(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099967
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】光学部材の製造方法、インプリント用の金型、および、光学部材
(51)【国際特許分類】
B29C 59/04 20060101AFI20240719BHJP
B29C 59/02 20060101ALI20240719BHJP
B29C 33/38 20060101ALI20240719BHJP
G02B 1/118 20150101ALI20240719BHJP
G02B 3/00 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
B29C59/04 C
B29C59/02 B
B29C33/38
G02B1/118
G02B3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003628
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金杉 駿介
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 俊一
【テーマコード(参考)】
2K009
4F202
4F209
【Fターム(参考)】
2K009AA01
2K009CC21
2K009DD11
4F202AA44
4F202AF01
4F202AG05
4F202AH73
4F202AJ03
4F202AJ09
4F202AR02
4F202AR17
4F202CA19
4F202CB01
4F202CB29
4F202CD05
4F202CD23
4F209AA44
4F209AF01
4F209AG05
4F209AH73
4F209AJ03
4F209AJ09
4F209AR02
4F209AR17
4F209PA02
4F209PA03
4F209PB01
4F209PB02
4F209PJ06
4F209PN06
4F209PN09
4F209PQ03
4F209PQ11
(57)【要約】
【課題】インプリント成形において、転写する際の未硬化樹脂層の厚みのバラツキを低減する。
【解決手段】光学部材の製造方法は、光学部材の基材500の表面に、未硬化の樹脂組成物600を供給する樹脂供給工程と、金型10の微細凹凸構造を未硬化の樹脂組成物600に転写する転写工程と、を含み、金型10は、金型基板12と、粘着フィルム14と、微細凹凸構造を有するフィルムモールド16とがこの順で積層された積層構造を有し、金型基板12は、0.5mm以上の厚み、および、90度以上のショアA硬度を有し、粘着フィルム14は、両面に粘着性を有するフィルムであり、粘着フィルム14のフィルムモールド16側の面の粘着力は、金型基板12側の面の粘着力より小さい。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部材の基材の表面に、未硬化の樹脂組成物を供給する樹脂供給工程と、
金型の微細凹凸構造を前記未硬化の樹脂組成物に転写する転写工程と、
を含み、
前記金型は、金型基板と、粘着フィルムと、前記微細凹凸構造を有するフィルムモールドとがこの順で積層された積層構造を有し、
前記金型基板は、0.5mm以上の厚み、および、90度以上のショアA硬度を有し、
前記粘着フィルムは、両面に粘着性を有するフィルムであり、
前記粘着フィルムの前記フィルムモールド側の面の粘着力は、前記金型基板側の面の粘着力より小さい、光学部材の製造方法。
【請求項2】
前記金型基板は、柔軟性を有しない、請求項1に記載の光学部材の製造方法。
【請求項3】
前記粘着フィルムの前記フィルムモールド側の面は、再剥離性および再貼付性を有する、請求項1に記載の光学部材の製造方法。
【請求項4】
前記転写工程において、
前記金型から前記未硬化の樹脂組成物に印加される圧力は、13Pa以上、2200Pa以下である、請求項1に記載の光学部材の製造方法。
【請求項5】
前記転写工程において、
前記金型の自重によって前記フィルムモールドが前記未硬化の樹脂組成物に対して押圧されて、前記微細凹凸構造が前記未硬化の樹脂組成物に転写される、請求項4に記載の光学部材の製造方法。
【請求項6】
前記未硬化の樹脂組成物は、25℃において、10cP以上、1000cP以下の粘度を有する、請求項1に記載の光学部材の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂供給工程において、
前記光学部材の基材の表面に、第1の量の前記未硬化の樹脂組成物の液滴を付着させるともに、前記金型の前記フィルムモールドの表面にも、前記第1の量よりも少ない第2の量の前記未硬化の樹脂組成物の液滴を付着させ、
前記転写工程において、
前記金型と前記光学部材の基材とを相互に近づけることにより、前記金型の前記フィルムモールドの表面に付着している前記未硬化の樹脂組成物の液滴と、前記光学部材の基材の表面に付着している前記未硬化の樹脂組成物の液滴とを接触させた後に、前記金型の前記フィルムモールドと前記光学部材の基材との間に前記未硬化の樹脂組成物を押し広げる、請求項1に記載の光学部材の製造方法。
【請求項8】
前記金型基板の透過波面収差の最大値と最小値との差分は、4.1λ未満である、請求項1に記載の光学部材の製造方法。
【請求項9】
前記金型基板の透過波面収差の最大値と最小値との差分は、0.8λ未満である、請求項8に記載の光学部材の製造方法。
【請求項10】
前記金型基板の透過波面収差の二乗平均偏差は、1.1λ未満である、請求項1に記載の光学部材の製造方法。
【請求項11】
前記金型基板の透過波面収差の二乗平均偏差は、0.15λ未満である、請求項10に記載の光学部材の製造方法。
【請求項12】
金型基板と、粘着フィルムと、微細凹凸構造を有するフィルムモールドとがこの順で積層された積層構造を有し、
前記金型基板は、0.5mm以上の厚み、および、90度以上のショアA硬度を有し、
前記粘着フィルムは、両面に粘着性を有するフィルムであり、
前記粘着フィルムの前記フィルムモールド側の面の粘着力は、前記金型基板側の面の粘着力より小さい、インプリント用の金型。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか1項に記載の光学部材の製造方法によって製造された光学部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部材の製造方法、インプリント用の金型、および、光学部材に関する。
【背景技術】
【0002】
微細凹凸構造を有する樹脂製の光学部材を製造する技術として、未硬化の樹脂組成物に対するインプリント成形が広く利用されている。インプリント成形では、光学部材の基材の表面に未硬化の樹脂組成物を供給した後、未硬化の樹脂組成物に金型を近づけることにより、金型と光学部材の基材との間に未硬化の樹脂組成物を押し広げて、未硬化の樹脂組成物に金型の微細凹凸構造を転写し、微細凹凸構造が転写された未硬化の樹脂組成物の層(以下、「未硬化樹脂層」という。)を硬化させる。
【0003】
例えば、特許文献1には、柔軟性を有する金型を用いてインプリント成形を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の技術では、金型が柔軟性を有するため、金型から未硬化の樹脂組成物に印加される圧力を面内で均一にすることが困難である。このため、金型によって未硬化の樹脂組成物を押し広げた際に未硬化樹脂層の厚み(層厚)にバラツキが生じ、硬化後の樹脂層(以下、「硬化樹脂層」という。)の平坦性が低下してしまう。そうすると、硬化樹脂層に転写された微細凹凸構造に起因する光学特性が低下してしまうおそれがある。
【0006】
また、未硬化樹脂層の厚みにバラツキが生じると、硬化樹脂層から金型を剥離する際に印加される剥離力が、硬化樹脂層の面内で不均一となる。そうすると、硬化樹脂層の一部が基材から剥離してしまうおそれがある。また、基材から剥離してしまった硬化樹脂層の一部が金型に残ってしまい、金型を繰り返し利用できなくなってしまう。さらに、金型を剥離する際に、硬化樹脂層に転写された微細凹凸形状が変形し、微細凹凸構造に起因する光学特性が低下してしまうおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、インプリント成形において、転写する際の未硬化樹脂層の厚みのバラツキを低減することが可能な光学部材の製造方法、インプリント用の金型、および、光学部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のある観点によれば、
光学部材の基材の表面に、未硬化の樹脂組成物を供給する樹脂供給工程と、
金型の微細凹凸構造を前記未硬化の樹脂組成物に転写する転写工程と、
を含み、
前記金型は、金型基板と、粘着フィルムと、前記微細凹凸構造を有するフィルムモールドとがこの順で積層された積層構造を有し、
前記金型基板は、0.5mm以上の厚み、および、90度以上のショアA硬度を有し、
前記粘着フィルムは、両面に粘着性を有するフィルムであり、
前記粘着フィルムの前記フィルムモールド側の面の粘着力は、前記金型基板側の面の粘着力より小さい、光学部材の製造方法が提供される。
【0009】
前記金型基板は、柔軟性を有しなくてもよい。
【0010】
前記粘着フィルムの前記フィルムモールド側の面は、再剥離性および再貼付性を有してもよい。
【0011】
前記転写工程において、
前記金型から前記未硬化の樹脂組成物に印加される圧力は、13Pa以上、2200Pa以下であってもよい。
【0012】
前記転写工程において、
前記金型の自重によって前記フィルムモールドが前記未硬化の樹脂組成物に対して押圧されて、前記微細凹凸構造が前記未硬化の樹脂組成物に転写されてもよい。
【0013】
前記未硬化の樹脂組成物は、25℃において、10cP以上、1000cP以下の粘度を有してもよい。
【0014】
前記樹脂供給工程において、
前記光学部材の基材の表面に、第1の量の前記未硬化の樹脂組成物の液滴を付着させるともに、前記金型の前記フィルムモールドの表面にも、前記第1の量よりも少ない第2の量の前記未硬化の樹脂組成物の液滴を付着させ、
