(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025100402
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】積層フィルムおよびそれを用いた包装材料
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20250626BHJP
C08J 7/043 20200101ALI20250626BHJP
【FI】
B32B27/32 E
C08J7/043 CES
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024212975
(22)【出願日】2024-12-06
(31)【優先権主張番号】P 2023216557
(32)【優先日】2023-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 千紘
(72)【発明者】
【氏名】辻 祐一
(72)【発明者】
【氏名】井上 武治郎
【テーマコード(参考)】
4F006
4F100
【Fターム(参考)】
4F006AA12
4F006AB37
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4F006EA05
4F100AK04A
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4F100BA10E
4F100CB00B
4F100EJ37A
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4F100GB15
4F100HB31D
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4F100JK08C
4F100JL12C
4F100YY00A
4F100YY00C
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ポリエチレンを単一素材としながら、易開封性に優れる積層フィルムを提供すること。
【解決手段】基材層、接着剤層およびシーラント層をこの順に有し、下記(1)および(2)を満たす、積層フィルム。
(1)前記基材層が延伸ポリエチレンフィルムからなり、基材層のMD方向およびTD方向のJIS K7127:1999で規定される引張破断伸度のうち、一方が50%以下であり、他方が60%以上である。
(2)前記シーラント層がポリエチレンフィルムからなり、シーラント層のMD方向およびTD方向のJIS K7127:1999で規定される引張破断伸度のうち、基材の引張破断伸度が50%以下である方向の引張破断伸度が700%以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層、接着剤層およびシーラント層をこの順に有し、下記(1)および(2)を満たす、積層フィルム。
(1)前記基材層が延伸ポリエチレンフィルムからなり、基材層のMD方向およびTD方向のJIS K7127:1999で規定される引張破断伸度のうち、一方が50%以下であり、他方が60%以上である。
(2)前記シーラント層がポリエチレンフィルムからなり、シーラント層のMD方向およびTD方向のJIS K7127:1999で規定される引張破断伸度のうち、基材の引張破断伸度が50%以下である方向の引張破断伸度が700%以下である。
【請求項2】
前記基材層が二軸延伸ポリエチレンフィルムである、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記基材層の密度が0.955g/cm3以上0.970g/cm3以下である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
前記基材層が電子線照射されてなる、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項5】
前記シーラント層が、ポリビニルアルコールおよび/またはエチレン酢酸ビニル共重合体を、3質量%以上8質量%以下含有する、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項6】
前記シーラント層のJIS K7127:1999で規定される引張破断伸度のうち、基材の引張破断伸度が50%以下である方向の引張破断伸度が300%以下である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項7】
前記シーラント層の厚みが30μm以上50μm以下である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項8】
さらに基材層に隣接する印刷層を有する、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項9】
さらに最表層に保護層を有し、保護層、印刷層、基材層、接着剤層およびシーラント層をこの順に有する、請求項8に記載の積層フィルム。
【請求項10】
前記印刷層および/または前記保護層が、電子線硬化型インキまたは電子線硬化型組成物の硬化物からなる、請求項9に記載の積層フィルム。
【請求項11】
請求項1または2に記載の積層フィルムのシーラント層の少なくとも一部を接合してなる、包装材料。
【請求項12】
