(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099965
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】生成装置及び生成方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/107 20060101AFI20240719BHJP
C10L 3/08 20060101ALI20240719BHJP
C12P 5/00 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
C12M1/107
C10L3/08
C12P5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003625
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 俊介
(72)【発明者】
【氏名】舩石 圭介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸昭
(72)【発明者】
【氏名】西村 浩人
(72)【発明者】
【氏名】塩谷(宮前) 博子
(72)【発明者】
【氏名】青田 圭治
【テーマコード(参考)】
4B064
【Fターム(参考)】
4B064AB03
4B064CA01
4B064CC03
4B064CD01
4B064DA16
(57)【要約】
【課題】高濃度の生成ガスを生成可能な技術を提供する。
【解決手段】生成装置は、培養液が貯留されており、培養液に原料ガスを溶解して生成ガスを生成する生成部と、生成部内の圧力を測定する測定部と、生成部から送出された送出ガスを分析する分析部と、送出ガスに未反応の原料ガスが含まれている場合、送出ガスの少なくとも一部を生成部内に循環させる循環部と、生成部内の圧力が所定圧力以下になるように生成部内に供給する原料ガスの流量を制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養液が貯留されており、前記培養液に原料ガスを溶解して生成ガスを生成する生成部と、
前記生成部内の圧力を測定する測定部と、
前記生成部から送出された送出ガスを分析する分析部と、
前記送出ガスに未反応の前記原料ガスが含まれている場合、前記送出ガスの少なくとも一部を前記生成部内に循環させる循環部と、
前記生成部内の前記圧力が所定圧力以下になるように前記生成部内に供給する前記原料ガスの流量を制御する制御部と、
を備える生成装置。
【請求項2】
前記原料ガスは、二酸化炭素ガス及び水素ガスを含み、
前記制御部は、前記二酸化炭素ガスの流量及び前記水素ガスの流量の少なくとも一方を制御する、
請求項1に記載の生成装置。
【請求項3】
前記送出ガスに未反応の前記原料ガスが含まれている場合、前記送出ガスから未反応の前記原料ガスを分離する分離部を備え、
前記循環部は、前記分離部によって分離された未反応の前記原料ガスを前記生成部内に循環させる、
請求項1に記載の生成装置。
【請求項4】
前記原料ガスは、バイオガスを含む、
請求項1から3の何れか一項に記載の生成装置。
【請求項5】
二酸化炭素ガスと、水素ガスと、少なくとも水素を含むシンガスとを前記原料ガスとして前記生成部内に供給する原料ガス供給部と、
前記生成部内に供給される前記原料ガスを分析する原料ガス分析部と、
を備え、
前記制御部は、前記原料ガス分析部の分析結果に基づいて、前記生成部内の前記圧力が前記所定圧力以下になり、かつ、前記送出ガスに対する前記送出ガスに含まれる前記生成ガスの比率が増加するように、前記二酸化炭素ガスの流量及び前記水素ガスの流量の少なくとも一方を制御する、
請求項1に記載の生成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記原料ガス分析部の前記分析結果及び前記分析部の分析結果に基づいて、前記生成部内の前記圧力が前記所定圧力以下になり、かつ、前記比率が増加するように、前記二酸化炭素ガスの流量及び前記水素ガスの流量の少なくとも一方を制御する、
請求項5記載の生成装置。
