(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099968
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】防災機器の設置確認システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240719BHJP
A62C 37/50 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G08B17/00 G
A62C37/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003630
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 康之
(72)【発明者】
【氏名】石田 高嗣
(72)【発明者】
【氏名】大野 真弘
【テーマコード(参考)】
2E189
5G405
【Fターム(参考)】
2E189HA03
5G405AA01
5G405AA08
5G405AD07
5G405CA22
5G405CA53
5G405EA41
(57)【要約】
【課題】防災機器及びその設置に関する知識が少ないユーザによる防災機器の設置を確認することのできる防災機器の設置確認システムを得る。
【解決手段】火災監視を行う防災機器が設置される室内を撮影する撮影部と、撮影部が撮影した画像内の室内における、防災機器の推奨設置位置及び非推奨設置位置を判定する撮影画像判定部と、撮影画像判定部の判定結果に基づいて、撮影部が撮影した画像と推奨設置位置及び非推奨設置位置のいずれか又は両方が重ねられた拡張現実画像を表示する表示部とを備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防災機器が設置される室内又は建物を撮影する撮影部と、
前記撮影部が撮影した画像内の前記室内における、防災機器の推奨設置位置及び非推奨設置位置を判定する撮影画像判定部と、
前記撮影画像判定部の判定結果に基づいて、前記撮影部が撮影した画像と前記推奨設置位置及び前記非推奨設置位置のいずれか又は両方が重ねられた拡張現実画像を表示する表示部とを備えた
防災機器の設置確認システム。
【請求項2】
前記撮影部が撮影した画像から防災機器を認識する防災機器認識部と、
認識された前記防災機器が、前記室内における当該防災機器の推奨設置条件を満たしているか否かを判定する設置条件判定部とを備え、
前記表示部は、前記撮影部が撮影した画像と前記設置条件判定部の判定結果とが重ねられた画像を表示する
請求項1記載の防災機器の設置確認システム。
【請求項3】
前記表示部は、前記設置条件判定部の判定結果に加えて、前記設置条件判定部が前記推奨設置条件を満たしていないと判断した原因に関する情報を表示する
請求項2記載の防災機器の設置確認システム。
【請求項4】
前記室内の三次元間取り図を取得する間取り図取得部と、
取得された前記三次元間取り図の前記室内における、前記防災機器の推奨設置位置及び非推奨設置位置を判定する間取り図判定部とを備え、
前記表示部は、前記間取り図判定部の判定結果に基づいて、前記間取り図取得部が取得した前記三次元間取り図と前記推奨設置位置及び前記非推奨設置位置のいずれか又は両方が重ねられた画像を表示する
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の防災機器の設置確認システム。
【請求項5】
前記撮影部が撮影した画像内の前記室内の用途を認識する室内認識部と、
前記室内認識部が認識した前記室内の用途に基づいて判定された、当該室内への設置が推奨される防災機器の種別を出力する出力部とを備えた
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の防災機器の設置確認システム。
【請求項6】
火災監視を行う防災機器が設置される室内の三次元間取り図を取得する間取り図取得部と、
取得された前記三次元間取り図の前記室内における、防災機器の推奨設置位置及び非推奨設置位置を判定する間取り図判定部と、
前記間取り図判定部の判定結果に基づいて、前記間取り図取得部が取得した前記三次元間取り図と前記推奨設置位置及び前記非推奨設置位置のいずれか又は両方が重ねられた画像を表示する表示部とを備えた
