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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099880
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】マルチコプター
(51)【国際特許分類】
   B64U 30/293 20230101AFI20240719BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20240719BHJP
【FI】
B64U30/293
B64U10/13
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003478
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市橋 亮吾
(72)【発明者】
【氏名】矢口 康平
(57)【要約】
【課題】製造の複雑化を来すことなく可搬性を高めたマルチコプターを提案する。
【解決手段】マルチコプターは、プロペラが取り付けられる第1シャフトと、本体部に連結される第2シャフトと、前記第1シャフトと前記第2シャフトを連結する連結部と、を有するシャフトユニットを複数備え、前記第1シャフトは前記連結部に係合する第1係合部を有し、前記連結部は、前記第1係合部と係合する第2係合部を有し、前記第1係合部と前記第2係合部が係合し前記第1シャフトの前記連結部に対する回動が不能とされた第1位置と、前記第1係合部と前記第2係合部が係合せず前記回動が可能とされた第2位置との間で移動可能とされ、前記第1シャフトは、前記第1係合部と前記第2係合部が係合していない状態において、前記プロペラの回転軸とされた第1軸に対して傾斜した第2軸を回動軸とした回動が可能とされる。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペラが取り付けられる第1シャフトと、本体部に連結される第2シャフトと、前記第1シャフトと前記第2シャフトを連結する連結部と、を有するシャフトユニットを複数備え、
前記第1シャフトは前記連結部に係合する第1係合部を有し、
前記連結部は、
前記第1係合部と係合する第2係合部を有し、
前記第1係合部と前記第2係合部が係合し前記第1シャフトの前記連結部に対する回動が不能とされた第1位置と、前記第1係合部と前記第2係合部が係合せず前記回動が可能とされた第2位置との間で移動可能とされ、
前記第1シャフトは、前記第1係合部と前記第2係合部が係合していない状態において、前記プロペラの回転軸とされた第1軸に対して傾斜した第2軸を回動軸とした回動が可能とされた
マルチコプター。
【請求項2】
前記第1軸に対する前記第2軸の傾斜は、0度よりも大きく45度よりも小さくされた
請求項1に記載のマルチコプター。
【請求項3】
前記第2シャフトは、前記連結部が前記第1位置に位置した状態において前記第1係合部と係合し前記連結部が前記第2位置に位置した状態において前記第1係合部と係合しない第3係合部を有し、
前記第1シャフトは、前記第1係合部と前記第3係合部が係合していない状態において、前記第2シャフトに対して軸周り方向に回動可能とされることにより、前記第2軸を前記第1軸に対して傾斜した軸とすることが可能とされた
請求項1に記載のマルチコプター。
【請求項4】
前記第1シャフトの前記第2シャフトに対する軸周り方向の回動を所定角度以下に規制する規制部を備えた
請求項3に記載のマルチコプター。
【請求項5】
前記第1シャフトの先端部は、前記第1シャフトの前記第2軸の軸周り方向の回動によって、隣接する前記シャフトユニットの前記連結部と前記第1軸の軸方向に並ぶ位置とされた収納位置に位置することが可能とされた
請求項1に記載のマルチコプター。
【請求項6】
前記第2シャフトは前記本体部の上下方向の中央よりも下方で前記本体部に接続され、
前記収納位置は、前記連結部よりも高い位置に位置される
請求項5に記載のマルチコプター。
【請求項7】
前記収納位置に位置する前記先端部と前記隣接する前記シャフトユニットの前記連結部の位置関係を固定する固定部を有した
請求項5に記載のマルチコプター。
【請求項8】
前記第1シャフトは、ロック位置と非ロック位置とを移動可能なロック部を備え、
前記ロック部が前記ロック位置にある状態においては、前記連結部の前記第1位置から前記第2位置への移動が不可とされ、
前記ロック部が前記非ロック位置にある状態においては、前記連結部の前記第1位置から前記第2位置への移動が可能とされた
