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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025100248
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H10D 30/60 20250101AFI20250626BHJP
   H10D 30/65 20250101ALI20250626BHJP
   H10D 84/83 20250101ALI20250626BHJP
   H10D 30/66 20250101ALI20250626BHJP
   H10D 62/10 20250101ALI20250626BHJP
   H10D 64/20 20250101ALI20250626BHJP
   H10D 30/01 20250101ALI20250626BHJP
【FI】
H01L29/78 301G
H01L29/78 301D
H01L27/088 C
H01L29/78 301V
H01L29/78 652F
H01L29/78 652P
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/44 Y
H01L29/78 653C
H01L29/78 652K
H01L29/78 653A
H01L29/78 652M
H01L29/78 658F
H01L29/78 658G
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217475
(22)【出願日】2023-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】酒井 敦
(72)【発明者】
【氏名】永久 克己
【テーマコード(参考)】
4M104
5F048
5F140
【Fターム(参考)】
4M104BB01
4M104FF07
4M104FF10
5F048AA05
5F048AC06
5F048BA01
5F048BB05
5F048BB19
5F048BC03
5F048BC07
5F048BC12
5F048BD07
5F140AA11
5F140AA25
5F140AA30
5F140AC23
5F140BA01
5F140BB04
5F140BD05
5F140BE07
5F140BF04
5F140BF42
5F140BF43
5F140BF51
5F140BF53
5F140BH30
5F140BH47
5F140CD08
(57)【要約】
【課題】高性能の半導体装置を提供すること。
【解決手段】本開示に係る半導体装置は、第1の方向に沿って設けられた複数のトレンチ20を有する半導体基板10と、第1の方向において交互に配置された凹部21aと間引き部21bとを備え、トレンチ20に設けられたFP電極21と、FP電極21上に設けられた酸化膜23と、酸化膜23上に形成され、それぞれの凹部21aに配置されたゲート電極22と、を備え、隣接するトレンチ20において、ゲート電極22が第1の方向にずれて配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って設けられた複数のトレンチを有する半導体基板と、
前記第1の方向において交互に配置された凹部と間引き部とを備え、前記トレンチに設けられたフィールドプレート電極と、
前記フィールドプレート電極上に設けられた酸化膜と、
前記酸化膜上に形成され、それぞれの前記凹部に配置されたゲート電極と、を備え、
隣接する前記トレンチにおいて、前記ゲート電極が第1の方向にずれて配置されている半導体装置。
【請求項2】
前記フィールドプレート電極は、前記第1の方向における終端部において、前記半導体基板の表面側にせり上がった引き上げ部を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
1つの前記トレンチにおいて、複数の前記凹部に配置された前記ゲート電極を接続するように設けられたゲート接続電極をさらに備えた請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記間引き部が、前記引き上げ部よりも低く形成されており、
前記ゲート接続電極は、前記トレンチ内において、チャネル深さよりも浅い領域に形成され、
前記ゲート接続電極は、隣接する前記凹部に設けられた前記ゲート電極を接続するように、前記間引き部に形成されている請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
隣接する前記トレンチの前記ゲート電極は、前記第1の方向において端部が重複するように形成されている請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記間引き部が、前記引き上げ部と同じ高さで形成されており、
