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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099932
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/00 396
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003573
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】神谷 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】辻本 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】玉田 武司
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270KA59
2H270LA80
2H270LC03
2H270LC04
2H270LC05
2H270LC06
2H270LD01
2H270LD08
2H270LD14
2H270MB25
2H270MB27
2H270MB36
2H270MH06
2H270NC02
2H270NC20
2H270NC28
2H270PA14
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
(57)【要約】
【課題】適切な記録媒体を容易に把握できるようにすることで、紙詰まり等のトラブルの発生を抑制可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置により画像が形成された記録媒体の出力情報と、記録媒体関連情報と、を取得する取得部と、取得部により取得した出力情報と、記録媒体関連情報と、に基づき、画像形成装置に用いることを推奨する記録媒体情報、又は前記画像形成装置に用いることを推奨しない記録媒体情報、を判定する判定部と、を有する、情報処理装置。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置により画像が形成された記録媒体の出力情報と、記録媒体関連情報と、を取得する取得部と、
前記取得部により取得した前記出力情報と、前記記録媒体関連情報と、に基づき、前記画像形成装置に用いることを推奨する記録媒体情報、又は前記画像形成装置に用いることを推奨しない記録媒体情報、を判定する判定部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記出力情報は、記録媒体が正常に印刷された否かの情報、又は記録媒体の印刷枚数に関する情報である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記記録媒体関連情報は、記録媒体に関する設定情報、又は記録媒体に関する物性情報である、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記録媒体情報は、記録媒体の銘柄情報又は記録媒体の製造者情報である、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、記録媒体の物性を検知する検知部を有し、
前記判定部は、前記検知部により検知した記録媒体の検出値と、当該記録媒体の出力情報と、に基づき、前記画像形成装置に用いることを推奨する記録媒体情報、又は前記画像形成装置に用いることを推奨しない記録媒体情報、を判定する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記判定部は、記録媒体の物性値と、当該記録媒体情報と、の関係を規定したテーブルを参照して、前記画像形成装置に用いることを推奨する記録媒体情報、又は前記画像形成装置に用いることを推奨しない記録媒体情報、を判定する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報処理装置は、ネットワークを経由して複数の前記画像形成装置と接続されており、
前記取得部は、複数の前記画像形成装置より前記出力情報を取得する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記情報処理装置は、前記取得部により取得した前記出力情報を保存する保存部を有する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記情報処理装置は、前記判定部により判定した結果を前記画像形成装置へ送信する送信部を有する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記情報処理装置は、前記画像形成装置に設置されているか、又は、前記画像形成装置とネットワークを通じて接続されている、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
画像形成装置により画像が形成された記録媒体の出力情報と、記録媒体関連情報と、を取得するステップ(a)と、
前記ステップ(a)において取得した前記出力情報と、前記記録媒体関連情報と、に基づき、前記画像形成装置に用いることを推奨する記録媒体情報、又は前記画像形成装置に用いることを推奨しない記録媒体情報、を判定するステップ(b)と、
をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、給紙用のトレイから用紙を搬送経路に給紙し、用紙を搬送経路で搬送し、搬送中の用紙にトナー像を形成した後、トナー像を用紙に熱定着することで、用紙に画像を形成する。
【0003】
用紙に適切に画像を形成するためには、紙種や用紙サイズ等の用紙の属性に合わせて適切な画像形成条件を選択する必要がある。
【0004】
