(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099802
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】不整脈の診断のための装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/287 20210101AFI20240718BHJP
A61B 5/33 20210101ALI20240718BHJP
【FI】
A61B5/287 200
A61B5/33 100
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024074292
(22)【出願日】2024-05-01
(62)【分割の表示】P 2022504740の分割
【原出願日】2020-03-17
(31)【優先権主張番号】62/819,738
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(71)【出願人】
【識別番号】521435086
【氏名又は名称】セントレ・ホスピタリエ・ユニヴェルシテール・(シーエイチユー)・ドゥ・ボルドー
(71)【出願人】
【識別番号】521435097
【氏名又は名称】ユニヴェルシティ・ドゥ・ボルドー
(71)【出願人】
【識別番号】521435101
【氏名又は名称】フォンダシオン・ボルドー・ユニヴェルシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バス・シュバユ
(72)【発明者】
【氏名】バル-タル・メイル
(72)【発明者】
【氏名】ソリス・マリオ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ハイサゲル・ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ジャイス・ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ホシニ・メレーゼ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナス・オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】デュボイス・レミ
(72)【発明者】
【氏名】滝川 正晃
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127GG16
4C127LL08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】患者内の心臓または他の心血管解剖学的構造内のEPマッピングを提供するために使用され得るマッピングカテーテル組立体を提供する。
【解決手段】装置は、シャフトと、シャフトの遠位端部におけるエンドエフェクタと、を含む。エンドエフェクタは、被験者の心血管系内の解剖学的通路に適合するようにサイズ決定される。エンドエフェクタは、心血管組織に接触し、それによって心電図信号をピックアップするように構成された少なくとも1つの電極対を含む。各電極対は、間に位置するギャップ面積によって長手方向軸に沿って互いから離間された第1の電極および第2の電極を含み、ギャップ面積は、長手方向軸に関してギャップ長さを有し、長手方向軸に沿った電極のうちの1つの長さが、ギャップ長さと等しいか、またはそれよりも長く、ギャップ面積によって規定される面積と1つの電極の面積との比が、1以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)シャフトと、
(b)前記シャフトの遠位端部におけるエンドエフェクタと、を含み、前記エンドエフェクタは、被験者の心血管系内の解剖学的通路に適合するようにサイズ決定されており、前記エンドエフェクタは、長手方向軸に沿って配置された少なくとも1つの電極対を含み、前記少なくとも1つの電極対は、心血管組織に接触し、それによって心電図信号をピックアップするように構成され、各電極対は、
(i)平方寸法単位の第1の表面積を有する第1の電極であって、前記第1の表面積は、前記長手方向軸に沿って延びる前記第1の電極の第1の長さと、前記長手方向軸に垂直に延びる前記第1の電極の第1の幅によって規定される、第1の電極と、
(ii)前記第1の表面積を有する第2の電極と、を含み、前記第1の電極および前記第2の電極は、ギャップ距離だけ互いから離間しており、前記ギャップ距離は、前記第1の表面積を、前記第1の表面積と同じ寸法単位の平方根の逆数で0.1~2の範囲の変換係数に乗じることにより規定される、装置。
【請求項2】
前記第1の表面積は、0.05平方ミリメートル~1平方ミリメートルの範囲である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ギャップ距離は、100μm~500μmの範囲である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の幅および前記ギャップ距離は、5:1の比を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の電極はそれぞれ、長方形である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の長さは、100μm~750μmの任意の長さを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の幅は、800μm~1mmの任意の幅を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の長さが、前記ギャップ距離と等しいか、またはそれより長い、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ギャップ距離によって規定される面積と前記第1の表面積との比が、1以下である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記ギャップ距離は、1平方ミリメートルまでの前記第1の表面積と1.25mm-1以下の変換係数との積によって決定される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
装置であって、
(a)シャフトと、
(b)前記シャフトの遠位端部におけるエンドエフェクタと、を含み、前記エンドエフェクタは、人間の心血管系内の解剖学的通路に適合するようにサイズ決定されており、前記エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極対を含み、前記少なくとも1つの電極対は、心血管組織に接触し、それによって心電図信号をピックアップするように構成され、各電極対は、
(i)1平方ミリメートル以下の第1の表面積を有する第1の電極と、
(ii)第2の表面積を有する第2の電極と、を含み、
前記第1の電極および前記第2の電極は、それぞれの前記第1の電極および前記第2の電極の2つの最も近い実質的に平行な表面によって規定されるギャップ距離だけ互いから離間され、
前記ギャップ距離(Lg)は、前記第1の表面積または前記第2の表面積の一方と1.25mm-1以下の変換係数との積からの任意の値を含み、
前記第1の表面積は、0.08平方ミリメートル、0.24平方ミリメートル、0.4平方ミリメートル、0.5平方ミリメートル、または1平方ミリメートルから選択される面積を含む、装置。
【請求項12】
前記ギャップ距離は、100μm~200μmの任意の距離を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の電極および前記第2の電極は、ほぼ同一の曲線状平面構成を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の電極および前記第2の電極は、ほぼ同一直線状平面構成を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
装置であって、
(a)シャフトと、
(b)前記シャフトの遠位端部におけるエンドエフェクタと、を含み、前記エンドエフェクタは、被験者の心血管系内の解剖学的通路に適合するようにサイズ決定されており、前記エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極対を含み、前記少なくとも1つの電極対は、心血管組織に接触し、それによって心電図信号をピックアップするように構成され、各電極対は、
(i)平方寸法単位の第1の表面積を有する第1の電極と、
(ii)前記第1の表面積を有する第2の電極と、を含み、前記第1の電極および前記第2の電極は、ギャップ距離だけ互いから離間しており、前記ギャップ距離は、前記第1の表面積を、変換係数に乗じることにより規定され、
前記変換係数は、0.83mm-1、0.2mm-1、0.4mm-1、1mm-1、または0.5mm-1から選択される、装置。
【請求項16】
前記エンドエフェクタは、複数の細長いスパインおよび複数の前記電極対をさらに含み、前記電極対は、前記スパインに固定されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記シャフトは、長手方向軸を画定し、前記スパインは、前記長手方向軸から離れて外向きに延び、前記スパインは、前記長手方向軸から離れて配向されたそれぞれの自由端部を有する、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記スパインは、外向きに弓なりに曲がり、遠位で収束してバスケット構成を形成するように構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記エンドエフェクタは、膨張可能な部材をさらに含み、前記スパインは、前記膨張可能な部材の外側表面に固定されている、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記電極対は、直線状平面形状以外の構成を含む、請求項15に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
心房細動などの心不整脈は、心組織の領域が電気信号を異常に伝導すると、発生する。不整脈を治療するための処置は、そのような信号の伝導経路を外科的に中断することを含む。エネルギー(例えば、高周波(RF)エネルギー)の印加によって心組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の1つの部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝搬を停止または修正することが可能であり得る。アブレーションプロセスは、電気的に絶縁性の病変または瘢痕組織を形成することによって、望ましくない電気経路に対するバリアを提供し得る。
【0002】
