(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025100699
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】排出権管理システム、及び、排出権管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20250626BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025065239
(22)【出願日】2025-04-10
(62)【分割の表示】P 2023561504の分割
【原出願日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】P 2021186561
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】平松 勝彦
(57)【要約】
【課題】電気機器が使用されることに起因する温室効果ガスの排出量を管理することができる排出権管理システムを提供する。
【解決手段】排出権管理システム10は、複数の電気機器の識別情報と、複数の電気機器のそれぞれに対して割り当てられた温室効果ガスの排出枠の残価との関係を示す排出権管理情報が記憶された記憶部63と、対象の電気機器の電力使用量を示す電力使用量情報であって対象の電気機器の識別情報を特定するための特定情報を含む電力使用量情報と、複数の電気機器に電力を供給する電力会社を示す地域情報とを取得する取得部64と、取得された電力使用量情報及び地域情報に基づいて、排出権管理情報において対象の電気機器の識別情報に対応付けられた残価を減らす管理部65とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気機器の識別情報と、前記複数の電気機器のそれぞれに対して割り当てられた温室効果ガスの排出枠の残価との関係を示す排出権管理情報が記憶された記憶部と、
対象の電気機器の電力使用量を示す電力使用量情報であって前記対象の電気機器の識別情報を特定するための特定情報を含む電力使用量情報と、前記複数の電気機器に電力を供給する電力会社を示す地域情報とを取得する取得部と、
取得された前記電力使用量情報及び前記地域情報に基づいて、前記排出権管理情報において前記対象の電気機器の識別情報に対応付けられた前記残価を減らす管理部とを備える
排出権管理システム。
【請求項2】
前記管理部は、
取得された前記地域情報に応じて計算式を選択し、
前記排出権管理情報における前記排出枠の残価を、選択した前記計算式を用いて前記温室効果ガスの排出量から電力使用量に換算する
請求項1に記載の排出権管理システム。
【請求項3】
前記管理部は、
取得された前記地域情報に応じて計算式を選択し、
前記排出権管理情報において前記対象の電気機器の識別情報に対応付けられた前記残価を減らすときに、取得された前記電力使用量情報が示す電力使用量を、選択した前記計算式を用いて前記温室効果ガスの排出量に換算する
請求項1に記載の排出権管理システム。
【請求項4】
前記取得部は、さらに、前記複数の電気機器に含まれる第一電気機器及び第二電気機器の間で排出枠の残価を移転するための移転要求を取得し、
前記管理部は、取得された前記移転要求に基づいて、前記排出権管理情報において前記第一電気機器の識別情報に対応付けられた前記残価を、前記排出権管理情報において前記第二電気機器の識別情報に対応付けられた前記残価に加算する
請求項1~3のいずれか1項に記載の排出権管理システム。
【請求項5】
さらに、前記排出権管理情報において前記対象の電気機器の識別情報に対応付けられた前記残価が無くなった場合に、前記対象の電気機器を使用できない状態に制御する第一制御部を備える
請求項1~4のいずれか1項に記載の排出権管理システム。
【請求項6】
前記複数の電気機器のそれぞれは、照明用の光源体であり、
さらに、前記複数の電気機器の配置を示す配置情報に基づいて、前記対象の電気機器が使用できない状態に制御された場合に、前記対象の電気機器の周囲に位置する他の電気機器の明るさを増大させる第二制御部を備える
請求項5に記載の排出権管理システム。
【請求項7】
前記排出権管理情報には、前記複数の電気機器のそれぞれが属するグループを示すグループ識別情報が含まれ、
前記排出権管理システムは、さらに、同一グループに属する電気機器の排出枠の残価の合計に基づいて、前記同一グループに属する電気機器を使用できない状態に制御する第一制御部を備える
請求項1~4のいずれか1項に記載の排出権管理システム。
【請求項8】
前記同一グループに属する電気機器には、優先順位が定められ、
前記第一制御部は、前記同一グループに属する電気機器の排出枠の残価の合計が0に近づくと、前記優先順位に基づく順番で、前記同一グループに属する電気機器を使用できない状態に制御する
請求項7に記載の排出権管理システム。
【請求項9】
複数の電気機器の識別情報と、前記複数の電気機器のそれぞれに対して割り当てられた温室効果ガスの排出枠の残価との関係を示す排出権管理情報が記憶された記憶装置にアクセス可能なコンピュータによって実行される排出権管理方法であって、
対象の電気機器の電力使用量を示す電力使用量情報であって前記対象の電気機器の識別情報を特定するための特定情報を含む電力使用量情報と、前記複数の電気機器に電力を供給する電力会社を示す地域情報とを取得する取得ステップと、
取得された前記電力使用量情報及び前記地域情報に基づいて、前記排出権管理情報において前記対象の電気機器の識別情報に対応付けられた前記残価を減らす管理ステップとを含む
排出権管理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の排出権管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出権管理システム、及び、排出権管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、毎日の省エネ行動の継続を支援する情報システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、二酸化炭素などの温室効果ガスは、地球温暖化の原因となることから、事業者は、温室効果ガスの排出量を削減する必要がある。
【0005】
本発明は、電気機器が使用されることに起因する温室効果ガスの排出量を管理することができる排出権管理システム、及び、排出権管理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る排出権管理システムは、複数の電気機器光源体の識別情報と、前記複数の光源体のそれぞれに対して割り当てられた温室効果ガスの排出枠の残価との関係を示す排出権管理情報が記憶された記憶部と、対象の電気機器の電力使用量を示す電力使用量情報であって前記対象の電気機器の識別情報を特定するための特定情報を含む電力使用量情報と、前記複数の電気機器に電力を供給する電力会社を示す地域情報とを取得する取得部と、取得された前記電力使用量情報及び前記地域情報に基づいて、前記排出権管理情報において前記対象の電気機器の識別情報に対応付けられた前記残価を減らす管理部とを備える。
