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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099987
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】リボン型電極及びリボン型センサー
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/30 20060101AFI20240719BHJP
   H04B 13/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G01N27/30 F
H04B13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003659
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596064846
【氏名又は名称】井上リボン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】植木 崇次
(72)【発明者】
【氏名】吉田 仁士
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 文靖
(72)【発明者】
【氏名】高橋 浩一
(72)【発明者】
【氏名】菱川 尚剛
(57)【要約】
【課題】長期間センシングすることができるリボン型電極及びリボン型センサーを提供する。
【解決手段】リボン型電極は、第1電極と第2電極とを有し、水素よりもイオン化傾向の高い第1種類の金属を含む薄板状の構造の前記第1電極と、前記第2電極とを、非導電性の繊維による絶縁部を介して、前記第1電極の長さ方向と幅方向とで構成される面に対して、対向配置した電極部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と第2電極とを有し、
水素よりもイオン化傾向の高い第1種類の金属を含む薄板状の構造の前記第1電極と、前記第2電極とを、非導電性の繊維による絶縁部を介して、前記第1電極の長さ方向と幅方向とで構成される面に対して、対向配置した電極部
を備えるリボン型電極。
【請求項2】
前記絶縁部は、吸水性能および保水性能が高い繊維によって構成されている
請求項1に記載のリボン型電極。
【請求項3】
前記電極部の長さ方向に所定の間隔をあけて前記電極部の幅方向に配置され、前記第1電極と前記第2電極との対向配置方向の間隔を保持する結束部
を備える請求項1に記載のリボン型電極。
【請求項4】
前記第2電極は、複数の糸状の電極材料を互いに撚り合わせた撚線または編み合わせた編線を前記電極部の長さ方向の経糸として、前記電極部の幅方向の緯糸によって織ることにより、前記電極材料が前記第1電極の幅方向に複数並べられた構造とされる
請求項1に記載のリボン型電極。
【請求項5】
前記絶縁部は、織物または編み物構造を有した繊維で構成されている
請求項4に記載のリボン型電極。
【請求項6】
前記絶縁部は、非導電性の繊維によって前記第2電極を包む
請求項1に記載のリボン型電極。
【請求項7】
前記電極部は、
前記第1電極の前記面のうち、表面の側と、裏面の側とに、それぞれ前記第2電極を備える
請求項1に記載のリボン型電極。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のリボン型電極と、
前記電極部に水分が作用することによる起電力によって駆動される通信部と、
を備えるリボン型センサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リボン型電極及びリボン型センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リボン状の織物の長手方向に平行して埋設された2種類の電極が、金属線で構成され、電極間が漏水等により水で満たされると、電極間に発電電力を発生する構成であり、電極間に発生する発電電力で、電極間が水で満たされたことを検出するリボン型センサーが開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-173387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のリボン型センサーは、電極間が水で満たされると、イオン化傾向の高い金属で構成された電極の金属がイオン化して水に溶け出す際に、電子を残して溶け出すため、電極間に発電電力が発生する。上記従来のリボン型センサーは、電極が金属線で構成されている。このように電極が、金属線や導電糸等の線材の他、金属箔や網材等の面状部材で構成されていると、水に溶け出すことができる金属量が非常に少なく、短い時間で、この金属が全て水に溶け出してしまう。このため、短い時間しかセンシングできないといった課題があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、長期間センシングすることができるリボン型電極及びリボン型センサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るリボン型電極は、第1電極と第2電極とを有し、水素よりもイオン化傾向の高い第1種類の金属を含む薄板状の構造の前記第1電極と、前記第2電極とを、非導電性の繊維による絶縁部を介して、前記第1電極の長さ方向と幅方向とで構成される面に対して、対向配置した電極部を備える。