一部のカテーテルアブレーション処置、特に持続性心房細動のカテーテルアブレーション処置は、異常な電気信号の部位を標的にするため、電気生理学的(EP)マッピングを用いて実行され得る。そのようなEPマッピングは、カテーテル(例えば、アブレーションを実行するのに使用される、同じカテーテル)上の感知電極の使用を含み得る。このような感知電極は、心血管系内の電気信号を監視して、不整脈の原因となる異常な導電性組織部位の場所を正確に定めることができる。EPマッピングシステムの例は、開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる、1998年4月14日発行の「Cardiac Electromechanics」と題する米国特許第5,738,096号に記載されている。EPマッピングカテーテルの例は、開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる、2018年3月6日発行の「Catheter Spine Assembly with Closely-Spaced Bipolar Microelectrodes」と題する米国特許第9,907,480号;開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる、2018年2月8日に公開された「Catheter with Soft Distal Tip for Mapping and Ablating Tubular Region」と題する米国特許出願公開第2018/0036078号;および、開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる、2018年3月1日に公開された、「Catheter with Bipolar Electrode Spacer and Related Methods」と題する米国特許出願公開第2018/0056038号、に記載されている。
【0003】
EPマッピングの使用に加えて、いくつかのカテーテルアブレーション処置は画像誘導手術(IGS)システムを用いて行うことができる。IGSシステムは、医師が、患者内のカテーテルの場所を、患者内の解剖学的構造の画像に関連して、リアルタイムで視覚的に追跡することを可能にし得る。カリフォルニア州アーバインのBiosense Webster, Inc.によるCARTO 3(登録商標)システムを含む、いくつかのシステムは、EPマッピングおよびIGS機能性の組み合わせを提供し得る。IGSシステムと共に使用するように構成されたカテーテルの例は、開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる、2016年11月1日発行の「Signal Transmission Using Catheter Braid Wires」と題された米国特許第9,480,416号;および本明細書に引用される種々の他の参考文献に開示されている。
【0004】
いくつかのカテーテルシステムおよび方法が作製され、使用されてきたが、本発明者に先行して、添付の特許請求の範囲に記載された発明を行うかまたは使用した者はいないと考えられる。
【0005】
以下の図面および詳細な説明は、単なる例示を意図したものであり、本発明者らが意図する本発明の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】例示的なマッピングカテーテル組立体の上面図を示す。
【
図2】
図1の線2-2に沿った、
図1のマッピングカテーテル組立体の断面端面図を示す。
【
図3】
図1の線3-3に沿った、
図1のマッピングカテーテル組立体の断面端面図を示す。
【
図4】
図1のマッピングカテーテル組立体の遠位部分の斜視部分断面図を示す。
【
図5】内部構造を明らかにするためにカテーテルシースの一部が切り離された、
図1のマッピングカテーテル組立体のエンドエフェクタの斜視図を示す。
【
図6】
図5のエンドエフェクタの電極組立体の拡大斜視図を示す。
【
図7】
図5のエンドエフェクタの電極組立体の分解組立図を示す。
【
図8】組織表面に接触する
図5のエンドエフェクタの側面概略図を示す。
【
図9】
図5のエンドエフェクタに組み込まれ得る別の例示的な電極組立体の部分斜視図を示す。
【
図10】組織表面に接触する、
図9の電極組立体を組み込んだ、
図5のエンドエフェクタの側面概略図を示す。
【
図11】
図1のマッピングカテーテル組立体に組み込まれ得る別の例示的なエンドエフェクタの側面図を示す。
【
図12】
図1のマッピングカテーテル組立体に組み込まれ得る別の例示的なエンドエフェクタの側面図を示す。
【
図13A】
図1のマッピングカテーテル組立体のエンドエフェクタに組み込まれ得る一対の直線状電極の概略図を示す。
【
図13B】
図1のマッピングカテーテル組立体のエンドエフェクタに組み込まれ得る一対の曲線状電極の概略平面図を示す。
【
図13C】
図1のマッピングカテーテル組立体のエンドエフェクタに組み込まれ得る電極構成の別の実施例の概略平面図を示す。
【
図13D】
図1のマッピングカテーテル組立体のエンドエフェクタに組み込まれ得る電極構成の別の実施例の概略平面図を示す。
【0007】
〔詳細な説明〕
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。図面は必ずしも縮尺通りではなく、選択された実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、本発明の原理を、限定するのではなく、例として示す。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、および利点は、実例として、本発明を実行するために企図される最良の態様のうちの1つである、以下の説明から当業者に明らかになるであろう。認識されるように、本発明は、本発明から逸脱することなく、他の異なる態様または同等の態様が可能である。したがって、図面および説明は、本質的に例示的なものであり、限定的なものではないとみなすべきである。
【0008】
本明細書に記載される教示、表現、バージョン、実施例などのうちの任意の1つ以上は、本明細書に記載されるその他の教示、表現、バージョン、実施例などのうちの任意の1つ以上と組み合わせることができる。したがって、以下に記載される教示、表現、バージョン、実施例などは、互いに対して切り離して見るべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる種々の適切な方法は、本明細書の教示を考慮すると、当業者には容易に明らかであろう。そのような修正および変形は、特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0009】
本明細書で使用される場合、任意の数値または範囲に対する「約」または「およそ」という用語は、構成要素の一部または集合が、本明細書に記載されるような、その意図された目的のために機能することを可能にする、適切な寸法公差を示す。より具体的には、「約」または「およそ」は、列挙された値の±10%の値の範囲を指すことができ、例えば、「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指すことができる。さらに、本明細書で使用される場合、用語「患者」、「宿主」、「ユーザー」および「被験者」は、任意のヒトまたは動物被験者を指し、システムまたは方法をヒトでの使用に制限することを意図しないが、ヒト患者における本発明の使用は好ましい実施形態を表す。
【0010】
I.例示的なマッピングカテーテル組立体
A.概要
図1は、患者内の心臓または他の心血管解剖学的構造内のEPマッピングを提供するために使用され得る例示的なマッピングカテーテル組立体(2)を示す。この実施例のカテーテル組立体(2)は、制御ハンドル(16)と、制御ハンドル(16)から遠位に延びるカテーテル(10)と、を含む。カテーテル(10)は、近位部分(12)および遠位偏向部分(14)を含み、遠位偏向部分は、以下でさらに詳細に説明するように、制御ハンドル(16)の偏向制御ノブ(11)の作動に応答して、近位部分(12)に対して横方向に偏向可能である。エンドエフェクタ(15)は、カテーテル(10)の遠位端部に位置付けられる。やはり以下でさらに詳細に説明するように、エンドエフェクタ(15)は、それぞれの自由端部を有する複数のスパイン(42)を含み、各スパインは、組織から心電図信号をピックアップするように構成された、少なくとも一対の近接した間隔の双極微小電極(85)を有する。
【0011】
本実施例では、カテーテル(10)の近位部分(12)は可撓性であるが、その長さに沿って実質的に非圧縮性である。
図2に示すように、カテーテル(10)の近位部分(12)は、補強チューブ(20)の周りに同軸に位置付けられた外壁(17)を含む。ほんの一例として、近位部分(12)の外径は、約8フレンチ未満であり得る。補強チューブ(20)と外壁(17)は共に、実質的なねじり安定性を提供すると共に、最小の壁厚も提供するように構成される。補強チューブ(20)および外壁(17)によって提供されるねじり安定性により、制御ハンドル(16)が回転すると、カテーテル(10)の偏向部分(14)およびエンドエフェクタ(15)は、対応するように回転する。いくつかの変形では、補強チューブ(20)は省略される。内腔(18)が、補強チューブ(20)の内部を通って延びる。内腔(18)は、例えば、1つ以上の引張ワイヤ、電極リード線、灌注チューブ、ならびに以下に説明するような任意の他のワイヤおよび/またはケーブルを含む、様々な構成要素を収容するようなサイズである。
【0012】
図3に示すように、カテーテル(10)の偏向部分(14)は、中心内腔(23)と、以下に説明するような種々の構成要素を収容するようなサイズである複数の軸外内腔(21、22、24、25)と、を画定するチューブ本体(19)を含む。本実施例では、チューブ本体(19)は、カテーテル(10)の近位部分(12)よりも可撓性のある材料で形成される。本実施例では、一組のリード線(30)が、非導電性シース(60)内に収容され、カテーテル(10)の長さにわたって延びる。
図2~
図3に示すように、リード線(30)およびシース(60)は、内腔(18、21)内に位置付けられる。リード線(30)は、以下でさらに詳細に説明するように、微小電極(85)と連結される。一組の引張ワイヤ(32A、32B)は、それぞれのシース(39)内に収容され、カテーテル(10)の長さにわたって延びる。引張ワイヤ(32A、32B)は、内腔(18)およびそれぞれの内腔(22、24)内に位置付けられ;本実施例では、互いから180度だけ角度的にオフセットしている。引張ワイヤ(32A、32B)は、以下でさらに詳細に説明するように、偏向部分(14)の双方向の横方向偏向を提供するように動作可能である。ガイドワイヤチューブ(38)もまた、カテーテル(10)の長さにわたって延び、内腔(18、23)内に位置付けられる。ガイドワイヤチューブ(38)は、従来のガイドワイヤ(不図示)をスライド可能に収容するように構成され、このガイドワイヤは、本明細書の教示に照らして当業者に明らかなように、様々な方法でカテーテル(10)をガイドするのを補助するために使用され得る。センサケーブル(34)も、カテーテル(10)の長さにわたって延び、内腔(18、25)内に位置付けられる。センサケーブル(34)は、以下でさらに詳細に説明するように、電磁式位置センサ(36)に連結される。
【0013】
