(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099924
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】検出装置、アライメント顕微鏡、及び露光装置
(51)【国際特許分類】
G03F 9/00 20060101AFI20240719BHJP
G03F 7/20 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
G03F9/00 H
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003560
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曽原 直也
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197EA11
2H197EA15
2H197EA17
2H197EA19
2H197EA25
2H197EB22
2H197EB23
2H197HA03
2H197HA08
2H197HA10
(57)【要約】
【課題】マスクとワークとの位置合わせを高い精度で行うことを可能とする検出装置、アライメント顕微鏡、及び露光装置を提供すること。
【解決手段】本検出装置は、マスクマークの画像及びワークマークの画像の各々を撮影するアライメント顕微鏡と、これらの画像に基づいてマスクマークの位置及びワークマークの位置を検出する位置検出部とを具備する。アライメント顕微鏡は、撮像部と、第1の光及び第2の光の各々を分割するビームスプリッタと、1以上の収差補正レンズとを有する。ビームスプリッタは、光分割面を間に挟みこむように互いに接続された第1の部材及び第2の部材を有し、第1の光及び第2の光の入射面及び出射面がいずれも、光分割面に対して面方向が異なるように構成される。1以上の収差補正レンズは、第1の光の第1の光路に配置される第1の収差補正レンズと、第2の光の第2の光路に出射される第2の収差補正レンズとを含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光用マスクのアライメントマークであるマスクマークに照射された第1の光の光路、及びワークのアライメントマークであるワークマークに照射された第2の光の光路の各々に配置され、前記マスクマークの画像、及び前記ワークマークの画像の各々を撮影するアライメント顕微鏡と、
前記アライメント顕微鏡により撮影された前記マスクマークの画像及び前記ワークマークの画像に基づいて、前記マスクマークの位置及び前記ワークマークの位置の各々を検出する位置検出部と
を具備し、
前記アライメント顕微鏡は、撮像部と、前記第1の光及び前記第2の光の各々を分割して前記撮像部に出射するビームスプリッタと、1以上の収差補正レンズとを有し、
前記ビームスプリッタは、前記第1の光及び前記第2の光の各々を分割する光分割面と、前記光分割面を間に挟みこむように互いに接続された第1の部材及び第2の部材とを有し、前記第1の光が入射する第1の入射面、前記第1の光が出射される第1の出射面、前記第2の光が入射する第2の入射面、及び前記第2の光が出射される第2の出射面のいずれもが、前記光分割面に対して面方向が異なるように構成され、
前記1以上の収差補正レンズは、前記第1の光の前記撮像部までの光路である第1の光路に配置される1以上の第1の収差補正レンズ、及び前記第2の光の前記撮像部までの第2の光路に配置される1以上の第2の収差補正レンズを含む
検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検出装置であって、
前記ビームスプリッタは、キューブ型のビームスプリッタである
検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の検出装置であって、
前記ビームスプリッタは、前記第1の入射面、前記第1の出射面、前記第2の入射面、及び前記第2の出射面のいずれもが、前記光分割面に対して面方向の交差角度が30度よりも大きくなるように構成される
検出装置。
【請求項4】
請求項1に記載の検出装置であって、
前記ビームスプリッタは、前記第1の入射面、前記第1の出射面、前記第2の入射面、及び前記第2の出射面のいずれもが、前記光分割面に対して面方向の交差角度が45度となるように構成される
検出装置。
【請求項5】
請求項1に記載の検出装置であって、
前記ビームスプリッタは、前記第1の光路に対する前記第1の入射面の交差角度が75度から105度までの範囲に含まれるように構成される
検出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の検出装置であって、
前記ビームスプリッタは、前記第1の光路に対する前記第1の出射面の交差角度が75度から105度までの範囲に含まれるように構成される
検出装置。
【請求項7】
請求項1に記載の検出装置であって、
前記ビームスプリッタは、前記第2の光路に対する前記第2の入射面の交差角度が75度から105度までの範囲に含まれるように構成される
検出装置。
【請求項8】
請求項1に記載の検出装置であって、
前記ビームスプリッタは、前記第2の光路に対する前記第2の出射面の交差角度が75度から105度までの範囲に含まれるように配置される
検出装置。
【請求項9】
請求項1に記載の検出装置であって、
前記1以上の第1の収差補正レンズは、前記第1の入射面に対向する位置、及び前記第1の出射面に対向する位置の少なくとも一方に配置され、
前記1以上の第2の収差補正レンズは、前記第2の入射面に対向する位置、及び前記第2の出射面に対向する位置の少なくとも一方に配置される
検出装置。
【請求項10】
請求項1に記載の検出装置であって、
前記1以上の第1の収差補正レンズは、前記第1の光及び前記第2の光の両方が入射する共通入射面に対向する位置、及び前記第1の光及び前記第2の光の両方が出射される共通出射面に対向する位置の少なくとも一方に配置され、
前記1以上の第2の収差補正レンズは、前記共通入射面に対向する位置、及び前記共通出射面に対向する位置の少なくとも一方に配置される
検出装置。
【請求項11】
請求項1に記載の検出装置であって、
前記第1の光路及び前記第2の光路は、共通光路を有し、
前記1以上の収差補正レンズは、前記共通光路に配置され、前記第1の収差補正レンズとして機能し、かつ前記第2の収差補正レンズとして機能する1以上の共通補正レンズを含む
検出装置。
【請求項12】
請求項11に記載の検出装置であって、
前記1以上の収差補正レンズは、前記1以上の共通補正レンズからなる
検出装置。
【請求項13】
請求項11に記載の検出装置であって、
前記共通光路は、前記ビームスプリッタから前記撮像部に出射される前記第1の光及び前記第2の光の光路を含み、
前記1以上の共通補正レンズは、前記ビームスプリッタから前記撮像部に向かって前記共通光路を進む前記第1の光及び前記第2の光の両方が出射される共通出射面に対向する位置に配置される
検出装置。
【請求項14】
請求項1に記載の検出装置であって、
前記第1の部材及び前記第2の部材は、互いに同じ屈折率の材料により構成される
検出装置。
【請求項15】
請求項1に記載の検出装置であって、
前記第1の光は、露光光であり、
前記第2の光は、非露光光である
検出装置。
【請求項16】
撮像部と、
露光用マスクのアライメントマークであるマスクマークに照射された第1の光、及びワークのアライメントマークであるワークマークに照射された第2の光の各々を分割して前記撮像部に出射するビームスプリッタと、
1以上の収差補正レンズと
を具備し、
前記ビームスプリッタは、前記第1の光及び前記第2の光の各々を分割する光分割面と、前記光分割面を間に挟みこむように互いに接続された第1の部材及び第2の部材とを有し、前記第1の光が入射する第1の入射面、前記第1の光が出射される第1の出射面、前記第2の光が入射する第2の入射面、及び前記第2の光が出射される第2の出射面のいずれもが、前記光分割面に対して面方向が異なるように構成され、
前記1以上の収差補正レンズは、前記第1の光の前記撮像部までの光路である第1の光路に配置される1以上の第1の収差補正レンズ、及び前記第2の光の前記撮像部までの第2の光路に配置される1以上の第2の収差補正レンズを含む
アライメント顕微鏡。
【請求項17】
請求項1に記載の検出装置を含む露光装置であって、さらに、
前記露光光を出射する光出射部と、
前記露光用マスクを保持するマスクステージと、
前記ワークを保持するワークステージと
を具備し、
前記マスクステージ及び前記ワークステージの少なくとも一方は、移動可能に構成される
露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アライメントマークの検出に適用可能な検出装置、アライメント顕微鏡、及び露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子、プリント基板、又は液晶基板等のパターンをフォトリソグラフィにより製造する工程において、露光装置が使用される。露光装置は、パターンを形成したマスクと、そのパターンが転写されるワークとが所定の位置関係となるように位置合わせ(アライメント)した後、ワークにマスクを介して露光光を照射し、マスクパターンをワークに転写(露光)する。
【0003】
