(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010096
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】クラウドソーシングされた機械学習モデルを利用する高度な心房細動治療システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20250109BHJP
G16H 50/00 20180101ALI20250109BHJP
【FI】
G16H20/00
G16H50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024107371
(22)【出願日】2024-07-03
(31)【優先権主張番号】63/524,712
(32)【優先日】2023-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/611,303
(32)【優先日】2023-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ヤリブ・アブラハム・アモス
(72)【発明者】
【氏名】シラン・エリヤフ
(72)【発明者】
【氏名】リアット・ツォレフ
(72)【発明者】
【氏名】アビ・シャルギ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】心房細動の治療のためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法を提供すること。
【解決手段】本開示の主題は、AF状態の長期改善の可能性を増加させ、それによってAF患者の治療を強化する、AF患者のための好適な治療を選択及び提供することを可能にするコンピュータ方法及びコンピュータシステムを含む。本開示は、AF患者の状態を分析し、患者から取得された様々なAF特徴に基づいて個人化された治療レジメンを調整し、少なくともPVIのみ及びPVIプラスから選択される治療を決定するための方法及びシステムを提供する。データの不足に起因する技術的困難を克服するために、観察された治療転帰ではなく医師の推奨を使用して訓練される機械学習モデルが開示される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心房細動(AF)治療を選択するコンピュータ実装方法であって、前記方法は、
患者の複数のAF関連特徴を取得することであって、前記患者の前記AF関連特徴は、前記患者の様々な心臓関連属性を特徴付ける心臓関連特徴を含み、
前記心臓関連特徴は、1つ又は2つ以上の解剖学的予測パラメータであって、各解剖学的予測パラメータは、前記心臓の特定の解剖学的部位から収集された幾何学的データに基づいて計算される、1つ又は2つ以上の解剖学的予測パラメータと、1つ又は2つ以上の電圧関連特徴と、のうちの少なくとも1つを含む、取得することと、
前記患者の前記複数のAF関連特徴に機械学習(ML)モデルを適用することであって、前記MLモデルは、複数のデータポイントを含む訓練データセットを使用して訓練されており、各データポイントは、AF関連特徴に関連付けられたAF患者と、少なくとも肺静脈隔離(PVI)のみ及びPVIプラス治療を含む群から選択されるAF治療を前記患者に施すために医師によって行われた対応する推奨と、に対応し、それにより、推論中に、所与の患者の前記AF関連特徴に従って前記所与の患者に推奨されたAF治療を示すデータを提供するように前記MLモデルを訓練する、適用することと、
肺静脈隔離(PVI)のみの処置及びPVIプラス処置から選択される、前記患者のための推奨されたAF治療を示すMLモデル出力を生成することと、
前記推奨されたAF治療を示すデータを医療提供者に提供することと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記心臓関連特徴は、解剖学的予測パラメータを含み、前記方法は、前記患者の解剖学的予測パラメータを取得することと、
左心房、右心房、及び左心室を含む群から選択される、前記患者の心臓の少なくとも1つのサブコンパートメントの3D解剖学的マップを取得するために、前記患者に対して処置を実施することと、
前記解剖学的(3D)マップをセグメント化し、それにより、前記少なくとも1つのサブコンパートメントの複数の解剖学的部位を取得することと、
前記複数の解剖学的部位の少なくとも一部について、少なくとも1つのそれぞれの寸法を決定することと、
解剖学的予測パラメータを決定することであって、各解剖学的予測パラメータは、前記患者の前記心臓の前記少なくとも1つのサブコンパートメントの解剖学的部位の1つ又は2つ以上の寸法に基づいて決定される、決定することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのサブコンパートメントのそれぞれの解剖学的部位の異なる寸法間に数学的演算を適用することによって、少なくとも1つの解剖学的予測パラメータを決定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記AF関連特徴は、サイクル長、病歴、及び患者の人口統計のうちの1つ又は2つ以上を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記MLモデルは、分類器のアンサンブルであり、各分類器は、前記データポイントのサブセットに対して訓練され、前記患者のための推奨されたAF治療を示すそれぞれの出力を提供するように構成され、最終推奨は、多数決に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
データポイントの各サブセットは、特定の医師、検査室、又は医療機関によって推奨された患者を含み、したがって仮想医師を表す、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記機械学習モデル出力は、前記患者のための前記推奨されたAF治療を決定する際の異なるAF関連特徴のそれぞれの重要性を更に示す、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
訓練中に、クラスタリングが、前記複数のデータポイントに対して適用され、それによって、類似のAF関連特徴によって特徴付けられた患者のサブセットをそれぞれの群に割り当て、各群は、患者タイプを表し、各群内の医師によって行われた推奨の分布に従って、前記群内の前記患者にタグ付けする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記患者にPVIプラス処置を適用するための推奨を含むML出力は、推奨されたPVIプラス処置の特定のタイプを示す情報も含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
コンピュータプロセッサによって読み取られると、前記コンピュータプロセッサに請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実施させる命令のプログラムを保持するコンピュータ可読記憶媒体を備える、コンピュータプログラム製品。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の動作を実行するように構成された1つ又は2つ以上のコンピュータプロセッサを備える少なくとも1つの処理回路を備える、コンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2023年7月3日に出願された米国仮特許出願第63/524,712号、及び2023年12月18日に出願された米国仮特許出願第63/611,303号の利益を主張するものであり、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示の主題は、心房細動の治療のためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法に関する。
【背景技術】
【0003】
心房細動(atrial fibrillation、AF)は、最も一般的に診断される持続性不整脈であり、心房の急速かつ不規則な活性化を特徴としている。心房細動は、介入の有無にかかわらず7日以下続く発作性であり得るか、又は7日を超えて(持続的(persistent)、PS-AF)若しくは12ヶ月を超えて(長期持続(long-standing)、LS-PS-AF)継続する場合がある。永続的AFは、洞調律を回復させる試みが放棄されたか、又は不可能であることが証明された場合の長期持続持続的(longstanding persistent)AFに使用される用語である。例えば、Kaba,R.A.,Momin,A.&Camm,J.Persistent atrial fibrillation:The role of left atrial posterior wall isolation and ablation strategies.J.Clin.Med.10,(2021)を参照されたい。
【0004】
治療戦略は、AFの程度及び期間に応じて変化する。肺静脈隔離(pulmonary vein isolation、PVI)は、正常な心調律を回復させ、AFに関連する症状を低減又は排除することを目的とする医療処置である。しかしながら、AFの重篤な症例では、PVI単独では十分ではない場合があり、「PVIのみ」の長期失敗が観察される。
【0005】
証拠は、左心房体積の拡大と、罹患患者における心房細動(AF)の重症度及び慢性的性質の両方の悪化との間の一貫した関連を示唆している。心房の形状も同様に変化することが知られており、疾患が進行するにつれて管形状から球形状に変化する。
【0006】
図1a及び
図1bは、2人のAF患者の左心房の撮像システム出力を示している。この例では、膨張値(この場合、ユークリッド膨張値)は、後壁の幅をその長さで割ることによって計算される。
【0007】
本明細書に開示される方法及びシステムは、AF患者のための好適な治療を選択及び提供することを可能にし、それは、AF状態の長期改善の可能性を増加させ、それによって、AF患者の治療を強化する。
【0008】
異なるサブコンパートメントの具体的な解剖学的部位において観察及び測定される、心臓の異なるサブコンパートメント(又は「チャンバ」)における変化(例えば、膨張)を使用して、AF患者におけるPVIのみの治療及び/又はPVIプラス治療の長期成功又は長期失敗を予測することができることが本明細書に開示される。
