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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010047
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】検知システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20250109BHJP
   A61B 5/113 20060101ALI20250109BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61B5/11 110
A61B5/113
A61B5/0245 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024105469
(22)【出願日】2024-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2023105911
(32)【優先日】2023-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519431236
【氏名又は名称】有限会社ケイ・ピー・ディ
(74)【代理人】
【識別番号】100209624
【弁理士】
【氏名又は名称】制野 友樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤木 一明
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA10
4C017AA14
4C017AA20
4C017AB04
4C017AC40
4C017BC11
4C017CC02
4C038VA04
4C038VB31
4C038VB33
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】安価で、小型軽量であり、操作性に優れ、人又は動物を精度よく検知することが可能な検知システム、検知装置及び検知プログラムを提供する。
【解決手段】人又は動物を検知するための検知システムであって、マイクロ波又はミリ波である照射波を照射し、前記照射波の周波数とその反射波の周波数の差分値の周波数に応じたドップラー出力信号を取得する信号取得手段と、前記ドップラー出力信号から、呼吸に応じた第1周波数帯における第1信号と、体動に応じた第2周波数帯における第2信号とを含む抽出情報を抽出する抽出手段と、前記抽出情報に基づいて評価情報を生成する評価手段と、前記評価情報に基づいて検知結果を生成し、前記検知結果を出力する出力手段と、を備える。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象を検知するための検知システムであって、
マイクロ波又はミリ波である照射波を照射し、前記照射波の周波数とその反射波の周波数の差分値の周波数に応じたドップラー出力信号を取得する信号取得手段と、
前記ドップラー出力信号から、呼吸に応じた第1周波数帯における第1信号と、体動に応じた第2周波数帯における第2信号とを含む抽出情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出情報に基づいて、前記抽出情報を評価した評価情報を生成する評価手段と、
前記評価情報に基づいて検知結果を生成し、前記検知結果を出力する出力手段と、を備える
検知システム。
【請求項2】
対象を検知するための検知システムであって、
マイクロ波又はミリ波である照射波を照射し、前記照射波の周波数とその反射波の周波数の差分値の周波数に応じたドップラー出力信号を取得する信号取得手段と、
前記ドップラー出力信号から、呼吸に応じた第1周波数帯における第1信号又は体動に応じた第2周波数帯における第2信号を含む抽出情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出情報に基づいて、前記抽出情報を評価した評価情報を生成する評価手段と、
前記評価情報に基づいて検知結果を生成し、前記検知結果を出力する出力手段と、を備える
検知システム。
【請求項3】
前記抽出手段は、心拍に応じた第3周波数帯における第3信号を更に含む前記抽出情報を抽出する
請求項1に記載の検知システム。
【請求項4】
前記取得手段は、マイクロ波である前記照射波を瓦礫に照射する
請求項1又は2に記載の検知システム。
【請求項5】
過去の第1信号及び過去の第2信号を含む過去の抽出情報と、前記過去の抽出情報の評価に用いられた参照情報と、前記過去の抽出情報及び前記参照情報との間における3段階以上の連関度と、が記憶される参照データベースを更に備え、
前記評価手段は、前記参照データベースを参照し、前記抽出情報と前記参照情報との間における3段階以上の第1連関度を含む前記評価情報を生成する
請求項4に記載の検知システム。
【請求項6】
前記参照データベースは、前記過去の抽出情報と前記参照情報とを用いて機械学習により構築される
請求項5に記載の検知システム。
【請求項7】
前記過去の抽出情報と、前記参照情報との間の関係を新たに取得した場合には、前記関係を前記連関度に反映させる更新手段を更に備える
請求項5に記載の検知システム。
【請求項8】
複数の前記信号取得手段と、
各々の前記信号取得手段の位置に関する第1位置情報を取得する第1位置情報取得手段と、
前記第1位置情報取得手段に基づいて、検知すべき対象の位置に関する第2位置情報を生成する第2位置情報生成手段と、を備え、
複数の前記信号取得手段は、各々の前記信号取得手段が照射する前記照射波の照射時刻を揃えて照射し、各々の前記信号取得手段において前記ドップラー出力信号の強度と、前記ドップラー出力信号を取得した取得時刻と、を取得し、
前記第2位置情報生成手段は、各々の前記ドップラー出力信号の強度と、各々の前記ドップラー出力信号の取得時刻と、各々の前記信号取得手段における前記第1位置情報と、に基づいて、前記第2位置情報を生成し、
前記評価手段は、前記第2位置情報を含む前記抽出情報、に基づいて評価情報を生成する
請求項7に記載の検知システム。
【請求項9】
対象を検知するための検知システムであって、
マイクロ波又はミリ波である照射波を照射し、前記照射波の周波数とその反射波の周波数の差分値の周波数に応じたドップラー出力信号を取得する信号取得手段と、
前記ドップラー出力信号から、連続的な打音に応じた周波数帯における信号を含む抽出情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出情報に基づいて、前記抽出情報を評価した評価情報を生成する評価手段と、
前記評価情報に基づいて検知結果を生成し、前記検知結果を出力する出力手段と、を備える
検知システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物、特に人又は動物を検知するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、震災により崩落した建物や土砂等の瓦礫に人が生き埋めになる事例が複数報告されている。そのような生き埋めになった人を救助する際には、「黄金の72時間」といわれるように、生き埋めになってから初期の時間帯にいかに救助活動を行うか、いわゆる初動救助が極めて重要である。早期に救助することができれば、その分生存率も高くなるからである。
【0003】
そのような初動救助を実現するには、瓦礫に埋もれた人を探索するために探索ツールを用いる。しかしながら、これまでの探索ツールは複数の問題を有している。すなわち、それら探索ツールは、1)高額であり、2)大型で持ち運びに不便であり、また、3)使用に際して専門的な知識や技術を必要とし、特定の人しか扱うことができないものであった。
【0004】
