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特開2025-100937ウインドレギュレータユニットの取付構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025100937
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】ウインドレギュレータユニットの取付構造
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/689 20150101AFI20250626BHJP
   E05F 11/38 20060101ALI20250626BHJP
   B60J 1/17 20060101ALI20250626BHJP
【FI】
E05F15/689
E05F11/38 A
B60J1/17 B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025073553
(22)【出願日】2025-04-25
(62)【分割の表示】P 2021017372の分割
【原出願日】2021-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 佑馬
(72)【発明者】
【氏名】内田 勝義
(72)【発明者】
【氏名】安達 保則
(57)【要約】
【課題】車両用ドアを閉めたときの、ウインドレギュレータユニットの支持部材からドアインナーパネルに向けて入力される荷重を低減する。
【解決手段】ウインドレギュレータユニットの取付構造は、ガイド部材の上端部と下端部との間には、ドアインナーパネルに固定されてガイド部材を支持する少なくとも1つの支持部材が設けられ、ガイド部材の上端部と、ドアインナーパネルのうち上端部と車室内外方向に対向する上部対向部と、の間には、上部弾性部材が介設され、少なくとも車両用ドアを閉めたときの加速度によって生じる弾性変形により、上端部と上部対向部とが互いに近づいて上部弾性部材を圧縮するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインドレギュレータユニットの取付構造であって、
車両用ドアの車室内方側を構成するドアインナーパネルと、
前記ドアインナーパネルの車室外方において上下方向に延在し、ウインドパネルを昇降可能に支持するガイド部材と、を備え、
前記ガイド部材の上端部と下端部との間には、前記ドアインナーパネルに固定されて前記ガイド部材を支持する少なくとも1つの支持部材が設けられ、
前記ガイド部材の前記上端部と、前記ドアインナーパネルのうち前記上端部と車室内外方向に対向する上部対向部と、の間には、上部弾性部材が介設され、
少なくとも前記車両用ドアを閉めたときの加速度によって生じる弾性変形により、前記上端部と前記上部対向部とが互いに近づいて前記上部弾性部材を圧縮するように構成されており、
前記ガイド部材の前記下端部と、前記ドアインナーパネルのうち前記下端部と車室内外方向に対向する下部対向部と、の間には、下部弾性部材が介設され、
少なくとも前記車両用ドアを閉めたときの加速度によって生じる弾性変形により、前記下端部と前記下部対向部とが互いに近づいて前記下部弾性部材を圧縮するように構成されており、
前記上部弾性部材は、車室内外方向において前記ドアインナーパネルの前記上部対向部、又は前記ガイド部材の前記上端部のいずれか一方から離間した状態で配置され、
前記下部弾性部材は、車室内外方向において前記ドアインナーパネルの前記下部対向部、及び前記ガイド部材の前記下端部の両方に接触した状態で、かつ圧縮された状態で配置される、取付構造。
【請求項2】
ウインドレギュレータユニットの取付構造であって、
車両用ドアの車室内方側を構成するドアインナーパネルと、
前記ドアインナーパネルの車室外方において上下方向に延在し、ウインドパネルを昇降可能に支持するガイド部材と、を備え、
前記ガイド部材の上端部と下端部との間には、前記ドアインナーパネルに固定されて前記ガイド部材を支持する少なくとも1つの支持部材が設けられ、
前記ガイド部材の前記上端部と、前記ドアインナーパネルのうち前記上端部と車室内外方向に対向する上部対向部と、の間には、上部弾性部材が介設され、
少なくとも前記車両用ドアを閉めたときの加速度によって生じる弾性変形により、前記上端部と前記上部対向部とが互いに近づいて前記上部弾性部材を圧縮するように構成されており、
前記ガイド部材の前記下端部と、前記ドアインナーパネルのうち前記下端部と車室内外方向に対向する下部対向部と、の間には、下部弾性部材が介設され、
少なくとも前記車両用ドアを閉めたときの加速度によって生じる弾性変形により、前記下端部と前記下部対向部とが互いに近づいて前記下部弾性部材を圧縮するように構成されており、
前記下部弾性部材における、前記車両用ドアの回転軸から遠い遠位部は、当該遠位部よりも当該回転軸に近い近位部よりも圧縮された状態で配置される、取付構造。
【請求項3】
前記上部弾性部材は、前記ガイド部材の前記上端部における車室内方側に設けられた上部ゴム部材を含む、請求項1又は2に記載の取付構造。
【請求項4】
