(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099806
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】薬剤分包機
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074360
(22)【出願日】2024-05-01
(62)【分割の表示】P 2021015626の分割
【原出願日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】大村 義人
(72)【発明者】
【氏名】大ヶ谷 俊治
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047CC14
4C047CC15
4C047JJ01
4C047JJ06
4C047JJ12
4C047JJ31
4C047JJ40
(57)【要約】 (修正有)
【課題】汎用型の多種薬剤適応タイプ薬剤フィーダについて、残薬回収・後続分包準備先行・途中補充が遣りやすいようにする。
【解決手段】容器部と排出機構部とを一体化させた薬剤フィーダ52を上下の薬剤フィーダ列設棚20に分けて搭載しておき、残薬引出回収指示を受けたときに前方へ引き出されていることを確認してから薬剤排出動作を行うようにし、複数の調剤指示を受けたときに上下の薬剤フィーダ列設棚20の薬剤フィーダ52に振り分けることで先行の薬剤分包と後行の分包準備とを並行処理できるようにし、引出ロック中の薬剤フィーダ52が空になったときには引出ロックを一時的に解除させるとともに薬剤補充を促すようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の薬剤をランダム収容する容器部とそこから各薬剤を一つずつ落下させて下方へ排出する逐次排出機構部とを具備した複数の薬剤フィーダと、それらの排出薬剤を受け入れて分包する包装装置とを備えた薬剤分包機において、
前記薬剤フィーダのうち複数のものが、前記容器部と前記逐次排出機構部とを一体化させた汎用型の薬剤フィーダであって、前方へ引き出し可能な複数の引出機構に分かれて搭載されており、
前記の複数の引出機構それぞれに、その引出状態を検出する引出状態検出部材と、前方への引き出しを選択的に阻止するロック機構とが付設されており、
調剤指示を受け付ける手段と、前記の汎用型の薬剤フィーダに対して前方へ引き出された状態で残薬を放出することを指示する残薬引出回収指示を受け付ける手段とが設けられており、前記の汎用型の薬剤フィーダについては、前記引出状態検出部材の検出状態と前記ロック機構のロック状態とに基づいて前方へ引き出されていることが確認できてから前記残薬引出回収指示に応じて対応する薬剤フィーダに薬剤排出動作を実行させるようにな っている、ことを特徴とする薬剤分包機。
【請求項2】
多数の薬剤をランダム収容する容器部とそこから各薬剤を一つずつ落下させて下方へ排出する逐次排出機構部とを具備した複数の薬剤フィーダと、それらの排出薬剤を受け入れて分包する包装装置とを備えた薬剤分包機において、
前記薬剤フィーダのうち複数のものが、前記容器部と前記逐次排出機構部とを一体化させた汎用型の薬剤フィーダであって、前方へ引き出しうる複数の引出機構に分かれて搭載されており、
前記の複数の引出機構それぞれに、その引出状態を検出する引出状態検出部材と、前方への引き出しを選択的に阻止するロック機構とが、付設されており、
複数の調剤指示を並行受付する手段と、前記調剤指示のうち何れか一つに基づいて薬剤排出実行対象を前記薬剤フィーダに割り振る手段と、それによって前記の汎用型の薬剤フィーダに薬剤排出実行対象が割り振られたときには当該薬剤フィーダを搭載している前記引出機構についてはその引き出しを薬剤排出実行に先だって前記ロック機構に阻止させる手段と、それ以外の前記引出機構についてはその引き出しを許容させるとともにそれに搭載されている前記の汎用型の薬剤フィーダについては前記調剤指示のうち何れか他の一つ に割り振る手段とが設けられている、ことを特徴とする薬剤分包機。
【請求項3】
多数の薬剤をランダム収容する容器部とそこから各薬剤を一つずつ落下させて下方へ排出する逐次排出機構部とを具備した複数の薬剤フィーダと、それらの排出薬剤を受け入れて分包する包装装置とを備えた薬剤分包機において、
前記薬剤フィーダのうち一つ又は複数のものが、前記容器部と前記逐次排出機構部とを一体化させた汎用型の薬剤フィーダであって、薬剤排出を試行した後に空状態を検出しう るものであり、且つ、前方へ引き出し可能な引出機構に搭載されており、
前記引出機構には、前方への引き出し動作を選択的に阻止するロック機構が付設されており、
調剤指示を受け付ける手段と、前記調剤指示のうち何れか一つに基づいて薬剤排出実行対象を前記薬剤フィーダに割り振る手段と、それによって前記の汎用型の薬剤フィーダに薬剤排出実行対象が割り振られたときには当該薬剤フィーダを搭載している前記引出機構 についてはその引き出しを薬剤排出実行に先だって前記ロック機構に阻止させる手段と、前記ロック機構にて引き出しを阻止されている前記の汎用型の薬剤フィーダについて空状態が検出されると当該ロック機構に引き出し阻止を一時的に解除させるとともに当該薬剤フィーダへの薬剤補充を促す手段とが設けられている、ことを特徴とする薬剤分包機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、病院や薬局等で行われる調剤を自動化するために、錠剤やアンプル剤といった粒状固形物の薬剤を自動供給するようになった薬剤フィーダを多数搭載している薬剤分包機に関し、詳しくは、薬剤フィーダへの薬剤投入や薬剤フィーダからの残薬回収に係る機能の拡張や強化に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤フィーダは、薬剤を収容する上部の容器部(従動部)と、そこから薬剤を逐次排出させる下部のベース部(駆動部)とからなる。
容器部に着脱式の薬剤カセットを採用した謂わば特化型の薬剤フィーダ(特定薬剤専用タイプ薬剤フィーダ)は、取り扱い対象の薬剤が限定されるが、カセット着脱の利便性が評価されて、多用されている(次に述べる背景技術1参照)。
これに対し、容器部とベースとが一体化している謂わば汎用型の薬剤フィーダ(多種薬剤適応タイプ薬剤フィーダ)は、各種の薬剤を取り扱える利便性について評価が高く、改良が進むにつれて使用頻度が高まっている(後述する背景技術3参照)。
【0003】
[背景技術1:特化型の薬剤フィーダ(特定薬剤専用タイプ薬剤フィーダ)]
薬剤カセットを多数搭載した薬剤分包機のなかには(特許文献1,2参照)、着脱式の薬剤カセットに機械読取可能な容器識別情報を持たせるとともに、薬剤カセットの着脱されるベース部については各々のベース部に読取装置を組み込んでおいて、薬剤カセットのベース部への装着に際し、薬剤カセットの容器識別情報をベース部の読取装置で読み取って対応表に基づく照合を行うことにより、カセット装着先の適否を自動判定するようになったものがある。
