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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025101075
(43)【公開日】2025-07-07
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20250630BHJP
   G06Q 50/02 20240101ALI20250630BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20250630BHJP
【FI】
A01B69/00 303M
G06Q50/02
G05D1/43
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217651
(22)【出願日】2023-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】土屋 史紀
(72)【発明者】
【氏名】辻 博之
(72)【発明者】
【氏名】朱里 勇治
(72)【発明者】
【氏名】田中 大樹
(72)【発明者】
【氏名】菊地 良太
(72)【発明者】
【氏名】玉谷 健二
【テーマコード(参考)】
2B043
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB15
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB03
2B043BB04
2B043BB08
2B043EA18
2B043EB05
2B043EC14
2B043EC16
2B043ED12
2B043EE01
5H301AA03
5H301BB01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD02
5H301GG07
(57)【要約】
【課題】より効率的に農作業車両に農作業を行わせることが可能な制御装置、制御方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】走行支援される一以上の農作業車両の制御装置であって、前記一以上の農作業車両を用いた対象農地における第1作業の計画である第1作業計画を生成する第1作業計画生成部と、前記一以上の農作業車両を用いた前記対象農地において前記第1作業よりも後に実施される第2作業の計画である第2作業計画を生成する第2作業計画生成部と、を備え、前記第1作業計画、および前記第2作業計画のそれぞれは、前記農作業車両が移動する経路を含み、前記第1作業計画生成部は、前記第2作業計画に含まれる前記農作業車両の移動する経路に基づいて、前記対象農地における一部の領域において前記第1作業を制限するように、前記第1作業計画を生成する、制御装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行支援される一以上の農作業車両の制御装置であって、
前記一以上の農作業車両を用いた対象農地における第1作業の計画である第1作業計画を生成する第1作業計画生成部と、
前記一以上の農作業車両を用いた前記対象農地において前記第1作業よりも後に実施される第2作業の計画である第2作業計画を生成する第2作業計画生成部と、
を備え、
前記第1作業計画、および前記第2作業計画のそれぞれは、前記農作業車両が移動する経路を含み、
前記第1作業計画生成部は、前記第2作業計画に含まれる前記農作業車両の移動する経路に基づいて、前記対象農地における一部の領域において前記第1作業を制限するように、前記第1作業計画を生成する、
制御装置。
【請求項2】
前記第1作業計画生成部は、前記第2作業が行われる領域以外の領域において前記第1作業を制限するように、前記第1作業計画を生成する、
請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1作業計画生成部は、前記農作業車両の左右輪よりも外側にそれぞれオフセットした二つのオフセット位置の間の領域において前記第1作業を制限するように、前記第1作業計画を生成する、
請求項1記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1作業計画生成部は、前記農作業車両の左右輪の間の領域において前記第1作業を制限するように、前記第1作業計画を生成する、
請求項1記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1作業は、播種と共に畝を作成する作業であり、
前記第1作業計画生成部は、前記一部の領域において播種および畝の作成を行わないように、前記第1作業の計画を生成する、
請求項1記載の制御装置。
【請求項6】
前記第1作業は、播種と共に畝を作成する作業であり、
前記第1作業計画生成部は、前記一部の領域において畝を作成すると共に播種を行わないように、前記第1作業の計画を生成する、
