(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025101111
(43)【公開日】2025-07-07
(54)【発明の名称】通信制御装置および通信制御方法
(51)【国際特許分類】
H04M 3/56 20060101AFI20250630BHJP
H04W 76/50 20180101ALI20250630BHJP
H04W 4/029 20180101ALI20250630BHJP
H04W 76/45 20180101ALI20250630BHJP
H04W 40/34 20090101ALI20250630BHJP
【FI】
H04M3/56 Z
H04W76/50
H04W4/029
H04W76/45
H04W40/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217712
(22)【出願日】2023-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西岡 正道
【テーマコード(参考)】
5K067
5K201
【Fターム(参考)】
5K067AA22
5K067EE02
5K067EE16
5K067EE25
5K067EE41
5K067HH22
5K201AA05
5K201BB09
5K201CC04
5K201EC06
5K201ED04
(57)【要約】
【課題】複数のユーザ間で適切に情報を共有すること。
【解決手段】通信制御装置は、通信システムに含まれる複数の端末装置から位置情報を取得する位置情報取得部と、複数の端末装置の各々に対して、通信範囲を設定する通信範囲設定部と、複数の端末装置のうち第1端末装置が発呼した場合、第1端末装置に対して通信範囲設定部で設定された第1通信範囲内に位置する第2端末装置を位置情報に基づいて特定し、特定された第2端末装置に対し、第1端末装置からの通信内容を送信する通信制御部と、第1端末装置からの通信内容が送信された後に、第2端末装置が発呼した場合、第1通信範囲と、第2端末装置の通信範囲である第2通信範囲とを統合して、拡張通信範囲を設定する拡張通信範囲設定部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末装置を含む通信システムの通信を制御する通信制御装置において、
複数の前記端末装置から位置情報を取得する位置情報取得部と、
複数の前記端末装置の各々に対して、通信範囲を設定する通信範囲設定部と、
複数の前記端末装置のうち第1端末装置が発呼した場合、前記第1端末装置に対して前記通信範囲設定部で設定された第1通信範囲内に位置する第2端末装置を前記位置情報に基づいて特定し、特定された前記第2端末装置に対し、前記第1端末装置からの通信内容を送信する通信制御部と、
前記第1端末装置からの通信内容が送信された後に、前記第2端末装置が発呼した場合、前記第1通信範囲と、前記第2端末装置の通信範囲である第2通信範囲とを統合して、拡張通信範囲を設定する拡張通信範囲設定部と、
を備える、通信制御装置。
【請求項2】
前記拡張通信範囲設定部が前記拡張通信範囲を設定した場合、前記通信制御部は、前記拡張通信範囲内に位置する前記端末装置を特定して、前記第2端末装置からの通信内容を送信し、
前記拡張通信範囲設定部は、前記第2端末装置からの通信内容が送信された後に、前記第2通信範囲内に位置する第3端末装置から発呼された場合、前記拡張通信範囲と、前記第3端末装置の通信範囲である第3通信範囲とを統合して、前記拡張通信範囲を再設定する、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
発呼した前記端末装置を所定時間の間、有効端末として管理するとともに、前記有効端末が最後に発呼したときから所定時間経過した場合に無効端末として管理する接続管理部を備え、
前記拡張通信範囲設定部は、設定されている前記拡張通信範囲から前記無効端末に対して前記通信範囲設定部で設定された通信範囲を除外して前記拡張通信範囲を再設定する、
請求項1または2に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記接続管理部は、無効端末になるまで参加していた通信が継続している状態で前記無効端末となった端末装置が発呼した場合、発呼した前記端末装置を前記有効端末として復帰した復帰有効端末とし、
前記拡張通信範囲設定部は、無効端末になるまで参加していた通信の拡張通信範囲に、前記復帰有効端末の通信範囲を統合する、
請求項3に記載の通信制御装置。
【請求項5】
複数の端末装置を含む通信システムの通信を制御する通信制御装置を動作させる通信制御方法であって、
複数の前記端末装置から位置情報を取得するステップと、
複数の前記端末装置の各々に対して、通信範囲を設定するステップと、
複数の前記端末装置のうち第1端末装置が発呼した場合、前記第1端末装置に対して前記通信範囲を設定するステップで設定された第1通信範囲内に位置する第2端末装置を前記位置情報に基づいて特定し、特定された前記第2端末装置に対し、前記第1端末装置からの通信内容を送信するステップと、
前記第1端末装置からの通信内容が送信された後に、前記第2端末装置が発呼した場合、前記第1通信範囲と、前記第2端末装置の通信範囲である第2通信範囲とを統合して、拡張通信範囲を設定するステップと、
