(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099979
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ラミネート型二次電池のタブ及びタブの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/553 20210101AFI20240719BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20240719BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20240719BHJP
H01M 50/186 20210101ALI20240719BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20240719BHJP
【FI】
H01M50/553
H01M50/178
H01M50/184 C
H01M50/186
H01M50/533
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003645
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 知弘
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011EE04
5H011FF04
5H011GG09
5H043AA19
5H043BA11
5H043CA08
5H043CA13
5H043DA09
5H043HA12D
5H043JA02D
(57)【要約】
【課題】タブリードに対してシール部材を確実に熱溶着する。
【解決手段】ラミネート型二次電池のタブ20は、積層電極体10を構成する負極板11及び正極板12から突出したタブリード21と、タブリード21の表裏両面に対して熱溶着された一対のシール部材26A,26Bと、を備え、タブリード21には貫通孔25が形成され、一対のシール部材26A,26Bは、シール部材26A,26Bのうち貫通孔25内に押し込まれた接合部27を介して接合されている。シール部材26A,26Bをタブリード21に熱溶着する工程で、一対のシール部材26A,26B同士が直接的に接合されるので、シール部材26A,26Bをタブリード21に対して確実に溶着することができる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層電極体を構成する電極板から突出したタブリードと、
前記タブリードの表裏両面に対して熱溶着された一対のシール部材と、を備え、
前記タブリードには貫通孔が形成され、
前記一対のシール部材は、前記シール部材のうち前記貫通孔内に押し込まれた接合部を介して接合されているラミネート型二次電池のタブ。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記シール部材におけるラミネートフィルムとのシール領域から外れた領域に配置されている請求項1に記載のラミネート型二次電池のタブ。
【請求項3】
前記シール部材における前記ラミネートフィルムの前記シール領域の幅が、前記シール部材の幅よりも狭い請求項2に記載のラミネート型二次電池のタブ。
【請求項4】
複数の前記貫通孔が、前記シール部材の幅方向に間隔を空けて配置されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のラミネート型二次電池のタブ。
【請求項5】
複数の前記貫通孔が、前記シール部材の長さ方向に間隔を空けて配置されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のラミネート型二次電池のタブ。
【請求項6】
前記貫通孔が円形をなしている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のラミネート型二次電池のタブ。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記タブリードにおける前記シール部材の溶着領域のうち、少なくとも前記シール部材の長さ方向両端部に配置されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のラミネート型二次電池のタブ。
