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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010025
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】2層分離型組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/03 20060101AFI20250109BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20250109BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61K8/03
A61Q19/10
A61K8/92
A61K8/31
A61K8/33
A61K8/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024104672
(22)【出願日】2024-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2023107271
(32)【優先日】2023-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】苑 小莉
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB051
4C083AB282
4C083AC012
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC521
4C083AC541
4C083AC581
4C083AC662
4C083AC792
4C083AD152
4C083AD202
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB13
4C083CC23
4C083DD05
4C083DD31
4C083EE03
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】油水2層分離型組成物であって、振とうにより乳化状態になり、一定時間経過後は明確に油水分離するだけでなく、毛穴中の前記混合汚れを良好に除去できる組成物を提供すること。
【解決手段】次の成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、25℃における水層のpHが8.6以上12.5以下である、2層分離型組成物。
(A)25℃で液状の非エステル系油剤、
(B)直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基若しくはアルケニル基を1個又は複数個有し、かつヒドロキシ基を1個以上有する、アルキル若しくはアルケニルグリセリルエーテル又はアルキル若しくはアルケニルポリグリセリルエーテル、
(C)HLB8以上の非エステル系界面活性剤、
(D)水
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、25℃における水層のpHが8.6以上12.5以下である、2層分離型組成物。
(A)25℃で液状の非エステル系油剤、
(B)直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基若しくはアルケニル基を1個又は複数個有し、かつヒドロキシ基を1個以上有する、アルキル若しくはアルケニルグリセリルエーテル又はアルキル若しくはアルケニルポリグリセリルエーテル、
(C)HLB8以上の非エステル系界面活性剤、
(D)水
【請求項2】
水層にアミン化合物を含有する請求項1記載の2層分離型組成物。
【請求項3】
水層に水溶性塩を含有する請求項1又は2記載の2層分離型組成物。
【請求項4】
成分(A)が、25℃における粘度が18mPa・s以下の、炭化水素油、高級アルコール、エーテル油及びシリコーン油から選ばれる1種以上である請求項1又は2記載の2層分離型組成物。
【請求項5】
成分(C)が、HLB8以上18以下のノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上である請求項1又は2記載の2層分離型組成物。
【請求項6】
成分(A)の含有量が6質量%以上50質量%以下であり、成分(B)の含有量が0.015質量%以上2質量%以下であり、成分(C)の含有量が0.001質量%以上0.5質量%以下である請求項1又は2記載の2層分離型組成物。
【請求項7】
アミン化合物が、アミノアルコール、鎖状又は環状の脂肪族アミン及び塩基性アミノ酸から選ばれる1種以上である請求項2記載の2層分離型組成物。
【請求項8】
アミン化合物が、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、モルホリン、アルギニン及びリジンから選ばれる1種以上である請求項2記載の2層分離型組成物。
【請求項9】
アミン化合物が、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール及びアルギニンから選ばれる1種以上である請求項2記載の2層分離型組成物。
【請求項10】
水溶性塩が、強塩基と弱酸とからなる無機塩である請求項3記載の2層分離型組成物。
【請求項11】
皮膚化粧料である、請求項1又は2記載の2層分離型組成物。
【請求項12】