JIS S 0021-2:2018付属書B.1.2で規定される最大応力が15N以下である、請求項11に記載の包装材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層フィルムおよびそれを用いた包装材料に関する。
【背景技術】
【0002】
世界的な人口増加に伴い、食品や生活用品などの包装に用いられる軟包装は、今後も需要の拡大が見込まれる。軟包装材料としては、寸法安定性に優れる基材と熱接着性のヒートシール層を有する積層体が一般的であり、機能性に応じた異種材料から構成されている場合が多い。近年、地球環境保護の観点から、各種包装材料においても、素材としてリサイクルする方法(マテリアルリサイクル)が注目されており、リサイクル時の分別が不要となる、同種材料からなるモノマテリアル包装材料が求められている。
【0003】
基材とシーラント層を有する包装袋として、密度940kg/m3以上で、厚み10~120μmの一軸延伸ポリエチレンフィルムであって、当該一軸延伸ポリエチレンフィルムの表面に、延伸方向と略直交する方向に直線状のハーフカットラインを有することを特徴とする一軸延伸ポリエチレンフィルムと、最内層となる熱接着性樹脂層とを含む積層体の熱接着性樹脂層周縁を熱接着部として熱接着させて形成された包装袋(例えば、特許文献1参照)や、バリアフィルム層、インキ層、接着層、シーラント層が、この順に積層され、前記バリアフィルム層は密度0.940~0.980g/cm3、厚さ20~40μmの高密度ポリエチレン樹脂フィルム基材に金属酸化物を蒸着したバリアフィルムであり、前記シーラント層は、3層以上からなる厚さ50~80μmの易引裂性多層ポリエチレン樹脂フィルムであることを特徴とする積層体から作製された自立性包装袋(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-148954号公報
【特許文献2】特開2021-109700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
包装材料には、開封したい方向に容易に切断される、易開封性が求められる。易開封性には、目的の切断方向に切断され、ひだが残りにくい特性(易カット性)と破断強度の観点があり、易カット性に優れ、破断強度が低いほど、易開封性に優れる。例えば、特許文献1に記載されるように、基材の開封方向にハーフカットラインを設けたり、特許文献2に記載されるように、シーラント層として易引裂性フィルムを用いることにより、易カット性は向上する傾向にある。
【0006】
しかしながら、ポリエチレンフィルムは剛性が低く、伸びやすい性質を示すことから、ポリエチレンフィルムを用いたモノマテリアル包装材料において、特許文献1~2に示すように、基材またはシーラント層の一方の易カット性を向上させた場合であっても、他方のポリエチレンフィルムが伸びやすいために、結果的に包装材料として易カット性を維持することや破断強度を低減することが困難となり、易開封性が不十分となる課題があった。
【0007】
そこで本発明においては、ポリエチレンを単一素材としながら、易開封性に優れる積層フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
<1>基材層、接着剤層およびシーラント層をこの順に有し、下記(1)および(2)を満たす、積層フィルム。
(1)前記基材層が延伸ポリエチレンフィルムからなり、基材層のMD方向およびTD方向のJIS K7127:1999で規定される引張破断伸度のうち、一方が50%以下であり、他方が60%以上である。
(2)前記シーラント層がポリエチレンフィルムからなり、シーラント層のMD方向およびTD方向のJIS K7127:1999で規定される引張破断伸度のうち、基材の引張破断伸度が50%以下である方向の引張破断伸度が700%以下である。
<2>前記延伸ポリエチレンフィルムが二軸延伸ポリエチレンフィルムである、<1>に記載の積層フィルム。
<3>前記基材層の密度が0.955g/cm3以上0.970g/cm3以下である、<1>または<2>に記載の積層フィルム。
<4>前記基材層が電子線照射されてなる、<1>~<3>のいずれかに記載の積層フィルム。
<5>前記シーラント層が、ポリビニルアルコールおよび/またはエチレン酢酸ビニル共重合体を、3質量%以上8質量%以下含有する、<1>~<4>のいずれかに記載の積層フィルム。
<6>前記シーラント層のJIS K7127:1999で規定される引張破断伸度のうち、基材の引張破断伸度が50%以下である方向の引張破断伸度が300%以下である、<1>~<5>のいずれかに記載の積層フィルム。
<7>前記シーラント層の厚みが30μm以上50μm以下である、<1>~<6>のいずれかに記載の積層フィルム。
<8>さらに基材層に隣接する印刷層を有する、<1>~<7>のいずれかに記載の積層フィルム。
<9>さらに最表層に保護層を有し、保護層、印刷層、基材層、接着剤層およびシーラント層をこの順に有する、<8>に記載の積層フィルム。
<10>前記印刷層および/または前記保護層が、電子線硬化型インキまたは電子線硬化型組成物の硬化物からなる、<9>に記載の積層フィルム。
<11><1>~<10>のいずれかに記載の積層フィルムのシーラント層の少なくとも一部を接合してなる、包装材料。
