(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099767
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法及び制御システム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20240718BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/20 Q
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024073095
(22)【出願日】2024-04-26
(62)【分割の表示】P 2023502003の分割
【原出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】吉本 達也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕志
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB04
2D003BA02
2D003CA00
2D003DA00
2D003DB05
2D003DC08
2D003FA02
2D015HA03
2D015HB05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】対象物を掘削しやすい状態にすることによって作業効率の向上を図ること。
【解決手段】対象物を掘削しやすい形状に形成するために対象物をどこへ移動すればよいかを特定して指示するために、制御方法は、堆積した対象物の堆積状況に関する情報を取得する取得工程と、取得した堆積状況に関する情報を参照して、掘削対象領域における、対象物の移動先を特定する特定工程と、移動先に対象物を移動するよう掘削機に指示する指示工程とを含む制御方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆積した対象物の堆積状況に関する情報を取得する取得工程と、
前記堆積状況に応じた移動先であって、掘削対象領域における前記対象物の移動先を特定する特定工程と、
前記移動先に前記対象物を移動するよう掘削機に指示する指示工程と、
前記堆積状況に関する情報を参照して、前記掘削機の自己位置を基準に前記掘削機のバケットが通過しうる範囲における前記対象物の掘削容易性を評価する評価工程と、を含み、
前記特定工程では、前記掘削容易性を参照して、前記移動先を特定する、
制御方法。
【請求項2】
前記堆積状況に関する情報は、前記対象物の高さと、前記対象物の高さの勾配に関する情報とを含み、
前記評価工程では、前記掘削容易性を、前記対象物の高さと、前記対象物の高さの勾配とを参照して評価する、
請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記評価工程では、前記掘削容易性を、掘削範囲の高さの平均勾配に関する評価値と、前記掘削範囲の遠位置の平均高さ及び前記掘削対象領域の平均高さに関する評価値と、を参照して評価する、
請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記特定工程では、複数の移動先候補のうち、前記評価工程での掘削容易性の評価結果が相対的に低い移動先候補を前記移動先として特定する、
請求項1から3の何れか1項に記載の制御方法。
【請求項5】
前記対象物の移動先は、前記掘削対象領域内の前記対象物の高さが他の位置よりも低い位置である、
請求項1から4の何れか1項に記載の制御方法。
【請求項6】
前記掘削対象領域は、前記対象物が堆積した領域のうち、掘削が可能な領域である、
請求項1から5の何れか1項に記載の制御方法。
【請求項7】
堆積した対象物の堆積状況に関する情報を取得する取得手段と、
前記堆積状況に応じた移動先であって、掘削対象領域における前記対象物の移動先を特定する特定手段と、
前記移動先に前記対象物を移動するよう掘削機に指示する指示手段と、
前記堆積状況に関する情報を参照して、前記掘削機の自己位置を基準に前記掘削機のバケットが通過しうる範囲における前記対象物の掘削容易性を評価する評価手段と、を備え、
前記特定手段は、前記掘削容易性を参照して、前記移動先を特定する、
制御装置。
【請求項8】
前記堆積状況に関する情報は、前記対象物の高さと、前記対象物の高さの勾配に関する情報とを含み、
前記評価手段は、前記掘削容易性を、前記対象物の高さと、前記対象物の高さの勾配とを参照して評価する、
請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記評価手段は、前記掘削容易性を、掘削範囲の高さの平均勾配に関する評価値と、前記掘削範囲の遠位置の平均高さ及び前記掘削対象領域の平均高さに関する評価値と、を参照して評価する、
請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記特定手段は、複数の移動先候補のうち、前記評価手段の掘削容易性の評価結果が相対的に低い移動先候補を前記移動先として特定する、
請求項7から9のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記対象物の移動先は、前記掘削対象領域内の前記対象物の高さが他の位置よりも低い位置である、
請求項7から10の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記掘削対象領域は、前記対象物が堆積した領域のうち、掘削が可能な領域である、
請求項7から11の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項13】
堆積した対象物の堆積状況に関する情報を取得する取得手段と、
前記堆積状況に応じた移動先であって、掘削対象領域における前記対象物の移動先を特定する特定手段と、
前記移動先に前記対象物を移動するよう掘削機に指示する指示手段と、
前記堆積状況に関する情報を参照して、前記掘削機の自己位置を基準に前記掘削機のバケットが通過しうる範囲における前記対象物の掘削容易性を評価する評価手段と、を備え、
前記特定手段は、前記掘削容易性を参照して、前記移動先を特定する、
制御システム。
【請求項14】
前記堆積状況に関する情報は、前記対象物の高さと、前記対象物の高さの勾配に関する情報とを含み、
前記評価手段は、前記掘削容易性を、前記対象物の高さと、前記対象物の高さの勾配とを参照して評価する、
請求項13に記載の制御システム。
【請求項15】
前記評価手段は、前記掘削容易性を、掘削範囲の高さの平均勾配に関する評価値と、前記掘削範囲の遠位置の平均高さ及び前記掘削対象領域の平均高さに関する評価値と、を参照して評価する、
請求項14に記載の制御システム。
【請求項16】
前記特定手段は、複数の移動先候補のうち、前記評価手段の掘削容易性の評価結果が相対的に低い移動先候補を前記移動先として特定する、
請求項13から15の何れか1項に記載の制御システム。
【請求項17】
前記対象物の移動先は、前記掘削対象領域内の前記対象物の高さが他の位置よりも低い位置である、
請求項13から16の何れか1項に記載の制御システム。
【請求項18】
前記堆積状況に関する情報を測定するセンサをさらに含む、
請求項13から17のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項19】
前記掘削対象領域は、前記対象物が堆積した領域のうち、掘削が可能な領域である、
請求項13から18の何れか1項に記載の制御システム。
【請求項20】
コンピュータを、堆積した対象物の堆積状況に関する情報を取得する取得手段と、前記堆積状況に応じた移動先であって、掘削対象領域における前記対象物の移動先を、前記対象物の掘削容易性を参照して特定する特定手段と、前記移動先に前記対象物を移動するよう掘削機に指示する指示手段と、前記堆積状況に関する情報を参照して、前記掘削機の自己位置を基準に前記掘削機のバケットが通過しうる範囲における前記対象物の前記掘削容易性を評価する評価手段と、として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法及び制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
少子高齢化による労働者人口の減少や労働力不足による作業負荷の増大への対応として、ロボットの活用が注目されている。例えば、建設業では、省人化による生産性の向上が急務となっており、建設機械を用いた作業の自動化に大きな期待が寄せられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の地点のそれぞれについて平滑化された高さから平滑化された現況地形を決定し、その現況地形に基づいて決定された仮想設計地形に沿って作業機を移動させる制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業の現場において、作業機械を用いた掘削作業を行う場合、掘削対象物を掘削しやすい状態にしたうえで掘削することができれば、作業効率の向上を図ることができるが、そのような制御技術は知られていなかった。
