(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099905
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】貨幣収納装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/26 20190101AFI20240719BHJP
G07D 11/23 20190101ALI20240719BHJP
G07D 11/235 20190101ALI20240719BHJP
【FI】
G07D11/26
G07D11/23
G07D11/235
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003517
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 昌樹
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141CA06
3E141DA06
3E141GA04
3E141GB03
3E141HA09
3E141KC03
3E141KC04
3E141LA41
3E141LA49
(57)【要約】
【課題】大幅なコストアップなしに、貨幣の詰まりが発生した際に詰まりの解消作業を補助することができる貨幣収納装置を提供する。
【解決手段】硬貨釣銭機(貨幣収納装置)は、受け入れた硬貨の種別および枚数を計数する受入計数部と、受入計数部の計数結果を累積することによって、収納している硬貨の種別および枚数を算出する収納状態算出部(算出部)と、出金または回収された硬貨の種別および枚数を計数する出金計数部と、収納状態算出部が算出した硬貨の種別および枚数と、硬貨を回収した際に出金計数部が計数した硬貨の種別および枚数とに不整合がある場合、または、指示された出金内容と、出金計数部が計数した硬貨の種別および枚数とに不整合がある場合に、硬貨の収納部を覆う蓋部が開かれたことを条件として、収納部の内部を照らすLED(照明装置)を点灯させる照明制御部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から受け入れた貨幣の種別および枚数を計数する受入計数部と、
前記受入計数部の計数結果を累積することによって、収納している貨幣の種別および枚数を算出する算出部と、
出金または回収された貨幣の種別および枚数を計数する出金計数部と、
前記算出部が算出した貨幣の種別および枚数と、貨幣を回収した際に前記出金計数部が計数した貨幣の種別および枚数とに不整合がある場合、または、指示された出金内容と、前記出金計数部が計数した貨幣の種別および枚数と、に不整合がある場合に、貨幣の収納部を覆う蓋部が開かれたことを条件として、前記収納部の内部を照らす照明装置を点灯させる照明制御部と、を備える、
貨幣収納装置。
【請求項2】
前記照明装置は、前記収納部に収納された貨幣の種別毎に設置されて、
前記照明制御部は、不整合が発生した貨幣の種別に対応する前記照明装置を点灯させる、
請求項1に記載の貨幣収納装置。
【請求項3】
前記照明制御部は、前記蓋部が閉じられた際に、前記照明装置を消灯させる、
請求項1または請求項2に記載の貨幣収納装置。
【請求項4】
前記照明制御部は、前記算出部が算出した貨幣の種別および枚数と、貨幣を回収した際に、前記出金計数部が計数した貨幣の種別および枚数とが一致して、尚且つ、指示された出金内容と、前記出金計数部が計数した貨幣の種別および枚数とが一致している場合に、貨幣の収納部を覆う蓋部が開かれたことを条件として、全ての前記照明装置を点灯させる、
請求項2に記載の貨幣収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、貨幣収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外部から取り込んだ硬貨の正否を識別し、正常であると識別された硬貨を金種別に分けて収納する硬貨収納装置が知られている。
【0003】
