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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099911
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/79 20180101AFI20240719BHJP
   F24F 1/0029 20190101ALI20240719BHJP
   F24F 1/0033 20190101ALI20240719BHJP
   F24F 11/43 20180101ALI20240719BHJP
   F24F 1/0358 20190101ALI20240719BHJP
   F24F 1/022 20190101ALI20240719BHJP
   F24H 3/04 20220101ALI20240719BHJP
   F24H 15/35 20220101ALI20240719BHJP
   F24H 15/20 20220101ALI20240719BHJP
   F24H 15/128 20220101ALN20240719BHJP
【FI】
F24F11/79
F24F1/0029
F24F1/0033
F24F11/43
F24F1/0358
F24F1/022
F24H3/04 302
F24H15/35
F24H15/20
F24H15/128
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003533
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】山岸 嵩武
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 裕香
【テーマコード(参考)】
3L028
3L049
3L260
【Fターム(参考)】
3L028BA03
3L028BB04
3L028BD02
3L049BB07
3L049BC01
3L049BD03
3L049BD05
3L260AB05
3L260AB13
3L260AB20
3L260BA05
3L260BA07
3L260BA08
3L260BA36
3L260BA73
3L260CB90
3L260DA09
3L260FA07
3L260FA08
3L260FC05
(57)【要約】
【課題】送風路の通風量を増加させることが可能な空気調和機を提供する。
【解決手段】除湿ユニット側制御部70は、送風路64の通風量を所定の通風量よりも上げる特定モードの実施時、ファンモータ135が送風方向から外れた所定位置へ送風部130を首振りさせ、シロッコファン62及び/又はファン136を駆動させる。特定モードの実施時、図13で示すように吹出口41から送風される空気の送風方向からファンモータ135が外れる位置に送風部130を首振りすることで、送風方向にファンモータ135が位置することでの圧損がなくなるため、送風方向にファンモータ135が位置する場合と比較し送風路64における通風量が増加する。簡易な制御により送風路64における通風量が増加するので、製品性が向上する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調ユニットと、当該空調ユニットの上面に載置される送風ユニットと、を備える空気調和機であって、
前記空調ユニットは、
設置面に面する底面と、上方に面する上面と、前記上面及び前記底面を繋ぐ側面と、を有する筐体と、
前記筐体に配置される吸込口と、
前記筐体に収容され、前記吸込口から吸い込んだ空気を調和する空気調和部と、
前記筐体に収容され、前記空気調和部へ空気を送風する空調側ファンと、
前記上面に配置され、前記空気調和部で調和され送風路を通過した空気を前記上方に吹き出す吹出口と、を有し、
前記送風ユニットは、
前記上面に位置する台座部と、
当該台座部に対して所定方向に沿う首振り軸周りに首振り可能に支持する送風部と、
当該送風部に収容され、前記吹出口から吹き出される空気を送風する送風側ファンが回転駆動可能となるよう軸支するファンモータと、
前記送風部を所定範囲内で首振りさせる首振りモータと、を有し、
指示に応じて駆動部を動作させ、前記送風路が所定の通風量となるよう制御する制御部と、を備え、
前記所定範囲は、前記吹出口から吹き出す空気の送風方向に前記ファンモータが位置する状態を含み、
前記制御部は、前記送風路の通風量を前記所定の通風量よりも上げる特定モードの実施時、前記ファンモータが前記送風方向から外れた所定位置へ前記送風部を首振りさせ、前記空調側ファン及び/又は前記送風側ファンを駆動させることを特徴とした空気調和機。
【請求項2】
前記所定位置は、前記ファンモータと前記送風側ファンの後端との間が前記吹出口と対向した状態であることを特徴とした請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】
前記空気調和部は、冷媒が通流する熱交換器であり、
前記空調ユニットは、
前記筐体に収容され、圧縮機、前記熱交換器である凝縮器、減圧装置、及び前記熱交換器である蒸発器の順に冷媒が循環する冷凍サイクルを有し、
前記特定モードは、前記蒸発器の着霜を取り除く除霜運転であることを特徴とした請求項1又は2記載の空気調和機。
【請求項4】
前記空気調和部は、前記吹出口から吹き出す空気を加熱する加熱ヒータであり、
前記特定モードは、前記加熱ヒータでの加熱終了後に前記筐体内の熱を排出する排熱運転であることを特徴とした請求項1又は2記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機を有する空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空調ユニット上に送風ユニットが載置された空気調和機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登第2544496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、送風ユニットが空調ユニット上に固定されており送風ユニットの位置が変わらないことから、空調ユニットからの送風が送風ユニットの構成部品に衝突することでの圧損があることで、空調ユニット内にあり空気が通過する送風路の通風量を容易に増加させられないことに対し、対応できないため改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、空調ユニットと、当該空調ユニットの上面に載置される送風ユニットと、を備える空気調和機であって、
