(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099904
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電気掃除機用延長管およびこれを備えた電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/24 20060101AFI20240719BHJP
A47L 9/30 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A47L9/24 Z
A47L9/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003516
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 叶登
(72)【発明者】
【氏名】倉田 敦史
(72)【発明者】
【氏名】渡部 貴裕
【テーマコード(参考)】
3B057
【Fターム(参考)】
3B057BA26
3B057EA03
(57)【要約】
【課題】簡単な構造で掃除面を照らすことが可能な電気掃除機用延長管およびこれを備えた電気掃除機を提供する。
【解決手段】掃除機本体に接続される延長管20であって、掃除機本体に接続される伸縮機能を備えていない管部21と、管部21に設けられ、当該管部21の先端に接続される吸口に電力を供給する電線22と、管部21に設けられ、掃除機本体に設けられた光源の光を管部21の先端に導く導光部材23と、管部21の先端に設けられ、導光部材23を導光した光を床面に照射する照射部23aと、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機本体またはホースに接続される電気掃除機用延長管であって、
前記掃除機本体または前記ホースに接続される管部と、
前記管部に設けられ、当該管部の先端に接続される吸口に電力を供給する導電部材と、
前記管部に設けられ、前記掃除機本体または前記ホースに設けられた光源の光を前記管部の先端に導く導光部材と、
前記管部の先端に設けられ、前記導光部材を導光した光を床面に照射する照射部と、を備えることを特徴とする電気掃除機用延長管。
【請求項2】
請求項1に記載の電気掃除機用延長管であって、
前記管部の先端には、前記導光部材を導光した光の照射範囲を拡大させるレンズを備えることを特徴とする電気掃除機用延長管。
【請求項3】
請求項1に記載の電気掃除機用延長管であって、
前記導光部材は、前記導電部材よりも外側に配置されていることを特徴とする電気掃除機用延長管。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電気掃除機用延長管を備えたことを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機用延長管およびこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
延長管に導光体を設けた電気掃除機が種々提案されている。特許文献1には、発光体をホース体先端の手元操作部に配置し、発光体の光を導光体によって延長管の先端側に導く構成が記載されている。特許文献2には、塵埃を検出した場合に発光部から光が照射され、延長管に設けられた導光体を通じて表示部に向けて出射されることで、ユーザに対して床面に塵埃があることを報知する構成が記載されている。特許文献3には、検出した塵埃量に応じて導光体の発光状態を変化させることでユーザに対して床面の塵埃量を報知する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-267779号公報
【特許文献2】特許第5567383号公報
【特許文献3】特開2012-85856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、延長管が伸縮する機構を有するものであり、吸口の継手に照射部が設けられているため、構造が複雑になる。特許文献2および3に記載のものは、発光することでユーザに報知するものである。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、簡単な構造で掃除面を照らすことが可能な電気掃除機用延長管およびこれを備えた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、掃除機本体またはホースに接続される電気掃除機用延長管であって、前記掃除機本体または前記ホースに接続される管部と、前記管部に設けられ、当該管部の先端に接続される吸口に電力を供給する導電部材と、前記管部に設けられ、前記掃除機本体または前記ホースに設けられた光源の光を前記管部の先端に導く導光部材と、前記管部の先端に設けられ、前記導光部材を導光した光を床面に照射する照射部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単な構造で掃除面を照らすことが可能な電気掃除機用延長管およびこれを備えた電気掃除機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の延長管を備えた電気掃除機を示す外観側面図である。
