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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099705
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】二次電池及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20240718BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240718BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20240718BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20240718BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M4/38 Z
H01M4/139
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024070384
(22)【出願日】2024-04-24
(31)【優先権主張番号】202310451814.6
(32)【優先日】2023-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】林 小萍
(72)【発明者】
【氏名】謝 遠森
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA02
5H050AA07
5H050BA15
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB12
5H050DA10
5H050EA01
5H050EA02
5H050EA08
5H050EA12
5H050FA16
5H050FA18
5H050GA02
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA09
5H050HA17
5H050HA19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性を向上させるために、二次電池、及び電子装置を提供する。
【解決手段】二次電池は、負極片、及びセパレータを含み、負極片は、3次元骨格を含み、3次元骨格は、第1層骨格、及び第2層骨格を含み、第1層骨格は、1次元導電性繊維を含み、第2層骨格は、0次元材料、1次元材料、及び2次元材料を含み、0次元材料は、リチウム親和性材料である。3次元骨格の厚さ、第1層骨格の厚さ、第2層骨格の厚さ、0次元材料の質量百分率、および2次元材料に対する1次元材料の質量比を本発明の範囲内に調整することにより、3次元骨格におけるリチウム親和性勾配の構築に有利であり、これにより、リチウム金属を3次元骨格の内部に進入させてボトムアップで堆積させ、さらに二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性を向上させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極片、及びセパレータを含み、
前記負極片は、3次元骨格を含み、前記3次元骨格は、第1層骨格、及び第2層骨格を含み、
前記第1層骨格は、1次元導電性繊維を含み、
前記第2層骨格は、0次元材料、1次元材料、及び2次元材料を含み、前記0次元材料は、リチウム親和性材料であり、
前記3次元骨格の厚さは、10μm~200μmであり、前記第1層骨格の厚さは、0μm~10μmであり、前記第2層骨格の厚さは、10μm~200μmであり、
前記第2層骨格の質量に対して、前記0次元材料は、質量百分率で、1%~30%であり、
前記2次元材料に対する前記1次元材料の質量比は、1:7~20:1である、二次電池。
【請求項2】
前記負極片は、金属リチウム層を含み、
前記第2層骨格は、前記第1層骨格と前記金属リチウム層との間に位置し、
前記金属リチウム層の厚さは、1μm~100μmである、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記金属リチウム層の厚さは、5μm~50μmである、請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
(a)前記3次元骨格の厚さは、30μm~180μmであり、前記第2層骨格の厚さは、30μm~80μmであることと、
(b)前記0次元材料は、質量百分率で、1%~10%であることと、
(c)前記0次元材料の粒子径は、0.1μm~5μmであることと、
(d)前記1次元材料は、直径が1nm~2000nmであり、アスペクト比が0.1~20000であることと、
のうちの少なくとも一つの特徴を満たす、請求項1に記載の二次電池。
【請求項5】
(e)前記0次元材料の粒子径は、0.1μm~1μmであることと、
(f)前記1次元材料は、直径が1nm~300nmであり、アスペクト比が0.67~20000であることと、
(g)前記1次元材料は、直径が1nm~50nmであり、アスペクト比が5000~20000であることと、
のうちの少なくとも一つの特徴を満たす、請求項1に記載の二次電池。
【請求項6】
(h)前記2次元材料は、チタン元素、炭素元素、及び表面基を含み、前記表面基は、-F、-O、及び-OHのうちの少なくとも一つを含むことと、
(i)前記1次元材料の導電率をaとしたとき、aは、a≧1×10-6S/cmを満たし、前記2次元材料の導電率をbとしたとき、bは、b≧2S/cmを満たし、aとbは、b>aを満たすことと、
のうちの少なくとも一つの特徴を満たす、請求項1に記載の二次電池。
【請求項7】
前記1次元導電性繊維は、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、銀糸、及びニッケル糸のうちの少なくとも一つを含み、
前記0次元材料は、金属材料、酸化物、窒化物、硫化物、及び炭化物のうちの少なくとも一つを含み、
前記金属材料は、Ag、Au、Zn、及びその合金のうちの少なくとも一つを含み、
前記酸化物は、TiO、SiO、ZnO、SnO、Co、及びFeのうちの少なくとも一つを含み、
前記窒化物は、Mo、及び/又はFeを含み、
前記硫化物は、MoS、及び/又はSnSを含み、
前記炭化物は、FeCを含み、
前記1次元材料は、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、銀糸、及びニッケル糸のうちの少なくとも一つを含み、
前記2次元材料は、MXene、及び/又はグラフェンを含む、請求項1に記載の二次電池。
【請求項8】
前記0次元材料の表面は、湿潤性基を含み、
前記湿潤性基は、-OH、-COOR、-COOH、-NH、及び-SOHのうちの少なくとも一つを含み、
前記-COORにおけるRは、メチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、及びエチニル基から選択される、請求項7に記載の二次電池。
【請求項9】
前記3次元骨格の空隙率は、空隙率≧80%を満たす、請求項1に記載の二次電池。
【請求項10】
前記3次元骨格に5mAh/cmのリチウム金属が堆積する場合、前記3次元骨格の厚さ変化率は、10%未満である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の二次電池を含む、電子装置。
【請求項12】
負極片を含む二次電池の製造方法であって、
前記負極片の製造方法は、
a.1次元導電性繊維を含む溶液2と、0次元材料、1次元材料、及び2次元材料を含む溶液1とをそれぞれ調製するステップと、
b.前記溶液1及び前記溶液2のいずれか一方を吸引濾過し、吸引濾過が完了した後、他方の溶液を加えて吸引濾過し、吸引濾過が完了した後、乾燥させ、第1層骨格と第2層骨格とを含む3次元骨格を得るステップと、
c.前記3次元骨格とリチウム金属とを複合化して、リチウム金属負極片を得るステップと、
を少なくとも含む、
ことを特徴とする二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学技術分野、特に、二次電池、及び電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池などの二次電池は、エネルギー密度が高く、作動電圧が高く、自己放電率が低く、体積が小さく、重量が軽いなどの利点があるため、家電製品分野で広く応用されている。リチウム金属は、すべての金属元素の中で、相対原子質量が最も小さく(6.94)、標準電極電位(-3.045V)が最も低い金属であり、その理論比容量は、3860mAh/gにも達し、現在までに発見された、比エネルギーが最も高い金属の一つである。負極にリチウム金属を導入したリチウム金属電池について、高エネルギー密度の正極材料(例えば、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、ニッケルコバルトアルミン酸リチウムなど)を利用することにより、リチウム金属電池のエネルギー密度、及び作動電圧を高めることができる。しかし、リチウム金属は、充電の過程中で絶えず堆積してリチウムデンドライト、及びデッドリチウムをもたらす。リチウム金属は、充放電の過程中でも絶えず膨張・収縮することで、固体電解質界面膜(SEI膜)の剥離、及び破砕をもたらし、これにより、リチウム金属電池のクーロン効率、及びサイクル特性に影響を与える。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性を向上させるために、二次電池、及び電子装置を提供することを目的とする。具体的な技術的解決策は、次の通りである。
【0004】
なお、発明の概要において、リチウム金属電池を二次電池の例として本発明を説明するが、本発明の二次電池は、リチウム金属電池に限定されるものではない。
【0005】