前記空調ユニットは、
設置面に面する底面と、上方に面する上面と、前記上面及び前記底面を繋ぐ側面と、を有する筐体と、
前記筐体に配置される吸込口と、
前記筐体に収容され、前記吸込口から吸い込んだ空気を調和する空気調和部と、
前記筐体に収容され、前記空気調和部へ空気を送風する空調側ファンと、
前記上面に配置され、前記空気調和部で調和され送風路を通過した空気を前記上方に吹き出す吹出口と、を有し、
前記送風ユニットは、
前記上面に位置する台座部と、
当該台座部に対して所定方向に沿う首振り軸周りに首振り可能に支持する送風部と、
当該送風部に収容され、前記吹出口から吹き出される空気を送風する送風側ファンが回転駆動可能となるよう軸支するファンモータと、
前記送風部を所定範囲内で首振りさせる首振りモータと、を有し、
指示に応じて駆動部を動作させ、前記送風路が所定の通風量となるよう制御する制御部と、を備え、
前記所定範囲は、前記吹出口から吹き出す空気の送風方向に前記ファンモータが位置する状態を含み、
前記制御部は、前記送風路の通風量を前記所定の通風量よりも上げる特定モードの実施時、前記ファンモータが前記送風方向から外れた所定位置へ前記送風部を首振りさせ、前記空調側ファン及び/又は前記送風側ファンを駆動させることを特徴とした。
【0006】
また、請求項2では、前記所定位置は、前記ファンモータと前記送風側ファンの後端との間が前記吹出口と対向した状態であることを特徴とした。
【0007】
また、請求項3では、前記空気調和部は、冷媒が通流する熱交換器であり、
前記空調ユニットは、
前記筐体に収容され、圧縮機、前記熱交換器である凝縮器、減圧装置、及び前記熱交換器である蒸発器の順に冷媒が循環する冷凍サイクルを有し、
前記特定モードは、前記蒸発器の着霜を取り除く除霜運転であることを特徴とした。
【0008】
また、請求項4では、前記空気調和部は、前記吹出口から吹き出す空気を加熱する加熱ヒータであり、
前記特定モードは、前記加熱ヒータでの加熱終了後に前記筐体内の熱を排出する排熱運転であることを特徴とした。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、送風路の通風量を所定の通風量よりも上げる特定モードの実施時、ファンモータが送風方向から外れた所定位置へ送風部を首振りさせ、空調側ファン及び/又は送風側ファンを駆動させるので、空調ユニットから送風された空気の送風方向にファンモータが位置せず圧損がなくなり、空調ユニット内の送風路における通風量を容易に増加させられるため、製品性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態における除湿機の一体時における正面から見た外観斜視図。
図2】本実施形態における除湿機の一体時における背面から見た外観斜視図。
図3】サーキュレータ付除湿機の一体時における縦断面図。
図4】サーキュレータ付除湿機の一体時における分解斜視図。
図5】サーキュレータ付除湿機の機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
図6図5の機能ブロックのうち、各電源部を特に説明するための概略的な機能ブロック図。
図7】分離時におけるサーキュレータの正面から見た外観斜視図。
図8】分離時におけるサーキュレータの背面から見た外観斜視図。
図9】分離時における除湿機の使用状態の一例を示す外観斜視図。
図10】サーキュレータを特に示す上下方向に沿う断面図。
図11】首振り時において送風部が正面を向く場合の断面図。
図12】首振り時において送風部が背面を向く場合の断面図。
図13】特定モード時において送風部が所定位置に首振りした場合の断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る空気調和機の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態においては、本発明の空気調和機を、蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用し空気中に含まれる水分を結露させて除湿し、送風するサーキュレータ付除湿機に適用して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態におけるサーキュレータ付除湿機1の一体時における正面から見た外観斜視図である。
図2は、本実施形態におけるサーキュレータ付除湿機1の一体時における背面から見た外観斜視図である。
図3は、サーキュレータ付除湿機1の一体時における縦断面図である。
図4は、サーキュレータ付除湿機1の一体時における分解斜視図である。
図5は、サーキュレータ付除湿機1の機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。
図6は、図5の機能ブロックのうち、各電源部83、183を特に説明するための概略的な機能ブロック図である。
図7は、分離時におけるサーキュレータ3の正面から見た外観斜視図である。
図8は、分離時におけるサーキュレータ3の背面から見た外観斜視図である。
図9は、分離時における除湿機1の使用状態の一例を示す外観斜視図である。
【0013】
以下の説明においては、各図面に示される前後上下左右の定義に従って説明する。除湿ユニット側操作部74が設けられている前方を向く面を正面、後方を向く正面と反対の面を背面という場合がある。また、前後左右方向に沿う方向を、水平方向とする。サーキュレータ3の前後上下左右の定義は、サーキュレータ3が除湿ユニット2へ取り付けられた場合(以下単に「一体時」という。)と、除湿ユニット2から分離された場合(以下単に「分離時」という。)とで、異なる場合があり、一体時においては図1から4、10から12の定義に従い、分離時においては図7及び8に従う場合がある。
【0014】
サーキュレータ付除湿機1(以下単に「除湿機1」という。)は、除湿ユニット2(空調ユニット)と、除湿ユニット2の上方に配置されるサーキュレータ3(送風ユニット)と、を有する。サーキュレータ3は、図4に示すように、除湿ユニット2(筐体10)に対して着脱可能であり、除湿ユニット2と連動又は独立して送風可能である。