皮膚洗浄用組成物である、請求項1又は2記載の2層分離型組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静置状態において油層と水層が分離した2層分離型組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
メイク汚れ除去化粧料の形態には、水性タイプ、油性タイプ及び乳化タイプが知られている。このうち、メイク汚れ除去効果及び使用感の両立の点で、乳化タイプが良好とされる。しかし、乳化タイプには、乳化剤及び乳化系を安定させるために増粘剤が配合されており、これらの成分によるべたつきの問題がある。
【0003】
そこで、静置状態において油層と水層が分離した2層分離型組成物が開発されている。当該2層分離型組成物は、使用時に振とうにより乳化状態になることに加えて、一定時間経過後は明確な油水分離状態になる必要がある。このような、油水2層分離型組成物としては、HLBが8未満の糖脂肪酸エステル及びアルキルポリグリコシドから選ばれる界面活性剤と、炭素数8~18の分岐状アルカンと、0~4質量%のシリコーン油を含む2層分離型組成物(特許文献1)、並びに0.06質量%~1.8質量%のポリオール誘導体を含有する2層分離型組成物(特許文献2)が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6486918号公報
【特許文献2】国際公開第2020/110608号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ファンデーションなどのメイク汚れは皮膚の表面や皮溝だけに存在するのではなく、毛穴中にも存在し、かつ毛穴中の汚れはファンデーションのようなメイク化粧料とコメド皮脂の混合汚れであることが多く、これらの毛穴中の汚れは、従来のメイク除去化粧料では良好に除去できないことが判明した。
したがって、本発明の課題は、油水2層分離型組成物であって、振とうにより容易に乳化状態になり、一定時間経過後は明確に油水分離するだけでなく、毛穴中の汚れを良好に洗浄できる組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者は、種々の成分を配合して2層分離型組成物を調製し、その組成物を用いて乳化の容易性、乳化後の油水分離性だけでなく、毛穴中のファンデーションとコメド皮脂の混合汚れに対する洗浄効果を検討したところ、(A)25℃で液状の非エステル系油剤、(B)特定の構造を有する、アルキル若しくはアルケニルグリセリルエーテル又はアルキル若しくはアルケニルポリグリセリルエーテル、(C)HLB8以上の非エステル系界面活性剤、及び(D)水を用いて、2層分離型とし、かつ25℃における水層のpHを8.6以上12.5以下に調整することにより、前記乳化容易性、油水分離性及び毛穴中の汚れ洗浄効果に優れた組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、25℃における水層のpHが8.6以上12.5以下である2層分離型組成物を提供するものである。
(A)25℃で液状の非エステル系油剤、
(B)直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基若しくはアルケニル基を1個又は複数個有し、かつヒドロキシ基を1個以上有する、アルキル若しくはアルケニルグリセリルエーテル又はアルキル若しくはアルケニルポリグリセリルエーテル、
(C)HLB8以上の非エステル系界面活性剤、
(D)水。
【発明の効果】
【0008】
本発明の2層分離型組成物は、使用時に振とうすることにより容易に乳化状態になり、一定時間が経過すれば油水分離状態になり、かつ皮膚の表面や皮溝に存在するメイク汚れだけでなく、毛穴中に存在するメイク化粧料とコメド皮脂の混合汚れも良好に洗浄することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、振とうすることにより容易に乳化状態となり、静置状態において油層と水層が分離した状態となる2層分離型組成物に関するものであり、その一態様は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、25℃における水層のpHが8.6以上12.5以下である、2層分離型組成物である。
(A)25℃で液状の非エステル系油剤、
(B)直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基若しくはアルケニル基を1個又は複数個有し、かつヒドロキシ基を1個以上有する、アルキル若しくはアルケニルグリセリルエーテル又はアルキル若しくはアルケニルポリグリセリルエーテル、
(C)HLB8以上の非エステル系界面活性剤、
(D)水。
【0010】
本発明の成分(A)は、25℃で液状の非エステル系油剤であるのが、油水分離性の観点及び保存後の油水分離性の観点から、好ましい。
25℃で液状の非エステル系油剤としては、炭化水素油、エーテル油、シリコーン油及び高級アルコールから選ばれる一種以上が好ましい。このうち、毛穴中の汚れの洗浄効果の観点から、炭化水素油、エーテル油及びシリコーン油から選ばれる1種以上がより好ましい。
25℃で液状とは、25℃において流動性を有することをいう。このうち、油水分離性の観点から、25℃における粘度が18mPa・s以下のものがより好ましい。ここでの粘度は、25℃において、B型粘度計(例えば、TVB-10型・東機産業株式会社製、測定条件:ローターNo.1、60rpm、1分間)により測定される。
【0011】