【0007】
本発明の一態様に係る排出権管理方法は、複数の電気機器の識別情報と、前記複数の電気機器のそれぞれに対して割り当てられた温室効果ガスの排出枠の残価との関係を示す排出権管理情報が記憶された記憶装置にアクセス可能なコンピュータによって実行される排出権管理方法であって、対象の電気機器の電力使用量を示す電力使用量情報であって前記対象の電気機器の識別情報を特定するための特定情報を含む電力使用量情報と、前記複数の電気機器に電力を供給する電力会社を示す地域情報とを取得する取得ステップと、取得された前記電力使用量情報及び前記地域情報に基づいて、前記排出権管理情報において前記対象の電気機器の識別情報に対応付けられた前記残価を減らす管理ステップとを含む。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、前記排出権管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る排出権管理システム、及び、排出権管理方法は、電気機器が使用されることに起因する温室効果ガスの排出量を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る排出権管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、排出権管理情報の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る排出権管理システムの動作例1のシーケンス図である。
【
図4】
図4は、第一登録情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第二登録情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る排出権管理システムの動作例2のシーケンス図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る排出権管理システムの動作例3のフローチャートである。
【
図9】
図9は、グループ識別情報が含まれる排出権管理情報の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る排出権管理システムの動作例4のシーケンス図である。
【
図11】
図11は、排出枠の移転操作を受け付けるための表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0013】
(実施の形態)
[発明の基礎となった知見]
二酸化炭素などの温室効果ガスは、地球温暖化の原因となる。二酸化炭素の排出量を削減するための取り組みとして、事業者に二酸化炭素の排出枠を割り当てる仕組みが提案されている。このような仕組みの下では、事業者は、事業活動によって生じる二酸化炭素の排出量が排出枠を上回らないように事業活動を行う必要がある。
【0014】
事業者は、事業者自らの温室効果ガスの排出量だけではなく、事業活動に関係するあらゆる温室効果ガスの排出量を合計したサプライチェーン排出量を抑制する必要がある。
【0015】
ここで、サプライチェーン排出量は、Scope1~Scope3の3つのカテゴリによって構成される。Scope1は、事業者自らによる、直接的な温室効果ガスの排出量に相当し、より具体的には、燃料の燃焼及び工業プロセスなどによって生じる排出量に相当する。Scope2は、他の事業者から供給される電気、熱、及び、蒸気などの使用に伴う直接的な温室効果ガスの排出量に相当する。
【0016】
Scope3は、Scope1及びScope2以外の間接的な温室効果ガスの排出量に相当する。Scope3は、さらに、カテゴリ1~カテゴリ15に細分されるが、このうちカテゴリ11に相当する、販売した製品の使用に起因する温室効果ガスの排出量を低減する方法については検討の余地がある。以下の実施の形態では、販売した製品(光源体)の使用に起因する二酸化炭素の排出量を管理することができる排出権管理システムについて説明する。
【0017】
[構成]
まず、実施の形態に係る排出権管理システムの構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る排出権管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示される排出権管理システム10は、複数の施設100のそれぞれに設けられた光源体21が使用されることに起因する二酸化炭素の排出量を管理するシステムである。ここで、光源体21とは、口金などの取り付け構造を有し、照明器具20の器具本体に着脱自在に取り付けられる照明用の光源体であり、具体的には、LED(Light Emitting Diode)電球、及び、直管LEDランプなどである。
【0019】
施設100は、例えば、住宅(戸建住宅または集合住宅)であるが、オフィスビル、工場、商業施設、宿泊施設、または、公共施設などであってもよい。複数の施設100のそれぞれには、複数の照明器具20、照明コントローラ30、分電盤40、及び、電力計測装置50が設けられる。排出権管理システム10は、複数の照明器具20、照明コントローラ30、分電盤40、及び、電力計測装置50を備える。
【0020】
また、施設100の外には、サーバ装置60、及び、情報端末70が位置する。排出権管理システム10は、サーバ装置60、及び、情報端末70を備える。なお、情報端末70は、施設100内に位置する場合もある。以下、このような排出権管理システム10が備える各装置について詳細に説明する。
【0021】
照明器具20は、施設100内に設けられ、光(例えば、白色光)を発することにより施設100内(屋内)を照明する。照明器具20は、施設100の周辺の屋外に設けられ、光(例えば、白色光)を発することにより屋外を照明する照明器具であってもよい。照明器具20は、より詳細には、器具本体(図示せず)と、光源体21とを備える。
【0022】
光源体21は、器具本体に着脱自在に取り付けられる照明用の光源装置である。上述のように、光源体21は、具体的には、LED電球、及び、直管LEDランプなどである。光源体21がLED素子によって実現されることは必須ではなく、有機EL(Electro-Luminescence)などの他の発光素子によって実現されてもよい。
【0023】
なお、
図1の例では、1つの照明器具20には、1つの光源体21が取り付けられているが、1つの照明器具20に複数の光源体21が取り付けられる場合もある。
【0024】