【0015】
除湿ユニット2は、除湿ユニット2の外観をなす筐体10を有する。筐体10は、前枠11と、後枠12と、上面板14と、ベース15と、を有する。
【0016】
前枠11及び後枠12は、筐体10の前後方向のほぼ中央位置において上下方向に延びる接続線13を介して組み合わされ、筐体10の上面21及び底面22を繋ぐ側面23をなす。前枠11及び後枠12は、それぞれ上端から水平方向内側に折れ曲がり形成される上面枠部24を有する。また、左右の側面23としての前枠11及び後枠12は、取っ手43が配置されるための取っ手切欠25を有する。取っ手切欠25は、側面23の上端かつ前後方向ほぼ中央位置に形成される。
【0017】
図2及び3に示すように、後枠12(背面側の側面23)は、吸込口31と、タンク挿入口32と、電源コード口34と、を有する。吸込口31は、複数のスリット36を有し、外表面にフィルタ37及びフィルタケース38を有する。フィルタ37は、樹脂製の網や不織布などからなり、吸入空気に混入する埃やにおい成分などを取り除く。フィルタケース38は、フィルタ37を吸込口31に固定する。タンク挿入口32は、吸込口31の下方に配置され、ここからドレンタンク69が挿入され、また取り出される。電源コード口34は、後枠12の右下方に配置され、除湿ユニット側制御部70に接続された電源コード4が電源コード口34から筐体10外部に引き回される。
【0018】
上面板14は、上方に面する基部14aと、基部14aの周縁から下方に延びる周壁部14bと、を有する。上面板14は、上面枠部24の内縁が形成する開口24a(図2)を覆うように配置される。基部14aは、上記した上面枠部24と共に、筐体10の上方に面する面である上面21をなす。上面21においては、周壁部14bが上面枠部24に対する段差を形成することにより、基部14aが上面枠部24に対して上方に凸となる上面側凸部90(図4)として機能する。
【0019】
また、上面板14は、吹出口41と、導風壁42と、取っ手43と、左右吸込口凹部45と、を有する。
【0020】
図3及び4に示すように、吹出口41は、基部14aのほぼ中央位置に矩形状に形成される。吹出口41には、乾燥空気の吹出方向を制御可能なルーバ48と、ルーバ48を駆動するルーバモータ49(図5)と、が配置される。
【0021】
導風壁42は、上方視における吹出口41の外側で吹出口41を囲むようにして基部14aに対して上方に一定の所定量立ち上がる壁である。導風壁42は、吹出口41から吹き出される空気を上方のサーキュレータ3方向に導く。導風壁42は、筐体10の内部と接続された、内側に吹出口41から吹き出される空気の通り道となる空間を形成する。
【0022】
取っ手43は、上面板14の左方及び右方の、前枠11及び後枠12の取っ手切欠25に対応する位置であって、側面23の上方に形成される。取っ手43は、側面23から左右方向内側に凹んだ取っ手凹部51及び指掛部52を有し、ユーザが除湿機1を運搬する際に利用される。
【0023】
左右吸込口凹部45は、後述する左右吸込口121を形成するための凹部である。左右吸込口凹部45は、指掛部52に関して取っ手凹部51(取っ手43)と左右方向において重なり合う位置に形成される。
【0024】
図3に示すように、ベース15は、組み合わされた前枠11及び後枠12が下方に形成する開口22aを覆うように配置される。ベース15は、除湿機1の土台となり、床などの設置面に直接又は間隙を介して面して設置される底面22となる。
【0025】
除湿ユニット2は、筐体10に収容される主な内部部品として、図3に示すように、ファンケース61と、空調側ファンとしてのシロッコファン62と、駆動部である送風モータ63と、圧縮機65と、熱交換器66と、加熱ヒータ67と、ドレンパン68と、ドレンタンク69と、を有する。
また、筐体10内には、吸込口31から吹出口41を空気が通過可能な送風路64が形成されている。
【0026】
ファンケース61は、ベース15上に配置され、主にシロッコファン62、送風モータ63、及びドレンタンク69を支持したり位置決めしたりする。
【0027】
シロッコファン62は、送風モータ63の回転により回転し、吸込口31から空気を吸い込み、吹出口41から吹き出す空気の流れを形成する。シロッコファン62及び送風モータ63は、回転軸が前後方向に沿うようにファンケース61に取り付けられている。
【0028】
圧縮機65は、ベース15上に固定されており、配管65a及び減圧装置を介して熱交換器66に接続される。
【0029】
熱交換器66(空気調和部)は、吸込口31から吸い込まれた空気と熱交換を行う。熱交換器66は、吸込口31に近い位置に配置される蒸発器66aと、蒸発器66aよりも前方に配置される凝縮器66bと、を有する。蒸発器66a及び凝縮器66bは、U字状の冷媒管66cにフィン66dが取り付けられた、フィンチューブ型の熱交換器66である。冷媒管66cは、水平方向(左右方向)に延びる複数の直線部と、上下方向にU字に曲り2本の直線部をつなげる曲げ部と、を有し、この直線部と曲げ部とが冷媒管66cの長さ方向に渡って連続して現われる。
【0030】
圧縮機65、配管65a、減圧装置及び熱交換器66は、冷媒が流れる冷凍サイクルを形成する。冷凍サイクルは、冷媒が流れる順に、圧縮機65、凝縮器66b、減圧装置、蒸発器66aを有する。冷媒は、蒸発器66aを流れる際に、蒸発器66aを通過する空気から熱を奪い蒸発する。また、冷媒は、凝縮器66bを流れる際に、凝縮器66bを通過する空気を再加熱し凝縮する。これにより、吸込口31から吸い込まれた空気は、フィルタ37で埃やにおい成分などが取り除かれた後、蒸発器66aで冷却、除湿され、次いで凝縮器66bで加熱されて、低湿度の空気となる。
【0031】
加熱ヒータ67(空気調和部)は、凝縮器66bを通過した低湿度の空気を、吹出口41の前段で加熱する。
【0032】
送風路64は、吸込口31と吹出口41との間にあり、熱交換器66が配置された空間、及びファンケース61で構成されている。シロッコファン62が駆動すると、吸込口31から吸い込まれた空気が熱交換器66が配置された空間、及びファンケース61を通過し、吹出口41から送風される。
【0033】
ドレンパン68は、排水口を有し、蒸発器66aで発生し落下するドレン水を受け、この排水口から排出する。ドレンパン68は、熱交換器66を下方で支持し、固定する。
【0034】