前記転写工程において、
前記金型と前記光学部材の基材とを相互に近づけることにより、前記金型の前記フィルムモールドの表面に付着している前記未硬化の樹脂組成物の液滴と、前記光学部材の基材の表面に付着している前記未硬化の樹脂組成物の液滴とを接触させた後に、前記金型の前記フィルムモールドと前記光学部材の基材との間に前記未硬化の樹脂組成物を押し広げてもよい。
【0015】
前記金型基板の透過波面収差の最大値と最小値との差分は、4.1λ未満であってもよい。
【0016】
前記金型基板の透過波面収差の最大値と最小値との差分は、0.8λ未満であってもよい。
【0017】
前記金型基板の透過波面収差の二乗平均偏差は、1.1λ未満であってもよい。
【0018】
前記金型基板の透過波面収差の二乗平均偏差は、0.15λ未満であってもよい。
【0019】
上記課題を解決するため、本発明のある観点によれば、
金型基板と、粘着フィルムと、微細凹凸構造を有するフィルムモールドとがこの順で積層された積層構造を有し、
前記金型基板は、0.5mm以上の厚み、および、90度以上のショアA硬度を有し、
前記粘着フィルムは、両面に粘着性を有するフィルムであり、
前記粘着フィルムの前記フィルムモールド側の面の粘着力は、前記金型基板側の面の粘着力より小さい、インプリント用の金型が提供される。
【0020】
上記課題を解決するため、本発明のある観点によれば、
上記に記載の光学部材の製造方法によって製造された光学部材が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、インプリント成形において、転写する際の未硬化樹脂層の厚みのバラツキを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る金型を模式的に示す断面図である。
【
図2】本実施形態に係る原盤の外観例を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る露光装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】フィルムモールドをロールツーロールで製造する転写装置の一例を示す模式図である。
【
図5】本実施形態に係る光学部材の製造方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態に係る樹脂供給工程を示す工程図である。
【
図7】本実施形態に係る転写工程を示す第1の工程図である。
【
図8】本実施形態に係る転写工程を示す第2の工程図である。
【
図9】本実施形態に係る光学部材の製造方法によって製造された光学部材を模式的に示す断面図である。
【
図10】実施例1~3、6の金型基板の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVと、光学部材の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVとの関係を示すグラフである。
【
図11】実施例1~3、6の金型基板の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsと、光学部材の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsとの関係を示すグラフである。
【
図12】実施例1~3、5、6の金型から未硬化の樹脂組成物に印加される圧力と、光学部材の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVとの関係を示すグラフである。
【
図13】実施例1~3、5、6の金型から未硬化の樹脂組成物に印加される圧力と、光学部材の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。なお、説明の便宜のため、以下の各図中で開示した各部材の状態は、実際とは異なる縮尺及び形状で模式的に表されているものもある。
【0024】
<1.金型の詳細構成>
まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る金型10の概要について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る金型10を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る金型10は、金型基板12と、粘着フィルム14と、フィルムモールド16とがこの順で積層された積層構造を有する。
【0025】
金型基板12は、金型10の基材として用いられる基板である。金型基板12は、柔軟性を有しないことが好ましい。換言すれば、金型基板12は、高い剛性を有し、硬質な基板であることが好ましい。
【0026】
金型基板12は、90度以上のショアA硬度を有する。金型基板12は、好ましくは、92度以上のショアA硬度、より好ましくは95度以上のショアA硬度、さらに好ましくは98度以上のショアA硬度を有する。金型基板12は、140度以下のショアA硬度を有してもよい。金型基板12は、90度以上、140度以下のショアA硬度を有してもよく、好ましくは、92度以上、140度以下のショアA硬度、より好ましくは95度以上、140度以下のショアA硬度、さらに好ましくは98度以上、140度以下のショアA硬度を有する。ショアA硬度は、JIS K 6253-3:2012「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-硬さの求め方-第3部:デュロメータ硬さ」に基づいて算出される。ショアA硬度は、タイプAデュロメータによって測定される硬度である。ショアA硬度は、例えば、株式会社ミツトヨ製の「HARDMATIC HH-332(TypeA)」によって測定される。
【0027】
金型基板12は、例えば、ガラス、プラスチック、金属で構成されることが好ましい。金型基板12を構成するガラスは、例えば、白板ガラス、水板ガラスである。白板ガラスのショアA硬度は、97.8である。水板ガラスのショアA硬度は、96.3である。また、金型基板12を構成するプラスチックは、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)である。ポリメチルメタクリレートのショアA硬度は、95.4である。ポリカーボネートのショアA硬度は、99.0である。また、金型基板12を構成する金属は、ステンレス鋼、鉄である。
【0028】
なお、金型基板12は、10nm以上、400nm以下の波長領域の光(紫外線)(例えば、375nmの波長領域の光)に対し、透過性を有することが好ましい。
【0029】
また、金型基板12の形状は、平板形状、曲面形状、球面形状であってもよい。ただし、後述する転写工程S140において、金型基板12の両面のうち、光学部材の基材500の転写面と接する面、すなわち、金型基板12におけるフィルムモールド16側の面は、光学部材の基材500の転写面に倣っていることが好ましい。これにより、転写工程S140において、金型10により未硬化の樹脂組成物600に印加される圧力を面内で均一にすることができる。例えば、光学部材の基材500が平板である場合、金型基板12の形状は、平板形状であることが好ましい。
【0030】
また、金型基板12の厚みTbは、0.5mm以上であり、好ましくは、1.0mm以上である。金型基板12の厚みTbは、2.0mm以下であってもよく、好ましくは、1.5mm以下である。金型基板12の厚みTbは、0.5mm以上、2.0mm以下が好ましく、1.0mm以上、2.0mm以下がより好ましく、1.0mm以上、1.5mm以下がさらに好ましい。
【0031】
また、金型基板12の平坦性(面平坦性)は、良好であることが好ましい。例えば、金型基板12の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVは、4.1λ未満であってもよく、好ましくは、0.8λ未満であり、より好ましくは、0.4λ未満である。金型基板12の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVは、0.1λ以上であってもよい。金型基板12の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVは、好ましくは、0.1λ以上、4.1λ未満であり、より好ましくは、0.1λ以上、0.8λ未満であり、さらに好ましくは、0.1λ以上、0.4λ未満である。また、金型基板12の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsは、1.1λ未満であってもよく、好ましくは、0.15λ未満であり、より好ましくは、0.10λ未満である。金型基板12の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsは、0.01λ以上であってもよい。金型基板12の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsは、好ましくは、0.01λ以上、1.1λ未満、より好ましくは、0.01λ以上、0.15λ未満であり、さらに好ましくは、0.01λ以上、0.10λ未満である。なお、「λ」は、透過波面収差を測定する際に用いる光の波長であり、例えば、633nmである。また、透過波面収差の最大値と最小値との差分PVおよび二乗平均偏差Rmsは、小さいほど平坦性が良好である。
【0032】
透過波面収差は、例えば、Zygo Corporation製のレーザー干渉計「Verifire(登録商標) 6」によって測定される。
【0033】
粘着フィルム14は、金型基板12とフィルムモールド16との間に設けられる。粘着フィルム14は、両面に粘着性を有するフィルムである。粘着フィルム14のフィルムモールド16側の面14a(第1面、弱粘着面)の粘着力は、金型基板12側の面14b(第2面、強粘着面)の粘着力より小さい。
【0034】
本実施形態において、粘着フィルム14におけるフィルムモールド16側の面14aは、再剥離性および再貼付性を有することが好ましい。再剥離性とは、粘着フィルム14からフィルムモールド16を剥離する際に、粘着フィルム14がフィルムモールド16に付着せずに剥離できることを意味する。再貼付性とは、フィルムモールド16を粘着フィルム14から剥離した後であっても、粘着フィルム14の面14aの粘着力がほとんど低下せず、粘着フィルム14の面14aに再度フィルムモールド16を貼付可能であることを意味する。
