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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010058
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】汚水汚れ防止具
(51)【国際特許分類】
   A47K 13/24 20060101AFI20250109BHJP
   A47K 17/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A47K13/24
A47K17/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024105799
(22)【出願日】2024-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2023108965
(32)【優先日】2023-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】310002374
【氏名又は名称】吉岡 かおり
(72)【発明者】
【氏名】吉岡かおり
【テーマコード(参考)】
2D037
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037BA23
2D037BA24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】座位排泄用具使用に際する、汚水汚れを防止できる汚水汚れ防止具を提供する。
【解決手段】排泄用開口部を備えた座部を有する座位排泄用具の座部および座部周辺への汚水汚れの付着を防止する汚水汚れ防止具であって、前記汚水汚れ防止具は、汚水を受ける略板状の汚水受け部と前記汚水受け部を座部に着脱可能とする連結部とよりなり、前記汚水受け部は前記座部との間に汚水排出用の間隙部を形成可能とする間隙保持部を有し、汚水の流路を規制することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄用開口部を備えた座部を有する座位排泄用具において、前記座部および前記座部周辺部への汚水汚れの付着を防止する汚水汚れ防止具であって、前記汚水汚れ防止具は、汚水を受ける略板状の汚水受け部と前記汚水受け部を前記座部に着脱可能とする連結部とよりなり、前記汚水受け部は前記座部の内周縁との間に汚水排出用の間隙部を形成可能とする間隙保持部を少なくともひとつ以上備え、前記汚水受け部の上端の全部または一部を、平面視では前記座部内周縁の内側に設置可能であり、かつ、側面視では前記座部内周縁の下端の高さ以上に設置可能であり、前記汚水受け部の下端を、平面視では前記座部外周縁より内側に設置可能であり、かつ、側面視では前記座部内周縁の下端の高さより下に設置可能な汚水汚れ防止具であって、前記汚水受け部で受けた汚水は前記汚水受け部内側面に流下させるとともに、前記汚水受け部を超えた汚水は前記汚水排出用の間隙部に流下させ、汚水の流路を規制したことを特徴とする汚水汚れ防止具。
【請求項2】
前記汚水受け部の上端の形状の全部または一部に、前記汚水受け部の長手方向中央から左右方向に向けてそれぞれ下向きに傾斜させた部分を設けたことを特徴とする請求項1に記載の汚水汚れ防止具。
【請求項3】
前記連結部の一部または全部に略帯状または紐状の可とう性を有する部材を用いた装着部を備え、前記装着部は、前記座部の一部の内周縁および上面および外周縁および裏面を1周させて固定可能なことを特徴とする請求項1または2に記載の汚水汚れ防止具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座位での排泄に用いる開口部を備えた座部を有する用具使用に際する、排泄物等汚水汚れの防止に関するものである。
【背景技術】
【0002】
排泄のための用具のうち、座部に排泄用の開口部を設けたものは、便座と便器を備える腰掛式便器をはじめ、組立式の箱型トイレや折りたたみ椅子状の簡易トイレに排泄物を受ける袋をとりつけて使用するものまで、様々存在する。
【0003】
これらの使用方法は、立位での排尿も可能ではあるが、大半は座位での排泄で使用されている。座位排泄で尿がとぶ方向の座部は、座部裏面を中心に排泄物等の汚れが付着しやすく、座部内側縁に継ぎ目が存在すると継ぎ目に汚れが蓄積して目立つこともある。また、座部に近接する便器や袋等の排泄物を受ける容器の上方付近にも、排泄物等汚れは付着しやすく、人体局部洗浄機能をもつ設備や、携帯用の人体局部洗浄用具を使用した場合は、その人体局部洗浄水が飛び散ることもある。これらによって、見た目や臭いによる不快感とともに、汚水に触れる等の衛生面のリスクが増し、その影響は、排泄時や清掃時の感染症のリスクや日常的な心身への負担を増すだけでなく、排泄を控えようとする行動の誘因となる場合もあり、健康上の問題におよぶことから、例えば、災害等の非常時には顕著な問題となって現れやすいと考えられる。
【0004】
ここで、以下、座部に排泄用の開口部を設けた排泄用具を、簡便に座位排泄用具と表現し、座位排泄用具使用に際する、排泄物や人体局部洗浄水を、簡略に汚水と表現する。また、汚水により座位排泄用具の座部を中心に付着する汚れを簡略に汚水汚れと表現する。
【0005】
前記のような座部を中心とする汚水汚れへの対応は、清掃が一般的であり、汚水汚れの付着を物理的に継続して防ぐ提案としては、腰掛式便器における便座と便器の隙間から排泄物が漏れるといった、著しい汚れに対する提案が従来からなされている。
【0006】
