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特開2024-99930増毛用毛髪、増毛方法、及び増毛用キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099930
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】増毛用毛髪、増毛方法、及び増毛用キット
(51)【国際特許分類】
   A41G 5/00 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A41G5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003570
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000126218
【氏名又は名称】株式会社アートネイチャー
(74)【代理人】
【識別番号】100154184
【弁理士】
【氏名又は名称】生富 成一
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】矢内 大輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 一生
(57)【要約】
【課題】 頭髪をボリュームアップでき、地肌の透けをカバーしつつ増毛感を向上させることを可能とする。
【解決手段】 自毛20の根元に結び付けて増毛するために用いられる増毛用毛髪10であって、自毛20に結び付けて結び目を形成する結び目環状部117と、結び目環状部117を引き絞って結び目を形成させるための引絞部116と、複数の本体単毛部112,113とを有する本体毛髪部11を備え、結び目環状部117に、うぶ毛を模したサブ毛髪部12を結んで備え、サブ毛髪部12が、結び目環状部117に固定される固定部123と、複数のサブ単毛部121,122とを備える増毛用毛髪。サブ単毛部の長さが本体単毛部の長さよりも短いことが好ましく、サブ単毛部の太さが本体単毛部の太さよりも細いことが好ましい。また、サブ単毛部にカールが施されていることがより好ましい。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自毛の根元に結び付けて増毛するために用いられる増毛用毛髪であって、
前記自毛に結び付けて結び目を形成する結び目環状部と、前記結び目環状部を引き絞って結び目を形成させるための引絞部と、複数の本体単毛部とを有する本体毛髪部を備え、
前記結び目環状部に、うぶ毛を模したサブ毛髪部を結んで備え、前記サブ毛髪部が、前記結び目環状部に固定される固定部と、複数のサブ単毛部とを備える
ことを特徴とする増毛用毛髪。
【請求項2】
前記サブ毛髪部における前記サブ単毛部の長さが、前記本体毛髪部における前記本体単毛部の長さよりも短いことを特徴とする請求項1記載の増毛用毛髪。
【請求項3】
前記サブ毛髪部における前記サブ単毛部の太さが、前記本体毛髪部における前記本体単毛部の太さよりも細いことを特徴とする請求項1又は2記載の増毛用毛髪。
【請求項4】
前記サブ毛髪部における前記サブ単毛部にカールが施されていることを特徴とする請求項1又は2記載の増毛用毛髪。
【請求項5】
前記結び目環状部が複数の環状部からなり、前記複数の環状部の一部の環状部に対して、前記サブ毛髪部が結んで備えられたことを特徴とする請求項1又は2記載の増毛用毛髪。
【請求項6】
前記結び目環状部に対して、前記自毛が巻き付いていることを特徴とする請求項1又は2記載の増毛用毛髪。
【請求項7】
増毛用毛髪を自毛の根元に結び付けて増毛する増毛方法であって、
前記増毛用毛髪が、前記自毛に結び付けて結び目を形成する結び目環状部と、前記結び目環状部を引き絞って結び目を形成させるための引絞部と、複数の本体単毛部とを有する本体毛髪部を備え、前記結び目環状部に、うぶ毛を模したサブ毛髪部を結んで備え、前記サブ毛髪部が、前記結び目環状部に固定される固定部と、複数のサブ単毛部とを備え、
前記結び目環状部に対して前記自毛を巻き付けた後、前記結び目環状部を引き絞って結び目を形成する
ことを特徴とする増毛方法。
【請求項8】
請求項1又は2記載の増毛用毛髪が、増毛用毛髪取付台紙に保持されてなることを特徴とする増毛用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部に生えている自毛に増毛用毛髪を固定することによって増毛を行う増毛技術に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の増毛技術として、頭部に生えている自毛に増毛用毛髪を固定する方法がある。