【請求項8】
積層電極体を構成する電極から突出したタブリードの表裏両面に対して、一対のシール部材を熱溶着することによってタブを製造する方法であって、
前記タブリードに貫通孔を形成した上で、
ヒートシール機によって加熱及び加圧した前記シール部材を前記タブリードの表裏両面に熱溶着するとともに、加熱した前記シール部材の一部を前記貫通孔内に押し込んで前記一対のシール部材同士を熱溶着させるラミネート型二次電池のタブの製造方法。
【請求項9】
前記ヒートシール機に形成した突起によって、前記シール部材を前記貫通孔内に押し込む請求項8に記載のラミネート型二次電池のタブの製造方法。
【請求項10】
前記突起を、一対の前記ヒートシール機のうち一方の前記ヒートシール機のみに設けた上で、
前記突起によって、前記一対のシール部材のうち一方の前記シール部材のみを前記貫通孔内に押し込む請求項9に記載のラミネート型二次電池のタブの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート型二次電池のタブ及びタブの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、正極と負極の各端子部を2枚のタブフィルムで挟み、タブフィルムを端子部に熱溶着し、熱溶着済の端子部とタブフィルムを、一対のラミネートフィルムの間に挟んで熱溶着するラミネート型蓄電素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タブフィルムを端子部に熱溶着する際には、加熱した金型の間に端子部とタブフィルムを挟み、端子部とタブフィルムを加圧するようになっている。このとき、タブフィルムが、端子部に貼り付かず、金型に貼り付いてしまう虞があった。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、タブリードに対してシール部材を確実に溶着できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の開示のラミネート型二次電池のタブは、
積層電極体を構成する電極板から突出したタブリードと、
前記タブリードの表裏両面に対して熱溶着された一対のシール部材と、を備え、
前記タブリードには貫通孔が形成され、
前記一対のシール部材は、前記シール部材のうち前記貫通孔内に押し込まれた接合部を介して接合されている。
【0007】
第2の開示のラミネート型二次電池のタブの製造方法は、
積層電極体を構成する電極から突出したタブリードの表裏両面に対して、一対のシール部材を熱溶着することによってタブを製造する方法であって、
前記タブリードに貫通孔を形成した上で、
ヒートシール機によって加熱及び加圧した前記シール部材を前記タブリードの表裏両面に熱溶着するとともに、加熱した前記シール部材の一部を前記貫通孔内に押し込んで前記一対のシール部材同士を熱溶着させる。
【発明の効果】
【0008】
第1の開示及び第2の開示によれば、タブリードに対してシール部材を確実に熱溶着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】タブリードの上面に上側のシール部材を重ねた状態をあらわす平面図
【
図4】下側のシール部材の上面にタブリードを重ねた状態をあらわす平面図
【
図5】タブとラミネートフィルムの熱溶着層との位置関係をあらわす平面図
【
図6】下側のヒートシール機にシール部材とタブリードをセットした状態をあらわす断面図
【
図7】貫通孔内において上側のシール部材と下側のシール部材を接合した状態をあらわす断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、本開示の望ましい形態例を示す。下記の複数の形態例を、矛盾を生じない範囲で任意に組み合わせたものも、発明を実施するための形態に含まれる。
【0011】
(1)ラミネート型二次電池のタブは、積層電極体を構成する電極板から突出したタブリードと、前記タブリードの表裏両面に対して熱溶着された一対のシール部材と、を備え、前記タブリードには貫通孔が形成され、前記一対のシール部材は、前記シール部材のうち前記貫通孔内に押し込まれた接合部を介して接合されている。この構成によれば、シール部材をタブリードに熱溶着する工程で、一対のシール部材同士が直接的に接合されるので、シール部材をタブリードに対して確実に溶着することができる。
【0012】