特許文献1は、便座用漏れ防止具は、隙間を遮蔽するための可撓性を有する帯形状の遮蔽部と、便座の裏面に設置するための可撓性を有する帯形状の設置部とからなり、設置部は粘着層と剥離シートを備え、長手方向にわたって複数の切れ目を有するとされ、便座に容易に固定でき、製造コストも低く抑えることができるとされる。
特許文献2は、汚水漏れ防止具は、汚水を受ける帯状の汚水受け部と便器に装着する装着部とからなり、前記汚水受け部は便器との間に間隙部を形成しており、汚水は汚水受け部内側面で受けるだけでなく、汚水受け部上端を超えた汚水も間隙部から流れ落ちることができるとし、さらに、便器への装着部の一部に線状の金属部材を用いることで、様々な形状の便器や隙間の大きさに対応可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-188900号公報
【特許文献2】特開2011-234767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1は、便座裏面に遮蔽部全長にわたって粘着部で貼るため、粘着部の端部付近に汚れが蓄積しやすく、やや清掃しにくい。また、遮蔽部にあたった尿が上方に溢れる場合は、便座の表面や外側へ流れることで、身体や衣服、床を汚すこともあり得る。
特許文献2は便器に装着するため、便座裏面のうち、汚水受け部よりも内側部分の汚水汚れは防ぐことができない。また、線状の金属材料は自由に変形できる一方で、利用者が便器と便座の隙間の高さに合わせて汚水受け部の位置を調節する必要があるため、汚水受け部が低めに設定されてしまった場合には、便座裏面等への汚水汚れにとどまらず、隙間から汚水が飛び出す漏れが起こりやすくなることがあった。
【0009】
また、市販の箱型や椅子型の簡易トイレは、袋を利用するものが多いが、レジャー等では計画的な利用が行えても、災害等の非常時には長期にわたり袋が不足する状況もあり得る。また、防災用品としてしまい込んだまま、試用したことがない人も少なくないため、実際に必要なときにはスムーズに利用開始できないことも考えられ、望ましくは、日常から利用している汚水汚れ防止具が、非常用も含めた多様な座位排泄用具にも対応できれば有意義と考えられる。
【0010】
本発明では、座位排泄用具の座部および座部周辺への汚水汚れを防止するため、様々な座位排泄用具に対応可能で、簡便に導入でき、清掃等管理も容易な汚水汚れ防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の汚水汚れ防止具においては、排泄用開口部を備えた座部を有する座位排泄用具において、前記座部および前記座部周辺部への汚水汚れの付着を防止する汚水汚れ防止具であって、前記汚水汚れ防止具は、汚水を受ける略板状の汚水受け部と前記汚水受け部を前記座部に着脱可能とする連結部とよりなり、前記汚水受け部は前記座部の内周縁との間に汚水排出用の間隙部を形成する間隙保持部を少なくともひとつ以上備え、前記汚水受け部の上端の全部または一部を、平面視では前記座部内周縁の内側に設置可能であり、かつ、側面視では前記座部内周縁の下端の高さ以上に設置可能であり、前記汚水受け部の下端を、平面視では前記座部外周縁より内側に設置可能であり、かつ、側面視では前記座部内周縁の下端の高さより下に設置可能な汚水汚れ防止具であって、前記汚水受け部で受けた汚水は前記汚水受け部内側面に流下させるとともに、前記汚水受け部を超えた汚水は前記汚水排出用の間隙部に流下させ、汚水の流路を規制したことを特徴とする汚水汚れ防止具。
【0012】
請求項2の汚水汚れ防止具においては、前記汚水受け部の上端の形状の全部または一部に、前記汚水受け部の長手方向中央から左右方向に向けてそれぞれ下向きに傾斜させた部分を設けたことを特徴とする請求項1に記載の汚水汚れ防止具。
【0013】
請求項3の汚水汚れ防止具においては、前記連結部の一部または全部に略帯状または紐状の可とう性を有する部材を用いた装着部を備え、前記装着部は、前記座部の一部の内周縁および上面および外周縁および裏面を1周させて固定可能なことを特徴とする請求項1または2に記載の汚水汚れ防止具。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の汚水汚れ防止具においては、排泄用開口部を備えた座部を有する座位排泄用具において、前記座部および前記座部周辺部への汚水汚れの付着を防止する汚水汚れ防止具であって、前記汚水汚れ防止具は、汚水を受ける略板状の汚水受け部と前記汚水受け部を前記座部に着脱可能とする連結部とよりなり、前記汚水受け部は前記座部の内周縁との間に汚水排出用の間隙部を形成する間隙保持部を少なくともひとつ以上備え、前記汚水受け部の上端の全部または一部を、平面視では前記座部内周縁の内側に設置可能であり、かつ、側面視では前記座部内周縁の下端の高さ以上に設置可能であり、前記汚水受け部の下端を、平面視では前記座部外周縁より内側に設置可能であり、かつ、側面視では前記座部内周縁の下端の高さより下に設置可能な汚水汚れ防止具であって、前記汚水受け部で受けた汚水は前記汚水受け部内側面に流下させるため、
汚水の大半は前記座部に達する前に前記汚水受け部内側面を流下することができ、もっとも汚れやすい座部裏面の汚れを防止できるとともに、前記座部に近接する便器や袋等の排泄物を受ける容器の上方付近に飛び散る汚水汚れを防止できる。
【0015】
同じく、前記汚水汚れ防止具は、前記連結部を座部に連結するため、例えば、前記腰掛式便器のように前記座部と前記便器との間に隙間がある場合であっても、前記汚水受け部の上端の高さは、前記隙間の高さの違いに影響されず一定であるため、利用者の設置方法の差による影響を受けにくく、確実に汚水汚れ防止の効果を発揮できる。
【0016】
同じく、前記汚水汚れ防止具は、前記連結部を座部に連結するため、利用者側が商品を選ぶ際には、座部への適合を主に確認すればよいため、手軽に導入でき、汎用性が高い。