【0006】
例えば、特許文献1に記載された技術は、仮想設計地形に沿って作業機を移動させることはできるが、対象物を掘削しやすい状態にすることを目的とするものではない。
【0007】
本発明の一態様は、対象物を掘削しやすい状態にすることによって作業効率の向上を図ることのできる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る制御装置は、堆積した対象物の堆積状況に関する情報を取得する取得手段と、前記堆積状況に応じた移動先であって、掘削対象領域における前記対象物の移動先を特定する特定手段と、前記移動先に前記対象物を移動するよう掘削機に指示する指示手段と、前記堆積状況に関する情報を参照して、前記掘削機の自己位置を基準に前記掘削機のバケットが通過しうる範囲における前記対象物の掘削容易性を評価する評価手段と、を備え、前記特定手段は、前記掘削容易性を参照して、前記移動先を特定する。
【0009】
本発明の一側面に係る制御方法は、堆積した対象物の堆積状況に関する情報を取得する取得工程と、前記堆積状況に応じた移動先であって、掘削対象領域における前記対象物の移動先を特定する特定工程と、前記移動先に前記対象物を移動するよう掘削機に指示する指示工程と、前記堆積状況に関する情報を参照して、前記掘削機の自己位置を基準に前記掘削機のバケットが通過しうる範囲における前記対象物の掘削容易性を評価する評価工程と、を含み、前記特定工程では、前記掘削容易性を参照して、前記移動先を特定する。
【0010】
本発明の一側面に係る制御システムは、堆積した対象物の堆積状況に関する情報を取得する取得手段と、前記堆積状況に応じた移動先であって、掘削対象領域における前記対象物の移動先を特定する特定手段と、前記移動先に前記対象物を移動するよう掘削機に指示する指示手段と、前記堆積状況に関する情報を参照して、前記掘削機の自己位置を基準に前記掘削機のバケットが通過しうる範囲における前記対象物の掘削容易性を評価する評価手段と、を備え、前記特定手段は、前記掘削容易性を参照して、前記移動先を特定する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、対象物を掘削しやすい状態にすることによって作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の例示的実施形態1に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の例示的実施形態1に係る制御装置が実行する制御方法の流れを示すフローチャートである。
【
図3】本発明の例示的実施形態1に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の例示的実施形態2に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の例示的実施形態2に係る制御装置が実行する制御方法の流れを示すフローチャートである。
【
図6】本発明の例示的実施形態2に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図7】本発明の例示的実施形態2の変形例に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図8】本発明の例示的実施形態2に係るバックホウの掘削動作の具体例を示す図である。
【
図9】本発明の例示的実施形態2に係るバックホウの掘削動作の具体例を示す図である。
【
図10】本発明の例示的実施形態2に係る対象物の掘削と移動の作業工程を示すフローチャートである。
【
図11】
図10の移動元と移動先を特定する詳細なフローチャートである。
【
図12】本発明の例示的実施形態3に係る、対象物の移動を示す図である。
【
図13】本発明の例示的実施形態3に係る、対象物の移動を示す別図である。
【
図14】本発明の例示的実施形態3に係る、対象物の移動を示す別図である。
【
図15】本発明の例示的実施形態4に係る、掘削容易性の具体的な評価方法の第1の例である。
【
図16】評価方法の第1の例で用いる勾配評価関数である。
【
図17】本発明の例示的実施形態5に係る、掘削容易性の具体的な評価方法の第2の例である。
【
図18】評価方法の第2の例で用いる高さ評価関数である。
【
図19】本発明の例示的実施形態5に係る、掘削容易性の具体的な評価方法の第3の例である。
【
図20】評価方法の第3の例で用いる勾配評価関数である。
【
図21】本発明の例示的実施形態7に係る、掘削容易性の具体的な評価方法の第4の例である。
【
図22】評価方法の第4の例で用いる高さ評価関数である。
【
図23】ソフトウェアによって制御装置等を実現するための構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔例示的実施形態1〕
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。本例示的実施形態に係る制御装置1は、掘削機を制御する装置である。本例示的実施形態で制御対象とする掘削機は、堆積した対象物を掘削する掘削機であり、例えばバックホウ等が挙げられる。本例示的実施形態でいう掘削とは、掘削機のバケット等を用いて、地面等に堆積した対象物を掬い取ることを指す。対象物の種類は限定されない。一例として、対象物は、土、砂、雪、穀物、セメント等であり、粒状又は不定形のもので、バケットで掬い取ることができるものであれば対象物に含まれる。また、対象物の堆積した場所も限定されない。
【0014】
以下、本例示的実施形態において使用する文言について説明する。まず、本例示的実施形態において、「かき寄せ」という表現を用いることがある。ここで、「かき寄せ」とは、対象物を移動させることによって、対象物を掘削しやすい状態にすることを指す。「かき寄せ」とは、より具体的には、「地点Aの対象物を地点Bに移動することによって、地点A及び地点Bの少なくとも何れかの地点における掘削容易性を向上させる動作」と表現することもできる。また、当該表現において移動とは、水平方向及び垂直方向の何れかの成分が含まれる。ただし、この「かき寄せ」という文言によって本例示的実施形態が限定されるものではない。なお、本例示的実施形態においては、「かき寄せ」を、単に「移動」と表現することもある。
【0015】
また、以下の実施形態において、「かき寄せ領域」とは、対象物が堆積した領域のうち、掘削機のバケットによるかき寄せが可能な領域を指す。具体的には、「かき寄せ領域」とは、掘削機のアームの先端に取り付けられたバケットが届く範囲として規定される。
【0016】
「掘削対象領域」とは、かき寄せ領域の一部であって、掘削可能な領域のことを指す。より具体的には、一例として、「掘削対象領域」とは、かき寄せ領域の一部であって、掘削機自体の位置を変えずに掘削可能な領域のことを指す。また、他の例として、「掘削対象領域」とは、かき寄せ領域の一部であって、掘削機自体の並進方向の位置を変えずに、旋回、アームの移動、及びブームの移動の少なくとも何れかによって、バケットによる掘削を行うことができる領域を指す。また、本明細書において「掘削範囲」とは、掘削対象領域の一部であって、掘削時にバケットが通過する範囲を指す。掘削機による掘削動作は、一例として、まず掘削機から遠い位置の対象物中にバケットを押し込み、次いで掘削機の方向に向けてバケットを直線的に対象物を掬うように動かす。そのため、掘削範囲を上方から見た場合(平面視した場合)、掘削範囲は、一例として、1組の長辺が掘削機に向かう方向に平行な矩形形状となる。掘削範囲の短辺の長さはバケットの幅であり、長辺の長さはバケットが対象物中を移動する移動距離である。
【0017】
掘削範囲の高さの平均勾配とは、掘削範囲のうち、掘削機から最も遠い位置(遠位置)の対象物の高さと、掘削機から最も近い位置(近位置)の対象物の高さの差分、およびそれらの水平距離の差分から計算される、遠位置から近位置に向かう勾配を指す。遠位置と近位置とはそれぞれ矩形の対辺であるので、それぞれの位置での高さをそれぞれ平均高さで表し、その平均高さの差分、およびそれらの水平距離の差分から求めた勾配を平均勾配という。
【0018】
(制御装置1の構成)
本例示的実施形態1に係る制御装置1の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、制御装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、制御装置1は、取得部10、特定部11、及び指示部12を備える。なお、取得部10は、請求の範囲に記載した取得手段の一実施形態である。特定部11は、請求の範囲に記載した特定手段の一実施形態である。指示部12は、請求の範囲に記載した指示手段の一実施形態である。
【0019】