請求項1から請求項7の何れかに記載のマルチコプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマルチコプターについての技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ドローンなどのマルチコプターは、他の飛翔体と比較して小型であることが多いため、種々の用途に用いられている。また、このようなマルチコプターは、その可搬性を高めることにより、運用場面に更なる広がりを持たせることが可能である。
例えば、特許文献1には、アームを折り畳むことができるドローンについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第106892086号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のドローンは、アームの形状を直線状以外の形状に形成することで、隣接するアーム同士の一部を上下方向に重ねることが可能にされている。
しかし、アーム形状が直線よりも複雑な形状とされているため、製造の難易度が上昇してしまう。
【0005】
本提案はこのような背景に基づいて発明されたもので、製造の複雑化を来すことなく可搬性を高めたマルチコプターを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るマルチコプターは、プロペラが取り付けられる第1シャフトと、本体部に連結される第2シャフトと、前記第1シャフトと前記第2シャフトを連結する連結部と、を有するシャフトユニットを複数備え、前記第1シャフトは前記連結部に係合する第1係合部を有し、前記連結部は、前記第1係合部と係合する第2係合部を有し、前記第1係合部と前記第2係合部が係合し前記第1シャフトの前記連結部に対する回動が不能とされた第1位置と、前記第1係合部と前記第2係合部が係合せず前記回動が可能とされた第2位置との間で移動可能とされ、前記第1シャフトは、前記第1係合部と前記第2係合部が係合していない状態において、前記プロペラの回転軸とされた第1軸に対して傾斜した第2軸を回動軸とした回動が可能とされたものである。
例えば、垂直軸とされた第1軸に対して傾斜した第2軸を回動軸とした回動がなされることにより、あるシャフトユニットの第1シャフトを折り畳んだ際の先端部の高さと、隣接するシャフトユニットの第2シャフト部分の高さを異なる高さにできる。
【発明の効果】
【0007】
このような本発明によれば、製造の複雑化を来すことなくマルチコプターの可搬性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態のマルチコプターの外観を示す斜視図である。
図2】シャフトユニットの通常状態における斜視図である。
図3】シャフトユニットの分解斜視図である。
図4】取付部の断面図である。
図5】ロック部が取付部に取り付けられる前の状態を示す取付部とロック部についての断面図である。
図6】ロック部が付勢位置に位置した状態におけるロック部と取付部の断面図である。
図7】ロック部が押込位置に位置した状態におけるロック部と取付部の断面図である。
図8】ロック部が付勢位置に位置し連結部が第1位置に位置した状態についてロック部と取付部を断面にして示す図である。
図9】ロック部が押込位置に位置し連結部が第1位置に位置した状態についてロック部と取付部を断面にして示す図である。
図10】連結部が第2位置に位置した状態を示す斜視図である。
図11】第1シャフト及び連結部が第2シャフトに対して回動された状態を示す斜視図である。
図12】第1シャフト及び連結部が第2シャフトに対して回動される前の状態を説明するための概略図である。
図13】第1シャフト及び連結部が第2シャフトに対して回動された後の状態を説明するための概略図である。
図14】連結部に対して第1シャフトを回動させた状態を示す斜視図である。
図15】シャフトユニットの収納状態を説明するための側面図である。
図16】シャフトユニットの収納状態を説明するための上面図である。
図17】マルチコプターが固定部を備えた例についての概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1.マルチコプターの構成>
第1の実施の形態におけるマルチコプター1について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、マルチコプター1の飛行時の姿勢を基準として上下方向を示す。
【0010】