特許文献1及び2には、上記のような露光装置において、マスクとワークとの位置合わせを行うためのアライメント顕微鏡について開示されている。アライメント顕微鏡によりマスクに形成されたマスクマークと、ワークに形成されたワークマークとが撮影される。撮影されたマスクマーク及びワークマークの各々の画像に基づいて、マスクマーク及びワークマークの各々の位置座標が算出される。両者の位置が予め設定された位置関係になるようにマスクおよびワークの少なくとも一方が移動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-66185号公報
【特許文献2】特開2021-117237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、配線パターン等の微細化がますます進み、露光精度のさらなる向上が求められている。従って、マスクとワークとの位置合わせの精度を向上させることが可能な技術が求められている。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、マスクとワークとの位置合わせを高い精度で行うことを可能とする検出装置、アライメント顕微鏡、及び露光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る検出装置は、アライメント顕微鏡と、位置検出部とを具備する。
前記アライメント顕微鏡は、露光用マスクのアライメントマークであるマスクマークに照射された第1の光の光路、及びワークのアライメントマークであるワークマークに照射された第2の光の光路の各々に配置され、前記マスクマークの画像、及び前記ワークマークの画像の各々を撮影する。
前記位置検出部は、前記アライメント顕微鏡により撮影された前記マスクマークの画像及び前記ワークマークの画像に基づいて、前記マスクマークの位置及び前記ワークマークの位置の各々を検出する。
また、前記アライメント顕微鏡は、撮像部と、前記第1の光及び前記第2の光の各々を分割して前記撮像部に出射するビームスプリッタと、1以上の収差補正レンズとを有し、前記ビームスプリッタは、前記第1の光及び前記第2の光の各々を分割する光分割面と、前記光分割面を間に挟みこむように互いに接続された第1の部材及び第2の部材とを有し、前記第1の光が入射する第1の入射面、前記第1の光が出射される第1の出射面、前記第2の光が入射する第2の入射面、及び前記第2の光が出射される第2の出射面のいずれもが、前記光分割面に対して面方向が異なるように構成される。
また前記1以上の収差補正レンズは、前記第1の光の前記撮像部までの光路である第1の光路に配置される1以上の第1の収差補正レンズ、及び前記第2の光の前記撮像部までの第2の光路に配置される1以上の第2の収差補正レンズを含む。
【0008】
この検出装置では、アライメント顕微鏡が有するビームスプリッタの構成として、第1の光及び第2の光の各々を分割する光分割面を、第1の部材及び第2の部材にて挟み込む構成が採用される。これにより、光分割面による第1の光及び第2の光の各々に対する光を分割する機能を安定して発揮させることが可能である。また第1の光路及び第2の光路に収差補正レンズが配置されるので、高い精度でマスクマークの画像及びワークマークの画像を撮影することが可能となり、マスクマークの位置及びワークマークの位置を高い精度で検出することが可能となる。この結果、露光用マスクとワークとの位置合わせを高い精度で行うことが可能となる。
【0009】
前記ビームスプリッタは、キューブ型のビームスプリッタであってもよい。
【0010】
前記ビームスプリッタは、前記第1の入射面、前記第1の出射面、前記第2の入射面、及び前記第2の出射面のいずれもが、前記光分割面に対して面方向の交差角度が30度よりも大きくなるように構成されてもよい。
【0011】
前記ビームスプリッタは、前記第1の入射面、前記第1の出射面、前記第2の入射面、及び前記第2の出射面のいずれもが、前記光分割面に対して面方向の交差角度が45度となるように構成されてもよい。
【0012】
前記ビームスプリッタは、前記第1の光路に対する前記第1の入射面の交差角度が75度から105度までの範囲に含まれるように構成されてもよい。
【0013】
前記ビームスプリッタは、前記第1の光路に対する前記第1の出射面の交差角度が75度から105度までの範囲に含まれるように構成されてもよい。
【0014】
前記ビームスプリッタは、前記第2の光路に対する前記第2の入射面の交差角度が75度から105度までの範囲に含まれるように構成されてもよい。
【0015】
前記ビームスプリッタは、前記第2の光路に対する前記第2の出射面の交差角度が75度から105度までの範囲に含まれるように配置されてもよい。
【0016】
前記1以上の第1の収差補正レンズは、前記第1の入射面に対向する位置、及び前記第1の出射面に対向する位置の少なくとも一方に配置されてもよい。この場合、前記1以上の第2の収差補正レンズは、前記第2の入射面に対向する位置、及び前記第2の出射面に対向する位置の少なくとも一方に配置されてもよい。
【0017】
前記1以上の第1の収差補正レンズは、前記第1の光及び前記第2の光の両方が入射する共通入射面に対向する位置、及び前記第1の光及び前記第2の光の両方が出射される共通出射面に対向する位置の少なくとも一方に配置されてもよい。この場合、前記1以上の第2の収差補正レンズは、前記共通入射面に対向する位置、及び前記共通出射面に対向する位置の少なくとも一方に配置されてもよい。
【0018】
前記第1の光路及び前記第2の光路は、共通光路を有してもよい。この場合、前記1以上の収差補正レンズは、前記共通光路に配置され、前記第1の収差補正レンズとして機能し、かつ前記第2の収差補正レンズとして機能する1以上の共通補正レンズを含んでもよい。
【0019】
前記1以上の収差補正レンズは、前記1以上の共通補正レンズからなってもよい。
【0020】
前記共通光路は、前記ビームスプリッタから前記撮像部に出射される前記第1の光及び前記第2の光の光路を含んでもよい。この場合、前記1以上の共通補正レンズは、前記ビームスプリッタから前記撮像部に向かって前記共通光路を進む前記第1の光及び前記第2の光の両方が出射される共通出射面に対向する位置に配置されてもよい。
【0021】
前記第1の部材及び前記第2の部材は、互いに同じ屈折率の材料により構成されてもよい。
【0022】
前記第1の光は、露光光であってもよい。この場合、前記第2の光は、非露光光であってもよい。
【0023】
本発明の一形態に係るアライメント顕微鏡は、撮像部と、前記ビームスプリッタと、前記1以上の収差補正レンズとを具備する。
【0024】
本発明の一形態に係る露光装置は、前記検出装置を含み、さらに、光出射部と、マスクステージと、ワークステージとを具備する。
前記光出射部は、前記露光光を出射する。
前記マスクステージは、前記露光用マスクを保持する。
前記ワークステージは、前記ワークを保持する。
前記マスクステージ及び前記ワークステージの少なくとも一方は、移動可能に構成される。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、マスクとワークとの位置合わせを高い精度で行うことが可能となる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る露光装置の基本的な構成例を示す模式図である。
【
図2】アライメント顕微鏡を用いたアライメントマークの検出動作例を説明するための模式図である(マスクマークの検出)。
【
図3】アライメント顕微鏡を用いたアライメントマークの検出動作例を説明するための模式図である(ワークマークの検出)。
【
図4】ビームスプリッタの構成例を示す模式図である。
【
図5】ビームスプリッタの構成例を示す模式図である。
【
図6】ビームスプリッタの構成例を示す模式図である。
【
図7】収差補正レンズの配置例を示す模式図である。
【
図8】収差補正レンズの配置例を示す模式図である。
【
図9】収差補正レンズの配置例を示す模式図である。
【
図10】収差補正レンズの配置例を示す模式図である。
【
図11】収差補正レンズの配置例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0028】
[露光装置の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る露光装置の基本的な構成例を示す模式図である。
露光装置1は、光出射部2と、マスクステージMSと、ワークステージWSと、投影レンズ3と、アライメント顕微鏡4と、モニタ5と、制御部6とを有する。
【0029】
以下、
図1に示すように、光出射部2の光軸方向(露光光ELの出射方向)をZ方向とし、Z軸の正側を上方側、負側を下方側とする。またZ方向に直交し、図中の左右に延在する方向をX方向とし、X軸の正側を右側、負側を左側とする。また、Z方向及びX方向の各々に直交し、紙面に対して垂直となる奥行方向をY方向とし、Y軸の正側を奥側、負側を手前側とする。もちろん、本技術の適用について、露光装置1(アライメント顕微鏡4)が配置される向き等が限定される訳ではない。
【0030】
光出射部2は、下方側に向けて露光光ELを出射する。例えば、光出射部2として、ショートアーク型の水銀ランプが用いられる。水銀ランプからは、例えば、波長365nm(i線)、405nm(h線)、436nm(g線)等を含む紫外光が出射される。もちろんこのような構成に限定されず、紫外光とは異なる波長帯域の光を出射するランプが用いられてもよい。その他、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)等の固体光源が用いられてもよい。
【0031】
