IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-画像形成装置および画像形成方法 図1
  • 特開-画像形成装置および画像形成方法 図2
  • 特開-画像形成装置および画像形成方法 図3
  • 特開-画像形成装置および画像形成方法 図4
  • 特開-画像形成装置および画像形成方法 図5
  • 特開-画像形成装置および画像形成方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099865
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240719BHJP
   B41J 21/16 20060101ALI20240719BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240719BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H04N1/00 Z
B41J21/16
B41J29/38 601
B41J21/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003450
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大川 三江子
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AQ06
2C061AR03
2C061AS02
2C061HH13
2C061HJ04
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN18
2C187AC06
2C187AF01
2C187AG11
2C187BF36
2C187BH18
2C187BH19
2C187DB21
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB08
5C062AB22
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC24
5C062AC58
5C062AE15
5C062BA00
(57)【要約】
【課題】バリアブル印刷において、既存の画像に対して的確な内容の追加印刷を可能とすることで、やれ紙の発生を抑えることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記記録媒体に形成されている識別子を含む既存画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部で読み取った前記既存画像内の識別子に基づいて前記記録媒体に追加で形成する追加画像の画像情報を取得し、前記取得した画像情報に基づいて前記画像形成部による追加画像の形成を制御する制御部とを備えた画像形成装置である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記記録媒体に形成されている識別子を含む既存画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部で読み取った前記既存画像内の識別子に基づいて前記記録媒体に追加で形成する追加画像の画像情報を取得し、前記取得した画像情報に基づいて前記画像形成部による追加画像の形成を制御する制御部とを備えた
画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記識別子に対応する追加画像の画像情報を保持する記憶部と、
前記画像読取部で読み取った前記既存画像に基づいて前記記憶部から、前記記録媒体に形成する追加画像の画像情報を呼び出す追加画像情報取得部とを有する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記画像読取部で読み取った前記既存画像内の識別子を解析して識別情報を取得する識別情報取得部を有し、
前記記憶部は、前記識別情報に対応させて前記追加画像の画像情報を保持し、
前記追加画像情報取得部は、前記識別情報取得部で取得した前記識別情報に基づいて、前記記憶部から前記追加画像の画像情報を呼び出す
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記識別情報取得部は、
前記記録媒体における前記識別子の位置情報を保持し、
前記位置情報に基づいて前記画像読取部で読み取った前記既存画像内から前記識別子を取得する
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記識別情報取得部が前記識別情報を取得できない場合、または前記追加画像情報取得部が前記追加画像の画像情報を取得できない場合に、前記画像形成部に対して前記追加画像の形成を実施させずに、前記記録媒体のバージ処理を行う
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記記憶部は、同一の前記識別子に対応する追加画像の画像情報を複数保持し、
