(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099910
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】魚の締め具
(51)【国際特許分類】
A22B 3/08 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A22B3/08
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003528
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】520037566
【氏名又は名称】杉内 博之
(72)【発明者】
【氏名】杉内 博之
(57)【要約】
【課題】 魚の脳を破壊した後に神経棒と呼ばれる針金で神経を傷つける処理方法は、魚の鼻穴などから神経弓門内に針金を差し込まなくてはならず容易な作業ではなく多くの経験が必要であり一般の釣り人には難易度が高い。また、針金では神経の切断はできないので魚の品質にバラツキが生じやすいという問題がある。よって、手軽な方法で行えて、処理時間が短くバラツキが生じない締め具を提供しなければならないという課題がある。
【解決手段】 本発明の締め具101は、先端部5が湾曲形状になっている。この形状が突き刺し時に先端部5の直進を邪魔することになり進行方向が延髄方向へ曲っていく。その湾曲の度合いである角度は20~40度が適切であり、経験が浅くても延髄に先端部5が到達する。また凹凸6を有しているので効率よく破壊や神経切断が出来る。よって簡易な方法で且つ短時間で多くの釣り人が質の高い魚の処理が行える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活魚の頭蓋内の脳に突き刺すことで即殺し延髄に繋がる神経を切断する締め具であって、尖頭形である前記締め具の先端部は、突き刺し時に前記頭蓋内の前記延髄の方向へ斜めに誘導されるよう湾曲形状とし、湾曲部の表面に複数の凹凸を形成した攪乱部であること、を特徴とする締め具
【請求項2】
前記締め具の前記先端部が前記頭蓋内から頭蓋外へ貫通することを防ぐための移動できるリング状部材を、基軸が挿通した状態で有することを特徴とする請求項1の締め具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
釣り人が魚を即殺し延髄に繋がる神経切断を一連の作業で行う締め具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
刃物等で魚の脳を破壊した後に、神経棒と呼ばれる針金で神経を傷つける処理方法が一般的であるが、高圧ガスや真空吸引で神経を完全除去する技術も存在する。ただ、いずれの方法も容易な作業ではなく経験が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6019451
【特許文献2】特許6929500
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
刃物等で魚の脳を破壊した後に神経棒と呼ばれる針金で神経を傷つける処理方法は、魚の鼻穴などから神経弓門内に針金を差し込まなくてはならず容易な作業ではなく多くの経験が必要であり一般の釣り人には難易度が高い。また、針金では神経の切断はできないので神経破壊にバラツキが生じやすいうえに、作業時間が長いので魚が暴れて毛細血管が傷つき内出血を起こしてしまう問題がある。また、釣り人が現地で高圧ガスや真空吸引を行うには専用の機器を持ち運ぶ必要があり現実的ではない。このことにより、手軽な方法で行えて且つ確実に神経切断する締め具を提供しなければならないとう課題がある。また簡易なやり方では鰓ブタの中に刃物を入れて背骨ごと切断する手段もあるが背骨が切断された魚は市場価値が低い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、活魚の頭蓋内の脳に突き刺すことで即殺し延髄に繋がる神経を切断する締め具であって、尖頭形である前記締め具の先端部は、突き刺し時に前記頭蓋内の前記延髄の方向へ斜めに誘導されるよう湾曲形状とし、湾曲部の表面に複数の凹凸を形成した攪乱部であること、を特徴とする締め具である。
【0006】
