(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099989
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
H05K1/02 B
H05K1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003662
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐野 匠
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA03
5E338AA05
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB75
5E338CC01
5E338CD15
5E338CD17
5E338EE13
5E338EE27
(57)【要約】
【課題】信頼性の高い、ストレッチャブル電子装置を実現する。
【解決手段】
本発明の構成は次のとおりである。アクティブ領域5と端子領域6が連続して形成されたストレッチャブル電子装置であって、前記アクティブ領域5にはミアンダ構造の走査線とミアンダ構造の信号線が形成され、前記端子領域6には、前記アクティブ領域5の反対側に配線基板300と接続するための端子210が形成され、前記端子領域6には、電子部品220が搭載され、前記アクティブ領域5と前記電子部品220の間は、ミアンダ構造を有する第1の端子配線200が形成され、前記電子部品220と前記端子210に間はミアンダ構造を有する第2の端子配線200が形成されていることを特徴とするストレッチャブル電子装置。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミアンダ構造部と素子領域とを有する基材と、
前記ミアンダ構造部に位置する配線と、
前記素子領域に位置し、前記配線と接続する素子と、を備える電子装置であって、
前記電子装置は、アクティブ領域と、端子領域と、を有し、
前記アクティブ領域には、複数の前記素子領域が設けられ、各素子領域を接続するように前記ミアンダ構造部が形成され、
前記端子領域には、配線基板と接続するための端子が形成され、
前記端子領域の前記アクティブ領域と前記端子との間には、電子部品が搭載され、
前記電子部品は、前記アクティブ領域と前記電子部品との間に位置する第1端子配線を介して、前記配線と接続し、
前記端子は、前記電子部品と前記端子との間に位置する第2端子配線を介して、前記電子部品と接続している、電子装置。
【請求項2】
前記第1の端子配線は、前記アクティブ領域の記信号線と同じ層構造であることを特徴とする、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記第1の端子配線は、前記アクティブ領域の走査線と同じ層構造であることを特徴とする、請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記電子部品は複数形成され、前記複数の電子部品を接続する第3端子配線はミアンダ構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
前記配線基板のヤング率は、前記基材のヤング率よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
アクティブ領域と端子領域が連続して形成された電子装置であって、
前記アクティブ領域には、ミアンダ構造の走査線とミアンダ構造の信号線が形成され、
前記端子領域は、配線基板と接続するための端子が形成され、
前記端子領域には、ミアンダ構造の端子配線が形成され、
前記端子領域の平面方向のヤング率は、前記アクティブ領域の平面方向のヤング率よりも大きいことを特徴とする、電子装置。
【請求項7】
前記アクティブ領域と前記端子領域に位置する第1有機絶縁膜と前記第1有機絶縁膜の上に形成された第2有機絶縁膜と、を有し、
前記アクティブ領域において、前記第1有機絶縁膜及び前記第2有機絶縁膜は、ミアンダ構造を有し、
前記端子領域において、前記第1有機絶縁膜は、平板状であり、前記第2有機絶縁膜は、ミアンダ構造を有することを特徴とする、請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記電子装置は、前記走査線及び前記信号線が形成されるミアンダ構造部と前記走査線及び前記信号線と接続する素子が形成される素子領域とを有する基材を備えることを特徴とする、請求項6に記載の電子装置。