前記上部ゴム部材は、前記ガイド部材に直接固定されている、請求項3に記載の取付構造。
【請求項5】
前記下部弾性部材の弾性係数は、前記上部弾性部材の弾性係数よりも低い、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の取付構造。
【請求項6】
前記下部弾性部材は、前記ガイド部材の前記下端部から車室内方向に延出した板バネ部材と、前記板バネ部材の車室内方側に設けられた下部ゴム部材と、を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の取付構造。
【請求項7】
前記下部ゴム部材は、当該下部ゴム部材の前記ドアインナーパネルと対向する面に凹部を備える、請求項6に記載の取付構造。
【請求項8】
前記少なくとも1つの支持部材の、前記ドアインナーパネルに当接する面における周縁部は、車室外方に向けて起曲される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインドレギュレータユニットの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ケーブルが巻き掛けられるドラムを備えた駆動モータと、ウインドパネルを支持するキャリアプレートと、キャリアプレートに設けられ、ケーブルが接続されるケーブル接続部と、キャリアプレートに設けられる摺動部と、摺動部が摺接する案内溝を備え、キャリアプレートの昇降を案内するガイドレールと、ケーブルの向きをガイドレールに沿うように転換する方向転換部材と、を有し、ケーブル接続部および摺動部を、案内溝の開口方向に重なるように配置する、ウインドレギュレータ装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-200150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両用ドアを閉めたときに、ウインドレギュレータユニットの慣性力に起因する荷重が、当該ウインドレギュレータユニットの支持部材から車両用ドアのドアインナーパネルに向けて集中的に入力されるおそれがあった。
【0005】
本発明の目的は、車両用ドアを閉めたときの、ウインドレギュレータユニットの支持部材からドアインナーパネルに向けて入力される荷重を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかるウインドレギュレータユニットの取付構造は、ガイド部材の上端部と下端部との間に、ドアインナーパネルに固定されてガイド部材を支持する少なくとも1つの支持部材が設けられ、ガイド部材の上端部と、ドアインナーパネルのうち上端部と車室内外方向に対向する上部対向部と、の間には、上部弾性部材が介設され、少なくとも車両用ドアを閉めたときの加速度によって生じる弾性変形により、上端部と上部対向部とが互いに近づいて上部弾性部材を圧縮するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両用ドアを閉めたときの、ウインドレギュレータユニットの支持部材からドアインナーパネルに向けて入力される荷重を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る車両用ドアの斜視図である。
図2図1に係る車両用ドアのA-A線に沿った断面図である。
図3】実施形態に係るウインドレギュレータユニットの斜視図である。
図4図3に係るガイド部材の上端部の要部を示す図であって、実施形態に係るウインドレギュレータユニットにおける上部弾性部材の配設状態を示す斜視図である。
図5】実施形態に係るガイド部材の上端部における、上部弾性部材とドアインナーパネルとの配設関係を示す模式的部分断面図である。
図6】実施形態に係る下部弾性部材を示す斜視図である。
図7】実施形態に係るガイド部材の下端部の要部を示す図であって、下部弾性部材とガイド部材との配設関係を示す模式的部分断面図である。
図8】実施形態に係る支持部材の斜視図である。
図9】実施形態に係るウインドレギュレータユニットの取付構造の作用を説明するための図であり、図2に示した断面のうち、車両用ドアを閉めたときの、ガイド部材とドアインナーパネルとの関係を示す模式的部分断面図である。
図10】実施形態に係るウインドレギュレータユニットの取付構造の作用を説明するためのグラフであって、ドアインナーパネルに対するウインドレギュレータユニットの相対的移動量と、上部弾性部材及び下部弾性部材からの反力との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施形態にかかるウインドレギュレータユニットの取付構造について説明する。なお、各図中のFR,RRは、車両用ドア前後方向前方、後方をそれぞれ示し、IS,OSは、車室内外方向内方、外方を、UP,DNは、車両用ドア上下方向上方、下方をそれぞれ示す。また、車両用ドア前後方向前方とは、車両用ドアにおいて当該車両用ドアを車体に対して回動可能に支持する回転軸(ヒンジ)が設けられている方向をいう。また、車両用ドア前後方向後方とは、車両用ドアにおいて当該ヒンジが設けられている方向とは逆の方向をいう。なお、以下の説明では、車両用ドア前後方向前方、後方、車両用ドア上下方向上方、下方、車室内外方向内方、外方を、それぞれ単に「前方」「後方」「上方」「下方」「車室内方」「車室外方」と称する。また、同一の機能を有する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
