(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009975
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】導電性多層フィルム及びガスケット
(51)【国際特許分類】
B32B 27/30 20060101AFI20240116BHJP
B32B 7/025 20190101ALI20240116BHJP
【FI】
B32B27/30 A
B32B7/025
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023177949
(22)【出願日】2023-10-16
(62)【分割の表示】P 2021567908の分割
【原出願日】2019-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ビン
(72)【発明者】
【氏名】ヅァン,スー
(72)【発明者】
【氏名】ヅァン,シン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ジン
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,ファン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】2つの導電性表面間に電気経路を提供する導電性多層フィルムを提供する。
【解決手段】2つの導電性表面間に電気経路を提供するための導電性多層フィルムは、プラスチックバッキング層と、プラスチックバッキング層の第1の側面上に配置された導電性層と、プラスチックバッキング層の反対側の第2の側面上に配置された回復層と、を含む。多層フィルムの平均厚さは、約100マイクロメートル未満である。中空ガスケットは、多層フィルムを可撓性中空閉ループに巻くか又は曲げることによって、多層フィルムから形成され得る。多層フィルムが巻かれて、約7mm以下の外径を有する可撓性閉ループを形成し、導電層がループの外層を形成する場合、閉ループの直径にわたる閉ループの抵抗値は、ループが直径にわたって少なくとも20%だけ圧縮されたときに約2Ω未満のままである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの導電性表面間に電気経路を提供する導電性多層フィルムであって、
プラスチックバッキング層と、
前記プラスチックバッキング層の第1の側面上に配置された導電性層と、
前記多層フィルムの平均厚さが約100マイクロメートル未満であるように、前記プラスチックバッキング層の反対側の第2の側面上に配置された回復層であって、前記多層フィルムが巻かれて、約7mm以下の外径を有する可撓性閉ループを形成し、前記導電層が前記ループの外層を形成する場合、前記閉ループの直径にわたる前記閉ループの抵抗値が、前記ループが前記直径にわたって少なくとも20%だけ圧縮されたときに約2Ω未満のままである、回復層と、を備える、導電性多層フィルム。
【請求項2】
前記閉ループの前記直径にわたる前記閉ループの前記抵抗値が、前記ループの前記圧縮が約20%から約50%に変化したときに約50%未満だけ変化する、請求項1に記載の導電性多層フィルム。
【請求項3】
前記ループの長さに沿って前記直径にわたって加えられる約16kg/m未満の前記ループの単位長さ当たりの圧縮力が、前記直径にわたって前記ループを約80%超だけ圧縮する、請求項1に記載の導電性多層フィルム。
【請求項4】
前記閉ループが、力が初期直径にわたって前記閉ループを約50%超だけ圧縮した後に、前記初期直径の少なくとも40%を再獲得する、請求項1に記載の導電性多層フィルム。
【請求項5】
前記閉ループが、前記閉ループの前記長さに沿って前記閉ループの前記初期直径にわたって加えられる約79kg/mの前記閉ループの単位長さ当たりの圧縮力が除去された後に、前記初期直径の少なくとも40%を再獲得する、請求項1に記載の導電性多層フィルム。
【請求項6】
前記閉ループの直径にわたる前記閉ループの前記抵抗値が、前記直径にわたって前記ループが少なくとも20%だけ圧縮されたときに約1Ω未満のままである、請求項1に記載の導電性多層フィルム。
【請求項7】
前記導電性層が、銅、ニッケル、銀、アルミニウム、金、インジウムスズ酸化物(ITO)、及びスズのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の導電性多層フィルム。
【請求項8】
前記回復層が、アクリル系ポリマーを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の導電性多層フィルム。
【請求項9】
可撓性中空ループの形状に多層フィルムを巻き、前記多層フィルムの対向する第1の側面及び第2の側面の第1の部分及び第2の部分を互いに接合して可撓性中空閉ループを形成することによって形成される中空ガスケットであって、前記多層フィルムが約40マイクロメートル未満の平均厚さを有し、かつ
前記閉ループの最外層を形成する導電性層と、
前記導電層上に配置され、アクリルポリマーを含む回復層であって、それによって前記中空ガスケットが、その初期直径にわたって前記ガスケットを約50%超だけ圧縮する力が除去された後に、前記初期直径の少なくとも40%を再獲得する、回復層と、を備える、中空ガスケット。
【請求項10】
前記第1の部分及び前記第2の部分が、前記多層フィルムのそれぞれの第1の縁部及び対向する第2の縁部に隣接している、請求項9に記載の中空ガスケット。
【請求項11】
前記第1の部分が、前記多層フィルムの第1の縁部に隣接し、前記多層フィルムの対向する第2の縁部が、前記第2の部分の幅よりも大きい距離だけ前記第2の部分から離間している、請求項9に記載の中空ガスケット。
【請求項12】
可撓性中空ループの形状に多層フィルムを曲げ、前記多層フィルムの同じ側面の第1の部分及び第2の部分を互いに接合して可撓性中空閉ループを形成することによって形成される中空ガスケットであって、前記多層フィルムが約40マイクロメートル未満の平均厚さを有し、かつ
前記閉ループの最外層を形成する導電性層と、
前記導電層上に配置され、アクリルポリマーを含む回復層であって、それによって前記中空ガスケットが、その初期直径にわたって前記ガスケットを約80%超だけ圧縮する力が除去された後に、前記初期直径の少なくとも40%を再獲得する、回復層と、を備える、中空ガスケット。
【請求項13】