図4に示すように、装着ステム(46)が、偏向部分(14)とエンドエフェクタ(15)との間に延びている。ステム(46)は、チューブ本体(19)の遠位端部に装着された短いチューブの形態である。ステム(46)は、位置センサ(36)および引張ワイヤ(32A、32B)のための遠位アンカーを含む、様々な構成要素を収容するための中央内腔(48)を有する。本実施例では、遠位アンカーは、一対のワッシャ(50D、50P)を含み、各ワッシャは、偏向部分(14)とステム(46)との間での構成要素の通過を可能にする複数の貫通孔(52、54)を有する。貫通孔(52、54)は、チューブ本体(19)の内腔(22、24)とそれぞれ軸方向に整列して、引張ワイヤ(32A、32B)の遠位端部をそれぞれ受容する。引張ワイヤ(32A、32B)によってワッシャ(50D、50P)に張力が加えられると、ワッシャ(50D、50P)は偏向部分(14)のチューブ本体(19)の遠位端部にしっかりと固定して当接する。各ワッシャ(50D、50P)は、内腔(21)と軸方向に整列し、リード線(30)を偏向部分(14)から内腔(48)内に通過させる、貫通孔(51)を含む。各ワッシャ(50D、50P)は、内腔(25)と軸方向に整列し、センサケーブル(34)を、位置センサ(36)が収容されている内腔(48)内に通過させる、貫通孔(55)も含む。各ワッシャ(50D、50P)は、内腔(23)と軸方向に整列し、ガイドワイヤチューブ(38)を内腔(48)内に通過させる、軸上貫通孔(53)をさらに含む。
【0014】
図3~
図4に示すように、偏向部分(14)の双方向偏向のために引張ワイヤ(32A、32B)が設けられている。引張ワイヤ(32A、32B)は、親指制御ノブまたは偏向制御ノブ(11)(
図1参照)に応答する制御ハンドル(16)内の機構によって作動される。ほんの一例として、このような偏向制御は、米国特許第6,123,699号;同第6,171,277号;同第6,183,435号;同第6,183,463号;同第6,198,974号;同第6,210,407号および同第6,267,746号のいずれか1つ以上の教示に従って提供され得る。
【0015】
B.例示的なマルチレイエンドエフェクタ
図1および
図4~
図9に示すように、マッピングカテーテル組立体(2)のエンドエフェクタ(15)は、カテーテル(10)の遠位端部に位置付けられた一組のリング電極(27)と、複数のスパイン(42)と、を含み、各スパインは、少なくとも一対の、近接した間隔の双極微小電極(85)を有する。本実施例では、一対の微小電極(85)は、それらの間に約200μm以下の分離空間ギャップ距離を有する。本実施例では、各スパイン(42)上に少なくとも一対の、近接した間隔の双極微小電極(85)が設けられている。より詳細には、本実施例では、各スパイン(42)は、スパイン(42)当たり合計8つの微小電極(85)のために、四対の双極微小電極(85)を有する。この数は、必要に応じて変更することができる。ほんの一例として、エンドエフェクタ(15)は、2つから8つのスパイン(42)を含むことができ;または、必要に応じて、より多くのスパイン(42)を含むことができる。スパイン(42)はそれぞれの自由端部を有して示されているが、他のバージョンは、1つのスパインの少なくとも1つの自由端部が、連続部材によって別のスパインの別の自由端部に接続されていてもよい。
【0016】
図4~
図6に示すように、各スパイン(42)は、支持部材(43)と、各スパイン(42)に沿って延びる非導電性被覆(44)と、を有する。各スパイン(42)の近位部分は、ステム(46)の内腔(48)内に近位に延びる。スパイン(42)は、ステム(46)の遠位開口部の周りに互いから等角距離で均一に配置される。接着剤(不図示)が、ステム(46)の遠位端部を、スパイン(42)の近位部分の周りでシールし;一方で、ガイドワイヤチューブ(38)の遠位端部を開いたままにしておく。本実施例では、各スパイン支持部材(43)が、形状記憶を有する材料(例えば、ニチノールなど)で作られる。非導電性被覆(44)は、生体適合性プラスチック(例えば、ポリウレタンまたはPEBAX)などの任意の適切な材料で作られ得る。
【0017】
スパイン(42)上に保持された微小電極(85)のためのリード線(30)は、カテーテル(10)の両方の部分(12、14)を通って延び、非導電性シース(60)によって保護される。エンドエフェクタ(15)に向かって、リード線(30)は、
図4に示すように、ポリチューブ(68)を通って延びる。リード線(30)は、ポリチューブ(68)の遠位端部で分岐し、それぞれのスパイン(42)に向かって延びる。
図4には、1つのスパイン(42)のみが示されているが、ポリチューブ(68)は、全てのスパイン(42)の近位端部を受容するように適切なサイズにすることができる。
【0018】
図5および
図6に示すように、各スパイン(42)は、スパイン(42)の形状に適合する、スパイン(42)の外側表面に固定されたパネル(80)の形態の可撓性微小電極部材を含む。
図7に示すように、パネル(80)は、非導電性ギャップ空間(Lg)によって間が分離された、少なくとも一対の近接した間隔の微小電極(85)を有する生体適合性の可撓性プラスチック基板(81)を含む。いくつかのバージョンでは、基板(81)は、概して細長く、より薄い(T)部分(82)と、長手方向部分(82)をほぼ垂直な角度で横断する少なくとも1つの遠位幅広部分(83)と、長手方向部分(82)よりもわずかに大きい横方向寸法を有する近位ベース部分(84aまたは84c)と、を備える。長手方向部分(82)は、スパイン(42)の長さに沿って延びるように構成され、横方向部分(83a、83b、83c)は、スパイン(42)の遠位部分の周りを円周方向に包むように構成される(
図5のR)。ベース部分(84a、84c)は、スパイン(42)の近位端部分上に位置付けられ、したがって、内腔(48)内で保護される。ベース部分(84c)上には、リード線(30)毎に1つずつはんだ付けパッチ(88)が設けられ、リード線の遠位端部はそれぞれのはんだ付けパッチ(88)にはんだ付けされる。したがって、はんだ付けパッチ(88)は、内腔(48)内で保護され、絶縁される。
【0019】
図6に示されるように、微小電極(85)(微小電極ストリップ)は、各横方向部分(83)の外側表面上で、横方向部分(83)と整列して取り付けられるか、または別の方法で提供され、その結果、各微小電極(85)は、横方向部分(83)がスパイン(42)の周りに円周方向に巻かれるとき、一般にリング微小電極(R)を形成する。長手方向部分(82)は、横方向部分(83)と同じ幅であってもよいが、基板の表面積被覆量または厚さが、スパイン(42)の可撓性に影響を及ぼし得る。微小電極(85)は、白金もしくは金のような任意の適切な固体導電性材料、または白金とイリジウムの組み合わせから作ることができる。微小電極(85)のいくつかのバージョンは、微小電極の信号対ノイズ特性を改善するために、酸化イリジウムでコーティングされるか、またはプラズマ処理される。
【0020】
いくつかのバージョンでは、対の各微小電極(85)を分離する空間ギャップ距離(Lg)は、約50~約300μmの範囲である。いくつかのバージョンでは、対の各微小電極(85)を分離する空間ギャップ距離(Lg)は、約100~約200μmの範囲である。いくつかのバージョンでは、対の各微小電極(85)を分離する空間ギャップ距離(Lg)は、約50μmである。さらに、いくつかのバージョンでは、各微小電極(85)自体は、約50μm~約100μmの範囲の幅(W)を有することができる。いくつかのバージョンでは、パネル(80)は、約8.0cmの長さを有し、長手方向部分(82)は、約5.0cmの長さ、および約1.0mm以下の幅を有し;ベース部分(84)は、約3.0cmの長さ、および約1.2mmの幅を有する。微小電極(85)の各対は、微小電極(85)の隣接する対から約5.0mmの距離だけ離れており、各微小電極(85)は、約50μmの幅および約2.56mmの長さを有する。他の適切な寸法および配置は、以下でさらに詳細に説明する。
【0021】
図7に示すように、本実施例の基板(81)は、第1の層または外層(81a)、第2の層または中間層(81b)、および第3の層または内層(81c)から形成され、それぞれが、長手方向軸L-Lに沿って延びる、表面(91c、91b、91c)によって画定される第1の表面(91)、および表面(92a、92b、92c)によって画定される第2の表面(92)を有する。文字「a」、「b」、および「c」は、基板(81)の層(81a、81b、81c)内の対応する特徴を示すことが理解される。微小電極(85)は、外層(81a)の第1の表面(91a)上に適用されるか、または別の方法で堆積されて、貫通孔(86a)の上を覆い、貫通孔は、対応する微小電極(85)と、第3の層(81c)のベース部分(84c)の第2の表面(92c)上に保持されたはんだ付けパッド(88)との間で、第2の層(81b)の長手方向部分(82b)の第1の表面(91b)に沿って延びる電気トレース(87b)の接続アクセスを提供するために、層(81a)に形成されている。追加のトレース(87c)が、第3の層(81c)の第1の表面(91c)に沿って延びる。貫通孔(86b、89b、89c)は、より近位の微小電極(85)およびより近位のはんだ付けパッド(
図7には示されていない)への電気トレース(87b、87c)の接続アクセスを提供するために、層(81b、81c)に形成されている。
【0022】
本実施例では、基板(81)は3つの層を有し、それぞれの層(81a、81b、81c)が4つのトレース(87)を保持する。この実施例では、微小電極(85)ごとに、1つの対応するトレース(87)と、1つの対応するはんだ付けパッド(88)と、があることが理解される。各リード線(30)は、対応するはんだ付けパッド(88)にはんだ付けされる。その点に関して、トレース(87)は、必要に応じてまたは適切に、異なるパターンで、かつ/または異なる層(81)上に、異なるように配置されてもよいことも理解される。隣接する微小電極(85)は、空間(Lg)によって分離され、各微小電極(85)は、先に述べられ、
図13Aにおいて後で定義される寸法を有する幅(W)を有してもよい。
【0023】
図5および
図6に示すように、基板(81)は、スパイン(42)の非導電性被覆(44)に固定され、長手方向部分(82)は、スパイン(42)に沿って長手方向に延び、横方向部分(83)は、スパイン(42)の周りに円周方向に巻かれる。その点に関して、横方向部分(83)の、さらに重要なことには微小電極(85)の、長手方向軸L-Lを基準とする横方向寸法または幅(W)は、スパイン(42)の円周と同等であり、微小電極(85)の対向する端部(85E)は、互いに到達するか、または少なくとも密接に接触して、スパイン(42)上に保持されたリング微小電極(R)を概ね形成し、リング微小電極(R)として機能することができる。本実施例では、基板(81)は、組織と接触するように適合されたスパイン(42)の前向き側または遠位側に固定される。
【0024】
図5に示すように、各スパイン(42)はわずかな内側湾曲を備えて予め形成され、エンドエフェクタ(15)は、開いた傘に似た全体的にわずかに凹んだ構成を有する。この予め形成された構成は、
図8に示されるように、エンドエフェクタ(15)が組織表面(93)に対して遠位側に前進されたときに、各スパイン(42)が、ほぼその全長に沿って組織表面(93)と係合することを可能にする。