【0035】
粘着フィルム14は、自己粘着性フィルムであることが好ましい。粘着フィルム14としては、例えば、フジコピアン株式会社製の「FIXFILM(登録商標) HGA2」を用いることができる。
【0036】
フィルムモールド16は、粘着フィルム14に積層される。フィルムモールド16は、微細凹凸構造16aを有する。本実施形態において、フィルムモールド16は、例えば、1nm以上、1000μm以下の微細凹凸構造16aを有する。微細凹凸構造16aは、例えば、モスアイ構造、マイクロレンズ構造、回折光学素子(DOE)構造である。
【0037】
<1.1 フィルムモールドの製造方法>
つぎに、
図2~
図4を参照して、本発明の一実施形態に係るフィルムモールド16の製造方法について説明する。
図2は、本実施形態に係る原盤100の外観例を示す斜視図である。
図3は、本実施形態に係る露光装置200の構成例を示すブロック図である。
図4は、フィルムモールド16をロールツーロールで製造する転写装置の一例を示す模式図である。フィルムモールド16は、可撓性原盤ともいう。フィルムモールド16の製造方法は、反転凹凸構造430の反転構造を有する転写型を作製する第1の原盤作製工程と、可撓性基材410の表面に未硬化樹脂層420を形成する第2の原盤作製工程と、未硬化樹脂層420を硬化させるとともに、転写型の凹凸構造を硬化後の樹脂層425に転写する第3の原盤作製工程と、を含む。
【0038】
(1-1.第1の原盤作製工程)
第1の原盤作製工程は、反転凹凸構造430の反転構造を有する転写型を作製する工程である。転写型は、例えば
図2に示す原盤100である。
【0039】
(1-1-1.原盤の構成)
そこで、原盤100の構成について説明する。原盤100は、円筒形状となっている。原盤100は円柱形状であっても、他の形状(例えば平板状)であってもよい。ただし、原盤100が円柱または円筒形状である場合、ロールツーロール方式によって原盤100の凹凸構造(すなわち、原盤凹凸構造)120を樹脂基材等にシームレス的に転写することができる。これにより、可撓性基材410の表面に反転凹凸構造430を高い生産効率で形成することができる。このような観点からは、原盤100の形状は、円筒形状または円柱形状であることが好ましい。
【0040】
原盤100は、原盤基材110と、原盤基材110の周面に形成された原盤凹凸構造120とを備える。原盤基材110は、例えば、ガラス体であり、具体的には、石英ガラスで形成される。ただし、原盤基材110は、SiO2純度が高いものであれば、特に限定されず、溶融石英ガラスまたは合成石英ガラス等で形成されてもよい。原盤基材110は、金属母材上に上記の材料を積層したものや金属母材(例えば、Cu、Ni、Cr、Al)であってもよい。原盤基材110の形状は円筒形状であるが、円柱形状、他の形状であってもよい。ただし、上述のように、原盤基材110は円筒形状または円柱形状であることが好ましい。原盤凹凸構造120は、反転凹凸構造430の反転構造を有する。
【0041】
(1-1-2.原盤の製造方法)
つぎに、原盤100の製造方法を説明する。まず、原盤基材110上に、基材レジスト層を形成(成膜)する。ここで、基材レジスト層を構成するレジスト材は特に制限されず、有機レジスト材及び無機レジスト材のいずれであってもよい。有機レジスト材としては、例えば、ノボラック系レジスト、または化学増幅型レジストなどが挙げられる。また、無機レジスト材としては、例えば、タングステン(W)またはモリブデン(Mo)などの1種または2種以上の遷移金属を含む金属酸化物等が挙げられる。その他、無機レジスト材としては、Cr、Au等が挙げられる。ただし、熱反応リソグラフィを行うためには、基材レジスト層は、金属酸化物を含む熱反応型レジストで形成されることが好ましい。
【0042】
有機レジスト材を使用する場合、基材レジスト層は、スピンコーティング、スリットコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、またはスクリーン印刷等を用いることで原盤基材110上に形成されてもよい。また、基材レジスト層に無機レジスト材を使用する場合、基材レジスト層は、スパッタ法を用いることで形成されてもよい。有機レジスト材、無機レジスト材は併用されても良い。
【0043】
次に、露光装置200(
図3参照)により基材レジスト層の一部を露光することで、基材レジスト層に潜像を形成する。具体的には、露光装置200は、レーザ光200Aを変調し、レーザ光200Aを基材レジスト層に対して照射する。これにより、レーザ光200Aが照射された基材レジスト層の一部が変性するため、基材レジスト層に原盤凹凸構造120に対応する潜像を形成することができる。
【0044】
続いて、潜像が形成された基材レジスト層上に現像液を滴下することで、基材レジスト層を現像する。これにより、基材レジスト層に凹凸構造が形成される。ついで、基材レジスト層をマスクとして原盤基材110及び基材レジスト層をエッチングすることで、原盤基材110上に原盤凹凸構造120を形成する。なお、エッチングの方法は特に制限されないが、垂直異方性を有するドライエッチングであることが好ましく、例えば、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)であることが好ましい。以上の工程により、原盤100を作製する。エッチングはウエットエッチングであっても良い。
【0045】
(1-1-3.露光装置の構成)
次に、
図3に基づいて、露光装置200の構成について説明する。露光装置200は、基材レジスト層を露光する装置である。露光装置200は、レーザ光源201と、第1ミラー203と、フォトダイオード(Photodiode:PD)205と、偏向光学系と、制御機構230と、第2ミラー213と、移動光学テーブル220と、スピンドルモータ225と、ターンテーブル227とを備える。また、原盤基材110は、ターンテーブル227上に載置され、回転することができるようになっている。
【0046】
レーザ光源201は、レーザ光200Aを発する光源であり、例えば、固体レーザまたは半導体レーザなどである。レーザ光源201が発するレーザ光200Aの波長は、特に限定されないが、例えば、400nm~500nmの青色光帯域の波長であってもよい。また、レーザ光200Aのスポット径(レジスト層に照射されるスポットの直径)は、原盤凹凸構造120の凹部の開口面の直径より小さければよく、例えば200nm程度であればよい。レーザ光源201から発せられるレーザ光200Aは制御機構230によって制御される。
【0047】
レーザ光源201から出射されたレーザ光200Aは、平行ビームのまま直進し、第1ミラー203で反射され、偏向光学系に導かれる。
【0048】
第1ミラー203は、偏光ビームスプリッタで構成されており、偏光成分の一方を反射させ、偏光成分の他方を透過させる機能を有する。第1ミラー203を透過した偏光成分は、フォトダイオード205によって受光され、光電変換される。また、フォトダイオード205によって光電変換された受光信号は、レーザ光源201に入力され、レーザ光源201は、入力された受光信号に基づいてレーザ光200Aの位相変調を行う。
【0049】
また、偏向光学系は、集光レンズ207と、電気光学偏向素子(Electro Optic Deflector:EOD)209と、コリメータレンズ211とを備える。
【0050】
偏向光学系において、レーザ光200Aは、集光レンズ207によって、電気光学偏向素子209に集光される。電気光学偏向素子209は、レーザ光200Aの照射位置を制御することが可能な素子である。露光装置200は、電気光学偏向素子209により、移動光学テーブル220上に導かれるレーザ光200Aの照射位置を変化させることも可能である(いわゆる、Wobble機構)。レーザ光200Aは、電気光学偏向素子209によって照射位置を調整された後、コリメータレンズ211によって、再度、平行ビーム化される。偏向光学系から出射されたレーザ光200Aは、第2ミラー213によって反射され、移動光学テーブル220上に水平かつ平行に導かれる。
【0051】
移動光学テーブル220は、ビームエキスパンダ(Beam expader:BEX)221と、対物レンズ223とを備える。移動光学テーブル220に導かれたレーザ光200Aは、ビームエキスパンダ221により所望のビーム形状に整形された後、対物レンズ223を介して、原盤基材110上に形成された基材レジスト層に照射される。また、移動光学テーブル220は、原盤基材110が1回転する毎に矢印R方向(送りピッチ方向)に1送りピッチ(トラックピッチ)だけ移動する。ターンテーブル227上には、原盤基材110が設置される。スピンドルモータ225はターンテーブル227を回転させることで、原盤基材110を回転させる。これにより、レーザ光200Aを基材レジスト層上で走査させる。ここで、レーザ光200Aの走査方向に沿って、基材レジスト層の潜像が形成される。
【0052】
また、制御機構230は、フォーマッタ231と、ドライバ233とを備え、レーザ光200Aの照射を制御する。フォーマッタ231は、レーザ光200Aの照射を制御する変調信号を生成し、ドライバ233は、フォーマッタ231が生成した変調信号に基づいて、レーザ光源201を制御する。これにより、原盤基材110へのレーザ光200Aの照射が制御される。
【0053】
フォーマッタ231は、基材レジスト層に描画する任意のパターンが描かれた入力画像に基づいて、基材レジスト層にレーザ光200Aを照射するための制御信号を生成する。具体的には、まず、フォーマッタ231は、基材レジスト層に描画する任意の描画パターンが描かれた入力画像を取得する。入力画像は、軸方向に基材レジスト層の外周面を切り開いて一平面に伸ばした、基材レジスト層の外周面の展開図に相当する画像である。この展開図には、原盤100の周面形状に相当する画像が描かれている。この画像は、反転凹凸構造430の反転構造を示す。なお、原盤100の原盤凹凸構造120が転写された転写用フィルムを作製し、この転写用フィルムを転写型として用いて可撓性基材410上に反転凹凸構造430を形成しても良い。この場合、原盤凹凸構造120は反転凹凸構造430と同じ凹凸構造を有することになる。