このような硬貨収納装置において、硬貨詰まりが発生した場合には、硬貨収納装置の蓋部を開いて、硬貨の詰まりを取り除く必要があるが、収納部の奥は暗いため、詰まりの状況を確認しにくく、作業性が悪かった。一方、硬貨収納装置の内部にカメラ等の撮像部を設置して、硬貨収納装置の内部の様子を画像化してモニタする技術が開示されている(例えば、特許文献1)。そして、特許文献1には、鮮明な画像を撮像するために、硬貨収納装置の内部にLEDライトを設置することが開示されている。しかしながら、撮像部を設置する必要があるため、装置の構造が複雑になって、コストアップを招いてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、大幅なコストアップなしに、貨幣の詰まりが発生した際に詰まりの解消作業を補助することができる貨幣収納装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の貨幣収納装置は、受入計数部と、算出部と、出金計数部と、照明制御部とを備える。受入計数部は、外部から受け入れた貨幣の種別および枚数を計数する。算出部は、受入計数部の計数結果を累積することによって、収納している貨幣の種別および枚数を算出する。出金計数部は、出金または回収された貨幣の種別および枚数を計数する。照明制御部は、算出部が算出した貨幣の種別および枚数と、貨幣を回収した際に出金計数部が計数した貨幣の種別および枚数とに不整合がある場合、または、指示された出金内容と、出金計数部が計数した貨幣の種別および枚数とに不整合がある場合に、貨幣の収納部を覆う蓋部が開かれたことを条件として、収納部の内部を照らす照明装置を点灯させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態の硬貨釣銭機の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態の硬貨釣銭機の内部構造の概略を示すXY断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態の硬貨釣銭機の内部構造の概略を示すYZ断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態の硬貨釣銭機のハードウエア構成の一例を示すハードウエアブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態の硬貨釣銭機の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態の硬貨釣銭機が行う照明点灯処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示を適用した硬貨釣銭機10について、図面を参照して説明する。
【0008】
(硬貨釣銭機の概略構造)
図1,
図2,
図3を用いて、硬貨釣銭機10の概略構造を説明する。
図1は、実施形態に係る釣銭機の一例を示す外観図である。
図2は、実施形態の釣銭機の内部構造の概略を示すXY断面図である。
図3は、実施形態の釣銭機の内部構造の概略を示すYZ断面図である。
【0009】
図1に示すように、硬貨釣銭機10は、入金口40と、リジェクト受皿41と、収納庫42と、蓋部43と、出金口44と、表示デバイス45とを備える。なお、硬貨釣銭機10は、本開示における貨幣収納装置の一例である。
【0010】
入金口40は、外部に開かれた開口46(
図2参照)を有し、開口46から硬貨を受け入れて、硬貨を硬貨釣銭機10の内部へ取り込む。取り込まれた硬貨は、後述する識別部47(
図2参照)で識別されて、正常であると判断された硬貨は、金種毎に、収納庫42に収納される。なお、識別部47において、正常でないと判断された硬貨は、リジェクト受皿41に排出される。
【0011】
収納庫42の上方には、開閉可能な蓋部43が設置される。作業者は、蓋部43を開いて、収納庫42の内部を目視確認することができる。
【0012】
表示デバイス45は、硬貨釣銭機10の動作に係る情報を表示する。硬貨釣銭機10の動作に係る情報とは、例えば、硬貨詰まり等の不具合が発生したことを示す情報、釣銭がないことを示す情報、投入された硬貨の合計金額を示す情報、釣銭の出金額を示す情報などである。なお、表示デバイス45は、例えば、液晶パネルや有機ELパネルである。
【0013】
硬貨釣銭機10は、入金口40から入金された入金額に対する釣銭としての出金額を算出する。そして、算出された出金額に対応する硬貨を、出金口44から出金する。
【0014】
更に、硬貨釣銭機10は、
図2に示す識別部47と、搬送部48と、リジェクト部51と、収納部52と、LED20とを備える。
【0015】
識別部47は、入金口40から入金された硬貨の正否を識別する。識別部47による識別方法は問わないが、例えば、光学的な手法、または機械的な手法によって、正しい硬貨であるかの識別が行われる。
【0016】
搬送部48は、入金口40から識別部47を経て収納部52まで硬貨を搬送する。搬送部48は、搬送面49と搬送ベルト50とを有している。搬送面49は、金属板で形成された平面で、硬貨を下面から支える。搬送ベルト50は、エンドレスベルトであって、一対のプーリ(不図示)によって所定の張力で張られて搬送面49上に配され、一方のプーリが駆動されることによって回転する。搬送ベルト50は、搬送面49上の硬貨の上面に接して回転することによって、硬貨を搬送面49に沿って滑らせて収納部52へと搬送する。