前記回復層が、環状側鎖アクリレート、アクリルブロックコポリマー、及び架橋剤を含む組成物の反応生成物を含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の中空ガスケット。
【請求項14】
前記アクリルポリマーが、ラジカル重合性酸、フリーラジカル重合性塩基、及び架橋剤を含む組成物の反応生成物を含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の中空ガスケット。
【請求項15】
電子デバイスであって、
第1の方向に沿って離間され、互いに面している、導電性の第1の表面及び第2の表面と、
前記第1の表面と前記第2の表面との間に配置された第1の圧縮シリンダであって、前記第1の方向に直交する長手方向の第2の方向に沿って延び、環状側鎖アクリレート、アクリルブロックコポリマー、及び架橋剤を含む組成物の反応生成物を含む電気絶縁性内部層上に配置された導電性外部層を含む、第1の圧縮シリンダと、を備え、
前記外部層が、前記第1の表面及び前記第2の表面と電気的及び物理的な接触を行うことによって、前記第1の表面と前記第2の表面との間に導電性経路を提供し、前記第1の圧縮シリンダが、前記第1の方向に沿った外寸D1、並びに前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する第3の方向に沿ったより長い外寸D3を有し、ここでD3/D1≧1.2である、電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
電子デバイスは、導電性ガスケットを使用して、対向する導電性構造体の間に電気経路を形成することができる。
【発明の概要】
【0002】
本明細書のいくつかの態様では、2つの導電性表面間に電気経路を提供する導電性多層フィルムが提供される。多層フィルムは、プラスチックバッキング層と、プラスチックバッキング層の第1の側面上に配置された導電層と、プラスチックバッキング層の反対側の第2の側面上に配置された回復層と、を含む。多層フィルムの平均厚さは、約100マイクロメートル未満である。多層フィルムが巻かれて、約7mm以下の外径を有する可撓性閉ループを形成し、導電層がループの外層を形成する場合、閉ループの直径にわたる閉ループの抵抗値は、ループが直径にわたって少なくとも20%だけ圧縮されたときに約2Ω未満のままである。
【0003】
本明細書のいくつかの態様では、可撓性中空ループの形状に多層フィルムを巻き、多層フィルムの対向する第1及び第2の側面の第1及び第2の部分を互いに接合して可撓性中空閉ループを形成することによって形成される中空ガスケットが提供される。多層フィルムは、約40マイクロメートル未満の平均厚さを有する。多層フィルムは、閉ループの最外層を形成する導電性層と、導電層上に配置され、アクリルポリマーを含む回復層と、を含む。中空ガスケットは、初期直径にわたってガスケットを約50%超だけ圧縮する力が除去された後、その初期直径の少なくとも40%を再獲得する。
【0004】
本明細書のいくつかの態様では、可撓性中空ループの形状に多層フィルムを曲げ、多層フィルムの同じ側面の第1及び第2の部分を互いに接合して可撓性中空閉ループを形成することによって形成される中空ガスケットが提供される。多層フィルムは、約40マイクロメートル未満の平均厚さを有する。多層フィルムは、閉ループの最外層を形成する導電性層と、導電層上に配置され、アクリルポリマーを含む回復層と、を含む。中空ガスケットは、初期直径にわたってガスケットを約80%超だけ圧縮する力が除去された後、その初期直径の少なくとも40%を再獲得する。
【0005】
本明細書のいくつかの態様では、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、第1の方向に沿って離間され、互いに面している導電性の第1及び第2の表面と、第1の表面と第2の表面との間に配置された第1の圧縮シリンダと、を含む。第1の圧縮シリンダは、第1の方向に直交する長手方向の第2の方向に沿って延び、環状側鎖アクリレート、アクリルブロックコポリマー、及び架橋剤を含有する組成物の反応生成物を含む電気絶縁性内部層上に配置された導電性外部層を含む。外部層は、第1及び第2の表面と電気的及び物理的な接触を行うことによって、第1の表面と第2の表面との間に導電性経路を提供する。第1の圧縮シリンダは、第1の方向に沿った外寸D1、並びに第1及び第2の方向に直交する第3の方向に沿ったより長い外寸D3を有し、ここでD3/D1≧1.2である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2A】可撓性閉ループを形成するように巻かれた多層フィルムの概略断面図である。
【
図2B】その直径にわたって圧縮された後の、
図2Aの可撓性閉ループの概略断面図である。
【
図4】多層フィルムを巻くことによって形成された中空ガスケットの概略断面図である。
【
図5】多層フィルムを巻くことによって形成された中空ガスケットの概略断面図である。
【
図6A】多層フィルムを曲げることによって形成された中空ガスケットの概略断面図である。
【
図6B】その直径にわたって圧縮された後の、
図6Aの中空ガスケットの概略断面図である。
【
図7】圧縮シリンダを含む電子デバイスの概略断面図である。
【
図8】2つの圧縮シリンダを含む電子デバイスの概略断面図である。
【
図9】例示的なガスケット及び比較例のガスケットに対する閉ループ対圧縮距離にわたる電気抵抗値のプロットである。
【
図10】いくつかの例示的なガスケットに対する閉ループ対圧縮距離にわたる電気抵抗値のプロットである。
【
図11】ガスケットを所与の圧縮距離まで圧縮する力、及び結果として生じるガスケットにわたる電気抵抗値のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が例示として示されている添付図面が参照される。図面は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。他の実施形態が想到され、本明細書の範囲又は趣旨から逸脱することなく実施されてもよい点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味で解釈されるべきでない。
【0008】
