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特開2024-9998抗組織因子抗体-薬物コンジュゲートおよびがんの治療におけるその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009998
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】抗組織因子抗体-薬物コンジュゲートおよびがんの治療におけるその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/07 20060101AFI20240116BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240116BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240116BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240116BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240116BHJP
   C07K 16/36 20060101ALN20240116BHJP
【FI】
A61K38/07
A61P35/00 ZNA
A61P35/04
A61K47/68
A61K39/395 L
C07K16/36
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023179215
(22)【出願日】2023-10-18
(62)【分割の表示】P 2020524641の分割
【原出願日】2018-11-01
(31)【優先権主張番号】62/580,877
(32)【優先日】2017-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507316398
【氏名又は名称】ジェンマブ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ラングワラ レシュマ アブドゥラ
(72)【発明者】
【氏名】リスビー スティーン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】子宮頸癌の改善された治療用組成物を提供する。
【解決手段】例えば、チソツマブのような組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートを投与することによって、対象者における進行子宮頸癌などのがんを治療するための組成物を提供する。本発明はまた、がん(例えば、進行子宮頸癌)の治療に使用するための、TFに結合する抗体-薬物コンジュゲートを含む製造物品および組成物を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートを含む、対象者における子宮頸癌の治療のための医薬であって、該抗体-薬物コンジュゲートが、アウリスタチンまたはその機能的類似体もしくはその機能的誘導体にコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗体-薬物コンジュゲートが約1.5mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の用量で投与されるように用いられることを特徴とし、
(i)該対象者が、1つもしくは複数の有害事象を有し、かつ該1つもしくは複数の有害事象を排除するかもしくはその重症度を軽減するための追加の治療剤をさらに投与されるか、または(ii)該対象者が、1つもしくは複数の有害事象を発症するリスクを有し、かつ該1つもしくは複数の有害事象を予防するかもしくはその重症度を軽減するための追加の治療剤をさらに投与され、
該1つまたは複数の有害事象が結膜炎および/または角膜炎であり、かつ該追加の剤が防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬および/またはステロイド点眼薬である、
医薬。
【請求項2】
前記用量が約2.0mg/kgである、請求項1に記載の医薬。
【請求項3】
前記抗体-薬物コンジュゲートが、約1週間、約2週間、約3週間、または約4週間に1回投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1または2に記載の医薬。
【請求項4】
前記抗体-薬物コンジュゲートが、約3週間に1回投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項5】
前記対象者が、以前に1つまたは複数の治療剤で治療されたことがあり、その治療に応答しなかった;ここで、該1つまたは複数の治療剤が前記抗体-薬物コンジュゲートではない、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項6】
前記対象者が、以前に1つまたは複数の治療剤で治療されたことがあり、その治療後に再発した;ここで、該1つまたは複数の治療剤が前記抗体-薬物コンジュゲートではない、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項7】
前記対象者が、以前に1つまたは複数の治療剤で治療されたことがあり、その治療中に病勢の進行を経験している;ここで、該1つまたは複数の治療剤が前記抗体-薬物コンジュゲートではない、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項8】
前記1つまたは複数の治療剤がプラチナベースの治療剤である、請求項5~7のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項9】
前記1つまたは複数の治療剤が、パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、トポテカン、ゲムシタビン、フルオロウラシル、イクサベピロン、イマチニブメシレート、ドセタキセル、ゲフィチニブ、パクリタキセル、ペメトレキセド、ビノレルビン、ドキシル、セツキシマブ、ペンブロリズマブ、ニボルマブおよびベバシズマブからなる群より選択される、請求項5~7のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項10】
前記対象者が、
a)パクリタキセルとシスプラチン;
b)パクリタキセルとカルボプラチン;または
c)パクリタキセルとトポテカン;
による治療中または治療後に病勢の進行を経験している、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項11】
前記対象者が、ベバシズマブによる治療を受けたことがある、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項12】
前記対象者が、ベバシズマブによる治療に不適格である、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項13】
前記対象者が、根治的療法の候補者ではない、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項14】
前記根治的療法が、放射線療法および/または内臓除去術を含む、請求項13に記載の医薬。
【請求項15】
前記対象者が、2回までの以前の全身療法レジメンによる治療に応答しなかった、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項16】
前記対象者が、2回までの以前の全身療法レジメンによる治療後に再発した、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項17】
前記子宮頸癌が、腺癌、腺扁平上皮癌または扁平上皮癌である、請求項1~16のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項18】
前記子宮頸癌が、進行期の子宮頸癌、例えばステージ3またはステージ4の子宮頸癌、例えば転移性子宮頸癌である、請求項1~17のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項19】
前記子宮頸癌が、再発性子宮頸癌である、請求項1~18のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項20】
前記アウリスタチンが、モノメチルアウリスタチンである、請求項1~19のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項21】
前記モノメチルアウリスタチンが、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である、請求項20に記載の医薬。
【請求項22】
前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、モノクローナル抗体またはそのモノクローナル抗原結合フラグメントである、請求項1~21のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項23】
前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み;ここで、該抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRがIMGTナンバリングスキームによって定義される、請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項24】
前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項25】
前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項26】
前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体がチソツマブである、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項27】
前記抗体-薬物コンジュゲートが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントと前記アウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項28】
前記リンカーが切断可能なペプチドリンカーである、請求項27に記載の医薬。
【請求項29】
前記切断可能なペプチドリンカーが式:-MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcはジペプチドのバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である、請求項28に記載の医薬。
【請求項30】
前記リンカーが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体のスルフヒドリル残基に結合されている、請求項27~29のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項31】
前記リンカーがMMAEに結合されており、前記抗体-薬物コンジュゲートが以下の構造:
を有し、ここで、pは1~8の数を表し、Sは前記抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す、請求項30に記載の医薬。
【請求項32】
前記抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値が約4である、請求項31に記載の医薬。
【請求項33】
前記抗体-薬物コンジュゲートがチソツマブベドチンである、請求項1~32のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項34】
静脈内投与用である、請求項1~33のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項35】
子宮頸癌細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%がTFを発現する、請求項1~34のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項36】
前記対象者における1つまたは複数の治療効果が、ベースラインと比較して、前記抗体-薬物コンジュゲートの投与後に改善される、請求項1~35のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項37】
前記1つまたは複数の治療効果が、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間からなる群より選択される、請求項36に記載の医薬。
【請求項38】
子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズが、前記抗体-薬物コンジュゲートの投与前の子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、請求項1~37のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項39】
客観的奏効率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、請求項1~38のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項40】
前記対象者が、前記抗体-薬物コンジュゲートの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、請求項1~39のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項41】
前記対象者が、前記抗体-薬物コンジュゲートの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す、請求項1~40のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項42】
前記抗体-薬物コンジュゲートに対する奏効持続期間が、前記抗体-薬物コンジュゲートの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、請求項1~41のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項43】
前記抗体-薬物コンジュゲートが単剤療法として投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1~42のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項44】
前記対象者がヒトである、請求項1~43のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項45】
前記抗体-薬物コンジュゲートが、該抗体-薬物コンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、請求項1~44のいずれか一項に記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2017年11月2日に出願された米国仮特許出願第62/580,877号の優先権を主張するものであり、その内容は全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は、抗組織因子(TF)抗体-薬物コンジュゲート、およびそれを用いて進行子宮頸癌などのがんを治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
組織因子(tissue factor:TF)は、トロンボプラスチン、第III因子またはCD142とも呼ばれており、酵素前駆体(zymogen)プロトロンビンからのトロンビン形成を開始させるのに必要な、内皮下組織、血小板、および白血球に存在するタンパク質である。トロンビンの形成は、最終的に血液の凝固につながる。TFは、細胞が血液凝固カスケードを開始できるようにし、セリンプロテアーゼである凝固第VII因子(FVII)の高親和性受容体として機能する。生じる複合体は、特定のタンパク質限定分解による凝固プロテアーゼカスケードの開始に関与する触媒作用を提供する。非機能的な前駆体として循環するこれらのプロテアーゼカスケードの他の補因子とは異なり、TFは細胞表面に発現されたときに完全に機能する強力な開始因子である。
【0004】
TFはセリンプロテアーゼ第VIIa因子(FVIIa)の細胞表面受容体である。FVIIaのTFへの結合は、細胞内でシグナル伝達プロセスを開始し、前記シグナル伝達機能は血管新生(angiogenesis)における役割を担っている。血管新生は、成長および発達、ならびに創傷治癒における正常なプロセスであるが、腫瘍が休眠状態から悪性状態に移行する際の基本的な段階でもある。がん細胞が血管新生に関与するタンパク質(すなわち、血管新生増殖因子)を産生する能力を獲得すると、これらのタンパク質は腫瘍によって近くの組織に放出され、それによって、既存の健康な血管から発生して腫瘍の方へ、そして腫瘍の中に入り込むように新しい血管を刺激する。ひとたび新しい血管が腫瘍に入ると、腫瘍は急速にそのサイズを拡大して、局所組織および器官に侵入することができる。新しい血管を介して、がん細胞はさらに循環系へと逃げ込み、かつ他の器官にとどまって新しい腫瘍を形成することがあり、これは転移としても知られている。
【0005】
TFの発現は、子宮頸癌を含めて、多くの種類のがんで観察されており、より侵攻性の高い疾患と関連している。さらに、ヒトTFは、可溶性の選択的スプライシング型asHTFとしても存在する。最近、asHTFは腫瘍成長を促進することがわかった(Hobbs et al., 2007, Thrombosis Res. 120(2):S13-S21(非特許文献1))。
【0006】
子宮頸癌は、世界中で重大な医学的問題を引き起こしており、年間50万超の新たな症例が発生して、25万人が死亡していると推定される。Tewari et al., 2014, N Engl J Med., 370:734-743(非特許文献2)を参照のこと。欧州連合では、毎年約34,000件の新しい子宮頸癌の症例と13,000件の死亡が発生している。Hillemanns et al., 2016, Oncol. Res. Treat. 39:501-506(非特許文献3)を参照のこと。子宮頸癌の主なタイプは扁平上皮癌と腺癌である。ヒトパピローマウイルス(HPV)16型および18型による長期にわたる感染が、子宮頸癌のほとんどの症例の原因である。子宮頸癌の第一選択治療の標準は、プラチナおよびタキサンをベースとした治療であった。抗VEGF抗体であるベバシズマブは、臨床試験で全生存期間を改善していた子宮頸癌治療用の化学療法との併用が米国食品医薬品局によって承認された。進行子宮頸癌の第一選択(first-line:1L)治療は、パクリタキセル+プラチナ製剤(例:シスプラチンまたはカルボプラチン)またはパクリタキセル+トポテカンと組み合わせたベバシズマブで構成される。48%の客観的奏効率(objective response rate:ORR)と約18ヶ月の全生存期間(overall survival:OS)中央値にもかかわらず、残念ながら、この1L治療の後でほぼ全ての患者が再発している。Tewari et al., 2014, N Engl J Med., 370:734-743(非特許文献2)を参照のこと。第二選択(2L)治療については、承認された治療法がなく、患者は、ペメトレキセド、トポテカン、ドセタキセル、nab-パクリタキセル、ビノレルビン、場合によってはベバシズマブを含むがこれらに限定されない単剤療法で治療されることが多い。単剤療法のメタ分析からは、わずか10.9%(すなわち、552人の患者のうち60人の奏効者)のささやかな奏効率と約7ヶ月の全生存期間(OS)中央値が示されている。例えば、以下を参照のこと:Burotto et al., 2015, Oncologist 20:725-726(非特許文献4); Candelaria et al., 2009, Int. J. Gynecol. Cancer. 19:1632-1637(非特許文献5); Coronel et al., 2009, Med. Oncol. 26:210-214(非特許文献6); Fiorica et al., 2009, Gynecol. Oncol. 115:285-289(非特許文献7); Garcia et. al., 2007, Am. J. Clin. Oncol. 30-428-431(非特許文献8); Goncalves et al., 2008, Gynecol. Oncol. 108:42-46(非特許文献9); Homesley et al., 2008, Int. J. Clin. Oncol. 13:62-65(非特許文献10); McLachlan et al., 2017, Clin. Oncol. (R. Coll. Radiol.) 29:153-160(非特許文献11); Miller et al., 2008, Gynecol. Oncol. 110:65-70(非特許文献12); Monk et al., 2009, J. Clin. Oncol. 27:1069-1074(非特許文献13); Muggia et al., 2004, Gynecol. Oncol. 92:639-643;Rose et al., 2006, Gynecol. Oncol. 102:210-213(非特許文献14); Santin et al., 2011, Gynecol. Oncol. 122:495-500(非特許文献15); Schilder et al., 2005, Gynecol. Oncol. 96:103-107(非特許文献16); およびTorfs et al., 2012, Eur. J. Cancer. 48:1332-1340(非特許文献17)。ステージIVの子宮頸癌の5年相対生存率はわずか15%であり、子宮頸癌の改善された治療方法の必要性が高いことを示している。
【0007】
本発明は、特に子宮頸癌の治療に使用するための、非常に特異的かつ効果的な抗TF抗体-薬物コンジュゲートを提供することによって、この必要性を満たすものである。
【0008】
特許出願、特許公開公報、および科学文献を含めて、本明細書で引用される全ての参考文献は、個々の参考文献が参照により組み入れられるように具体的かつ個別に示されているかのように、全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Hobbs et al., 2007, Thrombosis Res. 120(2):S13-S21
【非特許文献2】Tewari et al., 2014, N Engl J Med., 370:734-743
【非特許文献3】Hillemanns et al., 2016, Oncol. Res. Treat. 39:501-506
【非特許文献4】Burotto et al., 2015, Oncologist 20:725-726
【非特許文献5】Candelaria et al., 2009, Int. J. Gynecol. Cancer. 19:1632-1637
【非特許文献6】Coronel et al., 2009, Med. Oncol. 26:210-214
【非特許文献7】Fiorica et al., 2009, Gynecol. Oncol. 115:285-289
【非特許文献8】Garcia et. al., 2007, Am. J. Clin. Oncol. 30-428-431
【非特許文献9】Goncalves et al., 2008, Gynecol. Oncol. 108:42-46
【非特許文献10】Homesley et al., 2008, Int. J. Clin. Oncol. 13:62-65
【非特許文献11】McLachlan et al., 2017, Clin. Oncol. (R. Coll. Radiol.) 29:153-160
【非特許文献12】Miller et al., 2008, Gynecol. Oncol. 110:65-70
【非特許文献13】Monk et al., 2009, J. Clin. Oncol. 27:1069-1074
【非特許文献14】Muggia et al., 2004, Gynecol. Oncol. 92:639-643;Rose et al., 2006, Gynecol. Oncol. 102:210-213
【非特許文献15】Santin et al., 2011, Gynecol. Oncol. 122:495-500
【非特許文献16】Schilder et al., 2005, Gynecol. Oncol. 96:103-107
【非特許文献17】Torfs et al., 2012, Eur. J. Cancer. 48:1332-1340
【発明の概要】
【0010】
本明細書では、組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートを対象者に投与する工程を含む、対象者における子宮頸癌の治療方法が提供される。いくつかの局面において、本明細書では、組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートを対象者に投与する工程を含む、対象者における子宮頸癌の治療方法が提供され、この場合に、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体(例:機能的ペプチド類似体)もしくはその機能的誘導体にコンジュゲートされた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗体-薬物コンジュゲートは、約1.5mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の用量で投与される。さらなる態様では、その用量は約2.0mg/kgである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは、約1週間、2週間、3週間または4週間に1回投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは、約3週間に1回投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該対象者は、以前に1つまたは複数の治療剤で治療されたことがあり、その治療に応答しなかった;ここで、該1つまたは複数の治療剤は抗体-薬物コンジュゲートではない。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該対象者は、以前に1つまたは複数の治療剤で治療されたことがあり、その治療後に再発した;ここで、該1つまたは複数の治療剤は抗体-薬物コンジュゲートではない。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該対象者は、以前に1つまたは複数の治療剤で治療されたことがあり、その治療中に疾患の進行を経験している;ここで、該1つまたは複数の治療剤は抗体-薬物コンジュゲートではない。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤は、プラチナベースの治療剤を含む。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該1つまたは複数の治療剤は、以下からなる群より選択される:パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、トポテカン、ゲムシタビン、フルオロウラシル、イクサベピロン、イマチニブメシレート、ドセタキセル、ゲフィチニブ、パクリタキセル、ペメトレキセド、ビノレルビン、ドキシル、セツキシマブ、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、ベバシズマブ。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該対象者は、a)パクリタキセルとシスプラチン、b)パクリタキセルとカルボプラチン、またはc)パクリタキセルとトポテカンによる治療中または治療後に疾患の進行を経験している。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該対象者は、ベバシズマブによる治療を受けたことがある。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該対象者は、ベバシズマブによる治療に不適格である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該対象者は、根治的療法(curative therapy)の候補者ではない。本明細書中の任意のいくつかの態様では、根治的療法は放射線療法および/または内臓除去術(exenterative surgery)を含む。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該対象者は、2回までの以前の全身療法レジメンによる治療に応答しなかった。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該対象者は、2回までの以前の全身療法レジメンによる治療後に再発した。本明細書中の任意のいくつかの態様では、子宮頸癌は腺癌、腺扁平上皮癌または扁平上皮癌である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、子宮頸癌は、ステージ3またはステージ4の子宮頸癌などの進行期の子宮頸癌、例えば転移性子宮頸癌である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、子宮頸癌は再発性子宮頸癌である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、モノメチルアウリスタチンはモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントは、モノクローナル抗体またはそのモノクローナル抗原結合フラグメントである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで、重鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ軽鎖可変領域は、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含む;ここで、抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRは、IMGTナンバリングスキームによって定義される。
【0011】
本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列と少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体はチソツマブ(tisotumab)である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントとモノメチルアウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む。さらなる態様では、そのリンカーは切断可能なペプチドリンカーである。さらなる態様では、切断可能なペプチドリンカーは式:-MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcはジペプチドのバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である。
【0012】
本明細書中の任意のいくつかの態様では、該リンカーは、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体のスルフヒドリル残基に結合されている。さらなる態様では、該リンカーはMMAEに結合されており、その場合に、抗体-薬物コンジュゲートは以下の構造:
を有し、ここで、pは1~8の数を表し、Sは抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す。さらなる態様では、抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値は、約4である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチン(tisotumab vedotin)である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートの投与経路は静脈内(例えば、静脈内注入)である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、子宮頸癌細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%は、TFを発現する。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該対象者における1つまたは複数の治療効果は、ベースラインと比較して、抗体-薬物コンジュゲートの投与後に改善される。さらなる態様では、1つまたは複数の治療効果は、以下からなる群より選択される:子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間。本明細書中の任意のいくつかの態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは、抗体-薬物コンジュゲートの投与前の子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する。本明細書中の任意のいくつかの態様では、客観的奏効率は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該対象者は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該対象者は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートに対する奏効持続期間は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該対象者は、1つまたは複数の有害事象を有し、該1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための追加の治療剤をさらに投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該対象者は、1つまたは複数の有害事象を発症するリスクを有し、該1つまたは複数の有害事象を予防するかまたはその重症度を軽減するための追加の治療剤をさらに投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該1つまたは複数の有害事象は、貧血、腹痛、低カリウム血症、低ナトリウム血症、鼻出血、疲労、吐き気、脱毛症、結膜炎、便秘、食欲減退、下痢、嘔吐、末梢神経障害、または全身の健康状態の悪化である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該1つまたは複数の有害事象はグレード3以上の有害事象である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該1つまたは複数の有害事象は重篤な有害事象である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該1つまたは複数の有害事象は結膜炎および/または角膜炎であり、追加の薬剤は防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬および/またはステロイド点眼薬である。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは単剤療法として投与される。本明細書中の任意のいくつかの態様では、該対象者はヒトである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは、該抗体-薬物コンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する。