実施形態にかかるウインドレギュレータユニットの取付構造は、乗用車やライトトラック(SUV、ピックアップトラック等)の車両用ドアにおけるウインドレギュレータユニットの取付に用いることができる。
【0011】
本実施形態にかかるウインドレギュレータユニットの取付構造は、図1乃至図3に示すように、ドアインナーパネル10、ガイド部材50、支持部材60を備える。
【0012】
車両用ドア1は、車両(図示せず)の車室内と車室外を仕切る扉であり、車両乗降口に対して開閉可能に取り付けられている。本実施形態では、車両乗降口における車両前方側にヒンジ(図示せず)を介して車両用ドア1が車室内外方向に回動可能に(後開き可能に)支持されている。もっとも、例えば、車両乗降口における車両後方側にヒンジを介して車両用ドア1が回動可能に(前開き可能に)支持されてもよい。
【0013】
車両用ドア1は、図2に示すように、ドアインナーパネル10と、ドアアウターパネル20とを備える。ドアインナーパネル10は、車両用ドア1の車室内方側の壁面を構成する、車室内外方向視で略矩形の形状を備える板状の部材である。また、ドアインナーパネル10の上方側には、内側開口部10aが形成されている。なお、ドアインナーパネル10は、その車室外方側において前後方向に延在しドアインナーパネル10を補強する補強パネル10bを含んでいてもよい。ドアアウターパネル20は車両用ドア1の車室外方側の壁面を構成する、車室内外方向視でドアインナーパネル10と略同じ形状の板状部材であって、前後方向視で車室外方に向けて膨らんだ弓なりの断面形状を備える。また、ドアアウターパネル20の上方側には、外側開口部20aが形成されている。内側開口部10aの辺縁部と外側開口部20aの辺縁部とは車室内外方向視において略重なる。
【0014】
ドアインナーパネル10とドアアウターパネル20とを車室内外方向に重ねることにより車両用ドアの外装部が形成されとともに、内側開口部10aと外側開口部20aとによって車両用ドア1の窓部が構成される。また、ドアインナーパネル10とドアアウターパネル20との間には空間Sが形成される。この空間Sと窓部との間をウインドパネル30が昇降することにより、窓部が開閉される。例えば、ウインドパネル30が最も上方まで上昇した状態では窓部がウインドパネル30によって塞がれた状態(閉状態)となり、ウインドパネル30が下降した状態では窓部がウインドパネル30によって塞がれていない状態(開状態)となる。
【0015】
図1乃至図2に示すように、ウインドパネル30は、空間S内に配設されたウインドレギュレータユニット40によって昇降可能に支持されている。また、図3に示すように、ウインドレギュレータユニット40は、ガイド部材50と、支持部材60と、昇降部材41と、駆動ユニット42と、ワイヤ43と、を備え、ドアインナーパネル10の車室外方に配設されている。なお、ドアインナーパネル10の中央部は、駆動ユニット42を収納できるように、車室内方に向けて膨らんで成形されている。このため、車両用ドア1における、車室内外方向視で駆動ユニット42と重ならない領域の、車室内外方向の厚みの増大を抑制することができる。
【0016】
ガイド部材50は、ドアインナーパネルの車室外方において上下方向に延在する、平面視で車室外方に開口した断面ハット形状を有する長尺部材である。また、図2に示すように、ガイド部材50は車両用ドア前後方向視で車室外方に向けて膨らんだ形状を備える。ガイド部材50の上端部50Uと下端部50Dとの間には、支持部材60が設けられており、支持部材60がドアインナーパネル10に対して当接し固定されることにより、ガイド部材50がドアインナーパネル10に支持される。
【0017】
また、図8に示すように、支持部材60のドアインナーパネル10に当接する面(当接面60a)は、その周縁部を車室外方に向けて曲げながら起こすように成形されている。換言すれば、支持部材60の、ドアインナーパネル10に当接する面(当接面60a)における周縁部は、車室外方に向けて起曲される。このため、当接面60aの周縁部には、当接面60aから車室外方に向けて曲がる曲面Rが形成される。
【0018】
なお、ガイド部材50の上端部50Uとは、ガイド部材50の上端縁とその近傍を含む領域をいう。具体的には、ガイド部材50の上端縁から下方に向けて、ガイド部材50の上下方向寸法に対する所定の割合で延在する領域をいう。なお、当該所定の割合は、ガイド部材50の長尺方向又は短尺方向の寸法、ドアインナーパネル10に対する配設位置、又は配設構造等により適宜設定することができる。例えば、ある実施形態においては、ガイド部材50の上下方向寸法に対する当該所定の割合は、5分の1の割合であってもよい。また、本実施形態では、ガイド部材50のうち、後述する上部支持部材60Uよりも上方に位置する部分が上端部50Uである。
【0019】