請求項1記載の制御装置。
【請求項7】
走行支援される一以上の農作業車両の制御装置が、
前記一以上の農作業車両を用いた対象農地における第1作業の計画である第1作業計画を生成する処理と、
前記一以上の農作業車両を用いた前記対象農地において前記第1作業よりも後に実施される第2作業の計画である第2作業計画を生成する処理と、
を実行し、
前記第1作業計画、および前記第2作業計画のそれぞれは、前記農作業車両が移動する経路を含み、
前記第1作業計画を生成する際に、前記第2作業計画に含まれる前記農作業車両の移動する経路に基づいて、前記対象農地における一部の領域において前記第1作業を制限するように、前記第1作業計画を生成する、
制御方法。
【請求項8】
走行支援される一以上の農作業車両の制御装置のプロセッサに、
前記一以上の農作業車両を用いた対象農地における第1作業の計画である第1作業計画を生成する処理と、
前記一以上の農作業車両を用いた前記対象農地において前記第1作業よりも後に実施される第2作業の計画である第2作業計画を生成する処理と、
を実行させ、
前記第1作業計画、および前記第2作業計画のそれぞれは、前記農作業車両が移動する経路を含み、
前記プロセッサに、
前記第1作業計画を生成する際に、前記第2作業計画に含まれる前記農作業車両の移動する経路に基づいて、前記対象農地における一部の領域において前記第1作業を制限するように、前記第1作業計画を生成させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動走行し、或いは旋回のみを手動で行わせるように支援される農作業車両の実用化が進められている。特許文献1には、作業車自動走行システムにおいて、走行途中で作業車の作業環境等の事情に応じて走行経路の変更を可能とする技術が開示されている。また、特許文献2には、先行圃場作業車によって作業された圃場を後から圃場作業車(後行圃場作業車)が作業する場合、後行圃場作業車が自動走行するための走行経路が、作業情報から読み取られた先行圃場作業車の作業状態を考慮して算出される技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-184300号公報
【特許文献2】特開2019-106897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、後に行われる作業の実施状態に応じて、先に行われる作業の一部を制限することについては検討されていなかった。この結果、効率的に農作業車両に農作業を行わせることができない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、より効率的に農作業車両に農作業を行わせることが可能な制御装置、制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様である制御装置は、走行支援される一以上の農作業車両の制御装置であって、前記一以上の農作業車両を用いた対象農地における第1作業の計画である第1作業計画を生成する第1作業計画生成部と、前記一以上の農作業車両を用いた前記対象農地において前記第1作業よりも後に実施される第2作業の計画である第2作業計画を生成する第2作業計画生成部と、を備え、前記第1作業計画、および前記第2作業計画のそれぞれは、前記農作業車両が移動する経路を含み、前記第1作業計画生成部は、前記第2作業計画に含まれる前記農作業車両の移動する経路に基づいて、前記対象農地における一部の領域において前記第1作業を制限するように、前記第1作業計画を生成するものである。
【0007】
本発明の他の態様に係る制御方法は、走行支援される一以上の農作業車両の制御装置が、前記一以上の農作業車両を用いた対象農地における第1作業の計画である第1作業計画を生成する処理と、前記一以上の農作業車両を用いた前記対象農地において前記第1作業よりも後に実施される第2作業の計画である第2作業計画を生成する処理と、を実行し、前記第1作業計画、および前記第2作業計画のそれぞれは、前記農作業車両が移動する経路を含み、前記第1作業計画を生成する際に、前記第2作業計画に含まれる前記農作業車両の移動する経路に基づいて、前記対象農地における一部の領域において前記第1作業を制限するように、前記第1作業計画を生成するものである。
【0008】
本発明の他の態様に係るプログラムは、走行支援される一以上の農作業車両の制御装置のプロセッサに、前記一以上の農作業車両を用いた対象農地における第1作業の計画である第1作業計画を生成する処理と、前記一以上の農作業車両を用いた前記対象農地において前記第1作業よりも後に実施される第2作業の計画である第2作業計画を生成する処理と、を実行させ、前記第1作業計画、および前記第2作業計画のそれぞれは、前記農作業車両が移動する経路を含み、前記プロセッサに、前記第1作業計画を生成する際に、前記第2作業計画に含まれる前記農作業車両の移動する経路に基づいて、前記対象農地における一部の領域において前記第1作業を制限するように、前記第1作業計画を生成させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