【0013】
本明細書では、TFに結合する抗体-薬物コンジュゲートを含む製造物品も提供される。いくつかの局面では、以下を含む製造物品が本明細書で提供される:a)抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬、ここで、該抗体-薬物コンジュゲートは、モノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体(例:機能的ペプチド類似体)もしくはその機能的誘導体にコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含む;およびb)本明細書中の任意のいくつかの態様による対象者における子宮頸癌の治療方法で、該抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬を投与するための説明書を含む添付文書。さらなる態様では、抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬は、バイアル、シリンジ、および輸液バッグからなる群より選択される容器内に含まれる。さらなる態様では、該容器は抗体-薬物コンジュゲートを約4mg~約500mgの投与量で含む。さらなる態様では、該容器は抗体-薬物コンジュゲートを約20mg~約60mgの投与量で含む。さらなる態様では、該容器は抗体-薬物コンジュゲートを約40mgの投与量で含む。別のさらなる態様では、該容器は抗体-薬物コンジュゲートを40mgの投与量で含む。別のさらなる態様では、該容器は抗体-薬物コンジュゲートを約5mg/mL~約15mg/mLの濃度で含む。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬は凍結乾燥粉末である。さらなる態様では、その凍結乾燥粉末を適切な希釈剤で再調製すると、結果的に約5mg/mL~約15mg/mLの最終濃度となる。本明細書中の任意のいくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬は、静脈内注入または注射により投与するためのものである。さらなる態様では、抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬は、静脈内注入により投与するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
特許または出願ファイルには、カラーで作成された図面が少なくとも1つ含まれている。カラー図面を含むこの特許または特許出願公開公報のコピーは、請求に応じて、必要な手数料を支払うことにより、官庁から提供される。
図1図1は、抗体-薬物コンジュゲートのチソツマブベドチンの作用機序(MOA)を示す図である。
図2図2は、チソツマブベドチンによりがん患者を治療するための用量漸増試験のデザインを示す図である。q3wは、治療サイクルが3週間ごとであることを示す。
図3図3は、最もよく見られる治療関連有害事象(AE)が、試験した全ての用量のチソツマブベドチンで治療した後に全体として4名以上の患者に発生することを示すグラフである。N=27は、27名の患者を示す。
図4図4Aおよび4Bは、全ての用量コホートについてのサイクル1およびサイクル2の期間中の経時的な、A)平均血漿チソツマブベドチン濃度、およびB)平均血漿遊離MMAE濃度を示すグラフである。
図5図5は、27名の患者におけるベースラインからの腫瘍サイズの最大変化率を示すグラフである。(i)2.2mg/kgのチソツマブベドチンで治療した子宮頸癌の患者1を示す。(ii)1.2mg/kgのチソツマブベドチンで治療した子宮頸癌の患者2を示す。ベースラインは、チソツマブベドチンによる初回治療の前に行われた最新の利用可能な測定として定義した。
図6図6は、患者2の肺転移のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンである。この患者は子宮頸癌があり、1.2mg/kgのチソツマブベドチンを用いて治療した。
図7図7は、34名の治療した子宮頸癌患者において最もよく見られた有害事象(AE)を示すグラフである。
図8図8は、標的病変のベースラインからの最大変化率を示すグラフである。a 2名の患者がCTスキャンの前に離脱したため、グラフには表示されないことを示す。b 同じスキャンで新しい病変によるPDを示す。ベースラインは、チソツマブベドチンによる初回治療の前に行われた最新の利用可能な測定として定義した。
図9図9は、標的病変のベースラインからの最大変化率を示すグラフである。a 最大奏効がPRの場合のリンパ節疾患と持続性非標的病変がある患者を示す。b 最大奏効がPDの場合のリンパ節疾患、持続性非標的病変、および新しい病変がある患者を示す。ベースラインは、チソツマブベドチンによる初回治療の前に行われた最新の利用可能な測定として定義した。
図10図10は、奏効までの期間および奏効持続期間を示すグラフである。a 奏効は未確定+確定奏効として定義した。
図11図11は、以前に少なくとも1回の全身療法ラインを受けている、以前に治療された再発性または転移性がんを有する患者における、チソツマブベドチンによる治療のための第II相試験デザインを示す図である。a 病勢が進行するまで各サイクルの1日目にチソツマブベドチン2.0mg/kgを注入することを示す。各治療サイクルは3週(Q3W)であった。b 治療の遅れに関係なく、治療の最初の30週は6週間(±7日)ごと、それ以降は12週間(±7日)ごとのCTまたはMRIスキャンを示す。c オプションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
I. 定義
本開示をより容易に理解できるようにするために、最初に特定の用語を定義する。本出願で使用する場合、本明細書で別に定義しない限り、以下の各用語は、以下に示す意味を有するものとする。本出願全体を通して追加の定義が示される。
【0016】
本明細書で使用する用語「および/または」は、他方の有無にかかわらず、2つの指定された特徴または構成要素のそれぞれの具体的な開示として解釈されるべきである。したがって、本明細書で「Aおよび/またはB」などの表現で使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むものとする。同様に、「A、B、および/またはC」などの表現で使用される「および/または」という用語は、以下の解釈のそれぞれを包含するものとする:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);C(単独)。
【0017】
本明細書に記載される本発明の局面および態様は、局面および態様「を含む」、「からなる」、および「から本質的になる」ことを包含することが理解されよう。
【0018】
別に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本開示が関係する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。例えば、以下は本開示で使用される用語の多くの一般的な辞書を当業者に提供する:Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 第2版, 2002, CRC Press; Dictionary of Cell and Molecular Biology, 第3版, 1999, Academic Press; およびOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology, 改訂版, 2000, Oxford University Press。
【0019】
単位、接頭辞、および記号は、国際単位系(Systeme International de Unites:SI)で承認された形式で表示される。数値範囲には、その範囲を規定する数値が含まれる。本明細書で提供される見出しは、本開示の様々な局面の限定ではなく、そうした局面は本明細書を全体として参照することにより得られる。したがって、すぐ下で定義される用語は、本明細書全体を参照することでより完全に定義される。
【0020】
用語「組織因子」、「TF」、「CD142」、「組織因子抗原」、「TF抗原」および「CD142抗原」は、本明細書では相互交換可能に使用され、特に明記しない限り、細胞によって天然に発現されるか、または組織因子遺伝子でトランスフェクトされた細胞に発現される、ヒト組織因子のバリアント、アイソフォーム、および種ホモログを包含する。組織因子は、GenbankアクセッションNP_001984の配列であり得る。
【0021】
用語「免疫グロブリン」とは、1対の低分子量軽(L)鎖と1対の重(H)鎖の2対のポリペプチド鎖からなり、4本全てがジスルフィド結合によって相互に連結されている、構造的に関連した糖タンパク質のクラスを指す。免疫グロブリンの構造は十分に特徴付けられている。例えば、Fundamental Immunology 第7章 (Paul, W.編, 第2版, Raven Press, N.Y. (1989))を参照のこと。簡単に説明すると、各重鎖は、典型的には、重鎖可変領域(本明細書ではVHまたはVHと略す)と重鎖定常領域(CHまたはCH)で構成される。重鎖定常領域は、一般的に、CH1、CH2、およびCH3の3つのドメインからなる。各軽鎖は、典型的には、軽鎖可変領域(本明細書ではVLまたはVLと略す)と軽鎖定常領域(CLまたはCL)で構成される。軽鎖定常領域は、一般的に、1つのドメインCLからなる。VHおよびVL領域は、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる超可変性の領域(つまり、配列が超可変性でありかつ/または構造的に規定されたループの形であり得る、超可変領域)にさらに分割することができ、この超可変領域には、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が介在する。各VHおよびVLは、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端に次の順序で配置された3つのCDRと4つのFRから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4(Chothia and Lesk J. Mot. Biol., 195, 901-917 (1987)も参照のこと)。一般的には、この領域のアミノ酸残基のナンバリングは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)に記載される方法により行われる(本明細書中でのKabatのようなまたはKabatによる可変ドメインの残基ナンバリングなどの表現は、重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインのこのナンバリングシステムを指す)。このナンバリングシステムを使用して、ペプチドの実際の線形アミノ酸配列は、可変ドメインのFRもしくはCDRの短縮に対応するより少ないアミノ酸、またはFRもしくはCDRへの挿入に対応する追加のアミノ酸を含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、VH CDR2の残基52の後に単一アミノ酸の挿入(Kabatによると残基52a)、および重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatによると残基82a、82b、82cなど)を含んでもよい。所与の抗体について、該抗体の配列と「標準」のKabatナンバリング配列との相同性領域でのアラインメントによってKabatの残基ナンバリングを決定することができる。免疫グロブリンは、IgA、分泌型IgA、IgG、およびIgMを含むがこれらに限定されない、一般に知られたアイソタイプのいずれかに由来し得る。IgGサブクラスも当業者に周知であり、ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含むがこれらに限定されない。「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラスまたはサブクラス(例えば、IgMまたはIgG1)を指す。
【0022】
本発明の文脈において用語「抗体」(Ab)とは、免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子のフラグメント、またはそれらのいずれかの誘導体を指す;これらは、典型的な生理学的条件下で抗原に特異的に結合する能力を有し、その半減期はかなり長く、例えば、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、約24時間以上、約48時間以上、約3、4、5、6、7日またはそれ以上の期間など、あるいは他の関連する機能的に定義された期間(例えば、抗原への抗体の結合に関連した生理学的応答を誘発、促進、増強および/もしくは調節するのに十分な期間、ならびに/または抗体がエフェクター活性を増強するのに十分な期間)である。免疫グロブリン分子の重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含んでいる。抗体(Ab)の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および補体系の成分(例えば、補体活性化の古典的経路の第1成分であるC1q)を含めて、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を仲介することができる。上に示したように、本明細書中の抗体という用語は、特に明記しない限り、または文脈から明らかに矛盾しない限り、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体のフラグメント(例えば、抗原結合フラグメント)を含む。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体のフラグメントによって果たされ得ることが示されている。「抗体」という用語に含まれる抗原結合フラグメントの例には、以下が含まれる:(i)Fab'またはFabフラグメント、これはVL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価フラグメント、またはWO2007059782 (Genmab A/S)に記載される一価抗体である;(ii)F(ab')2フラグメント、これはヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメントである;(iii)Fdフラグメント、これはVHおよびCH1ドメインから本質的になる;(iv)Fvフラグメント、これは抗体の単一アームのVLおよびVHドメインから本質的になる;(v)dAbフラグメント(Ward et al., Nature 341, 544-546 (1989))、これはVHドメインから本質的になり、ドメイン抗体とも呼ばれる(Holt et al; Trends Biotechnol, 2003 Nov;21(11) :484-90);(vi)ラクダ科動物(camelid)抗体またはナノボディ;および(vii)単離された相補性決定領域(CDR)。さらに、Fvフラグメントの2つのドメイン、VLとVHは別々の遺伝子によってコードされるが、組換え法を用いて、それらを合成リンカーで結合させることができる;合成リンカーは、VL領域とVH領域が対になって一価分子(一本鎖抗体または一本鎖Fv(scFv)として知られる)を形成する単一のタンパク質鎖としてそれらを作製できるようにする(例えば、Bird et al., Science 242, 423-426 (1988)およびHuston et al., PNAS USA 85, 5879-5883 (1988)を参照のこと)。そのような一本鎖抗体は、特に記載されない限り、または文脈によって明確に示されない限り、抗体という用語に含まれる。そのような抗原結合フラグメントは一般に抗体の意味に含まれるが、それらは集合的かつそれぞれ独立して本発明のユニークな特徴であり、異なる生物学的特性および有用性を示す。本発明との関係においてこれらおよび他の有用な抗体フラグメントは、本明細書中でさらに説明される。また、抗体という用語は、特に明記しない限り、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、キメラ抗体およびヒト化抗体などの抗体様ポリペプチド、ならびに抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体フラグメント(例えば、抗原結合フラグメント)をも含むことを理解されたい;これらは、酵素的切断、ペプチド合成、組換え技術などの公知の技術によって提供される。作製された抗体は、任意のアイソタイプを持つことができる。明示的に記述されない場合、および文脈がそうでないことを示さない限り、用語「抗体」は、前述の免疫グロブリンのいずれかの抗原結合フラグメントまたは抗原結合部分をも含む。
【0023】
「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す(例えば、TFに特異的に結合する単離された抗体は、TF以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかし、TFに特異的に結合する単離された抗体は、異なる種からのTF分子など、他の抗原に対して交差反応性を示すことがある。さらに、単離された抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まない。一態様では、抗体は別の薬剤(例えば、小分子薬物)に結合されたコンジュゲートを含む。いくつかの態様では、抗TF抗体は、抗TF抗体と小分子薬物(例えば、MMAEまたはMMAF)とのコンジュゲートを含む。
【0024】
用語「モノクローナル抗体」(mAb)は、単一分子組成の抗体分子、すなわち一次配列が本質的に同一でありかつ特定のエピトープに対する単一の結合特異性および親和性を示す抗体分子、の天然に存在しない調製物を指す。モノクローナル抗体は、単離された抗体の一例である。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、トランスジェニック、または当業者に公知の他の技術によって作製することができる。
【0025】
「ヒト抗体」(HuMAb)は、FRとCDRの両方がヒト生殖細胞系列(germline)の免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を指す。さらに、該抗体が定常領域を含む場合、その定常領域もまた、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列に由来する。本開示のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的変異誘発によって、またはインビボでの体細胞突然変異によって導入された突然変異)を含み得る。しかし、本明細書で使用する用語「ヒト抗体」は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフトされた抗体を含むことを意図しない。「ヒト抗体」および「完全ヒト抗体」という用語は、同義語として使用される。
【0026】
「ヒト化抗体」とは、非ヒト抗体のCDRの外側のアミノ酸の一部、大部分、または全部が、ヒト免疫グロブリン由来の対応するアミノ酸で置き換えられた抗体を指す。抗体のヒト化形態の一態様では、CDRの外側のアミノ酸の一部、大部分、または全部がヒト免疫グロブリン由来のアミノ酸で置き換えられているが、1つまたは複数のCDR内の一部、大部分、または全部のアミノ酸は変化していない。アミノ酸の小さな付加、欠失、挿入、置換または修飾は、それらが特定の抗原に結合する抗体の能力を無効にしない限り、許容される。「ヒト化抗体」は、元の抗体と同様の抗原特異性を保持する。ある態様では、ヒト化抗体のCDRは、非ヒト哺乳動物抗体由来のCDRを含む。他の態様では、ヒト化抗体のCDRは、人工的に作り出された合成抗体由来のCDRを含む。
【0027】
「キメラ抗体」とは、可変領域が1つの種に由来し、かつ定常領域が別の種に由来する抗体を指し、例えば、可変領域がマウス抗体に由来し、かつ定常領域がヒト抗体に由来する抗体などである。
【0028】
「抗抗原抗体」は、抗原に特異的に結合する抗体を指す。例えば、抗TF抗体は、TFに特異的に結合する。
【0029】
抗体の「抗原結合部分」または「抗原結合フラグメント」とは、全抗体(whole antibody)によって結合される抗原に特異的に結合する能力を保持する、抗体の1つまたは複数のフラグメントを指す。抗体フラグメント(例えば、抗原結合フラグメント)の例には、限定するものではないが、以下が含まれる:Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ;線形抗体;一本鎖抗体分子(例:scFv);および抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体。抗体のパパイン消化は、「Fab」フラグメント(それぞれが単一の抗原結合部位を有する)と呼ばれる2つの同一の抗原結合フラグメント、および残りの「Fc」フラグメント(その名称は容易に結晶化する能力を反映している)をもたらす。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有し、まだ抗原と架橋する能力があるF(ab')2フラグメントを生成する。
【0030】
用語「超可変領域」、「HVR」、または「HV」は、本明細書で使用する場合、配列が超可変性でありかつ/または構造的に規定されたループを形成する、抗体可変ドメインの領域を指す。一般的に、抗体には6つのHVRが含まれ、VHに3つ(H1、H2、H3)とVLに3つ(L1、L2、L3)である。自然抗体では、H3とL3は6つのHVRの中で最大の多様性を示し、特にH3は抗体に優れた特異性を付与する上で特異な役割を果たすと考えられている。例えば、Xu et al. Immunity 13:37-45 (2000); Johnson and Wu in Methods in Molecular Biology 248:1-25 (Lo, ed., Human Press, Totowa, NJ, 2003)を参照のこと。実際、重鎖のみからなる天然に存在するラクダ科動物の抗体は、軽鎖の非存在下で機能的かつ安定である。例えば、Hamers-Casterman et al., Nature 363:446-448 (1993)およびSheriff et al., Nature Struct. Biol. 3:733-736 (1996)を参照のこと。
【0031】
いくつかのHVRの描写(delineation)が使用されており、本明細書に包含される。Kabatの相補性決定領域(CDR)であるHVRは、配列多様性に基づいており、最も一般的に使用される(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, Public Health Service, National Institute of Health, Bethesda, MD (1991))。ChothiaのHVRは、代わりに、構造ループの位置について言及している(Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。「contact」HVRは、利用可能な複雑な結晶構造の解析に基づいている。これらのHVRのそれぞれからの残基を以下に示す。
【0032】
本明細書で使用する場合、所定の抗原への抗体の結合の文脈において「結合する」または「特異的に結合する」という用語は、典型的には、抗原をリガンドとして使用し、抗体をアナライトとして使用するBIAcore 3000機器で、例えば表面プラズモン共鳴(SPR)技術により測定した場合、約10-7M以下のKD、例えば、約10-8M以下、約10-9M以下、約10-10M以下、または約10-11M以下のKDに対応する親和性で結合することであり、そして所定の抗原または密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(例:BSA、カゼイン)への結合に対する親和性よりも少なくとも10倍低いKD、例えば、少なくとも100倍低い、少なくとも1,000倍低い、少なくとも10,000倍低い、または少なくとも100,000倍低いKDに対応する親和性で所定の抗原に結合する。親和性が低くなる量は、抗体のKDに依存する;したがって、抗体のKDが非常に低い(つまり、抗体が高度に特異性である)場合、抗原に対する親和性が非特異的抗原に対する親和性よりも低くなる量は、少なくとも10,000倍であり得る。
【0033】
本明細書で使用する用語「kd」(sec-1)は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度定数を指す。この値は、koff値とも呼ばれる。
【0034】
本明細書で使用する用語「ka」(M-1×sec-1)は、特定の抗体-抗原相互作用の結合速度定数を指す。
【0035】
本明細書で使用する用語「KD」(M)は、特定の抗体-抗原相互作用の解離平衡定数を指す。
【0036】
本明細書で使用する用語「KA」(M-1)は、特定の抗体-抗原相互作用の結合平衡定数を指し、kaをkdで割ることにより得られる。
【0037】
用語「ADC」は抗体-薬物コンジュゲートを指し、本発明の文脈においては、本出願に記載されるような別の部分(例えば、MMAEまたはMMAF)に連結されている抗TF抗体を指す。
【0038】
略語「vc」および「val-cit」は、ジペプチドのバリン-シトルリンを指す。
【0039】
略語「PAB」は、自壊性(self-immolative)スペーサー:
を指す。
【0040】
略語「MC」は、ストレッチャーのマレイミドカプロイル:
を指す。
【0041】
用語「Ab-MC-vc-PAB-MMAE」は、MC-vc-PABリンカーを介して薬物MMAEにコンジュゲートされた抗体を指す。
【0042】
「がん」とは、体内の異常な細胞の無制限の増殖を特徴とする様々な疾患の幅広いグループを指す。「がん」または「がん組織」は腫瘍を含み得る。無秩序な細胞分裂と増殖は悪性腫瘍の形成につながり、悪性腫瘍は隣接する組織に侵入しかつリンパ系または血流を通じて身体の離れた部分に転移することもある。転移後、遠位腫瘍は転移前腫瘍に「由来する」と言うことができる。例えば、子宮頸癌に「由来する腫瘍」は、転移した子宮頸癌の結果である腫瘍を指す。
【0043】
対象者の「治療」または「療法」とは、疾患に関連する症状、合併症、状態、または生化学的兆候の発生、進行、発達、重症度、または再発を逆転、緩和、改善、抑制、減速、または防止することを目的として、対象者に対して行われる任意のタイプの介入もしくはプロセス、または対象者への活性薬剤の投与を指す。いくつかの態様では、その疾患はがんである。
【0044】
「対象者」には、任意のヒトまたは非ヒト動物が含まれる。用語「非ヒト動物」は、脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、およびマウス、ラット、モルモットなどのげっ歯類を含むが、これらに限定されない。いくつかの態様では、該対象者はヒトである。「対象者」、「患者」および「個体」という用語は、本明細書では相互交換可能に使用される。
【0045】
「有効量」、「治療有効量」または「治療上有効な投与量」は、必要な投与量でかつ必要な期間にわたり、所望の治療結果を達成するのに有効な量を指す。そのような所望の治療結果には、疾患の発症から対象者を保護すること、あるいは症状の重症度の低下、無症状期間の頻度と持続の増加、または病気の苦痛による機能障害(impairment)もしくは能力障害(disability)の防止により証明される疾患の退縮を促進することが含まれる。疾患の退縮を促進する治療剤の能力は、当業者に公知の様々な方法を用いて、例えば、臨床試験中にヒト対象者において、ヒトでの有効性を予測する動物モデル系において、またはインビトロアッセイで治療剤の活性をアッセイすることによって、評価することができる。抗TF抗体-薬物コンジュゲートの治療有効量は、個体の病状、年齢、性別、および体重、ならびに個体において所望の応答を誘発する抗TF抗体-薬物コンジュゲートの能力などの諸要因によって異なり得る。治療有効量はまた、治療上有益な効果が抗TF抗体-薬物コンジュゲートの毒性または有害作用を上回る量でもある。
【0046】
薬物(例えば、抗TF抗体-薬物コンジュゲート)の治療有効量には、「予防上有効な量」が含まれ、これは、単独でまたは抗がん剤と組み合わせて、がんを発症するリスクのある対象者(例えば、前がん状態を有する対象者)またはがんの再発を起こすリスクのある対象者に投与した場合、がんの発生または再発を阻止する薬物の量である。いくつかの態様では、予防上有効な量は、がんの発生または再発を完全に防止する。がんの発生または再発を「阻止する」とは、がんの発生または再発の可能性を減らすか、あるいはがんの発生または再発を完全に防止することを意味する。
【0047】
本明細書で使用する「治療量以下」(subtherapeutic dose)とは、過剰増殖性疾患(例えば、がん)の治療のために単独で投与する場合の治療化合物(例えば、抗体-薬物コンジュゲート)の常用量または通常使用量よりも低い治療化合物の用量を意味する。
【0048】
例として、「抗がん剤」は対象者におけるがんの退縮を促進する。いくつかの態様では、治療有効量の薬物は、がんを排除するくらいにがんの退縮を促進する。「がんの退縮を促進する」とは、有効量の薬物を単独でまたは抗がん剤と組み合わせて投与すると、結果的に、腫瘍の成長もしくはサイズの減少、腫瘍の壊死、少なくとも1つの症状の重症度の低下、無症状期間の頻度と持続の増加、または病気の苦痛による機能障害もしくは能力障害の防止が生じることを意味する。さらに、治療に関する「有効」および「有効性」という用語は、薬理学的有効性と生理学的安全性の両方を含む。薬理学的有効性とは、患者におけるがんの退縮を促進する薬物の能力を指す。生理学的安全性とは、薬物の投与から生じる細胞レベル、臓器レベル、および/または生物レベルでの毒性もしくは他の有害な生理学的作用(副作用)のレベルを指す。
【0049】
腫瘍の治療の例として、治療有効量の抗がん剤は、未治療群(例えば、1個体以上の未治療の対象者)と比べて、治療群(例えば、1個体以上の治療済みの対象者)において細胞増殖または腫瘍成長を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%抑制する。
【0050】
本開示の他の態様では、腫瘍の退縮は、少なくとも約20日間、少なくとも約30日間、少なくとも約40日間、少なくとも約50日間、または少なくとも約60日間観察され、継続することができる。治療有効性のこれらの究極の測定にもかかわらず、免疫療法薬の評価には「免疫関連奏効パターン」も考慮に入れる必要がある。
【0051】
「持続的奏効」(sustained response)とは、治療の中止後に腫瘍成長を抑えることへの持続的効果を指す。例えば、腫瘍サイズは、投与期の開始時のサイズと比較して、同じかまたはそれよりも小さくなっている。いくつかの態様では、持続的奏効は、治療期間と少なくとも同じ期間、治療期間の少なくとも1.5倍、2.0倍、2.5倍、または3.0倍の長さを有する。
【0052】
本明細書で使用する場合、「完全奏効」(complete response)または「CR」は、全ての標的病変の消失を指す;「部分奏効」(partial response)または「PR」は、ベースライン長径和(sum of the longest diameters:SLD)を基準として、標的病変の長径和の少なくとも30%減少を指す;「病勢安定」(stable disease)または「SD」は、PRの対象となるのに十分な標的病変の縮小もなく、治療開始以来の最小SLDを基準としてPDの対象となるのに十分な増加もないことを指す。
【0053】
本明細書で使用する場合、「無増悪生存期間」(progression-free survival)または「PFS」は、治療されている疾患(例えば、がん)が悪化しない治療中および治療後の期間を指す。無増悪生存期間には、患者が完全奏効または部分奏効を経験した期間、および患者が病勢安定を経験した期間を含めることができる。
【0054】
本明細書で使用する場合、「全奏効率」(overall response rate)または「ORR」は、完全奏効(CR)率と部分奏効(PR)率の合計を指す。
【0055】
本明細書で使用する場合、「全生存率」(overall survival)または「OS」は、特定の期間後に生存している可能性が高いグループ内の個体の割合を指す。
【0056】
本明細書で使用する用語「体重ベースの用量」は、患者に投与される用量が患者の体重に基づいて計算されることを意味する。例えば、体重60kgの患者が2mg/kgの抗TF抗体-薬物コンジュゲートを必要とする場合、投与のために抗TF抗体-薬物コンジュゲートの適切な量(すなわち、120mg)を計算して使用することができる。
【0057】
本開示の方法および投与量に関する用語「均一用量」(flat dose)の使用は、患者の体重または体表面積(BSA)に関係なく患者に投与される用量を意味する。したがって、均一用量は、mg/kg用量としてではなく、薬剤(例えば、抗TF抗体-薬物コンジュゲート)の絶対量として提供される。例えば、60kgの人と100kgの人は、同じ用量の抗体-薬物コンジュゲート(例えば、240mgの抗TF抗体-薬物コンジュゲート)を受け取るだろう。