を含む、通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信制御装置および通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話網を利用して無線通信を行うPoC(Push to Talk over Cellular)システムが知られている。例えば、特許文献1には、PTT(Push to Talk)通信において、ユーザによる端末操作を必要とせずに、音声を他の端末装置に送信できる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PoC通信において、あらかじめサーバ装置に登録したユーザやグループと通信を行うことができる。災害現場などの緊急事態の際に、サーバ装置に登録されていないユーザとの間でPoC通信を用いる必要が発生した場合、情報を共有することが困難になり、適切な避難指示を出すことができない可能性がある。
【0005】
本開示は、サーバに登録されていないユーザを含めた複数のユーザ間で適切に情報を共有することのできる通信制御装置および通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の通信制御装置は、複数の端末装置を含む通信システムの通信を制御する通信制御装置において、複数の前記端末装置から位置情報を取得する位置情報取得部と、複数の前記端末装置の各々に対して、通信範囲を設定する通信範囲設定部と、複数の前記端末装置のうち第1端末装置が発呼した場合、前記第1端末装置に対して前記通信範囲設定部で設定された第1通信範囲内に位置する第2端末装置を前記位置情報に基づいて特定し、特定された前記第2端末装置に対し、前記第1端末装置からの通信内容を送信する通信制御部と、前記第1端末装置からの通信内容が送信された後に、前記第2端末装置が発呼した場合、前記第1通信範囲と、前記第2端末装置の通信範囲である第2通信範囲とを統合して、拡張通信範囲を設定する拡張通信範囲設定部と、を備える。
【0007】
本開示の通信制御方法は、複数の端末装置を含む通信システムの通信を制御する通信制御装置を動作させる通信制御方法であって、複数の前記端末装置から位置情報を取得するステップと、複数の前記端末装置の各々に対して、通信範囲を設定するステップと、複数の前記端末装置のうち第1端末装置が発呼した場合、前記第1端末装置に対して前記通信範囲を設定するステップで設定された第1通信範囲内に位置する第2端末装置を前記位置情報に基づいて特定し、特定された前記第2端末装置に対し、前記第1端末装置からの通信内容を送信するステップと、前記第1端末装置からの通信内容が送信された後に、前記第2端末装置が発呼した場合、前記第1通信範囲と、前記第2端末装置の通信範囲である第2通信範囲とを統合して、拡張通信範囲を設定するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、複数のユーザ間で適切に情報を共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るサーバ装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る端末装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る端末装置に設定されている通信範囲を説明するための図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る端末装置間の通信を説明するための図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る拡張通信範囲を設定する方法を説明するための図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る拡張通信範囲における通信方法を説明するための図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る拡張通信範囲を設定する方法を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る端末装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係るサーバ装置の端末装置登録処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係るサーバ装置の位置情報更新処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係るサーバ装置の拡張範囲設定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本開示に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0011】
[第1実施形態]
(通信システム)
図1を用いて、第1実施形態に係る通信システムの構成例について説明する。
図1は、第1実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
【0012】
図1に示すように、通信システム1は、サーバ装置10と、複数の端末装置12とを含む。サーバ装置10は、PoCサーバである。端末装置12は、PoC端末である。通信システム1は、PoCシステムである。
【0013】
サーバ装置10と、複数の端末装置12とは、無線又は有線のネットワークNを介して、通信可能に接続されている。複数の端末装置12の各々は、サーバ装置10を介して、他の端末装置12と通信することができる。
【0014】
サーバ装置10は、通信システム1に含まれる端末装置として、複数の端末装置12をそれぞれ登録している。サーバ装置10は、複数の端末装置12が一時的なグループ通信を行う、グループ通信設定を記憶する。また、サーバ装置10は、複数の端末装置12があらかじめ設定されたグループ通信を行う、グループ通信設定を記憶してもよい。サーバ装置10は、端末装置12同士の通信を管理する。
