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特開2024-99920インバータ制御方法、及び、インバータ制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099920
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】インバータ制御方法、及び、インバータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240719BHJP
   H02P 27/08 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H02M7/48 F
H02P27/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003555
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永山 和俊
【テーマコード(参考)】
5H505
5H770
【Fターム(参考)】
5H505AA16
5H505BB05
5H505BB06
5H505CC04
5H505DD03
5H505DD06
5H505EE41
5H505EE51
5H505GG02
5H505GG04
5H505GG05
5H505HA10
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ18
5H505JJ26
5H505LL01
5H505LL22
5H505LL24
5H505LL41
5H505LL44
5H505LL58
5H505LL60
5H505MM12
5H770BA02
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA41
5H770EA01
5H770EA02
5H770EA21
5H770EA27
5H770GA17
5H770HA01Z
5H770HA02Y
5H770HA03W
5H770HA06X
5H770HA06Z
5H770HA07Z
5H770KA01Z
(57)【要約】
【課題】回転電機の中性点電位を変動させる方式のパルス幅変調制御を行うときに、グラウンドを基準電位とする検出器の誤検出を抑制したインバータ制御方法及びインバータ制御装置を提供する。
【解決手段】回転電機11の中性点電位の変動周波数fvnと、グラウンドを基準電位とする検出器(絶縁抵抗センサ21)が有するノイズ低減フィルタのカットオフ周波数fτと、を比較する。そして、変動周波数fvnがカットオフ周波数fτ以下であるときに、パルス幅変調制御の変調方式を、インバータ16の温度(パワー素子温度Tpm)に応じて選択される第1変調方式(デフォルト二相変調方式)から、予め設定する所定時間(最大継続時間T)の間、第1変調方式とは異なる第2変調方式(カスタム二相変調方式)に変更する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラウンドを基準電位とし、ノイズ低減フィルタを含む検出器と、パルス幅変調制御によって直流電力を交流電力に変換するインバータと、前記インバータと接続する回転電機と、を含む電気回路において前記インバータを制御するインバータ制御方法であって、
前記回転電機の中性点電位の変動周波数と、前記ノイズ低減フィルタのカットオフ周波数と、を比較し、
前記変動周波数が前記カットオフ周波数以下であるときに、前記パルス幅変調制御の変調方式を、前記インバータの温度に応じて選択される第1変調方式から、予め設定する所定時間の間、前記第1変調方式とは異なる第2変調方式に変更する、
インバータ制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載のインバータ制御方法であって、
前記回転電機は、三相同期回転電機であり、
前記第1変調方式は、前記回転電機の各相のうち、最大または最小となる一相の電位を固定し、他の二相を前記パルス幅変調制御によって変調することにより、前記インバータの出力電力を制御するデフォルト二相変調方式である、
インバータ制御方法。
【請求項3】
請求項2に記載のインバータ制御方法であって、
前記第2変調方式は、前記第1変調方式において電位が固定される相とは異なる相の電位を固定するカスタム二相変調方式である、
インバータ制御方法。
【請求項4】
請求項2に記載のインバータ制御方法であって、
前記第2変調方式は、前記回転電機における三相の各電位を前記パルス幅変調制御によって変調する三相変調方式である、
インバータ制御方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のインバータ制御方法であって、
前記パルス幅変調制御に用いるキャリア信号の周波数であるキャリア周波数が変更可能であり、
前記変動周波数が前記カットオフ周波数以下であるときに、前記パルス幅変調制御の変調方式を変更するとともに、前記キャリア周波数を低減する、
インバータ制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載のインバータ制御方法であって、
前記第1変調方式と前記第2変調方式の切替比率に基づいて、前記キャリア周波数を設定する、
インバータ制御方法。
【請求項7】
請求項5に記載のインバータ制御方法であって、
低減した前記キャリア周波数を、元の前記キャリア周波数の1/2以下とする、
インバータ制御方法。
【請求項8】
請求項5に記載のインバータ制御方法であって、
前記インバータの温度を取得し、
前記インバータを冷却する冷媒の温度である冷媒温度を取得し、
少なくとも、前記インバータの温度が予め定める閾値を超え、かつ、前記冷媒温度が予め定める閾値を超えるときに、前記変調方式を前記第2変調方式に変更し、かつ、前記キャリア周波数を低減する、
インバータ制御方法。
【請求項9】
グラウンドを基準電位とし、ノイズ低減フィルタを含む検出器と、パルス幅変調制御によって直流電力を交流電力に変換するインバータと、前記インバータと接続する回転電機と、を含む電気回路において前記インバータを制御するインバータ制御装置であって、
前記回転電機の中性点電位の変動周波数と、前記ノイズ低減フィルタのカットオフ周波数と、を比較し、
前記変動周波数が前記カットオフ周波数以下であるときに、前記パルス幅変調制御の変調方式を、前記インバータの温度に応じて選択される第1変調方式から、予め設定する所定時間の間、前記第1変調方式とは異なる第2変調方式に変更する、
インバータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータの制御方法及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、回転電機の回転角を検出するレゾルバに対するノイズを低減するために、インバータの制御を三相変調から二相変調に切り替える回転電機制御装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-183092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転電機の駆動制御は、回転電機やこれを駆動するインバータ等の状態に応じて、様々な方式のパルス幅変調制御によって行われる。パルス幅変調制御の具体的な方式としては三相変調方式の他、例えば二相変調方式等が知られている。三相変調方式は、回転電機の中性点電位を変動させない方式である。これに対し、二相変調方式は、三相変調方式よりもインバータのスイッチングを低減することができるが、中性点電位を変動させる。
【0005】
二相変調方式等、中性点電位を変動させる方式のパルス幅変調制御を行う場合、浮遊容量を介して中性点電位の変動がグラウンドに伝搬すると、グラウンドを基準電位とする検出器が誤検出をするおそれがある。例えば、絶縁抵抗センサは、高電圧系に信号を注入し、そのグラウンド基準の電圧フィードバックに基づき、絶縁抵抗を検出する。また、一般的に、このようなフィードバック信号にはノイズを低減するフィルタを用いる。このとき、フィルタのカットオフ周波数よりも低い中性点電位の変動がグラウンドに伝搬すると、誤検出することがある。
【0006】
したがって、中性点電位を変動させる方式のパルス幅変調制御を行うときには、グラウンドを基準電位とする検出器が誤検出をしないようにすることが求められる。
【0007】
本発明は、回転電機の中性点電位を変動させる方式のパルス幅変調制御を行うときに、グラウンドを基準電位とする検出器の誤検出を抑制することができるインバータ制御方法及びインバータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、グラウンドを基準電位とし、ノイズ低減フィルタを含む検出器と、パルス幅変調制御によって直流電力を交流電力に変換するインバータと、インバータと接続する回転電機と、を含む電気回路においてインバータを制御するインバータ制御方法である。このインバータ制御方法では、回転電機の中性点電位の変動周波数と、ノイズ低減フィルタのカットオフ周波数と、が比較される。そして、変動周波数がカットオフ周波数以下であるときに、パルス幅変調制御の変調方式が、インバータの温度に応じて選択される第1変調方式から、予め設定する所定時間の間、第1変調方式とは異なる第2変調方式に変更される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回転電機の中性点電位を変動させる方式のパルス幅変調制御を行うときに、グラウンドを基準電位とする検出器の誤検出を抑制したインバータ制御方法及びインバータ制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、電動車両の概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、回転電機を駆動する電気回路としての構成を示す回路図である。