前記炭化水素油としては、流動パラフィン、スクワラン、流動軽質イソパラフィン、n-オクタン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、イソドデカン、ミネラルオイル等が挙げられ、毛穴中の汚れの洗浄効果の観点から炭素数8以上22以下の分岐状アルカンが好ましく、炭素数8以上18以下の分岐状アルカンがより好ましい。
【0012】
前記エーテル油としては、セチルジメチルブチル、ジカプリリルエーテル、ジラウリルエーテル、ジイソステアリルエーテル等が挙げられる。
【0013】
前記高級アルコールとしては、炭素数12~20の液状の高級アルコールが挙げられ、分岐又は不飽和の高級アルコールが好ましく、具体的にはイソステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
【0014】
前記シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等が挙げられ、毛穴汚れの洗浄効果の観点から、少なくともジメチルポリシロキサン(ジメチコン)を含むことが好ましい。
【0015】
2層分離型組成物中の成分(A)の含有量は、毛穴中の汚れの洗浄性の観点から6質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、14質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上がよりさらに好ましく、43質量%以下が好ましい。また、一定の振とう回数で組成物を皮膚に塗布するのに十分な時間乳化している観点(以下、良好な油水混合時間の観点という)から、50質量%以下が好ましく、34質量%以下がより好ましい。より具体的には、成分(A)の含有量は、毛穴中の汚れの洗浄性及び良好な油水混合時間の観点から、6質量%以上50質量%以下が好ましく、7質量%以上50質量%以下がより好ましく、14質量%以上43質量%以下がさらに好ましく、20質量%以上34質量%以下がよりさらに好ましい。
【0016】
本発明の成分(B)は、油水分離性の観点から、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基若しくはアルケニル基を1個又は複数個有し、かつヒドロキシ基を1個以上有する、アルキル若しくはアルケニルグリセリルエーテル又はアルキル若しくはアルケニルポリグリセリルエーテルであるのが好ましい。なお、成分(B)のHLBは、8未満であるのが好ましい。ここで、HLB値は、グリフィン法で算出される値である。
ここで、グリセリル基又はポリグリセリル基にエーテル結合するアルキル基又はアルケニル基としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基又はアルケニル基であり、油水分離性の観点から、炭素数8以上18以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。
また、グリセリル基又はポリグリセリル基の少なくとも一個以上はヒドロキシ基であるのが、毛穴中の汚れ洗浄効果の観点から好ましい。
また、前記アルキル又はアルケニルグリセリルエーテル及びアルキル又はアルケニルポリグリセリルエーテルのうち、油水分離性及び毛穴中の汚れ洗浄効果の観点から、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基若しくはアルケニル基を1個又は複数個有し、かつヒドロキシ基を1個以上有する、アルキル又はアルケニルグリセリルエーテルが好ましく、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基若しくはアルケニル基を1個有する、モノアルキル又はモノアルケニルグリセリルエーテルがより好ましく、油水分離性の観点から分岐鎖の炭素数8以上18以下のアルキル基若しくはアルケニル基を1個有する、モノアルキル又はモノアルケニルグリセリルエーテルがさらに好ましい。具体的には、イソステアリルグリセリルエーテル(イソステアリルグリセリル)、ステアリルグリセリルエーテル、イソデシルグリセリルエーテル、エチルヘキシルグリセリン、セチルグリセリルエーテル、オレイルグリセリルエーテル(別名セラキルアルコール)等が好ましく、イソデシルグリセリルエーテルがより好ましい。
【0017】
2層分離型組成物中の成分(B)の含有量は、良好な油水混合時間、毛穴中の汚れの洗浄性の観点から0.015質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.036質量%以上がさらに好ましく、0.05質量%以上がよりさらに好ましい。また、油水分離性、毛穴中の汚れ洗浄効果の観点から、2質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、0.09質量%以下がさらに好ましい。より具体的には、成分(B)の含有量は、毛穴中の汚れの洗浄性、油水分離性及び良好な油水混合時間の観点から、0.015質量%以上2質量%以下が好ましく、0.03質量%以上1.5質量%以下がより好ましく、0.036質量%以上2質量%以下がさらに好ましく、0.036質量%以上1.5質量%以下がさらに好ましく、0.05質量%以上0.09質量%以下がよりさらに好ましい。
【0018】
2層分離型組成物中の成分(B)と成分(A)の含有質量比(B/A)は、油水分離性の観点から、0.0065以下が好ましく、0.0035以下がより好ましく、0.0030以下がさらに好ましく、0.0027以下がよりさらに好ましい。