【0015】
通常、PoCシステムでは、端末装置12は、サーバ装置10にあらかじめグループ通信設定や個別通信設定に端末装置12が登録されていなければ、PoC通信に参加することができない。このため、災害現場などでPoC通信を用いる場合、サーバ装置10に登録されていない端末装置12を持つユーザは、通信することができない。本開示では、例えば、災害現場周辺の相手と通信のやり取りを行うことで通信範囲を拡大させ、災害現場が拡大された先に位置するサーバ装置10に登録されていない端末装置12をPoC通信に参加させる。これにより、本開示は、災害現場周辺のすべての通信相手と自由に通信できるようになることで、迅速に災害状況を共有することができる。
【0016】
(サーバ装置)
図2を用いて、第1実施形態に係るサーバ装置の構成例について説明する。
図2は、第1実施形態に係るサーバ装置の構成例を示すブロック図である。
【0017】
図2に示すように、サーバ装置10は、通信部20と、記憶部22と、制御部24と、を含む。サーバ装置10は、コンピュータなどの情報処理装置で実現される。サーバ装置10は、通信制御装置とも呼ばれる。
【0018】
通信部20は、サーバ装置10と、外部装置との間の通信を実行する通信インタフェースである。通信部20は、複数の端末装置12のそれぞれと通信を実行する。
【0019】
記憶部22は、各種の情報を記憶している。記憶部22は、PoC通信を実行する端末装置12に関する情報を記憶する。記憶部22は、一時的なグループ通信を行うグループを構成する端末装置12に関する情報である、一時的なグループ通信設定を記憶する。記憶部22は、制御部24の演算内容、およびプログラム等の情報を記憶する。記憶部22は、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0020】
制御部24は、サーバ装置10の各部を制御する。制御部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの情報処理装置と、RAM又はROMなどの記憶装置とを有する。制御部24は、本発明に係るサーバ装置10の動作を制御するプログラムを実行する。制御部24は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部24は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0021】
制御部24は、位置情報取得部30と、通信範囲設定部32と、通信制御部34と、拡張通信範囲設定部36と、接続管理部38と、を備える。
【0022】
位置情報取得部30は、通信部20を介して、通信システム1に含まれる複数の端末装置12のそれぞれから位置情報を取得する。
【0023】
通信範囲設定部32は、複数の端末装置12の各々に対して通信範囲を設定する。複数の端末装置12の各々に対して設定される通信範囲の広さは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。通信範囲設定部32は、通信範囲を自動で設定してもよいし、端末装置12を使用するユーザの指示に従って設定してもよい。サーバ装置10と複数の端末装置12とは無線又は有線のネットワークNを介して、通信可能に接続されている。発呼した端末装置12の通信内容は、一旦サーバ装置10に送信され、その後、サーバ装置10により特定された送信対象となる端末装置12に、サーバ装置10が受信した発呼した端末装置12からの通信内容を、送信することになる。この送信対象となる端末装置12を特定する際に、通信範囲設定部32によってそれぞれの端末装置12に設定される通信範囲を利用する。本発明で用いる通信範囲は、無線通信による電波の到達範囲とは異なることに注意する。本発明で用いる通信範囲は、端末装置12の位置から、どの程度の距離離れた範囲に位置する端末装置12までを通信内容の送信範囲とするか、を決めるために利用する。例えば、発呼した端末装置12に設定された通信範囲が、発呼した端末装置12の位置から半径5km離れた距離までの範囲として通信範囲設定部32によって設定されているとする。サーバ装置10は、発呼した端末装置12に設定されている通信範囲内に位置する端末装置12を、それぞれの端末装置12の位置情報を利用して特定する。これにより、サーバ装置10は、特定された端末装置12に対して、発呼した端末装置12の通信内容を送信することができる。ここでの例では、端末装置12の位置から半径5km離れた距離までの範囲として通信範囲を設定しているが、それぞれの端末装置12に対して異なる所定の範囲を設定しても構わない。
【0024】
通信制御部34は、端末装置12間の通信を制御する。通信制御部34は、位置情報取得部30が取得した位置情報に基づいて、複数の端末装置12のうち、発呼した第1端末装置の通信範囲である第1通信範囲内に位置する第2端末装置を特定する。通信制御部34は、第1通信範囲内に複数の第2端末装置が位置している場合には、複数の端末装置12を特定する。通信制御部34は、第1端末装置が送信した通信内容を第2端末装置に送信する。
【0025】
拡張通信範囲設定部36は、通信範囲設定部32が設定した通信範囲を拡張し、拡張通信範囲を設定する。拡張通信範囲設定部36は、第1端末装置からの通信内容が送信された後に、第2端末装置が発呼した場合、第1通信範囲と、発呼した第2端末装置の通信範囲である第2通信範囲とを統合して、第1拡張通信範囲を設定する。この場合、通信制御部34は、第1拡張通信範囲内に位置する端末装置12を特定して、第2端末装置が送信した通信内容を送信する。