前記ゲート接続電極が、前記トレンチ内において、チャネル深さよりも浅い領域に形成され、
平面視で前記第1の方向と直交する第2の方向において、前記ゲート接続電極が前記フィールドプレート電極の両側に配置されている請求項3に記載の半導体装置。
【請求項7】
隣接する前記トレンチの前記ゲート電極は、前記第1の方向において端部が重複するように形成されている請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ゲート接続電極が、前記半導体基板の表面よりも高い位置に形成されており、
平面視において、前記ゲート接続電極が、複数の前記凹部に渡って形成されるよう、前記第1の方向に沿って設けられている請求項3に記載の半導体装置。
【請求項9】
隣接する前記トレンチの前記ゲート電極は、前記第1の方向において端部が重複するように形成されている請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記トレンチにおいて、複数の前記ゲート電極が第1の方向に互いに離間して設けられている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
隣接する前記トレンチの前記ゲート電極は、前記第1の方向において端部が重複するように形成されている請求項10に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体装置に関し、特にフィールドプレート電極を備えたMOSトランジスタ等の半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トレンチゲート型のMOSFET(Metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)が開示されている。このMOSFETは、半導体基板上に設けられたソース電極と、基板の裏面側に設けられたドレイン電極とを備えている。さらに、MOSFETは、トレンチ長手方向に延伸したゲート電極を備えている。また、実施の形態では、MOSFETが、ゲート電極の下方に埋込電極を形成したトレンチフィールドプレート構造となっている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-149431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなMOSトランジスタ等の半導体装置では、さらなる高性能化が望まれている。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様にかかる半導体装置は、第1の方向に沿って設けられた複数のトレンチを有する半導体基板と、前記第1の方向において交互に配置された凹部と間引き部とを備え、前記トレンチに設けられたフィールドプレート電極と、前記フィールドプレート電極上に設けられた酸化膜と、前記酸化膜上に形成され、それぞれの前記凹部に配置されたゲート電極と、を備え、隣接する前記トレンチにおいて、前記ゲート電極が第1の方向にずれて配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、高性能な半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1にかかるMOSトランジスタの構成を模式的に示す上面図である。
図2】実施の形態1にかかるMOSトランジスタの構成を模式的に示すXZ断面図である。
図3】実施の形態1にかかるMOSトランジスタの構成を模式的に示すYZ断面図である。
図4】実施の形態2にかかるMOSトランジスタの構成を模式的に示す上面図である。
図5】実施の形態2にかかるMOSトランジスタの構成を模式的に示すXZ断面図である。
図6】実施の形態2にかかるMOSトランジスタの構成を模式的に示すYZ断面図である。
図7】実施の形態3にかかるMOSトランジスタの構成を模式的に示す上面図である。
図8】実施の形態3にかかるMOSトランジスタの構成を模式的に示すXZ断面図である。
図9】実施の形態3にかかるMOSトランジスタの構成を模式的に示すYZ断面図である。
図10】変形例1にかかるMOSトランジスタの構成を模式的に示すYZ断面図である。
図11】製造工程におけるトレンチの構成を模式的に示す斜視図である。
図12】MOSトランジスタの特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。なお、図面は簡略的なものであるから、この図面の記載を根拠として実施の形態の技術的範囲を狭く解釈してはならない。また、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
実施の形態1