電子デバイスは、例えば、米国特許第9,119,285号(Tarkingtonら)に概ね記載されているように、導電性ガスケットを使用して、対向する導電性構造体間に電気経路を形成することができる。本明細書のいくつかの実施形態によれば、導電性ガスケットは、従来の導電性ガスケットと比較して、改善された電気的性能を提供する(例えば、低電気抵抗を提供し、圧縮されても低抵抗を維持する)層構造を有する多層フィルムから作製され、及び/又は改善された(例えば、ガスケットを圧縮する力が除去された後の回復が改善された)機械的性能を提供することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、多層フィルムは、層のうちの一方が導電性層であり、2つの層のうちの他方が回復層又は電気絶縁層のうちの少なくとも1つである、少なくとも2つの層を含む。いくつかの実施形態では、多層フィルムが閉ループを形成するように巻かれ、そのループが圧縮されると、回復層は、閉ループが少なくともその初期の非圧縮形状の実質的な部分を回復するのを助ける。回復層は、電気絶縁層であってもよく、及び/又は本明細書に記載される組成物から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、導電性層と回復層との間に配置されたプラスチックバッキング層を更に含む。いくつかの実施形態によれば、中空ガスケットを形成するために使用される多層フィルムの回復層が(例えば、本明細書の他の箇所に記載されるアクリルポリマーから回復層を形成することによって)選択されて、たとえ多層フィルムが薄い(例えば、約100マイクロメートル未満の厚さ、又は更には約40マイクロメートル未満の厚さの)場合でも、所望の(例えば、ガスケットが50%超だけ圧縮された後に、少なくとも40%又は更には少なくとも60%の)回復を提供することができることが分かった。
【0010】
図1は、導電層120及び回復層130を含む導電性多層フィルム100の概略断面図である。図示された実施形態では、多層フィルム100は、プラスチックバッキング層110を更に含む。他の実施形態では、導電性層120は、回復層130上に直接配置されてもよい。図示された実施形態では、多層フィルムは、プラスチックバッキング層110と、プラスチックバッキング層110の第1の側面112上に配置された導電性層120と、プラスチックバッキング層110の反対側の第2の側面114上に配置された回復層130と、を含む。いくつかの実施形態では、多層フィルム100は、2つの導電性表面間に電気経路を提供するのに好適である(例えば、
図6を参照)。いくつかの実施形態では、多層フィルム100の平均厚さ(例えば、フィルム厚さのフィルムの面積にわたる非加重平均)は、約100マイクロメートル未満、又は約60マイクロメートル未満、又は約50マイクロメートル未満、又は約40マイクロメートル未満である。
【0011】
本明細書に記載される任意の多層フィルム又はガスケット又はシリンダの導電性層は、金属であってもよく、金属を含んでもよく、又は酸化物(例えば、インジウムスズ酸化物)であってもよく、酸化物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、導電性層は、銅、ニッケル、銀、アルミニウム、金、インジウムスズ酸化物(ITO)、及びスズのうちの1つ以上を含む。例えば、導電性層120は、プラスチックバッキング層110の第1の側面112上にめっきされた金属層であってもよく、又はプラスチックバッキング層110の第1の側面112上に塗布された導電性コーティング(例えば、インジウムスズ酸化物コーティング)であってもよい。プラスチックバッキング層110は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)基材又はポリイミド基材などの任意の好適なプラスチック層であってもよい。回復層130は、プラスチックバッキング層110の第2の側面114上にコーティングを塗布し、次いでコーティングを硬化させることによって形成されてもよい。
【0012】
図2Aは、外径D0を有する可撓性閉ループ200を形成し、導電層120がループ200の外層を形成するように巻かれた多層フィルム100の概略断面図である。いくつかの実施形態では、外径D0は、約7mm以下、又は約5mm以下、又は約3mm以下、又は約2mm以下である。いくつかの実施形態では、外径D0は、少なくとも約0.2mm、又は少なくとも約0.5mm、又は少なくとも約1mm、又は少なくとも約2mm、又は少なくとも約3mm、又は少なくとも約4mmである。いくつかの実施形態では、外径D1は、これらの下限のいずれか1つから、下限よりも大きい上限のいずれか1つまでの範囲にある。
図2Bは、直径にわたってより小さい外径D0まで圧縮された後の可撓性閉ループ200である。D0は、少なくとも約20%((D0-D1)/D0×100%で少なくとも約20%)、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又はこれらの圧縮のうちの任意の2つの間の範囲(例えば、約20%から約50%までの範囲)だけ、D1まで(例えば、
図2Bに概略的に示されるような力Fによって)圧縮され得る。いくつかの実施形態では、多層フィルム100が巻かれて外径D0を有する可撓性閉ループ200を形成し、導電層120がループ200の外層を形成する場合、閉ループの直径にわたる閉ループ200の抵抗は、ループが直径にわたって少なくとも20%だけ圧縮されたときに約2Ω未満のままである。いくつかの実施形態では、閉ループの直径にわたる閉ループ200の抵抗は、ループが直径にわたって少なくとも20%だけ圧縮されたときに、約1Ω未満、又は約0.5Ω未満、又は約0.4Ω未満、又は約0.3Ω未満のままである。いくつかの実施形態では、閉ループの直径にわたる閉ループの抵抗値は、ループの圧縮が約20%から約50%に変化したときに約50%未満だけ変化する。
【0013】
様々な層(例えば、回復層)の厚さ及び/又は弾性率は、指定された力又は力範囲が加えられるときに所望の圧縮を提供するように選択することができる。いくつかの実施形態では、約0.4kg未満の圧縮力Fが直径にわたって加えられると、直径にわたって約80%超だけループ200を圧縮する。いくつかの実施形態では、ループの単位長さ当たり約16kg/m未満又は約15kg/m未満の圧縮力が、ループの長さに沿った直径にわたって加えられると、直径にわたって約80%超だけループを圧縮する。単位長さ当たりの圧縮力は、力F(例えば、
図2Bを参照)を長さLで割ったものである(例えば、
図3A又は