【0007】
本発明の一態様に係るリボン型センサーは、上述のリボン型電極と、前記電極部に水分が作用することによる起電力によって駆動される通信部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、センシング可能な期間を長期間化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態のリボン型センサーの構成の概要を示す図である。
図2】本実施形態の制御部の構成の一例を示す図である。
図3】本実施形態のリボン型電極の外観の一例を示す図である。
図4】本実施形態のリボン型電極の断面形状の一例を示す図である。
図5】本実施形態の第1電極の形状の一例を示す図である。
図6】本実施形態の第2電極の形状の一例を示す図である。
図7】本実施形態の第1電極と第2電極との対向配置の一例を示す図である。
図8】本実施形態の電極材料の形状の一例を示す図である。
図9】本実施形態の電極材料の形状の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図を参照して、リボン型センサー1の構成について説明する。
図1は、本実施形態のリボン型センサー1の構成の概要を示す図である。リボン型センサー1は、リボン型電極10と、制御部20とを備える。
【0011】
リボン型電極10は、電極部に水分が作用することにより起電力を生じさせ、制御部20の電源として機能する。制御部20は、リボン型電極10の起電力によって駆動される電子回路である。
制御部20の構成の一例について、図2を参照して説明する。
【0012】
図2は、本実施形態の制御部20の構成の一例を示す図である。制御部20は、電源端子T1及び接地端子T2に供給される電力によって動作する。
制御部20は、蓄電部21と、電圧検出部22と、昇圧部23と、通信部24とを備える。
【0013】
蓄電部21は、例えば、コンデンサー素子を備えており、リボン型電極10から電源端子T1及び接地端子T2を介して供給される電力を蓄電する。
電圧検出部22は、例えば、コンパレータを備えており、両端電圧が所定の閾値を超えているか否かを判定する。電圧検出部22は、蓄電部21の両端電圧が所定の閾値を超えていると判定すると、昇圧部23に対して昇圧動作指示の信号を出力する。
昇圧部23は、例えば、スイッチトキャパシタ回路を備えており、蓄電部21の両端電圧を昇圧する。昇圧部23は、電圧検出部22から昇圧動作指示の信号が出力されると、昇圧動作を開始し、昇圧した電力を通信部24に供給する。
通信部24は、例えば、低電力無線通信回路や無線通信アンテナを備えており、他の装置が備える無線受信部に対して、無線信号を送信する。
【0014】
すなわち、リボン型センサー1は、リボン型電極10に水分が作用した場合に、無線信号を他の装置に対して送信する。このように構成されたリボン型センサー1によれば、外部からの電源供給や、電池を内蔵することなく、自己発電によって水分を検出するセンサーとして機能することができる。
【0015】
なお、通信部24が送信する無線信号には、個々のリボン型センサー1ごとに固有に付された識別情報(例えば、リボン型センサーID)が含まれていてもよい。このように構成された制御部20によれば、他の装置は、リボン型センサー1の通信部24から受信する無線信号に含まれる識別情報によって、複数のリボン型センサー1のうち、いずれのリボン型センサー1が無線信号を送信したのかを識別することができる。
すなわち、多数のリボン型センサー1が様々な場所に配置されている場合に、無線信号に含まれる識別情報によってリボン型センサー1を識別することができるため、水分を検出したリボン型センサー1を特定することができる。リボン型センサー1の設置場所と、識別番号とを対応付けておくことにより、どの場所で水分を検出したかを特定することができる。
【0016】
[リボン型電極10の構成]
次に、図3から図7を参照して、リボン型電極10の構成の具体例について説明する。
なお、以下の説明において方向を示すことが必要な場合には、X軸Y軸Z軸の三次元直交座標系を使用して説明する。ここで、X軸は、リボン型電極10の幅方向を示す軸である。Y軸は、リボン型電極10の長さ方向を示す軸である。Z軸は、リボン型電極10の厚み方向を示す軸である。
【0017】