本実施の形態にかかるMOSトランジスタは、半導体基板に形成されたトレンチを有するトレンチゲートMOSFETである。例えば、MOSトランジスタは縦型のパワーデバイスとなる。MOSトランジスタの構成について、図1図3を用いて説明する。図1はMOSトランジスタ100の構成を模式的に示すXY平面図である。図2は、図1のII-II断面を模式的に示すXZ断面図である。図3図1のIII-III断面を模式的に示すYZ断面図である。
【0011】
なお、以下の図では、説明の明確化のため、XYZ3次元直交座標系を示している。具体的には、半導体基板10の厚さ方向(深さ方向)をZ方向とし、Z方向に直交する平面をXY平面としている。XY平面において、X方向はトレンチ20の長手方向(奥行き方向)であり、Y方向はトレンチ20の短手方向(幅方向)である。X方向とY方向とは直交している。なお、半導体基板10の+Z側の面を表面とし、-Z側の面を裏面とする。
【0012】
MOSトランジスタ100は、例えば、縦型MOSFET構造を有するパワーデバイスである。MOSトランジスタ100は、半導体基板10、トレンチ20、FP電極21、ゲート電極22、ソース34、ゲートコンタクト42、ソースコンタクト35、FPコンタクト41、ドレイン37、絶縁膜43等を備えている。なお、図示を省略するが、絶縁膜43の上には、各コンタクトに接続される上層配線のパターンが形成されている。上層配線は例えば、Al等の金属膜のパターンによって形成されている。
【0013】
例えば、半導体基板10は、シリコン基板であり、裏面側にドレイン37が設けられている。ドレイン37上に、N層12、Nドリフト層14、p型のチャネル層16が設けられている。
【0014】
図1に示すように、半導体基板10には複数のトレンチ20が形成されている。なお、図1では、2つのトレンチ20のみが示されているが、トレンチ20の数は特に限定されるものではない。実際には、複数のトレンチ20がY方向に並んで配置されている。具体的には、図1に示す2つのトレンチ20が繰り返し並んで配置されている。トレンチ20の奥行方向長さとトレンチ本数(チップ面積)を変えることで、MOSトランジスタ100のオン抵抗Ronを変えることができる。
【0015】
上記の通り、それぞれのトレンチ20は、X方向に沿って形成されている。また、複数のトレンチ20は、間隔を隔てて、Y方向に並んで配置されている。図3に示すように、隣接する2つのトレンチ20の間に、ソース34とバックゲート32とが配置されている。ソース34は、p型のチャネル層16の上に配置されている。
【0016】
トレンチ20の内部には、ゲート電極22と、フィールドプレート電極(以下、FP電極と称する)21と、酸化膜23とが設けられている。FP電極21、及びゲート電極22は、例えば、ポリシリコン膜で形成されている。酸化膜23は、シリコン酸化膜(SiO膜)等である。酸化膜23は、ゲート電極22の周辺においてゲート絶縁膜26となる。
【0017】
FP電極21はゲート電極22の下側に配置されている。FP電極21とゲート電極22との間には、酸化膜23が介在している。Z方向において、FP電極21はドレイン37とゲート電極22との間に配置される。ゲート電極22とFP電極21の上面には、絶縁膜43が形成されている。絶縁膜43は、後述する引き上げ部21cの上に形成された酸化膜となっている。例えば、絶縁膜43は、ゲート電極22、FP電極21、及びソース34等を覆うように形成されたシリコン酸化膜である。絶縁膜43は、半導体基板10の表面上に形成されている
【0018】
FP電極21は、凹部21aと、間引き部21bと、引き上げ部21cとを備えている。X方向における終端部で、FP電極21が表面側にせりあがった構造となっている。X方向における終端部で、FP電極21がせり上がった部分が引き上げ部21cとなる。また、凹部21aはFP電極21の下方に窪んだ部分である。1つのFP電極21には複数の凹部21aがX方向に並んで設けられている。それぞれの凹部21aにゲート電極22が形成されている。
【0019】
隣接する2つの凹部21aの間の部分が間引き部21bとなる。間引き部21bは、ゲート電極22が形成されていない領域となる。1つのトレンチ20には、複数の間引き部21bがX方向に沿って並んで配置されている。1つのトレンチ20では、X方向において、凹部21aと、間引き部21bとが交互に配置されている。1つのトレンチ20では、X方向において、複数のゲート電極22が互いに離間して設けられている。
【0020】
引き上げ部21cと間引き部21bがほぼ同じ高さとなっている。図1図2に示すように、X方向における凹部21aの大きさをWgとする。また、X方向において、間引き部21bの大きさをWfpとする。間引き部21bは、FP電極21がせり上がった部分となる。
【0021】
FP電極21の上には、FPコンタクト41が設けられている。FPコンタクト41は、引き上げ部21cの上に配置されている。FPコンタクト41は、金属膜などにより形成されており、絶縁膜43を貫通している。これにより、FPコンタクト41が、FP電極21に接続され、FP電極21に電位を供給することができる。