(2)(1)において、前記貫通孔は、前記シール部材におけるラミネートフィルムとのシール領域から外れた領域に配置されていることが好ましい。この構成によれば、シール部材に対するラミネートフィルムのシール性が向上する。
【0013】
(3)(2)において、前記シール部材における前記ラミネートフィルムの前記シール領域の幅が、前記シール部材の幅よりも狭いことが好ましい。この構成によれば、貫通孔の配置スペースを確保することができる。
【0014】
(4)(1)~(3)において、複数の前記貫通孔が、前記シール部材の幅方向に間隔を空けて配置されていることが好ましい。この構成によれば、シール部材の長さ方向に沿った側縁部がタブリードから離脱することを抑制することができる。
【0015】
(5)(1)~(3)において、複数の前記貫通孔が、前記シール部材の長さ方向に間隔を空けて配置されていることが好ましい。この構成によれば、シール部材のうち長さ方向に間隔を空けた貫通孔の間の部位を、タブリードに対して確実に溶着させることができる。
【0016】
(6)(1)~(3)において、前記貫通孔が円形をなしていることが好ましい。この構成によれば、貫通孔の内周面には隅部や曲率半径の小さい屈曲部が存在しないので、シール部材を貫通孔内に入れ込み易い。
【0017】
(7)(1)~(3)において、前記貫通孔は、前記タブリードにおける前記シール部材の溶着領域のうち、少なくとも前記シール部材の長さ方向両端部に配置されていることが好ましい。この構成によれば、シール部材の長さ方向両端部を確実にタブリードに溶着させることによって、タブリードにおけるシール部材の溶着領域の全体を、タブリードに対して確実に溶着することができる。
【0018】
(8)ラミネート型二次電池のタブの製造方法は、積層電極体を構成する電極から突出したタブリードの表裏両面に対して、一対のシール部材を熱溶着することによってタブを製造する方法であって、前記タブリードに貫通孔を形成した上で、ヒートシール機によって加熱及び加圧した前記シール部材を前記タブリードの表裏両面に熱溶着するとともに、加熱した前記シール部材の一部を前記貫通孔内に押し込んで前記一対のシール部材同士を熱溶着させる。この構成によれば、シール部材をタブリードに熱溶着する工程で、一対のシール部材同士が直接的に結合されるので、シール部材がヒートシール機に貼り付くことを防止し、シール部材をタブリードに対して確実に溶着することができる。
【0019】
(9)(8)において、前記ヒートシール機に形成した突起によって、前記シール部材を前記貫通孔内に押し込むことが好ましい。この構成によれば、シール部材を貫通孔に確実に押し込むことができる。
【0020】
(10)(9)において、前記突起を、一対の前記ヒートシール機のうち一方の前記ヒートシール機のみに設けた上で、前記突起によって、前記一対のシール部材のうち一方の前記シール部材のみを前記貫通孔内に押し込むことが好ましい。この構成によれば、ヒートシール機の構造を簡素化することができる。
【0021】
[実施形態1]
本開示を具体化した実施形態1を、
図1~
図8を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。本実施形態1において、前後の方向については、
図1~5におけるF方向を前方と定義する。左右の方向については、
図1~5におけるR方向を右方と定義する。左右方向と幅方向を同義で用いる。上下の方向については、
図1,2におけるH方向を上方と定義する。
【0022】
本実施形態1のラミネート型二次電池は、
図1に示すように、積層電極体10と、一対のタブ20と、積層電極体10とともに電解液(図示省略)を液密状に包囲する一対のラミネートフィルム28とを備えて構成されている。
図2に示すように、ラミネートフィルム28は、方形をなすシートである。一対のラミネートフィルム28は、積層電極体10を上下方向に挟むように配置されている。一対のラミネートシートにおいて互いに対向する面の外周縁部には、熱溶着層29が設けられている。熱溶着層29は、平面視において積層電極体10を囲むように配置されている。
【0023】
