ抗CD52抗体変種と抗CD20抗体変種の混合物に関する選択的CDC活性の分析
実施例11およびそれ以降の実施例では、抗CD20 IgG1抗体および抗CD52 IgG1抗体への自己オリゴマー化阻害性変異の導入が標的細胞溶解の選択的共依存性誘導をもたらすことを述べた。共依存性抗体によるC1q結合またはCDCに対する効果は限定的でありながら、FcγR結合およびFcγR媒介性エフェクター機能を強く抑制する変異の一例として、本発明者らは、変異G237Aをさらに導入することの効果を試験した。2種の構成要素の共依存性六量体化に感受性であるエフェクター機能だけが混合後に回復すると予想することができ、単剤および混合物はどちらも著しく阻害されたFcγR媒介性エフェクター機能を示すと予想される。
【0329】
二量体型FcγR変種へのIgG1-CAMPATH-1H抗体変種およびIgG1-11B8抗体変種の結合を検出するために、FcγR結合アッセイを本質的に実施例8で述べたように行った。さらにまた、Wien 133細胞を用いるインビトロCDCアッセイを、本質的に実施例9で述べたように、20%NHS、および最終濃度範囲が4倍希釈で0.002~40.0μg/mL(図14F)または3.3倍希釈で0.01~40.0μg/mL(図14G)の抗体濃度系列で行った。細胞溶解および相対的AUC値を、2つの実験レプリケートにより、実施例9で述べたようにPI陽性細胞の数から算出した。AUCは、陰性対照抗体IgG1-b12に関する値(0%)および陽性対照IgG1-CAMPATH-1H-E430G(図14F)またはIgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-11B8-E430Gの混合物(図14G)に関する値(100%)に対して正規化した。血清の非存在下でWien 133細胞を後者の混合物に曝露した後にCDC活性は観察されなかったことから、細胞溶解はC1q依存的であることが示された(図14G)。
【0330】
野生型IgG1-CAMPATH-1H抗体と、変異E430GまたはE430G-K439Eが導入されているその変種は、FcγRIIAアロタイプ131H、FcγRIIAアロタイプ131R、FcγRIIB、FcγRIIIAアロタイプ158FおよびFcγRIIIAアロタイプ158Vに結合した(図14A~E)。野生型抗体IgG1-11B8と、変異E430G-S440Kが導入されている変種も、試験したFcγR変種への結合を示した。抗体変種IgG1-11B8-E430Gは、理由ははっきりしないものの、効率の低いFcγR変種結合を示したが、アフィニティー変種FcγRIIAアロタイプ131HおよびFcγRIIIAアロタイプ158Vへの実質的結合は保っていた。FcγRへの結合は、上述の抗体変種のすべてにおいて、変異G237Aの導入によって完全に消失した。
【0331】
IgG1-CAMPATHへのWien 133細胞の曝露後は効率のよい細胞溶解が観察された。IgG1-11B8-E430G-S440K-Q438RまたはIgG1-11B8-E430G-S440K-Y436Kの単剤活性は観察されず、これらの抗体変種に変異G237Aを導入しても、それには影響がなかった(図14G)。IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436Nに観察された残存単剤活性は、変異G237Aの導入によって効率よく消失した。このことは、両方の構成要素によって結合される細胞または組織に対する最大限の選択性が望まれる場合には、極めて興味深い。IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436NとIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438Rの混合物は、IgG1-CAMPATH-1H-E430GとIgG1-11B8-E430Gの混合物のレベルに近い効率のよいCDCを誘導した。細胞溶解の回復は、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436N-G237AをIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438R-G237Aと混合した後にも観察されたが、IgG1-11B8-E430G-S440K-Y436K-G237Aとの混合後には観察されず、先の実施例で述べた結果と合致した。
【0332】
IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438Nの低い単剤活性は、変異G237Aを導入すると排除された(図14)。IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438N-G237Aを、IgG1-11B8-E430G-S440K-Y436K-G237AまたはIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438R-G237Aのどちらか一方と混合することによって、CDC効力を中間レベルまで復活させることができたが、抗原飽和抗体濃度では約80%の溶解が観察された。総合すると、G237A変異を含有する抗体変種の混合物は、この変異を持たない抗体変種よりも相対的に低いCDC効力の復活を示す。理論によって制限されることはないが、これは、C1q結合に対する変異G237Aのあまり大きくはない阻害効果によって説明しうる。
【0333】
要約すると、これらのデータは、FcγR結合阻害性変異G237Aの導入が自己オリゴマー化阻害性変異Y436NおよびQ438Nを持つ抗体変種の残存単剤活性を排除することを実証している。CDC効力の回復は、相補的自己オリゴマー化阻害性変異とG237A変異とを持つ抗体変種を混合することによって達成することができた。ただし、その効率は、G237A変異を持たない相補的抗体変種の混合物よりも低かった。
【0334】
実施例15:FcγR結合阻害性変異および強化されたC1q結合変異を持つ抗CD52抗体変種と抗CD20抗体変種の混合物によるC1q結合の分析
実施例14では、FcγR結合阻害性変異G237Aの導入が、自己オリゴマー化阻害性変異を持つ抗CD52 IgG1抗体変種および抗CD20 IgG1抗体変種の単剤活性の排除をもたらすことが実証された。しかし、G237A変異を持たない抗体変種と比較すると、G237A変異を含有する相補的抗体変種の混合物は、選択的共依存性CDC効力を完全には復活させなかった。ここでは、本発明者らは、2種の抗体の混合物の一方の抗体構成要素へのC1q結合強化変異E333SまたはK326W-E333Sの導入が、低減している可能性のあるG237A含有抗体構成要素のC1q結合を補償できるかどうかを試験した。
【0335】
Wien 133細胞を用いるインビトロCDCアッセイを、本質的に実施例9で述べたように、20%NHSおよび抗体濃度系列(3.3倍希釈で最終濃度範囲0.01~40.0μg/mL)で行った。細胞溶解および相対的AUC値を、2つの実験レプリケートにより、実施例9で述べたようにPI陽性細胞の数から算出した。AUCは、陰性対照抗体IgG1-b12に関する値(0%)および陽性対照IgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-11B8-E430Gに関する値(100%)に対して正規化した。後者の活性は血清の非存在下では観察されなかったことから、細胞溶解はC1q依存的であることが示された。