【0058】
「薬学的に許容される」という語句は、物質または組成物が化学的および/または毒物学的に、製剤を構成する他の成分および/またはそれで治療される哺乳動物と、適合しなければならないことを示す。
【0059】
本明細書で使用する語句「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物の薬学的に許容される有機または無機塩を指す。例示的な塩には、限定するものではないが、以下が含まれる:硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシル酸塩」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パモ酸(すなわち、4,4'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸))塩、アルカリ金属(例:ナトリウムおよびカリウム)塩、アルカリ土類金属(例:マグネシウム)塩、およびアンモニウム塩。薬学的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオン、または他の対イオンなどの別の分子を含むことができる。対イオンは、親化合物の電荷を安定化させる任意の有機または無機部分であり得る。さらに、薬学的に許容される塩は、その構造内に複数の荷電原子を持つことがある。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の一部である場合は、複数の対イオンを持つことができる。したがって、薬学的に許容される塩は、1つ以上の荷電原子および/または1つ以上の対イオンを有することができる。
【0060】
「投与する」とは、当業者に公知の様々な方法および送達システムのいずれかを用いて、対象者に治療剤を物理的に導入することを指す。抗TF抗体-薬物コンジュゲートの例示的な投与経路には、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄または他の非経口の投与経路、例えば注射または注入(例:静脈内注入)による投与経路が含まれる。本明細書で使用する語句「非経口投与」は、経腸投与および外用以外の、通常は注射による、投与方法を意味し、限定するものではないが、以下が含まれる:静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内の注射および注入、ならびにin vivoエレクトロポレーション。治療剤は、非腸管外(non-parenteral)経路を介して、または経口的に投与することができる。他の非腸管外経路には、局所、表皮または粘膜の投与経路、例えば、鼻腔内、膣内、直腸内、舌下または外用が含まれる。投与はまた、例えば、1回、複数回、および/または1つ以上の長期間にわたって行うこともできる。
【0061】
本明細書で交換可能に使用される用語「ベースライン」または「ベースライン値」は、治療剤(例えば、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲート)の投与前または治療剤投与の開始時の症状の測定または特性評価を指すことができる。本明細書で企図されるTF関連疾患(例えば、子宮頸癌)の症状の軽減または改善を判定するために、ベースライン値を参照値と比較することができる。本明細書で交換可能に使用される用語「参照」または「参照値」は、治療剤(例えば、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲート)の投与後の症状の測定または特性評価を指すことができる。参照値は、投与レジメンまたは治療サイクルの間に1回以上、あるいは投与レジメンまたは治療サイクルの完了時に測定することができる。「参照値」は、絶対値;相対値;上限および/または下限のある値;値の範囲;平均値(average value);中央値;平均値(mean value);またはベースライン値と比較した値であり得る。
【0062】
同様に、「ベースライン値」は、絶対値;相対値;上限および/または下限のある値;値の範囲;平均値(average value);中央値;平均値(mean value);または参照値と比較した値であり得る。参照値および/またはベースライン値は、1個体から、異なる2個体から、または個体群(例えば、2、3、4、5個体またはそれ以上のグループ)から取得することができる。
【0063】
本明細書で使用する用語「単剤療法」とは、抗体-薬物コンジュゲートが治療サイクルの間に対象者に投与される唯一の抗がん剤であることを意味する。しかし、他の治療剤を該対象者に投与することもできる。例えば、がんに伴う症状(根底にあるがん自体ではない)、例えば、炎症、疼痛、体重減少、および全身倦怠感を治療するためにがん患者に投与される抗炎症剤または他の薬剤を単剤療法の期間中に投与することができる。
【0064】
本明細書で使用する「有害事象」(adverse event:AE)は、医療的処置の使用に伴う好ましくない、一般的に意図しないまたは望ましくない徴候(異常な検査所見を含む)、症状、または疾患である。医療的処置は1つまたは複数の関連したAEを示すことがあり、各AEの重症度は同じまたは異なるレベルであり得る。「有害事象を変える」ことができる方法への言及は、異なる治療レジメンの使用に伴う1つまたは複数のAEの発生率および/または重症度を低下させる治療レジメンを意味する。
【0065】
本明細書で使用する「重篤な有害事象」(serious adverse event)または「SAE」とは、以下の基準の1つを満たす有害事象である:
・致命的であるか、または生命を脅かす(重篤な有害事象の定義で使用される場合);「生命を脅かす」とは、患者が有害事象時に死亡のリスクがあった事象を指す;もし仮にそれがもっと重篤であったならば死を引き起こしたかもしれない事象を指すことはない。
・永続的または重大な能力障害/無能力をもたらす。
・先天性異常/先天性欠損をきたす。
・医学的に重大である、すなわち、患者を危険にさらすか、または上記の結果の1つを防ぐために医学的もしくは外科的介入を必要としうる事象として定義される。AEが「医学的に重要」であるかどうかを決断する際には、医学的および科学的判断を下す必要がある。
・入院または現在の入院期間の延長が必要である、ただし、以下を除く:1)状態の悪化とは関連がない、基礎疾患の定期的な治療またはモニタリング、2)調査中の適応症とは無関係で、インフォームドコンセントにサインして以来悪化していない既存の状態に対する待機的なまたは事前に計画された治療、ならびに患者の全身状態の悪化がない場合の社会的理由およびレスパイトケア(respite care)。
【0066】
代替手段(例えば、「または」)の使用は、代替手段の一方、両方、またはそれらの任意の組み合わせを意味すると理解されたい。本明細書で使用する場合、不定冠詞「a」または「an」は、記載または列挙された構成要素の「1つまたは複数」を指すと理解されたい。
【0067】
「約」または「本質的に~からなる」という用語は、当業者によって決定された特定の値または組成の許容誤差範囲内にある値または組成を指し、これは、その値または組成がどのように測定され、決定されるか、つまり測定システムの限界、に一部依存する。例えば、「約」または「本質的に~からなる」は、当技術分野では実施ごとに1または1を超える標準偏差内を意味し得る。あるいは、「約」または「本質的に~からなる」は、最大20%の範囲を意味し得る。さらに、特に生物学的システムまたはプロセスに関して、これらの用語は、値の最大10倍または最大5倍を意味し得る。特定の値または組成が本出願および特許請求の範囲で提供される場合、特に明記しない限り、「約」または「本質的に~からなる」の意味は、その特定の値または組成の許容誤差範囲内であると見なすべきである。
【0068】
本明細書で使用する用語「約1週間に1回」、「約2週間に1回」、「約3週間に1回」、または他の同様の投与間隔用語は、およその数を意味する。「約1週間に1回」は、7日±1日ごと、つまり6日~8日ごとを含むことができる。「約2週間に1回」は、14日±2日ごと、つまり12日~16日ごとを含むことができる。「約3週間に1回」は、21日±3日ごと、つまり18日~24日ごとを含むことができる。同様の概数が、例えば、約4週間に1回、約5週間に1回、約6週間に1回、約12週間に1回などに適用される。
【0069】
本明細書に記載される任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲は、別段の指示がない限り、記載した範囲内の任意の整数の値と、適宜にその分数(整数の1/10、1/100など)を含むことを理解すべきである。
【0070】
本開示の様々な態様は、以下のサブセクションでさらに詳細に説明される。
【0071】
II. 抗体-薬物コンジュゲート
本発明は、対象者におけるがんの治療に有用な抗TF抗体-薬物コンジュゲートを提供する。いくつかの態様では、そのがんは子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は、進行期の子宮頸癌(例えば、ステージ3もしくはステージ4の子宮頸癌、または転移性の子宮頸癌)である。いくつかの態様では、進行子宮頸癌は転移性がんである。いくつかの態様では、対象者は、再発した再発性および/または転移性子宮頸癌を有する。
【0072】
A. 抗TF抗体
一般に、本開示の抗体は、TFに免疫特異的に結合し、子宮頸癌細胞などの悪性細胞に対して細胞増殖抑制効果および細胞傷害効果を発揮する。本開示の抗体は、好ましくはモノクローナルであり、多重特異性、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab')フラグメント、Fab発現ライブラリーによって作製されたフラグメント、および上記のいずれかのTF結合フラグメントであり得る。本開示の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであり得る。
【0073】
本開示の特定の態様では、抗体は本明細書に記載のヒト抗原結合フラグメントであり、限定するものではないが、Fab、Fab'およびF(ab')2、Fd、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、およびVLまたはVHドメインのいずれかを含むフラグメントが含まれる。一本鎖抗体などの、抗原結合フラグメントは、可変領域を単独で、またはヒンジ領域、CH1、CH2、CH3およびCLドメインの全体または一部と組み合わせて、含み得る。また、本開示には、可変領域とヒンジ領域、CH1、CH2、CH3およびCLドメインとの任意の組み合わせを含む抗原結合フラグメントも含まれる。好ましくは、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト、ネズミ(例:マウスおよびラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリの抗体である。
【0074】
本開示の抗体は、単一特異性、二重特異性、三重特異性、またはより高い多重特異性であり得る。多重特異性抗体は、TFの異なるエピトープに特異的であっても、TFと異種タンパク質の両方に特異的であってもよい。例えば、PCT公開公報WO 93/17715; WO 92/08802; WO 91/00360; WO 92/05793; Tutt, et al., 1991, J. Immunol. 147:60 69; 米国特許第4,474,893号; 第4,714,681号; 第4,925,648号; 第5,573,920号; 第5,601,819号; Kostelny et al., 1992, J. Immunol. 148:1547-1553を参照のこと。
【0075】
本開示の抗体は、それらに含まれる特定のCDRの観点から説明または特定され得る。所与のCDRまたはFRの正確なアミノ酸配列の境界は、いくつかの周知のスキームのいずれかを使用して簡単に決定することができる;そうしたスキームには、以下に記載されるものが含まれる:Kabat et al. (1991), “Sequences of Proteins of Immunological Interest,” 第5版, Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(「Kabat」ナンバリングスキーム); Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273,927-948(「Chothia」ナンバリングスキーム); MacCallum et al., J. Mol. Biol. 262:732-745 (1996), “Antibody-antigen interactions: Contact analysis and binding site topography,” J. Mol. Biol. 262, 732-745(「Contact」ナンバリングスキーム); Lefranc MP et al., “IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains,” Dev Comp Immunol, 2003 Jan;27(1):55-77(「IMGT」ナンバリングスキーム); Honegger A and Plueckthun A, “Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains: an automatic modeling and analysis tool,” J Mol Biol, 2001 Jun 8;309(3):657-70(「Aho」ナンバリングスキーム); およびMartin et al., “Modeling antibody hypervariable loops: a combined algorithm,” PNAS, 1989, 86(23):9268-9272(「AbM」ナンバリングスキーム)。所与のCDRの境界は、識別するために使用したスキームに応じて変化しうる。いくつかの態様では、所与の抗体またはその領域(例えば、その可変領域)の「CDR」つまり「相補性決定領域」または個々の特定されたCDR(例えば、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)は、前述のスキームのいずれかによって定義されたCDR(または特定のCDR)を包含すると理解されたい。例えば、特定のCDR(例:CDR-H3)が所与のVHまたはVL領域のアミノ酸配列中の対応するCDRのアミノ酸配列を含むという記述がある場合、そのようなCDRは、前述のスキームのいずれかによって定義される可変領域内の対応するCDR(例:CDR-H3)の配列を有することが理解される。例えば、Kabat、Chothia、AbM、またはIMGT法により定義されたCDRといったように、特定のCDRを識別するためのスキームを指定することができる。
【0076】
本明細書で提供される抗TF抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体のCDR配列は、Lefranc, M. P. et al., Dev. Comp. Immunol., 2003, 27, 55-77に記載のIMGTナンバリングスキームに従うものである。
【0077】
特定の態様では、本開示の抗体は、抗体011の1つまたは複数のCDRを含む。WO 2011/157741およびWO 2010/066803を参照のこと。本開示は、重鎖または軽鎖可変ドメインを含む抗体またはその誘導体を包含する;該可変ドメインは、(a)3つのCDRのセット(該CDRのセットはモノクローナル抗体011に由来する)、および(b)4つのフレームワーク領域のセット(該フレームワーク領域のセットはモノクローナル抗体011のフレームワーク領域のセットとは異なる)を含み、該抗体またはその誘導体はTFに免疫特異的に結合する。特定の態様では、抗TF抗体は011である。抗体011はチソツマブとしても知られている。
【0078】
一局面では、TFへのチソツマブの結合と競合する抗TF抗体が提供される。チソツマブと同じエピトープに結合する抗TF抗体も提供される。
【0079】
一局面では、チソツマブのCDR配列の1、2、3、4、5、または6つを含む抗TF抗体が本明細書で提供される。
【0080】
一局面では、重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含む抗TF抗体が本明細書で提供される;該重鎖可変領域は、(i)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含み、かつ/または該軽鎖可変領域は、(i)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、ここで、抗TF抗体のCDRはIMGTナンバリングスキームによって定義される。
【0081】
本明細書に記載される抗TF抗体は、該抗体がTF(例えば、ヒトTF)に結合する能力を保持するという条件で、どのような適切なフレームワーク可変ドメイン配列を含んでもよい。本明細書で使用する場合、重鎖フレームワーク領域は「HC-FR1~FR4」を指定され、軽鎖フレームワーク領域は「LC-FR1~FR4」を指定される。いくつかの態様では、抗TF抗体は、SEQ ID NO:9、10、11、および12(それぞれ、HC-FR1、HC-FR2、HC-FR3、およびHC-FR4)の重鎖可変ドメインフレームワーク配列を含む。いくつかの態様では、抗TF抗体は、SEQ ID NO:13、14、15、および16(それぞれ、LC-FR1、LC-FR2、LC-FR3、およびLC-FR4)の軽鎖可変ドメインフレームワーク配列を含む。
【0082】
一態様では、抗TF抗体は、フレームワーク配列と超可変領域を含む重鎖可変ドメインを含み、ここで、該フレームワーク配列は、それぞれSEQ ID NO:9 (HC-FR1)、SEQ ID NO:10 (HC-FR2)、SEQ ID NO:11 (HC-FR3)、およびSEQ ID NO:12 (HC-FR4)のHC-FR1~HC-FR4アミノ酸配列を含み、CDR-H1はSEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含み、CDR-H2はSEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含み、CDR-H3はSEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含む。
【0083】
一態様では、抗TF抗体は、フレームワーク配列と超可変領域を含む軽鎖可変ドメインを含み、ここで、該フレームワーク配列は、それぞれSEQ ID NO:13 (LC-FR1)、SEQ ID NO:14 (LC-FR2)、SEQ ID NO:15 (LC-FR3)、およびSEQ ID NO:16 (LC-FR4)のLC-FR1~LC-FR4アミノ酸配列を含み、CDR-L1はSEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含み、CDR-L2はSEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含み、CDR-L3はSEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含む。
【0084】
本明細書に記載の抗TF抗体のいくつかの態様では、その重鎖可変ドメインは、以下のアミノ酸配列:
を含み、かつその軽鎖可変ドメインは、以下のアミノ酸配列:
を含む。
【0085】
本明細書に記載の抗TF抗体のいくつかの態様では、その重鎖CDR配列は、以下:
を含む。
【0086】
本明細書に記載の抗TF抗体のいくつかの態様では、その重鎖FR配列は、以下:
を含む。
【0087】
本明細書に記載の抗TF抗体のいくつかの態様では、その軽鎖CDR配列は、以下:
を含む。
【0088】
本明細書に記載の抗TF抗体のいくつかの態様では、その軽鎖FR配列は、以下:
を含む。
【0089】
いくつかの態様では、TF(例えば、ヒトTF)に結合する抗TF抗体が本明細書で提供される;該抗体は重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含み、ここで、該抗体は、
(a)(1)SEQ ID NO:9のアミノ酸配列を含むHC-FR1;
(2)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(3)SEQ ID NO:10のアミノ酸配列を含むHC-FR2;
(4)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;
(5)SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含むHC-FR3;
(6)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;および
(7)SEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含むHC-FR4;
を含む重鎖可変ドメイン、
および/または
(b)(1)SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含むLC-FR1;
(2)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(3)SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むLC-FR2;
(4)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;
(5)SEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含むLC-FR3;
(6)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;および
(7)SEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含むLC-FR4;
を含む軽鎖可変ドメイン、
を含む。
【0090】
一局面では、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含むか、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、抗TF抗体が本明細書で提供される。一局面では、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、かつSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、抗TF抗体が本明細書で提供される。
【0091】
いくつかの態様では、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、抗TF抗体が本明細書で提供される。特定の態様では、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインは、参照配列に対して置換(例:保存的置換)、挿入、または欠失を含み、かつTF(例:ヒトTF)に結合する能力を保持する。特定の態様では、合計1~10個のアミノ酸がSEQ ID NO:7において置換、挿入および/または欠失されている。特定の態様では、置換、挿入、または欠失(例えば、1、2、3、4、または5個のアミノ酸)は、CDRの外側の領域(すなわち、FR)に存在する。いくつかの態様では、抗TF抗体は、その翻訳後修飾を含めて、SEQ ID NO:7の重鎖可変ドメイン配列を含む。特別の態様では、重鎖可変ドメインは、以下から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む:(a)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(b)SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(c)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3。
【0092】
いくつかの態様では、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、抗TF抗体が本明細書で提供される。特定の態様では、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインは、参照配列に対して置換(例:保存的置換)、挿入、または欠失を含み、かつTF(例:ヒトTF)に結合する能力を保持する。特定の態様では、合計1~10個のアミノ酸がSEQ ID NO:8において置換、挿入および/または欠失されている。特定の態様では、置換、挿入、または欠失(例えば、1、2、3、4、または5個のアミノ酸)は、CDRの外側の領域(すなわち、FR)に存在する。いくつかの態様では、抗TF抗体は、その翻訳後修飾を含めて、SEQ ID NO:8の軽鎖可変ドメイン配列を含む。特別の態様では、軽鎖可変ドメインは、以下から選択される1つ、2つまたは3つのCDRを含む:(a)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(b)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(c)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3。
【0093】
いくつかの態様では、抗TF抗体は、上に提供された態様のいずれかに記載の重鎖可変ドメインと、上に提供された態様のいずれかに記載の軽鎖可変ドメインを含む。一態様では、該抗体は、SEQ ID NO:7の重鎖可変ドメイン配列とSEQ ID NO:8の軽鎖可変ドメイン配列を含み、これらの配列の翻訳後修飾をも含む。
【0094】
いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体は、i)SEQ ID NO:1に示される重鎖CDR1、SEQ ID NO:2に示される重鎖CDR2、SEQ ID NO:3に示される重鎖CDR3;およびii)SEQ ID NO:4に示される軽鎖CDR1、SEQ ID NO:5に示される軽鎖CDR2、SEQ ID NO:6に示される軽鎖CDR3を含み、ここで、抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体のCDRはIMGTナンバリングスキームによって定義される。
【0095】
いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体は、i)SEQ ID NO:7に示される重鎖可変領域と少なくとも85%同一のアミノ酸配列、およびii)SEQ ID NO:8に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。
【0096】
いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体は、モノクローナル抗体である。
【0097】
いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体は、チソツマブであり、これはWO 2011/157741およびWO 2010/066803に記載される抗体011としても知られている。
【0098】
本発明の抗体はまた、TFに対するその結合親和性の観点から記載または特定され得る。好ましい結合親和性には、解離定数またはKdが5×10-2M、10-2M、5×10-3M、10-3M、5×10-4M、10-4M、5×10-5M、10-5M、5×10-6M、10-6M、5×10-7M、10-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10-9M、5×10-10M、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×10-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×10-15M、または10-15M未満のものが含まれる。
【0099】
免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMの5つのクラスがあり、それぞれα、δ、ε、γ、μと指定された重鎖を有する。γおよびαクラスはさらにサブクラスに分類され、例えば、ヒトは次のサブクラスを発現する:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2。IgG1抗体は、アロタイプと呼ばれる複数の多型バリアントとして存在することができ(Jefferis and Lefranc 2009. mAbs Vol 1 Issue 4 1-7で概説)、これらはいずれも本明細書の態様のいくつかで使用するのに適している。ヒト集団における共通のアロタイプバリアントは、a、f、n、z、またはそれらの組み合わせで指定されたものである。本明細書の態様のいずれかにおいて、該抗体は、ヒトIgG Fc領域を含む重鎖Fc領域を含み得る。さらなる態様では、ヒトIgG Fc領域はヒトIgG1を含む。
【0100】
前記抗体はまた、修飾された誘導体、すなわち、任意のタイプの分子の該抗体への共有結合により修飾された誘導体を含むが、その共有結合によって、該抗体がTFに結合したり、HD細胞に対して細胞増殖抑制効果または細胞傷害効果を発揮したりすることが妨げられないようにする。例えば、限定するものではないが、抗体誘導体には、グリコシル化、アセチル化、PEG化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への結合などによって、修飾された抗体が含まれる。多くの化学修飾はどれも、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むがこれらに限定されない公知の技術により行うことができる。さらに、該誘導体は、1つまたは複数の非古典的アミノ酸を含み得る。
【0101】
B. 抗体-薬物コンジュゲートの構造
いくつかの局面では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントと細胞増殖抑制性または細胞傷害性の薬物との間にリンカーを含む。いくつかの態様では、リンカーは切断不可能なリンカーである。いくつかの態様では、リンカーは切断可能なリンカーである。
【0102】
いくつかの態様では、該リンカーは、マレイミドカプロイル(MC)、ジペプチドバリン-シトルリン(vc)およびp-アミノベンジルカルバメート(PAB)を含む切断可能なペプチドリンカーである。いくつかの態様では、該切断可能なペプチドリンカーは式:MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcはジペプチドのバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である。
【0103】
いくつかの態様では、該リンカーは、マレイミドカプロイル(MC)を含む切断可能なペプチドリンカーである。いくつかの態様では、該切断可能なペプチドリンカーは式:MC-を有し、式中、
a)MCは
である。
【0104】
いくつかの態様では、該リンカーは、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのスルフヒドリル残基に結合される。いくつかの態様では、該リンカーは、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元によって得られた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのスルフヒドリル残基に結合される。いくつかの態様では、該リンカーは、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの完全還元によって得られた抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのスルフヒドリル残基に結合される。
【0105】
いくつかの局面では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントと細胞増殖抑制性または細胞傷害性の薬物との間に本明細書に記載のリンカーを含む。アウリスタチン類は微小管ダイナミクス、GTP加水分解、および核分裂と細胞分裂を妨害し(Woyke et al (2001) Antimicrob. Agents and Chemother. 45(12): 3580-3584参照)、抗がん活性(米国特許第5663149号参照)および抗真菌活性(Pettit et al., (1998) Antimicrob. Agents and Chemother. 42: 2961-2965参照)を有することが示されている。例えば、アウリスタチンEをp-アセチル安息香酸またはベンゾイル吉草酸と反応させて、それぞれAEBおよびAEVBを生成することができる。他の典型的なアウリスタチン誘導体には、AFP、MMAF(モノメチルアウリスタチンF)、およびMMAE(モノメチルアウリスタチンE)が含まれる。適切なアウリスタチン類、アウリスタチンの類似体、誘導体およびプロドラッグ、ならびにアウリスタチンのAbへのコンジュゲーションに適したリンカーは、例えば、米国特許第5,635,483号、第5,780,588号、第6,214,345号、および国際特許出願公開公報WO02088172、WO2004010957、WO2005081711、WO2005084390、WO2006132670、WO03026577、WO200700860、WO207011968、WO205082023に記載されている。本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートのいくつかの態様では、細胞増殖抑制性または細胞傷害性の薬物は、アウリスタチンまたはその機能的類似体(例:その機能的ペプチド)もしくはその機能的誘導体である。いくつかの態様では、アウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体(例:その機能的ペプチド)もしくはその機能的誘導体である。
【0106】
一態様では、アウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンE(MMAE):
であり、ここで、波線はリンカーへの結合部位を示す。
【0107】
一態様では、アウリスタチンは、モノメチルアウリスタチンF(MMAF):
であり、ここで、波線はリンカーへの結合部位を示す。
【0108】