<12>JIS S 0021-2:2018付属書B.1.2で規定される最大応力が15N以下である、<11>に記載の包装材料。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る積層フィルムは、易開封性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について具体的に説明する。なお、本発明において「以上」とは、そこに示す数値と同じかまたはそれよりも大きいことを意味する。また、「以下」とは、そこに示す数値と同じかまたはそれよりも小さいことを意味する。
【0011】
また、「主成分」とは、特に断らない限り、質量基準で最も多く含まれている成分をいう。典型的な態様としては、当該成分が、50質量%を超える場合が挙げられ、好ましくは、70質量%を超える場合が挙げられる。
【0012】
本発明の積層フィルムは、基材層、接着剤層およびシーラント層をこの順に有し、下記(1)および(2)を満たすことを特徴とする。必要に応じて、さらに基材に隣接する印刷層や、最表層に保護層を有してもよい。
(1)前記基材層が延伸ポリエチレンフィルムからなり、基材層のMD方向およびTD方向のJIS K7127:1999で規定される引張破断伸度のうち、一方が50%以下であり、他方が60%以上である。
(2)前記シーラント層がポリエチレンフィルムからなり、シーラント層のMD方向およびTD方向のJIS K7127:1999で規定される引張破断伸度のうち、基材の引張破断伸度が50%以下である方向の引張破断伸度が700%以下である。
【0013】
ここで、本発明におけるMD方向、TD方向とは、基材層とシーラント層の積層時の流れ方向と垂直方向を指し、基材層の延伸ポリエチレンフィルムやシーラント層のポリエチレンフィルムのMD方向、TD方向と一致する場合もあるし、一致しない場合もある。
【0014】
前述のとおり、ポリエチレンフィルムを用いたモノマテリアル包装材料において、基材層またはシーラント層の一方の易カット性を向上させた場合であっても、他方のポリエチレンフィルムが伸びやすいために、易開封性が不十分となる課題があったのに対し、本発明においては、基材層が一方向には伸びやすく他方向には破断しやすい特性を有すること(条件(1))に加えて、基材層が破断しやすい方向においてシーラント層の引張破断伸度を小さくすること(条件(2))によって、積層フィルム全体としての易開封性を向上させることができる。
【0015】
次に、各層について説明する。
【0016】
(基材層)
基材層は延伸ポリエチレンフィルムからなる。ポリエチレンモノマテリアルの積層フィルムにおいて、延伸ポリエチレンフィルムを基材層に用いることにより、延伸方向に切断しやすく、易カット性を向上させることができる。基材は、単層でも2層以上積層されていてもよい。基材層が2層以上積層されてなる場合、積層された基材層全体として以下の態様であることが好ましい。
【0017】
延伸ポリエチレンフィルムとしては、一軸延伸ポリエチレンフィルムと二軸延伸ポリエチレンフィルムが挙げられる。これらの中でも、二軸延伸ポリエチレンフィルムが好ましく、斜め方向に力がかかった際にも滑らかに切断されやすく、また、シーラント層の追従性にも優れることから、切断面にひだが残りにくく、易カット性をより向上させることができる。
【0018】
基材層のMD方向およびTD方向の引張破断伸度のうち、一方が50%以下であり、他方が60%以上である。積層フィルムを用いた包装材料の開封に際しては、引張破断伸度が小さい方向に破断することが想定される。引張破断伸度が小さい方向の引張破断伸度が50%を超えると、基材層が伸びやすく易カット性が低下するため、易開封性が低下する。一方、かかる方向の引張破断伸度は、取り扱い性の観点から、5%以上が好ましい。また、引張破断伸度が大きい方向の引張破断伸度が60%未満であると、他方向への伸びやすさとの差が小さく、他方向へも破断しやすくなることから、易カット性が低下するため、易開封性が低下する。引張破断伸度が大きい方向の引張破断伸度は、70%以上が好ましい。また、積層フィルムとしての柔軟性や強度が低下する。一方、かかる方向の引張破断伸度は、取り扱い性の観点から、500%以下が好ましい。
【0019】
ここで、基材層の引張破断伸度は、JIS K7127:1999に規定の方法により測定することができる。より詳しくは、基材層から幅15mm、長さ100mm以上の板状試験片を採取する。積層フィルムから基材層の板状試験片を採取する場合、積層フィルムからシーラント層や必要に応じてその他の層を剥離する。シーラント層の剥離は、積層フィルムの基材層側の一部にシーラント層が切れないように切れ込みを入れた後、基材層側に両面テープを貼り付けて机などに固定し、切れ込み部分からシーラント層を引っ張ることにより行う。板状試験片に対して、テンシロン万能試験機((株)オリエンテック製 RTG-1210)を用いて、チャック間距離:50mm、引張速度:300mm/分の条件で引張試験を行い、板状試験片が破断したときの伸度を測定する。測定は各3回行い、その平均値を基材層の引張破断伸度とする。
【0020】
基材層の引張破断伸度は、例えば、延伸ポリエチレンフィルムの延伸条件や密度などにより、所望の範囲にすることができる。また、市販の各種引張破断伸度を有する延伸ポリエチレンフィルムから、所望の引張破断伸度を有するものを選択して用いることができる。
【0021】
基材層の厚みは、支持体としての剛性を向上させる観点から、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、15μm以上がさらに好ましい。一方、基材層の厚みは、積層フィルムの柔軟性を向上させる観点から、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。
