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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099977
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】魚釣用リール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/01 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A01K89/01 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003643
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】大熊 健太郎
【テーマコード(参考)】
2B108
【Fターム(参考)】
2B108BA03
(57)【要約】
【課題】駆動部材が回転した際のフィーリングを向上させ、リール本体を大型化することなく製造コストを抑えることが可能な軸受構造を備えた魚釣用リールを提供する。
【解決手段】本発明の魚釣用リールは、ハンドルの回転操作で回転駆動されるピニオンギアと、ピニオンギアをリール本体に対して回転可能に支持する軸受20と、を有する。軸受20は、第1係合部20aと、第2係合部20bとを備え、第1係合部20aがリール本体に設けられた移動規制部50に嵌合することで軸受の軸方向の移動が規制され、第2係合部20bがリール本体に設けられた回転規制部60に嵌合することで軸受20の回転方向の移動が規制されることを特徴とする。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体に設けられたハンドルの回転操作で回転駆動される駆動部材と、前記駆動部材を前記リール本体に対して回転可能に支持する軸受と、を有する魚釣用リールにおいて、
前記軸受は、第1係合部と第2係合部とを備え、
前記第1係合部が前記リール本体に設けられた移動規制部に嵌合することで前記軸受の軸方向の移動が規制され、前記第2係合部が前記リール本体に設けられた回転規制部に嵌合することで前記軸受の回転方向の移動が規制される、
ことを特徴とする魚釣用リール。
【請求項2】
前記駆動部材は、スピニングリールに設けられるピニオンギアであり、前記軸受は、前記ピニオンギアを後端側で支持するカラー部材であることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項3】
前記第1係合部は、軸受の径方向外方に設けられ、前記第2係合部は、前記第1係合部と対向する位置に設けられ、
前記移動規制部は、前記リール本体に形成され、前記第1係合部が嵌合する溝を備え、前記回転規制部は、前記リール本体に配設され、前記第2係合部を挿通する軸部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の魚釣用リール。
【請求項4】
前記第1係合部は、径方向外方に突出する突片であり、
前記第2係合部は、前記軸部材が挿通する凹所であることを特徴とする請求項3に記載の魚釣用リール。
【請求項5】
前記第1係合部が嵌合する移動規制部には、前記第1係合部の固定位置を特定する固定部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項6】
前記移動規制部及び回転規制部は、前記軸受及びリール本体にそれぞれ設けられ係合構造を備え、両係合構造を係合させることで、軸受の軸方向の移動、及び、回転方向の移動を規制している、ことを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動部材を支持する軸受を備えた魚釣用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
魚釣用リールであるスピニングリールは、リール本体内の駆動力伝達機構に連結されたハンドルの回転操作で回転駆動されるピニオンギア(駆動部材)を備えており、前記ピニオンギアの内部には、釣糸が巻回されるスプールを保持したスプール軸が挿通されている。また、前記ピニオンギアには、釣糸案内部を有するロータが一体回転可能に回り止め固定されており、前記スプール軸は、オシレート機構を介して前後方向に回転駆動されるよう構成されている。
【0003】
前記ピニオンギアは、リール本体内に設けられた前後の軸受によって回転可能に支持されており、その後方の軸受としては、特許文献1に開示されているように、カラータイプでピニオンギア及びスプール軸を支持する構成が知られている。前記特許文献1に開示されたカラータイプの軸受は、小径部と大径部が軸方向に隣接して一体形成された円筒状に構成されており、小径部でスプール軸を支持し、大径部でピニオンギアを支持するようになっている。また、そのように円筒状に構成された軸受は、リール本体内に設けられ、中心に貫通孔が形成されたカップ状の支持部に装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-197892号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した公知の軸受(カラー)は、前記ピニオンギアの回転に伴って回転方向に動く作用を受け、前記スプール軸の前後動に伴って軸方向に動く作用を受ける。また、カラーが軸方向に動く作用を受けた際、小径部がピニオンギアの端面に当接すると共に、大径部がリール本体のカップ状の支持部に当接するようになる。