下記特許文献1には、次の先行技術が開示されている。用紙種類等の用紙属性とこれに対応づけた複数の画像形成パラメータとを記憶し、画像形成に用いる用紙属性を受け付けた場合に、過去の画像形成時のジャム発生や色材の定着などの評価に基づいて定められた各画像形成パラメータに対する推奨度を表示する。当該先行技術によれば、表示された情報に基づいて画像形成パラメータを選択することで、ユーザーが容易に適切な画像形成パラメータを設定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-154268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、市場には膨大な種類の用紙が存在しており、その中には、電子写真方式の画像形成装置により良好な画像形成が困難な粗悪紙が存在する。そのような粗悪紙を用いると、紙詰まり等のトラブルが発生し、ユーザーにとって不利益となる。また、ユーザーにとっては粗悪紙であることは判らず、紙詰まり等のトラブルが頻繁に発生した場合、トラブルの解消方法がわからない可能性がある。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものである。すなわち、適切な記録媒体を容易に把握できるようにすることで、紙詰まり等のトラブルの発生を抑制可能な情報処理装置、および制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0009】
(1)画像形成装置により画像が形成された記録媒体の出力情報と、記録媒体関連情報と、を取得する取得部と、前記取得部により取得した前記出力情報と、前記記録媒体関連情報と、に基づき、前記画像形成装置に用いることを推奨する記録媒体情報、又は前記画像形成装置に用いることを推奨しない記録媒体情報、を判定する判定部と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【0010】
(2)前記出力情報は、記録媒体が正常に印刷された否かの情報、又は記録媒体の印刷枚数に関する情報である、上記(1)に記載の情報処理装置。
【0011】
(3)前記記録媒体関連情報は、記録媒体に関する設定情報、又は記録媒体に関する物性情報である、上記(1)又は(2)に記載の情報処理装置。
【0012】
(4)前記記録媒体情報は、記録媒体の銘柄情報又は記録媒体の製造者情報である、上記(1)又は(2)に記載の情報処理装置。
【0013】
(5)前記画像形成装置は、記録媒体の物性を検知する検知部を有し、前記判定部は、前記検知部により検知した記録媒体の検出値と、当該記録媒体の出力情報と、に基づき、前記画像形成装置に用いることを推奨する記録媒体情報、又は前記画像形成装置に用いることを推奨しない記録媒体情報、を判定する、上記(1)又は(2)に記載の情報処理装置。
【0014】
(6)前記判定部は、記録媒体の物性値と、当該記録媒体情報と、の関係を規定したテーブルを参照して、前記画像形成装置に用いることを推奨する記録媒体情報、又は前記画像形成装置に用いることを推奨しない記録媒体情報、を判定する、上記(1)又は(2)に記載の情報処理装置。
【0015】
(7)前記情報処理装置は、ネットワークを経由して複数の前記画像形成装置と接続されており、前記取得部は、複数の前記画像形成装置より前記出力情報を取得する、上記(1)又は(2)に記載の情報処理装置。
【0016】
(8)前記情報処理装置は、前記取得部により取得した前記出力情報を保存する保存部を有する、上記(1)又は(2)に記載の情報処理装置。
【0017】
(9)前記情報処理装置は、前記判定部により判定した結果を前記画像形成装置へ送信する送信部を有する、上記(1)又は(2)に記載の情報処理装置。
【0018】
(10)前記情報処理装置は、前記画像形成装置に設置されているか、又は、前記画像形成装置とネットワークを通じて接続されている、上記(1)又は(2)に記載の情報処理装置。
【0019】
(11)画像形成装置により画像が形成された記録媒体の出力情報と、記録媒体関連情報と、を取得するステップ(a)と、前記ステップ(a)において取得した前記出力情報と、前記記録媒体関連情報と、に基づき、前記画像形成装置に用いることを推奨する記録媒体情報、又は前記画像形成装置に用いることを推奨しない記録媒体情報、を判定するステップ(b)と、をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【発明の効果】
【0020】
画像形成装置から取得した、画像形成された記録媒体の出力情報と、記録媒体関連情報とに基づき、画像形成装置に用いることを推奨する記録媒体情報、又は前記画像形成装置に用いることを推奨しない記録媒体情報、を判定する。これにより、適切な記録媒体を容易に把握できるようにすることで、紙詰まり等のトラブルの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】情報処理システムの概略構成を示す図である。
図2】画像形成装置の全体構成を示す断面模式図である。
図3】画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】物性検出部の構成を示す模式図である。
図5】サーバーのハードウェア構成を示すブロック図である。
図6】一定期間に蓄積情報DBに蓄積された情報、および当該情報に基づく高通紙信頼性装置順位の算出結果を示す図である。
図7】用紙銘柄基準データを示す図である。
図8】IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の統計処理により算出されたヒストグラムを示す図である。
図9】高通紙信頼性装置に通紙された用紙の物性値との適合率の高い用紙銘柄の判定結果を示す図である。
図10】一定期間に蓄積情報DBに蓄積された情報、および当該情報に基づく低通紙信頼性装置順位の算出結果を示す図である。
図11】IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の統計処理により算出されたヒストグラムを示す図である。
図12】低通紙信頼性装置に通紙された用紙の物性値との適合率の高い用紙銘柄の判定結果を示す図である。
図13】画像形成装置の操作表示部に表示されるトップメニュー画面を示す図である。
図14】画像形成装置の操作表示部において、紙種が選択されたときに表示される、お勧め用紙銘柄情報のポップアップ画面を示す図である。
図15】画像形成装置の操作表示部において、紙種が選択されたときに表示される、お勧めしない用紙銘柄情報のポップアップ画面を示す図である。
図16】情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る、情報処理装置、および制御プログラムについて説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。本実施形態においては、記録媒体には、用紙(薄紙、普通紙、厚紙、再生紙、およびコート紙を含む)、長尺紙、封筒、ハガキ、長尺紙、および各種フィルムが含まれる。以下、説明を簡単にするために、記録媒体が用紙である場合を例に説明する。