また、成分(B)と成分(A)の含有質量比(B/A)は、毛穴中の汚れの洗浄効果の観点から、0.0065以下が好ましく、0.0035以下がより好ましく、0.0030以下がさらに好ましく、0.0027以下がさらに好ましく、0.0015以下がよりさらに好ましい。また、同様の観点から、0.0007以上が好ましく、0.0008以上がより好ましい。
また、成分(B)と成分(A)の含有質量比(B/A)は、良好な油水混合時間の観点から、0.0007以上が好ましく、0.0013以上がより好ましく、0.0023以上がさらに好ましい。
成分(B)と成分(A)含有質量比(B/A)は、全体として、0.0007以上が好ましく、0.0008以上がより好ましく、0.0065以下が好ましく、0.0035以下がより好ましく、0.0030以下がさらに好ましく、0.0027以下がよりさらに好ましい。
【0019】
本発明の成分(C)は、油水分離性及び良好な油水混合時間の観点から、HLB8以上の非エステル系界面活性剤であるのが好ましい。
成分(C)としては、油水分離性及び良好な油水混合時間の観点から、HLB8~18のノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上が好ましい。
成分(C)のノニオン界面活性剤のHLBは、8以上であるのが好ましく、油水分離性及び良好な油水混合時間の観点から、8.5以上がより好ましく、9以上がさらに好ましく、18以下が好ましい。
【0020】
HLB8~18のノニオン界面活性剤としては、(C8-C20)アルキルポリグルコシド(デシルグルコシド、ラウリルグルコシド)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(ラウレス-3、ラウレス-4、ラウレス-6)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンべへニルエーテル、ポリオキシエチレン-2-オクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン-2-デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン水添ラノリン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリンエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;プロニック型ノニオン界面活性剤;テトラポリオキシエチレンテトラポリオキシプロピレン-エチレンジアミン縮合物;ヤシ油脂肪酸アルカノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミドなどのアルカノールアミドなどが挙げられる。このうち、HLB8~18の(C8-C20)アルキルポリグルコシド型ノニオン界面活性剤が好ましく、デシルグルコシド、ラウリルグルコシドがより好ましい。
【0021】
アニオン界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸塩(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン塩(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N‐ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム(ラウロイルグルタミン酸Naとも称される成分である)、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。このうち、N-アシルサルコシン塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、N-アシルグルタミン酸塩(例えば、ラウロイルグルタミン酸Na)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩等が好ましい。
【0022】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン型両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン型界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン(スルタイン)、(ラウリルヒドロキシスルタイン)等)等が挙げられる。
【0023】
2層分離型組成物中の成分(C)の含有量は、良好な油水混合時間の観点から0.001質量%以上が好ましく、0.002質量%以上がより好ましく、0.005質量%以上がさらに好ましい。また、油水分離の観点から、0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.049質量%以下がさらに好ましい。より具体的には、成分(C)の含有量は、油水分離性及び良好な油水混合時間の観点から、0.001質量%以上0.5質量%以下が好ましく、0.002質量%以上0.3質量%以下がより好ましく、0.005質量%以上0.049質量%以下がさらに好ましい。
【0024】
2層分離型組成物中の成分(B)と成分(C)の含有質量比(B/C)は、油水分離性の観点から、0.30以上が好ましく、0.92以上がより好ましい。
成分(B)と成分(C)の含有質量比(B/C)は、毛穴中の汚れの洗浄効果の観点から、750以下が好ましく、45以下がより好ましい。