本発明は、前記締め具の前記先端部が前記頭蓋内から頭蓋外へ貫通することを防ぐための移動できるリング状部材を、基軸が挿通した状態で有することを特徴とする請求項1の締め具である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、活魚の頭蓋内の脳に突き刺すことで即殺し延髄に繋がる神経を切断する締め具であって、尖頭形である前記締め具の先端部は、突き刺し時に前記頭蓋内の前記延髄の方向へ斜めに誘導されるよう湾曲形状とし、湾曲部の表面に複数の凹凸を形成した攪乱部であること、を特徴とする締め具なので、湾曲形状である先端部が魚の頭蓋内を直進することが出来ず、頭蓋内骨沿いに延髄まで誘導されることになり、経験が浅くても延髄を破壊することが出来る。また、複数の凹凸がある攪乱部が神経を効率よく短い時間で切断するので、魚の暴れる時間が最小になり内出血を防ぐことになる。さらには、背骨を切断することもないので市場価値が下がらない。
【0008】
本発明は、前記締め具の前記先端部が前記頭蓋内から頭蓋外へ貫通することを防ぐための移動できるリング状部材を、基軸が挿通した状態で有することを特徴とする請求項1の締め具なので、突き刺す深さの目安となるようにリング状部材の位置を調整することができ、先端部が頭蓋外へ貫通することを未然に防止できる。また、適度な力で作業されるなら貫通防止ストッパーにもなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は本発明の実施例1を説明する図である。 a)側面から見た図 b)上方から見た図
【
図2】
図2は本発明の実施例2を説明する図である。
【
図3】
図3は魚の脳構造及び締め方を説明するものである。 a)側面から見た図 b)上方から見た図
【発明を実施するための形態】
【0010】
下記の実施例をもって発明を実施するための形態を説明する。
【実施例0011】
図1は、本発明の実施例1である。締め具101は尖頭形である先端部5が湾曲形状になっている。このことで先端部5は突き刺し方向へ直進できずに、延髄方向へ誘導されることになる。詳しくは脳構造とあわせて
図3にて説明する。湾曲の度合いである角度は基軸1に対し20~40度程度が適切であり、最先端2の基軸1との高低差である高さ8は+2~15mmがよい。湾曲が小さすぎると直進性が高く他へ先端部5が貫通してしまう。また、大きすぎると頭蓋に突き刺す作業がやりづらい。また、高さ8がマイナスだと直進性が高いので目的が達成できない。魚市場で使用されている締め具は手鈎と呼ばれ、先端側が基軸に対し90度以上屈曲しているが、これは魚を引っ掛けて運ぶのも目的であり、延髄破壊や神経切断など小さい作業には不向きである。本発明の締め具101の先端部5である攪乱部には凹凸6を有しているので、脳組織の破壊や延髄と神経の接続を効率よく切断できる。凹凸の無い締め具の場合、潰すまでは出来るが切断まで至らないことが多い。
【0012】
図2は、本発明の実施例2である。締め具101に対し締め具102は突き刺す量(深さ)の目安となるリング9を有している。このリング9は移動出来るので魚の大きさに合わせ調整できる。また、リング9は筒状の形状でも効果は同じであり、筒状であっても構わない。締め具102の凹凸は複数の溝10で構成されており、溝でも同じ効果が得られ、螺旋状でも良い。
【0013】
図3は魚の脳構造と締め方を説明する為のものである。一般的に締め具を突き刺すのは魚の側面からであり、頭蓋骨の厚さが一番薄い中脳13の部位に対しまっすぐ(締め具を突き刺す方向20)である。延髄15に向けるよう斜めに突き刺せない理由は締め具が魚の体表のウロコで滑り、魚を抑えている手に刺さり怪我をするからである。経験が少ない釣り人は過度に力が入り逆側まで貫通させることがある。突き刺した後は目標である延髄15と神経弓門内の神経16は左下に位置することになるが、魚は完全に死んでいないので暴れるために延髄15を探し出せない人が多い。本発明では経験が浅くてもあらかじめ締め具の最先端を延髄15の方向に向けておけば先端部が延髄15方向へ進みやすい。また、魚の逆側に貫通するのを防ぐことにもなる。神経弓門内の神経16を探り当てるには他へ貫通しないことも重要であり締め具先端が誘導されることに大きな意味がある。この締め具を使用すれば脳及び延髄破壊・神経切断が一突きで行えるようになり多くの人が使用出来る。さらには、魚が暴れる時間が最小になるので毛細血管が傷つかずに内出血することもなくなる。