以下、制御装置1が備える各構成について説明する。取得部10は、堆積した対象物の堆積状況に関する情報を取得する。対象物の堆積状況に関する情報とは、一例として、当該情報に基づき、対象物の堆積した高さが導出できるような情報である。堆積した高さとは、例えば、対象物の表面のある地点における、堆積した最低部(例えば地面に堆積しているのであれば、その地面)からその地点までの高さである。以下、対象物の堆積した高さ(鉛直方向上向きを正とする高さ)を単に「高さ」と称する。ただし、「高さ」という表現は、必ずしも特定の場所からの高さを指すのではなく、対象物の表面の相対的な高さを意味する場合にも用いる場合がある。また、本明細書において、対象物の深度という表現を用いることもある。つまり、高さが高い対象物のことを深度が大きいと表現し、高さが低い対象物のことを深度が小さいと表現することもある。
【0020】
対象物の堆積状況に関する情報は、一例として、3次元カメラ、又は3次元Lidar(Light Detection And Ranging)等の測距装置により測定された距離情報である。距離情報とは、ある地点までの方向と距離を含む情報である。測距装置から対象物が堆積した表面までの方向と距離から、表面の各地点の高さが導出される。さらに、各地点の高さから、表面の勾配も導出される。なお、対象物が堆積する前の載置面は事前に測定されているものとする。あるいは、載置面の位置は無視できるほど深く堆積しているものとする。また、取得部10が距離情報を取得する方法は限定されない。一例として、取得部10は、測距装置から有線通信、無線通信又はこれらの組み合わせを用いて距離情報を取得する。
【0021】
特定部11は、堆積状況に応じた移動先であって、掘削対象領域における対象物の移動先を特定する。特定部11は、一例として、堆積状況に関する情報を参照して、掘削対象領域において対象物の高さおよび/または勾配が所定の条件を満たす地点を、対象物の移動先として特定する。所定の条件は、一例として、掘削対象領域において高さが他の地点よりも低い、といった条件であってもよい。
【0022】
指示部12は、特定部11が特定した移動先に対象物を移動するよう掘削機に指示する。具体的には、指示部12は、移動先に対象物を移動するように、掘削機のアームを動かす制御信号を生成して掘削機のアーム駆動部に送出する。
【0023】
なお、
図1に示す実施形態では、取得部10、特定部11、指示部12が1つの制御装置1に組み込まれているように記載しているが、これらは必ずしも1つの制御装置に組み込まれる必要はない。例えば、取得部10、特定部11、指示部12の全部又は一部が別々に配置されていてもよい。そして、これらが有線通信又は無線通信で接続されていてもよい。また、取得部10、特定部11、指示部12の全部又は一部がクラウド上にあってもよい。この点は、以下に示す装置構成についても同様である。
【0024】
(制御装置1による効果)
以上のように、本例示的実施形態に係る制御装置1においては、堆積した対象物の堆積状況に関する情報を取得し、堆積状況に応じた移動先であって、掘削対象領域における対象物の移動先を特定し、移動先に対象物を移動するよう掘削機に指示する、という構成が採用されている。
【0025】
一般に、掘削機を用いて対象物を掘削する場合、掘削が進むと、対象物が減少し、表面に凹凸ができて掘削効率が悪くなる。そのため、表面の凹凸をならすとともに、対象物を掘削しやすい位置に移動させることが好ましい。本例示的実施形態に係る制御装置1によれば、取得された堆積状況に関する情報を参照して、掘削対象領域における対象物の移動先を特定し、移動先に対象物を移動するよう掘削機に指示するので、対象物を掘削しやすい形状にすることができる。
【0026】
したがって、本例示的実施形態に係る制御装置1によれば、掘削効率が向上するという効果が得られる。
【0027】
(制御方法S1の流れ)
次に、本例示的実施形態に係る制御方法S1の流れについて、
図2を参照して説明する。
図2は、制御装置1が実行する制御方法S1の流れを示すフローチャートである。
図2に示すように、制御方法S1は、以下のステップを含む。まず、ステップS10(取得工程)において、制御装置1は、堆積した対象物の堆積状況に関する情報を取得する。一例として、取得部10は、測距装置が測定した距離情報を取得することができる。なお、取得部10が距離情報を取得する方法は限定されない。一例として、取得部10は、測距装置から有線通信、無線通信又はこれらの組み合わせを用いて距離情報を取得する。
【0028】
次に、ステップS11(特定工程)において、制御装置1は、堆積状況に応じた移動先であって、掘削対象領域における、対象物の移動先を特定する。一例として、特定部11は、ステップS11にて取得された堆積状況に関する情報を参照して、掘削対象領域における対象物の移動先を特定する。
【0029】
次に、ステップS12(指示工程)において、制御装置1は、移動先に対象物を移動するよう掘削機に指示する。一例として、指示部12は、ステップS11にて特定された移動先に対象物を移動するよう掘削機に指示する。
【0030】
(制御方法S1の効果)
以上のように、本例示的実施形態に係る制御方法S1においては、制御装置1が対象物の堆積状況に関する情報を取得し、対象物の移動先を特定し、堆積状況に関する情報に応じた移動先であって、掘削対象領域における対象物の移動先を特定し、移動先に対象物を移動するよう掘削機に指示する、という構成が採用されている。これにより、対象物を掘削しやすい形状にすることができる。
【0031】
したがって、本例示的実施形態に係る制御方法S1によれば、掘削効率が向上するという効果が得られる。
【0032】
(制御システム2の構成)
次に、本例示的実施形態1に係る制御システム2の構成について、
図3を参照して説明する。
図3は、制御システム2の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、制御システム2は、取得部21、特定部22、及び指示部23を備える。制御システム2のうち、取得部21、特定部22、及び指示部23は、前述の制御装置1の取得部10、特定部11、及び指示部12と同等であるので説明は省略する。制御システム2は、バックホウ(掘削機)200を制御する。具体的には、制御システム2は、堆積した対象物300の堆積状況に関する情報を取得し、堆積状況に応じた移動先であって、掘削対象領域における対象物300の移動先を特定し、移動先に対象物300を移動するようバックホウ200に指示する。制御システム2は、通信ネットワーク100を介して、バックホウ200のコントローラ201に通信可能に接続されている。
【0033】
(制御システム2の効果)
以上のように、本例示的実施形態に係る制御システム2においては、堆積した対象物の堆積状況に関する情報を取得し、堆積状況に応じた移動先であって、掘削対象領域における対象物の移動先を特定し、移動先に対象物を移動するよう掘削機に指示する、という構成が採用されている。これにより、対象物を掘削しやすい形状にすることができる。
【0034】
したがって、本例示的実施形態に係る制御システム2によれば、掘削効率が向上するという効果が得られる。
【0035】
〔例示的実施形態2〕
本発明の第2の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。また、語句の定義を有する語句についてはその説明を繰り返さない。
【0036】
(制御装置3の構成)
本例示的実施形態に係る制御装置3の構成について、
図4を参照して説明する。
図4は、制御装置3の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、制御装置3は、取得部30、評価部31、特定部32、および指示部33を備える。制御装置3のうち、取得部30および指示部33は、前述の制御装置1の取得部10および指示部12と同等であるので説明を繰り返さない。評価部31は、請求の範囲に記載した評価手段の一実施形態である。特定部32は、請求の範囲に記載した特定手段の一実施形態である。
【0037】
評価部31は、堆積状況に関する情報を参照して、対象物の掘削容易性を評価する。対象物の掘削容易性とは、対象物の掘削の行い易さである。一例として、評価部31は、対象物の表面が平坦であるほど掘削容易性が高くなるように、また、対象物の表面の凹凸の度合いが大きいほど掘削容易性が低くなるように評価する。評価部31は、一例として、対象物の堆積状況に関する情報に基づき複数地点における対象物の高さを導出し、導出した複数地点の高さに基づき、対象物の表面の凹凸の度合いを表す評価値を、掘削容易性を示す指標として算出する。
【0038】
特定部32は、評価部31が評価した掘削容易性を参照して、移動先を特定する。特定部32は、一例として、複数の移動先候補のうち、評価部31の評価結果が所定の条件を満たす移動先候補を移動先として特定する。例えば、特定部32は、評価部31による掘削容易性の評価結果が相対的に低い移動先候補を移動先として特定する。この場合、評価結果は、掘削容易性と正の相関を有する。つまり、掘削容易性の評価結果が低いということは、掘削がより困難であることを意味する。
【0039】
(制御装置3による効果)
以上のように、本例示的実施形態に係る制御装置3においては、堆積状況に関する情報を参照して対象物の掘削容易性を評価し、評価した掘削容易性を参照して対象物の移動先を特定する、という構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る制御装置3によれば、対象物の掘削容易性を参照して特定される移動先に対象物を移動することで、掘削効率が向上するという効果が得られる。