【0054】
次に、フォーマッタ231は、入力画像を所定の大きさの小領域に分割し(例えば、格子状に分割し)、小領域の各々に凹部描画パターン(つまり、原盤100の凹部に相当するパターン)が含まれるか否かを判断する。続いて、フォーマッタ231は、凹部描画パターンが含まれると判断した各小領域にレーザ光200Aを照射するよう制御する制御信号に生成する。この制御信号(すなわち、露光信号)は、スピンドルモータ225の回転と同期されることが好ましいが、同期されていなくてもよい。また、制御信号とスピンドルモータ225の回転との同期は原盤基材110が1回転する毎に取り直されても良い。さらに、ドライバ233は、フォーマッタ231が生成した制御信号に基づいてレーザ光源201の出力を制御する。これにより、基材レジスト層へのレーザ光200Aの照射が制御される。なお、露光装置200は、フォーカスサーボ、レーザ光200Aの照射スポットの位置補正等のような公知の露光制御処理を行ってもよい。フォーカスサーボはレーザ光200Aの波長を用いてもよく、他の波長を参照用に用いても良い。
【0055】
また、レーザ光源201から照射されたレーザ光200Aは、複数系統の光学系に分岐された後に基材レジスト層に照射されても良い。この場合、複数の照射スポットが基材レジスト層に形成される。この場合、一方の光学系から出射されたレーザ光200Aが他方の光学系によって形成された潜像に到達した際に、露光を終了すればよい。
【0056】
したがって、本実施形態によれば、入力画像の描画パターンに応じた潜像をレジスト層に形成することができる。そして、レジスト層を現像し、現像後のレジスト層をマスクとして原盤基材110及び基材レジスト層をエッチングすることで、原盤基材110上に入力画像の描画パターンに応じた原盤凹凸構造120を形成する。すなわち、描画パターンに応じた任意の原盤凹凸構造120を形成することができる。したがって、描画パターンとして、反転凹凸構造430の反転構造が描かれた描画パターンを準備すれば、反転凹凸構造430の反転構造を有する原盤凹凸構造120を形成することができる。
【0057】
なお、本実施形態で使用可能な露光装置は露光装置200に制限されず、露光装置200と同様の機能を有するものであればどのような露光装置を使用しても良い。
【0058】
(1-1-4.原盤を用いた凹凸構造の形成方法について)
次に、
図4を参照して、原盤100を用いた反転凹凸構造430の形成方法の一例について説明する。反転凹凸構造430は、原盤100を用いたロールツーロール方式の転写装置300によって可撓性基材410上に形成可能である。
図4に示す転写装置300では、樹脂層425を構成する硬化性樹脂が所謂紫外線硬化性樹脂となっている。転写装置300を用いて、上述した第2および第3の原盤作製工程が行われる。
【0059】
転写装置300は、原盤100と、基材供給ロール301と、巻取りロール302と、ガイドロール303、304と、ニップロール305と、剥離ロール306と、塗布装置307と、光源309とを備える。
【0060】
基材供給ロール301は、長尺な可撓性基材410がロール状に巻かれたロールであり、巻取りロール302は、フィルムモールド16を巻き取るロールである。また、ガイドロール303、304は、可撓性基材410を搬送するロールである。ニップロール305は、未硬化樹脂層420が積層された可撓性基材410、すなわち被転写フィルム450を原盤100に密着させるロールである。剥離ロール306は、フィルムモールド16を原盤100から剥離するロールである。
【0061】
塗布装置307は、コーターなどの塗布手段を備え、未硬化の硬化性樹脂を可撓性基材410に塗布し、未硬化樹脂層420を形成する。塗布装置307は、例えば、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、またはダイコーターなどであってもよい。また、光源309は、未硬化樹脂を硬化可能な波長の光を発する光源であり、例えば、紫外線ランプなどであってもよい。
【0062】
転写装置300では、まず、基材供給ロール301からガイドロール303を介して、可撓性基材410が連続的に送出される。なお、送出の途中で基材供給ロール301を別ロットの基材供給ロール301に変更してもよい。送出された可撓性基材410に対して、塗布装置307により未硬化樹脂が塗布され、可撓性基材410に未硬化樹脂層420が積層される。これにより、被転写フィルム450が作製される。被転写フィルム450は、ニップロール305により、原盤100と密着させられる。光源309は、原盤100に密着した未硬化樹脂層420に紫外線を照射することで、未硬化樹脂層420を硬化する。これにより、未硬化樹脂層420が樹脂層425となり、かつ、樹脂層425の表面に原盤凹凸構造120が転写される。すなわち、樹脂層425の表面に原盤凹凸構造120の反転構造、すなわち反転凹凸構造430が形成される。続いて、反転凹凸構造430が形成された可撓性基材410は、剥離ロール306により原盤100から剥離される。ついで、反転凹凸構造430が形成された可撓性基材410は、ガイドロール304を介して、巻取りロール302によって巻き取られる。なお、原盤100は縦置きであっても横置きであってもよく、原盤100の回転時の角度、偏芯を補正する機構を別途設けても良い。例えば、チャッキング機構に偏芯チルト機構を設けても良い。転写は圧空転写により行われても良い。
【0063】
このように、転写装置300では、被転写フィルム450をロールツーロールで搬送する一方で、原盤100の周面形状を被転写フィルム450に転写する。これにより、可撓性基材410上に反転凹凸構造430が形成される。
【0064】
なお、可撓性基材410を熱可塑性樹脂フィルムとした場合、塗布装置307及び光源309は不要となる。この場合、原盤100よりも上流側に加熱装置を配置する。この加熱装置によって可撓性基材410を加熱して柔らかくし、その後、可撓性基材410を原盤100に押し付ける。これにより、原盤100の周面に形成された原盤凹凸構造120が可撓性基材410に転写される。なお、可撓性基材410を熱可塑性樹脂以外の樹脂で構成されたフィルムとし、可撓性基材410と熱可塑性樹脂フィルムとを積層してもよい。この場合、積層フィルムは、加熱装置で加熱された後、原盤100に押し付けられる。したがって、転写装置300は、可撓性基材410上に反転凹凸構造430が形成された転写物を連続的に作製することができる。
【0065】
また、原盤100の原盤凹凸構造120が転写された転写用フィルムを作製し、この転写用フィルムを転写型として用いて可撓性基材410上に反転凹凸構造430を形成しても良い。転写用フィルムの凹凸構造をさらに転写した転写用フィルムを転写型としてもよい。この場合、樹脂層425に形成される微細凹凸構造が反転凹凸構造となるように、原盤凹凸構造120が形成される。また、電鋳や熱転写などにより原盤100を複製し、この複製品を転写型として用いてもよい。さらに、原盤100の形状はロール形状に限られる必要は無く平面状の原盤でもよく、レーザ光200Aをレジスト照射する方法のほか、マスクを用いた半導体露光、電子線描画、機械加工、陽極酸化等、種々の加工方法を選択することができる。
【0066】
また、転写型の離型性を向上させるために、この転写型の表面に、無機膜および離型膜のうちのいずれか一方または両方が成膜されてもよい。特に幅1μmを下回る微細凹凸構造を転写する際には無機膜および離型膜のうちのいずれか一方または両方が成膜されていることが好ましい。無機膜は、例えば、Si、SiO2、PTM、Al、Cr、Moなどの金属やその金属酸化物を使用することができる。無機膜の成膜方法は、スパッタリング、蒸着等が挙げられる。離型膜は、例えば、単分子フッ素を使用することができる。離型膜の成膜方法は,MVD(分子層堆積法)、ALD(原子層堆積法)などの気相成長や、ディップコート、スピンコート、刷毛塗り,スプレーコート等の液相によるものを利用することができる。なお、フィルムモールド16への連続的な成膜を行う観点から、ディップコートが最も適している。
【0067】
このようにして、可撓性基材410上に、反転凹凸構造430(微細凹凸構造16a)を有する樹脂層425が積層されたフィルムモールド16が製造される。つまり、フィルムモールド16は、可撓性基材410上に樹脂層425が積層された2層構造を有する。可撓性基材410は、例えば、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマーで構成される。また、未硬化樹脂層420は、例えば、アクリル重合性化合物、エポキシ重合性化合物で構成される。
【0068】
<1.2 金型の製造方法>
金型基板12における粘着フィルム14を積層する面を洗浄した後、粘着フィルム14の面14b(強粘着面)を金型基板12の表面に貼り付けるようにして、金型基板12に粘着フィルム14を積層する。続いて、粘着フィルム14の面14a(弱粘着面)にフィルムモールド16の平坦面を貼り付けるように、粘着フィルム14にフィルムモールド16を積層する。積層は、ハンドローラーや、ロールラミネーターを用いたラミネートによって行われる。なお、粘着フィルム14にフィルムモールド16を積層する際、粘着フィルム14とフィルムモールド16との間に、気泡やダストが混入した場合、フィルムモールド16を粘着フィルム14から剥離して、メンディングテープによってダストを除去する。そして、粘着フィルム14にフィルムモールド16を再度積層する。
【0069】
<2.光学部材の製造方法>
次に、
図5~
図9を参照して、本発明の一実施形態に係る光学部材の製造方法について説明する。
図5は、本実施形態に係る光学部材の製造方法の処理の流れを示すフローチャートである。
図6は、本実施形態に係る樹脂供給工程S130を示す工程図である。
図7は、本実施形態に係る転写工程S140を示す第1の工程図である。
図8は、本実施形態に係る転写工程S140を示す第2の工程図である。
図9は、本実施形態に係る光学部材の製造方法によって製造された光学部材700を模式的に示す断面図である。
