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特開2024-99801蒸着マスク装置、マスク支持機構及び蒸着マスク装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099801
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】蒸着マスク装置、マスク支持機構及び蒸着マスク装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20240718BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240718BHJP
   H10K 71/16 20230101ALI20240718BHJP
【FI】
C23C14/04 A
H10K59/10
H10K71/16 166
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074270
(22)【出願日】2024-05-01
(62)【分割の表示】P 2020017616の分割
【原出願日】2020-02-05
(31)【優先権主張番号】P 2019019835
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】青木 大吾
(72)【発明者】
【氏名】池永 知加雄
(72)【発明者】
【氏名】井上 功
【テーマコード(参考)】
3K107
4K029
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC35
3K107CC45
3K107FF15
3K107GG04
3K107GG33
4K029AA09
4K029AA24
4K029BA62
4K029BD01
4K029CA01
4K029DB06
4K029DB17
4K029HA02
4K029HA03
4K029HA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】蒸着マスクと基板との間の隙間を低減した蒸着マスク装置を提供する。
【解決手段】蒸着マスク装置は、フレームと、フレームに固定されている複数の支持部材を有する支持体と、フレームに固定されている蒸着マスクと、冷却板85と、を備える。蒸着マスクは、複数の貫通孔を通過した蒸着材料が付着する基板に対面する。冷却板は、基板のうち蒸着マスクに対面する面とは反対側に位置する面に配置される。冷却板は、基板に向かって凸となるように湾曲した表面を含む。
【選択図】図9B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着マスク装置であって、
第1部分と、第1方向において開口部を挟んで前記第1部分に対向する第2部分と、第3部分と、前記第1方向とは異なる第2方向において前記開口部を挟んで前記第3部分に対向する第4部分と、を有し、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含むフレームと、
前記第1面側において前記第1部分に固定されている第1端と、前記第1面側において前記第2部分に固定されている第2端と、を含み、前記第2方向に並ぶ複数の支持部材を有する支持体と、
前記第1面側において前記第3部分に固定されている第3端と、前記第1面側において前記第4部分に固定されている第4端と、前記第3端と前記第4端の間に位置する複数の貫通孔と、を有する複数の蒸着マスクと、
冷却板と、を備え、
前記蒸着マスクは、前記複数の貫通孔を通過した蒸着材料が付着する基板に対面し、
前記冷却板は、前記基板のうち前記蒸着マスクに対面する面とは反対側に位置する面に配置され、
前記冷却板は、前記基板に向かって凸となるように湾曲した表面を含む、蒸着マスク装置。
【請求項2】
前記フレームの前記第1面が前記第2面の上方に位置する状態において、前記蒸着マスクは、下方に撓んでおり、
前記冷却板の前記表面の、前記基板に向かう突出量は、前記蒸着マスクに生じている撓み量よりも大きい、請求項1に記載の蒸着マスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、蒸着マスク装置、マスク支持機構及び蒸着マスク装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレットPC等の電子デバイスにおいて、高精細な表示装置が、市場から求められている。表示装置は、例えば、400ppi以上または800ppi以上等の画素密度を有する。
【0003】
応答性の良さと、または/およびコントラストの高さと、を有するため、有機EL表示装置が注目されている。有機EL表示装置の画素を形成する方法として、画素を構成する材料を蒸着により基板に付着させる方法が知られている。この場合、まず、貫通孔を含む蒸着マスクと、蒸着マスクを支持するフレームと、を備える蒸着マスク装置を準備する。次に、蒸着装置内で、蒸着マスク装置の蒸着マスクを基板に密着させた状態で、有機材料または/および無機材料などを蒸着させて、有機材料または/および無機材料などを基板に形成する。
【0004】
蒸着工程の際、蒸着マスクと基板との間に隙間が存在することが原因で、基板上の有機材料の寸法の精度または/および基板上の有機材料の位置の精度が低下する可能性がある。隙間ができる原因は、蒸着マスクが自重によって撓むことなどである。このような課題を解決するため、蒸着マスク、基板、および磁石の順に配置することで、磁力を利用して蒸着マスクを基板側へ引き寄せることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5382259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
蒸着マスクに生じる撓みの形態によっては、磁石などを用いたとしても、蒸着マスクと基板との間の隙間を十分に低減できない場合がある。
【0007】
本開示の実施形態は、蒸着マスクと基板との間の隙間を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施形態による蒸着マスク装置は、
第1部分と、第1方向において開口部を挟んで前記第1部分に対向する第2部分と、第3部分と、前記第1方向とは異なる第2方向において前記開口部を挟んで前記第3部分に対向する第4部分と、を有し、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含むフレームと、
前記第1面側において前記第1部分に固定されている第1端と、前記第1面側において前記第2部分に固定されている第2端と、を含み、前記第2方向に並ぶ複数の支持部材を有する支持体と、
前記第1面側において前記第3部分に固定されている第3端と、前記第1面側において前記第4部分に固定されている第4端と、前記第3端と前記第4端の間に位置する複数の貫通孔と、を有する蒸着マスクと、を備え、
前記蒸着マスクは、前記複数の貫通孔を通過した蒸着材料が付着する基板に対面し、
前記冷却板は、前記基板のうち前記蒸着マスクに対面する面とは反対側に位置する面に配置され、
前記冷却板は、前記基板に向かって凸となるように湾曲した表面を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の実施形態による蒸着マスク装置によれば、蒸着マスクと基板との間の隙間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態による蒸着マスク装置を備えた蒸着装置を示す図である。
図2】本開示の一実施形態による蒸着マスク装置を示す平面図である。
図3】フレームと、フレームに固定されている支持体と、を備える組立体を示す平面図である。
図4図2のA-A線に沿った断面図である。
図5図2のB-B線に沿った断面図である。
図6図3のC-C線に沿った断面図である。
図7】蒸着マスクの有効領域を示す部分平面図である。
図8図7のD-D線に沿った断面図である。
図9A】蒸着マスクの製造方法の一例を全体的に説明するための模式図である。
図9B】冷却板の一変形例を示す図である。
図10】蒸着マスク装置を用いて作製された蒸着基板を示す断面図である。
図11】フレームと、フレームに固定されている支持体と、を備える組立体の一変形例を示す平面図である。
図12】蒸着マスク装置の一変形例を示す平面図である。
図13】フレームと、フレームに固定されている支持体と、を備える組立体の一変形例を示す平面図である。
図14図12のE-E線に沿った断面図である。
図15】フレームと、フレームに固定されている支持体と、を備える組立体の一変形例を示す平面図である。
図16】蒸着マスク装置の一変形例を示す平面図である。
図17】蒸着層の寸法精度及び位置精度の評価方法を説明するための図である。
図18】マスク支持機構の支持部材の予備撓み量を測定する方法の一例を説明するための平面図である。
図19図18のF-F線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「基板」や「基材」や「板」や「シート」や「フィルム」などのある構成の基礎となる物質を意味する用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