図3図3は、変調方式設定部の構成を示すブロック図である。
図4図4は、変調方式の切り替えに係るフローチャートである。
図5図5は、デフォルト二相変調制御を示すグラフである。
図6図6は、カスタム二相変調制御を割り込ませた場合を示すグラフである。
図7図7は、二相変調制御によって中性点電位が変動するときにグラウンドに伝搬するノイズのスペクトルを示すグラフである。
図8図8は、変調方式の切り替えに係る変形例のフローチャートである。
図9図9は、変調方式の切り替えに係る変形例のフローチャートである。
図10図10は、変調方式の切り替えに係る変形例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0012】
[実施形態]
図1は、電動車両100の概略構成を示すブロック図である。電動車両100は、例えば電気自動車またはハイブリッド車両等である。図1に示すように、電動車両100は、回転電機11、電流指令演算部12、電流制御部13、座標変換部14、変調方式設定部15、インバータ16(INV)、バッテリ17、回転状態検出部18、及び、座標変換部19等を備える。
【0013】
回転電機11は、電動機または発電機である。本実施形態では、回転電機11は電動車両100を駆動する駆動用電動機であり、回転電機11が生じさせるトルクによって電動車両100が駆動される。この回転電機11は、例えば電動車両100がいわゆる回生制御をするときに、発電機としても機能する。また、本実施形態では、回転電機11は、三相交流同期回転電機(特に三相同期電動機)であり、UVW各相に供給する電力を調整することによって駆動される。
【0014】
電流指令演算部12は、トルク指令Tと、回転電機11の電気角速度ωと、に基づいて、d軸電流指令I 及びq軸電流指令I (以下、dq軸電流指令I ,I という)を演算する。dq軸電流指令I ,I は、回転電機11によって、トルク指令Tで要求されたトルクTを生じさせるために、回転電機11のd軸及びq軸に流すべき電流についての指令値である。電流指令演算部12は、例えば、トルク指令T及び電気角速度ωと、dq軸電流指令I ,I と、を対応付ける電流指令マップを有しており、これを参照することによって、トルク指令T及び電気角速度ωに対応するdq軸電流指令I ,I を演算する。電流指令マップは、実験またはシミュレーション等によって予め定められる。また、トルク指令Tは、アクセルペダルの操作量等に基づいて、図示しない上位のコントローラによって演算される。
【0015】
電流制御部13は、d軸電圧指令V 及びq軸電圧指令V (以下、dq軸電圧指令V ,V という)を演算する。電流制御部13は、dq軸電流指令I ,I と、実際に回転電機11に流れるd軸電流I及びq軸電流I(以下、dq軸電流I,Iという)を取得する。そして、電流制御部13は、dq軸電流指令I ,I と実際のdq軸電流I,Iとの差がゼロとなるように、dq軸電圧指令V ,V を決定する。
【0016】
電流制御部13は、例えば、下記の式(1)に示すPI(Proportional-Integral)制御によってdq軸電圧指令V ,V を演算することができる。なお、式(1)において、L,Lは、d軸及びq軸の各インダクタンスである。Kpd,Kpqは、d軸及びq軸の各比例ゲインである。Kid,Kiqは、d軸及びq軸の各積分ゲインである。φは永久磁石鎖交磁束数であり、ωは回転電機11の電気角速度である。
【0017】
【数1】
【0018】
座標変換部14は、回転電機11の磁極位置θ(検出値)に基づく座標変換により、dq軸電圧指令V ,V を三相交流電圧指令VU1 ,VV1 ,VW1 に変換する。
【0019】
変調方式設定部15は、バッテリ電圧V、及び、パワー素子温度Tpm等に基づいて、三相交流電圧指令VU1 ,VV1 ,VW1 からインバータ16に入力すべき最終電圧指令VUf ,VVf ,VWf を演算等する。変調方式設定部15は、最終電圧指令VUf ,VVf ,VWf の演算等において、さらに、冷媒温度Twtrを用いる場合がある。本実施形態では、変調方式設定部15は、バッテリ電圧V及びパワー素子温度Tpmに基づいて、最終電圧指令VUf ,VVf ,VWf を演算等する。
【0020】
なお、バッテリ電圧Vは、バッテリ17の出力電圧である。パワー素子温度Tpmは、インバータ16が含むパワー素子(スイッチング素子)の温度である。冷媒温度Twtrは、インバータ16、特にインバータ16が含むパワー素子を冷却する水その他の冷媒の温度である。最終電圧指令VUf ,VVf ,VWf は、回転電機11を制御するために、インバータ16に入力すべき最終的な三相交流電圧指令である。
【0021】
本実施形態では、変調方式設定部15は、最終電圧指令VUf ,VVf ,VWf によって、インバータ16の駆動方式を設定し、または、変更する。すなわち、変調方式設定部15は、インバータ16に入力する最終電圧指令VUf ,VVf ,VWf によって、変調方式すなわちパルス幅変調制御(以下、PWM制御という)によって駆動するインバータ16の制御方式を切り替える。具体的には、変調方式設定部15は、変調方式を、少なくとも三相変調方式または二相変調方式のいずれかに設定または変更する(切り替える)ことができる。
【0022】
三相変調方式は、UVWの三相全部の電位を、PWM制御によって変調することによって、インバータ16の出力電力を制御する方式である。正弦波の三相変調方式は、最も一般的なインバータ16の駆動方式である。正弦波の三相変調方式では、UVW各相への出力電力波形は、正弦波に制御される。また、三相変調方式では、回転電機11の中性点23(図2参照)における電位(以下、中性点電位という)は平均的には小さい。以下、三相変調方式でインバータ16を駆動する制御を、三相変調制御、または、単に三相変調という場合がある。三相変調制御では、三相交流電圧指令VU1 ,VV1 ,VW1 がそのまま最終電圧指令VUf ,VVf ,VWf として出力される。
【0023】
二相変調方式は、UVWの三相のうち、一相の電位を少なくとも一時的に固定し、その間、他の二相の電位をPWM制御によって変調することによって、インバータ16の出力電力を制御する方式である。二相変調方式においても、UVW各相への出力電力波形は、三相変調方式の場合と実質的に同様の正弦波に制御される。二相変調方式では、電位を固定する一相について、インバータ16のスイッチング動作が低減されるので、三相変調方式と比較して、インバータ16の発熱(スイッチング損)が抑えられる。したがって、二相変調方式は、パワー素子温度Tpmや冷媒温度Twtr等によってインバータ16の温度が高いと判断されるときに選択される。例えば、二相変調方式は、例えばパワー素子の耐熱温度を超えるおそれがあるときに選択される。但し、二相変調方式では、回転電機11の中性点電位が周期的に変動する。
【0024】
特に、変調方式設定部15は、デフォルト二相変調方式とカスタム二相変調方式の2種類の二相変調方式で、インバータ16を駆動することができる。
【0025】
デフォルト二相変調方式は、UVW各相のうち、最大または最小となる一相の電位を固定し、他の二相の電位をPWM制御によって変調することにより、インバータ16の出力電力を制御する二相変調方式である。すなわち、デフォルト二相変調方式は、標準的な二相変調方式である。
【0026】
カスタム二相変調方式は、UVW各相のうち、デフォルト二相変調方式とは異なる一相の電位を固定し、他の二相の電位をPWM制御によって変調することにより、インバータ16の出力電力を制御する二相変調方式である。本実施形態のカスタム二相変調方式では、UVW各相の中で、電位が最大または最小となる一相を除く二相のうち、電位が最小または最大となる一相の電位が固定され、その余の二相の電位がPWM制御によって変調される。例えば、U相が最大電位、V相が最小電位、そしてW相がこれらの中間の電位となるシーンでは、デフォルト二相変調方式ではU相の電位が固定されるところ、カスタム二相変調方式ではV相の電位が固定される。
【0027】
以下、二相変調方式でインバータ16を駆動する制御を、二相変調制御、または、単に二相変調という場合がある。デフォルト二相変調方式でインバータ16を駆動する制御を、デフォルト二相変調制御、または、単にデフォルト二相変調という場合がある。また、カスタム二相変調方式でインバータ16を駆動する制御を、カスタム二相変調制御、または、単にカスタム二相変調という場合がある。
【0028】
デフォルト二相変調制御を実行する場合、変調方式設定部15は、UVW各相のうち、最大または最小となる一相の電位を固定した三相交流電圧指令(以下、デフォルト二相変調用電圧指令VU2 ,VV2 ,VW2 という)を演算し、これを最終電圧指令VUf ,VVf ,VWf として出力する。また、カスタム二相変調制御を実行する場合、変調方式設定部15は、デフォルト二相変調制御とは異なる一相の電位に固定した三相交流電圧指令(以下、カスタム二相変調用電圧指令VU3 ,VV3 ,VW3 という)を演算し、これを最終電圧指令VUf ,VVf ,VWf として出力する。二相変調制御すなわちデフォルト二相変調制御またはカスタム二相変調制御において、固定する一相の電位は、正の最大値(例えば+V/2)または負の最大値(例えば-V/2)である。
【0029】
