(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000998
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】試験測定システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20231226BHJP
【FI】
G01R31/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023101856
(22)【出願日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】63/354,202
(32)【優先日】2022-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/212,071
(32)【優先日】2023-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505436014
【氏名又は名称】ケースレー・インスツルメンツ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Keithley Instruments,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・ソボレフスキ
【テーマコード(参考)】
2G003
【Fターム(参考)】
2G003AA02
2G003AB05
2G003AD01
2G003AE06
2G003AE09
2G003AH01
(57)【要約】
【課題】静的及び動的特性測定を組み合わせて統合した測定システムでDUTのリーク電流測定を実行する。
【解決手段】試験測定システム100は、1つ以上のDUT70に結合するように構成された被試験デバイス(DUT)インタフェース58と、電力供給装置50内、具体的にはスイッチング回路60内に収容されても良い特性測定回路とを有する。特性測定回路は、1つ以上のDUT70の静的試験及び動的試験を実行するよう制御されるように構成される。このデバイス特性測定回路は、1つ以上のDUT70のドレインに結合され、ドレイン・リーク電流の値を提示するように構成されたドレイン・アンプを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のDUTに結合するように構成された被試験デバイス(DUT)インタフェースと、
上記1つ以上のDUTの静的試験及び動的試験を実行するよう制御されるように構成されたデバイス特性測定回路と、
上記1つ以上のDUTのドレインに結合され、ドレイン・リーク電流の値を提示するように構成されたドレイン・アンプと
を具える試験測定システム。
【請求項2】
上記デバイス特性測定回路は、バイパス・スイッチを更に有し、該バイパス・スイッチの動作により、上記ドレイン・アンプが、ドレイン・リーク電流の値を提示するのをイネーブル又はディセーブルする請求項1の試験測定システム。
【請求項3】
上記ドレイン・アンプは、上記1つ以上のDUTのドレインとグラウンド基準電位との間に結合される請求項1の試験測定システム。
【請求項4】
上記1つ以上のDUTが、第1MOSFETデバイス及び第2MOSFETデバイスを有し、上記デバイス特性測定回路が、
第1及び第2MOSFETデバイス間に結合されたインダクタと、
該インダクタと直列で上記デバイス特性測定回路におけるインダクタの効果をイネーブルするのを制御できるように構成されたスイッチと
を更に有する請求項1の試験測定システム。
【請求項5】
上記デバイス特性測定回路が、上記1つ以上のDUTのゲートに結合され、ゲート・リーク電流の値を提示するように構成されたゲート・アンプを更に有する請求項1の試験測定システム。
【請求項6】
上記デバイス特性測定回路が、上記1つ以上のDUTの第2ゲートに結合され、第2ゲート・リーク電流の値を提示するように構成された第2ゲート・アンプを更に有する請求項5の試験測定システム。
【請求項7】
上記デバイス特性測定回路が、上記1つ以上のDUTのゲート電圧を制御するように構成されたゲート電圧駆動回路を更に有する請求項5の試験測定システム。
【請求項8】
測定装置と、
電力供給装置と
を具え、
該電力供給装置が、
1つ以上の被試験デバイス(DUT)への接続を可能にするインタフェースと、
上記1つ以上のDUTの静的試験及び動的試験の両方を実行する上記電力供給装置の動作を制御するように構成されたスイッチング回路と、