【
図2】掃除機本体の延長管の接続部を示す正面図である。
【
図4】延長管を導光部材に沿って切断したときの概略断面図である。
【
図5】延長管に吸口を接続したときの照射範囲を示す模式図である。
【
図6】延長管に吸口を接続したときの照射範囲を示す別の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、スティックタイプの掃除機を例に挙げて説明するが、このようなタイプに限定されるものではなく、キャニスタタイプなど延長管を接続して掃除を行うことが可能な他のタイプの電気掃除機にも適用できる。
【0010】
図1は、本実施形態の延長管を備えた電気掃除機を示す外観側面図である。
図1に示すように、電気掃除機10は、ハンディ状態、スティック状態など各種の使用状態に変更して掃除を行うことができるコードレスタイプの電気掃除機である。また、電気掃除機10は、吸引力を発生させる電動送風機11が収容される掃除機本体1と、掃除機本体1に着脱可能に設けられる集塵ケース2と、掃除機本体1に着脱可能に設けられる蓄電池3と、を備えて構成されている。また、掃除機本体1は、使用者が掃除する際に手で握る部分であるハンドル部12を有している。集塵ケース2は、塵埃を遠心分離する流路と、遠心分離した塵埃を蓄積する集塵部と、遠心分離された空気を清浄化するフィルタ(不図示)と、を備えている。蓄電池3は、電動送風機11、吸口30などに電力を供給するものであり、リチウムイオン、ニッケル水素などの充電可能な二次電池で構成されている。このような電気掃除機10では、蓄電池3の電力によって電動送風機11を駆動することで、掃除機本体1に吸引された塵埃が、集塵ケース2に蓄積され、フィルタ(不図示)および電動送風機11を通って掃除機本体1の外部に排出される。
【0011】
また、電気掃除機10は、掃除機本体1の接続部1aに接続される延長管(電気掃除機用延長管)20と、この延長管20の先端に接続される吸口30と、を備えて、スティック状態の掃除機として使用できる。なお、吸口30は、電動式のブラシを備え、回転しながら床面(掃除面)の塵埃を掻き取る構造のものである。また、延長管20には、吸口30に替えて隙間用吸口など他の種類の吸口を接続できる。
【0012】
延長管20は、伸縮機能を備えない構造のものであり、直線状に延びる管部21と、吸口30に電力を供給するための電線22(導電部材)と、掃除機本体1に設けられた光源14(
図2参照)の光を延長管20の基端から先端まで導光する導光部材23と、を備えて構成されている。なお、伸縮機能を備えない構造とは、軸方向の長さが所定の長さに固定され、管の長さを調節することができない構造を意味する。つまり、延長管20は、2重管構造ではなく、単一の筒形状であることを意味する。
【0013】
電線22は、管部21の基端から先端まで延びて配置され、吸口30が管部21の先端に接続されたときに、この電線22と吸口30に設けられた電線とが電気的に接続され、掃除機本体1の蓄電池3の電力が吸口30のブラシ用のモータに供給される。導電部材として電線22を用いているが、電線22ではなくとも、導電性の、棒材、線材、板材、膜材等を用いてもよいし、これらを適宜組み合わせたものを導電部材として用いてもよい。
【0014】
図2は、掃除機本体の延長管の接続部を示す正面図である。
図2に示すように、掃除機本体1には、延長管20(
図1参照)の基端が接続される接続口1bと、延長管20(
図1参照)の電線22(
図1参照)と電気的に接続される一対の接続凹部13,13と、導光部材23に光を導入する光源14と、を備えている。接続口1bの上方には接続凹部13,13が位置している。接続凹部13の上方には、光源14が位置している。接続凹部13,13には、延長管20側に設けられた接続ピン22a(
図3参照)が嵌合して接続される。光源14は、LED(Light Emitting Diode)などで構成されている。なお、光源14は、白色のLEDに限定されるものではなく、緑色のLEDなどを用いてもよい。
【0015】