【0017】
同じく、前記汚水汚れ防止具は、前記汚水受け部を超えた汚水は前記汚水排出用の間隙部に流下させ、汚水の流路を規制したため、前記汚水受け部上端を超えた汚水は、勢いが弱まり、前記汚水受け部外側面を伝って流下することができ、前記座部上面に散った汚水も前記汚水排出用の間隙部に流下することができるため、前記汚水汚れ防止具を設置することによる前記座部との間への汚水汚れの蓄積を防止することができ、こまめな清掃が難しい状況においても、汚れすぎない状態を維持できる。
【0018】
同じく、前記汚水汚れ防止具は、座部に設置したままで清掃の洗剤や水をかけても、汚水同様に前記汚水受け部の内側面および外側面および前記汚水排出用の間隙部から流下するため、容易に手入れができ、かつ、乾きやすく、ごく短時間に清掃ができ、管理がしやすい。
【0019】
同じく、前記汚水汚れ防止具は、座部および座部周辺、前記汚水汚れ防止具自体への汚水汚れの付着や蓄積を最小限に抑えることができるため、清潔を保ちやすく、座位排泄用具使用時の心理的負担を少なくできるとともに、清掃の負担も少なく、災害時等清潔を保つための資源や人手が限られている場合であっても、衛生管理に寄与できる。
【0020】
同じく、前記汚水汚れ防止具は、座部だけでなく、排泄物を受ける容器の上方付近に集中しやすい汚れも防止することができるため、排泄物を受ける容器の清掃や、排泄物の入った袋等容器ごと廃棄するような場合において、作業時に汚水汚れに接触するリスクを減らすことができるため、清掃時の感染リスクを低減できると同時に、心理的負担も軽減できる。
【0021】
請求項2の汚水汚れ防止具においては、前記汚水受け部の上端の形状の全部または一部に、前記汚水受け部の長手方向中央から左右方向に向けてそれぞれ下向きに傾斜させた部分を設けたため、座部へ座る動作や、座位での排泄中に、汚水受け部が使用者の大腿部内側等に触れにくくすることができ、身体が触れた場合であっても、身体を傷つけにくくできるため、利用上の安全性を高めることができる。
【0022】
同じく、前記汚水汚れ防止具は、前記汚水受け部の上端の形状の全部または一部に、前記汚水受け部の長手方向中央から左右方向に向けてそれぞれ下向きに傾斜させた部分を設けたため、前記汚水受け部の形状を汚水が集中しやすい中央を高めにして、効率よく汚水を受けることができるとともに、下向きへの傾斜部分があることによって、汚水が流れやすい形状にすることができるため、効果的に汚水汚れを防止できる。
【0023】
請求項3の汚水汚れ防止具においては、前記連結部の一部または全部に略帯状または紐状の可とう性を有する部材を用いた装着部を備え、前記装着部は、前記座部の一部の内周縁および上面および外周縁および裏面を1周させて固定可能なため、座部の形状やサイズが異なっていても利用可能で汎用性が高く、かつ、汚水汚れ防止具自体の落下も防ぐため、導入しやすい汚水汚れ防止具を提供できる。
【0024】
同じく、前記汚水汚れ防止具は、略帯状または紐状の可とう性を有する部材を用いた装着部を備え、前記座部の一部を1周させて固定可能なため、汚水が蓄積しやすい部分が最小限となっており、汚水は前記間隙部に効率よく流下できるとともに、清掃時の洗剤や水も流れやすさにも通ずるため、より簡単に洗い流す清掃を行うことができ、清潔を保ちやすい。
【0025】
同じく、前記汚水汚れ防止具は、略帯状または紐状の可とう性を有する部材を用いた装着部を備え、前記座部の一部を1周させて固定可能なため、前記装着部が見える位置となり、デザイン性を工夫した汚水汚れ防止対策を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による実施例1の形態を示す斜視図である。
図2図1A-A線における矢視断面図である。
図3図1における平面図である。
図4】本発明による実施例2の形態を示す斜視図である。
図5図4B-B線における矢視断面図である。
図6図4C-C線における矢視断面図である。
図7図4における平面図である。
図8図4に示す汚水汚れ防止具の斜視図である。
図9】本発明による実施例3の形態を示す平面図である。
図10図9D-D線における矢視断面図である。
図11図9に示す汚水汚れ防止具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態を図で説明する。
【実施例0028】
本発明の第1の実施例の形態を図1図3により説明する。図1は、本発明の実施の形態を示す斜視図、図2は、図1A-A線における矢視断面図、図3図1における平面図である。
【0029】
座位排泄用具30は、排泄用の開口部41を有し、略O型をなす座部40と、折り目を有する板材を円筒形になした支持部60からなり、排泄物を受ける袋50とともに使用し、排泄物は袋50ごと廃棄処分する仕様である。袋50は支持部60開口部61内に袋開口部51をひろげるようにして入れ、袋の口部分53は支持部60上端62にかけて、支持部60外側面63に出た状態になるよう設置している。座部40の裏面47は内周縁42と外周縁43の間が凹状をなす形状であり、前記支持部60の上端62に袋50をかけた状態の上に載置されている。
【0030】
なお、図示した座位排泄用具30は組立式簡易トイレを例示したが、この例に限るものではない。座部40の形状が略U型など異なっていてもよいし、支持部60の形状が異なっていてもよい。排泄物を受ける袋50は、別の容器でもよいし、放流等、容器を使用しないものであってもよい。排泄対応機能をもつ椅子等であってもよく、介護用ポータブルトイレや水洗式の腰掛式便器であってもよい。人体局部洗浄機能や除菌機能、暖房機能等の設備を有していてもよい。
【0031】