このような増毛方法においては、毛髪を増量することによって頭髪をボリュームアップさせることや、地肌の透けをカバーすることにより増毛感を向上させることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-172262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1では、増毛の作業効率を向上せしめ、かつ少ない毛量でボリューム感を出すとともに自然な感じのする増毛ヘアが提案されている。そして、その増毛ヘアによれば、サブヘアがベースヘアのループ部に結び付けられ、ベースヘア自由端部とサブヘア自由端部が直交方向に設けられるから、自毛の根元から多方向に向けて面状に増毛される効果が得られるとされている。
しかしながら、上述のように毛髪を増量することによって頭髪をボリュームアップさせたり、地肌の透けをカバーすることにより増毛感を向上させるためには、増毛技術のさらなる改善が期待される状況であった。
【0005】
そこで、本発明者は鋭意研究して、増毛用毛髪にうぶ毛を模したサブ毛髪部を結んで備えることにより、これらの課題を解消することに成功した。
また、うぶ毛様のサブ毛髪部の長さを増毛用毛髪よりも短くすることで、サブ毛髪部を立ち易くして増毛用毛髪をより支え易くすることが可能になった。また、うぶ毛様のサブ毛髪部の太さを増毛用毛髪よりも細くすることで、より自然に見えるという視認性の効果を得ることができた。さらに、うぶ毛様のサブ毛髪部にカールを付与することによって、増毛用毛髪をより直立させ易くする効果が得られた。
【0006】
ところで、増毛中においては、自毛に対するテンションが小さい方がよく、テンションが大きくなると自毛が縮むことがあるという問題があった。また、自毛が引っ張られると、増毛を受ける被術者に痛みや不快感を与えるおそれもあった。
そこで、本発明者はさらに研究して、増毛用毛髪における複数の環状部の一部の環状部のみに対してうぶ毛様のサブ毛髪部を結んで備えることにより、サブ毛髪部の増毛用毛髪に対する結び目が増毛用毛髪の自毛に対する結び目に引っかかり難くして、結び目をスムーズに小さくすることを可能とした。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、頭髪をボリュームアップでき、地肌の透けをカバーしつつ増毛感を向上させることの可能な増毛用毛髪、増毛方法、及び増毛用キットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の増毛用毛髪は、自毛の根元に結び付けて増毛するために用いられる増毛用毛髪であって、自毛に結び付けて結び目を形成する結び目環状部と、前記結び目環状部を引き絞って結び目を形成させるための引絞部と、複数の本体単毛部とを有する本体毛髪部を備え、前記結び目環状部に、うぶ毛を模したサブ毛髪部を結んで備え、前記サブ毛髪部が、前記結び目環状部に固定される固定部と、複数のサブ単毛部とを備えた構成としてある。
【0009】
また、本発明の増毛用毛髪を、前記サブ毛髪部における前記サブ単毛部の長さが、前記本体毛髪部における前記本体単毛部の長さよりも短い構成とすることが好ましい。
また、本発明の増毛用毛髪を、前記サブ毛髪部における前記サブ単毛部の太さが、前記本体毛髪部における前記本体単毛部の太さよりも細い構成とすることが好ましい。
また、本発明の増毛用毛髪を、前記サブ毛髪部における前記サブ単毛部にカールが施されている構成とすることが好ましい。
【0010】
また、本発明の増毛用毛髪を、前記結び目環状部が複数の環状部からなり、前記複数の環状部の一部の環状部に対して、前記サブ毛髪部が結んで備えられた構成とすることが好ましい。
また、本発明の増毛用毛髪を、前記結び目環状部に対して、前記自毛が巻き付いている構成とすることが好ましい。
さらに、本発明の増毛用毛髪を、上記の増毛用毛髪における各構成を様々に組み合わせたものとすることも好ましい。
【0011】
本発明の増毛方法は、増毛用毛髪を自毛の根元に結び付けて増毛する増毛方法であって、前記増毛用毛髪が、自毛に結び付けて結び目を形成する結び目環状部と、前記結び目環状部を引き絞って結び目を形成させるための引絞部と、複数の本体単毛部とを有する本体毛髪部を備え、前記結び目環状部に、うぶ毛を模したサブ毛髪部を結んで備え、前記サブ毛髪部が、前記結び目環状部に固定される固定部と、複数のサブ単毛部とを備え、前記結び目環状部に対して前記自毛を巻き付けた後、前記結び目環状部を引き絞って結び目を形成する方法としてある。