また、ガイド部材50の下端部50Dとは、ガイド部材50の下端縁とその近傍を含む領域をいう。具体的には、ガイド部材50の下端縁から上方に向けて、ガイド部材50の上下方向寸法に対する所定の割合で延在する領域をいう。なお、当該所定の割合は、ガイド部材50の長尺方向又は短尺方向の寸法、ドアインナーパネル10に対する配設位置、又は配設の方法等により適宜設定することができる。例えば、ある実施形態においては、ガイド部材50の上下方向寸法に対する当該所定の割合は、5分の1の割合であってもよい。また、本実施形態では、ガイド部材50のうち、後述する下部支持部材60Dよりも下方に位置する部分が下端部50Dである。
【0020】
なお、図示した支持部材60は、最も上方に位置する上部支持部材60Uと、最も下方に位置する下部支持部材60Dとを含む。もっとも、支持部材60の数は1つでもよく、2つ以上でもよい。換言すれば、ガイド部材50の上端部50Uと下端部50Dとの間には、ガイド部材50を支持する少なくとも1つの支持部材60が設けられていればよい。
【0021】
昇降部材41は、ガイド部材50の車室外方側に昇降可能に支持された、ブロック形状の部材である。図1乃至図2に示すように、昇降部材41における車室外方側には、ブラケット等の固定具を介してウインドパネル30の下方端部が支持されている。換言すれば、ウインドパネル30はガイド部材50に昇降可能に支持される。このため、昇降部材41がガイド部材50に沿って昇降することにより、ウインドパネル30が車両用ドア1の窓部と空間Sとの間で昇降し、窓部を開閉する。
【0022】
駆動ユニット42は、ガイド部材50の上下方向における略中央部の車室内方側にブラケット等の固定具を介して固定される。さらに、駆動ユニット42の車室内方はブラケット等の固定具を介してドアインナーパネル10に固定される。また、駆動ユニット42は、モータ42aと巻取部42bとを備える。
【0023】
巻取部42bは、駆動ユニット42内部において車室内外方向に延在する巻取軸を中心軸とする円筒状の巻取ドラム(図示せず)を内部に備える。モータ42aの軸回転は、当該軸に取り付けられたウォームギア(図示せず)や減速機(図示せず)を介して巻取ドラムに伝達されるように構成されている。従って、モータ42aの回転方向を制御することによって、巻取ドラムの巻取軸周りの回転を制御することができる。
【0024】
ワイヤ43は上昇用ワイヤ43aと下降用ワイヤ43bから構成されている。上昇用ワイヤ43aの一端部は昇降部材41に固定されている。また、上昇用ワイヤ43aは、昇降部材41から上方に向けて延出し、ガイド部材50の上端に軸支されたガイドプーリ51に沿って前下方に延出し、巻取ドラムに所定回数巻き付けられた後、他端部が当該巻取ドラムに固定される。さらに、下降用ワイヤ43bの一端部は昇降部材41に固定されている。また、下降用ワイヤ43bは、昇降部材41から下方に向けて延出し、ガイド部材50の下端に軸支されたガイドプーリ51に沿って前上方に延出し、巻取ドラムに所定回数巻き付けられた後、他端部が当該巻取ドラムに固定される。
【0025】
よって、モータ42aの回転を制御することにより、巻取ドラムの正転(図3における時計回り方向の回転)又は逆転(図3における逆時計回り方向の回転)を制御し、上昇用ワイヤ43a又は下降用ワイヤ43bの巻取又は送り出しを制御し、昇降部材41の昇降を制御することができる。例えば、モータ42aの駆動力を巻取ドラムに伝達し、巻取ドラムを正転させることにより、上昇用ワイヤ43aを巻取ドラムで巻き取るとともに下降用ワイヤ43bを巻取ドラムから送り出し、昇降部材41を上昇させることができる。昇降部材41はウインドパネル30の下方端部を支持するので、ウインドパネル30も上昇し、車両用ドア1の窓部を閉状態にすることができる。このように、ウインドレギュレータユニット40によって、ウインドパネル30の昇降を制御し、車両用ドア1の窓部の開状態又は閉状態を切り替えることができる。
【0026】
次いで、ガイド部材50の構成についてより具体的に説明する。
【0027】
図1乃至図5に示すように、ガイド部材50の上端部50Uと、ドアインナーパネル10のうちガイド部材50の上端部50Uと車室内外方向に対向する領域(上部対向部11)との間に、上部弾性部材70が介設される。なお、図示した例では、上部弾性部材70がガイド部材50の上端部50Uに固定されているが、ドアインナーパネル10の上部対向部11に上部弾性部材70が固定されていてもよい。
【0028】
また、図5に示すように、上部弾性部材70は、車室内外方向において補強パネル10b(ドアインナーパネル10)の上部対向部11との間に隙間を有する状態で配置されている。当該隙間の大きさは、特に限定されないが、例えば0.1mm乃至1mmである。なお、上部対向部11に上部弾性部材70が設けられている場合には、上部弾性部材70は、車室内外方向において上端部50Uとの間に隙間を有する状態で配置されていてもよい。換言すれば、上部弾性部材70は、車室内外方向においてドアインナーパネル10の上部対向部11、又はガイド部材50の上端部50Uのいずれか一方から離間した状態で配置されていてもよい。もっとも、車室内外方向において、上端部50Uと上部弾性部材70とが接触し、かつ、上部弾性部材70と上部対向部11とが接触していてもよく、さらに、上部弾性部材70は上端部50Uと上部対向部11との間で、圧縮されることにより変形し歪みが生じた状態(圧縮された状態)で配置されていてもよい。