【0023】
図1は、画像形成装置10を含む情報処理システム1の概略構成を示す図である。図2は、画像形成装置10の全体構成を示す断面模式図である。図3は、画像形成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0024】
情報処理システム1は、1つ、または複数の画像形成装置10(10-1~10-n)、およびサーバー20によって構成される。また、情報処理システム1は、端末装置30を含んでもよい。画像形成装置10は、例えば、MFP(MultiFunction Peripheral)により構成される。端末装置30は、PC、タブレット端末、スマートフォン等であり、画像形成装置10を維持、管理するサービススタッフ管理会社等のユーザーにより使用される。これらの装置は、ネットワークを介して互いに通信可能に接続される。サーバー20は、例えば、クラウドサーバーにより構成される。サーバー20は、オンプレミスサーバーにより構成されてもよい。
【0025】
サーバー20は、各画像形成装置10から、各画像形成装置10により画像が形成された用紙Sのメディア検出情報を各画像形成装置10から受信することで取得する。サーバー20は、各画像形成装置10から、各画像形成装置10により画像が形成された用紙Sの出力情報(以下、単に「出力情報」と称する)を各画像形成装置10から受信することで取得し得る。サーバー20は、各画像形成装置10から、各画像形成装置10により用紙Sに形成された画像の印刷設定情報を各画像形成装置10から受信することで取得し得る。メディア検出情報および印刷設定情報は記録媒体関連情報を構成する。印刷設定情報は記録媒体に関する設定情報を構成する。メディア検出情報は、記録媒体に関する物性情報(物性値の情報)を構成する。
【0026】
メディア検出情報には、物性検出部17により検出された、用紙Sの物性情報が含まれる。用紙Sの物性情報には、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の少なくともいずれかが含まれ得る。IR透過率は、可視光の波長より長い近赤外線の波長の光(以下、「第1照射光」と称する)の透過率であり得る。B透過率は、可視光に含まれる青色の光(以下、「第2照射光」と称する)の透過率であり得る。G反射率は、可視光に含まれる緑色の光(以下、「第3照射光」と称する)の反射率であり得る。
【0027】
出力情報は、画像形成装置10における用紙Sの出力に関連する情報である。出力情報には、ジャム発生情報、および用紙Sの通紙枚数(印刷枚数)の情報が含まれ得る。ジャム発生情報は、記録媒体が正常に印刷(画像形成)されたか否かの情報を構成する。用紙Sの印刷枚数の情報は、記録媒体の印刷枚数に関する情報を構成する。
【0028】
印刷設定情報は、印刷ジョブに含まれる印刷設定の情報である。印刷設定情報には、例えば、紙種の情報が含まれる。印刷ジョブとは、画像形成装置10に対する印刷命令の総称であり、印刷データおよび印刷設定が含まれる。印刷データとは、印刷の対象である文書のデータであり、印刷データには、例えば、イメージデータ、ベクタデータ、テキストデータといった各種データが含まれ得る。具体的には、印刷データは、PDF(Portable Document Format)データ、PDL(Page Description Language)データ、またはTIFF(Tagged Image File Format)データであり得る。印刷設定とは、用紙Sへの画像形成に関する設定であり、例えば、紙種、ページ数、印刷部数、カラーまたはモノクロの選択、およびページ割付等の各種設定が含まれる。
【0029】
サーバー20は、各画像形成装置10から取得した、メディア検出情報、出力情報、および印刷設定情報を記憶部22(図5参照)の蓄積情報DB(データベース)に蓄積する。サーバー20は、メディア検出情報から用紙銘柄を抽出(特定)するための、後述する用紙銘柄基準データを記憶部22に記憶する。
【0030】
サーバー20は、蓄積情報DBに蓄積された、出力情報とメディア検出情報とに基づいて、画像形成装置10に用いることを推奨する用紙Sの情報、または画像形成装置10に用いることを推奨しない用紙Sの情報を判定し、判定結果を各画像形成装置10へ送信する。
【0031】
画像形成装置10、サーバー20、および端末装置30についてさらに詳細に説明する。
【0032】
(画像形成装置10)
画像形成装置10は、制御部11、記憶部12、操作表示部13、給紙部14、搬送部15、画像形成部16、物性検出部17、および通信部18を備える。制御部11は、物性検出部17とともに検知部を構成する。
【0033】
制御部11は、CPUと、RAM、ROM等のメモリーを有する。CPUは、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を実行する。画像形成装置10の各機能は、それに対応するプログラムをCPUが実行することにより発揮される。制御部11の機能の詳細については後述する。
【0034】
記憶部12は、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや各種データを格納する補助記憶装置である。記憶部12は、例えば、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリー、ROM等により構成される。
【0035】
操作表示部13は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。操作表示部13を介してユーザーは、それぞれの給紙トレイに収納した用紙のサイズ、種類(紙種)等の用紙情報を設定できる。また、ユーザーは、この操作表示部13の操作を通じて、印刷ジョブの実行を指示できる。
【0036】
給紙部14は、1つ、または複数の給紙トレイ141~144を備え、給紙トレイ141等に収納された用紙Sを1枚ずつ給紙して、搬送部15の搬送路に送り出す。
【0037】
搬送部15は、搬送路151~154、および排紙トレイ158、159を含む。また、搬送部15は、さらに、これらの搬送路151~154に配置された用紙検知センサー(用紙有無検知センサー)、複数の搬送ローラー、およびこれらの搬送ローラーを駆動する駆動モータ(いずれ図示せず)を備える。搬送路152上の、画像形成部16の上流側には物性検出部17が配置される。給紙部14または搬送部15の各搬送路151~154では、用紙Sのジャム(搬送不良)を、用紙検知センサーが、所定のタイミングでの用紙Sの有りまたは無しの状態を検知することで検知される。