【0070】
図5に示すように、本実施形態に係る光学部材の製造方法は、前処理工程S110と、プライマー塗布工程S120と、樹脂供給工程S130と、転写工程S140と、硬化工程S150と、剥離工程S160とを含む。以下、各工程について説明する。
【0071】
(前処理工程S110について)
前処理工程S110は、光学部材の基材500(
図5参照)の表面の濡れ性を向上させる処理を行う工程である。基材500は、例えば、各種ガラス、ポリカーボネート(PC)ポリエチレンテレフタラート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)で構成されることが好ましい。前処理工程S110では、例えば、基材500の表面に対し、エキシマ照射処理、UVオゾン処理、コロナ処理、加熱処理等を行う。エキシマ照射処理を行う場合、172nmの波長の光を基材500の表面に照射することが好ましい。これにより、基材500の表面の濡れ性を短時間で向上させることができる。なお、前処理工程S110は、省略可能である。
【0072】
(プライマー塗布工程S120)
プライマー塗布工程S120は、光学部材の基材500の表面にプライマーを塗布する工程である。プライマーは、基材500と、未硬化の樹脂組成物600(
図5参照)との密着性を向上させる。プライマーは、例えば、シラン化合物等のカップリング剤である。プライマー塗布工程S120では、スピンコート、加熱下蒸気処理(vapor処理)、刷毛塗り、ディップコート、スプレーコート等によって、基材500の表面にプライマーを塗布する。そして、表面にプライマーが塗布された基材500を、所定温度で所定時間加熱する。なお、プライマー塗布工程S120は、省略可能である。
【0073】
(樹脂供給工程S130について)
樹脂供給工程S130は、光学部材の基材500の表面に、未硬化の樹脂組成物600を供給する工程である。未硬化の樹脂組成物600は、25℃において、10cP以上の粘度を有してもよい。未硬化の樹脂組成物600は、25℃において、1000cP以下の粘度を有してもよい。未硬化の樹脂組成物600は、25℃において、10cP以上、1000cP以下の粘度を有することが好ましい。なお、1cpは、1mPa・sに換算できる。
【0074】
未硬化の樹脂組成物600は、透明な有機材料であることが好ましい。未硬化の樹脂組成物600は、特に限定されず、公知の有機材料を用いることができる。例えば、透明性を確保でき、製造容易性に優れる点から、未硬化の樹脂組成物600は、各種の熱硬化性樹脂、各種の紫外線硬化性樹脂等の硬化性樹脂と、硬化開始剤とで構成されることが好ましい。
【0075】
硬化性樹脂は、エポキシ重合性化合物、アクリル重合性化合物等を用いることができる。エポキシ重合性化合物は、分子内に1つ又は2つ以上のエポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、又はプレポリマーである。エポキシ重合性化合物としては、各種ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型、F型等)、ノボラック型エポキシ樹脂、ゴム、ウレタン等の各種変性エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、これらのプレポリマー等が挙げられる。
【0076】
アクリル重合性化合物は、分子内に1つ又は2つ以上のアクリル基を有するモノマー、オリゴマー、又はプレポリマーである。ここで、モノマーは、さらに分子内にアクリル基を1つ有する単官能モノマー、分子内にアクリル基を2つ有する二官能モノマー、分子内にアクリル基を3つ以上有する多官能モノマーに分類される。
【0077】
「単官能モノマー」としては、例えば、カルボン酸類(アクリル酸等)、ヒドロキシ類(2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート)、アルキル又は脂環類のモノマー(イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート)、その他機能性モノマー(2-メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、2-(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-パーフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピル-アクリレート、2-(パーフルオロデシル)エチル-アクリレート、2-(パーフルオロ-3-メチルブチル)エチルアクリレート)、2,4,6-トリブロモフェノールアクリレート、2,4,6-トリブロモフェノールメタクリレート、2-(2,4,6-トリブロモフェノキシ)エチルアクリレート)、2-エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。
【0078】
「二官能モノマー」としては、例えば、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、トリメチロールプロパン-ジアリルエーテル、ウレタンジアクリレートなどが挙げられる。
「多官能モノマー」としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートなどが挙げられる。
【0079】
上記で列挙したアクリル重合性化合物以外の例としては、アクリルモルフォリン、グリセロールアクリレート、ポリエーテル系アクリレート、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルカプロラクタム、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、脂肪族ウレタンオリゴマー、ポリエステルオリゴマー等が挙げられる。
【0080】
また、上述した硬化性樹脂の硬化開始剤としては、例えば、熱硬化開始剤、光硬化開始剤等が挙げられる。硬化開始剤は、熱、光以外の何らかのエネルギー線(例えば電子線)等によって硬化するものであってもよい。硬化開始剤が熱硬化開始剤である場合、硬化性樹脂は熱硬化性樹脂であり、硬化開始剤が光硬化開始剤であり場合、硬化性樹脂は光硬化性樹脂である。
【0081】
これらの中でも、硬化開始剤として、紫外線硬化開始剤を用いることが好ましい。紫外線硬化開始剤は、光硬化開始剤の一種である。紫外線硬化開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。したがって、硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂であることが好ましい。また、透明性の観点から、硬化性樹脂は、紫外線硬化性アクリル樹脂であることがより好ましい。
【0082】
また、未硬化の樹脂組成物600は、硬化性樹脂および硬化開始剤に加えて、他の添加剤を含んでもよい。他の添加剤は、例えば、酸化防止剤、蛍光体、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、揺変剤、重合禁止剤、離型剤、金属酸化物の粒子等である。
【0083】
図6に示すように、本実施形態では、樹脂供給工程S130において、光学部材の基材500の表面に、第1の量の未硬化の樹脂組成物600の液滴600Aを付着させるともに、金型10のフィルムモールド16の表面にも、第1の量よりも少ない第2の量の未硬化の樹脂組成物600の液滴600Bを付着させる。
【0084】
(転写工程S140について)
転写工程S140は、金型10のフィルムモールド16が有する微細凹凸構造を未硬化の樹脂組成物600に転写する工程である。
【0085】
図7に示すように、本実施形態では、転写工程S140において、金型10と光学部材の基材500とを相互に近づけることにより、金型10のフィルムモールド16の表面に付着している未硬化の樹脂組成物600の液滴600Bと、光学部材の基材500の表面に付着している未硬化の樹脂組成物600の液滴600Aとを接触させる。上記のように、基材500の表面には、金型10のフィルムモールド16の表面よりも大量(例えば、10倍以上)の未硬化の樹脂組成物600の液滴600Aが付着されている。このため、転写工程S140において、金型10と光学部材の基材500とを相互に近づけることにより、まず、基材500の表面に付着された液滴600Aと、金型10のフィルムモールド16に付着された液滴600Bとが点接触することになる。
【0086】
その後、金型10と光学部材の基材500とを相互にさらに近づけて、金型10のフィルムモールド16と光学部材の基材500との間に未硬化の樹脂組成物600を押し広げる。これにより、
図8に示すように、金型10のフィルムモールド16と、光学部材の基材500との間に、未硬化の樹脂組成物600の層610(以下、「未硬化樹脂層610」という。)が形成される。
【0087】
また、未硬化樹脂層610の厚みの均一化の観点から、転写工程S140において、金型10から未硬化の樹脂組成物600に印加される圧力は、13Pa以上であってもよく、好ましくは、20Pa以上である。転写工程S140において、金型10から未硬化の樹脂組成物600に印加される圧力は、2200Pa以下であってもよく、好ましくは、2000Pa以下であり、より好ましくは、40Pa以下である。転写工程S140において、金型10から未硬化の樹脂組成物600に印加される圧力は、13Pa以上、2200Pa以下であることが好ましく、20Pa以上、2000Pa以下であることがより好ましく、20Pa以上、40Pa以下であることがさらに好ましい。
【0088】
また、装置構成の簡素化の観点から、転写工程S140において、金型10の自重によってフィルムモールド16が未硬化の樹脂組成物600に対して押圧されて、微細凹凸構造が未硬化の樹脂組成物600に転写されることが好ましい。
【0089】
(硬化工程S150)
硬化工程S150は、微細凹凸構造が転写された未硬化樹脂層610を硬化させる工程である。未硬化の樹脂組成物600を構成する硬化性樹脂が光硬化性樹脂である場合、硬化工程S150では、未硬化樹脂層610に光(例えば、紫外線)を照射する。また、未硬化の樹脂組成物600を構成する硬化性樹脂が熱硬化性樹脂である場合、硬化工程S150では、未硬化樹脂層610を加熱する。