【0009】
例として左心房を考慮すると、後方、前方、左側方、右側方、ルーフ、及び下壁を含む、その解剖学的部位の各々における膨張などの幾何学的変換は、PVIのみの治療の転帰に関して予測的品質を有することが、本発明者らによって見出されている。本発明者らの知見によれば、AF患者において観察される左心房の特定の幾何学的特性(又は幾何学的特性の具体的な組み合わせ)は、PVIのみの治療後に長期成功又は長期失敗が予想されるかどうかを示すため、PVIのみとPVIプラスとの間で選択される、患者に施される適切な治療を選択するのに役立つ。
【0010】
いくつかの例によれば、心房細動対象におけるPVI「のみ」処置の長期成功の可能性を示す指数(及び指数を利用する新規な技術)が提案される。この指数を使用して、PVIのみ又は異なるPVIプラスのうちの1つについて患者を選択することができる。指数は、幾何学的特性を含む心臓関連特徴と、場合によっては電圧関連特徴及びサイクル長などの他の心臓関連特徴とに基づいて生成される。上記の原理を支持するAF患者から取得されたデータに対して実施された統計分析の追加の詳細は、以下の「実施例」の節において提供される。
【0011】
心臓のサブコンパートメントの幾何学的特性を使用する際の1つの課題は、心臓撮像システムの撮像出力がしばしば損なわれるか又は不完全であり、マッピングされていない領域を含むという事実に関連する。この欠点は、困難を生じさせ、場合によっては、心臓及び/又は心房の全体的な体積及び/又は形状の変化を決定する能力を排除するため、AF患者における心臓の状態の分析及び適切な治療の選択において技術的な後退を生じさせる。
【0012】
本明細書に開示される主題は、不完全な撮像出力の場合にも有効である、PVI治療の成功を予測するための新しい手法を含む。この手法によれば、解剖学的予測パラメータ(別段「成功予測パラメータ」とも称される)の集合を使用することができ、各パラメータは、心臓のそれぞれの解剖学的部位から収集された幾何学的データに基づいて計算される。パラメータの多重性及び多様性、並びに異なる解剖学的予測パラメータが異なるそれぞれの解剖学的部位に基づいて計算されるという事実は、データの冗長性を提供し、心臓の撮像出力が不完全であっても、心臓のマッピングされた領域は、パラメータを計算し、これらのパラメータに基づいて所望の予測を提供するために使用することができる十分な出力を提供する。
【0013】
本明細書に開示される主題は、機械学習(machine learning、ML)モデルを使用してAF患者のための適切なアブレーション手法を推奨/選択するための専用のコンピュータシステム及び方法を更に含む。機械学習分類器は、AF患者データベース内の異なる患者に関して決定された複数の特徴(以下、「AF関連特徴」)を含む訓練データセットを使用して訓練され、AF関連特徴の様々な組み合わせと、PVIのみ処置及び/又はPVIプラス処置のそれぞれの成功確率との間を相関させる。
【0014】
1つの手法によれば、訓練データは、PVIのみ又はPVIプラス治療が各患者に施されたかどうかを示す情報、及びAF治療の観察された長期成功を含む。AF関連特徴は、治療の観察された成功又は失敗に従ってラベル付けされ、したがって、MLモデルが、AF関連特徴と推奨されたAF治療とを関連付けることを可能にする。
【0015】
別の例によれば、訓練データは、治療の実際に観察された転帰ではなく、患者を治療する医師によって推奨されたPVI治療(アブレーション手法)を示す情報を含む。以下で更に説明されるように、この手法は、群衆の知恵(wisdom of the crowd、WoC)の原理に基づき、MLモデルがAF関連特徴と医師によって選択された治療選択肢との間を関連付けることを可能にする。これは、AF治療の観察された転帰に関する十分なデータの欠如に起因する技術的課題を克服するのに役立つ。
【0016】
本開示はまた、個人化された医療処置の分野に関する。より具体的には、本開示は、AF患者の状態を分析し、患者から取得された様々なAF特徴に基づいて、少なくともPVIのみ及びPVIプラスから選択される個人化治療を調整するための方法及びシステムを提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本開示の主題の第1の態様によれば、心房細動(Atrial Fibrillation、AF)患者へのAF治療を選択するコンピュータ実装方法が提供され、方法は、
患者の複数のAF関連特徴を取得することであって、
患者のAF関連特徴は、患者の様々な心臓関連属性を特徴付ける心臓関連特徴を含み、
心臓関連特徴は、1つ又は2つ以上の解剖学的予測パラメータであって、各解剖学的予測パラメータは、心臓の特定の解剖学的部位から収集された幾何学的データに基づいて計算される、1つ又は2つ以上の解剖学的予測パラメータと、1つ又は2つ以上の電圧関連特徴と、のうちの少なくとも1つを含む、取得することと、
患者の複数のAF関連特徴に機械学習(machine learning、ML)モデルを適用することであって、
MLモデルは、複数のデータポイントを含む訓練データセットを使用して訓練されており、各データポイントは、AF関連特徴に関連付けられたAF患者と、少なくとも肺静脈隔離(Pulmonary Vein Isolation、PVI)のみ及びPVIプラス治療を含む群から選択されるAF治療を患者に施すために医師によって行われた対応する推奨と、に対応し、それにより、推論中に、所与の患者のAF関連特徴に従って所与の患者に推奨されたAF治療を示すデータを提供するようにMLモデルを訓練する、適用することと、
肺静脈隔離(PVI)のみ処置及びPVIプラス処置から選択される、患者のための推奨されたAF治療を示すMLモデル出力を生成することと、
推奨されたAF治療を示すデータを医療提供者に提供することと、を含む。
【0018】
上記の特徴に加えて、本開示の主題のこの態様による方法は、任意の技術的に可能な組み合わせ又は順列で、以下に列挙する特徴i~xiのうちの1つ又は2つ以上を任意選択で含むことができる。
i.AF関連特徴を取得することは、患者に対して1つ又は2つ以上の処置を実施することを含む。
ii.心臓関連特徴は、解剖学的予測パラメータを含み、方法は、患者の解剖学的予測パラメータを取得することと、
左心房、右心房、及び左心室を含む群から選択される、患者の心臓の少なくとも1つのサブコンパートメントの3D解剖学的マップを取得するために、患者に対して処置を実施することと、
解剖学的(3D)マップをセグメント化し、それにより、少なくとも1つのサブコンパートメントの複数の解剖学的部位を取得することと、
複数の解剖学的部位の少なくとも一部について、少なくとも1つのそれぞれの寸法を決定することと、
解剖学的予測パラメータを決定することであって、各解剖学的予測パラメータは、患者の心臓の少なくとも1つのサブコンパートメントの解剖学的部位の1つ又は2つ以上の寸法に基づいて決定される、決定することと、を更に含む。
iii.
方法は、少なくとも1つのサブコンパートメントのそれぞれの解剖学的部位の異なる寸法間に数学的演算を適用することによって、少なくとも1つの解剖学的予測パラメータを決定することを更に含む。
iv.
AF関連特徴は、サイクル長、病歴、及び患者の人口統計のうちの1つ又は2つ以上を更に含む。
v.MLモデルは、分類器のアンサンブルであり、各分類器は、データポイントのサブセットに対して訓練され、患者のための推奨されたAF治療を示すそれぞれの出力を提供するように構成され、最終推奨は、多数決に基づいて決定される。
vi.
データポイントの各サブセットは、特定の医師、検査室、又は医療機関によって推奨された患者を含み、したがって仮想医師を表す。
vii.
機械学習モデル出力は、患者のための推奨されたAF治療を決定する際の異なるAF関連特徴のそれぞれの重要性を更に示す。
viii.
訓練中に、クラスタリングが、複数のデータポイントに対して適用され、それによって、類似のAF関連特徴によって特徴付けられた患者のサブセットをそれぞれの群に割り当て、各群は、患者タイプを表し、各群内の医師によって行われた推奨の分布に従って、群内の患者にタグ付けする。
ix.
患者にPVIプラス処置を適用する推奨を含むML出力はまた、推奨されたPVIプラス処置の特定のタイプを示す情報を含む。
x.
方法は、それぞれの解剖学的部位の異なる寸法間に数学的演算を適用することによって解剖学的予測パラメータを決定することを含む。
xi.
方法は、患者から心臓関連特徴を取得するために、患者に対して1つ又は2つ以上の処置を実施することを含む。
【0019】
本開示の主題は、上記の第1の態様に従って心房細動(AF)患者に対するAF治療を選択する方法を実施するように構成された少なくとも1つの処理回路を備えるコンピュータシステムを更に企図する。
【0020】
本開示の主題は、上記の第1の態様に従って開示された方法を実施するためにコンピュータによって実行可能な命令のプログラムを有形に実施する、コンピュータによって読み取り可能な非一時的プログラム記憶デバイスを更に企図する。
【0021】
本開示の主題は、心房細動(AF)患者に長期改善をもたらすためのコンピュータ実装方法及びコンピュータシステム(及びそれぞれの非一時的コンピュータ記憶デバイス)を更に企図し、方法は、上記の第1の態様によって記載される動作を実施することと、推奨によって処方されるようにPVIのみの治療又はPVIプラスを患者に施すことと、を含む。
【0022】
本開示の主題は、心房細動(AF)患者に施された肺静脈隔離(PVI)治療に対する反応を予測するためのコンピュータ実装方法及びコンピュータシステム(及びそれぞれの非一時的コンピュータ記憶デバイス)を更に企図し、方法は、上記の第1の態様による動作を含む。
【0023】
本開示の主題は、肺静脈隔離(PVI)のみとPVIプラス治療との間で選択された推奨治療を示すデータを提供することによって、AF(心房細動)患者に対する治療を選択/推奨するための専用の機械学習(ML)モデルを訓練するための専用のコンピュータ実装方法及びシステム(並びにそれぞれの非一時的コンピュータ記憶デバイス)を更に含み、
方法は、
複数のデータポイントを含む訓練データセットを生成することであって、各データポイントは、AF関連特徴に関連付けられたAF患者と、少なくとも肺静脈隔離(PVI)及びPVIプラス治療を含む群から選択されるAF治療を患者に施すために医師によって行われる対応する推奨と、に対応する、生成することと、