【0012】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待してもよい程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0013】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に」や「下に」、「上側に」や「下側に」、又は「上方に」や「下方に」とする場合、ある構成が他の構成に直接的に接している場合を含む。さらに、ある構成と他の構成との間に別の構成が含まれている場合、つまり間接的に接している場合も含む。また、特別な説明が無い限りは、「上」や「上側」や「上方」、又は、「下」や「下側」や「下方」という語句は、上下方向が逆転してもよい。
【0014】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0015】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、矛盾の生じない範囲で、その他の実施形態や変形例と組み合わせられてもよい。また、その他の実施形態同士や、その他の実施形態と変形例も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられてもよい。また、変形例同士も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられてもよい。
【0016】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、製造方法などの方法に関して複数の工程を開示する場合に、開示されている工程の間に、開示されていないその他の工程が実施されてもよい。また、開示されている工程の順序は、矛盾の生じない範囲で任意である。
【0017】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「~」という記号によって表現される数値範囲は、「~」という符号の前後に置かれた数値を含んでいる。例えば、「34~38質量%」という表現によって画定される数値範囲は、「34質量%以上且つ38質量%以下」という表現によって画定される数値範囲と同一である。
【0018】
本明細書の一実施形態においては、有機EL表示装置を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスクやその製造方法に関した例をあげて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる蒸着マスクに対し、本実施形態を適用することができる。例えば、仮想現実いわゆるVRや拡張現実いわゆるARを表現するための画像や映像を表示又は投影するための装置を製造するために、本実施形態のマスクを用いてもよい。
【0019】
本開示の第1の態様は、蒸着マスク装置であって、
第1部分と、第1方向において開口部を挟んで前記第1部分に対向する第2部分と、第3部分と、前記第1方向とは異なる第2方向において前記開口部を挟んで前記第3部分に対向する第4部分と、を有し、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含むフレームと、
前記第1面側において前記第1部分に固定されている第1端と、前記第1面側において前記第2部分に固定されている第2端と、を含み、前記第2方向に並ぶ複数の支持部材を有する支持体と、
前記第1面側において前記第3部分に固定されている第3端と、前記第1面側において前記第4部分に固定されている第4端と、前記第3端と前記第4端の間に位置する複数の貫通孔と、を有する蒸着マスクと、を備え、
前記複数の支持部材は、前記フレームの前記第3部分と前記第4部分の中間位置に最近接する第1支持部材と、前記第1支持部材よりも前記フレームの前記第3部分側に位置する第2支持部材と、を少なくとも含み、
前記フレームの前記第1面が前記第2面の上方に位置する状態において、前記第1支持部材は、前記フレームから下方に第1撓み量で撓んだ状態で前記蒸着マスクを下方から支持し、前記第2支持部材は、前記フレームから下方に前記第1撓み量よりも小さい第2撓み量で撓んだ状態で前記蒸着マスクを下方から支持する、蒸着マスク装置である。
【0020】
本開示の第2の態様は、上述した第1の態様による蒸着マスク装置において、
前記複数の支持部材は、前記第1支持部材よりも前記フレームの前記第4部分側に位置する第3支持部材を含み、
前記フレームの前記第1面が前記第2面の上方に位置する状態において、前記第3支持部材は、前記フレームから下方に前記第1撓み量よりも小さい第3撓み量で撓んだ状態で前記蒸着マスクを下方から支持してもよい。
【0021】
本開示の第3の態様は、上述した第2の態様による蒸着マスク装置において、
前記複数の支持部材は、前記第2支持部材よりも前記フレームの前記第3部分側に位置する第4支持部材と、前記第3支持部材よりも前記フレームの前記第4部分側に位置する第5支持部材と、を含み、
前記フレームの前記第1面が前記第2面の上方に位置する状態において、前記第4支持部材は、前記フレームから下方に前記第2撓み量よりも小さい第4撓み量で撓んだ状態で前記蒸着マスクを下方から支持し、前記第5支持部材は、前記フレームから下方に前記第3撓み量よりも小さい第5撓み量で撓んだ状態で前記蒸着マスクを下方から支持してもよい。
【0022】
本開示の第4の態様は、上述した第1の態様から上述した第3の態様のそれぞれによる蒸着マスク装置において、
前記支持部材の厚みは、平面視で前記支持部材と重なる位置における前記蒸着マスクの厚みよりも大きくてもよい。
【0023】
本開示の第5の態様は、上述した第1の態様から上述した第3の態様のそれぞれによる蒸着マスク装置において、
前記支持部材の厚みは、平面視で前記支持部材と重なる位置における前記蒸着マスクの厚みの2倍以上であってもよい。
【0024】
本開示の第6の態様は、上述した第1の態様から上述した第5の態様のそれぞれによる蒸着マスク装置において、
前記支持部材の厚みは50μm以上であってもよい。
【0025】
本開示の第7の態様は、上述した第1の態様から上述した第6の態様のそれぞれによる蒸着マスク装置において、
前記支持部材の厚みは、平面視で前記支持部材と重なる位置における前記蒸着マスクの厚みの50倍以下であってもよい。
【0026】
本開示の第8の態様は、上述した第1の態様から上述した第7の態様のそれぞれによる蒸着マスク装置において、
前記支持部材の厚みは1mm以下であってもよい。
【0027】
本開示の第9の態様は、上述した第1の態様から上述した第8の態様のそれぞれによる蒸着マスク装置において、
前記フレームは、前記第1面と前記第2面の間に位置し、前記開口部に面する第3面を含み、
平面視で前記第1支持部材と重なる位置における前記第1部分の前記第3面は、平面視で前記第2支持部材と重なる位置における前記第1部分の前記第3面よりも、前記第2部分側に位置していてもよい。
【0028】
本開示の第10の態様は、上述した第1の態様から上述した第9の態様のそれぞれによる蒸着マスク装置において、
前記フレームの前記第1部分及び前記第2部分は、前記第3部分及び前記第4部分よりも短くてもよい。
【0029】
本開示の第11の態様は、上述した第1の態様から上述した第10の態様のそれぞれによる蒸着マスク装置において、
前記第1部分及び前記第2部分の長さに対する前記第3部分及び前記第4部分の長さの比が1.1以上であってもよい。
【0030】
本開示の第12の態様は、蒸着マスクを支持するマスク支持機構であって、
第1部分と、第1方向において開口部を挟んで前記第1部分に対向する第2部分と、第3部分と、前記第1方向とは異なる第2方向において前記開口部を挟んで前記第3部分に対向する第4部分と、を有し、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含むフレームと、
前記第1面側において前記第1部分に固定されている第1端と、前記第1面側において前記第2部分に固定されている第2端と、を含み、前記第2方向に並ぶ複数の支持部材を有する支持体と、を備え、
前記複数の支持部材は、前記フレームの前記第3部分と前記第4部分の中間位置に最近接する第1支持部材と、前記第1支持部材よりも前記フレームの前記第3部分側に位置する第2支持部材と、を少なくとも含み、
前記フレームの前記第1面が前記第2面の上方に位置する状態において、前記第1支持部材は、前記フレームから下方に予備第1撓み量で撓んでおり、前記第2支持部材は、前記フレームから下方に前記予備第1撓み量よりも小さい予備第2撓み量で撓んでいる、マスク支持機構である。
【0031】
本開示の第13の態様は、上述した第12の態様によるマスク支持機構において、
前記複数の支持部材は、前記第1支持部材よりも前記フレームの前記第4部分側に位置する第3支持部材を含み、
前記フレームの前記第1面が前記第2面の上方に位置する状態において、前記第3支持部材は、前記フレームから下方に前記予備第1撓み量よりも小さい予備第3撓み量で撓んでいてもよい。
【0032】
本開示の第14の態様は、上述した第13の態様によるマスク支持機構において、
前記複数の支持部材は、前記第2支持部材よりも前記フレームの前記第3部分側に位置する第4支持部材と、前記第3支持部材よりも前記フレームの前記第4部分側に位置する第5支持部材と、を含み、
前記フレームの前記第1面が前記第2面の上方に位置する状態において、前記第4支持部材は、前記フレームから下方に前記予備第2撓み量よりも小さい予備第4撓み量で撓んでおり、前記第5支持部材は、前記フレームから下方に前記予備第3撓み量よりも小さい予備第5撓み量で撓んでいてもよい。
【0033】
本開示の第15の態様は、上述した第12の態様から上述した第14の態様のそれぞれによるマスク支持機構において、
前記支持部材の厚みは50μm以上であってもよい。