【0029】
図4に示す上部弾性部材70は全体がゴム材料から構成される。もっとも、上部弾性部材70は、ガイド部材50の上端部50Uにおける車室内方側に設けられた、ゴム材料から構成された上部ゴム部材70aを含んでいればよい。また、図示した例では、上部ゴム部材70aが、ガイド部材50に直接固定されている。より具体的には、上部弾性部材70としての上部ゴム部材70aの下方に設けられた溝がガイド部材50の上縁を挟持することで、ガイド部材50に上部ゴム部材70aを直接固定している。もっとも、例えば、ガイド部材50の上端部50Uの車室内方側に接着剤等を用いて上部ゴム部材70aを直接固定してもよく、他の方法を用いて直接固定してもよい。これにより、本実施形態に係るウインドレギュレータユニット40の部品点数を削減し、簡易に実施形態に係るウインドレギュレータユニット40の取付構造を構成することができる。
【0030】
なお、図1乃至図3に示すように、実施形態に係るウインドレギュレータユニット40は、ガイド部材50の下端部50Dと、ドアインナーパネル10のうち下端部50Dと車室内外方向に対向する領域(下部対向部12)との間に、下部弾性部材80が介設されていてもよい。また図示した例では、下部弾性部材80がガイド部材50の下端部50Dの車室内方側に固定されているが、ドアインナーパネル10の下部対向部12の車室外方側に下部弾性部材80が固定されていてもよい。
【0031】
例示した下部弾性部材80の車室外方側はガイド部材50の下端部50Dに固定され、車室内方側はドアインナーパネル10の下部対向部12に押し付けられた状態で配置されている。よって、下部弾性部材80は下端部50D及び下部対向部12に車室内外方向において押圧されることにより、圧縮された状態で配置されている。換言すれば、下部弾性部材80は、車室内外方向においてドアインナーパネル10の下部対向部12、及びガイド部材50の下端部50Dの両方に接触した状態、かつ圧縮された状態で配置されている。もっとも、配置方法はこれに限定されず、ガイド部材50の下端部50Dに固定された下部弾性部材80とドアインナーパネル10とが離間した状態であってもよい。さらに、ドアインナーパネル10の下部対向部12の車室外方側に下部弾性部材80が固定されている場合には、下部弾性部材80とガイド部材50とが離間した状態であってもよい。
【0032】
また、図6乃至図7に示すように、下部弾性部材80は、ガイド部材50の下端部50Dから車室内方向に延出した板バネ部材80bと、板バネ部材80bの車室内方側に設けられた下部ゴム部材80aと、を含む。
【0033】
板バネ部材80bは、前後方向視において略Z字の断面形状を備える、屈曲した板状の部材である。また、板バネ部材80bの前後方向寸法とガイド部材50の下端部50Dの前後方向寸法とは略同一である。板バネ部材80bの上方側はガイド部材50の下端部50Dの車室内方側に固定されている。また、板バネ部材80bの下方側は、ガイド部材50から車室内方に向けて起立するように延出し、さらに、先端部が下方に向けて屈曲されている。このようにすることで、車室内外方向において弾性を備えた板バネ部材80bがガイド部材50の下端部50Dに固定される。
【0034】
下部ゴム部材80aは、車室内外方向視において略矩形の断面形状を備える、ゴム材料から構成された部材である。また、下部ゴム部材80aの前後方向寸法は板バネ部材80bの前後方向寸法よりもやや大きく構成されている。下部ゴム部材80aの車室外方側は板バネ部材80bに固定されている。また、下部ゴム部材80aの車室内方側はドアインナーパネル10の下部対向部12と対向する面としての下部ゴム部材表面を備えており、当該面には凹部80cが形成されている。凹部80cは下部ゴム部材表面において上下方向に延在する溝であり、上下方向視で略矩形の形状を備える。凹部80cが形成されていることにより、下部ゴム部材表面は凹凸面となる。なお、ある実施形態では、下部ゴム部材80aの車室内外方向の寸法は約10mmであり、凹部80cの車室内外方向の寸法は約2mmである。もっとも、これらの寸法に限定されない。
【0035】
また、下部弾性部材80はその前方側よりもその後方側を強くドアインナーパネル10に押し当てた状態で配置される。よって、下部弾性部材80の遠位部80dは近位部80eよりも圧縮された状態で配置される。より具体的には、例えば、上下方向視において、遠位部80dが近位部80eよりも車室内方に位置するように、下部ゴム部材表面に前後方向に対する勾配を設けて設置してもよい。なお、遠位部80dとは下部弾性部材80における車両用ドア1の回転軸(ヒンジ)から遠い領域であり、近位部80eとは下部弾性部材80における遠位部80dよりも回転軸(ヒンジ)に近い領域である。
【0036】
なお、下部弾性部材80の弾性係数は、上部弾性部材70の弾性係数よりも低く設定されていてもよい。例えば、ある実施形態では、下部ゴム部材80aとしてショア硬さ(Hs)60のゴム部材を用い、上部ゴム部材70aとしてHs70のゴム部材を用いてもよい。
【0037】