上記のように変調方式を設定または変更する他、変調方式設定部15は、PWM制御で用いるキャリア信号(搬送波)の周波数を設定または変更することができる。PWM制御で用いられるキャリア信号は、例えば、その周波数(以下、キャリア周波数fという)が数kHzから10数kHz程度の三角波である。変調方式設定部15は、原則として、三相変調制御及び二相変調制御のいずれの場合においても、予め定められた通常のキャリア周波数(以下、通常キャリア周波数fc0という)有するキャリア信号を、二相変調制御及び三相変調制御で使用する。但し、変調方式設定部15は、必要に応じて、通常キャリア周波数fc0よりも低いキャリア周波数(以下、低キャリア周波数fc1という)を有するキャリア信号を、二相変調制御、三相変調制御、または、二相変調制御及び三相変調制御において使用する場合がある。キャリア周波数fを低下させると、インバータ16におけるパワー素子のスイッチング回数(頻度)が低くなる。このため、キャリア周波数fを低キャリア周波数fに変更すると、パワー素子のスイッチング損及びこれに起因する発熱が低減される。
【0030】
インバータ16は、直流電力と交流電力の相互に変換する。バッテリ17の電力を用いて回転電機11を駆動する場合、インバータ16は、バッテリ17が出力する直流電力を交流電力に変換して回転電機11に供給する。一方、回生制御によって回転電機11が発電する場合、インバータ16は、回転電機11が生成する交流電力を直流電力に変換してバッテリ17に入力することにより、バッテリ17を充電する。前述のとおり、インバータ16は、三相変調制御、デフォルト二相変調制御、または、カスタム二相変調制御のいずれかのPWM制御によって駆動される。
【0031】
なお、本実施形態では、説明の便宜上、インバータ16は、バッテリ17の出力電力であるバッテリ電圧V、パワー素子温度Tpm、及び、冷媒温度Twtrを計測するセンサ(図示しない)を含むものとする。このため、変調方式設定部15は、インバータ16からバッテリ電圧V、パワー素子温度Tpm、及び、冷媒温度Twtrを適宜に取得することができる。
【0032】
バッテリ17は、例えばリチウムイオンバッテリ等、放電及び充電が可能な二次電池である。本実施形態では、電動車両100は、バッテリ17の電力によって駆動される。バッテリ17は、電動車両100を制動するときに回転電機11が生成する電力によって充電される他、外部電源や電動車両100が搭載する発電システム等によって充電される場合がある。
【0033】
回転状態検出部18は、回転電機11の回転状態を検出する。本実施形態では、回転状態検出部18は、レゾルバ等の回転検出器20が出力する信号に基づいて、回転電機11の磁極位置θと、回転電機11の電気角速度ωと、を検出する。前述のとおり、本実施形態では、電気角速度ωは、電流指令演算部12及び変調方式設定部15において使用される。また、磁極位置θは、座標変換部14で使用される他、座標変換部19において使用される。
【0034】
座標変換部19は、磁極位置θに基づく座標変換により、回転電機11に実際に流れる三相交流電流I,I,Iをdq軸電流I,Iに変換する。前述のとおり、dq軸電流I,Iは、電流制御部13で使用される。三相交流電流I,I,Iの全部または一部は、図示しない電流検出器によって検出される。また、三相交流電流I,I,Iのうち二相の電流を検出する場合、残り一相の電流は演算により得られる。
【0035】
なお、電動車両100の上記構成のうち、電流指令演算部12、電流制御部13、座標変換部14、変調方式設定部15、回転状態検出部18、及び、座標変換部19の全部または一部は、1または複数のコンピュータ(いわゆるコントローラ)によって構成される。このコントローラは、上記各部における演算等を予め定めた制御周期で実行するようにプログラムされている。このコントローラ、あるいはこのコントローラのうち変調方式設定部15を含む部分は、インバータ16の制御装置(インバータ制御装置)を構成する。
【0036】
図2は、回転電機11を駆動する電気回路101としての構成を示す回路図である。図2に示すように、電気回路101は、バッテリ17、インバータ16、及び、回転電機11の他、例えば、絶縁抵抗センサ21を含む。
【0037】
インバータ16は、平滑コンデンサ22と、三相のレグと、によって構成される。平滑コンデンサ22は、バッテリ17から入力される電力、あるいは、バッテリ17に入力する電力を平滑化する。各相のレグは、それぞれ上アームと下アームによって構成される。回転電機11が含む各相のステータコイル22u,22v,22wは、対応するレグの上アームと下アームの間に接続される。具体的には、U相レグは、上アームUPと下アームUNによって構成され、これらの間にU相のステータコイル22uの一端が接続される。V相レグは、上アームVPと下アームVNによって構成され、V相のステータコイル22vの一端が接続される。同様に、W相レグは、上アームWPと下アームWNによって構成され、W相のステータコイル22wの一端が接続される。そして、各相のステータコイル22u,22v,22wは、他端において結線される。
【0038】
これらのステータコイル22u,22v,22wが相互に接続する他端は、いわゆる中性点23である。前述のとおり、中性点電位は、三相変調制御を行うときには電位が変動しないが、二相変調制御を行うときには変動する。そして、中性点23は、見かけ上、浮遊容量Csを介してグラウンド(GND)に電気的に接続される。このため、中性点電位が変動すると、その変動がグラウンドに伝搬することがある。
【0039】
各相の上アームUP,VP,WP及び下アームUN,VN,WNは、いずれもIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)等のパワー素子(スイッチング素子)と、還流ダイオードと、によって構成される。インバータ16は、これらのアームのパワー素子をスイッチングすることにより、バッテリ17の出力電力を交流電力に変換し、または、回転電機11が生じさせる交流電力を直流電力に変換する。特に、二相変調制御では、各相の上アームUP,VP,WP及び下アームUN,VN,WNのうち、いずれか1つのアームのパワー素子のオンにし続け、実質的にスイッチングを停止させることにより、その相の電位を固定する。例えば、二相変調制御においてU相の電位を正の最大値(+V/2)に固定するときには、U相の上アームUPをオンに固定する。また、二相変調制御においてU相の電位を負の最大値(-V/2)に固定するときには、U相の下アームUNをオンに固定する。以下では、二相変調制御においてオンに固定されるアームを、固定アームという。
【0040】
絶縁抵抗センサ21は、グラウンド(GND)を基準電位として絶縁抵抗を検出する。本実施形態では、絶縁抵抗センサ21は、対地の絶縁抵抗を検出することにより、バッテリ17、回転電機11、及び/または、インバータ16等の高電圧系部品の地絡を検知する。
【0041】
例えば、絶縁抵抗センサ21は、コンデンサ31及び抵抗器32を介してパルス発振器33をバッテリ17の電源ラインに接続する。コンデンサ31と抵抗器32の接続点には、抵抗器34及びコンデンサ35からなるローパスフィルタ36が接続される。ローパスフィルタ36の他端はグラウンド(GND)に接続される。そして、抵抗器34とコンデンサ35の接続点は、比較器37に接続される。このため、パルス発振器33が所定のパルスを電源ラインに入力したときに、絶縁抵抗が低下していると、それに応じて比較器37に入力される応答パルスの振幅(電圧)が変動する。したがって、比較器37は、入力されたパルスの振幅と、基準電圧38と、を比較することにより、絶縁抵抗を検出する。
【0042】
そして、絶縁抵抗センサ21が含むローパスフィルタ36は、高周波ノイズを低減することによって、絶縁抵抗を正確に計測するためのノイズ低減フィルタとして機能する。したがって、中性点電位の変動が浮遊容量Csを介してグラウンドに伝搬すると、絶縁抵抗センサ21に誤検出を生じさせるおそれがあるノイズとなり得るが、中性点電位の変動周波数fvnが、ローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτよりも十分に高い場合、中性点電位の変動によって生じるノイズは、ローパスフィルタ36によって低減される。一方、中性点電位の変動周波数fvnが、ローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτの近傍またはそれ以下である場合、中性点電位の変動によって生じるノイズは、ローパスフィルタ36を通過するので、絶縁抵抗センサ21に誤検出を生じさせるおそれがある。特に、中性点電位の変動周波数fvnは回転電機11の電気角速度ωに比例するので、回転電機11の電気角速度ωが低い状況で二相変調制御を行うときには、中性点電位の変動によって生じるノイズが、ローパスフィルタ36を通過してしまうおそれがある。
【0043】
そこで、本実施形態では、中性点電位の変動周波数fvnと、ローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτと、が比較される。そして、変動周波数fvnがカットオフ周波数fτの近傍かそれ以下であるときに、PWM制御の変調方式を、予め設定する所定時間(T)の間、一時的に切り替えるように、変調方式設定部15が構成される。より具体的には、例えば、変調方式設定部15は、二相変調制御を行う必要があるときには、原則としてデフォルト二相変調制御によって二相変調制御を行うが、中性点電位の変動周波数fvnがローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτの近傍かそれ以下であるときには、デフォルト二相変調制御を実行している途中において、カスタム二相変調制御を一時的に割り込ませる。これにより、中性点電位の変動周波数fvnを強制的に高周波化し、中性点電位の変動によって生じ得るノイズがローパスフィルタ36において適切に低減されるように、PWM制御の変調方式が切り替えられる。
【0044】