【0022】
凹部21aの上には、ゲートコンタクト42が設けられている。つまり、ゲート電極22の上に、ゲートコンタクト42が形成されている。ゲートコンタクト42は、金属膜などにより形成されており、絶縁膜43を貫通している。ゲートコンタクト42はゲート電極22と接続され、ゲート電極22にゲート電位を供給する。
【0023】
1つのトレンチ20には、複数の凹部21aと、複数のゲート電極22が設けられている。それぞれの凹部21aにゲート電極22が形成されている。よって、複数のゲート電極22がX方向に沿った1列に並んで配置されている。X方向において、複数のゲート電極22が互いに間隔を隔てて配置されている。
【0024】
さらに、図1に示すように、隣接する2つのトレンチ20において、ゲート電極22はX方向にずれて配置されている。説明の明確化のため、図1では、2つのトレンチ20のうちの一方のトレンチ20のゲート電極22をゲート電極22aとも示し、他方のトレンチ20のゲート電極22をゲート電極22bとも示す。一方のトレンチ20のゲート電極22aのX方向位置が、他方のトレンチ20のゲート電極22bのX方向位置と異なっている。
【0025】
X方向において、ゲート電極22aが設けられていない領域に、ゲート電極22bが設けられている領域が配置される。同様に、X方向において、ゲート電極22bが設けられていない領域に、ゲート電極22aが設けられている領域が配置される。さらに、X方向におけるゲート電極22aの端部とゲート電極22bの端部は、重複するように配置されている。
【0026】
Y方向におけるトレンチ20の両側には、ソース34が設けられている。つまり、Y方向において、2つのトレンチ20の間に、ソース34が形成されている。ソース34は、チャネル層16上に配置されている。また、ソース34の下側にはバックゲート32が形成されている。図1に示すように、Y方向において、トレンチ20の両側には、ソースコンタクト35が設けられている。つまり、隣接する2つのトレンチ20の間に、ソースコンタクト35が配置されている。ソースコンタクト35は、絶縁膜43を貫通している。ソースコンタクト35は、ソース34に接続されて、ソース電位を供給する。
【0027】
このように、MOSトランジスタ100のFP電極21は、X方向において交互に配置された凹部21aと間引き部21bとを備えている。そして、凹部21aには、ゲート電極22が形成されている。FP電極21には、ゲート電極22を間引くための間引き部21bが設けられている。つまり、間引き部21bには、ゲート電極22が形成されていない。このようにすることで、高性能のMOSトランジスタ100を実現することができる。例えば、ゲート電極22の面積を小さくすることができるため、ゲートドレイン間の容量Cgdを小さくすることができる。よって、スイッチング損失を低減することができる。
【0028】
以下、MOSトランジスタ100の性能指標について説明する。パワーデバイスの性能指標として、特性オン抵抗Rspだけでなく、スイッチング損失を考慮したRon*Qgdが重要である。なお、Ronは、ドレインソース間のオン抵抗、Qgdは、ゲートドレイン間に蓄積される電荷量である。Qgdは、スイッチング測定が必要なため、より簡易的な指標としてRon*Cgdで代用される。また、チップ面積を変えることで、Ron,Cgdの値を変えることができるが、デバイスの単位面積当たりのRon*Cgdはほぼ一定の値となる。なお、チップ面積は、トレンチ20の本数やX方向のトレンチ20の大きさを変えることで変化する。
【0029】
実施の形態1では、トレンチ20に間引き部21bを設けることで、ゲート電極22が間引かれた構成となっている。ゲート電極22の面積を小さくすることができるため、容量Cgd、及び容量Cgsを小さくすることができる。なお、Cgsはゲートソース間容量である。例えば、容量Cgd、CgsはWgに比例するため、Wgを小さくすることで、容量Cgd、Cgsを小さくすることができる。つまり、Wfpを大きくすることで、容量Cgd、Cgsを小さくすることができる。
【0030】
一方、ゲート面積を小さくした分、特性オン抵抗Rspも大きくなってしまう。特性オン抵抗Rspは、チャネル抵抗Rch,ドリフト抵抗Rdr、基板抵抗Rsubに応じた値となる。例えば、特性オン抵抗は、チャネル抵抗Rch,ドリフト抵抗Rdr、基板抵抗Rsubの総和(Rch+Rdr+Rsub)にほぼ等しくなる。ここで、チャネル抵抗Rchは、Wgに応じて変化するが、ドリフト抵抗Rdrと基板抵抗RsubはWgに依存しない。よって、繰り返し周期(Wg+Wfp)を最適化することで、Rsp*Cgd*Cgsで示されるトータルスイッチングロスを低減することができる。デバイスの動作周波数に応じて、最適ピッチを調整することができる。そして、隣接トレンチ間で繰り返し周期をずらすことで、特性オン抵抗Rspの増加を抑制することも可能となる。
【0031】