【請求項7】
前記二酸化炭素ガスは、バイオガスに含まれるガスである、
請求項5又は6に記載の生成装置。
【請求項8】
培養液が貯留されており、前記培養液に原料ガスを溶解して生成ガスを生成する生成部を備える生成装置における前記生成ガスの生成方法であって、
前記生成部内の圧力を測定する工程と、
前記生成部から送出された送出ガスを分析する工程と、
前記送出ガスに未反応の前記原料ガスが含まれている場合、前記送出ガスの少なくとも一部を前記生成部内に循環させる工程と、
前記生成部内の前記圧力が所定圧力以下になるように前記生成部内に供給する前記原料ガスの流量を制御する工程と、
を含む生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生成装置及び生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界的な気候変動対策としてカーボンニュートラル(CN)化が必要であり、化石燃料代替としてCNメタンの利用が対策の一つとされている。CNメタン(CH4)には、有機物のメタン発酵により得られるバイオガス中のメタンや、回収した二酸化炭素(CO2)を再エネルギー由来等の電力から得た水素を用いてメタネーションにより合成する合成メタンがある。メタネーションは触媒を用いた方法が多く検討されているが、メタン発酵のメタン化反応のみを活用したバイオメタネーションという手法もあり、近年検討が始まっている。バイオメタネーションは菌が二酸化炭素と水素(H2)をメタンへ変換させるため、菌が培養された培養液へ原料ガスを供給して生成ガスを生成する。特許文献1には、培養液でメタン生成菌を培養する培養槽と、培養槽に二酸化炭素及び水素ガスを供給するガス供給装置と、メタン生成菌が生成したメタンを抽出する生成ガス抽出装置と、を具備するメタン生成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘンリーの法則により気体の溶解度は一定条件下で圧力に比例するため、高圧下で生物反応を行うことが好ましい。そのため、高圧下で生成ガスを生成することで、高濃度の生成ガスを生成することが要求されている。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、高濃度の生成ガスを生成可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための本発明は、培養液が貯留されており、前記培養液に原料ガスを溶解して生成ガスを生成する生成部と、前記生成部内の圧力を測定する測定部と、前記生成部から送出された送出ガスを分析する分析部と、前記送出ガスに未反応の前記原料ガスが含まれている場合、前記送出ガスの少なくとも一部を前記生成部内に循環させる循環部と、前記生成部内の前記圧力が所定圧力以下になるように前記生成部内に供給する前記原料ガスの流量を制御する制御部と、を備える生成装置である。
【0007】
上記生成装置によれば、送出ガスに未反応の原料ガスが含まれている場合、送出ガスの少なくとも一部を生成部内に循環させることで、生成部内が加圧される。ヘンリーの法則によれば、気体の溶解度はその気体の圧力に比例するので、生成部内の反応効率が高まる。生成部内が加圧され、生成部内の圧力が上昇することで、生成部内の培養液に対する原料ガス及び送出ガスの溶解度が上昇する。これにより、生成部で生成される生成ガスの量が増加し、生成部から送出される送出ガスに含まれる生成ガスの量が増加することで、高濃度の生成ガスを生成することが可能となる。また、生成部内の圧力が所定圧力以下になるように生成部内に供給する原料ガスの流量を制御することで、生成部内の圧力が所定圧力を超えることが抑止される。
【0008】
前記原料ガスは、二酸化炭素ガス及び水素ガスを含み、前記制御部は、前記二酸化炭素ガスの流量及び前記水素ガスの流量の少なくとも一方を制御してもよい。生成部内の圧力が所定圧力以下になるように生成部内に供給する二酸化炭素ガスの流量及び水素ガスの流量の少なくとも一方を制御することで、生成部内の圧力が所定圧力を超えることが抑止される。
【0009】