次いで、図9乃至図10を参照しながら、車両用ドア1を閉めたときの、実施形態に係るウインドレギュレータユニット40の取付構造の作用を説明する。
【0038】
乗員が車両に乗り込む際や、車両から降りる際、車両用ドア1を開いた状態から閉まった状態にするための操作が行われる。車両用ドア1の前方はヒンジを介して車両に取り付けられているため、当該操作において、まず、車両用ドア1は車両乗降口に向けてヒンジを中心に回動し、車室内方を向いた速度を伴って車両乗降口に接近する。そして、車両用ドア1の周縁部が車両乗降口周縁部に当接することにより、車両用ドア1には、車室外方に向けた外力が入力される。その結果、車両用ドア1には車室外方に向けた加速度が生じ、急激に速度を減じて車両に対して静止する。換言すれば、車室内方を向いた速度を伴って車両乗降口に当接した車両用ドア1は、車両用ドア1を閉めたときの加速度が生じることにより、車両に対して静止する。なお、車両用ドア1を閉めたときの加速度とは、車両用ドア1を閉める操作を行った際に、車両用ドア1の周縁部が車両乗降口周縁部に当接することにより、車両用ドア1に車室外方に向けた外力が入力される結果生じる、車室外方を向いた加速度のことをいう。
【0039】
車両用ドア1を閉めたときの加速度が生じたとき、ウインドレギュレータユニット40には車室内方を向いた慣性力が生じる。そして、当該慣性力が生じた結果、図9に示すように、支持部材60からドアインナーパネル10に対して、矢印B方向の荷重が入力される。これにより、ドアインナーパネル10が弾性変形し、ガイド部材50の上端部50Uと、ドアインナーパネル10の上部対向部11とが、相対的に近付く。また、ガイド部材50の下端部50Dと、ドアインナーパネル10の下部対向部12とが、相対的に近付く。なお、ドアインナーパネル10の弾性変形の態様としては、例えば、支持部材60を支点として、ドアインナーパネル10の上部対向部11及び下部対向部12が矢印C方向に向けて回転する態様や、ドアインナーパネル10に対して支持部材60が押し込まれることにより、ガイド部材50とドアインナーパネル10とが全体として接近する態様などがある。
【0040】
(1)実施形態に係る取付構造は、ウインドレギュレータユニット40の取付構造であって、車両用ドア1の車室内方側を構成するドアインナーパネル10と、ドアインナーパネル10の車室外方において上下方向に延在し、ウインドパネル30を昇降可能に支持するガイド部材50と、を備える。ガイド部材50の上端部50Uと下端部50Dとの間には、ドアインナーパネル10に固定されてガイド部材50を支持する少なくとも1つの支持部材60が設けられ、ガイド部材50の上端部50Uと、ドアインナーパネル10のうち上端部50Uと車室内外方向に対向する上部対向部11と、の間には、上部弾性部材70が介設され、少なくとも車両用ドア1を閉めたときの加速度によって生じる弾性変形により、上端部50Uと上部対向部11とが互いに近づいて上部弾性部材70を圧縮するように構成されている。
【0041】
このため、ガイド部材50の上端部50Uと、ドアインナーパネル10の上部対向部11とが相対的に近付くことにより、上部弾性部材70と上部対向部11とが接触し、上端部50Uと上部対向部11との間で、上部弾性部材70に圧縮力が入力される。そして、圧縮された状態の上部弾性部材70の反力(復元力)が上端部50U及び上部対向部11に入力される。このとき、車両用ドア1を閉めたときの加速度が生じたことによる、ウインドレギュレータユニット40の車室内方向を向いた慣性力に起因する荷重の一部は、上部弾性部材70を通じてドアインナーパネル10に入力される。そのため、当該荷重は、支持部材60及び上部弾性部材70に分散してドアインナーパネル10に入力される。従って、車両用ドア1を閉めたときの、ウインドレギュレータユニット40の支持部材60からドアインナーパネル10に向けて入力される荷重を低減することができる。さらに、車両用ドア1を閉める際には、車両用ドア1の窓部は閉状態である場合が多い。このような場合には、ウインドパネル30がガイド部材50における上方側で支持されているため、ウインドレギュレータユニット40の重心が上下方向において高い位置に存在することとなる。よって、車両用ドア1を閉めたときの加速度が生じたとき、ガイド部材50の上方側により大きな慣性力が発生する。このため、上端部50Uに上部弾性部材70を設けることにより、実施形態に係るウインドレギュレータユニット40の構成部品点数を削減しつつ、効果的にウインドレギュレータユニット40の慣性力に起因する荷重を支持部材60及び上部弾性部材70に分散し、支持部材60からドアインナーパネル10に向けて入力される荷重を低減することができる。
【0042】
(2)実施形態に係る取付構造では、上部弾性部材70は、ガイド部材50の上端部50Uにおける車室内方側に設けられた上部ゴム部材70aを含む。
【0043】
このため、車両用ドア1を閉めたときに生じるウインドレギュレータユニットの慣性力に起因する荷重のうち、上部弾性部材70に分散された荷重を、上部ゴム部材70aが吸収するとともに、上部対向部11と上部弾性部材70との接触による低級音の発生を抑制することができる。
【0044】