マスクステージMSは、光出射部2の下方側に配置される。マスクステージMSは、露光用マスク(以下、単にマスクと記載する)Mを保持する。本実施形態では、光出射部2の光軸方向(Z方向)に直交するように、マスクMが配置される。マスクMには、所定のマスクパターンMPが形成されている。またマスクMには、アライメントマーク(マスクマーク)MAMが形成されている。マスクマークMAMは、マスク・アライメントマークとも呼ばれる。
【0032】
ワークステージWSは、ワークWを保持する。本実施形態では、光出射部2の光軸方向(Z方向)に直交するように、ワークWが配置される。ワークステージWSは、左右方向(X方向)及び奥行方向(Y方向)の各々において、直線的な移動(直動)が可能なように構成されている。またワークステージWSは、上下方向(Z方向)を回転軸方向とする回転が可能なように構成されている。
【0033】
ワークステージWSが駆動することで、ワークWのマスクMに対する相対位置を変動させることが可能である。なお、マスクステージMSが、左右方向(X方向)及び奥行方向(Y方向)の各々における直動、及び上下方向(Z方向)を回転軸方向とする回転が可能なように構成されてもよい。あるいは、マスクステージMS及びワークステージWSの両方が移動可能(回転可能)に構成されてもよい。
【0034】
ワークWには、アライメントマーク(ワークマーク)WAMが形成されている。ワークマークWAMは、ワーク・アライメントマークとも呼ばれる。
【0035】
左右方向(X方向)、奥行方向(Y方向)、及び上下方向(Z方向)を回転軸方向とする回転方向において、マスクMとワークWとの位置合わせを行うために、マスクMに対して3個以上のマスクマークMAMを形成することが望ましい。3個以上のマスクマークMAMに対応して、ワークWに同数のワークマークWAMが形成される。
【0036】
例えば、上下方向(Z方向)から見た場合に、矩形状となるマスクMが用いられるとする。この場合、例えば、マスクMの4隅に、マスクマークMAMが形成される。また上下方向(Z方向)から見た場合に、矩形状となる基板がワークWとして配置される。マスクMの4隅に形成されたマスクマークMAMに対応して、ワークWの4隅にワークマークWAMが形成される。もちろん、このような構成に限定されるわけではない。
【0037】
互いに対応するマスクマークMAM及びワークマークWAMは、上下方向(Z方向)から見た場合にマスクM及びワークWが所望の位置関係となる場合に、所定の位置関係となるように形成される。本実施形態では、マスクM及びワークWが所望の位置関係となる場合に、互いに対応するマスクマークMAM及びワークマークWAMが同じ位置となるものとして説明を行う。もちろんそのような設定に限定されず、所定の位置関係として、任意の位置関係が設定されてよい。
【0038】
図1に示すように、ワークステージWSのワークWが載置される載置面7には、反射ミラー8が埋め込まれる。反射ミラー8は、マスクMが配置されており一方でワークWが配置されていない状態で露光光ELを照射した場合に、マスクマークMAMの像が映る位置(マスクマークMAMの像光が入射する位置)に配置される。従って、本実施形態では、反射ミラー8が配置される位置は、ワークステージWSにワークWが配置された場合の、ワークマークWAMの位置と略等しくなる。
【0039】
マスクMとワークWとの位置合わせが完了すると、露光工程が開始され、光出射部2から露光光ELが出射される。光出射部2から出射された露光光ELは、マスクパターンMPが形成されたマスクMと、投影レンズ3とを介して、レジストを塗布したワークW上に照射される。これにより、マスクパターンMPがワークW上に投影されて露光される。
【0040】
アライメント顕微鏡4は、マスクMとワークWとの位置合わせを行う際に用いられる。アライメント顕微鏡4は、マスクマークMAMの拡大画像、及びワークマークWAMの拡大画像を撮影することが可能である。
【0041】
アライメント顕微鏡4は、おおよその形状が、一方向に延在する柱形状からなり、内部に、ビームスプリッタ10と、1以上の収差補正レンズ11と、対物レンズ12と、撮像部13とを有する。
【0042】
アライメント顕微鏡4は、柱形状の延在方向が左右方向(X方向)となるように配置され、移動可能に構成される。具体的には、ビームスプリッタ10が投影レンズ3とワークステージWS(ワークW)との間に配置される撮影位置(
図2及び
図3参照)から、
図1に示す退避位置までの間で移動可能に構成される。
【0043】
アライメント顕微鏡4が、左右方向(X方向)、奥行方向(Y方向)、上下方向(Z方向)の各方向において自由に移動可能な構成が好ましい。一方で、このような構成に限定されず、アライメント顕微鏡4が撮影位置と退避位置との間で移動可能であるのならば、移動可能な方向が制限されていてもよい。例えば、アライメント顕微鏡4が、左右方向(X方向)のみに移動可能なように構成されてもよい。
【0044】
アライメント顕微鏡4の内部において、ビームスプリッタ10、1以上の収差補正レンズ11、対物レンズ12、及び撮像部13は、撮像部13の撮影光軸Oを基準として配置される。撮像部13としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)センサ等のイメージセンサを備えるデジタルカメラが用いられる。その他、非テレセントリックレンズやテレセントリックレンズ等の結像レンズと上記イメージセンサを組み合わせたデジタルカメラでも構わない。
【0045】
またアライメント顕微鏡4のビームスプリッタ10の下方側の位置には、照明部14が配置される。照明部14は、下方側に向かって非露光光NELを出射する。例えば、照明部14としてリング照明が用いられ、非露光光NELとして可視光が出射される。もちろん、このような構成に限定されるわけではなく、同軸照明法を行う構成が採用されてもよい。
【0046】
なお、アライメント顕微鏡4の構成については、後にバリエーション例を挙げながら、詳しく説明する。
【0047】
制御部6は、露光装置1が有する各ブロックの動作を制御する。制御部6は、例えばCPU、GPU、DSP等のプロセッサ、ROM、RAM等のメモリ、HDD等の記憶デバイス等、コンピュータに必要なハードウェアを有する。本実施形態では、不揮発性メモリ等の記憶デバイス等により記憶部15が構成される。記憶部15を実現するために、コンピュータ読み取り可能な非一過性の任意の記憶媒体が用いられてよい。
【0048】
制御部6のプロセッサが記憶部15やメモリに記憶されている本技術に係るプログラムをRAMにロードして実行することにより、本技術に係る位置合わせ方法(アライメント方法)を含む露光方法が実行される。
【0049】
制御部6として、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)等のPLD(Programmable Logic Device)、その他ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のデバイスが用いられてもよい。
【0050】
本実施形態では、制御部6のプロセッサが本技術に係るプログラムを実行することで、機能ブロックとして、位置検出部16が実現される。位置検出部16は、アライメント顕微鏡4の撮像部13により撮影されたマスクマークMAMの画像及びワークマークWAMの画像に基づいて、マスクマークMAMの位置及びワークマークWAMの位置の各々を検出する。
【0051】
また位置検出部16は、検出されたマスクマークMAMの位置、及びワークマークWAMの位置に基づいて、ワークステージWSを制御して、マスクM及びワークWが所望の位置関係となるように、位置合わせを行う。具体的には、マスクマークMAM及びワークマークWAMが互いに同じ位置となるように(所定の位置関係となるように)、ワークステージWSを制御される。これによりマスクM及びワークWの位置合わせが可能となる。
【0052】
もちろん、制御部6には、露光に関する様々な制御を実行する機能ブロックが構築されるが、図示は省略している。また、位置検出部16を含む各機能ブロックを実現するために、IC(集積回路)等の専用のハードウェアが適宜用いられてもよい。
【0053】
図2及び
図3は、アライメント顕微鏡4を用いたアライメントマークの検出動作例を説明するための模式図である。まず
図2に示すように、マスクステージMSにマスクMが配置される。例えば、制御部6により、ロボットアーム等(図示は省略)が駆動され、位置合わせ前の基準位置にマスクMが配置される。もちろん、オペレータにより、マスクMが配置されてもよい。
【0054】
なお、ワークステージWSには、ワークWは配置されない。従って、ワークステージWSの載置面7に設けられた反射ミラー8が上方側に向けて露出している。
【0055】
図2に示すように、アライメント顕微鏡4が、アライメントマークの撮影位置に移動される。本実施形態では、アライメントマークの撮影位置は、投影レンズ3とワークステージWS(ワークW)との間に設定されている。アライメントマークの撮影位置は、マスクマークMAMに照射された露光光ELの光路上の位置であり、及びワークマークWAMに照射された非露光光NELの光路上の位置となるように設定される。
【0056】
図2に示すように、本実施形態では、マスクマークMAMに照射された露光光ELは、投影レンズ3を介してワークステージWSに設けられた反射ミラー8に向かって進み、反射ミラー8により上方側に反射されて進む。
【0057】
アライメント顕微鏡4は、ビームスプリッタ10の光分割面18が、マスクマークMAMに照射された露光光ELの光路上に位置するように配置される。言い換えれば、アライメント顕微鏡4は、ビームスプリッタ10の光分割面18に、マスクマークMAMに照射された露光光ELが入射する位置に配置される。なお、マスクマークMAMに照射された露光光ELの光路は、マスクマークMAMの像光の光路といえる。