生成されたデータセットを使用してMLモデルを訓練して、特定のAF関連特徴をAF治療のための対応する医師の推奨と関連付け、それによって、MLモデルが、推論中に、所与の患者のAF関連特徴に基づいて所与の患者のための推奨されたAF治療を示すデータを提供することを可能にすることと、を含み、
MLモデルの訓練における医師の推奨の使用は、AF治療の実際の転帰に関連するデータ不足の技術的問題に対処する。
【0024】
本開示の主題の別の態様によれば、(非一時的)コンピュータ記憶デバイスに記憶されたコンピュータプログラム製品が提供され、コンピュータプログラム製品は、コンピュータによって実行可能なソフトウェアを含み、ソフトウェアは、AF(心房細動)治療をAF患者に推奨するための機械学習(ML)モデルを含み、ソフトウェアは、
複数のデータポイントを含む訓練データセットを生成することであって、各データポイントは、AF関連特徴に関連付けられたAF患者と、少なくとも肺静脈隔離(PVI)及びPVIプラス治療を含む群から選択されるAF治療を患者に施すために医師によって行われる対応する推奨と、に対応する、生成することと、
生成されたデータセットを使用してMLモデルを訓練して、特定のAF関連特徴をAF治療のための対応する医師の推奨と関連付け、それによって、MLモデルが、推論中に、所与の患者のAF関連特徴に基づいて所与の患者のための推奨されたAF治療を示すデータを提供することを可能にすることと、を含むプロセスによって生成される。
【0025】
本明細書で開示される主題の更なる態様によれば、AF患者のための個人化された治療を決定するためのコンピュータシステム及びコンピュータ実装方法(並びにそれぞれの非一時的コンピュータ記憶デバイス)が提供され、方法は、
患者の複数のAF関連特徴を取得することであって、
患者のAF関連特徴は、患者の様々な心臓関連属性を特徴付ける心臓関連特徴を含み、
心臓関連特徴は、1つ又は2つ以上の解剖学的予測パラメータであって、各解剖学的予測パラメータは、心臓の特定の解剖学的部位から収集された幾何学的データに基づいて計算される、1つ又は2つ以上の解剖学的予測パラメータと、1つ又は2つ以上の電圧関連特徴と、のうちの少なくとも1つを含む、取得することと、
患者の複数のAF関連特徴に機械学習(ML)モデルを適用することであって、
MLモデルは、複数のデータポイントを含む訓練データセットを使用して訓練されており、各データポイントは、AF関連特徴に関連付けられたAF患者と、少なくとも肺静脈隔離(PVI)のみ及びPVIプラス治療を含む群から選択されるAF治療を患者に施すために医師によって行われた対応する推奨と、に対応し、それにより、推論中に、所与の患者のAF関連特徴に従って所与の患者に推奨されたAF治療を示すデータを提供するようにMLモデルを訓練する、適用することと、
肺静脈隔離(PVI)のみの処置及びPVIプラス処置から選択される、患者のための推奨されたAF治療を示すMLモデル出力を生成することと、
推奨されたAF治療を示すデータを医療提供者に提供することと、を含む。
【0026】
本開示の主題の様々な態様による上記で開示されたシステム、方法、非一時的プログラム記憶デバイス、及びコンピュータプログラム製品は、任意選択で、任意の技術的に関連する組み合わせ又は順列で、必要な変更を加えて上記で列挙された特徴(i)~(xi)のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本明細書に開示される主題をよりよく理解し、実際にその主題をどのように行うことができるのかを例示するために、ここで添付の図面を参照しながら単なる非限定的な例によって実施形態について説明する。
【
図2】本開示の主題のいくつかの例による、AF患者の強化された治療のためのコンピュータシステムのブロック図である。
【
図3a】本開示の主題のいくつかの例による、AF患者の強化された推奨及び治療の一部として行われた動作を示すフローチャートである。
【
図3b】本開示の主題のいくつかの例による、AF患者の機械学習ベースの強化された推奨及び治療の一部として行われた動作を示すフローチャートである。
【
図4】本開示の主題のいくつかの例によるコンピュータ分析の様々な段階を示す。
【
図5】本開示の主題のいくつかの例による、後壁の4つのアンカーポイントを示す画像である。
【
図6】本開示の主題のいくつかの例による、WoC手法に従って複数の機械学習モデルを訓練するために行われた動作を示すフローチャートである。
【
図7】本開示の主題のいくつかの例による、分類器のアンサンブルを使用する推論を概略的に示す。
【
図8】本開示の主題のいくつかの例による、システム200の機能をアブレーションラインの識別に関連する追加の機能と組み合わせるコンピュータシステムのブロック図である。
【
図9】本開示の主題のいくつかの例による、右側壁又は隔膜(RLAT)幅パラメータとPVIのみの治療の長期成功との間の相関関係の具体的な例を示すグラフである。
【
図10】本明細書で開示される主題のいくつかの例による、経時的なAF患者の生存確率を示すグラフを提示する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本開示の主題は、これらの具体的な詳細なしに実施されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。他の例では、周知の方法、処置、構成要素、及び回路は、本開示の主題を不明瞭にしないように、詳細には説明されていない。
【0029】
別段具体的に明記しない限り、以下の説明から明らかなように、本明細書全体を通して、「取得する」、「適用する」、「生成する」、「提供する」などの用語を利用する説明は、データを操作し、かつ/又は他のデータに変換するコンピュータの動作及び/又はプロセスを指し、当該データは、電子量などの物理的な量として表され、かつ/又は当該データは物理的オブジェクトを表すことが理解される。
【0030】
「コンピュータ」、「コンピュータシステム」、「コンピュータデバイス」、「コンピュータ化されたデバイス」などの用語は、1つ又は2つ以上のデータ処理回路を有する任意の種類のハードウェアベースの電子デバイスを含むように拡張的に解釈されるべきである。各処理回路は、例えば、以下で更に説明するように、動作を実行するための実行可能命令がロードされた、コンピュータメモリに動作可能に接続された1つ又は2つ以上のプロセッサを備えることができる。
【0031】
本明細書で言及される1つ又は2つ以上のプロセッサは、例えば、マイクロプロセッサ、中央処理ユニットなどの1つ又は2つ以上の汎用処理デバイスを表すことができる。より詳細には、所与のプロセッサは、複合命令セットコンピューティング(complex instruction set computing、CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(reduced instruction set computing、RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(very long instruction word、VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、又は命令セットの組み合わせを実装するプロセッサのうちの1つであり得る。1つ又は2つ以上のプロセッサは、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、グラフィックス処理ユニット(graphics processing unit、GPU)、ネットワークプロセッサなどの1つ又は2つ以上の専用処理デバイスであってもよい。
【0032】
本明細書で言及されるメモリは、例えば、プロセッサレジスタ及びキャッシュなどの内部メモリ、例えば、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、フラッシュメモリ、シンクロナスDRAM(synchronous DRAM、SDRAM)又はRambus DRAM(RDRAM)などのダイナミックランダムアクセスメモリ(dynamic random-access memory、DRAM)などのメインメモリのうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。
【0033】
本明細書の教示による動作のうちのいくつかは、所望の目的のために特別に構築されたコンピュータデバイスによって、又はコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムによって所望の目的のために特別に構成された汎用コンピュータによって実施され得る。
【0034】
図2及び
図7は、本開示の主題のいくつかの例によるシステムの一般的な概略ブロック図を示している。
図2及び
図7の異なる構成要素は、本明細書で定義され説明される機能を実施するソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアの任意の組み合わせから構成され得る。
図2及び
図7の構成要素は、1つの場所及び/若しくは1つのデバイスに集中されてもよいか、又は2つ以上の場所若しくはデバイスにわたって分散されてもよい。例えば、
図2及び
図7は、コンピュータシステム220及びコンピュータ210を2つの別個のコンピュータとして示しているが、他の例では、2つのコンピュータシステムを1つのコンピュータシステムに統合することができる。本開示の主題の異なる例では、システムは、
図2及び
図7に示されるものよりも少なく、多く、かつ/又は異なるモジュールを備えてもよい。
【0035】
図3a、
図3b及び
図6は、本開示の主題の例に従って行われた動作を示すフローチャートである。本開示の主題の異なる例によれば、
図3a、
図3b、及び
図6に示されるものよりも少なく、多く、かつ/又は異なる段階が実行されてもよい。本開示の主題の異なる例によれば、
図3a、
図3b、及び
図6に示される1つ又は2つ以上の段階は、異なる順序で実行されてもよく、かつ/あるいは段階の1つ又は2つ以上の群は、複数のコマンドに対して同時に実行されてもよい。
【0036】
左心房に対する説明においてなされる任意の参照は、非限定的な例のみによってなされ、本開示の主題はまた、例えば、右心房、左心室、右心室、及び肺静脈などの心臓に接続された血管を含む、心臓の他のサブコンパートメントに同様に同じ原理を適用することを企図することに留意されたい。
【0037】
ここで、本開示の主題のいくつかの例によるコンピュータシステムの概略ブロック図を示している