該スイッチング回路に制御されるデバイス特性測定回路と
を有し、該デバイス特性測定回路が、上記1つ以上のDUTのドレインに結合され、ドレイン・リーク電流の値を提示するように構成されたドレイン・アンプを有する試験測定システム。
【請求項9】
上記デバイス特性測定回路は、バイパス・スイッチを更に有し、該バイパス・スイッチの動作によって、上記ドレイン・アンプがドレイン・リーク電流の値を提示するのをイネーブル又はディセーブルする請求項8の試験測定システム。
【請求項10】
上記ドレイン・アンプが、上記1つ以上のDUTのドレインとグラウンド基準電位との間に結合される請求項8の試験測定システム。
【請求項11】
上記1つ以上のDUTが、第1MOSFETデバイス及び第2MOSFETデバイスを含み、上記デバイス特性測定回路が、
上記第1及び第2MOSFETデバイス間に結合されたインダクタと、
該インダクタと直列で上記デバイス特性測定回路における上記インダクタの効果をイネーブルするのを制御できるように構成されたスイッチと
を有する請求項8の試験測定システム。
【請求項12】
上記デバイス特性測定回路が、上記1つ以上のDUTのゲートに結合され、ゲート・リーク電流の値を提示するように構成されたゲート・アンプを更に有する請求項8の試験測定システム。
【請求項13】
上記デバイス特性測定回路は、上記1つ以上のDUTの第2ゲートに結合され、第2ゲート・リーク電流の値を提示するように構成された第2ゲート・アンプを更に有する請求項12の試験測定システム。
【請求項14】
上記デバイス特性測定回路が、上記1つ以上のDUTのゲート電圧を制御するように構成されたゲート電圧駆動回路を更に有する請求項12の試験測定システム。
【請求項15】
試験環境における試験測定方法であって、
上記試験環境において、1つ以上のDUTについての静的又は動的試験を、これら両方の試験で同じ特性測定回路を用いて実行するための入力をユーザから受ける処理と、
上記1つ以上のDUTとグラウンド基準電圧との間に結合されたドレイン・アンプを介して上記1つ以上のDUTからのドレイン・リーク電流の値を提示する処理と
を具える試験測定方法。
【請求項16】
制御可能なスイッチによって上記ドレイン・アンプの複数の入力端子を互いに結合することによって上記ドレイン・アンプをディスエーブルする処理を更に具える請求項15の試験測定方法。
【請求項17】
上記1つ以上のDUTがMOSFETデバイスを含み、上記試験測定方法が、上記特性測定回路中のゲート・アンプによって上記MOSFETデバイスのゲート・リーク電流の値を提示する処理を更に具える請求項15の試験測定方法。
【請求項18】
上記1つ以上のDUTが、第1MOSFETデバイス及び第2MOSFETデバイスを含み、上記試験測定方法が、上記特性測定回路中の第1ゲート・アンプによって上記第1MOSFETデバイスのゲート・リーク電流の値を提示する処理と、上記特性測定回路中の第2ゲート・アンプによって上記第2MOSFETデバイスのゲート・リーク電流の値を提示する処理とを更に具える請求項15の試験測定方法。
【請求項19】
上記第1MOSFETデバイス及び上記第2MOSFETデバイスのゲート電圧を制御して、これらMOSFETデバイスの1つをアイソレーションする処理を更に具える請求項18の試験測定方法。
【請求項20】
上記特性測定回路において、上記第1MOSFETデバイスと上記第2MOSFETデバイスとの間に結合されたインダクタの効果を制御する処理を更に具える請求項18の試験測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、試験測定システム及び装置に関し、より詳細には、被試験デバイスの静的及び動的特性測定の両方を実行する統合した測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン・カーバイド(SiC)MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)などの半導体デバイス又は他のデバイスなどの被試験デバイス(DUT)の特性の測定には、概して、電流/電圧(I/V)曲線などの静的特性の測定と、スイッチング・パラメータなどの動的特性の測定の両方が含まれることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2022/0291278号明細書