【0022】
基材層の密度は、剛性や強度に優れ、引張破断伸度を適度に抑える観点から、0.955g/cm3以上0.970g/cm3以下が好ましい。
【0023】
ここで、基材層の密度は、乾式密度計を用いて、充填ガスにN2を用いて測定することができる。測定は各5回行い、その平均値を基材層の密度とする。この時、積層フィルムから基材層の測定試料を採取する方法は、引張破断伸度の板状試験片を採取する方法と同様である。
【0024】
市販の各種密度を有する延伸ポリエチレンフィルムから、所望の密度を有するものを選択して用いることができる。
【0025】
基材層は、電子線照射されてなることが好ましい。電子線照射されたポリエチレンフィルムは、架橋反応により剛性が高く、伸びにくくなる。そのため、破断強度をより低減して易開封性をより向上させることができる。また、耐熱性および強度も向上させることができる。
【0026】
電子線としては、利用時の特別な資格が不要で取り扱いが容易なことから、低加速電圧による電子線が好ましい。電子線は、加速電圧により透過深度が異なる。加速電圧は、架橋反応を十分に進めて易開封性、耐熱性および強度をより向上させる観点から、50kV以上が好ましい。一方、加速電圧は、延伸ポリエチレンフィルムへのダメージを抑制する観点から、300kV以下が好ましい。また、電子線の照射線量は、架橋反応を十分に進めて易開封性、耐熱性および強度をより向上させる観点から、10kGy以上が好ましく、45kGy以上がより好ましい。一方、電子線の照射線量は、延伸ポリエチレンフィルムへのダメージを抑制する観点から、100kGy以下が好ましい。
【0027】
延伸ポリエチレンフィルムは、その表面にコロナ処理、バーニング処理、プラズマ処理などの表面処理がされてなることが好ましく、印刷インキや接着剤層との濡れ性や接着性を向上させることができる。
【0028】
(2)シーラント層
シーラント層は、ポリエチレンフィルムからなる。ポリエチレンモノマテリアルの積層フィルムにおいて、ポリエチレンフィルムをシーラント層に用いることにより、積層フィルムに適度な柔軟性とヒートシール性を付与することができる。シーラント層は、単層でも2層以上積層されていてもよい。シーラント層が2層以上積層されてなる場合、積層されたシーラント層全体として以下の態様であることが好ましい。
【0029】
ポリエチレンフィルムとしては、未延伸ポリエチレンフィルム、一軸延伸ポリエチレンフィルム、二軸延伸ポリエチレンフィルムなどが挙げられる。これらの中でも未延伸ポリエチレンフィルムが好ましく、シーラント層に高い柔軟性を付与することができる。
【0030】
シーラント層を構成するポリエチレン樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。リサイクル性の観点からは、基材層と共通のポリエチレン樹脂を選択することがい。
【0031】
シーラント層の引張破断伸度のうち、基材層の引張破断伸度が50%以下である方向の引張破断伸度が700%以下である。積層フィルムを用いた包装材料の開封に際しては、基材層の引張破断伸度が小さい方向に破断することが想定される。かかる方向において、シーラント層の破断伸度が700%より大きいと、開封時に基材層は切断されるがシーラント層が伸びるために破断強度が増大したり、切断できたとしても切断面に伸びたシーラント層のひだが残り易カット性が低下するなど、易開封性が低下する。かかる方向の引張破断伸度は、300%以下が好ましい。
【0032】
ここで、シーラント層の引張破断伸度は、基材層と同様に、JIS K7127:1999に規定の方法により測定することができる。より詳しくは、シーラント層から幅15mm、長さ100mm以上の板状試験片を採取する。積層フィルムからシーラント層の板状試験片を採取する場合、積層フィルムから基材層や必要に応じてその他の層を剥離する。基材層の剥離は、積層フィルムのシーラント層側の一部に基材層が切れないように切れ込みを入れた後、シーラント層側に両面テープを貼り付けて机などに固定し、切れ込み部分から基材層を引っ張ることにより行う。板状試験片に対して、基材層と同様の条件で板状試験片が破断したときの伸度を測定する。測定は各3回行い、その平均値をシーラント層の引張破断伸度とする。
【0033】
シーラント層の引張破断伸度は、例えば、ポリエチレンフィルムの延伸条件や密度、組成などにより、所望の範囲にすることができる。また、市販の各種引張破断伸度を有するポリエチレンフィルムから、所望の引張破断伸度を有するものを選択して用いることができる。
【0034】
シーラント層の厚みは、シーラント層の強度を向上させる観点から、30μm以上が好ましい。一方、シーラント層の厚みは、破断強度を適度に抑える観点および易カット性をより向上させる観点から、50μm以下が好ましい。
【0035】
シーラント層に用いられるポリエチレンフィルムの密度は、剛性や強度に優れ、引張破断伸度を適度に抑える観点から、0.955g/cm3以上0.970g/cm3以下が好ましい。
【0036】
ここで、シーラント層の密度は、基材層と同様に測定することができる。この時、積層フィルムからシーラント層の測定試料を採取する方法は、引張破断伸度の板状試験片を採取する方法と同様である。
【0037】
市販の各種密度を有するポリエチレンフィルムから、所望の密度を有するものを選択して用いることができる。
