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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025100129
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】遮音構造体
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/172 20060101AFI20250626BHJP
   G10K 11/16 20060101ALI20250626BHJP
【FI】
G10K11/172
G10K11/16 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217269
(22)【出願日】2023-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】久米田 健太
【テーマコード(参考)】
5D061
【Fターム(参考)】
5D061CC04
5D061CC11
(57)【要約】
【課題】十分な遮音性が得られ、薄型かつ軽量で曲面状や凹凸上の載置面に容易に安定的に載置でき、発音源または発音源から隔離する空間を少なくとも部分的に覆う包囲部を有する遮音構造体を提供する。
【解決手段】遮音構造体10が、発音源12または隔離する空間を側方から少なくとも部分的に覆う包囲部11を有し、包囲部11の少なくとも一部の、内側に向いた面が、遮音機構1を有する。遮音機構1は、弾性を有する膜部2と、膜部2に立設され弾性を有する支持壁部3と、膜部2に立設された錘部4を有する。膜部2は支持壁部3によって複数の区画5に分けられ、区画5の内部に錘部4がそれぞれ位置している。支持壁部3の高さH1は錘部4の高さH2よりも大きい。錘部4の各々が、弾性を有するばね部4aと、ばね部4aよりも質量が大きい質量部4bとを有するばねマス共振器を構成している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発音源、または発音源から隔離する空間を、側方から少なくとも部分的に覆う包囲部を有する遮音構造体であって、
前記包囲部の少なくとも一部の、内側に向いた面が、遮音機構を有し、
前記遮音機構は、弾性を有する膜部と、前記膜部に立設されており弾性を有する支持壁部と、前記膜部に立設されている錘部と、を有し、
前記膜部は前記支持壁部によって複数の区画に分けられており、複数の前記区画の全ての内部に、または複数の前記区画のうちの一部の区画の内部に、前記錘部がそれぞれ位置しており、内部に前記錘部が位置している前記区画においては、1つの前記区画に1つの前記錘部が配置されており、
前記支持壁部の、前記膜部に直交する方向に延びる高さは、前記錘部の、前記膜部に直交する方向に延びる高さよりも大きく、
前記錘部の各々が、弾性を有するばね部と、前記ばね部よりも質量が大きい質量部とを有するばねマス共振器を構成していることを特徴とする、遮音構造体。
【請求項2】
前記膜部と前記支持壁部と前記ばね部はいずれも、エネルギー弾性を有しておらずゴム弾性を有する材料と、ゴム弾性を有しておらずエネルギー弾性を有する材料と、ゴム弾性とエネルギー弾性の両方を有する材料とのうちのいずれかからなる、請求項1に記載の遮音構造体。
【請求項3】
前記膜部と前記支持壁部と前記ばね部はいずれも、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率が0.01MPa以上100MPa以下である、請求項1または2に記載の遮音構造体。
【請求項4】
前記膜部と前記支持壁部と前記ばね部はいずれも、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける損失正接が0.01以上0.50以下である、請求項3に記載の遮音構造体。
【請求項5】
前記錘部の前記ばね部は、前記錘部の前記膜部に取り付けられている側に位置し、前記質量部は、前記錘部の前記膜部に取り付けられている側と反対側に位置する、請求項1または2に記載の遮音構造体。
【請求項6】
前記錘部の前記質量部は前記ばね部よりも体積が大きい、請求項5に記載の遮音構造体。
【請求項7】
前記錘部の前記質量部は前記ばね部よりも密度が大きい材料からなる、請求項1または2に記載の遮音構造体。
【請求項8】
発音源、または発音源から隔離する空間を、側方から少なくとも部分的に覆う包囲部を有する遮音構造体であって、
前記包囲部の少なくとも一部の、内側に向いた面が、遮音機構を有し、
前記遮音機構は、弾性を有する膜部と、前記膜部に立設されており弾性を有する支持壁部と、前記膜部に立設されている錘部と、を有し、
前記膜部は前記支持壁部によって複数の区画に分けられており、複数の前記区画の全ての内部に、または複数の前記区画のうちの一部の区画の内部に、前記錘部がそれぞれ位置しており、内部に前記錘部が位置している前記区画においては、1つの前記区画に1つの前記錘部が配置されており、
前記支持壁部の、前記膜部に直交する方向に延びる高さは、前記錘部の、前記膜部に直交する方向に延びる高さよりも大きく、
前記膜部がばね部として、前記錘部が質量部としてばねマス共振器を構成していることを特徴とする、遮音構造体。
【請求項9】
前記膜部と前記支持壁部はいずれも、エネルギー弾性を有しておらずゴム弾性を有する材料と、ゴム弾性を有しておらずエネルギー弾性を有する材料と、ゴム弾性とエネルギー弾性の両方を有する材料とのうちのいずれかからなる、請求項8に記載の遮音構造体。
【請求項10】
前記膜部と前記支持壁部はいずれも、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率が0.01MPa以上100MPa以下である、請求項8または9に記載の遮音構造体。
【請求項11】
前記膜部と前記支持壁部はいずれも、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける損失正接が0.01以上0.50以下である、請求項10に記載の遮音構造体。
【請求項12】
前記包囲部は、前記発音源または前記空間を側方から少なくとも部分的に覆う側板部と、前記発音源または前記空間を上方から少なくとも部分的に覆う天板部と、を含む、請求項1または8に記載の遮音構造体。
【請求項13】
前記側板部の一部は、開閉可能な扉部を構成している、請求項12に記載の遮音構造体。
【請求項14】
前記天板部と前記側板部にはそれぞれ4つ以上の前記区画が設けられており、当該区画はマトリクス状に配置されている、請求項12に記載の遮音構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遮音構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集合住宅、オフィスビル、ホテル等の建物の室内においては、建物の外部の自動車、鉄道、航空機、船舶等からの屋外騒音や、建物内のその室の外部で発生する設備騒音や人声を遮断して、その室の用途に適した静謐性が要求される。また、自動車、鉄道、航空機、船舶等の乗物の内部においては、風切り音やエンジン音を遮断して、乗員に静粛で快適な空間を提供するために騒音を低減することが望まれている。そのため、建物や乗物の外部から内部への騒音や振動の伝搬、また建物や乗物の内部における室外から室内への騒音や振動の伝搬を遮断する手段、すなわち、遮音構造体が求められている。近年では、建物においては高層化等に伴い軽量の遮音構造体が求められており、また、乗物においてもエネルギー効率向上のため軽量の遮音構造体が求められている。乗物や建物における防音壁等を形成する遮音構造体の例が、特許文献1~4に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された発明では、複数の個々のセルに分割された剛性のフレームと、フレキシブルな材料のシートと、複数の重りとを備えている音響減衰パネルにおいて、各重りは各セルにそれぞれ重りが設けられるようにフレキシブルな材料のシートに固定されており、減衰された音響は重りの質量の適切な選択により制御される。
【0004】
特許文献2に記載された発明では、弾性を有するシートと、シートを保持するとともにシートを区画部に区画する支持部とを備えている防音材において、区画部におけるシートの剛性とシートの面密度との関係が規定されている。
【0005】
特許文献3に記載された発明の遮音材は、平板状の基板部と、基板部と連結し所定の共振周波数を有する複数の共振部とを備えている構造体であって、複数の共振部のそれぞれは、錘部と、錘部を基板部と連結する連結部とを有しており、基板部に垂直な方向から見た投影図において、共振部の重心が基板部と連結部との接合領域の外側に位置するように構成されている。
【0006】
特許文献4に記載された発明の振動低減装置は、車体に装着されて車体を通じて伝達される振動を遮断する音響メタ構造を有し、車体に装着されて一定空間を一定領域に区画する十字形状のフレームと、フレームによって区画される各領域のコーナー部に構成されそれぞれの固有振動数を有するように構成されて車体からフレームを通じて伝達される振動を遮断する振動子とを含む。
【0007】
また、特許文献5には防音構造体が記載されており、この防音構造体は、防音パネルからなる側壁部を有し、側壁部に囲まれた収容空間内に騒音源が収容されている。防音パネルは樹脂板材と多孔質性板材との積層構造を有し、樹脂板材は、連通孔を有する上部閉塞壁と、下部閉塞壁と、上部閉塞壁および下部閉塞壁の間に位置する側方壁部とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005-250474号公報
【特許文献2】国際公開WO2019/022245号公報
【特許文献3】特開2021-152584号公報
【特許文献4】特開2020-91481号公報
【特許文献5】特許7284973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されている音響減衰パネルは、柔軟でない剛性のフレームを有しており、この剛性のフレームを介してシートに振動が伝達されるため、十分な遮音性が得られないおそれがある。また、剛性のフレームを載置する載置面が曲面状または凹凸を有する場合には、音響減衰パネルを安定して保持できない可能性がある。特に、一般的な乗物(例えば自動車)のパネルや騒音を発する機械(例えば発電機やコンプレッサー)には曲面状または凹凸を有する部分が多いため、遮音材として簡便に使用することが困難である。また、剛性のフレームは質量が大きく、防音材による質量の増大が問題になる場合がある。
【0010】
特許文献2に記載されている防音材は、支持部の高さ、すなわちシートからそのシートに直交する方向に延びる高さが高く、好ましくは25mm以上である。このように高さが高い支持部によってシートを安定的に支持するために支持部は剛性を有することが好ましく、その結果、支持部を介して振動が伝達されるため十分な遮音性が得られないおそれがあるとともに、乗物(例えば自動車)のパネルや騒音を発する機械(例えば発電機やコンプレッサー)等の曲面状または凹凸を有する載置面に載置することが困難である。また、このように高さが高い支持部が防音材全体の大型化および重量化を招くことが懸念される。特に、乗物のパネル等に載置する場合は、乗物の内部において防音材が大きなスペースを占めてスペース効率を低下させ、他部材の設置の妨げになることや、乗員の邪魔になることが懸念される。
【0011】
特許文献3に記載されている遮音材は、遮音効果を発揮する機能部分である共振部が支持壁等に覆われることなく露出しており、この共振部に他の部材や人体が接触すると遮音性が低下または変化するおそれがある。従って、共振部の周囲に大きな空間を設ける必要があり、スペース効率が低下する。
【0012】
特許文献4に記載されている振動低減装置は、膜部を有しておらず、複数の振動子とそれらを繋ぐフレームとからなる。従って、特許文献3の遮音材と同様に、遮音効果を発揮する機能部分である振動子が露出しており、この振動子に他の部材や人体が接触すると遮音性が低下または変化するおそれがある。また、振動低減装置の構造的な最低限の強度を確保するために、フレームが剛性を有することが求められる。その結果、フレームを介して振動が伝達されるため十分な遮音性が得られないおそれがあるとともに、乗物(例えば自動車)のパネルや騒音を発する機械(例えば発電機やコンプレッサー)等の曲面状または凹凸を有する載置面に載置することが困難である。