【特許文献2】特開2022-141621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドレイン及びゲートのリーク(漏れ)電流の測定などのDUTパラメータは、MOSFETデバイスの特性評価に関する重要な情報を提供するが、現在は、静的試験プラットフォームでのみ利用でき、これも、そのサイズと費用のために、全ての試験環境で利用できるわけではない。
【0005】
開示される装置及び方法の実施形態は、先行技術における欠点に取り組むものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示技術の実施形態としては、概して、静的及び動的特性の測定を組み合わせて統合した測定システム又はプラットフォームにおいて、DUTのリーク(漏れ)電流測定を実行するための回路及び方法がある。このようなプラットフォームは、2022年3月7日に出願された米国特許第17/688,733号(特許文献1)に記載されており、これは、参照により、本開示に組み込まれる。
【0007】
本願の実施形態は、2つのコンポーネントを有する統合型特性測定システムを提供するもので、インピーダンス・アナライザ、オシロスコープ、これら両方の組み合わせ、又は、1つ以上の他の試験測定装置のようなインタラクティブな試験測定装置が1つある。簡単のために、この説明では、このコンポーネントを試験測定装置と呼ぶ。もう1つのコンポーネントは、DUTやDUT用の試験ボードを取り付けるためのDUTインタフェースを備えた電力供給及び測定フロントエンドであり、この説明では、フィクスチャ(fixture:取付装置)とも呼ばれる。本願の実施形態は、概して、2つの別々のコンポーネントを有するが、これらは、1つのハウジングに取り付けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、静的及び動的測定を統合して低電流リーク測定を実施するための本開示技術の実施形態によるDUT試験環境のブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1の試験環境と連携して、1つ以上のDUTにおけるドレイン・リーク電流の特性を測定するための本開示技術の実施形態による回路例の概略図である。
【
図3】
図3は、
図1の試験環境と連携して、1つ以上のDUTにおけるゲート・リーク電流の特性を測定するための本開示技術の実施形態による回路例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、オシロスコープ又は他の試験測定装置などの試験測定装置40を有する試験測定システム100(プラットフォームとも呼ぶ)を示すブロック図である。説明を簡単にするために、装置40を測定装置と呼ぶことがある。システム100のもう1つ別の部分は、静的及び動的電力供給及び測定装置50であり、これは説明を容易にするために、電力供給装置と呼ぶことにする。これらの用語は、いずれかの装置の機能を限定することを意図したものではなく、よって、そのような限定を示唆するものではない。
【0010】
測定装置40は、ユーザが測定装置上の様々なメニューをインタラクティブに操作可能にするユーザ・インタフェース44を含む、多種多様なコンポーネントを有しても良い。ユーザ・インタフェース44により、ユーザは、タッチスクリーン有するディスプレイや様々なボタン及びノブなどを通して、実行する試験に関する選択、パラメータの設定などを行うことができる。測定装置40は、1つ以上のプロセッサ46を有しても良く、これは、ユーザ入力を受けて、パラメータ及び他の選択を測定装置に送信すると共に、電力供給装置からの出力を受けて、そのデータからユーザのための出力を生成する。測定装置40は、DUTのパラメータの試験測定を行う測定ユニット47を有する。
【0011】
コンピューティング・デバイス又はスマートフォンなどのリモート(遠隔)デバイス42も、測定装置40又は電力供給装置50のいずれかを介して、遠隔操作のために試験測定プラットフォーム100にアクセスしても良い。本願で使用される「プロセッサ」という用語は、1つ又は複数のマイクロコントローラ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)や特定用途向け集積回路(ASIC)など、命令を受けてアクションを実行できる任意の電子部品を意味し、これは、更に詳細に説明される。
【0012】
測定装置40は、ケーブル又は他の直接接続部48を介して電力供給装置50と通信を行う。これら2つの装置とそのケーブルは、ポータブルで、1人の個人で持ち運びできるように構成されている。このケーブルは、接続回路を介して各装置に接続されるので、これら装置は、ケーブルを再接続することなしに、環境設定(configurations:構成)を切り替えることができる。