【0038】
シーラント層の融点は、基材層の融点よりも低いことが好ましい。積層フィルムから包装材料を製造する場合、後述するように、シーラント層同士を向かい合わせてヒートシールにより接合することが一般的である。シーラント層の融点を基材層の融点よりも低くすることにより、基材層の形状を維持したまま容易に接合することができる。
【0039】
シーラント層は、ポリビニルアルコールおよび/またはエチレン酢酸ビニル共重合体を含有することが好ましく、シーラント層の引張破断伸度を適度に抑え、前述の範囲に容易に調整することができ、易開封性をより向上させることができる。また、ガスバリア性、特に酸素バリア性に優れ、包装材料として用いる場合に、内容物の保存性を向上させることができる。ポリビニルアルコールおよびエチレン酢酸ビニル共重合体の含有量は、かかる効果をより向上させる観点から、3質量%以上が好ましい。一方、ポリビニルアルコールおよびエチレン酢酸ビニル共重合体の含有量は、モノマテリアル化の観点から、8質量%が好ましい。ここで、ポリビニルアルコールおよびエチレン酢酸ビニル共重合体の含有量とは、これらのいずれか一方を含有する場合はその含有量を、これらを2種以上含有する場合はその合計含有量を指す。
【0040】
シーラント層は、電子線照射されてなることが好ましい。電子線照射されたポリエチレンフィルムは、架橋反応により剛性が高く、伸びにくくなる。そのため、破断強度をより低減して易開封性をより向上させることができる。また、耐熱性および強度も向上させることができる。電子線照射の好ましい態様は、基材層の電子線照射と同様である。
【0041】
シーラント層は、その表面にコロナ処理、バーニング処理、プラズマ処理などの表面処理が施されてなることが好ましく、接着剤層との濡れ性や接着性を向上させることができる。
【0042】
(接着剤層)
接着剤層は、樹脂を主成分とすることが好ましい。樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂などが挙げられる。ポリウレタン樹脂を含有することにより、接着剤層に柔軟性を付与し、基材層およびシーラント層に対する密着性を向上させることができる。また、ポリ(メタ)アクリレート樹脂を含有することにより、活性エネルギー線の照射により、架橋反応や縮合反応により硬化することができる。これらを2種以上含有してもよい。ここで、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの総称である。
【0043】
ポリウレタン樹脂は、水酸基を2つ以上有するポリオール化合物と、イソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物との付加重合により得ることができる。
【0044】
ポリオール化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、トリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトールや、これらのエチレンオキシド付加体、プロピレンオキシド付加体、テトラエチレンオキシド付加体、ラクトン付加体や、後述するポリエステルポリオール、カーボネート構造を有するポリオール化合物等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0045】
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4-メチレンビスシクロへキシルジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等や、これらのヌレート変性体、アダクト変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0046】
ポリ(メタ)アクリレート樹脂は、(メタ)アクリレートの(共)重合体である。(メタ)アクリレートとしては、硬化性の観点から、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有するものが好ましい。例えば、国際公開第2014/156812号に記載の4官能以上の重合性アクリレートモノマーや、国際公開第2017/90663号に記載の多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。(メタ)アクリレートは、安全・環境の観点から、揮発性が低いことが好ましい。
【0047】
接着剤層の厚みは、塗布性を向上させる観点から、0.1μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。一方、接着剤層の厚みは、3.0μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましい。
【0048】
(印刷層)
本発明の積層フィルムは、意匠性の観点から、基材層に隣接する印刷層を有することが好ましい。ここで、印刷層とは、インキが付与された後に、乾燥または硬化により、基材層に定着された状態のものをいう。
【0049】
インキとしては、顔料や染料がバインダーに混合されたものが典型的な態様であり、例えば、溶剤インキや水性インキなどの熱乾燥型インキ、酸化重合型の油性インキ、活性エネルギー線の照射により硬化する活性エネルギー線硬化型インキなどが挙げられる。
【0050】
