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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099878
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/02 20060101AFI20240719BHJP
   F04B 49/06 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
F04B49/02 331A
F04B49/06 341B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003476
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】内田 光
【テーマコード(参考)】
3H145
【Fターム(参考)】
3H145AA03
3H145AA13
3H145AA26
3H145AA42
3H145BA32
3H145BA35
3H145CA04
3H145CA25
3H145DA01
3H145DA12
3H145DA43
3H145DA47
3H145EA13
3H145EA38
3H145EA45
(57)【要約】
【課題】
タンクの容積が大きい場合において消費電力が増加することを抑制でき、タンクの容積が小さい場合において電動機のON-OFF回数が増加することを抑制でき電気部品の寿命を確保するできる圧縮機を提供する。
【解決手段】
処理装置14eは、昇圧運転時間Tupと降圧運転時間Tdwと使用空気比Tdw/Tupとを演算し、使用空気比Tdw/Tupが所定値αを以上の場合、または、昇圧運転時間Tupと降圧運転時間Tdwのいずれかが所定時間T1を超えた場合に、断続運転制御を実行し、使用空気比Tdw/Tupが所定値αより小さい場合、かつ、昇圧運転時間Tupと降圧運転時間Tdwのいずれもが所定時間T1以下の場合に、連続運転制御を実行する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を吸い込んで圧縮した後に吐出する圧縮機本体と、
前記圧縮機本体を駆動する電動機と、
前記圧縮機本体から吐出された圧縮気体を貯留するタンクと、
前記タンク内の圧力が第1閾値から前記第1閾値より小さい第2閾値に降下するまでの降圧期間に前記電動機を停止させ、前記タンク内の圧力が前記第2閾値から前記第1閾値に上昇するまでの昇圧期間に前記電動機を動作させる断続運転制御と、前記降圧期間に前記圧縮機本体を無負荷運転させ、前記昇圧期間に前記圧縮機本体を負荷運転させる連続運転制御とを実行可能な処理装置とを備え、
前記処理装置は、前記昇圧期間に要した時間である昇圧運転時間と、前記降圧期間に要した時間である降圧運転時間と、前記昇圧運転時間に対する前記降圧運転時間の比である使用空気比とを演算し、
前記使用空気比が所定値を超えた場合、または、前記昇圧運転時間と前記降圧運転時間のいずれかが所定時間を超えた場合に、前記断続運転制御を実行し、
前記使用空気比が前記所定値以下の場合、かつ、前記昇圧運転時間と前記降圧運転時間のいずれもが前記所定時間以下の場合に、前記連続運転制御を実行することを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載の圧縮機であって、
前記圧縮機本体の吸込弁を強制的に開放し得るアンローダ装置をさらに備え、
前記処理装置は、前記アンローダ装置に対して制御信号を出力することで前記吸込弁を強制的に継続して開放させることにより前記連続運転制御を実行することを特徴とする圧縮機。
【請求項3】
請求項1に記載の圧縮機であって、
前記処理装置は、前記昇圧運転時間と前記降圧運転時間とを加算した運転周期とを演算し、前記運転周期が所定時間より小さい場合、前記連続運転制御を実行することを特徴とする圧縮機。
【請求項4】
請求項1に記載の圧縮機であって、
前記処理装置は、単位時間当たりの起動回数が所定回数より大きい場合、直ちに前記電動機を停止することを特徴とする圧縮機。
【請求項5】
請求項4に記載の圧縮機であって、
前記所定回数が、使用空気比の所定値とタンク容量とから決定される前記電動機の単位時間当たりの最大起動回数であることを特徴とする圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
気体を吸込んで圧縮し高圧気体を吐き出す圧縮機が知られている。特に、圧縮機によって圧縮された圧縮空気は、工場ラインや作業現場で工作機やプレス機、エアーブロー等に多く使用される。この圧縮機において、圧縮空気が貯留されるタンクの保全と当該タンク内の圧縮気体の圧力を維持するために、断続運転制御と連続運転制御が用いられている。
【0003】