Wfpの大きさは小さくすることが好ましい。例えば、X方向において凹部21a、及び間引き部21bのサイズはプロセスの加工制約上、問題とならないサイズとすることができる。例えば、サブミクロンから数μm程度の範囲とすることができる。容量を下げたい場合、Wgを小さくすることが好ましい。オン抵抗を上げたくない場合はWgを大きくすることが好ましい。
【0032】
実施の形態2
実施の形態2にかかるMOSトランジスタ100の構成について、図4図6を用いて説明する。図4はMOSトランジスタ100の構成を模式的に示すXY平面図である。図5は、図4のV-V断面を模式的に示すXZ断面図である。図6図4のVI-VI断面を模式的に示すYZ断面図である。
【0033】
実施の形態2では、複数のゲート電極22を接続するためのゲート接続電極27が追加されている。ゲート接続電極27以外の基本的な構成については、実施の形態1と同様であるため、適宜説明を省略する。
【0034】
ゲート接続電極27は、ゲート電極22の上に形成されている。ゲート接続電極27は、Y方向に沿って形成されている。ゲート接続電極27は、トレンチ20よりも上方に形成されている。XY平面視において、ゲート接続電極27は、複数の凹部21aと複数の間引き部21bの上に渡って形成されている。ゲート接続電極27は、引き上げ部21cよりも上側に配置されている。ゲート接続電極27は、複数のゲート電極22と一体的に形成されたポリシリコン膜である。
【0035】
ゲート接続電極27は、半導体基板10の表面よりも高い位置に形成されている。ゲート接続電極27は、絶縁膜43によって覆われている。間引き部21bでは、ゲート接続電極27は、FP電極21の上に配置されている。間引き部21bではゲート接続電極27とFP電極21との間に酸化膜23が介在している。
【0036】
このように、ゲート接続電極27が複数のゲート電極22を接続しているため、ゲートコンタクト42の数を減らすことができる。例えば、実施の形態1では、各ゲート電極22に対して、ゲートコンタクト42が設けられている構成になっているのに対して、実施形態2では、1つのトレンチ20において、1つのゲートコンタクト42を設ければ良い。つまり、各ゲート電極22のゲートコンタクト42に対して上層配線を引き回す必要がなくなる。
【0037】
このようにすることで、コンタクトに接続される上層配線のパターンを簡素化することができる。例えば、ソースの上層配線の配線抵抗RsAlの上昇を抑制することができる。さらに、上層配線におけるゲートとソースとの間の寄生容量CgsAlの上昇を抑制することができる。よって、より高性能のMOSトランジスタ100を実現することができる。
【0038】
実施の形態2に示すゲート接続電極27を形成するためには、実施の形態1に対してフォトマスクを1枚追加すれば良い。つまり、ゲートポリシリコン膜のエッチング工程を全面エッチバックではなく、フォトレジストエッチに変更すればよい。
【0039】
実施の形態3
実施の形態3にかかるMOSトランジスタ100の構成について、図7図9を用いて説明する。図7はMOSトランジスタ100の構成を模式的に示すXY平面図である。図8は、図7のVIII-VIII断面を模式的に示すXZ断面図である。図9図7のIX-IX断面を模式的に示すYZ断面図である。
【0040】
実施の形態3では、ゲート接続電極27の構成が実施の形態2と異なっている。ゲート接続電極27以外の基本的な構成については、実施の形態1、2と重複するため、適宜説明を省略する。
【0041】
実施の形態3では、ゲート接続電極27が半導体基板10の表面よりも低い高さに形成されている。具体的には、ゲート接続電極27が引き上げ部21cと同じ高さに形成されている。図8に示すように、FP電極21が3段に形成されている。間引き部21bが引き上げ部21cよりも低くなっており、かつ、凹部21aよりも高くなっている。つまり、間引き部21bが凹部21aと引き上げ部21cとの間の高さになっている。そして、間引き部21bにゲート接続電極27が形成されている。ゲート接続電極27は、ゲート電極22と一体的に形成されたポリシリコン膜である。ゲート接続電極27はトレンチ20内に配置されている。
【0042】
そして、ゲート接続電極27が隣接する凹部21aに設けられたゲート電極22を接続している。さらに、ゲート接続電極27は、チャネル深さ(CH深さ)よりも浅い領域に形成されている。したがって、ゲート接続電極27はMOS動作しなくなる。つまり、間引き部21bでは、チャネルに沿って縦方向の電流が流れなくなる。実施の形態1と比して、Cgs低減効果は小さいが、Cgdについては同程度の低減効果を得ることができる。
【0043】
この構成により、ゲートとソースとの短絡を防ぐことが可能になる。具体的には、フォトリソグラフィ工程におけるマスクに位置ずれが生じてしまうことがある。Y方向に位置ずれが生じると、Y方向において、ゲート接続電極27とソースコンタクト35の距離(図6の破線参照)が短くなってしまう。このため、ゲートとソースがショートしてしまうおそれがある。