【0004】
そして(特許文献1参照)、そのような薬剤分包機を含めた調剤システムとして、一台か複数台の薬剤分包機と、それらの制御部と有線LAN等を介して通信しうる調剤サーバとを装備したものが知られている。そのような調剤サーバには、処方箋データの入力のために、外部の処方オーダリングシステムがネットワーク接続されたり、処方箋読取装置が付設されたりしている。
調剤サーバは、データ保持に十分な記憶容量のハードディスク等が付いていれば、プログラマブルな汎用のコンピュータで良く、これには、処方オーダリングシステム等から受け取った処方データや、薬剤分包機から受け取った分包機ステータス、このシステムで取り扱う各薬剤に関する薬品情報を纏めた薬品マスタ等が、保持されている。
【0005】
また、そのような調剤サーバには、処方データの入力やそれに基づいて薬剤分包機に調剤指示を出すプログラムや、薬剤分包機からの欠品発生通知(具体的には薬剤カセットが空になったというステータス報告)や在庫管理状況に応じて補充指示を作成しそれを読取装置に表示させる補充指示作成プログラム、読取装置への補充指示の送信や読取装置からの補充完了の受信などといった作業進行状況を記録する作業データ記録プログラムなどもインストールされている。
【0006】
薬剤分包機は、筐体の上段部分には複数の薬剤収納庫が個別引出可能に装備され、それぞれの薬剤収納庫の内部には薬剤カセットとベース部との対が縦横に配設され、筐体の下段部分には包装装置が格納され、筐体内の電装スペースに制御装置(制御部)が置かれている。薬剤カセットは、着脱式のものであって、各種薬剤のうち何れか一種類の錠剤等(薬剤)を多数個収容していて逐次排出しうるようになっている。ベース部は、薬剤カセットを一つずつ着脱可能な固定部であって、装着された薬剤カセットを駆動して薬剤を排出させることができるようになっている。逐次排出された薬剤を下方の包装装置へ導く薬剤収集機構も設けられており、そのうち上部薬剤収集機構は薬剤収納庫に付設や組込されており、下部薬剤収集機構は上部薬剤収集機構と包装装置との間に設置されている。
【0007】
このような薬剤分包機は、調剤サーバから受け取った調剤指示に従って制御装置が薬剤カセットと包装装置の動作制御を行うことで、各薬剤カセットから適宜の薬剤を排出させ、それを包装装置で分包するようになっている。また、薬剤カセットが空になって薬剤排出ができなくなったことが検出されると欠品発生通知を調剤サーバへ送信するようになっている。さらに、それぞれの薬剤カセットに識別情報が割り振られており、識別情報と薬剤カセットとの対応付けを制御装置に登録するとそれが調剤サーバに転送されて薬品マスタに登録されるようになっている。
【0008】
また、そのような薬剤分包機では(特許文献1参照)、薬剤カセットが総て筐体内の薬剤フィーダ収納庫に収容されており、薬剤補充時にはカセット脱着のために筐体からカセット脱着先の薬剤フィーダ収納庫を出し入れしなければならなかった。
これに対し(特許文献2参照)、薬剤フィーダ収納庫において最前に位置する薬剤フィーダについては前面露出状態で装備されるようになった薬剤分包機もある。
この薬剤分包機では、前面露出状態の薬剤カセットに限れば薬剤フィーダ収納庫を筐体から引き出さなくても薬剤補充が行えるようになっている。
【0009】
[背景技術2:薬剤手撒き装置]
次に(特許文献3参照)、多くの薬剤分包機では、薬剤フィーダ収納庫と下部薬剤収集機構との間かその近傍に、薬剤手撒き装置が組み込まれている。薬剤手撒き装置は、予備撒きカセットを着脱しうる本体部を薬剤分包機の筐体から引き出したり押し込んだりできるようになっており、予備撒きカセットに薬剤を手撒きしておくことで、薬剤フィーダ収納庫の薬剤フィーダに収容されていない薬剤までも自動分包の対象に含めることを可能にしている。そのような組込式の薬剤手撒き装置に加えて、薬剤分包機とは別体で構成される据置形の薬剤手撒き装置も存在しており、それらを併用することで、予備撒きカセットに薬剤を手撒きする作業については、現在進行中の分包の後に予定される謂わば後続分包に係る先行準備作業を、並行して進めることができる。
【0010】
[背景技術3:汎用型の薬剤フィーダ(多種薬剤適応タイプ薬剤フィーダ)]
さらに(特許文献4~11参照)、容器部とベースとが一体化しているタイプの薬剤フィーダを説明する。このタイプの薬剤フィーダとして典型的なものは、同一形状の錠剤等(薬剤)を一列に整列させながら搬送する整列供給式の薬剤フィーダである。その構成例を挙げると、縦線を中心として軸回転可能な外側の環状回転体と、前記縦線から傾いた傾斜線を中心として軸回転可能な状態で前記環状回転体の内側に装備されて前記環状回転体の中空を塞ぐ傾斜回転体と、前記傾斜回転体の回転によってその上から前記環状回転体の上端周縁部の上に運ばれた固形の薬剤を前記環状回転体の回転時に整列させる規制部材とを備えた薬剤フィーダが開発されており実用にも供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2013-146443号公報
【特許文献2】特開2018-196709号公報
【特許文献3】特開2007-209600号公報
【特許文献4】特開2018-108277号公報
【特許文献5】特許6736074号
【特許文献6】特許6736075号
【特許文献7】特願2019-150055号(出願)
【特許文献8】特願2020-021938号(出願)
【特許文献9】特願2020-205592号(出願)
【特許文献10】特願2020-214571号(出願)
【特許文献11】特願2021-001647号(出願)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
かかる汎用型の薬剤フィーダ(多種薬剤適応タイプ薬剤フィーダ)では、回転体の中に固定の整流ガイドを設ける必要が無くなるとともに種々の形状やサイズの薬剤に対する共用範囲が広がったが(上記背景技術3及び特許文献4参照)、それに加え(上記背景技術3及び特許文献5~11参照)、薬剤の幅を規制する後段の規制機構に高さ規制機能まで担わせたうえで、その上流に位置する仕分け部材の高さ規制機能を緩めることで、固くて丈夫な薬剤から脆い薬剤まで、更には板状といった転がり難い薬剤から球状や紡錘状といった転がり易い薬剤まで、環状回転体の上端周縁部の薬剤搬送経路で固形薬剤を無理なく一列に整列させることができるようになっている。
【0013】
しかしながら、薬剤収容部と駆動部とが一体化した汎用型の薬剤フィーダでは(特許文献4~11参照)、薬剤収容カセットを着脱しうる特化型の薬剤フィーダと異なり(特許文献1,2参照)、更に予備撒きカセットを着脱しうる薬剤手撒き装置とも異なり(特許文献3参照)、着脱式カセットを具備していないので、カセット交換が行えない。
そのため、薬剤分包機に搭載されている汎用型の薬剤フィーダに対して、上方から薬剤を落とし込む薬剤投入を行うときや、残薬を分包紙で分包して回収する謂わば「分包紙利用の残薬回収」の場合は別として下方の回収容器へ薬剤を放出させて回収する謂わば「容器利用の残薬回収」を行うときには、残薬回収対象の薬剤フィーダを搭載先の棚と一緒に引き出してから作業しなければならない。それに加え、薬剤フィーダが上下に配置されている場合は、薬剤フィーダ設置棚を各段毎に引出可能にしておかなければならない。