【0040】
(制御方法S2の流れ)
次に、本例示的実施形態に係る制御方法S2の流れについて、
図5を参照して説明する。
図5は、制御装置3が実行する制御方法S2の流れを示すフローチャートである。
図5に示すように、制御方法S2は、ステップS20~S23を含む。これらのステップのうち、ステップS20およびステップS23は、上述の制御方法S1のステップS10およびステップS12と同様であり、その説明を繰り返さない。
【0041】
ステップS21において、評価部31は、堆積状況に関する情報を参照して、対象物の掘削容易性を評価する。評価部31は、一例として、対象物の堆積状況に関する情報に基づき複数地点における対象物の高さを導出し、導出した複数地点の高さに基づき、対象物の表面の凹凸の度合いを表す評価値を、掘削容易性を示す指標として算出する。
【0042】
ステップS22において、特定部32は、掘削容易性を参照して、移動先を特定する。特定部32は、一例として、複数の移動先候補のうち、評価部31の評価結果が所定の条件を満たす移動先候補を移動先として特定する。例えば、特定部32は、評価部31による掘削容易性の評価結果が相対的に低い移動先候補を移動先として特定する。
【0043】
(制御方法S2の効果)
以上のように、本例示的実施形態に係る制御方法S2においては、堆積状況に関する情報を参照して、対象物の掘削容易性を評価し、評価した掘削容易性を参照して対象物の移動する、という構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る制御方法S2によれば、対象物の掘削容易性を参照して特定される移動先に対象物を移動することで、掘削効率が向上するという効果が得られる。
【0044】
(制御システム4の構成)
次に、本例示的実施形態に係る制御システム4の構成について、
図6を参照して説明する。
図6は、制御システム4の構成を示すブロック図である。
図6に示すように、制御システム4は、制御装置40およびセンサ202を備える。制御装置40は、取得部41、評価部42、特定部43、指示部44、通信部46、及びメモリ47を備える。制御装置40において、取得部41、評価部42、特定部43、指示部44は、前述の制御装置3の取得部30、評価部31、特定部32、指示部33と同等であるのでその説明を繰り返さない。
【0045】
制御装置40は、通信ネットワーク100を介して、バックホウ200のコントローラ201と、センサ202とに通信可能に接続されている。制御装置40の通信部46は、コントローラ201とセンサ202とのデータ通信を行う。本例示的実施形態においては、通信は無線通信で行われるが、有線通信でもよい。無線通信は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、ローカル5G、5G、Wi-fi(登録商標)等であってもよい。なお、コントローラ201は、バックホウ200に搭載されていてもよく、またバックホウ200とは異なる位置に配置されていてもよい。
【0046】
メモリ47は、制御装置40によって参照される各種プログラム、各種データ等を一時的又は非一時的に記憶する。
【0047】
バックホウ200は掘削機であり、対象物300のかき寄せを行う。バックホウ200は、制御装置40からの指示を受けたコントローラ201によって操作される。
【0048】
センサ202は、堆積した対象物300の堆積状況に関する情報を測定する。センサ202としては、前述のように3次元カメラ、又は3次元Lidar等の測距装置を用いることができる。センサ202からのデータは、通信部46を介して取得部41によって取得される。センサ202は、堆積した対象物300の全地点の高さが測定できる位置に配置されている。センサ202が配置される位置は、例えば、天井、柱、梁などの、対象物が堆積したエリアを俯瞰する位置である。
【0049】
(制御システム5の構成)
次に、本例示的実施形態の変形例に係る制御システム5の構成について、
図7を参照して説明する。
図7は、制御システム5の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、制御システム5は、第1制御装置50、第2制御装置60およびセンサ202を備える。
【0050】
第1制御装置50は、取得部51、評価部52、通信部53、およびメモリ54を備える。第1制御装置50において、取得部51、評価部52、通信部53、メモリ54は、上述の制御装置40の取得部41、評価部42、通信部46、およびメモリ47と同様であり、その説明を繰り返さない。
【0051】
第2制御装置60は、特定部61、指示部62、通信部63、およびメモリ64を備える。第2制御装置60において、特定部61、指示部62、通信部63およびメモリ64は、上述の制御装置40の特定部43、指示部44、通信部46、およびメモリ47と同様であり、その説明を繰り返さない。
【0052】
本変形例に係る制御システム5では、
図7に示すように、第1制御装置50が取得部51及び評価部52を備える一方で、第2制御装置60が特定部61及び指示部62を備えている。このように、本変形例に係る制御システム5では、評価値を算出する構成と、対象物の移動先を特定する構成とが、システム内に分散して存在している。このような構成であっても、上述した各例示的実施形態と同様の効果が得られる。
【0053】
なお、システム内における各部の分散のさせ方は、上述の例に限定されるものではなく、他の分散のさせ方を採用してもよい。
【0054】
(掘削動作の具体例)
図8および
図9は、例示的実施形態2に係るバックホウ200の掘削動作の具体例を示す図である。
図8は、バックホウ200の掘削動作を上方からみた状態の一例を表す。図において、領域a21は、バックホウ200のバケット200aによるかき寄せが可能なかき寄せ領域である。領域a22は、バックホウ200自体の並進方向の位置を変えずに、旋回、アームの移動、及びブームの移動の少なくとも何れかによって、バケット200aによる掘削を行うことができる掘削対象領域である。なお、
図8の例では、発明の理解を容易にするため、かき寄せ領域a21および掘削対象領域a22の形状が矩形形状である場合を例示しているが、これらの領域の形状は
図8に例示したものに限られない。かき寄せ領域a21の形状および掘削対象領域a22の形状は、矩形以外の他の形状であってもよい。
【0055】
掘削範囲a23は、上述したように、掘削動作においてバケット200aが通過する範囲である。上述したように、バックホウ200は、バックホウ200から遠い掘削地点p21の対象物中にバケット200aを押し込み、次いでバックホウ200に近づく方向にバケット200aを直線的に動かし、対象物300を掬う。そのため、掘削範囲a23は、1組の長辺がバックホウ200に向かう方向に平行な矩形となる。なお、掘削時にバケット200aを動かす直線距離(掘削範囲a23の長辺)は、バケット200aの容量と対象物の堆積量に応じて決定される。
【0056】
図9は、バックホウ200の掘削動作を
図8の矢印A1方向からみた図である。図において、掘削地点p21の高さDは、矢印H方向(鉛直方向上向き)を正とする対象物300の高さである。掘削範囲a23の平均勾配Gは、掘削範囲a23の遠位置である掘削地点p21の平均高さと、掘削範囲a23の近位置p22の平均高さから計算される、掘削範囲a23の遠位置p21から近位置p22に向かう勾配を表す。
【0057】
(掘削と移動の作業工程)
図10は、例示的実施形態2に係る制御装置40が行う、対象物の掘削と移動の作業工程の一例である作業工程S3を示すフローチャートである。
【0058】
ステップS30において、取得部41は、対象物300の堆積状況に関する情報を取得する。堆積状況に関する情報は、一例として、対象物300の高さと、対象物の高さの勾配に関する情報とを含む。取得部41は、一例として、センサ202の測定結果を表す情報を、通信部46を介して取得する。
【0059】
取得部41が取得する情報は、一例として、掘削対象領域a22に含まれる複数の地点のそれぞれにおける、対象物300の高さを示す情報を含む。掘削対象領域a22に含まれる複数の地点は、一例として、所定の単位距離毎に格子状に配置された複数の地点であってもよい。所定の単位距離は、一例として、数十cmであってもよい。この場合、格子状に配列された各々の領域を「地点」と称する。そして、その地点の「高さ」は、例えば、領域内で測定された高さの平均高さで表されてもよく、あるいは、その領域のある位置(例えば中央部)の高さで代表されてもよい。例えば、前述の「掘削地点p21」は、格子状に配列された領域の1つであって、掘削地点p21を中心とする領域であってもよい。以下の説明では、掘削対象領域a22に含まれる複数の地点を、複数の「掘削地点」ともいう。
【0060】
ステップS31において、評価部42は、ステップS30で取得した情報を参照し、各掘削地点の高さDと平均勾配Gを導出する。
【0061】
(平均勾配Gの導出)