断続運転制御は、タンクの圧力が上限値に達した場合に電動機を停止させてタンクの保全をし、タンク内の圧力が下限値に達した場合に電動機を始動させてタンク内の圧縮気体の圧力を維持する。一方、連続運転制御は、電動機のON-OFF回数の増加を抑制するためタンクの圧力が上限値に達した場合に電動機を停止させず、アンローダ装置によって圧縮機を無負荷状態にしてタンクを保全し、タンク内の圧力が下限値に達した場合に圧縮機を負荷状態にし、タンク内の圧縮気体の圧力を維持する。
【0004】
断続運転制御では電動機が停止する期間があるため消費電力を抑制できる一方、電動機が何度もON-OFFを繰り返すため電磁開閉器等の駆動部品の動作回数が増え、電気部品の寿命が短くなる虞がある。それに対し、連続運転制御では電動機が停止しないため、電気部品の寿命が長くなる一方、消費電力が増加する。
【0005】
これらのことから、断続運転制御と連続運転制御を併用して制御することで、消費電力を低減しつつ、電動機や電気部品の寿命を確保することを図る空気圧縮機が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-190781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、電動機を作動させて気体を圧縮する時間(昇圧運転時間)に対する電動機を停止させて気体を圧縮しない時間(降圧運転時間)の比である使用空気比が所定値(但し所定値は1より大きい)より大きい場合にはタンク内の圧縮空気量に余裕があると見なして断続運転制御を実行し、使用空気比が所定値より小さい場合にはタンク内の圧縮空気量に余裕がないと見なして連続運転制御を実行する圧縮機が開発されている。
【0008】
この圧縮機では、昇圧運転時間が降圧運転時間より相対的に長く使用空気比が所定値より小さい場合、常に連続運転制御が実行される。つまり、昇圧運転時間が降圧運転時間より相対的に長い場合には、例えばタンク容量が充分大きく(例えば100リットル以上)降圧運転時間が絶対的に長い場合であっても一律に連続運転制御が実行される。降圧運転時間が絶対的に長い場合に連続運転制御を行うと消費電力が増加する傾向があるため、当該圧縮機は消費電力削減の観点から改善の余地がある。これは使用空気比が所定値より小さいがタンク容量等の関係で昇圧運転時間が絶対的に長くなる場合にも同様のことが当てはまる。すなわち、使用空気比だけに基づいて制御を切り替える圧縮機では、昇圧運転時間と降圧運転時間の絶対的な長さを考慮していないため、消費電力削減の観点から改善の余地があった。
【0009】
本発明の目的は、降圧運転中の制御を使用空気比に応じて断続運転制御と連続運転制御とに切り替え可能な圧縮機において消費電力を削減できる圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、気体を吸い込んで圧縮した後に吐出する圧縮機本体と、前記圧縮機本体を駆動する電動機と、前記圧縮機本体から吐出された圧縮気体を貯留するタンクと、前記タンク内の圧力が第1閾値から前記第1閾値より小さい第2閾値まで降下するまでの降圧期間に前記電動機を停止させ、前記タンク内の圧力が前記第2閾値から前記第1閾値に上昇するまでの昇圧期間に前記電動機を動作させる断続運転制御と、前記降圧期間に前記圧縮機本体を無負荷運転させ、前記昇圧期間に前記圧縮機本体を負荷運転させる連続運転制御とを実行可能な処理装置とを備え、前記処理装置は、前記昇圧期間に要した時間である昇圧運転時間と、前記降圧期間に要した時間である降圧運転時間と、前記昇圧運転時間に対する前記降圧運転時間の比である使用空気比とを演算し、前記使用空気比が所定値以上の場合、または、前記昇圧運転時間と前記降圧運転時間のいずれかが所定時間を超えた場合に、前記断続運転制御を実行し、前記使用空気比が前記所定値より小さい場合、かつ、前記昇圧運転時間と前記降圧運転時間のいずれもが前記所定時間以下の場合に、前記連続運転制御を実行する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、降圧運転中の制御を使用空気比に応じて断続運転制御と連続運転制御とに切り替え可能な圧縮機において消費電力を削減できる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る圧縮機において前面パネルの一部を透視させた前面図である。
図2】アンロード状態の圧縮機本体の一部断面図である。
図3】ロード状態の圧縮機本体の一部断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る圧縮機の制御回路図である。
図5】制御装置が断続運転制御を実行した時の電動機の動作とタンク内の圧力を模式的に示すタイムチャートである。
図6】制御装置が連続運転制御を実行した時の電動機の動作とタンク内の圧力を模式的に示すタイムチャートである。
図7】第1実施形態の制御装置によって実行される圧縮気体の供給処理のフローチャートの一例を示す図である。
図8】比較例に係る圧縮機の負荷率に対する消費電力をタンクの容積ごとに示すグラフである。
図9】本実施形態に係る圧縮機の負荷率に対する消費電力をタンクの容積ごとに示すグラフである。
図10】第2実施形態の制御装置によって実行される圧縮気体の供給処理のフローチャートの一例を示す図である。
