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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099956
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】椅子式マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20240719BHJP
   A61H 15/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61H7/00 323H
A61H7/00 322D
A61H15/00 350C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003608
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000136491
【氏名又は名称】株式会社フジ医療器
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 毅
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD02
4C100BA01
4C100BB03
4C100BB05
4C100CA06
4C100CA07
4C100DA05
(57)【要約】
【課題】新たな体感の施療を提供する。
【解決手段】椅子式マッサージ機の左右一対の上体支持部はそれぞれ、座部に着座する被施療者の左右方向の外方側において、座部の左右方向両側に立設される立設部の後部から上方に延びる。各々の上体支持部は、その内側面に配置される施療部を有し、施療部を介して被施療者の肩部及び上腕部の少なくとも一方を支持可能である。被施療者の胴部を支持する背凭れ部は、座部の後端部と接続される。また、背凭れ部は、座部に対し、左右方向と平行な軸を中心として上体支持部とは独立して回動可能である。或いは、上体支持部は、前後方向に移動可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者が着座する座部と、
被施療者の胴部を支持し、左右方向と平行な軸を中心として回動可能に前記座部の後端部と接続される背凭れ部と、
前記座部の左右方向両側に立設される左右一対の立設部と、
被施療者の左右方向の外方側において前記立設部の後部から上方に延びる左右一対の上体支持部と、
を備え、
前記背凭れ部は、前記上体支持部とは独立して回動可能であり、
各々の前記上体支持部は、前記上体支持部の内側面に配置される施療部を有し、前記施療部を介して被施療者の肩部及び上腕部の少なくとも一方を支持可能である、椅子式マッサージ機。
【請求項2】
前記施療部の施療部位は、前記背凭れ部が後方に傾倒した場合と、前記背凭れ部が前方に起立した場合とで異なる、請求項1に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項3】
前記上体支持部は、前後方向に移動可能である、請求項1に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項4】
被施療者が着座する座部と、
被施療者の胴部を支持し、前記座部の後端部と接続される背凭れ部と、
前記座部の左右方向両側に立設される左右一対の立設部と、
被施療者よりも左右方向の外方側において前記立設部から少なくとも上方に延びる左右一対の上体支持部と、
を備え、
各々の前記上体支持部は、前記上体支持部の内側面に配置される施療部を有し、前記施療部を介して被施療者の肩部及び上腕部の少なくとも一方を支持可能であるとともに、前後方向に移動可能である、椅子式マッサージ機。
【請求項5】
前記上体支持部が前後方向に移動する際、前記施療部による被施療者の施療部位の上下方向の位置が変化する、請求項4に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項6】
前記上体支持部が被施療者の肩部及び上腕部の少なくとも一方を支持した状態で、左右一対の前記上体支持部の一方は、他方とは前後方向において逆方向に移動可能である、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項7】
前記上体支持部が被施療者の肩部及び上腕部の少なくとも一方を支持した状態で、各々の前記上体支持部は、前後方向において同じ方向に移動可能である、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項8】
前記上体支持部は、上方に向かうほど前方に曲がるように形成される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項9】