【0090】
(剥離工程S160)
剥離工程S160は、硬化工程S150を行うことによって硬化した硬化樹脂層710から、金型10を剥離する工程である。
【0091】
このように、前処理工程S110、プライマー塗布工程S120、樹脂供給工程S130、転写工程S140、硬化工程S150、および、剥離工程S160を行うことにより、
図9に示す、微細凹凸構造710aを有する硬化樹脂層710が基材500に積層された光学部材700が製造される。光学部材700は、例えば、モスアイ構造を有する反射防止フィルム、マイクロレンズ構造を有する光拡散素子、回折光学素子である。
【0092】
<3.効果>
上記のように、本実施形態に係る光学部材の製造方法に用いられる金型10は、0.5mm以上の厚み、および、90度以上のショアA硬度を有する金型基板12を備える。これにより、転写工程S140において、金型10と基材500との間の未硬化の樹脂組成物600に印加される圧力を面内で均一にすることができる。このため、金型10によって未硬化の樹脂組成物600を押し広げた際に未硬化樹脂層610の厚み(層厚)のバラツキを低減することが可能となる。したがって、硬化樹脂層710の平坦性を良好とすることができ、硬化樹脂層710に転写された微細凹凸構造に起因する光学特性の低下を抑制することが可能となる。なお、平坦性とは、層の厚み(層厚)の均一性を意味する。このため、層の平坦性が良好であるとは、層の厚みのバラツキが小さいことを意味する。
【0093】
例えば、本実施形態に係る光学部材700を、イメージセンサやセンシングカメラのカバーガラスとして採用した場合に、カバーガラスを通じてセンサに到達する被写体の輪郭がぼやけてしまう事態を回避でき、像面の歪みの発生を防止することが可能となる。したがって、センサによる誤検出を回避することが可能となる。
【0094】
また、未硬化樹脂層610の厚みのバラツキを低減できるため、剥離工程S160において、硬化樹脂層710から金型10を剥離する際に印加される剥離力を、硬化樹脂層710の面内において均一にすることが可能となる。したがって、硬化樹脂層710の一部が基材500から剥離してしまう事態を回避することができる。このため、剥離した硬化樹脂層710の一部の金型10へ残留してしまうことを抑制することができ、金型10を繰り返し利用することが可能となる。また、上記剥離力を硬化樹脂層710の面内において均一にすることができるため、剥離工程S160において、金型10を剥離する際に、硬化樹脂層710に転写された微細凹凸構造710aが変形してしまう事態を回避することが可能となる。このため、硬化樹脂層710に転写された微細凹凸構造710aに起因する光学特性の低下を抑制することができる。
【0095】
また、上記のように、本実施形態に係る光学部材の製造方法に用いられる金型10は、金型基板12と、粘着フィルム14と、微細凹凸構造16aを有するフィルムモールド16とがこの順で積層された積層構造を有する。このように、金型基板12とフィルムモールド16との間に粘着フィルム14が設けられることにより、転写工程S140において、金型10と基材500との間の未硬化の樹脂組成物600に印加される圧力を面内でより均一にすることができる。
【0096】
また、上記のように、本実施形態に係る光学部材の製造方法に用いられる金型10の粘着フィルム14は、両面に粘着性を有するフィルムであり、粘着フィルム14のフィルムモールド16側の面14aの粘着力は、金型基板12側の面14bの粘着力より小さい。これにより、粘着フィルム14に金型基板12を保持させたまま、粘着フィルム14からフィルムモールド16を容易に引き剥がすことができる。したがって、フィルムモールド16の交換を容易に行うことが可能となる。
【0097】
また、上記のように、本実施形態に係る光学部材の製造方法に用いられる金型10は、フィルムモールド16を有する。これにより、大面積の基材500に対し、微細凹凸構造16aを容易に転写することができる。また、フィルムモールド16は、生産性に優れるため、金型10がフィルムモールド16を有することにより、光学部材700を低コストで製造することが可能となる。
【0098】
また、上記のように、本実施形態に係る光学部材の製造方法に用いられる金型10の金型基板12は、柔軟性を有しないことが好ましい。これにより、転写工程S140において、金型10によって未硬化の樹脂組成物600を押し広げた際に未硬化樹脂層610の厚みのバラツキをより低減することが可能となる。
【0099】
また、上記のように、本実施形態に係る光学部材の製造方法に用いられる金型10の粘着フィルム14のフィルムモールド16側の面14aは、再剥離性および再貼付性を有することが好ましい。これにより、フィルムモールド16の交換をより容易に行うことが可能となる。
【0100】
また、上記のように、本実施形態に係る光学部材の製造方法の転写工程S140において、金型10から未硬化の樹脂組成物600に印加される圧力は、13Pa以上、2200Pa以下であることが好ましい。これにより、転写工程S140において、金型10によって未硬化の樹脂組成物600を押し広げた際に未硬化樹脂層610の厚みのバラツキをより低減することが可能となる。
【0101】
また、上記のように、本実施形態に係る光学部材の製造方法の転写工程S140において、金型10の自重によってフィルムモールド16が未硬化の樹脂組成物600に対して押圧されて、微細凹凸構造16aが未硬化の樹脂組成物600に転写されることが好ましい。これにより、転写工程S140において、金型10に圧力を印加するため専用の装置が不要となり、装置構成を簡素化できる。したがって、転写工程S140に要するコストを削減することができる。
【0102】
また、上記のように、本実施形態に係る光学部材の製造方法において用いられる未硬化の樹脂組成物600は、25℃において、10cP以上、1000cP以下の粘度を有することが好ましい。これにより、転写工程S140において、未硬化の樹脂組成物600を押し広げた際の、フィルムモールド16の微細凹凸構造16aへの未硬化の樹脂組成物600の追従性を向上させることができる。したがって、転写工程S140において、未硬化の樹脂組成物600に対し、フィルムモールド16の微細凹凸構造16aを満遍なく転写することが可能となる。また、転写工程S140において、未硬化の樹脂組成物600への気泡の混入を抑制することができる。これにより、硬化樹脂層710において、微細凹凸構造710aの一部が気泡によって途切れてしまう事態を回避することが可能となる。
【0103】
また、上記のように、本実施形態に係る光学部材の製造方法の樹脂供給工程S130において、光学部材の基材500の表面に、第1の量の未硬化の樹脂組成物600の液滴600Aを付着させるともに、金型10のフィルムモールド16の表面にも、第1の量よりも少ない第2の量の未硬化の樹脂組成物600の液滴600Bを付着させ、転写工程S140において、金型10と光学部材の基材500とを相互に近づけることにより、金型10のフィルムモールド16の表面に付着している未硬化の樹脂組成物600の液滴600Bと、光学部材の基材500の表面に付着している未硬化の樹脂組成物600の液滴600Aとを接触させた後に、金型10のフィルムモールド16と光学部材の基材500との間に未硬化の樹脂組成物600を押し広げることが好ましい。これにより、転写工程S140において、まず、フィルムモールド16と基材500の間で樹脂組成物600の液滴600Aと液滴600Bを点接触させ(
図7参照。)、その後、液滴600Aと液滴600Bの接触範囲を徐々に広げながら、両者を一体化させて、フィルムモールド16と基材500の間に、未硬化の樹脂組成物600を押し広げることができる(
図8参照。)。これにより、未硬化の樹脂組成物600への気泡の混入をより抑制することができる。したがって、硬化樹脂層710において、微細凹凸構造710aの一部が気泡によって途切れてしまう事態を回避することが可能となる。
【0104】
また、上記のように、本実施形態に係る光学部材の製造方法で用いられる金型10の金型基板12の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVは、4.1λ未満であることが好ましく、1.0λ未満であることがより好ましい。これにより、転写工程S140において、金型10によって未硬化の樹脂組成物600を押し広げた際に未硬化樹脂層610の厚みのバラツキをより低減することが可能となる。
【0105】
また、上記のように、本実施形態に係る光学部材の製造方法で用いられる金型10の金型基板12の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsは、1.1λ未満であることが好ましく、0.2λ未満であることがより好ましい。これにより、転写工程S140において、金型10によって未硬化の樹脂組成物600を押し広げた際に未硬化樹脂層610の厚みのバラツキをより低減することが可能となる。
【0106】
また、本実施形態に係る光学部材の製造方法によって製造された光学部材700の硬化樹脂層710は、バラツキの少ない厚みを有する。これにより、光学部材700は、硬化樹脂層710に転写された微細凹凸構造710aに起因する、高い光学特性を有することができる。
【実施例0107】
次に、本発明の実施例について説明する。ただし、以下に説明する実施例は、上述した本実施形態に係る光学部材の製造方法、インプリント用の金型、および、光学部材の構成や効果等を説明するために例示される具体例であり、本発明が、以下の実施例に限定されるものではない。
【0108】
実施例1~6、および、比較例1~2の金型10を作成した。また、実施例1~6、および、比較例1~2の金型10を用いて光学部材700を作成した。
【0109】