【0034】
本開示の第16の態様は、上述した第12の態様から上述した第15の態様のそれぞれによるマスク支持機構において、
前記支持部材の厚みは1mm以下であってもよい。
【0035】
本開示の第17の態様は、上述した第12の態様から上述した第16の態様のそれぞれによるマスク支持機構において、
前記フレームは、前記第1面と前記第2面の間に位置し、前記開口部に面する第3面を含み、
平面視で前記第1支持部材と重なる位置における前記第1部分の前記第3面は、平面視で前記第2支持部材と重なる位置における前記第1部分の前記第3面よりも、前記第2部分側に位置していてもよい。
【0036】
本開示の第18の態様は、上述した第12の態様から上述した第17の態様のそれぞれによるマスク支持機構において、
前記フレームの前記第1部分及び前記第2部分は、前記第3部分及び前記第4部分よりも短くてもよい。
【0037】
本開示の第19の態様は、上述した第12の態様から上述した第18の態様のそれぞれによるマスク支持機構において、
前記第1部分及び前記第2部分の長さに対する前記第3部分及び前記第4部分の長さの比が1.1以上であってもよい。
【0038】
本開示の第20の態様は、蒸着マスク装置の製造方法であって、
第1部分と、第1方向において開口部を挟んで前記第1部分に対向する第2部分と、第3部分と、前記第1方向とは異なる第2方向において前記開口部を挟んで前記第3部分に対向する第4部分と、を有し、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含むフレームを準備する工程と、
第1支持部材に第1張力を加えた状態で、前記フレームの前記第1面側において前記第1支持部材を、前記第1支持部材が前記フレームの前記第3部分と前記第4部分の中間位置に最近接するように前記フレームの前記第1部分及び前記第2部分に固定する工程と、 前記第1支持部材よりも前記フレームの前記第3部分側の位置において、第2支持部材に前記第1張力よりも大きい第2張力を加えた状態で、前記フレームの前記第1面側において前記第2支持部材を前記フレームの前記第1部分及び前記第2部分に固定する工程と、
前記第1支持部材及び前記第2支持部材を前記フレームに固定した後、複数の貫通孔を有する蒸着マスクを、前記フレームの前記第1面側において前記フレームの前記第3部分及び前記第4部分に固定する工程と、を備える、蒸着マスク装置の製造方法である。
【0039】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態のみに限定して解釈されるものではない。
【0040】
まず、対象物に蒸着材料を蒸着させる蒸着処理を実施する蒸着装置80について、図1を参照して説明する。図1に示すように、蒸着装置80は、その内部に、蒸着源81、ヒータ83、及び蒸着マスク装置10を備えていてもよい。また、蒸着装置80は、蒸着装置80の内部を真空雰囲気にするための排気手段を更に備えていてもよい。蒸着源81は、例えばるつぼであり、有機発光材料などの蒸着材料82を収容する。ヒータ83は、蒸着源81を加熱して、真空雰囲気の下で蒸着材料82を蒸発させる。蒸着マスク装置10は、蒸着源81と対向するよう配置されている。
【0041】
以下、蒸着マスク装置10について説明する。図1に示すように、蒸着マスク装置10は、フレーム15と、フレーム15に固定されている蒸着マスク20と、を備える。フレーム15は、蒸着マスク20が撓むことを抑制するように、蒸着マスク20をその面方向に引っ張った状態で支持する。
【0042】
蒸着マスク装置10は、図1に示すように、蒸着材料82を付着させる対象物である基板91に蒸着マスク20が対面するよう、蒸着装置80内に配置されている。蒸着マスク20は、蒸着源81から飛来した蒸着材料82を通過させる複数の貫通孔25を有する。以下の説明において、蒸着マスク20の面のうち、飛来した蒸着材料82が付着する基板91の側に位置する面を第1面201と称し、第1面201の反対側に位置する面を第2面202と称する。
【0043】
蒸着マスク装置10は、図1に示すように、基板91の、蒸着マスク20と反対の側の面に配置された冷却板85を備えていてもよい。冷却板85は、冷却板85の内部に冷媒を循環させるための流路を有していてもよい。蒸着マスク装置10が冷却板85を備えることにより、蒸着工程の際に基板91の温度が上昇することを抑制することができる。
【0044】
図示はしないが、蒸着マスク装置10は、基板91の、蒸着マスク20と反対の側の面に配置された磁石を備えていてもよい。磁石は、冷却板85の、蒸着マスク20と反対の側の面に配置されていてもよい。磁石を設けることにより、磁力によって蒸着マスクを基板91側に引き寄せて、蒸着マスク20を基板91に密着させることができる。これにより、蒸着工程においてシャドーが発生することを抑制することができ、基板91に付着する蒸着材料82によって基板91に形成される蒸着層の寸法精度や位置精度を高めることができる。本願において、シャドーとは、蒸着マスク20と基板91との間の隙間に蒸着材料82が入り込み、これによって蒸着層の厚みが不均一になる現象のことである。また、静電気力を利用する静電チャックを用いて蒸着マスク20を基板91に密着させてもよい。
【0045】
図2は、蒸着マスク装置10を蒸着マスク20の第1面201側から見た場合を示す平面図である。図2に示すように、蒸着マスク装置10は、第1方向D1に並ぶ複数の蒸着マスク20を備えていてもよい。本実施の形態において、各蒸着マスク20は、第1方向D1に交差する第2方向D2に延びる矩形状の形状を有する。各蒸着マスク20は、蒸着マスク20の長さ方向の両端部において、例えば溶接によってフレーム15に固定されている。
【0046】
図2に示すように、蒸着マスク装置10は、フレーム15と蒸着マスク20との間に位置する支持体60を更に備えていてもよい。支持体60は、フレーム15に固定されていてもよい。図3は、支持体60を明確に示すため、図2の蒸着マスク装置10から蒸着マスク20を取り除いた状態を示す平面図である。フレーム15及び支持体60を備える構成要素のことを、マスク支持機構75とも称する。
【0047】
以下、蒸着マスク装置10のフレーム15、蒸着マスク20及び支持体60について詳細に説明する。
【0048】
まず、フレーム15について説明する。図2及び図3に示すように、フレーム15は、第1部分151、第2部分152、第3部分153及び第4部分154を含む枠部材と、枠部材の内側の開口部155と、を有する。第1部分151と第2部分152とは、第1方向D1において開口部155を挟んで対向している。また、第3部分153と第4部分154とは、第1方向D1とは異なる第2方向D2において開口部155を挟んで対向している。
【0049】
図2及び図3に示すように、第1方向D1と第2方向D2とは互いに直交していてもよい。また、第1部分151及び第2部分152は第2方向D2に延びていてもよく、第3部分153及び第4部分154は第1方向D1に延びていてもよい。
【0050】
図2及び図3に示すように、フレーム15の第1部分151及び第2部分152は、第3部分153及び第4部分154よりも短くてもよい。図2に示すように、フレーム15の第1面16側において、第1部分151及び第2部分152には支持体60の端部が固定されていてもよい。また、フレーム15の第1面16側において、第3部分153及び第4部分154には蒸着マスク20の端部が固定されていてもよい。この場合、図2に示すように、支持体60が蒸着マスク20よりも長くなる。
【0051】
第1部分151及び第2部分152の長さに対する第3部分153及び第4部分154の長さの比は、例えば、1.1以上でもよく、1.2以上でもよく、1.3以上でもよい。第1部分151及び第2部分152の長さに対する第3部分153及び第4部分154の長さの比は、例えば、1.5以下でもよく、1.7以下でもよく、2.0以下でもよい。第1部分151及び第2部分152の長さに対する第3部分153及び第4部分154の長さの比の範囲は、1.1、1.2及び1.3からなる第1グループ、及び/又は、1.5、1.7及び2.0からなる第2グループによって定められてもよい。第1部分151及び第2部分152の長さに対する第3部分153及び第4部分154の長さの比の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第1部分151及び第2部分152の長さに対する第3部分153及び第4部分154の長さの比の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第1部分151及び第2部分152の長さに対する第3部分153及び第4部分154の長さの比の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、1.1以上2.0以下でもよく、1.1以上1.7以下でもよく、1.1以上1.5以下でもよく、1.1以上1.3以下でもよく、1.1以上1.2以下でもよく、1.2以上2.0以下でもよく、1.2以上1.7以下でもよく、1.2以上1.5以下でもよく、1.2以上1.3以下でもよく、1.3以上2.0以下でもよく、1.3以上1.7以下でもよく、1.3以上1.5以下でもよく、1.5以上2.0以下でもよく、1.5以上1.7以下でもよく、1.7以上2.0以下でもよい。
【0052】
フレーム15を構成する材料としては、後述する蒸着マスク20の金属板の材料と同様のものを用いることができる。例えば、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。
【0053】