一態様では、切断可能なペプチドリンカーは式:MC-vc-PAB-を有し、MMAEに結合される。結果として生じるリンカー-アウリスタチン、MC-vc-PAB-MMAEは、vcMMAEとも表される。vcMMAE薬物リンカー部分およびコンジュゲーション法は、WO2004010957、US7659241、US7829531およびUS7851437に開示されている。vcMMAEが本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントに結合されると、得られる構造は、
であり、ここで、pは1~8の数を表し、例えばpは3~5であってよく、Sは抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す。一態様では、抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値は、約4である。いくつかの態様では、pは、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)で、例えば、疎水性の漸増に基づいて薬物負荷種を分割することによって測定され、最も疎水性の低い非コンジュゲート形態が最初に溶出し、最も疎水性の高い8薬物形態が最後に溶出する;この場合、ピークの面積百分率が特定の薬物を負荷された抗体-薬物コンジュゲート種の相対分布を表す。Ouyang, J., 2013, Antibody-Drug Conjugates, Methods in Molecular Biology (Methods and Protocols)を参照のこと。いくつかの態様では、pは、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)で、例えば、ADCの重鎖と軽鎖を完全に解離させるために最初に還元反応を実施し、次にRPカラムで軽鎖と重鎖およびそれらの対応する薬物負荷形態を分離することによって測定される;この場合、ピーク百分率は軽鎖と重鎖のピークの積分から得られ、各ピークに割り当てられた薬物負荷と組み合わせて、加重平均薬物対抗体比を算出するために使用する。Ouyang, J., 2013, Antibody-Drug Conjugates, Methods in Molecular Biology (Methods and Protocols)を参照のこと。
【0109】
一態様では、切断可能なペプチドリンカーは式:MC-vc-PAB-を有し、MMAFに結合される。結果として生じるリンカー-アウリスタチン、MC-vc-PAB-MMAFは、vcMMAFとも表される。別の態様では、切断不可能なリンカーMCがMMAFに結合される。結果として生じるリンカー-アウリスタチンMC-MMAFは、mcMMAFとも表される。vcMMAFおよびmcMMAF薬物リンカー部分およびコンジュゲーション法は、WO2005081711およびUS7498298に開示されている。vcMMAFまたはmcMMAFが本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントに結合されると、得られる構造は、
であり、ここで、pは1~8の数を表し、例えばpは3~5であってよく、Sは抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、AbまたはmAbは本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す。一態様では、抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値は、約4である。いくつかの態様では、pは、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)で、例えば、疎水性の漸増に基づいて薬物負荷種を分割することによって測定され、最も疎水性の低い非コンジュゲート形態が最初に溶出し、最も疎水性の高い8薬物形態が最後に溶出する;この場合、ピークの面積百分率が特定の薬物を負荷された抗体-薬物コンジュゲート種の相対分布を表す。Ouyang, J., 2013, Antibody-Drug Conjugates, Methods in Molecular Biology (Methods and Protocols)を参照のこと。いくつかの態様では、pは、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)で、例えば、ADCの重鎖と軽鎖を完全に解離させるために最初に還元反応を実施し、次にRPカラムで軽鎖と重鎖およびそれらの対応する薬物負荷形態を分離することによって測定される;この場合、ピーク百分率は軽鎖と重鎖のピークの積分から得られ、各ピークに割り当てられた薬物負荷と組み合わせて、加重平均薬物対抗体比を算出するために使用する。Ouyang, J., 2013, Antibody-Drug Conjugates, Methods in Molecular Biology (Methods and Protocols)を参照のこと。
【0110】
一態様では、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。
【0111】
C. 核酸、宿主細胞および作製方法
いくつかの局面では、本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸も本明細書で提供される。本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸を含むベクターが本明細書でさらに提供される。本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸を発現する宿主細胞が本明細書でさらに提供される。本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸を含むベクターを保有する宿主細胞が本明細書でさらに提供される。抗TF抗体、リンカー、および抗体-薬物コンジュゲートを作製する方法は、米国特許第9,168,314号に記載されている。
【0112】
本明細書に記載の抗TF抗体は、周知の発現ベクター系および宿主細胞を使用して、周知の組換え技術により作製することができる。一態様では、該抗体は、De la Cruz Edmunds et al., 2006, Molecular Biotechnology 34; 179-190;EP216846;米国特許第5,981,216号;WO 87/04462;EP323997;米国特許第5,591,639号;米国特許第5,658,759号;EP338841;米国特許第5,879,936号;および米国特許第5,891,693号に開示されるように、GS発現ベクター系を用いてCHO細胞において作製される。
【0113】
当技術分野で周知の技術を用いて細胞培地から該抗体を単離および精製した後、それらは、米国特許第9,168,314号に記載されるように、リンカーを介してアウリスタチンとコンジュゲートされる。
【0114】
本明細書に記載のモノクローナル抗TF抗体は、例えば、Kohler et al., Nature, 256, 495 (1975)に最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製されるか、または組換えDNA法によって作製され得る。モノクローナル抗体はまた、例えば、Clackson et al., Nature, 352, 624-628 (1991)およびMarks et al., JMol, Biol., 222(3):581-597 (1991)に記載される技術を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。モノクローナル抗体は、任意の適切な供給源から得ることができる。したがって、例えば、モノクローナル抗体は、関心対象の抗原で免疫したマウス由来のマウス脾臓B細胞から調製されたハイブリドーマから、例えば、表面上に該抗原を発現する細胞の形で、または関心対象の抗原をコードする核酸の形で、得ることができる。モノクローナル抗体はまた、免疫されたヒトまたは非ヒト哺乳動物、例えばラット、イヌ、霊長類など、の抗体発現細胞から誘導されたハイブリドーマから得ることもできる。
【0115】
一態様では、本発明の抗体はヒト抗体である。組織因子に対するヒトモノクローナル抗体は、マウス系ではなくヒト免疫系の一部を保有するトランスジェニックまたはトランスクロモソーマル(transchromosomal:染色体導入)マウスを使用して作製することができる。そのようなトランスジェニックおよびトランスクロモソミック(transchromosomic)マウスには、本明細書でそれぞれHuMAbマウスおよびKMマウスと呼ばれるマウスが含まれ、これらは本明細書ではまとめて「トランスジェニックマウス」と呼ばれる。
【0116】
HuMAbマウスは、再配列されていないヒト重鎖(μおよびγ)およびκ軽鎖免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ座位(minilocus)を、内因性μおよびκ鎖座位を不活性化する標的突然変異と一緒に含む(Lonberg, N. et al., Nature, 368, 856-859 (1994))。その結果、このマウスはマウスIgMまたはκの発現低下を示し、免疫化に応答して、導入されたヒト重鎖および軽鎖トランスジーンがクラススイッチおよび体細胞変異を受けて高親和性ヒトIgG,κモノクローナル抗体を生成する(Lonberg, N. et al. (1994), 前出; Lonberg, N. Handbook of Experimental Pharmacology 113, 49-101 (1994)に掲載; Lonberg, N. and Huszar. D., Intern. Rev. Immunol, Vol. 13 65-93 (1995)およびHarding, F. and Lonberg, N. Ann, N.Y. Acad. Sci 764:536-546 (1995))。HuMAbマウスの作製は以下の文献に詳しく説明されている:Taylor, L. et al., Nucleic Acids Research. 20:6287-6295 (1992); Chen, J. et al., International Immunology. 5:647-656 (1993); Tuaillon at al., J. Immunol, 152:2912-2920 (1994); Taylor, L. et al., International Immunology, 6:579-591 (1994); Fishwild, D. et al., Nature Biotechnology, 14:845-851 (1996)。また、米国特許第5,545,806号、第5,569,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,789,650号、第5,877,397号、第5,661,016号、第5,814,318号、第5,874,299号、第5,770,429号、第5,545,807号、WO 98/24884、WO 94/25585、WO 93/1227、WO 92/22645、WO 92/03918およびWO 01/09187も参照されたい。
【0117】
HCo7マウスは、その内因性軽鎖(κ)遺伝子のJKD破壊(Chen et al, EMBO J. 12:821-830 (1993)に記載)、その内因性重鎖遺伝子のCMD破壊(WO 01/14424の実施例1に記載)、KCo5ヒトκ軽鎖トランスジーン(Fishwild et al., Nature Biotechnology, 14:845-851 (1996)に記載)、およびHCo7ヒト重鎖トランスジーン(米国特許第5,770,429号に記載)を有する。
【0118】
HCo12マウスは、その内因性軽鎖(κ)遺伝子のJKD破壊(Chen et al, EMBO J. 12:821-830 (1993)に記載)、その内因性重鎖遺伝子のCMD破壊(WO 01/14424の実施例1に記載)、KCo5ヒトκ軽鎖トランスジーン(Fishwild et al., Nature Biotechnology, 14:845-851 (1996)に記載)、およびHCo12ヒト重鎖トランスジーン(WO 01/14424の実施例2に記載)を有する。
【0119】
HCo17トランスジェニックマウス系統(US 2010/0077497をも参照)は、pHC2の80kbインサート(Taylor et al. (1994) Int. Immunol., 6:579-591)、pVX6のKbインサート、およびyIgH24染色体の~460kb酵母人工染色体断片の同時注入によって作出された。この系統を(HCo17) 25950と命名した。次に、(HCo17) 25950系統を、CMD変異(PCT公開WO 01109187の実施例1に記載)、JKD変異(Chen et al, (1993) EMBO J. 12:811-820)、および(KCo5) 9272トランスジーン(Fishwild et al. (1996) Nature Biotechnology, 14:845-851)を含むマウスと交配させた。得られたマウスは、内因性マウス重鎖およびκ軽鎖座位の破壊のためにホモ接合性のバックグラウンドで、ヒト免疫グロブリン重鎖およびκ軽鎖トランスジーンを発現する。
【0120】
HCo20トランスジェニックマウス系統は、ミニ座位30重鎖トランスジーンpHC2、生殖細胞系列可変領域(Vh)含有YAC yIgH10、およびミニ座位構築物pVx6(WO09097006に記載)を同時注入した結果である。次に、この(HCo20)系統を、CMD変異(PCT公開WO 01/09187の実施例1に記載)、JKD変異(Chen et al, (1993) EMBO J. 12:811-820)、および(KCo5) 9272トランスジーン(Fishwild et al. (1996) Nature Biotechnology, 14:845-851)を含むマウスと交配させた。得られたマウスは、内因性マウス重鎖およびκ軽鎖座位の破壊のためにホモ接合性のバックグラウンドで、ヒト10免疫グロブリン重鎖およびκ軽鎖トランスジーンを発現する。
【0121】
Balb/c系統の有益な特性を備えたHuMabマウスを作製するために、KCo5系統(Fishwild et al, (1996) Nature Biotechnology, 14:845-851に記載)を野生型Balb/cマウスに戻し交配することによって作製されたKco05 [MIK] (Balb)マウスとHuMabマウスとを交雑させて、WO09097006に記載されるマウスを作出した。この交雑を用いて、HCo12、HCo17、およびHCo20系統についてのBalb/cハイブリッドを作出した。
【0122】
KMマウス系統では、内因性マウスκ軽鎖遺伝子がChen et al., EMBO J. 12:811-820 (1993)に記載されるようにホモ接合的に破壊されており、また、内因性マウス重鎖遺伝子がWO 01/09187の実施例1に記載されるようにホモ接合的に破壊されている。このマウス系統は、Fishwild et al., Nature Biotechnology, 14:845-851 (1996)に記載されるように、ヒトκ軽鎖トランスジーンを保有する。このマウス系統はまた、WO 02/43478に記載されるように、第14染色体断片hCF(SC20)からなるヒト重鎖トランスクロモソームをも保有する。
【0123】
これらのトランスジェニックマウス由来の脾細胞を使用すると、周知の技法に従って、ヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作製することができる。本発明のヒトモノクローナルもしくはポリクローナル抗体、または他の種に由来する本発明の抗体はまた、目的の免疫グロブリン重鎖および軽鎖配列がトランスジェニックである別の非ヒト哺乳動物または植物を作出し、それから回収可能な形態で抗体を産生させることによって、遺伝子組換え的に作製することもできる。哺乳動物でのトランスジェニック産生に関連して、抗体をヤギ、ウシ、または他の哺乳動物において産生させ、その乳汁から抗体を回収することができる。例えば、米国特許第5,827,690号、第5,756,687号、第5,750,172号、および第5,741,957号を参照されたい。
【0124】
さらに、本発明のヒト抗体または他の種に由来する本発明の抗体は、当技術分野で周知の方法を用いて、ディスプレイ型の技術、例えば、限定するものではないが、ファージディスプレイ、レトロウイルスディスプレイ、リボソームディスプレイ、およびその他の技術によって、作製することができる;得られる分子は親和性成熟などのさらなる成熟技術に供することができ、そうした技術は当技術分野で周知である(例えば、Hoogenboom et al., J. Mol, Biol. 227(2):381-388 (1992)(ファージディスプレイ);Vaughan et al., Nature Biotech, 14:309 (1996)(ファージディスプレイ);Hanes and Plucthau, PNAS USA 94:4937-4942 (1997)(リボソームディスプレイ);Parmley and Smith, Gene, 73:305-318 (1988)(ファージディスプレイ);Scott, TIBS. 17:241-245 (1992);Cwirla et al., PNAS USA, 87:6378-6382 (1990);Russel et al., Nucl. Acids Research, 21:1081-4085 (1993);Hogenboom et al., Immunol, Reviews, 130:43-68 (1992);Chiswell and McCafferty, TIBTECH, 10:80-84 (1992);および米国特許第5,733,743号を参照のこと)。ヒト抗体ではない抗体を作製するためにディスプレイ技術を利用した場合には、そのような抗体をヒト化してもよい。
【0125】
III. 治療方法
A. 子宮頸癌
子宮頸癌は、スクリーニング、診断、予防、治療の進歩にもかかわらず、依然として女性のがん関連死の主な原因の1つである。それは、新たに診断されたがん症例全体の約4%、がんによる死亡総数の4%を占めている。Zhu et al., 2016, Drug Des. Devel. Ther. 10:1885-1895を参照のこと。子宮頸癌は、世界で7番目に多く見られる女性のがんであり、欧州連合(EU)では16番目に多いがんである。最初の発現時のステージに応じて、子宮頸癌は女性の25~61%で再発する。Tempfer et al., 2016, Oncol. Res. Treat. 39:525-533を参照のこと。ほとんどの場合、再発性疾患は最初の治療から2年以内に診断され、様々な部位で観察され得る。こうした患者の標準的な治療は化学療法である。Zhu et al., 2016, Drug Des. Devel. Ther. 10:1885-1895を参照のこと。現在、全生存期間の中央値は1年を超えているが、ステージIVの子宮頸癌の5年相対生存率は15%にすぎず、子宮頸癌の改善された治療方法の必要性が高いことを示している。
【0126】
本発明は、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートを用いて子宮頸癌を治療する方法を提供する。好ましい局面では、その抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。一態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートは、対象者における子宮頸癌の治療方法で使用するためのものである。いくつかの態様では、該対象者は、子宮頸癌の治療を以前に受けたことがない。いくつかの態様では、該対象者は、以前に子宮頸癌に対する少なくとも1つの治療を受けたことがある。いくつかの態様では、該対象者は、以前にベバシズマブで治療されていた。いくつかの態様では、該対象者は、ベバシズマブによる治療に不適格である。いくつかの態様では、該対象者は、根治的療法の候補者ではない。いくつかの態様では、根治的療法は、放射線療法および/または内臓除去療法である。いくつかの態様では、根治的療法は放射線療法である。いくつかの態様では、根治的療法は内臓除去療法である。特定の態様では、該対象者はヒトである。
【0127】
本明細書で提供される方法または使用のいくつかの態様では、子宮頸癌は腺癌、腺扁平上皮癌、扁平上皮癌、小細胞癌、神経内分泌腫瘍、ガラス様細胞がん(glassy cell carcinoma)、または絨毛腺管状腺癌(villoglandular adenocarcinoma)である。いくつかの態様では、子宮頸癌は腺癌、腺扁平上皮癌、または扁平上皮癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は腺癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は腺扁平上皮癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は扁平上皮癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%がTFを発現する。いくつかの態様では、TFを発現する細胞の割合は、免疫組織化学(IHC)を用いて決定される。いくつかの態様では、TFを発現する細胞の割合は、フローサイトメトリーを用いて決定される。いくつかの態様では、TFを発現する細胞の割合は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を用いて決定される。
【0128】
本明細書で提供される方法または使用のいくつかの態様では、子宮頸癌はステージ0、1、2、3、または4の子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌はステージ0、1A、1B、2A、2B、3A、3B、4Aまたは4Bの子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は、国際産婦人科連合(International Federation of Gynecology and Obstetrics:FIGO)の病期分類システムによってステージを分類される。いくつかの態様では、病期分類は臨床検査に基づいて行われる。いくつかの態様において、ステージ0の子宮頸癌では、癌腫は子宮頸部の表層(内部を覆っている細胞)に限局している。いくつかの態様において、ステージ1の子宮頸癌では、癌腫は子宮頸部のより深部にまで成長しているが、まだそれを越えて広がっていない。いくつかの態様において、ステージ1Aの子宮頸癌では、浸潤性の癌腫は顕微鏡検査によってのみ診断することができ、最深の浸潤は5mm未満であり、最大の広がりは7mm未満である。いくつかの態様において、ステージ1Bの子宮頸癌では、病変は臨床的に肉眼で見ることができ、子宮頸部に限られている。いくつかの態様において、ステージ2の子宮頸癌では、子宮頸部の癌腫は子宮を越えて浸潤しているが、骨盤壁または膣壁下3分の1には浸潤していない。いくつかの態様において、ステージ2Aの子宮頸癌では、子宮頸部の周囲への浸潤は見られない。いくつかの態様において、ステージ2Bの子宮頸癌では、子宮頸部の周囲への浸潤が見られる。いくつかの態様において、ステージ3の子宮頸癌では、腫瘍が骨盤壁に広がっており、かつ/または膣壁下3分の1まで浸潤しており、かつ/または水腎症もしくは無機能腎を引き起こす。いくつかの態様において、ステージ3Aの子宮頸癌では、腫瘍は膣壁下3分の1まで浸潤しているが、骨盤壁には広がっていない。いくつかの態様において、ステージ3Bの子宮頸癌では、骨盤壁に広がっており、かつ/または水腎症もしくは無機能腎を引き起こす。いくつかの態様において、ステージ4の子宮頸癌では、癌腫は真骨盤を越えて広がっているか、膀胱または直腸の粘膜に浸潤している。いくつかの態様において、ステージ4Aの子宮頸癌では、腫瘍は隣接臓器に転移している。いくつかの態様において、ステージ4Bの子宮頸癌では、腫瘍は遠隔臓器に転移している。いくつかの態様では、子宮頸癌は、グレード3またはグレード4の子宮頸癌などの進行子宮頸癌である。いくつかの態様では、進行子宮頸癌は転移性子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は転移性子宮頸癌および再発性子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は転移性子宮頸癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は再発性子宮頸癌である。
【0129】
本明細書で提供される方法または使用のいくつかの態様では、該対象者は、子宮頸癌について以前に治療されたことがある。いくつかの態様では、該対象者は治療に応答しなかった(例えば、該対象者は治療中に病勢の進行を経験した)。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートではなかった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、トポテカン、ゲムシタビン、フルオロウラシル、イクサベピロン、イマチニブメシレート、ドセタキセル、ゲフィチニブ、パクリタキセル、ペメトレキセド、ビノレルビン、ドキシル、セツキシマブ、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、ベバシズマブ、またはそれらの任意の組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、プラチナベースの治療剤であった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ゲムシタビンおよびフルオロウラシルであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、パクリタキセルおよびシスプラチンであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、パクリタキセルおよびカルボプラチンであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、パクリタキセルおよびトポテカンであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、以下からなる群より選択された:化学療法剤、ペメトレキセド、nab-パクリタキセル、ビノレルビン、ベバシズマブ、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、トポテカン、ベバシズマブとパクリタキセルの組み合わせ、ベバシズマブとシスプラチンの組み合わせ、ベバシズマブとカルボプラチンの組み合わせ、パクリタキセルとトポテカンの組み合わせ、ベバシズマブとトポテカンの組み合わせ、ベバシズマブとシスプラチンとパクリタキセルの組み合わせ、ベバシズマブとカルボプラチンとパクリタキセルの組み合わせ、およびベバシズマブとパクリタキセルとトポテカンの組み合わせ。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、化学療法剤であった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、シスプラチンであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、カルボプラチンであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、パクリタキセルであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、トポテカンであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとパクリタキセルの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとシスプラチンの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとカルボプラチンの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、パクリタキセルとトポテカンの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとトポテカンの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとシスプラチンとパクリタキセルの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとカルボプラチンとパクリタキセルの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとパクリタキセルとトポテカンの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者は、子宮頸癌について照射による治療を受けたが、照射に応答しなかった。いくつかの態様では、該対象者は、2回までの以前の全身療法レジメンによる治療に応答しなかった。いくつかの態様では、該対象者は、1または2回の以前の全身療法レジメンによる治療に応答しなかった。いくつかの態様では、該対象者は、1回の以前の全身療法レジメンによる治療に応答しなかった。いくつかの態様では、該対象者は、2回の以前の全身療法レジメンによる治療に応答しなかった。
【0130】
本明細書で提供される方法または使用のいくつかの態様では、該対象者は、子宮頸癌について以前に1つまたは複数の治療剤で治療されたことがある。いくつかの態様では、該対象者はその治療後に再発した。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートではなかった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、トポテカン、ゲムシタビン、フルオロウラシル、イクサベピロン、イマチニブメシレート、ドセタキセル、ゲフィチニブ、パクリタキセル、ペメトレキセド、ビノレルビン、ドキシル、セツキシマブ、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、ベバシズマブ、またはそれらの任意の組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、プラチナベースの治療剤であった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ゲムシタビンおよびフルオロウラシルであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、パクリタキセルおよびシスプラチンであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、パクリタキセルおよびカルボプラチンであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、パクリタキセルおよびトポテカンであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、以下からなる群より選択された:化学療法剤、ペメトレキセド、nab-パクリタキセル、ビノレルビン、ベバシズマブ、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、トポテカン、ベバシズマブとパクリタキセルの組み合わせ、ベバシズマブとシスプラチンの組み合わせ、ベバシズマブとカルボプラチンの組み合わせ、パクリタキセルとトポテカンの組み合わせ、ベバシズマブとトポテカンの組み合わせ、ベバシズマブとシスプラチンとパクリタキセルの組み合わせ、ベバシズマブとカルボプラチンとパクリタキセルの組み合わせ、およびベバシズマブとパクリタキセルとトポテカンの組み合わせ。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、化学療法剤であった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、シスプラチンであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、カルボプラチンであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、パクリタキセルであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、トポテカンであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとパクリタキセルの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとシスプラチンの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとカルボプラチンの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、パクリタキセルとトポテカンの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとトポテカンの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとシスプラチンとパクリタキセルの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとカルボプラチンとパクリタキセルの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとパクリタキセルとトポテカンの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者は、子宮頸癌について照射による治療を受けたが、照射による治療後に再発した。いくつかの態様では、該対象者は、2回までの以前の全身療法レジメンによる治療後に再発した。いくつかの態様では、該対象者は、1または2回の以前の全身療法レジメンによる治療後に再発した。いくつかの態様では、該対象者は、1回の以前の全身療法レジメンによる治療後に再発した。いくつかの態様では、該対象者は、2回の以前の全身療法レジメンによる治療後に再発した。
【0131】