【0017】
リジェクト部51は、搬送面49に形成された孔(非図示)と、当該孔を開閉する開閉部(非図示)とを有し、識別部47の出力に基づいて開閉部に孔を開閉させることにより、異常硬貨を、穴から落下させて、リジェクト受皿41に排出する
【0018】
収納部52は、識別部47が正常であるとした硬貨(正常硬貨、正貨)を、金種毎に決められたレーンに収納する。具体的には、収納部52は、硬貨を収納する6個のレーンを有して、各レーンに、それぞれ、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨をそれぞれ厚さ方向に整列させて収納する。
【0019】
LED20は、収納部52を構成するレーン毎に設置されて、収納部53の奥(
図2におけるY軸負側)を照明する。即ち、LED20は6個設置されて、例えば、LED21は1円硬貨が収納されるレーンの奥を照らす。LED22は5円硬貨が収納されるレーンの奥を照らす。LED23は10円硬貨が収納されるレーンの奥を照らす。LED24は50円硬貨が収納されるレーンの奥を照らす。LED25は100円硬貨が収納されるレーンの奥を照らす。LED26は500円硬貨が収納されるレーンの奥を照らす。なお、硬貨釣銭機10は、蓋部43が開放されたときのみ、LED20を点灯させればよい。
【0020】
全てのLED20は、
図3に示すように、照射角φを有する。そして、照射角φの中心線、即ちLED20の光軸28は、いずれも収納部52の奥(Y軸負側)を向くように設置される。これによって、収納部52の奥側が明るく照らされる。なお、LED20は直流点灯される。また、LED20の発光波長は問わないが、視認性を上げるために、特定の波長の光ではなく、多くの波長域の光を含む白色光を用いるのが望ましい。LED20は、本開示における照明装置の一例である。
【0021】
作業者は、開放された蓋部43から収納庫42における収納部52の奥を覗き込んだ際に、LED20によって照らされた、収納部52の奥の硬貨の状態を容易に目視確認することができる。そして、作業者は、収納部52の奥に指を入れて、容易に硬貨詰まりを解消することができる。
【0022】
なお、後述するように、硬貨釣銭機10は、詰まりが発生した硬貨の種別を特定することができる。したがって、硬貨釣銭機10は、蓋部43が開放された際に、詰まりが発生したレーンに設置されたLED、即ち、LED21,22,23,24,25,26のうち、詰まりが発生した硬貨種別に対応するLEDのみを点灯させるのが望ましい。勿論、硬貨釣銭機10は、蓋部43が開放された際に、全てのLEDを点灯させてもよい。
【0023】
なお、点灯したLED20は、蓋部43を閉じた際に消灯させる。
【0024】
(硬貨釣銭機のハードウエア構成)
図4を用いて、硬貨釣銭機10のハードウエア構成を説明する。
図4は、実施形態の硬貨釣銭機のハードウエア構成の一例を示すハードウエアブロック図である。
【0025】
図4に示すように、硬貨釣銭機10は、制御部11を備えている。制御部11は、硬貨釣銭機10に係る各種処理を実行するCPU(Central Processing Unit)111と、記憶媒体であるROM(Read Only Memory)112およびRAM(Random Access Memory)113を備える。ROM112は、CPU111が実行する各種プログラムや各種データ等を記憶する。RAM113は、CPU111が各種プログラムを実行する際に、一時的にデータやプログラムを記憶する。即ち、制御部11は、一般的なコンピュータの構成を有する。
【0026】
制御部11は、内部バスを介して、記憶部12および各種周辺機器と接続する。
【0027】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置である。また、記憶部12は、電源を切っても記憶情報が保持されるフラッシュメモリ等の不揮発性メモリであってもよい。記憶部12は、制御プログラム121と収納状態データ122とを記憶する。
【0028】
制御プログラム121は、硬貨釣銭機10の全体の動作を制御するプログラムである。
【0029】
なお、本実施形態の硬貨釣銭機10で実行される制御プログラム121は、CD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、制御プログラム121を、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよく、更には、制御プログラム121を、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0030】