【0006】
このように、ハンドルの回転操作に伴って軸受が動くと、回転フィーリングが悪くなってしまう。特に、カラーが軸方向に移動するのを効果的に規制しようとすると、スペースの拡大、接着等による組付け工程の増加、組み付け性の悪化等の問題が生じ、リール本体の小型化が図り難く、コストも高くなってしまう。
【0007】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、駆動部材が回転した際のフィーリングを向上させ、リール本体を大型化することなく製造コストを抑えることが可能な軸受構造を備えた魚釣用リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用リールは、リール本体に設けられたハンドルの回転操作で回転駆動される駆動部材と、前記駆動部材を前記リール本体に対して回転可能に支持する軸受と、を有する構成において、前記軸受は、第1係合部と第2係合部とを備えており、前記第1係合部が前記リール本体に設けられた移動規制部に嵌合することで前記軸受の軸方向の移動が規制され、前記第2係合部が前記リール本体に設けられた回転規制部に嵌合することで前記軸受の回転方向の移動が規制されることを特徴とする。
【0009】
上記した構成の魚釣用リールでは、駆動部材を支持する軸受が第1係合部と第2係合部とを備えており、これらがそれぞれリール本体に設けられている移動規制部と、回転規制部に嵌合されるため、軸受は軸方向及び回転方向に移動することが規制される。このため、駆動部材が回転した際に、軸受が移動することがないため、良好な回転フィーリングが得られると共に、軸受をリール本体に接着等によって固定する必要もないため、軸受の組み込み手順や固定のための構成が簡素化され、コストも高くなることはない。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、駆動部材が回転した際のフィーリングが向上し、リール本体を大型化することなく製造コストを抑えることが可能な軸受構造を備えた魚釣用リールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る魚釣用リール(スピニングリール)の一例を示す側面図であり、内部構造を示す図。
図2図1の主要部を拡大した図。
図3】(a)は、図2のA-A線に沿った断面図、(b)は、図2をB方向から見た図。
図4】(a)は、図2のA-A線に沿った断面図、(b)は、図2をB方向から見た図であり、それぞれ軸受を組み込んで固定する方法を説明する図。
図5】(a)及び(b)は、本発明の第2の実施形態を示す図。
図6】本発明の第3の実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る魚釣用リールの実施形態について具体的に説明する。
図1及び図2は、本発明に係る魚釣用リール(スピニングリール)の第1の実施形態を示す図であり、図1は、内部構造を示す側面図、図2は、図1の主要部を拡大した図である。
【0013】
本実施形態に係るスピニングリール(以下、リールと称する)1のリール本体1Aには、釣竿に装着されるリール脚2が一体形成されており、その前方には、回転可能に支持されたロータ3と、ロータ3の回転運動と同期して前後動可能に支持されたスプール4とが配設されている。
【0014】
前記ロータ3は、スプール4の周囲を回転する一対(図1には一方だけが図示されている)の腕部3aを備えており、各腕部3aの夫々の前端部には、ベール3bの基端部を取り付けたベール支持部材3cが釣糸巻き取り位置と釣糸放出位置との間で回動自在に支持されている。なお、ベール3bの一方の基端部は、ベール支持部材3cに一体的に設けられた釣糸案内部3dに取り付けられている。
【0015】
前記リール本体1A内には、ハンドル軸5が回転可能に支持されており、その突出端部には、ハンドル6が取り付けられている。また、ハンドル軸5には、公知の駆動力伝達機構10が連結しており、この駆動力伝達機構10は、ハンドル軸5に一体回転可能に装着された駆動ギア7と、この駆動ギア7に噛合する歯部8aを有するピニオンギア(駆動部材)8とを備えている。前記ピニオンギア8は、前記ハンドル軸5と直交する方向に延出すると共に、内部に軸方向に延在する空洞部が形成されている。
【0016】
駆動部材として構成される前記ピニオンギア8は、歯部8aの前側と後側とがそれぞれ、リール本体1Aに設けられている一対の軸受19,20により、リール本体1A内に回転可能に支持されている。また、ピニオンギア8はスプール4側に向けて延出しており、ピニオンギア8の先端部には、締め付け用のナット15を介して前記ロータ3が回り止め嵌合されており、前記ロータ3は、前記ピニオンギア8と共に一体回転可能となっている。
【0017】
前記軸受19の前方側のピニオンギア8上には、逆転防止機構を構成する公知の一方向クラッチ16が配設されている。この一方向クラッチ16は、公知のように、ピニオンギア8の外面に回り止め嵌合される内輪と、この内輪の径方向外方に設けられる外輪と、前記内輪と外輪との間に保持される転がり部材と、この転がり部材を保持する保持器とを備えている。前記保持器は、リール本体1Aの外部に設けられた切換操作レバー17を回動操作することで切換駆動され、一方向クラッチ16は、ハンドル6(ロータ3)の釣糸繰出し方向の回転を防止する逆回転防止状態とフリー回転可能状態に切換えるようになっている。