【請求項9】
前記配線基板のヤング率は、前記基材のヤング率よりも大きいことを特徴とする、請求項8に記載の電子装置。
【請求項10】
ミアンダ構造部と素子領域とを有する基材と、
前記ミアンダ構造部に位置する配線と、
前記素子領域に位置し、前記配線と接続する素子と、を備える電子装置であって、
前記電子装置は、アクティブ領域と端子領域と、を有し、
前記アクティブ領域には、複数の前記素子領域が設けられ、各素子領域を接続するように前記ミアンダ構造部が形成され、
前記端子領域は、前記基材が平板状に形成され、配線基板と接続するための端子が形成され、
前記端子領域には、直線状の端子配線が形成され、
前記端子領域の平面方向のヤング率は、前記アクティブ領域の平面方向のヤング率よりも大きいことを特徴とする、電子装置。
【請求項11】
前記配線基板のヤング率は、前記基材のヤング率よりも大きいことを特徴とする請求項10に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可撓性および伸縮性を有した電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性あるいは伸縮性を有する電子装置への需要が高まっている。このようなストレッチャブル電子装置の用途は、例えば、曲面を有する電子機器の筐体に貼り付ける、曲面を有する表示媒体に取り付ける、センサとして人体等に取り付ける等がある。素子としては、例えばタッチセンサ、温度センサ、圧力センサ、加速度センサなどのセンサ、あるいは、種々の表示装置を構成する発光素子、光バルブ等が挙げられる。
【0003】
センサ装置では、各素子を制御するために、走査線や信号線が用いられる。ストレッチャブル電子装置においては、装置が湾曲や伸縮に耐える必要がある。特許文献1には、走査線及び映像信号線を蛇行させる(以後ミアンダ構造とも言う)ことによって、曲げや伸縮に耐える構成とすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
走査線や信号線をミアンダ構造とすることによって、ストレッチャブル電子装置を伸縮させたり湾曲させたりすることに対してはある程度の耐性を得ることが出来る。伸縮可能な表示装置であっても、外部から電源や信号を供給する必要がある。このような、電源や信号の供給は、フレキシブル配線基板を介して行われる。
【0006】
ところで、フレキシブル配線基板は、フレキシブルに湾曲させることは出来るが、伸縮することは期待できない。したがって、伸縮可能な電子装置を伸縮させると、フレキシブル配線基板と表示装置との間にストレスが発生することになる。また、フレキシブル配線基板は湾曲して使用される場合が多いが、湾曲した時に、フレキシブル配線基板と伸縮可能な電子装置との間にストレスが発生しやすい。
【0007】
フレキシブル配線基板と伸縮可能な表示装置との接続は、複数の端子を介して行われる。したがって、このストレスは端子部において、発生する。ストレスが大きくなると、端子部の剥離が生ずる。また、剥離に至らない場合であっても、端子における接続抵抗が大きくなる。この接続抵抗の変化は、ノイズとして観測される。
【0008】
本発明の課題は、フレキシブル配線基板と伸縮可能な電子装置の接続部におけるストレスを回避し、接続部における接続不良あるはノイズの発生を防止することである。そして、信頼性が高い、伸縮可能な電子装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を実現するものであり、代表的な手段は次のとおりである。
【0010】
(1)アクティブ領域と端子領域が連続して形成されたストレッチャブル電子装置であって、前記アクティブ領域には、ミアンダ構造の走査線とミアンダ構造の信号線が形成され、前記端子領域には、前記アクティブ領域の反対側に配線基板と接続するための端子が形成され、前記端子領域には、電子部品が搭載され、前記アクティブ領域と前記電子部品の間には、ミアンダ構造を有する第1の端子配線が形成され、前記電子部品と前記端子の間にはミアンダ構造を有する第2の端子配線が形成されていることを特徴とするストレッチャブル電子装置。
【0011】
