(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099870
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】制御回路及び半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H03L 7/081 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
H03L7/081 180
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003465
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】512167426
【氏名又は名称】華邦電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Winbond Electronics Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】奥野 晋也
【テーマコード(参考)】
5J106
【Fターム(参考)】
5J106AA03
5J106CC21
5J106CC59
5J106DD24
5J106EE09
5J106GG10
5J106HH02
5J106KK03
(57)【要約】
【課題】遅延動作の長期化を抑制し、DLL回路を用いて内部クロック信号の遅延の調整を行うシーケンスを所定の実行期間内に完了することができる制御回路等を提供する。
【解決手段】制御回路は、入力クロック信号と出力クロック信号との位相差に基づいて入力クロック信号を遅延させて出力クロック信号を生成する遅延制御部10を備えた制御回路であって、クロック制御部17をさらに有し、クロック制御部は、位相差が第1所定量以上である場合には、入力クロック信号として、入力クロック信号の位相を第2所定量遅延させたクロック信号を入力クロックとして遅延制御部に入力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力クロック信号と出力クロック信号との位相差に基づいて前記入力クロック信号を遅延させて前記出力クロック信号を生成する遅延制御部を備えた制御回路であって、
クロック制御部をさらに有し、
前記クロック制御部は、前記位相差が第1所定量以上である場合には、
前記入力クロック信号として、前記入力クロック信号の位相を第2所定量遅延させたクロック信号を前記入力クロックとして前記遅延制御部に入力することを特徴とする制御回路。
【請求項2】
前記クロック制御部には、第1入力クロック信号と、前記第1入力クロック信号の位相を前記第2所定量遅延させた第2入力クロック信号とが入力され、
前記クロック制御部は、前記位相差が第1所定量以上である場合には、前記第2入力クロック信号を前記入力クロックに選択することを特徴とする請求項1記載の制御回路。
【請求項3】
前記クロック制御部は、遅延動作開始後の所定のタイミングで、前記位相差が前記第1所定量以上であるかどうかを判別することを特徴とする請求項1記載の制御回路。
【請求項4】
前記遅延制御部は、前記入力クロック信号と前記出力クロック信号との位相差を検出する位相検出部を有し、
前記位相検出部で検出された前記位相差が前記クロック制御部に入力されることを特徴とする請求項1記載の制御回路。
【請求項5】
前記クロック制御部は、セレクト信号生成部と、前記セレクト信号生成部で生成されたセレクト信号が入力される内部クロック選択部とを備え、
前記セレクト信号生成部は、前記位相差が所定値以上であるかどうかであるかどうか示すセレクト信号を生成して、
前記内部クロック選択部は、前記セレクト信号に基づいて前記第1入力クロック信号及び前記第2入力クロック信号のいずれかを選択するように構成されたことを特徴とする請求項2記載の制御回路。
【請求項6】
前記第1所定量が、180度であることを特徴とする請求項1記載の制御回路。
【請求項7】
前記第2所定量が、180度であることを特徴とする請求項1記載の制御回路。
【請求項8】
外部クロック信号が入力される入力バッファを備え、
前記入力バッファにおいて、前記外部クロック信号から前記第1入力クロック信号が生成されるとともに、前記外部クロック信号を反転させて前記第2入力クロック信号が生成されることを特徴とする請求項2記載の制御回路。
【請求項9】
外部クロック信号が入力される入力バッファを備え、
前記入力バッファにおいて、前記外部クロック信号から前記第1入力クロック信号が生成されるとともに、前記外部クロック信号の補償クロック信号から前記第2入力クロック信号が生成されることを特徴とする請求項2記載の制御回路。
【請求項10】
前記第2入力クロック信号の立ち上がりエッジと、前記出力クロック信号の立ち上がりエッジとの位相差に基づいて遅延動作を行うことを特徴とする請求項2記載の制御回路。
【請求項11】
前記遅延制御部は、遅延回路及びDLL制御部を備え、
前記遅延回路は、前記DLL制御部によって設定された遅延量に基づいて前記出力クロック信号を生成することを特徴とする請求項1記載の制御回路。
【請求項12】
前記遅延制御部は、前記DLL制御部に接続された位相検出部を備え、
前記位相検出部は、フィードバック信号及び参照クロック信号を受信して、前記参照クロック信号に対する前記フィードバック信号の位相の進み又は遅れを示す位相信号を生成することを特徴とする請求項11記載の制御回路。
【請求項13】
前記遅延制御部は、前記遅延回路及び前記位相検出部に接続されたレプリカ部を備え、
前記レプリカ部は、前記遅延回路によって生成された前記出力クロック信号を受信して、前記フィードバック信号を出力することを特徴とする請求項12記載の制御回路。
【請求項14】
請求項1記載の制御回路を備えることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項15】