【0058】
図2に示すように、本実施形態では、ビームスプリッタ10の光分割面18が、上下方向(Z方向)に延在する露光光ELの光路に対して、交差角度が45度となるように配置される。具体的には、光分割面18が左上から右下に向かう斜め45度の方向に平行となるように、ビームスプリッタ10が配置される。
【0059】
光出射部2から露光光ELが出射されと、マスクマークMAMに照射された露光光ELは、投影レンズ3を介いて上方側からビームスプリッタ10に入射する。ビームスプリッタ10の光分割面18を透過し下方側に進む露光光ELは、反射ミラー8により上方側に反射される。
【0060】
上方側に反射された露光光ELは、再度ビームスプリッタ10に入射する。ビームスプリッタ10の光分割面18により反射された露光光ELは、左右方向(X方向)に沿って左側に向かって進む。露光光ELは、1以上の収差補正レンズ11、及び対物レンズ12を介して、撮像部13に入射する。これにより、撮像部13により、マスクマークMAMの画像が撮影される。
【0061】
以下、マスクマークMAMに照射された露光光ELの、撮像部13までの光路を、第1の光路OP1とする。
【0062】
制御部6の位置検出部16は、アライメント顕微鏡4の撮像部13により撮影されたマスクマークMAMの画像に基づいて、マスクマークMAMの位置を検出する。また本実施形態では、位置検出部16は、撮像部13により撮影されたマスクマークMAMの画像を取り込み、モニタ5に表示させることも可能である。オペレータは、モニタ5に表示されるマスクマークMAMの画像を目視することで、マスクマークMAMの検出を確認することができる。
【0063】
本実施形態では、位置検出部16により、マスクマークMAMの中心位置の座標が、マスクマークMAMの位置として検出される。
図2に示す例では、円形状からなるマスクマークMAMが検出され、その中心位置の座標が算出される。もちろん、マスクマークMAMの形状や、マスクマークMAMのどの部分の位置をマスクマークMAMの位置として算出するかは限定されず、任意に設定されてよい。
【0064】
マスクマークMAMの位置を検出するために、例えば、画像サイズの換算、文字認識、形状認識、物体のモデル画像を用いたマッチング処理、エッジ検出、射影変換等の任意の画像認識技術が用いられてよい。また、例えばDNN(Deep Neural Network:深層ニューラルネットワーク)、RNN(Recurrent Neural Network:回帰型ニューラルネットワーク)、CNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)等を用いた任意の機械学習アルゴリズムが用いられてもよい。
【0065】
位置検出部16により取得されたマスクマークMAMの画像、及び位置検出部16により検出されたマスクマークMAMの位置(中心位置座標)は、記憶部15に記憶される。
【0066】
図3に示すように、光出射部2による露光光ELの出射が停止される。そして、ワークステージWSにワークWが配置される。例えば、制御部6により、ロボットアーム等(図示は省略)が駆動され、位置合わせ前の基準位置にワークWが配置される。もちろん、オペレータにより、ワークWが配置されてもよい。
【0067】
アライメント顕微鏡4は移動されず、アライメントマークの撮影位置に配置されたままの状態である。そして、アライメント顕微鏡4の照明部14により、ワークマークWAMに向かって非露光光NELが照射される。ワークマークWAMに照射された非露光光NELは、ワークマークWAMにより反射され、ワークマークWAMの上方側に配置されたビームスプリッタ10に入射する。
【0068】
ビームスプリッタ10に入射する非露光光NELは、光分割面18により反射され、左右方向(X方向)に沿って左側に向かって進む。非露光光NELは、1以上の収差補正レンズ11、及び対物レンズ12を介して、撮像部13に入射する。これにより、撮像部13により、ワークマークWAMの画像が撮影される。
【0069】
以下、ワークマークWAMに照射された非露光光NELの、撮像部13までの光路を、第2の光路OP2とする。
【0070】
本実施形態では、非露光光NELの第2の光路OP2は、露光光ELの第1の光路OP1のうちの反射ミラー8から撮像部13までの光路と等しくなる。すなわち、非露光光NELの第2の光路OP2と、露光光ELの反射ミラー8から撮像部13までの光路は、共通光路となる。従って、アライメントマークの撮影位置に配置された状態のアライメント顕微鏡4は、ワークマークWAMに照射された非露光光NELの光路に配置された状態となる。
【0071】
制御部6の位置検出部16は、アライメント顕微鏡4の撮像部13により撮影されたワークマークWAMの画像に基づいて、ワークマークWAMの位置を検出する。また位置検出部16は、撮像部13により撮影されたワークマークWAMの画像を取り込み、モニタ5に表示させることも可能である。これにより、オペレータは、モニタ5に表示されるワークマークWAMの画像を目視することで、ワークマークWAMの検出を確認することができる。
【0072】
図3に示すように本実施形態では、十字形状からなるワークマークWAMの中心位置の座標が、ワークマークWAMの位置として算出される。もちろん、ワークマークWAMの形状や、ワークマークWAMのどの部分の位置をワークマークWAMの位置として算出するかは限定されず、任意に設定されてよい。例えば、マスクマークMAMと同じ形状で、ワークマークWAMが構成されてもよい。
【0073】
位置検出部16により取得されたワークマークWAMの画像、及び位置検出部16により検出されたワークマークWAMの位置(中心位置座標)は、記憶部15に記憶される。
【0074】
位置検出部16により、マスクマークMAM及びワークマークWAMの位置関係が所定の位置関係となるように、ワークステージWSが制御される。本実施形態では、マスクマークMAMの位置(中心位置座標)と、ワークマークWAMの位置(中心位置座標)とが一致するように、ワークステージWSが駆動され、マスクMに対するワークWの相対位置が制御される。
【0075】
図1~
図3では、互いに対応する1組のマスクマークMAM及びワークマークWAMに対して配置される1個のアライメント顕微鏡4のみが図示されている。複数の組のマスクマークMAM及びワークマークWAMが形成される場合には、互いに対応する複数の組のマスクマークMAM及びワークマークWAMの各々に対して、アライメント顕微鏡4を用いて位置合わせが行われる。
【0076】
例えば互いに対応するマスクマークMAM及びワークマークWAMの各組に対して1個ずつアライメント顕微鏡4が配置され、マスクマークMAMの画像及びワークマークWAMの画像が撮影される。これに限定されず、マスクマークMAM及びワークマークWAMの組数よりも少ない数(例えば1個)のアライメント顕微鏡4により、マスクマークMAMの画像及びワークマークWAMの画像が順次撮影されてもよい。
【0077】
例えば、矩形状のマスクMの4隅にマスクマークMAMが形成され、矩形状の基板からなるワークWの4隅にワークマークWAMが形成される。この場合、4つのアライメント顕微鏡4が、マスクマークMAMに照射される露光光ELの光路上の位置であり、対応するワークマークWAMに照射される非露光光NELの光路上の位置であるアライメントマークの撮影位置にそれぞれ配置される。
【0078】
制御部6の位置検出部16により、4個のマスクマークMAMの位置と、4個のワークマークWAMの位置とがそれぞれ検出される。そして、互いに対応する4組のマスクマークMAMとワークマークWAMとが、それぞれ所定の位置関係となるように、ワークステージWSが制御される。これにより、左右方向(X方向)、奥行方向(Y方向)、上下方向(Z方向)を回転軸方向とする回転方向において、マスクMとワークWとの位置合わせを行うことが可能となる。
【0079】
マスクMとワークWとの位置合わせが完了すると、アライメント顕微鏡4は、
図1に示す退避位置に退避される。もちろん、マスクマークMAMの画像及びワークマークWAMの画像の撮影が完了したタイミングや、位置検出部16によりマスクマークMAMの位置及びワークマークWAMの位置の検出が完了したタイミング等、他のタイミングでアライメント顕微鏡4が退避位置に退避されてもよい。
【0080】
図3に示す例では、アライメント顕微鏡4に配置された照明部14により、ワークマークWAMに向かって非露光光NELが照射された。これに限定されず、露光装置1内の他の位置に配置された照明部により、ワークマークWAMに向かって非露光光NELが照射されてもよい。
【0081】
例えば、ビームスプリッタ10の上方側に照明部が配置され、ビームスプリッタ10の上方側から下方側に向かって、非露光光NELが照射されてもよい。この場合、非露光光NELは、照明部から下方側に向かってワークマークWAMに照射され、ワークマークWAMにより上方側に反射される。この場合でも、
図2及び
図3に示すアライメントマークの撮影位置に配置されたアライメント顕微鏡4により、ワークマークWAMの画像を撮影することが可能である。
【0082】
あるいは、光出射部2により、露光光ELと非露光光NELとが切替え可能に照射されてもよい。そして、マスクマークMAMの検出時には露光光ELが照射され、ワークマークWAMの検出時には非露光光NELが照射されてもよい。
【0083】