【0026】
拡張通信範囲設定部36は、第2端末装置からの通信内容が送信された後に、第1拡張通信範囲内であり、かつ第2通信範囲内に位置する第3端末装置から発呼された場合、第1拡張通信範囲と、発呼した第3端末装置の通信範囲である第3通信範囲とを統合して第2拡張通信範囲を設定する。この場合、通信制御部34は、第2拡張通信範囲内に位置する端末装置を特定して、第3端末装置が送信した通信内容を送信する。
【0027】
接続管理部38は、通信システム1に含まれる複数の端末装置12のそれぞれの接続状態を管理する。接続管理部38は、通信システム1に含まれる複数の端末装置12のそれぞれについて、サーバ装置10への接続を許可するか否かを判定する。接続管理部38は、発呼した端末装置12を有効端末と判定する。接続管理部38は、最後に発呼したときから所定時間経過した有効端末を無効端末と判定する。接続管理部38により拡張中心範囲に位置する有効端末が無効端末と判定された場合、拡張通信範囲設定部36は、設定されている拡張通信範囲から無効端末の通信範囲を除外して拡張通信範囲を再設定する。
【0028】
接続管理部38は、通信システム1内で通信が継続している状態で無効端末が発呼した場合、発呼した無効端末を有効端末として復帰した復帰有効端末と判定する。接続管理部38により復帰有効端末が判定された場合、拡張通信範囲設定部36は、復帰有効端末の通信範囲を設定されている拡張通信範囲に再統合する。ここで、例えば、設定されている拡張通信範囲は、復帰有効端末となった端末装置12が、無効端末になった際に参加していた通信の拡張通信範囲である。
【0029】
(端末装置)
図3を用いて、第1実施形態に係る端末装置の構成例について説明する。
図3は、第1実施形態に係る端末装置の構成例を示すブロック図である。
【0030】
図3に示すように、端末装置12は、入力部50と、表示部52と、マイク54と、スピーカ56と、通信部58と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部60と、記憶部62と、制御部64とを備える。端末装置12は、業務用無線機、スマートフォン、携帯電話機、タブレット端末などの携帯型の無線通信装置で実現される。本実施形態では、端末装置12は、業務用無線機などの携帯型の無線通信装置を想定しているが、ノート型PC(Personal Computer)、デスクトップ型PCなどの有線でネットワークと接続するものであってもよい。
【0031】
入力部50は、端末装置12に対する各種の入力操作を受け付ける。入力部50は、受け付けた入力操作に応じた操作信号を制御部64に出力する。入力部50は、例えば、タッチパネル、ボタン、スイッチ、PTT(Push-to-Talk)ボタンなどを含む。入力部50は、端末装置12がノート型PCまたはデスクトップ型PCである場合には、キーボード、マウスなどを含んでよい。入力部50としてタッチパネルが用いられる場合には、入力部50は、表示部52上に配置される。
【0032】
表示部52は、各種の映像を表示する。表示部52は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)などを含むディスプレイである。
【0033】
マイク54は、端末装置12の周辺の音声を検出するマイクである。マイク54は、端末装置12を使用するユーザの音声を検出する。マイク54は、検出した音声を音声信号に変換する。
【0034】
スピーカ56は、各種の音声を出力するスピーカである。スピーカ56は、通信先の端末装置12のユーザの音声を出力する。
【0035】
通信部58は、端末装置12と、外部装置との間の通信を実行する通信インタフェースである。通信部58は、端末装置12と、サーバ装置10との間の通信を実行する。
【0036】
GNSS受信部60は、GNSS衛星からのGNSS信号を受信するGNSS受信機などで構成される。GNSS受信部60は、受信したGNSS信号を位置情報取得部72へ出力する。
【0037】
記憶部62は、各種の情報を記憶している。記憶部62は、制御部64の演算内容、およびプログラム等の情報を記憶する。記憶部62は、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置、HDD等の外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0038】
制御部64は、端末装置12の各部を制御する。制御部64は、例えば、CPUやMPUなどの情報処理装置と、RAM又はROMなどの記憶装置とを有する。制御部64は、本開示に係る端末装置12の動作を制御するプログラムを実行する。制御部64は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。制御部64は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0039】
制御部64は、接続要求部70と、位置情報取得部72と、を備える。
【0040】