【0038】
搬送路151~154は、給紙部14から給紙された用紙Sを、画像形成部16を経由して排紙トレイ158または159に導く。両面印刷用の搬送路154は、両面に画像を形成するときに用いられる経路であり、おもて面(第1面)に画像形成された用紙Sを受け入れ、表裏を反転させてからメインの搬送路152上にある画像形成部16に再び導く。画像形成部16は、用紙Sの裏面(第2面)への画像形成を行う。
【0039】
画像形成部16は、例えば電子写真方式により用紙S上にトナー画像を形成する。画像形成部16は、書込部、感光体ドラム、およびトナー、キャリアからなる2成分現像剤を収容する現像部、1次転写部、2次転写部、定着部等を備える(いずれも図示省略)。これらの書込部、感光体ドラム、および現像部は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の基本色のそれぞれに対応し、複数個ある。各色の現像部により、感光体ドラム上に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト上に転写され、これの中間転写ベルト上で重ね合わせされ、2次転写部において搬送路152を搬送された用紙Sに転写される。定着部は、上流側の2次転写部で用紙S上に形成されたトナー画像に対して、加熱、加圧の定着処理を行うことで、これを用紙S上に定着させる。画像形成部16の現像部、転写部への出力電圧設定、感光体ドラムへの帯電極または表面電位設定、および定着部での温度設定等の出力設定である画像形成パラメータ(プロセス条件、または画像形成条件とも称される)は、用紙Sの物性、印刷モード、温湿度条件により適宜、調整され得る。
【0040】
物性検出部17は、制御部11とともにメディア検出情報を検出する。上述したように、メディア検出情報には、用紙の物性情報として、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量が含まれ得る。
【0041】
通信部19は、PC等の外部の装置とネットワーク接続するインターフェースである。
【0042】
制御部11の機能について説明する。以下、説明を簡単にするために、用紙Sは普通紙である場合を例に説明する。
【0043】
制御部11は、物性検出部17による検出値からメディア検出情報を算出する。
【0044】
図4は、物性検出部17の構成を示す模式図である。物性検出部17は、搬送路152を搬送された用紙Sの物性値を検出する透過型、および反射側の光学式センサーであり、発光部と受光部を備え、用紙Sを透過、および反射る光の光量(透過率、反射率)を測定する。制御部11は、物性検出部17では、用紙Sを搬送させながら測定してもよく、検出位置に用紙Sを一時停止させて測定するようにしてもよい。
【0045】
物性検出部17は、複数の発光部71、および単一の受光部72を含む。発光部71は、第1発光部71a、第2発光部71b、および第3発光部71cを含む。第1発光部71a、第2発光部71b、および第3発光部71cからは、それぞれ第1照射光、第2照射光、および第3照射光が照射領域に照射される。搬送路152は、上下ガイド板1521、1522の間に形成される。搬送路152の上ガイド板1521は開口a12が設けられている。また下ガイド板1522にも、開口a12に対向する位置に開口a22が設けられる。開口a12、a22は同じ形状であり、例えば、矩形である。開口a12、a22には、搬送路152を通過する用紙Sからの紙粉等の異物が付着するのを防止するために、PET等で構成された、各照射光の波長が透過する透明のシート74a、74bが取り付けられている。
【0046】
第1発光部71aは第1照射光を照射する。第2発光部71bは第2照射光を照射する。第1発光部71a、および第2発光部71bは、ともに搬送路152に対して、受光部72とは反対側に配置されており、第3発光部71cは、受光部72と同じ側であって、受光部72の近傍に設けられている。第3発光部71cは、照射領域(開口a12)に向けて第3照射光を照射する。
【0047】
第3照射光は、上下ガイド板1521、1522内の搬送路152に向けて照射される。第1発光部71aおよび第2発光部71bの近傍に設けられた下ガイド板1522の内側には、反射部73が設けられている。反射部73は、例えば、第3照射光と同色の緑色で塗装されており、第3照射光を反射する。なお、反射部73は、同色ではない第1照射光(近赤外線)および第2照射光(青色の光)を反射しない。
【0048】
制御部11は、メディア検出情報の検出時には、第1発光部71a、第2発光部71bを制御して、それぞれ、異なるタイミングで、第1照射光と第2照射光とを照射する。受光部72は、第1照射光と第2照射光を受光して、それぞれの照射光の光量を検出し、検出した第1照射光の光量と第2照射光の光量とを制御部11に出力する。また、物性検出部17においては、開口a12の位置まで搬送された用紙Sに対しても同様に、第1照射光と第2照射光とを照射する。受光部72は、第1照射光と第2照射光の透過光(第1透過光、第2透過光)を受光して、それぞれの照射光の光量を検出し、検出した第1透過光の光量と第2透過光の光量とを制御部11に出力する。すなわち、受光部72は、用紙Sがないときの第1照射光、第2照射光、および用紙Sが開口a12にあるときの第1透過光、第2透過光を検出する。制御部11は、用紙Sがないときの第1照射光の光量で用紙Sがあるときの第1透過光の光量を除算することでIR透過率を算出する。制御部11は、用紙Sがないときの第2照射光の光量で用紙Sがあるときの第2透過光の光量を除算することでB透過率を算出する。
【0049】
制御部11は、第3発光部71cに関しても同様に、受光部72は、用紙Sがないときの反射部73で第3照射光が反射した第1反射光、および用紙Sが開口a12にあるときに用紙Sの表面で第3照射光が反射した第2反射光を検出する。制御部11は、第1反射光の光量で第2反射光の光量を除算することでG反射率を算出する。
【0050】
制御部11は、用紙Sを通過し、受光部で受ける光の強度に基づいて、公知の方法により、用紙Sの坪量を検知し得る。
【0051】
なお、物性検出部17は、紙厚検知部、および表面性検知部を備えてもよい。紙厚検知部では、搬送ローラー対で挟み込んで搬送された用紙Sの厚みに応じて、可動する従動ローラーの軸位置が変位する。紙厚検知部では、この変位した軸の高さを測ることにより、用紙Sの厚みを測定する。表面性検知部では、用紙表面に対して斜め(例えば入射角75度)から光を照射し、複数の受光部によりその正反射光と拡散反射光の光量を検出し、各受光部の受ける光の強度の絶対値、および比率により用紙Sの表面性を検知する。用紙Sの厚みおよび表面性は、用紙Sの物性値としてメディア検出情報に含まれ得る。