本発明の第一態様は、負極片、及びセパレータを含み、前記負極片は、3次元骨格を含み、前記3次元骨格は、第1層骨格、及び第2層骨格を含み、前記第1層骨格は、1次元導電性繊維を含み、前記第2層骨格は、0次元材料、1次元材料、及び2次元材料を含み、前記0次元材料は、リチウム親和性材料(lithiophilic materials)であり、前記3次元骨格の厚さは、10μm~200μmであり、前記第1層骨格の厚さは、0μm~10μmであり、前記第2層骨格の厚さは、10μm~200μmであり、好ましくは、前記3次元骨格の厚さは、30μm~180μmであり、前記第2層骨格の厚さは、30μm~80μmである、二次電池を提供する。前記第2層骨格の質量に対して、前記0次元材料は、質量百分率で、1%~30%であり、好ましくは、前記0次元材料は、質量百分率で、1%~10%であり、前記2次元材料に対する前記1次元材料の質量比は、1:7~20:1である。3次元骨格の厚さ、第1層骨格の厚さ、及び第2層骨格の厚さ、0次元材料の質量百分率、2次元材料に対する1次元材料の質量比を前記範囲内に調整することは、3次元骨格におけるリチウム親和性勾配の構築に有利であり、これにより、リチウム金属を3次元骨格の内部に進入させてボトムアップで堆積させ、リチウムデンドライト、及びデッドリチウムの形成を減少させることにも有利であり、さらに二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性を向上させる。また、3次元骨格における空隙へのリチウム金属の堆積は、リチウム金属の体積膨張を抑制し、これにより、二次電池の膨張特性を改善することもできる。
【0006】
本発明のいくつかの実施形態において、前記負極片は、金属リチウム層を含み、前記第2層骨格は、前記第1層骨格と前記金属リチウム層との間に位置し、前記金属リチウム層の厚さは、1μm~100μmであり、好ましくは、前記金属リチウム層の厚さは、5μm~50μmである。負極片に金属リチウム層を導入し、且つ金属リチウム層の厚さを本発明の範囲内に調整することにより、二次電池の初回充電の過程中での不可逆反応によるリチウム損失を相殺することに有利であり、これにより、二次電池のサイクル特性の向上に有利である。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態において、前記0次元材料の粒子径は、0.1μm~5μmであり、好ましくは、0.1μm~1μmである。0次元材料の粒子径を本発明の範囲内に調整することにより、リチウム金属の堆積の誘導に有利であり、これにより、二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性の向上に有利である。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態において、前記1次元材料は、直径が1nm~2000nmであり、アスペクト比が0.1~20000であり、好ましくは、前記1次元材料は、直径が1nm~300nmであり、アスペクト比が0.67~20000であり、より好ましくは、前記1次元材料は、直径が1nm~50nmであり、アスペクト比が5000~20000である。1次元材料の直径、及びアスペクト比を本発明の範囲内に調整することにより、3次元骨格における電子伝導の向上に有利であり、これにより、二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性の向上に有利である。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態において、前記0次元材料の粒子径は、0.1μm~5μmであり、前記1次元材料は、直径が0.001μm~2μmであり、アスペクト比が0.1~20000であり、好ましくは、前記0次元材料の粒子径は、0.1μm~1μmであり、前記1次元材料は、直径が0.001μm~0.3μmであり、アスペクト比が0.67~20000である。0次元材料の粒子径、1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を前記範囲内に調整することにより、リチウム金属の堆積の誘導に有利であり、3次元骨格における電子伝導の向上にも有利であり、これにより、二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性の向上に有利である。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態において、前記2次元材料は、チタン元素、炭素元素、及び表面基を含み、前記表面基は、-F、-O、及び-OHのうちの少なくとも一つを含む。前記2次元材料を選択することにより、リチウムイオンの流れを均一にし、リチウム金属の堆積の均一性を向上させることに有利であり、これにより、二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性の向上に有利である。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態において、前記1次元材料の導電率をaとしたとき、aは、a≧1×10-6S/cmを満たし、前記2次元材料の導電率をbとしたとき、bは、b≧2S/cmを満たし、aとbは、b>aを満たす。1次元材料、及び2次元材料の導電率が前記範囲内にあることは、1次元材料、及び2次元材料が良好な電子伝導性能を有することを示し、同時に、a、b、及びaとbとの関係を前記範囲内に調整することにより、1次元材料が第2層骨格において導電性ネットワークを構成し、3次元骨格における電子伝導性を向上させることができる。なお、0次元材料、1次元材料、及び2次元材料の構成が異なることにより、導電率、及びリチウム親和性能に差がある。これにより、3次元骨格には特定の電子伝導勾配、及びリチウム親和性勾配を持たせ、さらにリチウム金属をボトムアップで堆積させる。従って、本発明が提供する二次電池は、高いクーロン効率、及び良好なサイクル特性を有する。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態において、前記1次元導電性繊維は、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、銀糸、及びニッケル糸のうちの少なくとも一つを含み、前記0次元材料は、金属材料、酸化物、窒化物、硫化物、及び炭化物のうちの少なくとも一つを含み、前記金属材料は、Ag、Au、Zn、及びその合金のうちの少なくとも一つを含み、前記酸化物は、TiO、SiO、ZnO、SnO、Co、及びFeのうちの少なくとも一つを含み、前記窒化物は、Mo、及び/又はFeを含み、前記硫化物は、MoS、及び/又はSnSを含み、前記炭化物は、FeCを含み、前記1次元材料は、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、銀糸、及びニッケル糸のうちの少なくとも一つを含み、前記2次元材料は、MXene、及び/又はグラフェン(Gr)を含む。前記した1次元導電性繊維、0次元材料、1次元材料、及び2次元材料を選択することにより、3次元骨格における電子伝導性とリチウム親和性の二重勾配の構築に有利であり、これにより、負極片における電子の伝導の向上に有利であり、リチウム金属を3次元骨格の内部に進入させてボトムアップで堆積させることを誘導し、リチウムデンドライト、及びデッドリチウムの形成を減少させることにも有利であり、さらに二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性を向上させる。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態において、前記0次元材料の表面は、湿潤性基を含み、前記湿潤性基は、-OH、-COOR、-COOH、-NH、及び-SOHのうちの少なくとも一つを含み、前記-COORにおけるRは、メチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、及びエチニル基から選択される。湿潤性基は、リチウム金属の堆積を誘導し、リチウム金属の堆積の均一性を向上させることに有利であり、これにより、二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性の向上に有利である。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態において、前記3次元骨格の空隙率は、空隙率≧80%を満たす。3次元骨格の空隙率を前記範囲内に調整することにより、リチウム金属の堆積に空間を提供することに有利であり、これにより、二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性の向上に有利である。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態において、前記3次元骨格に5mAh/cmのリチウム金属が堆積する場合、前記3次元骨格の厚さ変化率は、10%未満である。これは、3次元骨格にリチウムが堆積する過程中で3次元骨格の体積の変化が小さいことを示し、これにより、負極片の厚さ膨張率の低減に有利であり、本発明が提供する二次電池が低い厚さ膨張率を有することを示す。
【0016】
本発明の第二態様は、前記実施形態のいずれかに記載の二次電池を含む電子装置を提供する。本発明が提供する二次電池は、高いクーロン効率及びサイクル特性を有し、得られた二次電池は、高いクーロン効率及びサイクル特性を有する。
【0017】
本発明の有益な効果:
本発明は、負極片、及びセパレータを含み、負極片は、3次元骨格を含み、3次元骨格は、第1層骨格、及び第2層骨格を含み、第1層骨格は、1次元導電性繊維を含み、第2層骨格は、0次元材料、1次元材料、及び2次元材料を含み、0次元材料は、リチウム親和性材料であり、3次元骨格の厚さは、10μm~200μmであり、第1層骨格の厚さは、0μm~10μmであり、第2層骨格の厚さは、10μm~200μmであり、第2層骨格の質量に対して、0次元材料は、質量百分率で、1%~30%であり、2次元材料に対する1次元材料の質量比は、1:7~20:1である、二次電池を提供する。本発明が提供する二次電池の負極片は、3次元骨格を含む。3次元骨格の厚さ、第1層骨格の厚さ、第2層骨格の厚さ、0次元材料の質量百分率、2次元材料に対する1次元材料の質量比を前記範囲内に調整することにより、3次元骨格におけるリチウム親和性勾配の構築に有利であり、これにより、リチウム金属を3次元骨格の内部に進入させてボトムアップで堆積させ、リチウムデンドライト、及びデッドリチウムの生成を減少させることにも有利であり、さらに二次電池のクーロン効率、サイクル特性、及び安全特性を向上させる。具体的には、第1層骨格は、3次元骨格の電子伝導性の向上に有利である。第2層骨格について、0次元材料は、先端効果(tip effect)を有し、且つリチウム親和性材料であり、2次元材料に分散しており、リチウム金属の核生成過電位(nucleation overpotential)を低減させ、リチウム金属の堆積を誘導することができる。一方、0次元材料は、リチウム親和性材料であり、リチウムイオンの流れを均一にし、リチウム金属の堆積の均一性を向上させることができる。さらに、0次元材料、1次元材料、及び2次元材料の構成が異なることにより、リチウム親和性能に差がある。これにより、3次元骨格に特定のリチウム親和性勾配を持たせ、リチウム金属をボトムアップで堆積させる。さらに、2次元材料は、0次元材料、及び1次元材料のマトリックスであり、形成された3次元骨格が高い空隙率、及び高い比表面積を有し、リチウム金属の堆積に空間を提供する。従って、リチウムデンドライト、及びデッドリチウムの生成が減少され、本発明が提供する二次電池のクーロン効率、サイクル特性、及び安全特性が改善される。また、3次元骨格における空隙へのリチウム金属の堆積は、リチウム金属の体積膨張を抑制し、これにより、二次電池の膨張特性を改善することもできる。