図3Bを参照)。いくつかの実施形態では、閉ループ200は、閉ループ200を初期直径にわたって、約50%超、又は約60%超、又は約60%超、又は約70%超、又は約80%超、又は約90%超だけ圧縮する力が除去された後に、その初期直径D0の少なくとも40%を再獲得する。いくつかの実施形態では、閉ループ200は、閉ループ200の初期直径にわたって加えられる約2kgの圧縮力Fが除去された後、その初期直径の少なくとも40%を再獲得する。いくつかの実施形態では、閉ループ200は、閉ループ200の長さに沿って閉ループ200の初期直径にわたって加えられる約79kg/m、又は約80kg/mの閉ループ200の単位長さ当たりの圧縮力が除去された後に、その初期直径の少なくとも40%を再獲得する。いくつかの実施形態では、閉ループ200は、力F又は単位長さ当たりの力が除去された後に、その初期直径D0の少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%を再獲得する。
【0014】
いくつかの実施形態では、多層フィルム100が、約85℃の温度及び約85%の相対湿度で最初に約50時間超だけエージングされ、次いで、多層フィルム100が、約7mm以下の外径D0を有する可撓性閉ループ200を形成するように巻かれ、導電性層がループ200の外層を形成する場合、閉ループ200は、初期直径にわたって閉ループ200を約50%超だけ圧縮する力Fが除去された後に、その初期直径D0の少なくとも40%を再獲得する。いくつかの実施形態では、閉ループは、初期直径にわたって、約60%超、又は約60%超、又は約70%超、又は約80%超、又は約90%超だけ圧縮される。いくつかの実施形態では、閉ループは、力Fが除去された後に、その初期直径D0の少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%を再獲得する。
【0015】
いくつかの実施形態では、中空ガスケット250は、多層フィルム(例えば、多層フィルム100又は他の箇所に記載される他の多層フィルム)を可撓性中空ループ200の形状に巻き、多層フィルムの対向する第1及び第2の側面(例えば、多層フィルム100の側面102及び104)の第1の部分253及び第2の部分251を互いに接合して可撓性中空閉ループ200を形成することによって形成される。第1の部分253及び第2の部分251は、導電性接着剤であり得る接着剤255を介して互いに接合されてもよい。他の実施形態では、中空ガスケット(例えば、
図6Aを参照)は、多層フィルムを可撓性中空ループの形状に曲げ、多層フィルムの同じ側面の第1及び第2の部分(例えば、多層フィルム100の側面104)を互いに接合して可撓性中空閉ループを形成することによって形成される。
図2A~
図2Bに概略的に例示される実施形態では、ガスケット250は、多層フィルム100を使用して形成される。いくつかの実施形態では、中空ガスケット250は、約40マイクロメートル未満の平均厚さを有し、閉ループの最外層を形成する導電性層と、導電層上に配置され、アクリルポリマーを含む回復層とを含む、多層フィルムを使用して形成される。いくつかの実施形態では、回復層は、導電層上に間接的に配置され、プラスチック層は、回復層と導電層との間に配置される。いくつかの実施形態では、中空ガスケット250は、ガスケット250を初期直径D0にわたって約50%(又は本明細書の他の箇所で説明されている他の圧縮パーセンテージ)超だけ圧縮する力が除去された後に、その初期直径D0の少なくとも40%(又は本明細書の他の箇所に記載される他の回復パーセンテージ)を再獲得する。
【0016】
図3A~
図3Bは、中空ガスケット350a及び350bの概略上面図であり、これらのいずれかはそれぞれ、中空ガスケット250又は本明細書の他の箇所で説明される他の中空ガスケットに対応し得る。中空ガスケットは、長さL及び(例えば、初期直径D0に対応する)直径Dを有する。長さL及び直径Dは、所与の用途に所望されるように選択されてもよい。中空ガスケット350aの場合、L/D<1であり、中空ガスケット350bの場合、L/D>1である。いくつかの実施形態では、L/Dは、約0.5超、又は約1超、又は約2超である。いくつかのそのような実施形態又は他の実施形態では、L/Dは約20未満、又は約10未満である。
【0017】
図4は、多層フィルム(例えば、多層フィルム100又は他の箇所に記載される他の多層フィルム)を可撓性中空ループ400の形状に巻き、多層フィルムの対向する第1及び第2の側面(例えば、多層フィルム100の側面102及び104)の第1の部分453及び第2の部分451を互いに接合して可撓性中空閉ループ400を形成することによって形成される、中空ガスケット450の概略断面図である。第1の部分453及び第2の部分451は、導電性接着剤であり得る接着剤455を介して互いに接合されてもよく、図示された実施形態では、中空ガスケット450を第1の導電性表面(例えば、電子デバイス内の電極の表面)に接合して電気的に接続するための導電性接着剤457が含まれる。ループ400の上部は、多層フィルムが2つの導電性表面間に電気経路を提供するように、第2の導電性表面に接触してもよい。第1の部分453及び第2の部分451は、多層フィルムのそれぞれの第1の縁部463及び第2の縁部461に隣接している。
【0018】
図5は、多層フィルム(例えば、多層フィルム100又は他の箇所に記載される他の多層フィルム)を可撓性中空ループ500の形状に巻き、多層フィルムの対向する第1及び第2の側面(例えば、多層フィルム100の側面102及び104)の第1の部分553及び第2の部分551を互いに接合して可撓性中空閉ループ500を形成することによって形成される、中空ガスケット550の概略断面図である。第1の部分553及び第2の部分551は、導電性接着剤であり得る接着剤555を介して互いに結合されてもよい。第1の部分553は、多層フィルムの第1の縁部563に隣接し、多層フィルムの反対側の第2の縁部561は、第2の部分551の幅Wよりも大きい距離dだけ第2の部分551から離間している。接着剤557は、中空ガスケットを基材に接合するために、第2の縁部561に隣接して含まれる。いくつかの実施形態では、中空ループは、導電性の第1及び第2の表面を電気的に接続するために使用され、接着剤557は、中空ループを、第1及び第2の表面の少なくとも1つに隣接する電気絶縁性基材に接合する。いくつかの実施形態では、接着剤557は、電気的に絶縁性である。
【0019】