(3)実施形態に係る取付構造では、上部ゴム部材70aは、ガイド部材50に直接固定されている。
【0045】
このため、実施形態に係るウインドレギュレータユニット40の取付構造を構成するために必要な部品点数を削減し、簡易に取付構造を構成することができる。
【0046】
(4)実施形態に係る取付構造では、ガイド部材50の下端部50Dと、ドアインナーパネル10のうち下端部50Dと車室内外方向に対向する下部対向部12と、の間には、下部弾性部材80が介設され、少なくとも車両用ドア1を閉めたときの加速度によって生じる弾性変形により、下端部50Dと下部対向部12とが互いに近づいて下部弾性部材80を圧縮するように構成されている。
【0047】
このため、ガイド部材50の下端部50Dと、ドアインナーパネル10の下部対向部12とが相対的に近付くことにより、下端部50Dと下部対向部12との間で、下部弾性部材80に圧縮力が入力される。そして、圧縮された状態の下部弾性部材80の反力(復元力)が下端部50D及び下部対向部12に入力される。このとき、車両用ドア1を閉めたときの加速度が生じたことによる、ウインドレギュレータユニット40の車室内方向を向いた慣性力に起因する荷重の一部は、下部弾性部材80を通じてドアインナーパネル10に入力される。そのため、当該荷重は、支持部材60、上部弾性部材70、及び下部弾性部材80に分散してドアインナーパネル10に入力される。従って、車両用ドア1を閉めたときの、ウインドレギュレータユニット40の支持部材60からドアインナーパネル10に向けて入力される荷重をより確実に低減することができる。さらに、車両用ドア1を閉める際に窓部が開状態である場合には、ウインドパネル30がガイド部材50における下方側で支持されているため、ウインドレギュレータユニット40の重心が上下方向において低い位置に存在することとなる。よって、車両用ドア1を閉めたときの加速度が生じたとき、ガイド部材50の下方側により大きな慣性力が発生する。そのため、車両用ドアを閉めるときに、下部支持部材60Dにより多くの荷重が入力されるおそれが有る。また、設計上の都合によりドアインナーパネル10のうち、下部支持部材60Dが固定された部分や、その周辺領域の剛性を高めることが困難な場合がある。そのような場合であっても、下部弾性部材80に荷重が分散されることにより、下部支持部材60Dからドアインナーパネル10に向けて入力される荷重をより確実に低減することができる。
【0048】
(5)実施形態に係る取付構造では、下部弾性部材80の弾性係数は、上部弾性部材70の弾性係数よりも低い。
【0049】
このため、圧縮された状態の下部弾性部材80が下端部50D及びドアインナーパネル10に入力する反力が、圧縮された状態の上部弾性部材70が上端部50U及びドアインナーパネル10に入力する反力よりも小さくなる。これにより、上部弾性部材70の反力と下部弾性部材80の反力との和が過剰に大きくなることを抑制し、車両用ドア1を閉めたときに生じるウインドレギュレータユニット40の慣性力に起因する荷重を、より確実に支持部材60、上部弾性部材70、及び下部弾性部材80に分散することができる。また、換言すれば、上部弾性部材70の弾性係数は、下部弾性部材80の弾性係数よりも高い。そのため、ウインドパネル30が上昇した状態であり、ウインドレギュレータユニットの重心が上下方向において高い位置に存在する場合であっても、上部弾性部材70が過剰に圧縮されることにより、車両用ドア1を閉めた際のウインドレギュレータユニット40の慣性力に起因する荷重が上部支持部材60Uに過剰に入力されることを抑制することができる。
【0050】
(6)実施形態に係る取付構造では、上部弾性部材70は、車室内外方向においてドアインナーパネル10の上部対向部11、又はガイド部材50の上端部50Uのいずれか一方から離間した状態で配置され、下部弾性部材80は、車室内外方向においてドアインナーパネル10の下部対向部12、及びガイド部材50の下端部50Dの両方に接触した状態で、かつ圧縮された状態で配置される。
【0051】
このような構成の作用について、例えば、上端部50Uの車室内方側に固定された上部弾性部材70は、車室内外方向において上部対向部11との間に隙間を有する状態で配置されており、また、下端部50Dの車室内方側に固定された下部弾性部材80は、下部対向部12に押し付けられ、圧縮された状態で配置されている取付構造を例に、図10を参照して説明する。
【0052】
図10の横軸Xは、車両用ドア1を閉めたときの、ドアインナーパネル10に対するウインドレギュレータユニット40の相対的移動量(押し込み量)を表す。縦軸Yは、ある押し込み量における、下部弾性部材80が下端部50D及び下部対向部12に入力する反力の大きさと、上部弾性部材70が上端部50U及び上部対向部11に入力する反力の大きさとの和の値(合計反力)を表す。実線Lは押し込み量の変化に対する合計反力の変化を表す。原点Oは、ドアインナーパネル10に対するウインドレギュレータユニット40の相対的移動が発生していない状態である。XCは、車両用ドア1を閉じたことにより上端部50Uと上部対向部11とが相対的に近付き、上部弾性部材70と上部対向部11とが接触したときの押し込み量を表す。
【0053】