(2)アクティブ領域と端子領域が連続して形成されたストレッチャブル電子装置であって、前記アクティブ領域には、ミアンダ構造の走査線とミアンダ構造の信号線が形成され、前記端子領域には、前記アクティブ領域の反対側に配線基板と接続するための端子が形成され、前記端子領域には、ミアンダ構造の端子配線が形成され、前記端子領域の平面方向のヤング率は、前記アクティブ領域の平面方向のヤング率よりも大きいことを特徴とするストレッチャブル電子装置。
【0012】
(3)アクティブ領域と端子領域が連続して形成されたストレッチャブル電子装置であって、前記アクティブ領域には、ミアンダ構造の走査線とミアンダ構造の信号線が形成され、前記端子領域には、前記アクティブ領域の反対側に、配線基板と接続するための端子が形成され、前記端子領域には、直線状の端子配線が形成され、前記端子領域の平面方向のヤング率は、前記アクティブ領域の平面方向のヤング率よりも大きいことを特徴とするストレッチャブル電子装置。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】比較例としてのストレッチャブル電子装置の平面図である。
【
図8】実施例1のストレッチャブル電子装置の平面図である。
【
図10】実施例1のストレッチャブル電子装置の端子部の平面図である。
【
図13】実施例1の他の態様を示す、ストレッチャブル電子装置の平面図である。
【
図14】実施例2のストレッチャブル電子装置の端子領域の平面図である。
【
図17】実施例2の他の態様によるストレッチャブル電子装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に実施例を用いて本発明の内容を詳細に説明する。以後、伸縮可能な電子装置のことを、ストレッチャブル電子装置とも言う。
【実施例0015】
本発明は、特にストレッチャブル電子装置の端子領域の構成に関するものであるが、端子領域6はアクティブ領域5と同時に形成されるので、まず、アクティブ領域5の構成について説明する。
図1は、アクティブ領域5の構成を説明するための、比較例1としての、ストレッチャブル電子装置1の平面図である。アクティブ領域5については、比較例と、後で説明する実施例とは、ほぼ、同様な構成となっている。
図1のストレッチャブル電子装置1は全体としては平板状となっているが、z方向に湾曲させたり、x-y平面上において、伸ばしたりすることが出来る。破断伸長率、すなわち、ストレッチャブル電子装置1が破壊するまでの伸び率は、ストレッチャブル電子装置1を構成する材料によっても異なるが、延性に富む有機材料が主となっている場合は、伸び率は30%程度が可能である、場合によっては、60%程度が可能な場合もある。一方、無機材料が比較的多く使用されていれば、伸び率は、10%乃至15%程度である。
【0016】
図1において、ストレッチャブル電子装置1は、アクティブ領域5が大きな領域を占めている。アクティブ領域5には、電子素子100がマトリクス状に配置している。電子素子100としては、例えば、センサ、半導体素子、アクチュエータ等を配置することが出来る。センサとしては、例えば、可視光あるいは赤外光を検出する光センサ、温度センサ、圧力センサ、タッチセンサ等を配置することが出来る。半導体素子としては、例えば、発光素子、受光素子、ダイオード、トランジスタ等を配置することが出来る。アクチュエータとしては、例えば、ピエゾ素子等を使用することができる。
【0017】
各電子素子100は走査線110及び信号線120と接続している。走査線110は横方向(x方向)に延在し、縦方向(y方向)に配列している、信号線120は縦方向に延在し、横方向に配列している。
図1では、走査線110も信号線120も直線状に延在しているが、これは、図を複雑にしないためであり、実際には、
図3に示すように、蛇行して走査線110は横方向に延在し、信号線120は縦方向に延在している。
【0018】
図1において、アクティブ領域5の外側には、駆動回路115、125や端子領域6が配置している。アクティブ領域5のx方向両側には走査線駆動回路115が配置し、アクティブ領域5のy方向上側には、電子素子100に電源を供給するための電源回路130が存在し、アクティブ領域5のy方向下側には信号線駆動回路125が配置している。信号線駆動回路125のさらに下側には、端子領域6が配置している。端子領域6にはストレッチャブル電子装置1に電源や信号を供給し、また、信号を外部に送るためのフレキシブル配線基板150が接続している。なお、図示していないが、フレキシブル配線基板150は、さらに他の配線基板300(後述する)に接続している。
【0019】
図2は
図1のA-A断面図である。
図2は概略断面図である。
図2において、
