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特開2024-99747シーズン中に格別に最適化される高応答性農業システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099747
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】シーズン中に格別に最適化される高応答性農業システム
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20240718BHJP
   A01C 15/00 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
A01M7/00 H
A01C15/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024071902
(22)【出願日】2024-04-25
(62)【分割の表示】P 2022535746の分割
【原出願日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】62/946,806
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MySQL
2.JAVA
3.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】521165688
【氏名又は名称】クライメイト、リミテッド、ライアビリティー、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】CLIMATE LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】ニック、ニッシング
【テーマコード(参考)】
2B052
2B121
【Fターム(参考)】
2B052BC01
2B052CA02
2B052DA02
2B052EA03
2B121AA11
2B121AA19
2B121AA20
2B121CB10
2B121CB24
2B121CB25
2B121CB35
2B121CB37
2B121CB42
2B121CB47
2B121CC02
2B121CC03
2B121CC05
2B121EA26
2B121FA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】農薬製品の散布を制御するための方法
【解決手段】遠隔的に感知されたデジタル画像データを取得することと、少なくともデジタル画像データに基づいて、少なくとも1つの農薬製品を可変的な態様で散布するための処方を策定するとともに、処方を、少なくとも1つの農薬製品を散布するために特定の自律型ビークルがフィールドの上方を複数回にわたって通過することを記述したものとすることと、処方に従って、特定の自律型ビークルによって、少なくとも1つの農薬製品を可変的な態様で作物に対して散布することと、を含む、方法。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農薬製品の散布を制御するための方法であって、
遠隔的に感知されたデジタル画像データを取得することと、
少なくとも前記デジタル画像データに基づいて、少なくとも1つの農薬製品を可変的な態様で散布するための処方を策定するとともに、前記処方を、前記少なくとも1つの農薬製品を散布するために特定の自律型ビークルがフィールドの上方を複数回にわたって通過することを記述したものとすることと、
前記処方に従って、前記特定の自律型ビークルによって、前記少なくとも1つの農薬製品を前記可変的な態様で作物に対して散布することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記特定の自律型ビークルは、無人航空機である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処方を、前記少なくとも1つの農薬製品を散布するために前記特定の自律型ビークルが前記フィールドの上方を通過する前記複数回のうち、少なくとも1回に関しては、異なる作用機構を記述したものとする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記処方を、前記少なくとも1つの農薬製品を散布するために前記特定の自律型ビークルが前記フィールドの上方を通過する前記複数回のうち、少なくとも1回に関しては、前記少なくとも1つの農薬製品について、カテゴリが異なる1つの農薬製品を記述したものとする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記処方を、前記フィールドの上方を前記特定の自律型ビークルが後続で通過する際に前記農薬製品を再散布することを記述したものとし、前記後続の通過は、前記フィールドの上方を前記特定の自律型ビークルが前記複数回にわたって通過するうちの、1回目の通過の後に行われるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記処方を、少なくとも1つの以前の栽培シーズンからの履歴データに基づいて策定する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記処方を、予測される気象現象に基づいて策定する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記処方を、害虫駆除処方を含むものとし、前記処方を、事前に策定し、前記農薬製品を、前記フィールド内で害虫が検出される前に、または前記フィールド内で害虫の症状が検出される前に、散布する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記処方を、出芽前処方を含むものとし、前記処方を、事前に策定し、前記農薬製品を、前記フィールド内で雑草が検出される前に散布する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記農薬製品は、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、微生物、微量栄養素、窒素ベースの肥料、植物成長調整剤、枯葉剤、土壌改良剤、または、これらの組合せ、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
遠隔的に感知された前記デジタル画像データの前記取得は、
ホットスポット画像サブシステムから第1データセットを受信することと、
前記第1データセットに基づいて診断命令セットを作成することと、
前記診断命令セットを使用して、偵察任務において診断偵察サブシステムを遠隔制御することにより、第2データセットを取得することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1データセットは、第1解像度での第1マルチスペクトル画像を含み、前記第2データセットは、前記第1解像度より高い第2解像度での、第2マルチスペクトル画像を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記マルチスペクトル画像の少なくとも1つのセットは、ハイパースペクトル画像を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2データセットを、前記第1データセットよりも低い高度で取得する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
農薬製品の散布を制御するための方法であって、
遠隔的に感知されたデジタル画像データを取得することと、
少なくとも1つの以前の栽培シーズンからの履歴データを取得することと、
前記デジタル画像データおよび前記履歴データに基づいて、少なくとも1つの農薬製品を可変的な態様で散布するための処方を策定するとともに、前記処方を、前記少なくとも1つの農薬製品を散布するために特定の自律型ビークルがフィールドの上方を複数回にわたって通過することを記述したものとすることと、
前記処方に従って、前記特定の自律型ビークルによって、前記少なくとも1つの農薬製品を前記可変的な態様で作物に対して散布することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記履歴データは、
現在の栽培シーズンの直前の栽培シーズンからの、過去の処方および対応する処方結果と、
前記直前の栽培シーズンにおける雑草の種および密度と、
前記直前の栽培シーズンにおける虫害と、
前記直前の栽培シーズンにおける病害の深刻度と、
前記直前の栽培シーズンにおける土壌データと、
前記直前の栽培シーズンにおける収量情報と、の少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記履歴データは、人工知能または機械学習アルゴリズムを使用して画像データから導出された空間マップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記処方を、前記少なくとも1つの農薬製品を散布するために前記特定の自律型ビークルが前記フィールドの上方を通過する前記複数回のうち、少なくとも1回に関しては、異なる作用機構を記述したものとする、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記処方を、前記少なくとも1つの農薬製品を散布するために前記特定の自律型ビークルが前記フィールドの上方を通過する前記複数回のうち、少なくとも1回に関しては、前記少なくとも1つの農薬製品について、カテゴリが異なる1つの農薬製品を記述したものとする、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
遠隔的に感知された前記デジタル画像データの前記取得は、
ホットスポット画像サブシステムから第1データセットを受信することと、
前記第1データセットに基づいて診断命令セットを作成することと、
前記診断命令セットを使用して、偵察任務において診断偵察サブシステムを遠隔制御することにより、第2データセットを取得することと、を含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
著作権通告
この特許文書の開示の一部には、著作権保護の対象となる資料が含まれている。著作権所有者は、特許商標庁の書類または記録に現れる特許文書または特許開示を何人がファクシミリで複製することに対して何らの異議も申し立てないけれども、それ以外に関しては、すべての著作権または権利を保有するものである。著作権 2015~2020 The Climate Corporation。
【0002】
本開示の1つの技術分野は、ドローンベースでの管理である。本開示の別の技術分野は、農業処方である。
【背景技術】
【0003】
地面上を駆動される重い農業機械は、フィールドを通過するたびに、土壌を圧縮することとなり、作物にダメージを与えてしまって、益よりも害が大きくなり得る。そのため、従来的な農業慣行では、通過するたびに発生するダメージとそれに伴う金銭的損失とのために、播種から収穫までの間に農薬を散布するためにフィールドを通過する回数を制限している。地面上を駆動される農業機械には、他の制限が存在する。例えば、フィールドの特定の一部分に対してしか農薬を散布しない場合であっても、地面上を駆動される農業機械は、フィールドの大部分を通過する必要があり得る。しかしながら、地面上を駆動される農業機械は、土壌がぬかるんでいる場合には、農業機械がスタックしてしまう可能性があるために、フィールドに出られないことさえあり得る。加えて、地面上を駆動される農業機械は、それを操作するために、操作者を必要とする。シーズン内に必要な農薬を散布するに際して、フィールド上の通過回数を制限すると、最適な作物量が制限されてしまう。
【0004】
よって、フィールド内の通過回数が制限要因とはならないよう、フィールドを横断するに際しての、より効率的な、より持続可能な、かつ経済的な、態様が要望されている。
【0005】
本項で説明するアプローチは、追求し得るアプローチであるが、必ずしも以前に考案されたり追求されたりしたアプローチではない。したがって、特段に明記しない限り、本項で説明するいずれのアプローチも、本項に含まれているという理由だけで、従来技術として適格であると想定されるべきではない。
【発明の概要】
【0006】
添付の特許請求の範囲は、本開示の要約として機能し得る。
【0007】
図面は、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本明細書において説明する機能を実行するように構成された例示的なコンピュータシステムを、システムが相互運用し得る他の装置と共にフィールド環境内で示している。
図2】例示的なモバイルアプリケーションが実行のためにロードされる時の、メインメモリ内の命令セットに関する例示的なロジック編成を示す2つの図である。
図3】農業インテリジェンスコンピュータシステムが、1つまたは複数のデータソースによって提供された農学的データを使用して、1つまたは複数の事前構成された農学的モデルを作成する、プログラムされたプロセスを示している。
図4】本発明の一実施形態が実装され得るコンピュータシステムを示すブロック図である。
図5】データ入力のための予定表に関する例示的な実施形態を図示している。
図6】データ入力のための計算表に関する例示的な実施形態を図示している。
図7】いくつかの実施形態に係る、例示的なドローンベースでの管理および農学的システムを示している。
図8A】いくつかの実施形態に係る、例示的な散布ドローンを示している。
図8B】いくつかの実施形態に係る、図8Aの散布ドローンに関するグラフィック的な使用フローを示している。
図8C】いくつかの実施形態に係る、図8Aの散布ドローンに関するグラフィック的な使用フローを示している。
図8D】いくつかの実施形態に係る、図8Aの散布ドローンに関するグラフィック的な使用フローを示している。
図8E】いくつかの実施形態に係る、図8Aの散布ドローンに関するグラフィック的な使用フローを示している。
図8F】いくつかの実施形態に係る、図8Aの散布ドローンに関するグラフィック的な使用フローを示している。
図8G】いくつかの実施形態に係る、図8Aの散布ドローンに関するグラフィック的な使用フローを示している。
図8H】いくつかの実施形態に係る、図8Aの散布ドローンに関するグラフィック的な使用フローを示している。
図9】いくつかの実施形態に係る、再散布のための処方を作成するための例示的な方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、説明の目的のため、本開示の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細について記載している。しかしながら、実施形態が、これらの具体的な詳細がなくても実施され得ることは明らかであろう。他の実例では、本開示を無用に不明瞭とすることを回避するよう、周知の構造およびデバイスをブロック図の形態で図示している。実施形態は、以下の概要に従って項ごとに開示される。
1.全体的な概要
2.例示的な農業インテリジェンスコンピュータシステム
2.1.構造的な概要
2.2.アプリケーションプログラムの概要
2.3.コンピュータシステムへのデータ取り込み
2.4.プロセスの概要-農学的モデルの訓練
2.5.実装例-ハードウェアの概要
3.例示的なドローンベースの複数回通過による農学的システム
3.1 マルチレベル調整システム
3.2 データ収集
3.3 処方
3.4 再散布オプション
3.5 多段貯蔵カートリッジを付帯したドローン
3.6 複数回通過による作物保護
3.6.1.除草剤の例
3.6.2 殺虫剤の例
3.6.3 殺菌剤の例
3.6.4 肥料の例
3.6.5 微生物の例
3.6.6 被覆作物の例
3.6.7 PGRの例
3.7 手順に関する概要
4.開示に関する他の態様
【0010】
1 全体的な概要
【0011】
ドローンベースの複数回通過農学的システムは、従来的な農業慣行を、播種作業と収穫作業との間においてフィールドを横断する通過回数が制限要因とはならないような、異なる新たなパラダイムへと、移行させる。システムは、偵察ドローンを使用することにより、フィールド内の問題点を調査し、さらに、散布ドローンを使用することにより、シーズン内における任意の時点でかつ必要な頻度で、農薬を散布する。地面上を駆動される機械とは異なり、偵察ドローンおよび散布ドローンは、土壌を圧縮することがなく、作物にダメージを与えることもない。偵察ドローンおよび散布ドローンの使用は、シーズン全体を通して環境に対応した処方を作成することを可能とし、これにより、環境への影響を低減させつつ、持続可能性を向上させながら、収穫量を増加させる。
【0012】
一態様では、再散布のための処方を作成するためのコンピュータ実装方法は、ホットスポット画像サブシステムから、第1データセットを受信することを含む。方法は、第1データセットが、農業フィールドでの有意義な進展を示している時には、第1データセットに基づいて、診断命令セットを作成することを、さらに含む。方法は、診断命令セットを使用して、偵察任務において診断偵察サブシステムを遠隔制御することにより、診断解像度からなる第2データセットを取得することを、さらに含む。方法は、第2データセットを使用して、製品を散布するためのフィールド処方でありかつ散布命令セットと関連付けられたフィールド処方を作成することを、さらに含む。方法は、散布命令セットを使用して、複数の散布任務においてドローンサブシステムを遠隔制御することを、さらに含み、各散布任務時には、ドローンサブシステムは、農業フィールドの一部を通過するように、かつ、フィールド処方に従って農業フィールドの一部に対して農薬を散布するように、遠隔制御される。ステップは、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって実行される。
【0013】
他の特徴点、態様、および実施形態は、図面および特許請求の範囲を含めた全体としての開示から、明らかとなるであろう。
【0014】
2 例示的な農業インテリジェンスコンピュータシステム
【0015】
2.1 構造的な概要
【0016】
図1は、本明細書において説明する機能を実行するように構成された例示的なコンピュータシステムを、システムが相互運用し得る他の装置と共にフィールド環境内で示している。一実施形態では、ユーザ102は、農業活動を目的としたフィールドなどの、あるいは、1つまたは複数の農業フィールドに関する管理位置などの、フィールド位置において、あるいはフィールド位置に関連して、フィールド管理コンピュータデバイス104を、所有または操作または所持している。フィールド管理コンピュータデバイス104は、フィールドデータ106を、1つまたは複数のネットワーク109を介して、農業インテリジェンスコンピュータシステム130に対して提供するように、プログラムまたは構成されている。
【0017】
フィールドデータ106の例は、(a)識別データ(例えば、エーカー数、フィールド名、フィールド識別子、地理的識別子、境界識別子、作物識別子、ならびに、農地を識別するために使用し得る任意の他の適切なデータ、例えば共有地ユニット(CLU)、ロットおよびブロック番号、地番、地理的な座標および境界、農場シリアル番号(FSN)、農場番号、区画番号、フィールド番号、セクション、タウンシップ、および/または範囲などの、任意の他の適切なデータ)、(b)収穫データ(例えば、作物のタイプ、作物の品種、輪作、作物が有機栽培されているかどうか、収穫日、実際の生産履歴(APH)、予想収穫量、収穫量、作物価格、作物収益、穀粒水分、耕耘慣行、ならびに、前の栽培シーズンの情報)、(c)土壌データ(例えば、タイプ、組成、pH、有機物(OM)、陽イオン交換容量(CEC))、(d)播種データ(例えば、播種日、種子のタイプ、播種した種子の相対的な成熟度(RM)、種子の個体数)、(e)肥料データ(例えば、栄養分のタイプ(窒素、リン、カリウム)、施肥のタイプ、施肥日、量、供給源、方法)、(f)化学物質の散布データ(例えば、農薬、除草剤、殺菌剤、植物調節剤や枯葉剤や乾燥剤として使用することを目的とした他の物質または物質混合物、散布日、量、供給源、方法)、(g)灌漑データ(例えば、適用日、量、供給源、方法)、(h)気象データ(例えば、降水量、降雨率、予測降雨量、水流出率地域、気温、風、予報、気圧、視界、雲、熱指数、露点、湿度、積雪深さ、大気の品質、日の出、日没)、(i)画像データ(例えば、農業装置のセンサ、カメラ、コンピュータ、スマートフォン、タブレット、無人航空機、飛行機、または衛星、からの画像および光スペクトル情報)、(j)偵察観測(写真、ビデオ、自由書式のメモ、音声記録、音声文字起こし、気象条件(気温、降水量(現在および過去)、土壌水分、作物の成長段階、風速、相対湿度、露点、黒色層)、ならびに、(k)土壌、種子、作物季節学、害虫および病害の報告、ならびに、予測源およびデータベース、を含む。
【0018】
データサーバコンピュータ108は、農業インテリジェンスコンピュータシステム130に対して通信可能に結合されており、1つまたは複数のネットワーク109を介して農業インテリジェンスコンピュータシステム130に対して外部データ110を伝送するようにプログラムまたは構成されている。外部データサーバコンピュータ108は、農業インテリジェンスコンピュータシステム130と同じ法人または同じ事業体によって所有または操作されてもよく、あるいは、政府機関、非政府組織(NGO)、および/または民間のデータサービスプロバイダ、などの異なる法人または異なる事業体によって所有または操作されてもよい。外部データの例は、とりわけ、気象データ、画像データ、土壌データ、あるいは、作物の収穫量に関連する統計データ、を含む。外部データ110は、フィールドデータ106と同じタイプの情報から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、外部データ110は、農業インテリジェンスコンピュータシステム130を所有および/または操作するのと同じ事業体が所有する外部データサーバ108によって提供される。例えば、農業インテリジェンスコンピュータシステム130は、気象データなどの、第三者の情報源から入手し得るタイプのデータに排他的にフォーカスしたデータサーバを含んでもよい。いくつかの実施形態では、外部データサーバ108は、システム130内に実際に組み込まれてもよい。