防災機器の設置確認システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災機器の設置確認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
火災又は地震等の災害の報知、避難又は初期対応など身を守るための防災機器又は設備として、消火栓等の消火設備、自動火災報知設備又は住宅用火災警報器等の警報設備、様々なものがある。防災機器等が設置された後においても、その防災機器等が災害時に適切に使用されるように、防災機器等の設置状況の適切さ及び防災機器の状態等を定期的に点検することが望まれる。
【0003】
各種防災機器の中には、消防法で定期点検が義務づけられているものがあり、例えば消火設備は、年2回の定期点検が義務づけられている。例えば特許文献1には、インターネット上の機器と通信接続可能なスマートメーターを備え、定期点検等に伴う設備動作の状況から設備の劣化度合等の状態を判定して報知可能とする消火設備の管理システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された消火設備は、建物の地下階等にあるポンプ室など、防災機器専用の場所に設置される。このような防災機器専用の場所は、設置される防災機器が予定する機能を十分に発揮できるように、場所の環境が維持されるのが一般的である。また、防災機器専用の場所は、一般の人が長時間滞在して生活又は業務を行う場所ではないため、人に起因する環境の変化も少ない。
【0006】
ところが、例えば火災感知器又は住宅用火災警報器等のように、家屋、マンション、オフィスビル、商業ビル、又はホテル等の室内に設置される防災機器もある。このような人が比較的長時間滞在して生活又は業務を行う場所においては、人の快適性向上などの防災以外の目的で、室内の家具又は家電等の設置環境を変化させることがある。そうすると、既設の防災機器の周囲の環境が変化することで、防災機器がその本来的な機能を発揮するにあたって不適切な状態になりうる。また、防災機器及びその設置に関する知識が少ないユーザにとっては、室内の適切な位置に防災機器を設置することが困難である。
【0007】
本発明は、上記のような課題を背景としてなされたものであり、防災機器及びその設置に関する知識が少ないユーザによる防災機器の設置を支援し、設置状況および設置場所の適否を確認することのできる防災機器の設置確認システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る防災機器の設置確認システムは、防災機器が設置される室内又は建物を撮影する撮影部と、前記撮影部が撮影した画像内の前記室内における、防災機器の推奨設置位置及び非推奨設置位置を判定する撮影画像判定部と、前記撮影画像判定部の判定結果に基づいて、前記撮影部が撮影した画像と前記推奨設置位置及び前記非推奨設置位置のいずれか又は両方が重ねられた拡張現実画像を表示する表示部とを備えたものである。
【0009】
また、本発明に係る他の防災機器の設置確認システムは、火災監視を行う防災機器が設置される室内の三次元間取り図を取得する間取り図取得部と、取得された前記三次元間取り図の前記室内における、防災機器の推奨設置位置及び非推奨設置位置を判定する間取り図判定部と、前記間取り図判定部の判定結果に基づいて、前記間取り図取得部が取得した前記三次元間取り図と前記推奨設置位置及び前記非推奨設置位置のいずれか又は両方が重ねられた画像を表示する表示部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、火災監視を行う防災機器が設置される室内の撮影画像に対して、防災機器の推奨設置位置及び非推奨設置位置が重ねられた、拡張現実画像をユーザに提供できる。このため、防災機器及びその設置に関する知識が少ないユーザにおいても、防災機器をより適切に設置することができる。
【0011】
また、本発明の他の防災機器の設置確認システムによれば、火災監視を行う防災機器が設置される室内の三次元間取り図に対して、防災機器の推奨設置位置及び非推奨設置位置が重ねられた画像をユーザに提供できる。このため、防災機器及びその設置に関する知識が少ないユーザにおいても、防災機器をより適切に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1に係る防災機器の設置確認システムの機能ブロック図及び表示例である。