前記半導体記憶装置はダイナミックランダムアクセスメモリであることを特徴とする請求項14記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御回路及び半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置の一種であるDRAM(Dynamic Random Access Memory)は、キャパシタ(コンデンサ)に電荷を蓄えることによって情報を記憶し、電源が供給されなくなると、記憶された情報が失われる揮発性メモリである。DRAMには、位相同期回路として遅延ロックループ(DLL:Delay locked Loop)回路が設けられている。DRAMは、DLL回路を用いて、データ信号を出力するための内部クロック信号を、外部から入力された入力クロック信号に同期させて生成している。このようなDLL回路としては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開2012/0194241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、DLL回路を用いて内部クロック信号の遅延の調整を行う場合、例えば、DLL回路のリセット動作と、DLL回路の遅延(ロック)動作(例えば、遅延線を1本ずつ活性化させながら外部クロックと内部クロックとを同期させる動作)と、入力クロック信号と内部クロック信号との間の遅延クロックサイクル数を示すN値の検出動作と、を含むシーケンスが実行される。
【0005】
ここで、DLL回路の遅延動作によるロック時間Tdllは、下記の式で表すことができる。
【0006】
Tint+Tdll=N×tCK
【0007】
上記式において、TintはDLL回路における固有遅延時間を示し、tCKがクロックサイクルを示す。例えば半導体記憶装置内の温度等によってクロックサイクル(tCK)が固有遅延時間(Tint)よりも長くなる場合、上記の式で示すようにDLL回路の遅延動作によるロック時間(Tdll)も長期化してしまう。このようにロック時間が長期化すると、上記のシーケンス全体の実行時間が長くなってしまい、次のシーケンスの実行が遅延するおそれがある。特に、遅延が長期化すると、事前に定められたシーケンスの実行期間(tDLLK)を超える虞がある。また、現在半導体集積回路の高速化に対応するために、シーケンス中の遅延動作はできるだけ高速化することが望ましい。
【0008】
特許文献1に記載の同期回路も、このような遅延動作の高速化を目的としたものであるが、構成が複雑であり、より簡易な構成であることが望ましい。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、遅延動作の長期化を抑制することができる制御回路、半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の制御回路は、入力クロック信号と出力クロック信号との位相差に基づいて前記入力クロック信号を遅延させて前記出力クロック信号を生成する遅延制御部を備えた制御回路であって、クロック制御部をさらに有し、前記クロック制御部は、前記位相差が第1所定量以上である場合には、前記入力クロック信号として、前記入力クロック信号の位相を第2所定量遅延させたクロック信号を前記入力クロックとして前記遅延回路に入力することを特徴とする。
【0011】
本発明においては、クロック制御部が、前記位相差が第1所定量以上である場合には、前記入力クロック信号として、前記入力クロック信号の位相を第2所定量遅延させたクロック信号を前記入力クロックとして前記遅延回路に入力することで、当該第2所定量遅延させたクロック信号を用いて遅延動作をすることができるので、入力クロック信号と出力クロック信号との位相差を短縮化することができる。これにより、遅延動作の長期化を抑制することが可能である。
【0012】
前記クロック制御部には、第1入力クロック信号と、前記第1入力クロック信号の位相を前記第2所定量遅延させた第2入力クロック信号とが入力され、前記クロック制御部は、前記位相差が第1所定量以上である場合には、第2入力クロック信号を前記入力クロックに選択することが好ましい。第1入力クロック信号と第2入力クロック信号とから、位相差が第1所定量以上であるかどうかにより、いずれかを選択することができるように構成することで、第1入力クロックを第2所定量遅延させた第2クロック信号を生成するために、入力クロック信号を遅延させる必要がない。即ち、あらかじめこのように二つの入力クロックを生成しておくことで、制御に応じて入力クロック信号を遅延させる必要がないので、遅延動作の長期化をさらに抑制できるとともに、回路全体を簡易な構成とすることが可能である。
【0013】
前記クロック制御部は、前記遅延動作開始後の所定のタイミングで、前記位相差が前記第1所定量以上であるかどうかを判別することが好ましい。回路全体が安定した遅延動作開始後の所定のタイミングで位相差を判別することができる。
【0014】
前記遅延制御部は、前記入力クロック信号と前記出力クロック信号との位相差を検出する位相検出部を有し、前記位相検出部で検出された前記位相差が前記クロック制御部に入力されることが好ましい。遅延制御部が有する位相検出部で検出された位相差をクロック制御部に入力することで、制御回路全体を簡易な構成とすることが可能である。
【0015】
前記クロック制御部は、セレクト信号生成部と、前記セレクト信号生成部で生成されたセレクト信号が入力される内部クロック選択部とを備え、前記セレクト信号生成部は、前記位相差が所定値以上であるかどうかであるかどうか示すセレクト信号を生成して、前記内部クロック選択部は、前記セレクト信号に基づいて前記第1入力クロック信号及び前記第2入力クロック信号のいずれかを選択するように構成されたことが好ましい。このように構成されることで、回路全体を簡易な構成とすることが可能である。
【0016】
前記第1所定量が、180度であることが好ましい。第1所定量を180度とすることで、制御回路全体が制御しやすく、また、回路全体を簡易な構成とすることが可能である。
【0017】
前記第2所定量が、180度であることが好ましい。第2所定量を180度とすることで、制御回路全体が制御しやすく、また、回路全体を簡易な構成とすることが可能である。
【0018】
外部クロック信号が入力される入力バッファを備え、前記入力バッファにおいて、前記外部クロック信号から第1入力クロック信号が生成されるとともに、前記外部クロック信号を反転させて第2入力クロック信号が生成されることか、外部クロック信号が入力される入力バッファを備え、前記入力バッファにおいて、前記外部クロック信号から第1入力クロック信号が生成されるとともに、前記外部クロック信号の補償クロック信号から第2入力クロック信号が生成されることが好ましい。このように入力バッファを構成することで、第1入力クロック信号と第2入力クロック信号とを、安定して制御回路に供給でき、かつ、簡易に生成することが可能である。
【0019】