例えば、特許文献1は被災者探索システムに関し、転動分散型探索ユニットなる探索ユニットを提案しているが、耐環境性を持つ転動可能な外殻を有するという特性上、持ち運びに不便であるという問題点がある。また使用するセンサとして、赤外線センサ、ガスセンサを用いて人を検知するため、特許技術1に記載の技術によっては被災者を精度よく検知することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-167633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上述した従来技術における問題点を解決した検知システムを提供することにある。
【0007】
特に、その目的とするところは、上述したような検知システムであって、安価で、小型軽量であり、操作性に優れ、人又は動物を精度よく検知することが可能な検知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、人又は動物を検知するための検知システムであって、マイクロ波又はミリ波である照射波を照射し、照射波の周波数とその反射波の周波数の差分値の周波数に応じたドップラー出力信号を取得する取得手段と、ドップラー出力信号から、呼吸に応じた第1周波数帯における第1信号と、体動に応じた第2周波数帯における第2信号とを含む抽出情報を抽出する抽出手段と、抽出情報に基づいて、抽出情報を評価した評価情報を生成する評価手段と、評価情報に基づいて検知結果を生成し、検知結果を出力する出力手段と、を備え、評価情報は、第1信号を評価した呼吸評価と、前記第2信号を評価した体動評価と、を含むことを特徴とする検知システムによれば、価で、小型軽量であり、操作性に優れ、人又は動物を精度よく検知することが可能な検知システムを提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0009】
(1)対象を検知するための検知システムであって、
マイクロ波又はミリ波である照射波を照射し、前記照射波の周波数とその反射波の周波数の差分値の周波数に応じたドップラー出力信号を取得する信号取得手段と、
前記ドップラー出力信号から、呼吸に応じた第1周波数帯における第1信号と、体動に応じた第2周波数帯における第2信号とを含む抽出情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出情報に基づいて、前記抽出情報を評価した評価情報を生成する評価手段と、
前記評価情報に基づいて検知結果を生成し、前記検知結果を出力する出力手段と、を備える
検知システム。
【0010】
(2)対象を検知するための検知システムであって、
マイクロ波又はミリ波である照射波を照射し、前記照射波の周波数とその反射波の周波数の差分値の周波数に応じたドップラー出力信号を取得する信号取得手段と、
前記ドップラー出力信号から、呼吸に応じた第1周波数帯における第1信号又は体動に応じた第2周波数帯における第2信号を含む抽出情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出情報に基づいて、前記抽出情報を評価した評価情報を生成する評価手段と、
前記評価情報に基づいて検知結果を生成し、前記検知結果を出力する出力手段と、を備える
検知システム。
【0011】
(3)前記抽出手段は、心拍に応じた第3周波数帯における第3信号を更に含む前記抽出情報を抽出する(1)に記載の検知システム。
【0012】
(4)前記取得手段は、マイクロ波である前記照射波を瓦礫に照射する(1)又は(2)に記載の検知システム。
【0013】
(5)過去の第1信号及び過去の第2信号を含む過去の抽出情報と、前記過去の抽出情報の評価に用いられた参照情報と、前記過去の抽出情報及び前記参照情報との間における3段階以上の連関度と、が記憶される参照データベースを更に備え、
前記評価手段は、前記参照データベースを参照し、前記抽出情報と前記参照情報との間における3段階以上の第1連関度を含む前記評価情報を生成する(4)に記載の検知システム。
【0014】
(6)前記参照データベースは、前記過去の抽出情報と前記参照情報とを用いて機械学習により構築される(5)に記載の検知システム。
【0015】
(7)前記過去の抽出情報と、前記参照情報との間の関係を新たに取得した場合には、前記関係を前記連関度に反映させる更新手段を更に備える(5)に記載の検知システム。
【0016】
(8)複数の前記信号取得手段と、
各々の前記信号取得手段の位置に関する第1位置情報を取得する第1位置情報取得手段と、
前記第1位置情報取得手段に基づいて、検知すべき対象の位置に関する第2位置情報を生成する第2位置情報生成手段と、を備え、
複数の前記信号取得手段は、各々の前記信号取得手段が照射する前記照射波の照射時刻を揃えて照射し、各々の前記信号取得手段において前記ドップラー出力信号の強度と、前記ドップラー出力信号を取得した取得時刻と、を取得し、
前記第2位置情報生成手段は、各々の前記ドップラー出力信号の強度と、各々の前記ドップラー出力信号の取得時刻と、各々の前記信号取得手段における前記第1位置情報と、に基づいて、前記第2位置情報を生成し、
前記評価手段は、前記第2位置情報を含む前記抽出情報、に基づいて評価情報を生成する(7)に記載の検知システム。
【0017】
(9)対象を検知するための検知システムであって、
マイクロ波又はミリ波である照射波を照射し、前記照射波の周波数とその反射波の周波数の差分値の周波数に応じたドップラー出力信号を取得する信号取得手段と、
前記ドップラー出力信号から、連続的な打音に応じた周波数帯における信号を含む抽出情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出情報に基づいて、前記抽出情報を評価した評価情報を生成する評価手段と、
前記評価情報に基づいて検知結果を生成し、前記検知結果を出力する出力手段と、を備える
検知システム。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、安価で、小型軽量であり、操作性に優れ、人又は動物を精度よく検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態に係る検知システムの全体構成を示す図である。
図2】第1の実施形態における評価結果出力の様子・一例を表す図である。
図3】(a)検知システムにおける検知装置のハードウェア構成の一例を示す図であり、(b)検知装置の機能要素(機能部)の一例を示す図である。
図4】ドップラー抽出信号から抽出情報及び評価情報が生成される状況の一例を示す図である。
図5】第1実施形態における参照データベースの一例を示す模式図である。
図6】第1実施形態における参照データベースの変形例を示す模式図である。
図7】第1実施形態における検知システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図8】第1実施形態における検知システムの動作の変形例を示すフローチャートである。
図9】第3実施形態における検知システムの全体構成の一例を示す図である。
図10】第3実施形態における検知システムの検知装置の機能の一例を示す模式図である。
図11】第4実施形態における検知システムの全体構成の一例を示す図である。
図12】第4実施形態における検知システムの検知装置の機能の一例を示す模式図である。
図13】本発明に係る検知装置1の外観図である。
図14】本発明に係る検知装置1の各状態におけるLED制御を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態における検知システムの一例について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る検知システムは、対象を検知するための検知システムであって、マイクロ波又はミリ波である照射波を照射し、照射波の周波数とその反射波の周波数の差分値の周波数に応じたドップラー出力信号を取得する信号取得手段と、ドップラー出力信号から、呼吸に応じた第1周波数帯における第1信号と、体動に応じた第2周波数帯における第2信号とを含む抽出情報を抽出する抽出手段と、抽出情報に基づいて、抽出情報を評価した評価情報を生成する評価手段と、評価情報に基づいて検知結果を生成し、前記検知結果を出力する出力手段と、を備える。