上記生成装置は、前記送出ガスに未反応の前記原料ガスが含まれている場合、前記送出ガスから未反応の前記原料ガスを分離する分離部を備え、前記循環部は、前記分離部によって分離された未反応の前記原料ガスを前記生成部内に循環させてもよい。送出ガスから未反応の原料ガスを分離することで、送出ガスに対する送出ガスに含まれる生成ガスの比率が増加し、高濃度の生成ガスを生成することが可能となる。
【0010】
前記原料ガスは、バイオガスを含んでもよい。原料ガスの一部にバイオガスを用いることで、低コスト化を図ることができる。
【0011】
上記生成装置は、二酸化炭素ガスと、水素ガスと、少なくとも水素を含むシンガスとを前記原料ガスとして前記生成部内に供給する原料ガス供給部と、前記生成部内に供給される前記原料ガスを分析する原料ガス分析部と、を備え、前記制御部は、前記原料ガス分析部の分析結果に基づいて、前記生成部内の前記圧力が前記所定圧力以下になり、かつ、前記送出ガスに対する前記送出ガスに含まれる前記生成ガスの比率が増加するように、前記二酸化炭素ガスの流量及び前記水素ガスの流量の少なくとも一方を制御してもよい。送出ガスに対する送出ガスに含まれる生成ガスの比率が増加するように、生成部内に供給する水素ガスの流量及び二酸化炭素の流量の少なくとも一方を制御することで、高濃度の生成ガスを生成することが可能となる。
【0012】
前記制御部は、前記原料ガス分析部の前記分析結果及び前記分析部の分析結果に基づいて、前記生成部内の前記圧力が前記所定圧力以下になり、かつ、前記比率が増加するように、前記二酸化炭素ガスの流量及び前記水素ガスの流量の少なくとも一方を制御してもよい。送出ガスに対する送出ガスに含まれる生成ガスの比率が増加するように、生成部内に供給する水素ガスの流量及び二酸化炭素の流量の少なくとも一方を制御することで、高濃度の生成ガスを生成することが可能となる。
【0013】
前記二酸化炭素ガスは、バイオガスに含まれるガスであってもよい。バイオガスに含まれる二酸化炭素ガスを生成部内に供給することで、低コスト化を図ることができる。
【0014】
また、本発明は、培養液が貯留されており、前記培養液に原料ガスを溶解して生成ガスを生成する生成部を備える生成装置における前記生成ガスの生成方法であって、前記生成部内の圧力を測定する工程と、前記生成部から送出された送出ガスを分析する工程と、前記送出ガスに未反応の前記原料ガスが含まれている場合、前記送出ガスの少なくとも一部を前記生成部内に循環させる工程と、前記生成部内の前記圧力が所定圧力以下になるように前記生成部内に供給する前記原料ガスの流量を制御する工程と、を含む生成方法であってもよい。
【0015】
上記生成方法によれば、送出ガスに未反応の原料ガスが含まれている場合、送出ガスの少なくとも一部を生成部内に循環させることで、生成部内が加圧される。ヘンリーの法則によれば、気体の溶解度はその気体の圧力に比例するので、生成部内の反応効率が高まる。生成部内が加圧され、生成部内の圧力が上昇することで、生成部内の培養液に対する原料ガス及び送出ガスの溶解度が上昇する。これにより、生成部で生成される生成ガスの量が増加し、生成部から送出される送出ガスに含まれる生成ガスの量が増加することで、高濃度の生成ガスを生成することが可能となる。また、生成部内の圧力が所定圧力以下にな
るように生成部内に供給する原料ガスの流量を制御することで、生成部内の圧力が所定圧力を超えることが抑止される。
【発明の効果】
【0016】
高濃度の生成ガスを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施形態に係る生成装置の構成図である。
【
図2】
図2は、循環部の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、生成装置の第1の運転手順の流れを示すフロー図である。
【
図4】
図4は、生成装置の第2の運転手順の流れを示すフロー図である。
【
図5】
図5は、原料ガス供給部の構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、原料ガス供給部の構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、生成装置の第3の運転手順の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の技術的範囲を以下の態様に限定するものではない。