【0018】
もちろん、本発明を実施する任意の製品、又は方法は、必ずしも上記のすべての利点を同時に達成する必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の実施例、又は先行技術の技術的解決策をより明確に説明するために、以下では、実施例、又は先行技術の説明において使用する必要がある図面について、簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、これらの図面に基づいて他の実施例を得ることもできる。
図1図1は、本発明のいくつかの実施形態に係る3次元骨格の構造の模式図である。
図2図2は、本発明の実施例1に係る3次元骨格の走査型電子顕微鏡写真である。
図3図3は、本発明の実施例1、及び比較例4に係るリチウム金属電池の容量減衰曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決策を明確に、完全に説明する。明らかに、説明される実施例は、単に本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が本発明に基づいて獲得する他の全ての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0021】
なお、発明の概要において、リチウム金属電池を二次電池の例として本発明を説明するが、本発明の二次電池は、リチウム金属電池に限定されるものではない。
【0022】
本発明は、二次電池のクーロン効率、及びサイクル寿命を向上させるために、二次電池、及び電子装置を提供する。具体的な技術的解決策は、次の通りである。
【0023】
本発明の第一態様は、負極片、及びセパレータを含み、負極片は、3次元骨格を含み、3次元骨格は、第1層骨格、及び第2層骨格を含み、第1層骨格は、1次元導電性繊維を含み、第2層骨格は、0次元材料、1次元材料、及び2次元材料を含み、0次元材料は、リチウム親和性材料であり、3次元骨格の厚さは、10μm~200μmであり、第1層骨格の厚さは、0μm~10μmであり、第2層骨格の厚さは、10μm~200μmであり、好ましくは、3次元骨格の厚さは、30μm~180μmであり、第2層骨格の厚さは、30μm~80μmである、二次電池を提供する。例えば、3次元骨格の厚さは、10μm、20μm、30μm、40μm、60μm、80μm、100μm、120μm、140μm、160μm、180μm、200μm、又はその中の任意の二つの数値からなる範囲であってもよい。例えば、第1層骨格の厚さは、0μm、2μm、4μm、6μm、8μm、10μm、又はその中の任意の二つの数値からなる範囲であってもよい。例えば、第2層骨格の厚さは、10μm、20μm、30μm、40μm、60μm、80μm、100μm、120μm、140μm、160μm、180μm、200μm、又はその中の任意の二つの数値からなる範囲であってもよい。第2層骨格の質量に対して、0次元材料は、質量百分率で、1%~30%であり、好ましくは、0次元材料は、質量百分率で、1%~10%であり、例えば、0次元材料は、質量百分率で、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、又はその中の任意の二つの数値からなる範囲であってもよい。2次元材料に対する1次元材料の質量比は、1:7~20:1であり、例えば、2次元材料に対する1次元材料の質量比は、1:7、2:1、4:1、6:1、8:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、20:1、又はその中の任意の二つの数値からなる範囲であってもよい。本発明において、リチウム親和性材料は、リチウムイオンと相互作用し、リチウムの堆積を誘導することができる材料を意味する。0次元材料は、粒子状の材料を意味し、その粒子は、例えば、球形などの規則的な粒子であってもよく、球形に似ている不規則な粒子であってもよい。1次元材料は、線状の材料を意味する。2次元材料は、シート状の材料を意味する。
【0024】
図1は、本発明のいくつかの実施形態における3次元骨格を示す模式図である。0次元材料11は、粒子状で示され、1次元材料12は、線状で示され、2次元材料13は、シート状で示され、0次元材料11、1次元材料12、及び2次元材料13は、ともに3次元骨格を構成していることが分かる。ここで、第1層骨格における1次元導電性繊維は、3次元骨格の電子伝導性の向上に有利である。第2層骨格について、0次元材料は、先端効果を有し、且つリチウム親和性材料であり、2次元材料に分散しており、リチウム金属の核生成過電位を低減させ、リチウム金属の堆積を誘導することができる。一方、0次元材料は、リチウム親和性材料であり、リチウムイオンの流れを均一にし、リチウム金属の堆積の均一性を向上させることができる。さらに、0次元材料、1次元材料、及び2次元材料の構成が異なることにより、リチウム親和性能に差がある。これにより、3次元骨格に特定のリチウム親和性勾配を持たせ、リチウム金属をボトムアップで堆積させる。さらに、2次元材料は、0次元材料、及び1次元材料のマトリックスとして、形成された3次元骨格が高い空隙率、及び高い比表面積を有し、リチウム金属の堆積に空間を提供する。従って、リチウムデンドライト、及びデッドリチウムの生成が減少され、本発明が提供する二次電池のクーロン効率、サイクル特性、及び安全特性が改善される。また、3次元骨格における空隙へのリチウム金属の堆積は、リチウム金属の体積膨張を抑制し、これにより、二次電池の膨張特性を改善することもできる。
【0025】
具体的には、3次元骨格の厚さが小さすぎる場合(例えば、10μm未満)、3次元骨格において形成されたリチウム親和性勾配が明らかではなく、エネルギー差が低く、リチウム金属の堆積に不利であり、これにより、二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性に影響を与える。3次元骨格の厚さが大きすぎる場合(例えば、200μm超)、3次元骨格における電子伝導に不利であり、二次電池の電流密度に影響を与えて副反応を引き起こし、これにより、二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性に影響を与える。第1層骨格の厚さが大きすぎる場合(例えば、10μm超)、電子、及びリチウムイオンの輸送に影響を与え、これにより、二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性に影響を与える。第2層骨格の厚さが小さすぎる場合(例えば、10μm未満)、リチウム金属を堆積するために十分な空間を提供できず、これにより、二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性に影響を与える。第2層骨格の厚さが大きすぎる場合(例えば、200μm超)、二次電池の電流密度を低減させて副反応を引き起こし、これにより、二次電池のクーロン効率に影響を与える。0次元材料の質量百分率が小さすぎる場合(例えば、1%未満)、3次元骨格においてリチウム金属の堆積を誘導することに不利であり、これにより、二次電池のサイクル特性に影響を与える。0次元材料の質量百分率が大きすぎる場合(例えば、30%超)、0次元材料同士が凝集しやすくなり、且つ0次元材料がリチウム親和性材料であるため、リチウムイオンが消費されすぎ、これにより、二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性に影響を与える。3次元骨格における2次元材料に対する1次元材料の質量比が小さい場合(例えば、1:7未満)、即ち、1次元材料が少なすぎる場合、リチウム親和性勾配が形成されにくく、リチウム金属の堆積に影響を与える。3次元骨格における2次元材料に対する1次元材料の質量比が大きい場合(例えば、20:1超)、即ち、2次元材料が少なすぎる場合、2次元材料が3次元骨格を支持できなくなり、3次元骨格における0次元材料の分布均一性が低減され、これにより、二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性に影響を与える。従って、3次元骨格の厚さ、第1層骨格の厚さ、第2層骨格の厚さ、0次元材料の質量百分率、2次元材料に対する1次元材料の質量比を前記範囲内に調整することにより、3次元骨格におけるリチウム親和性勾配の構築に有利であり、これにより、リチウム金属を3次元骨格の内部に進入させることを誘導してボトムアップで堆積させ、リチウムデンドライト、及びデッドリチウムの形成を減少させることに有利であり、さらに二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性を向上させる。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態において、負極片は、金属リチウム層を含み、第2層骨格は、第1層骨格と金属リチウム層との間に位置し、金属リチウム層の厚さは、1μm~100μmであり、好ましくは、5μm~50μmである。例えば、金属リチウム層の厚さは、1μm、20μm、40μm、60μm、80μm、100μm、又はその中の任意の二つの数値からなる範囲であってもよい。負極片に金属リチウム層を導入し、且つ金属リチウム層の厚さを本発明の範囲内に調整することにより、二次電池の初回充電の過程中での不可逆反応によるリチウム損失を相殺することに有利であり、これにより、二次電池のサイクル特性の向上に有利である。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態において、0次元材料の粒子径は、0.1μm~5μmであり、好ましくは、0.1μm~1μmである。例えば、0次元材料の粒子径は、0.1μm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、又はその中の任意の二つの数値からなる範囲であってもよい。