これらの中でも、電子線硬化型インキが好ましい。すなわち、印刷層が、電子線硬化型インキの硬化物からなることが好ましい。かかるインキ層は被膜強度が高く、耐擦過性を向上させることができる。また、乾燥に必要なエネルギーが小さいことから、環境への負荷を低減することができる。
【0051】
(保護層)
本発明の積層フィルムは、さらに保護層を有し、保護層、印刷層、基材層、接着剤層およびシーラント層をこの順に有することが好ましい。すなわち、保護層を最表層に有することが好ましい。印刷層/基材層/接着剤層/シーラント層の構成は、いわゆる表刷りの構成であり、印刷層の表面に保護層を有することにより、印刷層を物理的に保護し、外観に光沢性やマット性などの意匠性を付与することができる。
【0052】
保護層としては、ニス膜が好ましく、例えば、溶剤ニスや水性ニスなどの熱乾燥型ニス、活性エネルギー線の照射により硬化する活性エネルギー線硬化型ニスなどが挙げられる。水性ニスとしては、例えば、自己乳化型または界面活性剤乳化型のアクリル樹脂、アクリルエポキシ樹脂、アクリルアミノ樹脂を含むものが挙げられる。活性エネルギー線硬化型ニスとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレートオリゴマーを含むものが挙げられる。
【0053】
これらの中でも、電子線硬化型ニスが好ましい。すなわち、保護層が、電子線硬化型ニスの硬化物からなることが好ましい。かかる保護層は被膜強度が高く、耐擦過性を向上させることができる。また、乾燥に必要なエネルギーが小さいことから、環境への負荷を低減することができる。
【0054】
(積層フィルムの製造方法)
次に、本発明の積層フィルムの製造方法について例を挙げて説明する。
【0055】
本発明の積層フィルムは、例えば、基材層となる延伸ポリエチレンフィルムと、シーラント層となるポリエチレンフィルムを予め準備し、それらを、接着剤層を構成する成分を介してラミネートすることにより得ることができる。このような製造方法によれば、基材層となる延伸ポリエチレンフィルムとシーラント層となるポリエチレンフィルムの設計(例えば、材質の選択や延伸の度合いなど)の自由度を高めることができる。なお、先に説明したとおり、基材層となる延伸ポリエチレンフィルムとシーラント層となるポリエチレンフィルムのそれぞれは積層フィルムであってもよく、共押出フィルムであっても、複数のフィルムの積層体であってもよい。
【0056】
ラミネート方法としては、例えば、(i)基材層となる延伸ポリエチレンフィルムまたはシーラント層となるポリエチレンフィルムの一方に、接着性組成物を塗工し、ウエット状態の塗膜上に他方のポリエチレンフィルムを貼り合わせた後、養生する方法、(ii)基材層となる延伸ポリエチレンフィルムまたはシーラント層となるポリエチレンフィルムの一方に、活性エネルギー線で硬化可能な接着性組成物を塗工し、他方のポリエチレンフィルムを積層した後、活性エネルギー線を照射する方法、(iii)基材層となる延伸ポリエチレンフィルムまたはシーラント層となるポリエチレンフィルムの一方に、活性エネルギー線で硬化可能な接着性組成物を塗工し、活性エネルギー線を照射した後、他方のポリエチレンフィルムを積層する方法などが挙げられる。接着性組成物が溶剤を含有する場合、乾燥により溶剤を除去することが好ましい。活性エネルギー線を照射する方法は、短時間で積層フィルムを得ることができるため好ましい。
【0057】
接着性組成物がポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を含有する場合、養生温度は、25℃以上60℃以下が好ましく、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応を効率よく進め、密着性を向上させることができる。
【0058】
活性エネルギー線を照射するラミネート方法としては、前記(iii)の方法が好ましく、接着性組成物に直接活性エネルギー線を照射することができることから硬化性を向上させることができる。また、エネルギー線源によっては、他方のポリエチレンフィルムへの影響を回避することができる。
【0059】
活性エネルギー線源としては、紫外線、電子線、ガンマ線などが挙げられる。これらの中でも、開始剤が不要な電子線が好ましい。電子線を照射する場合、加速電圧は、50kV以上、300kV以下が好ましい。また、照射線量は、架橋反応を十分に進めて易開封性、耐熱性および強度をより向上させる観点から、10kGy以上が好ましく、45kGy以上がより好ましい。一方、電子線の照射線量は、延伸ポリエチレンフィルムへのダメージを抑制する観点から、100kGy以下が好ましい。
【0060】
積層フィルムが印刷層を有する場合、基材層/印刷層/接着剤層/シーラント層の構成、いわゆる裏刷り構成の場合は、基材層に印刷を行った後に、接着剤層を介してシーラント層をラミネートすることが好ましい。かかる構成においては、基材層に容易に印刷層を形成して意匠性を付与することができる。また、印刷層を保護することにより経時劣化を抑制することができる。また、保護層/印刷層/基材層/接着剤層/シーラント層の構成、いわゆる表刷り構成の場合、積層フィルムに印刷層を形成した後、保護層を形成してもよいし、基材層の両面に印刷層および保護層を形成した後に、接着剤層を介してシーラント層をラミネートすることが好ましい。生産性の観点からは、前者が好ましい。
【0061】
(包装材料)