図6Aは、多層フィルム(例えば、多層フィルム100又は他の箇所に記載される他の多層フィルム)を可撓性中空ループ600の形状に曲げ、多層フィルムの(多層フィルム100の側面104に対応する)同じ側面604の第1の部分653及び第2の部分651を互いに接合して可撓性中空閉ループ600を形成することによって形成される、中空ガスケット650の概略断面図である。本明細書の他の箇所で更に説明されるように、いくつかの実施形態では、多層フィルムは、約40マイクロメートル未満の平均厚さを有し、閉ループ600の最外層を形成する導電性層と、導電層上に配置され、アクリルポリマーを含む回復層と、を含む。第1の部分653及び第2の部分651は、接着剤655を介して互いに接合されてもよい。図示された実施形態では、第1の部分653及び第2の部分651は、多層フィルムの隣接する縁部である。他の実施形態では、第1の部分653及び第2の部分651のうちの1つは、多層フィルムの縁部から離間して、長さdを有するフィルムセグメントを提供し得る(
図5を参照)。いくつかの実施形態では、中空ガスケット650を導電性表面に接合するための導電性接着剤層657が含まれる。
図6Bは、その初期直径D0にわたって圧縮直径D1まで圧縮された後の中空ガスケット650の概略断面図である。いくつかのそのような実施形態では、中空ガスケット650は、初期直径D0にわたってガスケットを約80%(例えば、約85%)超だけ圧縮する力が除去された後に、その初期直径D0の少なくとも40%(いくつかの実施形態では、少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも75%)を再獲得する。
【0020】
図7は、第1の方向(z方向)に沿って離間され、互いに面している導電性の第1の表面10及び第2表面20を含む、電子デバイス1000の概略断面図である。電子デバイス1000は、第1の表面10と第2の表面20との間に配置された第1の圧縮シリンダ30を更に含む。第1の圧縮シリンダ30(例えばガスケット350a又は350bに対応し得る)は、第1の方向(z方向)に直交する長手方向の第2の方向(y方向)に沿って延び、電気絶縁性内部層32上に配置された導電性外部層31を含む。第1の圧縮シリンダ30は、本明細書の他の箇所に記載される任意の中空ガスケットに対応してもよく、及び/又は本明細書の他の箇所に記載される任意の多層フィルムから形成されてもよい。例えば、シリンダ30は、多層フィルムを巻いてシリンダを形成することによって形成されてもよく、本明細書の他の箇所で更に説明されるような重複部分を含んでもよい。導電性外部層31は、金属層を含んでもよく、例えば、金属層を表面に電気的に接続するために、第1の表面10及び第2の表面20のうちの少なくとも1つに近接する導電性接着剤を更に含んでもよい。電気絶縁性内部層32は、本明細書の他の箇所に記載される回復層であってもよい。プラスチック層37が、外部層31と内部層32との間に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、電気絶縁性内部層32は、環状側鎖アクリレート、アクリルブロックコポリマー、及び架橋剤を含む組成物の反応生成物から形成される。内部層32は、本明細書の他の箇所に記載される任意の回復層であってもよい。いくつかの実施形態では、外部層31は、第1の表面10及び第2の表面20と電気的及び物理的な接触を行うことによって、第1の表面10と第2の表面20との間に導電性経路を提供する。いくつかの実施形態では、第1の圧縮シリンダは、第1の方向に沿った外寸D1と、第1及び第2の方向に直交する第3の方向(x方向)に沿ったより長い外寸D3と、を有する。いくつかの実施形態では、D3/D1≧1.2、又はD3/D1≧1.5、又はD3/D1≧2である。
【0021】
いくつかの実施形態では、電子デバイス1000は、第2の圧縮シリンダを更に含む。これは、第2の圧縮シリンダ33が第1の表面10と第2の表面20との間にあることを除いて、電子デバイス1000に対応する電子デバイス2000の概略断面図である
図8に概略的に示されている。第2の圧縮シリンダは、第1の圧縮シリンダについて説明したとおりであり得る。追加の圧縮シリンダがまた、含まれてもよい。
【0022】
本明細書に記載の任意の多層フィルム又はガスケットの回復層は、アクリルポリマーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アクリルポリマーは、アクリルブロックコポリマーであるか、又はアクリルブロックコポリマーを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、アクリルポリマーは、少なくとも2つの異なるアクリルブロックコポリマーのブレンドであるか、又はそれを含む。2つの異なるアクリルブロックコポリマーは、異なるヤング率及び/又は異なるガラス遷移温度を有してもよく、そのブレンドは、回復層の弾性特性(例えば、ヤング率)を調整するように選択されてもよい。好適なアクリルブロックコポリマーとしては、Kuraray(Tokyo,Japan)から商品名KURARITYで入手可能なものが挙げられる。
【0024】
いくつかの実施形態では、アクリルポリマーは、環状側鎖アクリレート、アクリルブロックコポリマー、及び架橋剤を含む組成物の反応生成物であるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、環状側鎖アクリレートは、例えば、回復層の弾性特性(例えば、ヤング率)を調整するために含まれる。環状側鎖アクリレートは、例えば、イソボルニルアクリレートであってもよく、又はこれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、アクリルブロックコポリマー及び環状側鎖アクリレートは、約1:4~約1:0.1の範囲の重量比で組成物中に含まれる。
【0025】