0次元材料の粒子径を本発明の範囲内に調整することにより、リチウム金属の堆積を誘導し、リチウム金属の堆積の均一性を向上させることに有利であり、これにより、二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性の向上に有利である。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態において、1次元材料は、直径が1nm~2000nmであり、アスペクト比が0.1~20000であり、好ましくは、1次元材料は、直径が1nm~300nmであり、アスペクト比が0.67~20000であり、より好ましくは、1次元材料は、直径が1nm~50nmであり、アスペクト比が5000~20000である。例えば、1次元材料の直径は、1nm、1.5nm、2nm、2.5nm、3nm、5nm、10nm、50nm、100nm、250nm、500nm、1000nm、1500nm、2000nm、又はその中の任意の二つの数値からなる範囲である。例えば、1次元材料のアスペクト比は、0.1、0.67、1、1000、2500、5000、6000、7000、7500、8500、9500、10000、12500、13500、14500、15000、17500、20000、又はその中の任意の二つの数値からなる範囲であってもよい。1次元材料の直径、及びアスペクト比を本発明の範囲内に調整することにより、3次元骨格における電子伝導の向上に有利であり、これにより、二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性の向上に有利である。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態において、0次元材料の粒子径は、0.1μm~5μmである。1次元材料は、直径が0.001μm~2μmであり、アスペクト比が0.1~20000であり、好ましくは、0次元材料の粒子径は、0.1μm~1μmである。1次元材料は、直径が0.001μm~0.3μmであり、アスペクト比が0.67~20000である。0次元材料の粒子径、1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を前記範囲内に調整することにより、リチウム金属の堆積の誘導に有利であり、3次元骨格における電子伝導の向上にも有利であり、これにより、二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性の向上に有利である。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態において、2次元材料は、チタン元素、炭素元素、及び表面基を含み、表面基は、-F、-O、及び-OHのうちの少なくとも一つを含む。前記2次元材料を選択することにより、リチウムイオンの流れを均一にし、リチウム金属の堆積の均一性を向上させることに有利であり、これにより、二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性の向上に有利である。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態において、1次元材料の導電率をaとしたとき、aは、a≧1×10-6S/cmを満たし、2次元材料の導電率をbとしたとき、bは、b≧2S/cmを満たし、aとbは、b>aを満たす。好ましくは、1次元材料の導電率をaとしたとき、aは、1×10-6S/cm≦a≦5000S/cmを満たし、2次元材料の導電率をbとしたとき、bは、2S/cm≦b≦50000S/cmを満たす。例えば、1次元材料の導電率は、1×10-6S/cm、1×10-5S/cm、1×10-4S/cm、1×10-3S/cm、1×10-2S/cm、1×10-1S/cm、1S/cm、40S/cm、60S/cm、80S/cm、86S/cm、90S/cm、95S/cm、100S/cm、105S/cm、150S/cm、200S/cm、300S/cm、400S/cm、500S/cm、2000S/cm、5000S/cm、又はその中の任意の二つの数値からなる範囲であってもよい。例えば、2次元材料の導電率は、2S/cm、5S/cm、50S/cm、150S/cm、300S/cm、450S/cm、500S/cm、600S/cm、700S/cm、750S/cm、800S/cm、850S/cm、900S/cm、1000S/cm、5000S/cm、50000S/cm、又はその中の任意の二つの数値からなる範囲であってもよい。1次元材料、及び2次元材料の導電率が前記範囲内にあることは、1次元材料、及び2次元材料が良好な電子伝導性能を有することを示し、同時に、a、b、及びaとbとの関係を前記範囲内に調整することにより、1次元材料が第2層骨格において導電性ネットワークを構成し、3次元骨格における電子伝導性を向上させることができる。なお、0次元材料、1次元材料、及び2次元材料の構成が異なることにより、導電率、及びリチウム親和性能に差がある。これにより、3次元骨格に特定の電子伝導勾配、及びリチウム親和性勾配を持たせ、さらにリチウム金属をボトムアップで堆積させる。従って、本発明が提供する二次電池は、高いクーロン効率、及び良好なサイクル特性を有する。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態において、1次元導電性繊維は、多層カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNFs)、銀糸、及びニッケル糸のうちの少なくとも一つを含む。0次元材料は、金属材料、酸化物、窒化物、硫化物、及び炭化物のうちの少なくとも一つを含み、金属材料は、Ag、Au、Zn、及びその合金のうちの少なくとも一つを含み、酸化物は、TiO、SiO、ZnO、SnO、Co、及びFeのうちの少なくとも一つを含み、窒化物は、Mo、及び/又はFeを含み、硫化物は、MoS、及び/又はSnSを含み、炭化物は、FeCを含む。1次元材料は、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、銀糸、及びニッケル糸のうちの少なくとも一つを含む。2次元材料は、MXene、及び/又はグラフェン(Gr)を含む。前記0次元材料は、良好なリチウム親和性材料であり、前記1次元材料、及び2次元材料は、良好な電子伝導性能を有する良好な導電材である。前記した1次元導電性繊維、0次元材料、1次元材料、及び2次元材料を選択することにより、3次元骨格における電子伝導性とリチウム親和性の二重勾配の構築に有利であり、これにより、負極片における電子の伝導の向上に有利であり、リチウム金属を3次元骨格の内部に進入させてボトムアップで堆積させることを誘導し、リチウムデンドライト、及びデッドリチウムの形成を減少させることにも有利であり、さらに二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性を向上させる。本発明では、1次元導電性繊維の直径、及びアスペクト比について、特に制限はなく、本発明の目的を達成できればよく、例えば、1次元導電性繊維は、直径が0.001μm~2μmであってもよく、アスペクト比が0.1~20000であってもよい。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態において、0次元材料の表面は、湿潤性基を含み、湿潤性基は、-OH、-COOR、-COOH、-NH、及び-SOHのうちの少なくとも一つを含み、前記-COORにおけるRは、メチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、及びエチニル基からなる群より選ばれる少なくとも一つである。湿潤性基は、リチウム金属の堆積を誘導し、リチウム金属の堆積の均一性を向上させることに有利であり、これにより、二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性の向上に有利である。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態において、3次元骨格の空隙率は、空隙率≧80%を満たす。例えば、3次元骨格の空隙率は、80%、84%、86%、88%、90%、92%、又はその中の任意の二つの数値からなる範囲であってもよい。3次元骨格の空隙率を前記範囲内に調整することにより、リチウム金属の堆積に空間を提供することに有利であり、これにより、二次電池のクーロン効率、及びサイクル特性の向上に有利である。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態において、3次元骨格に5mAh/cmのリチウム金属が堆積する場合、3次元骨格の厚さ変化率は、10%未満である。例えば、3次元骨格の厚さ変化率は、1%、2%、4%、6%、8%、10%、又はその中の任意の二つの数値からなる範囲であってもよい。これは、3次元骨格にリチウムが堆積する過程中で3次元骨格の体積の変化が小さいことを示し、これにより、負極片の厚さ膨張率の低減に有利であり、本発明が提供する二次電池が低減された厚さ膨張率を有することを示す。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態において、金属リチウム層は、リチウムを事前に補充することによって得られ、本発明では、リチウムを事前に補充することの方式について、特に制限はなく、本発明の目的を達成できればよい。例示的に、リチウムを事前に補充することの方式は、コールドプレス、ホットプレス、電気化学リチウム補充、又は物理気相成長リチウム補充(PVD)を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0037】
本発明において、3次元骨格は、吸引濾過という方式によって調製される。例えば、まず、0次元材料、1次元材料、及び2次元材料を脱イオン水に加え、均一に分散させるまで超音波分散を行い、溶液1を得る。その後、1次元導電性繊維を超音波分散で脱イオン水に分散させ、均一に分散させるまで超音波分散を行い、溶液2を得る。吸引濾過機器によって溶液1を吸引濾過し、溶液1の吸引濾過が完了した後、溶液2を加えて吸引濾過し、吸引濾過が完了した後、乾燥させ、フィルム片を得る。任意に、フィルム片とリチウム金属とをコールドプレスで複合化して、負極片を得る。ここで、前記吸引濾過機器、及び吸引濾過過程は、いずれも、当技術分野で知られている吸引濾過機器、及び吸引濾過過程であるため、本発明は、それらを限定しない。本発明では、溶液1、及び溶液2の固形分含有量について、特に制限はなく、実際の状況に応じて選択することができ、本発明の目的を達成できればよい。本発明では、前記コールドプレスで複合させる場合の圧力について、特に制限はなく、本発明の目的を達成できればよく、例えば、コールドプレスで複合させる場合の圧力は、0.1t~3tであってもよい。