前記第2入力クロック信号の立ち上がりエッジと、前記出力クロック信号の立ち上がりエッジとの位相差に基づいて前記遅延動作を行うことが好ましい。このように両信号の立ち上がりエッジで遅延動作が行われることで、遅延動作にかかる時間が短縮され、その長期化を抑制できる。
【0020】
本発明の半導体記憶装置は、上述した何れかの制御回路を備えることを特徴とする。いずれかの制御回路を備えることで、シーケンスの実行時間を短縮することができ、シーケンスの実行時間が、シーケンスのあらかじめ定められた所定の期間を超えることがない制御回路を備えるので、所定のシーケンスからの復帰動作が早く、応答時間を短縮化することが可能である。
【0021】
本発明の好ましい実施形態としては、前記半導体記憶装置はダイナミックランダムアクセスメモリであることが挙げられる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の制御回路、半導体記憶装置及び半導体記憶装置の制御方法によれば、遅延動作の長期化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る制御回路の構成例を示すブロック図である。
【
図2】(1)入力バッファの構成を示す図、(2)位相検出部の構成を示す図である。
【
図4】(1)従来例の制御回路の構成例を示すブロック図、(2)従来例の制御回路内の入力クロック信号と遅延時間との関係を示すタイムチャートである。
【
図5】(1)位相差が180度以上の場合の入力クロック信号と遅延時間との関係を示すタイムチャート、(2)位相差が180度未満の場合の入力クロック信号と遅延時間との関係を示すタイムチャートである。
【
図6】(1)(2)本シーケンスと従来のシーケンスとの各状態を示す図である。
【
図7】位相差が180度以上の場合の制御回路内の各部の信号の電圧の推移を示すタイムチャートである。
【
図8】位相差が180度未満の場合の制御回路内の各部の信号の電圧の推移を示すタイムチャートである。
【
図9】入力バッファの別の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係る制御回路、半導体記憶装置及び半導体記憶装置の制御方法について添付図面を参照して詳細に説明する。ただし、この実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】
また、本明細書等における「第1」、「第2」等の表記は、或る構成要素を他の構成要素と区別するために使用されるものであって、当該構成要素の数、順序又は優先度等を限定するためのものではない。例えば、「第1要素」及び「第2要素」との記載が存在する場合、「第1要素」及び「第2要素」という2つの要素のみが採用されることを意味するものではないし、「第1要素」が「第2要素」に先行しなければならないことを意味するものでもない。
【0026】
図1に、本発明の実施形態に係るDLL回路1(制御回路)を示す。また、本実施形態において、制御回路は、例えばDRAM等の半導体記憶装置に設けられている。
【0027】
なお、本実施形態では、説明を簡略化するために、DRAM等の半導体記憶装置に設けられている周知の構成(例えば、N値検出部、レイテンシ制御部、コマンドデコーダ、メモリセルアレイ、入出力用のインタフェース部等)が示されていない。
【0028】
DLL回路1は、入力バッファ11と、位相検出部12と、DLL制御部13と、遅延回路14と、レプリカ部15と、出力バッファ16と、クロック制御部17と、を備えている。位相検出部12、DLL制御部13、遅延回路14、およびレプリカ部15から、本実施形態の遅延制御部10が構成される。なお、遅延制御部10としては、少なくとも位相検出部12、DLL制御部13及び遅延回路14から構成されていればよい。DLL回路1は、シーケンスが開始されると、初めにDLL回路1の遅延回路14を初期状態にリセットするリセット動作を行い、その後、遅延回路14で入力クロック信号を遅延させて所望の出力クロック信号を生成する遅延動作を行う。即ち、本実施形態では、シーケンス制御としては、リセット動作と遅延動作とがこの順で含まれる。
【0029】
入力バッファ11は、入力バッファ11に入力されるクロック信号CLKTとクロック信号CLKCとをバッファリングして、クロック信号CLKTと同じ位相の第1クロック信号clk000とクロック信号CLKCと同じ位相の第2クロック信号clk180とを生成する。具体的には、
図2(1)に示すように、入力バッファ11は、アンプ111を備える。アンプ111には、外部クロック信号としての互いに相補な二つのクロック信号CLKTと、クロック信号CLKCとが入力される。入力されたクロック信号CLKTとクロック信号CLKCとは、アンプ111において増幅されて第1クロック信号clk000及び第2クロック信号clk180とが生成される。第2クロック信号clk180は、第1クロック信号clk000を反転したクロック信号として生成されている。
【0030】
図1に戻り、生成された第1クロック信号clk000及び第2クロック信号clk180は、クロック制御部17に入力され、かつ、第1クロック信号clk000は、参照クロック信号ref_clkとして位相検出部12にも入力される。即ち、参照クロック信号ref_clkは、第1クロック信号clk000と同一である。
【0031】
クロック制御部17には、さらに位相検出部12から出力された位相信号up/downと、リセット信号dll_reset_nとが入力される。リセット信号dll_reset_nは、ハイレベルの時リセット動作は終了したことを示す。詳しくは後述するが、クロック制御部17は、位相信号up/downに基づいて、第1クロック信号clk000及び第2クロック信号clk180のいずれかを入力クロック信号in_clkとして出力し、この入力クロック信号in_clkは遅延回路14に入力される。
【0032】
遅延回路14は、DLL制御部13が設定した遅延量に基づいて、クロック制御部17から入力された入力クロック信号in_clkを遅延した遅延信号(出力クロック信号)dll_clkを生成して、出力バッファ16及びレプリカ部15へ送信する。出力バッファ16に入力された遅延信号dll_clkは、出力バッファ16内でバッファリングされて出力信号DQSとして出力される、レプリカ部15は、遅延回路14によって生成された遅延信号dll_clkをフィードバック信号fb_clkとして出力する。フィードバック信号fb_clkは、位相検出部12へ入力される。