【0022】
図1は、第1実施形態に係る検知システムの全体構成である。この図を参照しつつ、検知システム100の構成の一例を説明する。
【0023】
図1に示すように、検知システム100は、検知装置1、ユーザ端末2,サーバ3、そしてこれらを有線的・無線的に互いに接続する情報通信網4からなっている。ここで、検知装置1は実際に対象を検知する構成要素である。ユーザ端末2は、検知装置1に対するユーザからの指示を受付け、及び、検知装置1による検出結果をユーザに対して出力表示するための端末である。サーバ3は、検知装置1との協働により対象の検知の際に使用される。
【0024】
このような検知システム100は、倒壊した建物や土砂等の瓦礫に埋もれた対象を検知し、または、家、病院等の屋内環境における対象を検知するためのシステムである。検知される対象は、人または動物である。
【0025】
図2は、第1の実施形態における評価結果出力の様子・一例を表す図である。検知システム100は、この図2に示すように、ドップラー出力信号から、人又は動物の呼吸に応じた第1周波数帯における第1信号と、人又は動物の体動に応じた第2周波数帯における第2信号を含む抽出情報を抽出し、抽出情報を評価した評価情報を生成し、評価情報に基づいて、人又は動物の検知結果を生成する。これにより、瓦礫に埋もれた人又は動物を精度よく検知することができる。
【0026】
<検知装置1の構成>
図3(a)は、検知装置1の構成の一例を示す模式図である。検知装置1として、例えばマイクロコンピュータ等のコンピュータを備えた電子機器が用いられる。検知装置1は、筐体10、CPU101、ROM102、RAM103、記憶部104、及びI/F105~107を備える。各構成101~107は、内部バス110により互いに接続されている。
【0027】
CPU(Central Processing Unit)101は、検知装置1全体を制御する。ROM(Read Only Memory)102は、CPU101の動作コードを格納する。RAM(Random Access Memory)103は、CPU101の動作時に使用される一時作業領域である。記憶部104は、ドップラー出力信号や位置情報等の各種情報が記憶される。記憶部104として、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(solid state drive)、その他のデータ保存装置が用いられる。検知装置1は、図示しないGPU(Graphics Processing Unit)を有してもよい。GPUを有することで、通常よりも高速演算処理が可能となる。
【0028】
I/F105は、情報通信網4を介してサーバ3等との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。I/F106は、入力部分108との情報の送受信を行うためのインターフェースである。入力部分108として、例えばユーザ端末2のキーボードやタッチパネルが用いられる。検知システム100のユーザ等は、入力部分108を介して、各種情報又は検知装置1の制御コマンド等を入力する。I/F107は、出力部分109との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。出力部分109は、記憶部104に保存された各種情報、又は検知装置1の処理状況等を出力する。出力部分109として、ユーザ端末2のディスプレイが用いられる。出力部分109は、例えばタッチパネルが用いられることも可能である。この場合、出力部分109は、入力部分108と共通の構成要素となる。
【0029】
図3(b)は、検知装置1の機能要素の構成の一例を示す模式図である。検知装置1は、信号取得部11、抽出部12、評価部13、出力部14、及び入力部15を備える。検知装置1は、例えば、第1位置情報取得部16、通信部17、情報DB18、及び、更新部19を更に備えてもよい。なお、図3(b)に示した機能要素は、CPU101が、RAM103を作業領域として、記憶部104等に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。また、各構成要素11~19は、例えば人工知能により制御されてもよい。
【0030】
なお、図1において、検知装置として検知装置1のみを示しているが、検知装置の数は1台に限られず、複数台を同時に用いることもできる。
【0031】
<信号取得部11>
信号取得部11は、ドップラーセンサが用いられる。信号取得部11は、マイクロ波又はミリ波である照射波を照射し、照射波の周波数とその反射波の周波数の差分値の周波数に応じたドップラー出力信号を取得する。信号取得部11は、マイクロ波を照射するマイクロ波ドップラーセンサが用いられてもよい。信号取得部11は、瓦礫や屋内等の対象(人又は動物)を検知したい対象領域に照射波を照射する。信号取得部11は、検知装置1を中心に半径5m程度の範囲に照射波を照射することができる。
【0032】
信号取得部11又はこれを含む構造体(例えば、検知装置1等)は、ドローン等の飛行体を用いて飛行させ、上空から照射波を照射、ドップラー出力信号を取得してもよい。これにより、通常では人が行くことができない、行きにくい場所でも人又は動物を検知することができる。
【0033】
なお、ドップラー出力信号としては、特に制限されず、ドップラーセンサに用いられるIQ位相検波器により取得されるI位相及びQ位相の2つのドップラー信号でもよいし、I位相又はQ位相のいずれかのドップラー信号でもよい。
【0034】
<抽出部12>
抽出部12は、図4に示すように、信号取得部11により取得したドップラー出力信号から、人又は動物の呼吸に応じた第1周波数帯における第1信号と、人又は動物の体動に応じた第2周波数帯における第2信号とを分離し、分離した第1信号と第2信号とを含む抽出情報を抽出する。第1周波数帯は、例えば、0Hzより大きく0.5Hz以下の周波数である。第2周波数帯は、例えば、0.5Hzより大きく1.5Hz以下の周波数である。抽出部12は、ドップラー出力信号から、人又は動物の心拍に応じた第3周波数帯における第3信号をさらに分離し、第3信号を更に含む抽出情報を抽出してもよい。この場合、第3周波数帯は、例えば1.5Hzより大きく10Hz以下の周波数である。
【0035】
抽出部12は、ドップラー出力信号から建物や土砂等の瓦礫に起因するノイズや周囲の環境に起因するノイズを除去し、ノイズを除去したドップラー出力信号から第1信号、第2信号、及び第3信号を分離、抽出してもよい。
【0036】
抽出部12は、ドップラー出力信号をフーリエ変換、高速フーリエ変換等により、時間関数から周波数関数に変換する。抽出部12は、周波数関数から、第1信号、第2信号、必要に応じて第3信号を分離し、抽出情報を抽出する。抽出部12は、分離した周波数関数としての第1信号、第2信号、第3信号を、逆フーリエ変換、逆高速フーリエ変換等により、時間関数へと変換してもよい。このように第1信号~第3信号は、時間軸又は周波数軸に対する強度(振れ幅)として示される。
【0037】
<評価部13>
評価部13は、抽出部12により抽出した抽出情報に基づいて、抽出情報を評価した評価情報を生成する。評価情報は、第1信号が呼吸を示す信号であるかについて評価した呼吸評価と、第2信号が体動を示す信号であるかについて評価した体動評価とを含む。評価情報は、第3信号が心拍を示す信号であるかについて評価した心拍評価を更に含んでいてもよい。評価部13は、第1信号と第2信号とを組み合わせた抽出情報を評価した評価情報を生成してもよい。評価部13は、第1信号と第2信号と第3信号とを組み合わせた抽出情報を評価した評価情報を生成してもよい。
