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  • 特開-防音シート及び防音シートの取付方法 図1
  • 特開-防音シート及び防音シートの取付方法 図2
  • 特開-防音シート及び防音シートの取付方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099953
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】防音シート及び防音シートの取付方法
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/16 20060101AFI20240719BHJP
   G10K 11/168 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G10K11/16 120
G10K11/16 100
G10K11/16 150
G10K11/168
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003605
(22)【出願日】2023-01-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】391013106
【氏名又は名称】株式会社パーカーコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100165685
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 信治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 太一郎
(72)【発明者】
【氏名】柳 遼平
【テーマコード(参考)】
5D061
【Fターム(参考)】
5D061AA04
5D061AA07
5D061AA22
5D061BB21
5D061BB37
5D061CC15
5D061EE18
(57)【要約】
【課題】冷媒管からの騒音を低減できると共に、小型の空気調和機内に配される冷媒管に簡単に取り付けることができる防音シート及び防音シートの取付方法を提供することを目的とする。
【解決手段】空気調和機の冷媒管を被覆する防音シートであって、防音シートは、冷媒管の外周面に積層される吸音シートと、該吸音シートの外周面に積層される遮音シートとを備えて、シート形状に形成されており、遮音シートの周縁部分には吸音シートが積層されず、周縁部分同士で接合する接合部を備えていることを特徴とする防音シート。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機の冷媒管を被覆する防音シートであって、
前記防音シートは、前記冷媒管の外周面に積層される吸音シートと、該吸音シートの外周面に積層される遮音シートとを備えて、シート形状に形成されており、
前記遮音シートの周縁部分には前記吸音シートが積層されず、前記周縁部分同士で接合するための接合部を備えていることを特徴とする防音シート。
【請求項2】
前記吸音シートがフェルトであることを特徴とする請求項1に記載の防音シート。
【請求項3】
前記遮音シートがゴム又は熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の防音シート。
【請求項4】
前記接合部の幅が5~15mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の防音シート。
【請求項5】
前記接合部の幅が5~15mmであることを特徴とする請求項3に記載の防音シート。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の前記防音シートの前記冷媒管への取付方法であって、
前記防音シートの前記吸音シート側を前記冷媒管の外周面に巻き付け、
前記遮音シートの前記接合部同士を接合することにより前記冷媒管を被覆することを特徴とする防音シートの取付方法。
【請求項7】
請求項3に記載の前記防音シートの前記冷媒管への取付方法であって、
前記防音シートの前記吸音シート側を前記冷媒管の外周面に巻き付け、
前記遮音シートの前記接合部同士を接合することにより前記冷媒管を被覆することを特徴とする防音シートの取付方法。
【請求項8】
請求項4に記載の前記防音シートの前記冷媒管への取付方法であって、
前記防音シートの前記吸音シート側を前記冷媒管の外周面に巻き付け、
前記遮音シートの前記接合部同士を接合することにより前記冷媒管を被覆することを特徴とする防音シートの取付方法。
【請求項9】
請求項5に記載の前記防音シートの前記冷媒管への取付方法であって、
前記防音シートの前記吸音シート側を前記冷媒管の外周面に巻き付け、
前記遮音シートの前記接合部同士を接合することにより前記冷媒管を被覆することを特徴とする防音シートの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に配される冷媒管を流れる冷媒の流水音を低減するための防音シート及び該防音シートの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機の室外機内部に収容されている圧縮機などに種々の遮音手段が設けられてきた。例えば、特許文献1には、シート状のフェルト層とゴム層とを積層してタグピンを用いて各層を一体的に接合した防音材が開示されている。
【0003】
特許文献2には、高圧冷媒管、低圧冷媒管及びキャピーラリチューブを防音材である板状弾性体に埋設して防音壁とした空気調和機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-225189号公報
【特許文献2】実公昭58-98571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2の発明では、大型の空気調和機には適応しやすいが、小型の空気調和機や室内機側の冷媒管への適用には不向きであった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、非常に簡単な構造で、小型の空気調和機や室内機側の冷媒管の騒音を低減できる防音シート及び防音シートの取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は以下の発明を含む。
[発明1]
空気調和機の冷媒管を被覆する防音シートであって、
前記防音シートは、前記冷媒管の外周面に積層される吸音シートと、該吸音シートの外周面に積層される遮音シートとを備えて、シート形状に形成されており、
前記遮音シートの周縁部分には前記吸音シートが積層されず、前記周縁部分同士で接合するための接合部を備えていることを特徴とする防音シート。
[発明2]
前記吸音シートがフェルトであることを特徴とする発明1に記載の防音シート。
[発明3]
前記遮音シートがゴム又は熱可塑性エラストマーであることを特徴とする発明1又は2に記載の防音シート。
[発明4]
前記接合部の幅が5~15mmであることを特徴とする発明1~3のいずれか1発明に記載の防音シート。
[発明5]
発明1~4のいずれか1発明に記載の前記防音シートの前記冷媒管への取付方法であって、