前記制御部は、前記追加画像情報取得部が同一の前記識別子に対応する追加画像の画像情報を複数呼び出した場合、前記画像形成部に対し、前記追加画像情報取得部が呼び出した複数の画像情報を同一の前記識別子を有する複数の前記記録媒体に順次に形成させる、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記識別子は、バーコード、番号、文字、およびマークの何れかを含む
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記画像読取部で読み取った前記既存画像内の前記識別子に基づいて、前記既存画像を有する記録媒体の向きを判断し、
前記既存画像を有する前記記録媒体に対して所定の向きで前記追加画像が形成されるように、前記追加画像の画像情報を補正する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
記録媒体に形成されている識別子を含む既存画像を画像読取部で読み取り、
前記画像読取部で読み取った前記既存画像内の識別子に基づいて前記記録媒体に追加で形成する追加画像の画像情報を取得し、
前記取得した画像情報に基づいて画像形成部が前記記録媒体に前記追加画像を形成する
画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1枚毎に異なる内容を印刷するバリアブル印刷を実施するための画像形成装置に関する技術として、下記特許文献1に開示の技術がある。この特許文献1には、「識別子デコード部は、画像読取部によって読み取られた画像に含まれる識別子をデコードする。重複検査部は、デコードされた識別子の重複確認のための情報を、識別子を管理するサーバーに送信し、デコードされた識別子を含む画像が印刷処理済みであるか否かを示す情報を取得する。制御部は、デコードされた識別子を含む画像がすでに印刷済みであることに基づいて、エラーを出力する。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-125821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような技術では、識別子を含む全ての印刷処理が終了した後に、画像読取部によって読み取られた画像に基づいて印刷内容(重複印刷)のエラーを判断するため、エラー判定となった印刷済みの印刷物はやれ紙となってしまう。
【0005】
そこで本発明は、バリアブル印刷において、既存の画像に対して的確な内容の追加印刷を可能とすることで、やれ紙の発生を抑えることが可能な画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するための本発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記記録媒体に形成されている識別子を含む既存画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部で読み取った前記既存画像内の識別子に基づいて前記記録媒体に追加で形成する追加画像の画像情報を取得し、前記取得した画像情報に基づいて前記画像形成部による追加画像の形成を制御する制御部とを備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、バリアブル印刷において、既存の画像に対して的確な内容の追加印刷を可能とすることで、やれ紙の発生を抑えることが可能な画像形成装置および画像形成方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る画像形成装置の要部を示す構成図である。
図2】実施形態に係る画像形成装置によって追加画像を形成する記録媒体の一例を示す図である。
図3】実施形態に係る画像形成装置の制御部の機能構成図である。
図4】実施形態に係る画像形成装置における追加画像情報記憶部に記憶される識別情報対応追加画像情報を示す図である。
図5】実施形態に係る画像形成方法を示すフローチャート(その1)である。
図6】実施形態に係る画像形成方法を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の画像形成装置および画像形成方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
≪画像形成装置≫
図1は、実施形態に係る画像形成装置1の要部を示す構成図である。この図に示す画像形成装置1は、1枚毎に異なる内容を印刷するバリアブル印刷を行うためのものであって、媒体供給部10、画像読取部20、媒体仕分部30、画像形成部40、媒体排出部50、および制御部60を備える。以下、画像形成装置1を構成するこれらの各部の構成を順に説明する。
【0011】
<媒体供給部10>
媒体供給部10は、制御部60からの指示にしたがって、画像読取部20に対して順次に記録媒体[M]を供給する部分である。この媒体供給部10は、大量の記録媒体[M]を収容する媒体収容部11と、媒体収容部11に収容された記録媒体[M]を1枚ずつ画像読取部20に供給する媒体供給路12とを備える。記録媒体[M]は、例えば既に何らかの画像が印刷されたものもある。