【0013】
特許文献5に記載されている防音構造体では、騒音源を取り囲む側壁部が、連通孔を有する樹脂板材と多孔質性板材とを含む防音パネルによって構成されているため、吸音効果を発揮することが期待できるが、顕著な遮音効果を発揮できるものではない。また、樹脂板材は上部閉塞壁と下部閉塞壁と側方壁部とからなり、さらに多孔質性板材と積層されているため、この積層構造は剛直であって、乗物(例えば自動車)のパネルや騒音を発する機械(例えば発電機やコンプレッサー)等の曲面状または凹凸を有する載置面に載置することが困難であり設置性が悪い。
【0014】
そこで、本発明の目的は、十分な遮音性が得られるとともに、薄型かつ軽量で、特に1000Hz以下の低周波数領域での良好な遮音性を有する遮音構造体であり、構造が柔軟であるため、搭載部位が曲面状または凹凸を有する面にも容易に安定的に搭載することができ、発音源(例えば機械装置など)または発音源から隔離する空間を側方から少なくとも部分的に覆う包囲部を有し、発音源が発する音の影響を抑制することができる遮音構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の遮音構造体は、発音源、または発音源から隔離する空間を、側方から少なくとも部分的に覆う包囲部を有する遮音構造体であって、前記包囲部の少なくとも一部の、内側に向いた面が、遮音機構を有し、前記遮音機構は、弾性を有する膜部と、前記膜部に立設されており弾性を有する支持壁部と、前記膜部に立設されている錘部と、を有し、前記膜部は前記支持壁部によって複数の区画に分けられており、複数の前記区画の全ての内部に、または複数の前記区画のうちの一部の区画の内部に、前記錘部がそれぞれ位置しており、内部に前記錘部が位置している前記区画においては、1つの前記区画に1つの前記錘部が配置されており、前記支持壁部の、前記膜部に直交する方向に延びる高さは、前記錘部の、前記膜部に直交する方向に延びる高さよりも大きく、前記錘部の各々が、弾性を有するばね部と、前記ばね部よりも質量が大きい質量部とを有するばねマス共振器を構成していることを特徴とする。
なお、ここで言う弾性とは、外部から与えられた力によって変形した固体物質が、外力を取り除いた際に元の形状に復元する性質を指し、エネルギー弾性とゴム弾性(エントロピー弾性)とを含む。ここでは、エネルギー弾性とゴム弾性(エントロピー弾性)の少なくとも一方を有する場合を「弾性を有する」と称している。
前記支持壁部および前記ばね部は、エネルギー弾性を有しておらずゴム弾性を有する材料と、ゴム弾性を有しておらずエネルギー弾性を有する材料と、ゴム弾性とエネルギー弾性の両方を有する材料とのうちのいずれかからなるものであってよい。同様に、前記膜部も、エネルギー弾性を有しておらずゴム弾性を有する材料と、ゴム弾性を有しておらずエネルギー弾性を有する材料と、ゴム弾性とエネルギー弾性の両方を有する材料とのうちのいずれかからなるものであってよい。
前記膜部と前記支持壁部と前記ばね部はいずれも、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率が0.01MPa以上100MPa以下であってよい。また、前記膜部と前記支持壁部と前記ばね部はいずれも、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける損失正接が0.01以上0.50以下の弾性体からなるものであってよい。
具体的には、膜部と支持壁部とばね部の弾性は、JISK7244に準じて、動的粘弾性測定装置の引張または圧縮モードで周波数依存性を測定し、23℃基準のマスターカーブを求めることで得られる動的貯蔵弾性率(E’)で評価されるものであり、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.01MPa以上100MPa以下であるものとする。さらに、より好ましくは、前記膜部と前記支持壁部はいずれも、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.05MPa以上50MPa以下で、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける損失正接が0.05以上0.45以下の弾性体からなるものであってよい。
前記錘部の前記ばね部は、前記錘部の前記膜部に取り付けられている側に位置し、前記質量部は、前記錘部の前記膜部に取り付けられている側と反対側に位置していてよい。
前記錘部の前記質量部は前記ばね部よりも体積が大きくてよい。
前記錘部の前記質量部は前記ばね部よりも密度が大きい材料からなるものであってよい。
【0016】
本発明のもう1つの遮音構造体は、発音源、または発音源から隔離する空間を、側方から少なくとも部分的に覆う包囲部を有する遮音構造体であって、前記包囲部の少なくとも一部の、内側に向いた面が、遮音機構を有し、前記遮音機構は、弾性を有する膜部と、前記膜部に立設されており弾性を有する支持壁部と、前記膜部に立設されている錘部と、を有し、前記膜部は前記支持壁部によって複数の区画に分けられており、複数の前記区画の全ての内部に、または複数の前記区画のうちの一部の区画の内部に、前記錘部がそれぞれ位置しており、内部に前記錘部が位置している前記区画においては、1つの前記区画に1つの前記錘部が配置されており、前記支持壁部の、前記膜部に直交する方向に延びる高さは、前記錘部の、前記膜部に直交する方向に延びる高さよりも大きく、前記膜部がばね部として、前記錘部が質量部としてばねマス共振器を構成していることを特徴とする。
前記支持壁部は、エネルギー弾性を有しておらずゴム弾性を有する材料と、ゴム弾性を有しておらずエネルギー弾性を有する材料と、ゴム弾性とエネルギー弾性の両方を有する材料とのうちのいずれかからなるものであってよい。同様に、前記膜部も、エネルギー弾性を有しておらずゴム弾性を有する材料と、ゴム弾性を有しておらずエネルギー弾性を有する材料と、ゴム弾性とエネルギー弾性の両方を有する材料とのうちのいずれかからなるものであってよい。
前記膜部と前記支持壁部はいずれも、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率が0.01MPa以上100MPa以下でであってよい。また、前記膜部と前記支持壁部はいずれも、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける損失正接が0.01以上0.50以下の弾性体からなるものであってよい。より好ましくは、前記膜部と前記支持壁部はいずれも、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.05MPa以上50MPa以下で、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける損失正接が0.05以上0.45以下の弾性体からなるものであってよい。
【0017】
前述した本発明の遮音構造体およびもう1つの遮音構造体は、以下の構成を有していてよい。
前記包囲部は、前記発音源または前記空間を側方から少なくとも部分的に覆う側板部と、前記発音源または前記空間を上方から少なくとも部分的に覆う天板部と、を含んでいてよい。前記側板部の一部は、開閉可能な扉部を構成していてよい。前記天板部と前記側板部にはそれぞれ4つ以上の前記区画が設けられていて、当該区画はマトリクス状に配置されていてよい。
前記支持壁部は、前記膜部に直交する方向に延びるとともに前記膜部に平行な第1の方向に延びる複数の第1壁部と、前記膜部に直交する方向に延びるとともに前記第1の方向に直交する第2の方向に延びる複数の第2壁部と、を含んでいてよい。
前記支持壁部は、個々の前記区画を画定する円形、楕円形または長円形の横断面形状を有する円筒状、あるいは、個々の前記区画を画定する多角形の横断面形状、具体的には正方形や正五角形や正六角形の横断面形状を有する角筒状であってよい。
各々の前記区画の面積は100mm2以上1000mm2以下であってよい。
前記膜部の面積1000cm2あたり10個以上1000個以下の前記区画が設けられていてよく、50個以上500個以下の前記区画が設けられているとより好ましい。
前記支持壁部の板厚は0.5mm以上5.0mm以下であってよく、1.0mm以上3.0mm以下であるとより好ましい。
前記膜部の膜厚は0.1mm以上3.0mm以下であってよい。
前記膜部に直交する方向の高さが5mm以上20mm以下であってよい。
前記支持壁部の、前記膜部に直交する方向に延びる高さは5mm以上20mm以下であってよく、部分的に高さが異なっていてもよい。
前記錘部の、前記膜部に直交する方向に延びる高さは1mm以上であってよい。
前記膜部のデュロメータA硬さは、50以上であってよく、前記支持壁部のデュロメータA硬さは、1以上90以下であってよい。デュロメータA硬さは、JIS K 6253-3に準じて測定することで得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、十分な遮音性が得られるとともに、薄型かつ軽量で、特に1000Hz以下の低周波数領域での良好な遮音性を有する遮音構造体であり、構造が柔軟であるため、搭載部位が曲面状または凹凸を有する面にも容易に安定的に搭載することができ、発音源(例えば機械装置など)または発音源から隔離する空間を側方から少なくとも部分的に覆う包囲部を有し、発音源が発する音の影響を抑制することができる遮音構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(A)は本発明の第1の実施形態の遮音構造体を上側から見た斜視図であり、(B)はその下側から見た斜視図である。
図2図1に示す遮音構造体の正面断面図である。
図3】(A)は図1に示す遮音構造体の遮音機構の斜視図であり、(B)はそのA-A線断面図である。
図4】(A)は図3に示す遮音機構の1つの区画の分解斜視図であり、(B)はその分解正面図である。
図5】(A)は本発明の第1の実施形態の変形例の遮音構造体の遮音機構の斜視図であり、(B)はそのA-A線断面図である。
図6】(A)は本発明の第1の実施形態の他の変形例の遮音構造体の遮音機構の断面図であり、(B)はその遮音機構の錘部の斜視図である。
図7】(A)は本発明の第1の実施形態のさらに他の変形例の遮音構造体の遮音機構の断面図であり、(B)はその遮音機構の錘部の斜視図である。
図8】(A)は本発明の第2の実施形態の遮音構造体の遮音機構の斜視図であり、(B)はそのA-A線断面図である。
図9】(A)は本発明の遮音構造体の遮音機構の1つの区画を模式的に示す平面図であり、(B)は複数の区画を模式的に示す平面図である。
図10】(A)は本発明の遮音構造体の遮音機構の他の例の1つの区画を模式的に示す平面図であり、(B)は複数の区画を模式的に示す平面図である。
図11】(A)は本発明の遮音構造体の使用例を模式的に示す断面図、(B)は他の使用例を模式的に示す斜視図、(C)はさらに他の使用例を模式的に示す斜視図、(D)はさらに他の使用例を模式的に示す正面図である。
図12】本発明の遮音構造体のさらに他の使用例を模式的に示す斜視図である。
図13】本発明の遮音構造体のさらに他の使用例を模式的に示す斜視図である。
図14】本発明の遮音構造体のさらに他の使用例を模式的に示す斜視図である。
図15】(A)~(C)は本発明の実施例1~4および比較例1~4の遮音性を示すグラフである。
図16】(A)~(C)は本発明の実施例1,5~8および比較例3の遮音性を示すグラフである。
図17】(A)~(C)は本発明の実施例8~11の遮音性を示すグラフである。
図18】(A)~(B)は本発明の実施例1,12~14および比較例5~6の遮音性を示すグラフである。
図19】(A)は本発明の実施例3の遮音構造体の遮音機構の斜視図、(B)はそのA-A線断面図である。
図20】(A)は本発明の実施例6の遮音構造体の遮音機構の斜視図、(B)はそのA-A線断面図である。
図21】本発明の実施例10の遮音構造体の遮音機構の断面図である。
図22】(A)は本発明の実施例11の遮音構造体の遮音機構の斜視図、(B)はそのB-B線断面図である。