ドレンタンク69は、ドレンパン68の排水口から排出されるドレン水を貯留する。ドレンタンク69は、タンク挿入口32から前後方向にスライドされることにより、筐体10に対して着脱される。筐体10内に挿入されたドレンタンク69は、ファンケース61により形成されたタンク室に配置される。
【0035】
ドレンタンク69は、タンク蓋69aと、浮き収容部69bと、を有する。タンク蓋69aは、ドレンパン68の排水口からのドレン水をドレンタンク69内に落下させる。浮き収容部69bは、ドレンタンク69内の水位を検出するための、例えばマグネットを有する浮きを収容する。水位に応じたマグネットの磁界は、除湿ユニット側制御部70などに実装されたAMRセンサ(Anisotropic-Magneto-Resistance、異方性磁気抵抗センサ)などの水位センサ69cにより検出され、ドレンタンク69の満水をユーザに通知する。
【0036】
除湿ユニット2は、図5に示すように、さらに除湿ユニット側制御部70と、温度センサ71と、湿度センサ72と、報知部73と、除湿ユニット側操作部74と、表示部75と、を有する。
【0037】
除湿ユニット側制御部70は、例えばファンケース61の前方に、所要のケースに支持されて配置される制御基板である。除湿ユニット側制御部70は、除湿ユニット側操作部74からの指示や予め記憶されたプログラムに基づいてルーバモータ49、送風モータ63や圧縮機65、加熱ヒータ67、表示部75などの各部を電気的に制御することにより、除湿機1の動作を統括的に制御する。除湿ユニット側制御部70は、一体時及び分離時において、サーキュレータ3の首振りモータ138などの各部も赤外線信号の送信により制御する。
【0038】
除湿ユニット側制御部70は、記憶部77及びタイマ78を有する。記憶部77は、各部の動作プログラムなどを記憶する。タイマ78は、除湿機1のタイマ運転などのための計時を行う。
【0039】
温度センサ71及び湿度センサ72は、除湿機1本体の所定位置に1つ、あるいは複数設けられ、除湿機1の周囲温度及び湿度を計測する。除湿ユニット側制御部70は、温度や湿度を必要に応じて使用し各部を制御する。また、温度センサ71の1つは蒸発器66aの温度を計測する。報知部73は、除湿ユニット側制御部70の指示に基づいてユーザに状況を知らせるためのアラーム音などを出力する。
【0040】
除湿ユニット側操作部74及び表示部75は、正面側の側面23(前枠11)における上方であって、左右方向におけるほぼ中央位置に配置される。除湿ユニット側操作部74(空調側操作部)は、例えば、運転スイッチ、タイマースイッチ、運転モード選択スイッチ、サーキュレータ3の動作を設定するためのスイッチ、などを実現する複数の入力ボタンを有する。表示部75は、除湿機1の運転状態などをLED(Light Emitting Diode)の点灯状態で表示する。
【0041】
除湿ユニット2は、さらに、サーキュレータ検出センサ81と、除湿ユニット側通信部82と、除湿ユニット側電源部83と、電源切替部84と、を有する。
【0042】
サーキュレータ検出センサ81は、例えばサーキュレータ3の所定位置に配置された磁石の磁界を検出するリードスイッチである。サーキュレータ検出センサ81は、磁界の検出の有無により、サーキュレータ3の除湿ユニット2に対する着脱状態(一体又は分離)を検出する。除湿ユニット側通信部82は、除湿ユニット側制御部70の制御に基づいてサーキュレータ3のサーキュレータ側通信部182と所要の赤外線信号の送受信が可能な赤外線アンテナである。除湿ユニット側通信部82は、図1に示すように、例えば除湿ユニット側操作部74が形成されるパネル76内に設けられた赤外線を透過させる除湿ユニット側透過窓86から赤外線を送受信する。
【0043】
図6に示すように、除湿ユニット側電源部83は、商用電源と接続された電源コード4から供給される交流電流を直流電源に変換し、除湿ユニット2の各部に供給する。
【0044】
電源切替部84は、商用電源から供給される交流電流を、電源出力端子87に供給するか否かを切り替える。電源出力端子87は、図4に示すように、サーキュレータ3の取付箇所となる上面21から上方に露出している。除湿ユニット側制御部70は、一体時においては、電源切替部84を閉じて電源出力端子87からサーキュレータ3の電源入力端子187に電源を供給する。一方、除湿ユニット側制御部70は、分離時においては、電源切替部84を開き、電源出力端子87に電源を供給しない。
【0045】
サーキュレータ3は、一体時においては、除湿ユニット2から吹き出される除湿された空気を主に吸い込み、また分離時においては、周囲の空気を吸い込み、これらの空気を送風しながら周囲の空気を循環し、撹拌する。
【0046】
サーキュレータ3は、台座部110と、送風部130と、を有する。送風部130は、台座部110に対して左右方向に沿う首振り軸139(図10)周りに首振り可能に支持されている。
【0047】
台座部110は、図1、7及び8などに示すように、台座部110内側に送風部130を収容可能な空間(上下方向に貫通する貫通孔)を形成する、筒状のケーシングである。台座部110は、台座部底面111と、台座部側面112と、台座部上面113と、を有する。台座部側面112は、外側面及び内側面からなり、台座部底面111、台座部側面112及び台座部上面113で閉じて形成される内部空間115は、図3に示すように一部又は全てが中空である。
【0048】
台座部底面111は、上面枠部24が形成する上面21とほぼ同一の形状を有する枠状面である。台座部底面111は、一体時においては、上面枠部24に置かれて接触する面となる。また、台座部底面111は、図3及び8に示すように、台座部底面111の内周縁111aより内側に、サーキュレータ側凹部190(送風側凹部)を有する。サーキュレータ側凹部190は、上面板14の周壁部14bの上下方向長さに対応し、かつ上面側凸部90の形状に対応して、上方に凹んだ凹空間である。サーキュレータ側凹部190は、上面側凸部90の形状に対応しているため、一体時においては上面側凸部90と掛かり合う。この結果、台座部110は、上面側凸部90により設置面に平行な水平方向の移動、すなわち上面21上での移動が規制される。また、サーキュレータ3は単純な凹凸の掛かり合いにより筐体10に支持されているため、上方に持ち上げることにより簡単に取り外される。
【0049】