【0033】
位相検出部12には、参照クロック信号ref_clkとフィードバック信号fb_clkとが入力される。位相検出部12では、参照クロック信号ref_clkに対するフィードバック信号fb_clkの位相の進み(遅延が180度未満)又は遅れ(遅延が180度以上)を示す位相信号up/downが生成され、DLL制御部13に入力される。
【0034】
具体的には、位相検出部12は、
図2(2)に示すように、D-フリップフロップ回路121から構成される。D-フリップフロップ回路121には、フィードバック信号fb_clkが入力信号として入力され、参照クロック信号ref_clkがクロック信号として入力され、また、出力信号として、位相信号up/downが出力される。フィードバック信号fb_clkが参照クロック信号ref_clkに対して180度未満の遅延である場合には、生成される位相信号up/downはハイレベル(up)となり、フィードバック信号fb_clkが参照クロック信号ref_clkに対して180度以上の遅延である場合には、生成される位相信号up/downはローレベル(down)となる。
【0035】
図1に戻り、DLL制御部13は、位相検出部12によって検出された位相差から遅延量を決定する。具体的に説明すると、DLL制御部13は、位相検出部12からの位相信号up/downにより、遅延動作における遅延量を示す信号として、複数のビットで構成された制御信号dll_codeを生成し、出力する。この出力された制御信号dll_codeは、遅延回路14へ入力される。
【0036】
遅延回路14は、遅延動作を行う可変遅延部である。具体的に説明すると、遅延回路14は、制御信号dll_codeに応じて遅延線を活性化することにより、入力クロック信号in_clkを遅延させて遅延信号dll_clkを生成する。
【0037】
また、DLL制御部13は、位相信号up/downに基づいて、入力クロック信号in_clkと遅延信号dll_clkに対応するフィードバック信号fb_clkとが所定の範囲に収束したと判断した場合には、遅延動作が終了したと判別する。これにより、遅延動作が終了する。
【0038】
このように、本実施形態のDLL回路1では、遅延制御部10は、入力クロック信号in_clkと遅延信号dll_clkであるフィードバック信号fb_clkとの位相差に基づいて、入力クロック信号in_clkを遅延させて遅延信号dll_clkを生成する。以下、この遅延制御部10に入力される入力クロック信号in_clkの制御を行うクロック制御部17について説明する。
【0039】
クロック制御部17には、位相信号up/down、リセット信号dll_reset_n、第1クロック信号clk000及び第2クロック信号clk180が入力される。クロック制御部17は、第1クロック信号clk000及び第2クロック信号clk180のいずれかを入力クロック信号in_clkとして選択し、入力クロック信号in_clkを遅延回路14に出力するものである。クロック制御部17は、遅延動作前は、第1クロック信号clk000を入力クロック信号in_clkとして選択する。遅延動作が開始されると、位相信号up/downに従って、第1クロック信号clk000及び第2クロック信号clk180のいずれかを入力クロック信号in_clkとして選択する。
【0040】
クロック制御部17の構成の詳細を、
図3を用いて説明する。クロック制御部17は、タイミング信号生成部171と、セレクト信号生成部172と、内部クロック選択部173とを備える。
【0041】
タイミング信号生成部171は、遅延動作開始後の所定期間経過時に、所定期間経過のタイミングを示すタイミング信号sel_clkを生成し、セレクト信号生成部172へ入力する。この所定期間は、リセット動作後にクロックの選択を行うにあたりDLL回路1が安定してからクロックの選択を行うためのものである。
【0042】
セレクト信号生成部172は、タイミング信号sel_clkが所定期間経過のタイミングを示している場合、遅延制御部10の入力クロック信号(参照クロック信号ref_clk)と出力クロック信号(フィードバック信号fb_clk)との位相差が180度以上であるかどうかを判断し、判断結果を示すセレクト信号sel180を生成して内部クロック選択部173に入力する。ここで、遅延制御部10の入力クロック信号と出力クロック信号との位相差が180度以上であるかどうかの判断については、位相信号up/downを用いる。位相信号up/downは、上述のようにフィードバック信号fb_clk(遅延制御部10の出力クロック信号と同位相)が参照クロック信号ref_clk(遅延制御部10の入力クロック信号と同位相)に対して180度未満の遅延である場合には、ハイレベル(up)となり、180度以上の遅延である場合には、生成される位相信号up/downはローレベル(down)であるので、この位相信号up/downを用いて簡易に判断することができる。即ち、セレクト信号生成部172は、タイミング信号sel_clkが所定期間経過のタイミングを示している場合、位相信号up/downが180度以上であるかどうかを判断し、判断結果を示すセレクト信号sel180を生成して内部クロック選択部173に入力する。
【0043】
内部クロック選択部173は、このセレクト信号sel180が示す判断結果に基づいて、入力クロック信号in_clkとして第1クロック信号clk000及び第2クロック信号clk180のいずれかを選択し、入力クロック信号in_clkを出力する。
【0044】
クロック制御部17を
図4~6を用いてさらに説明する。
図4(1)に示す従来例では、DLL回路1Aは、クロック制御部17を有していない点で本実施形態とは異なる。DLL回路1Aは、入力バッファ11Aから出力されたクロック信号CKが遅延制御部10A(位相検出部12A、DLL制御部13A及び遅延回路14A)へ入力されて、遅延信号dll_clkが出力されている。このような構成の従来例では、
図4(2)に示すように、クロック信号CKが時間t1でローレベルからハイレベルに変化するのに対し、フィードバック信号fb_clkが、固有遅延Tint分遅れて時間t2でローレベルからハイレベルに変化するとすれば、期間t1~t2はクロック信号CKの半周期未満であるので、フィードバック信号fb_clkがクロック信号CKの周期に対して180度以上遅延している。そして、クロック信号CKとフィードバック信号fb_clk(即ち出力信号DQS)とが同期するように、遅延回路14Aがクロック信号CKに対して遅延動作を行うと、時間t5でクロック信号CKの立ち上がりエッジと出力信号DQSの立ち上がりエッジとが一致する。このように、従来例では、遅延動作前のフィードバック信号fb_clkがクロック信号CKに対してクロック周期の半周期以上の遅延、即ち位相差が180度以上となっている場合には、遅延動作により解消すべき遅延分であるロック時間Tdllは期間t2~t5となるので、遅延動作が長期化してしまう可能性がある。