【0025】
図9~
図10は、各スパイン(142)が長手方向軸L-Lを画定する、エンドエフェクタ(15)の代わりにマッピングカテーテル組立体(2)に組み込むことができる、別の例示的なマルチレイエンドエフェクタ(117)の構成要素を示す。あるいは、エンドエフェクタ(117)は、種々の他の種類のマッピングカテーテル組立体に組み込まれてもよい。この実施例のエンドエフェクタ(117)は、複数対の微小電極(185)が装着された複数のスパイン(142)を含む。
図6のスパイン(42)は、より円形の断面を有するのに対し、
図9のスパイン(142)は、より矩形の断面を有し、これにより、パネル(180)の形態の可撓性微小電極部材を選択的に適用または固定することができる、より大きな平面(100)を提供する。有利には、微小電極(185)の全体(それらの端部(180E)を含む)は、平面(100)の表面エリアに限定される。したがって、スパイン(142)は、各スパイン(142)の片側(すなわち、各スパイン(142)の組織接触側)のみに微小電極(185)を有する。したがって、
図10に示すように、概して、微小電極(185)の全体は、平面(100)が組織(193)と接触しているときに、組織(193)と接触している。
図9に示されるように、平面(100)に沿っていてL-L軸を横断するX寸法がX寸法に垂直なY寸法よりも大きい矩形断面を有するスパイン(142)を有することは、スパインの最大の屈曲または分岐のエリア(D)におけるスパイン(142)へのよじれおよび応力を最小化するのに役立ち得る(
図10参照)。
【0026】
支持部材(143)は、より大きな平面(100)を提供するために熱収縮非導電性被覆(144)によって採用される矩形断面を有する。パネル(180)の基板(181)は、本実施例では複数の層(181a、181b、181c)を含む。しかしながら、基板(181)には横方向部分がなく、長手方向部分は、平面(100)の横方向寸法と同等であるか、または少なくともそれ以下である横方向寸法(W)を有し、基板(181)は、平面(100)上に拘束されたままとなる。微小電極(185)は、細長くて薄く、この実施例では矩形の形状を有する。微小電極(185)は、白金もしくは金のような任意の適切な固体導電性材料、または白金とイリジウムの組み合わせから作ることができる。微小電極(185)のいくつかのバージョンは、酸化イリジウムでコーティングされるか、またはプラズマ処理される。
【0027】
上述のように、エンドエフェクタ(15)は、位置センサ(36)を含む。位置センサ(36)は、患者内のエンドエフェクタ(15)の位置および向きを示す信号を生成するように動作可能である。いくつかのバージョンでは、位置センサ(36)は、患者の近くに位置付けられた場発生器によって生成された交流電磁場の存在に応答して電気信号を生成するように構成された、1つのワイヤコイルまたは複数のワイヤコイル(例えば3つの直交コイル)を含む。そのような位置感知能力は、本明細書に引用された様々な特許文献のいずれかの教示に従って提供され得る。エンドエフェクタ(117)はまた、位置センサ(36)またはその変形形態を含み得る。エンドエフェクタ(15、117)に関連するリアルタイム位置データを生成するために使用され得る他の構成要素および技術は、無線三角測量、音響追跡、光学追跡、慣性追跡などを含み得る。あるいは、位置感知能力は、エンドエフェクタ(15、117)から省略されてもよい。
【0028】
例示的な使用において、カテーテル(10)は、患者の心血管系に(例えば、大腿動脈などを介して)挿入され得、偏向制御ノブ(11)および偏向部分(14)は、エンドエフェクタ(15、117)を所望の場所(例えば、肺静脈の中または近くなど)に向けるために使用される。いくつかのバージョンでは、外側シース(不図示)がエンドエフェクタ(15、117)の周囲に位置付けられて、エンドエフェクタ(15、117)が標的場所に前進するときにスパイン(42)を拘束することができる。このようなバージョンでは、エンドエフェクタ(15、117)が標的場所に到達または接近した後に、外側シースを後退させることができる。この位置付けは、既知の技術を使用して位置センサ(36)と通信する画像誘導外科システムからの支援を得て実施することができる。エンドエフェクタ(15、117)が標的場所に到達したら、微小電極(85、185)は心血管組織と接触させられて、心電図信号を得ることができる。エンドエフェクタ(15、117)のマルチレイ構成は、心血管腔内の解剖学的構造の様々な領域から同時にいくつかの心電図信号がピックアップされることを可能にする。これらの心電図信号は、EPマッピングを提供するために使用され得、それによって、心不整脈の原因となる異常な導電性組織部位の場所を正確に定める。いったんこれらの異常な導電性組織部位が同定されると、EPマップデータを用いて、アブレーションカテーテルをガイドして組織をアブレーションし、それによって不整脈を治療することができる。
【0029】
C.例示的なバスケットエンドエフェクタ
図11は、エンドエフェクタ(15)の代わりにマッピングカテーテル組立体(2)に組み込むことができる、別の例示的なエンドエフェクタ(200)を示す。あるいは、エンドエフェクタ(200)は、種々の他の種類のマッピングカテーテル組立体に組み込まれてもよい。この実施例のエンドエフェクタ(200)は、角度的に離間されたビーム(222)のアレイによって形成される拡張可能な組立体(220)を含む。各ビーム(222)は、四対(230)の双極微小電極(232、234)を含む。微小電極(232、234)はそれぞれ、概ね矩形であり、上述した微小電極(85、185)と同様に、組織から心電図信号をピックアップするように構成される。微小電極(232、234)は、白金もしくは金のような任意の適切な固体導電性材料、または白金とイリジウムの組み合わせで作られ得る。微小電極(232、234)のいくつかのバージョンは、酸化イリジウムでコーティングされるか、またはプラズマ処理される。各微小電極(232、234)の全体は、本実施例では、各ビーム(222)の外側に向けられた表面に限定される。したがって、ビーム(222)は、各ビーム(222)の片側(すなわち、各ビーム(222)の組織接触側)のみに微小電極(232、234)を有する。本明細書に別途記載されている場合を除き、エンドエフェクタ(200)の種々の特徴は、上述のエンドエフェクタ(15、117)と同様に構成および動作可能であり得る。
【0030】
ビーム(222)の近位端部は、上述の装着ステム(46)に類似していると考えることができる、外側シャフト(210)内に位置付けられる。ビーム(222)の遠位端部はハブ部材(212)と連結される。いくつかのバージョンでは、ハブ部材(212)は、拡張可能な組立体(220)の中心に同軸に位置付けられた中央内側シャフト(216)に固定される。ビーム(222)は、拡張可能な組立体(220)を非拡張状態と拡張状態との間で移行させるように構成される。拡張状態を
図11に示す。拡張可能な組立体(220)が非拡張状態にあるとき、ビーム(222)は、外側シャフト(210)の内径以下の有効外径を画定するように内方に付勢される。いくつかのバージョンでは、ビーム(222)は、弾性的に付勢されて、拡張状態にある拡張可能な組立体(220)を提供する。そのようないくつかのバージョンにおいて、外側シース(214)が、外側シャフト(210)の周りにスライド可能に配置される。シース(214)が(例えば、シース(214)の遠位端部がハブ部材(212)に対して遠位であるように)遠位位置にあるとき、シース(214)はビーム(222)を内側に拘束し、それによって拡張可能な組立体(220)を非拡張状態に維持する。シース(214)が(例えば、シース(214)の遠位端部が拡張可能な組立体(220)に対して近位であるように、
図11に示すように)近位位置にあるとき、ビーム(222)は、拡張状態にある拡張可能な組立体(220)を弾性的に提供することができる。ビーム(222)が弾性的に付勢されて拡張状態にある拡張可能な組立体(220)を提供するバージョンでは、内側シャフト(216)を省略することができる。
【0031】
別の単なる例示的な代替案として、拡張可能な組立体(220)の状態は、内側シャフト(216)および外側シャフト(210)の相対的な長手方向の位置付けに基づくことができる。内側シャフト(216)が制御ハンドル(16)に対して長手方向に静止しているバージョンでは、制御ハンドル(16)上のアクチュエータが、外側シャフト(210)を内側シャフト(216)に対して近位に駆動して、拡張可能な組立体(220)を非拡張状態に付勢することができ;外側シャフト(210)を内側シャフト(216)に対して遠位に駆動して、拡張可能な組立体(220)を拡張状態に付勢することができる。外側シャフト(210)が制御ハンドル(16)に対して長手方向に静止しているバージョンでは、制御ハンドル(16)上のアクチュエータは、内側シャフト(216)を外側シャフト(210)に対して遠位に駆動して、拡張可能な組立体(220)を非拡張状態に付勢することができ;内側シャフト(216)を内側シャフト(210)に対して近位に駆動して、拡張可能な組立体(220)を拡張状態に付勢することができる。このような作動を提供するために制御ハンドル(16)上で提供され得る種々の適切な形態の入力、ならびに拡張可能な組立体(220)が非拡張状態と拡張状態との間で移行し得る種々の適切な方法は、本明細書の教示を考慮すると、当業者には明らかであろう。
【0032】
例示的な使用において、カテーテル(10)は、患者の心血管系に(例えば、大腿動脈などを介して)挿入され得、偏向制御ノブ(11)および偏向部分(14)は、エンドエフェクタ(200)を所望の場所(例えば、肺静脈の中または近くなど)に向けるために使用される。エンドエフェクタ(200)が標的場所まで前進する際、本明細書の教示に従って、拡張可能な組立体(220)を非拡張状態に維持することができる。エンドエフェクタ(200)が標的場所に到達または接近した後、本明細書の教示に従って、拡張可能な組立体(220)を拡張状態に移行させることができる。エンドエフェクタ(200)が位置センサ(36)のような位置センサを含むバージョンでは、エンドエフェクタ(200)の位置付けは、位置センサと通信する画像誘導外科システムからの支援を得て実行され得る。エンドエフェクタ(200)が標的場所に到達したら、微小電極(232、234)が心血管組織と接触させられ、心電図信号を得ることができる。エンドエフェクタ(200)のバスケット形状の構成は、様々な電極対(230)が組織の様々な領域に同時に接触することを可能にし、それによってエンドエフェクタ(200)が、心血管腔内の解剖学的構造の様々な領域から同時にいくつかの心電図信号をピックアップすることを可能にする。これらの心電図信号は、EPマッピングを提供するために使用され得、それによって、心不整脈の原因となる異常な導電性組織部位の場所を正確に定める。いったんこれらの異常な導電性組織部位が同定されると、EPマップデータを用いて、アブレーションカテーテルをガイドして組織をアブレーションし、それによって不整脈を治療することができる。
【0033】
D.例示的なバルーンエンドエフェクタ