図1で説明した電子素子100、走査線110、信号線120等は素子層2に存在している。つまり、ストレッチャブル電子装置1としての機能は素子層2に存在している。この素子層2を上側から上保護層3、下側から下保護層4によって覆っている。上保護層3も下保護層4も、弾性変形をしやすい、すなわち、ヤング率の小さい材料によって形成されている。
【0020】
図2において、アクティブ領域5及び駆動回路115、125等は、上保護層3と下保護層4によって覆われている。素子層2の端部には、上保護層3に覆われていない部分があり、この部分が比較例における端子領域6となっている。端子領域6は、下保護層4のみによって保護されている。端子領域6には、フレキシブル配線基板150が接続している。
【0021】
図3はアクティブ領域5の拡大平面図である。
図3は、
図2で示す素子層2の主要構成部分を示している。すなわち、
図2で示す素子層2は、単一の平面基板として存在しているのではなく、
図3に示すような、走査線110と信号線120が形成されたミアンダ構造部102、及び、走査線110と信号線120の交差部に形成される素子領域101が存在する基材10で構成されている。言い換えると、基材10は、網目状の構造を有している。
【0022】
図3において、ミアンダ構造部102及び交点に存在する素子領域101は、ポリイミド等の樹脂で構成されている。この樹脂を基材10として、その上に走査線110、信号線120、素子100等が形成されている。
図3において、素子領域101に、素子100が存在している。このような構成とするのは、ストレッチャブル電子装置1を引き延ばしたときにも、各部品に対する応力を軽減するためである。
【0023】
図3において、素子100のx方向の径、及び、y方向の径は、例えば、各々100μmである。素子100のx方向のピッチ及びy方向のピッチは、例えば、250μmである。また、ミアンダ構造部102における走査線110、映像信号線120等を含む基材10の幅は、例えば30μmである。
【0024】
図4は、
図3のB-B断面図であり、走査線110を含むミアンダ構造部102の断面図である。
図4において、基材10の上に第1有機絶縁膜20が形成されている。第1有機絶縁膜20の上に走査線110が形成されている。走査線110を覆って第2有機絶縁膜30が形成されている。
図3における走査線110を含むミアンダ構造部102の平面図は、基材10の平面形状を表している。
【0025】
基材10、第1有機絶縁膜20、第2有機絶縁膜30は、例えばポリイミドで形成されている。ポリイミドは、機械的な強度、耐熱性等で優れた性能を持つので、走査線110や信号線120の基材10として好適である。すなわち、ストレッチャブル電子装置1を引き延ばした場合、ミアンダ構造部102に発生する応力は、基材10や第1有機絶縁膜20などを形成するポリイミドが引き受けるので、金属で形成された走査線110等にかかる応力は軽減される。
【0026】
走査線110は例えばTAT(Ti-Al-Ti、チタンーアルミニウムーチタン)構造を有する。三層構造において、導電性は主としてAlが担い、TiはAlの保護、あるいは、他の配線との接合の改良のために使用される。走査線110の材料はこのほかに、MoW(モリブデンータングステン合金)等、ストレッチャブル電子装置1の用途により種々の構成をとることが出来る。
【0027】
図3に示すように、走査線110を有するミアンダ構造部102(以後単に走査線110ともいう)は、形状が不安定なので、上下から保護層(
図2で示す3、4)で固定している。まず、走査線110が形成されたミアンダ構造部102を有機材料で形成された上バッファー層40で覆う。その上を有機材料で形成された保護層50で覆う。基材10の下面には、有機材料で形成された下バッファー層60が配置し、その下に有機材料で下保護層70が形成されている。
【0028】
このように、上下に配置したバッファー層40、60及び保護層50、70によって、形状を安定させている。ところで、本発明の電子装置は、ストレッチャブル電子装置であるから、外部からの引っ張り応力に対して、伸縮可能である必要がある。したがって、ミアンダ構造部102を挟むバッファー層40、60及び保護層50、70は、基材10や第1有機絶縁膜20などを形成するポリイミドよりも延伸しやすい材料、すなわち、ヤング率の小さい材料であることが望ましい。このような材料としては、たとえば、アクリル、ウレタン、エポキシ、シリコーンシリコーン等の樹脂が挙げられる。
【0029】
図5は、