図23】(A)は比較例3の遮音構造体の遮音機構の斜視図、(B)はそのA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1(A)は本発明の第1の実施形態の遮音構造体10を上側から見た斜視図であり、図1(B)は下側から見た斜視図である。図2は本実施形態の遮音構造体10の正面断面図である。遮音構造体10は、発音源12、または発音源から隔離する空間を、側方から少なくとも部分的に覆う包囲部11を有する。この包囲部11の少なくとも一部の、内側に向いた面が、遮音機構1を有している。具体的には、本実施形態の遮音構造体10は、包囲部11として天板部11aと4つの側板部11bとを有し、底部が開口した中空の四角筒状である。この遮音構造体10の各壁部の内面、すなわち天板部11aと各側板部11bの、四角筒の内側(中空部側)の面がそれぞれ遮音機構1を有している。この遮音構造体10は、図2に示すように、設置面13(例えば建物の床、机やテーブルの上面、乗物のパネル、騒音を発する機械等)の上に載置され、2点鎖線で模式的に図示する発音源12の上方および側方を覆っている。
【0021】
図3(A)は本実施形態の遮音構造体10の遮音機構1の斜視図であり、図3(B)は図3(A)のA-A線において切断して上下反転した断面図である。遮音機構1は、弾性を有するシート状の膜部2と、膜部2から実質的に垂直に立設されている支持壁部3と、膜部2から実質的に垂直に立設されている錘部4と、を有している。膜部2は支持壁部3によって複数の区画(単位構造)5に分けられている。複数の区画5の内部に錘部4がそれぞれ位置しており、内部に錘部4が位置している区画5においては、1つの区画5内に1つの錘部4が位置している。図4(A)は遮音機構1の1つの区画5の分解斜視図であり、図4(B)はその分解正面図である。支持壁部3の、膜部2から、膜部2に直交する方向に延びる高さH1は、錘部4の、膜部2から、膜部2に直交する方向に延びる高さH2よりも大きい。錘部4の各々が、弾性を有するばね部4aと、ばね部4aよりも質量が大きい質量部(マス部)4bとを有するばねマス共振器を構成している。ここで言う弾性とは、外部から与えられた力によって変形した固体物質が、外力を取り除いた際に元の形状に復元する性質を指し、エネルギー弾性とゴム弾性(エントロピー弾性)とを含む。ここでは、エネルギー弾性とゴム弾性(エントロピー弾性)の少なくとも一方を有する場合を「弾性を有する」と称している。
【0022】
本実施形態の支持壁部3は、膜部2に平行な第1の方向D1に延びる複数の第1壁部3aと、第1の方向D1に直交する第2の方向D2に延びる複数の第2壁部3bと、を含む。複数の第1壁部3aが平行に並ぶとともに、複数の第2壁部3bが平行に並んでおり、第1壁部3aと第2壁部3bとは交点において一体化している。こうして複数の第1壁部3aと複数の第2壁部3bとが格子構造を構成しており、第1壁部3aと第2壁部3bとによって仕切られる平面形状が正方形の複数の区画5がマトリクス状に並んでいる。言い替えると、支持壁部3は、個々の区画5を画定する正方形の横断面形状を有する角筒が複数並べられた構造である。支持壁部3は、ゴム、エラストマー、樹脂発泡体などの柔軟材料からなることが好ましい。ここで言う柔軟材料とは、エネルギー弾性を有しておらずゴム弾性を有する材料と、ゴム弾性を有しておらずエネルギー弾性を有する材料と、ゴム弾性とエネルギー弾性の両方を有する材料とのうちのいずれかである。
【0023】
本実施形態の錘部4の、膜部2に取り付けられている側の部分がばね部4aであり、膜部2に取り付けられている側と反対側の部分が、ばね部4aよりも質量が大きい質量部4bである。図1~4に示す例では、ばね部4aと質量部4bとは同じ形状で同じ寸法を有しているが、材料が異なっている。ばね部4aは柔軟材料からなり、質量部4bは、ばね部4aを構成する材料よりも密度が大きい材料からなる。このばね部4aがばねとして機能し、質量部4bがマスとして機能するばねマス共振器が構成されている。なお、錘部4のばね部4aとともに、膜部2もばねマス共振器のばねの一部として機能する場合もある。さらに、膜部2と支持壁部3とに囲まれている空間内の空気が、ばねマス共振器のばねの一部(空気ばね)として機能する場合もある。ばね部4aも柔軟材料、すなわちエネルギー弾性を有しておらずゴム弾性を有する材料と、ゴム弾性を有しておらずエネルギー弾性を有する材料と、ゴム弾性とエネルギー弾性の両方を有する材料とのうちのいずれかからなることが好ましい。
【0024】
本実施形態の遮音機構1によると、膜部2の振動が、錘部4のばね部4aと質量部4bとが構成しているばねマス共振器の作用により制御される。特に、特定の周波数域(例えば、自動車におけるロードノイズの主な周波数帯である1000Hz以下の周波数や、発電機やコンプレッサーが発する騒音の周波数や、人の会話音の周波数)において、膜振動が大幅に低減され、その結果、膜部2からの放射音が小さくなり、高い遮音性が発揮される。
【0025】
本実施形態の遮音機構1の区画5は、膜部2の面積1000cm2あたり10個以上1000個以下設けられることが好ましく、50個以上500個以下設けられることがより好ましい。区画5が膜部2の面積1000cm2あたり10個以上あることにより、遮音機構1全体を複数の区画5に分割してそれぞれの区画毎に遮音効果を発現させることができ、遮音機構1全体の遮音性が高くなる。また、区画5が膜部2の面積1000cm2あたり1000個以下であることにより、遮音機構1全体の重量の増加が抑えられる。各区画5のそれぞれの平面形状の面積は100mm2以上1000mm2以下であることが好ましく、200mm2以上800mm2以下であることがより好ましい。各区画5のそれぞれの平面形状の面積が100mm2以上であるため、内部に錘部4を配置することが容易であり、一方、面積が1000mm2以下であるため、膜部2に対する錘部4の効果が大きく、高い遮音性が得られる。遮音機構1全体の、膜部2に直交する方向の高さは、5mm以上20mm以下であることが好ましい。遮音機構1全体の高さが5mm以上であることにより錘部4がばねマス共振器として十分な高さを持つことができ、高さが20mm以下であることにより遮音機構1全体の重量の増加が抑えられる。なお、各図面は各区画5および支持壁部3等について模式的に図示しており、区画5の数および面積や支持壁部3の高さが厳密に正確に図示されていない場合や、各図面において統一されていない場合があるが、区画5の数および面積と支持壁部3の高さがそれぞれ前述した数値範囲になるように適宜に設計されることが好ましい。
【0026】
本実施形態の遮音機構1の膜部2と支持壁部3とばね部4aはいずれも、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.01MPa以上100MPa以下で、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける損失正接(tanδ)が0.01以上0.50以下であり、好ましくは23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.05MPa以上50MPa以下で、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける損失正接(tanδ)が0.05以上0.50以下である弾性体からなる。動的貯蔵弾性率(E’)および損失正接(tanδ)は、動的粘弾性試験機を用いて、23℃基準のマスターカーブを作成することで求められる。23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.01MPa以上であるため、対象とする周波数帯の遮音性が良好で、膜部2や支持壁部3の形状保持性が良好である。23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が100MPa以下であるため、遮音対象とする周波数帯の振動が良好で、遮音機構1が剛直にならず設置性も良好である。膜部2と支持壁部3とは同じ材料で形成されていても、異なる材料で形成されていてもよい。膜部2も柔軟材料、すなわちエネルギー弾性を有しておらずゴム弾性を有する材料と、ゴム弾性を有しておらずエネルギー弾性を有する材料と、ゴム弾性とエネルギー弾性の両方を有する材料とのうちのいずれかからなることが好ましい。
【0027】
膜部2は、錘部4が取り付けられるため、硬めの弾性膜であることが好ましい。膜部2の動的貯蔵弾性率(E’)は15MPa以上であることが好ましく、厚さ(膜厚)は0.1mm以上3.0mm以下であることが好ましく、0.5mm程度であることがより好ましい。膜部2の厚さが0.1mm以上であると、十分な厚さが確保できるため、取り扱いが容易である。膜部2の厚さが3.0mm以下であるため、遮音機構1全体の厚さや重量の増加が抑えられ、遮音機構1全体が硬くなりすぎず設置性が良好である。膜部2の材料は、JIS K6253によるデュロメータA硬さが50以上であることが好ましく、70以上であることがより好ましい。膜部2のデュロメータA硬さを上記範囲とすることで、膜部2の振動の悪化が防止され、遮音対象とする周波数帯の遮音性が良好になる。そして、膜部2の剛性(軸剛性)kは、動的貯蔵弾性率E’と膜部2の断面積Aと膜部2の厚さLとから、k=E’×A/Lと表され、剛性の評価対象とする膜部2の面積が1000cm2である時に、剛性kが106N/mm以上109N/mm以下であることが好ましく、3×106N/mm以上108N/mm以下であることがより好ましい。膜部2の面積が1000cm2であるときの剛性が106N/mm以上であることにより、膜部2の振動の悪化を抑制することができ、遮音対象とする周波数帯の遮音性が良好になる。膜部2の面積が1000cm2であるときの剛性が109N/mm以下であることにより、遮音機構1が柔軟になり、設置性が良好になる。また、膜部2の曲げ剛性Kは、動的貯蔵弾性率E’と断面二次モーメントIとから、K=E’×Iと表され、断面二次モーメントIは、膜部2の厚さhと膜部2の幅bから、I=b×h3/12と算出される。評価対象とする膜部2の面積が1000cm2である時に、曲げ剛性Kが1N/mm2以上105N/mm2以下であることが好ましく、10N/mm2以上5×104N/mm2以下であることがより好ましい。膜部2の面積が1000cm2であるときの曲げ剛性Kが1N/mm2以上であることにより、膜部2の振動が良好になり、遮音対象とする周波数帯の遮音性の悪化を抑制することができる。膜部2の面積が1000cm2であるときの曲げ剛性Kが105N/mm2以下であることにより、遮音機構1が柔軟になり設置性が良好になる。膜部2の断面形状は特に限定されるものではなく、平坦であってもよく、凹凸があってもよい。
【0028】
膜部2の材料としては、架橋(加硫)ゴム、熱可塑性エラストマー、プラスチックが挙げられる。架橋(加硫)ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、エチレン-プロピレンゴム(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)およびエチレン-ブテン-ジエンゴム(EBDM)等のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、アクリルゴム(ACM)、エチレン-アクリルゴム(AEM)、エチレン-酢酸ビニルゴム(EVA)、エピクロルヒドリンゴム(CO,ECO)、多硫化ゴム(T)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)およびフッ化シリコーンゴム(FVMQ)などのシリコーンゴム(Q)、ウレタンゴム(U)、フッ素ゴム(FKM)等の各種ゴム材料を架橋(加硫)させたものが挙げられる。これらの架橋(加硫)ゴムは、単独で用いることもでき、または2種類以上の組み合わせで用いることもできる。なお、架橋(加硫)方式としては、例えば、架橋剤(加硫剤)として、有機過酸化物、フェノール樹脂、オキシム化合物、イオウ、イオウ系化合物、ポリアミン化合物を用いて、加熱により架橋(加硫)させる方法や、電子線を照射して架橋させる方法が挙げられる。なお、架橋(加硫)ゴムには、一般にゴム配合剤として使用される各種公知の配合剤(カーボンブラック、シリカ等の補強剤、炭酸カルシウムなどの充填剤、パラフィンオイル、可塑剤等の軟化剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、防カビ剤、受酸剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等)が配合されていてよい。これらの架橋(加硫)ゴム、架橋剤(加硫剤)、配合剤は、バイオマス原料からなるものであってもよい。