【0038】
評価部13は、第1信号に基づいて呼吸数を算出し、算出した呼吸数を含む呼吸評価を生成してもよい。また、評価部13は、第3信号に基づいて心拍数を算出し、算出した心拍数を含む心拍評価を生成してもよい。
【0039】
評価部13は、図5に示すように、参照データベースを参照し、抽出情報と参照情報との間における3段階以上の第1連関度を含む評価情報を生成してもよい。評価部13は、例えば参照データベースを参照し、抽出情報と一致又は類似する過去の抽出情報を選択し、選択された過去の抽出情報に紐づけられた連関度を第1連関度として算出する。この他、評価部13は、例えば参照データベースを分類器のアルゴリズムとして用い、抽出情報と参照情報との間における第1連関度を算出してもよい。
【0040】
例えば、図5に示した参照データベースを用いる場合、抽出情報の第1信号が第1信号Aと一致又は類似するとき、呼吸評価Aに対して「80%」、呼吸評価Bに対して「15%」、呼吸評価Cに対して「1%」の第1連関度がそれぞれ算出される。また、抽出情報の第2信号が第2信号Aと一致又は類似するときは、例えば体動評価Aに対して「60%」、体動評価Bに対して「25%」の第1連関度がそれぞれ算出される。また、抽出情報の第3信号が第3信号Bと一致又は類似するときは、例えば心拍評価Aに対して「70%」、体動評価Bに対して「35%」、体動評価Cに対して「5%」の第1連関度がそれぞれ算出される。
【0041】
評価部13は、図6に示すように、参照データベースを参照し、第1信号と第2信号とを組み合わせた抽出情報と参照情報との間における3段階以上の第1連関度を含む評価情報を生成してもよい。例えば、図6に示した参照データベースを用いる場合、抽出情報の第1信号と第2信号との組み合わせが第1信号Aと第2信号Aとの組み合わせと一致又は類似するとき、評価Aに対して「80%」、評価Bに対して「20%」、評価Cに対して「1%」の第1連関度がそれぞれ算出される。
【0042】
評価部13は、参照データベースを参照し、第1信号と第2信号と第3信号とを組み合わせた抽出情報と参照情報との間における3段階以上の第1連関度を含む評価情報を生成してもよい。例えば、図6に示した参照データベースを用いる場合、抽出情報の第1信号と第2信号と第3信号との組み合わせが第1信号Bと第2信号Aと第3信号Aとの組み合わせと一致又は類似するとき、評価Aに対して「60%」、評価Bに対して「30%」、評価Cに対して「10%」の第1連関度がそれぞれ算出される。
【0043】
また、評価部13における抽出情報の評価は、人工知能を用いて行ってもよい。すなわち、人工知能は、第1信号が呼吸を示す信号であるかについて評価した呼吸評価と、第2信号が体動を示す信号であるかについて評価した体動評価とを直接生成してもよい。また、人工知能はこれらに加えて、第3信号が心拍を示す信号であるかについて評価した心拍評価を生成してもよい。なお、これらの生成にあたって、学習結果としての参照データベースを参照してもよい。
【0044】
評価部13は、第1連関度を算出した後、抽出情報、参照情報、及び第1連関度を含む評価情報を生成する。
【0045】
<出力部14>
出力部14は、図4に示すように、評価情報に基づいて検知結果を生成し、検知結果を出力する。出力部14は、評価情報が、第1信号が呼吸を示す信号であると評価した呼吸評価と、第2信号が体動を示す信号であると評価した体動評価とを含む場合、対象領域に人又は動物がいるという検知結果を生成する。出力部14は、評価情報が、第3信号が心拍を示す信号であると評価した心拍評価を更に含む場合、対象領域に人又は動物がいるという検知結果を生成してもよい。
【0046】
出力部14は、評価情報が、第1信号が呼吸を示す信号でないと評価した呼吸評価を含む場合には、対象領域に人又は動物がいないという検知結果を生成する。出力部14は、評価情報が、第2信号が体動を示す信号でないと評価した体動評価を含む場合には、対象領域に人又は動物がいないという検知結果を生成する。
【0047】
また、出力部14は、第1信号と第2信号とを組み合わせた抽出情報を評価した評価情報に基づいて、対象領域に人又は動物がいる又はいないという検知結果を生成してもよい。出力部14は、第1信号と第2信号と第3信号とを組み合わせた抽出情報を評価した評価情報に基づいて、対象領域に人又は動物がいる又はいないという検知結果を生成してもよい。
【0048】
出力部14は、生成された検知結果を出力する。出力部14は、I/F107を介して出力部分109に検知結果を出力する他、例えばI/F105を介して任意の装置に検知結果を出力してもよい。図13は、本発明に係る検知装置1の外観図である。出力部14は、検知装置1に設けられたLED照明等で構成される点灯部(図13)により、人又は動物を検知した検知結果の場合には点灯部を点灯させることで、検知結果を出力してもよい。図14は、本発明に係る検知装置1の各状態におけるLED制御を表す図である。検知結果の出力は、例えば、図14に記載する態様で行われることが考えられる。
【0049】
その他、例えば評価結果に一定の閾値を設け、これに応じて、対象領域に人又は動物がいる確率が高い順に点灯部に、青点灯(例えば維持時間2秒)、黄点灯(例えば維持時間4秒)、赤点灯(例えば維持時間6秒)、赤点滅(例えば維持時間8秒)を出力してもよい。ただし、対象領域に人又は動物がいる確率が一定の確率以上である、例えば赤点灯や赤点滅の場合には、一度赤点灯や赤点滅になった場合、赤点灯や赤点滅の出力を(例えばリセットボタンを押す等、他の何らかの操作をするまで)止めずに保持してもよい。災害救助の現場は混乱しており、赤点灯や赤点滅という重大な表示を見逃さないようにすることができる。
【0050】
出力部14は、抽出情報を更に出力してもよい。このとき、出力部14は、第1信号、第2信号及び第3信号を時間関数として、検知結果と合わせて出力してもよい。出力部14は、後述する検知装置1の位置情報を、検知結果と合わせて出力してもよい。出力部14は、呼吸数、心拍数を更に出力してもよい。
【0051】
<入力部15>
入力部15は、情報通信網4及びI/F105を介してユーザ端末2から送信された各種情報を受信する他、例えばI/F106を介して入力部分108から入力された各種情報を受信する。その他、入力部15は、例えばサーバ3に記憶された抽出情報を受信してもよい。入力部15は、例えばSDカード等の可搬メモリ等の記憶媒体を介して、各種情報を受信してもよい。入力部15は、例えばユーザが評価情報に基づいて作成した更新用データや、連関度を更新するために用いられる学習用データ等を受信する。
【0052】
<第1位置情報取得部16>
第1位置情報取得部16は、GPS(Global Positioning System)等により検知装置1の位置に関する第1位置情報を取得できる機器が用いられる。第1位置情報取得部16は、検知装置1の第1位置情報を出力部14に送信する。送信された第1位置情報は出力部分109に出力される。
【0053】
<通信部17>
通信部17は、ドップラー出力信号、抽出情報、評価情報、検知結果、検知装置1の第1位置情報等の各種情報を他の電子機器と送受信する。通信部17は、例えばbluetooth(登録商標)やwi-fi(登録商標)、beacon等により具現化される。
【0054】
<情報DB18>
情報DB18には、予め取得された過去の抽出情報、及び過去の抽出情報に用いられた参照情報が記憶された参照データベースが記憶される。情報DB18には、例えば抽出情報、抽出情報と参照情報との間の第1連関度を含む評価情報、評価情報に基づき生成された検知結果、及び検知結果を表示するフォーマット等の各種情報が記憶される。参照データベース及び各種情報は、HDDやSSD等で具現化された記憶部104に、各種情報のデータベースとして保存される。各構成要素11~19は、必要に応じて情報DB18に各種情報を記憶させ、又は各種情報を取出す。
【0055】