図11】第3実施形態の制御装置によって実行される圧縮気体の供給処理のフローチャートの一例を示す図である。
図12】第3実施形態に係る圧縮機と比較例に係る圧縮機等の負荷率ごとのON-OFF回数を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて、本発明の第1~第3実施形態に係る圧縮機の構成及び動作について説明する。なお、各図において、同一符号は同一部分を示す。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る圧縮機10について前面パネルの一部を透視させた前面図である。本実施形態に係る圧縮機10は、例えば、ピストンを往復動させることにより、空気を圧縮する往復動式の空気圧縮機である。
【0015】
図1に示すように圧縮機10には、空気を吸込み圧縮する圧縮機本体11と、圧縮機本体11を駆動する電動機12と、電動機12の起動・停止と過負荷保護を行う電磁開閉器13と、圧縮機10を制御する制御装置14と、圧縮空気を貯蔵するタンク15と、制御装置14の出力する指令(制御信号)に基づいて圧縮機本体11の始動負荷の軽減を行うアンローダ装置16と、これらの機器を収容する筐体17と、タンク15内に貯留された圧縮空気を圧縮機10の外に吐出させる配管を開閉する止め弁18とが設けられている。
【0016】
圧縮機本体11は、ピストンを往復動させて、シリンダ11a内に空気を吸込んで圧縮し、圧縮空気をタンク15に吐出する装置である。圧縮機本体11にはシリンダ11aとシリンダヘッド11b(図2,3参照)が設けられている。
【0017】
電動機12は、例えば、インダクタンスモータで、電磁開閉器13を介し電源ACに接続する(図4参照)。電動機12が駆動することにより、電動機12の出力軸に固定されたプーリがタイミングベルト12aを介して、圧縮機本体11のクランクシャフトに固定されたプーリ11dを回転させ、ピストンを往復動させる。
【0018】
電動機12の起動・停止と過負荷保護を行う電磁開閉器13と、圧縮機10を制御する制御装置14の詳細については後述する。
【0019】
タンク15は、圧縮空気を貯留させる装置で、圧縮機本体11から吐出された圧縮空気の脈動を平準化させて顧客の機器に圧縮空気を提供する。タンク15には後述する圧力センサ15a(図4参照)が設けられている。また、タンク15の下部には、タンク15内に溜まった液体を外部へ排出するドレン排出装置15bが設けられている。また、タンク15は、外部タンク(図示せず)を取り付けて容積を大きくすることができる。
【0020】
アンローダ装置16は、吸込弁11bcを強制的に開放させることで圧縮機本体11を無負荷状態(アンロード状態)にするための装置である。本実施形態のアンローダ装置16は、三方電磁弁16aと、後述するアンローダ配管16bとアンローダピストン16c(図2,3参照)とを備える。なお、アンローダ装置16の構成は、制御装置14の指令に応じて吸込弁11bcを開閉可能なものであれば良く、ここに例示したものに限られない。
【0021】
三方電磁弁16aは、制御装置14から出力される指令(制御信号)に応じて、アンローダ配管16bの連通先を、タンク15と外気とのいずれか一方に切り替える電磁弁である。
【0022】
筐体17は、圧縮機10を六方から覆う複数の略板状の部材で、ベース17a、前面パネル17b、左側面パネル17c、右側面パネル17d、後面パネル17e、及び上面パネル17fを有する。
【0023】
ベース17aの上には、防振ゴムを介し架台17gが固定されている。架台17gには電動機12がボルトにより固定されるとともに取付台17hが溶接されている。そして、取付台17hの上には圧縮機本体11がボルトにより固定されるとともに取付台17hの左にはタンク15がボルトにより固定されている。
【0024】
また、前面パネル17bには、制御装置14の運転・停止スイッチ14bとディスプレイ14cが取り付けられ、左側面パネル17cには止め弁18が取り付けられている。
【0025】
図2はアンロード状態の圧縮機本体11の一部断面図であり、図3はロード状態の圧縮機本体11の一部断面図である。
【0026】
圧縮機本体11は、ピストンが往復動する円筒状のシリンダ11aと、シリンダ11aの先端に取り付けられ空気の吸い込みと圧縮空気の吐出を行うシリンダヘッド11bを備える。
【0027】
シリンダヘッド11bには、フィルター(図示せず)を介して空気を取り入れる空気取入口11baと、圧縮空気を吐き出す空気吐出口11bbが設けられ、吸込弁11bcと吐出弁11bdとアンローダピストン16cとが取り付けられている。
【0028】
吸込弁11bcは、空気取入口11baとシリンダ11aの開口との間に設けられた弁で、ピストンの下降中にシリンダ11aの内圧が空気取入口11baの空気圧より低下するとその圧力差で弁が開き、空気をシリンダの内部に取り込む。
【0029】
吐出弁11bdは、空気吐出口11bbとシリンダ11aの開口との間に設けられた弁で、ピストンの上昇中にシリンダ11aの内圧が空気吐出口11bbの空気圧より上昇するとその圧力差で弁が開き、圧縮空気を空気吐出口11bb側に吐き出す。