照明コントローラ30は、施設100内に設けられ、同一の施設100に設けられた照明器具20を制御する。照明コントローラ30は、具体的には、照明器具20の点灯及び消灯を制御するが、さらに、調光及び調色を制御してもよい。照明コントローラ30は、照明器具20の専用コントローラであってもよいし、EMS(Energy Management System)コントローラなどであってもよい。照明コントローラ30は、壁または天井などに固定されるコントローラであってもよいし、携帯型のコントローラであってもよい。照明コントローラ30は、第一通信部31と、第二通信部32と、情報処理部33と、記憶部34と、UI部35とを備える。
【0025】
第一通信部31は、照明コントローラ30がサーバ装置60などと広域通信ネットワーク80を介して通信を行うための通信回路である。第一通信部31は、例えば、無線通信を行う無線通信回路であるが、有線通信を行う有線通信回路であってもよい。第一通信部31が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0026】
第二通信部32は、照明コントローラ30が、照明器具20などと局所通信ネットワークを介して通信を行うための通信回路である。第二通信部32は、例えば、無線通信を行う無線通信回路であるが、有線通信を行う有線通信回路であってもよい。第二通信部32が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0027】
情報処理部33は、照明器具20の制御に関連する情報処理を行う。情報処理部33は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。情報処理部33は、機能的な構成要素として、UI部35が受け付けたユーザの操作に基づいて、第二通信部32を介して照明器具20へ制御信号を送信する第二制御部36を備える。第二制御部36の機能は、例えば、情報処理部33を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサ等が記憶部34に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。
【0028】
記憶部34は、情報処理部33によって実行されるコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部34は、例えば、半導体メモリによって実現される。
【0029】
UI部35は、ユーザの操作を受け付け、かつ、ユーザへ情報を提示する。UI部35は、ユーザの操作を受け付けるタッチパネルまたはハードウェアキー(押しボタン)と、液晶パネルまたは有機ELパネルなどの表示パネルとによって実現される。
【0030】
分電盤40は、系統電源90から供給される交流電力を複数の分岐回路に分配する。複数の分岐回路のそれぞれには、照明器具20などの機器が接続される。
【0031】
電力計測装置50は、所定の計測ポイントMPにおける電力使用量(言い換えれば、消費電力量)を計測する。電力計測装置50は、例えば、複数の照明器具20が接続される分岐回路に相当する電線に取り付けられる電流センサ(CT:Current Transformer)を用いて、当該分岐回路(電線)における電力使用量を計測する。また、電力計測装置50は、電力使用量の計測値を広域通信ネットワーク80を通じてサーバ装置60へ送信する。
【0032】
なお、電力計測装置50と同様の電力使用量の計測機能は、分電盤40に備えられてもよいし、照明コントローラ30に備えられてもよい。電力使用量の計測機能(計測部)が分電盤40または照明コントローラ30に備えられる場合、電力計測装置50は省略されてもよい。また、後述のように照明器具20が照明器具20自身(光源体21)の電力使用量を計測する機能を有するような場合にも電力計測装置50は省略されてもよい。
【0033】
サーバ装置60は、光源体21の使用に起因する二酸化炭素の排出量の管理に関する情報処理を行うクラウドサーバである。サーバ装置60は、例えば、光源体21の製造及び販売を行う事業者によって使用される。サーバ装置60は、具体的には、通信部61と、情報処理部62と、記憶部63とを備える。
【0034】
通信部61は、サーバ装置60が、照明コントローラ30、及び、情報端末70などと広域通信ネットワーク80を通じて通信を行うための通信回路である。通信部61は、例えば、有線通信を行う有線通信部であるが、無線通信を行う無線通信回路であってもよい。通信部61が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0035】
情報処理部62は、光源体21の使用に起因する二酸化炭素の排出量の管理に関する情報処理を行う。情報処理部62は、具体的には、マイクロコンピュータまたはプロセッサによって実現される。情報処理部62は、機能的な構成要素として、取得部64、管理部65、及び、第一制御部66を有する。取得部64、管理部65、及び、第一制御部66の機能は、例えば、情報処理部62を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサが記憶部63に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。取得部64、管理部65、及び、第一制御部66の機能の詳細については後述される。
【0036】
記憶部63は、上記情報処理に必要な各種情報、及び、上記コンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部63は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)によって実現されるが、半導体メモリによって実現されてもよい。
【0037】
上述のように、排出権管理システム10は、光源体21が使用されることに起因する二酸化炭素の排出量を管理することができ、記憶部63には、排出権管理情報があらかじめ記憶される。
図2は、排出権管理情報の一例を示す図である。
【0038】
図2に示されるように、排出権管理情報においては、光源体21の識別情報と、当該光源体21に割り当てられた当初の二酸化炭素の排出枠と、当該光源体21に割り当てられた二酸化炭素の排出枠の残価とが対応付けられている。
図2の例では、排出枠の残価は、二酸化炭素の排出量[t]で表現され(
図2の(a))、かつ、電力使用量[Wh]でも表現されている(
図2の(b))。なお、二酸化炭素の排出量は、所定の計算式により、電力使用量に換算することができる。
【0039】
光源体21が販売される前の時点では、排出権管理情報における光源体21の二酸化炭素の排出枠の残価は当初の排出枠に等しい。排出権管理システム10においては、ユーザが光源体21を購入し、購入した光源体21を使用する(光源体21を発光させる)と、排出枠の残価が減っていき、排出枠の残価が0に到達すると光源体21は使用できなくなる。なお、ユーザは、二酸化炭素の排出枠に相当するコストを含むように価格設定された光源体21を購入することになる。