上記各態様によれば、より効率的に農作業車両に農作業を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】制御装置100が搭載された農作業車両1の側面図である。
図2】制御装置100の構成図である。
図3】仮作業計画を生成する様子を例示した図である。
図4】第1実施形態において第2作業計画を生成する様子を例示した図である。
図5】第1実施形態において仮作業計画を修正して第1作業計画を生成する様子を例示した図である。
図6】第1実施形態において第1作業計画に沿った第1作業が実施された場合の畝の状態を側方から見た断面図である。
図7】第2実施形態において第2作業計画を生成する様子を例示した図である。
図8】第2実施形態において仮作業計画を修正して第1作業計画を生成する様子を例示した図である。
図9】第2実施形態において第1作業計画に沿った第1作業が実施された場合の畝の状態を側方から見た断面図である。
図10】第3実施形態において第1作業計画に沿った第1作業が実施された場合の畝の状態を側方から見た断面図である。
図11】第3実施形態において第2作業計画に沿った第2作業が実施された場合の畝の状態を側方から見た断面図である。
図12】第3実施形態において畝一つおきに播種を行うことを指示するインターフェース画面の一例である。
図13】第3実施形態において第1作業計画を生成する様子を例示した図である。
図14】第3実施形態において第2作業計画を生成する様子を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の制御装置、制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0012】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態について説明する。図1は、制御装置100が搭載された農作業車両1の側面図である。図中、D1は農作業車両1の前進方向である。農作業車両1は、例えば四輪車両であり、前輪10fr、10flおよび後輪10rr、10rlを備える。また、農作業車両1には、駆動装置20、操舵装置30、操作部40、アタッチメント取付部50、アタッチメント制御装置60、位置特定装置70、制御装置100などの機器が搭載される。なお、制御装置100が農作業車両1に搭載されるのはあくまで一例であり、制御装置100は、農作業車両1と離間した位置に設置され、通信によって一以上の農作業車両1を制御するものであってもよい。また、以下の説明では一台の農作業車両1がアタッチメントを付け替えることで異なる作業を行うものとしたが、これに代えて、作業内容の異なる二以上の農作業車両1が一つの制御装置100によって制御されるようにしてもよい。
【0013】
前輪10fr、10flおよび後輪10rr、10rlは、例えば同じトレッド幅を有するものである。前輪10fr、10flおよび後輪10rr、10rlのいずれか一方または双方は操舵輪であり、また前輪10fr、10flおよび後輪10rr、10rlのいずれか一方または双方は駆動輪である。
【0014】
駆動装置20は、エンジンやモータなどの駆動力を出力する装置である。駆動装置20には、ガソリンなどの燃料を蓄えるタンク、モータに電力を供給するための蓄電池などが付設される。駆動装置20は、駆動輪を回転させることで農作業車両1を前進または後退させる。駆動装置20は、操作部40に対してなされた操作に応じて動作を開始し、制御装置100によって制御される。
【0015】
操舵装置30は、操舵輪の角度を変更して農作業車両1を旋回させる装置である。操舵装置30は、操作部40に対してなされた操作に応じて動作を開始し、制御装置100によって制御される。
【0016】
操作部40は、始動ボタン、タッチパネルなどの表示装置、或いは各種操作子(例えばステアリングホイール)などを含む。操作部40に対して操作がなされると、操作部40は操作内容を示す信号を制御装置100に出力する。
【0017】
アタッチメント取付部50は、農作業車両1の後方または前方に設けられる。アタッチメント取付部50には、播種装置、畝作成装置、防除装置などのアタッチメント装置(作業機)が取り付け可能となっている。アタッチメント取付部50に取り付けられたアタッチメント装置は、アタッチメント制御装置60によって制御される。なお、アタッチメント制御装置60はアタッチメント装置または制御装置100に包含されてもよい。
【0018】
位置特定装置70は、農作業車両1の位置を特定する。位置特定装置70は、例えばRTK(Real Time Kinematic)-GNSSの手法によって農作業車両1の位置を特定する。これに代えて、または加えて、位置特定装置70は、慣性航法によって農作業車両1の位置を特定してもよいし、単独測量などの他の手法によって農作業車両1の位置を特定してもよい。