図12は、エンドエフェクタ(15)の代わりにマッピングカテーテル組立体(2)に組み込むことができる、別の例示的なエンドエフェクタ(300)を示す。あるいは、エンドエフェクタ(300)は、種々の他の種類のマッピングカテーテル組立体に組み込まれてもよい。この実施例のエンドエフェクタ(300)は、複数のフレックス回路(322)が固定された拡張可能なバルーン(324)によって形成される拡張可能な組立体(320)を含む。フレックス回路(322)は、バルーン(324)の周りに角度的に離間したアレイで位置付けられる。各フレックス回路(322)は、四対(330)の双極微小電極(332、334)を有する可撓性基板(326)を含む。微小電極(332、334)はそれぞれ、概ね矩形であり、上述した微小電極(85、185)と同様に、組織から心電図信号をピックアップするように構成される。微小電極(332、334)は、白金もしくは金のような任意の適切な固体導電性材料、または白金とイリジウムの組み合わせで作られ得る。微小電極(332、334)のいくつかのバージョンは、酸化イリジウムでコーティングされるか、またはプラズマ処理される。各微小電極(332、334)の全体は、本実施例では、各可撓性基板(326)の外側に向けられた表面に限定される。したがって、可撓性基板(326)は、各可撓性基板(326)の片側(すなわち、各可撓性基板(326)の組織接触側)のみに微小電極(332、334)を有する。本明細書に別途記載されている場合を除き、エンドエフェクタ(300)の種々の特徴は、上述のエンドエフェクタ(15、117)と同様に構成および動作可能であり得る。
【0034】
フレックス回路(322)の近位端部は、バルーン(324)の近位端部に対して遠位で終端する。フレックス回路(322)の遠位端部は、バルーン(324)の遠位端部に位置付けられたハブ(312)で接合される。バルーン(324)は、上述した装着ステム(46)に類似していると考えることができる、外側シャフト(310)の遠位端部に位置付けられる。バルーン(324)は、膨張流体(例えば、生理食塩水など)の供給源と流体連通しており、膨張流体は、バルーン(324)内に駆動されてバルーン(324)を膨張状態に移行させ、それによって(
図12に示すように)拡張状態にある拡張可能な組立体(320)を提供することができる。膨張流体は、バルーン(324)から引き抜かれて、バルーン(324)を膨張状態から非膨張状態に移行させ、それによって拡張可能な組立体(320)を非拡張状態へと移行させることができる。いくつかのバージョンでは、中央シャフト(不図示)がバルーン(324)内に位置付けられて、拡張可能な組立体(320)が拡張状態にあるか非拡張状態にあるかにかかわらず、ハブ(312)と外側シャフト(310)の遠位端部との間に一貫した間隔を維持する。バルーン(324)を膨張および収縮させることができる種々の適切な方法は、本明細書の教示に照らして当業者には明らかであろう。
【0035】
例示的な使用において、カテーテル(10)は、患者の心血管系に(例えば、大腿動脈などを介して)に挿入され得、偏向制御ノブ(11)および偏向部分(14)は、エンドエフェクタ(300)を所望の場所(例えば、肺静脈の中または近くなど)に向けるために使用される。エンドエフェクタ(300)が標的場所まで前進する際、本明細書の教示に従って、拡張可能な組立体(300)を非拡張状態に維持することができる。エンドエフェクタ(300)が標的場所に到達または接近した後、本明細書の教示に従って、拡張可能な組立体(320)を拡張状態に移行させることができる。エンドエフェクタ(300)が位置センサ(36)のような位置センサを含むバージョンでは、エンドエフェクタ(300)の位置付けは、位置センサと通信する画像誘導外科システムからの支援を得て実行され得る。エンドエフェクタ(300)が標的場所に到達したら、微小電極(332、334)は心血管組織と接触させられて、心電図信号を得ることができる。エンドエフェクタ(300)の球状構成は、様々な電極対(330)が組織の様々な領域に同時に接触することを可能にし、それによってエンドエフェクタ(300)が心血管腔内の解剖学的構造の様々な領域から同時にいくつかの心電図信号をピックアップすることを可能にする。これらの心電図信号は、EPマッピングを提供するために使用され得、それによって、心不整脈の原因となる異常な導電性組織部位の場所を正確に定める。いったんこれらの異常な導電性組織部位が同定されると、EPマップデータを用いて、アブレーションカテーテルをガイドして組織をアブレーションし、それによって不整脈を治療することができる。
【0036】
II.マッピングカテーテルエンドエフェクタのための例示的な微小電極構成
当技術分野で知られているような電極を備える従来のマッピングカテーテルのようないくつかの従来のEPマッピング器具では、電極によってピックアップされる心電図信号には、微小電極によって標的とされている特定の構造ではない心血管構造から生成された遠方場信号が、大部分ではないにしても、大量に含まれ得る。例えば、医師は、心臓の組織(例えば肺静脈など)と接触させて微小電極を配置して、心臓内のその部位における心電図信号を検出することができる。そのようないくつかの場合には、患者の心臓の心房は、その部位の(例えば、肺静脈での)振幅よりも大きな振幅を有する心電図信号を生成している場合があり、それらの心電図信号は、遠方場信号として肺静脈において微小電極によってピックアップされ得る。心組織の他の領域も、肺静脈において微小電極(または心血管腔内の別の場所に配置され、遠方場信号を生成する心組織からある程度の距離にある微小電極)によってピックアップされる遠方場信号を伝達し得る。これらの遠方場信号は近接場成分に付加され、最終的には、人工的に複雑で分画され、したがって解釈が困難である、心電図信号をもたらし得る。
【0037】
図14は、心房細動の被験者からの3つの心電図信号プロット(502、504、506)のグラフ(500)を示し、これらは、信号の細動性ならびに遠方場信号に起因して分画されている。当業者は、プロット(502、504、506)が、組織と接触する微小電極によって感知されるような、経時的な電圧を示すことを理解するであろう。ほんの一例として、プロット(502、504、506)は、患者の心臓内に位置付けられた3つの異なる微小電極対によってピックアップされた心電図信号を表すことができる)。異常な電気信号を生成している肺静脈内または心組織の任意の部分内の特定の場所を同定するために(したがって、アブレーションまたは他の治療のための標的場所を同定するために)、医師が心電図信号をチェックしている範囲において、プロット(502、504、506)に示されている分画は、組織内で発生する分極/脱分極サイクルのタイミングおよびケイデンス(cadence)を同定し、正確に注釈を付けることを実質的に困難にし得る。換言すれば、医師が(例えば、局所組織からの)比較的小さくて近い電位とより遠い電位とを区別することは困難であろう。これらは、アブレーションの標的がカテーテルによって記録された電気信号の分析に基づくので、電気生理学的アブレーション処置の重要な側面である。本発明者らは、患者の心房細動基質において日常的に見られる信号分画を実質的に含まない心電図信号を提供するために、本明細書に記載および図示される微小電極を考案した。この特定の種類の信号分画を、患者の外部にある電気装置(例えば、手術室の設備、携帯電話、Wi-Fi信号など)から発生する雑音と混同してはならない。本明細書で扱う信号分画は、患者の内部または外部に位置する人工設備または装置によって生成されるノイズまたは他の電気信号ではなく、患者の内部の心組織で生成される信号に起因する。実際、そのような分画は、患者が、患者の内部または外部に位置する人工設備または装置によって生成されるノイズまたは他の電気信号のない環境に置かれることになっていたとしても、心電図信号において見出され得る。
【0038】
ソフトウェアまたは他の形態の信号処理が、患者内の心組織内で生成された信号からの分画に対処することを意図している可能性がある限り、そのようなソフトウェアまたは他の形態の信号処理は、医師によって信頼できないと考えられ得る。したがって、本発明者らは、心房細動によって、また持続性AF患者の細動基質における複雑な波面の相互作用によって引き起こされる分画を実質的に含まない、心電図信号を得るための電極ベースの解決策を考案した。複数のメカニズムが、分画電気信号を発生させると同定または推測されている。これには、波面衝突、異方性、線維症、旋回波などが含まれる。メカニズムが何であれ、分画の大部分は、電極が直接接触している組織以外の信号を感知しているという事実に起因している。以下に、患者の心血管系内で生成される遠方場信号によって引き起こされる分画を減少させることを意図した追加のソフトウェアまたは他の信号処理解決策を必要とすることなく、患者の心血管系内で生成される遠方場信号によって引き起こされる分画を実質的に含まない心電図信号を提供し得る、微小電極の構成および配置のいくつかの例を記載する。
【0039】
以下の説明は、本明細書に記載されるエンドエフェクタ(15、117、200、300)のいずれかの微小電極(85、185、232、234、332、334)に使用され得る様々な配置および構成に関する。省略表現の目的で、
図13を参照すると、微小電極(85、185、232、234、332、334)を以下ではまとめて、対(400)の微小電極(402、404)と呼ぶ。以下の教示は、上述の微小電極(85、185、232、234、332、334)の全ての対(220、320)に適用可能であると理解されるべきである。当業者であれば、以下の教示は、様々な他の種類の器具の様々な他の種類の電極に容易に適用することができ、その結果、以下の教示は、必ずしも上述の微小電極(85、185、232、234、332、334)に限定されないことも認識するはずである。
【0040】
図13Aは、幅(W)および長さ(L)をそれぞれが有するものとして微小電極(402、404)を示し、ギャップ(Lg)が微小電極(402、404)を分離している。本実施例では、微小電極(402)の幅(W)は微小電極(404)の幅(W)に等しく;微小電極(402)の長さ(L)は微小電極(404)の長さ(L)と等しい。したがって、微小電極(402、404)は両方とも、本実施例では同じ表面積(l*w)を有する。微小電極(402、404)は、2つの最も近い実質的に平行な表面(402a、404a)が、
図13A、
図13Cおよび
図13Dに例示的に示されるような微小電極対の長手方向軸Le-Leを画定するように、互いに平行に配向される。
図13Aに示す好ましい実施形態では、微小電極(402、404)は、長さ(L)が、微小電極(402、404)が装着される構造(例えば、スパイン(42、142)、ビーム(222)、可撓性基板(326)など)の長手方向軸L-Lに平行に延びるように;また、幅(W)が、電極の長手方向軸Le-Leにほぼ平行に、または微小電極(402、404)が装着される構造の長手方向軸L-Lにほぼ垂直に延びるように、配置される。微小電極(402、404)は、微小電極(402、404)が装着される構造の長さに沿って微小電極(402、404)が互いから離間するように、位置付けられ、ギャップ(Lg)は、微小電極の2つの最も近い表面(402a、404a)の間に延びる。なお、本実施形態に関する命名上の便宜上、ギャップ(Lg)は、微小電極(402、404)が装着される構造の長手方向軸L-Lに対して実質的に平行となるようにされている。本実施例では、微小電極(402、404)は矩形であるが、微小電極(402、404)は代わりに任意の他の適切な形状を有してもよい。様々な他の適切な形状は、本明細書の教示に照らして当業者に明らかであろう。