【0029】
熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、エチレン-酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。また、プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、またはそれらを含む複合樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーおよびプラスチックは、バイオマス原料からなるものであってもよい。
【0030】
具体的には、膜部2の材料は、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、熱可塑性オレフィン系エラストマー、熱可塑性スチレン系エラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、熱可塑性ポリウレタンなどであることが好ましい。
【0031】
支持壁部3は、膜部2を支持可能な範囲で柔らかい柔軟材料からなることが好ましい。支持壁部3の板厚は0.5mm以上5.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以上3.0mm以下であることがより好ましい。支持壁部3の板厚が0.5mm以上であることにより、遮音機構1の形状保持性が良好になる。支持壁部3の板厚が5.0mm以下であることにより、膜部2の振動が良好で、遮音対象となる周波数帯の遮音性が良好になり、遮音機構1全体の重量の増加を抑えることができる。支持壁部3の膜部2に直交する方向に延びる高さは5mm以上20mm以下であることが好ましく、10mm以上20mm以下であることがより好ましい。支持壁部3は部分的に高さが異なっていてもよい。部分的に支持壁部3の高さが異なる場合は、高さの高い部分は10mm以上20mm以下であってよく、12mm以上20mm以下であることがより好ましく、14mm以上20mm以下であることがさらに好ましい。支持壁部3の高さが低すぎないことにより、錘部4がばねマス共振器として十分な高さを持つことができる。支持壁部3の高さが高すぎないことにより、全体の重量を軽量化することができる。支持壁部3の材料は、JIS K6253によるデュロメータA硬さが1以上90以下のものであることが好ましく、10以上70以下のものであることがより好ましい。支持壁部3のデュロメータA硬さが1以上であることにより、遮音機構1の形状保持性を保つことができる。支持壁部3のデュロメータA硬さが90以下であることにより、支持壁部3からの振動が膜部2に伝達して遮音性能が悪化するのを防ぐことができ、遮音機構1が柔軟になり設置性が良好になる。そして、支持壁部3の剛性kは、動的貯蔵弾性率E’と支持壁部3の断面積Aと支持壁部3の高さLとから、k=E’×A/Lと表され、剛性の評価対象とする支持壁部3の面積が1000cm2である時に、剛性kが10N/mm以上106N/mm以下であることが好ましく、102N/mm以上105N/mm以下であることがより好ましい。支持壁部3の面積が1000cm2である時の剛性kが10N/mm以上であることにより、遮音機構1の形状保持性を保つことができる。支持壁部3の面積が1000cm2である時の剛性kが106N/mm以下であることにより、支持壁部3からの振動が膜部2に伝達し、遮音性能が悪化することを防ぐとともに、遮音機構1が剛直にならず設置性が良好である。
【0032】
支持壁部3の材料としては、架橋(加硫)ゴム、熱可塑性エラストマー、樹脂発泡体などが挙げられる。架橋(加硫)ゴム、熱可塑性エラストマーは、膜部2の材料として挙げられた材料と同じであってよい。樹脂発泡体としては、独立気泡構造でも、連続気泡構造でもよく、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、エチレン-酢酸ビニルゴム(EVA)フォームなどが挙げられる。具体的には、支持壁部3の材料は、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、熱可塑性オレフィン系エラストマー、熱可塑性スチレン系エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリウレタンフォームなどであることが好ましい。これらの樹脂発泡体はバイオマス原料からなるものであってもよい。
【0033】
錘部4のばね部4aの材料は、架橋(加硫)ゴム、熱可塑性エラストマー、樹脂発泡体などの柔軟材料である。架橋(加硫)ゴム、熱可塑性エラストマー、樹脂発泡体は、支持壁部3の材料として挙げられた材料と同じであってよい。具体的には、錘部4のばね部4aの材料は、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、熱可塑性オレフィン系エラストマー、熱可塑性スチレン系エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリウレタンフォームなどであることが好ましい。これらの材料はバイオマス原料からなるものであってもよい。
【0034】
質量部4bの材料は特に限定しないが、樹脂または金属等からなり、質量部4bはばね部4aよりも質量が大きく、例えば0.1g以上2.0g以下の質量を有している。質量部4bは、ばね部4aの質量の2倍以上の質量を有することが好ましい。質量部4bの重量がばね部4aの質量の2倍以上であることにより、錘部4を、遮音対象とする周波数域で十分に共振させることができ、良好な遮音効果が得られる。質量部4bの材料が樹脂である場合、その樹脂はバイオマス原料からなるものであってもよい。
【0035】
ばね部4aのばね定数(剛性)は、質量部4bの質量に基づいて、共振周波数が主な遮音対象とする周波数と一致するように決定される。一例としては、質量部4bの質量が1.0gであって、主な遮音対象とする周波数が1000Hz以下である場合には、ばね部4aのばね定数は0.5N/mm以上100N/mm以下であり、1N/mm以上50N/mm以下であることがより好ましい。
【0036】
このような構成であると、膜部2、支持壁部3、錘部4のいずれも比較的軽量であり、膜部2に直交する方向の寸法が比較的小さい。このように本実施形態の遮音機構1は軽量かつ薄型でありながら、前述した通り特定の周波数域(例えば、自動車におけるロードノイズの主な周波数帯である1000Hz以下の周波数や、発電機やコンプレッサーが発する騒音の周波数や、人の会話音の周波数)において高い遮音性が得られる。この遮音機構1を、図1~2に示す遮音構造体10の一部(例えば天板部11aと各側板部11bのそれぞれの内面)に採用すると、少なくとも一部が遮音構造体10に囲まれた発音源12が発生した音を良好に遮断することができる。この遮音構造体10は、平面状の載置面にも、曲面状や凹凸を有する載置面にも、接着等により固定しなくても容易かつ安定的に設置することができる。
【0037】
図5(A)は本発明の第1の実施形態の変形例の遮音構造体10の遮音機構1の斜視図であり、図5(B)は図5(A)のA-A線において切断して上下反転した断面図である。図6(A)は他の変形例の遮音構造体10の遮音機構1の断面図、図6(B)はその遮音機構1の錘部4の斜視図である。図7(A)はさらに他の変形例の遮音構造体10の遮音機構1の断面図、図7(B)はその遮音機構1の錘部4の斜視図である。図5(A),5(B)に示す変形例では、ばね部4aは小径の円柱状であり、質量部4bは大径の円柱状である。図6(A),6(B)に示す変形例では、ばね部4aは細長い円柱状であり、質量部4bは球状であり、円柱状のばね部4aの横断面形状の直径は、球状の質量部4bの直径よりも小さい。図7(A),7(B)に示す変形例では、ばね部4aは円錐台形であり、質量部4bは円柱状であり、円錐台形のばね部4aの最小部分の直径は、円柱状の質量部4bの直径と実質的に一致している。図5~6に示す変形例では、ばね部4aよりも質量部4bの方が大きな体積を有する。そのため、ばね部4aと質量部4bとが同じ材料で形成されていても、質量部4bはばね部4aよりも質量が大きく、ばねマス共振器を構成することができる。ただし、この変形例において、ばね部4aと質量部4bとが異なる材料で形成されていて、質量部4bはばね部4aよりも質量が大きい構成であってもよい。一方、図7(A),7(B)に示す変形例では、質量部4bよりもばね部4aの方が大きな体積を有する。この場合、質量部4bはばね部4aよりも密度が大きい材料で形成されていて、質量部4bはばね部4aよりも質量が大きくなっていて、ばねマス共振器を構成することができる。図7(A),7(B)に示す変形例のように、ばね部4aが、膜部2から離れる方向に向かって先細の円錐台形であると、膜部2とばね部4aとが一体成形される場合の金型からの離型性が良好である。本発明の錘部4の形状および寸法は限定されず、図3~7に示す形状や、図示しないその他の様々な形状を採用することができる。錘部4は、遮音のために必要とされるばねマス共振器の性能を満たし、かつ区画5内に収容可能なように選択された任意の形状および寸法に形成される。
【0038】
本実施形態では、錘部4のばね部4aと質量部4bとで、材料と体積のいずれか一方または両方を異ならせることで、ばね部4aよりも質量部4bの質量を大きくして、ばねマス共振器を構成し、十分な遮音効果を得ている。すなわち、十分な遮音効果を発揮できるばねマス共振器を構成できるように、ばね部4aと質量部4bの材料、形状および寸法を決定している。このように十分な遮音効果を発揮できるばねマス共振器が構成される程度にばね部4aよりも質量部4bの質量を大きくできる限り、ばね部4aと質量部4bの材料、形状および寸法を自由に選択できる。ただし、ばね部4aはばねとして機能するために、柔軟材料から形成される必要がある。
【0039】
[第2の実施形態]
図8(A)は本発明の第2の実施形態の遮音構造体10の遮音機構6の斜視図であり、図8(B)は図8(A)のA-A線において切断して上下反転した断面図である。本実施形態では、図1~2に示す第1の実施形態の遮音構造体10と同様に、図示しないが遮音構造体の天板部と各側板部の、四角筒の内側(中空部側)の面がそれぞれ遮音機構6を有している。この遮音機構6は、ばね部と質量部とに分かれていない単一構造の錘部7を有している。本実施形態では、錘部7全体が質量部として機能し、膜部2がばね部として機能するばねマス共振器が構成されている。一例としては、錘部7の質量は0.1g~2.0g程度である。錘部7の材料は限定されず、例えば合成樹脂または金属から形成されている。それ以外の構成は、前述した第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。本実施形態の遮音機構6でも、錘部7と膜部2とが構成しているばねマス共振器の作用により膜振動が制御され、特定の周波数域(例えば1000Hz以下)において、膜振動が大幅に低減され、高い遮音性が発揮される。なお、膜部2とともに、膜部2と支持壁部3とに囲まれている空間内の空気が、ばねマス共振器のばねの一部(空気ばね)として機能する場合もある。
【0040】
本実施形態の膜部2と支持壁部3はいずれも、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率が0.01MPa以上100MPa以下であることが好ましく、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける損失正接が0.01以上0.50以下であることが好ましい。さらに、本実施形態の膜部2と支持壁部3はいずれも、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.05MPa以上50MPa以下で、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける損失正接(tanδ)が0.05以上0.50以下であることがより好ましい。
【0041】