【0040】
以下の実施の形態では、特に断りの無い限り、
図2の(b)の欄に示される電力使用量換算での二酸化炭素の排出枠の残価を使用して、光源体21の二酸化炭素の排出量を管理する例について説明するが、
図2の(a)の欄に示される二酸化炭素の排出量相当の排出枠の残価を使用して、光源体21の二酸化炭素の排出量が管理されてもよい。排出権管理情報は、
図2の(a)の欄、及び、
図2の(b)の欄の少なくとも一方を含めばよい。
【0041】
情報端末70は、ユーザがサーバ装置60への情報の登録等に使用する情報端末である。情報端末70は、例えば、スマートフォンまたはタブレット端末などの携帯型の情報端末である。情報端末70は、パーソナルコンピュータなどの据え置き型の情報端末であってもよい。情報端末70は、UI部71を備える。
【0042】
UI部71は、ユーザの操作を受け付け、かつ、ユーザへ情報を提示する。UI部71は、ユーザの操作を受け付けるタッチパネルまたはハードウェアキー(押しボタン)と、液晶パネルまたは有機ELパネルなどの表示パネルとによって実現される。情報端末70がパーソナルコンピュータである場合、UI部71には、マウス及びキーボードが含まれる。
【0043】
[動作例1]
上述のように、排出権管理システム10は、光源体21が使用されることに起因する二酸化炭素の排出量を管理することができる。以下、このような排出権管理システム10の動作例1について説明する。
図3は、排出権管理システム10の動作例1のシーケンス図である。
【0044】
まず、ユーザは、光源体21を購入すると、光源体21の識別情報と、当該光源体21の電力使用量(消費電力量)を計測する電力計測装置50の識別情報とを対応付けてサーバ装置60に登録する。この結果、記憶部63には、第一登録情報が記憶される(S10)。
図4は、第一登録情報の一例を示す図である。
【0045】
ステップS10における識別情報の登録は、例えば、情報端末70のUI部71へのユーザの手動操作により、光源体21の識別情報、及び、電力計測装置50の識別情報を情報端末70へ入力することなどによって行われる。なお、光源体21の識別情報は、光源体21の本体、包装用パッケージ、または、取扱説明書などに文字で表示されている。電力計測装置50の識別情報についても同様である。
【0046】
光源体21の識別情報、及び、電力計測装置50の識別情報のそれぞれは、QRコード(登録商標)などの二次元コードで表示される場合もある。情報端末70がカメラを有するような場合、光源体21の本体、包装用パッケージ、または、取扱説明書などに光源体21の識別情報を示す二次元コードが表示されていれば、ユーザは情報端末70を用いて当該二次元コードを撮影することで光源体21の識別情報を容易に情報端末70に入力することができる。同様に、電力計測装置50の本体、包装用パッケージ、または、取扱説明書などに電力計測装置50の識別情報を示す二次元コードが表示されていれば、ユーザは情報端末70を用いて当該二次元コードを撮影することで電力計測装置50の識別情報を容易に情報端末70に入力することができる。
【0047】
また、ユーザは、光源体21の識別情報と、当該光源体21が取り付けられている照明器具20(器具本体)の識別情報とを対応付けて照明コントローラ30に登録する。この結果、記憶部34には、第二登録情報が記憶される(S11)。
図5は、第二登録情報の一例を示す図である。なお、照明器具20の識別情報は、照明器具20の本体、包装用パッケージ、または、取扱説明書などに文字で表示されている。
【0048】
識別情報の登録は、例えば、照明コントローラ30のUI部35へのユーザの手動操作により、光源体21の識別情報、及び、照明器具20の識別情報を照明コントローラ30へ入力することなどによって行われる。
【0049】
次に、電力計測装置50は、所定の計測ポイントMP(
図1に図示)における電力使用量を計測し、計測した電力使用量を示す電力使用量情報をサーバ装置60へ送信する(S12)。電力使用量情報には、電力計測装置50の識別情報が含まれる。電力計測装置50の識別情報は、特定情報の一例であり、次のステップS13で対象の光源体21の識別情報を特定するために使用される。
【0050】
サーバ装置60の通信部61は、電力使用量情報を受信し、取得部64は、通信部61によって受信された電力使用量情報を取得する(S13)。管理部65は、取得された電力使用量情報と、第一登録情報とに基づいて、光源体21の1台あたりの電力使用量を算出する(S14)。まず、管理部65は、ステップS13において取得された電力使用量情報から電力計測装置50の識別情報を抽出し、第一登録情報において、抽出した電力計測装置50の識別情報に対応付けられた光源体21(以下、対象の光源体21とも記載される)の識別情報の総数を特定する。
【0051】
管理部65は、電力使用量情報が示す電力使用量を、対象の光源体21の識別情報の総数で除算することにより、対象の光源体21の1台あたりの電力使用量を計算することができる。例えば、ステップS13において取得した電力使用量が、ID00001~ID00005の5台の光源体21の電力使用量の総量がPであることを示す場合、管理部65は、ID00001~ID00005の5台の光源体21それぞれの電力使用量がP/5であると算出することができる。
【0052】
次に、管理部65は、算出した電力使用量を、排出権管理情報における二酸化炭素の排出枠の残価から減算する(S15)。例えば、管理部65は、排出権管理情報におけるID00001~ID00005の5台の光源体21それぞれの排出枠の残価(電力使用量)からP/5を減算する。
【0053】
ステップS12~ステップS15の処理は、所定の時間間隔で繰り返される。所定の時間間隔は、例えば、1時間であるが特に限定されない。
【0054】
ステップS12~ステップS15の処理が何度か繰り返された後、管理部65は、排出権管理情報に基づいて、二酸化炭素の排出枠の残価が0に到達した光源体21を検出する(S16)。第一制御部66は、検出された残価が0の光源体21を使用できない状態に制御するための使用停止指令を、通信部61を用いて照明コントローラ30に送信する(S17)。使用停止指令には、検出された光源体21の識別情報が含まれる。
【0055】
照明コントローラ30の第一通信部31は、使用停止指令を受信する。第二制御部36は、受信された使用停止指令に基づいて、第二登録情報に使用停止の対象となる光源体21の識別情報が含まれているか否かを判定する。第二制御部36は、第二登録情報に使用停止の対象となる光源体21の識別情報が含まれると判定した場合、当該光源体21が取り付けられている照明器具20(以下、対象の照明器具20とも記載される)を消灯させる(S18)。第二制御部36は、具体的には、第二通信部32を用いて対象の照明器具20を消灯するための制御信号を対象の照明器具20へ送信する。
【0056】