【0041】
本発明者らは、感知された信号に適用される信号処理なしに、分画信号を減少させるかまたは実質的に除去する電極のいかなる配置も、一対の電極が、以下の経験則に適合する必要があり得ると判断した:(1)電極の長さ(L)は、常に、一対の電極間の間隔ギャップ(Lg)と少なくとも同じでなければならず、(2)間隔ギャップの面積(Ag)と1つの電極の面積(Ae)との比は、1以下でなければならない。表現を省略すると、これは、(1)L≧Lg、(2)Ag/Ae≦1と言い換えることができる。信号分画の減少を(信号処理なしで)達成し得る電極およびギャップ構成の様々な順列を表1で見ることができる。表1において、第1および第2のアスペクト比に適合する電極およびギャップは、信号処理を使用せずに、分画信号を減少または実質的に排除することができる。
【表1】
【0042】
本発明の電極構成による心電図信号の感知および記録は、分画信号または遠方場信号がほとんどまたは実質的にない心電図を提示するために、従来の低域フィルタおよび高域フィルタ(当業者には自明である)以外の特別な信号処理を適用する必要がないという点で有利である。感知された心電図から遠方場信号を減少または排除するための信号処理は、感知された信号に適用できない可能性がある特定の除外基準に基づいており、したがって、後処理された信号は、心組織によって局所的に生成された信号の正確な表現ではない可能性があると考えられる。
【0043】
さらなるほんの一例として、各微小電極(402、404)の表面積は、約0.4平方ミリメートル以下;約0.05平方ミリメートル~約0.4平方ミリメートルの任意の表面積;約1平方ミリメートル~約0.4平方ミリメートルの任意の表面積であり得る。本明細書で使用される場合、用語「面積」または「表面積」は、電極の2次元平面境界内に含まれ得るか、または適合され得る(適当な寸法単位、例えばミリメートルの)単位正方形の量である。「面積」または「表面積」という用語は、「表面粗さ」;「表面テクスチャ」;「フラクタル表面積」;またはそのようなエリアの表面プロファイルもしくはフラクタルに関する任意の測定に関連するいかなる意味も含まない。同様に、電極が非平面基板上に圧延または圧着される場合、電極の面積(または表面積)は、2次元の平面形状に広げられた面積である。そして、電極が3次元構成を含む場合、そのような電極の関連する「面積」または「表面積」は、心組織と直接物理的に接触する平面である。
【0044】
直線状電極のほんの一例として、各微小電極(402、404)の長さ(L)は、約100μm~約1ミリメートルの任意の長さ;約100μm~約300μmの任意の長さ;約300μm~約500μmの任意の長さ;または約500μm~約1mmの任意の長さとすることができる。
【0045】
直線状電極のほんの一例として、各微小電極(402、404)の幅(W)は、約800μm~約1mmの任意の幅;約800μm~約0.5mmの任意の幅とすることができる。
【0046】
さらなるほんの一例として、各微小電極(402、404)のギャップ距離(Lg)は、約50μm~約1mmの任意の距離;約50μm~約0.5mmの任意の距離とすることができる。
【0047】
図13Aに概略的に示されているような一バージョンでは、電極対の各電極は、概ね矩形の構成を有し、微小電極の長手方向軸Le-Leに沿って測定したとき(または長手方向軸L-Lに垂直に測定したとき)の約800μmの寸法(幅W)、および約300μmの、軸L-Lにほぼ平行な長手寸法(長さL)を有して、約0.24平方mmの1つの電極表面積、およびそれぞれの微小電極の2つの最も近い表面(402a、404a)間で測定したギャップ長さ(Lg)を提供する。換言すれば、ギャップ長さ(Lg)は、約200μmの、微小電極の長手方向軸Le-Leにほぼ垂直(または長手方向軸L-Lにほぼ平行)なものとして見ることができ、ギャップ幅は、約160μmのギャップ表面積で電極幅Wと同じである。
【0048】
代替的なバージョンでは、
図13Aの微小電極(402、404)は、
図13Cの微小電極(402’、404’)によって示されるように、微小電極の長手方向軸Le-Leがスパイン(42)の長手方向軸L-Lと一致する(または平行になる)ように約90度回転することができる。微小電極の配向は、長手方向軸L-Lに対する特定の角度の長手方向軸Le-Leに限定されるものではなく、電極対(402’’、404’’)または
図13Dの電極対(402’’’、404’’’)で示されるように、それぞれの微小電極対の2つの最も近い表面が実質的に平行であれば、どのような配向であってもよいことに注目されたい。
図13Dでは、それぞれの微小電極の少なくとも2つの最も近い表面が実質的に平行で、ギャップ距離Lgをほぼ平行な表面間に有する限り、電極が任意の配向(および電極数)であり得るという経験則を電極が満たすような電極構成を考案した。具体的には、電極の各グループについて、ギャップLgに達するために概ね平行である少なくとも2つの最も近い表面が存在し得る。例えば、
図13Dの4つの電極(404’’’、406、402’’’、408)の上部グループに関して;電極(404’’’)は、電極(406または408)の表面にほぼ平行な表面を有し、第1および第2の対のためのギャップLgを有する第1の対(404’’’、406)または第2の対(404’’’、408)を形成し;電極(404’’’)は、電極(402’’’)の表面とほぼ平行な表面を有し、ギャップLgを有する第3の電極対を形成し;電極(406)は、電極(402’’’)とほぼ平行な表面を有し、第4の電極対を形成する。
図13Dの電極の下部グループに関して、電極(404’’’)は、電極(406’、402’’’)の表面にほぼ平行な表面を有し、ギャップLgを画定し;電極(406’)は、電極(404’’’、402’’’)のそれぞれの表面にほぼ平行なそれぞれの表面を有し、それぞれのギャップLgを画定する。
【0049】
電極対構成が、例えば、円形(
図13B)、多角形(
図13D)、または曲線状電極のような、直線以外の形状であってもよいバージョンでは、変換係数CFを使用して、その対の電極のいずれか一方の既知の平面面積に基づいて電極間の適切なギャップ距離を決定してもよい。変換係数CFは、電極の平面面積と同じルート寸法単位(root dimensional unit)の逆数で約2~0.1の範囲であり得る。一実施例では、1つの電極の平面面積が約0.08平方mmである場合、両方の電極を通って延びる長手方向軸に沿った最小ギャップ距離(Lg)は、約100μmのギャップ距離Lgに達するように、変換係数CFを適用することによって(その面積の同じルート寸法単位の逆数またはmm
-1で)決定され得る。1つの電極の面積が0.24平方mmである別の実施例では、変換係数CF(同じルート寸法単位の逆数またはmm
-1で)は、1.25mm
-1以下であり得、約300μm~約24μmまでの最小ギャップ距離Lgの範囲を与える。電極の形状にかかわらず、好ましい変換係数CFは(電極面積に対する同じルート寸法単位の逆数で)約0.83である。
【0050】
上述のような微小電極(402、404)の構成および配置は、微小電極(402、404)が遠方場心電図信号を(例えば、心房から)ピックアップすることを防止することができ、その結果、微小電極(402、404)は、微小電極(402、404)と接触している組織(例えば、肺静脈)によって生成された心電図信号のみをピックアップする。
図15は、分画を実質的に含まない3つの心電図信号プロット(602、604、606)のグラフ(600)を示し、これらは、上記教示に従って構成され配置された微小電極(402、404)によってピックアップされた信号を表す。当業者は、プロット(602、604、606)が、組織と接触する微小電極によって感知されるような、経時的な電圧を示すことを理解するであろう。ほんの一例として、プロット(602、604、606)は、患者の肺静脈内に位置付けられた3つの異なる微小電極対(400)によってピックアップされた心電図信号を表すことができる。他の心臓構造(例えば、心房)が相当な振幅を有する遠方場信号を生成している範囲で、微小電極対(400)は、上述のような各対(400)の電極(402、404)の構成および配置により、これらの遠方場信号をピックアップしていない。その代わり、プロット(602、604、606)は、肺静脈自体の関連領域からの電位のみを示す。
【0051】
図15のこれらのプロット(602、604、606)は、
図14に示されるプロット(502、504、506)の種類の分画を含まないので、医師は、波面のタイミングにより容易に注釈を付けることができ、波面の方向、源、およびサイクル長のより良い診断を実施して、異常な電気信号に関連する組織内の特定の場所を決定することができる可能性があり;それによって、治療(例えば、アブレーションなど)の適切な場所をより確実かつ正確に特定することができる。
図15の心電図信号が
図14の心電図信号よりも改善されるのは、単に上述のような各対(400)の電極(402、404)の構成および配置に起因することが理解されるべきである。本実施例では、
図15の心電図信号が
図14の心電図信号よりも改善されるのは、信号フィルタリングアルゴリズムまたは他の信号処理技術の使用によるものではない。
【0052】
III.例示的組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるかまたは適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願または本出願のその後の出願においていつでも提示することができる任意の請求項の範囲を制限することを意図していないことを理解されたい。放棄は意図していない。以下の実施例は、単なる例示目的で提供されているに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で配置され適用され得ることが企図される。また、いくつかの変形例は、以下の実施例で言及されている特定の特徴を省略してもよいと考えられる。したがって、発明者または発明者の利益の承継人によって後日明示的に指示されない限り、以下に言及された態様または特徴のいずれも重要であるとはみなされるべきではない。本出願または本出願に関連するその後の出願において、以下で言及したもの以外の追加の特徴を含む任意の請求項が提出された場合は、それらの追加の特徴は、特許性に関連する何らかの理由によって追加されたものとは推定されないものとする。
【0053】
実施例1
装置であって、(a)シャフトと;(b)シャフトの遠位端部におけるエンドエフェクタと、を含み、エンドエフェクタは、被験者の心血管系内の解剖学的通路に適合するようにサイズ決定され、エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極対を含み、少なくとも1つの電極対は、心血管組織に接触し、それにより心電図信号をピックアップするように構成され、各電極対は、(i)平方寸法単位の第1の表面積を有する第1の電極と、(ii)第1の表面積を有する第2の電極と、を含み、第1の電極および第2の電極は、ギャップ距離だけ互いから離間しており、ギャップ距離は、第1の表面積を、第1の表面積と同じ寸法単位の平方根の逆数で約0.1~約2の範囲の変換係数に乗じることにより規定される、装置。