台座部側面112は、外周面の形状が筐体10の側面23の外周面の形状とほぼ同一である。すなわち、サーキュレータ3の台座部側面112は、一体時においては、除湿ユニット2の側面23と面一になり、筐体10と一体であるような外観を有する。台座部側面112は、左右吸込口121と、後吸込口122と、を有する。
【0050】
左右吸込口121は、左方及び右方の台座部側面112の、前後方向ほぼ中央位置に配置され、台座部側面112の台座部底面111との境界から所定量上方に切り欠かれて形成される。左右吸込口121は、図2などに示すように、筐体10の側面23の取っ手43に対して、指掛部52に関して、又は上面枠部24と台座部底面111との境界線5に関してほぼ上下対称となる形状を有する。上記したように、上面板14には左右吸込口凹部45が形成されており、この左右吸込口凹部45に形成された空間と、左右吸込口121とが作用して、左右吸込口121を介して除湿機1の周囲と台座部110の内側とを接続する。
【0051】
後吸込口122は、後方の台座部側面112の、左右方向におけるほぼ中央位置に配置され、台座部側面112の台座部底面111との境界から所定量上方に切り欠かれて形成される。後吸込口122は、筐体10の上面21の形状と作用して、後吸込口122を介して周囲と台座部110の内側とを接続する。
【0052】
台座部上面113は、前後方向において、後方からほぼ中央位置まで水平方向に平行な面113aと、ほぼ中央位置から前方にかけて下方に曲線的に傾斜する面113bと、からなる。台座部上面113は、後方に、曲線的な凹部113cを有する。凹部113cは、一体時におけるサーキュレータ3からの送風を台座部110が妨げることなく、送風可能となるように形成される。
【0053】
送風部130は、カバー131と、駆動部としてのファンモータ135と、送風側ファンとしてのファン136と、を有する。ここで、図10は、サーキュレータ3を特に示す上下方向に沿う断面図である。
【0054】
カバー131は、ユーザの指などをファン136から保護するための骨状の部材である。カバー131は、ファン136の吸込側(上流側)を覆い吸込面となる吸込側カバー131aと、ファン136の吹出側(下流側)を覆い吹出面となる平面状の吹出側カバー131bと、を有する。吸込側カバー131a及び吹出側カバー131bは、組み合わされて一体となる。一体時において吹出側カバー131bがほぼ水平方向に沿う送風部130の姿勢であって、ファン136の回転軸140が上下方向に沿う姿勢である図10の姿勢(以下単に「停止姿勢という」。)において、吸込側カバー131aは、下方に面する中心位置に上方に凹となり形成されるモータ支持部131cを有する。カバー131は、二つの平行な面を有する球台形状又はほぼ球欠形状を有する。吹出側カバー131bは、一方の面積の大きい方の面をなし、モータ支持部131cは、他方の面積の小さい方の面をなす。なお、カバー131は、球体の中心を通る一つの平面からなる球欠形状であってもよい。
【0055】
ファンモータ135及びファン136は、停止姿勢において、ファンモータ135(ファン136)の回転軸140が上下方向に沿い、カバー131をなす球体の中心Cを通るようにカバー131の内部に収容される。ファンモータ135は、回転軸140周りにファン136を回転させる。ファン136は、吸込側カバー131aから吸い込まれた吹出口41から吹き出される空気や除湿機1の外側から吸込側カバー131aに吸い込まれた空気を吹出側カバー131bから送風する。
【0056】
送風部130は、台座部110に対して、ファン136からの吹出方向が吹出口41から吹き出された空気の吹出方向であるほぼ上方に一致する、停止姿勢で支持される。また、送風部130は、首振りモータ138により一体時の停止姿勢から左右方向(所定方向)に沿う首振り軸139周りに所定範囲内の角度で首振り可能なように、台座部110に支持されている。首振りモータ138は、台座部110の内部空間115に配置される。首振りモータ138は、首振り軸139をサーキュレータ3の前後方向のほぼ中央位置に配置する。また首振り軸139は、球台形状(球欠形状)のカバー131をなす球体の中心Cを通り、吹出側カバー131b及びモータ支持部131cがなす二つの面に平行である。また、首振り軸139は、ファン136の回転軸140に直交する。また、後述するように、送風部130は、台座部110に対して導風壁42の上端42aと、上端42aに面する吸込側カバー131aとの距離hが、首振り時において一定を保つように支持される。
【0057】
サーキュレータ3は、さらに、サーキュレータ側制御部170と、サーキュレータ側操作部174と、サーキュレータ側通信部182と、サーキュレータ側電源部183と、を有する。
【0058】
サーキュレータ側制御部170は、台座部110の内部空間115に配置される制御基板である。サーキュレータ側制御部170は、除湿ユニット側制御部70又はサーキュレータ側操作部174からの指示に基づいてファンモータ135及び首振りモータ138を電気的に制御する。
【0059】
サーキュレータ側操作部174(送風側操作部)は、正面側の台座部側面112の左右方向におけるほぼ中央位置に配置される。サーキュレータ側操作部174は、例えば、運転スイッチ及び首振りスイッチなどを実現する複数の入力ボタンを有する。
【0060】
サーキュレータ側通信部182は、サーキュレータ側制御部170の制御に基づいて除湿ユニット側通信部82と所要の赤外線信号の送受信が可能な赤外線アンテナである。サーキュレータ側通信部182は、例えば台座部110の台座部上面113bに設けられた赤外線を透過させるサーキュレータ側透過窓186から赤外線を送受信する。
【0061】
図6に示すように、サーキュレータ側電源部183は、電源入力端子187から供給される交流電流を直流電流に変換し、サーキュレータ3の各部に供給する。電源入力端子187は、図8に示すように、一体時において除湿ユニット2の上面21から露出した電源出力端子87に直接接続可能な位置に配置される。
【0062】
サーキュレータ側電源部183は、一体時においては、除湿ユニット2の電源出力端子87と直接接続された電源入力端子187から供給される電源を各部に供給する。また、分離時においては、商用電源に接続された電源コード8(図9)と接続された電源入力端子187から供給される電源を各部に供給する。電源入力端子187への電源出力端子87及び電源コード8の端子の接続は、例えば磁力を利用して引き合うことによりユーザの端子接続動作を容易にすることができる。