【0013】
電力供給装置50は、更に、いくつかの様々な要素を有していても良い。これらとしては、1つ以上のプロセッサ52、被試験デバイス(DUT)70に高電圧を供給する高電圧回路56及び高電圧回路の保護として機能するインターロック54を有していても良い。インターロックは、高電圧回路によって生成される高電圧に起因する装置の損傷や危険な状態を防ぐように設計されている。DUTインタフェース58は、外部に取り付けられたDUT70に結合される。DUT70は、試験構成に応じて、実際には、複数の別々のデバイスを有していても良い。DUTインタフェース58は、ユニバーサルDUTインタフェースによって具体化されても良く、これにより、DUT70は、電力供給装置50内の様々なコンポーネントに接続可能となる。電力供給装置50は、更に、装置50をDUT70から保護するためのバリア(障壁)64を有していても良い。
【0014】
電力供給装置50内の高電圧回路に加えてDUT70の動作は、熱を発生することがあるし、DUTは、動作するのに温度が特定の範囲である必要がある。電力供給装置50は、DUT70の温度を制御するために、温度制御回路62を有していても良い。1つ以上のプロセッサ52は、温度を監視し、温度制御回路62を動作させるが、温度制御回路62は、ファン、切り替え可能なヒートシンク、冷却システム、ヒータなどのアイテムから構成されても良い。電力供給装置50には、更に、スイッチング回路60があっても良く、これは、DUT70を試験測定するために電力供給装置内の様々なコンポーネントの動作を制御する。
【0015】
概して、動作において、ユーザは、ユーザ・インタフェース44を介して、遠隔又は直接的に、電力供給装置50の動作を制御してDUT70の特性を測定するための入力を行う。典型的には、動的特性の測定は、
図2に示す実施形態のようなハーフ・ブリッジ回路を用いて行われる。動的特性の測定を行う1つの方法を、本願ではダブル・パルス法と呼び、このタイプ又は回路を使用する。
【0016】
概して、
図2の特性測定回路200は、電力供給装置50の内部、より具体的には、スイッチング回路60の内部に収容されるが、本開示技術の実施形態は、そのような例に限定されない。特性測定回路200は、2つのDUT(DUT_top及びDUT_bot)を図示し、これらは、
図1では、DUT70として図示されている。なお、「DUT_bot」の「bot」は「bottom:下側」を意味することに注意されたい。
【0017】
全般的な動作において、下側デバイスDUT_botがオンになると、Test_Lインダクタを介して所望の電流が得られる。続いて、下側デバイスDUT_botがオフになり、上側デバイスDUT_topがオンになる。これにより、Test_Lインダクタからのインダクタ電流が循環する。これに代えて、1つのDUT70のみが試験される場合は、上側デバイスをダイオードに置き換えても良い。回路特性に応じた指定時間が経過すると、上側デバイスがオフになり、下側デバイスがオンになる。これら両方のデバイス遷移の間に、所望のデータを収集でき、エネルギー損失が計算される。この同じプラットフォームが、電圧とデバイスを流れる電流の制御に応じて、静的パラメータを抽出するために使用できる。
【0018】
上側DUTをダイオード又は短絡に置き換えると、下側デバイスのゲート制御が可能になり、これによって、静的電流電圧(I/V)曲線を抽出できる。上側DUTが利用可能な場合、静的データを抽出する追加の方法を利用できる。これらには、下側DUTにおいて、ゲート/ドレインの電位を独立してパルスさせるものが含まれても良い。そうするために、システムは、下側DUTのゲートの電圧を制御して、デバイスの適切な伝達特性測定を可能にする。静的なI/Vデバイスの特性測定には、インダクタTest_Lは必要ないが、インダクタの存在により、同じ回路で静的特性測定と動的特性測定の両方を実行できる。上側と下側の両方のDUTが、回路に存在して同じタイプのデバイスである場合、最大電力の構成(configuration)は、2つのデバイス間で分割される。これらのデバイスの一方で、フル電力の試験が必要な場合は、もう一方のデバイスを短絡(short:ショート)と交換することになろう。
【0019】