【0019】
図1は、実施形態に係る生成装置100の構成図である。
図1に示す生成装置100は、例えば、メタン菌が培養された培養液に原料ガスを溶解して生成ガスを生成する。あるいは、生成装置100は、メタン菌を多く含むように馴養された培養液に原料ガスを溶解して生成ガスを生成する。生成装置100は、生成部1と、原料ガス供給部2と、貯留部3と、制御部4とを備える。生成部1は、培養液を貯留する培養液タンクを有し、原料ガス供給部2から供給される原料ガスを培養液に溶解して生成ガスを生成する。原料ガス供給部2は、生成部1内に原料ガスを供給する。原料ガス供給部2は、コンプレッサー等の加圧装置で原料ガスを加圧し、生成部1内に加圧された原料ガスを供給してもよい。原料ガス供給部2は、原料ガスが貯留された貯留タンクを有してもよい。原料ガス供給部2は、貯留タンクから送出される原料ガスを生成部1内に供給してもよい。原料ガス供給部2は、メタン発酵槽を有してもよい。原料ガス供給部2は、メタン発酵槽で発生したバイオガスの少なくとも一部を原料ガスとして生成部1内に供給してもよい。
【0020】
原料ガスは、少なくとも水素ガス及び二酸化炭素ガスを含む。原料ガスは、水素ガスと、二酸化炭素ガスとから構成されてもよい。原料ガスは、水素ガスと、二酸化炭素ガス及びメタンガスの混合気体であるバイオガスに含まれる二酸化炭素ガスとから構成されてもよい。原料ガスの一部にバイオガスを用いることで、低コスト化を図ることができる。生成部1は、原料ガスに含まれる二酸化炭素ガス及び水素ガスをメタンガスに変換することで生成ガスであるメタンガスを生成する。貯留部3は、生成部1によって生成された生成ガスを貯留する。
【0021】
制御部4は、生成装置100の全体の動作を制御する。制御部4は、PLC(Programmable Logic Controller)等のシーケンサであってもよい。制御部4は、専用の機器によ
り構成してもよいし、汎用のコンピュータにより構成してもよい。制御部4は、プロセッサ(CPU)、メモリ、ストレージ、通信I/F等のハードウェア資源を備えている。メモリは、RAMであってもよい。ストレージは、不揮発性の記憶装置(例えばROM、フラッシュメモリ等)であってもよい。制御部4の機能は、ストレージに格納されたプログラムをメモリに展開しプロセッサによって実行することにより実現される。なお、制御部4の構成はこれらに限られない。例えば、制御部4の機能の全部又は一部をASICやFPGA等の回路で構成してもよいし、あるいは、制御部4の機能の全部又は一部をクラウドサーバや他の装置で実行してもよい。
【0022】
生成装置100は、測定部11と、分析部12と、循環部13と、原料ガス分析部14とを備える。測定部11は、生成部1内の圧力を測定する。具体的には、測定部11は、生成部1の培養液タンク内の圧力を測定する。測定部11は、例えば、圧力計である。測定部11の測定結果(測定データ)は、制御部4に送られる。
【0023】
生成装置100は、配管21~24を備える。配管21は、生成部1と原料ガス供給部2とを相互に接続する。配管22は、生成部1と循環部13とを相互に接続する。配管23は、貯留部3と循環部13とを相互に接続する。配管24は、生成部1と循環部13とを相互に接続する。生成部1から送出された送出ガスの少なくとも一部は、配管22、循環部13、配管23を介して、貯留部3に送られる。
【0024】
分析部12は、生成部1から送出された送出ガスを分析する。分析部12は、生成部1から送出され、配管22を流れる送出ガス(生成ガス)を分析してもよい。分析部12は、例えば、ガス分析計である。分析部12は、生成部1から送出された送出ガスを分析し、送出ガスに含まれる少なくとも1種類のガスの濃度(体積%)を測定してもよい。分析部12の分析結果(分析データ)は、制御部4に送られる。
【0025】