前記背凭れ部は、
左右方向と平行な軸を中心として前記上体支持部とは独立して回動可能に前記座部の後端部と接続され、
前記施療部が施療部位を押圧した状態で後方に傾倒可能である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の椅子式マッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子式マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、被施療者の両肩の外側にエアバッグが配置された椅子式マッサージ機が知られている。左右一対のエアバッグは、その膨縮により肩部を押圧施療し、或いは、押圧により被施療者の両肩を固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国実用新案登録第205163549号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来椅子式マッサージ機では、両肩外側のエアバッグを用いた施療は、左右からの押圧による肩部の施療及び固定以外には知られていない。
【0005】
本発明は、上記の状況を鑑みて、新たな体感の施療を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の一の態様による椅子式マッサージ機は、座部と、背凭れ部と、左右一対の立設部と、左右一対の上体支持部と、を備える。前記座部には、被施療者が着座する。前記背凭れ部は、被施療者の胴部を支持し、左右方向と平行な軸を中心として回動可能に前記座部の後端部と接続される。左右一対の前記立設部は、前記座部の左右方向両側に立設される。左右一対の前記上体支持部は、被施療者の左右方向の外方側において前記立設部の後部から上方に延びる。前記背凭れ部は、前記上体支持部とは独立して回動可能である。各々の前記上体支持部は、前記上体支持部の内側面に配置される施療部を有し、前記施療部を介して被施療者の肩部及び上腕部の少なくとも一方を支持可能である。
【0007】
また、上記目的を達成するために本発明の一の態様による椅子式マッサージ機は、座部と、背凭れ部と、左右一対の立設部と、左右一対の上体支持部と、を備える。前記座部には、被施療者が着座する。前記背凭れ部は、被施療者の胴部を支持し、前記座部の後端部と接続される。左右一対の前記立設部は、前記座部の左右方向両側に立設される。左右一対の前記上体支持部は、被施療者の左右方向の外方側において前記立設部の後部から上方に延びる。各々の前記上体支持部は、施療部を有する。前記施療部は、前記上体支持部の内側面に配置される。各々の前記上体支持部は、前記施療部を介して被施療者の肩部及び上腕部の少なくとも一方を支持可能であるとともに、前後方向に移動可能である。
【0008】
本発明の更なる特徴や利点は、以下に示す実施形態によって一層明らかにされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の椅子式マッサージ機によると、新たな体感の施療を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】椅子式マッサージ機の構成例を示す概略的な斜視図
図2】背凭れ部を傾倒させた椅子式マッサージ機の斜視図
図3A】背凭れ部を後方に傾倒させた状態を示す側面図
図3B】背凭れ部を前方に起立させた状態を示す側面図
図4A】左右一対の上体支持部を前方に移動させた状態を示す側面図
図4B】左右一対の上体支持部を後方に移動させた状態を示す側面図
図5】左右一対の上体支持部を互いに逆方向に移動させた状態を示す斜視図
図6】椅子式マッサージ機の動作を制御する制御系を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下では、椅子式マッサージ機100を「マッサージ機100」と称することがある。
【0012】
以下の説明において、後述する背凭れ部102が起立した状態のマッサージ機100に着座した被施療者Uから見て前側(正面側)を「前方」といい、後側(背面側)を「後方」という。なお、背凭れ部102、及び、背凭れ部102に凭れる被施療者Uに関して、背凭れ部102が傾倒した状態においても、背凭れ部102の被施療者U側、及び、被施療者Uの正面側を「前方」ということがある。また、背凭れ部102の被施療者Uとは反対側、及び、被施療者Uの背面側を「後方」ということがある。また、背凭れ部102が起立した状態のマッサージ機100に着座した被施療者Uから見て上側(頭側)を「上方」といい、下側(脚側)を「下方」という。また、背凭れ部102が起立した状態のマッサージ機100に着座した被施療者Uから見て右側を「右方」といい、左側を「左方」という。