積層電極体10は、複数枚の負極板11(電極板)と複数枚の正極板12(電極板)を、複数枚のシート状のセパレータ(図示省略)を挟んで交互に積層して構成されている。セパレータは、ポリオレフィン製の微多孔膜や不織布等からなる。負極板11と正極板12は、全体として長方形をなすシート状の基材(図示省略)の表裏両面に、活物質、結着剤、導電材等を混練したスラリー(図示省略)を塗布した周知形態のものである。負極板11の外周縁部と正極板12の外周縁部には、夫々、スラリーが塗布されない未塗工部からなる接続部13が形成されている。負極板11と正極板12は、夫々の接続部13が左右方向において互いに反対側に位置するように積層されている。
【0024】
積層電極体10のうち接続部13以外の部位を、積層部14と定義する。接続部13は、積層部14の外周縁から左右方向へ突出している。積層された複数の接続部13には、1つのタブ20が導通可能に固着されている。タブ20は、接続部13の端縁部から積層部14とは反対側へ突出している。タブ20は、平板状をなす1枚のタブリード21と、タブリード21の表裏両面に熱溶着された上下一対のシール部材26A,26Bとを備えて構成されている。タブリード21は、長方形をなす金属板材からなり、接続部13に固着されている。
【0025】
タブリード21のうち接続部13から左右方向へ突出した部位を、突出部22と定義する。突出部22の表裏両面のうち接続部13に近い領域を、シール面23と定義する。シール面23は、前後方向(接続部13の先端縁と平行な方向)に細長い長方形をなす領域である。シール面23には、一対のシール部材26A,26Bが熱溶着によって液密状に固着されている。シール部材26A,26Bは、前後方向に細長いテープ状をなす。一対のシール部材26A,26Bの前後両端部は、相手側のシール部材26A,26Bに対して直接的に熱溶着されている。
【0026】
タブリード21には、一対のシール部材26A,26Bをタブリード21に対して確実に熱溶着させる手段として、タブリード21を上下方向(表裏両面間を連通させる方向)に貫通した4つの貫通孔25が形成されている。4つの貫通孔25は、シール面23の4隅に位置している。具体的には、4つの貫通孔25のうち2つの貫通孔25は、シール面23の前端部において左右に間隔を空けて配置されている。4つの貫通孔25のうち他の2つの貫通孔25は、シール面23の後端部において左右に間隔を空けて配置されている。貫通孔25を貫通方向に見た平面視形状は、円形である。
【0027】
次に、本実施形態1のラミネート型二次電池の製造工程のうち、積層電極体10に固着されたタブリード21に対してシール部材26A,26Bを熱溶着する工程について説明する。タブリード21にシール部材26A,26Bを熱溶着する際には、上下一対のヒートシール機30A,30Bを用いる。一対のヒートシール機30A,30Bは、加熱機能と、互いに接近する方向の加圧機能とを備えている。一対のヒートシール機30A,30Bのうち上側の可動側ヒートシール機30Aは、上下方向に移動し得るようなっている。下側の固定側ヒートシール機30Bは固定した状態で設置されている。
【0028】
ヒートシール機30A,30Bの互いに対向する対向面31A,31Bは、タブリード21の表裏両面に沿った形状をなしている。一対のヒートシール機30A,30Bのうち可動側ヒートシール機30Aの対向面31Aには、下向きに突出する4つの突起32が形成されている。1つの突起32は、4つの貫通孔25と対応するように配置されている。各突起32は、外径が貫通孔25の内径よりも僅かに小さい円柱形をなす。突起32の突出寸法は、貫通孔25の深さ寸法(タブリード21の厚さ寸法)よりも僅かに小さい寸法である。固定側ヒートシール機30Bには、突起32は形成されていない。
【0029】
シール部材26A,26Bをタブリード21に熱溶着する際には、一対のヒートシール機30A,30Bを上下方向に離隔させておき、その状態で、
図6に示すように、固定側ヒートシール機30Bの対向面31B(上面)に下側のシール部材26Bを載置する。次に、下側のシール部材26Bの上面に、タブリード21を載置する。このとき、4つの貫通孔25が可動側ヒートシール機30Aの4つの突起32の真下に位置するように位置決めをする。この後、タブリード21の上面に上側のシール部材26Aを載置する。このとき、上側のシール部材26Aが下側のシール部材26Bを覆い隠すように配置する。
【0030】
この状態で、上下両ヒートシール機30A,30Bを加熱状態にするとともに、可動側ヒートシール機30Aを下降させる。可動側ヒートシール機30Aが下降する過程では、突起32の下端面(先端面)がシール部材26Aに接触したところで、可動側ヒートシール機30Aの下降を一時的に停止し、上側のシール部材26Aを加熱して溶融状態にする。この間、下側のシール部材26Bは固定側ヒートシール機30Bによって加熱されて溶融状態となっている。