【0336】
実施例14で述べたように、Y436N変異またはQ438N変異を持つIgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E変種への変異G237Aの導入は、単剤活性を消失させた(図14図15)。C1q結合強化変異E333SまたはK326W-E333Sを抗CD20 IgG1-11B8-E430G抗体変種に導入することで、単剤CDC効力に対するこの変異の効果を調べた(図15)。IgG1-11B8-E430G-S440K-Q438RまたはIgG1-11B8-E430G-S440K-Y436KへのE333Sの導入はバックグラウンドレベルに近い低いCDC効力をもたらしたが、同じ抗体へのK326W-E333S変異の導入は、中間の単剤CDC効力をもたらした。
【0337】
IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436N-G237A変種をE333S変異またはK326W-E333S変異のどちらか一方を含有するIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438R抗体変種と混合した後に、CDC効力の完全な回復が観察された(図15)。IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436N-G237AをIgG1-11B8-E430G-S440-Y436K-K326W-E333Sと混合した場合にはCDC効力の部分的回復が達成され、IgG1-11B8-E430G-S440-Y436K-E333Sと混合した場合には回復の程度がそれより低かった。これは、実施例9および実施例11で述べた結果と合致している。
【0338】
実施例14でもここでも述べたように、変異G237Aを持つ抗体変種IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438Nは単剤活性を一切示さなかった。さらにまた、この抗体と、Y436KまたはQ438Rのどちらか一方およびG237Aを含有するIgG1-11B8-E430G-S440K変種との混合物は、CDC効力を完全には復活させなかった(図14)。しかし、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438N-G237Aを、E333S変異またはK326W-E333S変異を含有するIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438RまたはIgG1-11B8-E430G-S440K-Y436Kの変種と混合することにより、CDC効力を、陽性対照混合物のそれに近いレベルにまで復活させることができ(図15)、抗原飽和時の絶対溶解レベルは約90%に達した。
【0339】
総合すると、自己オリゴマー化阻害性変異およびFcγR結合阻害性変異G237Aを保持する1つの抗体を、自己オリゴマー化阻害性変異およびC1q結合強化変異E333Sを保持する抗体と混合することにより、最も大きな選択性ウインドウが達成された。
【0340】
実施例16:E430G Fc-Fc相互作用強化変異およびFc-Fc自己オリゴマー化阻害性変異を持つ混合された抗CD37 IgG1-37-37-3抗体変種による、Raji細胞に対するCDC活性の選択性
自己オリゴマー化阻害性変異Y436K、Y436N、Q438NおよびQ438RがRaji細胞に対するインビトロCDC効力に及ぼす効果を、E430G Fc-Fc相互作用強化変異を持つ抗CD37抗体IgG1-CD37-37-3の変種の混合物を使って試験した。
【0341】
Raji細胞を用いるインビトロCDCアッセイを、本質的に実施例9で述べたように、20%NHSおよび抗体濃度系列(3.3倍希釈で最終濃度範囲0.01~40.0μg/mL)で行った。バーキットリンパ腫細胞株RajiはATCCから購入した(カタログ番号CCL-86)。細胞溶解および相対的AUC値を、2つの実験レプリケートにより、実施例9で述べたようにPI陽性細胞の数から算出した。AUCは、陰性対照抗体IgG1-b12に関する値(0%)および陽性対照IgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-CD37-37-3-E430Gに関する値(100%)に対して正規化した。
【0342】
抗体IgG1-CD37-37-3-E430Gそれ自体は、非抗原結合性抗体IgG1-b12と混合されるかされないかに関わらず、Raji細胞に対して強力なCDC効力を誘導した(図16)。IgG1-CD37-37-3-E430Gに自己オリゴマー化阻害性変異S440K、S440K-Y436K、S440K-Q438R、K439E-Y436NまたはK439E-Q438Nを導入すると、IgG1-CD37-37-3-E430Gそのものと比べるとかなり低減するものの、残存単剤活性が観察された。CDC効力は、IgG1-CD37-37-3-E430G-K439E-Y436NをIgG1-CD37-37-3-E430G-S440K-Q438Rと混合することによってIgG1-CD37-37-3-E430Gのレベルまで完全に復活させることができたが、IgG1-CD37-37-3-E430G-S440K-Y436Kとの混合ではそうはならず、実施例9~15で提示した結果と合致した。同様に、IgG1-CD37-37-3-E430G-K439E-Q438Nの低減したCDC効力は、IgG1-CD37-37-3-E430G-S440K-Y436KまたはIgG1-CD37-37-3-E430G-S440K-Q438Rとの混合によって部分的に復活させることができた。
【0343】
総合すると、これらのデータは、Raji細胞に対するIgG1-CD37-37-3-E430GのCDC効力は、自己オリゴマー化阻害性変異K439E-Y436N、K439E-Q438N、S440K-Y436KまたはS440K-Q438Rの導入によって部分的に消失させうることを示している。CDC効力の回復は、強い回復から弱い回復に向かって順に、IgG1-CD37-37-3-E430G-K439E-Y436NをIgG1-CD37-37-3-E430G-S440K-Q438Rと混合すること、IgG1-CD37-37-3-E430G-K439E-Q438NをIgG1-CD37-37-3-E430G-S440K-Q438Rと混合すること、またはIgG1-CD37-37-3-E430G-K439E-Q438NをIgG1-CD37-37-3-E430G-S440K-Y436Kと混合することによって、さまざまな程度に達成された。
【0344】
実施例17:E430G Fc-Fc相互作用強化変異およびFc-Fc自己オリゴマー化阻害性変異を持つ混合された抗CD37 IgG1-37-37-3抗体変種および抗CD20 IgG1-11B8抗体変種による、Raji細胞に対するCDC活性の選択性
自己オリゴマー化阻害性変異Y436K、Y436N、Q438NおよびQ438RがRaji細胞に対するインビトロCDC効力に及ぼす効果を、E430G Fc-Fc相互作用強化変異を持つ抗CD37抗体IgG1-CD37-37-3および抗CD20 IgG1-11B8の変種の混合物を使って試験した。
【0345】