参照データベースには、例えば図5に示すように、過去の抽出情報と参照情報との間における3段階以上の連関度が記憶される。参照データベースは、例えば連関度を算出できるアルゴリズムで形成される。過去の抽出情報及び参照情報は、複数の情報を有し、各過去の情報と各参照情報との関係は、それぞれ連関度で紐づいている。
【0056】
例えば、過去の抽出情報に含まれる第1信号Aは、参照情報に含まれる呼吸評価Aとの間の連関度「80%」を示し、参照情報に含まれる呼吸評価Bとの間の連関度「15%」を示す。すなわち、「連関度」は、各情報間における繋がりの度合いを示しており、連関度が高いほど、各データの繋がりが強いことを示す。
【0057】
例えば、図6に示すように、過去の第1信号と過去の第2信号との組み合わせとしての過去の抽出情報と、参照情報との間が、連関度で紐づいていてもよい。例えば、過去の第1信号と過去の第2信号と過去の第3信号との組み合わせとしての過去の抽出情報と、参照情報との間が、連関度で紐づいていてもよい。
【0058】
なお、過去の抽出情報及び参照情報は、画像の形式で参照データベースに記憶される他、例えば数値、行列(ベクトル)、又はヒストグラム等の形式で記憶されてもよい。
【0059】
参照データベースは、例えば機械学習を用いて構築される。機械学習の方法として、例えば深層学習が用いられる。参照データベースは、例えばニューラルネットワークで構成され、その場合、連関度は隠れ層及び重み変数で示されてもよい。
【0060】
<更新部19>
更新部19は、例えば過去の抽出情報と、参照情報との間の関係を新たに取得した場合には、関係を連関度に反映させる。連関度に反映させるデータとして、例えばユーザが新たに取得した抽出情報と、抽出情報に対応する参照情報とを含む更新情報が用いられる。この他、連関度に反映させる情報として、例えばユーザが判定結果を基づいて作成した学習用データが用いられる。
【0061】
<サーバ3>
サーバ3には、各種情報に関するデータ(データベース)が記憶されている。このデータベースには、例えば情報通信網4を介して送られてきた情報が蓄積される。サーバ3には、例えば情報DB18と同様の情報が記憶され、情報通信網4を介して検知装置1と各種情報の送受信が行われてもよい。サーバ3として、例えばネットワーク上のデータベースサーバが用いられてもよい。サーバ3は、上述した記憶部104や情報DB18の代わりに用いられてもよい。
【0062】
<ユーザ端末2>
ユーザ端末2は、検知装置1に有線又は無線で接続され、各種情報を送受信する。ユーザ端末2として、例えばスマートフォンが用いられる。ユーザ端末2は、この他、携帯電話(携帯端末)、タブレット型端末、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ、IoT(Internet of Things)デバイス等の電子機器の他、あらゆる電子機器で具現化されたものが用いられてもよい。なお、ユーザ端末2は、例えば検知装置1の構成を含んでもよい。
【0063】
<情報通信網4>
情報通信網4(ネットワーク)は、検知装置1等が通信回路を介して接続されるインターネット通信網等である。情報通信網4は、いわゆる光ファイバ通信網で構成されてもよい。また、情報通信網4は、有線通信網には限定されず、無線通信網で実現してもよい。
【0064】
(実施形態:検知システム100の動作)
次に、本実施形態における検知システム100の動作の一例について説明する。図7は、本実施形態における検知システム100の動作の一例を示すフローチャートである。検知システム100を動作させる際には、検知システム100を動作させる検知プログラムとして以下の動作をコンピュータに実行させてもよい。
【0065】
先ず、信号取得部11は、検知対象領域としての瓦礫にマイクロ波又はミリ波である照射波を照射し、照射波の周波数とその反射波の周波数の差分値の周波数に応じたドップラー出力信号を取得する(信号取得ステップS110)。信号取得ステップS110では、第1位置情報取得部16が検知装置1の第1位置情報を取得してもよい。
【0066】
次に、抽出部12は、信号取得部11により取得したドップラー出力信号から、呼吸に応じた第1周波数帯における第1信号と、体動に応じた第2周波数帯における第2信号とを含む抽出情報を抽出する(抽出ステップS120)。このとき、抽出部12は、心拍に応じた第3周波数帯における第3信号を更に含む抽出情報を抽出してもよい。
【0067】
次に、評価部13は、抽出部12により抽出された抽出情報に基づいて評価情報を生成する(評価ステップS130)。評価部13は、第1信号が呼吸を示す信号であるかについて評価した呼吸評価と、第2信号が体動を示す信号であるかについて評価した体動評価と、を含む評価情報を生成する。評価部13は、抽出部12が第3信号を含む抽出情報を取得した場合には、第3信号が呼吸を示す信号であるかについて評価した呼吸評価を更に含む評価情報を生成してもよい。
【0068】
評価部13は、第1信号に基づいて呼吸数を算出し、算出した呼吸数を含む呼吸評価を生成してもよい。また、評価部13は、第3信号に基づいて心拍数を算出し、算出した心拍数を含む心拍評価を生成してもよい。
【0069】
評価部13は、第1信号と第2信号との組み合わせとしての抽出情報に基づいて、評価情報を生成してもよい。評価部13は、第1信号と第2信号と第3信号との組み合わせとしての抽出情報に基づいて、評価情報を生成してもよい。
【0070】
次に、出力部14は、評価部13により生成された評価情報に基づいて検知結果を生成し、検知結果を出力部分109に出力する(出力ステップS140)。出力部14は、図4に示すように例えば「瓦礫の中に人がいます」という検知結果を、出力部分109に出力する。
【0071】
出力部14は、検知結果に加え、抽出情報(第1信号、第2信号、必要に応じて第3信号)及び検知装置1の第1位置情報を、出力部分109に更に出力してもよい。出力部14は、呼吸数、心拍数を更に出力してもよい。
【0072】
これにより、本実施形態における検知システム100の動作が終了する。なお、上述した実施形態において、第1位置情報取得部16による検知装置1の第1位置情報の取得については、信号取得ステップS110において行われたが、本発明では、抽出ステップS120、評価ステップS130及び出力ステップS140の何れかのステップにおいて行われればよい。
【0073】
本実施形態によれば、ドップラー出力信号から、呼吸に応じた第1周波数帯における第1信号と、体動に応じた第2周波数帯における第2信号を含む抽出情報を抽出し、抽出情報を評価した評価情報を生成し、評価情報に基づいて、人や動物等の検知結果を生成する。このとき、呼吸評価と体動評価に基づいて、検知結果を生成する。これにより、呼吸や体動を考慮して、人又は動物を検知することができる。このため、人又は動物を精度よく検知することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、評価情報に基づいて、検知結果が生成されるため、専門的な知識を必要とせずに、操作することができる。このため、操作性に優れた検知システム100を提供することが可能となる。また、本実施形態によれば、ドップラーセンサ等によりドップラー出力信号を用いる。このため、安価で、小型軽量な検知システム100を提供することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態によれば、検知装置1から半径5m程度の範囲で、人又は動物を検知することができる。これにより、大型な機械を用いる必要の無い範囲で、簡易に人又は動物を検知することができる。このため、救助活動の際に大いに役立てることができる。
【0076】
本実施形態によれば、信号取得部11は、マイクロ波を瓦礫に照射する。これにより、瓦礫に埋もれた人又は動物を検知することができる。このため、建物や土砂が倒壊した被災現場等で用いることができる。
【0077】