【0063】
このようなサーキュレータ3は、一体時においては、除湿ユニット2から吹き出される除湿された空気を主に吸い込み、これらの空気を上方に送風しながら周囲の空気を循環し、撹拌する。また、サーキュレータ3は、左右方向に沿う首振り軸139周りに交互に前後方向に吹出面を向けるように首振りしながら運転する。また、サーキュレータ3は、分離時においては、一体時において後方に面する台座部側面112を床などの設置面に面し(設置し)、前方に面する台座部側面112を上方に面して配置するように、一体時から90度起立させて使用される。サーキュレータ3は、周囲の空気を背面から吸い込み、これらの空気を正面に送風しながら周囲の空気を循環し、撹拌する。また、サーキュレータ3は、左右方向に沿う首振り軸139周りに上下方向に首振りしながら運転する。
【0064】
このような除湿機1は、図1及び2に示す一体時においては、除湿ユニット2の運転状態と連動して、例えば除湿ユニット側制御部70がサーキュレータ3を運転制御することにより、除湿ユニット2が検出した周囲の湿度や温度に適した空調を行う。また、図9に示す分離時においても同様に、除湿ユニット2の運転状態と連動して除湿ユニット側制御部70がサーキュレータ3を運転制御することにより、除湿ユニット2が検出した周囲の湿度や温度に適した空調を行う。
【0065】
さらに、分離時においては、除湿ユニット2から独立して、サーキュレータ3が単独でサーキュレータ側制御部170の制御に基づいて送風運転を行うこともできる。
【0066】
一体時及び分離時のいずれにおいても、除湿ユニット側制御部70は、除湿ユニット側通信部82を制御することによりサーキュレータ側制御部170に所要の制御情報からなる赤外線信号を送信し得る。サーキュレータ側通信部182を介して赤外線信号を受信したサーキュレータ側制御部170は、受信した制御情報に基づいて、サーキュレータ3の動作を制御し得る。
【0067】
このような除湿機1は、例えば以下のような用途において好適に使用される。室内に干された洗濯物を乾燥させるために除湿機1が使用される場合、除湿機1を洗濯物の直下において使用することにより洗濯物を効率的に乾燥させることができる。その際、除湿機1と洗濯物が重なり合わないように除湿機1を配置することが好ましい。しかしながら、物干しの高さの都合や洗濯物の種類によっては、除湿機1を洗濯物の直下に配置することが困難となる場合があり、洗濯物に重なり合わないように洗濯物から離れた位置に除湿機1を配置しなければならない。これに対し本実施形態における除湿機1は、除湿機1の上方に配置されたサーキュレータ3を取り外し、設置面に別途配置することができる。このため、除湿機1が洗濯物と重なり合う場合には、サーキュレータ3を分離し、除湿機1の高さを低くしての使用が可能であり、状況に応じて使い勝手のよい除湿機1を実現できる。
【0068】
ここで、サーキュレータ3は、除湿ユニット2で除湿された空気を効率よく送風するために、送風部130と除湿ユニット2の吹出口41との関係が好適に設定されている。以下具体的に説明する。
【0069】
図11は、首振り時において送風部130が正面を向く場合の説明図である。図12は、首振り時において送風部130が背面を向く場合の説明図である。
送風部130は、例えば、吹出側カバー131bにより形成される吹出面が正面を向く図11に示す状態と吹出側カバー131bが背面を向く図12に示す状態とを往復しながら、この二つの状態を首振り角度の所定範囲として送風する。
この所定範囲における首振りを送風部130が実施しファン136が駆動しているとき、送風部130が後述する所定の位置にある場合を除いて、除湿ユニット2の送風路64には所定の通風量の空気が通過する。
【0070】
このとき、図10から12に示すように、送風部130は、台座部110に対して導風壁42の上端42aと、上端42aと面する吸込側カバー131aとの距離hが、首振り時(停止姿勢時を含む)において一定を保つように支持される。これは、首振り軸139がカバー131をなす球体の中心Cを通ることにより、首振り軸139の軸方向(左右方向)視で首振り軸139と上端42aと面し得る吸込側カバー131aとの距離が球体の半径に等しくなり、常に一定となることで実現される。
【0071】
なお、上端42aと吸込側カバー131aは、首振り時において常に面している必要はなく、面している場合に距離hが一定であればよい。例えば、モータ支持部131cが上端42aと面している場合に上端42aとモータ支持部131cとが形成する距離は、モータ支持部131cが形成されている以外の吸込側カバー131aと上端42aとがなす
距離hと、厳密には異なる、このため、モータ支持部131cが上端42aと面している場合は、上端42aと吸込側カバー131aが面している態様には含まれなくてもよい。
また、図11に示すように送風部130が所定角度以上正面側に首振りし上端42aに吸込側カバー131aが面しない場合においても、上端42aと吸込側カバー131aが面している態様には含まれない。すなわち、上端42aと面する吸込側カバー131aがある場合にのみ、上記条件を満たせばよく、首振り時において常に上記条件が満たされている必要はない。
【0072】
また、送風部130は、除湿ユニット2との関係において、吸込側カバー131aの首振り時(停止姿勢時を含む)における最下点が、導風壁42の上端42aよりも下方であって導風壁42が形成する空間の内側に位置するようになっている。すなわち、送風部130は、カバー131の下方に位置する吸込側カバー131aが、導風壁42に対して上下方向において重なり合っている。このとき、首振り時の吸込側カバー131aの軌道が導風壁42や他の構造物に接触しないように、台座部110に対する首振り軸139の位置が決定されている。
【0073】
このような除湿機1は、導風壁42を有することにより除湿ユニット2で除湿された空気を外部に漏らすことなくサーキュレータ3に導くことができる。特に、除湿機1は、首振り時において導風壁42とサーキュレータ3の吸込面となる吸込側カバー131aとの距離を一定に保つため、除湿された空気の吸込み量をサーキュレータ3の回転範囲において一定に保つことができる。これにより、除湿ユニット2側で供給可能な除湿空気を確実に送風でき、除湿機1は除湿効率を向上できる。
【0074】