また、本実施形態の支持壁部3は、エネルギー弾性を有しておらずゴム弾性を有する材料と、ゴム弾性を有しておらずエネルギー弾性を有する材料と、ゴム弾性とエネルギー弾性の両方を有する材料とのうちのいずれかからなる。同様に、本実施形態の膜部2も、エネルギー弾性を有しておらずゴム弾性を有する材料と、ゴム弾性を有しておらずエネルギー弾性を有する材料と、ゴム弾性とエネルギー弾性の両方を有する材料とのうちのいずれかからなる。
【0042】
図示しないが、本発明の第2の実施形態の変形例の遮音構造体10では、錘部7は膜部2から離れる方向に向かって先細の円錐台形である。この構成では、膜部2と錘部7とが一体成形される場合の金型からの離型性が良好である。本実施形態では錘部7の形状は任意に決定可能であり、特に限定されない。
【0043】
第1~2の実施形態のいずれにおいても、膜部2と支持壁部3とを、前述した材料の射出成形、圧縮成形、プレス成型、押出成形、トランスファー成形、注型等による一体成形や二色成形により形成可能である。さらに、錘部4,7の少なくとも一部も、膜部2および支持壁部3とともに、前述した材料の一体成形や二色成形やインサート成形等によって形成できる場合もある。ただし、膜部2と支持壁部3と錘部4,7とをそれぞれ別々に形成した後で、接着や熱融着により互いに接合することによって遮音機構1,6を組み立てるようにしても構わない。
【0044】
以上説明した遮音機構1,6の構成では、図9(A),9(B)に示すように、支持壁部3が、膜部2に平行な第1の方向D1に延びる複数の第1壁部3aと、第1の方向D1に直交する第2の方向D2に延びる複数の第2壁部3bと、を含んでおり、各区画5の平面形状は正方形である。言い替えると、支持壁部3は、個々の区画5を画定する正方形の横断面形状を有する角筒状であり、角筒状の支持壁部3が多数並べて配置され、隣接する区画5の支持壁部3が一体化している構成である。しかし、このような構成に限定されない。例えば、図示しないが、各区画5の平面形状が三角形であって、支持壁部3は、個々の区画5を画定する三角形の横断面形状を有する角筒状であってもよい。また、図示しないが、各区画5の平面形状が五角形であって、支持壁部3は、個々の区画5を画定する五角形の横断面形状を有する角筒状であってもよい。図10(A),10(B)に示すように、各区画5の平面形状が六角形であって、支持壁部3は、個々の区画5を画定する六角形の横断面形状を有する角筒状で、いわゆるハニカム構造を構成するものであってもよい。さらに、図示しないが、各区画5の平面形状が円形であって、支持壁部3は、個々の区画5を画定する円形の横断面形状を有する円筒状であってもよい。各区画5の平面形状が五角形や円形である構成の場合には、区画5同士の間に隙間が生じるので、隙間が小さくなるように支持壁部3の形状および寸法を決定することが好ましく、隙間を塞ぐように膜部2が拡がっていることが好ましい。各区画5の平面形状が四角形や三角形や六角形である構成の場合には、区画5同士の間に隙間が生じない。さらに、各区画5は、図示されていない様々な形状、例えば、長方形、平行四辺形、台形、七角形以上の多角形、楕円形、長円形等であってもよく、不規則な形状であってもよい。支持壁部3は、各区画5の平面形状に合わせた形状および寸法に形成される。
【0045】
本発明の第1~2の実施形態の遮音構造体10では、発音源12の一部を上方と側方とから覆う天板部および側板部の少なくとも一部が、膜部2と支持壁部3と錘部4,7とを含む遮音機構1,6からなる。それによって、発音源12からの音に対する遮音効果が得られる。そして、遮音構造体10は、曲面や凹凸を有する面の上に載置することも容易であり、乗物、特に自動車のパネル上に載置されて使用されてもよい。自動車等のパネルは基本的に通気性のない板であり、一例として、金属板(鉄板、鋼板、アルミニウム板)、樹脂板などが挙げられる。遮音構造体10が載置されるパネルが金属板である場合には、その厚さは0.5mm~2.0mmの範囲であることが好ましく、樹脂板である場合には、その厚さは0.5mm~20mmの範囲であることが好ましい。遮音構造体10はパネルや機械などの搭載面とは接着されていても接着されていなくても構わないが、遮音構造体10がパネルや機械などの搭載面に接着されずに、搭載面上に載置されて使用されることが好ましい。
【0046】
本発明の遮音構造体10を自動車に設置する部位としては、エンジンコンパートメントにおいては、エンジンヘッドカバー、エンジンボディカバー、フードインシュレーター、ダッシュ前インシュレーター、エアボックスの壁、エアインテークのクリーナー、ダストサイドダクト、アンダーカバーなどが挙げられ、キャビンにおいては、ダッシュインシュレーター、ダッシュパネル、フロアカーペット(フロアサイレンサー)、スペーサー、ドアのドアトリム、ドアトリムの内部、インストパネル、インストセンターボックス、インストアッパーボックス、エアコンの筐体、ルーフのトリム、ルーフトリムの内部、サンバイザー、後席向けエアコンダクト、電池搭載車両における電池冷却システムの冷却ダクト、冷却ファン、センターコンソールのトリム、コンソールの内部、パーセルトリム、パーセルパネル、シートのヘッドレスト、フロントシートのシートバック、リアシートのシートバックなどが挙げられ、トランクにおいては、トランクサイドのトリム、トリムの内部、ドラフターカバーなどが挙げられる。また、本発明の遮音構造体10は、自動車の骨格内やパネル間にも設置可能であり、さらには、車外に位置するフロア下のアンダーカバー、フェンダープロテクター、バックドア、ホイールカバー、サスペンションの空力カバーなどにも設置可能である。
【0047】
本発明の遮音構造体10の使用例を、図11~14に模式的に示している。ただし、見やすくするために図11~14の各遮音構造体10の遮音機構1,6の具体的かつ詳細な形状は図示省略している。図11(A)~11(D)に示す使用例では、遮音構造体10が各種の発音源を少なくとも部分的に覆っている。図11(A)に示す使用例では、乗物のエンジン21を上方および側方から覆う遮音構造体10(エンジンカバー)の少なくとも一部の、エンジン21に向いた面が、前述した構成の遮音機構1,6のいずれかからなる。図11(B)に示す使用例では、発電機22等の装置を側方から覆う遮音構造体10(発電機カバー)の少なくとも一部の、発電機22に向いた面が、前述した構成の遮音機構1,6のいずれかからなる。この遮音構造体10は、発電機22の上方は覆わずに開放している。また、この遮音構造体10の一部は開閉可能な扉部を構成している。図11(C)に示す使用例では、コンプレッサー23等の大きな装置を側方から覆う遮音構造体10の少なくとも一部の、コンプレッサー23に向いた面が、前述した構成の遮音機構1,6のいずれかからなる。この遮音構造体10は、コンプレッサー23の上方は覆わずに開放している。また、この遮音構造体10の一部は開閉可能な扉部を構成している。図11(D)に示す使用例では、換気扇24の建物の壁面への取付部分以外の部分を覆う遮音構造体10の少なくとも一部の、換気扇24に向いた面が、前述した構成の遮音機構1,6のいずれかからなる。
【0048】
図12~14に示す使用例では、遮音構造体10が、発音源から隔離される空間を少なくとも部分的に覆っている。図12に示す使用例では、作業台25上に置かれる卓上ブースが、本発明の遮音構造体10からなる。この遮音構造体10(卓上ブース)は、作業台25上の、コンピュータ(図示せず)等が置かれる空間の一部を側方および上方から覆い、この遮音構造体10の少なくとも一部の、内側に向いた面が、前述した構成の遮音機構1,6のいずれかからなる。図13に示す使用例では、会議テーブル26が置かれる床面上に設置され、会議テーブル26が設置され複数の人が入る広い空間の一部を側方から覆うパーティションが、本発明の遮音構造体10からなる。この遮音構造体10(パーティション)の少なくとも一部の、内側に向いた面が、前述した構成の遮音機構1,6のいずれかからなる。この遮音構造体10は、会議テーブル26が設置され複数の人が入る空間の上方は覆わずに開放している。図14に示す使用例では、人が1人入れる程度の大きさの空間を上方および側方の一部から覆うブースが、本発明の遮音構造体10からなる。この遮音構造体10(ブース)は、人が1人入れる程度の大きさの空間の内側に向いた面が、前述した構成の遮音機構1,6のいずれかからなる。この遮音構造体10は、人が出入りする開放された出入口を有している。
【0049】
図12~14に示す使用例のように、遮音構造体10を用いて、発音源から隔離される空間を少なくとも部分的に覆うように配置する場合、遮音構造体10のみが単独で用いられてもよく、遮音構造体10を支持する外部部材(図示しないが、遮音構造体10には含まれない部材であって、例えばパネルやフレームやパンチングメタル)を遮音構造体10とともに用いてもよい。外部部材の材質や形状は特に限定せず、用途に応じて任意に設定可能である。外部部材による遮音構造体10の支持方法は特に限定しないが、例えば外部部材がパネルなどである場合には、支持壁部3の膜部2と接する面と反対側の面に外部部材が搭載されてもよく、外部部材がフレームである場合には、前述したパネルと同様な方法の他に、複数の遮音構造体10をフレーム状の外部部材でつなぎ合わせて支持する方法をとってもよい。また、図12~14に示す使用例のように、遮音構造体10を用いて、発音源から隔離される空間を少なくとも部分的に覆うように配置する場合、遮音構造体10は柔軟構造であるため、発音源から隔離する空間の形状、もしくは上記外部部材の形状に合わせて、遮音構造体10を配置することができ、具体的には遮音構造体10を曲面形状や凹凸形状に配置することも可能である。
【0050】
以上説明した通り、本発明の遮音構造体10は、様々な装置や設備の少なくとも一部を覆うカバーや、人体の一部や1人または複数の人が入る空間の少なくとも一部を覆うブースやパーティションに採用することができる。遮音構造体10は、立方体、直方体、錘状、ドーム状、ブース状等の任意の形状を有するものであってよい。遮音構造体10の遮音機構1,6からなる各部分にはそれぞれ、少なくとも2×2以上のマトリクス状に配置された4つ以上の区画5が設けられていることが好ましい。
【0051】
本発明の遮音構造体10によると、薄型かつ軽量であって、特に1000Hz以下の低周波数領域での良好な遮音性を有するとともに、構造が柔軟であるため、搭載部位が曲面状または凹凸を有する面に容易に安定的に搭載することができる。そして、発音源12(例えば機械装置など)または発音源12から隔離する空間を側方から少なくとも部分的に覆う包囲部11により、発音源12が発する音の影響を抑制することができる。
【実施例0052】
本発明の具体的な実施例と比較例について以下に説明する。
[実施例1]
本発明の実施例1の遮音構造体10の遮音機構1は、図3~4に示す第1の実施形態と同じ構造である。膜部2は、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率が0.01MPa以上100MPa以下で、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける損失正接が0.01以上0.50以下の範囲内である弾性体からなる。より具体的には、本実施例の膜部2は、23℃で周波数1Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が20.4MPaで、損失正接(tanδ)が0.12であり、23℃で周波数10Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が23.0MPaで、損失正接(tanδ)が0.13であり、23℃で周波数100Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が25.4MPaで、損失正接(tanδ)が0.16であり、23℃で周波数1000Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が28.8MPaで、損失正接(tanδ)が0.14であり、JIS K6253によるデュロメータA硬さが70で、膜厚が0.5mmのEPDM(エチレン-プロピレン-ジエンゴム)からなる。この膜部2の平面形状が面積1000cm2の正方形である場合には、曲げ剛性Kは67.2N/mm2であり、平面形状が面積400cm2の正方形である場合には、曲げ剛性Kは42.5N/mm2である。仮に、この膜部2と同じ材料で、膜厚が3mmで平面形状が面積1000cm2の正方形である膜部を形成した場合には、その曲げ剛性Kは約1.5×104N/mm2である。