いくつかの実施形態では、アクリルポリマーは、ラジカル重合性酸、フリーラジカル重合性塩基、及び架橋剤を含む組成物の反応生成物であるか、又はそれを含む。酸と塩基剤との間の水素結合により、所望の弾性率及び回復率を有する層を得ることができる。いくつかの実施形態では、酸対塩基の比は、所望の弾性特性(例えば、ヤング率)を生成するように調整される。いくつかの実施形態では、酸の塩基に対する重量比は、約1:1~約2:1の範囲である。いくつかの実施形態では、酸はルイス酸であり、塩基はルイス塩基である。いくつかの実施形態では、ラジカル重合性酸は、アクリル酸及びエチルアクリレート又はメタクリレートのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、ラジカル重合性塩基は、メチルメタクリレート及び2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、アクリル酸、メチルメタクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、架橋剤、及びエチルアクリレート又はメチルアクリレートのうちの少なくとも1つを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、アクリルポリマーを作製するために使用される組成物中で使用される硬化剤は、多官能性アミド又はイソシアネートのうちの少なくとも1つを含む。多官能性アミドは、例えば、ビスアミド(例えば、芳香族ビスアミド)又はトリアミドであってもよい。イソシアネートは、例えば芳香族ポリイソシアネートであってもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、アクリルポリマーを作製するために使用される組成物は、オルガノシランを更に含む。オルガノシランは、導電性層の反対側の回復層の主表面に移動する傾向があり得、これは、中空ガスケットの内面、例えば、それ自体への固着を防止するために使用され得る。
【0028】
以下は、例示的な実施形態のリストである。
第1の実施形態では、2つの導電性表面間に電気経路を提供する導電性多層フィルムは、
プラスチックバッキング層と、
プラスチックバッキング層の第1の側面上に配置された導電性層と、
多層フィルムの平均厚さが約100マイクロメートル未満であるように、プラスチックバッキング層の反対側の第2の側面上に配置された回復層であって、多層フィルムが巻かれて、約7mm以下の外径を有する可撓性閉ループを形成し、導電層がループの外層を形成する場合、閉ループの直径にわたる閉ループの抵抗値が、ループが直径にわたって少なくとも20%だけ圧縮されたときに約2Ω未満のままである、回復層と、を備える。
【0029】
第2の実施形態は、閉ループの直径にわたる閉ループの抵抗値が、ループの圧縮が約20%から約50%に変化したときに約50%未満だけ変化する、第1の実施形態の導電性多層フィルムである。
【0030】
第3の実施形態は、ループの長さに沿って直径にわたって加えられる約16kg/m未満のループの単位長さ当たりの圧縮力が、直径にわたってループを約80%超だけ圧縮する、第1又は第2の実施形態の導電性多層フィルムである。
【0031】
第4の実施形態は、閉ループが、力が初期直径にわたって閉ループを約50%超だけ圧縮した後に、その初期直径の少なくとも40%を再獲得する、第1~第3の実施形態のいずれかの導電性多層フィルムである。
【0032】
第5の実施形態は、閉ループが、閉ループの長さに沿って閉ループの初期直径にわたって加えられる約79kg/mの閉ループの単位長さ当たりの圧縮力が除去された後に、その初期直径の少なくとも40%を再獲得する、第1~第4の実施形態のいずれかの導電性多層フィルムである。
【0033】
第6の実施形態は、閉ループの直径にわたる閉ループの抵抗値が、ループが直径にわたって少なくとも20%だけ圧縮されたときに約1Ω未満のままである、第1~第5の実施形態のいずれかの導電性多層フィルムである。
【0034】
第7の実施形態は、導電性層が、銅、ニッケル、銀、アルミニウム、金、インジウムスズ酸化物(ITO)、及びスズのうちの1つ以上を含む、第1~第6の実施形態のいずれかの導電性多層フィルムである。
【0035】
第8の実施形態は、回復層がアクリルポリマーを含む、第1~第7の実施形態のいずれかの導電性多層フィルムである。
【0036】
第9の実施形態では、可撓性中空ループの形状に多層フィルムを巻き、多層フィルムの対向する第1及び第2の側面の第1及び第2の部分を互いに接合して可撓性中空閉ループを形成することによって形成される、中空ガスケットが提供される。多層フィルムは、約40マイクロメートル未満の平均厚さを有し、かつ
閉ループの最外層を形成する導電性層と、
導電層上に配置され、アクリルポリマーを含む回復層であって、それによって中空ガスケットが、初期直径にわたってガスケットを約50%超だけ圧縮する力が除去された後に、その初期直径の少なくとも40%を再獲得する、回復層と、を備える。
【0037】
第10の実施形態は、第1及び第2の部分が、多層フィルムのそれぞれの第1及び第2の対向する縁部に隣接している、第9の実施形態の中空ガスケットである。
【0038】
第11の実施形態は、第1の部分が多層フィルムの第1の縁部に隣接し、多層フィルムの対向する第2の縁部が、第2の部分の幅よりも大きい距離だけ第2の部分から離間している、第9又は第10の実施形態の中空ガスケットである。
【0039】
第12の実施形態では、可撓性中空ループの形状に多層フィルムを曲げ、多層フィルムの同じ側面の第1及び第2の部分を互いに接合して可撓性中空閉ループを形成することによって形成される、中空ガスケットが提供される。多層フィルムは、約40マイクロメートル未満の平均厚さを有し、かつ
閉ループの最外層を形成する導電性層と、
導電層上に配置され、アクリルポリマーを含む回復層であって、それによって中空ガスケットが、初期直径にわたってガスケットを約80%超だけ圧縮する力が除去された後に、その初期直径の少なくとも40%を再獲得する、回復層と、を備える。
【0040】
第13の実施形態は、回復層が、環状側鎖アクリレートと、アクリルブロックコポリマーと、架橋剤と、を含む組成物の反応生成物を含む、第9~第12の実施形態のいずれかの中空ガスケット、又は第1~第8の実施形態のいずれかの導電性多層フィルムである。
【0041】
第14の実施形態は、アクリル系ポリマーが、ラジカル重合性酸、フリーラジカル重合性塩基、及び架橋剤を含む組成物の反応生成物を含む、第9~第12の実施形態のいずれか1つの中空ガスケット、又は第8の実施形態の導電性多層フィルムである。
【0042】
第15の実施形態では、電子デバイスは、
第1の方向に沿って離間され、互いに面している、導電性の第1及び第2の表面と、
第1の表面と第2の表面との間に配置された第1の圧縮シリンダであって、第1の方向に直交する長手方向の第2の方向に沿って延び、環状側鎖アクリレート、アクリルブロックコポリマー、及び架橋剤を含む組成物の反応生成物を含む電気絶縁性内部層上に配置された導電性外部層を含む、第1の圧縮シリンダと、を備え、
外部層は、第1及び第2の表面と電気的及び物理的な接触を行うことによって、第1の表面と第2の表面との間に導電性経路を提供し、第1の圧縮シリンダは、第1の方向に沿った外寸D1、並びに第1及び第2の方向に直交する第3の方向に沿ったより長い外寸D3を有し、ここでD3/D1≧1.2である。
【実施例0043】
材料
【0044】