図3は、本実施形態のリボン型電極10の外観の一例を示す図である。
図4は、本実施形態のリボン型電極10の断面形状の一例を示す図である。
リボン型電極10は、幅(X軸方向の大きさ)に比べて長さ(Y軸方向の大きさ)が大きい。また、リボン型電極10は、幅(X軸方向の大きさ)に比べて厚み(Z軸方向の大きさ)が小さい。一例として、リボン型電極10は、幅が0.5cmから10cm程度、長さが0.5mから10m程度、厚みが1mmから20mm程度である。
すなわち、リボン型電極10は、いわゆるリボン形状(あるいは帯形状)など、細長い外観形状を有している。このように構成されたリボン型電極10によれば、リボン型電極10を巻き取った形状で保管することができ、保管時の省スペース化や設置作業時の運搬性の向上を図ることができる。また、リボン型電極10は、細長い形状を有しているため、配管などの構造物に巻き付けて設置することができる。
【0018】
リボン型電極10は、第1電極11と、第2電極12と、絶縁部13とを有している。
絶縁部13は、非導電性の繊維で構成される。絶縁部13の材料は、非導電性であればどのようなものでもよく、例えば、レーヨン、ナイロン、ポリエステルなどの化学繊維や、木綿、絹などの天然繊維であってもよい。
【0019】
なお、絶縁部13は、吸水性能および保水性能が高い繊維によって構成されていることが好ましい。吸水性能および保水性能が高い繊維の一例として、レーヨンなどの化学繊維や木綿、絹などの天然繊維がある。
このように構成された絶縁部13を採用することにより、第1電極11と第2電極12がショートしないので、第1電極11と第2電極12を近づけることができる。これにより、リボン型電極10の検出感度を向上させることができる。また、リボン型電極10は、付着した水滴を第1電極11と第2電極12との間に留まらせることができ、少ない水の量で電極間を水で満たすことができるため、検出感度を向上させることができる。
【0020】
第1電極11と、第2電極12とは、イオン化傾向が互いに異なる2種類の金属を含む電極である。イオン化傾向が互いに異なる2種類の金属のうち、第1電極11は第1種類の金属を含み、第2電極12は第2種類の金属を含む。
ここで、第1種類の金属とは、例えば、亜鉛である。第2種類の金属とは、例えば、銀である。この一例の場合、リボン型電極10は、亜鉛を含む第1電極11を負極とし、銀を含む第2電極12を正極とする電池を構成する。本電池の構成は、ボルタの電池の銅電極を銀電極で置換した構成である。リボン型電極10は、ボルタの電池と同じ電気化学反応を行う。ボルタの電池の作用機序は周知であるため、その説明を省略する。
【0021】
なお、以下の説明においては、第1電極11の材質が亜鉛であり、第2電極12の材質が銀である場合を一例として説明するが、これに限られない。例えば、第1電極11と第2電極12の電極は、水素よりイオン化傾向の高い第1電極11の金属が金属イオンとして水に溶け出す際に、第1電極11に残る電子が、第2電極12で、水素イオンと結合する反応が起こる電極であればどのような材質であっても良い。例えば、第2電極12は、炭素電極でも良い。
【0022】
図5は、本実施形態の第1電極11の形状の一例を示す図である。第1電極11は、同図に示すように、薄板状の亜鉛によって構成される。薄板状とは、幅(X軸方向の大きさ)及び長さ(Y軸方向の大きさ)に比べて、厚み(Z軸方向の大きさ)が小さいことをいう。一例として、第1電極11は、幅が1.0mmから10mm程度、長さが0.5mから10m程度、厚みが0.05mmから1.0mm程度である。
【0023】
図6は、本実施形態の第2電極12の形状の一例を示す図である。第2電極12は、同図に示すように、糸状の銀を電極材料120としている。糸状の銀とは、銀を糸状に成型加工したものや、糸状の繊維(例えば、ナイロン6, 6などの化学繊維)に銀をメッキコーティングしたものである。以下の説明において、糸状の銀のことを、銀糸ともいう。
本実施形態の一例では、第2電極12は、n本の銀糸を電極材料120として、電極材料120-1~120-nを幅方向(X軸方向)に並べて経糸とし、複数の緯糸121によってX軸方向及びY軸方向に織り上げた織物構造を有している。
経糸である電極材料120の長さ(Y軸方向の大きさ)は、緯糸121の長さ(X軸方向の大きさ)に比べて十分に長い。第2電極12は、いわゆるリボン形状あるいは帯形状に織り上げられた、Y軸方向に細長い外観形状を有している。
【0024】
なお、第2電極12の幅(X軸方向の大きさ)は、第1電極11の幅(X軸方向の大きさ)と略一致させてあることが好ましい。ここで略一致とは、第2電極12の幅が、第1電極11の幅の0.5倍以上であり、かつ第1電極11の幅の1.5倍未満であることをいう。
【0025】
図7は、本実施形態の第1電極11と第2電極12との対向配置の一例を示す図である。同図に示すように、第2電極12は、絶縁部13を介して第1電極11に対向配置される。対向配置とは、第1電極11の幅と長さとで作られる面(つまり、XY平面)と、第2電極12の幅と長さとで作られる面(つまり、XY平面)とが、相対するように配置されることをいう。