【0012】
図2は、実施形態に係る画像形成装置によって追加画像を形成する記録媒体[M]の一例を示す図である。図2に示すように、記録媒体[M]は、例えば郵便ハガキであって、既に印刷されている既存画像100として、識別子101とコンテンツ102とを有するものである。
【0013】
識別子101は、各記録媒体[M]を同定するために各記録媒体[M]に対して個別に割り当てて形成されたものである。識別子101は、記録媒体[M]における一方側の面における所定位置に設けられている。このような識別子101は、図示したようなバーコードに限定されることはなく、数字列、文字列、複数の中から特定の一つを同定するのに用いられる数字列や文字列などであってよく、様々な種類の識別子101を用いることができる。既存画像100が、このような識別子101を含むことにより、識別子101によってコンテンツ102の内容を判定することを可能としている。
【0014】
またコンテンツ102は、その内容が限定されることはないが、複数種類が用意されており、各記録媒体[M]に異なる内容であったり、複数枚の記録媒体[M]毎に異なる内容であることとする。コンテンツ102は、記録媒体[M]の一方側の面または両側面に形成されていている。
【0015】
このような記録媒体[M]に対して、画像形成装置1は、各既存画像100に対応する追加画像を、追い刷り印刷によって形成する。この追加画像は、各記録媒体[M]に異なる内容であったり、複数枚の記録媒体[M]毎に異なる内容である。ここでは一例として、追加画像は宛先であり、この場合、追加画像は各記録媒体[M]に異なる内容となる。
【0016】
<画像読取部20>
図1に戻り、画像読取部20は、媒体供給部10から供給された記録媒体[M]の画像を読み取るための部分である。この画像読取部20には、画像読取装置21が配置されており、画像読取装置21で読み取った画像を、読取画像として制御部60に送信する。
【0017】
このような画像読取装置21は、記録媒体[M]の搬送方向に対して垂直な幅方向にわたって、記録媒体[M]上の画像を読み取ることが可能なラインセンサーであってよい。また画像読取装置21は、図示したように、媒体供給部10から供給された記録媒体[M]の両面側に配置され、記録媒体[M]の両側面の画像を読み取るように配置されていてもよいが、片側のみに配置されていてもよい。片側のみに配置されている場合、記録媒体[M]の裏表をひっくり返す搬送経路を有することで、記録媒体[M]の両側面の画像を読み取る構成としてもよい。
【0018】
<媒体仕分部30>
媒体仕分部30は、画像読取部20から搬送された記録媒体[M]の搬送経路を変更するための搬送駆動部31を有する。この搬送駆動部31は、制御部60からの指示にしたがって、記録媒体[M]を、画像形成部40に搬送するか、または画像形成装置1の外部に排出する。
【0019】
<画像形成部40>
画像形成部40は、制御部60からの指示にしたがって、媒体仕分部30から搬送された記録媒体[M]に対して画像を形成する。このような画像形成部40の詳細な構成の説明は省略するが、例えば電子写真方式の画像形成装置である。また、この画像形成部40は、記録媒体[M]の裏表をひっくり返す搬送経路を有することで、記録媒体[M]の両側面に画像形成が可能な構成であってもよい。画像形成部40による画像形成の詳細は、以降の画像形成方法において説明する。
【0020】
<媒体排出部50>
媒体排出部50は、画像形成部40から搬送された記録媒体[M]の搬送経路を変更するための搬送駆動部51を有する。この搬送駆動部51は、制御部60からの指示にしたがって、画像形成部40から搬送された記録媒体[M]を、各トレー52に分配して排出する。
【0021】
<制御部60>
制御部60は、画像読取部20から送信された読取画像を解析し、その解析結果に基づいて画像形成装置1を構成する各部の動作を制御する。このような制御部60は、計算機によって構成されている。計算機は、いわゆるコンピューターとして用いられるハードウェアである。計算機は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)やHDD(hard disk drive)のような不揮発性の記憶部、さらにはネットワークインターフェースを備えていてもよい。
【0022】
このような計算機によって構成された制御部60は、画像読取部20から送信された画像を解析し、その解析結果に基づいて記録媒体[M]に対して追加画像を形成するための追加画像形成プログラムを不揮発性の記憶部に保存する。
【0023】
図3は、実施形態に係る画像形成装置1の制御部60の機能構成図である。図3に示すように、制御部60は、画像形成制御部61、識別情報取得部62、追加画像情報記憶部63、および追加画像情報取得部64の各機能部を有する。次に、図3に示すこれらの各機能部の構成を、図1図2およびその他の図を参照して説明する。
【0024】
[画像形成制御部61]