成分(B)と成分(C)の含有質量比(B/C)は、良好な油水混合時間の観点から、Cが0.004質量%以下の場合は4以上が好ましく、5以上がより好ましく、7以上がさらに好ましく、13以上がよりさらに好ましく、23以上が特に好ましい。また、同様の観点からCが0.004質量%より大きい場合は25以下が好ましく、8以下がより好ましい。
成分(B)と成分(C)の含有質量比(B/C)は、全体的には、0.30以上が好ましく、0.92以上がより好ましく、750以下が好ましく、45以下がより好ましい。
【0025】
本発明の成分(D)は、水である。
水としては、天然水、水道水、イオン交換水、純水などを使用することができる。
2層分離型組成物の成分(D)の含有量は、良好な油水混合時間、油水分離性及び使用感の観点から、40質量%以上93質量%以下が好ましい。
【0026】
本発明の2層分離型組成物の25℃における水層のpHは、毛穴中の汚れの洗浄性を向上させる観点から、8.6以上12.5以下であるのが好ましい。より好ましいpHは8.7以上12.0以下であり、さらに好ましくは9.0以上11.5以下である。
水層のpHを上記の範囲に調整するには、塩基性化合物を含有させればよいが、本発明の効果を安定して得るため、アミン化合物、無機塩基及び水溶性塩から選ばれる1種又は2種以上を含有させるのが好ましく、アミン化合物(E)及び水溶性塩(F)を併用するのがより好ましい。
【0027】
アミン化合物(E)としては、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(「トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン」又は「トリス(Tris)」、「トロメタミン」)とも称される成分である)、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(単に「AMP」とも称される成分である)、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(単に「AMPD」とも称される成分である)、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミノアルコール;メチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、モルホリン等の鎖状又は環状の脂肪族アミン;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸が挙げられる。このうち、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール及びアルギニンから選ばれる1種以上を用いるのがより好ましい。
【0028】
水溶性塩(F)としては、強塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなど)と弱酸(炭酸、重炭酸、酢酸、リン酸、クエン酸、脂肪酸など)とから得られる無機塩、もしくは、強塩基と強酸(塩酸、硫酸など)とから得られる無機塩が挙げられる。強塩基と弱酸とから得られる無機塩としては、リン酸二水素カリウム(リン酸K)、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム(リン酸2Na)、クエン酸三ナトリウム、重炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、酢酸カリウム等が挙げられる。強塩基と強酸とから得られる無機塩としては、塩化ナトリウム(塩化Na)、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム(硫酸Na)、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
【0029】
これらのアミン化合物、水溶性塩は、本発明の2層分離型組成物の25℃における水層のpHが前記範囲になる量含有させればよい。
2層分離型組成物中の成分(B)と成分(E)の含有質量比(B/E)は、良好な油水混合時間の観点から、0.0030以上が好ましく、0.0054以上がより好ましく、0.0090以上がさらに好ましい。
成分(B)と成分(E)の含有質量比(B/E)は、毛穴中の汚れの洗浄効果の観点から、0.30以下が好ましく、0.0020以下がより好ましい。
成分(B)と成分(E)の含有質量比(B/E)は、全体的には、0.0030以上が好ましく、0.0054以上がより好ましく、0.0090以上がさらに好ましく、0.30以下が好ましく、0.0020以下がより好ましい。
【0030】
本発明の2層分離型組成物には、前記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、成分(A)以外の油剤(特に植物油などのスキンケア成分)、ポリオールなどの保湿剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、殺菌剤、植物エキス類(特に植物エキスなどのスキンケア成分)、香料、色素などを含有することができる。なお、エステル油を含む植物油は、0.05質量%以下含有することができる。
【0031】
本発明の2層分離型組成物は、前記成分を混合することにより製造することができる。
得られた本発明の2層分離型組成物は、振とうすることにより容易に乳化状態となり、静置状態において油層と水層が分離した状態となる組成物である。