【0052】
制御部11は、搬送部15の各搬送路151~154に設けられた用紙検知センサーにより、用紙Sのジャムを検出する。制御部11は、定着部より下流側の搬送路152に設けられた用紙検知センサーにより所定のタイミングで用紙Sが無い状態を検知することで用紙Sのジャムを検出し得る。制御部11は、定着部より下流側の搬送路152に設けられた用紙検知センサーにより所定のタイミングで用紙Sが有る状態を検知することで用紙Sが正常に印刷されたことを検出し得る。
【0053】
制御部11は、各画像形成装置10を特定可能なユニークなシリアル番号、メディア検出情報、および出力情報をサーバー20へ送信する。制御部11は、さらに印刷設定情報をサーバー20へ送信してもよい。具体的には、例えば、制御部11は、送信元の画像形成装置10のシリアル番号、IR透過率、B透過率、G反射率、坪量、ジャム発生情報、通紙枚数、および紙種をサーバー20へ送信する。IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量はメディア検出情報に対応する。ジャム発生情報および印刷枚数は出力情報に対応する。紙種は印刷設定情報に対応する。制御部11は、画像形成装置10のシリアル番号、メディア検出情報、出力情報、および印刷設定情報を、所定時間ごと(例えば、1日ごと)にサーバー20へ送信し得る。制御部11は、画像形成装置10のシリアル番号、メディア検出情報、出力情報、および印刷設定情報を、用紙Sに画像形成されるごとにサーバー20へ送信してもよい。
【0054】
(サーバー20)
図5は、サーバー20のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバー20は、制御部21、記憶部22、および通信部23を備える。サーバー20のこれらの構成要素の基本的な構成および機能は、画像形成装置10の対応する構成要素の基本的な構成および機能と同様であるため重複する説明は省略する。制御部21は判定部を構成する。制御部21は、通信部23とともに取得部および送信部を構成する。記憶部22は保存部を構成する。
【0055】
制御部21は、画像形成装置10のシリアル番号、画像形成装置10により画像が形成された用紙Sの出力情報、および、メディア検出情報を、各画像形成装置10から受信することで取得する。制御部21は、当該用紙Sに画像形成される際の印刷設定情報を、さらに各画像形成装置10から受信することで取得してもよい。具体的には、制御部21は、送信元の画像形成装置10のシリアル番号、IR透過率、B透過率、G反射率、坪量、ジャム発生情報、通紙枚数、および紙種をサーバー20から取得し得る。制御部21は、取得した、画像形成装置10のシリアル番号、出力情報、メディア検出情報、および印刷設定情報を、記憶部22の蓄積情報DBに保存することで蓄積する。
【0056】
制御部21は、各画像形成装置10から取得して蓄積情報DBに蓄積した、出力情報と、メディア検出情報とに基づき、画像形成装置10に用いることを推奨する用紙Sの情報、および/または画像形成装置10に用いることを推奨しない用紙Sの情報を判定する。制御部21は、出力情報、メディア検出情報、および印刷設定情報に基づき、画像形成装置10に用いることを推奨する用紙Sの情報、および/または画像形成装置10に用いることを推奨しない用紙Sの情報を判定してもよい。制御部21は、出力情報、および印刷設定情報に基づき、画像形成装置10に用いることを推奨する用紙Sの情報、および/または画像形成装置10に用いることを推奨しない用紙Sの情報を判定してもよい。以下、説明を簡単にするために、制御部21は、IR透過率、B透過率、G反射率、坪量、ジャム発生情報、および通紙枚数に基づいて、画像形成装置10に用いることを推奨する用紙Sの情報、および画像形成装置10に用いることを推奨しない用紙Sの情報を判定する場合を例に説明する。
【0057】
制御部21は、通紙枚数の多い順にシリアル番号により各画像形成装置10を、通紙枚数順位として順位付けする。制御部21は、ジャム発生情報である、ジャムを発生した用紙Sの枚数を通紙枚数で除算することで、シリアル番号ごとにジャム発生率を算出する。
【0058】
制御部21は、ジャム発生率が低い順にシリアル番号により各画像形成装置10を、ジャム低発生率順として順位付けする。制御部21は、通紙枚数が多く、かつジャム発生率が低い装置という観点から、各画像形成装置10をシリアル番号により、高通紙信頼性装置順位として順位付けする。高通紙信頼性装置順位とは、比較的多量の通紙量におけるジャム発生率が低い装置順位を意味する。例えば、制御部21は、通紙枚数順位と、ジャム低発生率順位との和が小さい順に、高通紙信頼性装置順位として順位付けし得る。制御部21は、通紙枚数順位と、ジャム低発生率順位との間で所定の重み付けをした加重和が小さい順に、高通紙信頼性装置順位として順位付けしてもよい。
【0059】
制御部21は、ジャム発生率が高い順にシリアル番号により各画像形成装置10を、ジャム高発生率順として順位付けする。制御部21は、通紙枚数が多く、かつジャム発生率が高い装置という観点から、各画像形成装置10をシリアル番号により、低通紙信頼性装置順位として順位付けする。低通紙信頼性装置順位とは、比較的多量の通紙量におけるジャム発生率が高い装置順位を意味する。例えば、制御部21は、通紙枚数順位と、ジャム高発生率順位との和が小さい順に、低通紙信頼性装置順位として順位付けし得る。制御部21は、通紙枚数順位と、高ジャム発生率順位との間で所定の重み付けをした加重和が小さい順に、低通紙信頼性装置順位として順位付けしてもよい。
【0060】
図6は、一定期間に蓄積情報DBに蓄積された情報、および当該情報に基づく高通紙信頼性装置順位の算出結果を示す図である。
【0061】
図6の例においては、シリアル番号、日付(画像形成装置からのデータの受信日時)、日数(データの蓄積日数)、普通紙通紙枚数(通紙枚数)、およびジャム発生(ジャム発生枚数)が蓄積情報DBに蓄積されている。また、通紙枚数順位、ジャム発生率、ジャム発生率順位、および高通紙信頼性順位の算出結果が示されている。高通紙信頼性順位は、通紙枚数順位と、ジャム発生率順位との和が小さい順の順位として算出されている。
【0062】