【0019】
農業装置111は、その上に固定された1つまたは複数の遠隔センサ112を有してもよく、センサは、農業装置111を介して農業インテリジェンスコンピュータシステム130に対して直接的にまたは間接的に通信可能に結合されているとともに、農業インテリジェンスコンピュータシステム130に対してセンサデータを伝送するようにプログラムまたは構成されている。農業装置111の例は、トラクタ、コンバイン、ハーベスタ、播種機、トラック、施肥設備、無人航空機を含む航空機、ならびに、物理的な機械またはハードウェアからなる任意の他の物品であって、典型的には移動式機械であり、農業に関連するタスクにおいて使用され得る任意の他の物品、を含む。いくつかの実施形態では、装置111からなる単一ユニットは、装置上のネットワーク内において局所的に結合された複数のセンサ112を含んでもよく、コントローラエリアネットワーク(CAN)は、コンバイン、ハーベスタ、噴霧機、および耕耘機、に設置し得るこのようなネットワークの一例である。アプリケーションコントローラ114は、1つまたは複数のネットワーク109を介して農業インテリジェンスコンピュータシステム130に対して通信可能に結合されているとともに、農業車両または農業機器の動作パラメータを制御するために使用される1つまたは複数のスクリプトを、農業インテリジェンスコンピュータシステム130から受信するようにプログラムまたは構成されている。例えば、カリフォルニア州サンフランシスコのThe Climate Corporationから入手可能なCLIMATE FIELDVIEW DRIVEをどのようにして使用するかなどのように、農業インテリジェンスコンピュータシステム130から農業装置111への通信を可能とするために、コントローラエリアネットワーク(CAN)バスインターフェースを使用してもよい。センサデータは、フィールドデータ106と同じタイプの情報から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、遠隔センサ112は、農業装置111に対して固定されなくてもよく、その場合、フィールド内に遠隔的に配置されることで、ネットワーク109と通信してもよい。
【0020】
装置111は、キャブアプリケーションによってプログラムされたキャブコンピュータ115を含んでもよく、キャブアプリケーションは、本明細書の他の項でさらに説明するデバイス104のためのモバイルアプリケーションのバージョンまたは変形を含んでもよい。一実施形態では、キャブコンピュータ115は、装置111の操作室内に設置された、カラーディスプレイなどのグラフィック画面ディスプレイを有したコンパクトなコンピュータであって、多くの場合、タブレットサイズのコンピュータまたはスマートフォンとされるコンパクトなコンピュータを含む。キャブコンピュータ115は、モバイルコンピュータデバイス104に関して本明細書においてさらに説明する操作および機能の、一部または全部を実装してもよい。
【0021】
1つまたは複数のネットワーク109とは、地上または衛星リンクを含む任意の有線リンクまたは無線リンクを使用した、ローカルエリアネットワークやワイドエリアネットワークやインターネットワークやインターネットを含む1つまたは複数のデータ通信ネットワークの任意の組合せを、広義的に表している。1つまたは複数のネットワークは、図1の様々な構成要素どうしの間にわたってのデータ交換を提供する任意の媒体または機構によって実装されてもよい。図1の様々な構成要素は、また、直接的な(有線または無線の)通信リンクを有してもよい。センサ112、コントローラ114、外部データサーバコンピュータ108、ならびに、システムの他の構成要素は、それぞれ、1つまたは複数のネットワーク109と互換的なインターフェースを含み、TCP/IP、Bluetooth(登録商標)、CANプロトコル、ならびに、HTTPやTLSや同種のものといった上位層プロトコル、などの、ネットワークを介した通信のための標準化されたプロトコルを使用するようにプログラムまたは構成される。
【0022】
農業インテリジェンスコンピュータシステム130は、フィールド管理コンピューティングデバイス104からのフィールドデータ106と、外部データサーバコンピュータ108からの外部データ110と、遠隔センサ112からのセンサデータと、を受信するようにプログラムまたは構成されている。農業インテリジェンスコンピュータシステム130は、本開示の他の項でさらに説明する態様で、データ値の変換および保存、1つまたは複数のフィールド上における1つまたは複数の作物に関するデジタルモデルの構築、推奨および通知の作成、ならびにアプリケーションコントローラ114に対してのスクリプトの作成および伝送、を実行するために、1つまたは複数のコンピュータプログラムを、あるいは、他のソフトウェア要素を、あるいは、FPGAsまたはASICsなどのデジタル的にプログラムされたロジックを、あるいは、これらの任意の組合せを、ホストまたは使用または実行するようにさらに構成されてもよい。
【0023】
一実施形態では、農業インテリジェンスコンピュータシステム130は、通信層132と、提示層134と、データ管理層140と、ハードウェア/仮想化層150と、モデルデータフィールドデータリポジトリ160と、を使用してプログラムされる、あるいは、これらを含む。「層」とは、この文脈では、電子デジタルインターフェース回路、マイクロコントローラ、ドライバなどのファームウェア、および/または、コンピュータプログラムまたは他のソフトウェア要素、からなる任意の組合せを指す。
【0024】
通信層132は、フィールドデータ、外部データ、およびセンサデータ、に関して、それぞれ対応する、フィールド管理コンピューティングデバイス104、外部データサーバコンピュータ108、および遠隔センサ112、に対して要求を伝送することを含めて、入力/出力インターフェース機能を実行するようにプログラムまたは構成されてもよい。通信層132は、受信したデータを、モデルデータフィールドデータリポジトリ160に対して伝送してフィールドデータ106として記憶させるようにプログラムまたは構成されてもよい。
【0025】
提示層134は、フィールド管理コンピューティングデバイス104、キャブコンピュータ115、あるいは、ネットワーク109を介してシステム130に対して結合されている他のコンピュータ、上に表示されるべきグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を生成するようにプログラムまたは構成されてもよい。GUIは、農業インテリジェンスコンピュータシステム130に対して伝送するデータを入力するための、および/または、モデルおよび/または推奨に関する要求を生成するための、および/または、推奨や通知やモデルや他のフィールドデータを表示するための、制御手段を含んでもよい。
【0026】
データ管理層140は、システムの機能要素とリポジトリとの間において通信される質問および結果セットを含めた、リポジトリ160およびシステムの他の機能要素が関与する読み取り操作および書き込み操作を管理するようにプログラムまたは構成されてもよい。データ管理層140の例は、とりわけ、JDBC、SQLサーバインターフェースコード、および/または、HADOOPインターフェースコード、を含む。リポジトリ160は、データベースを含んでもよい。本明細書で使用する際には、「データベース」という用語は、データの本体と、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)と、のうちのいずれかを、あるいはそれらの両方を、指してもよい。本明細書で使用する際には、データベースは、階層データベース、リレーショナルデータベース、フラットファイルデータベース、オブジェクトリレーショナルデータベース、オブジェクト指向データベース、分散データベース、および、コンピュータシステム内に格納される記録またはデータに関する任意の他の構造化された収集を含めた、データに関する任意の収集を含んでもよい。RDBMSの例には、ORACLE(登録商標)データベース、MYSQLデータベース、IBM(登録商標)DB2データベース、MICROSOFT(登録商標)SQL SERVERデータベース、SYBASE(登録商標)データベース、および、POSTGRESQLデータベース、を含むが、これらに限定されるものではない。しかしながら、本明細書において説明するシステムおよび方法を可能とする任意のデータベースを使用してもよい。
【0027】
フィールドデータ106が、農業インテリジェンスコンピュータシステムと相互作用する1つまたは複数の農業機械または農業機械デバイスを介して農業インテリジェンスコンピュータシステムに対して直接的に提供されない場合には、ユーザは、(農業インテリジェンスコンピュータシステムによって提供される)ユーザデバイス上の1つまたは複数のユーザインターフェースを介して、そのような情報を入力するように促されてもよい。例示的な実施形態では、ユーザは、(農業インテリジェンスコンピュータシステムによって提供される)ユーザデバイス上のマップに対してアクセスすることにより、そして、マップ上にグラフィック的に表示された特定のCLUsを選択することによって、識別データを指定してもよい。代替可能な実施形態では、ユーザ102は、(農業インテリジェンスコンピュータシステム130によって提供される)ユーザデバイス上のマップに対してアクセスすることにより、そして、マップ上においてフィールドの境界を描画することによって、識別データを指定してもよい。そのようなCLU選択あるいはマップ描画は、地理的な識別子を表す。代替可能な実施形態では、ユーザは、ユーザデバイスを介して米国農務省ファームサービス局または他の情報源から、フィールド識別データ(形状ファイルとして提供されるあるいは同様のフォーマットで提供される)に対してアクセスすることにより、そして、そのようなフィールド識別データを農業インテリジェンスコンピュータシステムに対して提供することにより、識別データを指定してもよい。
【0028】
例示的な実施形態では、農業インテリジェンスコンピュータシステム130は、データ入力のためのデータ管理手段を含むグラフィカルユーザインターフェースを生成して、それを表示させるようにプログラムされる。上述した方法を使用して1つまたは複数のフィールドが識別された後に、データ管理手段は、選択された時にはフィールドや土壌や作物や耕耘や養分の慣行に対する変化を識別し得る1つまたは複数のグラフィカルユーザインターフェースウィジェットを提供してもよい。データ管理手段は、予定表、計算表、および/または、1つまたは複数の編集可能なプログラム、を含んでもよい。
【0029】
図5は、データ入力のための予定表に関する例示的な実施形態を図示している。図5に図示されたディスプレイを使用して、ユーザコンピュータは、イベントの追加のために、特定のフィールドおよび特定の日付に関する選択を入力することができる。予定表の上部に表示されるイベントは、窒素、播種、慣行、土壌、を含んでもよい。窒素散布イベントを追加するために、ユーザコンピュータは、窒素タブを選択する入力を提供してもよい。ユーザコンピュータは、その後、選択されたフィールドへの窒素散布を表示するために、特定のフィールドに関し、予定表上における位置を選択してもよい。特定のフィールドに関し、予定表上における位置の選択を受信したことに応答して、データ管理手段は、データ入力オーバーレイを表示してもよく、これにより、ユーザコンピュータが、窒素の散布、播種手順、土壌適用、耕耘手順、灌漑の慣行、あるいは、特定のフィールドに関連する他の情報、に関連したデータを入力できるようにする。例えば、ユーザコンピュータが、予定表の一部を選択して、窒素の散布を表示した場合、データ入力オーバーレイは、散布される窒素の量、散布日、使用された肥料のタイプ、および、窒素の散布に関連する他の情報、を入力するためのフィールドを含んでもよい。
【0030】
一実施形態では、データ管理手段は、1つまたは複数のプログラムを作成するためのインターフェースを提供する。「プログラム」とは、この文脈では、窒素散布、播種手順、土壌適用、耕耘手順、灌漑慣行、あるいは、1つまたは複数のフィールドに関連し得る他の情報、に関連するデータセットであり、他の操作においてセットとして再利用するためにデジタルデータストレージ内に格納され得るデータセットを指す。プログラムを作成した後に、そのプログラムを、1つまたは複数のフィールドに対して概念的に適用してもよく、そのプログラムへの参照を、フィールドを識別するデータと関連付けてデジタルストレージ内に格納してもよい。よって、複数の異なるフィールドに対して同じ窒素散布に関する同一データを手動で入力することに代えて、ユーザコンピュータは、特定の窒素散布を示すプログラムを作成してもよく、その後、そのプログラムを、複数の異なるフィールドに対して適用してもよい。例えば、図5の予定表では、上の2つの予定表は、「春に散布する」プログラムが選択されており、これは、4月上旬における150ポンド/acでの窒素散布を含む。データ管理手段は、プログラムを編集するためのインターフェースを提供してもよい。一実施形態では、特定のプログラムが編集された時には、特定のプログラムを選択した各フィールドが編集される。例えば、図5では、「春に散布する」プログラムが、窒素散布を130ポンド/acへと低減するように編集された場合には、上の2つのフィールドは、編集されたプログラムに基づいて、低減された窒素散布によって更新されてもよい。
【0031】
一実施形態では、プログラムが選択されているフィールドに対しての編集を受信したことに応答して、データ管理手段は、選択されたプログラムに対するフィールドの対応関係を削除する。例えば、図5の上部フィールドに対して窒素散布が追加された場合には、インターフェースは、「春に散布する」プログラムがもはや上部フィールドに対して適用されていないことを示すように、更新してもよい。4月上旬における窒素散布は残り得るけれども、「春に散布する」プログラムへの更新は、4月における窒素散布を変更しないこととなる。
【0032】
図6は、データ入力のための計算表に関する例示的な実施形態を図示している。図6に図示された表示を使用して、ユーザは、1つまたは複数のフィールドに関する情報を作成して編集することができる。データ管理手段は、図6に示すように、窒素、播種、慣行、および土壌に関する情報を入力するための計算表を含んでもよい。特定のアイテムを編集するために、ユーザコンピュータは、計算表内において特定の入力を選択してもよく、その値を更新してもよい。例えば、図6は、第2フィールドに関する目標収穫量の更新が進行中であることを図示している。加えて、ユーザコンピュータは、1つまたは複数のプログラムを適用するために、1つまたは複数のフィールドを選択してもよい。特定のフィールドに関するプログラムの選択を受信したことに応答して、データ管理手段は、選択されたプログラムに基づいて、特定のフィールドに対する入力を自動的に完了させてもよい。予定表の場合と同様に、データ管理手段は、プログラムの更新を受信したことに応答して、特定のプログラムに関連する各フィールドの入力を更新してもよい。加えて、データ管理手段は、フィールドに関する1つの入力に対して編集を受信したことに応答して、そのフィールドに対しての選択されたプログラムの対応関係を削除してもよい。
【0033】
一実施形態では、モデルデータおよびフィールドデータは、モデルデータフィールドデータリポジトリ160内に格納される。モデルデータは、1つまたは複数のフィールドに対して作成されたデータモデルを含む。例えば、作物モデルは、1つまたは複数のフィールド上における作物の開発に関してデジタル的に構築されたモデルを含んでもよい。「モデル」とは、この文脈では、互いに関連付けられた実行可能な命令およびデータ値の電子的なデジタル保存されたセットを指し、これらの命令およびデータ値は、指定された入力値に基づく解決のために、プログラム的なまたは他のデジタル的な要請や呼び出しや要求を受信して応答することができ、これにより、とりわけ、コンピュータ実装された推奨、出力データ表示、または機械制御の基礎となる1つまたは複数の保存されたまたは計算された出力値をもたらすことができる。当業者であれば、数式を使用してモデルを表現することが便利だと考えるけれども、そのような表現形式は、本明細書で開示するモデルを抽象的な概念に限定するものではなく、その代わりに、本明細書における各モデルは、コンピュータを使用してモデルを実装する保存された実行可能な命令およびデータの形式で、コンピュータ内に実用的なアプリケーションを有している。モデルは、1つまたは複数のフィールド上における過去のイベントに関するモデル、1つまたは複数のフィールドに関して現在の状態に関するモデル、および/または、1つまたは複数のフィールド上における予測されるイベントに関するモデル、を含んでもよい。モデルデータおよびフィールドデータは、メモリ内におけるデータ構造として、データベーステーブル内における行として、フラットファイルまたは計算表として、あるいは、他の形式の格納されたデジタルデータとして、格納されてもよい。
【0034】
一実施形態では、データ取得命令136は、農業インテリジェンスコンピュータシステム130内の、RAMなどの、メインメモリの1つまたは複数のページセットであり、実行可能な命令が内部へとロードされるとともに、実行された時には、農業インテリジェンスコンピューティングシステムに、それらモジュールを参照して本明細書において説明する機能または操作を実行させる、メインメモリの1つまたは複数のページセットを含む。例えば、データ取得命令136は、実行された時には、更なる分析のために、本明細書でさらに説明するように、ホットスポット画像サブシステム706、診断偵察サブシステム708、地上ステーション710、地上サブシステム712、および/またはドローンサブシステム714、からのデータ取得を実行させる命令を含むRAM内のページセットを含んでもよい。命令は、CPUの命令セット内の機械実行可能コードであってもよく、JAVA、C、C++、OBJECTIVE-C、あるいは、任意の他の人間が読み取り可能なプログラミング言語または環境、で書かれたソースコードに基づいて、JAVASCRIPTや他のスクリプト言語によるスクリプトと一緒に、および他のプログラミングソーステキストと一緒に、単独であるいは組み合わせて、コンパイルされてもよい。「ページ」という用語は、メインメモリ内の任意の領域を広義に指すことを意図しており、システム内で使用される特定の用語は、メモリアーキテクチャまたはプロセッサアーキテクチャに応じて相違してもよい。別の実施形態では、データ取得命令136は、また、農業インテリジェンスコンピュータシステム130内のあるいは別のリポジトリシステム内の、不揮発性RAMまたはディスクストレージなどの大容量ストレージデバイス内にデジタル的に格納されている、ソースコードからなる1つまたは複数のファイルまたはプロジェクトを表してもよく、これらのファイルまたはプロジェクトは、コンパイルされた時にはあるいは解釈された時には、実行可能な命令を作成し、この命令は、実行された時には、農業インテリジェンスコンピュータシステムに、それらのモジュールを参照して本明細書において説明する機能または操作を実行させる。言い換えれば、図示した図は、プログラマまたはソフトウェア開発者が、農業インテリジェンスコンピュータシステム130による実行のために、実行ファイルへのその後のコンパイル、またはバイトコードあるいはそれに相当するものへの解釈のために、ソースコードを編成および配置する態様を表してもよい。
【0035】
ハードウェア/仮想化層150は、例えば図4に関連して図示して説明するように、1つまたは複数の中央処理装置(CPUs)、メモリコントローラ、ならびに、揮発性または不揮発性メモリや、ディスクなどの不揮発性ストレージや、I/Oデバイスまたはインターフェースなどの、コンピュータシステムの他のデバイスや構成要素や構成部材、を含む。この層150は、また、仮想化、コンテナ化、または他の技術、をサポートするように構成されたプログラムされた命令を含んでもよい。
【0036】
明確な例を図示する目的で、図1は、特定の機能要素の限られた数の実例を示している。しかしながら、他の実施形態では、任意の数のそのような要素が存在してもよい。例えば、実施形態では、異なるユーザに関連付けられた数千個のまたは数百万個の異なるモバイルコンピューティングデバイス104を使用してもよい。さらに、システム130および/または外部データサーバコンピュータ108は、物理機械または仮想機械の、2つ以上のプロセッサ、コア、クラスタ、またはインスタンスを使用して実装されてもよく、離散的な位置で構成される、あるいは、データセンタや共有コンピューティング施設やクラウドコンピューティング施設内において他の構成要素と一緒に配置される。
【0037】
2.2 アプリケーションプログラムの概要
【0038】
一実施形態では、1つまたは複数の汎用コンピュータ内へとロードされてその1つまたは複数の汎用コンピュータを使用して実行される1つまたは複数のコンピュータプログラムまたは他のソフトウェア要素を使用して、本明細書において説明する機能を実装することにより、その汎用コンピュータを、特定の機械として、あるいは、本明細書において説明する機能を実行するように特別に構成されたコンピュータとして、構成することとなる。さらに、本明細書でさらに説明するフロー図のそれぞれは、単独であるいは本明細書の散文におけるプロセスおよび機能の説明と組み合わせて、説明する機能を実行するためにコンピュータまたはロジックをプログラムするために使用され得るアルゴリズムや計画やまたは指示として、機能してもよい。言い換えれば、本明細書におけるすべての散文テキストと、すべての図面の図示とは、一緒になって、このタイプの発明および開示に適した技術レベルを与えられた当業者の技術および知識と組み合わせて、本明細書において説明する機能を実行するように当業者がコンピュータをプログラムすることを可能とするのに充分なアルゴリズムや計画やまたは指示に関する開示を提供することを意図している。
【0039】