図2を参照する。システム200は、とりわけ、AF患者の心臓の解剖学的マップを分析し、PVI治療の好ましい方法に関して推奨を提供するように構成されたコンピュータ210「AF治療推奨及び治療コンピュータシステム」とも称される)を備える。
図2に示すコンピュータシステム210は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に実装されたコンピュータ可読命令に従っていくつかの機能モジュールを実行するように構成された1つ又は2つ以上のコンピュータプロセッサを備える少なくとも1つの処理回路230を備えることができる。このような機能モジュールは、以下、処理回路230に含まれるものとして参照される。特に、システム210は、単一の処理回路を示しているが、例えば、異なる機能モジュールを備える異なる回路を有する2つ以上の処理回路を別段含むことができる。
【0038】
心臓の解剖学的マップ(又はモデル)は、コンピュータ210によって生成され得るか、又は別のコンピュータシステムから受信され得る。心臓の解剖学的マップは、好適な医療用撮像(コンピュータ)システム(220)から受け取った心臓の解剖学的画像を使用して生成することができる。解剖学的マップの生成は、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,Calif.)によって製造されたCARTOTMシステムにおいて利用可能な高速解剖学的マッピング(fast anatomical mapping、FAM)技術を使用すること、又は任意の他の好適な技術を使用すること、又は上記の任意の好適な組み合わせを使用することを含むことができる。心臓のマップは、任意の好適な技術を使用して生成された任意の好適なタイプの三次元(three-dimensional、3D)解剖学的マップを含むことができる。マップは、心臓内ECG(心電図)から取得することができ、心臓サブコンポーネントの周りを移動するカテーテルの位置情報と、各位置における電圧などのECG測定との両方を含むことができる。
【0039】
いくつかの例では、処理回路230は、心臓の3Dマップをその様々なサブコンパートメントに自動的にセグメント化し、1つ又は2つ以上のサブコンパートメントを、後壁及び前壁、左側壁、ルーフ壁、下壁、中隔、僧帽弁、左心耳(left atrial appendage、LAA)、並びに4つの肺静脈(LSPV、LIPV、RSPV、RIPV)などのそれぞれの解剖学的部位に更にセグメント化するように構成された、自動マップセグメント化モジュール221を備える。特に、上記に列挙された全ての解剖学的部位がセグメント化中に提供されてもよいが、それらの全てが分析及び治療推奨プロセス中に必ずしも考慮されるわけではない。
【0040】
処理回路230は、3Dマップをマップの2D表現に変換するように構成されたマップ次元削減モジュール223と、心臓の様々なサブコンパートメント、例えば左心房の様々な解剖学的部位の寸法を測定又は計算するように構成された心臓サブコンパートメント寸法計算器225と、少なくとも1つのパラメータ(本明細書では「解剖学的予測パラメータ」とも称される)を計算するように構成された幾何学的パラメータ計算器227と、患者に施された場合にPVIのみの治療が成功する可能性が高いか否かに関する推奨を決定及び提供するように構成された治療推奨モジュール229と、を更に含んでもよい。コンピュータシステム210は、例えば、キーボード及びマウス並びにコンピュータディスプレイを含むコンピュータインターフェースを更に備えてもよく、データは、適切なグラフィカルユーザインターフェースプログラムを使用して、例えば、医療提供者に表示され得る。
【0041】
図3aを参照すると、これは、本開示の主題のいくつかの例による分析及び治療推奨プロセスの一部として行われた動作を示すフローチャートである。理解を容易にするために、かつ単に非限定的な例として、
図3aに開示される動作の説明は、システム200に示される構成要素を参照して行われる。
【0042】
以下に説明されるプロセスは、AFに罹患している患者の心臓を分析し、PVIのみ処置が、患者のための治療の正しい選択である可能性があるかどうか、例えば、患者に施される場合、長期成功を提供する可能性があるかどうかを決定するために適用され得る。一例によれば、「長期成功」という用語は、3~18ヶ月間続く、治療後のAF並びに任意の不整脈のない期間(「無AF及び無不整脈期間」)を含むことを意味する。1つの具体的な例によれば、長期成功は、治療後少なくとも3ヶ月の無AF及び無不整脈期間を指す。別の具体的な例によれば、長期成功は、治療後少なくとも6ヶ月の無AF及び無不整脈期間を指す。別の具体的な例によれば、長期成功は、治療後少なくとも9ヶ月の無AF及び無不整脈期間を指す。別の具体的な例によれば、長期成功は、治療後少なくとも12ヶ月の無AF及び無不整脈期間を指す。別の具体的な例によれば、長期成功は、治療後少なくとも15ヶ月の無AF及び無不整脈期間を指す。別の具体的な例によれば、長期成功は、治療後少なくとも18ヶ月の無AF及び無不整脈期間を指す。
【0043】
AF治療を「改善する」、「増大させる」又は「強化する」という用語は、代替のAF治療と比較して、より長い無AF及び無不整脈期間をもたらすAF治療の決定を指す。
【0044】
PVIのみ(又は「PVI単独」)という用語は、左心房の肺静脈にのみ適用されるアブレーション処置を指し、PVIプラスは、心臓の追加の解剖学的部位に適用される追加のアブレーションを指す。PVIプラスにおいて標的とされる追加の部分としては、例えば、
RoofLine;LeftCarina;RightCarina;PosteriorLine;InferiorLine;MitralLine;AnteriorLine;LAAIsolation;CavoTricuspidIsthmus;RAAIsolation;InferiorVenaCavaIsolation;SuperiorVenaCavaIsolation;Substrate Modification;Substrate Isolation;Fractionation;Focal;Rotor;LA_PosteriorWall;CoronarySinus;RA_FreeWall;LA_AnteriorWall;LA_LateralWall;LA_InferiorWall;RA_Septum;RA_CristaTerminalis;Inferior_Mitral_Line;及びLA_Septumのうちの1つ又は2つ以上が挙げられる。
【0045】
ブロック301において、患者の心臓の3Dマップが取得される。上述したように、3Dマップは、好適な撮像システム(220)から受け取った心臓の画像に基づいて生成することができる。左心房が検査されている場合、3Dマップは、左心房を含む心臓の少なくとも一部分を含む。
【0046】
ブロック303において、心臓の1つ又は2つ以上のサブコンパートメント(例えば、左心房)の複数の解剖学的部位を識別するために、自動マップセグメント化プロセスが3Dマップに適用される。いくつかの例では、3Dマップは、自動セグメント化プロセスを実行して3Dマップ内の心臓の異なる部分を識別するように構成された自動マップセグメント化モジュール221によって受け取られる。いくつかの例では、コンピュータ210によって受信された3D画像は、例えば自動マップセグメント化モジュール221の一部として実装された適切なソフトウェアを使用して3Dマップに変換される。
【0047】
いくつかの例では、自動マップセグメント化プロセスは、心臓又は心房(及び場合によっては心臓の他のサブコンパートメントも)を自動的にセグメント化し、心臓又は心房の異なる解剖学的部位(又は構造)を示すデータを提供するように構成された3Dマップに機械学習モジュールを適用することを含む。
【0048】
いくつかの例によれば、自動マップセグメント化プロセスは、本出願人によって2023年6月9日に出願され、2023年12月14日に公開され、米国特許出願公開第2023-0397950号を有する「SYSTEMS AND METHODS FOR RECOMMENDING ABLATION LINES」と題された米国特許出願第18/207854号に記載されているのと同じプロセスである。出願第18/207854号は、2022年6月10日に出願された米国仮特許出願第63/350,983号からの優先権を主張する。
【0049】
米国特許出願第18/207854号は、解剖学的マップをセグメント化し、解剖学的構造の部分を識別するデータを出力するように構成された自動マップセグメンタ(22)を開示している。マップセグメンタは、入力として心臓の3Dマップを受信し、出力として心臓の解剖学的部位(例えば、心房の解剖学的部位)を示すコードのセットを提供する機械学習モデル(ニューラルネットワークを実装し、第18/207854号の
図3を参照して詳細に説明される)を利用する。機械学習モデルは、各症例の解剖学的マップを有する、十分な数の発作性及び持続的AF症例(例えば、5000又はそれ以上の症例)を含む訓練データセットを使用して訓練される。心臓のセグメント化専用の機械学習モデルの訓練及び実行のより詳細な説明は、第18/207854号に開示されている。
【0050】
いくつかの例では、本件の
図2の自動マップセグメント化モジュール221は、第18/207854号に開示された自動マップセグメンタ22と同様に構成される。他の例では、自動マップセグメンタ22の特定の特性を保持することができるが、全てではない。例えば、第18/207854号に記載されている機械学習モデルは、心臓又は左心房の部分のセグメント化及びアブレーションラインの両方を提供するように訓練される。いくつかの例では、本明細書に開示される自動マップセグメント化モジュール221は、アブレーションラインではなく、心臓及び/又は左心房の解剖学的部位のセグメント化を提供するように訓練することができる。
【0051】
ブロック305において、3Dマップ(ここではセグメント化されている)は、対応する二次元(2-dimensional、2D)表現を取得するために次元削減を受ける。いくつかの例では、これらの動作は、当技術分野でよく知られているように、3Dマップを2D平面に投影する主成分分析(Principal Component Analysis、PCA)を適用することによって(例えば、マップ次元削減モジュール223によって)行われる。
【0052】