また、除湿機1は、吸込側カバー131aの一部を導風壁42と上下方向において重なり合うように配置したため、重なり合わない場合に比べて一体時における除湿機1の高さを小さくできる。また、吸込側カバー131aと上端42aとの距離hも小さくできるため、外部に除湿空気を漏らすことなく確実にサーキュレータ3に送風できる。
【0075】
さらに、導風壁42を除湿ユニット2側に設け、サーキュレータ3側に設けないため、一体時のみに必要であり、分離時においては必要ではない構造を、サーキュレータ3に持たせることを低減でき、分離時における使用性も向上できる。
【0076】
次に、特定モードの一つである除霜運転時における送風部130の首振り動作について説明する。
圧縮機65、及びシロッコファン62を駆動させ冷媒管66c内を冷媒が通流し吹出口41から低湿度の空気を送風する除湿運転の実施時、除湿ユニット2の設置場所における室温が低いと蒸発器66aが着霜する場合がある。蒸発器66aが着霜した状態で運転を継続すると、着霜が通風抵抗となり熱交換効率が低下し、さらに、霜が成長すると蒸発器66a付近の部材を破損させる虞がある。
【0077】
除湿ユニット側制御部70は、圧縮機65、及びシロッコファン62を駆動させる除湿運転の実施時、温度センサ71により蒸発器66aについて所定の低温度が所定時間以上検知されたと判断したら蒸発器66aが着霜しているとし、圧縮機65を停止させシロッコファン62を駆動させ、蒸発器66aの除霜運転を開始する。当該除霜運転は、圧縮機65を停止させることで低温の冷媒が蒸発器66a内を通流することを阻止すると共に、シロッコファン62を駆動させることで室内空気を蒸発器66aに送風し、蒸発器66aの着霜を溶かす。除湿ユニット側制御部70は、除霜運転開始後、温度センサ71で検知された蒸発器66aの温度が所定時間以上になったと判断したら除霜運転を終了させ、圧縮機65とシロッコファン62とを駆動させる除湿運転を再び実施する。
【0078】
一体状態で前記除霜運転を実施するとき、図10にあるようにサーキュレータ3が停止姿勢の状態では、吹出口41から吹き出す空気の送風方向(矢印で図示)にファンモータ135が位置し吹出口41からの送風が妨げられる。サーキュレータ3が停止姿勢の状態ではファンモータ135が送風路64の圧損となるため、送風路64の通風量が低下し除霜効率の低下要因となる。除霜効率が低下すると除霜時間が長引き、除湿運転への復帰に時間がかかるため室内の除湿効率が低下する。
【0079】
本実施形態では、除湿ユニット側制御部70は、一体状態で除湿運転を実施しているとき、除霜運転の開始条件を満たしたと判断したら、圧縮機65を停止させ首振りモータ138を駆動させ、図13にある所定位置に送風部130を首振りし静止した後、シロッコファン62、及びファン136を駆動させる。その後、除湿ユニット側制御部70は、除霜運転の終了条件を満たしたと判断したら、首振りモータ138により送風部130を除霜運転開始前の状態(除湿運転時の状態)に首振りして戻した上で圧縮機65を駆動させ、除湿運転を再開する。
【0080】
これにより、吹出口41から吹き出す空気の送風方向(矢印で図示)外にファンモータ135が位置し、送風方向に吸込側カバー131aが位置する状態となる。送風方向外にファンモータ135が移動することでファンモータ135による圧損がなく、送風路64を通過する風量が所定の通風量よりも大きくなり蒸発器66aの除霜効率が低下せず、短時間で除霜運転を終了させて早期に除湿運転へ復帰することができる。除霜運転が長引くことでの室内の除湿効率低下を未然に阻止することができるため、製品性が向上する。
【0081】
次に、特定モードの一つであるヒータ排熱運転における送風部130の首振り動作について説明する。
衣類を乾燥させるための衣類乾燥運転の実施時、衣類を早期に乾燥させるため加熱ヒータ67を駆動させ吹出口41から温風を送風する。衣類乾燥運転が終了したら加熱ヒータ67を停止させるが、加熱ヒータ67付近にある部材は加熱ヒータ67により加熱されたことで高温状態であり、自然放熱では低下速度が遅く部材が熱損傷を受けるといった悪影響が懸念される。
【0082】
除湿ユニット側制御部70は、衣類乾燥運転が終了し加熱ヒータ67を停止した後、所定時間だけシロッコファン62を駆動させる排熱運転を実施する。当該排熱運転により、筐体10内における加熱ヒータ67付近を冷却することができ、加熱ヒータ67付近の部材が長時間継続して高温状態となることを未然に阻止することができる。
【0083】
一体状態で前記排熱運転を実施するとき、図10にあるようにサーキュレータ3が停止姿勢の状態では、吹出口41から吹き出す空気の送風方向(矢印で図示)にファンモータ135が位置し吹出口41からの送風が妨げられる。サーキュレータ3が停止姿勢の状態ではファンモータ135が送風路64の圧損となるため、送風路64の通風量が低下し排熱効率の低下要因となる。
【0084】
本実施形態では、除湿ユニット側制御部70は、一体状態で排熱運転の開始指示が出されたと判断したら、加熱ヒータ67を停止させると共に首振りモータ138を駆動させ、図13にある所定位置に送風部130を首振りし静止した後、シロッコファン62、及びファン136を駆動させる。その後、除湿ユニット側制御部70は、排熱運転の開始から所定時間が経過したと判断したら、シロッコファン62、及びファン136を停止させ運転終了となる。
【0085】
これにより、吹出口41から吹き出す空気の送風方向(矢印で図示)外にファンモータ135が位置し、送風方向に吸込側カバー131aが位置する状態となる。送風方向外にファンモータ135が位置することでファンモータ135による圧損がなく、送風路64を通過する風量が所定の通風量よりも大きくなり加熱ヒータ67付近の排熱効率が向上する。所定時間内において加熱ヒータ67付近の部材における高温状態を確実に解消し、熱損傷を効果的に阻止することができるため、製品性が向上する。
【0086】
なお、本実施形態は一例でありこれに限定されない。例えば、本実施形態において一体状態における除霜運転、及び排熱運転の実施時における送風部130の所定位置を図13にある状態として説明したが、これに限られない。除霜運転、及び排熱運転といった送風路64の通風量について所定の通風量よりも増加させる特定モードの実施時、ファンモータ135による圧損の影響がない位置に送風部130が移動すればよい。送風部130がファンモータ135とファン136の後端との間が吹出口41と対向した状態になれば、ファンモータ135による圧損の影響はないため、特定モードの実施時、送風部130がファンモータ135とファン136の後端との間が吹出口41と対向した状態となってもよい。