一実施形態では、ユーザ102は、オペレーティングシステムと1つまたは複数のアプリケーションプログラムすなわちアプリとによって構成されたフィールド管理コンピューティングデバイス104を使用して、農業インテリジェンスコンピュータシステム130と対話し、その場合、フィールド管理コンピューティングデバイス104は、また、プログラム制御またはロジック制御の下で独立的かつ自動的に農業インテリジェンスコンピュータシステムと相互運用してもよく、直接的なユーザ対話は、常に必要ではない。フィールド管理コンピューティングデバイス104とは、スマートフォン、PDA、タブレットコンピューティングデバイス、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、あるいは、情報を送受信し得るとともに本明細書において説明する機能を実行し得る任意の他のコンピューティングデバイス、のうちの1つまたは複数のものを広義的に表す。フィールド管理コンピューティングデバイス104は、フィールド管理コンピューティングデバイス104上に格納されたモバイルアプリケーションを使用してネットワークを介して通信してもよく、いくつかの実施形態では、このデバイスは、ケーブル113またはコネクタを使用して、センサ112および/またはコントローラ114に対して結合されてもよい。特定のユーザ102は、一度に2つ以上のフィールド管理コンピューティングデバイス104を、所有または操作または所持してもよく、それらフィールド管理コンピューティングデバイス104を、システム130に関連して使用してもよい。
【0040】
モバイルアプリケーションは、ネットワークを介して、1つまたは複数のモバイルコンピューティングデバイスに対して、クライアント側の機能を提供してもよい。例示的な実施形態では、フィールド管理コンピューティングデバイス104は、ウェブブラウザまたはローカルクライアントアプリケーションまたはアプリを介して、モバイルアプリケーションに対してアクセスしてもよい。フィールド管理コンピューティングデバイス104は、HTTP、XML、および/またはJSON、などのウェブベースのプロトコルまたはフォーマットを使用して、あるいはアプリ固有のプロトコルを使用して、1つまたは複数のフロントエンドサーバに対してデータを伝送してもよく、また、1つまたは複数のフロントエンドサーバからデータを受信してもよい。例示的な実施形態では、データは、モバイルコンピューティングデバイス内へと入力された、フィールドデータなどの、要求およびユーザ情報の形態をとってもよい。いくつかの実施形態では、モバイルアプリケーションは、フィールド管理コンピューティングデバイス104上における、無線信号のマルチラテレーション、全地球測位システム(GPS)、WiFi測位システム、またはモバイル測位の他の方法、などの標準的な追跡技法を使用してフィールド管理コンピューティングデバイス104の位置を決定する位置追跡用のハードウェアおよびソフトウェアと相互作用する。いくつかの場合では、デバイス104、および/またはユーザ102、および/または1つまたは複数のユーザアカウント、に関連した位置データまたは他のデータは、デバイスのオペレーティングシステムへの質問によって取得されてもよく、あるいは、デバイス上のアプリに、オペレーティングシステムからデータを取得するように要求することによって、取得されてもよい。
【0041】
一実施形態では、フィールド管理コンピューティングデバイス104は、限定するものではないが、1つまたは複数のフィールドの地理的位置、1つまたは複数のフィールドに関する耕耘情報、1つまたは複数のフィールド内に播種された作物、ならびに、1つまたは複数のフィールドから抽出された土壌データ、のうちの1つまたは複数を表すデータ値を含むフィールドデータ106を、農業インテリジェンスコンピュータシステム130に対して伝送する。フィールド管理コンピューティングデバイス104は、1つまたは複数のフィールドのデータ値を指定するユーザ102からのユーザ入力に応答して、フィールドデータ106を伝送してもよい。加えて、フィールド管理コンピューティングデバイス104は、1つまたは複数のデータ値がフィールド管理コンピューティングデバイス104に対して利用可能になった時には、フィールドデータ106を自動的に伝送してもよい。例えば、フィールド管理コンピューティングデバイス104は、灌漑センサおよび/または灌漑コントローラを含む遠隔センサ112および/またはアプリケーションコントローラ114に対して通信可能に結合されてもよい。アプリケーションコントローラ114が1つまたは複数のフィールド上へと水を放出したことを示すデータを受信したことに応答して、フィールド管理コンピューティングデバイス104は、1つまたは複数のフィールド上へと水が放出されたことを示すフィールドデータ106を、農業インテリジェンスコンピュータシステム130に対して伝送してもよい。本開示で識別されるフィールドデータ106は、HTTP上のパラメータ化されたURLsを使用して、あるいは別の適切な通信プロトコルまたはメッセージングプロトコルを使用して、コンピューティングデバイスどうしの間で通信される電子デジタルデータを使用して入力および通信されてもよい。
【0042】
モバイルアプリケーションの商業的な一例は、カリフォルニア州サンフランシスコのThe Climate Corporationから市販されているCLIMATE FIELDVIEWである。CLIMATE FIELDVIEWアプリケーションは、あるいは他のアプリケーションは、本開示の出願日よりも前に開示されていなかった特徴量、機能、およびプログラミングを含むように改変または拡張または適応されてもよい。一実施形態では、モバイルアプリケーションは、統合されたソフトウェアプラットフォームを含み、栽培者のフィールドに関する履歴データを、栽培者が比較を希望する任意の他のデータに対して組み合わせることのために、栽培者が、自分の操作に関して事実に基づいた決定を可能とする。組合せおよび比較は、リアルタイムで実行されてもよく、科学的なモデルに基づいているために、可能性のあるシナリオを提供して、栽培者は、より良好でかつより情報に基づいた意思決定を行うことができる。
【0043】
図2は、例示的なモバイルアプリケーションが実行のためにロードされた時の、メインメモリ内の命令セットに関する例示的なロジック編成を示す2つの図である。図2では、名称が付された各要素は、RAMまたは他のメインメモリの1つまたは複数のページにおける、あるいは、ディスクストレージまたは他の不揮発性ストレージの1つまたは複数のブロックにおける、領域と、それら領域内におけるプログラム命令と、を示している。一実施形態では、図2(a)において、モバイルコンピュータアプリケーション200は、アカウント-フィールド-データ取り込み-共有命令202と、概要および警報命令204と、デジタルマップブック命令206と、種子および播種命令208と、窒素命令210と、気象命令212と、フィールド衛生命令214と、性能命令216と、を含む。
【0044】
一実施形態では、モバイルコンピュータアプリケーション200は、手動アップロードまたはAPIsを介してサードパーティシステムからフィールドデータを受信して変換しさらに取り込むようにプログラムされた、アカウント、フィールド、データ取り込み、共有命令202を含む。データタイプは、とりわけ、フィールドの境界、収穫量マップ、播種時のマップ、土壌テストの結果、散布時のマップ、および/または、管理ゾーン、を含んでもよい。データフォーマットは、とりわけ、形状ファイル、サードパーティのネイティブデータフォーマット、および/または、農場管理情報システム(FMIS)からのエクスポート、を含んでもよい。データの受信は、手動アップロードを介して、または、添付ファイル付き電子メールを介して、または、モバイルアプリケーションに対してデータを押し込む外部APIsを介して、または、モバイルアプリケーション内へとデータを取り込むために外部システムのAPIsを呼び出す命令を介して、行われてもよい。一実施形態では、モバイルコンピュータアプリケーション200は、データ受信ボックスを含む。データ受信ボックスの選択を受信したことに応答して、モバイルコンピュータアプリケーション200は、手動でデータファイルをアップロードするとともにアップロードされたファイルをデータ管理手段へとインポートするためのグラフィカルユーザインターフェースを表示してもよい。
【0045】
一実施形態では、デジタルマップブック命令206は、デバイスメモリ内に格納されたフィールドマップデータ層を含み、データ可視化ツールおよび地理空間フィールドノートを使用してプログラムされる。これにより、栽培者に対して、参照、記録、およびフィールド性能の視覚的洞察のために、手元にある便利な情報が提供される。一実施形態では、概要および警報命令204は、栽培者にとって何が重要であるかについての操作全体のビュー、ならびに、行動を起こすためのあるいは特定の問題にフォーカスするためのタイムリーな推奨、を提供するようにプログラムされる。これにより、栽培者は、注意が必要なものに時間を集中することができ、時間を節約して、シーズンを通して収穫量を維持することができる。一実施形態では、種子および播種命令208は、科学的モデルおよび経験的データに基づいて、種子選択、雑種配置、および、可変率(VR)スクリプト作成を含むスクリプト作成、のためのツールを提供するようにプログラムされる。これにより、栽培者は、最適化された種子の購入、配置、および個体数を通して、収穫量または投資収益率を最大化することができる。
【0046】
一実施形態では、スクリプト作成命令205は、可変率(VR)肥沃度スクリプトを含むスクリプトを作成するためのインターフェースを提供するようにプログラムされる。このインターフェースにより、栽培者は、栄養剤の散布、播種、および灌漑、などのフィールド実装のためのスクリプトを作成することができる。例えば、播種スクリプトインターフェースは、播種用の種子タイプを識別するためのツールを含んでもよい。種子タイプの選択を受信した時には、モバイルコンピュータアプリケーション200は、デジタルマップブック命令206の一部として作成されたフィールドマップデータ層などの複数の管理ゾーンへと分割された1つまたは複数のフィールドを表示してもよい。一実施形態では、管理ゾーンは、土壌ゾーンと、加えて、各土壌ゾーンを識別するパネルと、各土壌に関しての土壌名やテクスチャや排水と、あるいは他のフィールドデータと、を含む。モバイルコンピュータアプリケーション200は、また、1つまたは複数のフィールドのマップ上に、土壌ゾーン等の管理ゾーンを描画するためのグラフィックツールなど、それらを編集したりまたは作成したりするためのツールを表示してもよい。播種手順は、すべての管理ゾーンに対して適用されてもよく、また、異なる播種手順が、管理ゾーンの異なるサブセットに対して適用されてもよい。スクリプトが作成された時には、モバイルコンピュータアプリケーション200は、スクリプトを、アーカイブまたは圧縮されたフォーマットなど、アプリケーションコントローラによって読み取り可能なフォーマットでダウンロードできるようにしてもよい。追加的にはおよび/または代替的には、スクリプトは、モバイルコンピュータアプリケーション200からキャブコンピュータ115に対して直接的に伝送されてもよく、および/または、1つまたは複数のデータサーバに対してアップロードされ、更なる使用のために保存されてもよい。
【0047】
一実施形態では、窒素命令210は、作物に対しての窒素の利用可能性を可視化することによって、窒素決定を通知するツールを提供するようにプログラムされる。これにより、栽培者は、シーズン中に最適化された窒素散布を通して、収穫量または投資収益率を最大化することができる。例示的なプログラム機能は、とりわけ、施肥ゾーンの描画を可能とするSSURGO画像などの画像、および/または、センサから取得したデータなどの局所的フィールド土壌データから生成された画像を、大きな空間解像度(センサの近接性および解像度に応じてミリメートル以下の細かさ)で表示すること、既存の栽培者が規定したゾーンをアップロードすること、植物の栄養素の利用可能性に関するグラフを、および/または複数のゾーンにわたって窒素散布を調整できるようにするためのマップを、提供すること、機械を駆動するためのスクリプトを出力すること、大量のデータを入力および調整するためのツール、ならびに/あるいは、データを可視化するためのマップ、を含む。「大量のデータ入力」とは、この文脈では、データを一度入力し、その後、システム内で規定された複数のフィールドおよび/またはゾーンに関して同じデータを適用することを意味してもよく、例示的なデータは、同じ栽培者の多くのフィールドおよび/またはゾーンに関して同じである窒素散布データを含み得るけれども、このような大量のデータ入力は、任意のタイプのフィールドデータを、モバイルコンピュータアプリケーション200内へと入力することに対して適用される。例えば、窒素命令210は、窒素散布プログラムおよび窒素慣行プログラムの規定を受け入れるように、そして、それらプログラムを複数のフィールドにわたって適用することを指定するユーザ入力を受け入れるようにプログラムされてもよい。「窒素散布プログラム」とは、この文脈では、とりわけ、名前、カラーコードまたは他の識別子、1つまたは複数の散布日、各散布日に関しての材料もしくは製品のタイプおよび量、注入またはブロードキャストなどの散布または組み込みの方法、および/または、散布対象である散布日ごとのまたは作物ごとのまたは雑種ごとの散布量または散布率、を関連付ける、保存された名前付きのデータセットを指す。「窒素慣行プログラム」とは、この文脈では、慣行名、以前の作物、耕耘システム、主要な耕耘日、使用された1つまたは複数の以前の耕耘システム、使用された肥料などの散布タイプに関する1つまたは複数の指標、を関連付ける、保存された名前付きのデータセットを指す。窒素命令210は、また、指定された窒素の植物使用の予測を示すとともに余剰または不足が予測されるかどうかを示す窒素グラフを作成して表示させるようにプログラムされてもよく、いくつかの実施形態では、異なる色のインジケータでもって、余剰度合いまたは不足度合いを知らせてもよい。一実施形態では、窒素グラフは、複数の行を含むコンピュータディスプレイデバイス内のグラフィックディスプレイを含み、各行は、フィールドに関連付けられていて、フィールドを識別しており、データは、フィールドにどのような作物が播種されているか、フィールドサイズ、フィールドの位置、およびフィールドの周囲のグラフィック表現を指定し、各行内には、月名に相関したポイントでの各窒素散布および量を指定するグラフィックインジケータを有した月別の予定表と、色が度合いを示す余剰または不足に関する数値的なおよび/または色付きのインジケータと、を含む。
【0048】
一実施形態では、窒素グラフは、ユーザが自身の窒素グラフを最適化できるように、窒素プログラムや播種プログラムや慣行プログラムを動的に変更するための、ダイヤルまたはスライダバーなどの1つまたは複数のユーザ入力特徴物を含んでもよい。その後、ユーザは、最適化された窒素グラフおよび関連する窒素プログラムや播種プログラムや慣行プログラムを使用して、可変率(VR)肥沃度スクリプトを含む1つまたは複数のスクリプトを実装してもよい。窒素命令210は、また、指定された窒素の植物使用の予測を示すとともに余剰または不足が予測されるかどうかを示す窒素マップを作成して表示させるようにプログラムされてもよく、いくつかの実施形態では、異なる色のインジケータが、余剰度合いまたは不足度合いを知らせてもよい。窒素マップは、指定された窒素の植物使用の予測を、および、余剰または不足が予測されるかどうかを、過去および未来の異なる時間(日ごと、週ごと、月ごと、または年ごと、など)について、余剰または不足に関して、数値的な指標を使用して、および/または、色が度合いを示すようにして色付きの指標を使用して、表示してもよい。一実施形態では、窒素マップは、ダイヤルまたはスライダバーなどの1つまたは複数のユーザ入力特徴物を含み、これにより、窒素プログラムや播種プログラムや慣行プログラムを動的に変更することができ、これにより、ユーザは、不足に対する余剰の好ましい量を取得するなどのように、自身の窒素マップを最適化することができる。その後、ユーザは、自身の最適化された窒素マップおよび関連する窒素プログラムや播種プログラムや慣行プログラムを使用して、可変率(VR)肥沃度スクリプトを含む1つまたは複数のスクリプトを実装してもよい。他の実施形態では、窒素命令210と同様の命令を、他の栄養素(リンおよびカリウムなど)の散布プログラム、農薬の散布プログラム、および灌漑プログラムに関して、使用することができる。
【0049】
一実施形態では、気象命令212は、フィールド固有の最新の気象データおよび予測される気象情報を提供するようにプログラムされる。これにより、栽培者は、時間を節約し得るとともに、日々の操作上の決定に関して効率的な統合表示を行うことができる。
【0050】
一実施形態では、フィールド衛生命令214は、シーズン内の作物の変動および潜在的な懸念を強調する遠隔センシング画像をタイムリーに提供するようにプログラムされる。例示的なプログラム機能は、とりわけ、可能性のある雲または雲の影を識別するための雲チェック、フィールド画像に基づく窒素指数の決定、例えばフィールド衛生や偵察メモの共有に関連したものを含めた偵察層のグラフィック的可視化、ならびに/あるいは、複数の情報源からの衛星画像のダウンロードおよび栽培者のための画像の優先ランク付け、を含む。
【0051】
一実施形態では、性能命令216は、評価、洞察、および決定のために、農場でのデータを使用した、報告ツール、分析ツール、および洞察ツール、を提供するようにプログラムされる。これにより、栽培者は、投資利益率が以前のレベルであった理由についての事実に基づく結論を通して、また、収穫量制限要因についての洞察を通して、次年度の改良された成果を追求することができる。性能命令216は、1つまたは複数のネットワーク109を介して、農業インテリジェンスコンピュータシステム130および/または外部データサーバコンピュータ108で実行されるバックエンド分析プログラムに対して通信するようにプログラムされてもよく、とりわけ、収穫量、収穫量差、雑種、個体数、SSURGOゾーン、土壌試験特性、または標高、などの指標を分析するように構成される。プログラムされた報告および分析は、とりわけ、収穫量変動の分析、処理効果の推定、多数の栽培者から収集した匿名データに基づく他の栽培者に対する収穫量およびその他の指標のベンチマーク、あるいは、種子および播種に関するデータ、を含んでもよい。
【0052】
このように構成された命令を有したアプリケーションは、同じ一般的なユーザインターフェースの外観を維持しながら、異なるコンピューティングデバイスプラットフォーム向けに実装されてもよい。例えば、モバイルアプリケーションは、タブレット上で、または、スマートフォン上で、または、クライアントコンピュータでブラウザを使用してアクセスされるサーバコンピュータ上で、実行するようにプログラムされてもよい。さらに、タブレットコンピュータまたはスマートフォン用に構成されたモバイルアプリケーションは、キャブコンピュータ115の表示および処理能力に適したフルアプリ経験またはキャブアプリ経験を提供してもよい。例えば、ここで図2(b)を参照すると、一実施形態では、キャブコンピュータアプリケーション220は、マップ-キャブ命令222と、遠隔ビュー命令224と、データ収集および転送命令226と、機械警報命令228と、スクリプト転送命令230と、偵察-キャブ命令232と、を含んでもよい。図2(b)の命令に関するコードベースは、図2(a)の場合と同じであってもよく、コードを実装する実行ファイルは、それらが実行されているプラットフォームのタイプを検出するように、そして、グラフィカルユーザインターフェースを介して、キャブプラットフォームまたはフルプラットフォームに適した機能のみを公開するように、プログラムされてもよい。このアプローチにより、システムは、キャブ内の環境とキャブの異なる技術環境とに適した、明確に異なるユーザ経験を認識することができる。マップ-キャブ命令222は、機械操作を指示するのに有用なフィールドや農場や地域のマップビューを提供するようにプログラムされてもよい。遠隔ビュー命令224は、無線ネットワーク、有線コネクタまたはアダプタ、および同種のものを介してシステム130に対して接続された他のコンピューティングデバイスに対して、リアルタイムでまたはほぼリアルタイムで、機械活動のビューを、オンとするように、管理するように、および提供するように、プログラムされてもよい。データ収集および転送命令226は、センサおよびコントローラで収集されたデータの転送を、無線ネットワーク、有線コネクタまたはアダプタ、および同種のものを介してシステム130に対して、オンとするように、管理するように、および提供するように、プログラムされてもよい。機械警報命令228は、キャブに対して関連付けられた機械またはツールの操作に関する問題点を検出するように、そして、オペレータ警報を生成するように、プログラムされてもよい。スクリプト転送命令230は、機械の操作またはデータ収集を指示するように構成された命令のスクリプトを転送するように構成されてもよい。偵察キャブ命令232は、フィールド内におけるフィールド管理コンピューティングデバイス104の位置または農業装置111の位置またはセンサ112の位置に基づいて、システム130から受信した位置ベースの警報および情報を表示するように、そして、フィールド内の農業装置111の位置またはセンサ112の位置に基づいて、システム130へと、位置ベースの偵察観測の転送を、取り込むように、管理するように、および提供するように、プログラムされてもよい。
【0053】
2.3 コンピュータシステムへのデータ取り込み
【0054】
一実施形態では、外部データサーバコンピュータ108は、1つまたは複数のフィールドに関する土壌組成を表す土壌データと、1つまたは複数のフィールド上における温度および降水量を表す気象データと、を含む外部データ110を格納する。気象データは、過去および現在の気象データと、将来の気象データの予測と、を含んでもよい。一実施形態では、外部データサーバコンピュータ108は、異なる事業体によってホストされる複数のサーバを含む。例えば、第1サーバは、土壌組成データを含有してもよく、第2サーバは、気象データを含んでもよい。これに加えて、土壌組成データは、複数のサーバ内に格納されてもよい。例えば、1つのサーバは、土壌中の砂、泥、および粘土の割合を表すデータを格納してもよく、第2サーバは、土壌中の有機物(OM)の割合を表すデータを格納してもよい。