ブロック307において、心臓の1つ又は2つ以上のサブコンパートメントの様々な解剖学的部位の2D表現の異なる寸法が測定されて、それぞれの寸法値が取得される。測定される寸法は、それぞれの部位の高さ及び幅を含むが、これらに限定されない。
【0053】
図4は、左側(a)に左心房の画像を示している。中央(b)には、前方設計ライン(点によって示される)を有する心房の前方ビューが示され、PCA投影後のその二次元表現が右側(c)に示される。いくつかの例では、前方幅(又はy軸に沿って測定される場合、高さ)は、x軸(又はy軸)に沿った最大点から最小点を引いたミリメートル(mm)単位の長さとして決定される。数学的には、解剖学的部位(構造)の幅(又は高さ)は、2D平面内の点のx軸(又はy軸)に沿った最大点から最小点を引いたmm単位の長さである。この計算は、心臓の解剖学的部位の各々が一定の特性を有すると仮定しており、これは、心房の2つの異なる寸法が与えられると、1つの寸法が常に第2の寸法よりも大きいことを意味する。例えば、心房の前方長さがその幅よりも大きいことが予想され得る。
【0054】
加えて、いくつかの例によれば、後壁寸法は、
図5に示すように、4つのアンカーポイントに基づいて計算される。
-アンカーポイント1-LSPV、ルーフ、及び後壁の間の接合部である。
-アンカーポイント2-RSPV、ルーフ、及び後壁の間の接合部である。
-アンカーポイント3-RIPV、下壁、及び後壁の間の接合部である。
-アンカーポイント4-LIPV、下壁、及び後壁の間の接合部である。
【0055】
これらのアンカーポイントに基づいて、8つのタイプの左心房寸法測定が計算される。
a.後方幅1-アンカーポイント1とアンカーポイント2との間の測地線及びユークリッド距離。
b.後方幅2-アンカーポイント3とアンカーポイント4との間の測地線及びユークリッド距離。
c.後方高さ1-アンカーポイント1とアンカーポイント4との間の測地線及びユークリッド距離。
d.後方高さ2-アンカーポイント2とアンカーポイント3との間の測地線及びユークリッド距離。
【0056】
ブロック309において、AF患者に施されたPVIのみ処置の長期成功(又は長期失敗)の可能性を示す1つ又は2つ以上のパラメータ(本明細書では「解剖学的予測パラメータ」とも称される)が決定される。これらのパラメータの例は、以下の「実施例」の節に示される表1に列挙される。
【0057】
心臓の単一の解剖学的部位の単一の寸法(例えば、RLAT幅、RLAT長さ、POST幅、POST高さなど)の測定値に基づいて決定される特異パラメータ(「特異解剖学的予測パラメータ」又は「特異幾何学的パラメータ」)に加えて追加パラメータは、2つ又はそれ以上の特異パラメータ(本明細書では「複雑な解剖学的予測パラメータ」又は「複雑な幾何学的パラメータ」とも称される)に基づいて決定される。これは、例えば、それぞれの値を取得するために特異パラメータのペア又はトリプレット間で数学的演算(例えば、乗算)を適用することによって達成することができる。いくつかの例では、特異値の全てのペアの積が、追加のパラメータを取得するために計算される。いくつかの例では、追加のパラメータを取得するために、(ペアの積に加えて、又はその代わりに)特異値の全てのトリプルの積が計算される。特異パラメータのペアを乗算することによって生成された複雑な解剖学的パラメータのリストを、以下の表2の「実施例」の節に示す。特に、本開示の主題は、特異値のペア及びトリプルに限定されず、いくつかの例では、複雑な解剖学的予測パラメータは、より多くの特異値を使用して計算することができる。
【0058】
上記の計算は、例えば、システム210内の幾何学的パラメータ計算器227によって実行することができ、これは、単一の幾何学的パラメータを決定し、複雑な幾何学的パラメータを計算するように構成することができる。特に、解剖学的予測パラメータが単一の寸法に基づく場合、前の段階で決定された寸法値を簡単な方法で使用することができる。しかしながら、解剖学的予測パラメータが2つ以上の寸法に基づく場合、対応する計算が実行される。
【0059】
いくつかの例では、1つ又は2つ以上の解剖学的予測パラメータが計算されると、パラメータは、それぞれの所定の値、例えば、長期成功と長期失敗とを区別するように設定された閾値と比較される(ブロック311)。例えば、左心房の右側壁(RLAT)の幅を考慮すると、以下に説明される結果によれば、長期失敗を検出するための75%の感度を達成するために、長期成功を示す閾値は、42.6mmよりも高い値に等しくなり得る。比較の結果に基づいて、PVIのみ処置の長期成功又は長期失敗のいずれかを決定することができ、対応する推奨を生成することができ、予測された長期成功の場合、PVIのみの治療が推奨され、そうでない場合、PVIプラスが推奨される。特に、
図3aは、PVIのみに関する予測の決定を説明するが、適切なAF関連の特徴及び閾値を使用して、PVIプラスの長期成功を同様に予測することが更に企図される。いくつかの例では、推奨のロバスト性を高めるために、異なる解剖学的予測パラメータの群が使用される。
【0060】
いくつかの例では、プロセスは、推奨に従って適切な治療を患者に施すことによって継続する(ブロック313)。PVIのみ処置の長期成功が予測される場合、PVIのみの治療が患者に施され、PVIのみ処置の長期失敗が予測される場合、異なる治療(例えば、PVIプラス)が患者に施される。以下の
図8は、システム200の機能を、適切なPVI治療の容易化及び誘導を含む追加の機能と組み合わせるコンピュータシステムの例を示している。いくつかの例では、推奨された治療が決定されると、システムは、好適なアブレーションラインを推奨し、それぞれのマップ上にラインを表示し、プロセスを通して医師を誘導することができる。
【0061】
本開示の主題は、AF患者に対する適切なアブレーション手法(すなわち、PVI又はPVIプラス)を選択するための専用の機械学習(ML)モデルを更に企図する。
図3bは、本開示の主題のいくつかの例による、機械学習ベースの分析及び治療推奨プロセスの一部として行われた動作を示すフローチャートである。モデルは、AF患者のAF関連特徴と推奨された治療との間を関連付けるように訓練される。
【0062】
訓練フェーズ中に、多くの異なるAF患者に関して決定された複数の特徴(以下、「AF関連特徴」)を含む訓練データセットを使用して、MLモデルが訓練される。一例によれば、モデルは、AF関連特徴の様々な組み合わせとPVIのみ処置の成功のそれぞれの確率との間を相関させるように訓練される。別の例では、モデルは、AF関連特徴の様々な組み合わせと、PVIのみ処置及び/又はPVIプラス処置の成功のそれぞれの確率との間を相関させるように訓練される。
【0063】
多くの異なる患者のAF関連特徴の訓練データセットが取得される(ブロック301b)。AF関連特徴は、心臓のパラメータに関連する、患者の心臓を特徴付ける属性である少なくとも1つのタイプの心臓関連特徴を含む。AF関連特徴はまた、心臓関連でない他のAF関連特徴を含んでもよい。
【0064】
心臓関連の特徴の一例は、解剖学的予測パラメータ(特異な幾何学的パラメータ及び複雑な幾何学的パラメータ(例えば、ペア及びトリプル)の両方を含む)である。MLモデルの訓練及び実行中に使用することができる心臓関連特徴の追加の例は、電圧関連特徴及びサイクル長を含む。
【0065】
電圧関連AF特徴は、患者から取得された電圧測定値に基づく。電圧測定は、例えば、低電圧ゾーン(low-voltage zone、LVZ)領域で行われる測定、低電圧分割などを含む。電圧測定は、様々な方法で適用することができる。例えば、LVZは、各解剖学的部位(例えば、後壁、前壁、左外側、右外側、ルーフ、及び下壁)で測定することができる。電圧測定は、例えば、それぞれの解剖学的部位の全領域にわたって測定された絶対低電圧値、及び測定された低電圧と解剖学的部位(例えば、後壁)の全領域にわたる電圧との間の比を表す相対低電圧値のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。
【0066】
追加の電圧関連特徴は、心臓の一部又はその全体における電圧分布(電圧パターン)の異なるパーセンタイルなどのグローバル電圧関連パラメータを含み、これは異なる閾値に基づき得る。例えば、25パーセンタイル、50パーセンタイル、90パーセンタイルなど。
【0067】
電圧に関連する特徴は、例えば、上述のBiosense WebseterによるCARTOシステムを使用して測定することができる。FAM技術は、左心房などの対象の心腔の高解像度3D解剖学的マップを迅速に作成するように設計されている。これは、マッピングカテーテルを心内膜表面に沿って移動させながら、その位置及び対応する電気的活動を連続的に記録することによって達成される。FAMは、迅速に取得された解剖学的マップ内のLVZの識別のために、電圧マッピングと組み合わせることができる。特に、いくつかの例では、グローバル電圧は、PVIのみ又はPVIプラスを決定するための唯一の特徴として単独で使用され得る。
【0068】
上述したように、特定の電圧測定は、心臓及び/又は心房の複数の個々の解剖学的部位に適用することができ、したがって、単一の患者から複数の異なる電圧関連特徴を取得することができる。
【0069】
サイクル長は、検出された電気的活性化の間の時間間隔の任意のタイプの測定を指す。例えば、活性化は、CS(Coronary Sinus、冠状静脈洞)カテーテル、HRA(High Right Atrium、高右心房)カテーテル、局所的に配置されたカテーテル、又は他のもので測定される。
【0070】
心臓関連でないAF関連特徴は、例えば、性別、年齢、居住地などの患者を特徴付ける個人情報の様々な詳細を含む患者の人口統計を含む。
【0071】
AF関連特徴のタイプの様々な例が上述されているが、異なる例では、これらの特徴のサブセットのみが、機械学習モデルの訓練及び実行中に使用されることに留意されたい。上記で開示されたAF特徴の例は、限定するものとして解釈されるべきではなく、他のタイプのAF関連特徴もまた、本開示の範囲内にあると考えられることに更に留意されたい。
【0072】
モデルを訓練するためのAF関連特徴を取得するために、複数のAF患者(例えば、数千人から数万人又はそれ以上の患者)からのデータが収集され、それぞれのパラメータが各患者のデータから計算され、訓練データセット内の特徴として使用される。AF関連特徴は、例えば心房細動アブレーション処置中に取得することができる。利用可能であれば、カテーテル法及び/又はアブレーション中に得られたパラメータを含むAF患者のデータベースを使用することができる。
【0073】