特性測定回路200には、ドレイン・アンプ(増幅回路)210があり、これは、ナノ・アンペアのオーダーで、DUT_top及びDUT_botのドレインのリーク(漏れ)電流の値を示す(measure:測定する)ために使用される。いくつかの実施形態では、ドレイン・アンプ210が、同じアンプを流れるリーク電流の大きさのオーダーが異なっても、正確にその値を提示するために、オート・レンジ機能を有する。リーク・スイッチ220は、ドレイン・アンプ210の機能をバイパスするか又はイネーブルするために制御される。実際には、リーク・スイッチ220は、試験環境の高電流に耐えるために、物理的に大きくても良い。リーク・スイッチ220が閉(closed)位置にあるとき、特性測定回路200は、キロ・アンペアのレベルまでのDUT試験電流を供給できる。リーク・スイッチ220が開(open)位置にあるとき、リーク・スイッチ220は、ドレイン・アンプ210によって効果的に保護(guard:ガード)され、これにより、DUTからの非常に小さい電流の測定が容易になる。
図2では、ドレイン・アンプ210が、DUT_top又はDUT_botのソースにのみ結合されているように見えるかもしれないが、実際には、ドレイン・アンプ210は、DUT_top又はDUT_botのソース電流とゲート電流の両方の値を示し、これは、ドレイン電流に等しい。
【0020】
インダクタ・スイッチ230は、試験インダクタ240が特性測定回路200においてアクティブか否かを効果的に制御する。特性測定回路200がドレイン・リーク(漏れ)電流の値を提示するように設定されている場合、即ち、リーク・スイッチ220が開いているとき、インダクタ・スイッチ230は、どのDUT(DUT_top又はDUT_bot)が測定されるかを制御する。インダクタ・スイッチ230が閉じているときは、DUT_botのみからのドレイン・リーク電流が測定可能である。インダクタ・スイッチ230を開くことによって、インダクタ240が試験回路から実質的に除去されると、DUT_top及びDUT_botの両方のリーク電流に基づくリーク電流は、所定のMOSFETのDUTのゲート駆動(drive)の構成に応じて、ドレイン・アンプ210によって、その値を提示することができる。より具体的には、Vg_topが、DUT_topを完全にオンする電圧を提供するように設定されている場合、DUT_botのドレイン・リーク電流の特性を測定できる。逆に、Vg_botが、DUT_botを完全にオンする電圧を供給するように設定されている場合、DUT_topのドレイン・リーク電流の特性を測定できる。
【0021】
従来のドレイン・リーク電流の特性測定は、静的試験ベンチで行われ、
図2に示すような動的試験ベンチでは行われなかった。更に、ドレインのリーク(漏れ)電流の特性測定は、従来は、高電圧源の出力で測定されていたため、一度に1つのDUTのみの特性を測定する複雑な計測器が必要であった。特性測定回路200は、高精度のドレイン・アンプ210を使用して、極めて小さなリーク電流の値を提示するだけでなく、特性測定回路200は、動的試験ベンチであり、2つのDUTの同時試験も可能にする。更に、特性測定回路200は、ドレイン電圧源とは無関係に、ドレイン・リーク(漏れ)電流の測定を可能にする。
【0022】
図3は、DUTからのゲート・リーク電流の値を提示する(measure:測定する)ために使用される特性測定回路300を示す。特性測定回路300は、
図2を参照して説明した特性測定回路200と同じコンポーネントを多く有し、それら機能は、簡潔にするため、ここでは繰り返して説明はしない。
【0023】
特性測定回路300は、上側ゲート・アンプ350及び下側ゲート・アンプ360の2つのアンプ(増幅回路)を有し、これらは、フローティング・ゲート電流測定アンプである。上側ゲート・アンプ350及び下側ゲート・アンプ360があることで、上側及び下側デバイスDUT_top及びDUT_botの両方についてのリーク電流の特性測定が可能になる。
【0024】
動作において、DUT_topは、インダクタ・スイッチ230が開いて、インダクタ240の影響が除去されているときに、様々なドレイン電圧で、特性が測定されても良い。しかし、標準的なゲート・リーク電流は、Vds=0Vで測定され、これは、インダクタ・スイッチが閉じて、インダクタ240が存在している場合でも得ることができる。
【0025】
概して、リーク・スイッチ220及びインダクタ・スイッチ230の動作、並びにDUTに印加される電流及び電圧は、電力供給装置50の動作によって自動的に制御され、これらは、試験測定システム100(