まず、光学部材の基材500を、エタノールが浸漬された布で払拭し、次いで乾いた布で払拭した。さらに、光学部材の基材500をエアーガンでブローして乾燥させた。そして、前処理工程S110では、光学部材の基材500に対し、エキシマ照射処理を1分間行った。プライマー塗布工程S120では、信越化学工業株式会社製の「シランKBM-5103」をスピンコートによって、光学部材の基材500の表面に塗布した。そして、表面にプライマーが塗布された基材500を、150℃で5分間加熱した。樹脂供給工程S130では、未硬化の樹脂組成物600として、中国塗料株式会社製の「アクリル系紫外線硬化樹脂AS08」および光硬化開始剤の混合物を用いた。また、樹脂供給工程S130では、武蔵エンジニアリング株式会社製のディスペンサーを用いて、光学部材の基材500の表面に65mgの未硬化の樹脂組成物600を供給し、金型10のフィルムモールド16の表面に5mgの未硬化の樹脂組成物600を供給した。樹脂供給工程S130において、ディスペンサーの吐出圧力は、0.03MPaとし、1滴/秒で未硬化の樹脂組成物600を供給した。硬化工程S150では、アイグラフィック株式会社製の「UVコンベア装置ECS-4010X」を用い、積算光量が2000mJ/cm2となるように紫外線を照射した。そして、剥離工程S160を行い、実施例1~6、比較例1~2の光学部材を作成した。
【0110】
また、実施例1~6、および、比較例1~2の金型10に用いた金型基板12のショアA硬度を測定した。ショアA硬度は、株式会社ミツトヨ製の「HARDMATIC HH-332(TypeA)」を用いて測定した。
【0111】
実施例1~6、および、比較例1~2の金型10に用いた金型基板12の透過波面収差、ならびに、実施例1~6、および、比較例1~2の光学部材700の透過波面収差を測定した。透過波面収差は、Zygo Corporation製のレーザー干渉計「Verifire(登録商標) 6」を用いて測定した。レーザーの波長λは、633nmとし、レーザーの出力は、3mWとした。また、解析エリアを30mm×30mm方形とした。そして、Zygo Corporation製のレーザー干渉計「Verifire(登録商標) 6」を用いた透過波面収差の測定結果に基づいて、金型基板12の透過波面収差の最大値と最小値との差分PV、金型基板12の透過波面収差の二乗平均偏差Rms、光学部材700の透過波面収差の最大値と最小値との差分PV、および、光学部材700の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsを算出した。
【0112】
実施例1~6、および、比較例1~2の金型基板12のショアA硬度、金型基板12の透過波面収差の最大値と最小値との差分PV、金型基板12の透過波面収差の二乗平均偏差Rms、光学部材700の透過波面収差の最大値と最小値との差分PV、および、光学部材700の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsは、下記表1に示される。
【0113】
【0114】
[実施例1]
表1に示すように、実施例1の金型10において、金型基板12の材質をポリメチルメタクリレート(PMMA)とした。PMMAの金型基板12として、三菱ケミカル株式会社製の「アクリライト(登録商標)」を用いた。金型基板12の厚みは、2.0mmとした。粘着フィルム14として、フジコピアン株式会社製の「FIXFILM(登録商標) HGA2」を用いた。フィルムモールド16の可撓性基材410として、厚み125μmのポリエチレンテレフタラート(PET)を用いた。また、フィルムモールド16が有する微細凹凸構造16aは、モスアイ構造とした。
【0115】
また、転写工程S140では、金型10の自重によって、フィルムモールド16の微細凹凸構造16aを未硬化の樹脂組成物600に転写した。転写工程S140において、金型10から未硬化の樹脂組成物600に印加された圧力は、25.7Paであった。
【0116】
実施例1では、金型基板12のショアA硬度は、95.4であった。
【0117】
また、実施例1では、金型基板12の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVは、0.831であり、金型基板12の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsは、0.194であった。したがって、実施例1の金型基板12は、非常に良好な平坦性を有することが確認された。
【0118】
また、実施例1では、光学部材700の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVは、4.319λであり、光学部材700の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsは、0.828λであった。
【0119】
以上の結果から、実施例1の金型10は、粘着フィルム14を有し、また、金型基板12は、0.5mm以上の厚み、および、90度以上のショアA硬度を有し、さらに、非常に良好な平坦性を有するため、実施例1の光学部材700は、非常に良好な平坦性を有することが確認された。
【0120】
[実施例2]
表1に示すように、実施例2の金型10において、金型基板12の材質を白板ガラスとした。白板ガラスの金型基板12として、松浪硝子工業株式会社製の「標準大型白縁磨」を用いた。金型基板12の厚みは、1.1mmとした。粘着フィルム14およびフィルムモールド16は、実施例1と同一である。
【0121】
また、転写工程S140では、金型10の自重によって、フィルムモールド16の微細凹凸構造16aを未硬化の樹脂組成物600に転写した。転写工程S140において、金型10から未硬化の樹脂組成物600に印加された圧力は、28.8Paであった。
【0122】
実施例2では、金型基板12のショアA硬度は、97.8であった。
【0123】
また、実施例2では、金型基板12の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVは、4.064であり、金型基板12の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsは、1.025であった。したがって、実施例2の金型基板12は、良好な平坦性を有することが確認された。
【0124】
また、実施例2では、光学部材700の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVは、6.595λであり、光学部材700の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsは、1.012λであった。
【0125】
以上の結果から、実施例2の金型10は、粘着フィルム14を有し、また、金型基板12は、0.5mm以上の厚み、および、90度以上のショアA硬度を有し、さらに、良好な平坦性を有するため、実施例2の光学部材700は、良好な平坦性を有することが確認された。
【0126】
[実施例3]
表1に示すように、実施例3の金型10において、金型基板12の材質を水板ガラスとした。水板ガラスの金型基板12として、松浪硝子工業株式会社製の「標準大型水切放」を用いた。金型基板12の厚みは、1.3mmとした。粘着フィルム14およびフィルムモールド16は、実施例1と同一である。
【0127】
また、転写工程S140では、金型10の自重によって、フィルムモールド16の微細凹凸構造16aを未硬化の樹脂組成物600に転写した。転写工程S140において、金型10から未硬化の樹脂組成物600に印加された圧力は、32.8Paであった。
【0128】
実施例3では、金型基板12のショアA硬度は、96.3であった。
【0129】
また、実施例3では、金型基板12の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVは、0.203であり、金型基板12の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsは、0.036であった。したがって、実施例3の金型基板12は、極めて良好な平坦性を有することが確認された。
【0130】
また、実施例3では、光学部材700の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVは、1.518λであり、光学部材700の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsは、0.316λであった。
【0131】
以上の結果から、実施例3の金型10は、粘着フィルム14を有し、また、金型基板12は、0.5mm以上の厚み、および、90度以上のショアA硬度を有し、さらに、極めて良好な平坦性を有するため、実施例3の光学部材700は、極めて良好な平坦性を有することが確認された。
【0132】
[実施例4]
表1に示すように、実施例4の金型10は、実施例3の金型10と同一である。実施例4では、実施例3とは異なり、転写工程S140において、金型10に加重を追加した。実施例4の転写工程S140において、金型10から未硬化の樹脂組成物600に印加された圧力は、2151.0Paであった。
【0133】
実施例4では、光学部材700の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVは、11.148λであり、光学部材700の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsは、1.494λであった。
【0134】
以上の結果から、実施例4では、実施例3と比較して、転写工程S140において、金型10から未硬化の樹脂組成物600に印加された圧力が高いため、実施例4の光学部材700の平坦性が、実施例3よりも低下したと推測される。
【0135】
[実施例5]
表1に示すように、実施例5の金型10において、金型基板12の材質をポリカーボネート(PC)とした。PCの金型基板12として、エスカーボシート株式会社製の「テクノロイ(登録商標) C000」を用いた。金型基板12の厚みは、1.0mmとした。粘着フィルム14およびフィルムモールド16は、実施例1と同一である。
【0136】
また、転写工程S140では、金型10の自重によって、フィルムモールド16の微細凹凸構造16aを未硬化の樹脂組成物600に転写した。転写工程S140において、金型10から未硬化の樹脂組成物600に印加された圧力は、13.5Paであった。
【0137】
実施例5では、金型基板12のショアA硬度は、99.0であった。