また、第二制御部36は、対象の照明器具20への点灯指示を無効化する(S19)。第二制御部36は、具体的には、ユーザがUI部35に対して対象の照明器具20の点灯を指示する操作を行っても、対象の照明器具20を点灯するための制御信号を対象の照明器具20へ送信しない。
【0057】
このように、排出権管理システム10によれば、光源体21は、排出枠の残価が0になるまでは使用できるが、排出枠の残価が0になると、ハードウェアとしては問題が無い(故障していない)にもかかわらず使用できなくなる。言い換えれば、排出権管理システム10によれば、光源体21は、排出枠の残価が0になるまでは点灯することができるが、排出枠の残価が0になると点灯できなくなる。排出権管理システム10によれば、光源体21を製造及び販売する事業者は、光源体21の使用に起因して生じる二酸化炭素の排出量を管理することができる。
【0058】
[動作例2]
動作例1では、光源体21の電力使用量は、電力計測装置50によって計測されたが、照明器具20によって計測されてもよい。以下、このような排出権管理システム10の動作例2について説明する。
図6は、排出権管理システム10の動作例2のシーケンス図である。
【0059】
まず、ユーザは、光源体21を購入すると、光源体21の識別情報と、当該光源体21が取り付けられている照明器具20(器具本体)の識別情報とを対応付けて照明コントローラ30に登録する。この結果、記憶部34には、第二登録情報(
図5参照)が記憶される(S20)。ステップS20の処理は、動作例1のステップS11と同様であるため詳細な説明が省略される。
【0060】
次に、照明器具20は、当該照明器具20の電力使用量を計測し、計測した電力使用量を示す電力使用量情報を照明コントローラ30へ送信する(S21)。例えば、照明制御の国際標準規格であるDALI(登録商標)においては、照明器具20における電力使用量の計測方法が定められており(DiiA Specification, DALI Part 252 - Energy Reportingを参照)、照明器具20は、例えば、このような規格にしたがって電力使用量を計測することができる。電力使用量情報には、照明器具20の識別情報が含まれる。
【0061】
照明コントローラ30の第二通信部32は、電力使用量情報を受信する。情報処理部33は、第二登録情報に基づいて、電力使用量情報に含まれる照明器具20の識別情報を、光源体21の識別情報に置き換え(S22)、第一通信部31を用いてサーバ装置60へ送信する(S23)。ステップS23においてサーバ装置60へ送信される電力使用量情報は、光源体21の識別情報を特定情報として含む、当該光源体21の電力使用量を示す情報であるといえる。なお、1つの照明器具20に複数の光源体21が取り付けられるような場合、ステップS23においてサーバ装置60へ送信される電力使用量情報には、複数の光源体21の識別情報が含まれる。
【0062】
サーバ装置60の通信部61は、電力使用量情報を受信し、取得部64は、通信部61によって受信された電力使用量情報を取得する(S24)。管理部65は、排出権管理情報において、ステップS24において取得された電力使用量情報に含まれる識別情報に対応付けられた二酸化炭素の排出枠の残価から、ステップS23において取得された電力使用量情報が示す電力使用量を減算する(S25)。例えば、管理部65は、電力使用量情報が示す電力使用量がPであり、電力使用量情報にID00001の識別情報が含まれる場合、排出権管理情報におけるID00001の光源体21の排出枠の残価(電力使用量)からP/5を減算する。
【0063】
なお、ステップS24において取得された電力使用量情報に複数の光源体21の識別情報が含まれる場合(つまり1台の照明器具20に複数の光源体21が取り付けられている場合)には、ステップS25において1台あたりの電力使用量を算出する処理が行われる。例えば、管理部65は、電力使用量情報が示す電力使用量がPであり、電力使用量情報にID00001及びID00002の2つの識別情報が含まれる場合、排出権管理情報におけるID00001及びID00002の2台の光源体21それぞれの排出枠の残価(電力使用量)からP/2を減算する。
【0064】
ステップS21~ステップS25の処理は、所定の時間間隔で繰り返される。所定の時間間隔は、例えば、1時間であるが特に限定されない。
【0065】
ステップS21~ステップS25の処理が何度か繰り返された後、管理部65は、排出権管理情報に基づいて、二酸化炭素の排出枠の残価が0に到達した光源体21を検出する(S26)。以降のステップS26~ステップS29の処理は、動作例1のステップS16~ステップS19と同様であるため詳細な説明が省略される。
【0066】
このように、排出権管理システム10によれば、光源体21は、排出枠の残価が0になるまでは使用できる(点灯することができる)が、排出枠の残価が0になると、ハードウェアとしては問題が無い(故障していない)にもかかわらず使用できなくなる(点灯できなくなる)。このように、排出権管理システム10は、光源体21の使用に起因して生じる二酸化炭素の排出量を管理することができる。
【0067】
[動作例2の変形例]
なお、動作例2では、識別情報の置き換え処理(ステップS22の処理)は、照明コントローラ30において行われたが、サーバ装置60において行われてもよい。例えば、第二登録情報があらかじめサーバ装置60の記憶部63に記憶されていれば、照明コントローラ30に代えてサーバ装置60の管理部65が識別情報の置き換え処理を行うことができる。この場合、照明器具20によって送信される電力使用量情報に含まれる照明器具20の識別情報は、光源体21を特定するための特定情報として機能する。
【0068】
また、この場合、照明器具20によって送信される電力使用量情報は、照明コントローラ30を経由する必要がないため、照明器具20が照明コントローラ30を経由せずに広域通信ネットワーク80に接続し、電力使用量情報をサーバ装置60へ送信してもよい。
【0069】
また、照明器具20が当該照明器具20に取り付けられた光源体21の識別情報を直接取得できる場合には、照明器具20は、光源体21の識別情報を含む電力使用量情報を送信することができる。例えば、光源体21に光源体21の識別情報が記録されたRFIDタグが設けられおり、照明器具20がRFIDタグのリーダを備えていれば、照明器具20は、光源体21が取り付けられたときにRFIDタグから光源体21の識別情報を取得することができる。
【0070】
この場合には、照明コントローラ30及びサーバ装置60のいずれにおいても識別情報の置き換え処理が不要となり、第二登録情報の事前登録も不要となる。
【0071】
[動作例3:空間の明るさを補う動作]
ところで、オフィス内では、手元の照度が500ルクス以上必要であり、足元の照度が300ルクス以上必要である、といったように施設100内の空間において必要な照度が定められている場合がある。動作例1及び動作例2のように、排出枠の残価が無くなった光源体21の使用が停止されると、当該光源体21によって照らされていた空間は照度が不足する可能性がある。