【0030】
アンローダピストン16cは、図2に示す閉じた吸込弁11bcを、図3に示すように強制的に開き、圧縮機本体11の圧縮室11cを開放状態(アンロード状態)に維持する部品で、後述する突出部16caの先端が吸込弁11bcに接するようにシリンダヘッド11bに固定されている。アンローダピストン16cには、アンローダ配管16bを接続するための配管接続口(図示せず)と、配管接続口から流入した圧縮空気により突出して吸込弁11bcを開口させる突出部16caが設けられている。
【0031】
図4は、本実施形態に係る圧縮機10の制御回路図である。図4に示すように、圧縮機10の制御回路には、タンク15内の圧力を測定する圧力センサ15aと、アンローダ配管16bの連通先を切り替える電磁弁である三方電磁弁16aと、電源ACと電動機12とを電気的に接続する回路を開閉する電磁開閉器13と、三方電磁弁16aと電磁開閉器13等を制御する制御装置14とが設けられている。
【0032】
圧力センサ15aは制御装置14と電気的に接続し、圧力センサ15aにより測定されたタンク15内の圧力値は制御装置14に伝送される。三方電磁弁16aは、電気的に接続する制御装置14の指令によって、アンローダ配管16bの連通先を、タンク15と大気とのいずれかに切り替える。
【0033】
電磁開閉器13は、電磁石の動作によって回路を開閉するとともに過負荷により回路を遮断する装置で、接点13aと電流センサ13bとサーマルリレー13cとを有し、制御装置14と電気的に接続している。
【0034】
接点13aは、電源ACと電動機12とを電気的に接続する回路を開閉するための接触部分である。本実施形態の接点13aはA接点で、制御装置14の指令により閉じられ電動機12を始動させる。
【0035】
電流センサ13bは、電動機12の運転時に流れる電流を計測する装置である。電流センサ13bの測定値は制御装置14に伝送される。なお、電流センサ13bにより測定する交流電流の位相数は任意である。例えば3相電流の3相全てを測定しても良く、1相だけを選択して測定してもよい。
【0036】
サーマルリレー13cは、電動機12を過負荷から保護するために、電流によって生ずる熱により接点の開閉を行うリレーである。電動機12に過大な電流が流れた場合、その焼損などを防止するために接点は開放され回路を切断する。
【0037】
制御装置14は上述のように三方電磁弁16aや電磁開閉器13等を制御する装置で、制御基板14aと電子回路14dと運転・停止スイッチ14bとディスプレイ14cとを有する。
【0038】
制御基板14aはプリント基板で、運転・停止スイッチ14bとディスプレイ14cと電子回路14dが実装されている。運転・停止スイッチ14bは、停止中の電動機12の運転開始、または、運転中の電動機12の停止をするためのスイッチである。ディスプレイ14cは、文字や画像を表示する。ディスプレイ14cは設定圧力等を表示させたり、電源系統に異常があることや圧縮機本体に異常があること等を表示させたりすることが好ましい。
【0039】
電子回路14dは、電気的に接続する装置を制御する部品で、処理装置(マイコンやFPGA等に搭載されるCPU等のプロセッサ)14eや、電気部品(抵抗やコンデンサ、発振回路等)や電力素子(トランジスタやリレー等)を備える。
【0040】
図4に示すように、電子回路14dには、圧力センサ15aと、三方電磁弁16aと電磁開閉器13と、電磁開閉器13を介して電動機12と電源ACとが電気的に接続されている。
【0041】
次に、制御装置14の制御内容について説明する。
【0042】
まず、制御装置14は、停止中の圧縮機10において、運転・停止スイッチ14bの運転ボタンの操作を検知すると、電動機12を始動させるため、接点13aを接触させるように電磁開閉器13を制御する。
【0043】
電動機12の始動により圧縮機本体11が運転しタンク15内の圧力が上昇していく。制御装置14は、圧縮機10の運転時に圧力センサ15aで検出されたタンク15の圧力値が、予め任意に設定された第1閾値(停止圧力Poff)に達したことを検知すると、電磁開閉器13またはアンローダ装置16の三方電磁弁16aのいずれかを制御する。このとき、制御装置14が電磁開閉器13を制御する方式は断続運転制御方式と呼ばれ、制御装置14がアンローダ装置16の三方電磁弁16aを制御する方式は連続運転制御方式と呼ばれる。
【0044】
(断続運転制御方式)
断続運転制御で制御装置14は、接点13aを離すように電磁開閉器13を制御する。これにより、電動機12への給電が停止され、電動機12は停止し、圧縮機本体11の作動が停止する。
【0045】
圧縮機本体11の停止後、止め弁18に接続された顧客の機器の作動によりタンク15内の圧縮空気が消費される。
【0046】
制御装置14は、電動機12の停止後に圧力センサ15aで検出されたタンク15の圧力値が、第2閾値(復帰圧力Pon)に達したことを検知すると、接点13aを接触させるように電磁開閉器13を制御する。これにより、電動機12は再度始動し、圧縮機本体11が運転を再開する。