画像形成制御部61は、以降に説明する追加画像情報取得部64での判断に基づいて、媒体仕分部30、画像形成部40、および媒体排出部50の各部を制御し、記録媒体[M](図2参照)に対する追加画像(ここでは宛先)の形成処理を実施する。また画像形成制御部61は、識別情報取得部62が取得した識別子に基づいて記録媒体[M]に形成する追加画像の画像データを補正し、記録媒体[M]に形成する追加画像の向きを、記録媒体[M]の向きに一致させる。なお、画像形成制御部61による追加画像の形成処理の詳細は、以降の画像形成方法において説明する。
【0025】
[識別情報取得部62]
識別情報取得部62は、画像読取部20の画像読取装置21から送信された読取画像を解析することにより、既存画像を読み取った読取画像内の識別子を取得し、識別子に対応する識別情報を取得する。このような識別情報取得部62は、記録媒体[M]における識別子の位置情報(座標位置)を保持し、この位置情報に基づいて識別子を取得し、識別子から識別情報を取得する。このような座標位置に基づく識別子の取得により、より正確に短時間で識別子を取得して識別子情報を得ることが可能となる。なお、この識別情報取得部62による識別情報の取得の手順は、以降の画像形成方法において詳細に説明する。
【0026】
[追加画像情報記憶部63]
追加画像情報記憶部63は、識別情報に対応する追加画像情報を記憶する。図4は、実施形態に係る画像形成装置における追加画像情報記憶部に記憶される識別情報対応の追加画像情報を示す図である。この図に示すように、追加画像情報記憶部63は、識別情報[Iid](0001,0002,…)のそれぞれに対応する追加画像情報[Iadd](住所A,住所B,…)を記憶する。識別情報[Iid]、追加画像情報[Iadd]、およびこれらの関連付けの情報は、例えば外部装置または画像形成装置1の操作部(図示省略)から入力された情報であることとする。
【0027】
ここで、識別情報[Iid]は、先に説明した識別子101(図2参照)をデコードした情報であって、識別子に対して1:1で対応する情報である。
【0028】
また追加画像情報[Iadd]は、追い刷り印刷によって形成する追加画像に関する情報であり、ここでは一例として宛先を示す印字情報である。追加画像情報[Iadd]は、追加画像が記録媒体[M]のどちら側の面に形成されるのかを示す面情報を含むこととする。図2に示した例では、記録媒体[M]として例示した郵便ハガキの宛名面に識別子101が設けられているため、追加画像である宛名の追加画像情報[Iadd]は、識別子101側の面のものであることを示す面情報を含む。
【0029】
また、追加画像情報[Iadd]は、記録媒体[M]の両側面に分配して形成される2つの追加画像の情報であってもよい。この場合、追加画像情報記憶部63は、追加画像情報[Iadd]を構成する2つの追加画像に関する各情報が、記録媒体[M]の識別子側の面のものであるか、逆側の面のものであるかを示す面情報を含む。
【0030】
なお図4においては、識別情報[Iid]と追加画像情報[Iadd]とが1:1の対応としているが、これに限定されることはない。追加画像情報記憶部63は、同一の識別情報[Iid]に対して、複数の追加画像情報[Iadd]を関連付けして記憶していてもよい。また追加画像情報記憶部63は、識別情報[Iid]に対して、カテゴリーを関連付けして記憶し、さらに各カテゴリーに複数の追加画像情報[Iadd]を関連付けして記憶していてもよい。
【0031】
[追加画像情報取得部64]
図3に戻り、追加画像情報取得部64は、識別情報取得部62で取得した識別情報[Iid]に基づいて、追加画像情報記憶部63に記憶されている識別情報対応追加画像情報(図4参照)の中から、識別情報[Iid]に対応する追加画像情報[Iadd]を呼び出す。この追加画像情報取得部64による追加画像情報[Iadd]の呼び出しの手順は、以降の画像形成方法において詳細に説明する。
【0032】
≪画像形成方法≫
次に、以上のような画像形成装置1において実施される画像形成方法を説明する。図5は、実施形態に係る画像形成方法を示すフローチャート(その1)であり、追い刷り印刷による追加画像形成の前処理を示している。また図6は、実施形態に係る画像形成方法を示すフローチャート(その2)であり、追い刷り印刷による追加画像の形成処理を示している。これらのフローチャートに示す画像形成方法は、図1および図3に示した画像形成装置1の制御部60が有する追加画像形成プログラムによって実施される画像形成方法の手順を示している。以下、図5および図6のフローチャートに沿って、先の図1図4を参照しつつ、実施形態の画像形成方法を説明する。
【0033】
<追加画像形成の前処理>
[ステップS101(図5)]
ステップS101において、識別情報取得部62は、識別子101の位置情報を取得する。この場合、識別情報取得部62は、例えば外部装置または画像形成装置1の操作部(図示省略)からの入力情報に基づいて、記録媒体[M]において識別子101が形成されている座標位置を位置情報として取得し、取得した位置情報を記憶する。なお、記録媒体[M]における識別子101の位置情報の入力は、座標位置の数値入力であってもよく、また追加画像を形成する前の記録媒体[M]の画像を操作部に表示し、識別子101の形成位置を四角で囲って指定してもよい。