図3は、変調方式設定部15の構成を示すブロック図である。図3に示すように、変調方式設定部15は、二相変調実行判定部41、キャリア周波数設定部42、中性点電位変動周波数演算部43、最終電圧指令演算部44、第1タイマー45、及び、第2タイマー46を備える。
【0045】
二相変調実行判定部41は、インバータ16の温度に基づいて、二相変調制御を実行するか否かを判定する。本実施形態では、二相変調実行判定部41は、インバータ16の温度としてパワー素子温度Tpmを用いる。具体的には、二相変調実行判定部41は、パワー素子温度Tpmを第1温度閾値αと比較する。そして、パワー素子温度Tpmが第1温度閾値αよりも高く(Tpm>α)、インバータ16が高温の状態となっているときに、二相変調実行判定部41は、二相変調制御を実行すべきと判定する。
【0046】
上記のとおり、第1温度閾値αは、インバータ16の温度に応じて、通常行うべき三相変調制御に代えて二相変調制御を行うか否かの判断基準である。したがって、パワー素子温度Tpmが第1温度閾値α以下であり(Tpm≦α)、インバータ16が定常の温度の範囲内であって、三相変調制御を継続し得る場合、二相変調実行判定部41は、二相変調制御の実行が不要であり、三相変調制御を実行すべきと判定する。第1温度閾値αは、実験またはシミュレーション等によって予め定められる。
【0047】
キャリア周波数設定部42は、インバータ16の温度に基づいて、キャリア周波数fを決定する。本実施形態では、キャリア周波数設定部42は、インバータ16の温度としてパワー素子温度Tpmを用いる。具体的には、キャリア周波数設定部42は、パワー素子温度Tpmを第2温度閾値αと比較する。そして、パワー素子温度Tpmが第2温度閾値αよりも高く(Tpm>α)、インバータ16が特に高温の状態に至っているときに、キャリア周波数設定部42は、各種PWM制御におけるキャリア周波数fを、通常キャリア周波数fc0から低キャリア周波数fc1に変更する。
【0048】
上記のとおり、第2温度閾値αは、インバータ16の温度に応じて、通常キャリア周波数fc0を低キャリア周波数fc1に低下させる必要があるか否かの判断基準である。したがって、パワー素子温度Tpmが第2温度閾値α以下であるときには(Tpm≦α)、キャリア周波数設定部42は、各種PWM制御におけるキャリア周波数fを通常キャリア周波数fc0に維持する。すなわち、インバータ16がある程度の高温であるとしても、キャリア周波数fを低減させなければならないほどの高温状態に至ってないときには、キャリア周波数fは通常キャリア周波数fc0に維持される。なお、第2温度閾値αは、少なくとも第1温度閾値αよりも大きい範囲内で(α>α)、実験またはシミュレーション等によって予め定められる。
【0049】
本実施形態では、キャリア周波数設定部42は、下記の式(2)及び式(3)にしたがって、低キャリア周波数fc1を演算により決定する。式(2)において、Tは、デフォルト二相変調制御によって特定のアームをオンに固定する最大時間(以下、デフォルト二相変調制御の最大継続時間Tという)である。一方、Tは、カスタム二相変調制御によって他のアームをオンに固定する最大時間(以下、カスタム二相変調制御の最大継続時間Tという)である。したがって、T/(T+T)は、二相変調制御を行うときに、デフォルト二相変調制御とカスタム二相変調制御の切り替えについての時間的比率(以下、切替比率κという)である。すなわち、キャリア周波数設定部42は、通常キャリア周波数fc0に、切替比率κに応じた係数(1.5-κ)を乗じることにより、切替比率κに応じた低キャリア周波数fc1を演算する。
【0050】
【数2】
【0051】
なお、二相変調制御を実行するときに、デフォルト二相変調制御の最大継続時間T、及び、カスタム二相変調制御の最大継続時間Tは、実験またはシミュレーション等によって予め定める。すなわち、切替比率κは、実験またはシミュレーション等によって予め定められる。具体的な各二相変調制御の最大継続時間T,T及び切替比率κは、例えばインバータ16の温度等に応じて変化するように定められる場合がある。
【0052】
特に、各二相変調制御の最大継続時間T,Tは、ローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτとの関係で、下記の式(3)を満たすように定められる。すなわち、二相変調制御において、固定アームの変更周波数が少なくともローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτよりも高周波数となるように、各最大継続時間T,Tが設定される。各最大継続時間T,Tは、下記の式(4)に示すように、切替比率κが0.5以上1未満の範囲(0.5≦κ<1)となるように定められる。このため、低キャリア周波数fc1の演算において、通常キャリア周波数fc0に乗じる係数は、0.5より大きく1以下の範囲(0.5<1.5-κ≦1)で変化する。したがって、キャリア周波数設定部42が演算する低キャリア周波数fc1は、少なくとも通常キャリア周波数fc0以下である。
【0053】
【数3】
【0054】
この他、キャリア周波数設定部42は、切替比率κによらず、低キャリア周波数fc1を決定することができる。この場合、キャリア周波数設定部42は、例えばfc1=0.5×fc0によって、低キャリア周波数fc1を実質的に固定値とすることができる。すなわち、低キャリア周波数fc1を、通常キャリア周波数fc0の1/2以下とする。これは、キャリア周波数fを低下させる必要があるときには、具体的なインバータ16の温度等によらず、インバータ16の温度が最も厳しい条件下にあるときに合わせて、キャリア周波数fを、取り得る最低の周波数にまで低減させるものである。本実施形態では、特に、低キャリア周波数fc1を、通常キャリア周波数fc0の1/2とする。
【0055】
なお、本実施形態では、変調方式設定部15はキャリア周波数設定部42を含んでいるが、キャリア周波数設定部42は省略され得る。すなわち、より簡易的に変調方式設定部15を構成する場合には、三相変調制御及び二相変調制御において、インバータ16の温度等によらず、通常キャリア周波数fc0のキャリア信号を使用し続けてもよい。
【0056】
中性点電位変動周波数演算部43は、少なくとも二相変調制御が実行されるときに、回転電機11の電気角速度ωに基づいて、中性点電位を演算する。本実施形態では、中性点電位変動周波数演算部43は、特に、中性点電位の変動周波数fvnを演算する。具体的には、中性点電位変動周波数演算部43は、下記の式(5)に基づいて、中性点電位の変動周波数fvnを演算(推定)する。なお、変調方式設定部15は、中性点電位の変動周波数fvnを計測その他の方法によって取得してもよい。
【0057】
【数4】
【0058】
最終電圧指令演算部44は、二相変調実行判定部41の判定結果にしたがって、最終電圧指令(VUf ,VVf ,VWf )を出力する。二相変調実行判定部41が、二相変調制御の実行が不要であり、三相変調制御を実行すべきと判定した場合、最終電圧指令演算部44は、三相交流電圧指令(VU1 ,VV1 ,VW1 )をそのまま最終電圧指令(VUf ,VVf ,VWf )として出力する。これにより、インバータ16は三相変調制御によって駆動される。
【0059】
一方、二相変調実行判定部41が二相変調制御を実行すべきと判定した場合、最終電圧指令演算部44は、デフォルト二相変調用電圧指令(VU2 ,VV2 ,VW2 )及び/またはカスタム二相変調用電圧指令(VU3 ,VV3 ,VW3 )を演算し、これらのいずれかを最終電圧指令(VUf ,VVf ,VWf )として出力する。これにより、インバータ16は二相変調制御によって駆動される。そして、最終電圧指令(VUf ,VVf ,VWf )がデフォルト二相変調用電圧指令(VU2 ,VV2 ,VW2 )であるときには、インバータ16は、デフォルト二相変調制御によって駆動される。同様に、最終電圧指令(VUf ,VVf ,VWf )がカスタム二相変調用電圧指令(VU3 ,VV3 ,VW3 )であるときには、インバータ16は、カスタム二相変調制御によって駆動される。
【0060】
最終電圧指令演算部44は、デフォルト二相変調用電圧指令(VU2 ,VV2 ,VW2 )及びカスタム二相変調用電圧指令(VU3 ,VV3 ,VW3 )は、いずれも三相交流電圧指令(VU1 ,VV1 ,VW1 )とバッテリ電圧Vを用いて演算される。
【0061】
具体的には、最終電圧指令演算部44は、まず、下記の式(6)にしたがって、最大指令V 、及び、最小指令V を演算する。これにより、最終電圧指令演算部44は、最大となるのが三相交流電圧指令(VU1 ,VV1 ,VW1 )のいずれであるか、及び、最小となるのが三相交流電圧指令(VU1 ,VV1 ,VW1 )のいずれであるか、を判定する。
【0062】
【数5】
【0063】
そして、最終電圧指令演算部44は、最大指令V と最小指令V の大小関係に応じて、下記の式(7)または式(8)にしたがって、デフォルト二相変調用電圧指令(VU2 ,VV2 ,VW2 )及びカスタム二相変調用電圧指令(VU3 ,VV3 ,VW3 )を演算する。式(7)及び式(8)において、x=2,3である。x=2のとき、式(7)または式(8)で求められる電圧指令は、デフォルト二相変調用電圧指令(VU2 ,VV2 ,VW2 )であり、x=3のとき、式(7)または式(8)で求められる電圧指令は、カスタム二相変調用電圧指令(VU3 ,VV3 ,VW3 )である。
【0064】
【数6】
【0065】