【0072】
そこで、排出権管理システム10は、光源体21の使用が停止された場合に、空間の明るさを補う動作を行ってもよい。空間の明るさを補う動作を行うために、照明コントローラ30の記憶部34には、上記第二登録情報に加えて、複数の照明器具20の配置を示す配置情報が記憶される。
図7は、配置情報の一例を示す図である。
【0073】
図7に示されるように、配置情報においては、照明器具20の識別情報と、照明器具20が配置されている空間と、照明器具20の二次元座標とが対応付けられている。ここでの空間は、例えば、閉空間を意味し、施設100が住宅である場合には、リビング、寝室、及び、浴室などの部屋のそれぞれが空間に相当する。配置情報は、例えば、複数の照明器具20(器具本体)、及び、照明コントローラ30の施工時に、UI部35への手動操作によって照明コントローラ30の記憶部34に記憶される。配置情報における照明器具20の識別情報は、第二登録情報に基づいて光源体21の識別情報に置き換えることができるため、配置情報は、複数の光源体21の配置を示す情報であるともいえる。
【0074】
以下、このような配置情報を用いた空間の明るさを補う動作(動作例3)について説明する。
図8は、排出権管理システム10の動作例3のフローチャートである。
【0075】
照明コントローラ30の第一通信部31は、動作例1または動作例2で説明したように、サーバ装置60から使用停止指令を受信し(S30)、第二制御部36は、受信された使用停止指令に基づいて、対象の照明器具20を消灯させる(S31)。また、第二制御部36は、対象の照明器具20への点灯指示を無効化する(S32)。
【0076】
次に、第二制御部36は、記憶部34に記憶された配置情報に基づいて、対象の照明器具20と同一の空間に配置された照明器具20であって対象の照明器具20との座標(距離)が近いものから順にn(nは自然数)台の照明器具20を選択する(S33)。nは、排出権管理システム10の設計者等によって経験的または実験的にあらかじめ定められる。ステップS33の照明器具20の選択においては、使用停止指令に基づいて点灯不可能な状態となっている照明器具20は除外される。また、ステップS33の照明器具20の選択においては、同一の空間に属するという要件は必須ではなく、よりシンプルに、対象の照明器具20に座標が近いものから順にn台の照明器具20が選択されてもよい。
【0077】
次に、第二制御部36は、選択したn台の照明器具20の点灯中の明るさを、対象の照明器具20が使用できない状態になる前よりも増大させる(S34)。言い換えれば、第二制御部36は、複数の光源体21の配置を示す配置情報に基づいて、対象の照明器具20に取り付けられている対象の光源体21が使用できない状態に制御された場合に、対象の光源体21の周囲に位置する他の光源体21の明るさを増大させる。第二制御部36は、具体的には、第二通信部32を用いて選択したn台の照明器具20へ制御信号を送信することにより、選択したn台の照明器具20の明るさを増大させることができる。どの程度明るさを増大させるかについては、排出権管理システム10の設計者等によって経験的または実験的にあらかじめ定められる。
【0078】
以上説明したように、排出権管理システム10は、光源体21の使用が停止された場合に、空間の明るさを補う動作を行うことができる。
【0079】
[光源体のグループ化]
排出権管理情報には、複数の光源体21のそれぞれが属するグループを示すグループ識別情報が含まれてもよい。
図9は、グループ識別情報が含まれる排出権管理情報の一例を示す図である。グループ識別情報は、例えば、情報端末70のUI部71へのユーザの手動操作により、排出権管理情報に付与される。例えば、ユーザは、同一の空間に位置する光源体21が同一のグループに属するように、グループ識別情報を付与しておく。
【0080】
このように排出権管理情報にグループ識別情報が含まれる場合、第一制御部66は、同一グループに属する光源体の排出枠の残価の合計に基づいて、同一グループに属する光源体21を使用できない状態に制御する。
【0081】
例えば、
図9の排出権管理情報によれば、ID00001の光源体21と、ID00002の光源体21とは、同一のグループに属している。第一制御部66は、ID00001の光源体21の排出枠の残価が無くなったときに、ID00002の光源体21の残価が残っていれば、ID00001の光源体21を使用できない状態にする制御を行わない。つまり、ユーザは、2つの光源体21の排出枠の残価の合計P1+P2が0に到達するまで2つの光源体21を使用することができる。上述のように、同一の空間に位置する光源体21が同一のグループに属するようにグループ識別情報が付与されていれば、同一の空間に位置する光源体21の一部のみが使用できなくなるといったことが発生しにくくなる。
【0082】
ところで、2つの光源体21の排出枠の残価の合計P1+P2が0に近づくと、排出枠の残価が、光源体21を1台だけ使用することはできるが2台は使用できない状況になることがある。例えば、管理部65(または第一制御部66)が1時間を最小単位として光源体21を停止すべきかを判定するような場合、判定の結果、次の1時間においては、光源体21を1台だけ使用することはできるが2台は使用できないという状況になりうる。
【0083】
そこで、
図8に示されるように、同一グループに属する光源体21には、優先順位が定められていてもよい。優先順位は、例えば、情報端末70のUI部71へのユーザの手動操作により、排出権管理情報に付与される。
【0084】
第一制御部66は、同一グループに属する光源体21の排出枠の残価の合計が0に近づくと、優先順位に基づく順番で、同一グループに属する光源体21を使用できない状態に制御する。第一制御部66は、具体的には、優先順位が低い光源体21から順に同一グループに属する光源体21を使用できない状態に制御する。
【0085】
このように、排出権管理システム10は、グループ単位で排出枠の残価を管理することもできる。
【0086】
[動作例4:排出枠の移転動作]
ユーザが購入済みの古い光源体21を新しい光源体21に買い替えるときに、古い光源体21の排出枠の残価をどのように取り扱うかについては検討の余地がある。排出権管理システム10は、例えば、既存の光源体21の排出枠の残価を新しい光源体21に移転する動作を行ってもよい。以下、このような排出枠の残価の移転動作(動作例4)について説明する。
図10は、排出権管理システム10の動作例4のシーケンス図である。
【0087】
ユーザは、情報端末70にブラウザまたは所定のアプリケーションプログラムを実行させると、
図11のような表示画面がUI部71に表示される(S40)。
図11は、排出枠の移転操作を受け付けるための表示画面の一例を示す図である。
【0088】