【0013】
<1.第1実施形態>
以下に、図1及び図2を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。図1は、椅子式マッサージ機100の構成例を示す概略的な斜視図である。図2は、背凭れ部102を傾倒させた椅子式マッサージ機100の斜視図である。なお、図1は、背凭れ部102を起立させている。図3Aは、背凭れ部102を後方に傾倒させた状態を示す側面図である。図3Bは、背凭れ部102を前方に起立させた状態を示す側面図である。また、図1図3Bは、椅子式マッサージ機100の要部を図示しており、たとえば表面に配置される布製又は革製のカバー、緩衝材などの外装を省略している。
【0014】
<1-1.マッサージ機100>
マッサージ機100は、座部101と、背凭れ部102と、施療ユニット103と、基台部104と、左右一対の立設部105と、左右一対の上体支持部1と、を備える。
【0015】
座部101には、被施療者Uが着座する。座部101は、被施療者Uの臀部及び太腿部を支持する。
【0016】
背凭れ部102は、被施療者Uの頭、胴部(たとえば肩部、腰部、及び背中)などを支持する。背凭れ部102は、左右方向と平行な回動軸Jを中心として回動可能に座部101の後端部と接続され。特に、背凭れ部102は、上体支持部1とは独立して回動可能である。背凭れ部102は、回動軸Jを中心とする回動により、起立状態から後方に回動して傾倒したり、後傾状態から前方に回動して起立したりすることが可能である。
【0017】
施療ユニット103は、被施療者Uの胴部及び首部などを施療可能である。施療ユニット103は、背凭れ部102に内蔵される。施療ユニット103は、背凭れ部102に沿って左右方向と垂直な方向に移動可能である。たとえば、施療ユニット103は、背凭れ部102に設けられる左右一対のガイドレール1031によって案内される。施療ユニット103は、背凭れ部102の長手方向に昇降可能である。長手方向は、たとえば背凭れ部102に凭れ掛かる被施療者Uの臀部(又は腰部)から頭部に向かう方向である。
【0018】
基台部104は、座部101の下方に配置される。基台部104は、支柱部1041と、左右一対の脚部1042と、を有する。支柱部1041は、上下方向に延びて配置され、座部101を支持する。各々の脚部1042は、マッサージ機100の載置面上において前後方向に延びて配置され、支柱部1041の左右方向端の下端に接続される。
【0019】
立設部105は、座部101の左右方向の両側に立設され、本実施形態では脚部1042上に配置される。
【0020】
上体支持部1は、被施療者U及び背凭れ部102の左右方向外方側において、立設部105の後部から上方に延びる。各々の上体支持部1は、施療部2を有する。施療部2は、上体支持部1の内側面に配置される。なお、ここでの左右方向の内方側は、左右方向における被施療者U側を指す。上体支持部1は、施療部2を介して、被施療者Uの肩部及び上腕部の少なくとも一方を支持可能である。本実施形態では、施療部2は、エアバッグ21を有する。エアバッグ21は、その膨脹により被施療者Uの肩部及び上腕部の少なくとも一方に当接して、これを押圧可能である。
【0021】
上述のマッサージ機100によれば、左右一対の上体支持部1で施療部2を介して被施療者Uの肩部及び上腕部の少なくとも一方の施療部位Mを支持した状態で、背凭れ部102を左右方向回りに回動できる。
【0022】
たとえば図3Aに示すように、背凭れ部102は、施療部2が上述の施療部位Mを押圧した状態で後方に傾倒できる。これにより、施療部2の施療中に、被施療者Uの左右両側において上述の施療部位Mを被施療者Uの前方に引っ張ることができる。そのため、被施療者Uの肩部、上腕部に追随して胴部の両側部が中央部に対して前方に移動する。従って、マッサージ機100は、被施療者Uの背中を左右方向に伸長させることができる。
【0023】
また、図3Bに示すように、背凭れ部102は、施療部2が上述の施療部位Mを押圧した状態で前方に起立できる。これにより、施療部2の施療中に、被施療者Uの左右両側において上述の施療部位Mを被施療者Uの後方に引っ張ることができる。そのため、被施療者Uの肩部、上腕部に追随して胴部の両側部が中央部に対して後方に移動する。従って、マッサージ機100は、被施療者Uの胴部の前面を左右方向に伸長させることができる。
【0024】
よって、マッサージ機100は、新たな体感の施療を提供することができる。
【0025】