掃除機本体1に延長管20を接続したときに、延長管20に形成された流路と接続口1bとが連通するようにして接続されるとともに、接続凹部13に延長管20の電線22と電気的に接続される。また、掃除機本体1に延長管20を接続したときに光源14が導光部材23の端面23c(
図4参照)と対向した位置に配置される。
【0016】
図3は、延長管の斜視図である。
図3に示すように、延長管20は、管部21の基端に、接続口1b(
図2参照)内に挿入される接続管部21aが形成されている。この接続管部21aは、延長管20の管部21より小径に形成されている。また、延長管20は、接続管部21aの上方(接続管部21aの外側)に接続凹部13と嵌合して電気的に接続される一対の接続ピン22aが掃除機本体1側に向けて突出して形成されている。電線22は、接続ピン22aの位置から延長管20の先端の位置まで直線状に配置されている。導光部材23は、例えば直方体状に形成され、電線22の外側(径方向の外側)に該電線22に沿って直線状に配置されている。また、導光部材23は、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ガラス、ポリスチレン、ウレタンなどによって構成されている。
【0017】
導光部材23の先端には、光を床面(掃除面)に照射するための照射部23aが形成されている。この照射部23aは、延長管20の接続口21bに吸口30(
図1参照)を接続したとしても、吸口30の継手部30b(
図5参照)によって照射部23aが覆われないように(隠れないように)なっている。
【0018】
また、導光部材23の周囲には、光源14(
図2参照)から導光した光が延長管20の途中で外部に漏れ出ないようにするために合成樹脂製のカバー部材で覆われている。なお、カバー部材に限定されるものではなく、導光部材23の表面に塗装を施すことによって光の漏れを抑えるようにしてもよい。
【0019】
図4は、延長管を導光部材に沿って切断したときの概略断面図である。
図4に示すように、掃除機本体1に延長管20を接続すると、光源14が導光部材23の長手方向の端面23cと対向する。また、照射部23aには、導光部材23を導光した光を拡散するレンズ部23b(レンズ)が設けられている。光源14からの光は、導光部材23の端面23cから導入され、導光部材23内を全反射しながら導光部材23の先端まで導光し、レンズ部23bに導入される。延長管20の先端に設けられた照射部23aから照射された光は、吸口30(
図1参照)の前方の床面(掃除面)を照射する。なお、延長管20にレンズ部23bを備えてなくてもよいが、レンズ部23bを設けることにより、照射部23aからの照射範囲Qをさらに拡大することができ、ユーザの使い勝手を向上できる。
【0020】
図5は、吸口を正面に向けたときと90度回転させたときの照射範囲を示す模式図である。なお、
図5の左図は、吸口30を正面に向けたときであり、
図5の右図は、吸口30を右側に90度回転させたときである。また、
図5の左図および右図において、照射範囲を1点鎖線で示している。
図5の左図および右図に示すように、延長管20に接続される吸口30は、電動式のブラシ(不図示)を備えた本体30aと、延長管20と接続される継手部30bとを備えて構成されている。この継手部30bは、本体30aに対して、上下方向(紙面奥行き方向)と左右方向に回転自在に接続されている。このようにすることで、使用者によるハンドル部12のねじり動作により吸口30の左右方向に90度ずつ方向を変えることができる。すなわち、ハンドル部12および吸口30が正面方向を向いている状態において、ハンドル部12を約90度ねじることで、吸口30も約90度曲がるようになっている。
【0021】
図5の左図に示すように、延長管20に対して吸口30が前方を向くように配置された場合には、導光部材23が延長管20の上部に位置する。導光部材23の先端から照射された光は、前方に向けて上下左右に拡散し、吸口30の前方の床面(掃除面)が照らされる。
【0022】
また、
図5の右図に示すように、使用者がハンドル部12のねじり動作によって本体30aを右側に90度ひねって回転させることで、延長管20も右側に90度回転するように構成されている。なお、このような吸口30は、公知の方法によって構成されている。
【0023】
このように、延長管20の先端に照射部23aが設けられているので、吸口30を90度回転させた場合にも、吸口30の本体30aの前方の床面(掃除面)を照らすことができる。床面(掃除面)に光を照射することで、光を照射しない場合に比べてごみの視認性が上がり、ごみを吸引した際の使用者の掃除の達成感向上につながる。
【0024】