訓練データセットは、機械学習モデルを訓練するために使用される(ブロック303b)。異なるタイプの分類器を生成することができる。これらの分類器は、例えば、肺静脈隔離(PVI)のみ処置の長期成功の確率を示すデータ(例えば、PVIのみ処置によって治療されたAF患者から得られたデータを含む訓練データセットを使用して生成される)を提供する分類器、PVIプラス処置の長期成功の確率を示すデータ(例えば、PVIプラス処置によって治療されたAF患者から得られたデータを含む訓練データセットを使用して生成される)を提供する分類器、並びにPVIのみ及びPVIプラスの両方の長期成功の確率を示すデータ(例えば、PVIのみ又はPVIプラス処置のいずれかによって治療されたAF患者の集合から取得されたデータを含む訓練データセットを使用して生成される)を提供する分類器を含む。
【0074】
いくつかの例によれば、機械学習モデルは、教師ありモデルとして実装され、訓練データセット内の患者(データポイント)は、グラウンドトゥルースを表すPVIのみ処置のそれぞれの観察された長期成功又は長期失敗に従ってタグ付けされる。この手法は、PVIのみ処置の観察された長期成功又は長期失敗を示すAF患者の十分に大きなコホートから有効な情報を取得することを必要とする。他の例では、訓練データセット内のデータポイントは、PVIのみ処置及び/又はPVIプラス処置のそれぞれの観察された長期成功又は長期失敗に従ってタグ付けされる。
【0075】
訓練は、例えば、コンピュータ210によって、又はコンピュータ210に遠隔接続された別のコンピュータによって(例えば、訓練データセットを受信し、モデルを訓練するように構成することができるML分類器訓練モジュール231によって)実行することができる。訓練されたMLモデルは、コンピュータデータリポジトリ235内に記憶され、AF患者に対する適切なアブレーション手法を選択するために使用されるように利用可能にされ得る(ブロック305b)。
【0076】
上記手法は、AF患者のそのようなコホートが実際に利用可能である場合に実装することができる。しかしながら、この情報が利用できない場合、そのような機械学習モデルの実装形態を排除する技術的な課題も生じる。この技術的欠点を克服するために、本明細書では、機械学習モデルが、治療の実際に観察された転帰ではなく、AF患者を検査し、アブレーション手法に関して推奨された(場合によっては治療も施す)医師によって行われた決定に基づいて訓練され、したがって不十分な訓練データに起因する技術的後退を克服する代替手法を使用することが提案される。この代替手法は、「群衆の知恵」(WoC)原理と整合する仮定に基づく。この原理によれば、大規模(例えば、何十万又は何百万又はそれ以上の無関係な症例を含む)では、大多数の個人が正しい決定を下す。
【0077】
MLモデルを訓練する際の医師の推奨の使用は、AF治療の実際の転帰に関連するデータ不足の技術的問題に対処し、転帰データの信頼できる代用物として専門家の臨床判断を活用し、それによって、転帰データの利用可能性が限られているにもかかわらず、ロバストで効果的なMLモデルの生成を容易にする。
【0078】
本文脈において、「個人」は医師であり、手近な「決定」は、PVIのみを施すか、又はPVIプラス処置を施すかの推奨、及びいくつかの例では、どのタイプのPVIプラス処置を施すかの推奨に関する。したがって、ここでは、グラウンドトゥルースは、記録された医療推奨であり、観察された成功又は失敗ではないが、成功又は失敗の良好な予測因子であると考えられ、適切なアブレーション手法を選択するために使用することができる。
【0079】
いくつかの例によれば、特定の要件を満たす患者のデータベースが、この目的のために使用される。これらの要件には、例えば以下のものが含まれる。
【0080】
サイズ:データベースは、統計的に実行可能な分析を提供するのに十分な大きさであり、数千又は数万人のAF患者及び多くの異なる医師などの多くの異なるAF患者に関する情報を記憶する。
【0081】
多様性:データベースは、異なる特徴によって特徴付けられる、様々な発作性及びPS-AF症例を有する多くのAF患者を含む。これらの特徴は、様々な心房形状、異なる電圧パターン(すなわち、心房の異なる領域にわたる低電圧の分布)、並びに異なる年齢及び性別を含み得る。データベースの多様性は、既知の統計的方法を用いて決定することができる。
【0082】
独立性:データベースは、異なる医療機関で異なる医師によって独立して治療された、同様のAF特性を有する多くの患者を含む。データベース内の異なるAF患者間の類似性は、ガウス混合モデル(Gaussian Mixture Model、GMM)、スペクトルクラスタリング、K平均などのクラスタリング機構をデータに適用することによって決定することができる。
【0083】
1つの手法によれば、訓練は、各症例に関する多くの医師の意見を取得するために、異なるAF患者を提示された医師のコホートの実際の意見に基づくことができる。この手法は、バイナリ又はマルチクラス分類のいずれかを使用することができる。この手法は、データが具体的な「実際の」患者に関して多くの医師によってなされた推奨を含む場合に採用され得る。
【0084】
しかしながら、そのようなデータは利用できないことが多いので、データの不足を克服する異なる手法が提案される。データベースは、一方では記録された症例における高い多様性によって、他方では症例間の類似性によって特徴付けられるので、データベースは、実際には、同様のAF特性を有する患者の群(又はクラス)を含み、各群は、特定のAF患者(「仮想患者」)に対応すると考えることができる。本発明者らは、全て同じ群に割り当てられた類似の症例に関して多くの異なる医師によってなされた独立した医学的意見を、同じAF患者に関してなされたかのように見ることができることを見出した。したがって、機械学習モデルを訓練する目的で、データは、多くの異なる医師が同じ患者に医学的意見を与えたかのように見ることができる。上述したように、大規模では、患者の各群に関して医師によって行われる医学的意見の多数決が、具体的な患者に対する選択の選択肢である可能性が高いと仮定することができる。
【0085】
WoC手法によれば、機械学習モデルは、例えば教師付きモデルとして実装することができ、訓練データセット内の患者は、グラウンドトゥルースを表す、PVIのみ又はPVIプラス治療を推奨する異なる医師によってなされたそれぞれの医学的意見に従ってタグ付けされる。
【0086】
成功の確率がPVIのみ若しくはPVIプラス治療の観察された長期成功に基づく第1の手法を使用するか、又は治療の推奨が医師によって行われる治療選択に基づく第2の手法(WoC)を使用するかにかかわらず、機械学習分類器は、訓練データセットを使用して、AF関連特徴の様々な組み合わせとそれぞれの予測との間を相関させるように訓練される。訓練データセットは、サポートベクターマシン(support vector machine、SVM)、ランダムフォレスト、又はロジスティック回帰などの好適な分類器機械学習モデルを訓練するために使用することができる。訓練データセットが十分に大きい場合、密な層を有する畳み込みネットワークなどの深層ニューラルネットワークを分類に使用することができる。
【0087】
MLモデルは、1つ又は2つ以上の訓練出力を提供するように訓練することができる。一例によれば、MLモデルは、特定の患者、PVIのみ、又はPVIプラスについて、どの手法がAFを治療するのに有効である可能性が高いかを示す推奨を提供するバイナリ分類を提供するように訓練することができる。
【0088】
WoC手法に従ってMLモデルを実装するとき、一例によれば、各患者は、患者に施された実際の治療に従って、又は推奨された治療に従って、個々にタグ付けされる。例えば、PVIのみに対して0、PVIプラスに対して1。
【0089】
PVIのみのクラスと、各々が異なるタイプの追加のアブレーションライン(例えば、左心房の肺静脈以外の心臓の解剖学的部位における追加のアブレーションライン)に対応するいくつかのPVIプラスクラスと、を含むマルチクラス分類器が訓練される場合、タグ付けは、各患者の個々の治療及び/又は推奨に従って同様に行われ得る。
【0090】
訓練データセット内の患者が、それぞれのAF特徴間の類似性に従って(上述のクラスタリング機構を使用して)群にクラスタリングされ、各群が患者のタイプ(「仮想患者」)を表す例によれば、タグ付けは、全ての医師によって異なる仮想患者に対して行われた決定の集団分布に従って行うことができる。
【0091】
簡略化された例を考慮して、共通のAF関連特徴を有する患者に各々対応する2つのクラスの患者(仮想患者)が存在し、以下の推奨分布を有する2人の医師が存在すると仮定する。
【0092】
【0093】
集合的タグ付け手法によれば、患者のタグ付けは、全ての医師からの組み合わされた情報に従って(例えば、加重平均を計算することによって)決定される。この集合的タグ付け手法は、コンセンサス又は平均化された決定を反映し、患者クラスタのよりバランスのとれたロバストなタグ付けのために医師の組み合わされた専門知識を活用する。
【0094】
いくつかの例によれば、機械学習モデルは、教師あり機械学習分類器のアンサンブルとして実装され、アンサンブル内の各分類器は、それぞれの推奨を提供する仮想医師を表す。いくつかの事例では、アンサンブル内の分類器は、全て、同じタイプのMLモデルであってもよく、一方、他の事例では、それらは、異なるタイプのモデル(例えば、ランダムフォレスト、XGBoostなど)であってもよい。訓練セットは、群に(例えば、ランダムに)分割することができ、各分類器は、群内のデータポイント(患者)のサブセットを使用して訓練される。推論中、各分類器はそれぞれの推奨を提供し、最終的な推奨は多数決に基づいて決定される。
【0095】
訓練データセットが十分に大きく、異なる医師、検査室、又は他の医療機関(複数の医師を占有する)によって行われる十分な推奨を含む場合、訓練データセットは、医師又は検査室に従って群に分割され得る。これは、個々のMLモデルの作成を可能にし、各々が「仮想医師」を表し、実際の医師又は検査室に関連付けられる。
【0096】
図6は、WoC手法による複数のモデルの訓練の一例を示すフローチャートである。注目すべきことに、そのようなデータが利用可能である場合、PVI治療の成功又は失敗の観察が記録された患者のコホートを使用して、同じタイプのアンサンブルを使用することができる。
【0097】