【
図2】実施の形態2に係る防災機器の設置確認システムの機能ブロック図及び表示例である。
【
図3】実施の形態3に係る防災機器の設置確認システムの機能ブロック図である。
【
図4】実施の形態3に係る表示部の表示例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本発明は、以下の実施の形態に示す構成のうち、組合せ可能な構成のあらゆる組合せを含むものである。また、図面に示す装置は、本発明のシステムの一例を示すものであり、図面に示された装置によって本発明のシステムが限定されるものではない。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
【0014】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る防災機器の設置確認システム100の機能ブロック図及び表示例である。防災機器の設置確認システム100(以下、設置確認システム100と称する)は、火災監視を行う防災機器が設置される室内の画像に、防災機器の推奨設置位置又は非推奨設置位置のいずれか又は両方を重ねて拡張現実画像として表示する。ここで、防災機器は、実施例では、火災監視を行う火災感知器又は住宅用火災警報器(以下、住警器)を用いて説明するが、他の防災機器として、室内の天井などに設置されるスプリンクラーヘッド、室内又は建物内に設置される消火器等であってもよい。
【0015】
設置確認システム100は、撮影部1と、画像認識部2と、撮影画像判定部3と、防災機器認識部4と、設置条件判定部5と、室内認識部6と、推奨機器判定部7と、記憶部8と、表示部10とを備える。
【0016】
撮影部1は、防災機器が設置される室内を撮影して動画データを作成するカメラ装置である。撮影部1は、スマートフォン、タブレット又は携帯ゲーム機等の携帯端末に内蔵されたカメラ装置であってもよいし、携帯端末又はパソコンに接続されるカメラモジュールであってもよい。ユーザが撮影部1の撮影方向を調整して室内を複数方向から撮影することで、室内の広範囲の画像が動画データとして作成される。
【0017】
画像認識部2は、撮影部1が撮影した動画データを構成する画像に対して画像認識を行うことで、室内の天井及び壁面等の構造、並びに防災機器、照明、家具、及びエアコン等の室内の物体を抽出する。画像認識部2は、動画データを構成する画像に含まれる物の輪郭を識別する公知の抽出技術を用いることによって、室内の構造及び物体を抽出する。
【0018】
さらに、画像認識部2は、機械学習によって室内の構造及び物体の抽出を行ってもよい。例えば、画像認識部2は、記憶部8に記憶された学習用データを用いた画像認識モデルにより、室内の構造及び物体の抽出を行う。画像認識部2は、学習済みの画像認識モデルを有しており、撮影部1によって撮影された動画データの画像が入力されると、画像認識モデルを用いて画像に含まれる室内の構造及び物体を認識する。また、画像認識部2は、撮影部1によって撮影された画像を学習用データとして記憶部8に記憶させて新たな教師データとし、画像認識モデルを更新する。また、画像認識部2において、誤抽出があった場合、つまり、室内の構造及び物体が正しく抽出されない場合、又は存在する構造及び物体が抽出されない場合は、表示部10上でユーザが該当の構造及び物体を選択し、正しい結果を入力することが可能である。この結果も学習用データとして記憶部8に記憶させることで新たな教師データとすることができる。
【0019】
図1では、撮影部1によって撮影された現実空間A1の画像を例示している。現実空間A1には、天井A2、壁面A3、住警器である防災機器A4、エアコンA5、及びタンスA6がある。画像認識部2は、現実空間A1の画像に含まれる室内の構造及び物体のそれぞれを抽出する。
【0020】