制御部21は、高通紙信頼性順位が最も高い画像形成装置10(以下、「高通紙信頼性装置」と称する)をシリアル番号により抽出する。図6の例においては、シリアル番号が「A0421」の画像形成装置10が、高通紙信頼性装置として抽出され得る。
【0063】
制御部21は、抽出した、高通紙信頼性順位が最も高い画像形成装置10から取得したメディア検出情報に基づき、画像形成装置10に用いることを推奨する用紙Sの情報を判定する。具体的には、メディア検出情報に含まれる、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量を、用紙銘柄基準データと比較し、適合率が高い用紙銘柄を、画像形成装置10に用いることを推奨する用紙Sの情報として判定(抽出)する。
【0064】
図7は、用紙銘柄基準データを示す図である。
【0065】
図7の例においては、普通紙の各用紙銘柄の物性値である、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量が用紙銘柄基準データとしてテーブルに登録されている。用紙銘柄基準データは、用紙Sの各物性値の基準値と、用紙銘柄との関係を規定したテーブルであり得る。基準値は、用紙銘柄を特定するための基準となる物性値であり、ユーザーにより決定され得る。基準値は、例えば、標準的な環境において比較的高精度な測定装置により測定された用紙Sの物性値の測定値に基づいて決定される。用紙銘柄は記録媒体情報(記録媒体を他の記録媒体と区別する情報である記録媒体特定情報)を構成する。記録媒体情報には、用紙Sの製造者情報(例えば、製造メーカー名)が含まれ得る。用紙銘柄基準データは、記録媒体の物性値と、記録媒体情報との関係を規定したテーブルを構成する。用紙銘柄基準データは、例えば、端末装置30においてユーザーにより入力され、端末装置30からサーバー20へ送信されて記憶部22に記憶されることで登録され得る。
【0066】
制御部21は、高通紙信頼性装置において通紙されたすべての用紙Sの、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量をそれぞれ統計処理し、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の代表値(例えば、ピーク値)を算出する。
【0067】
図8は、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の統計処理により算出されたヒストグラムを示す図である。
【0068】
図8の例においては、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の各ヒストグラムにおいて一点破線の丸で示すピーク値が、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の代表値(以下、単に「代表値」とも称する)として算出され得る。例えば、坪量については、ピーク値である64gが代表値として算出される。
【0069】
制御部21は、用紙銘柄基準データを参照して、用紙銘柄基準データに規定された、各物性値の基準値と、メディア検出情報に含まれる、用紙Sの各物性値の代表値とを比較することで、用紙Sの各物性値の、用紙銘柄基準データにおける各物性値に対する適合率を算出する。制御部21は、算出した適合率の中で適合率が高い、1つ以上の用紙銘柄を判定する。適合率は、例えば、基準値と代表値とのユークリッド距離を各用紙銘柄について算出し、正規化した値である。正規化は、例えば、適合率が0%~100%の範囲となるようになされる。この場合、代表値とのユークリッド距離が0となる物性値の用紙銘柄の適合率は100%であり、代表値とのユークリッド距離が最大となる物性値の用紙銘柄の適合率は0%となるように正規化され得る。なお、適合率は、上記以外の公知の方法により算出されてもよい。
【0070】
図9は、高通紙信頼性装置に通紙された用紙Sの物性値との適合率の高い用紙銘柄の判定結果を示す図である。
【0071】
図9の例においては、「AAA」という用紙銘柄が最も適合率が高く、画像形成装置10に用いることを推奨する用紙銘柄として判定されている。また、適合率が2番目および3番目に高い、「Y321」および「N231」という用紙銘柄も、画像形成装置10に用いることを推奨する用紙銘柄として判定されている。判定された用紙銘柄は、高通紙信頼性装置により比較的大量に通紙された用紙Sの物性値と比較的近い物性値をもつため、用紙起因でジャムを発生させる可能性が低い用紙銘柄であると考えられる。
【0072】
図10は、一定期間に蓄積情報DBに蓄積された情報、および当該情報に基づく低通紙信頼性装置順位の算出結果を示す図である。
【0073】
図10の例においては、シリアル番号、日付(画像形成装置からのデータの受信日時)、日数(データの蓄積日数)、普通紙通紙枚数(通紙枚数)、およびジャム発生(ジャム発生枚数)が蓄積情報DBに蓄積されている。また、通紙枚数順位、ジャム発生率、ジャム高発生率順位、および低通紙信頼性順位の算出結果が示されている。低通紙信頼性順位は、通紙枚数順位と、ジャム高発生率順位との和が小さい順の順位として算出されている。
【0074】
制御部21は、低通紙信頼性順位が最も高い画像形成装置10(以下、「低通紙信頼性装置」と称する)をシリアル番号により抽出する。図10の例においては、シリアル番号が「A5250」の画像形成装置10が、低通紙信頼性装置として抽出され得る。
【0075】
制御部21は、抽出した、低通紙信頼性装置から取得したメディア検出情報に基づき、画像形成装置10に用いることを推奨しない用紙Sの情報を判定する。具体的には、メディア検出情報に含まれる、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量を、用紙銘柄基準データと比較し、適合率が高い用紙銘柄を、画像形成装置10に用いることを推奨しない用紙Sの情報として判定(抽出)する。
【0076】
制御部21は、低通紙信頼性装置において通紙されたすべての用紙Sの、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量をそれぞれ統計処理し、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の代表値(例えば、ピーク値)を算出する。
【0077】
図11は、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の統計処理により算出されたヒストグラムを示す図である。