収納状態データ122は、その時点で硬貨釣銭機10の収納部52に収納されている硬貨の種別と枚数とを示すデータファイルである。硬貨釣銭機10は、新たな入金または出金がなされる都度、入金または出金される硬貨の種別と枚数とを計数することによって、収納状態データ122を更新する。
【0031】
また、制御部11は、硬貨釣銭機10に所要の機能を発揮させるために必要な各種周辺機器と接続する。具体的には、制御部11は、内部バスを介して、入金硬貨識別センサ13と、出金硬貨計数センサ14と、蓋部開閉センサ15と、LEDドライバ16と、通信インタフェース17と、表示デバイス45と接続する。
【0032】
入金硬貨識別センサ13は、外部から受け入れた硬貨が正しい硬貨であるかを識別する。また、入金硬貨識別センサ13は、外部から受け入れた硬貨の種別および枚数を計数する。
【0033】
出金硬貨計数センサ14は、出金または回収された硬貨の種別および枚数を計数する。
【0034】
蓋部開閉センサ15は、蓋部43の開閉状態を検出する。
【0035】
LEDドライバ16は、LED21,22,23,24,25,26を、それぞれ独立して点灯または消灯させる。
【0036】
通信インタフェース17は、硬貨釣銭機10とPOS端末等の会計機とを接続する。硬貨釣銭機10は、通信インタフェース17を介して、会計機との間で、入金額や出金額、釣銭額等に係る情報を通信する。
【0037】
表示デバイス45は、硬貨釣銭機10の動作状態に係る各種情報を表示する。
【0038】
(硬貨釣銭機の機能構成)
図5を用いて、硬貨釣銭機10の機能構成を説明する。
図5は、実施形態の硬貨釣銭機の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0039】
硬貨釣銭機10の制御部11は、制御プログラム121をRAM113に展開して動作させることによって、
図5に示す受入計数部31と、収納状態算出部32と、出金指示部33と、出金計数部34と、硬貨詰まり検出部35と、報知制御部36と、蓋部開閉検出部37と、照明制御部38と、通信制御部39とを機能部として実現する。なお、これらの機能の一部または全ては、専用ハードウエアによって実現されてもよい。
【0040】
受入計数部31は、外部から受け入れた硬貨の種別および枚数を計数する。また、受入計数部31は、受け入れた硬貨が正常な硬貨であるかを識別する。また、受入計数部31は、受け入れた硬貨が正常な硬貨でない場合に、当該硬貨をリジェクト受皿41に排出するリジェクト動作を行う。
【0041】
収納状態算出部32は、受入計数部31の計数結果を累積することによって、収納部52が収納している硬貨の種別および枚数を算出する。収納状態算出部32は、本開示における算出部の一例である。
【0042】
出金指示部33は、受入計数部31の計数結果と、必要な入金額とを比較することによって釣銭額を算出して、出金計数部34に出金を指示する。また、出金指示部33は、硬貨釣銭機10の操作指示に基づいて、出金計数部34に、収納部52に収納された硬貨の回収を指示する。
【0043】
出金計数部34は、出金指示または回収指示を受け付けた際に、出金または回収を行う。また、出金計数部34は、出金または回収された硬貨の種別および枚数を計数する。
【0044】
硬貨詰まり検出部35は、収納状態算出部32が算出した硬貨の種別および枚数と、硬貨を回収した際に出金計数部34が計数した硬貨の種別および枚数とに不整合があるかを判定する。そして、不整合がある場合に、硬貨詰まりが発生したと判定する。また、硬貨詰まり検出部35は、出金指示部33が指示した出金内容と、出金計数部34が計数した硬貨の種別および枚数とに不整合があるかを判定する。そして、不整合がある場合に、硬貨詰まりが発生したと判定する。
【0045】
報知制御部36は、硬貨詰まり検出部35が、硬貨詰まりの発生を検出した際に、表示デバイス45に、硬貨詰まりが発生したことを示す情報を提示する。なお、報知制御部36は、
図4に非図示のブザーを吹鳴させることによって、硬貨詰まりが発生したことを報知してもよい。
【0046】
蓋部開閉検出部37は、蓋部43の開閉状態を検出する。
【0047】