【0014】
さらに、汎用型の薬剤フィーダは、薬剤の入れ替えが特化型の薬剤フィーダより格段に多いため、薬剤の入替やその随伴作業についても負担を軽減することが求められる。
具体的には、薬剤分包機の稼働率向上の観点から、搭載先の薬剤分包機において先の調剤指示に基づく分包処理で排出されずに残された残薬を回収する謂わば残薬回収について、後の調剤指示に基づく分包処理を先の調剤の残薬回収より先に開始させた場合でも、更には後の調剤指示に基づく分包処理の最中でも、「残薬回収」を不都合なく行えるようにすることが望まれる(第1技術課題)。
【0015】
また、やはり薬剤分包機の稼働率向上の観点から、搭載先の薬剤分包機において現行の調剤指示に基づく分包処理中に次の調剤指示に基づく後続分包の準備も先行させて並行処理する謂わば「後続分包準備先行」を可能にすることも望まれる(第2技術課題)。
【0016】
さらに、薬剤収容量の制約もあって、個々の薬剤が大きいと特に、現行の調剤指示に基づく分包処理中に薬剤が不足して分包完了前であっても補充が必要になる可能性が高いので、分包処理中に薬剤を補充する謂わば「途中補充」についても容易化が望まれる(第3技術課題)。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の薬剤分包機は(解決手段1)、上述した第1技術課題を解決するために創案されたものであり、
多数の薬剤をランダム収容する容器部とそこから各薬剤を一つずつ落下させて下方へ排出する逐次排出機構部とを具備した複数の薬剤フィーダと、それらの排出薬剤を受け入れて分包する包装装置とを備えた薬剤分包機において、
前記薬剤フィーダのうち複数のものが、前記容器部と前記逐次排出機構部とを一体化させた汎用型の薬剤フィーダであって、前方へ引き出し可能な複数の引出機構に分かれて搭載されており、
前記の複数の引出機構それぞれに、その引出状態を検出する引出状態検出部材と、前方への引き出しを選択的に阻止するロック機構とが付設されており、
調剤指示を受け付ける手段と、前記の汎用型の薬剤フィーダに対して前方へ引き出された状態で残薬を放出することを指示する残薬引出回収指示を受け付ける手段とが設けられており、前記の汎用型の薬剤フィーダについては、前記引出状態検出部材の検出状態と前記ロック機構のロック状態とに基づいて前方へ引き出されていることが確認できてから前記残薬引出回収指示に応じて対応する薬剤フィーダに薬剤排出動作を実行させるようになっている、ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の薬剤分包機は(解決手段2)、上述した第2技術課題を解決するために創案されたものであり、
多数の薬剤をランダム収容する容器部とそこから各薬剤を一つずつ落下させて下方へ排出する逐次排出機構部とを具備した複数の薬剤フィーダと、それらの排出薬剤を受け入れて分包する包装装置とを備えた薬剤分包機において、
前記薬剤フィーダのうち複数のものが、前記容器部と前記逐次排出機構部とを一体化させた汎用型の薬剤フィーダであって、前方へ引き出しうる複数の引出機構に分かれて搭載されており、
前記の複数の引出機構それぞれに、その引出状態を検出する引出状態検出部材と、前方への引き出しを選択的に阻止するロック機構とが、付設されており、
複数の調剤指示を並行受付する手段と、前記調剤指示のうち何れか一つに基づいて薬剤排出実行対象を前記薬剤フィーダに割り振る手段と、それによって前記の汎用型の薬剤フィーダに薬剤排出実行対象が割り振られたときには当該薬剤フィーダを搭載している前記引出機構についてはその引き出しを薬剤排出実行に先だって前記ロック機構に阻止させる手段と、それ以外の前記引出機構についてはその引き出しを許容させるとともにそれに搭載されている前記の汎用型の薬剤フィーダについては前記調剤指示のうち何れか他の一つに割り振る手段とが設けられている、ことを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明の薬剤分包機は(解決手段3)、上述した第3技術課題を解決するために創案されたものであり、
多数の薬剤をランダム収容する容器部とそこから各薬剤を一つずつ落下させて下方へ排出する逐次排出機構部とを具備した複数の薬剤フィーダと、それらの排出薬剤を受け入れて分包する包装装置とを備えた薬剤分包機において、
前記薬剤フィーダのうち一つ又は複数のものが、前記容器部と前記逐次排出機構部とを一体化させた汎用型の薬剤フィーダであって、薬剤排出を試行した後に空状態を検出しうるものであり、且つ、前方へ引き出し可能な引出機構に搭載されており、
前記引出機構には、前方への引き出し動作を選択的に阻止するロック機構が付設されており、
調剤指示を受け付ける手段と、前記調剤指示のうち何れか一つに基づいて薬剤排出実行対象を前記薬剤フィーダに割り振る手段と、それによって前記の汎用型の薬剤フィーダに薬剤排出実行対象が割り振られたときには当該薬剤フィーダを搭載している前記引出機構についてはその引き出しを薬剤排出実行に先だって前記ロック機構に阻止させる手段と、前記ロック機構にて引き出しを阻止されている前記の汎用型の薬剤フィーダについて空状態が検出されると当該ロック機構に引き出し阻止を一時的に解除させるとともに当該薬剤フィーダへの薬剤補充を促す手段とが設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
解決手段1の薬剤分包機にあっては、汎用型の薬剤フィーダを複数個具備して、それらを複数の引出機構に分けて搭載し、それらが引出を阻止されずに前方へ引き出されているか否かが検出されるようにもしたうえで、汎用型の薬剤フィーダについては、前方へ引き出されていることが判明しているときには残薬引出回収指示に応じて対応する薬剤フィーダに薬剤排出動作を実行させるようにしたことにより、調剤指示に基づく分包処理に供されていなくて薬剤分包機の筐体から前方へ引き出されている汎用型の薬剤フィーダについては薬剤引出回収指示が受け付けられるので、後の調剤指示に基づく分包処理を先の調剤の残薬回収より先に開始させた場合や後の調剤指示に基づく分包処理の最中でも、先の調剤指示に基づく薬剤排出を終えた薬剤フィーダから残薬を回収することが不都合なく行える。したがって、この発明によれば、第1技術課題を解決することができる。
【0021】
また、解決手段2の薬剤分包機にあっては、個々にロック可能な複数の引出機構それぞれに汎用型の薬剤フィーダを搭載したうえで、その制御手法等に係る合目的的な工夫が加味されている。
すなわち、上位装置等から複数の調剤指示を並行して受け付けることができるようになっており、一の調剤指示を処理し終える前に他の調剤指示が有ればそれも受け付ける。
そして、先ずは一の調剤指示について適切な調剤が行われるように、一の調剤指示の処理を担うことになった汎用型の薬剤フィーダについては、引き出されていない状態で引出ごとロックされるので、簡便ながらも的確に外乱から防護される。