【0038】
一般に、溶液1における脱イオン水の体積を調整することにより、溶液1の固形分含有量を調整することができ、溶液1の固形分含有量、又は溶液1を吸引濾過する時の仕込み量と吸引濾過の時間を調整することにより、第2層骨格の厚さを調整することができる。例えば、溶液1の吸引濾過の体積、及び吸引濾過の時間が変化せず、溶液1の固形分含有量が増加する場合、第2層骨格の厚さが増加する。溶液1の吸引濾過の体積、及び吸引濾過の時間が変化せず、溶液1の固形分含有量が減少する場合、第2層骨格の厚さが減少する。溶液1の固形分含有量が変化せず、溶液1の吸引濾過の体積が増加し、及び/又は吸引濾過の時間が減少する場合、第2層骨格の厚さが増加する。溶液1の固形分含有量が変化せず、溶液1の吸引濾過の体積が減少し、及び/又は吸引濾過の時間が増加する場合、第2層骨格の厚さが減少する。
【0039】
一般に、溶液2における脱イオン水の体積を調整することにより、溶液2の固形分含有量を調整することができ、溶液2の固形分含有量、又は溶液2を吸引濾過する時の仕込み量と吸引濾過の時間を調整することにより、第1層骨格の厚さを調整することができる。例えば、溶液2の吸引濾過の体積、及び吸引濾過の時間が変化せず、溶液2の固形分含有量が増加する場合、第1層骨格の厚さが増加する。溶液2の吸引濾過の体積、及び吸引濾過の時間が変化せず、溶液2の固形分含有量が減少する場合、第1層骨格の厚さが減少する。溶液2の固形分含有量が変化せず、溶液2の吸引濾過の体積が増加し、及び/又は吸引濾過の時間が減少する場合、第1層骨格の厚さが増加する。溶液2の固形分含有量が変化せず、溶液2の吸引濾過の体積が減少し、及び/又は吸引濾過の時間が増加する場合、第1層骨格の厚さが減少する。
【0040】
3次元骨格の厚さは、第1層骨格の厚さ、及び/又は第2層骨格の厚さの増加につれて増加し、第1層骨格の厚さ、及び/又は第2層骨格の厚さの減少につれて減少する。
【0041】
本発明において、粒子径が異なる0次元材料、直径と長径比が異なる1次元材料は、いずれも、購入によって得られ、本発明では、それらの出所について、特に制限はなく、本発明の目的を達成できればよい。
【0042】
本発明の二次電池は、特に制限はなく、電気化学反応が発生する装置を含んでもよい。例えば、二次電池は、リチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0043】
本発明の二次電池は、正極片を含んでもよいが、本発明では、正極片について、特に制限はなく、本発明の目的を達成できればよく、例えば、正極片は、通常、正極集電体、及び正極材料層を含む。正極材料層は、正極集電体の厚さ方向における一方の表面に設けられてもよく、正極集電体の厚さ方向における両方の表面に設けられてもよい。なお、上記の「表面」は、正極集電体の領域の全部であってもよく、正極集電体の領域の一部であってもよく、本発明では、特に制限はなく、本発明の目的を達成できればよい。本発明において、正極集電体は、特に制限はなく、本発明の目的を達成できればよく、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、又は複合集電体(例えば、アルミニウム炭素複合集電体)などを含んでもよいが、これらに限定されない。本発明において、正極集電体の厚さについて、特に制限はなく、本発明の目的を達成できればよく、例えば、厚さは、8μm~20μmである。
【0044】
本発明において、正極材料層は、正極材料を含み、本発明では、正極材料について、特に制限はなく、本発明の目的を達成できればよく、例えば、リチウム、及び遷移金属元素の複合酸化物のうちの少なくとも一つを含んでもよい。本発明では、前記遷移金属元素について、特に制限はなく、本発明の目的を達成できればよく、例えば、ニッケル、マンガン、コバルト、及び鉄のうちの少なくとも一つを含んでもよい。具体的には、正極材料は、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、ニッケルコバルトアルミン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、リチウムリッチマンガン材料、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸マンガン鉄リチウム、及びチタン酸リチウムのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0045】
本発明において、正極材料層は、正極導電剤を含んでもよく、本発明では、正極導電剤について、特に制限はなく、本発明の目的を達成できればよく、例えば、導電性カーボンブラック(Super P)、カーボンナノチューブ(CNTs)、炭素繊維、アセチレンブラック、鱗片状黒鉛、ケッチェンブラック、グラフェン、金属材料、及び導電性ポリマーのうちの少なくとも一つを含んでもよいが、これらに限定されない。前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、及び/又は多層カーボンナノチューブを含んでもよいが、これらに限定されない。前記炭素繊維は、気相成長炭素繊維(VGCF)、及び/又はカーボンナノファイバーを含んでもよいが、これらに限定されない。前記金属材料は、金属粉末、及び/又は金属繊維を含んでもよいが、これらに限定されなく、具体的には、金属は、銅、ニッケル、アルミニウム、及び銀のうちの少なくとも一つを含んでもよいが、これらに限定されない。前記導電性ポリマーは、ポリフェニレン誘導体、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、及びポリピロールのうちの少なくとも一つを含んでもよいが、これらに限定されない。本発明において、正極材料層は、正極バインダーを含んでもよく、本発明では、正極バインダーについて、特に制限はなく、本発明の目的を達成できればよく、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸リチウム、ポリイミド、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースリチウム、ポリアミドイミド、スチレンブタジエンゴム、及びポリフッ化ビニリデンのうちの少なくとも一つを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0046】
任意に、正極片は、導電層を含んでもよく、導電層は、正極集電体と正極材料層との間に位置する。本発明では、導電層の組成について、特に制限はなく、当技術分野でよく使われている導電層であってもよく、例えば、前記正極導電剤、及び正極バインダーを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0047】
本発明の二次電池は、セパレータをさらに含み、本発明では、セパレータについて、特に制限はなく、当業者が実際に応じて選択することができ、本発明の目的を達成できればよい。例えば、セパレータの材料は、ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)を主とするポリオレフィン(PO)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、セルロース、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、スパンデックス、及びアラミドのうちの少なくとも一つを含んでもよいが、これらに限定されない。セパレータのタイプは、織布膜、不織布膜(不織布)、微孔膜、複合膜、セパレータ紙、圧延膜、及び紡糸膜のうちの少なくとも一つを含んでもよいが、これらに限定されない。例えば、セパレータは、基材層、及び表面処理層を含んでもよい。基材層は、多孔質構造を有する、不織布、膜、又は複合膜であってもよく、基材層の材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、及びポリイミなどのうちの少なくとも一つを含んでもよい。任意に、ポリプロピレン多孔質膜、ポリエチレン多孔質膜、ポリプロピレン不織布、ポリエチレン不織布、又はポリプロピレン-ポリエチレン-ポリプロピレン多孔質複合膜を使用してもよい。任意に、基材層の少なくとも一つの表面に表面処理層が設けられており、表面処理層は、ポリマー層、又は無機物層であってもよく、ポリマーと無機物とを混合してなる層であってもよい。例えば、無機物層は、無機粒子、及びバインダーを含み、前記無機粒子は、特に制限はなく、例えば、アルミナ、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタン、二酸化ハフニウム、酸化スズ、酸化セリウム、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、炭化ケイ素、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、及び硫酸バリウムなどのうちの少なくとも一つを含んでもよい。前記バインダーは、特に制限はなく、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、及びポリヘキサフルオロプロピレンのうちの少なくとも一つを含んでもよい。ポリマー層は、ポリマーを含み、ポリマーの材料は、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、アクリル酸エステルポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、及びポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)などのうちの少なくとも一つを含む。
【0048】