【0055】
一実施形態では、遠隔センサ112は、1つまたは複数の観測値を生成するようにプログラムまたは構成された1つまたは複数のセンサを含む。遠隔センサ112は、人工衛星などの空中センサ、車両センサ、播種機器センサ、耕耘センサ、肥料または殺虫剤散布センサ、ハーベスタセンサ、ならびに、1つまたは複数のフィールドからデータを受信し得る任意の他の実装物、であってもよい。一実施形態では、アプリケーションコントローラ114は、農業インテリジェンスコンピュータシステム130から命令を受信するようにプログラムまたは構成される。アプリケーションコントローラ114は、また、農業用車両または農業用実装物の動作パラメータを制御するようにプログラムまたは構成されてもよい。例えば、アプリケーションコントローラは、トラクタ、播種機器、耕耘機器、肥料または殺虫剤機器、ハーベスタ機器、あるいは、水バルブなどの他の農場実装物、などの車両の動作パラメータを制御するようにプログラムまたは構成されてもよい。他の実施形態は、センサとコントローラとの任意の組合せを使用してもよく、その中で、以下のものは、選択された例にすぎない。
【0056】
システム130は、共有データベースシステムに対してデータを提供した多数の栽培者から、大量に、ユーザ102の制御において、データを取得または取り込んでもよい。データを取得するこの形態は、1つまたは複数のユーザ制御下でのコンピュータ操作が、システム130による使用のためにデータを取得するように要求またはトリガされることのために、「手動データ取り込み」と称されてもよい。一例として、カリフォルニア州サンフランシスコのThe Climate Corporationから市販されているCLIMATE FIELDVIEWアプリケーションを操作することにより、リポジトリ160内に格納するために、データをシステム130へとエクスポートしてもよい。
【0057】
例えば、種子モニタシステムは、播種装置の構成要素を制御し得るとともに、登録および/または診断のための、CANバックボーンならびにポイントツーポイント接続を含む信号ハーネスを介して、種子センサからの信号を含む播種データを取得することができる。種子モニタシステムは、キャブコンピュータ115を介してあるいはシステム130内の他のデバイスを介して、種子の間隔や個体数や他の情報をユーザに対して表示するようにプログラムまたは構成することができる。例は、米国特許第8,738,243号明細書および米国特許公開第20150094916号明細書に開示されており、本開示は、これら他の特許開示の知識を前提としている。
【0058】
同様に、収穫量モニタシステムは、収穫量測定データをキャブコンピュータ115に対してまたはシステム130内の他のデバイスに対して伝送するハーベスタ装置の収穫量センサを含んでもよい。収穫量モニタシステムは、コンバインまたは他のハーベスタ内における穀物水分測定値を取得するために、そして、これらの測定値を、キャブコンピュータ115を介してまたはシステム130内の他のデバイスを介してユーザに対して伝送するために、1つまたは複数の遠隔センサ112を利用してもよい。
【0059】
一実施形態では、本明細書の他の場所で説明するタイプの任意の移動車両または移動装置と共に使用され得るセンサ112の例は、運動学的センサおよび位置センサを含む。運動学的センサは、レーダーまたは車輪速度センサなどの速度センサ、加速度計、またはジャイロ、のいずれかを含んでもよい。位置センサは、GPSレシーバまたはトランシーバ、あるいは、とりわけ近くのWiFiホットスポットに基づいて位置を決定するようにプログラムされたWiFiベースの位置アプリまたはマッピングアプリ、を含んでもよい。
【0060】
一実施形態では、トラクタまたは他の移動車両と共に使用され得るセンサ112の例は、エンジン速度センサ、燃料消費センサ、GPSまたはレーダー信号と相互作用するエリアカウンタまたは距離カウンタ、PTO(パワーテイクオフ)速度センサ、圧力または流量などの油圧パラメータを検出するように構成されたトラクタ油圧センサ、および/または、油圧ポンプ速度センサや車輪速度センサや車輪スリップセンサ、を含む。一実施形態では、トラクタと共に使用され得るコントローラ114の例は、油圧方向コントローラ、および/または圧力コントローラ、および/または流量コントローラ、油圧ポンプ速度コントローラ、速度コントローラまたはガバナ、ヒッチ位置コントローラ、あるいは、自動操舵を提供する車輪位置コントローラ、を含む。
【0061】
一実施形態では、播種機、ドリル、または空気式播種機、などの種子播種機器と共に使用され得るセンサ112の例は、光学式センサや電磁式センサや衝撃センサとされ得る種子センサ、荷重ピンや荷重セルや圧力センサなどのダウンフォースセンサ、反射率センサや水分センサや電気伝導率センサや光学式残留物センサや温度センサなどの土壌特性センサ、播種深さセンサやダウンフォースシリンダ圧力センサやシードディスク速度センサやシード駆動モータエンコーダやシードコンベアシステム速度センサや真空レベルセンサなどの構成部材動作基準センサ、あるいは、光学式センサまたは他の電磁式センサまたは衝撃センサなどの農薬散布センサ、を含む。一実施形態では、そのような種子播種機器と共に使用され得るコントローラ114の例は、油圧シリンダに関連したバルブのためのコントローラなどのツールバーフォールドコントローラ、空気圧シリンダやエアバッグや油圧シリンダに関連したバルブのためのコントローラなどのダウンフォースコントローラであり、個々の列ユニットに対してまたは播種機フレーム全体に対してダウンフォースを適用するようにプログラムされたダウンフォースコントローラ、リニアアクチュエータなどの播種深さコントローラ、電気式シードメータ駆動モータや油圧式シードメータ駆動モータやスワス制御クラッチなどの計量コントローラ、種子メータ駆動モータなどのあるいは種子メータや中央バルクホッパーに対してのまたはそこからの種子または空気種子混合物の送出を選択的に許可または防止するようにプログラムされた他のアクチュエータなどのハイブリッド選択コントローラ、電気種子メータ駆動モータや油圧種子メータ駆動モータなどの計量コントローラ、ベルト種子送出コンベアモータのためのコントローラなどの種子コンベアシステムコントローラ、空気圧アクチュエータまたは油圧アクチュエータのためのコントローラなどのマーカコントローラ、あるいは、計量駆動コントローラやオリフィスサイズコントローラやオリフィス位置コントローラなどの農薬散布量コントローラ、を含む。
【0062】
一実施形態では、耕耘機器と共に使用され得るセンサ112の例は、シャンクまたはディスクなどのツールのための位置センサ、深さやギャング角度や横方向間隔を検出するように構成されたそのようなツールのためのツール位置センサ、ダウンフォースセンサ、あるいは、牽引力センサ、を含む。一実施形態では、耕耘機器と共に使用され得るコントローラ114の例は、ツールの深さやギャング角度や横方向間隔を制御するように構成されたコントローラなどのダウンフォースコントローラまたはツール位置コントローラを含む。
【0063】
一実施形態では、播種機上のスターター肥料システムや土壌中肥料散布機や肥料噴霧機などの、肥料や殺虫剤や殺菌剤や同種のものを散布する装置に関連して使用され得るセンサ112の例は、流量センサまたは圧力センサなどの流体システム基準センサ、どのスプレーヘッドバルブまたはどの流体ラインバルブが開放されているかを示すセンサ、充填レベルセンサなどの、タンクに関連したセンサ、部分的なまたはシステム全体に関する供給ラインセンサまたは行固有の供給ラインセンサ、あるいは、噴霧機のブーム上に配置された加速度計などの運動学的センサ、を含む。一実施形態では、そのような装置と共に使用され得るコントローラ114の例は、ポンプ速度コントローラ、圧力や流量や方向やPWMや同種のものを制御するようにプログラムされたバルブコントローラ、あるいは、ブーム高さやサブソイラ深さやブーム位置などのための位置アクチュエータ、を含む。
【0064】
一実施形態では、ハーベスタと共に使用され得るセンサ112の例は、衝撃プレート歪みまたは位置センサや、静電容量式流量センサや、エレベータまたはオーガに関連した荷重センサや重量センサやトルクセンサや、光学式または他の電磁式の穀物高さセンサ、などの収穫量モニタ、静電容量式センサなどの穀物水分センサ、衝撃センサや光学式センサや静電容量式センサなどの穀物損失センサ、ヘッダ高さセンサやヘッダタイプセンサやデッキプレートギャップセンサやフィーダ速度センサやリール速度センサなどのヘッダ動作基準センサ、凹状クリアランスセンサやロータ速度センサやシュークリアランスセンサやシャファークリアランスセンサなどのセパレータ動作基準センサ、位置や動作や速度に関するオーガセンサ、あるいは、エンジン速度センサ、を含む。一実施形態では、ハーベスタと共に使用され得るコントローラ114の例は、ヘッダ高さやヘッダタイプやデッキプレートギャップやフィーダ速度やリール速度などの、構成部材に関するヘッダ動作基準コントローラ、凹状クリアランスやロータ速度やシュークリアランスやシャファークリアランスなどの特徴物のためのセパレータ動作基準コントローラ、あるいは、オーガの位置や動作や速度のためのコントローラ、を含む。
【0065】
一実施形態では、穀物カートと共に使用され得るセンサ112の例は、重量センサ、あるいは、オーガの位置や動作や速度のためのセンサ、を含む。一実施形態では、穀物カートと共に使用され得るコントローラ114の例は、オーガの位置や動作や速度のためのコントローラを含む。
【0066】
一実施形態では、センサ112およびコントローラ114の例は、無人航空機(UAV)装置または「ドローン」に設置されてもよい。そのようなセンサは、可視光や赤外や紫外や近赤外(NIR)や同種のものを含む電磁スペクトルの任意の範囲に有効な検出器を有したカメラ、加速度計、高度計、温度センサ、湿度センサ、ピトー管センサまたは他の空気速度センサまたは風速センサ、バッテリ寿命センサ、レーダーエミッタおよび反射レーダーエネルギ検出装置、他の電磁放射エミッタおよび反射電磁放射検出装置、を含んでもよい。そのようなコントローラは、誘導制御装置またはモータ制御装置、制御面コントローラ、カメラコントローラ、あるいは、上記のセンサのいずれかを起動したり操作したりそこからデータを取得したり管理したり構成したりするようにプログラムされたコントローラ、を含んでもよい。例は、米国特許出願第14/831,165号明細書に開示されており、本開示は、この他の特許開示の知識を前提としている。
【0067】
一実施形態では、センサ112およびコントローラ114は、土壌をサンプリングするとともに土壌化学試験と土壌水分試験と土壌に関連した他の試験とを実行するように構成またはプログラムされた土壌サンプリング測定装置に対して固定されてもよい。例えば、米国特許第8,767,194号明細書および米国特許第8,712,148号明細書に開示されている装置を使用してもよく、本開示は、これらの特許開示の知識を前提としている。
【0068】
一実施形態では、センサ112およびコントローラ114は、フィールドの気象条件を監視するための気象デバイスを含んでもよい。例えば、2015年4月29日付けで出願された米国仮出願第62/154,207号明細書、2015年6月12日付けで出願された米国仮出願第62/175,160号明細書、2015年7月28日付けで出願された米国仮出願第62/198,060号明細書、および、2015年9月18日付けで出願された米国仮出願第62/220,852号明細書、に開示された装置を使用してもよく、本開示は、これらの特許開示の知識を前提としている。
【0069】
2.4 プロセスの概要-農学的モデルの訓練
【0070】
一実施形態では、農業インテリジェンスコンピュータシステム130は、農学的モデルを作成するようにプログラムまたは構成される。この文脈では、農学的モデルは、農業インテリジェンスコンピュータシステム130のメモリ内のデータ構造であり、1つまたは複数のフィールドに関する識別データおよび収穫データなどのフィールドデータ106を含む。農学的モデルは、また、フィールド上において1つまたは複数の作物の生育に影響を与え得る条件、または、1つまたは複数の作物の特性、のうちの、一方または双方を記述する、計算された農学的特性を含んでもよい。加えて、農学的モデルは、作物の推奨、灌漑の推奨、播種の推奨、肥料の推奨、殺菌剤の推奨、農薬の推奨、収穫の推奨、および、他の作物管理の推奨、などの、農学的要因に基づく推奨を含んでもよい。農学的要因は、また、農学的収穫量などの、1つまたは複数の作物に関連した結果を推定するために使用されてもよい。作物の農学的収穫量は、生産される作物の量に関しての推定値であり、いくつかの例では、生産された作物から得られる収入または利益の推定値である。
【0071】
一実施形態では、農業インテリジェンスコンピュータシステム130は、事前構成された農学的モデルを使用することにより、1つまたは複数のフィールドに関して現在受信している位置情報および作物情報に関連した農学的特性を計算してもよい。事前構成された農学的モデルは、識別データ、収穫データ、肥料データ、および気象データを含むがこれらに限定されない、以前に処理されたフィールドデータに基づいている。事前構成された農学的モデルは、モデルの精度を確保するために、交差検証されてもよい。交差検証は、同じ場所においてまたは近くの場所において、降水量の推定値を、気象データを提供している雨量計またはセンサと比較したり、あるいは、窒素含有量の推定値を土壌サンプルの測定値と比較したり、するなどの、予測された結果を、フィールド上の実際の結果と比較する、グランドトゥルースとの比較を含んでもよい。
【0072】
図3は、農業インテリジェンスコンピュータシステムが、1つまたは複数のデータソースによって提供されたフィールドデータを使用して、1つまたは複数の事前構成された農学的モデルを作成するプログラムプロセスを示している。図3は、これから説明する動作を実行するために農業インテリジェンスコンピュータシステム130の機能的構成要素をプログラミングするためのアルゴリズムまたは命令として機能してもよい。
【0073】
ブロック305において、農業インテリジェンスコンピュータシステム130は、1つまたは複数のデータソースから受信したフィールドデータに関して農学的データの前処理を実装するように構成またはプログラムされる。1つまたは複数のデータソースから受信したフィールドデータは、受信したフィールドデータ値に悪影響を及ぼし得る測定された外れ値を含む農学的データ内において、ノイズ、歪曲効果、および交絡因子を除去する目的で、前処理されてもよい。農学的データの前処理の実施形態は、外れデータ値と一般的に関連したデータ値の除去、他のデータ値を不必要に歪ませることが知られている特定の測定データポイントの除去、ノイズからの加算効果または乗算効果を除去または低減するために使用されるデータの平滑化技法または集約技法またはサンプリング技法、ならびに、正のデータ入力と負のデータ入力とを明確に区別するために使用される他のフィルタリング技法またはデータ導出技法、を含み得るけれども、これらに限定されるものではない。
【0074】
ブロック310において、農業インテリジェンスコンピュータシステム130は、初期的な農学的モデル作成のために有効なデータセットを識別するために、前処理されたフィールドデータを使用してデータサブセットの選択を実行するように構成またはプログラムされる。農業インテリジェンスコンピュータシステム130は、遺伝的アルゴリズム法、全サブセットモデル法、逐次検索法、ステップワイズ回帰法、粒子群最適化法、およびアントコロニー最適化法、を含むがこれらに限定されない、データサブセット選択技法を実装してもよい。例えば、遺伝的アルゴリズム選択技法は、自然淘汰および遺伝学の進化原理に基づく適応型ヒューリスティック検索アルゴリズムを使用することにより、前処理された農学的データ内においてデータセットを決定して評価する。
【0075】
ブロック315において、農業インテリジェンスコンピュータシステム130は、フィールドデータセットの評価を実装するように構成またはプログラムされる。一実施形態では、特定のフィールドデータセットは、農学的モデルを作成し、作成された農学的モデルに対して特定の品質しきい値を使用することにより、評価される。農学的モデルは、限定するものではないが、リーブワンアウト交差検証を使用した二乗平均平方根誤差(RMSECV)、平均絶対誤差、および平均パーセンテージ誤差、などの1つまたは複数の比較技法を使用して、比較および/または検証を行ってもよい。例えば、RMSECVは、農学的モデルによって作成された予測された農学的特性値を、収集および分析された過去の農学的特性値と比較することによって、農学的モデルを交差検証することができる。一実施形態では、農学的データセットの評価ロジックは、構成された品質しきい値を満たさない農学的データセットが、将来のデータサブセット選択ステップ(ブロック310)時に使用されるフィードバックループとして使用される。
【0076】
ブロック320において、農業インテリジェンスコンピュータシステム130は、交差検証された農学的データセットに基づいて農学的モデルの作成を実装するように構成またはプログラムされる。一実施形態では、農学的モデルの作成は、事前構成された農学的データモデルを作成するために多変量回帰技法を実装してもよい。
【0077】
ブロック325において、農業インテリジェンスコンピュータシステム130は、将来のフィールドデータ評価のために、事前構成された農学的データモデルを格納するように構成またはプログラムされる。
【0078】
2.5 実装例-ハードウェアの概要
【0079】
一実施形態に係ると、本明細書において説明する技法は、1つまたは複数の特別目的コンピューティングデバイスによって実装される。特別目的コンピューティングデバイスは、技法を実行するように配線されてもよく、あるいは、技法を実行するように持続的にプログラムされた1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASICs)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)などのデジタル電子デバイスを含んでもよく、あるいは、ファームウェアやメモリや他のストレージやまたはこれらの組合せにおけるプログラム命令に従って技法を実行するようにプログラムされた1つまたは複数の汎用ハードウェアプロセッサを含んでもよい。このような特別目的コンピューティングデバイスは、また、技法を実現するために、カスタムハードワイヤードロジックまたはASICsまたはFPGAsを、カスタムプログラミングと組み合わせてもよい。特別目的コンピューティングデバイスは、デスクトップコンピュータシステム、ポータブルコンピュータシステム、ハンドヘルドデバイス、ネットワークデバイス、あるいは、技法を実現するためにハードワイヤードロジックおよび/またはプログラムロジックを組み込んだ他のデバイス、であってもよい。
【0080】
例えば、図4は、本発明の一実施形態が実装され得るコンピュータシステム400を示すブロック図である。コンピュータシステム400は、情報を通信するためのバス402または他の通信機構と、情報を処理するためにバス402と結合されたハードウェアプロセッサ404と、を含む。ハードウェアプロセッサ404は、例えば、汎用マイクロプロセッサであってもよい。
【0081】
コンピュータシステム400は、また、情報を記憶するためにならびにプロセッサ404によって実行されるべき命令を記憶するために、バス402に対して結合された、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的ストレージなどのメインメモリ406を含む。メインメモリ406は、また、プロセッサ404によって実行されるべき命令の実行時に一時的な変数または他の中間情報を格納するために使用されてもよい。そのような命令は、プロセッサ404に対してアクセス可能な非一時的なストレージ媒体内に記憶される時には、コンピュータシステム400を、命令で指定された操作を実行するようにカスタマイズされた特別目的の機械とする。
【0082】
コンピュータシステム400は、プロセッサ404のための静的な情報および命令を記憶するために、バス402に対して結合された読み取り専用メモリ(ROM)408または他の静的なストレージをさらに含む。磁気ディスク、光ディスク、またはソリッドステートドライブなどのストレージデバイス410が設けられ、情報および命令を格納するためにバス402に対して結合される。
【0083】
コンピュータシステム400は、コンピュータユーザに対して情報を表示するために、陰極線管(CRT)などのディスプレイ412に対してバス402を介して結合されてもよい。英数字キーおよび他のキーを含む入力デバイス414が、情報選択およびコマンド選択をプロセッサ404に対して伝達するために、バス402に対して結合される。別のタイプのユーザ入力デバイスは、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ404に対して通信するための、ならびに、ディスプレイ412上のカーソル移動を制御するための、マウスまたはトラックボールまたはカーソル方向キーなどのカーソル制御手段416である。この入力デバイスは、典型的には、第1軸(例えば、x)および第2軸(例えば、y)という2つの軸でもって2つの自由度を有し、デバイスが平面内の位置を指定することを可能とする。
【0084】
コンピュータシステム400は、カスタマイズされたハードワイヤードロジック、1つまたは複数のASICsまたはFPGAs、ファームウェアおよび/またはプログラムロジックを使用して、本明細書において説明する技法を実装してもよく、これらは、コンピュータシステムとの組合せにより、コンピュータシステム400を特別目的機械とするあるいはそのようにプログラムする。一実施形態によれば、本明細書の技法は、プロセッサ404が、メインメモリ406に含まれる1つまたは複数の命令の、1つまたは複数のシーケンスを実行したことに応答して、コンピュータシステム400によって実行される。そのような命令は、ストレージデバイス410などの別のストレージ媒体から、メインメモリ406内へと読み込まれてもよい。メインメモリ406に含まれる命令シーケンスの実行は、プロセッサ404に、本明細書において説明するプロセスステップを実行させる。代替可能な実施形態では、ソフトウェア命令に代えてあるいはソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路を使用してもよい。