また、
図6の左図に示すように、ハンドル部12を右側に90度ひねった場合に、吸口30の本体30aが前方を向くように構成してもよい。また、図示していないが、ハンドル部12を左側に90度ひねった場合も同様に、吸口30の本体30aが前方を向くように構成されている。これにより、導光部材23の先端から照射された光は、右側に向けて上下左右に拡散し、前方の右寄り(掃除面)が照らされる。このように、本体30aを前方に向けた状態で、照射部23aからの照射範囲を右側や左側に変更することができ、吸口30の前方を含めた周囲のごみの視認性を向上できる。
【0025】
また、
図6の右図に示すように、ハンドル部12は上向きのままで、吸口30の本体30aが90度右側を向くように構成してもよい。また、図示していないが、ハンドル部12は上向きのままで、吸口30の本体30aが90度右側を向くように構成されている。これにより、導光部材23の先端から照射された光は、前方に向けて上下左右に拡散し、前方の床面(掃除面)が照らされる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態は、掃除機本体1に接続される延長管20であって、掃除機本体1に接続される伸縮機能を備えていない管部21と、管部21に設けられ、当該管部21の先端に接続される吸口30に電力を供給する電線22と、管部21に設けられ、掃除機本体1に設けられた光源14の光を管部21の先端に導く導光部材23と、管部21の先端に設けられ、導光部材23を導光した光を床面に照射する照射部23aと、を備える。これによれば、吸口30まで導光部材を設ける必要がなく、もしくは光源14とは別体で吸口30自体に光源を設ける必要がなく、また延長管20が伸縮機能を備えていないので、床面を照射する構造を簡単にすることができ、しかも延長管20に接続した吸口30を隙間用の吸口(付属品)に取り換えて掃除したとしても、床面を照らすことができ、使い勝手が損なわれることがない。
【0027】
また、本実施形態において、管部21の先端には、導光部材23を導光した光の照射範囲Qを拡大させるレンズ部23bを備える。これによれば、照射範囲Qが拡大することで、使い勝手を向上できる。
【0028】
また、本実施形態において、導光部材23は、電線22よりも外側に配置されている。これによれば、延長管20の先端に吸口30を接続したときに、延長管20の先端から導光部材23の照射部23aを露出させることができ、吸引した空気の漏れを生じさせることなく、また掃除機本体1との電気的な接続構造を複雑にすることなく、床面に対して照射が可能になる。
【0029】
また、本実施形態の電気掃除機100は、延長管20を備えている。これによれば、延長管20に吸口30やその他の種類の吸口を接続したとしても、吸口30またはその他の種類の吸口の前方の床面(掃除面)を照らすことができる。
【0030】
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば、管部(パイプ部)21を透明化して、管部21の内側を視認できるようにしてもよい。この場合の管部21の材質は、透明ポリプロピレン樹脂によって構成することができる。これにより、意匠性を向上することができる。また、管部21を透明化することで、管部21内におけるごみ詰まりを容易に判断することができる。
【0031】
また、本実施形態の延長管20は、スティックタイプの電気掃除機10に替えてキャニスタタイプの電気掃除機に適用することができる。すなわち、ホースに接続される延長管20であって、ホースに接続される伸縮機能を備えていない管部21と、管部21に設けられ、当該管部21の先端に接続される吸口30に電力を供給する電線22と、管部21に設けられ、ホースに設けられた光源14の光を管部21の先端に導く導光部材23と、管部21の先端に設けられ、導光部材23を導光した光を床面に照射する照射部23aと、を備える。なお、ここでのホースは、ハンドル部や操作スイッチを備えた手元操作部が取り付けられたものである。このホースの一端には、電動送風機、集塵部および車輪などが設けられた掃除機本体が接続され、他端には延長管20が接続され、延長管20の先端には吸口30が接続されて構成される。このようなタイプの電気掃除機に接続される延長管20においても、簡単な構造で掃除面を照らすことが可能になる。
【符号の説明】
【0032】
1 掃除機本体
2 集塵ケース
3 蓄電池
10 電気掃除機
13 接続凹部
14 光源
20 延長管(電気掃除機用延長管)
21 管部
22 電線(導電部材)
22a 接続ピン
23 導光部材
23a 照射部
23b レンズ部(レンズ)
23c 端面
30 吸口
Q 照射範囲