|V |≧|V |である場合、最終電圧指令演算部44は、デフォルト二相変調用電圧指令(VU2 ,VV2 ,VW2 )を式(7)にしたがって演算する。一例として、VU1 >0>VV1 >VW1 である期間の制御シーンを例にすると、V =VU1 となるので、デフォルト二相変調用電圧指令(VU2 ,VV2 ,VW2 )は、(VU2 ,VV2 ,VW2 )=(+V/2,VV1 +(V/2-VU1 ),VW1 +(V/2-VU1 ))となる。すなわち、デフォルト二相変調制御では、三相交流電圧指令(VU1 ,VV1 ,VW1 )において最大となるU相の電位が+V/2(正の最大値)に固定され、V相及びW相の電位が制御される。
【0066】
また、|V |≧|V |である場合、最終電圧指令演算部44は、カスタム二相変調用電圧指令(VU3 ,VV3 ,VW3 )を式(8)にしたがって演算する。上記と同様に、VU1 >0>VV1 >VW1 である期間の制御シーンを例にすると、V =VW1 となるので、カスタム二相変調用電圧指令(VU3 ,VV3 ,VW3 )は、(VU3 ,VV3 ,VW3 )=(VU1 +(V/2-VW1 ),VV1 +(V/2-VW1 ),-V/2)となる。すなわち、カスタム二相変調制御では、三相交流電圧指令(VU1 ,VV1 ,VW1 )において最小となるW相の電位が-V/2(負の最大値)に固定され、U相及びV相の電位が制御される。したがって、カスタム二相変調制御では、デフォルト二相変調制御とは異なる相の電位が固定され、かつ、その固定された電位の符号も反対である。
【0067】
一方、|V |<|V |である場合、最終電圧指令演算部44は、デフォルト二相変調用電圧指令(VU2 ,VV2 ,VW2 )を式(8)にしたがって演算する。VU1 >VV1 >0>VW1 である期間の制御シーンを例にすると、V =VW1 となるので、デフォルト二相変調用電圧指令(VU2 ,VV2 ,VW2 )は、(VU2 ,VV2 ,VW2 )=(VU1 +(V/2-VW1 ),VV1 +(V/2-VW1 ),-V/2)となる。すなわち、デフォルト二相変調制御では、三相交流電圧指令(VU1 ,VV1 ,VW1 )において最小となるW相の電位が-V/2(負の最大値)に固定され、U相及びV相の電位が制御される。
【0068】
また、|V |<|V |である場合、最終電圧指令演算部44は、カスタム二相変調用電圧指令(VU3 ,VV3 ,VW3 )を式(7)にしたがって演算する。VU1 >VV1 >0>VW1 である期間の制御シーンを例にすると、V =VU1 となるので、カスタム二相変調用電圧指令(VU3 ,VV3 ,VW3 )は、(VU3 ,VV3 ,VW3 )=(+V/2,VV1 +(V/2-VU1 ),VW1 +(V/2-VU1 ))となる。すなわち、カスタム二相変調制御では、三相交流電圧指令(VU1 ,VV1 ,VW1 )において最大となるU相の電位が+V/2(正の最大値)に固定され、V相及びW相の電位が制御される。したがって、カスタム二相変調制御では、デフォルト二相変調制御とは異なる相の電位が固定され、かつ、その固定された電位の符号も反対である。
【0069】
最終電圧指令演算部44は、デフォルト二相変調制御から一時的にカスタム二相変調制御に切り替えるか否かを、次のように決定する。すなわち、最終電圧指令演算部44は、上記のように演算するデフォルト二相変調用電圧指令(VU2 ,VV2 ,VW2 )及びカスタム二相変調用電圧指令(VU3 ,VV3 ,VW3 )のどちらを最終電圧指令(VUf ,VVf ,VWf )として出力するかを、次のように決定する。
【0070】
まず、最終電圧指令演算部44は、デフォルト二相変調制御から一時的にカスタム二相変調制御に切り替える必要性を、中性点電位の変動周波数fvnとローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτとの比較によって判定する。
【0071】
中性点電位の変動周波数fvnがローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτの近傍かそれ以下であるときには、そのままデフォルト二相変調制御を継続すると、中性点電位の変動によって生じるノイズの全部または一部がローパスフィルタ36を通過する。このため、最終電圧指令演算部44は、一時的に、カスタム二相変調制御に切り替える必要があると判定する。デフォルト二相変調制御を一時的にカスタム二相変調制御に切り替えると、中性点電位はほぼ反転し、変動周波数fvnが高周波化される。その結果、中性点電位の変動によって生じるノイズは、ローパスフィルタ36を通過し難くなる。
【0072】
但し、三相交流電圧指令(VU1 ,VV1 ,VW1 )の変化に応じて自然に固定アームが変化し、電位が固定される相や、固定される電位の符号が変化するときには、デフォルト二相変調制御を継続した場合でも、中性点電位はほぼ反転する。すなわち、これはカスタム二相変調制御に切り替える必要がないタイミングである。このため、最終電圧指令演算部44は、デフォルト二相変調用電圧指令(VU2 ,VV2 ,VW2 )の前回値と今回値を比較し、絶対値が最大となる相が変化し、または、その相の符号が変化したときには、例外的に、カスタム二相変調制御に切り替える必要がないと判定する。すなわち、デフォルト二相変調用電圧指令(VU2 ,VV2 ,VW2 )の前回値と今回値の比較において、絶対値が最大となる相が変化せず、かつ、その相の符号も変化しておらず、固定アームが維持されているときには、カスタム二相変調制御に切り替える必要があるという判定が維持される。
【0073】
なお、本実施形態では、中性点電位の変動周波数fvnとローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτとの比較を、これらの差の絶対値が、予め定める近傍判断閾値βより小さいか否か(|fvn-fτ|<β)を判定することによって行う。これは、中性点電位の変動周波数fvnが、ローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτの近傍にあるか否かを判定するものであり、実質的に、中性点電位の変動周波数fvnとローパスフィルタのカットオフ周波数fτとの一致を判定するものである。中性点電位の変動周波数fvnは、通常、ローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτよりも大きいので、上記のように、中性点電位の変動周波数fvnとローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτとの一致(実質的な一致)を判定すれば、デフォルト二相変調制御にカスタム二相変調制御を割り込ませるべきか否かを判定できる。
【0074】
但し、最終電圧指令演算部44は、中性点電位の変動周波数fvnがローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτの近傍かそれ以下であるか否か(fvn-fτ<β)、によってデフォルト二相変調制御にカスタム二相変調制御を割り込ませるべきか否かを判定してもよい。
【0075】
なお、近傍判断閾値βが実質的に極小さい値に設定されるので、最終電圧指令演算部44は、実質的に、中性点電位の変動周波数fvnがローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτ以下であること(fvn-fτ<0)を判定しているといえる。特に、本実施形態では、最終電圧指令演算部44は、簡便に、中性点電位の変動周波数fvnがローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτと一致したこと(fvn-fτ=0)を判定しているといえる。
【0076】
さらに、最終電圧指令演算部44は、デフォルト二相変調制御によって実際に同一のアームをオンに固定している時間(以下、デフォルト二相変調制御の実継続時間τという)に基づいて、デフォルト二相変調制御から一時的にカスタム二相変調制御に切り替える必要性を判定する。本実施形態では、最終電圧指令演算部44は、デフォルト二相変調制御の実継続時間τを、第1タイマー45によって計測する。そして、最終電圧指令演算部44は、デフォルト二相変調制御の実継続時間τが、予め定める所定時間である最大継続時間Tを超えたときに、デフォルト二相変調制御から一時的にカスタム二相変調制御に切り替える必要があると判定する。
【0077】
また、最終電圧指令演算部44は、カスタム二相変調制御によって実際に同一のアームをオンに固定している時間(以下、カスタム二相変調制御の実継続時間τという)に基づいて、デフォルト二相変調制御への復帰のタイミングを判定する。本実施形態では、最終電圧指令演算部44は、カスタム二相変調制御の実継続時間τを、第2タイマー46によって計測する。そして、最終電圧指令演算部44は、カスタム二相変調制御の実継続時間τが、予め定める所定時間である最大継続時間T以下であるときに、カスタム二相変調制御を開始し、または、継続する。一方、カスタム二相変調制御の実継続時間τが最大継続時間Tを超えたときには、最終電圧指令演算部44は、デフォルト二相変調制御に切り替え、第1タイマー45及び第2タイマー46をクリア(リセット)する。
【0078】
第1タイマー45は、前述のとおり、デフォルト二相変調制御の実継続時間τを計測する。したがって、第1タイマー45は、デフォルト二相変調制御が開始されたときにセットされ、一時的に実行したカスタム二相変調制御が終了し、再びデフォルト二相変調制御が開始されるタイミングでクリアされる。また、中性点電位の変動周波数fvnがローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτより大きく、デフォルト二相変調制御が実行されないときには、第1タイマー45はクリアされた状態に維持される。
【0079】