次に、蒸着マスク20について説明する。図2に示すように、蒸着マスク20は、フレーム15に固定されている一対の耳部21と、耳部21の間に位置する中間部22と、を有していてもよい。以下の説明において、一対の耳部21のうち、フレーム15の第3部分153に固定されている部分を第3端211とも称し、フレーム15の第4部分154に固定されている部分を第4端212とも称する。
【0054】
蒸着マスク20の中間部22は、少なくとも1つの有効領域23と、有効領域23の周囲に位置する周囲領域24と、を有していてもよい。図2に示す例において、中間部22は、第2方向D2に沿って所定の間隔を空けて配列された複数の有効領域23を含む。周囲領域24は、複数の有効領域23を囲んでいる。
【0055】
蒸着マスク20を用いて有機EL表示装置などの表示装置を作製する場合、1つの有効領域23は、1つの有機EL表示装置の表示領域に対応する。このため、図2に示す蒸着マスク装置10によれば、有機EL表示装置の多面付蒸着が可能である。なお、1つの有効領域23が複数の表示領域に対応する場合もある。また、図示はしないが、蒸着マスク20の幅方向においても所定の間隔を空けて複数の有効領域23が配列されていてもよい。
【0056】
有効領域23は、例えば、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有する。なお図示はしないが、各有効領域23は、有機EL表示装置の表示領域の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有することができる。例えば各有効領域23は、円形状の輪郭を有していてもよい。平面視とは、フレーム15の第1面16の法線方向に沿って蒸着マスク装置10を見ることを意味する。
【0057】
次に、支持体60について説明する。図2及び図3に示すように、支持体60は、第2方向D2に並ぶ複数の支持部材を含んでいてもよい。図2及び図3に示す例において、支持体60は、7本の支持部材を含んでいる。各支持部材は、フレーム15の第1面16側において第1部分151に固定されている端部と、フレーム15の第1面16側において第2部分152に固定されている端部と、を含んでいてもよい。以下の説明において、第1部分151に固定されている支持部材の端部を第1端601とも称し、第2部分152に固定されている支持部材の端部を第2端602とも称する。
【0058】
複数の支持部材は、フレーム15の第3部分153と第4部分154の中間位置に最近接する第1支持部材61と、第1支持部材61よりも第3部分153側に位置する第2支持部材62と、を少なくとも含む。「第3部分153と第4部分154の中間位置」とは、第2方向D2における第3部分153までの距離と第4部分154までの距離とが等しくなる位置である。図3において、符号Mで示す一点鎖線が、第3部分153と第4部分154の中間位置を示している。平面視において中間位置と重なる支持部材が存在する場合、中間位置と重なる支持部材が、中間位置に最近接する第1支持部材61である。図3に示す例において、第1支持部材61は、第3部分153と第4部分154の中間位置に重なっている。平面視において中間位置と重なる支持部材が存在しない場合、中間位置との間で最小の距離を有する支持部材が、中間位置に最近接する第1支持部材61である。図3において、符号Z2は、中間位置と第2支持部材62との間の距離を示す。符号Z3は、中間位置と第3支持部材63との間の距離を示す。複数の支持部材は、第1支持部材61よりも第4部分154側に位置する第3支持部材63を更に含んでいてもよい。また、複数の支持部材は、第2支持部材62よりも第3部分153側に位置する第4支持部材64を更に含んでいてもよい。また、複数の支持部材は、第3支持部材63よりも第4部分154側に位置する第5支持部材65を更に含んでいてもよい。また、複数の支持部材は、第4支持部材64よりも第3部分153側に位置する第6支持部材66を更に含んでいてもよい。また、複数の支持部材は、第5支持部材65よりも第4部分154側に位置する第7支持部材67を更に含んでいてもよい。
【0059】
支持体60の複数の支持部材は、図2に示すように、平面視において蒸着マスク20の周囲領域24と重なっていてもよい。これにより、蒸着マスク20の有効領域23の貫通孔を通過した蒸着材料が支持体60に付着することを抑制することができる。
【0060】
支持体60の各支持部材を構成する材料としては、後述する蒸着マスク20の金属板の材料と同様のものを用いることができる。例えば、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。
【0061】
次に、蒸着マスク装置10の断面構造について図4及び図5を参照して説明する。図4は、第1支持部材61を通る図2のA-A線に沿った断面図である。また、図5は、第1部分151と第2部分152の中間位置にある蒸着マスク20を通る図2のB-B線に沿った断面図である。
【0062】
図4及び図5に示すように、フレーム15は、第1面16、第2面17、第3面18及び第4面19を含む。第1面16は、蒸着マスク20及び支持体60が固定される側に位置する。第2面17は、第1面16の反対側に位置する。第3面18は、第1面16と第2面17の間に位置し、開口部155に面する。第4面19は、水平方向において第3面18の反対側に位置する。
【0063】
図4に示すように、第1面16は、第5面162と、第5面162よりも第2面17側に位置する第6面161と、を含んでいてもよい。第5面162は、蒸着マスク20が固定される第3部分153及び第4部分154の第1面16と同一平面上に位置していてもよい。第6面161は、第3面18に接続されていてもよい。第1支持部材61などの支持部材は、第6面161に固定されていてもよい。第6面161は、第5面162の一部を切削することによって形成されてもよい。
【0064】
支持体60の第1支持部材61などの支持部材は、第1面16側においてフレーム15と蒸着マスク20との間に位置している。第1支持部材61などの支持部材は、自重によって下方に撓む蒸着マスク20を下方から支持するよう機能する。なお、第1支持部材61などの支持部材にも、自重及び蒸着マスク20から受ける力に起因して、下方への撓みが生じている。
【0065】
フレーム15の第1面16が第2面17の上方に位置する状態において支持部材に生じる下方への撓み量について説明する。図4図5などの断面図において、矢印Y1が上方を示し、矢印Y2が下方を示す。
【0066】
図4において、符号a1は、第1支持部材61に生じている下方への撓み量を表している。撓み量は、第1支持部材61のうちフレーム15に固定されている部分と、第1支持部材61のうち最も下方に位置する部分との間の、上下方向における距離である。図4に示す例においては、第1支持部材61のうち第1部分151と第2部分152の中間位置の部分が、最も下方に位置している。撓み量を測定するための測定器としては、キーエンス社製LK-G85などのレーザー変位計を用いることができる。以下の説明において、第1支持部材61に生じている撓み量のことを、第1撓み量a1とも称する。また、第1支持部材61のうちフレーム15に固定されている部分を通る水平面のことを、第1基準面P1とも称する。
【0067】
図5に示すように、第2支持部材62、第3支持部材63などのその他の支持部材にも、下方への撓みが生じていてもよい。図5において、符号a2は、第2支持部材62に生じている下方への撓み量を表し、符号a3は、第3支持部材63に生じている下方への撓み量を表している。以下の説明において、以下の説明において、第2支持部材62に生じている撓み量のことを、第2撓み量a2とも称し、第3支持部材63に生じている撓み量のことを、第3撓み量a3とも称する。図示はしないが、第4支持部材64以降の支持部材についても、第n支持部材に生じている撓み量のことを、第n撓み量とも称し、符号anで表す。nは自然数である。各支持部材に生じている撓み量を測定する方法は、第1支持部材61の第1撓み量a1を測定する方法と同一である。
【0068】
支持体60の複数の支持部材は、フレーム15の第3部分153又は第4部分154の近くに位置する支持部材ほど撓み量が小さくなるよう、フレーム15に固定されている。例えば、第2支持部材62の第2撓み量a2及び第3支持部材63の第3撓み量a3は、第1支持部材61の第1撓み量a1よりも小さい。また、第4支持部材64の第4撓み量a4は、第2支持部材62の第2撓み量a2よりも小さい。また、第5支持部材65の第5撓み量a5は、第3支持部材63の第3撓み量a3よりも小さい。また、第6支持部材66の第6撓み量a6は、第4支持部材64の第4撓み量a4よりも小さい。また、第7支持部材67の第7撓み量a7は、第5支持部材65の第5撓み量a5よりも小さい。このような関係を式で表すと以下の通りである。
a1>a2>a4>a6
a1>a3>a5>a7
【0069】
支持体60の複数の支持部材の撓み量を上述のように調整することにより、図5に示すように、蒸着マスク20に生じる下方への撓み量を、第3部分153と第4部分154の中間位置において最大にすることができる。また、蒸着マスク20の下方への撓み量が、第3部分153と第4部分154の中間位置から第3部分153又は第4部分154へ向かうにつれて小さくなるよう、支持体60が蒸着マスク20を支持することができる。
【0070】
図5において、符号b1は、蒸着マスク20に生じる下方への撓み量を表す。蒸着マスク20の撓み量b1は、第1支持部材61などの支持部材の場合と同様に、蒸着マスク20のうちフレーム15に固定されている部分と、蒸着マスク20のうち最も下方に位置する部分との間の、上下方向における距離である。蒸着マスク20のうちフレーム15に固定されている部分を通る水平面のことを、第2基準面P2とも称する。