好ましくは、上体支持部1の下端(及び、施療部2のエアバッグ21)は、上方に向かうほど前方に曲がるように形成される。たとえば図1に示すように、各々の上体支持部1(及び、施療部2のエアバッグ21)は、左右方向から見て上方且つ後方に突出する円弧形状であり、立設部105の後方部分の上端部から上方に向かうほど前方に延びて配置される。こうすれば、背凭れ部102の回動及び後述する上体支持部1の前後動により、被施療者Uの左右両側において上述の施療部位Mが、上下及び前後に擦られ易くなる。従って、胴部に対して肩部及び上腕部が、上下動及び前後動し易くなる。よって、マッサージ機100は、上下動による胴部の前面又は後面の伸張効果、前後動による肩関節及び肩甲骨辺りの身体部位の施療効果を向上できる。
【0026】
また、好ましくは、施療部2の施療部位M(たとえば、エアバッグ21の当接部位)は、背凭れ部102が後方に傾倒した場合と、背凭れ部102が前方に起立した場合とで異なる。たとえば、背凭れ部102の回動により、施療部2の施療部位Mは、前者と後者とで、被施療者Uにとっての上下方向の位置が変化する。こうすれば、背凭れ部102を前方又は後方に回動させることで、被施療者Uの左右両側において上述の施療部位Mが上下に擦られる。たとえば、上述の施療部位Mが上方に擦り上げられることで、胴部に対して肩部及び上腕部を上方に移動させることができる。また、上述の施療部位Mが下方に擦られることで、胴部に対して肩部及び上腕部を下方に移動させることができる。従って、マッサージ機100は、胴部に対する肩部及び上腕部の上下動により、被施療者Uの肩関節及び肩甲骨辺りの身体部位(胸筋、僧帽筋、広背筋など)をさらに施療できる。但し、この例示に限定されず、施療部2の施療部位Mは、背凭れ部102の回動に影響されず、同じであってもよい。つまり、背凭れ部102が傾倒した場合と起立した場合とで、施療部位Mの上方向の位置が変化しなくてもよい。
【0027】
また、各々の上体支持部1は、前後方向に移動可能である。なお、図4Aは、左右一対の上体支持部1を前方に移動させた状態を示す側面図である。図4Bは、左右一対の上体支持部1を後方に移動させた状態を示す側面図である。図5は、左右一対の上体支持部1を互いに逆方向に移動させた状態を示す斜視図である。なお、図4A図5は、椅子式マッサージ機100の要部を図示しており、たとえば表面に配置される布製又は革製のカバー、緩衝材などの外装を省略している。
【0028】
上体支持部1は、上体支持駆動部11により駆動される(後述する図6参照)。上体支持駆動部11の構成は、特に限定されず、上体支持駆動部11を進退させるアクチュエータであってもよいし、駆動モータ(及び変速機)を含む駆動機構であってもよい。
【0029】
なお、本実施形態では、上体支持部1は、立設部105と一体である。そのため、立設部105は、上体支持部1とともに、脚部1042上を前後方向に移動可能である。但し、この例示に限定されず、上体支持部1は、立設部105と別体であってもよい。この場合、立設部105は、上体支持部1とともに前後方向に移動可能であってもよいし、移動不可であってもよい。つまり、後者において、上体支持部1のみが立設部105の上端部上を前後方向に移動可能であってもよい。
【0030】
こうすれば、マッサージ機100は、左右一対の上体支持部1で施療部2を介して被施療者Uの肩部及び上腕部の少なくとも一方の施療部位Mを支持した状態で、上体支持部1を前後に移動させることができる。この際、上体支持部1の前後動により、被施療者Uの左右両側において上述の施療部位Mが前後に擦られる。そのため、たとえば図4Aに示すように、左右一対の上体支持部1の前方への移動により、被施療者Uの肩部、上腕部に追随して胴部の両側部が中央部に対して前方に移動する。従って、マッサージ機100は、被施療者Uの背中を左右方向に伸長させることができる。また、図4Bに示すように、左右一対の上体支持部1の後方への移動により、被施療者Uの肩部、上腕部に追随して胴部の両側部が中央部に対して後方に移動する。従って、マッサージ機100は、被施療者Uの胴部の前面を左右方向に伸長させることができる。よって、マッサージ機100は、新たな体感の施療を提供することができる。
【0031】
好ましくは、上体支持部1が前後方向に移動する際、施療部2による被施療者Uの施療部位Mの上下方向の位置が変化する。つまり、上下方向における施療部2の施療部位M(たとえば、エアバッグ21の当接部位)は、上体支持部1が前方に移動した場合(図4A参照)と、上体支持部1が後方に移動した場合(図4B参照)とで異なる。こうすれば、施療部位Mの上下方向の位置が変化するにより、被施療者Uの左右両側において上述の施療部位Mが上下に擦られる。そのため、胴部に対して肩部及び上腕部が上下動する。たとえば、上述の施療部位Mが下方に擦られることで、胴部に対して肩部及び上腕部が下方に移動する。また、上述の施療部位Mが上方に擦り上げられることで、胴部に対して肩部及び上腕部が上方に移動する。従って、マッサージ機100はさらに、被施療者Uの肩関節及び肩甲骨辺りの身体部位を効果的に施療できる。但し、この例示に限定されず、施療部2の施療部位Mは、上体支持部1の前後動に影響されず、同じ上下方向位置であってもよい。つまり、上体支持部1が後退した場合と前進した場合とで、施療部位Mの上方向の位置が変化しなくてもよい。