【0031】
上側のシール部材26Aが軟化した後、可動側ヒートシール機30Aの下降を再開すると、
図7に示すように、上側のシール部材26Aの一部が、突起32によって下方へ押され、引き延ばされながら貫通孔25内に押し込まれる。即ち、上側のシール部材26Aの一部が、突起32の下端面に密着した状態で、貫通孔25の内周面と突起32の外周面との隙間に引き込まれていく。シール部材26Aのうち貫通孔25内に押し込まれた部位を、接合部27と定義する。そして、可動側ヒートシール機30Aの対向面31Aが上側のシール部材26Aの上面に密着し、上側のシール部材26Aの接合部27のうち突起32に下端面に密着している部位が、下側のシール部材26Bの上面に密着したところで、可動側ヒートシール機30Aの下降を停止する。
【0032】
この状態で、タブリード21とシール部材26A,26Bを一対のヒートシール機30A,30Bによって加圧すると、シール部材26A,26Bがタブリード21の表裏両面に熱溶着されるとともに、貫通孔25内においては上側のシール部材26Aの接合部27の下端部が、下側のシール部材26Bの上面部に対して熱溶着によって接合(固着)される。この後、タブリード21とシール部材26A,26Bを冷却することによって、タブリード21とシール部材26A,26Bとを離脱しないように一体化させる。冷却工程の後は、可動側ヒートシール機30Aを上昇させる。
【0033】
可動側ヒートシール機30Aを上昇させる際には、上側のシール部材26Aが、可動側ヒートシール機30Aの対向面31Aに貼り付いてタブリード21から離脱することが懸念される。しかし、本実施形態1では、上側のシール部材26Aと下側のシール部材26Bが、互いに、直接的に熱溶着されて一体化されているので、上側のシール部材26Aが下側のシール部材26Bから離脱する虞がない。よって、上側のシール部材26Aは、可動側ヒートシール機30Aに貼り付くことなく、タブリード21に固着された状態に保たれる。
【0034】
シール部材26A,26Bをタブリード21に熱溶着した後は、一対のラミネートフィルム28によって積層電極体10とタブ20のうちシール部材26A,26Bが熱溶着されている領域を包囲する。一対のラミネートフィルム28の熱溶着層29の一部は、タブリード21のシール面23と重なる領域に配置され、シール部材26A,26Bの外面に対して熱溶着によって液密状に固着される。一対の熱溶着層29のうちシール部材26A,26Bに熱溶着されない領域は、互いに、直接的に熱溶着されている。接続部13とラミネートフィルム28との間には、保護フィルム35が挟み込まれている。
【0035】
シール部材26A,26Bのうちラミネートフィルム28の熱溶着層29が熱溶着される領域を、シール領域36と定義する(
図5参照)。左右方向に並ぶ貫通孔25は、熱溶着層29(シール領域36)の左右方向の寸法(幅寸法)と同じか、それよりも大きい間隔を空けて配置されている。熱溶着層29は、貫通孔25が形成されていない領域のみに配置されている。換言すると、貫通孔25は、シール領域36以外の領域のみに配置されている。
【0036】
本実施形態1のラミネート型二次電池のタブ20は、積層電極体10を構成する電極板(負極板11と正極板12)から突出したタブリード21と、タブリード21の表裏両面に対して熱溶着された一対のシール部材26A,26Bと、を備えている。タブリード21には貫通孔25が形成されている。一対のシール部材26A,26Bは、シール部材26A,26Bのうち貫通孔25内に押し込まれた接合部27を介して接合されている。この構成によれば、シール部材26A,26Bをタブリード21に熱溶着する工程で、一対のシール部材26A,26B同士が直接的に接合されるので、上側のシール部材26Aが可動側ヒートシール機30Aに貼り付くことを防止できる。よって、上側のシール部材26Aをタブリード21に対して確実に溶着することができる。
【0037】
シール部材26A,26Bをタブリード21に熱溶着した後は、