例えば、光出射部2として、露光光ELの波長帯域と非露光光NELの波長帯域の両方を含む広い波長帯域の光を出射可能な光源が配置される。そして、光源の出射側に、露光光ELのみを透過させる第1の光学フィルタと、非露光光NELのみを透過させる第2の光学フィルタとが、交換可能に配置される。マスクマークMAMの検出時には光源の出射側に第1の光学フィルタが配置され、ワークマークWAMの検出時には光源の出射側に第2の光学フィルタが配置される。このような構成も採用可能である。
【0084】
この場合、光出射部2から出射され、途中でマスクマークMAMを照射し、撮像部13に入射する露光光ELの全体の光路と、光出射部2から出射され、途中でワークマークWAMを照射し、撮像部13に入射する非露光光NELの全体の光路とは、等しくなる。
【0085】
一方で、マスクマークMAMに照射された後の露光光ELの第1の光路OP1、及びワークマークWAMに照射された後の非露光光NELの第2の光路OP2は、
図2及び3に示す例と同様となる。
【0086】
本実施形態において、マスクマークMAMは、本発明に係る、露光用マスクのアライメントマークであるマスクマークの一実施形態に相当する。ワークマークWAMは、本発明に係る、ワークのアライメントマークであるワークマークの一実施形態に相当する。
【0087】
またマスクマークMAMに照射された露光光ELは、本発明に係る第1の光の一実施形態に相当する。ワークマークWAMに照射された非露光光NELは、本発明に係る第2の光の一実施形態に相当する。
【0088】
またビームスプリッタ10は、本発明に係る、第1の光及び第2の光の各々を分割して撮像部に出射するビームスプリッタの一実施形態に相当する。ビームスプリッタ10の光分割面18は、本発明に係る、第1の光及び第2の光の各々を分割する光分割面の一実施形態に相当する。
【0089】
また第1の光路OP1は、第1の光の撮像部までの光路の一実施形態に相当する。第2の光路OP2は、第2の光の撮像部までの光路の一実施形態に相当する。
【0090】
[アライメントマークの撮影精度の向上]
本発明者は、アライメント顕微鏡4より撮影されるマスクマークMAMの画像、及びワークマークWAMの画像の撮影精度について検討を重ねた。具体的には、撮影される両画像の精度を向上するために、アライメント顕微鏡4に搭載されるビームスプリッタ10の構成、及び撮像部13(イメージセンサ)に結像されるマスクマークMAM及びワークマークWAMの像の収差の補正について検討を重ねた。
【0091】
[サンドウィッチ構造]
図4~
図6は、ビームスプリッタ10の構成例を示す模式図である。
図4~
図6に例示するように、本実施形態では、ビームスプリッタ10の構成として、サンドウィッチ構造が採用される。サンドウィッチ構造は、光を分割する光分割面18を、2つ以上の部材で挟み込む構造である。サンドウィッチ構造を、挟み込み構造と呼ぶことも可能である。
【0092】
いわゆるキューブ型のビームスプリッタは、本技術に係るサンドウィッチ構造を有するビームスプリッタ10に含まれる。キューブ型のビームスプリッタを、ビームスプリッタキューブと呼ぶことも可能である。
【0093】
図4に示すビームスプリッタ10は、立方体形状(キューブ形状)を有し、2つの45度直角プリズム20及び21が互いに接続されている。2つの直角プリズム20及び21の接続面となる斜面が、光分割面18として構成される。例えば、真空蒸着法等により誘電体多層膜を形成することで、光分割面18を実現させることが可能である。その他、光分割面18の具体的な構成や作成方法は限定されない。
【0094】
図4に示すビームスプリッタ10を
図1~
図3に示すアライメント顕微鏡4に適用した場合は、光分割面18は、マスクマークMAMに照射される露光光EL、及びワークマークWAMに照射される非露光光NELの各々を分割する。
【0095】
またビームスプリッタ10は、上下方向(Z方向)で対向する上方面22a及び下方面22bと、左右方向(X方向)で対向する左面22c及び右面22dと、奥行方向(Y方向)で対向する前方面22e及び後方面(符号は省略)を有する。
【0096】
上方面22a及び下方面22bは上下方向(Z方向)に対して垂直に配置される(交差角度90度)。左面22c及び右面22dは、左右方向(X方向)に対して垂直に配置される(交差角度90度)。前方面22e及び後方面は、奥行方向(Y方向)に対して垂直に配置される(交差角度90度)。
【0097】
ビームスプリッタ10の上方面22aは、マスクマークMAMに照射された露光光ELが上方から入射する入射面23となる。ビームスプリッタ10の下方面22bは、光分割面18を透過して下方側に進む露光光ELが出射される出射面24となり、かつ反射ミラー8から上方側に反射される露光光ELが入射する入射面23となる。ビームスプリッタ10の左面22cは、光分割面18により左側に反射される露光光ELが出射される出射面24となる。
【0098】
またビームスプリッタ10の下方面22bは、ワークマークWAMに照射され上方側に反射される非露光光NELが入射する入射面25となる。またビームスプリッタ10の左面22cは、光分割面18により左側に反射される非露光光NELが出射される出射面26となる。
【0099】
図4に示すように、ビームスプリッタ10は、上方面22a、下方面22b、左面22c、右面22d、前方面22e及び後方面のいずれもが、光分割面18に対して面方向が異なるように構成される。
【0100】
すなわち、ビームスプリッタ10は、露光光ELが入射する入射面23、露光光ELが出射される出射面24、非露光光NELが入射する入射面25、及び非露光光NELが出射される出射面26のいずれもが、光分割面18に対して面方向が異なるように構成される。
【0101】
本技術に係るビームスプリッタ10の特徴として、光分割面18を間に挟みこむように互いに接続された2つの部材を有する点(サンドウィッチ構造)に加えて、露光光ELが入射する入射面23、露光光ELが出射される出射面24、非露光光NELが入射する入射面25、及び非露光光NELが出射される出射面26のいずれもが、光分割面18に対して面方向が異なるように構成される点(以下、面方位条件と記載する)を、挙げることが可能である。
【0102】
なお、2個の面が平行となる場合は、当該2個の面の各々の面方向は等しいことになる。一方で、互いに平行とはならない2個の面については、各々の面方向は異なることになる。また面方向が異なる2個の面に対して、面方向の交差角度を規定することが可能である。
【0103】
例えば、2個の面が交差する場合には、2個の面の交差角度を、面方向の交差角度として用いることが可能である。2個の面が交差しない場合には、各面を含む無限平面(2個の無限平面)の交差角度を、面方向の交差角度として用いることが可能である。
【0104】
例えば、2個の面の交線(2個の無限平面の交線)を中心に、所定の回転方向(右回り又は左回りのいずれでもよい)における0度~180度の範囲で、面方向の交差角度を算出することが可能である。なお、交差角度0度及び180度は、ともに2個の面が平行である状態に対応する。
【0105】
上記した面方位条件を、面方位の交差角度を用いて表現することも可能である。すなわち、ビームスプリッタ10は、露光光ELが入射する入射面23、露光光ELが出射される出射面24、非露光光NELが入射する入射面25、及び非露光光NELが出射される出射面26のいずれもが、光分割面18に対して面方向の交差角度がN度以上となるように構成される。このように表現することが可能である。
【0106】
「N度以上」のNの値に、具体的な値を入れることで、面方位条件をさらに限定することも可能である。例えば、N=30度となるビームスプリッタ10や、Nの値が30度から50度までの範囲に含まれるビームスプリッタ10等が、本技術に係るサンドウィッチ構造を有するビームスプリッタ10に含まれる。もちろん、このような数値に限定されるわけではない。例えば、所定の回転方向における0度~180度の範囲で面方向の交差角度が規定される場合において、0度及び180度を除く任意の値を用いて、本技術に係るビームスプリッタ10の構成することが可能である。
【0107】
図4に示す例では、ビームスプリッタ10は、露光光ELが入射する入射面23、露光光ELが出射される出射面24、非露光光NELが入射する入射面25、及び非露光光NELが出射される出射面26のいずれもが、光分割面18に対して面方向の交差角度が45度となるように構成されている。従って、
図4に示すビームスプリッタ10は、サンドウィッチ構造を有し、また面方位条件が満たされたビームスプリッタとなる。
【0108】
図5に示すビームスプリッタ10は、立方体形状(キューブ形状)を有さない構成である。
図5に示すように、上方面22a及び下方面22bは、互いに平行となるように構成される。一方で、上方面22a及び下方面22bは、上下方向(Z方向)に対して垂直には配置されておらず、左側の辺部が下方側にシフトされている。
【0109】
また、左面22c及び右面22dは、互いに平行となるように構成される。一方で、左面22c及び右面22dは、左右方向(X方向)に対して垂直には配置されておらず、下方側の辺部が左側にシフトされている。このような形状を有するビームスプリッタ10も、サンドウィッチ構造を有し、また面方位条件が満たされたビームスプリッタとなる。
【0110】
また
図6に示すビームスプリッタ10は上方面22a、下方面22b、左面22c、右面22d、前方面22e、及び後方面の各面方向が、さらに変更されている。上方面22a及び下方面22bは、互いに平行ではなく、上下方向(Z方向)に対して互いに異なる角度で交差している。左面22c及び右面22dも、互いに平行ではなく、左右方向(X方向)に対して互いに異なる角度で交差している。
【0111】
また、光分割面18も、上下方向(Z方向)に対して45度とは異なる角度で交差している。従って、