図1)において試験される様々なDUT70について、デバイスの特性測定を実行するように予めプログラムされる。通常の動作では、ユーザは、1つ以上のDUT70を試験フィクスチャに取り付け、測定装置40のユーザ・インタフェース44を操作して、デバイスのデバイス特性測定を実行する。個々の測定値及びパラメータは、電力供給装置50が、その様々な予めプログラムされたデバイス特性測定試験を進めているときに、測定装置40によって捕捉される。
【0026】
本開示技術の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0027】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでいても良い。
【0028】
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は除外される。
【0029】
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含んでも良い。
実施例
【0030】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0031】
実施例1は、試験システムであって、1つ以上のDUTに結合するように構成された被試験デバイス(DUT)インタフェースと、上記1つ以上のDUTの静的試験及び動的試験を実行するよう制御されるように構成されたデバイス特性測定回路と、上記1つ以上のDUTのドレインに結合され、ドレイン・リーク電流の値を提示する(measure:測定する)ように構成されたドレイン・アンプとを具える。
【0032】
実施例2は、実施例1による試験システムであって、上記デバイス特性測定回路は、バイパス・スイッチを更に有し、該バイパス・スイッチの動作により、上記ドレイン・アンプがドレイン・リーク電流の値を提示するのをイネーブル又はディセーブルする。
【0033】
実施例3は、先の実施例のいずれかによる試験システムであって、上記ドレイン・アンプは、上記1つ以上のDUTのドレインとグラウンド基準電位との間に結合される。
【0034】
実施例4は、先の実施例のいずれかによる試験システムであって、上記1つ以上のDUTが、第1MOSFETデバイス及び第2MOSFETデバイスを有し、上記デバイス特性測定回路が、第1及び第2MOSFETデバイス間に結合されたインダクタと、該インダクタと直列で上記デバイス特性測定回路におけるインダクタの効果をイネーブルするのを制御できるように構成されたスイッチとを更に有する。
【0035】
実施例5は、先の実施例のいずれかによる試験システムであって、上記デバイス特性測定回路が、上記1つ以上のDUTのゲートに結合され、ゲート・リーク電流の値を提示するように構成されたゲート・アンプを更に有する。
【0036】
実施例6は、実施例5による試験システムであって、上記デバイス特性測定回路が、上記1つ以上のDUTの第2ゲートに結合され、第2ゲート・リーク電流の値を提示するように構成された第2ゲート・アンプを更に有する。
【0037】
実施例7は、先行する実施例のいずれかによる試験システムであって、上記デバイス特性測定回路が、上記1つ以上のDUTのゲート電圧を制御するように構成されたゲート電圧駆動回路(ドライバ)を更に有する。
【0038】
実施例8は、試験測定システムであって、測定装置と、電力供給装置とを具え、該電力供給装置が、1つ以上の被試験デバイス(DUT)への接続を可能にするインタフェースと、上記1つ以上のDUTの静的試験及び動的試験の両方を実行する上記電力供給装置の動作を制御するように構成されたスイッチング回路と、該スイッチング回路に制御されるデバイス特性測定回路とを有し、該デバイス特性測定回路が、上記1つ以上のDUTのドレインに結合され、ドレイン・リーク電流の値を提示するように構成されたドレイン・アンプを有する。
【0039】
実施例9は、実施例8による試験測定システムであって、上記デバイス特性測定回路は、バイパス・スイッチを更に有し、該バイパス・スイッチの動作によって、上記ドレイン・アンプがドレイン・リーク電流の値を提示するのをイネーブル又はディセーブルする。
【0040】
実施例10は、先の実施例8から9のいずれかによる試験測定システムであって、上記ドレイン・アンプが、上記1つ以上のDUTのドレインとグラウンド基準電位との間に結合される。
【0041】
実施例11は、先の実施例8から10のいずれかによる試験測定システムであって、上記1つ以上のDUTが、第1MOSFETデバイス及び第2MOSFETデバイスを含み、上記デバイス特性測定回路が、上記第1及び第2MOSFETデバイス間に結合されたインダクタと、該インダクタと直列で上記デバイス特性測定回路における上記インダクタの効果をイネーブルするのを制御できるように構成されたスイッチとを有する。