【0012】
本発明の増毛用キットは、上記のいずれかの増毛用毛髪が、増毛用毛髪取付台紙に保持されてなる構成としてある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、頭髪をボリュームアップでき、地肌の透けをカバーしつつ増毛感を向上させることの可能な増毛用毛髪、増毛方法、及び増毛用キットの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る増毛用毛髪の構成を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る増毛用毛髪における本体毛髪部の形状を調整する手順を示す説明図である。
図3】本発明の実施形態に係る増毛用毛髪に自毛を巻き付けた状態を示す模式図である。
図4】本発明の実施形態に係る増毛用毛髪の結び目環状部を引き絞って自毛上に結び目を形成させた状態を示す模式図である。
図5】本発明の実施形態に係る増毛用毛髪を頭部に生えている自毛に固定した状態を示す模式図である。
図6】本発明の実施形態に係る増毛用毛髪の応用例の構成を示す模式図である。
図7】本発明の実施形態に係る増毛用毛髪を増毛用毛髪取付台紙に保持した増毛用キットの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の増毛用毛髪、増毛方法、及び増毛用キットの実施形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態の具体的な内容に限定されるものではない。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の増毛用毛髪10は、自毛20の根元に結び付けて増毛するために用いられる増毛用毛髪10(増毛用材料)であって、自毛20に結び付けて結び目を形成する結び目環状部117と、結び目環状部117を引き絞って結び目を形成させるための引絞部116と、複数の本体単毛部(本体第一単毛部112,本体第二単毛部113等)とを有する本体毛髪部11を備え、結び目環状部117に、うぶ毛を模したサブ毛髪部12(うぶ毛部)を結んで備え、サブ毛髪部12が、結び目環状部117に固定される固定部123と、複数のサブ単毛部(サブ第一単毛部121,サブ第二単毛部122等)とを備えることを特徴とする。
本実施形態の増毛用毛髪10において、このような本体毛髪部11を備えると共に、うぶ毛を模したサブ毛髪部12を備えることによって、自毛の根元を直接視認し難くすることができ、地肌の透けをカバーすることができるという視認効果を得ることが可能になる。
【0017】
なお、図1において、構造の視認し易さ観点から、増毛用毛髪10における本体毛髪部11とサブ毛髪部12の構成を紐で表して記載しているが、実際には人工毛髪(合成繊維からなるもの、及び天然の毛髪を加工したものを含む)を本体毛髪部11とサブ毛髪部12に使用して、増毛用毛髪10を作成する。以下で説明する図面についても同様である。
【0018】
図2を参照して、本実施形態の増毛用毛髪10における本体毛髪部11の形状の調整方法について説明する。なお、本体毛髪部11の形状の調整方法は以下の手順に限定されず、自毛に結び付けて結び目を形成する結び目環状部と、結び目環状部を引き絞って結び目を形成させるための引絞部と、複数の本体単毛部とを有する構成を形成できれば、その他の方法で調整してもよい。
【0019】
まず、図2(1)に示すように、本体毛髪部11を二つ折りにして、曲げ部111と、本体単毛部112,113とを形成する。
次に、図2(2)に示すように、曲げ部111を本体単毛部112,113側に折り返して、第一環状部114と第二環状部115とを形成する。
そして、本体単毛部112,113の端部を持って、本体単毛部112,113を第二環状部115の下側から上側に向けて環にくぐらせ、さらに本体単毛部112,113を第一環状部114の上側から下側に向けて環にくぐらせることによって、図2(3)に示すように、引絞部116を形成すると共に、結び目環状部117を形成する。
【0020】
本実施形態の増毛用毛髪10における本体毛髪部11の形状は、図1及び図2に示す形状に限定されず、自毛に結び付けて結び目を形成する結び目環状部と、結び目環状部を引き絞って結び目を形成させるための引絞部と、複数の本体単毛部とを有する構成であれば、その他の形状であってもよい。
【0021】
例えば、図1及び図2では、本体単毛部は2本形成されている(シングルノット)が、その本数は特に限定されず、4本(ダブルノット)や6本(トリプルノット)などにすることもできる。また、サブ毛髪部12におけるサブ単毛部の本数も2本に限定されず、その他の本数であってもよい。