本明細書で提供される方法または使用のいくつかの態様では、該対象者は、子宮頸癌について以前に1つまたは複数の治療剤で治療されたことがある。いくつかの態様では、該対象者は、その治療後に病勢の進行を経験した。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートではなかった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、トポテカン、ゲムシタビン、フルオロウラシル、イクサベピロン、イマチニブメシレート、ドセタキセル、ゲフィチニブ、パクリタキセル、ペメトレキセド、ビノレルビン、ドキシル、セツキシマブ、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、ベバシズマブ、またはそれらの任意の組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、プラチナベースの治療剤であった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ゲムシタビンおよびフルオロウラシルであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、パクリタキセルおよびシスプラチンであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、パクリタキセルおよびカルボプラチンであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、パクリタキセルおよびトポテカンであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、以下からなる群より選択された:化学療法剤、ペメトレキセド、nab-パクリタキセル、ビノレルビン、ベバシズマブ、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、トポテカン、ベバシズマブとパクリタキセルの組み合わせ、ベバシズマブとシスプラチンの組み合わせ、ベバシズマブとカルボプラチンの組み合わせ、パクリタキセルとトポテカンの組み合わせ、ベバシズマブとトポテカンの組み合わせ、ベバシズマブとシスプラチンとパクリタキセルの組み合わせ、ベバシズマブとカルボプラチンとパクリタキセルの組み合わせ、およびベバシズマブとパクリタキセルとトポテカンの組み合わせ。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、化学療法剤であった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、シスプラチンであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、カルボプラチンであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、パクリタキセルであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、トポテカンであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとパクリタキセルの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとシスプラチンの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとカルボプラチンの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、パクリタキセルとトポテカンの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとトポテカンの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとシスプラチンとパクリタキセルの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとカルボプラチンとパクリタキセルの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者に投与された1つまたは複数の治療剤は、ベバシズマブとパクリタキセルとトポテカンの組み合わせであった。いくつかの態様では、該対象者は、以前に子宮頸癌について照射による治療を受けたが、照射による治療後に病勢の進行を経験した。いくつかの態様では、該対象者は、2回までの以前の全身療法レジメンによる治療後に病勢の進行を経験した。いくつかの態様では、該対象者は、1または2回の以前の全身療法レジメンによる治療後に病勢の進行を経験した。いくつかの態様では、該対象者は、1回の以前の全身療法レジメンによる治療後に病勢の進行を経験した。いくつかの態様では、該対象者は、2回の以前の全身療法レジメンによる治療後に病勢の進行を経験した。
【0132】
B. 投与経路
本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、適切な経路および方法で投与することができる。本発明の抗体-薬物コンジュゲートを投与する適切な経路は、当技術分野で周知であり、当業者によって選択され得る。一態様では、抗体-薬物コンジュゲートは非経口的に投与される。非経口投与は、経腸投与および外用以外の、通常は注射による投与方法を指し、表皮、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、腱内、気管内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、頭蓋内、胸腔内、硬膜外および胸骨内の注射および注入を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片の投与経路は、静脈内注射または注入である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片の投与経路は、静脈内注入である。
【0133】
C. 投与量と投与頻度
一局面では、本発明は、本明細書に記載される子宮頸癌の対象者を、特定の用量の本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片で治療する方法を提供し、この場合、該対象者は、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片を特定の頻度で投与される。
【0134】
本明細書で提供される方法または使用の一態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、対象者の体重1kgあたり約1.5mg~約2.1mgの範囲の用量で該対象者に投与される。特定の態様では、その用量は約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2.0mg/kgまたは約2.1mg/kgである。一態様では、その用量は約2.0mg/kgである。一態様では、その用量は2.0mg/kgである。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。
【0135】
本明細書で提供される方法または使用または使用製品の一態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、対象者の体重1kgあたり約0.65mg/kg~約2.1mgの範囲の用量で該対象者に投与される。特定の態様では、その用量は約0.65mg/kg、約0.7mg/kg、約0.75mg/kg、約0.8mg/kg、約0.85mg/kg、約0.9mg/kg、約1.0mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、約1.9mg/kg、約2.0mg/kgまたは約2.1mg/kgである。一態様では、その用量は約0.65mg/kgである。一態様では、その用量は約0.9mg/kgである。一態様では、その用量は約1.3mg/kgである。一態様では、その用量は約2.0mg/kgである。特定の態様では、その用量は0.65mg/kg、0.7mg/kg、0.75mg/kg、0.8mg/kg、0.85mg/kg、0.9mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kgまたは2.1mg/kgである。一態様では、その用量は0.65mg/kgである。一態様では、その用量は0.9mg/kgである。一態様では、その用量は1.3mg/kgである。一態様では、その用量は2.0mg/kgである。いくつかの態様では、その用量は0.65mg/kgであり、抗TF抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。いくつかの態様では、その用量は0.9mg/kgであり、抗TF抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、抗TF抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、抗TF抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。いくつかの態様では、体重が100kgを超える対象者の場合、投与される抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は、体重が100kgであるときに投与されるであろう量である。いくつかの態様では、体重が100kgを超える対象者の場合、投与される抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は、65mg、90mg、130mg、または200mgである。
【0136】
本明細書で提供される方法または使用の一態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、約1~4週間に1回対象者に投与される。特定の態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される。一態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、約3週間に1回投与される。一態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.65mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.65mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.65mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.65mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.7mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.7mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.7mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.7mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.75mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.75mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.75mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.75mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.8mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.8mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.8mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.8mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.85mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.85mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.85mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.85mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.9mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.9mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.9mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約0.9mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.0mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.0mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.0mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.0mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.1mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.1mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.1mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.1mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.2mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.2mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.2mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.2mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.3mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.3mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.3mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.3mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.4mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.4mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.4mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.4mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.5mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.5mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.5mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.5mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.6mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.6mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.6mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.6mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.7mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.7mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.7mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.7mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.8mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.8mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.8mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.8mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.9mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.9mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.9mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約1.9mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.0mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.0mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.0mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.0mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.1mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.1mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.1mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は約2.1mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.65mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.65mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.65mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.65mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.7mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.7mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.7mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.7mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.75mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.75mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.75mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.75mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.8mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.8mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.8mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.8mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.85mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.85mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.85mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.85mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.9mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.9mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.9mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は0.9mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.0mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.0mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.0mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.0mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.1mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.1mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.1mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.1mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.2mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.2mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.2mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.2mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.4mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.4mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.4mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.4mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.5mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.5mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.5mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.5mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.6mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.6mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.6mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.6mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.7mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.7mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.7mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.7mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.8mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.8mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.8mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.8mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.9mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.9mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.9mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.9mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、約1週
間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.1mg/kgであり、約1週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.1mg/kgであり、約2週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.1mg/kgであり、約3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.1mg/kgであり、約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、約3週間(例えば±3日)に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgであり、3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgで、3週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。いくつかの態様では、その用量は2.0mg/kgで、3週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンであり、1つ以上の有害事象が発生した場合には用量を1.3mg/kgに減量する。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgであり、3週間に1回投与される。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgで、3週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。いくつかの態様では、その用量は1.3mg/kgで、3週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンであり、1つ以上の有害事象が発生した場合には用量を0.9mg/kgに減量する。いくつかの態様では、その用量は約0.9mg/kgで、約1週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。いくつかの態様では、その用量は0.9mg/kgで、1週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。いくつかの態様では、その用量は約0.65mg/kgで、約1週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。いくつかの態様では、その用量は0.65mg/kgで、1週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。いくつかの態様では、体重が100kgを超える対象者の場合、投与される抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は、体重が100kgであるときに投与されるであろう量である。いくつかの態様では、体重が100kgを超える対象者の場合、投与される抗TF抗体-薬物コンジュゲートの用量は、65mg、90mg、130mg、または200mgである。
【0137】
本明細書で提供される方法または使用の一態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、50mg~200mgの固定用量(fixed dose)で対象者に投与され、例えば、50mgの用量、60mgの用量、70mgの用量、80mgの用量、90mgの用量、100mgの用量、110mgの用量、120mgの用量、130mgの用量、140mgの用量、150mgの用量、160mgの用量、170mgの用量、180mgの用量、190mgの用量、または200mgの用量で投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象者に約1~4週間に1回投与される。特定の態様では、固定用量は対象者に約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象者に約3週間(例えば±3日)に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象者に3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象者に3週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。
【0138】
本明細書で提供される方法または使用の一態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、50mg~200mgの均一用量(flat dose)で対象者に投与され、例えば、50mgの用量、60mgの用量、70mgの用量、80mgの用量、90mgの用量、100mgの用量、110mgの用量、120mgの用量、130mgの用量、140mgの用量、150mgの用量、160mgの用量、170mgの用量、180mgの用量、190mgの用量、または200mgの用量で投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象者に約1~4週間に1回投与される。特定の態様では、固定用量は対象者に約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、または約4週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象者に約3週間(例えば±3日)に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象者に3週間に1回投与される。いくつかの態様では、固定用量は対象者に3週間に1回投与され、抗体-薬物コンジュゲートはチソツマブベドチンである。
【0139】
いくつかの態様では、本明細書に記載の治療または使用の方法は、1つまたは複数の追加の治療剤の投与をさらに含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の追加の治療剤は、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片、例えばチソツマブベドチン、と同時に投与される。いくつかの態様では、1つまたは複数の追加の治療剤と本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片は、逐次投与される。
【0140】
D. 治療成果
一局面では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片で子宮頸癌を治療する方法は、ベースラインと比較して、抗体-薬物コンジュゲートの投与後に対象者における1つまたは複数の治療効果の改善をもたらす。いくつかの態様では、1つまたは複数の治療効果は、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間、またはそれらの任意の組み合わせである。一態様では、1つまたは複数の治療効果は、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズである。一態様では、1つまたは複数の治療効果は腫瘍サイズの縮小である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は病勢の安定である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は部分奏効である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は完全奏効である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は客観的奏効率である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は奏効持続期間である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は奏効までの期間である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は無増悪生存期間である。一態様では、1つまたは複数の治療効果は全生存期間である。一態様では、1つまたは複数の治療効果はがんの退縮である。
【0141】
本明細書で提供される方法または使用の一態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片による治療への応答は、以下の基準(RECIST基準1.1)を含むことができる:
【0142】