【0138】
また、実施例5では、金型基板12の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVは、0.643であり、金型基板12の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsは、0.122であった。したがって、実施例5の金型基板12は、非常に良好な平坦性を有することが確認された。
【0139】
また、実施例5では、光学部材700の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVは、13.470λであり、光学部材700の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsは、2.462λであった。
【0140】
以上の結果から、実施例5の金型10は、粘着フィルム14を有し、また、金型基板12は、0.5mm以上の厚み、および、90度以上のショアA硬度を有し、さらに、非常に良好な平坦性を有するため、実施例5の光学部材700は、良好な平坦性を有することが確認された。
【0141】
[実施例6]
表1に示すように、実施例6の金型10は、実施例5の金型10と同一である。実施例6では、実施例5とは異なり、転写工程S140において、金型10に加重を追加した。実施例6の転写工程S140において、金型10から未硬化の樹脂組成物600に印加された圧力は、39.2Paであった。
【0142】
実施例6では、光学部材700の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVは、2.013λであり、光学部材700の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsは、0.386λであった。実施例6の光学部材700は、非常に良好な平坦性を有することが確認された。
【0143】
以上の結果から、実施例6では、実施例5と比較して、転写工程S140において、金型10から未硬化の樹脂組成物600に印加された圧力が高いため、実施例6の光学部材700の平坦性が、実施例5よりも向上したと推測される。
【0144】
[比較例1]
表1に示すように、比較例1の金型10において、金型基板12の材質をシリコーンとした。シリコーンの金型基板12として、株式会社エスケー製のシリコーンを用いた。金型基板12の厚みは、5.0mmとした。粘着フィルム14およびフィルムモールド16は、実施例1と同一である。
【0145】
また、転写工程S140では、金型10の自重によって、フィルムモールド16の微細凹凸構造16aを未硬化の樹脂組成物600に転写した。転写工程S140において、金型10から未硬化の樹脂組成物600に印加された圧力は、61.0Paであった。
【0146】
比較例1では、金型基板12のショアA硬度は、26.4であった。
【0147】
また、比較例1では、金型基板12の透過波面収差の最大値と最小値との差分PV、および、金型基板12の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsは、測定できなかった。したがって、比較例1の金型基板12は、非常に不良な平坦性を有することが確認された。つまり、比較例1の金型基板12の厚みは、非常に大きいバラツキを有することが確認された。
【0148】
また、比較例1では、光学部材700の透過波面収差の最大値と最小値との差分PV、および、光学部材700の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsについても測定できなかった。
【0149】
以上の結果から、比較例1の金型10の金型基板12は、極めて低いショアA硬度を有するため、比較例1の光学部材700は、非常に不良な平坦性を有することが確認された。つまり、比較例1の光学部材700の厚みは、非常に大きいバラツキを有することが確認された。
【0150】
[比較例2]
表1に示すように、比較例2の金型10において、金型基板12の材質およびフィルムモールド16は、実施例3と同一である。比較例2の金型10は、実施例3の金型10とは異なり、粘着フィルム14を備えない。
【0151】
比較例2では、実施例3と同様に、転写工程S140において、金型10の自重によって、フィルムモールド16の微細凹凸構造16aを未硬化の樹脂組成物600に転写した。
【0152】
比較例2では、光学部材700の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVは、22.296λであり、光学部材700の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsは、4.438λであった。
【0153】
以上の結果から、比較例2の金型10は、粘着フィルム14を有さないため、比較例2の光学部材700は、不良な平坦性を有することが確認された。つまり、比較例2の光学部材700の厚みは、大きいバラツキを有することが確認された。
【0154】
<金型基板12の平坦性と光学部材700の平坦性との関係についての検討>
図10は、実施例1~3、6の金型基板12の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVと、光学部材700の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVとの関係を示すグラフである。
図11は、実施例1~3、6の金型基板12の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsと、光学部材700の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsとの関係を示すグラフである。
図10中、横軸は、金型基板12の透過波面収差の最大値と最小値との差分PV[λ]を示し、縦軸は、光学部材700の透過波面収差の最大値と最小値との差分PV[λ]を示す。
図11中、横軸は、金型基板12の透過波面収差の二乗平均偏差Rms[λ]を示し、縦軸は、光学部材700の透過波面収差の二乗平均偏差Rms[λ]を示す。また、
図10、
図11において、白四角は実施例1を示し、黒四角は実施例2を示し、白丸は実施例3を示し、黒丸は実施例6を示す。
【0155】
図10に示すように、金型基板12の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVが小さいほど、光学部材700の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVも小さいことが確認された。また、金型基板12の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVが0.8λ未満であると、光学部材700の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVが3.0λ未満と小さくなることが確認された。
【0156】
図11に示すように、金型基板12の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsが小さいほど、光学部材700の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsも小さいことが確認された。また、金型基板12の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsが0.15λ未満であると、光学部材700の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsが0.6λ未満と小さくなることが確認された。
【0157】
<金型10から未硬化の樹脂組成物600に印加される圧力と光学部材700の平坦性との関係についての検討>
図12は、実施例1~3、5、6の金型10から未硬化の樹脂組成物600に印加される圧力と、光学部材700の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVとの関係を示すグラフである。
図13は、実施例1~3、5、6の金型10から未硬化の樹脂組成物600に印加される圧力と、光学部材700の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsとの関係を示すグラフである。
図12中、横軸は、印加圧力[Pa]を示し、縦軸は、光学部材700の透過波面収差の最大値と最小値との差分PV[λ]を示す。
図13中、横軸は、印加圧力[Pa]を示し、縦軸は、光学部材700の透過波面収差の二乗平均偏差Rms[λ]を示す。また、
図12、
図13において、白四角は実施例1を示し、黒四角は実施例2を示し、白丸は実施例3を示し、白三角は実施例5を示し、黒丸は実施例6を示す。
【0158】
図12に示すように、印加圧力が20Pa以上40Pa以下の範囲では、光学部材700の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVが10.0λ未満と小さくなることが確認された。また、印加圧力が30Pa以上40Pa以下の範囲では、光学部材700の透過波面収差の最大値と最小値との差分PVが2.1λ未満と極めて小さくなることが確認された。
【0159】
図13に示すように、印加圧力が20Pa以上40Pa以下の範囲では、光学部材700の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsが1.1λ未満であることが確認された。また、印加圧力が30Pa以上40Pa以下の範囲では、光学部材700の透過波面収差の二乗平均偏差Rmsが0.4λ未満と小さくなることが確認された。
【0160】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0161】
例えば、上記実施形態において、未硬化の樹脂組成物600として、紫外線硬化性樹脂、および、熱硬化性樹脂を例に挙げた。しかし、未硬化の樹脂組成物600は、例えば、溶媒乾燥硬化性樹脂、または、混合硬化性樹脂など、他の硬化性樹脂の組成物であってもよい。