【0045】
回復層用の組成物の調製
回復層組成物に使用される接着剤組成物を以下のように調製した。接着剤1は、94重量部のEAと6重量部のAAとの混合物であり、接着剤2は、94重量部のMAAと6重量部のDMAEMAとの混合物であり、接着剤3は、94重量部のMAと6重量部のAAとの混合物であった。
【0046】
回復層組成物を以下のように調製した。
回復層組成物Aは、HTGO、LA2250、RD1054、IPA、及びDMBの混合物であった。LA2250対HTGOの重量比は、約1:1であった。乾燥させるために、RD1054が0.1乾燥重量%で含まれた。
【0047】
回復層組成物Bは、接着剤1、接着剤2、RD1054、及びIPAの混合物であった。接着剤1の接着剤2に対する重量比は、約1:1であった。乾燥させるために、RD1054が0.1乾燥重量%で含まれた。
【0048】
回復層組成物Cは、接着剤3、接着剤2、RD1054、及びIPAの混合物であった。接着剤3の接着剤2に対する重量比は、1:1であった。乾燥させるために、RD1054が0.1乾燥重量%で含まれた。
【0049】
回復層組成物Dは、LA2250、LA4285、IPA、及びDMBの混合物であった。LA2250のLA4285に対する重量比は、1:1であった。
【0050】
回復層組成物Eは、HTGO、LA2250、Tago、RD1054、IPA、及びDMBの混合物であった。LA2250のHTGOに対する重量比は、約1:1であった。乾燥させるために、RD1054が0.1乾燥重量%で含まれた。少量(<0.1重量%)のTagoもまた、含まれた。
【0051】
図1に示されるものと同様の多層フィルムは、ニッケル/銅/ニッケル層をPET基材上にスパッタリングすることによって作製された。総金属厚さは、約1~3マイクロメートルであった。次いで、回復層組成物をPET基材上にコーティングし、硬化させて回復層を形成した。
【0052】
図2Aに示されるものと同様の中空ループガスケットは、多層フィルムをループ形状に巻き、多層フィルムの端部を一緒に接合して閉ループを形成することによって形成された。ループの外径(例えば、
図2Aに示されるD0)は、約5.2mmであった。ガスケットの長さ(例えば、
図3A~
図3Bに示される長さL)は、約25.4mmであった。
【0053】
MAX-1KN-S-2 FDRメータを使用して、様々なサンプルについて力変位抵抗(FDR)測定曲線を判定した。ループを0.2mmまで押圧するのに必要な力を、様々なサンプルについて判定した。力がループを0.2mmまで約1分の持続時間押圧し、次いで力が除去された後に、回復した初期直径のパーセントを判定した。2kgの力が約1分の持続時間加えられ、次いで力が除去された後に、回復した初期直径のパーセントを判定した。結果を以下の表に提供する。
【0054】
【0055】
様々なサンプルの閉ループにわたる電気抵抗値を、様々な圧縮距離(
図2A~
図2Bを参照してD0~D1)について測定した。
図9は、実施例2及び比較例C3の抵抗、対圧縮距離のプロットである。
図10は、実施例1~4の抵抗、対圧縮距離のプロットである。
【0056】
追加の多層フィルムサンプルを作製し、約85℃の温度及び約85%の相対湿度で最初に約3日間エージングした。次いで、多層フィルムを巻いて約5.4mmの外径D0を有する可撓性閉ループを形成し、導電層がループの外層を形成した。次いで、0.2mmまで1分間圧縮した後の回復率、及び2kgの力で1分間圧縮した後の回復率を判定した。結果は、以下の表に報告されている。総バッキング厚さは、基材(プラスチックバッキング層)及び回復層の総厚さである。
【0057】
【0058】
追加のサンプルを上述のように、しかし異なるバッキング厚さで作製した。基材はPETであった。次いで、0.6mmまで1分間圧縮した後の回復率、及び2kgの力で1分間圧縮した後の回復率を判定した。結果は、以下の表に報告されている。
【0059】
【0060】
多層フィルムサンプルは、約1.8mmの外径を有し、所与の圧縮距離にガスケットを圧縮する力で中空ガスケット内に(例えば、
図2Aに概略的に図示されているように)形成され、所与の圧縮距離においてループにわたって結果として得られた抵抗値が判定されて、これが
図11に示されている。フィルムサンプルには、総バッキング厚さ(PETプラス回復層)が24マイクロメートルとなるように、回復層製法Bでコーティングされた12マイクロメートル厚さのPETを含んでいた。ループを0.2mmまで押圧する力は0.32kgであり、ループを0.2mmまで1分間押圧した後の回復率は71.0%であり、2kgで1分間ループを押圧した後の回復率は55.2%であった。
【0061】
上述のように、追加の多層フィルムサンプルが作製された。
図6Aに示されるものと同様の中空ループガスケットは、多層フィルムサンプルをループ形状に曲げ、多層フィルムの端部を一緒に接合して閉ループを形成することによって形成された。12μmの厚さを有するPET基材及び回復層製法Bが使用された。85%を1分間圧縮し、回復のために1分間経過した後の回復率を判定した。2kgで1分間圧縮し、回復のために2分間経過した後の回復率を判定した。0.8mmまで圧縮する力、2kgでの圧縮後の直径、及び85%を圧縮した後の抵抗値を判定した。結果は、以下の表に報告されている。
【0062】
【0063】
「約(about)」などの用語は、これらが本明細書で使用及び説明されている文脈において、当業者によって理解されよう。特徴部のサイズ、量、及び物理的特性を表す数量に適用される際の「約」の使用が、これが本明細書で使用及び説明されている文脈において、当業者にとって明確ではない場合、「約」は、指定の値の10パーセント以内を意味すると理解されよう。約指定の値として与えられている数量は、正確に指定の値であり得る。例えば、それが本明細書で使用及び説明されている文脈において、当業者にとって明確ではない場合、約1の値を有する数量は、当該数量が0.9~1.1の値を有することを意味し、当該値が1であり得ることを意味する。
【0064】
上記で参照された全ての参照文献、特許、及び特許出願は、それらの全体が参照により本明細書に一貫して組み込まれている。組み込まれている参照文献の部分と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の説明における情報が優先される。
【0065】