【0047】
(連続運転制御方式)
制御装置14は、例えば、アンローダ装置16に対して指令を出力することで吸込弁11bを強制的に継続して開放させることにより、連続運転制御を実行する。具体的には、制御装置14は、三方電磁弁16aに指令を出力してアンローダ配管16bとタンク15とを連通させるように三方電磁弁16aを動作させ、アンローダ配管16bにタンク15の圧縮空気を流入させる。アンローダ配管16bに流入された圧縮空気は、アンローダ配管16bに接続するアンローダピストン16cの突出部16caを突出させ、突出した突出部16caは吸込弁11bcを押圧し吸込弁11bcを強制的に継続して開放する。これにより、シリンダ11a内は大気と連通され、シリンダ11a内の空気は空気吐出口11bbから吐出されなくなるので、圧縮機本体11からタンク15への圧縮空気の供給は停止する。つまり、制御装置14は、電動機12を停止させることなく、圧縮機本体11からタンク15への圧縮空気の供給を停止(アンロード運転)させる。
【0048】
圧縮機本体11からタンク15への圧縮空気の供給の停止後、止め弁18に接続された顧客の機器の作動により空気が消費される。
【0049】
制御装置14は、圧縮機本体11からタンク15への圧縮空気の供給の停止後に圧力センサ15aで検出されたタンク15の圧力値が、復帰圧力Ponを下回ったことを検知すると、アンローダ装置16に対して制御信号を出力することで吸込弁11bを強制的に継続して開放させることを停止させる。具体的には、制御装置14は、三方電磁弁16aに指令を出力してアンローダ配管16bと大気とを連通させるように三方電磁弁16aを動作させ、アンローダ配管16b内の圧縮空気を大気に放出させる。これにより、アンローダ配管16b内は大気圧となるので、アンローダピストン16cの突出部16caが引っ込み、吸込弁11bcは強制的に開口されなくなるので、圧縮機本体11からタンク15への圧縮空気の供給が再開する。
【0050】
この連続運転制御方式は、電動機12の始動が繰り返され、電動機12の負荷が大きくなってしまう場合、例えば、顧客の機器の消費空気量に対して圧縮機本体11の吐出する空気量が少ない場合やタンク15の容積が小さい場合に、電動機12の始動の繰り返しを抑制する目的で用いることができる。
【0051】
図5は、制御装置14が断続運転制御を実行した時の電動機12の動作とタンク15内の圧力を模式的に示すタイムチャートである。図5に示すように、制御装置14は、タンク15内の圧力が復帰圧力Ponに達すると電動機をONにするので、圧縮機本体11には動力が加わり、タンク15内の圧力が上昇する。
【0052】
次に、制御装置14は、タンク15内の圧力が停止圧力Poffに達すると電動機をOFFにするので、圧縮機本体11に加わる動力は0となり、タンク15内の圧力は下降する。
【0053】
図6は、制御装置14が連続運転制御を実行した時の電動機12の動作とタンク15内の圧力を模式的に示すタイムチャートである。図6に示すように、制御装置14は電動機を常にONにする。そして、タンク15内の圧力が復帰圧力Ponに達すると制御装置14はアンローダ装置16を停止するため、圧縮機本体11の動力とタンク15内の圧力は上昇する。
【0054】
次に、タンク15内の圧力が停止圧力Poffに達すると制御装置14はアンローダ装置16を起動するため、圧縮機本体11の動力は所定値に急落し、タンク15内の圧力は降下する。
【0055】
ここで、制御装置14は、タンク15内の圧力が第2閾値(復帰圧力Pon)から第1閾値(停止圧力Poff)に上昇するまでの昇圧期間に要した時間である昇圧運転時間Tupと、タンク15内の圧力が第1閾値(停止圧力Poff)から第2閾値(復帰圧力Pon)に降下するまでの降圧期間に要した時間である降圧運転時間Tdwと、昇圧運転時間Tupに対する降圧運転時間Tdwの比である使用空気比(Tdw/Tup)とを演算し、それらの数値に従って断続運転制御と連続運転制御とを選択して実施する。
【0056】
図7は、本実施形態の制御装置14によって実行される圧縮気体の供給処理のフローチャートの一例を示す図である。制御装置14の処理装置14eは、記憶装置に記憶されたプログラムと、圧力センサ15aにより検出されたタンク15内の圧力と、演算した昇圧運転時間Tupと降圧運転時間Tdwと使用空気比(Tdw/Tup)とに基づいて図7に示した処理を実行する。
【0057】
まず、運転・停止スイッチ14bの運転ボタンの操作を検知すると、処理装置14eは電磁開閉器13の接点13aを接触させて電動機12を始動させ、図7のフローが開始される。
【0058】
処理装置14eは、ステップ1にて、圧力センサ15aによって検出されるタンク15内の圧力が第1閾値(停止圧力Poff)に達するまで電動機12を作動させる。
【0059】
次に、処理装置14eは、ステップ2にて、電磁開閉器13の接点13aを離して電動機12への給電を停止し電動機12を停止するとともに降圧運転時間Tdwの測定を開始する。これにより圧縮機本体11からタンク15への圧縮気体の供給は停止し、顧客の機器の作動に伴いタンク15内の圧縮空気が消費され、タンク15内の圧力は降下する。