図6に示すビームスプリッタ10を、
図1~
図3に示すアライメント顕微鏡4に適用することは難しい。一方で、当然のことながら、
図6に示す光分割面18の角度に応じて、1以上の収差補正レンズ11、対物レンズ12、及び撮像部13を適切に配置することで、本技術に係るアライメント顕微鏡4として用いることが可能である。
【0112】
図6に示すビームスプリッタ10も、サンドウィッチ構造を有し、また面方位条件が満たされたビームスプリッタとなる。なお、
図5及び
図6に示すビームスプリッタ10も、いわゆるキューブ型のビームスプリッタの一種として捉えることも可能であると考えられる。
【0113】
もちろん、本技術に係るビームスプリッタ10の構成が、
図4~
図6に示す構成に限定される訳ではない。例えば、前方面22e及び後方面が、奥行方向(Y方向)に対して、互いに異なる交差角度で交差してもよい。また、ビームスプリッタ10のどの面を露光光ELの入射面23、露光光ELの出射面24、非露光光NELの入射面25、及び非露光光NELの出射面26のいずれかに設定するといったことも限定されず、任意に設定されてよい。
【0114】
典型的には、光分割面18を間に挟み込む2つの部材は、互いに同じ屈折率の材料により構成される。このような構成に限定されるわけではない。
【0115】
図4~
図6に示す例において、直角プリズム20及び21は、本技術に係る第1の部材及び第2の部材の一実施形態に相当する。2つの部材のいずれかを第1の部材(第2の部材)とするかは限定されず、任意に設定可能である。
【0116】
露光光ELが入射する入射面23は、第1の光が入射する第1の入射面の一実施形態に相当する。露光光ELが出射される出射面24は、第1の光が出射される第1の出射面の一実施形態に相当する。非露光光NELが入射する入射面25は、第2の光が入射する第2の入射面の一実施形態に相当する。非露光光NELが出射される出射面26は、第2の光が出射される第2の出射面の一実施形態に相当する。
【0117】
[マスクマークMAM及びワークマークWAMの像の収差]
図4~
図6に示すようなサンドウィッチ構造を有するビームスプリッタ10が用いられる場合、第1の光路OP1及び第2の光路OP2内に、直角プリズム20及び21が配置されることになる。すなわち、第1の光路OP1及び第2の光路OP2内に、空気とは屈折率が異なる厚みのある部材が配置されることになる。
【0118】
マスクマークMAMに照射された露光光EL、及びワークマークWAMに照射された非露光光NELが、直角プリズム20及び21の内部を進むことにより、撮像部13に結像されるマスクマークMAM及びワークマークWAMの像に収差が発生する場合も多い。なお、本開示では、理想的な結像系により結像されたマスクマークMAM及びワークマークWAMの像からのずれを収差とする。
【0119】
例えば、空気中を進む場合と比べて、直角プリズム20及び21の内部を進む露光光EL及び非露光光NELの光路長が増加するので、焦点位置(ピント位置)のずれによる像のぼけが発生し得る(以下、焦点位置ずれと記載する)。その他、球面収差、コマ収差、非点収差、像面歪曲、歪曲収差(ディストーション)等の単色収差や、軸上色収差、倍率色収差等の色収差が発生する場合もあり得る。
【0120】
このような収差が発生すると、マスクマークMAMの像、及びワークマークWAMの像の結像性能が低下し、マスクマークMAMの画像、及びワークマークWAMの画像の撮影精度が低下してしまう。
【0121】
[光路に対する入射面及び出射面の交差角度]
図4~
図6に示すようなサンドウィッチ構造を有するビームスプリッタ10が用いられる場合、マスクマークMAM及びワークマークWAMの像の収差を抑制するためには、露光光EL及び非露光NELの入射面23及び25が、第1の光路OP1及び第2の光路OP2に対して垂直に配置されるのが望ましい。
【0122】
例えば、露光光ELの入射面23を、第1の光路OP1に対して、交差角度が75度から105度までの範囲に含まれるように配置する。また非露光光NELの入射面25を、第2の光路OP2に対して、交差角度が75度から105度までの範囲に含まれるように配置する。これにより、マスクマークMAM及びワークマークWAMの像の収差を抑制することが可能となる。
【0123】
露光光ELの入射面23を、第1の光路OP1に対して交差角度90度で配置すれば、さらに収差の抑制効果が発揮される。同様に、非露光光NELの入射面25を、第2の光路OP2に対して交差角度90度で配置すれば、さらに収差の抑制効果が発揮される。
【0124】
またマスクマークMAM及びワークマークWAMの像の収差を抑制するためには、露光光EL及び非露光NELの出射面24及び26が、第1の光路OP1及び第2の光路OP2に対して垂直に配置されるのが望ましい。
【0125】
例えば、露光光ELの出射面24を、第1の光路OP1に対して、交差角度が75度から105度までの範囲に含まれるように配置する。また非露光光NELの出射面26を、第2の光路OP2に対して、交差角度が75度から105度までの範囲に含まれるように配置する。これにより、マスクマークMAM及びワークマークWAMの像の収差を抑制することが可能となる。
【0126】
露光光ELの出射面24を、第1の光路OP1に対して交差角度90度で配置すれば、さらに収差の抑制効果が発揮される。同様に、非露光光NELの出射面26を、第2の光路に対して交差角度90度で配置すれば、さらに収差の抑制効果が発揮される。
【0127】
[収差補正レンズの配置]
本実施形態に係るアライメント顕微鏡4では、収差を補正(キャンセル)するために、1以上の収差補正レンズ11が配置される。
【0128】
1以上の収差補正レンズ11として、マスクマークMAMの像の収差を補正するために、1以上の第1の収差補正レンズ28が、第1の光路OP1に配置される。また、1以上の収差補正レンズ11として、ワークマークWAMの像の収差を補正するために、1以上の第2の収差補正レンズ29が、第2の光路OP2に配置される。
【0129】
図7~
図11は、1以上の収差補正レンズ11の配置例を示す模式図である。
図7~
図11に示す例では、撮像部13としてCCDカメラが用いられる。また、対物レンズ12が2つのレンズを用いて模式的に図示されている。なお、撮像部13として、非テレセントリックレンズ等の結像レンズを含む結像系が用いられる場合は、当該結像系はCCDカメラと対物レンズ12との間に配置される。
【0130】
図1~
図3に示すアライメント顕微鏡4に、
図4に示すビームスプリッタ10が用いられる場合を例に挙げて、1以上の第1の収差補正レンズ28及び1以上の第2の収差補正レンズ29の配置例について説明する。
【0131】
図7に示す例では、ビームスプリッタ10の上方面22aに対向する位置に、2枚の収差補正レンズ11a及び11bが配置される。また、ビームスプリッタ10の左面22cに対向する位置に、2枚の収差補正レンズ11c及び11dが配置される。
【0132】
2枚の収差補正レンズ11a及び11bと、2枚の収差補正レンズ11c及び11dとは、露光光ELの第1の光路OP1に配置される。従って、2枚の収差補正レンズ11a及び11bと、2枚の収差補正レンズ11c及び11dとは、マスクマークMAMの像の収差を補正するための第1の収差補正レンズ28として機能する。
【0133】
また、2枚の収差補正レンズ11c及び11dは、非露光光NELの第2の光路OP2にも配置されている。従って、2枚の収差補正レンズ11c及び11dは、ワークマークWAMの像の収差を補正するための第2の収差補正レンズ29としても機能する。すなわち、2枚の収差補正レンズ11c及び11dは、第1の収差補正レンズ28、及び第2の収差補正レンズ29の両方を兼用している。
【0134】
図7に示す例では、露光光ELの入射面23(上方面22a)に対向する位置、及び露光光ELの出射面24(左面22c)に対向する位置に、第1の収差補正レンズ28が配置される。また非露光光NELの出射面26(左面22c)に対向する位置に、第2の収差補正レンズ29が配置される。
【0135】
図7に示す例では、ビームスプリッタ10の左面22cは、露光光EL及び非露光光NELの両方が出射される面(以下、共通出射面と記載する)となる。従って、
図7に示す例は、第1の収差補正レンズ28及び第2の収差補正レンズ29が、共通出射面(左面22c)に対向する位置に配置された構成ともいえる。
【0136】
また、上記したように、第2の光路OP2は、露光光EL及び非露光光NELの両方が進む共通光路となる。
図7に示す例は、共通光路に、第1の収差補正レンズ28として機能し、かつ第2の収差補正レンズ29として機能する収差補正レンズ(以下、共通補正レンズと記載する)が配置された構成とも言える。
【0137】
さらに、
図7に示す例は、2つの共通補正レンズ(収差補正レンズ11c及び11d)が、ビームスプリッタ10から撮像部13に向かって共通光路を進む露光光EL及び非露光光NELの両方が出射される共通出射面(左面22c)に対向する位置に配置された構成とも言える。
【0138】
1以上の収差補正レンズ11として、共通補正レンズを配置することで、収差補正レンズ11の枚数を少なくすることが可能となり、装置の小型化、設計の簡素化、部品コストの抑制等を図ることが可能となる。
【0139】
なお、共通光路に配置された収差補正レンズ11が、必ず共通補正レンズとして設計されている場合に限定されるわけではない。例えば、共通光路に配置されているが、第1の収差補正レンズ28の機能のみが発揮されるようにレンズ設計がされてもよい。この場合、非露光光NELに対する影響が抑えられたレンズ設計が望ましい。また、共通光路に配置されているが、第2の収差補正レンズ29の機能のみが発揮されるようにレンズ設計がされてもよい。この場合、露光光ELに対する影響が抑えられたレンズ設計が望ましい。