【0022】
さらに、引絞部の形状も図1及び図2に示す形状に限定されず、その他の結び方を採用することもできる。
また、本実施形態の増毛用毛髪10において、サブ毛髪部12の結び目環状部117に対する固定の仕方は図1に示す形状の方法に限定されず、固定部123はその他の結び方にもとづく形状であってもよい。
【0023】
また、図3に示すように、本実施形態の増毛用毛髪10は、結び目環状部117に対して、自毛20が巻き付いている構成とすることが好ましい。
本実施形態の増毛用毛髪10をこのような構成にすれば、図4に示すように、結び目環状部117を小さくして自毛20上に結び目Kを形成させることによって、増毛用毛髪10を自毛20に十分に固定することができ、増毛用毛髪10から自毛20からするりと抜けてしまうことを防止することが可能になる。
なお、結び目環状部117に対する自毛20の巻き付け方は、図3に示すような1回転に限定されず、それ以上の回数で巻き付けたり、結び目を形成したりする方法であってもよい。
【0024】
本実施形態の増毛用毛髪10において、サブ毛髪部12におけるサブ単毛部121,122の長さが、本体毛髪部11における本体単毛部112,113の長さよりも短いことが好ましい。
本実施形態の増毛用毛髪10をこのような構成にすれば、サブ毛髪部12を立ちやすくすることができ、サブ毛髪部12により本体毛髪部11を支えて頭髪のボリュームアップ効果を得ることが可能となる。
【0025】
ここで、仮にサブ毛髪部12におけるサブ単毛部121,122の長さが、本体毛髪部11における本体単毛部112,113の長さと同じかそれ以上である場合は、サブ毛髪部12が自重で倒れ易くなり、汚く見える場合がある。
これに対して、本実施形態の増毛用毛髪10をこのような構成にすれば、毛髪がより綺麗に見えるという効果を得ることも可能となる。
【0026】
また、本実施形態の増毛用毛髪10において、サブ毛髪部12におけるサブ単毛部121,122の太さが、本体毛髪部11における本体単毛部112,113の太さよりも細いことが好ましい。
本実施形態の増毛用毛髪10をこのような構成にすれば、毛髪をより自然に見せることができるという効果を得ることが可能になる。
【0027】
さらに、本実施形態の増毛用毛髪10において、サブ毛髪部12におけるサブ単毛部121,122にカールが施されていることが好ましい。
本実施形態の増毛用毛髪10をこのような構成にすれば、毛髪をより直立させ易くすることができるという効果を得ることが可能になる。
【0028】
図5は、このような本実施形態の増毛用毛髪10を頭部Hに生えている自毛20に固定した状態を示す模式図である。
本実施形態の増毛用毛髪10によれば、図5に示すように、自毛20に対し、本体毛髪部11により増毛を行うことができるのみならず、うぶ毛を模したサブ毛髪部12(うぶ毛部)を備えることによって、自毛の根元を直接視認し難くすることができ、地肌の透けをカバーすることができるという視認効果を得ることが可能になっている。
また、うぶ毛部により本体毛髪部11を支えることができるため、頭髪をボリュームアップでき、増毛感を向上させることが可能になっている。
【0029】
次に、本実施形態の増毛用毛髪の応用例について説明する。
図6に示すように、本実施形態の増毛用毛髪10aは、結び目環状部117aが複数の環状部からなり、複数の環状部の一部の環状部に対して、サブ毛髪部12aが結んで備えられた構成とすることがより好ましい。
ここで、上述したとおり、増毛中においては、自毛に対するテンションが小さい方がよく、テンションが大きくなると自毛が縮むことがある。また、自毛が引っ張られると、増毛を受ける被術者に痛みや不快感を与えるおそれがある。
【0030】
これに対して、本実施形態の増毛用毛髪10aをこのような構成にすれば、サブ毛髪部12aが本体毛髪部11aに引っかかり難くなり(サブ毛髪部12aの増毛用毛髪10aに対する結び目が増毛用毛髪10aの自毛に対する結び目に引っかかり難くなる)、結び目環状部117aをスムーズに小さくして、結び目を形成させることが可能になる。
一方、上述したように、増毛用毛髪10における結び目環状部117の複数の環状部の全部に対してサブ毛髪部12を結ぶ場合、それらの環状部を小さくする際にサブ毛髪部12の本体毛髪部11に対する結び目が、本体毛髪部11の自毛に対する結び目にぶつかる場合があり、結び目の形成がやや難くなることがあった。
【0031】