循環部13は、生成部1から送出された送出ガスの少なくとも一部を生成部1内に循環させる。原料ガス分析部14は、原料ガス供給部2から生成部1内に供給される原料ガスを分析する。原料ガス分析部14は、原料ガス供給部2から送出され、配管21を流れる原料ガスを分析してもよい。原料ガス分析部14は、例えば、ガス分析計である。原料ガス分析部14は、生成部1内に供給される原料ガスを分析し、原料ガスに含まれる少なくとも1種類のガスの濃度(体積%)を測定してもよい。原料ガス分析部14の分析結果(分析データ)は、制御部4に送られる。
【0026】
図2は、循環部13の構成の一例を示す図である。循環部13は、配管31~33、バルブ34~36及び分離部37を備える。
【0027】
配管22は、循環部13内で分岐しており、分岐した配管22に配管31~33のそれぞれの一端が接続されている。配管31、32のそれぞれの他端は、合流して、配管23に接続されている。分離部37は、配管32に設けられており、配管24が分離部37に接続されている。配管33の他端は、配管24に接続されている。バルブ34が、配管31に設けられ、バルブ35が、配管32に設けられ、バルブ36が、配管33に設けられている。
【0028】
バルブ34が開かれ、バルブ35、36が閉じられることで、生成部1から送出された送出ガスが、配管22、31を通り、更に配管23を通って、貯留部3に送られる。バルブ36が開かれ、バルブ34、35が閉じられることで、生成部1から送出された送出ガスが、配管22、33を通り、更に配管24を通って、生成部1に送られる。
【0029】
分離部37は、送出ガスに未反応の原料ガスが含まれている場合、送出ガスから未反応の原料ガスを分離する。換言すれば、分離部37は、送出ガスに含まれる生成ガスと、送出ガスに含まれる未反応の原料ガスとを分離する。分離部37は、例えば、分離膜を用いた分離膜モジュールにより構成されてもよい。分離部37は、吸着剤や吸収剤を用いて分離するものであってもよい。バルブ35が開かれ、バルブ34、36が閉じられることで、生成部1から送出された送出ガスが、配管22、32を通って、分離部37に送られる。分離部37によって送出ガスから分離された未反応の原料ガスは、配管24を通って、生成部1に送られる。分離部37によって送出ガスから分離された生成ガスは、配管23を通って、貯留部3に送られる。送出ガスから未反応の原料ガスを分離することで、送出
ガスに対する送出ガスに含まれる生成ガスの比率が増加し、高濃度の生成ガスを生成することが可能となる。
【0030】
循環部13の構成は、
図2に示す構成例に限定されず、循環部13は他の構成を有してもよい。例えば、循環部13は、配管32、バルブ35及び分離部37を備えないものであってもよい。
【0031】
<第1の運転手順>
生成装置100の第1の運転手順を説明する。
図3は、生成装置100の第1の運転手順の流れを示すフロー図である。
図3のフローでは、原料ガス供給部2は生成部1への原料ガスの供給を開始している。ステップS101において、測定部11は、生成部1内の圧力の測定を開始する。測定部11は、連続的又は間欠的に生成部1内の圧力を測定する。測定部11は、規則的又は不規則的な間隔で生成部1内の圧力を測定してもよい。測定部11は、測定結果を制御部4に送る。
【0032】
ステップS102において、分析部12は、生成部1から送出された送出ガスの分析を開始する。分析部12は、連続的又は間欠的に送出ガスの分析を行う。分析部12は、規則的又は不規則的な間隔で送出ガスの分析を行ってもよい。分析部12は、分析結果を制御部4に送る。ステップS103において、制御部4は、分析部12の分析結果に基づいて、送出ガスに未反応ガスが含まれているか否かを判定する。送出ガスに未反応ガスが含まれている場合(ステップS103;YES)、ステップS104に進む。送出ガスに未反応ガスが含まれていない場合(ステップS103;NO)、ステップS105に進む。
【0033】