【0026】
すなわち、リボン型電極10(電極部)は、イオン化傾向が互いに異なる2種類の金属のうち、第1種類の金属を含む薄板状の第1電極11と、第2種類の金属を含む糸状の電極材料120が第1電極11の幅方向に複数並べられた第2電極12とを、非導電性の繊維による絶縁部13を介して、第1電極11の長さ方向と幅方向とで構成される面に対して、対向配置された構造である。
【0027】
なお、図3及び図4に示すように、第2電極12は、第1電極11の表面と裏面との両側に配置されていてもよい。ここで、第1電極11の表面とは、第1電極11の面(XY平面)のうち、+Z軸方向の面である。第1電極11の裏面とは、第1電極11の面(XY平面)のうち、-Z軸方向の面である。
第2電極12のうち、第1電極11の表面の側に配置されるものを、表面の第2電極12-1といい、第1電極11の裏面の側に配置されるものを、裏面の第2電極12-2という。
第1電極11と、表面の第2電極12-1との間には、表面の絶縁部13-1が配置される。第1電極11と、裏面の第2電極12-2との間には、裏面の絶縁部13-2が配置される。
【0028】
すなわち、リボン型電極10(電極部)は、第1電極11の面のうち、表面の側と、裏面の側とに、それぞれ第2電極12(表面の第2電極12-1、裏面の第2電極12-2)を備える。
つまり、リボン型電極10は、第1電極11の両面に、第2電極12を対向配置する。このように構成されたリボン型電極10によれば、第1電極11の片面のみに第2電極12を対向配置する場合に比べて、リボン型電極10の幅を広げることなく、第1電極11と、第2電極12との対向面積を大きくすることができる。したがって、水分の検出能力を向上させることができるだけでなく、第1電極11と第2電極12とによる電池の寿命を実質的に長くすることができ、リボン型センサー1のセンシング時間を長期間化することができる。
また、このように構成されたリボン型電極10によれば、リボン型電極10の両面から水分を吸収させやすくできるため、水分の検出能力を向上させることができる。
【0029】
また、図4に示すように、絶縁部13は、非導電性の繊維による織物(あるいは編物)によって第2電極12を包むように構成されていてもよい。この場合、絶縁部13は、X方向に扁平した筒状に形成され、筒の内部に第2電極12を収めることにより、第2電極12を包むように構成されている。
このように構成されたリボン型電極10によれば、第2電極12の外側(第2電極12の面のうち、第1電極11との対向面以外の面の側)に付着した水分を、筒状の絶縁部13によって第1電極11との対向面側に誘引することができる。したがって、このように構成されたリボン型電極10によれば、水分が外側に付着した場合であっても、水分を第1電極11と第2電極12との対向面側に誘引することにより、第1電極11と第2電極12との間における電荷移動を発生させることができる。このため、リボン型電極10によれば、水分の検出能力を向上させることができる。
【0030】
また、図3及び図4に示すように、リボン型電極10は、束ね糸14と耳糸15とを有する。束ね糸14及び耳糸15は、絶縁部13を介して積層された第1電極11と、第2電極12との相対位置(例えば、対向配置方向の間隔)を保持する。束ね糸14及び耳糸15は、いずれも非導電性の繊維が用いられている。
なお、束ね糸14及び耳糸15は、糸を編み上げることにより一体成型されていてもよく、束ね糸14を、耳糸15とは別のパーツとして用意して耳糸15に組み合わせるようにして構成されていてもよい。
また、本実施形態では、束ね糸14は、糸を編み上げた構成であるとして説明したが、これに限られず、例えば、織物や樹脂板などをテープ状にしたもので構成されていてもよい。
【0031】
束ね糸14は、リボン型電極10の長さ方向(Y方向)に所定の間隔をあけて、リボン型電極10の幅方向(X方向)に配置される。例えば、n番目の束ね糸14(束ね糸14-n)と、n+1番目の束ね糸14(束ね糸14-(n+1))は、間隔Lをあけて配置される。
【0032】
すなわち、束ね糸14(結束部)は、リボン型電極10(電極部)の長さ方向に所定の間隔をあけてリボン型電極10(電極部)の幅方向に配置され、第1電極11と第2電極12との対向配置方向の間隔を保持する。
ここで、束ね糸14や耳糸15に水分が付着すると、繊維を編み上げた方向に水分が移動しやすくなる場合がある。仮に、束ね糸14がリボン型電極10の長さ方向(Y方向)に向けて編み上げられていると、束ね糸14や耳糸15に付着した水分が、長さ方向(Y方向)に移動しやすくなる。