本発明の二次電池は、電解液をさらに含み、本発明では、電解液について、特に制限はなく、当業者が実際に応じて選択することができ、本発明の目的を達成できればよい。例えば、電解液は、有機溶媒、及びリチウム塩を含み、本発明では、有機溶媒とリチウム塩の種類、及び含有量について、特に制限はなく、本発明の目的を達成できればよい。例示的に、有機溶媒は、炭酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物、エーテル化合物、及び他の有機溶媒のうちの少なくとも一つを含んでもよいが、これらに限定されない。前記炭酸エステル化合物は、鎖状炭酸エステル化合物、環状炭酸エステル化合物、及びフルオロ炭酸エステル化合物のうちの少なくとも一つを含んでもよいが、これらに限定されない。前記鎖状炭酸エステル化合物は、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、及びエチルメチルカーボネート(EMC)のうちの少なくとも一つを含んでもよいが、これらに限定されない。前記環状炭酸エステルは、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、及びビニルエチレンカーボネート(VEC)のうちの少なくとも一つを含んでもよいが、これらに限定されない。前記フルオロ炭酸エステル化合物は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、1,2-ジフルオロエチレンカーボネート、1-ジフルオロエチレンカーボネート、1,1,2-トリフルオロエチレンカーボネート、1,1,2,2-テトラフルオロエチレンカーボネート、フルオロ-2-メチルエチレンカーボネート、フルオロ-メチルエチレンカーボネート、1,2-ジフルオロ-メチルエチレンカーボネート、1,1,2-トリフルオロ-2-メチルエチレンカーボネート、及びトリフルオロメチルエチレンカーボネートのうちの少なくとも一つを含んでもよいが、これらに限定されない。前記カルボン酸エステル化合物は、蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、γ-ブチロラクトン、デカラクトン、バレロラクトン、及びカプロラクトンのうちの少なくとも一つを含んでもよいが、これらに限定されない。前記エーテル化合物は、ジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、アセトアルデヒドエチルメチルアセタール、2-メチルテトラヒドロフラン、及びテトラヒドロフランのうちの少なくとも一つを含んでもよいが、これらに限定されない。前記他の有機溶媒は、ジメチルスルホキシド、1,2-ジオキソラン、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリドン、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、及びリン酸トリオクチルのうちの少なくとも一つを含んでもよいが、これらに限定されない。例示的に、リチウム塩は、LiTFSI、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiB(C、LiCHSO、LiCFSO、LiC(SOCF、LiSiF、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、及びジフルオロホウ酸リチウムのうちの少なくとも一つを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0049】
本発明の二次電池の調製過程は、当業者によく知られているものであり、本発明では、特に制限はなく、例えば、正極片、セパレータ、及び負極片を順に積層し、これを必要に応じて、巻く、折るなどして巻回構造である電極アセンブリを得、電極アセンブリを包装袋に入れ、包装袋に電解液を注入して封口することで、二次電池を得るというステップ、或いは、正極片、セパレータ、及び負極片を順に積層し、そして、積層構造全体の四つの角をテープで固定して積層構造の電極アセンブリを得、電極アセンブリを包装袋に入れ、包装袋に電解液を注入して封口することで、二次電池を得るというステップを含んでもよいが、これらに限定されない。また、二次電池の内部の圧力上昇、過充放電を防止するために、必要に応じて、過電流防止素子、リード板などを包装袋に設けてもよい。ここで、包装袋は、当技術分野で知られている包装袋であるため、本発明は、それを限定しない。
【0050】
本発明の第二態様は、前記実施形態に記載の二次電池を含む電子装置を提供する。本発明では、電子装置について、特に制限はなく、先行技術に用いられる公知の電子装置であってもよい。例えば、電子装置は、ノートパソコン、ペン入力型コンピューター、モバイルコンピューター、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯型ファクシミリ、携帯型コピー機、携帯型プリンター、ステレオヘッドセット、ビデオレコーダー、液晶テレビ、ポータブルクリーナー、携帯型CDプレーヤー、ミニCD、トランシーバー、電子ノートブック、計算機、メモリーカード、ポータブルテープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、オートバイ、補助自転車、自転車、照明器具、おもちゃ、ゲーム機、時計、電動工具、閃光灯、カメラ、大型家庭用ストレージバッテリー、及びリチウムイオンコンデンサーを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0051】
実施例
以下、実施例、及び比較例を挙げて本発明の実施形態をより具体的に説明する。各種の試験、及び評価は、下記の方法に従って行った。
【0052】
測定方法、及び機器:
クーロン効率の測定:
リチウム金属電池を20℃の恒温箱に入れ、30分間静置し、リチウム金属電池を恒温にした。リチウム金属電池を0.2Cで電圧が3.7Vになるまで定電流充電し、その後、3.7Vで電流が0.025Cになるまで定電圧充電し、5分間静置し、その後、0.2Cで電圧が2.8Vになるまで定電流放電し、5分間静置した。これは、一つのサイクルであった。初回放電の容量を100%とし、電気容量が80%に減衰するまで充放電サイクルを繰り返し、測定を中止し、クーロン効率として各サイクルの充電容量に対する放電容量の比の平均値を算出した。
【0053】
サイクル特性の測定:
リチウム金属電池を25℃±2℃の恒温箱に入れ、2時間静置し、リチウムイオン電池を恒温にした。サイクル過程1について、リチウム金属電池を0.2Cで電圧が3.7Vになるまで定電流充電し、その後、3.7Vで電流が0.5Cになるまで定電圧充電し、5分間静置し、さらに、1Cで電圧が2.8Vになるまで定電流放電することを1回の充放電サイクルとした。リチウム金属電池の初回サイクルの放電容量を記録し、その後、前記サイクル過程1に従って充放電サイクルを繰り返し、各サイクル後の放電容量を記録した。50サイクル目、100サイクル目、150サイクル目、200サイクル目、250サイクル目では、サイクル過程2に従って充放電サイクルを1回行った。サイクル過程2について、0.05Cで電圧が3.7Vになるまで定電流充電し、その後、3.7Vで電流が0.025Cになるまで定電圧充電し、5分間静置し、さらに、0.05Cで電圧が2.8Vになるまで定電流放電することを1回の充放電サイクルとし、各サイクル後の放電容量を記録した。
【0054】
リチウム金属電池のサイクル容量維持率=各サイクル後の放電容量/初回サイクル後の放電容量×100%。
【0055】
リチウム金属電池のサイクル容量維持率が80%になる場合、そのときのサイクル数を記録した。実施例、及び比較例において、10個のリチウム金属電池をそれぞれ測定し、サイクル数の平均値を最終結果とした。
【0056】
空隙率の測定:
実施例、及び比較例において調製された3次元骨格を直径が10mmである丸いシートに裁断し、丸いシートの表面は、欠けなく平らであった。真密度試験機を用いて丸いシートの真体積Vを得、見かけ体積V=S×H(Sは、サンプルの表面積であり、Hは、サンプルの厚さである)、空隙率=(V-V)V×100%であった。
【0057】
本測定方法において、真体積は、細孔を含まないサンプルの体積と定義され、空隙率は、サンプルの見かけ体積に対するサンプルの細孔体積の比と定義された。空隙率は、サンプルにおける空隙の数を反映し、これは、リチウム金属電池におけるイオン輸送に重要な影響を与える。
【0058】
走査型電子顕微鏡による測定:
PhilipsXL-30型電界放射走査電子顕微鏡を用いて測定した。
【0059】
3次元骨格、第1層骨格、及び第2層骨格の厚さの測定:
吸引濾過機器によって溶液1を吸引濾過し、溶液1の吸引濾過が完了した後、溶液2を加えて吸引濾過し、吸引濾過が完了した後、乾燥させ、フィルム片を得、フィルム片の厚さをマイクロメーターで測定してHと記した。吸引濾過機器によって溶液1を吸引濾過し、吸引濾過が完了した後、乾燥させ、フィルム片1を得、フィルム片1の厚さをマイクロメーターで測定してHと記した。3次元骨格の厚さ=H、第1層骨格の厚さ=H-H、第2層骨格の厚さ=Hであった。ここで、溶液1、及び溶液2は、各実施例、又は比較例における溶液1、及び溶液2であった。
【0060】
厚さ変化率の測定:
調製により得られた3次元骨格を切って断面を取り、PhilipsXL-30型電界放射走査電子顕微鏡を用いて3次元骨格の断面に対して撮影し、3次元骨格の断面の走査電子顕微鏡写真を得てNano Measurerソフトウェアに導入し、3次元骨格の厚さを測定し、Hと記した。
【0061】
リチウム金属の堆積量が5mAh/cmになるように、各実施例、又は比較例におけるリチウム金属電池を0.2mA/cmである電流密度でT時間放電させ、リチウム金属電池を解体し、DMEで極片を洗浄して断面を切り取り、PhilipsXL-30型電界放射走査電子顕微鏡を用いて極片における3次元骨格の断面に対して撮影し、極片における3次元骨格の断面の走査電子顕微鏡写真を得てNano Measurerソフトウェアに導入し、極片における3次元骨格の厚さを測定し、Hと記した。ここで、実施例1~実施例24、比較例1~比較例10におけるTは、いずれも、25時間である。
厚さ変化率=(H-H)/H×100%。
【0062】
導電率の測定:
中国国家標準「導電率計試験方法」(GB11007-89)に従って測定を行った。
【0063】
実施例1
<負極片の調製>
=7mgの1次元材料である多層カーボンナノチューブ(メーカー:Shanghai Aladdin Biochemical Technology Co., Ltd.、型式:308068-56-6)、及びm=1mgの2次元材料であるMXene(メーカー:Nanjing Xianfeng Nanomaterial Technology Ltd.、型式:12363-89-2)を100mLの脱イオン水に加え、十分に超音波分散を行い、m=0.16mgの0次元材料である二酸化スズ粒子を加え、均一に分散させるまで超音波を続け、溶液1を得た。0次元材料の粒子径は、0.3μmであり、1次元材料は、直径が2nmであり、アスペクト比が10000~
12000であった。
【0064】