接続要求部70は、通常モードと、通信拡張モードとを切り替える。通常モードは、あらかじめサーバ装置10において複数の通信相手となる端末装置同士と通信するグループ通信設定や所定の通信相手となる端末装置と通信する個別通信設定により、端末装置との間で通信を行うモードである。通信拡張モードは、あらかじめサーバ装置10に設定されたグループ通信設定や個別通信設定を利用せずに、あらかじめサーバ装置10から設定された通信範囲を拡張して、通信範囲に位置する端末装置12との通信を行うモードである。接続要求部70は、通信部58を介して、サーバ装置10への接続を要求する接続要求信号をサーバ装置10に送信する。接続要求部70は、例えば、ユーザにより入力部50に入力された入力操作に従って、接続要求信号をサーバ装置10に送信する。接続要求部70は、あらかじめ設定された通信範囲で通信を行う際には、接続要求信号を通常モードでサーバ装置10に送信する。接続要求部70は、あらかじめ設定された通信範囲を拡張した拡張通信範囲で通信を行う際には、接続要求信号を通信拡張モードでサーバ装置10に送信する。
【0041】
位置情報取得部72は、端末装置12の現在位置を示す位置情報を取得する。位置情報取得部72は、GNSS受信部60が受信した電波に基づいて、端末装置12の現在位置の位置情報を公知の方法によって算出する。位置情報取得部72は、通信部58を介して、取得した位置情報をサーバ装置10に送信する。
【0042】
(拡大通信範囲設定処理)
図4から
図8を参照して、本開示に係る拡大通信範囲設定処理について説明する。
図4から
図8では、サーバ装置10を省略している。
【0043】
図4は、第1実施形態に係る端末装置に設定されている通信範囲を説明するための図である。
図4に示すように、通信システム1には、端末装置12-1と、端末装置12-2と、端末装置12-3と、端末装置12-4と、の4台の端末装置12が含まれているものとする。位置情報取得部30は、端末装置12-1から端末装置12-4のそれぞれの位置情報を取得する。通信範囲設定部32は、端末装置12-1の通信範囲R1を設定する。通信範囲設定部32は、端末装置12-2の通信範囲R2を設定する。通信範囲設定部32は、端末装置12-3の通信範囲R3を設定する。通信範囲設定部32は、端末装置12-4の通信範囲R3を設定する。通信範囲R1から通信範囲R4の広さは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図4に示す例では、通信範囲R1内には、端末装置12-2が位置している。端末装置12-2には、端末装置12-1と、端末装置12-3とが位置している。通信範囲R3には、端末装置12-2と、端末装置12-4とが位置している。通信範囲R4には、端末装置12-3が位置している。すなわち、端末装置12-1は、端末装置12-2とのみ通信可能である。端末装置12-2は、端末装置12-1および端末装置12-3と通信可能である。端末装置12-3は、端末装置12-2および端末装置12-4とのみ通信可能である。端末装置12-4は、端末装置12-3とのみ通信可能である。
【0044】
図5は、第1実施形態に係る端末装置間の通信を説明するための図である。例えば、端末装置12-1が発呼したとする。端末装置12-1と通信可能な端末装置12は、端末装置12-2のみである。この場合、通信制御部34は、端末装置12-1の音声などの通信内容を端末装置12-2のみに送信する。
【0045】
図6は、第1実施形態に係る拡張通信範囲を設定する方法を説明するための図である。端末装置12-1の第1の発呼による通信が終了し、所定の時間内に、端末装置12-2が第1の発呼に応答すると、拡張通信範囲設定部36は、端末装置12-1と、端末装置12-2を含む一時的な第1一時的グループを形成する。拡張通信範囲設定部36は、通信範囲R1と、通信範囲R2とを統合して、拡張通信範囲R10を設定する。拡張通信範囲R10は、第1拡張通信範囲とも呼ばれる。この場合、通信制御部34は、端末装置12-1と、端末装置12-2とが送信する通信内容を、拡張通信範囲R10内に位置する端末装置12に送信する。ここでは、接続管理部38は、端末装置12-1と、端末装置12-2とを有効端末と判定する。
【0046】
図7は、第1実施形態に係る拡張通信範囲における通信方法を説明するための図である。
図7に示すように、拡張通信範囲R10には、端末装置12-1と、端末装置12-2と、端末装置12-3とが位置している。端末装置12-1と、端末装置12-2とは第1一時的グループに属しているが、端末装置12-3は第1一時的グループに属していない。
図7に示す例では、端末装置12-3は、第1一時的グループに属していないが、拡張通信範囲R10内に位置しているので、通信範囲R3内には位置していない端末装置12-1が送信する通信内容を受信することができる。
【0047】
図8は、第1実施形態に係る拡張通信範囲を設定する方法を説明するための図である。端末装置12-1および端末装置12-2の通信が終了し、所定時間内に、端末装置12―3が発呼すると、拡張通信範囲設定部36は、端末装置12-3を第1一時的グループに追加し、第2一時的グループを生成する。拡張通信範囲設定部36は、拡張通信範囲R10と、通信範囲R3とを統合して、拡張通信範囲R11を設定する。拡張通信範囲R11は、第2拡張通信範囲とも呼ばれる。この場合、通信制御部34は、端末装置12-1と、端末装置12-2と、端末装置12-3とが送信する通信内容を、拡張通信範囲R11内に位置する端末装置12に送信する。これにより、端末装置12-1は、通信範囲R1内に位置していない端末装置12-3と通信することが可能となる。ここでは、接続管理部38は、端末装置12-1と、端末装置12-2と、端末装置12-3とを有効端末と判定する。
【0048】
また、
図8に示す例では、拡張通信範囲R11には、端末装置12-1と、端末装置12-2と、端末装置12-3と、端末装置12-4とが位置している。端末装置12-1と、端末装置12-2、端末装置12-3とは第2一時的グループに属しているが、端末装置12-4は第2一時的グループに属していない。