マルチコプター1は、複数の回転翼を備えており、例えば図1に示すように、内部に回路基板等の飛行制御ユニットが配置される本体部2と、本体部2から側方に突出するように設けられた棒状のシャフトユニット3と、本体部2から下方に突出されたスキッド4とを備えている。
【0011】
本体部2は、内部に配置された飛行制御ユニットを保護するための保護カバー5を有して構成されている。
【0012】
保護カバー5にはシャフトユニット3が挿通される挿通孔5aがシャフトユニット3の数だけ周方向に離隔して設けられている。なお、本体部2が保護カバー5を有していない構成においてはこの限りではない。
【0013】
シャフトユニット3は、略一直線の棒状に形成され、先端部にプロペラ6が取り付けられている。プロペラ6の回転軸は上下方向(垂直方向)に延びる軸とされている。
シャフトユニット3の構成については改めて後述する。
【0014】
スキッド4は、マルチコプター1の着陸時に安定した姿勢を確保するために設けられている。スキッド4の形状は各種考えられる。図1に示す例では、本体部2の下部に二つのスキッド4が設けられている。
【0015】
それぞれのスキッド4は、斜め下方向に延びる一対の脚部7と、一対の脚部7を接続し着陸時に接地する部分とされた接地部8とを備えて構成されている。
【0016】
<2.シャフトユニットの構成>
シャフトユニット3は、図2に示すように、第1シャフト9と、第2シャフト10と、連結部11と、ロック部12とを備えている。
【0017】
シャフトユニット3は、第2シャフト10、連結部11、第1シャフト9の順で連結されており、第2シャフト10側の端部が本体部2に接続されている。
【0018】
第1シャフト9は、連結部11に接続される側の端部が基端部9aとされ、プロペラ6が取り付けられる側の端部が先端部9bとされている。
【0019】
第1シャフト9は、基端部9aに対して先端部9bを略水平方向に回動させることが可能とされている。
以降の説明においては、第1シャフト9の軸X1と第2シャフト10の軸X2が同一の軸とされた状態、即ち、第1シャフト9と第2シャフト10が一直線の棒状とされた状態をシャフトユニット3の「通常状態」とし、基端部9aに対して先端部9bを略水平方向に回動させた状態、即ち、第2シャフト10に対して基端部9a付近で第1シャフト9が折り曲げられた状態をシャフトユニット3の「収納状態」と記載する。即ち、図2は、通常状態のシャフトユニット3を示した図である。
また、第1シャフト9の軸X1の軸方向を「軸方向D1」と記載する。同様に、第2シャフト10の軸X2の軸方向を「軸方向D2」と記載する。
【0020】
シャフトユニット3を第1シャフト9と第2シャフト10と連結部11とロック部12とに分解した状態の斜視図を図3に示す。
【0021】
第1シャフト9は、軸状に形成された軸部13と、軸部13の一端が接続されロック部12が取り付けられる取付部14と、取付部14から連続する係合ベース部15と、係合ベース部15から軸方向D1に突出された第1係合部16とを有する。
【0022】
取付部14は、立方体形状に形成され、略コ字状に形成されたロック部12が側方から取り付けられる取付溝17が形成されている。
取付溝17は、取付部14の上面と側面と下面とに亘って形成された凹部とされている。
【0023】
取付部14は、連結部11の先端部が配置される配置溝18が上面及び下面に形成されている。
配置溝18は、取付部14の上面に形成され軸方向D1に延びる凹部とされている。
【0024】
係合ベース部15は、例えば立方体形状に形成されている。係合ベース部15には、上面及び下面にL字溝15aが形成されている。
【0025】
第1係合部16は、係合ベース部15から軸方向D1に延びる略扁平な板状に形成されている。
【0026】
第1係合部16は、軸方向D1における両端部の間の部分とされた中間部16aが連結部11に係合されると共に、係合ベース部15に連続する部分とは反対側の端部16bが第2シャフト10と係合される。
【0027】
取付部14についての軸方向D1に垂直な断面を図4に示す。
図示するように、取付部14における軸方向D1に垂直な方向を向く一方の側面には、側方に開放された凹部が形成されている。当該凹部は、ロック部12の一部が挿入されると共にロック部12の一部が摺動する摺動凹部19とされている。
【0028】
摺動凹部19は、例えば、立方体形状の孔とされている。また、摺動凹部19の奥の面には、バネ部材20を保持するバネ保持部21が形成されている。
バネ保持部21は、側方を向く円筒形状に形成されており、内部にネジ山が形成されている。
【0029】
図3の説明に戻る。