第2タイマー46は、前述のとおり、カスタム二相変調制御の実継続時間τを計測する。したがって、第2タイマー46は、カスタム二相変調制御が開始されたときにセットされ、デフォルト二相変調制御に復帰したときにクリアされる。また、中性点電位の変動周波数fvnがローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτより大きく、デフォルト二相変調制御が実行されないときには、第2タイマー46はクリアされた状態に維持される。
【0080】
以下、上記のように構成される電動車両100における変調方式の切り替えに係る作用を説明する。
【0081】
図4は、変調方式の切り替えに係るフローチャートである。図4に示すように、ステップS110では、二相変調実行判定部41が、パワー素子温度Tpmと第1温度閾値αを比較する。パワー素子温度Tpmが第1温度閾値α以下であり、インバータ16が定常の温度の範囲内であるときには、三相変調制御を実行(継続)し得る。このため、ステップS111に進む。ステップS111では、キャリア周波数設定部42は、キャリア周波数fを通常キャリア周波数fc0に設定する。ステップS112では、第1タイマー45及び第2タイマー46(すなわち各実継続時間τ,τ)をクリアする。そして、ステップS113では、最終電圧指令演算部44は、三相交流電圧指令(VU1 ,VV1 ,VW1 )をそのまま最終電圧指令(VUf ,VVf ,VWf )として出力し、三相変調制御を実行する。
【0082】
一方、ステップS110において、パワー素子温度Tpmが第1温度閾値αより大きく、インバータ16が高温の状態であるときには、ステップS114に進み、キャリア周波数設定部42が、パワー素子温度Tpmを第2温度閾値αと比較する。そして、パワー素子温度Tpmが第2温度閾値α以下であり、インバータ16がキャリア周波数fを低減させなければならないほどの高温状態まで至ってないと判断されるときには、ステップS115に進み、キャリア周波数設定部42は、キャリア周波数fを通常キャリア周波数fc0に設定(維持)する。一方、パワー素子温度Tpmが第2温度閾値αより大きく、インバータ16が特に高温の状態に至っていると判断されるときには、ステップS116に進み、キャリア周波数設定部42は、低キャリア周波数fc1を演算等により決定し、キャリア周波数fを低キャリア周波数fc1に設定する。
【0083】
その後、ステップS117では、最終電圧指令演算部44がデフォルト二相変調用電圧指令(VU2 ,VV2 ,VW2 )を最終電圧指令(VUf ,VVf ,VWf )として出力することにより、デフォルト二相変調制御を実行する。また、ステップS118では、中性点電位変動周波数演算部43が、回転電機11の電気角速度ωに基づいて、中性点電位の変動周波数fvnを演算する。
【0084】
ステップS119では、最終電圧指令演算部44は、中性点電位の変動周波数fvnとローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτとを比較する。そして、中性点電位の変動周波数fvnがローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτよりも実質的に大きいときには、ステップS120において第1タイマー45及び第2タイマー46がクリアされ、デフォルト二相変調制御が継続される。一方、回転電機11の電気角速度ωに応じて中性点電位の変動周波数fvnがローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτと実質的に一致するまでに低下したときには、ステップS121に進む。
【0085】
ステップS121では、最終電圧指令演算部44は、デフォルト二相変調用電圧指令(VU2 ,VV2 ,VW2 )の前回値と今回値の比較によって、固定アームが維持されるか否かを判定する。そして、三相交流電圧指令(VU1 ,VV1 ,VW1 )の変化に応じて自然に固定アームが変化したときには、ステップS120に進み、第1タイマー45及び第2タイマー46がクリアされ、デフォルト二相変調制御が継続される。
【0086】
一方、固定アームが維持されているときには、ステップS122に進み、最終電圧指令演算部44は、デフォルト二相変調制御の実継続時間τとその最大継続時間Tを比較する。そして、デフォルト二相変調制御の実継続時間τが最大継続時間T以下であるときには、そのままデフォルト二相変調制御が継続される。これに対し、デフォルト二相変調制御の実継続時間τが最大継続時間Tを超えたときには、ステップS123に進み、最終電圧指令演算部44は、カスタム二相変調制御の実継続時間τとその最大継続時間Tを比較する。
【0087】
カスタム二相変調制御の実継続時間τが最大継続時間T以下であるときには、ステップS124に進む。そして、ステップS124では、最終電圧指令演算部44は、カスタム二相変調用電圧指令(VU3 ,VV3 ,VW3 )を最終電圧指令(VUf ,VVf ,VWf )として出力することにより、カスタム二相変調制御を実行する。なお、ステップS123においてカスタム二相変調制御の実継続時間τが最大継続時間Tを超えたときには、ステップ120に進み、第1タイマー45及び第2タイマー46がクリアされ、デフォルト二相変調制御が継続され、または、デフォルト二相変調制御に復帰する。
【0088】
図5は、デフォルト二相変調制御を示すグラフである。図5の各グラフにおいて、横軸は時間である。図5(A)は、三相交流電圧指令VU1 ,VV1 ,VW1 の例を、それぞれ実線,破線,一点鎖線で示す。図5(B)から図5(D)は、デフォルト二相変調用電圧指令VU2 ,VV2 ,VW2 を、三相交流電圧指令VU1 ,VV1 ,VW1 に対応させてそれぞれ実線,破線,一点鎖線で示す。図5(E)は、デフォルト二相変調制御による中性点電位の変動及びその変動周波数fvnを(変動周期1/fvn)を示す。なお、期間P~Pは、三相交流電圧指令VU1 ,VV1 ,VW1 のうち最大指令V または最小指令V となる相が変化しない時間的範囲を示す。
【0089】
図5(A)に示すように、三相交流電圧指令VU1 ,VV1 ,VW1 は互いに位相がずらされた正弦波である。この三相交流電圧指令の下でデフォルト二相変調制御を行うと、デフォルト二相変調用電圧指令VU2 ,VV2 ,VW2 は、図5(B)から図5(D)に示すように変化する。
【0090】
例えば、期間Pでは、|V |≧|V |であり、三相交流電圧指令VU1 ,VV1 ,VW1 のうちU相の電圧指令VU1 が最大指令V となる。このため、図5(B)に示すように、デフォルト二相変調用電圧指令VU2 ,VV2 ,VW2 のうちU相の電圧指令VU2 が正の最大値である+V/2に固定され、図5(C)及び図5(D)に示すように、V相及びW相の電圧指令VV2 ,VW2 が変調される。
【0091】
また、例えば、期間Pでは、|V |<|V |であり、三相交流電圧指令VU1 ,VV1 ,VW1 のうちW相の電圧指令VW1 が最小指令V となる。このため、図5(D)に示すように、デフォルト二相変調用電圧指令VU2 ,VV2 ,VW2 のうちW相の電圧指令VW2 が負の最大値である-V/2に固定され、図5(B)及び図5(C)に示すように、U相及びV相の電圧指令VU2 ,VV2 が変調される。
【0092】
期間P及び期間P~Pについてもこれらと同様である。すなわち、期間P,P,P,Pでは、|V |≧|V |であり、それぞれU相,V相,W相,U相の電位が正の最大値に固定される。また、期間P,P,P,Pでは、|V |<|V |であり、それぞれV相,W相,U相,V相の電位が負の最大値に固定される。
【0093】
デフォルト二相変調制御では、上記のように、いずれかの相の電位が正または負の最大値に固定されつつ、周期的に変動することによって、図5(E)に示すように、中性点電位もまたこれに応じて周期的に変動する。このとき、例えば、電気角速度ωが小さく、回転電機11が低回転であるときには、中性点電位の変動周波数fvnがローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτに近づくので、絶縁抵抗センサ21に誤検出を生じさせるおそれがある。
【0094】
図6は、カスタム二相変調制御を割り込ませた場合を示すグラフである。図6の各グラフにおいて、横軸は時間である。図6(A)は、三相交流電圧指令VU1 ,VV1 ,VW1 の例を、それぞれ実線,破線,一点鎖線で示す。図6(B)から図6(D)は、デフォルト二相変調制御にカスタム二相変調制御を割り込ませた場合の最終電圧指令VUf ,VVf ,VWf を、三相交流電圧指令VU1 ,VV1 ,VW1 に対応させてそれぞれ実線,破線,一点鎖線で示す。図5(E)は、中性点電位の変動及びその変動周波数fvnを(変動周期1/fvn)を示す。なお、期間P~Pは、図5の場合と同様であり、三相交流電圧指令VU1 ,VV1 ,VW1 のうち最大指令V または最小指令V となる相が変化しない時間的範囲を示す。
【0095】
図6(A)に示すように、例えば、期間Pでは、|V |≧|V |であり、U相の電圧指令VU1 が最大指令V となるので、デフォルト二相変調制御を継続していれば、U相の電圧指令VU2 が正の最大値である+V/2に維持される期間である。これに対し、本実施形態の方法によってデフォルト二相変調制御とカスタム二相変調制御の切り替えを行う場合、以下のように、最終電圧指令VUf ,VVf ,VWf が変動する。
【0096】
例えば、期間Pのうち第1四半期P2aでは、デフォルト二相変調用電圧指令VU2 ,VV2 ,VW2 が最終電圧指令VUf ,VVf ,VWf として出力される。すなわち、第1四半期P2aでは、インバータ16は、デフォルト二相変調制御によって駆動される。このため、図6(B)に示すように、U相の電位が正の最大値に固定され、図6(C)及び図6(D)に示すように、V相及びW相の電位が変調される。
【0097】