撮影画像判定部3は、画像認識部2によって認識された画像における室内の構造及び物体に基づいて、当該室内における、防災機器の推奨設置位置及び非推奨設置位置を判定する。ここで、室内に取り付けられる防災機器に対しては、消防法又は市町村等の条例により、取り付け場所及び位置が定められている。例えば住警器は、天井又は壁面に取り付けるよう定められている。住警器が天井に取り付けられる場合には、壁面又は梁から住警器までの距離、照明機器又は加熱調理器具などの熱源から住警器までの距離、若しくはエアコンなどの空気吹出口から住警器までの距離が定められている。また、住警器が壁面に取り付けられる場合には、天井から住警器までの距離が定められている。さらに、ガレージ内の粉塵等の火災に依らない煙が多く発生する場所、浴室等の水又は水蒸気が多く発生する場所、又はタンス等の家具の真上への住警器の設置も避ける必要がある。火災感知器についても同様に、取り付けに関する種々の定めがある。
【0021】
撮影画像判定部3は、画像認識部2が認識した画像内の室内の構造及び物体と、記憶部8に予め記憶された防災機器の設置条件とに基づいて、室内の領域のうち当該設置条件を満たす部分を推奨設置位置と判定し、満たさない部分を非推奨設置位置と判定する。撮影画像判定部3は、防災機器の設置位置に関する推奨度合いを複数段階で判定してもよい。撮影画像判定部3は、煙感知器又は熱感知器などの防災機器の種別毎に記憶部8に記憶された設置条件に基づいて、防災機器の種別毎に推奨設置位置及び非推奨設置位置を判定してもよい。
【0022】
防災機器認識部4は、画像認識部2によって認識された画像における室内の防災機器を抽出する。さらに防災機器認識部4は、画像認識部2によって抽出された防災機器の輪郭及び色彩等の情報と、記憶部8に予め記憶された当該情報と防災機器の種類との対応関係に基づいて、抽出した防災機器の種類を認識する。例えば、防災機器認識部4は、画像に含まれる防災機器が、煙感知器又は熱感知器等のいずれに該当するかを認識する。
【0023】
設置条件判定部5は、防災機器認識部4が認識した防災機器が、当該防災機器の推奨設置条件を満たしているか否かを判定する。記憶部8には、感知器又は住警器等の設置される防災機器の大きさ、及び防災機器ごとの推奨設置条件が予め記憶されている。設置条件判定部5は、記憶部8に記憶された防災機器の大きさを基に、防災機器から天井又は壁面等の設置場所までの距離を演算する機能を備え、認識した防災機器が、画像の室内における推奨設置条件に合致するか否かを判定する。例えば、認識された防災機器が住警器である場合、天井からの距離、壁面からの距離、エアコンからの距離、及びタンスからの距離が、それぞれ推奨設置条件の範囲内にあるか否かを判定する。設置条件判定部5は、対象の防災機器について判定した推奨設置条件ごとに、その判定結果を保持し、この判定結果は後述する表示部10による表示に利用される。
【0024】
室内認識部6は、画像認識部2によって認識された画像における室内の用途を認識する。室内の用途とは、例えば、キッチン、リビング、寝室、オフィス、店舗等である。具体的には、記憶部8は、家具及び家電等の室内に設置されうる物体それぞれに対し、キッチン、リビング、又は寝室等の室内の用途との関連度合いを室内認識テーブルとして記憶している。例えば、電子レンジに対しては、キッチンとの関連度合い大、リビングとの関連度合い中、寝室との関連度合いなし、といったように、物体と室内の用途との関連の有無をその程度とともに記憶している。室内認識部6は、画像認識部2によって認識された室内の物体それぞれの、室内の各用途との関連度合いを足し合わせることで、室内の用途を認識する。
【0025】
推奨機器判定部7は、室内認識部6が認識した室内の用途に基づいて、当該室内への設置が推奨される防災機器の種別を判定する。記憶部8は、室内の用途と、推奨される防災機器の種別とを対応づけた用途機器テーブルを記憶しており、推奨機器判定部7は、用途機器テーブルに基づいて推奨される防災機器を抽出する。例えば、室内の用途がキッチンであれば、料理の湯気等による誤報を防ぐため熱式の住警器が推奨する防災機器として抽出される。
【0026】
表示部10は、撮影画像判定部3、設置条件判定部5及び推奨機器判定部7による判定結果をユーザに表示する。表示部10は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等のディスプレイを含む。表示部10は、スマートフォン、タブレット、携帯ゲーム機等の携帯端末に装備されていてもよいし、パソコンのディスプレイ又はヘッドマウントディスプレイであってもよい。