【0053】
本実施例の支持壁部3は、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率が0.01MPa以上100MPa以下で、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける損失正接が0.01以上0.50以下の範囲内である弾性体からなる。より具体的には、本実施例の支持壁部3は、23℃で周波数1Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が13.2MPaで、損失正接(tanδ)が0.12であり、23℃で周波数10Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が15.0MPaで、損失正接(tanδ)が0.14であり、23℃で周波数100Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が17.4MPaで、損失正接(tanδ)が0.17であり、23℃で周波数1000Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が20.2MPaで、損失正接(tanδ)が0.16であり、JIS K6253によるデュロメータA硬さが65で、板厚が1.6mmで、膜部2に直交する方向の高さが10mmのEPDMからなる。ただし、最も外側に位置する支持壁部3のみは、板厚が半分の0.8mmである。複数の支持壁部3(第1壁部3aおよび第2壁部3b)によって画定される区画5は25mm×25mmの正方形状であり、膜部2の200mm×200mmの正方形の領域(評価面)に49個の区画5が存在する。ただし、図面にはこの領域の一部のみを模式的に示している。錘部4は直径が6mmで高さ(膜部2に直交する方向の寸法)が6mmの円柱状である。
【0054】
この錘部4のうち、膜部2に取り付けられている側の部分であるばね部4aは、高さが3mmであり、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率が0.01MPa以上100MPa以下で、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける損失正接が0.01以上0.50以下の範囲内である弾性体からなる。より具体的には、本実施例のばね部4aは、23℃で周波数1Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.60MPaで、損失正接(tanδ)が0.17であり、23℃で周波数10Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.74MPaで、損失正接(tanδ)が0.24であり、23℃で周波数100Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.97MPaで、損失正接(tanδ)が0.17であり、23℃で周波数1000Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が1.31MPaで、損失正接(tanδ)が0.16であり、JIS K6253によるデュロメータA硬さが10のシリコーンゴムからなる。錘部4の、膜部2に取り付けられている側と反対側の部分である質量部4bも高さが3mmであり、剛性を有するステンレス(SUS304)からなる。錘部4の質量は約0.8gであり、錘部4の設置面に垂直な方向に対して、周波数600Hz~650Hzにピークを示す共振を有する。遮音機構1全体の高さは10.5mmであり、1つの区画5における膜部2、支持壁部3、錘部4を含む全体の面密度は、2.97kg/m2である。なお、面密度はサンプルの重量と面積とから計算された値である。
【0055】
本実施例の遮音機構1の支持壁部3の、膜部2に取り付けられている側と反対側の端面を入射音側として遮音性を測定した。具体的には、JIS A1441-1に示されているインテンシティ法に準じ、音源室が残響室であり受音室が半無響室である試験設備室を用い、1/3オクターブバンド分析による1/3オクターブバンド中心周波数[Hz]に対する音響透過損失(透過損失)[dB]を求めた。1/3オクターブバンド中心周波数と音響透過損失との関係を求め、図15(A)~15(C),16(A)~16(C),18(B)に示している。音響透過損失が大きいほど遮音性が高い。なお、図15(A)~18(B)に示されている1/3オクターブバンド中心周波数[Hz]において、1kHzは1000Hzであり、接頭語「k」は1000を意味する。
【0056】
[実施例2]
本発明の実施例2の遮音構造体10の遮音機構6は、図8に示す第2の実施形態と同じ構造である。本実施例の膜部2および支持壁部3は実施例1の膜部2および支持壁部3と同じである。そして、錘部7は、JIS K6253-3によるデュロメータA硬さが65のEPDMからなり、直径が13mmで高さ(膜部2に直交する方向の寸法)が5mmの円柱状である。錘部7の質量は約0.85gであり、この構成の面密度は、3.04kg/m2である。実施例1と同様な方法で本実施例の遮音機構6の遮音性を求め、図15(B)に示している。
【0057】
[実施例3]
図19に示す本発明の実施例3の遮音構造体10の遮音機構6は、実施例2と同じ構造であるが、実施例2の錘部7よりも小型の錘部7を有している。図19(A)は遮音機構6の斜視図であり、図19(B)はそのA-A線に沿って切断して上下反転した断面図である。本実施例の膜部2および支持壁部3は実施例1の膜部2および支持壁部3と同じである。錘部7は、JIS K6253-3によるデュロメータA硬さが65のEPDMからなり、直径が6mmで高さ(膜部2に直交する方向の寸法)が5mmの円柱状である。錘部7の質量は約0.15gである。この構成の面密度は、2.54kg/m2である。実施例1と同様な方法で本実施例の遮音機構6の遮音性を求め、図15(B)に示している。
【0058】
[実施例4]
本発明の実施例4の遮音構造体10の遮音機構1(図示せず)は、実施例1と同じ構造であるが、実施例1の支持壁部3よりも柔らかい支持壁部3を有している。本実施例の膜部2および錘部4は実施例1の膜部2および錘部4と同じである。本実施例の支持壁部3は、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率が0.01MPa以上100MPa以下で、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける損失正接が0.01以上0.50以下の範囲内である弾性体からなる。より具体的には、本実施例の支持壁部3は、23℃で周波数1Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が1.48MPaで、損失正接(tanδ)が0.07であり、23℃で周波数10Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が1.72MPaで、損失正接(tanδ)が0.12であり、23℃で周波数100Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が2.00MPaで、損失正接(tanδ)が0.11であり、23℃で周波数1000Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が2.33MPaで、損失正接(tanδ)が0.12であり、JIS K6253-3によるデュロメータA硬さが30で、板厚が1.6mmで、膜部2に直交する方向の高さが10mmのEPDMからなる。ただし、最も外側に位置する支持壁部3のみは、板厚が半分の0.8mmである。この構成の面密度は、2.52kg/m2である。実施例1と同様な方法で本実施例の遮音機構1の遮音性を求め、図15(C)に示している。
【0059】
[実施例5]
実施例5の遮音構造体10の遮音機構1(図示せず)は、実施例1と同じ構造であるが、実施例1の膜部2よりも柔らかい膜部2を有している。本実施例の支持壁部3および錘部4は実施例1の支持壁部3および錘部4と同じである。本実施例の膜部2は、実施例4の支持壁部3の材料と同じIS K6253-3によるデュロメータA硬さが30のEPDMからなり、その形状および寸法は実施例1の膜部2と同じである。この構成の面密度は、2.83kg/m2である。実施例1と同様な方法で本実施例の遮音機構1の遮音性を求め、図16(A)に示している。
【0060】
[実施例6]
図20に示す実施例6の遮音構造体10の遮音機構1は、実施例1と同じ構造であるが、実施例1の区画5よりも広い区画5を有している。図20(A)は遮音機構1の斜視図であり、図20(B)はそのA-A線に沿って切断して上下反転した断面図である。本実施例の膜部2および錘部4は実施例1の膜部2および錘部4と同じである。そして、本実施例の支持壁部3自体は実施例1の支持壁部3と同じであるが、実施例1よりも広い間隔で並べて配置されている。その結果、本実施例の各区画5はそれぞれ50mm×50mmの正方形状で、その面積は2500mmである。この構成の面密度は、1.60kg/m2である。膜部2の200mm×200mmの正方形の領域(評価面)に9個の区画5が存在する。ただし、図面にはこの領域の一部のみを模式的に示している。実施例1と同様な方法で本実施例の遮音機構1の遮音性を求め、図16(B)に示している。
【0061】
[実施例7]
実施例7の遮音構造体10の遮音機構1(図示せず)は、実施例1と同じ構造であるが、錘部4が、直径が13mmで高さ(膜部2に直交する方向の寸法)が9mmの円柱状である。この錘部4のうち、膜部2に取り付けられている側の部分であるばね部4aは高さが4mmであり、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率が0.01MPa以上100MPa以下で、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける損失正接が0.01以上0.50以下の範囲内である弾性体からなる。より具体的には、本実施例のばね部4aは、23℃、1Hzの動的貯蔵弾性率が0.06MPaで、損失正接(tanδ)が0.15であり、23℃で周波数10Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.07MPaで、損失正接(tanδ)が0.15であり、23℃で周波数100Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.08MPaで、損失正接(tanδ)が0.15であり、23℃で周波数1000Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.10MPaで、損失正接(tanδ)が0.15であるポリウレタンフォームからなる。錘部4の、膜部2に取り付けられている側と反対側の部分である質量部4bは高さが5mmであり、JIS K6253-3によるデュロメータA硬さが65のEPDMからなる。錘部4の質量は約1.0gである。
【0062】
本実施例の膜部2および支持壁部3は実施例1の膜部2および支持壁部3と同じである。この構成の面密度は、3.08kg/m2である。実施例1と同様な方法で本実施例の遮音機構1の遮音性を求め、図16(C)に示している。
【0063】
[実施例8]
実施例8の遮音構造体10の遮音機構1(図示せず)は、図5に示す第1の実施形態の変形例と同じ構造である。本実施例の膜部2および支持壁部3は実施例1の膜部2および支持壁部3と同じであるが、本実施例の錘部4は、小径の円柱状のばね部4aと、大径の円柱状の質量部4bとからなる。錘部4の、膜部2に取り付けられている側の部分であるばね部4aは、直径が6mmで高さ(膜部2に直交する方向の寸法)が3mmの円柱状であり、実施例1の錘部4のばね部4aと同じ材料(JIS K6253-3によるデュロメータA硬さが10のシリコーンゴム)からなる。錘部4の、膜部2に取り付けられている側と反対側の部分である質量部4bは、直径が13mmで高さが5mmの円柱状であり、JIS K6253-3によるデュロメータA硬さが65のEPDMからなる。錘部4の質量は約1.0gである。この構成の面密度は、3.13kg/m2である。実施例1と同様な方法で本実施例の遮音機構1の遮音性を求め、図16(C),17(A)に示している。