汚水汚れ防止具1は、汚水を受ける略板状の汚水受け部10および連結部20よりなる。なお、図示した連結部20の個数は例示したものであり、この個数に限定するものではない。
【0032】
汚水受け部10は略板状の部材を円弧状に形成してなり、前記汚水受け部10の上端11は、平面視で、座部40内周縁42の内側であって開口部41内に設置するとともに、側面視では前記座部40内周縁42側の下端46の高さ以上に設置しており、前記汚水受け部10の下端12は、平面視で前記座部40外周縁43より内側に設置し、かつ、側面視では前記座部40の内周縁42側の下端46の高さより下に設置している。さらに、前記汚水受け部10の外側面14の一部には間隙保持部16が連結されており、汚水受け部10と座部40との間に、汚水排出用の間隙部15を形成している。
【0033】
連結部20は前記間隙保持部16に連結し、座部40に連結する装着部21からなる。装着部21は座部40に着脱可能に取り付けるよう形成しており、座部40の上面45および内周縁42および外周縁43に接する略コの字型をなしている。
【0034】
なお、前記汚水受け部10の上端11の高さは、側面視において、座部40の上端44よりやや下方に位置させており、この例に限定するものではないが、少なくとも、座部に座る動作や座位で排泄中に身体に触れた場合の安全性を考慮した高さにすることが望ましく、座部40上端44付近までを目安に、高すぎないことが望ましい。さらに、前記汚水受け部10の上端11は、側面視において、断面を丸みを帯びた形状とし、この例に限定するものではないが、身体に触れた場合の安全性を考慮した形状または素材が望ましく、例えば、汚水受け部上端11に別形状や別素材の部材を連結してもよいし、着脱可能なカバー等を組み合わせる仕様としてもよく、特に限定しない。
【0035】
また、汚水受け部10の形状は前記に限定するものではない。例えば、汚水受け部10が座部40の内周縁42の全周に及ぶ、平面視で略円形をなしていてもよいし、前記汚水受け部10の内側面13および外側面14に凹凸状部を形成してもよく、特に限定しない。
【0036】
連結部20の形状および構造は前記に限定するものではなく、連結部20を座部40に取り付ける方法が、別の方法でもよい。例えば、粘着テープ付きで貼り付けてもよいし、クリップ状にはさむ方法でもよく、汚水受け部10に連接して切り欠き部分を設けて嵌めこむ方法でもよい。また、汚水汚れ防止具1の全体または一部に撥水加工や防水加工、抗菌加工、防臭加工等の加工を施すことも特に限定しない。
【0037】
素材について、汚水汚れ防止具1の全体をポリプロピレン樹脂とした。この他、シリコン、エラストマー樹脂等の樹脂材料や、防水加工等を加えた紙や布、竹等の繊維系材料でもよく、特に限定しないが、前記汚水受け部10の上端11の断面形状について、特段の対策を取らない場合は、汚水受け部10のうち、少なくとも上端11の素材は可とう性を有し、身体に触れても安全な柔軟性を有する素材が望ましく、前述のとおり、別部材を連結してもよいし、カバー等着脱できる別部材で対応してもよく、特に限定しない。
【0038】
サイズは、汚水受け部10は 高さ3cm~6cm程度、長さ15cm~85cm程度、厚さ0.5mm~3mm程度としたが、この例に限定するものではない。また、汚水受け部10の下端12は、側面視で少なくとも座部40内周縁42側の下端46より下の高さ、望ましくは1~2cm程度下がよいが、例えば、袋50上端付近52を広めにカバーするために、もっと下方に長くしてもよく、この例に限定するものではない。間隙保持部16および連結部20は、幅1cm~2cm程度、厚さ0.5mm~3mm程度、座部40の上面45に接する部分の長さ8~10cm程度、内周縁42側に接する部分の長さ2~3cm程度、間隙保持部の長さ0.3~1.0cm程度、外周縁43側に接する部分の長さ2cm~4cm程度としたが、この例に限定するものではない。
【0039】
以上の構成よりなる汚水汚れ防止具1は、座部40に連結しているため、汚水受け部10の上端11の位置は、側面視で座部40より下に下がることがなく、適切な位置を保つことができる。さらに、座部40の内周縁42より内側に汚水受け部10が位置するため、汚水が座位排泄用具30の前方49の方向に飛んだ場合に、汚水は汚水受け部10にあたり、内側面13を流れて袋50の開口部51内へ流れ落ち、座部40の裏面47および内周縁42への汚水汚れの付着を防ぐことができる。
【0040】
さらに、汚水の勢いが強い場合や量が多い場合であっても、汚水受け部10の上端11を超えた汚水は、勢いが弱まり、前記汚水受け部10の外側面14を伝って流下するだけでなく、座部40上面45に散る汚水も、汚水排出用の間隙部15から袋50開口部51内へ流下することができ、汚水の流路を規制することができるため、汚水が使用者の大腿部や臀部に伝わることを予防できる。
【0041】
同じく、前記汚水汚れ防止具1は、汚水の流路を規制したことを特徴とするため、清掃時に洗剤や水をかけても、汚水同様に袋開口部51内に流れ落ちることができるため、短時間かつ容易に手入れができ、乾きやすく、清潔維持の管理が容易である。
【0042】
おって、前記汚水汚れ防止具1は、前記座部40の上面45および内周縁42および前記汚水汚れ防止具1自体へも汚水汚れの付着を最小限に抑えることができているため、清掃が難しい場合であっても、汚れ過ぎない状態を維持できる。このことは、災害時等清潔を保つための資源が限られている場合にも、最小範囲の拭き取り等の対処をとりやすく、使用時の心理的負担を軽減でき、衛生管理を行いやすくすることで、適切な排泄頻度の維持に貢献できる可能性があり、健康状態悪化の予防に寄与できる可能性がある。
【0043】