図8に示す例では、端末装置12-4は、第2一時的グループに属していないが、拡張通信範囲R11内に位置しているので、通信範囲R4内に位置していない端末装置12-1および端末装置12-2が送信する通信内容を受信することができる。この場合、端末装置12―4が発呼することにより、拡張通信範囲R11には通信範囲R4が統合され、拡張通信範囲は更に拡大する。このように、本開示では、通信範囲を拡大することにより、現在位置から遠くに離れている多くの端末装置12間で通信が可能となる。
【0049】
図8に示す例において、例えば、接続管理部38は、端末装置12-2が最後に発呼したときから所定時間経過した場合に、端末装置12-2を無効端末と判定する。この場合、拡張通信範囲設定部36は、拡張通信範囲R11から端末装置12-2の通信範囲R2を除外して拡張通信範囲を再設定する。そして、接続管理部38は、通信システム1内で通信が継続している状態で無効端末と判定された端末装置12-2が発呼した場合、端末装置12-2を有効端末として復帰した復帰有効端末と判定する。端末装置12-2が復帰有効端末と判定された場合、拡張通信範囲設定部36は、復帰有効端末の通信範囲R2を設定されている拡張通信範囲に再統合する。ここで、例えば、端末装置12-2が復帰有効端末となった時点で設定されている拡張通信範囲は、復帰有効端末となった端末装置12-2が、無効端末になった際に拡張通信範囲R11を利用して参加していた通信の拡張通信範囲である。
【0050】
なお、本実施形態では、通信システム1に含まれる端末装置12の数に制限はないが、通信システム1に含まれる端末装置12の数を制限してもよい。例えば、通信システム1は、災害が発生しているエリアなど、特定のエリアに存在する端末装置12のみが含まれるようにしてもよい。このように、本実施形態は、通信システム1に含まれる端末装置12を制限することで、特定のエリアにいるユーザは、必要な情報のみを適切に共有することができる。
【0051】
拡張通信範囲設定部36は、一時的グループに含まれる端末装置12の直近の発呼の通信が終了したときから、所定時間経過しても発呼が無い場合には、一時的グループと拡張通信範囲を解消し、各端末装置12の通信範囲を元に戻す。
【0052】
拡張通信範囲設定部36は、例えば、一時的グループに含まれる端末装置12のうち、所定の端末装置12のみが所定時間発呼していない場合には、その端末装置12のみを一時的グループから外してもよい。この場合、
図8に示す例でいえば、拡張通信範囲設定部36は、端末装置12-2が第2一時的グループから外れた場合、拡張通信範囲R11から端末装置12-2の通信範囲R2を除いた範囲を、新たな拡張通信範囲として設定する。具体的には、端末装置12-1の通信範囲R1と、端末装置12-3の通信範囲R3とを統合した通信範囲を拡張通信範囲として設定する。この場合、拡張通信範囲設定部36は、端末装置12が一時的グループから外れたことで、拡張通信範囲が分断したかしていないかに関わらず、拡張通信範囲を再設定するとよい。
【0053】
(チャネル設定処理)
通信制御部34は、通信システム1に含まれ端末装置12ごとにチャンネルを設定してもよい。この場合、設定されたチャンネルごとに一時的グループが設定されている。例えば、
図4に示す例において、端末装置12-1と、端末装置12-2と、端末装置12-3とには第1チャンネルが設定され、端末装置12-4には第2チャンネルが設定されているものとする。
【0054】
通信制御部34は、端末装置12-1が最初に発呼した場合、通信範囲R1内に端末装置12-2が位置しており、端末装置12-2には第1チャンネルが設定されているため、端末装置12-1の通信内容を端末装置12―2に送信する。端末装置12-2が応答により発呼した場合には、端末装置12-1と端末装置12-2とは同じチャンネルであるため、拡張通信範囲設定部36は、端末装置12-1と端末装置12-2とを含む一時的グループを設定する。拡張通信範囲設定部36は、通信範囲R1と通信範囲R2とを統合して拡張通信範囲を設定する。
【0055】
次に、例えば、端末装置12-2が発呼した場合には、通信制御部34は、通信範囲R1と通信範囲R2とを統合した拡張通信範囲内で第1チャンネルが設定された端末装置12を特定する。通信制御部34は、端末装置12-3を特定し、端末装置12-3に端末装置12-1または端末装置12-2が発呼した通信内容を送信する。
【0056】
次に、端末装置12-3が応答により発呼した場合には、端末装置12-3は、端末装置12-1および端末装置12-2とは同じチャンネルであるため、拡張通信範囲設定部36は、端末装置12-1から端末装置12-3を含む一時的グループを設定する。
【0057】
次に、例えば、端末装置12-3が発呼した場合には、通信制御部34は、通信範囲R1と通信範囲R2と通信範囲R3とを統合した拡張通信範囲内で第1チャンネルが設定された端末装置12を特定する。しかしながら、通信制御部34は、端末装置12-4には第2チャンネルが設定されているため、端末装置12-4には発呼した通信内容を送信しない。
【0058】
また、端末装置12-4が新たに発呼した場合は、通信制御部34は、第2チャンネルによる新たな発呼があったものとして、通信範囲R4内に位置する第2チャンネルが設定されている端末装置12を特定する。通信制御部34は、通信範囲R4内で端末装置12が特定されると、その端末装置12に、端末装置12-4が送信した送信内容を送信する。このように、サーバ装置10は、チャンネルごとに通信を管理してもよい。
【0059】
[端末装置の処理]
図9を用いて、第1実施形態に係る端末装置の処理内容について説明する。