図3のC-C断面図であり、信号線120を有するミアンダ構造部102の断面図である。
図5のミアンダ構造部102では、基材10の上に第1有機絶縁膜20、第2有機絶縁膜30が連続して形成されている。信号線120は、第2有機絶縁膜30の上に形成されている。実施例1においては、信号線120は、走査線と同じ材料、すなわち、TAT(Ti-Al-Ti)構造を有しているが、ストレッチャブル電子装置の用途によって他の材料と変えてもよい。その他の構造は、
図4で説明した走査線110部分の断面形状と同じである。
【0030】
図6は、素子領域101の拡大平面図である。素子領域101は、島状に形成された基材10からなる。
図6における素子領域101は概略8角形のような形となっているが、他の形状でも良い。
図6においては、走査線110も信号線120も直線となっているが、
図6よりも外側では、
図3に示すようなミアンダ構造となっている。
【0031】
図6において、素子領域101に、素子100が配置している。素子領域101において、信号線120と走査線110が絶縁膜を介して交差している。ただし、
図6は模式図であり、実際の装置では、走査線110、映像信号線120とも、素子100を駆動するトランジスタ等と接続する。
【0032】
図7は
図6のD-D断面図である。
図7において、基材10の上に無機絶縁膜80が形成されている。無機絶縁膜80は、その上側に形成される素子100等に対して、下側から侵入する不純物などをブロックする。
図7では、無機絶縁膜80は基材10の上に形成されているが、これは例であり、必要に応じて、素子100に近い層に形成してもよい。
【0033】
無機絶縁膜80は、シリコン窒化膜(SiN膜)、シリコン酸化膜(SiO膜)、あるいは、これらの積層膜で形成される。場合によっては、アルミニウム酸化膜(AlO)が使用される場合もある。無機絶縁膜80は剛性が高いが、素子領域101にのみ形成されているので、ストレッチャブル電子装置1の伸縮性に対する影響は小さい。
【0034】
無機絶縁膜80を覆って第1有機絶縁膜20が、例えばポリイミドで形成されている。第1有機絶縁膜20の上に走査線110が横方向(x方向)に延在している。走査線110及び第1有機絶縁膜20を覆って、例えばポリイミドによって第2有機絶縁膜30が形成されている。第2有機絶縁膜30の上を信号線120がy方向に延在している。
【0035】
そして信号線120を覆って素子100が配置している。
図7は模式図であり、素子100と、走査線110や信号線120等の接続構造は省略されている。一例としては、素子100と走査線110あるいは信号線120との間に薄膜トランジスタ(TFT)を配置し、薄膜トランジスタを走査線制御回路115、信号線制御回路125によって制御することによって、素子100からの信号、あるいは、素子100への信号を制御する。
【0036】
図7において、素子100としてどのようなものを配置するかによって、
図7における素子100と信号線120との間の配線構造は異なる。素子領域101では、複数の有機または無機の絶縁膜が形成される可能性もある。
【0037】
図6に示す平面構造は、
図7における基材10から素子100までの断面構造に対応する。このままだと、平面形状は
図3に示すようなものになり、不安定である。そこで、
図4で説明したように、上バッファー層40、上保護層50、下バッファー層60、下保護層70を形成し、全体を平板状にまとめて形状を安定化している。また、
図4で説明したように、上バッファー層40、上保護層50、下バッファー層60、下保護層70は、基材10、第1有機絶縁膜20、第2有機絶縁膜30等よりも、ヤング率の小さい材料を使用しているので、ストレッチャブル電子装置1の伸縮性を損なわない構成となっている。
【0038】
図8は、実施例1によるストレッチャブル電子装置1の平面図である。
図8において、アクティブ領域5の構成は、比較例において説明したのと同じである。
図8は、実施例1と異なり、フレキシブル配線基板150が存在していない。
図8の構成では、端子領域6が縦方向(y方向)に長くなっており、端子領域6に、直接、配線基板300が接続している。
【0039】
配線基板300は、フレキシブルに湾曲する構成ではなく、リジットな構成であってもよい。リジットな配線基板としては、例えば、ガラスエポキシに、ICをはじめとした電子部品が搭載されたような構成が挙げられる。リジッドな配線基板300のヤング率は、フレキシブル配線基板150のヤング率よりも大きい。
【0040】
すなわち、