【0022】
一方、他の調剤指示については、汎用型の薬剤フィーダを割り当てるに際して、ロックされていない引出に搭載された薬剤フィーダが選択されるので、一の調剤指示の処理を既に担っている薬剤フィーダと重複するという不所望な事態に至ることが無く、一の調剤指示の処理の進行状態に関わらず、筐体から前方へ引き出して露出させた状態で薬剤を投入しうるので、薬剤投入作業も容易かつ的確に進めることができる。
そのため、一の薬剤分包機において現行の調剤指示に基づく分包処理中に次の調剤指示に基づく後続分包の準備も先行させて並行処理することが可能になる。
したがって、この発明によれば、第2技術課題を解決することができる。
【0023】
さらに、本発明の薬剤分包機にあっては(解決手段3)、分包処理が進行している間は、対象の薬剤フィーダの引き出しがロック機構によって阻止されるので、誤操作等で分包処理が損なわれる不所望な事態の発生は抑制される。
これに対し、汎用型の薬剤フィーダが空になって、そのことが検出されると、搭載先の引出機構については一時的にロックが解除されるので、該当する薬剤フィーダに対して薬剤を補充することが可能になる。
【0024】
しかも、それに加え、例えば音響や表示といった促進実施手段によって、調剤作業者や装置管理者などに向けて、当該薬剤フィーダへの薬剤補充が促されるので、必要な薬剤補充が速やかに実行されることになる。
これにより、分包処理中に薬剤を補充する作業が迅速かつ的確に行えるので、途中補充が例え多発したとしても作業負担は軽めで済むことが多い。
したがって、この発明によれば、第3技術課題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施例1について、薬剤分包機を含んだ調剤システムの概要構成を示す模式図である。
【
図2】薬剤分包機の全体構造を示し、(a)が外観の正面図、(b)が内部の正面図である。
【
図3】(a)~(d)が何れも薬剤分包機の左側面図、(e)が薬品庫部の前面の斜視図である。
【
図4】(a)~(c)が何れも薬剤フィーダ列設棚の斜視図である。
【
図5】(a),(b)が薬剤分包機の左側面図、(c)~(e)が複段薬剤収集機構の斜視図である。
【
図6】引出ロック機構の要部を示し、(a)が正面図、(b)が平面図、(c)と(d)が正面図である。
【
図7】タイプの異なる薬剤フィーダを示し、(a)がカセット離脱状態の特定薬剤専用タイプ薬剤フィーダ(特化型の薬剤フィーダ)に係る正面図、(b)が多種薬剤適応タイプ薬剤フィーダ(汎用型の薬剤フィーダ)に係る左側面図と正面図と右側面図である。
【
図8】(a)が薬剤分包機の制御部と薬剤フィーダの制御部とに係る機能ブロック図であり、(b)~(e)がタッチパネルの画面表示例である。
【
図9】本発明の実施例2について、薬剤分包機の制御部に係る機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
このような本発明の薬剤分包機について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1~2により説明する。
図1~8に示した実施例1は、上述した解決手段1(出願当初の請求項1)を具現化したものであり、
図9に示した実施例2は、上述の解決手段2,3(出願当初の請求項2,3)をも具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、ボルト等の締結具や,ヒンジ等の連結具,電動モータ等の駆動源,タイミングベルト等の伝動部材,モータドライバ等の電気回路などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
【実施例0027】
本発明の薬剤分包機の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図1は、薬剤分包機10を含んだ調剤システムの概要構成を示す模式図である。
図2~
図3は、薬剤分包機10の全体構造を示しており、それらのうち
図2(a)が外観の正面図であり、
図2(b)が内部の正面図であり、
図3(a)~(d)が外観の左側面図である。
【0028】
図3(e)は、薬品庫部13の前面の斜視図であり、
図4(a)~(c)は、何れも、薬剤フィーダ列設棚20の斜視図である。
図5(a),(b)は、薬剤分包機10の左側面図であり、
図5(c)~(e)は、何れも、複段薬剤収集機構30の斜視図である。
図6は、引出ロック機構40の要部を示しており、(a)が正面図、(b)が平面図、(c)と(d)が正面図である。
【0029】
図7は、タイプの異なる二種類の薬剤フィーダを示しており、
図7(a)が、カセット着脱式の特定薬剤専用タイプ薬剤フィーダ51(特化型の薬剤フィーダ)の正面図であり、
図7(b)が、多種薬剤適応タイプ薬剤フィーダ52(汎用型の薬剤フィーダ)に係る外観図であり、上から順に左側面図と正面図と右側面図である。
図8(a)は、薬剤分包機10のコントローラ80(制御部)と、薬剤フィーダ52のコントローラ(制御部)とに係る機能ブロック図であり、
図8(b)~(e)は、何れも、タッチパネル15の画面表示例である。
【0030】
薬剤分包機10は(
図1参照)、小規模な薬局等では単独で用いられることもあるが、規模の大きな調剤部門では複数台が調剤サーバ100の下で使用されることが多い。
調剤サーバ100は、LAN等を介して上位の処方オーダリングシステムや下位の薬剤分包機10とのデータ送受信が可能になっており、背景技術1欄で既述したようなプログラムの実行によって、処方オーダリングシステムから処方データを受けて保持したり、それに基づき薬剤分包機10や図示しない他の薬剤分包機もあれば何れか該当するものに対して調剤指示を出したりするようになっている。また、調剤サーバ100は、薬剤分包機10の動作状態を分包機ステータスとしてデータ保持するとともに、各種の薬剤に係る既知の薬品情報を予め登録した薬品マスタも保持している。
【0031】
薬剤分包機10は(
図1,
図2(a)参照)、下段の包装装置11と、その上の薬剤手撒き装置装備部12と、更にその上の薬品庫部13と、アームにて位置変更容易に支持されたタッチパネル15(操作入力部,表示部)と、筐体の内部に収められたコントローラ80(薬剤分包機の制御部)とを備えたものであり、薬品庫部13には複数の薬剤フィーダ配設庫14と複数の薬剤フィーダ列設棚20とがそれぞれ前方へ引き出し可能な状態で組み込まれている。
薬剤フィーダ配設庫14は、左右に二つ並んだ横2列のものを図示したが、横3列以上でも良く、単列でも良く、各列が更に上下に分かれて夫々が任意に前方へ引き出せるようになっていても良い。
【0032】
薬剤フィーダ列設棚20は、三つが縦3段かつ横1列に配設されたものを図示したが、縦2段以上の配置を含んだものであれば、他の配置であっても良い。
薬剤分包機10の上部を占める薬品庫部13における薬剤フィーダ配設庫14の内部には(
図1,
図2(b)参照)、複数の特定薬剤専用タイプ薬剤フィーダ51(特化型の薬剤フィーダ,