図11の表示画面が表示されているときに、ユーザは排出枠の残価の移転を指示するための移転操作を行う。情報端末70のUI部71は、このような移転操作を受け付ける(S41)。移転操作には、古い光源体21(第一光源体の一例)の識別情報の入力操作、及び、新しい光源体21(第二光源体の一例)の識別情報の入力操作などが含まれる。
【0089】
情報端末70は、UI部71によって移転操作が受け付けられると、移転要求をサーバ装置60へ送信する(S42)。移転要求には、古い光源体21の識別情報、及び、新しい光源体21の識別情報が含まれる。
【0090】
サーバ装置60の通信部61は、移転要求を受信する。取得部64は、移転要求を取得する(S43)。管理部65は、取得された移転要求に基づいて、排出枠の残価を移転する(S44)。例えば、新しい光源体21の残価がP1であり、古い光源体21の残価がP2である場合、管理部65は、排出権管理情報において古い光源体21の識別情報に対応付けられた残価をP2から0に減算し、排出権管理情報において新しい光源体21の識別情報に対応付けられた残価P1にP2を加算する。これにより、古い光源体21の排出枠の残価が新しい光源体21へ移転される。
【0091】
このように、排出権管理システム10は、古い光源体21から新しい光源体21へ排出枠の残価を移転することができる。
【0092】
なお、ユーザは、使用しなくなった古い光源体21の排出枠の残価を光源体21の製造及び販売する事業者に返却することで、事業者から対価を得てもよい。つまり、ユーザは、排出枠の残価を事業者に販売してもよい。ユーザは、事業者から排出枠の残価に相当する金銭を得てもよいし、新たな光源体21を購入する際に新たな光源体21の価格が古い光源体21の排出枠の残価に相当する金額だけ割り引かれてもよい。古い光源体21の排出枠の残価の返却は、例えば、上記移転動作と同様に、情報端末70にブラウザまたは所定のアプリケーションプログラムを実行させることで実現されるが、古い光源体21の実物を事業者へ返却(リサイクル)することで実現されてもよい。
【0093】
光源体21を製造及び販売する事業者は、当該事業者に割り当てられた排出枠の範囲内で事業活動を行っていることから、ユーザから排出枠を買い取ることで、事業活動を広げることができる。
【0094】
[変形例1]
上記実施の形態において説明された排出権管理情報は、サーバ装置60に接続される表示装置(図示せず)において可視化されてもよい。情報処理部62は、排出権管理情報を表示するための画像情報を表示装置に出力することにより、排出権管理情報を可視化することができる。
【0095】
また、情報処理部62は、排出権管理情報に基づいて、当初の排出枠と、排出枠の残価とを集計することにより、販売後の(多数の)光源体21によってどれだけ二酸化炭素が排出されたかを算出することができる。情報処理部62は、排出権管理情報を可視化する際に、この算出結果を含む画像情報を表示装置に出力することにより、販売後の(多数の)光源体21によってどれだけ二酸化炭素が排出されたかを可視化することができる。
【0096】
また、情報処理部62は、上記の算出結果を報告書(電子ファイル)として生成することもできる。このような報告書は、光源体21の製造及び販売を行う事業者が国などに二酸化炭素の排出量の状況を報告する際に有用である。
【0097】
[変形例2]
上記実施の形態において、
図2の排出権管理情報における、電力使用量で表現される排出枠の残価(
図2の(b)の欄)は、あらかじめ設けられていた。つまり、排出枠に相当する二酸化炭素の排出量は、あらかじめ電力使用量に換算されていた。
【0098】
ここで、二酸化炭素の排出量を電力使用量に換算する場合には、所定の計算式が用いられるが、この計算式は、施設100が属する地域によって異なる。なぜなら、地域ごとに電力を供給する電力会社が異なり、電力会社によって採用している発電方式(火力発電なのか原子力発電)の内訳が異なることから、地域ごとに電力使用量と二酸化炭素の排出量との関係が異なるからである。
【0099】
そこで、サーバ装置60の管理部65は、施設100が属する地域を考慮して二酸化炭素の排出量を電力使用量に換算してもよい。例えば、動作例1では、第一登録情報が記憶部63に記憶されるときに、ユーザの操作に基づいて情報端末70からサーバ装置60へ施設100が属する地域を示す地域情報を送信する。あるいは、電力計測装置50の施設100への設置時に、電力計測装置50へ地域情報を設定しておき、電力計測装置50は、最初に電力使用量情報を送信するときに、電力使用量情報に加えて地域情報をサーバ装置60へ送信する。
【0100】
取得部64は、電力使用量情報と合わせて地域情報を取得し、管理部65は、取得された地域情報に応じて計算式を選択し、選択した計算式を用いて二酸化炭素の排出量を電力使用量に換算する。
【0101】
この場合、電力使用量で表現される排出枠の残価(
図2の(b)の欄)は、最初から排出権管理情報に含まれているのではなく、第一登録情報が記憶部63に記憶されるとき、または、サーバ装置60が最初に電力使用量情報を受信するときに排出権管理情報に追加される。これにより、排出権管理システム10は、施設100が属する地域を考慮してより正確に二酸化炭素の排出量を管理することができる。
【0102】
また、動作例2では、照明コントローラ30の施設100への設置時、または、第二登録情報が記憶部34に記憶されるときに、照明コントローラ30へ地域情報を設定しておき、照明コントローラ30の第一通信部31は、最初に電力使用量情報を送信するときに、電力使用量情報に加えて地域情報をサーバ装置60へ送信する。取得部64は、電力使用量情報と合わせて地域情報を取得し、管理部65は、取得された地域情報に応じて計算式を選択し、選択した計算式を用いて二酸化炭素の排出量を電力使用量に換算する。
【0103】
この場合、電力使用量で表現される排出枠の残価(
図2の(b)の欄)は、サーバ装置60が最初に電力使用量情報を受信するときに排出権管理情報に追加される。これにより、排出権管理システム10は、施設100が属する地域を考慮してより正確に二酸化炭素の排出量を管理することができる。
【0104】
[変形例3]
上記実施の形態では、管理部65は、取得部64によって取得された電力使用量情報が示す電力使用量を、電力使用量で表現される排出枠の残価(
図2の(b)の欄)から減算することにより、二酸化炭素の排出量を管理した。しかしながら、管理部65は、電力使用量情報が示す電力使用量を二酸化炭素の排出量に換算し、排出量で表現される排出枠の残価(
図2の(a)の欄)から減算してもよい。
【0105】
ここで、電力使用量を二酸化炭素の排出量に換算する場合には、所定の計算式が用いられるが、この計算式は、変形例2で説明した理由により、施設100が属する地域によって異なる。そこで、電力使用量を二酸化炭素の排出量に換算する場合にも、変形例2と同様に、取得部64が電力使用量情報と合わせて施設100が属する地域を示す地域情報を取得し、管理部65は、取得した地域情報に応じて計算式を選択してもよい。