Raji細胞を用いるインビトロCDCアッセイを、本質的に実施例9で述べたように、20%NHSおよび抗体濃度系列(3.3倍希釈で最終濃度範囲0.01~40.0μg/mL)で行った。バーキットリンパ腫細胞株RajiはATCCから購入した(カタログ番号CCL-86)。細胞溶解および相対的AUC値を、2つの実験レプリケートにより、実施例9で述べたようにPI陽性細胞の数から算出した。AUCは、陰性対照抗体IgG1-b12に関する値(0%)および陽性対照IgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-CD37-37-3-E430Gに関する値(100%)に対して正規化した。
【0346】
IgG1-CD37-37-3-E430GとIgG1-11B8-E430GはどちらもRaji細胞に対して、それらの抗体の混合物よりは効率が低いものの、強力な単剤CDC活性を呈した(図17)。IgG1-11B8-E430Gへの自己オリゴマー化阻害性変異S440K-Y436KまたはS440K-Q438Rの導入およびIgG1-CD37-37-3-E430Gへの変異K439E-Y436NまたはK439E-Q438Nの導入により、低い単剤CDC活性が観察された。CDC効力は、IgG1-CD37-37-3-E430G-K439E-Y436NをIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438Rと混合することにより、IgG1-CD37-37-3-E430GとIgG1-11B8-E430Gの混合物のレベルまで、完全に復活させることができたが、IgG1-11B8-E430G-S440K-Y436Kとの混合ではそうはならず、実施例9~16に提示した結果と合致した。IgG1-CD37-37-3-E430G-K439E-Q438Nの低減したCDC効力は、IgG1-11B8-E430G-S440K-Y436KまたはIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438Rとの混合によって、部分的に復活させることができた。
【0347】
総合すると、これらのデータは、Raji細胞に対するIgG1-CD37-37-3-E430GのCDC効力は、自己オリゴマー化阻害性変異K439E-Y436NまたはK439E-Q438Nの導入によって部分的に消失させうることを示している。同様に、Raji細胞に対するIgG1-11B8-E430GのCDC効力は、自己オリゴマー化阻害性変異S440K-Y436KまたはS440K-Q438Rの導入によって、部分的に消失させることができた。CDC効力の回復は、強い回復から弱い回復に向かって順に、IgG1-CD37-37-3-E430G-K439E-Y436NをIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438Rと混合すること、IgG1-CD37-37-3-E430G-K439E-Q438NをIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438Rと混合すること、またはIgG1-CD37-37-3-E430G-K439E-Q438NをIgG1-11B8-E430G-S440K-Y436Kと混合することによって、さまざまな程度に達成された。
【0348】
実施例18:E430G Fc-Fc相互作用強化変異およびFc-Fc自己オリゴマー化阻害性変異を持つ混合された抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H抗体変種および抗CD37 IgG1-37-37-3抗体変種による、Raji細胞に対するCDC活性の選択性
E430G Fc-Fc相互作用強化変異を持つ抗CD52 IgG1-CAMPATH-1Hおよび抗CD37 IgG1-37-37-3の変種の混合物を使って、自己オリゴマー化阻害性変異Y436K、Y436N、Q438N、Q438R、K439EおよびS440KがRaji細胞に対するインビトロCDC効力に及ぼす効果を試験した。
【0349】
Raji細胞を用いるインビトロCDCアッセイを、本質的に実施例9で述べたように、20%NHSおよび抗体濃度系列(3.3倍希釈で最終濃度範囲0.01~40.0μg/mL)で行った。バーキットリンパ腫細胞株RajiはATCCから購入した(カタログ番号CCL-86)。細胞溶解および相対的AUC値を、2つの実験レプリケートにより、実施例9で述べたようにPI陽性細胞の数から算出した。AUCは、陰性対照抗体IgG1-b12に関する値(0%)および陽性対照IgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-CD37-37-3-E430Gに関する値(100%)に対して正規化した。
【0350】
抗体変種IgG1-CAMPATH-1H-E430Gは、Raji細胞に対して、低~中間の単剤CDC活性を示し、一方、IgG1-CD37-37-3-E430Gの単剤CDC活性は、IgG1-CAMPATH-1H-E430GとIgG1-CD37-37-3-E430Gの混合物によって誘導される活性のほとんど80%に達した(図18)。IgG1-CAMPATH-1H-E430Gへの自己オリゴマー化阻害性変異K439Eの導入は単剤CDC活性を完全に消失させ、一方、IgG1-CD37-37-3-E430Gへの変異S440Kの導入は単剤CDC活性を低減した。IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439EとIgG1-CD37-37-3-E430G-S440Kを混合することにより、陽性対照混合物のレベルのおよそ40%までの、大きくはないCDC活性の増加を達成することができた。IgG1-CD37-37-3-E430G-S440KまたはIgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439Eにおける変異Y436K、Y436N、Q438NまたはQ438Rの導入は、単剤CDC活性に有意な影響を及ぼさなかった。
【0351】
IgG1-CAMPATH-1H-E430GおよびIgG1CD37-37-3-E430Gの抗体変種の混合後に、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436NとIgG1-CD37-37-3-E430G-S440K-Q438Rの混合物では、CDCは部分的にしか回復することができず、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436NをIgG1-CD37-37-3-E430G-S440K-Y436Kと混合するか、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438NをIgG1-CD37-37-3-E430G-S440K-Y436Kと混合するか、またはIgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438NをIgG1-CD37-37-3-E430G-S440K-Q438Rと混合しても、CDC活性は回復しなかった。
【0352】