ステップS104において、循環部13は、生成部1から送出された送出ガスの少なくとも一部を生成部1内に循環させる。生成部1内に原料ガス供給部2から原料ガスが供給されると共に、送出ガスが生成部1内に循環するため、生成部1内が加圧される。ヘンリーの法則によれば、気体(ガス)の溶解度はその気体の圧力に比例するので、生成部1内の反応効率が高まる。生成部1内が加圧され、生成部1内の圧力が上昇することで、生成部1内の培養液に対する原料ガス及び送出ガスの溶解度が上昇する。これにより、生成部1で生成される生成ガスの量が増加し、生成部1から送出される送出ガスに含まれる生成ガスの量が増加することで、高濃度の生成ガスを生成することが可能となる。ステップS105において、循環部13は、生成部1から送出された送出ガスを貯留部3に送る。制御部4が、循環部13を制御してもよい。循環部13に制御機器を設け、制御機器が制御部4からの制御信号を受け取ることで、制御機器が循環部13を制御してもよい。
【0034】
ステップS106において、制御部4は、原料ガス供給部2を制御することにより、生成部1内の圧力が所定圧力以下になるように生成部1内に供給する原料ガスの流量を制御する。所定圧力(閾値)を、実験又はシミュレーションによって予め求めてもよく、制御部4のメモリ等の記憶部に記憶してもよい。制御部4は、測定部11の測定結果と所定圧力とを比較しながら、生成部1内の圧力が所定圧力以下になるように生成部1内に供給する原料ガスの流量を制御してもよい。送出ガスを生成部1内に循環させることで生成部1内が加圧されるが、生成部1内の圧力が上昇しすぎないようにすることが好ましい。生成部1内の圧力が所定圧力以下になるように生成部1内に供給する原料ガスの流量を制御することで、生成部1内の圧力が所定圧力を超えることが抑止される。
【0035】
ステップS103~S106の処理は、原料ガス供給部2から生成部1への原料ガスの供給が停止するまで行われる。ステップS101、S102の順番を変更してもよい。ステップS102が行われた後に、ステップS101が行われてもよい。
【0036】
<第2運転手順>
生成装置100の第2の運転手順を説明する。
図4は、生成装置100の第2の運転手順の流れを示すフロー図である。
図4のフローでは、原料ガス供給部2は生成部1への原料ガスの供給を開始している。
図4のステップS201~S203、S205、S206は、
図3のステップS101~S103、S105、S106と同様であるので、その説明を省略する。
【0037】
ステップS204において、制御部4は、生成部1から送出された送出ガスが分離部37に送られるように、循環部13を制御する。ステップS204において、分離部37は、送出ガスから未反応の原料ガスを分離する。ステップS204において、循環部13は、分離部37によって分離された未反応の原料ガスを生成部1内に循環させ、未反応の原料ガスが分離された送出ガスを貯留部3に送る。これにより、生成部1内に未反応の原料ガスが循環し、貯留部3に生成ガスが送られる。
【0038】
生成部1内に原料ガス供給部2から原料ガスが供給されると共に、未反応の原料ガスが生成部1内に循環するため、生成部1内が加圧される。生成部1内が加圧され、生成部1内の圧力が上昇することで、生成部1内の培養液に対する原料ガスの溶解度が上昇する。これにより、生成部1で生成される生成ガスの量が増加し、生成部1から送出される送出ガスに含まれる生成ガスの量が増加することで、高濃度の生成ガスを生成することが可能となる。
【0039】
ステップS203~S206の処理は、原料ガス供給部2から生成部1への原料ガスの供給が停止するまで行われる。ステップS201、S202の順番を変更してもよい。ステップS202が行われた後に、ステップS201が行われてもよい。
【0040】
図5は、原料ガス供給部2の構成の一例を示す図である。原料ガス供給部2の構成は、
図5に示す構成例に限定されず、原料ガス供給部2は、他の構成を有してもよい。原料ガス供給部2は、水素ガス供給部41と、二酸化炭素ガス供給部42とを有する。水素ガス供給部41は、水素ガスを生成部1内に供給する。水素ガス供給部41は、コンプレッサー等の加圧装置で水素ガスを加圧し、生成部1内に加圧された水素ガスを供給してもよい。二酸化炭素ガス供給部42は、二酸化炭素ガスを生成部1内に供給する。二酸化炭素ガス供給部42は、コンプレッサー等の加圧装置で二酸化炭素ガスを加圧し、生成部1内に加圧された二酸化炭素ガスを供給してもよい。二酸化炭素ガス供給部42は、二酸化炭素ガス及びメタンガスの混合気体であるバイオガスに含まれる二酸化炭素ガスを生成部1内に供給してもよい。バイオガスに含まれる二酸化炭素ガスを生成部1内に供給することで、低コスト化を図ることができる。