1mgの1次元導電性繊維である多層カーボンナノチューブ(メーカー:Shanghai Aladdin Biochemical Technology Co.、型式:308068-56-6)を20mLの脱イオン水に均一に分散させるまで超音波で分散させ、溶液2を得た。
【0065】
吸引濾過機器によってA=100mLの溶液1をt=180分間吸引濾過し、溶液1の吸引濾過が完了した後、A=20mLの溶液2を加えてt=30分間吸引濾過し、吸引濾過が完了した後、80℃のオーブンに入れて24時間乾燥させ、フィルム片を得、フィルム片と20μmのリチウム金属とをコールドプレスで複合させ、負極片を得る。ここで、第1層骨格の厚さは、5μmであり、第2層骨格の厚さは、50μmであり、3次元骨格の厚さは、55μmであり、コールドプレスの圧力は、0.2tであった。その後、負極片を直径18mmの丸いシートに打ち抜いた。
【0066】
<正極片の調製>
正極活物質であるリン酸鉄リチウム(LiFePO)、導電性カーボンブラック(Super P)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を97.5:1.0:1.5という重量比で混合し、溶媒としてN-メチルピロリドン(NMP)を加え、固形分含有量75wt%のスラリーに調製し、均一に攪拌した。スラリーを厚さ10μmの正極集電体であるアルミニウム箔の一方の表面に均一に塗布し、90℃で乾燥させ、片面に正極材料層が塗布された正極片を得、正極材料層の厚さは、50μmであった。その後、当該正極片のもう一方の表面上に前記ステップを繰り返し、即ち、両面に正極材料層が塗布された正極片を得た。そして、正極片をコールドプレスし、直径14mmの丸いシートに打ち抜いた。
【0067】
<電解液の調製>
乾燥されたアルゴン雰囲気において、ジオキソラン(DOL)、ジメチルエーテル(DME)をDOL:DME=1:1という体積比で混合し、有機溶媒を得、その後、有機溶媒にリチウム塩であるLiTFSIを加え、溶解させて均一に混合し、電解液を得た。ここで、電解液は、リチウム塩の濃度が1mol/Lであった。
【0068】
<セパレータ>
厚さ15μmのポリエチレン(PE)フィルム(セルガード社提供)を採用した。
【0069】
<リチウム金属電池の調製>
真空グローブボックスにおいて、ボタン型電池ケースの正極ケースの開放面を上にし、ガスケット、及び前記調製により得られた正極片を順に入れ、電解液を滴下して正極片の表面を湿した後、前記セパレータを正極片に重ねて電解液を滴下し、セパレータの表面が電解液に湿された後、セパレータに前記調製により得られた負極片、ガスケット、及び弾性シートを順に重ね、その後、ボタン型電池ケースの負極ケースを覆い、封止機で封止し、プレスし、ボタン型電池を得た。前記ガスケット、及び弾性シートは、購入によって得られ、本発明は、それらを限定しない。
【0070】
実施例2
負極片を調製する場合、溶液1における1次元材料である多層カーボンナノチューブの質量mが10.5mgであり、2次元材料であるMXeneの質量mが1.5mgであり、0次元材料である二酸化スズ粒子の質量mが0.24mgであり、脱イオン水の体積が150mLであり、溶液2における1次元導電性繊維である多層カーボンナノチューブの質量が1.5mgであり、脱イオン水の体積が30mLであり、吸引濾過する場合、溶液1の仕込み量Aが150mLであり、吸引濾過の時間tが288分間であり、溶液2の仕込み量Aが20mLであり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0071】
実施例3
負極片を調製する場合、溶液1における1次元材料である多層カーボンナノチューブの質量mが14mgであり、2次元材料であるMXeneの質量mが2mgであり、0次元材料である二酸化スズ粒子の質量mが0.32mgであり、脱イオン水の体積が200mLであり、溶液2における1次元導電性繊維である多層カーボンナノチューブの質量が2mgであり、脱イオン水の体積が40mLであり、吸引濾過する場合、溶液1の仕込み量Aが200mLであり、吸引濾過の時間tが360分間であり、溶液2の仕込み量Aが20mLであり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0072】
実施例4
負極片を調製する場合、吸引濾過する場合、溶液1の仕込み量Aが20mLであり、吸引濾過の時間tが36分間であり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0073】
実施例5
負極片を調製する場合、溶液1における1次元材料である多層カーボンナノチューブの質量mが28mgであり、2次元材料であるMXeneの質量mが4mgであり、0次元材料である二酸化スズ粒子の質量mが0.64mgであり、脱イオン水の体積が400mLであり、吸引濾過する場合、溶液1だけを吸引濾過し、且つ溶液2を吸引濾過せず、溶液1の仕込み量Aが400mLであり、吸引濾過の時間tが720分間であり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0074】
実施例6
負極片を調製する場合、溶液1における1次元材料である多層カーボンナノチューブの質量mが14mgであり、2次元材料であるMXeneの質量mが2mgであり、0次元材料である二酸化スズ粒子の質量mが0.32mgであり、脱イオン水の体積が200mLであり、吸引濾過する場合、溶液1の仕込み量Aが108mLであり、吸引濾過の時間tが200分間であり、溶液2の仕込み量Aが4mLであり、吸引濾過の時間tが10分間であり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0075】
実施例7
負極片を調製する場合、溶液1における1次元材料である多層カーボンナノチューブの質量mが14mgであり、2次元材料であるMXeneの質量mが2mgであり、0次元材料である二酸化スズ粒子の質量mが0.32mgであり、脱イオン水の体積が200mLであり、吸引濾過する場合、溶液1の仕込み量Aが104mLであり、吸引濾過の時間tが188分間であり、溶液2の仕込み量Aが12mLであり、吸引濾過の時間tが18分間であり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0076】
実施例8
負極片を調製する場合、溶液2における1次元導電性繊維である多層カーボンナノチューブの質量が2mgであり、脱イオン水の体積が40mLであり、吸引濾過する場合、溶液1の仕込み量Aが80mLであり、吸引濾過の時間tが168分間であり、溶液2の仕込み量Aが40mLであり、吸引濾過の時間tが60分間であり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0077】
実施例9
負極片を調製する場合、溶液1における1次元材料である多層カーボンナノチューブの質量mが16mgであり、2次元材料であるMXeneの質量mが2mgであり、0次元材料である二酸化スズ粒子の質量mが0.36mgであり、脱イオン水の体積が200mLであり、吸引濾過する場合、溶液1の仕込み量Aが115mLであり、吸引濾過の時間tが198分間であり、溶液2を加えず、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0078】
実施例10
負極片を調製する場合、溶液1における0次元材料である二酸化スズ粒子の質量mが0.08mgであり、吸引濾過する場合、溶液1の吸引濾過の時間tが180分間であり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0079】
実施例11
負極片を調製する場合、溶液1における0次元材料である二酸化スズ粒子の質量mが0.4mgであり、吸引濾過する場合、溶液1の吸引濾過の時間tが180分間であり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0080】
実施例12
負極片を調製する場合、溶液1における0次元材料である二酸化スズ粒子の質量mが0.8mgであり、吸引濾過する場合、溶液1の吸引濾過の時間tが180分間であり、且つ表1に従って1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0081】
実施例13
負極片を調製する場合、溶液1における0次元材料である二酸化スズ粒子の質量mが2.7mgであり、吸引濾過する場合、溶液1の吸引濾過の時間tが180分間であること以外は、実施例1と同様であった。
【0082】
実施例14
負極片を調製する場合、溶液1における1次元材料である多層カーボンナノチューブの質量mが7.57mgであり、2次元材料であるMXeneの質量mが0.43mgであり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様である。
【0083】
実施例15
負極片を調製する場合、溶液1における1次元材料である多層カーボンナノチューブの質量mが2mgであり、2次元材料であるMXeneの質量mが6mgであり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0084】
実施例16
負極片を調製する場合、溶液1における1次元材料である多層カーボンナノチューブの質量mが1mgであり、2次元材料であるMXeneの質量mが7mgであり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0085】
実施例17
負極片を調製する場合、溶液1における1次元材料、及び溶液2における1次元導電性繊維として、いずれもカーボンナノファイバー(メーカー:Nanjing Xianfeng Nanomaterial Technology Ltd.、型式:1333-86-4)を採用し、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0086】
実施例18
負極片を調製する場合、溶液1における2次元材料として、グラフェン(メーカー:Nanjing Xianfeng Nanomaterial Technology Ltd.、型式:7440-44-0)を採用し、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0087】
実施例19
負極片を調製する場合、溶液1における0次元材料として、SiOを採用し、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0088】
実施例20