【0071】
図5において、符号L1は、フレーム15の第3部分153と第4部分154との間の距離を表す。b1/L1は、好ましくは0.00228以下である。b1/L1は、0.00171以下であってもよく、0.00114以下であってもよい。これにより、蒸着マスク20と基板91との間に隙間が生じることを抑制することができる。また、b1/L1は、好ましくは0.00008以上である。b1/L1は、0.00014以上であってもよく、0.00029以上であってもよい。
【0072】
b1/L1の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、b1/L1は、0.00008以上0.00228以下であってもよく、0.00014以上0.00171以下であってもよく、0.00029以上0.00114以下であってもよい。また、b1/L1の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、b1/L1は、0.00171以上0.00228以下であってもよい。また、b1/L1の範囲は、複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、b1/L1は、0.00008以上0.00014以下であってもよい。
【0073】
図6は、図3のC-C線に沿った断面図である。図6に示すように、蒸着マスク20を支持していない状態の支持体60にも、支持体60の自重に基づく撓みが生じていてもよい。蒸着マスク20を支持していない状態の支持体60の第n支持部材に生じている撓み量のことを、予備第n撓み量とも称し、符号cnで表す。nは自然数である。各支持部材に生じている予備撓み量を測定する方法は、第1支持部材61の第1撓み量a1を測定する方法と同一である。予備撓み量cnにおいても、上述の撓み量anの場合と同様に、下記の関係式が成立していてもよい。
c1>c2>c4>c6
c1>c3>c5>c7
【0074】
支持体60の各支持部材の厚みは、上述の撓み量の関係を満たすように定められる。支持体60の各支持部材の厚みは、好ましくは50μm以上である。支持体60の各支持部材の厚みは、60μm以上であってもよく、70μm以上であってもよい。これにより、支持体60の各支持部材の撓み量が大きくなり過ぎることを抑制することができる。また、支持体60の各支持部材の厚みは、好ましくは1mm以下である。支持体60の各支持部材の厚みは、500μm以下であってもよく、200μm以下であってもよい。これにより、蒸着マスク20の有効領域23の貫通孔を通過した蒸着材料が支持体60に付着することを抑制することができる。支持体60の各支持部材の厚みは、例えば100μmである。
【0075】
支持体60の各支持部材の厚みの範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、支持体60の各支持部材の厚みは、50μm以上1mm以下であってもよく、60μm以上500μm以下であってもよく、70μm以上200μm以下であってもよい。また、支持体60の各支持部材の厚みの範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、支持体60の各支持部材の厚みは、500μm以上1mm以下であってもよい。また、支持体60の各支持部材の厚みの範囲は、複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、支持体60の各支持部材の厚みは、50μm以上60μm以下であってもよい。支持部材の厚みを1mm以下にすることにより、フレーム15の第5面162を切削して第6面161を形成することに要する工数を抑制できる。
【0076】
支持体60の各支持部材の厚みの好ましい範囲は、平面視で支持体60と重なる位置における蒸着マスク20の厚みに対する相対値として定められていてもよい。平面視で支持体60と重なる位置において、蒸着マスク20は支持体60によって下方から支持される。好ましくは、支持体60の各支持部材の厚みは、平面視で支持体60と重なる位置における蒸着マスク20の厚みよりも大きい。例えば、蒸着マスク20の厚みに対する支持部材の厚みの比率は、好ましくは2以上である。比率は、2.5以上であってもよく、3以上であってもよい。また、蒸着マスク20の厚みに対する支持部材の厚みの比率は、好ましくは50以下である。比率は、40以下であってもよく、30以下であってもよい。
【0077】
また、蒸着マスク20の厚みに対する支持部材の厚みの比率の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、比率は、2以上50以下であってもよく、2.5以上40以下であってもよい。また、比率の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、比率は、40以上50以下であってもよい。また、比率の範囲は、複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、比率は、2以上2.5以下であってもよい。
【0078】
次に、蒸着マスク20の構造の一例について説明する。図7は、蒸着マスク20の第2面202側から有効領域23を拡大して示す平面図である。図7に示すように、各有効領域23に形成された複数の貫通孔25は、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定のピッチで配列されていてもよい。
【0079】
図8は、図7の有効領域23のD-D線に沿った断面図である。図8に示すように、複数の貫通孔25は、蒸着マスク20の第1面201から第2面202へ貫通している。貫通孔25は、蒸着マスク20を構成する金属板51の第1面511に位置する第1凹部30と、第1面511の反対側に位置する第2面512に位置し、第1凹部30に接続されている第2凹部35と、を有する。第1凹部30及び第2凹部35はそれぞれ、金属板51を第1面511側及び第2面512側からエッチングすることによって形成される。
【0080】
図7及び図8に示すように、第1凹部30の壁面31と、第2凹部35の壁面36とは、周状の接続部41を介して接続されていてもよい。接続部41は、蒸着マスク20の平面視において貫通孔25の開口面積が最小になる貫通部42を画成してもよい。
【0081】
図8に示すように、蒸着マスク20の第1面201側において、隣り合う二つの貫通孔25は、金属板51の第1面511に沿って互いから離間している。蒸着マスク20の第2面202側においても、隣り合う二つの第2凹部35が、金属板51の第2面512に沿って互いから離間していてもよい。すなわち、隣り合う二つの第2凹部35の間に金属板51の第2面512が残存していてもよい。以下の説明において、金属板51の第2面512の有効領域23のうちエッチングされずに残っている部分のことを、トップ部43とも称する。このようなトップ部43が残るように蒸着マスク20を作製することにより、蒸着マスク20に十分な強度を持たせることができる。このことにより、例えば搬送中などに蒸着マスク20が破損してしまうことを抑制することができる。なおトップ部43の幅が大きすぎると、基板91などの蒸着対象物のうち蒸着マスク20の貫通孔と重なっている領域への蒸着材料の付着が、蒸着マスク20の第2面202や壁面によって阻害され、これによって蒸着材料82の利用効率が低下することがある。従って、トップ部43の幅βが過剰に大きくならないように蒸着マスク20が作製されることが好ましい。
【0082】
蒸着工程の際、蒸着マスク20の第1面201は基板91に対面し、蒸着マスク20の第2面202は、蒸着材料82を保持したるつぼ81側に位置する。蒸着材料82は、次第に開口面積が小さくなっていく第2凹部35を通過して基板91に付着する。図8において第2面202側から第1面201へ向かう矢印で示すように、蒸着材料82は、るつぼ81から基板91に向けて基板91の法線方向Nに沿って移動するだけでなく、基板91の法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動することもある。このとき、蒸着マスク20の厚みが大きいと、斜めに移動する蒸着材料82が、トップ部43、第2凹部35の壁面36や第1凹部30の壁面31に引っ掛かり易くなり、この結果、貫通孔25を通過できない蒸着材料82の比率が多くなる。従って、蒸着材料82の利用効率を高めるためには、蒸着マスク20の厚みTを小さくし、これによって、第2凹部35の壁面36や第1凹部30の壁面31の高さを小さくすることが好ましいと考えられる。すなわち、蒸着マスク20を構成するための金属板51として、蒸着マスク20の強度を確保できる範囲内で可能な限り厚みTの小さな金属板51を用いることが好ましいと言える。この点を考慮し、本実施の形態において、蒸着マスク20の厚みTは、100μm以下であることが好ましい。蒸着マスク20の厚みTは、50μm以下であってもよく、40μm以下であってもよく、35μm以下であってもよく、30μm以下であってもよく、25μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。一方、蒸着マスク20の厚みが小さくなり過ぎると、蒸着マスク20の強度が低下し、蒸着マスク20に損傷や変形が生じやすくなる。この点を考慮し、蒸着マスク20の厚みTは、5μm以上であることが好ましい。蒸着マスク20の厚みTは、8μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、12μm以上であってもよく、13μm以上であってもよく、15μm以上であってもよい。