【0042】
実施例12は、先の実施例8から11のいずれかによる試験測定システムであって、上記デバイス特性測定回路が、上記1つ以上のDUTのゲートに結合され、ゲート・リーク電流の値を提示するように構成されたゲート・アンプを更に有する。
【0043】
実施例13は、実施例12による試験測定システムであって、上記デバイス特性測定回路は、上記1つ以上のDUTの第2ゲートに結合され、第2ゲート・リーク電流の値を提示するように構成された第2ゲート・アンプを更に有する。
【0044】
実施例14は、実施例12による試験測定システムであって、上記デバイス特性測定回路が、上記1つ以上のDUTのゲート電圧を制御するように構成されたゲート電圧駆動回路(ドライバ)を更に有する。
【0045】
実施例15は、試験環境における方法であって、上記試験環境において、1つ以上のDUTについての静的又は動的試験を、これら両方の試験で同じ特性測定回路を用いて実行するための入力をユーザから受ける処理と、上記1つ以上のDUTとグラウンド基準電圧との間に結合されたドレイン・アンプをによって上記1つ以上のDUTからのドレイン・リーク電流の値を提示する処理とを具える。
【0046】
実施例16は、実施例15による方法であって、制御可能なスイッチによって上記ドレイン・アンプの複数の入力端子を互いに結合することによって上記ドレイン・アンプをディスエーブル(無効に)する処理を更に具える。
【0047】
実施例17は、先行する実施例の方法のいずれかによる方法であって、上記1つ以上のDUTがMOSFETデバイスを含み、上記方法が、上記特性測定回路中のゲート・アンプによって上記MOSFETデバイスのゲート・リーク電流の値を提示する処理を更に具える。
【0048】
実施例18は、先行する実施例の方法のいずれかによる方法であって、上記1つ以上のDUTが、第1MOSFETデバイス及び第2MOSFETデバイスを含み、上記方法が、上記特性測定回路中の第1ゲート・アンプによって上記第1MOSFETデバイスのゲート・リーク電流の値を提示する処理と、上記特性測定回路中の第2ゲート・アンプによって上記第2MOSFETデバイスのゲート・リーク電流の値を提示する処理とを更に具える。
【0049】
実施例19は、実施例18による方法であって、上記第1MOSFETデバイス及び上記第2MOSFETデバイスのゲート電圧を制御して、これらMOSFETデバイスの1つをアイソレーション(isolate)する処理を更に具える。
【0050】
実施例20は、先行する実施例18から19のいずれかによる方法であって、上記特性測定回路において、上記第1MOSFETデバイスと上記第2MOSFETデバイスとの間に結合されたインダクタの効果を制御する処理を更に具える。
【0051】
開示された本件の上述のバージョンは、記述したか又は当業者には明らかであろう多くの効果を有する。それでも、開示された装置、システム又は方法のすべてのバージョンにおいて、これらの効果又は特徴のすべてが要求されるわけではない。
【0052】
加えて、本願の説明は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様又は実施例に関連して開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例との関連においても利用できる。
【0053】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
【0054】
説明の都合上、本発明の具体的な実施例を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0055】
40 試験測定装置
42 リモート・デバイス
44 ユーザ・インタフェース
46 プロセッサ
47 測定ユニット
48 ケーブル又はその他の直接接続
50 電力供給装置
52 プロセッサ
54 インターロック
56 高電圧回路
58 DUTインタフェース
60 スイッチング回路
62 温度制御回路
64 バリア(障壁)
70 被試験デバイス(DUT)
100 試験測定システム
200 特性測定回路
210 ドレイン・アンプ
220 リーク・スイッチ
230 インダクタ・スイッチ
300 特性測定回路
350 上側ゲート・アンプ
360 下側ゲート・アンプ
【外国語明細書】