【0027】
記憶部8は、上述した各種情報を記憶する。記憶部8は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリである。記憶部8は、画像認識部2、撮影画像判定部3、防災機器認識部4、設置条件判定部5、室内認識部6、及び推奨機器判定部7によってデータの書き込み及び読み出しが行われる。なお、各機能部が使用する記憶部8の記憶領域は、それぞれ独立したハードウェアであってもよい。
【0028】
画像認識部2、撮影画像判定部3、防災機器認識部4、設置条件判定部5、室内認識部6、及び推奨機器判定部7は、1又は複数の処理回路によって実現される。処理回路は、メモリと、当該メモリに格納されるプログラムを実行する中央処理装置(CPU)、MPU(Micro Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとを含む。画像認識部2、撮影画像判定部3、防災機器認識部4、設置条件判定部5、室内認識部6、及び推奨機器判定部7の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。画像認識部2、撮影画像判定部3、防災機器認識部4、設置条件判定部5、室内認識部6、及び推奨機器判定部7が複数の処理回路によって実現される場合、各処理回路は物理的に異なる場所に分散配置されていてもよいし、1台のサーバ等の装置に実装されていてもよい。撮影部1及び表示部10を備えた携帯端末と通信接続された装置に、画像認識部2、撮影画像判定部3、防災機器認識部4、設置条件判定部5、室内認識部6、及び推奨機器判定部7を実現する処理回路が実装されていてもよい。
【0029】
図1では、表示部10の表示例として拡張現実画像B1を示している。拡張現実画像B1は、撮影部1によって撮影された現実空間画像B3に推奨設置位置B2が重ねられた画像である。現実空間画像B3は、撮影部1の撮影対象に応じてリアルタイムに更新表示される。推奨設置位置B2は、撮影画像判定部3によって判定された、防災機器の推奨設置位置である。
図1の例では、防災機器の設置が推奨される位置の集合体である領域が、推奨設置位置B2として網掛け表示されている。現実空間画像B3のうち、推奨設置位置B2が表示されていない領域は、撮影された現実空間がそのまま表示されており、当該領域が非推奨設置位置である。なお、表示部10は、推奨設置位置B2の表示に代えて非推奨設置位置を現実空間画像B3に重ねて表示してもよいし、推奨設置位置と非推奨設置位置の両方を現実空間画像B3に重ねて表示してもよい。また、撮影画像判定部3が防災機器の設置位置の推奨度合いを複数段階に分けて判定する場合には、その推奨度合いに応じて推奨設置位置B2の表示を異ならせてもよい。また、撮影画像判定部3が防災機器の種別毎に推奨設置位置及び非推奨設置位置を判定する場合には、複数の種別のうちユーザによって選択された防災機器の情報を表示してもよい。推奨設置位置及び非推奨設置位置は、例えば図形、画像、文字、及び色彩等、現実空間と視覚的に区別できるいずれか1つ以上によって、表示される。
【0030】
また、
図1の拡張現実画像B1には、判定結果表示B4が、現実空間画像B3に重ねて表示されている。判定結果表示B4は、設置条件判定部5によって判定された、防災機器が推奨設置条件を満たしているか否かの判定結果である。
図1の例では、判定結果表示B4は、住警器が推奨設置条件を満たしていないことを判定結果として表示している。防災機器が推奨設置条件を満たしている場合には、その旨が判定結果表示B4によって表示される。判定結果表示B4は、
図1の例では文字と画像の組み合わせであるが、図形、画像、文字、及び色彩等のいずれか又はこれらの組み合わせによる任意の表示態様が採用されうる。
【0031】
また、
図1の拡張現実画像B1には、判定原因表示B5が、現実空間画像B3に重ねて表示されている。判定原因表示B5は、設置条件判定部5が、防災機器において推奨設置条件を満たしていないと判断した原因に関する情報である。