【0085】
本明細書で使用する際には、「ストレージ媒体」という用語は、機械を特定の態様で動作させるデータおよび/または命令を格納する任意の非一時的媒体を指す。このようなストレージ媒体は、不揮発性媒体および/または揮発性媒体を含んでもよい。不揮発性媒体は、例えば、光ディスク、磁気ディスク、または、ストレージデバイス410などのソリッドステートドライブ、を含む。揮発性媒体は、メインメモリ406などのダイナミックメモリを含む。ストレージ媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープまたは他の任意の磁気データストレージ媒体、CD-ROM、任意の他の光学的データストレージ媒体、複数の穴からなるパターンを有した任意の物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、NVRAM、任意の他のメモリチップまたはカートリッジ、を含む。
【0086】
ストレージ媒体は、伝送媒体とは異なるものの、伝送媒体と組み合わせて使用してもよい。伝送媒体は、ストレージ媒体どうしの間の情報転送に関与する。例えば、伝送媒体は、バス402を構成するワイヤを含めて、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバ、を含む。伝送媒体は、また、ラジオ波および赤外線によるデータ通信時に生成されるものなどの、音響波または光波の形態をとることもできる。
【0087】
様々な形態の媒体が、1つまたは複数の命令の1つもしくは複数のシーケンスを、実行のために、プロセッサ404に対して伝送することに関与してもよい。例えば、命令は、初期的には、遠隔コンピュータの磁気ディスクまたはソリッドステートドライブ上へと伝送されてもよい。遠隔コンピュータは、命令をそのダイナミックメモリ内にロードし得るとともに、モデムを使用して電話回線を介して命令を伝送することができる。コンピュータシステム400に対して局所的なモデムは、電話回線上のデータを受信し得るとともに、赤外線伝送機を使用してデータを赤外線信号へと変換することができる。赤外線検出器は、赤外線信号として伝送されたデータを受信することができ、適切な回路は、データを、バス402上に配置することができる。バス402は、データをメインメモリ406へと伝送し、そこからプロセッサ404が命令を取り出して実行する。メインメモリ406が受信した命令は、任意選択的に、プロセッサ404による実行の前または後のいずれかで、ストレージデバイス410上に記憶されてもよい。
【0088】
コンピュータシステム400は、また、バス402に対して結合された通信インターフェース418を含む。通信インターフェース418は、ローカルネットワーク422に対して接続されているネットワークリンク420に対して、双方向のデータ通信結合を提供する。例えば、通信インターフェース418は、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)カード、ケーブルモデム、衛星モデム、あるいは、対応するタイプの電話回線に対してのデータ通信接続を提供するためのモデム、であってもよい。別の例では、通信インターフェース418は、互換性のあるLANに対してのデータ通信接続を提供するためのローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってもよい。また、無線リンクを実装してもよい。任意のそのような実装において、通信インターフェース418は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを伝送する電気信号または電磁信号または光信号を送受信する。
【0089】
ネットワークリンク420は、典型的には、1つまたは複数のネットワークを介して他のデータデバイスに対してデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク420は、ローカルネットワーク422を介して、ホストコンピュータ424に対しての接続、またはインターネットサービスプロバイダ(ISP)426が運営するデータ機器に対しての接続、を提供してもよい。ISP426は、次に、現在一般的に「インターネット」428と称されている世界的なパケットデータ通信ネットワークを介してデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク422およびインターネット428は、共に、デジタルデータストリームを伝送する電気信号または電磁信号または光信号を使用する。様々なネットワークを介した信号、ならびに、コンピュータシステム400との間でデジタルデータを伝送するネットワークリンク420上の信号および通信インターフェース418を介した信号は、伝送媒体の例示的な形態である。
【0090】
コンピュータシステム400は、1つまたは複数のネットワーク、ネットワークリンク420、および通信インターフェース418を介して、メッセージを伝送し得るとともに、プログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネットの例では、サーバ430が、アプリケーションプログラムのための要求されたコードを、インターネット428、ISP426、ローカルネットワーク422、および通信インターフェース418を通して、伝送することができる。
【0091】
受信したコードは、受信時にプロセッサ404によって実行されてもよく、および/または、後で実行するために、ストレージデバイス410または他の不揮発性ストレージ内に記憶されてもよい。
【0092】
3 例示的なドローンベースの複数回通過農学的システム
【0093】
図7は、いくつかの実施形態に係る、例示的なドローンベースの複数回通過農学的システムを示している。ドローンベースの複数回通過農学的システム700は、サーバコンピュータサブシステム704と、ホットスポット画像サブシステム706と、診断偵察サブシステム708と、地上ステーション710と、地上サブシステム712と、ドローンサブシステム714と、を含み、これらのすべては、1つまたは複数の有線ネットワークや1つまたは複数の無線ネットワークやまたはこれらの組合せを含めた、1つまたは複数のネットワーク702を介して、通信可能に結合されている。有線ネットワークは、1つまたは複数のローカルエリアネットワーク、1つまたは複数のワイドエリアネットワーク、1つまたは複数のインターネット網、または、1つまたは複数のインターネット、を含んでもよい。無線ネットワークは、1つまたは複数の無線周波数、1つまたは複数のマイクロ波、1つまたは複数の衛星リンク、を含んでもよい。一実施形態では、サーバコンピューティングサブシステム704は、図1の農業インテリジェンスコンピュータシステム130を含んでもよい。
【0094】
ホットスポット画像サブシステム706は、農業フィールドの低解像度画像を撮影するための、衛星または高高度ドローンを含んでもよい。サーバコンピュータサブシステム704は、ホットスポット画像サブシステム706から、低解像度画像などの生データを、週単位でまたはいくつかの他の時間の増分で、受信してもよく、保存および更なる処理に供してもよい。低解像度画像は、フィールドの全体的な特性/評価を提供してもよい。例えば、低解像度画像は、1つまたは複数の問題点、あるいは、1つまたは複数の意味のある開発が、フィールドに存在することを、示してもよい。
【0095】
診断偵察サブシステム708は、フィールド内における問題点を調査して再評価するために、1つまたは複数の偵察ドローンを含む。偵察ドローンは、多高度ドローンであってもよく、典型的には、フィールドレベルデータを収集するための、撮像システムおよびセンサを含む。例示的なフィールドレベルデータは、フィールド内における例えば特定の植物などの1つまたは複数の特定のターゲットに関しての、高解像度画像を含む。
【0096】
偵察ドローンは、自己完結型の地上ステーション710から展開してもよく、偵察任務の後には、地上ステーション710へと帰還してもよい。地上ステーション710は、フィールド上に位置しており、1つまたは複数の偵察ドローンのためのシェルターを提供する。地上ステーション710は、充電ベース710aと、コンピューティングデバイス710bと、を含んでもよい。偵察ドローンが偵察任務についていない時には、偵察ドローンを、充電ベース710aを使用して充電してもよい。
【0097】
偵察ドローンは、偵察任務の前に、サーバコンピュータサブシステム704から、あるいは地上ステーション710から、あるいはその両方から、プログラムされた偵察命令を受信してもよい。例示的な命令は、特定の日に、特定の時間に、フィールド内における、例えば作物などの、特定のターゲットに関する画像を撮影するように、偵察ドローンを制御してもよい。画像は、問題点を調査して再評価するために、ターゲットの現在の状態を提供するよう、診断解像度のものとされる。例えば、高解像度の画像は、トウモロコシ作物に関しての殺虫剤という問題点の開始を示し得る。別の例では、高解像度画像は、大豆作物に関しての微量栄養素という問題点が、前回の処理散布以降に改良されたことを示し得る。
【0098】
偵察ドローンは、高解像度画像、マルチスペクトル画像、ハイパースペクトル画像、熱画像、および/または、LIDAR、などの生データを、リアルタイムでまたはほぼリアルタイムで、あるいは偵察任務後に、ローカル処理/エッジ処理のためにコンピューティングデバイス710bへと、あるいは、保存および更なる処理のためにサーバコンピュータサブシステム704へと、あるいは、その両方へと、伝送してもよい。
【0099】
コンピューティングデバイス710bは、サーバコンピュータサブシステム704および偵察ドローンからデータを受信してもよく、また、サーバコンピュータサブシステム704および偵察ドローンに対してデータを伝送してもよい。例えば、コンピューティングデバイス710bは、偵察ドローン708に対してアップロードするために、プログラムされた偵察命令を、サーバコンピュータサブシステム704から受信してもよい。別の例では、コンピューティングデバイス710bは、保存および更なる処理のために、偵察ドローンによって収集された生データを、および/またはローカルに処理されたデータを、サーバコンピュータサブシステム704に対して伝送してもよい。コンピューティングデバイス710bは、また、オペレータが、偵察任務の前に、偵察ドローン708の健全性チェックを行うことを、さらに、偵察ドローン708を制御するためのプログラムされた偵察命令を、作成したり修正したりアップロードしたりすることを、可能としてもよい。一実施形態では、偵察ドローン708および地上ステーション710は、「箱入りドローン」と総称される。
【0100】
地上サブシステム712およびドローンサブシステム714は、フィールド作業を支援してもよい。地上サブシステム712は、フィールド内で地上に位置した、播種ユニット、耕耘ユニット、収穫ユニット、土壌検査ユニット、ベース肥沃度ユニット、および、地上散布ユニットなどの、1つまたは複数の地上手段を含んでもよい。ドローンサブシステム714は、1つまたは複数の散布ドローンを含んでもよい。
【0101】
地上散布ユニットおよび散布ドローンは、散布任務時にフィールドに処理剤を散布するためのものであり、複数のペイロード貯蔵カートリッジを付帯してもよく、ペイロード貯蔵カートリッジのそれぞれは、1つまたは複数の農薬を含有している。地上散布ユニットおよび散布ドローンは、物理的に地上にいる状態でまたは上空を飛行した状態でフィールドを横断してもよく、サーバコンピューティングサブシステム704から散布任務の前に受信したプログラムされた散布命令に従って、横断時に農薬を散布してもよい。
【0102】
地上サブシステム712およびドローンサブシステム714のそれぞれは、また、保存および更なる処理のために、リアルタイムでまたはほぼリアルタイムで、あるいは散布任務の後に、生データを収集してもよく、それをサーバコンピューティングサブシステム704に対して提供してもよい。
【0103】
サーバコンピューティングサブシステム704は、フィールドの管理場所の外部でホストされる、あるいはパブリックのもしくはプライベートのクラウドコンピューティング施設を使用してホストされる、1つまたは複数のコア、プロセッサ、コンピュータ、および/または、仮想機械インスタンス、を含んでもよい。
【0104】
サーバコンピューティングサブシステム704は、農作業に関して1人または複数人のオペレータを支援するために、1つまたは複数のアプリケーション716をホストするまたは実行する。例えば、オペレータは、1つまたは複数のアプリケーション716を使用することにより、診断偵察サブシステム708、地上ステーション710、地上サブシステム712、およびドローンサブシステム714、に対してアクセスしてもよい。
【0105】
サーバコンピューティングサブシステム704は、プログラムされた偵察命令726、フィールドデータ728、処方および対応するプログラムされた散布命令730、ならびに、履歴データ732、を格納するように構成された1つまたは複数のデータリポジトリ724に対して、結合されてもよい。気象データ、フィールドマップ、およびバイオマス/収量、などの他の情報も、また、データリポジトリ724内に格納されてもよい。
【0106】
サーバコンピューティングサブシステム704は、データ取得命令718、偵察散布命令720、および配信命令722、によってプログラムされてもよい。オペレーティングシステム、ユーティリティライブラリ、提示層、データベースインターフェース層、および同種のもの、などのシステム全体を形成するために、他の命令セットが含まれてもよい。
【0107】
一実施形態では、データ取得命令718は、サブシステム706、708、712、714および地上ステーション710の、1つまたは複数から、生データおよび処理済みデータを回収するように、プログラムされる。例えば、データ取得命令718は、ホットスポット画像サブシステム706および診断偵察サブシステム708から、生の画像を回収するようにプログラムされてもよい。別の例では、データ取得命令718は、地上ステーション710からローカルに処理されたデータを回収するようにプログラムされてもよい。一実施形態では、データ取得命令718は、また、他の外部ソースからデータを回収するようにプログラムされる。例えば、データ取得命令718は、外部の気象予報ソースから気象データを回収するようにプログラムされてもよい。
【0108】
一実施形態では、偵察散布命令720は、様々なデータ(フィールドデータ、画像、有効性推定値、バイオマス/収量、経済的影響、主観的な積極性、履歴データ、雑草種検出、害虫種検出、雑草サイズ、作物の成熟度、個体の密度、再散布オプション、有効成分の作用モード、など)を分析するように、そして、分析に基づいて、プログラムされた偵察命令、および処方、ならびに対応するプログラムされた散布命令、を作成するように、プログラムされている。処方は、ゾーンベースであってもよく、各処方がフィールドのゾーンに対する特定の処理を記述することのために、より精密な農業を可能とする。ゾーンは、フィールドの25%~50%などのフィールドの比較的広い連続部分であってもよい、あるいは、フィールドの1%~10%などのより狭い連続領域であってもよい、あるいは、単一植物ゾーンを意図した処理を含めたフィールドの1%未満のマイクロゾーンでさえあってもよい。サーバコンピューティングサブシステム704は、偵察任務時には、偵察ドローンを制御するようにプログラムされた偵察命令を使用し、散布任務時には、地上散布ユニットおよび散布ドローンを制御するようにプログラムされた散布命令を使用する。
【0109】
一実施形態では、配信命令722は、プログラムされた散布命令を、地上サブシステム712とドローンサブシステム714とに対して配信するように、ならびに、プログラムされた偵察命令を、診断偵察サブシステム708に対してまたは地上ステーション710に対して配信するように、プログラムされる。
【0110】
一実施形態では、散布ドローンは、サイズおよび重量において偵察ドローンよりも大きく、これは、散布ドローンが、作物上に散布される異なるペイロードを付帯した複数のペイロード貯蔵カートリッジを含むからであり、また、偵察ドローンは、そのようなものを含んでいないからであり、いくつかの実施形態では、偵察ドローンは、作物の背丈よりも下方を飛行するよう充分小さい必要があるからである。本明細書において説明する各ドローンは、プログラムされた命令などのデータを格納するためのストレージデバイスと、プログラムされた命令を受信するとともに収集したデータを伝送するよう、ホストコンピュータと通信するためのネットワーク形成インターフェースと、を含む。例示的な散布ドローンは、多段貯蔵カートリッジを付帯したドローンであり、3.5項において説明する。
【0111】
図7は、偵察ドローンを散布ドローンとは別個のものとして図示しているけれども、偵察ドローンおよび散布ドローンは、実施形態によっては、同じドローンであってもよい。例えば、散布ドローンは、単一デバイス内に複数の機能を組み込むことによる経済効率の問題として、偵察機能(例えば、画像収集)を可能とするセンサを含んでもよい。いくつかの実施形態では、偵察機能と散布機能との両方を有したドローン機器を使用することにより、同じ飛行で、ターゲットを識別することと、所定のペイロードを散布することと、を行ってもよい(例えば、雑草を識別して同じ飛行で散布することによって、あるいは、栄養ストレスを識別して同じ飛行で適切な栄養分を散布することによって)。
【0112】
サーバコンピューティングサブシステム704は、システム700の構成要素706、708、710、712、および/または714と共に動作し、これにより、分析を行って、精密農業のための特定のまたは目標となる処方を作成する。
【0113】
3.1 マルチレベル調整システム
【0114】
マルチレベル調整システムは、図7に例示されたそれらのサブシステムなどの、複数のプラットフォームからのセンサを含んでもよい。例示的なセンサは、衛星ベースのセンサ、ドローンベースのセンサ、地上ベースのロボット、装置ベースの機器センサ、手持ちセンサ、または固定センサ(例えば、水分センサ、または固定カメラ、など)さえをも、含む。衛星ベースの画像は、一貫性があり低コストであるため使用され得るけれども、解像度、大気の歪み、および雲量に関連した制限を受ける。ドローンベースの画像は、タイミングの柔軟性のために、また、センサタイプのために、さらに、高解像度であるために、使用され得るけれども、収集コストが高く、また、一貫性に欠けるものである。複数のプラットフォームからのセンサを使用することにより、データ収集、分析、推奨、および散布を行うことで、システム全体のパフォーマンスを最適化してもよい。
【0115】
一実施形態では、プログラムされた偵察命令は、サーバコンピュータサブシステム704において、または地上ステーション710において、作成されてもよい。プログラムされた偵察命令は、ホットスポット画像サブシステム706によって提供された「ヒント」に応答して作成されてもよく、これにより、調査を「開始」してもよい。ホットスポット画像サブシステム706によって収集されたデータが、フィールド内の問題点を識別した時には、プログラムされた偵察命令が作成されてもよく、これにより、調査のために偵察ドローンを使用してデータが収集される。例えば、ホットスポット画像サブシステム706によって撮影されたフィールドの低解像度画像が、トウモロコシ作物に関する問題点を識別した時には、プログラムされた偵察命令の下で、偵察ドローンが、トウモロコシの背丈よりも下方を飛行するように、そして、トウモロコシ作物のデータを収集するように、制御される。代替的にはまたは追加的には、地上ベースのロボットシステムが、作物の背丈よりも下方でデータを収集するように指示されてもよい。一実施形態では、ホットスポット画像サブシステム706によって収集されたデータは、第1解像度でのマルチスペクトル画像を含み、診断偵察サブシステム708によって収集されたデータは、第2解像度でのマルチスペクトル画像を含み、地上ベースのロボットシステムによって収集されたデータは、第3解像度でのマルチスペクトル画像を含む。第1解像度は、約10cmよりも大きな地上サンプル距離(GSD)を有してもよく、第2解像度は、1cmよりも大きなGSDを有してもよく、第3解像度は、2mmよりも小さなGSDを有してもよい。
【0116】
偵察ドローンには、撮像システムおよびセンサが設けられてもよい。一実施形態では、撮像システムは、ハイパースペクトル画像化、熱画像化、SAR(合成開口レーダー)画像化、および、昼夜の熱画像化、のための回路を含む。一実施形態では、センサは、加速度計、ジャイロ、磁力計、圧力センサ、湿度センサ、ガスセンサ、温度センサ、LIDAR、および/または、RADAR、を含む。ホットスポット画像サブシステム706によって識別された問題点の範囲に応じてまたは意味のある開発に応じて、撮像システムおよびセンサの任意の1つまたは複数を使用してデータを収集するために偵察ドローンを制御するよう、プログラムされた偵察命令が作成されてもよい。
【0117】
データは、異なる時刻におよび/または異なる日に行われ得る別個の偵察任務にわたって、収集されてもよい。偵察任務の日時は、偵察ドローンを飛行させた時の風の影響や温度の影響や反転頻度の影響を含むがこれらに限定されない多数の要因に基づいて、選択されてもよい。
【0118】
衛星および/または高高度ドローンや中高度ドローン(高高度疑似衛星(HAPS)または中高度長耐久性(MALE)無人航空機(UAVs))からの低解像度画像、ならびにその分析は、偵察任務時にフィールド内の問題領域に対して焦点を当てた注意を可能とし、これにより、偵察ドローンなどの資源を、より効果的に使用して、非効率性を低減する。
【0119】
複数レベルの解像度を組み合わせてもよく、これにより、最適な分析および推奨を作成してもよい。一実施形態では、収集されたデータは、0.5メートル超の解像度(衛星によって収集された画像など)から、5cm~100cmの解像度という中程度レベルの解像度(空中プラットフォーム、HAPS、またはMALE UAVs、によって収集されたものなど)へと、また、0.5mm~4cmという高解像度(低空ドローンによって収集されたものなど)、さらには、搭載センサ、手持ちカメラ、固定カメラ、地上ベースのロボット、または他の近接デバイス、によって収集されたサブmm画像にまで及ぶ、空間分解能を含み得る。