【0032】
また、各々の上体支持部1の前後動は、独立していてもよいし、連動(つまり同じ動作)であってもよい。
【0033】
たとえば図5に示すように、各々の上体支持部1は、交互に前後動してもよい。すなわち、上体支持部1が被施療者Uの肩部及び上腕部の少なくとも一方を支持した状態で、左右一対の上体支持部1の一方は、他方とは前後方向において逆方向に移動可能であってもよい。つまり、左側の上体支持部1が前方に移動する際、右側の上体支持部1は後方に移動してもよい。また、左側の上体支持部1が後方に移動する際、右側の上体支持部1は前方に移動してもよい。さらに、左右一対の上体支持部1は、交互に前後動を繰り返し実施してもよい。こうすれば、マッサージ機100は、左右方向の一方側において上述の施療部位Mを前方に擦り、左右方向の他方側において上述の施療部位Mを後方に擦ることができる。つまり、被施療者Uの左右方向の一方側の肩部、上腕部を前方に移動させるとともに、被施療者Uの左右方向の他方側の肩部、上腕部を後方に移動させることができる。従って、マッサージ機100は、これらの移動に追随して被施療者Uの胴体(腰部よりも上方の部分)を上下方向回りに回転させることができ、これにより被施療者Uの腰部を捩って施療できる。
【0034】
また、各々の上体支持部1は、同じ方向に前後動してもよい(図4A及び図4B参照)。すなわち、上体支持部1が被施療者Uの肩部及び上腕部の少なくとも一方を支持した状態で、各々の上体支持部1は、前後方向において同じ方向に移動可能であってもよい。つまり、左右一対の上体支持部1は、同時に前進又は後退してもよい。こうすれば、被施療者Uの肩部、上腕部に追随して胴部の両側部が同時に前進又は後退する。従ってマッサージ機100は、被施療者Uの胴部の前面(たとえば胸部)又は後面(たとえば背中)を左右方向に大きく伸長させることができる。
【0035】
なお、本実施形態では、座部101に対する背凭れ部102の回動と、上体支持部1の前後動との両方が可能である。但し、本実施形態の例示に限定されず、両者のうちの一方のみが可能であってもよい。たとえば、座部101に対して背凭れ部102が回動可能である一方で、上体支持部1の前後動は不可であってもよい。又は、座部101に対する背凭れ部102の回動が不可である一方で、上体支持部1の前後動は可能であってもよい。
【0036】
また、この他、マッサージ機100は、左右一対の肘掛け部と、オットマンと、をさらに備えていてもよい。肘掛け部は、互いに左右対称の形状であり、立設部105の上部に配置されて立設部105に支持される。各々の肘掛け部は、座部101の左右方向における両側に配置され、被施療者Uの前腕部及び手を支持する。なお、肘掛け部は、上体支持部1の前後動に影響しないように配置される。オットマンは、座部101の前端部に回動可能に支持される。オットマンは、被施療者Uの少なくとも下腿部を収容する。
【0037】
<1-2,マッサージ機100の制御系>
次に、図6を参照して、マッサージ機100の制御系の構成例を説明する。図6は、マッサージ機100の動作を制御する制御系を示すブロック図である。
【0038】
図6に示すように、マッサージ機100は、操作部1071と、記憶部1072と、制御部108と、アクチュエータ群1091と、ポンプ1092と、電磁弁群1093と、をさらに備える。
【0039】
操作部1071は、被施療者Uなどの入力操作を受け付け、入力操作に基づく信号を制御部108に出力する。入力操作は、背凭れ部102及び上体支持部1などの駆動指示、施療パターンの選択、施療の強弱調整などを含む。操作部1071はコード線を介して制御部108に接続される。
【0040】
記憶部1072は、電力供給が停止しても記憶した情報を保持する非一過性の記憶媒体である。記憶部1072は、たとえば、制御部108がマッサージ機100の動作を制御するために必要なプログラム及びデータを記憶している。
【0041】
制御部108は、たとえば座部101の下側に配置され、操作部1071から出力される信号などに基づいて、マッサージ機100の各部を制御する。たとえば、制御部108は、上体支持部1を駆動する上体支持駆動部11、施療ユニット103の駆動及び昇降、アクチュエータ群1091、ポンプ1092、及び、電磁弁群1093を制御する。
【0042】
アクチュエータ群1091は、複数のアクチュエータを含む。たとえば、アクチュエータ群1091は、背凭れ部102を回動させる背凭れ部用のアクチュエータ(、及び上体支持部1を進退させるアクチュエータ)などを含む。
【0043】