これに対して、本実施形態の増毛用毛髪10aにおける上記の構成のように、サブ毛髪部12aを複数の環状部の一部に対して結ぶ場合、この結び目自体は本体毛髪部11aの自毛に対する結び目にぶつかる場合があるものの、残りの環状部はスムーズに小さくなり、結果として引っかかり難くすることができ、結び目環状部117aをスムーズに小さくして、結び目を形成させることができる。
特に、サブ毛髪部12aを複数の環状部を構成する毛髪の1本のみに対して結ぶ場合には、最も効率的に本体毛髪部11aの自毛に対する結び目を小さくすることが可能である。
【0032】
本実施形態の増毛用毛髪10(10a)の素材としては、合成繊維や天然繊維、コラーゲン繊維、かつら用人毛などを用いることが好ましく、強度や伸度、退色性などを総合的に考慮すると、合成繊維を使用することが特に好ましい。
また、この合成繊維としては、例えば、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリアミド系繊維等を挙げることができ、ポリエステル系繊維を用いることが特に好ましい。
【0033】
また、本実施形態の増毛用毛髪10(10a)に対して、所定の加工を行うことも好ましい。
具体的には、結び目環状部117(117a)をスムーズに小さくして、結び目を形成させるために、増毛用毛髪10(10a)は適度に滑ることが望ましい。
このため、増毛用毛髪10(10a)に対して繊維処理剤(油剤)を施すことが好ましく、シリコーン系の繊維処理剤を施すことがより好ましい。
【0034】
本実施形態の増毛方法は、増毛用毛髪10を自毛20の根元に結び付けて増毛する増毛方法であって、増毛用毛髪10が、自毛20に結び付けて結び目を形成する結び目環状部117と、結び目環状部117を引き絞って結び目を形成させるための引絞部116と、複数の本体単毛部112,113とを有する本体毛髪部11を備え、結び目環状部117に、うぶ毛を模したサブ毛髪部12を結んで備え、サブ毛髪部12が、結び目環状部117に固定される固定部123と、複数のサブ単毛部121,122とを備え、結び目環状部117に対して自毛20を巻き付けた後、結び目環状部117を引き絞って結び目を形成することを特徴とする。
【0035】
本実施形態の増毛方法において、本体単毛部とサブ単毛部の本数は2本に限定されず、その他の本数であってもよい。
また、本実施形態の増毛方法において、増毛用毛髪10の構成は、上述した本実施形態の増毛用毛髪10又は増毛用毛髪10aと同様のものとすることができる。
このような本実施形態の増毛方法によれば、頭髪をボリュームアップでき、地肌の透けをカバーしつつ増毛感を向上させることが可能である。
【0036】
図7に示すように、本実施形態の増毛用キットは、上述した本実施形態の増毛用毛髪10又は増毛用毛髪10aが、増毛用毛髪取付台紙30に保持されてなることを特徴とする。
図7の例では、多数の増毛用毛髪10が、接着部31に接着して保持されている様子が示されており、それぞれの増毛用毛髪10を接着部31から取り外して、順次自毛20に固定することが可能となっている。
このような増毛用キットを用いれば、頭髪をボリュームアップでき、地肌の透けをカバーしつつ増毛感を向上させることができると共に、増毛作業を容易に短時間で行うことが可能である。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の増毛用毛髪、増毛方法、及び増毛用キットによれば、頭髪をボリュームアップでき、地肌の透けをカバーしつつ増毛感を向上させることが可能である。
【0038】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。例えば、増毛用毛髪の結び目環状部を構成する毛髪の本数を変更したり、引絞部の結び方を変更したりすることが可能である。また、増毛用キットにおける増毛用毛髪の本数を変更するなど適宜変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、毛髪の増毛において、頭髪をボリュームアップし地肌の透けをカバーしつつ増毛感を向上させる場合などに、好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 増毛用毛髪
11 本体毛髪部
111 曲げ部
112 本体単毛部(本体第一単毛部)
113 本体単毛部(本体第二単毛部)
114 第一環状部
115 第二環状部
116 引絞部
117 結び目環状部
12 サブ毛髪部
121 サブ単毛部(サブ第一単毛部)
122 サブ単毛部(サブ第二単毛部)
123 固定部
20 自毛
30 増毛用毛髪取付台紙
31 接着部
H 頭部
K 結び目
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7