【0041】
配管21は、原料ガス供給部2内で分岐しており、分岐した配管21Aが水素ガス供給部41に接続され、分岐した配管21Bが二酸化炭素ガス供給部42に接続されている。水素ガス供給部41から水素ガスが配管21Aに送出され、水素ガスが配管21Aを流れる。二酸化炭素ガス供給部42から二酸化炭素ガスが配管21Bに送出され、二酸化炭素ガスが配管21Bを流れる。
【0042】
配管21Aにバルブ43が設けられ、配管21Bにバルブ44が設けられている。バルブ43、44は、調節弁であってもよい。配管21Aに設けられたバルブ43の開度が制御されることで、生成部1内に供給される水素ガスの流量が制御される。配管21Bに設けられたバルブ44の開度が制御されることで、生成部1内に供給される二酸化炭素ガスの流量が制御される。
図3のフローのステップS106及び
図4のフローのステップS206では、制御部4は、原料ガス供給部2を制御し、生成部1内の圧力が所定圧力以下になるように生成部1内に供給する水素ガスの流量及び二酸化炭素の流量の少なくとも一方を制御する。制御部4は、測定部11の測定結果と所定圧力とを比較しながら、生成部1
内の圧力が所定圧力以下になるように生成部1内に供給する水素ガスの流量及び二酸化炭素の流量の少なくとも一方を制御してもよい。生成部1内の圧力が所定圧力以下になるように生成部1内に供給する水素ガスの流量及び二酸化炭素の流量の少なくとも一方を制御することで、生成部1内の圧力が所定圧力を超えることが抑止される。
【0043】
図6は、原料ガス供給部2の構成の一例を示す図である。原料ガス供給部2の構成は、
図6に示す構成例に限定されず、原料ガス供給部2は、他の構成を有してもよい。原料ガス供給部2は、水素ガス供給部41と、二酸化炭素ガス供給部42と、シンガス供給部45とを有する。水素ガス供給部41は、水素ガスを生成部1内に供給する。二酸化炭素ガス供給部42は、二酸化炭素ガスを生成部1内に供給する。二酸化炭素ガス供給部42は、二酸化炭素ガス及びメタンガスの混合気体であるバイオガスに含まれる二酸化炭素ガスを生成部1内に供給してもよい。バイオガスに含まれる二酸化炭素ガスを生成部1内に供給することで、低コスト化を図ることができる。シンガス供給部45は、バイオマスの熱分解又はガス化により得られたシンガスを生成部1内に供給してもよい。シンガスは、少なくとも水素ガスを含む。シンガスは、水素ガスと、メタンガス、一酸化炭素(CO)ガス及び二酸化炭素ガスのうちの少なくとも一種のガスとを含む混合ガスであってもよい。
【0044】
配管21は、原料ガス供給部2内で分岐しており、分岐した配管21Aが水素ガス供給部41に接続され、分岐した配管21Bが二酸化炭素ガス供給部42に接続され、分岐した配管21Cがシンガス供給部45に接続されている。水素ガス供給部41から水素ガスが配管21Aに送出され、水素ガスが配管21Aを流れる。二酸化炭素ガス供給部42から二酸化炭素ガスが配管21Bに送出され、二酸化炭素ガスが配管21Bを流れる。シンガス供給部45からシンガスが配管21Cに送出され、シンガスが配管21Cを流れる。
【0045】
配管21Aにバルブ43が設けられ、配管21Bにバルブ44が設けられている。配管21Aに設けられたバルブ43の開度が制御されることで、生成部1内に供給される水素ガスの流量が制御される。配管21Bに設けられたバルブ44の開度が制御されることで、生成部1内に供給される二酸化炭素ガスの流量が制御される。
【0046】
<第3の運転手順>
生成装置100の第3の運転手順を説明する。
図7は、生成装置100の第3の運転手順の流れを示すフロー図である。
図7のフローでは、原料ガス供給部2は生成部1への原料ガスの供給を開始している。
【0047】