同じく、前記汚水汚れ防止具1は、座部40の裏面47や、袋50の開口部51内の上端付近52の汚れも防止できるため、袋50の交換や廃棄の作業時に汚水汚れに接触するリスクを減らすことができ、衛生的に清掃しやすく、作業者の心理的負担も軽減できる。
【0044】
同じく、前記汚水汚れ防止具1は、着脱可能に形成しているため、はずして前記汚水汚れ防止具1を洗うことができ、座位排泄用具30の清掃も容易である。
【0045】
同じく、前記汚水汚れ防止具1は、座部40に袋50上端付近52をかぶせて使用する場合においても、袋50の上から座部40に取り付けて使用することもでき、袋50の固定も兼ねながら、袋50開口部51内の汚れを防ぐことも可能である。
【実施例0046】
本発明の実施の形態を図4図8により説明する。なお、実施例1と共通する構成要素については同一符号を付し、その説明は省略する。 図4は、本発明による実施の形態を示す斜視図、図5は、図4B-B線における矢視断面図、図6は、図4C-C線における矢視断面図、図7は、図4における平面図、図8図4に示す汚水汚れ防止具の斜視図である。
【0047】
座位排泄用具31は、水洗式の腰掛式便器を例示しており、便器本体70および座部40とからなる。座部40の裏面47は平面をなし、その座部40の裏面47には脚部48が適当数個固定され、便器本体70と座部40との間には、隙間75が存在している。
汚水汚れ防止具2は、座部40に取り付けできる連結部120および汚水受け部110よりなる。なお、図示した連結部120の個数は例示したものであり、この個数に限定するものではない。
【0048】
なお、図示した座位排泄用具31は水洗式の腰掛式便器を例示したが、この例に限るものではない。座部40の形状が略U型など異なっていてもよいし、便器本体70の形状が異なっていてもよく、水洗式ではない汲み取り式等の腰掛式便器であってもよいし、介護用ポータブルトイレや、排泄物を受ける容器がバケツ等、便器以外のものを利用するものであってもよく、人体局部洗浄機能や除菌機能、暖房機能等の設備を有していてもよい。組み立て式や箱型の簡易トイレ、座部が排泄対応機能をもつ椅子等であってもよい。
【0049】
汚水受け部110は、上端111を長手方向中央から左右方向に向けてそれぞれ下向きに傾斜させた形状の中央部117を設けている。前記中央部117の下端112の一部には略三角形の三角部119を設け、前記三角部119の下端112に間隙保持部116を設けることで、前記間隙保持部116は、水平面に対して傾斜した角度をなし、汚水が流れ落ちるように形成している。また、前記中央部117に連続する両端部118は略帯状をなしている。汚水受け部110全体は平面視で円弧状に形成している。
【0050】
汚水受け部110の中央部117の上端111は、平面視で座部40の内周縁42の内側であって開口部41内に設置するとともに、側面視では前記座部40内周縁42側の下端46の高さ以上に設置しており、汚水受け部110の下端112は、平面視では前記座部40外周縁43より内側に設置するとともに、側面視では便器本体70上端72の高さより下に位置している。また、汚水排出用の間隙部115は汚水受け部110の中央部117と座部40との間に形成している。
【0051】
なお、側面視で、前記汚水受け部中央部117の上端111は、座部40上端44とほぼ同じ高さとし、上端111の端部の断面は丸みをおびた形状としており、この例に限定するものではないが、座部40に座る動作や座位での排泄中に、前記汚水受け部中央部117の上端111に身体が触れる可能性と、汚水汚れ防止との兼ね合いを考慮すると、前記汚水受け部中央部117の上端111の高さは、前記座部40上端44から前記座部40内周縁42側の下端46までの間が望ましく、前記座部40上端44より高い位置になることが想定される場合は、柔軟性を有する素材を用いることが望ましい。
【0052】
汚水受け部110の両端部118の上端111は、平面視で座部40の内周縁42の内側から、座部40外周縁43の内側にかけて設置するとともに、側面視では前記座部40内周縁42側の下端46の高さ以上に設置しており、汚水受け部110の下端112は、平面視では前記座部40外周縁43より内側で、前記便器本体70内周縁76より内側に設置するとともに、側面視では前記座部40内周縁42側の下端46の高さより下であって、便器本体70上端72の高さより下に位置している。
【0053】
なお、前記汚水受け部110の両端部118の上端111は、前記汚水受け部110の中央部117の上端111の傾斜させた部分からなめらかに連続しているが、この例に限定するものではない。例えば、汚水受け部110の上端111の形状について、前記中央部117と前記両端部118との間で高さを変化させた段差にしてもよいし、前記中央部117と前記両端部116との間に凹状に高さを低くした部分を設けてもよく、特に限定しない。
【0054】
さらに、汚水受け部110の上端111は下端112よりも座部40内側縁42の内側に設置し、側面視においては、汚水受け部110が垂直面に対し傾斜した角度となっているが、この例に限定するものではない。
【0055】
おって、汚水受け部110の形状は前記に限定するものではない。例えば、中央部117がなくてもよいし、上端111や下端112が別の形状でもよく、汚水受け部110が座部40の内周縁42の全周におよぶ円形をなしていてもよいし、汚水受け部の内側面113および外側面114に凹凸状部を形成してもよい。また、汚水排出用の間隙部115は、汚水受け部110全体にわたって設けてもよいし、部分的に設けてもよい。
【0056】
なお、前記汚水受け部の中央部117の上端111の形状は緩やかな円弧状としており、この例に限定するものではないが、身体が触れる可能性があるため、例えば、角のある形状は避けるなど、身体が触れても差し支えない形状にすることが望ましい。