図1参照)を前後に並べて列設しうる薬剤フィーダ列設棚18が上下6段かつ左右2列に並んだ状態で装備されるとともに、その左右2列の間を縦に貫く形で上部薬剤収集機構17が装備されている(
図2(b)参照)。そして、薬剤フィーダ51から排出された薬剤は上部薬剤収集機構17によって下方の下部薬剤収集機構16へ案内されるようになっている。
【0033】
また(
図1,
図2(b)参照)、薬品庫部13の一角を占める薬剤フィーダ列設棚20,20,20の配設箇所の内部には、それらの薬剤フィーダ列設棚の後述する前板25の奥に隠れた状態で(
図3(d),(e)参照)、複段薬剤収集機構30も装備されている(
図1,
図2(b),
図5参照)。複段薬剤収集機構30の前面に装備された把手33も前板25の奥に隠れている。この複段薬剤収集機構30は、上部薬剤収集機構17と同様にフィーダ排出薬剤を下方の下部薬剤収集機構16へ導くものであるが、薬剤フィーダ列設棚18の特定薬剤専用タイプ薬剤フィーダ51(特化型の薬剤フィーダ)の排出薬剤でなく、薬剤フィーダ列設棚20の多種薬剤適応タイプ薬剤フィーダ52(汎用型の薬剤フィーダ)の排出薬剤を受け入れる。その薬剤受入対象の薬剤フィーダ列設棚20は一つだけでなく上下に連なる複数のもの20,20,20になっている。
【0034】
図示した薬剤フィーダ列設棚20は(
図3参照)、前面に把手21が設けられるとともに(
図3(a)参照)、引出部材22(引出機構)にて支持されていて(
図3(b)参照)、上段のものから下段のものまで個々に前方へ引き出したり後方へ押し込んだりできるようになっている(
図3(a)~(d)参照)。また(
図3(d),(e),
図4参照)、引出機構22によって支持された薬剤フィーダ列設棚23の上に四個の薬剤フィーダ52(汎用型の薬剤フィーダ)を前後一列に並べて搭載できるようになっている。さらに、薬剤フィーダ列設棚20の前端の前板25には(
図3(e),
図4(a)参照)、把手21の他、揺動板体24と手動錠43と図示しないLED表示器なども付設されている。
【0035】
多種薬剤適応タイプ薬剤フィーダ52(汎用型の薬剤フィーダ)は、充填薬剤の変更がほとんどない特定薬剤専用タイプ薬剤フィーダ51(特化型の薬剤フィーダ)と異なり、既述したように簡便な調整を施すことで、具体的には例えばサンプル薬剤を付け替えたり調剤サーバ100から薬剤寸法データを取得するといったことで、種々の形状やサイズの薬剤に対して使い分けることができるものなので(特許文献4~11も参照)、薬剤補充作業時の薬剤取り違い等のミス発生を極力抑制する観点から、保守作業時は別として常態では薬剤収容部も固定される謂わばユニット全固定式のものが採用されている。必須ではないが、この薬剤フィーダ52は(
図8(a)参照)、コントローラ53(制御部)を内蔵しており、コントローラ80とデータ送受信を行って協動するようになっている。
【0036】
また(
図3(d),(e),
図4参照)、薬剤フィーダ列設棚20には、搭載した薬剤フィーダ52それぞれに対応させて、蓋52aと蓋開閉状態検出手段29とが付設されている。
蓋52aは、該当する多種薬剤適応タイプ薬剤フィーダ52(汎用型の薬剤フィーダ)の上面の薬剤投入口を開閉するためのものであり、後端部(図では右上部分)が軸支されて揺動可能になっている。しかも、水平状態では薬剤投入口を閉め(
図4(a)参照)、鉛直かそれに近い状態では薬剤投入口を薬剤投入可能状態まで開け(
図4(b)参照)、それらの間の斜め状態を経由して両状態を遷移するようになっている。
【0037】
蓋開閉状態検出手段29は(
図4(a)参照)、例えば磁気センサを主体としたものであり、薬剤フィーダ列設棚23の背板部に付設されて、対応する多種薬剤適応タイプ薬剤フィーダ52の後方に位置し、対応する蓋52aの開閉状態を検出するものであるが、その蓋52aが薬剤投入可能状態まで十分に開いているか否かを検出するにとどまらず(
図4(b)参照)、その蓋52aが薬剤の零れ阻止可能状態まで十分に閉まっているか否かをも検出するようになっている(
図4(c)参照)。その検出は、感応レベルの異なる複数の磁気センサで具現化できる他、単一の磁気センサの出力値とレベルの異なる複数の閾値との比較でも具現化することができる。
【0038】
そのような蓋開閉状態検出手段29の検出結果は、薬剤フィーダ52のコントローラ53を介して薬剤分包機10のコントローラ80に通知されるようになっている。
そして、それらを受けて薬剤投入の管理等を司るコントローラ80は、該当する蓋52aが十分に閉まっていた状態(
図4(a)参照)から薬剤投入可能状態(
図4(b)参照)まで開いたことが蓋開閉状態検出手段29の検出値に基づいて分かると、対応する薬剤フィーダ52に対して薬剤投入が始まったと判定するようになっている。
また、コントローラ80は、その状態から蓋52aが薬剤の零れを阻止しうるところまで十分に閉まったことが蓋開閉状態検出手段29の検出に基づいて分かると(
図4(b)から
図4(a)への変化を参照)、対応する薬剤フィーダ52に対する薬剤投入が完了したと判定するようになっている。
【0039】
揺動板体24は、その下端部が揺動支軸を介して前板25の前面の下端部に連結されていて(
図3(d),(e),
図4参照)、手先や指先で軽く揺動させることができるようになっている。そして、自由端・揺動端を上へあげると(
図3(a)~(c)参照)、縦向きの姿勢になって前板25に張り付いたかのような状態になる。これに対し、自由端・揺動端を下へさげると(
図3(d),(e),
図4参照)、横向きの姿勢になって、小さなテーブルのような状態になり、薬剤瓶や調剤指示箋といった小物を載せ置くことができるようになっている。
【0040】
複段薬剤収集機構30は(
図5参照)、三段の薬剤フィーダ列設棚20,20,20の直ぐ横に配設されていてそれらから排出された薬剤を下方へ案内して落下させるものであることは上述したが、これも、薬品庫部13の内部に複段引出機構37にて支持されていて(
図5(a),(b)参照)、薬品庫部13から前方へ引き出せるようになっている(
図5(b)参照)。また、複段薬剤収集機構30は、前後方向の長さが薬剤フィーダ列設棚20よりも短くて、何時も右側の薬剤フィーダ列設棚20,20,20の前板25,25,25の左端部の後方に位置している(
図2,
図5(a),(b)参照)。
【0041】
このように左端部が複段薬剤収集機構30の前方へ突き出た前板25,25,25は、何れも、薬剤フィーダ列設棚20より前方へ複段薬剤収集機構30が引き出されるのを阻止する相対引出位置規制手段になっており、複段薬剤収集機構30が薬品庫部13から前方へ引き出されるのを規制する部材にもなっている。また、そのような前板25を具備した薬剤フィーダ列設棚20は、何れも、複段薬剤収集機構30の左右のうち右方にだけ設けられていて(
図2(b)参照)、複段薬剤収集機構30の左方には前板25のような規制部材が無いので、複段薬剤収集機構30を薬品庫部13から前方へ引き出すと(
図5(b)参照)、複段薬剤収集機構30の左側が解放されるようになっている。
【0042】
さらに、複段薬剤収集機構30は(