本明細書で提供される方法または使用の一態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片による治療の有効性は、客観的奏効率を測定することによって評価される。いくつかの態様では、客観的奏効率は、最短期間で腫瘍サイズの所定量の減少を示した患者の割合である。いくつかの態様では、客観的奏効率はRECIST v1.1に基づく。一態様では、客観的奏効率は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約20%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約30%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約40%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約50%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約60%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約70%~80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約80%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約85%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約90%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約95%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約98%である。一態様では、客観的奏効率は少なくとも約99%である。一態様では、客観的奏効率は100%である。
【0143】
本明細書で提供される方法または使用の一態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片による治療への応答は、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズを測定することによって評価される。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは、抗体-薬物コンジュゲートの投与前の子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは少なくとも約10%~80%減少する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは少なくとも約20%~80%減少する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは少なくとも約30%~80%減少する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは少なくとも約40%~80%減少する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは少なくとも約50%~80%減少する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは少なくとも約60%~80%減少する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは少なくとも約70%~80%減少する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは少なくとも約80%減少する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは少なくとも約85%減少する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは少なくとも約90%減少する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは少なくとも約95%減少する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは少なくとも約98%減少する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは少なくとも約99%減少する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは100%減少する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは磁気共鳴イメージング(MRI)により測定される。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズはコンピュータ断層撮影(CT)で測定される。いくつかの態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズは骨盤内診察(pelvic examination)によって測定される。Choi et al., 2008, J. Gynecol. Oncol. 19(3):205を参照のこと。
【0144】
本明細書で提供される方法または使用の一態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片、例えばチソツマブベドチンなど、による治療への応答は、子宮頸癌に由来する腫瘍の退縮を促進する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍は、抗体-薬物コンジュゲートの投与前の子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%退縮する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍は少なくとも約10%~80%退縮する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍は少なくとも約20%~80%退縮する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍は少なくとも約30%~80%退縮する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍は少なくとも約40%~80%退縮する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍は少なくとも約50%~80%退縮する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍は少なくとも約60%~80%退縮する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍は少なくとも約70%~80%退縮する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍は少なくとも約80%退縮する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍は少なくとも約85%退縮する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍は少なくとも約90%退縮する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍は少なくとも約95%退縮する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍は少なくとも約98%退縮する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍は少なくとも約99%退縮する。一態様では、子宮頸癌に由来する腫瘍は100%退縮する。一態様では、腫瘍の退縮は、磁気共鳴イメージング(MRI)で腫瘍のサイズを測定することにより決定される。一態様では、腫瘍の退縮は、コンピュータ断層撮影(CT)で腫瘍のサイズを測定することにより決定される。いくつかの態様では、腫瘍の退縮は、骨盤内診察で腫瘍のサイズを測定することにより決定される。Choi et al., 2008, J. Gynecol. Oncol. 19(3):205を参照のこと。
【0145】
本明細書で提供される方法または使用のいくつかの態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片による治療への応答は、子宮頸癌に由来する腫瘍の数の後退を促進する。いくつかの態様では、腫瘍の数の後退は、MRI、CTスキャン、または骨盤内診察により対象者における腫瘍の数を検出することによって決定される。Choi et al., 2008, J. Gynecol. Oncol. 19(3):205を参照のこと。
【0146】
本明細書に記載される方法または使用の一態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片による治療への応答は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後の無増悪生存期間を測定することによって評価される。いくつかの態様では、該対象者は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、該対象者は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約6ヶ月の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、該対象者は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約1年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、該対象者は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約2年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、該対象者は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約3年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、該対象者は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約4年の無増悪生存期間を示す。いくつかの態様では、該対象者は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す。
【0147】
本明細書に記載される方法または使用の一態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片による治療への応答は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後の全生存期間を測定することによって評価される。いくつかの態様では、該対象者は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、該対象者は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約6ヶ月の全生存期間を示す。いくつかの態様では、該対象者は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約1年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、該対象者は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約2年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、該対象者は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約3年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、該対象者は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約4年の全生存期間を示す。いくつかの態様では、該対象者は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約5年の全生存期間を示す。
【0148】
本明細書に記載される方法または使用の一態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片による治療への応答は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後の抗体-薬物コンジュゲートに対する奏効持続期間を測定することによって評価される。いくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートに対する奏効持続期間は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である。いくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートに対する奏効持続期間は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約6ヶ月である。いくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートに対する奏効持続期間は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約1年である。いくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートに対する奏効持続期間は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約2年である。いくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートに対する奏効持続期間は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約3年である。いくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートに対する奏効持続期間は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約4年である。いくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートに対する奏効持続期間は、抗体-薬物コンジュゲートの投与後、少なくとも約5年である。
【0149】
E. 有害事象
一局面では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片で子宮頸癌を治療する方法は、対象者が1つまたは複数の有害事象を発症することにつながる。いくつかの態様では、有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための追加の治療剤が対象者に投与される。いくつかの態様では、対象者が発症する1つまたは複数の有害事象は、貧血、腹痛、低カリウム血症、低ナトリウム血症、鼻出血、疲労、吐き気、脱毛症、結膜炎、便秘、食欲減退、下痢、嘔吐、末梢神経障害、全身の健康状態の悪化、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード1以上の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード2以上の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード3以上の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード1の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード2の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード3の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード4の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は重篤な有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎および/または角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑用点眼薬、眼科用血管収縮薬、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎および角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑用点眼薬、眼科用血管収縮薬、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑用点眼薬、眼科用血管収縮薬、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑用点眼薬、眼科用血管収縮薬、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象者は、有害事象(例えば、結膜炎および/または角膜炎)を排除するかまたはその重症度を軽減するための追加の治療剤による治療を施される。いくつかの態様では、該治療は、目の冷却パッド(例えば、THERA PEARLアイマスクまたは同様のもの)である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は再発性のインフュージョンリアクション(infusion related reaction:輸注反応)であり、追加の治療剤は、抗ヒスタミン薬、アセトアミノフェンおよび/またはコルチコステロイドである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は好中球減少であり、追加の治療剤は増殖因子サポート(G-CSF)である。
【0150】
一態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片で治療された対象者は、1つまたは複数の有害事象を発症するリスクがある。いくつかの態様では、対象者は、有害事象の発症を予防するかまたは有害事象の重症度を軽減するための追加の治療剤を投与される。いくつかの態様では、対象者が発症するリスクのある1つまたは複数の有害事象は、貧血、腹痛、低カリウム血症、低ナトリウム血症、鼻出血、疲労、吐き気、脱毛症、結膜炎、便秘、食欲減退、下痢、嘔吐、末梢神経障害、全身の健康状態の悪化、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード1以上の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード2以上の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード3以上の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード1の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード2の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード3の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象はグレード4の有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は重篤な有害事象である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎および/または角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑用点眼薬、眼科用血管収縮薬、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎および角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑用点眼薬、眼科用血管収縮薬、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は結膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑用点眼薬、眼科用血管収縮薬、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は角膜炎であり、追加の治療剤は防腐剤フリーの潤滑用点眼薬、眼科用血管収縮薬、ステロイド点眼薬、またはそれらの任意の組み合わせである。本明細書中の任意のいくつかの態様では、対象者は、有害事象の発症を予防するかまたは有害事象(例えば、結膜炎および/または角膜炎)の重症度を軽減するための追加の治療剤による治療を施される。いくつかの態様では、該治療は、目の冷却パッド(例えば、THERA PEARLアイマスクまたは同様のもの)である。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は再発性のインフュージョンリアクションであり、追加の治療剤は、抗ヒスタミン薬、アセトアミノフェンおよび/またはコルチコステロイドである。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象は好中球減少であり、追加の治療剤は増殖因子サポート(G-CSF)である。
【0151】
IV. 組成物
いくつかの局面では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートのいずれかを含む組成物(例えば、薬学的組成物)も本明細書で提供される。
【0152】
治療用製剤は、所望の純度を有する有効成分を、薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤と混合することにより、保存用に調製される(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 第20版, Lippincott Williams & Wiklins発行, Gennaro編, フィラデルフィア, ペンシルバニア州, 2000年)。
【0153】
許容される担体、賦形剤または安定剤は、使用する用量と濃度でレシピエントに無毒のものであり、以下が含まれる:緩衝剤;酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE、メタ重亜硫酸ナトリウム;防腐剤;等張化剤;安定剤;金属錯体(例:Zn-タンパク質錯体);キレート剤、例えばEDTA;および/または非イオン性界面活性剤。
【0154】
緩衝剤は、特に安定性がpH依存性である場合、治療効果を最適化する範囲にpHを調整するために使用され得る。緩衝剤は、約50mM~約250mMの範囲の濃度で存在し得る。本発明での使用に適した緩衝剤には、有機酸と無機酸の両方およびそれらの塩が含まれる。例えば、クエン酸、リン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、グルコン酸、シュウ酸、乳酸、酢酸およびそれらの塩。さらに、緩衝剤は、ヒスチジンおよびトリス(Tris)などのトリメチルアミン塩で構成されてもよい。
【0155】
防腐剤は、微生物の増殖を防ぐために添加することができ、通常は約0.2%~1.0%(w/v)の範囲で存在する。本発明での使用に適した防腐剤には、以下が含まれる:オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;ハロゲン化ベンザルコニウム(例:塩化物、臭化物、ヨウ化物)、塩化ベンゼトニウム;チメロサール、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン類、例えばメチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール、3-ペンタノール、およびm-クレゾール。
【0156】
等張化剤は、時には「安定剤」としても知られており、組成物中の液体の浸透圧を調整または維持するために存在し得る。タンパク質および抗体などの大きな荷電生体分子と共に使用する場合、それらはアミノ酸側鎖の荷電基と相互作用し、それによって分子間および分子内相互作用の可能性を低下させるため、「安定剤」と呼ばれることが多い。等張化剤は、他の成分の相対量を考慮して、約0.1重量%~約25重量%または約1重量%~約5重量%の量で存在することができる。いくつかの態様では、等張化剤には、多価糖アルコール、三価以上の糖アルコール、例えば、グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトールおよびマンニトールが含まれる。
【0157】
追加の賦形剤には、以下の1つ以上として機能し得る添加剤が含まれる:(1)増量剤、(2)溶解促進剤、(3)安定剤、および(4)変性または容器壁への付着を防止する添加剤。そのような賦形剤としては、以下が挙げられる:多価糖アルコール(上で列挙);アミノ酸、例えば、アラニン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、オルニチン、ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニンなど;有機糖または糖アルコール、例えば、スクロース、ラクトース、ラクチトール、トレハロース、スタキオース、マンノース、ソルボース、キシロース、リボース、リビトール、ミオイニシトース(myoinisitose)、ミオイノシトール、ガラクトース、ガラクチトール、グリセロール、シクリトール(例:イノシトール)、ポリエチレングリコール;硫黄含有還元剤、例えば、尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α-モノチオグリセロール、チオ硫酸ナトリウム;低分子量タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチンまたは他の免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;単糖類(例:キシロース、マンノース、フルクトース、グルコース);二糖類(例:ラクトース、マルトース、スクロース);三糖類、例えばラフィノース;多糖類、例えば、デキストリンまたはデキストラン。
【0158】
非イオン性界面活性剤またはデタージェント(「湿潤剤」としても知られる)は、治療剤の可溶化を助けるため、ならびに撹拌により誘発される凝集から治療用タンパク質を保護するために存在することができ、それはまた、活性治療用タンパク質または抗体の変性を引き起こすことなく製剤が剪断表面応力に曝されることを可能にする。非イオン性界面活性剤は、約0.05mg/ml~約1.0mg/mlまたは約0.07mg/ml~約0.2mg/mlの範囲で存在する。いくつかの態様では、非イオン性界面活性剤は、約0.001%~約0.1%w/vまたは約0.01%~約0.1%w/vまたは約0.01%~約0.025%w/vの範囲で存在する。
【0159】
適切な非イオン性界面活性剤としては、以下が挙げられる:ポリソルベート(20、40、60、65、80など)、ポリオキサマー(184、188など)、PLURONIC(登録商標)ポリオール、TRITON(登録商標)、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN(登録商標)-20、TWEEN(登録商標)-80など)、ラウロマクロゴール400、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、50および60、モノステアリン酸グリセロール、ショ糖脂肪酸エステル、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース。使用できるアニオン性デタージェントには、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムおよびスルホン酸ジオクチルナトリウムが含まれる。カチオン性デタージェントには、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウムが含まれる。
【0160】
本明細書で提供される治療方法で使用するための、本明細書に記載の抗TF抗体コンジュゲートを含む製剤は、WO2015/075201に記載されている。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、抗TF抗体-薬物コンジュゲート、ヒスチジン、スクロース、およびD-マンニトールを含む製剤として存在し、この製剤は約6.0のpHを有する。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、約10mg/mlの濃度の抗TF抗体-薬物コンジュゲート、約30mMの濃度のヒスチジン、約88mMの濃度のスクロース、約165mMの濃度のD-マンニトールを含む製剤として存在し、この製剤は約6.0のpHを有する。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、10mg/mlの濃度の抗TF抗体-薬物コンジュゲート、30mMの濃度のヒスチジン、88mMの濃度のスクロース、165mMの濃度のD-マンニトールを含む製剤として存在し、この製剤は6.0のpHを有する。いくつかの態様では、この製剤は、10mg/mlの濃度のチソツマブベドチン、30mMの濃度のヒスチジン、88mMの濃度のスクロース、165mMの濃度のD-マンニトールを含み、6.0のpHを有する。
【0161】
本明細書で提供されるいくつかの態様では、本明細書に記載の抗TF抗体コンジュゲートを含む製剤は、界面活性剤を含まない(すなわち、界面活性剤フリーである)。
【0162】
製剤をインビボ投与に使用するためには、それらは無菌でなければならない。製剤は、滅菌ろ過膜を通してろ過することによって無菌にすることができる。本明細書中の治療用組成物は、一般に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈内輸液バッグまたはバイアルに入れられる。
【0163】
投与経路は、公知の容認された方法に従い、例えば、単回もしくは複数回のボーラス投与、または適切な方法での長期間にわたる注入、例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、病巣内または関節内経路による注射または注入、局所投与、吸入または持続放出もしくは徐放性手段による。
【0164】
本明細書に記載の製剤はまた、治療される特定の適応症のために必要に応じて複数の活性化合物、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するもの、を含んでもよい。あるいは、またはさらに、該組成物は、細胞毒性薬、サイトカインまたは増殖抑制剤を含み得る。そのような分子は、意図した目的に有効な量で組み合わせて適切に存在する。
【0165】
本発明は、本明細書に記載の子宮頸癌を治療する方法で使用するための、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートまたはその抗原結合断片の集団を含む組成物を提供する。いくつかの局面では、抗体-薬物コンジュゲートの集団を含む組成物が本明細書で提供され、ここで、該抗体-薬物コンジュゲートはMMAEに結合されたリンカーを含み、該抗体-薬物コンジュゲートは以下の構造を有する:
ここで、pは1~8の数を表し、Sは抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのスルフヒドリル残基を表し、Abは本明細書に記載の抗TF抗体またはその抗原結合フラグメント、例えばチソツマブ、を表す。いくつかの態様では、pは3~5の数を表す。いくつかの態様では、該組成物中のpの平均値は約4である。いくつかの態様では、該集団は、各抗体-薬物コンジュゲートごとにpが1から8まで変化する、抗体-薬物コンジュゲートの混合集団である。いくつかの態様では、該集団は、各抗体-薬物コンジュゲートがpについて同じ値を有する、抗体-薬物コンジュゲートの均一集団である。
【0166】
いくつかの態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートを含む組成物は、1つまたは追加の治療剤と共投与される。いくつかの態様では、共投与は同時または逐次的である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートは、1つまたは複数の追加の治療剤と同時に投与される。いくつかの態様では、同時とは、抗体-薬物コンジュゲートと1つまたは複数の治療剤が1時間未満の間隔で、例えば、約30分未満の間隔、約15分未満の間隔、約10分未満の間隔、または約5分未満の間隔で、対象者に投与されることを意味する。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートは、1つまたは複数の追加の治療剤と逐次的に投与される。いくつかの態様では、逐次投与は、抗体-薬物コンジュゲートと1つまたは複数の追加の治療剤が少なくとも1時間間隔、少なくとも2時間間隔、少なくとも3時間間隔、少なくとも4時間間隔、少なくとも5時間間隔、少なくとも6時間間隔、少なくとも7時間間隔、少なくとも8時間間隔、少なくとも9時間間隔、少なくとも10時間間隔、少なくとも11時間間隔、少なくとも12時間間隔、少なくとも13時間間隔、少なくとも14時間間隔、少なくとも15時間間隔、少なくとも16時間間隔、少なくとも17時間間隔、少なくとも18時間間隔、少なくとも19時間間隔、少なくとも20時間間隔、少なくとも21時間間隔、少なくとも22時間間隔、少なくとも23時間間隔、少なくとも24時間間隔、少なくとも2日間隔、少なくとも3日間隔、少なくとも4日間隔、少なくとも5日間隔、少なくとも6日間隔、少なくとも7日間隔、少なくとも2週間隔、少なくとも3週間隔、または少なくとも4週間隔で投与されることを意味する。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートを含む組成物は、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤と共に投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートを含む組成物は、有害事象の発症を予防するかまたは有害事象の重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤と共に投与される。