【0045】
これに対し、本実施形態では、位相信号up/downに従って、第1クロック信号clk000及び第2クロック信号clk180のいずれかを入力クロック信号in_clkとして遅延回路14(遅延制御部10)に入力するクロック制御部17を有することで遅延動作の長期化を抑制している。まず、遅延動作前に遅延制御部10に入力される入力クロック信号in_clkは、第1クロック信号clk000であるので、入力クロック信号in_clkと第1クロック信号clk000とは同位相である。この第1クロック信号clk000と、遅延制御部10から出力される遅延信号dll_clkとは同位相のフィードバック信号fb_clkとの位相差が180度以上である場合には、クロック制御部17は、第2クロック信号clk180を入力クロック信号in_clkとして遅延回路14に出力する。これにより、遅延回路14からの出力クロック信号と同位相のfb_clkも180度遅延する。その結果、遅延制御部10では、第2クロック信号clk180の立ち上がりエッジとこの180度遅延したフィードバック信号fb_clkの立ち上がりエッジとの位相差に従い遅延動作を行うことにより、入力クロック信号in_clkとフィードバック信号fb_clkとの同期が早期に終了し、所望の出力信号DQSを生成することができる。
【0046】
遅延動作後フィードバック信号fb_clkと入力クロック信号in_clkとの位相差が180度以上の場合を具体的に説明する。
図5(1)に示すように、入力クロック信号in_clk、第1クロック信号clk000が時間t11でローレベルからハイレベルに変化するのに対し、フィードバック信号fb_clkが、固有遅延Tint分遅れて時間t12でローレベルからハイレベルに変化する。この位相差を示す期間t11~t12はクロック信号CKの半周期未満であるので、フィードバック信号fb_clkが入力クロック信号in_clkの周期に対して180度以上遅延している。この場合、クロック制御部17は、入力クロック信号in_clkとして第2クロック信号clk180を選択する。これにより、遅延制御部10は、時間t13での第2クロック信号clk180の立ち上がりエッジと、時間t14での180度遅延したフィードバック信号fb_clkの立ち上がりエッジとが同一のタイミングとなる(第2クロック信号clk180とフィードバック信号fb_clkとが同期する)ように、第2入力クロック信号clk180に対して遅延動作を行う。この結果、遅延動作により解消しなければならない遅延分であるロック時間Tdllは期間t14~t15となる。
【0047】
これをまとめると、
図6(1)に示すように、従来例では、遅延制御部10における入力クロック信号と出力クロック信号との位相差が180度以上である場合には、ロック時間Tdllが長期化することで、シーケンス全体の時間が長期化していた。これに対し、本実施形態では、遅延制御部10における入力クロック信号と出力クロック信号との位相差が180度以上である場合には、第2入力クロック信号clk180を入力クロック信号in_clkとすることができるようにDLL回路1を構成しているので、早期に遅延動作を完了することができ、シーケンス全体の時間を短縮化することができる。
【0048】
また、遅延動作後フィードバック信号fb_clkと入力クロック信号in_clkとの位相差が180度未満の場合を
図5(2)に示す。この場合は、位相差は小さいので、入力クロック信号in_clkとしては、クロック信号clk000を選択する。これにより、従来例と同様に、時間t21でのクロック信号clk000の立ち上がりエッジと、時間t22でのフィードバック信号fb_clkの立ち上がりエッジとが一致するように、遅延回路14がclk000に対して遅延動作を行う結果、固有遅延Tintは期間t21~t22であり、ロック時間Tdllは期間t22~t23となる。このように遅延動作が行われた場合、
図6(2)に示すように、従来、遅延が180度未満である場合と同様に早期に遅延動作を行うことができ、シーケンス全体の時間は短縮化した状態を保つことができる。
【0049】
図3に戻り、このような動作を実現するクロック制御部17の具体的構成を説明する。なお、クロック制御部17の構成は下記に例示するものに限定されないのはもちろんである。
【0050】
タイミング信号生成部171は、複数のフリップフロップ回路71~74と、NAND回路75を有する。フリップフロップ回路71~74は図中では4つ例示しているが、この数は限定されず、回路の安定に要する所定期間の長さに応じて適宜変更可能である。
【0051】
複数のフリップフロップ回路71~74は、直列に接続されている。最も上流側のフリップフロップ回路71には、外部から入力されるリセット信号dll_reset_nが入力信号として入力される。これ以外のフリップフロップ回路72~74には、隣接する上流側のフリップフロップ回路71~73の出力信号がそれぞれ入力信号として入力される。複数のフリップフロップ回路71~74には、それぞれクロック信号として第1クロック信号clk000が反転して入力される。さらに、リセット信号dll_reset_nが反転して複数のフリップフロップ回路71~74にそれぞれ入力される。最も下流側のフリップフロップ回路74の出力信号はNAND回路75に反転されて入力される。また、NAND回路75には、フリップフロップ回路74の上流側に隣接するフリップフロップ回路73の出力が入力されるとともに、第1クロック信号clk000が入力される。NAND回路75では、これらの入力信号がNAND演算されることで、タイミング信号sel_clkが出力される。
【0052】