図1の例では、判定原因表示B5は、防災機器A4と、天井A2と、壁面A3と、タンスA6とに重ねられた図形である。この例では、天井A2に設置された防災機器A4は、壁面A3から定められた距離だけ離れておらず、かつタンスA6の真上に設置されており、この2点において推奨設置条件を満たしていない。このため、これら原因となる構造又は物体に重ねて、判定原因表示B5が表示されている。なお、判定原因表示B5は、
図1の例では図形であるが、図形、画像、文字、及び色彩等のいずれか又はこれらの組み合わせによる任意の表示態様が採用されうる。また、
図1では、判定結果表示B4と判定原因表示B5とを別の表示アイテムとして表示した例を示すが、これらは単一の表示アイテムとして表示されてもよい。例えば、
図1の判定結果表示B4の文字を、「天井の住警器が、壁からの距離が近すぎ、かつタンスの真上にあるため、設置条件を満たしていません」のように判定結果と原因の両方を示すものとして表示してもよい。
【0032】
図1には図示しないが、拡張現実画像B1には、推奨機器判定部7によって判定された当該室内への設置が推奨される防災機器の種別が表示されてもよい。あるいは、拡張現実画像B1とは別に、設置が推奨される防災機器の種別が表示部10に表示されてもよい。例えば、「寝室には煙式の住宅用火災警報器の設置が推奨されます」などの文字を表示部10が表示する。
【0033】
以上のように、本実施の形態の設置確認システム100は、防災機器が設置される室内又は建物を撮影する撮影部1と、撮影部1が撮影した画像内の室内における、防災機器の推奨設置位置及び非推奨設置位置を判定する撮影画像判定部3とを備えた。設置確認システム100の表示部10は、撮影画像判定部3の判定結果に基づいて、撮影部1が撮影した画像と推奨設置位置及び非推奨設置位置のいずれか又は両方が重ねられた拡張現実画像B1を表示する。
【0034】
このように、現実空間画像と防災機器の推奨設置位置及び非推奨設置位置のいずれか又は両方とが重ねられて表示されるので、ユーザは、防災機器を設置したい場所を撮影し、本発明のシステムに入力することで、実際の室内のどこに防災機器を設置すればよいか、または設置が推奨されない場所を知ることができる。したがって、防災機器及びその設置に関する知識が少ないユーザにおいても、防災機器をより適切に設置することができる。
【0035】
また、本実施の形態の設置確認システム100は、撮影部1が撮影した画像から防災機器を認識する防災機器認識部4と、認識された防災機器が、室内における当該防災機器の推奨設置条件を満たしているか否かを判定する設置条件判定部5とを備える。表示部10は、撮影部1が撮影した画像と設置条件判定部5の判定結果とが重ねられた画像を表示する。
【0036】
このように、室内に設置された防災機器が、その推奨設置条件を満たしているか否かが表示部10で確認できるので、防災機器及びその設置に関する知識が少ないユーザにおいても、防災機器をより適切に設置することができる。また、専門業者による防災機器の設置後に、模様替え等によって事後的に防災機器が推奨設置条件を満たさなくなった場合でも、表示部10を確認することによりユーザは防災機器が推奨設置条件を満たしていないことを認識できる。このため、防災機器の設置維持管理をユーザ自身で行うことが可能になる。
【0037】
また、本実施の形態の設置確認システム100の表示部10は、設置条件判定部5の判定結果に加えて、設置条件判定部5が推奨設置条件を満たしていないと判断した原因に関する情報を表示する。
【0038】
このように、防災機器が推奨設置条件を満たさない原因が表示部10に示されることで、ユーザは防災機器が推奨設置条件を満たすように、防災機器又はタンス等の室内の物体を容易に再配置することができる。
【0039】
また、本実施の形態の設置確認システム100は、撮影部1が撮影した画像内の室内の用途を認識する室内認識部6と、室内認識部6が認識した室内の用途に基づいて判定された、当該室内への設置が推奨される防災機器の種別を出力する表示部10を備えた。
【0040】
このように、表示部10によって、室内への設置が推奨される防災機器が示されることで、ユーザは適切な防災機器を選択して設置しやすくなり、防災機器の設置が促進される。なお、推奨機器判定部7の判定結果を出力部としての表示部10で視覚的に出力する例を示したが、表示部10での表示に代えて、あるいはこれに加えて、音声を出力するスピーカによって設置が推奨される防災機器の種別が出力されてもよい。
【0041】
実施の形態2.