本実施形態によれば、抽出部12は、心拍に応じた第3周波数帯における第3信号を更に含む抽出情報を抽出し、評価情報は、第3信号が心拍を示す信号であるかについて評価した心拍評価を含む。これにより、心拍の影響を考慮して、人又は動物を検知することができる。このため、人又は動物を検知する精度をより高めることができる。
【0078】
本実施形態によれば、抽出部12は、ドップラー出力信号から、瓦礫や周辺環境によるノイズを除去して、第1信号と第2信号とを含む抽出情報を抽出する。これにより、第1信号と第2信号とをより高い精度で分離することができる。このため、人又は動物を検知する精度をより高めることができる。
【0079】
本実施形態によれば、wifiやbluetooth等の検知結果を送受信する通信部17を有する。これにより、本格的な救助活動を行う災害救助隊等に、検知結果を報知することができる。このため、人又は動物の救助活動をより効率的に行うことができる。
【0080】
本実施形態によれば、第1位置情報取得部16は、検知装置1の第1位置情報を取得する。これにより、人又は動物を検知した場所を即座に把握することができる。
【0081】
本実施形態によれば、瓦礫だけでなく、屋内や車内でも用いることができる。これにより、屋内や車内にいる人又は動物を検知することができる。このため、屋内にいる高齢者や動物の見守りとして用いることができる。また、自動車やバス内に、子供や動物(ペット等)が置き去りにされることを防止するために用いることもできる。
【0082】
(実施形態:検知システム100の動作の変形例)
次に、本実施形態における検知システム100の動作の変形例について説明する。図8は、本実施形態における検知システム100の動作の変形例を示すフローチャートである。以下では、主に上述した動作の一例と相違する点を主に説明する。
【0083】
先ず、信号取得ステップS110と、抽出ステップS120とを行う。
【0084】
次に、評価部13は、参照データベースを参照し、抽出情報と、参照情報との間の第1連関度を含む評価情報を取得する(評価ステップS130)。評価部13は、信号取得部11又は情報DB18から抽出情報を取得し、情報DB18から参照データベースを取得する。
【0085】
評価部13は、参照データベースを参照することで、抽出情報と、参照情報との間の第1連関度を算出することができる。評価部13は、例えば抽出情報と一致、一部一致、又は類似する過去の抽出情報を選択し、対応する連関度に基づいて第1連関度を算出する。詳細には、評価部13は、第1信号と一致、一部一致、又は類似する過去の抽出情報の第1信号を選択し、対応する連関度に基づいて第1連関度を算出するとともに、例えば第2信号と一致、一部一致、又は類似する過去の抽出情報の第2信号を選択し、対応する連関度に基づいて第1連関度を算出する。評価部13は、例えば参照データベースを分類器のアルゴリズムとして用い、第1連関度を算出してもよい。なお、評価部13は、算出した第1連関度及び取得した評価情報を情報DB18に記憶させてもよい。
【0086】
評価部13は、第1信号と第2信号との組み合わせと一致、一部一致、又は類似する過去の第1信号と過去の第2信号との組み合わせを選択し、対応する連関度に基づいて第1連関度を算出してもよい。評価部13は、第1信号と第2信号と第3信号との組み合わせと一致、一部一致、又は類似する過去の第1信号と過去の第2信号と過去の第3信号との組み合わせを選択し、対応する連関度に基づいて第1連関度を算出してもよい。
【0087】
<出力ステップS140>
次に、出力部14は、評価情報に基づき検知結果を生成し、検知結果を出力する(出力ステップS140)。出力部14は、評価部13又は情報DB18から評価情報を取得し、例えば情報DB18から検知結果を表示するフォーマットを取得してもよい。
【0088】
出力部14は、評価情報に基づいて、例えばフォーマットを参照して検知結果を生成する。出力部14は、テキスト形式等で検知結果を生成する。
【0089】
その後、出力部14は、検知結果を出力する。出力部14は、出力部分109に評価結果を出力する。出力部14は、例えば予め設定された報知基準値と、第1連関度とを比較した結果に基づき、検知結果を出力してもよい。この場合、例えば報知基準値を「90%以上」と設定したとき、第1連関度が90%以上の場合のみ検知結果を出力する。すなわち、報知基準値は任意の閾値であり、報知基準値以上又は以下等の条件は任意に設定することができる。また、報知基準値を設定する際、第1信号に対する第1連関度の比較となる第1報知基準値と、第2信号に対する第1連関度の比較となる第2報知基準値と、第3信号に対する第1連関度の比較となる第3報知基準値と、それぞれ設定してもよい。このとき、第1報知基準値、第2報知基準値及び第3報知基準値を、同じ値に設定してもよいし、それぞれ異なる値に設定してもよい。
【0090】
<更新ステップS150>
その後、更新部19は、例えば過去の抽出情報と、参照情報との間の関係を新たに取得した場合には、この関係を連関度に反映させてもよい(更新ステップS150)。
【0091】
これにより、本実施形態における検知システム100の動作が終了する。なお、上述した更新ステップS150を実施するか否かは任意である。
【0092】
本実施形態によれば、評価部13は、参照データベースを参照し、抽出情報と、参照情報との間の第1連関度を含む評価情報を取得する。このため、抽出情報に対して参照情報が紐づけられ、抽出情報に基づいて人又は動物の定量的な検知結果を取得することができる。これにより、検知結果の精度の向上が可能となる。
【0093】
また、本実施形態によれば、3段階以上に設定されている連関度(第1連関度)に基づいて、抽出情報を評価する点に特徴がある。連関度は、例えば0~100%までの数値で記述することができるが、これに限定されるものではなく3段階以上の数値で記述できればいかなる段階で構成されていてもよい。
【0094】
このような連関度に基づいて、抽出情報に対する検知結果の候補として選ばれる参照情報において、連関度の高い又は低い順に参照情報を表示することが可能となる。このように連関度の順に表示することで、ユーザ等は人又は動物がいる可能性の高い検知結果を優先的に評価することができる。他方、人又は動物がいる可能性の高い検知結果も除外せずに表示できるため、ユーザ等は見逃すことなく評価することが可能となる。
【0095】
上記に加え、本実施形態によれば、例えば連関度が1%のような極めて低い場合も見逃すことなく評価することができる。連関度が極めて低い参照情報であっても、僅かな兆候として繋がっていることを示しており、見逃しや誤認を抑制することが可能となる。
【0096】
また、本実施形態によれば、出力部14は、予め設定された報知基準値と、第1連関度とを比較した結果に基づき、検知結果を出力する。このため、報知基準値の設定条件に応じて、検知結果を出力するか否かを制御することができる。これにより、検知結果が必要な場合のみ出力させることができ、ユーザ等は、常に検知結果を確認する必要がない。従って、ユーザ等の作業負荷を低減させることが可能となる。
【0097】
また、本実施形態によれば、出力部14は、予め設定された第1報知基準値、第2報知基準値及び第3報知基準値と、それぞれの第1連関度とを比較した結果に基づき、検知結果を出力する。このため、第1報知基準値~第3報知基準値の設定条件に応じて、検知結果を出力するか否かを制御することができる。これにより、第1信号~第3信号について重み付けをしたうえで、検知結果が必要な場合のみ出力させることができ、ユーザ等は、常に検知結果を確認する必要がない。従って、ユーザ等の作業負荷を低減させることが可能となる。
【0098】
また、本実施形態によれば、更新部19は、過去の抽出情報と、参照情報との間の関係を新たに取得した場合には、関係を連関度に反映させる。このため、連関度を容易に更新することができ、評価の精度を向上させることが可能となる。
【0099】