タイミング信号生成部171の動作を説明する。入力されるリセット信号dll_reset_nがローレベルからハイレベルに変化すると、この変化が複数のフリップフロップ回路71~74により所定期間保持されてフリップフロップ回路74からNAND回路75に入力される。NAND回路75には、フリップフロップ回路73の出力信号と、フリップフロップ回路74の出力信号と、第1クロック信号clk000が入力されているので、フリップフロップ回路74からの出力がハイレベルとなると、NAND回路75でタイミング信号sel_clkがハイレベル(アサ―ト)で生成され、出力される。これ以外の場合、NAND回路75でタイミング信号sel_clkはローレベルで生成され、出力される。これにより、リセット動作後に遅延動作が始まってから所定のタイミングでのみ、タイミング信号sel_clkがハイレベルで出力される。即ち、タイミング信号sel_clkは、ワンショット信号として生成される。
【0053】
セレクト信号生成部172は、フリップフロップ回路76からなる。フリップフロップ回路76には、入力信号として位相信号up/downが反転して入力され、クロック信号としてタイミング信号sel_clkが入力される。また、リセット信号dll_reset_nが反転して入力される。そして、フリップフロップ回路76からは出力信号としてセレクト信号sel180が出力される。上述のように、タイミング信号sel_clkは遅延動作開始後の所定期間経過時のみローレベルからハイレベルに変化するワンショット信号であるので、セレクト信号生成部172が、遅延動作開始後の所定のタイミングでのみ、遅延が180度以上であるかどうかを判断することができる。
【0054】
セレクト信号生成部172の動作を説明する。セレクト信号生成部172では、タイミング信号sel_clkがローレベルからハイレベルで入力される立ち上がりエッジにおいて、リセット信号dll_reset_nがハイレベルであり、位相信号up/downがハイレベル(up)である場合には、セレクト信号sel180はローレベルを維持する。この場合は、遅延制御部10への入力信号の位相差が180度未満であるので、セレクト信号sel180が、第2クロック信号clk180を選択しないことを示すローレベルで出力される。他方で、タイミング信号sel_clkがローレベルからハイレベルで入力される立ち上がりエッジにおいて、リセット信号dll_reset_nがハイレベルであり、位相信号up/downがローレベル(down)である場合には、セレクト信号sel180は第2クロック信号clk180を選択することを示すハイレベルで出力される。
【0055】
内部クロック選択部173は、マルチプレクサ77からなり、セレクト信号sel180に応じて、入力される第1クロック信号clk000及び第2クロック信号clk180のいずれかを選択して入力クロック信号in_clkとして出力するように構成されている。即ち、セレクト信号sel180が第2クロック信号clk180を選択することを示すハイレベルである場合には、マルチプレクサ77からは第2クロック信号clk180が出力され、それ以外の場合には、マルチプレクサ77からは第1クロック信号clk000が出力される。
【0056】
このように、クロック制御部17は、簡易な構成で、位相信号up/downに従って、第1クロック信号clk000及び第2クロック信号clk180のいずれかを入力クロック信号in_clkとして設定し、遅延回路14に入力することができる。これにより、本実施形態のDLL回路1は、遅延動作の長期化を抑制することが可能である。
【0057】
次に、クロック制御部17を有する本実施形態のDLL回路1の動作を
図7、8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0058】
図7は、フィードバック信号fb_clkと入力クロック信号in_clkとの位相差が180度以上である場合を示す。はじめに、本シーケンスが始まり、まずDLLリセット状態となる。この状態では、入力クロック信号in_clkは、第1クロック信号clk000であり、フィードバック信号fb_clkと入力クロック信号in_clkとの位相差は180度以上となっている。その後、DLLリセット状態が時間t31で終了して、リセット信号dll_reset_nがローレベルからハイレベルに変化する。DLL回路の状態としては、DLLリセット状態が時間t31で終了すると同時に、遅延動作が始まる。
【0059】
そして、時間t32でタイミング信号生成部171において、所定期間が経過しタイミング信号sel_clkがローレベルからハイレベルに変化する。この時間t32では、リセット信号dll_reset_nがハイレベルであり、かつ、位相信号up/downはローレベル(down)である。タイミング信号sel_clkの立ち上がりエッジにおいて、セレクト信号生成部172にハイレベルであるリセット信号dll_reset_nとローレベルである位相信号up/downとが入力されていることで、セレクト信号sel180がローレベルからハイレベルとなって出力される。これにより、クロック制御部17から出力される入力クロック信号in_clkは、第2クロック信号clk180となるので、入力クロック信号in_clkは時間t32から時間t33までは第2クロック信号clk180と同様にローレベルが維持される。
【0060】
入力クロック信号in_clkは、時間t33で第2クロック信号clk180の立ち上がりに従って、ローレベルからハイレベルに変化する。また、入力クロック信号in_clkとして第2クロック信号clk180が選択されていることにより、フィードバック信号fb_clkも180度遅延して、時間t32から時間t34までローレベルが維持されて、時間t34においてローレベルからハイレベルに変化する。このようにフィードバック信号fb_clkがローレベルからハイレベルに変化することで、時間t35で、位相信号up/downは、ローレベルからハイレベルに変化する。即ち、フィードバック信号fb_clkと入力クロック信号in_clkとの位相差が小さく(180度未満)になっている。
【0061】
遅延回路14では、この位相信号up/downに基づいて、第2クロック信号clk180である入力クロック信号in_clkを遅延させ、時間t36で所望の位相差になったと判断して遅延動作を終了する。
【0062】
次に、フィードバック信号fb_clkと入力クロック信号in_clkとの位相差が180度未満である場合のDLL回路1の動作を
図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0063】
はじめに、本シーケンス制御が始まり、まずDLL回路1の状態は、DLLリセット状態となる。その後、リセット動作が時間t41で終了して、リセット信号dll_reset_nがローレベルからハイレベルに変化する。リセット動作が時間t41で終了すると同時に、DLL回路1では遅延動作が始まる。
【0064】