まず、原点Oでは、上部弾性部材70は圧縮された状態ではないため反力を有していない。一方、下部弾性部材80は圧縮された状態で配置されているため、所定の反力の大きさY0を有する。そして、車両用ドア1を閉じたことにより押し込み量が増加すると、下部弾性部材80はより強く圧縮された状態となり、原点O乃至XCにおける実線Lの変化が示すように、下部弾性部材80の反力の大きさがYCに増大する。この状態では、車両用ドア1を閉めたときのウインドレギュレータユニット40の慣性力に起因する荷重が、支持部材60及び下部弾性部材80に分散される。さらに、押し込み量XCで上部弾性部材70と上部対向部11とが接触した後、押し込み量がXCよりも大きくなると、上端部50Uと上部対向部11との間で上部弾性部材70が圧縮された状態になる。このとき、上部弾性部材70及び下部弾性部材80が反力を有するため、押し込み量XC以下の場合と比べて、合計反力がより大きく増大する。この状態では、当該荷重が、支持部材60、上部弾性部材70、及び下部弾性部材80に分散される。以上の作用によれば、上下方向におけるウインドパネル30の位置によらず、車両用ドア1を閉めたときに生じるウインドレギュレータユニット40の慣性力に起因する荷重が、まず支持部材60及び下部弾性部材80に分散される。次いで、上端部50Uと上部対向部11とが相対的に近付くことにより、上部弾性部材70と上部対向部11とが当接し、当該荷重がさらに上部弾性部材70にも分散される。よって、上下方向におけるウインドパネル30の位置によらず、当該荷重を、より確実に支持部材60、上部弾性部材70、及び下部弾性部材80に分散することができる。さらに、例えば車両用ドア1の窓部が閉状態であり、ウインドレギュレータユニット40の重心が上下方向において高い位置に存在する場合には、上部弾性部材70と上部対向部11とが当接した後に、上部弾性部材70を支点として、ウインドパネル30が車室内方に向けて回転し、下端部50Dが車室外方に向けて回転するモーメントが発生する場合がある。このような場合であっても、当該モーメントが発生する前から、より確実に当該荷重を下部弾性部材80に分散することができる。
【0054】
(7)実施形態に係る取付構造では、下部弾性部材80は、ガイド部材50の下端部50Dから車室内方向に延出した板バネ部材80bと、板バネ部材80bの車室内方側に設けられた下部ゴム部材80aと、を含む。
【0055】
このため、車両用ドア1を閉めたときのウインドレギュレータユニット40の慣性力に起因する荷重のうち下部弾性部材80に分散された荷重を、板バネ部材80bで吸収することができる。
【0056】
(8)実施形態に係る取付構造では、下部ゴム部材80aは、下部ゴム部材80aのドアインナーパネル10と対向する面に凹部80cを備える。
【0057】
このため、下部ゴム部材80aが過剰な反力をドアインナーパネル10に入力するのを抑制することができる。さらに、下部ゴム部材80aのドアインナーパネル10に対する貼り付きを抑制するとともに、下部ゴム部材80aがドアインナーパネルに対して付着、又は剥離する際に伴う音(離着音)の発生を抑制することができる。
【0058】
(9)実施形態に係る取付構造では、下部弾性部材80における、車両用ドア1の回転軸から遠い遠位部80dは、当該遠位部80dよりも当該回転軸に近い近位部80eよりも圧縮された状態で配置される。
【0059】
このため、車両用ドア1を閉めたときの、下部弾性部材80の遠位部80dがドアインナーパネル10に対して入力する荷重は、近位部80eがドアインナーパネル10に対して入力する荷重よりも大きい。これにより、車両用ドアを閉めたとき、ウインドレギュレータユニット40が後方に向けて、上下方向を軸として回転することを抑制することができる。
【0060】
(10)実施形態に係る取付構造では、少なくとも1つの支持部材60の、ドアインナーパネル10に当接する面における周縁部は、車室外方に向けて起曲される。
【0061】
このため、車両用ドア1を閉めたときのウインドレギュレータユニット40の慣性力に起因する荷重は、当接面60a又はその周縁部に形成された曲面Rといった面に分散されてドアインナーパネル10に入力される。従って、当接面60aの周縁部にエッジが形成されている場合に比べて、当該荷重が集中的に入力されることを抑制することができる。
【0062】
また、上記実施形態では、乗用車やライトトラックを例にとって説明したが、実施形態に係るウインドレギュレータユニット40の取付構造が、大型トラック等の商用車の車両用ドアのウインドレギュレータユニットに用いることができることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
1 車両用ドア
10 ドアインナーパネル
11 上部対向部
12 下部対向部
30 ウインドパネル
40 ウインドレギュレータユニット
50 ガイド部材
50U 上端部
50D 下端部
60 支持部材
70 上部弾性部材
70a 上部ゴム部材
80 下部弾性部材
80a 下部ゴム部材
80b 板バネ部材
80c 凹部
80d 遠位部
80e 近位部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10