これらの観察結果と合致して、S440Kと追加の自己オリゴマー化変異とをIgG1-CD37-37-3-E430G抗体ではなくIgG1-CAMPATH-1H-E430G抗体に導入した場合、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440K-Q438RをIgG1-CD37-37-3-E430G-K439E-Y436Nと混合してもCDC活性の部分的回復しか達成できず、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440K-Y436KをIgG1-CD37-37-3-E430G-K439E-Y436Nと混合するか、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440K-Y436KをIgG1-CD37-37-3-E430G-K439E-Q438Nと混合するか、またはIgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440K-Q438RをIgG1-CD37-37-3-E430G-K439E-Q438Nと混合しても、CDC活性は回復しなかった。
【0353】
総合すると、ここに提示する結果は、自己オリゴマー化阻害性変異を保持するIgG1-CAMPATH-1H-E430G抗体変種とIgG1-CD37-37-3-E430G抗体変種の混合物が、K439E-Y436N変異を保持する抗体変種をS440K-Q438R変異を保持する抗体変種と混合した場合にのみ、Raji細胞におけるCDC効力の部分的回復を誘導したことを示している。これらの効果は、上述した変異の組合せが、IgG1-CAMPATH-1H-E430G変種に導入されたか、IgG1-CD37-37-3-E430G抗体変種に導入されたかには関係なく、観察された。
【0354】
実施例19:E430G Fc-Fc相互作用強化変異および自己オリゴマー化阻害性変異を持つ2種の非交差遮断性抗DR5抗体の混合物のBxPC-3細胞に対する選択的DR5アゴニスト活性
2種の非交差遮断性抗デス受容体5(DR5)抗体IgG1-DR5-01-G56T-E430G+IgG1-DR5-05-E430Gの混合物は、DR5陽性がん細胞の殺滅を誘導するDR5アゴニストとして作用する(WO17093447)。ここでは、混合されたDR5ターゲティング抗体変種への自己オリゴマー化阻害性変異Y436K、Y436N、Q438NおよびQ438Rの導入が、DR5を低レベルに発現する(データ省略)BxPC-3膵がん細胞(ATCC、カタログ番号CRL-1687)に対する共依存性細胞傷害をもたらすかどうかを調べるために、生存率アッセイを行った。
【0355】
BxPC-3細胞をトリプシン処理によって収穫し、セルストレーナーに通した。1,200rpmで5分間の遠心分離によって細胞をペレット化し、1.1×105細胞/mLの濃度で培養培地(RPMI 1640培地(ATCC変法)、Life Technologies、カタログ番号A10491-01+10%DBSI(Life Technologies、カタログ番号20371))に再懸濁した。45μLの単一細胞懸濁液(1ウェルあたり5,000細胞)をポリスチレン製96ウェル平底プレート(Greiner Bio-One、カタログ番号655180)に播種し、37℃で一晩接着させた。翌日、抗体希釈系列(3倍希釈で最終濃度範囲0.003~20μg/mL)の試料50μLおよび精製ヒトC1q原液24μL(Quidel、カタログ番号A400、最終濃度2.9μg/mL)を加え、37℃で3日間インキュベートした。陽性対照として、細胞を5μMスタウロスポリン(Sigma Aldrich、カタログ番号S6942)と共にインキュベートした。代謝的に活性な細胞の指標であるATPの存在量を定量するCellTiter-Gloルミネセンス細胞生存率アッセイ(Promega、カタログ番号G755A)で、細胞培養物の生存率を決定した。キットから、12μLのルシフェリン溶液試薬を各ウェルに加えた。次に、プレートを37℃で1.5時間インキュベートした。100μLの上清を白色OptiPlate-96(Perkin Elmer、カタログ番号6005290)に移し、EnVisionマルチラベルリーダー(PerkinElmer)でルミネセンスを測定した。GraphPad Prism 7を使ってデータを分析し、抗体濃度20μg/mlにおける細胞生存率としてプロットした。生細胞百分率は、次式を使って算出した:%生細胞=[(抗体試料のルミネセンス-スタウロスポリン試料のルミネセンス)/(抗体なし試料のルミネセンス-スタウロスポリン試料のルミネセンス)]×100。
【0356】
陰性対照である培地またはIgG1-b12へのBxPC-3細胞の曝露後に細胞傷害性は観察されなかった(図19)。20μg/mlのIgG1-DR5-01-G56T-E430GまたはIgG1-DR5-05-E430Gのどちらか一方にBxPC-3細胞を曝露した後にも、単剤活性は観察されなかった。対照的に、20μg/mlのIgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの混合物では、強い細胞傷害が誘導され、約22%の細胞生存率をもたらした。同様に、自己オリゴマー化阻害性変異K439EおよびS440Kのどちらか一方が導入された同じ抗体の混合物でも、強い細胞傷害性が誘導され、単独の構成要素では細胞傷害性は一切誘導されなかった。
【0357】
K439E変異またはS440K変異のどちらか一方が、Y436K、Y436N、Q438NまたはQ438R変異のいずれかと組み合わせて導入されているIgG1-DR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-DR5-05-E430Gの抗体変種では、単剤細胞傷害性は観察されなかった。しかし、細胞傷害性を誘導する力価は、強い回復から弱い回復に向かって順に、IgG1-DR5-01-G56T-E430G-K439E-Y436NをIgG1-DR5-05-E430G-S440K-Q438Rと混合すること、IgG1-DR5-01-G56T-E430G-K439E-Q438NをIgG1-DR5-05-E430G-S440K-Q438Rと混合すること、またはIgG1-DR5-01-G56T-E430G-K439E-Q438NをIgG1-DR5-05-E430G-S440K-Y436Kと混合することによって、回復させることができた。実施例9~17で述べた結果と合致して、IgG1-DR5-01-G56T-E430G-K439E-Y436NをIgG1-DR5-05-E430G-S440K-Y436Kと混合しても、細胞傷害性の回復は観察されなかった。
【0358】
要約すると、これらのデータは、自己オリゴマー化阻害性変異K439E、S440K、Y436K、Y436N、Q438NおよびQ438Rが導入されているDR5ターゲティング抗体変種は、BxPC-3細胞の単剤細胞傷害性を誘導しないが、相補的なDR5ターゲティング抗体変種を混合することによって細胞傷害性は復活することを示している。注目すべきことに、この実施例において提示するデータは、実施例9~17で述べたデータと比較して、異なる作用機序を表している。
【0359】
実施例20:E430G Fc-Fc相互作用強化変異およびFc-Fc自己オリゴマー化阻害性変異を持つ混合された抗CD20 IgG1-7D8抗体変種による、Raji細胞に対するCDC活性の選択性
抗CD20 IgG1-11B8の抗体変種を試験した実施例10とは異なり、E430G Fc-Fc相互作用強化変異を持つ抗CD20 IgG1-7D8の変種の混合物を使って、自己オリゴマー化阻害性変異Y436K、Y436N、Q438N、Q438R、K439EおよびS440KがRaji細胞に対するインビトロCDC効力に及ぼす効果を試験した。