連結部11は、矩形の筒状とされた筒状部22と、筒状部22の上面及び下面からそれぞれ軸方向D1に突出する突出部23と、第2シャフト10に形成された孔に挿入される挿入突部24とを備えている。
【0030】
挿入突部24は、連結部11が第2シャフト10に対して軸X2の軸周り方向に回動する際の回動軸として機能する。
【0031】
筒状部22は、上面部25と下面部26と側面部27から成る。
【0032】
側面部27は、内側に軸方向D1に延びる摺動溝28が形成されている。
摺動溝28は、第1係合部16の中間部16aの端部が係合する。第1シャフト9に対して連結部11を軸方向D1に移動させることにより、中間部16aの端部が摺動溝28の溝に沿って、即ち、軸方向D1に摺動する。なお、第1シャフト9に対して連結部11を軸方向D1に大きく移動させることにより、中間部16aの端部と摺動溝28の係合状態が解消される。
【0033】
摺動溝28は、第1係合部16と係合する第2係合部として機能する。
【0034】
筒状部22における突出部23が形成される端部とは反対側の端部には、四隅の内の一つに軸方向D1に突出する棒状の回動規制突部29が形成されている。
【0035】
回動規制突部29は、第2シャフト10に形成された所定の長さの孔(溝)に挿入されることにより、第2シャフト10に対する連結部11の回動、具体的には軸方向D2の軸周り方向の回動が規制される。
【0036】
突出部23は、ロック部12が係合される係合溝30が形成されている。筒状部22の上面から軸方向D1に突出する突出部23においては、上面側に係合溝30が形成されている。また、筒状部22の下面から軸方向D1に突出する突出部23においては、下面側に係合溝30が形成されている。
【0037】
係合溝30は、一部が係合された状態のロック部12が摺動可能とされている。具体的には、第1シャフト9の取付溝17に嵌合した状態のロック部12の一部が係合溝30に係合される。
【0038】
突出部23には、第1シャフト9の係合ベース部15のL字溝15aに挿入される回動軸部23aが形成されている。回動軸部23aは、二つの突出部23における対向する面同士を接続するように形成されている。図3に示す例では、二つの突出部23を貫通するように挿入されたネジが回動軸部23aとして機能する。
L字溝15aは、軸方向D1に延びる部分とされた第1溝15a1と、第1溝15a1に連続する部分とされ第1溝15a1の端部から直角方向に延びる部分とされた第2溝15a2から成る。
【0039】
回動軸部23aは、連結部11の第1溝15a1に挿入されることにより、連結部11が第1溝15a1の長さの分だけ第1シャフト9に対して軸方向D1に移動可能とされている。即ち、第1溝15a1は、第1シャフト9に対して連結部11を軸方向D1に移動する際のガイドとして機能する。
【0040】
回動軸部23aが第1溝15a1における第2溝15a2との連続部分とは反対側の端部に位置した状態における連結部11の位置、即ち、連結部11の突出部23がシャフトユニット3の先端側に位置した状態における連結部11の位置を「第1位置」とする。
【0041】
また、回動軸部23aが第1溝15a1と第2溝15a2の連続部分に位置した状態における連結部11の位置、即ち、連結部11の突出部23がシャフトユニット3の基端側に位置した状態における連結部11の位置を「第2位置」とする。
【0042】
回動軸部23aは、連結部11に対して第1シャフト9を回動させる際の回動軸として機能する。
【0043】
なお、回動軸部23aがL字溝15aの第2溝15a2に位置されることにより、連結部11に対して第1シャフト9を回動させる際の各部の干渉が回避される。
【0044】
第2シャフト10は、軸状に形成された軸部31と、略立方体形状に形成され軸部31に連続する係合端部32とを備えて構成されている。
【0045】
係合端部32は、第1シャフト9の第1係合部16の端部16bが係合する直線溝33が軸方向D1を向く面において形成されている。
【0046】
第1係合部16の端部16bと直線溝33が係合することにより、第2シャフト10に対する第1シャフト9の軸周り方向の回動が不能とされる。
【0047】
直線溝33は、第1係合部16と係合する第3係合部として機能する。
【0048】
直線溝33の略中央部には、軸方向D2に開口された回動孔34が形成されている。
回動孔34に連結部11の挿入突部24が挿入され、且つ、第1係合部16の端部16bと直線溝33が係合していない状態において、第2シャフト10に対して連結部11が挿入突部24の軸周り方向に回動可能とされる。
【0049】