【0140】
図8に示す例では、ビームスプリッタ10の上方面22aに対向する位置に、1枚の収差補正レンズ11aが配置される。また、ビームスプリッタ10の下方面22bに対向する位置に、1枚の収差補正レンズ11eが配置される。また、ビームスプリッタ10の左面22cに対向する位置に、2枚の収差補正レンズ11c及び11dが配置される。
【0141】
1枚の収差補正レンズ11aと、1枚の収差補正レンズ11eと、2枚の収差補正レンズ11c及び11dとは、露光光ELの第1の光路OP1に配置される。従って、1枚の収差補正レンズ11aと、1枚の収差補正レンズ11eと、2枚の収差補正レンズ11c及び11dとは、マスクマークMAMの像の収差を補正するための第1の収差補正レンズ28として機能する。
【0142】
1枚の収差補正レンズ11eと、2枚の収差補正レンズ11c及び11dとは、非露光光NELの第2の光路OP2に配置される。従って、1枚の収差補正レンズ11eと、2枚の収差補正レンズ11c及び11dとは、ワークマークWAMの像の収差を補正するための第2の収差補正レンズ29として機能する。従って、1枚の収差補正レンズ11eと、2枚の収差補正レンズ11c及び11dとは、第1の収差補正レンズ28、及び第2の収差補正レンズ29の両方を兼用している。
【0143】
図8に示す例では、露光光ELの入射面23(上方面22a、下方面22b)に対向する位置、及び露光光ELの出射面24(下方面22b、左面22c)に対向する位置に、第1の収差補正レンズ28が配置される。また非露光光NELの入射面25(下方面22b)に対向する位置、及び非露光光NELの出射面26(左面22c)に対向する位置に、第2の収差補正レンズ29が配置される。
【0144】
また、
図8では、ビームスプリッタ10の下方面22bは、露光光EL及び非露光光NELの両方が入射する面(以下、共通入射面と記載する)となる。従って、
図8に示す例は、第1の収差補正レンズ28及び第2の収差補正レンズ29が、共通入射面(下方面22b)に対向する位置、及び共通出射面(左面22c)に対向する位置の各々に配置された構成ともいえる。
【0145】
また、
図8に示す例は、共通光路に、第1の収差補正レンズ28として機能し、かつ第2の収差補正レンズ29として機能する共通補正レンズ(収差補正レンズ11c~11e)が配置された構成とも言える。
【0146】
さらに、
図8に示す例は、2つの共通補正レンズ(収差補正レンズ11c及び11d)が、ビームスプリッタ10から撮像部13に向かって共通光路を進む露光光EL及び非露光光NELの両方が出射される共通出射面(左面22c)に対向する位置に配置された構成とも言える。
【0147】
図9に示す例では、ビームスプリッタ10の下方面22bに対向する位置に、2枚の収差補正レンズ11e及び11fが配置される。また、ビームスプリッタ10の左面22cに対向する位置に、2枚の収差補正レンズ11c及び11dが配置される。
【0148】
2枚の収差補正レンズ11e及び11fと、2枚の収差補正レンズ11c及び11dとは、露光光ELの第1の光路OP1、及び非露光光NELの第2の光路OP2に配置される。従って、2枚の収差補正レンズ11e及び11fと、2枚の収差補正レンズ11c及び11dとは、第1の収差補正レンズ28として機能し、かつ第2の収差補正レンズ29として機能する共通補正レンズとなる。すなわち、
図9に示す例は、1以上の収差補正レンズ11が、4枚の共通補正レンズからなる構成となる。
【0149】
また
図9に示す例は、共通補正レンズ(収差補正レンズ11c~11f)が、共通入射面(下方面22b)に対向する位置、及び共通出射面(左面22c)に対向する位置の各々に配置された構成とも言える。
【0150】
また、
図9に示す例は、2つの共通補正レンズ(収差補正レンズ11c及び11d)が、ビームスプリッタ10から撮像部13に向かって共通光路を進む露光光EL及び非露光光NELの両方が出射される共通出射面(左面22c)に対向する位置に配置された構成とも言える。
【0151】
1以上の収差補正レンズ11を、全て共通補正レンズにて構成することで、装置の小型化、設計の簡素化、部品コストの抑制等に関して、さらに有利となる。
【0152】
図10に示す例では、ビームスプリッタ10の左面22cに対向する位置に、2枚の収差補正レンズ11c及び11dが配置される。
【0153】
2枚の収差補正レンズ11c及び11dは、露光光ELの第1の光路OP1、及び非露光光NELの第2の光路OP2に配置される。従って、2枚の収差補正レンズ11c及び11dは、第1の収差補正レンズ28として機能し、かつ第2の収差補正レンズ29として機能する共通補正レンズとなる。すなわち、
図10に示す例は、1以上の収差補正レンズ11が、2枚の共通補正レンズからなる構成となる。
【0154】
また
図10に示す例は、共通補正レンズ(収差補正レンズ11c及び11d)が、共通出射面(左面22c)に対向する位置に配置された構成とも言える。
【0155】
また、
図10に示す例は、2つの共通補正レンズ(収差補正レンズ11c及び11d)が、ビームスプリッタ10から撮像部13に向かって共通光路を進む露光光EL及び非露光光NELの両方が出射される共通出射面(左面22c)に対向する位置に配置された構成とも言える。
【0156】
図11に示す例では、ビームスプリッタ10の下方面22bに対向する位置に、2枚の収差補正レンズ11e及び11fが配置される。
【0157】
2枚の収差補正レンズ11e及び11fは、露光光ELの第1の光路OP1、及び非露光光NELの第2の光路OP2に配置される。従って、2枚の収差補正レンズ11e及び11fは、第1の収差補正レンズ28として機能し、かつ第2の収差補正レンズ29として機能する共通補正レンズとなる。すなわち、
図11に示す例は、1以上の収差補正レンズ11が、2枚の共通補正レンズからなる構成となる。
【0158】
また
図11に示す例は、共通補正レンズ(収差補正レンズ11e及び11f)が、共通入射面(下方面22b)に対向する位置に配置された構成とも言える。
【0159】
収差補正レンズ11(第1の収差補正レンズ28、第2の収差補正レンズ29)の具体的なレンズ設計等は限定されず、補正したい収差の種類に応じて、任意に設計されてよい。例えば、焦点位置ずれを補正したい場合、正のパワーを持った収差補正レンズを配置する。これにより、光路長の増加により遠方にシフトした分だけピント位置を手前に戻すことが可能となり、焦点位置ずれを補正することが可能となる。
【0160】
このようなレンズ設計に限定されず、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズ、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズ等、任意の光学レンズが収差補正レンズ11として用いられてよい。またレンズ面の形状を限定されず、球面形状や非球面形状等、任意に設計されてよい。
【0161】
例えば、第1の光路OP1及び第2の光路OP2に配置される収差補正レンズ11の枚数を多くすることで、所定の収差に対する補正精度を向上させることや、複数の種類の収差を合わせて補正すること等が可能となる。また、2枚以上の収差補正レンズ11を配置することで、倍率の変動を戻すといったことも可能となる。すなわち、収差補正に加えて倍率補正も可能となる。なお、この倍率の変動も、収差に含まれるものとする(以下、倍率収差と記載する)。
【0162】
一方で、収差補正レンズ11の数を抑えることで、装置の小型化、設計の簡素化、部品コストの抑制等を図ることが可能となる。例えば、修正したい収差を絞ることで、収差補正レンズ11の数を抑えることも可能である。
【0163】
例えば、補正したい収差に優先度を設定し、優先度が高い収差を補正対象として絞るといったことも可能である。例えば、焦点位置ずれの補正に最も高い優先度を設定する。そして、色収差の補正に1ランク下の優先度を設定し、倍率収差の補正に、さらに1ランク下の優先度を設定する。他の収差については、補正対象から除外する。
【0164】
このような優先度の設定に対して、1以上の収差補正レンズ11のレンズ設計、数、配置位置等を適宜設定する。例えば、最も高い優先度の収差のみを補正対象として、収差補正レンズの構成を設定する。あるいは、優先度が高い順に複数の種類の収差を補正対象として選択し、収差補正レンズ11の構成を設定する。このような様々な設計が可能である。
【0165】
収差補正レンズ11が配置される位置について、
図7~
図11に示すように、投影レンズ3とビームスプリッタ10との間の位置、ビームスプリッタ10とワークステージWS(ワークW)との間の位置、ビームスプリッタ10と撮像部13との間の位置等、様々な設定が可能である。
【0166】
露光光ELと非露光光NELとは、互いに波長が異なる光となる。従って、第1の光路OP1に、露光光ELの波長に対応する1以上の第1の収差補正レンズ28を配置する。また第2の光路OP2に、非露光光NELの波長に対応する1以上の第2の収差補正レンズ29を配置する。これにより、収差の補正精度を向上させることが可能である。
【0167】
一方で、
図7~
図11に例示したように、第1の収差補正レンズ28として機能し、かつ第2の収差補正レンズ29として機能する共通補正レンズを用いることでも、露光光EL及び非露光光NELの両方に対して、十分に収差を補正することが可能である。
【0168】