すなわち、送風部130についてファンモータ135とファン136の後端との間が吹出口41と対向していれば、送風部130が所定位置にあるといえる。
【0087】
また、本実施形態では一体状態における除霜運転、及び排熱運転といった特定モードの実施時、シロッコファン62及びファン136を駆動させているが、これに限られない。除霜運転、及び排熱運転の実施時、シロッコファン62又はファン136のいずれか一方のみを駆動させてもよい。除霜運転、及び排熱運転の実施時、送風部130が首振りして所定位置に移動することで、ファンモータ135による圧損が低下するため、送風路64の通風抵抗は低下した状態である。よって、一体状態において送風部130が停止姿勢にある場合と比較し、所定位置にあることで除霜運転の時間が短縮した、あるいは排熱運転での排熱効率が向上していれば、一体状態における除霜運転、及び排熱運転の実施時、シロッコファン62又はファン136のいずれか一方のみを駆動させるものであってもよい。
【0088】
次に、本発明の効果を説明する。
【0089】
除湿ユニット側制御部70は、送風路64の通風量を所定の通風量よりも上げる特定モードの実施時、ファンモータ135が送風方向から外れた所定位置へ送風部130を首振りさせ、シロッコファン62及び/又はファン136を駆動させる。特定モードの実施時、図13で示すように吹出口41から送風される空気の送風方向からファンモータ135が外れた位置に送風部130を首振りすることで、送風方向にファンモータ135が位置することでの圧損がなくなり、送風方向にファンモータ135が位置する場合と比較し送風路64における通風量が増加する。簡易な制御により送風路64における通風量が増加するので、製品性が向上する。
【0090】
また、ファンモータ135が送風方向から外れた所定位置は、ファンモータ135とファン136の後端との間が吹出口41と対向した状態である。ファンモータ135が送風方向に位置せず、かつ送風部130により吹出口41から送風された空気の吸込みが可能な状態であれば、ファンモータ135が送風方向位置する場合と比較し送風路64における通風量を増加させることができる。よって、ファンモータ135とファン136の後端との間が吹出口41と対向した状態、言い換えると吸込側カバー131aが吹出口41に面した状態に送風部130を首振りすることで、特定モード時における送風路64の通風量が増加する。
【0091】
また、特定モードは、蒸発器66aの着霜を取り除く除霜運転である。除霜運転の実施時、圧縮機65を停止させた状態で送風路64に空気を通過させ蒸発器66aの除霜を行う。送風路64の通風量が大きい程、蒸発器66aの除霜効率は向上する。よって、除霜運転の実施時、ファンモータ135が送風方向から外れた所定位置へ送風部130を首振りさせ、シロッコファン62及び/又はファン136を駆動させることで除霜効率が向上し、除霜運転を短時間で完了させ除湿運転に復帰することができるので、低室温時における除湿効率が上がり、製品性が向上する。
【0092】
また、特定モードは、加熱ヒータ67での加熱終了後に筐体10内の熱を排出する排熱運転である。送風路64途中に設置された加熱ヒータ67の駆動が停止した後、所定時間だけ送風路64に空気を通過させ、加熱ヒータ67付近を冷却する排熱運転を実施する。送風路64の通風量が大きい程、排熱効率が向上する。よって、排熱運転の実施時、ファンモータ135が送風方向から外れた所定位置へ送風部130を首振りさせ、シロッコファン62及び/又はファン136を駆動させることで排熱効率が向上し、加熱ヒータ67付近の部材が長時間高温状態となることでの熱損傷を効果的に阻止することができ、製品性が向上する。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、特許請求の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0094】
例えば、本発明に係る空気調和機は、空気調和部が熱交換器66などである例を用いて説明したが、除湿機1以外にも空気の湿度、温度、清浄度などを調整可能な加湿機、乾燥機、冷暖房装置、空気清浄機などの、他の空調機器にも適用することができる。
【0095】
サーキュレータ3のカバー131が球台形状(球欠形状)であり、導風壁42が高さ一定である例を用いて説明したが、導風壁の上端に対してカバーの吸込面が常に一定距離を保つことができればカバーや導風壁の形状はこれに限らない。例えば、吸込側カバーの形状に合わせて導風壁の高さを前後方向において曲線的に形成してもよいし、導風壁が角筒状であってもよい。吸込側カバーは停止姿勢において下方に円弧を凸にするかまぼこ形状であってもよい。
【0096】
また、送風路64の通風量を所定の通風量よりも上げる特定モードについて、除霜運転、及び排熱運転で説明したが、これらに限られない。何らかの事情により筐体10内の送風路64の通風量について、所定の通風量より上げる必要がある場合、ファンモータ135が送風方向から外れた所定位置へ送風部130を首振りさせ、シロッコファン62及び/又はファン136を駆動させるものであれば、本発明の範疇に入る。
【0097】
また、説明した実施形態では、除湿ユニット2からサーキュレータ3が分離可能な内容で説明したが、サーキュレータ3が除湿ユニット2から分離せず、除湿ユニット2上に固定されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 サーキュレータ付除湿機(除湿機)
2 除湿ユニット
3 サーキュレータ
10 筐体
21 上面
22 底面
23 側面
31 吸込口
41 吹出口
61 ファンケース
62 シロッコファン
63 送風モータ
64 送風路
65 圧縮機
66 熱交換器
66a 蒸発器
66b 凝縮器
66c 冷媒管
67 加熱ヒータ
70 除湿ユニット側制御部
110 台座部
130 送風部
135 ファンモータ
136 ファン
138 首振りモータ
139 首振り軸
図1
図2
図3
図4
図5
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図12
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