図5(c)~(e)参照)、浅い箱状の本体部31と、本体部31の両側面のうち薬剤フィーダ列設棚20,20,20から遠い方に当たる左方の解放側面に配設されて装着時に該当側面を閉じる着脱可能な側板35とを主体としたものである。本体部31の右側板には薬剤フィーダ列設棚20,20,20から排出された薬剤を受け入れる薬剤受入口32,32,32が開口形成されており、本体部31の前端には把手33が装備されており、本体部31の下端部のうち解放側面の下に位置する所には、側板35の下端部を下から受け止める側板保持部材34が装備されている。
【0043】
側板35の上部には例えばレバー操作式の小さな掛止部材36が装備されており、側板35の下端部を側板保持部材34に載せて受け止めさせてから側板35を立てて掛止部材36を本体部31に掛止させると、本体部31の解放側面が閉じられるようになっている(
図5(c)参照)。また、掛止部材36,36を総て外すと、側板35の上部が本体部31の解放側面から離れるが(
図5(d)参照)、側板保持部材34が例えば引っ掛け部材からなり側板35の下端部を少しだけ遊びを伴って受け止めるので、側板35が少し傾いた状態で保持されるようになっている。さらに、そのような側板35の例えば左右両端に手を掛けて側板35を持ち上げると、側板35が本体部31から完全に離れて、本体部31の内部が大きく露呈するようになっている(
図5(e)参照)。
【0044】
薬剤フィーダ列設棚20の前板25に手動錠43が設けられていることは上述したところであるが(
図3(e),
図4(a)参照)、この手動錠43を含む引出ロック機構40は(
図6参照)、薬剤フィーダ列設棚20の前端部と薬品庫部13の前端部とに装着されている。具体的には、引出ロック機構40は、手動錠43と共に薬剤フィーダ列設棚20に装備されている揺動部材44と、薬品庫部13の枠部に装備されている電磁駆動部41と、電磁駆動部41から揺動部材44に向けて前進後退しうる進退部材42とを具備している。進退部材42は、図示しないバネ等によって常に前進側(左方)へ付勢されていて薬品庫部13の枠部から薬剤フィーダ列設棚20へ向けて突き出ており、その先端部が揺動部材44の手前に来ているときは(
図6(a)参照)、薬剤フィーダ列設棚20が薬品庫部13から前方へ引き出せないロック状態になる。
【0045】
しかも(
図6(b)参照)、進退部材42の先端部に斜面が形成されていて、そこに揺動部材44が当接するとその分力によって進退部材42が電磁駆動部41側へ後退(図では右方移動)するため、引き出されていた薬剤フィーダ列設棚20を薬品庫部13へ押し込むと揺動部材44が進退部材42を一時後退させて後方へ移動するので(
図6(b)の二点鎖線と一点鎖線とを参照)、薬剤フィーダ列設棚20の引き出しは通常ロックされるのに対し、薬剤フィーダ列設棚20の押し込みは何時でも行えるようになっている。
また、磁気センサ等で構成できるので煩雑となる図示は割愛したが、薬剤フィーダ列設棚20が引出ロック機構40のロック可能範囲内に位置しているか否かを検出する引出状態検出手段も、それぞれの薬剤フィーダ列設棚20に対応させて設けられている。
【0046】
さらに(
図6(c)参照)、コントローラ80の制御にて電磁駆動部41に励磁動作を行わせたときにも、バネ力に勝る電磁力によって進退部材42が電磁駆動部41側へ後退(図では右方移動)するので、薬剤フィーダ列設棚20の状態は、押し込みだけでなく引き出しもできる状態になる。すなわち、電気解錠が可能になっている。
しかも(
図6(d)参照)、手動錠43に鍵45を差し込んで解錠側へ回すと、それに随伴して揺動部材44も回転し、揺動部材44が進退部材42とは係合しない姿勢・状態になるので、手動解錠も可能になっている。
【0047】
また、コントローラ80は、薬剤フィーダ列設棚20に搭載されている薬剤フィーダ52の蓋52aがしっかり閉まっていることが蓋開閉状態検出手段29の検出とコントローラ53からの通知とに基づいて判明しているときには(
図4(a)参照)、薬剤フィーダ列設棚20が筐体内に押し込まれても正常と判定するが、そうでない場合、例えば、蓋開閉状態検出手段29によって検出されない中途半端な状態で蓋52aが閉められて(
図4(c)参照)、該当する薬剤フィーダ列設棚20が筐体内に押し込まれて引出ロック機構40のロック可能範囲内に位置していることが上述の引出状態検出手段によって検出されたときには、警報を発するようになっている。
【0048】
重複するが纏めも兼ねて説明すると、薬剤フィーダ51は(
図7(a)参照)、既述した特定薬剤専用タイプ薬剤フィーダ(特化型の薬剤フィーダ)であり、固定のベース51b(駆動部)とカセット51a(容器部)との組からなるカセット着脱式のものである。そして、カセット装着状態でコントローラ80の制御によってベース51bのモータが作動させられるとカセット51aが従動することで薬剤が一つずつ落下排出されるようになっている。これに対し、薬剤フィーダ52は(
図7(b)参照)、既述した多種薬剤適応タイプ薬剤フィーダ(汎用型の薬剤フィーダ)であり、容器部とベースとが一体化していて(特許文献4~11参照)、常態では薬剤フィーダ列設棚20に固定されている。これ52も、コントローラ80の制御に応じて薬剤を一つずつ落下排出するものである。
【0049】
また、薬剤分包機10は、コントローラ80がタッチパネル15を制御することで、画面表示に加えて操作入力の機能を発揮するようになっている(
図1等を参照)。
そして、薬剤分包機10のコントローラ80は、調剤サーバ100から調剤指示を受けると、可能な範囲で自動処理するが、必要に応じて調剤作業者への案内等を画面表示したり調剤作業者から指示を受けるようになっている。例えば、薬剤フィーダ51に保持されていない薬剤が調剤指示に含まれていて調剤実行先に薬剤フィーダ52を選定したときに、調剤作業者の手助けが必要であれば、該当する薬剤フィーダ52への薬剤投入指示をタッチパネル15に画面表示させたりするようになっている。
【0050】
そして、自動排出に必要なデータ等が揃って自動排出の準備が調ったら、薬剤分包機10のコントローラ80から対象の薬剤フィーダ52のコントローラ53へ自動排出の指示がデータ送信されて(
図1,
図8(a)参照)、該当する薬剤フィーダ52が薬剤分包機10の筐体に押し込まれていれば(
図1,
図3(e)に図示した上下3段のうち上段と中段の薬剤フィーダ列設棚20を参照)、そこから薬剤の自動排出がなされるようになっている。薬剤フィーダ52から排出された薬剤は(
図2(b),
図5参照)、上下の薬剤フィーダ列設棚20に共用される複段薬剤収集機構30を介して下部薬剤収集機構16へ送り込まれ更には包装装置11へ送り込まれるようになっている。
【0051】
また、薬剤の自動排出を終えた薬剤フィーダ52に余分な薬剤が残っていたときには、その残薬を回収することになるが、この薬剤分包機10は、対象の薬剤フィーダ52から残薬を回収する手段として二種類の手段を具備している(