【0167】
いくつかの態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートを含む組成物は、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤と共投与される。いくつかの態様では、共投与は同時または逐次的である。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートは、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤と同時に投与される。いくつかの態様では、同時とは、抗体-薬物コンジュゲートと、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤とが1時間未満の間隔で、例えば、約30分未満の間隔、約15分未満の間隔、約10分未満の間隔、または約5分未満の間隔で、対象者に投与されることを意味する。いくつかの態様では、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートは、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤と逐次的に投与される。いくつかの態様では、逐次投与は、抗体-薬物コンジュゲートと1つまたは複数の追加の治療剤が少なくとも1時間間隔、少なくとも2時間間隔、少なくとも3時間間隔、少なくとも4時間間隔、少なくとも5時間間隔、少なくとも6時間間隔、少なくとも7時間間隔、少なくとも8時間間隔、少なくとも9時間間隔、少なくとも10時間間隔、少なくとも11時間間隔、少なくとも12時間間隔、少なくとも13時間間隔、少なくとも14時間間隔、少なくとも15時間間隔、少なくとも16時間間隔、少なくとも17時間間隔、少なくとも18時間間隔、少なくとも19時間間隔、少なくとも20時間間隔、少なくとも21時間間隔、少なくとも22時間間隔、少なくとも23時間間隔、少なくとも24時間間隔、少なくとも2日間隔、少なくとも3日間隔、少なくとも4日間隔、少なくとも5日間隔、少なくとも6日間隔、少なくとも7日間隔、少なくとも2週間隔、少なくとも3週間隔、または少なくとも4週間隔で投与されることを意味する。いくつかの態様では、抗体-薬物コンジュゲートは、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤に先立って投与される。いくつかの態様では、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための1つまたは複数の治療剤は、抗体-薬物コンジュゲートに先立って投与される。
【0168】
V. 製造物品およびキット
別の局面では、本明細書に記載の抗TF抗体-薬物コンジュゲートを含む製造物品またはキットが提供される。製造物品またはキットは、本発明の方法で該抗体を使用するための説明書をさらに含み得る。したがって、特定の態様では、製造物品またはキットは、有効量の抗TF抗体-薬物コンジュゲートを対象者に投与する工程を含む対象者の子宮頸癌を治療する方法で抗TF抗体-薬物コンジュゲートを使用するための説明書を含む。いくつかの態様では、子宮頸癌は、進行子宮頸癌、例えばグレード3の子宮頸癌またはグレード4の子宮頸癌である。いくつかの態様では、進行子宮頸癌は転移性癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は転移性癌および再発性癌である。いくつかの態様では、子宮頸癌は再発性癌である。いくつかの態様では、対象者は、以前に1つまたは複数の治療剤で治療されたことがあり、その治療に応答しなかったか、治療後に再発したか、または治療中に病勢の進行を経験した。以前の治療の本明細書中のいくつかの態様では、1つまたは複数の治療剤は抗体-薬物コンジュゲートではない。いくつかの態様では、該対象者はヒトである。
【0169】
製造物品またはキットはさらに容器を含み得る。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル(例えば、デュアルチャンバーバイアル)、シリンジ(例えば、シングルまたはデュアルチャンバーシリンジ)および試験チューブが含まれる。いくつかの態様では、容器はバイアルである。容器は、ガラス、プラスチックなどの様々な材料から形成され得る。容器は製剤を保持するものである。
【0170】
製造物品またはキットはさらに、容器上にあるか、または容器に付随するラベルまたは添付文書を含むことができ、製剤の再調製および/または使用に関する指示を示し得る。ラベルまたは添付文書は、製剤が皮下、静脈内(例えば、静脈内注入)、または本明細書に記載の子宮頸癌(例えば、グレード3もしくはグレード4または転移性の子宮頸癌などの進行子宮頸癌)などの、対象者の子宮頸癌を治療するための他の投与モードに有用であるか、またはそのような投与に向いていることをさらに示し得る。製剤を保持する容器は、単回使用バイアル、または再調製した製剤の反復投与を可能にする複数回使用バイアルであり得る。製造物品またはキットは、適切な希釈剤を含む第2の容器をさらに含んでもよい。製造物品またはキットは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および使用説明書付きの添付文書など、商業的、治療的、および利用者の観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。
【0171】
本明細書中の製造物品またはキットは、任意で、第2の薬剤を含む容器をさらに含み、この場合、抗TF抗体-薬物コンジュゲートは第1の薬剤である;該製造物品またはキットは、有効量の第2の薬剤で対象者を治療するための、ラベルまたは添付文書に記載された指示をさらに含む。いくつかの態様では、ラベルまたは添付文書は、第1の薬剤と第2の薬剤が、本明細書に記載されるように、逐次的または同時に投与されるべきであることを示す。
【0172】
本明細書中の製造物品またはキットは、任意で、第2の薬剤を含む容器をさらに含み、この場合、第2の薬剤は、1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するためのものであり、抗TF抗体-薬物コンジュゲートは第1の薬剤である;該製造物品またはキットは、有効量の第2の薬剤で対象者を治療するための、ラベルまたは添付文書に記載された指示をさらに含む。いくつかの態様では、ラベルまたは添付文書は、第1の薬剤と第2の薬剤が、本明細書に記載されるように、逐次的または同時に投与されるべきであることを示し、例えば、ラベルまたは添付文書は、抗TF抗体-薬物コンジュゲートが最初に投与され、次に第2の薬剤が投与されることを示す。
【0173】
いくつかの態様では、抗TF抗体-薬物コンジュゲートは、凍結乾燥粉末として容器内に存在する。いくつかの態様では、凍結乾燥粉末は、活性薬剤の量を示す、バイアル、アンプル、小袋などの密閉容器に入れられる。薬剤が注射により投与される場合には、諸成分を投与前に混合することができるように、例えば、注射用の滅菌水または生理食塩水のアンプルを、任意でキットの一部として、提供することができる。そのようなキットは、必要に応じて、当業者には容易に明らかであるように、例えば、1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含む容器、追加の容器などの、1つまたは複数の様々な従来の薬学的構成要素をさらに含むことができる。投与される成分の量、投与に関するガイドライン、および/または諸成分を混合するためのガイドラインを示す、添付文書またはラベルとしての、印刷された説明書をキットに含めることもできる。
【0174】
VI. 例示的な態様
本明細書で提供される態様には、以下が含まれる:
1. 対象者における子宮頸癌の治療方法であって、組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートを該対象者に投与する工程を含み、該抗体-薬物コンジュゲートが、モノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体もしくはその機能的誘導体にコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗体-薬物コンジュゲートが約1.5mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の用量で投与される、方法。
2. 前記用量が約2.0mg/kgである、態様1の方法。
3. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、約1週間、約2週間、約3週間、または約4週間に1回投与される、態様1または2の方法。
4. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、約3週間に1回投与される、態様1~3のいずれか1つの方法。
5. 前記対象者が、以前に1つまたは複数の治療剤で治療されたことがあり、その治療に応答しなかった;ここで、該1つまたは複数の治療剤が前記抗体-薬物コンジュゲートではない、態様1~4のいずれか1つの方法。
6. 前記対象者が、以前に1つまたは複数の治療剤で治療されたことがあり、その治療後に再発した;ここで、該1つまたは複数の治療剤が前記抗体-薬物コンジュゲートではない、態様1~4のいずれか1つの方法。
7. 前記対象者が、以前に1つまたは複数の治療剤で治療されたことがあり、その治療中に病勢の進行を経験している;ここで、該1つまたは複数の治療剤が前記抗体-薬物コンジュゲートではない、態様1~4のいずれか1つの方法。
8. 前記1つまたは複数の治療剤がプラチナベースの治療剤を含む、態様5~7のいずれか1つの方法。
9. 前記1つまたは複数の治療剤が、パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、トポテカン、ゲムシタビン、フルオロウラシル、イクサベピロン、イマチニブメシレート、ドセタキセル、ゲフィチニブ、パクリタキセル、ペメトレキセド、ビノレルビン、ドキシル、セツキシマブ、ペンブロリズマブ、ニボルマブおよびベバシズマブからなる群より選択される、態様5~7のいずれか1つの方法。
10. 前記対象者が、
a)パクリタキセルとシスプラチン;
b)パクリタキセルとカルボプラチン;または
c)パクリタキセルとトポテカン;
による治療中または治療後に病勢の進行を経験している、態様1~9のいずれか1つの方法。
11. 前記対象者が、ベバシズマブによる治療を受けたことがある、態様1~10のいずれか1つの方法。
12. 前記対象者が、ベバシズマブによる治療に不適格である、態様1~10のいずれか1つの方法。
13. 前記対象者が、根治的療法の候補者ではない、態様1~12のいずれか1つの方法。
14. 前記根治的療法が、放射線療法および/または内臓除去術を含む、態様13の方法。
15. 前記対象者が、2回までの以前の全身療法レジメンによる治療に応答しなかった、態様1~14のいずれか1つの方法。
16. 前記対象者が、2回までの以前の全身療法レジメンによる治療後に再発した、態様1~14のいずれか1つの方法。
17. 前記子宮頸癌が、腺癌、腺扁平上皮癌または扁平上皮癌である、態様1~16のいずれか1つの方法。
18. 前記子宮頸癌が、進行期の子宮頸癌、例えばステージ3またはステージ4の子宮頸癌、例えば転移性子宮頸癌である、態様1~17のいずれか1つの方法。
19. 前記子宮頸癌が、再発性子宮頸癌である、態様1~18のいずれか1つの方法。
20. 前記モノメチルアウリスタチンが、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である、態様1~19のいずれか1つの方法。
21. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、モノクローナル抗体またはそのモノクローナル抗原結合フラグメントである、態様1~20のいずれか1つの方法。
22. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み;ここで、該抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRがIMGTナンバリングスキームによって定義される、態様1~21のいずれか1つの方法。
23. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、態様1~22のいずれか1つの方法。
24. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、態様1~23のいずれか1つの方法。
25. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体がチソツマブである、態様1~24のいずれか1つの方法。
26. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントと前記モノメチルアウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む、態様1~25のいずれか1つの方法。
27. 前記リンカーが切断可能なペプチドリンカーである、態様26の方法。
28. 前記切断可能なペプチドリンカーが式:-MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcはジペプチドのバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である、態様27の方法。
29. 前記リンカーが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体のスルフヒドリル残基に結合されている、態様26~28のいずれか1つの方法。
30. 前記リンカーがMMAEに結合されており、前記抗体-薬物コンジュゲートが以下の構造:
を有し、ここで、pは1~8の数を表し、Sは前記抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す、態様29の方法。
31. 前記抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値が約4である、態様30の方法。
32. 前記抗体-薬物コンジュゲートがチソツマブベドチンである、態様1~31のいずれか1つの方法。
33. 前記抗体-薬物コンジュゲートの投与経路が静脈内である、態様1~32のいずれか1つの方法。
34. 子宮頸癌細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%がTFを発現する、態様1~33のいずれか1つの方法。
35. 前記対象者における1つまたは複数の治療効果が、ベースラインと比較して、前記抗体-薬物コンジュゲートの投与後に改善される、態様1~34のいずれか1つの方法。
36. 前記1つまたは複数の治療効果が、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間からなる群より選択される、態様35の方法。
37. 子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズが、前記抗体-薬物コンジュゲートの投与前の子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、態様1~36のいずれか1つの方法。
38. 客観的奏効率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、態様1~37のいずれか1つの方法。
39. 前記対象者が、前記抗体-薬物コンジュゲートの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、態様1~38のいずれか1つの方法。
40. 前記対象者が、前記抗体-薬物コンジュゲートの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す、態様1~39のいずれか1つの方法。
41. 前記抗体-薬物コンジュゲートに対する奏効持続期間が、前記抗体-薬物コンジュゲートの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、態様1~40のいずれか1つの方法。
42. 前記対象者が1つまたは複数の有害事象を有し、該1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための追加の治療剤をさらに投与される、態様1~41のいずれか1つの方法。
43. 前記対象者が1つまたは複数の有害事象を発症するリスクを有し、該1つまたは複数の有害事象を予防するかまたはその重症度を軽減するための追加の治療剤をさらに投与される、態様1~41のいずれか1つの方法。
44. 前記1つまたは複数の有害事象が、貧血、腹痛、低カリウム血症、低ナトリウム血症、鼻出血、疲労、吐き気、脱毛症、結膜炎、便秘、食欲減退、下痢、嘔吐、末梢神経障害、または全身の健康状態の悪化である、態様42または43の方法。
45. 前記1つまたは複数の有害事象がグレード3以上の有害事象である、態様42または43の方法。
46. 前記1つまたは複数の有害事象が重篤な有害事象である、態様42または43の方法。
47. 前記1つまたは複数の有害事象が結膜炎および/または角膜炎であり、前記追加の薬剤が防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬および/またはステロイド点眼薬である、態様42または43の方法。
48. 前記抗体-薬物コンジュゲートが単剤療法として投与される、態様1~47のいずれか1つの方法。
49. 前記対象者がヒトである、態様1~48のいずれか1つの方法。
50. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、該抗体-薬物コンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様1~49のいずれか1つの方法。
51. 対象者における子宮頸癌の治療方法で使用するための、組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートであって、該抗体-薬物コンジュゲートがモノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体もしくはその機能的誘導体にコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗体-薬物コンジュゲートが約1.5mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の用量で該対象者に投与される、抗体-薬物コンジュゲート。
52. 前記用量が約2.0mg/kgである、態様51の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
53. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約1週間、2週間、3週間、または4週間に1回投与される、態様51または態様52の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
54. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約3週間に1回投与される、態様51~53のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
55. 前記対象者が、以前に1つまたは複数の治療剤で治療されたことがあり、その治療に応答しなかった;ここで、該1つまたは複数の治療剤は抗体-薬物コンジュゲートではない、態様51~54のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
56. 前記対象者が、以前に1つまたは複数の治療剤で治療されたことがあり、その治療後に再発した;ここで、該1つまたは複数の治療剤は抗体-薬物コンジュゲートではない、態様51~54のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
57. 前記対象者が、以前に1つまたは複数の治療剤で治療されたことがあり、その治療中に病勢の進行を経験した;ここで、該1つまたは複数の治療剤は抗体-薬物コンジュゲートではない、態様51~54のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
58. 前記1つまたは複数の治療剤がプラチナベースの治療剤である。態様55~57のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
59. 前記1つまたは複数の治療剤がパクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、トポテカン、ゲムシタビン、フルオロウラシル、イクサベピロン、イマチニブメシレート、ドセタキセル、ゲフィチニブ、パクリタキセル、ペメトレキセド、ビノレルビン、ドキシル、セツキシマブ、ペンブロリズマブ、ニボルマブおよびベバシズマブからなる群より選択される、態様55~57のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
60. 前記対象者が、
a)パクリタキセルとシスプラチン;
b)パクリタキセルとカルボプラチン;または
c)パクリタキセルとトポテカン;
による治療中または治療後に病勢の進行を経験している、態様51~59のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
61. 前記対象者がベバシズマブによる治療を受けたことがある、態様51~60のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
62. 前記対象者がベバシズマブによる治療に不適格である、態様51~60のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
63. 前記対象者が根治的療法の候補者ではない、態様51~62のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
64. 前記根治的療法が放射線療法および/または内臓除去術を含む、態様63の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
65. 前記対象者が2回までの以前の全身治療レジメンによる治療に応答しなかった、態様51~64のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
66. 前記対象者が2回までの以前の全身治療レジメンによる治療後に再発した、態様51~64のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
67. 前記子宮頸癌が、腺癌、腺扁平上皮癌、または扁平上皮癌である、態様51~66のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
68. 前記子宮頸癌が、進行期の子宮頸癌、例えばステージ3またはステージ4の子宮頸癌、例えば転移性子宮頸癌である、態様51~67のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
69. 前記子宮頸癌が再発性子宮頸癌である、態様51~68のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
70. 前記モノメチルアウリスタチンが、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である、態様51~69のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
71. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、モノクローナル抗体またはそのモノクローナル抗原結合フラグメントである、態様51~70のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
72. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含み;ここで、該抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRはIMGTナンバリングスキームによって定義される、態様51~71のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
73. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、態様51~72のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
74. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、態様51~73のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
75. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体がチソツマブである、態様51~74のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
76. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントとモノメチルアウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む、態様51~75のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
77. 前記リンカーが、切断可能なペプチドリンカーである、態様76の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
78. 前記切断可能なペプチドリンカーが式:-MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcはジペプチドのバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である、態様77の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
79. 前記リンカーが、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた抗TF抗体のスルフヒドリル残基に結合されている、態様76~78のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
80. 前記リンカーがMMAEに結合されており、前記抗体-薬物コンジュゲートが以下の構造:
を有し、ここで、pは1~8の数を表し、Sは前記抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す、態様79の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
81. 前記抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値が約4である、態様80の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
82. 前記抗体-薬物コンジュゲートがチソツマブベドチンである、態様51~81のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
83. 前記抗体-薬物コンジュゲートの投与経路が静脈内である、態様51~82のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
84. 子宮頸癌細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%がTFを発現する、態様51~83のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
85. 前記対象者における1つまたは複数の治療効果が、ベースラインと比較して、抗体-薬物コンジュゲートの投与後に改善される、態様51~84のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
86. 前記1つまたは複数の治療効果が、子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間からなる群より選択される、態様85の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
87. 前記子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズが、抗体-薬物コンジュゲートの投与前の子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、態様51~86のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
88. 客観的奏効率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、態様51~87のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
89. 前記対象者が、抗体-薬物コンジュゲートの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、態様51~88のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
90. 前記対象者が、抗体-薬物コンジュゲートの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す、態様51~89のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
91. 前記抗体-薬物コンジュゲートに対する奏効持続期間が、抗体-薬物コンジュゲートの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、態様51~90のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
92. 前記対象者が1つまたは複数の有害事象を有し、該1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための追加の治療剤をさらに投与される、態様51~91のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
93. 前記対象者が1つまたは複数の有害事象を発症するリスクを有し、該1つまたは複数の有害事象を予防するかまたはその重症度を軽減するための追加の治療剤をさらに投与される、態様51~91のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
94. 前記1つまたは複数の有害事象が、貧血、腹痛、低カリウム血症、低ナトリウム血症、鼻出血、疲労、吐き気、脱毛症、結膜炎、便秘、食欲減退、下痢、嘔吐、末梢神経障害、または全身の健康状態の悪化である、態様92または態様93の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
95. 前記1つまたは複数の有害事象がグレード3以上の有害事象である、態様92または態様93の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
96. 前記1つまたは複数の有害事象が重篤な有害事象である、態様92または態様93の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
97. 前記1つまたは複数の有害事象が結膜炎および/または角膜炎であり、追加の薬剤が防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬および/またはステロイド点眼薬である、態様92または態様93の使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
98. 前記抗体-薬物コンジュゲートが単剤療法として投与される、態様51~97のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
99. 前記対象者がヒトである、態様51~98のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
100. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、該抗体-薬物コンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様51~99のいずれか1つの使用のための抗体-薬物コンジュゲート。
101. 対象者における子宮頸癌の治療用の医薬を製造するための、組織因子(TF)に結合する抗体-薬物コンジュゲートの使用であって、該抗体-薬物コンジュゲートがモノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体もしくはその機能的誘導体にコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該抗体-薬物コンジュゲートが約1.5mg/kg~約2.1mg/kgの範囲の用量で該対象者に投与される、使用。
102. 前記用量が約2.0mg/kgである、態様101の使用。
103. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、約1週間、2週間、3週間、または4週間に1回投与される、態様101または態様102の使用。
104. 前記抗体-薬物コンジュゲートが約3週間に1回投与される、態様101~103のいずれか1つの使用。
105. 前記対象者が、以前に1つまたは複数の治療剤で治療されたことがあり、その治療に応答しなかった;ここで、該1つまたは複数の治療剤は抗体-薬物コンジュゲートではない、態様101~104のいずれか1つの使用。
106. 前記対象者が、以前に1つまたは複数の治療剤で治療されたことがあり、その治療後に再発した;ここで、該1つまたは複数の治療剤は抗体-薬物コンジュゲートではない、態様101~104のいずれか1つの使用。
107. 前記対象者が、以前に1つまたは複数の治療剤で治療されたことがあり、その治療中に病勢の進行を経験した;ここで、該1つまたは複数の治療剤は抗体-薬物コンジュゲートではない、態様101~104のいずれか1つの使用。