なお、第1実施形態に係る検知システム100において、抽出部12は、第1信号と第2信号とを含む抽出情報を抽出するが、抽出部12は、第1信号と第2信号のいずれかを抽出し、これを抽出情報とすればよい。すなわち、このような検知システムは、対象を検知するための検知システムであって、マイクロ波又はミリ波である照射波を照射し、照射波の周波数とその反射波の周波数の差分値の周波数に応じたドップラー出力信号を取得する信号取得手段と、ドップラー出力信号から、呼吸に応じた第1周波数帯における第1信号又は体動に応じた第2周波数帯における第2信号を含む抽出情報を抽出する抽出手段と、抽出情報に基づいて、抽出情報を評価した評価情報を生成する評価手段と、評価情報に基づいて検知結果を生成し、前記検知結果を出力する出力手段と、を備えるものである。
【0100】
(第2実施形態)
第1実施形態に係る検知システム100においては、人又は動物の呼吸に応じた第1周波数帯における第1信号と、人又は動物の体動に応じた第2周波数帯における第2信号を含む抽出情報を抽出しているが、その代わりに、連続的な打音に応じた周波数帯における信号を含む抽出情報を抽出してもよい。
【0101】
具体的に、第2実施形態に係る検知システムは、対象を検知するための検知システムであって、
マイクロ波又はミリ波である照射波を照射し、照射波の周波数とその反射波の周波数の差分値の周波数に応じたドップラー出力信号を取得する信号取得手段と、ドップラー出力信号から、連続的な打音に応じた周波数帯における信号を含む抽出情報を抽出する抽出手段と、抽出情報に基づいて、抽出情報を評価した評価情報を生成する評価手段と、評価情報に基づいて検知結果を生成し、検知結果を出力する出力手段と、を備える。
【0102】
例えばスチールでできた棚等の構造物を連続的に叩く打音は、上述した信号取得部11としてのドップラーセンサ等各種センサで検知しやすい。一方、災害救助の現場では、救助隊員等が、瓦礫に埋もれた人に対して「周りのものを叩いて音を出してください」と声をかけることがある。そこで、人又は動物の呼吸や体動に代えて、連続的な打音を抽出し、これを基に評価を行う。それ以外の構成については全て第1実施に係る検知システム100と同様である。これにより、瓦礫に埋もれた人又は動物を精度よく検知することができる。
【0103】
なお、「連続的な打音」とは、例えば「トン」という一打する音ではなく、「トン、トン、トン、トン」という複数の打音をある程度の間隔を持って複数打する音である。ただし、その間隔については特に限定されず、また正確に等間隔でなくてもよい。また、打数についても特に限定されない。
【0104】
叩く対象物については、その素材は特に限定されず、例えばスチール等金属、木材であってよく、また液体(例えば水たまり等)であってもよい。その場所も特に限定されず、棚、床、壁等であってよい。
【0105】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態における検知システム100について説明する。
【0106】
図9は、第3実施形態における検知システム100の全体構成の一例を示す図である。検知システム100は、人を検知するために用いられる。検知システム100は、家、病院、車等の周囲が仕切られた居室Qにおいて、人を検知するために用いられる。
【0107】
検知装置1は、居室Qの窓際に設置される。サーバ6には、ユーザ登録者である患者A、見舞客B、看護師Cを識別するための登録情報が予め記憶され、ユーザ端末2等のアプリケーション等によりユーザ登録がされている。サーバ6には、ユーザ未登録者Dについての登録情報が記憶されていない。
【0108】
患者Aは、患者Aを識別するための識別情報が記憶された記憶媒体20としてのユーザ端末2を保有している。見舞客Bは、見舞客Bを識別するための識別情報が記憶された記憶媒体としてのユーザ端末2を保有している。看護師Cは、看護師Cを識別するための識別情報が記憶された記憶媒体20としてのRFIDセンサ付きIDカード3を保有している。ユーザ未登録者Dは、記憶媒体を保有していない。
【0109】
登録情報は、識別情報と同一の内容であり、例えば、氏名、年齢、職業、住所等の内容を含む。
【0110】
図10は、第3実施形態における検知システム100の検知装置1の機能の一例を示す模式図である。第3実施形態における検知装置1は、探索部21と、判別結果生成手段22と、を更に備える点で、第1実施形態における検知装置1と相違する。なお、図9に示した機能は、CPU101が、RAM103を作業領域として、記憶部104等に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。また、各構成11~19、21~22は、例えば人工知能により制御されてもよい。
【0111】
<探索部21>
探索部21は、出力部14により出力された検知結果において人を検知した場合に、ユーザ登録者であるかを識別するための識別情報が記憶された記憶媒体20を探索してもよい。記憶媒体20は、ユーザ登録者を識別するための識別情報が記憶されるものとして、ユーザが保有するユーザ端末2として具現化されてもよいし、RFIDセンサ付きIDカード3として具現化されてもよい。
【0112】
探索部21は、記憶媒体20を探索するためのビーコン等の探索波を発信し、その反射波を受信する。
【0113】
<判別結果生成部22>
判別結果生成部22は、探索部21により探索した記憶媒体20に記憶された識別情報を取得し、取得した識別情報に基づいて、サーバ6に記憶された登録情報を参照し、出力部14により出力された検知結果において検知した人が、ユーザ登録者であるかを判別した判別結果を生成する。
【0114】
<通信部17>
通信部17は、判別結果生成部22により判別された判別結果において、当該人がユーザ登録者である場合には、例えば、他のユーザ登録者のユーザ端末2等に通知してもよい。例えば、通信部17は、判別結果生成部22により判別された判別結果において、当該人がユーザ登録者としての看護師Cである場合には、例えば、他のユーザ登録者である患者Aの家族のユーザ端末2等に通知してもよい。
【0115】
通信部17は、判別結果生成部22により判別された判別結果において、当該人がユーザ登録者でない場合には、例えば、他のユーザ登録者のユーザ端末2等に通知してもよい。例えば、通信部17は、判別結果生成部22により判別された判別結果において、当該人がユーザ未登録者Dである場合には、例えば、他のユーザ登録者である患者Aの家族や看護師C等のユーザ端末2等に通知してもよい。通信部17は、判別結果生成部22により判別された判別結果において、当該人がユーザ登録者でない場合には、アラーム等の警報がなるように設定されていてもよい。
【0116】
本実施形態によれば、検知結果において人を検知した場合に、当該人がユーザ登録者であるかを識別するための識別情報が記憶された記憶媒体を探索する探索部21と、ユーザ登録者に関する登録情報を記憶するサーバ6と、探索部21により探索した記憶媒体20に記憶された識別情報を取得し、取得した識別情報に基づいて、サーバ6に記憶された登録情報を参照し、出力部14により出力された検知結果において検知した人が、ユーザ登録者であるかを判別した判別結果を生成する判別結果生成部22とを備える。
【0117】
これにより、例えば、患者Aが入院している居室Qに見舞客Bが入室した際に、他のユーザ登録者に通知するように設定することができる。このため、患者Aのプライバシーを守りつつ、患者A以外の他のユーザ登録者の居室Qへの入退室管理をする、見守りシステムとして具現化することができる。
【0118】
また、例えば、患者Aが入院している居室Qにユーザ未登録者Dが入室した際に、他のユーザ登録者に通知するように設定することができる。このため、患者Aのプライバシーを守りつつ、不審者の侵入を抑制する、見守りシステムとして具現化することができる。
【0119】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態における検知システム100について説明する。
【0120】