【0018】
前記ピニオンギア8の内部に形成された空洞部には、ハンドル軸5と直交する方向に延出し、先端側にスプール4を装着したスプール軸4Aが軸方向に移動可能に挿通されている。このスプール軸4Aの後端には、前記ハンドル6の回転操作に伴って、前記スプール4(スプール軸4A)を前後往復動させるための公知のオシレート機構40が係合している。
【0019】
上記した構成のリールでは、ハンドル6により巻き取り操作を行うと、ロータ3が前記駆動力伝達機構10を介して回転駆動される共に、前記スプール4(スプール軸4A)がオシレート機構40を介して前後往復動されるので、釣糸は、釣糸案内部3dを介してスプール4の巻回胴部4aに均等に巻回される。
【0020】
次に、図2から図4を参照して、前記ピニオンギア8をリール本体1Aに対して回転可能に支持する後方側の軸受20の構成について説明する。
この軸受20は、リール本体1Aに対して固定されるカラータイプとして構成されており、前記ピニオンギア8の歯部8aの後方側の筒部8bを回転可能に支持する機能を備えると共に、筒部8bから後方側に突出して前後動する前記スプール軸4Aの外表面と接触して、スプール軸4Aを安定して前後動させる機能を備えている。
【0021】
また、前記軸受20は、ピニオンギア8の(筒部8b)の外周面と接触する大径部20Aと、スプール軸4Aの外周面と接触する小径部20Bとを備えており、これらが軸方向に隣接して一体化された筒状体として構成されている。前記小径部20Bの中央の軸心部分には、貫通孔20Cが形成されて、前記スプール軸4Aが挿通されている。
そして、前記軸受20は、以下のように、前記ピニオンギア8が回転駆動されても、リール本体1Aに対して回転方向の移動が規制された状態で固定されており、かつ、前記スプール軸4Aが前後動しても、リール本体1Aに対して前後方向の移動が規制された状態で固定されている。
【0022】
本実施形態の軸受20は、上記した状態でリール本体に固定されるよう、第1係合部20aと第2係合部20bとを備えている。具体的には、前記第1係合部20aは、大径部20Aの一部に径方向外方に突出する突片として構成されており(以下、突片20aとも称する)、前記第2係合部20bは、大径部20Aの一部に径方向外方に突出する凹所(軸受の外周縁から突出して略U字状に形成された凹所)として構成されている(以下、凹所20bとも称する)。
【0023】
この場合、突片20aと凹所20bは、図3及び図4に示すように、軸受20の中心軸線Xに対して、径方向で対向する位置(略180°間隔で突片20aと凹所20bが形成されている)に形成されていることが好ましい。すなわち、上記したように、円筒形状に形成された軸受20は、軸方向の移動を規制する機能と、回転を規制する機能を備えていることから、各機能を発揮する位置を、軸受20の中心軸線Xに対して対称方向に配設することで、各機能を安定して発揮させることが可能となる。
【0024】
前記突片20aは、リール本体1Aに設けられた移動規制部50に嵌合することで軸受20の軸方向の移動が規制され、前記凹所20bがリール本体1Aに設けられた回転規制部60に嵌合することで軸受20の回転方向の移動が規制されるようになっている。この場合、回転規制部を構成する凹所は、貫通孔で構成しても良いが、略U字状に形成することで、以下の回転規制部を構成する軸部材を配設し易くなる。
【0025】
本実施形態の移動規制部50は、リール本体1Aの側板を開いて、軸受20を摘まんで前記突片20aを差し込んで嵌合できるように、リール本体1Aの左右方向(図1図2において紙面と直交する方向)に延出する溝51で構成されている。すなわち、前記突片20aは、溝51に嵌合させると挟持された状態に固定され、これにより軸受20は、軸方向の移動が規制される(図2,3参照)。
【0026】
また、本実施形態の回転規制部60は、リール本体1Aに前後方向に沿って配設される軸部材61で構成されている。この軸部材61は、上記した公知のオシレート機構40の構成要素となっており、前記スプール軸4Aの後端に固定されている摺動子41が、ハンドル6を回転操作した際のカム作用によって前後方向に摺動した際、その摺動子41をガイドする機能を果たす部材である。本実施形態では、オシレート機構40の摺動子41の案内機能を有する軸部材61を、回転規制部に兼用しており、前記凹所20b内に、円柱状の軸部材61を嵌合、固定させることで、軸受20の回転方向の移動を規制している(図2図3参照)。
【0027】
上記した構成の軸受20を設置する場合、突片20aを、図4に示すように、中心軸線Xに対して、多少時計回り方向に回転させた状態で溝51に位置合わせし、矢印方向に回動させることで移動規制部である溝51に差し込み嵌合させる(図3参照)。そして、この状態では、軸受20の凹所20bは、突片20aと対称となる下方に位置するように回動されており、ここに回転規制部である軸部材61を嵌合させることで、軸受20を設置することが可能となる。
【0028】
以上のように軸受20が設置されると、突片20aは溝51に嵌まり込んで移動規制部50に挟持された状態となり、前記スプール軸4Aがオシレート機構によって前後に往復駆動されても、軸方向に連れ動きすることはない。したがって、軸受20は、ピニオンギア8の端面に当接することはない。また、凹所20bに軸部材61が嵌合するため、軸受20は回転方向の移動も規制される。