次に、第1四半期P2aでデフォルト二相変調制御の実継続時間τが最大継続時間Tを超える。このため、第2四半期P2bでは、カスタム二相変調用電圧指令VU3 ,VV3 ,VW3 が最終電圧指令VUf ,VVf ,VWf として出力される。すなわち、第2四半期P2bでは、インバータ16は、カスタム二相変調制御によって駆動される。このとき、図6(A)に示すように、三相交流電圧指令VU1 ,VV1 ,VW1 のうち最小指令V となるのはV相である。したがって、図6(C)に示すように、第2四半期P2bでは、V相の電位が負の最大値に固定され、図6(B)及び図6(D)に示すように、U相及びW相の電位が変調される。これにより、第2四半期P2bでは、第1四半期P2aに対し、最終電圧指令VUf ,VVf ,VWf が概ね反転する。
【0098】
そして、第2四半期P2bでカスタム二相変調制御の実継続時間τが最大継続時間Tを超える。このため、第3四半期P2cでは、再びデフォルト二相変調用電圧指令VU2 ,VV2 ,VW2 が最終電圧指令VUf ,VVf ,VWf として出力される。すなわち、第3四半期P2cでは、インバータ16は、デフォルト二相変調制御によって駆動される。このため、図6(B)に示すように、U相の電位が正の最大値に固定され、図6(C)及び図6(D)に示すように、V相及びW相の電位が変調される。これにより、第3四半期P2cでは、第2四半期P2bに対し、最終電圧指令VUf ,VVf ,VWf が概ね反転する。
【0099】
その後、第3四半期P2cでデフォルト二相変調制御の実継続時間τが最大継続時間Tを超える。このため、第4四半期P2dでは、再びカスタム二相変調用電圧指令VU3 ,VV3 ,VW3 が最終電圧指令VUf ,VVf ,VWf として出力される。すなわち、第4四半期P2dでは、インバータ16は、カスタム二相変調制御によって駆動される。このとき、図6(A)に示すように、三相交流電圧指令VU1 ,VV1 ,VW1 のうち最小指令V となるのはW相である。したがって、図6(D)に示すように、第4四半期P2dでは、W相の電位が負の最大値に固定され、図6(B)及び図6(C)に示すように、U相及びV相の電位が変調される。これにより、第4四半期P2dでは、第3四半期P2cに対し、最終電圧指令VUf ,VVf ,VWf が概ね反転する。
【0100】
上記のように、二相変調制御を行うときに、デフォルト二相変調制御とカスタム二相変調制御が切り替わると、図6(E)に示すように、中性点電位もまたこれに応じて変動する。このため、デフォルト二相変調制御を継続した場合(図5(E)参照)よりも、中性点電位の変動周波数fvnが高くなる。このため、デフォルト二相変調制御を単純に継続すると中性点電位の変動周波数fvnがローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτ以下となってしまう場合でも、上記のデフォルト二相変調制御とカスタム二相変調制御の切り替えによって、中性点電位の変動周波数fvnはローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτよりも大きく保たれる。その結果、中性点電位の変動によってノイズがグラウンド介して絶縁抵抗センサ21に作用するとしても、このノイズは、ローパスフィルタ36によって適切に低減されるので、絶縁抵抗センサ21に誤検出を生じさせない。
【0101】
図7は、二相変調制御によって中性点電位が変動するときにグラウンドに伝搬するノイズのスペクトルを示すグラフである。図7(A)は、デフォルト二相変調制御を継続した場合を示し、図7(B)は、デフォルト二相変調制御とカスタム二相変調制御の切り替えを行った場合を示す。
【0102】
図7(A)に示すように、二相変調制御をするときに、単にデフォルト二相変調制御を継続する場合、ローパスフィルタ36のカットオフ周波数fτとなることがある。しかし、図7(B)に示すように、デフォルト二相変調制御とカスタム二相変調制御の切り替えを行うと、中性点電位の変動周波数fvnが高周波化することによって、ノイズのスペクトルが変化する。このため、カットオフ周波数fτの成分が低減される。ここでは、差Δで示す程度に、カットオフ周波数fτのノイズ成分が低減されている。
【0103】
したがって、本実施形態のように、二相変調制御を行うときに、デフォルト二相変調制御とカスタム二相変調制御の切り替えを行うと、絶縁抵抗センサ21の誤検出を抑制することができる。さらに、二相変調制御は、インバータ16の発熱を抑えるために行われるものであるが、デフォルト二相変調制御とカスタム二相変調制御は、いずれも二相変調制御であり、これらの切り替えを行っても三相変調制御に比べてパワー素子のスイッチング頻度は低減されたままである。したがって、本実施形態におけるデフォルト二相変調制御とカスタム二相変調制御の切り替え制御は、これらの要求を両立させるものであり、インバータ16の発熱を抑えつつ、かつ、絶縁抵抗センサ21の誤検出が抑制される。すなわち、これらの相反する要求を両立しやすい。
【0104】
また、本実施形態では、インバータ16の温度が特に高温に至っていると判定されたときには、デフォルト二相変調制御とカスタム二相変調制御の切り替えに加えて、キャリア周波数fが低キャリア周波数fc1に設定され、さらにインバータ16の発熱、及び、インバータ16が動作することによって生じる音や振動等(以下、音振等という)が抑制される。そして、本実施形態では低キャリア周波数fc1を、デフォルト二相変調制御とカスタム二相変調制御の切替比率κに応じて設定するので、特に、インバータ16の発熱や音振等を抑えつつ、かつ、絶縁抵抗センサ21の誤検出が抑制されやすい。
【0105】
[変形例]
なお、上記実施形態では、中性点電位を変動させるPWM制御として二相変調制御を例に挙げたが、これに限らない。回転電機11に入力する電力を矩形波に制御する矩形波制御や、三次高調波を導入して回転電機11に入力する電力を台形波形に制御する台形波制御を実行するときにも、中性点電位は変動する。このため、矩形波制御や台形波制御を行う場合にも、上記実施形態の制御を行うことが好ましい。
【0106】
上記実施形態では、中性点電位の変動によって誤検出のおそれがある検出器(センサ等)として、絶縁抵抗センサ21を例に挙げたが、これに限らない。上記実施形態の制御は、グラウンドを基準電位とし、ノイズ低減フィルタを含むその他の検出器についても、中性点電位の変動による誤検出を抑制することができる。また、中性点電位の変動によって誤検出のおそれがある検出器が複数あるときには、例えば、各検出器が有するノイズ低減フィルタのカットオフ周波数fτのうち最も高いカットオフ周波数fτに合わせて、上記実施形態の制御を実行することができる。
【0107】
上記実施形態では、カットオフ周波数fτのノイズ成分を直接的に低減するように、デフォルト二相変調制御とカスタム二相変調制御を切り替えているが、これに限らない。例えば、回転電機11の電気角速度ωに対応する周波数、及び/または、その逓倍の周波数を有するノイズ(中性点電位の変動)が抑制されるように、デフォルト二相変調制御とカスタム二相変調制御を切り替えてもよい。この場合も、上記実施形態と同様に、絶縁抵抗センサ21等の誤検出を低減させることができる。
【0108】
上記実施形態では、デフォルト二相変調制御とカスタム二相変調制御の切り替えを行っているが、これに限らない。例えば、二相変調制御を行う場合、デフォルト二相変調制御と三相変調制御の切り替えを行ってもよい。
【0109】
図8は、変調方式の切り替えに係る変形例のフローチャートである。ここでは、上記のように、デフォルト二相変調制御と三相変調制御の切り替えを行う例を示す。図8に示すように、図4のステップS124でカスタム二相変調制御を実行するタイミングで、ステップS130の三相変調制御を実行する。正弦波の三相変調制御では中性点電位は平均的には小さいので、カスタム二相変調制御の代わりに三相変調制御を実行する場合も、上記実施形態と同様に、中性点電位の変動周波数fvnが高周波化することができる。したがって、上記実施形態と同様に、絶縁抵抗センサ21の誤検出を抑制することができる。また、少なくともデフォルト二相変調制御を行う期間については、パワー素子のスイッチング頻度は低減される。このため、インバータ16の発熱や音振等を抑えつつ、かつ、絶縁抵抗センサ21の誤検出が抑制される。
【0110】
上記実施形態では、パワー素子温度Tpmをインバータ16の温度として参照し、キャリア周波数fを設定しているが、これに限らない。例えば、さらにインバータ16の抜熱性を考慮して、より適切にキャリア周波数fを設定してもよい。
【0111】
図9は、変調方式の切り替えに係る変形例のフローチャートである。ここでは、上記のように、さらに冷媒温度Twtrを用いてインバータ16の抜熱性を考慮し、キャリア周波数fを設定する例を示す。この場合、例えば、図9に示すように、図4のステップS114とステップS115の間に、ステップS140を設けることができる。ステップS140では、冷媒温度Twtrを、実験またはシミュレーション等によって予め定める第3温度閾値γと比較する。そして、冷媒温度Twtrが第3温度閾値γ以下であって、冷媒に十分な抜熱性があるときには、ステップS115に進み、キャリア周波数設定部42は、キャリア周波数fを通常キャリア周波数fc0に設定(維持)する。一方、冷媒温度Twtrが第3温度閾値γよりも高く、冷媒に十分な抜熱性がないと判定されたときには、ステップS116に進み、キャリア周波数設定部42は、低キャリア周波数fc1を演算等により決定し、キャリア周波数fを低キャリア周波数fc1に設定する。このように、インバータ16の抜熱性を考慮してキャリア周波数fを設定すると、特に、インバータ16の発熱や音振等を抑えつつ、かつ、絶縁抵抗センサ21の誤検出が抑制されやすい。