照明制御部38は、収納状態算出部32が算出した硬貨の種別および枚数と、硬貨を回収した際に出金計数部34が計数した硬貨の種別および枚数とに不整合がある場合、または、出金指示部33が指示した出金内容と、出金計数部34が計数した硬貨の種別および枚数とに不整合がある場合に、硬貨の収納部52を覆う蓋部43が開かれたことを条件として、収納部52の内部を照らすLED20(照明装置)を点灯させる。また、照明制御部38は、前述した不整合が発生した硬貨の種別に対応するLED20を点灯させる。また、照明制御部38は、蓋部43が閉じられた際に、LED20を消灯させる。また、照明制御部38は、収納状態算出部32が算出した硬貨の種別および枚数と、硬貨を回収した際に、出金計数部34が計数した硬貨の種別および枚数とが一致して、尚且つ、指示された出金内容と、出金計数部34が計数した硬貨の種別および枚数とが一致している場合に、硬貨の収納部52を覆う蓋部43が開かれたことを条件として、全てのLED20を点灯させる。
【0048】
通信制御部39は、硬貨釣銭機10と非図示の会計機との間で、入金額や出金額、釣銭額等に係る情報を通信する。
【0049】
(硬貨釣銭機が行う照明点灯処理の流れ)
図6を用いて、硬貨釣銭機10が行う照明点灯処理の流れを説明する。
図6は、実施形態の硬貨釣銭機が行う照明点灯処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0050】
受入計数部31は、外部から硬貨を受け入れたか、即ち硬貨が投入されたかを判定する(ステップS11)。外部から硬貨を受け入れたと判定される(ステップS11:Yes)とステップS12に進む。一方、外部から硬貨を受け入れたと判定されない(ステップS11:No)とステップS11を繰り返す。
【0051】
ステップS11において、外部から硬貨を受け入れたと判定されると、受入計数部31は、受け入れた硬貨が正常な硬貨であるかを判定する(ステップS12)。受け入れた硬貨が正常な硬貨であると判定される(ステップS12:Yes)とステップS13に進む。一方、受け入れた硬貨が正常な硬貨であると判定されない(ステップS12:No)とステップS14に進む。
【0052】
ステップS12において、受け入れた硬貨が正常な硬貨であると判定されると、受入計数部31は、受け入れた硬貨の種別と枚数とを計数する(ステップS13)。その後、ステップS15に進む。
【0053】
一方、ステップS12において、受け入れた硬貨が正常な硬貨であると判定されないと、受入計数部31は、リジェクト受皿41に排出する(ステップS14)。その後、ステップS11に戻る。
【0054】
ステップS13に続いて、収納状態算出部32は、硬貨の収納状態を示す収納状態データ122を更新する(ステップS15)。
【0055】
出金計数部34は、出金指示部33から硬貨の出金指示が出されたかを判定する(ステップS16)。硬貨の出金指示が出されたと判定される(ステップS16:Yes)とステップS17に進む。一方、硬貨の出金指示が出されたと判定されない(ステップS16:No)と、硬貨釣銭機10は、
図6の処理を終了する。
【0056】
ステップS16において、硬貨の出金指示が出されたと判定されると、出金計数部34は、出金する硬貨の種別と枚数とを計数する(ステップS17)。
【0057】
硬貨詰まり検出部35は、出金指示された金額に対して実際に出金された金額が少ない、いわゆる過少放出がないかを判定する(ステップS18)。過少放出がないと判定される(ステップS18:Yes)とステップS24に進む。一方、過少放出がないと判定されない(ステップS18:No)、即ち過少放出があると判定されるとステップS19に進む。
【0058】
ステップS18において、過少放出があると判定されると、報知制御部36は、表示デバイス45に、硬貨詰まりが発生したことを示す報知を行う(ステップS19)。
【0059】
蓋部開閉検出部37は、蓋部43が開いたかを判定する(ステップS20)。蓋部43が開いたと判定される(ステップS20:Yes)とステップS21に進む。一方、蓋部43が開いたと判定されない(ステップS20:No)とステップS20を繰り返す。
【0060】
ステップS20において、蓋部43が開いたと判定されると、照明制御部38は、枚数の不整合がある硬貨に対応するLED20を点灯させる(ステップS21)。
【0061】
蓋部開閉検出部37は、蓋部43が閉じたかを判定する(ステップS22)。蓋部43が閉じたと判定される(ステップS22:Yes)とステップS23に進む。一方、蓋部43が閉じたと判定されない(ステップS22:No)とステップS22を繰り返す。
【0062】
ステップS22において、蓋部43が閉じたと判定されると、照明制御部38は、点灯しているLED20を消灯させる(ステップS23)。その後、硬貨釣銭機10は、
図6の処理を終了する。
【0063】