【0060】
次に、処理装置14eは、ステップ3にて、圧力センサ15aによって検出されるタンク15内の圧力が第2閾値(停止圧力Pup)に達するまで電動機12を停止させる。
【0061】
次に、処理装置14eは、ステップ4にて、降圧運転時間Tdwの測定を終了し降圧運転時間Tdwを演算する。
【0062】
次に、処理装置14eは、ステップ5にて、電磁開閉器13の接点13aを接続して電動機12への給電を再開し電動機12を再起動するとともに昇圧運転時間Tupの測定を開始する。これにより圧縮機本体11からタンク15への圧縮気体の供給が再開し、タンク15内の圧力は上昇する。
【0063】
次に、処理装置14eは、ステップ6にて、圧力センサ15aによって検出されるタンク15内の圧力が第1閾値(停止圧力Poff)に達するまで電動機12を作動させる。
【0064】
次に、処理装置14eは、ステップ7にて、昇圧運転時間Tupの測定を終了し昇圧運転時間Tupと使用空気比(Tdw/Tup)を演算する。
【0065】
ここで、使用空気比は昇圧運転時間Tupに対する降圧運転時間Tdwの比(Tdw/Tup)であり、タンク15内の圧力が上昇せず圧縮機本体11が起動(動作)している時間が長い場合使用空気比は小さく、タンク15の圧力が低下せず圧縮機本体11が停止している時間が長い場合使用空気比は大きい。
【0066】
次に、処理装置14eは、ステップ8にて、使用空気比(Tdw/Tup)が所定の閾値(以下、所定値αと称する。但し、αは1より大きい)を超えているか判定する。Tdw/Tupがαを超える場合、処理装置14eは、断続運転制御を実行し、Tdw/Tupがαを下回る場合、処理装置14eは、連続運転制御を実行する。
【0067】
なお、所定値αは、処理装置14eによって実行される制御(断続運転制御または連続運転制御)を判定するための値で、負荷率(運転周期Tcyc(=Tup+Tdw)に対する昇圧運転時間Tupの比)からも算出可能である。
【0068】
負荷率(Tup/Tcyc)が大きい場合、降圧運転時間Tdwが相対的に短くなる。そのため、断続運転制御を行うと電動機12のON-OFF回数が増加して電気部品の寿命が短くなる。具体的には、負荷率(Tup/Tcyc)が30%を超えるぐらいから、連続運転制御に切り替えることが好ましい。負荷率30%に対応する使用空気比(Tdw/Tup)は2.5であり、この値を所定値αとしてステップ8を実行することが好ましい。
【0069】
Tdw/Tupがαを超える場合、処理装置14eは、断続運転制御を実行し、ステップ2に戻って、電磁開閉器13の接点13aを離して電動機12への給電を停止し電動機12を停止させるとともに降圧運転時間Tdwの測定を開始する。
【0070】
一方、Tdw/Tupがαを下回る場合、ステップ9にて、処理装置14eは、昇圧運転時間Tupまたは降圧運転時間Tdwが所定の閾値T1(以下、所定時間T1と称する。T1は、例えば、60秒)を超えるか判定する。所定時間T1を設定する際には、T1以上となる降圧運転中に断続運転制御を行うこと(電動機12を停止させること)による消費電力削減のメリットと、同降圧運転中に連続運転制御を行うことによる電動機12のON-OFF回数抑制のメリットを比較考量する。さらに圧縮機のスペック、タンク容量、顧客の圧縮空気の使用状況等を総合的に考慮し、消費電力削減のメリットがON-OFF回数抑制のメリットを上回る値をT1として決めると良い。なお、本実施形態では昇圧運転時間Tupと降圧運転時間Tdwの閾(所定時間)値をともにT1に設定したが、昇圧運転時間Tupと降圧運転時間Tdwとで異なる閾値(所定時間)を設定しても良い。
【0071】
昇圧運転時間Tupまたは降圧運転時間Tdwが所定時間T1を超える場合、処理装置14eは、断続運転制御を実行し、ステップ2に戻って、電磁開閉器13の接点13aを離して電動機12への給電を停止し電動機12を停止させるとともに降圧運転時間Tdwの測定を開始する。
【0072】
それに対し、昇圧運転時間Tupと降圧運転時間Tdwが所定時間T1を下回る場合、処理装置14eは、連続運転制御を実行し、ステップ10にて、電動機12をONにしたままアンローダ装置16を起動させるとともに降圧運転時間Tdwの測定を開始する。
【0073】
次に、処理装置14eは、ステップ11にて、圧力センサ15aによって検出されるタンク15内の圧力が第2閾値(停止圧力Pup)に達するまで電動機12を停止させる。
【0074】
次に、処理装置14eは、ステップ12にて、降圧運転時間Tdwの測定を終了し降圧運転時間Tdwを演算する。
【0075】
次に、処理装置14eは、ステップ13にて、アンローダ装置16を停止するとともに昇圧運転時間Tupの測定を開始する。これにより圧縮機本体11からタンク15への圧縮気体の供給が再開し、タンク15内の圧力は上昇し、処理装置14eは、ステップ6を実行する。
【0076】
(効果)