ブロック601において、AF患者の訓練データセットが生成される。各患者は、それぞれのAF関連特徴及びPVI治療推奨に関連付けられる。患者はサブ群に分割され、いくつかの例では、各サブ群は、同様のAF特徴を有する患者を含む(ブロック603)。上記で説明したように、いくつかの例では、各サブ群は、特定の医師又は検査室によってAF療法を推奨された患者を含む。
【0098】
各サブ群内の患者は、それぞれの医師又は検査室によって行われた観察された推奨に従ってタグ付けされる(ブロック605)。個別又は集合的タグ付け手法を実装することができる。
【0099】
次いで、これらのサブ群を使用して、患者の医師関連サブ群又は検査室関連サブ群ごとにそれぞれの分類器を訓練する(ブロック607)。この結果、各々が具体的な医師又は検査室の意思決定プロセスに対応し、患者に対して予測された推奨を提供する仮想医師として効果的に機能する複数の分類器をもたらす。
【0100】
この手法は、各モデルが個々の医師又は検査室の医学的選好及び意見に基づいて微調整されるので、個人化され文脈固有の予測を可能にする。これらの特殊化されたモデルを活用することによって、システムは、完了したAF治療に関するデータの不足から生じる上述の技術的課題を克服しながら、その推奨の精度及び関連性を強化し、最終的に、より良好な患者転帰及びより効率的な医療送達につながることができる。
【0101】
更に、両方の手法(観察された成功及びWoC)において、モデルの追加の出力は、推奨された治療に関連する最終ML出力を予測する際の異なるAF関連特徴の重要性を示すデータを含む。MLモデルの文脈では、個々の特徴、又はAF関連特徴の任意の組み合わせ(例えば、特定の単一の幾何学的パラメータ、特定の複雑な幾何学的パラメータ、任意のタイプの2つ又はそれ以上のパラメータの組み合わせ、電圧AF関連特徴など)は、推奨された治療を決定するために重要であり得る。本明細書で開示されるMLモデルは、推奨を提供する際に最も重要な1つ又は2つ以上の特徴を識別するために使用することができる。この情報を医師に提供することは、医師がモデルによって行われる推奨を合理化するのに役立ち、それによって、患者をどのように治療するかの最終決定を行うときに医師を更に支援する。これは、特徴重要度分析を適用することによって達成することができる。例えば、決定木又はランダムフォレストモデルが使用される場合、特徴の重要性を定量化するためにジニ指数を使用することができる。
【0102】
図3bに戻ると、実行フェーズ(推論)において、訓練されたMLモデルを適用して、特定のAF患者のための推奨された治療を決定することができる。特に、訓練フェーズ及び実行フェーズは順番に示されているが、当技術分野でよく知られているように、2つのフェーズは非同期的に実行することができる。
【0103】
実行中、1人又は2人以上のAF患者に関して取得されたAF関連特徴がMLモデルに適用されて、患者にPVIのみを施すか、又はPVIプラス治療を施すかに関して、各患者に対するそれぞれの推奨を取得する。
【0104】
MLモデルの実行は、
図3aを参照して上述したプロセスの一部として行うことができる。特定のAF患者がアブレーション手法の候補であり、どのアブレーション手法が患者により適しているかの推奨を医師が受け取りたいと仮定すると、医師は、この目的のためにMLモデルを適用するためのシステム220を使用することができる。
【0105】
この目的のために、患者のAF関連特徴が取得される(307b)。AF関連特徴(例えば、心臓関連特徴)は、関連値の測定専用の適切な処置を患者に適用し、必要に応じて測定値に更なる処理を実施することによって取得することができる。例えば、解剖学的予測パラメータは、
図3のブロック301~309を参照して説明した処置を適用することによって取得することができる。
【0106】
MLモデルに対するAF関連特徴の入力データセットの一部として記録される複数のAF関連特徴を提供するために、複数の解剖学的予測パラメータが、特異及び複合の両方で、計算され得る(例えば、幾何学的パラメータ計算器227によって)。
【0107】
他のタイプのAF関連特徴は、患者又は関連データに追加の処置を適用することによって取得することができる。例えば、患者の心臓に対して異なる電圧測定を実施し、取得された電圧値を入力データセットに加えることによって、様々なタイプの電圧関連特徴を取得することができる。電圧及びサイクル長の測定は、適切な医療機器を使用して、例えば、システム200に動作可能に接続された心臓内心電図を使用して、実施することができる。患者の人口統計は、例えば、患者の医療記録から取得することができる。
【0108】
MLモデルは、患者から取得されたAF関連特徴の入力データセットに適用され、MLモデル出力が取得される(ブロック309b)。MLモデル出力は、患者にPVI又はPVIプラスを施すべきかどうかを示す推奨を含んで提供される(ブロック311b)。上記で更に説明したように、いくつかの例では、MLモデルは、PVIプラス推奨に関して、どの追加の治療が患者に推奨された治療であるかを示す追加の情報を提供する。上記で説明したように、いくつかの例では、MLモデルはまた、入力特徴のうちのどれがモデルの出力に最も大きく寄与したかを示す情報を提供する。いくつかの例では、プロセスは、推奨に従って適切な治療を患者に施すことによって継続する(ブロック313b)。
【0109】
図7は、分類器のアンサンブルを含むMLモデルがAF患者への治療推奨を生成するために使用される、「仮想医師」分類器のアンサンブルを使用する推論を概略的に示している。アンサンブル内の機械学習モデルの各々は、それぞれの出力を取得するために患者のAF関連特徴に適用される。モデル内の全ての分類器からの出力が取得されると、多数決が適用され、それに応じて適切な推奨が決定される。
【0110】
いくつかの例では、
図3bのブロック309b及び311bに関して上述した動作は、治療推奨モジュール229によって行われる。治療推奨モジュール229は、例えば、上述したように、ML分類器(又は分類器のアンサンブル)を患者のAF関連特徴に適用するように構成されたML分類器モジュールを含むことができる。
【0111】
米国特許出願第18/207854号は、(例えば、
図2及び
図3を参照して)解剖学的構造上に推奨されたアブレーションラインをレンダリングするためのシステム(本明細書では以下「レンダリングシステム」)を説明していることに更に留意されたい。いくつかの例では、本明細書に開示されるシステム200は、レンダリングシステムの一部として組み込まれることができ、PVIのみの治療が患者に好適であるかどうかに関する推奨を生成する能力をレンダリングシステムに提供する。他の例では、システム200は、第18/207854号に記載されているレンダリングシステムから分離されたスタンドアロンシステムとして実装することができる。いずれにしても、システム200及びレンダリングシステムは、いくつかの例では、特定の構成要素を共有することができる。例えば、第18/207854号の
図2に示される医療用撮像システム20及び自動マップセグメンタ22は、それぞれ、本出願の
図2の医療用撮像システム220及び自動マップセグメント化モジュール221に対応する。
【0112】
図8は、本明細書に開示されるシステム200の機能と、第18/207854号及び第63/350983号に開示される深層学習システム10とを組み合わせる、コンピュータシステムの概略図である。
図8では、プライム符号付きの参照番号は、第18/207854号及び第63/350983号に開示された要素を識別し、プライム符号なしの参照番号は、本出願に開示された対応する要素を識別する。第18/207854号に詳細に説明されているように、
図8のシステムは、3つの節、アブレーションラインプロポーザ13のための訓練された深層学習ユニットを構築するアブレーションライントレーナ12と、アブレーションラインプロポーザ13を使用してアブレーションライン推奨を生成するアブレーションラインリコメンダ14と、処置中にアブレーションラインガイダンスを提供するアブレーションラインガイダー16と、を含む。アブレーションライントレーナ12は、推奨されたアブレーションラインがレンダリングされ得る心臓の解剖学的マップを受信し、アブレーションラインプロポーザ13によって利用される機械学習モデルを訓練して、患者の心臓解剖学的構造に従って提案されるアブレーションラインを出力し得る。
【0113】
いくつかの例では、アブレーションライン推奨器14は、治療推奨モジュール229から推奨されたアブレーション手法を示すデータを受信し、アブレーションラインを推奨するときにこの情報を使用し、推奨されたアブレーションラインは、推奨されたアブレーション手法に適合するように選択される。例えば、PVIのみの治療の場合、推奨されたアブレーションは、PVIのみの治療に適している。アブレーションラインガイダー16は、処置中に医師にアブレーションライン案内を提供する。それは、処置中に医療用撮像システム20から心臓の解剖学的マップを受信することができ、処置中に心臓の様々な要素を示すための自動マップセグメンタ22を含むことができる。
【実施例0114】
表1は、(左)心房の特定の幾何学的特性と、PVIのみ処置の長期成功又は長期失敗の予測との間の相関を支持する、本発明者らによって実施された統計分析の結果を示す。データは、PVIのみ処置を受けたAF患者の95個のケースを含む。PVIのみ処置の長期失敗は、以下の3つの転帰、すなわち、1)繰り返しアブレーション、2)直流電気的除細動のための入院、又は3)AF関連の入院、の複合に従って定義された。PVIのみの治療後12ヶ月以内に上記3つの状態のいずれか1つに遭遇した患者を、長期失敗サブセットに分類した。上記の定義によれば、95人のうちの16人の対象が長期失敗を示した。
【0115】
表1は、基本的な心房パラメータ(特異パラメータ)及び長期成功予測に対するそれらの関係を示す。表1(及び表2)は、各パラメータについて、長期成功値と長期失敗値との間の差を示すP値を示す。例えば、測地線距離に基づく後方高さ及び後方幅は、PVIのみに基づく持続的心房細動(PS-AF)対象の長期成功と長期失敗とを区別する際に重要である。
【0116】
【表2】
Geo=測地線
Euc=ユークリッド
ANT=前壁
POST=後壁
RLAT=右側壁又は中隔
LLAT=左側壁
postWidth-後壁幅
【0117】
表の左欄には、左心房の膨張の異なるパラメータ(特徴)が列挙されている。各パラメータは、心臓の特定の解剖学的部位に対応し、解剖学的部位の1つ又は2つ以上の寸法に基づいて計算される。異なるパラメータの値(治療前に得られた)とPVIのみ処置の長期成功又は長期失敗との間の相関を調べた。列挙されたパラメータは、以下を含む。前方(ANT)長さ及び幅、左心房の後壁(POST)長さ及び幅、ルーフ長さ及び幅、右側壁(RLAT)長さ及び幅、下方長さ及び幅、LLAT幅及び長さ。