【0019】
図2は、制御装置100の構成図である。制御装置100は、例えば、情報取得部110と、第1作業計画生成部120と、第2作業計画生成部130と、作業制御部140とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、SOC(System On Chip)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。制御装置100は、専用装置として構成されてもよいし、スマートフォンやタブレット端末などの汎用装置にプログラムがインストールされたものでもよい。
【0020】
また、制御装置100は、記憶部170を備える。記憶部170は、RAMやHDD,フラッシュメモリなどである。記憶部170には、対象農地情報172、作業計画素案情報174、農作業車両情報176、アタッチメント情報178などの情報が格納される。
【0021】
情報取得部110は、農作業車両1が作業の対象とする農地の情報を取得し、対象農地情報172として記憶部170に記憶させる。例えば、情報取得部110は、農作業車両1がティーチング走行を行ったことで得られる情報を対象農地情報とする。ティーチング走行とは、運転者が対象農地のコーナーを通るように農作業車両1を手動で運転し、コーナーにおいて所定の操作を行うことで、その時点で位置特定装置70が特定した農作業車両1の位置が制御装置100に送られるようにする一連の動作をいう。これに代えて、ティーチング走行は、少なくとも第1作業において農作業車両1が移動すべき経路と同じ経路を移動し、農作業車両1の位置を時系列に収集するものであってもよい。この場合、第1作業計画においてティーチング走行時の経路がそのまま使用される。また、ティーチング走行を行わない場合、情報取得部110は、操作部40に対して入力される情報に基づいて対象農地情報172を取得してもよいし、外部装置から通信によって対象農地情報172を取得してもよい。対象農地情報172は、例えば、対象農地のコーナー(多角形とみなした場合の頂点)の情報である。
【0022】
また、情報取得部110は、後述する第1作業、第2作業の内容などの情報を取得し、作業計画素案情報174として記憶部170に記憶させる。農作業車両情報176およびアタッチメント情報178は、制御装置100が制御する農作業車両1と、取り付けられるアタッチメント装置に関する情報である。例えば、農作業車両情報176は、農作業車両1のトレッド幅、旋回性能などの情報を含む。また、アタッチメント情報178は、アタッチメント装置ごとの作業範囲(例えばブームの長さ)などの情報を含む。
【0023】
第1作業計画生成部120は、対象農地における第1作業の計画である第1作業計画を生成する。第1作業計画とは、第1作業を実施するための農作業車両1の進むべき経路(第1経路)と、第1経路に沿って移動しながら農作業車両1が行う作業の内容や範囲(どの領域で作業をし、どの領域で作業をしないのか)とを含むものである。
【0024】
第1作業計画生成部120は、例えば、仮作業計画生成部122と、計画修正部124とを備える。仮作業計画生成部122は、作業計画素案情報174を参照し、まず第2作業を考慮しない第1作業計画(仮作業計画)を生成する。第1作業は、例えば、播種と共に畝を作成する(畝上げする)作業である。図3は、仮作業計画を生成する様子を例示した図である。以降、説明を簡易にするために対象農地は長方形であるものとする。図中、領域A1tmpは作成される畝同士の境界線の間の領域を、Ptmpは仮経路を表している。農作業車両1は、例えば、対象農地TAからはみ出た旋回領域CAで旋回し、図示するような仮経路を移動しながら畝上げと播種を行う。仮経路Ptmpは農作業車両1の中心点の軌跡、或いはアタッチメント装置の中心点の軌跡など、制御を行う上での農作業車両1の代表点の軌跡を規定するものであり、農作業車両1の車輪は左から順に1番目と2番目の領域A1tmpの間、3番目と4番目の領域A1tmpの間を通過する(図中、Ptmp_w)。同様に旋回後には5番目と6番目の領域A1tmpの間、7番目と8番目の領域A1tmpの間を通過する。以降は同様である。仮作業計画生成部122は、例えば、第1作業における農作業車両1の作業対象畝数が4、車輪間に収まる畝数が2といった情報を作業計画素案情報174、農作業車両情報176、アタッチメント情報178から取得して仮作業計画を生成する。
【0025】
計画修正部124は、第2作業計画に含まれる農作業車両1の移動する経路(第2経路)に基づいて、対象農地における一部の領域において第1作業を制限するように、仮作業計画を修正して第1作業計画を生成する。なお、このようにソフトウェア構成がなされるのはあくまで一例であり、第1作業計画は、後述するように第2作業計画と同時並行的に生成されてもよい。
【0026】