そして、時間t42でタイミング信号生成部171において、タイミング信号sel_clkがローレベルからハイレベルに変化する。この時間t42では、リセット信号dll_reset_nがハイレベルであり、かつ、位相信号up/downはup(ハイレベル)である。タイミング信号sel_clkの立ち上がりエッジにおいて、セレクト信号生成部172では、ハイレベルであるリセット信号dll_reset_nとハイレベルである位相信号up/downとが入力されることで、セレクト信号sel180はローレベルが維持される。これにより、入力クロック信号in_clkとして、第1クロック信号clk000が選択されるので、入力クロック信号in_clkは第1クロック信号clk000と同様に時間t42から時間t43まではハイレベルが維持される。また、入力クロック信号in_clkがクロック信号clk000となるので、フィードバック信号fb_clkも180度遅延はしない。
【0065】
遅延回路14では、この位相信号up/downに基づいて、第1クロック信号clk000である入力クロック信号in_clkを遅延させ、時間t44で所望の位相差になったと判断して遅延動作を終了する。
【0066】
このように、クロック制御部17は、簡易な構成で、位相信号up/downに従って、第1クロック信号clk000及び第2クロック信号clk180のいずれかを入力クロック信号in_clkとして設定し、遅延回路14(遅延制御部10)に入力することができる。これにより、DLL回路1では、遅延動作の長期化を抑制することが可能である。
【0067】
以下、本発明の変形例について説明する。
【0068】
上述した実施形態におけるDLL回路1の構成は一例であり、適宜変更されてもよいし、他の様々な構成が採用されてもよい。例えば、
図9に示すように、入力バッファ11を構成してもよい。この場合には、入力バッファ11は、アンプ112と、インバータ113とを備える。アンプ112には、外部クロック信号としての互いに相補な関係のクロック信号CLKTとクロック信号CLKCとが入力される。入力された互いに相補なクロック信号CLKTとクロック信号CLKCがアンプ112において増幅され、アンプ112はクロック信号CLKTと同相の第1クロック信号clk000のみを出力する。また、この第1クロック信号clk000は、インバータ113に入力され、第1クロック信号clk000を反転した第2クロック信号clk180が生成される。上述した実施形態では、いずれの信号もアンプ111から出力されていることから、第1クロック信号clk000と第2クロック信号clk180とは互いにcmosgate段数は同一であったが、
図9に示す実施形態においては、第1クロック信号clk000と第2クロック信号clk180とはインバータ113の一段分だけそのcmosgate段数は互いに異なることになる。
【0069】
また、上述した実施形態では、入力クロック信号in_clkと遅延信号dll_clk(フィードバック信号fb_clk)との位相差が180度以上であるかどうかにより制御を変更したが、この位相差は所望の値とすることができる。また、第2クロック信号clk180は、第1クロック信号clk000に対して入力クロック信号の位相を180度遅延させたものであったが、この位相差も所望の値とすることができる。他方で、上述した実施形態のようにいずれも180度とすることで制御が簡単であり、また、回路全体の構成も簡易なものとすることができる。さらに、第1クロック信号clk000と第2クロック信号clk180とを予め生成しておき、これらを選択することができるように構成していたが、これも限定されない。例えば、あらかじめ3以上の位相の異なるクロック信号を生成してもよいし、遅延動作時に複数の位相の異なるクロック信号を生成するように構成してもよい。
【0070】
また、本実施形態では、構成を簡易なものすべく、遅延制御部10が通常有する位相検出部12を用いて入力クロック信号in_clkと遅延信号dll_clk(フィードバック信号fb_clk)との位相差を検出したが、これに限定されず、別途位相検出部を設けてもよい。
【0071】
なお、上述した実施形態では、制御回路を備える半導体記録装置がDRAMである場合を一例として説明したが、本発明は、この場合に限定されない。例えば、半導体記憶装置は、SRAM(Static Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、他の半導体記憶装置であってもよい。
【0072】
以上説明した実施形態及び変形例は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態及び変形例に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0073】
1…DLL回路
10…遅延制御部
11…入力バッファ
12…位相検出部
13…DLL制御部
14…遅延回路
15…レプリカ部
16…出力バッファ
17…クロック制御部
fb_clk…フィードバック信号
in_clk…入力クロック信号
clk000…第1クロック信号
clk180…第2クロック信号
up/down…位相信号
【手続補正書】
【提出日】2024-06-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力クロック信号と出力クロック信号との位相差であって、前記出力クロック信号と、前記出力クロック信号よりも後の時間に遷移した入力クロック信号と、の間の位相差に基づいて前記入力クロック信号を遅延させて前記出力クロック信号を生成する遅延制御部を備えた制御回路であって、
クロック制御部をさらに有し、
前記クロック制御部は、前記位相差が第1所定量以上である場合には、
前記入力クロック信号の位相を第2所定量遅延させたクロック信号を前記入力クロック信号として前記遅延制御部に入力し、
第1入力クロック信号と、前記第1入力クロック信号の位相を前記第2所定量遅延させた第2入力クロック信号と、が前記クロック制御部に入力され、
前記クロック制御部は、前記位相差が前記第1所定量以上である場合に、前記第2入力クロック信号を前記入力クロック信号として選択し、
前記クロック制御部は、タイミング信号生成部と、セレクト信号生成部と、内部クロック選択部と、を備え、
前記タイミング信号生成部は、遅延動作開始後の所定期間経過時に、所定期間経過のタイミングを示すタイミング信号を生成し、前記タイミング信号は、前記セレクト信号生成部に入力されることを特徴とする制御回路。