この結果、ハンドル6の回転に伴ってピニオンギア8が回転駆動され、かつ、スプール軸4Aが往復駆動されても、ガタ付いたり音が発生することはなく、回転フィーリングの向上が図れるようになる。
【0029】
上記した構成において、移動規制部50は、リール本体内に溝51を形成するだけで良く、回転規制部60については、オシレート機構40の構成部材(軸部材61)を利用しているので、別のパーツを設ける必要はなく、リール本体を大型化することなく低コストで軸受20を固定することが可能となる。また、軸受20の軸方向及び回転方向の移動の規制に接着を要しないことから、低コストで軸受20を固定することが可能となる。さらに、軸受20の軸方向及び回転方向の移動を規制する部材は、圧入を必要としないため、部品の寸法精度を維持したまま軸受20を固定することが可能となる。
【0030】
なお、上記した軸受20の構成材料については、摺動性が良く、耐摩耗性に優れたもの、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂材料、カーボン等のセラミックス材料、アルミ(アルミ合金)等の金属材料によって構成することが可能である。
【0031】
図5(a)及び(b)は、それぞれ図3(a)(b)、及び、図4(a)(b)に対応する図であり、第2の実施形態を示す図である。
この実施形態では、軸受20を、前記移動規制部50及び回転規制部60に対して固定するに際して、軸受20が、移動規制部50及び回転規制部60に対して固定される位置を特定するための固定部を設けている。
【0032】
例えば、図5(a)(b)に示すように、固定部53は、移動規制部50の溝51内にストッパとなるように形成しておくことが可能であり、軸受20の突片20aを溝51に嵌め込んで、図4の矢印方向に回転した際、突片20aが当て付いて、位置P1から回転できないように構成している。このように、位置P1で軸受20の位置が固定できるので、軸受20の凹所20bを常に同じ位置で特定することができる。したがって、軸受20の組み込み時において、軸部材61を容易に凹所20bに嵌合させることが可能となり、組付性を向上することが可能となる。
【0033】
図6は、第3の実施形態を示す図である。
この実施形態では、移動規制部50及び回転規制部60を、軸受20とリール本体1Aにそれぞれ設けられる係合構造によって構成し、軸受20をリール本体1Aの所定位置に装着した際、軸受20の軸方向の移動、及び、回転方向の移動が規制できるように構成している。
【0034】
図6に示す係合構造は、軸受20の突片20a´の側面に弾性変形可能な係止爪(係止部)55を形成し、リール本体1Aの対向する接合面の前記係止爪55と対応する位置に、係止爪55と係合する留め具(係合凹部を備えた係止爪等)56を形成することで、移動規制部50及び回転規制部60を形成している。すなわち、係止爪55は、軸方向の移動を規制する第1係合部と、回転方向の移動を規制する第2係合部としての機能を備えており、軸受20を摘まんで、突片20a´に形成されている係止爪55を、リール本体1に形成された留め具56に係合させることで、軸受20の軸方向の移動、及び、回転方向の移動を規制している。
【0035】
この場合、係止爪55、及び、留め具56の係止構造は、凹凸係合、突起と貫通孔による係合等、両者を係合した際、軸受20の軸方向の移動、及び、回転方向の移動が規制できれば、特に限定されることはない。
このように、軸受20をリール本体1Aの所定の位置に組み込むことで、軸受20の軸方向及び回転方向の移動を規制えきるようにすることで、上記した実施形態のように、リール本体1Aに溝51を形成したり、軸部材61を配設する必要が無く、更に製造コストを低減することが可能となる。
【0036】
なお、上記した係止爪55は、軸受20の側面、円周縁等、様々な位置に設けることができ、前記係止爪55と径方向に対向する位置に設ける等、その配置個数についても適宜変形することができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
本発明は、駆動部材であるピニオンギアの一方の端部を回転可能に支持する軸受の構造に特徴を備えており、それ以外の構成については、限定されることはない。また、ピニオンギア以外の各種の駆動部材の軸受に対しても適用することが可能である。
【0038】
また、上記した第1の実施形態では、軸受の軸方向へ移動を規制する第1係合部を軸受20に形成された突片20aで構成し、移動規制部50をリール本体1Aに設けた溝51で構成したが、軸受20の円周縁に溝を形成し、リール本体側に突片を形成して両者を嵌合させるような構成であっても良い。さらに、上記した第1係合部及び第2係合部を設ける位置、配設個数、各係合部の嵌合構造についても、上記した実施形態に限定されることはなく、適宜、変形することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 魚釣用リール(スピニングリール)
1A リール本体
3 ロータ
4 スプール
4A スプール軸
6 ハンドル
8 ピニオンギア
10 駆動力伝達機構
20 軸受
20a 突片(第1係合部)
20b 凹所(第2係合部)
50 移動規制部
51 溝
60 回転規制部
61 軸部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6