【0360】
Raji細胞を用いるインビトロCDCアッセイを、本質的に実施例9で述べたように、20%NHSおよび抗体濃度系列(3.3倍希釈で最終濃度範囲0.01~40.0μg/mL)で行った。バーキットリンパ腫細胞株RajiはATCCから購入した(カタログ番号CCL-86)。細胞溶解および相対的AUC値を、2つの実験レプリケートにより、実施例9で述べたようにPI陽性細胞の数から算出した。AUCは、陰性対照抗体IgG1-b12に関する値(0%)および陽性対照IgG1-CAMPATH-1H-E430G+IgG1-7D8-E430Gに関する値(100%)に対して正規化した。
【0361】
抗体IgG1-7D8-E430Gそれ自体は、非抗原結合性抗体IgG1-b12と混合されるかされないかに関わらず、Raji細胞に対して強力なCDC効力を誘導した(図20)。自己オリゴマー化阻害性変異K439E-Y436N、K439E-Q438N、S440K-Y436KまたはS440K-Q438Rが導入されたIgG1-7D8-E430Gの抗体変種は、実質的な単剤活性を呈した。CDC効力は、IgG1-7D8-E430G-K439E-Y436NをIgG1-7D8-E430G-S440K-Q438Rと混合することによってIgG1-7D8-E430Gのレベルまで完全に復活させることができたが、IgG1-7D8-E430G-S440K-Y436Kとの混合ではそうはならず、実施例9~17で提示した結果と合致した。IgG1-7D8-E430G-K439E-Q438Nの低減したCDC効力は、IgG1-7D8-E430G-S440K-Y436KまたはIgG1-7D8-E430G-S440K-Q438Rとの混合によって、部分的に復活させることができた。
【0362】
総合すると、これらのデータは、Raji細胞に対するIgG1-7D8-E430GのCDC効力は、自己オリゴマー化阻害性変異K439E-Y436NまたはK439E-Q438Nの導入によって部分的に消失させうることを示している。同様に、Raji細胞に対するIgG1-7D8-E430GのCDC効力は、自己オリゴマー化阻害性変異S440K-Y436KまたはS440K-Q438Rの導入によって、部分的に消失させることができた。CDC効力の回復は、強い回復から弱い回復に向かって順に、IgG1-7D8-E430G-K439E-Y436NをIgG1-7D8-E430G-S440K-Q438Rと混合すること、IgG1-7D8-E430G-K439E-Q438NをIgG1-7D8-E430G-S440K-Q438Rと混合すること、またはIgG1-7D8-E430G-K439E-Q438NをIgG1-7D8-E430G-S440K-Y436Kと混合することによって、さまざまな程度に達成された。
【0363】
実施例21:E430G Fc-Fc相互作用強化変異および自己オリゴマー化阻害性変異を持つ抗CD52 IgG1-CAMPATH-1H抗体変種と抗CD20 IgG1-11B8抗体変種の混合物の構成要素の滴定後のWien 133細胞に対するCDC活性の選択性
先の実施例では、Fc-Fc相互作用強化変異を1つまたは複数の自己オリゴマー化阻害性変異と組み合わせて保持する抗体変種を1:1の比で混合した。ここでは、本発明者らは、選択的共依存性CDC活性が、2種の抗体変種を異なる比で混合することによっても達成されるかどうかを試験した。
【0364】
Wien 133細胞を用いるインビトロCDCアッセイを、本質的に実施例9で述べたように、20%NHSを使って行った。単独の抗体を5倍希釈(最終濃度範囲0.0003~20.0μg/mL)で滴定した。抗体混合物を適用する場合は、一方の構成要素を滴定し(5倍希釈で最終濃度範囲0.0003~20.0μg/mL)、他方の構成要素を20または2μg/mLの固定濃度で使用した。細胞溶解を、2つの実験レプリケートにより、実施例9で述べたようにPI陽性細胞の数から算出した。
【0365】
IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438NとIgG1-11B8-E430G-S440K-Y436Kの滴定された混合物(1:1の比)によってWien 133細胞に対する効率のよいCDC活性が誘導され(図21A)、実施例11、14および15の結果と合致した。CD20を20μg/mLのIgG1-11B8-E430G-S440K-Y436Kで飽和させると、0.16μg/mLのIgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438Nの存在下で、早くも>60%の溶解が検出された。同様に、2μg/mLのIgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438NでCD52を飽和させると、0.16μg/mLのIgG1-11B8-E430G-S440K-Y436Kの存在下で>60%の溶解が得られた。対照的に、滴定されたIgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438Nと20μg/mLの非抗原結合性IgG1-b12-E430G-S440K-Y436KまたはIgG1-b12のどちらか一方との混合物については、バックグラウンドレベルに近い低いCDC効力が観察された。20μg/mLのIgG1-11B8-E430G-S440K-Y436Kを20μg/mLのIgG1-b12-E430G-K439E-Q438NまたはIgG1-b12のどちらか一方と混合しても、CDC活性は観察されなかった。
【0366】
同様のパターンのCDC活性が、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438NとIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438Rの滴定された混合物(1:1の比)についても観察され(図21B)、実施例11、14および15と合致した。20μg/mLのIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438Rを使ってCD20を飽和させた場合、>60%の溶解を誘導するには、0.16μg/mLのIgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438Nで十分だった。CD52を固定された濃度の2μg/mLのIgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438Nで飽和させた場合、>50%の溶解を誘導するには、0.04μg/mLのIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438Rでも十分だった。滴定されたIgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438Nと20μg/mLの非抗原結合性IgG1-b12-E430G-S440K-Q438RまたはIgG1-b12のどちらか一方との混合物については、バックグラウンドレベルに近い低いCDC効力が観察された。20μg/mLのIgG1-11B8-E430G-S440K-Q438Rを20μg/mLのIgG1-b12-E430G-K439E-Q438NまたはIgG1-b12のどちらか一方と混合しても、CDC活性は観察されなかった。