【0064】
[実施例9]
実施例9の遮音構造体10の遮音機構1(図示せず)は、図5に示す第1の実施形態の変形例と同じ構造である。本実施例の膜部2および錘部4は実施例8の膜部2および錘部4と同じであるが、本実施例の支持壁部3は、JIS K6253によるデュロメータA硬さが30で、板厚が1.6mmで、膜部2に直交する方向の高さが10mmのEPDMからなる。この構成の面密度は、2.81kg/m2である。実施例1と同様な方法で本実施例の遮音機構1の遮音性を求め、図17(A)~17(C)に示している。
【0065】
[実施例10]
図21に示す実施例10の遮音構造体10の遮音機構1は、図5に示す第1の実施形態の変形例と同じ構造である。図21は遮音機構1の断面図である。本実施例の膜部2および錘部4は実施例9の膜部2および錘部4と同じであるが、本実施例の支持壁部3は、JIS K6253によるデュロメータA硬さが30で、板厚が1.6mmで、膜部2に直交する方向の高さが14mmのEPDMからなる。この構成の面密度は、3.16kg/m2である。実施例1と同様な方法で本実施例の遮音機構1の遮音性を求め、図17(B)に示している。
【0066】
[実施例11]
図22に示す実施例11の遮音構造体10の遮音機構1は、図5に示す第1の実施形態の変形例と同じ構造である。図22(A)は遮音機構1の斜視図であり、図22(B)はそのB-B線に沿って切断して上下反転した断面図である。本実施例の膜部2および錘部4は実施例9の膜部2および錘部4と同じであるが、本実施例では、複数の支持壁部のうちの一部の支持壁部3dは、他の支持壁部3cよりも、膜部2に直交する方向に延びる高さが高い。すなわち、本実施例の遮音機構1は、実施例10の支持壁部3と同じく高さが高い支持壁部(一部の支持壁部)3dと、実施例9の支持壁部3と同じく高さが低い支持壁部(他の支持壁部)3cと、を有している。具体的には、支持壁部3cは、JIS K6253によるデュロメータA硬さが30で、板厚が1.6mmで、膜部2に直交する方向の高さが10mmのEPDMからなり、支持壁部3dは、JIS K6253によるデュロメータA硬さが30で、板厚が1.6mmで、膜部2に直交する方向の高さが15mmのEPDMからなる。支持壁部3dは、支持壁部3cの1.5倍の高さを有している。本実施例では、図22(A),22(B)に示すように、高さが高い支持壁部3dが配置された行と、高さが低い支持壁部3cのみが配置された行とが交互に位置している。それにより、7×7の格子状に並ぶ49個の正方形の区画5のうち、16個の区画5が、高さが高い支持壁部3dに囲まれた区画である。この構成の面密度は、3.02kg/m2である。実施例1と同様な方法で本実施例の遮音機構1の遮音性を求め、図17(C)に示している。
【0067】
[実施例12]
実施例12の遮音機構1(図示せず)は、図5に示す第1の実施形態の変形例と同じ構造である。本実施例の錘部4は実施例8の錘部4と同じである。本実施例の膜部2および支持壁部3は、23℃で周波数1Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が7.81MPaで損失正接(tanδ)が0.06であり、23℃で周波数10Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が8.62MPaで損失正接(tanδ)が0.08であり、23℃で周波数100Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が9.19MPaで損失正接(tanδ)が0.11であり、23℃で周波数1000Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が10.3MPaで損失正接(tanδ)が0.08であり、JIS K6253によるデュロメータA硬さが50で、膜部2の厚みが1.0mmで、支持壁部3の板厚が1.2mmで、膜部2に直交する方向の高さが10mmのスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)の一体成型により形成されたものである。この構成の面密度は、2.56kg/m2である。実施例1と同様な方法で本実施例の遮音機構1の遮音性を求め、図18(A)に示している。
【0068】
[実施例13]
実施例13の遮音機構1(図示せず)は、図5に示す第1の実施形態の変形例と同じ構造である。本実施例の膜部2および支持壁部3は実施例12の膜部2および支持壁部3と同じである。本実施例の錘部4は、小径の円柱状のばね部4aと、大径の円柱状の質量部4bとからなる。錘部4の、膜部2に取り付けられている側の部分であるばね部4aは、直径が6mmで高さ(膜部2に直交する方向の寸法)が3mmの円柱状であり、23℃で周波数1Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.19MPaで損失正接(tanδ)が0.03であり、23℃で周波数10Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.19MPaで損失正接(tanδ)が0.04であり、23℃で周波数100Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.19MPaで損失正接(tanδ)が0.25であり、23℃で周波数1000Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.23MPaで損失正接(tanδ)が0.04であり、JIS K6253によるデュロメータA硬さが5のTPSからなる。錘部4の、膜部2に取り付けられている側と反対側の部分である質量部4bは、直径が11mmで高さが6mmの円柱状であり、JIS K6253-3によるデュロメータA硬さが70のEPDMからなる。この構成の面密度は、2.50kg/m2である。実施例1と同様な方法で本実施例の遮音機構1の遮音性を求め、図18(A)に示している。
【0069】
[実施例14]
実施例13の遮音機構1(図示せず)は、図5に示す第1の実施形態の変形例と同じ構造である。本実施例の膜部2および支持壁部3は実施例12の膜部2および支持壁部3と同じである。本実施例の錘部4は、小径の円柱状のばね部4aと、大径の円柱状の質量部4bとからなる。錘部4の、膜部2に取り付けられている側の部分であるばね部4aは、直径が6mmで高さ(膜部2に直交する方向の寸法)が3mmの円柱状である。錘部4の、膜部2に取り付けられている側と反対側の部分である質量部4bは、直径が9mmで高さが6mmの円柱状である。本実施例の錘部4のばね部4aおよび質量部4bは、23℃で周波数1Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.21MPaで損失正接(tanδ)が0.04であり、23℃で周波数10Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.23MPaで損失正接(tanδ)が0.03であり、23℃で周波数100Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.29MPaで損失正接(tanδ)が0.05であり、23℃で周波数1000Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が0.25MPaで損失正接(tanδ)が0.17であり、JIS K6253によるデュロメータA硬さが5のTPSからなる。この構成の面密度は、2.14kg/m2である。実施例1と同様な方法で本実施例の遮音機構1の遮音性を求め、図18(A)に示している。
【0070】
[比較例1]
比較例1として、実施例1の遮音構造体10の遮音機構1と同じ質量の部材が載置された場合の、質量則に基づいて算出される遮音性の理論値を求めて、1/3オクターブバンド中心周波数と音響透過損失との関係を図15(A)に示している。この構成の面密度は、2.90kg/m2である。
【0071】
[比較例2]
比較例2として、実施例1と同様な方法で膜部2のみの遮音性を測定し、1/3オクターブバンド中心周波数と音響透過損失との関係を図15(A)に示している。本比較例の膜部2は実施例1の膜部2と同じであり、実施例1のような支持壁部3および錘部4が存在しない。この構成の面密度は、0.68kg/m2である。
【0072】
[比較例3]
比較例3として、実施例1と同様な方法で、膜部2と支持壁部3のみからなる遮音機構の遮音性を測定し、1/3オクターブバンド中心周波数と音響透過損失との関係を図15(A)~15(B),16(C)に示している。本比較例の膜部2および支持壁部3は実施例1の膜部2および支持壁部3と同じであるが、錘部4が存在しない。この構成の面密度は、2.43kg/m2である。
【0073】
[比較例4]
比較例4の遮音構造体の遮音機構(図示せず)は、実施例1と実質的に同じ構造であるが、実施例1の支持壁部3よりも硬く、柔軟でない支持壁部3を有している。本比較例の膜部2および錘部4は実施例1の膜部2および錘部4と同じである。本比較例の支持壁部3は、23℃で周波数1Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が2.03GPaで、損失正接(tanδ)が0.0045であり、23℃で周波数10Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が2.04GPaで、損失正接(tanδ)が0.000060であり、23℃で周波数100Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が2.05GPaで、損失正接(tanδ)が0.045であり、23℃で周波数1000Hzにおける動的貯蔵弾性率(E’)が2.07GPaで、損失正接(tanδ)が0.0079であるポリ乳酸(PLA樹脂)からなり、その形状および寸法は実施例1の支持壁部3と同じである。この構成の面密度は、2.63kg/m2である。実施例1と同様な方法で本比較例の遮音機構1の遮音性を求め、図15(C)に示している。
【0074】
[比較例5]
比較例5として、比較例3と同様に、図23に示すように、膜部2と支持壁部3のみからなる遮音機構の遮音性を実施例1と同様な方法で測定し、1/3オクターブバンド中心周波数と音響透過損失との関係を図18(A)に示している。図23(A)はこの遮音機構の斜視図であり、図23(B)はそのA-A線に沿って切断して上下反転した断面図である。本比較例の膜部2および支持壁部3は、実施例1および比較例3の膜部2および支持壁部3とは異なり、実施例12の膜部2および支持壁部3と同じである。そして、本比較例の遮音機構には錘部4が存在しない。この構成の面密度は、1.88kg/m2である。
【0075】
[比較例6]
比較例6の遮音機構1(図示せず)は、実施例1と同じ構造であるが、実施例1の膜部2よりも膜厚が薄い樹脂材料からなる膜部2を有している。本比較例の支持壁部3および錘部4は実施例1の支持壁部3および錘部4と同じである。本比較例の膜部2は、膜厚が0.05mmの低密度ポリエチレン(LDPE)からなる。この構成の面密度は、2.25kg/m2である。実施例1と同様な方法で本比較例の遮音機構1の遮音性を求め、図18(B)に示している。
【0076】
[結果]
前述した本発明の実施例1~14と比較例1~6を対比した結果を説明する。図15(A)を参照すると、本発明の遮音構造体10の遮音機構1,6によって遮音効果が向上することが判る。特に、実施例1の遮音機構1によると、630Hzよりも高い周波数帯において、質量則に基づく理論値(比較例1)よりも著しく大きな遮音効果が得られ、本発明の効果が大きいことがわかる。そして、特に1.25kHzよりも低い周波数帯において比較例2、比較例3と対比すると、膜部2、支持壁部3、錘部4を有する実施例1の遮音性が大きいことが判る。
【0077】