ここで、一定の振とう回数で組成物を皮膚に塗布するのに十分な時間乳化している状態となり、組成物を皮膚に適用するための良好な使用性が得られる。この組成物を皮膚に適用するのに十分な時間は、15秒以上であればよく、25秒以上が好ましく、40秒以上がより好ましい。本明細書では、この時間を油水混合時間と記載する。
また、静置状態において油層と水層が分離した状態とは、油層と水層が明確に分離した状態であることを意味する。静置状態において、この油層と水層の境界が明確になっていることを、本明細書では油水分離性が良好であると記載する。
【0032】
本発明の2層分離型組成物を用いて皮膚を洗浄すれば、メイク汚れなどの皮膚上に存在する汚れを洗浄することができる。ここで皮膚上に存在する汚れには、皮膚の表面や皮溝に存在するメイク汚れだけでなく、毛穴中に存在するメイク化粧料とコメド皮脂の混合汚れも含まれる。また、コメド皮脂とは、毛穴中に存在する皮脂汚れをいう。なお、本発明の2層分離型組成物を用いれば、毛穴中のメイク汚れも、コメド皮脂も洗浄できることは言うまでもない。
従って、本発明の2層分離型組成物は、皮膚化粧料として有用であり、特に皮膚洗浄用組成物として有用である。
【0033】
本発明の2層分離型組成物を用いて皮膚を洗浄するには、水で洗い流して使用することもできれば、水で洗い流さないタイプ(リーブオンタイプ)として使用することもできる。リーブオンタイプである場合、例えば、皮膚に組成物を塗布してマッサージした後、パッド等の繊維体でふき取ってもよいし、組成物を浸み込ませた繊維体で皮膚をマッサージしてもよい。
【0034】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の組成物等を開示する。
<1>次の成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、25℃における水層のpHが8.6以上12.5以下である、2層分離型組成物。
(A)25℃で液状の非エステル系油剤、
(B)直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基若しくはアルケニル基を1個又は複数個有し、かつヒドロキシ基を1個以上有する、アルキル若しくはアルケニルグリセリルエーテル又はアルキル若しくはアルケニルポリグリセリルエーテル、
(C)HLB8以上の非エステル系界面活性剤、
(D)水
<2>水層にアミン化合物(E)を含有する<1>記載の2層分離型組成物。
<3>水層に水溶性塩(F)を含有する<1>又は<2>記載の2層分離型組成物。
<4>成分(A)が、25℃で液状の、炭化水素油、高級アルコール、エーテル油及びシリコーン油から選ばれる1種以上である<1>~<3>のいずれかに記載の2層分離型組成物。
<5>成分(A)が、炭素数8以上18以下の分岐状アルカン及びシリコーン油から選ばれる1種以上である<1>~<4>のいずれかに記載の2層分離型組成物。
<6>成分(A)の含有量が、好ましくは6質量%以上50質量%以下、より好ましくは7質量%以上50質量%以下、さらに好ましくは14質量%以上43質量%以下、よりさらに好ましくは20質量%以上34質量%以下である<1>~<5>のいずれかに記載の2層分離型組成物。
<7>成分(B)が、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基若しくはアルケニル基を1個又は複数個有し、かつヒドロキシ基を1個以上有する、アルキル又はアルケニルグリセリルエーテルである<1>~<6>のいずれかに記載の2層分離型組成物。
<8>成分(B)が、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基若しくはアルケニル基を1個有する、モノアルキル又はモノアルケニルグリセリルエーテルである<1>~<7>のいずれかに記載の2層分離型組成物。
<9>成分(B)の含有量が、好ましくは0.015質量%以上2質量%以下、より好ましくは0.03質量%以上1.5質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以上0.09質量%以下である<1>~<8>のいずれかに記載の2層分離型組成物。
<10>成分(C)が、HLB8以上のノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上である<1>~<9>のいずれかに記載の2層分離型組成物。
<11>成分(C)が、HLB8~18の、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、N-アシルサルコシン塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、N-アシルグルタミン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、イミダゾリン型両性界面活性剤及びベタイン型界面活性剤から選ばれる1種以上である<1>~<10>のいずれかに記載の2層分離型組成物。
<12>成分(C)の含有量が、好ましくは0.001質量%以上0.5質量%以下、より好ましくは0.002質量%以上0.3質量%以下、さらに好ましくは、0.005質量%以上0.049質量%以下である<1>~<11>のいずれかに記載の2層分離型組成物。
<13>25℃における水層のpHが、好ましくは8.7以上12.0以下、より好ましくは9.0以上11.5以下である<1>~<12>のいずれかに記載の2層分離型組成物。