【0083】
蒸着マスク20の厚みTの範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、蒸着マスク20の厚みTの範囲は、5μm以上100μm以下であってもよく、8μm以上50μm以下であってもよく、10μm以上40μm以下であってもよく、12μm以上35μm以下であってもよく、13μm以上30μm以下であってもよく、15μm以上25μm以下であってもよく、15μm以上20μm以下であってもよい。また、蒸着マスク20の厚みTの範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、蒸着マスク20の厚みTの範囲は、20μm以上25μm以下であってもよい。また、蒸着マスク20の厚みTの範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、蒸着マスク20の厚みTの範囲は、13μm以上15μm以下であってもよい。
なお厚みTは、周囲領域24の厚み、すなわち蒸着マスク20のうち第1凹部30および第2凹部35が形成されていない部分の厚みである。従って厚みTは、金属板51の厚みであると言うこともできる。
【0084】
金属板51及び蒸着マスク20並びに上述の支持体60の厚みを測定する方法としては、接触式の測定方法を採用する。接触式の測定方法としては、ボールブッシュガイド式のプランジャーを備える、ハイデンハイン社製の長さゲージHEIDENHAIM-METROの「MT1271」を用いる。
【0085】
図8において、符号αは、金属板51の第1面511の有効領域23のうちエッチングされずに残っている部分(以下、リブ部とも称する)の幅を表している。リブ部の幅αおよび貫通部42の寸法rは、有機EL表示装置の寸法および表示画素数に応じて適宜定められる。
【0086】
なお、図示はしないが、隣り合う二つの第2凹部35が接続されるようにエッチングが実施されてもよい。すなわち、隣り合う二つの第2凹部35の間に、金属板51の第2面512が残存していない場所が存在していてもよい。また、図示はしないが、第2面512の全域にわたって隣り合う二つの第2凹部35が接続されるようにエッチングが実施されてもよい。
【0087】
金属板51の材料としては、例えば、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。鉄合金は、ニッケルに加えてコバルトを更に含んでいてもよい。例えば、金属板51の材料として、ニッケル及びコバルトの含有量が合計で30質量%以上且つ54質量%以下であり、且つコバルトの含有量が0質量%以上且つ6質量%以下である鉄合金を用いることができる。ニッケル若しくはニッケル及びコバルトを含む鉄合金の具体例としては、34質量%以上且つ38質量%以下のニッケルを含むインバー材、30質量%以上且つ34質量%以下のニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材、38質量%以上且つ54質量%以下のニッケルを含む低熱膨張Fe-Ni系めっき合金などを挙げることができる。このような鉄合金を用いることにより、金属板51の熱膨張係数を低くすることができる。例えば、基板91としてガラス基板が用いられる場合に、金属板51の熱膨張係数を、ガラス基板と同等の低い値にすることができる。これにより、蒸着工程の際、基板91に形成される蒸着層の寸法精度や位置精度が、金属板51を備える蒸着マスク20と基板91との間の熱膨張係数の差に起因して低下することを抑制することができる。
【0088】
次に、上述の蒸着マスク装置10を製造する方法について説明する。
【0089】
まず、図3に示すように、開口部155が設けられたフレーム15を準備する。フレーム15の作製方法は任意である。例えば、フレーム15を構成する上述のインバー材などの材料の塊を切削することによってフレーム15を作製することができる。
【0090】
続いて、図3に示すように、フレーム15の第1部分151及び第2部分152に支持体60の複数の支持部材の第1端601及び第2端602をそれぞれ例えば溶接によって固定する支持体固定工程を実施する。この際、図6に示すように、第3部分153と第4部分154との中間位置の近くに位置する支持部材ほど予備撓み量が大きくなるよう、複数の支持部材をフレーム15に固定してもよい。
【0091】
支持体固定工程においては、第3部分153と第4部分154との中間位置の近くに位置する支持部材から順にフレーム15に固定してもよい。例えば、まず、第1支持部材61をフレーム15に固定し、続いて、第2支持部材62及び第3支持部材63をフレーム15に固定し、続いて、第4支持部材64及び第5支持部材65をフレーム15に固定し、続いて、第6支持部材66及び第7支持部材67をフレーム15に固定してもよい。
若しくは、支持体固定工程においては、第3部分153と第4部分154との中間位置から遠くに位置する支持部材から順にフレーム15に固定してもよい。例えば、まず、第6支持部材66及び第7支持部材67をフレーム15に固定し、続いて、第4支持部材64及び第5支持部材65をフレーム15に固定し、続いて、第2支持部材62及び第3支持部材63をフレーム15に固定し、続いて、第1支持部材61をフレーム15に固定してもよい。
【0092】
また、支持体60の支持部材をフレーム15に固定する際、図3に示すように、第1部分151及び第2部分152が内側に弾性的に変形するようにフレーム15に力を加えてもよい。第1部分151及び第2部分152を内側に弾性的に変形させることにより、第1部分151及び第2部分152に固定された支持体60の支持部材に、第1部分151及び第2部分152の復元力に起因する力を加えることができる。この場合、第1部分151及び第2部分152に生じる復元力を調整することにより、支持体60の各支持部材に生じる予備撓み量が上述の関係式を満たすことができる。
【0093】
第1部分151及び第2部分152が内側に弾性的に変形するようにフレーム15に力を加える場合、平面視で第1支持部材61と重なる位置における第1部分151の第3面18は、平面視で第2支持部材62と重なる位置における第1部分151の第3面18よりも、第2部分152側に位置していてもよい。この場合、第1部分151のうち第1支持部材61の第1端601が溶接されている部分は、第1部分151のうち第2支持部材62の第1端601が溶接されている部分よりも、第2部分152側に位置していてもよい。このような位置関係は、第1支持部材61の長さが第2支持部材62の長さと同一の場合に生じていてもよい。
平面視で第1支持部材61と重なる位置における第2部分152の第3面18は、平面視で第2支持部材62と重なる位置における第2部分152の第3面18よりも、第1部分151側に位置していてもよい。個の場合、第2部分152のうち第1支持部材61の第2端602が溶接されている部分は、第2部分152のうち第2支持部材62の第2端602が溶接されている部分よりも、第1部分151側に位置していてもよい。このような位置関係は、第1支持部材61の長さが第2支持部材62の長さと同一の場合に生じていてもよい。
図3において、平面視で第1支持部材61と重なる位置における第1部分151及び第2部分152の第3面18を符号181で示す。平面視で第2支持部材62と重なる位置における第1部分151及び第2部分152の第3面18を符号182で示す。
【0094】
続いて、図2に示すように、フレーム15の第3部分153及び第4部分154に蒸着マスク20の第3端211及び第4端212をそれぞれ例えば溶接によって固定するマスク固定工程を実施する。マスク固定工程においては、貫通孔25が基板91に対して適切に配置されるよう、蒸着マスク20に張力を加えながら蒸着マスク20をフレーム15に固定する。このようにして、フレーム15、支持体60及び蒸着マスク20を備える蒸着マスク装置10を得ることができる。
【0095】
マスク固定工程においては、第3部分153及び第4部分154が内側に弾性的に変形するようにフレーム15に力を加えてもよい。これにより、第3部分153及び第4部分154に固定された蒸着マスク20に、第3部分153及び第4部分154の復元力に起因する力を加えることができ、蒸着マスク20に撓みが生じることを抑制することができる。
【0096】
ところで、蒸着マスク20に加えられる力が大きくなり過ぎると、蒸着マスク20にシワが生じ、一部の貫通孔25の位置が設計からずれてしまうことが考えられる。ここで本実施の形態においては、蒸着マスク装置10が、蒸着マスク20を下方から支持する支持体60を備えている。これにより、蒸着マスク20にシワが生じることを抑制しながら、蒸着マスク20に弛みが生じることを抑制することができる。
【0097】
次に、蒸着マスク装置10を用いて基板91上に蒸着材料82を蒸着させる蒸着方法について説明する。まず、蒸着マスク装置10と基板91とを組み合わせる工程を実施する。例えば、図9Aにおいて矢印Q1で示すように、基板91を蒸着マスク装置10の蒸着マスク20に向けて相対的に移動させて、基板91を蒸着マスク20に接触させる。
【0098】