第2作業計画生成部130は、対象農地において第1作業よりも後に実施される第2作業の計画である第2作業計画を生成する。第2作業計画は、農作業車両1が移動する経路(第2経路)を含む。第2作業は、例えば防除である。防除の作業は左右に延びるブーム、或いは左右片側に延びるブームを有するアタッチメント装置を用いて行われる。以下では防除の作業は左右に延びるブームを有するアタッチメント装置を用いて行われるものとする。このアタッチメント装置は、例えば、農作業車両1の真下(車輪の間)を含めて、それぞれのブームが届く範囲の畝に対して薬剤を散布可能なものである。図4は、第1実施形態において第2作業計画を生成する様子を例示した図である。図中、P2は第2経路を、A2は防除が行われる領域を示している。
【0027】
計画修正部124は、第2経路P2を移動する農作業車両1の車輪の位置を基準として、対象農地TAにおける一部の領域において播種および畝の作成を行わないように、仮作業計画を修正した第1作業計画を生成する。計画修正部124は、第2経路P2に基づいて把握される農作業車両1の左右輪の外端部の軌跡よりも外側にそれぞれオフセットした二つのオフセット位置の間の領域において播種および畝の作成を行わない(第1作業を制限することの一例)ように、仮作業計画を修正して第1作業計画を生成する。図5は、第1実施形態において仮作業計画を修正して第1作業計画を生成する様子を例示した図である。図中、OpL、OpRは農作業車両1から見た左右のオフセット位置を表し、RAは「オフセット位置の間の領域」を表している。領域RAは、第2作業において農作業車両1の車輪が通過する位置の両側の畝の領域である。領域A1は、第1作業が行われる領域である。図6は、第1実施形態において第1作業計画に沿った第1作業が実施された場合の畝の状態を側方から見た断面図である。図示するように、領域RAにおいては畝の作成も播種も行われない。このようにすることで、農作業車両1の不要な動作を抑制することができ、農業資源やエネルギー資源の無駄を省くことができる。また、第2経路P2の周辺は、農作業車両1が何度も通行する領域であるため、この領域では輪距に入った畝に植えられた作物がダメージを受けて発育が悪くなる可能性がある。この領域への播種作業を行わないことで、収穫作物への影響を抑制することができる。
【0028】
作業制御部140は、第1作業を行う際には第1経路P1に沿って、第2作業を行う際には第2経路P2に沿って農作業車両1が移動するように走行支援を行い、それらに伴うアタッチメント装置の制御を併せて実行する。走行支援は、農作業車両1を自律的に移動させるもの(ロボトラモード)でもよいし、旋回のみ手動で行わせ、直進時に操舵支援を行うもの(操舵支援モード)でもよいし、それらのうち一方が利用者により選択されて実行されてもよい。例えば、作業制御部140は、農作業車両1が直進状態になると自動的に播種や防除を行うようにアタッチメント制御装置60に指示する。なお、第1作業や第2作業は部分的に手動操作で行われるものであってもよい。その場合、例えば操作部40の表示装置に「播種開始」、「防除開始」といった表示を行い、作業者の何らかの操作に応じて実際の播種や防除が行われてもよい。
【0029】
なお、ここまでの説明では、防除作業におけるブームが薬剤を散布する範囲が既知の固定値であるものとしたが、その範囲は可変であってもよい。その場合、第1作業計画および第2作業計画を以下のような計算に従って生成することができる。
【0030】
まず、制御装置100は、第1作業における作業対象畝数N1を作業計画素案情報174から取得する。次に、制御装置100は、第2作業における作業対象畝数N2(輪間などを考慮せず端から端まで)を作業計画素案情報174から取得する。更に、制御装置100は、左右の車輪間に収まる畝数N3を作業計画素案情報174および農作業車両情報176から取得する。このとき、第1実施形態に係る第2作業においてアタッチメント装置の片側のブームが作業対象とする畝数N4は、式(1)で表される。なお「N2-N3-2」における「-2」は、左右1畝ずつオフセットさせることを表しているが、作物の畝幅と農作業車両のトレッド幅との関係によっては他の数字が使用される場合もあり得る。
【0031】
N4=(N2-N3-2)/2 …(1)
【0032】
ここで、N4がN1の倍数でない場合、つまりN4/N1が整数でなく余りが出る場合、前述した領域A1とA2が一致せず、第1作業と第2作業のどちらかが対象とする畝が余ってしまうことになる。図3図5の例でいうと、N1=4、N2=12、N3=2であるため、N4=(12-2-2)/2=4となり、余りは生じない。N4/N1が整数でなく余りが出る場合、制御装置100は、操作部40のモニターなどに第2作業における散布範囲を変更するように促す情報を出力させてもよいし、操作部40のモニターなどを用いてN4/N1が整数となるようなN2を提案し、且つ/または自動的に設定変更してもよい。
【0033】