図15(B)を参照すると、本発明の第1の実施形態の遮音機構1(実施例1)でも、第2の実施形態の遮音機構6(実施例2,3)でも、同様に良好な遮音効果が得られることが判る。なお、実施例1のように、錘部4自体がばねマス共振器を構成する場合には、ばねマス共振器の共振によって膜部2の振動が低減される周波数(例えば630Hz~1000Hz)付近で特に良好な遮音性が得られる。一方、実施例2,3のように、錘部7と膜部2とによりばねマス共振器を構成する場合には、錘部7の重さによって、遮音性が特に良好な周波数帯を調整することができる。例えば、錘部7が、実施例1の錘部4と同程度の質量であると、遮音性が特に良好な周波数帯が1000Hz付近であり、錘部7を軽くすると、遮音性が特に良好な周波数帯を高周波数側にシフトすることができる。
【0078】
図15(C)を参照すると、遮音機構の支持壁部3が柔軟材料からなるものでないと遮音性が低いが、支持壁部3が柔軟材料からなるものであると良好な遮音効果が得られることが判る。これは、支持壁部3が柔軟材料からなるものではなく硬いものであると、支持壁部3を介して膜部2に振動が伝搬しやすいのに対し、支持壁部3が柔軟材料からなるものであると、支持壁部3を介して膜部2に振動が伝搬しにくいからであると考えられる。なお、支持壁部3の硬さによって、遮音性が特に良好な周波数帯を調整することができる。例えば、支持壁部3をより柔らかくすると、遮音性が特に良好な周波数帯を低周波数側にシフトすることができる。
【0079】
図16(A)を参照すると、遮音機構の膜部2が柔らかすぎると、遮音性がやや低下することが判る。これは、膜部2が柔らかすぎると、ばねマス共振器が十分機能する程度の振動がばねマス共振器に伝わらないからであると考えられる。
【0080】
図16(B)を参照すると、遮音機構の支持壁部3によって画定される膜部2の各区画5が大きすぎると遮音性がやや低下することが判る。各区画5が大きすぎると、ばねマス共振器が十分に機能せず、振動低減効果が薄れるからであると考えられる。従って、各区画5はある程度小さい(例えば1000mm2以下である)ことが好ましい。
【0081】
図16(C)を参照すると、遮音機構1の錘部4の材料や形状が異なっていても、それぞれが好ましい範囲の材料や形状であれば、本発明における遮音機能が発現することが示されている。従って、錘部4等の材料や形状を、好ましい範囲内で自由に設定できることがわかる。
【0082】
図17(A)を参照すると、支持壁部3のJIS K6253-3によるデュロメータA硬さがある程度異なっていても、同様な遮音効果が得られることがわかる。そして、図17(B)を参照すると、支持壁部3の、膜部2に直交する方向に延びる高さがある程度異なっていても、同様な遮音効果が得られることがわかる。
【0083】
図17(C)を参照すると、複数の支持壁部のうちの一部の支持壁部3dのみ、膜部2に直交する方向に延びる高さを高くして、その他の支持壁部3cの高さは低くした構成であっても、良好な遮音効果が得られることがわかる。なお、発音源や遮音機構1,6を、図示しない外部部材に搭載して支持する場合、高さが高い支持壁部3dが少な過ぎると遮音機構1,6の安定的な支持が困難になり、多過ぎると遮音機構1,6全体の重量が増大する。従って、高さが高い支持壁部3dで囲まれる区画5が、遮音機構1,6の総区画5の5%以上であることが好ましい。また、各支持壁部3c,3dの、膜2に平行な断面を見た場合、高さが高い支持壁部3dの断面積の合計が、遮音機構1,6の全ての支持壁部3c,3dの断面積の合計の10%以上であることが好ましい。実施例11では、平面形状が25mm×25mmの正方形である膜部2のうちの20mm×20mm(面積400cm2)の領域に7×7=49個の区画5が設けられており、そのうちの16個の区画5が、高さが高い支持壁部3dで囲まれる区画5であるため、その割合は32.6%であり好ましい。
【0084】
なお、実施例10のように全ての支持壁部3の高さが高い場合であっても、実施例11のように一部の支持壁部3dのみの高さが高い場合であっても、遮音機構1,6全体の重量の増大や設置の制限を抑制するために、前述したように遮音機構1,6全体の高さを20mm以下にすることが好ましい。
【0085】
図18(A)を参照すると、膜部2および支持壁部3が熱可塑性材料の一体成型により形成されたものであっても、錘部4が設けられることで良好な遮音性が得られることがわかる。実施例13のように、錘部4のばね部4aと質量部(マス部)4bとからなるばねマス共振器において、ばね部4aがより柔らかいと、共振周波数が低周波数側にシフトし、低周波数側で大きな遮音効果が得られることがわかる。このように錘部4の構成を変更することにより、遮音周波数帯の調整が可能である。また、実施例14のように、錘部4が単一の材料からなる構成であっても、良好な遮音性が得られることがわかる。したがって、錘部4を単一の材料で製作することにより生産性を向上させることができる。
【0086】
図18(B)を参照すると、膜部2が薄い樹脂材料(フィルム)からなると遮音性が低下するため、膜部2はある程度の厚さを有することが好ましいことがわかる。実施例1のEPDMのようなエラストマー材料に比べて、比較例6のLDPEのような樹脂材料は硬いため、膜厚を薄くすることが考えられるが、一定以上の膜厚がないと膜部2として柔らかすぎて、錘部4のばね部4aと質量部(マス部)4bとからなるばねマス共振器が十分機能する程度の振動が錘部4に伝わらないと考えられる。従って、膜部2は、ある程度以上の厚さを有することが好ましい。
【0087】
本発明は以下の構成を有していてよい。
[1]発音源、または発音源から隔離する空間を、側方から少なくとも部分的に覆う包囲部を有する遮音構造体であって、
前記包囲部の少なくとも一部の、内側に向いた面が、遮音機構を有し、
前記遮音機構は、弾性を有する膜部と、前記膜部に立設されており弾性を有する支持壁部と、前記膜部に立設されている錘部と、を有し、
前記膜部は前記支持壁部によって複数の区画に分けられており、複数の前記区画の全ての内部に、または複数の前記区画のうちの一部の区画の内部に、前記錘部がそれぞれ位置しており、内部に前記錘部が位置している前記区画においては、1つの前記区画に1つの前記錘部が配置されており、
前記支持壁部の、前記膜部に直交する方向に延びる高さは、前記錘部の、前記膜部に直交する方向に延びる高さよりも大きく、
前記錘部の各々が、弾性を有するばね部と、前記ばね部よりも質量が大きい質量部とを有するばねマス共振器を構成していることを特徴とする、遮音構造体。
[2]前記膜部と前記支持壁部と前記ばね部はいずれも、エネルギー弾性を有しておらずゴム弾性を有する材料と、ゴム弾性を有しておらずエネルギー弾性を有する材料と、ゴム弾性とエネルギー弾性の両方を有する材料とのうちのいずれかからなる、[1]に記載の遮音構造体。
[3]前記膜部と前記支持壁部と前記ばね部はいずれも、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率が0.01MPa以上100MPa以下である、[1]または[2]に記載の遮音構造体。
[4]前記膜部と前記支持壁部と前記ばね部はいずれも、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける損失正接が0.01以上0.50以下である、[1]から[3]のいずれかに記載の遮音構造体。
[5]前記錘部の前記ばね部は、前記錘部の前記膜部に取り付けられている側に位置し、前記質量部は、前記錘部の前記膜部に取り付けられている側と反対側に位置する、[1]から[4]のいずれかに記載の遮音構造体。
[6]前記錘部の前記質量部は前記ばね部よりも体積が大きい、[1]から[5]のいずれかに記載の遮音構造体。
[7]前記錘部の前記質量部は前記ばね部よりも密度が大きい材料からなる、[1]から[6]のいずれかに記載の遮音構造体。
[8]発音源、または発音源から隔離する空間を、側方から少なくとも部分的に覆う包囲部を有する遮音構造体であって、
前記包囲部の少なくとも一部の、内側に向いた面が、遮音機構を有し、
前記遮音機構は、弾性を有する膜部と、前記膜部に立設されており弾性を有する支持壁部と、前記膜部に立設されている錘部と、を有し、
前記膜部は前記支持壁部によって複数の区画に分けられており、複数の前記区画の全ての内部に、または複数の前記区画のうちの一部の区画の内部に、前記錘部がそれぞれ位置しており、内部に前記錘部が位置している前記区画においては、1つの前記区画に1つの前記錘部が配置されており、
前記支持壁部の、前記膜部に直交する方向に延びる高さは、前記錘部の、前記膜部に直交する方向に延びる高さよりも大きく、
前記膜部がばね部として、前記錘部が質量部としてばねマス共振器を構成していることを特徴とする、遮音構造体。
[9]前記膜部と前記支持壁部はいずれも、エネルギー弾性を有しておらずゴム弾性を有する材料と、ゴム弾性を有しておらずエネルギー弾性を有する材料と、ゴム弾性とエネルギー弾性の両方を有する材料とのうちのいずれかからなる、[8]に記載の遮音構造体。
[10]前記膜部と前記支持壁部はいずれも、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける動的貯蔵弾性率が0.01MPa以上100MPa以下である、[8]または[9]に記載の遮音構造体。
[11]前記膜部と前記支持壁部はいずれも、23℃で周波数1Hz~1000Hzにおける損失正接が0.01以上0.50以下である、[8]から[10]のいずれかに記載の遮音構造体。
[12]前記包囲部は、前記発音源または前記空間を側方から少なくとも部分的に覆う側板部と、前記発音源または前記空間を上方から少なくとも部分的に覆う天板部と、を含む、[1]から[11]のいずれかに記載の遮音構造体。
[13]前記側板部の一部は、開閉可能な扉部を構成している、[12]に記載の遮音構造体。
[14]前記天板部と前記側板部にはそれぞれ4つ以上の前記区画が設けられており、当該区画はマトリクス状に配置されている、[12]または[13]に記載の遮音構造体。
[15]前記支持壁部は、前記膜部に直交する方向に延びるとともに前記膜部に平行な第1の方向に延びる複数の第1壁部と、前記膜部に直交する方向に延びるとともに前記第1の方向に直交する第2の方向に延びる複数の第2壁部と、を含む、[1]から[14]のいずれかに記載の遮音構造体。
[16]前記支持壁部は、個々の前記区画を画定する円形、楕円形または長円形の横断面形状を有する円筒状、あるいは、個々の前記区画を画定する多角形の横断面形状を有する角筒状である、[1]から[15]のいずれかに記載の遮音構造体。
[17]各々の前記区画の面積は100mm2以上1000mm2以下である、[1]から[16]のいずれかに記載の遮音構造体。
[18]前記膜部の面積1000cm2あたり10個以上1000個以下の前記区画が設けられている、[1]から[17]のいずれかに記載の遮音構造体。
[19]前記膜部の面積1000cm2あたり50個以上500個以下の前記区画が設けられている、[18]に記載の遮音構造体。
[20]前記支持壁部の板厚は0.5mm以上5.0mm以下である、[1]から[19]のいずれかに記載の遮音構造体。
[21]前記支持壁部の板厚は1.0mm以上3.0mm以下である、[20]に記載の遮音構造体。
[22]前記膜部の膜厚は0.1mm以上3.0mm以下である、[1]から[21]のいずれかに記載の遮音構造体。
[23]前記膜部に直交する方向の高さが5mm以上20mm以下である、[1]から[22]のいずれかに記載の遮音構造体。
[24]前記支持壁部の、前記膜部に直交する方向に延びる高さは5mm以上20mm以下である、[1]から[23]のいずれかに記載の遮音構造体。
[25]前記錘部の、前記膜部に直交する方向に延びる高さは1mm以上である、[1]から[24]のいずれかに記載の遮音構造体。
[26]前記膜部のデュロメータA硬さは50以上であり、前記支持壁部のデュロメータA硬さは1以上90以下である、[1]から[25]のいずれかに記載の遮音構造体。
【符号の説明】
【0088】
1,6 遮音機構
2 膜部
3 支持壁部
3a 第1壁部
3b 第2壁部
4,7 錘部
4a ばね部
4b 質量部
5 区画
10 遮音構造体
11 包囲部
11a 天板部
11b 側板部
12 発音源
13 設置面
21 エンジン
22 発電機
23 コンプレッサー
24 換気扇
25 作業台
26 会議テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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