【0054】
実施例2
エンドエフェクタは、複数の細長いスパインおよび複数の電極対をさらに含み、電極対は、スパインに固定されている、実施例1に記載の装置。
【0055】
実施例3
シャフトは、長手方向軸を画定し、スパインは、長手方向軸から離れて外向きに延び、スパインは、長手方向軸から離れて配向されたそれぞれの自由端部を有する、実施例2に記載の装置。
【0056】
実施例4
スパインは、外向きに弓なりに曲がり、遠位で収束してバスケット構成を形成するように構成されている、実施例2に記載の装置。
【0057】
実施例5
エンドエフェクタは、膨張可能な部材をさらに含み、スパインは、膨張可能な部材の外側表面に固定されている、実施例2に記載の装置。
【0058】
実施例6
第1の表面積は、約0.95平方ミリメートル以下を含む、実施例1~5のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0059】
実施例7
第1の表面積は、約0.4平方ミリメートル以下を含む、実施例1~5のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0060】
実施例8
ギャップ距離は、約50μm~約3mmの任意の距離を含む、実施例1~7のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0061】
実施例9
ギャップ距離は、約50μm~約0.5mmの任意の距離を含む、実施例8に記載の装置。
【0062】
実施例10
エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極対に関連する少なくとも1つの電極支持部材を含み、各電極支持部材は、第1の側面および第2の側面を含み、電極対は、対応する電極支持部材の側面のうちの一方の上のみにある、実施例1~9のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0063】
実施例11
各電極対の第1の電極および第2の電極は、生体適合性金属または導電性ポリマーを含む、実施例1~10のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0064】
実施例12
生体適合性金属は、白金、パラジウム、コバルトクロム、ニチノール、金、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つから選択される金属を含む、実施例11に記載の装置。
【0065】
実施例13
生体適合性金属は、酸化イリジウムでコーティングされている、実施例11~12のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0066】
実施例14
生体適合性金属は、プラズマ処理されている、実施例11~13のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0067】
実施例15
少なくとも1つの電極対は、遠方場相互作用による分画なしに、電極対と接触している直近の組織の心電図信号をピックアップするように構成されている、実施例1~14のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0068】
実施例16
少なくとも1つの電極対は、電極対が接触している心組織の心電図信号を収集するように構成されており、電極対によって収集された心電図信号は、心組織の細動中の分画が有意に減少した信号である、実施例1~14のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0069】
実施例17
電極表面積は、約0.05平方ミリメートル~約1平方ミリメートルの任意の表面積、および約100μm~約500μmのギャップ長さ(Lg)を含む、実施例1~16のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0070】
実施例18
第1の表面積は、約0.24平方ミリメートル~約0.4平方ミリメートルの任意の表面積を含む、実施例1~16のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0071】
実施例19
エンドエフェクタは、ヒト心血管系内の解剖学的通路に適合するようにサイズ決定されている、実施例1~18のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0072】
実施例20
第1の電極および第2の電極は、それぞれ矩形であり、第1の表面積は、第1の電極および第2の電極の第1の長さと、第1の電極および第2の電極の第1の幅と、によって規定される、実施例1~19のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0073】
実施例21
電極対は、直線状平面形状以外の構成を含む、実施例20に記載の装置。
【0074】
実施例22
第1の長さは、約100μm~約750μmの任意の長さを含む、実施例20~21のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0075】
実施例23
第1の幅は、約800μm~約1mmの任意の幅を含む、実施例20~21のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0076】
実施例24
ギャップ距離は、約50μm~約3mmの任意の距離を含む、実施例20~21のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0077】
実施例25
第1の幅は、約800μm~約0.5mmの任意の幅を含む、実施例20~21のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0078】
実施例26
ギャップ距離は、1平方ミリメートルまでの1つの電極の面積と約1.25mm-1以下の変換係数との積によって決定される、実施例20~25のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0079】
実施例27
変換係数は、約0.83mm-1である、実施例26に記載の装置。
【0080】
実施例28
変換係数は、約0.2mm-1である、実施例26に記載の装置。
【0081】
実施例29
変換係数は、電極の面積のルート寸法で約0.4mm-1である、実施例26に記載の装置。
【0082】
実施例30
変換係数は、約1mm-1である、実施例26に記載の装置。
【0083】
実施例31
変換係数は、約0.5mm-1である、実施例26に記載の装置。
【0084】
実施例32
長手方向軸は、微小電極の2つの最も近い実質的に平行な表面によって画定される長手方向軸を含む、実施例1~31のいずれかに記載の装置。
【0085】
実施例33
装置であって、(a)シャフトと;(b)シャフトの遠位端部におけるエンドエフェクタと、を含み、エンドエフェクタは、ヒト心血管系内の解剖学的通路に適合するようにサイズ決定され、エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極対を含み、少なくとも1つの電極対は、心血管組織に接触し、それにより、心電図信号をピックアップするように構成され、各電極対は、(i)約1平方ミリメートル以下の第1の表面積を有する第1の電極と、(ii)第2の表面積を有する第2の電極と、を含み、第1の電極および第2の電極は、それぞれの第1の電極および第2の電極の2つの最も近い実質的に平行な表面によって規定されるギャップ距離だけ互いから離間され、ギャップ距離(Lg)は、第1の表面積または第2の表面積の一方と約1.25mm-1以下の変換係数との積からの任意の値を含む、装置。
【0086】
実施例34
第2の表面積は、第1の表面積に等しい、実施例33に記載の装置。
【0087】
実施例35
第1の表面積は、約0.08平方ミリメートル、0.24平方ミリメートル、0.4平方ミリメートル、0.5平方ミリメートル、または1平方ミリメートルから選択される面積を含む、実施例33~34のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0088】
実施例36
ギャップ距離(Lg)は、約50μm~約500μmの任意の距離を含む、実施例33~35のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0089】
実施例37
ギャップ距離は、約100μm~約200μmの任意の距離を含む、実施例33~35のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0090】
実施例38
第1の電極および第2の電極は、ほぼ同一の曲線状平面構成を含む、実施例33~37のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0091】
実施例39
第1の電極および第2の電極は、ほぼ同一の直線状平面構成を含む、実施例33~37のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0092】
実施例40
第1の幅およびギャップ距離は、約5:1の比を有する、実施例33~39のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0093】
実施例41
装置であって、(a)シャフトと;(b)シャフトの遠位端部におけるエンドエフェクタと、を含み、エンドエフェクタは、被験者の心血管系内の解剖学的通路に適合するようにサイズ決定されており、エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極対を含み、少なくとも1つの電極対は、心血管組織に接触し、それによって心電図信号をピックアップするように構成され、各電極対は、間に位置するギャップ面積(Ag)だけ長手方向軸に沿って互いから離間された第1の電極および第2の電極を含み、ギャップ面積(Ag)は、長手方向軸に関してギャップ長さ(Lg)を有し、(i)長手方向軸に沿った電極のうちの1つの長さ(L)が、ギャップ長さと等しいか、またはそれより長く;(ii)ギャップ面積(Ag)によって規定される面積と1つの電極の面積(Ae)との比が、1以下である、装置。
【0094】
実施例42
実施例2~32のいずれか1つ以上と組み合わせた、実施例41に記載の装置。
【0095】
IV.その他
一部のバージョンでは、エンドエフェクタ(15、117、200、300)は、EPマッピング機能性の提供に加えてRFアブレーションを提供するように構成されている。いくつかのそのようなバージョンでは、エンドエフェクタ(15、117、200、300)は、RFアブレーションを提供するのに専用の追加の電極を含む。そのようなRFアブレーション能力は、本明細書に引用される様々な特許文献のいずれかの教示に従って提供され得る。代替的に、RFアブレーション能力は、エンドエフェクタ(15、117、200、300)から省略されてもよい。