【0120】
一実施形態では、偵察ドローンは、同じ飛行時に、複数の高度で動作してもよい。例えば、フィールドの大部分は、より低い解像度(例えば、4cm)で撮像されてもよく、フィールドの選択された領域は、同じまたは異なるセンサを使用して撮像されるものの、著しく低い高度で撮像されてもよく、これにより、はるかに高い解像度の画像(例えば、サブmm)を取得してもよい。
【0121】
一実施形態では、第1データソースは、0.5mよりも大きな解像度で収集されたデータに関してシステム内に含まれてもよく、第2データソースは、2cmよりも大きな解像度で収集されたデータに関して含まれてもよく、第3データソースは、1mm未満の解像度で収集されたデータに関して含まれてもよい。しかしながら、より多くのまたはより少ないデータソースが、収集されたデータを格納するために利用されてもよい。
【0122】
一実施形態では、データ収集に関する複数(例えば、3つ)の層のそれぞれにおいて、解像度に関して10倍よりも大きな増大が存在してもよい。一実施形態では、データ収集に関する複数(例えば、3つの)の層のそれぞれにおいて、20倍を超える解像度に関する増大が存在する。一実施形態では、データ収集の少なくとも1つの層は、ドローンベースのデータ収集を介して、または地上ベースのロボットを介して、または手持ち式のデータ収集を介して、または固定デバイスを介して、背丈よりも下方で収集された画像を組み込む。
【0123】
3.2 データ収集
【0124】
偵察任務時にドローンベースのプラットフォームによって収集される画像は、夜間の画像および昼間の画像を含んでもよい。偵察任務時に収集される画像は、また、背丈よりも下方の画像などの、他の特殊な画像を含んでもよい。
【0125】
1つまたは複数のドローンによる画像収集は、1つまたは複数の別のソースに基づくデータ収集および/または分析によって自動的に開始されてもよく、データ収集の適合性(例えば、照明、風速、天気予報、等)に関して評価されてもよい。一実施形態では、マルチレベル調整システムは、低解像度画像の分析に基づいて、より高解像度の画像の収集を自動的に開始するために、使用されてもよい。一実施形態では、より高解像度の画像の収集は、別のソースからのデータの分析によっておよび/または以前に収集されたデータの分析によって識別されたフィールドの優先領域においてのみ、指定されてもよい。さらに、一実施形態では、フィールドの優先領域は、ドローンベースのデータ収集を介して、または地上ベースのロボットを介して、または手持ち式のデータ収集を介して、または固定デバイスを介して、背丈よりも下方で収集された少なくともいくつかのデータを含んでもよい。
【0126】
上述したように、複数レベルの解像度を組み合わせてもよく、これにより、最適な分析および推奨を作成してもよい。一実施形態では、収集されたデータは、0.5メートル超の解像度(衛星によって収集された画像など)から、5cm~100cmの解像度という中程度レベルの解像度(空中プラットフォーム、HAPS、またはMALE UAVs、によって収集されたものなど)へと、また、0.5mm~4cmという高解像度(低空ドローンによって収集されたものなど)、さらには、搭載センサ、手持ちカメラ、固定カメラ、地上ベースのロボット、または他の近接デバイス、によって収集されたサブmm画像にまで及ぶ、空間分解能を含み得る。一実施形態では、背丈よりも下方でのデータ収集は、密閉されたプロペラ(ケージまたはダクト付きファンを含むものなど)を有したドローンを利用することによって行われてもよく、あるいは、地上ベースのロボットシステムを利用して行われてもよい。
【0127】
ドローンベース画像のためのデータ収集は、オペレータの監視を必要とすることがなく、農場内のドローンを利用することによって効率的に行われてもよい。一実施形態では、偵察ドローンは、偵察ドローンが局所的に収容されているとともに完全に自動化されたシステムでデータ収集用に展開され得る「箱入りドローン」システムとして、フィールドの近くに収容されてもよい。
【0128】
1つまたは複数の偵察任務からの、ドローン収集画像を含めた、生データは、その後、処方の策定のために使用されてもよい。一実施形態では、生データは、サーバコンピュータサブシステム704によって受信されてもよい。代替的にはまたは追加的には、生データは、ローカル処理またはエッジ処理のために地上ステーション710によって受信されてもよく、これにより、サーバコンピューティングサブシステム704における計算リソースが解放される。代替的にはまたは追加的には、生データは、ローカル処理またはエッジ処理のためにドローンサブシステムによって処理されてもよく、これにより、システムどうしの間にわたって大量のデータを転送する必要性が最小化される。ローカルに処理されたデータは、保存および更なる処理のために、サーバコンピューティングサブシステム704に対して提供されてもよい。
【0129】
さらに、画像データは、土壌試験結果、土壌タイプマップ、地形、気象、水分、収量マップ、機械データ(例えば、トラクタ、播種機、噴霧器、ハーベスタ、および同種のもの、などの農業機械によって作成されるデータ)を含めて、様々なソースから得られる追加的なデータ層によって、補強されてもよい。追加的なデータソースは、フィールド境界、農家の慣行、農学的活動、「播種時」のデータ、「散布時」のデータ、および/または、管理ゾーン、および同種のもの、を含んでもよい。
【0130】
化学物質の承認状況、散布率、および希釈率、などの規制情報が、また、処方を作成する際のデータソースとして使用されてもよい。一実施形態では、規制入力は、散布プロセスに情報を提供する独自の承認、条例、および記録保持要件を各管轄区域が有し得ることを考慮して、局所的に決定される。さらに、規制遵守および記録保持の組み込みは、散布回数が従来的慣行と比較して実質的に増加する可能性があることを考慮すると、複数回通過システムにとって重要な要件である。
【0131】
3.3 処方
【0132】
サーバコンピュータサブシステム704は、様々な入力の分析に基づいて処方を作成する。これらの入力は、生データ、処理済みデータ、有効性推定値、バイオマス/収量、経済的影響、主観的な積極性(例えば、リスク耐性)、雑草種、害虫種、雑草サイズ、作物成熟度、個体密度、再散布オプション、生物的ストレス、有効成分、作用機構(MOA)、および、履歴データ、を含み得るけれども、これらに限定されるものではない。
【0133】
一実施形態では、履歴データは、過去の処方と、対応する処方結果と、を含む。例えば、履歴データは、直前の栽培シーズンからの、過去の処方および対応する処方結果を含んでもよい。別の例では、履歴データは、少なくとも2年以上前からの、過去の処方および対応する処方結果を含んでもよい。現在の処方と、現在の処方からの結果とは、履歴データの一部となり、次の処方を作成するための入力として使用される。
【0134】
追加的にはまたは代替的には、履歴データは、直前の栽培シーズンからの雑草の種および密度、直前の栽培シーズンからの虫害、直前の栽培シーズンからの病気の重症度、直前の栽培シーズンからの土壌データ、および/または、直前の栽培シーズンからの収量情報、を含んでもよい。
【0135】
追加的にはまたは代替的には、履歴データは、画像データから導出される空間マップを含んでもよい。空間マップは、人工知能を使用してまたは機械学習技術を使用して、作成されてもよい。空間マップを作成するための例示的な技術は、2019年7月8日付けで発行された「Methods for Agronomic and Agricultural Monitoring using Unmanned Aerial Systems」と題する米国特許第10,346,958号明細書、2019年12月8日付けで出願された「Mapping Soil Properties with Satellite Data using Machine Learning Approaches」と題する米国特許出願第16/707,168号明細書、2019年12月9日付けで出願された「Mapping Field Anomalies using Digital Images and Machine Learning Models」と題する米国特許出願第16/707,355号明細書、に開示されており、ここで、これら文献の全内容は、本明細書に完全に記載されているかのようにして、参照により本明細書に援用される。訓練された機械学習モデルは、画像データから、雑草マップ、土壌マップ、倒伏マップ、および/または、畝間損傷マップ、を含む出力を作成してもよい。また、他の異常マップが作成されてもよい。
【0136】
同様に、複数回の処理を含む時には、以前の処理結果の評価を使用することにより、後続の処理推奨および散布処方が作成されてもよい。例えば、MOA1の除草剤が雑草防除の最初の散布として使用された場合には、MOA1の知識と組み合わせた後日における結果的な雑草個体群の評価は、その後の散布に関してMOA2の選択を知らせることとなり、残りの雑草は、効率的な複数回通過処理システムのために、その後のMOAの選択を知らせることとなる。履歴データの使用は、より正確な処方を可能とし、改良されて増加した作物収量をもたらす。
【0137】
さらに、履歴データは、結果分析の精度を高めるために、処方を作成する際に、合成データ(例えば、フィールドの不明瞭な領域に対する合成画像/合成データ)を利用すること、栽培シーズンの早期からのデータを使用すること、以前の栽培シーズンのデータを使用すること、フィールド境界の外側(例えば、同じ農家によって管理されているフィールド)からのデータを使用すること、および/または、標的フィールドと関連しない場所から集約されたデータを使用すること(例えば、郡レベルの集約や他の近接した集約など、地域内の他のフィールド/他の農家からのデータを使用すること)、などにより、マルチレベル調整システム内へと組み込んでもよい。いくつかの地域では、前年の雑草の種および密度などの履歴データを使用することにより、データ収集に優先順位を設定してもよい。例えば、特定の地域における耐性雑草種を示している前年データを使用することにより、今シーズンのデータ収集の優先順位が設定されてもよい。
【0138】
処方は、フィールド全体に関しての、または、局所的フィールド領域(例えば、フィールドのゾーン)に関しての、処方であってもよく、フィールドに散布される製品を記述している。散布される製品は、作物保護化学(例えば、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、肥料(例えば、NPK(窒素、リン、カリウム)および微量栄養素)、ならびに微生物処理、および/または土壌改良(例えば、石灰)、などの農薬を含んでもよく、また、播種位置もしくは密度、および/または被覆作物の播種、を記述してもよい。
【0139】
処方は、夜間散布のための処方であってもよい。いくつかの農薬および潜在的な農薬候補は、日光で分解し、他の理由のために従来的な昼間散布方法を使用して充分に利用することができず、あるいは、日中に散布した時には効力が減少する。さらに、いくつかの農薬の散布は、例えば、標的昆虫種が最も活発となる夜間に農薬を散布するなど、標的植物または標的害虫種の日周リズムに基づき、夜間に散布した場合により高い効力を示す場合がある。他のシナリオでは、夜間散布は、風の減少や、そうでなければ散布ドリフトにつながり得る反転の不在などの、気象パターンに基づき、好ましいことがあり得る。
【0140】
微生物(肥料)散布、除草剤散布、殺菌剤散布、および殺虫剤プログラムを含むがこれらに限定されない異なる散布に関して、異なる処方が作成されてもよい。
【0141】
一実施形態では、症状または問題点が発生する前にフィールドの1つまたは複数のゾーンを処理するために、データに基づく事前症候性の/専制的な局所的フィールドゾーン処方が作成されてもよい。例えば、雑草の競合による収量損失を軽減するよう、フィールドの1つまたは複数のゾーンを処理するために、発芽前/残留処方が作成されてもよい。このような処方は、雑草の種、位置、および密度を決定するために使用された画像などの、前年の雑草圧力からのデータを使用して、作成されてもよい。例示として、前年に抵抗性雑草がフィールドの特定のゾーンに存在した場合には、そのゾーンは、その雑草種を標的としたMOAの発芽前除草剤によって、および/または、前年からの種情報および位置データを利用した統合的雑草管理推奨により決定された率で、処理されてもよい。また、前年データに基づく可変率を含む、および/または前年データに基づく複数のMOAを含む、発芽前/残留処方が作成されてもよい。
【0142】
別の例では、既存の雑草を防除するよう、フィールドの1つまたは複数のゾーンを処理するために、発芽後処方が作成されてもよい。さらに別の例では、フィールドの1つまたは複数のゾーンに対して栄養分を供給するために、作物栄養処方が作成されてもよい。さらに別の例では、雑種/栽培品種および個体数の推奨を提供するために、播種推奨が作成されてもよい。さらに別の例では、主作物の収穫前に被覆作物を播種するよう、種および個体群の推奨を提供するために、播種推奨が作成されてもよい。処方は、これらの処方の任意の組合せであってもよい。
【0143】
一実施形態では、処方には、離散的な散布ゾーンが与えられた場合に、飛行経路の最適化を組み込んでもよい。ドローンベース散布の他の方法は、連続的な散布のために設計され、離散的な局所的フィールドゾーンに対しては最適化されていない。これらの他の方法とは対照的に、一実施形態では、ドローンの飛行は、散布ゾーンと補充要件との間で必要とされる飛行を最小化するように、最適化されてもよい。さらに、処方は、個々のドローンに関するサイズおよび能力に関して最適化されてもよい(例えば、スプレー散布の幅は、推奨処方の幾何学的形状に影響を与えるであろう)。
【0144】
一実施形態では、処方には、雑種/品種、個体群、生殖質、および形質を含む作物植物からのデータを組み込んでもよい。例えば、多品種または多密度の植栽プログラムを有したフィールドでは、シーズン中の散布に関する処方には、フィールド全体にわたっての生殖質および密度に関する情報を組み込んでもよい。別の例では、より大きな植栽密度の地域では、殺菌剤を散布する可能性が高くなることがあり得る。
【0145】
一実施形態では、処方には、例えば殺虫剤の散布をより標的化して効率的とするために、形質遺伝学を有した植栽マップを組み込んでもよい。農家が自身のフィールド内に避難場所を実装することを要求する避難所ガイドラインが存在する。一例として、殺虫形質については、一部の昆虫が形質に曝されることなく生き残るための避難所として、その形質を持たないフィールドの一部を植栽し、これにより、在来の個体群の一部が常に生き残ることを確保することによって耐性を最小化することが要求されている。避難所の種子は、同じ殺虫形質を持たないので、より多くの化学殺虫剤(例えば、フィールドの非避難所部分とは異なる)によって処理することが有益であり得る。
【0146】
処方に対応するプログラムされた散布命令は、サーバコンピュータサブシステム704から、地上サブシステム712および/またはドローンサブシステム714などの、1つまたは複数の散布可能なサブシステムへと、伝送される。
【0147】
3.4 再散布オプション
【0148】
処方は、また、オプションの追加入力に基づいて作成されてもよい。オプションの追加入力は、複数回の通過で農薬を散布する可能性を含んでもよい。最適な処方の推奨は、多数のデータソースを含んでもよい。他の慣行とは対照的に、本発明の実施態様は、最適化された処方の分析において、後続の散布を適用するためのオプションを含んでもよい。
【0149】
例えば、有効性を高めるために、殺菌剤を先行して散布することが有益であり得る。しかしながら、多くの場合、病害が発生していない状態で散布を行った場合には、投資収益率(ROI)が大きくない。そのため、農家は、手遅れになるまで殺菌剤の散布を遅らせることが、多くある。後日再散布する可能性を組み込むことで、先見的最適化方法として、最初の散布で部分的な処理を行い、その後の散布で追加的処理を行う可能性を考慮し、リスクへの対応力を向上させる。
【0150】
シーズン中に製品を散布するか散布しないかの決定に関してROIを計算することは、通常、シーズン中に散布を行うことに関連した、固有の散布コスト、作物のダメージ、および圧縮のために、フィールド全体にわたっての通過回数を減らすことに重点を置いて実行される。そのため、農家は、通常、投資収益率を高めるために、フィールド通過回数を最小化することを試みる。いくつかの場合では、従来的な散布システムの複雑さおよびコストのために、最適ではないタイミングでの散布、同じ通過での複数の薬剤の散布、過剰散布、または、散布無し、という結果となる。散布の収益性/ROIを推定するための他のシステムは、従来的方法の場合に発生する作物ダメージや圧縮やコストを生じさせないドローンベースの散布システムを使用した同じまたは異なるMOAを使用して再散布を行う可能性を、考慮に入れていない。本発明のいくつかの実施形態は、異なる局所的フィールドゾーンおよび/または異なるMOAを含む再散布オプションを含めて、再散布オプションの任意選択性を組み込んだROIの最適化を含む。
【0151】
ゾーンに関する通過回数は、異なる考慮事項に依存してもよい。一例をなす考慮事項は、関心のある作物の、発育サイクルであってもよい。作物の発達サイクルにおける現段階において、一度にすべてではなく、複数回通過によって農薬を散布することが最適であると決定されることがあり得る。
【0152】
別の例をなす考慮事項は、気象であってもよい。1つの例示は、気象に対応した窒素散布である。天気予報が、来月に8日間の雨天を示していると、仮定する。一度にすべての農薬を散布するのではなく、来月に雨が降る前日ごとに複数回にわたって農薬を散布するのが最適であると決定されてもよい。追加的な窒素は、従来は、気象に関係なく大量に行われてきたけれども、特に季節外れの雨天時や乾燥時には、非効率的な散布となってしまう。雨天の場合には、窒素は、土壌中に流され、環境に重大な悪影響を与えてしまう。乾燥状態では、作物は、窒素を利用することができず、過剰な窒素が作物に対してストレスを与えることさえあり得る。しかしながら、複数回に分けて散布することにより、降雨と連動させて、最適なレベルで窒素を散布することができる。
【0153】
あるシナリオでは、肥料は、フィールド上における少なくとも2回の後続の発芽後通過で散布されてもよい。別のシナリオでは、肥料は、フィールド上における少なくとも3回の後続の発芽後通過で散布されてもよい。さらに別のシナリオでは、肥料は、フィールド上における少なくとも4回の後続の発芽後通過で散布されてもよい。さらに別のシナリオでは、肥料は、フィールド上における少なくとも5回以上の後続の発芽後通過で散布されてもよい。
【0154】
一実施形態では、地上ベースの散布が、ドローンベースの肥料散布と組み合わされてもよい。肥料の一部は、シーズン前に、またはシーズンの初期に、散布されてもよく(例えば、側方施肥の散布)、肥料の後続の散布は、シーズンの後の時点で、ドローンを介して散布されてもよい。例えば、特定のフィールドに関して大量の窒素が必要な場合には、目標散布量の75%を、発芽前に、地面上を駆動される機械によって散布してもよく(例えば、乾季に必要な目標量)、そして、追加的な肥料を、降雨と連携させつつ5%増分でドローンを介して散布してもよい。干ばつの年など、降雨が少ない場合には、追加的な窒素を散布しなくてもよい。かなりの降雨があった場合には、連続した降雨現象および/または予測される気象現象と連携して、窒素を、追加的な通過で散布してもよい。あるシナリオでは、肥料は、フィールド上における少なくとも2回の後続の通過で散布されてもよく、その場合、少なくとも1回の散布は、地面上を駆動される機械を介して散布されてもよく、少なくとも1回の通過は、同じシーズンにドローンを介して散布されてもよい。別のシナリオでは、肥料は、フィールド上における少なくとも3回の後続の通過で散布されてもよく、その場合、少なくとも1回の散布は、地面上を駆動される機械を介して散布されてもよく、少なくとも2回の通過は、同じシーズンにドローンを介して散布されてもよい。さらに別のシナリオでは、肥料は、フィールド上における少なくとも4回の後続の通過で散布されてもよく、その場合、少なくとも1回の散布は、地面上を駆動される機械を介して散布されてもよく、少なくとも3回の通過は、同じシーズンにドローンを介して散布されてもよい。さらに別のシナリオでは、肥料は、フィールド上における少なくとも5回以上の後続の通過で散布されてもよく、その場合、少なくとも1回の散布は、地面上を駆動される機械を介して散布されてもよく、少なくとも4回の通過は、ドローンを介して散布されてもよい。さらに別のシナリオでは、肥料は、フィールド上における少なくとも5回以上の後続の通過で散布されてもよく、その場合、少なくとも2回の散布は、地面上を駆動される機械を介して散布されてもよく、少なくとも1回の通過は、ドローンを介して散布されてもよい。地上ベースの散布とドローンベース組合せとの任意の組合せが可能であることに留意されたい。
【0155】
気象に応じた生物学的散布(例えば、マイコトキシンの存在に対抗するため)は、別のそのような例であり、その場合、より少ない用量を、1回の通過で散布してもよく、その後の1つまたは複数の用量を、気象条件および発生する害虫圧力によって決定されるようにして、1回または複数回の追加的通過で散布してもよい。気象に応じた殺菌剤散布は、さらに別のそのような例であり、その場合、より少ない用量を、1回の通過で散布してもよく、その後の1つまたは複数の用量を、気象条件および発生する害虫圧力によって決定されるようにして、1回または複数回の追加的通過で散布してもよい。再散布のための処方は、これらの追加入力に基づいて作成されてもよい。
【0156】
3.5 多段貯蔵カートリッジを付帯したドローン
【0157】