【0118】
表2は、特異パラメータのペアを乗算することによって生成された複雑な解剖学的予測パラメータを示す。
【0119】
【0120】
この研究に基づいて、最も顕著な特異パラメータは、PVI処置に成功した患者の37.5[34.3-42.6]mmから処置に失敗した患者の43.2[39.2-47.4]mmへと有意に(p値<0.005)増加した右側壁幅であった。これは、長期(long-term、LT)失敗を示した患者におけるRLAT幅と、PVIのみ処置の長期成功を示した患者におけるRLAT幅との比較を示す
図9において更に実証される。
【0121】
本発明者らはまた、PVI処置に失敗した対象について、後壁の高さ及び幅の増加、並びにルーフの幅の増加を見出した。統計的に有意なパラメータの各ペアを乗算することによって、本発明者らは、長期失敗と長期成功との間の区別においてより有意であったパラメータの新しいセットを取得した。
【0122】
WoCベースのMLモデルを検証する実験
実験は、WoC手法を使用して訓練されたMLモデルの有効性を検証するために行われた。PVIのみ又はPVIプラス治療のいずれかを受けた実際のAF患者のコホートを、それらの転帰、具体的には無AF及び無不整脈期間とともに集めた。次いで、MLモデルを患者のこのコホートのAF関連特徴に適用し、それぞれの推奨(PVI又はPVIプラス)をモデルから取得した。患者を、MLモデルの推奨及び患者が受けた実際の治療に基づいて4つの群に分けた。
1.PVIを受けたMLモデルによってPVIを推奨された患者。
2.PVIプラスを受けたMLモデルによってPVIを推奨された患者。
3.PVIプラスを受けたMLモデルによってPVIプラスを推奨された患者。
4.PVIを受けたMLモデルによってPVIプラスを推奨された患者。
【0123】
図10は、AF及び不整脈がない期間として定義される、経時的なAF患者の生存確率を示すグラフを提示する。以下の表3は、観察された転帰に基づいて、患者の各群について1年無AF及び無不整脈期間を達成する確率を詳述する。
【0124】
【0125】
分析により、MLモデルの推奨と施された実際の治療との間の整合は、AF及び不整脈が1年生じないことに関して改善された転帰と相関することが明らかである。詳細には、
・MLモデルがPVIを推奨し、PVIを受けた患者は、最高の1年無AF及び無不整脈確率(70.5%)を示した。
・患者はモデルによってPVIを推奨したが、PVIプラスを受けた患者は、わずかに低い1年無AF及び無不整脈確率(66.1%)を有した。
・推奨され、PVIプラスで治療された患者は、50.4%の1年無AF及び無不整脈確率を示した。
・患者はPVIプラスを推奨したが、PVIのみを受けた患者は、最も低い1年無AF及び無不整脈確率(46.1%)を有した。
【0126】
結果の比較:
第1の群対第2の群:PVIを推奨され、PVIを受けた患者(第1の群)は、PVIを推奨されたがPVIプラスを受けた患者(第2の群)の1年無AF及び無不整脈確率66.1%と比較して、より高い1年無AF及び無不整脈確率を有していた(70.5%)。これは、PVIについてのMLモデルの推奨に従うことが、推奨から逸脱してPVIプラスを実施するよりも良好な転帰をもたらすことを示す。
【0127】
第3の群対第4の群:PVIプラスを推奨され、PVIプラスを受けた患者(第3の群)は、PVIプラスを推奨されたがPVIを受けた患者(第4の群)の1年無AF及び無不整脈確率46.1%と比較して、より高い1年無AF及び無不整脈確率を有していた(50.4%)。これは、PVIプラスについてのMLモデルの推奨に従うことが、代わりにPVIを実施することよりも良好な転帰を提供することを示唆する。
【0128】
これらの結果は、
図10の生存確率グラフに示され、表3に詳述されるように、MLモデルの推奨が治療の成功と強く相関することを示唆する。モデルのガイダンスへの準拠は、臨床転帰を強化することができ、最適な臨床結果を達成するためにMLモデルの推奨に従うことの決定的な重要性を強調する。
【0129】
本明細書で開示した例に関して説明した様々な例示的な論理ブロック、モジュール、及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又は両方の組み合わせとして実装され得る。ハードウェア及びソフトウェアのこの互換性を明確に示すために、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、及びステップについて、全般的に、それらの機能に関して上述した。そのような機能がハードウェアとして実装されるか、又はソフトウェアとして実装されるかは、特定の適用例及びシステム全体に課される設計上の制約に依存する。説明した機能は、特定の適用例ごとに様々な方法で実装され得るが、かかる実装形態の決定は、本開示の範囲からの逸脱を生じるものと解釈されるべきではない。
【0130】
本開示によるシステムは、少なくとも部分的に、好適にプログラムされたコンピュータ上で実装され得ることも理解されるであろう。同様に、本開示は、本開示の方法を実行するためのコンピュータによって読み取り可能であるコンピュータプログラムを企図する。本開示は、本開示の方法を実行するためのコンピュータによって実行可能な命令のプログラムを有形に具現化する非一時的コンピュータ可読メモリを更に企図する。
【0131】
当業者であれば、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、上述した本発明の実施例に様々な修正及び変更を適用できることを容易に理解するであろう。
【0132】
〔実施の態様〕
(1) 心房細動(AF)治療を選択するコンピュータ実装方法であって、前記方法は、
患者の複数のAF関連特徴を取得することであって、前記患者の前記AF関連特徴は、前記患者の様々な心臓関連属性を特徴付ける心臓関連特徴を含み、
前記心臓関連特徴は、1つ又は2つ以上の解剖学的予測パラメータであって、各解剖学的予測パラメータは、前記心臓の特定の解剖学的部位から収集された幾何学的データに基づいて計算される、1つ又は2つ以上の解剖学的予測パラメータと、1つ又は2つ以上の電圧関連特徴と、のうちの少なくとも1つを含む、取得することと、
前記患者の前記複数のAF関連特徴に機械学習(ML)モデルを適用することであって、前記MLモデルは、複数のデータポイントを含む訓練データセットを使用して訓練されており、各データポイントは、AF関連特徴に関連付けられたAF患者と、少なくとも肺静脈隔離(PVI)のみ及びPVIプラス治療を含む群から選択されるAF治療を前記患者に施すために医師によって行われた対応する推奨と、に対応し、それにより、推論中に、所与の患者の前記AF関連特徴に従って前記所与の患者に推奨されたAF治療を示すデータを提供するように前記MLモデルを訓練する、適用することと、
肺静脈隔離(PVI)のみの処置及びPVIプラス処置から選択される、前記患者のための推奨されたAF治療を示すMLモデル出力を生成することと、
前記推奨されたAF治療を示すデータを医療提供者に提供することと、を含む、コンピュータ実装方法。
(2) 前記心臓関連特徴は、解剖学的予測パラメータを含み、前記方法は、前記患者の解剖学的予測パラメータを取得することと、
左心房、右心房、及び左心室を含む群から選択される、前記患者の心臓の少なくとも1つのサブコンパートメントの3D解剖学的マップを取得するために、前記患者に対して処置を実施することと、
前記解剖学的(3D)マップをセグメント化し、それにより、前記少なくとも1つのサブコンパートメントの複数の解剖学的部位を取得することと、
前記複数の解剖学的部位の少なくとも一部について、少なくとも1つのそれぞれの寸法を決定することと、
解剖学的予測パラメータを決定することであって、各解剖学的予測パラメータは、前記患者の前記心臓の前記少なくとも1つのサブコンパートメントの解剖学的部位の1つ又は2つ以上の寸法に基づいて決定される、決定することと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記少なくとも1つのサブコンパートメントのそれぞれの解剖学的部位の異なる寸法間に数学的演算を適用することによって、少なくとも1つの解剖学的予測パラメータを決定することを含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記AF関連特徴は、サイクル長、病歴、及び患者の人口統計のうちの1つ又は2つ以上を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記MLモデルは、分類器のアンサンブルであり、各分類器は、前記データポイントのサブセットに対して訓練され、前記患者のための推奨されたAF治療を示すそれぞれの出力を提供するように構成され、最終推奨は、多数決に基づいて決定される、実施態様1に記載の方法。
【0133】
(6) データポイントの各サブセットは、特定の医師、検査室、又は医療機関によって推奨された患者を含み、したがって仮想医師を表す、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記機械学習モデル出力は、前記患者のための前記推奨されたAF治療を決定する際の異なるAF関連特徴のそれぞれの重要性を更に示す、実施態様1に記載の方法。
(8) 訓練中に、クラスタリングが、前記複数のデータポイントに対して適用され、それによって、類似のAF関連特徴によって特徴付けられた患者のサブセットをそれぞれの群に割り当て、各群は、患者タイプを表し、各群内の医師によって行われた推奨の分布に従って、前記群内の前記患者にタグ付けする、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記患者にPVIプラス処置を適用するための推奨を含むML出力は、推奨されたPVIプラス処置の特定のタイプを示す情報も含む、実施態様1に記載の方法。
(10) コンピュータプロセッサによって読み取られると、前記コンピュータプロセッサに実施態様1~9のいずれかに記載の方法を実施させる命令のプログラムを保持するコンピュータ可読記憶媒体を備える、コンピュータプログラム製品。
【0134】
(11) 実施態様1~9のいずれかに記載の動作を実行するように構成された1つ又は2つ以上のコンピュータプロセッサを備える少なくとも1つの処理回路を備える、コンピュータシステム。