【0078】
図11の例においては、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の各ヒストグラムにおいて一点破線の丸で示すピーク値が、IR透過率、B透過率、G反射率、および坪量の代表値として算出され得る。
【0079】
制御部21は、用紙銘柄基準データを参照して、用紙銘柄基準データに規定された、各物性値の基準値と、メディア検出情報に含まれる、用紙Sの各物性値の代表値とを比較することで、用紙Sの各物性値の、用紙銘柄基準データにおける各物性値に対する適合率を算出する。制御部21は、算出した適合率の中で適合率が高い、1つ以上の用紙銘柄を判定する。適合率は、例えば、基準値と代表値とのユークリッド距離を各用紙銘柄について算出し、正規化した値である。正規化は、例えば、適合率が0%~100%の範囲となるようになされる。この場合、代表値とのユークリッド距離が0となる物性値の用紙銘柄の適合率は100%であり、代表値とのユークリッド距離が最大となる物性値の用紙銘柄の適合率は0%となるように正規化され得る。なお、適合率は、上記以外の公知の方法により算出されてもよい。
【0080】
図12は、低通紙信頼性装置に通紙された用紙Sの物性値との適合率の高い用紙銘柄の判定結果を示す図である。
【0081】
図12の例においては、「1aba」という用紙銘柄が最も適合率が高く、画像形成装置10に用いることを推奨しない用紙銘柄として判定されている。また、適合率が2番目および3番目に高い、「pgood」および「xtrag」という用紙銘柄も、画像形成装置10に用いることを推奨しない用紙銘柄として判定されている。判定された用紙銘柄は、低通紙信頼性装置により比較的大量に通紙された用紙Sの物性値と比較的近い物性値をもつため、用紙起因でジャムを発生させる可能性が高い用紙銘柄であると考えられる。
【0082】
制御部21は、画像形成装置10に用いることを推奨する用紙銘柄および/または画像形成装置10に用いることを推奨しない用紙銘柄の判定結果を、通信部23により各画像形成装置10へ送信する。
【0083】
図13は、画像形成装置10の操作表示部13に表示されるトップメニュー画面を示す図である。図14は、画像形成装置10の操作表示部13において、紙種が選択されたときに表示される、お勧め用紙銘柄情報のポップアップ画面を示す図である。
【0084】
図13に示すトップメニュー画面において、ユーザーにより「コピー」ボタンが選択されることで、選択画面に遷移し、選択画面において「用紙種類」ボタンが選択され、いずれかの紙種が選択されることにより、図14に示す、選択された紙種に関するお勧め用紙銘柄情報のポップアップ画面が表示される。図14においては、普通紙という紙種が選択されることで、選択された紙種である普通紙に関するお勧め用紙銘柄情報のポップアップ画面が表示されている。
【0085】
図14においては、お勧め用紙銘柄情報として、画像形成装置10に用いることを推奨する用紙銘柄と、当該用紙銘柄の製造者情報とが表示されている。具体的には、画像形成装置10に用いることを推奨する用紙銘柄として、「AAA」、「Y321」」、および「N231」が表示されている。画像形成装置10に用いることを推奨する、用紙Sの製造者情報として、「AAA」および「Y321」の製造者である「A社」と、「N231」の製造者である「B社」が表示されている。
【0086】
画像形成装置10の操作表示部13において、紙種が選択されたときに、お勧め用紙銘柄情報のポップアップ画面に代えて、または、お勧め用紙銘柄情報のポップアップ画面とともに、お勧めしない用紙銘柄情報のポップアップ画面が表示されてもよい。
【0087】
図15は、画像形成装置10の操作表示部13において、紙種が選択されたときに表示される、お勧めしない用紙銘柄情報のポップアップ画面を示す図である。
【0088】
図15においては、普通紙という紙種が選択されることで、選択された紙種である普通紙に関するお勧めしない用紙銘柄情報のポップアップ画面が表示されている。
【0089】
図15においては、お勧めしない用紙銘柄情報として、画像形成装置10に用いることを推奨しない用紙銘柄と、当該用紙銘柄の製造者情報とが表示されている。具体的には、画像形成装置10に用いることを推奨しない用紙銘柄として、「1aba」、「pgood」」および「xtrag」が表示されている。画像形成装置10に用いることを推奨しない、用紙Sの製造者情報として、「1aba」の製造者である「Z社」と、「pgood」および「xtrag」の製造者である「Y社」が表示されている。
【0090】
(端末装置30)
端末装置30は、ユーザーによる用紙銘柄基準データの入力または更新を受け付け、入力または更新された用紙銘柄基準データをサーバー20へ送信することで用紙銘柄基準データを登録または更新する。
【0091】
情報処理システム1の動作について説明する。
【0092】
図16は、情報処理システム1の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、プログラムにしたがい、サーバー20の制御部21により実行され得る。
【0093】
制御部21は、各画像形成装置10から出力情報およびメディア検知情報を取得する(S101)。
【0094】
制御部21は、取得した出力情報およびメディア検出情報を蓄積情報DBに蓄積する(S102)。
【0095】
制御部21は、蓄積情報DBに蓄積された、各画像形成装置10の出力情報に含まれる、ジャム発生情報および通紙枚数に基づいて、高通紙信頼性装置および低通紙信頼性装置を抽出する(S103)。
【0096】
制御部21は、高通紙信頼性装置および低通紙信頼性装置によってそれぞれ検出されたメディア検出情報を蓄積情報DBから抽出する(S104)。
【0097】
制御部21は、抽出したメディア検出情報と、用紙銘柄基準データとを比較することで、メディア検出情報と、用紙銘柄基準データの各用紙銘柄の物性値との適合率を算出する(S105)。
【0098】
制御部21は、用紙銘柄基準データに含まれる全用紙銘柄に関する適合率の算出が完了したかどうか判断する(S106)。
【0099】
制御部21は、全用紙銘柄に関する適合率の算出が完了していないと判断したときは(S106:NO)、全用紙銘柄に関する適合率の算出が完了するまで、ステップS105およぶステップS106を繰り返し実行する。
【0100】