本発明の包装材料は、前述の積層フィルムのシーラント層の少なくとも一部を接合してなる。例えば、前述の積層フィルムのシーラント層同士を向かい合わせてヒートシールにより接合することにより、所望の形状の包装材料を得ることができる。例えば、側面シール、二方シール、三方シール、四方シール、ピローシール、ひだ付シール、平底シール、角底シール、ガゼット型等などのヒートシールの態様に応じて、種々の形状の包装材料を得ることができ、例えば、自立性の包装材料(スタンデイングパウチ)等も得ることができる。
【0062】
袋状の包装材料の製造方法としては、例えば、本発明の積層フィルムを、基材層が外側、シーラント層が内側(内容物側)となるように二つ折りにして重ね合わせ、重ね合わせた層の端部をヒートシールする方法や、2枚の本発明の積層フィルムをシーラント層が向かい合うように重ね合わせて、その端部をヒートシールする方法などが挙げられる。
【0063】
ヒートシールの法としては、例えば、バーシール、インパルスシール、ベルトシール、回転ロールシール、高周波シール、超音波シール等が挙げられる。
【0064】
本発明の包装材料は、JIS S 0021-2:2018付属書B.1.2で規定される最大応力が15N以下であることが好ましく、5N以下がより好ましい。引き裂きによる最大応力が低いほど、易開封性に優れる。
【0065】
ここで、前記最大応力は、テンシロン万能試験機((株)オリエンテック製 RTG-1210)を用いて、T字剥離により測定することができる。より詳しくは、包装材料を開封する部位、例えば包装材料に開封しやすくするための切欠きが設けられている場合は切欠きを挟む両側の部位を、テンシロン万能試験機のチャックで保持し、チャック間距離:50mm、引張速度:500mm/分の条件でT字剥離の引張試験を行い、包装材料が破断したときの最大応力を測定する。測定は各3回行い、その平均値を最大応力とする。
【実施例0066】
以下では本発明を、実施例を挙げることでより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるものではない。
【0067】
まず、各実施例および比較例における測定・評価方法について説明する。
【0068】
(1)引張破断伸度
各実施例および比較例において基材層およびシーラント層に用いたポリエチレンフィルムについて、JIS K7127:1999に規定の方法により引張破断伸度を測定した。すなわち、各フィルムから、幅15mm、長さ100mm以上の板状試験片を採取し、テンシロン万能試験機((株)オリエンテック製 RTG-1210)を用いて、チャック間距離:50mm、引張速度:300mm/分の条件で引張試験を行い、板状試験片が破断したときの伸度を測定した。測定は各3回行い、その平均値を引張破断伸度とした。
【0069】
(2)密度
乾式自動密度計(マイクロメリティックス社製 AccuPycll 1345)を用いて、各実施例および比較例において基材層およびシーラント層に用いたポリエチレンフィルムをセルの5割以上が埋まるように入れ、下記条件で密度を測定した。測定は各5回行い、その平均値を密度とした。
充填ガス:N2ガス
ガスのパージサイクル数:5
パージ時の充填圧力:134.447kPag
測定時の充填圧力:134.447kPag
圧力平行の判断基準:0.0345psig/分。
【0070】
(3)易カット性
各実施例および比較例により得られた包装材料を模したサンプルのノッチ部分から長辺方向に手で切断した。切断面を目視観察し、下記基準により評価した。
A:まっすぐ切断でき、切断面にひだが認められない
B:まっすぐ切断できるが、切断面にひだが認められる
C:斜めに切断されるが、切断面にひだが認められない
D:斜めに切断され、切断面にひだが認められる。
【0071】
(4)最大応力
各実施例および比較例により得られた包装材料を模したサンプルのノッチを挟んだそれぞれの短辺の両端にセロハンテープを貼り付け、テンシロン万能試験機((株)オリエンテック製 RTG-1210)を用いて、セロハンテープをチャックで保持し、チャック間距離:50mm、引張速度:500mm/分の条件でT字剥離の引張試験を行い、短冊状試験片がノッチに沿って破断したときの最大応力を測定した。測定は各3回行い、その平均値を、JIS S 0021-2:2018付属書B.1.2で規定される最大応力として算出した。
【0072】
次に、各実施例および比較例に用いた材料について説明する。
【0073】
[基材層]
基材フィルム1:厚み25μmの一軸延伸ポリエチレン(MOPE)フィルム(フタムラ化学(株)製PE3K-H、一方向の伸度70%、直交するもう一方向の伸度6%、密度0.963g/cm3)
基材フィルム2:厚み25μmのMOPEフィルム(フタムラ化学(株)製PE3M-XH、一方向の伸度250%、直交するもう一方向の伸度50%、密度0.961g/cm3)
基材フィルム3:厚み25μmのMOPEフィルム(rkw社製M758XP、一方向の伸度118%、直交するもう一方向の伸度75%、密度0.979g/cm3)
基材フィルム4:厚み25μmの二軸延伸ポリエチレン(BOPE)フィルム(Jindal社製HD213、一方向の伸度195%、直交するもう一方向の伸度48%、密度0.960g/cm3)
基材フィルム5:厚み40μmの未延伸PEフィルム(フタムラ化学(株)製KF101M、一方向の伸度1080%、直交するもう一方向の伸度681%、密度0.946g/cm3)
基材フィルム6:厚み25μmのBOPEフィルム(一方向の伸度373%、直交するもう一方向の伸度48%、密度0.940g/cm3)