評価部42は、一例として、掘削対象領域a22に含まれる掘削地点p21の平均勾配Gを、以下の手法により導出する。評価部42は、まず、掘削地点p21に対応する掘削範囲a23を特定する。掘削地点p21に対応する掘削範囲a23は、バックホウ200が掘削地点p21にバケット200aを押し込み、バックホウ200に近づく方向にバケット200aを直線的に動かし、対象物300を掬う掘削動作において、バケット200aが通過する範囲である。換言すると、掘削地点p21に対応する掘削範囲a23は、1組の長辺がバックホウ200に向かう方向に平行な矩形であって、短辺のひとつが掘削地点p21を通る矩形で表される範囲である。この場合、掘削地点p21が掘削範囲a23の遠位置であり、掘削地点p21を通る短辺の対辺上の位置が、掘削範囲a23の近位置p22である。以下の説明では、掘削地点p21を掘削範囲a23の遠位置p21ともいう。
【0062】
次いで、評価部42は、特定した掘削範囲a23の遠位置p21の平均高さD1、掘削範囲a23の近位置p22の平均高さD2、バックホウ200から遠位置p21までの距離L1、および、バックホウ200から近位置p22までの距離L2を導出する。
【0063】
平均勾配Gは、掘削範囲a23の高さの、バックホウ200に向かう方向の平均勾配であり、以下の式(G1)で表される。
G=(D2-D1)/(L1-L2) …(G1a)
又は、度(°)で表示すると、
G(°)=arctan{(D2-D1)/(L1-L2)} …(G1b)
となる。
【0064】
なお、掘削範囲a23の遠位置が、
図8に示す実施形態にように掘削地点p21を含む短辺の場合は、掘削範囲a23の遠位置の平均高さD1は、掘削地点p21の平均高さを用いることができる。しかし、このような構成に限定するものではない。また、掘削範囲a23の近位置p22の平均高さL2は、例えば、掘削範囲a23の近位置p22が含まれる格子状に配列された領域の平均高さを用いることができる。しかし、このような構成に限定するものではない。
【0065】
ステップS32において、評価部42は、対象物300の掘削容易性を表す評価値を導出する。ここで、上述したように、評価値は、掘削容易性を表す値である。一例として、評価値は、値が大きいほどその地点での掘削がより容易であることを示し、値が小さいほどその地点での掘削がより困難であることを示す。
【0066】
この例で、評価部42は、掘削容易性を、対象物300の高さと、対象物の高さの勾配とを参照して評価する。より具体的には、評価部42は、一例として、掘削対象領域a22に含まれる複数の掘削地点p21のそれぞれについて、ステップS31で導出した各掘削地点p21に対応する掘削範囲a23の平均高さD1と平均勾配Gとを参照して、評価値を導出する。
【0067】
また、評価部42は、一例として、掘削容易性を、掘削範囲a23の高さの平均勾配Gに関する評価値と、掘削範囲a23の遠位置の平均高さD1、及び掘削対象領域a22の平均高さDxに関する評価値と、を参照して評価してもよい。
【0068】
なお、評価部42が導出する評価値は上述した例に限られず、他の手法により導出される値であってもよい。例えば、評価値として、各掘削地点p21に対応する掘削範囲a23の平均勾配Gが用いられてもよい。評価値は、一例として、掘削範囲a23の高さの平均勾配に関する評価値であって、バックホウ200に向かう勾配値が大きいほど増加するように構成された評価値であってもよい。また、他の例として、例えば、評価値として、掘削範囲a23の平均勾配Gと平均高さD1との組み合わせが用いられてもよい。
【0069】
また、一例として、評価部42は、掘削対象領域a22の平均勾配Gと高低差ΔD(デルタD)とを参照して評価値を算出してもよい。この場合、評価部42は、一例として、高低差ΔDを以下のようにして算出する。評価部42は、まず、掘削対象領域a22の平均高さDxを算出する。掘削対象領域a22の平均高さDxは、掘削対象領域a22を分割した分割領域ごとにセンサ202で測定した高さの平均値である。
【0070】
高低差(深度差)ΔDは、掘削範囲a23の遠位置の平均高さD1と、掘削対象領域a22の平均高さDxとの差分である。高低差ΔDは、以下の式(G2)で表される。
ΔD=D1-Dx …(G2)
【0071】
ステップS33において、特定部43は、評価値を導出した全ての掘削地点p21において、評価値が所定の閾値未満であるかを判定する。全ての掘削地点p21において評価値が閾値未満である場合(ステップS33;YES)、特定部43は、ステップS34の処理に進む。一方、評価値が閾値以上である掘削地点p21がある場合(ステップS33;NO)、特定部43は、ステップS35の処理に進む。換言すると、全ての掘削地点p21において評価値が閾値未満である場合、制御装置40は、ステップS34の処理に進み、対象物300の移動をバックホウ200に行わせる。一方、評価値が閾値以上である掘削地点p21が存在する場合、制御装置40は、ステップS35の処理に進み、対象物300の掘削を行う。
【0072】
ステップS34において、特定部43は、所定の条件を満たす移動元と移動先を特定する。ステップS34において特定部43が行う、移動元と移動先の特定処理の詳細については後述する。ステップS34の処理を終えると、特定部43は、ステップS36の処理に進む。
【0073】
ステップS35において、指示部44は、対象物300を掘削するようバックホウ200に指示し、対象物300を掘削させる。具体的には、指示部44は、対象物300を掘削するように、バックホウ200のアームを動かす制御信号を生成してコントローラ201に送出する。ステップS35の処理を終えると、指示部44は、ステップS37の処理に進む。
【0074】
ステップS36において、指示部44は、特定した移動先に対象物300を移動するようバックホウ200に指示し、バックホウ200に対象物300を移動させる。具体的には、指示部44は、移動先に対象物300を移動するように、バックホウ200のアームを動かす制御信号を生成してコントローラ201に送出する。ステップS36の処理を終えると、指示部44は、ステップS37の処理に進む。
【0075】
ステップS37において、制御装置40は、作業を終了するかを判定する。この判定は、一例として、バックホウ200が掘削した対象物の範囲および/または量が所定条件を満たすか否かにより、行われてもよい。なお、作業を終了するかの判定方法はこれに限られず、他の方法により判定が行われてもよい。作業を終了する場合(ステップS37;YES)、制御装置40は処理を終了する。一方、作業を終了しない場合(ステップS37;NO)、制御装置40はステップS30の処理に戻る。
【0076】
図11は、
図10のステップS34の処理、すなわち特定部43が移動元と移動先を特定する処理の一例を示すフローチャートである。この例で、特定部43は、掘削対象領域a22に含まれる複数の掘削地点p21の中から、所定の条件を満たす掘削地点p21を移動元として特定する。
【0077】
ステップS40において、特定部43は、掘削対象領域a22に含まれる複数の掘削地点p21の中から、他の掘削地点p21よりも高さが高い掘削地点p21を、移動元の候補として特定する。この場合、換言すると、対象物300の移動元は、掘削対象領域a22内の対象物300の高さが他の位置よりも高い位置である。例えば、特定部43は対象物300の高さが最も高い掘削地点p21を移動元とする。あるいは、特定部43は、他の掘削地点p21よりも対象物の堆積量が多い掘削地点p21を移動元としてもよい。例えば、特定部43は、対象物の堆積量が最も多い掘削地点を対象物300の移動元としてもよい。特定部43は、移動元としてひとつの候補を特定してもよく、また、複数の候補を特定してもよい。
【0078】
ステップS41において、特定部43は、掘削対象領域a22に含まれる複数の掘削地点p21の中から、他の掘削地点p21よりも高さが低い掘削地点p21を、移動先の候補として特定する。この場合、換言すると、対象物300の移動先は、掘削対象領域a22内の対象物300の高さが他の位置よりも低い位置である。例えば、対象物300の高さが最も低い掘削地点p21を移動先とする。あるいは、他の掘削地点p21よりも対象物の堆積量が少ない掘削地点p21を移動先としてもよい。例えば、対象物の堆積量が最も少ない掘削地点を対象物300の移動先としてもよい。また、特定部43は、複数の掘削地点p21の中から、掘削装置200からの距離や、危険と判断する領域(作業員の通行エリアや、ダンプなどの走行エリア、監視塔等の建物)までの距離に応じて、移動元の候補としても良い。特定部43は、移動先としてひとつの候補を特定してもよく、また、複数の候補を特定してもよい。
【0079】
ステップS42において、特定部43は、複数の候補の中から距離を参照して移動元と移動先を選択する。特定部43は、一例として、複数の移動先候補のうち、所定の条件を満たす移動先候補を移動先として特定する。具体的には、特定部43は、例えば、複数の移動先候補のうち、移動元からの移動距離が相対的に小さい移動先候補を移動先として特定する。一例として、特定部43は、移動元と移動先との組み合わせとして、移動元と移動先との距離が所定の閾値以下となる組み合わせを選択する。なお、移動元と移動先との選択方法はこれに限られず、他の方法により選択が行われてもよい。
【0080】