【0106】
[効果等]
以上説明したように、排出権管理システム10は、照明用の複数の光源体21の識別情報と、複数の光源体21のそれぞれに対して割り当てられた二酸化炭素の排出枠の残価との関係を示す排出権管理情報が記憶された記憶部63と、対象の光源体21の電力使用量を示す電力使用量情報であって対象の光源体21の識別情報を特定するための特定情報を含む電力使用量情報を取得する取得部64と、取得された電力使用量情報に基づいて、排出権管理情報において対象の光源体21の識別情報に対応付けられた残価を減らす管理部65とを備える。二酸化炭素は、温室効果ガスの一例である。
【0107】
このような排出権管理システム10は、照明用の光源体21が使用されることに起因する二酸化炭素の排出量を管理することができる。
【0108】
また、取得部64は、さらに、複数の光源体21に含まれる第一光源体及び第二光源体の間で排出枠の残価を移転するための移転要求を取得する。管理部65は、取得された移転要求に基づいて、排出権管理情報において第一光源体の識別情報に対応付けられた残価を、排出権管理情報において第二光源体の識別情報に対応付けられた残価に加算する。
【0109】
このような排出権管理システム10は、排出枠の残価を移転することができる。
【0110】
また、例えば、排出権管理システム10は、さらに、排出権管理情報において対象の光源体21の識別情報に対応付けられた残価が無くなった場合に、対象の光源体21を使用できない状態に制御する第一制御部66を備える。
【0111】
このような排出権管理システム10は、排出枠の残価が無くなった光源体21を使用できない状態に制御することにより、二酸化炭素の排出量の増大を抑制することができる。
【0112】
また、例えば、排出権管理システム10は、さらに、複数の光源体21の配置を示す配置情報に基づいて、対象の光源体21が使用できない状態に制御された場合に、対象の光源体21の周囲に位置する他の光源体21の明るさを増大させる第二制御部36を備える。
【0113】
このような排出権管理システム10は、対象の光源体21が使用できない状態に制御されることにより低下する照度を、他の光源体21を明るく発光させることで補うことができる。
【0114】
また、例えば、排出権管理情報には、複数の光源体21のそれぞれが属するグループを示すグループ識別情報が含まれる。第一制御部66は、同一グループに属する光源体21の排出枠の残価の合計に基づいて、同一グループに属する光源体21を使用できない状態に制御する。
【0115】
このような排出権管理システム10は、グループ単位で排出枠の残価を管理することができる。
【0116】
また、例えば、同一グループに属する光源体21には、優先順位が定められる。第一制御部66は、同一グループに属する光源体の排出枠の残価の合計が0に近づくと、優先順位に基づく順番で、同一グループに属する光源体を使用できない状態に制御する。
【0117】
このような排出権管理システム10は、所定の優先順位に基づいて、同一グループに属する光源体21を使用できない状態に制御することができる。
【0118】
また、照明用の複数の光源体21の識別情報と、複数の光源体21のそれぞれに対して割り当てられた二酸化炭素の排出枠の残価との関係を示す排出権管理情報が記憶された記憶装置(記憶部63)にアクセス可能なコンピュータによって実行される排出権管理方法は、対象の光源体21の電力使用量を示す電力使用量情報であって対象の光源体21の識別情報を特定するための特定情報を含む電力使用量情報を取得する取得ステップと、取得された電力使用量情報に基づいて、排出権管理情報において対象の光源体21の識別情報に対応付けられた残価を減らす管理ステップとを含む。
【0119】
このような排出権管理方法は、照明用の光源体21が使用されることに起因する二酸化炭素の排出量を管理することができる。
【0120】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0121】
例えば、上記実施の形態では、光源体の使用に起因する温室効果ガスの排出量が管理されたが、光源体以外の電気機器の使用に起因する温室効果ガスの排出量が管理されてもよい。つまり、排出権管理システムは、光源体以外の電気機器に割り当てられた排出量(排出枠)を管理してもよい。
【0122】
また、上記実施の形態では、排出権管理システムは、複数の装置によって実現されたが、単一の装置として実現されてもよい。例えば、排出権管理システムは、サーバ装置に相当する単一の装置として実現されてもよい。排出権管理システムが複数の装置によって実現される場合、排出権管理システムが備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。例えば、上記実施の形態において照明コントローラ及びサーバ装置の一方が行うと説明された処理の一部または全部が照明コントローラ及びサーバ装置の他方によって行われてもよい。
【0123】
また、上記実施の形態における装置間の通信方法については特に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、電力計測装置は、電力使用量の計測値を広域通信ネットワークを通じてサーバ装置へ送信したが、局所通信ネットワークを通じて照明コントローラへ送信してもよい。この場合、電力使用量の計測値は、照明コントローラによって広域通信ネットワークを通じてサーバ装置へ送信される。また、装置間の通信においては、図示されない中継装置(例えば、無線ルータなど)が介在してもよい。
【0124】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0125】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0126】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0127】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0128】
例えば、本発明は、照明コントローラまたはサーバ装置として実現されてもよい。本発明は、排出権管理システムなどのコンピュータが実行する排出権管理方法として実現されてもよい。本発明は、このような排出権管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム(つまり、コンピュータプログラムプロダクト)として実現されてもよい。また、本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0129】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0130】
10 排出権管理システム
21 光源体
36 第二制御部
63 記憶部
64 取得部
65 管理部
66 第一制御部