ステップS18に戻り、ステップS18において、過少放出がないと判定されると、出金計数部34は、出金指示部33から硬貨の回収指示が出されたかを判定する(ステップS24)。硬貨の回収指示が出されたと判定される(ステップS24:Yes)とステップS25に進む。一方、硬貨の回収指示が出されたと判定されない(ステップS24:No)と、硬貨釣銭機10は、
図6の処理を終了する。
【0064】
ステップS24において、硬貨の回収指示が出されたと判定されると、出金計数部34は、回収する硬貨の種別と枚数とを計数する(ステップS25)。
【0065】
硬貨詰まり検出部35は、収納部52における硬貨の収納状態と、出金計数部34が計数した回収された硬貨の種別および枚数とが一致しているかを判定する(ステップS26)。両者が一致すると判定される(ステップS26:Yes)と、硬貨釣銭機10は、
図6の処理を終了する。一方、両者が一致すると判定されない(ステップS26:No)とステップS19に進む。その後、前述した処理を行う。
【0066】
なお、硬貨釣銭機10のメンテナンスを行う際に、収納部52の奥の視認性を上げるために、硬貨詰まりが発生していない状態で蓋部43が開かれた際に、照明制御部38は、全てのLED20(21,22,23,24,25,26)を点灯させるようにしてもよい。
【0067】
また、ここでは、硬貨釣銭機10を例にあげて説明したが、本開示は、紙幣と硬貨を共に収納する貨幣収納装置に対しても、同様に適用することができる。
【0068】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態の硬貨釣銭機10(貨幣収納装置)は、外部から受け入れた硬貨の種別および枚数を計数する受入計数部31と、受入計数部31の計数結果を累積することによって、収納している硬貨の種別および枚数を算出する収納状態算出部32(算出部)と、出金または回収された硬貨の種別および枚数を計数する出金計数部34と、収納状態算出部32が算出した硬貨の種別および枚数と、硬貨を回収した際に出金計数部34が計数した硬貨の種別および枚数とに不整合がある場合、または、指示された出金内容と、出金計数部34が計数した硬貨の種別および枚数と、に不整合がある場合に、硬貨の収納部52を覆う蓋部43が開かれたことを条件として、収納部52の内部を照らすLED20(照明装置)を点灯させる照明制御部38と、を備える。したがって、LED20を設置するのみで、大幅なコストアップなしに、硬貨の詰まりが発生した際に詰まりの解消作業を補助することができる。
【0069】
また、本実施形態の硬貨釣銭機10(貨幣収納装置)において、LED20(照明装置)は、収納部52に収納された硬貨の種別毎に設置されて、照明制御部38は、不整合が発生した硬貨の種別に対応するLED20を点灯させる。したがって、収納部52のうち、詰まりが発生した硬貨の種別に対応するレーンのみが照明されるため、LED20の消費電力を節約することができる。
【0070】
また、本実施形態の硬貨釣銭機10(貨幣収納装置)において、照明制御部38は、蓋部43が閉じられた際に、LED20(照明装置)を消灯させる。したがって、特別な操作を行うことなく、LED20を消灯させることができる。
【0071】
また、本実施形態の硬貨釣銭機10(貨幣収納装置)において、照明制御部38は、収納状態算出部32(算出部)が算出した硬貨の種別および枚数と、硬貨を回収した際に、出金計数部34が計数した硬貨の種別および枚数とが一致して、尚且つ、指示された出金内容と、前記出金計数部が計数した硬貨の種別および枚数とが一致している場合に、硬貨の収納部52を覆う蓋部43が開かれたことを条件として、全てのLED20を点灯させる。したがって、例えば、硬貨釣銭機10のメンテナンス作業を行う際に、収納部52の奥の視認性を向上させることができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例示であり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
10 硬貨釣銭機(貨幣収納装置)
20,21,22,23,24,25,26 LED(照明装置)
28 光軸
31 受入計数部
32 収納状態算出部(算出部)
33 出金指示部
34 出金計数部
35 硬貨詰まり検出部
36 報知制御部
37 蓋部開閉検出部
38 照明制御部
39 通信制御部
40 入金口
41 リジェクト受皿
42 収納庫
43 蓋部
44 出金口
45 表示デバイス
46 開口
47 識別部
48 搬送部
49 搬送面
50 搬送ベルト
51 リジェクト部
52 収納部
φ 照射角
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】