実施の形態では、撮影された実際の画像に重ねて各種情報を表示する例を示したが、本実施の形態では、間取り図に重ねて防災機器の設置に関する各種情報を表示する例を説明する。本実施の形態では、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0042】
図2は、実施の形態2に係る防災機器の設置確認システム101の機能ブロック図及び表示例である。設置確認システム101は、間取り図取得部11と、間取り図判定部12と、記憶部8と、表示部10とを備える。記憶部8及び表示部10のハードウェア構成は、実施の形態1で例示した事項と同様の構成が適用される。
【0043】
間取り図取得部11は、火災監視を行う防災機器が設置される室内の三次元間取り図を取得する。
図2では、三次元間取り
図C1が例示されている。間取り図取得部11は、実施の形態1で説明した撮影部1で撮影された室内の画像から、室内の構造及び物体の輪郭を抽出し、抽出した輪郭をモデル化して三次元間取り図を生成する。この場合、間取り図取得部11は、1又は複数の処理回路によって実現される。処理回路は、メモリと、当該メモリに格納されるプログラムを実行する中央処理装置、MPU又はGPU等のプロセッサとを含む。
【0044】
また、間取り図取得部11は、例えば、設置確認システム101の外部で生成された三次元間取り図を、データ転送により取得するものであってもよい。この場合、間取り図取得部11は、三次元間取り図を生成した装置からデータを取得する受信回路で構成される。
【0045】
間取り図判定部12は、間取り図取得部11が取得した三次元間取り図の室内における、防災機器の推奨設置位置及び非推奨設置位置を判定する。ここで、実施の形態1で説明したように、室内の火災監視を行う防災機器は、火災感知器又は住警器等であり、これらには取り付け場所及び位置に関する設置条件が定められている。間取り図判定部12は、三次元間取り図と、記憶部8に予め記憶された防災機器の設置条件とに基づいて、三次元間取り図の室内のうち当該設置条件を満たす部分を推奨設置位置と判定し、満たさない部分を非推奨設置位置と判定する。
【0046】
表示部10は、間取り図取得部11が取得した三次元間取り図と、防災機器の設置推奨位置及び非推奨設置位置のいずれか又は両方が重ねられた画像を表示する。
【0047】
図2では、間取り図取得部11が取得した三次元間取り
図C1に重ねて、推奨設置位置C2が表示されている。推奨設置位置C2は、防災機器の設置が推奨される位置の集合体である領域であり、
図2の例では網掛け表示されている。三次元間取り
図C1のうち、推奨設置位置C2が表示されていない領域は、三次元間取り
図C1がそのまま表示されており、当該領域が非推奨設置位置である。なお、表示部10は、推奨設置位置C2の表示に代えて非推奨設置位置を三次元間取り
図C1に重ねて表示してもよいし、推奨設置位置と非推奨設置位置の両方を三次元間取り
図C1に重ねて表示してもよい。また、間取り図判定部12が防災機器の設置位置の推奨度合いを複数段階に分けて判定する場合には、その推奨度合いに応じて推奨設置位置C2の表示を異ならせてもよい。推奨設置位置及び非推奨設置位置は、例えば図形、画像、文字、及び色彩等、現実空間と視覚的に区別できるいずれか1つ以上によって、表示される。
【0048】
以上のように、本実施の形態の設置確認システム101は、火災監視を行う防災機器が設置される室内の三次元間取り図を取得する間取り図取得部11と、取得された三次元間取り図の室内における、防災機器の推奨設置位置及び非推奨設置位置を判定する間取り図判定部12とを備えた。設置確認システム101の表示部10は、間取り図判定部12の判定結果に基づいて、間取り図取得部11が取得した三次元間取り図と推奨設置位置及び非推奨設置位置のいずれか又は両方が重ねられた画像を表示する。
【0049】
このように、三次元間取り図と防災機器の推奨設置位置及び非推奨設置位置のいずれか又は両方とが重ねられて表示されることで、ユーザは、実際の室内のどこに防災機器を設置すればよいかが分かりやすい。したがって、防災機器及びその設置に関する知識が少ないユーザにおいても、防災機器をより適切に設置することができる。
【0050】
実施の形態3.