ステップS43において、特定部43は、対象物300が移動可能か否かを判定する。一例として、特定部43は、バケット200aの移動軌跡に障害物等があるかを判定し、障害物等がない場合、移動可能であると判定する。なお、移動可能か否かの判定方法はこれに限られず、他の方法により判定が行われてもよい。移動可能である場合(ステップS43;YES)、特定部43は、ステップS44の処理に進む。一方、移動可能でない場合(ステップS43;NO)、特定部43は、ステップS42の処理に戻る。
【0081】
ステップS44において、特定部43は、ステップS42で選択した移動元と移動先との組み合わせを、バックホウ200に指示する移動元と移動先の組み合わせとして特定する。
【0082】
(制御システム4、5の効果)
以上のように、本例示的実施形態に係る制御システム4または5においては、堆積状況に関する情報を参照して、対象物300の掘削容易性を評価する、という構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る制御システム4または5によれば、対象物300の高さと、対象物300の高さの勾配とを参照して評価した掘削容易性を参照して対象物300を移動することにより、対象物300をより掘削しやすい形状にすることができ、掘削効率を向上させることができるという効果が得られる。
【0083】
〔例示的実施形態3〕
本発明の例示的実施形態3について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1または2にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0084】
本例示的実施形態3に係る制御装置40Bは、上述の例示的実施形態2に係る制御装置40に対し、対象物300の移動元と移動先の特定処理(
図10のステップS34の処理)、および対象物300の移動処理(
図10のステップS36の処理)の内容が異なる。これらの処理について図面を参照しつつ説明する。
【0085】
図12は、本例示的実施形態に係る対象物300の移動元および移動先の特定処理を説明するための図である。この例で、特定部43は、まず、掘削対象領域a22において高さが最も低い地点を移動先(終点p32)として特定する。次いで、特定部43は、バックホウ200の旋回中心P1と、終点p32とを繋ぐかき寄せラインL30を算出する。また、特定部43は、以下の3つの条件を満たす地点の中から、例えば高さが最も高い地点を、移動元(始点p31)として特定する。
・かき寄せラインL30上に位置する。
・かき寄せ領域a21内に位置する。始点は、掘削対象領域a22内に含まれてもよく、含まれなくてもよい。ただし、かき寄せ領域a21内に含まれている必要がある。また、終点は掘削対象領域a22内に含まれている必要がある。
・始点は、終点と所定の距離以上離れた地点に位置する(始点と終点とが近すぎるとかき寄せの効果が少ないため)。所定の距離は、種々の条件を考慮して設定可能である。
【0086】
図12の例では、始点p31とバックホウ200の旋回中心P1との距離は、終点p32と旋回中心P1との距離よりも長い。この場合、バックホウ200は、一例として、制御装置40の制御の下、バックホウ200からみて奥から手前方向にかき寄せラインL1にそってバケット200aを移動させることにより、対象物300のかき寄せ動作を行い、奥側に堆積している対象物300を手前側に移動させる。
【0087】
かき寄せ動作の始点と終点との位置関係は、
図12に示した例に限られない。始点とバックホウ200の旋回中心との距離が、終点と旋回中心との距離よりも短い位置関係であってもよい。
【0088】
図13は、本例示的実施形態に係る対象物300の移動元および移動先の他の例を示す図である。
図13の例では、始点p41とバックホウ200の旋回中心P1との距離は、終点p42と旋回中心P1との距離よりも短い。この場合、バックホウ200は、一例として、制御装置40の制御の下、バックホウ200からみて手前から奥方向へ直線的にバケット200aを移動させることにより対象物300の押し込み動作を行い、手前側に滞留した対象物300を奥側に移動させる。
【0089】
図14は、本例示的実施形態に係る対象物300の移動の例を示す別図である。
図14の例では、始点p51とバックホウ200の旋回中心P1との距離は、終点p52と旋回中心P1との距離よりも長い。この場合、バックホウ200は、一例として、制御装置40の制御の下、始点p51から終点p52までカーブを描くようにバケット200aを移動させることにより、対象物300のかき寄せ動作を行い、奥側に堆積している対象物300を手前側に移動させる。以上のように、かき寄せ動作はバケット200aを直線的に移動させることに限定されず、任意の2地点間で対象物を移動させても良い。
【0090】
〔例示的実施形態4〕
本発明の例示的実施形態4について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1~3にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。本例示的実施形態4では、評価部42が行う掘削容易性の評価で用いられる評価関数の第1の例について説明する。
【0091】
図15は、本例示的実施形態4に係る掘削容易性を評価する評価関数Pを、3次元的にプロットした図の一例である。評価関数Pは、変数G、D、Dxの関数であり、下記式(1)で表される。
【0092】
【0093】
ここで、変数Gは掘削範囲の平均勾配(°)、変数Dは掘削地点の高さ(m)、変数Dxは掘削対象領域の平均高さ(m)である。a、bは係数である。係数aに含まれる定数G0は角度(°)の次元を持つ0より大きい定数であり、係数bに含まれる定数D0は、高さ(m)と同じ次元を持つ0より大きい定数である。係数aとbに含まれるτは、0<τ<0.5を満たすパラメータであり、定数G0と定数D0の重み付けを決定する。また、αは、0≦α≦1.0を満たすパラメータであり、第一項と第二項の重み付けを決定する。
【0094】
上記式(1)の第一項は、シグモイド関数を用いて平均勾配を評価する項である。シグモイド関数は、入力値Gを0から1までの値に変換する関数である。
図16は、第一項のシグモイド関数の計算値を図示したグラフである。掘削範囲の平均勾配Gは、掘削機に向いた方向に高さが高くなる場合に正の値となる。従って、αが一定の場合、平均勾配Gが大きいほど、第一項の値は大きくなる。掘削機に向かって昇り勾配が大きいほど掘削しやすくなるため、平均勾配Gが大きいほど大きな評価値が与えられるようにしている。
【0095】
上記式(1)の第二項は、シグモイド関数を用いて対象物の表面の高低差を評価する項である。掘削地点の高さDが、掘削対象領域の平均高さDxよりも高いほど、第二項の値は大きくなる。できるだけ高い地点を優先して掘削するほうが、高さの低い地点を集中して選択することを抑制できるため、掘削しやすい形状を維持することができる。そのため、(D-Dx)が大きいほど、高い評価値が与えられるようにしている。なお、図示していないが、第二項も横軸に(D-Dx)を取ると
図16のような曲線が得られる。
【0096】
以上のように、評価関数Pの計算値は、
図15に示すように、平均勾配Gが大きいほど大きくなり、また、掘削地点の高さDが大きいほど大きくなる。なお、各定数の設定例としては、例えば、G
0=20.0(°)、D
0=掘削機のバケットの長さ(m)、τ=0.3、α=0.2のように設定することができる。掘削機のバケットの長さとは、アームが伸びる方向に沿った方向のバケットの長さである。
【0097】
〔例示的実施形態5〕
本発明の例示的実施形態5について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1~4にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。本実施形態5では、掘削容易性の評価に用いられる評価関数の第2の例について説明する。
【0098】
図17は、本実施形態5に係る掘削容易性を評価する評価関数Pを、3次元的にプロットした図の一例である。評価関数Pは、変数G、D、Dxの関数であり、下記式(2)で表される。式中のG、D、Dxの定義は、例示的実施形態4で説明した定義と同じでる。
【0099】
【0100】
上記式(2)は、例示的実施形態4で示した式(1)と比較して、第一項は同じであり、第二項が凸関数である指数式に置き換えられている。第二項を指数式に置き換えた理由は、掘削対象領域の平均高さDxに近い地点に高い評価値を与えて、局所的に高い地点、又は局所的に低い地点を回避して掘削することを優先させるためである。この場合、回避した局所的に高い地点、又は局所的に低い地点は、あとでかき寄せで平坦化する。
【0101】
第二項のαを除く指数式は、入力値(D-Dx)に対して0から1までの値が与えられる。
図18は、高さを評価する第二項のαを除く指数式の計算値を図示したグラフである。なお、第二項の係数bは、例示的実施形態4で示したbと比べて異なっている。第一項の計算値は、例示的実施形態4で示した式(1)の第一項と同様の曲線を示すのでここでの説明は省略する。
【0102】
以上のように、評価関数Pの計算値は、
図17に示すように、平均勾配Gが大きいほど大きくなり、また、掘削地点の高さDが、掘削対象領域の平均高さDxに近いほど大きくなる。なお、定数G
0、定数D