基材フィルム7:厚み25μmのBOPEフィルム(、一方向の伸度172%、直交するもう一方向の伸度36%、密度0.955g/cm3)
[シーラント層]
シーラント1:厚み40μmの低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(東セロ(株)製TUX-HC、一方向の伸度844%、直交するもう一方向の伸度643%、エチレン酢酸ビニル共重合体含有せず)
シーラント2:厚み30μmのLLDPEフィルム(タマポリ(株)製V-1、一方向の伸度568%、直交するもう一方向の伸度150%、エチレン酢酸ビニル共重合体含有せず)
シーラント3:厚み30μmのLLDPEフィルム(タマポリ(株)製SB-5、一方向の伸度677%、直交するもう一方向の伸度159%、エチレン酢酸ビニル共重合体含有量5質量%)
シーラント4:厚み80μmのLLDPEフィルム(タマポリ(株)製SB-5、一方向の伸度761%、直交するもう一方向の伸度27%、エチレン酢酸ビニル共重合体含有量5質量%)
シーラント5:厚み75μmのLLDPEフィルム(rkw製K477/12、一方向の伸度1090%、直交するもう一方向の伸度778%、エチレン酢酸ビニル共重合体含有せず)
シーラント6:厚み40μmのLLDPEフィルム(東セロ(株)製TUX-UDF、一方向の伸度987%、直交するもう一方向の伸度660%、エチレン酢酸ビニル共重合体含有せず)
[接着性組成物]
ドライ混合ラミネート接着剤(三井化学(株)製“タケラック”(登録商標)A953/“タケネート”(登録商標)A93)、ポリウレタン樹脂が主成分。
【0074】
(実施例1)
基材フィルム1に、接着性組成物を乾燥膜厚が2.0g/m2になるように塗工し、オーブンを用いて80℃で1分間乾燥した。基材フィルム1のMD方向とシーラント1のMD方向を揃えてMD方向としてシーラント1を貼り合わせ、40℃で72時間養生した。
【0075】
得られた積層フィルムを、シーラント層同士が対向するように折り合わせ、高伸度方向を長辺100mm、低伸度方向を短辺30mmとする短冊状試験片の短辺を、ヒートシーラー(テスター産業((株))TP-701-B)を用いてヒートシールした。ヒートシールした短辺の中央付近に、開封しやすくするための切欠きを想定した深さ(長辺方向)10mm以下のノッチを形成し、包装材料を模したサンプルを得た。
【0076】
[実施例2~5]
基材フィルム1を基材フィルム2、4、6~7に変更したこと以外は実施例1と同様の手順で積層フィルムを作製し、包装材料を模したサンプルを得た。前述の方法により評価した結果を表1に示す。
【0077】
[実施例6~9]
シーラント1をシーラント2~4、6に変更したこと以外は実施例1と同様の手順で積層フィルムを作製し、包装材料を模したサンプルを得た。前述の方法により評価した結果を表1に示す。
【0078】
[実施例10~13]
シーラント1をシーラント2~4、6に変更したこと以外は実施例3と同様の手順で積層フィルムを作製し、包装材料を模したサンプルを得た。前述の方法により評価した結果を表1に示す。
【0079】
[比較例1]
シーラント1をシーラント5に変更したこと以外は実施例1と同様の手順で積層フィルムを作製し、包装材料を模したサンプルを得た。前述の方法により評価した結果を表2に示す。
【0080】
[比較例2~3]
基材フィルム1を基材フィルム3、5に変更したこと以外は実施例1と同様の手順で積層フィルムを作製し、包装材料を模したサンプルを得た。前述の方法により評価した結果を表2に示す。
【0081】
[比較例4]
基材フィルム1を基材フィルム5に変更したこと以外は実施例9と同様の手順で積層フィルムを作製し、包装材料を模したサンプルを得た。前述の方法により評価した結果を表2に示す。
【0082】
[実施例14]
基材フィルム1に、電子線照射装置(岩崎電気(株)製EC250/30/90LS)を用いて、加速電圧110kV、照射線量30kGyの条件(条件A)で電子線照射を行った後に、接着性組成物を塗工したこと以外は実施例1と同様の手順で積層フィルムを作製し、包装材料を模したサンプルを得た。前述の方法により評価した結果を実施例1とあわせて表3に示す。
【0083】
[実施例15]
シーラントフィルム1に、電子線照射装置(岩崎電気(株)製EC250/30/90LS)を用いて、加速電圧110kV、照射線量30kGyの条件(条件B)で電子線照射を行った後に基材フィルム1に貼り合わせたこと以外は実施例14と同様の手順で積層フィルムを作製し、包装材料を模したサンプルを得た。前述の方法により評価した結果を表3に示す。
【0084】
[実施例16]
実施例1と同様の手順で積層フィルムを作製した後、電子線照射装置(岩崎電気(株)製EC250/30/90LS)を用いて、加速電圧110kV、照射線量30kGyの条件(条件C)で基材層側から電子線照射を行った後、包装材料を模したサンプルを得た。前述の方法により評価した結果を表3に示す。
【0085】
[実施例17]
電子照射の照射線量を90kGyに変更した(条件D)こと以外は実施例16と同様の手順で積層フィルムに電子線照射を行った後、包装材料を模したサンプルを得た。前述の方法により評価した結果を表3に示す。
【0086】
[実施例18~21]
シーラント1をシーラント3に変更したこと以外は実施例14~17と同様の手順で積層フィルムを作製し、包装材料を模したサンプルを得た。前述の方法により評価した結果を実施例7とあわせて表3に示す。
【0087】
【0088】
【0089】