図11は、第4実施形態における検知システム100の全体構成の一例を示す図である。検知システム100は、人を検知するために用いられる。検知システム100は、家、病院、車等の周囲が仕切られた複数の居室Qにおいて、人を検知するために用いられる。
【0121】
検知装置1は、壁を隔てて仕切られた居室P、居室Q、居室Rの窓際にそれぞれ設置される。サーバ6には、ユーザ登録者である患者A、見舞客B、看護師Cを識別するための登録情報が予め記憶され、ユーザ端末2等のアプリケーション等によりユーザ登録がされている。サーバ6には、ユーザ未登録者Dについての登録情報が記憶されていない。
【0122】
患者Aは、患者Aを識別するための識別情報が記憶された記憶媒体20としてのユーザ端末2を保有している。見舞客Bは、見舞客Bを識別するための識別情報が記憶された記憶媒体としてのユーザ端末2を保有している。看護師Cは、看護師Cを識別するための識別情報が記憶された記憶媒体20としてのRFIDセンサ付きIDカード3を保有している。ユーザ未登録者Dは、記憶媒体を保有していない。
【0123】
登録情報は、識別情報と同一の内容であり、例えば、氏名、年齢、職業、住所等の内容を含む。
【0124】
図12は、第4実施形態における検知システム100の検知装置1の機能の一例を示す模式図である。第4実施形態における検知装置1は、第2位置情報生成部23を更に備える点で、第3実施形態における検知装置1と相違する。なお、図12に示した機能は、CPU101が、RAM103を作業領域として、記憶部104等に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。また、各構成11~19、21~23は、例えば人工知能により制御されてもよい。
【0125】
<信号取得部11>
検知装置1は、複数の信号取得部11を複数備える。複数の信号取得部11は、各々の信号取得部11が照射する照射波の照射時刻を揃えて照射し、各々の信号取得部11においてドップラー出力信号の強度と、ドップラー出力信号を取得した取得時刻と、を取得する。
【0126】
<第1位置情報取得部16>
検知装置1は、第1位置情報取得部16が各々の信号取得部11の位置に関する第1位置情報を取得する。例えば、第1位置取得情報は、居室P、居室Q、居室Rの窓際にそれぞれ設置された検知装置1の緯度経度に関する情報であってもよいし、それぞれの検知装置1の距離と方向の関係であってもよい。
【0127】
<第2位置情報生成部23>
第2位置情報生成部23は、各々のドップラー出力信号の強度と、各々のドップラー出力信号の取得時刻と、各々の信号取得部11における第1位置情報と、に基づいて、検知すべき対象の位置に関する第2位置情報を生成する。
【0128】
第2位置情報生成部23は、居室P、居室Q、居室Rの窓際にそれぞれ設置された検知装置1において取得されたドップラー出力信号の強度と、ドップラー出力信号を取得した取得時刻と、各々の信号取得部11における第1位置情報と、に基づいて、検知すべき対象の位置に関する第2位置情報を生成する。
【0129】
第2位置情報生成部23は、例えば、ドップラー出力信号の強度の照射波に対する減衰率と、取得時刻の差分と、第1位置情報との関係から、検知すべき対象の位置に関する第2位置情報を生成する。第2位置情報は、検知すべき対象の緯度経度であってもよいし、例えば一つの検知装置1からの距離と角度とであってもよい。
【0130】
<抽出部12>
抽出部12は、第2位置情報を含む抽出情報を抽出する。
【0131】
<評価部13>
評価部13は、第2位置情報を含む抽出情報と、に基づいて評価情報を生成する。
【0132】
本実施形態によれば、複数の信号取得部11と、各々の信号取得部11の位置に関する第1位置情報を取得する第1位置情報取得部16と、第1位置情報取得部16に基づいて、検知すべき対象の位置に関する第2位置情報を生成する第2位置情報生成部23と、を備え、複数の信号取得部11は、各々の信号取得手部11が照射する照射波の照射時刻を揃えて照射し、各々の信号取得部11においてドップラー出力信号の強度と、ドップラー出力信号を取得した取得時刻と、を取得し、第2位置情報生成部23は、各々のドップラー出力信号の強度と、各々のドップラー出力信号の取得時刻と、各々の信号取得部11における第1位置情報と、に基づいて、第2位置情報を生成し、評価部13は、第2位置情報を含む抽出情報と、に基づいて評価情報を生成する。
【0133】
これにより、検知すべき人の位置に関する第2位置情報を考慮して、検知結果を生成することができる。このため、検知すべき人の位置を把握することができる。
【0134】
なお、参照データベースには、過去の第2位置情報を含む過去の抽出情報と参照情報との間における3段階以上の連関度が記憶されてもよい。
【0135】
本実施形態によれば、評価部13は、参照データベースを参照し、抽出情報と、参照情報との間の第1連関度を含む評価情報を取得する。このため、第2位置情報を考慮した抽出情報に対して参照情報が紐づけられ、抽出情報に基づいて人又は動物の定量的な検知結果を取得することができる。これにより、検知結果の精度の向上が可能となる。
【0136】
検知装置1は、ドップラー出力信号から抽出した各周波数帯域の信号が、連続して所定の回数だけ所定の閾値を超える値となったときに、体動、呼吸、心拍を検出し、連続して所定の回数だけ所定の閾値を超える値とならなかった場合に体動・呼吸・心拍を検出しないよう構成されていることも可能である。例えば、呼吸に応じた第1周波数帯における第1信号が、5回連続して所定の閾値となった場合に呼吸検出フラグをONにし、「呼吸あり」と評価し、呼吸未検出が32回連続した場合に呼吸検出フラグをOFFにし、「呼吸なし」と評価するよう構成されていることが可能である。この構成は、体動検出、心拍検出に対しても同様に構成されていることが考えられる。
【0137】
検出装置1は、呼吸検出された際にLEDを青点滅、体動検出された際に赤点滅、心拍検出された際に緑点滅する等、複数色で検出された信号を表示できるよう構成されていることが考えられる。この場合、検出判定が存在しない場合に、黄点等別色で点灯されるよう構成されていることも考えられる(図13図14)。
【0138】
検知装置1は、複数の動作モードで動作するよう構成されていることが可能である。例えば、動作モードとして通常モード・災害モード・テストモードの3モードが設けられていることが考えられる。テストモードにおいては、体動・呼吸・心拍判定によるLED制御が行われず、LEDの試験が可能であるよう、LEDの制御コマンドの受信及び受信した制御コマンド応じたLEDの点灯・点滅等が可能であるよう構成されていることが可能である。通常モードと災害モードにおいては、上述した検出周波数帯域及び/又は閾値を異なるものとして構成することが可能である。
【0139】
本発明の実施形態を説明したが、各実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0140】
100 :検知システム
1 :検知装置
2 :ユーザ端末
3 :サーバ
4 :公衆通信網
10 :筐体
11 :信号取得部
12 :抽出部
13 :評価部
14 :出力部
15 :入力部
16 :第1位置情報取得部
17 :通信部
18 :情報DB
19 :更新部
20 :記憶媒体
21 :探索部
22 :判別結果生成部
23 :第2位置情報生成部
101 :CPU
102 :ROM
103 :RAM
104 :記憶部
105 :I/F
106 :I/F
107 :I/F
108 :入力部分
109 :出力部分
110 :内部バス
S110 :信号取得ステップ
S120 :抽出ステップ
S130 :評価ステップ
S140 :出力ステップ
S150 :更新ステップ
図1
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図10
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図12
図13
図14