<14>アミン化合物が、アミノアルコール、鎖状又は環状の脂肪族アミン及び塩基性アミノ酸から選ばれる1種以上である<2>~<13>のいずれかに記載の2層分離型組成物。
<15>アミン化合物が、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、モルホリン、アルギニン及びリジンから選ばれる1種以上である<2>~<14>のいずれかに記載の2層分離型組成物。
<16>アミン化合物が、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール及びアルギニンから選ばれる1種以上である<2>~<15>のいずれかに記載の2層分離型組成物。
<17>水溶性塩が、強塩基と弱酸とからなる無機塩である<3>~<16>のいずれかに記載の2層分離型組成物。
<18>水溶性塩が、リン酸二水素カリウム(リン酸K)、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム(リン酸2Na)、クエン酸三ナトリウム、重炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム及び酢酸カリウムから選ばれる1種以上である<3>~<17>のいずれかに記載の2層分離型組成物。
<19>成分(B)と成分(C)の含有質量比(B/C)が、0.3以上750以下が好ましく、0.92以上75以下がより好ましい<1>~<18>のいずれかに記載の2層分離型組成物。
<20>皮膚化粧料である、<1>~<19>のいずれかに記載の2層分離型組成物。
<21>皮膚洗浄用組成物である、<1>~<20>のいずれかに記載の2層分離型組成物。
【実施例0035】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0036】
実施例1~43及び比較例1~5
表1~表10記載の成分を混合し、pHをこれらの表に記載された値になるように調整し、2層分離型組成物を製造した。得られた組成物は、静止状態では油層と水層が明確に分離していることを確認した。
得られた組成物について、油水混合時間、油水分離性及び毛穴中の汚れの洗浄性を評価した。結果を表1~表10に示す。また試験に使用した成分を表11に示す。
【0037】
〔1〕水層のpHの測定
水層原液の25℃のpHをpHメータ(HORIBA社のLAQUA F-72)で測定した。
【0038】
〔2〕油水混合時間の評価
組成物をストローク約30cmで、手で10回振とうし、乳化状態を維持した時間を測定した。乳化状態を維持した時間が15秒以上を良好、25秒以上をより良好、40秒以上を特に良好と判断した。乳化状態を維持した時間(秒)を表に記載した。
【0039】
〔3〕油水分離の評価
組成物をストローク約30cmで、手で10回振とうして乳化させ、1日静置後に油水界面を肉眼でチェックし、次のようにスコア化して評価した。また、表3記載の組成物については、60℃に1週間保存した後に油水分離性をチェックした。
スコア1:界面が白い
スコア2:界面の半分が白い
スコア3:界面の周りが白い
スコア4:界面がわずかに白い
スコア5:界面が均一な透明
【0040】
〔4〕毛穴中の汚れの洗浄効果の評価
毛穴を有する人工皮膚(オカモト化成株式会社、regular white S2923)上に表11に記載したモデルコメド皮脂を10mg塗布し、1時間後に防水ファンデーション(REVLON COLORSTAY 24hrs wear MOKA)を8mg塗布した。2時間後に、被験組成物0.1gを塗布し、20回マッサージし、水道水ですすぎ、毛穴の中及び皮膚上のファンデーション及び汚れが残存しているか否かを顕微鏡(KEYENCE VHX-5000、倍率は100倍)で観察し、以下の基準で評価した。
スコア1:人工皮膚のほぼすべての穴に汚れが残る
スコア1.5:人工皮膚の半分以上の穴に汚れが残る
スコア2:人工皮膚の約半分の穴に汚れが残る
スコア2.5:人工皮膚の一部の穴に汚れが残る
スコア3:人工皮膚のほぼすべての穴の周りに汚れが残る
スコア3.5:人工皮膚の一部の穴の周りに汚れが残る
スコア4:人工皮膚のほぼすべての穴の周りに汚れがわずかに残る
スコア4.5:人工皮膚の一部の穴の周りに汚れがわずかに残る
スコア5:汚れが残らない
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】
【0048】
【表8】
【0049】
【表9】
【0050】
【表10】
【0051】
【表11】
【0052】
表1及び表2より、組成物の水層のpHを8.6~12.5に調整することにより、毛穴中の汚れの洗浄性が顕著に向上することがわかる。表3及び表4より、油剤として25℃で液状の非エステル系油剤を使用することにより、油水分離性が向上することがわかる。表5及び表6より、成分(B)として直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8以上22以下のアルキル基若しくはアルケニル基を1個又は複数個有し、かつヒドロキシ基を1個以上有する、アルキル若しくはアルケニルグリセリルエーテル又はアルキル若しくはアルケニルポリグリセリルエーテルを使用することにより、油水分離性及び毛穴中の汚れの洗浄性が向上することがわかる。表7及び表8より、成分(C)としてHLB8以上の非エステル系界面活性剤を使用することにより、油水混合時間、油水分離性及び毛穴中の汚れの洗浄性が向上することがわかる。表9及び表10よりpH調整剤としてアミン化合物と水溶性塩を使用することにより、油水混合時間、油水分離性及び毛穴中の汚れの洗浄性が向上することがわかる。