本実施形態のように構成されたリボン型電極10によれば、束ね糸14が長さ方向(Y方向)に所定の間隔Lをあけて配置されているため、付着した水分が、束ね糸14に邪魔されることなく内部へ浸透できるだけでなく、長さ方向(Y方向)に移動しにくい。したがって、リボン型電極10は、付着した水分を、第1電極11と第2電極12との間に保持しやすくできるため、水分の検出能力を向上させることができる。
【0033】
なお、これまで第2電極12は、図6に示すように、長さ方向(Y方向)に細長い糸状の電極材料120を経糸にして構成されるとして説明したが、これに限られない。第2電極12は、複数の電極材料120を組み合わせたものを経糸として構成されていてもよい。
また、糸を用いるよりも、電極表面積の減少により水分の検出能力は低下するが、単一、あるいは、複数の電極材料で構成された薄板状の電極材料で構成されていてもよい。
【0034】
図8は、本実施形態の電極材料120の形状の一例を示す図である。同図に示す一例の場合、3本の電極材料120(第1の電極材料120A、第2の電極材料120B、120C)を編み込んだ構成(つまり、三つ編みにした構成)にした編線を経糸としている。
【0035】
図9は、本実施形態の電極材料120の形状の他の一例を示す図である。同図に示す一例の場合、3本の電極材料120(第1の電極材料120A、第2の電極材料120B、120C)を撚り合わせた構成(つまり、三つ打ちにした構成)にした撚線を経糸としている。
【0036】
すなわち、第2電極12は、複数の糸状の電極材料120を互いに撚り合わせた撚線または編み合わせた編線をリボン型電極10(電極部)の長さ方向の経糸として、リボン型電極10(電極部)の幅方向の緯糸121によって織ることにより、電極材料120が第1電極11の幅方向に複数並べられた構造とされていてもよい。
【0037】
このように構成された第2電極12を用いたリボン型電極10によれば、長さ方向(Y方向)の屈曲性を維持したまま、第2電極12の表面積を大きくすることができる。
ここで、第2電極12の表面積を大きくする場合に、例えば、メリヤス編みのように、X方向に複数の段を設け、隣接する段間の電極材料120どうしを絡ませて編み上げた構成を採用することも考えられる。
しかしながら、このように、電極材料120を段間で絡ませて編み上げる場合、電極材料120が編み目の1目ごとに小さな半径のループを描くことになる。電極材料120が小さな半径のループを描くと、電極材料120を構成する金属が毛羽立つ(または、ささくれ立つ)ことがある。電極材料120の金属が毛羽立つと、毛羽立った金属が絶縁部13を貫通して第1電極11に接触してしまう場合がある。第1電極11と第2電極12が接触してしまうと、リボン型電極10が電池として機能しなくなり、水分の検出ができなくなるなどの問題が生じる場合がある。
【0038】
本実施形態のリボン型電極10の第2電極12は、複数の電極材料120を撚線または編線にしたものを経糸とし、緯糸121によって織り上げた構成としているため、メリヤス編みのような網目がなく、電極材料120が小さな半径のループを描くことがない。
したがって、本実施形態のリボン型電極10によれば、電極材料120の毛羽立ちを抑えることができ、毛羽立った金属糸が絶縁部13を貫通して第1電極11に接触してしまうことを抑止することができる。また、電極材料120を、熱した金属板でプレス成型(カレンダー加工)してもよい。これにより、さらに毛羽立ちを抑えることができる。さらに、絶縁部13は、絶縁性の繊維を用いた目の細かい織物や編み物である方が好ましい。これにより、毛羽立った金属糸が、絶縁部13を貫通しなくなり、第1電極11に接触しなくなる。このように構成されたリボン型電極10によれば、第1電極11と第2電極12とによる電池の不良の防止と寿命を長くすることができ、リボン型センサー1の製造コストの低減と、センシング時間を長期間化することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態のリボン型センサー1は、第1電極11を薄板状にしているため、長さ方向(Y方向)の屈曲性と強度とを両立させつつ、例えば、糸状や金属箔状の電極形状を採用した場合に比べて、電極を構成する金属の体積を増加させることができる。
また、本実施形態のリボン型センサー1は、第2電極12を、糸を用いてテープ状に構成しているため、第2電極12も薄板状にした場合に比べて、長さ方向(Y方向)の屈曲性を高めることができるだけでなく、第2電極12の表面積が増加する。
すなわち、本実施形態のリボン型センサー1は、第1電極11を薄板状にして、第2電極12を、糸を用いてテープ状にしたことにより、屈曲性や強度などの機械的特性と、電池寿命などの電気化学的特性とを両立させることができる。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 リボン型センサー
10 リボン型電極
11 第1電極
12 第2電極
13 絶縁部
14 束ね糸
15 耳糸
20 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9