このように計算を行うことで、仮作業計画を生成することなく、同時に第1作業計画と第2作業計画を生成することができる。第2作業では6番目の畝と、7番目の畝の間を農作業車両1の中心が通るので、第1作業では1番目から4番目までの畝を作業対象とし、2番目の畝と3番目の畝との間を農作業車両1の中心が通るように、次いで、9番目から12番目の畝を作業対象とし、10目の畝と11番目の畝との間を農作業車両1の中心が通るように第1経路P1を作成すればよい。以降、同様の計算を繰り返すことで第1経路P1、第2経路P2を波及的に生成することができる。
【0034】
以上説明した第1実施形態によれば、より効率的に農作業車両に農作業を行わせることができる。
【0035】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について説明する。構成については図1、2および関連する説明を援用し、再度の説明を省略する。
【0036】
第1実施形態では、第2作業においてそれぞれのブームBMは車輪のすぐ外側にある畝を飛ばして作業可能であり、第1作業においては農作業車両1の左右輪の外端部の軌跡よりも外側にそれぞれオフセットした二つのオフセット位置の間の領域において播種および畝の作成を行わないものとした。これに対して第2実施形態では、第1作業においては農作業車両1の左右輪の間の領域において播種および畝の作成を行わず、農作業車両1の左右輪のすぐ外側の領域において播種および畝の作成を行う。この場合、第1作業における播種幅が変わらないのであれば、ブームBMの長さを第1実施形態よりも一畝分短くする。
【0037】
図7は、第2実施形態において第2作業計画を生成する様子を例示した図である。図8は、第2実施形態において仮作業計画を修正して第1作業計画を生成する様子を例示した図である。図9は、第2実施形態において第1作業計画に沿った第1作業が実施された場合の畝の状態を側方から見た断面図である。
【0038】
第2実施形態において、同時に第1作業計画と第2作業計画を生成する場合の計算については、式(1)を式(2)に変更して行えばよい。この場合、第2作業では5番目の畝と6番目の畝の間を農作業車両1の中心が通るので、第1作業では1番目から4番目までの畝を作業対象とし、2番目の畝と3番目の畝との間を農作業車両1の中心が通るように、次いで、7番目から10番目の畝を作業対象とし、8番目の畝と、9番目の畝との間を農作業車両1の中心が通るように第1経路P1を作成すればよい。
【0039】
N4=(N2-N3)/2 …(2)
【0040】
以上説明した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様、より効率的に農作業車両に農作業を行わせることができる。
【0041】
<第3実施形態>
以下、第3実施形態について説明する。図10は、第3実施形態において第1作業計画に沿った第1作業が実施された場合の畝の状態を側方から見た断面図である。図示するように、第2経路P2に相当する領域RAにおいては畝一つおきに播種が行われる。そして、第2作業時に農作業車両1は、播種が行われなかった畝の真上を車輪が通るように(車輪で畝をつぶしながら)移動する。図11は、第3実施形態において第2作業計画に沿った第2作業が実施された場合の畝の状態を側方から見た断面図である。ここでは、ブームBMの長さを個別に調整可能であり、半畝ずれた分をブームBMの長さ調整で吸収するものとする。このようにすることで、農作業車両1の車輪の間を含めて高密度に作物を植えることができる。
【0042】
第3実施形態において、第1作業で農作業車両1が領域RAを通過する場合、四畝のうち一つ飛ばしに播種を行う必要がある。この場合、作業者に対して、操作部40の表示装置に作業内容を伝えることが望ましい。図12は、第3実施形態において畝一つおきに播種を行うことを指示するインターフェース画面の一例である。このインターフェース画面では、どの作業(工程)が行われているか、農作業車両1(トラクタ)の位置や軌跡なども併せて表示される。また、インターフェース画面において、第1~第3実施形態のどの態様で第1作業および第2作業を行うのか作業者に選択させてもよい。
【0043】
図13は、第3実施形態において第1作業計画を生成する様子を例示した図である。図14は、第3実施形態において第2作業計画を生成する様子を例示した図である。図示するように、第2作業計画において最初の直進駆動時と、次の直進駆動時でブームBMの長さを調整することで防除範囲が異なっていることが分かる(右側のブームBMが1畝分伸びている)。
【0044】
以上説明した第3実施形態によれば、第1実施形態と同様、より効率的に農作業車両に農作業を行わせることができる。
【0045】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 農作業車両
40 操作部
100 制御装置
110 情報取得部
120 第1作業計画生成部
130 第2作業計画生成部
140 作業制御部
170 記憶部
図1
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