制御部21は、全用紙銘柄に関する適合率の算出が完了したと判断したときは(S106:YES)、高通紙信頼性装置により検出されたメディア検出情報との適合率が高い物性値の用紙銘柄を、画像形成装置10に用いることを推奨する用紙情報として抽出する。制御部21は、低通紙信頼性装置により検出されたメディア検出情報との適合率が高い物性値の用紙銘柄を、画像形成装置10に用いることを推奨しない用紙情報として抽出する。
【0101】
制御部は、抽出した、画像形成装置10に用いることを推奨する用紙情報である用紙銘柄と、画像形成装置10に用いることを推奨しない用紙情報である用紙銘柄とを各画像形成装置10へ送信する(S108)。
【0102】
(変形例1)
サーバー20がもつ機能を、画像形成装置10がもつようにしてもよい。すなわち、サーバー20は、画像形成装置10に設置されてもよい。この場合、各画像形成装置10がサーバー20のもつ機能をもつようにしてもよく、相互に通信可能に接続された複数の画像形成装置10のうちのいずれか1つのみがサーバー20がもつ機能をもつようにしてもよい。また、サーバー20がもつ機能の一部のみを、画像形成装置10がもつようにしてもよい。
【0103】
(変形例2)
高通紙信頼性装置として、高通紙信頼性装置順位が高い複数(例えば、2~3台)の画像形成装置が抽出されてもよい。この場合、抽出された複数の高通紙信頼性装置に通紙された用紙Sの物性値との適合率が最も高い用紙銘柄のみを、画像形成装置10に用いることを推奨する用紙銘柄としてそれぞれ判定してもよい。同様に、低通紙信頼性装置として、低通紙信頼性装置順位が高い複数(例えば、2~3台)の画像形成装置が抽出されてもよい。この場合、抽出された複数の低通紙信頼性装置に通紙された用紙Sの物性値との適合率が最も高い用紙銘柄のみを、画像形成装置10に用いることを推奨しない用紙銘柄としてそれぞれ判定してもよい。
【0104】
(変形例3)
上述した実施形態においては、用紙Sが普通紙であるものとして説明した。しかし、画像形成装置10に通紙される用紙Sは、普通紙以外の紙種である、例えば、薄紙、厚紙、再生紙、およびコート紙であってもよい。また、画像形成装置10からサーバー20へ送信される、メディア検出情報、印刷設定情報、および出力情報には、互いに異なる複数の紙種の情報が混在してもよい。この場合、制御部21は、印刷設定情報に含まれる紙種に基づいて、メディア検出情報、印刷設定情報、および出力情報を紙種ごとに区分けすることで、紙種ごとに高通紙信頼性装置と低通紙信頼性装置とを抽出し得る。そして、紙種ごとに、画像形成装置10に用いることを推奨する用紙銘柄と、画像形成装置10に用いることを推奨する用紙銘柄とを判定し得る。
【0105】
本実施形態は以下の効果を奏する。
【0106】
画像形成装置から取得した、画像形成された記録媒体の出力情報と、記録媒体関連情報とに基づき、画像形成装置に用いることを推奨する記録媒体情報、又は前記画像形成装置に用いることを推奨しない記録媒体情報、を判定する。これにより、適切な記録媒体を容易に把握できるようにすることで、紙詰まり等のトラブルの発生を抑制できる。
【0107】
さらに、出力情報を、記録媒体が正常に印刷された否かの情報、又は記録媒体の印刷枚数に関する情報とする。これにより、演算負荷の増大を抑制しつつ、効果的に、適切な記録媒体を容易に把握できる。
【0108】
さらに、記録媒体関連情報を、記録媒体に関する設定情報、又は記録媒体に関する物性情報とする。これにより、演算負荷の増大を抑制しつつ、効果的に、適切な記録媒体を容易に把握できる。
【0109】
さらに、記録媒体情報を、記録媒体の銘柄情報又は記録媒体の製造者情報とする。これにより、適切な記録媒体をより簡単に把握できる。
【0110】
さらに、画像形成装置に、記録媒体の物性を検知する検知部を含め、検知部により検知した記録媒体の検出値と、当該記録媒体の出力情報と、基づき、画像形成装置に用いることを推奨する記録媒体情報、又は画像形成装置に用いることを推奨しない記録媒体情報を判定する。これにより、装置規模やコストの増大を抑止しつつ、適切な記録媒体を容易に把握できる。
【0111】
さらに、記録媒体の物性値と、当該記録媒体情報と、の関係を規定したテーブルを参照して、画像形成装置に用いることを推奨する記録媒体情報、又は前記画像形成装置に用いることを推奨しない記録媒体情報を判定する。これにより、適切な記録媒体を柔軟かつ適切に把握できる。
【0112】
さらに、情報処理装置が、ネットワークを経由して複数の画像形成装置と接続されるようにして、複数の画像形成装置より出力情報を取得する。これにより、複数の画像形成装置により情報処理装置を共用でき、既存の画像形成装置の仕様変更等を抑制できる。
【0113】
さらに、情報処理装置に、取得された出力情報を保存する保存部を含める。これにより、出力情報を蓄積することで、適切な記録媒体の判定精度を向上できる。
【0114】
さらに、情報処理装置に、判定した結果を画像形成装置へ送信する送信部を含める。これにより、各画像形成装置において、画像形成を実行する際に、容易に適切な記録媒体を判断できる。
【0115】
また、情報処理装置を、画像形成装置に設置されるようにし、又は、画像形成装置とネットワークを通じて接続されるようにする。これにより、装置規模を減縮できる。または、既存の画像形成装置の仕様変更等を抑制できる。
【0116】
以上に説明した情報処理システム1の構成は、上述の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上述の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。また、一般的な情報処理システムが備える構成を排除するものではない。
【0117】
例えば、上述したフローチャートは、一部のステップを省略してもよく、他のステップが追加されてもよい。また各ステップの一部は同時に実行されてもよく、一つのステップが複数のステップに分割されて実行されてもよい。
【0118】
また、上述したシステムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、一機能としてその検出部等の装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1 情報管理システム、
10 画像形成装置、
11 制御部、
12 記憶部、
13 操作表示部、
14 給紙部、
15 搬送部、
16 画像形成部、
17 物性検出部、
18 通信部、
20 サーバー、
21 制御部、
22 記憶部、
23 通信部、
30 端末装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16