電磁弁群1093は、エアバッグ群(図示省略)に設けられる電磁弁を含む。ポンプ1092は、電磁弁群1093を介してエアバッグ群に給気する。なお、エアバッグ群は、施療部2のエアバッグ21を含む。電磁弁は、エアバッグ群の膨張,膨縮状態の維持,収縮を切り替える。詳細には、電磁弁は、ポンプ1092とエアバッグ群との間の連通/遮断を切り替える。たとえば、電磁弁の動作によりポンプ1092とエアバッグとが連通すると、ポンプ1092から電磁弁を介してエアバッグに空気が供給される。これにより、エアバッグが膨張する。また、電磁弁は、エアバッグ群と外部との間の連通/遮断を切り替える。たとえば、電磁弁の動作により外部とエアバッグとが連通すると、エアバッグが電磁弁を介して外部に開放される。これにより、エアバッグ内の空気が排出され、エアバッグが収縮する。また、電磁弁の動作により、エアバッグがポンプ1092とも外部とも連通しなくなると、エアバッグ内の空気の量が保持され、エアバッグの膨縮状態が維持される。
【0044】
<2.備考>
上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0045】
<3.総括>
以下では、これまでに説明してきた実施形態について総括的に述べる。
【0046】
たとえば、本明細書中に開示されている椅子式マッサージ機は、
被施療者が着座する座部と、
被施療者の胴部を支持し、左右方向と平行な軸を中心として回動可能に前記座部の後端部と接続される背凭れ部と、
前記座部の左右方向両側に立設される左右一対の立設部と、
被施療者の左右方向の外方側において前記立設部の後部から上方に延びる左右一対の上体支持部と、
を備え、
前記背凭れ部は、前記上体支持部とは独立して回動可能であり、
各々の前記上体支持部は、前記上体支持部の内側面に配置される施療部を有し、前記施療部を介して被施療者の肩部及び上腕部の少なくとも一方を支持可能である構成(第1の構成)とされる。
【0047】
上記第1の構成の椅子式マッサージ機は、
前記施療部の施療部位は、前記背凭れ部が後方に傾倒した場合と、前記背凭れ部が前方に起立した場合とで異なる構成(第2の構成)であってもよい。
【0048】
上記第1又は第2の構成の椅子式マッサージ機は、
前記上体支持部は、前後方向に移動可能である構成(第3の構成)であってもよい。
【0049】
また、本明細書中に開示されている椅子式マッサージ機は、
被施療者が着座する座部と、
被施療者の胴部を支持し、前記座部の後端部と接続される背凭れ部と、
前記座部の左右方向両側に立設される左右一対の立設部と、
被施療者よりも左右方向の外方側において前記立設部から少なくとも上方に延びる左右一対の上体支持部と、
を備え、
各々の前記上体支持部は、前記上体支持部の内側面に配置される施療部を有し、前記施療部を介して被施療者の肩部及び上腕部の少なくとも一方を支持可能であるとともに、前後方向に移動可能である構成(第4の構成)とされる。
【0050】
上記第4の構成の椅子式マッサージ機は、
前記上体支持部が前後方向に移動する際、前記施療部による被施療者の施療部位の上下方向の位置が変化する構成(第5の構成)であってもよい。
【0051】
上記第3~第5のいずれかの構成の椅子式マッサージ機は、
前記上体支持部が被施療者の肩部及び上腕部の少なくとも一方を支持した状態で、左右一対の前記上体支持部の一方は、他方とは前後方向において逆方向に移動可能である構成(第6の構成)であってもよい。
【0052】
上記第3~第6のいずれかの構成の椅子式マッサージ機は、
前記上体支持部が被施療者の肩部及び上腕部の少なくとも一方を支持した状態で、各々の前記上体支持部は、前後方向において同じ方向に移動可能である構成(第7の構成)であってもよい。
【0053】
上記第1~第7のいずれかの構成の椅子式マッサージ機は、
前記上体支持部は、上方に向かうほど前方に曲がるように形成される構成(第8の構成)であってもよい。
【0054】
上記第1~第8のいずれかの構成の椅子式マッサージ機は、
前記背凭れ部は、
左右方向と平行な軸を中心として前記上体支持部とは独立して回動可能に前記座部の後端部と接続され、
前記施療部が施療部位を押圧した状態で後方に傾倒可能である構成(第9の構成)であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 上体支持部
2 施療部
11 上体支持駆動部
21 エアバッグ
100 (椅子式)マッサージ機
101 座部
102 部
103 施療ユニット
104 基台部
105 立設部
108 制御部
1031 ガイドレール
1041 支柱部
1042 脚部
1071 操作部
1072 記憶部
1091 アクチュエータ群
1092 ポンプ
1093 電磁弁群
J 回動軸
M 施療部位
U 被施療者
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6