マスクマークMAMに照射された露光光EL及びワークマークWAMに照射された非露光光NELが、ビームスプリッタ10の内部を通る回数に着目して、収差補正レンズ11の構成を設定することも可能である。例えば、ビームスプリッタ10の内部をN回通る場合には、N回分の収差を補正可能なように1以上の収差補正レンズ11を構成する。これにより、収差の補正精度を向上させることが可能となる。
【0169】
例えば、ビームスプリッタ10の内部を1回通ることで発生する1回分の収差を補正可能なように、1以上の収差補正レンズ11からなるセットを構成する。露光光ELがビームスプリッタ10をN回通る場合には、同じN個のセットを、露光光ELの第1の光路OP1に配置する。また、非露光光NELに関しても同様に、ビームスプリッタ10を通る回数と同じ数のセットを、非露光光NELの第2の光路OP2に配置する。これにより、収差の補正精度を向上させることが可能である。
【0170】
例えば、
図11に示す例において、2枚の収差補正レンズ11e及び11dを、1回分の収差を補正可能なセットとして構成する。露光光ELは、ビームスプリッタ10の内部を2回通り、また2枚の収差補正レンズ11e及び11dを2回通る。また、非露光光NELは、ビームスプリッタ10の内部を1回通り、また2枚の収差補正レンズ11e及び11dを1回通る。この結果、露光光ELに関して、2回分の収差が高い正精度で補正される。また非露光光NELに関して、1回分の収差が高い精度で補正される。
【0171】
対物レンズ12に、収差補正レンズ11の機能(第1の収差補正レンズ28の機能、又は第2の収差補正レンズ29の機能)を備えさせてもよい。これにより、装置の小型化等に有利となる。この場合、対物レンズ12が、本発明に係る収差補正レンズ(第1の収差補正レンズ、又は第2の収差補正レンズ)の一実施形態となる。
【0172】
図1~
図3に示す例において、アライメント顕微鏡4及び制御部6の位置検出部16は、本発明に係る検出装置の一実施形態として機能する構成要素となる。すなわち、露光装置1は、本発明に係る検出装置を搭載した露光装置とも言える。
【0173】
露光装置1と一体的な構成となるように、本発明に係る検出装置が組み込まれてもよい。あるいは、露光装置1とは別に、アライメント顕微鏡4及び位置検出部16を具備する検出装置が、独立して構成されてもよい。そして、露光装置1に対して検出装置が、適宜組み込まれてもよい。あるいは、アライメント顕微鏡4のみが、露光装置1に対して交換可能に組み込まれてもよい。
【0174】
以上、本実施形態に係る露光装置1(検出装置)では、アライメント顕微鏡4が有するビームスプリッタ10の構成として、露光光EL及び非露光光NELの各々を分割する光分割面18を、直角プリズム20及び直角プリズム21にて挟み込む構成であるサンドウィッチ構造が採用される。これにより、光分割面18による露光光EL及び非露光光NELの各々に対する光を分割する機能を安定して発揮させることが可能である。
【0175】
例えば、ビームスプリッタとして、ペリクル型のビームスプリッタが用いられるとする。ペリクル型のビームスプリッタは、薄い膜状の構成であるので、冷却風が吹き付けられる場合等において、容易に振動が発生してしまう。この結果、マスクマークMAMの画像及びワークマークWAMの画像の精度が低下してしまい、高い位置合わせの精度を発揮することが難しくなる。
【0176】
本実施形態では、
図4等に例示したような、サンドウィッチ構造を有するビームスプリッタ10が用いられる。これにより、光分割面18が振動してしまうといったことは十分に防止可能となり、光分割機能を安定して発揮させることが可能となる。
【0177】
また、本実施形態に係る露光装置1(検出装置)では、第1の光路OP1及び第2の光路OP2に収差補正レンズ11が配置されるので、高い精度でマスクマークMAMの画像及びワークマークWAMの画像を撮影することが可能となり、マスクマークの位置及びワークマークの位置を高い精度で検出することが可能となる。この結果、露光用マスクMとワークWとの位置合わせを高い精度で行うことが可能となる。
【0178】
このように、本実施形態に係る露光装置1(検出装置)では、光分割面18の振動による影響を受けることなく、収差も十分に抑制可能であるので、撮像部13での結像性能を向上させることが可能となり、精度よくアライメントすることが可能となる。また、モニタ5に高品質なアライメントマークの画像を表示することが可能となり、オペレータによる確認等も、高い精度で行うことが可能となる。
【0179】
<その他の実施形態>
本発明は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0180】
本発明に係る露光装置を用いて露光を行うことで、所定のパターンが形成された種々の基板を、部品として製造することが可能となる。例えば、部品として、電気回路素子、光学素子、MEMS、記録素子、センサ、或いは、型等を製造することが可能である。
電気回路素子としては、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、MRAMのような、揮発性あるいは不揮発性の半導体メモリや、LSI、CCD、イメージセンサ、FPGAのような半導体素子等が挙げられる。型としては、インプリント用のモールド等が挙げられる。
【0181】
本発明に係る検出装置及びアライメント顕微鏡が適用可能な装置は、露光装置に限定されない。レーザ加工装置等の光加工装置等におけるアライメントマークの検出にも適用可能である。その他、アライメントマークを用いて互いに位置合わせが行われる任意の光照射装置に、本発明に係る検出装置及びアライメント顕微鏡を適用することが可能となる。
【0182】
上記では、ビームスプリッタ10、1以上の収差補正レンズ11、対物レンズ12、及び撮像部13を備えるアライメント顕微鏡4が、1つのユニットとして構成される場合を例に挙げた。これに限定されず、通常の露光工程を妨げないことを条件に、ビームスプリッタ10、1以上の収差補正レンズ11、対物レンズ12、及び撮像部13のうちのいずれかの構成要素が、露光装置1側に固定されてもよい。例えば、撮像部13や対物レンズ12が固定され、ビームスプリッタ10及び1以上の収差補正レンズ11を含むユニットが移動可能に構成されてもよい。その他、様々な構成が採用されてよい。
【0183】
各図面を参照して説明した露光装置、検出装置、アライメント顕微鏡、ビームスプリッタ、収差補正レンズ、制御部等の各構成はあくまで一実施形態であり、本技術の趣旨を逸脱しない範囲で、任意に変形可能である。すなわち本技術を実施するための他の任意の構成が採用されてよい。
【0184】
本開示において、説明の理解を容易とするために、「略」「ほぼ」「おおよそ」等の文言が適宜使用されている。一方で、これら「略」「ほぼ」「おおよそ」等の文言を使用する場合と使用しない場合とで、明確な差異が規定されるわけではない。
すなわち、本開示において、「中心」「中央」「均一」「等しい」「同じ」「直交」「平行」「対称」「延在」「軸方向」「円柱形状」「円筒形状」「リング形状」「円環形状」等の、形状、サイズ、位置関係、状態等を規定する概念は、「実質的に中心」「実質的に中央」「実質的に均一」「実質的に等しい」「実質的に同じ」「実質的に直交」「実質的に平行」「実質的に対称」「実質的に延在」「実質的に軸方向」「実質的に円柱形状」「実質的に円筒形状」「実質的にリング形状」「実質的に円環形状」等を含む概念とする。
例えば「完全に中心」「完全に中央」「完全に均一」「完全に等しい」「完全に同じ」「完全に直交」「完全に平行」「完全に対称」「完全に延在」「完全に軸方向」「完全に円柱形状」「完全に円筒形状」「完全にリング形状」「完全に円環形状」等を基準とした所定の範囲(例えば±10%の範囲)に含まれる状態も含まれる。
従って、「略」「ほぼ」「おおよそ」等の文言が付加されていない場合でも、いわゆる「略」「ほぼ」「おおよそ」等を付加して表現され得る概念が含まれ得る。反対に、「略」「ほぼ」「おおよそ」等を付加して表現された状態について、完全な状態が必ず排除されるというわけではない。
【0185】
本開示において、「Aより大きい」「Aより小さい」といった「より」を使った表現は、Aと同等である場合を含む概念と、Aと同等である場合を含なまい概念の両方を包括的に含む表現である。例えば「Aより大きい」は、Aと同等は含まない場合に限定されず、「A以上」も含む。また「Aより小さい」は、「A未満」に限定されず、「A以下」も含む。
本技術を実施する際には、上記で説明した効果が発揮されるように、「Aより大きい」及び「Aより小さい」に含まれる概念から、具体的な設定等を適宜採用すればよい。
【0186】
以上説明した本技術に係る特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。すなわち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。また上記で記載した種々の効果は、あくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果が発揮されてもよい。
【符号の説明】
【0187】
EL…露光光
M…露光用マスク(マスク)
MAM…マスクマーク
MS…マスクステージ
NEL…非露光光
OP1…第1の光路
OP2…第2の光路
W…ワーク
WAM…ワークマーク
WS…ワークステージ
1…露光装置
2…光出射部
4…アライメント顕微鏡
10…ビームスプリッタ
11…収差補正レンズ
13…撮像部
20、21…直角プリズム
23…露光光の入射面
24…露光光の出射面
25…非露光光の入射面
26…非露光光の出射面
28…第1の収差補正レンズ
29…第2の収差補正レンズ