【0367】
これらのデータから、構成要素のどちらか一方が他方の構成要素に対して>50倍過剰に存在するさまざまな抗体比で混合した場合でも、Fc-Fc相互作用強化変異および自己オリゴマー化阻害性変異を保持する相補的な抗体変種によって、効率のよいCDC活性は依然として誘導することができると結論することができる。
【0368】
実施例22:E430G Fc-Fc相互作用強化変異およびFc-Fc自己オリゴマー化阻害性変異を持つ混合された抗体変種の抗原結合非依存的六量体化による、Wien 133細胞に対するCDC活性の選択性
先の実施例では、Fc-Fc相互作用強化変異を保持する抗原結合性抗体変種の単剤CDC活性を、自己オリゴマー化阻害性変異を導入することによって低減または消失させうることが実証された。自己オリゴマー化阻害性変異を保持する相補的な抗原結合性抗体変種を混合した後には、CDC効力の回復が観察された。ここでは、本発明者らは、該変異を保持する抗原結合性抗体変種と非抗原結合性抗体変種との混合物によっても、共依存性六量体化を誘導することができるかどうかを試験した。
【0369】
Wien 133細胞を用いるインビトロCDCアッセイを、本質的に実施例9で述べたように、20%NHSおよび抗体濃度系列(3.3倍希釈で最終濃度範囲0.01~40.0μg/mL)で行った。細胞溶解および相対的曲線下面積(AUC)値を、2つの実験レプリケートにより、実施例9で述べたようにPI陽性細胞の数から算出した。AUCは、陰性対照抗体IgG1-b12に関する値(0%)および陽性対照IgG1-CAMPATH-1H-E430Gに関する値(100%)に対して正規化した。
【0370】
Wien 133細胞を単剤としてのIgG1-CAMPATH-1H-E430Gに曝露した後は、効率のよいCDC活性が観察された(図22A)。追加の自己オリゴマー化阻害性変異K439EまたはS440Kの導入は単剤CDC効力を低減し、一方、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439EとIgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440Kを混合することによって、CDC効力は完全に復活した。IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439Eを非抗原結合性抗体変種IgG1-b12-E430G-S440Kと混合したところCDC活性のわずかな増加が観察され、IgG1-b12-E430G-K439EとIgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440Kの混合物についても同様の活性が観察された。混合物中の構成要素の少なくとも一方が抗原に結合すると、相補的変異を保持する非抗原結合性抗体変種が溶液から動員されうると思われる。試験した最も高い抗体濃度(40μg/ml)では、E430G変異および自己オリゴマー化阻害性変異K439EまたはS440Kを保持する1種の抗原結合性抗体変種と1種の非抗原結合性抗体変種の混合物によるCDCが、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439EとIgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440Kの混合物と同程度の効率であった(図22B)。ただし、後者の混合物の方が、図22Aにおけるその高いAUC値によって示されるとおり、より低濃度において優れていた。
【0371】
IgG1-CAMPATH-1H-E430Gへの追加の自己オリゴマー化阻害性変異Y436K、Y436N、Q438NまたはQ438Rの導入は単剤CDC活性の低減をもたらした(図22C)。CDC効力は、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436Nを相補的変異を保持するIgG1-b12-E430G-S440K抗体変種と混合すること、またはIgG1-b12-E430G-K439E-Y436Nを相補的変異を保持するIgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440K抗体変種と混合することによって、さまざまな程度に増加した(図22C)。とりわけ、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436N+IgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440K-Q438Rの混合物は、どちらか一方の構成要素のCD52結合特異性がb12で置き換えられている場合に強力な最大溶解を示したことから(図22D)、両方の抗体によって結合された細胞だけに対するこの混合物の選択性は、40μg/mlの抗体濃度では損なわれうることが示された。対照的に、混合物IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436N+IgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440K-Q438Nは、類似する最大活性および相対的力価を示したが、抗体濃度40μg/mlでさえ、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Y436Nによる抗原結合に大きく依存したままであった。
【0372】
CDC効力は、IgG1-CAMPATH-1H-E430G-K439E-Q438Nを相補的変異を保持するIgG1-b12-E430G-S440K抗体変種と混合すること、またはIgG1-b12-E430G-K439E-Q438Nを相補的変異を保持するIgG1-CAMPATH-1H-E430G-S440K抗体変種と混合することによって、限れた程度に増加した(図22E)。CDC効力(22E)および最大限に誘導される細胞溶解(抗体濃度40μg/ml;図22F)をどちらも考慮すると、2種の抗原結合性構成要素による混合物は、抗原結合性構成要素が1つだけの混合物よりも、依然として実質的に活性であった。
【0373】
これらのデータは、抗体構成要素の一方がWien 133細胞に結合しない場合には、Fc-Fc相互作用強化変異E430Gを保持するIgG1抗体変種に自己オリゴマー化阻害性変異K439EまたはS440KをY436K、Y436N、Q438NまたはQ438Rと組み合わせて導入すると、Wien 133細胞に対する残存CDC効力がもたらされうることを示している。これらの実験において、1種の抗原結合性構成要素によって誘導されるものとの比較で、2種の抗原結合性構成要素によって誘導されるものとの間で、最も大きなCDC活性の差を呈する抗体混合物は、変異E430G-S440K-Y436K、E430G-S440K-Q438R、またはE430G-S440K-Y436Nを保持する抗体と混合されたE430G-K439E-Q438N変異を保持する抗体、および変異E430G-S440K-Q438Nを保持する抗体と混合されたE430G-K439E-Y436N変異を保持する抗体であった。
【0374】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> Genmab B.V.