また、挿入突部24における先端部とは反対の基端側には、回動孔34に挿入された状態において直線溝33と一体の溝を形成する溝が形成されている。これにより、挿入突部24が回動孔34に挿入された状態において、第1シャフト9の第1係合部16の端部16bが直線溝33に係合することが可能とされている。
また、端部16bが直線溝33に係合された状態においては、第2シャフト10に対して第1シャフト9と連結部11が一体となって軸X2の軸周り方向に回動される。
【0050】
係合端部32には、第2シャフト10に対する連結部11の回動における可動範囲(回動角度)を決定するための機構が設けられている。具体的に、係合端部32における直線溝33が形成された面には、回動規制突部29が挿入される回動規制孔35が形成されている。
【0051】
回動規制孔35の孔の長さは、例えば、第2シャフト10に対して連結部11が軸X2の軸周り方向に12度回動することが可能となる長さとされている。
【0052】
ロック部12は、図5に示すように略コ字状に形成されており、ベース部36と、ベース部36の両端部から側方に突出する一対の爪部37を備えている。
【0053】
ベース部36には、爪部37が突出する方向に延びる孔とされた取付孔38が形成されている。
【0054】
取付孔38は、大径部39と、大径部39に連続する部分とされ大径部39よりも小径とされた小径部40から成る。
【0055】
小径部40には、第1シャフト9の取付部14に形成されたバネ保持部21が挿入される(図5参照)。小径部40にバネ保持部21が挿入された状態で、バネ保持部21の内周面に形成されたネジ山に対して大径部39側からネジ41が螺合することにより、取付部14にロック部12が取り付けられる。
【0056】
ネジ41のネジ頭の径は小径部40よりも大径、且つ、大径部39よりも小径とされることにより、ネジ41が大径部39から小径部40側へ移動してしまうことが防止されている。
【0057】
大径部39と小径部40の境目に形成された段差部分は、ネジ41のネジ頭と当接することにより、ロック部12が第1シャフト9の取付部14から脱落してしまうことを防止する抜け止め部42として機能する。
【0058】
なお、ロック部12は、ネジ41によって取付部14に取り付けられた状態において、取付部14から離れる方向、即ち、ロック部12は、図6に示すように、取付部14から取り外される方向にバネ部材20によって付勢されている。
【0059】
爪部37は、長手方向における略中央部の内側に挿通凹部43が形成されている。挿通凹部43は、連結部11の突出部23が挿通される凹部とされている。
【0060】
爪部37における先端付近は、挿通凹部43が形成された部分よりも厚みが厚くされた厚肉部44とされている。
【0061】
ベース部36の小径部40の外周面と爪部37の間の空間は、取付部14の摺動凹部19の縁部が退避される退避空間45とされている。
【0062】
ロック部12は、図7に示すように、取付部14に対して押し込むことが可能とされている。
ここで、バネ部材20によってロック部12が付勢され退避空間45の広さが最大化された状態におけるロック部12の位置、即ち、取付部14に対してロック部12が押し込まれていない状態におけるロック部12の位置(図6参照)を「付勢位置」とする。
【0063】
取付部14に対してロック部12が押し込まれた状態におけるロック部12の位置(図7参照)を「押込位置」とする。ロック部12が押込位置に位置した状態においては、取付部14の摺動凹部19の縁部が退避空間45に入り込み、退避空間45の一部が消失する。
【0064】
また、ロック部12が付勢位置に位置した状態においては、ロック部12の爪部37の挿通凹部43の位置と取付部14の配置溝18の位置がロック部12の移動方向にずれた状態とされる。
【0065】
挿通凹部43の位置と配置溝18の位置がずれた状態においては、ロック部12の爪部37の厚圧肉部44の一部が連結部11の突出部23に形成された係合溝30に入り込む。
従って、ロック部12が付勢位置に位置した状態においては、連結部11の軸方向D1への移動が規制される。
【0066】
また、ロック部12が押込位置に位置した状態においては、挿通凹部43の位置と配置溝18の位置がロック部12の移動方向にずれていない状態とされる。
【0067】
挿通凹部43の位置と配置溝18の位置がずれていない状態においては、ロック部12の爪部37の厚肉部44の一部が連結部11の突出部23に形成された係合溝30に入り込んでいない。
従って、ロック部12が押込位置に位置した状態においては、挿通凹部43と配置溝18によって形成された空間を連結部11の突出部23が軸方向D1に移動することが可能とされている。