0、τ、αは例示的実施形態4と同様であり、各定数の設定例も、例えば、例示的実施形態4で示した設定例と同様でもよい。
【0103】
〔例示的実施形態6〕
本発明の例示的実施形態6について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1~5にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。本実施形態6では、掘削容易性の評価に用いられる評価関数の第3の例について説明する。
【0104】
図19は、本実施形態6に係る掘削容易性を評価する評価関数Pを、3次元的にプロットした図の一例である。評価関数Pは、変数G、D、Dxの関数であり、下記式(3)で表される。式中のG、D、Dxの定義は、例示的実施形態4で説明した定義と同じでる。
【0105】
【0106】
式(3)は、シグモイド関数ではなく、線形関数を用いて評価値を導出する評価式である。つまり、式(3)は、式(1)のシグモイド関数部分を、線形関数に置き換えた式である。より具体的には、例示的実施形態4で説明した式(1)の第一項のシグモイド関数部分を関数Fg(G)に置き換え、第二項のシグモイド関数部分を関数Fd(D)に置き換えたものである。
【0107】
図20は、第一項の変数Gを横軸に取った場合の関数F
g(G)の計算値である。式(3)と
図20に示すように、-(G
0/2τ)≦G≦G
0/2τの範囲において、変数Gが増加するにつれて計算値は直線的に増加する。また、この範囲の下限値より小さい場合は0となり、この範囲の上限値を超える範囲は1となる。つまり、式(3)は、変数Gの絶対値が小さい領域において、変数Gの変化に対して、計算値の変化が式(1)に比べて緩やかになっている。第二項の関数F
d(D)についても、変数Dの絶対値が小さい領域において、変数Dの変化に対して、計算値の変化が式(1)に比べて緩やかになっている。これにより、入力の変化に対して、評価値の変化が少ない評価関数となっている。
【0108】
以上のように、式(3)による評価関数Pの計算値は、
図19に示すように、ある範囲において、平均勾配Gが大きいほど緩やかに大きくなり、また、掘削地点の高さDが大きいほど緩やかに大きくなる。なお、定数G
0、定数D
0、τ、αは例示的実施形態4と同様であり、各定数の設定例も、例えば、例示的実施形態4で示した設定例と同様でもよい。
【0109】
〔例示的実施形態7〕
本発明の例示的実施形態7について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1~6にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。本実施形態7では、掘削容易性の評価に用いられる評価関数の第4の例について説明する。
【0110】
図21は、本実施形態7に係る掘削容易性を評価する評価関数Pを、3次元的にプロットした図の一例である。評価関数Pは、変数G、Dの関数であり、下記式(4)で表される。式中のG、D、Dxの定義は、例示的実施形態4で説明した定義と同じである。
【0111】
【0112】
式(4)は、例示的実施形態6の式(3)の第二項の関数F
d(D)を、関数H
d(D)に置き換えたものである。H
d(D)は、
図22に示すように、計算値がDxで最大値を取り、Dxから離れるほど計算値が小さくなる関数である。式(4)は、例示的実施形態5に係る式(2)と同様に、高さに関する第二項について、掘削対象領域の平均高さDxに近い地点に高い評価値を与えて、局所的に高い地点、又は局所的に低い地点を回避して掘削することを優先させるようにした評価関数である。
【0113】
以上のように、式(4)による評価関数Pの計算値は、
図21に示すように、ある範囲において、平均勾配Gが大きいほど大きくなり、また、掘削地点の高さDが掘削対象領域の平均高さDxに近いほど大きくなる。なお、定数G
0、定数D
0、τ、αは例示的実施形態4と同様であり、各定数の設定例も、例えば、例示的実施形態4で示した設定例と同様でもよい。
【0114】
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御装置1、3、20、40、40B、第1制御装置50、および第2制御装置60(以下、「制御装置1等」という)の一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0115】
後者の場合、制御装置1等は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を
図10に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを制御装置1等として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、制御装置1等の各機能が実現される。
【0116】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0117】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0118】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0119】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0120】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0121】
(付記1)
堆積した対象物の堆積状況に関する情報を取得する取得工程と、前記堆積状況に応じた移動先であって、掘削対象領域における前記対象物の移動先を特定する特定工程と、前記移動先に前記対象物を移動するよう掘削機に指示する指示工程と、を含む制御方法。
【0122】
上記の構成によれば、対象物を掘削しやすい状態にすることによって作業効率の向上を図ることができる。
【0123】
(付記2)
前記堆積状況に関する情報を参照して、前記対象物の掘削容易性を評価する評価工程を更に含み、前記特定工程では、前記掘削容易性を参照して、前記移動先を特定する、付記1に記載の制御方法。
【0124】
上記の構成によれば、対象物の掘削容易性を参照して特定される移動先に対象物を移動することで、対象物を掘削しやすい形状にすることができ、掘削効率の向上を図ることができる。
【0125】
(付記3)
前記堆積状況に関する情報は、前記対象物の高さと、前記対象物の高さの勾配に関する情報とを含み、前記評価工程では、前記掘削容易性を、前記対象物の高さと、前記対象物の高さの勾配とを参照して評価する、付記2に記載の制御方法。
【0126】
上記の構成によれば、対象物の高さと対象物の高さの勾配とを参照して評価した掘削容易性を参照して特定される移動先に対象物を移動することで、対象物を掘削しやすい形状にすることができ、掘削効率の向上を図ることができる。
【0127】
(付記4)
前記評価工程では、前記掘削容易性を、掘削範囲の高さの平均勾配に関する評価値と、前記掘削範囲の遠位置の平均高さ及び前記掘削対象領域の平均高さに関する評価値と、を参照して評価する、付記3に記載の制御方法。
【0128】
上記の構成によれば、掘削範囲の高さの平均勾配に関する評価値と、掘削範囲の遠位置の平均高さ及び掘削対象領域の平均高さに関する評価値と、を参照して掘削容易性を評価することで、対象物をより掘削しやすい形状にすることができ、掘削効率の向上を図ることができる。
【0129】
(付記5)
前記特定工程では、複数の移動先候補のうち、前記評価工程での掘削容易性の評価結果が相対的に低い移動先候補を前記移動先として特定する、付記2から4のいずれか1つに記載の制御方法。
【0130】
上記の構成によれば、評価結果に基づき特定した移動先に対象物を移動することで、対象物をより掘削しやすい形状にすることができ、掘削効率の向上を図ることができる。
【0131】
(付記6)
前記対象物の移動先は、前記掘削対象領域内の前記対象物の高さが他の位置よりも低い位置である、付記1から5のいずれか1つに記載の制御方法。
【0132】
上記の構成によれば、掘削対象領域内の対象物の高さが他の位置よりも低い位置を移動先として特定することで、対象物をより掘削しやすい形状にすることができ、掘削効率の向上を図ることができる。
【0133】
(付記7)
前記掘削対象領域は、前記対象物が堆積した領域のうち、掘削が可能な領域である、付記1から6の何れか1つに記載の制御方法。
【0134】
上記の構成によれば、対象物を掘削しやすい状態にすることによって作業効率の向上を図ることができる。
【0135】
(付記8)
堆積した対象物の堆積状況に関する情報を取得する取得手段と、前記堆積状況に応じた移動先であって、掘削対象領域における前記対象物の移動先を特定する特定手段と、前記移動先に前記対象物を移動するよう掘削機に指示する指示手段と、を含む制御装置。
【0136】
上記の構成によれば、対象物を掘削しやすい状態にすることによって作業効率の向上を図ることができる。
【0137】
(付記9)
前記堆積状況に関する情報を参照して、前記対象物の掘削容易性を評価する評価手段を更に含み、前記特定手段は、前記掘削容易性を参照して、前記移動先を特定する、付記8に記載の制御装置。