【0034】
[ステップS102(図5)]
ステップS102において、追加画像情報記憶部63は、識別情報[Iid]に対応する追加画像情報[Iadd]を記憶する。この追加画像情報[Iadd]は、先に図4を用いて説明した情報であって、例えば外部装置または画像形成装置1の操作部(図示省略)から入力された情報であることとする。これにより、追い刷り印刷による追加画像形成の前処理を終了する。
【0035】
<追加画像の形成処理>
次に、図6に示すステップS201以降の追い刷り印刷による追加画像の形成処理を開始する。ステップS201以降の追加画像の形成処理は、例えば外部装置または画像形成装置1の操作部(図示省略)からのジョブ開始の指示が入力されることにより、各記録媒体[M]に対して以下の手順で実行される。なお、図6に示したフローチャートは、ジョブ開始によって、媒体供給部10から画像読取部20に記録媒体[M]が供給されるごとに、繰り返して実施される。
【0036】
[ステップS201(図6)]
ステップS201において、識別情報取得部62は、上述したジョブ開始の入力によって、媒体供給部10から画像読取部20に供給された記録媒体[M]の既存画像100を、画像読取装置21に対して読み取らせる。この際、画像読取装置21は、記録媒体[M]の両側面について、記録媒体[M]のエッジを含む全体の画像を読み取り、読み取った画像データを識別情報取得部62に送信する。これにより、識別情報取得部62は、画像読取装置21で読み取った既存画像100を含む読取画像の画像データを取得する。
【0037】
[ステップS202(図6)]
ステップS202において、識別情報取得部62は、ステップS201において取得した記録媒体[M]の両側面の読取画像の中から既存画像100内の識別子101を取得する。この際、識別情報取得部62は、読取画像の画像データに基づいて記録媒体[M]のエッジを抽出する。そして、抽出したエッジを基準とし、予めステップS101で取得した位置情報に基づいて、識別子101を抽出するためのウインドウを展開し、ウインドウ内を探索することで読取画像内の識別子101を取得する。
【0038】
ここで、記録媒体[M]のエッジを基準とした識別子101の位置は、画像読取部20に搬送される記録媒体[M]の向きによって異なる。このため、識別情報取得部62は、読取画像を例えば90°づつ回転させた各状態において、上述した識別子101の取得を実施する。
【0039】
また識別情報取得部62は、記録媒体[M]の両側面について識別子101の取得処理を実施することにより、画像読取部20に搬送された状態の記録媒体[M]の両側面を、識別子を有する面と、識別子を有していない面とに類別する。
【0040】
[ステップS203(図6)]
ステップS203において、識別情報取得部62は、ステップS202で取得した識別子101を画像解析し、識別情報[Iid]を取得する。この場合、識別情報取得部62は、識別子101のデコードまたはOCR(Optical Character Recognition)解析により、識別子101から識別情報[Iid]を取得する。
【0041】
[ステップS204(図6)]
ステップS204において、追加画像情報取得部64は、ステップS203で取得した識別情報[Iid]に対応する追加画像情報[Iadd]を、追加画像情報記憶部63から呼び出す。この際、追加画像情報取得部64は、追加画像情報記憶部63に保存されている識別情報対応追加画像情報(図4参照)の中から、識別情報[Iid]に対応する追加画像情報[Iadd]を呼び出す。
【0042】
なお、同一の識別情報[Iid]に対応する追加画像情報[Iadd]が複数存在する場合、追加画像情報取得部64は、そのうちの1つを呼び出す。呼び出した追加画像情報[Iadd]は追加画像情報記憶部63から削除せず、呼び出したことを追加画像情報記憶部63に記録する。追加画像情報取得部64は、識別情報[Iid]に対応する複数の追加画像情報[Iadd]の中から、呼び出したことが記録されていない追加画像情報[Iadd]のうちの1つを呼び出す。これにより、同一の識別子101に対応する複数の追加画像情報[Iadd]を、重複することなく順次に呼び出す構成とする。また、これにより、再度同じ依頼やジョブが入った場合に、追加画像情報記憶部63に保持された追加画像情報[Iadd]をそのまま使用可能とする。
【0043】
[ステップS205(図6)]
ステップS205において、追加画像情報取得部64は、追加画像情報記憶部63に記憶すされた追加画像情報[Iadd]の中に、ステップS203で取得した識別情報[Iid]に対応する追加画像情報[Iadd]があったか否かを判断する。対応する追加画像情報[Iadd]があった(YES)と判断した場合には、ステップS206に進む。一方、対応する追加画像情報[Iadd]がなかった(NO)と判断した場合いは、ステップS207に進む。
【0044】
[ステップS206(図6)]