【0044】
本実施の形態では、ゲート接続電極27が半導体基板10の表面よりも低い高さに形成されている。よって、位置ずれに起因するゲートとソース間のショートを防ぐことができる。つまり、マスクの位置ずれに起因するソースコンタクトとゲート電極の接触を防ぐことができる。
【0045】
なお、実施の形態3の構成とするには、FP電極21となるポリシリコン膜をエッチング工程において、マスクを1枚追加すればよい。つまり、間引き部21bを形成するためのマスクと、凹部を形成するためのマスクの2枚のマスクを用いることで、図8に示すように、FP電極21を3段構成とすることができる。
【0046】
変形例1
実施の形態3の変形例1の構成について、図10を用いて説明する。MOSトランジスタの構成を模式的に示すYZ断面図である。変形例1では、間引き部21bの高さが、引き上げ部21cと同じ高さで形成されている。従って、XZ断面は図2と同様の構成となっている。そして、間引き部21bでは、図10に示すように、FP電極21のY方向における両側にゲート接続電極27が形成されている。
【0047】
ゲート接続電極27は、半導体基板10の表面よりも低い高さに形成されている。ゲート接続電極27は、チャネル深さよりも浅い領域に形成されている。
【0048】
このような構成においても、上記と同様の効果を得ることができる。位置ずれに起因するゲートとソース間のショートを防ぐことができる。また、実施の形態1と同程度の容量Cgdの低減効果を得ることができる。
【0049】
実施の形態3の変形例1のMOSトランジスタ100における製造工程について図11を用いて説明する。図11は、トレンチ20の構成を示す斜視図であり、各工程におけるトレンチ20の断面を示している。
【0050】
まず、FPデポ工程では、トレンチ20内にFP電極となるポリシリコン膜102を形成する。具体的には、トレンチ20内において、半導体基板10の表面にはシリコン酸化膜101が形成されている。シリコン酸化膜101上にポリシリコン膜102が形成される。ポリシリコン膜102は、トレンチ20からはみ出すように形成される。
【0051】
次に、エッチ工程では、シリコン酸化膜101とポリシリコン膜102をエッチングする。これにより、FP電極21と酸化膜23が形成される。この工程では、半導体基板10の表面もエッチングされる。ここで、ポリシリコン膜102に段差を付けるために、マスクを追加してもよい。また、シリコン酸化膜101のエッチングを等方性エッチングとすることでで、段差の境界部分をなだらかにすることができる。
そして、FP電極21の表面を酸化した後に、ゲート電極22を形成する(ゲートデポ工程)。つまり、酸化膜23の上にポリシリコン膜を堆積することで、ゲート電極22が形成される。その後、表面に酸化膜を形成することで、トレンチ20が完成する。
【0052】
図12は、MOSトランジスタ100の特性を示すグラフである。図12、実施の形態3のMOSトランジスタ100のセル部のみを考慮したTCAD(Technology Computer Aided Design)での検証結果を示すグラフである。図12の横軸は,オン抵抗Ron,縦軸はゲートドレイン間の容量Cgdを示している。
【0053】
間引き部21bが設けられていない構成では、オン抵抗Ronとゲートドレイン間の容量Cgdはトレードオフの関係になる。したがって、図12に示すRon*Cgが一定となるため、検証結果が破線の直線上にのる。一方、本実施形態では、Wg、Wfpを調整することでセル面積を変えた場合のRon、CdgトレードオフよりもRonの増加を抑えながら、Cdgの低減が可能となる。
【0054】
なお、上記の実施の形態に係るMOSトランジスタでは、半導体基板、半導体層、拡散層(拡散領域)などの導電型(p型もしくはn型)を反転させた構成としてもよい。そのため、n型、及びp型の一方の導電型を第1の導電型とし、他方の導電型を第2の導電型とした場合、第1の導電型をp型、第2の導電型をn型とすることもできるし、反対に第1の導電型をn型、第2の導電型をp型とすることもできる。
【0055】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0056】
100 MOSトランジスタ
10 半導体基板
12 N
14 Nドリフト層
16 チャネル層
20 トレンチ
21 FP電極
21a 凹部
21b 間引き部
21c 引き上げ部
22 ゲート電極
23 酸化膜
32 バックゲート
34 ソース
35 ソースコンタクト
37 ドレイン
41 FPコンタクト
42 ゲートコンタクト
101 シリコン酸化膜
102 ポリシリコン膜
図1
図2
図3
図4
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図10
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図12