図9は、第1実施形態に係る端末装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0060】
接続要求部70は、通信部58を介して、通信拡張モードでサーバ装置10に対して接続要求を行う(ステップS10)。具体的には、接続要求部70は、例えば、通信部58を介して、通信拡張モードで接続要求信号に自機を識別するための端末IDを含めて、サーバ装置10に送信する。そして、ステップS12に進む。
【0061】
接続要求部70は、サーバ装置10から接続要求が許可されたか否かを判定する(ステップS12)。具体的には、接続要求部70は、例えば、サーバ装置10から接続許可通知を受信した場合に、接続要求が許可されたと判定する。接続要求が許可されたと判定された場合(ステップS12;Yes)、ステップS14に進む。接続要求が許可されたと判定されない場合(ステップS12;No)、ステップS18に進む。
【0062】
ステップS12でYesと判定された場合、位置情報取得部72は、自装置の現在の位置情報を取得する(ステップS14)。そして、ステップS16に進む。
【0063】
位置情報取得部72は、通信部58を介して、取得した位置情報をサーバ装置10に送信する(ステップS16)。具体的には、位置情報取得部72は、例えば、通信部58を介して、位置情報に自機を識別するための端末IDを含めて、サーバ装置10に送信する。そして、
図9の処理を終了する。
【0064】
ステップS12でNoと判定された場合、接続要求部70は、サーバ装置10への接続を終了する(ステップS18)。そして、
図9の処理を終了する。
【0065】
[サーバ装置の処理]
(端末装置登録処理)
図10を用いて、第1実施形態に係るサーバ装置の処理内容について説明する。
図10は、第1実施形態に係るサーバ装置の端末装置登録処理の流れを示すフローチャートである。
【0066】
図10は、接続要求を行った端末装置12の接続を許可また拒否するまで処理を示している。
【0067】
接続管理部38は、通信部20を介して、端末装置12から通信拡張モードとしての接続要求を受信する(ステップS20)。そして、ステップS22に進む。
【0068】
接続管理部38は、端末装置12の接続を許可するか否かを判定する(ステップS22)。端末装置12の接続を許可すると判定された場合(ステップS22;Yes)、ステップS24に進む。端末装置12の接続を許可すると判定されない場合(ステップS22;No)、ステップS26に進む。
【0069】
ステップS22でYesと判定された場合、接続管理部38は、接続要求を行った端末装置12を、通信拡張モードの端末装置12として登録する(ステップS24)。具体的には、接続管理部38は、例えば、通信拡張モードの端末装置12として登録し、その端末装置12に対して、通信部20を介して、接続許可信号を送信する。そして、
図10の処理を終了する。
【0070】
ステップS22でNoと判定された場合、制御部24は、通信部20を介して、接続要求を行った端末装置12に対して、接続拒否信号を送信する(ステップS26)。そして、
図10の処理を終了する。
【0071】
(位置情報更新処理)
図11を用いて、第1実施形態に係るサーバ装置の処理内容について説明する。
図11は、第1実施形態に係るサーバ装置の位置情報更新処理の流れを示すフローチャートである。
【0072】
図11は、サーバ装置10が登録した端末装置12の位置情報を更新する処理を示している。
【0073】
位置情報取得部30は、通信部20を介して、位置情報を受信する(ステップS30)。そして、ステップS32に進む。
【0074】
位置情報取得部30は、受信した位置情報は接続を許可した端末装置12の位置情報であるか否かを判定する(ステップS32)。具体的には、位置情報取得部30は、受信した位置情報に含まれる端末IDが、登録されている端末IDと一致する場合に、接続を許可した端末装置12であると判定する。接続を許可した端末装置12の位置情報であると判定された場合(ステップS32;Yes)、ステップS34に進む。接続を許可した端末装置12の位置情報であると判定されない場合(ステップS32;No)、
図11の処理を終了する。
【0075】
ステップS32でYesと判定された場合、位置情報取得部30は、端末装置12の位置情報を更新する(ステップS34)。そして、
図11の処理を終了する。
【0076】
(拡張範囲設定処理)
図12を用いて、第1実施形態に係るサーバ装置の処理内容について説明する。
図12は、第1実施形態に係るサーバ装置の拡張範囲設定処理の流れを示すフローチャートである。
【0077】
図12示す処理は、一時的グループが形成された後に、サーバ装置10が実行する処理を示している。
【0078】
通信制御部34は、通信部20を介して、端末装置12から発呼要求信号を受信する(ステップS40)。そして、ステップS42に進む。
【0079】
通信制御部34は、発呼要求を許可するか否かを判定する(ステップS42)。発呼要求を許可すると判定されない場合(ステップS42;No)、ステップS44に進む。発呼要求を許可すると判定された場合(ステップS42;Yes)、ステップS46に進む。
【0080】
ステップS42でNoと判定された場合、通信制御部34は、通信部20を介して、発呼要求を送信した端末装置12に対して、発呼拒否信号を送信する(ステップS44)。この場合、発呼要求を送信した端末装置12の通信は、開始されない。そして、
図12の処理を終了する。
【0081】