108. 前記1つまたは複数の治療剤がプラチナベースの治療剤である。態様105~107のいずれか1つの使用。
109. 前記1つまたは複数の治療剤が、パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、トポテカン、ゲムシタビン、フルオロウラシル、イクサベピロン、イマチニブメシレート、ドセタキセル、ゲフィチニブ、パクリタキセル、ペメトレキセド、ビノレルビン、ドキシル、セツキシマブ、ペンブロリズマブ、ニボルマブおよびベバシズマブからなる群より選択される、態様105~107のいずれか1つの使用。
110. 前記対象者が、
a)パクリタキセルとシスプラチン;
b)パクリタキセルとカルボプラチン;または
c)パクリタキセルとトポテカン;
による治療中または治療後に病勢の進行を経験している、態様101~109のいずれか1つの使用。
111. 前記対象者がベバシズマブによる治療を受けたことがある、態様101~110のいずれか1つの使用。
112. 前記対象者がベバシズマブによる治療に不適格である、態様101~110のいずれか1つの使用。
113. 前記対象者が根治的療法の候補者ではない、態様101~112のいずれか1つの使用。
114. 前記根治的療法が放射線療法および/または内臓除去術を含む、態様113の使用。
115. 前記対象者が、2回までの以前の全身治療レジメンによる治療に応答しなかった、態様101~114のいずれか1つの使用。
116. 前記対象者が、2回までの以前の全身治療レジメンによる治療後に再発した、態様101~114のいずれか1つの使用。
117. 前記子宮頸癌が、腺癌、腺扁平上皮癌、または扁平上皮癌である、態様101~116のいずれか1つの使用。
118. 前記子宮頸癌が、ステージ3またはステージ4の子宮頸癌などの進行期の子宮頸癌、例えば転移性子宮頸癌である、態様101~117のいずれか1つの使用。
119. 前記子宮頸癌が再発性子宮頸癌である、態様101~118のいずれか1つの使用。
120. 前記モノメチルアウリスタチンがモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である、態様101~119のいずれか1つの使用。
121. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、モノクローナル抗体またはそのモノクローナル抗原結合フラグメントである、態様101~120のいずれか1つの使用。
122. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(ii) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;および
(iii)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;
を含み、かつ該軽鎖可変領域が、
(i) SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(ii) SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
(iii)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;
を含む;ここで、該抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRはIMGTナンバリングスキームによって定義される、態様101~121のいずれか1つの使用。
123. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、態様101~122のいずれか1つの使用。
124. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、態様101~123のいずれか1つの使用。
125. 前記抗体-薬物コンジュゲートの抗TF抗体がチソツマブである、態様101~124のいずれか1つの使用。
126. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントと前記モノメチルアウリスタチンとの間にリンカーをさらに含む、態様101~125のいずれか1つの使用。
127. 前記リンカーが切断可能なペプチドリンカーである、態様126の使用。
128. 前記切断可能なペプチドリンカーが式:-MC-vc-PAB-を有し、式中、
a)MCは
であり、
b)vcはジペプチドのバリン-シトルリンであり、
c)PABは
である、態様127の使用。
129. 前記リンカーが、前記抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントの部分還元または完全還元によって得られた該抗TF抗体のスルフヒドリル残基に結合されている、態様126~128のいずれか1つの使用。
130. 前記リンカーがMMAEに結合されており、前記抗体-薬物コンジュゲートが以下の構造:
を有し、ここで、pは1~8の数を表し、Sは前記抗TF抗体のスルフヒドリル残基を表し、Abは該抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを表す、態様129の使用。
131. 前記抗体-薬物コンジュゲートの集団におけるpの平均値が約4である、態様130の使用。
132. 前記抗体-薬物コンジュゲートがチソツマブベドチンである、態様101~131のいずれか1つの使用。
133. 前記抗体-薬物コンジュゲートの投与経路が静脈内である、態様101~132のいずれか1つの使用。
134. 子宮頸癌細胞の少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%がTFを発現する、態様101~133のいずれか1つの使用。
135. 前記対象者における1つまたは複数の治療効果が、ベースラインと比較して、抗体-薬物コンジュゲートの投与後に改善される、態様101~134のいずれか1つの使用。
136. 前記1つまたは複数の治療効果が、前記子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズ、客観的奏効率、奏効持続期間、奏効までの期間、無増悪生存期間、および全生存期間からなる群より選択される、態様135の使用。
137. 前記子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズが、前記抗体-薬物コンジュゲートの投与前の子宮頸癌に由来する腫瘍のサイズと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少する、態様101~136のいずれか1つの使用。
138. 客観的奏効率が、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である、態様101~137のいずれか1つの使用。
139. 前記対象者が、前記抗体-薬物コンジュゲートの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の無増悪生存期間を示す、態様101~138のいずれか1つの使用。
140. 前記対象者が、前記抗体-薬物コンジュゲートの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年の全生存期間を示す、態様101~139のいずれか1つの使用。
141. 前記抗体-薬物コンジュゲートに対する奏効持続期間が、該抗体-薬物コンジュゲートの投与後に少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年である、態様101~140のいずれか1つの使用。
142. 前記対象者が1つまたは複数の有害事象を有し、該1つまたは複数の有害事象を排除するかまたはその重症度を軽減するための追加の治療剤をさらに投与される、態様101~141のいずれか1つの使用。
143. 前記対象者が1つまたは複数の有害事象を発症するリスクを有し、該1つまたは複数の有害事象を予防するかまたはその重症度を軽減するための追加の治療剤をさらに投与される、態様101~141のいずれか1つの使用。
144. 前記1つまたは複数の有害事象が、貧血、腹痛、低カリウム血症、低ナトリウム血症、鼻出血、疲労、吐き気、脱毛症、結膜炎、便秘、食欲減退、下痢、嘔吐、末梢神経障害、または全身の健康状態の悪化である、態様142または態様143の使用。
145. 前記1つまたは複数の有害事象がグレード3以上の有害事象である、態様142または態様143の使用。
146. 前記1つまたは複数の有害事象が重篤な有害事象である、態様142または態様143の使用。
147. 前記1つまたは複数の有害事象が結膜炎および/または角膜炎であり、前記追加の薬剤が防腐剤フリーの潤滑点眼薬、眼科用血管収縮薬および/またはステロイド点眼薬である、態様142または態様143の使用。
148. 前記抗体-薬物コンジュゲートが単剤療法として投与される、態様101~147のいずれか1つの使用。
149. 前記対象者がヒトである、態様101~148のいずれか1つの使用。
150. 前記抗体-薬物コンジュゲートが、該抗体-薬物コンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として存在する、態様101~149のいずれか1つの使用。
151. 以下を含む製造物品:
a)抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬であって、該抗体-薬物コンジュゲートが、モノメチルアウリスタチンまたはその機能的類似体もしくはその機能的誘導体にコンジュゲートされた、抗TF抗体またはその抗原結合フラグメントを含む、医薬;および
b)態様1~50のいずれか1つに記載の対象者における子宮頸癌の治療方法での抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬の投与のための指示、または対象者における子宮頸癌の治療方法での態様51~100のいずれか1つに記載の使用のための指示、を含む添付文書。
152. 前記抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬が、バイアル、シリンジ、および輸液バッグからなる群より選択される容器内に含まれる、態様151の製造物品。
153. 前記容器が、前記抗体-薬物コンジュゲートを約4mg~約500mgの投与量で含む、態様152の製造物品。
154. 前記容器が、前記抗体-薬物コンジュゲートを約20mg~約60mgの投与量で含む、態様152の製造物品。
155. 前記容器が、前記抗体-薬物コンジュゲートを約5mg/mL~約15mg/mLの濃度で含む、態様152の製造物品。
156. 前記抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬が凍結乾燥粉末である、態様151~154のいずれか1つの製造物品。
157. 前記凍結乾燥粉末を適切な希釈剤で再調製すると、約5mg/mL~約15mg/mLの最終濃度が得られる、態様156の製造物品。
158. 前記抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬が、静脈内注入または注射により投与するためのものである、態様151~157のいずれか1つの製造物品。
159. 前記抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬が、静脈内注入により投与するためのものである、態様158の製造物品。
【0175】
本発明は、以下の実施例を参照することによって、より完全に理解されるであろう。しかしながら、それらは本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載の実施例および態様は例示のみを目的としており、それらを考慮して様々な修正または変更が当業者に示唆され、本出願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲に含まれることが理解されよう。
【実施例0176】
実施例1:がん患者を対象としたチソツマブベドチンの第I/II相安全性試験
チソツマブベドチンは、組織因子(TF)に結合する抗体、プロテアーゼ切断可能リンカー、および微小管破壊薬MMAEを含む抗体-薬物コンジュゲートである。TFは子宮頸癌を含む多くの腫瘍で異常に発現するタンパク質であり、予後不良と関連している。Foerster Y et al. Clin Chim Acta. 2006;364(1-2):12-21およびCocco E et al. BMC Cancer. 2011;11:263を参照のこと。チソツマブベドチンは、TFを選択的に標的とし、臨床的に検証された毒性ペイロードを腫瘍細胞に送達する(図1)。Breij EC et al. Cancer Res. 2014;74(4):1214-1226およびChu AJ. Int J Inflam. 2011;2011. doi: 10.4061/2011/367284を参照のこと。
【0177】
方法
子宮頸癌を含む様々な種類の局所進行性および/または転移性のがんを有する27名の対象者においてチソツマブベドチンの安全性をテストするために、3+3用量漸増デザインに従うヒト初回(first-in-human)第I/II相用量漸増試験を実施した(図2)。チソツマブベドチンは、21日サイクルの1日目に0.3mg/kg~2.2mg/kgの範囲の用量で4サイクルにわたって静脈内注入により投与した(すなわち、各治療サイクルは3週であった)。4サイクルの終了時に病勢安定(SD)以上を示した患者には、さらに8サイクルのチソツマブベドチンによる治療を継続する選択肢があった(図2)。腫瘍の評価は6週間ごとにCTスキャンで行った。SDの評価を得るには、6週目に計画されたCTスキャンの結果がSD以上である必要があった。パープロトコル(per-protocol)規定ウィンドウの外側で2回のCTスキャンを実施した。
【0178】
40mgのチソツマブベドチンを含む凍結乾燥バイアルは2~8℃の冷蔵庫に保存した。チソツマブベドチンを4mlの水で再調製すると、10mg/mLのチソツマブベドチン、30mMのヒスチジン、88mMのスクロース、および165mMのD-マンニトールを含む再調製溶液をもたらした。この抗体-薬物コンジュゲートの再調製溶液のpHは6.0であった。患者ごとに計算された用量に従って、再調製チソツマブベドチンを0.9%NaCl 100mL輸液バッグに注入して希釈した。チソツマブベドチンバイアルを再調製してから24時間以内に静脈内注入を完了した。静脈内注入には0.2μmのインラインフィルターを使用した。準備が整った輸液バッグから全100mL量を投与した。デッドボリューム(dead volume)は生じなかった。
【0179】
この試験の第1の目的は、特定の固形腫瘍を持つ患者の混合集団において安全性と忍容性を評価することであった。有害事象(AE)の重症度は、「有害事象共通用語規準」(Common Terminology Criteria for Adverse Events:CTCAE)バージョン4.03に従ってグレードが付けられた。この試験の第2の目的は、チソツマブベドチンの薬物動態(PK)プロファイルの測定、および「固形腫瘍効果判定基準」(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors:RECIST)バージョン1.1に従って評価される抗腫瘍活性の予備評価を含んでいた。用量制限毒性(DLT)を1回目のサイクルの間に測定して、チソツマブベドチンに関連する可能性があるグレード≧3の事象として定義した。最大耐量(MTD)は、許容できない副作用を引き起こすことがないチソツマブベドチンの最高用量レベルとして定義した。腫瘍生検は、チソツマブを利用する免疫組織化学によって評価されたTF発現のためにベースライン時に必要とした。TF染色強度は、Hスコアリングシステムを用いて測定した。
【0180】
適格な対象者の選定基準には、次のものが含まれていた:利用可能な標準治療に失敗したことがある、再発した、進行した、および/または転移性のがん;および測定可能な疾患を有する患者。
【0181】
除外基準には、次のものが含まれていた:既知の過去または現在の凝固障害;進行中の大量出血;CTCAEグレード≧2の末梢神経障害の存在。
【0182】
結果
患者の人口統計とベースライン特性を表1に示す。合計25名の患者は、患者の選択(4%)、病勢の進行(67%)、用量制限毒性(DLT)(4%)、AE(15%)、または死亡(4%)のため、治療から離脱した。2名の患者は4サイクルを超えて治療を継続した。
【0183】
(表1)患者の人口統計とベースライン特性
【0184】
27名全員の患者についての安全性分析を表2に示す。合計25名の患者(93%)は治療関連AEを経験し、その中で最もよく見られたAEは、疲労(48%)、鼻出血(48%)、および貧血(41%)であった。19名の患者はグレード≧3の治療関連AEを経験し、その中で最もよく見られたAEは、疲労(n=4)、貧血(n=4)、腹痛(n=3)、および低ナトリウム血症(n=3)であった(表2;図3)。グレード4の事象は見られなかった。7名の患者はAEのため中止し、そうしたAEには、グレード1の肺炎(n=1)、ギランバレー症候群のグレード3の事象(n=1)、糖尿病(n=1)、疲労(n=1)および腹痛(n=2)が含まれていた;1名の患者は、四肢にグレード2の末梢腫脹とグレード3の疼痛を経験した。この試験中に3名の死亡が報告された。0.6mg/kgコホートの患者1名は、腫瘍関連出血が原因で死亡した。0.3mg/kgコホートの2名の患者は病勢の進行により死亡し、どちらの死亡も治験薬とは関係がないと見なされた。凝固パラメータの有意な変化は観察されなかった。ベースライン時の平均プロトロンビン時間は11.5秒(n=18)であり、試験終了時まで11.7秒(n=17)であった。ベースライン時の平均活性化部分トロンボプラスチン時間は28.2秒(n=25)であり、試験終了時まで27.1秒(n=23)であった。3件のDLT(すなわち、2型糖尿病、粘膜炎、および好中球減少性発熱、全てグレード3)は、2.2mg/kg用量コホートで3名の患者に見られた。
【0185】
(表2)用量コホートによるチソツマブベドチンの全体的な安全性プロファイル
*治療後30日までに発生する。AEは有害事象を示す。
【0186】
この試験の薬物動態(PK)部分については、Cmaxに達するまでの時間の幾何平均(%CV)(Tmax)(hr)、最大濃度(Cmax)(ng/mL)、および濃度時間曲線下面積(AUC)0-t(hr*ng/mL)を測定した(表3)。低レベルの非コンジュゲートMMAEが全身循環中に測定された(図4)。
【0187】
(表3)サイクル1での用量コホートによるチソツマブベドチン血漿PKパラメータの要約
【0188】
26名の患者を有効性について評価した(表4)。観察された最大奏効は、1名の患者(4%)での部分奏効(PR)および11名の患者(41%)での病勢安定(SD)であった。病勢コントロール率(DCR;PR+SD)は、26名のうち12名の患者に対応して46%であった。27名の患者における腫瘍サイズの変化(ベースラインの百分率として表される)を測定した(図5)。2名の子宮頸癌患者の腫瘍サイズは、ベースラインと比較して減少していた;患者1は2.2mg/kgのチソツマブベドチンを投与された場合に腫瘍サイズの約20%減少を示し(図5;(i))、患者2は1.2mg/kgのチソツマブベドチンを投与された場合に腫瘍サイズの約51%減少を示した(図5;(ii))。患者2は43歳の子宮頸癌患者であり、ステージ4の疾患と診断されて、以前に3回の治療ラインを受けていた。患者2でのTF発現は140のHスコア(アーカイバル)で測定された。患者2は、標的病変を約51%縮小させて、確定PRを達成し、効果を合計15ヶ月間継続した(図6)。チソツマブベドチンは忍容性が高く、重篤なAEは報告されなかった。患者2は最終的に病勢の進行を経験し、治療を中止した。
【0189】
(表4)確定された客観的奏効
a端数切り捨てのため、パーセンテージが100%にならないことがある。b患者は最初のスキャンの前に死亡した。
【0190】
結論
MTDは2.0mg/kgとして確認され、これを子宮頸癌患者におけるチソツマブベドチンの有効性と安全性に関する第II相試験で使用した。
【0191】
実施例2:再発した再発性および/または転移性子宮頸癌の患者を対象とした第IIA相試験におけるチソツマブベドチンの効果
再発した再発性および/または転移性子宮頸癌の患者における2.0mg/kgのチソツマブベドチンの有効性、安全性および忍容性を評価した。
【0192】
方法
この第IIa相単一群多施設治験では、再発した再発性および/または転移性子宮頸癌の患者における2.0mg/kgのチソツマブベドチンの有効性、安全性および忍容性を検討した。合計34名の患者(n=34)が登録し、少なくとも1回量のチソツマブベドチンを受け取った。各適格患者は、21日サイクルの1日目に2.0mg/kgの濃度のチソツマブベドチンの静脈内(IV)注入量を受け取るように割り当てられた(すなわち、各治療サイクルは3週であった(q3w))。
【0193】
40mgのチソツマブベドチンを含む凍結乾燥バイアルは2~8℃の冷蔵庫に保存した。チソツマブベドチンを4mlの水で再調製すると、10mg/mLのチソツマブベドチン、30mMのヒスチジン、88mMのスクロース、および165mMのD-マンニトールを含む再調製溶液をもたらした。この抗体-薬物コンジュゲートの再調製溶液のpHは6.0であった。患者が2.0mg/kgのチソツマブベドチンを受け取るように計算された用量に従って、再調製チソツマブベドチンを0.9%NaCl 100mL輸液バッグに注入して希釈した。チソツマブベドチンバイアルを再調製してから24時間以内に静脈内注入を完了した。静脈内注入には0.2μmのインラインフィルターを使用した。準備が整った輸液バッグから全100mL量を投与した。デッドボリュームは生じなかった。
【0194】
この試験の第1の目的は、チソツマブベドチンの安全性と忍容性を評価することであった。CTCAEバージョン4.03に従って有害事象(AE)の重症度のグレードを付けた。第2の目的は、RECISTバージョン1.1に従って評価される抗腫瘍活性の持続性の予備評価であった。腫瘍の評価は6週間ごとにCTスキャンで行った。
【0195】
結果
患者の人口統計とベースライン特性を表5に示す。合計7名の患者が治療を継続し(22%)、27名の患者がAE(n=5)、病勢の進行(n=16)、またはその他の理由(n=6)のため治療から離脱した。
【0196】
(表5)患者の人口統計とベースライン特性
a 患者は局所進行疾患の治療のための治療法を受けて進行した。b 1名の患者からのデータがない。c プラチナ/ベバシズマブ/パクリタキセルまたはトポテカン/ベバシズマブ/パクリタキセルのいずれかの併用療法として投与されたベバシズマブを含む。d シスプラチン、パクリタキセル、およびベバシズマブによる併用療法。e 子宮頸部または周辺組織に施された体外ビーム放射線療法。
【0197】
チソツマブベドチン単剤療法後の共通(≧15%)のAEを評価した(図7)。グレード3のAEを16名の患者(47%)が報告した。グレード4またはグレード5の有害事象は見られなかった。化合物固有の結膜毒性が観察されたが、緩和策により患者の結膜毒性は実質的に軽減した。緩和前には(n=15)、患者の73%がいずれかのグレードの結膜炎を経験した。緩和後には(n=19)、患者の32%がいずれかのグレードの結膜炎を経験し、5%がグレード≧3であった。リスク緩和策は、予防用ステロイド剤、潤滑点眼薬、IV注入による治療中に装着される冷却用アイマスク、およびより厳しい用量調整指導を含んでいた。
【0198】
34名の患者を有効性について評価した(表6および図8)。7名の患者は治療を受け続けた。
【0199】
(表6)有効性測定
a PFSは無増悪生存期間を示す。b DoRは奏効持続期間を示す。c 8件の確定PRと3件の未確定PR(そのうちの1件はまだ進行中)を含む。d 12週間後の臨床上の効果。DCRは病勢コントロール率を示し、CRは完全奏効を示し、SDは病勢安定を示す。e 確定奏効と未確定奏効の中央値DoRは5.4ヶ月。
【0200】
この治験はその後、追加の患者を含むように拡大された。合計55名の患者が有効性について評価された(表7、図9および図10)。4名の患者は治療を受け続けた。
【0201】
(表7)有効性測定
a 客観的奏効率を示す。b 未確定+確定ORRの組み合わせ。c GOG 240レジメンはベバシズマブ+2剤併用化学療法(シスプラチン+パクリタキセルまたはトポテカン+パクリタキセル)として定義される。
【0202】
結論
チソツマブベドチンは、子宮頸癌コホートにおいてロバストな有効性および管理可能な安全性プロファイルを示した。再発性子宮頸癌におけるチソツマブベドチンの安全性プロファイルは、他のMMAEベースのADCと概ね一致していた。化合物固有の結膜事象が観察されたが、緩和策により毒性が大幅に減少した。
【0203】
実施例3:以前に治療された再発性または転移性子宮頸癌の患者を対象としたチソツマブベドチンの第II相治験
以前に治療された進行子宮頸癌(例えば、再発性および/または転移性の癌)の患者において、2.0mg/kgのチソツマブベドチンの有効性、安全性および忍容性を評価する。先に治療した子宮頸癌患者のコホートで観察された予備データは、高いアンメットニーズのこの集団について前向きなベネフィット・リスクプロファイルを示唆している。上記の実施例1および2を参照のこと。
【0204】
方法
この第II相単一群多施設国際治験では、再発性または転移性子宮頸癌の患者において2.0mg/kgのチソツマブベドチンの有効性、安全性および忍容性を評価する。適格患者は、ベバシズマブの投与を受ける資格がある場合にベバシズマブと組み合わせた2剤併用化学療法での治療中または治療後に、病勢の進行を経験した者である。患者は、転移性または再発性疾患に対する2回までの以前の全身療法レジメンを受けたことがある。適格患者は、予め決められた中止基準に対応するまで、3週間に1回(1Q3W)2.0mg/kgの静脈内(IV)チソツマブベドチンで治療される(図11)。最初の30週は6週間ごと、それ以降は12週間ごとにイメージングを取得する。最初の応答評価から4週間(28日)以降に応答を確定する。18歳以上の約100名の患者がこの治験に登録される。
【0205】
治験に登録された患者の選定基準と除外基準を表8に示す。
【0206】
(表8)選定基準と除外基準のリスト
【0207】
40mgのチソツマブベドチンを含む凍結乾燥バイアルは2~8℃の冷蔵庫に保存する。チソツマブベドチンを4mlの水で再調製すると、10mg/mLのチソツマブベドチン、30mMのヒスチジン、88mMのスクロース、および165mMのD-マンニトールを含む再調製溶液をもたらす。この抗体-薬物コンジュゲートの再調製溶液のpHは6.0である。患者が2.0mg/kgのチソツマブベドチンを受け取るように計算された用量に従って、再調製チソツマブベドチンを0.9%NaCl 100mL輸液バッグに注入して希釈する。チソツマブベドチンバイアルを再調製してから24時間以内に静脈内注入を完了する。静脈内注入には0.2μmのインラインフィルターを使用する。準備が整った輸液バッグから全100mL量を投与する。デッドボリュームは生じない。プロトコルに規定された投与スケジュールに耐えられない患者の場合は、チソツマブベドチンによる治療を継続できるようにするために、投与量の減量を許可する(表9)。
【0208】
(表9)投与量変更スキーム
*患者がすでにチソツマブベドチン0.9mg/kg 1Q3Wで治療されている場合には、チソツマブベドチンの投与量をそれ以上減量しない。
【0209】
目的および評価項目を表10に記載する。確定された客観的奏効率(ORR)と両側95%正確信頼区間は、最後の患者がチソツマブベドチンの初回投与を受け取ってから27週間後に計算される。チソツマブベドチンの真の確定ORRが25%であると仮定すると、100名の患者は96%の検出力(power)を提供して、11%以下のORR(片側P値2.5%)を除外する。
【0210】
(表10)目的および評価項目
【0211】
患者の治験治療が治療レジメンの終了前に中止されるとしても、これはこの治験からの患者の自動離脱をもたらさない。以下の場合に、患者の治験治療は中止される:X線所見による病勢の進行が第三者委員会の審査によって検証される;安全停止規則を満たす;許容できない毒性により治療の中止が必要である;安全上の理由(例えば、有害事象)のため、治療を中止することが患者にとって最大の利益となる、と治験責任医師が考える;妊娠;患者の選択;および/または新しい抗がん療法を開始する。治療を中止する場合は、治験責任医師が安全性の追跡調査来院を行う。安全性の追跡調査来院は、チソツマブベドチンの最終投与から15日±5日後で、新しい抗がん治療の開始前に行われ、スクリーニング時に実施した大部分の評価と応答評価が含まれる。治療の中止時に、患者は、死亡するかまたは治験から離脱するまで、治療後の評価のために引き続き追跡される。治療中止の安全停止規則には、眼毒性の場合、以下が含まれる:CTCAEグレード≧3の結膜炎の(投与量の減量にもかかわらず)1回目の再発;CTCAEグレード≦2の結膜炎の(投与量の減量にもかかわらず)3回目の再発;CTCAEグレード≧3の結膜炎の最初の発生;眼科的評価により、結膜/角膜の瘢痕が明らかになる;いずれかのグレードの眼瞼癒着;投与量の減量後に安定または改善しない、いずれかのグレードの蛍光パッチ(fluorescent patches)または結膜潰瘍;または12週を超える眼毒性に関連した投薬延期(dose delay)。眼毒性以外の有害事象が発生した場合の治療中止の安全停止規則には以下が含まれる:グレード3の輸注関連反応(infusion related reaction)の(前投薬にもかかわらず)2回目の発生;≧グレード4の輸注関連反応の最初の発生;≧グレード4の粘膜炎の最初の発生;≧グレード4の末梢神経障害の最初の発生;≧グレード2の肺またはCNSの出血事象;または抗凝固療法を受けている患者の≧グレード3の出血事象。
【0212】
特に興味深い3つの有害事象は、眼の有害事象、末梢神経障害の有害事象、および出血の有害事象である。眼のAEの場合:グレード1~2の結膜炎のAEがチソツマブベドチンによる治療に関連して頻繁に報告される。結膜炎と角膜炎の重症例(CTCAE≧グレード3)が観察されるが、包括的な緩和計画と予防策の実施により、眼の有害反応の頻度と重症度の両方が大幅に減少する。眼のAEを防止するために、眼に関する次の前投薬(pre-medication)ガイドラインに従う:チソツマブベドチンによる治療の開始から治療の終了まで、防腐剤フリーの潤滑点眼薬を使用する;チソツマブベドチンで治療している間、コンタクトレンズの使用を避ける;冷蔵庫で冷やした目用冷却パッド、例えばTHERA PEARLアイマスクまたは同様のものを、その冷却パッドに付随する説明書に従って注入直前に目に当てて、注入の間中使用する;注入前に局所眼科用血管収縮薬を投与する(ブリモニジン酒石酸塩0.2%点眼液または同様のもの、注入開始直前に各眼に3滴;それ以外の場合には、製品処方情報に従って使用する)。患者が有害反応のために眼科用血管収縮薬に耐えられない場合は、これらによる治療の継続を中止することができる;注入日から3日間ステロイド点眼薬を適用する(デキサメタゾン0.1%点眼薬または同等のもの、各目に1滴を1日3回3日間[チソツマブベドチンの投与を開始する前に最初の点眼を行う]、それ以外の場合には、製品処方情報に従って使用する)。眼の治療ガイドラインを表11に示す。
【0213】
(表11)眼の治療ガイドライン
【0214】
末梢神経障害(末梢性ニューロパシー、末梢感覚神経障害、末梢運動神経障害、多発性神経障害を含む)のAEの場合:末梢神経障害は、化学療法剤(シスプラチンおよびタキサンを含む)およびMMAEベースのADCによる治療に対するよく知られた有害反応であり、チソツマブベドチンによる治療に関連して頻繁に報告されている。報告された症例の大部分はグレード1~2である;しかしながら、末梢神経障害はチソツマブベドチン治療の恒久的中止の主な原因となる。末梢神経障害の発症だけでなく既存の状態の悪化を防ぐために、投与量の減量(表9を参照)と投薬の延期(つまり、事象がグレード1以下に改善されるまで投薬を保留する)を含む緩和計画が実施される。出血のAEの場合:出血事象は、チソツマブベドチンの作用機序のため特に興味深いと考えられる。前臨床所見と合致して、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)またはプロトロンビン時間(PT)に対する大きな影響は、チソツマブベドチンで治療した患者にこれまでのところ見られない。鼻出血は最も多く報告されたAEであるが、ほぼ全ての症例がグレード1である。鼻出血を除いて、大部分の報告された出血事象とチソツマブベドチンによる治療について因果関係は確立されていない。
【0215】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> GENMAB A/S
<120> ANTI-TISSUE FACTOR ANTIBODY-DRUG
CONJUGATES AND THEIR USE IN THE TREATMENT OF CANCER
<150> US 62/580,877
<151> 2017-11-02
<160> 16
<170> FastSEQ for Windows Version 4.0

<210> 1
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<210> 9
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<220>
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<220>
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Tyr

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<212> PRT
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<220>
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20 25 30
Thr Tyr Tyr Cys
35

<210> 16
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic Construct
<400> 16
Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys
1 5 10
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【配列表】
2024009998000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
この出願の明細書に記載された発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
2024009998000001.xml