図8(a)参照)。何れの手段も、薬剤分包機10のコントローラ80と残薬回収対象の薬剤フィーダ52のコントローラ53との連携によって遂行されるものであり、タッチパネル15を介した表示と操作入力とに基づき、薬剤分包機10のコントローラ80の排出動作モード選択プログラム81が、連携相手として、薬剤フィーダ52のコントローラ53のプログラム群から自動排出プログラム54か残薬回収プログラム55か何れか一方を選択するようになっている。
【0052】
自動排出プログラム54は、対象の薬剤フィーダ52を搭載した薬剤フィーダ列設棚20が薬剤分包機10の筐体に押し込まれて引出ロック機構40によってロックされた状態の下で残薬を排出させて分包させる既述の「分包紙利用の残薬回収」を行うようになっており、この場合、分包紙のうち残薬を分包する部分に薬品名を印字させておくことなども行えて、回収した薬剤を管理しやすい、といった利点を享受することができるものとなっている。このような自動排出プログラム54には、薬剤の排出個数を指定して行う通常の分包に用いられるものを、排出個数の操作等で簡便に、転用・併用することができる。
【0053】
残薬回収プログラム55は、既述の「容器利用の残薬回収」を実行するものであり、具体的には、残薬回収対象の薬剤フィーダ52を搭載している薬剤フィーダ列設棚20について、該当する引出ロック機構40のロックを解除させるとともに、上述の引出状態検出手段の検出に基づいてロック位置から外れたことを検知すると、薬剤フィーダ列設棚20が薬剤分包機10の筐体から前に引き出された状態にあると判定し、その状態の下で(
図1,
図3(e)に図示した上下3段のうち下段の薬剤フィーダ列設棚20を参照)、薬剤分包機10のコントローラ80から残薬放出の指示を受けると、それに応じて残薬回収対象の薬剤フィーダ52に対して空になるまで排出動作を継続させるようになっている。
なお、タッチパネル15を用いた作業者と両コントローラ80,53との連携動作については、以降の動作説明において画面表示例を参照しながら説明する。
【0054】
このような実施例1の薬剤分包機10について、その使用態様及び動作を、上述した
図8等の図面を引用して説明する。
【0055】
タッチパネル15の操作等にて薬剤分包機10に対し調剤サーバ100から調剤指示が送信され(
図1参照)、それを薬剤分包機10のコントローラ80が受信すると、その調剤指示の内容が確認のためタッチパネル15に表示されるとともに、調剤指示のうち自動調剤の対象となる薬剤が薬剤フィーダ配設庫14の薬剤フィーダ51に収容されている場合はコントローラ80によって自動で適切な割り付けが行われ、それで準備が整うので、調剤作業者がタッチパネル15を操作して確認を済ませると、調剤対象の薬剤が、薬剤フィーダ51から自動排出され、落下しながら収集されて包装装置11に至り、そこで分包紙に区分収容される。
【0056】
なお、自動調剤対象の薬剤が、何れかの薬剤フィーダ51で取り扱えるものであるが、たまたま何れの薬剤フィーダ51にも収容されていなかったときには、該当する薬剤フィーダ51に対して対象薬剤を収容するか、何れかの薬剤フィーダ52を選択してそれに対象薬剤を収容するか、或いは薬剤手撒き装置(12)を用いて対象薬剤を手撒きするか、何れのことを行うのか調剤作業者に問う表示がタッチパネル15になされるので(図示せず)、利便性や能率などの観点から通常は可能ならその順で選択する。
そして、調剤作業者が薬剤フィーダ51を選択した場合、薬剤フィーダ51に対象薬剤を投入してから確認のパネル操作を行うと、上述のようにして自動調剤が遂行される。
【0057】
これに対し、薬剤フィーダ51が使用できないような場合、薬剤フィーダ52が空いていて使用可能であれば、薬剤手撒き装置でなく薬剤フィーダ52を選択する。
そうすると、薬剤分包機10ではタッチパネル15に、薬剤の名称や処方個数さらには使用可能な薬剤フィーダ52の一覧などが画面表示されるので、適宜な薬剤フィーダ52を画面操作にて選択する。そうすると、選択した薬剤フィーダ52を搭載した薬剤フィーダ列設棚20の引出ロック機構40の解除動作が行われて、該当する薬剤フィーダ列設棚20が引き出し可能になり、そのことが画面表示等で知らされるので、調剤作業者は、それを引き出し(
図3(e)参照)、画面表示等にて明示された該当の薬剤フィーダ52に対し(
図4(a)参照)、蓋52aを開閉して薬剤を投入する。そのとき、調剤指示で指定された個数だけ投入するか、それを超える個数を投入する。
【0058】
それから、調剤作業者は、薬剤投入を終えた薬剤フィーダ52を搭載している薬剤フィーダ列設棚20を薬剤分包機10の筐体内へ押し戻し、引出ロック機構40によるロックを確認してから、タッチパネル15の画面操作等で薬剤分包機10に自動調剤を開始させる。
自動調剤開始後は、何れの場合であれ、処方指示に従って適切な薬剤フィーダ51,52から適切な個数の薬剤が排出され更に包装装置11によって分包される。
【0059】
こうして処方指示に従う調剤が済んだ後、それに供された薬剤フィーダ52に余った薬剤が残っている場合、その残薬が後続の別調剤にも使える幸運なときは別として、多くの場合、その薬剤フィーダ52を空にして他の調剤に使用するために残薬を回収することになる。そして、薬剤分包機10に他の処方指示が無い場合や他の処方指示が有ってもその調剤を直ちに開始する必要がないときには、タッチパネル15の操作にて、薬剤フィーダ52からの残薬回収を行わせるための「UF回収」の画面を表示させてから(
図8(b)参照)、「分包して回収」を選択すると、薬剤分包機10のコントローラ80の排出動作モード選択プログラム81と薬剤フィーダ52のコントローラ53の自動排出プログラム54との連携動作での制御によって、該当する薬剤フィーダ52や薬剤フィーダ列設棚20を薬剤分包機10の筐体から引き出すまでもなく直ちに而も容易に、残薬が分包紙に包まれて回収される。
【0060】
これに対し、他の処方指示に応じた別の自動調剤を急いで薬剤分包機10に行わせたいときや、そもそも分包紙利用の残薬回収を望まないときには、調剤作業者がタッチパネル15を操作して、薬剤フィーダ52からの残薬回収を行わせるための「UF回収」の画面を表示させてから、残薬回収方法として「引出から回収」を選択する(
図8(b)参照)。すると、残薬回収対象の薬剤フィーダ52の選択を求める画面がタッチパネル15に表示されるので(
図8(c)参照)、調剤作業者が対象を指定する操作を行う(
図8(c)の例では、一番下の段の薬剤フィーダ列設棚20における前から二番目の薬剤フィーダ52を指す「12」を選択している)。
【0061】
そうすると、残薬回収対象の薬剤フィーダ52を搭載している下段の薬剤フィーダ列設棚20を指定して(
図8(d)の例では「UF1棚」)、それを引き出すことを指示する画面がタッチパネル15に表示されるので(
図8(d)参照)、その薬剤フィーダ列設棚20に付設された引出ロック機構40のロックを解除し、それから、その薬剤フィーダ列設棚20を筐体から前に引き出す(
図1,
図3(a)の最下段の薬剤フィーダ列設棚20を参照)。すると、その棚のロックが解除され、更にその棚がロック位置よりも前へ引き出されたことが検出されると、残薬回収対象の薬剤フィーダ52が筐体から十分に引き出されたものと判定されて、残薬回収対象の薬剤フィーダ52の下に回収容器を置くことを調剤作業者に促す画面がタッチパネル15に表示される(