前記防音シートの前記吸音シート側を前記冷媒管の外周面に巻き付け、
前記遮音シートの前記接合部同士を接合することにより前記冷媒管を被覆することを特徴とする防音シートの取付方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の防音シートは、冷媒管から発生する騒音を効果的に低減することができると共に、非常に簡単な構造で構成されていることから小型の空気調和機内に配される冷媒管であっても簡単に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は本発明に係る防音シートの斜視図である。
図2図2は本発明に係る防音シートを図1のAで切断した場合の部分断面図である。
図3図3は本発明に係る防音シートを冷媒管に取り付けた図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、防音シートが冷媒管の外周面に積層される吸音シートと、該吸音シートの外周面に積層される遮音シートとを備え、遮音シートの周縁部分には吸音シートが積層されず、遮音シートの周縁部分に周縁部分同士を接合するための接合部が形成されていることで、防音シートを冷媒管に容易に被覆することができると共に、冷媒管から発する騒音を低減できることを見出し、本発明を完成させた。本発明の防音シートの取付方法は冷媒管に取付ける際に防音シートの吸音シート側を冷媒管の外周面に巻き付け、遮音シートの接合部同士を接合することにより、冷媒管を防音シートで容易に取り付けることができる。以下、本発明に係る防音シート及び防音シートの取付方法に関する実施形態を図1図3に基づいて説明する。ただし、本発明は、以下に記載される構成に限定されることを意図しない。
【0011】
防音シート
図1は本発明に係る防音シート100の斜視図である。図2は本発明に係る防音シート100を図1のAで切断した場合の部分断面図である。図3は本発明に係る防音シート100を冷媒管200に取り付けた図である。
【0012】
本発明の防音シート100は、図1及び図2に示されるように遮音シート1上に吸音シート2が積層され、遮音シート1の周縁部分には吸音シート2が積層されておらず、遮音シート1の周縁部分同士で接合するための接合部3が形成されている。防音シート100は、図3に示されるように冷媒管200の外周面に吸音シート2が積層されている面を巻き付け、該吸音シート2の外周面を遮音シート1で覆うように形成されている。さらに、遮音シート1の周辺部分には吸音シート2が積層されておらず、周縁部分に設けられた接合部3同士で接合することにより、冷媒管200を完全に被覆して、冷媒管から発生する騒音を低減することが出来る。
【0013】
図1では、長方形の防音シート100を図示しているが、冷媒管200の屈曲部などを容易に被覆することが出来るように、切れ込みを入れた防音シート100に形成しても良い。切れ込みがある防音シート100の場合には、切れ込み部分の周縁部分に接合部3が形成されていてもされていなくても良いが、冷媒管からの騒音低減の観点から接合部3が形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明の遮音シート1は、吸音シート2から漏れ出る冷媒管200からの騒音を低減すると共に、遮音シート1の接合部3で接合できる素材であればいずれの素材を用いても良いが、接合のし易さの観点からゴム又は熱可塑性エストラマーであることが好ましい。ゴム又は熱可塑性エストラマーであれば、接合部3を熱溶融などさせることにより接合部3同士が溶着して冷媒管200を容易に被覆することが出来る。
【0015】
本発明の遮音シート1に用いられるゴムの具体的な種類としては、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロブレンゴム、アクリロニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどを挙げることが出来るが、遮音性及び接着性の観点からブチルゴムが好ましく、この中から2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0016】
本発明の遮音シート1に用いられるブチルゴムの比重は、適宜設定され得るが、冷媒管200から発生する騒音の遮音性の観点から、好ましくは1.5~3.0である。
【0017】
本発明の遮音シート1に用いられる熱可塑性エストラマーの具体的な素材としては、スチレン系、ポリエステル系、オレフィン系、ポリアミド系、ウレタン系などを挙げることが出来るが、遮音性及び冷媒管への被覆のし易さの観点からスチレン系及びウレタン系が好ましく、この中から2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0018】
本発明の遮音シート1の接合部3の幅Bは、接合部3同士が接着できる幅Bであればいずれの幅に設定しても良いが、接合部3同士の接着の観点及び吸音シート2の冷媒管200の外周面への被覆のし易さの観点から、好ましくは5~15mmであり、さらに好ましくは7~12mmである。
【0019】
本発明の吸音シート2は、冷媒管200からの騒音を低減する素材であればいずれの素材を用いても良いが、扱いやすさ及び吸音性能の観点からウレタン、グラスウール、フェルトが好ましく、さらに好ましくはフェルトである。フェルトであれば、冷媒管200から発する騒音を効果的に低減させることが出来る。
【0020】
本発明の吸音シート2に用いられるフェルトの具体的な種類としては、アクリル繊維、ポリエステル繊維(PET繊維、PBT繊維、PTT繊維、PEN繊維)、ナイロン繊維、レーヨン繊維、コットン繊維などを挙げることが出来るが、扱いやすさの観点からアクリル繊維、PET繊維、コットン繊維が好ましく、この中から2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0021】
防音シートの取付方法
本発明の防音シート100の取付方法は、防音シート100の吸音シート2が積層されている面を冷媒管200の外周面に巻き付け、遮音シート1の接合部3同士を接合することにより冷媒管200を防音シート100で容易に被覆することが出来る。また、非常に簡単な構造であるため、小型の空気調和機の冷媒管であっても容易に取り付けることが可能である。
【0022】
本発明に用いる接合部3の接合方法としては、接着剤による接合、両面テープによる接合、溶着による接合などを挙げることが出来るが、好ましくは溶着による接合である。
【0023】
本発明に用いる溶着による接合方法としては、溶剤で接合部3を溶かして一体化する方法や、溶剤を用いず、熱、振動、又は高周波を用いることで接合部3を溶かして接合部3同士を一体化する方法を挙げることが出来るが、環境に優しいという観点から、溶剤を用いず、熱、振動、又は高周波を用いて接合部3を溶かして接合部3同士を一体化する方法が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の防音シート100は、空気調和機内の冷媒管からの騒音を低減させるシートとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 遮音シート
2 吸音シート
3 接合部
100 防音シート
200 冷媒管
図1
図2
図3