ステップS301において、原料ガス分析部14は、生成部1内に供給される原料ガスの分析を開始する。原料ガス分析部14は、連続的又は間欠的に原料ガスの分析を行う。原料ガス分析部14は、規則的又は不規則的な間隔で原料ガスの分析を行ってもよい。原料ガス分析部14は、分析結果を制御部4に送る。原料ガス分析部14の分析結果は、例えば、原料ガスに含まれる水素ガスと二酸化炭素ガスとの体積比に関するデータを含んでもよい。S301において、測定部11は、生成部1内の圧力の測定を開始する。測定部11は、連続的又は間欠的に生成部1内の圧力を測定する。測定部11は、規則的又は不規則的な間隔で生成部1内の圧力を測定してもよい。測定部11は、測定結果を制御部4に送る。
【0048】
図7のステップS302~S305は、
図3のステップS102~S105と同様であるので、その説明を省略する。また、
図7のステップS304の処理に替えて、
図4のステップS204の処理を行ってもよい。
【0049】
ステップS306において、制御部4は、原料ガス供給部2を制御することより、生成部1内の圧力が所定圧力以下になり、かつ、送出ガスに対する送出ガスに含まれる生成ガ
スの比率(体積比)が増加するように、生成部1内に供給する水素ガスの流量及び二酸化炭素の流量の少なくとも一方を制御する。送出ガスに対する送出ガスに含まれる生成ガスの比率が増加するように、生成部1内に供給する水素ガスの流量及び二酸化炭素の流量の少なくとも一方を制御することで、高濃度の生成ガスを生成することが可能となる。
【0050】
制御部4は、測定部11の測定結果と所定圧力とを比較しながら、生成部1内の圧力が所定圧力以下になるように生成部1内に供給する水素ガスの流量及び二酸化炭素の流量の少なくとも一方を制御してもよい。生成部1内の圧力が所定圧力以下になるように生成部1内に供給する水素ガスの流量及び二酸化炭素の流量の少なくとも一方を制御することで、生成部1内の圧力が所定圧力を超えることが抑止される。
【0051】
制御部4は、原料ガス分析部14の分析結果に基づいて、生成部1内の圧力が所定圧力以下になり、かつ、送出ガスに対する送出ガスに含まれる生成ガスの比率が増加するように、生成部1内に供給する水素ガスの流量及び二酸化炭素の流量の少なくとも一方を制御してもよい。制御部4は、原料ガス分析部14の分析結果から、送出ガスに対する送出ガスに含まれる生成ガスの比率を算出してもよい。制御部4は、算出した比率が増加するように、生成部1内に供給する水素ガスの流量及び二酸化炭素の流量の少なくとも一方を制御してもよい。送出ガスに対する送出ガスに含まれる生成ガスの比率が増加するように、生成部1内に供給する水素ガスの流量及び二酸化炭素の流量の少なくとも一方を制御することで、高濃度の生成ガスを生成することが可能となる。
【0052】
制御部4は、原料ガス分析部14の分析結果及び分析部12の分析結果に基づいて、生成部1内の圧力が所定圧力以下になり、かつ、送出ガスに対する送出ガスに含まれる生成ガスの比率が増加するように、生成部1内に供給する水素ガスの流量及び二酸化炭素の流量の少なくとも一方を制御してもよい。制御部4は、原料ガス分析部14の分析結果及び分析部12の分析結果から、送出ガスに対する送出ガスに含まれる生成ガスの比率を算出してもよい。制御部4は、算出した比率が増加するように、生成部1内に供給する水素ガスの流量及び二酸化炭素の流量の少なくとも一方を制御してもよい。送出ガスに対する送出ガスに含まれる生成ガスの比率が増加するように、生成部1内に供給する水素ガスの流量及び二酸化炭素の流量の少なくとも一方を制御することで、高濃度の生成ガスを生成することが可能となる。
【0053】
また、上記で説明した各処理は、生成装置100における生成ガスの生成方法或いは生成装置100の運転方法等として捉えてもよい。上記で説明した各処理ないし機能の少なくとも一部を有する生成システムや運転システムとして捉えてもよい。なお、上記手段および処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【符号の説明】
【0054】
1・・生成部;2・・原料ガス供給部;3・・貯留部;4・・制御部;11・・測定部;12・・分析部;13・・循環部;14・・原料ガス分析部;37・・分離部;41・・水素ガス供給部;42・・二酸化炭素ガス供給部;45・・シンガス供給部;100・・生成装置