上記のように、本実施形態では、処理装置14eは、使用空気比(Tdw/Tup)が所定値αを超えた場合、または、昇圧運転時間Tupと降圧運転時間Tdwのいずれかが所定時間T1を超えた場合に、断続運転制御(ステップ2~ステップ5)を実行し、使用空気比(Tdw/Tup)が所定値α以下の場合、かつ、昇圧運転時間Tupと降圧運転時間Tdwのいずれもが所定時間T1の場合に、連続運転制御(ステップ10~ステップ13)を実行する。
【0077】
このように、使用空気比が所定値αを超えた場合に加え、昇圧運転時間Tupと降圧運転時間Tdwのいずれかが所定時間T1を超えた場合にも断続運転制御を行うようにすると、使用空気比が所定値αを超えた場合だけ断続運転制御する場合よりも、昇圧運転時間Tupと降圧運転時間Tdwのいずれかが所定時間T1を超える状況が生じた分だけ、電動機12が停止している時間が増加するので消費電力を削減できる。つまり、本実施形態では、使用空気に加えて、昇圧運転時間と降圧運転時間の絶対的な長さを考慮し、それが所定時間T1を超えて充分に長い場合には断続運転制御を実行することとしたので、使用空気比だけを考慮して制御を切り替える場合よりも消費電力を削減できる。
【0078】
さらに図8図9を用いて本実施形態の効果について詳述する。
【0079】
図8は、比較例に係る圧縮機の負荷率(Tup/Tcyc)に対する消費電力をタンクの容積ごとに示すグラフである。図9は、本実施形態に係る圧縮機10の負荷率(Tup/Tcyc)に対する消費電力をタンク15の容積ごとに示すグラフである。
【0080】
比較例に係る圧縮機は、使用空気比(Tdw/Tup)が2.5以上の場合(負荷率が約30%以下の場合)に断続運転制御を実行し、使用空気比(Tdw/Tup)が2.5未満の場合(負荷率が約30%を超える場合)に連続運転制御を実行する。すなわち、使用空気比が2.5(所定値α)を超えるかどうかのみで制御を切り替える圧縮機である。この圧縮機では、図8に示すように、タンクの容積(ゼロを除く)に関わらず、負荷率が約30%を下回る場合に断続運転制御が実行されて消費電力の増加が抑制されている。
【0081】
それに対し、図9に示す本実施形態の圧縮機10は、使用空気比(Tdw/Tup)が2.5(所定値α)以上の場合、または、昇圧運転時間Tupと降圧運転時間Tdwのいずれかが60秒(所定時間T1)を超えた場合に、断続運転制御を実行し、使用空気比(Tdw/Tup)が2.5(所定値α)を下回るの場合、かつ、昇圧運転時間Tupと降圧運転時間Tdwのいずれかが60秒(所定時間T1)以下の場合に、連続運転制御を実行する。
【0082】
本実施形態の圧縮機10は、昇圧運転時間Tupと降圧運転時間Tdwのいずれかが60秒(所定時間T1)を超えた場合に断続運転制御を実行するため、図8の圧縮機に比して断続運転制御が実行される時間が長くなり、図9に示すように図8の場合よりも消費電力を抑制できる。具体的には、タンク15の容積が150Lでは負荷率が約40%以下及び約65%以上の場合、230Lでは負荷率が約45%以下及び約55%以上の場合、280Lでは負荷率が約95%以下の場合の消費電力の増加は抑制される。そして、本実施形態に係る消費電力の削減効果はタンク容量の増加に比例して増大することも判別できる。
【0083】
(第2実施形態)
図10は、本発明の第2実施形態に係る圧縮機の処理装置によって実行される圧縮気体の供給処理のフローチャートの一例を示す図である。本実施形態による圧縮機が第1実施形態に係る圧縮機10と異なる点は、処理装置14eが使用空気比(Tdw/Tup)が閾値所定値αを超えているか否か(ステップ8)と昇圧運転時間Tupまたは降圧運転時間Tdwが所定時間T1を超えるか否か(ステップ9)とを判定する前に、運転周期Tcycが所定時間T2を超えるかを判定する点である。
【0084】
具体的には、処理装置は、圧力センサ15aによって検出されるタンク15内の圧力が第1閾値(停止圧力Poff)に達するまで電動機12を作動させた(ステップ6)後、ステップ7aにて、昇圧運転時間Tupと使用空気比(Tdw/Tup)とともに運転周期Tcycを演算する。
【0085】
次に、処理装置は、ステップ7bにて、運転周期Tcycが所定時間T2(例えば、60秒)を超えるか否かを判定し、運転周期Tcycが所定時間T2を超える場合、ステップ8に進み、運転周期Tcycが所定時間T2以下の場合、連続運転制御を実行し、ステップ10に進む。
【0086】
[効果]
本実施形態の圧縮機の処理装置は、運転周期Tcycが所定時間T2より小さい場合、連続運転制御を実行する。運転周期Tcycが短い場合にはタンク15の容積が小さいことが想定される。そのため、タンク15の容積が小さく断続運転制御を実行することにより電動機12を停止させるとタンク15内の圧縮気体に余裕がなく圧縮気体が短時間で枯渇すると考えられるところ、本実施形態の圧縮機10の処理装置14eは、連続運転制御を実行し電動機12のON-OFFの増加を抑制して電気部品の寿命を確保することができる電動機12の運転・停止が短時間に繰り返されることを抑制でき、電気部品の劣化を抑制できる。
【0087】
(第3実施形態)