図8に示すように、上側のシール部材26Aに、貫通孔25に入り込むことによって凹部37が形成される。ラミネートフィルム28の熱溶着層29が、この凹部37を含む領域に配置された場合、接合強度が低下することが懸念される。その点、本実施形態1では、貫通孔25は、シール部材26A,26Bにおけるラミネートフィルム28の熱溶着層29とのシール領域36から外れた領域のみに配置されている。換言すると、熱溶着層29は、シール部材26A,26Bのうち貫通孔25が形成されていない領域のみに熱溶着される。この構成によれば、熱溶着層29と凹部37とが重ならないので、シール部材26A,26Bに対するラミネートフィルム28のシール性が向上する。
【0038】
シール部材26A,26Bにおけるシール領域36の幅が、シール部材26A,26Bの幅よりも狭いので、貫通孔25の配置スペースを確保することが実現されている。複数の貫通孔25は、シール部材26A,26Bの幅方向(左右方向)に間隔を空けて配置されている。この構成によれば、シール部材26A,26Bの長さ方向に沿った側縁部がタブリード21から離脱することを抑制することができる。複数の貫通孔25は、シール部材26A,26Bの長さ方向(前後方向)に間隔を空けて配置されている。この構成によれば、シール部材26A,26Bのうち長さ方向に間隔を空けた貫通孔25の間の部位を、タブリード21に対して確実に溶着させることができる。
【0039】
貫通孔25が円形をなしているので、貫通孔25の内周面には隅部や曲率半径の小さい屈曲部が存在しない。したがって、シール部材26A,26Bを貫通孔25内に入れ込み易い。
【0040】
貫通孔25は、タブリード21におけるシール部材26A,26Bの溶着領域(シール面23)のうち、少なくともシール部材26A,26Bの長さ方向両端部に配置されている。この構成によれば、シール部材26A,26Bの長さ方向両端部を確実にタブリード21に溶着させることによって、タブリード21におけるシール部材26A,26Bの溶着領域の全体を、タブリード21に対して確実に溶着することができる。
【0041】
本実施形態1におけるタブ20の製造方法によって、積層電極体10を構成する電極(負極板11と正極板12)から突出したタブリード21の表裏両面に対して、一対のシール部材26A,26Bを熱溶着することができる。この製造方法においては、タブリード21に貫通孔25を形成した上で、一対のヒートシール機30A,30Bを、タブリード21との間でシール部材26A,26Bを挟むように配置した。このヒートシール機30A,30Bによって加熱及び加圧したシール部材26A,26Bを、タブリード21の表裏両面に熱溶着するとともに、加熱したシール部材26A,26Bの一部を貫通孔25内に押し込んで前記一対のシール部材26A,26B同士を熱溶着させる。
【0042】
可動側ヒートシール機30Aに形成した突起32によって、上側のシール部材26Aを貫通孔25内に押し込むようになっているので、シール部材26Aを貫通孔25に確実に押し込むことができる。突起32は、一対のヒートシール機30A,30Bのうち可動側ヒートシール機30Aのみに設けられている。突起32によって、一対のシール部材26A,26Bのうち一方(上側)のシール部材26Aのみを貫通孔25内に押し込むようになっている。この構成によれば、可動側ヒートシール機30Aと固定側ヒートシール機30Bの両方に突起32を形成する場合に比べると、固定側ヒートシール機30A,30Bの構造を簡素化することができる。
【0043】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
・貫通孔の少なくとも一部が、シール部材におけるラミネートフィルムとのシール領域内に配置されていてもよい。
・シール部材におけるラミネートフィルムのシール領域の幅は、シール部材の幅と同じ寸法でもよい。
・貫通孔は、円形に限らず、楕円形、長円形、方形、多角形などでもよい。
・貫通孔は、タブリードにおけるシール部材の溶着領域のうち、シール部材の長さ方向両端部以外の位置に配置してもよい。
・一対のヒートシール機の両方に突起を形成し、双方の突起が1つの貫通孔内にシール部材を押し込むようにしてもよい。
・貫通孔は、正極板のタブリードのみに形成してもよく、負極板のタブリードのみに形成してもよい。
【符号の説明】
【0044】
10…積層電極体
11…負極板(電極板)
12…正極板(電極板)
20…タブ
21…タブリード
25…貫通孔
26A,26B…シール部材
27…接合部
28…ラミネートフィルム
30A…可動側ヒートシール機(ヒートシール機)
30B…固定側ヒートシール機(ヒートシール機)
32…突起
36…シール部材におけるラミネートフィルムとのシール領域