ステップS42でYesと判定された場合、拡張通信範囲設定部36は、直前の通信から所定時間経過したか否かを判定する(ステップS46)。所定時間は、設計に応じて任意に変更してよい。直前の通信から所定時間経過したと判定された場合(ステップS46;Yes)、ステップS48に進む。直前の通信から所定時間経過したと判定されない場合(ステップS46;No)、ステップS50に進む。
【0082】
ステップS46でYesと判定された場合、拡張通信範囲設定部36は、一時的グループを解除して、発呼要求を行った端末装置12のみを登録して新たな一時的グループを形成する(ステップS48)。そして、ステップS50に進む。
【0083】
ステップS46でNoと判定された場合、またはステップS48の後、拡張通信範囲設定部36は、一時的グループに発呼要求を行った端末装置12が含まれるか否かを判定する(ステップS50)。一時的グループに発呼要求を行った端末装置12が含まれると判定された場合(ステップS50;Yes)、ステップS54に進む。一時的グループに発呼要求を行った端末装置12が含まれると判定されない場合(ステップS50;No)、ステップS52に進む。
【0084】
ステップS50でNoと判定された場合、拡張通信範囲設定部36は、発呼要求を行った端末装置12を一時的グループに追加する(ステップS52)。そして、ステップS54に進む。
【0085】
ステップS50でYesと判定された場合、またはステップS52の後、拡張通信範囲設定部36は、拡張通信範囲を設定する(ステップS54)。具体的には、拡張通信範囲設定部36は、一時的グループに含まれる各端末装置12の通信範囲を統合して拡張通信範囲を設定する。そして、ステップS56に進む。
【0086】
通信制御部34は、拡張通信範囲設定部36が設定した拡張通信範囲内に位置しているすべての端末装置を通信内容の送信対象となる、送信対象端末装置として特定する(ステップS56)。そして、ステップS58に進む。
【0087】
通信制御部34は、通信部20を介して、発呼要求を行った端末装置12に対して、発呼許可信号を送信する(ステップS58)。そして、ステップS60に進む。
【0088】
通信制御部34は、発呼を許可した端末装置12から情報を受信したか否かを判定する(ステップS60)。発呼を許可した端末装置12から情報を受信したと判定された場合(ステップS60;Yes)、ステップS62に進む。発呼を許可した端末装置12から情報を受信したと判定されない場合(ステップS60;No)、ステップS64に進む。
【0089】
ステップS60でYesと判定された場合、通信制御部34は、送信対象端末装置に受信した情報を送信する(ステップS62)。そして、ステップS60に進む。すなわち、通信制御部34は、発呼を許可した端末装置12が情報を送信している間は、ステップS60と、ステップS62との処理を繰り返す。
【0090】
ステップS60でNoと判定された場合、通信制御部34は、発呼している端末装置12から発呼終了信号を受信またはタイムアウトしたか否かを判定する(ステップS64)。タイムアウトの時間は、設計に応じて任意に設定されてよい。発呼終了信号を受信またはタイムアウトしたと判定された場合(ステップS64;Yes)、
図12の処理を終了する。発呼終了信号を受信またはタイムアウトしたと判定されない場合(ステップS64;No)、ステップS60に進む。すなわち、通信制御部34は、発呼終了信号を受信するか、タイムアウトするまでの間は、ステップS60からステップS64の処理を繰り返す。
【0091】
上述のとおり、本実施形態は、発呼した端末装置にあらかじめ設定されている通信範囲内に存在する端末装置が応答した場合、発呼した端末装置と、応答した端末装置とにあらかじめ設定されている通信範囲を統合して、拡張通信範囲を設定する。これにより、本実施形態は、各端末装置の通信範囲を拡張することができるので、遠くにいるユーザに指示をだしたり、遠くにいるユーザと適切に情報を共有したりすることができるようになる。
【0092】
図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。なお、この分散・統合による構成は動的に行われてもよい。
【0093】
第1実施形態の
図7を用いた拡張通信範囲における通信方法は、以下のように構成してもよい。拡張通信範囲R10には、端末装置12-1と、端末装置12-2と、端末装置12-3とが位置している。端末装置12-1と、端末装置12-2とは第1一時的グループに属している。端末装置12-3は第1一時的グループに属していない。このような状態において、第1一時的グループに属していない端末装置が位置する通信範囲に応じて、通信内容の送信を制御するようにしてもよい。例えば、
図7において、端末装置12-1が発呼したとすると、端末装置12-3は拡張通信範囲R10内に位置するが、端末装置12-1の通信範囲内に位置していないため、端末装置12-1の通信内容は端末装置12-3に送信されないようにすると良い。また、例えば、
図7において、端末装置12-2が発呼したとすると、端末装置12-2の通信範囲内に端末装置12-3は位置しているため、端末装置12-1の通信内容が端末装置12-3に送信されるようにすると良い。
【0094】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本開示が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0095】
1 通信システム
10 サーバ装置
12 端末装置
20,58 通信部
22,62 記憶部
24,64 制御部
30,72 位置情報取得部
32 通信範囲設定部
34 通信制御部
36 拡張通信範囲設定部
38 接続管理部
50 入力部
52 表示部
54 マイク
56 スピーカ
60 GNSS受信部
70 接続要求部