図中の要素に関する説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されると理解されたい。特定の実施形態が本明細書において例示及び説明されているが、例示及び説明されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様及び/又は均等の実施態様によって置き換えられ得る点が、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のいずれの適応例又は変形例も包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
図中の要素に関する説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されると理解されたい。特定の実施形態が本明細書において例示及び説明されているが、例示及び説明されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様及び/又は均等の実施態様によって置き換えられ得る点が、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のいずれの適応例又は変形例も包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
なお、各実施形態に加えて以下の態様について付記する。
(付記1)
2つの導電性表面間に電気経路を提供する導電性多層フィルムであって、
プラスチックバッキング層と、
前記プラスチックバッキング層の第1の側面上に配置された導電性層と、
前記多層フィルムの平均厚さが約100マイクロメートル未満であるように、前記プラスチックバッキング層の反対側の第2の側面上に配置された回復層であって、前記多層フィルムが巻かれて、約7mm以下の外径を有する可撓性閉ループを形成し、前記導電層が前記ループの外層を形成する場合、前記閉ループの直径にわたる前記閉ループの抵抗値が、前記ループが前記直径にわたって少なくとも20%だけ圧縮されたときに約2Ω未満のままである、回復層と、を備える、導電性多層フィルム。
(付記2)
前記閉ループの前記直径にわたる前記閉ループの前記抵抗値が、前記ループの前記圧縮が約20%から約50%に変化したときに約50%未満だけ変化する、付記1に記載の導電性多層フィルム。
(付記3)
前記ループの長さに沿って前記直径にわたって加えられる約16kg/m未満の前記ループの単位長さ当たりの圧縮力が、前記直径にわたって前記ループを約80%超だけ圧縮する、付記1に記載の導電性多層フィルム。
(付記4)
前記閉ループが、力が初期直径にわたって前記閉ループを約50%超だけ圧縮した後に、前記初期直径の少なくとも40%を再獲得する、付記1に記載の導電性多層フィルム。
(付記5)
前記閉ループが、前記閉ループの前記長さに沿って前記閉ループの前記初期直径にわたって加えられる約79kg/mの前記閉ループの単位長さ当たりの圧縮力が除去された後に、前記初期直径の少なくとも40%を再獲得する、付記1に記載の導電性多層フィルム。
(付記6)
前記閉ループの直径にわたる前記閉ループの前記抵抗値が、前記直径にわたって前記ループが少なくとも20%だけ圧縮されたときに約1Ω未満のままである、付記1に記載の導電性多層フィルム。
(付記7)
前記導電性層が、銅、ニッケル、銀、アルミニウム、金、インジウムスズ酸化物(ITO)、及びスズのうちの1つ以上を含む、付記1に記載の導電性多層フィルム。
(付記8)
前記回復層が、アクリル系ポリマーを含む、付記1~7のいずれか一項に記載の導電性多層フィルム。
(付記9)
可撓性中空ループの形状に多層フィルムを巻き、前記多層フィルムの対向する第1の側面及び第2の側面の第1の部分及び第2の部分を互いに接合して可撓性中空閉ループを形成することによって形成される中空ガスケットであって、前記多層フィルムが約40マイクロメートル未満の平均厚さを有し、かつ
前記閉ループの最外層を形成する導電性層と、
前記導電層上に配置され、アクリルポリマーを含む回復層であって、それによって前記中空ガスケットが、その初期直径にわたって前記ガスケットを約50%超だけ圧縮する力が除去された後に、前記初期直径の少なくとも40%を再獲得する、回復層と、を備える、中空ガスケット。
(付記10)
前記第1の部分及び前記第2の部分が、前記多層フィルムのそれぞれの第1の縁部及び対向する第2の縁部に隣接している、付記9に記載の中空ガスケット。
(付記11)
前記第1の部分が、前記多層フィルムの第1の縁部に隣接し、前記多層フィルムの対向する第2の縁部が、前記第2の部分の幅よりも大きい距離だけ前記第2の部分から離間している、付記9に記載の中空ガスケット。
(付記12)
可撓性中空ループの形状に多層フィルムを曲げ、前記多層フィルムの同じ側面の第1の部分及び第2の部分を互いに接合して可撓性中空閉ループを形成することによって形成される中空ガスケットであって、前記多層フィルムが約40マイクロメートル未満の平均厚さを有し、かつ
前記閉ループの最外層を形成する導電性層と、
前記導電層上に配置され、アクリルポリマーを含む回復層であって、それによって前記中空ガスケットが、その初期直径にわたって前記ガスケットを約80%超だけ圧縮する力が除去された後に、前記初期直径の少なくとも40%を再獲得する、回復層と、を備える、中空ガスケット。
(付記13)
前記回復層が、環状側鎖アクリレート、アクリルブロックコポリマー、及び架橋剤を含む組成物の反応生成物を含む、付記9~12のいずれか一項に記載の中空ガスケット。
(付記14)
前記アクリルポリマーが、ラジカル重合性酸、フリーラジカル重合性塩基、及び架橋剤を含む組成物の反応生成物を含む、付記9~12のいずれか一項に記載の中空ガスケット。
(付記15)
電子デバイスであって、
第1の方向に沿って離間され、互いに面している、導電性の第1の表面及び第2の表面と、
前記第1の表面と前記第2の表面との間に配置された第1の圧縮シリンダであって、前記第1の方向に直交する長手方向の第2の方向に沿って延び、環状側鎖アクリレート、アクリルブロックコポリマー、及び架橋剤を含む組成物の反応生成物を含む電気絶縁性内部層上に配置された導電性外部層を含む、第1の圧縮シリンダと、を備え、
前記外部層が、前記第1の表面及び前記第2の表面と電気的及び物理的な接触を行うことによって、前記第1の表面と前記第2の表面との間に導電性経路を提供し、前記第1の圧縮シリンダが、前記第1の方向に沿った外寸D1、並びに前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する第3の方向に沿ったより長い外寸D3を有し、ここでD3/D1≧1.2である、電子デバイス。