負極片を調製する場合、溶液1における0次元材料として、TiOを採用し、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0089】
実施例21
負極片を調製する場合、溶液1における0次元材料として、Ag粉末(メーカー:Shanghai Aladdin Biochemical Technology Co.、型式:7440-22-4)を採用し、Ag粉末の粒子径は、0.1μm~1μmであり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0090】
実施例22~実施例24
負極片を調製する場合、フィルム片を乾燥させた後、さらに、ローラコールドプレス処理を行い、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。ローラコールドプレス処理の圧力は、順に0.8t、1.2t、1.5tであった。
【0091】
実施例25
<変性Feの調製>
NH雰囲気で、Feを500℃で2時間焼結し、表面に湿潤性基である-NHを含むFe、即ち、変性Feを得た。
【0092】
負極片を調製する場合、溶液1における0次元材料として、変性Feを採用し、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0093】
比較例1
負極片を調製する場合、溶液1にmが10mgの1次元材料である多層カーボンナノチューブだけを加え、吸引濾過する場合、溶液1だけを吸引濾過し、且つ溶液2を吸引濾過せず、溶液1の仕込み量Aが100mLであり、吸引濾過の時間tが198分間であり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0094】
比較例2
負極片を調製する場合、溶液1にmが10mgの1次元材料である多層カーボンナノチューブ、及びmが0.2mgの0次元材料である二酸化スズ粒子だけを加え、吸引濾過する場合、溶液1だけを吸引濾過し、且つ溶液2を吸引濾過せず、溶液1の仕込み量Aが100mLであり、吸引濾過の時間tが198分間であり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0095】
比較例3
負極片を調製する場合、溶液1にmが10mgの2次元材料であるMXeneだけを加え、吸引濾過する場合、溶液1だけを吸引濾過し、且つ溶液2を吸引濾過せず、溶液1の仕込み量Aが100mLであり、吸引濾過の時間tが198分間であること以外は、実施例1と同様であった。
【0096】
比較例4
負極片として、購入によって得られた50μmの、リチウムを事前に補充するリチウム銅複合テープを採用したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0097】
比較例5
負極片を調製する場合、溶液1における1次元材料である多層カーボンナノチューブの質量mが4.61mgであり、2次元材料であるMXeneの質量mが0.66mgであり、0次元材料である二酸化スズ粒子の質量mが2.89mgであり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0098】
比較例6
負極片を調製する場合、溶液1における1次元材料である多層カーボンナノチューブの質量mが7.69mgであり、2次元材料であるMXeneの質量mが0.31mgであり、0次元材料である二酸化スズ粒子の質量mが0.16mgであり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0099】
比較例7
吸引濾過する場合、溶液1の仕込み量Aが10mLであり、吸引濾過の時間tが180分間であり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0100】
比較例8
負極片を調製する場合、溶液1における1次元材料である多層カーボンナノチューブの質量mが35mgであり、2次元材料であるMXeneの質量mが5mgであり、0次元材料である二酸化スズ粒子の質量mが0.8mgであり、脱イオン水の体積が500mLであり、吸引濾過する場合、溶液1の仕込み量Aが500mLであり、吸引濾過の時間tが180分間であり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0101】
比較例9
負極片を調製する場合、溶液1における1次元材料である多層カーボンナノチューブの質量mが23.2mgであり、2次元材料であるMXeneの質量mが3.32mgであり、0次元材料である二酸化スズ粒子の質量mが14.28mgであり、脱イオン水の体積が500mLであり、吸引濾過する場合、溶液1の仕込み量Aが500mLであり、吸引濾過の時間tが180分間であり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0102】
比較例10
負極片を調製する場合、溶液1における1次元材料である多層カーボンナノチューブの質量mが25.5mgであり、2次元材料であるMXeneの質量mが1.02mgであり、0次元材料である二酸化スズ粒子の質量mが14.28mgであり、脱イオン水の体積が500mLであり、吸引濾過する場合、溶液1の仕込み量Aが500mLであり、吸引濾過の時間tが180分間であり、且つ表1に従って1次元材料の直径、及び1次元材料のアスペクト比を調整したこと以外は、実施例1と同様であった。
【0103】
各実施例、及び比較例の調製のパラメータと性能測定は、表1に示す。
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
実施例1~実施例25、比較例1~比較例10から分かるように、本発明の実施例において調製された3次元骨格を適用したリチウム金属電池は、クーロン効率がより高く、サイクルのサイクル数がより多く、これは、本発明の実施例におけるリチウム金属電池がより高いクーロン効率、及びよりよいサイクル特性を有することを示す。同時に、3次元骨格の厚さ変化率が低いため、リチウム金属電池の膨張特性も改善された。
【0107】
具体的には、図2は、実施例1における3次元骨格の走査型電子顕微鏡写真であり、図面から分かるように、3次元骨格は、3次元構造を有し、且つ、3次元骨格に空隙が存在する。図3は、実施例1、及び比較例4におけるリチウム金属電池の容量減衰曲線であり、図面から分かるように、比較例4のリチウム金属電池は、24サイクルでサイクルした後、容量維持率が80%に低下したが、実施例1のリチウム金属電池は、250サイクルでサイクルした後、容量維持率がほぼ90%以上を維持したため、本発明が提供するリチウム金属電池のサイクル特性がよりよいことを示す。
【0108】
実施例1、比較例1~比較例4から分かるように、第2層骨格が同時に0次元材料、1次元材料、及び2次元材料を含む場合、リチウム金属電池は、より高いクーロン効率、及びよりよいサイクル特性を有する。
【0109】
実施例1、実施例10~実施例13、比較例5から分かるように、0次元材料の質量百分率が本発明の範囲内にある場合、リチウム金属電池は、より高いクーロン効率、及びよりよいサイクル特性を有する。
【0110】
実施例1、実施例14~実施例16、比較例6から分かるように、2次元材料に対する1次元材料の質量比が本発明の範囲内にある場合、リチウム金属電池は、より高いクーロン効率、及びよりよいサイクル特性を有する。
【0111】
実施例1、比較例7、及び比較例8から分かるように、第2層骨格、及び3次元骨格の厚さが本発明の範囲内にある場合、リチウム金属電池は、より高いクーロン効率、及びよりよいサイクル特性を有する。
【0112】
実施例1、比較例9、及び比較例10から分かるように、3次元骨格の厚さ、第1層骨格の厚さ、及び第2層骨格の厚さ、0次元材料の質量百分率、2次元材料に対する1次元材料の質量比がいずれも本発明の範囲内にある場合、リチウム金属電池は、より高いクーロン効率、及びよりよいサイクル特性を有する。
【0113】
第1層骨格の厚さは、一般にリチウム金属電池の性能に影響を与え、実施例1、実施例6~実施例9から分かるように、第1層骨格の厚さが本発明の範囲内にある場合、リチウム金属電池は、高いクーロン効率、及び良好なサイクル特性を有する。
【0114】
第1層骨格の材料である1次元導電性繊維の種類、並びに第2層骨格における1次元材料、2次元材料、及び0次元材料の種類は、一般にリチウム金属電池の性能に影響を与え、実施例1、実施例17~実施例21、実施例25から分かるように、第1層骨格の材料である1次元導電性繊維の種類、第2層骨格における1次元材料、2次元材料、及び0次元材料の種類が本発明の範囲内にある場合、リチウム金属電池は、高いクーロン効率、及び良好なサイクル特性を有する。実施例1~実施例25から分かるように、3次元骨格の厚さ、第1層骨格の厚さ、第2層骨格の厚さ、0次元材料の質量百分率、2次元材料に対する1次元材料の質量比がいずれも本発明の範囲内にある場合、3次元骨格が高い空隙率、及び低い厚さ変化率を有し、1次元材料、及び2次元材料が高い導電率を有するため、リチウム金属電池は、高いクーロン効率、及び良好なサイクル特性を有する。
【0115】
0次元材料の粒子径、並びに1次元材料の直径、及びアスペクト比は、一般にリチウム金属電池の性能に影響を与え、実施例1~実施例25から分かるように、0次元材料の粒子径、並びに1次元材料の直径、及びアスペクト比が本発明の範囲内にある場合、リチウム金属電池は、高いクーロン効率、及び良好なサイクル特性を有する。
【0116】
なお、本明細書において、第1、及び第2などの関係用語は、1つのエンティティ、又は操作を別のエンティティ、又は操作と区別するためにのみ使用されるものであり、必ずしもこれらのエンティティ、又は操作の間にこのような実際的な関係、又は順序が存在することを要求したり暗示したりするものではない。そして、用語「含む」、又は他の任意の変形は、一連の要素を含むプロセス、方法、物品、又は装置がそれらの要素を含むだけでなく、明示的にリストされていない他の要素、又はこのようなプロセス、方法、物品、又は装置に固有の要素を含むように、非排他的な要素を含むことを意図している。
【0117】
本明細書の各実施例は、いずれも、関連した方式で説明されており、各実施例の間で同一および類似の部分は互いに参照すればよく、各実施例については、他の実施例との相違点を重点的に説明する。
【0118】
以上は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の保護範囲を限定することを意図したものではない。本発明の主旨、及び原則を逸脱せずに行われるいかなる変更、同等の置換、改善などは、いずれも、本発明の保護範囲に含まれている。
図1
図2
図3