<120> POLYPEPTIDE VARIANTS AND USES THEREOF
<150> DK PA 2018 00041
<151> 2018-01-24
<160> 118
<170> PatentIn version 3.5

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<220>
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<220>
<223> Humanized antibody variable region
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<213> Rattus norvegicus
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Ser Leu Arg Leu Ser Cys Thr Gly Ser Gly Phe Thr Phe Ser Tyr His
20 25 30
Ala Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
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Ser Ile Ile Gly Thr Gly Gly Val Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val Lys
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<213> Homo Sapiens
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Met Asp Val

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<213> Homo Sapiens
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Leu Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala Pro Arg Leu Leu Ile
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<213> Homo Sapiens
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1 5

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<213> Homo Sapiens
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Ser Val Lys Val Ser Cys Gln Ala Ser Gly Tyr Arg Phe Ser Asn Phe
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Val Ile His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Arg Phe Glu Trp Met
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Gly Trp Ile Asn Pro Tyr Asn Gly Asn Lys Glu Phe Ser Ala Lys Phe
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Tyr Met Asp Val Trp Gly Lys Gly Thr Thr Val Ile Val Ser Ser
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Gly Tyr Arg Phe Ser Asn Phe Val
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<213> Homo Sapiens
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Ile Asn Pro Tyr Asn Gly Asn Lys
1 5

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<213> Homo Sapiens
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Ala Arg Val Gly Pro Tyr Ser Trp Asp Asp Ser Pro Gln Asp Asn Tyr
1 5 10 15
Tyr Met Asp Val
20

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<213> Homo Sapiens
<400> 19
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1 5 10 15
Glu Arg Ala Thr Phe Ser Cys Arg Ser Ser His Ser Ile Arg Ser Arg
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Arg Val Ala Trp Tyr Gln His Lys Pro Gly Gln Ala Pro Arg Leu Val
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Ile His Gly Val Ser Asn Arg Ala Ser Gly Ile Ser Asp Arg Phe Ser
50 55 60
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His Ser Ile Arg Ser Arg Arg
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<213> Homo Sapiens
<400> 21
Gln Val Tyr Gly Ala Ser Ser Tyr Thr
1 5

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<212> PRT
<213> Homo Sapiens
<400> 22
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Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr
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Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser
35 40 45
Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser
50 55 60
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65 70 75 80
Tyr Ile Cys Asn Val Asn His Lys Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys
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Pro Ala Pro Glu Leu Leu Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro
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Val Val Val Asp Val Ser His Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp
145 150 155 160
Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu
165 170 175
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245 250 255
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260 265 270
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Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro Gly Lys
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<213> Homo Sapiens
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1 5 10 15
Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr
20 25 30
Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser
35 40 45
Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser
50 55 60
Leu Ser Ser Val Val Thr Val Pro Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr
65 70 75 80
Tyr Ile Cys Asn Val Asn His Lys Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys
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Pro Ala Pro Glu Leu Leu Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro
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130 135 140
Val Val Val Asp Val Ser His Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp
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Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu
165 170 175
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<212> PRT
<213> Homo Sapiens
<400> 24
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Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr
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65 70 75 80
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<213> Homo Sapiens
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His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn
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Met Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr
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Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn
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<213> Artificial sequence
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<223> Modified antibody constant region
<400> 26
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Val Val Val Asp Val Ser His Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp
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Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu
165 170 175
Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu
180 185 190
His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn
195 200 205
Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly
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Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Arg Glu Glu
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Met Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr
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Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn
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275 280 285
Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn
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Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro Gly Lys
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<212> PRT
<213> Artificial sequence
<220>
<223> Modified antibody constant region
<400> 27
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Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr
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Pro Ala Pro Glu Leu Leu Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro
115 120 125
Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys
130 135 140
Val Val Val Asp Val Ser His Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp
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Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu
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<213> Homo Sapiens
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<212> PRT
<213> Homo Sapiens
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<213> Homo Sapiens
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<212> PRT
<213> Homo Sapiens
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<211> 9
<212> PRT
<213> Homo Sapiens
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<212> PRT
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<220>
<223> Humanized antibody variable region
<400> 49
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<213> Artificial sequence
<220>
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<212> PRT
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<210> 53
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<212> PRT
<213> Artificial sequence
<220>
<223> Humanized antibody variable region
<400> 53
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<210> 54
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<210> 56
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<213> Artificial sequence
<220>
<223> Humanized antibody variable region
<400> 56
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<212> PRT
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<220>
<223> Humanized antibody variable region
<400> 60
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130 135 140
Arg Asn Gly Lys Ala Phe Lys Phe Phe His Trp Asn Ser Asn Leu Thr
145 150 155 160
Ile Leu Lys Thr Asn Ile Ser His Asn Gly Thr Tyr His Cys Ser Gly
165 170 175
Met Gly Lys His Arg Tyr Thr Ser Ala Gly Ile Ser Val Thr Val Lys
180 185 190
Glu Leu Phe Pro Ala Pro Val Leu Asn Ala Ser Val Thr Ser Pro Leu
195 200 205
Leu Glu Gly Asn Leu Val Thr Leu Ser Cys Glu Thr Lys Leu Leu Leu
210 215 220
Gln Arg Pro Gly Leu Gln Leu Tyr Phe Ser Phe Tyr Met Gly Ser Lys
225 230 235 240
Thr Leu Arg Gly Arg Asn Thr Ser Ser Glu Tyr Gln Ile Leu Thr Ala
245 250 255
Arg Arg Glu Asp Ser Gly Leu Tyr Trp Cys Glu Ala Ala Thr Glu Asp
260 265 270
Gly Asn Val Leu Lys Arg Ser Pro Glu Leu Glu Leu Gln Val Leu Gly
275 280 285
Leu Gln Leu Pro Thr Pro Val His His His His His His His His
290 295 300
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図14G
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図22C
図22D
図22E
図22F
【配列表】
2024099645000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトIgGの第2Fc領域と第2抗原に結合することができる第2抗原結合領域とを含む第2ポリペプチドと組み合わせて医薬として使用するための、ヒトIgGの第1Fc領域と第1抗原に結合することができる第1抗原結合領域とを含む第1ポリペプチドであって
第1ポリペプチドY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
かつ、第1ポリペプチドはK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドS440K変異を含むか、またはその逆であり、
かつ、第1ポリペプチドはE430G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはE430G変異を含み、
ここでアミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応する、
第1ポリペプチド。
【請求項2】
第1ポリペプチドは完全長抗体などの抗体であり、かつ/または第2ポリペプチドは完全長抗体などの抗体である、請求項1記載の第1ポリペプチド。
【請求項3】
第1ポリペプチドはIgG1抗体であり、かつ/または第2ポリペプチドはIgG1抗体である、請求項1または2記載の第1ポリペプチド。
【請求項4】
第1抗体は、ヒト、ヒト化、またはキメラであり、かつ/または第2抗体は、ヒト、ヒト化、またはキメラである、請求項2または3記載の第1ポリペプチド。
【請求項5】
第1抗体は二重特異性であり、かつ/または第2ポリペプチドは二重特異性である、請求項2~4のいずれか一項記載の第1ポリペプチド。
【請求項6】
第1ポリペプチドと第2ポリペプチドは、1:50~50:1のモル比、例えば1:1のモル比、1:2のモル比、1:3のモル比、1:4のモル比、1:5のモル比、1:6のモル比、1:7のモル比、1:8のモル比、1:9のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:10のモル比、1:15のモル比、1:20のモル比、1:25のモル比、1:30のモル比、1:35のモル比、1:40のモル比、1:45のモル比、1:50のモル比、50:1のモル比、45:1のモル比、40:1のモル比、35:1のモル比、30:1のモル比、25:1のモル比、20:1のモル比、15:1のモル比、10:1のモル比、9:1のモル比、8:1のモル比、7:1のモル比、6:1のモル比、5:1のモル比、4:1のモル比、3:1のモル比、2:1のモル比で投与される、請求項1~5のいずれか一項記載の第1ポリペプチド。
【請求項7】
使用ががんを処置するためである、請求項1~6のいずれか一項記載の第1ポリペプチド。
【請求項8】
ヒトIgGの第1Fc領域と第1抗原に結合することができる第1抗原結合領域とを含む第1ポリペプチド、およびヒトIgGの第2Fc領域と第2抗原に結合することができる第2抗原結合領域とを含む第2ポリペプチドを含む、組成物であって
第1ポリペプチドY436N変異を含み、かつ第2ポリペプチドQ438R変異を含むか、またはその逆であり、
かつ、第1ポリペプチドはK439E変異を含み、かつ第2ポリペプチドS440K変異を含むか、またはその逆であり、
かつ、第1ポリペプチドはE430G変異を含み、かつ第2ポリペプチドはE430G変異を含み、
ここでアミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応する、
組成物。
【請求項9】
請求項8記載の第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物であって、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとが、好ましくは、1:50~50:1のモル比、例えば1:1のモル比、1:2のモル比、1:3のモル比、1:4のモル比、1:5のモル比、1:6のモル比、1:7のモル比、1:8のモル比、1:9のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:10のモル比、1:15のモル比、1:20のモル比、1:25のモル比、1:30のモル比、1:35のモル比、1:40のモル比、1:45のモル比、1:50のモル比、50:1のモル比、45:1のモル比、40:1のモル比、35:1のモル比、30:1のモル比、25:1のモル比、20:1のモル比、15:1のモル比、10:1のモル比、9:1のモル比、8:1のモル比、7:1のモル比、6:1のモル比、5:1のモル比、4:1のモル比、3:1のモル比、2:1のモル比で存在する、薬学的組成物。
【請求項10】
ヒトIgGのFc領域と抗原に結合することができる抗原結合領域とを含むポリペプチドであって、該ポリペプチドはE430GおよびY436N変異、および、K439E変異もしくはS440K変異を含む、または
該ポリペプチドはE430GおよびQ438R変異、および、K439E変異もしくはS440K変異を含み、
ここで、アミノ酸位置はEUナンバリングによるヒトIgG1に対応る、
ポリペプチド。
【請求項11】
前記さらなる改変以外は同一であるポリペプチドと比較して補体依存性細胞傷害を誘導する能力が変化するようにさらに改変されている、請求項10記載のポリペプチド。
【請求項12】
完全長抗体などの抗体である、請求項10または11記載のポリペプチド。
【請求項13】
IgG1抗体である、請求項10~12のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項14】
前記抗体が、ヒト、ヒト化、またはキメラである、請求項12または13記載のポリペプチド。
【請求項15】
前記抗体が二重特異性である、請求項12~14のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項16】
請求項10~15のいずれか一項記載のポリペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。