ステップS206において、画像形成制御部61は、記録媒体[M]に対して追加画像を形成するための追い刷り印刷を実施する。この場合、先ず、画像形成制御部61は、媒体仕分部30における記録媒体[M]の搬送駆動部31を制御し、記録媒体[M]を画像形成部40に搬送する。次に、画像形成制御部61は、ステップS204で呼び出した追加画像情報[Iadd]に基づいて画像形成部40を制御することにより、記録媒体[M]に追加画像を形成のための追い刷り印刷を実施する。
【0045】
この追い刷り印刷において、画像形成制御部61は、既存画像100が形成された記録媒体[M]に対して、所定の向きで追加画像が形成されるように、追加画像情報[Iadd]を補正する。この際、画像形成制御部61は、ステップS202において識別情報取得部62が読取画像内から識別子101を取得した際の読取画像の回転角度に合わせて、追加画像情報[Iadd]を補正する。そして、補正した追加画像情報[Iadd]に基づいて、記録媒体[M]に追加画像を形成のための追い刷り印刷を実施する。
【0046】
また、ステップS204において追加画像情報記憶部63から呼び出した追加画像情報[Iadd]が、記録媒体[M]の両側面に形成される2つの追加画像の情報を有する場合、画像形成制御部61は、記録媒体[M]の両側面に対して追い刷り印刷を実施する。
この際、画像形成制御部61は、ステップS202において識別情報取得部62が類別した記録媒体[M]の識別子を有する面と、識別子を有していない面の両方に、追加画像情報[Iadd]が有する面情報に基づいて各追加画像を形成する。
【0047】
また追加画像の形成後、画像形成制御部61は、記録媒体[M]を、画像形成部40から媒体排出部50に搬送し、媒体排出部50における搬送駆動部51を制御することにより、記録媒体[M]を適切なトレー52に排出する。
【0048】
また追加画像の形成後、画像形成制御部61は、記録媒体[M]に対する追加画像の形成完了を、例えば外部装置または画像形成装置1の操作部(図示省略)においてオペレータが確認できるようにストファイル化する。
【0049】
なお、追加画像情報記憶部63が、同一の識別情報[Iid]に対応して複数の追加画像情報[Iadd]を保持している場合、この記録媒体[M]への追加画像の形成に際してステップS204で呼び出した追加画像情報[Iadd]と、呼び出されていない追加画像情報[Iadd]とをリストファイル化する。
【0050】
またこのリストファイルの情報は、追加画像情報記憶部63に保持させる。これにより、ステップS204において、追加画像情報取得部64は、同一の識別情報[Iid]に対応する複数の追加画像情報[Iadd]の中から、過去に呼び出していない追加画像情報[Iadd]のうちの1つを呼び出すことが可能となる。そして、同一の識別子101を有する複数の記録媒体[M]に対して、異なる追加画像を順次に形成することが可能となる。
【0051】
以上により、1つの記録媒体[M]に対する追加画像の形成処理を終了させる。
【0052】
[ステップS207(図6)]
一方、ステップS207において、画像形成制御部61は、媒体仕分部30における搬送駆動部31を制御し、記録媒体[M]を画像形成装置1から排出するパージ処理を実施する。そして、1つの記録媒体[M]に対する追い刷り印刷を実施せずに、追加画像の形成処理を終了させる。
【0053】
なお、ステップS202において、識別情報取得部62が識別子を取得できなかった場合、およびステップS203において、識別情報取得部62が識別情報[Iid]を取得できなかった場合には、これらの各ステップから本ステップ207に進み、パージ処理を実施してもよい。これにより、追い刷り印刷による追加画像の形成処理前に、既存画像100である識別子101の異常を検知して追い刷り印刷を停止させることができる。
【0054】
また以上のパージ処理は、記録媒体[M]を画像形成せずに画像形成部40を通過させ、媒体排出部50から所定のトレーに排出することで実施してもよい。
【0055】
また、画像形成制御部61は、記録媒体[M]に対する追加画像形成の未実施を、例えば外部装置または画像形成装置1の操作部(図示省略)においてオペレータが確認できるようにストファイル化する。このリストファイルには、追加画像形成の未実施の理由も記録する。以上により、1つの記録媒体[M]に対する追加画像の形成処理を終了させる。
【0056】
≪実施形態の効果≫
以上説明した実施形態によれば、各記録媒体[M]が有する既存画像100が識別子101を含むことにより、識別子101に基づいて既存画像100のコンテンツ102の内容を正確に判定し、異なる内容のコンテンツ102に対して的確な組み合わせの追加画像を選択して記録媒体[M]に形成することが可能となる。これにより、バリアブル印刷におけるやれ紙の発生を抑えることが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1…画像形成装置
20…画像読取部
40…画像形成部
60…制御部
62…識別情報取得部
63…追加画像情報記憶部(記憶部)
64…追加画像情報取得部
100…既存画像
101…識別子
[Iadd]…追加画像情報
[Iid]…識別情報
[M]…記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6