【0057】
連結部120は、座部40裏面47に連結する装着部121および側部124よりなる。前記装着部121は粘着部122およびその粘着部122を保護する剥離紙123を備えており、設置する際には、剥離紙123を剥がして粘着部122を座部裏面47に押し付けて貼付する。側部124は前記装着部121と前記間隙保持部115とを連結し、帯状をなしている。
【0058】
また、前記汚水受け部110の両端部118においては、汚水受け部110から装着部121に連結している。
【0059】
なお、連結部120の形状および構造は前記に限定するものではなく、例えば、間隙保持部116が断面を円や多角形とする棒状であってもよいし、数が違っていてもよい。また、連結部120を座部40に取り付ける方法が、別の方法でもよい。例えば、クリップ状にはさむ方法や、汚水受け部110に連接して切り欠き部分を設けて嵌めこむ方法でもよく、座部40の一部にねじ等で留め付ける方法や、紐やバンド、テープ等で座部に取り付けてもよい。
【0060】
素材について、汚水汚れ防止具2全体を可とう性を有するポリプロピレン樹脂とした。この他、エラストマー樹脂、ABS樹脂、シリコン等の樹脂材料、防水加工等を加えた紙や布、木、竹等繊維材料でもよく、また、連結部の一部にアルミやステンレス等の金属材料を用いることも、特に限定しない。粘着テープは、アクリル系ゴムとしており、この他、座部40裏面47に固定可能な粘着性を有するゴム素材が望ましく、必要に応じて剥がすことが可能であればさらに望ましいが、特に限定しない。剥離紙はアクリル系シートを用いたが、この他、前記粘着テープの粘着性を保護し、かつ、容易に剥離可能な樹脂系シートが望ましいが、特に限定しない。
【0061】
なお、汚水受け部上端111については、少なくとも、身体に触れた場合の安全性を考慮した形状または素材にすることが望ましく、例えば、汚水受け部上端111に柔軟性を有する別素材の部材を連結してもよいし、カバーを組み合わせる仕様としてもよく、汚水受け部上端111に別形状の部材を連結することも特に限定しない。また、汚水汚れ防止具2の全体または一部に撥水加工や防水加工、抗菌加工、防臭加工等の加工を施すことも特に限定しない。
【0062】
サイズは、汚水受け部110の厚さ1mm~3mm程度、長さ10cm~30cm程度、 そのうち中央部117は長さ6~12cm程度、高さ4cm~6cm程度、三角部分117は連接する下端112より0.3~0.6cm程度下方に凸とし、両端部116は高さ1~4cm程度としたが、この例に限定するものではない。間隙保持部115および連結部側部124は幅1cm~1.5cm程度、厚さ0.5mm~3mm程度、長さは間隙保持部115が0.3~1.0cm程度、連結部側部124が1.5~3.0cm程度、としたが、この例に限定するものではない。装着部121は幅1cm~1.5cm程度、長さ1.5~2.5cm程度、厚さは1.0mm~4.0mm程度とし、そのうち粘着部122は0.2~1.0mmとしたが、この例に限定するものではない。
【0063】
以上の構成よりなる汚水汚れ防止具2は、座位排泄用具31で汚水汚れが起こりやすい前方49の隙間75に対して、汚水受け部110の中央部117の上端の形状が、前記汚水受け部の長手方向中央から左右方向に向けてそれぞれ下向きに傾斜させた形状であることによって、汚水が勢いよくあたっても、汚水受け部内側面113で受け止めることができ、便器開口部71内に流下させることができるため、中央部117の上端111を超える汚水を減らすことができる。
【0064】
同じく、前記汚水受け部110中央部117の上端111の形状が、前記汚水受け部110の長手方向中央から左右方向に向けてそれぞれ下向きに傾斜させた形状であることによって、汚水が前記上端111を超えた場合であっても、傾斜にそって、間隙部115に流下させやすく、汚水が座部40上面45へあふれることを防ぎやすい。
【0065】
同じく、前記汚水受け部110中央部117の上端111の形状が、前記汚水受け部110の長手方向中央から左右方向に向けてそれぞれ下向きに傾斜させた形状であることによって、汚水は傾斜にそって、左右方向に流れることもでき、さらに、汚水受け部110両端部118が座部40の下方で内周縁42と外周縁43との間に位置することにより、汚水は座部40の下方で流下できるため、使用者の大腿部等へ伝わることを予防できる。おって、汚水受け部110両端部118を左右方向に長く形成した場合は、汚水が座位排泄用具31の前方49の方向だけでなく、左右方向にとんだ場合であっても、隙間75からの飛び散りを防止することができる。
【0066】
同じく、前記汚水受け部110中央部117の上端の形状が、前記汚水受け部の長手方向中央から左右方向に向けてそれぞれ下向きに傾斜させた形状であることによって、座部40に座る際や座位での排泄中に前記汚水受け部110が使用者の大腿部等の身体に接触するリスクを減らすことができ、座部40に座る際の動作を妨げず、快適に使用できる。
【0067】
さらに、汚水汚れ防止具2は、保持部121が水平面に対して傾斜した角度をもつよう形成し、汚水が流れ落ちるようにしているため、汚水が保持部121に蓄積することもない。こまめな清掃が難しい場合であっても、最小限の汚れで維持することができ、さらに、清掃時には簡便に洗い流すことができ、乾きやすいため、清潔を維持しやすい。
【0068】
また、汚水汚れ防止具2は、粘着テープ貼付仕様にしたため、多くの座位排泄用具に対応することができる。既存品より貼付箇所が少ないため、貼付箇所への汚水の蓄積も少なく、日常利用から、アウトドア、災害時と幅広く手軽に利用可能である。
【0069】