【0068】
即ち、ロック部12の付勢位置は、連結部11の軸方向D1への移動を規制する「ロック位置」と見なすことができる。そして、ロック部12の押込位置は、連結部11の軸方向D1への移動が規制されない「非ロック位置」と見なすことができる。
【0069】
先の図2は、第1シャフト9と第2シャフト10と連結部11とロック部12がそれぞれ組み合わされた状態についての斜視図である。
第1係合部16の中間部16aが連結部11の摺動溝28(第2係合部)と係合された状態においては、第1シャフト9が回動軸部23aを回動軸とした回動が不可能とされている。
また、第1係合部16の端部16bが第2シャフト10の直線溝33(第3係合部)と係合された状態においては、第2シャフト10に対する第1シャフト9の軸方向D1の軸周り方向の回動が不可能とされている。
【0070】
即ち、第1係合部16が連結部11の第2係合部と係合され、且つ、第1係合部16が第2シャフト10の第3係合部と係合された図2に示す状態は、上述したマルチコプター1の通常状態におけるシャフトユニット3の態様とされる。
【0071】
<3.シャフトユニットの折り畳み手順>
シャフトユニット3の折り畳み手順について添付図を参照して説明する。
図2に示す通常状態のシャフトユニット3について、軸X1に垂直な面による断面図を図8に示す。
【0072】
図示するように、通常状態におけるシャフトユニット3は、取付部14の取付溝17に嵌合したロック部12が付勢位置に位置すると共に、第1シャフト9に対して連結部11が第1位置に位置した状態とされている。更に、第1シャフト9の先端部9bが第2シャフト10の直線溝33に係合された状態とされている。
【0073】
ロック部12を取付部14に対して押し込んだ状態、即ち、ロック部12が押込位置に位置した状態の断面図を図9に示す。
図示するように、ロック部12が押込位置に位置した状態においては、挿通凹部43と配置溝18によって形成された空間を連結部11の突出部23が軸方向D1に移動することが可能とされている。
【0074】
連結部11が第2位置に位置した状態を図10に示す。図示するように、連結部11が第2位置に位置した状態においては、第1シャフト9が連結部11及び第2シャフト10に対して離隔する方向に移動された状態とされる。
【0075】
この状態においては、第1シャフト9の第1係合部16の端部16bが第2シャフト10の直線溝33から抜け出た状態とされると共に、第1係合部16の中間部16a及び端部16bが筒状部22に形成された摺動溝28に係合していない状態とされる。
【0076】
第2シャフト10に対して第1シャフト9及び連結部11を軸X1の軸周り方向に回動させた状態を図11に示す。また、第2シャフト10に対して第1シャフト9及び連結部11を軸X1の軸周り方向に回動させる前の状態と、回動させた状態を軸X1の軸方向から見た断面図を図12図13に示す。
各図に示すように、回動規制突部29が回動規制孔35に沿って移動することで第2シャフト10に対して第1シャフト9及び連結部11が回動される。
【0077】
続いて、図14に示すように、第1シャフト9を連結部11に対して回動する。このときの回動軸は、回動軸部23aの軸X3とされている。
軸X3(第2軸)は、プロペラ6の回転軸であり垂直軸とされた軸X4(第1軸)に対して、例えば12度傾いている。この傾きは、第2シャフト10に対する連結部11の傾き(図11図12図13参照)に基づくものである。
【0078】
第1シャフト9を連結部11に対して軸X3の軸周り方向に回動させたことにより、第1シャフト9の先端部9b(図2参照)は、隣接するシャフトユニット3の連結部11に対して上下方向に位置する。この状態は、前述したように、シャフトユニット3の収納状態とされる。
【0079】
シャフトユニット3の収納状態について図15に示す。図示するように、6本全てのシャフトユニット3を収納状態とすることで、上方から見てマルチコプター1の外形が略六角形を形成する(図16参照)。
このとき、第1シャフト9の先端部は、隣接するシャフトユニット3の連結部11と上下方向に並ぶ収納位置に位置される。
【0080】
また、第1シャフト9の先端部9bは、隣接するシャフトユニット3の連結部11に対して略上方に位置する。シャフトユニット3は、通常状態において、本体部2の上下方向における中央よりも下方部分から延びている。
従って、スキッド4を取り外した状態のマルチコプター1においては、本体部2の下面を地面に接触させた状態で置いた場合に、先端部9bが隣接する連結部11の上方に位置するように構成することで、高さを抑えることができる。