【0112】
なお、図8の変形例においても、上記のように、冷媒温度Twtrによってインバータ16の抜熱性を考慮し、より適切にキャリア周波数fを設定することができる。図10は、変調方式の切り替えに係る変形例のフローチャートである。ここでは、図4のステップS124の代わりにステップS130を設けた上で、さらにステップS114とステップ115の間にステップS140を設けている。この場合も、特に、インバータ16の発熱や音振等を抑えつつ、かつ、絶縁抵抗センサ21の誤検出が抑制されやすい。
【0113】
以上のように、上記実施形態等に係るインバータ制御方法は、グラウンド(GND)を基準電位とし、ノイズ低減フィルタ(ローパスフィルタ36)を含む検出器(絶縁抵抗センサ21)と、パルス幅変調制御(PWM制御)によって直流電力を交流電力に変換するインバータ16と、インバータ16と接続する回転電機11と、を含む電気回路101においてインバータ16を制御するインバータ制御方法である。このインバータ制御方法では、回転電機11の中性点電位の変動周波数fvnと、ノイズ低減フィルタのカットオフ周波数fτと、を比較する。そして、変動周波数fvnがカットオフ周波数fτ以下であるときに、パルス幅変調制御の変調方式を、インバータ16の温度(パワー素子温度Tpm)に応じて選択される第1変調方式(デフォルト二相変調方式)から、予め設定する所定時間(最大継続時間T)の間、第1変調方式とは異なる第2変調方式(カスタム二相変調方式)に変更する。
【0114】
このように、インバータ16の変調方式を切り替えると、中性点電位の変動周波数fvnが高周波化され、カットオフ周波数fτよりも大きく保たれるので、グラウンドを基準電位とし、ノイズ低減フィルタを含む検出器の誤検出を抑制することができる。また、少なくともインバータ16の温度に応じて選択される第1変調方式での制御(デフォルト二相変調制御)を行うので、インバータ16の発熱も抑えられる。すなわち、インバータ16の発熱を抑えつつ、かつ、絶縁抵抗センサ21の誤検出が抑制される。
【0115】
上記実施形態に係るインバータ制御方法では、回転電機11は、三相同期回転電機であり、第1変調方式は、回転電機11の各相のうち、最大または最小となる一相の電位を固定し、他の二相をパルス幅変調制御によって変調することにより、インバータ16の出力電力を制御するデフォルト二相変調方式である。
【0116】
二相変調方式では、三相変調方式に比べて、インバータ16のスイッチングが抑制される。このため、インバータ16の発熱が抑えられる。このため、第1変調方式を二相変調方式(デフォルト二相変調方式)とすれば、特に、インバータ16の発熱を抑えつつ、かつ、絶縁抵抗センサ21の誤検出が抑制される。
【0117】
上記実施形態に係るインバータの制御方法では、第2変調方式は、第1変調方式において電位が固定される相とは異なる相の電位を固定するカスタム二相変調方式である。
【0118】
このように、一時的に切り替える変調方式をカスタム変調方式とすれば、一時的に切り替える変調方式においても、インバータ16の発熱が抑えられる。このため、第2変調方式をカスタム二相変調方式とすれば、特に、インバータ16の発熱を抑えつつ、かつ、絶縁抵抗センサ21の誤検出が抑制される。
【0119】
上記実施形態に係るインバータ制御方法では、第2変調方式は、回転電機11における三相の各電位をパルス幅変調制御によって変調する三相変調方式とすることもできる。
【0120】
このように、第2変調方式を三相変調方式とする場合も、中性点電位の変動周波数fvnが高周波化され、カットオフ周波数fτよりも大きく保たれるので、グラウンドを基準電位とし、ノイズ低減フィルタを含む検出器の誤検出を抑制することができる。また、少なくともインバータ16の温度に応じて選択される第1変調方式での制御(デフォルト二相変調制御)を行うので、二相変調方式によるインバータ16の発熱抑制に加え、三相変調方式を適用した際の音振抑制も期待できる。すなわち、インバータ16の発熱や音振等を抑えつつ、かつ、絶縁抵抗センサ21の誤検出が抑制される。
【0121】
上記実施形態に係るインバータ制御方法では、パルス幅変調制御に用いるキャリア信号の周波数であるキャリア周波数fが変更可能であり、変動周波数fvnがカットオフ周波数fτ以下であるときに、パルス幅変調制御の変調方式を変更するとともに、キャリア周波数fを低減する。
【0122】
PWM制御のキャリア周波数を低減すると、インバータ16のスイッチング回数が抑えられる。その結果、インバータ16の発熱が抑えられる。したがって、上記のように、さらにキャリア周波数fを低減すれば、特に、インバータ16の発熱を抑えつつ、かつ、絶縁抵抗センサ21の誤検出が抑制される。
【0123】
上記実施形態に係るインバータ制御方法では、第1変調方式(デフォルト二相変調)と第2変調方式(カスタム二相変調)の切替比率κに基づいて、キャリア周波数fを設定する。
【0124】
このように、1変調方式(デフォルト二相変調)と第2変調方式(カスタム二相変調)の切替比率κに基づいて、キャリア周波数fを設定すると、キャリア周波数fをインバータ16の温度状況等に応じて適切に設定することができる。このため、特にインバータ16の発熱を抑えつつ、かつ、絶縁抵抗センサ21の誤検出を抑制しやすい。さらに、キャリア周波数fが固定されている場合と比較すれば、上記のように、切替比率κに基づいてキャリア周波数fを変更することで、インバータ16の音振が抑制される場合がある。
【0125】
上記実施形態に係るインバータ制御方法では、低減したキャリア周波数(低キャリア周波数fc1)を、元のキャリア周波数(通常キャリア周波数fc0)の1/2以下とする。
【0126】
このように、低減するキャリア周波数(fc1)を元のキャリア周波数(fc0)の1/2以下に設定すれば、キャリア周波数fを低減すべき状況において、最大限にインバータ16の発熱を抑制できる。すなわち、簡易にかつ確実に、インバータ16の発熱を抑制できる。したがって、特にインバータ16の発熱や音振等を抑えつつ、かつ、絶縁抵抗センサ21の誤検出を抑制しやすい。
【0127】
上記実施形態等に係るインバータ制御方法では、インバータ16の温度(パワー素子温度Tpm)を取得し、インバータ16を冷却する冷媒の温度である冷媒温度Twtrを取得する。そして、少なくとも、インバータ16の温度が予め定める閾値(第1温度閾値α)を超え、かつ、冷媒温度Twtrが予め定める閾値(第3温度閾値γ)を超えるときに、変調方式を第2変調方式(カスタム二相変調)に変更し、かつ、キャリア周波数fを低減する。
【0128】
このように、冷媒温度Twtrによってインバータ16の抜熱性を考慮し、キャリア周波数fを設定すると、より適切にキャリア周波数fを設定することができる。したがって、特に、インバータ16の発熱を抑えつつ、かつ、絶縁抵抗センサ21の誤検出が抑制されやすい。さらに、キャリア周波数fが固定されている場合と比較すれば、上記のようにキャリア周波数fを変更することで、インバータ16の音振が抑制される場合がある。
【0129】
上記実施形態に係るインバータ制御装置は、グラウンド(GND)を基準電位とし、ノイズ低減フィルタ(ローパスフィルタ36)を含む検出器(絶縁抵抗センサ21)と、パルス幅変調制御(PWM制御)によって直流電力を交流電力に変換するインバータ16と、インバータ16と接続する回転電機11と、を含む電気回路101においてインバータ16を制御するインバータ制御装置である。このインバータ制御装置は、回転電機11の中性点電位の変動周波数fvnと、ノイズ低減フィルタのカットオフ周波数fτと、を比較する。そして、変動周波数fvnがカットオフ周波数fτ以下であるときに、パルス幅変調制御の変調方式を、インバータ16の温度(パワー素子温度Tpm)に応じて選択される第1変調方式(デフォルト二相変調方式)から、予め設定する所定時間(最大継続時間T)の間、第1変調方式とは異なる第2変調方式(カスタム二相変調方式)に変更する。
【0130】
このように、インバータ16の変調方式を切り替えると、中性点電位の変動周波数fvnが高周波化され、カットオフ周波数fτよりも大きく保たれるので、グラウンドを基準電位とし、ノイズ低減フィルタを含む検出器の誤検出を抑制することができる。また、少なくともインバータ16の温度に応じて選択される第1変調方式での制御(デフォルト二相変調制御)を行うので、インバータ16の発熱も抑えられる。すなわち、インバータ16の発熱を抑えつつ、かつ、絶縁抵抗センサ21の誤検出が抑制される。
【0131】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態及び各変形例で説明した構成は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。例えば、上記実施形態及び変形例は、全部または一部の要素を任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0132】
11:回転電機,12:電流指令演算部,13:電流制御部,14:座標変換部,15:変調方式設定部,16:インバータ,17:バッテリ,18:回転状態検出部,19:座標変換部,20:回転検出器,21:絶縁抵抗センサ,22:平滑コンデンサ,22u:ステータコイル,22v:ステータコイル,22w:ステータコイル,23:中性点,31:コンデンサ,32:抵抗器,33:パルス発振器,34:抵抗器,35:コンデンサ,36:ローパスフィルタ,37:比較器,38:基準電圧,41:二相変調実行判定部,42:キャリア周波数設定部,43:中性点電位変動周波数演算部,44:最終電圧指令演算部,45:第1タイマー,46:第2タイマー,100:電動車両,101:電気回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10