本実施の形態においては、第3部分153と第4部分154の中間位置に最近接する第1支持部材61が、第1撓み量a1で撓んだ状態で蒸着マスク20を下方から支持し、第1支持部材61よりも第3部分153側に位置する第2支持部材62が、第1撓み量a1よりも小さい第2撓み量a1で撓んだ状態で蒸着マスク20を下方から支持し、第1支持部材61よりも第4部分154側に位置する第3支持部材63が、第1撓み量a1よりも小さい第3撓み量a3で撓んだ状態で蒸着マスク20を下方から支持している。また、その他の支持部材も、第1支持部材61から第3部分153側又は第4部分154側に離れるにつれて撓み量が小さくなるように支持部材の張力が調整された状態で、蒸着マスク20を下方から支持している。このため、図5に示すように、蒸着マスク20に生じる下方への撓み量を、第3部分153と第4部分154の中間位置において最大にすることができる。また、蒸着マスク20の下方への撓み量を、第3部分153と第4部分154の中間位置から第3部分153又は第4部分154へ向かうにつれて小さくすることができる。
【0099】
このように蒸着マスク20に生じる撓み量を単調に変化させることにより、基板91を蒸着マスク20に接触させる際、基板91と蒸着マスク20との間の接触を、第2方向D2において順に生じさせることができる。例えば、基板91と蒸着マスク20との間の接触を、はじめに、第3部分153と第4部分154の中間位置において生じさせ、その後、接触位置を、第3部分153側及び第4部分154側に順に変化させることができる。若しくは、基板91と蒸着マスク20との間の接触を、はじめに、第3部分153及び第4部分154の近傍において生じさせ、その後、接触位置を、第3部分153と第4部分154の中間位置の側に順に変化させることができる。このように第2方向D2において基板91と蒸着マスク20との間の接触を順に生じさせることにより、第2方向D2の複数の位置で同時に接触が生じる場合に比べて、基板91と蒸着マスク20との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0100】
好ましくは、基板91に生じている撓み量d1は、蒸着マスク20に生じている撓み量b1よりも大きい。言い換えると、蒸着マスク20に生じている撓み量b1が基板91に生じている撓み量d1よりも小さくなるよう、支持体60の各支持部材に加える張力を調整することが好ましい。これにより、基板91と蒸着マスク20との間の接触を、はじめに、第3部分153と第4部分154の中間位置において生じさせ、その後、接触位置を、第3部分153側及び第4部分154側に順に変化させることができる。
【0101】
その後、図9Aにおいて矢印Q2で示すように、冷却板85を基板91に向けて相対的に移動させて、冷却板85を基板91に接触させる工程を実施してもよい。冷却板85に生じている撓み量e1は、蒸着マスク20に生じている撓み量b1よりも大きい。冷却板85に生じている撓み量e1は、基板91に生じている撓み量d1’よりも大きくてもよい。撓み量d1’とは、蒸着マスク20に接触している状態の基板91に生じている撓み量である。冷却板85の撓み量e1を基板91の撓み量d1’よりも大きくすることより冷却板85と基板91との間の接触を、はじめに、第3部分153と第4部分154の中間位置において生じさせ、その後、接触位置を、第3部分153側及び第4部分154側に順に変化させることができる。
【0102】
なお、冷却板85は、図9Bに示すように、基板91に凸となるように湾曲した表面を有していてもよい。この場合、冷却板85の表面のうち基板91の表面の突出量e2は、蒸着マスク20に生じている撓み量b1よりも大きい。突出量e2は、基板91に生じている撓み量d1よりも大きくてもよい。これにより、冷却板85に撓みが生じていない場合や撓みが小さい場合であっても、冷却板85と基板91との間の接触を、はじめに、第3部分153と第4部分154の中間位置において生じさせ、その後、接触位置を、第3部分153側及び第4部分154側に順に変化させることができる。
【0103】
その後、図示はしないが、冷却板85の、蒸着マスク20と反対の側の面に磁石を配置してもよい。これにより、磁力によって蒸着マスクを基板91側に引き寄せることができる。
【0104】
続いて、蒸着材料82を蒸発させて基板91へ飛来させる。これにより、蒸着マスク20の貫通孔25に対応したパターンで蒸着材料82を基板91に付着させることができる。図10は、基板91と、基板91に付着した蒸着材料82からなる蒸着層92と、を備える蒸着基板90を示す断面図である。蒸着基板90は、図示はしないが、蒸着層92に重なる電極を更に備えていてもよい。
【0105】
本実施の形態によれば、蒸着マスク20と基板91との間に隙間が生じることを抑制することができる。このため、蒸着マスク20と基板91との間の隙間において蒸着材料82が基板91に付着することを抑制することができ、蒸着層92の寸法精度及び位置精度を高めることができる。これにより、隣り合う画素の干渉を考慮して蒸着基板90の設計において設けられるマージンを低減することができる。
【0106】
蒸着基板90の設計において考慮されるマージンを低減することにより、蒸着基板90の画素密度を高めることができる。また、蒸着基板90の画素密度が一定である場合には、マージンを低減することにより、隣り合う画素の干渉を防ぎながら、電極の面積を拡大することができる。これにより、蒸着層92の輝度を高めることができる。また、一定の輝度を得るために必要な駆動電圧を低下させることができ、これにより、有機EL表示装置の寿命を延ばすことや消費電力を低減することなどができる。
【0107】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
【0108】
上述の実施の形態においては、フレーム15の第3部分153と第4部分154の中間位置にフレーム15の支持部材の1つが位置しており、この支持部材を第1支持部材61と称する例を示した。本変形例においては、図11に示すように、フレーム15の第3部分153と第4部分154の中間位置に支持部材が位置しない例について説明する。
【0109】
図11において、フレーム15の第3部分153と第4部分154の中間位置を示す一点鎖線Mは、支持部材に重なっていない。この場合、直線Mを挟んで第2方向D2において対向する一対の支持部材を、第1支持部材61と称してもよい。この場合、2つの第1支持部材61の撓み量が、上述の第1撓み量a1となる。2つの第1支持部材61の撓み量は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
図11において、符号Z1は、中間位置と第1支持部材61との間の距離を示す。符号Z2は、中間位置と第2支持部材62との間の距離を示す。符号Z3は、中間位置と第3支持部材63との間の距離を示す。距離Z1は、距離Z2及び距離Z3よりも小さい。
【0110】
本変形例においても、第1支持部材61よりも第3部分153側に位置する第2支持部材62の第2撓み量a2は、第1支持部材61の第1撓み量a1よりも大きい。また、第1支持部材61よりも第4部分154側に位置する第3支持部材63の第3撓み量a3は、第1支持部材61の第1撓み量a1よりも大きい。これにより、蒸着マスク20に生じる下方への撓み量を、第3部分153と第4部分154の中間位置において最大にすることができる。
【0111】
図12は、蒸着マスク装置10のその他の変形例を示す平面図である。図13は、カバー部材70を明確に示すため、図12の蒸着マスク装置10から蒸着マスク20を取り除いた状態を示す平面図である。図12及び図13に示すように、蒸着マスク装置10は、第2方向D2に延び、フレーム15の第3部分153及び第4部分154に固定されている複数のカバー部材70を更に備えていてもよい。
【0112】
図14は、第1支持部材61を通る図12のE-E線に沿った断面図である。図14に示すように、カバー部材70は、蒸着マスク20及び支持体60よりもフレーム15の第2面17側に位置していてもよい。また、図12及び図14に示すように、カバー部材70は、蒸着マスク20の面の法線方向に沿って見た場合に、第1方向D1に並ぶ複数の蒸着マスク20の間の隙間Gに重なるよう、位置していてもよい。これにより、蒸着工程の際、蒸着材料82が複数の蒸着マスク20の間の隙間Gを通り抜けて基板91に付着することを抑制することができる。
【0113】
図15は、フレーム15に固定されている支持体60のその他の変形例を示す平面図である。支持体60は、第1方向D1に延びるとともに第2方向D2に並ぶ複数の支持部材61~67に加えて、第2方向D2に延びるとともに第1方向D1に並ぶ複数のカバー部材69を更に備えていてもよい。複数の支持部材61~67と複数のカバー部材69とは、同一の材料から一体的に構成されていてもよい。カバー部材69は、上述のカバー部材70と同様に、蒸着材料82が複数の蒸着マスク20の間の隙間Gを通り抜けて基板91に付着することを抑制するよう機能することができる。
【0114】
図16は、蒸着マスク装置10のその他の変形例を示す平面図である。図16に示すように、蒸着マスク20において、複数の有効領域23が第2方向D2だけでなく第1方向D1にも並んでいてもよい。
【0115】
次に、図2図18及び図19を参照して、蒸着マスク20を支持していない状態の支持部材に生じている予備撓み量を測定する方法の一例を説明する。
【0116】
まず、図2に示すように、フレーム15及び支持体60と、フレーム15に固定されている蒸着マスク20と、を備える蒸着マスク装置10を準備する。続いて、図18に示すように、平面視において支持体60に重なる位置にある蒸着マスク20を除去する。例えば、第6支持部材66と第3部分153との間の位置で蒸着マスク20を切断し、第7支持部材67と第4部分154との間の位置で蒸着マスク20を切断する。これにより、フレーム15と、蒸着マスク20を支持していない状態の支持体60と、を備えるマスク支持機構75を得ることができる。
【0117】