【0081】
なお、マルチコプター1の本体部2における上下方向の上方部分からシャフトユニット3が延びている場合には、先端部9bが隣接する連結部11の下方に位置するように構成することにより、同様に高さを抑えることが可能である。
【0082】
<4.第2の実施の形態>
第2の実施の形態におけるマルチコプター1Aは、シャフトユニット3の収納状態をより安定的にする構成を備えている。
【0083】
具体的に、マルチコプター1Aは、図17に示すように、収納状態におけるシャフトユニット3の第1シャフト9の軸部13と、上方から見て反時計回り方向に隣接するシャフトユニット3の第2シャフト10の軸部31とを連結する固定部46を備えている。
【0084】
図17に示す固定部46の一態様では、シャフト47の両端部にU字連結部48が形成されている。一方のU字連結部48は一端部に第1シャフト9の軸部13と連結され、他方のU字連結部48は第2シャフト10の軸部31と連結される。
【0085】
固定部46は、シャフトユニット3から取り外すことが可能に構成されていてもよい。この場合には、マルチコプター1Aの飛行時においては固定部46はシャフトユニット3から取り外された状態とされる。そして、マルチコプター1Aの運搬時や収納時において固定部46がシャフトユニット3に取り付けられることにより、シャフトユニット3の収納状態を安定的に維持することが可能となる。
【0086】
或いは、固定部46は、シャフトユニット3と一体となって設けられていてもよい。この場合には、マルチコプター1Aの飛行時においては飛行の妨げとならない位置及び姿勢でシャフトユニット3に固定部46が取り付けられている。また、マルチコプター1Aの運搬時や収納時においては、シャフトユニット3同士を連結することが可能な位置及び姿勢となってシャフトユニット3同士を連結する。これにより、シャフトユニット3の収納状態を安定的に維持することが可能となる。
【0087】
シャフトユニット3の第1シャフト9の軸部13と、隣接するシャフトユニット3の第2シャフト10の軸部31を連結する固定部46はあくまで一態様であり、それ以外の構成も考えられる。
例えば、シャフトユニット3の第1シャフト9においてプロペラ6が取り付けられている部分と、隣接するシャフトユニット3の連結部11とを接続することにより、シャフトユニット3の収納状態を安定的に維持することが可能とされていてもよい。
【0088】
即ち、固定部46は、シャフトユニット3の第1シャフト9の一部と、隣接するシャフトユニット3の第2シャフト10または連結部11の一部を接続可能に構成されていればよい。
【0089】
<5.まとめ>
各図を参照して説明したように、マルチコプター1(1A)は、プロペラ6が取り付けられる第1シャフト9と、本体部2に連結される第2シャフト10と、第1シャフト9と第2シャフト10を連結する連結部11と、を有するシャフトユニット3を複数備え、第1シャフト9は連結部11に係合する第1係合部16を有している。
そして、連結部11は、第1係合部16と係合する第2係合部(摺動溝28)を有し、第1係合部16と第2係合部が係合し第1シャフト9の連結部11に対する回動が不能とされた第1位置(図2参照)と、第1係合部16と第2係合部が係合せず前記回動が可能とされた第2位置(図10参照)との間で移動可能とされている。
更に、第1シャフト9は、第1係合部16と第2係合部が係合していない状態において、プロペラ6の回転軸とされた第1軸(軸X4)に対して傾斜した第2軸(軸X3)を回動軸とした回動が可能とされている。
例えば、垂直軸とされた第1軸に対して傾斜した第2軸を回動軸とした回動がなされることにより、あるシャフトユニット3の第1シャフト9を折り畳んだ際の先端部(例えばプロペラ6が取り付けられた部分)の高さと、隣接するシャフトユニット3の第2シャフト10の高さが異なる。
これにより、隣接するシャフトユニット3との干渉を避けつつシャフトユニット3を折り畳むことができるため、折り畳み時のマルチコプター1(1A)の更なる小型化を図ることができる。
従って、マルチコプター1(1A)の可搬性が向上し、マルチコプター1(1A)を種々の用途に用いることが容易となる。
【0090】
また、マルチコプター1(1A)において、第1軸(軸X4)に対する第2軸(軸X3)の傾斜は、0度よりも大きく45度よりも小さくされてもよい。
これにより、例えば、あるシャフトユニット3における第1シャフト9を折り畳んだ際の先端部と、隣接するシャフトユニット3の第2シャフト10の上下方向の位置関係、即ち上下方向の距離を、離れすぎない距離に保つことができる。従って、折り畳み時のマルチコプター1(1A)の更なる小型化を図ることができる。