【請求項2】
前記クロック制御部は、遅延動作開始後の所定のタイミングで、前記位相差が前記第1所定量以上であるかどうかを判別することを特徴とする請求項1記載の制御回路。
【請求項3】
前記遅延制御部は、前記入力クロック信号と前記出力クロック信号との位相差を検出する位相検出部を有し、
前記位相検出部で検出された前記位相差が前記クロック制御部に入力されることを特徴とする請求項1記載の制御回路。
【請求項4】
前記セレクト信号生成部で生成されたセレクト信号は、前記内部クロック選択部に入力され、
前記セレクト信号生成部は、前記位相差が所定値以上であるかどうかであるかどうか示すセレクト信号を生成して、
前記内部クロック選択部は、前記セレクト信号に基づいて前記第1入力クロック信号及び前記第2入力クロック信号のいずれかを選択するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の制御回路。
【請求項5】
前記第1所定量及び/又は前記第2所定量が、180度であることを特徴とする請求項1記載の制御回路。
【請求項6】
外部クロック信号が入力される入力バッファを備え、
前記入力バッファにおいて、前記外部クロック信号から前記第1入力クロック信号が生成されるとともに、前記第1入力クロック信号を反転させて前記第2入力クロック信号が生成されることを特徴とする請求項1記載の制御回路。
【請求項7】
外部クロック信号が入力される入力バッファを備え、
前記入力バッファにおいて、前記外部クロック信号から前記第1入力クロック信号が生成されるとともに、前記外部クロック信号の補償クロック信号から前記第2入力クロック信号が生成されることを特徴とする請求項1記載の制御回路。
【請求項8】
前記第2入力クロック信号の立ち上がりエッジと、前記出力クロック信号の立ち上がりエッジとの位相差に基づいて遅延動作を行うことを特徴とする請求項1記載の制御回路。
【請求項9】
前記遅延制御部は、遅延回路及びDLL制御部を備え、
前記遅延回路は、前記DLL制御部によって設定された遅延量に基づいて前記出力クロック信号を生成することを特徴とする請求項1記載の制御回路。
【請求項10】
前記遅延制御部は、前記DLL制御部に接続された位相検出部を備え、
前記位相検出部は、フィードバック信号及び参照クロック信号を受信して、前記参照クロック信号に対する前記フィードバック信号の位相の進み又は遅れを示す位相信号を生成することを特徴とする請求項9記載の制御回路。
【請求項11】
前記遅延制御部は、前記遅延回路及び前記位相検出部に接続されたレプリカ部を備え、
前記レプリカ部は、前記遅延回路によって生成された前記出力クロック信号を受信して、前記フィードバック信号を出力することを特徴とする請求項10記載の制御回路。
【請求項12】
請求項1記載の制御回路を備えることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項13】
前記半導体記憶装置はダイナミックランダムアクセスメモリであることを特徴とする請求項12記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記タイミング信号生成部は、複数のフリップフロップ回路と、NAND回路と、を備え、
前記複数のフリップフロップ回路は、直列に接続されており、
前記複数のフリップフロップ回路のうち最も上流側のフリップフロップ回路には、外部から入力されるリセット信号が入力信号として入力され、
他のフリップフロップ回路には、上流側に隣接するフリップフロップ回路の出力信号が入力信号として入力されることを特徴とする請求項1記載の制御回路。
【請求項15】
第1クロック信号は、反転された後に、前記複数のフリップフロップ回路にクロック信号として入力され、
前記リセット信号は、反転された後に、前記複数のフリップフロップ回路に入力され、
前記複数のフリップフロップ回路のうち最も下流側のフリップフロップ回路の出力信号は、反転された後に前記NAND回路に入力され、
前記最も下流側のフリップフロップ回路に隣接するフリップフロップ回路の出力は、前記NAND回路に入力され、
前記第1クロック信号は、前記NAND回路に入力されることを特徴とする請求項14記載の制御回路。
【請求項16】
入力される前記リセット信号がローレベルからハイレベルに変化すると、この変化が前記複数のフリップフロップ回路により所定期間保持された後に、前記最も下流のフリップフロップ回路から前記NAND回路に入力されることを特徴とする請求項14記載の制御回路。
【請求項17】
前記NAND回路には、前記最も上流側のフリップフロップ回路に隣接するフリップフロップ回路の出力信号と、前記最も上流側のフリップフロップ回路の出力信号と、前記第1クロック信号と、が入力され、
前記NAND回路は、前記最も上流側のフリップフロップ回路の出力がハイレベルの場合に、リセット動作後に遅延動作が始まってから所定時間までのみ前記タイミング信号がハイレベルになるように、ハイレベルの前記タイミング信号を生成して出力することを特徴とする請求項16記載の制御回路。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
セレクト信号生成部172は、タイミング信号sel_clkが所定期間経過のタイミングを示している場合、遅延制御部10の入力クロック信号(参照クロック信号ref_clk)と出力クロック信号(フィードバック信号fb_clkと同位相)との位相差が180度以上であるかどうかを判断し、判断結果を示すセレクト信号sel180を生成して内部クロック選択部173に入力する。ここで、遅延制御部10の入力クロック信号と出力クロック信号との位相差が180度以上であるかどうかの判断については、位相信号up/downを用いる。位相信号up/downは、上述のようにフィードバック信号fb_clk(遅延制御部10の出力クロック信号と同位相)が参照クロック信号ref_clk(遅延制御部10の入力クロック信号と同位相)に対して180度未満の遅延である場合には、ハイレベル(up)となり、180度以上の遅延である場合には、生成される位相信号up/downはローレベル(down)であるので、この位相信号up/downを用いて簡易に判断することができる。即ち、セレクト信号生成部172は、タイミング信号sel_clkが所定期間経過のタイミングを示している場合、位相信号up/downが180度以上であるかどうかを判断し、判断結果を示すセレクト信号sel180を生成して内部クロック選択部173に入力する。