また、汚水汚れ防止具2はシート状の材料で切断、折り曲げ加工する等、安価に製造することも可能であり、さらに、素材をごく薄い樹脂や、防水性のある紙等とした使い捨て仕様にすることも可能である。外出時や感染症流行時等に活用できる可能性がある。
【実施例0070】
本発明の実施の形態を図9図11により説明する。なお、実施例1、2と共通する構成要素については同一符号を付し、その説明は省略する。 図9は、本発明による実施の形態を示す平面図、図10は、図9D-D線における矢視断面図、図11は、図9に示す汚水汚れ防止具の斜視図である。
【0071】
汚水汚れ防止具3は、汚水受け部210と連結部230とからなり、座位排泄用具31の座部40に取り付けている。前記汚水受け部210は略長方形の上端211の両側の角を落とすように左右方向に向けてそれぞれ下向きに傾斜させた形状をなし、前記汚水受け部210の両端218には円柱状をなす間隙保持部216を設けており、汚水受け部210は前記座部内周縁42とのあいだに間隙部215を形成している。
【0072】
前記連結部230は装着部220と凹部231とからなる。装着部220は略帯状の可とう性を有する部材を用いた結束バンドをなしており、帯状のバンド部221の片面に歯部222を設け、一方の端部にロック部224を備え、前記ロック部224とは反対側の先端部223を前記ロック部の穴225に挿入し、前記ロック部224内の前記爪部226に前記歯部222の凸部227がひっかかることにより、任意の位置で結束固定でき、前記爪部226に連結する解除部228を操作し、前記歯部222の凸部227のひっかかりを解除することにより、結束を解除できる。
【0073】
前記凹部231は前記汚水受け部210の長手方向中央の一部に連結しており、側面視で前記座部40の一部の内周縁42に沿う凹面形状をなしている。さらに、凹部231と前記汚水受け部210との間には装着部220の前記バンド部221を挿入する挿入部232を設けている。
【0074】
前記汚水汚れ防止具3を座部40に連結する方法は、前記装着部220の前記バンド部221の先端部223を、前記挿入部232に挿し通した後、座部40の前方49に、座部40内周縁42および上面45および外周縁43および裏面47に、前記バンド部221の歯部222が設けられた面が接するように1周させて巻きつけ、前記ロック部224の穴225に前記先端部223を挿し通して結束固定する。
【0075】
なお、連結部230は1ヶ所としたが、この例に限定するものではなく、複数ヵ所設けてもよい。また、連結部230と汚水受け部210とが連続して一体に形成されていてもよく、連結部230のうち、凹面部231と汚水受け部210とが連続して一帯に形成されて装着部220が別部材でもよく、特に限定しない。おって、連結部230が間隙保持部216の機能も併せ持ち、汚水受け部210と座部40との間に間隙部215を形成していてもよい。
【0076】
間隙保持部216は汚水受け部210の両端部218に設けたが、この例に限定するものではなく、前記汚水受け部210の外側面214の任意の位置に間隙保持部216を1個から複数個設け、間隙保持部215を複数ヵ所形成してもよい。また、前記間隙保持部216の形状は前記汚水受け部210の上下方向の全長にわたる円柱状としたが、この例に限定するものではなく、例えば、長さが短くてもよいし、方向が上下方向ではなく傾斜した角度があってもよく、形状が半球等の突起状でもよく、特に限定しない。
【0077】
連結部230が座部40を固定する方法は前記に限定するものではなく、装着部220の結束バンドのバンド部221が紐状に断面が丸や多角形をなすものや、歯部222の形状やロックの仕組みが異なっていてもよいし、装着部220が結束バンド以外の方法でもよいが、前記座部40の形状やサイズの多様さに対応できるよう、無段階に近い長さ調節が可能でしっかり固定できる連結方法が望ましく、例えば、帯状の部材の端部に面ファスナーや粘着部材を用いて部材同士を任意の長さの位置で固定する方法でもよいし、ボタンやフック等、固定位置があらかじめ1か所から複数ヵ所設けられて、嵌めこむ位置により段階的に長さを調節可能な部材に、ゴム等弾性を有する部材とを併用させることで、弾性によって調節幅と固定性を高める連結方法にしてもよいし、弾性と滑り止め機能を有するシリコン等の部材にDカン等で長さ調節と固定の機能を加えたものでもよく、特に限定しない。
【0078】
汚水受け部210の上端211は、平面視で座部40の内周縁42の内側であって開口部41内に設置するとともに、側面視では前記座部40内周縁42の下端46の高さ以上に設置しており、前記汚水受け部210の下端212は、平面視で前記座部40外周縁43より内側で、前記便器本体70内周縁76より内側に設置し、かつ、側面視では前記座部40内周縁42の下端46の高さより下であって、前記便器本体70上端72の高さより下に設置している。
【0079】
なお、側面視で、前記汚水受け部210の上端211は、座部40下端46よりやや上の高さとしており、この例に限るものではないが、前記汚水受け部210の上端211の高さは、前記座部40上端44から前記座部40内周縁42の下端46までの間が望ましい。
【0080】
素材について、連結部230の装着部220の結束バンドは可とう性を有するポリプロピレンとし、汚水受け部210は柔軟性を有するエラストマー樹脂としたが、この例に限定するものではない。例えば、汚水汚れ防止具3全体を、可とう性と弾力性を有するシリコン樹脂としてもよい。また、汚水受け部210の素材は樹脂の他、防水加工等をした紙や布、木、竹等繊維材料等であってもよく、連結部230の素材は、樹脂の他、洗濯可能な面ファスナーやDカンベルト等、繊維系素材を使ったものや、一部にアルミやステンレス等の金属材料を用いることも、特に限定しない。
【0081】