図19は、図18のF-F線に沿った断面図である。マスク支持機構75においても、フレーム15の第3部分153又は第4部分154の近くに位置する支持部材ほど小さい予備撓み量を有していてもよい。例えば、第2支持部材62の予備第2撓み量c2及び第3支持部材63の予備第3撓み量c3は、第1支持部材61の予備第1撓み量c1よりも小さい。第4支持部材64の予備第4撓み量c4は、第2支持部材62の予備第2撓み量c2よりも小さい。第5支持部材65の予備第5撓み量c5は、第3支持部材63の予備第3撓み量c3よりも小さい。第6支持部材66の予備第6撓み量c6は、第4支持部材64の予備第4撓み量c4よりも小さい。第7支持部材67の予備第7撓み量c7は、第5支持部材65の予備第5撓み量c5よりも小さい。予備撓み量を測定するための測定器としては、キーエンス社製LK-G85などのレーザー変位計を用いることができる。
【0118】
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【実施例0119】
次に、本開示の実施形態を実施例により更に具体的に説明するが、本開示の実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0120】
(実施例1)
まず、図3に示す例の場合と同様に、第1部分151、第2部分152、第3部分153及び第4部分154を備えるフレーム15を準備した。第1部分151と第2部分152の間の距離は1461mmであり、第3部分153と第4部分154の間の距離は877mmであった。
【0121】
続いて、7本の支持部材61~67に張力を加えながら、支持部材61~67の第1端601及び第2端602をそれぞれ第1部分151及び第2部分152に溶接により固定した。支持部材61~67の厚みは100μmであり、支持部材61~67の幅は5.5mmであった。
【0122】
続いて、フレーム15の第1面16が第2面17の上方に位置する状態において、キーエンス社製のレーザー変位計 LK-G85を用いて、支持部材61~67に生じている予備撓み量を測定した。結果を以下に示す。
第1支持部材61の第1予備撓み量:233μm
第2支持部材62の第2予備撓み量:174μm
第3支持部材63の第3予備撓み量:203μm
第4支持部材64の第4予備撓み量:117μm
第5支持部材65の第5予備撓み量:155μm
第6支持部材66の第6予備撓み量:73μm
第7支持部材67の第7予備撓み量:66μm
【0123】
続いて、蒸着マスク20に張力を加えながら、蒸着マスク20の第3端211及び第4端212をそれぞれ第3部分153及び第4部分154に溶接により固定した。フレーム15に固定した蒸着マスク20の数は19であった。蒸着マスク20の厚みは30μmであり、蒸着マスク20の幅は71.63mmであった。第1部分151側から第2部分152側に並ぶ19枚の蒸着マスク20を、それぞれ第1蒸着マスク、第2蒸着マスク、…第19蒸着マスクとも称する。
【0124】
続いて、フレーム15の第1面16が第2面17の上方に位置する状態において、キーエンス社製のレーザー変位計 LK-G85を用いて、第10蒸着マスクのうち支持部材61~67と重なる位置において第10蒸着マスクに生じている撓み量をそれぞれ測定した。すなわち、支持部材61~67に生じている撓み量を測定した。結果を以下に示す。なお、本実施例において、支持部材61~67のうちフレーム15に固定されている部分の上面の位置は、フレーム15の上面の位置に等しい。また、各蒸着マスクは、フレーム15の上面に固定されている。また、第10蒸着マスクは、フレーム15の第1部分151と第2部分152の中間位置にある。従って、第10蒸着マスクのうち支持部材61~67と重なる位置において第10蒸着マスクに生じている撓み量は、支持部材61~67に生じている撓み量a1~a7に等しい。第10蒸着マスクの撓み量から算出した、支持部材61~67の撓み量は下記の通りである。
第1支持部材61の第1撓み量:420μm
第2支持部材62の第2撓み量:365μm
第3支持部材63の第3撓み量:377μm
第4支持部材64の第4撓み量:277μm
第5支持部材65の第5撓み量:285μm
第6支持部材66の第6撓み量:83μm
第7支持部材67の第7撓み量:72μm
【0125】
また、フレーム15の第1面16が第2面17の上方に位置する状態において、キーエンス社製のレーザー変位計 LK-G85を用いて、支持部材61~67によって支持されている状態の第1蒸着マスク~第19蒸着マスクに生じている撓み量を測定した。結果を以下に示す。
第1蒸着マスクの撓み量:144μm
第2蒸着マスクの撓み量:176μm
第3蒸着マスクの撓み量:261μm
第4蒸着マスクの撓み量:334μm
第5蒸着マスクの撓み量:336μm
第6蒸着マスクの撓み量:366μm
第7蒸着マスクの撓み量:374μm
第8蒸着マスクの撓み量:425μm
第9蒸着マスクの撓み量:412μm
第10蒸着マスクの撓み量:420μm
第11蒸着マスクの撓み量:404μm
第12蒸着マスクの撓み量:404μm
第13蒸着マスクの撓み量:370μm
第14蒸着マスクの撓み量:382μm
第15蒸着マスクの撓み量:365μm
第16蒸着マスクの撓み量:292μm
第17蒸着マスクの撓み量:320μm
第18蒸着マスクの撓み量:234μm
第19蒸着マスクの撓み量:138μm
【0126】
続いて、基板91を第1蒸着マスク~第19蒸着マスクに接触させて、蒸着工程を実施した。図17は、基板91上の電極93に形成された蒸着層92を示す図である。蒸着層92は、膜厚均一部分92a及びシャドウ部分92bを含む。膜厚均一部分92aとは、蒸着層92のうち、蒸着層92の平均膜厚±0.5%の範囲内の厚みを有する部分である。シャドウ部分92bとは、蒸着層92の平均膜厚よりも0.5%以上小さい厚みを有する部分である。蒸着層92の平均膜厚とは、蒸着層92のうち電極93に重なる部分の厚みの平均値である。その後、蒸着層92の寸法精度及び位置精度を評価した。具体的には、第1蒸着マスク~第19蒸着マスクを用いて形成された蒸着層92の各々について、電極93の端部の位置と蒸着層92の膜厚均一部分92aの端部の位置との間の距離W1を測定した。また、各蒸着層92における距離W1の最大値が第1閾値以下であるか否かを判定した。第1閾値は、例えば5.6μmである。結果、距離W1の最大値は第1閾値以下であった。また、第1蒸着マスク~第19蒸着マスクを用いて形成された蒸着層92の各々について、シャドウ部分92bの幅W2を測定した。また、シャドウ部分92bの幅W2が第2閾値以下であるか否かを判定した。第2閾値は、例えば1.0μmである。結果、シャドウ部分92bの幅W2は第2閾値以下であった。
【0127】
(比較例1)
支持部材61~67に生じている予備撓み量が同等になるよう、支持部材61~67の第1端601及び第2端602をそれぞれフレーム15の第1部分151及び第2部分152に溶接により固定した。続いて、実施例1の場合と同様に、支持部材61~67に生じている予備撓み量を測定した。結果を以下に示す。
第1支持部材61の第1撓み量:68μm
第2支持部材62の第2撓み量:59μm
第3支持部材63の第3撓み量:63μm
第4支持部材64の第4撓み量:63μm
第5支持部材65の第5撓み量:62μm
第6支持部材66の第6撓み量:61μm
第7支持部材67の第7撓み量:58μm
【0128】
続いて、実施例1の場合と同様に、蒸着マスク20に張力を加えながら、蒸着マスク20の第3端211及び第4端212をそれぞれ第3部分153及び第4部分154に溶接により固定した。続いて、支持部材61~67によって支持されている状態の第1蒸着マスク~第19蒸着マスクに生じている撓み量を測定した。結果を以下に示す。
第1蒸着マスクの撓み量:59μm
第2蒸着マスクの撓み量:62μm
第3蒸着マスクの撓み量:62μm
第4蒸着マスクの撓み量:65μm
第5蒸着マスクの撓み量:64μm
第6蒸着マスクの撓み量:61μm
第7蒸着マスクの撓み量:66μm
第8蒸着マスクの撓み量:64μm
第9蒸着マスクの撓み量:65μm
第10蒸着マスクの撓み量:69μm
第11蒸着マスクの撓み量:69μm
第12蒸着マスクの撓み量:66μm
第13蒸着マスクの撓み量:62μm
第14蒸着マスクの撓み量:61μm
第15蒸着マスクの撓み量:60μm
第16蒸着マスクの撓み量:57μm
第17蒸着マスクの撓み量:63μm
第18蒸着マスクの撓み量:61μm
第19蒸着マスクの撓み量:57μm
【0129】
続いて、実施例1の場合と同様に、第1蒸着マスク~第19蒸着マスクを用いて蒸着工程を実施し、基板91上の電極93に蒸着層92を形成した。また、電極93の端部の位置と蒸着層92の膜厚均一部分92aの端部の位置との間の距離W1を測定した。結果、距離W1の最大値は第1閾値を超えていた。また、シャドウ部分92bの幅W2を測定した。結果、シャドウ部分92bの幅W2は第2閾値を超えていた。
【0130】
実施例1と比較例1の比較から分かるように、フレーム15の第3部分153と第4部分154の中間位置に最近接する第1支持部材61の撓み量を他の支持部材の撓み量に比べて大きくすることにより、蒸着層92の寸法精度及び位置精度を高めることができた。
図1
図2
図3
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図5
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図8
図9A
図9B
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