【0091】
更に、マルチコプター1(1A)における第2シャフト10は、連結部11が第1位置に位置した状態において第1係合部16と係合し連結部11が第2位置に位置した状態において第1係合部16と係合しない第3係合部(直線溝33)を有し、第1シャフト9は、第1係合部16と第3係合部が係合していない状態において、第2シャフト10に対して軸周り方向に回動可能とされることにより、第2軸(軸X3)を第1軸(軸X4)に対して傾斜した軸とすることが可能とされてもよい。
これにより、連結部11を第1位置から第2位置へと移動させるだけで、第1係合部16と第2係合部(摺動溝28)の係合状態の解除と、第1係合部16と第3係合部の係合状態の解除を行うことができる。
従って、連結部11を移動させるだけで、第2シャフト10の軸周り方向に第1シャフト9を回動させる操作と、連結部11に対して第1シャフト9を第2軸の軸周り方向に回動させる操作の双方を行うことが可能となる。
即ち、少ない手順でマルチコプター1(1A)を折り畳むことができ、作業効率を向上させることができる。
【0092】
また、マルチコプター1(1A)においては、第1シャフト9の第2シャフト10に対する軸周り方向の回動を所定角度(例えば12度)以下に規制する規制部(回動規制突部29と回動規制孔35)を備えていてもよい。
これにより、第1シャフト9を軸周り方向に回動させる操作を容易に行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0093】
更に、マルチコプター1(1A)における第1シャフト9の先端部は、第1シャフト9の第2軸(軸X3)の軸周り方向の回動によって、隣接するシャフトユニット3の連結部11と第1軸(軸X4)の軸方向に並ぶ位置とされた収納位置(図15参照)に位置することが可能とされてもよい。
これにより、上方から見て連結部11よりも外側に部品が位置しないようにマルチコプター1(1A)を小さく折り畳むことが可能となる。従って、マルチコプター1(1A)の可搬性を更に向上させることができる。
【0094】
また、マルチコプター1(1A)における第2シャフト10は本体部2の上下方向の中央よりも下方で本体部2に接続され、第1シャフト9の先端部の収納位置は、連結部11よりも高い位置に位置されてもよい。
これにより、折り畳み時の第1シャフト9を本体部2の上下方向の幅に収めることができ、マルチコプター1(1A)の折り畳み時の上下方向の幅を小さくすることができる。
従って、マルチコプター1(1A)の可搬性を更に高めることができる。
なお、本構成とは逆に、第2シャフト10が本体部2の上部に接続され、第1シャフト9の先端部の収納位置が連結部11よりも低い位置とされてもよい。このような構成でマルチコプター1(1A)の可搬性を高めることも可能である。
【0095】
更に、マルチコプター1(1A)においては、収納位置に位置する第1シャフト9の先端部と隣接するシャフトユニット3の連結部11の位置関係を固定する固定部46を有していてもよい。
これにより、第1シャフト9を連結部11に対して回動させた状態、即ち、マルチコプター1(1A)を折り畳んだ状態を固定することができ、マルチコプター1(1A)の持ち運びを容易にすることができる。
【0096】
また、マルチコプター1(1A)における第1シャフト9は、ロック位置(付勢位置)と非ロック位置(押込位置)とを移動可能なロック部12を備え、ロック部12がロック位置にある状態においては、連結部11の第1位置から第2位置への移動が不可とされ、ロック部12が非ロック位置にある状態においては、連結部11の第1位置から第2位置への移動が可能とされてもよい。
ロック部12をロック位置に移動させることにより、マルチコプター1(1A)の飛行時において第1シャフト9が軸周り方向に回動されてしまうことや、第1シャフト9が連結部11に対して第2軸(軸X3)の軸周り方向に回動されてしまうことを防止することができる。
従って、飛行時のマルチコプター1(1A)の姿勢を安定させることができる。
【符号の説明】
【0097】
1、1A マルチコプター
2 本体部
3 シャフトユニット
6 プロペラ
9 第1シャフト
9a 基端部
9b 先端部
10 第2シャフト
11 連結部
12 ロック部
16 第1係合部
28 摺動溝(第2係合部)
33 直線溝(第3係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図16
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