図8(e)参照)。
【0062】
そのため、調剤作業者が迅速かつ的確に残薬回収対象の薬剤フィーダ52の下に回収容器を置くことができる(図示せず)。
そして、調剤作業者がタッチパネル15の画面操作にて残薬回収の「開始」を指示すると(
図8(e)の画面表示例の右下部分を参照)、コントローラ80の制御下でコントローラ53が残薬回収プログラム55を実行し、それによって残薬回収対象の薬剤フィーダ52から残薬が次々に下方へ排出されるので、残薬が回収容器の中へ速やかに移される。
【0063】
残薬の排出中は薬剤の不所望な飛び散り等を防止するために残薬回収対象の薬剤フィーダ52は蓋52aを閉めておかないといけないが、落下薬剤の検出タイムアウト等にて排出完了になったら、蓋52aのロックが解除されるので、念のため、調剤作業者は、なるべく残薬回収対象の薬剤フィーダ52の蓋52aを開けて残薬の有無を目視で確認する(
図4(b)参照)。
そして、調剤作業者は、残薬回収対象の薬剤フィーダ52が確実に空になっていることを確認したら、蓋52aを閉めて、空の薬剤フィーダ52を次の利用に供する。
【0064】
このようにして、自動排出後の薬剤フィーダ52から残薬を回収容器に回収することができるが、その際、残薬回収対象の薬剤フィーダ52を搭載していない薬剤フィーダ列設棚20(
図1や
図3(e)の例では上段と中段の薬剤フィーダ列設棚20)に搭載されている薬剤フィーダ52については、残薬回収対象の薬剤フィーダ52を搭載している薬剤フィーダ列設棚20(
図1や
図3(e)の例では下段の薬剤フィーダ列設棚20)が薬剤分包機10の筐体に収まっていようが筐体から前へ突き出ていようが薬剤排出動作には影響がないので、同時並行的に、他の処方指示に応じた別の自動調剤に供することが可能である。
調剤指示受付プログラム91は、薬剤分包機10の上位装置である調剤サーバ100からデータ送信されてきた調剤指示を受信してデータ保持するものであるが、調剤指示を受けると取りあえずそれをデータ保持しておき、その調剤指示すなわち先行の調剤指示に係る処理が完了する前であっても、後行の調剤指示がデータ送信されて来るとそれも受け取って、受け取り順あるいは優先順の分かる態様で複数・多数の調剤指示をデータ保持しておくことで、調剤指示を並行受付するものとなっている。
引出阻止プログラム94は、上中下いずれか該当する段の薬剤フィーダ列設棚20の割振データを参照することで直ちに該当段の薬剤フィーダ52が薬剤排出実行対象になっているか否かを確認できることに基づいて、一つでも薬剤排出実行対象になっているときには、薬剤排出実行に先だち、薬剤排出実行対象の薬剤フィーダ52を搭載している薬剤フィーダ列設棚20の引出ロック機構40をロック状態にする制御を行うことで、薬剤排出実行対象の薬剤フィーダ52の引き出しを阻止するようになっている。
また、薬剤排出予約対象になっている薬剤フィーダ52を搭載している薬剤フィーダ列設棚20については、その引出ロック機構40をロック解除状態にする制御を行うことで、薬剤排出予約対象の薬剤フィーダ52の引き出しを許すようになっている。
解除催促プログラム95(図では「解除・催促」)は、排出実行割振プログラム92によって薬剤排出実行対象に選出されるとともに引出阻止プログラム94の制御下の引出ロック機構40によって引出を阻止されている汎用型の薬剤フィーダ52について、薬剤の排出を未だ終えていないのに空になってしまったことがタイムアウト等によって検出されたときには、引出阻止プログラム94と協動して当該引出ロック機構40をロック解除状態に制御することで、空の薬剤フィーダ52及びそれを搭載した薬剤フィーダ列設棚20に係る引き出し阻止を一時的に解除させるようになっている。さらに、連携するコントローラ80がタッチパネル15に適宜な案内表示を行ったりすることで、当該薬剤フィーダ52への薬剤補充を促すようにもなっている。
排出制御プログラム96は、排出実行割振プログラム92の割当によって薬剤排出実行対象になった薬剤フィーダ52に対しては、準備や条件が調うまでは薬剤排出を停止させるが、準備等が調うと上述の自動排出プログラム54の遣り方で薬剤排出を行わせるようになっている。
また、薬剤排出処理を終えて薬剤排出実行対象から外れた薬剤フィーダ52に対しては、上述の残薬回収プログラム55の遣り方で薬剤排出を行わせるようになっている。
さらに、排出予約割振プログラム93の割り当てによって薬剤充填実行対象になった薬剤フィーダ52に対しては、搭載先の薬剤フィーダ列設棚20の引出や薬剤投入に備えて、薬剤排出を行わせないようになっている。
そして、その割り振りに基づき、やはり該当する薬剤フィーダ52と薬剤との対の一つ一つについて、薬剤の種類と薬剤投入先の薬剤フィーダと出し入れすべき薬剤フィーダ列設棚20とに係る案内がタッチパネル15に表示されるので、その度に表示に従い必要なら薬剤フィーダ列設棚20の出し入れも行いながら指定の薬剤フィーダ52に指定の薬剤を投入し更に薬剤投入作業完了の通知をタッチパネル15の画面操作等にて入力する。
そして、二番目の調剤指示にて指定された総ての薬剤が薬剤分包機10に揃い、そのときの薬剤投入対象だった下段の薬剤フィーダ列設棚20が筐体に押し込まれると、その薬剤フィーダ列設棚20がロックされる。
そうこうするうちに、先の調剤指示に基づく調剤が完了する前に、先の調剤指示データで指定されていて薬剤フィーダ52に投入された薬剤が総て排出されて、その薬剤フィーダ52が空になると、そのことがタイムアウトで薬剤フィーダ52のコントローラ53によって検出され更に薬剤分包機10のコントローラ80に通知されると、薬剤分包機10における自動調剤の動作が一時停止され、その薬剤フィーダ52を搭載している薬剤フィーダ列設棚20のロックが一時的に解除されるとともに、その薬剤フィーダ52への薬剤補充を促すメッセージ等がタッチパネル15に表示される。
そこで、それを知った調剤作業者が、該当する薬剤フィーダ列設棚20を筐体から前方へ引き出して、それに搭載されている薬剤フィーダ52のうち該当するものに薬剤を補充し、それから、該当する薬剤フィーダ列設棚20を筐体へ押し戻し、さらに、薬剤補充作業の完了をタッチパネル15の画面操作にてコントローラ90に通知する。
そうすると、コントローラ90の制御によって、該当する薬剤フィーダ列設棚20が再びロックされるとともに、一時的に停止されていた自動調剤の動作が再開される。
それから、先の調剤指示データに基づく分包動作が完了すると、次の調剤指示データが排出実行割振の対象に移され、次の次の調剤指示データが排出予約割振の対象にされるが、次の調剤指示データに基づく割振や薬剤投入は総て又は一部が既に完了しているので、次の分包処理が速やかに開始される。
なお、この実施例2では、「後続分包準備先行」と「途中補充」とに係る具体例を提示したが、それらは実施例1の「残薬回収」と競合するものではないので、それら総ての構成や機能を一台の薬剤分包機10に実装することも可能である。