なお、汚水受け部210の形状については例示したものであり、前記に限定するものではないが、上端211については、少なくとも、身体に触れた場合の安全性を考慮した形状または素材にすることが望ましく、例えば、汚水受け部上端211を、やや厚みをもたせ、断面が丸みをおびた形状となるようにしてもよいし、別形状の部材を汚水受け部上端211に連結することも特に限定しない。また、柔軟性を有する別素材の部材を連結してもよいし、柔軟性を有する素材のカバーをかぶせる仕様としてもよく、特に限定しない。さらに、汚水汚れ防止具3の全体または一部に撥水加工や防水加工、抗菌加工、防臭加工等の加工を施すことも特に限定しない。
【0082】
サイズは、汚水受け部210の厚さ1mm~5mm程度、長さ8cm~11cm程度、高さ3cm~5cm程度、間隙保持部216の円柱状部分は直径6~8mm程度としたがこの例に限定するものではない。凹面部231は厚さ0.5~11.5mm程度、横幅1~1.5cm程度、高さ0.8~1.5cm程度、挿入部232は横幅0.8~1.2cm程度、穴の高さ1~1.5mm程度としたが、この例に限定するものではない。連結部230の装着部220はバンド部221の幅0.8~1.2cm程度、長さ22~30cm程度、厚さ1mm程度、ロック部224の高さ3~5mm程度としたが、この例に限定するものではない。
【0083】
以上の構成よりなる汚水汚れ防止具3は、前記連結部230の装着部220が、前記座部40の前方49の内周縁42および上面45および外周縁43および裏面47を1周させて固定可能なため、多くの座位排泄用具に対応することができ、導入しやすい。さらに、前記装着部220として、繰り返し利用可能な結束バンドを用いたことにより、装着ヵ所が1か所のみであっても、容易に緊締でき、かつ、とりはずして製造することも可能である。
【0084】
同じく、前記装着部230は前記座部40の一部を1周させて固定可能なため、落下しにくく、汚水を受ける容器内への落下や、排水設備に誤って流す等のトラブルを避けることができる。
【0085】
同じく、前記連結部230は前記座部40の一部を1周させて固定可能なため、前記座部40の任意の位置に設置することもでき、一般的には座部40前方49の中央に設置することが汚水汚れ防止に効果的ではあるが、例えば、障害等に応じて、使いやすいよう、中央より左右に寄せた位置に設置することも可能である。
【0086】
同じく、前記装着部220は前記座部40の一部を1周させて固定可能なため、汚水が汚水汚れ防止具3に蓄積する部分も最小限となるため、汚水が前記汚水受け部210上端211を超え、座部40上面45に散った場合であっても、前記間隙部215に効率よく流れることができ、さらに、汚水の流れやすさは、清掃時の洗剤や水の流れやすさにも通ずるため、簡単に洗い流す清掃を行うことができ、清潔を保ちやすいい。
【0087】
同じく、前記装着部220は前記座部40の一部を1周させて固定可能なため、前記座部40の上面45に連結部220が見える利用方法となるが、座部40前方49の中央に前記汚水汚れ防止具3を固定する使用方法の場合、前記装着部220は使用者が座った際に大腿部の間に位置するため、身体に触れにくく、座部40に座る際の動作を妨げにくいため、利用しやすく、また、見える位置であることを生かし、デザイン性を工夫した汚水汚れ防止対策を行うことも可能である。
【0088】
同じく、前記汚水汚れ防止具3は、汚水受け部210の上端部211の形状を両端部216にかけて下降する傾斜した角度をもつよう形成したため、前記汚水受け部220に身体が触れるリスクを減らすことができ、汚水もスムーズに流下するため、清潔に利用が可能である。
【0089】
同じく、前記汚水汚れ防止具3は、汚水受け部210の両端部218に間隙保持部216を設けて間隙部215を形成したことにより、前記汚水受け部220が小さめのサイズであっても、効果的に汚水の排出を促進することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明による汚水汚れ防止具は、製造についてはトイレ用品産業、販売についてはトイレ用品および介護用品、幼児向け用品、災害対策用品、アウトドア用品、旅行用品等を扱う産業において利用可能性がある。
【符号の説明】
【0091】
1…汚水汚れ防止具、2…汚水汚れ防止具、10…汚水受け部、11…上端、12…下端、13…内側面、14…外側面、15…間隙部、16間隙保持部20…連結部、21…装着部、30…座位排泄用具、31…座位排泄用具、40…座部、41…開口部、42…内周縁、43…外周縁、44…上端、45…上面、46…下端、47…裏面、48…脚部、49…前方、50…袋、51…開口部、52…上端付近、53…口部分、60…支持部、61…開口部、62…上端、63…外側面、70…便器本体、71…便器開口部、72…上端、73…内側面、74…外側面、75…隙間、76…内周縁、110…汚水受け部、111…上端、112…下端、113…内側面、114…外側面、115…間隙部、116…間隙保持部、117中央部 118両端部、119…三角部、120…連結部、121…装着部、122…粘着部、123…剥離紙、124…側部、210…汚水受け部、211…上端、212…下端、213…内側面、214…外側面、215…間隙部、216…間隙保持部、218両端部、220…装着部、221…バンド部、222…歯部、223…先端部、224…ロック部、225…穴、226…爪、227…凸部、228…解除部、230…連結部、231…凹部、232…挿入部
図1
図2
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図6
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図10
図11