図8では、縦方向に長くなった端子領域6に、
図1で示したフレキシブル配線基板150の役割を持たせている。つまり、アクティブ領域5と配線基板300との接続のための端子配線200のみでなく、フレキシブル配線基板150に搭載されていた、ドライバIC、コンデンサ、抵抗等が端子領域6に搭載されている。以後、ドライバIC、コンデンサ、抵抗等を単に、電子部品220という言葉で代表させる。
【0041】
端子配線200は、
図8では、直線で記載しているが、実際には、
図10に示すようにミアンダ構造となっている。また、端子領域6の断面構造もアクティブ領域5と同じである。つまり、端子領域6もストレッチャブルな構成となっている。
【0042】
図8において、アクティブ領域5の信号線120あるいは走査線110が連続して端子配線200として端子領域6に延在している。端子領域6において、信号線120あるいは走査線110は、電子部品220を介して配線基板300に接続する。
【0043】
さらに、ストレッチャブル電子装置1の端子領域6は、フレキシブル配線基板150よりもさらにフレキシブルな構成となっている。このため、端子領域6を湾曲させた場合においても、湾曲形状に合わせて容易に追従するので、端子領域6に発生するストレスは小さい。また、フレキシブル配線基板150を使用せず、直接、配線基板300と接続することによって、他の部材との接続領域の数自体を少なくすることが出来る。このような構成によって、配線基板300と接続する電子装置1における接続の信頼性を向上させることが出来る。
【0044】
図9は、
図8のE-E断面図である。
図9において、端子領域6のy方向の長さは、
図2に比較して相対的に長くなっている。
図9では、端子領域6は、フレキシブル配線基板150ではなく、配線基板300と接続している。
図9において、素子層2を有するアクティブ領域と端子領域6を点線で区切っているが、端子領域6とアクティブ領域5は一体的に形成されている。
【0045】
図10は端子領域6の詳細平面図である。
図10において、アクティブ領域5と端子領域6の境界は点線で示している。しかし、アクティブ領域5と端子領域6とは連続して形成されている。つまり、アクティブ領域5と端子領域6は、同じ基材10上に形成されている。また、
図10に示した例では、アクティブ領域5における信号線120及び走査線110と同様に、端子配線200もミアンダ構造となっている。
図10に示すように、端子領域6に電子部品220が搭載されている。電子部品220と端子210との間も、ミアンダ構造を有する端子配線200で接続している。そして、配線基板300は、複数の端子210を介して、端子領域6と接続している。
【0046】
図11は、
図10のF-F断面図である。
図11は、2列分記載してあるほかは、アクティブ領域5の断面図を示す
図5と同じである。なお、
図11では、第2有機絶縁膜30の上に配置している配線は、端子配線200となっているが、これは、アクティブ領域3における信号線120と連続した配線となっている。
【0047】
図12は、
図10のG-G断面図である。
図10は、端子配線200の上に電子部品220が搭載されている他は、
図11と基本的には同じ構成となっている。但し、
図12に示すG-G断面においては、電子部品220が搭載されている分、端子配線200の幅が大きくなっている。
【0048】
図11及び
図12では、アクティブ領域5における信号線120と同じ層に端子配線200を形成した場合である。一方、端子配線200をアクティブ領域5における走査線110と同じ層に形成してもよい。
【0049】
図13は、端子領域において、横方向(x方向)あるいは縦方向(y方向)に、より延伸しやすくした構成の例を示す平面図である。
図14において、ミアンダ構造を有する端子配線200が縦方向(y方向)に延在し、横方向に配列している。列状の端子配線200の間において、
図9に示している上保護層3及び下保護層4に、ミシン目のような、切り込み230が形成されている。この切り込み230によって、端子領域6の延伸性をアクティブ領域5の延伸性よりも大きくすることが出来る。
実施例1では、延伸可能な端子領域6に電子部品220を搭載して、アクティブ領域5を有する基材にフレキシブル配線基板150の構成を形成する。その結果、フレキシブル配線基板との接続部に発生するストレスを軽減させ、信頼性を向上させるものである。しかし、実施例1の構成であっても、端子領域6と配線基板300を接続する端子においては、ストレスを完全に無くすことは難しい。