図11は、本発明の第3実施形態に係る圧縮機の処理装置によって実行される圧縮気体の供給処理のフローチャートの一例を示す図である。本実施形態による圧縮機が、第2実施形態に係る圧縮機10と異なる点は以下の点である。
【0088】
即ち、本実施形態では、圧縮機における電動機12の単位時間当たりの最大起動回数Nを設定し、起動回数(単位時間(例えば、3600秒)/Tcyc)が最大起動回数Nを超えた場合には、それ以後は連続運転制御を実行せず断続運転制御を実行する。なお、起動回数が最大起動回数Nを超えたときに、タンク15内の圧力が停止圧力Poffに達する前であっても直ちに電動機12を停止して断続運転制御を開始しても良い。
【0089】
最大起動回数Nは、使用空気比の所定値α(またはこれに対応する負荷率)とタンク15の容量の2つの値から決定される値であり、圧縮工程を開始する前に予め設定される。最大起動回数Nは、タンク容量が増加すると最大起動回数Nは減少するように設定されている。タンク容量は、運転周期Tcycと使用空気比から推定することもできるので、タンク容量が不明な場合にはその方法を利用して推定したタンク容量に基づいて最大起動回数Nを設定することもできる。
【0090】
図11において、本実施形態に係る処理装置は、ステップ1を開始する前のステップaにて、最大起動回数Nを設定する。最大起動回数Nは、使用者が所定値αとタンク15の容量等を入力することで処理装置に演算させ、当該演算値を設定しても良い。
【0091】
そして、処理装置は、ステップ1からステップ7bを実行し、断続運転制御(ステップ2c~ステップ5c)または連続運転制御(ステップ10~ステップ13)を実行した後、ステップ14にて、単位時間当たりの起動回数(単位時間/Tcyc)が最大起動回数Nを超えるか否かを判定する。
【0092】
単位時間当たりの起動回数(単位時間/Tcyc)が最大起動回数N以上の場合には、処理装置は、タンク15内の圧力が停止圧力Poffに達する前であっても直ちに電動機12を停止し、断続運転制御を実行する。
【0093】
単位時間当たりの起動回数(単位時間/Tcyc)が最大起動回数Nより少ない場合には、処理装置は、ステップ6にて、タンク15内の圧力が停止圧力Poffに達するまで電動機12を起動する。
【0094】
[効果]
本実施形態の圧縮機は、起動回数が最大起動回数Nを超えた場合には、その後は連続運転制御を実行せず、断続運転制御を実行することとした。これにより、連続運転制御が頻繁に行われ得る状況には、連続運転制御に代えて断続運転制御が行われることになるため消費電力を削減できる。本実施形態の効果を、図12を用いてさらに説明する。
【0095】
図12は、本実施形態に係る圧縮機と、図8の比較例に係る圧縮機と、特許文献1に係る圧縮機と、第1実施形態に係る図9の圧縮機の負荷率ごとのON-OFF回数を示すグラフである。
【0096】
比較例(図8)に係る圧縮機では、負荷率が30%でON-OFF回数が最大となるが、負荷率が40%から60%の範囲では連続運転制御が実行されてアンロード状態になるためON-OFF回数はゼロで維持される。特許文献1に係る圧縮機では多くの負荷率でON-OFF回数が60回となる。第1実施形態(図9)に係る圧縮機では、負荷率が30%と70%で最大となるが、比較例と同様に、負荷率が30%を超えた40%から60%の範囲(使用空気比が所定値2.5未満の0.7-1.5の範囲)では降圧時間中に連続運転制御のみが実行されてアンロード状態で保持されるため、ON-OFF回数はゼロで維持される(起動頻度がゼロになる)。
【0097】
これに対して、本実施形態の圧縮機は、起動回数に上限値として最大起動回数Nを設け、起動回数がNを超えた場合には連続運転制御を実行せず、必ず断続運転制御を実行することとした。これにより第1実施形態で連続運転制御のみが行われた負荷率40%から60%の範囲(使用空気比が所定値2.5未満の0.7-1.5の範囲)において断続運転制御が実行されることになるので、第1実施形態の制御よりも消費電力を削減することができる。
【0098】
また、本実施形態の圧縮機では、最大起動回数Nが使用空気比αとタンク15の容量とから決定されることが好ましい。これにより、最大起動回数Nを圧縮機に適した値にすることができ、消費電力をさらに削減できる。
【0099】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0100】
また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、処理装置(マイコン)がそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【符号の説明】
【0101】
10…圧縮機、11…圧縮機本体、11ba…空気取入口、11bc…吸込弁、12…電動機、13…電磁開閉器、13a…接点、14…制御装置、14e…処理装置、15…タンク、15a…圧力センサ、16…アンローダ装置、16a…三方電磁弁、16b…アンローダ配管、16c…アンローダピストン、16ca…突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12