散布ドローンは、処方に従って異なるペイロード(例えば、除草剤または肥料などの農薬)を含む複数のペイロード貯蔵カートリッジを含んでもよい。複数のペイロード貯蔵カートリッジは、異なるサイズであってもよく、また、交換可能であってもよい。複数のペイロード貯蔵カートリッジは、静電ノズルを有したまたは有していない1つまたは複数の噴霧機構と結合されてもよい。プログラムされた散布命令の制御下にある散布ドローンは、農薬を放出する。ゾーンが処理されるかどうかにかかわらず、フィールド全体を横断して通行する必要がある対応する地上ユニットとは異なり、散布ドローンは、フィールドの1つまたは複数の散布ゾーンの上方を飛行するだけでよく、人間が介入することなく、処方に従って農薬を散布する。一実施形態では、散布ドローンは、25kgまたはそれ以上の、ペイロード容量を有している。さらに別の実施形態では、散布ドローンは、50kgまたはそれ以上の、ペイロード容量を有している。さらに別の実施形態では、散布ドローンは、100kgまたはそれ以上の、ペイロード容量を有している。さらに別の実施形態では、散布ドローンは、200kgまたはそれ以上の、ペイロード容量を有している。
【0158】
散布ドローンは、任意のエネルギ貯蔵機構を使用してもよく、また、複数のエネルギ貯蔵タイプを使用した「ハイブリッド」であってもよい。例えば、ハイブリッドドローンは、動力として、ガソリン(化学)およびスーパーキャパシタ(電気)などのように、化学的エネルギ源および電気的エネルギ源の両方を利用してもよい。例示的なエネルギ源は、リチウムイオン電池、リチウム空気電池、ガソリン、ディーゼル、プロパン、燃料電池、スーパーキャパシタ、および/または、これらの組合せ、を含む。
【0159】
一実施形態では、炭化水素燃料源または水素燃料源を含めたハイブリッドパワートレインを使用することにより、発電機に対して動力を供給してもよく、この発電機が電気エネルギを出力することで、電気モータを駆動して、散布ドローンに対して動力を与えてもよい。
【0160】
散布ドローンは、停止することなく燃料を補給する能力を提供するために、多拠点燃料貯蔵システムを含んでもよい。多拠点燃料貯蔵システムは、外部エネルギ貯蔵拠点と、内部エネルギ貯蔵拠点と、を含んでもよい。外部エネルギ貯蔵拠点は、ペイロードベースのエネルギ源内に組み込まれてもよく、枯渇時には新鮮なエネルギ源と自動的に交換することで、継続的な動作を提供する。多拠点燃料貯蔵システムにより、散布ドローンを、無限に動作させることができる。例えば、散布ドローンは、外部エネルギ源を利用し得ない時には(例えば、空である、または、取り付けられていない)、内部エネルギ源に依存してもよい。しかしながら、外部エネルギ源を利用し得る時には、散布ドローンは、主要なエネルギ源として、外部エネルギ源に依存してもよく(例えば、ペイロードの散布時)、および/または、内部エネルギ源を補充するために外部エネルギ源を使用してもよい(例えば、外部エネルギ源から、内部エネルギ源へと、エネルギを移送する)。散布ドローンは、ある外部エネルギ源を、別の外部エネルギ源と、継続的に交換してもよい。このようにして、複数のエネルギ源が、散布ドローンに対して、燃料補給のために停止する必要なく、無限に動作する能力(例えば、無限の飛行時間)を提供する。
【0161】
図8Aは、いくつかの実施形態に係る、例示的な散布ドローンを示している。散布ドローン800は、エネルギ貯蔵のための内部拠点と外部拠点とを含む複数エネルギ源ドローンである。外部貯蔵拠点内に貯蔵されるエネルギは、散布されるべき一次ペイロードP1と、ペイロードベースのエネルギ源E2の容量とが、ほぼ同等の飛行持続時間を有するように最適化されるよう、一次ペイロードP1の容量に比例してもよい。例えば、ペイロードベースのエネルギ源E2内には、液体燃料が貯蔵されてもよく、一次ペイロードP1として、液体農薬を貯蔵してもよい。貯蔵されるペイロードベースのエネルギ源E2の容量は、一次ペイロードP1を散布するためにドローン800が必要とするエネルギに比例する。フィールド上における異なる通過は、E1とP1との間の異なる最適な関係を指示する異なる散布率(例えば、散布されるエーカーあたりのガロン数)を必要とし得る。P1と結合されたE2は、本明細書では、ペイロードポッドと称され、または単にポッドと称される。
【0162】
一実施形態では、搭載型エネルギ源E1と、ペイロードベースのエネルギ源E2とは、散布ドローンがペイロードポッドと接触している際に、エネルギをE2からE1へと移送させ得るよう、互換的構成のものとされる。例えば、E1およびE2は、電気エネルギを貯蔵し得るものであってもよく、E2は、エネルギを、E1に対して移送してもよい。別の例では、E2およびE1は、水素燃料を貯蔵し得るものであってもよく、水素燃料は、E2からE1へと移送されてもよい。
【0163】
さらに、デュアルエネルギ源ドローン800の動作時には、ドローン800は、一次ペイロードP1が枯渇した際にはある間隔で再充填されるように、帰還してもよい。一実施形態では、ペイロードベースのエネルギ源E2も、また、最適な効率のためにほぼ枯渇することとなる。この時点で、ドローン800は、ペイロードポッドを解放するものの、搭載型エネルギ源E1に基づいて、飛行能力を維持している。搭載型エネルギ源E1を使用することで、ドローン800は、別容量の一次ペイロードP1を保有したおよび/または追加的なペイロードベースのエネルギ源E2を保有した充填ポッド拠点へと、移動する。
【0164】
図8B図8Hは、散布ドローンのグラフィック的な使用フローを示している。図8Bでは、搭載型エネルギ源E1を有した散布ドローンは、ポッドに対して未だ電気的にも機械的にも結合されていない。図8Cでは、散布ドローンは、E1に依存して、飛行する。図8Dでは、散布ドローンは、E1を使用して、ペイロードベースのエネルギ源E2および一次ペイロードP1を保有したポッドへと、移動する。図8Eでは、散布ドローンとポッドとは、位置合わせされて接続される。散布ドローンとポッドとの間の接続は、機械的なリンクと、E2から散布ドローンへのエネルギ移送手段と、を含む。図8Fでは、散布ドローンは、E2に依存しつつ、P1を散布する。E2がドローンに対して電気的にかつ機械的に接続されている任意の時点では、E1は、E2から補充されてもよい。一実施形態では、E2は、P1の容量と散布ドローンのエネルギ要件とに比例した目的を完了させ得るよう、充分なサイズのものであってもよい。P1に対してのE2の質量比率は、目的(例えば、kg/エーカーを単位とした散布率)に応じて、可変であってもよい。図8Gでは、散布ドローンは、P1の散布後に帰還し、E1から動力を受けながら、ポッドを取り外す。図8Hでは、散布は、任務目的が完了するまで、新たなポッドを再取り付けする。図示のように、散布ドローンは、オペレータが介入する必要なく、ペイロードとエネルギ源との両方を補充し得るものであり、これにより、ドローンベースの散布に関する安全性および効率を大幅に向上させる。
【0165】
一実施形態では、ポッドは、手動介入が必要とされないよう、自動化された手段を使用して補充されてもよい。ポッドは、連続サイクルを可能とするよう、2つのポッドだけが必要とされるようにして、再使用されてもよい。
【0166】
一実施形態では、散布ドローンは、ポッドを取り外して新たなポッド(ペイロードおよびエネルギ)を再取り付けする際に、連続的かつ自律的に動作してもよい。よって、動作時間は、任意の散布率およびフィールドサイズに対する要求を満たすために、無限に延長することができる。そのため、散布ドローンの動作を停止させることなく、複数回の飛行を行ってもよい。連続動作に関するこの能力は、固定ペイロードを有したドローン(例えば、センサペイロードを有したドローン)にとっても、また、可変ペイロードを有したドローン(例えば、ある領域上へとペイロードを散布することを意図したドローン)にとっても、意義深い利点を有している。特に、散布ドローンは、従来的なエネルギ貯蔵機構ではこれまで不可能であったような不確定長さの持続時間を含めた、複数回の連続飛行が可能である。太陽(例えば、エアバスHAPS、テザー、および、直接的な電気伝導)を含めた、飛行時間を延長するための以前の試みは、主に、飛行時にエネルギ源を交換する能力が制限されていることのために、および/または長距離にわたって飛行し得ないことのために、本明細書において説明する態様での動作を排除する重大な制限を有している。
【0167】
一実施形態では、特定の任務時に使用される各ポッドは、異なる量のE2およびP1を装備してもよく、また、異なる比率のE2およびP1を装備してもよい。一実施形態では、ペイロードは、連続したサイクルでの、異なる機能または異なるMOAであってもよい。例えば、グループ9のMOAを有した除草剤が、1つのサイクルに関して使用されてもよく、グループ4のMOAを有した除草剤が、連続したサイクルに関して使用されてもよい。
【0168】
別の例では、ペイロードの機能が、また、相違してもよい。例示として、1つのポッドは、エネルギ源ではなく、センサパッケージ(例えば、マルチスペクトル画像、熱画像、ハイパースペクトル)を含んでもよい。
【0169】
一実施形態では、一次ペイロードP1は、例えば、除草剤の2つの異なる作用機構などの、あるいは、除草剤および殺菌剤の2つの異なる作用機構などの、散布のための複数の農薬製品をドローンが含むように、細分化されてもよい。
【0170】
一実施形態では、各散布ドローンが同じペイロードまたは異なるペイロードを含んだ状態で、複数の散布ドローンを並行して飛行させてもよく、これにより、フィールドの異なるゾーンをカバーしたり、1つまたは複数のフィールドをカバーしたり、してもよい。
【0171】
3.6 複数回通過による作物保護
【0172】
地面上を駆動される機械を含んだいくつかの農業慣行は、播種作業と収穫作業との間で、フィールドを横断しての通過を、合計で3回未満しか有していない、すなわち、除草剤プログラムのための1回または2回の通過と、殺菌剤プログラムのための1回の通過と、を有している。図7のシステム700は、ドローンが、地面上を駆動される機械とは異なり、土壌圧縮も作物ダメージも起こさないことのために、さらに、ぬかるんだフィールド上にでも農薬を散布する能力を有していることのために、播種作業と収穫作業との間で、フィールドを横断する通過回数が制限要因とはならない異なる新たなパラダイムへと、移行させる。1つまたは複数の偵察ドローンと、1つまたは複数の1台以上の散布ドローンと、を使用して、シーズン中に、10回にわたって、20回にわたって、30回にわたって、あるいはそれ以上の回数にわたって、フィールドを通過してもよい。ドローンは、正確な処方に基づいて必要な時に必要な場所でデータを取得するのに必要な、また農薬を散布するのに必要な、任意の時点でかつ必要な頻度で、利用され得る。
【0173】
ゾーンは、フィールドの25%~50%などの、フィールドの比較的広い連続した部分であってもよい、あるいは、フィールドの1%~10%であるより狭い連続した領域であってもよい、あるいは、単一植物ゾーンに対して意図された処理を含めて、フィールドの1%未満のマイクロゾーンであってさえよい。重要なことは、ゾーンが、同じカテゴリの化合物を散布するための連続した通過を含む各散布に対して、異なるサイズおよび形状であってもよいことである。例えば、除草剤を複数回にわたって散布すると、各通過で異なるゾーンとなってもよく、また、各通過で異なるMOAとなってもよい。さらに、これらの通過のいくつかが、フィールドの実質的により狭い部分をカバーし得ることのために、新規の化学物質を利用する機会が拡大する(例えば、広いエーカー数に対しては、そうでなければ、散布するには高価すぎる化学物質)。例えば、あるカテゴリの製品(例えば、除草剤)の第1通過は、フィールドの少なくとも80%に対して製品を散布し、第2通過は、フィールドの80%未満に対して製品を散布し、第3通過は、フィールドの50%未満に対して製品を散布し、第4通過は、フィールドの20%未満に対して製品を散布する。
【0174】
あるシナリオでは、除草剤プログラムには、4回またはそれ以上の通過を含むシーズン毎の複数回通過を組み込んでもよく、各通過は、フィールド内の異なる局所的フィールドゾーンに関するものであってもよく、合計面積の一部のみをカバーしてもよい、あるいは、異なる局所的フィールドゾーンに対して異なる散布率を使用してもよい。例えば、最初の通過時には、農薬は、より広いゾーンに対して散布されてもよく、その後の各通過時には、農薬は、より特定の標的のために、徐々に狭い領域へと散布されてもよい。例えば、最初の通過は、広いスペクトルの雑草防除剤によってフィールド全体をほぼカバーしてもよく、その後の通過は、最初の通過によって完全に防除されなかった雑草を標的としたMOAでもって、および/または、最初の通過の後に出現した雑草を標的としたMOAでもって、フィールドのより狭い部分をカバーしてもよい。追加的な通過は、最適のMOAで特定の耐性雑草(例えば、耐性ブタクサ)を標的としてもよく、別の通過は、自生植物防除用に最適化されたMOAで自生作物(例えば、両方ともグリホサート耐性である、大豆畑内のトウモロコシ)を標的としてもよい。
【0175】
一実施形態では、複数レベルのデータソース間で調整する能力は、作物保護化学剤の標的化および散布において著しい精度を可能とする。例えば、抵抗性雑草および/または自生植物を単一植物レベルで標的化することができ、これは、これまでのところ、ドローンベースのプラットフォームに関連した能力ではなかった(例えば、地上ベースのプラットフォームに限定される)。
【0176】
同様の戦略を、殺菌剤、殺虫剤、肥料、成長調整剤、枯葉剤、およびRNAiを含むがこれらに限定されない他の散布プログラムに関して使用してもよい。システム全体は、シーズン中のフィールド上における通過回数を実質的に増加させることとなってもよい。一実施形態では、フィールドは、X回にわたってデータ収集されてもよく、Y回にわたって散布されてもよく、ここで、XおよびYは、共に、2よりも大きな正の整数である。
【0177】
上述したように、散布は、気象および気象予測、作物の発育、害虫の圧力、病気の圧力、および、集約された近接データを含めた、シーズンを通しての環境的進展に合わせて調整されてもよい。例えば、窒素は、降雨の際に植物に散布することが最良である。窒素をシーズン中に一度だけ散布するという従来的慣行と比較して、散布ドローンは、降雨の前日に、窒素を配置することができる。窒素は、地面上を駆動される機械によって再散布され得るけれども、地面上を駆動される機械の場合には、得られる潜在的利益よりも、フィールドに対しての物理的ダメージの方が大きく、結果として経済的損失となる。
【0178】
さらに、散布は、作物の発育段階および/または作物の局所的な発育段階に合わせて、調整されてもよい。特定の状況では、特に大規模なフィールドでは、作物が同じ日に播種されたとしても、フィールドの局所的フィールドゾーンには、発育成熟度に違いが生じ得る。同様に、いくつかのフィールドは、生産を最適化するために意図的に複数の雑種/品種を播種するけれども、これらの品種は、わずかに異なる成熟度を有し得る。複数回通過を最適化した実施形態は、画像分析を通して検出された局所的な発育成熟度に基づいて、フィールド内の複数のゾーンを標的化することを可能とする。
【0179】
本発明の利点は、フィールドが乾燥するまで待つことなく、環境的進展に対して迅速に対応する能力を有していることである。例えば、現在の地上ベースの散布方法を使用する場合には、著しい降雨があると、降雨後の少なくとも数日間は、散布ができなくなる。さらに、現在の空中散布技術では、ぬかるんだフィールド上における散布は可能であるけれども、局所的フィールドゾーンへと区分した高解像度での散布はできない。しかしながら、本発明のドローンベースの散布システムを使用した場合には、降雨後であっても迅速な対応が可能であるとともに、標的化した局所的フィールド領域への散布にとって望ましい高精度を維持することができる。
【0180】
散布は、また、衛星画像およびドローン画像の定期的な(例えば、毎日、毎週、毎月、等)取得、または必要に応じての取得、と関連付けられてもよい。例えば、新たな画像は、新たな害虫問題を示す可能性があり、あるいは、問題点に対する改良を示す可能性がある。散布ドローンは、より応答性の高い介入のために、フィールドの現状に従って、アドホックな態様で農薬を散布することができる。
【0181】
高頻度での画像ベースのデータ収集と、ドローンベースの散布技術を使用したシーズンを通しての高頻度での散布能力と、によって得られる組合せは、従来的方法と比較して、効率を向上させた環境対応型の生産方法となる。さらに、環境負荷の減少および持続可能性の向上は、適切なタイミングで特定のニーズを標的とした応答性の高い散布に起因する。
【0182】
以下は、本明細書において説明する実施形態のサブセットを例示する複数回通過の最適化を伴ったシーズンを通しての農学的システムの例である。
【0183】
3.6.1 除草剤の例
【0184】
播種前に、フィールド境界、画像、土壌タイプゾーン、雑草の種および密度マップ、および、規制遵守、を使用することにより、最適のMOAを推奨してもよく、バーンダウンに関して除草剤の可変率散布に関する処方を策定してもよい。ドローンを使用することにより、除草剤処方に従ってフィールド全体に除草剤を散布してもよい。
【0185】
播種前に、残留分を散布してもよい。残留処方を策定する際には、フィールドの境界、画像、土壌タイプゾーン、過去の雑草圧力情報、および、規制遵守、を使用することにより、最適のMOAを推奨してもよく、残留散布に関して除草剤の可変率散布を策定してもよい。除草剤は、除草剤が散布されていないいくつかの領域を含むゾーン内に散布してもよい。
【0186】
出芽後に、追加的な除草剤を散布してもよい。除草剤は、その種に対する除草剤の自然選択性によって、あるいは、作物の遺伝子改変によって(例えば、グリホサート耐性作物)、作物が耐性を示す群から選択してもよい。この処方を策定する際には、フィールドの境界、画像、土壌タイプゾーン、過去の雑草圧力情報、種およびサイズからなる雑草マップ、および、規制遵守、を使用することにより、最適のMOAを推奨してもよく、残留散布に関して除草剤の可変率散布を策定してもよい。除草剤は、除草剤が散布されていないいくつかの領域を含むゾーン内に散布してもよい。この通過で散布される除草剤は、先行する散布と比較して、より狭い面積をカバーしてもよい。
【0187】
除草剤を、3回目の通過によって、散布してもよい。除草剤は、その種に対する除草剤の自然選択性によって、あるいは、作物の遺伝子改変によって(例えば、グリホサート耐性作物)、作物が耐性を示す群から選択してもよい。この処方を策定する際には、フィールドの境界、画像、土壌タイプゾーン、過去の雑草圧力情報、種およびサイズからなる雑草マップ、および、規制遵守、を使用することにより、最適のMOAを推奨してもよく、残留散布に関する除草剤の可変率散布を策定してもよい。除草剤は、除草剤が散布されていないいくつかの領域を含むゾーン内に散布してもよい。好ましくは、この通過で散布される除草剤は、先行する散布と比較して、より狭い面積をカバーする。一例として、この通過は、前回の通過で使用されたMOAに対して耐性を示す雑草に特に焦点を当てて、(耐性管理の目的で)このシーズン内において以前に使用されていないMOAを含んでもよい。
【0188】
除草剤を、4回目の通過によって、散布してもよい。除草剤は、その種に対する除草剤の自然選択性によって、あるいは、作物の遺伝子改変によって(例えば、グリホサート耐性作物)、作物が耐性を示すグループから選択されてもよい。この処方を策定する際には、フィールドの境界、画像、土壌タイプゾーン、過去の雑草圧力情報、種およびサイズからなる雑草マップ、および、規制遵守、を使用することにより、最適のMOAを推奨してもよく、残留散布に関する除草剤の可変率散布を策定してもよい。除草剤は、除草剤が散布されていないいくつかの領域を含むゾーン内に散布してもよい。好ましくは、この通過で散布される除草剤は、先行する散布と比較して、より狭い面積をカバーする。一例として、この通過は、前回の通過で使用されたMOAに対して耐性を示す雑草に特に焦点を当てて、(耐性管理の目的で)このシーズン内において以前に使用されていないMOAを含んでもよい。
【0189】
除草剤を、5回目の通過によって、散布してもよく、ここで、除草剤は、その種に対する除草剤の自然選択性によって、あるいは、作物の遺伝子改変によって(例えば、グリホサート耐性作物)、作物が耐性を示すグループから選択される。この処方を策定する際には、フィールドの境界、画像、土壌タイプゾーン、過去の雑草圧力情報、種およびサイズからなる雑草マップ、および、規制遵守、を使用することにより、最適のMOAを推奨してもよく、残留散布に関する除草剤の可変率散布を策定してもよい。除草剤は、除草剤が散布されていないいくつかの領域を含むゾーン内に散布してもよい。好ましくは、この通過で散布される除草剤は、先行する散布と比較して、より狭い面積をカバーする。一例として、この通過は、以前に使用されたMOAに対して耐性を示す自生植物(例えば、グリホサート耐性大豆畑内における自生のグリホサート耐性トウモロコシ)に特に焦点を合わせてもよい。
【0190】
除草剤は、6回目の通過により、例えばシーズン初期に池の影響を受けたゾーンなどの、雑草の蔓延が異常なレベルを示すフィールド領域で、散布してもよい。この処方を策定する際には、フィールドの境界、画像、土壌タイプゾーン、過去の雑草圧力情報、種およびサイズからなる雑草マップ、および、規制遵守、を使用することにより、最適のMOAを推奨してもよく、除草剤が散布されていないいくつかの領域を含むゾーン内に除草剤が散布され得る残留散布に関して、除草剤の可変率散布を策定してもよい。
【0191】
各除草剤散布の後には、画像(例えば、衛星またはドローン)を使用することにより、除草剤の効果を評価してもよく、将来の散布のために、防除できていない雑草を識別してもよい。一実施形態では、画像は、複数の解像度で収集されてもよく、分析に供されてもよい。一実施形態では、画像は、少なくとも3つの解像度で収集されてもよく、分析に供されてもよい。低解像度の画像は、雑草の圧力を決定するために使用されてもよく、より高い解像度で偵察を開始するために使用されてもよい。中解像度の画像は、関心のある特定の雑草を識別するために使用されてもよく、高解像度の画像は、個々の雑草の種および大きさを決定するために使用されてもよい。雑草の密度が、追加的な除草剤散布のROIが肯定的である規模に到達した時には、農家に対して推奨が提供されてもよい。
【0192】