【0096】
本明細書に記載される実施例のいずれも、上述のものに加えて、またはその代わりに、様々な他の特徴を含んでもよいことを理解されたい。ほんの一例として、本明細書に記載される実施例のいずれも、本明細書に引用される様々な参考文献のいずれかに開示される様々な特徴の1つ以上を含むこともできる。
【0097】
本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ以上は、本明細書に記載されるその他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ以上と組み合わせることができることを理解されたい。したがって、上述の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して切り離して見るべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる種々の適切な方法は、本明細書の教示を考慮すると、当業者には容易に明らかであろう。そのような修正および変形は、特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0098】
本発明の様々なバージョンを示し、説明したが、本明細書に記載の方法およびシステムのさらなる改作が、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な修正によって達成され得る。そのような潜在的な修正のいくつかが言及されており、他のものは当業者には明らかであろう。例えば、上述した実施例、バージョン、幾何学的形状、材料、寸法、比、ステップなどは例示的であり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきであり、本明細書および図面に示され説明される構造および動作の詳細に限定されないことが理解される。
【0099】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
(a)シャフトと、
(b)前記シャフトの遠位端部におけるエンドエフェクタと、を含み、前記エンドエフェクタは、被験者の心血管系内の解剖学的通路に適合するようにサイズ決定されており、前記エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極対を含み、前記少なくとも1つの電極対は、心血管組織に接触し、それによって心電図信号をピックアップするように構成され、各電極対は、間に位置するギャップ面積(Ag)だけ長手方向軸に沿って互いから離間された第1の電極および第2の電極を含み、前記ギャップ面積(Ag)は、前記長手方向軸に関してギャップ長さ(Lg)を有し、
(i)前記長手方向軸に沿った前記電極のうちの1つの長さ(L)が、前記ギャップ長さと等しいか、またはそれより長く、
(ii)前記ギャップ面積(Ag)によって規定される面積と1つの電極の面積(Ae)との比が、1以下である、装置。
(2) 前記エンドエフェクタは、複数の細長いスパインおよび複数の前記電極対をさらに含み、前記電極対は、前記スパインに固定されている、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記スパインは、前記長手方向軸に沿って延びるそれぞれの自由端部を含む、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記スパインは、外向きに弓なりに曲がり、遠位で収束してバスケット構成を形成するように構成されている、実施態様2に記載の装置。
(5) 前記エンドエフェクタは、膨張可能な部材をさらに含み、前記スパインは、前記膨張可能な部材の外側表面に固定されている、実施態様2に記載の装置。
【0100】
(6) 前記第1の表面積は、約0.95平方ミリメートル以下を含む、実施態様1~5のいずれかに記載の装置。
(7) 前記第1の表面積は、約0.4平方ミリメートル以下を含む、実施態様1~5のいずれかに記載の装置。
(8) 前記ギャップ距離は、約50μm~約3mmの任意の距離を含む、実施態様1~7のいずれかに記載の装置。
(9) 前記ギャップ距離は、約50μm~約0.5mmの任意の距離を含む、実施態様8に記載の装置。
(10) 前記エンドエフェクタは、前記少なくとも1つの電極対に関連する少なくとも1つの電極支持部材を含み、各電極支持部材は、第1の側面および第2の側面を含み、前記電極対は、対応する前記電極支持部材の前記側面のうちの一方の上のみにある、実施態様1~9のいずれかに記載の装置。
【0101】
(11) 各電極対の前記第1の電極および前記第2の電極は、生体適合性金属または導電性ポリマーを含む、実施態様1~10のいずれかに記載の装置。
(12) 前記生体適合性金属は、白金、パラジウム、コバルトクロム、ニチノール、金、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つから選択される金属を含む、実施態様11に記載の装置。
(13) 前記生体適合性金属は、酸化イリジウムでコーティングされている、実施態様11または12に記載の装置。
(14) 前記生体適合性金属は、プラズマ処理されている、実施態様11~13のいずれかに記載の装置。
(15) 前記少なくとも1つの電極対は、遠方場相互作用による分画なしに、前記電極対と接触している直近の組織の心電図信号をピックアップするように構成されている、実施態様1~14のいずれかに記載の装置。
【0102】
(16) 前記少なくとも1つの電極対は、前記電極対が接触している心組織の心電図信号を収集するように構成されており、前記電極対によって収集された前記心電図信号は、前記心組織の細動中の分画が有意に減少した信号である、実施態様1~14のいずれかに記載の装置。
(17) 前記電極表面積は、約0.05平方ミリメートル~約1平方ミリメートルの任意の表面積、および約100μm~約500μmのギャップ長さ(Lg)を含む、実施態様1~16のいずれかに記載の装置。
(18) 前記第1の表面積は、約0.24平方ミリメートルから約0.4平方ミリメートルから約1平方ミリメートルの任意の表面積を含む、実施態様1~16のいずれかに記載の装置。
(19) 前記エンドエフェクタは、ヒト心血管系内の解剖学的通路に適合するようにサイズ決定されている、実施態様1~18のいずれかに記載の装置。
(20) 前記第1の電極および前記第2の電極は、それぞれ矩形であり、前記第1の表面積は、前記第1の電極および前記第2の電極の第1の長さと、前記第1の電極および前記第2の電極の第1の幅と、によって規定される、実施態様1~19のいずれかに記載の装置。
【0103】
(21) 前記電極対は、直線状平面形状以外の構成を含む、実施態様20に記載の装置。
(22) 前記第1の長さは、約100μm~約750μmの任意の長さを含む、実施態様20または21に記載の装置。
(23) 前記第1の幅は、約800μm~約1mmの任意の幅を含む、実施態様20または21に記載の装置。
(24) 前記ギャップ距離は、約50μm~約3mmの任意の距離を含む、実施態様20または21に記載の装置。
(25) 前記第1の幅は、約800μm~約0.5mmの任意の幅を含む、実施態様20または21に記載の装置。
【0104】
(26) 前記ギャップ距離は、1平方ミリメートルまでの1つの電極の面積と約1.25mm-1以下の変換係数との積によって決定される、実施態様20~25のいずれかに記載の装置。
(27) 前記変換係数は、約0.83mm-1である、実施態様26に記載の装置。
(28) 前記変換係数は、約0.2mm-1である、実施態様26に記載の装置。
(29) 前記変換係数は、前記電極の前記面積のルート寸法で約0.4mm-1である、実施態様26に記載の装置。
(30) 前記変換係数は、約1mm-1である、実施態様26に記載の装置。
【0105】
(31) 前記変換係数は、約0.5mm-1である、実施態様26に記載の装置。
(32) 前記長手方向軸は、前記微小電極の2つの最も近い実質的に平行な表面によって画定される長手方向軸を含む、実施態様1~31のいずれかに記載の装置。
(33) 装置であって、
(a)シャフトと、
(b)前記シャフトの遠位端部におけるエンドエフェクタと、を含み、前記エンドエフェクタは、ヒト心血管系内の解剖学的通路に適合するようにサイズ決定され、前記エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極対を含み、前記少なくとも1つの電極対は、心血管組織に接触し、それにより、心電図信号をピックアップするように構成され、各電極対は、
(i)約1平方ミリメートル以下の第1の表面積を有する第1の電極と、
(ii)第2の表面積を有する第2の電極と、を含み、
前記第1の電極および前記第2の電極は、それぞれの前記第1の電極および前記第2の電極の2つの最も近い実質的に平行な表面によって規定されるギャップ距離だけ互いから離間され、
前記ギャップ距離(Lg)は、前記第1の表面積または前記第2の表面積の一方と約1.25mm-1以下の変換係数との積からの任意の値を含む、装置。
(34) 前記第2の表面積は、前記第1の表面積に等しい、実施態様33に記載の装置。
(35) 前記第1の表面積は、約0.08平方ミリメートル、0.24平方ミリメートル、0.4平方ミリメートル、0.5平方ミリメートル、または1平方ミリメートルから選択される面積を含む、実施態様33または34に記載の装置。
【0106】
(36) 前記ギャップ距離(Lg)は、約50μm~約500μmの任意の距離を含む、実施態様33~35のいずれかに記載の装置。
(37) 前記ギャップ距離は、約100μm~約200μmの任意の距離を含む、実施態様33~35のいずれかに記載の装置。
(38) 前記第1の電極および前記第2の電極は、ほぼ同一の曲線状平面構成を含む、実施態様33~37のいずれかに記載の装置。
(39) 前記第1の電極および前記第2の電極は、ほぼ同一の直線状平面構成を含む、実施態様33~37のいずれかに記載の装置。
(40) 前記第1の幅および前記ギャップ距離は、約5:1の比を有する、実施態様33~39のいずれかに記載の装置。
【0107】
(41) 装置であって、
(a)シャフトと、
(b)前記シャフトの遠位端部におけるエンドエフェクタと、を含み、前記エンドエフェクタは、被験者の心血管系内の解剖学的通路に適合するようにサイズ決定され、前記エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極対を含み、前記少なくとも1つの電極対は、心血管組織に接触し、それにより心電図信号をピックアップするように構成され、各電極対は、
(i)平方寸法単位の第1の表面積を有する第1の電極と、
(ii)前記第1の表面積を有する第2の電極と、を含み、前記第1の電極および前記第2の電極は、ギャップ距離だけ互いから離間しており、前記ギャップ距離は、前記第1の表面積を、前記第1の表面積と同じ寸法単位の平方根の逆数で約0.1~約2の範囲の変換係数に乗じることにより規定される、装置。
【外国語明細書】