【0138】
上記の構成によれば、対象物の掘削容易性を参照して特定される移動先に対象物を移動することで、対象物を掘削しやすい形状にすることができ、掘削効率の向上を図ることができる。
【0139】
(付記10)
前記堆積状況に関する情報は、前記対象物の高さと、前記対象物の高さの勾配に関する情報とを含み、前記評価手段は、前記掘削容易性を、前記対象物の高さと、前記対象物の高さの勾配とを参照して評価する、付記9に記載の制御装置。
【0140】
上記の構成によれば、対象物の高さと対象物の高さの勾配とを参照して評価した掘削容易性を参照して特定される移動先に対象物を移動することで、対象物を掘削しやすい形状にすることができ、掘削効率の向上を図ることができる。
【0141】
(付記11)
前記評価手段は、前記掘削容易性を、掘削範囲の高さの平均勾配に関する評価値と、前記掘削範囲の遠位置の平均高さ及び前記掘削対象領域の平均高さに関する評価値と、を参照して評価する、付記10に記載の制御装置。
【0142】
上記の構成によれば、掘削範囲の高さの平均勾配に関する評価値と、掘削範囲の遠位置の平均高さ及び掘削対象領域の平均高さに関する評価値と、を参照して掘削容易性を評価することで、対象物をより掘削しやすい形状にすることができ、掘削効率の向上を図ることができる。
【0143】
(付記12)
前記特定手段は、複数の移動先候補のうち、前記評価手段の掘削容易性の評価結果が相対的に低い移動先候補を前記移動先として特定する、付記9から11のいずれか1つに記載の制御装置。
【0144】
上記の構成によれば、評価結果に基づき特定した移動先に対象物を移動することで、対象物をより掘削しやすい形状にすることができ、掘削効率の向上を図ることができる。
【0145】
(付記13)
前記対象物の移動先は、前記掘削対象領域内の前記対象物の高さが他の位置よりも低い位置である、付記8から12のいずれか1つに記載の制御装置。
【0146】
上記の構成によれば、掘削対象領域内の対象物の高さが他の位置よりも低い位置を移動先として特定することで、対象物をより掘削しやすい形状にすることができ、掘削効率の向上を図ることができる。
【0147】
(付記14)
前記掘削対象領域は、前記対象物が堆積した領域のうち、掘削が可能な領域である、付記7から13の何れか1つに記載の制御装置。
【0148】
上記の構成によれば、対象物を掘削しやすい状態にすることによって作業効率の向上を図ることができる。
【0149】
(付記15)
堆積した対象物の堆積状況に関する情報を取得する取得手段と、前記堆積状況に応じた移動先であって、掘削対象領域における前記対象物の移動先を特定する特定手段と、前記移動先に前記対象物を移動するよう掘削機に指示する指示手段と、を含む制御システム。
【0150】
上記の構成によれば、対象物を掘削しやすい状態にすることによって作業効率の向上を図ることができる。
【0151】
(付記16)
前記堆積状況に関する情報を参照して、前記対象物の掘削容易性を評価する評価手段を更に含み、前記特定手段は、前記掘削容易性を参照して、前記移動先を特定する、付記15に記載の制御システム。
【0152】
上記の構成によれば、対象物の掘削容易性を参照して特定される移動先に対象物を移動することで、対象物を掘削しやすい形状にすることができ、掘削効率の向上を図ることができる。
【0153】
(付記17)
前記堆積状況に関する情報は、前記対象物の高さと、前記対象物の高さの勾配に関する情報とを含み、前記評価手段は、前記掘削容易性を、前記対象物の高さと、前記対象物の高さの勾配とを参照して評価する、付記16に記載の制御システム。
【0154】
上記の構成によれば、対象物の高さと対象物の高さの勾配とを参照して評価した掘削容易性を参照して特定される移動先に対象物を移動することで、対象物を掘削しやすい形状にすることができ、掘削効率の向上を図ることができる。
【0155】
(付記18)
前記評価手段は、前記掘削容易性を、掘削範囲の高さの平均勾配に関する評価値と、前記掘削範囲の遠位置の平均高さ及び前記掘削対象領域の平均高さに関する評価値と、を参照して評価する、
付記17に記載の制御システム。
【0156】
上記の構成によれば、掘削範囲の高さの平均勾配に関する評価値と、掘削範囲の遠位置の平均高さ及び掘削対象領域の平均高さに関する評価値と、を参照して掘削容易性を評価することで、対象物をより掘削しやすい形状にすることができ、掘削効率の向上を図ることができる。
【0157】
(付記19)
前記特定手段は、複数の移動先候補のうち、前記評価手段の掘削容易性の評価結果が相対的に低い移動先候補を前記移動先として特定する、付記16から18のいずれか1項に記載の制御システム。
【0158】
上記の構成によれば、評価結果に基づき特定した移動先に対象物を移動することで、対象物をより掘削しやすい形状にすることができ、掘削効率の向上を図ることができる。
【0159】
(付記20)
前記対象物の移動先は、前記掘削対象領域内の前記対象物の高さが他の位置よりも低い位置である、付記15から19のいずれか1つに記載の制御システム。
【0160】
上記の構成によれば、掘削対象領域内の対象物の高さが他の位置よりも低い位置を移動先として特定することで、対象物をより掘削しやすい形状にすることができ、掘削効率の向上を図ることができる。
【0161】
(付記21)
前記堆積状況に関する情報を測定するセンサをさらに含む、付記15から20のいずれか1つに記載の制御システム。
【0162】
上記の構成によれば、センサが測定した堆積状況に関する情報に応じて特定した移動先に対象物を移動することで、対象物を掘削しやすい形状にすることができ、掘削効率の向上を図ることができる。
【0163】
(付記22)
前記掘削対象領域は、前記対象物が堆積した領域のうち、掘削が可能な領域である、付記15から213の何れか1つに記載の制御システム。
【0164】
上記の構成によれば、対象物を掘削しやすい状態にすることによって作業効率の向上を図ることができる。
【0165】
(付記23)
前記掘削範囲の高さの平均勾配に関する評価値は、前記掘削機に向かう勾配値が大きいほど増加するように構成された評価値である、
付記4に記載の制御方法。
【0166】
上記の構成によれば、掘削機に向かう勾配値が大きいほど増加するように構成された評価値を参照して対象物の移動先を特定することで、対象物をより掘削しやすい形状にすることができ、掘削効率の向上を図ることができる。
【0167】
(付記24)
前記対象物の移動元は、前記掘削対象領域内の前記対象物の高さが他の位置よりも大きい位置である、付記1から6のいずれか1つに記載の制御方法。
【0168】
上記の構成によれば、掘削対象領域内の対象物の高さが他の位置よりも高い位置を移動元として特定することで、対象物をより掘削しやすい形状にすることができ、掘削効率の向上を図ることができる。
【0169】
(付記25)
コンピュータを、掘削機を制御する制御手段であって、堆積した対象物の堆積状況に関する情報を取得する取得手段、取得された前記堆積状況に関する情報を参照して、掘削対象領域における、前記対象物の移動先を特定する特定手段、及び前記移動先に前記対象物を移動するよう前記掘削機に指示する指示手段、として機能させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体。
【0170】
上記の構成によれば、付記1と同様の効果を奏する。
【0171】
(付記26)
コンピュータを、掘削機を制御する制御手段であって、堆積した対象物の堆積状況に関する情報を取得する取得手段、取得された前記堆積状況に関する情報を参照して、掘削対象領域における、前記対象物の移動先を特定する特定手段、及び前記移動先に前記対象物を移動するよう前記掘削機に指示する指示手段、として機能させるためのプログラム。
【0172】
〔付記事項3〕
上述した実施形態の一部又は全部は、更に、以下のように表現することもできる。
【0173】
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、堆積した対象物の堆積状況に関する情報を取得する取得処理と、前記堆積状況に応じた移動先であって、掘削対象領域における前記対象物の移動先を特定する特定処理と、前記移動先に前記対象物を移動するよう掘削機に指示する指示処理と、を実行する制御装置。
【0174】
なお、この制御装置は、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記取得処理と、前記特定処理と、前記指示処理とを前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0175】
1、3、40、40B 制御装置
2、4、5 制御システム
10、21、30、41、51 取得部
11、22、32、43、61 特定部
12、23、33、44、62 指示部
46、53、63 通信部
47、54、64 メモリ
31、42、52 評価部
50 第1制御装置
60 第2制御装置
100 通信ネットワーク
200 バックホウ
200a バケット
201 コントローラ
202 センサ
300 対象物
a21 かき寄せ領域
a22 掘削対象領域
a23 掘削範囲
P1 旋回中心
p21 掘削地点
S1、S2 制御方法