これらの除草剤推奨のそれぞれに到達した時には、雑草の出現リスクは、後日に(同じMOAでまたは異なるMOAで)除草剤を再散布するというオプション、ならびに、雑草防除プログラムの効力を最大化したり、雑草耐性の可能性を最小化したり、環境影響を最小化したり、および/または農家のROIを最大化したり、するという全体的関心、とバランスを取ってもよい。
【0193】
3.6.2 殺虫剤の例
【0194】
一実施形態では、殺虫剤を、シーズン中に複数回に分けて散布してもよい。散布前には、散布の推奨に供するため、複数の解像度で画像が収集されてもよい。画像は、少なくとも3つの解像度で収集されてもよく、分析に供されてもよい。低解像度の画像は、フィールドの不作領域を決定するために使用されてもよく、高解像度での偵察を開始するために使用されてもよい。中解像度の画像は、関心のある領域を識別するために使用されてもよい。高解像度の画像は、昆虫が個々の植物に与える影響を決定するために使用されてもよい(例えば、昆虫密度または葉面積を測定することによって)。昆虫密度またはダメージが、追加的な殺虫剤散布のROIが肯定的である規模に到達した時には、農家に対して推奨が提供されてもよい。
【0195】
一実施形態では、殺虫剤は、フィールド全体よりも狭いフィールド領域に対して散布されてもよい。一実施形態では、フィールドの外部領域から供給されたデータを使用することにより、推奨が通知されてもよい(例えば、同じ農場内の他のフィールドにおける害虫の存在、他の農家のフィールド、および、地域集計、などの地域的に供給される情報)。さらに、気象ベースのリスクモデルを使用することにより、殺虫剤を通過で散布する決定を通知してもよい。
【0196】
殺虫剤を散布するための追加的な通過は、実施形態における以前の散布とは異なるMOAを含む殺虫剤を使用して、行われてもよい。さらに、各通過は、現在の害虫圧力、以前の殺虫剤散布の効力、予測される気象、その後の通過で再散布する能力、および/または、農家のリスク回避(他の入力の中で)、に応じて、フィールドの異なる領域に対して殺虫剤を散布してもよい。
【0197】
これらの殺虫剤推奨のそれぞれが到達した時には、虫害のリスクは、後日に(同じMOAでまたは異なるMOAで)殺虫剤を再散布するというオプション、ならびに、防虫プログラムの効力を最大化したり、虫耐性の可能性を最小化したり、環境影響を最小化したり、および/または農家のROIを最大化したり、するという全体的関心、とバランスを取ってもよい。
【0198】
3.6.3 殺菌剤の例
【0199】
一実施形態では、殺菌剤は、シーズン中に複数回に分けて散布されてもよい。散布前には、散布の推奨に供するため、複数の解像度で画像が収集されてもよい。一実施形態では、画像は、少なくとも3つの解像度で収集されてもよく、分析に供されてもよい。低解像度の画像は、病気が蔓延するリスクが存在するフィールドの不作地域を決定するために使用されてもよく、高解像度での偵察を開始するために使用されてもよい。中解像度の画像は、関心のある特定の領域を識別するために使用されてもよい。高解像度の画像は、病気のタイプおよび重症度を決定するために使用されてもよい(例えば、エッジ処理と組み合わせた画像認識により、診断が行われる)。一実施形態では、画像は、ドローンまたは地上ベースのロボットなどによって背丈よりも下方から収集されてもよく、病害(例えば、茎腐敗などの真菌性茎病)の存在を診断するために使用されてもよい。病気圧力の密度が、殺菌剤散布のROIが肯定的である規模に到達した時には、農家に対して推奨が提供される。
【0200】
一実施形態では、殺菌剤は、フィールド全体よりも狭いフィールドゾーンに対して散布されてもよい。一実施形態では、これらの局所的フィールドゾーンは、各領域での散布に関する局所的ROIを推定することによって決定されてもよい(例えば、画像から得られるバイオマス推定値、作物の予測収量、および、殺菌剤散布が予測収量に対して与える影響、を使用して)。一実施形態では、フィールドの外部領域から供給されるデータを使用することにより、推奨が通知されてもよい(例えば、同じ農場内の他のフィールドにおける病気の存在、他の農家のフィールド、および、地域集計、などの地域的に供給される情報)。さらに、気象ベースのリスクモデルを使用することにより、殺菌剤を散布する決定を通知してもよい。
【0201】
殺菌剤を散布するための追加的な通過は、以前の散布とは異なるMOAを含む殺菌剤を使用して、行われてもよい。さらに、各通過は、現在の害虫圧力、以前の殺菌剤散布の効力、予測される気象、その後の通過で再散布する能力、および/または、農家のリスク回避(他の入力の中で)、に応じて、フィールドの異なる領域に対して殺菌剤を散布してもよい。
【0202】
これらの殺虫剤推奨のそれぞれが到達した時には、病害のリスクは、後日(同じMOAでまたは異なるMOAで)殺菌剤を再散布するというオプション、ならびに、病害防止プログラムの効力を最大化したり、病害耐性の可能性を最小化したり、環境への影響を最小化したり、および/または農家のROIを最大化したり、するという全体的関心と、バランスを取ってもよい。
【0203】
3.6.4 肥料の例
【0204】
一実施形態では、地上ベースの肥料散布が、ドローンベースの肥料散布と組み合わされてもよい。肥料の一部は、過去の収量データ、土壌試験情報、土壌タイプ、推定された窒素欠乏、播種されるべき作物種(多品種/雑種ゾーンを含む)、個体密度(可変密度を含む)、および、窒素に対する雑種/品種の反応、に基づいて、播種前に散布されてもよい。この例では、最適の窒素目標の75%を、発芽前に、地面上を駆動される機械によって散布してもよい(例えば、非常に乾燥したシーズンに必要と推定目標量など)。
【0205】
シーズンが進むにつれて、気象に対応した肥沃度計画が、実際の気象事象、予測される気象事象、作物の発育、および/または、フィールドからの画像の分析、に基づいて策定されてもよい。降雨と連動して5%増分でもってドローンを介して追加的な窒素肥料を散布するという推奨が、作成されてもよい。予測される降雨事象の前日に、窒素肥料を散布してもよい。フィールドの進展における窒素要求量および/または不足量の更なる推定は、進展中の気象現象、フィールドの画像分析、および/または、作物の発育、に基づいてもよい。窒素は、3回目の通過によって散布されてもよく、予測される降雨事象に合わせて調整されてもよい。窒素の追加的な通過(例えば、4回目の通過、5回目の通過、等)は、予測される降雨事象に合わせて調整しつつ散布されてもよい。
【0206】
さらに、ドローンによって得られた高解像度画像は、シーズンを通して、微量栄養素の欠乏(例えば、大豆に関する鉄欠乏性クロロシス、トウモロコシに関する亜鉛/硫黄/マンガンの欠乏)などの、他の肥料欠乏を診断するために使用されてもよい。微量栄養素の欠乏がシーズン後半に現れ得ることにより、シーズン後半における追加的な通過に関するコストのために、および/または、機械による作物ダメージに伴う収量への悪影響のために、修正されないことが多い。しかしながら、ドローンベースの散布を使用すれば、最適なROIに基づいて、および、必要に応じて再散布を行う能力に基づいて、微量栄養素を、処理を必要としている局所的フィールドゾーンに対して、格別に集中させ得る。
【0207】
3.6.5 微生物の例
【0208】
一実施形態では、微生物は、ドローンベースの散布を介して散布されてもよい。微生物製品(例えば、細菌または真菌の生物)は、殺菌効果を含めた様々な目的のために、散布されてもよい。一実施形態では、気象ベースのモデルは、マイコトキシンの重症度(例えば、湿潤条件、高温条件)を予測するために使用されてもよく、微生物予防製品(例えば、Syngentaからの、A.Flavusの非毒性株を含む、Afla-Guard)を介して処理される。
【0209】
3.6.6 被覆作物の例
【0210】
一実施形態では、被覆作物が、主作物の収穫前にフィールドに播種されてもよい。履歴データ、土壌タイプ情報、土壌試験結果、気象データ、土壌水分、および/または地形、を使用することにより、フィールド上における2つの連続した通過(例えば、各通過で異なる種)を使用して、2つの異なる種の被覆作物によってフィールドに播種を行うための可変種推奨が作成されてもよい。さらに、播種密度も、また、個々のフィールドの必要性に基づいて、可変であってもよい。
【0211】
3.6.7 PGR
【0212】
作物に応じて、農家の収量および/またはROIを最適化するために、追加的な通過を利用してもよい。例えば、植物成長調整剤(PGR)は、いくつかの作物に関して、頻繁に使用される。同様に、枯葉剤は、収穫性を高めるために、しばしば使用される(例えば、綿花において)。
【0213】
播種前から収穫までにわたってシーズンを通して、収穫後の裸地の画像および被覆作物成長の画像を含めた画像が、定期的に収集されてもよい。画像は、画像収集のために調整された複数の異なる衛星を含めた衛星によって、毎日の頻度で収集されてもよい。複数の異なる衛星のタイプが、データ収集のために使用されてもよい(例えば、マルチスペクトル、ハイパースペクトル、および、SAR)。一実施形態では、ドローンベースの画像は、気象、衛星画像から識別された進捗/問題点、および/または、上述した散布タイミング、に応じて、シーズン全体にわたって、ほぼ週単位で収集されてもよい。ドローンベースの画像化は、その処理の有効性を評価するために、以前の処理に対する影響に関するプロジェクト時間枠に基づいて、スケジュール調整されてもよい。ドローンベースの画像は、手動による監視を必要とせず、農場内のドローンを使用して収集し得る。エッジ処理を使用することにより、収集されたすべてのデータが遠隔コンピュータシステムに対して転送されることなく、画像分析からの結果が推奨への入力として使用されるよう、更なるアップロードおよび処理に関するデータ負荷が軽減されてもよい。
【0214】
3.7 手順に関する概要
【0215】
図9は、いくつかの実施形態に係る、再散布のための処方を作成するための例示的な方法を示している。方法900は、ブロック902~910によって例示するような、操作、機能、および/または、動作、を含む。明確な例を例示する目的で、図9の方法について、ここでは、図7における特定の構成要素を使用した実行を参照して説明するけれども、図9は、図7に示すものとは異なるコンピューティングデバイス、プログラム、または他のコンピューティング構成要素を使用して、他の実施形態で実装されてもよい。さらに、ブロック902~910は、順次的に示されているけれども、これらブロックは、また、並行して実行されてもよい、および/または、本明細書において説明するものとは異なる順序で実行されてもよい。方法900は、また、必要に応じてまたは所望に応じて、追加的なブロックを含んでもよく、または、より少数のブロックを含んでもよい。例えば、ブロック902~910は、所望の実装に基づいて、より少数のブロックへと結合することができる、および/または、追加的なブロックへと分割することができる、および/または、除去することができる。
【0216】
図9は、コンピュータ可読ストレージ媒体上に格納された命令シーケンスとして編成された1つもしくは複数のコンピュータプログラムまたは他のソフトウェア構成要素を使用して、実装されてもよい。図9は、および、本開示における他の各フロー図または他のプロセスの説明は、図9に具体的に示したものよりもはるかに多くの方法、オブジェクト、サブルーチン、または命令を含み得るコンピュータプログラムにおいて実現されるべき機能ステップについて互いに通信するために、コンピューティング技術の当業者によって通常的に使用されるのと同じ詳細レベルで記載されており、機能プログラムの開発、展開、テスト、およびデバッグは、この開示に関係する技術分野における高いレベルの技術内にあると見なされる。
【0217】
加えて、各ブロック902~910は、特定の論理機能または操作を実装するためにプロセッサによって実行可能な1つもしくは複数の命令を含むプログラムコードの、モジュール、セグメント、または一部、を表してもよい。プログラムコードは、例えば、ディスクまたはハードドライブを含めた、任意のタイプのコンピュータ可読媒体またはストレージデバイス上に格納されてもよい。コンピュータ可読媒体は、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、およびランダムアクセスメモリ(RAM)、といったような、短期間にわたってデータを格納するコンピュータ可読媒体などの、非一時的なコンピュータ可読媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、また、読み取り専用メモリ(ROM)、光ディスクまたは磁気ディスク、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、等といったような、二次的なまたは永続的な長期ストレージなどの、非一時的な媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、また、他の任意の揮発性または不揮発性のストレージシステムを含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、コンピュータ可読ストレージ媒体、または、有形ストレージデバイス、と見なされてもよい。加えて、ブロック902~910の1つまたは複数は、方法900におけるロジック機能および操作を実行するように構成された回路を表してもよい。
【0218】
方法900は、ステップ902で開始され、ステップ902では、第1データセットを、ホットスポット画像サブシステムから受信する。一実施形態では、ホットスポット画像サブシステムは、衛星または高高度ドローンを含む。ホットスポット画像サブシステムは、農業フィールドの低解像度画像を取り込む。サーバコンピュータサブシステムは、定期的にまたはアドホックベースで、低解像度画像を受信してもよい。
【0219】
ステップ904では、第1データセットが農業フィールドでの有意義な進展を示している時には、第1データセットに基づいて診断命令セットを作成する。一実施形態では、サーバコンピュータサブシステムは、低解像度画像によって示された問題点を分析することに基づいて、診断命令セットを作成する。診断命令セットは、偵察任務の前に偵察ドローンに対してアップロードされ、偵察ドローンの飛行場所と収集データとを、指示する。例えば、低解像度画像がトウモロコシ畑のゾーンにおける害虫問題を示している場合には、診断命令セットが作成され、偵察任務時に、害虫問題を調査するように、偵察ドローンを制御する。
【0220】
ステップ906では、診断命令セットを使用して、第2データセットを取得するように、診断偵察サブシステムを、偵察任務において遠隔制御する。一実施形態では、診断偵察サブシステムは、診断命令セットを使用して以前にアップロードされた偵察ドローンを含む。例示を続けると、診断命令セットは、偵察任務時に偵察ドローンを制御することにより、トウモロコシの背丈よりも下方を飛行して、フィールドレベルデータを収集してもよい。フィールドレベルデータは、偵察ドローンの搭載型撮像システムおよびセンサによって、収集されてもよい。例示的なフィールドレベルデータは、診断解像度の画像を含む。
【0221】
ステップ908では、第2データセットを使用して、再散布のフィールド処方を作成する。フィールド処方は、散布命令セットと関連付けられる。一実施形態では、サーバコンピュータサブシステムは、フィールド処方と、散布命令セットと、を作成する。フィールド処方は、フィールドレベルデータの分析に基づいて、ならびに、気象、通過回数、および、履歴データを含めた他の様々な入力に基づいて、作成されてもよい。通過回数は、天気予報に依存してもよい。一実施形態では、履歴データは、過去の処方と、対応する処方結果と、を含む。フィールド処方のための散布命令セットは、最初の散布任務の前に散布ドローンに対してアップロードされ、散布ドローンの飛行場所と、散布する農薬と、を指示する。
【0222】
ステップ910では、散布命令セットを使用して、ドローンサブシステムを、複数の散布任務において遠隔制御する。一実施形態では、ドローンサブシステムは、散布命令セットを使用して事前にアップロードされた散布ドローンを含む。各散布任務時には、散布ドローンを含めたドローンサブシステムは、農業フィールドの一部の上方を通過するように、さらに、農業フィールドの一部に対してフィールド処方に従って農薬を散布するように、遠隔制御される。例示を続けると、散布命令セットは、最初の通過時には、トウモロコシゾーンに対して農薬を散布するように、そして、その後の各通過時には、より具体的な標的化のために、漸次的により狭い領域に対して農薬を散布するように、散布ドローンを制御してもよい。
【0223】
本明細書で開示したアプローチは、農業フィールドを横断する通過回数が制限要因である状況から、必要に応じてできるだけ多くのフィールドを横断する通過を使用して、農業フィールドを横断する通過が、シーズン中の環境開発のために最適化され得る状況へと、パラダイムシフトを提供する。ドローンを使用することで、地面上を駆動される機械に固有の制限を受けることなく、フィールドとの相互作用を、より頻繁に行うことができ、これにより、シーズン中の格別のレベルでの最適化と、リスク回避と、が可能となる。農薬は、より応答的な介入のために、フィールドの現状に従って、アドホックな態様で散布されてもよい。
【0224】
4 開示に関する他の態様
【0225】
明細書の上記においては、本発明の実施形態について、実装ごとに相違し得る多数の特定の詳細を参照して説明した。よって、本発明とは何であるかに関して、また、出願人が発明であると意図しているものは何であるかに関して、唯一かつ排他的な指標は、その後のあらゆる修正を含めて、本願が公表している特定の形態での、本願の特許請求の範囲である。そのような特許請求の範囲の中に含まれる用語について本明細書で明示的に規定したすべての定義は、特許請求の範囲において使用された際のそのような用語の意味を支配するものとする。よって、特許請求の範囲に明示的に記載されていないあらゆる限定、要素、特性、特徴、利点、または属性も、当該特許請求の範囲をいかなる態様でも制限すべきではない。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で捉えられるべきである。
【0226】
本明細書で使用した際には、「含む」および「備える」という用語(および、これら用語に関する、「含んだ」、「含んでいる」、「備え」、「備えている」、「備えた」、および同種のもの、などの変形)は、包括的であることを意図し、更なる特徴、構成要素、整数、またはステップ、を除外することは意図していない。
【0227】
フローチャートを使用して、様々な操作について説明した。ある場合には、所与のフローチャートステップにおける機能/処理は、説明したものとは異なる態様で、および/または、異なるシステムもしくはシステムモジュールによって、実行されてもよい。さらに、いくつかの場合には、フローチャートに示した所与の操作が、複数の操作へと分割されてもよい、および/または、フローチャートの複数の操作が、単一の操作へと結合されてもよい。さらに、ある場合には、フローチャートに示されて説明した操作どうしの順序が、本開示の範囲から逸脱することなく、変更され得るものであってもよい。
【0228】
本明細書において開示して規定した実施形態が、言及した、または本文もしくは図面から明らかな、2つ以上の個々の特徴点に関する、すべての代替的な組合せへと拡張されることは、理解されよう。これらの異なる組合せのすべてが、実施形態の様々な代替的な態様を構成する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-04-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農薬製品の散布を制御するための方法であって、
遠隔的に感知されたデジタル画像データを取得することと、
少なくとも1つの以前の栽培シーズンからの履歴データを取得することと、
前記デジタル画像データおよび前記履歴データに基づいて、少なくとも1つの農薬製品を可変的な態様で散布するための処方を策定するとともに、前記処方を、前記少なくとも1つの農薬製品を散布するために特定の自律型ビークルがフィールドの上方を複数回にわたって通過することを記述したものとすることと、
前記処方に従って、前記特定の自律型ビークルによって、前記少なくとも1つの農薬製品を前記可変的な態様で作物に対して散布することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記履歴データは、
現在の栽培シーズンの直前の栽培シーズンからの、過去の処方および対応する処方結果と、
前記直前の栽培シーズンにおける雑草の種および密度と、
前記直前の栽培シーズンにおける虫害と、
前記直前の栽培シーズンにおける病害の深刻度と、
前記直前の栽培シーズンにおける土壌データと、
前記直前の栽培シーズンにおける収量情報と、の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記履歴データは、人工知能または機械学習アルゴリズムを使用して画像データから導出された空間マップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記処方を、前記少なくとも1つの農薬製品を散布するために前記特定の自律型ビークルが前記フィールドの上方を通過する前記複数回のうち、少なくとも1回に関しては、異なる作用機構を記述したものとする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記処方を、前記少なくとも1つの農薬製品を散布するために前記特定の自律型ビークルが前記フィールドの上方を通過する前記複数回のうち、少なくとも1回に関しては、前記少なくとも1つの農薬製品について、カテゴリが異なる1つの農薬製品を記述したものとする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
遠隔的に感知された前記デジタル画像データの前記取得は、
ホットスポット画像サブシステムから第1データセットを受信することと、
前記第1データセットに基づいて診断命令セットを作成することと、
前記診断命令セットを使用して、偵察任務において診断偵察サブシステムを遠隔制御することにより、第2データセットを取得することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【外国語明細書】