本実施の形態では、拡張現実画像と三次元間取り図の両方を利用して、ユーザによる防災機器の設置を確認するシステムを説明する。本実施の形態では、実施の形態1及び実施の形態2との相違点を中心に説明する。
【0051】
図3は、実施の形態3に係る防災機器の設置確認システム102の機能ブロック図である。設置確認システム102は、撮影部1と、画像認識部2と、撮影画像判定部3と、防災機器認識部4と、設置条件判定部5と、室内認識部6と、推奨機器判定部7と、記憶部8と、表示部10と、間取り図取得部11と、間取り図判定部12とを備え、これらは実施の形態1又は実施の形態2で説明した機能及び構造を有する。
【0052】
図3に示す間取り図取得部11は、撮影部1で撮影された室内の画像から、室内の構造及び物体の輪郭を抽出し、抽出した輪郭をモデル化して三次元間取り図を生成する。なお、実施の形態2で説明したとおり、間取り図取得部11は、設置確認システム101の外部で生成された三次元間取り図を、データ転送により取得するものであってもよい。
【0053】
図4は、実施の形態3に係る表示部10の表示例を説明する図である。
図4では、表示部10がスマートフォン20のディスプレイである場合を例示している。本実施の形態の表示部10は、現実空間画像B3に推奨設置位置B2が重ねられた拡張現実画像B1と、三次元間取り
図C1に推奨設置位置C2が重ねられたモデル画像C3とを同時に表示している。
【0054】
このため、本実施の形態によれば、ユーザは、拡張現実画像B1とモデル画像C3という異なる見え方の両方の画像に基づいて、防災機器の設置位置を確認及び検討できる。したがって、防災機器及びその設置に関する知識が少ないユーザにおいても、防災機器をより適切に設置することができる。
【0055】
モデル画像C3を防災機器の設置に係るシミュレーションに用いることもできる。例えば、表示部10は、防災機器を擬似的に三次元間取り
図C1に重ねて表示する。擬似的な防災機器は、ユーザからの入力に応じて三次元間取り
図C1において移動可能とする。このようにすることで、ユーザは、防災機器が設置されている拡張現実画像B1と、擬似的に防災機器が設置されたモデル画像C3とを見比べながら、推奨設置位置であってユーザの利便性又は好み等に応じた位置への防災機器の設置の検討を容易に行うことができる。この場合、モデル画像C3に擬似的に配置された防災機器に対し、設置条件判定部5が、推奨設置条件を満たしているか否かを判定し、表示部10がその判定結果を表示してもよい。
【0056】
また、拡張現実画像B1をシミュレーションに用いることもできる。例えば、表示部10は、防災機器を擬似的に現実空間画像B3に重ねて表示する。擬似的な防災機器は、ユーザからの入力に応じて現実空間画像B3において移動可能とする。このようにすることで、ユーザは、モデル画像C3と、擬似的に防災機器が設置された拡張現実画像B1とを見比べながら、推奨設置位置であってユーザの利便性又は好み等に応じた位置への防災機器の設置の検討を容易に行うことができる。この場合、拡張現実画像B1に擬似的に配置された防災機器に対し、設置条件判定部5が、推奨設置条件を満たしているか否かを判定し、表示部10がその判定結果を表示してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 撮影部、2 画像認識部、3 撮影画像判定部、4 防災機器認識部、5 設置条件判定部、6 室内認識部、7 推奨機器判定部、8 記憶部、10 表示部、11 間取り図取得部、12 間取り図判定部、20 スマートフォン、100 設置確認システム、101 設置確認システム、102 設置確認システム、A1 現実空間、A2 天井、A3 壁面、A4 防災機器、A5 エアコン、A6 タンス、B1 拡張現実画像、B2 推奨設置位置、B3 現実空間画像、B4 判定結果表示、B5 判定原因表示、C1 三次元間取り図、C2 推奨設置位置、C3 モデル画像。